(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、診断方法の分野に関連する。より具体的には、プロスタグランジンE依存性腫瘍に罹患している対象を、プロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性があると同定する方法に関し、対象の試験サンプル中のmicroRNA-574-5p量を測定するステップ、測定量を参照と比較するステップ、及び、前記比較に基づいて、プロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性がある、プロスタグランジンE依存性腫瘍に罹患している対象を同定するステップを含む。さらに、本発明はまた、プロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性がある対象を同定するための、プロスタグランジンE依存性腫瘍に罹患している対象のサンプル中のmicroRNA-574-5p、またはこれに特異的に結合する検出試薬の使用、並びに、本発明の方法を実施するための装置及びキットを包含する。
前記参照は、プロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性であることが分かっている、プロスタグランジンE依存性腫瘍に罹患している対象または対象群に由来する、請求項1に記載の方法。
試験サンプル中の、本質的に同量の、または増量されたmicroRNA-574-5pは、対象がプロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性であることを示し、試験サンプル中の減量されたmicroRNA-574-5pは、対象がプロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性ではないことを示す、請求項2に記載の方法。
前記参照は、(i) 非腫瘍組織サンプル、または、(ii) プロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性ではないことが分かっている、プロスタグランジンE依存性腫瘍に罹患している対象または対象群、または、(iii) 健康体若しくは健康体群、に由来する、請求項1に記載の方法。
試験サンプル中の、本質的に同量の、または減量されたmicroRNA-574-5pは、対象がプロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性ではないことを示し、試験サンプル中の増量されたmicroRNA-574-5pは、対象がプロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性であることを示す、請求項4に記載の方法。
前記腫瘍は、肺癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、甲状腺乳頭癌、低及び高リスク神経膠腫、神経芽細胞腫、髄芽腫、子宮頸癌、脳腫瘍及び胃癌からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
前記プロスタグランジンE形成阻害剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)及び/またはミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ-1阻害剤(mPGES1阻害剤)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
前記NSAIDが、選択的COX-2阻害剤、好ましくは、パレコキシブ、エトリコキシブまたはセレコキシブ、COX1-選択的阻害剤、好ましくは、低用量のアスピリン、及び、非選択的COX1/2阻害剤、好ましくは、ナプロキセン、イブプロフェンまたはジクロフェナク、からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
前記mPGES1阻害剤が、MK-886誘導体、フェナントレンまたはベンゾイミダゾール類、ビアリールイミダゾール類、ピリニキシン酸誘導体、2-メルカプトヘキサン酸、リコフェロン誘導体、ベンゾ(g)インドール-3-カルボン酸塩、オキシカム類、三置換尿素及びカルバゾールベンズアミド類からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
プロスタグランジンE形成阻害剤による治療に感受性がある対象を同定するための、プロスタグランジンE依存性腫瘍に罹患している対象のサンプル中のmicroRNA-574-5p、またはこれに特異的に結合する検出試薬の使用。
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を実施するために適合化されたキットであって、microRNA-574-5pに特異的に結合する検出試薬と、前記方法を実施するための説明書とを備える、キット。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものである。実施例は、発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
実施例1:miR-574-5pはステージII-IIIのNSCLC 患者の腫瘍内でアップレギュレートされる
4人のNSCLC患者の腫瘍肺組織または非腫瘍肺組織におけるmiR-574-5pの発現量を分析した。4人中3人の腫瘍を組織学的に腺癌に分類し、1人の腫瘍は扁平上皮癌に分類した。qRT-PCRで評価した結果、非腫瘍組織と比較して、腫瘍内でmiR-574-5p発現量の強い増加が観察された(
図1a)。データをさらに確認するために、NSCLC患者のサンプルを増やして、NSCLC患者の非腫瘍組織(NT, n = 6)及び腫瘍組織(T, n = 11、腺癌が10、扁平上皮癌が1)内のmiR-574-5p発現を測定した(
図1f)。これらのデータは、予め推測された腫瘍の進行におけるmiR-574-5pの重要な役割を支持するものである。
【0046】
実施例2:A549細胞におけるmiR-574-5pの過剰発現は、PGE
2生合成を促進する
miR-574-5pがPGE
2合成に影響を与えるかを調査するために、miR-574-5pを安定的に過剰発現(約33倍までのアップレギュレーション)するA549細胞を使用した(
図1b)。mPGES-1の発現は、IL-1βで誘導した。A549コントロールと比較して、miR-574-5p 過剰発現(oe)は、IL-1βによる誘導の後のみ、PGE
2生合成を有意に増加させた(
図1c)。この効果は、mPGES-1レベルの増加と関連したが、COX-2とは関連しなかった(
図1d, e)。miR-574-5pの過剰発現により促進されたPGE
2の生合成におけるmPGES-1のこの主要な役割は、PGF
2αの生合成(COX-2に依存するがmPGES-1に依存しない)には影響が見られなかったことから支持される(データ示さず)。
【0047】
全体として、これらの結果は、miR-574-5p oeが、mPGES-1依存性PGE
2生合成を促進することを示している。次に、異種移植マウスモデルで、A549細胞におけるmiR-574-5pによるmPGES-1の誘導により、肺腫瘍が早く成長するかを調査した。
【0048】
実施例3:A549細胞におけるmiR-574-5p過剰発現は、全身でのPGE
2の生合成の促進と関連して、生体内での腫瘍の成長を増加させる
A549 miR-574-5p oe細胞またはA549コントロール細胞をヌードマウスの後部側面に注入し、注入後4週間まで腫瘍形成をモニターした(
図2a)。デジタルノギスを使用して、腫瘍体積を週3回評価した。A549コントロール細胞を注入したマウス群では、11の腫瘍が発達した。一方で、miR-574-5p oeを注入したマウス群では12の腫瘍が発達し、時間依存的に成長した(
図2a)。28日目に、腫瘍体積は、A549コントロールで処理した動物(n=11)では0.059+0.08 cm3、miR-574-5p oeで処理した動物(n=12)では0.138+0.096 cm3であった(
図2c)。と殺時、腫瘍重量は、A549 miR-574-5p oeに由来する腫瘍で有意に高かった(
図2d)。
【0049】
27日目に、全身のPGE
2の生合成を、24時間尿中のPGE-Mレベルを測定することで評価した。
図2eに示す通り、A549コントロール細胞を注入されたマウスに対して、A549 miR-574-5p oeを注入されたマウスにおける尿PGE-Mレベルの平均値は、有意に高かった。
【0050】
全体として、これらの結果は、miR-574-5pの過剰発現が、生体内でのPGE
2の生合成の促進に関連して、肺癌細胞のより早い成長を促すことを示す。これらの結果は、異種移植ヌードマウスにおいて、mPGES-1依存性のPGE
2生合成が、miR-574-5p oeによって生じる腫瘍成長の促進に応答するかを検証することを促した。
【0051】
実施例4:mPGES-1の阻害は、生体内でのA549細胞の腫瘍形成能を低下させる
生体内のmiR-574-5pによる腫瘍成長の刺激が、PGE
2形成の増加に依存するかを評価するために、選択的mPGES-1阻害剤CIIIを使用した。この仮説を試験するために、A549コントロール細胞(n=11)及びA549 miR-574-5p oe細胞(n=11)を注入したマウスをCIIIで処置し、腫瘍の進行を評価した。結果を、ビヒクルのみで処理した、A549コントロール細胞(n=11)またはA549 miR-574-5p oe細胞(n=12)を注入したマウスから得られた結果と比較した(
図2b)。CIIIの投与は、コントロールのマウスの基本的な腫瘍成長には影響を与えなかったが(
図2f)、この化合物は、A549 miR-574-5p oe細胞を注入されたマウスの腫瘍成長の時間依存的な増加を有意に減少させ、腫瘍の進行をA549コントロールのマウスと同等とした(
図2f,g)。28日目に、miR-574-5p oeマウスにおいてのみ、腫瘍重量はCIII投与によって有意に減少した(
図2h)。PGE-Mの尿排泄の測定により、薬物が、miR-574-5p oeマウスでのみ、腫瘍細胞移植後に生じるPGE
2生合成の促進を抑制することで、PGE-Mレベルに影響を与えることが明らかとなった(
図2i)。他のプロスタノイドの全身での生合成に対するCIII投与の影響を評価した。尿中のPGI-M及びTX-Mのレベルは、コントロールのマウスと同様にmiR-574-5p oeマウスにおいても、薬物による有意な影響は見られなかった(データ示さず)。PGD-Mレベルは、A549コントロールのマウスに対して、miR-574-5p oeマウスにおいて高い傾向が見られたが、CIII投与によっては、両方のマウス群で尿中PGD-Mレベルに有意な変化は見られなかった(データ示さず)。
【0052】
データは、CIIIが、PGH
2の他のプロスタノイドへの実質的な分岐を生じることなく、PGE
2の生合成を選択的に阻害することによって、A549 miR-574-5p oe細胞を注入されたマウスにおいてのみ、腫瘍の発達を減少させることを示唆する。免疫組織化学分析は、CIIIによるmPGES-1の阻害が、細胞増殖と血管新生を減少させることを支持する(データ示さず)。
【0053】
実施例5:miR-574-5pは標準的でない方法でmPGES-1の発現を制御する
生体内でのデータは、腫瘍の成長が、miR-574-5pに誘導されたPGE
2の生合成を介して促進されることを示す。しかしながら、mPGES-1 mRNAは、miR-574-5pの直接的な結合部位を持たないため、標準的なmiRNAサイレンシングの標的ではない。対照的に、miR-574-5pの過剰発現はPGE
2生合成を増加させ、miRNAを介したmRNAサイレンシングに代替する別の制御機構が示唆される。
【0054】
近年、遺伝子発現を活性化する、新規のmiRNA機構が発見された。この場合、miR-328がRNA結合タンパク質hnRNP E2に対するデコイとして作用し、翻訳抑制因子としてのその機能を中和する。miR-574-5pの同様の機構を発見するために、mPGES1の3’ 非翻訳部位(3’ UTR)内、及び成熟形態のmiR-574-5p内のGUリッチ配列を見出した。このようなGUリッチ配列(GRE)は、CUGBP1の結合部位を示す(
図3a)。したがって、miR-574-5pがCUGBP1の機能に拮抗することでPGE
2合成を誘導し得るかを調査した。
【0055】
CUGBP1が成熟したmiR-574-5pに結合するかを測定するため、電気泳動移動度シフトアッセイを実施した。放射性標識miR-574-5pを、A549細胞からの、及びCUGBP1を3.5倍まで過剰発現するA549細胞(CUGBP1 oe)からの細胞質性抽出物とインキュベートした(データ示さず)。CUGBP1/miR-574-5p複合体の形成は、細胞質性抽出物量の増加とよく相関する(
図3b)。CUGBP1の過剰発現はより強いRNAシフトを媒介するが、一方で、非標識RNAの添加は複合体形成を妨害する(
図3c)。シフトアッセイは、mPGES-1の3´UTRに位置する2つのGUリッチエレメントについても実施した(
図3a)。特定の複合体形成は、GRE1及びGRE2に見られたが、mGREには見られなかった(
図3d)。シグナルは、過剰量の非標識RNAプローブの添加によって消失した(
図3e)。これらの実験は、CUGBP1が成熟したmiRNAとmPGES-1の3´UTRの両方に特異的に結合することを実証する。
【0056】
実施例6:mPGES-1の3´UTRスプライシングは、CUGBP1によって制御される
CUGBP1のGUリッチエレメントへの直接的な結合は、CUGBP1がmPGES-1発現の制御に関与することを示す。mPGES-1 3´UTR配列のバイオインフォマティック分析により、2つのGREエレメント内に位置する、標準的でないGT-TGスプライシング部位を有する、イントロンと推定される箇所が示唆された。A549細胞、HeLa細胞及び関節リウマチ患者からの滑膜線維芽細胞における逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)分析により、3つのすべての細胞種において、スプライシングされた3´UTR変異体の存在が確認された(mPGES-1 3´UTRアイソフォーム、
図4a)。配列分析により、mPGES-1 3'UTRアイソフォームが、2つのGREに隣接する3'UTRの中央部分をスプライシングすることによって生成されたことが明らかになった(
図4b)。
【0057】
CUGBP1が2つのGREエレメントへの結合を介して3’UTR スプライシングに関与するかを明らかにするために、mPGES-1 3´UTRをホタルルシフェラーゼ遺伝子のオープンリーディングフレームにクローニングした(
図4c)。ルシフェラーゼ活性を、CUGBP1 oe(8.5倍アップレギュレーション)のある、またはないHeLa細胞内で測定した。RT-PCR分析によって、GRE1、GRE2またはその両方を欠くことで、3´UTRスプライシングが完全に防がれるが(
図4d)、CUGBP1の過剰発現により、スプライシング過程が増強されることが明らかになった(
図4d)。2つのGREの機能を分析するために、レポーター遺伝子アッセイを実施し、これにより、両方のGREが存在する場合、CUGBP1 oeに応答して、ルシフェラーゼ活性の、微量ではあるが有意な減少がみられるが、1つまたは両方のGREが変異している場合はみられないことが明らかとなった(
図4c)。
【0058】
さらに、両方のmRNA形態の安定性を測定した。A549細胞を転写阻害剤のアクチノマイシンDで処理した。RNAは、異なる時点で複数回抽出し、それぞれのアイソフォームを指定された時点でqRT-PCRにより分析した。
図4eに示す通り、mPGES-1 3´UTRアイソフォームのmRNA安定性は、標準的な形態よりも有意に低い。
【0059】
実施例7:CUGBP1はmPGES-1発現を介してPGE
2合成を制御する
CUGBP1のmPGES-1発現及びPGE
2形成への影響を調査するために、A549細胞におけるCUGBP1の発現をsiRNA(ΔCUGBP1)によってノックダウンした(データ示さず)。CUGBP1依存性のmPGES-1の制御を評価するため、A549細胞をIL-1βで24時間処理してmPGES-1の発現を誘導し、次いで刺激要因のない培地中で24時間の追加の培養を行った。IL-1β刺激は、3´UTRアイソフォームと標準的な形態の両方を増加させた(
図5a, b)。ΔCUGBP1により、mPGES-1 3´UTRアイソフォームの発現量がさらに増加し(
図5a)、mPGES-1アイソフォームよりは低いものの、mPGES-1 mRNAの発現量も有意にアップレギュレートされた(
図5b)。mPGES-1タンパク質の発現は、刺激要因のない培地中への変更後も、ΔCUGBP1に応答して強くアップレギュレートされた(
図5c)。データは、炎症条件下で、CUGBP1がmPGES1の発現を阻害することを実証する。
【0060】
次いで、mPGES-1発現におけるこれらの変化が、PGE
2の生合成を変化させるかを調査した。内因性CUGBP1を発現するA549細胞について、24時間IL-1βに曝すことで、PGE
2レベルは24時間のIL-1βによる刺激で有意に促進され、刺激要因を取り除くと元のレベルに戻った(
図5d)。注目すべきことに、PGE
2の形成はmPGES-1と同様に、COX-2の活性に依存する。炎症性刺激要因を除去した後のA549細胞培地内のPGE
2レベルの減少は、明らかに、mRNAレベルとタンパク質レベルの両方におけるCOX-2のダウンレギュレーションに起因する(
図5e, f)。一方で、mPGES1レベルは一定で維持される(
図5c)。
【0061】
A549 ΔCUGBP1細胞では、PGE
2形成は、IL-1βの存在下で約50倍まで有意にアップレギュレートされた(
図5d)。COX-2レベルはΔCUGBP1の影響を受けなかった(
図5e.f)。結果は、CUGBP1が、mPGES-1の発現を制御することで(ただし、COX-2の発現は制御しない)(
図5c)、A549細胞内のPGE
2生成に影響を与えることを示す。
【0062】
実施例8:CUGBP1は、mPGES-1翻訳抑制因子として作用する
スプライシングを制御する作用とは別に、CUGBP1は翻訳抑制因子としても作用することが示されてきた。CUGBP1がタンパク質の翻訳に影響を与えることでmPGES-1の発現を制御するかを調査するために、A549細胞でのCUGBP1による過剰発現実験を実施した。CUGBP1 oeへの応答において、mPGES-1タンパク質レベルの有意なダウンレギュレーションが見られたが、mRNAレベルは変化しなかった(データ示さず)。これらのデータは、明確に、CUGBP1がmPGES-1の翻訳を抑制することを示す。
【0063】
近年、オクルディン(occludin)のmRNAの翻訳抑制が、CUGBP1とタグ付けされたmRNAとのプロセッシングボディ(P-ボディ)内での共存に起因することが示された。したがって、CUGBP1が、mPGES-1 mRNAのP-ボディへの取り込みにより、mPGES-1の翻訳を抑制する可能性がある、という仮説が立てられた。
【0064】
第一に、免疫蛍光染色による分布を調査して、CUGBP1と、P-ボディの主要成分であるDCP1a(Decapping mRNA 1A)との広範囲での共存を発見した。また、P-ボディの成分GW182(Trinucleotide Repeat Containing 6A)のノックダウンによって、P-ボディの形成を阻害できることが示されてきた。そのため、P-ボディの形成がmPGES-1タンパク質の翻訳抑制に関連するかを決定するために、GW182(ΔGW182)を使用した。成熟したmPGES-1 mRNAはΔGW182の影響を受けなかったが、A549細胞内のmPGES-1タンパク質の発現は有意にアップレギュレートされた。これらのデータは、P-ボディ形成と組み合わされる、CUGBP1のmPGES-1の翻訳抑制因子としての役割を示す。
【0065】
実施例9:miR-574-5pとCUGBP1の間のバランスがmPGES-1の発現を制御する
CUGBP1活性がいかに制御されるかを分析する。CUGBP1の発現レベル、局在性及びリン酸化状態がIL-1β刺激の影響を受けなかったことから、miR-574-5pのアップレギュレーションは、mPGES1の生合成におけるCUGBP1の機能に拮抗するという仮説が立てられた。
【0066】
CUGBP1がmiR-574-5pに結合することを発見したことから(
図4B, C)、発明者らは、癌(
図1A)及びA549細胞のIL-1β処理後(データ示さず)におけるmiR-574-5pの強いアップレギュレーションは、おそらく、mPGES1生合成へのCUGBP1の抑制的作用を中和することにより、mPGES-1発現のアップレギュレーションに関与している、という仮説を立てた。
【0067】
したがって、miR-574-5pは、miRNA模倣体を用いて、A549細胞内で過剰発現する(miR-574-5p oe)。miR-574-5p oeは、mPGES-1 3´UTRアイソフォームの発現を増加させるが、標準的なmPGES-1 mRNAには有意な変化を及ぼさなかった(
図6a)。miR-574-5p oeに応答して、mPGES-1タンパク質レベルのアップレギュレーションが見られた(
図6b)。これらの結果は、ΔCUGBP1により得られた結果と同等であった(
図5c)。
【0068】
次に、miR-574-5p(ΔmiR-574-5p)発現レベルを、miR-574-5p に特異的なLNA(商標)を用いて減少させた。mPGES-1 mRNA発現は、ΔmiR-574-5pの影響を受けなかったが、mPGES-1 3´UTRアイソフォームは、ΔmiR-574-5pに応答して、有意に減少した(
図6c)。mPGES-1タンパク質レベルはΔmiR-574-5pによって減少したが、統計学的に有意な減少ではなかった(p=0.066、t検定)。
【0069】
実施例10:CUGBP1とmiR-574-5pの変化は、A549細胞の増殖に反対の効果を生じる
細胞増殖におけるmiR-574-5pとCUGBP1の役割を明らかにするために、MTTアッセイを実施した。このアッセイでは、A549細胞のIL1β誘導性の細胞増殖が、miR-574-5p oeまたはCUGBP1減少により促進される一方、miR-574-5p減少またはCUGBP1 oeで減少した(データ示さず)。これらの結果は、miR-574-5p過剰発現がCUGBP1の作用を中和することにより、増殖の促進に変換する、という仮説を支持する。
【0070】
実施例11:一般的な方法
細胞株及び細胞培養条件
ヒト肺腺癌細胞株A549(ATCC Manassas, バージニア州、米国)及び子宮頸癌細胞株HeLa(DMSZ)を、10%(v/v) 熱不活性化ウシ胎児血清(FBS, Life Technologies, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)、100 U/mLペニシリン、100 μg/mLストレプトマイシン、及び1 mM ピルビン酸ナトリウム(PAA, the Cell Culture Company, Coelbe, ドイツ)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Life Technologies, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)で培養した。関節リウマチ患者の滑膜線維芽細胞を、既報の通りに培養した。この研究は、国際倫理委員会(Institutional Ethical Committee)(Solna、ストックホルム、スウェーデン、倫理番号2009/1262-31/3)によって承認され、ヘルシンキ宣言によるすべての倫理基準と、患者の同意に従っている。細胞培養は、37℃、5%CO
2の加湿雰囲気下で実施した。A549細胞は、5 ng/mL の IL-1β(Sigma-Aldrich、ダルムシュタット、ドイツ)で24時間刺激した。
【0071】
肺腫瘍組織
肺の非腫瘍組織及び腫瘍組織は、4人のNSCLC患者(3人が腺癌、1人が扁平上皮癌)より取得した。これらのドナーの肺組織は、移植ドナーの非移植肺組織であった。組織提供の研究プロトコルは、国内法及び「医薬品の臨床試験の実施基準/医薬品規制調和国際会議(Good Clinical Practice/International Conference on Harmonisation)」ガイドラインにしたがって、Giesse大学病院(Giessen、ドイツ)の倫理委員会(「Ethik Kommission am Fachbereich Humanmedizin der Justus Liebig Universitaet Giessen」)で承認された。各患者または患者の近親者より、書面によるインフォームドコンセントを取得した(AZ 31/93)。更なる実験において、肺の非腫瘍組織及び腫瘍組織のサンプルを11人の別のNSCLC患者(10人の腺癌、1人の扁平上皮癌)より取得した。これらのドナーの肺組織は、移植ドナーの非移植肺組織であった。組織提供の研究プロトコルは、国内法及び「医薬品の臨床試験の実施基準/医薬品規制調和国際会議(Good Clinical Practice/International Conference on Harmonisation)」ガイドラインにしたがって、Giesse大学病院(Giessen、ドイツ)の倫理委員会(「Ethik Kommission am Fachbereich Humanmedizin der Justus Liebig Universitaet Giessen」)で承認された。各患者または患者の近親者より、書面によるインフォームドコンセントを取得した(AZ 31/93)。
【0072】
RNA干渉
CUGBP1 と GW182を、siRNAオリゴヌクレオチドを用いて一過性に減少させた。形質転換の24時間前に、A549細胞を6ウェルプレートに、5×10
5細胞/ウェルの密度で播種した。20 pmol/μLのsiRNAオリゴヌクレオチドをLipofectamine 2000(登録商標)(Invitrogen, Karlsruhe, ドイツ)を用いて、製造者の説明書に従って導入した。GW182ノックダウンについては、MISSION(登録商標)siRNA SASI_Hs01_00244664(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)をそれぞれ用いた。CUGBP1ノックダウンについては、既報のsiRNA(5´ - GCUGUUUAUUGGUAUGAUU - 3´; 配列番号5)を発明者の実験のために使用した。コントロールとして、非特異的な配列を有するsiRNA(5´ - UCUCUCACAACGGGCAUUU - 3´; 配列番号6)を使用した。細胞は、形質転換後、24時間及び48時間で回収した。CUGBP1及びGW182ノックダウンの効率を、qRT-PCR、ウェスタンブロット及び免疫蛍光染色で測定した。
【0073】
CUGBP1の過剰発現
形質転換の24時間前に、A549細胞を24ウェルプレートに、4×10
4細胞/ウェルの密度で播種した。500 ng/ウェルのpCUGBP1プラスミドまたは pCMV-MSコントロールプラスミド(ダルムシュタット工科大学のJulia WeigandとKatrin Kemmererからの提供)を、Lipofectamine 2000(登録商標)を用いて、製造者の説明書に従って導入した。同様に、HeLa細胞にも300 ng/ウェルのpCUGBP1またはpCMV-MSを導入した。過剰発現の効率は、ウェスタンブロットで分析した。
【0074】
miR-574-5p模倣体または阻害剤の形質転換
形質転換の24時間前に、A549細胞を6ウェルプレートに、5×10
5細胞/ウェルの密度で播種した。20 pmol/μL のmiRIDIAN miR-574-5p 模倣体(HMI0794, Sigma-Aldrich、ダルムシュタット、ドイツ)またはネガティブコントロール(HMC0002, Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)を、Lipofectamine 2000(登録商標)を用いて、製造者の説明書に従って導入した。同様に、miR-574-5pノックダウンのために、A549細胞に40 pmol/μLのmiR-574-5p-LNA(商標)阻害剤(4101451-001)またはネガティブコントロール(199006-001, Exiqon, コペンハーゲン、デンマーク)を導入した。形質転換の効率は、qRT-PCRで測定した。
【0075】
A549肺癌細胞株におけるmiR-574-5pの安定的な過剰発現
レンチウィルス粒子Mission(登録商標)lenti miR-574-5p(HLMIR0794, Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)または、Mission(登録商標)lenti コントロール(NCLMIR002, Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)を、miR-574-5pを安定的に過剰発現するA549細胞株(A549 miR-574-5p oe)と、コントロール細胞(A549コントロール)を形成するために使用した。形質転換の24時間前に、A549細胞を6ウェルプレートに、1×10
5細胞/ウェルの密度で播種した。レンチウィルス粒子を迅速に融解し、MOI 0.83でA549細胞に添加し、スピノキュレーション(supinoculation)を行った(875g、32℃で60分間)。形質導入した細胞を1日生育させたのち、1.5 μg/mLピューロマイシン(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)を4日間添加して、形質導入クローンを選別した。形質導入効率は、qRT-PCRで評価した。
【0076】
RNA抽出及びRT-PCR
製造者の説明書に従って、RNA全量をTRIzol試薬(Invitrogen, Karlsruhe, ドイツ)を用いて抽出し、Turbo DNase(Ambion, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)で処理した。製造者の説明書に従って、DNaseで処理したRNA 1μgを、High-Capacity RNA-to-cDNA キット(Applied Biosystems, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)を用いた逆転写に使用した。最後に、第1の一本鎖cDNAをPCR反応のテンプレートとして使用した。プライマーmPGES-1 3´UTR_F及びmPGES-1 3´UTR_R(表1)を、mPGES-1 3´UTRの特異的増幅に使用した。RT-PCRは、製造者の説明書に従って、2.5U Taq ポリメラーゼ(New England Biolabs, Ipswish, 米国)を用いて、50 μM ベタイン(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)を添加して実施した。RT-PCR反応を指数関数的増幅の段階に保ち、飽和の影響を避けるため、サイクル数を最小限に抑えた。各RT-PCRサンプルの1/10量を、エチジウムブロマイド染色アガロースゲル上のゲル電気泳動により分析した。QIAquick ゲル抽出キット (Qiagen, Hilden, ドイツ)を使用して、RT-PCR産物のゲルからの抽出を行った。PCR CloningPLUSキット(Qiagen, Hilden, ドイツ)を使用して、単離されたRT-PCR産物のクローニングを行った。次いで、選択したプラスミドの配列決定を行った。
【0077】
【表1】
【0078】
定量的逆転写PCR(qRT-PCR)
DNaseで処理したRNA 1μgを使用して、製造者の説明書に従って、High-Capacity RNA-to-cDNA キット(Applied Biosystems, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)を用いた逆転写を行った。Fast SYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosystems, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)を用いて、Applied Biosystems StepOne Plus(商標)Real-Time PCR System (Applied Biosystem, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)でのリアルタイム逆転写PCR(RT-PCR)を実施した。1反応あたり1μLのcDNA(1:2 希釈したもの)を使用した。β-アクチンを、多様なサンプル中のcDNA量の変動を補正するための、内因性コントロールとして使用した。プライマーペアの配列一覧を表1に示す。
【0079】
qRT-PCRに基づくmiR-574-5pの定量は、miScript システム(Qiagen, Hilden, ドイツ)を用いて実施した。DNaseで消化したRNA 1μg を逆転写に使用した。miR-574-5pのqRT-PCRは、miR-574-5p特異的プライマー(MS00043617, Qiagen, Hilden, ドイツ)を用いて実施した。snRNA U6を内因性コントロールプライマーとして使用した(MS00033740, Qiagen, Hilden, ドイツ)。snRNA U6、hsa-miR-16及びSNORD72は、肺癌内で制御されるため、有効なコントロールではないことから、NSCLC 組織サンプルのmiR-574-5pの発現は、miRTC primer(MS00000001, Qiagen, Hilden, ドイツ)を用いたmiRNA逆転写コントロールに対して補正した。miR-574-5pの測定量を、miRTCコントロールのmiRTCの発現に対して補正した。qRT-PCRは製造者の説明書に従って実施した。倍数値は、2(-ΔΔCt)の値を用いて計算した。
【0080】
プラスミド構成物
mPGES-1 3´UTRのcDNAは、NotI-mPGES-1 3´UTR_F及びHindIII-mPGES-1 3´UTR_R(表S1)のプライマーを用いてA549細胞から増幅し、NotI及びHindIIIの切断部位を介してpDL Dual Luciferase プラスミドにクローニングして、mPGES-1 3´UTRプラスミドを得た。mPGES-1 3´UTRプラスミドをテンプレートとして使用した部位特異的変異導入PCRにより、2つのGUリッチ要素(GRE要素)の欠失を生じさせた。第1のGUリッチ要素の変異については、ΔGRE1_F及びΔGRE1_Rを使用して、 プラスミドΔGRE1_mPGES-1 3´UTRを作成した。第2のGUリッチ要素は、ΔGRE2_mPGES-1 3´UTRを生じるΔGRE2_F及びΔGRE2_Rを用いて生成した。すべてのプライマー配列の一覧を、表1に示す。プラスミドは、DNA配列決定により確認した。
【0081】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ
形質転換の24時間前に、24ウェルプレートに、1ウェルあたり4×10
4のHeLa細胞を播種した。100ng/ウェルのmPGES-1 3´UTR構成物と、300ng/ウェルのpCUGBP1及びコントロールとしてpCMV-MSとを使用して、Lipofectamine 2000(登録商標)(Invitrogen, Karlsruhe, ドイツ)で、製造者の説明書に従って形質転換を行った。48時間後、TECAN infinite M200 リーダーで、Dual-Glo(商標)Stop and Glow Luciferase Assay System(Promega, Madison, 米国)を用いて、細胞のルシフェラーゼ活性のアッセイを行った。ウミシイタケのルシフェラーゼ活性を、形質転換効率に対するルシフェラーゼ活性の補正に使用した。
【0082】
ウェスタンブロッティング
細胞全体の溶解物を得るために、A549細胞をT-PER(商標)組織タンパク質抽出試薬(Life Technologies, ThermoFisher Scientific, Waltham, 米国)中で、4℃で30分間溶解した。核分画と細胞質分画を分離するため、10 mM HEPES pH 7.9(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、1.5 mM MgCl
2(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、10 mM KCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、プロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche, Basel, スイス)を含む細胞質抽出バッファー中で、細胞を5分間氷上で溶解させた。サンプルを3分間(6,500 rpm)遠心分離した。上清が細胞質分画であった。ペレットを、さらに20 mM HEPES pH 7.9、1.5 mM MgCl2、0.42 M NaCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、0.2 mM EDTA(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、25%グリセリン(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)及びプロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche, Basel, スイス)を含む核抽出バッファー中で、-80℃で15分間再懸濁した。サンプルを37℃で3回凍結融解した。サンプルを、13,300 rpmで15分間遠心分離した。上清が核分画であった。タンパク質量を、Bradfordアッセイ(BioRad Laboratories, Hercules, 米国)で測定した。ウェスタンブロット分析を上記の通りに実施した。メンブレンを、mPGES-1(Cayman-Chemical, Ann Arbor, 米国)、GAPDH(2118, Cell signaling, Cambrige, 英国)、CUGBP1(ab9549, Abcam, Cambrige, 英国)、リン酸化CUGBP1(15903, Abnova, Heidelberg, ドイツ)、ラミンA/C(4777S, Cell signaling, Cambrige, 英国)及びCOX-2(sc-1745, Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, 米国)を認識する一次抗体とともにインキュベートした。A549 miR-574-5p-5p oe及びA549コントロール細胞に関する実験では、細胞を溶解し、mPGES1、COX-2及びGAPDHの分析を、上記の通りに実施した。
【0083】
電気泳動移動度シフトアッセイ
0.2% Nonidet P-40(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、40 mM KCl(Sigma-Aldrich, St. Louis、米国), 10 mM HEPES(pH 7.9)(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、3 mM MgCl
2(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、1 mM DTT(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、5% グリセリン(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、及びプロテアーゼ阻害剤(Roche, Basel, スイス)を含むバッファー中で、10分間氷上で細胞を溶解して、細胞質抽出物を調製した。細胞質抽出物は、13,300 rpm、2分間遠心分離を行って核を除き、直ちにドライアイス上で凍結させ、-80℃で保存した。抽出物のタンパク質濃度を、Bradfordアッセイで測定した。GRE1及びGRE2のRNAを、in vitroで転写した。GRE1に特異的なプライマー(GRE1_F及びGRE1_R)並びにGRE2に特異的なプライマー(GRE2_F及びGRE2_R)(表1)をアニールし、高コピー数のプラスミドpHDVにクローニングした。このように、HDVリボザイムをGRE1及びGRE2の3′末端に付加することで、in vitroの転写後に相同的な3′末端を得た。T4 ポリヌクレオチドキナーゼ(Invitrogen, Karlsruhe, ドイツ)を用いて、RNAの末端を[γ32P] ATP(6,000 Ci/mmol, Hartmann, Braunschweig, ドイツ)で標識した。miR-574-5p及びmGRE1 RNAは、Sigma-Aldrichによって商業的に合成された。EMSAアッセイは、細胞質抽出物を、0.2% Nonidet P-40、40 mM KCl、10 mM HEPES(pH 7.9)、3 mM MgCl
2、1 mM DTT、5% グリセリン及び5 mg/mLヘパリン硫酸(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)を含むバッファー中で、32P標識RNAプローブをともにインキュベートすることで実行した。各反応は、10-70μgの細胞質タンパク質及び10fmolの放射線標識RNAプローブを全量15μL中に含む状態で20分間行った。各サンプルを、3μLの5×ネイティブローディングバッファー(50%、v/v、グリセリン、0.2%ブロモフェノールブルー、0.5×TRIS-ホウ酸EDTAバッファー, Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)と混合した。サンプルを、非変性条件下で、6%ポリアクリルアミドゲル(PAA)の電気泳動で分離した。ゲルをTyphoon Phosphorimager(Amersham Biosciences, Freiburg, ドイツ)上で分析した。
【0084】
MTT細胞増殖アッセイ
生細胞の検出のために、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾル-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)テトラゾリウム)(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)還元アッセイを実施した。形質転換の24時間前に、A549細胞を、96ウェルプレートに1ウェルあたり1×10
4細胞の密度で播種した。MTT還元アッセイのために、20μLの5 mg/mL MTT (PBS中)溶液を培養液中の細胞に添加し、4時間インキュベートした。培地を除去して、100 μL DMSO(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)を添加した。ホルマザンの量を、プレートリーダー分光光度計用いて、570nmの吸収の変化を記録することで測定した。参照として、630nm波長を、非特異的なバックグラウンドを補正するために使用した。
【0085】
免疫蛍光染色
A549細胞(5×10
5)を、6ウェルプレート内のカバースライド(18×18cm, Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)上に播種し、4%の冷パラホルムアルデヒド(PFA, Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)を用いて15分間固定した。次いで、PBSで2回洗浄し、その後、0.5%Triton X-100(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)で5分間透過処理を行った。細胞を、2% BSA PBS溶液(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)でブロック処理した。一次抗体DCP1a(ab70522, Abcam, Cambrige, 英国)は1:1000に、GW182(ab66009, Abcam, Cambrige, 英国)は1:100に、及びCUGBP1(ab9549, Abcam, Cambrige, 英国)は1:500になるように、ブロッキングバッファー内に希釈添加して、固定した細胞とともに4℃で一晩インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄して、二次抗体(Abcamからの、ヤギ抗マウスIgG(ab150116, Alexa Fluor(登録商標)594))、ヤギ抗ウサギIgG(Alexa Fluor(登録商標)488, ab150077)と、室温で2時間インキュベートした。細胞を、4′,6-ジアミジン-2′-フェニルインドールジヒドロクロライド(DAPI, Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)で染色した。Axio Observer顕微鏡(Zeiss, Jena, ドイツ)とLSM 510 Meta(Zeiss, Jena, ドイツ)画像処理ソフトウェアを使用して、20倍の大きさで画像を処理した。
【0086】
細胞培養上清中のプロスタノイドの測定
細胞培養上清からのプロスタノイドは、固相抽出により細胞培養液から抽出し、上記の通りに重水素化内部標準を利用して、標的LC-MS / MSにより分析した。
【0087】
A549 miR-574-5p oe及びA549 コントロール細胞株の実験では、馴化培地を培養細胞から回収し、10,000 gで2分間遠心分離して細胞片を廃棄した。上清のPGE2とPGF2αのレベルを、ラジオイムノアッセイで測定し、全タンパク質濃度に対して補正した。
【0088】
マウス実験
実験は、2010年9月22日の欧州共同体評議会(EEC)指令(2010/63/EU)及び国内倫理委員会に従って実施した。研究は、イタリア保健省(MOH)によって承認された(承認No. 190/2017-PR)。CD-1(登録商標)ヌードマウスをCharles River(ミラノ、イタリア)から入手した。実験を始める前に、マウスをそれぞれケージ毎に最大5匹収容し、温度(20±2°C)、湿度(55±10%)、照明(午前7時から午後7時)の条件下で1週間順応させた。特定の病原菌がなく、エサと水が不断給餌された条件下に動物を維持し、動物の健康状態を毎日モニターした。動物の苦痛を最小限に抑え、使用する動物の数を減らすために、あらゆる努力を行った。適した週齢(6週齢から8週齢)のメスを、すべての実験に使用した。A549コントロール細胞またはA549 miR-574-5p-5p oe細胞を、上記の標準的な条件下で培養し、トリプシンで回収し、PBSに再懸濁した(5x10
7/mL)。100μLの細胞懸濁液(5×10
6細胞を含む)をマウスの脇腹に皮下注入して、担癌マウスのモデルを構築した(
図2A)。mPGES-1阻害剤(CIII, 28575, Novasaidストックホルム、スウェーデンより提供)をビヒクル(1%Tween 80(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、0.5% カルボキシメチルセルロース(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)を含む0.9% 塩化ナトリウム液)中に分散させた。
【0089】
A549コントロール細胞(n=11)またはA549 miR-574-5p-5p oe細胞(n=12)を受けたマウスに、1日1回、腫瘍細胞の移植からと殺(28日目、4週間後)までの期間の毎日、ビヒクルでの処理を行った(
図2A)。A549コントロール細胞(n=11)またはA549 miR-574-5p-5p oe細胞(n=11)を接種したCIII処理マウスに、CIII化合物(50mg/kg)を毎日1回、腫瘍細胞の移植からと殺まで腹腔内注射により投与した。腫瘍の移植からと殺まで、週3回、デジタルノギスで直径を測定することで、腫瘍の成長をモニターした。腫瘍体積(TV)は、式 TV(cm
3) = 長さ[D(cm)]×深さ [d(cm)
2]×0.44 で計算した。と殺まで週3回体重をモニターし、解剖された腫瘍の腫瘍重量(gr)は、と殺時に評価した。マウスは腫瘍細胞の移植から4週間後、最後の薬剤投与の30分後にと殺した。28日目に、動物をと殺し、組織学のために、腫瘍及び肺を回収して、Tissue-Tek O.C.T. (Sakura, San Marcos, 米国)中に埋設し、イソペンタン中で冷却して液体窒素中で凍結した。腫瘍組織サンプルからの7mm厚のクリオスタット切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色し、隣接する切片を抗Ki67(Cell Signaling, Danvers, マサチューセッツ州)、抗VEGF(Bioss, SIAL srl, ローマ、イタリア)またはCD40(Santa Cruz, DBA, ミラノ、イタリア)抗体の免疫組織学的染色に使用した。クリオスタット切片は、まず氷冷アセトンで固定し、3%H
2O
2内で10分間インキュベートし、PBSで洗浄し(3×5分)、次いで3%ウシ血清アルブミン(BSA, Sigma Aldrich, ミラノ、イタリア)中でインキュベートした。切片を37℃で1時間、CD40(1:30)、Ki67(1:50)及びVEGF (1:50)の希釈溶液に曝し、洗浄した(3×5分、PBS中)。一次抗体の位置決定は、次の適した種特異的ビオチンコンジュゲート抗二次抗体(ストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ(KIT Immunoperoxidase Secondary Detection System, Chemicon, Millipore, ミラノ、イタリア))を20分間適用することで達成された。洗浄(3×5分、TBS中)後、切片をストレプトアビジン-コンジュゲートHRP中で15分間インキュベートした。このインキュベーションの後、切片を10分間、3,3-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド(DAB, Sigma Aldrich, ミラノ、イタリア)に曝し、茶色い反応生成物を生成した。次いで、切片をヘマトキシリンで対比染色し、Aquatex(Merck, ミラノ、イタリア)に載置した。Nikon Eclypse T200を使用して、倍率60倍で画像を分析した。すべての動物で、ベースライン、細胞移植前、及び27日目、と殺前に、24時間尿サンプルを収集し、プロスタノイド尿中代謝産物レベルの評価に使用した。
【0090】
PGE-M、PGD-M、PGI-M及びTX-Mの尿中レベルの評価
テトラノールPGE-M、テトラノール PGD-M、2,3-ジノール-6-ケト-PGF1α(PG-IM)及び2,3-ジノール-TXB2 (TX-M)の同時定量を可能とするLC/MS法を適用した。尿サンプル(0.2mLアリコート)にテトラノール PGEM-d6(終濃度2ng/0.2mL)(Cayman Chemical, Ann Arbor, 米国)、テトラノールPGDM-d6(2ng/0.2mL)(Cayman Chemical, Ann Arbor, 米国)、2,3-ジノール-6-ケト-PGF1α-d9 (ナトリウム塩)(1ng/0.2mL)(Cayman Chemical, Ann Arbor, 米国)、2,3-ジノール-TXB2-d9(2ng/0.2mL)(Cayman Chemical, Ann Arbor, 米国)を内部標準として添加し、室温で15分間インキュベートした。次いで、葉酸(5μL)を添加した。15分のインキュベーション後に、メトキシアミン-HCl(1g/mL, 0.1mL)(Sigma-Aldrich, St Louis, 米国)を添加して、各ケトン基からO-メチルオキシムを生成した。室温での30分のインキュベーションの後、尿サンプルを水で1mLまで希釈し、HClでpH3に調整し、1 mLアセトニトリルと1mLの水で前処理しておいたNumber Strata X 33u 高分子逆相(30 mg/mL)(Phenomenex, Torrance, 米国)を用いて抽出した。Number Strata X 33u 高分子逆相カラムを1mLの水(5%アセトニトリル)で洗浄し、次いで1mLの酢酸エチルで溶出した。溶出液を蒸発させ、乾燥残渣を50μLの移動相(10%アセトニトリル水溶液)に再懸濁し、40μLをLC-MS / MSシステムに導入して分析した。
【0091】
統計
少なくとも3つの独立した実験の平均+SEMとして結果を示す。統計的分析を、スチューデントの、対応または非対応のt検定(両側)によってそれぞれ実施した。実験の時間経過については、GraphPad Prism 5.0を用いた2方向ANOVA(Bonferroni 事後検定)で行った。差異は、p<0.05(p<0.05については*、p<0.01については**、p<0.001については***として表示)を有意とした。マウス実験は、ANOVA 分析及びNewman-Keuls多重比較試験(§p<0.05, *p<0.01, **p<0.001)で分析した。
【0092】
RNA免疫沈降
5 ng/mL IL-1βによる24時間の刺激の前に、3×10
6のA549細胞を10cmのシャーレに播種して一晩培養した。次いで、細胞を5mLの氷冷PBSで洗浄して、EDTAフリーのプロテアーゼ阻害剤(Roche, Basel、スイス)を含む5mL PBS中で細胞スクレーパーを用いて回収した。細胞をプールして、4℃、400×gで5分間スピンダウンし、10 mM Tris-HCl(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)、pH 7.5、10 mM KCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、1.5 mM MgCl
2、0.5 mM DTT(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、0.9% Nonidet P-40(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、20μL リボヌクレアーゼ阻害剤及びプロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche, Basel, スイス)を含む溶解バッファー1mLに再懸濁した。懸濁液を氷上で10分間インキュベートして、その後、30%の振幅で、20秒間の休止を挟んで10秒間×4回の超音波処理を行った。その後、サンプルを10,000×g、4℃で10分間スピンダウンして、細胞片を除去した。上清を新しいチューブに移し、10%をインプット用のサンプルとした。
【0093】
GammaBind Plus Sepharoseビーズ(GE Healthcare, Freiburg, ドイツ)を0.2 mg/mL BSA(PBS中、Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、0.1mg/mL酵母tRNAを含むブロッキングバッファーで、4℃で90分間ブロックした。使用前に、ビーズを溶解バッファーで3回洗浄し、300×gで5分間遠心分離した。50μLのビーズ懸濁液と10μgのCUGBP1抗体(05-621 クローン3B1, Merck, ダルムシュタット、ドイツ)または正常マウスIgG抗体(12-371, Merck, ダルムシュタット、ドイツ)とを混合し、4℃で30〜60分間インキュベーションして、ビーズと抗体とを結合させた。次に、溶解物をCUGBP1- / IgG-ビーズ混合物にそれぞれ等量添加して、4℃で2時間インキュベートすることにより、免疫沈降を実施した。その後、サンプルを、各洗浄バッファーB1-B3(組成は下記の通り)で、300×gの遠心ステップを挟んで、冷蔵室で5分間洗浄した。洗浄バッファー:B1バッファーは、20mM Tris-HCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、pH 7.5、150 mM NaCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、2 mM EDTA(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、0.1% SDS(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)、1% Triton(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)及びプロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche, Basel, スイス)を含む。B2バッファーは、20 mM Tris-HCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)pH 7.5、500 mM NaCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、2 mM EDTA(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、0.1% SDS(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)、1% Triton(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)及びプロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche, Basel, スイス)を含む。B3バッファーは、10 mM Tris-HCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)pH 7.5、250 mM LiCl(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、1 mM EDTA(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、1% デオキシコール酸ナトリウム(Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、1% Nonidet P-40 (Sigma-Aldrich, ダルムシュタット、ドイツ)、及びプロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche, Basel, スイス)を含む。最後の洗浄ステップの後、各沈殿の10%を、免疫沈降の評価のためのウェスタンブロット分析に使用した。残りの沈殿を500μL TRIzol試薬(Invitrogen, Karlsruhe, ドイツ)に再懸濁し、上記の通りRNAを単離した。次いで、miR-574-5pに基づくqRT-PCRまたはmRNA定量を上記の通りに実施したプライマーは以下のものを使用した;mPGES-1 CDS(mPGES-1-cds_F: GAAGAAGGCCTTTGCCAAC; mPGES-1-cds_R: CCAGGAAAAGGAAGGGGTAG)、COX-2:(COX-2_F: CCGGGTACAATCGCACTTAT; COX-2_R: GGCGCTCAGCCATACAG)、miR-574-5p: (MS00043617, Qiagen, Hilden, ドイツ)、またはmiR-16:(MS00031493, Qiagen, Hilden, ドイツ)。
【0094】
実施例12:CUGBP1はmPGES-1 3’UTRのGREとmiR-574-5pに結合する
さらにmPGES1 mRNA及びmiR-574-5pのCUGBP1への結合を確認するために、CUGBP1に対する抗体を使用したRNA免疫沈降(RIP)アッセイを実施した(
図7a,b)。それにより、CUGBP1に結合する共沈降したRNAをqRT-PCRを介して定量することができる。ウェスタンブロットによるCUGBP1免疫沈降の評価によって、全CUGBP1の16.6% ± 7.7(SEM)が免疫沈澱中から回収できたことが明らかになった(
図7c)。4つの独立した実験のうち、1つの代表的なブロットを
図Xcに示す。mPGES-1 mRNA及びmiR-574-5pが、CUGBP1-RIP中で高度に富化されていることが分かった(順に
図7a及び7b)。それぞれネガティブコントロールとして使用したCOX-2 mRNA及びmiR-16については、富化は見られなかった。これは、CUGBP1のmiR-574-5p及びmPGES-1 mRNAとの特異的な相互作用をさらに裏付ける。mPGES-1 3´UTRとmiR-574-5p RNAの間の相互作用を確認するために、免疫沈降(RIP)アッセイを実施した。
【0095】
実施例13:mPGES-1及びCUGBP1の発現はNSCLCの生存率を決定づける
「Kaplan-Meier Plotter」メタ分析ツール(http://kmplot.com/analysis/; version 2015)を使用して、mPGES-1及びCUGBP1の発現について、肺炎患者の全体的な生存率に対する相関を分析した。全体的な生存率の分析は、1926名の肺炎患者からの遺伝子アレイデータについて実施した。mPGES-1及びCUGBP1を認識する最も特異的なプローブを、マイクロアレイの最適なプローブセットとして選択した。遺伝子発現のメジアン値を使用して、サンプルを2つのグループ(高発現及び低発現)に分け、Kaplan-Meier生存プロットを用いて比較した。Kaplan-Meierプロットは、高発現レベルのmPGES-1と低発現レベルのCUGBP1が、より短い生存率と関連することを示す(
図8a,b)。
【0096】
参考文献
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