特表2020-523255(P2020-523255A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-523255制動制御ユニットを備える車両用のブレーキ・キャリパ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-523255(P2020-523255A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(54)【発明の名称】制動制御ユニットを備える車両用のブレーキ・キャリパ
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20200710BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20200710BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20200710BHJP
   B60T 8/1755 20060101ALI20200710BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20200710BHJP
   F16D 121/04 20120101ALN20200710BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20200710BHJP
   F16D 123/00 20120101ALN20200710BHJP
【FI】
   B60T17/18
   F16D65/18
   B60T13/74 G
   B60T8/1755 Z
   B60T7/02 D
   F16D121:04
   F16D121:24
   F16D123:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-518587(P2020-518587)
(86)(22)【出願日】2018年6月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月4日
(86)【国際出願番号】FR2018051361
(87)【国際公開番号】WO2018229411
(87)【国際公開日】20181220
(31)【優先権主張番号】1755238
(32)【優先日】2017年6月12日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517271212
【氏名又は名称】フォンダシオン ブレーキ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パスケ、ティエリー
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D124
3D246
3J058
【Fターム(参考)】
3D048AA06
3D048BB05
3D048CC08
3D048CC49
3D048CC54
3D048HH15
3D048HH16
3D048HH18
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3D246BA08
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3J058CC35
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3J058FA06
3J058FA07
(57)【要約】
本発明は、車両の車輪10用の電気機械的ディスク・ブレーキ6用キャリパ7に関する。キャリパ7は、車輪10の制動を制御するように構成された制御ユニット73を備え、制御ユニット73は、車両の制動制御線80FL、80FRに電気的に接続されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪(10)の電気機械的ディスク・ブレーキ(6)用キャリパ(7)であって、
前記車輪(10)の制動を制御するように構成された制御ユニット(73)と、
前記車両の制動制御線(80FL、80FR、80RL、80RR)に前記制御ユニット(73)を電気的に接続するための電気的接続手段と
を備えることを特徴とする、キャリパ(7)。
【請求項2】
前記車輪(10)のサービス・ブレーキを確実にするための液圧制動装置(70)と、
前記車両の制動システム(2)の液圧回路(82)に前記液圧制動装置(70)を連結するための液圧連結手段と、
前記車両(1)のパーキング・ブレーキ及び/又は緊急ブレーキを確実にするための電気機械的制動装置(72)と
を備える、請求項1に記載のキャリパ(7)。
【請求項3】
前記制御ユニット(73)及び/又は前記電気機械的制動装置(72)を電気的に電源に接続するための電源接続手段と、
前記制御ユニット(73)を前記制動制御線(80FL、80FR、80RL、80RR)に接続するための接続及びデータ交換手段と
を備える、請求項1又は2に記載のキャリパ(7)。
【請求項4】
車両の車輪(10)用の制動システム(2)であって、
請求項1から3までのいずれか一項に記載のキャリパ(7)を含む少なくとも1つのブレーキ(6)と、
使用者によって作動されて前記車両(1)を制御するように構成された制動アクチュエータ(30、32)であって、ブレーキ・ペダル(30)及び/又は制御ノブ(32)を備える、制動アクチュエータ(30、32)と、
前記制動アクチュエータ(30、32)を前記制御ユニット(73)に接続する前記制動制御線(80FL、80FR、80RL、80RR)と
を備える、制動システム(2)。
【請求項5】
前記ブレーキ(6)が前記車両の前方ブレーキ(6FL、6FR)である、請求項4に記載の制動システム(2)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(30、32)によって伝達される制動力を増加させるように構成された制動増幅装置(40)であって、前記制御ユニット(73)が、前記制動制御線(80FL、80FR、80RL、80RR)によって前記制動増幅装置(40)に接続されている、制動増幅装置(40)
を備え、
前記増幅装置(40)の故障が検出された場合、前記制動アクチュエータ(30、32)が前記使用者によって作動されたとき、前記制御ユニット(73)が前記車輪(10)の制動を制御するように構成される、
請求項4又は5に記載の制動システム(2)。
【請求項7】
前記ブレーキ(6)に前記車輪(10)を制動するよう命令するように構成された横滑り防止装置(44)であって、前記制御ユニット(73)が、前記制動制御線(80FL、80FR、80RL、80RR)によって前記横滑り防止装置(44)に接続されている、横滑り防止装置(44)
を備え、
前記横滑り防止装置(44)の故障が検出された場合、前記制動アクチュエータ(30、32)が前記使用者によって作動されたとき、前記制御ユニット(73)が前記車輪(10)の制動を制御するように構成される、
請求項4から6までのいずれか一項に記載の制動システム(2)。
【請求項8】
前記横滑り防止装置(44)及び前記制動増幅装置(40)が配置されるボックス(41)を備える、請求項3及び6と組み合わせた請求項7に記載の制動システム(2)。
【請求項9】
前記ボックス(41)が、液圧ブレーキ回路(82)の加圧ポンプを備え、前記加圧ポンプは、前記横滑り防止装置(44)及び前記制動増幅装置(40)によって制御されるように構成される、請求項8に記載の制動システム(2)。
【請求項10】
少なくとも1つのブレーキ・ライト(12)と、前記ブレーキ・ライトをオンにするためのスイッチ(14)とを備え、前記制動アクチュエータ(30、32)がブレーキ・ペダル(30)を備え、前記スイッチ(14)のオン又はオフの状態が、前記ブレーキ・ペダル(30)の押下に依存し、
前記増幅装置(40)及び/又は前記横滑り防止装置(44)の故障が検出された場合、前記制御ユニット(73)は、前記スイッチ(14)の前記状態によって前記ブレーキ・ペダル(30)が押下されたことを検出すると、前記車輪(10)の制動を制御するように構成される、
請求項6から9までのいずれか一項に記載の制動システム(2)。
【請求項11】
請求項4から10までのいずれか一項に記載の制動システム(2)を備える、モータ車両(1)。
【請求項12】
前記車両(1)が乗用車である、請求項11に記載のモータ車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の制動システムに関し、より詳細には、横滑り防止装置(electronic stability control)が故障している場合の車両の車輪の制動に関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、知られている設計による、自動車両用の制動システム2が示してある。制動システム2は、ブレーキ6、アクチュエーション・システム3、及び制御システム4を備える。
【0003】
左前方ブレーキ6FL及び右前方ブレーキ6FRは、制御システム4によって制御される液圧ブレーキである。
【0004】
制御システム4は、制動増幅装置40及び横滑り防止装置44を備える。横滑り防止装置44は、車両1の軌道、及び使用者からの、また増幅装置40によって伝達される制動力に応じて、前方ブレーキ6FL、6FR、及び後方ブレーキ6RF及び6RRによって車両1の制動を制御するように構成される。
【0005】
増幅装置40は、電力供給線93によって電力を供給される。横滑り防止装置44は、増幅装置40とは独立して、電力供給線95によって電力を供給される。増幅装置40及び横滑り防止装置44は、車両1の制御ネットワーク8により、互いから独立してブレーキ6を制御することができる。
【0006】
しかし、これにより制動システム2の冗長性が生じ、車両1の質量及び全体的なサイズが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制動システムの質量及び複雑さを抑制しながら、制動増幅装置及び/又は横滑り防止装置が故障している場合に車両の車輪にブレーキをかける必要性が存在する。
【0008】
本発明は、従来技術の解決策において直面する課題を少なくとも部分的に解決することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この点に関連して、本発明の一目的は、車両車輪の電気機械的ディスク・ブレーキ用のキャリパである。キャリパは、車輪の制動を制御するように構成された制御ユニットを備える。キャリパは、車両の制動制御線に制御ユニットを電気的に接続するための電気的接続手段を備える。
【0010】
ブレーキ・キャリパにより、車両の制動システムの質量、全体的なサイズ、及び複雑さを抑制しながら、制動制御システムが故障している場合に、特に制動増幅装置が故障している場合に、車両に満足にブレーキをかけることが可能になる。
【0011】
本発明は、任意選択で、以下の特性のうちの1つ又は複数を、互いに組み合わせて、又は組み合わせずに含んでもよい。
【0012】
キャリパは、液圧制動装置、液圧連結手段、電気機械的制動装置、電源接続手段、並びに接続及びデータ交換手段を備えることが有利である。
【0013】
液圧制動装置は、車輪のサービス・ブレーキを確実にするように構成される。液圧連結手段は、車両の制動システムの液圧回路に液圧制動装置を連結するように構成される。電気機械的制動装置は、車両のパーキング・ブレーキ及び/又は緊急ブレーキを確実にするように構成される。電源接続手段は、制御ユニット及び/又は電気機械的制動装置を電源に電気的に接続するように構成される。接続及びデータ交換手段は、制動制御線に制御ユニットを接続するように構成される。
【0014】
本発明は、車両車輪用の制動システムにも関する。制動システムは、少なくとも1つのブレーキ、制動アクチュエータ、及び制動制御線を備える。
【0015】
ブレーキは、上に定義したキャリパを含む。制動アクチュエータは、使用者によって作動されて、車両にブレーキをかけるように構成される。制動アクチュエータは、ブレーキ・ペダル及び/又は制御ノブを備える。制動制御線は、制動アクチュエータを制御ユニットに接続する。
【0016】
ブレーキは、車両の前方ブレーキであることが有利である。
【0017】
制動システムは、制動増幅装置を備えることが有利である。
【0018】
制動増幅装置は、アクチュエータによって伝達される制動力を増加させるように構成され、制御ユニットは、制動制御線によって制動増幅装置に接続される。
【0019】
制御ユニットは、増幅装置の故障が検出された場合、制動アクチュエータが使用者によって作動されたとき、車輪の制動を制御するように構成される。
【0020】
有利には、制動システムは、車輪を制動するようブレーキに命令するように構成された横滑り防止装置を備え、制御ユニットは、制動制御線によって横滑り防止装置に接続される。
【0021】
横滑り防止装置の故障が検出された場合、制御ユニットは、制動アクチュエータが使用者によって作動されたとき、車輪の制動を制御するように構成される。
【0022】
有利には、制動システムは、横滑り防止装置及び/又は制動増幅装置用の中央制御ユニットを備え、この中央制御ユニットは、ブレーキが正常に動作しているとき、ブレーキ制御ユニットを介して、ブレーキによる制動を制御するように構成される。
【0023】
制動制御システムが故障している場合、特に制動増幅装置及び/又は横滑り防止装置が故障している場合、ブレーキ制御ユニットは、制動増幅装置及び/又は横滑り防止装置とは独立して、特に中央制御ユニットとは独立して、車輪の制動を制御するように構成される。
【0024】
制動システムは、横滑り防止装置及び制動増幅装置が配置されるボックスを備えることが有利である。
【0025】
ボックスは、液圧ブレーキ回路の加圧ポンプを備え、この加圧ポンプは、横滑り防止装置及び制動増幅装置によって制御されるように構成される。
【0026】
有利には、制動システムは、少なくとも1つのブレーキ・ライトと、ブレーキ・ライトをオンにするためのスイッチとを備え、制動アクチュエータはブレーキ・ペダルを備え、スイッチのオン又はオフの状態は、ブレーキ・ペダルの押下に依存する。
【0027】
増幅装置及び/又は横滑り防止装置の故障が検出された場合、制御ユニットは、スイッチの状態によってブレーキ・ペダルが押下されたことを検出すると、車輪の制動を制御するように構成される。
【0028】
本発明は、上に定義したような制動システムを備えるモータ車両にも関し、車両は、自動車両であることが好ましい。
【0029】
添付図面を参照しながら例示的な実施例の説明を読むと、本発明はよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】知られている設計による車両用制動システムの部分概略図である。
図2】本発明の第1の実施例による車両用制動システムの部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一方の図から他方の図への切り換えを容易にするために、異なる図の同一の部分、同様の部分、又は均等な部分は同じ参照符号を有する。
【0032】
図2には、モータ車両1が示してある。図示されている実施例では、これは自動車両である。車両1は、左前輪10FG、右前輪10FR、左後輪10RG、及び右後輪10RRを備える。車両1は、制動システム2も含む。
【0033】
制動システム2により、車両の車輪10が制動されることになる。制動システム2は、車輪10を制動するためのディスク・ブレーキ6と、アクチュエーション・システム3と、ブレーキ・ライト・システム11と、制動制御システム4と、制動制御ネットワーク8と、電力供給ネットワーク9とを備える。
【0034】
制動アクチュエーション・システム3は、制動アクチュエータ30、32と、少なくとも1つのアクチュエーション検出器34とを備える。
【0035】
アクチュエータは、サービス・ブレーキ用のブレーキ・ペダル30と、パーキング・ブレーキ及び緊急ブレーキ用の制御ノブ32とを備える。ブレーキ・ペダル30は、使用者Uの足で押下されて車両1を制動することになる。制御ノブ32は、パーキング・ブレーキ・ノブである。アクチュエーション検出器34は制御システム4に接続されており、ペダル30及び/又は制御ノブ32の押下を検出するために使用される。
【0036】
ブレーキ・ライト・システム11は、少なくとも1つのブレーキ・ライト12と、ブレーキ・ライトをオンにするためのスイッチ14とを備える。スイッチ14のオン又はオフの状態は、ブレーキ・ペダル30の押下に依存する。より正確には、使用者Uがブレーキ・ペダル30を押下したことが検出器34によって検出されたとき、制御システム4の補助制御ユニット42により、スイッチ14の状態が切り換えられる。
【0037】
制動制御システム4は、制動増幅装置40、横滑り防止装置44、補助制御ユニット42、及びボックス41を備える。
【0038】
制動増幅装置40は、検出器34がブレーキ・ペダル30の押下を検出したとき、ブレーキ・ペダル30によって制御ネットワーク8へと伝達される制動力を増加させるように構成される。
【0039】
横滑り防止装置44は、液圧アクチュエータ47及び中央制御ユニット46を備える。横滑り防止装置44は、制御ネットワーク8を介して、ブレーキ6のそれぞれに、対応する車輪10を制動するよう命令するように構成される。
【0040】
液圧アクチュエータ47は、液圧アキュムレータと、制動増幅装置40と横滑り防止装置44に共通の液圧回路82の加圧ポンプとを備える。
【0041】
中央制御ユニット46は、液圧アクチュエータ47を制御するように構成される。一般に、中央制御ユニット46は、左前輪6FL、右前輪6FR、左後輪6RL、及び右後輪6RRのそれぞれの液圧的及び/又は電気機械的制動を、制御ネットワーク8を介して、他の車輪から独立して制御する。
【0042】
横滑り防止装置44及び制動増幅装置40は同じボックス41の中に収容され、これにより、制動システム2の冗長性を制限することが可能になり、制動システム2の質量及び全体的なサイズを抑制することが可能になる。
【0043】
補助制御ユニット42は、スイッチ14の状態によってブレーキ・ライト12をオン又はオフにするのを制御する。
【0044】
ブレーキ6は、車両ディスク・ブレーキである。車両1は、左前輪10FLを制動するための左前方ブレーキ6FLと、右前輪10FRを制動するための右前方ブレーキ6FRと、左後輪10FLを制動するための左後方ブレーキ6RLと、右後輪10RRを制動するための右後方ブレーキ6RRとを備える。
【0045】
ディスク・ブレーキ6のそれぞれは、フローティング・タイプのキャリパ7と、キャリパ7の本体に収容されたピストン71と、ディスク60と、ピストン71によって動かすことができる、ディスク60をクランプするためのブレーキ・シュー61とを含む。
【0046】
各キャリパ7は、液圧制動装置70と、電気機械的制動装置72とを備える。キャリパ7は、液圧連結手段、電源接続手段、並びに接続及びデータ交換手段も含む。
【0047】
液圧制動装置70は、知られている構造のものである。これにより、対応する車輪6の液圧制動を確実にすることができる。液圧制動装置70は、車輪6のサービス・ブレーキも確実にする。液圧連結手段は、液圧制動装置70を液圧回路82に連結するために使用される。
【0048】
電気機械的制動装置72は、電気機械的アクチュエータ74と、ローカル制動制御ユニット73とを備える。電気機械的制動装置72は、接続及びデータ交換手段により、制御ネットワーク8のCAN(control area network)タイプ・ネットワーク80に接続される。電気機械的制動装置72は、供給ネットワーク9により、制御システム4とは少なくとも部分的に独立して電力を供給される。
【0049】
電気機械的制動装置72は、対応する車輪10の電気機械的制動を確実にするように構成される。電気機械的制動装置72は、特に車輪のパーキング・ブレーキ及び緊急ブレーキを確実にする。
【0050】
電気機械的アクチュエータ74は、電気モータと、電気モータによって駆動されるとピストン71を動かす伝達装置とを備える。
【0051】
ローカル制御ユニット73はCANインターフェースを備え、それを介して、制御ネットワーク8によって中央制御ユニット46及び補助制御ユニット42に接続される。このCANインターフェースは、接続手段の一部である。
【0052】
ローカル制御ユニット73は、電気機械的アクチュエータ74の電気モータを制御するように構成される。したがって、ローカル制御ユニット73により、車輪6の制動がローカルに制御される。ブレーキ6が正常に動作しているとき、制御ユニット73は、軌道増幅装置40及び/又は中央ユニット46からの命令で、ブレーキ6の制動を制御するように構成される。
【0053】
制御ユニット73のそれぞれは、制御システム4が故障している場合、制御システム4とは独立して、対応する車輪10の制動をローカルに制御するように構成される。
【0054】
特に、増幅装置40が故障している場合、制御ユニット73は、ブレーキ・ペダル30が使用者Uによって押下されたことをアクチュエーション検出器34が検出したとき、特に増幅装置40とは独立して、電気機械的アクチュエータ74で車輪10の制動を制御するように構成される。
【0055】
横滑り防止装置44が故障している場合、制御ユニット73は、中央制御ユニット46とは独立して、電気機械的アクチュエータ74で車輪10の制動を制御するように構成される。
【0056】
各制御ユニット73は、対応する車輪10がスリップし始めると、この車輪10に及ぼされる制動力を一時的に抑制するよう制御するように構成される。それによって、制御ユニット73は、車輪10のローカル・アンチ・ロック・システムを形成する。このローカル・アンチ・ロック・システムは、頭字語「ABS」としても知られている、知られている構造の車輪アンチ・ロック・システムと相補的に機能することができる。
【0057】
制御ネットワーク8は、データ伝送ネットワーク80及び液圧回路82を備える。
【0058】
データ伝送ネットワーク80は、CAN(「コントロール・エリア・ネットワーク」)タイプのネットワークである。このCANタイプ・ネットワーク80は、特にISO11898規格の条件を満たす。
【0059】
CANタイプ・ネットワーク80は、中央制御ユニット46、補助制御ユニット42、及びブレーキ6の制御ユニット73を含めた車両の制御ユニットを互いに接続する制動制御線80FL、80FR、80RL、80RRを備える。
【0060】
CANタイプ・ネットワーク80は、左前輪用の制動制御線80FLと、右前輪用の制動制御線80FRと、左後輪用の制動制御線80RLと、右後輪用の制動制御線80RRとを備える。
【0061】
左前輪用の制動制御線80FLにより、増幅装置40及び横滑り防止装置44が左前方ブレーキ6FLの制御ユニット73に接続される。右前輪用の制動制御線80FRにより、増幅装置40及び横滑り防止装置44が右前方ブレーキ6FRの制御ユニット73に接続される。
【0062】
左後輪用の制動制御線80RLにより、増幅装置40及び横滑り防止装置44が左後方ブレーキ6RLの制御ユニット73に接続される。右後輪用の制動制御線80RRにより、増幅装置40及び横滑り防止装置44が右後方ブレーキ6RRの制御ユニット73に接続される。
【0063】
液圧回路82は、各ブレーキ6のための加圧回路である。液圧回路82は、左前方制動液圧線82FLと、右前方制動液圧線82FRと、左後方制動液圧線82RLと、右後方制動液圧線82RRとを備える。
【0064】
左前方制動液圧線82FLにより、左前方ブレーキ6FLの制動液圧装置70に液圧アクチュエータ47が流体連結される。右前方制動液圧線82FRにより、右前方ブレーキ6FRの制動液圧装置70に液圧アクチュエータ47が流体連結される。
【0065】
左後方制動液圧線82RLにより、左後方ブレーキ6RLの制動液圧装置70に液圧アクチュエータ47が流体連結される。右後方制動液圧線82RRにより、右後方ブレーキ6RRの制動液圧装置70に液圧アクチュエータ47が流体連結される。
【0066】
供給ネットワーク9は、ボックス41の中の制御システム4に電力を供給するための電力供給線91と、補助制御ユニット42に電力を供給するための電力供給線97と、ブレーキ6のそれぞれに給電するための電力供給線90とを備える。
【0067】
より正確には、供給ネットワーク9は、左前方ブレーキ6FL用の電力供給線90FLと、右前方ブレーキ6FR用の電力供給線90FRと、左後方ブレーキ6RL用の電力供給線90FLと、右後方ブレーキ6RR用の電力供給線90RRとを備える。
【0068】
供給ネットワーク9は、制御システム4が故障している場合を含め、エネルギーが必要とされる際に、互いから独立して動作するよう電気機械的制動装置72のそれぞれにエネルギーを供給するように構成される。
【0069】
制御システム4が故障している場合の左前輪10FL用の緊急ブレーキ方法を以下に説明する。
【0070】
制御システム4が故障しているとき、たとえば増幅装置40が故障している場合、液圧回路82によってブレーキ6のそれぞれに伝達される制動力は不十分になると考えられる。
【0071】
左前方ブレーキ6FLのローカル制御ユニット73は、CANタイプ・ネットワーク80により、制御システム4の故障について、またブレーキ・ペダル30が押下されたことを知らされる。
【0072】
制御ユニット73は、次いで、制御ユニット73が従属する制御システム4とは独立して、左前輪10FLの制動を制御することを決定する。次いで、ブレーキ・ペダル30が押下されると、制御ユニット73は左前方ブレーキ6FLに車輪を制動するよう命令する。
【0073】
制御ユニット73は、左前輪10FLの最適な制動を可能にするようにプログラムされている。制御ユニット73は、具体的には、左前輪10FLである対応する車輪10がスリップし始めると、この車輪10FLに及ぼされる制動力を一時的に抑制するように制御することができる。
【0074】
制御ユニット73は、運転状況に応じて、車両1が完全に止まるまで左前輪10FLの制動を制御し続けてもよく、し続けなくてもよい。
【0075】
右前輪10FR向け、左後輪10RG向け、及び右後輪10RR向けの緊急ブレーキ方法は、左前輪10FLに関連して上に説明した方法と同様である。
【0076】
本発明によるブレーキのキャリパ7を使用して実施される緊急ブレーキ方法は、増幅装置40と横滑り防止装置44がボックス41の中で一緒になっているとき、また増幅装置40の故障により横滑り防止装置44の故障が引き起こされる可能性があり、逆も同様であるとき、特に有用である。
【0077】
本発明によるキャリパ7により、具体的には、液圧アクチュエータ及び制御ユニットを備える安全液圧制動システムを用いることが避けられる。こうした安全液圧制動システムは、頭字語「FBU」としても知られている。
【0078】
当然、本発明の範囲から逸脱しない限り、当業者により、今説明した本発明に種々の修正が加えられてもよい。
【0079】
一般に、モータ車両1は、右車輪及び左車輪を含めた少なくとも3つの車輪を備える。モータ車両1は様々な種類のものでもよい。別法として、車両1は、3輪のサドル・タイプの車両、バン、ローリーなどである。
【0080】
ブレーキ・ライト・システム11は、いくつかのブレーキ・ライト12、たとえば3つのブレーキ・ライト12を含むことができる。ブレーキ・ライト12は、特に車両1の後方に配置される。
【0081】
制動システム2には、前方及び/又は後方の制動液圧線82がなくてもよい。したがって、対応するブレーキ6には制動液圧装置70がなくなり、これによりブレーキ6の複雑さ、質量、及び全体的なサイズが抑制される。
【0082】
別法として、前方ブレーキ6FL及び6FRのみが制御ユニット73をそれぞれ備え、後方ブレーキ6RL及び6RRは制御ユニット73をもたない。
【0083】
さらに別法として、後方ブレーキ6RL及び6RRのみが制御ユニット73をそれぞれ備え、前方ブレーキ6FL及び6FRは制御ユニット73をもたない。
【0084】
一般に、駆動輪のブレーキ6がそれぞれローカル制御ユニット73を備えていることが非常に好ましい。
【符号の説明】
【0085】
1 車両
2 制動システム
3 アクチュエーション・システム
4 制御システム
6 ブレーキ
FL 左前方ブレーキ
FR 右前方ブレーキ
RL 左後方ブレーキ
RR 右後方ブレーキ
8 制動制御ネットワーク
9 電力供給ネットワーク
10 車輪
10FL 左前輪
10FR 右前輪
10RL 左後輪
10RR 右後輪
11 ブレーキ・ライト・システム
12 ブレーキ・ライト
14 ブレーキ・ライトをオン/オフにするためのスイッチ
30 ブレーキ・ペダル
32 制御ノブ
34 アクチュエーション検出器
40 増幅装置
41 ボックス
42 補助制御ユニット
44 横滑り防止装置
46 中央制御ユニット
47 液圧アクチュエータ
60 ディスク
61 ブレーキ・シュー
70 制動液圧装置
71 ピストン
72 電気機械的制動装置
73 制御ユニット
74 電気機械的アクチュエータ
80 CANタイプ・ネットワーク
80FL 左前輪用の制動制御線
80FR 右前輪用の制動制御線
80RL 左後輪用の制動制御線
80RR 右後輪用の制動制御線
82 液圧回路
82FL 左前方制動液圧線
82FR 右前方制動液圧線
82RL 左後方制動液圧線
82RR 右後方制動液圧線
90FL 左前方ブレーキ用の電力供給線
90FR 右前方ブレーキ用の電力供給線
90FL 左後方ブレーキ用の電力供給線
90RR 右後方ブレーキ用の電力供給線
図1
図2
【国際調査報告】