特表2020-526375(P2020-526375A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-526375触媒及び合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-526375(P2020-526375A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】触媒及び合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/85 20060101AFI20200803BHJP
   B01J 29/83 20060101ALI20200803BHJP
   B01J 29/87 20060101ALI20200803BHJP
   B01J 29/84 20060101ALI20200803BHJP
   B01J 29/035 20060101ALI20200803BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20200803BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20200803BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20200803BHJP
   C07C 11/08 20060101ALI20200803BHJP
   C07C 1/04 20060101ALI20200803BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200803BHJP
【FI】
   B01J29/85 M
   B01J29/83 M
   B01J29/87 M
   B01J29/84 M
   B01J29/035 M
   B01J29/70 M
   C07C11/04
   C07C11/06
   C07C11/08
   C07C1/04
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-566832(P2019-566832)
(86)(22)【出願日】2018年8月2日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月31日
(86)【国際出願番号】CN2018098379
(87)【国際公開番号】WO2018219365
(87)【国際公開日】20181206
(31)【優先権主張番号】201710408018.9
(32)【優先日】2017年6月2日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】潘 秀蓮
(72)【発明者】
【氏名】焦 峰
(72)【発明者】
【氏名】包 信和
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA06A
4G169BA06B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC17A
4G169BC17B
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169CC23
4G169DA06
4G169EC02X
4G169EC03X
4G169EC06X
4G169EC07X
4G169FB07
4G169FC03
4G169FC08
4G169ZA14B
4G169ZA32A
4G169ZA36B
4G169ZA38B
4G169ZA39B
4G169ZA40B
4G169ZA41B
4G169ZB03
4G169ZC06
4G169ZC07
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC90
4H006BA07
4H006BA08
4H006BA09
4H006BA10
4H006BA14
4H006BA16
4H006BA30
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BC31
4H006BE20
4H006BE40
4H006DA15
4H039CA99
4H039CB40
4H039CF10
(57)【要約】
本発明は、合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製に属し、特に、触媒及び合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法に関する。該調製方法は、合成ガスを反応原料とし、固定床或は移動床において転化反応を行い、前記触媒は、触媒Aと触媒Bを機械的に混合することで複合させた複合触媒A+Bであり、触媒Aの活性成分が活性金属酸化物であり、触媒Bは酸化物が担持された分子篩であり、担体が多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上であり、分子篩の構造がCHA構造及びAEI構造の一種或は二種であり、分子篩の容量が4%−45%wtであり、触媒A中の活性成分と触媒Bの重量比が0.1〜20倍の範囲であり、好ましくは0.3〜5倍である。反応プロセスは、高い低炭素オレフィンの選択性を有し、エチレン、プロピレン、ブテンを含む低炭素オレフィンの選択性の合計が50〜90%に達し、副産物のメタンの選択性は15%未満であり、良い応用の見通しがある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒であって、前記触媒は、触媒成分Aと触媒成分Bを機械的に混合することにより得られる複合触媒A+Bであり、触媒成分Aの活性成分が活性金属酸化物であり、触媒Bは負荷型分子篩であり、その担体は多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上であり、前記分子篩はCHA構造及びAEI構造の一種或は二種であり、前記分子篩の容量が4%−45%wtであり、前記活性金属酸化物がMnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnO、ZnCr、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である、
ことを特徴とする触媒。
【請求項2】
前記触媒成分Bは、多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上を担体とし、比表面積が30〜250m/gであり、細孔容積が0.25〜0.80ml/gであり、比表面積に基づいて計算すると、メソ細孔が30〜75%を占め、マクロ孔が25〜70%を占め、分子篩は活性成分としてその場成長或は物理的混合により担体の周りに分散される、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
触媒成分Aは、MnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
触媒成分A中の活性成分と触媒成分Bの重量比は、0.1〜20倍、好ましくは0.3〜5倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記活性金属酸化物は、大きさが5〜30nmの結晶粒から構成され、結晶粒の表面から結晶粒の内部方向への深さが0.3nmの距離範囲内に大量の酸素空孔が存在し、その中、酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル含有量の80%未満を占め、好ましくは80%−10%を占め、より好ましくは60%−10%を占め、最も好ましくは50%−10%を占め、表面酸素空孔は、100%−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める百分率として定義され、対応の酸素空孔濃度が好ましくは20%−90%であり、より好ましくは40%−90%であり、最も好ましくは50%−90%である、
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒成分Aは、Al、SiO、Cr、ZrO、TiOのうちの一種或いは二種を分散剤としてさらに含み、前記活性金属酸化物が分散剤に分散され、分散剤が触媒Aに占める含有量は0.05〜90wt%であり、残りが活性金属酸化物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
合成ガスを反応原料とし、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒を触媒として、固定床或は移動床において転化反応を行い、
その中、前記合成ガスの圧力が0.5〜10MPaであり、反応温度が300〜600℃であり、対気速度が300〜10000h−1であり、前記反応に用いる合成ガスのH/CO比が0.2〜3.5である、
ことを特徴とする合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガスからの低炭素オレフィンの調製に属し、特に、触媒及び合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素オレフィンは、4個或は4個以下の炭素原子を有するオレフィンである。エチレンとプロピレンを代表とする低炭素オレフィンは、非常に重要な基本的な有機化学原料である。我が国の急速な経済成長に伴い、低炭素オレフィン市場は、長期にわたって供給不足の状況が続いている。現在、低炭素オレフィンの生産は、主に軽質炭化水素(エタン、ナフサ、軽ディーゼル)を分解する石油化学ルートを採用している。しかし、世界的に石油資源の不足と原油の長期的な高価格の状況が続いている中、石油軽質炭化水素を原料とする管状分解炉プロセスだけに依存する低炭素オレフィン産業の発展は、ますます大きくなる原料問題に直面しつつ、低炭素オレフィンの調製プロセス及び原料の多様化が必要となっている。
【0003】
合成ガスを用いてオレフィンを生成するプロセスは、原材料の供給源を広げることができ、原油、天然ガス、石炭、再生可能材料を原料として合成ガスを生成することは、ナフサなどの高コスト原材料に基づく蒸気分解技術のために、代替手段を提供する。合成ガスから低炭素オレフィンを直接調製する一段合成法は、触媒の作用下でフィッシャートロプシュ合成により一酸化炭素及び水素から4個の炭素数或は4以下の低炭素オレフィンを直接生成するプロセスであり、該プロセスは、間接プロセスのように合成ガスからメタノール或はジメチルエーテルを介して、オレフィンをさらに合成する必要がないので、プロセスが簡素で、投資が大幅に削減できる。
【0004】
合成ガスからフィッシャートロプシュ合成により低炭素オレフィンを直接調製することは、フィッシャートロプシュ合成触媒の開発における研究のホットスポットの1つになっている。中国科学院大連化学物理研究所の特許文献1の発明によれば、MgOなどのIIA族のアルカリ金属酸化物或は高シリカゼオライト分子篩(或はリンアルミノゼオライト)に担持された鉄・マンガン触媒システムを使用して、強塩基K或はCsイオンを助剤として、合成ガスから低炭素オレフィンを調製しており、高い活性(COの転化率が90%である)及び選択性(低炭素オレフィンの選択性が66%である)を得、その中、合成ガスから低炭素オレフィンの調製において、反応圧力が1.0〜5.0MPaであり、反応温度が300〜400℃である。北京化工大学により出願された特許文献2の記載によれば、真空含浸法を採用して、マンガン、銅、亜鉛、シリコン、カリウム等を補助剤とするFe/活性炭触媒を調製し、これを合成気から低炭素オレフィンを調製する反応に用いており、原料ガスの循環がない条件下でのCOの転化率が96%であり、炭化水素中の低炭素オレフィンの選択率が68%である。2012年、オランダのUtrecht大学のde Jong教授のチームは、SiC、カーボンナノファイバー等の不活性担体に担持されたFe、Na、S等の助剤で変性されたFe触媒を採用して、61%の低炭素オレフィンの選択性を取得するとの良好な進展を達成したが、転化率が増加するに従って、選択性が低下するとの問題がある。2016年、上海高等研究所の孫予罕という研究員と鐘良枢という研究員による[101]及び[020]マンガン助炭化コバルト触媒の優先的曝露についての報告によれば、31.8%のCO転化率、60.8%の低炭素オレフィンの選択性を達成し、且つメタンの選択性が5%である。上記の報告において、触媒は、鉄コバルト触媒を活性成分として使用し、金属表面の連鎖成長反応原理に従って反応が行われており、産物である低炭素オレフィンの選択性が低い。
【0005】
最近、中国科学院大連化学物理研究所の包信和学士院会員及び潘秀蓮研究員による報告(非特許文献1)によれば、アルミナに担持されたZnCr酸化物と多孔質のSAPO−34分子篩の複合二元機能触媒を用いて、CO転化率が17%である時、80%の低炭素オレフィンの選択性を実現しており、その中、低炭素アルカンの選択性が14%であり、アルケンとアルカンの比率(アルケン/アルカン比)は5.7に達する。転化率が増加して35%になる時、オレフィンの選択率が69%であるが、アルカンの選択率は20%であり、アルケン/アルカン比は3.5に低下する。どうやってアルケン/アルカン比を安定させながら高い転化率を実現するかは、該当分野において依然として大きな問題点の一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第1083415号明細書
【特許文献2】中国特許第03109585.2号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Jiao et al.、Science 351(2016)1065−1068
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、触媒及び合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術的手段は、以下の通りである。
【0010】
触媒であって、前記触媒は、触媒成分Aと触媒成分Bを機械的に混合することにより得られる複合触媒A+Bであり、触媒成分Aの活性成分が活性金属酸化物であり、触媒Bは負荷型分子篩であり、その担体は多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上であり、前記分子篩はCHA構造及びAEI構造の一種或は二種であり、前記分子篩の容量が4%−45%wtであり、前記活性金属酸化物がMnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnO、ZnCr、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である。
【0011】
前記触媒において、前記触媒成分Bは、多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上を担体とし、比表面積が30〜250m/gであり、細孔容積が0.25〜0.80ml/gであり、比表面積に基づいて計算すると、メソ細孔が30〜75%を占め、マクロ孔が25〜70%を占め、分子篩は活性成分としてその場成長或は物理的混合により担体の周りに分散される。
【0012】
前記触媒において、触媒成分Aは、MnO、MnCr、MnAl,MnZrO、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上であるのが好ましい。
【0013】
前記触媒において、前記触媒成分Aの活性金属酸化物と触媒成分Bの粒子との幾何学的中心の間の距離は、50nm〜20mmであり、好ましくは300nm〜5mmであり、より好ましくは1μm〜2.5mmである。
【0014】
前記触媒において、触媒成分A中の活性成分と触媒成分Bの重量比は、0.1〜20倍であり、0.3〜5倍が好ましい。
【0015】
前記触媒において、前記活性金属酸化物は、大きさが5〜30nmの結晶粒から構成され、結晶粒の表面から結晶粒の内部方向への深さが0.3nmの距離範囲内に大量の酸素空孔が存在し、その中、酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル含有量の80%未満を占め、好ましくは80%−10%を占め、より好ましくは60%−10%を占め、最も好ましくは50%−10%を占め、表面酸素空孔は、100%−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める百分率として定義され、対応の酸素空孔濃度が好ましくは20%−90%であり、より好ましくは40%−90%であり、最も好ましくは50%−90%である。
【0016】
前記触媒において、前記触媒成分Aは、Al、SiO、Cr、ZrO、TiOのうちの一種或いは二種を分散剤としてさらに含み、前記活性金属酸化物が分散剤に分散され、分散剤が触媒Aに占める含有量は0.05〜90wt%であり、残りが活性金属酸化物である。
【0017】
合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法であって、合成ガスを反応原料とし、上記の触媒を触媒として、固定床或は移動床において転化反応を行い、その中、前記合成ガスの圧力が0.5〜10MPaであり、反応温度が300〜600℃であり、対気速度が300〜10000h−1であり、前記反応に用いる合成ガスのH/CO比が0.2〜3.5である。
【0018】
前記複合二元機能触媒は、合成ガスから低炭素オレフィンを直接調製する一段合成法に用いる。その中、エチレンとプロピレンの選択性の合計が40〜60%に達し、エチレン、プロピレン、ブテンを含む低炭素オレフィンの選択性の合計が50〜90%に達する上、副産物であるメタンの選択性が15%未満である。
【発明の効果】
【0019】
1.本案における考案は、メタノールから低炭素オレフィンを調整する従来の技術(略してMTOと呼ぶ)とは異なり、合成ガスを低オレフィンに直接転化する一段合成を実現する。
2.多孔質の担体が分子篩を分散させるので、中間体と生成物との間の物質伝達に有利であり、水素化などの副反応の影響が大幅に軽減されて、低炭素オレフィンの高い選択性を維持するとともに、転化率を高めることができる。
3.本発明において、複合触媒の調製過程が簡単で、条件が温和であり、且つ反応プロセスにおける製品収量と選択性が高く、C2−C4低炭素オレフィンの選択率が50−90%に達し、特に、転化率が上向した後であっても、依然として高いアルケン/アルカン比が維持できると共に、副産物であるメタンの選択性が低く(<15%)、触媒の寿命が長く(700時間を超える)、優れた応用見通しがある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の請求範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。同時に、実施例は、目的を達成するためのいくつかの条件を掲示するだけであり、これらの条件がこの目的を達成するために必ず満たさなければならないことを意味するのではない。
【0021】
(実施例1)
一、触媒Aの調製
(一)エッチング法により極性表面を有するZnO材料を合成する。
(1)Zn(NO・6HOを0.446g(1.5mmol)ずつ4部計量して、それぞれ四つの容器に入れ、次に0.300g(7.5mmol)、0.480g(12mmol)、0.720g(18mmol)、1.200g(30mmol)のNaOHを上記の4つの容器に順次に加え、4つの容器それぞれに脱イオン水を30mlずつ加え、0.5時間以上攪拌して、溶液を均一に混合する。温度を160℃に上昇させ、20時間反応させて、沈殿物を酸化亜鉛に分解させる。反応液を室温まで冷却させた後、遠心分離して遠心分離後の沈殿物を回収し、脱イオン水で2回洗浄してZnO酸化物を得る。
【0022】
その中、0.480g(12mmol)NaOH用量に対応する産物を取って以下の処理を行う。
【0023】
(2)オレイン酸、ウロトロピン、エチレンジアミン、アンモニア、ヒドラジン水和物等のエッチング剤とZnO酸化物とを室温で超音波を掛けて混合する。ZnO酸化物がエッチング剤に浸され、エッチング剤は酸化亜鉛と錯体化し或は直接的に還元反応を発生する。
【0024】
前記懸濁物を加熱した後、取り出し、洗浄及びろ過を行い、表面に大量の酸素空孔を有するナノZnO材料を得る。
【0025】
表1において、触媒とエッチング剤の質量比が1:3である。溶剤なしに、オレイン酸とウロトロピンの質量比が1:1であり、溶剤なしに、オレイン酸と5wt%ヒドラジン水和物の質量比は95:5である。具体的な処理条件として、以下の表1に示すように、エッチング剤、温度、処理時間、雰囲気種類が含まれる。
【0026】
(3)乾燥或は乾燥還元
上記から得られた生成物を遠心分離し、或はろ過し、脱イオン水で洗浄した後、雰囲気下で、乾燥或は乾燥と還元処理を行う。雰囲気は、不活性ガス、或は不活性ガスと還元性雰囲気の混合ガスであり、不活性ガスは、N、He、Arのうちの一種或は二種以上であり、還元性雰囲気は、H、COの一種或は二種以上である。乾燥還元における混合ガス中の不活性ガスと還元性ガスの体積比は100/10〜0/100であり、乾燥と乾燥還元処理において、処理温度は350℃であり、時間は4hであり、これで表面に豊富な酸素空孔を有するZnO材料を得る。具体的なサンプルとその調製条件を以下の表1に示す。その中、表面酸素空孔は次のように定義する(1−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める含有量)。
【0027】
【表1】
【0028】
前記表面酸素空孔は、結晶粒の表面から結晶粒の内部方向への深さが0.3nmの距離範囲内における酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める百分率である。
【0029】
ステップ(2)に示すエッチング処理を行わなかった、表面に酸素空孔がない産物としてのZnO9とZnを完全に還元させた産物としての金属Zn10を比較例として用いる。
【0030】
(二)エッチング法により極性表面を有するMnO材料を合成する。調製プロセスは、上記(一)の(1)が0.480g(12mmol)NaOHの用量に対応する産物と(3)に説明されるものと同じである。異なる処は、Znの前駆体がMnの対応の前駆体に置き換えることである。Mnの対応の前駆体は、硝酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガンのいずれかであり、本実施例では硝酸マンガンを用いる。
【0031】
エッチングプロセスは、上記(一)の(2)の産物ZnO3、ZnO5、ZnO8の調製プロセスで説明されたものと同じであり、大量の表面酸素空孔を有する触媒を合成する。
【0032】
対応する産物はMnO1−3と定義し、その表面酸素空孔はそれぞれ67%、29%、27%である。
【0033】
(三)エッチング法により極性表面を有するCeO材料を合成する。
調製プロセスは、上記(一)の(1)が0.480g(12mmol)NaOHの用量に対応する産物と(3)に説明されるものと同じである。異なる処は、Znの前駆体がCeの対応の前駆体に置き換えることである。Ceの対応の前駆体は、硝酸セリウム、塩化セリウム、酢酸セリウムのいずれかであり、本実施例では硝酸セリウムを用いる。
【0034】
エッチングプロセスは、上記(一)の(2)の産物ZnO3、ZnO5、ZnO8の調製プロセスで説明されたものと同じであり、大量の表面酸素空孔を有する触媒を合成する。対応する産物はCeO1−3と定義し、表面酸素空孔はそれぞれ56%、33%、21%である。
【0035】
(四)高い比表面積と高い表面エネルギーを有するナノZnCr、ZnAl、MnCr、MnAl、MnZrO尖晶石を合成する。
硝酸亜鉛、硝酸アルミニウム、硝酸クロム、硝酸マンガン、硝酸ジルコニウムを前駆体として使用し、尿素と共に室温で水において混合する。前記混合溶液を熟成させた後、取り出し、洗浄、濾過及び乾燥を行い、得られた固体を空気雰囲気で焙焼して、(110)結晶面の方向に成長するスピネル酸化物を得る。サンプルもエッチング法で処理して、大量の表面酸素空孔を有する触媒を合成する。エッチング及び後処理プロセスは、上記の(一)の(2)及び(3)で説明されたのと同じである。該サンプルは大きい比表面積を有し、表面欠陥が多くあり、合成ガス転化における触媒として適用できる。
【0036】
具体的なサンプル及びその調製条件を以下の表2に示す。同じく、表面酸素空孔は、次のように定義する(1−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める含有量)。
【0037】
【表2】
【0038】
(五)高い比表面積と高い表面エネルギーを有するナノFeAl、CoAl尖晶石を合成する。調製プロセスは、上記(四)の(2)に説明されたのと同じである。異なる処は、Znの前駆体がFe或はCoの対応の前駆体に置き換えることである。Fe或はCoの対応の前駆体は、硝酸鉄、塩化鉄、クエン酸酸化鉄のいずれか一つ、或いは硝酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルトのいずれか一つであり、本実施例では硝酸鉄と硝酸コバルトを用いる。
【0039】
エッチングプロセスは、上記(一)の(2)の産物ZnO3、ZnO5の調製プロセスで説明されたのと同じであり、大量の表面酸素空孔を有する触媒を合成する。対応する産物は尖晶石6、尖晶石7と定義し、その表面酸素空孔はそれぞれ77%、51%である。
【0040】
(六)Cr、Al或はZrOが分散された活性金属酸化物。
Cr、Al或はZrOを担体として、沈殿法によりCr、Al或はZrOが分散された活性金属酸化物を調製する。分散型ZnO酸化物の調製を例として説明すると、市販のCr、Al或はZrO担体をベース液に予め分散させた後、硝酸亜鉛を原料として、室温で水酸化ナトリウム沈殿剤と混合して沈殿させる。Zn2+のモル濃度は0.067Mであり、Zn2+と沈殿剤のモル比は1:8である。その後、160℃で24時間熟成させ、Cr、Al或はZrOを担体として分散されたZnO酸化物を得る(触媒A中の分散剤の含有量がそれぞれ0.1wt%、10wt%、90wt%である)。
【0041】
エッチングプロセスは、上記(一)の(2)の産物ZnO3、ZnO5、ZnO8の調製プロセスで説明されたのと同じであり、大量の表面酸素空孔を有する触媒を合成する。後処理プロセスは、上記(一)の(3)で説明されたのと同じである。
【0042】
対応する産物は、上から下の順に、分散酸化物1−3と定義し、その表面酸素空孔はそれぞれ65%、30%、25%である。
【0043】
同様の方法により、Cr、Al或はZrOを担体として分散されたMnO酸化物を得る(触媒A中の分散剤の含有量がそれぞれ5wt%、30wt%、60wt%である)。対応する産物は、上から下の順に、分散酸化物4−6と定義し、その表面酸素空孔はそれぞれ62%、27%、28%である。
【0044】
二、触媒B(CHA及びAEI位相構造の分子篩)の調製
前記CHA及びAEI位相構造の分子篩は八元環穴口、3Dチャンネルを備え、チャケージを含む。
【0045】
1)具体的な調製プロセスは以下の通りである。
酸化物SiO:Al:HPO:R:HO=1.6:16:32:55:150(質量比)に従って、原材料であるシリカゾル30%(質量濃度)、AlOOH、リン酸、TEA(R)、脱イオン水を取り、室温で混合した後、テンプレート剤の0.5倍モル量の助剤HFを添加し、担体酸化物粉末を添えて、30℃で撹拌しながら2時間老化させた後、熱水釜に移し、200℃で24時間結晶化させる。
【0046】
水浴を室温まで急冷し、洗浄終了時に上清液のpHが7になるまで遠心洗浄を繰り返し、沈殿物を110℃で17時間乾燥した後、空気中において600℃で3時間焙焼し、担持されたシリコホスホアルミニウム無機固体酸を得る。
【0047】
前記CHA及びAEI位相構造の分子篩のフレーム元素の組成は、Si−O、Si−Al−O、Si−Al−P−O、Al−P−O、Ga−P−O、Ga−Si−Al−O、Zn−Al−P−O、Mg−Al−P−O、Co−Al−P−Oのうちの一種或は二種以上である。
【0048】
一部のフレームのO元素にはHが連結され、対応する産物は順次に分1−7と定義する。
【0049】
【表3】
【0050】
2)他の元素から構成される分子篩
【0051】
【表4】
【0052】
分16は比較例で、残りの条件が分1と同じであり、分子篩の容量は1%になる。
【0053】
分17は比較例で、残りの条件が分1と同じであり、分子篩の容量は70%になる。
【0054】
三、触媒の調製
必要な割合の触媒Aと触媒Bを容器に加え、これらの材料及び/或は容器の高速移動により生成される押出力、衝撃力、切断力、摩擦力等の一種或は二種以上の作用により、分離、粉砕、混合等の目的を達成する。温度と搬送ガス雰囲気を調整することにより、機械的エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギーの転換を実現し、さらに異なる成分間の相互作用を調節する。
【0055】
機械的に混合する過程は、混合温度を20−100℃に設定することができ、雰囲気下、或は直接に大気下で行ってもよい。雰囲気は以下の通りである。a)窒素及び/或は不活性ガス;b)水素と窒素及び/或は不活性ガスの混合ガス、その中、混合ガス中の水素の体積は5〜50%である;c)COと窒素及び/或は不活性ガスの混合ガス、その中、混合ガス中のCOの体積が5〜20%である;d)Oと窒素及び/或は不活性ガスの混合ガス、その中、混合ガス中のOの体積が5〜20%である。前記不活性ガスはヘリウム、アルゴン、ネオンのうちの一種或は二種以上である。
【0056】
機械攪拌:攪拌タンクにおいて、攪拌棒を用い、触媒Aと触媒Bを混合する。攪拌時間(5分間−120分間)と速度(30−300回転/min)を制御することにより、触媒Aと触媒Bの混合度と相対距離が調整できる。
【0057】
ボールミル粉砕:研磨剤と触媒とを粉砕タンク内で高速にローリンッグさせ、触媒に対して強い衝撃及び押し詰め力を与える。これにより、触媒Aと触媒Bが分散且つ混合される。研磨剤を制御することにより、触媒の粒径と相対距離を調整することができる。その中、研磨剤の材質はステンレス、メノウ、クオーツでよく、研磨剤のサイズは5mm−15mmであり、研磨剤と触媒の質量比は20−100:1である。
【0058】
振動混合法:触媒Aと触媒Bを予混合して容器に入れ、振動器の往復振動或は円形振動を制御して触媒Aと触媒Bの混合を実現する。振動速度(範囲:1−70回転/min)及び時間(範囲:5min−120min)を調整することにより、均一な混合を実現し、相対距離を調節する。
【0059】
機械研磨法:触媒Aと触媒Bを予混合して容器に入れ、一定の圧力(範囲:5kg〜20kg)の下で、研磨ツールと混合した触媒との相対運動を行うことにより(速度範囲:30〜300回転/min)、触媒粒子のサイズ、相対距離を調整し、均一な混合を実現する。
【0060】
具体的な触媒の調製及そのパラメータ特性を表6に示す。
【0061】
【表6-1】
【0062】
【表6-2】
【0063】
【表6-3】
【0064】
【表6-4】
【0065】
【表6-5】
【0066】
実施例:触媒反応
固定床反応を例とするが、触媒は移動床反応器にも適する。該装置は、ガス質量流量計とオンライン製品分析クロマトグラフィーを配備している(反応器排気ガスをクロマトグラフィーの定量バルブに直接接続し、定期的な実時間試料分析を行う)。
【0067】
本発明の上記の触媒2gを固定床反応器に入れ、反応器内の空気をArで置換し、その後、H雰囲気下で温度を300℃まで上げてから、雰囲気を合成ガスに切り替える(H/COのモル比=0.2−3.5)。合成ガスの圧力は0.5−10MPaであり、温度は300−600℃の反応温度まで上げ、反応原料ガスの対気速度は500−10000ml/g/hに調整する。産物はオンラインクロマトグラフィーにて分析する。
【0068】
温度、圧力、対気速度、合成ガス中のH/COのモル比を変更することにより、反応性能を改変することができる。低炭素オレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン)の選択性の合計が50−90%に達することができる。触媒金属複合体表面の水素化活性が低いため、大量のメタンの生成が回避され、メタン選択性は低くなる。触媒の具体的な応用とその効果データを表7に示す。
【0069】
【表7-1】
【0070】
【表7-2】
【0071】
【表7-3】
【0072】
比較例1の触媒の成分AはZnO9であり、成分Bは分1である。
【0073】
比較例2の触媒の成分AはZnO10であり、成分Bは分1である。
【0074】
比較例3で使用された触媒中の成分Aは、金属ZnCo+分1であり、ZnとCoのモル比が1:1であり、ZnCoと分1の質量比が1:1であり、他のパラメータ及び混合プロセスは触媒Cと同じである。
【0075】
比較例4で使用された触媒は、表面無酸素空孔のTiO+分1であり、他のパラメータと混合プロセスは触媒Cと同じである。
【0076】
比較例5で使用された触媒中の分子篩は、南開大学の触媒工場から購入した市販品SAPO−34であり、担体の分散がない。
【0077】
比較例6で使用された触媒中の分子篩は、南開大学の触媒工場から購入した市販品ZSM−5であり、完全微孔構造を有し、Si/Al=30、担体分散がない。
【0078】
比較例5及び6の反応結果は、CHA或はAEIの位相構造及び担体分散であるかどうかが産物選択性の調節にとって重要であることを示す。
【0079】
比較例7で使用された触媒中の金属酸化物と分子篩との間の距離は10mmであり、他のパラメータ及び混合プロセスは触媒Cと同じである。
【0080】
比較例8で使用された触媒中の金属酸化物は、分子篩の細孔内にあり、両者は密接に接触し、他のパラメータは触媒Cと同じである。
【0081】
比較例7及び8の結果は、成分Aと成分Bとの間の距離も製品選択性にとって重要であることを示す。
【0082】
非特許文献1おける対比の技術において、使用された分子SAPO−34は担体に担持されておらず、転化率が17である時にオレフィンの選択性能は80%に達するが、対気速度を低下し、転化率が35%にまで増加した時、オレフィンの選択性は69%である。しかし、その時、アルカンの選択性は20%であり、アルケン/アルカンの比が3.5に低下される。実施例中の触媒C、J。
【0083】
比較例9、10の触媒は、残りの条件がCと同じであり、分子篩のみが分16、分17に置き換える。
【0084】
比較例9では、分子篩の容量が低すぎており、高いメタン且つ低いオレフィンの選択性を示すことがわかる。
【0085】
比較例10では、分子篩容量が高すぎており、高い水素化及び低いオレフィンの選択性を示すことがわかる。特に、対気速度が低下し、転化率が増加すると、オレフィンとアルカンの比が触媒Cと比べて著しく低くなっている。
【0086】
上記の表から、CHA及びAEIの位相構造及びその酸強度と酸含量を含む分子篩の構造、及び金属酸化物と分子篩の間の距離配置は、非常に重要であり、一酸化炭素の転化率とプロピレンブテンの選択性に直接に影響を与えることがわかる。
【0087】
(付記)
(付記1)
触媒であって、前記触媒は、触媒成分Aと触媒成分Bを機械的に混合することにより得られる複合触媒A+Bであり、触媒成分Aの活性成分が活性金属酸化物であり、触媒Bは負荷型分子篩であり、その担体は多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上であり、前記分子篩はCHA構造及びAEI構造の一種或は二種であり、前記分子篩の容量が4%−45%wtであり、前記活性金属酸化物がMnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnO、ZnCr、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である、
ことを特徴とする触媒。
【0088】
(付記2)
前記触媒成分Bは、多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上を担体とし、比表面積が30〜250m/gであり、細孔容積が0.25〜0.80ml/gであり、比表面積に基づいて計算すると、メソ細孔が30〜75%を占め、マクロ孔が25〜70%を占め、分子篩は活性成分としてその場成長或は物理的混合により担体の周りに分散される、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒。
【0089】
(付記3)
触媒成分Aは、MnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒。
【0090】
(付記4)
触媒成分A中の活性成分と触媒成分Bの重量比は、0.1〜20倍、好ましくは0.3〜5倍である、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒。
【0091】
(付記5)
前記活性金属酸化物は、大きさが5〜30nmの結晶粒から構成され、結晶粒の表面から結晶粒の内部方向への深さが0.3nmの距離範囲内に大量の酸素空孔が存在し、その中、酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル含有量の80%未満を占め、好ましくは80%−10%を占め、より好ましくは60%−10%を占め、最も好ましくは50%−10%を占め、表面酸素空孔は、100%−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める百分率として定義され、対応の酸素空孔濃度が好ましくは20%−90%であり、より好ましくは40%−90%であり、最も好ましくは50%−90%である、
ことを特徴とする付記1又は4に記載の触媒。
【0092】
(付記6)
前記触媒成分Aは、Al、SiO、Cr、ZrO、TiOのうちの一種或いは二種を分散剤としてさらに含み、前記活性金属酸化物が分散剤に分散され、分散剤が触媒Aに占める含有量は0.05〜90wt%であり、残りが活性金属酸化物である、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒。
【0093】
(付記7)
合成ガスを反応原料とし、付記1〜7のいずれか一つに記載の触媒を触媒として、固定床或は移動床において転化反応を行い、
その中、前記合成ガスの圧力が0.5〜10MPaであり、反応温度が300〜600℃であり、対気速度が300〜10000h−1であり、前記反応に用いる合成ガスのH/CO比が0.2〜3.5である、
ことを特徴とする合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法。
【手続補正書】
【提出日】2020年1月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(3)乾燥或は乾燥還元
上記から得られた生成物を遠心分離し、或はろ過し、脱イオン水で洗浄した後、雰囲気下で、乾燥或は乾燥と還元処理を行う。雰囲気は、不活性ガス、或は不活性ガスと還元性雰囲気の混合ガスであり、不活性ガスは、N、He、Arのうちの一種或は二種以上であり、還元性雰囲気は、H、COの一種或は二種である。乾燥還元における混合ガス中の不活性ガスと還元性ガスの体積比は100/10〜0/100であり、乾燥と乾燥還元処理において、処理温度は350℃であり、時間は4hであり、これで表面に豊富な酸素空孔を有するZnO材料を得る。具体的なサンプルとその調製条件を以下の表1に示す。その中、表面酸素空孔は次のように定義する(1−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める含有量)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
【表4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
非特許文献1おける対比の技術において、使用された分子SAPO−34は担体に担持されておらず、転化率が17である時にオレフィンの選択性能は80%に達するが、対気速度を低下し、転化率が35%にまで増加した時、オレフィンの選択性は69%である。しかし、その時、アルカンの選択性は20%であり、アルケン/アルカンの比が3.5に低下される。これに対して、本発明の表7の実施例3,10、38、39(触媒C、Jを使用)から見ると、高めのCO転化率である時であっても、本発明の触媒は良い低炭素オレフィンの選択性を有することが分かる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
(付記7)
合成ガスを反応原料とし、付記1〜のいずれか一つに記載の触媒を触媒として、固定床或は移動床において転化反応を行い、
その中、前記合成ガスの圧力が0.5〜10MPaであり、反応温度が300〜600℃であり、対気速度が300〜10000h−1であり、前記反応に用いる合成ガスのH/CO比が0.2〜3.5である、
ことを特徴とする合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒であって、前記触媒は、触媒成分Aと触媒成分Bを機械的に混合することにより得られる複合触媒A+Bであり、触媒成分Aの活性成分が活性金属酸化物であり、触媒Bは負荷型分子篩であり、その担体は多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上であり、前記分子篩はCHA構造及びAEI構造の一種或は二種であり、前記分子篩の容量が4%−45%wtであり、前記活性金属酸化物がMnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnO、ZnCr、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である、
ことを特徴とする触媒。
【請求項2】
前記触媒成分Bは、多孔質のAl、SiO、TiO、ZrO、CeO、MgO、Gaのうちの一種或は二種以上を担体とし、比表面積が30〜250m/gであり、細孔容積が0.25〜0.80ml/gであり、比表面積に基づいて計算すると、メソ細孔が30〜75%を占め、マクロ孔が25〜70%を占め、分子篩は活性成分としてその場成長或は物理的混合により担体の周りに分散される、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
触媒成分Aは、MnO、MnCr、MnAl、MnZrO、ZnAl、CoAl、FeAlのうちの一種或は二種以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
触媒成分A中の活性成分と触媒成分Bの重量比は、0.1〜20倍、好ましくは0.3〜5倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記活性金属酸化物は、大きさが5〜30nmの結晶粒から構成され、結晶粒の表面から結晶粒の内部方向への深さが0.3nmの距離範囲内に大量の酸素空孔が存在し、その中、酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル含有量の80%未満を占め、好ましくは80%−10%を占め、より好ましくは60%−10%を占め、最も好ましくは50%−10%を占め、表面酸素空孔は、100%−酸素原子のモル量が化学量論比酸素モル量に占める百分率として定義され、対応の酸素空孔濃度が好ましくは20%−90%であり、より好ましくは40%−90%であり、最も好ましくは50%−90%である、
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒成分Aは、Al、SiO、Cr、ZrO、TiOのうちの一種或いは二種を分散剤としてさらに含み、前記活性金属酸化物が分散剤に分散され、分散剤が触媒Aに占める含有量は0.05〜90wt%であり、残りが活性金属酸化物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
合成ガスを反応原料とし、請求項1〜のいずれか一項に記載の触媒を触媒として、固定床或は移動床において転化反応を行い、
その中、前記合成ガスの圧力が0.5〜10MPaであり、反応温度が300〜600℃であり、対気速度が300〜10000h−1であり、前記反応に用いる合成ガスのH/CO比が0.2〜3.5である、
ことを特徴とする合成ガスの直接転化に基づく低炭素オレフィンの調製方法。
【国際調査報告】