特表2020-524576(P2020-524576A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーエムアール・サージカル・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000003
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000004
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000005
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000006
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000007
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000008
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000009
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000010
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000011
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000012
  • 特表2020524576-電気焼灼手術器具の給電 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-524576(P2020-524576A)
(43)【公表日】2020年8月20日
(54)【発明の名称】電気焼灼手術器具の給電
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20200727BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20200727BHJP
【FI】
   A61B18/12
   A61B34/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-571026(P2019-571026)
(86)(22)【出願日】2018年6月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月18日
(86)【国際出願番号】GB2018051716
(87)【国際公開番号】WO2018234795
(87)【国際公開日】20181227
(31)【優先権主張番号】1709902.9
(32)【優先日】2017年6月21日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516210894
【氏名又は名称】シーエムアール・サージカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】グローヴァー・サイモン・ロダリック
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK15
4C160KK22
4C160KK70
(57)【要約】
【課題】電気焼灼エンドエフェクタに給電するための効果的な機構を備えるロボット手術器具を提供する。
【解決手段】ロボット手術器具は、シャフトと、電気焼灼エレメントにより給電される電気焼灼エンドエフェクタと、電気焼灼エンドエフェクタをシャフトに連結する関節部とを備える。関節部は、第1,第2の駆動エレメントの対により各々駆動可能な第1,第2ジョイントを備える。第1ジョイントは、電気焼灼エンドエフェクタの、シャフトの長手方向軸心を横切る第1軸心回りの回動を可能にし、第2ジョイントは、電気焼灼エンドエフェクタの、第1軸心を横切る第2軸心回りの回動を可能にする。電気焼灼エレメントは、第1軸心の周りを動くように、かつ第2軸心回りに1回転以上巻かれるように拘束されている。電気焼灼エレメント及び第2の駆動エレメントの対の第1の駆動エレメントの、シャフトと第2ジョイントとの間の各経路は、互いに対称となっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
電気焼灼エレメントにより給電される電気焼灼エンドエフェクタと、
前記電気焼灼エンドエフェクタを前記シャフトに連結する関節部と、
を備え、前記関節部が、
第1の駆動エレメントの対により駆動可能な第1ジョイントであって、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記シャフトの長手方向軸心を横切る第1軸心回りに回動することを可能にする、第1ジョイント、および
第2の駆動エレメントの対により駆動可能な第2ジョイントであって、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記第1軸心を横切る第2軸心回りに回動することを可能にする、第2ジョイント、
を備え、
前記電気焼灼エレメントが、前記第1軸心の周りを動くように拘束されていると共に、前記第2軸心回りに1回転以上巻かれるように拘束されており、前記電気焼灼エレメントの、前記シャフトと前記第2ジョイントとの間の経路と、前記第2の駆動エレメントの対の第1の駆動エレメントの、前記シャフトと前記第2ジョイントとの間の経路とが、互いに逆となる対称な経路となっている、ロボット手術器具。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントが、前記第2軸心回りに1.5回転以上巻かれるように拘束されている、ロボット手術器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントが、前記第2軸心周りの溝に収容されている、ロボット手術器具。
【請求項4】
請求項1に記載のロボット手術器具において、前記関節部が、周りを前記第2の駆動エレメントの対及び前記電気焼灼エレメントが動くように拘束されたプーリ機構を備え、前記電気焼灼エレメントと前記第2の駆動エレメントの対の前記第1の駆動エレメントとは、前記プーリ機構周りの経路が、互いに逆となる対称な経路となっている、ロボット手術器具。
【請求項5】
請求項4に記載のロボット手術器具において、前記プーリ機構が、前記第1軸心回りに回転可能な第1のセットのプーリを有する、ロボット手術器具。
【請求項6】
請求項4または5に記載のロボット手術器具において、前記プーリ機構が、前記第1軸心と前記シャフトとの間に配置された第2のセットのプーリを有する、ロボット手術器具。
【請求項7】
請求項4、5または6に記載のロボット手術器具において、前記プーリ機構が、前記第1軸心と前記第2軸心との間に配置された第3のセットのプーリを有する、ロボット手術器具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントが、前記シャフト内で前記第2の駆動エレメントの対の第2の駆動エレメントに接合されている、ロボット手術器具。
【請求項9】
請求項8に記載のロボット手術器具において、前記第2の駆動エレメントの対の前記第2の駆動エレメントが、可撓部とスポークとを有しており、前記スポークに前記電気焼灼エレメントが接合されている、ロボット手術器具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントが、前記電気焼灼エンドエフェクタに接続されている、ロボット手術器具。
【請求項11】
請求項10に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントが、前記電気焼灼エンドエフェクタで終端している、ロボット手術器具。
【請求項12】
請求項11に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントが前記電気焼灼エンドエフェクタで終端している箇所において絶縁材料によってオーバーモールド成形されている、ロボット手術器具。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントがケーブルである、ロボット手術器具。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のロボット手術器具において、前記第1の駆動エレメントの対が、前記関節部内のケーブルである、ロボット手術器具。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のロボット手術器具において、前記第2の駆動エレメントの対が、前記関節部内のケーブルである、ロボット手術器具。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のロボット手術器具において、前記電気焼灼エレメントおよび前記対の駆動エレメントが、圧縮力及び引張力に抵抗する、ロボット手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
手術を支援及び実行するためにロボットを使用することが知られている。
【背景技術】
【0002】
図1に、基台108、アーム102及び器具105で構成される典型的な手術ロボット100を示す。上記基台は、当該ロボットを支持し、かつ、それ自体も例えば手術室の床、手術室の天井、トロリー等に強固に取り付けられる。上記アームは、上記基台と上記器具との間に延びている。上記アームは当該アームの長さに沿って、上記手術器具を患者に対する所望の位置に配置するように用いられる複数のフレキシブルジョイント103によって回動される。上記手術器具は、このロボットアームの遠位端部104に取り付けられている。上記手術器具は、ポート107で、手術部位にアクセスするように患者101の体内に進入する。上記器具は当該器具の遠位端部に、医療処置を行うためのエンドエフェクタ106を備えている。
【0003】
様々なエンドエフェクタが知られており、それぞれ特定の手術機能を実行するように構成されている。図2に、電気焼灼エンドエフェクタを備えた手術器具200を示す。この手術器具は、ベース201を備える。当該手術器具は、ベース201を介して上記ロボットアームに連結する。ベース201と関節部203との間には、シャフト202が延びている。関節部203は、電気焼灼エンドエフェクタ204で終端している。関節部203は、電気焼灼エンドエフェクタ204がシャフト202に対して動くことを可能にする。当該関節部により、電気焼灼エンドエフェクタ204の運動に少なくとも2の自由度が付与されるのが望ましい。
【0004】
電気焼灼エンドエフェクタは、電源から電力を受け取って当該電気焼灼エンドエフェクタの焼灼機能を実行する。典型的には、当該電気焼灼エンドエフェクタに電力ケーブルが接続されている。この電力ケーブルは、当該電気焼灼エンドエフェクタへと、少なくとも上記器具のうちの患者内に進入する部分については上記器具の内部を通過するようにして配線されているのが理想的である。つまり、理想的には、上記電力ケーブルが、シャフト202の内部から関節部203内を通って電気焼灼エンドエフェクタ204へと配線されている。また、関節部203のジョイントを駆動する駆動エレメントも、上記シャフトの内部を通って当該関節部へと配線されている。上記電気焼灼電力ケーブルは、上記関節部の上記ジョイントの動きに完全に対応するものであることが望ましい。つまり、上記電気焼灼電力ケーブルは、突っ張った結果として上記関節部の運動を制限しないものであるのが望ましい。ただし、上記電気焼灼電力ケーブルは、緩んで上記関節部の他の内部部品に引っ掛かった結果として上記関節部の運動に干渉しないものであることも望ましい。上記電力ケーブルは絶縁仕様とされているので、上記関節部内の部品に擦られて当該絶縁部が劣化する可能性のないものであるのが望ましい。
【0005】
特許文献1には、電気焼灼エンドエフェクタであって、電力ケーブルが円状のチャンバを介して当該電気焼灼エンドエフェクタのベースへと接続されており、当該円状のチャンバ内でその電力ケーブルが巻かれる、電気焼灼エンドエフェクタが記載されている。当該チャンバの、上記電力ケーブルが巻かれる通路の径方向幅は、当該電力ケーブルの幅を大幅に上回っているので、当該チャンバ内では、上記電力ケーブルが様々な且つ可変の巻き半径で巻かれることができる。これにより、上記チャンバは、ケーブルのうちの様々な長さを収容することが可能である。よって、上記電気焼灼エンドエフェクタが一方の回転方向に回動したときには、その関節部に対応して上記電力リードが上記チャンバから引き出される。上記エンドエフェクタが反対の回転方向に回動したときには、その関節部に対応して上記電力リードが上記チャンバ内でなおいっそう巻かれる。
【0006】
つまり、特許文献1には、電力ケーブルを関節部のジョイントの動きに対応させて当該動きに干渉しないようにさせることが可能な電気焼灼器具が記載されている。しかしながら、特許文献1は、外径が8mm以上程度の電気焼灼器具に関するものである。手術器具の外径は、小さくするのが望ましい。これにより、内部組織の損傷が抑制されるので、術後の身体の内的治癒能力が高まり、回復期間を短縮することができる。特許文献1に記載された、電気焼灼器具の電力ケーブルを扱うための機構は、例えば6mm未満等のより小さな外径を有する器具に対しては効果的でない。これは、電力ケーブルをチャンバ内で当該電力ケーブルの巻き半径を変化させて収納した場合に、当該電力ケーブルに過度の歪みが加わるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0267254号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、小さい外径を有するロボット手術器具に適した、電気焼灼エンドエフェクタへの給電に対応するための効果的な機構が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、ロボット手術器具であって、
シャフトと、
電気焼灼エレメントにより給電される電気焼灼エンドエフェクタと、
前記電気焼灼エンドエフェクタを前記シャフトに連結する関節部と、
を備え、前記関節部が、
第1の駆動エレメントの対により駆動可能な第1ジョイントであって、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記シャフトの長手方向軸心を横切る第1軸心回りに回転することを可能にする、第1ジョイント、および
第2の駆動エレメントの対により駆動可能な第2ジョイントであって、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記第1軸心を横切る第2軸心回りに回転することを可能にする、第2ジョイント、
を含み、前記電気焼灼エレメントが、前記第1軸心の周りを動くように拘束されていると共に、前記第2軸心回りに1回転以上巻かれるように拘束されており、前記電気焼灼エレメントの、前記シャフトと前記第2ジョイントとの間の経路と、前記第2の駆動エレメントの対の第1の駆動エレメントの、前記シャフトと前記第2ジョイントとの間の経路とが、互いに逆となる対称な経路となっている、ロボット手術器具が提供される。
【0010】
前記電気焼灼エレメントは、前記第2軸心回りに1.5回転以上巻かれるように拘束され得る。
【0011】
前記電気焼灼エレメントは、前記第2軸心周りの溝に着座し得る。
【0012】
前記関節部は、周りを前記第2の駆動エレメントの対及び前記電気焼灼エレメントが動くように拘束されたプーリ機構を含み得て、前記電気焼灼エレメントと前記第2の駆動エレメントの対の前記第1の駆動エレメントとは、前記プーリ機構周りの経路が、互いに逆となる対称な経路であり得る。
【0013】
前記プーリ機構は、前記第1軸心回りに回転可能な第1のセットのプーリを有し得る。
【0014】
前記プーリ機構は、前記第1軸心と前記シャフトとの間に配置された第2のセットのプーリを有し得る。
【0015】
前記プーリ機構は、前記第1軸心と前記第2軸心との間に配置された第3のセットのプーリを有し得る。
【0016】
前記電気焼灼エレメントは、前記シャフト内で前記第2の駆動エレメントの対の第2の駆動エレメントに接合されているものとされ得る。
【0017】
前記第2の駆動エレメントの対の前記第2の駆動エレメントは、可撓部と前記電気焼灼エレメントが接合されたスポークとを有し得る。
【0018】
前記電気焼灼エレメントは、前記電気焼灼エンドエフェクタに接続され得る。
【0019】
前記電気焼灼エレメントは、前記電気焼灼エンドエフェクタで終端し得る。
【0020】
前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントが前記電気焼灼エンドエフェクタで終端している箇所において絶縁材料によってオーバーモールド成形されているものであり得る。
【0021】
前記電気焼灼エレメントは、ケーブルであり得る。
【0022】
前記第1の駆動エレメントの対は、前記関節部内のケーブルであり得る。
【0023】
前記第2の駆動エレメントの対は、前記関節部内のケーブルであり得る。
【0024】
前記電気焼灼エレメントおよび前記対の駆動エレメントは、圧縮力及び引張力に抵抗するものであり得る。
【0025】
以下では、本発明について、添付の図面を一例として参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】手術を実行している手術ロボットを示す図である。
図2】典型的な電気焼灼器具を示す図である。
図3】手術ロボットを示す図である。
図4】電気焼灼器具の遠位端部を示す図である。
図5】電気焼灼器具の遠位端部を示す他の図である。
図6図4及び図5の電気焼灼器具のシャフト内での、駆動エレメント及び電気焼灼エレメントの配置構成を示す図である。
図7】バイポーラ電気焼灼器具の遠位端部を示す図である。
図8】バイポーラ電気焼灼器具の遠位端部を示す他の図である。
図9】バイポーラ電気焼灼器具の遠位端部を示すさらなる他の図である。
図10図4図6の電気焼灼器具の近位端部を示す図である。
図11図4図6の電気焼灼器具の近位端部を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図3に、基台301から延びるアーム300を備える手術ロボットを示す。当該アームは、剛体のリム302を複数有している。これらのリムは、回転ジョイント303で連結されている。最も近位側のリム302aは、ジョイント303aによって前記基台に連結されている。当該リムと残りのリムとは、さらなるジョイント303によって次々と連結されている。好適には、リスト304が、4つの別個の回転ジョイントで構成されている。リスト304は、1つのリム(302b)を前記アームの最も遠位側のリム(302c)に連結している。最も遠位側のリム302cは、電気焼灼手術器具306のためのアタッチメント305を保持している。前記アームの各ジョイント303は、当該各ジョイントで回転運動を生じさせるように作動され得る1つ以上のモータ307と、当該ジョイントでの現在の形態及び/又は荷重に関する情報を提供する1つ以上の位置及び/叉はトルクセンサ308とを具備している。好適には、前記モータは、重量分布を良好にするために、当該モータによって動作が駆動される前記ジョイントの近位側に配置されている。図3では、分かり易くするために、これらのモータ及びセンサの一部しか描いていない。前記アームは、一般的には、本願の出願人による国際出願PCT/GB2014/053523に記載されているものであり得る。
【0028】
前記アームは、電気焼灼器具306の器具インターフェース313とインターフェース連結するためのアームインターフェース305で終端している。好適には、器具306は、図2に関して説明した構成を有する。前記器具の直径は、8mm未満である。好適には、前記器具の直径は、6mm未満である。前記器具の直径は、5mm〜6mmであり得る。前記器具の直径は、シャフトの直径であり得る。前記器具の直径は、関節部のプロファイル(外形)の直径であり得る。好適には、前記関節部のプロファイルの直径は、前記シャフトの直径と合致するか又は前記シャフトの直径よりも幅狭である。アームインターフェース405は、前記電気焼灼器具の関節部を駆動する駆動アセンブリを具備している。駆動アセンブリインターフェースにおける可動なインターフェースエレメントは、前記ロボットアームからの駆動を前記器具へと伝達するために、前記器具インターフェースにおける対応する可動なインターフェースエレメントと機械的に係合する。典型的な手術時には、器具が別の器具に数回取り替えられる。よって、前記器具は、手術のあいだ前記ロボットアームへと取付け可能かつ前記ロボットアームから取外し可能である。
【0029】
電気焼灼器具306は、手術部位にて組織を焼灼する電気焼灼エンドエフェクタを備える。前記電気焼灼器具は、図2に関して説明したように前記器具シャフトと前記電気焼灼エンドエフェクタとの間に関節部を備える。前記関節部は、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記器具の前記シャフトに対して動くことを可能にする複数のジョイントを含む。前記関節部内のこれらのジョイントは、ケーブルなどの駆動エレメントにより作動される。これらの駆動エレメントは、前記器具シャフトの反対側の端部において前記器具インターフェースの前記インターフェースエレメントへと固定されている。つまり、前記ロボットアームは、駆動を前記電気焼灼エンドエフェクタへと次のようにして伝達する:駆動アセンブリインターフェースエレメントの運動が器具インターフェースエレメントを動かし、当該器具インターフェースエレメントが駆動エレメントを動かし、当該駆動エレメントが前記関節部のジョイントを動かし、当該ジョイントが前記電気焼灼エンドエフェクタを動かす。
【0030】
前記電気焼灼エンドエフェクタは、電気焼灼エレメントにより給電される。電気焼灼エレメントは、前記器具シャフトの内部および前記関節部の内部を通って、前記電気焼灼エンドエフェクタとの当該電気焼灼エレメントの接続点へと向かう。
【0031】
前記ロボットアームには、前記モータ、トルクセンサ及びエンコーダのための複数のコントローラが分散配置されている。これらのコントローラは、通信バスを介して制御部309に接続されている。制御部309は、プロセッサ310およびメモリ311を含む。メモリ311は、モータ307の動作を制御してアーム300を本明細書で説明する様式で動作させるための、前記プロセッサにより実行可能なソフトウェアを、非過渡的に記憶する。具体的に述べると、当該ソフトウェアはプロセッサ310を制御して、センサ308からの及び手術医指令インターフェース312からの入力に応じて前記モータを(例えば、分散配置されたコントローラを介して)駆動させるものであり得る。制御部309はモータ307に接続されており、前記ソフトウェアの実行で生じる出力に従って当該モータ307を駆動する。制御部309はセンサ308に接続されており、当該センサからの検出入力を受信する。制御部309は指令インターフェース312に接続されており、当該指令インターフェース312からの入力を受信する。これらの各接続は、例えば、それぞれ電気ケーブル又は光ケーブルであってもよいし、あるいは、無線接続により提供されるものであってもよい。指令インターフェース312は、ユーザが前記エンドエフェクタの動作を所望のとおりに要求することを可能にする少なくとも1つの入力装置を有する。当該入力装置は、例えば、制御ハンドル、ジョイスティックなどの手動で操作可能な機械的入力装置、光学ジェスチャーセンサなどの非接触式の入力装置等であり得る。メモリ311に記憶された前記ソフトウェアは、それらの入力に応答して前記アームや器具のジョイントを、予め決められた制御方針に準じて相応に動かすように構成されている。当該制御方針は、指令入力に応答して前記アームや器具の動作を緩和するセーフティー機能を含み得る。
【0032】
指令インターフェース312は、さらに、ユーザが前記電気焼灼器具の起動及び/又は動作停止を要求することを可能にする少なくとも1つの入力部を有し得る。メモリ311に記憶された前記ソフトウェアは、これらの入力に応答して前記電気焼灼器具への給電を、予め決められた制御方針に準じて開始する及び/又は停止するように構成され得る。当該制御方針は、特定の条件が満たされている場合にのみ前記電気焼灼器具に電力を印加するセーフティー機能を含み得る。変形例として、前記電気焼灼器具への給電の開始/停止を要求するユーザからの入力が、制御部309をバイパスして前記電気焼灼器具への電力の供給/供給停止を直接引き起こすようにされてもよい。変形例として、前記電気焼灼器具への給電の開始/停止を要求するユーザからの入力が、制御部309とは別の制御部に渡されるものとされてもよい。当該別の制御部は、プロセッサおよびメモリを含む。当該メモリは、予め決められた制御方針に準じて前記電気焼灼器具への電力の供給や供給停止を行うための、前記プロセッサにより実行可能なソフトウェアを、非過渡的に記憶する。当該制御方針は、特定の条件が満たされている場合にのみ前記電気焼灼器具に電力を印加するセーフティー機能を含み得る。
【0033】
つまり、まとめると、所望の手術を実行するように手術医は指令インターフェース312にて、電気焼灼器具306の動きを制御することができると共に当該電気焼灼器具への給電の開始/停止を制御することができる。制御部309および/または指令インターフェース312は、アーム300から離れた場所にあってもよい。
【0034】
図4に、電気焼灼器具400の遠位端部を示す。図示の電気焼灼エンドエフェクタ401は、モノポーラフックである。なお、これは例示に過ぎないことを理解されたい。前記電気焼灼エンドエフェクタは、適切などのような形状を取るものとされてもよい。電気焼灼エンドエフェクタ401は、関節部403によりシャフト402に連結されている。関節部403は、電気焼灼エンドエフェクタ401がシャフト402に対して動くことを可能にするジョイントを含む。第1ジョイント404は、電気焼灼エンドエフェクタ401が第1軸心405回りに回動することを可能にする。第1軸心405は、前記シャフトの長手方向軸心406を横切る。第2ジョイント407は、電気焼灼エンドエフェクタ401が第2軸心408回りに回動することを可能にする。第2軸心408は、第1軸心405を横切る。
【0035】
図4には、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記シャフトと一直線状になる前記電気焼灼器具の直線状形態が描かれている。この向きでは、前記シャフトの長手方向軸心406が、前記関節部の長手方向軸心および前記電気焼灼エンドエフェクタの長手方向軸心と一致する。前記第1および第2ジョイントが回動することにより、前記電気焼灼エンドエフェクタは前記シャフトに対して所与の範囲の姿勢を取ることができる。
【0036】
関節部403は、第1の本体部409および第2の本体部410を具備する。第1の本体部は、シャフト402を第2の本体部410に連結する。第1の本体部409は、シャフト402に固定されている。前記第1の本体部は、第1ジョイント404により前記第2の本体部に連結されている。第2の本体部410は、第1の本体部409を電気焼灼エンドエフェクタ401に連結する。第2の本体部410は、第1ジョイント404により前記第1の本体部に連結されており、かつ、第2ジョイント407により電気焼灼エンドエフェクタ401に連結されている。つまり、第1ジョイント404は第2の本体部410がシャフト402に対して第1軸心405を中心として回動することを可能にし、第2ジョイント407は電気焼灼エンドエフェクタ401が第2の本体部410に対して第2軸心408を中心として回動することを可能にする。
【0037】
前記関節部のこれらのジョイントは、駆動エレメントにより駆動される。当該駆動エレメントは、前記関節部内の前記ジョイントから前記シャフトを通って前記器具インターフェースへと延びる細長いエレメントである。好適には、それぞれの駆動エレメントは少なくとも、当該駆動エレメントが前記関節部の及び器具インターフェースの内部部品に係合する領域において、当該駆動エレメントの主要な延在方向に対して横方向に撓むことが可能である。すなわち、それぞれの駆動エレメントが、特定の領域において、当該駆動エレメントの長手方向軸心を横切るように撓むことが可能である。このような可撓性により、前記駆動エレメントは前記器具の前記ジョイント、プーリなどの内部構造体に巻かれれることができる。前記駆動エレメントは全体的に、当該駆動エレメントの長手方向軸心を横切るように撓むことが可能なものとされてもよい。前記駆動エレメントは、当該駆動エレメントの主要な延在方向に沿って撓むことはできない。前記駆動エレメントは、当該駆動エレメントの長さに沿って加わる圧縮力及び引張力に抵抗する。すなわち、前記駆動エレメントは、当該駆動エレメントの長手方向軸心の方向に働く圧縮力及び引張力に抵抗する。前記駆動エレメントは、高い係数を有している。前記駆動エレメントは、動作のあいだ緊張状態に維持される。前記駆動エレメントは、緩むことができないようにされている。これにより、前記駆動エレメントは、前記器具インターフェースからの駆動を前記ジョイントへと伝達することができる。前記駆動エレメントは、ケーブルであり得る。
【0038】
好適には、それぞれのジョイントは、一対の駆動エレメントにより駆動される。第1ジョイント404は、第1の駆動エレメントの対A1,A2により駆動される。第2ジョイント407は、第2の駆動エレメントの対B1,B2により駆動される。好適には、それぞれのジョイントは、当該それぞれのジョイントごとの一対の駆動エレメントにより駆動される。すなわち、それぞれのジョイントは、専用の一対の駆動エレメントにより駆動される。好適には、前記ジョイントは、互いに独立して駆動される。一対の駆動エレメントは、一体品として構築されたものであってもよい。この一体品は、前記ジョイントへと一箇所で固定され得る。これにより、前記一対の駆動エレメントが駆動されたときにその駆動が、前記ジョイントの当該ジョイントの軸心回りの運動へと確実に伝えられる。変形例として、一対の駆動エレメントは、二つの部材として構築されたものであってもよい。この場合、別体とされたそれぞれの部材が前記ジョイントに固定されている。
【0039】
電気焼灼エンドエフェクタ401は、電気焼灼エレメントE1により給電される。電気焼灼エレメントE1は、電気焼灼エンドエフェクタ401に接続されている。好適には、電気焼灼エレメントE1は、電気焼灼エンドエフェクタ401で終端している。電気焼灼エレメントE1は、当該電気焼灼エレメントE1が前記電気焼灼エンドエフェクタで終端している箇所において絶縁材料によってオーバーモールド成形されているものであり得る。電気焼灼エレメントE1は、電気焼灼エンドエフェクタ401から前記関節部内を通り、前記シャフト内を通って前記器具インターフェースへと延びている。好適には、前記電気焼灼エレメントは少なくとも、当該電気焼灼エレメントが前記関節部の及び器具インターフェースの内部部品に係合する領域において、当該電気焼灼エレメントの主要な延在方向に対して横方向に撓むことが可能である。すなわち、前記電気焼灼エレメントが、特定の領域において、当該電気焼灼エレメントの長手方向軸心を横切るように撓むことが可能である。このような可撓性により、前記電気焼灼エレメントは前記器具の前記ジョイント、プーリなどの内部構造体に巻かれれることができる。前記電気焼灼エレメントは全体的に、当該電気焼灼エレメントの長手方向軸心を横切るように撓むことが可能なものとされてもよい。前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントの主要な延在方向に沿って撓むことができないものとされ得る。前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントの長さに沿って加わる圧縮力及び引張力に抵抗する。すなわち、前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントの長手方向軸心の方向に働く圧縮力及び引張力に抵抗する。前記電気焼灼エレメントは、高い係数を有する。前記電気焼灼エレメントは、動作のあいだ緊張状態に維持される。前記電気焼灼エレメントは、緩むことができないようにされている。前記電気焼灼エレメントは、ケーブルであり得る。
【0040】
図4の電気焼灼器具は、さらに、周りを前記電気焼灼エレメント及び前記第2の駆動エレメントの対が動くように拘束されたプーリ機構を備える。プーリ機構は、第1のセットのプーリ411、第2のセットのプーリ412、および第3のセットのプーリ413を有し得る。
【0041】
第1のセットのプーリ411は、第1軸心405回りに回転可能である。つまり、第1のセットのプーリ411は、第1ジョイント404と共通の軸心回りに回転する。第1のセットのプーリ411は、第1プーリ418および第2プーリ419を含む。第1プーリ418および第2プーリ419は、いずれも第1軸心405回りに回転する。前記第1のセットのプーリの第1プーリ418と第2プーリ419とは、第1ジョイント404の、シャフト402の長手方向を横切る方向に沿って互いに逆の側に配置されている。第1プーリ418および第2プーリ419は、第1の駆動エレメントの対A1,A2の両側に配置されている。
【0042】
第2のセットのプーリ412は、第1軸心405とシャフト402との間に配置されている。第2のセットのプーリ412は、第1軸心405と平行な軸心回りに回転可能である。第2のセットのプーリ412は、第1プーリ414および第2プーリ415を含み得る。第1プーリ414は、第1軸心405と平行な第3軸心416回りに回転可能である。第3軸心414は、第1軸心405から、前記シャフトの長手方向にも前記シャフトの長手方向を横切る方向にもオフセットしている。第2プーリ415は、第1軸心405と平行な第4軸心417回りに回転可能である。第4軸心417は、第1軸心405から、前記シャフトの長手方向にも前記シャフトの長手方向を横切る方向にもオフセットしている。前記第3軸心と第4軸心とは、互いに平行かつ互いにオフセットしている。第3軸心416と第4軸心417とは、前記シャフトの長手方向と直交する共通の平面に存在している。第1プーリ414と第2プーリ415とがオフセットしていることにより、各プーリに巻かれている駆動エレメントは、当該プーリに巻き付いた後に前記シャフト内へと延びることができる。第2のセットのプーリ412の第1プーリ414と第2プーリ415とは、第1ジョイント404の、シャフト402の長手方向を横切る方向に沿って互いに逆の側に配置されている。第1プーリ414および第2プーリ415は、第1の駆動エレメントの対A1,A2の両側に配置されている。
【0043】
第3のセットのプーリ413は、一対の偏向プーリ420,421を含む。当該第3のセットのプーリは、関節部403内において第1軸心405と第2軸心408との間に配置されている。これらの偏向プーリは、前記関節部の両側においてそれぞれ、当該関節部の外縁に向かって配置されている。それぞれの偏向プーリは、前記関節部の両側において、当該関節部の長手方向軸心と当該関節部の外形プロファイルとの間に配置されている。
【0044】
第2の駆動エレメントの対B1,B2は、第1のセットのプーリ411の第1プーリ418の周りと第2プーリ419の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。第2の駆動エレメントの対B1,B2は、第2のセットのプーリ412の第1プーリ414の周りと第2プーリ415の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。前記第2の駆動エレメントの対は、第1のセットのプーリ411の第1プーリ418の周りと第2のセットのプーリ412の第1プーリ414の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。前記第2の駆動エレメントの対は、第1のセットのプーリ411の第2プーリ419の周りと第2のセットのプーリ412の第2プーリ415の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。
【0045】
第3のセットのプーリ413は、第2の駆動エレメントの対B1,B2を第1のセットのプーリ411から第2ジョイント407へと偏向させるように配置されている。第2の駆動エレメントの対B1,B2は、偏向プーリ421(図4に図示せず)の周りを動くように拘束されている。偏向プーリ421は、第1の偏向プーリ軸心422回りに回転する。第1の偏向プーリ軸心422は、第1軸心405に対して角度φをなす。偏向プーリ421が設けられていることにより、駆動エレメントB1は、偏向プーリ421が存在していないときよりも第2ジョイント407周りにより完全に巻かれることになるので、当該駆動エレメントB1と第2ジョイント407との係合部の長さが増える。
【0046】
電気焼灼エレメントE1は、第1のセットのプーリ411の第1プーリ418の周りと第2のセットのプーリ412の第1プーリ414の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。電気焼灼エレメントE1は、偏向プーリ420の周りを動くように拘束されている。偏向プーリ420は、第2の偏向プーリ軸心423回りに回転する。第2の偏向プーリ軸心423は、第1軸心405に対して角度θをなす。
【0047】
電気焼灼エレメントE1と駆動エレメントB1とは、前記プーリ機構周りの経路が、互いに逆となる対称な経路となっている。前記電気焼灼エンドエフェクタが前記シャフトと一直線状になる前記電気焼灼器具の直線形態では、駆動エレメントB1の、前記プーリ機構周りの経路が、前記電気焼灼エレメントの、前記プーリ機構周りの経路に対して、前記シャフトの長手方向軸心406を基準として回転対称となる。電気焼灼エレメントE1の、前記シャフトと前記第2ジョイントとの間の経路長は、駆動エレメントB1の、前記シャフトと前記第2ジョイントとの間の経路長と同一になる。これにより、電気焼灼エレメントE1は、前記電気焼灼エンドエフェクタが関節部403によって回動しても、緊張状態に維持されながら前記第1および第2ジョイントのあらゆる回転に対応することができる。
【0048】
電気焼灼エレメントE1は、電気焼灼エンドエフェクタ401に接続点424で接続されている。電気焼灼エレメントE1は、前記プーリ機構と接続点424との間で第2軸心408の周りに巻かれるように拘束されている。これは、図5で簡単に見て取れる。電気焼灼エレメントE1は、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記シャフトと一直線状になる前記電気焼灼器具の直線形態において前記第2軸心回りに1回転以上巻かれている。電気焼灼エレメントE1は、前記電気焼灼器具の当該直線形態において前記第2軸心回りに1.5回転巻かれているものとされてもよい。好適には、電気焼灼エレメントE1は、第2軸心408周りの溝(図示せず)に収容されている。電気焼灼エンドエフェクタ401が第2ジョイント407を中心として第1の回転方向に回動されると、電気焼灼エレメントE1は第2軸心408の周りに巻かれる。これにより、電気焼灼エレメントE1は、緩むことなくその回転に対応することができる。電気焼灼エンドエフェクタ401が第2ジョイント407を中心として前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回動されると、電気焼灼エレメントE1は第2軸心408の周りに巻き出される。これにより、電気焼灼エレメントE1は、前記第2の回転方向への前記電気焼灼エンドエフェクタの回動を妨げるほど緊張状態になることなくその回転に対応することができる。
【0049】
図6に、前記電気焼灼器具の前記シャフト内での、前記駆動エレメント及び電気焼灼エレメントの例示的な配置構成を示す。分かり易くするために、シャフトの外側ケーシングは省略した。
【0050】
図6から見て取れるように、電気焼灼エレメントE1は前記シャフト内で前記駆動エレメントのうちの一つに取り付けられている。電気焼灼エレメントE1は、前記シャフト内で前記第2の駆動エレメントの対のうちの一方の駆動エレメントに取り付けられている。図示の例では、電気焼灼エレメントE1が前記第2の駆動エレメントの対の第2の駆動エレメントB2に取り付けられている。これは、前記第2の駆動エレメントの対のうちの、前記関節部内での経路が電気焼灼エレメントE1の経路とは逆の対照な経路となっている駆動エレメントではないほうの駆動エレメントである。電気焼灼エレメントE1は、その駆動エレメントが作動されると当該駆動エレメントと一緒に動くように当該駆動エレメントに取り付けられている。このようにして電気焼灼エレメントE1は、第2軸心408の周りに巻かれる/巻き出されるように作動されることで、当該第2軸心回りの電気焼灼エンドエフェクタ401の回動に対応することができる。電気焼灼エレメントE1は、前記第2の駆動エレメントの対と同じ様式で第1軸心405を越えて移動するように拘束されているので、第1軸心405を中心とする第1ジョイント404の回動にも対応することができる。電気焼灼エレメントE1は、駆動エレメントB2に例えば熱収縮部材602(図6)等により結束され得る。
【0051】
前記駆動エレメントは、複数の相異なる部位で構成されているものとされ得る。例えば、前記駆動エレメントのうちの前記器具インターフェースの部品(例えばプーリ、インターフェースエレメント等)に係合する部位が、可撓性とされ得る。同様に、前記駆動エレメントのうちの、前記手術器具の遠位端部の部品(例えば、前記関節部内の前記プーリ、ジョイント等)に係合する部位が、可撓性とされ得る。前記駆動エレメントは、これら2つの可撓部間にスポークを有し得る。図6の例では、各駆動エレメントA1,A2,B1,B2が前記シャフト内にスポーク部A1s,A2s,B1s,B2sを有している。前記スポークは、前記可撓部よりも高剛性かつ高強度である。好適には、前記スポークは剛体である。前記スポークは、中空とされてもよい。典型的には、前記スポークの直径は前記可撓部よりも大きい。つまり、前記可撓部はケーブルとされ得て、前記スポークは中空筒体とされ得る。前記可撓部は、前記スポークに合わさる箇所で終端しているものとされ得る。変形例として、前記スポークは、前記可撓部の材料を包み込んでいるものとされてもよい。例えば、前記スポークは、可撓性のケーブルを覆う剛体のシースとされ得る。好適には、電気焼灼エレメントE1は、駆動エレメントB2の前記スポーク部に接続されている。
【0052】
図7に、第2の例示的な電気焼灼器具700の遠位端部を示す。図示の電気焼灼エンドエフェクタ701は、2つの電気焼灼エンドエフェクタエレメント702,703を備えたバイポーラ装置である。図示の電気焼灼エンドエフェクタエレメントは、向かい合ったジョーである。なお、これは例示に過ぎないことを理解されたい。前記電気焼灼エンドエフェクタエレメントは、適切などのような形状を取るものとされてもよい。他の例として、前記電気焼灼エンドエフェクタエレメントは、鉗子であり得る。電気焼灼エンドエフェクタ701は、関節部705によりシャフト704に連結されている。関節部705は、電気焼灼エンドエフェクタ701がシャフト704に対して動くことを可能にするジョイントを含む。第1ジョイント706は、電気焼灼エンドエフェクタ701が第1軸心707回りに回転することを可能にする。第1軸心707は、前記シャフトの長手方向軸心708を横切る。第2ジョイント709は、第1の電気焼灼エンドエフェクタエレメント702が第2軸心710回りに回転することを可能にする。第2軸心710は、第1軸心707を横切る。第3ジョイント711は、第2の電気焼灼エンドエフェクタエレメント703が第2軸心710回りに回転することを可能にする。好適には、第1の電気焼灼エンドエフェクタエレメント702の、第2軸心710を中心とする回転と第2の電気焼灼エンドエフェクタエレメント703の、第2軸心710を中心とする回転とが、互いに独立している。
【0053】
図7には、前記電気焼灼エンドエフェクタが前記シャフトと一直線状になる前記電気焼灼器具の直線形態が描かれている。この向きでは、前記シャフトの長手方向軸心708が、前記関節部の長手方向軸心および前記電気焼灼エンドエフェクタの長手方向軸心と一致する。前記第1、第2および第3ジョイントが回動することにより、前記電気焼灼エンドエフェクタは前記シャフトに対して所与の範囲の姿勢を取ることができる。
【0054】
関節部705は、第1の本体部712および第2の本体部713を具備する。第1の本体部は、シャフト704を第2の本体部713に連結する。第1の本体部712は、シャフト704に固定されている。前記第1の本体部は、第1ジョイント706により前記第2の本体部に連結されている。第2の本体部713は、第1の本体部712を電気焼灼エンドエフェクタ701に連結する。第2の本体部711は、第1ジョイント706により前記第1の本体部に連結されており、かつ、第2および第3ジョイント709,711により電気焼灼エンドエフェクタ701に連結されている。つまり、第1ジョイント706は第2の本体部713がシャフト704に対して第1軸心707を中心として回転することを可能にし、第2および第3ジョイント709,711は電気焼灼エンドエフェクタ701が第2の本体部713に対して第2軸心710を中心として回転することを可能にする。
【0055】
前記関節部のこれらのジョイントは、駆動エレメントにより駆動される。前記駆動エレメントの特性については、図4図6の電気焼灼器具に関して説明したとおりである。好適には、それぞれのジョイントは、一対の駆動エレメントにより駆動される。第1ジョイント706は、第1の駆動エレメントの対A1,A2により駆動される。第2ジョイント709は、第2の駆動エレメントの対B1,B2により駆動される。第3ジョイント711は、第3の対の駆動エレメントC1,C2により駆動される。好適には、それぞれのジョイントは、当該それぞれのジョイントごとの一対の駆動エレメントにより駆動される。すなわち、それぞれのジョイントは、専用の一対の駆動エレメントにより駆動される。好適には、前記ジョイントは、互いに独立して駆動される。一対の駆動エレメントは、一体品として構築されたものであってもよい。この一体品は、前記ジョイントへと一箇所で固定され得る。これにより、前記一対の駆動エレメントが駆動されたときにその駆動が、前記ジョイントの当該ジョイントの軸心回りの運動へと確実に伝えられる。変形例として、一対の駆動エレメントは、二つの部材として構築されたものであってもよい。この場合、別体であるそれぞれの部材が前記ジョイントに固定されている。
【0056】
電気焼灼エンドエフェクタ701は、一対の電気焼灼エレメントE1,E2により給電される。これらの電気焼灼エレメントは、電気焼灼エンドエフェクタ701のうちの互いに絶縁された別々の部分に接続されている。図7の例では、第1の電気焼灼エレメントE1が第1の電気焼灼エンドエフェクタエレメント702に接続されており、第2の電気焼灼エレメントE2が第2の電気焼灼エンドエフェクタエレメント703に接続されている。好適には、第1の電気焼灼エレメントE1が第1の電気焼灼エンドエフェクタエレメント702で終端しており、第2の電気焼灼エレメントE2が第2の電気焼灼エンドエフェクタエレメント703で終端している。第1の電気焼灼エレメントE1は、当該第1の電気焼灼エレメントE1が前記第1の電気焼灼エンドエフェクタエレメントで終端している箇所において絶縁材料によってオーバーモールド成形されているものであり得る。第2の電気焼灼エレメントE2は、当該第2の電気焼灼エレメントE2が前記第2の電気焼灼エンドエフェクタエレメントで終端している箇所において絶縁材料によってオーバーモールド成形されているものであり得る。これら2つの電気焼灼エンドエフェクタエレメントが組織に対して閉じられると、前記電気焼灼エレメントを介して電流が印加されて、当該エンドエフェクタエレメント間に捕捉したその組織を切断又は凝固し得る。
【0057】
電気焼灼エレメントE1,E2は、電気焼灼エンドエフェクタ701から前記関節部内を通り、前記シャフト内を通って前記器具インターフェースへと延びている。好適には、各々の電気焼灼エレメントは少なくとも、当該電気焼灼エレメントが前記関節部の及び器具インターフェースの内部部品に係合する領域において、当該電気焼灼エレメントの主要な延在方向に対して横方向に撓むことが可能である。すなわち、前記電気焼灼エレメントが、特定の領域において、当該電気焼灼エレメントの長手方向軸心を横切るように撓むことが可能である。このような可撓性により、前記電気焼灼エレメントは前記器具の前記ジョイント、プーリなどの内部構造体に巻かれれることができる。前記電気焼灼エレメントは全体的に、当該電気焼灼エレメントの長手方向軸心を横切るように撓むことが可能なものとされてもよい。前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントの主要な延在方向に沿って撓むことができないものとされ得る。前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントの長さに沿って加わる圧縮力及び引張力に抵抗する。すなわち、前記電気焼灼エレメントは、当該電気焼灼エレメントの長手方向軸心の方向に働く圧縮力及び引張力に抵抗する。前記電気焼灼エレメントは、高い係数を有する。前記電気焼灼エレメントは、動作のあいだ緊張状態に維持される。前記電気焼灼エレメントは、緩むことができないようにされている。前記電気焼灼エレメントは、ケーブルであり得る。
【0058】
図7の電気焼灼器具は、さらに、周りを電気焼灼エレメントE1,E2及び前述した駆動エレメントの対が動くように拘束されたプーリ機構を備える。
【0059】
前記プーリ機構は、第1軸心707回りに回転可能な第1のセットのプーリ714を有する。つまり、第1のセットのプーリ714は、第1ジョイント706と共通の軸心回りに回転する。第1のセットのプーリ714は、第1プーリ715および第2プーリ716を含む。これら第1および第2プーリは、前記関節部の中央において、長手方向軸心708の両側に配置されている。第1プーリ715は、第2プーリ716と隣り合っている。前記第1プーリは、前記第2プーリに当接しているものとされ得る。前記第1および第2プーリは、互いに固定されている。前記第1および第2プーリは、第1軸心707回りに一体回転するように拘束されている。
【0060】
前記第1の駆動エレメントの対の第1の駆動エレメントA1は、第1プーリ715の周りを動くように拘束されており、かつ、当該第1プーリ715で終端している。前記第1の駆動エレメントの対の第2の駆動エレメントA2は、第2プーリ716の周りを、それとは逆の側で動くように構成されており、かつ、当該第2プーリ716で終端している。つまり、個々の駆動エレメントA1,A2は、第1ジョイント706周りで互いに接続されていない。駆動エレメントA1は、第1プーリ715上の構成に捕捉されたカシメ部で終端しているものとされ得る。同様に、駆動エレメントA2は、第2プーリ716上の構成に捕捉されたカシメ部で終端しているものとされ得る。駆動エレメントA1に牽引が加わると、前記第1ジョイントが第1軸心707を中心として一方の回動方向に回動し、駆動エレメントA2に牽引が加わると、前記第2ジョイントが第1軸心707を中心として反対の回動方向に回動する。駆動エレメントA1および駆動エレメントA2は、互いに異なるプーリの周りを動くように拘束されているので互いにオフセットしており、それら第1プーリ715と第2プーリ716とを隔てる平面の両側にそれぞれ位置している。第1の駆動エレメントA1と第2の駆動エレメントA2とは、第1のセットのプーリ714周りの経路が、互いに逆となる対称な経路となっている。
【0061】
第1の電気焼灼エレメントE1は、シャフト704から電気焼灼エンドエフェクタ701へと通過するときに第1プーリ715の周りを動くように拘束されている。E1は、第1プーリ715の周りを、第1の駆動エレメントA1が固定されている側とは逆の側で動く。第2の電気焼灼エレメントE2は、シャフト704から電気焼灼エンドエフェクタ701へと通過するときに第2プーリ716の周りを動くように拘束されている。E2は、第2プーリ716の周りを、第2の駆動エレメントA2が固定されている側とは逆の側で動く。つまり、第1プーリ715の周りを動くようにE1が拘束されている当該第1プーリ715の側は、第2プーリ716の周りをE2が動くように拘束されている当該第2プーリ716の側とは逆の側である。したがって、E1とE2とは、第1のセットのプーリ714周りの経路が、互いに逆となる対称な経路となっている。
【0062】
第1の駆動エレメントの対A1,A2を、互いに異なるプーリ715,716を中心として第1ジョイント706を駆動させる別々の駆動エレメントとすることにより、同一長ただし互いに逆となる対称的な別経路で電気焼灼エレメントE1,E2に前記第1ジョイントを通過させるためのスペースを形成することができる。
【0063】
第1のセットのプーリ714は、さらに、第3のプーリ717および第4のプーリ718を含む。第3のプーリ717および第4のプーリ718は、いずれも第1軸心707回りに回転可能である。第3のプーリ717は第1および第2プーリ715,716の片側に配置されており、第4のプーリ718は第1および第2プーリ715,716のもう片方の側に存在している。第3のプーリ717および第4のプーリ718は、第1の駆動エレメントの対A1,A2の両側に配置されている。第2の駆動エレメントの対B1,B2は、第1のセットのプーリ714の第3のプーリ717の周りと第4のプーリ718の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。第3の対の駆動エレメントC1,C2は、第1のセットのプーリ714の第3のプーリ717の周りと第4のプーリ718の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。
【0064】
前記第2の駆動エレメントの対は第1ジョイント706を越えて延びることで前記第2ジョイントに到達するように拘束されており、第3の対の駆動エレメントは第1ジョイント706を越えて延びることで第3ジョイントに到達するように拘束されている。以上のように、前記第2の駆動エレメントの対の第1の駆動エレメントB1は第1ジョイント軸心707にある前記第1のセットのプーリの第3のプーリ717を一方の側で通過し、前記第2の駆動エレメントの対の第2の駆動エレメントB2は第1ジョイント軸心707にある前記第1のセットのプーリの第4のプーリ718をそれとは逆の側で通過している。これにより、第2の本体部713が第1ジョイント706を中心としてどのように回転しても第2の駆動エレメントの対B1,B2の長さは同じままである。同様に、前記第3の対の駆動エレメントの第2の駆動エレメントC2は第1ジョイント軸心707にある前記第1のセットのプーリの第3のプーリ720を一方の側で通過し、前記第3の対の駆動エレメントの第1の駆動エレメントC1は第1ジョイント軸心707にある前記第1のセットのプーリの第4のプーリ722をそれとは逆の側で通過している。これにより、第2の本体部713が第1ジョイント706を中心としてどのように回転しても第3の対の駆動エレメントC1,C2の長さは同じままである。前記器具インターフェースにおいて第2の駆動エレメントの対B1,B2の配置構成と第3の対の駆動エレメントC1,C2の配置構成とが互いに対称的であれば、第2の本体部713が第1ジョイント706を中心としてどのような回転角度になったとしても、前記第2の駆動エレメントの対の長さと前記第3の対の駆動エレメントの長さとは同じままである。
【0065】
前記プーリ機構は、さらに、第1軸心707とシャフト704との間に配置された第2のセットのプーリ719を有し得る。第2のセットのプーリ719は、第1軸心707と平行な軸心回りに回転可能である。第2のセットのプーリ719は、第1プーリ720および第2プーリ721を含み得る。第1プーリ720は、第1軸心707と平行な第3軸心722回りに回転可能である。第3軸心722は、第1軸心707から、前記シャフトの長手方向にも前記シャフトの長手方向を横切る方向にもオフセットしている。第2プーリ721は、第1軸心707と平行な第4軸心723回りに回転可能である。第4軸心723は、第1軸心707から、前記シャフトの長手方向にも前記シャフトの長手方向を横切る方向にもオフセットしている。前記第3軸心と第4軸心とは、互いに平行かつ互いにオフセットしている。第3軸心722と第4軸心723とは、前記シャフトの長手方向と直交する共通の平面に存在している。第1プーリ720と第2プーリ721とがオフセットしていることにより、各プーリに巻かれている駆動エレメントは、当該プーリに巻き付いた後に前記シャフト内へと延びることができる。第2のセットのプーリ719の第1プーリ720及び第2プーリ721は、シャフト704の長手方向に対して第1ジョイント706の両側に配置されている。第1プーリ720および第2プーリ721は、第1の駆動エレメントの対A1,A2の両側に配置されている。
【0066】
第2の駆動エレメントの対B1,B2は、第2のセットのプーリ719の第1プーリ720の周りと第2プーリ721の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。前記第2の駆動エレメントの対は、第1のセットのプーリ714の第3のプーリ717の周りと第2のセットのプーリ719の第1プーリ720の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。前記第2の駆動エレメントの対は、第1のセットのプーリ714の第4のプーリ718の周りと第2のセットのプーリ719の第2プーリ721の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。
【0067】
第3の対の駆動エレメントC1,C2は、第2のセットのプーリ719の第1プーリ720の周りと第2プーリ721の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。前記第3の対の駆動エレメントは、第1のセットのプーリ714の第3のプーリ717の周りと第2のセットのプーリ719の第1プーリ720の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。前記第3の対の駆動エレメントは、第1のセットのプーリ714の第4のプーリ718の周りと第2のセットのプーリ719の第2プーリ721の周りとを、それぞれの逆の側で動くように拘束されている。
【0068】
第2の駆動エレメントの対B1,B2と第3の対の駆動エレメントC1,C2とは、第1および第2のセットのプーリ714,719周りの経路が、互いに逆となる対称な経路となっている。前記エンドエフェクタが前記シャフトと一直線状になる前記器具の直線形態において、第2の駆動エレメントの対B1,B2の、前記プーリ機構周りの経路は、第3の対の駆動エレメントC1,C2の、前記プーリ機構周りの経路に対して、前記シャフトの長手方向軸心708を基準として回転対称となる。
【0069】
前記プーリ機構は、さらに、前記関節部内において第1軸心707と第2軸心710との間に配置された第3のセットのプーリ724を有し得る。第3のセットのプーリ724は、一対の偏向プーリ725,726を含む。これらの偏向プーリは、前記関節部の両側においてそれぞれ、当該関節部の外縁に向かって配置されている。それぞれの偏向プーリは、前記関節部の両側において、当該関節部の長手方向軸心と当該関節部の外形プロファイルとの間に配置されている。
【0070】
第3のセットのプーリ724は、第2の駆動エレメントの対B1,B2を第1のセットのプーリ714から第2ジョイント709へと偏向させるように、かつ、第3の対の駆動エレメントC1,C2を第1のセットのプーリ714から第3ジョイント711へと偏向させるように配置されている。第2の駆動エレメントの対B1,B2は、偏向プーリ726(図7に図示せず)の周りを動くように拘束されている。偏向プーリ726は、第1の偏向プーリ軸心728回りに回転する。第1の偏向プーリ軸心728は、第1軸心707に対して角度θをなす。第3の対の駆動エレメントC1,C2は、偏向プーリ725の周りを動くように拘束されている。偏向プーリ725は、第2の偏向プーリ軸心727回りに回転する。第2の偏向プーリ軸心727は、第1軸心707に対して角度φをなす。偏向プーリ726が設けられていることにより、第2の駆動エレメントの対B1,B2は、偏向プーリ726が存在していないときよりも第2ジョイント709周りにより完全に巻かれることになるので、当該第2の駆動エレメントの対B1,B2と第2ジョイント709との係合部の長さが増える。同様に、偏向プーリ725が設けられていることにより、第3の対の駆動エレメントC1,C2は、偏向プーリ725が存在していないときよりも第3ジョイント711周りにより完全に巻かれることになるので、当該第3の対の駆動エレメントC1,C2と第3ジョイント711との係合部の長さが増える。
【0071】
電気焼灼エレメントE1,E2は、第1のセットのプーリ714から第2の本体部713内を通って電気焼灼エンドエフェクタ701へと配線されている。図7図9には、例示的な配線構成が描かれている。第2の電気焼灼エレメントE2は、第1のセットプーリ714の第2プーリ716上の巻取り点から第2の本体部713の貫通孔802の第1端部801に入り、当該貫通孔802を通過して当該貫通孔802の第2端部901から出現する。貫通孔802の第2端部901は、偏向プーリ725と第2ジョイント709との間に配置されている。次に、第2の電気焼灼エレメントE2は、前記電気焼灼エンドエフェクタにおいて貫通孔902への通路を通り、電気焼灼エンドエフェクタエレメント702との当該第2の電気焼灼エレメントE2の接続点へと向かう。第1の電気焼灼エレメントE1は、第1のセットのプーリ714の第1プーリ715の巻取り点から電気焼灼エンドエフェクタエレメント703までの経路が、第2の電気焼灼エレメントE2の経路とは逆の対照な経路となっている。
【0072】
電気焼灼エレメントE1,E2は、各々の電気焼灼エンドエフェクタエレメント702,703に接続点で固定されている。例えば、各電気焼灼エレメントは各々の電気焼灼エンドエフェクタエレメントへと、当該電気焼灼エンドエフェクタエレメントを機械的に変形させることによってカシメ固定されているものであり得る。そして、前記電気焼灼エレメントおよび各々の電気焼灼エンドエフェクタエレメントは、絶縁材料によってオーバーモールド成形されているものであり得る。
【0073】
好適には、組立時、各電気焼灼エレメントが各々の電気焼灼エンドエフェクタエレメントへと、当該電気焼灼エレメントの張力が最大になる状態で取り付けられる。この形態では、第2の本体部713がシャフト704に対して第1ジョイント706を中心とした最大の回転位置にあると共に、前記電気焼灼エンドエフェクタエレメントが第2の本体部713に対して第2/第3ジョイントを中心とした最大の回転位置にある。前記電気焼灼器具を前記直線形態に戻すと、前記電気焼灼エレメントの張力が低下する。関節部705内を通る各電気焼灼エレメントの長さは、前記第2の駆動エレメントの対のうちの一つの駆動エレメントの長さと同様になる。これにより、前記電気焼灼エレメントは、過度に緩んだり過度の緊張状態になったりすることなく前記第1、第2及び第3ジョイントを中心とした前記電気焼灼器具の運動に対応することができる。
【0074】
変形例として、前記バイポーラ電気焼灼器具の各電気焼灼エレメントE1,E2は、図4及び図5に関して説明したように第2軸心710の周りに巻かれるものとされてもよい。
【0075】
図7図9に示した、2つの電気焼灼エンドエフェクタエレメント702,703を備えたバイポーラ電気焼灼器具では、電気焼灼エレメントE1,E2が別々の前記エンドエフェクタエレメントに接続されている。変形例として、電気焼灼エレメントE1,E2は、共通のエンドエフェクタエレメントに接続されたものとされてもよい。この理由としては、バイポーラ電気焼灼器具がエンドエフェクタエレメントを一つしか備えていない場合が考えられ得る。ほかにも、前記バイポーラ電気焼灼器具が2つ以上のエンドエフェクタエレメントを備えているものの、そのうちの一つだけが前記電気焼灼エレメントにより給電されるという場合が考えられ得る。どちらの場合にしろ、前記エンドエフェクタエレメントのうちの前記電気焼灼エレメントが接続された2つの領域は、電気的に互いに絶縁されている。両方の領域が組織に接触させられると、電流が前記電気焼灼エレメントを介して印加されて、捕捉した組織が焼灼される。
【0076】
前記電気焼灼エレメントは、図4図6の電気焼灼器具に関して説明したように、前記シャフト内で前記駆動エレメントに取り付けられ得る。具体的に述べると、第2の電気焼灼エレメントE2は、前記シャフト内で前記第2の駆動エレメントの対のうちの一方の駆動エレメントに取り付けられ得る。例えば、E2は、前記シャフト内でB1に取り付けられ得る。第1の電気焼灼エレメントE1は、前記シャフト内で前記第3の対の駆動エレメントのうちの一方の駆動エレメントに取り付けられ得る。例えば、E1は、前記シャフト内でC1に取り付けられ得る。各々の電気焼灼エレメントは、駆動エレメントが作動されると当該駆動エレメントと一緒に動くように前記シャフト内で当該駆動エレメントに取り付けられている。これらの電気焼灼エレメントは、各々の駆動エレメントに例えば熱収縮等により接合され得る。前記駆動エレメントは、図6に関して説明したように、可撓部とスポーク部とで構成され得る。前記電気焼灼エレメントは、前記駆動エレメントの前記スポーク部に接続され得る。
【0077】
前記電気焼灼器具の近位端部にて、前記シャフトは、前記器具が前記ロボットアームとインターフェース連結する箇所である前記ベースに取り付けられている。図10に、図4図6で説明した電気焼灼器具の例示的な近位端部1000を示す。前記駆動エレメントは、器具インターフェースエレメントに配線されている。例えば、駆動エレメントB1,B2は、器具インターフェースエレメント1001に配線されている。器具インターフェースエレメント1001は、前記ロボットアームにおける駆動アセンブリインターフェースエレメントとインターフェース連結するものである。当該駆動アセンブリインターフェースエレメントは、器具インターフェースエレメント1001を駆動することにより、駆動エレメントB1,B2を前記器具の前記シャフトの長手方向軸心と平行に直線駆動させる。
【0078】
前述したように、電気焼灼エレメントE1は、前記器具の前記シャフト内で駆動エレメントに取り付けられている。電気焼灼エレメントE1とその駆動エレメントとは、前記シャフト内の、当該シャフトが前記器具の前記ベースに取り付けられている箇所の近傍で互いに分岐している。電気焼灼エレメントE1は、前記器具の前記ベース内を通って、当該電気焼灼エレメントE1がコネクタ1002に電気的に接続される箇所へと配線されている。コネクタ1002は、電気焼灼エレメントE1を電源に接続するものである。適切なコネクタであれば、どのようなコネクタが使用されてもよい。例えば図10には、前記電源へのコネクタとしてバナナプラグが描かれている。前記電気焼灼エレメントは、図10に示すように前記コネクタに数回巻かれ得る。この巻回により、ストレインリリーフがもたらされる。
【0079】
電気焼灼エレメントE1は、コネクタ1002からシャフト402へと、任意の適切な経路で配線されてよい。電気焼灼エレメントE1は、前記シャフト内で、駆動エレメントに接続されることにより拘束されている。よって、前記器具の前記ベース内では、電気焼灼エレメントE1の経路が必ずしも拘束されている必要がない。つまり、前記器具の前記ベース内の電気焼灼エレメントE1は、前記シャフト内での駆動エレメントとの接続箇所とコネクタ1002との接続箇所との間にかけて非拘束であり得る。変形例として、電気焼灼エレメントE1は、前記ベースの内部部品を擦らないように又は前記ベースの内部部品の動作に干渉しないように、前記シャフト内での駆動エレメントとの接続箇所とコネクタ1002との接続箇所との間において軽度に拘束されたものとされてもよい。例えば、電気焼灼エレメントE1は、貫通孔1003を通過するものとされ得る。これにより、電気焼灼エレメントE1が駆動エレメントB1と干渉することが防止される。電気焼灼エレメントE1は、前記シャフト内での駆動エレメントとの接続箇所とコネクタ1002との接続箇所との間において、駆動エレメントA1,A2,B1,B2と同様の拘束構成によって緊密に拘束されたものとされてもよい。例えば、電気焼灼エレメントE1は、周りを駆動エレメントA1,A2や駆動エレメントB1,B2が動くように拘束されているプーリのセット(又は当該プーリのセットの一部)と同様のセットのプーリの周りを動くように拘束されたものとされ得る。この場合の、前記器具の前記ベース内の電気焼灼エレメントE1は、緊張状態に維持されるため、駆動エレメントA1,A2,B1,B2との干渉が防止される。前記ベースの内側ハウジングは、電気焼灼エレメントE1に擦り付く可能性を抑え得る形状を有する。例えば図11には、前記ベースの内側ケーシングがR部1101,1102を有し、電気焼灼エレメントE1が前記シャフトから前記コネクタまで配線されている途中で当該電気焼灼エレメントE1がR部1101,1102と接触させられる一例が示されている。テンションプーリ1103が、弾性ラグ1104上にて、電気焼灼エレメントE1をR部1101,1102に対して緊張させるような位置に取り付けられている。
【0080】
図7図9に関して説明したバイポーラ電気焼灼器具の近位端部においても、図10及び図11に示したものに対応した近位端部が実現されてよい。この場合、2つの電気焼灼エレメントE1,E2が存在することになる。E1,E2はそれぞれ、前記シャフト内での駆動エレメントとの接続箇所から前記コネクタとの個々の接続箇所へと、図10及び図11に関して説明した機構のうちのどの機構を用いて配線されていてもよい。前記ベース内の電気焼灼エレメントE1,E2は、前記電気焼灼器具の他の部分での当該電気焼灼エレメントE1,E2と同じく、互いに絶縁されている。
【0081】
前記電気焼灼器具は、手術以外の目的に使用されるものであってもよい。例えば、前記電気焼灼器具は、美容処置に使用されるものであってもよい。
【0082】
本願の明細書には、本明細書で説明した個々の特徴及び2つ以上のそのような特徴の任意の組合せのそれぞれが、本願の明細書全体と当業者の一般常識とに基づいてこのような特徴又は組合せが実施可能である限り、このような特徴又は特徴の組合せが本明細書で開示した任意の課題を解決するか否かにかかわらず、特許請求の範囲に限定されることなく開示されているものとする。本発明の態様は、そのような個々の特徴又は特徴の組合せのいずれで構成されたものであってもよいとする。本発明の範疇で様々な変更が施されてもよいことは、当業者であれば前述の説明を参酌することにより明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】