(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
対象者の少なくとも1つの体腔内に、所定の体積の物質を送達するためのデバイスであって、(a)上記所定の体積の上記少なくとも1つの物質を収容するための所定の容積と、(b)上記体腔に近接して配置するための送達端部であって、直径D[mm]の少なくとも1つのオリフィスを有する送達端部と、(c)上記容器に機械的に接続可能な弁であって、少なくとも2つの構成、すなわち(i)上記弁が、所定の量V
前記所定の容積が少なくとも1つの障壁を含み、前記障壁が、前記弁が前記非アクティブ構成にあるときには、前記所定の容積の少なくとも一部に関して気密シールを提供し、前記弁が前記アクティブ構成にあるときには、流動性物質の前記所定の容積の前記少なくとも一部の通過を可能にするように構成され、前記障壁の少なくとも一部が、摺動可能、回転可能、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される様式で前記所定の容積に対して可動であること、ならびに
前記デバイスが、前記所定の量Vsubの複数の送達のために構成され、前記所定の量Vsubが制御可能に変更可能であること
の少なくとも1つが成り立つ請求項1に記載のデバイス。
前記容器が、前記デバイスの外部に流体接続可能なポートを備え、前記ポートが、前記ポートを通して前記チャンバに前記少なくとも1つの物質を挿入可能であるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
前記デバイスが、前記ポートのための気密閉鎖を提供するように構成されたポートカバーを備え、前記ポートカバーが、前記デバイスに沿って摺動可能であり、前記デバイスの周りで回転可能であり、前記デバイスの外部でヒンジの周りで回転可能であり、およびそれらの任意の組合せである、請求項6に記載のデバイス。
少なくとも1つの障壁を備える前記所定の容積を提供するステップであって、前記障壁が、前記弁が前記非アクティブ構成にあるときには、前記所定の容積の少なくとも一部に関して気密シールを提供し、前記弁が前記アクティブ構成にあるときには、流動性物質の前記所定の容積の前記少なくとも一部の通過を可能にするように構成され、前記障壁の少なくとも一部が、摺動可能、回転可能、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される様式で前記所定の容積に対して可動である、ステップと、
前記所定の量Vsubの複数の送達を生成し、前記所定の量Vsubを制御可能に変えるステップと、
の少なくとも1つをさらに含む、請求項8に記載の方法。
前記ポートのための気密閉鎖を提供するステップと、前記ポートカバーを前記デバイスに沿って摺動させること、前記ポートカバーを前記デバイスの周りで回転させること、前記ポートカバーを前記デバイスの外部でヒンジの周りで回転させること、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの運動で、前記ポートカバーを前記デバイスに対して移動させるステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、エアロゾル化された物質を身体の自然の開口部に送達するためのシステムおよび方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の別の目的は、対象者の少なくとも1つの体腔内に、所定の体積V
sub[ml]の少なくとも1つの物質を送達するためのデバイスであって、
a.上記所定の体積V
sub[ml]の少なくとも1つの物質を収容するためにサイズ設定および形状設定された少なくとも1つの所定の容積と、
b.体腔に近接して配置するための送達端部であって、容器と流体連通し、直径D[mm]の少なくとも1つのオリフィスを有する送達端部と、
c.容器に機械的に接続可能な少なくとも1つの弁であって、少なくとも2つの構成、すなわち(i)弁が、容器から送達端部を通して体腔への所定の体積V
sub[ml]の物質の送達を可能にするアクティブ構成と、(ii)弁が、容器から体腔への上記所定の体積V
sub[ml]の物質の送達を妨げる非アクティブ構成とを備えることによって特徴付けられる少なくとも1つの弁と、を備え、
弁が、弁の作動に応答して、所定の期間dT内に、非アクティブ構成からアクティブ構成に、およびその逆に再構成可能であり、
d.デバイスがさらに、所定の圧力P
gas[barg]で所定の体積V
gas[ml]の加圧ガスを収容するように構成された液密チャンバを備え、
デバイスが、弁が非アクティブ構成からアクティブ構成に再構成されると、加圧ガスによって物質を同伴して、物質を、体腔内の送達端部のオリフィスを通して送達するように構成され、
デバイスが、(a)dP
gas/dTの圧力変化率で、(b)dV
gas/dTの体積変化率で、および(c)dV
sub/dTの体積変化率で、直径D[mm]のオリフィスを通して所定の体積V
subの物質および所定の体積V
gasの加圧ガスを送達するように構成され、
さらに、
(a)P
gasが、1〜10bargの範囲内にあること、
(b)V
gasが、1〜21mlの範囲内にあること、
(c)V
subが、0.01〜7mlおよび1〜1000mgからなる群から選択される少なくとも1つの範囲内にあること、
(d)Dが、0.2〜6mmの範囲内にあること、
(e)圧力変化率が
【0009】
【数1】
【0010】
であること、
(f)圧力変化率dP
gas/dTが、0.001barg/msよりも大きいこと、
(g)体積変化率dV
sub/dTが、0.0001ml/ms超、および0.0001mg/ms超からなる群から選択される少なくとも1つの範囲内にあること、
(h)体積変化率dV
gas/dTが、0.001ml/msよりも大きいこと、
(i)所定の期間dT→0であること、および
(j)dTが、0〜500ミリ秒の範囲内にあること
の少なくとも1つが成り立つ、デバイスを開示することである。
【0011】
本発明の別の目的は、
上記所定の容積が少なくとも1つの障壁を含み、上記障壁が、上記弁が上記非アクティブ構成にあるときには、上記所定の容積の少なくとも一部に関して気密シールを提供し、上記弁が上記アクティブ構成にあるときには、流動性物質の上記所定の容積の上記少なくとも一部の通過を可能にするように構成され、上記障壁の少なくとも一部が、摺動可能、回転可能、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される様式で上記所定の容積に対して可動であること、ならびに
上記デバイスが、上記所定の量V
subの複数の送達のために構成され、上記所定の量V
subが制御可能に変更可能であること
の少なくとも1つが成り立つ上記デバイスを開示することである。
【0012】
本発明の別の目的は、
a.身体開口部が、鼻腔、口、喉、耳、膣、直腸、尿道、およびそれらの任意の組合せであること、
b.物質の粘度ηが、1×10
−3ポアズ〜1ポアズの範囲内にあること、
c.物質の粒子のDV50直径が、上記デバイスから出た後、100μm未満であること、
d.粒子のDV90直径が、1000μm未満であること、
e.上記物質および上記ガスを含むエアロゾルのプルームの全幅が、25°未満の角度θを成すこと、
f.プルーム内の粒子が、5m/s〜50m/sの範囲内の速度を有すること、
g.加圧ガスが、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、キセノン、およびそれらの任意の組合せを含むこと、
h.少なくとも1つの物質の定量供給中に、所定の体積V
gasの加圧ガスと、加圧ガス中で同伴される所定の体積V
subの物質との混合物が、エアロゾルのプルームを形成し、エアロゾルが所定の分散を有し、分散が均質または不均質であり、不均質な分散が、任意の分散、混合物内の少なくとも1つの物質の密度が所定のパターンに従う分散、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択され、粒径、粒子形状、粒子分散、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるエアロゾルの特性が、加圧ガスの所定の体積、物質の所定の体積、加圧ガスの所定の圧力、所定のオリフィスサイズ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるデバイスの特性から決定可能であること、
i.少なくとも1つの物質が、気体、液体、粉末、エアロゾル、スラリ、ゲル、懸濁液、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されること、ならびに
j.少なくとも1つの物質が、保管中の反応を防ぐために不活性雰囲気下または真空下で保管されること
の少なくとも1つが成り立つ上記デバイスを開示することである。
【0013】
本発明の別の目的は、上記容積が容器である上記デバイスを開示することである。
本発明の別の目的は、容器が主長手方向軸を有するカプセルであり、容器がn個の区室を備え、容器が、所定の体積V
subの少なくとも1つの物質を収容するように構成され、体積V
subの少なくとも1つの物質が、n個の区室の少なくとも1つに収容可能であり、
a.容器がカプセルであること、
b.区室の数nが、1以上の整数であり、少なくとも1つの区室が、楔形、円形、卵形、楕円形、多角形、環状、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される形状の断面を有すること、
c.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が異なる容積を有すること、
d.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が同じ容積を有すること、
e.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が異なる断面積を有すること、
f.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が同じ断面積を有すること、
g.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が異なる物質を収容すること、
h.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が同じ物質を収容すること、
i.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が、カプセルの主長手方向軸の周りに同軸に配設されること、
j.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、少なくとも2つの区室が、カプセルの主長手方向軸に沿って順次に配設されること、
k.区室の数nが1よりも大きい場合、複数の物質が定量供給中に混合すること、ならびに
l.区室の数nが1よりも大きい場合、複数の物質が定量供給中に反応すること
の少なくとも1つが成り立つ上記デバイスを開示することである。
【0014】
本発明の別の目的は、容器が、デバイスの外部に流体接続可能なポートを備え、ポートが、ポートを通してチャンバに少なくとも1つの物質を挿入可能であるように構成される上記デバイスを開示することである。
【0015】
本発明の別の目的は、デバイスが、ポートのための気密閉鎖を提供するように構成されたポートカバーを備え、ポートカバーが、デバイスに沿って摺動可能であり、デバイスの周りで回転可能であり、デバイスの外部でヒンジの周りで回転可能であり、およびそれらの任意の組合せである、上記デバイスを開示することである。
【0016】
本発明の別の目的は、対象者の少なくとも1つの体腔内に所定の量V
subの少なくとも1つの物質を送達する方法であって、
a.デバイスを提供するステップであって、デバイスが、
i.所定の量V
subの少なくとも1つの物質を収容するためにサイズ設定および形状設定された少なくとも1つの所定の容積と、
ii.容器と流体連通し、直径D[mm]の少なくとも1つのオリフィスを有する送達端部と、
iii.容器に機械的に接続された少なくとも1つの弁であって、少なくとも2つの構成、すなわち(i)弁が、容器から送達端部を通して体腔への所定の量V
subの物質の送達を可能にするアクティブ構成と、(ii)弁が、容器から体腔への所定の量V
subの物質の送達を妨げる非アクティブ構成とを備えることによって特徴付けられる少なくとも1つの弁と、を備え、
弁が、弁の作動に応答して、所定の期間dT内に、非アクティブ構成からアクティブ構成に、およびその逆に再構成可能であり、
iv.デバイスがさらに、所定の圧力P
gas[barg]で所定の体積V
gas[ml]の加圧ガスを収容するように構成された液密チャンバを備える、ステップと、
b.所定の容積内に物質を入れるステップと、
c.弁を非アクティブ構成に設定するステップと、
d.ガスを用いて液密チャンバを所定の圧力まで加圧するステップと、
e.送達端部を体腔の近くに配置するステップと、
f.弁を非アクティブ構成からアクティブ構成に再構成し、それによって所定の体積V
gasの加圧ガス中で物質を同伴するステップと、それによって、
g.所定の量V
subの物質および所定の体積V
gasの加圧ガスを、直径D[mm]のオリフィスを通してdP
gas/dTの圧力変化率で送達するステップと、を含み、
(a)P
gasが、1〜10bargの範囲内にあること、
(b)V
gasが、1〜21mlの範囲内にあること、
(c)V
subが、0.01〜7mlおよび1〜1000mgからなる群から選択される少なくとも1つの範囲内にあること、
(d)Dが、0.2〜6mmの範囲内にあること、
(f)圧力変化率が
【0017】
【数2】
【0018】
であること、
(g)圧力変化率が、0.001barg/msよりも大きいこと、
(h)体積変化率dV
sub/dTが、0.0001ml/ms超、および0.0001mg/ms超からなる群から選択される少なくとも1つの範囲内にあること、
(i)体積変化率dV
gas/dTが、0.001ml/msよりも大きいこと、
(j)所定の期間dT→0であること、ならびに
(k)dTが、0〜500ミリ秒の範囲内にあること
の少なくとも1つが成り立つ、方法を開示することである。
【0019】
本発明の別の目的は、
少なくとも1つの障壁を備える上記所定の容積を提供するステップであって、上記障壁が、上記弁が上記非アクティブ構成にあるときには、上記所定の容積の少なくとも一部に関して気密シールを提供し、上記弁が上記アクティブ構成にあるときには、流動性物質の上記所定の容積の上記少なくとも一部の通過を可能にするように構成され、上記障壁の少なくとも一部が、摺動可能、回転可能、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される様式で上記所定の容積に対して可動である、ステップと、
上記所定の量V
subの複数の送達を生成し、上記所定の量V
subを制御可能に変えるステップと、
の少なくとも1つをさらに含む、上記方法を開示することである。
【0020】
本発明の別の目的は、
a.鼻腔、口、喉、耳、膣、直腸、尿道、およびそれらの任意の組合せからなる群から身体開口部を選択するステップと、
b.物質の粘度ηを、1×10
−3ポアズ〜1ポアズの範囲内で選択するステップと、
c.上記少なくとも1つの物質と上記ガスとの混合物である送達されるエアロゾル中の上記物質の粒子をDV50直径によって特徴付けるステップであって、上記DV50直径が、100μm未満であるステップと、
d.上記粒子を、1000μm未満のDV90直径によって特徴付けるステップと、
e.上記エアロゾルのプルームをプルーム角度θによって特徴付けるステップであって、上記プルーム角度θが、上記プルームの全幅を成し、上記プルーム角度θが、25°未満の角度を成すステップと、
f.上記プルーム内の粒子の速度を、5m/s〜50m/sの範囲内として特徴付けるステップと、
g.上記ガスを、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、キセノン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択するステップと、
h.上記少なくとも1つの物質を定量供給するステップと、定量供給する上記ステップ中に、所定の量V
gasの上記加圧ガスと、上記加圧ガス中で同伴される上記所定の量V
subとの混合物から、所定の分散を有するエアロゾルのプルームを形成するステップと、上記所定の分散を、均質な分散および不均質な分散からなる群から選択するステップと、上記不均質な分散を、任意の分散、上記混合物内の上記少なくとも1つの物質の密度が所定のパターンに従う分散、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択するステップと、上記エアロゾルの特性を、粒径、粒子形状、粒子分散、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択するステップであって、上記エアロゾルの特性が、上記加圧ガスの上記所定の体積、上記物質の上記所定の体積、上記加圧ガスの上記所定の圧力、上記所定のオリフィスサイズ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される上記デバイスの特性から決定可能である、ステップと、
i.上記物質を、気体、液体、粉末、スラリ、ゲル、懸濁液、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択するステップと、
j.少なくとも1つの上記物質を不活性雰囲気下または真空下で保管し、それによって保管中の反応を防ぐステップと、
k.実質的に線形になるように、上記物質の脳内濃度に関する用量応答曲線を特徴付けるステップと、
l.脳内濃度に関する用量応答曲線が、上記デバイスを通して経鼻投与されるときの上記物質の対数、放物線、指数、シグモイド、低電力、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される当てはめを有するステップと、
の少なくとも1つをさらに含む、上記方法を開示することである。
【0021】
本発明の別の目的は、上記容積が容器である上記方法を開示することである。
本発明の別の目的は、
主長手方向軸を有するカプセルを備える容器を提供するステップであって、カプセルがn個の区室を備えるステップと、カプセルを、所定の量V
subの少なくとも1つの物質を収容するように構成するステップと、量V
subの物質を、n個の区室の少なくとも1つに収容するステップと、をさらに含み、
a.n個の区室を有するカプセルを提供するステップであって、nが、1以上の整数である、ステップと、
b.n個の区室の少なくとも1つの断面形状を、楔形、円形、卵形、楕円形、多角形、環状、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択するステップと、
c.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、異なる容積を有する複数の区室の少なくとも2つを提供するステップと、
d.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、同じ容積を有する少なくとも2つの区室を提供するステップと、
e.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、異なる断面積を有する少なくとも2つの区室を提供するステップと、
f.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、同じ断面積を有する少なくとも2つの区室を提供するステップと、
g.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、異なる物質を収容する少なくとも2つの区室を提供するステップと、
h.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、同じ物質を収容する少なくとも2つの区室を提供するステップと、
i.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、複数の区室を、カプセルの主長手方向軸の周りに同軸に配設するステップと、
j.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、複数の区室を、カプセルの主長手方向軸に沿って順次に配設するステップと、
k.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、定量供給中に複数の物質を混合するステップと、
l.区室の数nが1よりも大きい整数である場合、定量供給中に複数の物質を反応させるステップと
の少なくとも1つをさらに含む、上記方法を開示することである。
【0022】
本発明の別の目的は、デバイスの外部に流体接続可能なポートを通して、所定の量V
subの少なくとも1つの物質を容器に挿入するステップをさらに含む、上記方法を開示することである。
【0023】
本発明の別の目的は、ポートのための気密閉鎖を提供するステップと、ポートカバーをデバイスに沿って摺動させること、ポートカバーをデバイスの周りで回転させること、ポートカバーをデバイスの外部でヒンジの周りで回転させること、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの運動で、ポートカバーをデバイスに対して移動させるステップとをさらに含む、上記方法を開示することである。
【0024】
本明細書において、添付図面を参照して、単に例として本発明を述べる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明は、本発明のすべての章と共に、当業者が本発明を利用できるようにし、本発明者が企図する本発明の実施の最良の形態を記載する。しかし、本発明の全般的な原理は、所定の所望の位置への薬剤の移送を改良することが可能なデバイスを提供し、かつ組織を通る薬剤の送達を改良することが可能なデバイスを提供するように特に定義されているので、当業者には様々な修正形態が明らかであろう。
【0027】
本発明では、圧力、ガス/空気体積、オリフィス直径などのパラメータおよび力の組合せにより、標的領域(鼻腔の嗅上皮など)へのエアロゾルの送達の改良と、所望の組織(脳など)へのより良い送達のためのその領域での吸収の向上との両方に関して、最適化されたエアロゾル特性の形成が可能になる。
【0028】
「ul」または「μl」という用語は、本明細書では以後、単位マイクロリットルを表す。
「カプセル」または「容器」という用語は、本明細書では以後、流動性物質を収容するように構成された容器を表す。「流動性」という用語は、本明細書では以後、任意の液体、気体、エアロゾル、粉末、およびそれらの任意の組合せを表す。「カプセル」という用語は、流動性物質が置かれているカプセル内の所定の容積を表すこともあることを強調しておく。言い換えると、所定の容積は、上記物質の所定の体積を囲むようにサイズ設定および形状設定されている。
【0029】
「複数」という用語は、本明細書では以後、1以上の整数を表す。
「嗅上皮」という用語は、本明細書では以後、鼻腔内の特殊な上皮組織を表す。嗅上皮は、鼻腔の上側頂部にある。
【0030】
「物質」という用語は、本明細書では以後、流動することが可能な任意の物質を表す。そのような物質は、粉末、液体、ゲル、スラリ、懸濁液、およびそれらの任意の組合せを含む粒状材料でよい。
【0031】
「ガス」という用語は、容易に圧縮することができる任意の流体を表す。ガスは、本明細書で使用するとき、限定はしないが、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、キセノン、およびそれらの任意の組合せを含む。手動でチャージされるデバイスは、典型的には、キャリアガスとして空気を使用する。
【0032】
「チャネル」という用語は、本明細書では以後、混合機構の少なくとも一部を通る流体の通過を可能にする通路を表す。チャネルは、混合機構の一部分の内部に設けて、閉じた穴を形成することができ、または混合機構の一部分の外部にあって、混合機構のその部分に溝を形成することができ、それらの任意の組合せでもよい。
【0033】
「約」という用語は、本明細書では以後、言及された値の上下25%の範囲を表す。
「生物学的製剤」または「生物学的応答修飾物質」という用語は、本明細書では以後、ヒト遺伝子に由来する遺伝子組み換えタンパク質、またはそのようなタンパク質の生物学的に有効な組合せなど、生物源で製造された、または生物源から抽出された材料を表す。
【0034】
本明細書におけるすべての圧力は、大気圧に対するゲージ圧である。本明細書では、圧力単位は、「ゲージ」の標準的な略語、すなわち「g」を使用して書かれる。例えば、大気圧は0bargであり、大気圧よりも1bar高い圧力は1bargである。
【0035】
「解放時間」という用語は、本明細書では以後、薬物およびキャリアガスがデバイスから実質的に完全に出るまでの時間を表す。典型的には、解放時間は作動時間の影響を受け、デバイスがアクティブ構成から非アクティブ構成に、またはその逆に再構成する時間を反映する。
【0036】
「デバイス」、「本デバイス」、「SipNoseデバイス」、および「SipNose」という用語は、本発明のデバイスを表すために交換可能に使用される。
本明細書で示されているすべての図は例示であり、縮尺通りではない。
【0037】
本発明は、好ましくは薬剤または薬剤の組合せを含む所定の量の物質を対象者の身体開口部に送達するためのデバイスを教示する。この開口部は、鼻孔、口、耳、喉、尿道、膣、直腸、およびそれらの任意の組合せを含む、身体の自然な開口部の任意のものを含む。
【0038】
このデバイスの好ましい実施形態では、デバイスは、本明細書で以下に述べるように、送達機構および薬剤カプセルを備える。デバイスは、局所効果のために広範な薬物および材料を鼻腔に適用し、広範な薬物および材料を、鼻腔を通して全身循環に送達し、広範な薬物および材料を、鼻腔を通して中枢神経系(CNS)、脳、脊髄、および関連の神経、ならびにそれらの任意の組合せに送達することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、デバイスは単回使用デバイスであり、一定用量の物質を供給する。他の実施形態では、デバイスは、一定用量を複数回供給するように構成された複数回使用デバイスである。他の実施形態では、デバイスは、広い範囲の用量サイズを送達することができる単回使用デバイスである。さらに他の実施形態では、デバイスは、時間と保管スペースとの両方が重視され得る緊急事態において効率を高めるための、単回使用の複数用量サイズのデバイスである。さらに他の実施形態では、デバイスは複数回使用の複数用量サイズのデバイスである。複数用量サイズのデバイスのいくつかの実施形態では、使用前に使用者がデバイスに入れた物質の量によって用量サイズが設定される。複数用量サイズのデバイスの他の実施形態では、デバイスは、例えばノブまたはスライダを用いて用量サイズを調整する手段を備える。
【0040】
物質を供給する手段も融通性があり、非限定的な例として、処理を製造時にデバイスに入れることができる。物質は、単回使用または複数回使用カートリッジに入れることができ、カートリッジは、デバイスに挿入可能であり、またはポートを備え、ポートを通して、パッケージングされていない物質をデバイス内に提供することができる。最後の例は、注射器によって従来の保管ボトルから所望の量の物質を取り出し、次いで注射器の中身をデバイス内の所定の容積に注ぎ込むことである。
【0041】
適用可能な薬物は、限定はしないが、医薬品、天然化合物、生物学的製剤、ホルモン、ペプチド、タンパク質、ウイルス、細胞、幹細胞、およびそれらの任意の組合せでよい。
しかし、デバイスは単独で提供することも、カプセルと組み合わせて提供することもできることを強調しておく。
【0042】
いくつかの場合には、カプセルは、中に既知の薬剤を提供され、他の場合には、カプセルは、使用直前に薬剤を「充填」される。
本発明のいくつかの実施形態では、デバイス動作特性と物質特性とを共に最適化して、所望の部位での物質の取込みを最大化することができる。そのような実施形態の好ましい変形形態では、取込みは、デバイスによって生成される送達特性と送達される材料の配合または組成との相乗効果を活用することによってさらに最適化される。
【0043】
いくつかの実施形態では、物質は、粘膜付着剤および/または透過性増強剤および/またはナノ粒子もしくはマクロ粒子範囲での微粒子製剤、ならびにそれらの任意の組合せによって、粘膜を介した送達を最適化するための1つまたは複数の薬物を含む。そのような実施形態では、デバイスと物質との組合せは、標的領域(鼻上皮、より具体的には嗅上皮)への活性剤の送達を向上し、そこから標的組織(例えば脳)への送達を向上する。
【0044】
非限定的な例は、送達すべき薬物と、少なくとも1つの化学的浸透促進剤(CPE)とを含む組成物である。好ましい実施形態では、組成物は、2つ以上のCPEを含み、これらは、経鼻送達デバイスを使用することによって、相加的に影響を及ぼし、または相乗的に挙動して、上皮の透過性を高めながら、許容できる程度に低レベルの細胞毒性を細胞に提供する。1つまたは複数のCPEの濃度は、最大量の総ポテンシャル(OP)を提供するように選択される。さらに、CPEは、治療に基づいて選択される。主に経細胞輸送によって挙動するCPEは、上皮細胞内に薬物を送達するために好ましい。主に傍細胞輸送によって挙動するCPEは、上皮細胞を通して薬物を送達するために好ましい。また、本明細書では、粘膜へのおよび粘膜を通る活性剤の送達の向上のために、活性剤への標的組織/粘膜の露出期間の延長を可能にする粘膜付着剤も提供される。
【0045】
従来技術の経鼻送達デバイスおよび技術とは対照的に、本発明のデバイスは、デバイス内でのみ、またはデバイスから出た直後にのみエアロゾルを生成するのではなく、鼻腔内で、または標的領域および標的組織の位置にある他の所望の身体開口部内で微細なエアロゾルを生成することができる。圧力を駆動力として利用し、空気を担体として利用して、エアロゾルとエアロゾル化前の状態との混合物として材料をノズルから解放することが可能になる。結果として生じるエアロゾルの特性は、典型的には、デバイスの特性と、デバイスが放出される媒体の特性とに依存する。エアロゾルの特性に影響を及ぼすデバイスの特性は、送達圧力、送達ガスの体積、そのオリフィスの特性、および作動時間である。
【0046】
いくつかの実施形態では、エアロゾル特性は、送達される物質からはかなり独立しており、一方、他の実施形態では、圧力、体積、オリフィス特性、および送達される物質の特性を一緒に最適化することができる。
【0047】
従来技術デバイスでは、エアロゾルは、デバイスの出口付近で生成される。典型的には、このエアロゾルは、エアロゾルの広い「扇形」、および低い駆動力を備える。したがって、大きい液滴は、典型的には、デバイスからの出口の非常に近くに堆積するが、より小さい液滴は、通路の壁に迅速に接触する傾向があり、したがって典型的には、堆積は主にデバイスの送達端部の近くであり、中鼻甲介や上鼻甲介など、身体開口部内のより深い所望の部位に到達する物質はほとんどない。
【0048】
対照的に、本発明のデバイスでは、ガスと物質とのエアロゾル化前の混合物は、エアロゾルとエアロゾル化前の材料(流体または粉末)の混合物として、大きい駆動力でデバイスから出る。エアロゾル化前の材料が鼻道の壁に当たるときに、「爆発」して微細なエアロゾルになり、これは、圧力によって鼻道内の深くに押し込むことができ、所望の領域に堆積する。
【0049】
図1A〜Dは、鼻道に薬剤を送達することを目的とした従来技術のカプセルを示す。
図1Aは、Wolfe ToryのLMA MAD鼻用アトマイザを示し、
図1Bは、典型的な鼻用ポンプを示し、
図1Cは、Simply Saline鼻用スプレーを示し、
図1Dは、Optinose呼吸駆動式送達デバイスを示す。
【0050】
典型的な従来技術のデバイスは、エアロゾル化された薬剤を解放する。しかし、すべてに厳しい制約がある。
LMA MAD鼻用アトマイザ(
図1A)は注射器を備え、したがって、使用者が注意を払えば用量サイズはかなり正確になり得る。ただし、使用者がプランジャを押すことによって送達圧力が提供され、それにより、送達速度および送達圧力(および液滴サイズ)の制御は、使用者がプランジャを押す強さに依存し、これらのパラメータを制御しにくくする。さらに、注射器プランジャは、特に押下の開始時にスティックスリップ挙動を受けやすく、送達パラメータを正確に制御するのを難しくする。
【0051】
鼻用ポンプ(
図1B)などのデバイスは、典型的には、作動中に使用者が加える圧力によって送達エネルギーが供給されるので、作動ごとに一定の用量を提供しない。典型的には、使用者の作動後に生成される液滴のサイズには大きなばらつきがあり、薬剤を所望の位置に正確に向けるのを難しくする。
【0052】
Simply Saline Nasal Mist(
図1C)は、加圧容器を備える。内容物の一部を解放するためには、ボタンが押される。各作動は、容器内の圧力を低下させ、それにより、送達の速度および圧力を低下させ、液滴サイズを変化させる。作動時間の長さは、ボタンが押されている時間に依存し、したがって、送達される量の制御はほとんどできない。
【0053】
Optinose呼吸駆動式送達デバイス(
図1D)は、呼吸駆動式である。このデバイスは、単回用量の薬剤を含むカプセルを使用し、したがって用量サイズが十分に制御される。しかし、送達速度および送達圧力(および微粒子のばらつき)は、使用者がデバイスに呼気を送り込む強さと、使用者が呼気を継続する時間に依存する。さらに、呼気圧力は、典型的には、呼気の終了時よりも開始時のほうが高く、したがって送達中に送達パラメータが変化する。
【0054】
本発明のデバイスとは異なり、従来技術のデバイスはどれも、用量体積、担体体積、圧力、および送達速度を含むすべての送達パラメータの正確な制御を提供しない。
本発明のデバイス(SipNoseデバイス)のさらなる利点は、従来技術のデバイスとは異なり、高圧で大体積(>100ul)を正確に送達するように構成することができ、したがって、小体積と同様に大体積についても、高い信頼性および高い再現性で高速エアロゾルを生成することができることである。
【0055】
図2は、鼻孔に入る物質の堆積に関する位置を示す。典型的な位置は以下の通りである。(a)下鼻甲介(240)を通過した後の肺への堆積。それにより、肺胞の壁を越えた物質の移動を可能にする。(b)鼻道、特に下鼻甲介(240)および中鼻甲介(230)の粘膜への堆積。これは、血液への物質の移動を促進する。(c)上鼻甲介の嗅上皮粘膜(220)への堆積。これは、典型的にはエアロゾルとしての物質が、薄い篩骨(図示せず)を通って、嗅神経末端(250)を介して脳に移動するのを促進し、ガスと物質との混合物が送達端部を通って身体オリフィスに入る。典型的には、放出(送達)時間は、約500ms未満である。
【0056】
以下に開示する実施形態は、所定の体積のガスを所定の圧力で提供するためのデバイスおよび方法の非限定的な例を開示する。
図3は、デバイスの例示的実施形態を示す。
図3の実施形態では、ガスを圧縮するためにピストン(8)が使用される。ピストンは、回転可能なコネクタ(13)によってピストン(8)に取り付けられたレバー(4)によって移動される。ピストン(8)は、空気チャンバ(2)に気密に、かつ摺動可能に嵌まる。レバー(4)は、その近位端でハンドル(3)に回転可能に取り付けられ、それにより、レバー(4)の遠位端をハンドル(3)から引き離して、ピストン(8)をデバイスの近位端に向けて後退させ、空気チャンバ(2)に空気を引き込むことができ、レバー(4)の遠位端をハンドル(3)に向けて押して、ピストン(8)をデバイスの遠位端に向けて延ばしてガスを圧縮することができる。使用時、マウスピース(5)は口内に配置され、ノーズピース(6)は鼻孔内に配置される。マウスピース(5)での吸気がデバイス(機構は図示せず)を作動させ、空気チャンバ(2)から圧縮ガスを解放し、そこから、圧縮ガスは、物質カプセル(21)を通過し、ノーズピース(6)の遠位端を通ってデバイスから出る。
【0057】
図3に開示する実施形態は、典型的には、以下の4つの状態に構成可能である。(a)弁がその「非アクティブ構成」であり、チャンバが非加圧ガスを含み、弁と流体連通するチャンバの部分が最小である非作動状態。(b)弁がその「非アクティブ構成」であり、チャンバが非加圧ガスを含み、弁と流体連通するチャンバの部分が最大である作動前状態。この段階では、身体オリフィスに入れるべき先端(送達端部)は「真空」状態でもそうでなくてもよい。(c)チャンバが所定量の加圧ガスを含み、弁がその「非アクティブ」状態にある装填構成、および(d)弁がその「アクティブ」状態にある作動状態。典型的には、作動状態は、デバイスからの放出を行い、ガスと物質の混合物がデバイスから解放され、送達端部を通って身体オリフィスに入る。
【0058】
エアロゾルの特性、すなわちそのサイズ、形状、および速度は、チャンバからのガスの排出速度、送達される空気の体積、送達オリフィスの特性、および作動時間に依存する。チャンバからのガスの排出速度、および送達される空気の体積は、装填状態でのチャンバ内のガスの圧力、装填状態でのチャンバの体積、およびチャンバと送達オリフィスとの間の流体接続の特性に依存する。作動中および作動の合間のこれらの特性の変化が小さいほど、デバイスの信頼性が高くなり、再現性が高くなる。したがって、流体接続の特性を制御する際、弁を開放するのにかかる時間を考慮に入れる必要がある。本発明のデバイスでは、弁開放時間は、再現性があり、その上短く、使用者になんら依存せず、したがって送達は、短い、再現性のある、高速のガスパルスを含む。
【0059】
非作動状態と装填状態とは同一に見えるが、装填状態ではチャンバが加圧ガスを含むのに対し、非作動状態ではチャンバが加圧ガスを含まないという点で異なる。
緊急時での使用または日常の家庭での使用を目的とした実施形態を含め、いくつかの実施形態では、デバイスは、装填状態と作動状態との2つの状態のみを有する単回使用デバイスである。デバイスは、装填状態で提供される。トリガ機構の作動が、ガスおよび物質を放出させる。
【0060】
他の実施形態では、デバイスは、作動前状態で提供される。使用者は、デバイスを装填状態に変換し、ガスを加圧し、トリガ機構を作動させて、ガスおよび物質を放出する。
カプセルは、可撓性でも剛性でもよい。剛性のカプセルは、ガラス、金属、硬質ポリマー、およびそれらの任意の組合せなどの材料を含むことができる。可撓性カプセルは、好ましくは、シリコーンなどの可撓性ポリマーで作られる。好ましくは、カプセルは両端で封止可能である。
【0061】
多区室カプセルは、異なる区室に物質の異なる成分を含むことができる。少なくとも1つの区室がキャリアガスを含むこともでき、それらの任意の組合せでもよい。
いくつかの実施形態では、キャリアガスおよび物質用の単一のカプセルがある。いくつかの実施形態は、物質用およびガス用の別個のカプセルを有する。
【0062】
いくつかの実施形態は、ガス保持チャンバに保持されたキャリアガスを有する。ガス保持チャンバは、製造時に充填することができ、またはチャージ機構によって所定の圧力まで充填することができる。
【0063】
いくつかの実施形態は、保持チャンバに保持された物質を有する。保持チャンバは、製造時に充填することができ、または限定はしないが注射器などの充填機構によって充填することができる。
【0064】
本発明が1区室カプセルと多区室カプセルとの両方に言及することを強調しておく。
図4A〜Eは、多区室カプセルの例示的実施形態を示す。
多区室カプセルでは、壁がカプセルを区室に分割する。区室は、ほぼ同じ体積を有することも異なる体積を有することもでき、同じ厚さを有することも異なる厚さを有することもできる。円形の場合、同じ直径を有することも異なる直径を有することもできる。区室は、端面で同じ面積を有することも異なる面積を有することもできる。
【0065】
区室は、一緒になって、カプセルの体積の大部分を形成することができ、またはカプセルの体積の小部分を形成することができる。
区室壁は、角度方向にまたは直線状に等間隔に配置することも、不等間隔に配置することもできる。間隔は、任意でよく、規則的でよく、パターンに従っていてもよく、それらの任意の組合せでもよい。
【0066】
区室は、カプセルの縁部付近にあっても、カプセル内の他の位置にあってもよい。
使用前に、区室は、好ましくは気密封止されて、内部に含まれる物質の混合を防止する。
【0067】
区室壁は、カプセル壁(非限定的な例では、レンズ形カプセル内のレンズ形の壁)と形状が実質的に同じでよく、または区室の壁の形状の少なくとも1つがカプセルの断面の形状と異なる(非限定的な例として、円形カプセル内のレンズ形の壁)。
【0068】
区室壁は、非脆弱性でも脆弱性でもよい。脆弱性の壁は、物質が区室から出る前に、隣接する区室の内容物の混合または反応を可能にする。
区室は、必須ではないが、少なくとも一端に脆弱性の膜を有することができる。
【0069】
任意の区室が、1つの物質、または物質の混合物を含むことができる。任意の2つの区室が、同じ物質もしくはその混合物、または異なる物質もしくはその混合物を含むことができる。
【0070】
カプセル壁と区室壁の任意の組合せの材料は、剛性、半可撓性、可撓性、およびそれらの任意の組合せでよい。可撓性または半可撓性の区室またはカプセル壁は、作動中の空気経路内のデッドスペース(低ガス流量の領域)を低減することができる。
【0071】
図4Aに示す実施形態では、区室(130)は、外被(110)内に同軸に配設され、区室は互いに入れ子になっている。中央区室は、円柱体を成し、残りの区室(
図4Aの例示的実施形態では3つ)は、それぞれで円柱体の環を成す。入れ子にされた区室は、同軸である必要はない。
【0072】
図4Bに概略的に示される実施形態では、カプセル(100)は、壁(120)によって隔てられた、角度方向に配設されたn個の区室(130)を囲む外被(110)を含み、ここで、nは約10未満である。
図4Bに示される実施形態では、nは例えば6である。
【0073】
図4Cに概略的に示される実施形態では、カプセル(100)は、カプセル(130)の縁部付近にある、角度方向に配設された6つの円筒形区室と、中央区室(140)と、補助区室(150、155)とを囲む外被(110)を備え、合計14の区室である。
【0074】
実際、
図4Cに示される実施形態は、せいぜい約20個の区室を有する。
いくつかの実施形態では、中央区室(140)がない。
図示される例示的実施形態では、補助区室は中空であり、物質を含む。他の実施形態では、補助区室(150、155)の少なくとも1つは、中実材料で構成され、それによりカプセルの構造の一部を成す。
【0075】
好ましい実施形態では、中央区室(140)および中央補助区室(155)が中実であり、構造のための中実な中心コアを形成する。残りの区室(130、150)は物質を含み、好ましい実施形態では、区室(130)は、薬剤などの物質を含み、補助区室(150)は、推進剤、好ましくは圧縮ガスを含む。
【0076】
図4Dに示される例示的実施形態では、区室(130)は、外被(110)内でスライスを形成する。
図4Dの例示的実施形態では、スライスのいくつかは平行な側面を有するが、中央スライスは楔形である。他の実施形態では、スライスのすべてが実質的に平行な側面を有する。さらに他の実施形態では、複数のスライスが楔形である。スライス型カプセルは、最大約10個の区室を有することができる。
【0077】
図4Eに示される例示的実施形態では、区室(130)は長手方向に配置され、セグメント間の壁は脆弱性である。任意の数のそのような区室を使用することができ、区室の長さは異なっていてよい。
【0078】
これらの実施形態は例示にすぎない。上記の構成の任意の組合せを使用することができる。
図示される例示的実施形態では、区室を隔てる壁は平面状である。他の実施形態では、壁は、規則的または不規則な形状の曲線を成すことができる。
【0079】
区室の少なくとも1つの主長手方向軸は、カプセルの主長手方向軸に平行にすることができ、螺旋状に配設することもでき、カプセルの主長手方向軸に対して角度を付けることもでき、それらの任意の組合せでもよい。
【0080】
区室の主長手方向軸は、直線状でよく、規則的な曲線を成してもよく、不規則な曲線を成してもよく、それらの任意の組合せでもよい。区室の任意の対に関して、主長手方向軸は、同じでも異なっていてもよい。
【0081】
大抵の実施形態では、カプセルの上流閉鎖面(図示せず)および下流閉鎖面(図示せず)の少なくとも一部は脆弱性であるか、または他の形で取外し可能であり、それにより、破壊または他の形で取り外すとき、薬剤を所望の堆積部位に送達することができる。これらの実施形態の変形形態では、少なくとも1つの閉鎖面での異なる部分が異なる破壊強度を有し、それにより、薬剤の送達中に、異なる部分を異なる時点で破壊することができ、異なる区室での医療製剤の異なる混合、または少なくとも2つの区室への薬剤の異なる送達を可能にする。
【0082】
いくつかの実施形態では、カプセルの側面の少なくとも一部が脆弱性であり、さらに別の混合経路または送達経路を実現する。
カプセルは、図示されるように円形断面を有する円筒形でも、卵形、楕円形、レンズ形、または多角形断面を有する円筒形でもよく、多角形は、少なくとも3〜約20以下の辺を有する。多角形は、正多角形でも不規則な多角形でもよい。
【0083】
カプセルは、球形、楕円形、卵形、枕形、フットボール形、星形、およびそれらの任意の組合せでよい。カプセルは、規則的または不規則な形状を成すことができる。
区室は、デバイスを通って実質的に一定の断面を有することができ、または断面は、面積、形状、またはそれらの任意の組合せに関して変化することがある。
【0084】
図5は、カプセル内の混合チャンバの例示的実施形態の分解図の概略図を示し、カプセルの一部が、組成物中の成分を混合するように構成される。この例示的実施形態では、カプセルの外被(110)およびカプセルの上流閉鎖面(1010)が示されている。また、混合機構(1020)、この場合には一区間機構も示されている。物質区室は示されていない。
【0085】
この例示的実施形態では、混合機構(1020)は、混合機構(1020)の周縁部に、螺旋状に配設された空気チャネル(1022)を備える。混合機構(1020)の中央部分は中実であり、それによりキャリアガスおよび物質がチャネル(1022)を通過する。ガスが通過するチャネルを狭めることによって、およびガスの流れの方向を変えることによって、物質の混合が向上される。混合機構(1020)は、カプセル(100)の外被(110)内に嵌まり、カプセル(100)内で混合が起こる。
【0086】
いくつかの実施形態では、単一のチャネルが使用される。これは、環状、円形、多角形、レンズ形、パイ形、不規則形、またはそれらの任意の組合せの断面を有することができる。チャネルの主長手方向軸は、カプセルの任意の部分を通過することができる。非限定的な例は、カプセルの中心にあり、主長手方向軸を有する円形断面と、カプセルの周縁部にあり、カプセルの中心に主長手方向軸を有する環状断面とを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、カプセルは2つのユニットを備え、一方は少なくとも1つの物質を含み、他方は混合機構を備え、物質が区室から出て、次いで混合機構において混合されるようにする。
【0088】
他の実施形態では、混合機構(1020)は、その断面全体にわたって配設されたチャネルを備える。
チャネルは、断面にわたって任意に配置することも、断面にわたって規則的に配置することも、または断面にわたって不規則に配置することもできる。
【0089】
チャネルは、カプセルの主長手方向軸に平行に直線状に配設することができ、または、直線状に、カプセルの主長手方向軸に対して角度を付けて配設することもできる。
少なくとも1つのチャネルの主長手方向軸は、混合機構の主長手方向軸に対して、主長手方向軸に垂直な軸に対して、またはそれらの任意の組合せに対して湾曲させることができる。
【0090】
上記のチャネル形状の任意の組合せを使用することができる。
チャネル断面の形状は、チャネルの長さに沿って実質的に同じでよく、形状はチャネルの長さに沿って変化してよく、断面のサイズはチャネルの長さに沿って変化してよく、それらの組合せも可能である。
【0091】
チャネルの断面の形状は、チャネルの長さに沿って同様に変化しても、異なる様式で変化してもよい。
チャネルの断面の形状は、すべてのチャネルに関して同じでも、少なくとも2つのチャネルの断面の形状が異なっていてもよい。
【0092】
チャネルの断面のサイズは、チャネルの長さに沿って同様に変化してよく、異なる様式で変化してもよい。
チャネルの断面のサイズは、すべてのチャネルに関して同じでも、少なくとも2つのチャネルの断面のサイズが異なっていてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、混合機構(1020)は、複数の長手方向区間を備え、これらの区間は、流体接続されたチャネルを有するが、チャネルは、異なる様式で長手方向に配設される。非限定的な例では、2区間デバイスは、螺旋状に配設されたチャネルを有することができ、第1の区間に左巻きの螺旋を有し、第2の区間に右巻きの螺旋を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、2つの区間に異なる数のチャネルがある。他の実施形態では、2つの区間に同数のチャネルがある。
他の多区間混合機構(1020)では、チャネルを備える区間は、実質的にチャネルのない領域によって流体接続される。
【0095】
混合機構は、1〜10個の領域を備えることができる。個々の領域は、上述したチャネル配設の任意のものを有することができる。
いくつかの実施形態では、混合は、一区間または複数区間デバイスである一体混合機構によって行うことができる。他の実施形態では、互いに当接して、またはチャネルのない領域を提供するためのスペーサを用いて、複数の一区間機構を端から端まで配設することによって混合を行うことができる。
【0096】
混合のプロセス中、第1と第2の流動性物質は、互いに機械的に混合することができ、空気または他のガスと機械的に混合することができ、互いに反応させることができ、それらの任意の組合せを行うこともできる。
【0097】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流動性物質の反応は、混合領域の壁または壁の一部に堆積された触媒によって向上され得る。
単一区室であれ多区室であれ、カプセルの基準は、以下のことを含むように最適化することができる。物質の単回用量がすべて送達されることを保証すること;単回用量が所定量の物質を含むことを保証すること;鼻の所望の領域に用量が送達されることを保証すること;および、用量の送達が引き起こす患者の不快感を最小限にすることを保証すること。これらの基準の任意の組合せを、カプセルの異なる実施形態をもたらす特定の組合せごとに最適化することができる。
【0098】
カプセルは、送達デバイスへの挿入の容易さ、送達デバイスからの取出しの容易さ、保管中の内容物の安定性、環境劣化に対するカプセル材料の耐性、望ましくない破砕に対する耐性、使用の信頼性、混合の完全性、反応の完全性、およびそれらの任意の組合せに関して最適化することもできる。
【0099】
いくつかの実施形態では、カプセルは、空気が使用者に接触する前に、粒子、微粒子、細菌、ウイルス、水分、および望ましくないガスからなる群から選択される少なくとも1つを空気から除去するように構成されたフィルタを備える。そのようなフィルタは、不快な臭いや味が使用者に到達するのを防止することによって、および粒子または微粒子が使用者に到達するのを防止することによって、使用者にとってデバイスの使用感をはるかに好ましくし、かつはるかに安全にすることができる。細菌やウイルスを除去することによって、使用者の感染を防ぐことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、カプセルは、物質の単回用量のみを含み、カプセルは各使用後に交換される。他の実施形態では、カプセルは、複数回用量の物質を含み、好ましくは個々に包装されており、そのため使用ごとに用量は新鮮である。
【0101】
物質の定量供給中、カプセルを通過するガスは、区室内に含まれる物質を同伴し、したがって、物質は、定量供給される混合物内で所定の分散を有し、ここで、所定の分散は、均質な分散でも不均質な分散でもよい。不均質な分散は、任意の分散、混合物中の少なくとも1つの物質のばらつきが所定のパターンに従う分散、およびそれらの任意の組合せでよい。
【0102】
本発明の別の実施形態によれば、上記作動前状態にデバイスを変換する間のチャンバ内への空気の移動が、カプセル付近またはカプセル内の領域に真空を生成する。
上記で開示したように、カプセル(10)は、薬物成分混合、低湿度での薬物成分保守、温度変化(加熱または冷却)、粘度および変化に関する様々な選択肢、ならびにこれらの選択肢の組合せを可能にするために様々な形態で設計することができる。
【0103】
図6および
図7は、カプセルを区室に細分するように構成された分離手段の例示的実施形態と共に、多区室カプセルの実施形態を示す。
いくつかの実施形態では、多区室物質保管手段は、容器、または送達デバイス内の一体容積でよい。簡単にするために、本明細書では、多区室物質保管手段をカプセルと呼ぶ。
【0104】
図6Aは、区室間のプランジャ型障壁(101)を示す。この例示的実施形態では、1つのプランジャ(101)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数のプランジャ(101)が存在し得る。プランジャ(101)は、物質の通過を防ぐのに十分に小さいが、圧縮空気を通過させるのに十分に広い穴またはスロットを備える。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。圧力がプランジャ(101)を押し上げ、プランジャ(101)の上方の物質をカプセルの上部から押し出す。プランジャ(101)の下方の物質は、圧縮空気によって押し上げられて、ノーズピース(図示せず)内のプランジャの上方の物質と混合する。プランジャ(101)は、カプセルの上部を通過して、ノーズピース(図示せず)の下方の中間空間(10A)に入る。ショルダまたは他の障壁(図示せず)が、プランジャ(101)がノーズピースから出るのを防ぐ。
【0105】
プランジャ(101)の穴またはスロット(101A)は、保管中の物質の漏れを防ぐのに十分に狭く、かつ作動中に圧縮ガスを通過させるのに十分に広く、作動中に容器から物質を一掃する。プランジャ(101)の穴またはスロット(101A)は、元の体積の15%未満の残留体積を有する非常に効率的な送達を可能にするために、多くの方法で設計することができる。プランジャ(101)は、限定はしないがシリコーン、ゴム、可撓性プラスチックなどの可撓性材料から作ることができ、または限定はしないがDelrin(登録商標)などのポリマー、プラスチック、ナイロン、金属、およびそれらの任意の組合せなどの硬質材料から作ることができる。
【0106】
図6Bは、区室間のボール型障壁(102)を示す。ボール(102)は、作動前の分離機能と作動中の混合機能との両方を提供する。この例示的実施形態では、3つのボール(103)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数のボール(103)が存在し得る。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。圧力がボール(102)を押し上げ、最上部のボール(102)の上方の物質をカプセルの上部から押し出す。最上部のボール(102)は、カプセルの上部を通過して、ノーズピース(図示せず)の下方の中間空間(10A)に入る。ショルダまたは他の障壁(図示せず)が、ボール(102)がノーズピースから出るのを防ぐ。次いで、第1のボールと第2のボールとの間の物質は、カプセル(10)の上部を通過してノーズピース(図示せず)に入り、第1の物質と混合することができる。次いで、第2のボール(102)が中間空間(10A)に入ることができ、以下同様に、カプセル(10)が空になるまでカプセル(10)内のすべてのボール(102)が中間空間(10A)に入る。
【0107】
ボール型障壁(102)は、複数の成分の混合を送達時にのみ行うべきとき、1つまたは複数の物質を低湿度で維持すべきとき、物質の粘度が著しく変化するとき、およびそれらの任意の組合せにおいて有用である。さらに、ボール(102)とカプセル(10)の壁との接触は、カプセル(10)からの物質の効果的な解放を保証することもできる。壁に付着する傾向がある物質の例としては、限定はしないが、油やいくつかの粉末がある。障壁は、図示される実施形態のようにボールでよく、角度分割器でよく、または、解放された圧縮ガスによって容易に移動させることができる(低摩擦接触)が、それでも要素間の効果的な封止を提供して、例えば出荷および保管中の混合を避けることができる任意の他の形状でよい。
【0108】
図6Cは、連係された薬物容器(103)をカプセル(10)内に備える実施形態を示す。この例示的実施形態では、3つの連係された薬物容器(103)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の連係された薬物容器(103)が存在し得る。連係された薬物容器(103)は、脆弱性の膜で封止される。単一の脆弱性の膜が、1つの薬物容器(103)の上部および隣接する薬物容器(103)の底部を封止することができ、別々の脆弱性の膜(103)を、薬物容器の隣接する端部に使用することもでき、それらの任意の組合せも可能である。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、膜が破裂し、連係された薬物容器(103)内の物質の混合およびノーズピースへの排出を可能にする。
【0109】
好ましい実施形態では、各薬物容器(103)は、柔軟な薄いシートで作られる。シートは、高分子膜、連続シート、または、望まれるときに圧縮空気の解放によって容易に裂けるほど十分に薄い任意の他の形態でよい。すべての薬物容器(103)が、製造中に互いに接続される。混合は作動中にのみ行われ、圧縮ガスが、区室を分割する膜/シートを裂く。膜が裂かれると、物質は圧縮ガスにさらされ、混合され、送達される。
【0110】
図6Dは、カプセル(10)内に二層膜(104A、104B)の組を有する実施形態を示す。この例示的実施形態では、4組の二層膜(104A、104B)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の組の二層膜(104A、104B)が存在し得る。下側の膜(104B)は網状であり、互いに分離可能ないくつかの部分を有し、上側の膜(104A)は脆弱性である。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、下側の膜(104B)の分離可能な部分が上方向に回転し、上側の膜(104A)を裂き、カプセル(10)内の物質の混合およびノーズピースへの排出を可能にする。
【0111】
この実施形態は、以下の点で従来のものとは異なる。(a)薬物容器が1つのユニットを形成しない。(b)個別の区域が、2つの層から構成される膜によって互いに隔てられる。一方の層は膜の剛性を提供し、剛性材料で作られ、他方の層は、連続した可撓性のシートであり、作動までの間は下側の剛性部分に対して封止し、シートの下側に空気が押し当てられると開く。膜(104A、104B)は、作動中にそれらの下側に空気が押し当てられるときに一方向にのみ開き、送達中の物質の混合を可能にする。
【0112】
図6Eは、カプセル(10)内にダックビル弁(105)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、4つのダックビル弁(105)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数のダックビル弁(105)が存在し得る。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、ダックビル弁(105)が上方向に回転し、カプセル(10)内の物質の排出と混合を可能にする。
【0113】
図6Fは、カプセル(10)内に脆弱性の膜(105)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、4つの脆弱性の膜(105)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の脆弱性の膜(105)が存在し得る。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、脆弱性の膜(105)が裂かれ、カプセル(10)内の物質の混合およびノーズピース(図示せず)への排出を可能にする。
【0114】
図6Gは、カプセル(10)内に湾曲可能な膜(106)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、4つの湾曲可能な膜(106)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の湾曲可能な膜(106)が存在し得る。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、湾曲可能な膜(106)が、湾曲可能な膜(106)とカプセル(10)の壁との接続点を中心に上方向に回転し(中央の曲線矢印)、カプセル(10)内の物質の混合およびノーズピース(図示せず)への排出を可能にする。
【0115】
これらの例示的実施形態は、保管中に物質を別々に保持し、作動および送達時にのみ物質を混合することを可能にする。いくつかの実施形態では、デバイスまたはその中の物質は、混合および送達中に温度変化、すなわち加熱または冷却を発生するように構成することができる。デバイスは、さらに、デバイス内で温度変化を生み出すための成分が、送達される物質と共に解放されないように構成することができる。
【0116】
加熱および冷却は、機械的な力、圧力、化学反応、およびそれらの任意の組合せによって引き起こすことができる。これは、薬物カプセルの内部、薬物カプセルの周囲、またはデバイスのパッケージ内においてデバイス自体の外部で行うことができ、デバイスの作動の直前に誘発することができる。
【0117】
そのような温度変化は、作動中(短時間の温度変化)または作動前(長時間の温度変化)に発生することがある。長時間の温度変化には、送達作動とは別の温度作動が必要である。
【0118】
どちらの選択肢も、または少なくとも長時間の温度変化は、デバイス内の温度の維持を可能にし、送達前の平衡を可能にするのに適切なデバイス封止がさらに必要である。そのような選択肢は、専用の制御窓での色の変更などによって、温度インジケータをさらに含むことができ、デバイスが作動準備状態であることを使用者が知ることができるようにする。
【0119】
温度変化は、温度の上昇、温度の低下、またはその両方でよい。
温度変化は、例えば、以下のことに関して有用となり得る。
・物質の混合。
【0120】
・ある物質の別の物質への溶解。
・組織内への物質または物質の混合物の吸収。例えば、鼻道の温度に関して調整される送達温度。
【0121】
・例えば鼻道に平らで薄く均一な層を作成し、それにより吸収を改良するための、組織での物質または物質の混合物の効果的な散乱。
・物質または物質の混合物の粘度に影響を及ぼすこと(粘度の増加と低下の両方が生じ得る)。
【0122】
・物質または物質の混合物の性質に影響を及ぼすこと。例えば、送達中、または組織との接触中もしくは接触後にのみ重合を開始することができる。
一実施形態は、2つの加熱剤を含む。これらの加熱剤は、カプセルの区室内にある。デバイスの作動時、または加熱の作動時(例えばボタンを押すことによる)、2つの区室を隔てる膜が裂かれ、加熱剤が混合してデバイス内で熱を発生する。他の膜はこの活動によって裂かれず、封止された区室内の加熱剤を封止されたまま保ち、加熱剤送達の送達を防ぐが、他の区室へのガスの通過を許す。次いで、圧縮ガスの通過により、加熱された物質または他の所望の物質が送達される。混合は、上で開示したように、送達中に行うことができる。
【0123】
図7Aは、カプセル(10)内に二層膜(104A、104B)とミキシングボール(102)との組を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、カプセル(10)の上部に2組の二層膜(104A、104B)および単一のミキシングボール(102)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の組の二層膜(104A、104B)、およびより多数またはより少数のミキシングボール(102)が存在し得る。ミキシングボール(102)は、カプセル(10)内部の任意の所望の位置にあってよい。下側の膜(104B)は、互いに分離可能ないくつかの部分を有して網状であり、上側の膜(104A)は脆弱性である。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、下側の膜(104B)の分離可能な部分が上方向に回転し、上側の膜(104A)を裂き、カプセル(10)内の物質の混合およびノーズピースへの排出を可能にする。ミキシングボール(102)によって、さらなる混合が提供される。上で開示したように、ノーズピース(図示せず)のショルダまたは他のストッパが、ミキシングボール(102)がノーズピース(図示せず)から出るのを防ぐ。
【0124】
図7Bは、カプセル(10)内にダックビル弁(105)およびミキシングボール(102)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、カプセル(10)の上部に2つのダックビル弁(105)および単一のミキシングボール(102)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数のダックビル弁(105)が存在し得、およびより多数またはより少数のミキシングボール(102)が存在し得る。ミキシングボール(102)は、カプセル(10)内部の任意の所望の位置にあってよい。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、ダックビル弁(105)が上方向に回転し、カプセル(10)内の物質の排出と混合を可能にする。ミキシングボール(102)によって、さらなる混合が提供される。上で開示したように、ノーズピース(図示せず)のショルダまたは他のストッパが、ミキシングボール(102)がノーズピース(図示せず)から出るのを防ぐ。
【0125】
図7Cは、カプセル(10)内に脆弱性の膜(105)およびミキシングボール(102)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、カプセル(10)の上部に4つの脆弱性の膜(105)および単一のミキシングボール(102)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の脆弱性の膜(105)が存在し得、およびより多数またはより少数のミキシングボール(102)が存在し得る。ミキシングボール(102)は、カプセル(10)内部の任意の所望の位置にあってよい。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、脆弱性の膜(105)が裂かれ、カプセル(10)内の物質の混合およびノーズピース(図示せず)への排出を可能にする。ミキシングボール(102)によって、さらなる混合が提供される。上で開示したように、ノーズピース(図示せず)のショルダまたは他のストッパが、ミキシングボール(102)がノーズピース(図示せず)から出るのを防ぐ。
【0126】
図7Dは、カプセル(10)内に湾曲可能な膜(106)およびミキシングボール(102)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、カプセル(10)の上部に4つの湾曲可能な膜(106)および単一のミキシングボール(102)がある。他の実施形態では、より多数またはより少数の湾曲可能な膜(106)が存在し得、およびより多数またはより少数のミキシングボール(102)が存在し得る。ミキシングボール(102)は、カプセル(10)内部の任意の所望の位置にあってよい。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、湾曲可能な膜(106)が、湾曲可能な膜(106)とカプセル(10)の壁との接続点を中心に上方向に回転し(中央の曲線矢印)、カプセル(10)内の物質の混合およびノーズピース(図示せず)への排出を可能にする。ミキシングボール(102)によって、さらなる混合が提供される。上で開示したように、ノーズピース(図示せず)のショルダまたは他のストッパが、ミキシングボール(102)がノーズピース(図示せず)から出るのを防ぐ。
【0127】
図7Eは、2つのハーフボール(102)を備えた実施形態を示す。この例示的実施形態では、1対のハーフボール(102)がある。他の実施形態では、より多数の対のハーフボール(102)が存在し得る。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、ハーフボール(102)が上方向に移動する。ハーフボール(102)は、移動するときに分離して転がり、ガスがそれらの間および周囲を通過し、したがって物質を混合および送達できるようにする。上で開示したように、ノーズピース(図示せず)のショルダまたは他のストッパが、ミキシングボール(102)がノーズピース(図示せず)から出るのを防ぐ。
【0128】
図7Fは、2つの取り付けられたミキシングボール(102)を備えた実施形態を示す。他の実施形態では、より多くのミキシングボール(102)が存在し得る。デバイスが作動されるとき、圧縮ガス(下部の曲線矢印)がカプセル(10)に入る。この圧力により、ミキシングボール(102)が上方向に移動し、それにより物質の効率的な混合をもたらす。上で開示したように、ノーズピース(図示せず)のショルダまたは他のストッパが、ミキシングボール(102)がノーズピース(図示せず)から出るのを防ぐ。
【0129】
ミキシングボールは球形である必要はない。保管中に良好な封止を提供し、作動中に低摩擦運動を提供する任意の形状を使用することができる。
図8〜
図9は、機械的トリガ機構を備えるデバイスの実施形態の装填およびトリガ領域の例示的実施形態を示し、それらのデバイスはすべて、完全に、迅速に、再現可能に開くように構成され、弁が開いている時間を再現可能にし、ユーザによるデバイスの操作の仕方には関係ない。例えば、本明細書で述べる吸引デバイスでは、弱い吸引が、強い吸引と同じ期間にわたって同じ全開を誘発し、本明細書で開示する機械的デバイスでは、トリガ機構のゆっくりした作動が、トリガ機構の急速な作動と同じ期間にわたって同じ全開を誘発する。
【0130】
いくつかの実施形態では、デバイスの装填領域は、空気が使用者に接触する前に、粒子、微粒子、細菌、ウイルス、水分、および望ましくないガスからなる群から選択される少なくとも1つを空気(または他のガス)から除去するための少なくとも1つのフィルタを備える。
【0131】
好ましくは、空気またはガスは、外部環境(部屋、周辺域)から空気チャンバへの入口でフィルタされる。代替としてまたは追加として、空気は、空気チャンバからの出口において、装填空気チャンバ内にある間に、およびそれらの任意の組合せでフィルタすることができる。
【0132】
図8A〜Dは、ピンチトリガ機構を備えたデバイス(1000)の装填部分の好ましい実施形態を示す。
図8Aはデバイスの側面図を示し、
図8Bは、
図8AのA−A線に沿った断面を示し、
図8Cは分解図を示し、
図8Dは斜視図を示す。
【0133】
デバイスは、中空の下流部分(1889)に液密接続された中空の上流部分(1881)を備える。この実施形態では、作動機構(1880)は、デバイスの中空内部にぴったりと液密に嵌合するカップ状挿入体(1884)を備える。挿入体(1884)の外縁は、好ましくは、作動機構(1880)の外壁に固定され、挿入体(1884)の内縁(1885)は、作動機構(1880)の好ましくは管状の内壁(1886)に対して摺動することが可能である。作動機構(1880)の閉位置では、ストッパ(1882)が、挿入体の内縁(1885)によってしっかりと保持される。
【0134】
作動機構(1880)の内壁は、貫通穴(1883)を備える。この実施形態のいくつかの変形形態では、可撓性管(1888)は、壁(1886)に液密に固定され、少なくともストッパ(1882)に当接する壁の部分に可撓性配管が存在する。この実施形態の他の変形形態では、可撓性管(1888)は穴(1883)を通過する。
【0135】
作動機構のこの実施形態の好ましい変形形態では、閉位置で、ストッパ(1882)は内壁(1886)の穴に嵌まり、そこに着座する。他の変形形態では、ストッパ(1882)は、内壁(1886)の窪みに嵌まり、そこに着座する。
【0136】
作動機構(1880)が閉位置にあるとき、可撓性管(1888)は、ストッパ(1882)と貫通穴(1883)の内側との間に挟まれる。
作動機構(1880)が作動されるとき、挿入体(1884)が壁に沿って上に摺動してストッパ(1882)を解放し、それにより、可撓性管(1888)の挟まれた領域が解放され、それによって加圧ガスを解放し、物質を定量供給する。
【0137】
図8に示される実施形態では、作動機構は、吸引機構(1810)で吸引し、カップ状挿入体(1884)の上に部分真空を生成して、カップ状挿入体(1884)を上方向に引っ張り、それによりストッパ(1882)を解放することによって、または押下可能なレバー(1870)を押すことによって作動させることができる。押下可能なレバー(1870)を押して内方向に進ませ、押下可能なレバーの傾斜部分(1782)がカップ状挿入体(1884)を上方向に押し、それによってストッパ(1882)を解放し、加圧ガスを解放し、物質を定量供給する。
【0138】
いくつかの実施形態では、デバイス内のデッドスペースを減少させるために、送達すべき物質を含むデバイスの領域(図示せず)内に、限定はしないが可撓性配管などの可撓性充填材料を配置することができる。デッドスペースの減少は、解放後に生成されるエアロゾルの特性に影響を及ぼさないが、圧力損失を減少させ、デバイス内の空気速度を増加させ、それによって、作動の完了後にデバイス内に残る残留物質、すなわち、カプセル内に残る残留物質、または例えばノズル内部でデバイスの内壁に付着する残留物質を実質的に減少させる。当技術分野では、デバイスのその後の使用時に送達デバイス内の残留材料を解放することができること、およびデバイスの所定の使用中に解放されるそのような残留材料の量が非常に変化することがよく知られている。したがって、デバイス内の残留物質を最小限に抑えることは、送達の精度および再現性を高め、それにより、現在のカプセルから実際に送達される物質の割合を最大化することによって、その上デバイスの壁の残留物質の量を最小限に抑えることによって、反復性と信頼性を高める。
【0139】
カプセル(本明細書で以下に開示する)は、単回用量または使い捨てカプセルの場合でさえ、組成物中の有害薬物または他の有害成分の残留量を含むカプセルの廃棄に伴う安全上の問題があるため、カプセル自体内の残留体積を避けるように設計されていることに留意すべきである。
【0140】
他のトリガ機構としては、限定はしないが、解放可能な留め金、押下可能なボタン、検出可能な所定の音パターン、検出可能な所定の光パターン、可動レバー、第1の位置から第2の位置に移動可能なスライダ、回転可能なノブ、解放可能なラッチ、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0141】
所定の音のパターンは、一定ピッチの音、可変ピッチの音、一定ボリュームの音、可変ボリュームの音、およびそれらの任意の組合せでよい。
所定の光パターンは、一定の色の光、可変の色の光、一定の明るさの光、可変の明るさの光、およびそれらの任意の組合せでよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、デバイスは一方向弁を含み、したがってガスは、チャージ機構から送達端部に流れることができるが、逆方向には流れることができない。
いくつかの実施形態では、(任意の数の材料を含むことができる)定量供給すべき物質は、本明細書で以下に述べるように、定量供給すべき物質としての、または前駆体としてのカプセル内に保管することができ、カプセルはデバイス内に配置可能である。そのような実施形態では、カプセルは、作動中に一度にまたは段階的に破裂され、それにより物質を定量供給する。
【0143】
他の実施形態では、従来のように調製された物質は、デバイス内の保持チャンバに導入可能であり、デバイスの作動時に、物質が定量供給される。この種の実施形態は、緊急定量供給デバイスとして使用することができる。なぜなら、任意の流動性物質を保持チャンバに導入することができるからであり、また、前駆体を分離するためまたはチャンバ内で不活性雰囲気を提供するための設備を有さない保持チャンバは、物質の長期保管を目的としていないからである。
【0144】
いくつかの実施形態では、カプセルを配置することができるカプセルチャンバは、保持チャンバとして機能することもでき、したがって物質をカプセルからまたは保持チャンバから直接定量供給できるようにする。
【0145】
他の実施形態では、挿入体をカプセルチャンバ内に配置し、挿入体の内部を保持チャンバとすることができる。
任意の流動性物質を導入可能な定量供給デバイス(1000)の作動機構の実施形態を
図9A〜Cに示す。チャージ機構は図示されていない。
図9Aは実施形態の側面図を示し、
図9Bは実施形態の上面図を示し、
図9Cは
図9BのA−A線に沿った断面を示す。
【0146】
この実施形態では、物質をデバイスに装填する手段は注射器(2000)である。注射器(2000)を注入ポート(2100、
図9C)に配置し、注射器プランジャを押して、流動性物質がデバイス(1000)内の定量供給チャンバ(2200)に入るようにすることができる。チャンバへの物質の注入前、注入中、または注入後に、本明細書で述べるまたは当技術分野で知られている任意の作動機構を使用して、本明細書で述べる任意の様式でデバイスを充電することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、注射器は注入ポートに残される。他の実施形態では、注入ポート用のカバー(2300)が提供され、それにより、チャンバへの物質の装填後、カバーによって注入ポートを封止することができる。
図9の実施形態に示されるように、カバー(2300)は、長手方向で摺動して注入ポート(2100)を開閉することができる。他の実施形態では、カバー(2300)は、注入ポート(2100)を覆うためまたは覆いを取るためにデバイスの周りで回転または螺旋運動することができ、デバイスの本体のヒンジの周りで回転することができ、それによりフリップ式に注入ポート(2100)を開閉し、またはポートを封止する任意の他の方法を使用することができる。図示の実施形態では、開位置において、注射器は、チャンバに到達するためにカバーの穴を通過する。上記の実施形態の任意の組合せをカバーにおいて使用することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、物質は、カプセル内またはデバイスでの封止区室内に保管される。作動前または作動中、カプセルまたは封止区室が破られ、(例えば、組込み式の注射器のピストンを動かすためにボタンを押すことによる)カプセルに対する圧力により、内容物が定量供給チャンバ(2200)に押し込まれる。次いで、定量供給チャンバ(2200)を通過する定量供給ガスは、物質を同伴して送達する。
【0149】
別個の保管チャンバと保持チャンバとを備えるデバイスのいくつかの実施形態では、カプセルは、注射器または注射器状の区室、ゴムピストン、およびシールを備える。注射器およびピストンの長手方向軸は、デバイスの長手方向軸に対して直角である。
図9での注射器(2000)および保持チャンバ(2200)と同様に、ピストンに対する圧力により、物質が注射器から保持チャンバに移動する。
【0150】
図示される実施形態では、
図8で先に示したように、ピンチトリガ機構が使用されるが、本明細書で述べる任意の他の作動機構または当技術分野で知られている任意の従来の弁を使用することができる。
【0151】
図9〜
図11を参照すると、ノズル(1100)の3つの例示的実施形態が図示されている。
図10と
図11との両方において、ノズル(1100)は、ノズルよりも大きい直径を有する先端延在部(1110)を有し、先端延在部は、ノズル(1100)の遠位端を実質的に囲む。
図9では、ノズル先端は、実質的に円錐形であり、任意選択の先端延在部(1110)がない。
【0152】
図10と
図11との両方の例示的実施形態では、先端延在部(1110)は、穴(1112)を有し、物質が延在部から側方に出ることができるようにし、先端(1110)は、その遠位端に少なくとも1つの穴(1113)を有し、物質がノズル(1100)から長手方向に出ることができるようにする。
図10A〜Dは、先端延在部(1110)を備えたノズル(1100)の実施形態を示す。
図10Aは、遠位端からのノズル(1100)の斜視図を示すが、
図10Bは、側面図を示す。
図10Cは、
図10AのA−A線に沿ったノズルの断面を示すが、
図10Dは、
図10Cでのノズルの先端における円で囲った領域Bの拡大図を示し、ノズルの先端および先端延在部をより詳細に示す。先端延在部(1110)の穴(1112)および先端の穴(1113)を明確に見ることができる。いくつかの実施形態では、ノズル(1110)は横穴(1112)のみを有し、それによりノズル(1110)の遠位端から物質が漏れることはない。
【0153】
好ましい実施形態では、先端延在部の遠位端は、長手方向突起を備えず、開口部(1113)の周りの領域内で実質的に平坦であり、非平面の場合、開口部の平面から近位方向に延びる。
【0154】
材料が鼻道から漏れる、または鼻腔の望ましくない領域に入るのを防ぐために、いくつかの実施形態では、ノズルは、中央延在部、すなわち伸張可能部分(1120)を含む。
図11は、先端延在部(1110)および伸張可能部分(1120)を備えたノズルの実施形態を示す。
図11Eおよび
図11Gは、近位端からのノズルの斜視図を示すが、
図11Aおよび
図11Cは、ノズル(1100)の側面図を示す。
図11Bおよび
図11Dは、それぞれ、
図11AのA−A線および
図11CのB−B線に沿ったノズル(1100)の断面を示す。
図11Fは、
図11Bでのノズルの中央における円で囲まれた領域Cの拡大図を示すが、
図11Hは、
図11Dでのノズルの中央における円で囲まれた領域Dの拡大図を示す。
【0156】
図10〜
図11の例示的実施形態では、先端延在部および伸張された中央延在部は、実質的に円環状である。他の実施形態では、それらは、実質的に球形、実質的に卵形、実質的に楕円形、実質的に円錐台(好ましくは丸い遠位縁部を有する)、実質的に円錐形(好ましくは丸い遠位縁部を有する)、およびそれらの任意の組合せでよい。
【0157】
ノズル先端および先端延在部(1110)は、ノズル(1100)の穴をデバイスの外部に流体接続する多数の穴(1112、1113)を有し、材料がデバイスの内部から出られるようにする。図示される例示的実施形態では、ノズルの遠位端に穴(1113)(
図10AおよびC;
図11には図示せず)があり、先端延在部(1100)に4つの穴(1112)がある。延在部とノズルの遠位端との両方が、より多数またはより少数の穴を有することができ、いくつかの実施形態では、一方または他方が穴を有さなくてもよい。穴(1112)は、延在部の周縁部に規則的に間隔を空けて設けることができ、穴(1112)は、周縁部に不規則に間隔を空けて設けることもでき、穴(1112)は、周縁部の所定の部分に集中させることができ、およびそれらの任意の組合せでよい。同様に、先端の遠位端の穴は、先端において規則的または不規則に間隔を空けて設けることができる。
【0158】
いくつかの実施形態では、延在部(1110)は、パッドを詰めることができ、軟性材料を含むことができ、可撓性材料を含むことができ、およびそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0159】
延在部、すなわち先端延在部と中央延在部との両方が、多くの機能を有することができる。そのような機能を非限定的に列挙すると以下のようである。(1)鼻道内でのノズル(1100)の適切な位置決めを保証する。ここで、適切な位置は、鼻道内で中央化されたノズル(1100)、鼻道の所定の部分に触れるノズル(1100)、または鼻道の所定の部分により近いノズル(1100)でよい。(2)鼻道から材料が漏れることがないように鼻道を封止する。(3)物質が鼻道の望ましくない部分に接しないように鼻道を封止する。(4)鼻道の所定の領域に物質が残るように鼻道を封止する。(5)特に延在部が鼻道の壁に対して封止するように意図された実施形態では、軟性および/または可撓性の接触領域を提供することによってノズルと鼻道との接触の不快感を軽減する。およびそれらの任意の組合せ。適切な位置決めは、所定の領域への物質の送達を改善すること、鼻分泌物による穴の詰まりを防ぐこと、鼻道、粘膜、およびそれらの任意の組合せとの接触による穴の詰まりを防ぐことを目的とすることができる。
【0160】
作動手順中に伸張されるノズル延在部と、所定の形状を有して伸張しないノズル延在部とのどちらのノズル延在部も、(1)ノズル先端自体と共に鼻腔から取り外されるようにノズルに取り付けることができ、または(2)使用者もしくは介護者によって引き抜かれるまで鼻腔に留まるように、ノズル先端から解放可能にするという選択肢を有することができ、またはそれらの任意の組合せでもよい。少なくとも1つのノズル延在部が鼻腔に残っている実施形態では、好ましくは、ノズル延在部は、所定の時間、好ましくは短時間の後に取り外される。
【0161】
いくつかの実施形態では、ノズル(1100)の穴(1112)は、実質的に、ノズル(1100)の主長手方向軸に垂直な平面にはない。そのような実施形態では、穴(1112)は、ノズル(1100)の主長手方向軸に平行な線に沿っていてよく、ノズル(1100)の周りで螺旋を成す線に沿っていてもよく、ノズル(1100)の遠位部分に不規則的に位置していてもよく、ノズル(1100)の遠位部分に規則的に間隔を空けて位置していてもよく、それらの任意の組合せでもよい。
【0162】
したがって、薬物の散布は、実質的に、ノズル(1100)の主長手方向軸に垂直なリングからのものでよく(延在部(1110)の縁部の周りの穴(1112))、ノズル(1100)の主長手方向軸に垂直な円からのものでよく(ノズル(1100)の遠位先端の穴(1113))、ラインからのものでよく(ノズル(1100)の主長手方向軸に平行な穴(1112)、もしくはノズル(1100)の主長手方向軸の周りで螺旋状の穴(1112))、またはノズル(1100)の側面に沿って延びる体積の表面の少なくとも一部からのものでよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、先端延在部(1110)のサイズは、延在部(1110)が実質的にその全周に沿って鼻道と接触するように選択される。そのような実施形態では、ノズル(1100)の遠位先端の穴(1113)または延在部(1110)の遠位面の穴(1112)から出る材料は、延在部(1110)の近位の領域に到達することができず、鼻道内で延在部(1110)よりも深い領域にのみ到達する。そのような実施形態では、物質は鼻道の上部に到達する。
【0164】
延在部(1110)が鼻道と接触する位置にある穴(1112)から出る材料は、鼻道の壁に直接堆積する。そのような実施形態では、堆積は非常に狭い帯領域内にある。帯領域の位置は、対象の材料に合わせて調整することができる。
【0165】
鼻道の壁と接触する延在部(1110)の領域の近位にある穴(1112)から出る材料は、鼻道の壁と接触する延在部(1110)の領域の遠位の位置に到達することができず、したがって鼻道の下側部分に堆積する。
【0166】
図11に戻ると、この実施形態では、伸張可能部分(1120)は、ノズル(1100)を取り囲む。他の実施形態では、伸張可能部分(1120)は、ノズル(1100)を部分的に取り囲むことができる。単一の伸張可能部分(1120)または複数の伸張可能部分(1120)を使用することができる。伸張可能部分は、ノズルの表面上にあってよく、またはノズル内に保管され、伸張するときに飛び出すこともできる。伸張可能部分は、伸張されるときに所定の形状を有することができる。伸張可能部分の外向き部分の形状は、回転楕円体の表面の一部でよく、円柱体の一部でよく、円錐の一部でよく、または鼻道の所定の部分の形状に適合することができる。そのような形状は、ノズルが鼻道に対して所定位置に、または鼻道の適正な部分に位置するように、膨張時に、伸張可能部分がノズルを静かに案内することを保証する助けとなり得る。また、そのような形状は、デバイスが所定位置にあるときの使用者の不快感を軽減することもでき、または、デバイスから取外し可能である場合、使用者または介護者によって取り外される前に、鼻道をしばらく封止することができる。
【0167】
伸張可能部分(1120)は、好ましくは、鼻道へのデバイスの挿入後に膨張される。膨張は、デバイスの作動前または作動時に行うことができる。
図12〜
図13は、ボール型(2)の薬物容器分割および混合要素を備えたデバイスの実施形態を示す。ノーズピースは図示されていない。2つの分割要素を用いて、3つの物質を送達前にデバイスに保管することができる。
図12A〜Dは、作動前のデバイスを示すが、
図13A〜Dは、作動後のデバイスを示す。
【0169】
図12Bの断面に示されるように、本体(7)の内部に薬物容器ハウジング(1)があり、薬物容器ハウジング(1)の内部には、3つの別個の物質を収容するように構成された薬物容器(4)がある。薬物容器ハウジング(1)と本体(7)の間には圧縮ガスが存在する。薬物容器(4)は、3つの物質A、B、およびCを収容するように構成され、物質A、B、およびCは、分割および混合要素(2、3)によって隔てられる。基部(14)は、一体プランジャ固定具を備え、プランジャ固定具は、薬物容器(4)の近位端で薬物容器プランジャ(13)内に固定される。薬物容器(4)をその遠位端で封止するのは、好ましくは生体適合性材料で作られた薬物容器カバー(15)である。薬物容器(4)は、薬物容器ホルダ(6)によって遠位方向への移動を妨げられ、薬物容器ホルダ(6)は、薬物容器(4)のネック部を把持し、薬物容器(4)の移動を妨げる。作動ボタン(10)は、薬物容器ホルダ(6)、本体(7)の遠位端、およびノーズピース(9)の近位端を摺動可能に覆う。作動前、フランジ、すなわち薬物容器ホルダの最遠位端にある薬物容器ホルダストッパは、作動リブスロットに収まる。作動中に薬物容器カバー(15)を穿刺するために針(16)が構成される。ノーズピース(9)が、本体(7)の遠位側に取り付けられ、作動ボタン(10)を通過する。ノーズピース(9)の遠位端は、デバイスの内部からその外部へのエアロゾルの通過を可能にするエアロゾル解放オリフィス(17)を備える。
【0170】
図12Cは、上からの
図12Aのデバイスの図を示す。
図12Dは、作動前の、
図12Bに示される断面での円B内の領域の拡大図を示す。薬物容器ハウジング(1)と薬物容器(4)との隙間をより明確に見ることができる。薬物容器(4)の内部では、物質AとBが分割/混合要素3によって隔てられ、さらに物質BとCが分割/混合要素2によって隔てられる。薬物容器ハウジング(1)の近位端は、薬物容器プランジャ(参照番号13、
図12Bを参照)を取り囲み、薬物容器(4)の近位端を封止する。
【0172】
図13Bの断面に示されるように、本体(7)の内部に薬物容器ハウジング(1)があり、薬物容器ハウジング(1)の内部には薬物容器(4)がある。作動前に、薬物容器ハウジング(1)と本体(7)との間には圧縮ガスがあり、圧縮ガスは、薬物容器(4)を通ってその保管領域から出た。作動後、分割および混合要素(2、3)は、薬物容器(4)から実質的に出ているが、薬物容器ホルダ(6)によってノーズピース(9)に入るのを妨げられる。分割および混合要素(2、3)は、ノーズピース(9)を阻止すること、またはデバイスから出ることがあり得ず、したがって使用者の体内に入るのを防止される。ここで、プランジャ固定具が薬物容器プランジャ(参照番号13、
図12B参照)に固定された状態での基部(14)は、薬物容器(4)の近位端から分離され、圧縮ガスが薬物容器(4)の基部に入ることができるようにする。矢印は、ガス移動の方向を示す。薬物容器カバー(15)は、針(16)によって穿刺されており、エアロゾルが、作動中にガスおよび物質から生成され、ノーズピース(9)を通過し、エアロゾル解放オリフィス(17)を通り、デバイスの内部からその外部に進むことができるようにする。
【0173】
デバイスのいくつかの実施形態では、
図18〜
図20に示されるように、物質をノーズピースの内部に保持することもできる。
図14は、デバイスの実施形態の分解図を示す。基部(5)の内部には、圧縮ガスチャンバ(4)からのガスの通過を制御するための空気チャンバゲート(8)がある。空気チャンバゲート(8)は、その近位端にストッパ(10)を備え、ストッパ(10)は基部(5)のショルダに載置し、ショルダが空気チャンバゲート(8)の近位方向移動を妨げる。さらに、空気チャンバゲート(8)は、空気チャンバゲート(8)の近位にゲートOリング(9)を備えて、空気チャンバゲート(8)と基部(5)との間の気密シールを保証する。隔膜(7)が、空気チャンバゲート(8)の遠位端を取り囲み、基部ユニット(5)と圧縮ガスチャンバ(4)との間に気密シールを提供する。このデバイスは、上で開示したように単一の物質または複数の物質を含むことができる薬物チャンバ(6)と、圧縮ガスチャンバ(4)と、作動ホルダ(3)およびノーズピース(4A)と、作動安全ロック(2A)を有するノーズピースカバー(2)とを備えて、保管または輸送中のデバイスの予期せぬ作動とコーブの損失との両方を防止する。好ましい実施形態では、圧縮ガスチャンバ(4)、作動ホルダ(3)、およびノーズピース(4A)は、一体ユニットを形成する。他の実施形態では、圧縮ガスチャンバ(4)、作動ホルダ(3)、およびノーズピース(4A)の少なくとも1つは、当技術分野で知られている任意の手段によって他のユニットに接合される別個のユニットである。
【0174】
図15Bは、
図15AのA−A線に沿った断面で、作動前の
図14のデバイスの断面を示し、
図15Aは、デバイスの外観を示し、ノーズピースカバー(2)、作動ホルダ(3)、圧縮空気チャンバ(4)、および作動機構基部(5)を示す。
【0175】
図15Cは、
図15Bの円B内の領域の拡大図であり、基部ユニット(5)のショルダに載置するストッパを示す。
デバイスは、ノーズピースにおいて物質容器が物質を含んだ状態で示されている。デバイスは、作動安全ロック(2)を有するノーズピースカバー(2)と、作動ホルダ(3)と、圧縮空気チャンバ(4)と、作動機構基部(5)とを備える。作動安全ロック(参照番号2、
図14参照)を有するノーズピースカバーが取り外された後、作動が許可される。少なくとも1つの物質が薬物容器(6)の内部に保持され、薬物容器(6)は、その近位端にある隔膜(7)と、ノーズピースカバー(2)の遠位端にある突出要素とによって所定位置で封止される。ノーズピースカバー(2)は、ノーズピース(4A)の遠位端にあるエアロゾル解放オリフィスを閉鎖し、ノーズピースカバー(2)は、作動安全ロックによって所定位置に保持される。デバイスの近位端には、作動機構基部(5)と、2つの区域/機能(一方は空気チャンバゲート(8)であり、他方はストッパ(10)である)を有するユニットと、ゲートOリング(9)とがある。少なくとも1つの物質が、薬物容器分割および混合要素(12)間で薬物容器(6)内に保持される。圧縮空気は、圧縮空気チャンバ壁(4)と空気チャンバゲート(8)との間に留められる。ノーズピースカバーおよび作動安全ロック(2)の取外しにより、安全ロック固定具(11)が解放され、作動が可能になる。作動時、ストッパ(7)が内側に押され、空気チャンバゲート(8)が近位方向に摺動できるようになる。これは、圧力にさらされるストッパの近位領域が、同じ圧力にさらされるストッパの遠位領域よりも大きいからである。隔膜(7)と薬物容器(6)との間に隙間が生成され、少なくとも1つの物質を通る空気の通過およびエアロゾルの生成を可能にする。薬物容器分割および混合要素(12)が使用される実施形態では、薬物容器分割および混合要素(12)は、薬物容器(6)のより広い区域に解放されて、物質の混合および解放、物質と空気との接触、ならびにエアロゾルの生成および送達を可能にする。
【0176】
図16Bは、
図16AのA−A線に沿った断面で、作動後の
図14〜
図15のデバイスの断面を示し、
図16Aは、デバイスの外観を示し、作動ホルダ(3)、圧縮空気チャンバ(4)、および作動機構基部(5)を示す。
【0177】
作動後、分割および混合要素(12)は、ノーズピースの先端にある保持チャンバに移動され、薬物容器(6)は空になる。空気チャンバゲート(8)は、空気圧によって近位方向に移動され、それにより、ストッパ(5)が、基部(5)の底部の内部に載置し、隔膜(7)と圧縮空気チャンバ(4)との間に隙間を残す。ゲートOリング(9)は、依然としてストッパの周囲でシールを形成する。
【0178】
図17A〜Cは、薬物容器(6)の実施形態を示す。
図17Aは、容器(6)の外観を示し、
図17Bは、
図17AのA−A線に沿った作動前の薬物容器(6)の断面を示す。
図17Cは、作動後の薬物容器の外観を示す。
図21Bでは、薬物容器(6)の各端部に1つの分割および混合ユニット(12)があり、したがって薬物容器(6)を効果的に封止する。
図17Cでは、どちらの分割および混合ユニット(12)も薬物容器(6)の内部から変位されている。
【0179】
図18〜
図29は、用量調節可能な薬物チャンバを備えたデバイスの実施形態を示し、ここで使用者は、単回使用デバイスまたは複数回使用デバイスのいずれについても、各用量で送達される薬剤の量を調整することが可能である。
【0180】
図18は、経鼻送達デバイスの本体の実施形態を示す。ノーズピースは図示されていない。本体は、基部(10)と、近位端に第1のゲートOリング(11)を有し、遠位端に第2のゲートOリング(13)を有する空気チャンバゲート(12)とを備える。第1のゲートOリング(11)は、
図14〜
図17の実施形態のゲートOリングに対応し、第2のゲートOリングは、
図14〜
図17の隔膜に対応する。空気チャンバゲート(12)の遠位端は、薬物容器基部カバー(14)によって覆われ、薬物容器基部カバー(14)は生体適合性材料を含み、生体組織と接触することになる物質が、生体組織との接触前には生体適合性材料のみと接触することを保証する。圧縮ガスチャンバ(15)は、空気チャンバゲート(12)に被さって嵌まり、第1のゲートOリング(11)および第2のゲートOリング(13)は、作動前に気密シールを提供し、それにより、圧縮ガスは、空気チャンバゲート(12)と圧縮ガスチャンバ(15)との間に保管可能である。圧縮ガスチャンバ(15)は、その遠位端でノーズピース(図示せず)と接続可能である。圧縮ガスチャンバ(15)の遠位部分は、作動ホルダ(30)を備える。
【0181】
図19A〜Dは、作動前の、組み立てられた
図18の本体の実施形態を示す。
図19Aは、本体の外観を示すが、
図19Bは、
図19AのA−A線に沿った断面を示す。
図19Cは、
図19Bでの円で囲まれた部分Bの拡大図であるが、
図19Dは、
図19Aの本体の斜視図である。作動は、作動ホルダ(30)を指で保持し、基部(10)の底部を親指で保持し、指を親指に近づけることによって、デバイスの上端部をその基部に向けて圧縮することにより行われる。
【0182】
図19Aおよび
図19Dに示されるように、
図18〜
図19の実施形態では、デバイスの基部が、作動ボタン(10)を形成し、作動するために、作動ボタン(10)が上方向に押され、さらに圧縮ガスチャンバ(ガスチャンバ(15))は、作動ホルダ(30)に置いた指で固定して保たれる。ノーズピースは、ノーズピースコネクタスロット(15B)によって圧縮ガスチャンバ(15)に取付け可能であり、ノーズピースの突起がノーズピースコネクタスロット(15B)に係合し、ノーズピースの迅速かつ容易な交換を可能にする。
【0183】
図19Bに示されるように、作動ボタン(10)はゲート固定具(10A)を備え、ゲート固定具(10A)のショルダに、作動前に空気チャンバゲートストッパ(12A)が載置する。これは、作動前の空気チャンバゲート(12)の移動を防止する。ゲート固定具(10A)の近位端にある第1のゲートOリング(11)と、その遠位端にある第2のゲートOリング(13)とは、作動前に気密シールを提供し、それにより、圧縮ガスは、空気チャンバゲート(12)と圧縮ガスチャンバ(15)との間に保管可能である。空気チャンバゲート(12)の遠位端は、薬物容器基部カバー(14)によって覆われ、薬物容器基部カバー(14)は生体適合性材料を含み、生体組織と接触することになる物質が、生体組織との接触前には生体適合性材料のみと接触することを保証する。圧縮ガスチャンバ(15)は、その遠位端で、ノーズピースコネクタスロット(15B)によって、ノーズピース(図示せず)と接続可能である。
【0184】
図19Cは、
図193Bの円B内の領域の拡大図であり、空気チャンバゲートストッパ(12A)が載置しているゲート固定具(10A)を明確に示す。
図20A〜Dは、作動後の、組み立てられた
図18の本体の実施形態を示す。
図20Aは、本体の外観を示すが、
図20Bは、
図20AのA−A線に沿った断面を示す。
図20Cは、
図20Bでの円で囲まれた部分Bの拡大図であるが、
図20Dは、
図20Bでの円で囲まれた部分Cの拡大図である。作動は、作動ホルダ(30)を指で保持し、基部(10)の底部を親指で保持し、指を親指に近づけることによって、デバイスの上端部をその基部に向けて圧縮することにより行われる。
【0185】
図19Aおよび
図19Dに示されるように、
図18〜
図18の実施形態では、デバイスの基部が作動ボタン(10)を形成し、作動するために、作動ボタン(10)が上方向に押され、さらに圧縮ガスチャンバ(ガスチャンバ(15))が、作動ホルダ(30)に指で固定して保たれる。ノーズピースは、ノーズピースコネクタスロット(15B)によって圧縮ガスチャンバ(15)に取付け可能であり、ノーズピースの突起がノーズピースコネクタスロット(15B)に係合し、ノーズピースの迅速かつ容易な交換を可能にする。
【0186】
図19Bに示されるように、作動ボタン(10)はゲート固定具(10A)を備え、ゲート固定具(10A)のショルダに、作動前に空気チャンバゲートストッパ(12A)が載置する。作動中、空気チャンバゲートストッパ(12A)が内側に押され、それにより空気チャンバゲート(12)が近位方向に移動し、空気チャンバゲート(12)と圧縮ガスチャンバ(15)の遠位端との間の隙間(17)を開き、ガス(16)が隙間を通って圧縮ガスチャンバ(15)から出て、ノーズピースに入り、物質と共にエアロゾルを生成する。ゲート固定具(10A)の近位端にある第1のゲートOリング(11)は、作動後も依然として気密シールを提供するが、ゲート固定具(10A)の遠位端にあり、空気チャンバゲート(12)と圧縮ガスチャンバ(15)との間で圧縮ガスが保管可能であるようにする第2のゲートOリング(13)は、もはや圧縮ガスチャンバ(15)に接触しない。空気チャンバゲート(12)の遠位端は、薬物容器基部カバー(14)によって覆われ、薬物容器基部カバー(14)は生体適合性材料を含み、生体組織と接触することになる物質が、生体組織との接触前には生体適合性材料のみと接触することを保証する。圧縮ガスチャンバ(15)は、その遠位端で、ノーズピースコネクタスロット(15B)によって、ノーズピース(図示せず)と接続可能である。
【0187】
図20Cは、
図20Bの円B内の領域の拡大図であり、ゲート固定具(10A)を明確に示し、空気チャンバゲートストッパ(12A)はもはや接触していないが、作動ボタンの基部付近に位置する。
【0188】
図20Dは、
図20Bの円C内の領域の拡大図であり、空気チャンバゲート(12)の遠位端と、薬物容器基部カバー(14)と、第2のゲートOリング(13)と、空気が圧縮ガスチャンバから中間空間に、次いでノーズピース(図示せず)に逃げるのを可能にする隙間(矢印)とを明確に示す。
【0189】
図21A〜Cは、ノーズピースカバー内に一次薬物容器を備えたデバイスの実施形態を示す。薬剤または物質は、一次薬物容器からノーズピース内の二次薬物容積に送達される。次いで、ノーズピースカバーを取り外して、デバイスを作動させてエアロゾル化を行い、薬物を送達することができる。
【0190】
図21Aは、デバイスの外観を示す。このデバイスは、作動ボタン(10)と、圧縮ガスチャンバ(15)と、ノーズピースカバー(20)によって保護されたノーズピース(図示せず)とを備える。ノーズピースカバー(20)の遠位端では、薬物容器ハウジング(21)内に一次薬物容器(図示せず)がある。また、この実施形態は、一次薬物容器に残っている薬物の量を決定するためにインジケータ窓(22)を備える。
【0191】
図21Bは、
図21AのA−A線に沿ったデバイスの断面を示す。基部およびエアロゾル生成および送達機構は、
図21〜
図24で上に開示したものと同様である。このデバイスは、近位部分に一体薬物容積(29)を備えたノーズピース(28)を備える。送達可能な物質は、ノーズピースカバー(20)の遠位端付近にある一次薬物容器(24)に保管される。一次薬物容器(24)は、その近位端でプランジャストッパ(25)によって封止される。装填針(26)が、装填針(26)の近位端を案内するための針アダプタ(27)によってノーズピースカバー(20)に固定され、そのためノーズピースの先端(28)で針アダプタ(27)の近位端がオリフィスを通過する。
図21Bに示されるように、薬物が一体薬物容積(29)に装填されていない限り、針はプランジャストッパ(25)を穿刺せず、一次薬物容器(24)は封止されたままである。
【0192】
図21Cは、デバイスの斜視図を示す。インジケータ窓(22)および薬物容器ハウジング(21)、ならびにノーズピースカバー(20)を見ることができ、ノーズピースカバー(20)は、その近位端で安全ロック(2A)において終端して、デバイスの望ましくない作動を防止する。
【0193】
図22A〜Cは、一次薬物容器(24)から一体薬物容積(29)への薬物の装填中の
図21のデバイスの実施形態を示す。
図22Aは、デバイスの外観を示す。このデバイスは、作動ボタン(10)と、圧縮ガスチャンバ(15)と、ノーズピースカバー(20)によって保護されたノーズピース(図示せず)とを備える。ノーズピースカバー(20)の遠位端では、薬物容器ハウジング(21)内に一次薬物容器(図示せず)がある。また、この実施形態は、用量のサイズの調整を可能にするために、体積スケール(30)、ここではラチェットも含む。
【0194】
図22Bは、
図22AのB−B線に沿ったデバイスの断面を示す。基部およびエアロゾル生成および送達機構は、
図17〜
図20で上に開示したものと同様である。
図22Bに示されるように、薬物または薬剤(24A)は、一次薬物容器から一体薬物容積(29)に装填されている。一次薬物容器(24)を近位方向に押すことによって、装填が作動される。次いで、薬物容器(24)は、ノーズピース(28)に沿って摺動する。装填針(26)は、針アダプタ(27)によって安定化される。一次薬物容器(24)を近位方向に押すと、装填針(26)がプランジャストッパ(25)を通って一次薬物容器(24)に押し込まれる。次いで、薬物(24A)は、装填針(26)を通って一体薬物容積(29)に流入することができる。一次薬物容器(24)の解放により、一次薬物容器(24)が遠位方向に移動し、装填針(26)をプランジャストッパ(25)から取り外す。次いで、ノーズピースカバー(20)を取り外すことができ、ある用量の薬物を投与することができる。
【0195】
図22Cは、デバイスの斜視図を示す。体積スケール(30)および薬物容器ハウジング(21)、ならびにノーズピースカバー(20)を見ることができ、ノーズピースカバー(20)は、その近位端で安全ロック(2A)において終端して、デバイスの望ましくない作動を防止する。
【0196】
図23は、薬剤チャンバ(5)をエアロゾル送達デバイス(1)から引き離す(矢印)ことによる、エアロゾル送達デバイス(1)からのノーズピースカバーまたは薬剤チャンバ(5)の取外しを示す。
【0198】
図24Aに示されているように、このデバイスは、上で開示したように、作動ボタン(10)および圧縮ガスチャンバを備える。ノーズピースカバー(40)は、薬物装填アダプタ(45)と、その遠位端にある可逆的に取外し可能な薬物装填アダプタキャップ(46)とを備える。図示される実施形態では、薬物充填アダプタキャップ(46)が、一体の可撓性ストリップ(46A)によってノーズピースカバー(40)に取り付けられて、薬物充填アダプタキャップ(46)が紛失するのを防ぐ。
【0199】
図24Aに示されるように、薬物充填針(47)は、薬物装填アダプタ(45)内にしっかりと保持される。薬物装填針(47)は、ノーズピースカバー(40)の上部から、ノーズピース(42)の遠位端を通って、ノーズピース(42)の近位端近くの薬物保管容積まで延びる。薬物装填針(47)の遠位部分は、注射器(図示せず)の送達端部を受け入れる形状およびサイズによって構成される。保管および輸送中、薬物装填針(47)は所定位置にしっかりと保定され、その遠位部分が、閉じた薬物装填アダプタキャップ(46)とノーズピース(42)の遠位先端との間にしっかりと保持される。
【0200】
図24Cは、そこから近位方向に延びる薬物装填針(47)を備えた薬物装填アダプタ(45)を示す。
図24Dは、ノーズピースカバー(40)と、薬物装填アダプタキャップ(46)と、作動ボタン(10)を有する薬物送達デバイスとを示す。
【0201】
図25A〜Dは、注射器が所定位置にある状態での
図24A〜Dのデバイスを示す。注射器は、先端の形状およびサイズが薬物装填針(47)の遠位部分の開口部に合致する独自製造の注射器、または薬物装填針(47)の遠位部分の開口部に嵌まる先端を有する市販の注射器でよい。
【0202】
図25Aは、ラベル付けされた(49)装填注射器(48)が所定位置にある状態でのデバイスの側面図を示す。薬物充填アダプタキャップ(46)が開いており、装填注射器(48)の先端(図示せず)が薬物充填アダプタ(45)およびノーズピースカバー(40)の遠位部分に位置しており、ノーズピースカバーが、作動ボタン(10)および送達デバイスの圧縮ガスチャンバ(15)と連絡する。
【0203】
図25Bは、
図25AのA−A線に沿った、
図25Aの構成の断面を示す。装填注射器(48)は、薬物装填針(47)の遠位部分に位置している。薬物装填針(47)の近位部分は、ノーズピース(42)を通過する。ノーズピース(42)は、送達デバイスの作動ボタン(10)および圧縮ガスチャンバ(15)に可逆的または固定的に取り付けられる。
【0204】
図25C〜Dは、薬物装填アダプタ(45)内で所定位置にある装填注射器(48)が、ノーズピース(42)、圧縮ガスチャンバ(15)、および作動ボタン(10)を備える薬物送達デバイスにどのように接続可能であるかを示す。
図25Cは、薬物装填アダプタ(45)内で所定位置にある装填注射器(48)を示し、薬物装填アダプタ(45)は、送達デバイスに取り付けられる位置にある。
図250Dは、装填注射器(48)および薬物装填アダプタ(45)を示し、薬物装填アダプタキャップ(46)が開き、送達デバイスの圧縮ガスチャンバ(15)および作動ボタン(10)に取り付けられる。
【0205】
図26は、用量のサイズの調節が近位端から行われる送達デバイスの実施形態を示す。近位端は、上で開示した調節機構とは反対のデバイスの端部である。ノーズピースは、安全ロック(2A)を有するノーズピースカバー(2)によって覆われて、デバイスの予期せぬ作動を防ぐ。安全ロック(2A)は、送達デバイスの圧縮ガスチャンバ(4)に掛止される。圧縮ガスチャンバ(4)の近位には、作動機構基部(5)がある。作動ホルダ(3)も図示されている。
【0206】
多くの薬剤に関して、各鼻孔に1用量が供給され、患者は全部で2用量を受ける。従来技術では、単回用量送達デバイスの場合、これには2つの送達デバイスが必要であり、その結果、包装材料の無駄と、2つのデバイスを開梱するのにかかる時間の無駄が生じ、どちらも患者の服薬遵守を低下させる傾向がある。
【0207】
図27A〜Cは、2つの鼻孔のそれぞれに薬剤の単回用量を供給するように構成されたデバイスの実施形態を示す。
図27Aおよび
図27Bのデバイス(D15およびD16)は、2つの独立したエアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)を有し、それぞれが単回用量の薬物を含み、各デバイス(D10AおよびD10B)が、独立してノーズピースと流体連通している。
図27Aでは、ノーズピースは互いに平行であり、一方、
図27Bでは、ノーズピースは互いにほぼ直角である。
【0208】
図27Cのデバイス(D16)も、2つの独立した単回用量エアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)を備えているが、これらはどちらも単一のノーズピースと通信する。
【0210】
デバイス(D16)は、2つの独立したエアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)を備え、それぞれが単一のノーズピースと流体接続する。各エアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)は、薬物の単回用量を含み、薬物は、単一の物質または複数の物質を含むことができ、物質は、上で開示したように混合物として保管される、または独立した区室内に保管される。デバイスは作動ホルダも備える。エアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)は、上で開示したように、作動ホルダでの指と、エアロゾル化および送達デバイス(D10AまたはD10B)の基部にある作動ボタンでの親指とによって、一度に1つずつ作動される。
図28Bおよび
図28Dから、この実施形態では、デバイス(D16)のノーズピースが実質的に同じ平面にあることがわかる。他の実施形態では異なる平面にあり得る。
【0211】
図28Cは、
図28BのA−A線に沿ったデバイスを通る断面である。
図28Cでは、一方のエアロゾル化および送達デバイス(D10A)はまだ作動されていないが、他方(D10B)は作動されている(大きな上向きの矢印)。作動されていない送達デバイス(D10A)では、空気チャンバゲート(D12A)は遠位位置にあり、空気チャンバゲート(D12A)の遠位端は、混合チャンバ(D4A)へのガスの通過を阻止する。作動された送達デバイス(D10B)では、空気チャンバゲート(D12B)が近位方向に移動し(大きな下向きの矢印)、空気チャンバゲート(D12B)の遠位端と混合チャンバ(D4B)との間に隙間を残し、この隙間は、混合チャンバ(D4B)へのガスの通過(小さな上向きの矢印)を可能にし、そこから、ガスはノーズピースを通過してデバイスから出ることができる。
【0213】
デバイス(D16)は、2つの独立したエアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)と、単一のノーズピースとを備え、どちらのエアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)も単一のノーズピースと流体連通する。各エアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)は、薬物の1回の用量を含み、薬物は、上で開示したように混合物として保管される、または独立した区室内に保管される単一の物質または複数の物質を含むことができる。デバイスは作動ホルダも備える。エアロゾル化および送達デバイス(D10AおよびD10B)は、上で開示したように、作動ホルダでの指と、エアロゾル化および送達デバイス(D10AまたはD10B)の基部にある作動ボタンでの親指とによって、一度に1つずつ作動される。
【0214】
図29Cは、
図29BのA−A線に沿ったデバイスを通る断面図である。
図29Cに示されるように、単一のノーズピースは、2つの混合チャンバ(D4AおよびD4B)と、2組の空気通路(D6AおよびD6B)と、エアロゾルがデバイスから出ることができるようにする2つのエアロゾル出口(D7AおよびD7B)とを備える。したがって、ノーズピースは1つしかないが、送達デバイスの1つ(D10AまたはD410B)からの物質は、デバイス内で他の送達デバイスからの物質と接触しない。
【0215】
図29Cでは、一方のエアロゾル化および送達デバイス(D10A)はまだ作動されていないが、他方(D10B)は作動されている(大きな上向きの矢印)。作動されていない送達デバイス(D10A)では、空気チャンバゲート(D12A)は遠位位置にあり、空気チャンバゲート(D12A)の遠位端は、混合チャンバ(D4A)へのガスの通過を阻止する。作動された送達デバイス(D10B)では、空気チャンバゲート(D12B)が近位方向に移動し(大きな下向きの矢印)、空気チャンバゲート(D12B)の遠位端と混合チャンバ(D4B)との間に隙間を残し、この隙間は、混合チャンバ(D4B)へのガスの通過(小さな上向きの矢印)を可能にし、そこから、ガスはノーズピースを通過してデバイスから出ることができる。
【0216】
図29D2は、デバイスの上面図を示す。拡大図(
図29D1)では、2つの独立した出口(D7AおよびD7B)を明確に見ることができる。
デバイスの実施形態は、上に示した例示的実施形態に限定されないことに留意されたい。
【0217】
送達が鼻孔に向けられる実施形態では、物質の送達は、使用者のスニッフィングを誘発することによって改良することができる。
スニッフィング(何かの匂いを嗅ぐときなどの、鼻を通した短く鋭い呼吸)は、軟口蓋(velum)の位置と高い相関がある。スニッフィングは、専用の嗅覚運動系によって、着臭剤に応じて急速に調整され、鼻腔の後端での軟口蓋の位置に影響を及ぼす。鼻を通してスニッフィングをしているとき、口蓋はその上側位置にあり、鼻腔と口腔との分離を引き起こす。
【0218】
意識的な制御に加えて、スニッフィングは、鼻内で刺激物または臭いとして機能する化学物質によって反射的に誘発されることがある。嗅覚知覚を最適化するために、全体的なスニッフィング持続時間およびパターンをリアルタイムで調整することができる。嗅覚系が濃縮された着臭剤を受けるときには、嗅ぐ力が低下され、嗅覚時間が短縮される。希釈された着臭剤を受けるときには、嗅ぐ力が増加され、持続時間が延長される。着臭剤の心地良さもスニッフィングに影響を及ぼす。嗅ぐ力および持続時間は、心地良い匂いを嗅ぐときには増加し、不快な臭いを嗅ぐときには減少する。
【0219】
好ましい実施形態では、本明細書で開示するデバイスは、スニッフィングを反射的に誘発するために、使用者の鼻腔内に着臭剤を解放することができる。着臭剤は、単一の着臭剤、または着臭剤の混合物でよく、非限定的な例として、以下の異なる化学族からの化合物を含むことができる。
【0220】
・エステル:酢酸ゲラニル、酢酸エチル、酢酸ベンジル、酢酸オクチル。
・線形テルペン:ゲラニオール、シトラール、シトロネラ、ネロリドール。
・サイクリックテルペン:テルピネオール、トゥジョーネ。
【0221】
・芳香族:オイゲノール、バニリン、アニソール、チモール。
・アミン:インドール。
また、アルコール、アルデヒド、エステル、ケトン、ラクトン、およびチオールの芳香族化合物。
【0222】
好ましい実施形態では、物質はカプセル内に含まれる。カプセルは、単一の区室を有していてよく、または多区室でもよい。カプセルは、広範な薬物および材料を含むことができる。芳香族化合物をノズルに保管することができ、または、ノズルもしくはその一部に芳香族化合物を含浸させて、ノズル先端が鼻腔内に配置されているときに軟口蓋の閉鎖を誘発することができる。送達は、局所的効果のために行うことも、全身循環に向けて、中枢神経系(CNS)に向けて、脳に向けて、好ましくは嗅覚上皮を介して、脊髄および関連の神経に向けて行うことも、それらの任意の組合せで行うこともできる。
【0223】
本明細書で上述したように、送達すべき薬物および材料は、限定はしないが、医薬品、天然化合物、生物学的物質、ホルモン、ペプチド、タンパク質、ウイルス、細胞、幹細胞、およびそれらの任意の組合せでよい。
【0224】
保管される物質は、液体、エアロゾル、粉末、スラリ、懸濁液、またはゲル(十分に薄い場合)として保管することができる。物質は、担体の有無に関係なく保管することができる。担体は、液体、気体、または粉末でよい。
【0225】
送達される物質は、粉末、液体と粉末の混合物、気体と粉末の混合物、粉末の混合物、液体、液体と気体の混合物、液体の混合物、気体、または気体の混合物を含むことができる。
【0226】
保管される物質は、例えば、真空中または不活性雰囲気下で包装することによって、劣化を最小限に抑えるために包装することができる。好ましくは、カプセルは単回使用であり、したがってデバイスの各使用で単一の制御可能な用量を送達することができる。カプセルをデバイスの容器に入れることができ、または容器がカプセルを備えていてよい。
【0227】
薬剤の送達のための担体に不活性ガスを使用すると、使用者と送達担体との相互作用の可能性がなくなる。特に慢性疾患に使用される薬剤での担体へのアレルギーは、ますます大きな問題となっている。さらに、送達担体は、数秒以内、より一般的には数ミリ秒以内だけ薬剤と接触し、それによって、送達担体との相互作用による薬剤の劣化を最小限に抑える。
【0228】
このデバイスを使用して送達可能な薬物および材料の例を、本明細書で以下に与える。以下に列挙されるすべての例は、例示であり、限定ではない。
送達可能な薬物および材料は以下のものを含む。アレルギー性鼻炎の治療;骨粗鬆症の治療;ワクチン接種および予防接種;性機能障害薬;B12欠乏症の治療;禁煙;婦人科の問題の治療;他の女性の健康問題の治療;全身麻酔薬;局所麻酔薬;オピオイド鎮痛薬;アゴニスト−アンタゴニストおよびアンタゴニスト;鎮咳剤;運動障害の治療に使用される薬物;抗てんかん薬;情動障害で使用される薬物;抗精神病薬(神経弛緩薬);鎮静催眠薬、抗不安薬、および中枢作用性筋弛緩薬;不安障害の治療;骨格筋弛緩薬;パーキンソン病の治療;アルツハイマー病の治療;痛みの治療および片頭痛の治療。
【0229】
アレルギー性鼻炎の治療薬としては、コルチコステロイド、フロナーゼ(Flonase)、パタナーゼ(Patanase)、ベコナーゼ(Beconase)、抗ヒスタミン薬、アステリン(Astelin)、Otrivin(商標)、リボスチン(Livostin)、テラマックス(Theramax)、アバミス(Avamys)、ルフィール(Lufeel)、シノフレッシュ(Sinofresh)、ナゾネックス(Nasonex)、ナソコート(Nasocort)、およびベラミスト(Veramyst)を含むステロイドが挙げられる。
【0230】
骨粗鬆症の治療薬としては、ミアカルシン(Miacalcin)、フォルチカル(Fortical)、およびスタドール(Stadol)が挙げられる。
ワクチン接種および予防接種の薬としては、LAVIN、およびFluMistを含むインフルエンザワクチンが挙げられる。
【0231】
禁煙のための薬としては、NasalFentが挙げられる。
送達することができる他の薬剤としては、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモンを挙げることができる。
【0232】
送達することができる神経伝達物質および神経調節物質としては以下のものが挙げられる。アセチルコリン(ACH)、抗コリン薬、アデノシン三リン酸(ATP)、アスパラギン酸(Asp)、β−アミロイド、β−エンドルフィン、ブラジキニン、ドーパミン(DA)、L−DOPA、カルビドパ、エピネフリン、ダイノルフィン、エンドモルフィン、エンケファリン、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、スマトリプタン、イミトレックス、ミグラナール、ゾルミトリプタン、ゾミッグ、γ−アミノ酪酸(GABA)、グルタミン酸(glu)、グリシン、ヒスタミン、レプチン、神経成長因子およびその他の成長因子、ノルエピネフリン、一酸化窒素、およびサブスタンスP。
【0233】
送達することができる全身麻酔薬としては以下のものが挙げられる。アルフェンタニル、デスフルラン、エンフルラン、エトミデート、フェンタニル、ハロタン、イソフルラン、ケタミン、メトヘキシタール、メトキシフルラン、ミダゾラム、ロラゼパム、ジアゼパムモルフィン、亜酸化窒素(N
2O)、プロポフォール、セボフルラン、スフェンタニル、サブリマーゼ(Sublimase)、およびチオペンタール。
【0234】
送達することができる局所麻酔薬としては以下のものが挙げられる。ベンゾカイン、ブピバカイン、コカイン、リドカイン、プリロカイン、プロカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン。
【0235】
送達することができるオピオイド鎮痛薬、アゴニスト−アンタゴニスト、鎮咳薬としては以下のものが挙げられる。アゴニスト、コデイン、ジフェノキシレート、フェンタニル、ヘロイン、および他のオピオイド、ヒドロコドン、1−α−アセチル−メタドール、酢酸レボメタジル、ロペラミド、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、d−プロポキシフェン、オピオイドとアセトアミノフェンおよびアセチルサリチル酸の組合せなど、およびトラマドール。
【0236】
送達することができるアゴニスト/アンタゴニストおよびアンタゴニストとしては以下のものが挙げられる。ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ペンタゾシン、コデイン、デキストロメトルファン、およびヒドロコドン。
【0237】
送達することができるパーキンソン病および運動障害の治療に使用される薬物剤としては以下のものが挙げられる。アマンタジン、アポモルフィン、バクロフェン、ベンゾジアゼピン、ベンゾトロピン、ブロモクリプチン、カルビドパ、シクロベンザプリン、ダントロレン、ドーパミン、エンタカポン、ハロペリドール、L−DOPA、ペルゴリド、プラミプレキソール、ロピネロール、セレギリン(デプレニル)、トリヘキシフェニジル、ラサギリン、アジレクト、セレギリン、ラドスチギル、ロチゴチン、ノイプロ、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、およびCOMT阻害剤。
【0238】
送達することができる抗てんかん薬としては以下のものが挙げられる。アセタゾールアミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ガバペンチン、ラモトリギン、ロラゼパム、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、チアガビン、トピラメート、バルプロ酸、ビガバトリン、およびミダゾラム。
【0239】
送達することができる情動障害で使用される薬物としては以下のものが挙げられる。抗うつ薬、アミトリプチリン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フェネルジン、セルトラリン、トラゾドン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン、抗躁病薬、カルバマゼピン、炭酸リチウム、およびバルプロ酸。
【0240】
送達することができる抗精神病薬(神経弛緩薬)としては以下のものが挙げられる。クロルプロマジン(CPZ)、クロザピン、フルフェナジン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、チオリダジン、チオチキセン、およびジプラシドン。
【0241】
送達することができる鎮静催眠薬、抗不安薬、および中枢作用筋弛緩薬としては以下のものが挙げられる。アルプラゾラム、抱水クロラール、ジフェンヒドラミン、フルマゼニル、フルラゼパム、ヒドロキシジン、ロラゼパム、オキサゼパム、フェノバルビタール、テマゼパム、トリアゾラム、ザレプロン、およびゾルピデム。
【0242】
送達することができる不安障害および骨格筋弛緩薬としては以下のものが挙げられる。アルプラゾラム、クロラゼペート、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、フルマゼニル(アンタゴニスト)、ロラゼパム、およびオキサゼパム。
【0243】
送達することができるアルツハイマー病の治療としては以下のものが挙げられる。ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、タクリン、デテミール、ノボリン、ヒュームリン、インスリン、インスリン様ホルモン、インスリンアナログ、例えばNPHインスリン、リスプロ、アスパルト、デテミルインスリン、グルリジン、グラルギンインスリン、インスリンデグルデク、BDNF、GDNF、MIBG、抗がん剤、抗がん薬、ドーパミンアゴニスト、およびドーパミンアンタゴニスト。
【0244】
送達することができる他の薬物としては以下のものが挙げられる。アンフェタミン、カフェイン、エフェドリン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、フェンテルミン、シブトラミン、ジスルフィラム、エタノール、メタノール、ナルトレキソン、アトロピン、スコポラミン、ケタミン、リセルギン酸ジエチルアミド(LSD)、MDMA(メチレンジオキシメチルアンフェタミン)、メスカリン、フェンシクリジン(PCP)、ドナビノール、マリファナ/THC、有機溶媒、ニコチン、ペントバルビタール、神経保護化合物、神経保護ペプチド、神経保護因子、ダブネチド、抗統合失調症薬、抗うつ薬、コンタン、エンタコポン、抗ADHD剤、抗ADHD薬、例えばメチルフェニドレート(リタリン)、ならびに抗自閉症および抗自閉症症状薬。
【0245】
送達することができる他の材料としては以下のものが挙げられる。精製された天然および合成の生物学的物質、ペプチド、タンパク質、抗体、幹細胞を含む細胞、細胞の一部、ナノ粒子、およびマイクロ粒子。ナノ粒子およびマイクロ粒子は薬物を含むことができる。それらは、薬物、細胞、または細胞の一部、およびそれらの任意の組合せの担体でよい。
【0246】
好ましい実施形態では、物質は、粘膜への物質の活性成分の浸入を改善するための浸透促進剤を含む。
いくつかの製剤では、製剤は、少なくとも1つの活性剤および浸透促進剤を含むポリマーマイクロ粒子を含むことができ、ここで、活性剤は、ペプチド、タンパク質、抗体、核酸、小分子、細胞、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0247】
多くの浸入促進剤が文献で知られている。
1つのそのような浸入促進剤は、ヒアルロン酸(HAまたはヒアルロナンとも呼ばれる)であり、これは、体内で自然に発生する多糖類である。その優れた水結合性、粘弾性、および生物学的特性により、HAは、限定はしないが既存の製剤の吸収特性などの属性を改善することができ、また既存の製剤に新たな属性を追加することもできる。HAを含めることは、新たな製剤を開発するときに有利となり得る。
【0248】
薬物送達およびターゲティングに使用されるとき、HAは、合成ポリマー、例えば限定はしないがポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリアクリル酸、およびポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、または他の生体高分子、例えばキトサンやアルギン酸塩などの従来の高分子物質に比べて明確な利点を提供することができる。
【0249】
薬物送達の分野でのHAの利点としては、限定はしないが以下のものが挙げられる。
・制御された薬物解放プロファイルを設計する際の融通性;
・より安定した薬物製剤;
・標的部位への蓄積および受容体媒介の取込みによる効果的な薬物ターゲティング;
・薬物のバイオアベイラビリティと生体適合性の向上;および
・健康な組織、高分子ミクロスフェア、高分子徐放性製剤、粘膜接着剤における薬物細胞毒性の低減。
【0250】
他の浸入促進剤としては、限定はしないが以下のものが挙げられる。脂肪酸、中鎖グリセリド、界面活性剤、ステロイド系洗剤、アシルカルニチン、ラウロイル−DL−カルニチン、アルカノイルコリン、N−アセチル化アミノ酸、エステル、塩、胆汁酸塩、ナトリウム塩、窒素含有環、および誘導体を含む群。促進剤は、陰イオン性、陽イオン性、双性イオン性、非イオン性、または両方の組合せでよい。陰イオンは、限定はしないが以下のものでよい。ラウリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、N−ラウリルサルコシネート、カルパレートナトリウム。陽イオンは、限定はしないが以下のものでよい。セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ミリスチルチメチルアンモニオクロリド、デオデシルプリジニウムクロリド。双性イオンは、限定はしないが以下のものでよい。デシルジメチルアンモニオプロパンスルホネート、パルミチルジメチルアンモニオプロパンスルホネート。脂肪酸としては、限定はしないが以下のものが挙げられる。酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノリン酸、それらの塩、誘導体、および任意の組合せ、またはそれらの脂肪酸のグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、もしくはトリグリセリド。胆汁酸または塩は、共役もしくは非共役胆汁酸、例えば限定はしないが以下のものを含む。コール酸塩、デオキシコール酸塩、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、タウロデキシコール酸塩、ウルソデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩、ならびにそれらの誘導体および塩および組合せ。浸透促進剤は、金属キレート剤、例えばEDTA、EGTA、界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレンエーテルまたはエステル、ポリエチレングリコール−12ラウリルエーテル、サリチル酸ポリソルベート80、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、サポニン、パルミトイルカルニチン、ラウロイル−l−カルニチン、ドデシルマルトシド、アシルカルニチン、アルカノイルジョリン、および組合せ。他には、限定はしないが以下のものが挙げられる。3−ニトロ安息香酸塩、閉鎖帯毒素、乳酸塩の脂肪酸エステル、グリチルリチン酸塩、ヒドロキシルβ−シクロデキストリン、N−アセチル化アミノ酸、例えば、ナトリウムN−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートおよびキトサン、塩および誘導体および任意の組合せ。
【0251】
他の促進剤としては以下のものが挙げられる。油中水の製剤、水中油の製剤、エマルジョン、ダブルエマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、ステロイド系洗剤、およびアシル。これらは、粘膜組織へのより良い吸収、標的細胞へのより良い浸透および吸収、カプセル化された薬物/活性成分のより良い安定性を可能にする。
【0252】
いくつかの実施形態は、単独で、または浸入促進剤と組み合わせて粘膜接着剤を含み、例えば、限定はしないが、生体接着性タンパク質、炭水化物、および粘膜接着性ポリマーである。
【0253】
本発明のカプセルでは、デバイスは、少なくとも1つの区室、好ましくは複数の区室を備え、各区室が流動性物質を含む。送達デバイスは、流動性物質が担体、好ましくは空気と混合され、限定はしないが典型的には鼻道内の所定の堆積部位に送達されるように区室を破裂させるように設計される。
【0254】
薬剤は、液体、粉末、またはエアロゾルとして供給されることがある。好ましい実施形態では、薬剤は、単回用量カプセルで供給される。他の実施形態では、薬剤は、複数回用量カプセル手段で供給され、複数回用量カプセルは、作動ごとに単回用量を提供するように構成される。
【0255】
好ましい実施形態では、流動性物質カプセルは複数の区室を有する。区室は、少なくとも1つの薬剤、少なくとも1つの薬剤前駆体、キャリアガス、圧縮ガス、およびそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0256】
異なる区室は異なる薬剤を含むことができ、複数の薬剤が、鼻腔または他の送達部位に1回の用量で送達される。このようにして、複数の薬剤が1回の注入で鼻孔に供給されることがあり、せいぜいデバイスの作動と物質の送達および標的部位でのそれらの堆積との間の短時間中にのみ、薬剤間で相互作用が生じる。
【0257】
いくつかの実施形態では、成分の相互作用は望ましくない。そのような実施形態では、順次解放は、成分の解放と体内でのそれらの吸収との間の短期間を利用して、そのような望ましくない相互作用および/または反応を防ぐ。
【0258】
他の実施形態では、混合および/または反応が望まれる。そのような実施形態では、すべての区室を同時に破裂させ、エアロゾルで、または少なくとも1つの混合チャンバ内で成分を混合/相互作用させることによって、反応が一度に生じ得る。他の実施形態では、使用前の所望の時点に、針挿入によって、空の区室または占有されている区室に成分を追加することができる(したがって、所望の反応が生じ得る)。他の実施形態では、区室壁は所定の順序で破裂し、それにより、混合/相互作用は段階的に所定の順序で生じる。混合/相互作用は、区室、混合チャンバ、デバイスの空気通路、エアロゾル、身体の鼻道(または他の通路)、およびそれらの任意の組合せで生じ得る。
【0259】
非限定的な例として、薬剤は、カプセルの4つの区室に保管された4つの成分を含むことができる。作動前に、第5の成分が区室1に注入される。所定の時間の後、デバイスが作動され、区室1と区室2との間の壁が壊され、5/1と2の混合を可能にする。これに続いて、成分3を取り囲む壁が破裂され、成分3が、次いで5/1/2と混合し、2と反応する。破裂される最後の壁は、成分4を取り囲む壁である。材料4は、エアロゾルの別の部分に残り、5/1/2/3の堆積後に鼻道に堆積する。
【0260】
別の例では、前駆体Aが前駆体Bと混合して中間体Cを生成し、その後、中間体Cが前駆体Dと混合して最終生成物Eを生成する。
上記の例と同様に、異なる区室からの成分の混合または反応または解放は、連係された異なる区室で同時に生じても、順次に生じてもよい。順次および同時反応および/または混合および/または解放の任意の組合せを使用することができる。成分は、同時に、混合または非混合で、順次に、およびそれらの任意の組合せで、堆積部位に到達することができる。
【0261】
異なる区室の壁の破裂間には数分の1秒の所定の遅延があり得ることに留意されたい。これにより、非限定的な例に関して、次の混合/反応が開始される前または送達が開始される前に、1組の成分の完全な混合を可能にし、または1組の成分間の反応を完了させることができる。
【0262】
いくつかの実施形態では、デバイスまたは好ましくはカプセルは混合機構または混合チャンバを備え、それにより、上述したように組成物の成分が作動プロセス中に混合および/または反応することができ、成分を別々に保管できるようにする、および/または安定した前駆体として保管できるようにするが、少なくとも1つの薬剤を含む所定の治療を所定の送達部位に送達する。
【0263】
デバイスの好ましい実施形態では、エアロゾルとエアロゾル化前ミストとの混合物がノズル内に形成され、ノズルの側端部の穴は、散布プルームの形状またはエアロゾルの速度にほとんど影響を及ぼさない。
【0264】
ミストの形成位置を実証するための実験構成が
図30に示され、3つの異なる動作条件(1、2、および3)に関する試験の結果が表1および
図31に示されている。
【0266】
図30は、右側にノズル(6100)およびノズル先端(6200)を備えたデバイスの実施形態を示し、括弧は、
図31に拡大して示される領域(6190)を示す。
作動前の表示が
図31の中央に示され、作動中の表示が右側に示されている。作動前、ノズルは透明である。すなわち、エアロゾルが含まれていない。作動後、内部のエアロゾルおよび/またはエアロゾル化前ミストにより、ノズルは不透明に見える。エアロゾルまたはエアロゾル化前ミストが生成されていない場合、液体は細い流れとして出て、これはノズルの中心を下る縞として画像に現れる。
管を移動するための液滴の分散
エアロゾルを生成する他のすべての既知の機構では、オリフィスがノズルの端部とデバイスのノズルの内径とに配置され、特に、そのオリフィスは、エアロゾルの生成およびエアロゾルの特性に影響を及ぼす主要パラメータである。対照的に、本発明では、オリフィスは不要である。それどころか、ノズルの端部に従来のオリフィスを置くと、実際には、定量供給される液体または粉末に達する力が制限され、したがって、標的部位で所望の微細エアロゾルを生成できる機能が低下する。したがって、本発明で使用することができる大きい直径の配管は、一般的に使用される管およびオリフィスの直径よりも約1桁大きく、1〜100マイクロメートル程度の液滴メジアン直径(DV50)で鼻腔に効率的に搬送される所望の微細なエアロゾルを生じる。
【0267】
本発明では、エアロゾルは、デバイスの空気体積−圧力パラメータの結果として生成され、主にオリフィス直径によってではなく鼻腔の抵抗によって影響を及ぼされる。
鼻での摩擦および空気抵抗をモデル化するために、鼻腔内のエアロゾル生成のためのモデルとして、22cmの長さまで油で満たされた内径2cmの長さ36cmのガラス管を使用した。
【0268】
理論的分析により、管の5cmが鼻道の約0.1〜0.5cmに相当し、したがって、22cmの管がほぼ鼻道の深さ全体をシミュレートすることが示されている。
試験材料は、200マイクロリットルのメチレンブルー液体溶液とした。
【0269】
液体溶液を、デバイスから管の底部に放出し、エアロゾル生成のプロセスを追跡することができるように写真およびビデオを撮影した。堆積領域の長さ、エアロゾル分散、およびエアロゾル液滴の直径を、時間の関数として決定した。
【0270】
図32A〜Dは、従来のデバイスにおける液滴サイズ(
図32B、D)および液滴分散(
図32A、C)に対するオリフィスサイズの影響を示す。
注射器を使用してメチレンブルー溶液を管に注入した。
図32A〜Bは、より大きい針(21G;約0.5mm)に関する液滴分散およびサイズを示し、
図32C〜Dは、より小さい針(25G;約0.2mm)に関する液滴分散およびサイズを示す。より大きな直径の針(
図32A〜B)は、より小さな直径の針(
図32C〜D)よりも大きい液滴を生成する。
【0271】
対照的に、
図33A〜Dおよび
図34A〜Dは、本発明の技法が使用される場合には逆のことが当てはまることを示し、ここではエアロゾルは加圧ガスによって生成される。
図33を参照すると、
図33A〜Dは、本発明のデバイスにおける液滴サイズ(
図33B、D)および液滴分散(
図33A1、A2、C)に対するオリフィスサイズの効果を示す。
図33A1は、管の下部での分散を示すが、
図33A2は、管の上部での分散を示す。
【0272】
図33A〜Dでは、本発明のデバイスは、7bargの圧力にチャージされ、20mlのメチレンブルー溶液が、オリフィスを通して管の底部に放出される。
図33A〜Bは、より大きい針(21G;約0.5mm)に関する液滴分散およびサイズを示し、
図33C〜Dは、より小さい針(25G;約0.2mm)に関する液滴分散およびサイズを示す。この場合、より大きいノズル(
図33A、B)は、より小さい直径のノズル(
図33C、D)よりも、小さい直径の液滴、均質なエアロゾル、および管を通ってさらに上まで延びる分散を有する。
【0273】
図34を参照すると、
図34A〜Dは、本発明のデバイスにおける液滴サイズ(
図34B、D)および液滴分散(
図34A、C)に対するオリフィスサイズの効果を示す。
図34A〜Dでは、本発明のデバイスは、4bargの圧力にチャージされ、18mlのメチレンブルー溶液が、オリフィスを通して管の底部に放出される。
図34A〜Bは、より大きい針(21G;約0.5mm)に関する液滴分散およびサイズを示し、
図34C〜Dは、より小さい針(25G;約0.2mm)に関する液滴分散およびサイズを示す。この場合、より大きいノズル(
図33A、B)は、より小さい直径のノズル(
図34C、D)よりも、小さい直径の液滴および均質なエアロゾルを有する。
【0274】
図33と
図34の比較によって示されるように、より高い体積とより高い圧力との組合せ(20ml、7barg)は、より低い体積とより低い圧力との組合せ(18cc、4barg)よりも、小さい直径の液滴を有し、高い均質性があり、管を通ってさらに上まで延びる分散を有する。
【0275】
図35および
図36では、2つの市販の従来技術のデバイスと本発明のデバイスとの間で比較が行われる。すべての場合において、0.1mlの水溶液を試験した。
図35AとCおよび
図36AとCでは、液体はメチレンブルー水溶液とした。
図35Bおよび
図36Bでは、食塩水のみを使用した。液体を、デバイスから、油で満たした管の底に放出した。
図35Aおよび
図36Aでは、Otrivin(商標)デバイスを使用し、
図35Bおよび
図36Bでは、Otrimer(商標)デバイスを使用し、
図35Cおよび
図36Cでは、本発明の技術を使用した。Otrivin(商標)(
図35A)デバイスとOtrimer(商標)(
図35B)デバイスとの両方について、塗布時に溶液が到達する高さは10cm未満であり、液体は、管の底部付近で明確なボーラスを形成する。対照的に、本発明を実証するデバイス(
図35C)では、液体は管内に小さな液滴として現れ、液滴のいくらかは管内で20cmの高さに到達する。
【0276】
2分後(
図36A〜C)、Otrivin(商標)デバイスからの液体は約5cmの高さに到達したが(
図36A)、Otrimer(商標)デバイスからの液体は管の底部に落ち、
図36Bでは管の底部でほとんど見えていない。対照的に、本発明の技法(
図36C)では、液滴は管内でかなり安定している。液滴は、約12cmの高さに到達するまでかなり均等に分散しており、液滴のいくらかは約20cmの高さに到達している。
【0277】
図37を参照すると、鼻用塗布器を、圧力センサへの接続を伴って、約7mlの容積閉鎖管に接続した。約7mlの容積は、鼻腔のおおよその容積を表す。デバイスを、閉じた配管内に放出し、配管内で発生した最大圧力を尺度とした。4つの市販のデバイス、Otrivin(商標)デバイス(
図37A)、Marimerデバイス(
図37B)、Rhinoxデバイス(
図37C)、およびAlrin(商標)デバイス(
図37D)に関する配管内の圧力は、1barg未満であった。対照的に、本発明の技術(
図37E)からの配管内の圧力は、約2.5bargであり、最も近い市販のデバイスであるMarimerデバイス(
図37B)の2.5倍を超えた。
【0278】
図38を参照すると、油で満たしたヒト鼻型モデル(
図38A)の鼻孔を通してメチレンブルー水溶液を送達し、鼻腔の内圧および状態を模倣した。破線の円(10200)は、鼻型の上部から出口を示す。出口に到達する材料は、鼻の嗅上皮に到達する。
図38BおよびCは、鼻腔の鼻孔へのOtrivin(商標)デバイス(
図38B)および本発明の技術ベースのデバイス(
図38C)の適用後の鼻型モデルを示す。
図38Bからわかるように、Otrivin(商標)デバイスでは材料が嗅上皮に到達しない。材料は、鼻型からの出口に到達していない。対照的に、材料の液滴(一点鎖線の円、10210)は鼻型から出ており、市販のデバイスとは異なり、本発明の技術ベースのデバイスから放出された材料は嗅上皮に到達することができることを示す。
プルーム角度
従来技術の経鼻送達デバイスおよび技術とは対照的に、本発明のデバイスは、デバイスから出た直後ではなく、標的領域で、および標的組織の位置で鼻腔または他の所望の身体オリフィス内に微細なエアロゾルを生成することができる。圧力を駆動力として利用し、空気を担体として利用して、エアロゾル化前の状態の材料とエアロゾルとの組合せとして材料をノズルから解放することができる。結果として生じるエアロゾルの特性は、典型的には、デバイスの特性と、エアロゾルが放出される媒体の特性とに依存する。エアロゾルの特性に影響を及ぼすデバイスの特性は、送達速度、送達ガスの体積、および送達オリフィスの特性である。
【0279】
いくつかの実施形態では、エアロゾル特性は、送達される物質からはかなり独立しており、他の実施形態では、圧力、容積、オリフィス特性、および送達される物質の特性を一緒に最適化することができる。
【0280】
従来技術のデバイスでは、デバイスの出口でエアロゾルが生成される。典型的には、このエアロゾルは、粒子サイズの広いばらつき、エアロゾルの広い「扇形」、および低い駆動力を備える。したがって、大きい液滴は、典型的には、デバイスからの出口の非常に近くに堆積し、より小さい液滴は、通路の壁に迅速に接触する傾向があり、したがって典型的には、堆積は主にデバイスからの出口の近くであり、鼻甲介など、オリフィス内のより深い所望の部位に到達する物質はほとんどない。
【0281】
対照的に、本発明のデバイスでは、エアロゾル、およびガスと物質とのエアロゾル化前の混合物は、大きい駆動力でデバイスから出る。エアロゾル化前の流体が鼻道の壁に当たるときに、「爆発」して微細なエアロゾルになり、これは、圧力によって鼻道内の深くに押し込むことができ、所望の領域に堆積する。
【0282】
図39を参照すると、ノズルと、ノズルが解放するエアロゾルとの概略図が示されている。オリフィスがエアロゾルを発出し、エアロゾルは、中に粒子(2)の分散を有する円錐状のプルーム(1)を生成する。プルーム角度は、
図39の角度αによって、および
図40Aに示されるように線間で成される角度θによって示されるように、プルームが成す合計角度である。
【0283】
図40では、2つの市販の経鼻送達デバイス(
図40A〜B)とSipNoseデバイス(
図40C)とに関してプルーム角度θが比較されている。エアロゾルは室温で測定した。プルームの幅は、各デバイスでの放出場所から同じ距離(3cm)で測定した。
【0284】
SipNoseデバイスは、2つの市販のデバイスよりもはるかに狭いプルームを有する。市販のデバイスに関するプルーム角度は、TevaのAlrin(商標)(
図40A)のプルーム角度が35°、LMA MAD Nasal(商標)(
図40B)のプルーム角度が27°であり、一方、SipNoseデバイス(
図40C)に関するプルーム角度は、わずか8.7°であった。
【0285】
上記のすべてのパラメータにより、エアロゾルは、鼻腔内の嗅上皮の領域など、関心領域により良く堆積し、脳などの標的組織によってより良く吸収されるようになる。
プルーム強度
図41は、従来技術のデバイスの1つ(市販2−LMA MAD Nasal(商標)、
図41A)と本発明のデバイス(SipNose、
図41B)とに関して、鼻モデルの上層に到達する材料の量を比較する。いずれの場合にも、100μlの液体エアロゾルを人間の鼻のモデル(鼻型)に放出した。鼻型の上層を除去して、鼻腔の上部の領域に到達するエアロゾルの量および特性を観察した。本発明の技術が使用されているとき、鼻腔の最上部である関心領域での物質のより良い分散があることは明らかである(
図41B)。
【0286】
図42は、スプレープルームの到達範囲を決定するための実験構成を示す。デバイス(3510)が左側にあり、到達範囲を測定するためのスクリーンが右側(3520)にある。デバイスとスクリーンとの距離は約25cmである。
【0287】
図42A〜Jは、様々なデバイスに関するスプレー到達範囲の例を示す。
図43A〜Dは、様々なデバイスパラメータについて、SipNoseデバイスに関する到達範囲および液滴分散を示すが、
図43E〜Jは、いくつかの様々な市販のデバイスに関する到達範囲および液滴分散を示す。
【0288】
すべての場合において、SipNoseデバイスは、スクリーンのよく定義された領域を覆うスプレーパターンを生成する。多数の粒子がスクリーンに到達し、到達範囲エリアにおいて、これは、どの市販のデバイスに関するよりも大幅に多い。
【0289】
市販のデバイスFおよびJは、従来技術のデバイスの中で最高のものであり、適度な量のエアロゾルがスクリーンに到達するが、分散は、SipNoseデバイスに関する分散よりもはるかに広く、実質的にスクリーン全体を覆う。市販のデバイスHおよびIは、従来技術のデバイスの中で最悪であり、スクリーンまで到達するエアロゾルはごくわずかである。
【0290】
表2および表3は、様々な動作パラメータおよび0.8mmのオリフィスサイズ(表11)についてのSipNoseデバイスに関するプルーム特性、ならびに4つの市販のデバイス(表12)に関するプルーム特性を示す。
【0293】
SipNoseデバイスと市販のデバイスとでは、プルームの特性に大きな違いが見られた。プルーム角度、プルーム高さ、またはプルーム速度について、(あったとしても)小さい重畳しか見られなかった。SipNoseデバイスに関して、プルーム角度の範囲は5°〜25°、デバイスから3cmでのプルーム高さの範囲は1〜20mm、デバイスから6cmでのプルーム高さの範囲は5mm〜25mm、およびプルーム速度の範囲は5m/s〜50m/sであった。市販のデバイスに関して、プルーム角度は33°を超え、デバイスから3cmでのプルーム高さは18mmを超え、デバイスから6cmでのプルーム高さは29mmを超え、プルーム速度は5m/s未満だった。
【0294】
液滴サイズ分散の例が
図44に与えられ、
図44は、粒子数と粒径とのプロットを示し、X軸(粒径)は対数である。分散は非対称であり、大径側に長い「テール」を有する。最大の液滴は900μm程度であり、最小の粒子は2〜5μm程度である。DV50の直径は、約75μmである。
【0295】
表4および表5は、6bargの圧力、19mlのガス、0.8mmのオリフィス直径というパラメータについて、生理食塩水100ulおよび400ulに関して、2つのSipNoseデバイス(100ulに関しては23−11、400ulに関しては23−12)において10回の繰返しの平均を取った液滴サイズ分散を示す。示されているすべてのケースで、測定の10回の繰返しに関して低い変動性が見られた。
【0298】
表6は、SipNoseデバイスに関する再現性の例を示す。測定は、計量によって行った。示される変動の一部は、おそらく測定技法によるものである。
【0300】
SipNoseエアロゾル液滴は、他の経鼻送達デバイスの典型的な範囲内、さらにはより小さい平均直径を有する。
液滴は小さい直径を有するが、エアロゾルプルームの幅は非常に狭く、これは、エアロゾルを、鼻腔などの内腔の前部に堆積することなく、鼻腔の内部により良く分散させることを可能にする。
【0301】
SipNoseデバイスは高い一貫性を示す。
布地への浸入
30cmのノズルとターゲットとの距離で、担体体積内に100μlの液体を定量供給し、SipNoseデバイスと3つの市販のデバイス、すなわちAlrin、Wolfe ToryのMAD Nasal、およびOtrivinデバイスとに関して、様々な動作条件について、4mmの布地媒体へのエアロゾルの浸入を比較した。すべての場合において、SipNoseデバイスからのエアロゾルは4mmの布地に浸入した(
図45A〜Eおよび表7)。
【0303】
図45A〜Cは、3つの典型的な動作条件について、かなりの量の材料が4mmの布地に浸入し、鼻型の例(
図43)に関して見たのと整合性があることを示す。
図45A〜Cは、より重い堆積の領域を描く内側領域(破線の円)およびより軽い堆積の領域を描く外側領域(実線の円)も示す。2つの市販のデバイス、すなわちWolfe ToryのMAD Nasal(
図25D)およびAlrin(
図25E)に関しては、堆積は領域全体にわたって軽く、堆積領域の縁部は明確に定義されない。