(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-525614(P2020-525614A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(54)【発明の名称】高品質潤滑油ベースオイルの13C−NMRベース組成物、並びにそれらの設計及び製造を可能にする方法、並びに仕上げ潤滑油におけるそれらの性能
(51)【国際特許分類】
C10M 171/00 20060101AFI20200731BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20200731BHJP
C10N 20/02 20060101ALN20200731BHJP
C10N 30/08 20060101ALN20200731BHJP
【FI】
C10M171/00
C10N40:25
C10N20:02
C10N30:08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-572387(P2019-572387)
(86)(22)【出願日】2018年6月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月29日
(86)【国際出願番号】US2018038412
(87)【国際公開番号】WO2019005545
(87)【国際公開日】20190103
(31)【優先権主張番号】62/527,418
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エル・ベイカー・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】リエジョン・ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ユージニオ・サンチェス
(72)【発明者】
【氏名】アンジェラ・アール・ホートン
(72)【発明者】
【氏名】デブラ・エイ・シシン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・シー・ドハーティ
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA07A
4H104DA02A
4H104EA02A
4H104LA04
4H104PA41
(57)【要約】
潤滑油ベースオイルが提供される。潤滑油ベースオイルは、炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を使用して決定される低温特性を有する。許容できる低温性能を有する候補潤滑油ベースオイル又はその混合物を選択する方法も提供される。潤滑油ベースオイルをブレンドするオンライン法及び仕上げ潤滑油も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を使用して決定された低温特性を有する潤滑油ベースオイル。
【請求項2】
前記ステップワイズ回帰において使用される前記スペクトロスコピーピーク値が、90パーセントの信頼度において有意である、請求項1に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項3】
前記ステップワイズ回帰において使用される前記スペクトロスコピーピーク値が、95パーセントの信頼度において有意である、請求項1又は2に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項4】
前記潤滑油ベースオイルが、工業用オイルの成分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項5】
前記ステップワイズ回帰が、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する、請求項4に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項6】
前記ステップワイズ回帰式が、a−b*P15+c*P17−d*P18+e*(P2+P4+P10)<LN(−30℃におけるスキャンニングブルックフィールド粘度(Scanning Brookfield Viscosity)=30,000)である、請求項5に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項7】
a=11.06;b=2.857;c=0.811;d=3.328及びe=2.966である、請求項6に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項8】
前記潤滑油ベースオイルが、高せん断エンジンオイルの成分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項9】
前記ステップワイズ回帰が、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する、請求項8に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項10】
前記ステップワイズ回帰式が、a+b*P17+c*P118−d*P15+e*(P2+P4+P10)−f*(P1+P5)<LN(−25℃におけるコールドクランキングシミュレーター粘度(Cold Cranking Simulator Viscosity)=7,000)である、請求項9に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項11】
a=9.093;b=0.4957;c=2.842;d=1.850;e=2.094及びf=1.964である、請求項10に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項12】
前記低温特性が、ミニロータリー粘度計粘度(Mini Rotary Viscometer viscosity)(ASTM D4684)によって決定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項13】
前記ステップワイズ回帰が、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する、請求項12に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項14】
前記ステップワイズ回帰式が、a−b*P18+c*(P2+P4)<LN(−30℃におけるミニロータリー粘度(Mini Rotary Viscosity)=40,000)である、請求項13に記載の潤滑油ベースオイル。
【請求項15】
許容できる低温性能を有する候補潤滑油ベースオイル又はその混合物を選択する方法であって、
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価することと;
前記試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた前記炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を実行することと;
前記選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意であることが見出された前記炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択することと;
回帰方程式に基づいて候補潤滑油ベースオイルを選択することと
を含んでなる方法。
【請求項16】
潤滑油ベースオイルをブレンドするオンライン法であって、
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価することと;
前記試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた前記炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を実行することと;
前記選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意であることが見出された前記炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択することと;
第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分の前記炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値をオンラインでモニターすることと;
少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分の前記炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値をオンラインでモニターすることと;
前記第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分及び前記少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分の最適なブレンド比を数学的に決定することと;
前記最適なブレンド比に従って、前記第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分及び前記少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分をブレンドして、潤滑油ベースオイルを形成することと
を含んでなる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本開示は、概して、潤滑油ベースオイル(又は潤滑ベースオイル又はルブリケーティング・ベース・オイル(lubricating base oils))、潤滑油ベースオイルの選択のプロセス及び潤滑油組成物(又は潤滑組成物又はルブリケーティング・オイル・コンポジション(lubricating oil composition))に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
潤滑油の分野において、流動点降下剤などの添加剤は、従来から、潤滑油の低温粘度特徴などの特性を改善するために、高度に精製された鉱油を含む潤滑油ベースオイルに添加されてきた。高粘度指数のベースオイルを製造するための既知の方法としては、天然又は合成直鎖パラフィンを含有する供給原料ストックオイルに水素化分解又はヒドロ異性化による潤滑油ベースオイル精製を受けさせる方法が含まれる。
【0003】
潤滑油ベースオイル及び潤滑油の低温粘度特徴に関して評価される特性は、一般に、流動点、曇り点及び凝固点である。それらの直鎖パラフィン又はイソパラフィン含有量によって、潤滑油ベースオイルに対する低温粘度特徴を評価するための方法も知られている。
【0004】
内燃機関、ギアボックス及び他の機械デバイスにおいて潤滑油を使用する目的は、そのようなデバイスにおいてより滑らかな作用を生じることである。内燃機関潤滑油(エンジンオイル)は、特に内燃機関の高性能、高アウトプット及び過酷な操作条件下で高い性能を示さなければならない。したがって、通常、そのような性能要求を満たすために、抗摩耗剤、金属ベース清浄剤、無灰分散剤及び酸化防止剤などの種々の添加剤がエンジンオイルに添加される。
【0005】
仕上げ潤滑油の性能は、ベースオイルのパラメーター及び組成に有意に影響を受ける。示される通り、仕上げ潤滑油の重要な性能パラメーターの1つは、低温特性、すなわち、異なる製品用途に対する様々なせん断環境において経験される粘度である。これらの粘度は、しばしば、試験の性質及び配合物中のワックス成分の比較的低濃度の両方によって影響を受ける。加えて、多くの潤滑油は、残渣ワックスの量及び特性が非常に様々である、グループII及びグループIII及びPAOなどの非常に様々な種類のベースストックと配合される。
【0006】
粘度指数(VI)及び流動点は、ベースオイルの製造規格及び/又は製品規格として典型的に使用される重要な潤滑油及び工業用オイル品質である。少量(<1ml)のベースオイル試料を使用して急速に(数時間で)VI及び流動点を推定することが必要であり、且つ潤滑油製造プロセスを含むプロセスの設計、選択及び最適化、並びにグループI、II及びII+、III、III+、IV、及び最適なVI及び流動点のための所望の異性体構造を有する他の関連イソパラフィンベースストックを製造するための触媒のためのガイドラインを提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのようなものとして、混合ベースストックシステム及び個別のベースストックを利用する、広範囲の低温特性を満たすベースストックのための許容できる組成物を定義する方法が必要とされている。この方法は、広範囲の製品を満たす許容できる組成物を定義し得、急速且つ容易に適格とされ得る広範囲の製品をもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
一態様において、仕上げ潤滑油(又はフィニッシュ・ルブリカント(finished lubricant))が提供される。仕上げ潤滑油は、炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーピーク値におけるデータ分析(又はデータ・アナリティクス(data analytics))/機械学習技術(又はマシーン・ラーニング・テクニック(machine learning technique))を使用して決定される低温特性(LTP)を有する潤滑油ベースオイルを含んでなる。
【0009】
いくつかの実施形態において、データ分析/機械学習技術は、ステップワイズ回帰、ベイズ(Bayesian)回帰、ラッソ/リッジ(LASSO/Ridge)回帰、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、ディープラーニング技術などを含んでなる。
【0010】
いくつかの実施形態において、データ分析/機械学習技術は、ステップワイズ回帰を含んでなり、そしてステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値は、90パーセントの信頼度において有意(又は顕著)である。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値は、95パーセントの信頼度において有意(又は顕著)である。
【0011】
いくつかの実施形態において、仕上げ潤滑油は工業用オイルである。
【0012】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。
【0013】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a−b
*P15+c
*P17−d
*P18+e
*(P2+P4+P10)<LN(−30℃におけるスキャンニングブルックフィールド粘度(Scanning Brookfield Viscosity)=30,000)である[又はa−b×P15+c×P17−d×P18+e×(P2+P4+P10)<LN]。いくつかの実施形態において、a=11.06;b=2.857;c=0.811;d=3.328及びe=2.966である。
【0014】
いくつかの実施形態において、仕上げ潤滑油は、高せん断下での操作に適切なエンジンオイルである。
【0015】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。
【0016】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a+b
*P17+c
*P118−d
*P15+e
*(P2+P4+P10)−f
*(P1+P5)<LN(−25℃におけるコールドクランキングシミュレーター粘度(Cold Cranking Simulator Viscosity)=7,000)である[又はa+b×P17+c×P118−d×P15+e×(P2+P4+P10)−f×(P1+P5)<LN]。いくつかの実施形態において、a=9.093;b=0.4957;c=2.842;d=1.850;e=2.094及びf=1.964である。
【0017】
いくつかの実施形態において、低温特性は、ミニロータリー粘度計粘度(Mini Rotary Viscometer viscosity)、ASTM D4684である。
【0018】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a−b
*P18+c
*(P2+P4)<LN(−30℃におけるミニロータリー粘度(Mini Rotary Viscosity)=40,000)である[又はa−b×P18+c×(P2+P4)<LN]。いくつかの実施形態において、a=12.18;b=4.16;及びc=3.24である。
【0019】
さらなる態様において、許容できる低温性能を有する候補潤滑油ベースオイル又はその混合物を選択する方法が提供される。この方法は、
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価すること(または工程)と;
試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値においてデータ分析/機械学習技術を実行すること(または工程)と;
選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意(又は顕著)であることが見出された炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択すること(または工程)と;
データ分析/機械学習技術に基づいて候補潤滑油ベースオイルを選択すること(または工程)と
を含んでなる。
【0020】
いくつかの実施形態において、潤滑油ベースオイルは、高せん断エンジンオイルを配合するために使用される。
【0021】
いくつかの実施形態において、試料のセットは、グループII、III及びIVベースオイルなどのイソパラフィン含有ベースオイルを含む。
【0022】
さらなる態様において、炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を使用して決定された低温特性を有する潤滑油ベースオイルが提供される。
【0023】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰において使用されたスペクトロスコピーピーク値は、90パーセントの信頼度において有意(又は顕著)である。
【0024】
いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰において使用されたスペクトロスコピーピーク値は、95パーセントの信頼度において有意(又は顕著)である。
【0025】
なお、さらなる態様において、潤滑油ベースオイルをブレンドするオンライン法が提供される。この方法は、
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価すること(または工程)と;
試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値においてデータ分析/機械学習技術を実行すること(または工程)と;
選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意(又は顕著)であることが見出された炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択すること(または工程)と;
第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分の炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値をオンラインでモニター(又はモニタリング)すること(または工程)と;
少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分の炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値をオンラインでモニター(又はモニタリング)すること(または工程)と;
第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分及び少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分の最適なブレンド比を数学的に決定すること(または工程)と;
最適なブレンド比に従って、第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分及び少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分をブレンドして、潤滑油ベースオイルを形成すること(または工程)と
を含んでなる。
【0026】
いくつかの実施形態において、異なる粘度ベースオイルを使用することが望ましくなり得る。そのような実施形態において、関数方程式(又はファンクショナル・エクエーション(functional equations))は、APIグループIVベースストック、特に4、6及び8cSt PAOなどの周知の標準と比較して作成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、異なる粘度に対する他の適切な技術の比率を使用することができる。例えば、低温特性予測のいずれかに関して、次の形式の方程式を使用することができるであろう:予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2
*予測LTP粘度(PAO)[又は予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2×予測LTP粘度(PAO)]。ここで、PAOの粘度は、参照の適切な粘度である。
【0028】
いくつかの実施形態において、PAOの参照粘度範囲は、100℃において2〜150cStに及び得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、方程式の形式は、予想される非直線性(又はノン・リニアリティ(non-linearities))を理解するために、より複雑であり得る。一例としては:予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2
*F(29cSt/kV40)
*予測LTP粘度(PAO)[又は予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2×F(29cSt/kV40)×予測LTP粘度(PAO)]であり得る。ここで、F(引数(又はアーギュメント(argument)))は、線形形式(又はリニア形式(linear form))であることが可能であるか、または指数(又はエクスポネンシャル(exponential))、対数(又はロガリズム(logarithmic))もしくはべき乗則(又は指数則(power law))であることが可能な関数(又はファンクション(function))であることが可能である。
【0030】
本開示は、種々の修正及び代わりの形態も可能であり、その特定の模範的な実施は図面に示され、且つ本明細書中に詳細に記載される。しかしながら、特定の模範的な実施の本明細書中の記載は、本開示を本明細書に開示された特定の形態に限定するように意図されないことは理解されるべきである。本開示は、添付の請求項によって定義されるように、全ての修正及び等価物を包含する。図面は必ずしも一定の比例に合っておらず、代わりに、本発明の模範的な実施形態の原理を明らかに例示するために強調されていることも理解されるべきである。さらに、そのような原理を視覚的に表すことを補助するために、特定の寸法が誇張されていてもよい。さらに、適切であると考えられる場合は、対応するか、又は類似する要素を示すために図面の間で参照番号が繰り返されてもよい。さらに、図面中で別個又は個別に示される2つ以上のブロック又は要素が単一機能ブロック又は要素として組み合わされてもよい。同様に、図面中に示される単一ブロック又は要素は、複数のステップとして、又は協力作用の複数の要素によって実施されてもよい。本明細書中に開示される形態は、例として、そして限定としてではなく、同様の参照番号が同様の要素を意味する添付の図面中で例証される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、化学シフトが脂肪族異性体構造に対応するベースオイル試料の13C−NMRスペクトルを示す。
【
図2】
図2は、方程式:VI=163.21−23.94
*P10+16.167
*P17−36.9
*P18−5.399
*P24−61.46
*LOG(KV100)+63.97
*(P1+P5)−132.3
*(P2+P4)を使用して13C−NMR分析から予測されたVIパリティプロットを示す。
【
図3】
図3は、方程式:流動点(℃)=−20.26−10.21 P15+2.999 P17を使用して13C−NMR分析から予測された流動点パリティプロットを示す。
【
図4】
図4は、工業用グリースオイル(高性能)のスキャンニングブルックフィールド(Scanning Brookfield)を示す。LN(−30℃におけるスキャンニングブルックフィールド粘度(Scanning Brookfield Visc))=11.06−2.857
*P15+0.811
*P17−3.328
*P18+2.966
*(P2+P4+P10)。
【
図5】
図5は、10W−40 PCMOエンジンオイルCCSパリティプロットを示す。LN(−25℃におけるCCS)=9.093+0.4957
*P17−2.842
*P18−1.850
*P15+2.094
*(P2+P4+P10)−1.964
*(P1+P5)。
【
図6】
図6は、−30℃における10W−40 PCMOエンジンオイルMRVプロットを示す。LN(−30℃におけるMRV)=12.18−4.16
*P18+3.24
*(P2+P4)。
【
図7】
図7は、本開示に従う関係を示す、個別のNMRピークに対する回帰プロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(詳細な説明)
専門用語
本明細書中で使用される用語及び句は、当業者によるそれらの用語及び句の理解と一致する意味を有するものとして理解及び解釈されるべきである。用語又は句の特別ではない定義、すなわち、当業者によって理解される通常且つ習慣的な意味とは異なる定義は、本明細書の用語又は句の整合性のある使用によって意味されるように意図される。用語又は句が特別な意味、すなわち、当業者によって理解される最も広範囲の意味以外の意味を有するように意図される範囲まで、そのような特別又は明白な定義は、用語又は句に特別又は明白な定義を提供する定義様式で明細書において特別に明らかにされるであろう。
【0033】
例えば、次の議論には、本開示において使用されるいくつかの特別な用語の定義の網羅的ではないリストが含まれる(本明細書中の他の定義様式で他の用語が定義又は明白にされてもよい)。これらの定義は、本明細書中で使用される用語の意味を明白にするように意図される。用語はそれらの通常の意味と一致する様式で使用されるが、それにもかかわらず、定義は明快さのために本明細書中で明示されると考えられる。
【0034】
1つの(a)/1つの(an):本明細書中で使用される冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、明細書及び請求項において記載される本発明の実施形態及び実施においていずれかの特徴に適用される場合、1つ又はそれ以上を意味する。そのような制限が特に明記されない限り、「1つの(a)」及び「1つの(an)」の使用は単数形を意味するものとして限定されない。「1つの(a)」又は「1つの(an)」実体という用語は、その実体の1つ又はそれ以上を意味する。そのようなものとして、「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1又はそれ以上」及び「少なくとも1」という用語は、本明細書中、互換的に使用可能である。
【0035】
約:本明細書で使用される場合、「約」は、識別された特定の特性に関して典型的な実験誤差に基づく偏差度を意味する。「約」という用語によって提供される寛容度は、特定の状況及び特定の特性次第であり、且つ当業者は容易に認識することができる。「約」という用語は、さもなければ特定の値を与え得る等価度を拡大するか、又は制限するように意図されない。さらに、他に記載されない限り、「約」という用語は、範囲及び数値データに関する以下の議論と一致して、「正確に」を特別に含むであろう。
【0036】
上/下:本発明の代表的な実施形態の次の記載において、「上」、「下」、「より高い」、「より低い」などの方向を示す用語が、添付の図面の参照において便宜上使用される。一般に、「上」、「より高い」、「上方」及び同類用語は、坑井に沿って地表に向かう方向を意味し、そして「下」、「より低い」、「下方」及び同類用語は、坑井に沿って地表から離れる方向を意味する。坑井における相対的な方向の例に続いて、「より高い」及び「より低い」は、垂直及び水平な坑井の両方の記載においてなど、表面に対するよりもむしろ坑井の長手方向寸法に沿っての相対位置も意味し得る。
【0037】
及び/又は:第1の実体及び第2の実体の間に配置された「及び/又は」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、並びに(3)第1の実体及び第2の実体の1つを意味する。「及び/又は」でリストされた複数の要素は同一様式で解釈されるべきであり、すなわち、「1つ又はそれ以上」の要素が結合される。特に識別されたそれらの要素と関連するか、又は非関連であるかにかかわらず、「及び/又は」節によって特に識別された要素以外の他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への参照は、「含んでなる」などの非制限的な言語と関連して使用される場合、一実施形態において、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を意味し;別の実施形態において、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を意味し;さらに別の実施形態において、A及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を意味し得る。本明細書及び請求項において使用される場合、「又は」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を有するものとして理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的、すなわち、要素の数又はリストの少なくとも1の包含であるが、同じく2以上を含み、且つ任意選択的に追加の未記載の項目も含むものであるとして解釈されるべきである。「1のみ」又は「正確に1」又は請求項で使用される場合、「からなる」などのそれとは反対であると明らかに示された用語のみ、要素の数又はリストの正確に1つの要素の包含を意味するであろう。一般に、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、「いずれか」、「1」、「1のみ」又は「正確に1」などの排他性の用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、「両方ではなく、1又は他」)を示しているものとしてのみ解釈されるべきである。
【0038】
いずれか:「いずれか」という形容詞は、量にかかわらず無差別に1、いくつか、又は全てを意味する。
【0039】
少なくとも:本明細書中、明細書及び請求項において使用される場合、1又はそれ以上の要素のリストへの参照における「少なくとも1」という句は、要素のリスト中の要素のいずれか1又はそれ以上から選択されるが、要素のリスト内に特にリストされたそれぞれ及び全ての要素の少なくとも1を必ずしも含まず、且つ要素のリストの要素のいずれかの組合せを排除しない、少なくとも1つの要素を意味するものとして理解されるべきである。この定義は、特に識別されたそれらの要素と関連するか、又は非関連であるかにかかわらず、「少なくとも1」という句が参照する要素のリスト内に特に識別された要素以外の他の要素が任意選択的に存在し得ることも可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1」(又は同等に、「A又はBの少なくとも1」、又は同等に、「A及び/又はBの少なくとも1」)は、一実施形態において、任意選択的に1より多くを含む少なくとも1のAであり、Bが存在しない(そして任意選択的にB以外の要素を含む)ことを意味し;別の実施形態において、任意選択的に1より多くを含む少なくとも1のBであり、Aが存在しない(そして任意選択的にA以外の要素を含む)ことを意味し;さらに別の実施形態において、任意選択的に1より多くを含む少なくとも1のA及び任意選択的に1より多くを含む少なくとも1のBである(そして任意選択的に他の要素を含む)ことを意味し得る。「少なくとも1」、「1又はそれ以上」及び「及び/又は」という句は、操作において接続的及び離接的の両方である非制限的な表現である。例えば、「A、B及びCの少なくとも1」、「A、B又はCの少なくとも1」、「A、B及びCの1又はそれ以上」、「A、B又はCの1又はそれ以上」、及び「A、B及び/又はC」という表現のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、A及びBが一緒、A及びCが一緒、B及びCが一緒、又はA、B及びCが一緒であることを意味する。
【0040】
基づく:「基づく」は、特に指定されない限り、「のみ基づく」を意味しない。換言すれば、「基づく」という句は、「のみ基づく」、「少なくとも基づく」及び「少なくとも一部において基づく」の全てを意味する。
【0041】
含んでなる:請求項、並びに明細書中、「含んでなる」、「含む」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」などの全ての移行句は、非制限的、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解される。「からなる」及び「から本質的になる」という移行句のみ、それぞれ制限的又は半制限的移行句であり、これは、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03から明らかである。
【0042】
決定する:「決定する」は、多種多様な作用を包含し、したがって、「決定する」には、計算、コンピュータ処理、プロセッシング、誘導、研究、調査(例えば、表、データベース、又は別のデータ構造における調査)、確認などを含むことができる。また「決定する」は、受信(例えば、受信インフォメーション)、アクセス(例えば、メモリのデータにアクセスする)なども含むことができる。また「決定する」は、解決、選択、選別、確定なども含むことができる。
【0043】
実施形態:明細書を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一態様」、「態様」、「いくつかの態様」、「いくつかの実施」、「一実施」、「実施」又は類似の構成への参照は、実施形態、態様又は実施に関連して記載される特定の成分、特徴、構造、方法又は特性が、主張された対象の少なくとも1つの実施形態及び/又は実施に含まれることを意味する。したがって、明細書全体での様々な場所での「一実施形態において」又は「実施形態において」又は「いくつかの実施形態において」(又は「態様」若しくは「実施」)という句の出現は、必ずしも全て同一実施形態及び/又は実施を参照していない。さらに、特定の特徴、構造、方法又は特性は、1又はそれ以上の実施形態又は実施においていずれかの適切な様式で組み合わせられてもよい。
【0044】
模範的:「模範的」は、本明細書中、「例、実例又は具体例として機能する
こと」を意味するために排他的に使用される。本明細書中、「模範的である」と記載されたいずれの実施形態が、他の実施形態以上に好ましいか、又は有利であると解釈される必要はない。
【0045】
よい、なり得る:「よい、なり得る」という用語は、本願を通して、寛容の意味で使用され(すなわち、可能性を有し、それが可能であること)、強制的な意味(すなわち、不可欠)ではないことに留意されたい。
【0046】
操作的に接続及び/又は連結する:操作的に接続及び/又は連結するとは、情報、力、エネルギー又は物体を伝達又は伝導するために直接的に、又は間接的に接続されたことを意味する。
【0047】
最適化する:「最適」、「最適化」、「最適化する」、「最適性」、「最適化」という用語(並びにそれらの用語の派生語及び他の形態、並びに言語学的に関連する用語及び句)は、本明細書で使用される場合、本発明に最良の解決策を見出すこと、又は最良の決定をすることを要求するという意味で制限するように意図されない。数学的に最適な解決策が実際に全ての数学的に利用可能な可能性の最良に達し得るが、最適化手順、方法、モデル及びプロセスの実世界実施形態は、実際に完璧を達成せずにそのようなゴールに向かって作用し得る。したがって、本開示の利益を有する当業者は、これらの用語が、本発明の範囲に関連して、より一般的であることを理解するであろう。この用語は、1)最も利用可能な解決策、好ましい解決策、又は広範囲の制約内で特定の利益を提供する解決策であり得る解決策に作用すること;2)絶えず改善すること;3)精製;4)目標に対する高い点又は最大を探索すること;5)損失関数を減少するように加工すること;6)1つ又はそれ以上の他の要素を最大化、最小化、又は制御することにおける対立する及び/又は協力する利害関係に関する1つ又はそれ以上の要素を最大化することを求めることなどの1つ又はそれ以上を記載し得る。
【0048】
ステップの順序:明らかにそれと反対に示されない限り、二つ以上のステップ又は作用を含む本明細書において主張されるいずれかの方法において、方法のステップ又は作用の順序は、必ずしも方法のステップ又は作用が記載される順序に制限されないことも理解されるべきである。
【0049】
範囲:濃度、寸法、量及び他の数値データは、範囲の形態で本明細書中に提供され得る。そのような範囲形態は単に便利性及び簡略化のために使用され、そして範囲の限界として明示的に列挙された数値を含むのみならず、それぞれの数値及び部分範囲が明示的に列挙されるように、範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきである。例えば、約1〜約200の範囲は、1及び約200の明示的に列挙された限界を含むのみならず、2、3、4などの個々の数値及び10〜50、20〜100などの部分範囲も含むものとして解釈されるべきである。同様に、数値範囲が提供される場合、そのような範囲は、範囲の下限値のみを列挙する請求項の限界並びに範囲の上限値のみを列挙する請求項の限界に関する文字上の支持を提供すると解釈されることは理解されるべきである。例えば、10〜100の開示された数値的範囲は、(上限なしで)「10より大きい」を列挙する請求項及び(下限なしで)「100未満」を列挙する請求項に関する文字上の支持を提供する。
【0050】
(説明)
ここで、例として特定の形態をさらに記載する。次の例は、本明細書に開示された対象の特定の形態を示すが、それらはその範囲に限定されるものとして解釈されず、むしろ、完全な記載に貢献するものとして解釈される。
【0051】
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーピーク値においてデータ分析/機械学習技術を使用して決定された低温特性を有する、潤滑油ベースオイル及び仕上げ潤滑油が本明細書に開示される。本開示は、許容できる低温性能を有する候補潤滑油ベースオイル又はその混合物を選択する方法も提供する。この方法は、炭素−13NMRスペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価することと;試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値においてデータ分析/機械学習技術を実行することと;選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意であることが見出された炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択することと;データ分析/機械学習技術に基づいて候補潤滑油ベースオイルを選択することとを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、データ分析/機械学習技術は、ステップワイズ回帰、ベイズ(Bayesian)回帰、ラッソ/リッジ(LASSO/Ridge)回帰、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、ディープラーニング技術などを含んでなる。いくつかの実施形態において、データ分析/機械学習技術は、ステップワイズ回帰を含んでなる。
【0053】
ベースオイルの粘度指数(VI)及び流動点は、典型的に粘度計及び流動点試験装置を使用して測定される。この装置は、大きい試料径(約50ml)を必要とし、そして構造及びVI及び流動点の間の良好な相互関係をもたらさない。
【0054】
適切な低温特性を有する候補潤滑油ベースオイル及び仕上げ潤滑油を選択するために炭素−13核磁気共鳴スペクトロスコピー(NMR)を使用する方法が本明細書に開示される。炭素−13NMRは、生物学的又は合成溶液又は複合材の分子の構造、種々の分子の相互作用、分子の動力学又は力学及び混合物の組成を調査するために頻繁に使用される。分析された分子の大きさは、小さい有機分子又は代謝物から、中程度の大きさのペプチド又は天然物まで、さらには分子量が数十kDaのたんぱく質まで及ぶことが可能である。
【0055】
炭素−13NMRスペクトロメーターは、磁石、試料プローブ、発信器及び受信器、並びに計測器制御のためのコンピュータ及び結果のディスプレーから構成される。NMRスペクトロスコピーで使用される磁石は、主に、それを超伝導にするためにワイヤーコイルが液体ヘリウム中に浸漬される超伝導ソレノイドシステムである。電流はコイルを通過し、そして電流の大きさに比例して静磁場を生じる。磁石は、磁界及び試料プローブコイルにおける欠陥を埋め合わせるためのシムコイルを有する開放孔部を有する。重水素化溶媒による液体試料をこのコイル中に配置する。
【0056】
一連の高出力高周波(RF)発信器チャネルは、強いRFパルスの使用によって平衡から核スピン分布に混乱を与えるためにも必要である。発信器は、RF源、実験の間のパルス相を決定するための位相変調器、振幅制御器及び最高数百ワットまでのパルスが可能である固体状態増幅部を含んでなる。励振パルスは、この軸の周囲での処理が続くが、磁界軸に平行なその平衡配向から正味の核磁化に傾く。歳差は、観察された核の共鳴周波数に調整されるプローブコイルにおける電圧を誘導する。送信機の1つは、重水素化溶媒中の2H核の検出の専用であり、且つ磁界を安定させ、そして界の均質性の調整を可能にするために使用される(ロックチャネルとして知られている)チャネルの一部である。観察及びロックチャネルの両方に関して、ハイファイの前置増幅器及び受信器が使用されて、信号を増幅及び検出し、次いで、それをアナログ−デジタル変換器(ADC)及びノイズフィルターシステムに送り、その後、自由誘導減衰(FID)信号としてコンピュータ上で貯蔵されたデータファイルにそれを変換する。コンピュータのソフトウェアによってFID信号のフーリエ変換を実行し、時間ベースデータを解釈のために周波数スペクトルに変換する。本明細書に開示される方法の実施において有用性を有する適切なNMRシステムは、Peabody,MAのJEOL USA,Inc.及び他の供給源から入手可能である。
【0057】
炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰の実行において、適切なピークは積分によって数量化され得、次いでP3ピークに標準化され得る。これは、もちろん、NMRスペクトルの区域全体での全体的な積分とは異なる。当業者によって理解されるように、P3ピークを使用することは、分子の末端のみを数え、そしてベースストック及び仕上げ潤滑油に関して研究される分子はより複雑であり、いくつかの末端は環などを有する。もちろん、より伝統的な積分方法は本開示の実施において有用性を有し得る。
【0058】
示されるように、ベースストック及び仕上げ製品性能に重要なパラメーターは低温必要条件を含み、並びにVI及び流動点は重要な品質である、且つ典型的に種々のグループのベースオイルの製造仕様及び/又は製品仕様として使用される。構造−特性関連性の定量的な知識並びにVI及び流動点の正確な予測によって、最適なVI及び流動点に関して所望の異性体構造を有するグループI、II及びII+ベースオイルを製造するためのプロセス及び触媒の適切な設計、選択及び最適化が可能となる。
【0059】
ここで、
図1を参照すると、脂肪族異性体構造に相当する化学シフトを有するベースオイル試料の13C−NMRスペクトルである。70以上の試料が分析された。試料セットは、脱蝋蒸留物、並びにグループI、II及びII+ベースオイルから構成される。13C−NMRスペクトロメーターシステムによって使用される手順は、Fuel,88,2199−2206(2009)に記載の手順であった。
図1及び以下の表1に示される詳細な異性体構造は、Fuel,88,2199−2206(2009)に発表された上記手順を使用して得られた13C−NMRスペクトルから決定された。
【0061】
バックワードステップワイズ回帰分析を使用して、13C−NMR分析データを使用して仕上げ潤滑油性能並びにVI及び流動点を予測するための方程式を確立した。
図2〜6に示されるように、誘導された相互関係は、正当な予測精度を実証して、そして試料のVI及び流動点を推定するための優れた能力を提供した。詳細に相互関係方程式を試験することによって、異性体構造及びベースオイルVI及び流動点の間の関連性を支配する次の原則がもたらされた:末端分岐(P2+P4)はVIを減少させ、CCS及びブルックフィールド粘度を増加させる(全曲線を含むASTM D5133);より高い芳香族(Ar)はVIを減少させる;より高い粘度(kv100)は、より低いVIをもたらす;不断CH2部分(ピーク17、遊離炭素)はVIを増加させるが、流動点、CCS及びブルックフィールド粘度も増加させる;一様分布を有するより多くの分岐(より高いピーク15及びより低いピーク17)は、流動点、CCS及びブルックフィールド粘度を減少させる。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値は、90パーセントの信頼度において有意である。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値は、95パーセントの信頼度において有意である。
【0062】
いくつかの実施形態において、仕上げ潤滑油は工業用オイルである。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a−b
*P15+c
*P17−d
*P18+e
*(P2+P4+P10)<LN)(−30℃におけるスキャンニングブルックフィールド粘度(Scanning Brookfield Viscosity)=30,000)である[又はa−b×P15+c×P17−d×P18+e×(P2+P4+P10)<LN]。いくつかの実施形態において、a=11.06;b=2.857;c=0.811;d=3.328及びe=2.966である。
【0063】
いくつかの実施形態において、仕上げ潤滑油は、高せん断エンジンオイルである。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a+b
*P17+c
*P118−d
*P15+e
*(P2+P4+P10)−f
*(P1+P5)<LN(−25℃におけるコールドクランキングシミュレーター粘度(Cold Cranking Simulator Viscosity)=7,000)である[又はa+b×P17+c×P118−d×P15+e×(P2+P4+P10)−f×(P1+P5)<LN]。いくつかの実施形態において、a=9.093;b=0.4957;c=2.842;d=1.850;e=2.094及びf=1.964である。
【0064】
いくつかの実施形態において、低温特性は、ミニロータリー粘度計(Mini Rotary Viscometer)粘度である。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a−b
*P18+c
*(P2+P4)<LN(−30℃におけるミニロータリー粘度(Mini Rotary Viscosity)=40,000)である[又はa−b×P18+c×(P2+P4)<LN]。いくつかの実施形態において、a=12.18;b=4.16;及びc=3.24である。
【0065】
図7に示されるように、いくつかの結果はより単純な方程式に従うが、NMRピーク及び値の完全範囲が有効な相互関係のために必要とされることが見出された。
【0066】
ベースストック加工
本明細書で得られた原理に基づくベースストック加工に関して、高いVI及び低い流動点/低いスキャニングブルックフィールド粘度/低いCCS(ASTM D5293)及びMRV(ASTM D4684)を有する理想的な異性体構造は次の特徴を有するべきである:最小末端分岐;適切な数の内部分岐;及び短いε炭素を有する。
【0067】
この構造−特性関連性は、最適なベースオイル性能に関して特定の異性体構造を有する炭化水素を設計及び/又は製造するために有用である。一例として、ZSM48は、ランダム分布を有する分岐を生じる傾向があり、したがって、ベースストックを製造するために望ましい触媒であるが、ZSM22及びZSM23は、より多くの末端分岐を生じ、そしてベースストックを製造するためにはあまり理想的ではない触媒である。
【0068】
ベースストック配合物
エンジンオイル及び工業用オイルの両方を包含する種々の仕上げ製品ブレンドが製造された。
【0069】
使用されるベースストックは、商用のGpII、III及びIVベースオイルを含み、そして(4〜11cSt)の範囲の粘度を有した。ブレンドのために、ベースストックを非常に狭い範囲の粘度、すなわち、10W−40エンジンオイルに関しては100℃において5.5cSt、そして工業用オイルの部分に関しては40℃において約29cStまでブレンドした。エンジンオイル及び工業用オイルの両方のための他の全ての成分は一定とした。エンジンオイルは、10w−40高性能PVLエンジンオイル中で広範囲のベースストックを使用した。使用されたベースストックは、配合物中の主要ベースストックであった。工業用オイルは、種々のベースオイルの適切な量のみを使用して、非常に高い性能のために設計された粘度グレードを有する広範囲のベースストックを使用した。
【0070】
組成に基づき、要求が厳しい低温必要条件を満たすように一連のベースストックが製造されたか、又は定義された。
【0071】
一例として、それぞれ、工業用オイル及びエンジンオイルにおけるグループIIのVI(80〜120)、並びにスキャニングブルックフィールド及びMRV必要条件を満たすNMRスペクトルは以下の表2に示す通りである。
【0073】
上記で示されるように、許容できる低温性能を有する候補潤滑油ベースオイル又はその混合物を選択する方法が本明細書において開示される。この方法は、炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価することと;試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を実行することと;選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意であることが見出された炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択することと;回帰方程式に基づいて候補潤滑油ベースオイルを選択することとを含む。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値は、95パーセントの信頼度において有意である。
【0074】
いくつかの実施形態において、潤滑油ベースオイルは、工業用オイルを配合するために使用される。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a−b
*P15+c
*P17−d
*P18+e
*(P2+P4+P10)<LN)(−30℃におけるスキャンニングブルックフィールド粘度(Scanning Brookfield Viscosity)=30,000)である[又はa−b×P15+c×P17−d×P18+e×(P2+P4+P10)<LN]。いくつかの実施形態において、a=11.06;b=2.857;c=0.811;d=3.328及びe=2.966である。
【0075】
いくつかの実施形態において、潤滑油ベースオイルは、高せん断エンジンオイルを配合するために使用される。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a+b
*P17+c
*P18−d
*P15+e
*(P2+P4+P10)−f
*(P1+P5)<LN(−25℃におけるコールドクランキングシミュレーター粘度(Cold Cranking Simulator Viscosity)=7,000)である[又はa+b×P17+c×P18−d×P15+e×(P2+P4+P10)−f×(P1+P5)<LN]。いくつかの実施形態において、a=9.093;b=0.4957;c=2.842;d=1.850;e=2.094及びf=1.964である。
【0076】
いくつかの実施形態において、低温特性は、ミニロータリー粘度計(Mini Rotary Viscometer)粘度である。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰は、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する。いくつかの実施形態において、ステップワイズ回帰式は、a−b
*P18+c
*(P2+P4)<LN(−30℃におけるミニロータリー粘度(Mini Rotary Viscosity)=40,000)である[又はa−b×P18+c×(P2+P4)<LN]。いくつかの実施形態において、a=12.18;b=4.16;及びc=3.24である。
【0077】
いくつかの実施形態において、試料のセットは、グループII、III及びIVベースオイルを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、異なる粘度ベースオイルを使用することが望ましくなり得る。そのような実施形態において、関数方程式は、APIグループIVベースストック、特に4、6及び8cSt PAOなどの周知の標準と比較して作成され得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、異なる粘度に対する他の適切な技術の比率を使用することができる。例えば、低温特性予測のいずれかに関して、次の形式の方程式を使用することができるであろう:予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2
*予測LTP粘度(PAO)[又は予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2×予測LTP粘度(PAO)]。ここで、PAOの粘度は、参照の適切な粘度である。
【0080】
いくつかの実施形態において、PAOの参照粘度範囲は、100℃において2〜150cStに及び得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、方程式の形式は、予想される非直線性を理解するために、より複雑であり得る。一例としては:予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2
*F(29cSt/kV40)
*予測LTP粘度(PAO)[又は予測LTP粘度(ベースオイル)<1.2×F(29cSt/kV40)×予測LTP粘度(PAO)]。ここで、F(引数)は、線形形式であることが可能であるか、又は指数、対数若しくはべき乗則であることが可能な関数である。
【実施例】
【0082】
緩和剤として7%のクロム(III)−アセチルアセトネートを添加して、CDCl3中25〜30重量%の試料を調製した。プロトン共鳴周波数が400MHzであるJEOL ECS NMRスペクトロメーター上で13C NMR実験を実施した。定量13C NMR実験は、45°のフリップ角度、パルス間6.6秒、64Kデータポイント及び2400スキャンで逆ゲートデカップリング実験を使用し、27℃において実行した。全てのスペクトルは、0ppmにおけるTMSを参照とした。0.2〜1Hzのスペクトル線幅拡大を用いてスペクトルを処理し、そして手作業の積分の前にてベースライン補正を適用した。
図1及び上記の表1に示されるように、ピークを積分する。Toronto,Ontario,CanadaのAdvanced Chemistry Development Inc.(ACD Labs)からのNMRソフトウェアを使用してマクロを利用し、スペクトルが同様に一貫して積分されることを保証した。
【0083】
本開示によるシステム及び方法のさらなる例示的な、非排他的な実施例を以下の列挙されたパラグラフに示す。次の列挙されたパラグラフに含まれる本明細書に列挙される方法の個々のステップが、列挙された作用を実行する「ためのステップ」として追加的に、又は代わりに参照されてもよいことは本開示の範囲内である。
【0084】
PCT/EP条項(又はクレーム又は請求項):
1
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーピーク値(又はスペクトロスコピー・ピークバリュー(spectroscopy peak values))のステップワイズ回帰(又はステップワイズ・リグレッション(stepwise regression))を使用して決定された低温特性(又は低温プロパティ(low temperature property))を有する潤滑油ベースオイル(又はルブリカント・ベース・オイル(lubricant base oil))。
【0085】
2
ステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値が、90パーセントの信頼度(又はコンフィデンス・レベル(confidence level))において有意(又は顕著(significant))である、条項1に記載の潤滑油ベースオイル。
【0086】
3
ステップワイズ回帰において使用されるスペクトロスコピーピーク値が、95パーセントの信頼度において有意(又は顕著)である、条項1又は2に記載の潤滑油ベースオイル。
【0087】
4
潤滑油ベースオイルが、工業用オイル(又はインダストリアル・オイル(industrial oil))の成分(又はコンポーネント(component))である、条項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油ベースオイル。
【0088】
5
ステップワイズ回帰が、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する、条項4に記載の潤滑油ベースオイル。
【0089】
6
ステップワイズ回帰式(又はステップワイズ・レグレッション・エクエーション(stepwise regression equation))が、a−b
*P15+c
*P17−d
*P18+e
*(P2+P4+P10)<LN(−30℃におけるスキャンニングブルックフィールド粘度(Scanning Brookfield Viscosity)=30,000)である[又はa−b×P15+c×P17−d×P18+e×(P2+P4+P10)<LN]、条項5に記載の潤滑油ベースオイル。
【0090】
7
a=11.06;b=2.857;c=0.811;d=3.328及びe=2.966である、条項6に記載の潤滑油ベースオイル。
【0091】
8
潤滑油ベースオイルが、高せん断エンジンオイル(又はハイ・シヤー・エンジンオイル(high shear engine oil))の成分(又はコンポーネント(component))である、条項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油ベースオイル。
【0092】
9
ステップワイズ回帰が、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する、条項8に記載の潤滑油ベースオイル。
【0093】
10
ステップワイズ回帰式が、a+b
*P17+c
*P118−d
*P15+e
*(P2+P4+P10)−f
*(P1+P5)<LN(−25℃におけるコールドクランキングシミュレーター粘度(Cold Cranking Simulator Viscosity)=7,000)である[又はa+b×P17+c×P118−d×P15+e×(P2+P4+P10)−f×(P1+P5)<LN]、条項9に記載の潤滑油ベースオイル。
【0094】
11
a=9.093;b=0.4957;c=2.842;d=1.850;e=2.094及びf=1.964である、条項10に記載の潤滑油ベースオイル。
【0095】
12
低温特性が、ミニロータリー粘度計粘度(Mini Rotary Viscometer viscosity)(ASTM D4684)によって決定される、条項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油ベースオイル。
【0096】
13
ステップワイズ回帰が、少なくとも3つのスペクトロスコピーピーク値を利用する、条項12に記載の潤滑油ベースオイル。
【0097】
14
ステップワイズ回帰式が、a−b
*P18+c
*(P2+P4)<LN(−30℃におけるミニロータリー粘度(Mini Rotary Viscosity)=40,000)である[又はa−b×P18+c×(P2+P4)<LN]、条項13に記載の潤滑油ベースオイル。
【0098】
15
許容できる低温性能を有する候補潤滑油ベースオイル(又は候補ルブリカント・ベース・オイル(candidate lubricant base oils))又はその混合物を選択する方法であって、
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価すること(又は工程)と;
試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を実行すること(又は工程)と;
選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意(又は顕著(significant))であることが見出された炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択すること(又は工程)と;
回帰方程式(又はレグレッション・エクエーション(regression equation))に基づいて候補潤滑油ベースオイルを選択すること(又は工程)と
を含んでなる方法。
【0099】
16
潤滑油ベースオイルをブレンド(又はブレンディング(blending))するオンライン法(又はオンライン・メソッド(online method))であって、
炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトロスコピーを使用して、それぞれが低温特性を有する試料のセットを評価すること(又は工程)と;
試料のセット及びそれらの低温特性に関して得られた炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値のステップワイズ回帰を実行(又はパフォーミング(performing))すること(又は工程)と;
選択された低温特性に関して少なくとも90%の信頼度において有意(又は顕著)であることが見出された炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値を選択すること(又は工程)と;
第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分の炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値をオンラインでモニター(又はモニタリング(monitoring))すること(又は工程)と;
少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分の炭素−13NMRスペクトロスコピーピーク値をオンライン(online)でモニター(又はモニタリング)すること(又は工程)と;
第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分及び少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分の最適なブレンド比(又はブレンド・レシオ(blend ratio))を数学的に決定すること(又は工程)と;
最適なブレンド比に従って、第1の潤滑油ベースオイルブレンド成分及び少なくとも第2の潤滑油ベースオイルブレンド成分をブレンドして、潤滑油ベースオイルを形成すること(又は工程)と
を含んでなる方法。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本明細書に開示される組成物及び方法は、オイル産業に適用可能である。
【0101】
上記で明らかにされた開示が、独立した有用性を有する複数の別個の発明を包含すると考えられる。これらの発明のそれぞれがその好ましい形態で開示されたが、多数の変形が可能であるため、本明細書に開示及び例証されるようなその特定の実施形態は、限定的な意味で考慮されない。本発明の対象は、本明細書に開示される様々な要素、特徴、機能及び/又は特性の全ての新規且つ非自明の組合せ及び部分組合せを含む。同様に、請求項が「a」又は「第1の」要素又はその同等物を列挙する場合、そのような請求項は、2つ以上のそのような要素を必要とすることも排除することもなく、1つ又はそれ以上のそのような要素の組み込みを含むものとして理解されるべきである。
【0102】
次の請求項が、開示された発明の1つに関連し、且つ新規で非自明である特定の組合せ及び部分組合せに特に関すると考えられる。特徴、機能、要素及び/又は特性の他の組合せ及び部分組合せに包含された発明は、この用途又は関連用途における本請求項の改正又は新規請求項の提示を通して主張されてもよい。そのような改正されたか、又は新規の請求項は、それらが異なる発明に関連するか、又は同一の発明に関連するかどうかにかかわらず、初期の請求項に対する範囲とは異なるか、より広いか、より狭いか、又はそれと等しいかどうかにかかわらず、本開示の本発明の対象内に含まれるものとして見なされる。
【0103】
特定の実施形態を参照することによって、本発明が記載及び例証されてきたが、当業者は、本発明が、本明細書に必ずしも例証されていない変形を与えることを理解するであろう。この理由のため、本発明の真の範囲を決定する目的で、添付の請求項のみが参照されるべきである。
【国際調査報告】