特表2020-524103(P2020-524103A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-524103コンクリート洗浄水処理のための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-524103(P2020-524103A)
(43)【公表日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】コンクリート洗浄水処理のための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20200717BHJP
   B28C 5/42 20060101ALI20200717BHJP
【FI】
   B28C7/04
   B28C5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】127
(21)【出願番号】特願2019-571536(P2019-571536)
(86)(22)【出願日】2018年6月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月18日
(86)【国際出願番号】CA2018050750
(87)【国際公開番号】WO2018232507
(87)【国際公開日】20181227
(31)【優先権主張番号】62/522,510
(32)【優先日】2017年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/554,830
(32)【優先日】2017年9月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/558,173
(32)【優先日】2017年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/559,771
(32)【優先日】2017年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/560,311
(32)【優先日】2017年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/570,452
(32)【優先日】2017年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/573,109
(32)【優先日】2017年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/652,385
(32)【優先日】2018年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/675,615
(32)【優先日】2018年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519452703
【氏名又は名称】カーボンキュア テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】モンクマン ジョージ ショーン
(72)【発明者】
【氏名】サンドバーグ ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ケイル ケビン
(72)【発明者】
【氏名】フォルジュロン ディーン ポール
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド マーク
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CB15
4G056CD48
4G056CD64
(57)【要約】
本発明は、コンクリート製造由来の洗浄水を二酸化炭素で処理するための方法および組成物を提供する。処理した洗浄水をコンクリートの新しいバッチにおける混合水として再使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)コンクリート材料をミキサーに加える段階;
(ii)混合水をミキサーに加える段階であって、該混合水が炭酸化コンクリート洗浄水を含み、かつ該炭酸化混合水が1.10以上の比重を有する、段階;および
(iii)該水とコンクリート材料とを混合してコンクリート混合物を生成する段階
を含む、コンクリート混合物の調製法。
【請求項2】
炭酸化コンクリート洗浄水が全混合水の少なくとも10%を構成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
炭酸化コンクリート混合水が全混合水の少なくとも40%を構成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記混合水が、炭酸化混合水でない水の第1の部分と炭酸化混合水を含む混合水の第2の部分とを含み、ここで混合水の第1のバッチが混合水の第2のバッチの前にコンクリート材料に加えられる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
水の前記第1の部分が第1の位置で加えられ、水の前記第2の部分が第2の位置で加えられ、ここで第1および第2の位置は異なる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第2の位置がレディーミクストラックのドラムである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
混合水の第2の部分が第1の部分の少なくとも2分後に加えられる、請求項4記載の方法。
【請求項8】
炭酸化コンクリート洗浄水が少なくとも1.10g/cm3の密度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
炭酸化コンクリート洗浄水がコンクリートトラックからの洗い流し後に少なくとも1日間保持されている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
炭酸化コンクリート洗浄水がコンクリートトラックからの洗い流し後に少なくとも3日間保持されている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記コンクリート混合物がその意図する用途のために十分なワーカビリティを有し、前記炭酸化洗浄水が、同じ割合で同じ経過時間の洗浄水を用いて作製した同じ混合物がその意図する用途のために十分なワーカビリティを有しない経過時間のものである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
炭酸化洗浄水なしで作製した同じコンクリート混合物よりも打設後の時点で少なくとも5%強いコンクリート混合物をもたらす量の炭酸化洗浄水を、前記混合水が含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
打設後の時点が1日、7日、28日、またはその任意の組み合わせである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記コンクリート混合物が、炭酸化洗浄水なしでかつ余分に5%のセメントを用いて作製した同じコンクリート混合物よりも、少なくとも5%少ないセメントを含み、かつそれの5%以内の打設後の圧縮強度を保持することを可能にする量
の炭酸化洗浄水を、前記混合水が含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
(i)二酸化炭素源;
(ii)洗浄水容器に及ぶ、二酸化炭素源に機能的に接続された第1の導管であって、
(a)該洗浄水容器がコンクリート生成部位からの洗浄水を含み、
(b)該導管が、炭酸化洗浄水を生成するために、該容器内の洗浄水の表面または表面下に二酸化炭素を送達するように配置された1つまたは複数の開口部を有する、
該導管;
(iii)炭酸化洗浄水がコンクリート混合物中の混合水として用いられる、コンクリート混合操作に炭酸化洗浄水を移送するシステム
を含む、
コンクリートの生成中に生成される、セメントおよび/または補助的セメント混合材料(SCM)を含む洗浄水を、洗浄水操作において炭酸化するための装置。
【請求項16】
(iv)洗浄水または洗浄水操作の1つまたは複数の特性に基づいて、洗浄水への二酸化炭素の送達、または洗浄水操作の別の特性、または両方を変更するかどうか、および/またはいかに変更するかを決定するコントローラをさらに含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
(v)洗浄水の1つもしくは複数の特性および/または容器内の洗浄水の炭酸化をモニターする1つまたは複数のセンサであって、前記コントローラに機能的に接続され、洗浄水の特性および/または洗浄水操作に関する情報を該コントローラに送達する該1つまたは複数のセンサをさらに含む、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記特性が
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
またはその任意の組み合わせである、請求項16記載の装置。
【請求項19】
前記センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
またはその任意の組み合わせをモニタリングするための1つまたは複数のセンサである、請求項17記載の装置。
【請求項20】
(iii)二酸化炭素の洗浄水への送達、または洗浄水操作の別の特性、または両方を変更するための、前記コントローラに機能的に接続された1つまたは複数のアクチュエータをさらに含む、請求項16記載の装置。
【請求項21】
(i)コンクリート材料と水とを混合するための第1のミキサー;
(ii)コンクリート材料と水とを混合するための第2のミキサー;
(iii)炭酸化コンクリート洗浄水を含む水を保持する第1の水容器;
(iv)炭酸化コンクリート洗浄水ではない水を保持する、第1の水容器とは異なる第2の水容器;
(iv)第1の水容器を第2のミキサーに流体接続する第1のシステムおよび第2の水容器を第1のミキサーに流体接続する第2のシステム
を含む、コンクリート混合物を調製するための装置。
【請求項22】
第1および第2のミキサーが異なるミキサーである、請求項21記載の装置。
【請求項23】
第1のミキサーがレディーミクストラックのドラムである、請求項21記載の装置。
【請求項24】
第1の時点で第2の水容器内の水の第1の量を第1のミキサーに加え、第2の時点で第1の水容器内の水の第2の量を第2のミキサーに加えるように構成されたコントローラであって、第1および第2の時点は異なり、第1の時点は第2の時点の前である、該コントローラ
をさらに含む、請求項21記載の装置。
【請求項25】
(i)コンクリート材料と水とを混合するためのミキサー;
(ii)炭酸化コンクリート洗浄水を含む水を保持する第1の水容器;
(iii)炭酸化コンクリート洗浄水ではない水を保持する、第1の水容器とは異なる第2の水容器;
(iv)第1の容器内の水の第1の部分と第2の容器内の水の第2の部分とを受け取り、それらを混合して混合水を形成して、混合水の第3の部分をミキサーに送るための、第1および第2の水容器ならびにミキサーに流体接続された第3の容器
を含む、コンクリート混合物を調製するための装置。
【請求項26】
(i)コンクリート材料をミキサーに加える段階;
(ii)混合水をミキサーに加える段階であって、炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの3.5重量%以下である量の炭酸化コンクリート洗浄水を、該混合水が含む、段階;および
(iii)該水とコンクリート材料とを混合してコンクリート混合物を生成する段階
を含む、コンクリート混合物の調製法。
【請求項27】
(i)二酸化炭素源;
(ii)二酸化炭素流を洗浄水容器に送達するための、洗浄水容器に及ぶ、二酸化炭素源に機能的に接続された第1の導管であって、
(a)該洗浄水容器がコンクリート生成部位からの洗浄水を含み、
(b)該導管が、炭酸化洗浄水を生成するために、該容器内の洗浄水の表面または表面下に二酸化炭素を送達するように配置された1つまたは複数の開口部を有し、かつ
(c)該導管が二酸化炭素の流量を調節するためのアクチュエータを含む、
該導管;
(iii)炭酸化洗浄水がコンクリート混合物中の混合水として用いられる、コンクリート混合操作に炭酸化洗浄水を移送するシステム;および
(iv)コントローラに接続され、情報を送信するように構成された少なくとも3つのセンサを含む制御システムであって、センサからの情報を処理して、該情報に基づいて信号をアクチュエータに送信することにより二酸化炭素流量を調節するように、該コントローラが構成され、かつ該センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
(j)洗浄水の表面における気泡の出現、
(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、
(l)洗浄水の電気伝導度、
(m)洗浄水の光学的特性
のうちの少なくとも2つをモニターするように構成されている、
該システム
を含む、
コンクリートの生成中に生成される、セメントおよび/または補助的セメント混合材料(SCM)を含む洗浄水を炭酸化するための装置。
【請求項28】
コントローラが少なくとも4つのセンサを含み、該センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
(j)洗浄水の表面における気泡の出現、
(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、
(l)洗浄水の電気伝導度、
(m)洗浄水の光学的特性
のうちの少なくとも3つをモニターするように構成されている、
請求項27記載の装置。
【請求項29】
コントローラが少なくとも4つのセンサを含み、該センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
(j)洗浄水の表面における気泡の出現、
(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、
(l)洗浄水の電気伝導度、
(m)洗浄水の光学的特性
のうちの少なくとも4つをモニターするように構成されている、
請求項27記載の装置。
【請求項30】
コントローラが少なくとも5つのセンサを含み、該センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
(j)洗浄水の表面における気泡の出現、
(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、
(l)洗浄水の電気伝導度、
(m)洗浄水の光学的特性
のうちの少なくとも5つをモニターするように構成されている、
請求項27記載の装置。
【請求項31】
コントローラが少なくとも6つのセンサを含み、該センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
(j)洗浄水の表面における気泡の出現、
(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、
(l)洗浄水の電気伝導度、
(m)洗浄水の光学的特性
のうちの少なくとも6つをモニターするように構成されている、
請求項27記載の装置。
【請求項32】
コントローラが少なくとも7つのセンサを含み、該センサが
(a)洗浄水のpH、
(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、
(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、
(d)洗浄水の温度、
(e)洗浄水の比重、
(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、
(g)洗浄水の経過時間、
(h)洗浄水の循環速度、
(i)洗浄水の循環のタイミング、
(j)洗浄水の表面における気泡の出現、
(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、
(l)洗浄水の電気伝導度、
(m)洗浄水の光学的特性
のうちの少なくとも7つをモニターするように構成されている、
請求項27記載の装置。
【請求項33】
(i)コンクリート材料をミキサーに加える段階;
(ii)混合水をミキサーに加える段階であって、該混合水が炭酸化コンクリート洗浄水を含み、かつ該炭酸化洗浄水が少なくとも1.03の比重を有する、段階;および
(iii)該水とコンクリート材料とを混合してコンクリート混合物を生成する段階
を含む、コンクリート混合物の調製法。
【請求項34】
前記炭酸化洗浄水が少なくとも1.05の比重を有する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記炭酸化洗浄水が少なくとも1.10の比重を有する、請求項33記載の方法。
【請求項36】
コンクリートミキサー内でコンクリート廃材を処理する方法であって、水をミキサーに加えてミキサーを洗浄する段階、および二酸化炭素をミキサーに加えて、ミキサー内で炭酸化洗浄水を生成する段階を含む、前記方法。
【請求項37】
ミキサーに加える二酸化炭素の少なくとも一部がミキサーのための洗浄水に溶解した二酸化炭素として加えられる、請求項36記載の方法。
【請求項38】
洗浄水中の二酸化炭素の濃度が少なくとも2g/L水である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
洗浄水中の二酸化炭素の濃度が少なくとも4g/L水である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
ミキサーに加える二酸化炭素の少なくとも一部が固体二酸化炭素として加えられる、請求項36記載の方法。
【請求項41】
ミキサーが可搬式ミキサーである、請求項36記載の方法。
【請求項42】
ミキサーがレディーミクストラックのドラムである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
炭酸化洗浄水の少なくとも一部を洗浄水処理システムに移送する段階をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項44】
洗浄水処理システムが炭酸化洗浄水を含む洗浄水を処理して骨材を除去する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
洗浄水処理システムが炭酸化洗浄水を含む洗浄水に追加の二酸化炭素を加える、請求項43記載の方法。
【請求項46】
(i)洗浄水を二酸化炭素に曝露して炭酸化洗浄水を生成する段階;
(ii)炭酸化洗浄水がミキサー内でセメント混合物と混合するように、炭酸化洗浄水の少なくとも一部をコンクリートミキサーに加える段階
を含み、
該炭酸化洗浄水が固形物を含み、かつ該固形物の80%以下が混合物中でのその使用前に炭酸化洗浄水から除去される、
コンクリート製造工程由来の洗浄水を処理する方法。
【請求項47】
炭酸化洗浄水がセメント混合物のための全混合水の少なくとも20%を構成する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
炭酸化洗浄水がセメント混合物のための全混合水の少なくとも40%を構成する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記固形物の60%以下が混合物中でのその使用前に炭酸化洗浄水から除去される、請求項46記載の方法。
【請求項50】
(i)コンクリート由来の洗浄水;
(ii)二酸化炭素および洗浄水との二酸化炭素反応生成物
を含む、炭酸化コンクリート洗浄水組成物。
【請求項51】
洗浄水組成物中の二酸化炭素および二酸化炭素反応生成物の量が洗浄水組成物中の固形物の少なくとも0.5重量%である、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
洗浄水組成物中の二酸化炭素および二酸化炭素反応生成物の量が洗浄水組成物中の固形物の少なくとも2重量%である、請求項50記載の組成物。
【請求項53】
洗浄水組成物中の二酸化炭素および二酸化炭素反応生成物の量が洗浄水組成物中の固形物の少なくとも5重量%である、請求項50記載の組成物。
【請求項54】
洗浄水組成物中の二酸化炭素および二酸化炭素反応生成物の量が洗浄水組成物中の固形物の少なくとも10重量%である、請求項50記載の組成物。
【請求項55】
炭酸化洗浄水の比重が少なくとも1.03である、請求項50記載の組成物。
【請求項56】
炭酸化洗浄水の比重が少なくとも1.05である、請求項50記載の組成物。
【請求項57】
炭酸化洗浄水の比重が少なくとも1.10である、請求項50記載の組成物。
【請求項58】
炭酸化洗浄水のpHが9.0未満である、請求項50記載の組成物。
【請求項59】
炭酸化洗浄水のpHが8.5未満である、請求項50記載の組成物。
【請求項60】
炭酸化洗浄水のpHが8.0未満である、請求項50記載の組成物。
【請求項61】
(i)コンクリート材料をミキサーに加える段階;
(ii)混合水をミキサーに加える段階であって、炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの少なくとも0.01重量%であるような量の炭酸化コンクリート洗浄水を、該混合水が含む、段階;および
(iii)該水とコンクリート材料とを混合してコンクリート混合物を生成する段階
を含む、コンクリート混合物の調製法。
【請求項62】
炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの少なくとも0.05重量%である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの少なくとも1.0重量%である、請求項61記載の方法。
【請求項64】
炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの少なくとも2.0重量%である、請求項61記載の方法。
【請求項65】
炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの少なくとも5.0重量%である、請求項61記載の方法。
【請求項66】
炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの0.01〜12.0重量%である、請求項61記載の方法。
【請求項67】
炭酸化混合水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物がセメントの0.01〜8.0重量%である、請求項61記載の方法。
【請求項68】
(i)セメント混合材料を含む固形物を含む、コンクリート製造施設で生成されたコンクリート洗浄水を含む水を、二酸化炭素と接触させて、炭酸化洗浄水を生成する段階;および
(ii)コンクリート製造施設でのコンクリートの製造における炭酸化洗浄水および関連する固形物の少なくとも一部を再使用し、それにより該施設からのコンクリートの製造および使用に由来する二酸化炭素の一定量を隔離および/または相殺する段階であって、そのような製造および使用が、コンクリートにおいて用いるセメントを製造する際に生成される二酸化炭素を含む、段階
を含む、
コンクリート製造施設でのコンクリートの製造および使用中に生成される二酸化炭素を隔離する、および/または二酸化炭素を相殺する方法。
【請求項69】
再使用した炭酸化洗浄水および関連する固形物が、そうでなければ製造するコンクリートにおいて用いられたであろうセメントの一部に取って代わる、請求項68記載の方法。
【請求項70】
取って代わられたセメントの一部が、そうでなければ用いられたであろうセメントの少なくとも0.1%である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
取って代わられたセメントの一部が、そうでなければ用いられたであろうセメントの少なくとも0.5%である、請求項69記載の方法。
【請求項72】
取って代わられたセメントの一部が、そうでなければ用いられたであろうセメントの少なくとも1%である、請求項69記載の方法。
【請求項73】
取って代わられたセメントの一部が、そうでなければ用いられたであろうセメントの少なくとも3%である、請求項69記載の方法。
【請求項74】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも0.1%である、請求項68記載の方法。
【請求項75】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも0.5%である、請求項68記載の方法。
【請求項76】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも1%である、請求項68記載の方法。
【請求項77】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも3%である、請求項68記載の方法。
【請求項78】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも5%である、請求項68記載の方法。
【請求項79】
(iii)コンクリート製造施設で製造されるコンクリート混合物を二酸化炭素と接触させて、炭酸化コンクリート混合物を生成する段階をさらに含む、請求項68記載の方法。
【請求項80】
炭酸化コンクリート混合物が同じ混合設計の非炭酸化コンクリート混合物よりも少ないセメントを使用する、請求項79記載の方法。
【請求項81】
炭酸化コンクリート混合物が同じ混合設計の非炭酸化コンクリート混合物よりも少なくとも0.1%少ないセメントを使用する、請求項80記載の方法。
【請求項82】
炭酸化コンクリート混合物が同じ混合設計の非炭酸化コンクリート混合物よりも少なくとも0.5%少ないセメントを使用する、請求項80記載の方法。
【請求項83】
炭酸化コンクリート混合物が同じ混合設計の非炭酸化コンクリート混合物よりも少なくとも5%少ないセメントを使用する、請求項80記載の方法。
【請求項84】
炭酸化コンクリート混合物が同じ混合設計の非炭酸化コンクリート混合物よりも少なくとも10%少ないセメントを使用する、請求項80記載の方法。
【請求項85】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも0.1%である、請求項76記載の方法。
【請求項86】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも1%である、請求項80記載の方法。
【請求項87】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも3%である、請求項80記載の方法。
【請求項88】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも5%である、請求項80記載の方法。
【請求項89】
隔離および/または相殺された二酸化炭素の量が、コンクリート製造施設で製造されるコンクリートの製造および使用において生成される全二酸化炭素の少なくとも10%である、請求項80記載の方法。
【請求項90】
(i)コンクリート洗浄水を二酸化炭素と接触させる段階;
(ii)(a)洗浄水のpH、
(b)洗浄水の温度、および/または
(c)洗浄水表面の上方の空気の二酸化炭素含有量
のうちの少なくとも1つの特性の値を測定する段階;
(iii)少なくとも部分的には(ii)で測定した値に基づいて、コンクリート洗浄水の二酸化炭素との接触を調節する段階
を含む、二酸化炭素を用いてコンクリート洗浄水を処理するための方法。
【請求項91】
(a)洗浄水のpH、
(b)洗浄水の温度、および/または
(c)洗浄水表面の上方の空気の二酸化炭素含有量
のうちの少なくとも2つの特性の値を測定する段階を含む、請求項90記載の方法。
【請求項92】
(a)洗浄水のpH、
(b)洗浄水の温度、および/または
(c)洗浄水表面の上方の空気の二酸化炭素含有量
のすべての特性の値を測定する段階を含む、請求項90記載の方法。
【請求項93】
コンクリート洗浄水が保持タンク内にあり、固形物の沈降を防止するのに十分撹拌される、請求項90〜92のいずれか一項記載の方法。
【請求項94】
撹拌が洗浄水をポンピングすることにより達成される、請求項93記載の方法。
【請求項95】
撹拌がオーガーの使用により達成される、請求項93記載の方法。
【請求項96】
洗浄水の一部を二酸化炭素と接触させるために保持タンクから離れた位置に取り出す、請求項93記載の方法。
【請求項97】
測定した各特性の値を、値の所定の範囲と比較する、請求項90〜92のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
値の前記範囲との比較を、少なくとも部分的には洗浄水と二酸化炭素との接触の調節の程度を判定するために用いる、請求項97記載の方法。
【請求項99】
(i)固形物を含むコンクリート洗浄水を含む容器;
(ii)容器内の洗浄水を、固形物が沈降するのを防止するのに十分撹拌するように構成されたシステム;
(iii)(a)洗浄水のpHを測定するように構成され、配置されたセンサ、
(b)洗浄水の上方の空気中の二酸化炭素濃度を測定するように構成され、配置されたセンサ、および/または
(c)洗浄水の温度を測定するように構成され、配置されたセンサの少なくとも1つ;
(iv)洗浄水を二酸化炭素と接触させるように構成されたシステムであって、
(a)二酸化炭素源、
(b)二酸化炭素を、洗浄水が二酸化炭素と接触する位置に移送するための、二酸化炭素源に機能的に接続された導管、および
(c)洗浄水と接触する二酸化炭素の流量を調節するための、導管内またはそれ以外に配置されたアクチュエータ
を含む、該システム;および
(v)(iii)のセンサおよび(iv)(c)のアクチュエータに機能的に接続され、該センサからの情報を受信し、かつ少なくとも部分的には該情報に基づいて信号をアクチュエータに送信して、二酸化炭素流量を調節する、コントローラ
を含む、コンクリート洗浄水を二酸化炭素と接触させるための装置。
【請求項100】
(a)洗浄水のpHを測定するように構成され、配置されたセンサ、
(b)洗浄水の上方の空気中の二酸化炭素濃度を測定するように構成され、配置されたセンサ、および/または
(c)洗浄水の温度を測定するように構成され、配置されたセンサ
のうちの少なくとも2つを含む、請求項99記載の装置。
【請求項101】
(a)洗浄水のpHを測定するように構成され、配置されたセンサ、
(b)洗浄水の上方の空気中の二酸化炭素濃度を測定するように構成され、配置されたセンサ、および/または
(c)洗浄水の温度を測定するように構成され、配置されたセンサ
のすべてを含む、請求項99記載の装置。
【請求項102】
(i)コンクリート混合物を1つまたは複数の凝結遅延剤に曝露する段階;
(ii)コンクリートを凝結遅延剤に曝露した後、コンクリート混合物を二酸化炭素に曝露する段階
を含む方法。
【請求項103】
コンクリート混合物がコンクリート洗浄水である、請求項102記載の方法。
【請求項104】
コンクリート混合物をレディーミクストラックのドラム内で凝結遅延剤に曝露する、請求項102記載の方法。
【請求項105】
(i)コンクリート洗浄水を二酸化炭素に曝露して炭酸化洗浄水を生成する段階;
(ii)炭酸化洗浄水を混和材料に曝露する段階であって、該混和材料は、曝露後に、炭酸化洗浄水中の固形物がほとんどまたは全く撹拌なしで懸濁されたままであるようなものである段階
を含む方法。
【請求項106】
(i)コンクリート洗浄水を二酸化炭素に曝露して炭酸化洗浄水を生成する段階;
(ii)該炭酸化洗浄水をセメント粉末と混合して湿潤セメント混合物を生成する段階;
(iii)該湿潤セメント混合物を二酸化炭素に曝露して、炭酸化湿潤セメント混合物を生成する段階
を含む方法。
【請求項107】
骨材をセメント粉末および水と混合して湿潤コンクリート混合物を生成する段階をさらに含む、請求項106記載の方法。
【請求項108】
(i)コンクリート洗浄水を保持するための保持タンク;
(ii)該保持タンクに機能的に接続された第1の導管であって、
(a)洗浄水を該導管に入れるための、該保持タンクからの入口と、洗浄水が該導管を通って循環した後にこれを該保持タンクに戻すための出口とを含み、かつ
(b)該導管を通ってポンピングされた洗浄水に二酸化炭素を導入するための1つまたは複数の開口を含む、
該導管
を含む装置。
【請求項109】
前記保持タンクに機能的に接続された第2の導管であって、コンクリート洗浄水を該保持タンクに移送するように構成された、該第2の導管
をさらに含む、請求項108記載の装置。
【請求項110】
前記第2の導管がコンクリート洗浄水を沈殿池から保持タンクに移送する、請求項109記載の装置。
【請求項111】
(i)水硬セメント;
(ii)該水硬性セメントのための、炭酸化コンクリート洗浄水を含む混合水
を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年4月11日提出の米国特許仮出願第62/321,013号(代理人整理番号44131-715.101)に対する優先権を主張する、2017年4月11日提出のPCT出願第PCT/CA2017/050445号(代理人整理番号44131-715.601)の一部継続出願である。本出願は、2017年6月20日提出の米国特許仮出願第62/522,510号(代理人整理番号44131-715.103)、2017年9月6日提出の米国特許仮出願第62/554,830号(代理人整理番号44131-715.104)、2017年9月13日提出の米国特許仮出願第62/558,173号(代理人整理番号44131-715.105)、2017年9月18日提出の米国特許仮出願第62/559,771号(代理人整理番号44131-715.106)、2017年9月19日提出の米国特許仮出願第62/560,311号(代理人整理番号44131-715.107)、2017年10月10日提出の米国特許仮出願第62/570,452号(代理人整理番号44131-715.108)、2018年5月23日提出の米国特許仮出願第62/675,615号(代理人整理番号44131-715.109)、2018年4月4日提出の米国特許仮出願第62/652,385号(代理人整理番号44131-719.101)、および2017年10月16日提出の米国特許仮出願第62/573,109号(代理人整理番号44131-717.101)に対する優先権も主張し、これらはすべてその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
コンクリートの作製において生じる洗浄水は、使用および/または廃棄に関する重要な問題を提起する。コンクリート洗浄水をよりうまく管理するための方法および組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
1つの局面において、本発明は方法を提供する。
【0004】
ある特定の態様において、本発明は、(i)コンクリート材料をミキサーに加える段階;(ii)炭酸化コンクリート洗浄水を含む混合水をミキサーに加える段階;および(iii)該水とコンクリート材料とを混合してコンクリート混合物を生成する段階を含む、コンクリート混合物の調製法を提供する。ある特定の態様において、炭酸化コンクリート洗浄水は、全混合水の少なくとも10%を構成する。ある特定の態様において、炭酸化コンクリート混合水は、全混合水の少なくとも40%を構成する。ある特定の態様において、混合水は、炭酸化混合水でない水の第1の部分と炭酸化混合水を含む混合水の第2の部分とを含み、ここで混合水の第1のバッチは混合水の第2のバッチの前にコンクリート材料に加えられる。水の第1の部分は第1の位置で加え、水の第2の部分は第2の位置、例えば、レディーミクストラックのドラムに加えることができ、ここで第1および第2の位置は異なる。ある特定の態様において、混合水の第2の部分を第1の部分の少なくとも2分後に加える。ある特定の態様において、炭酸化コンクリート洗浄水は少なくとも1.10g/cm3の密度を有する。ある特定の態様において、炭酸化コンクリート洗浄水は少なくとも1日間保持されている。ある特定の態様において、炭酸化コンクリート洗浄水は少なくとも3日間保持されている。ある特定の態様において、コンクリート混合物はその意図する用途のために十分なワーカビリティを有し、炭酸化洗浄水は、同じ割合で同じ経過時間の洗浄水を用いて作製した同じ混合物がその意図する用途のために十分なワーカビリティを有しない経過時間のものである。ある特定の態様において、炭酸化洗浄水なしで作製した同じコンクリート混合物よりも打設後−例えば、1日、7日、28日、またはそれらの任意の組合せの時点で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、40、または50%、例えば5%強いコンクリート混合物をもたらす量の炭酸化洗浄水を、混合水は含む。ある特定の態様において、コンクリート混合物が、炭酸化洗浄水なしでかつ余分の(通常の混合物)パーセンテージのセメントを用いて作製した同じコンクリート混合物よりも、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、40、または50%、例えば少なくとも5%少ないセメントを含み、かつそれの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、40、または50%以内、例えば少なくとも5%以内の打設後の圧縮強度を保持することを可能にする量の炭酸化洗浄水を、混合水は含む。
【0005】
ある特定の態様において、(i)コンクリート混合物を1つまたは複数の凝結遅延剤に曝露する段階;(ii)コンクリートを凝結遅延剤に曝露した後、コンクリート混合物を二酸化炭素に曝露する段階を含む方法を提供する。コンクリート混合物は、例えば、コンクリート洗浄水を含むことができる。ある特定の態様において、コンクリート混合物をレディーミクストラックのドラム内で凝結遅延剤に曝露する。
【0006】
ある特定の態様において、(i)コンクリート洗浄水を二酸化炭素に曝露して炭酸化洗浄水を生成する段階;(ii)炭酸化洗浄水を混和材料に曝露する段階であって、混和材料は、曝露後に、炭酸化洗浄水中の固形物がほとんどまたは全く撹拌なしで懸濁されたままであるようなものである段階を含む方法を提供する。
【0007】
ある特定の態様において、(i)コンクリート洗浄水を二酸化炭素に曝露して炭酸化洗浄水を生成する段階;(ii)該炭酸化洗浄水をセメント粉末と混合して湿潤セメント混合物を生成する段階;および(iii)湿潤セメント混合物を二酸化炭素に曝露して、炭酸化湿潤セメント混合物を生成する段階を含む方法を提供する。本方法は、骨材をセメント粉末および水と混合して湿潤コンクリート混合物を生成する段階をさらに含むことができる。
【0008】
もう1つの局面において、本発明は装置を提供する。
【0009】
ある特定の態様において、本発明は、(i)二酸化炭素源;(ii)洗浄水容器に及ぶ、二酸化炭素源に機能的に接続された第1の導管であって、(a)該洗浄水容器がコンクリート生成部位からの洗浄水を含み、(b)該導管が、炭酸化洗浄水を生成するために、該容器内の洗浄水の表面または表面下に二酸化炭素を送達するように配置された1つまたは複数の開口部を有する、該導管;(iii)炭酸化洗浄水がコンクリート混合物中の混合水として用いられる、コンクリート混合操作に炭酸化洗浄水を移送するシステムを含む、コンクリートの生成中に生成される、セメントおよび/または補助的セメント混合材料(SCM)を含む洗浄水を、洗浄水操作において炭酸化するための装置を提供する。装置は、(iv)洗浄水または洗浄水操作の1つまたは複数の特性に基づいて、洗浄水への二酸化炭素の送達、または洗浄水操作の別の特性、または両方を変更するかどうか、および/またはいかに変更するかを決定するコントローラをさらに含むことができる。特性は、例えば、洗浄水のpH、二酸化炭素の洗浄水への送達速度、洗浄水容器内の洗浄水の総量、洗浄水の温度、洗浄水の比重、洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、洗浄水の経過時間、洗浄水の循環速度、洗浄水の循環のタイミング、洗浄水の表面における気泡の出現、洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、洗浄水の電気伝導度、洗浄水の光学的特性、またはその任意の組み合わせの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つであり得る。ある特定の態様において、装置は、(v)洗浄水の1つもしくは複数の特性および/または容器内の洗浄水の炭酸化をモニターする1つまたは複数のセンサであって、コントローラに機能的に接続され、洗浄水の特性および/または洗浄水操作に関する情報をコントローラに送達する該1つまたは複数のセンサをさらに含んでもよい。ある特定の態様において、装置は、(a)洗浄水のpH、(b)二酸化炭素の洗浄水への送達速度、(c)洗浄水容器内の洗浄水の総量、(d)洗浄水の温度、(e)洗浄水の比重、(f)洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、(g)洗浄水の経過時間、(h)洗浄水の循環速度、(i)洗浄水の循環のタイミング、(j)洗浄水の表面における気泡の出現、(k)洗浄水の上方の空気の二酸化炭素濃度、(l)洗浄水の電気伝導度、(m)洗浄水の光学的特性、またはその任意の組み合わせのための少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのセンサを含む。装置はさらに、(iii)二酸化炭素の洗浄水への送達、または洗浄水操作の別の特性、または両方を変更するための、コントローラに機能的に接続された1つまたは複数のアクチュエータを含んでもよい。
【0010】
ある特定の態様において、本発明は、(i)コンクリート材料と水とを混合するための第1のミキサー;(ii)コンクリート材料と水とを混合するための第2のミキサー;(iii)炭酸化コンクリート洗浄水を含む水を保持する第1の水容器;(iv)炭酸化コンクリート洗浄水ではない水を保持する、第1の水容器とは異なる第2の水容器;(iv)第1の水容器を第2のミキサーに流体接続する第1のシステムおよび第2の水容器を第1のミキサーに流体接続する第2のシステムを含む、コンクリート混合物を調製するための装置を提供する。第1および第2のミキサーは、同じミキサーであり得;ある特定の態様において、それらは異なるミキサーである。ある特定の態様において、第1のミキサーはレディーミクストラックのドラムである。ある特定の態様において、装置は、第1の時点で第2の水容器内の水の第1の量を第1のミキサーに加え、第2の時点で第1の水容器内の水の第2の量を第2のミキサーに加えるように構成されたコントローラであって、第1および第2の時点は異なり、第1の時点は第2の時点の前である、コントローラをさらに含む。
【0011】
ある特定の態様において、本発明は、(i)コンクリート材料と水とを混合するためのミキサー;(ii)炭酸化コンクリート洗浄水を含む水を保持する第1の水容器;(iii)炭酸化コンクリート洗浄水ではない水を保持する、第1の水容器とは異なる第2の水容器;(iv)第1の容器内の水の第1の部分と第2の容器内の水の第2の部分とを受け取り、それらを混合して混合水を形成して、混合水の第3の部分をミキサーに送るための、第1および第2の水容器およびミキサーに流体接続された第3の容器を含む、コンクリート混合物を調製するための装置を提供する。
【0012】
ある特定の態様において、(i)コンクリート洗浄水を保持するための保持タンク;(ii)保持タンクに機能的に接続された第1の導管であって、(a)洗浄水を導管に入れるための、保持タンクからの入口と、洗浄水が導管を通って循環した後にこれを保持タンクに戻すための出口とを含み、かつ(b)導管を通ってポンピングされた洗浄水に二酸化炭素を導入するための1つまたは複数の開口を含む、導管を含む装置を提供する。ある特定の態様において、装置は、保持タンクに機能的に接続された第2の導管であって、コンクリート洗浄水を保持タンクに移送するように構成された、該第2の導管をさらに含む。第2の導管は、例えば、コンクリート洗浄水を沈殿池から保持タンクに移送することができる。
【0013】
ある特定の態様において、(i)水硬セメント;(ii)水硬性セメントのための、炭酸化コンクリート洗浄水を含む混合水を含む組成物を提供する。
【0014】
参照による組み入れ
本明細書に記載の全ての出版物、特許、および特許出願は、それぞれ個々の出版物、特許、または特許出願が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載する。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、本発明の原理が用いられる例示的な態様を示す以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【0016】
図1図1は、様々な比重および経過時間の洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない水を用いて生成したコンクリートにおける凝結加速を示す。実施例1参照。
図2図2は、普通ポルトランドセメント(OPC、50%)および補助的セメント混合材料(SCM、50%)により生成した洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない、1日または6日が経過した水を用いて生成したコンクリートにおける凝結加速を示す。
図3図3は、普通ポルトランドセメント(OPC、50%)および補助的セメント混合材料(SCM、50%)により生成した洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない、1日または6日が経過した水を用いて生成したコンクリートにおけるワーカビリティ(スランプ)を示す。
図4図4は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない、1日または6日が経過した水を用いて生成したコンクリートにおける凝結加速を示す。
図5図5は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない、1日または6日が経過した水を用いて生成したコンクリートにおけるワーカビリティ(スランプ)を示す。
図6図6は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、多数の異なる比重の、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない、1日または6日が経過した水を用いて生成したコンクリートにおける凝結加速を示す。
図7図7は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない水を用いて生成したコンクリートについて、ならびに飲用水を用いて調製したコンクリートについて、時間に対する電力としての熱量測定を示す。
図8図8は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、二酸化炭素処理を行ったおよび行っていない水を用いて生成したコンクリートについて、ならびに飲用水を用いて調製したコンクリートについて、時間に対するエネルギーとしての熱量測定を示す。
図9図9は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、洗浄水調製の2時間後、またはコンクリートにおける使用直前に、二酸化炭素で持続的に処理した水を用いて生成したコンクリートにおける凝結加速を示す。
図10図10は、普通ポルトランドセメント(OPC、100%)により生成した洗浄(グレー)水であって、洗浄水調製の2時間後、またはコンクリートにおける使用直前に、二酸化炭素で持続的に処理した水を用いて生成したコンクリートにおけるワーカビリティ(スランプPを示す。
図11図11は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない様々な洗浄水を用いて生成したコンクリートについて、24時間圧縮強度を示す。
図12図12は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない、2つの異なる温度に保持した洗浄水を用いて調製したコンクリートにおける凝結加速を示す。
図13図13は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない様々な洗浄水を用いて生成したコンクリートについて、7日における強度増強を示す。
図14図14は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない様々な洗浄水を用いて生成したコンクリートについて、28日における強度増強を示す。
図15図15は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない、1日または7日間放置した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの凝結時間を示す。
図16図16は、7日に対する1日での凝結時間を示す。
図17図17は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない、1日または7日間放置した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブのモルタルスランプを示す。
図18図18は、1日保持した水のスランプに対する7日保持した水のモルタルスランプを示す。
図19図19は、二酸化炭素処理の時間に対する洗浄水中の固形物の二酸化炭素取り込みを示す。
図20図20は、二酸化炭素処理の時間に対する洗浄水のpHを示す。
図21図21は、二酸化炭素で様々な時間処理し、1日経過した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの1日強度を示す。
図22図22は、二酸化炭素で様々な時間処理し、1日経過した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの7日強度を示す。
図23図23は、二酸化炭素で様々な時間処理し、1日経過した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの28日強度を示す。
図24図24は、二酸化炭素で様々な時間処理し、7日経過した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの1日強度を示す。
図25図25は、二酸化炭素で様々な時間処理し、7日経過した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの7日強度を示す。
図26図26は、二酸化炭素で様々な時間処理し、7日経過した洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの28日強度を示す。
図27図27は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水を用いて作製したモルタルキューブにおけるスランプを示す。
図28図28は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水を用いて作製したモルタルキューブにおける1日圧縮を示す。
図29図29は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水を用いて作製したモルタルキューブにおける7日圧縮を示す。
図30図30は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水を用いて作製したモルタルキューブにおける28日圧縮を示す。
図31図31は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水のろ液のカルシウムICP-OES分析を示す。
図32図32は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水のろ液のカリウムICP-OES分析を示す。
図33図33は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水のろ液のナトリウムICP-OES分析を示す。
図34図34は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水のろ液のストロンチウムICP-OES分析を示す。
図35図35は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水のろ液の硫黄ICP-OES分析を示す。
図36図36は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水のろ液のケイ素ICP-OES分析を示す。
図37図37は、CO2処理が洗浄水のろ液のpHを低下させたことを示す。
図38図38は、図31〜36のデータを表形式で示す。
図39図39は、図31〜36のデータを表形式で示す。
図40図40は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水(100%OPC)中の粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す、倍率250倍。
図41図41は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水(100%OPC)中の粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す、倍率1000倍。
図42図42は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水(100%OPC)中の粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す、倍率25,000倍。
図43図43は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水(75%OPC/25%スラグ)中の粒子の走査電子顕微鏡真(SEM)を示す、倍率250倍。
図44図44は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水(75%OPC/25%スラグ)中の粒子の走査電子顕微鏡真(SEM)を示す、倍率3500倍。
図45図45は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水(75%OPC/25%スラグ)中の粒子の走査電子顕微鏡真(SEM)を示す、倍率25,000倍。
図46図46は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水からのX線回折(XRD)パターンを示す。
図47図47は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水からのX線回折(XRD)パターンを示す。
図48図48は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水からの核磁気共鳴(NMR)パターンを示す。
図49図49は、二酸化炭素処理を行ったまたは行っていない洗浄水からの核磁気共鳴(NMR)パターンを示す。
図50図50は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および25%スラグ/75%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。
図51図51は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および25%クラスCフライアッシュ/75%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。
図52図52は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および25%クラスFフライアッシュ/75%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。
図53図53は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および100%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。
図54図54は、持続的撹拌にかけた調製後7日の洗浄水、洗浄水固形物および100%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。
図55図55は、モルタルキューブで用いる非処理および二酸化炭素処理した洗浄水の、モルタルキューブの凝結時間に対する効果を示す。
図56図56は、モルタルキューブで用いる、1日経過した非処理および二酸化炭素処理した洗浄水の、モルタルキューブの圧縮強度に対する効果を示す。
図57図57は、モルタルキューブで用いる、5日経過した非処理および二酸化炭素処理した洗浄水の、モルタルキューブの圧縮強度に対する効果を示す。
図58図58は、モルタルキューブで用いる、1日から5日経過した非処理および二酸化炭素処理した洗浄水の、モルタルキューブの圧縮強度に対する効果を示す。
図59図59は、時間経過した非処理洗浄水における粒子分布を示す。
図60図60は、時間経過した二酸化炭素処理洗浄水における粒子分布を示す。
図61図61は、非処理および二酸化炭素処理した洗浄水におけるメジアン粒径(Dv50)を示す。
図62図62は、非処理および二酸化炭素処理した洗浄水における粒子の微細粒分(Dv10)を示す。
図63図63は、非処理および二酸化炭素処理した洗浄水におけるDv90を示す。
図64図64は、非処理および処理洗浄水における粒径の10th、50th、および90thパーセンタイルの棒グラフを示す。
図65図65は、非処理および二酸化炭素処理した洗浄水のザウター平均粒径を示す。
図66図66は、非処理および二酸化炭素処理した洗浄水中の粒子のドゥ・ブルケール粒径を示す。
図67図67は、時間経過した非処理洗浄水における比表面積(SSA)を示す。
図68図68は、時間経過した二酸化炭素処理洗浄水における比表面積(SSA)を示す。
図69図69は、中等度の流量の二酸化炭素に曝露した様々な比重の洗浄水における経時的なpH低下を示す。
図70図70は、高い流量の二酸化炭素に曝露した様々な比重の洗浄水における経時的なpH低下を示す。
図71図71は、2つの異なるセメント含有量の洗浄水中、一定の比重(固形物含有量)の洗浄水における経時的なpH低下を示す。
図72図72は、2つの異なる二酸化炭素添加速度に曝露した洗浄水中、1.05の一定の比重(固形物含有量)の洗浄水における経時的なpH低下を示す。
図73図73は、2つの異なる二酸化炭素添加速度に曝露した洗浄水中、1.075の一定の比重(固形物含有量)の洗浄水における経時的なpH低下を示す。
図74図74は、3つの異なる比重および中等度の二酸化炭素流量の二酸化炭素処理洗浄水における固形物の経時的な炭素含有量を示す。
図75図75は、2つの異なる比重および高い二酸化炭素流量の二酸化炭素処理洗浄水における固形物の経時的な炭素含有量を示す。
図76図76は、2つの異なる水中セメント含有量の二酸化炭素処理洗浄水における固形物の経時的な炭素含有量を示す。
図77図77は、2つの異なる二酸化炭素流量で、経時的な1.05の一定の比重の二酸化炭素処理洗浄水における固形物の経時的な炭素含有量を示す。
図78図78は、2つの異なる二酸化炭素流量で、経時的な1.075の一定の比重の二酸化炭素処理洗浄水における固形物の経時的な炭素含有量を示す。
図79図79は、中等度の流量の二酸化炭素で処理した、様々な比重の洗浄水の炭素含有量に対するpHを示す。
図80図80は、高い流量の二酸化炭素で処理した、様々な比重の洗浄水の炭素含有量に対するpHを示す。
図81図81は、高い流量の二酸化炭素で処理した、様々なセメント含有量の洗浄水の炭素含有量に対するpHを示す。
図82図82は、中等度および高い流量の二酸化炭素で処理した、1.05の同じ比重の洗浄水の炭素含有量に対するpHを示す。
図83図83は、中等度および高い流量の二酸化炭素で処理した、1.075の同じ比重の洗浄水の炭素含有量に対するpHを示す。
図84図84は、洗浄水の二酸化炭素処理の例示的制御ロジックを示す。
図85図85は、二酸化炭素流動中および流入後の、二酸化炭素処理洗浄水の経時的なpHおよび温度を示す。
図86図86は、二酸化炭素処理したレディーミクストラックのドラムからの洗浄水の経時的なpHおよび比重を示す。
図87図87は、二酸化炭素処理したレディーミクストラックのドラムからの洗浄水の経時的な比重および炭素含有量を示す。
図88図88は、二酸化炭素処理したレディーミクストラックのドラムからの洗浄水の経時的なpHおよび炭素含有量を示す。
図89図89は、洗浄水の二酸化炭素処理の例示的制御ロジックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
洗浄水は、本明細書においてグレー水とも呼ばれ、コンクリート産業の副産物として生成される。この水は、砂、骨材および/またはセメント混合材料の形態の懸濁固形物を含み得、コンクリート構造体の製造サイクルにおける様々な段階を通じて生成される。一般に、大量のコンクリート洗浄水が、コンクリートの送達に続くコンクリートミキサー車の洗浄によって生成される。この水は、本質的にアルカリ性であり、特殊な処理、取り扱いおよび廃棄を必要とする。本明細書において用いられる「洗浄水」は、主にコンクリートドラム洗浄水からなる水を含み;そのような水は、当技術分野において公知のとおり、コンクリート製造工程の他の部分からの水、雨水流出水などを含み得る。文脈から明らかであるとおり、「洗浄水」は、セメントおよび骨材を含む、レディーミクストラックおよび/または他のミキサーのドラムを洗浄するために用いる水、ならびに、例えば、リクレーマ中で、骨材が除去された後であるが、なおセメント質固形物などの固形物を含む、そのような水を含む。典型的には、そのような固形物の少なくとも一部は、その後のコンクリートバッチにおける再使用のために洗浄水中に保持される。
【0018】
この水はコンクリートの製造における再使用に適切であり得るが、洗浄水はコンクリートの特性への悪影響、例えば、凝結加速およびワーカビリティの低下をきたし得ることが証明されている。洗浄水は主に、水中のセメントと、多くの場合、補助的セメント混合材料(SCM)との混合物である。これは、セメントは水和すると、水の化学を変化させるため、混合水として問題になる。これらの化学の変化は、水和生成物と共に、加速、水の需要の増加、7日強度の低減などの、水を混合水として使用する場合の多くの問題を引き起こす。これらの問題は、一般に、水中のセメント量が増加するにつれて、および/または水が時間経過するにつれて悪化する。
【0019】
本発明の方法および組成物は、コンクリート洗浄水へのCO2の適用を利用して、コンクリートの製造における再使用のためのその特性を改善する。したがって、通常は混合水としての使用を許容しない程度のセメント含有量(例えば、比重)を有し、かつ/またはそのような程度まで時間経過した洗浄水を、二酸化炭素の適用後に、そのように使用することができる。
【0020】
理論に束縛されるものではないが、洗浄水を炭酸化することにより、その後のコンクリートのバッチのための混合水の一部または全てとして水を使用する上で有益ないくつかの結果を達成し得ると考えられる。
【0021】
1)約7のpHを維持する:これはCO2の酸性度によりセメントを効果的に溶解する。これは一貫した化学のグレー水を送達し、「時間経過効果」を除去するのに役立つ。ある特定の態様において、本明細書の他所に記載のとおり、7未満または7以上のpHを維持してもよい。
【0022】
2)任意の不溶性炭酸塩を沈澱させる:CO2は多くのイオンとの炭酸化反応生成物を活発に生成する。これは、溶液から、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムなどの一定の種を除去する。これは、一貫した化学のグレー水を提供するのに役立つもう1つの段階である。
【0023】
3)セメントイオンの溶解性を変化させる:多くのイオンの溶解性はpHに依存する。CO2でpHを約7に維持することにより、水化学の性質は好ましい方向に変化する可能性がある。ある特定の態様において、本明細書の他所に記載のとおり、7未満または7以上のpHを維持してもよい。
【0024】
4)ポゾラン反応を停止する:pHを約7に維持することにより、グレー水中のスラグおよび/またはフライアッシュと反応するのに利用可能なCa(OH)2はなくなる。これは、これらのSCMがグレー水の処理および再使用を通じて変化せず、したがって、実質的にグレー水の影響を低減することを意味し得る。ある特定の態様において、本明細書の他所に記載のとおり、7未満または7以上のpHを維持してもよい。
【0025】
5)残るアニオンの量を低減する:CO2を用いての炭酸塩沈殿の形成は、そのアニオンが、処理水に可溶のままであれば、コンクリートバッチ処理のためのグレー水の化学に悪影響をおよぼし得る、HClまたはH2SO4などの他の一般的な酸よりも有利である。
【0026】
6)遅延を引き起こす:グレー水をCO2/HCO3-で飽和させることにより、バッチ水として使用する場合に遅延を達成することができる。
【0027】
7)沈殿物の性質:工程を変更して、グレー水で調製したコンクリートの水需要に対する影響が少ない沈殿物を形成し得る可能性がある。特に、コンクリート製品に使用する場合に有益であることが公知の、ナノ結晶性炭酸カルシウムなどのナノ結晶性炭酸塩を生成する、炭酸化の条件を用いてもよい。
【0028】
ある特定の態様において、本発明は、コンクリートのバッチ用の混合水を提供する方法であって、混合水が、洗浄水を炭酸化するために、二酸化炭素の大気濃度より高い量の二酸化炭素に曝露した、1つまたは複数の以前のコンクリートバッチからの洗浄水(「炭酸化洗浄水」)を含む、方法を提供する。混合水は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99、または99.5%の炭酸化洗浄水を含んでもよい。代わりに、または加えて、混合水は、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99、99.5、または100%以下の炭酸化洗浄水を含んでもよい。ある特定の態様において、混合水は、100%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、1〜100%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、1〜80%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、1〜50%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、1〜30%の炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、10〜100%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、20〜100%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、50〜100%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、70〜100%炭酸化洗浄水である。ある特定の態様において、混合水は、90〜100%炭酸化洗浄水である。
【0029】
ある特定の態様において、コンクリート混合物中で通常使用される単純水などの、例えば、炭酸化した洗浄水または他の水ではない、単純水である混合水の第1の部分を、セメント、骨材などのコンクリート材料と混合し、次いで、炭酸化した単純水または、例えば、炭酸化洗浄水であり得る、炭酸化した水を含む混合水の第2の部分を加える。水の第1の部分は、許容可能なレベルの混合、例えば、塊がない、または実質的な量の塊がない混合が達成されるようなものであってもよい。例えば、単純水である混合水の第1の部分は、コンクリート混合物中で用いる全混合水の1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、もしくは90%超、および/または2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは95%未満、例えば、1〜90%、または1〜80%、または1〜75%、または1〜70%、または1〜65%、または1〜60%、または1〜55%、または1〜50%、または1〜45%、または1〜40%、または1〜30%、または1〜20%、または1〜10%であってもよく、その一方でコンクリート混合物中で用いる混合水の残りは第2の部分、すなわち炭酸化混合水である。水の第1の部分を1つの位置で加え、第2の部分を第2の位置で加えてもよい。例えば、レディーミクス操作において、第1の部分を混合するコンクリート材料に加え、次いで混合した材料をレディーミクストラックのドラムに移し、ここで水の第2の部分をレディーミクストラックのドラム内のコンクリートに加える。しかし、第1の位置と第2の位置の両方が同じ位置、例えば、レディーミクストラックに積む前のミキサー、またはレディーミクストラックのドラムであることも可能である。水の第2の部分を、第1の部分を加えた後、任意の適切な時点で加えてもよい。一般には、水の第2の部分を、少なくとも第1の部分およびコンクリート材料を十分に混合して、塊がない、または実質的な量の塊がない混合を達成した後に加える。ある特定の態様において、水の第2の部分を、水の第1の部分の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、40、50、もしくは60分後、および/または水の第1の部分の後、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、40、50もしくは60分以内、または1、2、3、4、5もしくは6時間以内に加える。
【0030】
洗浄水は、任意の適切な時期、例えば、製造直後、製造後のある時期、もしくはコンクリートにおける使用直前、またはその任意の組み合わせで炭酸化してもよい。理論に束縛されることなく、時間0(洗浄水の生成直後)で、添加した二酸化炭素が非水和セメント相(C3S、C2S、C3Aなど)と反応し、一方、より経過した時点で、添加した二酸化炭素が水和セメント相(CSH、エトリンガイトなど)と反応することも可能である。供与量を後に提供することは、供与量を早期に適用する場合とは異なる特性をもたらし得、洗浄水をコンクリート製造で再使用する場合に異なる特性をもたらす可能性がある。加えて、より経過した時点の洗浄水中で反応する相は、一般に熱力学的により安定であり、したがって二酸化炭素と反応する際の反応熱がより低い可能性があり;本発明者らは、新鮮な洗浄水を二酸化炭素で処理する場合は、時間経過した洗浄水を処理する場合よりも、発熱性の熱上昇(例えば、温度により測定される)がより大きくなり得ることを観察した。加熱される処理水は、混合水として使用し得る前に冷却しなければならないため、熱上昇がより低い方が有利であり得る。したがって、特定の態様は、液体二酸化炭素から洗浄水を処理するための、気体状二酸化炭素の生成による洗浄水の冷却を引き起こす方法および装置、例えば、洗浄水に接触し、液体を気体状の二酸化炭素に変換するのに必要な熱を吸収し、したがって洗浄水を冷却する配管または導管を提供する。これらは、本明細書の他所により詳細に記載する。加えて、時間経過した洗浄水を二酸化炭素で処理する場合、新鮮な洗浄水を用いるよりも、安定な洗浄水を達成するのに必要な二酸化炭素が少ない可能性がある。安定な洗浄水(例えば、特性がさらなる時間経過後にも比較的変わらない)を生成するための二酸化炭素の量は、Ca(OH)2、エトリンガイト、CSH、および/または未反応セメント(例えば、未反応の普通ポルトランドセメント、OPC)の洗浄水の望ましくない特性への相対的寄与に依存し得る。加えて、異なる相は異なる二酸化炭素反応動力学を有し得、これは次に、二酸化炭素送達設定、アプローチ(例えば、送達システムのタイプ、または送達システムに対する適応)などの選択に影響をおよぼし得る。
【0031】
したがって、例えば、ある特定の態様において、洗浄水の炭酸化を洗浄水の生成後1、2、5、10、20、30、40、60、80、100、120、150、180、240、300、360、420、もしくは480分、または7、8、9、10、11、12、14、16、18、もしくは24時間、または1.5、2、3、4、もしくは5日以内、および/または洗浄水の生成後0、0.5、1、2、5、10、20、30、40、60、80、100、120、150、180、240、300、360、420、480、もしくは540分、または8、9、10、11、12、14、16、18、もしくは24時間、または1.5、2、3、4、5、もしくは6日以上で開始することができる。炭酸化を任意の適切な期間持続することができ、例えば、ある特定の態様において、洗浄水を、炭酸化を開始した後の一定期間、二酸化炭素に持続的に曝露する。代わりに、または加えて、洗浄水を、混合水として使用する直前に、例えば、混合水として使用する前(例えば、コンクリート混合物と接触させる前)に1、2、5、10、20、30、40、60、80、100、120、150、180、240、300、360、420、もしくは480分以内、および/または混合水として使用する前に0、0.5、1、2、5、10、20、30、40、60、80、100、120、150、180、240、300、360、420、480、もしくは540分以上炭酸化することができる。加えて、または代わりに、洗浄水を、洗浄水として使用する前に二酸化炭素の添加後のある期間経過してもよく、例えば、炭酸化洗浄水を、洗浄水の炭酸化後1、2、5、10、20、30、40、60、80、100、120、150、180、240、300、360、420、もしくは480分、または、7、8、9、10、12、18、もしくは24時間、または1.5、2、3、4、5、もしくは6日以内、および/または洗浄水の炭酸化後0、0.5、1、2、5、10、20、30、40、60、80、100、120、150、180、240、300、360、420、480、もしくは540分、または8、10、12、18、24時間、または1.5、2、3、4、5、6、7、8、10、12、もしくは14日以上;例えば、洗浄水の炭酸化後、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも3日、または少なくとも5日で混合水として使用することができる。
【0032】
洗浄に用いる水は、清浄水または再生洗浄水であってもよい。ある特定の態様において、トラックを洗浄するために用いる水を、洗浄工程の前および/またはその間、すなわち、洗浄水が再生利用タンクに入る前に炭酸化してもよい。コンクリートトラックは、典型的には、洗浄時に10〜15分の混合を行う。二酸化炭素は、例えば、トラックへの途中(新鮮水投入)、または沈殿池/再生利用システムポンプから(再生水投入)の水ポンプラインに注入することができる。
【0033】
加えて、または代わりに、トラックを空にし、洗浄のためにトラックに水を加えた後、二酸化炭素をトラックに加えることができる。二酸化炭素はスラリーと反応し、二酸化炭素は「セメントを休眠させる」(例えば、本明細書で概説するとおり、大部分または全ての有害な反応を停止または遅延させ、ほとんどまたは全ての有害な物質と反応する)ことができる。ある特定の態様において、スラリーを新しいバッチで再使用することができる。ある特定の態様において、スラリーをトラックから出す必要さえない。二酸化炭素を、固体、液体、もしくは気体、またはその組み合わせとして加えることができる。例えば、二酸化炭素を固体として加えてもよい。ある特定の態様において、二酸化炭素を、液体二酸化炭素が大気圧に放出されるときに生成する固体と気体の混合物として加える。導管は液体二酸化炭素を容器から、気体および固体への所望の変換を引き起こすように構成された注入器へと運ぶ。気体および固体二酸化炭素の混合物は、レディーミクストラックのドラムに向けられる。加える二酸化炭素の量は、例えば、トラックに残されたコンクリートの典型的な残量に基づく所定の量であってもよい。加える二酸化炭素の量は、洗浄水の状態に応じて、例えば、二酸化炭素が洗浄水の成分と混合して反応する際のpHに応じて、調節してもよい。この方法を用いて、ミキサーから洗浄水を排出する必要をなくすことが可能である。これにより、生成するコンクリートの次のバッチで洗浄水を混合水として使用することができ、残留プラスチックコンクリートの硬化を防止することができる。ある特定の態様において、処理は洗浄水の安定化を可能にし、したがって少なくとも0.5、1、2、3、4、5、6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、86、もしくは92時間後、および/または12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、86、92、もしくは104時間以内に、次のバッチのための混合水として使用することができる。二酸化炭素処理は、単独で用いてもよく、または洗浄水を安定化し、Recover, GCP Applied Technologies, Inc., Cambridge, Mass.、または類似の混和材料などの再使用を可能にするように設計された他の処理と共に用いてもよい。
【0034】
ある特定の態様において、洗浄水を、混合水としての使用の前に循環させる。例えば、炭酸化した洗浄水の一部または全部を循環(例えば、混合および/もしくは反応を助け、またはかき混ぜ、または撹拌するなどのために、1つまたは複数のループを貫流)させてもよい。この循環は、水を使用前に保持する際に、持続的または断続的に行ってもよい。ある特定の態様において、洗浄水を、混合水として使用する前に保持する時間の少なくとも5、10、20、50、70、80、90、95、もしくは99%、および/または10、20、50、70、80、90、95、99もしくは100%以内で循環させる。
【0035】
多くの異なる洗浄水を、典型的には、使用または廃棄するまで、例えば保持タンク内で混合し、保持することが理解されるであろう。洗浄水の炭酸化は、保持タンク内に入れる前、その間、もしくは後、またはその組み合わせで行ってもよい。所与の操作由来の洗浄水の一部または全部を炭酸化してもよい。また、1つのバッチのコンクリート由来の洗浄水を炭酸化し、次いで貯蔵せずにその後のバッチで直接使用することも可能である。一般に、タンクは、沈殿が生じないように水の循環を可能にするよう装備または改造され、洗浄水が炭酸化される際に洗浄水中の材料の再使用を可能にする。
【0036】
洗浄水を炭酸化するために、任意の適切な方法または方法の組合せを用いてもよい。洗浄水を容器内に保持し、混合中に二酸化炭素雰囲気に曝露してもよい。二酸化炭素を、任意の適切な方法により;例えば、バブリングマットを使用することにより、または代わりに、もしくは加えて、洗浄水の表面下に1つまたは複数の開口部を有する1つまたは複数の導管を介して二酸化炭素を導入することにより、混合水に通気してもよい。導管は、タンク内に沈降するスラッジの上方にあるように配置し、ある特定の態様において、沈降をあまり妨げないように調節してもよい。触媒を、炭酸化中の洗浄水中の1つまたは複数の反応を加速するために用いてもよい。ある特定の態様において、液体二酸化炭素注入を用いる。気化器をタンク内に設置することができ、液体二酸化炭素を気体に変換し、そのために水から熱を引き出し、それによって水を冷却する。例えば、気体を確実に上部に上昇させ、ノズルから押し出すように構成された、一連の金属管を水に沈めてもよい。パイプは垂直方向に設置するが、水中の熱容量および移行率が空気よりもはるかに高いので、空気中で作動する低温二酸化炭素熱交換器に通常存在するフィンは必要ないこともある。
【0037】
インペラブレード
ある特定の態様において、二酸化炭素を、特別に設計された撹拌機のブレードを通して注入することにより、スラリータンクに加える。水処理産業において公知のとおり、急速な混合動作を促進するために、混合羽根の後方に乱流、渦、真空ポケットおよび高い剪断力を生成するように設計された急速混合様式のブレードを使用することができる。例えば、P4 Pitch Impeller Bladeなどの、Dynamix Inc., 14480 River Road, Unit 150, Richmond, British Columbia, Canada V6V 1L4によって供給されるブレードを参照されたい。これは単なる例示であり、当業者であれば、ピッチブレードインペラまたは翼形インペラなどの、様々な種類を使用し得ることを理解するであろう。
【0038】
ブレードエッジに沿った特定の位置で二酸化炭素を注入することにより、混合動作および接触時間を増大させることができる。ブレード動作は、二酸化炭素の気泡をプカプカと表面に向かわせるのではなく、より混合を受けさせる。適切な孔径を選択することにより、微細な分散気泡を確保することができる。孔が塞がれないことを確実にするようにすることが重要である。スラリーが撹拌されていないときには、タンクの底部の多孔ホースの上に固形物が沈降するが、撹拌機ブレードの孔はタンクの底部になく、沈降固形物によって覆われる。さらに、沈降物の垂直の蓄積を避けるために、撹拌機の構成要素の側面または底部に孔を配置することができる。
【0039】
オーガー
オーガーを混合に使用する池において、注入はオーガーシャフトの中心軸を通してであり得る。ある特定の態様において、実用性を確保し、かつ、蓄積の発生を低減するために、端部にガス分配ノズルを有する伸縮式の注入パイプを、混合オーガーシャフトの中心軸を通して送ることができる。二酸化炭素を、例えば、制御システムがそれを要求するときに注入することができ、次いで、システムが二酸化炭素の量が十分であると判定したときに、注入器は水の外に後退することができる。または、伸縮式の注入器をシャフトを通して送らないが、シャフトは単に中空である。二酸化炭素を混合オーガーシャフトの中心を下に注入することができる。注入点の開口部は、微細に分散した気泡の形成を促進し得る。いずれにしても、注入器のノズルの位置、方向、および注入速度は、それらが通常の混合を妨げることなく、沈殿が生じないようなものである。
【0040】
水中ポンプ
適切に効率的または強力なポンプは、スラリーを循環させることができ、またいくつかの場合には、スラリーをコンクリートバッチ処理工程に送ることができる。二酸化炭素は、例えば、混合を最大にするように選択した位置で、または、例えば、吸引がハウジング内にガスを導くことを可能にするために、取入れ口のすぐ下で、インペラハウジング内への注入を介して、ポンプにより統合することができる。インペラブレードは、二酸化炭素/廃水混合物を混合して加圧し、二酸化炭素のより良好な取り込みを提供し、かつ長いホースを通してスラリーをポンプで送る。ホース内の移送は、取り込みを促進するための追加の時間を提供する。スラリーは、タンク内に逆流させることができ、またはバッチ工程に直接ポンプで送ることができる。
【0041】
CO2注入量は、スラリーの流量/密度に関連し得る。ループを通る1サイクルが、所望の程度の二酸化炭素取り込みを提供するには不十分である場合、それは、所望の量のCO2が吸収されるまで、同じループを通して、または、例えば、2次的な、より小さなポンプを介して、別のループを通して再循環させることができる。
【0042】
二酸化炭素の注入は、インペラ近傍で行うことができる。二酸化炭素の注入は、ポンプ自体の近くまたは配管内の任意の点で、排出配管内で行うこともできる。二酸化炭素注入は、単一または複数の注入点で達成することができ、二酸化炭素は、流動の方向に対して90度または任意の適切な角度で注入することができる。二酸化炭素の流出を上昇する液体流と平行にすると、二酸化炭素の浮力が洗浄水を上方に移すにつれて、液体流量を増加させることになる。
【0043】
エダクタノズル
ある特定の態様において、1つまたは複数のエダクタノズルを用いる。エダクタノズルは当技術分野において周知である。エダクタノズルは混合し、撹拌して、全体的な水流量を増加させ、したがって、より小さなポンプが十分な水を動かすことを可能にして、沈殿を防止するのに十分な混合を確実にする。ノズルは、第1ステージのノズル内への高圧を可能にして速度を増大させ、次いでエダクタは、低圧を生成し、加えた液体を流動に引き込み、より高い体積のより低い速度出力を可能にする、高速流動のベンチュリ効果を提供する。そのようなノズルは、例えば、Bete Ltd., P.O. Box 2748, Lewes, East Sussex, United Kingdomによって供給される。そのようなノズルは、その動作中に二酸化炭素注入を組み込むことができる。二酸化炭素を溶液(過飽和二酸化炭素水、本出願中の他所を参照されたく、例えば、Gaia USA Inc., Scottsdale, Arizonaによって供給される)中にナノバブルとして注入する場合、粗い気泡に作用する浮力が回避され得る。ポンプが戦略的に配置され、十分な流量を提供するとの条件で、これを混合のために使用することができる。
【0044】
ある特定の態様において、ポンプがじゃまにならない位置にあり、かつ必要な混合動作を妨げない限り、混合ブレードおよび排水ポンプのエダクタとの組み合わせを用いてもよい。水および二酸化炭素の排出(エダクタ)は、ブレード混合動作を妨げない位置にある。ほとんどのリクレーマのブレードは材料を下方に押すため、混合の促進を助けるために、ブレードの軸の近くのポンプ水/二酸化炭素を排出することが好ましい。ある特定の態様において、統合された混合および注入工程を用いる:戦略的に配置したエダクタノズルを用いて、水を炭酸水し、十分な流体流量を維持することができる。エダクタに、本明細書に記載のとおり、いくつかの方法で二酸化炭素を組み込むことができるポンプによって供給する。既存の洗浄水沈澱池を改造するために、一連のエダクタを、池を混合するように構成することができる。エダクタ構成が、懸濁固形物の沈降速度よりも高いタンク内の水流を確実に維持することが重要である。
【0045】
ヘッドスペース統合
処理容器が密閉容器である場合、ヘッドスペースから注入ハードウェアにガスを再循環させることにより、効率を高めることができる。気泡は液体を通って上昇してヘッドスペースに加わるため、そのようなアプローチは、二酸化炭素分子が溶解し、反応するさらなる機会を可能にする。この工程は、ヘッドスペースのガスの二酸化炭素および圧をモニターすることができる。所定の一定量の注入二酸化炭素に対し、二酸化炭素の含有量および圧は最初は増加することになる。反応が進行するにつれ、二酸化炭素濃度および圧は低下する。これは、別の二酸化炭素供与を引き起こす信号であり得る。供与の効率は吸収に直接応答する。
【0046】
過飽和二酸化炭素
一定の場合に、水の二酸化炭素含有量が、二酸化炭素が正常に飽和している同じ条件下の同じ水と比べて、通常の飽和を超えて、例えば、通常の飽和を少なくとも10、20、30、40、50、70、100、150、200、もしくは300%超えて、または10、20、30、40、50、70、100、150、200、300、400、もしくは500%以下で超えて増加するように、混合水、例えば、洗浄水を二酸化炭素で処理してもよい。通常の飽和は、例えば、二酸化炭素ガスとの接触以外に水を操作することなく、飽和が達成されるまで、二酸化炭素を水、例えば、洗浄水を通して通気させることによって達成される飽和である。水を処理して、通常の飽和レベル以上に二酸化炭素濃度を増加させる方法については、例えば、米国特許出願公開第2015/0202579号を参照されたい。
【0047】
ある特定の態様において、本発明は、実質的に「そのまま」で、すなわち、固形物を除去するために沈降させることなく、洗浄水の使用を可能にする。洗浄水の炭酸化は、高比重であっても、混合水としてのその使用を可能にする。
【0048】
この技術は、混合水としてのグレー(洗浄)水の使用を可能にし得、ここでグレー(洗浄)水は少なくとも1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.22、1.25、1.30、1.35、1.40、もしくは1.50、および/または1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.22、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50もしくは1.60以下;例えば、1.0〜1.2、または1.0〜1.3、または1.0〜1.18、または1.0〜1.16、または1.0〜1.15、または1.0〜1.14、または1.0〜1.13、または1.0〜1.12、または1.0〜1.10、または1.0〜1.09、または1.0〜1.08、または1.0〜1.07、または1.0〜1.06、または1.0〜1.05、または1.0〜1.04、または1.0〜1.03、または1.0〜1.02、1.01〜1.2、または1.01〜1.3、または1.01〜1.18、または1.01〜1.16、または1.01〜1.15、または1.01〜1.14、または1.01〜1.13、または1.01〜1.12、または1.01〜1.10、または1.01〜1.09、または1.01〜1.08、または1.01〜1.07、または1.01〜1.06、または1.01〜1.05、または1.01〜1.04、または1.01〜1.03、または1.01〜1.02、または1.02〜1.2、または1.02〜1.3、または1.02〜1.18、または1.02〜1.16、または1.02〜1.15、または1.02〜1.14、または1.02〜1.13、または1.02〜1.12、または1.02〜1.10、または1.02〜1.09、または1.02〜1.08、または1.02〜1.07、または1.02〜1.06、または1.02〜1.05、または1.02〜1.04、または1.02〜1.03、または1.03〜1.2、または1.03〜1.3、または1.03〜1.18、または1.03〜1.16、または1.03〜1.15、または1.03〜1.14、または1.03〜1.13、または1.03〜1.12、または1.03〜1.10、または1.03〜1.09、または1.03〜1.08、または1.03〜1.07、または1.03〜1.06、または1.03〜1.05、または1.03〜1.04、または1.05〜1.2、または1.05〜1.3、または1.05〜1.18、または1.05〜1.16、または1.05〜1.15、または1.05〜1.14、または1.05〜1.13、または1.05〜1.12、または1.05〜1.10、または1.05〜1.09、または1.05〜1.08、または1.05〜1.07、または1.05〜1.06の比重である。ある特定の態様において、本発明の方法および組成物は、混合水としてのグレー(洗浄)水の使用を可能にし、ここでグレー(洗浄)水は少なくとも1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、または1.20の比重を有する。本発明の方法および組成物は、洗浄水が、その後のバッチにおいて混合水として使用するのに適切であるために、炭酸化以外に洗浄水をさらに処理する必要性を低減または排除することができる。ある特定の態様において、グレー(洗浄)水を炭酸化した後、これを5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%以下の残存固形物を除去したコンクリートのその後のバッチで使用する。ある特定の態様において、残存固形物をまったく除去しない。炭酸化洗浄水は、その後のコンクリートバッチでの使用前または使用中に、非洗浄水、例えば、通常の混合水と組み合わせて、バッチで使用する水の全量を提供してもよく;ある特定の態様において、炭酸化洗浄水は、バッチで使用する水の全量の少なくとも5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、95、または99%を構成し;ある特定の態様において、バッチで使用する水の全量の100%が炭酸化洗浄水であり、ただし設備を洗浄するために使用する水は除外し、いくつかの場合には、コンクリート混合物の打設前または打設中の作業で添加した水は除外する。
【0049】
コンクリート混合物中の洗浄水、特に炭酸化洗浄水の使用は、打設後の1つまたは複数の時点で、得られるコンクリート組成物の強度の増強、例えば、炭酸化洗浄水を含まない同じコンクリート混合物と比較して、1日、7日、および/または28日の時点で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、または25%の圧縮強度の増大をもたらすことが多い。この初期強度の増大、ならびにそれに加えて、または代わりに、その後の混合物中のセメント混合材料の一部に取って代わることができる炭酸化洗浄水中のセメント混合材料の存在は、炭酸化洗浄水を含まない同じ混合物で使用するよりも、炭酸化洗浄水を含む混合物中でより少ないセメントの使用;例えば、混合物中、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、22、25、30、35、または40%少ないセメントの使用を可能にすることが多く、ここで混合物は打設後の時点、例えば、1、7、および/または28日の時点で、炭酸化洗浄水を含まない混合物の圧縮強度の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、30、40、または50%以内、例えば5%以内、または7%以内、または10%以内である圧縮強度を保持する。
【0050】
加えて、洗浄水の炭酸化は、そうでない場合には適していない一定の経過時間の洗浄水、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、または15日経過した洗浄水の使用を可能にすることができる。炭酸化した洗浄水は、そうでない場合には、使用するのに十分なワーカビリティのないコンクリート混合物を生成する経過時間で、コンクリートにおいて使用し得る。
【0051】
CO2処理は、いくらかの量のナノ構造材料を含む可能性のある炭酸化反応生成物を生成する。洗浄水中の炭酸化生成物、例えば、炭酸カルシウムのうち、少なくとも1、2、5、7、10、12、15、20、25、30、25、40、45、50、60、70、80、または90%がナノ構造材料として存在し得、かつ/または5、7、10、12、15、20、25、30、25、40、45、50、60、70、80、90、95、または100%以下がナノ構造材料として存在し得る。本明細書において用いられる用語「ナノ構造材料」は、最長寸法が500nm以下、ある特定の態様では400nm以下、ある特定の態様では300nm以下、およびある特定の態様では100nm以下である、洗浄水構成要素の二酸化炭素との反応の固形生成物を含む。
【0052】
洗浄水の二酸化炭素処理は、例えば、NMRによって測定されるとおり、アルミニウムおよびケイ素架橋の配位環境に関して非処理洗浄水とは異なる固形材料をもたらし得る。理論に束縛されるものではないが、洗浄水の二酸化炭素処理は、粒子の周りに炭酸塩シェルを形成することができ、このシェルは、その中に含まれる相に阻害効果を有し、恐らくは溶解を物理的に阻害する可能性があると考えられる。
【0053】
CO2処理は、二酸化炭素が洗浄水の構成要素(典型的にはセメントまたは補助的セメント混合材料)と反応するため、二酸化炭素を捕捉するさらなる利点を有し、また、洗浄水を新しいコンクリート混合物に添加すると、混合物中のセメントとさらに反応してさらなる二酸化炭素捕捉生成物を生成する、溶解した二酸化炭素/炭酸/炭酸水素塩として存在するさらなる利点を有する。ある特定の態様において、洗浄水に加えた二酸化炭素は、洗浄水中のセメントの少なくとも1、2、5、7、10、12、15、20、25、30、25、40、45、50、60、70、80、もしくは90重量%(bwc)の二酸化炭素、および/または洗浄水中のセメントの2、5、7、10、12、15、20、25、30、25、40、45、50、60、70、80、90、95、もしくは100重量%(bwc)以下の二酸化炭素に相当する、洗浄水中の生成物をもたらす。
【0054】
態様は、タンク内で、洗浄水が生成した直後に、および/または、グレー水をバッチ処理のために積載しているときに、CO2を適用することを含む。
【0055】
代わりに、または加えて、グレー(洗浄)水の炭酸化は、混合水として時間経過した洗浄水、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日経過した洗浄水の使用を可能にし得る。
【0056】
二酸化炭素源は、任意の適切な供給源であり得る。ある特定の態様において、二酸化炭素の一部または全てをセメントキルン操作、例えば、コンクリート製造施設に近接した1つまたは複数のセメントキルン操作、例えば、コンクリート製造施設で使用するセメントを製造する1つまたは複数のセメントキルン操作から回収する。ある特定の態様において、洗浄水を、コンクリート洗浄水が生成されるコンクリート洗浄ステーションまたは同様の施設から、セメントキルンまたは発電プラントに移送し、セメントキルンまたは発電プラントからの排ガスを使用して洗浄水を炭酸化する。セメントキルン排ガスまたは発電プラント排ガス中の二酸化炭素濃度は十分であり得、洗浄水を炭酸化するために追加の二酸化炭素を必要とせず;また、洗浄水への曝露前に排ガスを完全に処理する必要がない可能性もあり;すなわち、セメントキルンおよび発電プラント排ガスは、二酸化炭素を含むことに加えて、排ガスを大気に放出する前に、SOx、NOx、水銀、揮発性有機物、および除去するか、または許容可能なレベルにする必要のある他の物質を含み得ることが理解されるであろう。ある特定の態様において、排ガスを、洗浄水に曝露する前に、これらの物質の1つまたは複数を除去するか、またはそれらを許容可能なレベルにするように処理する。ある特定の態様において、これらの物質の1つまたは複数が、洗浄水に接触する際に排ガス中に残存し、洗浄水に接触した後、排ガス中の物質の量が減少し、その結果、その物質のさらなる処理が低減または排除される。例えば、ある特定の態様において、排ガスはSOxを含み、排ガスによる洗浄水の処理は、排ガス中のSOxの量を減少させ(例えば、不溶性硫酸塩の形成により)、したがって洗浄水処理後の排ガスはSOxを除去するための処理の必要が低減するか、なくなる。加えて、または代わりに、NOx、揮発性有機物、酸、および/または水銀の1つまたは複数を、洗浄水と接触させることにより、排ガス中で減少させてもよく、その結果、物質に対する排ガスの処理の必要性が低減または排除される。排ガスによる処理後、炭酸化洗浄水を、それが製造されたのと同じ施設、および/または異なる施設のいずれかの、コンクリート製造施設に移送し、施設でコンクリートを製造する際に、例えば、混和材料として使用して、例えば、洗浄水中にセメントがあることにより、コンクリート中のセメントの必要性を低減してもよい。
【0057】
洗浄水を、例えば、炭酸化されているときにモニターしてもよい。本明細書に記載の任意の適切な特性を使用して、洗浄水への二酸化炭素送達を変更するかどうかを決定してもよい。1つの好都合な尺度はpHである。例えば、ある特定の態様において、pH8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、または7.0未満の炭酸化洗浄水が、例えば混合水として使用するのに望ましい。pHをモニターし、例えば、混合水としての使用の前に、適切なpHまたは適切な範囲内のpHにしてもよい。例えば、pHは少なくとも6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、もしくは8.5、および/または6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.7、9.0、9.3、9.5、9.7、10、10.3、10.5、10.7、11.0、12.0、もしくは13.0以下であり得る。
【0058】
加えて、洗浄水中、例えば、保持タンク内のガス流量は、供給速度が吸収/反応速度を超えるのに十分高いレベルまで増大しないことが望ましく;これが起こった場合、典型的には、洗浄水の表面で泡が観察される。供給速度が吸収/反応速度以下である場合、洗浄水の表面に泡は観察されない。吸収および反応の速度は、経時的に変化し得、例えば、より多くの粒子が反応生成物と反応するかまたは反応生成物でコーティングされるにつれて低下する。したがって、二酸化炭素流量を調節するための指標として気泡の出現を用いてもよく、適切なセンサを用いて気泡が出現しているかどうかを判定してもよい。代わりに、または加えて、洗浄水表面の上方の空気の二酸化炭素含有量を、適切なセンサを用いてモニターしてもよく、表面上方の空気中の二酸化炭素が一定の閾値濃度に達したときに、洗浄水への二酸化炭素の送達を調節する、例えば、送達を遅くする、または停止するための信号として用いてもよい。濃度変化の割合も、二酸化炭素流量を調節するための指標として使用することができる。
【0059】
水を撹拌して固形物の沈降を防止するタンクでは、最小量のエネルギーを使用して、固形物が懸濁されたままの十分な動きのパターンで水を動かすことが望まれるため、特に、気泡の形成は最小限にするか、または避けるべきであり;タンクの全体の流動パターンのどこにあろうと、表面に自動的に上昇する気泡は、流動を妨害し、十分な撹拌のために多くのエネルギーを必要とし得る。例えば、オーガーを撹拌に使用する保持タンクにおいて、本発明のシステムは、二酸化炭素を導入する再循環ループにタンクから水を引き込みうる。導入の速度、ループの長さ、および他の関連する因子は、水がタンクに戻される前に、二酸化炭素が水に吸収され、かつ/または水の成分と反応するように操作する。二酸化炭素は、ループの近く、またはその出発点でループに投入して、二酸化炭素が吸収および/または反応するために距離が最大となるようにすることができる。また、タンク内の下方の位置に炭酸化水を注入することも有利である。
【0060】
モニターするのに有用であり得るさらなる特性には、洗浄水の温度(二酸化炭素のセメント製品との反応は典型的には発熱性である)、洗浄水のイオン濃度、洗浄水の電気伝導度、および/または洗浄水の光学的特性(例えば、二酸化炭素が洗浄水の色を変化させ得ることが観察された)が含まれる。これらの特性の1つまたは複数のための適切なセンサを、本発明の装置に含めてもよい。本明細書に記載の他の特性およびセンサもまた適切である。
【0061】
組成物は、コンクリート製造現場から洗浄水を含む洗浄水容器に延びる導管に機能的に接続された二酸化炭素源を含む、洗浄水操作におけるコンクリート洗浄水を炭酸化するための装置であって、導管の1つまたは複数の開口部が、容器内の洗浄水の表面もしくはその下、または両方に二酸化炭素を送達するように配置されている装置と、炭酸化洗浄水がコンクリート混合物中の混合水として使用されるコンクリート混合操作に炭酸化洗浄水を移送するためのシステム、例えば、洗浄水容器から炭酸化洗浄水を除去し、それをコンクリート混合操作に移送するするように配置し得る第2の導管などのシステムであって、炭酸化洗浄水を、コンクリートバッチ用の混合水の一部または全部として使用するシステムとを含む。一般に、二酸化炭素を、本明細書の他所に記載のとおり、洗浄水タンクに直接送達するが、いくつかの態様において、炭酸化をタンクの外部で行い、炭酸化水をタンクに戻す。装置は、少なくとも部分的に、洗浄水または洗浄水操作の1つまたは複数の特性に基づいて、二酸化炭素の送達を変更するかどうかを決定するコントローラをさらに含んでもよい。この特性には、洗浄水のpH、洗浄水への二酸化炭素の送達速度、洗浄水容器内の洗浄水の総量、洗浄水の温度、洗浄水の比重、洗浄水中の1種類または複数種類のイオンの濃度、洗浄水の経過時間、洗浄水の循環速度、洗浄水の循環のタイミング、表面上の気泡、表面上方の空気の二酸化炭素濃度、光学的特性、電気的特性、例えば、導電性、またはその任意の組み合わせのうちの1つまたは複数が含まれ得る。1つまたは複数のセンサを用いて、洗浄水の1つまたは複数の特性をモニターしてもよく;加えて、または代わりに、手動測定、例えば、比重、pHなどの手動測定を定期的に行ってもよい。装置は、洗浄水への二酸化炭素の送達、または洗浄水の別の特性、または両方を変更するための、コントローラに機能的に接続された1つまたは複数のアクチュエータをさらに含んでもよい。装置は、持続的または間欠的に循環または撹拌することなどによって、洗浄水を動かすためのシステムを含んでもよい。組成物は、二酸化炭素を二酸化炭素源に送達するための送達システムをさらに含んでもよく、ここで二酸化炭素の一部または全部は、コンクリート製造現場に近接するセメントキルン操作、例えば、コンクリート製造現場で使用するセメントの一部または全部を生成するセメントキルン操作由来である。
【0062】
ある特定の態様において、固形物を、例えば、ろ過によって、炭酸化洗浄水から除去する。これらの固形物は、主に炭酸化セメント粒子を含み、さらに処理する、例えば、乾燥させることができる。次いで、乾燥した固形物を、例えば、新しいコンクリートバッチで再使用することができる。
【0063】
レディーミクストラック、リクレーマ、および/またはラインにおける洗浄水の炭酸化
ある特定の態様において、コンクリート洗浄水を、レディーミクストラックのドラム内で、および/または保持タンクに到達する前、例えば、リクレーマにおける循環中、もしくはリクレーマと保持タンクとの間のラインにおいて炭酸化する。
【0064】
典型的な操作において、レディーミクストラックにバッチ処理施設で積載し;載荷は部分載荷または満載であってもよい。満載量は、トラックのサイズに応じて、数立方メートル、例えば、8m3であってもよい。しかし、載荷のサイズに関わらず、ドラムの大部分、いくつかの場合には事実上全て、およびドラムの内部構成要素(例えば、フィンなど)は、湿潤セメントと接触する。次いで、載荷を現場で放出し、トラックは、通常はバッチ処理施設の洗浄施設に戻り、そこでさらなるバッチ処理の前に洗浄する。現場で載荷を放出した後、トラック上の容器(典型的にはサドルバッグと呼ばれる)で運ぶ水の一定量を現場で、および洗浄ステーションに戻る間に、トラックに放出し、トラック内で混合して、トラックを洗浄ステーションで洗浄する前の時間に湿潤コンクリートが硬化するのを防止することができる。次いで、洗浄ステーションでドラム内に追加の水を、噴霧および混合しながら導入し、ドラムの内部を完全に洗浄し、次いで、得られた洗浄水を、捨てるか、またはより一般的には、1つまたは複数のタンクに送って、廃棄および/または再使用の前に処理する。
【0065】
典型的には、コンクリート1m3あたり約100〜160(例えば、120)Lの洗浄水を用いてトラックを洗浄するが;前述のとおり、部分載荷は、満載量に対する載荷の割合よりも大きいトラックの部分である空トラックのコーティングを引き起こし、またいくつかの場合には、完全にコーティングされた空トラックドラムを引き起こすため、部分載荷があったいくつかの場合には、必要とされる水量のより現実的な推定は、コンクリート1m3あたり120Lよりも大きい。例えば、トラックの全容量が8m3であり、4m3の載荷を送達する場合、洗浄水の量は4×120Lより大きく、おそらく満載の場合に用いるものと同じ、例えば、8×120Lすなわち960Lになる可能性がある。任意の特定の操作について、特定のサイズの載荷および混合タイプに必要な水の量は一般に公知で、必要とされる任意の計算値で使用することができる。
【0066】
いくつかの施設では、リクレーマを、一般にはさらなるコンクリートバッチにおける再使用のために、洗浄水から骨材(例えば、砂および砂利)を分離するために使用する。洗浄水の残りは一般に、沈澱池に送ってさらなる固形物を沈降させるか、または代わりに、パドルによって懸濁し続け、ある比重に希釈し、少なくとも一部の水をコンクリート製造において再び使用し得るようにそれ以外に処理する、スラリータンクにポンプで送る。通常のリクレーマ工程において、生成した処理洗浄水の全てを、例えばコンクリート中で再使用し得るわけではなく、オーバーフローは保持池に送り、ここで従来の方法で廃棄する。
【0067】
トラックのドラムへの二酸化炭素の導入
本発明のある特定の態様において、水をドラムから出す前に、二酸化炭素をレディーミクストラックのドラム内の水に導入する。二酸化炭素は任意の形態であり得、任意の適切な方法で導入し得る。
【0068】
1)コンクリート載荷が打設された後、トラックが洗浄ステーションに到達する前の二酸化炭素の導入
例えば、炭酸化水を、サドルバッグ水および/または洗浄ステーションでの洗浄水として使用してもよい。他所に記載のとおり、過飽和炭酸化水を使用してもよい(例えば、米国特許出願公開第2015/0202579号参照)。加えて、または代わりに、固体二酸化炭素を水に導入してもよい。例えば、一定量のドライアイスを、サドルバッグ水の添加の前、最中、または後に、現場で添加し、洗浄ステーションに戻る間に、レディーミクストラックのドラム内でサドルバッグ水および残存コンクリートと混合してもよく;ドライアイスは水中で昇華し、残存コンクリート中のセメントが反応して反応生成物、例えば炭酸塩を生成する際に、安定した二酸化炭素源を提供することになる。ドライアイスは、1回供与量として、または複数回供与量、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、もしくは10回以上の供与量として、または持続的もしくは半持続的に添加してもよい。加えて、または代わりに、気体状の二酸化炭素を、1回の添加、もしくは複数回の添加として、またはドラム内に注入する二酸化炭素流として、例えば、現場からの移送時間の一部またはすべてで、ドラム内に導入してもよい。例えば、二酸化炭素ガスを、1回供与量として、または複数回供与量、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、もしくは10回以上の供与量として、または持続的もしくは半持続的に添加してもよい。二酸化炭素を、例えば、スノーホーンを用いて、気体および固体二酸化炭素の混合物として導入することもでき;これはまた、1回もしくは複数回の添加または持続添加であり得る。例えば、気体と固体との混合物としての二酸化炭素を1回供与量として、または複数回供与量、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、もしくはそれ以上の供与量として、または持続的もしくは半持続的に添加してもよい。ドライアイスを使用する態様において、セメント混合材料が反応する際に洗浄水を冷却するさらなる効果があり得る。上記の選択肢の1つまたは複数を任意の所与の載荷に対して使用し得ることが理解されるであろう。
【0069】
例えば、サドルバッグ水を添加した後、トラックが現場から洗浄ステーションに移動している間に、ドラムに二酸化炭素を加えることが可能である:1つの選択肢において、一定量のドライアイスをトラックで搬送し、サドルバッグ水を導入する時点でドラム内に導入してもよく;これは、比較的大量の二酸化炭素をドラム内に導入するための容易で便利な方法である。ドライアイスを、一定のサイズ、または一定の範囲内のサイズの断片で使用してもよく、これは、例えば、サドルバッグ水の1つまたは複数の量、混合物中のセメントの量、トラックの内部をコーティングするコンクリートの予想量、洗浄ステーションに戻る推定移送時間、二酸化炭素取り込みの所望のレベル、取り込みの効率、トラックが遭遇する可能性のある温度などによって決定してもよく、その結果、ドライアイスはコンクリート残渣、特にセメントとの反応の予想速度に適合する速度で昇華する。これは、気体状に昇華するのに近い速度で反応するため、トラックのドラム内でより多くの二酸化炭素を保持する傾向がある。第2の選択肢において、サドルバッグ水を、一般にはバッチ処理施設で、その容器に積載する前に、二酸化炭素で炭酸化、または過飽和する。容器は、使用前に必要な期間、水の炭酸化を保存するために必要に応じて改変してもよい。過飽和溶液は、比較的長い期間にわたって、導入した二酸化炭素の高いパーセンテージを保持することが判明しており;したがって、過飽和溶液を使用する場合には、サドルバッグの改変はほとんどまたは全く必要ない可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2015/0202579号を参照されたい。第3の選択肢において、気体状二酸化炭素を、サドルバッグ水の添加の前、後、またはその間に、レディーミクストラックのドラムに添加する。前述のとおり、添加は1回供与量、複数回供与量、持続的、または組み合わせであってもよい。添加する二酸化炭素の総量は、ドライアイスの場合と同じ基準に基づいて計量および調節してもよい。第4の選択肢において、固体および気体状二酸化炭素の混合物を、例えば、スノーホーンを通過した液体二酸化炭素を用いて、ドラムに添加する。供与および調節は、気体状二酸化炭素についてと同様である。これらの選択肢の任意の組合せを、必要に応じて、特定の載荷、トラック、または操作に適切に使用してもよい。
【0070】
トラックは空であるため、ドラムは、保持する任意の気体状二酸化炭素のための非常に大きなヘッドスペースを提供する。ある特定の態様において、洗浄ステーションに戻る移送中、または洗浄ステーションで、または両方で、ドラム内に二酸化炭素を保持するために、ドラムの開口部を部分的または完全に閉鎖してもよい。
【0071】
2)洗浄施設における二酸化炭素の添加
加えて、または代わりに、洗浄ステーションでの洗浄工程中に、二酸化炭素をレディーミクストラックのドラムに加えてもよい。載荷が打設された後で、かつトラックが洗浄施設に戻る前に、二酸化炭素添加のための前述の選択肢、すなわち炭酸化または過炭酸化洗浄水、ドライアイス、気体状二酸化炭素、気体と固体の二酸化炭素の混合物のいずれかまたは全てを、洗浄ステーションでの洗浄中に用いてもよい。トラックが洗浄ステーションに到達する前に、二酸化炭素がドラムにすでに添加されている場合、水の1つまたは複数の特性は、二酸化炭素の反応の程度を判定するのに有用であり得る。本明細書の他所に記載のとおり、pH、温度などの測定値は有用であり得る。次いで添加することになる追加の二酸化炭素の量は、測定値から計算することができる。
【0072】
洗浄は、1回の洗浄として行うことができ、または2回以上の洗浄に分割することができ、その1つまたは複数は炭酸化を含むことができる。したがって、洗浄は、1、2、3回、または3回以上の洗浄として行ってもよい。これらのうち、1つまたは複数が炭酸化を含んでいてもよい。洗浄を炭酸化と組み合わせて分割することにより、1回の洗浄を用いる場合よりも少ない水しか必要としないことが可能である。サドルバッグ水の添加が洗浄としてカウントされるならば、典型的には、最低2回の洗浄を用いることになる(第1はサドルバッグ水であり、第2は洗浄ステーションにおいてである)。複数回の洗浄を洗浄ステーションで用いる場合、それは3回、4回などの洗浄である。これらの全洗浄のうち、1つまたは複数が炭酸化段階を含んでもよく、例えば、1回の洗浄が炭酸化段階(例えば、現場でのサドルバッグ水の添加、または洗浄ステーションにおける洗浄段階)を含むか、または両方の洗浄が炭酸化段階を含む、全2回の洗浄(サドルバッグおよび洗浄ステーション)があり得る。もう1つの例として、1回の洗浄が炭酸化段階(例えば、現場のサドルバッグまたは洗浄ステーションでの2回の洗浄のうちの1回)を含むか、または2回の洗浄が炭酸化段階(例えば、現場のサドルバッグおよび洗浄ステーションでの2回の洗浄の1回、または洗浄ステーションでの両方の洗浄)を含むか、または3回の洗浄すべてが炭酸化段階を含む、3回の洗浄(サドルバッグおよび洗浄ステーションでの2回の別の洗浄)があり得る。
【0073】
二酸化炭素は手動、もしくは自動、または2つの組み合わせで添加してもよい。二酸化炭素を炭酸化洗浄水として添加する場合、典型的には、通常の洗浄ルーチンを使用することができ、洗浄水の一部または全部を炭酸化または過炭酸化する。トラック内のコンクリートがすでに部分的に炭酸化されている場合、例えば、洗浄施設への移動中に炭酸化された場合、二酸化炭素の所望の追加量を、おそらくは、前述の1つまたは複数の特性、例えば、pH、ならびにそれに応じて調節した炭酸化洗浄水および通常の(非炭酸化)洗浄水の量に基づいて、計算してもよい。トラック内のコンクリートが炭酸化されていない場合、以下に記載のとおりに二酸化炭素量を算出し、これに応じて炭酸化洗浄水および通常の(非炭酸化)洗浄水の量を調節してもよい。または、洗浄水を、任意の特定の計算または調節なしに、通常どおりに使用してもよい。
【0074】
いくつかの場合には、加えて、または代わりに、二酸化炭素を固体二酸化炭素として添加してもよい。したがって、ドライアイスは特定のサイズまたはサイズ範囲に調節してもよく、これを所望の量でドラムに添加してもよい。添加は、トラック運転手または他の人員による手動の追加のように、単純であり得る。
【0075】
加えて、または代わりに、二酸化炭素を気体状二酸化炭素として、または気体および固体二酸化炭素の混合物として添加してもよい。この場合、注入システムを用いる。これらの場合、一般には、二酸化炭素のための送達システムは、二酸化炭素源(例えば、液体二酸化炭素のタンク)、トラックドラム内に二酸化炭素を入れるための二酸化炭素源から注入器への導管、および二酸化炭素の注入が二酸化炭素を、一般にはドラム内の所望の位置でトラックのドラム内に導くように注入器を位置決めするシステムを含むが、いくつかの場合には、注入器の目標をドラム内に向ける以外はほとんど必要ない。システムは、複数のトラックを処理するための複数の注入器、例えば、同時に、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10以上の注入器を含んでもよい。注入器はすべて、適切な配管およびバルブを用いて、同一の二酸化炭素源を利用してもよい。典型的には、システムはコントローラも含む。
【0076】
注入器は、ドラム内への二酸化炭素の送達がドラムの開口部内に、ドラムの所望の位置で起こるように配置する。これは、トラックドライバーがトラックを指定された位置に後退させるのと同程度に単純であり得、ここで、送達システムは、それが適切に整列して、追加の調節をほとんどまたは全く行わずに二酸化炭素をドラムに注入するように配置される(例えば、注入器は、トラックが後退したときにドラムの開口部の近くに配置され、次いでトラックドライバーは注入器を最終の位置に手動で動かす必要があることもある)。ある特定の態様において、自動システムを用いて、注入器の位置決めを助けるか、または人間の介入なしに注入器を完全に配置してもよい。システムは、ドラムへの二酸化炭素の送達を開始および停止するためのアクチュエータ、例えば、バルブ、ならびにバルブと送達の開始および停止を制御するコントローラとの間の接続をさらに含む。一般に、システムは、二酸化炭素の流量を測定するシステムも含む。液体→ガスおよび固体を用いるシステムにおいて、これは、例えば、米国特許第9,376,345号に記載のシステムであり得る。
【0077】
コントローラは、トラックドライバーがトラックをベイに後退させた後に切り換えるボタンまたはスイッチと同じくらい単純であり得る。そのような「スイッチ」は、無線装置のタッチスクリーン、例えばスマートフォンなどの、任意の適切なスイッチであり得ることが理解されるであろう。流入は指定した時間持続し、次いで停止し得る。この場合も、このための最も単純な方法は、トラックドライバーがスイッチを再度押すためのものである。しかし、人為的なエラーを回避し、より細かく送達を調節するために、自動コントローラを有することが好ましく、その結果、二酸化炭素の流入はコントローラからの信号で自動的に停止する。これは、一定の時間、もしくは一定量の二酸化炭素を送達(流量および時間に由来)した後であってもよく、および/または、例えば、pH、比重、温度などのセンサによって測定可能な洗浄水の1つもしくは複数の特性に基づいて、コントローラに伝達し、次いでコントローラは所定のアルゴリズムに基づいて流入を停止または調節する。自動コントローラはまた、この点を決定するために適切な位置決めセンサを使用して、トラックおよび注入器が適切に配置されたときに、自動的に流入を開始することができる。コントローラはまた、トラックが注入器に対して適切に配置されているとき、またはトラックもしくは注入器が位置外であるときに、トラックドライバに警告することができる。
【0078】
例示的な制御システムであって、洗浄水を二酸化炭素で処理する任意の適切なシステム、特に炭酸化洗浄水を混合水として再使用するシステムにおいて用い得る制御システムは、少なくとも2、3、4、5または6つの条件などの、洗浄水ホルダおよび/またはその環境の1つまたは複数の条件に関する入力を利用し、入力を処理し、次いで、少なくとも2、3、4、5、または6つのアクチュエータ、例えば、処理に基づいて二酸化炭素の流入を調節するバルブなどの1つまたは複数のアクチュエータに信号を送る。入力には、洗浄水pH、洗浄水温度、洗浄水に接触している空気(例えば、タンク上方のヘッドスペース内の空気)の二酸化炭素含有量、および/または添加する二酸化炭素の計算量のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない。後者の場合、計算は、例えば、洗浄水の量、洗浄水中のコンクリートの既知または推定量、コンクリート中のセメントの既知または推定パーセンテージ、許容可能な終点、例えば、許容可能なpHおよび/または許容可能な二酸化炭素取り込み量に達するのに必要な既知または推定二酸化炭素取り込み量に基づき得る。したがって、1つの例示的な制御システムは、例えば保持タンクまたはリクレーマ内の洗浄水pH、温度、および/または水のすぐ上の二酸化炭素濃度を含む入力を利用する。ある特定の態様において、pH、温度、および二酸化炭素濃度の3つすべてを使用し;ある特定の態様において、pH、温度、および二酸化炭素濃度の2つを使用し;ある特定の態様において、pH、温度、および二酸化炭素濃度の1つだけ、例えば、洗浄水の上の二酸化炭素濃度を使用する。コントローラに入力し得る追加のセンサおよび/または情報には、二酸化炭素流量を決定する流量計、保持タンク内の水のレベル(このレベルは様々な条件に応じて変動し得る)を決定するセンサ、ならびに/または保持タンクに、例えばリクレーマから新しい洗浄水を送るポンプ、および/もしくは水を再循環ループに送るポンプなどの、ポンプからの情報が含まれ得る。リクレーマからのポンプの場合、ポンプは典型的には固定の流量を有し、したがってポンプがオンの時間に関する情報は、コントローラが、システムに添加された新しい洗浄水の量を決定するのに十分であり得;載荷におけるセメントの典型的な量を考慮して、コントローラは、例えば、炭酸化する材料の予想量に相当する洗浄水への二酸化炭素流量を調整し、炭酸化の需要量を先取りすることができる。代わりに、または加えて、コントローラは、他のセンサに信号、例えば、pH、温度、および/または二酸化炭素を送信して、より頻繁に値を読み取ってもよく、その結果、システムは添加された載荷に対してより迅速に調節することができる。
【0079】
追加のセンサはまた、二酸化炭素制御弁の後部の圧力をモニターするセンサ(典型的には、圧力が許容限度外である場合に警報信号を送るために用いる)、および二酸化炭素源、例えば、タンクが需要に追いつき得るかどうかを示す、流入ガスの温度のセンサを含むことができ;そのようなセンサは、そのような場合には、液体二酸化炭素の液滴が形成され得るため、需要が供給源を上回っているかどうかを示すことができる。
【0080】
例示的な一般の制御ロジックを図89に示す。このロジックでは、センサは、本明細書に記載のセンサなどの、1つまたは複数の適切なセンサであり得る。1つまたは複数の読み取り値が臨界レベルを超えている場合、システムは停止する。そうでなければ、システムは図89に示すとおりに進む。
【0081】
便宜上、システムを、3つ全てのセンサを使用する場合について記載するが;より少ないまたはより多いセンサを使用してもよいことが理解されるであろう。したがって、例示的な態様において、pHセンサ/メータ、熱電対などの温度センサ、およびCO2センサ/メータをセンサとして用いる。センサは、制御システムに、例えば、有線接続、無線接続、または組み合わせで、機能的に接続する。制御システムはまた、洗浄水の二酸化炭素添加設備と、任意に、ポンプにも接続する。プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの任意の適切な制御システムを使用することができる。制御システムは、独立型であってもよく、または洗浄水施設のための全体的な制御システムと統合されていてもよく、またはその組合せであってもよい。さらなる設備には、一方または両方が伸縮可能な第1の空気圧シリンダおよび第2の空気圧シリンダ、CO2ガス流量の測定および制御のための質量流量計、pHプローブを洗い流すための清浄水の流量を制御するための、清浄水ライン中の水ラインソレノイドが含まれ得る。システムはポンプを含み得;例示的なポンプは、固形物が沈降しないように、保持タンク内の水を撹拌するのに役立つものである。代わりに、または加えて、ポンプはリクレーマポンプを含み得る。
【0082】
洗浄水温度センサ、例えば熱電対は、システム内の洗浄水と接触する任意の場所に配置することができるが、典型的には、センサの質量が読み取りに影響しないことを確実にするように沈める。単一の洗浄水温度センサを用いてもよく、または少なくとも2、3、4、5、もしくは6つの洗浄水温度センサなどの複数の温度センサを用いてもよい。
【0083】
CO2センサを、例えば、上向きに流れる洗浄水の位置で、洗浄水表面の上方に配置する。水の表面からのCO2センサの距離は、センサが洗浄水から放出される二酸化炭素、すなわち洗浄水に接触していたが洗浄水に吸収されなかった/洗浄水と反応しなかった二酸化炭素であって、そのため洗浄水上方(ヘッドスペース)の大気に逃げている二酸化炭素を検出し得る限り、任意の適切な距離であってもよい。例えば、センサは、洗浄水表面の上方0.1〜100、もしくは1〜100、もしくは1〜50、もしくは5〜100、もしくは5〜50cm、または任意の他の適切な距離であってもよい。CO2センサが固定位置にある場合、水の表面からの距離は、例えば、追加の載荷、水の使用などから、水のレベルが変動するにつれて変動し得る。したがって、システムは、タンク内の洗浄水のレベルを感知するセンサを含んでもよい。コントローラは、表面からの距離に応じて二酸化炭素値に与えられる重みを調節してもよく、例えば、センサが表面から遠いほど、二酸化炭素はセンサがそれを読み取る前により多く蓄積しなければならず、コントローラは流量を異なる程度に調節してもよく、例えば、センサが水の表面により近い場合よりも、流量をより減らす、または異なる速度で、例えば、より速く調節してもよい。加えて、または代わりに、CO2センサを、洗浄水の表面から一定の距離、または一定の距離範囲内に留まるように構成してもよい。例えば、CO2センサはフロート上にあって、ガス感知部分はフロートの水線から一定の距離上方にあってもよく、または、例えば洗浄水のレベルの読み取り値に基づいてセンサを移動させる機構を備えていてもよい。洗浄水の表面から一定の距離を維持するための任意の他の適切な方法および装置を使用してもよい。システムは、単一のCO2センサ、または少なくとも2、3、4、5、もしくは6つなどの複数のCO2センサを使用してもよい。
【0084】
代わりにまたは加えて、タンク内の水の高さを信号で送るセンサからの入力を使用して、システムの1つまたは複数の局面を調節してもよい。例えば、水位が低い場合、変化はより急速になる傾向があり、サンプリング間の間隔を短くしてもよく、および/または二酸化炭素流量を低下させてもよい。
【0085】
pHセンサを、洗浄水pHの正確な読み取りを可能にする任意の適切な位置で使用することができる。コンクリート洗浄水に典型的な条件に耐え得る任意の適切なセンサを使用してもよい。正確な読み取り値を得、センサの汚損を防止するために、センサを、典型的には、正確な読み取り値を得、センサを汚損しないのに十分な程度に固形物を沈降させた洗浄水と接触させる。これは任意の適切な方法で行ってもよい。例えば、洗浄水の一部を、pH測定のためにタンクから取り出し、例えば、測定を行う前に沈降させてもよい。もう1つの例において、空気圧シリンダを、下向きに流れる洗浄水の位置で洗浄水中に、例えば、洗浄水中に約12インチ、または任意の他の適切な距離で、延ばすことができる。シリンダ内の水は、洗浄水全体の動きに曝されず、固形物が沈降し得る。十分な固体を沈降させるのに適切な間隔の後、例えば、少なくとも5、10、15、20、30、40、50、または60秒後、pHセンサを含む第2の空気圧シリンダを、第1のシリンダ内に延ばし、第1のシリンダ内の水のpHを読み取る。読み取りが完了した後、プローブを第1のシリンダから引き抜き、次の読み取りについて準備するための適切な処理にかけ、これは、例えば、ライン内のソレノイドの作用により清浄水ラインから放出された清浄水によるプローブの洗浄であり得る。第1のシリンダーも、サンプリング間のある時点で洗浄水から引き抜き、それにより次の読み取りのために新しい試料を得ることができる。単一のpHセンサを使用してもよく、または少なくとも2、3、4、5、もしくは6つなどの、複数のpHセンサを使用してもよい。
【0086】
センサは、制御システムに信号を送信する。様々なセンサからの読み取り値を、適切なサンプリングが行われたことを確実にするために再検討することができ、例えば、確認ロジックは、読み取り値が読み取り時間に基づいて予想される範囲内にあることをチェックし、読み取り値間の値の変化は妥当である、すなわち、高すぎたり低すぎたりしないことをチェックする。異常が検出された場合、エラー信号を送信することができ、待機ロジックは、継続した安全動作を確実にする(例えば、温度、pH);CO2センサが誤動作している場合、警報が鳴ってもよく、および/またはシステムは安全性を確保するために停止してもよい。読み取り値が適切であると判定された場合、制御システムは、CO2流量に対する任意の調節を行うべきか否かを、1つまたは複数の読み取り値に基づいて決定することができる。
【0087】
一般に、変数は適切な範囲内であることを判定し、範囲内であれば、その範囲内のどの点であるかを判定し;これは任意の適切な形態の補間法であり得る。各変数についての値は、そのまま、または重み付けされた変数として、組み合わせてもよい。各値の適切な範囲は、現場での日常的試験によって決定することができる。pHの範囲は任意の適切な範囲、例えば、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、13.0、13.2、13.4、13.6、13.8、14.0、または14.5から6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、13.0、13.2、13.4、13.6、13.8、14.0、14.5、または15.0までであってもよい。温度の範囲は任意の適切な範囲、例えば、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30℃から7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、50、52、または55℃までであってもよく;一般に、タンクは開いた状態で作動し、下限は空気温度に応じて調節してもよく、一方で上限はコンクリート製造施設によって決定されてもよく、施設は一定の温度より高い混合水を使用してはならない。二酸化炭素の範囲は任意の適切な範囲、例えば、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、または4800ppmから350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、または5000ppmまでであってもよい。タンクは一般に大気に開放されているため、下限は、典型的には、上昇している二酸化炭素の大気レベル以下ではなく、したがって、現場で、または現時点で決定する。最大上限は、作業者の安全に関する規制によって制約されることがあり、これは変動し、1000ppmという低い値であり得、または例えば5000ppmであってもよい。しかし、一般に、システムにおける二酸化炭素の使用をより効率的に制御し、廃棄を制限するために、上限は作業者の安全限界よりも低い。別の二酸化炭素センサを作業領域の現場に設置し、一定のレベルで警報を与えるように設定するか、またはシステム内への二酸化炭素供給を停止するように設定してもよい。このセンサは必ずしもシステム全体と通信する必要はなく、例えば、独立型のアラームであってもよい。
【0088】
サンプルは、一定であってもよいし、条件に応じて変動してもよい、任意の適切な間隔で採取してもよく、例えば、他所に記載のとおり、サンプリング率を、例えば、リクレーマからの載荷が感知されると高めてもよい。例示的なサンプリング間隔は、1、2、3、4、5、7、10、20、30、40、または50秒、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、または20分から2、3、4、5、7、10、20、30、40、または50秒、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、20、22、または25分までである。各サンプル時間で正確な読み取り値を得るために、いくつかの読み取り値、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、または20の読み取り値を1つまたは複数のセンサから取得してもよい。そのような読み取り値は平均してもよく、または制御システムはグループからの最も正確である可能性が高い読み取り値の選択を可能にするロジックを含む。
【0089】
pH、温度、および表面上部(例えば、ヘッドスペース)のCO2の3つすべてに基づいてCO2流量を制御する例示的な制御ロジックは、単に例示的な上限および下限(任意の適切な範囲を使用してもよい)を用い、線形補間(適切な補間を使用してもよい)を用いて、以下のとおりである:
調節可能な変数
センサ間隔(分)=5

pH(下限、LL)=7
pH(上限)=13

CO2PPM(LL)=400
CO2PPM(UL)=1000

温度C(LL)=20℃
温度C(UL)=40℃

最大流量=新しい洗浄水中で100%の取り込みを確保するために使用する構成のための現場で決定する最大流量。タンク内の水量(例えば、タンク内の水位)などの、取り込みに影響をおよぼす因子に応じて調節してもよい。
【0090】
下記は、洗浄水の状態に基づいて流量を制御するためのロジックに組み込むことができるロジックの一部である。このロジックは、単純化のために期待される最小/最大センサ読み取り値の間の最大取り込み流量の100%〜0%の線形補間を使用するが、CO2因子、pH因子および温度因子の式を変更することは、例えば、変更を支持するデータの場合、比較的単純である。全ての変数は等しい重み付けを与えられるが、これも適宜調節することができる。
【0091】
条件:
-pH<pH(LL)であれば、pH因子=0
-pH>pH(UL)であれば、pH因子=1
-pH(LL)<pH<pH(UL)であれば、pH因子=(pH−pH(LL)/(pH(UL)-pH(LL)))

-CO2<CO2(LL)であれば、CO2因子=1
-CO2>CO2(UL)であれば、CO2因子=0
-CO2(LL)<CO2<CO2(UL)であれば、CO2因子=(CO2(UL)−CO2)/(Co2(UL)−Co2(LL)

-温度<温度C(LL)であれば、温度因子=1
-温度>温度C(UL)であれば、温度因子=0
-温度C(LL)<温度<温度C(UL)であれば、温度因子=(温度(UL)−温度)/(温度(UL)−温度(LL))

流量=最大流量×((pH因子×CO2因子×温度因子)/3)
この流量式は単なる例示であり;因子の任意の適切な重み付けを使用し得ることが理解され;例示の式の場合、値を乗じるため、任意の因子に対する0の値は、二酸化炭素の流入を停止させるが、任意の適切な数値操作を用いて、所望の結果を生成してもよい。一般に、因子の組合せは1.0以上、すなわち最大流量以上であるべきではない。また、実施例のとおり、因子に応じて、上限または下限を超える因子のいずれかが、二酸化炭素の流入を停止し得ることが望ましいであろう。
【0092】
したがって、ある特定の態様において、本発明は、コンクリートミキサー内の廃コンクリートを処理する方法であって、ミキサーに水を添加してミキサーを洗浄する段階、およびミキサーに二酸化炭素を添加してミキサー内で炭酸化洗浄水を生成する段階、を含む方法を提供する。ミキサーに添加した二酸化炭素の少なくとも一部を、ミキサーの洗浄水に溶解した二酸化炭素として添加する。洗浄水中の二酸化炭素の濃度は、本明細書に記載の任意の濃度、例えば、水中少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10g/Lであり得る。過飽和洗浄水を使用する場合などの、ある特定の態様において、洗浄水中の二酸化炭素の濃度は、10g/L以上、例えば、少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、または20g/Lであり得る。加えて、または代わりに、ミキサーに添加した二酸化炭素の少なくとも一部を、固体および/または気体二酸化炭素として添加することができる。ミキサーは、任意の適切なミキサーであり得る。ある特定の態様において、ミキサーは、レディーミクストラックのドラムなどの、可搬式ミキサーである。この方法は、炭酸化洗浄水の少なくとも一部を洗浄水処理システムに移送する段階を含み得る。洗浄水処理システムは、例えば、炭酸化洗浄水を含む洗浄水を処理して骨材を除去することができる。洗浄水処理システムは、炭酸化洗浄水を含む洗浄水にさらに、または代わりに、追加の二酸化炭素を添加することができる。二酸化炭素を添加するために、本明細書に記載の方法などの、二酸化炭素を添加するための任意の適切な方法を使用してもよい。
【0093】
二酸化炭素の供与
二酸化炭素の形態にかかわらず、洗浄ステーションに戻る途中および/またはステーションで、トラック内で使用する二酸化炭素の総量は、トラック内のコンクリート混合物のセメント含有量、トラックの内側にコーティングされるコンクリートの予想量、セメントによる二酸化炭素取り込みの予想または所望のレベル、および予想される取り込み効率(例えば、トラックのドラムからの漏れによる二酸化炭素損失)によって決定してもよい。例えば、8m3の容量を有するトラックは、セメント含有量が15%のコンクリートを担持し得、載荷のサイズにかかわらず、その載荷を排出した後に、トラックに約500ポンドのコンクリートが残ることが公知であるか、または推定されている。このセメントの種類について、50%二酸化炭素bwcの最大取り込みが予想され、80%の取り込み効率が予想される。最大炭酸化のための二酸化炭素の算出供与量は、500×0.15/0.50×0.80=約188ポンドの二酸化炭素である。一般に、空のトラック内のコンクリートの量は正確には知られておらず;代替となる尺度は十分な水が添加されてスラリーを生成してすぐの洗浄水の比重であり;比重および体積から固形物の質量を計算してもよく、その量およびトラックに担持されたコンクリート混合物中のセメントの割合から、洗浄水中のセメント量を算出することができる。したがって、ある特定の態様において、(単一のトラックまたは複数のトラックの組合せ内の)洗浄水に使用する二酸化炭素の供与量は、固形物重量に対する量として表してもよく、ここでセメントおよび他の二酸化炭素反応性または吸収性材料のパーセンテージは公知であるか、もしくは推定され、かつ/または炭酸化の効率は公知であるか、もしくは推定され、例えば、固形物の少なくとも1、2、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95重量%の二酸化炭素、および/または固形物の2、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100重量%以下の二酸化炭素である。洗浄水のセメント含有量、炭酸化の予想効率などに応じて、より高い供与量、例えば固形物の100重量%以上を使用してもよい。
【0094】
本発明の任意の態様において、完全(全)供与量よりも少ない量を使用してもよい。これは、任意の理由であり得;例えば、二酸化炭素送達のための所望のまたは利用可能なシステムは、十分な二酸化炭素を送達させないか、またはコンクリートの載荷の排出と、バッチ処理施設での最終洗浄との間、もしくは洗浄とさらなる処理との間などの期間において、二酸化炭素反応を一定のレベルに維持することが望ましい。本明細書の他所に記載のとおり、時間経過した洗浄水は、所望のレベルの反応を提供するために、完全な供与量(例えば、トラック内のフレッシュコンクリートに基づいて計算した供与量)よりも少ない量しか必要としないこともある。本明細書の他所に記載のとおり、所与のトラック、載荷、および混合設計について全または完全供与量を算出してもよいが、二酸化炭素の全または完全供与量未満、例えば、完全供与量の95、90、80、70、60、50、40、30、20、または10%未満、および/または全供与量の5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、または90%以上を供与してもよい。本発明のある特定の態様において、洗浄水を処理するために使用する二酸化炭素の供与量は、炭酸化混合水を使用して(かつ混合水中の二酸化炭素からのみ計算し、その後のコンクリート混合物に添加する他の二酸化炭素を無視して)その後のコンクリート混合物に送達する二酸化炭素の全量が、その後の混合物中のセメントの2.0、1.5、1.3、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1重量%未満、例えば1.0%未満、または0.8%未満、または0.5%未満、または0.3%未満、または0.1%未満、例えば0.5%未満であるようなものである。洗浄水中の二酸化炭素の量は、例えば、洗浄水に送達される二酸化炭素の全量に、洗浄水による二酸化炭素の吸収の効率(測定または算出)を乗じ、洗浄水の体積で除することによって決定してもよい。保持タンクが複数のトラックからの洗浄水を含み、継続的に用いて混合水を提供してもよい典型的な場合には、トラックの内容物および水の使用、ならびに他の適切な尺度に基づいて、適切な調節を行ってもよい。ある特定の態様において、洗浄水中の二酸化炭素含有量(例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、炭酸、および/または溶解二酸化炭素)を、化学的または他の適切な測定によって決定してもよい。溶解しているか、またはセメント質材料との反応生成物としての、炭酸化洗浄水の二酸化炭素含有量の事実上全てが、洗浄水の炭酸化によるものであると仮定することができる。
【0095】
ある特定の態様において、全供与量、または全供与量であるように計算された供与量を、現場で、および/または洗浄ステーションへの移送中に送達してもよく;いくつかの場合には、全供与量未満が望ましい。いくつかの場合に、バッチ処理施設における試験は、二酸化炭素の取り込みが完了したかどうかを示すことができ;そうでない場合、追加の二酸化炭素を、例えば、ドラムの洗浄中または後の段階で、バッチ処理施設で添加して、全供与量または全供与量未満の所望の量を達成してもよい。ある特定の態様において、トラックがバッチ処理施設に戻るまで二酸化炭素はなしである。ある特定の態様において、部分的供与量を現場で、および/またはバッチ処理施設に戻る間に使用し、1つまたは複数のさらなる部分的供与量を、前述のとおり、例えば洗浄中または後に、バッチ処理施設で送達する。
【0096】
本発明のある特定の態様において、二酸化炭素の供与量を、主に、またはもっぱら前記方法によって決定し;例えば、いくつかの場合には、比重以外のさらなる予備試験は必要ない。いくつかの場合に、洗浄水をまったく試験する必要なしに、特に、二酸化炭素の初期供与量を試験する必要なしに、供与量を、単純に、トラックに残ったコンクリートの既知または想定量や、コンクリート中のセメントの量、およびいくつかの場合には、コンクリート中のセメントの種類、ならびに炭酸化の既知または想定効率を含む、トラックの混合設計から計算する。
【0097】
洗浄水に添加した二酸化炭素は、最初に水に溶解し、次いで炭酸水素塩、および炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)などの、反応からの様々な生成物を形成する。洗浄水中の二酸化炭素は、溶解二酸化炭素、炭酸、炭酸水素塩、および炭酸塩の形態で、洗浄水を混合水として使用するセメント中に移される。したがって、セメント混合物は、混合物中のセメントの重量パーセントとして表し得る、炭酸化洗浄水が寄与する一定量の二酸化炭素(溶解二酸化炭素、炭酸、炭酸水素塩、および炭酸塩を含む)を含むことになる。例えば、洗浄水は、固形物含有量が150,000ppm、または15%であり得、これは約1.10の比重を与える。二酸化炭素を洗浄水に添加し、洗浄水による取り込みが30%である場合、水の4.5%は主に炭酸化生成物としての二酸化炭素である。次いで、水/セメント比0.5で炭酸化洗浄水を用いてコンクリート混合物を作製する場合、コンクリート混合物中の二酸化炭素(溶解二酸化炭素、炭酸、炭酸水素塩、および炭酸塩として)の量は2.25%bwcである。これらの数は単なる例示である。洗浄水固形物含有量、取り込み効率、w/c比、洗浄水である混合水の量などは変動し得る。したがって、炭酸化洗浄水を含むコンクリート混合物中の炭酸化洗浄水によって提供される二酸化炭素の量は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12、もしくは12.5%bwc、および/または0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、9.0、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、14、15、16、17、18、19、20、22、25、もしくは30%bwc以下であり得る。例えば、本発明は、コンクリート混合物の調製法であって、(i)セメントを含むコンクリート材料をミキサーに添加する段階;混合水をミキサーに添加する段階であって、混合水は炭酸化コンクリート洗浄水を、炭酸化洗浄水によってコンクリート混合物に供給される全二酸化炭素または二酸化炭素反応生成物(二酸化炭素として表す)が少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12、も12.5%bwc、および/または0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、9.0、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、もしくは13.0%bwc以下、例えば、少なくとも0.5、1.0、1.5、もしくは2.0%、および/または2.5、2.0、1.5、もしくは1.0%以下、または例えば、2%以下、もしくは2.5%以下、もしくは3.0%以下、もしくは3.5%以下、もしくは4.0%以下;または、例えば、少なくとも0.01%bwc、もしくは少なくとも0.05%bwc、もしくは少なくとも0.1%bwc、もしくは少なくとも0.5%bwc、もしくは少なくとも1.0%bwc、もしくは少なくとも2.0%bwc、もしくは少なくとも3.0%bwc、もしくは少なくとも4.0%bwc、もしくは少なくとも5.0%bwc;または、例えば、0.01〜13.0%bwcの範囲、もしくは0.01〜12.0%bwcの範囲、もしくは0.01〜11.0%bwcの範囲、もしくは0.01〜10.0%bwcの範囲、もしくは0.01〜8.0%bwcの範囲、もしくは0.01〜6.0%bwcの範囲、もしくは0.01〜4.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜13.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜12.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜11.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜10.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜8.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜6.0%bwcの範囲、もしくは0.1〜4.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜13.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜12.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜11.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜10.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜8.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜6.0%bwcの範囲、もしくは1.0〜4.0%bwcの範囲内であるような量で含む段階;および(iii)水とコンクリート材料とを混合してコンクリート混合物を生成する段階を含む方法を提供する。全混合水中の炭酸化洗浄水の量は、本明細書に記載の量などの、任意の適切な量であってよいことが理解されるであろう。
【0098】
リクレーマにおける二酸化炭素送達およびリクレーマから池またはスラリータンクへの配管
いくつかの施設は、リクレーマを利用して洗浄水から骨材、例えば、砂および砂利を再生する。次いで、水を混合水の一部として、または洗浄水として、一般には、より多くの処理によりさらに使用してもよく;任意の残りの水は通常の方法で廃棄する。典型的なリクレーマでは、粗粒および固形物成分を有する水を工程を通じてポンピングし、砂および砂利を、例えばふるいによって分離する。次いで、水を、沈殿池、および/または再利用のためのタンクに送る。沈澱池に送った水の場合、水をタンクに移送してもよく、そこで二酸化炭素を水に加え;例えば、再循環ラインによって、二酸化炭素をライン内の水に添加し、次いでタンクに送り返すことができ;タンクがすでに存在している場合には、炭酸化装置、例えば、再循環ラインを追加してもよい。この水は、さらに、または代わりにポンピング工程中に水に添加した二酸化炭素で炭酸化または過炭酸化され得、したがって二酸化炭素が炭酸化反応中に消費されると、より多くの二酸化炭素が水に供給される。水を沈降池またはスラリータンクにポンプで送る際に、二酸化炭素をさらに、または代わりに、配管に供給することができる。最適な状況では、砂および砂利を通常通りに分離するが、例えばスラリータンク内の水は、さらなる希釈なしに、またはそうでない場合に必要とされるよりも少ない希釈で再使用可能である。例えば、この工程は、リクレーマから、例えば、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、または1.20よりも大きい比重を有する水、例えばスラリータンク内の水を生成し得るが、これは混合水としての使用に適している。これは、例えばスラリータンク内の水が、典型的には、許容可能なレベルまで比重を下げるために希釈を必要とする、既存のリクレーマとは異なる。本発明の工程において、炭酸化工程は、セメント質材料の有害な反応を停止または大幅に遅延させる一方で、第2のコンクリートバッチでの反応に利用可能なままにし、また、水のpHをより許容可能なレベルに調節するため、追加の処理はほとんど、またはまったく必要ない(必要または望まれる場合には、さらに、または代わりに、スラリータンクでの炭酸化が必要であることもある)。例えば、この工程において、固形物のろ過および/または沈殿は一般に必要ではなく;事実、本発明の方法および組成物の利点は、1つのバッチからの材料を別のバッチに再生してもよく、場合によると、より少ない材料、例えばセメントの使用を可能にし、洗浄水材料の廃棄に関連するコストを減少または排除することである。
【0099】
再生利用のための既存の施設の改造:
ほとんどのコンクリート施設はリクレーマを含まないが、洗浄水および、場合によると、洗浄水からの骨材を再使用し得ることは有益であろう。現在では、ほとんどの固形物材料は、1つまたは複数の沈澱池で沈降させるだけであり、ほとんど、またはまったく再使用せずに、定期的に廃棄する一方、沈殿池の水は、廃棄前に環境基準を満たすようにさらに処理しなければならない。代わりに、洗浄水を、池に入れる前、もしくは池にある間、または両方で炭酸化すれば、水の一部または全部を混合水として使用して、廃棄のために水を処理するのに必要とされるコストおよび設備を減少または排除し得る。加えて、骨材の一部または全部は、硬化し、無駄になる代わりに、再使用可能となり得る。
【0100】
一例として、1つの型の操作において、トラックからの洗浄水を第1のベイ内に排出し、そこで固形物は沈降し、硬化し、一般には排出される。第1のベイからの上部の水は堰を越えて第2のベイに入り、ここで、一般に、固形物をさらに沈降させ、上部の水を取り出し、多くの場合第3のベイに送り、この時点で固形物を本質的に含まないが、依然として高いpHを有する水、ケイ酸塩、カルシウムなどを廃棄のため、またはいくつかの場合には、少なくとも部分的な再使用のために処理する。現在利用可能なシステムでは、固形物が存在しない第3のベイ内での処理は、二酸化炭素によるものであり得る。本発明は、固形物が依然として存在する第1または第2のベイの改造を可能にし、それにより、沈澱池である代わりに、それは炭酸化が起こるスラリー池であり;炭酸化洗浄水は、単に廃棄するのではなく、混合水としての使用に適している。これは、撹拌機、再循環ポンプ、またはこれらの組み合わせによって行うことができ、二酸化炭素を池に直接(例えば、本明細書の他所に記載のとおり、バブルマットを通して)、または再循環ポンプのライン内、またはその両方に添加する。例えば、インペラまたはエダクタなどで二酸化炭素を添加する他の方法は、本明細書に記載のとおりである。固体二酸化炭素、または気体と固体の混合物などの、二酸化炭素添加の他の手段も、本明細書に記載のとおり、使用してもよい。
【0101】
ある特定の態様において、壁、例えば、水をノッチ(例えば、堰)を通って壁を越えて第1のタンクの領域に流す、ノッチを有する壁を第1のベイに加える。壁は、骨材などの固形物を沈降させるが、固形物が懸濁している残りの水を第1のベイの第2の部分にノッチを越えて流入させるために、第1のタンク内に区画を提供するように配置することができる。任意に、水がノッチを越えて流入する領域の体積を減少させるために、第1の壁の反対側に第2の壁を追加することができる。水は、例えば、排出ポンプまたは同様のポンプにより、領域から保持タンクにポンプで送ることができ、ここで水を、例えば、再循環ループを用いて炭酸化することができ、ここで水をタンクからパイプ内にポンプで送り、二酸化炭素をパイプ内の水に添加し、次いで、炭酸化水をタンク内に戻す。次いで、保持タンク内の炭酸化水を、その後のコンクリートのバッチで使用するために、バッチ処理プラントに戻すことができる。水への二酸化炭素の添加は、本明細書の他所に記載のとおり、制御することができる。これらの態様において、第2もしくは第3のベイを有する必要はなく、またはそれらの体積を減少させてもよい。
【0102】
改造の前は、池からの水はほとんどまたは全く混合水として再使用されず、代わりに廃棄されたが、この改造により、第1または第2の池からの水の一部または全部が、多くの場合そうでない場合に可能なものよりも高い比重で、例えば、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、または1.20よりも大きい比重で、混合水として使用可能となる。改造により、前のバッチからのセメント質材料もその後のバッチで利用可能になる(以下の計算を参照)。適切なセンサおよび制御システムを使用して、二酸化炭素の添加をモニターし、同様に、本明細書に記載のとおり、水の適切な特性をモニターして、二酸化炭素の送達を変更し、同様に混合水として使用するために水をバッチ処理システムに戻す再指示を制御してもよい。このようにして、洗浄水の100%を混合水に再生してもよく、例えば、洗浄水の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%を混合水に再生してもよい。トラックを洗浄するためにトラックに担持したコンクリート1m3あたり約120Lの洗浄水を使用する、典型的なトラック、およびコンクリート1m3あたり約130Lの水を使用する典型的な混合物のために、実際には、洗浄水の100%をその後のコンクリートのバッチに再生利用することが可能である。
【0103】
改造は、加えて、または代わりに、洗浄ステーション、もしくはトラック、または両方で、池に到達する前に炭酸化洗浄水への改造を含み得る。トラックレベルで、これは、固体、気体(溶液中または遊離)であってもよい二酸化炭素源の添加、または本明細書の他所に記載のとおり、固体および気体二酸化炭素の両方を送達するシステムを含む。例えば、必要に応じて、トラックを、そのサドルバッグが炭酸化水を保持できるように改造してもよい。バッチ処理場所を、水を炭酸化し、それをトラックサドルバッグに供給するためのシステムを含むように改造してもよい(これは、二酸化炭素源、適切な配管および注入システム、任意に、二酸化炭素で水を過飽和するためのシステム、および炭酸化水をサドルバッグに送達するための送達システム、および適切な制御システムを含む)。代わりに、または加えて、トラックを、載荷を送達した後、ドラムへの送達のためにドライアイスを運ぶためのシステムを提供するよう改造してもよく、これは断熱容器と同様に単純であり得る。バッチ処理施設は、ドライアイスのための貯蔵システムと、任意に、ドライアイスを製造するためのシステムとを含んでもよい。本明細書の他所に記載のとおり、特定の混合物または載荷のために適切なサイズ範囲のドライアイスを製造することが望まれる場合、バッチ施設またはトラック自体が、所望のサイズのドライアイスを製造するためのシステムをさらに備えてもよい。加えて、または代わりに、トラックを、二酸化炭素源、二酸化炭素を供給源からドラムに送達する導管、および典型的には、二酸化炭素のドラムへの添加を調節するための計量および制御システムを含む、トラックのドラムに気体二酸化炭素を送達するためのシステムで改造してもよい。これらの改造はすべて、センサ(例えば、本明細書の他所に記載のpHおよび他のセンサ、または最も単純な場合には、タイマー、ならびに二酸化炭素の流量を判定するためのセンサ)、プロセッサ、および所望の供与量/速度、または他のパラメータに応じて二酸化炭素の流量を制御するための1つまたは複数のアクチュエータ(例えば、バルブ)などの、適切な制御システムをさらに含んでもよい。固体と気体二酸化炭素の混合物をトラックのドラムに提供することが望まれる場合、配管が液体二酸化炭素の温度に耐え得るようなものでなければならないこと、および注入器が固体と気体二酸化炭素の所望の混合物を生成するために適切な設計のスノーホーンでなければならないことを除いて、気体と同じ基本的な装備を用いる。
【0104】
洗浄ステーションレベルで、これは、適切な二酸化炭素源、適切な導管、注入器、二酸化炭素をドラムに注入する場合には位置決め、計量、および制御システム、その方法を用いる場合には水を炭酸化または過炭酸化し、炭酸化水を洗浄ラインに送達するためのシステムを含む、洗浄ステーションで二酸化炭素を供給するための、本明細書の他所に記載の装置を含む。
【0105】
現場/移送中、もしくは洗浄ステーション、または両方で、洗浄水を炭酸化するようにプラントを改造する場合、洗浄水の十分な炭酸化が起こり得、それにより、池におけるさらなる炭酸化を追求する必要はないが;いくつかの場合に、池での追加の炭酸化が必要であることが理解されよう。加えて、打設後および移送中、ならびに/または洗浄中にトラック内での炭酸化により、トラック内のコンクリート中の骨材が再利用可能になり得る。2つの池の沈降システムの例を用いて、洗浄ステーションおよび/またはトラックが残りのコンクリートを炭酸化するように装備されている場合、第1の池の骨材材料は分離した粒子として残り、その後のバッチの骨材として用いるために、適宜、回収し、ふるいにかけることができる。この時点で水は混合水として使用する準備ができており、またはそのように使用するためにさらなる処理、例えばさらなる炭酸化を必要とすることもある。
【0106】
例えば、改造のためのさらなる可能性は以下のとおりである。
【0107】
洗浄水の撹拌は3つ以上の一般的アプローチで考えることができる。
【0108】
顧客は既存の洗浄水タンクおよび撹拌システムを有する:改造CO2処理システムは、水を、(インラインまたは別のタンクにおける)処理段階に/処理段階を通して、移動させるためのポンプを含むことができる。ポンプは、主要な撹拌源ではなく、したがって、CO2処理が開始したときに開始すればよく、センサ(ヘッドスペースの温度、pH、CO2レベル)の1つまたはすべてに基づいて制御される。
【0109】
撹拌なしの貯蔵タンク:ポンプを用いて材料をタンク内で懸濁したままに維持する。ポンプは、水を、(インライン、同じタンクまたは別のタンクにおける)処理段階に/処理段階を通して、移動させる。ポンプはいつでもオンであり、CO2をセンサロジックに基づいて開始/停止で注入する。
【0110】
顧客は撹拌なしの池を有する:CO2処理を池に合わせて改造する。ポンプを用いて、水を、(インラインまたは別のタンクにおける)処理段階に/処理段階を通して、移動させる。ポンプは、CO2が注入されている間は常にオンである必要がある。ポンプおよびCO2の開始/停止は、洗浄水供給を検査するセンサロジックによって決定される。
【0111】
加えて、二酸化炭素および/または混和材料(本明細書の他所に記載の)の洗浄水への添加位置には、様々な可能性がある。例示的な生混合操作において、トラックの載荷を排出した後、洗浄水を最初にトラックに添加して、残りのコンクリートを硬化させないようにする。この時点で、混和材料、例えば、凝結を遅延させる混和材料をトラックのドラム内の洗浄水に添加してもよい。代わりに、または加えて、二酸化炭素をトラックのドラム内の洗浄水に添加してもよい。次いで、トラックは洗浄ステーションに進み、ここでさらなる水をドラムに添加してもよい。この時点で、混和材料、例えば、凝結を遅延させる混和材料をトラックのドラム内の洗浄水に添加してもよい。代わりに、または加えて、二酸化炭素をトラックのドラム内の洗浄水に添加してもよい。次いで、洗浄水を、典型的には、保持タンクにポンプで送り、混和材料および/または二酸化炭素を、トラックからタンクへのライン内の洗浄水に添加することができる。リクレーマを使用する操作において、混和材料および/または二酸化炭素を本明細書の他所に記載のとおりに添加してもよい。いくつかの操作において、追加の保持タンクを使用してもよく、これらのうちの任意の1つまたは複数で、混和材料および/または二酸化炭素を添加してもよい。本明細書に記載のとおり、添加はタンク自体で行ってもよく、または洗浄水をタンクから取り出し、ループを循環させる再循環ラインで行ってもよく;例えば、実施例14を参照されたい。ある時点で、洗浄水を、例えば保持タンクからレディーミクストラックのドラム(または中央ミキサー)に戻して、コンクリートの新しいバッチのための混合水の一部または全部として使用する。二酸化炭素および/または混和材料をタンクからミキサー(トラックドラムまたは中央ミキサー)へのライン内に添加してもよい。
【0112】
本発明は、本明細書に記載の改造の様々な型および組み合わせに適したキットも提供する。これらは、一般には、施設での設置が容易かつ効率的であるように、すべての必要な部品および付属品と共に、改造する操作に応じて適切な構成要素およびサイズを選択する中央施設で包装し、操作へと送ることができる。
【0113】
当業者には明らかなように、改造に関する前述の議論は新しい施設の建築にも同等に適用されるが、施設を一から建築する場合には必要のない改変もあるが、必要となる改変もあることが理解されるであろう。
【0114】
洗浄水の炭酸化の利点
洗浄水の炭酸化の利点には、コンクリート操作の炭素フットプリントの減少、水の使用量の減少、廃棄物産出の低減、および再生された内容物使用量の増加が含まれる。
【0115】
本発明の方法および組成物を使用することにより、セメントのセメント品質のいくらかのパーセンテージ、例えば、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95のセメント品質を得ることが可能である。次いで、生産者は、次のバッチにおけるセメントの量を対応する量だけ減少させることができる。例えば、500ポンドの残存コンクリート、15%セメントを有するトラックを、本発明の方法および組成物によって処理し、得られたスラリーは、そのセメント質特性の80%を保持するセメントを含む。全ての洗浄水を混合水として次の混合物に移すことができる場合、次のバッチで500×0.15×0.80lb、すなわち60ポンド少ないセメントの使用が必要となる。炭酸化工程ゆえにコンクリートの残りの90%が回収可能な骨材である場合、その後の載荷において、さらに450lbの骨材を低減してもよい。これらの改善は、より低い炭素フットプリント、廃棄物産出の低減、および再生された内容物使用量の増加に貢献する。
【0116】
加えて、実施例に示し、本明細書に記載のとおり、本明細書に記載のとおりに処理した洗浄水を用いて作製したコンクリートは、非処理水を用いて作製したコンクリートよりも高い強度、特に高い初期強度を示す。したがって、炭酸化洗浄水を使用する混合物中で使用する新しいセメントは、通常の混合水を使用する同じ混合物よりも少なくてもよく、これにより、炭素フットプリントがさらに低減する。
【0117】
さらに、通常の水を用いたものであっても、セメント混合物を炭酸化することにより、得られる打設材料の強度が増大し、これに対応して、バッチにおけるセメントの必要性が少なくなる。例えば、米国特許第4,388,072号を参照されたい。炭酸化洗浄水と共に使用する場合、その結果は、相加的、または相乗的でさえあり得、したがって、両方の方法を用いて、オペレータは、炭素フットプリントを低減することができ、同時に、コンクリートの最も高価な主成分であるセメントで支出を節約することができる。
【0118】
また、本明細書に記載のとおり、本発明の方法および組成物を用いての施設における水の再使用は、劇的に、いくつかの場合には100%まで(例えば、洗浄水の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%のその後の混合物における洗浄水の再使用)増大し得、これに対応して、ここでも廃棄物産出は、いくつかの場合には100%近く低減する(例えば、非炭酸化洗浄水を使用する場合と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%の洗浄水からの廃水の減少)。これにより、洗浄水の処理および廃棄に向かうエネルギー使用が減少するため、かなりのコストの節約と、さらに炭素フットプリント減少が得られる。
【0119】
本明細書に記載の方法および組成物を使用することによって、廃棄および調節コストならびにセメントコストを低減することができる。例えば、混合水として洗浄水を用いる場合に、ワーカビリティに関連して、通常は必要とされ得る混和材料は、炭酸化洗浄水を用いる場合、減少または省かれ得ることが多い。
【0120】
多くの場合、炭酸化洗浄水は混合水として使用し得るだけでなく、洗浄水として再生することもできる。
【0121】
洗浄水の炭酸化のメカニズム。理論に束縛されることなく、二酸化炭素を洗浄水に導入すると、洗浄水のアルカリ度が高いため、速やかに炭酸アニオンに変換され;炭酸アニオンはカルシウムと反応し、懸濁セメント粒子上に被膜を形成して、洗浄水中でのその反応性を低下させると考えられる。これらは二酸化炭素により「休眠」させられ、それにより加速を低減/排除するが、後の強度に寄与する。炭酸化された洗浄水を使用する場合、変動性も低減される。
【0122】
硫酸塩
本発明者らは、本発明の方法および組成物が、炭酸化洗浄水を含む混合水を用いて作製したコンクリートバッチ中の硫酸塩含有量を良好に変化させるのを助け得ることを見出した。二酸化炭素処理した洗浄水は、過少硫酸化(undersulfated)結合材に対処するためのツールであり得る。一般に、硫酸塩に対するアルミン酸塩の比率が高いコンクリート混合物は、そのまま使用する場合には利用可能な混合物でないこともある。例えば、アルミン酸塩に寄与する補助的セメント混合材料(SCM)の使用は、適切なアルミン酸塩−硫酸塩バランスを有するセメントが、現在、過少硫酸化されたセメント混合物中に存在することを意味し得る。炭酸化洗浄水は、溶液中にかなりの濃度の硫酸塩を含み得る。炭酸化洗浄水の硫酸塩含有量が既知である場合、これを補償するために、適切な量の炭酸化洗浄水混合物を添加することができる。この場合、洗浄水は、硫酸塩が溶液中にあるため、低い固形物含有量を有し得る。
【0123】
組成物
さらに、本明細書において、炭酸化洗浄水組成物などの組成物が提供される。ある特定の態様において、本発明は炭酸化コンクリート洗浄水組成物であって、(i)コンクリート由来の洗浄水;(ii)二酸化炭素および二酸化炭素の洗浄水との反応生成物を含む組成物を提供する。洗浄水は、コンクリートミキサー、例えば、レディーミクストラックのドラムを洗い落とすために用いる水、または複数のミキサー、例えば、複数のレディーミクストラックからの洗浄水の組み合わせで、主に構成され得る。炭酸化コンクリート洗浄水中の二酸化炭素および二酸化炭素反応生成物の量は、洗浄水組成物中の固形物の少なくとも0.1、0.2、0.5、0.7、1.0、1.2、1.5、1.7、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、17.0、20.0、または25重量%;例えば、洗浄水中組成物中の固形物の少なくとも0.5重量%、いくつかの場合には洗浄水組成物中の固形物の少なくとも2重量%、例えば、洗浄水中組成物中の固形物の少なくとも5重量%、または洗浄水組成物中の固形物の少なくとも10重量%であり得る。炭酸化洗浄水の比重は、少なくとも1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.17、1.20、または本明細書に記載の任意の他の比重;例えば、少なくとも1.03、例えば、少なくとも1.05、または少なくとも1.10であり得る。炭酸化洗浄水組成物のpHは、本明細書に記載の任意のpHまたはpHの範囲、例えば、少なくとも6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、もしくは8.5、および/または6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.7、9.0、9.3、9.5、9.7、10、10.3、10.5、10.7、11.0、12.0、もしくは13.0以下であり得;例えば、炭酸化洗浄水のpHは、9.0未満、例えば8.5未満、または8.0未満であり得る。組成物は、さらに、(iii)洗浄水中のセメントではない追加のセメント、例えば、乾燥セメントおよび炭酸化洗浄水から製造されたセメント混合物をさらに含むことができる。そのような混合物は、骨材、混和材料などをさらに含むことができる。
【0124】
二酸化炭素隔離および経済的利点
本明細書に記載の方法および組成物を利用するコンクリート製造施設は、洗浄水中の固形物の再使用(したがって、一定量の新しいセメントの使用を避ける)、埋め立て処分費用の回避、および他の経済的利益により、例えば、洗浄水の一部または全部が再生されるため、追加の水処理コストが低減またはかからないことにより、かなりの年間節約を招く可能性がある。加えて、二酸化炭素の隔離/相殺がかなりあることになる。したがって、ある特定の態様において、本発明は、洗浄水、コンクリート副産物(戻りコンクリートなど)、またはその組合せを二酸化炭素で処理することによって二酸化炭素を隔離および/または相殺し、任意に洗浄水中の固形物の一部または全部を、その後のコンクリートバッチにおいてセメント質材料として再使用する方法を提供する。実施例9を参照されたい。ある特定の態様において、コンクリート施設、輸送排出、コンクリート製造および使用に関連する他の排出、またはその組合せで使用されるセメントを製造する際に生成する二酸化炭素の少なくとも0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、または15%がプロセスによって相殺される。用語が本明細書において用いられる場合の「相殺」は、回避された二酸化炭素排出の量(例えば、セメント使用低減による)、ならびに、例えば、炭酸化洗浄固形物などの一部として、実際に捕捉された二酸化炭素の量を含む。ある特定の態様において、プロセスは、コンクリート施設の年間製造コストの少なくとも0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10%の節約(例えば、載荷、コストなどの変動に対して適切に調節して、炭酸化前の期間と比較して)を提供する。相殺された二酸化炭素がさらなる収入源であり得る、炭素に対する代価、例えば、キャップ・アンド・トレードまたは炭素税がある地域では、さらなるコストの利点が実現され得る。追加の、または代わりの二酸化炭素相殺は、例えば、気体状二酸化炭素、もしくは固体二酸化炭素、または気体状および固体二酸化炭素の混合物を、例えば、3、2、1.5、1.2、1.0、0.8、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1bwc未満の供与量で、混合中のコンクリート混合物に適用することにより、施設内で製造されたコンクリートを混合中に二酸化炭素で処理することによって達成することができる。例えば、米国特許第9,108,883号および第9,738,562号を参照されたい。この処理は、コンクリート中に直接捕捉された二酸化炭素に加えて、炭酸化されたコンクリート製品は、同じ混合設計の非炭酸化コンクリート製品よりも凝結および硬化後に高い強度を有するため、非炭酸化製品よりも少ないセメントですむコンクリート製品をもたらし、結果として、非炭酸化製品よりも少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、または30%少ないセメントですむコンクリート製品をもたらすことができる。そのような場合、単にコンクリート混合物を炭酸化することによる二酸化炭素相殺は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、または30%であり得る。二酸化炭素を用いたコンクリート洗浄水処理、例えば、その後のコンクリートバッチにおける洗浄水中の固形物の一部または全部の再使用を、コンクリート施設におけるコンクリートバッチの炭酸化と組み合わせる場合、全二酸化炭素相殺は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、35、37、40、42または45%であり得る。
【0125】
混和材料
1つまたは複数の混和材料をコンクリート洗浄水および/または洗浄水で作製したコンクリートに添加してもよい。この添加は、本明細書の他所に記載のとおり、プロセス中の1つまたは複数の時点で行ってもよい。混和材料を用いるかどうか、混和材料の種類、混和材料を添加するプロセス中の時点、および/または添加する混和材料の量は、例えば、洗浄水中のセメントの種類および量に依存し得る。いくつかの場合に、コンクリートバッチからの洗浄水への二酸化炭素の添加は、炭酸化洗浄水を混合水の一部または全部として使用して作製する次のバッチの特性を変えることもある。
【0126】
結合材系における粉末の粒径の減少は、ワーカビリティを低下させる可能性がある(シリカフューム添加は例示的な例である)。CO2処理および非処理洗浄水の両方についてワーカビリティへの影響が観察され得るため、粒度分布は重要ではないかもしれない。微粒子を凝集させて、メジアン粒径を大きくし、有効比表面積を小さくするなどに有効に役立つ混和材料は、CO2による粒径減少に関連する負の影響を軽減することができる。
【0127】
沈降炭酸カルシウム(PCC)の凝集における化学物質の使用は、その外側表面が炭酸カルシウムとして効果的に挙動し得ることを考慮して、CO2処理した固形物に良好に作用する可能性がある。PCCと共に、高荷電高分子電解質は、強力な大きい凝集剤およびより高い凝集速度を生じることが知られている。架橋および電荷中和の両方が、高分子電解質により誘導されたPCC凝集で起こる。例えば、R. Gaudreault., N. D. Cesare., D. Weitz., T. G. M. van de Ven; ''Flocculation kinetics of precipitated calcium carbonate''; Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 340, p56-65, 2009 https://doi.org/10.1016/j.colsurfa.2009.03.008を参照されたい。
【0128】
理論に束縛されることなく、正に荷電した高分子電解質によるPCC凝集は2つのメカニズムを示す。ポリエチレンイミンなどの、電荷密度が高く、低モル質量のポリマーは、電荷を中和することによりPCC凝集を誘導して、静電反発力を排除することができた。しかし、ポリアクリルアミドなどの低電荷密度を有する高分子量ポリマーは、静電力と架橋力の組み合わせによってPCCと相互作用する。例えば、A. Vanerek, B. Alince, T. G. M. van de Ven, ''Interaction of calcium carbonate fillers with pulp fibres: effects of surface charge and cationic polyelectrolytes'', J. Pulp Pap. Sci., 26(9), p317-322, 2000を参照されたい。天然炭水化物、例えば、デンプン(ジャガイモ、トウモロコシ、および/またはタピオカデンプンなどの)、デキストラン、リグニンも使用することができる。デンプン誘導体グリシジルテトラデシルジメチルアンモニウムクロリド(GTDAC)も使用することができる。例えば、Y. Wei, F. Cheng, H. Zheng, ''Synthesis and flocculating properties of cationic starch derivatives'', Carbohydr. Polym., 74(3), p673-679, 2008, Y. Wei, F. Cheng, H. Zheng, ''Synthesis and flocculating properties of cationic starch derivatives'', Carbohydr. Polym., 74(3), p673-679, 2008を参照されたい。もう1つの可能性のある混和材料はペクチン(D-ガラクツロン酸のバイオポリマー)で、ここでAl3+およびFe3+の添加はペクチンの凝集効率を大幅に増大させることができた。カチオン性イオンは負に荷電したペクチンを中和して安定化し、静電引力により粒子を結合させた。例えば、H. Yokoi, T. Obita, J. Hirose, S. Hayashi, Y. Takasaki, ''Flocculation properties of pectin in various suspensions'', Bioresour. Technol., 84(3), p287-290, 2002. https://doi.org/10.1016/S0960-8524(02)00023-8 を参照されたい。
【0129】
もう1つの可能性のある混和材料は、セルロースまたはセルロース誘導体、例えば、電気立体的に安定化されたナノ結晶セルロース(ENCC);溶解カルボキシル化セルロース(DCC);立体安定化ナノ結晶セルロース(SNCC)とも呼ばれる、棒状ジアルデヒドセルロース(DAC)ナノファイバー;ジアルデヒド変性セルロース(DAMC)としての溶解DACである。ENCC/DCCは、PCC粒子との高い凝集効率を示し、静電力と架橋力との組み合わせによってPCC凝集を誘導した。ENCC/DCCは、PCC粒子が等電点に達すると、最大PCC凝集を誘導する。SNCC:SNCC粒子によって誘導されるPCCの凝集は、PCCを架橋させて、低供与量(1mg/g以上)で凝集を誘導することができる。SNCCは、PCC上への沈着後にSNCC粒子は不安定になるため、その部分的被覆率が半分の被覆率よりも多いときに、最大の凝集を誘導した。PCC粒子上の3つのSNCCおよびジアルデヒド変性セルロース(DAMC)の吸着等温線を測定した。DAMCは、異なるアルデヒド含有量を有する3つのSNCCよりも高い親和性を有し、SNCCの親和性は、反応時間とともに増大することが判明した。これは、DAMC鎖がPCC上にSNCCのナノ結晶部分よりも強力に吸着することを示す。例えば、Dezhi Chen, Theo G.M. van de Ven, Flocculation kinetics of precipitated calcium carbonate induced by electrosterically stabilized nanocrystalline cellulose, Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects, Volume 504, 2016, Pages 11-17, ISSN 0927-7757, ;https://doi.org/10.1016/j.colsurfa.2016.05.023; Chen, Dezhi. ''Flocculation Kinetics Of Precipitated Calcium Carbonate Induced By Functionalized Nanocellulose.'' (2015). PhD Thesisを参照されたい。
【0130】
もう1つの有用な混和材料は、デキストラン主鎖に結合したN-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロリド側基を有するカチオン性多糖類である。疎水性に修飾されたカチオン性デキストランの凝集性能は、その疎水性および電荷密度に強く依存し、モル質量には依存度が低かった。例えば、L. Ghimici, M. Nichifor, ''Novel biodegradable flocculant agents based on cationic amphiphilic polysaccharides'', Bioresour. Technol., 101(22), p8549-8554, 2000. Doi: 10.1016/j.biortech.2010.06.049を参照されたい。
【0131】
もう1つの有用な混和材料は、ジアルデヒドセルロースのカチオン誘導体(CDAC)である。CDACは中性および酸性懸濁液中で非常に良好な凝集性能を示し、一方、CDACはアルカリ性pHでは小さい断片に分解されるため、アルカリ性懸濁液中では低い凝集活性が観察された。例えば、Liimatainen, H, Sirvioe, J, Sundman, O, Visanko, M, Hormi, O & Niinimaeki, J 2011, 'Flocculation performance of a cationic biopolymer derived from a cellulosic source in mild aqueous solution' BIORESOURCE TECHNOLOGY, vol 102, no. 20, pp. 9626-9632. DOI: 10.1016/j.biortech.2011.07.099を参照されたい。
【0132】
もう1つの有用な混和材料は、カルボキシメチルセルロース(CMC)とポリアクリルアミドとのグラフト共重合体である。より少なく、かつより長いPAM鎖との共重合体は、より良好な凝集性能を示した。例えば、D. R. Biswal, R. P. Singh, ''Flocculation studies based on water-soluble polymers of grafted carboxymethyl cellulose and polyacrylamide'', J. Appl. Polym. Sci., 102(2), p1000-1007, 2006. doi:10.1002/app.24016を参照されたい。
【0133】
PCCの凝集動力学は、カチオン性ジャガイモデンプン(C-デンプン)、アニオン性ジャガイモカルボキシメチルデンプン(A-デンプン)、カチオン性ポリアクリルアミド(C-PAM)、アニオン性ポリアクリルアミド(A-PAM)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、PEO補助因子、PVFA/NaAA、グリオキサール化PAM(PAM-グリオキサール)、カチオン性ポリアクリルアミド(C-PAM)、およびポリアミン(Pam)ポリエリルイミン(PEI)に関連して研究されている。例えば、Gaudreault, R., Di Cesare, N., Weitz, D., & van de Ven, T. G. (2009). Flocculation kinetics of precipitated calcium carbonate. Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects, 340(1-3), 56-65. doi: 10.1016/j.colsurfa.2009.03.008を参照されたい。ポリマー誘導性の凝集中に、粒子サイズはその初期値からプラトー値に増大する。PEO/補助因子、A-PAMおよびC-PAM保持補助システムは、PCC凝集を誘導するのに非常に費用効果が高く、高いポリマー供与量で非常に大きな凝集体を生じる。C-PAM、グリオキサール化PAMおよびポリアミン凝集剤(Pam)は、フィラーの凝集をあまり誘導しない。PEO/補助因子およびC-PAMはいずれもより高い凝集速度およびより大きな凝集剤サイズを示して、処理水の清澄化のために有用であった。PEOまたは補助因子のいずれも、塩なしの単独では、PCC凝集を誘導しない。PVFA/NaAAおよびC-デンプンによって誘導されるPCC凝集体は、領域Iで供与量に対して感受性の低いフロックサイズを有する。ポリマークラスターは有効なポリマーサイズを大きくして、より大きいフロックをもたらすため、クラスター化することが知られているPEO/補助因子は、より速い凝集速度およびより大きいフロックをもたらした。A-PAMは高荷電で、PCCへの強い結合に起因する強いフロックを生じる。PAM-グリオキサール、C-PAM(乾燥強度)、およびポリアミンは、PEIと同様に分散剤として作用するため、凝集をほとんどまたは全く起こさない。
【0134】
沈降炭酸カルシウム凝集に対するカチオン性ポリアクリルアミドの効果:動力学、電荷密度およびイオン強度も研究されている。例えば、Peng, P. and Garnier, G., 2012. Effect of cationic polyacrylamide on precipitated calcium carbonate flocculation: Kinetics, charge density and ionic strength. Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects, 408, pp.32-39. doi: 10.1016/j.colsurfa.2012.05.002を参照されたい。カチオン性ポリアクリルアミド(CPAM)。PCCへのCPAMの吸着動力学は、吸着および溶解CPAM分子とCCとの間の静電およびファンデルワールス相互作用、水素結合および立体障害のバランスによって説明することができる。PCC懸濁液のイオン強度を増加させることは、CPAM分子の電荷を一貫して遮断し、その結果、塩非存在下でCPAMとPCCとの間の最初は優位な静電引力が、高いイオン強度(I=0.1)で水素結合が優位な引力にシフトした。低イオン強度(I=0.01)では、CPAMとPCCとの間の相互作用を制御する上で、静電引力および水素結合の両方が重要であった。
【0135】
固形物を懸濁状態に保持するための混和材料
ある特定の態様において、炭酸化洗浄水を1つまたは複数の混和材料で処理して、固形物がほとんどまたは全く撹拌なしで懸濁したままである混合物を生成する。これらには粘度調整剤(VMA)が含まれ得る。VMAは広範囲の異なる化学物質から構成され得る。VMAにはコロイド状シリカなどの微細な無機材料に基づくものもあれば、スチレン-無水マレイン酸ターポリマーおよび疎水性修飾エトキシル化ウレタン(HEUR)などのより複雑な合成ポリマーから構成されるものもある。より一般的なVMAは、セルロースエーテルおよびバイオポリマー(キサンタン、ウェラン、およびデュータンガム)に基づく。さらに、VMAには、S-657、ウェランガム、キサンタン、ラムサン、ジェラン、デキストラン、プルラン、カードラン、およびその誘導体などのバイオポリマー多糖類;(b)アルギン、寒天、カラゲナン、およびその誘導体などの海産ガム;(c)イナゴマメ、アラビアゴム、カラヤガム、トラガカント、ガティ、およびその誘導体などの植物滲出液;(d)グアー、イナゴマメ、オクラ、サイリウム、メスキートなどのシードガム;ならびに(e)エーテル、エステル、およびその誘導体などのデンプン系ゴム、(f)疎水性修飾アルカリ膨潤性アクリル共重合体、疎水性修飾ウレタン共重合体;ポリウレタン、セルロース、ポリアクリレート、またはポリエーテルに基づく会合性増粘剤などの会合性増粘剤が含まれる。もう1つの分類スキーム(Khayat, K.H., 1998. Viscosity-enhancing admixtures for cement-based materials - An overview. Cement and Concrete Composites 20, 171-188. https://doi.org/10.1016/S0958-9465(98)80006-1)において、VMAは様々なクラスに分類される:クラスAは、混合水の粘度を高める水溶性合成および天然有機ポリマーである。クラスA型の材料には、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどが含まれる。クラスBは、セメント粒子に吸着し、セメント粒子間の粒子間引力の増強により粘度が増大する、有機水溶性凝集剤である。クラスB材料には、カルボキシル基を有するスチレン共重合体、合成高分子電解質、および天然ゴムが含まれる。クラスCは、粒子間引力を増強し、セメントペースト中に追加の超微粒子を供給する、様々な有機材料の乳濁液である。クラスCに属する材料の中には、アクリルエマルジョンおよび水性粘土分散系がある。クラスDは、ベントナイト、シリカフュームおよび粉砕アスベストなどの、ペーストの保水力を高める高表面積の水膨潤性無機材料である。クラスEは、ペースト中の微粒子の含有量を増加させ、それにより揺変性を高める、高表面積の無機材料である。これらの材料には、フライアッシュ、消石灰、カオリン、様々な岩粉、および珪藻土などが含まれる。もう1つの分類スキームにおいて、Kawaiは水溶性ポリマーを、天然、半合成、および合成ポリマーとして分類した。天然ポリマーには、デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギネート、寒天、アラビアゴム、ウェランガム、キサンタンガム、ラムサンガム、およびジェランガム、ならびに植物タンパク質が含まれる。半合成ポリマーには、分解デンプンおよびその誘導体;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロースエーテル誘導体;ならびにアルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸プロピレングリコールなどの電解質が含まれる。最後に、合成ポリマーには、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリレートなどのエチレン系ポリマー、およびポリビニルアルコールなどのビニル系ポリマーが含まれる。いくつかの場合には、粘度調節剤を高流動化剤、例えば、ウェランガムまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水コロイド、ならびにスルホン化ナフタレン、スルホン化メラミン、修飾リグニンスルホン酸、それらの誘導体およびその混合物などの高流動化剤と共に使用することができる。したがって、洗浄水は、親水コロイドが、スルホン化ナフタレン、スルホン化メラミン、修飾リグニンスルホン酸、それらの誘導体およびその混合物などの高流動化剤中に均一に分散されている、安定な親水コロイド組成物を含むことができる。適切な親水コロイドには、ウェランガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプンなどが含まれる。次いで、混合物を、網状セルロース繊維からなるレオロジー調節剤によって安定化する。この組成物は急速に水和可能であり、多くのセメントおよび掘削流体用途において安定化添加剤として有用である。さらに有用な混和材料は、Naik, H.K., Mishra, M.K., Rao Karanam, U.M., 2009, The Effect of Drag-Reducing Additives on the Rheological Properties of Fly Ash-Water Suspensions at Varying Temperature Environment. Coal Combustion and Gasification Products 1, 25-31, doi: 10.4177/CCGP-D-09-00005.1 https://www.researchgate.net/publication/209640967_The_Effect_of_Drag-Reducing_Additives_on_the_Rheological_Properties_of_Fly_Ash-Water_Suspensions_at_Varying_Temperature_Environmentに記載されている。この場合、カチオン性界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)を、その生態系に優しい性質のために選択した。これは、機械的に分解されにくく、非常に少量で乱流に明確に影響をおよぼす可能性があることも知られている。水道水中のカルシウムイオンおよびナトリウムイオンの存在によってもほとんど影響を受けない。CTABの化学式はC19H42BrNである。界面活性剤は、例えば、LOBA Chemie Pvt. Ltd., Mumbai, Indiaから調達することができる。界面活性剤の分子量は364.46である。界面活性剤抗力低減添加剤の場合、棒状のミセル構造は、粘弾性を含む複雑なレオロジー流体特性を与えるための鍵であると考えられる。対イオンは、界面活性剤のイオン半径を減少させ、球状から棒状ミセルへとミセル形状を変形させるための試薬として作用する。これらの棒状ミセルは共に絡み合って、一定のネットワーク構造を作る。対イオンは、絡み合い点の破壊および再編成のための触媒として役割を果たす。この調査のために選択した対イオンは、例えば、LOBA Chemie Pvt. Ltd., Mumbai, Indiaから得られる、分子量160.10を有するサリチル酸ナトリウム(NaSal)(HOC6H4COONa)であり得る。
【0136】
凝結遅延剤
ある特定の態様において、凝結遅延剤を洗浄水に、洗浄水を炭酸化する前、例えば、洗浄水がまだトラック内にある間に、または洗浄水の炭酸化前に凝結遅延剤を導入するための任意の適切な方法で、添加する。凝結遅延剤 凝結遅延剤は、一般に、例えば、コンクリート混合物中でセメントが水和する前の時間を遅延させ得る物質である。凝結遅延剤は、コンクリート業界において周知であり、任意の適切な凝結遅延剤を使用してもよい。凝結遅延剤には、炭水化物、すなわち、糖、例えば、フルクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類、ならびにグルコン酸ナトリウムおよびグルコヘプトン酸ナトリウムなどの糖酸/塩基およびそれらの塩;ホスホン酸塩、例えば、ニトリロトリ(メチルホスホン酸)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸;ならびにキレート剤、例えば、EDTA、クエン酸、およびニトリロ三酢酸が含まれる。他の糖類および糖類含有アドミックスには、糖蜜およびコーンシロップが含まれる。例示的な凝結遅延剤はグルコン酸ナトリウムである。凝結遅延剤として使用することができる他の例示的な混和材料には、硫酸ナトリウム、クエン酸、BASF Pozzolith XR、フィームドシリカ、コロイドシリカ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フライアッシュ(ASTM C618に規定されている)、鉱油(軽質ナフテン系などの)、ヘクトライト粘土、ポリオキシアルキレン、天然ゴム、またはその混合物、ポリカルボン酸高流動化剤、ナフタレンHRWR(高性能減水剤)が含まれる。使用可能なさらなる凝結遅延剤には、オキシ-ホウ素化合物、リグニン、ポリホスホン酸、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシル化カルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マロン酸、ホウ砂、グルコン酸、および酒石酸、リグニンスルホン酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、スルホン酸-アクリル酸共重合体、およびそれらの対応する塩、ポリヒドロキシシラン、ポリアクリルアミドが含まれるが、それらに限定されない。遅延剤の例示的な例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,427,617号および第5,203,919号に記載されている。
【0137】
凝結遅延剤をコンクリートまたはコンクリート洗浄水に、任意の適切な量で添加し;一般に、供与量は特定の凝結遅延剤および所望の効果に対して十分に確立されている。供与量は、いくつかの用途に対し、例えば、生混合ドラムの内側にコーティングされたコンクリートと共に使用する場合に、ほぼ正確でなければならないことが理解され、オペレータはしばしば凝結および硬化が起こらないことを確実にするようにするために、過剰な凝結遅延剤を添加する。この過剰量を、コンクリートまたはコンクリート洗浄水を炭酸化する際に考慮に入れ、必要に応じて、過剰の凝結遅延剤を相殺するために、古いコンクリートに追加する新しいコンクリートのさらなる炭酸化を使用してもよい。
【0138】
したがって、ある特定の態様において、本発明は、凝結遅延剤で処理したコンクリート洗浄水を、二酸化炭素を用いて処理するための方法および組成物を提供する。これは、トラックがバッチ場所に戻され、洗浄されるが、洗浄水はトラックから取り出されない場合に使用してもよく;典型的には、そのようなトラックはバッチ処理施設で一晩放置され、次いで、翌日にコンクリートの新しい載荷がトラックに導入される。凝結遅延剤を含む洗浄水は、セメントを含むトラック内にあった載荷の成分を含有する。凝結遅延剤を含む洗浄水を、凝結遅延剤の添加後、コンクリートの新しい積荷のトラックへの添加の前および/またはその間に二酸化炭素で処理してもよい。例えば、コンクリート洗浄水は、凝結遅延剤に曝露され、その後、例えばトラックドラム内で少なくとも0.5, 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、28、32時間、および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、28、32、もしくは36時間以内で放置されていてもよく、次いで二酸化炭素を洗浄水に添加する。これは、新しい載荷をトラックに加える前、例えば、新しい載荷の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、もしくは60分前、または新しい載荷の少なくとも1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、もしくは8時間前、および/あるいは新しい載荷の2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、もしくは60分以内、または新しい載荷の1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、もしくは10時間以内に行ってもよい。加えて、または代わりに、二酸化炭素を新しい載荷が追加されるときに添加してもよく、または二酸化炭素添加を新しい載荷の添加の前およびその間の両方で行ってもよい。二酸化炭素は、凝結遅延剤を含む洗浄水中のセメントに対する凝結遅延剤の効果の一部または全部を逆転するのに十分な量で添加してもよく;二酸化炭素供与量は、洗浄水中のセメント重量に対して計算する任意の適切な供与量であってもよく;そのような計算はしばしば、トラックのドラムに付着しているコンクリートの量の推定値に基づいていなければならないことが理解され、典型的にはそれに加えて、洗浄前のトラックにあった載荷の混合設計も、セメント含量を推定するために使用する。または、すべてのセメントが反応するように、過剰の二酸化炭素を提供することが知られている量などの、固定の量の二酸化炭素を使用してもよい。二酸化炭素供与量は、洗浄水中の凝結遅延剤の量に応じて調節してもよく、これは、例えば、オペレータによって記録されたものであってもよく、またはプロトコルによって指定されたものであってもよく、または推定値であってもよい。過剰の凝結遅延剤を洗浄水中で使用する場合、洗浄水に加える次の載荷への影響を防ぐために、追加の二酸化炭素が必要とされ得ることが理解されるであろう。そのような場合、次の載荷を加える際、またはその直前に二酸化炭素を添加することが有用であり得、それにより二酸化炭素は処理された洗浄水から大気中に流出しない。例示的な供与量は本明細書の他所に記載しており、例えば、0.001〜5.0%bwcの供与量である。加えて、または代わりに、二酸化炭素をコンクリートの新しいバッチに添加してもよく;典型的には、そのような供与量は、セメントの2重量%未満、例えば1.5重量%未満、または1重量%未満、またはいくつかの場合には0.5重量%(bwc)未満であろう。
【0139】
ある特定の態様において、コンクリート洗浄水を保持タンクに移動させ;この水をある時点でトラック内、もしくはタンク内、またはその組合せのいずれかで、1つまたは複数の凝結遅延剤で処理することができ、次いで、その後の時点で、例えば、コンクリートの新しいバッチで洗浄水を再使用することが望まれる時に、二酸化炭素を導入することができる。例えば、凝結遅延剤で処理した洗浄水を、混合水としてのその使用前に、および/または混合水としてのその使用中に、二酸化炭素に曝露することができる。このように、理論に束縛されることなく、凝結遅延剤を使用することによりセメントが「休止」状態に維持され、次いでその状態は二酸化炭素の添加からの炭酸化反応によって逆転されると考えられる。
【0140】
ある特定の態様において、本発明は、1つまたは複数の凝結遅延剤で処理したコンクリートを、二酸化炭素を用いて処理するための方法および組成物を提供する。これは、例えば、その載荷の一部のみが現場で使用された後に、トラックがバッチ処理施設に戻るときに行い得る。この場合、コンクリートを現場で、または後に凝結遅延剤で処理してもよく;したがって、コンクリートをバッチ処理し、次いで凝結遅延剤をバッチ処理の一定時間の後、例えば、バッチ処理の少なくとも0.1、0.2、0.5、0.7、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、もしくは8時間後、および/またはバッチ処理の0.2、0.5、0.7、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、8、もしくは10時間以内に添加してもよい。トラックは一般にはバッチ処理施設に戻り、戻されたコンクリートに加えて追加のコンクリートをトラックに積み込むことが望まれ得る。二酸化炭素を、1つまたは複数の凝結遅延剤で処理した、戻されたコンクリートに、本明細書の他所に記載の任意の適切な供与量で;例えば、0.001〜5.0%bwcの供与量で添加することができ;二酸化炭素は、凝結遅延剤を添加した後、任意の適切な時点で添加してもよいが、これは、バッチ処理施設への戻り時間、バッチ処理施設における貯蔵時間などのいくつかの因子に依存し得;したがって、ある特定の態様において、二酸化炭素は、凝結遅延剤をコンクリートに添加した後少なくとも0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、20、25、30、35、もしくは40時間、および/または凝結遅延剤をコンクリートに添加した後0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、20、25、30、35、もしくは40時間以内に添加してもよい。次いで、コンクリートを、コンクリートの新しいバッチ中で追加のコンクリートと共に使用してもよく;そのような使用は二酸化炭素の添加と同時に、もしくはほぼ同時に行ってもよく、または二酸化炭素添加の後の任意の適切な時点で、例えば、二酸化炭素添加の少なくとも1、2、5、7、10、15、20、25、30、40、もしくは50分後、または二酸化炭素添加の少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、もしくは6時間後、および/あるいは二酸化炭素添加の2、5、7、10、15、20、25、30、40、もしくは50分以内、または二酸化炭素添加の1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6もしくはy時間以内に行ってもよい。新しいコンクリートを二酸化炭素でさらに処理してもよく、それにより、いくつかの態様において、古いコンクリートと新しいコンクリートの両方を二酸化炭素で処理し;前述のとおり、これは同時に行ってもよく、または古いコンクリートを二酸化炭素で処理し、次いで新しいコンクリートを、例えば、古いコンクリートと混合しながら処理してもよい。新しいコンクリートに対する二酸化炭素の供与量は、本明細書に記載の任意の適切な供与量であってもよい。
【0141】
いくつかの場合に、現場への途中で予想される交通、温度などの因子により、バッチがあまりに早く凝結し始めてはならないため、凝結遅延剤をコンクリートバッチに、バッチ処理施設で、または現場への途中のトラック内で添加する。この場合、現場で打設する前に、凝結遅延剤の効果を逆転させることが望ましいことがあり、すなわち、この場合、および本明細書に記載の他の場合に、コンクリート中のセメントに対し、凝結遅延剤は「オフスイッチ」として作用し、二酸化炭素は「オンスイッチ」として作用する。これらの態様において、二酸化炭素をコンクリートに、バッチ処理施設ではないいくつかの他の場所で、例えば、現場への途中、または現場のトラック内で添加することになる。トラックは、二酸化炭素源および二酸化炭素をトラックのドラムに移送するための導管などの、可搬式二酸化炭素送達システムを備えてもよい。加えて、または代わりに、二酸化炭素送達システムは現場またはその近くに位置してもよく、トラックは二酸化炭素送達場所に到着してもよく、次いで、その中に含まれるコンクリートを、現場での使用前の適切な時点で二酸化炭素で処理してもよく;このようにして、トラックは、コンクリートの移送およびその使用のためにより大きな時間窓を有してもよく、交通、現場での遅延などの因子はあまり問題とならず;コンクリートは凝結遅延剤により「休止状態」であり、次いで二酸化炭素を使用して活性化される。二酸化炭素の供与量は、0.001〜5.0%bwcの供与量などの、本明細書に記載の適切な任意の供与量であってもよく;また、他所に記載のとおり、供与量は、コンクリート中のセメントの種類、凝結遅延剤の種類および量、二酸化炭素添加後のコンクリートの使用予想時間、温度などに依存し得る。二酸化炭素は、コンクリートの使用予想時間の前の任意の適切な時点で、例えば、使用予想時間の少なくとも1、2、3、4、5、7、10、15、20、30、40、もしくは50分前、または使用予想時間の少なくとも1、1.5、2、2.5、もしくは3時間前、および/あるいは使用予想時間の2、3、4、5、7、10、15、20、30、40、もしくは50分前、または使用予想時間の1、1.5、2、2.5、3、もしくは3.5時間前に添加してもよい。したがって、ある特定の態様において、本発明は、コンクリートを処理する方法であって、コンクリートを凝結遅延剤で処理する段階と、次いでコンクリートを二酸化炭素で処理する段階とを含む、方法を提供する。凝結遅延剤は、一般には、バッチ処理施設で添加するが、例えば、交通の遅延および/または現場での遅延がわかった場合には、バッチ処理施設を出発した後、トラックのドラム内で添加してもよい。二酸化炭素を、現場への途中および/または現場で添加し;典型的には、二酸化炭素をレディーミクストラックのドラム内に添加するが、ドラムから、例えば現場の形態へのコンクリートの移送中に添加してもよい。
【0142】
ある特定の態様において、凝結遅延剤および二酸化炭素を、改善されたワーカビリティおよび許容される凝固時間の所望の組み合わせを提供するために、コンクリート混合物に添加する。ワーカビリティを改善するために、1つまたは複数の凝結遅延剤をコンクリート混合物に添加してもよいが;これはしばしば凝結時間の遅延という代償を払うことになる。凝結時間を短くするが、ワーカビリティを保持するために、凝結促進剤を使用してもよい。しかし、凝結遅延剤は一般に比較的安価であるが、凝結促進剤は高価であることが多く、塩化物などの望ましくない化学種を含むことも多い。したがって、あまり高価でない、所望の時間枠内に凝結を加速することができる物質を使用することが望ましく;二酸化炭素はそのような物質の1つである。これらの場合、二酸化炭素および凝結遅延剤は、任意の適切な順序で、例えば、まず凝結遅延剤と、次いで二酸化炭素を逐次に;またはまず二酸化炭素と、次いで凝結遅延剤で;または同時もしくはほぼ同時に、例えば、凝結遅延剤および二酸化炭素の添加のタイミングが、それら両方がコンクリート混合物に、それらそれぞれの添加時間の少なくとも一部の間に添加されるようなものであるように、添加してもよい。したがって、ある特定の態様において、二酸化炭素をコンクリート混合物に添加し、次いで、凝結遅延剤を二酸化炭素添加後(すなわち、二酸化炭素添加が開始した後;二酸化炭素添加の時間の長さに応じて、凝結遅延剤添加を、二酸化炭素添加が終了する前に開始してもよいが、これは典型的な例ではない)に添加し;凝結遅延剤を、例えば、二酸化炭素添加後少なくとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、7、10、15、20、30、40、もしくは50分、または二酸化炭素添加後少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5、もしくは4時間;および/あるいは二酸化炭素添加後0.5、1、2、3、4、5、7、10、15、20、30、40、もしくは50分以内、または二酸化炭素添加後1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、もしくは6時間以内に添加してもよい。他の特定の態様において、凝結遅延剤をコンクリート混合物に添加し、次いで、二酸化炭素を凝結遅延剤添加後(すなわち、凝結遅延剤添加が開始した後;凝結遅延剤添加の時間の長さに応じて、二酸化炭素添加を、凝結遅延剤添加が終了する前に開始してもよいが、これは典型的な例ではない)に添加し;二酸化炭素を、例えば、凝結遅延剤添加後少なくとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、7、10、15、20、30、40、もしくは50分、または凝結遅延剤添加後少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5、もしくは4時間;および/あるいは凝結遅延剤添加後0.5、1、2、3、4、5、7、10、15、20、30、40、もしくは50分以内、または凝結遅延剤添加後1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、もしくは4.5時間以内に添加する。凝結遅延剤、二酸化炭素、またはその両方を、分割した供与量で加えることも可能であり、ここで一方の各供与のタイミングは、任意の適切な様式で、他方の供与に対して相対的であってもよい。例えば、一定量の凝結遅延剤を添加してもよく、次いで二酸化炭素、次いで、凝結遅延剤の最終供与量を添加してもよく;これは単に例示であり、任意の適切な回数の凝結遅延剤および/または二酸化炭素の供与量、ならびに任意の適切な添加のタイミングを用いてもよい。
【0143】
凝結促進剤を混和材料として利用可能であることが理解されると考えられ;そのような凝結促進剤を二酸化炭素に加えて使用してもよい。しかし、これらの混和材料は高価である傾向があり、塩化物などの望ましくない化学種を含むことも多く、できるだけ安価な代替品として二酸化炭素を使用することが望ましい。二酸化炭素の供与量 凝結遅延剤を含むコンクリートまたはコンクリート洗浄水を、任意の適切な供与量の二酸化炭素に曝露してもよい。例えば、供与量は5%、4、3%、2.5%、2%、1.5%、1.2%、1%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.01%、もしくは0.05%bwc以下および/または少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、もしくは4.5%bwcであってもよく、例えば、0.001〜5%、もしくは0.001〜4%、もしくは0.001〜3%、もしくは0.001〜2%、もしくは0.001〜1.5%、0.001〜1.2%、0.001〜1%、0.001〜0.8%、0.001〜0.6%、0.001〜0.5%、0.001〜0.4%、0.001〜0.3%、0.001〜0.2%、もしくは0.001〜0.1%bwcの供与量、または0.01〜5%、もしくは0.01〜4%、もしくは0.01〜3%、もしくは0.01〜2%、0.01〜1.5%、0.01〜1.2%、0.01〜1%、0.01〜0.8%、0.01〜0.6%、0.01〜0.5%、0.01〜0.4%、0.01〜0.3%、0.01〜0.2%、もしくは0.01〜0.1%bwcの供与量、または0.02〜1.5%、0.02〜1.2%、0.02〜1%、0.02〜0.8%、0.02〜0.6%、0.02〜0.5%、0.02〜0.4%、0.02〜0.3%、0.02〜0.2%、もしくは0.02〜0.1%bwcの供与量、または0.04〜1.5%、0.04〜1.2%、0.04〜1%、0.04〜0.8%、0.04〜0.6%、0.04〜0.5%、0.04〜0.4%、0.04〜0.3%、0.04〜0.2%、0.04〜0.1%bwcの供与量、または0.06〜1.5%、0.06〜1.2%、0.06〜1%、0.06〜0.8%、0.06〜0.6%、0.06〜0.5%、0.06〜0.4%、0.06〜0.3%、0.06〜0.2%、もしくは0.06〜0.1%bwcの供与量、または0.1〜1.5%、0.1〜1.2%、0.1〜1%、0.1〜0.8%、0.1〜0.6%、0.1〜0.5%、0.1〜0.4%、0.1〜0.3%、もしくは0.1〜0.2%bwcの供与量であってもよい。二酸化炭素の供与量は、コンクリートまたはコンクリート洗浄水中のセメントの種類、使用する凝結遅延剤の種類および量、凝結遅延剤後の二酸化炭素添加のタイミング、温度、二酸化炭素の添加とコンクリートの使用との間の予想時間などの、様々な因子に依存し得る。
【0144】
二酸化炭素の形態
二酸化炭素は、凝結遅延剤を含むコンクリートまたはコンクリート洗浄水に、気体、液体、固体、または超臨界形態などの任意の適切な形態で添加しても良く;ある特定の態様において、固体二酸化炭素を含む二酸化炭素を使用することができる。これは、固体および気体状二酸化炭素の混合物の形態であってもよく、これは圧力下で導管を出て、大気圧などの低圧に曝されたときに、液体二酸化炭素から形成され得る。例えば、米国特許第9,738,562号を参照されたい。加えて、または代わりに、ペレットもしくは削屑、または他の適切な形態などの固体二酸化炭素のみを添加してもよく、これは、少なくとも部分的に、二酸化炭素の昇華と、その後の溶液への流入の所望の速度によって決定してもよい。例えば、米国特許第9,738,562号を参照されたい。ある特定の態様において、気体状二酸化炭素のみを使用する。
【0145】
さらなる混和材料
このセクションは、本明細書の方法および組成物において使用するためのいくつかのさらに有用な混和材料を要約する。追加のリストについては、Report on Chemical Admixtures for Concrete, Reported by ACI Committee 212, American Concrete Institute, ACI 212.3R-16, ISBN 978-1-942727-80-4を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0146】
本明細書の方法および組成物において有用な混和材料には下記が含まれる。
【0147】
促進剤:水和速度の増大をもたらし、したがって、凝結および/または初期強度発生を加速する。一般に、コンクリート用の促進剤は、タイプC(促進剤)またはタイプE(減水および促進剤)のASTM C494/C494Mの条件に合致すべきである。例には、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸塩、チオシアン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、チオ硫酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、およびアルカリ水酸化物などの無機塩が含まれる。特に興味深いのは、CaO、Ca(N02)2、Ca(OH)2、ステアリン酸カルシウム、またはCaCl2などのカルシウム含有化合物、および水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムなどのマグネシウム含有化合物である。理論に束縛されることなく、炭酸化セメントの場合、添加したカルシウムまたはマグネシウム化合物は、二酸化炭素と反応するための遊離のカルシウムまたはマグネシウムを提供し、セメント混合物中にカルシウムを残す二酸化炭素のためのシンクを提供するか、またはセメントカルシウムのものとは異なる炭酸化の部位を提供するか、またはその両方で、したがって、初期強度発生を保つと考えられる。加えて、アニオン、例えば、カルシウム含有混和材料からの硝酸塩は、C-S-H粒子構造に影響をおよぼし得る。他の凝結促進剤には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムの硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムの亜硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムのチオシアン酸塩;アルカノールアミン;アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムのチオ硫酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムの水酸化物;アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムのカルボン酸塩(好ましくはギ酸カルシウム);ポリヒドロキシアルキルアミン;アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物塩(例えば、塩化物)が含まれるが、それらに限定されない。安定なC-S-H種を促進剤として使用してもよい。
【0148】
ある特定の態様において、促進剤には1つまたは複数の可溶性有機化合物、例えば1つまたは複数のアルカノールアミン、例えばトリエチルアミン(TEA)および/または高級トリアルカノールアミンもしくはギ酸カルシウムが含まれ得る。本明細書において用いられる「高級トリアルカノールアミン」なる用語は、その中に少なくとも1つのC3-C5ヒドロキシアルキル(好ましくはC3-C4ヒドロキシアルキル)基を有するトリ(ヒドロキシアルキル)アミンである三級アミン化合物を含む。もしあれば、対象となる三級アミンの残りのヒドロキシアルキル基は、C1-C2ヒドロキシアルキル基(好ましくは、C2ヒドロキシアルキル)から選択することができる。そのような化合物の例には、ヒドロキシエチルジ(ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアミン、トリ(ヒドロキシプロピル)アミン、ヒドロキシエチルジ(ヒドロキシ-n-ブチル)アミン、トリ(2-ヒドロキシブチル)アミン、ヒドロキシブチルジ(ヒドロキシプロピル)アミンなどが含まれる。促進剤には、酢酸塩、プロピオン酸塩、または酪酸塩を含む、カルボン酸のカルシウム塩が含まれ得る。促進剤として作用し得る他の有機化合物には、尿素、シュウ酸、乳酸、様々な環式化合物、およびアミンとホルムアルデヒドとの縮合化合物が含まれる。
【0149】
いくつかの態様において、急結剤を用いて、例えば、コンクリート吹付または3Dプリンティングに適した急結性モルタルまたはコンクリートを製造してもよい。これらには、例えば、第二鉄塩、フッ化ナトリウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、および炭酸カリウムが含まれる。
【0150】
様々な追加の促進性材料には、ケイ酸塩、超微粒子シリカゲル、可溶性四級アンモニウムシリケート、シリカフューム、超微粒子炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムが含まれる。様々な組成の超微細材料は、促進性を示すことができる。ある特定の態様において、混和材料は、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)相に基づく核形成シードを含むことができ;例えば、Thomas, J.J., et al. 2009 J. Phys Chem 113:4327-4334およびDitter et al. 2013 BFT International, Jan, pp. 44-51を参照されたく、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0151】
ある特定の態様において、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(2-ヒドロキシプロピル)アミン(BHEHPA)およびトリ(2-ヒドロキシブチル)アミン(T2BA)の1、2、または3つを含む、凝結促進剤、例えば、TIPAを含む凝結促進剤を用いる。0.0001〜0.5%bwc、例えば0.001〜0.1%、または0.005〜0.03%bwcなどの、任意の適切な供与量を使用してもよい。米国特許第5,084,103号を参照されたい。
【0152】
ある特定の態様において、セメント混合物の炭酸化を、アルカノールアミン凝結促進剤、例えば、TIPAを含む混和材料の使用と組み合わせ、ここでアルカノールアミン凝結促進剤、例えば、TIPAは、0.001〜0.1%、または0.005〜0.03%bwcなどの、0.0001〜0.5%bwcの量で組み込む。これらの態様のいくつかにおいて、アルカノールアミン、例えば、TIPA含有混和材料を、例えば、初期混合水の一部として、炭酸化の前および/またはその間に添加する。これらの態様のいくつかにおいて、アルカノールアミン、例えば、TIPA含有混和材料を、炭酸化の後および/またはその間に添加する。いくつかの態様において、アルカノールアミン、例えば、TIPA含有混和材料を、複数の供与量として添加し、これは炭酸化に対して異なる時間で添加してもよい(例えば、2回の供与量、炭酸化の前に1回および後に1回)。加えて、または代わりに、炭酸化は、複数の供与量で、例えば、二酸化炭素供与量の1つまたは複数の前、後、またはその間に添加するアルカノールアミン、例えば、TIPA含有混和材料の1つまたは複数の供与量により進行させてもよい。1つまたは複数の凝結/強度制御剤、凝結バランサ、水和シード、分散剤、エアコントローラ、レオロジー調節剤、着色剤、またはその組み合わせを含む、他の要素がアルカノールアミン、例えば、TIPA含有混和材料中に存在してもよい。適切な市販製品には、BASF Master X-Seed 55(BASF Corporation, Admixture Systems, Cleveland, OH)が含まれる。これらの態様においてセメント混合物に送達される二酸化炭素の全供与量は、本明細書に記載のものなどの、任意の適切な供与量、例えば、0.001〜2%bwc、例えば0.001〜1.0%bwc、または0.001〜0.5%bwcであってもよい。
【0153】
空気脱除剤:脱泡剤または脱気剤とも呼ばれ、空気含有量を減少させる。例には、リン酸トリブチル、リン酸ジブチルを含むリン酸エステル、フタル酸ジイソデシルおよびフタル酸ジブチルを含むフタル酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン-ブロック共重合体などを含むブロック共重合体、またはその混合物などの、非イオン性界面活性剤が含まれる。空気脱除剤には、オクチルアルコール、炭酸およびホウ酸の水不溶性エステル、ならびにシリコーンも含まれる。空気脱除剤のさらなる例には、鉱油、植物油、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒドロキシル官能基化合物、アミド、リン酸エステル、金属石鹸、プロピレンオキシド部分を含むポリマー、炭化水素、アルコキシル化炭化水素、アルコキシル化ポリアルキレンオキシド、アセチレン系ジオール、ポリジメチルシロキサン、ドデシルアルコール、オクチルアルコール、ポリプロピレングリコール、炭酸およびホウ酸の水溶性エステル、ならびに低スルホン酸油が含まれる。
【0154】
AE剤:「空気連行剤」なる用語は、セメント質組成物中に空気を連行する任意の物質を含む。いくつかの空気連行剤は、低濃度で組成物の表面張力を低下させることもできる。AE剤を用いて、微細気泡をコンクリートに意図的に連行する。空気連行は、凍結および解凍のサイクル中に水分にさらされるコンクリートの耐久性を劇的に改善する。加えて、連行された空気は、化学融氷剤によって引き起こされる表面スケーリングに対するコンクリートの抵抗性を大幅に改善する。空気連行はまた、材料分離およびブリーディングを排除または減少させる一方で、フレッシュコンクリートのワーカビリティを増大させる。これらの所望の効果を達成するために使用する材料は、ウッドレジンおよびそれらの塩、天然樹脂およびそれらの塩、合成樹脂およびそれらの塩、スルホン化リグニンおよびそれらの塩、石油酸およびそれらの塩、タンパク質材料およびそれらの塩、脂肪酸およびそれらの塩、樹脂酸およびそれらの塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホン化炭化水素、ビンソールレジン、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、天然ロジン、合成ロジン、無機空気連行剤、合成洗剤、およびそれらの対応する塩、ならびにその混合物から選択することができる。中空プラスチック球体、粉砕レンガ、膨張粘土もしくはシェール、または適切な珪藻土の球体などの固体材料も使用することができる。空気連行剤を、セメント質組成物中に所望のレベルの空気をもたらす量で添加する。混和材料系で使用され得る空気連行剤の例には、すべてBASF Admixtures Inc. of Cleveland, Ohioから入手可能な、MB AE 90、MB VRおよびMICRO AIR.RTM.が含まれるが、それらに限定されない。
【0155】
アルカリ骨材反応抑制剤:アルカリ骨材反応性の拡大を低減する。例には、バリウム塩、硝酸リチウム、炭酸リチウム、および水酸化リチウムが含まれる。
【0156】
不分離性混和材料:水中打設用の粘着性コンクリート。例には、セルロースおよびアクリルポリマーが含まれる。
【0157】
結合性混和材料:接着強度を高める。例には、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、およびブタジエン-スチレン共重合体が含まれる。
【0158】
着色剤:着色コンクリート。例には、変性カーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニン、アンバー、酸化クロム、酸化チタン、コバルトブルー、および有機着色剤が含まれる。
【0159】
防せい剤:塩化物含有環境における鋼材腐食活性を低減する。例には、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、一定のリン酸塩またはフルオロケイ酸塩、フッ化アルミニウム酸塩、およびエステルアミンが含まれる。
【0160】
防湿性混和材料:乾燥コンクリートへの水分浸透を妨害する。例には、ステアリン酸またはオレイン酸カルシウムまたはアンモニウム、ステアリン酸ブチル、および石油製品の石鹸が含まれる。
【0161】
起泡剤:低密度の軽量気泡コンクリートを製造する。例には、カチオン性およびアニオン性界面活性剤、ならびに加水分解タンパク質が含まれる。
【0162】
防カビ剤、殺菌剤および殺虫剤:細菌および真菌の成長を阻害または制御する。例には、ポリハロゲン化フェノール、ジエルドリン乳剤、および銅化合物が含まれる。
【0163】
発泡剤:発泡剤、またはガス発生剤を時にコンクリートおよびグラウトに非常に少量添加して、硬化前にわずかな膨張を生じさせる。膨張量は、使用するガス発生材料の量およびフレッシュ混合物の温度に依存する。アルミニウム粉末、樹脂石鹸および植物膠または動物膠、サポニンまたは加水分解タンパク質を発泡剤として用いることができる。
【0164】
水和制御剤:安定剤および活性化剤を用いてセメント水和を保留および再活性化する。例には、カルボン酸およびリン含有有機酸塩が含まれる。
【0165】
透過性低下剤:透過性を低下させる。例には、ラテックスおよびステアリン酸カルシウムが含まれる。
【0166】
ポンピング助剤:ポンプ圧送性を改善する。例には、有機および合成ポリマー、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、アクリル樹脂、ベントライトおよび発熱シリカ、ならびに消石灰が含まれる。
【0167】
遅延剤:凝結時間を遅延させ、所与のスランプに対するコンクリート混合物の水必要量を減少させ、凝結の時間を増大させる、減水凝結遅延剤(減水剤を参照)、または水必要量に影響を与えることなくコンクリートの凝結時間を増大させるものを含み得る、一般に、凝結遅延剤は4つのカテゴリに分類することができ、そのいずれも本明細書の態様で使用し得る:1)リグノスルホン酸およびそれらの塩ならびにこれらの修飾体および誘導体;2)ヒドロキシル化カルボン酸およびそれらの塩ならびにこれらの修飾体および誘導体;3)糖、糖酸、および多糖などの炭水化物系化合物、および4)ホウ酸塩およびリン酸塩などの無機塩。したがって、凝結遅延剤には、炭水化物、すなわち、糖、例えば、フルクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類、ならびにグルコン酸ナトリウムおよびグルコヘプトン酸ナトリウムなどの糖酸/塩基およびそれらの塩;ホスホン酸塩、例えば、ニトリロトリ(メチルホスホン酸)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸;ならびにキレート剤、例えば、EDTA、クエン酸、およびニトリロ三酢酸が含まれる。他の糖類および糖類含有アドミックスには、糖蜜およびコーンシロップが含まれる。ある特定の態様において、混和材料はグルコン酸ナトリウムである。凝結遅延剤として使用することができる他の例示的な混和材料には、硫酸ナトリウム、クエン酸、BASF Pozzolith XR、フィームトシリカ、コロイドシリカ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フライアッシュ(ASTM C618に規定されている)、鉱油(軽質ナフテン系などの)、ヘクトライト粘土、ポリオキシアルキレン、天然ゴム、またはその混合物、ポリカルボン酸高流動化剤、ナフタレンHRWR(高性能減水剤)が含まれる。使用可能なさらなる凝結遅延剤には、オキシ-ホウ素化合物、リグニン、ポリホスホン酸、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシル化カルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マロン酸、ホウ砂、グルコン酸、および酒石酸、リグニンスルホン酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、スルホン酸-アクリル酸共重合体、およびそれらの対応する塩、ポリヒドロキシシラン、ポリアクリルアミドが含まれるが、それらに限定されない。さらなる遅延剤には、ニトリロトリ(メチルホスホン酸)、および2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸が含まれる。遅延剤の例示的な例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,427,617号および第5,203,919号に記載されている。
【0168】
収縮調整剤:乾燥収縮を低減する。例には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0169】
減水剤:減水剤(分散剤、特にHRWRとも呼ばれる)を使用して、一定のスランプのコンクリートを製造するのに必要な混合水の量を減少させ、水-セメント比を低下させ、セメント含有量を減少させ、またはスランプを増大させる。典型的な減水剤は、含水量を約5〜10%減少させ;高性能減水剤(HRWR)は、含水量をさらに減少させる。含水量を低下させることなくコンクリートに減水剤を添加することにより、より高いスランプを有する混合物を製造することができ;例えば、セメント混合物を炭酸化するために高供与量の二酸化炭素を使用する一定の場合に、スランプが低減することがあり、減水剤の使用により、十分なスランプ/ワーカビリティを回復させてもよい。
【0170】
本明細書の組成物および方法において使用する減水剤は、ASTM C494/C494Mの7種類の減水剤のうちの1つに合致し得、次の7種が規定される:1)タイプA−減水剤;2)タイプB−遅延剤(前述);3)タイプC−促進剤(同様に前述);4)タイプD−減水および遅延剤;5)タイプE-減水および促進剤;6)タイプF−高性能減水剤;または7)タイプG−高性能減水および遅延剤。減水剤として一般に使用可能な材料は、典型的には7つの一般的なカテゴリーの1つに分類され、本明細書において有用な配合物には、以下の複数のカテゴリーからの化合物が含まれるが、それらに限定されない:1)リグノスルホン酸およびそれらの塩ならびにこれらの修飾体および誘導体;2)ヒドロキシル化カルボン酸およびそれらの塩ならびにこれらの修飾体および誘導体;3)糖、糖酸、および多糖などの炭水化物系化合物;4)スルホン化メラミン重縮合生成物の塩;5)スルホン化ナフタレン重縮合生成物の塩;6)ポリカルボキシレート;7)非イオン性界面活性剤;アミンおよびそれらの誘導体;亜鉛塩、ホウ酸塩、リン酸塩を含む、有機ホスホン酸塩;ならびにセルロースエーテル、シリコーン、およびスルホン化炭化水素アクリレート誘導体を含む、一定の高分子化合物を含む、配合物を修飾するために使用し得る他の材料。
【0171】
水-セメント比が減少するため、減水剤により強度の増加が一般に得られる。セメント含有量、空気含有量、およびスランプが等しいコンクリートについて、減水剤を含む減水コンクリートの28日強度は、混和材料なしのコンクリートよりも10%〜25%大きい。タイプAの減水剤は、凝結にほとんど影響を与えず、一方、タイプDの混和材料は、遅延(一般には、遅延剤を添加)と共に減水を提供し、タイプEの混和材料は、凝結促進(一般に、促進剤を添加)と共に減水を提供する。タイプDの減水剤は通常、コンクリートの凝結時間を1〜3時間遅延させる。いくつかの減水剤はまた、コンクリート中にいくらかの空気を連行し得る。
【0172】
高性能減水剤(HRWR、高流動化剤または流動化剤とも呼ばれる)、タイプF(減水)およびG(減水および遅延)は、含水量を少なくとも12%減少させる。
【0173】
減水剤の例には、リグノスルホネート、カゼイン、ヒドロキシル化カルボン酸、および炭水化物が含まれる。HRWR(高流動化剤または流動化剤)を含むさらなる例には、ポリカルボン酸エーテル、ポリカルボキシレート、ポリナフタレンスルホネート(スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物(例えばLOMAR D(商標)分散剤(Cognis Inc., Cincinnati, Ohio))、ポリメラミンスルホネート(スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合物)、ポリオキシエチレンホスホネート(ホスホネート末端PEGブラシ)、ビニル共重合体が含まれる。さらなる例には、βナフタレンスルホネート、ポリアスパルテート、またはオリゴマー分散剤が含まれる。
【0174】
ポリカルボン酸分散剤(ポリカルボン酸エーテル、ポリカルボン酸エステルとも呼ばれる減水剤)を用いることができ、これは、側鎖の少なくとも一部がカルボキシル基またはエーテル基を介して主鎖に結合している、ペンダント側鎖を有する炭素骨格を有する分散剤を意味する。ポリカルボン酸分散剤の例は、米国特許公開第2002/0019459Al号、米国特許第6,267,814号、米国特許第6,290,770号、米国特許第6,310,143号、米国特許第6,187,841号、米国特許第5,158,996号、米国特許第6,008,275号、米国特許第6,136,950号、米国特許第6,284,867号、米国特許第5,609,681号、米国特許第5,494,516号、米国特許第5,674,929号、米国特許第5,660,626号、米国特許第5,668,195号、米国特許第5,661,206号、米国特許第5,358,566号、米国特許第5,162,402号、米国特許第5,798,425号、米国特許第5,612,396号、米国特許第6,063,184号、米国特許第5,912,284号、米国特許第5,840,114号、米国特許第5,753,744号、米国特許第5,728,207号、米国特許第5,725,657号、米国特許第5,703,174号、米国特許第5,665,158号、米国特許第5,643,978号、米国特許第5,633,298号、米国特許第5,583,183号、および米国特許第5,393,183号に記載されている。関心対象のポリカルボン酸分散剤には、以下の商標で販売されている分散剤または減水剤が含まれるが、それらに限定されない:GLENIUM(登録商標) 3030NS、GLENIUM(登録商標) 3200 HES、GLENIUM 3000NS(登録商標)(BASF Admixtures Inc., Cleveland, Ohio)、ADVA(登録商標)(W. R. Grace Inc., Cambridge, Mass.)、VISCOCRETE(登録商標)(Sika, Zurich, Switzerland)、およびSUPERFLUX(登録商標)(Axim Concrete Technologies Inc., Middlebranch, Ohio)。
【0175】
粘度およびレオロジー調節剤
粘度調整剤(VMA)は、典型的には、そのレオロジー特性を調節するためにコンクリートにおいて使用する水溶性ポリマーである。VMAは、その塑性粘度を増加させることにより、コンクリートのレオロジーに影響を与え;降伏応力の効果は、VMAの種類によって、増大なしから有意なものまで大きく変化する。塑性粘度は、流動中のその元素の形状または配列の変化に抵抗する材料の特性、およびその尺度として定義され、降伏応力は、それより下では粘塑性材料が流れず、いったん超えると、粘性液のように流れる、臨界剪断応力値として定義される。レオロジー調節剤は、セメント質組成物の粘度を調節する、例えば増加させるために使用することができる。レオロジー調節剤の適切な例には、フィームドシリカ、コロイドシリカ、セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、フライアッシュ(ASTM C618に規定されている)、鉱油(軽質ナフテン系などの)、ヘクトライト粘土、ポリオキシアルキレン、多糖、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドまたはポリビニルアルコール、天然および合成ゴム、アルギネート(海藻由来)、またはその混合物が含まれる。他の材料には、デンプン、粘土、石灰、およびポリマーエマルジョンなどの微細固体が含まれる。レオロジー調節剤(RMA)は、流動を開始するのに必要な降伏応力または力を、必然的に塑性粘度を変化させることなく低下させることにより、コンクリートの流動特性に影響をおよぼす混和材料である。RMAのコンクリートへの添加は、そのスランプを変えることはないが、ワーカビリティおよび流動特性を改善する。RMAは、例えば、コンクリートをスリップフォーム舗装機を用いて打設して、コンクリート舗装、縁石、およびバリアを配置し、潜在的に3D印刷で行う際に、低スランプコンクリート用途で使用されてきた。自己充填コンクリート(SCC)または高流動コンクリートにも使用することができる。レオロジー調節剤には、Bury and Bury, 2008, Concrete International, 30:42-45によって報告されているものが含まれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0176】
収縮低減および補償剤
セメント質組成物に用いることができる収縮補償剤には、RO(AO)1-10Hが含まれ得るが、それらに限定されず、式中RはC1-5アルキルまたはC5-6シクロアルキル基であり、かつAはC2-3アルキレン基、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類酸化物、好ましくは硫酸ナトリウムおよび酸化カルシウムである。TETRAGUARD(登録商標)は収縮低減剤の一例であり、オハイオ州クリーブランドのBASF Admixtures Inc.から入手可能である。例示的な収縮低減剤(SRA)には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたは同様の組成物が含まれる。例示的な収縮補償剤(SCA)には、スルホアルミン酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硬焼および死焼酸化マグネシウムが含まれる。
【0177】
長期凝結制御剤
長期凝結制御剤(ESCA)または水和制御剤(HCA)を使用して、非硬化コンクリート中のセメント水和プロセスを停止または大幅に遅延させる。それらは、戻された/廃コンクリート中またはトラック内もしくはコンクリートリクレーマシステムで処理した洗浄水中のセメント質生成物の進行中の水和をシャットダウンするために使用してもよく、これは、これらの生成物をコンクリート製造に再循環させ、それにより廃棄の必要をなくするか;または新たにバッチ処理したコンクリートを安定化させて、中程度から非常に長期間の凝結遅延を提供し、これにより、通常の遅延剤よりも予測可能な様式で長いスランプ寿命を必要とする、非常に長い移送の間または長距離のポンピング状況において、コンクリートが塑性のままであることを可能にする。これらは、ポルトランドセメント中のケイ酸塩およびアルミン酸塩の相の両方の水和プロセスを停止するため、従来の凝結制御剤とは異なる。通常の凝結制御剤は、ケイ酸塩相のみに作用する。例には、カルボン酸およびリン含有有機酸および塩が含まれる。
【0178】
ワーカビリティ保持剤
コンクリートのワーカビリティ保持を保持するのを助ける。例には、ASTM C494/C494MタイプBもしくはDの条件に合致する水和制御および遅延剤、またはASTM C494/C494MタイプSの条件に合致する中性凝結ワーカビリティ保持剤が含まれる。例えば、Daczko, 2010, Proceedings fro the 6th International Symposium on Self-compacting Concrete and the 4th North American Concerence on the Design and Use of Self-Consolidating Concrete, Septを参照されたい。
【0179】
腐食防止剤
コンクリート、例えば、鉄筋における鋼材の腐食を低減する。例には、クロム酸塩、リン酸塩、ヒドロリン酸塩、アルカリ、亜硝酸塩、およびフッ化物;カルボン酸アミン、アミンエステル有機エマルジョン、および亜硝酸カルシウムが含まれる。
【0180】
透過性低減剤
透過性低減剤(PRA)は、水および水分の移動を制御し、かつ塩化物イオンの進入や透過性を低下させることにより、コンクリートの耐久性を改善するために開発された。これらには、典型的に、下記が含まれるが、それらに限定されない:1)疎水性防水剤、例えば、石鹸および長鎖脂肪酸誘導体に基づく材料、獣脂、大豆系材料、およびグリースなどの植物油、ならびに鉱油およびパラフィンワックスなどの石油、例えば、ステアリン酸カルシウム、アンモニウム、およびブチル;2)ポリマー生成物、例えば、エマルジョン(ラテックス)または液体形態のいずれかで供給される有機炭化水素、例えばコールタールピッチ、ビチューメンもしくは他の樹脂性ポリマー、またはプレポリマー材料;3)微細固体、例えば、不活性および化学的に活性な充填剤、例えば、タルク、ベントナイト、シリカ質粉末、粘度、石灰、ケイ酸塩、およびコロイドシリカ。技術的には化学混和材料ではないが、フライアッシュ、生もしくは焼成天然ポゾラン、シリカフューム、またはスラグセメントなどの補助セメント質材料(SCM)は、相補的な要素としてコンクリートの透過性を低減するのに寄与し得;4)疎水性細孔ブロッカー;5)結晶性生成物、セメントおよび砂の担体中に提供される独占的活性化学物質であり得る。
【0181】
結合性混和材料には、水中に分散した有機ポリマー(ラテックス)が含まれる。
【0182】
着色剤には、液体または乾燥形態の、天然または合成材料が含まれる。色素には、鉄黒、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、コバルトブルー、赤色酸化鉄、酸化鉄粉、ローバーントアンバー、酸化クロム、フタロシアニングリーン、鉄黄、および酸化チタンが含まれる。
【0183】
凝集剤には、合成高分子電解質、例えば、酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体が含まれる。
【0184】
防カビ、殺菌および殺虫剤には、ポリハロゲン化フェノール、ジエルドリン乳剤、および銅化合物が含まれる。
【0185】
アルカリ-シリカ反応からの有害な膨張を低減するためのリチウム混和材料
アルカリ-シリカ反応(ASR)からの有害な膨張は、影響を受けやすい珪質鉱物が骨材中に存在する場合に、コンクリート中で発生する可能性がある。これらの有害な膨張反応を防止する例示的な混和材料には、固体形態(水酸化リチウム一水和物および炭酸リチウム)および液体形態(30重量%の硝酸リチウム水溶液)が含まれる。さらなる例には、亜硝酸リチウムが含まれる。
【0186】
膨張/ガス発生剤には、金属アルミニウム、亜鉛またはマグネシウム、過酸化水素、窒素およびアンモニウム化合物、ならびに一定の形態の活性炭または流動コークスが含まれる。
【0187】
気泡コンクリート/流動性中詰のための混和材料には、タンパク質または合成界面活性剤に基づくものが含まれる。
【0188】
吹付けコンクリート混和材料
吹付けコンクリートは「表面上に高速で吹き付けられたモルタルまたはコンクリート」と定義される。吹付けコンクリート混和材料として有用な材料には、アルカリ系促進剤、例えば、ケイ酸塩もしくはアルミン酸塩水溶液、またはアルカリフリー促進剤、例えば、硫酸アルミニウムおよびヒドロキシ硫酸アルミニウムに基づくものなどの促進剤;吹付けコンクリート混合物のために特別に配合された当技術分野において公知のものなどの、高性能減水剤;ならびに長期凝結制御混和材料が含まれる。
【0189】
製造されたコンクリート製品用混和材料
これらを使用して、生産効率を付加し、表面の質感を改善もしくは改変し、視覚的魅力を増強および維持し、または付加価値性能の利点を提供してもよい。これらには、石鹸、界面活性剤、潤滑剤、およびセメント分散剤などの流動化剤;塩化カルシウムおよび非塩化物系両方の促進剤;ならびにステアリン酸カルシウム/アルミニウム、脂肪酸、シリコーンエマルジョン、およびワックスエマルジョンなどの防水/風解制御剤が含まれる。
【0190】
コンクリートを流動させるための混和材料
流動コンクリートは「粘着性を維持しながら、7-1/2 in(190mm)より大きいスランプを有することを特徴とするコンクリート」と定義される。本明細書に記載のとおり、中性能減水剤および高性能減水剤、粘度調整剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、およびワーカビリティ保持剤などの、様々な混和材料を使用してもよい。
【0191】
自己充填コンクリート(SCC)用の混和材料
SCCに含めるための例示的な混和材料には、高性能減水剤、例えば、粉末基材上で異なる吸収速度を有する異なるポリカルボキシレートポリマーの混合物などの、ポリカルボキシレート系HRWRA;および粘度調整剤が含まれる。
【0192】
超寒中コンクリート用混和材料
これらは、氷点を下回る温度でのコンクリートの打設を可能にし、減水剤、促進剤、遅延剤、防せい剤、および収縮低減剤が含まれる(それらのさらなる凝固点降下のため)。
【0193】
超高初期強度コンクリート用混和材料
VHESCは、打設後の最初の数時間以内に極めて高い初期強度を達成するように設計される。混和材料システムは、高性能減水剤、凝結促進剤、および任意にAE剤を含み得る。同様に含まれるのは、ワーカビリティ保持剤であり得る。
【0194】
透水性コンクリート用混和材料
透水性コンクリートは、ポルトランドセメント、均一な大きさの骨材、細骨材はほとんどまたは全くなく、化学混和材料、および水からなる低スランプの開粒度材料であり、これは、組み合わされると、水にコンクリートを容易に通過させる、相互接続された細孔または空隙を有する硬化コンクリートを生成する。例示的な混和材料には、AE剤、長期凝結制御剤、減水剤、内部養生剤、粘度調整剤、およびラテックス混和材料が含まれる。
【0195】
3Dプリンティングコンクリート用混和材料
これらには、プリントされたコンクリートが、3Dプリンティングの要件に適した形態および他の混和材料なしに立つことを可能にする混和材料が含まれる。
【0196】
炭酸カルシウムへの改質または影響
ある特定の態様において、例えば、混和材料なしの混合物に比べて1つまたは複数の多形形態が有利であるように、炭酸カルシウムの形成を調節する、例えば、非晶質炭酸カルシウム、例えば、アラゴナイトまたはカルサイトの形成を調節する混和材料を使用する。このタイプの例示的な混和材料には、有機ポリマー、例えばポリアクリレートおよびポリカルボン酸エーテル、リン酸エステル、例えばヒドロキシアミノリン酸エステル、ホスホネートおよびホスホン酸、例えばニトリロトリ(メチルホスホン酸)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、キレート剤、例えばグルコン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、およびクエン酸、または界面活性剤、例えばステアリン酸カルシウムが含まれる。
【0197】
関心対象のさらなる混和材料には、炭酸カルシウム形成、反応、および炭酸カルシウムの他の局面に影響をおよぼすものが含まれる。例えば、マグネシウムは、カルサイト成長に対する強い阻害剤であり得、Mg/Ca比は、非晶質炭酸カルシウムの寿命に影響をおよぼし得、例えば、高い比は寿命を増加させ、初期および長期生成物として形成する結晶多形のタイプに影響をおよぼし得る。CO32-/Ca2+も、物理的混合と同様に、これらに影響をおよぼし得、これらのどちらか、または両方を操作してもよい。例えば、Blue, C.R., Giuffre, A., Mergelsberg, S., Han, N., De Yoreo, J.J., Dove, P.M., 2017. Chemical and physical controls on the transformation of amorphous calcium carbonate into crystalline CaCO3 polymorphs. Geochimica et Cosmochimica Acta 196, 179-196. https://doi.org/10.1016/j.gca.2016.09.004を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0198】
ある特定の態様において、混和材料には、末端に官能基を有する1つまたは複数の2D基板が含まれ得、これはまた、結晶相、サイズ、形状、および/または配向に影響をおよぼし得る。官能基基板を調製するための例示的な戦略には、ラングミュア単層、表面カルボニル化、およびアルカンチオール自己集合単層(SAM)が含まれる。例えば、ステアリン酸単層はCaCO3結晶化を指向させるために用いられてきた。基板上に種々の官能基をマイクロパターン化してCaCO3結晶化を誘導することができる。したがって、ある特定の態様において、-COOH、-NH2、-OH、SO3H、-CH3、-SH、および/またはPO4H2を有する2D基板を使用して、CaCO3の石灰化を制御することができる。基板の物理的および/または化学的性質は、所望の結果に適するように操作してもよい。これらには、末端官能基の化学的特性、親水性、電荷(または配位数)および幾何学(または空間構造)、基板金属およびアルカンチオール分子の長さが含まれる。加えて、または代わりに、温度および/またはCa++の初期濃度などの環境因子を操作してもよい。ACC形成および変換は、強度の親水性表面、例えば、-OHまたは-SH末端SAMにおいて好ましい場合がある。理論に束縛されることなく、CaCO3は-OH、NH2、および-CH3末端SAMと同じメカニズムを介して核形成すると考えられる。ポリ(エチレングリコール)(PEG)系の二重親水性ブロック共重合体、カルボキシル化ポリアニリン(c-PANI)を用いて、CaCO3結晶化を媒介することができ、結晶サイズ、形状、および改質の制御を提供することができ、例えば、純粋に結晶性のカルサイトおよび/またはバテライトの製造を促進することができる。-OHおよび-COOH適合官能性ポリマーの添加は、ACC前駆体相を安定化させる可能性があり、これは望まれる場合には、徐々にカルサイトに変換してもよい。加えて、または代わりに、荷電官能基をCA2+イオンと結合させて、CaCO3結晶化を促進することができる。例えば、Deng, H., Shen, X.-C., Wang, X.-M., Du, C., 2013. Calcium carbonate crystallization controlled by functional groups: A mini-review. Frontiers of Materials Science 7, 62-68. https://doi.org/10.1007/s11706-013-0191-yを参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み入れられ;特に、形態に対する様々な混和材料の影響の可能性については、表1を参照されたい。
【0199】
ある特定の態様において、混和材料には、1つまたは複数の錯化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)および/または1-ヒドロキシエチルリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)が含まれ得る。例えば、理論に束縛されることなく、EDTAはカルサイトおよびアラゴナイトの結晶成長を遅延させると報告されている。商業的等級のHEDPであるAquasoft 330は、CaCO3およびシュウ酸カルシウムの形態を制御することが報告されている。例えば、Gopi, S.P., Subramanian, V.K., Palanisamy, K., 2015. Synergistic Effect of EDTA and HEDP on the Crystal Growth, Polymorphism, and Morphology of CaCO 3. Industrial & Engineering Chemistry Research 54, 3618-3625. https://doi.org/10.1021/ie5034039を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0200】
ある特定の態様において、混和材料には、低分子量および高分子添加剤、例えばブロック共重合体、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、高分子電解質ポリアクリルアミドおよびセルロースが含まれ得、これらはCaCO3の結晶化に大きな影響を示し得る。例えば、Xie et al., 2006; Xu et al., 2008; Xu et al., 2011, Sadowski et al., 2010; Su et al., 2010を参照されたく、これらはすべてその全体が参照により本明細書に組み入れられる。様々なテンプレートの中で、PEGは、その分子が親水性基を含み、これは金属イオンに対する供与体として作用して、多様な配座を有する金属錯体を形成し得るため、特に興味深い。PEGポリマーなしで石灰化したCaCO3は、5分および24時間のインキュベーション後にそれぞれ12.5および21.5μmの平均サイズの菱面体カルサイト結晶を形成した。これに対し、PEG存在下で得たが、24時間のインキュベーション後に回収したCaCO3沈澱は、13.4〜15.9μmの範囲の直径を有する粒子を示した。高いポリマー濃度で観察される粒径のわずかな増加は、凝集効果によって引き起こされたものであろう。したがって、理論に束縛されることなく、ポリ(エチレングリコール)の存在は、系中のCaCO3粒子の成長を阻害すると考えられる。低分子量および高分子量添加剤は、表面エネルギーもしくは成長メカニズム、または両方を変更する一定の表面との分子の特異的相互作用を通して、異なる結晶面の相対成長速度を変えることにより、非平衡形態を安定化させ得ることが知られている。さらに、理論に束縛されることなく、水溶液中で、Ca2+およびCO32-が最初にACCを形成し、これは数分以内にバテライトおよびカルサイトに急速に変わるが、同時に、ポリマー分子が粒子の表面に吸着し、これはプロセス中に結晶の成長を阻害して、小粒子の形成を引き起こし得ると考えられる。例えば、Polowczyk, I., Bastrzyk, A., Kozlecki, T., Sadowski, Z., 2013. Calcium carbonate mineralization. Part 1: The effect of poly(ethylene glycol) concentration on the formation of precipitate. Faculty of Geoengineering, Mining and Geology, Wroclaw University of Technology, Wroclaw. https://doi.org/10.5277/ppmp130222を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0201】
ある特定の態様において、混和材料には、可溶性添加剤として水溶性高分子が含まれ得、これは、例えば、CaCO3の結晶化に影響をおよぼすことがあり;そのような添加剤は、不溶性マトリックスと共に存在してもよい。可溶性添加剤の例には、ポリ(アクリル酸)(PAA);PAAm:ポリ(アリルアミン);PGA:ポリ(グルタミン酸)ナトリウム塩;DNA:サケ精子(DNA)からのナトリウム塩などのデオキシリボ核酸(DNA)が含まれ;これらの混和材料は、適宜、ガラス、ポリ(エチレン-コ-アクリル酸)(PEAA)(20重量%アクリル酸)、またはキトサンなどの1つまたは複数の基板と共に用いることができる。PEAAおよびキトサンは、それぞれカルボン酸およびアミノ基を含む。これらのポリマーは、ガラス基板上にスピンコートすることができる。可溶性添加剤非存在下で、菱面体カルサイト結晶は3つの基板すべてで成長することができる。異なる基板/高分子の組み合わせは、異なる効果を有し得る。例えば、ガラスの場合、PAAまたはPAAmによる結晶化はないが、一方、PGA添加剤(バテライトおよびカルサイト)またはDNA(カルサイト)では球状結晶が得られ得る。PEAA上の添加剤でも同じ効果が見られる。キトサン、PAAおよびPGAは、CaCO3の薄膜状態を与え得る。理論に束縛されることなく、PAAおよびPGAのカルボン酸およびキトサンのアミノ基が相互作用を引き起こす可能性があり、その結果、薄膜結晶が形成される。球状粒子はDNA存在下、表面上で散発的に成長する。これらの可能性がある混和材料のさらなる議論については、例えば、Kato, T., Suzuki, T., Amamiya, T., Irie, T., Komiyama, M., Yui, H., 1998. Effects of macromolecules on the crystallization of CaCO3 the Formation of Organic/Inorganic Composites. Supramolecular Science 5, 411-415. https://doi.org/10.1016/S0968-5677(98)00041-8を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0202】
混和材料(または各混和材料)を、任意の適切な最終パーセンテージ(bwc)、例えば、セメントの0.01〜0.5重量%、または0.01〜0.3重量%、または0.01〜0.2重量%、または0.01〜0.1重量%、または0.01〜1.0重量%、または0.01〜0.05重量%、または0.05重量%〜5重量%、または0.05重量%〜1重量%、または0.05重量%〜0.5重量%、または0.1重量%〜1重量%、または0.1重量%〜0.8重量%、または0.1重量%〜0.7重量%の範囲まで添加してもよい、混和材料(または混和材料の組合せにおける各混和材料)を、0.0001、0.0002、0.0005、0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9、または1.0%bwc以上;一定の場合には10、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.005、0.002、0.001、0.0005、または0.002%bwc未満の最終パーセンテージまで添加してもよい。他の範囲および量は本明細書に記載のとおりである。
【0203】
ある特定の態様において、グルコン酸ナトリウムを凝結遅延剤として、洗浄水の炭酸化と組み合わせて使用する。グルコン酸ナトリウムを、本明細書に記載のプロセスにおいて、1回または複数回で添加することができる。グルコン酸ナトリウムの任意の適切なタイミングおよび/または量を使用することができ、これは、任意の混和材料と同様に、洗浄水中のコンクリートにおける混合設計、例えば、セメントの種類および量、ならびに/または炭酸化混合水からのその後のバッチにおいて製造されるコンクリートにおける混合設計、例えば、セメントの種類および量に依存し得る。グルコン酸ナトリウムの正確な量は重要であり得、処理すべき混合設計を用いて試験する際に決定してもよい。ある特定の態様において、洗浄水中のセメント重量で表されるグルコン酸ナトリウムの量は、0.1〜5%、または0.2〜4%、または0.5〜3%、または0.7〜2%、または1.0〜2.0%、または1.2〜1.8%、または1.4〜1.6%であり得る。
【0204】
ある特定の態様において、炭酸化洗浄水をそれ自体で使用して、例えば、吹付けコンクリートとして使用したときに、所望の表面に付着するコンクリートを製造するために、凝結を加速してもよい。吹付けコンクリート操作において、コンクリート混合物を、湿潤混合物として、すなわち、既に水と混合した状態で、または、ノズルからの吐出直前に水と混合する乾燥混合物として、ノズルに送ることができる。後者の場合、混合水の一部または全部は炭酸化洗浄水であってもよく、炭酸化洗浄水の使用は、ノズルによって所望の表面に送達されるコンクリートの流れを低減または排除し得る。
【実施例】
【0205】
実施例1
グレー(洗浄)水の試料を実験室で調製した。実験用グレー水を、セメントと飲用水とを混合することにより作製した。実験用グレー水の比重(SG)の範囲は1.025〜1.100であった。モルタル試料の調製において、グレー水を混合水として使用する前に1日または4日間経過させた。モルタルの凝結時間を、ASTM C403に従って、貫入試験機により測定した。
【0206】
凝結時間
図1において、飲用水(SG=1.000)を用いて作製した試料について、加速を凝結時間に対してプロットしている。グレー水のSGおよび経過時間の両方が、モルタル初期凝結に対して大きい加速効果を有する。
【0207】
CO2処理を、前の凝結と同じ経過時間およびSG範囲のグレー水試料に適用した。非処理試料と同様に、飲用水(SG=1.000)を用いて作製した試料について、加速を凝結時間に対してプロットしている(図1)。
【0208】
CO2によるグレー水の処理により、2つの主な改善が得られた:1)加速低減:初期凝結加速の量は、グレー水のCO2処理によって大幅に低減され;かつ2)時間経過効果の低減:凝結時間加速は、CO2処理したグレー水試料の時間経過により有意に影響されなかった。
【0209】
加速および時間経過効果の低減は、グレー水再使用に関連する主要な障害の2つに取り組むのに役立つ。第1に、CO2処理は、経過時間にかかわらず、グレー水の影響を試料のSG値に直接相関させる可能性を有し、第2に、加速の規模の低減は、凝結時間を微調節するための混和材料添加への単純な変更を可能にする。
【0210】
実施例2
本実施例は、二酸化炭素によるコンクリート洗浄水(グレー水)の処理が、洗浄水を用いて作製したコンクリートの凝結、ワーカビリティおよび他の特性を改善し、かつ典型的な最大許容値よりも高い比重で洗浄水の使用を可能にすることを示す。
【0211】
第1の組の試験において、既知量のセメント質材料を飲用水源に添加することにより、洗浄水の試料を実験室で製造した。洗浄水の試料を、モルタル試料の調製において混合水として使用する前に、最大6日間まで時間経過させた。一定の試料を、CO2雰囲気下での洗浄水の激しい混合および時間経過を含む、CO2処理に供した。典型的には、CO2への曝露を洗浄水の調製後30〜120分の時間枠で開始し、洗浄水をモルタル調製に使用するまで持続した。CO2処理における変動を配備し、ここで、洗浄水の試料は、混合水として使用する直前または洗浄水を調製した後30〜120分の時間枠のいずれかで、1回のみCO2に曝露した。示したCO2処理は、セメントの10〜40重量%程度のCO2取り込みをもたらす。
【0212】
本試験のために調製した洗浄水の割合および性質を以下の表1に示す。セメントの密度を3.15g/mLとし、スラグおよびクラスFフライアッシュの密度をいずれも2.2g/mLとした。この表中に示す同じロジックを使用して、さらなる比重値でグレー水試料を調製した。
【0213】
(表1)実施例で使用した洗浄水の組成
【0214】
実験室で生成したコンクリート洗浄水試料を用いてモルタル試料を製造し、フレッシュ特性に対するその影響について評価した。洗浄水試料を使用して、ベンチトップパドル型ミキサー内で、1350gの砂および535gのセメントと混合することによりモルタル試料を調製した。凝結時間を、ASTM C403に従って、貫入試験法を用いて測定した。熱量測定をCalmetrix iCal8000を用いて収集した。凝結時間およびスランプ結果を、飲用水で調製したモルタル試料と比較した。
【0215】
凝結およびワーカビリティ
すべての言明は、EF50および100%OPCグレー水組成物の両方に適用される。
【0216】
凝結時間
すべての場合に、CO2処理は、洗浄水中の固形物含有量の増大によって引き起こされる加速を大幅に低減した(図2、4および6)。加えて、すべての場合に、CO2処理は、洗浄水の経過時間増大によって引き起こされる加速を大幅に低減した(図2)。
【0217】
ワーカビリティ
すべての場合に、CO2処理は、洗浄水の経過時間増大によって引き起こされるワーカビリティの損失を大幅に低減した(図3および5)。
【0218】
熱量測定
CO2処理は、グレー水で調製したモルタル中のセメントの水和に顕著な影響を与え、飲用水で作製した対照試料と同じ領域に機能の開始および強度を戻す。図7〜8は、以前に示した実験から見られるような代表的な熱量測定曲線である。すべての場合に、グレー水を、100%OPCを用いて、比重が1.1になるように調製し、1日経過させた。示した曲線は3つの場合の熱量測定応答を比較する:CO2処理なしの100%OPCグレー水;CO2処理した100%OPCグレー水;飲用水で生成した対照。電力(図7)およびエネルギー(図8)両方の観点から、CO2処理は、モルタル試料中のセメントの水和を正常に進行させることが観察され;CO2処理を使用すると、機能の開始および強度は、飲用水で生成した対照について観察されたものと一致している。
【0219】
二酸化炭素曝露変数
第2の組の試験において、CO2曝露の3つの異なるモードを試験した:持続的−混合の約2時間後に開始して使用まで、グレー水をCO2に曝露した;2時間での処理−混合の約2時間後にグレー水をCO2に1回曝露し、混合水として使用するまで処理しなかった;使用前の処理−使用の約15分前までグレー水を処理しなかった。これら3つの変動は、工業的な状況においてCO2をグレー水に予知可能に適用し得る、時間枠を模倣することを意味した。2時間の選択は、グレー水を調製した後であるが、任意の有意なセメント水和が起こる前に、CO2処理を開始することを意味した。実際には、この時間枠は15〜180分の任意の時点であり得る。
【0220】
持続的処理は、1日経過後の凝結時間の最良の改善を提供した一方、使用前のCO2処理は、6日経過後に最良の改善を提供した(図9)。一般に、2時間での処理は、最良のスランプ効果を提供した(図10)。
【0221】
強度評価
図11を参照されたい。
【0222】
グレー水の試料を用いて、圧縮強度発現の評価のために2''×2''×2''のモルタルキューブを調製した。すべてのグレー水を1日経過させ、比重1.1で調製した。混合後24時間で圧縮強度試験を行った。試料を以下のとおりに調製した:飲用水で生成した対照;CO2処理なしのEF50グレー水;CO2処理したEF50グレー水;CO2処理なしの100%OPCグレー水;CO2処理した100%OPCグレー水;追加のEF50粉末を含む対照;追加の100%OPC粉末を含む対照。ここで、グレー水中の追加の固形物は本質的にセメント質であり、試料6および7はグレー水と同じ量の固形物を用いて調製した。すべての場合に、これは追加の無水結合材として導入した。
【0223】
すべての場合に、試料の性能は、飲用水で生成した対照と同等かまたは良好であった(図11)。また、後の時点、例えば7日および/または28日後の強度増強も見られた。図13(100%OPC、SG1.1の洗浄水)および14(50%セメント、30%スラグ、20%クラスFフライアッシュの洗浄水)を参照されたい。
【0224】
冷却
2つの異なる組成(EF50および100%OPC)のグレー水の試料を、比重1.1で調製し、次の2つの温度の1つで貯蔵した:低温=40°F;室温=約65°F。冷却およびCO2処理の組合せは、モルタル凝結時間における相乗的な改善を提供した、図12参照。
【0225】
実施例3
結合材粉末を水の試料に添加し、1日または7日間経過させた。所与の水試料の結合材粉末はその水から後に生成したモルタルの結合材の組成にマッチし;例えば、モルタルを100%OPCで作製する予定であった場合、洗浄水用の結合材粉末は100%OPCで;モルタルを75/25 OPC/クラスFフライアッシュで作製する予定であった場合、75/25 OPC/クラスFフライアッシュを使用した。水は非処理のままであったか、または、時間経過の間一貫してCO2で処理した。過剰のCO2を供給して、徹底的に炭酸化させた。混合水の時間経過後、モルタル試料を以下のレシピに従って調製した:1350gのEN砂、535gのセメント。凝結時間を、凝結の熱的指標としての熱量測定から測定した(メインの水和ピーク最大値の50%の熱出力に達するための水和時間、ASTM C1679)。
【0226】
結果を図15〜18および表2に示す。15の異なるバッチを条件ごとに凝集させ、結果を、第1四分位数、中央値、第3四分位数を示す箱ひげ図として示す。ひげは最大値および最小値を示す。図15は、同じ結合材組成およびw/bを用いた飲用水対照に対する凝結時間を示す。凝結時間は非処理水(平均73%〜71%)において低減する。CO2処理を用いる場合、凝結時間はニュートラルまで改善される(平均は1日で98%、7日で91%)。図16は、1日の凝結時間に対する7日の凝結時間を示す。水の時間経過は、いずれの場合も凝結時間に大きな影響を及ぼさなかった(非処理で2%、CO2処理水で6%の平均値低下)。図17は、同じ結合材組成およびw/bを用いた飲用水対照に対するモルタルスランプ(ワーカビリティ)を示す。洗浄水を使用するとスランプは損なわれ、水を処理しなかった場合には時間経過と共に悪化した。平均は非処理水で62%から32%に、処理水では63%から51%に低下し、したがって二酸化炭素処理は非処理の場合と比較して、時間経過した洗浄水中のスランプのさらなる低下を軽減した。図18は、1日のモルタルスランプに対する7日のモルタルスランプを示している。ワーカビリティは、非処理の場合、1日の洗浄水よりも7日の洗浄水で悪かったが、前述のとおり、CO2処理を適用した場合にはほとんど、またはまったく変化が見られなかった。結果を表2にまとめる。
【0227】
(表2)凝結時間およびワーカビリティに対する洗浄水のCO2処理の効果
【0228】
実施例4
本実施例は、洗浄水の二酸化炭素への曝露の持続時間の効果を記載する。
【0229】
水の試料に結合材粉末を添加して、比重1.1の模擬洗浄水を生成した。水試料を、最初に生成した後約30分で開始して、様々な時間混合した。水は非処理のままであったか、または、混合期間の間一貫してCO2で処理した。過剰のCO2を供給して、徹底的に炭酸化させた。水のpHおよび固形物のCO2取り込みを測定した。水試料を1日または7日経過させた。混合水の時間経過後、モルタル試料を標準レシピに従って調製した。1350gのEN砂、535gのセメント。
【0230】
予想どおり、洗浄水固形物のCO2取り込みは、処理時間に伴って増大し(図19)、洗浄水のpHが対応して低下した(図20)。非処理洗浄水で作製したキューブと比較して、二酸化炭素処理し、1日経過した洗浄水で作製したモルタルキューブでは、1日(図21)、7日(図22)、および28日強度(図23)は全て増大した。非処理洗浄水で作製したキューブと比較して、二酸化炭素処理し、7日経過した洗浄水で作製したモルタルキューブでは、1日(図24)および7日強度(図25)は増大し;28日強度は、二酸化炭素取り込みがより低い洗浄水で作製したキューブでは低下したが、二酸化炭素取り込みがより高い洗浄水で作製したものでは増大した(図26)。
【0231】
実施例5
Cemex Demopolisセメントを洗浄水固形分(100%セメント)として使用し、比重1.10になるまで飲用水に添加し、次いで、CO2処理あり、またはなしで1日または7日経過させた。対照モルタルキューブを飲用水を用いて製造し、基準キューブを飲用水および洗浄水中に含まれる固形物に等しい追加のセメントを用いて製造した。
【0232】
図27は、より多くのセメントを対照に添加すると、ワーカビリティ(スランプ)が低減したことを示している。その同じ量のセメントが1日経過した洗浄水中に存在する場合、ワーカビリティは約50%低減した。洗浄水を非処理で7日経過時に使用した場合には、ワーカビリティはさらに低下したが、CO2で処理した場合、7日経過時の性能は1日よりも悪化しなかった。図28〜30は、洗浄水で作製したモルタルキューブの1日、7日、および28日圧縮強度を示す。要するに、6つの比較のうちの5つ(1日の洗浄水試料の2つと、7日の洗浄水試料の3つすべて)で、CO2処理した洗浄水のモルタルは、同量の余分なセメントを用いて作製したモルタルよりも強かった。CO2処理した洗浄水で作製した試料は、どの試料経過時間およびどの洗浄水経過時間でも、非処理洗浄水で作製したものと同等またはそれ以上の強度であった。
【0233】
実施例6
ニートセメントおよびスラグを飲用水に添加することにより、実験室洗浄水試料を生成した。1日または7日経過させた後、さらなる分析のために固形物と液体を吸引ろ過により分離した。固形物をイソプロピルアルコールで洗い流して任意の残留水を除去し、乾燥させた。乾燥した固形物を、X線回折(XRD)、核磁気共鳴(NMR)および走査型電子顕微鏡(SEM)による分析にかけた。ろ液を0.20μmのフィルターを通過させ、ICP-OESによる化学分析にかけた。
【0234】
ICP-OES
0.20μmのフィルターを通過するろ液の分析は、水処理に応じてイオン濃度の明確な変化を示す。以下のイオンは、実験室で生成した洗浄水のCO2処理後に濃度で存在することが判明した:カルシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム(図31〜34)。以下のイオンは、実験室で生成した洗浄水のCO2処理後に濃度で存在することが判明した:硫黄、ケイ素(図35および36)。CO2処理は、洗浄水ろ液のpHを低下させることが判明した(図37)。データは図38および図39に表形式で示す。
【0235】
SEM
100%OPC洗浄水、倍率250(図40):非処理の場合、ポルトランダイトに特徴的な六方晶粒子。倍率1000(図41):非処理WW:1日目に針状形態を観察し、7日目の存在は、水和生成物の進行中の沈殿および成長を示唆する。倍率25,000(図42):非処理WW:通常のセメント水和に特徴的な毛羽だった針状水和生成物の混合物。特徴は7日目までに成熟して、より大きくなり、したがって倍率25kで1日目に対して7日目には詳細度が低下。CO2処理WW:カルサイトに特徴的な多くの小箱状生成物が倍率25kで観察可能。CO2処理した場合のミクロ構造は、一般に、1〜7日の時間経過で同じである。
【0236】
75%OPC+25%スラグ洗浄水:倍率250(図43):非処理の場合、ポルトランダイトに特徴的な六方晶粒子。倍率3500で、スラグに特徴的な大きく、結晶面を有する、未反応の粒子(図44):非処理WW:1日目に毛羽だった/針状形態を観察し、これは7日目までに滑らかになる。7日目にさらなるより小さい板状形態が観察可能。反応生成物の進行中の成熟を示唆する。倍率25,000(図45):非処理WW:通常のセメント水和に特徴的な毛羽だった針状水和生成物の混合物。特徴は7日目までに成熟して、より大きくなり、したがって倍率25kで1日目に対して7日目には詳細度が低下。CO2処理WW:カルサイトに特徴的な多くの小箱状生成物が倍率25kで観察可能。CO2処理した場合のミクロ構造は、一般に、1〜7日の時間経過で同じである。
【0237】
XRD
非処理WW−Ca(OH)2からのXRDパターンにおける大きい寄与と、様々なケイ酸カルシウムおよび水和生成物からのより小さい寄与。CO2処理洗浄水−CaCO3からのXRDパターンにおける大きい寄与と、様々なケイ酸カルシウムおよび水和生成物からのより小さい寄与。Ca(OH)2からの寄与はなし。すべてのCaCO3は、約29°の大きい寄与で示されるように、カルサイトとして存在する。すべてのCa(OH)2は、約18°の大きい寄与で示されるように、ポルトランダイトとして存在する。図46および47を参照されたい。
【0238】
NMR(図48および49)ケイ素
ケイ素がセメントおよびスラグ中に存在する。すべての試料中に存在する未反応のセメント相は、約-70ppmのピークを与える。未反応のスラグ相はすべての試料中に存在し、約-75ppmのピークを与える。ケイ酸塩が反応すると、ケイ素のシグナルは重合によってより負の値にシフトする。非処理WW:非処理WW中のケイ素環境は変化し、-75から-90のシグナルにより多くの寄与を与え、経過時間と共に増加する。これは、経時的に変化するミクロ構造を示唆する。CO2処理WW:CO2処理WW中のケイ素環境は劇的に変化し、約-100を中心とする-80から-120のシグナルにより多くの寄与を与える。
【0239】
CO2処理したケイ素環境は、非処理の場合と比較して、1〜7日の変化が少ないことを示す。これは、CO2処理した場合の異なるレベルのSi重合を示唆し、CO2処理した場合には1〜7日の「変化」が少ないことを示唆する。
【0240】
アルミニウム
アルミニウムがセメントおよびスラグ中に存在する。非処理WW:非処理WW中のAl環境は、試料の経過時間に伴って変化する10ppm付近の鋭いピークを生成する。未反応セメントAlからのいくつかのシグナルは、100%OPCの場合、1日目に見られる。これは、経時的に変化しているミクロ構造を示唆する。CO2処理WW:CO2処理は、Al環境を完全に変更する。CO2処理したAl環境は、非処理の場合と比較して、1〜7日の変化が少ないことを示す。これは、非処理の場合と比較して、CO2処理した場合の異なるAl局所環境を示唆する。非処理の場合は、エトリンガイトのような通常の水和生成物中にAlを有し、一方、CO2処理は、Alイオンを非晶質C-A-S-H相に組み込むようである。CO2処理した場合は、1〜7日のAl局所環境において「変化」が少ないことを示す。
【0241】
実施例7
対応するモルタル混合物に適合する様々な洗浄水は、非処理であるか、または二酸化炭素処理あり、およびなしで持続的に撹拌し、本明細書の他所に記載のとおり、洗浄水を用いて作製したモルタルキューブの性能を測定した。
【0242】
図50は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および25%スラグ/75%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。洗浄水は対照(飲用)と比較して強度を増大させ、二酸化炭素処理洗浄水はさらに強度を増大させた。スランプは、対照:108、非処理洗浄水:45;CO2処理洗浄水、45(全てのスランプはmm単位)であった。
【0243】
図51は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および25%クラスCフライアッシュ/75%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。洗浄水は強度を増大させ、非処理洗浄水は1日目および7日目でCO2処理洗浄水よりも良好であったが、CO2処理水のみが28日目に強度利益を付与した。スランプは、対照:125、非処理洗浄水:90、CO2処理洗浄水、90であった。
【0244】
図52は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および25%クラスFフライアッシュ/75%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。洗浄水は強度を増大させ、非処理洗浄水は1日目および7日目でCO2処理洗浄水よりも良好であったが、両方とも28日目に同等の利益を示した。スランプは、対照:118、非処理洗浄水:70;CO2処理洗浄水、90であった。
【0245】
図53は、持続的撹拌にかけた調製後1日の洗浄水、洗浄水固形物および100%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。基準は、洗浄水中の懸濁固形物の質量と等しい余分のセメントであった。セメントの増量は、初期強度を改善したが、後期強度は改善しなかった。CO2洗浄水は全ての経過時間で非処理洗浄水よりも良好であった。CO2洗浄水は全ての経過時間で余分のセメント添加よりも良好であった。スランプは対照:110、セメントを含む基準:100;非処理洗浄水:55;CO2処理洗浄水、50であった。
【0246】
図54は、持続的撹拌にかけた調製後7日の洗浄水、洗浄水固形物および100%OPC(Cemex Cemopolis cement)のモルタルを用いて作製したモルタルキューブの圧縮強度の結果を示す。基準は、洗浄水中の懸濁固形物の質量と等しい余分のセメントであった。セメントの増量は、初期強度を改善したが、後期強度は改善しなかった。CO2洗浄水は全ての経過時間で非処理洗浄水と同等、またはそれよりも良好であった。CO2洗浄水は後の経過時間での余分のセメント添加よりも良好であり、1日目および28日目で飲用水対照よりも良好であった。スランプは対照:110、セメントを含む基準:100;非処理洗浄水:30;CO2処理洗浄水、60であった。
【0247】
実施例8
飲用水、非処理洗浄水および二酸化炭素で処理した洗浄水を用いて作製したコンクリートバッチを比較した、実験室規模のコンクリート製造。洗浄水を2つの経過時間(1日および5日経過)で使用した。試料製造は、それぞれ異なるw/cでの3つの異なる対照バッチを含んでいた。これは、試験バッチ間にw/bのばらつきがある場合に、圧縮強度の解釈を可能にする。
【0248】
(表3)バッチにおける水の性状
【0249】
洗浄水は、レディーミクストラックの載荷を空にした後にトラックを洗浄することにより、トラックから供給された。集めた洗浄水を80μmのスクリーンを通過させてふるいにかけ、次いで瓶詰め(2Lプラスチックボトル)した。適切であれば、洗浄水を、モルタル試験用の洗浄水と同様の方法で炭酸化した(定期的ガス補充および撹拌下で達成される過剰のCO2を与えた)。炭酸化中の洗浄水の比重は1.20〜1.25であった。コンクリートに使用する場合、水を比重約1.08に希釈した。
【0250】
バッチは、セメント、フライアッシュ、および洗浄水中に含まれる固形物を含む、全結合材積載量307kg/m3で製造した。より低いおよびより高いw/b比を有するバッチは、この結合材積載量から逸脱していた。w/bに関して、結合材画分は、セメント、フライアッシュ、および洗浄水に含まれる固形物を含んだ。結合材バッチは、80%セメントおよび20%フライアッシュであった。バッチ比較を、対照Mバッチのベースラインに対して行う。
【0251】
(表4)コンクリート混合設計(kg/m3
【0252】
洗浄水バッチは、洗浄水中に含まれる懸濁固形物と同等の割合で、より少ないセメントおよびフライアッシュ(それぞれ6%低減)を含んでいた。
【0253】
フレッシュ特性を測定し、対照Mバッチと比較した。
【0254】
(表5)コンクリートフレッシュ特性
【0255】
洗浄水で作製したモルタルキューブの凝結加速に対する様々な処理の効果を図55に示す。CO2は凝結加速を低減した。CO2は1日の洗浄水では初期凝結加速を48%低減させ、5日経過した洗浄水では64%低減させた。CO2は1日の洗浄水では最終凝結加速を39%、5日経過した洗浄水では66%低減させた。
【0256】
洗浄水で作製したモルタルキューブの強度に対する様々な処理の効果を図56〜58に示す。コンクリートは全ての場合に3つの標本の平均であった。図56は、1日経過した洗浄水では、コンクリートは28日目に対照と同等であることを示す。洗浄水混合設計においては、結合材が6%少なく、したがって対応する量の洗浄水固形物がコンクリート強度に寄与する。図57は、5日経過した非処理洗浄水で製造したコンクリートの強度が、対照コンクリートよりも13〜17%低い(28日で13%低い)ことを示す。洗浄水をCO2で処理すると、 対照に対する性能は2〜7%低いにすぎない(28日で2%低い)。CO2は5日経過した洗浄水で製造したコンクリートの強度を改善する。図58は、洗浄水の経過時間を1日から5日に延ばすことで、非処理水で製造したコンクリートが12〜15%の強度低下を示すことを示す。洗浄水をCO2で処理した場合、5日経過した洗浄水での強度は1日経過した洗浄水での強度より2〜3%低いにすぎなかった。
【0257】
空気含有量は洗浄水によって影響を受ける可能性があるようである。1日経過した洗浄水を使用する場合に明らかな影響はなかったが、5日経過した洗浄水(非処理とCO2処理の両方)で作製したコンクリートのバッチはいずれも、対照よりも約20〜30%低い空気含有量を有していた。単位質量および規準化単位質量(空気の差について規準化)はバッチ間で一貫していた。
【0258】
実施例9
本実施例において、コンクリートバッチ処理施設は、本発明の方法および組成物を用いて、コンクリートトラック洗浄水を二酸化炭素で処理し、かつその後のコンクリートバッチにおいて、固形物を含む処理洗浄水を利用する。表6は、期待される経済的節約ならびに二酸化炭素の隔離および相殺を示し;表は、75,000m3の施設の年間コンクリート生産量を想定しており;施設の大きさに応じて、より大きいまたはより少ない生産量に対して値を調節し得ることが理解されるであろう。加えて、操作および他の因子の効率に応じて、二酸化炭素の隔離量、経済的節約などは変動し得るが、表は、二酸化炭素の隔離および経済的相殺の値をどのように計算し得るかを示す。
【0259】
コンクリート洗浄水およびコンクリート製造中に生じた他の廃棄物(例えば、戻りコンクリート)を二酸化炭素で処理することに対する環境上の利点および経済的利点の両方が存在し、これは、典型的には、その後のバッチにおける洗浄水固形物の再使用と組み合わされることが理解される。本実施例におけるCO2相殺量は、施設の全CO2放出量の6.78%であり;セメント製造からの二酸化炭素が世界中の温室効果ガス産生のかなりの部分であるため、これは温室効果ガス放出に対するかなりの影響を意味する。二酸化炭素取り込みの効率および再使用する固形物の量に応じて、この数はさらに高く、例えば、8%以上、または10%以上でさえあり得る。加えて、コンクリート施設は、回避されたセメントの価値および埋め立て費用の減少だけでも、年間数十万ドルの節約を実現する。表6に示していない追加の経済的影響は、特にセメント製造とコンクリート製造とを合わせている場合、炭素に値段がついている領域に来る可能性がある。
【0260】
(表6)CO2処理洗浄水およびコンクリートにおける再使用に関連する計量値
太字の数字はCO2隔離のアウトプットである。
斜字体の数字はインプットおよび変数である。
平文の数字は定数または背景計算値である。
【0261】
バッチは、セメント、フライアッシュ、および洗浄水中に含まれる固形物を含む、全結合材積載量307kg/m3で製造した。より低いおよびより高いw/b比を有するバッチは、この結合材積載量から逸脱していた。w/bに関して、結合材画分は、セメント、フライアッシュ、および洗浄水に含まれる固形物を含んだ。結合材バッチは、80%セメントおよび20%フライアッシュであった。バッチ比較を、対照Mバッチのベースラインに対して行う。
【0262】
実施例10
本実施例は、洗浄水の二酸化炭素処理が洗浄水中の粒度分布に影響をおよぼし得ることを示す。
【0263】
Malvern MS3000を用いて粒径を測定し、撹拌速度2400rpm、データ収集時間60秒/試料、測定20回/試料、超音波分散10〜20秒、使用した液体媒体はイソプロピルアルコールであった。
【0264】
8つの試料を製造し、乾燥し、粒度分布分析を行った。
無水セメント試料
ペースト(w/c0.5)水和3時間
ペーストを3時間水和し、比重1.05に希釈する
3時間経過した1.05洗浄水試料をCO2で処理して中性pHにする
24時間非処理洗浄水
24時間CO2処理洗浄水
7日非処理洗浄水
7日CO2処理洗浄水
【0265】
非処理洗浄水において、おそらくはより小さいセメント粒子が反応するため、細骨材の割合が経過時間と共に減少した(図59)。7日目には、二峰性の粒子分布が見られ、粗粒画分が現れる。理論に束縛されることなく、水和生成物が粒子上に蓄積し、経時的に増加すると考えられる。
【0266】
CO2処理した洗浄水において、CO2処理直後に粒子分布が微細化し、微細化したままであった(図60)。分布は時間経過と共に変化しなかった(粒子は安定である)。7日目には軽度の二峰性分布が見られたが、粗大化はなかった。
【0267】
メジアン粒径(Dv50)は、非処理洗浄水中、1〜7日に増大した。メジアン粒径はCO2処理により減少し、メジアン粒径は初期粒径の約半分であり、1〜7日で変化しなかった(図61)。
【0268】
すべての処理において、粒子の最も細かい画分(Dv10、粒子の10%がこの直径よりも細かい)は、より大きい直径にシフトした。理論に束縛されることなく、最も細かいセメント粒子が反応したと考えられる。このシフトは、CO2処理洗浄水よりも非処理洗浄水中で大きい。このシフトは、おそらくより細かい粒子が反応し続けるため、非処理洗浄水が1〜7日経過するにつれて増大する。これに対し、最も細かい画分は、1〜7日経過したCO2処理洗浄水中で安定である(図62)。
【0269】
Dv90(粒子の90%がこの直径よりも細かい)は、粒子が非処理洗浄水中で粗大化し、1〜7日に大きい増大が見られることを示す。これに対し、CO2処理は、無水セメントと比較して粗画分を減少させ、CO2処理洗浄水中の粒子は、1〜7日経過した場合に粗大化しなかった(図63)。
【0270】
図64は、様々な試料の10、50および90パーセンタイルを示す棒グラフである。
【0271】
ザウター平均直径(SMD)は、関心対象の集団と同じ体積/表面積比を有する球の直径である。非処理洗浄水において、これは3時間の水和で2倍になり、1〜7日でさらに30%増加する。CO2処理は、ザウター直径を28%低減させた。これは1〜7日の時間経過で安定であった(図65)。
【0272】
デブロッケール(De Brouckere)直径(D(4,3))は、実際の粒子と同じ体積の球状粒子を仮定して、加重平均体積直径である。しばしば、1つの数字をPSDを記載するために使用する。非処理洗浄水について、D(4,3)は増大し、1〜7日の時間経中に2倍になる。CO2処理はD(4,3)を、初期セメントの約半分に低下させ、期間経過と共に安定したままであった(図66)。
【0273】
レーザー回折による比表面積(SSA)は、球状粒子を仮定した計算値である。全ての処理は、開始条件に対して比表面積を減少させた。非処理洗浄水SSAは24時間で初期値の約半分であり、1〜7日間でさらに25%低下した(図67)。CO2処理はSSAを60%増加させ、SSAは初期値より約25%下で安定であった(図68)。非処理洗浄水は、3時間でSSAの低下および粒子の粗大化を示し、24時間でより微細な粒子へのシフト、ならびに7日でSSAの低下およびメジアン径の増加を示した。処理は、より低いメジアン径およびより高いSSAに移動し、そこにとどまった。
【0274】
本実施例は、二酸化炭素処理が、非処理洗浄水と比較して、洗浄水中の粒径および分布に対して急速かつ持続する効果を有し得ることを示す。
【0275】
実施例11
本実施例において、異なる密度の洗浄水試料における二酸化炭素の様々な流量の効果を調べた。
【0276】
二酸化炭素を、プラスチック容器中、様々な質量の固形物を有する水50Lを循環させているインダクタを通して、一定流量(12.1LPMのCO2)で送達した。内部に水中ポンプ、1/3HPサンプポンプを含む、77リットルのプラスチック容器に水を入れた。ポンプの下流端には、長さ2フィート、1/4インチODのプラスチック管があった。CO2ガスの注入を、管の長さに沿った一点で行った。材料を反応器に入れた後、ポンプを作動させ、水を再循環ポンプの作用により撹拌した。前述のとおり、CO2送達はポンピング段階に統合された。表7は試験した様々な条件を示す。
【0277】
(表7)洗浄水への二酸化炭素注入の条件
変数:
比重(1.05、1.07、1.10)
CO2流量(15.6g CO2/分、24.0g/分)
固形物:(100%セメント、80%セメントおよび20%フライアッシュ)
定数
水量50リットル
CO2添加前の予備混合時間:15分
【0278】
結果を表8および図69〜83に示す。
【0279】
(表8)
CO2最終%は固形物中のセメントの重量による。
【0280】
図69および図70は、一定流量で、固形物含有量の増加がpHを中和する時間を増加させたことを示す。図71は、水中の一定の固形物含有量について、セメント画分の減少が中性pHまでの時間を減少させたことを示す。図72および73は、一定の比重(固形物含有量)について、CO2流量の増加が中性pHまでの時間を減少させたことを示す。図74および75は、固形物の炭素含有量が、処理時間とともに直線的に増加したことを示す。所与の流量について、固形物含有量の増加は、CO2最終%までの時間の増加をもたらした。図76は、固形物の炭素含有量が、処理時間とともに直線的に増加したことを示す。所与の流量および固形物含有量について、固形物のセメント画分の増加は、CO2最終%までの時間の増加をもたらした。図77および78は、所与の比重/固形物含有量について、流量が増加すると、CO2取り込みの速度が増加することを示す。図79および80は、所与の流量について、pHの変化が固形物のCO2取り込み%と良好に相関することを示す。比重の変化は相関性に重大な影響をおよぼさない。較正すれば、pHは固形物の取り込みの適切な予測因子であり得る。図81は、取り込み/pH相関が固形物のセメント含有量によって影響されないようであることを示す。図82および83は、流量の変化がCO2取り込みと溶液pHとの間の相関を顕著に変化させないことを示す。
【0281】
本実施例は、二酸化炭素取り込み速度に対する注入速度の効果を示し、かつpHが取り込み進行の信頼できる指標であり得ることを示す。本実施例は、二酸化炭素注入のフィードバック制御なしのシステムを使用した。注入のフィードバック制御は、取り込み効率を、例えば、少なくとも60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%まで改善することができる。実施例14を参照されたい。
【0282】
実施例12
本実施例は、洗浄水中への二酸化炭素注入のための制御システムおよびロジックの1つのタイプを示す。
【0283】
いくつかの態様において、本明細書に記載のとおり、二酸化炭素を洗浄水に導入し、タンク内の洗浄水の上のヘッドスペースにおける二酸化炭素含有量を読み取り、洗浄水の温度も計測する。図84は例示的な制御ロジックを示す。
【0284】
本実施例における制御ロジックの前提は、ヘッドスペースCO2および洗浄水温度の読み取り値が使用するCO2流量に影響するということである。条件が好都合である場合、流量は標的流量の100%となり、センサフィードバックが、変数が所望の標的に達していることを特定したとき、または非効率的なCO2注入を検出したときには、100%未満となる。全ての読み取り値は、状況により、それだけで流れを停止することになる。
【0285】
センサデータは下記を反映すべきである:適切な値は適切なサンプリングおよび平均化に依存し、確認ロジックは、読み取り値が読み取り時間間隔に基づいて期待範囲内にあることを確認する。読み取り間のCO2および温度の変化は妥当であるが、大きすぎる(高すぎるまたは低すぎる)シフトは、警報またはエラーを起動することができ−−異常が検出されれば、エラーが送信され、待機ロジックは継続した安全な操作(温度、pH)を保証し、CO2メーターが誤動作している場合には停止する。
【0286】
調節可能なフィードバック変数および推奨限界:
ヘッドスペースにおけるCO2濃度
下限=400ppm
上限=1000ppm

水の温度
下限=20℃
上限=40℃

最大流量
最大流量は、所与の処理間隔にわたって新しい洗浄水中で完全な取り込みを確実にするために使用する構成のために現場で決定する

水のpH
下限=6
上限=14

水の比重
下限=1.00
上限=1.30
【0287】
下記は、洗浄の状態に基づいて流量を制御するためのロジックに組み込むことができるロジックの一部である。本実施例は、単純化のために期待される最小/最大センサ読み取り値の間の最大取り込み流量の100%〜0%の線形補間を使用するが、CO2因子および温度因子の式を変更することは、データが変更、例えば、適宜非線形補間を支持する場合、比較的簡単であることが理解されるであろう。
【0288】
ロジックの例示的条件:
ヘッドスペースCO2濃度に基づいてCO2流量を決定し、ヘッドスペース濃度が増大すれば流量を減少させる
-CO2<CO2(LL)であれば、
CO2因子=100
-CO2>CO2(UL)であれば
CO2因子=0
-CO2(LL)<CO2<CO2(UL)であれば
CO2因子=(CO2(UL)−CO2)/(1-(100/(CO2(UL)−CO2(LL)))

CO2流量を変更するために温度因子を用い、より高い温度は、CO2流量減少を起こすのに使用することができる
-温度<温度C(LL)であれば
温度因子=100
-温度>温度C(UL)であれば
温度因子=0
-温度C(LL)<温度<温度C(UL)であれば
温度因子=(温度(UL)−温度))/(100/(温度(UL)−温度(LL))

温度読み取り値はまた、冷却ループ操作を決定することができ、例えば、洗浄水の温度が上昇すると、冷却を増加させることができる。冷却ループは、導管内の液体CO2の供給源であり得る。ガス注入に供給される液体は、相転移を受ける必要があり、洗浄水からの熱を使用して、その転移を達成することができる。洗浄水の温度に基づいて冷却ループ操作を決定し、水温が上昇すると冷却を増加させる。

ヘッドスペースのCO2および洗浄水の温度に基づいて質量流量制御設定を決定し、水温が上昇すると冷却を増加させる。
流量=最大流量×Co2因子×温度因子

追加の因子(pH、比重)もまた、流量計算に含め得る。
【0289】
洗浄水システムロジック
初期化:
CO2最大流量(SLPM)を読み取る[HMI入力]
CO2下限および上限(PPM)を読み取る[HMI入力]
温度下限および上限(℃)を読み取る[HMI入力]
pH下限(pH)を読み取る[HMI入力]
調節時間「X」(秒)を読み取る[HMI入力]
排出ポンプ流量(LPM)を読み取る[HMI入力]
5秒後にゼロ設定値(SLPM)をMFCに送信する[アナログ出力1−4-20mA]

オートモード(HMIのセレクタスイッチ)
アイドルモードのシステム
循環ポンプへの出力リレーをオンにする[120VAC出力1]
水のpHを読み取る[アナログ入力3−4-20mA]
CO2センサを読み取る[アナログ入力1−4-20mA]
温度センサを読み取る[アナログ入力2-4-20mA]
MFCからのデータを読み取る[アナログ入力8−4-20mA]
<pH限界であれば:
pHが限界値より高くなるまでアイドル状態のままにする
>pH限界であれば:
CO2センサ読み取り値でCO2因子を計算する
CO2<CO2(LL)であれば、CO2因子=1.0
CO2>CO2(UL)であれば、CO2因子=0.0
CO2(LL)<CO2<CO2(UL)であれば、
CO2因子=(CO2(UL)−CO2)/(CO2(UL)−CO2(LL))
温度センサ読み取り値で温度因子を計算する
T<T(LL)であれば、温度因子=1.0
T>T(UL)であれば、温度因子=0.0
T(LL)<T<T(UL)であれば、
温度因子=(T(UL)−T)/(T(UL)−T(LL))

CO2最大流量、CO2因子および温度因子でMFC設定値を計算する
MFC設定値=最大流量*CO2因子*温度因子
ガスソレノイドへの出力リレーをオンにする[120VAC出力2]
MFCに設定値を送信する[アナログ出力1−4-20mA]
ループタイマー−「X」秒毎に因子および設定値を調節する
MFCに調節した設定値を送信する[アナログ出力1−4-20mA]
<pH限界または臨界値であれば、警報が起動する:
MFCにゼロ設定値を送信する[アナログ出力1−4-20mA]
ガスソレノイドへのリレーをオフにする[120VAC出力2]
システムをアイドル状態にする

手動モード(HMIのセレクタスイッチ):
水のpHを読み取る:[アナログ入力3−4-20mA]
CO2センサを読み取る[アナログ入力1−4-20mA]
温度センサを読み取る[アナログ入力2−4-20mA]
MFCからのデータを読み取る[アナログ入力8−4-20mA]
手動MFC流量(SLPM)を読み取る[HMI入力]
循環ポンプスイッチ始動/停止−ポンプへのリレーをオン/オフにする[120VAC出力1]
ガス注入スイッチ始動/停止
ガスソレノイドへの出力リレーをオン/オフにする[120VAC出力2]
スイッチオン時にMFCに手動MFC流量を送信する[アナログ出力1−4-20mA]
スイッチオフ時にMFCにゼロ設定値を送信する[アナログ出力1−4-20mA]
排気ファン始動/停止−ファンへのリレーをオン/オフにする[120VAC出力3]
冷却ループ始動/停止−ループへのリレーをオン/オフにする[120VAC出力4]
臨界警報が起動すれば:
MFCに0設定値を送信する[アナログ出力1−4-20mA]
ガスソレノイドへのリレーをオフにする[120VAC出力2]
排出ポンプ:
トラック排出ボタン
排出量(L)を読み取る[HMI入力]
排出時間(秒)を計算する
排出時間=排出量/ポンプ流量*60
排出ポンプへの出力リレーをオンにする[120VAC出力4]
タイマが切れれば排出ポンプへの出力リレーをオフにする[120VAC出力4]
警報:
高い水温−上限+10C−HMI底部の赤いバー、冷却ループを作動させる[120VAC出力4]
低い水温−10C−HMI底部の赤いバー
臨界低水温−2C−臨界警報(警報ポップアップ&システムを停止する)
低CO2温度−5C−臨界警報(警報ポップアップ&システムを停止する)
低CO2圧力−20psi−臨界警報(警報ポップアップ&システムを停止する)
高CO2圧力−95psi−HMI底部の赤いバー
臨界CO2圧力−110psi−臨界警報(警報ポップアップ&システムを停止する)
高CO2センサ−上限−HMI底部の赤いバー、排気ファンを作動させる[120VAC出力3]
臨界CO2センサ−2000PPM−臨界警報(警報ポップアップ&システムを停止する)
*排気ファンはCO2レベルが下限になるまでオンのままにする*
0排出量−排出量として0入力−警報ポップアップ(排出量を入力)
PLC電池低−PLC電池が最小電圧未満
0排出ポンプ流量−排出ポンプ流量を0に設定する
データ:
データはHMIにより記録される(2秒毎に1回)
MFCデータ−ガスソレノイドが開放の場合のみ(すなわち、システムがCO2を注入している場合、そうでない場合には全てが0である)
他の全てのセンサ:
オートモード−常時
手動モード−ポンプがオンの時のみ
【0290】
本実施例は制御ロジックの一形態を示す。より少ない、より多くの、または異なる特性をモニターし、二酸化炭素の流量を適宜調節し得ることが理解されるであろう。
【0291】
実施例13
本実施例は、洗浄水への二酸化炭素添加が必ずしも安定したpHをもたらさないことを示す。
【0292】
以下の条件を使用した:
水量:50L
セメント:3.75kg
比重:1.05
CO2流量:12.1LPM
初期pH:9.8
初期温度:17.3℃
CO2を90分適用。pHは11.8から6.2に低下
その後pHをモニター。
【0293】
実施例11の装置を用いた。CO2を90分間適用し、pHは11.8から6.2に低下した。CO2の流れを停止し、その後pHをモニターした。CO2添加がない場合、pHは着実に増加した(図85参照)。
【0294】
実施例14
本実施例において、工業的なプロトタイプ操作を試験した。
【0295】
2台のトラックから洗浄水を採取した。条件は表9に示す通りである。
【0296】
(表9)工業的プロトタイプ試験のための条件
【0297】
トラックを貯蔵容器中に洗い込んだ。各洗浄後、洗い出しスラリーを10分間沈降させた。次いで、スラリーを貯蔵タンクから処理容器内にポンプで送った。洗浄水720リットルを回収した。処理容器は、容器の底部に沈められた3HPポンプを有し、このポンプは、容器から上に延びて上方で輪になり、次いで容器の底部に戻される、約15フィートの配管ループを通して水を汲み上げる。二酸化炭素をループの最初の2フィートの4点で注入し、したがって二酸化炭素が洗浄水中に吸収され得るループは長かった。容器のヘッドスペース内の空気の二酸化炭素含有量をモニターし、二酸化炭素含有量が高くなりすぎれば、流量を調節した。この制御システムで、二酸化炭素取り込みの効率は約90%であった。CO2処理は1:30pmに開始し、洗浄水の半分は混合開始後3時間36分であり、半分は混合開始から2時間8分であった。
【0298】
CO2を洗浄水に3時間加えた(CO2l時間47分、注入を38分間停止して、質量流量計を変更し、さらに35分間注入)。pHは12.26から11.0に低下した。ヘッドスペース内のCO2は、試験の最初の部分では周囲環境に近く、試験の後半でわずかに上昇した。
【0299】
試験中の条件を表10に示す。
【0300】
(表10)工業的プロトタイプ試験中の条件
【0301】
1140分で、合計11.5kgの二酸化炭素が洗浄水に送達された。炭素分析により、固形物は、固形物最終質量の11.8%の生炭素含有量を有すると判定された。これは、初期固形物質量の13.3重量%の正味炭素含有量であると判定された。固形物は90%結合材および10%砂であると推定された。結合材は80%セメントおよび20%フライアッシュであると推定された。したがって、セメント重量によるCO2取り込みは初期セメントの17.8重量%であると判定された。
【0302】
結論として、洗浄水の比重は1.08であった。推定778kgの洗浄水は87kgの固形物および691kgの水で構成された。87kgの固形物は11.8質量%のCO2を含み、これは10.3kgの結合CO2および76.7kgのベースライン固形物(化学的に結合した水の未決定量を含む)を含むことを意味した。CO2の全送達量と比較して、二酸化炭素は89%の割合で無機化された。
【0303】
図86は、処理時間に対するpHおよび比重を示す。比重はpHが低下するにつれて増加した。図87は、処理時間に対する比重および固形物中の正味CO2%(セメントの重量による)を示す。比重およびCO2含有量は処理時間と共に増加する。図88は、処理時間に対するpHおよび固形物中の正味CO2%(セメントの重量による)を示す。処理時間と共にCO2含有量は増加し、pHは低下する。
【0304】
本実施例は、レディーミクストラックからの洗浄水を使用して高い二酸化炭素取り込みを達成し得、二酸化炭素送達のフィードバック制御は89%以上の取り込み効率を達成し得ることを示す。
【0305】
実施例15
本実施例は、異なる濃度で使用される凝結遅延剤、この場合グルコン酸ナトリウムの、CO2処理洗浄水で作製されたコンクリートの特性に対する効果を示す。
【0306】
コンクリートの製造手順
・粗骨材および砂をミキサーに添加する
・15秒間混合する
・混合水の80%を添加する
・15秒間混合する
・セメントおよびフライアッシュを添加する
・15秒間混合する
・残りの混合水(テールウォーター)および混和材料を加える
・3分間混合する
【0307】
混合設計
・デフォルト混合設計における骨材は表面乾燥飽水状態(SSD)である
・混合水の使用量を、骨材の水分状態に応じてバッチ毎に計算する
いくつかの場合に、骨材はSSD下であり、したがって補償するために追加の混合水がに必要であった。
【0308】
CO2処理:各場合に、洗浄水のCO2処理は75分間の7.9LPMの流量を使用した。洗浄水量が50Lではなく30Lであったことを除いて、実施例11の装置を使用した。
【0309】
試験1:洗浄直後の0.225%グルコン酸塩、混合水として使用する前のCO2
洗浄水スラリーを2kgのセメントおよび20kgの水を用いて作製した。スラリーを3時間ゆっくり混合した。次いでグルコン酸ナトリウムを0.225%bwcで添加し、混合した。24時間で、スラリーをさらに10kgの水で希釈し、50Lの二酸化炭素処理ループに添加した。比重は1.05であると測定された。洗浄水の対照試料を採取し、CO2供与量勾配を開始した。試料を様々な時間で取り出した。水を採取した直後に、混合水として水試料を用いてコンクリートを作製した。CO2処理水を用いて、処理開始の35、60、80および105分後にコンクリートを製造した。
【0310】
洗浄水を混合水として使用した場合にスランプが低減されるが、コンクリートは依然として高流動性であることが観察された。CO2は凝結時間加速に影響を与えなかったが、遅延剤による遅い水和に対抗した(エネルギー放出(J/g)を調べる熱量測定を通して観察されるとおり)。CO2の遅延剤に対する対抗は、CO2取り込みが増えるにつれて増大した。
【0311】
(表7)0.225%bwcグルコン酸ナトリウムで安定化した洗浄水の試験詳細
【0312】
試験2:洗浄後の1%NaG−グルコン酸塩、24時間のCO2
洗浄水スラリーを2kgのセメントおよび30kgの水を用いて作製した。セメントを水に加えた3時間後に、グルコン酸ナトリウムを1.0%bwcで洗浄水スラリーに添加した。24時間で、水を50Lの二酸化炭素処理ループに添加した。比重は1.05であると測定された。洗浄水の対照試料を採取し、CO2供与量勾配を開始した。試料を様々な間隔で取り出した。水を採取した直後に、混合水として水試料を用いてコンクリートを作製した。
【0313】
グルコン酸塩の供与量の増加は、非処理洗浄水コンクリートのスランプを増大させて基準バッチよりも大きくした。CO2による水の処理は、取り込み増加に伴うスランプ低減を引き起こした。コンクリートは、基準の約半分のレベルでいくらかのワーカビリティを維持した。グルコン酸ナトリウムは非処理洗浄水バッチにおいてより遅い凝結時間を引き起こしたが、CO2の最低レベルを除く全てで、凝結時間は基準と同様であり、CO2の最高レベルは凝結加速をもたらした。
【0314】
(表8)1.0%bwcグルコン酸ナトリウムで安定化した洗浄水の試験詳細
【0315】
試験3:洗浄後の2%Na−グルコン酸塩、24時間のCO2
洗浄水スラリーを2kgのセメントおよび30kgの水を用いて作製した。セメントを水に加えた3時間後に、グルコン酸ナトリウムを2.0%bwcで洗浄水スラリーに添加した。24時間で、水を50Lの二酸化炭素処理ループに添加した。比重は1.05であると測定された。洗浄水の対照試料を採取し、CO2供与量勾配を開始した。試料を様々な間隔で取り出した。水を採取した直後に、混合水として水試料を用いてコンクリートを作製した。
【0316】
グルコン酸ナトリウムのこの供与量で、非処理洗浄水コンクリートのスランプは基準バッチよりも大きく、凝結時間は2時間以上遅延した。水和の熱も同様に基準から低下した。CO2による水の処理は、スランプのわずかな低減を引き起こしたが、これは対照とほぼ同等であった。最長の処理時間は、セメント重量による20.5重量%の取り込みを提供し、スランプのわずかな低減を引き起こしたが、これは対照の96%であった。凝結時間は、最初の2回のCO2処理期間で増加したが、最高の取り込みでも35分遅延したにすぎなかった。水和熱は、二酸化炭素を添加した後にさらなる低減を示したが、第2の試料で対照に向かって戻り、最終試料では対照を超えた。1日圧縮強度は非処理洗浄水で最低であったが、CO2処理時間が延びるにつれて増大し、45分処理/12.6%取り込みで14%、56分処理/20.5%取り込みで18%基準を超えた。
【0317】
(表9)2.0%bwcグルコン酸ナトリウムで安定化した洗浄水の試験詳細
【0318】
試験1〜3におけるグルコン酸ナトリウムの3回の供与量からのスランプおよび取り込みデータの要約
飲用水を用いた基準バッチは、全ての試験において140mmのスランプを有した。グルコン酸ナトリウムの最低供与量(0.225%)は、混合水として洗浄水を使用することによるスランプ低減に対抗せず、またCO2取り込み増加の影響はなく、CO2の全てのレベルで対照よりも低いスランプにとどまった。1%供与量は、CO2非処理の洗浄水におけるスランプを基準よりも高いレベルまで回復させた。スランプは、CO2の取り込みが増加するにつれて、対照より低いレベルまで低下した。2%供与量は、非処理洗浄水のスランプを基準よりも高いレベルまで回復させた。4%および13%のCO2取り込みでは、スランプは対照とほぼ同等であった。20%CO2取り込みでは、スランプは対照よりもわずかに低かった。したがって、最も高いグルコン酸ナトリウム供与量では、スランプの減少は取り込みに対して感受性が低い。
【0319】
試験4:処理洗浄水の安定性
洗浄水を2kgのセメントおよび30kgの水を用いて作製した。セメントを水に加えた3時間後に、グルコン酸ナトリウムを2%bwcで洗浄水に添加した。24時間後、洗浄水を小プロトタイプ(50Lループ)に添加し、撹拌した。比重は1.05であると測定された。洗浄水の対照試料を採取し、洗浄水をCO2で処理した。処理完了後、ならびにその1、3および24時間後に試料を採取した。水を採取した直後に、混合水として様々な水試料を用いてコンクリートを作製した。
【0320】
ワーカビリティは、処理洗浄水の時間経過に影響されなかった。24時間強度は、処理洗浄水の経過時間が増加するにつれてわずかに低下した。
【0321】
(表10)様々な処理後保持時間で、2.0%bwcグルコン酸ナトリウムで安定化した洗浄水の試験詳細
【0322】
試験5:2%NaG直後の炭酸化処理
洗浄水を2kgのセメントおよび30kgの水を用いて作製した。セメントを水に加えた3時間後に、グルコン酸ナトリウムを2%bwcで洗浄水に添加した。スラリーを15分間混合した。次いで、洗浄水を小プロトタイプ(50Lループ)に添加し、撹拌した。比重は1.05であると測定された。洗浄水の対照試料を採取し、洗浄水をCO2で1時間15分処理した。CO2処理直後および処理の24時間後に、飲用水および処理水を用いてコンクリートを作製した。
【0323】
CO2処理した洗浄水コンクリートのスランプは、対照とほぼ同等であった。グルコン酸ナトリウムは、非処理洗浄水の凝結時間の2時間以上の増大を引き起こした。CO2処理は対照と比較して、凝結遅延を50分まで低減した。1日強度は基準よりも低かったが、3日までに強度は基準とほぼ同等となった。この効果は遅延コンクリートと一致する。
【0324】
(表11)CO2処理直前に2.0%bwcグルコン酸ナトリウムで安定化した洗浄水の試験詳細
【0325】
試験6:1.5%NaG直後の炭酸化処理
洗浄水を2kgのセメントおよび30kgの水を用いて作製した。セメントを水に加えた3時間後に、グルコン酸ナトリウムを1.5%bwcで洗浄水に添加した。スラリーを15分間混合した。次いで、洗浄水を小プロトタイプ(50Lタンク)に添加し、撹拌した。比重は1.05であると測定された。洗浄水の対照試料を採取し、洗浄水をCO2で1時間15分処理した。飲用水および処理水を用いてコンクリートを作製した。
【0326】
コンクリートの2つのバッチのスランプはほぼ同等で、安定化し、CO2処理したバッチが高かった。凝結時間は互いに10分以内であり、水和の熱は試験した3つの間隔で処理バッチについて増大した。1日圧縮強度は改善されたが、7日圧縮強度はわずかに低かった。
【0327】
(表12)CO2処理直前に1.5%bwcグルコン酸ナトリウムで安定化した洗浄水の試験詳細
【0328】
実施例16
グルコン酸ナトリウムを含む洗浄水、CO2で処理し、コンクリート混合水としての使用前に保持する
洗浄水を1kgのセメントおよび15kgの水を用いて作製した。セメントを水に加えた3時間後に、グルコン酸ナトリウムを1.5%bwcで洗浄水に添加した。スラリーを15分間混合した。次いで、洗浄水を小プロトタイプに添加し、撹拌した。比重は1.05であると測定された。洗浄水をCO2で1時間15分処理した。CO2処理完了の24時間後、処理水を用いてコンクリートのバッチを作製した。洗浄水の並行バッチを、2.0%グルコン酸塩の供与量を用いて製造し、貯蔵7日後に別のコンクリートバッチを作製するために用いた。
【0329】
処理洗浄水によるコンクリートの2つのバッチのスランプは、飲用水対照とほぼ同等であった(わずかに高かった)。1日圧縮強度は、処理洗浄水を使用することにより改善された。洗浄水の時間経過は、そのように製造したコンクリートの特性を改善した。
【0330】
【0331】
本発明の好ましい態様を本明細書に示し、記載してきたが、当業者であれば、そのような態様が例として提供されるにすぎないことが明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換を思いつくであろう。本明細書に記載の本発明の態様に対する様々な代替物を、本発明を実施する際に使用し得ることが理解されるべきである。添付の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造はそれらに含まれることが意図される。
図1
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【国際調査報告】