(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-524104(P2020-524104A)
(43)【公表日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】三次元成形体のリソグラフィベースの積層造形のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/135 20170101AFI20200717BHJP
B29C 64/205 20170101ALI20200717BHJP
B29C 64/214 20170101ALI20200717BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20200717BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20200717BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200717BHJP
【FI】
B29C64/135
B29C64/205
B29C64/214
B29C64/255
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-519160(P2020-519160)
(86)(22)【出願日】2018年6月8日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月4日
(86)【国際出願番号】AT2018000052
(87)【国際公開番号】WO2018232428
(87)【国際公開日】20181227
(31)【優先権主張番号】17450006.0
(32)【優先日】2017年6月19日
(33)【優先権主張国】AT
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519053061
【氏名又は名称】クビキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グマイナー、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フェルスター − ロムスビンケル、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ノイバウアー、フィリップ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213WA25
4F213WB01
4F213WE06
4F213WF24
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL87
(57)【要約】
三次元成形体のリソグラフィベースの積層造形の方法であって、構築プラットフォーム(8)が材料支持体(1)から距離を置いて配置され、材料支持体(1)は少なくとも放射源の放射を透過する材料支持体(1)が第1の位置と第2の位置との間で並進移動する、前記放射線への曝露により固化可能な材料のいくつかの領域、材料支持体の移動中に材料が規定の層厚で適用されることを特徴とする(1)第1の位置から第2の位置まで、構築プラットフォーム(8)と材料支持体(1)の間に適用された材料が、放射線源によって位置および/または時間選択的に照射され、固化されるそして、材料支持体(1)の第2の位置から第1の位置への移動中に、材料は材料支持体(1)から除去される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形プラットフォームのリソグラフィベースの積層造形の方法であって、構築プラットフォーム(8)が材料支持体(1)から離れて配置され、材料支持体(1)は放射源の放射を透過し、少なくともいくつかの領域では、前記放射線への曝露により固化可能な材料について、材料支持体(1)は、第1の位置と第2の位置との間で並進移動し、材料の移動中に材料が規定の層厚で塗布されることを特徴とする材料支持体(1)を第1の位置から第2の位置まで、この後、構築プラットフォーム(8)と材料支持体(1)との間に塗布された材料が、位置および/または時間選択的に放射線源によって照射され、固化し、その後、材料支持体(1)が第2の位置から第1の位置に移動する間に材料が材料支持体(1)から除去される、方法。
【請求項2】
前記材料は、静的な材料導入装置(3)によって塗布または除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料が、第1および第2のドクターブレード(5、6)によって塗布または除去されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記材料支持体(1)の第2の位置から第1の位置への移動中または移動前に、第1のドクターブレード(5)が、前記材料支持体(1)の移動方向に対して垂直に材料支持体(1)から遠ざけられ、好ましくは、前記材料支持体(1)の第1の位置から第2の位置への移動中または移動前に、規定された層厚を調整するために前記材料支持体(1)に向かって移動させることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
材料リザーバ(2)が第1および第2のドクターブレード(5、6)の間に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の位置から前記第2の位置への前記材料支持体(1)の移動中に、ギャップによって規定される層厚と材料支持体(1)の並進移動速度とにより、第1ドクターブレード(5)と材料支持体(1)と間に規定されるギャップを通して、前記材料が、前記材料リザーバ(2)から塗布されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記材料が搬送装置(9)によって、前記材料リザーバ(2)に導入されることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のドクターブレード(6)が、スプリングなどの戻り装置(7)により前記材料支持体(1)に隣接して保持されることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記材料支持体(1)の前記第1の位置から前記第2の位置への移動中に、前記材料支持体(1)から除去された前記材料が少なくとも部分的に前記材料リザーバ(2)に戻されることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記材料支持体(1)の前記第2の位置から前記第1の位置への移動中に、前記構築プラットフォーム(8)が傾斜することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記材料が材料導入装置(3)内で加熱されることを特徴とする、請求項2から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
特に請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するための、三次元成形体のリソグラフィに基づく積層製造のための装置であって、
当該装置は、電磁放射線の放射源と、少なくともいくつかの領域では前記放射線への曝露により固化可能な材料に対して前記放射源の前記放射線に対して透過性である材料支持体(1)と、当該材料支持体(1)からある距離に保持された構築プラットフォーム(8)とを備え、
前記材料支持体(1)は、第1の位置と第2の位置との間で並進移動可能であり、
更に、材料導入装置(3)が設けられて、前記材料支持体(1)の前記第1の位置から前記第2の位置への移動中に、規定された層厚の材料を塗布し、前記材料支持体(1)の前記第2の位置から前記第1の位置への移動中に、前記材料支持体(1)から材料を除去するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記材料導入装置(3)は、少なくとも第1および第2のドクターブレード(5、6)を備え、前記第1のドクターブレード(5)は、好ましくは、前記材料支持体(1)の移動方向に対して垂直に高さ調節可能であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のドクターブレード(6)が、スプリングなどの戻り装置(7)と協働することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記構築プラットフォーム(8)が傾斜可能に配置されることを特徴とする、請求項12または13に記載の装置。
【請求項16】
前記材料導入装置(3)は、前記材料を加熱するための加熱装置を備えることを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
材料リザーバ(2)が前記第1および第2のドクターブレード(5、6)の間に形成されることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記材料リザーバ(2)は、当該材料リザーバ(2)に材料が導入されることを可能にするように搬送装置に接続されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元成形体のリソグラフィに基づく積層造形の方法に関し、構築プラットフォームは、放射線への曝露により固化可能な材料の少なくともいくつかの領域において、放射源の放射に対して透過性の材料支持体から距離を置いて配置される。材料支持体は第1の位置と第2の位置との間で並進移動する。
【0002】
本発明はさらに、そのような方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィまたはステレオリソグラフィの積層造形では、光重合性の出発材料が層状に成形されて成形体になる。その際、層情報は、光学マスク、投影画像領域、またはレーザービームによるスクリーンを通して、位置および時間選択的に重合される材料に送信される。露光方法と構造化方法の選択にはかなりの違いがある。一方では、光重合性材料の(浸漬)タンクを上から露光することができる。構造化された対象は、生産(SLA)中、連続的に液体材料内に浸透され、または材料リザーバ(充填された材料槽)が透過な槽底を通して下から露出され、オブジェクトは上部(DLP、レーザーステレオリソグラフィ)の材料槽から取り除かれる。後者の場合、オブジェクトは上下に移動することで層ごとに構造化され、オブジェクトと材料槽の底部との間のそれぞれの距離により、非常に正確な層厚が確保される。斬新なプロセスでは、このタイプの構造化は連続的に発生する場合があるが(上下に交互に移動はしない)、その場合、槽底にさらに特定の要件を課す必要がある。記載されている浸漬プロセス(SLA)とは対照的に、材料槽を介した露出の大きな利点は、とりわけ、プロセスの開始に必要な材料の量が大幅に削減されることである。浸漬プロセスは、大量の反応性消耗材料を必要とするため、処理およびプロセスコストの点で本質的に不利である。
【0004】
上記のプロセス技術はすべて、付加的に構造化された製品の高い幾何学的品質を共有している。特にプラスチック技術の分野では、射出成形用途などの現在の方法と競合するために、表面品質が重要である。したがって、リソグラフィベースの3D印刷は、表面品質とフォーム品質の両方の点で、他のすべての利用可能な3D印刷プロセスよりも際立っている。この場合に不利なのは、出発材料(フォトポリマー混合物)の粘度に高い要求があることである。したがって、処理段階で現在必要な動的粘度は、Pa.s(パスカル秒)を超えてはならない。層状処理のこの制約により、適格なフォトポリマーの選択が大幅に制限される。これは、リソグラフィベースの添加剤層化プロセスの最大の弱点である、処理プラスチックの頻繁に強く制限される材料特性に起因する。
【0005】
特に技術用途、さらにはエンドユーザー製品の分野では、幾何学的品質に加えて重要なのは物体の材料品質である。添加処理されたプラスチックでは、既知の不足は主に温度耐性(温度上昇での剛性/ Eモジュールの強い損失-通常は40から50°Cを超える)と周囲温度での靭性(衝撃強度/壊滅的な破壊または引き裂きに対する耐性)に反映される。現在、強度、粘り強さ、および効率的な耐熱性(例えば、最大80°の十分な剛性)の組み合わせを提供するステレオリソグラフィ処理された材料は、既存の生産技術における付加的なステレオリソグラフィプロセスの経済的統合を成功させるための前提条件と考えられている。しかし、これまでのところ、そのような材料は、所望の品質で入手できなかったか、または部分的にしか入手できなかった。
【0006】
ステレオリソグラフィプロセス用の新規フォトポリマーシステムを開発するために、既知のプロセスプロセスの引用された粘度の要求は特に問題がある。考えられる改善策は、高温でのプロセス制御である。すでに通常の室温(20°C)よりもプロセス温度がわずかに上昇すると、ほとんどのフォトポリマーの粘度が大幅に低下する。したがって、選択する出発ポリマー物質の大幅な増加が達成され、その後、新規の3D印刷材料が得られる。
【0007】
加熱プロセスシステムのアプリケーションはすでに一般に知られている。高粘度システムを処理する別のオプションは、たとえば既存の浸漬システム(数ミリメートルまたはセンチメートルの充填レベルの高さを持つ材料槽)を他の材料供給方法(コーティングシステムなど)に交換する場合のプロセス制御自体にある。プロセス温度の上昇は、これらのアプローチでも重要な利点をもたらす可能性があるが、処理されるフォトポリマーの温度感度も常に考慮する必要がある。個々のプロセス要素またはプロセスチャンバ全体の複雑な加熱は代替手段である可能性があるが、かなりのメカトロニクスの支出をもたらすことも多く、誤った実装では、フォトポリマー混合物の長期安定性を低下させるので、プロセスの安定性を非常に危険にさらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、個々のプロセス段階を選択的に加熱することによる効果と、規定された材料がそれぞれのプロセスゾーンに供給される効果とを組み合わせると共に、長期安定生産システムとして実現できる、高粘性樹脂のプロセス制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を解決するために、本発明は、最初に規定された種類の方法において、第1の位置から第2の位置への材料支持体の移動中に材料が規定された層厚で塗布され、その後、構築プラットフォームおよび材料支持体は、放射線源によって位置および/または時間選択的に照射され、固化され、その後、材料支持体が第2の位置から第1の位置に移動する間に上記材料から材料が除去されることを実質的に提供する。
【0010】
本発明は、感光性物質を薄層の形態で露光ゾーンに供給することができるコーティングおよび循環プロセスを含む。このプロセスでは、たとえばプロセスに関連する感光性材料の薄層のキャリアプレートとして主に機能する材料槽として設計された並進移動可能な材料支持体を使用する。光重合性材料は、前記可動キャリアプレート上に供給され、材料は、純粋な感光性モノマーまたはオリゴマー化合物、または光開始剤成分を含むような化合物を含んでもよい。さらに、そのような化合物は、有機または無機充填剤を備えてもよく、および/またはさらなる有機または無機添加剤または他の物質、着色剤、吸収剤材料、あるいは機能性または非機能性成分を含んでもよい。さらに、この材料とのリソグラフィ相互作用が150nmと950nmの間の波長範囲で可能であれば、他の光重合性物質も使用することができる。
【0011】
材料は、静的な材料導入装置によって塗布または除去されることが好ましく、更に、可動材料支持体に関して、固定されたプロセス位置となっている。
【0012】
材料は、第1および第2のドクターブレードによって塗布または除去されることが好ましい。
【0013】
第1のドクターブレードは、好ましくは、第2の位置から第1の位置への材料支持体の移動の前または移動中に、材料支持体の移動方向に対して垂直に材料支持体から離れ、好ましくは、第1の位置から第2の位置への材料支持体の移動中または移動前の規定された層の厚さの調整のために材料支持体に向かって移動する。第1のドクターブレードは、第1のドクターブレードの高さがz方向(材料支持体が移動するx方向に垂直の方向)に可変に調整可能に設計され、当該高さ調整は能動的なプロセスメカニズム(例えばドクターブレードモーター)および受動的なプロセスメカニズムによる。第1のドクターブレードは、好ましくは、材料導入装置が完全に閉じられるように、第1のドクターブレードとその最下部の材料支持体との間にドクターブレードのギャップを許容しないように、または上昇位置において数マイクロメートルから最大数ミリメートルの高さのギャップを許容しないように高さを調整することができる。
【0014】
第2のドクターブレードは取り外し機構を形成し、その送り(フィード)の高さ(z方向)を受動的または能動的に調整できる。好ましくは、第2のドクターブレードは、戻り装置、例えば、スプリング(バネ)によって、材料支持体に隣接して保持される。したがって、材料導入装置は、当該装置の中に含まれる感光性材料に対していつでも少なくとも部分的に密封される。
【0015】
さらに、第1のドクターブレードと第2のドクターブレードとの間に材料リザーバが形成されることが好ましい。特に好ましい方法では、材料支持体が第2の位置から第1の位置に移動する間に、材料支持体から除去された材料が少なくとも部分的に材料リザーバに戻されることが提供される。これに関連して、材料支持体が第1の位置から第2の位置に移動する間、材料は、材料支持体の並進移動速度とギャップとによって規定される層の厚さで、第1のドクターブレードと材料支持体との間に規定されるギャップを通して材料リザーバから塗布されることが特に好ましい。
【0016】
この場合の本発明による方法は、材料導入装置の下で、すなわち第1のドクターブレードおよび第2のドクターブレードの下で材料支持体の直線運動を提供する。材料支持体の第4の動き(すなわち、第1の位置から第2の位置へ)において、光重合性材料の規定された薄層が、少なくとも部分的に、および材料支持体の一部で材料支持体に塗布され、および材料支持体の戻り運動(すなわち、第2の位置から第1の位置へ)において、残りの感光性材料フィルムは、少なくとも部分的に、および材料支持体の部分で引き離されるかまたは除去され、それにより、一方では、材料支持体は、引き離された部分では清浄な表面または少なくとも部分的清浄化された表面で構成され、および他方では、以前に残った感光性材料は、少なくとも部分的に材料リザーバに戻される。
【0017】
材料支持体の第4の移動で塗布された感光性材料の薄層は露光ゾーンに送られ、そこで位置および時間選択露光情報が材料支持体に材料と反対側から供給される。好ましい実施形態においては、これは、例えば、下から達成されており、露出情報が材料支持体を通過しなければならない。このため、材料支持体は、使用される光情報に対して透過または少なくとも部分的に透過になるように設計されている。光重合性材料の露光および選択的硬化処理の後、処理された材料は材料支持体から引き離されることにより、感光性材料の非重合残留物が不連続な薄層の形で、または材料の蓄積の形で物質的な島状または他の層パターンが存在するようになる。材料支持体の戻り動作中、この材料は再び材料リザーバに供給される。これを容易にするために、材料支持体の戻り運動中に第1のドクターブレードを能動的または受動的に持ち上げて、第1のドクターブレードの下の非重合材料残留物の通過を容易にすることができる。材料支持体の戻り動作が完了した後、光重合性材料が材料リザーバから流出するのを防ぐために、第1のドクターブレードを即座に、能動的または受動的に下げることができる。材料支持体の戻り運動中、感光性材料は、第2のドクターブレードによって材料支持体の底部から剥がされ、したがって、少なくとも一時的に材料リザーバに留まることができる。
【0018】
記載された操作は、必要に応じて何度でも繰り返すことができ、したがって、光重合性材料の新たに塗布された層を常に材料支持体に塗布し、塗布されたものを露光ゾーンに連続的に供給することができる。この塗布された感光性材料層の高さまたは厚さは、第1のドクターブレードの高さ調整および材料支持体の直線移動速度によって無段階に調整できる。感光層の高さを調整するオプションは、たとえば、数マイクロメートルから数ミリメートルの範囲である。さらに、感光性材料の最終的に達成可能な層の厚さは、感光性材料の粘度とその流動特性の関数であり、これらは、おおむね温度依存性である。この態様を説明するために、材料導入装置内で材料が加熱されることが好ましい。好ましい実施形態では、第1および/または第2のドクターブレードおよび/または材料支持体などのすべての関連プロセス部品は、さらに、選択的および/または個別に適合可能な方法で加熱可能に設計できる。
【0019】
適切なステレオリソグラフィ印刷プロセスに使用される構築プラットフォームは、重合に使用される層ギャップを(z軸に沿って)機械的に調整し、重合後、直線的に移動可能な材料支持体から選択的に重合した材料層を確実に引き離す、好ましくは加熱可能に設計されている。
【0020】
記載されたプロセスの間、感光性ストック材料は、好ましくは、材料リザーバに常に存在する。材料リザーバの下の材料支持体の交互の直線運動は、可動または循環する材料波または感光材料の材料掃引の形で材料リザーバ内の感光性ストック材料の周期的な動きを引き起こす。プロセス制御を最適化するために、連続的または規定された間隔で、感光性ストック材料の材料レベルを能動的または受動的に検出することが有利であり、これは、本発明による例示的な実施形態では、超音波センサー、光学センサーまたはタッチセンサーを使用することによって実行することができる。スイッチ、ボタン、充填レベルプローブなどの特定されていない他のフィードバックシステムも、感光性ストック材料の充填レベルの測定に使用できる。感光性ストック材料の所望の充填レベルを維持するために、好ましくは、運搬装置によって材料が材料リザーバに導入されることが提供される。例えば、連続的にまたは所望の時間間隔で、新しい感光性材料を材料リザーバに供給できることが提供され得る。搬送装置は、選択的かつ個別に加熱できるように設計されていてもよい。
【0021】
さらに、直線的に移動可能な材料支持体は、選択的に固化した感光性材料の露光ゾーンにおける材料支持体からの所望の剥離プロセスを能動的または受動的に支援することができ、露光ゾーンにおける材料支持体の直線運動は、構築プラットフォームに関連するプロセス全体のセットアップと能動的または受動的な傾斜運動と組み合わせ、またはプロセスセットアップに関連する構築プラットフォーム自体のアクティブまたはパッシブの傾斜運動と組み合わせて、理想的な剥離プロセスに可能な限り近づくような組み合わせた除去運動のような固化した感光性材料の多軸除去プロセスを予め規定済みまたは未規定に導く。
したがって、材料支持体の第2の位置から第1の位置への移動中に構築プラットフォームが傾くことが好ましい。好ましい構成では、選択的に硬化された感光性材料層のこの剥離プロセスは、構築プラットフォームの線形リフト(z方向)、支持プラットフォームによって運ばれるピボット点の周りの構築プラットフォームの受動的または能動的回転、材料支持体のアクティブまたはパッシブの線形並進運動によって決定されて、多軸剥離プロセスを可能にするすべてを組み合わせにする。
この剥離プロセスを支援するために、材料支持体には、光重合性露光プロセスの使用動作波長に対して透過な、または少なくとも部分的に透過な、さまざまな材料の積層体からなる及び/又は特別な粘着防止コーティングを施すことができる。
【0022】
本発明による記載されたプロセス制御は、高分子量を有し、室温で非流体または固体としても存在し得る高粘性感光性出発物質の正確な処理を可能にする。さらに、記載された再充填システムは、安定した圧力プロセスに必要な量の感光性材料のみがプロセスゾーンで利用可能である必要があるため、高いプロセス安全性を保証する。追加の感光性ストック材料は、使用するまでプロセスゾーンから遠ざけることができ、プロセス温度やその他の環境影響による長期的な悪影響の可能性を大幅に防ぐことができる。さらに、材料支持体上の規定された薄層で露光ゾーンに感光性材料を供給することにより、固化したフォトポリマーの層に含まれる可能性のある空気を制御できる。材料支持体の直線移動速度、材料リザーバ内の感光性材料の充填レベル、およびドクターブレードの移動高さを介して、新鮮な感光性材料と材料支持体から既に引き離された感光性材料との混合を最適化し、材料リザーバ内のストック材料への望ましくない気泡の混入を最小限に抑えるために、材料リザーバ内の周期的に回転する材料の掃引に影響を与えることも可能である。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、電磁放射の放射源と、前記放射線への暴露により固化可能な材料のための領域において放射源の放射を少なくともある程度透過する材料支持体と、材料支持体からある距離に保持された構築プラットフォームとを含む、三次元成形体のリソグラフィベースの積層造形のための装置が提供される。ここで、材料支持体は、第1の位置と第2の位置との間で並進移動可能であり、ここで、材料支持体の第1位置から第2位置への移動中に規定された層厚の材料を塗布し、材料支持部の第2位置から第1位置への移動中に材料支持体から材料を除去するように設計されている材料導入装置が提供されることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、材料導入装置は少なくとも第1および第2のドクターブレードを備え、第1のドクターブレードは好ましくは材料支持体の移動方向に対して垂直に高さ調整可能であることが提供される。
【0025】
さらに、好ましくは、第2のドクターブレードが、戻り要素(例えばスプリング)と協働する。
【0026】
好ましい構成では、構築プラットフォームが傾斜可能に配置されることが提供される。
【0027】
材料導入装置は、材料を加熱するための加熱装置を備えることが好ましい。
【0028】
さらに、好ましくは互いに平行に配置された第1のドクターブレードと第2のドクターブレードとの間に材料リザーバが形成されることが好ましい。
【0029】
好ましくは、材料が材料リザーバに導入されることを可能にするために、材料リザーバが搬送装置に接続されることが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図2は、材料層の凝固の完了後の段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下において、本発明は、図面に概略的に示された例示的な実施形態によって一層詳細に説明される。ここで、
図1および
図2は、プロセスサイクルの連続した段階における本発明による装置の概略横断面図を示す。
【0032】
図1において、材料支持体は1で示され、その上に材料層11が配置される。材料支持体1から距離を置いて、構築プラットフォーム8が配置され、当該構築プラットフォーム8は、z方向に高さ調節可能であり、軸4の周りに傾斜可能に取り付けられている。構築プラットフォーム8と材料支持体1との間にすでにいくつかの材料層11が構築されている。材料支持体1は、z方向に垂直なx方向に沿って並進移動可能である。
【0033】
さらに、第1のドクターブレード5および第2のドクターブレード6を備える材料導入装置3が提供される。第1のドクターブレード5は、ドクターブレードモーター10によってz方向に高さ調節可能であり、第2のドクターブレード6は、第2のドクターブレード6をz方向で材料支持体1に当接して保持するばね7を含む。2つのドクターブレード5、6の間に、運搬装置によって材料を供給できる、材料リザーバ2が形成されている。
【0034】
この方法の
図1に示される段階では、材料支持体1は第2の位置にある。構築プラットフォーム8が材料支持体1の方向に下げられると、放射源(図示せず)により材料支持体1上の材料層11を位置選択的に照射し、固化することにより新しい材料層11を形成できる。材料支持体1の第2の位置への移動中に、材料層11は第1のドクターブレード5によって塗布された。
【0035】
図2は、材料層11の凝固の完了後の段階を示す。材料支持体1は、矢印12の方向に移動し、第2の位置から第1の位置に向かう方向に移動する。同時に、構築プラットフォーム8はz方向にわずかに上昇し、構築プラットフォーム8の持ち上げ動作と材料支持体1の矢印12方向の動きの組み合わせが、軸4に関する構築プラットフォーム8の傾斜を引き起こし、剥離プロセスの方法で、材料支持体1からの完成された材料層11の多軸分離を促進する。この目的のために、剥離プロセスをさらに促進する場合、構築プラットフォーム8上の軸4の位置は、x方向で見て、構築プラットフォーム8の反対側に位置することもできる。材料支持体が第2の位置から第1の位置に移動する間、材料支持体1に残っている材料11は、第2のドクターブレード6によって剥ぎ取られ、材料リザーバ2に再び集められ、任意的には運搬装置により新しい材料が補充されて、いつでも十分な材料を提供することができるようになる。
【0036】
材料層11が第2のドクターブレード6によって剥ぎ取られて、材料支持体1が第1の位置に到達した後、
図1に描かれた第2の位置に到達するまで、矢印12の方向に対して第2の位置に向かって材料支持体を動かすことにより、材料層11が第1のドクターブレード5によって材料リザーバ2から再び塗布される。この後、構築プラットフォームおよび既に固化した層11によって形成された構造は、それぞれ、固化される層の厚さを調整するために材料層に下げられ、その後、材料層11のさらなる露出および固化を行うことができる。
【手続補正書】
【提出日】2018年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元成形体のリソグラフィベースの積層造形の方法であって、
構築プラットフォーム(8)が材料支持体(1)から離れて配置され、材料支持体(1)は、少なくともいくつかの領域では、放射線への暴露によって固化可能な材料について、放射源の放射線を透過し、前記材料支持体(1)が、第1の位置と第2の位置との間で並進移動する方法において、
前記材料支持体(1)が第1の位置から第2の位置に移動する間、規定された層厚で、材料導入装置(3)によって材料が塗布された後、前記構築プラットフォーム(8)と前記材料支持体(1)の間の塗布材料は、放射線源によって位置および/または時間選択的に照射されて固化した後、前記第2の位置から前記第1の位置への前記材料支持体(1)の移動中に、前記材料導入装置(3)によって材料支持体(1)から材料が除去されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記材料は、静的な材料導入装置(3)によって塗布または除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料が、第1および第2のドクターブレード(5、6)によって塗布または除去されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記材料支持体(1)の第2の位置から第1の位置への移動中または移動前に、第1のドクターブレード(5)が、前記材料支持体(1)の移動方向に対して垂直に材料支持体(1)から遠ざけられ、好ましくは、前記材料支持体(1)の第1の位置から第2の位置への移動中または移動前に、規定された層厚を調整するために前記材料支持体(1)に向かって移動させることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
材料リザーバ(2)が第1および第2のドクターブレード(5、6)の間に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の位置から前記第2の位置への前記材料支持体(1)の移動中に、ギャップによって規定される層厚と材料支持体(1)の並進移動速度とにより、第1ドクターブレード(5)と材料支持体(1)と間に規定されるギャップを通して、前記材料が、前記材料リザーバ(2)から塗布されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記材料が搬送装置(9)によって、前記材料リザーバ(2)に導入されることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のドクターブレード(6)が、スプリングなどの戻り装置(7)により前記材料支持体(1)に隣接して保持されることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記材料支持体(1)の前記第1の位置から前記第2の位置への移動中に、前記材料支持体(1)から除去された前記材料が少なくとも部分的に前記材料リザーバ(2)に戻されることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記材料支持体(1)の前記第2の位置から前記第1の位置への移動中に、前記構築プラットフォーム(8)が傾斜することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記材料が材料導入装置(3)内で加熱されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
特に請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するための、三次元成形体のリソグラフィに基づく積層製造のための装置であって、
当該装置は、電磁放射線の放射源と、少なくともいくつかの領域では前記放射線への曝露により固化可能な材料に対して前記放射源の前記放射線に対して透過性である材料支持体(1)と、当該材料支持体(1)からある距離に保持された構築プラットフォーム(8)とを備え、
前記材料支持体(1)は、第1の位置と第2の位置との間で並進移動可能であり、
更に、材料導入装置(3)が設けられて、前記材料支持体(1)の前記第1の位置から前記第2の位置への移動中に、規定された層厚の材料を塗布し、前記材料支持体(1)の前記第2の位置から前記第1の位置への移動中に、前記材料支持体(1)から材料を除去するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記材料導入装置(3)は、少なくとも第1および第2のドクターブレード(5、6)を備え、前記第1のドクターブレード(5)は、好ましくは、前記材料支持体(1)の移動方向に対して垂直に高さ調節可能であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のドクターブレード(6)が、スプリングなどの戻り装置(7)と協働することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記構築プラットフォーム(8)が傾斜可能に配置されることを特徴とする、請求項12または13に記載の装置。
【請求項16】
前記材料導入装置(3)は、前記材料を加熱するための加熱装置を備えることを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
材料リザーバ(2)が前記第1および第2のドクターブレード(5、6)の間に形成されることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記材料リザーバ(2)は、当該材料リザーバ(2)に材料が導入されることを可能にするように搬送装置に接続されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【国際調査報告】