(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-525737(P2020-525737A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(54)【発明の名称】ジョイント
(51)【国際特許分類】
F16D 3/50 20060101AFI20200731BHJP
F16D 3/74 20060101ALI20200731BHJP
【FI】
F16D3/50 Z
F16D3/74 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-572183(P2019-572183)
(86)(22)【出願日】2018年7月4日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月25日
(86)【国際出願番号】DE2018100611
(87)【国際公開番号】WO2019007463
(87)【国際公開日】20190110
(31)【優先権主張番号】102017115050.1
(32)【優先日】2017年7月5日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘプナー,ラインハルト
(57)【要約】
本発明は、少なくとも3回転自由度を有するジョイントであって、剛性キャリア要素と、少なくとも部分的に重なり合った配置でキャリア要素上に形成された少なくとも2つの弾性的に変形可能なジョイント要素とを備え、ジョイント要素の各々は、キャリア要素上に配置され、キャリア要素から延伸する2つの棒状ウェブ部分を備え、2つの棒状ウェブ部分は、互いに対して収束または発散するように配置され、キャリア要素から外方に面している端部において、接触部分を介して互いに接続されており、互いに接続された2つのウェブ部分は、第1の共通面内に延在し、互いに接続された他の2つのウェブ部分は、第2の共通面内に延在し、第1の共通面と第2の共通面は交差する、ジョイントに関する。本発明はさらに、本発明による少なくとも1つのジョイントを備えた平行運動調整装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3回転自由度を有するジョイント(1)であって、剛性キャリア要素(2)と、少なくとも部分的に重なり合った配置で前記キャリア要素上に形成された少なくとも2つの弾性的に変形可能なジョイント要素(3)とを有し、前記ジョイント要素(3)の各々は、前記キャリア要素(2)上に配置され、前記キャリア要素(2)から延伸する2つの棒状ウェブ部分(4)を備え、前記2つの棒状ウェブ部分は、互いに対して収束または発散するように配置され、前記キャリア要素(2)から外方に面している端部(2)において、接触部分(5)を介して互いに接続されており、互いに接続された2つのウェブ部分(4)は、第1の共通面内に延在し、互いに接続された他の前記2つのウェブ部分(4)は、第2の共通面内に延在し、前記第1の共通面と前記第2の共通面は交差する、ジョイント(1)。
【請求項2】
一方の前記ジョイント要素(3)の前記ウェブ部分(4)が、少なくとも、他方の前記ジョイント要素(3)の前記ウェブ部分(4)の間の区画において延伸することを特徴とする、請求項1に記載のジョイント。
【請求項3】
前記接触部分が、関連する前記2つの棒状ウェブ部分(4)と一体に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のジョイント。
【請求項4】
ジョイント要素(3)の2つの前記ウェブ部分(4)が、前記キャリア要素(2)に面する端部において、前記ウェブ部分(4)と一体に形成された締結部分(6)を介して互いに接続され、それぞれの前記ジョイント要素(3)が前記締結部分(6)を介して前記キャリア要素(2)に接続されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のジョイント。
【請求項5】
ジョイント要素(3)の前記ウェブ部分(4)が、前記ウェブ部分の間の角度を60°〜120°の間、好ましくは70°〜95°の間で規定することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のジョイント。
【請求項6】
少なくとも1つの弾性変形可能な支持要素(7)が前記キャリア要素(2)上に配置されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のジョイント。
【請求項7】
前記支持要素(7)が、2つの前記ジョイント要素(3)の間で、前記キャリア要素(2)から外方に面する方向に延伸することを特徴とする、請求項5に記載のジョイント。
【請求項8】
前記ジョイントが、前記キャリア要素(2)上に配置された4つのジョイント要素(3)と、前記キャリア要素(2)上に配置された2つの支持要素(7)とを備え、前記ジョイント要素(3)が、対になって配置され、前記支持要素(7)が、前記キャリア要素(2)の対向して配置されている両端に個別に設けられることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のジョイント。
【請求項9】
固定基部と、前記固定基部に対して調整可能なプラットフォームとを備える平行運動調整装置であって、先行する請求項のいずれか1項に記載の少なくとも1つのジョイントが、前記基部と前記プラットフォームとの間に配置されている、平行運動調整装置。
【請求項10】
前記平行運動調整装置が、6つのジョイントを備え、駆動要素が、各々、それぞれの前記ジョイントを個別に駆動するために、3つのジョイントに配置され、3つの他の前記ジョイントが、前記ジョイントの端部の1つによって共通のガイドプラットフォームに接続されることを特徴とする、請求項9に記載の平行運動調整装置。
【請求項11】
前記共通のガイドプラットフォームに接続されている前記ジョイントが、それぞれの他方の端部によって前記プラットフォームの内側保持部分に接続されていることを特徴とする、請求項10に記載の平行運動調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1〜8に記載のジョイント、および請求項9〜11に記載の少なくとも1つのそのようなジョイントを備えた平行運動調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2014/0147193号は、互いに直角に配置された2つの柔軟なフレーム要素を備えたカルダンジョイントを記載しており、フレーム要素は屈曲ジョイントによって互いに接続されている。
【0003】
DE 10 2014 006 727 B3から、回転軸を中心として旋回可能に配置されており、ばね要素によって互いに接続されている2つの軸受要素を備えた屈曲ジョイントが知られている。当該発明によれば、渦巻き状または螺旋状のばね要素が2つの軸受要素の間に配置される。
【0004】
DE 10 2014 002 182 A1は、ウェブによって互いに接続されている、2対の対向して配置された撓み横ばねを備えた2軸偏向可能モノリシック屈曲ジョイントを教示している。
【0005】
DE 697 03 871 T2は、交差するばね板を備えた可撓性平面旋回ジョイントに関し、ばね板は各々、接続要素と一体に形成されるように構成されている。
【0006】
米国特許出願公開第2011/0188926号は、互いに相対的に移動可能な2つの要素が、交差する環状ウェブ部分によって互いに接続されているジョイントを記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的な従来技術から、ボールヘッドが相補形状ボールソケットに取り付けられたボールジョイントがさらに知られている。このようなボールジョイントにより、3つすべての空間軸を中心とした旋回または回転運動が可能になる。
【0008】
一般的な従来技術から知られているボールジョイントの主な欠点は、ボールジョイントを動かす、すなわち旋回させるまたはねじるために最初に克服しなければならない離脱モーメントの存在である。この離脱モーメントは、静止状態のボールヘッドとボールソケットとの摩擦ペアにおいて、ボールヘッドとボールパンとの間に、ボールヘッドとボールソケットとの間の相対運動において支配的である滑り摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する摩擦が存在するという事実によるものである。したがって、摩擦係数のレジームを達成するためには、静摩擦係数によって実質的に決定される特定の力を最初に克服する必要がある。
【0009】
そのような離脱モーメントは、例えば調整装置の場合にボールジョイントを使用するときに高分解能および高精度の調整動作が実現されるべきである場合、特に不利である。さらに、離脱モーメントは、ボールヘッドとボールソケットとの摩擦ペアの摩耗に悪影響を及ぼす。摩耗が増加すると、位置決め応用形態の位置決め精度が低下し、対応する摩耗粒子がクリーンルーム調整装置などの特定の応用形態においてそれぞれの汚染問題を引き起こす可能性がある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、少なくとも3回転自由度、すなわちボールジョイントの機能を備えたジョイントであって、離脱モーメントが完全にまたはほとんど排除され、同時に、単純で安価に実現することができる、ジョイントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載のジョイントによって満たされ、後続の従属請求項が、少なくとも有利なさらなる発展を記載している。
【0012】
角度、寸法、位置、向きまたは方向などの幾何学的データの仕様の文脈において本明細書の以下の部分全体で使用される「実質的に」という用語は、対応する幾何学的データに、それぞれ指定された幾何学的日付に対して+/−5%の偏差がある可能性があることを意味すると理解されるものとし、この偏差は、例えば製造または組み立ての公差によるものである。
【0013】
本発明によるジョイントは、剛性キャリア要素と、少なくとも部分的に重なり合った配置でキャリア要素上に形成された少なくとも2つの弾性的に変形可能なジョイント要素とを備える。ジョイント要素の各々は、キャリア要素上に配置され、そこから延伸する2つの棒状ウェブ部分を含む。ジョイント要素の2つの棒状ウェブ部分は各々、互いに向かって延伸する、すなわち互いに対して収束するように配置されるように、または、互いから離れるように、すなわち互いに対して発散するように配置されるように延伸する。
【0014】
ジョイント要素の2つのウェブ部分は、キャリア要素から外方に面している端部において、接触部分を介して互いに接続されている。それぞれの接触部分を介して接続された2つのウェブ部分はそれぞれ、第1の共通面内に延在するか、または、第1の共通面を規定し、それぞれの接触部分を介して互いに接続された他の2つのウェブ部分はそれぞれ、第2の共通面内に延在するか、または、第2の共通面を規定し、第1の共通面と第2の共通面は交差する、すなわち、第1の共通面と第2の共通面とは互いに平行に配置されない。
【0015】
一方のジョイント要素のウェブ部分を、少なくとも、他方のジョイント要素のウェブ部分の間の区画において延伸させることが有利であり得る。したがって、2つのジョイント要素のウェブ部分の交差配置は、実現するのが比較的容易である。
【0016】
接触部分を2つの関連する棒状ウェブ部分と一体に形成することも有利であり得る。これにより、ジョイントの部品の削減が達成され、結果、ジョイントの組み立てが単純化され、それぞれより迅速かつ安価に実現することができる。
【0017】
さらに、ジョイント要素の2つのウェブ部分を、キャリア要素に面する端部において、ウェブ部分と一体に形成された締結部分を介して互いに接続し、それぞれのジョイント要素を締結部分を介してキャリア要素に接続することが有利であり得る。これにより、ジョイント要素をキャリア要素に特に容易に取り付けることができる。
【0018】
加えて、ジョイント要素のウェブ部分に、それらの間の角度を60°〜120°の間、好ましくは70°〜95°の間で規定させることが有利であり得る。
【0019】
加えて、少なくとも1つの弾性変形可能なキャリア要素が支持要素上に配置されるようにすることが有利であり得る。この場合、支持要素を、2つのジョイント要素の間で、キャリア要素から外方に面する方向に延伸させることが特に有利である。支持要素の補助によって、ジョイント要素のウェブ部分に引張力を容易に作用させることができ、結果、ジョイントが延伸する方向に、ジョイント要素の予荷重が生じる。
【0020】
加えて、ジョイントが、キャリア要素上に配置された4つのジョイント要素と、キャリア要素上に配置された2つの支持要素とを備えるようにすることが有利であり、ジョイント要素は、キャリア要素の対向して配置されている両端に対になって配置され、支持要素は、キャリア要素の対向して配置されている両端に個別に設けられる。ジョイントのそれぞれの対称構造により、すべての回転自由度に関してほぼ同一の柔軟性がキャリア要素の両側で実現される。
【0021】
本発明はまた、固定基部と、基部に対して調整可能なプラットフォームとを備えた平行運動調整装置に関し、少なくとも1つのジョイントは、基部とプラットフォームとの間に上述のように配置される。
【0022】
現在、6つのジョイントを使用することが特に有利であり、4つのジョイント要素と2つの支持要素が各々、キャリア要素に配置され、各々1つの駆動要素が、対応するジョイントを個別に駆動するために、能動ジョイントを規定する3つのジョイントに配置され、受動ジョイントを規定する他の3つのジョイントが、それらの端部の1つによって共通のガイドプラットフォームに接続される。
【0023】
この場合、共通のガイドプラットフォームに接続されたジョイントを、それぞれの他方の端部によってプラットフォームの内側保持部分に接続することが有利であり得る。
【0024】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるジョイントの実施形態を示す図である。
【
図2】平行運動調整装置における、
図1による本発明のジョイントの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明によるジョイント1の実施形態を示し、アルミニウム製の実質的に剛性のキャリア要素2上に配置されたばね鋼製の合計4つの弾性変形可能なジョイント要素3が存在し、2つのジョイント要素3がキャリア要素2の遠位端に配置され、一方、他の2つのジョイント要素3は、キャリア要素2の反対側の遠位端に配置されている。ジョイント要素はばね鋼から製造されるが、例えば、非磁性であり、本発明によるジョイントが磁場内で使用される場合に使用することができる青銅など、対応する弾性変形能を有する他の材料も、この目的のために等しく想定可能である。ジョイントまたはジョイント要素に非常に小さい偏向のみが与えられる場合、ジョイント要素はセラミック材料から作成することもできる。
【0027】
アルミニウムに加えて、例えば鋼などの他の金属から製造することができ、またはセラミックから製造することもできるキャリア要素は、実質的に長方形の形状を有し、中央領域はより厚く、キャリア要素はその厚さに関して、その両方の遠位端に向かって先細りになっている。
【0028】
キャリア要素3の同じ遠位端に配置された2つのジョイント要素は各々、対応するジョイント要素3のそれぞれの2つのウェブ部分4と一体的にまたは単一部品として形成された締結部分6を有する。締結部分6、したがって対応するジョイント要素3は、2つのねじ8によってキャリア要素2に取り付けられている。はんだ付け、溶接または接着などの他のタイプの接続も想定可能である。加えて、ウェブ部分4を単一部品として形成し、または、キャリア要素2と一体形成する構成と同時に、締結部分6を省くことがさらに想定可能である。
【0029】
それぞれのジョイント要素3は、キャリア要素2の2つの遠位端の各々において、その上面と下面の両方で、締結部分8を介してキャリア要素2に接続される。
【0030】
キャリア要素2の上面に配置された
図1のジョイント要素3によって、2つの棒状の細長い柔軟なウェブ部分4が各々、締結部分6から始まってキャリア要素の外方に面する方向に延伸し、2つのウェブ部分4はそれぞれ、締結部分6の領域内の共通の中心から、互いに反対方向に、または発散する構成において延伸し、それらの取り付けられない端部は、それと一体的に形成されたまたは単一部品の接触部分5によって互いに接続されている。
【0031】
上面に取り付けられたジョイント要素3の、接触部分5を介して互いに接続された2つのウェブ部分4は、第1の共通面内に延在し、この面は、キャリア要素2の上面によって規定される面に対して0°から逸脱する角度において配置される。
【0032】
接触部分5は、接触部分5、したがってジョイント1を、例えばねじによって、固定基部、または、ジョイントによって基部に対して可動に取り付けられた動かされるべき要素に接続するために設けられた2つの円形貫通口を備える。
【0033】
接触部分5とともにキャリア要素の上面に配置されたジョイント要素の2つのウェブ部分4は、最も広い意味での三角形を形成し、ここでウェブ部分は底辺以外の辺を表し、接触部分は底辺を形成する。ジョイント要素の長さと接触部分の長さとが一致することが想定可能であり、結果、ジョイント要素と接触部分とによって正三角形が形成される。
【0034】
キャリア要素2の下面に配置された
図1のジョイント要素3において、2つの棒状の細長い柔軟なウェブ部分4が各々、締結部分6から始まってキャリア要素の外方に面する方向に延伸し、2つのウェブ部分4は、締結部分6の領域内の、異なるロケーションにあるまたは離間された位置から、互いに向かって延伸する方向において、または収束する構成において延伸し、それらの取り付けられない端部は、それと一体的に形成されたまたは単一部品の接触部分5によって互いに接続されている。
【0035】
下面に取り付けられたジョイント要素3の、接触部分5によって互いに接続された2つのウェブ部分4は、その上面に取り付けられたジョイント要素の、キャリア要素の同じ遠位端部に配置されているウェブ部分が延伸する第1の共通面とは異なる第2の共通面内に延在し、第2の共通面は、キャリア要素2の下面によって規定される面に対して0°から逸脱する角度において配置されている。
【0036】
また、キャリア要素の下面に取り付けられているジョイント要素のそれぞれの接触部分5は、同様に、接触部分5、したがってジョイント1を、例えばねじによって、固定基部、または、ジョイントによって基部に対して可動に取り付けられた動かされるべき要素に接続するために設けられた2つの円形貫通口を備える。
【0037】
締結部分6とともにキャリア要素の下面に配置されたジョイント要素の2つのウェブ部分4は、最も広い意味での三角形を形成し、ここでウェブ部分は底辺以外の辺を表し、締結部分は底辺を形成する。ジョイント要素の長さと締結部分の長さとが一致することが想定可能であり、結果、ジョイント要素と締結部分とによって正三角形が形成される。
【0038】
キャリア要素の遠位端において、その上面に配置されたジョイント要素のウェブ部分が延在する第1の共通面とその上部は、キャリア要素の同じ遠位端において、その下面に配置された要素のウェブ部分が延在する第2の共通面とは異なる。言い換えれば、第1の共通面および第2の共通面は互いに平行に配置されず、結果、第1の共通面および第2の共通面は互いに交差しまたは交わる。これは特に、上面に配置されたジョイント要素のウェブ部分4が発散する一方で、下面に配置されたジョイント要素のウェブ部分が収束し、ここで、それぞれのウェブ部分の交差領域内で、一方のジョイント要素の2つのウェブ部分の間の距離が、他方のジョイント要素の2つのウェブ部分の間の距離とは異なるという点において実現される。これは、断面において、すなわち交差領域においてキャリア要素の上面に配置されたジョイント要素のウェブ部分が、キャリア要素の下面に配置されたジョイント要素のウェブ部分の間に延伸し、結果、キャリア要素の上面に配置されたジョイント要素の両方のウェブ部分が、その締結部分と共にキャリア要素の下面に配置されたジョイント要素の2つのウェブ部分によって形成される三角形を貫通することを意味する。
【0039】
接触部分5は、必ずしも、前者を介して接続されたそれぞれのウェブ部分と一体的にまたは単一部品として形成されるように構成される必要はない。接触部分5が、例えば、ねじにより解放可能に接続されるか、または例えば接着、はんだ付け、もしくは溶接により、それぞれのウェブ部分に分離不可能に接続される、ジョイントの別個の部分を表すことも想定可能である。
【0040】
弾性変形可能な支持要素7は、キャリア要素2の両方の遠位端にそれぞれ配置される。それぞれの支持要素は、そこで、その端部の1つによって、キャリア要素の対応する凹部に挿入され、クランプ接続によってそこに取り付けられる。ねじ止めまたは接着など、他のタイプの取り付けも想定可能である。
【0041】
支持要素は、その細長い形状によって、キャリア要素から外方に面する方向に延伸し、その自由端に、拡大する端部を備え、自由端部は、好ましくはクランプ接続によって、本発明によるジョイントが使用されるより上位の構造との係合のために提供される。支持要素をより上位の構造に接続することにより、この支持要素に圧縮力が作用することになり、この圧縮力によりジョイント要素の引張力荷重、特に、それぞれキャリア要素またはジョイントの延伸方向に実質的に対応する方向におけるウェブ部分の対応する予荷重が生じる。
【0042】
図2は、6脚状の平行運動調整装置30における、
図1による本発明のジョイントの配置または使用をそれぞれ示す。後者は、互いに垂直に延伸する2つの軸を中心として傾斜することができ、さらなる軸に沿って直線的にスライド可能であり、本発明による合計6つのジョイント1が各々ねじ接続によって取り付けられるプラットフォーム40を備える。プラットフォーム30は、
図2には示されていない固定基部に対して可動または傾斜可能である。
【0043】
6つのジョイント1の各々が、キャリア要素2上に配置された4つのジョイント要素3と、キャリア要素上に配置された2つの支持要素7とを備え、ジョイント要素3は、キャリア要素2の対向する両端に対になって配置され、支持要素7は、キャリア要素2の対向する両端に個別に設けられる。
【0044】
6つのジョイント1のうちの3つはプラットフォーム40に対して実質的に垂直に整列され、一方、残りの3つのジョイントはプラットフォーム40に対して傾斜して配置される。プラットフォームとは反対側の端に、
図2では認識できない駆動要素が、プラットフォーム40に整列または実質的に垂直に配置されたジョイント1に配置され、それぞれのジョイントをプラットフォームに向かう方向またはそれぞれの反対の方向に動かすために使用される。したがって、駆動要素によって能動的に動かされるこれらの3つのジョイントは、能動的に動かされるジョイント(以下、能動ジョイントとしても参照される)を表す。ただし、プラットフォームに対して傾斜して配置された他の3つのジョイントは、駆動要素に接続されておらず、能動的に動かされず、能動的に動かされるジョイントの動きにより間接的または受動的にのみ動かされる(以下、受動ジョイントとしても参照される)。
【0045】
受動ジョイントまたはそれらの対応する接触部分5は各々、ねじ接続により、プラットフォームから外方に面する端部が接触要素50に接続されている。接触要素50自体は、ガイドプラットフォーム60に接続されている。ガイドプラットフォーム60は、
図2では認識できない対応する凹部を介して、ガイドプラットフォーム内の凹部を通って突出するガイド要素70と係合している。したがって、プラットフォーム40に向かう運動におけるガイドプラットフォームの直線的ガイドが達成される。
【0046】
プラットフォーム40に面する端部において、受動ジョイント1は、ねじ接続によって、それぞれの接触部分5がプラットフォーム40の共通の内側保持部分80に取り付けられ、内側保持部分88は、プラットフォームと一体的にまたは単一部品として形成される。この内側保持部分80は、プラットフォーム40のほぼ中心に位置し、したがって、3つの受動ジョイントが、プラットフォーム40の中心に向かって実質的に整列するか、またはそれらの長手延伸方向が、プラットフォーム40の中心に向かって延伸する。
【0047】
ここで、受動ジョイントは主に、プラットフォームが互いに垂直に延伸する2つの傾斜軸内で傾斜するときにプラットフォームを案内するために使用され、傾斜軸の交差点はいわゆる旋回点を規定する。傾斜軸または旋回点はそれぞれ、理想的には、平行運動調整装置の外側、すなわち、例えばミラーなどの調整されるべき対象物の表面上に配置される。例えばプラットフォーム40内の旋回点の他の位置またはロケーションも想定可能であり、ここで、旋回点の位置またはロケーションは、受動ジョイントの互いに対する距離または受動ジョイントの傾斜角、すなわち、受動ジョイントがプラットフォームまたは基部と規定する角度によってそれぞれ調整することができる。
【0048】
プラットフォーム40に面しているジョイントの支持要素7は、内側保持部分80の対応する凹部内に係合し、プラットフォーム40から外方に面するジョイントの支持要素7は、接触要素50の対応する凹部内に係合する。2つの支持要素7は各々、それぞれクランプ接続によって対応する凹部内に保持される。それぞれの接触部分の取り付け位置は、それぞれのキャリア要素まで、支持要素の長さよりも短い距離を有するため、それぞれ接触要素の凹部または保持部分内に支持要素を同時に配置する結果として、支持要素が弾性的に圧縮され、それによって、ジョイント要素、特にそのウェブ部分に対して引張荷重が発生する。したがって、実質的にジョイントの延伸方向におけるウェブ部分の対応する予荷重が達成される。
【0049】
駆動要素によって能動的に動かされる3つのジョイントは、ガイドプラットフォームから間隔を空けて配置され、ガイドプラットフォームに接続されない。プラットフォーム40に面する能動ジョイントの接触部分5は各々、プラットフォーム40の関連する外側保持部分90にねじ接続によって接続され、ここでまた、合計3つの外側保持部分9も、プラットフォーム40と一体的にまたは単一部品として形成される。
【0050】
プラットフォーム40から外方に面する能動ジョイントの接触部分5は各々、平行運動調整装置の基部の作動部分100にねじ接続によって接続され、それぞれの作動部分100に作用し、
図2に示されていない関連する駆動要素は、当該駆動要素が、したがってまた作動部分に配置されたジョイントも、プラットフォーム40に向かって動かされるように作用することができ、したがって、ジョイントが同時に、プラットフォームに向かって同じ方向に動く場合、ガイド要素とともにガイドプラットフォームによって案内されるガイドプラットフォームの純粋な並進運動が、平行運動調整装置の基部から外方に面する方向に発生するか、あるいは、1つのみのジョイントもしくは2つのみのジョイントが同じ方向に動くか、または、ジョイントが反対方向に動かされる場合それぞれ、主に受動ジョイントによって案内される、旋回点を中心としたプラットフォームの傾斜運動が生じる。
【0051】
本発明によるジョイント1の支持要素7により、比較的高い軸方向の剛性が能動ジョイントで得られ、結果、駆動要素によってそれぞれの能動ジョイントに導入される力を、プラットフォームの、効果的でほぼ損失のない調整運動に変換することができる。
【0052】
他方、受動ジョイントの支持要素は、傾斜軸を中心とした規定された動き、および、旋回点の安定した位置またはロケーションを提供する。
【符号の説明】
【0053】
1 ジョイント
2 キャリア要素
21 キャリア要素の上面
22 キャリア要素の下面
3 ジョイント要素
4 ウェブ部分
5 接触部分
6 締結部分
7 支持要素
8 締結要素
30 平行運動調整装置
40 プラットフォーム
50 接触要素
60 ガイドプラットフォーム
70 ガイド要素
80 内側保持部分
90 外側保持部分
100 作動部分
【国際調査報告】