【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下を含む細胞群の製造方法を提供することにより、本発明が基礎とする技術的問題を解決する。
a)少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を有するキャリアプレートユニットを含む、細胞及び細胞を培養するための装置を提供すること、
b)少なくとも一つのアクセス開口部を通して細胞を装置に導入すること、
c)装置の回転を可能にする回転装置に装置を導入すること、
d)装置を回転させること、
e)少なくとも一つの培養チャンバで細胞を取得すること、並びに、
f)少なくとも一つの培養チャンバで細胞を培養し、少なくとも一つの培養チャンバで細胞を培養することによって、細胞群、特に三次元細胞群を生成すること。
【0011】
よって、本発明は、細胞群の製造方法を企図し、この方法は、細胞を培養するための装置、好ましくはマイクロ流体装置を使用する。これらのマイクロ流体装置は、少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を有するキャリアプレートユニットを有する。
【0012】
従って、本発明は、細胞及びそのような装置を提供すること、少なくとも一つのアクセス開口部を通してこれらの細胞をこの装置に導入すること、次に、装置を回転可能にする装置にこの装置を導入すること、この回転装置を回転させ、装置の回転により、細胞が少なくとも一つの培養チャンバ内で取得及びそこで培養され、少なくとも一つの培養チャンバ内で細胞を培養することにより、細胞群、特に三次元細胞群が発生することを企図する。
【0013】
本発明の特に好ましい第一の実施形態では、細胞を培養するための装置は、中心回転軸を有するキャリアプレートユニットを有し、この形態では、この中心回転軸の近位に少なくとも一つのアクセス開口部が、この中心回転軸の遠位に少なくとも一つの培養チャンバが配置されている。
【0014】
よって、特に本発明は、以下を含む細胞群を製造するための方法を提供することにより、本発明が基礎とする技術的問題を解決する。
a1)細胞及び細胞を培養するための装置、特に、好ましくは三次元の細胞培養システムであって、回転軸の近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部と、回転軸の遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を備える、中心回転軸を有するキャリアプレートユニットを含む、細胞培養システムを提供すること、
b1)少なくとも一つのアクセス開口部を通じて装置に細胞を導入すること、
c1)装置の回転を可能にする回転装置に装置を導入すること、
d1)装置を回転させること、
e1)少なくとも一つの培養チャンバで細胞を取得すること、並びに、
f1)少なくとも一つの培養チャンバで細胞を培養し、少なくとも一つの培養チャンバで細胞を培養することによって、細胞群、特に三次元細胞群を生成すること。
【0015】
特に好ましい実施形態では、細胞を培養するための装置は、少なくとも一つの配置されたアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を有するキャリアプレートユニット、特にキャリアプレートである。
【0016】
特に好ましい実施形態では、細胞を培養するための装置は、回転軸の近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部と、回転軸の遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を有する回転軸を有するキャリアプレートユニット、特にキャリアプレートである。特に、本発明によって好ましく使用される装置は、その中心回転軸の周りで回転できるように、即ち、回転され得るように構成されている。
【0017】
本発明に関連して、中心回転軸という用語は、その周りを装置が回転できる直線、並びに、特に最大主慣性モーメントを有する装置のマクロ的形状の対称軸に対応する直線、及び、装置の幾何学的中心点を通る直線であると理解される。特に、中心回転軸は、上から見て好ましくは円形である装置に垂直に立つ。
【0018】
よって、細胞を培養するための本発明によって企図される装置は、好ましい一実施形態において、中心回転軸を有するキャリアプレートユニットを含み、特にキャリアプレートユニットから構成され、キャリアプレートユニットは、回転軸の近位に配置され、キャリアプレートユニットの外部からアクセス可能な少なくとも一つのアクセス開口部と、回転軸の遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する、好ましくは半径方向に向けられた少なくとも一つのチャネルと、を有する。少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、これら二つの構造を接続する少なくとも一つのチャネルとは、キャリアプレートユニットの本体、特にキャリアプレート、又はその表面に形成されている。好ましい実施形態では、少なくとも一つのアクセス開口部は回転軸に空間的に近接して、即ち近位に配置されている一方、少なくとも一つの培養チャンバは遠位に、即ち回転軸から更に離れて配置されており、即ちキャリアプレートユニットの周辺領域に存在していることが企図される。よって、回転軸に対する少なくとも一つのアクセス開口部の距離(r
1)は、回転軸に対する少なくとも一つの培養チャンバの距離(r
2)より小さい。本発明によって好ましくは設けられている、少なくとも一つの培養チャンバへの少なくとも一つのアクセス開口部の空間配置構成によって、装置がその回転軸の周りを回転する際、遠心力により、アクセス開口部に導入された細胞、細胞培養培地又は細胞懸濁液が、遠心力の方向へキャリアプレートユニットの周辺領域へ搬送される。更に、障害となる気泡は反対方向、即ち、アクセス開口部の方向へ、装置から除去される。特に、アクセス開口部に導入された細胞は、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルを介して、遠心力によって少なくとも一つの培養チャンバに到達する。本発明によって好ましい実施形態において企図されるように、二つ以上のアクセス開口部及び二つ以上の培養チャンバが設けられている場合、個々のアクセス開口部及び培養チャンバのそれぞれについて、培養チャンバはアクセス開口部よりも回転軸に対して大きな距離に配置されていること、即ち、培養チャンバは、回転軸に対して近位に、アクセス開口部はこれに対して遠位に配置されていることが好ましい。特に、少なくとも一つのアクセス開口部は、中心回転軸から距離r
1に位置し、少なくとも一つの培養チャンバは、中心回転軸から距離r
2にあり、この時r
1<r
2である。
【0019】
有利には、アクセス開口部を通じてキャリアプレートユニットに導入された細胞、特に細胞懸濁液、場合により又、細胞培養培地は、即ち、本発明による装置の回転中、即ち遠心力(F
z=m ω
2r)により、回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部からアクセス開口部を培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルを通じて、回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバに輸送される。角速度ωでの回転により、細胞又は細胞懸濁液は、少なくとも一つの培養チャンバの距離r
2で、a=ω
2r
2で加速する。有利にはこれにより、細胞は少なくとも一つの培養チャンバ内に、即ち、キャリアプレートユニットの周辺領域内に蓄積する。有利には、細胞は、不確定の圧力又はせん断力が細胞に作用することなく、少なくとも一つの培養チャンバ内で遠心力によって蓄積される。次いで、より少ない回転において、又は装置の更なる回転なしにのいずれかで、好ましくは培養培地による供給により、細胞を培養チャンバ内で培養することができる。細胞の培養により、好ましくは、細胞が少なくとも一つの培養チャンバを完全に充填し、ひいては三次元細胞群を形成することになる。有利には、本発明によって使用される装置は、少なくとも一つの培養チャンバ内で高い細胞密度を有する組織及び細胞群を再現可能かつ並列化可能に製造することを可能にし、装置は更に容易に操作可能である。
【0020】
本発明の更なる第二の実施形態では、本発明が基礎とする技術的問題は、細胞を培養するための装置のキャリアプレートユニットが中心回転軸を有さない細胞群を製造するための方法の提供によって解決される。この実施形態では、キャリアプレートユニットは、装置の回転を可能にする回転装置に装置を導入し、存在しない中心回転軸の周りではなく、回転装置の回転軸の周りで装置を回転させた後に、回転する。中心回転軸を有するキャリアプレートユニットにおけるのと同様に、少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、これら二つの構造を接続する少なくとも一つのチャネルとは、キャリアプレートユニットの本体、特にキャリアプレート、又はその表面に形成されている。少なくとも一つの培養チャンバへの少なくとも一つのアクセス開口部の本発明によって企図される適切な空間配置構成により、装置が回転装置内で回転する際に、アクセス開口部に導入された細胞、細胞培養培地又は細胞懸濁液が遠心力によって、遠心力の方向に、少なくとも一つの培養チャンバが存在するキャリアプレートユニットの領域内に搬送されることになる。更に、障害となる気泡は反対方向、即ち、アクセス開口部の方向へ、装置から除去される。特に、アクセス開口部に導入された細胞は、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルを介して、遠心力によって少なくとも一つの培養チャンバに到達する。本発明によって好ましい実施形態において企図されるように、二つ以上のアクセス開口部及び二つ以上の培養チャンバが設けられている場合、アクセス開口部及び培養チャンバのそれぞれについて、装置を装置の回転を可能にする回転装置へ導入し、装置を回転させた後で、アクセス開口部に導入された細胞が、チャネルを通じて、少なくとも一つの培養チャンバへ遠心力によって到達するように培養チャンバが配置されていることが好ましい。有利には、アクセス開口部を通じてキャリアプレートユニットに導入された細胞、特に細胞懸濁液、場合により又、細胞培養培地は、即ち、本発明による装置の回転中、即ち遠心力(F
z=m ω
2r)により、アクセス開口部からアクセス開口部を培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルを通じて、少なくとも一つの培養チャンバに輸送される。角速度ωでの回転により、細胞又は懸濁液は加速する。これにより、有利には、細胞は少なくとも一つの培養チャンバ内に蓄積する。細胞は、有利には、規定の圧力又は重力が細胞に作用することなく、少なくとも一つの培養チャンバ内で遠心力によって蓄積される。次いで、より少ない回転において、又は装置の更なる回転なしにのいずれかで、好ましくは培養培地による供給により、細胞を培養チャンバで培養することができる。細胞の培養により、好ましくは、細胞が少なくとも一つの培養チャンバを完全に充填し、ひいては三次元細胞群を形成することになる。有利には、本発明によって使用される装置は、少なくとも一つの培養チャンバ内で高い細胞密度を有する組織及び細胞群を再現可能かつ並列化可能に製造することを可能にし、装置は更に容易に操作可能である。
【0021】
本発明のこの第二の実施形態では、細胞群を製造するための方法で使用される細胞を培養するための装置、特にキャリアプレートユニットは、回転装置の回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部と、回転装置の回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバと、アクセス開口部を培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を有する。
【0022】
本発明によって使用される装置、即ち、中心回転軸を有する装置及び中心回転軸を有さない装置は、とりわけ、細胞を多数の培養チャンバに同時に導入することにより、細胞培養装置、特に臓器オンチップシステムの特に並列化を可能にするという点で有利である。本発明によって使用される装置及び手順は、特に、注入、即ち細胞の導入にポンプが使用されず、回転により装置から気泡を除去でき、処理時間が短く、取り扱いがより容易になり、かつ一つのみの構造単位が使用されることによっても、微小生理学的生体内細胞培養システムの取り扱いを簡素化する。有利には、装置の回転によって、培養チャンバ内の空気ポケットを簡単な方法で除去又は回避できることも明らかになる。
【0023】
本発明によって使用される装置及び方法は、特に、動物実験の代替手段として、基礎研究のために、但し又、応用研究開発において、及び治療製剤又は化学物質のためのスクリーニングシステムとしても使用することができる。本発明によって使用される装置及び本発明による方法は、細胞群を製造するために、人工組織又は混合組織を生成するために、特に再生医療及び/又は個人化医療のためにも使用される。
【0024】
特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニットは、少なくとも二つのキャリアプレート、特に第一及び第二のキャリアプレートを有するが、場合によって、三つ、四つ、五つ、又は六つ以上のキャリアプレートを設けてもよい。
【0025】
好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニット、特に第一及び第二のキャリアプレートは、上から見た場合に円形形状を有する。特に、それは略平面状の、即ち平坦な、三次元の物体として構成されている。特に、本発明によって使用される装置は、平坦な円筒、特に円板(即ちディスク)の形状を有する。よって、本発明によって好ましくは平坦な三次元形状で存在する、本発明によって使用される装置の水平方向に平らな拡がりは、それらの垂直方向の拡がりよりも大幅に大きく、この時、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレート、並びに、開口部、チャネル及びチャンバ等のそこに存在する構造の水平方向の拡がりは長さ及び幅と称され、垂直方向の拡がりは高さと称される。本発明によって使用される装置、特に第一及び第二のキャリアプレート、又はそれらの構造の長さ及び幅(長さは幅よりも大きな水平方向の拡がりである)によって拡がる面は、本発明によって使用される装置、キャリアプレート又は構造の水平面と称される。
【0026】
特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニットは、上から見た場合に即ち円形を有し、好ましい実施形態では、回転軸は、存在する場合には、上から見た場合に円形状、特に円板状に存在する装置の中心点を通じて、円に垂直に立つように延び、この時円の幾何学的中心点と円の外周との間の距離は半径rと称される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、好ましくは円板状に存在する、本発明によって使用される装置の直径は、1〜80cm、特に5〜64cm、特に5〜30cm、好ましくは7〜20cm、好ましくは15cm、特に好ましくは10cmである。
【0028】
本発明の更なる好ましい一実施形態では、本発明によって使用される装置、特に中心回転軸を有する又は有さない本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニット、特に第一及び第二のキャリアプレートは、上から見ると長方形、好ましくは正方形の形状を有する。しかし、本発明によって使用される装置、特に、中心回転軸を有する又は有さない本発明によって使用される装置の他の形状も本発明によって考えられる。特に、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニット、特に第一及び第二のキャリアプレートは、略平面状の、即ち平坦な三次元の物体として形成されている。特に、本発明によって使用される装置、特に、本発明によって使用される中心回転軸を有する又は有さない装置は、平坦な直方体の形状を有する。その際、本発明によって好ましくは平坦な三次元形状で存在する、本発明によって使用される装置の水平方向に平らな拡がりは、好ましくは、それらの垂直方向の拡がりよりも大幅に大きく、この時、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレート、並びに、開口部、チャネル及びチャンバ等のそこに存在する構造の水平方向の拡がりは長さ及び幅と称され、垂直方向の拡がりは高さと称される。本発明によって使用される装置、特に第一及び第二のキャリアプレート、又はそれらの構造の長さ及び幅(長さは幅よりも大きな水平方向の拡がりである)によって拡がる面は、本発明によって使用される装置、キャリアプレート又は構造の水平面と称される。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニット、特に第一及び第二のキャリアプレートは、特にマイクロタイタープレートの形態のマイクロタイタープレートとして構成されている。
【0030】
本発明の更なる好ましい一実施形態では、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニット、特に第一及び第二のキャリアプレートは、特にマイクロタイタープレートの形態のマイクロタイタープレートとして構成され、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は、中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部は、本発明によって使用される装置の規定の位置において配置されており、好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された全てのアクセス開口部は、本発明による装置の規定の位置に配置されている。好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部は、マイクロタイタープレート、好ましくは96ウェルプレート、好ましくは384ウェルプレートの穴位置の一つにある。好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された全てのアクセス開口部は、マイクロタイタープレート、好ましくは96ウェルプレート、好ましくは384ウェルプレートの穴位置にある。この実施形態によれば、有利には、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部の自動充填は、ピペッティングロボットによって可能である。
【0031】
ここで使用される、細胞を培養するための装置は、細胞群を製造するための装置でもある。本明細書において、細胞群という用語は、組織、特に顕微鏡組織、組織群、臓器又は臓器等価物であるとも理解される。特に、細胞群という用語は、高い細胞密度及び三次元の拡がりを有する細胞群であるとも理解される。
【0032】
特に、本発明によって使用される装置は、マイクロ流体装置、特に細胞培養システム、特にマイクロ流体細胞培養システム、特にディスク上の臓器システム、特にディスク上のマイクロ流体臓器システムを表す。
【0033】
本発明に関連して、装置の中央領域は、中心回転軸をより直接取り囲む領域であると理解される。これは、好ましくは、上から見た場合に、円形装置の幾何学的中心点から始まるキャリアプレートユニットの半径r
z(中央領域の半径)=1/4rから1/10rの好ましくは円形状周縁内の面であり得る。特に、キャリアプレートユニットの中央領域(r
z)の半径は、少なくともキャリアプレートユニットのr
z=1/10rであり、多くてもキャリアプレートユニットのr
z=1/4rである。
【0034】
好ましい実施形態では、本発明によって好ましくは使用される装置の中央領域は、装置の回転を可能にする回転装置、例えば外部回転駆動装置、例えばモータのための少なくとも一つの接続装置を有する。接続装置は、特に、少なくとも一つの貫通開口部、例えば二つ、三つ、四つ、五つ若しくは六つの貫通開口部、又は少なくとも一つの係止装置、例えば二つ、三つ、若しくは四つの係止装置である。接続装置、特に少なくとも一つの貫通開口部又は少なくとも一つの係止装置は、本発明による装置を、回転を可能にし、本発明による装置を回転させることができる回転装置に固定するために機能する。
【0035】
好ましくは、貫通開口部は、好ましくは、穴、ハブ、若しくはねじ、又はその一部である。係止装置は、好ましくは、差し込み・折り畳み・ラッチ・スナップイン若しくはクランプ接続装置又はその一部である。
【0036】
本発明によって使用される装置が、回転装置のための、好ましくは周辺に配置された少なくとも一つのロック装置を有することが企図されてもよい。このロック装置は、例えば、本発明によって使用される装置をその縁部、特に最外縁部でクランプする少なくとも一つのクランプとすることができる。
【0037】
本発明によれば、装置は、存在する場合には、中央領域の少なくとも一つの接続装置を用いて、及び/又は周辺に配置された少なくとも一つのロック装置を用いて、回転装置に取り付けることが企図され得る。更に、本発明によれば、本発明によって使用される装置自体が接続装置又はロック装置を有さず、回転装置が本発明によって使用される装置のための固定装置を有することが可能である。この固定装置は、本発明によって使用される装置の周縁に適合する回転装置の収容部であってよい。
【0038】
本発明によって使用される装置の好ましい実施形態では、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルは、非分岐チャネルである。しかし、本発明によって好ましくは、チャネルは、単一、複数、又は複数に分岐したチャネルであってもよく、特にチャネルと培養チャンバとの相互の並列配置構成で、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも二つの培養チャンバに接続する。これにより、一つのアクセス開口部を介して複数の培養チャンバに細胞を並行して同時に充填できる。好ましい実施形態では、分岐チャネルは、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも三つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも四つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも五つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも六つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも七つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも八つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも九つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも十の培養チャンバ、好ましくは少なくとも11の培養チャンバ、好ましくは少なくとも12の培養チャンバ、好ましくは少なくとも13の培養チャンバ、好ましくは少なくとも14の培養チャンバ、好ましくは少なくとも15の培養チャンバ、好ましくは少なくとも20の培養チャンバ、好ましくは少なくとも25の培養チャンバ、好ましくは少なくとも30の培養チャンバ、好ましくは少なくとも35の培養チャンバ、好ましくは少なくとも40の培養チャンバ、好ましくは少なくとも45の培養チャンバ、好ましくは少なくとも50の培養チャンバ、好ましくは少なくとも60の培養チャンバ、好ましくは少なくとも70の培養チャンバ、好ましくは少なくとも80の培養チャンバ、好ましくは少なくとも90の培養チャンバ、好ましくは少なくとも100の培養チャンバに、好ましくはチャネルと培養チャンバとの相互の並列配置構成でそれぞれ接続する。
【0039】
本発明によって使用される装置の好ましい実施形態において、少なくとも一つのチャネルは、分岐チャネル又は非分岐チャネルであり、これは、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも二つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも三つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも四つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも五つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも六つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも七つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも八つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも九つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも十の培養チャンバ、好ましくは少なくとも11の培養チャンバ、好ましくは少なくとも12の培養チャンバ、好ましくは少なくとも13の培養チャンバ、好ましくは少なくとも14の培養チャンバ、好ましくは少なくとも15の培養チャンバ、好ましくは少なくとも20の培養チャンバ、好ましくは少なくとも25の培養チャンバ、好ましくは少なくとも30の培養チャンバ、好ましくは少なくとも35の培養チャンバ、好ましくは少なくとも40の培養チャンバ、好ましくは少なくとも45の培養チャンバ、好ましくは少なくとも50の培養チャンバ、好ましくは少なくとも60の培養チャンバ、好ましくは少なくとも70の培養チャンバ、好ましくは少なくとも80の培養チャンバ、好ましくは少なくとも90の培養チャンバ、好ましくは少なくとも100の培養チャンバに、好ましくはチャネルと培養チャンバとの相互の並列配置構成でそれぞれ接続する。
【0040】
少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバ、好ましくは少なくとも二つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルは、好ましい実施形態では、10〜1000μm、好ましくは10〜800μm、好ましくは10〜600μm、好ましくは10〜500μm、好ましくは10〜400μm、特に50〜150μm、特に70μmの幅を有することができる。特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのチャネルは、10〜400μm、特に50〜150μm、特に70μmの高さを有する。特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのチャネルは、好ましくは半径方向に分岐することができ、特に0〜10、好ましくは一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つの分岐を有することができる。チャネル高さ及び/又はチャネル幅は、特に好ましくは、分岐の数とともに増加できる。
【0041】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置のチャネルは、その長さの少なくとも一部にわたって、少なくとも二つ、好ましくは少なくとも三つ、好ましくは少なくとも四つ、好ましくは少なくとも五つ、好ましくは少なくとも六つ、好ましくは少なくとも七つ、好ましくは少なくとも八つ、好ましくは少なくとも九つ、好ましくは少なくとも十、好ましくは少なくとも11、好ましくは少なくとも12、好ましくは少なくとも13、好ましくは少なくとも14、好ましくは少なくとも15、好ましくは少なくとも20、好ましくは少なくとも25、好ましくは少なくとも30、好ましくは少なくとも35、好ましくは少なくとも40、好ましくは少なくとも45、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、好ましくは少なくとも80、好ましくは少なくとも90、好ましくは少なくとも100の、チャネルに直接隣接する培養チャンバを有する。
【0042】
本発明の特に好ましい実施形態では、チャネルに直接隣接する培養チャンバは、チャネルの長さの少なくとも一部にわたって互いに平行に配置されている。
【0043】
本発明の更なる好ましい一実施形態では、少なくとも一つのチャネルは、その長さの少なくとも一部にわたって湾曲している。少なくとも一つのチャネルは、その長さの少なくとも一部にわたって静的湾曲を有することが好ましい。少なくとも一つのチャネルは、好ましくは、その長さの少なくとも一部にわたって角度依存性の湾曲を有する。特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのチャネルは、その長さの少なくとも一部にわたって、回転により生成される遠心力の方向に規定の角度だけ湾曲している。本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのチャネルの曲率は、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部から、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバの方向へ減少する。好ましくは、少なくとも一つのチャネルの曲率は、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部から、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバの方向へ連続的に減少する。
【0044】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのアクセス開口部は、0.2〜20mm、好ましくは0.5〜10mm、好ましくは1〜8mm、特に3mmの直径を有する。
【0045】
本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明によって使用される装置は、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つのチャネルとの間に接続領域を有する。好ましくは、接続領域は、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部から、少なくとも一つのチャネルへ斜めに降下する。そのような斜めに降下する接続領域を用いて、有利には、少なくとも一つのアクセス開口部を通ってキャリアプレートユニットに導入された細胞の、特に細胞懸濁液の、場合によって細胞培養培地の、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部から、接続領域を介して、少なくとも一つのチャネルへの、改善された流れを確保することが可能である。
【0046】
好ましい一実施形態では、本発明によって使用される装置の少なくとも一つのアクセス開口部は、少なくとも二つのアクセス開口部を有する充填チャンバとして構成されている。少なくとも一つのアクセス開口部を充填チャンバとして構成することにより、有利には、本発明によって使用される装置の装填効率を改善することが可能である。その際、充填チャンバは少なくとも二つのアクセス開口部を有し、これらのアクセス開口部を通じて、好ましくは充填チャンバ内で流れを生成することができる。充填チャンバによって、本発明によって使用される装置の回転時に、少なくとも一つの培養チャンバに実際に輸送される細胞の数を増加させることが可能である。
【0047】
特に好ましい実施形態では、円形状の少なくとも一つの培養チャンバは、0.05〜10mm、好ましくは0.1〜9mm、好ましくは0.2まで8mmまで、特に2mmの水平直径を有する。特に好ましい実施形態では、装置の中心への、特に中心回転軸を有する装置の中心回転軸への培養チャンバの半径方向距離(r
2)は、1〜30cm、好ましくは1〜20cm、好ましくは2〜15cm、特に4.5cmである。a(ω)の比は、有利には、装置の中心点、特に中心回転軸を有する装置の中心回転軸までの培養チャンバの半径方向距離(r
2)、又は回転装置の回転軸に対する培養チャンバの半径方向距離(r
2)を介して設定することができる。
【0048】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのバーベル型培養チャンバは、0.3〜10mm、好ましくは1mmのウェブ間隔を有する。ウェブ幅は、50μm〜500μm、好ましくは150μmである。両端部は、100μm〜2mm、好ましくは550μmのウェブに垂直な拡開部を有する。拡開部は90°で急激に発生するか、又は、0°〜90°の間、好ましくは42°の任意の角度で台形に増加する。端部は、100μm〜1mm、好ましくは300μmの半径方向の拡がりを有する。バーベル型チャンバの均一な充填を確保するために、好ましい実施形態では、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して遠位側が丸くなっている。
【0049】
特に好ましい実施形態では、長方形の少なくとも一つの培養チャンバは、0.05〜10mm、好ましくは500μmの幅、及び0.05〜10mm、好ましくは1500μmの高さを有する。
【0050】
特に好ましい実施形態では、キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートの高さは0.8〜20mm、好ましくは1.5〜4mm、特に1.7〜2.5mm、特に2mmである。装置の十分な安定性を確保するために、好ましくは、第一のキャリアプレートの高さは、チャネルの高さに少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは1ミリメートルを加えたものに対応するのが望ましい。
【0051】
少なくとも一つの培養チャンバは、好ましくは、円形、楕円形、長方形、台形、バーベル形、円形セグメント又は円形セクタの形状、及び言及した形状の一部又は組み合わせで形成することができる。
【0052】
特に好ましい実施形態では、キャリアプレートユニットは一体に実施されている。
【0053】
特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置はキャリアプレートユニットである。特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置、特にキャリアプレートユニットは、キャリアプレート、特に第一のキャリアプレート、即ち、細胞の培養が行われ、少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部と少なくとも一つの培養チャンバとを接続する少なくとも一つのチャネルとが存在することによって区別されているキャリアプレートである。
【0054】
キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートに形成された、少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部と少なくとも一つの培養チャンバとを接続する少なくとも一つのチャネルとは、キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートに統合されるか、又はその表面に配置され、好ましい実施形態では、キャリアプレートの水平面で完全に又は部分的に開口しており、即ち、それぞれ、キャリアプレートユニット、特にキャリアプレートにそれぞれ底部及び壁部を、並びに水平面に開口部を有する。
【0055】
本発明に関連して、少なくとも一つの培養チャンバの開口部を有するキャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートの水平面は、第一のキャリアプレート又はキャリアプレートユニットの上面又は上向きの面と称される。
【0056】
特に好ましい実施形態では、キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートは、好ましくは可逆的に取り付け可能な蓋又は層、例えばPDMS層によって、上向きに完全に又は部分的に閉鎖することができるため、少なくとも一つの培養チャンバ及び少なくとも一つのチャネルは、外側に対して液密に閉鎖されている。少なくとも一つのアクセス開口部は、好ましくは、細胞及び/又は培地で満たされ、その後閉じられることを可能にするために可逆的に閉鎖可能に構成することができる。少なくとも一つのアクセス開口部は、場合によって、キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートの上部水平面と反対向きに配置されている下部水平面上に配置してもよい。
【0057】
好ましい一実施形態では、キャリアプレートユニットは、少なくとも二つのキャリアプレートを含み、特にキャリアプレートユニットは、少なくとも二つのキャリアプレート、特に第一及び第二のキャリアプレートから成り、これらは別個の構成要素として存在し、可逆的又は非可逆的に接合した後、好ましい実施形態では、互いに重なって、好ましくは互いに一致して配置され、キャリアプレートユニットを形成する。好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置は、特にキャリアプレートユニット、即ち、特に細胞を培養するための少なくとも一つの第一のキャリアプレートと、二つのキャリアプレートを接合した後にその上又はその下に配置され、それと好ましくは外側に対して液密に接続された、特に培養チャンバ内にある細胞に培地を供給するための少なくとも一つの第二のキャリアプレートと、を含む。
【0058】
この実施形態では、第一のキャリアプレートは、少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部と少なくとも一つの培養チャンバとを接続する少なくとも一つのチャネルと、を有する。本発明によれば、好ましくは、第一のキャリアプレート上に、好ましくは外部に対して液密に配置された第二のキャリアプレートは、キャリアプレートユニットの外部からアクセス可能な少なくとも一つの培地開口部と、少なくとも一つの培地チャンバと、少なくとも一つの培地開口部を少なくとも一つの培地チャンバに接続する少なくとも一つの培地チャネルと、を有し、少なくとも一つの培地チャンバは開口部、特に二つのキャリアプレートを接合した後、第二のキャリアプレートの下方又は上方に配置された第一のキャリアプレートの少なくとも一つの培養チャンバへの流体接続を可能にする開口部を有し、培地開口部は、培地への流入口又は流出口として、特にキャリアプレートユニットの外側からアクセス可能な開口部として実施されている。少なくとも一つの培地開口部は、好ましくは、第一のキャリアプレートとは反対側の第二のキャリアプレートの上部水平面に配置されている。少なくとも一つの培地開口部と、少なくとも一つの培地チャンバと、少なくとも一つの培地開口部と少なくとも一つの培地チャンバとを接続する少なくとも一つの培地チャネルとは、第二のキャリアプレートに組み込まれるか、又は、その表面に配置され、好ましい実施形態では、キャリアプレートの水平面に完全に又は部分的に開口しており、即ち、キャリアプレートにそれぞれ底部及び壁部を、並びに水平面に開口部を有する。
【0059】
好ましい実施形態では、第二のキャリアプレートは、少なくとも二つの培地開口部、特に少なくとも一つの培地流入口及び少なくとも一つの培地流出口を有し、これらは少なくとも一つの培地チャネル及び少なくとも一つの培地チャンバを介して互いに接続されている。好ましくは、少なくとも一つの培地チャネルは、少なくとも二つの培地開口部を少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つの培地チャンバに接続する。
【0060】
特に好ましい一実施形態では、キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートの少なくとも一つのアクセス開口部は、第二のキャリアプレートとは反対側の、第一のキャリアプレートの下向き水平面に配置することができる。好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルは、少なくとも一つの培地チャンバと同様に、二つのキャリアプレートが接合された後、第一のキャリアプレートに面する下部水平面に対して開口しており、第一のキャリアプレートとの接合後、好ましくはその下に位置する少なくとも一つのチャネル、及びその下に位置する少なくとも一つの培養チャンバと流体接続することができる。
【0061】
しかしながら、特に好ましい実施形態では、第一のキャリアプレートは、第二のキャリアプレートの上に配置することもできるか、又は場合によって、培地開口部、培地チャネル及び培地チャンバを有する二つのキャリアプレートの間に配置してもよい。
【0062】
本発明によれば、好ましくは、第二のキャリアプレートの培地チャンバのみが第一のキャリアプレートの培養チャンバと流体接続し、第一のキャリアプレートのチャネル及び第二のキャリアプレートの培地チャネルはそれぞれ液密であり、場合によっては又、互いに重複しないように構成されることが企図されてもよい。
【0063】
本発明によれば好ましい実施形態において、少なくとも二つのキャリアプレート、特に第一及び第二のキャリアプレートが設けられている場合、第二のキャリアプレートは、第一のキャリアプレートと一緒に接合された後、その上面にある、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのチャネルと、場合によって少なくとも一つのアクセス開口部との上向き開口部を、上向きに、好ましくは液密に密閉し、第一のキャリアプレートの少なくとも一つの培養チャンバと、第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地チャンバとが、互いに流体接続している。
【0064】
好ましい実施形態では、少なくとも一つの第二のキャリアプレートにおいて、二つのキャリアプレートが接合された後、第二のキャリアプレートの下方に配置された第一のキャリアプレートのアクセス開口部のための通路が実施されることが企図されている。この通路は、可逆的に閉鎖可能に構成できる。
【0065】
従って、本発明によれば、第一のキャリアプレートの少なくとも一つの培養チャンバと第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地チャンバとは、互いに重なり合うように配置され、互いに流体接続することが特に好ましい。従って、培養チャンバ内にある細胞には、特に細胞培養培地を加えることにより、培地開口部と、培地チャネルと、培地チャンバとを介して栄養素を供給することができる。更に、第二のキャリアプレートに形成された培地開口部と、培地チャネルと、培地チャンバとを介して、治療用、医薬品又は化粧品の調製物及び物質を細胞に投与できることが好ましい。これにより、有利には、培養チャンバ内の細胞又は組織群に対する物質の治療効果又は毒性の簡単な試験が可能となる。
【0066】
特に好ましい実施形態では、第一のキャリアプレートは、少なくとも一つのアクセス開口部と、少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルとを有し、この第一のキャリアプレートは、細胞の培養、特に細胞群の製造、特に組織の製造のために機能し、第一のキャリアプレート上に、好ましくは液密に配置された第二のキャリアプレートは、培養された細胞の供給のために機能し、特に少なくとも一つの培地開口部と、少なくとも一つの培地チャンバと、少なくとも一つの培地開口部を少なくとも一つの培地チャンバに接続する少なくとも一つの培地チャネルとを有し、その際、培地開口部及びアクセス開口部の両方が、キャリアプレートユニットの外側からアクセス可能な開口部として実施されており、少なくとも一つの培養チャンバは、少なくとも一つの培地チャンバと少なくとも重なり合っており、互いに流体接続されているため、培養チャンバには培地チャンバによって培地を供給することが可能となることが企図できる。好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルは又、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと重なり、流体接続するように実施してもよい。
【0067】
特に好ましい実施形態では、第一のキャリアプレートは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つのアクセス開口部と、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの培養チャンバと、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと、を有し、この第一のキャリアプレートは、細胞の培養、特に細胞群の製造、特に組織の製造のために機能し、第一のキャリアプレート上に好ましくは液密に配置された第二のキャリアプレートは、培養された細胞の供給のために機能し、特に少なくとも一つの培地開口部と、少なくとも一つの培地チャンバと、少なくとも一つの培地開口部を少なくとも一つの培地チャンバに接続する少なくとも一つの培地チャネルとを有し、その際、培地開口部及びアクセス開口部の両方が、キャリアプレートユニットの外側からアクセス可能な開口部として実施されており、少なくとも一つの培養チャンバは、少なくとも一つの培地チャンバと少なくとも重なり合っており、互いに流体接続されているため、培養チャンバには培地チャンバによって培地を供給することが可能となることも企図できる。好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルは又、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルと重なり、流体接続するように実施してもよい。
【0068】
好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地開口部を少なくとも一つの培地チャンバに接続する第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地チャネルは、非分岐の培地チャネルである。本発明によれば、培地チャネルは、好ましくは、単一、複数又は多数分岐した培地チャネルであってもよく、少なくとも一つの培地開口部、好ましくは少なくとも二つの培地開口部を少なくとも二つの培地チャンバに並列又は直列に接続する。これにより、培地開口部を通じて、細胞培養培地、医薬物質又は化粧物質等を、複数の培地チャンバに並行して充填することができる。好ましい実施形態では、分岐培地チャネルは、少なくとも一つの培地開口部を、少なくとも三つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも四つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも五つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも六つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも七つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも八つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも九つの培地チャンバ、好ましくは少なくとも十の培地チャンバ、好ましくは少なくとも11の培地チャンバ、好ましくは少なくとも12の培地チャンバ、好ましくは少なくとも13の培地チャンバ、好ましくは少なくとも14の培地チャンバ、好ましくは少なくとも15の培地チャンバ、好ましくは少なくとも20の培地チャンバ、好ましくは少なくとも25の培地チャンバ、少なくとも30の培地チャンバ、好ましくは少なくとも35の培地チャンバ、好ましくは少なくとも40の培地チャンバ、好ましくは少なくとも45の培地チャンバ、好ましくは少なくとも50の培地チャンバ、好ましくは少なくとも60の培地チャンバ、好ましくは少なくとも70の培地チャンバ、好ましくは少なくとも80の培地チャンバ、好ましくは少なくとも90の培地チャンバ、好ましくは少なくとも100の培地チャンバに、それぞれ互いに平行な培地チャネルと培地チャンバとの配置構成において接続する。
【0069】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地開口部を少なくとも一つの培地チャンバに接続する第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地チャネルは、回転により生成される遠心力の方向に垂直に延びる部分を有さない。この実施形態によれば、有利には、空気の含有を有利に防止することができ、回転により最適な培地供給を確保することができる。
【0070】
好ましい一実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルが、少なくとも一つの培地開口部を、直列に配置された少なくとも二つ以上の培地チャンバに接続することも企図できる。即ち、少なくとも一つの培地チャネルが少なくとも二つの培地チャンバを直列に接続する。更に、少なくとも一つの培地チャネルが、少なくとも二つの培地開口部を、直列に配置された少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ又は十の培地チャンバに接続することが企図できる。ここで、少なくとも二つの培地開口部のうちの一つが培地流入口として機能し、二つ目が培地流出口として機能するため、培地、特に培養培地が培地チャネルを貫流し、特に循環し得ることが企図できる。培養培地は、好ましくは、培地チャネルを連続的又は脈動的に貫流する。その際、更に、培地を流すことを可能にするために、ポンプ、又は圧力勾配等が存在するか、若しくは統合されているか、又は装置の回転を利用することが企図できる。これらの実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルは、少なくとも二つの培地開口部を少なくとも二つ以上の培地チャンバに接続するが、分岐培地チャネルではない。
【0071】
本発明によれば、同様に、第二のキャリアプレートが、少なくとも一つ又は少なくとも二つの培地開口部を少なくとも二つの培地チャンバに並列に接続する分岐培地チャネルと、少なくとも一つ又は少なくとも二つの培地開口部を少なくとも二つの培地チャンバに直列に接続する非分岐培地チャネルとを備えることも企図できる。
【0072】
特に好ましい一実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルの幅は、5〜600μm、好ましくは10〜400μm、好ましくは50〜150μm、特に70μmである。特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルの高さは、5〜600μm、好ましくは10〜400μm、好ましくは50〜150μm、特に70μmである。特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地チャネルは分岐することができ、特に0〜10、好ましくは一つ、二つ、三つ、四つ、五つ又は六つの分岐を有することができる。培地チャネルの高さ及び/又は培地チャネルの幅は、特に好ましくは、分岐の数とともに増加し得る。
【0073】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地開口部の直径は、0.5〜20mm、好ましくは0.7〜10mm、好ましくは1〜8mmである。これにより、第二のキャリアプレートの高さと組み合わせて、1〜200μl、好ましくは2〜100μl、特に5〜50μlの培地容量を導入できる。
【0074】
特に好ましい実施形態では、円形状の少なくとも一つの培地チャンバは、0.1〜10mm、好ましくは0.2〜8mm、特に2mmの水平直径を有する。特に好ましい実施形態では、培地チャンバと中心点との間の半径方向距離、特に培地チャンバと中心回転軸を備えた装置の中心回転軸との間の半径方向距離は、1〜20cm、好ましくは2〜10cm、特に4.5cmである。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも一つの培地チャンバは、円形、楕円形、長方形、台形、バーベル形、円形セグメント又は円形セクタの形状、及び既述の形状の一部又は組み合わせで実施されていてよい。
【0076】
本発明によれば、第二のキャリアプレートが、培地の供給を確保する一つ以上の一体化された又は外部のポンプを有することが企図されてもよい。
【0077】
特に好ましい実施形態では、第二のキャリアプレートの高さは0.8〜20mm、好ましくは1.5〜4mm、特に1.7〜2.5mm、特に2mmである。好ましくは、第二のキャリアプレートの高さは、装置の十分な安定性を確保するために、培地チャネルの高さに少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは1ミリメートルを加えたものに対応することが望ましい。
【0078】
特に好ましくは、少なくとも一つの分離装置、特に膜が、第一のキャリアプレートと第二のキャリアプレートとの間に配置されている。好ましい実施形態では、分離装置は、第一及び第二のキャリアプレートよりも薄い。分離装置、特に膜は、好ましくは内皮様及び/又は多孔性である。好ましい実施形態では、分離装置は、第一及び第二のキャリアプレート間で、特に第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地チャンバと第一のキャリアプレートの少なくとも一つの培養チャンバとの間で、拡散物質交換を可能にする。好ましい実施形態では、培養チャンバと培地チャンバとの間にそれぞれ膜が被覆されるか、或いは、キャリアプレートのサイズの単一の膜、又はそのリング状の、若しくは任意のサイズのセクション部分が培地チャンバ及び/又は培養チャンバの幅において使用されることが企図できる。少なくとも一つの分離装置、特に膜は、好ましくは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ガラス、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、又はネガティブレジスト材料、特にエポキシフォトレジスト(SU-8又は1002F-50)から製造されている。好ましくは、分離装置、特に膜は、ポリオレフィン、ポリスチレン、「細胞培養処理」ポリスチレン、ポリアルキルメタクリレート及びポリアルキルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フェノール、アミノエポキシ樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリグリコール酸(PGA)及びその他の分解性ポリエステル、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリホスファゼン、ポリプロピレン、及びシリコーンエラストマー、並びに共重合体及びそれらの組み合わせから製造できる。一実施形態では、膜は分解性、特に生分解性であってもよい。
【0079】
特に好ましくは、分離装置は、培養組織の光学的検査を可能にするために、正確で、規定の構造、生物学的適合性、及び低い自己蛍光を有する。分離装置は、有利には、用途及び培養される細胞タイプに応じて個別化することができ、即ち、細孔サイズ、多孔度、及び細孔の配置を適合させることができる。細胞を培養チャンバから洗い流さないために、使用する細胞よりも細孔が小さいことが好ましい。
【0080】
好ましい実施形態では、1〜20%、好ましくは5〜10%の多孔度及び1〜5μm、好ましくは4μmの細孔サイズを有する六角形グリッドが分離装置に使用される(
図10を参照)。透過性細孔は、特に好ましくは、この領域のみでの拡散を確保するために、培養チャンバと培地チャンバとの重複部分のみにある。
【0081】
特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置、特に第一のキャリアプレート、分離装置及び第二のキャリアプレートを有する装置の高さは、2〜40mm、好ましくは2〜30mm、好ましくは2〜20mm、好ましくは2〜10mm、特に2〜5mmである。
【0082】
本発明の更なる好ましい一実施形態では、本発明によって使用される装置のキャリアプレートユニットは、液体用、特に細胞培養培地又は調査対象の活性物質用のリザーバを含む。
【0083】
好ましくは、キャリアプレートユニットは、第一のキャリアプレートに加えて、好ましくは第一及び第二のキャリアプレートに加えて、液体用、特に細胞培養培地又は調査対象の活性物質用のリザーバを含む。
【0084】
好ましくは、キャリアプレートユニットは、第一のキャリアプレート、好ましくは第一のキャリアプレートの上に配置された第二のキャリアプレート、及び液体用、特に細胞培養培地又は検査される活性物質用の、好ましくは第二のキャリアプレート上に配置されたリザーバを含む。
【0085】
本発明の特に好ましい実施形態では、リザーバは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器を有する。
【0086】
本発明の更なる好ましい一実施形態では、リザーバは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器、及び回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器を有し、この時、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して近位に配置された容器、好ましくは培地容器、及び回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を有する装置の中心回転軸に対して遠位に配置された容器、好ましくは培地容器は、互いに流体接続している。
【0087】
好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器は、少なくとも一つの培地開口部、好ましくは少なくとも一つの培地流出口を含む。
【0088】
好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器は、少なくとも一つの培地開口部、好ましくは少なくとも一つの培地流入口を含む。
【0089】
好ましい一実施形態によれば、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器にある液体、好ましくは細胞培養培地が、回転軸の周り、特に回転装置の回転軸の周り、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸の周りをキャリアプレートユニットが回転する際に、少なくとも一つの培地開口部、好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された容器の少なくとも一つの培地流出口を通り、流体接続された培地開口部に、好ましくは第二のキャリアプレートの流体接続された培地流入口に供給され、第二のキャリアプレートユニットにある非分岐又は分岐培地チャネルを介して、少なくとも一つの培地開口部、好ましくは第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地流出口まで搬送される。少なくとも一つの培地開口部、好ましくは第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地流出口から、液体、好ましくは細胞培養培地が、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して遠位に配置された少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器の、少なくとも一つの流体接続された培地開口部、好ましくは少なくとも一つの流体接続された培地流入口を介して供給される。液体、好ましくは細胞培養培地が、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された容器、好ましくは培地容器から、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して遠位に配置された容器、好ましくは培地容器へ、第二のキャリアプレートの培地チャネル及び培地チャンバを介して、好ましくは連続的又は脈動的に流入することにより、第一のキャリアプレートの少なくとも一つの培養チャンバにある細胞への液体、好ましくは細胞培養培地の供給が確保できる。
【0090】
このようにして、有利には、本発明によって使用される装置の少なくとも一つの培養チャンバ内にある細胞に、好ましくは連続的又は脈動的に、より大量の液体、好ましくは細胞培養培地を供給することができる。
【0091】
好ましい実施形態では、キャリアプレートユニット、特に第一及び/又は第二のキャリアプレート、好ましくは第一及び/又は第二のキャリアプレート及び/又はリザーバは、ガラス又はポリマー材料から構成されている。ポリマー材料から成るキャリアプレートユニットは、特に好ましくは、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメチルアクリレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、COC(シクロオレフィン共重合体)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、ポリイミド、ポリウレタン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステル、特にポリカプロラクトン(PCT)、又はそれらの組み合わせから構成されている。
【0092】
本発明は、細胞群の製造方法であって、細胞は、好ましくはヒト又は動物細胞、特にそのような細胞の細胞懸濁液である、方法に関する。
【0093】
特に、本発明によって使用される装置において細胞群を製造するための細胞の培養は、以下によって行われる:a)細胞を、場合によって、例えば細胞培養培地、架橋又は非架橋ヒドロゲルにおける懸濁液の形態で提供し、本発明によって使用される装置を提供すること、b)細胞を、場合によって、例えば細胞培養培地、架橋又は非架橋ヒドロゲルにおける懸濁液の形態で、本発明によって使用される装置に少なくとも一つのアクセス開口部を通じて導入すること、c)回転を可能にする回転装置に本発明によって使用される装置を導入すること、d)本発明によって使用される装置を回転させること、e)少なくとも一つの培養チャンバで細胞を取得すること、f)少なくとも一つの培養チャンバで細胞を培養すること。本発明によれば、ステップc)がステップb)の前に実行されることが企図されてもよい。少なくとも一つの培養チャンバで細胞を培養することにより、細胞群、特に組織群が生成する。
【0094】
特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置は、充填される際にチャネル及び/又は培地チャネルのより良好な湿潤を達成するために、使用前に最初にO
2プラズマで活性化される。特に500W、60s及び1mbarは、パラメータとして使用される。
【0095】
細胞の培養、特に細胞群の製造のための本発明の方法では、好ましくは、方法ステップb)を実行する前に、方法ステップx)で、細胞培養培地を少なくとも一つのアクセス開口部を通じて導入することが企図され、この細胞培養培地が、その次に、方法ステップy)で回転によって、即ち遠心力によって、少なくとも一つのアクセス開口部を少なくとも一つの培養チャンバに接続する少なくとも一つのチャネルを通って培養チャンバに輸送されることが企図されてもよい。これにより、細胞の培養を妨げる気泡が除去される。その次に、本発明によれば、好ましくは、方法ステップb)からd)、特にb)からf)が実行されることが企図される。
【0096】
更に、本発明によれば、好ましくは、方法ステップg)細胞培養培地を少なくとも一つの培地開口部に導入すること、方法ステップh)装置を回転させること、及び、方法ステップi)培養チャンバで細胞を供給するための少なくとも一つの培地チャンバで細胞培養培地を取得することが実行される。
【0097】
本発明の更なる好ましい一実施形態では、特に細胞群を製造するための細胞の培養方法は、方法ステップg)回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された、リザーバの少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器へ細胞培養培地を導入すること、h)装置を回転させること、及び、i)培養チャンバで細胞を供給するための少なくとも一つの培地チャンバで細胞培養培地を取得することを含む。
【0098】
特にその際、圧力勾配の生成、外部若しくは統合ポンプ、又は装置の回転により、細胞培養培地を含む培地チャネル及び培地チャンバを通る連続的又は脈動的な貫流が可能になる。
【0099】
細胞の培養に使用される細胞培養培地は、好ましくは、使用される細胞種に適合され、例えば、線維芽細胞には10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEMが使用される。場合によって、細胞培養培地は、細胞付着のための生体分子を含んでもよい。特に、ステップx)で、細胞培養培地がアクセス開口部にピペットで入れられ、容積は装置の幾何学的形状に応じて培養チャンバの容積に適合される。好ましくは、1〜40μl、特に10〜20μlの体積の細胞培養培地が、アクセス開口部に導入され、次いで、方法ステップy)において、回転により培養チャンバへ輸送される。
【0100】
方法ステップb)では、細胞、特に細胞培養培地又はヒドロゲルに存在する細胞がアクセス開口部に導入され、細胞濃度は、培養チャンバの容積及び所望の充填率、並びに使用する細胞タイプ及びより具体的な細胞の幾何学的形状に適合される。本発明によれば、好ましくは、10
3〜10
8、特に10
4〜10
7/10μlの細胞濃度を有する細胞培養培地又はヒドロゲル1〜40μl、特に10〜20μlがアクセス開口部に導入される。
【0101】
好ましい実施形態では、細胞培養培地、ヒドロゲル及び細胞は、ピペッティング、注入又は他の適切な方法により導入される。
【0102】
特に好ましい実施形態では、方法ステップe)の後、少なくとも一つの培地開口部を介して、少なくとも一つの培地チャンバと、ひいては少なくとも一つの培地チャンバに流体接続された少なくとも一つの培養チャンバにも培地を供給し、特に好ましい培養を実行することが企図できる。この方法ステップは、好ましくは、回転が終了した後に実行することができ、従って、特に好ましくは、本発明によって使用される装置の静止時に、培地の供給及び細胞の培養を実行することが企図される。更に、本発明によれば、培地の供給に回転を使用することで、細胞の培養、即ち本発明による方法のステップf)が回転して行われることも企図できる。
【0103】
本発明の好ましい一実施形態では、方法ステップe)の後に、少なくとも一つの培地開口部を介して、好ましくは、回転軸に対して、特に回転装置の回転軸に対して、又は中心回転軸を備えた装置の中心回転軸に対して近位に配置された、リザーバの少なくとも一つの別個の容器、好ましくは培地容器の少なくとも一つの培地流出口を介して、及びそれに流体接続された第二のキャリアプレートの少なくとも一つの培地開口部を介して、少なくとも一つの培地チャンバ、ひいては少なくとも一つの培地チャンバに流体接続された少なくとも一つの培養チャンバにも培地を供給し、特に好ましい培養を実行することが企図できる。この実施形態によれば、培地の供給に回転を使用することで、細胞の培養、即ち、本発明による方法のステップf)が回転して行われることが企図される。
【0104】
特に好ましい実施形態では、本発明によって使用される装置は、0〜4000rpmの回転速度で、特に0.1〜30分間、特に1500〜2500rpmで、特に60〜360秒間回転される。これらのパラメータは、特に培養チャンバ、培地チャンバ、チャネル、及び培地チャネルの充填に適用される。細胞を回転させながらの培養を企図する場合、即ち、回転を細胞への培地供給に使用する場合、好ましくは、0〜1000rpm、特に0〜100rpm、好ましくは10〜50rpmの回転速度であることが企図される。
【0105】
本発明によれば、本発明によって使用される装置の少なくとも一つの培養チャンバ内で細胞を培養することにより細胞群が生成する。
【0106】
従って、本発明は、細胞を培養するための本発明による方法が実行され、細胞群が得られることを特徴とする、細胞群の、特に三次元細胞群の製造方法に関する。
【0107】
本発明は又、本発明によって使用するための装置の製造方法に関し、特に、そのような方法は、その枠内で、第一の方法ステップにおいて、キャリアプレートユニットを形成する少なくとも一つの材料、特にポリマー材料が提供され、これが、形状と安定性とを付与する方法、特にリソグラフィ法、好ましくはソフト又はUVリソグラフィ法において、本発明による装置を形成するように構成されている方法である。
【0108】
即ち、本発明によって使用される装置は、フォトリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、選択的レーザー焼結、レーザー切断及びミリング、レーザーアブレーション、フォトポリマーを使用したインクジェット印刷、溶融コーティング(熱可塑性押出)、LOM(Laminated Object Manufacturing:積層物体製造)、ステレオリソグラフィ、ホットスタンピング(ホットエンボス、特にマイクロホットスタンピング)、ミリング(CNCミリング、特にマイクロミリング)、プラスチック射出成形(射出成形、特にマイクロ射出成形)及び/又は3D印刷を用いて製造されることが好ましい。これらの方法は、直接に装置の製造、又は、金型テンプレートの製造及びそれに続く装置の成形のいずれかのために使用することができる。
【0109】
特に、本発明は、本発明によって使用するための装置の製造方法にも関し、以下の方法ステップ
i)少なくとも一つのネガ型レジスト材料、少なくとも一つのシリコン基板、及びキャリアプレートユニットを形成する少なくとも一つの材料を提供すること、
ii)UVリソグラフィにより、シリコン基板上のネガ型レジスト材料から特に第一のキャリアプレートのキャリアプレートユニット用の金型テンプレートを製造すること、
iii)キャリアプレートユニットを形成する材料を金型テンプレートに流し込むこと、
iv)金型テンプレート内でキャリアプレートユニットを形成する材料を硬化させること、並びに、
v)キャリアプレートユニット、特に第一のキャリアプレートを取得すること
を含む。
【0110】
本発明は又、前述の装置の製造方法にも関し、更に方法ステップii)で、第二のキャリアプレート用の金型テンプレートを製造すること、更に方法ステップiii)で、キャリアプレートユニットを形成する材料で第二のキャリアプレート用の金型テンプレートに流し込むこと、更に方法ステップiv)で、キャリアプレートユニットを形成する材料を第二のキャリアプレート用の金型テンプレート内で硬化させること、及び、更に方法ステップv)で、第二のキャリアプレートを取得し、その後、第一のキャリアプレートと組み合わせることを含む。
【0111】
キャリアプレートユニットを形成する材料として、PDMSが特に好ましく使用され、ステップiii)で、リソグラフィで製造された型に流し込まれ、50〜100℃、好ましくは60〜80℃で0.5〜12時間、好ましくは1〜2時間硬化される。
【0112】
更なる好ましい一実施形態では、更に方法ステップi)で、少なくとも一つの分離装置、特に少なくとも一つの膜を提供すること、並びに、更に方法ステップv)で、第一のキャリアプレート、少なくとも一つの分離装置及び第二のキャリアプレートを組み合わせることが企図される。
【0113】
リソグラフィを使用して製造された膜(例えば1002F-50又はSU-8に基づく)を使用する場合、装置を組み合わせるために、N
2プラズマを使用して第一のキャリアプレート、膜、及び第二のキャリアプレートを互いに接続する。他の膜材料の場合、O
2プラズマを使用して接続することもできる。
【0114】
特に、組み合わせるために、まず膜の幾何学的形状に応じて、第一又は第二のキャリアプレートのいずれかがN
2プラズマで活性化され、そのために、好ましくは、30〜100W、30〜120秒及び0.3〜1.5mbarのパラメータが使用される。活性化されたキャリアプレートは、シリコン基板上にある膜上に位置合わせされ、重み付けされ、結合物はオーブン内で60〜120℃で0.5-24時間硬化される。その次に、キャリアプレートと膜とから成る結合層が、H
2O内でSi基板から外される。更なるキャリアプレートは、ここで、上記パラメータによってN
2プラズマ内でアクティブ化され、フリー膜側に位置合わせされ、重み付けされ、上記パラメータで、オーブン内で結合物が硬化される。モータに取り付けるために、組み合わせられ硬化されたディスクの中央に、更に四つの貫通開口部が作製される。
【0115】
本発明の更なる有利な形態は、従属請求項から生じる。
【0116】
以下の実施例及び関連する図面を参照して、本発明をより詳しく説明する。