【実施例】
【0111】
化合物1:国際公開第2013/011236号および国際公開第2014/111661号に記載された手順に従って、化合物1を調製した。
【0112】
化合物14a〜14c:国際公開第2013/011236号および国際公開第2014/111661号に記載された手順に従って、化合物14a〜14cを調製した。
【0113】
化合物15a:100mLのシュレンクフラスコ中で、化合物14a(440mg、1.5mmol)を無水DMF(10mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に、トリ(o−トリル)ホスフィン(91mg、0.3mmol)、Pd(OAc)
2(33.7mg、0.15mmol)、TEA(0.314mL、2.252mmol)、次いでアクリル酸メチル(0.203mL、2.252mmol)を一度に添加した。反応液を70℃で5時間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc(50mL)中に希釈し、水(2×50mL)、次いで飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。100/0から99/1へのDCM/MeOH溶媒グラジエントを使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、白色粉末の形態で化合物15a(233mg、62%)を得た。
mp=156.4〜156.9℃−HPLCグラジエントA−Rt=2.03分−[M+H]
+、m/z251.9−Rf=0.41(シリカ,ジクロロメタン−メタノール96:4−HRMS(ESI+)C
12H
14NO
5+[M+H]
+の計算値、m/z252.0866、実測値:252.0868−
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:8.13(s,1H,Py H
5)、7.67(d,J=16.2Hz,1H)、7.65(s,1H,Py H
3)、7.19(dd,J=;16.2Hz,2H,HC=CH)、6.71(d,J=16.2Hz,1H)、4.91(s,2H,CH
2−OH)、4.04(s,3H,Py−COOMe)、3.85(s,3H,COOMe)、3.49(bs,1H,OH);
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ:166.20(COOMe)、165.24(Py−COOMe)、161.59(Py C
2)、147.97(Py−
C=C)、143.74(Py C
6)、140.92(Py C
4)、123.77(Py C
3)、122.08(Py C
5)、121.86(Py−C=
C)、64.68(CH
2−OH)、53.10(Py−CO
2CH
3)、52.19(CO
2CH
3)。
【0114】
化合物15b〜15f:15aの合成に使用された手順と同じ手順に従って対応するアルケンを使用して、これらの化合物を調製した。
【0115】
化合物16a:50mLのフラスコ中で、化合物15a(233mg、0.927mmol)をMeOH(10mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に10%Pd/C(23.69mg、0.022mmol)を一度に添加した。二水素をバブリングしながら反応液を室温で2時間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を22μmのナイロンフィルターに通して濾過し、蒸発乾固して、白色粉末の形態で化合物16a(231mg、98%)を得た。mp=133.2〜136.4℃−HPLCグラジエントA−Rt=1.86分−[M+H]
+、m/z253.2−HRMS(ESI+)C
12H
16NO
5+[M+H]
+の計算値、m/z254.1023、実測値:254.1024−
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:7.9(s,1H,Py H
5)、7.41(s,1H,Py H
3)、4.85(s,2H,CH
2−OH)、4.01(s,3H,Py−COOMe)、3.69(s,3H,COOMe)、3.05(t,J=7.6Hz,2H,Py−
CH2−CH
2)、2.71(t,J=7.6Hz,2H,Py−CH
2−
CH2);
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ:172.41(COOMe)、165.65(Py−COOMe)、160.49(Py C
2)、151.67(Py C
4)、147.22(Py C
6)、140.92(Py C
3)、123.96(Py C
3)、123.9(Py C
5)、64.62(CH
2−OH)、52.91(Py−CO
2CH3)、51.91(CO
2CH3)、33.97(Py−CH
2−
CH2)、30.07(Py−
CH2−CH
2)。
【0116】
化合物16b〜16f:16aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0117】
化合物17a:100mLのフラスコ中で、化合物16a(231mg、0.912mmol)を無水THF(30mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物を氷浴に入れ、TEA(0.127mL、0.912mmol)、次いでMsCl(72μL、0.912mmol)を一度に添加した。混合物を室温に温め、15分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(50mL)中に希釈し、水(2×25mL)、次いで飽和NaCl水溶液(20mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、白色粉末の形態で化合物17a(249mg、82%)を得た。HPLCグラジエントA−Rt=3.2分−[M+H]
+、m/z332.3−Rf=0.23(シリカ,ジクロロメタン−メタノール98:2−HRMS(ESI+)C
13H
18NO
7S
+[M+H]
+の計算値、m/z332.0799、実測値:332.0799−
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:7.98(s,1H,Py H
5)、7.54(s,1H,Py H
3)、5.41(s,2H,CH
2−OMs)、4.00(s,3H,Py−COOMe)、3.69(s,3H,COOMe)、3.16(s,3H,OMs)、3.07(t,J=7.5Hz,2H,Py−
CH2−CH
2)、2.72(t,J=7.5Hz,2H,Py−CH
2−
CH2);
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ:172.23(COOMe)、165.27(Py−COOMe)、154.56(Py C
2)、152.46(Py C
4)、147.93(Py C
6)、125.19(Py C
3)、125.03(Py C
5)、70.97(
CH2−OMs)、53.08(Py−CO
2CH3)、51.94(CO
2CH3)、38.05(CH
2−OSO
2CH3)、33.87(Py−CH
2−
CH2)、30.07(Py−
CH2−CH
2)。
【0118】
化合物17b〜17f:16aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0119】
化合物18a〜18f:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0120】
化合物19a〜19f:15aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0121】
化合物20a〜20f:16aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0122】
化合物21a〜21f:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0123】
化合物22a〜22f:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0124】
化合物23a〜23f:15aの合成に使用された手順と同じ手順に従って対応するアルケンを使用して、これらの化合物を調製した。
【0125】
化合物24a〜24f:16aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0126】
化合物25a〜25f:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0127】
化合物26a〜26f:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0128】
化合物27a〜c:Tetrahedron Letters、2010年、51巻、4445頁の論文に記載された手順に従って、化合物27a〜cを調製した。
【0129】
化合物28a〜28c:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、これらの化合物を調製した。
【0130】
化合物29:この化合物は市販品である。
【0131】
化合物30:Dalton Transactions、2010年、39巻、707頁の論文に記載された手順に従って、化合物30を調製した。
【0132】
化合物31a〜31c:Organic Biomolecular Chemistry、2012年、10巻、9183頁の論文に記載された手順に従って、化合物31a〜31cを調製した。
【0133】
化合物32a〜32c:Journal of Organic Chemistry、2010年、75巻、7175頁の論文に記載された手順に従って、化合物32a〜32cを調製した。
【0134】
化合物33a〜33c:Journal of Organic Chemistry、2010年、75巻、7175頁の論文に記載された手順に従って、化合物33a〜33cを調製した。
【0135】
化合物34:この化合物は市販品である。
【0136】
化合物35:Bioorganic Chemistry、2014年、57巻、148頁の論文に記載された手順に従って、化合物35を調製した。
【0137】
化合物36:Carbohydrate Research、2013年、372巻、35頁の論文に記載された手順に従って、化合物36を調製した。
【0138】
化合物37:国際公開第2004/111661号に記載された手順に従って、化合物37を調製した。
【0139】
化合物38:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、この化合物を調製した。
【0140】
化合物39:市販品。
【0141】
化合物40:Bioorganic Chemistry、2014年、57巻、148頁の論文に記載された手順に従って、化合物40を調製した。
【0142】
化合物41a〜b:国際公開第2014/111661号に記載された手順に従って対応する触媒を使用して、化合物41a〜bを調製した。
【0143】
化合物42a〜b:36の合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物42a〜bを調製した。
【0144】
化合物43a〜b:37の合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物43a〜bを調製した。
【0145】
化合物44a〜b:17aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物44a〜bを調製した。
【0146】
化合物45:この化合物は市販品である。
【0147】
化合物46:Chemistry−A European Journal、2014年、20巻、3610頁の論文に記載された手順に従って、化合物46を調製した。
【0148】
化合物47:化合物46(0.313g、2.04mmol)をH
2SO
4(11mL)に室温で溶解し、次いで溶液を氷浴中で冷却した。この混合物にHNO
3(9.7mL)を滴下し、溶液を100℃で2日間加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで砕氷(100g)に注ぎ込んだ。1時間後、水相をCH
2Cl
2(3×50mL)で抽出し、有機相を1つにまとめ、MgSO
4で乾燥させ、溶媒混合物(CH
2Cl
2−AcOH、98/2)を使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、白色固体(224mg、56%)を得た。R
f(CH
2Cl
2/AcOH,98/2)=0.38;mp:147℃;
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ):16.49(s,1H,COO
H)、9.08(s,1H,H
3)、8.36(s,1H,H
5)、2.75(s,3H,py−CH
3);
13C NMR(101MHz,CDCl
3,δ):159.4(COOH)、152.4(C
6)、144.4(C
4)、138.7(C
2)、123.1(C
5)、121.7(C
3)、18.4(py−CH
3);MS C
7H
7N
2O
5の計算値199.036。実測値199.035[M+H]
+。
【0149】
化合物48:化合物47(2.9、14.7mmol)を無水MeOH(3mL)に室温で溶解した。この溶液にH
2SO
4(200μL)を滴下し、溶液を65℃で3日間加熱した。溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。H
2O(30mL)を残渣に添加し、溶液をEtOAc(3×20mL)で抽出した。有機相を1つにまとめ、5%炭酸水素ナトリウム溶液(2×20mL)、次いで飽和塩水(20mL)で洗浄した。MgSO
4で乾燥させた後、溶媒を濾過し、減圧下で除去して、化合物48を得た。この化合物をさらに精製することなく合成の残りで使用した(57mg、76%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ):8.33(d,1H,
4J 3.1,H
5)、8.19(d,1H,
4J 3.1,H
3)、4.02(s,3H,CH
3CO)、2.57(s,3H,py−CH
3);
13C NMR(100MHz,CDCl
3,δ):160.8(COOMe)、152.7(C
6)、142.1(C
4)、140.5(C
2)、121.4(C
5)、119.3(C
3)、53.8(OCH
3)、18.3(py−CH
3);MS C
8H
9N
2O
5の計算値213.051。実測値213.050[M+H]
+。
【0150】
化合物49:化合物48(114mg、0.54mmol)のCHCl
3(10mL)溶液に無水トリフルオロ酢酸(1.48mL、10.8mmol)を室温で添加した。混合物を不活性雰囲気下、60℃で5時間加熱した。この後、反応液を室温に冷却し、次いで溶媒を減圧下で除去した。この黄色油状物に、EtOH(3mL)およびH
2O(3mL)を添加し、溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、水相をCH
2Cl
2(3×30mL)で抽出した。有機相を1つにまとめ、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。70/30から50/50へのヘキサン/AcOEt溶媒グラジエントを使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製して、化合物49(74mg、65%)を得た。R
f(CH
2Cl
2/MeOH,95/5)=0.67;
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ):8.68(d,1H,
4J 2.1,H
3)、8.37(d,1H,
4J 2.1,H
5)、5.06(s,2H,CH
2OH)、4.06(s,3H,CH
3CO);
13C NMR(100MHz,CDCl
3,δ):164.3(COOMe)、163.6(C
6)、155.3(C
4)、149.7(C
2)、116.4(C
5)、116.3(C
3)、64.5(CH
2OH)、29.5(CO
2CH
3)。
【0151】
化合物50a:NaH(17mg、0.708mmol)およびチオグリコール酸エチル(35μL、0.320mmol)を不活性雰囲気下、室温で化合物49(21.6mg、0.102mmol)の無水DMF(1mL)溶液に添加した。混合物を不活性雰囲気下、室温で2時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、この黄色油状物にMeOH(5mL)およびH
2SO
4(200μL)を添加した。溶液をアルゴン下、65℃で72時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残渣にH
2O(10mL)を添加し、水溶液をEtOAc(3×20mL)で抽出した。有機相を1つにまとめ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。溶離液としてCH
2Cl
2−MeOH(98/2)を使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製して、化合物50a(8.2mg、25%)を得た。R
f(DCM/MeOH,95/5)=0.35;
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ):7.88(d,1H,
4J 1.9,H
5)、7.63(d,1H,
4J 1.9,H
3)、4.69(s,2H,CH
2OH)、4.02(s,2H,
CH
2S)、3.96(s,3H,CH
3CO)、3.76(s,3H,CH
3CO);
13C NMR(100MHz,CDCl
3,δ):170.7(COOMe)、166.4(COOMe)、163.3(C
2)、152.3(C
4)、147.8(C
6)、121.2(C
5)、121.1(C
3)、65.1(CH
2OH)、53.3(CO
2CH
3)、48.5(CO
2CH
3)、33.6(S
CH
2)。
【0152】
化合物50b:50aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物50bを調製した。
【0153】
化合物51a:TEA(12.5μL、0.09mmol)およびMsCl(3.5μL、0.045mmol)を化合物50a(8.2mg、0.03mmol)の無水THF(2mL)溶液に添加した。この溶液を室温で3.5時間撹拌した。この後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をCH
2Cl
2(20mL)に溶解した。有機相をH
2O(3×10mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、化合物51aを定量的に得た。R
f(DCM/MeOH,95/5)=0.8;
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ):7.95(d,1H,
4J 1.5,H
5)、7.52(d,1H,
4J 1.5,H
3)、5.35(s,2H,C
H2OMs)、3.98(s,2H,CH
2S)、3.82(s,2H,COCH
3)、3.77(s,2H,COCH
3)、3.14(s,3H,SCH
3)。
【0154】
化合物51b:51aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物51bを調製した。
【0155】
化合物52a〜b:それぞれ14bおよび14cの合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物52a〜bを調製した。
【0156】
化合物53a〜b:46の合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物53a〜bを調製した。
【0157】
化合物54a〜b:49の合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物54a〜bを調製した。
【0158】
化合物55a〜d:50aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物55a〜dを調製した。
【0159】
化合物56a〜d:51aの合成に使用された手順と同じ手順に従って、化合物56a〜dを調製した。
【0160】
化合物57:この化合物は市販品である。
【0161】
化合物58:イミダゾール(6.49g、94.4mmol)、次いでTBDMSCl(9.78g、62.9mmol)を3,5−ジメトキシフェノール(10g、62.9mmol)の無水DMF(145mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。この溶液にH
2O(50mL)を添加し、次いで溶液をEtOAc(2×30mL)で抽出した。有機相を1つにまとめ、塩水(20mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。0/90から85/15へ5%ずつ増加させるシクロヘキサン−EtOAc溶媒グラジエントを使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、無色油状物の形態で化合物58(15.8g、94%)を得た。HPLC−Rt=4.19分−[M+H]
+、m/z270.3−
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ:6.11(s,1H,パラ)、6.03(s,2H,オルト)、3.75(s,6H,OMe)、0.98(s,9H,Si−tert−Bu)、0.21(s,6H,Si−Me)
【0162】
化合物59:化合物58(15.8g、58.9mmol)の無水THF(130mL)溶液に−78℃でアルゴン下、ヘキサン中の2.5M n−BuLi(26.3mL、65.8mmol)を滴下した。反応混合物を室温で5時間撹拌し、次いで−78℃に冷却した。この溶液に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(14.4mL、70.6mmol)の無水THF(32mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで砕氷−H
2O混合物(400mL)に注ぎ込んだ。水相をEtOAc(2×50ml)で抽出した。有機相を1つにまとめ、塩水(20mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣にMeOH(9mL)を添加し、溶液を4℃に終夜冷却した。この後、白色固体が結晶化した。結晶を濾過により回収し、乾燥して、白色固体の形態で化合物59(8.91g、38%)を得た。HPLC−Rt=3.80分−[M+H]
+、m/z395.3−
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ:5.97(s,2H,オルト)、3.7(s,6H,OMe)、1.36(s,12H,B(O−C−diMe))、0.96(s,9H,Si−tert−Bu)、0.17(s,6H,Si−Me);
13C NMR(300MHz,CDCl
3)δ:164.6;159.4;96.8;83.8;55.9;26.1;25.0;18.6、−4.0;
【0163】
化合物60aおよび61a:50mLのシュレンクフラスコ中で、化合物14a(440mg、1.5mmol)をアセトン(2mL)とH
2O(2.5mL)の混合物に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に、アセトン(0.5mL)に溶解した化合物59(710mg、1.8mmol)、K
2CO
3(518mg、3.75mmol)、およびPd(dba)
2(1.725mg、3.00μmol)を一度に添加した。反応混合物を65℃で4時間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了し、化合物60aおよび61aの混合物が含まれていた。反応混合物を減圧下で濃縮し、さらに精製することなく合成の残りで使用した。HPLCグラジエントA−Rt=1.44分−[M+H]
+,m/z304.6
【0164】
化合物61a:250mLのフラスコ中で、化合物60aおよび61aの混合物(458mg、1.5mmol)をMeOH(100mL)に溶解して、黄色溶液を得た。反応混合物にH
2SO
4(0.416mL、4.50mmol)を一度に添加した。反応液を還流下、7日間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は不完全であった(90%)。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで分取HPLC(グラジエントG)により直接精製して、黄色粉末の形態で化合物61a(385mg、1.21mmol、80%)を得た。mp=169.7〜174.1℃−HPLCグラジエントA−Rt=2.07分−[M+H]
+、m/z320.3−HRMS(ESI+)C
16H
18NO
6+[M+H]
+の計算値、m/z320.1129、実測値:320.1127−
1H NMR(400MHz,MeOD
4)δ:8.22(s,1H,Py H
3)、8.02(s,1H,Py H
5)、6.25(s,2H,オルト)、4.89(s,2H,Py−
CH2−OH)、4.05(s,3H,Py−COOMe)、3.77(s,6H,OMe);
13C NMR(100MHz,MeOD
4)δ:162.95;161.64;158.75;158.68;150.91;141.38;127.81;127.22;105.67;91.95;61.70;54.89;52.54。
【0165】
化合物62a:250mLのフラスコ中で、化合物61a(354mg、1.11mmol)を無水MeCN(100mL)に溶解して、黄色溶液を得た。反応混合物に、K
2CO
3(460mg、3.33mmol)、KI(27.6mg、0.166mmol)、次いでブロモ酢酸メチル(0.162mL、1.66mmol)を一度に添加した。反応液を65℃で終夜撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(50mL)中に希釈し、次いで濾過し、最後に溶離液としてEtOAcを使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色粉末の形態で化合物62a(261mg、60%)を得た。mp=151.1〜154.4℃−HPLCグラジエントA−Rt=2.58分−[M+H]
+、m/z393.1−Rf=0.36(シリカ,酢酸エチル)−HRMS(ESI+)C
19H
22NO
8+[M+H]
+の計算値、m/z392.1340、実測値:392.1340−
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:8.03(s,1H,Py H
3)、7.48(s,1H,Py H
5)、6.24(s,2H,オルト)、4.87(s,2H,Py−
CH2−OH)、4.71(s,2H,O−
CH2−COOMe)、3.99(s,3H,Py−COOMe)、3.86(s,3H,O−CH
2−COO
Me)、3.73(s,6H,OMe);
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ:169.03;166.03;159.85;159.18;158.20;146.32;144.61;127.05;126.72;109.65;91.48;65.38;64.71;55.89;52.73;52.46。
【0166】
化合物63a:100mLのフラスコ中で、化合物62a(224mg、0.572mmol)を無水THF(30mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物を氷浴に入れ、次いでMsCl(45μL、0.572mmol)を一度に添加した。添加の終わりに、氷浴を取り外し、反応液を15分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(50mL)中に希釈し、水(2×40mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固させた。100/0から95/5へのDCM/MeOH溶媒グラジエントを使用したシリカカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、白色粉末の形態で化合物63a(264mg、98%)を得た。mp=141.7〜144.1℃−HPLCグラジエントA−Rt=2.96分−[M+H]
+、m/z470.6−Rf=0.48(シリカ,ジクロロメタン−メタノール 96:4)−HRMS(ESI+)C
20H
24NO
10S
+[M+H]
+の計算値、m/z470.1115、実測値:470.1113−
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:8.13(s,1H,Py H
3)、7.67(s,1H,Py H
5)、6.24(s,2H,オルト)、5.46(s,2H,Py−
CH2−OH)、4.72(s,2H,O−
CH2−COOMe)、4.00(s,3H,Py−COOMe)、3.86(s,3H,O−CH
2−COO
Me)、3.73(s,6H,OMe)、3.14(s,3H,OMs);
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ:168.98;165.73;160.09;158.20;153.24;147.15;145.30;128.25;128.10;109.08;91.49;71.66;65.37;55.90;52.94;52.48;38.17。
【0167】
化合物77a:50mLのシュレンクフラスコ中で、化合物1b(41mg、0.159mmol)を無水THF(5mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に、無水MeCN(10mL)に溶解した化合物63a(223mg、0.476mmol)、次いでK
2CO
3(88mg、0.635mmol)を一度に添加した。反応液を85℃で終夜撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を分取HPLC(グラジエントH)により直接精製して、白色粉末の形態で化合物77a(106mg、48%)を得た。HPLCグラジエントA−Rt=3.64分−[M+H]
+、m/z1379.9−HRMS(ESI+)C
20H
24NO
10S
+[M+2H]
2+の計算値、m/z689.7843、実測値:689.7842。
【0168】
化合物Eu−79a:50mLのフラスコ中で、化合物77a(53mg、38.5μmol)をMeCN(1mL)および水(5mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物にLiOH(0.941mg、38.5μmol)を一度に添加した。反応液を室温で30分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、脱保護は完了した(化合物78a)。反応混合物のpHを1M HClで7に調整した。反応混合物に塩化ユウロピウム6水和物(21mg、57.8μmol)を一度に添加した。反応液を室温で終夜撹拌し、この後、反応は完了した。反応混合物を分取HPLC(グラジエントD)により直接精製して、白色粉末の形態で化合物79a(49mg、88%)を得た。HPLCグラジエントA−Rt=2.63分−[M−2H]
+、m/z1445.4−HRMS(ESI+)C
63H
70N
7O
23Eu
2+[M−H]
2+の計算値、m/z722.6868、実測値:722.6868。
【0169】
化合物Eu−80a−E
2:25mLのフラスコ中で、化合物79a(49mg、34μmol)を無水DMSO(1.5mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸(29mg、204μmol)、DIPEA(36μL、204μmol)、次いでHATU(53mg、136μmol)を一度に添加した。反応液を室温で15分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントC)でモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を分取HPLC(グラジエントD)により直接精製して、白色粉末の形態で化合物Eu−80a−E
2(19mg、10.2μmol、30%)を得た。HPLCグラジエントC−Rt=1.92分−[M−2H]
+、m/z1808.4−HRMS(ESI+)C
72H
91N
10O
29S
3Eu
2+[M−H]
2+の計算値、m/z904.2162、実測値:904.2166。
【0170】
化合物Eu−81a−E
2:25mLのフラスコ中で、化合物Eu−80a−E
2(18.32mg、10.14μmol)をTFA(400μL)に溶解して、黄色溶液を得た。反応液を室温で30分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントC)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物をロータリーエバポレーターで蒸発させ、次いで分取HPLC(グラジエントE)により精製して、白色粉末の形態で化合物Eu−81a−E
2(7.89μmol、78%)を得た。HPLCグラジエントC−Rt=1.48分−[M−2H]
+、m/z1709−HRMS(ESI+)C
67H
83N
10O
27S
3Eu
2+[M−H]
2+の計算値、m/z854.1899、実測値:854.1906。
【0171】
化合物Tb−79a:50mLのフラスコ中で、化合物77a(53mg、38.5μmol)をMeCN(1mL)および水(5mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物にLiOH(0.941mg、38.5μmol)を一度に添加した。反応液を室温で30分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントA)によりモニターした。この後、脱保護は完了した(化合物78a)。反応混合物のpHを1M HClで7に調整した。反応混合物に塩化テルビウム6水和物(22mg、57.8μmol)を一度に添加した。反応液を室温で終夜撹拌し、この後、反応は完了した。反応混合物を分取HPLC(グラジエントD)により直接精製して、白色粉末の形態で化合物Tb−79a(19mg、12.8μmol、33%)を得た。HPLCグラジエントA−Rt=2.63分−[M−2H]
+、m/z1451.7−HRMS(ESI+)C
63H
70N
7O
23Tb
2+[M−H]
2+の計算値、m/z725.6883、実測値:725.6887。
【0172】
化合物Tb−80a−E
2:25mLのフラスコ中で、化合物Tb−79a(9.3mg、6.4μmol)を無水DMSO(1mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸(5.5mg、38.4μmol)、DIPEA(4.5μL、25.6μmol)、次いでHATU(10mg、25.6μmol)を一度に添加した。反応液を室温で15分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントC)でモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を分取HPLC(グラジエントD)により直接精製して、白色粉末の形態で化合物Tb−80a−E
2(7.8mg、4.3μmol、67%)を得た。HPLCグラジエントC−Rt=1.89分−[M−2H]
+、m/z1815.9−HRMS(ESI+)C
72H
91N
10O
29S
3Tb
2+[M−H]
2+の計算値、m/z907.2179、実測値:907.2167。
【0173】
化合物Tb−80a−E
4:25mLのフラスコ中で、化合物Tb−79a(9.3mg、6.4μmol)を無水DMSO(1mL)に溶解して、無色溶液を得た。反応混合物に、2−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミン(3.96mg、38.4μmol)、DIPEA(4.5μL、25.6μmol)、次いでHATU(10mg、25.6μmol)を一度に添加した。反応液を室温で15分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントC)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物を分取HPLC(グラジエントD)により直接精製して、白色粉末の形態で化合物Tb−80a−E
4(6.1mg、3.6μmol、56%)を得た。HPLCグラジエントC−Rt=2.00分−[M]
3+、m/z569.3−HRMS(ESI+)C
78H
108N
13O
20Tb
4+[M−2H]
4+の計算値、m/z426.4266、実測値:426.4265。
【0174】
化合物Tb−81a−E
2:25mLのフラスコ中で、化合物Tb−80a−E2(7.8mg、4.3μmol)をTFA(500μL)に溶解して、黄色溶液を得た。反応液を室温で30分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントC)によりモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物をロータリーエバポレーターで蒸発させ、次いで分取HPLC(グラジエントE)により精製して、白色粉末の形態で化合物Tb−81a−E
2(2.78μmol、64%)を得た。HPLCグラジエントC−Rt=1.45分−[M−2H]
+、m/z1715.3−HRMS(ESI+)C
67H
83N
10O
27S
3Tb
2+[M−H]
2+の計算値、m/z857.1917、実測値:857.1905。
【0175】
化合物Tb−81a−E
4:25mLのフラスコ中で、化合物Tb−80a−E
4(6.1mg、3.6μmol)をTFA(200μL)に溶解して、黄色溶液を得た。反応液を室温で30分間撹拌した。反応の進行をUPLC−MS(グラジエントC)でモニターした。この後、反応は完了した。反応混合物をロータリーエバポレーターで蒸発させ、次いで分取HPLC(グラジエントE)により精製して、白色粉末の形態で化合物Tb−81a−E
4(2.2μmol、62%)を得た。HPLCグラジエントC−Rt=1.57分−[M]
3+、m/z535.9−HRMS(ESI+)C
73H
100N
13O
18Tb
4+[M−2H]
4+の計算値、m/z401.4135、実測値:401.4125。
【0176】
錯体Eu−81a−E
2のUVスペクトル、クロマトグラムおよび質量スペクトルを
図1〜3に示す。錯体Tb−81a−E
2のUVスペクトル、クロマトグラムおよび質量スペクトルを
図4〜6に示す。錯体Tb−81a−E
4のUVスペクトル、クロマトグラムおよび質量スペクトルを
図7〜9に示す。
【0177】
錯体Eu−81a−E2、Tb81a−E4およびTb−81a−E2の特性、ならびに国際公開第2005/058877号に記載された構造82aおよび82bに対応する錯体の特性を決定した。錯体82aおよびEu−81a−E2の光物理的特性は同程度である。しかし、錯体Eu−81a−E2は非常に水溶性であるが、錯体82aは溶解性が非常に乏しい(下記を参照のこと)。テルビウム錯体に関して、錯体82bならびにTb81a−E4およびTb−81a−E2の光物理的特性は同程度であるが、発光スペクトル線の強度および分布については小さな差がある。しかし、錯体Tb81a−E4およびTb−81a−E2は、先行技術の錯体82bと比べて非常に水溶性である(下記を参照のこと)。
【0178】
様々な錯体の溶解性を以下の通り決定した。各錯体について、メタノールを用いてユウロピウム錯体の3つの等モル溶液を調製した。溶媒を減圧下で除去し、残留した固体を水/オクタノール混合物(2:1、1:1、1:2)(0.9mL)に溶解し、2分間撹拌した。平衡後、メタノール中において各相の発光スペクトルを記録した(メタノール1mL中50μLの溶液)。各混合物について、下記式を使用してLogPの値を算出した。
LogP=Log[C(オクタノール)/C(水)]
式中、C(オクタノール)およびC(水)はそれぞれ、被験錯体のオクタノール中および水中における濃度を表す。
【0179】
ユウロピウム錯体については、ΔJ=2(605〜635nm)のバンドを計算で使用したが、テルビウム錯体については、ΔJ=5(520〜565nm)のバンドを選択した。結果を以下の表に示す。
【0180】
【表1】
【0181】
化合物82aおよび82bのLogP値がわずかに正の値であるのとは対照的に、本発明に係る錯体のLogP値は負の値であり、これは水性緩衝液に対する溶解性が完璧であることを反映している。