(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-522758(P2020-522758A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(54)【発明の名称】調整装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/182 20060101AFI20200703BHJP
G02B 7/00 20060101ALI20200703BHJP
G02B 7/198 20060101ALI20200703BHJP
【FI】
G02B7/182
G02B7/00 B
G02B7/198
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-567734(P2019-567734)
(86)(22)【出願日】2018年6月5日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月5日
(86)【国際出願番号】DE2018100536
(87)【国際公開番号】WO2018224094
(87)【国際公開日】20181213
(31)【優先権主張番号】102017112517.5
(32)【優先日】2017年6月7日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトゥニ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブラミク,アルネ
(72)【発明者】
【氏名】マルト,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】トロール,ダニエラ
【テーマコード(参考)】
2H043
【Fターム(参考)】
2H043AA02
2H043AA25
2H043AB04
2H043AB09
2H043AB14
2H043BB05
2H043CD04
(57)【要約】
本発明は、基部本体と、駆動運動を実現する少なくとも2つの駆動素子と、基部本体に対して可動のプラットフォームとを有する調整装置に関し、駆動素子の各々は、前者と関連付けられているレバー伝達装置に当接し、レバー伝達装置で伝達される駆動素子の駆動運動を、レバー伝達装置およびプラットフォームに接続された接合素子を介してプラットフォームに伝えることができ、これによって、プラットフォームは、プラットフォームを通る軸の周りの傾斜運動の形態で、および/または、プラットフォームによって規定されるプラットフォーム平面に対して垂直に配置される軸と平行な並進運動の形態で、規定された調整運動を基部本体に対して実行可能であり、接合素子は、少なくとも1つの傾斜軸の周りのみのプラットフォームの傾斜運動を可能にし、調整運動を誘導するために用いられ、かつ基部本体に堅固に接続されるばね素子がプラットフォームにさらに配置され、ばね素子は、調整運動に起因する、プラットフォーム平面内の寄生並進運動、および/または、プラットフォーム平面に対して垂直に配置される回転軸の周りのプラットフォームの寄生回転運動を抑制する。本発明はさらに、傾斜ミラーユニットにおける調整装置の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部本体(2)と、駆動運動を実現する少なくとも2つの駆動素子(3)と、前記基部本体に対して可動のプラットフォーム(4)とを有する調整装置(1)であって、前記駆動素子(3)の各々は、前者と関連付けられているレバー伝達装置(5)に当接し、前記レバー伝達装置(5)で伝達される駆動素子(3)の前記駆動運動を、前記レバー伝達装置および前記プラットフォーム(4)に接続された接合素子(6)を介して前記プラットフォーム(4)に伝えることができ、これによって、前記プラットフォーム(4)は、前記プラットフォームを通る軸の周りの傾斜運動の形態で、および/または、前記プラットフォームによって規定されるプラットフォーム平面に対して垂直に配置される軸と平行な並進運動の形態で、規定された調整運動を前記基部本体に対して実行可能であり、前記接合素子は、少なくとも1つの傾斜軸の周りのみの前記プラットフォームの傾斜運動を可能にし、前記調整運動を誘導するために用いられ、かつ前記基部本体に堅固に接続されるばね素子(7)が前記プラットフォームにさらに配置され、前記ばね素子(7)は、前記調整運動に起因する、前記プラットフォーム平面内の寄生並進運動、および/または、前記プラットフォーム平面に対して垂直に配置される回転軸の周りの前記プラットフォームの寄生回転運動を抑制する、調整装置。
【請求項2】
前記プラットフォーム(4)は2つの部分からなり、前記調整装置によって動かされる素子をその上に取付け可能なプラットフォーム上部(41)と、プラットフォーム下部(42)とを備え、前記ばね素子(7)は、前記ばね素子の形状に対応する前記プラットフォーム下部の凹部(43)内に配置され、好ましくは前記プラットフォーム下部に接着接合されることを特徴とする、請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記ばね素子(7)は、中央部(8)と、前記中央部から延びる少なくとも2つのアーム部(9)とを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記接合素子(6)はたわみヒンジとして形成されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項5】
前記接合素子(6)の各々は、互いに対して実質的に垂直に配置される1対の重ね板ばね(61,62)として形成されることを特徴とする、請求項4に記載の調整装置。
【請求項6】
前記プラットフォーム(4)は前記基部本体(2)に解放可能に接続されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項7】
前記レバー伝達装置(5)は相互に作用する少なくとも2つのレバー部(10)を備えることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項8】
前記相互に作用する少なくとも2つのレバー部(10)は互いに入れ子式に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の調整装置。
【請求項9】
前記レバー部は少なくとも1つのたわみヒンジ(11)によって互いに接続されることを特徴とする、請求項7または8に記載の調整装置。
【請求項10】
前記レバー伝達装置(5)は前記基部本体(2)と一体化して形成されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項11】
前記レバー伝達装置(5)の全レバー伝達は5から7であることを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項12】
前記プラットフォーム(4)は、互いに直角に交差して前記プラットフォームを通る2本の傾斜軸の周りに傾斜可能であり、前記調整装置は、4つの駆動素子(3)と、前記プラットフォームに取付けられるたわみヒンジの形態の4つの接合素子(6)とを備えることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項13】
前記たわみヒンジは前記プラットフォームと一体化して接続されることを特徴とする、請求項12に記載の調整装置。
【請求項14】
前記ばね素子は、環状の中央部(8)と、前記中央部から星形に延びる4つのアーム部(9)とを備えることを特徴とする、請求項12または13に記載の調整装置。
【請求項15】
旋回点を規定する前記2本の傾斜軸の交差点は、前記プラットフォームへの前記接合素子の4つの取付点によって規定される同一平面内に実質的にあることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項16】
前記調整装置の包絡線の体積が55から60cm3である場合は、傾斜運動は5×10E−6°から1°の傾斜角を中心として起こり得、および/または前記並進運動は1nmから200μmの範囲内で起こり得ることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項17】
前記プラットフォームは、最大で200Hzの周波数で、最小傾斜角と最大傾斜角との切換え、および/または最小並進偏向と最大並進偏向との切換えを実行可能であることを特徴とする、請求項16に記載の調整装置。
【請求項18】
傾斜ミラーユニットにおける、前述の請求項のいずれか1項に記載の前記調整装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1から17に記載の調整装置、および傾斜ミラーユニットにおけるそのような調整装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子のための調整装置がDE 103 44 178 B4から知られており、光学素子はマニピュレータユニットによって基部本体に装着されている。マニピュレータユニットはここで線形調整素子および可動マニピュレータ部材を含み、線形調整素子および可動マニピュレータ部材はたわみヒンジ構成によって互いに接続されている。可動マニピュレータ部材自体はさらなるたわみヒンジによってマニピュレータヘッドに接続されており、マニピュレータヘッドの上に光学素子がフレームリングによって配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たわみヒンジ構成は、たわみヒンジ構成がレバー減速機として作用することによって、線形調整素子の既に小さい調整運動が光学素子のさらに低い高精度の調整運動に変換され得るように構成されている。
【0004】
DE 103 44 178 B4から知られている調整装置の主な欠点は、調整運動範囲が非常に限られていることである。
【0005】
したがって、本発明の目的は、高精度の調整運動でより大きい調整範囲を可能にする調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載の調整装置によって達成され、それに続く従属請求項には少なくとも有利なさらなる展開が記載されている。
【0007】
角度、寸法、位置、向きまたは方向などの幾何学的データの仕様に関連して説明の以下の部分に何度か使用している「実質的に」という用語は、対応する幾何学的データがそれぞれ指定された幾何学的データと比べて+/−5%の偏差を有し得ることを意味していると理解されるものとする。この偏差は、たとえば製造公差またはアセンブリ公差に起因する。
【0008】
本発明に係る調整装置は、基部本体と、基部本体に対して可動のプラットフォームとを含み、動かされるまたは位置決めされる素子、好ましくは光学素子がプラットフォームに取付けられ得る。プラットフォームまたは位置決めされる素子の動きは少なくとも2つの駆動素子によって実現し、少なくとも2つの駆動素子の各々は、その専用の関連付けられたレバー伝達装置において係合する。
【0009】
当該レバー伝達装置を用いて、一般に用いられる駆動素子の非常に小さい駆動運動を、たとえばピエゾアクチュエータの形態の駆動素子の場合は、結果として生じる比較的大きい運動に変換することができる。
【0010】
それぞれのレバー伝達装置によって伝達される、関連付けられた駆動素子の駆動運動は、レバー伝達装置およびプラットフォームに接続された接合素子を介してプラットフォームに摩擦なしで伝えられ、これによって、プラットフォームは、プラットフォームを通る軸の周りの傾斜運動の形態で、および/または、プラットフォームによって規定されるプラットフォーム軸に対して垂直に配置される軸と平行な並進運動の形態で、規定された調整運動を基部本体に対して実行可能である。接合素子は、少なくとも1つの傾斜軸の周りのみのプラットフォームの傾斜運動を可能にする。
【0011】
ばね素子がプラットフォームに接続され、調整運動を誘導するために用いられる。当該ばね素子も同様に基部本体に接続され、プラットフォーム平面内の寄生並進運動、および/またはプラットフォーム平面に対して垂直に配置される回転軸の軸の周りのプラットフォームの寄生回転運動を抑制する。上記寄生運動は調整運動に起因する。しかし同時に、ばね素子によって、回転軸と平行に配置された軸内の並進運動が可能になる。ばね素子は好ましくは、金属材料、特にばね鋼からなる薄板ばねまたは膜である。
【0012】
プラットフォームは2つの部分からなり、調整装置によって動かされる素子をその上に取付け可能なプラットフォーム上部と、プラットフォーム下部とを含むこと、および、ばね素子は、ばね素子の形状に対応したプラットフォーム下部の凹部内に配置されて好ましくは下部に接着接合されることが有利であり得る。接合素子の近くのまたはプラットフォームの旋回点の近くのばね素子の配置がこうして得られることによって、とりわけ、変形可能な部品内の機械的応力が低下する。プラットフォームの望ましくない寄生振り子運動をそれぞれ防止するまたは可能な限り防止するように、移動質量の質量中心はプラットフォームの旋回点と一致することが理想的である。さらに、ばね素子をプラットフォーム下部の凹部内に配置することによって設置空間が小さく減少し、接着接合プロセスによる取付けによってさらなる部品の使用が省略され、したがって設置労力が軽減する。接着接合プロセスによってばね素子をプラットフォーム下部に接続することに加えて、半田付けまたは溶接などの他の種類の接続も考えられる。さらに、たとえば、ばね素子がプラットフォーム下部のたとえばスロットなどの凹部内に静止するまたは装着される、純粋に機械的な取付けも考えられる。
【0013】
また、ばね素子は、中央部と、中央部から延びる少なくとも2つのアーム部とを含むことが有利であり得る。これによって高い誘導精度が簡単に可能になり、同時に、対応するばね素子によって、調整装置に対する機械的応力が低い状態で比較的大きい調整範囲が可能になる。
【0014】
さらに、接合素子をたわみヒンジとして形成することが有利であり得る。たわみヒンジは摩擦なしで動作し、たわみヒンジの変形に伴うヒステリシスは非常に小さい。また、たわみヒンジによって高度に動的なそれぞれの調整運動が可能になり、それらの効率の程度は高い。したがって、たわみヒンジを使用することは、特に本発明に係る調整装置の精度および速度についての高い要求に関して有利である。
【0015】
また、接合素子を、互いに対して実質的に垂直に配置される1対の重ね板ばねとして構成することが有利であり得る。互いに対して実質的に垂直に配置される重ね板ばねによって、複雑な力に晒された際の調整装置内の機械的負荷または応力が低下する。特に、それぞれ互いに対して垂直に配置されるまたは互いに交差する重ね板ばねは、すべてのそれぞれの調整または傾斜軸について同等の動力学および同等の調整運動についての要求を満たすことができる。
【0016】
また、プラットフォームを基部本体に解放可能に接続することが有利であり得る。これは、本発明に係る調整装置のより簡単な、したがってより経済的な製造に関して有利である。さらに、これによって、プラットフォームまたはプラットフォームと関連付けられている位置決めされる素子を簡単に交換する可能性が提供される。交換は、接合素子がプラットフォームに永続的に接続されるように構成されている場合に、またはプラットフォームと一体化して形成されている場合に特に有利である。なぜなら、接合素子は高い機械的負荷を受け、動作時にそれぞれが故障する可能性があるためである。
【0017】
さらに、レバー伝達装置は相互に作用する少なくとも2つのレバー部を含むことが有利であり得る。これによって所望の伝達率を実現することができる。レバー伝達装置の全レバー伝達は5から7、特に好ましくは6.25であることが特に有利である。
【0018】
相互に作用する少なくとも2つのレバー部を互いに入れ子式に配置することが有利であり得る。これによって比較的大きい伝達率が可能になり、同時に必要な設置空間が小さくて済む。すなわち、非常にコンパクトなレバー伝達装置がこうして実現可能である。
【0019】
また、レバー部を少なくとも1つのたわみヒンジによって互いに接続することが有利であり得る。これによって、摩擦なしの高度に動的なレバー伝達装置動作が可能になる。
【0020】
また、レバー伝達装置を基部本体と一体化して形成することが有利であり得る。これによって、非常に低い製造公差を維持しつつ調整装置のさらにコンパクトな設計が可能になる。
【0021】
また、プラットフォームは、互いに直角に交差してプラットフォームを通る2本の傾斜軸の周りを傾斜可能であること、および、調整装置は、4つの駆動素子と、プラットフォームに取付けられるたわみヒンジの形態の4つの接合素子とを有することが有利であり得る。これによって本発明に係る調整装置の応用分野が拡大する。
【0022】
特に、たわみヒンジをプラットフォームと一体化して接続することが有利であり得る。これによって設置労力が大幅に軽減する。
【0023】
また、ばね素子は、環状の中央部と、中央部から星形に延びる4つのアーム部とを含むことが有利であり得る。これによって高い誘導精度が簡単に可能になり、同時に、対応するばね素子によって、調整装置に対する機械的応力が低い状態で比較的大きい調整範囲が可能になる。中央部から星形に延びる3つの、または4つよりも多いアーム部を有するばね素子も考えられる。
【0024】
さらに、旋回点を規定する2本の傾斜軸の交差点は、プラットフォームへの接合素子の4つの取付点によって規定される同一平面内に実質的にあることが有利であり得る。これによってアーム部および接合素子内の機械的負荷が低下する。
【0025】
また、調整装置の包絡線の体積が55から60cm
3である場合は、傾斜運動は5×10E−6から1度の傾斜角を中心として起こること、および/または並進運動は1nmから200μmの範囲内で起こることが有利であり得る。調整装置の寸法が小さく、調整装置の体積または調整装置の包絡線の体積がそれに対応して小さい場合でも、本発明に係る調整装置によって比較的大きい傾斜角、および/またはプラットフォームの比較的大きい並進運動もしくは偏向が可能になる。
【0026】
また、プラットフォームは、最大で200Hzの周波数で、最小傾斜角と最大傾斜角との切換え、および/または最小並進偏向と最大並進偏向との切換えを実行可能であることが有利であり得る。本発明に係る調整装置はこうして調整運動に関して高い動力学を提供する。
【0027】
本発明はさらに、傾斜ミラーユニットおける調整装置の使用に関する。そして、光学装置のコンパクトな傾斜ミラーユニット内部のビーム経路の高度に動的な偏向が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る調整装置1を斜視分解図で示す。チタンTi6Al4V(グレード5)からなる基部本体2は、圧電線形アクチュエータの形態の駆動素子3をそれぞれが受けるための合計4つの基部本体凹部100を含む。圧電線形アクチュエータは、前負荷装置120による圧電線形アクチュエータの長手方向の延在方向における圧縮応力によって作動される。前負荷装置120は、実質的にT字形の前負荷素子121と、2つの圧縮ばね122および軸受部123とを含む。調整装置を組立てた状態では、各圧縮ばね122は前負荷素子121の対応する凹部に部分的に挿入され、その2つの遠端の一方で前負荷素子121に当接するか、または前負荷素子121に接して支持される。それぞれの圧縮ばねの他方の遠端は、それぞれ関連付けられた軸受部123に当接するか、または軸受部123に接して支持され、軸受部もそれぞれの凹部を含み、その中に圧縮ばねが部分的に突き出る。前負荷素子および軸受部が凹部内にそれぞれ部分的に突き出ることによって、圧縮ばね122の軸受または誘導が達成される。
【0029】
基部本体2と一体化してまたは一体に、合計4つのレバー伝達装置5が形成されている。レバー伝達装置5の各々は、互いに入れ子になった2つのレバー部10を含み、レバー部10は、たわみヒンジ11によって互いに接続されているかまたは互いに作動的に接続されている。
【0030】
プラットフォーム4はプラットフォーム上部41およびプラットフォーム下部42を含む。合計4つの接合素子6がプラットフォーム上部と一体化してまたは一体に形成されているが、
図1にはそのうちの2つしか見えない。プラットフォーム上部41とプラットフォーム下部42との間には、ばね鋼からなるばね素子7が配置されている。ばね素子7は、環状の中央部8と、中央部8から星形に延びる4つのアーム部9とを含む。組立てた状態または装着した状態では、ばね素子7はプラットフォーム下部42の相補的な、したがって同様に星形の凹部43内に静止するか、または好ましくは接着接合によって凹部43に接続される。
【0031】
ばね素子7は、組立てた状態または装着した状態では、
図1には示されていない取付素子、好ましくはねじによって基部本体に接続されている。取付素子はここで基部本体2の取付部材160と共に作用する。ばね素子7が基部本体2に取付けられるため、プラットフォーム4全体も、ばね素子7とプラットフォーム下部42との間の堅固な接続、およびプラットフォーム下部42とプラットフォーム上部41との間の堅固な接続によって基部本体2に接続されている。
【0032】
調整装置を組立てた状態では、接合素子6はさらにプラットフォーム下部42の対応する貫通通路を通って突き出て、それぞれ対向するレバー部10の対応する凹部内に突き出て、そこで接合素子6の各々は取付素子140によって対応するレバー部10に接続される。
【0033】
図2は、組立てた状態の
図1に係る調整装置を側面図で示す。
図1には示されていない、取付部材160の対応するねじ山と相互に作用するねじの形態の取付素子150をここに見ることができる。ねじ150の頭部は、
図2では確認できないが、ここでばね素子7に当接するのに対して、ねじまたはねじ山軸はばね素子7の環状開口部8を通って突出する。取り付素子150のねじ山にねじを螺合することによって、ばね素子、したがってプラットフォーム全体がそれぞれ基部本体に接続されるかまたは基部本体に取付けられる。
【0034】
さらに、
図2からは、確認できる2つの線形アクチュエータ3の各々が、その遠端の一方で前負荷装置120のそれぞれの軸受部123に当接するのに対して、前負荷素子121は基部本体に接続され、圧縮ばね122は、それぞれの部分が前負荷素子および軸受部の凹部内に静止するように前負荷素子121とそれぞれの軸受部123との間に配置されていることが分かる。前負荷素子は基部本体に堅固に接続されているため、圧縮ばねは、次にレバー伝達装置5の当接部101と一体にまたは一体化して形成される軸受部123がそれぞれの線形アクチュエータ上への方向に押されるように作用する。したがって、当接部101もそれぞれの線形アクチュエータの方向に押され、それぞれの線形アクチュエータの反対側に配置された遠端の堅固な支持のために、後者はしたがって圧縮応力を受ける。
【0035】
2つのレバー部10は線形アクチュエータの長手方向の延在方向に交互に配置され、線形アクチュエータを向くレバー部は線形アクチュエータと反対側を向くレバー部よりも短い。短い方のレバー部を用いると約2のレバー伝達が可能であるが、長い方のレバー部を用いると約3のレバー伝達を得ることができる。全レバー伝達は約6.25である。
【0036】
図3は、
図1および
図2に係る調整装置の上部を詳細に示しているが、ここでは明確にするために前負荷装置120が省略されている。
【0037】
それぞれの線形アクチュエータの上側遠端は前負荷装置120の軸受部123にそれぞれ当接するかまたはその内部に係合し、軸受部123はレバー伝達装置の当接部101と一体にまたは一体化して形成されている。
【0038】
それぞれの線形アクチュエータと反対側を向く方向において、レバー伝達装置の第1のたわみヒンジ11が当接部101に隣接している。
【0039】
それぞれの線形アクチュエータと反対側を向く方向において、第1のレバー部10が先に説明したたわみヒンジに隣接している。この第1のレバー部は、第1に、さらなるたわみヒンジ11によって基部本体に接続されており、第2に、付加的なたわみ素子11によって、第1のレバー部の後ろのそれぞれの線形アクチュエータと反対側を向く方向に配置されている第2のレバー部に接続されている。
【0040】
第1のレバー部は約8mmの長さにわたって延在し、この長手方向の延在方向は、それぞれ関連付けられた線形アクチュエータの延在方向に対して実質的に垂直に配置されている。
【0041】
第2のレバー部は、第1のレバー部とは異なり、角度のある形状を有しており、有効レバー長は約10mmである。第2のレバー部はさらなるたわみヒンジによって基部本体に接続されている。
【0042】
レバー伝達装置のすべてのたわみヒンジの長さは1mmであり、幅は0.4mmである。
【0043】
第2の長い方のレバー部と、プラットフォーム下部42と一体化して形成されたそれぞれの接合素子6と間の接続は、ねじの形態の取付素子140によって確立される。
【0044】
図4は、調整装置の上部の
図1から3に基づく詳細図である。ここでは軸受部123が省略されており、接合素子6はそれに続く
図3と比べて切離されている。
【0045】
図4からは、示されている2つの接合素子6の各々が1対の重ね板ばね61および62から形成されており、2つの重ね板ばねは互いに対して実質的に垂直に配置されているため、それぞれの運動における、または互いに対して実質的に垂直に配置された傾斜方向における必要な自由度が可能になることが分かる。
【0046】
上述のように、接合素子の各々は、
図4では明確にするために省略されている取付素子140によって、それぞれ関連付けられたレバー伝達装置に接続または結合されているため、レバーによって伝達される線形アクチュエータの偏向をプラットフォーム4に伝えることができる。これは、先の
図1から4に関するさらなる詳細からの
図5から生じる。取付素子140はここではグラブねじとして構成されている。
【0047】
図6は、
図1から
図5に係る調整装置の上部の斜視詳細図をプラットフォーム下部42の断面とともに示しており、当該断面図はプラットフォーム平面と平行に走っている。プラットフォーム下部42の凹部43内のばね素子7の配置をこうして詳細に見ることができる。
【0048】
十字形のばね素子7は、環状の中央部8と、中央部から延びる4つのアーム部9とを含み、隣接するアーム部の各々は互いに実質的に90°の角度をなす。
【0049】
ばね素子はそれぞればね鋼シートまたはばね鋼からなり、厚みまたは材料の厚みは0.15mmである。各アーム部の長さは円形中央部の中央から測定して7.5mmであり、各アーム部の幅は最も狭い点で1.5mmであり、すなわちこの位置は一定の幅を有している。
【0050】
十字形のばね素子7は相補的な凹部43内にそれぞれ配置されるかまたはその中に挿入され、それぞれのアーム部のより幅広の端部はプラットフォーム下部42に接着接合される。
【0051】
図7は、
図1から
図6に係る調整装置におけるプラットフォーム平面に対して垂直な断面図を示す。ここでもプラットフォーム上部41とプラットフォーム下部42との間のばね素子7の配置を明確に確認することができ、ばね素子の環状の中央部8は取付部材160に当接している。
【0052】
図8は主に
図7に対応するが、ここでは第1に、ねじの形態の取付素子150と、第2に、同様に取付部材160を基部本体2に接続するねじとして構成される取付素子170とが示されている。
【0053】
図9は、計算によってシミュレートした
図1から
図8に係る調整装置の偏向または位置決めの状況を斜視図で示す。
図9に示されるレバー伝達装置は左前部で偏向しており、斜め反対側に配置されており
図9では確認できないレバー伝達装置は右後部で偏向している。左前部に配置されたレバー伝達装置と関連付けられた線形アクチュエータは伸長運動を実行するのに対して、斜め反対側に配置された線形アクチュエータは収縮運動を実行する。全体として、これによって2本の傾斜軸の周りの規定された傾斜プロセスが生じる。
【0054】
図9の例示では、示されている偏向または変形は実際の偏向または変形よりもはるかに大きいことに留意すべきである。これは、
図9に係る偏向状況に関する側面図である
図10の例示にも当てはまる。
【0055】
図10では、関連付けられた線形アクチュエータが伸長すると、左前部におけるレバー伝達装置が上向きに、すなわちプラットフォームに向かう方向に、対応する拡大運動を実行するのに対して、斜め反対側に配置された線形アクチュエータが収縮すると、レバー伝達装置の下向きの、すなわちプラットフォームと反対側を向く方向における運動が生じることが明らかに確認できる。また、
図10には、作動された2つのレバー伝達装置の対応する偏向に起因する重ね板ばね61の曲げ変形も明らかに確認できる。
【符号の説明】
【0056】
参照番号のリスト
1 調整装置
2 基部本体
3 駆動素子
4 プラットフォーム
5 レバー伝達装置
6 接合素子
7 ばね素子
8 中央部
9 アーム部
10 レバー部
11 たわみヒンジ
41 プラットフォーム上部
42 プラットフォーム下部
43 (プラットフォーム4の)凹部
61 重ね板ばね
62 重ね板ばね
100 基部本体凹部
101 当接部
120 前負荷装置
121 前負荷素子
122 圧縮ばね
123 軸受部
140 取付素子
150 取付素子
160 取付素子
170 取付素子
【手続補正書】
【提出日】2020年2月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部本体(2)と、駆動運動を実現する少なくとも2つの駆動素子(3)と、前記基部本体に対して可動のプラットフォーム(4)とを有する調整装置(1)であって、前記駆動素子(3)の各々は、前者と関連付けられているレバー伝達装置(5)に当接し、前記レバー伝達装置(5)で伝達される駆動素子(3)の前記駆動運動を、前記レバー伝達装置および前記プラットフォーム(4)に接続された接合素子(6)を介して前記プラットフォーム(4)に伝えることができ、これによって、前記プラットフォーム(4)は、前記プラットフォームを通る軸の周りの傾斜運動の形態で、および/または、前記プラットフォームによって規定されるプラットフォーム平面に対して垂直に配置される軸と平行な並進運動の形態で、規定された調整運動を前記基部本体に対して実行可能であり、前記接合素子は、少なくとも1つの傾斜軸の周りのみの前記プラットフォームの傾斜運動を可能にし、前記調整運動を誘導するために用いられ、かつ前記基部本体に堅固に接続されるばね素子(7)が前記プラットフォームにさらに配置され、前記ばね素子(7)は、前記調整運動に起因する、前記プラットフォーム平面内の寄生並進運動、および/または、前記プラットフォーム平面に対して垂直に配置される回転軸の周りの前記プラットフォームの寄生回転運動を抑制する、調整装置。
【請求項2】
前記プラットフォーム(4)は2つの部分からなり、前記調整装置によって動かされる素子をその上に取付け可能なプラットフォーム上部(41)と、プラットフォーム下部(42)とを備え、前記ばね素子(7)は、前記ばね素子の形状に対応する前記プラットフォーム下部の凹部(43)内に配置され、好ましくは前記プラットフォーム下部に接着接合されることを特徴とする、請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記ばね素子(7)は、中央部(8)と、前記中央部から延びる少なくとも2つのアーム部(9)とを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記接合素子(6)はたわみヒンジとして形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項5】
前記接合素子(6)の各々は、互いに対して実質的に垂直に配置される1対の重ね板ばね(61,62)として形成されることを特徴とする、請求項4に記載の調整装置。
【請求項6】
前記プラットフォーム(4)は前記基部本体(2)に解放可能に接続されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項7】
前記レバー伝達装置(5)は相互に作用する少なくとも2つのレバー部(10)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項8】
前記相互に作用する少なくとも2つのレバー部(10)は互いに入れ子式に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の調整装置。
【請求項9】
前記レバー部は少なくとも1つのたわみヒンジ(11)によって互いに接続されることを特徴とする、請求項7または8に記載の調整装置。
【請求項10】
前記レバー伝達装置(5)は前記基部本体(2)と一体化して形成されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項11】
前記レバー伝達装置(5)の全レバー伝達は5から7であることを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項12】
前記プラットフォーム(4)は、互いに直角に交差して前記プラットフォームを通る2本の傾斜軸の周りに傾斜可能であり、前記調整装置は、4つの駆動素子(3)と、前記プラットフォームに取付けられるたわみヒンジの形態の4つの接合素子(6)とを備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項13】
前記たわみヒンジは前記プラットフォームと一体化して接続されることを特徴とする、請求項12に記載の調整装置。
【請求項14】
前記ばね素子は、環状の中央部(8)と、前記中央部から星形に延びる4つのアーム部(9)とを備えることを特徴とする、請求項12または13に記載の調整装置。
【請求項15】
旋回点を規定する前記2本の傾斜軸の交差点は、前記プラットフォームへの前記接合素子の4つの取付点によって規定される同一平面内に実質的にあることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項16】
前記調整装置の包絡線の体積が55から60cm3である場合は、傾斜運動は5×10E−6°から1°の傾斜角を中心として起こり得、および/または前記並進運動は1nmから200μmの範囲内で起こり得ることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の調整装置。
【請求項17】
前記プラットフォームは、最大で200Hzの周波数で、最小傾斜角と最大傾斜角との切換え、および/または最小並進偏向と最大並進偏向との切換えを実行可能であることを特徴とする、請求項16に記載の調整装置。
【請求項18】
傾斜ミラーユニットにおける、請求項1から17のいずれか1項に記載の前記調整装置の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1から17に記載の調整装置、および傾斜ミラーユニットにおけるそのような調整装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子のための調整装置がDE 103 44 178 B4から知られており、光学素子はマニピュレータユニットによって基部本体に装着されている。マニピュレータユニットはここで線形調整素子および可動マニピュレータ部材を含み、線形調整素子および可動マニピュレータ部材はたわみヒンジ構成によって互いに接続されている。可動マニピュレータ部材自体はさらなるたわみヒンジによってマニピュレータヘッドに接続されており、マニピュレータヘッドの上に光学素子がフレームリングによって配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たわみヒンジ構成は、たわみヒンジ構成がレバー減速機として作用することによって、線形調整素子の既に小さい調整運動が光学素子のさらに低い高精度の調整運動に変換され得るように構成されている。
【0004】
DE 103 44 178 B4から知られている調整装置の主な欠点は、調整運動範囲が非常に限られていることである。
【0005】
したがって、本発明の目的は、高精度の調整運動でより大きい調整範囲を可能にする調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載の調整装置によって達成され、それに続く従属請求項には少なくとも有利なさらなる展開が記載されている。
【0007】
角度、寸法、位置、向きまたは方向などの幾何学的データの仕様に関連して説明の以下の部分に何度か使用している「実質的に」という用語は、対応する幾何学的データがそれぞれ指定された幾何学的データと比べて+/−5%の偏差を有し得ることを意味していると理解されるものとする。この偏差は、たとえば製造公差またはアセンブリ公差に起因する。
【0008】
本発明に係る調整装置は、基部本体と、基部本体に対して可動のプラットフォームとを含み、動かされるまたは位置決めされる素子、好ましくは光学素子がプラットフォームに取付けられ得る。プラットフォームまたは位置決めされる素子の動きは少なくとも2つの駆動素子によって実現し、少なくとも2つの駆動素子の各々は、その専用の関連付けられたレバー伝達装置において係合する。
【0009】
当該レバー伝達装置を用いて、一般に用いられる駆動素子の非常に小さい駆動運動を、たとえばピエゾアクチュエータの形態の駆動素子の場合は、結果として生じる比較的大きい運動に変換することができる。
【0010】
それぞれのレバー伝達装置によって伝達される、関連付けられた駆動素子の駆動運動は、レバー伝達装置およびプラットフォームに接続された接合素子を介してプラットフォームに摩擦なしで伝えられ、これによって、プラットフォームは、プラットフォームを通る軸の周りの傾斜運動の形態で、および/または、プラットフォームによって規定されるプラットフォーム軸に対して垂直に配置される軸と平行な並進運動の形態で、規定された調整運動を基部本体に対して実行可能である。接合素子は、少なくとも1つの傾斜軸の周りのみのプラットフォームの傾斜運動を可能にする。
【0011】
ばね素子がプラットフォームに接続され、調整運動を誘導するために用いられる。当該ばね素子も同様に基部本体に接続され、プラットフォーム平面内の寄生並進運動、および/またはプラットフォーム平面に対して垂直に配置される回転軸の軸の周りのプラットフォームの寄生回転運動を抑制する。上記寄生運動は調整運動に起因する。しかし同時に、ばね素子によって、回転軸と平行に配置された軸内の並進運動が可能になる。ばね素子は好ましくは、金属材料、特にばね鋼からなる薄板ばねまたは膜である。
【0012】
プラットフォームは2つの部分からなり、調整装置によって動かされる素子をその上に取付け可能なプラットフォーム上部と、プラットフォーム下部とを含むこと、および、ばね素子は、ばね素子の形状に対応したプラットフォーム下部の凹部内に配置されて好ましくは下部に接着接合されることが有利であり得る。接合素子の近くのまたはプラットフォームの旋回点の近くのばね素子の配置がこうして得られることによって、とりわけ、変形可能な部品内の機械的応力が低下する。プラットフォームの望ましくない寄生振り子運動をそれぞれ防止するまたは可能な限り防止するように、移動質量の質量中心はプラットフォームの旋回点と一致することが理想的である。さらに、ばね素子をプラットフォーム下部の凹部内に配置することによって設置空間が小さく減少し、接着接合プロセスによる取付けによってさらなる部品の使用が省略され、したがって設置労力が軽減する。接着接合プロセスによってばね素子をプラットフォーム下部に接続することに加えて、半田付けまたは溶接などの他の種類の接続も考えられる。さらに、たとえば、ばね素子がプラットフォーム下部のたとえばスロットなどの凹部内に静止するまたは装着される、純粋に機械的な取付けも考えられる。
【0013】
また、ばね素子は、中央部と、中央部から延びる少なくとも2つのアーム部とを含むことが有利であり得る。これによって高い誘導精度が簡単に可能になり、同時に、対応するばね素子によって、調整装置に対する機械的応力が低い状態で比較的大きい調整範囲が可能になる。
【0014】
さらに、接合素子をたわみヒンジとして形成することが有利であり得る。たわみヒンジは摩擦なしで動作し、たわみヒンジの変形に伴うヒステリシスは非常に小さい。また、たわみヒンジによって高度に動的なそれぞれの調整運動が可能になり、それらの効率の程度は高い。したがって、たわみヒンジを使用することは、特に本発明に係る調整装置の精度および速度についての高い要求に関して有利である。
【0015】
また、接合素子を、互いに対して実質的に垂直に配置される1対の重ね板ばねとして構成することが有利であり得る。互いに対して実質的に垂直に配置される重ね板ばねによって、複雑な力に晒された際の調整装置内の機械的負荷または応力が低下する。特に、それぞれ互いに対して垂直に配置されるまたは互いに交差する重ね板ばねは、すべてのそれぞれの調整または傾斜軸について同等の動力学および同等の調整運動についての要求を満たすことができる。
【0016】
また、プラットフォームを基部本体に解放可能に接続することが有利であり得る。これは、本発明に係る調整装置のより簡単な、したがってより経済的な製造に関して有利である。さらに、これによって、プラットフォームまたはプラットフォームと関連付けられている位置決めされる素子を簡単に交換する可能性が提供される。交換は、接合素子がプラットフォームに永続的に接続されるように構成されている場合に、またはプラットフォームと一体化して形成されている場合に特に有利である。なぜなら、接合素子は高い機械的負荷を受け、動作時にそれぞれが故障する可能性があるためである。
【0017】
さらに、レバー伝達装置は相互に作用する少なくとも2つのレバー部を含むことが有利であり得る。これによって所望の伝達率を実現することができる。レバー伝達装置の全レバー伝達は5から7、特に好ましくは6.25であることが特に有利である。
【0018】
相互に作用する少なくとも2つのレバー部を互いに入れ子式に配置することが有利であり得る。これによって比較的大きい伝達率が可能になり、同時に必要な設置空間が小さくて済む。すなわち、非常にコンパクトなレバー伝達装置がこうして実現可能である。
【0019】
また、レバー部を少なくとも1つのたわみヒンジによって互いに接続することが有利であり得る。これによって、摩擦なしの高度に動的なレバー伝達装置動作が可能になる。
【0020】
また、レバー伝達装置を基部本体と一体化して形成することが有利であり得る。これによって、非常に低い製造公差を維持しつつ調整装置のさらにコンパクトな設計が可能になる。
【0021】
また、プラットフォームは、互いに直角に交差してプラットフォームを通る2本の傾斜軸の周りを傾斜可能であること、および、調整装置は、4つの駆動素子と、プラットフォームに取付けられるたわみヒンジの形態の4つの接合素子とを有することが有利であり得る。これによって本発明に係る調整装置の応用分野が拡大する。
【0022】
特に、たわみヒンジをプラットフォームと一体化して接続することが有利であり得る。
これによって設置労力が大幅に軽減する。
【0023】
また、ばね素子は、環状の中央部と、中央部から星形に延びる4つのアーム部とを含むことが有利であり得る。これによって高い誘導精度が簡単に可能になり、同時に、対応するばね素子によって、調整装置に対する機械的応力が低い状態で比較的大きい調整範囲が可能になる。中央部から星形に延びる3つの、または4つよりも多いアーム部を有するばね素子も考えられる。
【0024】
さらに、旋回点を規定する2本の傾斜軸の交差点は、プラットフォームへの接合素子の4つの取付点によって規定される同一平面内に実質的にあることが有利であり得る。これによってアーム部および接合素子内の機械的負荷が低下する。
【0025】
また、調整装置の包絡線の体積が55から60cm
3である場合は、傾斜運動は5×10E−6から1度の傾斜角を中心として起こること、および/または並進運動は1nmから200μmの範囲内で起こることが有利であり得る。調整装置の寸法が小さく、調整装置の体積または調整装置の包絡線の体積がそれに対応して小さい場合でも、本発明に係る調整装置によって比較的大きい傾斜角、および/またはプラットフォームの比較的大きい並進運動もしくは偏向が可能になる。
【0026】
また、プラットフォームは、最大で200Hzの周波数で、最小傾斜角と最大傾斜角との切換え、および/または最小並進偏向と最大並進偏向との切換えを実行可能であることが有利であり得る。本発明に係る調整装置はこうして調整運動に関して高い動力学を提供する。
【0027】
本発明はさらに、傾斜ミラーユニットおける調整装置の使用に関する。そして、光学装置のコンパクトな傾斜ミラーユニット内部のビーム経路の高度に動的な偏向が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
本発明に係る調整装置1の斜視分解図である。
【
図2】
組立てた状態の図1に係る調整装置の側面図である。
【
図3】
図1および図2に係る調整装置の上部を詳細に示す図であるが、明確にするために前負荷装置120が省略されている。
【
図4】
調整装置の上部の図1から図3に基づく詳細図であり、軸受部123が省略されており、接合素子6はそれに続く図3と比べて切離されている。
【
図5】
先の図1から図4に関するさらなる詳細を示す図であり、接合素子の各々は、取付素子140によって、それぞれ関連付けられたレバー伝達装置に接続または結合されているため、レバーによって伝達される線形アクチュエータの偏向をプラットフォーム4に伝えることができる。
【
図6】
図1から図5に係る調整装置の上部の斜視詳細図をプラットフォーム下部42の断面図とともに示しており、当該断面図はプラットフォーム平面と平行に走っている。プラットフォーム下部42の凹部43内のばね素子7の配置をこうして詳細に見ることができる。
【
図7】
図1から図6に係る調整装置におけるプラットフォーム平面に対して垂直な断面図である。
【
図8】
主に図7に対応する図であるが、ここでは第1に、ねじの形態の取付素子150と、第2に、同様に取付部材160を基部本体2に接続するねじとして構成される取付素子170とが示されている。
【
図9】
計算によってシミュレートした図1から図8に係る調整装置の偏向または位置決めの状況の斜視図であり、図9に示されるレバー伝達装置は左前部で偏向しており、斜め反対側に配置されており図9では確認できないレバー伝達装置は右後部で偏向している。
【
図10】
図9に係る偏向状況に関する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る調整装置1を斜視分解図で示す。チタンTi6Al4V(グレード5)からなる基部本体2は、圧電線形アクチュエータの形態の駆動素子3をそれぞれが受けるための合計4つの基部本体凹部100を含む。圧電線形アクチュエータは、前負荷装置120による圧電線形アクチュエータの長手方向の延在方向における圧縮応力によって作動される。前負荷装置120は、実質的にT字形の前負荷素子121と、2つの圧縮ばね122および軸受部123とを含む。調整装置を組立てた状態では、各圧縮ばね122は前負荷素子121の対応する凹部に部分的に挿入され、その2つの遠端の一方で前負荷素子121に当接するか、または前負荷素子121に接して支持される。それぞれの圧縮ばねの他方の遠端は、それぞれ関連付けられた軸受部123に当接するか、または軸受部123に接して支持され、軸受部もそれぞれの凹部を含み、その中に圧縮ばねが部分的に突き出る。前負荷素子および軸受部が凹部内にそれぞれ部分的に突き出ることによって、圧縮ばね122の軸受または誘導が達成される。
【0030】
基部本体2と一体化してまたは一体に、合計4つのレバー伝達装置5が形成されている。レバー伝達装置5の各々は、互いに入れ子になった2つのレバー部10を含み、レバー部10は、たわみヒンジ11によって互いに接続されているかまたは互いに作動的に接続されている。
【0031】
プラットフォーム4はプラットフォーム上部41およびプラットフォーム下部42を含む。合計4つの接合素子6がプラットフォーム上部と一体化してまたは一体に形成されているが、
図1にはそのうちの2つしか見えない。プラットフォーム上部41とプラットフォーム下部42との間には、ばね鋼からなるばね素子7が配置されている。ばね素子7は、環状の中央部8と、中央部8から星形に延びる4つのアーム部9とを含む。組立てた状態または装着した状態では、ばね素子7はプラットフォーム下部42の相補的な、したがって同様に星形の凹部43内に静止するか、または好ましくは接着接合によって凹部43に接続される。
【0032】
ばね素子7は、組立てた状態または装着した状態では、
図1には示されていない取付素子、好ましくはねじによって基部本体に接続されている。取付素子はここで基部本体2の取付部材160と共に作用する。ばね素子7が基部本体2に取付けられるため、プラットフォーム4全体も、ばね素子7とプラットフォーム下部42との間の堅固な接続、およびプラットフォーム下部42とプラットフォーム上部41との間の堅固な接続によって基部本体2に接続されている。
【0033】
調整装置を組立てた状態では、接合素子6はさらにプラットフォーム下部42の対応する貫通通路を通って突き出て、それぞれ対向するレバー部10の対応する凹部内に突き出て、そこで接合素子6の各々は取付素子140によって対応するレバー部10に接続される。
【0034】
図2は、組立てた状態の
図1に係る調整装置を側面図で示す。
図1には示されていない、取付部材160の対応するねじ山と相互に作用するねじの形態の取付素子150をここに見ることができる。ねじ150の頭部は、
図2では確認できないが、ここでばね素子7に当接するのに対して、ねじまたはねじ山軸はばね素子7の環状開口部8を通って突出する。取り付素子150のねじ山にねじを螺合することによって、ばね素子、したがってプラットフォーム全体がそれぞれ基部本体に接続されるかまたは基部本体に取付けられる。
【0035】
さらに、
図2からは、確認できる2つの線形アクチュエータ3の各々が、その遠端の一方で前負荷装置120のそれぞれの軸受部123に当接するのに対して、前負荷素子121は基部本体に接続され、圧縮ばね122は、それぞれの部分が前負荷素子および軸受部の凹部内に静止するように前負荷素子121とそれぞれの軸受部123との間に配置されていることが分かる。前負荷素子は基部本体に堅固に接続されているため、圧縮ばねは、次にレバー伝達装置5の当接部101と一体にまたは一体化して形成される軸受部123がそれぞれの線形アクチュエータ上への方向に押されるように作用する。したがって、当接部101もそれぞれの線形アクチュエータの方向に押され、それぞれの線形アクチュエータの反対側に配置された遠端の堅固な支持のために、後者はしたがって圧縮応力を受ける。
【0036】
2つのレバー部10は線形アクチュエータの長手方向の延在方向に交互に配置され、線形アクチュエータを向くレバー部は線形アクチュエータと反対側を向くレバー部よりも短い。短い方のレバー部を用いると約2のレバー伝達が可能であるが、長い方のレバー部を用いると約3のレバー伝達を得ることができる。全レバー伝達は約6.25である。
【0037】
図3は、
図1および
図2に係る調整装置の上部を詳細に示しているが、ここでは明確にするために前負荷装置120が省略されている。
【0038】
それぞれの線形アクチュエータの上側遠端は前負荷装置120の軸受部123にそれぞれ当接するかまたはその内部に係合し、軸受部123はレバー伝達装置の当接部101と一体にまたは一体化して形成されている。
【0039】
それぞれの線形アクチュエータと反対側を向く方向において、レバー伝達装置の第1のたわみヒンジ11が当接部101に隣接している。
【0040】
それぞれの線形アクチュエータと反対側を向く方向において、第1のレバー部10が先に説明したたわみヒンジに隣接している。この第1のレバー部は、第1に、さらなるたわみヒンジ11によって基部本体に接続されており、第2に、付加的なたわみ素子11によって、第1のレバー部の後ろのそれぞれの線形アクチュエータと反対側を向く方向に配置されている第2のレバー部に接続されている。
【0041】
第1のレバー部は約8mmの長さにわたって延在し、この長手方向の延在方向は、それぞれ関連付けられた線形アクチュエータの延在方向に対して実質的に垂直に配置されている。
【0042】
第2のレバー部は、第1のレバー部とは異なり、角度のある形状を有しており、有効レバー長は約10mmである。第2のレバー部はさらなるたわみヒンジによって基部本体に接続されている。
【0043】
レバー伝達装置のすべてのたわみヒンジの長さは1mmであり、幅は0.4mmである。
【0044】
第2の長い方のレバー部と、プラットフォーム下部42と一体化して形成されたそれぞれの接合素子6と間の接続は、ねじの形態の取付素子140によって確立される。
【0045】
図4は、調整装置の上部の
図1から3に基づく詳細図である。ここでは軸受部123が省略されており、接合素子6はそれに続く
図3と比べて切離されている。
【0046】
図4からは、示されている2つの接合素子6の各々が1対の重ね板ばね61および62から形成されており、2つの重ね板ばねは互いに対して実質的に垂直に配置されているため、それぞれの運動における、または互いに対して実質的に垂直に配置された傾斜方向における必要な自由度が可能になることが分かる。
【0047】
上述のように、接合素子の各々は、
図4では明確にするために省略されている取付素子140によって、それぞれ関連付けられたレバー伝達装置に接続または結合されているため、レバーによって伝達される線形アクチュエータの偏向をプラットフォーム4に伝えることができる。これは、先の
図1から4に関するさらなる詳細からの
図5から生じる。取付素子140はここではグラブねじとして構成されている。
【0048】
図6は、
図1から
図5に係る調整装置の上部の斜視詳細図をプラットフォーム下部42の断面とともに示しており、当該断面図はプラットフォーム平面と平行に走っている。プラットフォーム下部42の凹部43内のばね素子7の配置をこうして詳細に見ることができる。
【0049】
十字形のばね素子7は、環状の中央部8と、中央部から延びる4つのアーム部9とを含み、隣接するアーム部の各々は互いに実質的に90°の角度をなす。
【0050】
ばね素子はそれぞればね鋼シートまたはばね鋼からなり、厚みまたは材料の厚みは0.15mmである。各アーム部の長さは円形中央部の中央から測定して7.5mmであり、各アーム部の幅は最も狭い点で1.5mmであり、すなわちこの位置は一定の幅を有している。
【0051】
十字形のばね素子7は相補的な凹部43内にそれぞれ配置されるかまたはその中に挿入され、それぞれのアーム部のより幅広の端部はプラットフォーム下部42に接着接合される。
【0052】
図7は、
図1から
図6に係る調整装置におけるプラットフォーム平面に対して垂直な断面図を示す。ここでもプラットフォーム上部41とプラットフォーム下部42との間のばね素子7の配置を明確に確認することができ、ばね素子の環状の中央部8は取付部材160に当接している。
【0053】
図8は主に
図7に対応するが、ここでは第1に、ねじの形態の取付素子150と、第2に、同様に取付部材160を基部本体2に接続するねじとして構成される取付素子170とが示されている。
【0054】
図9は、計算によってシミュレートした
図1から
図8に係る調整装置の偏向または位置決めの状況を斜視図で示す。
図9に示されるレバー伝達装置は左前部で偏向しており、斜め反対側に配置されており
図9では確認できないレバー伝達装置は右後部で偏向している。左前部に配置されたレバー伝達装置と関連付けられた線形アクチュエータは伸長運動を実行するのに対して、斜め反対側に配置された線形アクチュエータは収縮運動を実行する。全体として、これによって2本の傾斜軸の周りの規定された傾斜プロセスが生じる。
【0055】
図9の例示では、示されている偏向または変形は実際の偏向または変形よりもはるかに大きいことに留意すべきである。これは、
図9に係る偏向状況に関する側面図である
図10の例示にも当てはまる。
【0056】
図10では、関連付けられた線形アクチュエータが伸長すると、左前部におけるレバー伝達装置が上向きに、すなわちプラットフォームに向かう方向に、対応する拡大運動を実行するのに対して、斜め反対側に配置された線形アクチュエータが収縮すると、レバー伝達装置の下向きの、すなわちプラットフォームと反対側を向く方向における運動が生じることが明らかに確認できる。また、
図10には、作動された2つのレバー伝達装置の対応する偏向に起因する重ね板ばね61の曲げ変形も明らかに確認できる。
【符号の説明】
【0057】
参照番号のリスト
1 調整装置
2 基部本体
3 駆動素子
4 プラットフォーム
5 レバー伝達装置
6 接合素子
7 ばね素子
8 中央部
9 アーム部
10 レバー部
11 たわみヒンジ
41 プラットフォーム上部
42 プラットフォーム下部
43 (プラットフォーム4の)凹部
61 重ね板ばね
62 重ね板ばね
100 基部本体凹部
101 当接部
120 前負荷装置
121 前負荷素子
122 圧縮ばね
123 軸受部
140 取付素子
150 取付素子
160 取付素子
170 取付素子
【国際調査報告】