(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本開示は、HP1が介在するヘテロクロマチン形成を阻害する化学的化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、そのような化合物を同定する方法、及び例えば細胞増殖の障害(例えば、がん)などのヘテロクロマチン形成に関連する障害の治療におけるそれらの使用に関する。この要約は、特定の技術分野の検索を目的とする検索手段を意図するものであり、本発明を限定する意図はない。
HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害薬を同定する方法であって、Kmt2B及び/またはHdgfrp2との結合またはそれらに対する活性について候補化合物をスクリーニングすることを含む、前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のさらなる利点は、部分的には以下の説明に記載されるか、部分的には当該説明から自明であるか、または本発明の実施によって理解することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせによって実現及び達成されるであろう。前述の一般的説明及び以下の詳細な説明はいずれも例示的及び説明的でしかなく、特許請求される本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
【0021】
以下の本発明の詳細な説明及びそこに含まれる実施例を参照することにより、より容易に本発明を理解することができる。
【0022】
本発明の化合物、組成物、物品、システム、装置、及び/または方法を開示及び記載するにあたり、それらは、特に指定のない限り特定の合成方法に、または特に指定のない限り特定の試薬に限定されず、そのため当然のことながら変更できるものと理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は特定の態様の記載のみを目的としており、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。本明細書に記載するものと同様または同等であるいかなる方法及び材料も本発明の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法及び材料を後述する。
【0023】
本発明の態様は、体系法定分類などの特定の法定分類で記載及び特許請求されている可能性があるが、これは単に便宜上のためであり、本発明の各態様はいかなる法定分類においても記載及び特許請求できることを当業者は理解されよう。特に明示されない限り、本明細書に記載するいずれの方法または態様も、その工程を特定の順序で実施する必要があると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、特許請求の範囲または明細書において、工程が特定の順序に限定されるべきであると明示されていない場合、方法クレームは、いかなる観点からも順序が推定されることを決して意図するものではない。このことは、工程もしくは操作フローの構成に関する論理事項、文法構成もしくは句読法に由来する明白な意味、または本明細書に記載する態様の番号もしくは種類を含め、解釈に関して起こり得るいずれの黙示原則に対しても適用される。
【0024】
本出願の全体を通して、種々の刊行物を参照する。これらの刊行物の開示内容は、本出願が関連する現状技術をより完全に説明するために、その全体が参照により本出願に組み込まれる。開示される参考文献はまた、参考文献が依拠する文章中で考察されている、文献中に含まれる内容を参照することにより、個別かつ具体的に本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなる内容も、本発明が、先行発明を理由としてこのような刊行物に先行する権利を与えられないことを容認するものとはみなされない。さらに、本明細書で示す刊行物の日付は実際の公開日と異なる場合があり、個別の確認を要する可能性がある。
【0025】
A.定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に明示されていない限り、複数の指示対象物を包含する。したがって、例えば、「官能基」、「アルキル」、または「残基」という表現は、2つ以上のそのような官能基、アルキル、または残基の混合物などを含む。
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、「からなる」及び「から本質的になる」態様を含み得る。
【0027】
本明細書では、「約」ある特定値から、及び/または「約」別の特定値までのように範囲を表すことができる。そのような範囲が表されている場合、別の態様は、一方の特定値からの範囲、及び/または他方の特定値までの範囲を含む。同様に、先行詞「約」を使用して近似として値が表される場合、その特定値は別の態様を構成するものと理解される。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他方の端点と相関する場合にも、他方の端点から独立している場合にも有意であるものと理解される。また、本明細書に多数の値が開示されているが、各値はまた、その値自体に加えて、「約」その特定値として本明細書に開示されるものと理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」もまた開示される。また、2つの特定の構成単位間の各構成単位もまた開示されるものと理解される。例えば、10及び15が開示されている場合、11、12、13、及び14もまた開示される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「約(about)」及び「約(at or about)」という用語は、当該量または値が、ほぼ同じまたはおよそ同じと指定された何らかの他の値になり得ることを意味する。これは一般に、本明細書で使用される場合、他に指示または推測されない限り、±10%の変動を示す公称値であると理解される。この用語は、同様の値が特許請求の範囲に列挙された同等の結果または効果を促進することを伝えることを意図する。すなわち、量、サイズ、配合、パラメーター、ならびにその他の量及び特性は正確ではなく、かつ正確である必要はないが、許容値、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に公知の他の因子を考慮して、必要に応じて近似し得る、及び/または大きいもしくは小さいものであり得ると理解される。一般に、量、サイズ、配合、パラメーター、またはその他の量もしくは特性は、そのように明示されているかどうかにかかわらず、「約」または「おおよそ」である。定量値の前に「約」が使用される場合、特に明記されない限り、パラメーターには特定の定量値自体も含まれるものと理解される。
【0029】
本明細書及び文末の特許請求の範囲における組成物中の特定の要素または成分の重量部に関する言及は、重量部が表されている組成物中または物品中における、その要素または成分と、任意の他の要素または成分との間の重量関係を表す。したがって、2重量部の成分X、及び5重量部の成分Yで構成される化合物において、XとYは2:5の重量比で存在し、かつその化合物中に追加の成分が含まれているかどうかにかかわらず、そのような比で存在する。
【0030】
成分の重量パーセント(重量%)は、背反する明記のない限り、成分が含まれる製剤または組成物の総重量を基準とする。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「任意の」または「場合により」とは、その後に記載されている事象または状況が、起こる可能性もあれば、起こらない可能性もあることを意味し、かつ、この記述には当該事象または状況が起こる場合の事例と起こらない場合の事例が含まれることを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「治療」とは、疾患、病理学的病態、または障害を治癒、改善、安定化、または予防することを意図された患者の医療管理を指す。この用語には、能動的治療、すなわち疾患、病理学的病態、または障害の改善を特に意図する治療を含み、また、原因療法、すなわち関連する疾患、病理学的病態、または障害の原因の除去を意図する治療も含む。さらに、この用語には、緩和治療、すなわち疾患、病理学的病態、または障害の治癒よりもむしろ症状の緩和を目的とする治療;予防治療、すなわち関連する疾患、病理学的病態、または障害の発症を最小限に抑えるかまたは部分的もしくは完全に抑制することを対象とする治療;ならびに補助治療、すなわち関連する疾患、病理学的病態、または障害の改善を対象とする別の特異的療法を補助するために用いられる治療を含む。様々な態様において、この用語は、哺乳動物(例えばヒト)のいかなる治療をも包含し、(i)疾患の素因を有し得るが、まだそれを有すると診断されていない哺乳動物に疾患が生じることを予防すること;(ii)疾患を阻害する、すなわちその発生を抑止すること;または(iii)疾患を緩和すること、すなわち疾患の退縮を引き起こすことを含む。一態様では、哺乳動物はヒトである。用語「哺乳動物」にはまた、飼育動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)も含まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「予防する」または「予防すること」とは、特に事前の行動によって、発生を妨げる、回避する、取り除く、未然に防ぐ、阻止する、または妨害することを指す。本明細書で緩和、阻害、または予防が使用される場合、特に明示されない限り、他の2つの単語の使用も明示的に開示されるものと理解される。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「診断された」とは、当業者、例えば医師による診察を受け、本明細書に開示される化合物、組成物、または方法によって診断または治療することができる病態を有すると判断されたことを意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」及び「投与」とは、哺乳動物に医薬製剤を与えるいかなる方法をも指す。そのような方法は、当業者に周知されており、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼内投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、頬側投与、ならびに静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、及び皮下投与などの注射剤を含む非経口投与が挙げられるが、これらに限定されない。投与は連続的でも間欠的でもよい。様々な態様において、製剤は治療的に投与する、すなわち、既存の疾患または病態を治療するために投与することができる。さらなる種々の態様において、製剤は予防的に投与する、すなわち、疾患または病態を予防するために投与することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」及び「有効な量」とは、望ましい結果を達成する、または望ましくない病態に効果を及ぼすのに十分な量を指す。例えば、「治療有効量」とは、望ましい治療結果を達成する、または望ましくない症状に効果を及ぼすには十分であるが、有害な副作用を引き起こすには概ね不十分である量を指す。任意の特定の患者についての具体的な治療有効用量のレベルは、様々な要因に応じて決定されることになり、これには、治療される障害及び障害の重度;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、健康状態全般、性別、及び食事;投与時間;投与経路;使用される具体的な化合物の排出速度;治療の継続期間;使用される具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野で周知されている同様の要因が含まれる。例えば、望ましい治療効果の達成に必要なレベルよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、望ましい効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当業者の能力の範囲内である。必要に応じて、有効な1日量を、投与を目的として複数量に分割することができる。したがって、単回用量の組成物は、1日量を構成するような量またはその分割量を含み得る。何らかの禁忌がある場合には、各自の医師が投与量を調整することができる。投与量は変更することができ、毎日1回以上の投与で、1日間または数日間投与することができる。医薬品の所与の分類に適した投与量に関するガイダンスを文献で参照することができる。さらなる種々の態様において、製剤は「予防有効量」、すなわち、疾患または病態を予防するのに有効な量で投与することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「剤形」とは、哺乳動物への投与に適した媒体、担体、ビヒクル、またはデバイス中の薬理学的に活性な物質を意味する。剤形は、防腐剤、緩衝液、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水などの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた、開示される化合物、開示される方法で作製される生成物、またはその塩、溶媒和物、もしくは多形体を含み得る。剤形は、従来の医薬製造及び配合技術を使用して作製することができる。剤形には、無機または有機緩衝液(例えば、リン酸、炭酸、酢酸、またはクエン酸のナトリウム塩またはカリウム塩)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、クエン酸塩または酢酸塩、アミノ酸及びその塩)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、アルファ−トコフェロール)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9−10ノニルフェノール、デスオキシコール酸ナトリウム)、溶解及び/または冷凍/凍結乾燥安定剤(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調整剤(例えば塩または糖)、抗菌剤(例えば、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えばポリジメチルシロゾン)、防腐剤(例えば、チメロサール、2−フェノキシエタノール、EDTA)、高分子安定剤及び粘度調整剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロース)、ならびに共溶媒(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)が含まれていてもよい。注射液用途に製剤化された剤形は、防腐剤とともに注射用滅菌生理食塩水に懸濁された、開示される化合物、開示される方法で作製される生成物、またはその塩、溶媒和物、もしくは多形体を有してもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「キット」とは、キットを構成する少なくとも2つの要素の集合を意味する。全体として、各要素は所与の目的に合わせた機能単位を構成する。個々の構成要素は、物理的に一緒にまたは個別に包装することができる。例えば、キットの使用説明書が含まれているキットは、その説明書を他の個々の構成要素とともに物理的に含んでも含まなくてもよい。代わりに、個別の構成要素として、紙形式、もしくはコンピューター可読記憶素子で提供可能もしくはインターネットウェブサイトからダウンロード可能な電子形式で、または記録された提示物として説明書を提供してもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「説明書(複数可)」とは、キットに関する関連の資料または方法論を記述する文書を意味する。これらの資料には、背景情報、構成要素の一覧及びそれらの入手可能性に関する情報(購入情報など)、キットを使用するための簡潔なもしくは詳細なプロトコル、トラブルシューティング、参考文書、技術サポート、ならびに任意の他の関連文書の任意の組み合わせを含み得る。キットとともに、または個別の構成要素として、紙形式、もしくはコンピューター可読記憶素子で提供可能もしくはインターネットウェブサイトからダウンロード可能な電子形式で、または記録された提示物として説明書を提供してもよい。説明書は1つ以上の文書を含み得るとともに、将来の更新を含むように意図されている。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「治療薬」は、生物(ヒトまたは非ヒト動物)に投与される際に局所作用及び/または全身作用による望ましい薬理効果、免疫原性効果、及び/または生理学的効果を誘導する、任意の合成または天然の生物活性化合物または組成物を含む。したがってこの用語は、従来から、薬物、ワクチン、及びタンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構築物などの分子を含むバイオ医薬品とみなされている化合物または化学物質を包含する。治療薬の例は、Merck Index(第14版)、Physicians’Desk Reference(第64版)、及びThe Pharmacological Basis of Therapeutics(第12版)などの周知の参考文献に記載されており、医薬;ビタミン;ミネラル栄養補助食品;疾患もしくは疾病の治療、予防、診断、治癒、もしくは緩和に使用される物質;身体の構造もしくは機能に影響する物質、または生理的環境に置かれた後に生物学的に活性になるか、もしくはより活性になるプロドラッグが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、用語「治療薬」は、以下を含むがそれに限定されない、すべての主要治療領域において使用される化合物または組成物を含む:アジュバント;抗生物質及び抗ウイルス剤などの抗感染薬;鎮痛薬及び鎮痛薬の組み合わせ、摂食障害薬、抗炎症剤、抗てんかん薬、局所麻酔薬及び全身麻酔薬、睡眠薬、鎮静薬、抗精神病剤、神経遮断剤、抗うつ薬、抗不安薬、アンタゴニスト、ニューロン遮断剤、抗コリン剤及びコリン作用剤、抗ムスカリン剤及びムスカリン作用剤、抗アドレナリン薬、抗不整脈薬、降圧剤、ホルモン及び栄養素、抗関節炎薬、抗喘息剤、抗痙攣薬、抗ヒスタミン薬、抗嘔吐薬、抗悪性腫瘍薬、鎮痒薬、解熱薬;鎮痙薬、心血管製剤(カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、ベータアゴニスト、及び抗不整脈薬を含む)、降圧薬、利尿薬、血管拡張薬;中枢神経系刺激薬;咳及び風邪用製剤;うっ血除去薬;診断薬;ホルモン;骨成長刺激薬及び骨吸収阻害薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;精神刺激薬;鎮静薬;精神安定薬;タンパク質、ペプチド、及びその断片(天然、化学合成、または組換え産生を問わない);ならびに核酸分子(二本鎖分子及び一本鎖分子の両方、遺伝子構築物、発現ベクター、アンチセンス分子などを含む、リボヌクレオチド(RNA)またはデオキシリボヌクレオチド(DNA)のいずれかである2つ以上のヌクレオチドの重合形態)、小分子(例えばドキソルビシン)、ならびに例えばタンパク質及び酵素などの他の生物活性高分子。薬剤は、獣医学用途を含む医学用途、植物に関するものなどの農業、及び他の領域に使用される生物活性剤であり得る。また、用語「治療薬」は、医薬;ビタミン;ミネラル栄養補助食品;疾患もしくは疾病の治療、予防、診断、治癒、もしくは緩和に使用される物質;または身体の構造もしくは機能に影響する物質;または所定の生理的環境に置かれた後に生物学的に活性になるか、もしくはより活性になるプロドラッグが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
用語「薬学的に許容される」は、生物学的にまたは他の意味で有害ではないこと、すなわち、許容されないレベルの望ましくない生物学的作用を引き起こすことがないかまたは有害な形で相互作用することがない材料を表す。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「誘導体」とは、親化合物(例えば本明細書に開示される化合物)の構造に由来する構造を有し、その構造が本明細書に開示される構造に十分に類似しており、その類似性に基づいて、特許請求される化合物と同一のもしくは類似する活性及び有用性を示すか、または特許請求される化合物と同一のもしくは類似する活性及び有用性を前駆体として誘発することを当業者が予測するであろう化合物を指す。例示的な誘導体としては、親化合物の塩、エステル、アミド、エステルまたはアミドの塩、及びN−オキシドが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」とは、滅菌水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、ならびに使用直前に滅菌注射用溶液または注射用分散液に再構成される滅菌粉末を指す。好適な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用により、適当な流動性を維持することができる。こうした組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含有してもよい。微生物の作用の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの、様々な抗菌剤及び抗真菌剤の包含により確実にすることができる。また、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましい場合もある。モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収遅延剤の包含によって、注射用の薬学的形態の持続的吸収をもたらすことができる。注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)、及びポリ(無水物)などの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比、及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。注射用デポー製剤は、体組織に適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬物を封入することによっても調製される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくは他の注射用滅菌媒体に溶解もしくは分散可能な滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことで、滅菌することができる。好適な不活性担体としてはラクトースなどの糖を挙げることができる。活性成分の粒子の少なくとも95重量%が0.01〜10マイクロメートルの範囲の有効粒径を有することが望ましい。
【0044】
本明細書及び文末の特許請求の範囲で使用される化学種の残基とは、ある特定の反応スキームにおいて得られる化学種の生成物、または後続の製剤もしくは化学製品である部分を指し、その部分が実際に化学種から得られるかどうかを問わない。したがって、ポリエステル中のエチレングリコール残基とは、エチレングリコールがポリエステルの調製に使用されたかどうかを問わず、ポリエステル中の1つ以上の−OCH
2CH
2O−単位を指す。同様に、ポリエステル中のセバシン酸残基とは、ポリエステルを得るためにセバシン酸またはそのエステルを反応させることで残基が得られるかどうかを問わず、ポリエステル中の1つ以上の−CO(CH
2)
8CO−部分を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「置換された」は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことを企図する。広義の態様では、許容される置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分枝状及び非分枝状、炭素環式及び複素環式、ならびに芳香族及び非芳香族の置換基を含む。例示的な置換基として、例えば以下に記載されるものが挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して、1つ以上であってもよく、同じであっても異なっていてもよい。本開示の目的では、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の価数を満たす、本明細書に記載の有機化合物の水素置換基及び/または任意の許容される置換基をもつことができる。本開示は、いかなる場合も、有機化合物の許容される置換基によって限定されることを意図しない。また、「置換」または「で置換された」という用語には、そのような置換が、置換される原子及び置換基の許容される価数に従い、かつ置換により、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自発的に起こさない化合物が得られるという暗黙の条件を含む。ある特定の態様では、背反する明示のない限り、個々の置換基は、場合によりさらに置換されていてもよい(すなわち、さらに置換されているかまたは置換されていない)ことも企図される。
【0046】
種々の用語を定義する際、種々の具体的な置換基を表す一般記号として「A
1」、「A
2」、「A
3」、及び「A
4」を本明細書で使用する。これらの記号は、本明細書に開示されるものに限定されない任意の置換基であってよく、ある例で特定の置換基として定義されている場合に、それらの記号を別の例で何らかの他の置換基として定義することができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、直鎖状(すなわち非分枝状)でも分枝状でも環状(縮合、架橋、及びスピロ縮合多環式を含む)でもよく、完全飽和でも1個以上の不飽和単位を含有してもよいが、芳香族ではない、炭化水素部分を示す。特に指定されない限り、脂肪族基は1〜20個の炭素原子を含有する。脂肪族基としては、直鎖状または分枝状のアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基、ならびにその混成体、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキニル)アルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、1〜24個の炭素原子の分枝状または非分枝状の飽和炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどである。アルキル基は環状でも非環状でもよい。アルキル基は分枝状でも非分枝状でもよい。アルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。例えば、アルキル基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。「低級アルキル」基とは、1〜6個(例えば1〜4個)の炭素原子を含むアルキル基である。また、アルキル基という用語は、C1アルキル、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C10アルキルなど、C1〜C24アルキルまでであり得る。
【0049】
本明細書を通じて、「アルキル」は一般に、非置換アルキル基と置換アルキル基の両方を指して使用されるが、本明細書ではまた、置換アルキル基は、アルキル基の特定の置換基(複数可)を特定することによって具体的に言及される。例えば、用語「ハロゲン化アルキル」または「ハロアルキル」は、具体的には、1つ以上のハライド、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されたアルキル基を指す。あるいは、用語「モノハロアルキル」は、具体的には、1つのハライド、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されたアルキル基を指す。用語「ポリハロアルキル」とは、具体的には、2つ以上のハライドで独立して置換されたアルキル基を指し、すなわち、各ハライド置換基は別のハライド置換基と同じハライドである必要はなく、複数例のハライド置換基が同じ炭素上にある必要もない。用語「アルコキシアルキル」とは、具体的には、以下に記載の1つ以上のアルコキシ基で置換されたアルキル基を指す。用語「アミノアルキル」とは、具体的には、1つ以上のアミノ基で置換されたアルキル基を指す。用語「ヒドロキシアルキル」とは、具体的には、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。ある例で「アルキル」が使用され、「ヒドロキシアルキル」などの具体的な用語が別の例で使用される場合、用語「アルキル」が、「ヒドロキシアルキル」などの具体的な用語をも意味しないことを含意する意図はない。
【0050】
この慣例は本明細書に記載の他の基にも使用される。すなわち、「シクロアルキル」などの用語は、非置換と置換両方のシクロアルキル部分を指すが、この置換部分を、さらに本明細書で具体的に特定することができ、例えば、特定の置換シクロアルキルを、例えば「アルキルシクロアルキル」と称することができる。同様に、置換アルコキシを、例えば「ハロゲン化アルコキシ」と具体的に称することができ、特定の置換アルケニルを、例えば「アルケニルアルコール」などと称することができる。この場合にも、「シクロアルキル」などの一般用語及び「アルキルシクロアルキル」などの具体的な用語を使用する慣例は、一般用語が具体的な用語をも含まないことを含意する意図はない。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」とは、少なくとも3個の炭素原子で構成される非芳香族炭素系環である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルキル」とは、上記で定義したシクロアルキル基の一種であり、用語「シクロアルキル」の意味の範囲内に含まれるが、環の炭素原子の少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるが、これらに限定されないヘテロ原子で置換されている。シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」及び「アルコキシル」は、エーテル結合を介して結合したアルキル基またはシクロアルキル基を指す。すなわち、「アルコキシ」基は、−OA
1と定義することができ、その場合のA
1は、上記で定義したようなアルキルまたはシクロアルキルである。「アルコキシ」には、直前に記載したアルコキシ基のポリマーも含まれる。すなわち、アルコキシは、−OA
1−OA
2または−OA
1−(OA
2)
a−OA
3などのポリエーテルであってよく、その場合の「a」は1〜200の整数であり、A
1、A
2、及びA
3は、アルキル基及び/またはシクロアルキル基である。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む構造式を有する、2〜24個の炭素原子の炭化水素基である。(A
1A
2)C=C(A
3A
4)などの非対称構造は、E異性体とZ異性体の両方を含むことを意図する。このことは、非対称アルケンが存在する本明細書の構造式から推定できるか、または結合記号C=Cによって明示されることもある。アルケニル基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルケニル」とは、少なくとも3個の炭素原子で構成され、かつ少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、すなわちC=Cを含む非芳香族炭素系環である。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ノルボルネニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルケニル」とは、上記で定義したシクロアルケニル基の一種であり、用語「シクロアルケニル」の意味の範囲内に含まれるが、環の炭素原子の少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるが、これらに限定されないヘテロ原子で置換されている。シクロアルケニル基及びヘテロシクロアルケニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。シクロアルケニル基及びヘテロシクロアルケニル基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む構造式を有する、2〜24個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は置換されていなくても、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキニル」とは、少なくとも7個の炭素原子で構成され、かつ少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む非芳香族炭素系環である。シクロアルキニル基の例としては、シクロヘプチニル、シクロオクチニル、シクロノニニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルキニル」とは、上記で定義したシクロアルケニル基の一種であり、用語「シクロアルキニル」の意味の範囲内に含まれるが、環の炭素原子の少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるが、これらに限定されないヘテロ原子で置換されている。シクロアルキニル基及びヘテロシクロアルキニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。シクロアルキニル基及びヘテロシクロアルキニル基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「芳香族基」とは、分子の平面よりも上及び下に非局在化π電子の環状雲を有する環構造を指し、ここでπ雲は(4n+2)個のπ電子を含む。芳香族性に関するさらなる説明は、参照により本明細書に組み込まれるMorrison and Boyd,Organic Chemistry,(5th Ed.,1987)、第13章、表題「Aromaticity」、ページ477〜497に記載されている。用語「芳香族基」はアリール基とヘテロアリール基の両方を包含する。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、アントラセンなどを含むが、これらに限定されない任意の炭素系芳香族基を含む基である。アリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。アリール基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、−NH
2、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。用語「ビアリール」は、アリール基の特定の種類であり、「アリール」の定義に含まれる。さらに、アリール基は単環構造であってもよく、縮合環構造であるかまたは炭素−炭素結合などの1つ以上の架橋基を介して結合している複数の環構造を含んでもよい。例えば、ビアリールとは、ナフタレンのように縮合環構造を介して一緒に結合されているか、またはビフェニルのように1つ以上の炭素−炭素結合を介して結合されている、2つのアリール基であり得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「アルデヒド」は、式−C(O)Hで表される。本明細書を通じて、「C(O)」または「CO」はカルボニル基、すなわちC=Oの略式表記である。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」または「アミノ」は、式−NA
1A
2で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、水素、または本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基であり得る。アミノの具体例は−NH
2である。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルアミノ」は、式−NH(−アルキル)で表され、その場合のアルキルは本明細書に記載されている。代表的な例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、(sec−ブチル)アミノ基、(tert−ブチル)アミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、(tert−ペンチル)アミノ基、ヘキシルアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「ジアルキルアミノ」は、式−N(−アルキル)
2で表され、その場合のアルキルは本明細書に記載されている。代表的な例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジ(tert−ペンチル)アミノ基、ジヘキシルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N−エチル−N−プロピルアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「カルボン酸」は、式−C(O)OHで表される。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「エステル」は、式−OC(O)A
1または−C(O)OA
1で表され、その場合のA
1は、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり得る。本明細書で使用される場合、用語「ポリエステル」は、式−(A
1O(O)C−A
2−C(O)O)
a−または−(A
1O(O)C−A
2−OC(O))
a−で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であってよく、「a」は1〜500の整数である。「ポリエステル」とは、少なくとも2つのカルボン酸基を有する化合物と少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物との反応によって生成される基を示す際に使用される用語である。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「エーテル」は、式A
1OA
2で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり得る。本明細書で使用される場合、用語「ポリエーテル」は、式−(A
1O−A
2O)
a−で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であってよく、「a」は1〜500の整数である。ポリエーテル基の例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びポリブチレンオキシドが挙げられる。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハライド」は同義に使用することができ、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「擬ハライド」、「擬ハロゲン」、または「擬ハロ」は同義に使用することができ、実質的にハライドと同様に挙動する官能基を意味する。そのような官能基としては、例として、シアノ基、チオシアナト基、アジド基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペルフルオロアルキル基、及びペルフルオロアルコキシ基が挙げられる。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」とは、少なくとも1個のヘテロ原子を含むアルキル基を指す。好適なヘテロ原子としては、O、N、Si、P、及びSが挙げられるがそれに限定されず、その場合の窒素原子、リン原子、及び硫黄原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい。ヘテロアルキルはアルキル基について上記定義のように置換されていてもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は芳香族基の環内に少なくとも1個のヘテロ原子が組み込まれている芳香族基を指す。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、及びリンが挙げられるがこれらに限定されず、その場合、N−オキシド、硫黄酸化物、及びジオキシドが、許容されるヘテロ原子置換である。ヘテロアリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。ヘテロアリール基は、本明細書に記載のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基は単環式環系でも、あるいは縮合環系でもよい。ヘテロアリール基としては、フリル、イミダゾリル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、ピリジニル、ピロリル、N−メチルピロリル、キノリニル、イソキノリニル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、及びピラゾロピリミジニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基のさらなる非限定的な例としては、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、イミダゾ[1,2−b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2−a]ピラジニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、及びピリド[2,3−b]ピラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「複素環」または「ヘテロシクリル」は同義に使用することができ、環員の少なくとも1つが炭素以外である単環式及び多環式の芳香環系または非芳香環系を指す。したがって、この用語は「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロアリール」、「二環式複素環」、及び「多環式複素環」を含むが、これらに限定されない。複素環としては、ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール(1,2,3−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、及び1,3,4−オキサジアゾールを含む)、チアジアゾール(1,2,3−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、及び1,3,4−チアジアゾールを含む)、トリアゾール(1,2,3−トリアゾール、1,3,4−トリアゾールを含む)、テトラゾール(1,2,3,4−テトラゾール及び1,2,4,5−テトラゾールを含む)、ピリダジン、ピラジン、トリアジン(1,2,4−トリアジン及び1,3,5−トリアジンを含む)、テトラジン(1,2,4,5−テトラジンを含む)、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、アゼチジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。また、ヘテロシクリル基という用語は、C2ヘテロシクリル、C2〜C3ヘテロシクリル、C2〜C4ヘテロシクリル、C2〜C5ヘテロシクリル、C2〜C6ヘテロシクリル、C2〜C7ヘテロシクリル、C2〜C8ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C10ヘテロシクリル、C2〜C11ヘテロシクリルなど、C2〜C18ヘテロシクリルまでであり得る。例えば、C2ヘテロシクリルは、アジリジニル、ジアゼチジニル、ジヒドロジアゼチル、オキシラニル、チイラニルなどを含むがこれらに限定されない、2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を有する基を含む。あるいは、例えばC5ヘテロシクリルは、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ジアゼパニル、ピリジニルなどを含むがこれらに限定されない、5個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を有する基を含む。ヘテロシクリル基は、化学的に可能な場合には環中のヘテロ原子を介して、またはヘテロシクリル環に含まれる炭素のうち1個を介して結合できると理解される。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「二環式複素環」または「二環式ヘテロシクリル」とは、環員の少なくとも1つが炭素以外である環系を指す。二環式ヘテロシクリルは、芳香環が別の芳香環と縮合した環系、または芳香環が非芳香環と縮合した環系を包含する。二環式ヘテロシクリルは、1つ、2つ、もしくは3つの環ヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環にベンゼン環が縮合した環系、または1つ、2つ、もしくは3つの環ヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環にピリジン環が縮合した環系を包含する。二環式複素環基としては、インドリル、インダゾリル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、ベンゾフラニル、キノリニル、キノキサリニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、3,4−ジヒドロ−2H−クロメニル、1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル;1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル;及び1H−ピラゾロ[3,2−b]ピリジン−3−イルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」とは、3〜8個の原子の単環、ならびに二環式及び三環式の環系を含む、脂肪族の部分不飽和または完全飽和の3〜14員環系を指す。ヘテロシクロアルキル環系は酸素、窒素、及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、その場合の窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により置換されていてもよい。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル及びテトラヒドロフリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシル」は、式−OHで表される。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「ケトン」は、式A
1C(O)A
2で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「アジド(azide)」または「アジド(azido)」は、式−N
3で表される。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「ニトロ」は、式−NO
2で表される。
【0077】
本明細書で使用される場合、用語「ニトリル」または「シアノ」は、式−CNまたは−C≡Nで表される。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「シリル」は、式−SiA
1A
2A
3で表され、その場合のA
1、A
2、及びA
3は独立して、水素、または本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基であり得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「スルホ−オキソ」は、式−S(O)A
1、−S(O)
2A
1、−OS(O)
2A
1、または−OS(O)
2OA
1で表され、その場合のA
1は、水素、または本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基であり得る。本明細書を通じて、「S(O)」はS=Oの略式表記である。本明細書で使用される用語「スルホニル」は、式−S(O)
2A
1で表されるスルホ−オキソ基を指し、その場合のA
1は、水素、または本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基であり得る。本明細書で使用される場合、用語「スルホン」は、式A
1S(O)
2A
2で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり得る。本明細書で使用される場合、用語「スルホキシド」は、式A
1S(O)A
2で表され、その場合のA
1及びA
2は独立して、本明細書に記載のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「チオール」は、式−SHで表される。
【0081】
本明細書で使用される場合、「R
1」、「R
2」、「R
3」、「R
n」(nは整数である)は、上に列挙した1つ以上の基を独立して有し得る。例えば、R
1が直鎖アルキル基である場合、このアルキル基の水素原子の1つが、場合によりヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハライドなどで置換されていてもよい。選択される基に応じて、第1の基が第2の基内に組み込まれる場合もあれば、あるいは、第1の基が第2の基のペンダントである(すなわち結合されている)場合もある。例えば、「アミノ基を含むアルキル基」という語句に関して、アミノ基がアルキル基の骨格内に組み込まれていてもよい。あるいは、アミノ基がアルキル基の骨格に結合していてもよい。第1の基が第2の基に組み込まれるか、またはそれと結合するかは、選択される基(複数可)の性質に応じて決定されることになる。
【0082】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、「場合により置換された」部分を含み得る。一般に、用語「置換された」は、用語「場合により」が先行するか否かにかかわらず、指定された部分の1つ以上の水素が好適な置換基で置き換えられることを意味する。特に記載のない限り、「場合により置換された」基は、その基の置換可能な各位置に好適な置換基を有していてもよく、また任意の所与の構造において特定の基から選択される複数の置換基で複数の位置が置換可能である場合、置換基は位置ごとに同じであっても異なっていてもよい。本発明で想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。ある特定の態様では、背反する明示のない限り、個々の置換基は、場合によりさらに置換されていてもよい(すなわち、さらに置換されているか、または置換されていない)ことも企図される。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「安定な」とは、その作製、検出、ならびに特定の態様において、本明細書に開示される1つ以上の目的でのその回収、精製、及び使用を可能にする条件に供したときに、実質的に変化しない化合物を指す。
【0084】
「場合により置換された」基の置換可能な炭素原子の好適な一価置換基は、独立してハロゲン;−(CH
2)
0-4R
○;−(CH
2)
0-4OR
○;−O(CH
2)
0-4R
○、−O−(CH
2)
0-4C(O)OR
○;−(CH
2)
0-4CH(OR
○)
2;−(CH
2)
0-4SR
○;R
○で置換されていてもよい−(CH
2)
0-4Ph;R
○で置換されていてもよい−(CH
2)
0-4O(CH
2)
0-1Ph;R
○で置換されていてもよい−CH=CHPh;R
○で置換されていてもよい−(CH
2)
0-4O(CH
2)
0-1−ピリジル;−NO
2;−CN;−N
3;−(CH
2)
0-4N(R
○)
2;−(CH
2)
0-4N(R
○)C(O)R
○;−N(R
○)C(S)R
○;−(CH
2)
0-4N(R
○)C(O)NR
○2;−N(R
○)C(S)NR
○2;−(CH
2)
0-4N(R
○)C(O)OR
○;−N(R
○)N(R
○)C(O)R
○;−N(R
○)N(R
○)C(O)NR
○2;−N(R
○)N(R
○)C(O)OR
○;−(CH
2)
0-4C(O)R
○;−C(S)R
○;−(CH
2)
0-4C(O)OR
○;−(CH
2)
0-4C(O)SR
○;−(CH
2)
0-4C(O)OSiR
○3;−(CH
2)
0-4OC(O)R
○;−OC(O)(CH
2)
0-4SR−、SC(S)SR
○;−(CH
2)
0-4SC(O)R
○;−(CH
2)
0-4C(O)NR
○2;−C(S)NR
○2;−C(S)SR
○;−(CH
2)
0-4OC(O)NR
○2;−C(O)N(OR
○)R
○;−C(O)C(O)R
○;−C(O)CH
2C(O)R
○;−C(NOR
○)R
○;−(CH
2)
0-4SSR
○;−(CH
2)
0-4S(O)
2R
○;−(CH
2)
0-4S(O)
2OR
○;−(CH
2)
0-4OS(O)
2R
○;−S(O)
2NR
○2;−(CH
2)
0-4S(O)R
○;−N(R
○)S(O)
2NR
○2;−N(R
○)S(O)
2R
○;−N(OR
○)R
○;−C(NH)NR
○2;−P(O)
2R
○;−P(O)R
○2;−OP(O)R
○2;−OP(O)(OR
○)
2;SiR
○3;−(C
1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)O−N(R
○)
2;または−(C
1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)O−N(R
○)
2であり、ここで、各R
○は以下の定義のように置換されていてよく、独立して水素、C
1-6脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0-1Ph、−CH
2−(5〜6員ヘテロアリール環)、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは上記の定義にかかわらず、独立して出現する2つのR
oが、その介在する原子(複数可)とともに、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜12員の飽和、部分不飽和、またはアリールの単環もしくは二環を形成し、以下に定義されるように置換されていてもよい。
【0085】
R
○(または独立して出現する2つのR
○とその介在する原子が一緒になることで形成される環)の好適な一価置換基は、独立して、ハロゲン、−(CH
2)
0-2R
●、−(ハロR
●)、−(CH
2)
0-2OH、−(CH
2)
0-2OR
●、−(CH
2)
0-2CH(OR
●)
2;−O(ハロR
●)、−CN、−N
3、−(CH
2)
0-2C(O)R
●、−(CH
2)
0-2C(O)OH、−(CH
2)
0-2C(O)OR
●、−(CH
2)
0-2SR
●、−(CH
2)
0-2SH、−(CH
2)
0-2NH
2、−(CH
2)
0-2NHR
●、−(CH
2)
0-2NR
●2、−NO
2、−SiR
●3、−OSiR
●3、−C(O)SR
●、−(C
1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)OR
●、または−SSR
●であり、ここで、各R
●は非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1つ以上のハロゲンでのみ置換されており、C
1-4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0-1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から独立して選択される。R
○の飽和炭素原子の好適な二価置換基として、=O及び=Sが挙げられる。
【0086】
「場合により置換された」基の飽和炭素原子の好適な二価置換基として、=O、=S、=NNR
*2、=NNHC(O)R
*、=NNHC(O)OR
*、=NNHS(O)
2R
*、=NR
*、=NOR
*、−O(C(R
*2))
2-3O−、または−S(C(R
*2))
2-3S−が挙げられ、ここで、独立して出現する各R
*は、水素、以下の定義のように置換されていてもよいC
1-6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。「場合により置換された」基の隣接する置換可能な炭素に結合する好適な二価置換基として、−O(CR
*2)
2-3O−が挙げられ、ここで、独立して出現する各R
*は、水素、以下の定義のように置換されていてもよいC
1-6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。
【0087】
R
*の脂肪族基の好適な置換基として、ハロゲン、−R
●、−(ハロR
●)、−OH、−OR
●、−O(ハロR
●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR
●、−NH
2、−NHR
●、−NR
●2、または−NO
2が挙げられ、ここで、各R
●は非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1つ以上のハロゲンでのみ置換されており、かつ独立して、C
1-4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0-1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
【0088】
「場合により置換された」基の置換可能な窒素の好適な置換基として、−R
†、−NR
†2、−C(O)R
†、−C(O)OR
†、−C(O)C(O)R
†、−C(O)CH
2C(O)R
†、−S(O)
2R
†、−S(O)
2NR
†2、−C(S)NR
†2、−C(NH)NR
†2、または−N(R
†)S(O)
2R
†が挙げられ、ここで、各R
†は独立して、水素、以下の定義のように置換されていてもよいC
1-6脂肪族、非置換の−OPh、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは上記の定義にかかわらず、独立して出現する2つのR
†が、その介在する原子(複数可)とともに、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の3〜12員の飽和、部分不飽和、またはアリールの単環または二環を形成する。
【0089】
R
†の脂肪族基の好適な置換基は、独立してハロゲン、−R
●、−(ハロR
●)、−OH、−OR
●、−O(ハロR
●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR
●、−NH
2、−NHR
●、−NR
●2、または−NO
2であり、ここで、各R
●は非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1つ以上のハロゲンでのみ置換されており、かつ独立して、C
1-4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0-1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
【0090】
用語「脱離基」とは、求電子性を有し、結合電子を獲得することにより安定な種として置換され得る原子(または原子群)を指す。好適な脱離基の例として、ハライド、ならびにトリフラート、メシラート、トシラート、及びブロシレートを含むがこれらに限定されないスルホン酸エステルが挙げられる。
【0091】
用語「加水分解性基」及び「加水分解性部分」とは、例えば塩基性または酸性条件下で加水分解を受けることが可能な官能基を意味する。加水分解性残基の例としては、限定されないが、酸ハライド、活性化カルボン酸、及び当技術分野において公知の様々な保護基が挙げられる(例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis,”T.W.Greene,P.G.M.Wuts,Wiley−Interscience,1999を参照)。
【0092】
用語「有機残基」は、炭素を含む残基、すなわち、少なくとも1個の炭素原子を含む残基と定義され、上記で定義した、炭素を含む基、残基、またはラジカルを含むが、これらに限定されない。有機残基は、様々なヘテロ原子を含んでいてもよく、または酸素、窒素、硫黄、リンなどを含むヘテロ原子を介して別の分子と結合していてもよい。有機残基の例としては、アルキルまたは置換アルキル、アルコキシまたは置換アルコキシ、一置換または二置換アミノ、アミド基などが挙げられるが、これらに限定されない。有機残基は、好ましくは1〜18個の炭素原子、1〜15個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含み得る。さらなる態様では、有機残基は、2〜18個の炭素原子、2〜15個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜4個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を含み得る。
【0093】
用語「残基」と酷似する同義語は用語「ラジカル」であり、これは本明細書及び文末の特許請求の範囲で使用される場合、分子の調製方法を問わず、本明細書に記載の分子の断片、基、または部分構造を指す。例えば、特定の化合物中の2,4−チアゾリジンジオンラジカルは、構造:
【化7】
を有し、その場合、チアゾリジンジオンが化合物の調製に使用されるかどうかを問わない。いくつかの実施形態では、ラジカル(例えばアルキル)は、1つ以上の「置換基ラジカル」がそれに結合することにより、さらに修飾されていてもよい(すなわち、置換アルキル)。所与のラジカル中の原子の数は、本明細書の他の箇所に背反する記載のない限り、本発明にとって重要ではない。
【0094】
「有機ラジカル」は、本用語が本明細書で定義され使用される場合、1つ以上の炭素原子を含む。有機ラジカルは、例えば1〜26個の炭素原子、1〜18個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を有することができる。さらなる態様では、有機ラジカルは、2〜26個の炭素原子、2〜18個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜6個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を有することができる。有機ラジカルは多くの場合、有機ラジカルの炭素原子の少なくともいくつかに結合した水素を有する。無機原子を全く含まない有機ラジカルの一例は、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルラジカルである。いくつかの実施形態では、有機ラジカルは、それと結合された、またはその中に結合された、ハロゲン、酸素、硫黄、窒素、リンなどを含む、1〜10個の無機ヘテロ原子を含み得る。有機ラジカルの例としては、限定されないが、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルオキシ、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、置換ジアルキルカルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオアルキル、チオハロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、複素環、または置換複素環のラジカルが挙げられ、各用語は本明細書の他の箇所で定義されている。ヘテロ原子を含む有機ラジカルのいくつかの非限定的な例としては、アルコキシラジカル、トリフルオロメトキシラジカル、アセトキシラジカル、ジメチルアミノラジカルなどが挙げられる。
【0095】
「無機ラジカル」は、本用語が本明細書で定義され使用される場合、炭素原子を含まず、したがって炭素以外の原子のみを含む。無機ラジカルは、水素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、セレン、ならびにフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などのハロゲンから選択される原子の結合組み合わせを含み、これらは個々に存在していても、化学的に安定な組み合わせで互いに結合していてもよい。無機ラジカルは、上に列挙した10個以下、好ましくは1〜6個または1〜4個の一緒に結合される無機原子を有する。無機ラジカルの例としては、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、チオール、スルフェート、ホスフェート、及び同様の一般に公知の無機ラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。無機ラジカルは、その中に結合している周期表の金属元素(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド金属、またはアクチニド金属など)をもたないが、そのような金属イオンが、スルフェート、ホスフェート、または同様のアニオン性無機ラジカルなどのアニオン性無機ラジカルに対して薬学的に許容されるカチオンとして機能し得る場合がある。無機ラジカルは、本明細書の他の箇所で特に明示しない限り、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、スズ、鉛、もしくはテルルなどの半金属元素、または希ガス元素を含まない。
【0096】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の二重結合を含み得るため、シス/トランス(E/Z)異性体ならびに他の配座異性体を生じる可能性がある。背反する記載のない限り、本発明は、そのような起こり得る異性体のすべて、ならびにそのような異性体の混合物を含む。
【0097】
背反する記載のない限り、実線のみで示され、くさび線または破線で示されていない化学結合を有する式は、起こり得る各異性体(例えば各エナンチオマー及びジアステレオマー)、及びラセミまたはスケールミックの混合物などの異性体の混合物を企図する。本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得るため、ジアステレオマー及び光学異性体を生じる可能性がある。背反する記載のない限り、本発明は、そのような起こり得るジアステレオマーのすべて、ならびにそのラセミ混合物、その実質的に純粋な分割されたエナンチオマー、起こり得る幾何異性体のすべて、及びその薬学的に許容される塩を含む。立体異性体の混合物、及び単離された特定の立体異性体もまた含まれる。そのような化合物を調製するために使用される合成手順の過程で、または当業者に公知のラセミ化もしくはエピマー化手順を使用する際、そのような手順の生成物が立体異性体の混合物であってもよい。
【0098】
多くの有機化合物は、平面偏光の面を回転させることが可能な光学活性形態で存在する。光学活性化合物を記載する際に、そのキラル中心(複数可)を軸とする分子の絶対配置を示すために接頭辞D及びLまたはR及びSが使用される。接頭辞d及びlまたは(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転符号を示すために用いられ、(−)の場合は、化合物が左旋性であることを意味する。接頭辞が(+)またはdである化合物は右旋性である。所与の化学構造に関して、立体異性体と呼ばれるこれらの化合物は、それらが互いに重ね合わせることができない鏡像であることを除いて同一である。ある特定の立体異性体はエナンチオマーと呼ばれることもあり、多くの場合、そのような異性体の混合物はエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物と呼ばれる。本明細書に記載の化合物の多くは、1つ以上のキラル中心をもつことができ、したがって、異なるエナンチオマー形態で存在する可能性がある。必要な場合は、キラル炭素がアスタリスク(*)で示されることもある。開示される式においてキラル炭素への結合が直線で描かれている場合、キラル炭素の(R)配置及び(S)配置の両方、したがって両方のエナンチオマー及びその混合物が式に包含されるものと理解される。当技術分野で使用されているように、キラル炭素を中心とする絶対配置を特定することが望ましい場合、キラル炭素への結合の一方をくさび(平面より上の原子との結合)で描くことができ、また、他方を連続したまたはくさび型の短い平行線(平面より下の原子との結合)で描くことができる。カーン・インゴルド・プレローグ則を使用して、キラル炭素に対する(R)または(S)配置を割り付けることができる。
【0099】
本明細書に記載の化合物には、天然同位体存在比及び非天然存在比両方の原子を含む。開示される化合物は、1つ以上の原子が、自然界に通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置換されているという点を除いて、記載されたものと同一である同位体標識化合物または同位体置換化合物であり得る。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれ
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
35S、
18F、及び
36Clが挙げられる。化合物はさらにそのプロドラッグを含み、また上述の同位体及び/または他の原子の他の同位体を含む上記化合物または上記プロドラッグの薬学的に許容される塩が本発明の範囲内である。本発明の特定の同位体標識化合物、例えば
3H及び
14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものは、薬物及び/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム同位体、すなわち
3H、及び炭素14、すなわち
14C同位体は、調製及び検出が容易であるため特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわち
2Hなどのより重い同位体による置換は、代謝安定性の増加により得られる、ある種の治療上の利点、例えばin vivo半減期の増加、または必要用量の低減をもたらすことができるため、状況によっては好ましい場合がある。本発明の同位体標識化合物及びそのプロドラッグは、一般に、非同位体標識試薬に代えて容易に入手可能な同位体標識試薬を用いて、以下の手順を実施することにより調製することができる。
【0100】
本発明に記載の化合物は、溶媒和物として存在し得る。場合によって、溶媒和物の調製に使用される溶媒は水溶液であり、その場合、溶媒和物は水和物と呼ばれることが多い。化合物は水和物として存在し得るが、これは、例えば溶媒または水溶液からの結晶化によって得ることができる。これに関連して、1つ、2つ、3つ、または任意の数の溶媒分子または水分子を、本発明による化合物と混和させ、溶媒和物及び水和物を形成することができる。背反する記載のない限り、本発明は、そのような可能な溶媒和物のすべてを含む。
【0101】
用語「共結晶」とは、非共有結合相互作用によって安定性を得る2つ以上の分子の物理的会合を意味する。この分子複合体の1つ以上の成分は、結晶格子に安定な骨格を与える。場合によって、ゲスト分子が、無水物または溶媒和物として結晶格子に組み込まれる。例えば、“Crystal Engineering of the Composition of Pharmaceutical Phases.Do Pharmaceutical Co−crystals Represent a New Path to Improved Medicines?”Almarasson,O.,et.al.,The Royal Society of Chemistry,1889−1896,2004を参照のこと。共結晶の例としては、p−トルエンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。
【0102】
また、本明細書に記載のある特定の化合物は平衡状態の互変異性体として存在し得ると認識される。例えば、α−水素を有するケトンは、ケト型とエノール型が平衡して存在し得る。
【化8】
同様に、N−水素を有するアミドは、アミド型とイミド酸型が平衡して存在し得る。別の例として、以下に示すように、ピラゾールは、N
1−非置換3−A
3とN
1−非置換5−A
3という2つの互変異性型で存在し得る。
【化9】
背反する記載のない限り、本発明は、そのような可能な互変異性体のすべてを含む。
【0103】
化学物質は、配列が異なる状態で存在する固体を形成することが知られており、これを多形体または修飾体と呼ぶ。修飾が異なる多形物質は、その物理的性質が大きく異なる可能性がある。本発明による化合物は、異なる多形体で存在することができ、それにより準安定である特殊な修飾体が可能である。背反する記載のない限り、本発明は、そのような可能な多形体のすべてを含む。
【0104】
いくつかの態様では、化合物の構造は、式:
【化10】
で表すことができ、上記式は式:
【化11】
(式中、nは通常、整数である)と同等であると理解される。すなわち、R
nは5つの独立した置換基R
n(a)、R
n(b)、R
n(c)、R
n(d)、R
n(e)を表すと理解される。「独立した置換基」とは、各R置換基が独立して定義され得ることを意味する。例えば、ある例でR
n(a)がハロゲンである場合、R
n(b)はその場合に必ずしもハロゲンではない。
【0105】
本明細書に開示されるある特定の物質、化合物、組成物、及び成分は、商業的に入手できるか、または当業者に一般的に公知である技術を用いて容易に合成することができる。例えば、開示される化合物及び組成物の調製に使用される出発物質及び試薬は、Aldrich Chemical Co.,(Milwaukee,Wis.)、Acros Organics(Morris Plains,N.J.)、Fisher Scientific(Pittsburgh,Pa.)、またはSigma(St.Louis,Mo.)などの商業的供給元から入手可能であるか、または、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,第1〜17巻(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,第1〜5巻及び補遺版(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,第1〜40巻(John Wiley and Sons,1991);March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,4th Edition);及びLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)などの参考文献に記載の手順に従って当業者に公知の方法によって調製される。
【0106】
特に明示されない限り、本明細書に記載するいずれの方法も、その工程を特定の順序で実施する必要があると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法クレームで、その工程が従うべき順序が実際に列挙されていないか、または工程が特定の順序に限定されることを特許請求の範囲または明細書に特に明示されていない場合、いかなる観点からも順序が推定されることを決して意図するものではない。このことは、工程または操作フローの構成に関する論理事項、文法構成または句読法に由来する明白な意味、及び本明細書に記載する実施形態の番号または種類を含め、解釈に関して起こり得るいずれの黙示原則に対しても適用される。
【0107】
本発明の組成物の調製に使用される成分、ならびに本明細書に開示される方法の範囲内で使用される組成物それ自体が開示される。このような物質及び他の物質が本明細書で開示されているが、こうした物質の組み合わせ、部分集合、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物の様々な個別的及び集合的な組み合わせならびに順列のそれぞれに対する具体的な言及が明示的に開示されていない場合であっても、それぞれが具体的に企図され、本明細書に記載されているものと理解される。例えば、特定の化合物が開示及び考察され、その化合物を含むいくつかの分子に対してなされ得るいくつかの修飾について考察されている場合、背反する明示のない限り、化合物のあらゆる組み合わせ及び順列ならびに可能である修飾が具体的に企図される。したがって、分子A、B、及びCのクラスならびに分子D、E、及びFのクラスが開示され、かつ、組み合わせ分子の例A−Dが開示されている場合、それぞれが個別に列挙されていなくても、それぞれが個別的及び集合的に企図され、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fが開示されるとみなされることを意味する。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせもまた開示される。したがって、例えば、部分群であるA−E、B−F、及びC−Eが開示されるとみなされる。この考え方は、本発明の組成物を作製及び使用する方法における工程を含むが、これに限定されない本出願のすべての態様に適用される。したがって、実施可能である様々な追加の工程が存在する場合、これらの追加の工程それぞれを、本発明の方法の任意の具体的な実施形態または実施形態の組み合わせにより実施できるものと理解される。
【0108】
本明細書に開示される組成物は、ある特定の機能を有するものと理解される。開示される機能を実行するためのある特定の構造要件を本明細書に開示するが、開示される構造に関連する同じ機能を実行できる様々な構造が存在し、通常はこれらの構造が同じ結果を達成するものであると理解される。
【0109】
B.化合物
一態様では、ヘテロクロマチン形成に関連する障害、例えば細胞増殖の障害(例えば、がん)などの治療または予防に有用な化合物を開示する。さらなる態様では、開示される化合物は、HP−1が介在するヘテロクロマチン形成の調節を呈する。なおさらなる態様では、開示される化合物は、HP−1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を呈する。
【0110】
一態様では、本発明の化合物は、本明細書にさらに記載される、ヘテロクロマチン形成に関連する障害及びヘテロクロマチン遺伝子抑制が関与する他の疾患の治療または予防に有用である。
【0111】
開示される各誘導体は、場合によりさらに置換されていてもよいことが企図される。任意の1つ以上の誘導体を場合により本発明から除外できることも企図される。開示される化合物は、開示される方法によって提供できるものと理解される。開示される化合物は、開示される使用方法において使用できるものと理解される。
【0112】
1.構造
一態様では、式:
【化12】
[式中、nは0及び1から選択され;R
1は、HまたはC1〜C4アルキルであり;R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から独立して選択されるか;または、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、もしくは6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、もしくは2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、もしくは3個の基で置換されており;R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、または4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、または4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化13】
を有する部分から独立して選択されるか;または
R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環もしくは6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、もしくは4個の基で置換されている]で表される構造を有する化合物;またはその薬学的に許容される塩を開示する。
【0113】
さらなる態様では、化合物は、以下から選択される構造を有する:
【化14】
【0114】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化15】
【0115】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化16】
【0116】
さらなる態様では、化合物は、以下から選択される構造を有する:
【化17】
【0117】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化18】
【0118】
さらなる態様では、化合物は、以下から選択される構造を有する:
【化19】
【0119】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化20】
【0120】
さらなる態様では、化合物は、以下から選択される構造を有する:
【化21】
【0121】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化22】
【0122】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化23】
【0123】
さらなる態様では、化合物は、以下から選択される構造を有する:
【化24】
【0124】
さらなる態様では、化合物は、以下から選択される構造を有する:
【化25】
【0125】
さらなる態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化26】
【0126】
一態様では、nは0及び1から選択される。さらなる態様では、nは0である。なおさらなる態様では、nは1である。
【0127】
一態様では、mは1、2、3、及び4から選択される。さらなる態様では、mは1、2、及び3から選択される。なおさらなる態様では、mは1及び2から選択される。なおさらなる態様では、mは4である。なおさらなる態様では、mは3である。なおさらなる態様では、mは2である。なおさらなる態様では、mは1である。
【0128】
一態様では、pは0、1、2、3、及び4から選択される。さらなる態様では、pは0、1、2、及び3から選択される。なおさらなる態様では、pは0、1、及び2から選択される。なおさらなる態様では、pは0及び1から選択される。なおさらなる態様では、pは1、2、3、及び4から選択される。なおさらなる態様では、pは1、2、及び3から選択される。なおさらなる態様では、pは1及び2から選択される。なおさらなる態様では、pは4である。なおさらなる態様では、pは3である。なおさらなる態様では、pは2である。なおさらなる態様では、pは1である。なおさらなる態様では、pは0である。
【0129】
a.R
1基
一態様では、R
1は、HまたはC1〜C4アルキルである。さらなる態様では、R
1はHである。
【0130】
さらなる態様では、R
1は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルから選択される。なおさらなる態様では、R
1は、H、メチル、エチル、n−プロピル、及びi−プロピルから選択される。なおさらなる態様では、R
1は、H、メチル、及びエチルから選択される。なおさらなる態様では、R
1は、H及びエチルから選択される。なおさらなる態様では、R
1は、H及びメチルから選択される。
【0131】
さらなる態様では、R
1は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルから選択される。なおさらなる態様では、R
1は、メチル、エチル、n−プロピル、及びi−プロピルから選択される。なおさらなる態様では、R
1は、メチル及びエチルから選択される。なおさらなる態様では、R
1はエチルである。なおさらなる態様では、R
1はメチルである。
【0132】
b.R
2基及びR
3基
一態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から独立して選択されるか;または、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、もしくは6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、もしくは3個の基で置換されている。さらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれはHである。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のうち1つがHであり、R
2及びR
3のうち1つが、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から選択される。
【0133】
さらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C4アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、メチル、エチル、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、メチル、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。
【0134】
さらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。
【0135】
さらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及びC1〜C8アルキルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及びC1〜C4アルキルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、メチル、エチル、n−プロピル、及びi−プロピルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、メチル、及びエチルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及びエチルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及びメチルから独立して選択される。
【0136】
さらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3のそれぞれは、H及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。
【0137】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0138】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0139】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0140】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環または6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0141】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0142】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0143】
さらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換された5員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換された5員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換された5員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換された5員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル及び−CH
2OHから選択される基で一置換された5員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、非置換の5員非芳香族複素環をともに形成する。
【0144】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0145】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員非芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0146】
さらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換された6員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換された6員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換された6員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換された6員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル及び−CH
2OHから選択される基で一置換された6員非芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、非置換の6員非芳香族複素環をともに形成する。
【0147】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0148】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環または6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0149】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0150】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0151】
さらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換された5員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換された5員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換された5員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換された5員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル及び−CH
2OHから選択される基で一置換された5員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、非置換の5員芳香族複素環をともに形成する。
【0152】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、または2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は非置換である。
【0153】
さらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。なおさらなる態様では、R
2及びR
3が、介在するNとともに、6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換される。
【0154】
さらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換された6員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換された6員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換された6員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換された6員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、メチル及び−CH
2OHから選択される基で一置換された6員芳香族複素環をともに形成する。なおさらなる態様では、R
2とR
3とNは、非置換の6員芳香族複素環をともに形成する。
【0155】
c.R
4基及びR
5基
一態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、または4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、または4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化27】
を有する部分から独立して選択されるか;または
R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環もしくは6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、もしくは4個の基で置換されている。
【0156】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、及び4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、及び4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化28】
を有する部分から独立して選択される。
なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C4アルキル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CCH、及び構造:
【化29】
を有する部分から独立して選択される。
なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CCH、及び構造:
【化30】
を有する部分から独立して選択される。
なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CCH、及び構造:
【化31】
を有する部分から独立して選択される。
なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CCH、及び構造:
【化32】
を有する部分から独立して選択される。
【0157】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、及び4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、及び4である)、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C4アルキル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、ベンジル、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CCHから独立して選択される。
【0158】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C4アルキル、ベンジル、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ベンジル、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、ベンジル、及び−CH
2CCHから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、ベンジル、及び−CH
2CCHから独立して選択される。
【0159】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H及び−CH
2CCHから独立して選択される。
【0160】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C4アルキル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、エチル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、メチル、及びベンジルから独立して選択される。
【0161】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、C1〜C8アルキル及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル及びベンジルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、エチル及びベンジルから独立して選択される。
【0162】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれはC1〜C8アルキルである。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、メチル及びエチルから独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれはメチルである。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれはエチルである。
【0163】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、及び4である)、及び−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、及び4である)から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2NH
2、及び−CH
2CH
2OCH
2CH
2NH
2から独立して選択される。なおさらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、H、−CH
2CH
2OH、及び−CH
2CH
2NH
2から独立して選択される。
【0164】
さらなる態様では、R
4及びR
5のそれぞれは、構造:
【化33】
を有する部分である。
【0165】
さらなる態様では、R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環または6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、または4個の基で置換されている。なおさらなる態様では、R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環または6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換されている。なおさらなる態様では、R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環または6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換されている。なおさらなる態様では、R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環または6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換されている。なおさらなる態様では、R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環または6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換されている。なおさらなる態様では、R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環または6員複素環を形成し、複素環は非置換である。
【0166】
さらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、または4個の基で置換された5員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換された5員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換された5員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換された5員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換された5員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、介在する原子とともに、非置換の5員複素環を形成する。
【0167】
さらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、または4個の基で置換された6員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、または3個の基で置換された6員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、または2個の基で置換された6員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される0個または1個の基で置換された6員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから選択される基で一置換された6員複素環を、介在する原子とともに形成する。なおさらなる態様では、R
4及びR
5は、介在する原子とともに、非置換の6員複素環を形成する。
【0168】
さらなる態様では、R
4及びR
5は合わせてイソプロピリデンである。
【0169】
2.例示化合物
一態様では、化合物は以下の構造:
【化34-1】
【化34-2】
のうちの1つ以上、またはその薬学的に許容される塩として表すことができる。
【0170】
一態様では、化合物は以下の構造:
【化35】
のうちの1つ以上、またはその薬学的に許容される塩として表すことができる。
【0171】
一態様では、化合物は以下の構造:
【化36】
またはその薬学的に許容される塩として表すことができる。
【0172】
3.仮想化合物の例
以下の化合物例は仮想であり、本明細書で上記した合成方法、及び必要に応じて当業者に公知であるような他の一般法を用いて調製することができる。仮想化合物はHP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害薬として活性であると予想され、そのような活性は本明細書に記載のアッセイ方法を使用して決定することができる。
【0173】
一態様では、化合物は、以下から選択することができる:
【化37-1】
【化37-2】
またはその薬学的に許容される誘導体。
【0174】
一態様では、化合物は、以下から選択することができる:
【化38-1】
【化38-2】
またはその薬学的に許容される誘導体。
【0175】
C.化合物の作製方法
本発明の化合物は、実験の項で例示されるか、または当業者には自明である文献で公知である他の標準操作に加えて、以下のスキームに示す反応を用いることにより調製することができる。本明細書に開示される定義に従い複数の置換基が許容される場合、明確性のため、単一の置換基を有する例を示す。
【0176】
本発明の化合物を生成するために使用される反応物は、以下に記載及び例示される以下の反応スキームに示す反応を用いることにより調製される。ある種の特定の例において、開示される化合物は、以下に記載及び例示される経路I及び経路IIによって調製することができる。以下の例は、本発明を十分に理解できるようにするために記載されており、例示的なものに過ぎず、限定として解釈されるべきではない。
【0177】
1.経路I
一態様では、6,7−二置換キナゾリン−4−アミン誘導体は、以下に示すように調製することができる。
【化39】
【0178】
本明細書の他の箇所の化合物の説明に示す置換基とともに、化合物を一般形で表す。式中、Xはハロゲンである。より具体的な例を以下に示す。
【化40】
【0179】
一態様では、タイプ1.10の化合物及び類似する化合物を、上記反応スキーム1Bに従って調製することができる。したがって、タイプ1.8の化合物は、適切なハロゲン化アリール、例えば上記の1.6と、適切なアミン、例えば上記の1.7との置換反応によって調製することができる。適切なハロゲン化アリール及び適切なアミンは市販されているか、または当業者に公知の方法によって調製される。置換反応は、適切な塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で、適切な溶媒、例えばジメチルホルムアミド中で実施する。タイプ1.10の化合物は、適切なハロゲン化アリール、例えば上記の1.8と、適切なアミン、例えば上記の1.9との置換反応によって調製することができる。適切なアミンは、市販されているか、または当業者に公知の方法によって調製される。置換反応は、適切な酸、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)の存在下で、適切な溶媒、例えばイソプロピルアルコール中で実施する。当業者であれば理解できるように、上記の反応は、上記の具体的な反応物と構造が類似している化合物(タイプ1.1、1.2、1.3、及び1.4の化合物と類似する化合物)を反応させて置換し、式1.5と類似する6,7−二置換キナゾリン−4−アミン誘導体を得ることができる一般的な手法の例を示している。
【0180】
2.経路II
一態様では、6,7−二置換キナゾリン−4−アミン誘導体は、以下に示すように調製することができる。
【化41】
【0181】
本明細書の他の箇所の化合物の説明に示す置換基とともに、化合物を一般形で表す。式中、PG
1のそれぞれはアルコール保護基であり、PG
2はアミン保護基であり、Xはハロゲンである。好適なアルコール及びアミン保護基は、当業者に公知である。より具体的な例を以下に示す。
【化42】
【0182】
一態様では、タイプ2.7の化合物及び類似する化合物は、上記反応スキーム2Bに従って調製することができる。したがって、タイプ2.5の化合物は、保護反応と、それに続く適切なキナゾリン誘導体、例えば上記の2.4の脱保護反応によって調製することができる。保護反応は、適切な保護基剤、例えばジ−tert−ブチルジカーボネート、及び適切な塩基、例えばトリエチルアミン(TEA)の存在下で、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)中で実施する。脱保護反応は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下で、適切なプロトン性溶媒、例えばメタノール中で実施する。タイプ2.7の化合物は、適切なアルコール、例えば上記の2.5と、適切なハロゲン化アルキル、例えば上記の2.4とのアルキル化反応によって調製することができる。適切なハロゲン化アルキルは、市販されているか、または当業者に公知の方法によって調製される。アルキル化反応は、適切な塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で実施する。当業者であれば理解できるように、上記の反応は、上記の具体的な反応物と構造が類似している化合物(タイプ1.5、2.1、及び2.2の化合物と類似する化合物)を反応させて置換し、式2.3と類似する6,7−二置換キナゾリン−4−アミン誘導体を得ることができる一般的な手法の例を示している。
【0183】
3.経路III
一態様では、6,7−二置換キナゾリン−4−アミン誘導体は、以下に示すように調製することができる。
【化43】
【0184】
本明細書の他の箇所の化合物の説明に示す置換基とともに、化合物を一般形で表す。式中、PG
2はアミン保護基である。好適なアミン保護基は、当業者に公知である。より具体的な例を以下に示す。
【化44】
【0185】
一態様では、タイプ3.3の化合物及び類似する化合物は、上記反応スキーム3Bに従って調製することができる。したがって、タイプ3.3の化合物は、適切なアルキン、例えば上記の2.4と、適切なアジド、例えば上記の3.1との「クリック」反応と、それに続く脱保護反応によって調製することができる。「クリック」反応は、適切な触媒、例えば硫酸銅(II)、適切な配位子、例えばトリス−[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン、及び適切な還元剤、例えばアスコルビン酸ナトリウムの存在下、適切な溶媒系、例えば水及びtert−ブタノール中で実施する。脱保護反応は、適切な酸、例えば4N塩酸の存在下、適切な溶媒、例えばジオキサン中で実施する。当業者であれば理解できるように、上記の反応は、上記の具体的な反応物と構造が類似している化合物(タイプ2.3及び3.1の化合物と類似する化合物)を反応させて置換し、式3.2と類似する6,7−二置換キナゾリン−4−アミン誘導体を得ることができる一般的な手法の例を示している。
【0186】
開示される各方法は、追加の工程、操作、及び/または成分をさらに含み得ることが企図される。任意の1つ以上の工程、操作、及び/または成分を場合により本発明から除外できることも企図される。開示される方法を使用して、開示される化合物を提供できるものと理解される。また、開示される方法の生成物を、開示される使用方法に使用できるものと理解される。
【0187】
D.医薬組成物
一態様では、開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を開示する。
【0188】
様々な態様において、本発明の化合物及び組成物は、意図される投与方法に従って製剤化される医薬組成物の形態で投与することができる。本明細書に記載の化合物及び組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体または賦形剤を使用して従来の方法で製剤化することができる。例えば、医薬組成物は、局所投与用または全身投与用、例えば耳への滴下もしくは注入による投与、(耳などへの)吹送、静脈内、局所、または経口投与用に製剤化することができる。
【0189】
投与用の医薬組成物の性質は、投与様式に応じて異なり、当業者が容易に決定することができる。様々な態様において、医薬組成物は無菌であるかまたは滅菌可能である。本発明の特徴を有する治療用組成物には、その多くが当業者に公知である担体または賦形剤が含まれ得る。使用可能な賦形剤としては、緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、及び重炭酸塩緩衝液)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、ポリペプチド(例えば血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、水、及びグリセロールが挙げられる。本発明の特徴を有する核酸、ポリペプチド、小分子、及び他の調節化合物を、任意の標準的な投与経路によって投与することができる。例えば、非経口、静脈内、皮下、または経口での投与が可能である。対応する投与経路に応じて、調節化合物を様々な方法で製剤化することができる。例えば、耳への滴下による投与用、注射用、または摂取用に液体溶液を作製することができ、摂取用または局所塗布用にゲルまたは粉末を作製することができる。そのような製剤を作製する方法は周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA1990で参照することができる。
【0190】
様々な態様において、開示される医薬組成物は、活性成分としての開示される化合物(その薬学的に許容される塩(複数可)を含む)、薬学的に許容される担体、及び場合により他の治療用成分またはアジュバントを含む。本組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、及び非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)投与に適したものを含むが、任意の所与の症例に最適な経路は、個々の宿主、ならびに活性成分の投与対象となる病態の性質及び重度によって決定されることになる。医薬組成物は、単位剤形で利便に提供し、製薬分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0191】
様々な態様において、本発明の医薬組成物には、薬学的に許容される担体と、本発明の化合物または化合物の薬学的に許容される塩とが含まれ得る。本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の他の治療上活性な化合物と組み合わせて医薬組成物に含まれ得る。
【0192】
使用される薬学的担体は、例えば固体、液体、または気体であり得る。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、及び水である。気体担体の例としては、二酸化炭素及び窒素が挙げられる。
【0193】
経口剤形用の組成物の調製において、任意の利便な薬学的媒体を使用することができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などを使用して、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液などの経口液体製剤を形成することができる一方、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用して、散剤、カプセル剤、及び錠剤などの経口固形製剤を形成することができる。錠剤及びカプセル剤は、その投与の容易性から、固体の薬学的担体を使用する経口投与単位として好ましい。場合により、標準的な水性または非水性技術によって錠剤をコーティングすることができる。
【0194】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合により1つ以上の補助成分またはアジュバントとともに圧縮または成形することにより製剤化することができる。散剤または顆粒剤などの易流動性形態の活性成分を、場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤と混合して、好適な機械で圧縮することにより圧縮錠剤を製剤化することができる。不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することにより成形錠剤を作製することができる。
【0195】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩)、薬学的に許容される担体、及び場合により1つ以上の追加の治療薬またはアジュバントを含む。本組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、及び非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)投与に適した組成物を含むが、任意の所与の場合に最適な経路は、特定の宿主、ならびに活性成分が投与される病態の性質及び重度によって決定されることになる。医薬組成物は、単位剤形で利便に提供し、製薬分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0196】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性化合物の水溶液剤または水懸濁液剤として調製することができる。例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの好適な界面活性剤を含むこともできる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で油中分散液剤を調製することもできる。さらに、微生物の有害な増殖を防止するために防腐剤を含むこともできる。
【0197】
注射用途に適した本発明の医薬組成物は、滅菌水溶液または分散液を含む。さらに、組成物は、そのような滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌散剤の形態であり得る。いかなる場合にも、最終的な注射用形態は滅菌でなければならず、容易にシリンジ注入可能なように実質的に流動性でなければならない。医薬組成物は製造条件及び保管条件下で安定でなければならず、したがって好ましくは細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、植物油、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0198】
本発明の医薬組成物は、例えばエアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤、洗口剤、含嗽薬などの局所用途に適した形態であり得る。さらに、組成物は経皮デバイスでの使用に適した形態であり得る。これらの製剤は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を利用して、従来の加工方法により調製することができる。一例として、クリームまたは軟膏は、親水性材料及び水を約5重量%〜約10重量%の化合物と混合して、所望の粘稠度を有するクリームまたは軟膏を生成することにより調製される。
【0199】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である、直腸投与に適した形態であり得る。この混合物は単位用量の坐剤を形成することが好ましい。好適な担体としては、カカオバター及び当技術分野において一般的に使用される他の材料が挙げられる。坐剤は、最初に組成物を軟化または融解した担体(複数可)と混合した後、鋳型中で冷却及び成形することによって利便に形成することができる。
【0200】
上述の担体成分に加えて、上記の医薬製剤は、必要に応じて、希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、界面活性剤、粘稠剤、滑沢剤、防腐剤(酸化防止剤を含む)などのような1つ以上の追加の担体成分を含み得る。さらに、意図するレシピエントの血液と製剤を等張にするために、他のアジュバントを含み得る。本発明の化合物及び/またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物は、散剤または液体の濃縮形態で調製することもできる。
【0201】
さらなる態様では、有効量は治療有効量である。なおさらなる態様では、有効量は予防有効量である。
【0202】
さらなる態様では、医薬組成物は哺乳動物に投与される。なおさらなる態様では、哺乳動物はヒトである。なおさらなる態様では、ヒトは患者である。
【0203】
さらなる態様では、医薬組成物は、ヘテロクロマチン形成に関連する障害、例えば細胞増殖の障害(例えば、がん)などの治療に使用される。
【0204】
開示される組成物は、開示される化合物から調製できるものと理解される。また、開示される組成物は、開示される使用方法に使用できるものと理解される。
【0205】
E.ヘテロクロマチン形成に関連する障害の治療方法
様々な態様において、本明細書に開示される化合物及び組成物は、例えば、細胞増殖の障害(例えば、がん)を含む、ヘテロクロマチン形成に関連する多様な障害を治療、予防、改善、抑制、またはそのリスクを低減するのに有用である。したがって、一態様では、哺乳動物におけるヘテロクロマチン形成に関連する障害を治療する方法であって、有効量の少なくとも1つの開示される化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または開示される方法によって同定された少なくとも1つの化合物を哺乳動物に投与することを含む方法を開示する。
【0206】
一態様では、ヘテロクロマチン形成に関連する障害を治療する方法であって、式:
【化45】
[式中、nは0及び1から選択され;R
1は、HまたはC1〜C4アルキルであり;R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から独立して選択されるか;または、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、もしくは6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、もしくは2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、もしくは3個の基で置換されており;R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、または4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、または4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化46】
を有する部分から独立して選択されるか;または
R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環もしくは6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、もしくは4個の基で置換されている]で表される構造を有する有効量の化合物;またはその薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与することを含む方法を開示する。
【0207】
様々な態様において、薬物同士の組み合わせが一方の薬物単独よりも安全または効果が高い場合に、開示される化合物または他の薬物が有用性を有し得るヘテロクロマチン形成に関連する障害の治療、予防、抑制、改善、またはリスクの低減に、開示される化合物を1種以上の他の薬物と組み合わせて使用することができる。そのような他の薬物(複数可)は、一般的にそれに使用される経路及び量で、本発明の化合物と同時にまたは逐次的に投与することができる。本発明の化合物を1種以上の他の薬物と同時に使用する場合、そのような他の薬物及び開示される化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用療法は、開示される化合物と1種以上の他の薬物が異なった重複するスケジュールで投与される療法も含み得る。また、1種以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、開示される化合物及び他の活性成分を、それぞれを単独で使用する場合よりも低い用量で使用できることも企図される。したがって、医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1種以上の他の活性成分を含有するものを含む。
【0208】
さらなる態様では、化合物は、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の減少を示す。
【0209】
さらなる態様では、化合物は、約0.001μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.01μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.1μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約1μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約2μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約3μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約5μM〜約10μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.001μM〜約5μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.001μM〜約3μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.001μM〜約2μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.001μM〜約1μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.001μM〜約0.1μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.01μM〜約5μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約0.1μM〜約5μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約1μM〜約5μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。なおさらなる態様では、化合物は、約1μM〜約3μMのIC
50で、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害を示す。
【0210】
さらなる態様では、哺乳動物はヒトである。
【0211】
さらなる態様では、哺乳動物は、投与前に障害と診断されている。
【0212】
さらなる態様では、哺乳動物は、障害の治療の必要性があると、投与段階の前に診断されている。なおさらなる態様では、哺乳動物は、投与段階の前に障害を発症するリスクがある。
【0213】
さらなる態様では、方法は、投与段階の前に、障害を発症するリスクがある哺乳動物を特定することをさらに含む。
【0214】
さらなる態様では、量は治療有効量である。なおさらなる態様では、量は予防有効量である。
【0215】
さらなる態様では、障害は、細胞増殖が不制御な疾患である。なおさらなる態様では、障害はがんである。なおさらなる態様では、がんは肉腫である。なおさらなる態様では、がんは癌腫である。なおさらなる態様では、がんは血液癌である。なおさらなる態様では、がんは固形腫瘍である。
【0216】
がんは、典型的には無秩序な細胞成長を特徴とする哺乳動物の生理学的病態を指すか、または表すものと理解される。がんは多剤耐性(MDR)または薬剤感受性であり得る。がんの例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病を含むが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、乳癌、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、腹膜癌、肝臓癌(例えば肝癌)、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、及び甲状腺癌が挙げられる。
【0217】
様々な態様において、がんのさらなる例は、基底細胞癌、胆道癌、骨癌、脳及びCNSのがん、絨毛癌、結合組織癌、食道癌、眼癌、頭頸部のがん、胃癌、上皮内腫瘍、喉頭癌、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(例えば、唇、舌、口、及び咽頭)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系のがん、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、泌尿器系のがん、ならびにその他の癌腫及び肉腫である。
【0218】
さらなる態様では、がんは血液癌である。なおさらなる態様では、血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、孤立性骨髄腫、限局性骨髄腫、及び髄外骨髄腫から選択される。なおさらなる態様では、がんは、慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、及び大細胞型B細胞リンパ腫から選択される。
【0219】
さらなる態様では、がんは脳のがんである。なおさらなる態様では、脳のがんは、神経膠腫、髄芽腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)、聴神経腫瘍、神経膠腫、髄膜腫、脳下垂体腺腫、神経鞘腫、CNSリンパ腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、頭蓋咽頭腫、脊索腫、髄芽腫、脳神経芽細胞腫、中枢神経細胞腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍、軟骨肉腫、軟骨腫、脈絡叢癌腫、脈絡叢乳頭腫、頭蓋咽頭腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、神経節神経腫、胚細胞腫、血管芽細胞腫、血管周皮腫、及び転移性脳腫瘍から選択される。なおさらなる態様では、神経膠腫は、上衣細胞腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、及び乏突起星細胞腫から選択される。なおさらなる態様では、神経膠腫は、若年性毛様性星細胞腫、上衣下巨細胞星状細胞腫、神経節膠腫、上衣下細胞腫、多形黄色星細胞腫、未分化星細胞腫、多形膠芽腫、脳幹神経膠腫、乏突起神経膠腫、上衣細胞腫、乏突起星細胞腫、小脳星細胞腫、線維形成性乳児星細胞腫、上衣下巨細胞星細胞腫、びまん性星細胞腫、混合神経膠腫、視神経膠腫、脳神経膠腫症、多巣性神経膠腫瘍、多中心性多形膠芽腫瘍、傍神経節腫、及び神経節膠腫から選択される。
【0220】
一態様では、がんは、血液、脳、泌尿生殖器管、胃腸管、結腸、直腸、乳房、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓、及び皮膚のがんから選択されるがんであり得る。さらなる態様では、がんは、前立腺癌、多形膠芽腫、子宮内膜癌、乳癌、及び結腸癌から選択される。さらなる態様では、がんは乳房、卵巣、前立腺、頭部、頸部、及び腎臓のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは、血液、脳、泌尿生殖器管、胃腸管、結腸、直腸、乳房、肝臓、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓、及び皮膚のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは肺及び肝臓のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは乳房、卵巣、精巣、及び前立腺のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは乳房のがんである。なおさらなる態様では、がんは卵巣のがんである。なおさらなる態様では、がんは前立腺のがんである。なおさらなる態様では、がんは精巣のがんである。
【0221】
さらなる態様では、がんは、乳房、子宮頸部、胃腸管、大腸管、脳、皮膚、前立腺、卵巣、甲状腺、精巣、泌尿生殖器管、膵臓、及び子宮内膜のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは乳房のがんである。なおさらなる態様では、乳房のがんはホルモン抵抗性癌である。なおさらなる態様では、がんは子宮頸部のがんである。なおさらなる態様では、がんは卵巣のがんである。なおさらなる態様では、がんは子宮内膜のがんである。なおさらなる態様では、がんは泌尿生殖器管のがんである。なおさらなる態様では、がんは大腸管のがんである。なおさらなる態様では、大腸管のがんは大腸癌である。なおさらなる態様では、がんは胃腸管のがんである。なおさらなる態様では、胃腸管のがんは消化管間質腫瘍である。なおさらなる態様では、がんは皮膚のがんである。なおさらなる態様では、皮膚のがんは黒色腫である。なおさらなる態様では、がんは脳のがんである。なおさらなる態様では、脳のがんは神経膠腫である。なおさらなる態様では、神経膠腫は多形膠芽腫である。なおさらなる態様では、神経膠腫は、上衣細胞腫、星細胞腫、乏突起神経膠腫、及び乏突起星細胞腫から選択される。なおさらなる態様では、脳のがんは、聴神経腫瘍、神経膠腫、髄膜腫、脳下垂体腺腫、神経鞘腫、CNSリンパ腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、頭蓋咽頭腫、脊索腫、髄芽腫、脳神経芽細胞腫、中枢神経細胞腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍、軟骨肉腫、軟骨腫、脈絡叢癌腫、脈絡叢乳頭腫、頭蓋咽頭腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、神経節神経腫、胚細胞腫、血管芽細胞腫、及び血管周皮腫から選択される。なおさらなる態様では、血液癌は、白血病、リンパ腫、慢性骨髄増殖性障害、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、及び形質細胞腫瘍(骨髄腫)から選択される。なおさらなる態様では、血液癌は白血病である。なおさらなる態様では、白血病は、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、及び慢性リンパ性白血病から選択される。なおさらなる態様では、白血病は急性リンパ性白血病である。なおさらなる態様では、血液癌はリンパ腫である。なおさらなる態様では、血液癌は骨髄腫である。なおさらなる態様では、骨髄腫は多発性骨髄腫である。
【0222】
さらなる態様では、癌腫は、結腸癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌腫、気管支原性癌腫、腎細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎性癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、及び上皮癌から選択される。
【0223】
さらなる態様では、がんは、乳癌、子宮頸癌、胃腸癌、大腸癌、脳癌、皮膚癌、前立腺癌、卵巣癌、甲状腺癌、精巣癌、膵臓癌、子宮内膜癌、黒色腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、慢性骨髄増殖性障害、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、及び形質細胞腫瘍(骨髄腫)から選択される。
【0224】
F.HP1が介在するヘテロクロマチン形成を阻害する方法
一態様では、HP1が介在するヘテロクロマチン形成を阻害する方法であって、少なくとも1つの開示される化合物またはその薬学的に許容される塩の投与を含む方法を開示する。
【0225】
一態様では、HP1が介在するヘテロクロマチン形成を阻害する方法であって、式:
【化47】
[式中、nは0及び1から選択され;R
1は、HまたはC1〜C4アルキルであり;R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から独立して選択されるか;または、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、もしくは6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、もしくは2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、もしくは3個の基で置換されており;R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、または4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、または4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化48】
を有する部分から独立して選択されるか;または
R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環もしくは6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、もしくは4個の基で置換されている]で表される構造を有する化合物;またはその薬学的に許容される塩の投与を含む方法を開示する。
【0226】
さらなる態様では、投与はin vitroである。なおさらなる態様では、投与はin vivoである。
【0227】
さらなる態様では、投与は哺乳動物に対するものである。なおさらなる態様では、哺乳動物はヒトである。
【0228】
G.HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害薬を同定する方法
一態様では、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害薬を同定する方法であって、Kmt2B及び/またはHdgfrp2との結合またはそれらに対する活性について候補化合物をスクリーニングすることを含む方法を開示する。さらなる態様では、候補化合物は、式:
【化49】
[式中、nは0及び1から選択され;R
1は、HまたはC1〜C4アルキルであり;R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から独立して選択されるか;または、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、もしくは6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、もしくは2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、もしくは3個の基で置換されており;R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、または4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、または4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化50】
を有する部分から独立して選択されるか;または
R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環もしくは6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、もしくは4個の基で置換されている]で表される構造またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0229】
一態様では、開示される方法によって同定された化合物を開示する。さらなる態様では、化合物は、式:
【化51】
[式中、nは0及び1から選択され;R
1は、HまたはC1〜C4アルキルであり;R
2及びR
3のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、−CH
2CH
2NH
2、−(CH
2CH
2O)
m−H、及び−(CH
2CH
2O)
m−CH
2CH
2NH
2(式中、mは1、2、3、または4である)から独立して選択されるか;または、R
2及びR
3が、介在するNとともに、5員非芳香族複素環、5員芳香族複素環、6員非芳香族複素環、もしくは6員芳香族複素環を形成し、複素環は、O、N、及びSから選択される0、1、もしくは2個のさらなるヘテロ原子を含み、かつ複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、もしくは3個の基で置換されており;R
4及びR
5のそれぞれは、H、C1〜C8アルキル、ベンジル、−(CH
2CH
2O)
m−H(式中、mは1、2、3、または4である)、−(CH
2CH
2O)
p−CH
2CH
2NH
2(式中、pは0、1、2、3、または4である)、−CH
2CCH、及び構造:
【化52】
を有する部分から独立して選択されるか;または
R
4及びR
5が、介在する原子とともに、5員複素環もしくは6員複素環を形成し、複素環は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−NH
2、−NHCH
3、−N(CH
3)
2、−CH
2OH、及び−CH
2CH
2OHから独立して選択される0、1、2、3、もしくは4個の基で置換されている]で表される構造またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0230】
一態様では、ヘテロクロマチン形成に関連する障害を治療する方法であって、開示される方法により同定された化合物の有効量を哺乳動物に投与することを含む方法を開示する。
【0231】
H.組成物の使用方法
開示される組成物または医薬品の使用方法を提供する。一態様では、使用方法は障害の治療を対象とする。さらなる態様では、薬物同士の組み合わせが一方の薬物単独よりも安全または効果が高い場合に、化合物または他の薬物が有用性を有する上述の疾患、障害、及び病態の治療、予防、抑制、改善、またはリスクの低減に、開示される化合物を単一の薬剤として、または1種以上の他の薬物と組み合わせて使用することができる。他の薬物(複数可)は、一般的にそれに使用される経路及び量で、開示される化合物と同時にまたは逐次的に投与することができる。開示される化合物を1種以上の他の薬物と同時に使用する場合、そのような薬物及び開示される化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、重複するスケジュールで併用療法を投与することもできる。また、1種以上の活性成分と開示される化合物との組み合わせは、どちらか一方が単一の薬剤である場合よりも有効であり得ると想定される。
【0232】
本発明の医薬組成物及び方法は、上述の病理学的病態の治療に通常適用される、本明細書に記載の他の治療上活性な化合物をさらに含み得る。
【0233】
1.医薬品の製造
一態様では、本発明は、哺乳動物におけるヘテロクロマチン形成に関連する障害を治療するための医薬品の製造方法であって、治療有効量の開示される化合物または開示される方法の生成物と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを混和することを含む方法に関する。
【0234】
このような用途に関して、本方法は、ヘテロクロマチン形成、特にHP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害に有効な治療有効量の化合物を、哺乳動物、特にヒトに投与することを含む。本発明に関連して、哺乳動物、特にヒトに投与される用量は、適度な期間にわたり、その動物の治療反応に十分に影響を与える必要がある。当業者であれば、哺乳動物の体調、哺乳動物の体重、ならびに障害の重度及びステージを含む、種々の要因に応じて投与量が異なることを理解しているであろう。
【0235】
したがって、一態様では、本発明は、開示される化合物または開示される方法で作製される生成物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは多形体と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを混和することを含む医薬品の製造に関する。
【0236】
2.化合物及び組成物の使用
開示される化合物及び組成物の使用もまた提供する。したがって、一態様では、本発明は、ヘテロクロマチン形成、例えばHP1が介在するヘテロクロマチン形成の阻害薬の使用に関する。
【0237】
さらなる態様では、本発明は、ヘテロクロマチン形成に関連する障害、例えば細胞増殖の障害(例えば、がん)などを治療するための医薬品の製造における、開示される化合物または開示される方法の生成物の使用に関する。
【0238】
さらなる態様では、この使用は、治療有効量の開示される化合物または開示される方法の生成物、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を、医薬品として使用するために調製するプロセスに関する。
【0239】
さらなる態様では、この使用は、治療有効量の開示される化合物または開示される方法の生成物を含み、薬学的に許容される担体が治療有効量の開示される化合物または開示される方法の生成物と均質に混合された医薬組成物を調製するプロセスに関する。
【0240】
さらなる態様では、使用は、細胞増殖の障害の治療である。なおさらなる態様では、使用は、がんの治療である。なおさらなる態様では、がんは白血病である。なおさらなる態様では、がんは骨髄腫である。なおさらなる態様では、がんは固形腫瘍である。なおさらなる態様では、がんはリンパ腫である。
【0241】
さらなる態様では、がんは、血液、脳、前立腺、泌尿生殖器管、胃腸管、結腸、直腸、乳房、肝臓、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓、及び皮膚のがんから選択されるがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは、結腸、直腸、乳房、前立腺、肝臓、皮膚、及び肺のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは、乳房、卵巣、精巣、及び前立腺のがんから選択される。なおさらなる態様では、がんは乳房のがんである。様々な態様において、がんは肝臓のがんである。なおさらなる態様では、がんは前立腺のがんである。なおさらなる態様では、がんは結腸または直腸のがんである。
【0242】
開示される使用は、開示される化合物、方法、組成物、及びキットと関連して用いることが可能であると理解される。さらなる態様では、本発明は、哺乳動物におけるヘテロクロマチン形成に関連する障害の治療ための医薬品における、開示される化合物または組成物の使用に関する。
【0243】
さらなる態様では、本発明は、細胞増殖の障害(例えば、がん)などのヘテロクロマチン形成に関連する障害を治療するための医薬品の製造における、開示される化合物または組成物の使用に関する。
【0244】
3.キット
一態様では、開示される化合物と、(a)少なくとも1種の化学療法剤;及び(b)がんの治療に関する説明書のうちの1つ以上とを含むキットを開示する。
【0245】
様々な態様において、本明細書に記載の薬剤及び医薬組成物をキットで提供することができる。キットは、本明細書に記載の薬剤と医薬組成物との組み合わせも含み得る。
【0246】
様々な態様において、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質製剤、有糸分裂阻害剤、mTor阻害剤、または他の化学療法剤からなる群の1つ以上から選択される。
【0247】
さらなる態様では、抗腫瘍性抗生物質製剤は、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ペントスタチン、及びバルルビシン、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体からなる群の1つ以上から選択される。
【0248】
さらなる態様では、代謝拮抗剤は、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、ペメトレキセド、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、デシタビン、プララトレキサート、フロクスウリジン、メトトレキサート、及びチオグアニン、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体からなる群の1つ以上から選択される。
【0249】
さらなる態様では、アルキル化剤は、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン、ブスルファン、ロムスチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、イホスファミド、メクロレタミン、テモゾロミド、チオテパ、ベンダムスチン、及びストレプトゾシン、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体からなる群の1つ以上から選択される。
【0250】
さらなる態様では、有糸分裂阻害剤は、イリノテカン、トポテカン、ルビテカン、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、イキサベピロン、ビノレルビン、ビンブラスチン、及びテニポシド、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体からなる群の1つ以上から選択される。
【0251】
さらなる態様では、mTor阻害剤は、エベロリムス、シロリウム、及びテムシロリムス、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体からなる群の1つ以上から選択される。
【0252】
様々な態様において、情報資料は、本明細書に記載の方法及び/または本明細書に記載の方法での薬剤の使用に関連する説明資料、指示資料、販売資料、または他の資料であり得る。例えば、情報資料は、ヘテロクロマチン形成に関連する障害を有するか、または発症するリスクがある哺乳動物を治療するための本明細書の薬剤の使用に関連するものであり得る。キットはまた、(培養物中またはin vivoの)細胞に本発明の薬剤を投与する、及び/または細胞を患者に投与するための装置も含み得る。
【0253】
様々な態様において、情報資料は、医薬組成物及び/または細胞(複数可)を、ヒトの治療に適した方法、例えば好適な用量、剤形、または投与様式(例えば、本明細書に記載の用量、剤形、または投与様式)で投与するための説明書を含み得る。さらなる態様では、情報資料は、好適な哺乳動物、例えば、ヘテロクロマチン形成に関連する障害を有するか、または発症するリスクのあるヒトに医薬組成物を投与するための説明書を含み得る。
【0254】
様々な態様において、キットの組成物は、溶媒または緩衝液、安定剤、防腐剤、香料、または他の化粧品成分などの他の成分を含み得る。そのような態様では、キットは、薬剤と他の成分を混合するか、または1つ以上の化合物を他の成分とともに使用する際の説明書を含み得る。
【0255】
さらなる態様では、化合物と化学療法剤は合剤にされている。なおさらなる態様では、化合物と化学療法剤は同一包装されている。
【0256】
さらなる態様では、キットは複数の剤形をさらに含み、その複数に1種以上の用量が含まれる。その場合の各用量は、有効量の化合物及び化学療法剤を含む。なおさらなる態様では、有効量は治療有効量である。なおさらなる態様では、有効量は予防有効量である。なおさらなる態様では、化合物及び化学療法剤の各用量は同一包装されている。なおさらなる態様では、化合物及び化学療法剤の各用量は合剤にされている。
【0257】
4.哺乳動物
様々な態様において、本明細書に開示される方法の哺乳動物は、脊椎動物、例えば哺乳動物である。したがって、本明細書に開示される方法の哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット、または齧歯類であり得る。この用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、成年及び新生児の哺乳動物、ならびに胎児を、男女を問わず包含することを意図する。患者とは、疾患または障害に罹患している哺乳動物を指す。用語「患者」には、ヒト及び獣医学的哺乳動物が含まれる。
【0258】
開示される方法の態様によっては、哺乳動物は、投与段階の前に、治療の必要性があると診断されている。開示される方法の態様によっては、哺乳動物は、投与段階の前に、ヘテロクロマチン形成に関連する障害であると診断されている。開示される方法の態様によっては、哺乳動物は、投与段階の前に、治療の必要性があると同定されている。一態様では、哺乳動物は、本明細書の他の箇所で考察されるように、本明細書に開示される化合物または組成物を用いて予防的に治療することができる。
【0259】
a.投与量
本明細書に記載の薬剤及び医薬組成物の毒性及び治療有効性は、培養物中または実験動物いずれかの細胞を使用して、LD
50(集団の50%にとっての致死用量)及びED
50(集団の50%で治療が有効である用量)を決定する標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、LD
50/ED
50比として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。
【0260】
ヒトに使用される範囲の投与量を配合する際に、細胞培養アッセイ及びさらに別の動物試験から得たデータを利用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性をほとんど有しないか、または全く有さないED
50を含む循環濃度の範囲内に収まることが好ましい。用いる剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で投与量を変更してもよい。本明細書に記載の方法に使用される任意の薬剤に関して、最初に細胞培養アッセイから治療有効用量を推定することができる。動物モデルにおいて、細胞培養物中で決定されるIC
50(すなわち、症状の最大半数阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように用量を配合することができる。そのような情報を使用して、ヒトに有用な用量をより正確に決定することができる。分化剤の例示的な投与量は、1日あたり少なくとも約0.01〜3000mg、例えば、少なくとも約0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、2、5、10、25、50、100、200、500、1000、2000、または3000mg/kg/日以上である。
【0261】
治療される疾患または障害、及び特定の治療されるヒトに合わせて、製剤及び投与経路を調整することができる。例えば、1週間、1か月、6か月、1年、またはそれ以上にわたり、1日に1回または2回以上の薬剤の投与を哺乳動物に与えることができる。治療は、無期限に、例えばヒトの生涯にわたって継続することができる。治療は定期的なまたは不規則な間隔で(隔日1回または週2回)投与でき、治療期間を通じて投与量及び投与の時期を調整することができる。投与量は治療レジメン期間中、一定のままであっても、または治療期間中に増減されてもよい。
【0262】
様々な態様において、投与量は、毒性、刺激、またはアレルギー反応などの望ましくない副作用なく、予防と治療両方の意図された目的を促進するものである。個々の必要性は異なる場合があるが、製剤の有効量についての最適範囲の決定は当業者の能力の範囲内である。ヒトの用量は動物試験から容易に推定することができる(Katocs et al.,(1990)Chapter 27 in Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA)。一般に、当業者が調整可能な、製剤の有効量を提供するのに要する投与量は、レシピエントの年齢、健康状態、体調、体重、疾患または障害の種類及び程度、治療の頻度、必要な場合には同時治療の性質、ならびに望ましい効果(複数可)の性質及び範囲を含む、複数の要因に応じて異なることになる(Nies et al.,(1996)Chapter 3,In:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.,eds.,McGraw−Hill,New York,NY)。
【0263】
b.投与経路
開示される化合物及び組成物を投与する経路もまた提供する。本発明の化合物及び組成物は、全身投与及び/または局所投与を使用して直接療法により投与することができる。様々な態様において、投与経路は、例えば患者の評価に従って、患者の医療供給者または臨床医が決定することができる。様々な態様において、個々の患者の治療をカスタマイズしてもよく、例えば、使用する薬剤の種類、投与経路、及び投与頻度を個別化することができる。あるいは、標準的な治療過程、例えば、事前に選択した薬剤、ならびに事前に選択した投与経路及び投与頻度を使用して、治療を実施してもよい。
【0264】
全身投与経路には、限定されないが、非経口投与経路、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、及び腹腔内注射;経腸投与経路、例えば、経口経路、ロゼンジ、圧縮錠剤、丸薬、錠剤、カプセル剤、滴剤(例えば点耳薬)、シロップ、懸濁液、及び乳剤による投与;直腸投与、例えば、直腸坐剤または浣腸;膣坐剤;尿道坐剤;経皮投与経路;ならびに吸入(例えば鼻スプレー)を含み得る。
【0265】
様々な態様において、上記の投与様式を任意の順序で組み合わせることができる。
【実施例】
【0266】
I.実施例
以下の実施例は、本明細書で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイス、及び/または方法の作製方法及び評価方法の完全な開示及び説明を当業者に示すために記載されるものであり、本発明の純粋な例示であると意図され、本発明者らがその発明であるとみなしているものの範囲を限定することを意図しない。数字(例えば、量、温度など)に関しては正確性を確保するよう努めたが、一部の誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に指示のない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、圧力は大気圧またはその近似値である。
【0267】
本実施例は、本発明を例示するために本明細書に記載されており、いかなる場合にも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。各実施例は、本発明を例示するために本明細書に記載されており、いかなる場合にも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0268】
1.材料及び方法
a.ES細胞の培養及び細胞株
マウス胚性幹細胞は、4.5g/Lのグルコース、15%FBS、L−グルタメート、ピルビン酸ナトリウム、HEPES緩衝液、NEAA、2−メルカプトエタノール、LIF、及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM(ES培地)中にて、フィーダー細胞を含まないゼラチン被覆プレートで、5%CO
2を補充して37℃で増殖するのに適合したものであった。培地は毎日吸引して交換した。
【0269】
マウス胚性幹細胞のCiA:Oct4動員系は、既述のように(Hathaway et al.,2012)、Gal4とジンクフィンガーのDNA結合配列と、単一のOct4対立遺伝子に代わる下流の核eGFP遺伝子を含む。特に記載のない限り、すべての実験に、N118及びN163プラスミド(N118−nLV EF−1α−Gal−FKBPx1−HA−PGK−Blast、N163−nLV EF−1α−HP1α(CS)−Frbx2(Frb+FrbWobb)−V5−PGK−Puro)のウイルス組み込みを含むCiA:Oct4 N118/N163細胞株を使用した。shRNA実験には、レンチウイルス構築物N205(N205−nLV EF−1α−ZFHD1−リンク−FKBP−HA<T2A>HP1αCS−Frbx2−V5−PGK−Blast)を含むCiA:Oct4 N205株を使用した。レンチウイルス構築物N192(N192−nLVデュアルプロモーターEF−1α−MCS−PGK−Puro HP1γ−(CS)−Frbx2(wobbmo)−V5)にCiA:Oct4 N118を感染させ、csHP1γ動員系CiA:Oct4 N118/N192を得た。直交性の動員系では、リコンビナーゼを介したカセット交換により、プラスミドYR06のレポーターカセットDNAを、ゲノム座標chr15:99941948の15番染色体に位置する遺伝子トラップに導入することにより、テトラサイクリン応答因子(TRE)をもつ青色蛍光タンパク質(BFP)レポーター遺伝子を含む安定したmESC細胞株を産生した(Lienert et al.(2011)Nature Genetics 43(11):1091−1097;Elling et al.(2017)Nature 550(7674):114−118)。遺伝子トラップの位置には、いかなる種類のエピジェネティックマークも存在しない。nLV構築物KS35(pEF1−TetR−HP1−P2A−mCherry)を使用したレンチウイルス感染により、この細胞株にTetR−HP1−mCherryを導入した。1μg/mlのドキシサイクリンをES細胞培養培地に添加することにより、TetR融合タンパク質結合の逆転を行った。プラスミドN118、N163、及びN205は、addgeneから入手可能である。必要に応じてYR06及びKS35を用意する。
【0270】
b.小分子のハイスループットスクリーニング
0日目に、CiA:Oct4 N118/163細胞をES培地で増殖させ、ウェルあたり細胞10,000個(100,000細胞/mL)の密度でゼラチン被覆96ウェルプレートに播種した。1日目に、培地を吸引し、+/−6nMのラパマイシン、及びEpiG化合物セットからの化合物の10μM希釈物を含有する100μLの新鮮なES培地に交換した。2日目に、+/−6nMのラパマイシン、及びEpiG化合物セットからの化合物の10μM希釈物を含有する100μLの新鮮なES培地を、1日目と同様に添加した。3日目に、培地をウェルから吸引除去し、PBSで細胞を洗浄し、0.25%トリプシン−EDTAを使用してトリプシン処理した。血清によってトリプシンをクエンチした。細胞をピペッティングにより再懸濁し、フローサイトメトリー分析用のプレートを作製した。
【0271】
c.フローサイトメトリー及び細胞選別
Intellicyt iQue Screenerを使用してフローサイトメトリーを実施し、FlowJoソフトウェアで解析した。前方散乱光の領域及び側方散乱光の領域に基づいて細胞集団をゲーティングした。前方散乱光の領域を使用した、前方散乱光強度のゲーティングにより、単一細胞集団を分離した。488nmレーザーでの励起時にGFP及びAPCチャネルで同等の蛍光を発した死細胞または死にゆく細胞は、自己蛍光として除外し、残りの細胞をGFP(−)及びGFP(+)集団にゲーティングした。ヒストグラムに代表的な試料を示し、棒グラフ及び表にすべての生物学的複製を掲載している。統計は標準のT検定分析を使用して実施した。
【0272】
BD FACSAria IIセルソーターで細胞選別を実施し、上記のゲーティングスキームを使用して単一細胞集団を同定した。ドキシサイクリンの誘導時に、turboRFP(+)細胞を選別し、shRNAノックダウン実験に使用される誘導性pTRIPZベクターを発現している集団を濃縮した。
【0273】
d.スクリーニングのリード化合物の用量反応
0日目に、CiA:Oct4 N118/163細胞をES培地で増殖させ、ウェルあたり細胞10,000個(100,000細胞/mL)の密度でゼラチン被覆96ウェルプレートに播種した。1日目に、培地を吸引し、+/−6nMのラパマイシン、及び化合物の10、5、2.5、1.25、または0μMいずれかの希釈物を含有する100μLの新鮮なES培地に交換した。各用量を3連で実施した。2日目に、培養培地を吸引除去し、+/−6nMのラパマイシン、及び化合物の10、5、2.5、1.25、または0μMいずれかの希釈物を含有する100μLの新鮮なES培地を、1日目と同様に添加した。3日目に、培地をウェルから吸引除去し、PBSで細胞を洗浄し、0.25%トリプシン−EDTAを使用してトリプシン処理した。血清によってトリプシンをクエンチした。細胞をピペッティングにより再懸濁し、上記のフローサイトメトリー分析用のプレートを作製した。生物学的複製を平均し、標準誤差バーの作成に使用した。
【0274】
e.直交性TetR−HP1動員アッセイ
クロマチンの開放状態を維持するため、TetR−HP1細胞株を1μg/mlのドキシサイクリンとともに継続的に増殖させた。0日目に、ドキシサイクリンを含有するES培地でTetR−HP1細胞を増殖させ、ウェルあたり細胞10,000個(100,000細胞/mL)の密度で96ウェルプレートに播種した。1日目に、培地を吸引し、ウェルを100μLのPBSで洗浄して残留ドキシサイクリンを除去した。PBSを除去し、+/−1μg/mLのドキシサイクリン及び5μMの化合物を含有する100μLの新鮮なES培地に交換した。各用量を3連で実施した。2日目に、培養培地を吸引除去し、+/−1μg/mLのドキシサイクリン及び5μMの化合物を含有する100μLの新鮮なES培地を、1日目と同様に添加した。3日目に、培地をウェルから吸引除去し、PBSで細胞を洗浄し、0.25%トリプシン−EDTAを使用してトリプシン処理した。血清によってトリプシンをクエンチした。細胞をピペッティングにより再懸濁し、上記のフローサイトメトリー分析用のプレートを作製した。BFP強度の中央値は、FlowJoソフトウェア解析によって決定した。生物学的複製を平均し、標準誤差バーの作成に使用した。
【0275】
f.csHP1γ阻害アッセイ
0日目に、ウェルあたり10,000個の細胞を播種した96ウェルプレート形式で、CiA:Oct4 N118/N192細胞を増殖及び培養した。1日目に、培地を吸引し、5μMのスクリーニング上位化合物及び+/−6nMのラパマイシンを含有する新鮮なES培地に交換した。2日目に、培地を吸引し、5μMのスクリーニング上位化合物及び+/−6nMのラパマイシンを含有する新鮮なES培地に交換した。3日目に、ウェルを吸引してPBSで洗浄した後、試料を調製し、フローサイトメトリーにより分析した。
【0276】
g.UNC2524構造活性相関試験
構造活性相関試験用の化学的化合物の完全な合成方法は、補足方法の項に列挙する。簡潔には、UNC2524の化学誘導体(化合物1)を合成して、UNC2524の活性が増加するかどうか、及びこの化合物がアフィニティ精製のためのビオチン標識に適するかどうかを決定する。
【0277】
0日目に、CiA:Oct4 N118/163細胞をES培地で増殖させ、ウェルあたり細胞10,000個(100,000細胞/mL)の密度でゼラチン被覆96ウェルプレートに播種した。1日目に、培地を吸引し、+/−6nMのラパマイシン、及SAR用に誘導された各化合物10μMを含有する100μLの新鮮なES培地に交換した。2日目に、培養培地を吸引除去し、+/−6nMのラパマイシン、及び10μMの化合物を含有する100μLの新鮮なES培地を、1日目と同様に添加した。3日目に、培地をウェルから吸引除去し、PBSで細胞を洗浄し、0.25%トリプシン−EDTAを使用してトリプシン処理した。血清によってトリプシンをクエンチした。細胞をピペッティングにより再懸濁し、上記のフローサイトメトリー分析用のプレートを作製した。
【0278】
h.化合物2の活性及び蛍光顕微鏡検査
0日目に、CiA:Oct4 N118/N163細胞を、96ウェルプレート及び10cmまたは15cmプレート形式に播種した。1日目に、培地を吸引し、新鮮なES培地+/−7.5μMの化合物2+/−6nMのラパマイシンに交換した。2日目に、培地を吸引し、新鮮なES培地+/−7.5μMの化合物2+/−6nMのラパマイシンに交換した。3日目に、培地を96ウェルプレートから除去し、細胞をPBSで洗浄した後、上記のようにトリプシン処理及びフローサイトメトリー分析を行い、化合物2の機能的阻害を確認した。
【0279】
イメージングの前に、バックグラウンド蛍光を減少させるため、10〜15cmプレートからES培地を除去して、PBSに交換した。Olympus IX71顕微鏡を使用して、細胞をイメージングし、Cellsensソフトウェアを使用して解析した。4つの条件のそれぞれについて、2箇所のランダムなプレート位置で代表的な画像を撮影した。Adobe Photoshopを使用して画像レベルを標準化した。
【0280】
i.クロマチン免疫沈降(ChIP)の試料調製及びqPCR
コンフルエントになるまで細胞を増殖した10〜15cmプレートをPBSで洗浄し、0.25%トリプシン−EDTAで10分間トリプシン処理した。ES培地を添加してトリプシンをクエンチし、細胞を再懸濁した後、Countess II Automated Cell Counter(ThermoFisher)を使用して計数した。細胞懸濁液を300xgで5分間遠心分離した。細胞ペレットをPBSで洗浄し、300xgで5分間ペレット化した。細胞を再懸濁し、1%ホルムアルデヒドで10分間架橋させた。2.5Mグリシン(最終0.125M)を添加し、試料を氷上に置いて架橋を停止した。CiA NP Rinse 1(50mM HEPES pH8.0、140mM NaCl、1mM EDTA、10%グリセロール、0.5%NP40、0.25%Triton X100)中にて、氷上で10分間細胞をインキュベートすることにより、核を単離した。4℃、1200xgで5分間、核をペレット化し、CiA NP Rinse 2(10mM Tris pH8.0、1mM EDTA、0.5mM EGTA、200mM NaCl)に再懸濁した。4℃、1200xgで5分間、核をペレット化した。剪断緩衝液(0.1%SDS、1mM EDTA pH8、10mM Tris HCl、pH8)に核を再懸濁し、Covarisソニケーターを使用して5分間超音波処理した(Hathaway et al,2012)。Active Motif High Sensitivity ChIP−ITキットの手順に従って、インプットDNA及びChIP DNAを単離した。H3K9me3のChIPにはAbcam(ab8898)一次抗体を使用した。
【0281】
ChIP DNAの濃縮をqPCRにより決定した。384ウェルPCRプレートに、2μLの鋳型DNA、及びプライマーとFastStart Universal SYBR Green 2xマスターミックス(Roche)の反応ミックス8μLを入れた。ViiA7 Real−Time PCRシステム(Applied Biosystems)で試料を泳動した(Pattenden et al,2016)。プレートは技術的2連または3連で構成した。比較ΔΔCt法を使用して試料を分析し、遺伝子間制御領域に対して標準化した(Hathaway et al,2012;Livak&Schmittgen,2001)。実験は最低限、生物学的3連で実施し、データは試料の平均値を表す。T検定を使用して、有意なp値を決定した。
【0282】
j.アフィニティ精製の試料調製及びiTRAQ LC−MS/MS分析
15cm組織培養プレートにCiA:Oct4 N118/N163細胞を播種し、コンフルエントになるまで増殖させた。細胞を10分間トリプシン処理し、ES培地中でクエンチした。細胞を再懸濁し、300xgで5分間ペレット化した。細胞ペレットをPBSで洗浄し、300xgで5分間ペレット化した。上記のように細胞ペレットから核を採取した。2mlの剪断緩衝液(0.1%SDS、1mM EDTA pH8.0、10mM Tris HCl、pH8.0)に核を再懸濁し、プローブソニケーターを使用して超音波処理し、核溶解物を得た。核溶解物のうち1つの試料を過剰な化合物2とインキュベートして、使用可能な全結合部位に結合させた後、沈降させた。化合物3及び4を磁気ストレプトアビジンビーズ(Dynabeads M−280ストレプトアビジン、Invitrogen)とインキュベートし、洗浄した。化合物被覆ビーズ、ビーズのみ、化合物3+過剰の処理済み化合物2を核溶解物と4℃で一晩インキュベートした。磁気ビーズに結合したタンパク質を50mM HEPES、150mM NaCl、及び1%NP−40で3回洗浄した。カラムは最初に過剰な化合物2で溶出し、3mM D−ビオチンの溶出で完了した。各試料の一部をゲル電気泳動にかけ、ビーズの洗浄と溶出を確認した。溶出画分を合一し、冷アセトンを用いて−20℃で一晩沈殿させ、ペレットをアイソバリックタグ法に使用した。
【0283】
試料調製:各沈降溶出液を37℃で45分間、5mM DTTで還元し、暗所にて室温で1時間、15mMヨードアセトアミドでアルキル化した後、37℃で一晩、トリプシン(Promega Gold)で消化した。C18スピンカラム(Pierce)を使用してペプチド試料を脱塩した後、製造業者のプロトコル(Sciex)に従って4plex iTRAQ試薬で標識した。iTRAQ標識114、115、116、及び117を使用して、それぞれ化合物3活性(試料)、ビーズのみ(対照)、化合物3+化合物2(対照)、及び化合物4不活性(対照)を標識した。標識後、試料を合一した後、真空遠心分離により乾燥させた。
【0284】
LC/MS/MS分析:合一したiTRAQ試料を0.1%ギ酸で再構成した後、QExactive HFに連結したEasy nLC 1000(Thermo Scientific)を使用してLC/MS/MSにより分析した。Easy Spray PepMap C18カラム(内径75μm×25cm、粒径2μm)(Thermo Scientific)に試料を注入し、120分方式で分離した。分離の勾配は、流速250nL/分の5〜35%移動相Bで構成され、移動相Aは0.1%ギ酸水溶液、移動相Bは0.1%ギ酸ACN溶液であった。QExactive HFは、20の最強度のプレカーサーを選択して、それに続くHCDフラグメンテーションを行うデータ依存モードで動作させた。プレカーサースキャンの分解能(m/z350〜1600)は120,000(最大IT:50ms;ターゲットAGC:3e6)に設定し、MS/MSスキャンの分解能は15,000(最大IT:100ms;ターゲットAGC:1e5)に設定した。MS/MSの場合、HCDの標準化衝突エネルギーを30に設定し、固定初期質量は110m/z、分離幅は1.2m/zであった。未知の電荷または1と8以上の電荷状態をもつプレカーサーは除外した。
【0285】
データ解析:Proteome Discoverer 2.1(Thermo Scientific)内のSequest HTを使用して、Uniprotマウスデータベース(2015年9月にダウンロードした49,235配列を含む)に対して生データの検索を実施した。以下のパラメーターを使用して、トリプシンペプチドを識別し、タンパク質を同定した。プレカーサーの質量許容値は10ppm;プロダクト質量許容値は0.02Da;未切断部分は最大2;カルバミドメチル化(C)を固定修飾として設定し;酸化(M)、リン酸化(S、T、Y)、脱アミド化(N、Q)、及びiTRAQ 4plex(N末端、K)を可変修飾として設定した。パーコレーターノードを使用してペプチド偽発見率(FDR)を計算し、5%以下のFDRを使用して全結果をフィルター処理した。2つ以上のペプチドが、50%以下の共分離干渉であると同定された場合にのみ、タンパク質を報告した。各実験の比較(試料と対照の比較)のiTRAQ存在量比を算出し、±1.4の倍数変化閾値を適用した。
【0286】
k.shRNAの構築
ナンセンスshRNAを含むドキシサイクリン誘導性レンチウイルスベクターpTRIPZを、以降のすべてのshRNAクローニングの骨格として使用した。オリゴを含有するshRNAの順方向及び逆方向の相補体(表1)を合成し、両方をアニーリング緩衝液(10mM Tris pH7.5〜8、1mM EDTA、50mM NaCl)中で、試料を5分間かけて95℃に上げ、室温に達するまで1℃/分で試料を冷却することにより、ゆっくりとアニーリングし、dsDNAを作成した。製造業者の指示に従って、pTRIPZベクター及びインサートをXhoI及びEcoRI−HF(NEB)を使用して消化し、T4−リガーゼを使用してライゲーションした。ライゲーションした構築物を、One Shot Stabl3 Chemically Competent E.coli細胞(ThermoFisher)に形質転換し、LBアンピシリンアガロースプレート上で増殖させた。DNAシーケンスによりライゲーションを確認した。
【表1-1】
【表1-2】
【0287】
l.レンチウイルスの産生及びトランスフェクション
第2世代のレンチウイルスパッケージングベクターpsPAX2、pMD2.G、及びプラスミドDNAを、PEI(1μg/μL)を使用して70〜80%のHEK Lenti−X293Tにトランスフェクトした。5%CO2中、37℃で一晩インキュベートした後、培地を除去して交換した。培地交換の48時間後、上清を除去して、200xgで5分間ペレット化し、細胞破片を除去した。上清を0.45μmフィルターに通して濾過した。上清を4℃、72,000xgで2.5時間、超遠心分離して、ウイルスをペレット化した。上清を除去し、ウイルスペレットをPBSに再懸濁し、穏やかに振盪しながら再懸濁させた(Tiscornia,Singer,&Verma,2006)。
【0288】
感染対象のマウスES細胞を上記のように増殖及び培養した。レンチウイルス懸濁液を、ポリブレン(1000X)を含有するES培地と混合し、レシピエント細胞に添加した。感染効率を高めるために、培養プレートを1000xgで20分間、遠心感染させた。レンチウイルス遺伝子構築物の安定した感染及び導入が確実に行われるように、2μg/mLのピューロマイシンまたは8μg/mLのブラストサイジンで最低5日間細胞を選別した。
【0289】
m.shRNAのノックダウン及びqRT−PCR
0日目に、化合物3の結合パートナーを標的とする、安定導入されたドキシサイクリン誘導性shRNA構築物を含むCiA:Oct4 N205細胞を、ウェルあたりの細胞10,000個または50,000個で96または24ウェル組織培養プレートに播種した。1日目に、csHP1αの動員とshRNA誘導の両方を適切に誘導するため、培地を吸引し、新鮮なES培地+/−6nMのラパマイシン及び+/−1μg/mLのドキシサイクリンに交換した。2日目に、培地を吸引し、新鮮なES培地+/−6nMのラパマイシン及び+/−1μg/mLのドキシサイクリンに交換した。3日目に、培地を吸引し、PBSで細胞を洗浄した後、細胞のトリプシン処理及び試料調製を行った。96ウェルプレートを上記のフローサイトメトリー分析に使用した。単一細胞集団をGFP(+)陽性及びGFP(−)陰性集団にゲーティングした。実験は生物学的3連で実施した。
【0290】
24ウェルプレートで増殖させたCiA:Oct4 N205細胞から、Qiagen RNeasy Mini Kitを使用して、製造業者の標準手順に従って全RNAを単離した。TaqMan(登録商標)RNA−to−CT(商標)1−Step Kit(ThermoFisher Scientific)を使用してRNAをcDNAに変換し、続いてViiA7 Real−Time PCRシステム(Applied Biosystems)を使用して増幅させた。比較ΔΔCt法を使用して試料を分析し、対照であるGAPDHまたはβ−アクチンに対して標準化した。実験は、生物学的3連で実施し、データは試料の平均値を表す。
【0291】
n.ヒストンの酸抽出
CiA:Oct4 N118/N163細胞を、標準のゼラチン被覆6ウェル組織培養プレート中で上記のようにコンフルエントになるまで増殖させた。培地を吸引し、2mLのPBSで細胞を洗浄した。PBSを除去し、単一細胞懸濁液が生成されるまで細胞を0.25%トリプシン−EDTAでトリプシン処理した。細胞をコニカルチューブに移し、300xgで5分間ペレット化した。上清を除去し、細胞をPBSで洗浄し、300xgで5分間遠心分離した。PBS上清を除去した。(50mM HEPES pH8.0、140mM NaCl、1mM EDTA、10%グリセロール、0.5%NP40、0.25%Triton X100)を含む溶解緩衝液にペレットを再懸濁することにより、細胞から核を採集した。溶解緩衝液中にて、氷上で10分間細胞をインキュベートした。4℃、1200xgで5分間、核をペレット化し、上清を除去した。(10mM Tris pH8.0、200mM NaCl、1mM EDTA、0.5mM EGTA)を含む第2の緩衝液にペレットを再懸濁してすすぎ、4℃、1200xgで5分間遠心分離した。上清を除去し、500μLのdH
2Oに核を再懸濁した。最終濃度0.2NまでHClを添加することによりヒストンの酸抽出を行った(Allfrey,Faulkner,&Mirsky,1964)。試料を一晩、4℃に保持した後、4℃、6,500xgで10分間遠心分離した。ヒストンを含む上清を除去し、ウェスタンブロット分析に使用するタンパク質の濃度を標準のCoomassie Bradfordアッセイ(Pierce)により測定した。
【0292】
o.SDS−PAGE及びウェスタンブロット分析
試料を2倍または6倍のレムリローディング緩衝液と混合し、5分間煮沸した後、14,000xgで2分間遠心分離した。製造業者の手順に従って、4〜20%BioRad勾配ゲルで試料を泳動した。製造業者の指示に従って、Sypro Ruby(Thermo Fisher)でゲルを染色した。
【0293】
Bio−Radの手順に従ってセミウェット式転写またはウェット式転写のいずれかにより、SDS−PAGE試料ゲルをMillipore Immobilon−FL PVDF膜に転写した。Immobilon−FL PVDF膜を、室温で振盪しながらLicor Odyssey Blocking Buffer(PBS)で少なくとも1時間ブロッキングした。一次抗体(Active Motif抗H3K9me3 39161、Active Motif抗H3K9me2 39239、Active Motif抗H4 61521)を振盪しながら4℃で一晩インキュベートした。膜をPBST(リン酸緩衝生理食塩水及び0.1%Tween−20)で洗浄した。必要に応じて、Licor IRDye 680RDヤギ抗マウスまたはLicor IRDye 800CWヤギ抗ウサギを濃度1:15,000で二次抗体として使用した。二次抗体をPVDF膜と室温で30〜60分間インキュベートした。PVDF膜をPBST(リン酸緩衝生理食塩水及び0.1%Tween−20)で洗浄した。Licor Odysseyスキャナーを使用してウェスタンブロット膜を画像化し、Image Studio v5.2ソフトウェアを使用してデータを解析した。
【0294】
2.SAR用のUNC2524及び誘導体の化学合成、ならびにアフィニティ精製試験
a.化学反応の一般手順
DAD検出器を備えるAgilent 1200 Seriesシステムを使用して、全化合物のHPLCスペクトルを取得した。流速0.4mL/分で、0.1%ギ酸を含む水を溶媒Aとして、0.1%ギ酸を含むアセトニトリルを溶媒Bとして用い、2.1×150mm Zorbax 300SB−C18 5μmカラムで分析用HPLCクロマトグラフィーを実施した。勾配プログラムは以下の通りである:1%B(0〜1分)、1〜99%B(1〜4分)、及び99%B(4〜8分)。エレクトロスプレーイオン化(ESI)源を備えるAgilent G1969A API−TOFを使用して、陽イオンモードで高分解能質量スペクトル(HRMS)データを取得した。可変波長UV検出器及びフラクションコレクターを搭載したTeledyne ISCO CombiFlash Rfシステムで、RediSep Rf順相シリカカラムを使用して、フラッシュカラムクロマトグラフィーを実施した。マイクロ波反応は、Discover SP CEMを使用して実施した。Bruker DRX−600スペクトロメーターで、プロトン(1H NMR)は600MHz、炭素(13C NMR)は150MHzで核磁気共鳴(NMR)スペクトルを取得した。化学シフトはppm(δ)で報告する。分取HPLCは、254nmに設定したUV検出器を備えるAgilent Prep 1200シリーズで実施した。Phenomenex Luna 75×30mm、5μm、C18カラムに室温で試料を注入した。流速は30mL/分であった。H2O(0.1%TFAを含む)(B)中10%(または50%)MeOH(A)から100%MeOH(A)までの直線勾配を使用した。標的化合物の純度はHPLCを使用して確定した。
【0295】
b.(S)−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミントリフルオロ酢酸塩(1)の合成
【化53】
2,4−ジクロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(1.393g、7.0mmol)、(S)−ピペリジン−3−アミン二塩酸(1.817g、10.5mmol)、及び炭酸カリウム(2.902g、21.0mmol)を28mLのDMF中にて室温で24時間撹拌した。回転蒸発により溶媒を除去し、残渣をDCMと飽和重炭酸ナトリウム水溶液に分配した。有機層を分離し、水層をDCMで繰り返し抽出した。合一したDCM抽出物をブラインで洗浄し、濃縮した。逆相C18 MPLCにより残渣を精製し、(S)−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)キナゾリン−4−アミンTFA塩を得た。収量:2.261g、5.18mmol、74%。MS (ESI) m/z: [M + H]+C
15H
19ClN
4O
2に対する計算値323.1;実測値: 323.2。
【0296】
(S)−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)キナゾリン−4−アミンTFA塩(323mg、0.74mmol)を、ピロリジン(0.41mL、8mmol)、TFA(0.61mL、8mmol)、及びイソプロパノール(4mL)とともにマイクロ波反応容器に入れた。これをマイクロ波照射下、150℃で30分間撹拌した。HPLCで精製して生成物を得た。収量:252mg、0.54mmol、2段階収率54%。HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+C
19H
27N
5O
2に対する計算値358.2243;実測値: 358.2243.
1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 7.26 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.57 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 4.31 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 3.81 (s, 2H), 3.74 − 3.53 (m, 5H), 2.31 − 1.99 (m, 6H), 1.85 (s, 2H).
13C NMR (151 MHz, MeOD) δ 163.57, 156.57, 149.16, 146.58, 138.70, 106.56, 102.53, 98.21, 55.49, 55.39, 50.34, 49.82, 48.20, 46.51, 46.25, 27.96, 25.32, 24.14, 22.68。HPLC純度:95%超、t
R=3.03分。
図1を参照のこと。
【0297】
c.(R)−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミントリフルオロ酢酸塩(2)の合成
【化54】
2,4−ジクロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(199mg、1.0mmol)、(R)−ピペリジン−3−アミン二塩酸(260mg、1.5mmol)、及び炭酸カリウム(414mg、3.0mmol)を4mLのDMF中にて室温で24時間撹拌した。逆相C18 MPLCにより反応混合物を精製し、(R)−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)キナゾリン−4−アミンTFA塩を得た。収量:247mg、0.57mmol。MS (ESI) m/z:[M + H]+[C
15H
19ClN
4O
2 + H]+に対する計算値323.1;実測値:323.2。
【0298】
(R)−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)キナゾリン−4−アミンTFA塩(50mg、0.11mmol)を、ピロリジン(38μL、0.46mmol)、トリフルオロ酢酸(TFA;70μL、0.93mmol)、及びイソプロパノール(1.2mL)とともにマイクロ波反応容器に入れた。これをマイクロ波照射下、150℃で30分間撹拌した。HPLCで精製して生成物を得た。収量:27mg、0.057mmol、2段階収率30%。HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+[C
19H
27N
5O
2 + H]+に対する計算値358.2243;実測値: 358.2245. 1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 7.26 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 4.56 (d, J = 12.7 Hz,
1H), 4.30 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 4.00 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 3.80 (s, 2H), 3.65 (t, J = 10.9 Hz, 5H), 2.15 (dd, J = 96.8, 38.5 Hz, 6H), 1.85 (t, J = 9.0 Hz, 2H)。
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 162.92, 155.69, 149.26, 145.87, 139.02, 107.34, 102.61, 99.58, 56.53, 56.22, 50.49, 50.16, 48.44, 47.01, 46.49, 28.29, 25.70, 24.55, 22.90。HPLC純度:95%超、t
R=3.15分。
図2を参照のこと。
【0299】
d.(R)−7−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミントリフルオロ酢酸塩(10)の合成
【化55】
7−(ベンジルオキシ)−2,4−ジクロロ−6−メトキシキナゾリンを、既述の通りに調製した(J.Med.Chem.,2011,54(17),pp6139−6150)。化合物2の合成に記載した方法を使用して、7−(ベンジルオキシ)−2,4−ジクロロ−6−メトキシキナゾリンから(R)−7−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミンを調製した。収率:2段階で41%。MS (ESI) m/z: [M + H]+C
25H
31N
5O
2に対する計算値434.3;実測値: 434.4. 1H NMR (600 MHz, DMSO−d6) δ 11.85 (s, 1H), 8.10 (s, 3H), 7.49 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.45 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.39 (dd, J = 13.3, 6.3 Hz, 2H), 7.25 (s, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.47 (m, 1H), 4.24 (m, 1H), 3.89 (s, 3H),3.75 − 3.46 (m, 7H), 2.18 − 1.86 (m, 6H), 1.70 (d, J = 9.4 Hz, 2H)。
【0300】
e.tert−ブチル(R)−3−((6−メトキシ−7−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(11)の合成
【化56】
(R)−7−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミントリフルオロ酢酸塩(10)(400mg、0.72mmol)、トリエチルアミン(0.372mL、2.88mmol)、及びBoc無水物(188mg、0.86mmol)を20mLのTHF中で24時間撹拌した。回転蒸発により溶媒を除去し、残渣をDCMと飽和重炭酸ナトリウム水溶液に分配した。有機層を分離し、水層をDCMで繰り返し抽出した。合一したDCM抽出物をブラインで洗浄し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液として0〜10%勾配のMeOHのDCM溶液)により、tert−ブチル(R)−3−((7−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレ−トを得た。収量:308mg、0.58mmol。MS (ESI) m/z: [M + H]+ C3
0H
39N
5O
4に対する計算値534.3;実測値: 534.4。
【0301】
炭素担持5%パラジウム(50mg)を、アルゴン下で、tert−ブチル(R)−3−((7−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(275mg、0.52mmol)のMeOH(10mL)溶液に添加した。水素を充填したバルーン中でこれを24時間撹拌した。反応混合物をセライトに通して濾過し、セライトを酢酸エチルで繰り返し洗浄した。回収した溶媒を蒸発させ、tert−ブチル(R)−3−((7−ヒドロキシ−6−メトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(214mg、0.48mmol)を得た。MS (ESI) m/z: [M + H]+C
26H
35N
5O
4に対する計算値482.3;実測値: 482.4。
【0302】
tert−ブチル(R)−3−((7−ヒドロキシ−6−メトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(44mg、0.1mmol)、臭化プロパルギル(80%トルエン溶液、13μL、0.12mmol)、炭酸カリウム(20mg、0.15mmol)、及びアセトニトリル(2mL)を封管に3時間静置した。カラムクロマトグラフィー(0〜10%メタノールのDCM溶液)により生成物を精製した。収量:33mg、0.069mmol、3段階で51%。MS (ESI) m/z: [M + H]+[C21H27N5O2 + H]+に対する計算値382.2;実測値: 382.3.
1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 7.35 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 4.90 (s, メタノール−d4ピークによる不明瞭な積分), 4.59 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 3.96 (d, J = 11.5 Hz, 3H), 3.81 (s, 2H), 3.62 (d, J = 37.5 Hz, 5H), 3.31 (m, メタノール−d4ピークによる不明瞭な積分), 2.30 − 1.97 (m, 6H), 1.85 (d, J = 9.7 Hz, 2H)。
【0303】
f.tert−ブチル(R)−3−((6−メトキシ−7−((1−(2−(2−(2−(5−((3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メトキシ)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(3)の合成
【化57】
tert−ブチル(R)−3−((6−メトキシ−7−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(11)(16mg、0.034mmol)、N−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エチル)−5−((3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド(ビオチン−PEG2−アジド;14mg、0.034mmol)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(TBTA;1mg)をtBuOH(1mL)に溶解した。硫酸銅の0.1M水溶液(34μL)を添加し、これを5分間撹拌した。アスコルビン酸ナトリウムの0.1M水溶液(170μL)を添加し、これを24時間撹拌した。生成物をHPLCにより精製した。収量:18mg、0.020mmol、60%。HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+C
42H
63N
11O
8Sに対する計算値882.4660;実測値: 883.4650.
1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 8.24 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 5.37 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 4.65 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 4.53 − 4.41 (m, 2H), 4.35 − 4.27 (m, 2H), 3.96 − 3.90 (m, 5H), 3.90 − 3.52 (m, 11H), 3.49 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 3.44 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 3.17 (dd, J = 9.1, 4.7 Hz, 1H), 2.92 (dd, J = 12.7, 5.0 Hz, 1H), 2.69 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.17 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.04 (d, J = 46.6 Hz, 4H), 1.82 − 1.47 (m, 7H), 1.41 (s, 10H)。HPLC純度:95%超、t
R=4.40分。
図3を参照のこと。
【0304】
g.N−(2−(2−(2−(4−(((6−メトキシ−4−((((R)−ピペリジン−3−イル)アミノ)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−7−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エチル)−5−((3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド,トリフルオロ酢酸塩(4)の合成
【化58】
tert−ブチル(R)−3−((6−メトキシ−7−((1−(2−(2−(2−(5−((3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メトキシ)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(3)(15mg、0.017mmol)を4N HClのジオキサン溶液1mL中で1時間撹拌した。混合物をHPLCにより精製した。収量:9mg、59%。HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+C
37H
55N
11O
6Sに対する計算値782.4136;実測値: 782.4140. 1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 8.24 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 5.38 (d, J = 12.2 Hz, 2H), 4.68 − 4.55 (m, 3H), 4.50 (dd, J = 7.8, 4.8 Hz, 1H), 4.37 − 4.24 (m, 2H), 3.93 (d, J = 12.5 Hz, 5H), 3.87 − 3.61 (m, 7H), 3.61 − 3.53 (m, 4H), 3.48 (q, J = 8.9, 7.2 Hz, 2H), 3.18 (dt, J = 10.1, 5.0 Hz, 1H), 2.92 (dd, J = 12.8, 5.0 Hz, 1H), 2.69 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 2.32 − 1.98 (m, 8H), 1.85 (d, J = 10.1 Hz, 2H), 1.71 − 1.28 (m, 7H)。HPLC純度:95%超、tR=3.33分。
【0305】
h.(S)−6,7−ジメトキシ−N−(1−(ペンタ−4−エン−1−イル)ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミン,トリフルオロ酢酸塩(5)の合成
【化59】
(S)−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミントリフルオロ酢酸塩(1)(47mg、0.1mmol)、酢酸(23μL、0.4mmol)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(13mg、0.2mmol)、及び4−ペンテナール(20μL、0.2mmol)をメタノール(1mL)に溶解し、室温で18時間撹拌した。混合物をHPLCにより精製した。収量:23mg、0.042mmol、42%。HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+C
24H
35N
5O
2に対する計算値426.2869;実測値: 426.2859.
1H NMR (600 MHz, DMSO−d6) δ 12.03 (s, 1H), 9.04 (s, 1H), 8.93 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 5.12 − 4.98 (m, 2H), 4.64 (s, 1H), 4.30 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 3.95 − 3.90 (m, 3H), 3.90 − 3.86 (m, 3H), 3.63 (d, J = 36.0 Hz, 11H, 水のピークと重複), 3.02 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 2.20 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 2.16 − 1.87 (m, 7H), 1.76 − 1.58 (m, 4H)。HPLC純度:95%超、t
R=3.50分。
【0306】
i.tert−ブチル(R)−3−((6,7−ジメトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(6)
【化60】
化合物2(42mg、0.09mmol)、boc無水物(20mg、0.09mmol)、及びトリエチルアミン(46uL、0.36mmol)をDCM1mL中に24時間撹拌した。混合物をHPLCにより精製し、標題化合物を得た。収量:35mg、85%。1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 7.32 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 4.43 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.84 − 3.51 (m, 6H), 3.45 (dd, J = 13.0, 8.8 Hz, 1H), 2.27 − 1.95 (m, 6H), 1.83 − 1.60 (m, 2H), 1.41 (s, 9H). HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+C
24H
36N
5O
4に対する計算値:458.2767;実測値: 387.2514。
【0307】
j.(S)−N
2−ヘキシル−6,7−ジメトキシ−N
4−(ピペリジン−3−イル)キナゾリン−2,4−ジアミン(7)の合成
【化61】
(S)−2−クロロ−6,7−ジメトキシ−N−(ピペリジン−3−イル)キナゾリン−4−アミンTFA塩(1の合成に記載のように調製、87mg、0.2mmol)を、1−アミノプロパン(0.11mL、0.8mmol)、TFA(0.11mL、1.4mmol)、及びイソプロパノール(2mL)とともにマイクロ波反応容器に入れた。これをマイクロ波照射下、150℃で30分間撹拌した。HPLCで精製して生成物を得た。収量:23mg、23%。HRMS (ESI−TOF) m/z: [M + H]+C
21H
34N
5O
2に対する計算値: 388.2713;実測値: 388.2714.
1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 7.24 (s, 1H), 7.02 (s, 1H), 4.58 (s, 1H), 4.30 (s, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 3.62 (d, J = 72.0 Hz, 5H), 2.27 (s, 1H), 2.05 (s, 1H), 1.94 − 1.80 (m, 2H), 1.71 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.53 − 1.28 (m, 6H), 1.00 − 0.88 (m, 2H)。
【0308】
k.(S)−6−メトキシ−7−(3−(ピペリジン−1−イル)プロポキシ)−N−(ピペリジン−3−イル)−2−(ピロリジン−1−イル)キナゾリン−4−アミントリフルオロ酢酸塩(8)の合成
【化62】
2,4−ジクロロ−6−メトキシ−7−(3−(ピペリジン−1−イル)プロポキシ)キナゾリンを、既述の通りに調製した(J.Med.Chem.,2011,54(17),pp6139−6150)。化合物1について記載したものと同じ方法及び試薬を使用して生成物を調製した。収量:2段階で33%。HRMS (ESI− TOF) m/z: [M + H]+C
26H
40N
6O
2に対する計算値469.3291;実測値: 469.3291.
1H NMR (600 MHz,メタノール−d4) δ 7.28 (s, 1H), 7.23 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 4.61 − 4.51 (m, 1H), 4.33 − 4.23 (m, 3H), 3.98 − 3.90 (m, 3H), 3.82 − 3.58 (m, 9H), 3.40 − 3.37 (m, 2H), 3.03 − 2.94 (m, 2H), 2.38 (dt, J= 12.8, 7.2 Hz, 2H), 2.27 − 1.98 (m, 8H), 1.91 − 1.78 (m, 5H), 1.57 (tdd, J = 12.6, 8.8, 5.2 Hz, 1H)。
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 162.86, 154.54, 149.09, 145.83, 138.62, 107.48, 102.69, 100.02, 66.78, 56.28, 53.93, 52.75, 50.29, 50.19, 48.49, 46.98, 46.47, 28.15, 25.66, 24.48, 23.54, 23.02, 22.83, 21.55。
【0309】
3.HP1経路のエピジェネティック調節薬についての小分子一次スクリーニング
ヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)は、細胞の分化及び発生を可能にする遺伝子抑制をもたらすヘテロクロマチンドメインの形成にとって重要である(Moazed,2001)。HP1は、H3K9me3への結合を促進するクロモドメイン(CD)と、H3K9me3同士を結合させる、Suv39H1/2及びSETDB1を含むH3K9特異的ヒストンメチルトランスフェラーゼを動員するクロモシャドウドメイン(CSD)という2つのドメインで構成される。これらの酵素により、隣接するヒストンにH3K9me2/3マークが蓄積する。別のHP1タンパク質が続いて結合することにより、DNAの凝縮及び遺伝子抑制を引き起こすH3K9me3誘導性ヘテロクロマチンの拡散が促進される(Canzio et al,2011)。HP1発現の調節異常は、乳癌、子宮癌、前立腺癌、及び膵臓癌などの特定のがん種とも関連性があるとされてきた(De Koning et al,2009)。遺伝子のエピジェネティック調節におけるHP1の重要性、及びがんへの関与にもかかわらず、現状ではこの経路内の何らかの構成要素を標的とする小分子はほとんど存在しない。
【0310】
HP1経路の調節薬を同定するために、エピジェネティック経路において活性が実証された一連の化合物及び誘導体を使用する、小分子の化学遺伝学に基づくスクリーニング手法を用いた。このEpiG化合物セットには、多様なエピジェネティック経路を標的とするように設計された約960個の小分子が含まれており、HP1経路を調べる理想的な小分子ライブラリになっている。クロマチン動態のレポーターとして増強型の核GFPを発現するマウス胚性幹(ES)細胞株のCiA:Oct4系を使用した、ハイスループットフローサイトメトリーに基づくスクリーニングプラットフォームが開発された(Hathaway et al,2012)。この手法により、化合物を高フォーマットでスクリーニングし、クロマチン状態に対する特異的効果を時間的制約下で単一細胞分解能により決定することが可能になった。
【0311】
本明細書では、CIPが介在するCiAプロモーター領域への動員と組み合わせたCiA:Oct4系を使用して、GFP発現による活性を測定した。CiA:Oct4細胞株にレンチウイルスを感染させ、Gal4−FKBP(N118)とFRB−csHP1α(N163)の融合タンパク質の安定発現を得た。ラパマイシンの添加により、FKBPドメインとFRBドメインが架橋され、csHP1αがOct4遺伝子座に迅速に動員された(
図4B)。動員に続いて、H3K4me3などの活性なクロマチンマークの除去、抑制性H3K9me3の蓄積、及び遺伝子抑制が生じた。この方法は、胚性幹細胞の細胞分化時にOct4遺伝子座で発生する生理的クロマチン構造変換を模倣している。
【0312】
ラパマイシンあり及びなしで10μMのEpiG化合物セットを48時間スクリーニングした後、CiA:Oct4 N118/163細胞株を使用するハイスループットフローサイトメトリーにより分析した(
図4A及び
図5A)。%GFP(+)陽性集団は、ラパマイシンで処理した対照試料のGFP(−)集団をゲーティングすることにより決定した(
図5B)。csHP1αを動員する一次スクリーニングでは、フローサイトメトリーによって検出された細胞事象が200未満であった78個の化合物を、データの統計的信頼性の欠如を理由に除外した。理論に束縛されるものではないが、このような細胞不良は、10μMのスクリーニング用量での化合物毒性による可能性が高い。残りの化合物を、%GFP(+)が最大の集団から最低の集団の順に並び替えた(
図4D)。平均を2標準偏差上回るものを阻害薬と判定した。34個の阻害薬が同定され、そのうちUNC617及びUNC2524を、スクリーニングによる上位化合物ヒットとして示す。フローサイトメトリーデータの代表的なヒストグラムは、ラパマイシンの添加によって促進されるcsHP1αの動員(黒色の線)により、細胞集団がどのようにGFP(−)陰性にシフトするかを示している。ラパマイシンなしで処理された細胞(灰色の線)は、これらの試料の遺伝子座にcsHP1αが動員されないため、ほぼ100%GFP(+)陽性のままである。HP1−ヘテロクロマチン経路の阻害薬であるUNC2524及びUNC617(赤色の線)は、csHP1αが動員されるにもかかわらずGFPの発現が増加し、GFP(+)陽性細胞の比率が増加している(
図4C)。化合物UNC00000202は、GFP発現が対照よりもほぼ10%低く、HP1経路抑制を増強する能力を示した。
【0313】
CiA:Oct4 N118/N163動員系はまた、csHP1αを動員したラパマイシンの非存在下での毒性及び細胞分化の内部カウンタースクリーニングとしても機能する。ES細胞分化により、Oct4遺伝子座がサイレンシングされ、GFP発現が減少する。ラパマイシン誘導性のcsHP1αの動員なしで、10μMのEpiG化合物セットを48時間スクリーニングした後、ハイスループットフローサイトメトリーにより分析した。csHP1αの動員がないと、ほぼ100%がGFP陽性細胞になる(
図5A)。ラパマイシンなしのカウンタースクリーニングでカットオフ値200事象未満と同定された72個の化合物は、解読できなかった(
図5C)。
【0314】
次に、ラパマイシンなしのカウンタースクリーニングにおける%GFP(+)陽性集団を分析することにより、ES細胞の分化を引き起こす化合物を同定した。Oct4抑制は細胞分化の徴候であるため、平均と比較したGFP陽性細胞集団の減少が10%を超える化合物は、以降のデータセットから除外した(
図5C)。HP1が介在するヘテロクロマチン形成のリード阻害薬であるUNC2524及びUNC617は、GFP陽性集団レベルを減少させなかったが、対照と比較してGFP発現の増加を示し、遺伝子活性化の増加を示した(
図5E)。csHP1αの動員とは無関係にCiA:Oct4抑制を引き起こさなかったか、あるいはラパマイシンの有無を問わずスクリーニングで細胞毒性を生じなかった化合物のみを使用して、スクリーニング用の最終データセットを生成した(
図5D)。
【0315】
図4A〜4Dには、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の調節薬の代表的なハイスループットフローサイトメトリースクリーニングが示されている。具体的には、
図4Aは、3日間の実験期間における一次スクリーニング戦略のワークフローの概要を表す代表図を示している。
図4Bは、化学誘導性近接(CIP)を利用してcsHP1αを動員するCiA:Oct4系の代表的な略図を示す。ラパマイシンを添加すると、ヘテロクロマチン形成及び遺伝子抑制をもたらす、Gal4−FKBPとFRB−csHP1α融合体の架橋が促進された。
図4Cは、+/−6nMラパマイシン対照と比較した、HP1が介在する抑制の上位阻害薬(UNC2524及びUNC617)10μMでのGFP蛍光強度の代表的なヒストグラムを示す。
図4Dは、6nMラパマイシンありで%GFP(+)集団を示すEpiG小分子のスクリーニングによる代表的な結果を示す。挿入ボックスには、GFP発現レベルの変化によって示される、HP1が介在する遺伝子抑制の阻害薬または増強薬が含まれる。
【0316】
図5A及び
図5Bでは、CiA:Oc4 N118/N163細胞を6nMのラパマイシンで48時間処理するか(
図5B)、または処理せず(
図5A)に、フローサイトメトリーにより分析した。上部パネルは、単一の非自己蛍光細胞をすべて含む、GFP蛍光強度の代表的なヒストグラムを示す。ゲートは+/−GFP集団を示す。細胞集団は、前方散乱光の領域と側方散乱光の領域を使用してゲーティングした(左下)。前方散乱光の強度により前方散乱光の領域をゲーティングすることにより、細胞集団から単一細胞を濃縮した(中央下)。BL1チャンネル(GFP)における488nmの励起、YL4チャンネル(PE−Cy7)における561nmの励起によりゲーティングすることにより、一重項集団から非自己蛍光細胞を濃縮した(右下)。
図5Cには、ラパマイシンなしで%GFP(+)集団を示すEpiG小分子のカウンタースクリーニングによる代表的な結果を示す。図内のボックスには、化合物の毒性または細胞分化によりGFP蛍光レベルが低下した化合物が含まれる。
図5Dでは、EpiGスクリーニングの結果から化合物を除外する際に使用されるワークフローが代表的な略図に図解されている。+/−ラパマイシンの一次スクリーニング及びカウンタースクリーニング両方において、分析された細胞が200未満であった化合物はすべて、フローサイトメトリーデータの統計的信頼性の欠如を理由に除外した。カウンタースクリーニングにおいてGFP発現レベルが平均より10%超低い化合物は除外した。ラパマイシンが存在しない場合にGFP発現が減少する化合物は、化合物が細胞分化を引き起こしており、健常なマウスES細胞の代表ではないことを示している。
図5Eに、+ラパマイシン(黒色)及び−ラパマイシン(灰色の矢印)対照と比較した、HP1動員のないリード阻害薬UNC2524及びUNC617(「X」の付いた灰色)の代表的なヒストグラムを示す。
【0317】
4.スクリーニングのリード化合物の機能分析
リード化合物の特性を決定し、それらの生物学的機能を解明するために、ラパマイシンあり及びなしで、10、5、2.5、1.25、及び0μMでの化合物の用量反応曲線を作成した。その結果、細胞生存性を損なわない、化合物の最大の生物学的活性を決定することができた。スクリーニング手法と同様に、CiA:Oct4 N118/N163細胞を96ウェルプレート形式に播種し、ラパマイシンが介在するHP1動員あり及びなしで増殖させた。化合物及び培地を毎日添加し、48時間でフローサイトメトリーにより試料をアッセイして、GFP発現に対するHP1経路の阻害の効果を決定した。
【0318】
対照試料に基づいて値0〜100を標準化することにより、%GFP(+)陽性値を阻害率に変換した。理論に束縛されるものではないが、反応曲線は、化合物濃度の増加とHP1経路の阻害の増加とを関連付ける生物学的アッセイにおいて用量依存的活性を示す。G9a/GLP阻害薬であると考えられるUNC617が、このアッセイにおいて最も強力な反応を示し(IC
501.0μM)、続いてUNC2524、UNC00000557、及びUNC1875であり、それぞれIC
50値が1.8、2.4、3.1、及び3.4μMであった(
図6A)(Kim et al,2016)。12の上位阻害薬の拡大した用量反応曲線は、
図7A(ラパマイシン処理あり)及び
図7B(ラパマイシン処理なし)で参照することができる。データポイントが欠落しているのは、細胞分化及びGFP発現の低下をもたらす化合物の毒性による。理論に束縛されるものではないが、これらのデータは、5〜10μMの用量が、スクリーニングの上位ヒットについての化合物アッセイで活性及び細胞生存性が最大であることを示している。
【0319】
csHP1αをCiA:Oct4遺伝子座に動員するラパマイシンの能力をリード化合物が阻害した可能性を排除するために、リード化合物の機能を直交性の動員系で調べた。HP1はテトラサイクリン抑制因子(TetR)に融合され、テトラサイクリン応答因子(TRE)上流の青色蛍光タンパク質(BFP)レポーター遺伝子を発現するマウスES細胞株で安定的に発現した。ラパマイシンの添加と同様に、ドキシサイクリンが存在しない場合、TetR−HP1がTREに動員され、HP1−ヘテロクロマチンの形成が生じる。ドキシサイクリンの添加は、TetRのTREへの結合を阻害し、遺伝子活性化をもたらす(
図6C)。化合物UNC00000557、UNC617、UNC2524、及びUNC1875を5μMで、TetR−HP1の動員あり及びなしで48時間試験した。試験した化合物はすべて、HP1が介在するヘテロクロマチン形成を有意に阻害することが示され、UNC617及びUNC2524が引き続き最も強力な阻害薬であった(
図6D)。さらに、UNC1875のみ、TetR−HP1動員とは無関係にBFP発現の中央値の微小な減少を示したが、他の化合物はすべて、対照と比較してBFP発現の変化がないか、または増加をもたらし、遺伝子発現の活性化を示した(
図6E)。これらのデータは、一次スクリーニングの結果を裏付けており、直交性の動員方法を使用して、リード阻害薬化合物が異なる遺伝子座でHP1抑制を遮断することを実証した。
【0320】
HP1の遺伝子抑制及びサイレンシングは、H3K9me3の蓄積によって介在される。リード化合物が全体的なH3K9meレベルに影響を与えているかどうかを判断するため、CiA:Oct4 N118/N163細胞を、10μMの化合物を添加した6ウェルプレート形式で48時間増殖させた。48時間の化合物処理後、核を単離し、0.2N HClを使用して全ヒストンを抽出した。抽出された全ヒストンタンパク質をBradford Coomassieによって定量し、試料ごとに等量の総タンパク質を充填してゲル電気泳動とそれに続くウェスタンブロット分析を行った。全体のH3K9me2及びH3K9me3レベルをアッセイし、ヒストンH4に対して標準化した(
図8)。H3K9me2及びH3K9me3のウェスタンブロットの定量化により、試験したすべてのリード化合物が全体的にH3K9me2/3を減少させることが示された。UNC617の処理により、H3K9me2/3はほぼ完全に失われ、UNC2524及びUNC00000557では、H3K9のメチル化がほぼ同程度に減少した。UNC1875もまた、H3K9me2/3を減少させたが、他の化合物の程度までは減少しなかった。
【0321】
HP1は、3つのアイソフォーム、HP1α、HP1β、及びHP1γを有する。HP1α及びHP1γは、CiA:Oct4遺伝子座への動員時に同様に機能することが既に同定されているが、HP1βはレポーター対立遺伝子を顕著に抑制することができなかった(未発表の観察)。csHP1γ動員時の化合物の活性を決定するために、N118(Gal4−FKBP)プラスミドを含むCiA:Oct4 ES細胞に、レンチウイルスを使用してN192(FRB−csHP1γ)ベクターを感染させ、安定したCiA:Oct4 N118/N192細胞株を得た。ラパマイシンあり及びなしで5μMの化合物で48時間処理後、%GFP(+)集団をフローサイトメトリー分析により決定した。理論に束縛されるものではないが、この結果はUNC617及びUNC2524がcsHP1γの最も強力な阻害薬であることを示した。ほぼすべてのリード化合物が、CiA:Oct4遺伝子座を抑制するcsHP1γの能力の有意な阻害を示した(
図9A)。加えて、極めて低い化合物毒性と、CiA:Oct4対立遺伝子の独立した抑制が観察され、最大の減少はUNC1868及びUNC1871の約3%及び約4%であった(
図9B)。理論に束縛されるものではないが、機能的に類似したHP1アイソフォームの再現可能な阻害は、このアッセイの頑強性を実証し、スクリーニング上位化合物がHP1経路の新規阻害薬を意味するより大きな証拠を示すものである。
【0322】
図6Aでは、4つのリード化合物(UNC00000557、UNC617、UNC2524、及びUNC1875)について用量反応曲線を作成した。CiA:Oct4 N118/N163細胞を、10、5、2.5、1.25、及び0μM用量の化合物により、+/−6nMラパマイシンで48時間にわたり処理した。フローサイトメトリー分析を使用して%GFP(+)集団を決定し、それらの値を阻害率に変換した。IC
50値を関連する表に示す。実験は生物学的3連で実施した。
図6Bには、ヒストンH4に対して標準化した、UNC00000557、UNC617、UNC2524、及びUNC1875+/−6nMラパマイシンによる48時間の処理後のCiA:Oct4 N118/N163細胞のH3K9me2及びH3K9me3レベルを示す酸抽出ヒストンのウェスタンブロットを示す。
図6Cには、TetR−HP1の直交性の動員系、及び阻害薬+/−1μg/mlドキシサイクリンの48時間後のBFP発現の結果を示す略図を示す。
図6D〜6Eには、HP1動員を伴う(
図6D)及び伴わない(
図6E)5μMの化合物処理の48時間後のBFP発現中央値の標準化レベルを示す。n≧3。(p≦0.05
*、0.01
**)。
【0323】
図7Aでは、一次スクリーニングで同定されたリード化合物について用量反応曲線を作成した。CiA:Oct4 N118/N163細胞を、10、5、2.5、1.25、及び0μM用量の化合物により、+6nMラパマイシンで48時間にわたり処理した。フローサイトメトリー分析を使用して%GFP(+)集団を決定し、それらの値を阻害率に変換した。
図7Bでは、上記で概説した通りであるが、ラパマイシンは使用せずに同様の用量反応曲線を作成した。データは%GFP(+)集団を示す。欠落したデータポイントは、細胞生存性の欠如により測定されなかった。実験は生物学的3連で実施した。エラーバーは標準誤差を表す。(n≧3)。
【0324】
図8では、CiA:Oct4 N118/N163細胞を10μMのリード化合物で48時間処理した。核を精製し、さらにヒストンを酸で抽出した。標準的なCoomassie Bradfordアッセイで測定された、総タンパク質1〜2.5μgを4〜20%のBis−trisゲルにロードし、標準的な手順に従ってPVDFに転写した。H3K9me2/3の全体的なレベルを、ウサギ抗H3K9me2及び抗H3K9me3抗体を使用して、Licor Odyssey撮像装置を使用したウェスタンブロット分析によって決定した(上)。マウス抗H4はローディングコントロールであった(下)。
【0325】
図9A及び9Bでは、CiA:Oc4 N118/N192細胞を、6nMラパマイシンあり(
図9A)及びなし(
図9B)で、5μMの上位リード化合物により48時間処理した。フローサイトメトリー分析を使用して%GFP(+)集団を決定した。+ラパマイシン試料に対する阻害率にデータを変換した。実験は生物学的3連で実施した。(n≧3)(p≦0.05
*、0.01
**)。
【0326】
5.UNC2524の構造活性相関
クロマチンの状態に関する新しいHP1経路阻害薬の一般的な表現型は解明されているものの、HP1が介在する遺伝子抑制を化合物が阻害するメカニズムは不明なままであった。そこで、アッセイにおいて強力な阻害表現型を示したことに加え、公知の標的または機能をもたないことから、さらなる研究対象としてUNC2524を選択した。次の2つの目標を達成するため、UNC2524を親化合物として構造活性相関を行った:(1)CiA:Oct4アッセイでの化合物活性を最適化する;及び(2)以降の実験及び化学修飾での側鎖修飾に対して化合物が耐性であるかどうかを判定する。
【0327】
UNC2524(化合物1)から化合物2〜8を化学合成した(
図10A)。これらの化学誘導体の生物学的活性を確認するために、CiA:Oct4 N118/N163細胞を使用した。ラパマイシンに加え、化合物2及び5〜8により細胞を48時間処理した後、フローサイトメトリーにより分析した。対照試料と比較した阻害率の増加によって化合物の活性を確認した。化合物5及び6はピペリジン環にペンテナール鎖及びBOC基を付加したものであり、化合物7はピロリジンをヘキシル鎖に置換したものである。これらの付加により阻害が低下したことから(
図10B)、親分子1のこれらの領域は、親和性ハンドルの結合に適した位置ではなかった。さらに、7−メトキシ側鎖は、化合物8のベンゼン環による修飾を受けやすいが、生物学的活性の大部分(約51%)が維持されることが確認された。最後に、ピペリジン環の立体化学を変更することにより、化合物2において親よりも活性の増加が観察された。これらのデータを総合して、化合物2をベースとして選択し、化合物の7−メトキシ側鎖にビオチンタグを組み込んだ。以下、これを化合物3と称する。
【0328】
図10Aでは、化合物活性を最適化し、アフィニティ精製法に対する化合物の感応性を決定するために、化合物1(UNC2524)から誘導された一連の化合物を設計した。
図10Bでは、CiA:Oct4 N118/N163細胞を、10μMのSAR化合物により、+/−6nMラパマイシンで48時間処理した。フローサイトメトリー分析を使用して%GFP(+)集団を決定した。化合物7による処理は、毒性を生じさせ、細胞計数を低下させた。これらのデータは、未処理の対照と比較した阻害率で標準化した。n≧3。(p≦0.05
*、0.01
**)。
【0329】
6.化合物2はHP1が介在する遺伝子抑制を阻害する
化合物2がH3K9me3の蓄積を阻害したことを確認するために、HP1の動員を介在するラパマイシンと、+/−化合物2により、CiA:Oct4 N118/N163細胞を48時間増殖させた(
図11G)。4種類の試料((−)ラパマイシン/(−)化合物2、(−)ラパマイシン/(+)化合物2、(+)ラパマイシン/(−)化合物2、(+)ラパマイシン/(+)化合物2)について、代表的な明視野像及び蛍光画像を撮影した。ES細胞コロニーの形態は全試料で良好であったが、ラパマイシンによりコロニーサイズがわずかに減少した。化合物2は、対照と比較して、目視可能な細胞分化が生じないか、またはコロニー形態に影響を与えなかった(
図11A)。続いて、全試料をフローサイトメトリーで分析し、HP1が介在する遺伝子抑制に対する化合物2の阻害効果を確認した。
図11Bは、化合物2がラパマイシンあり(「X」の付いた灰色)及びなし(灰色の矢印)で、未処理の対照と比較して、GFP発現の増加をもたらすことを確認する代表的なヒストグラムである。
【0330】
クロマチン免疫沈降(ChIP)を使用して、化合物2による処理時のOct4遺伝子座でのH3K9me3のレベルを決定した。H3K9me3の濃縮は、転写開始部位(TSS)の400〜700塩基対(bp)下流で最大であることが以前に実証された(Hathaway et al,2012)。こうした理由から、4種の全試料条件において、TSSの489bp下流でのH3K9me3のレベルを分析した。qPCRを使用して、遺伝子間制御領域に加えて、この領域を増幅した。ΔΔCt法を使用して、遺伝子間制御領域に対して標準化した相対的なH3K9me3の濃縮倍数を決定した。ラパマイシンを欠く試料は、csHP1αが動員されないため、H3K9m3の濃縮を示さなかった。逆に、csHP1αの動員をもたらすラパマイシンで処理した場合、H3K9me3は約26倍増加した。化合物2の添加により、ラパマイシンありの対照試料と比較して、H3K9me3の濃縮は約9倍減少した(
図11C)。
【0331】
HP1ヘテロクロマチン経路に対する化合物2の効果をさらに特性決定するために、CiA:Oct4遺伝子座でのHP1γ、H3K4me3、及びG9aのレベルの摂動を、ChIPと、それに続くRT−qPCR分析を使用してアッセイした。濃縮レベルはTSSの489bp下流で決定し、ハウスキーピング遺伝子である槽内A型粒子(IAP)に対して標準化した。既述のように、本発明者らの阻害アッセイにおいてHP1γはHP1αと同様に機能する。csHP1αはCiA:Oct4遺伝子座に活発に動員されるため、HP1γレベルを測定して、HP1の動員が化合物2によって阻害されたかどうかの判定を決定した。興味深いことに、化合物2のみで処理すると、対照と比較してHP1γレベルが46%増加した。化合物2のみによって生じたHP1γの増加はわずかであるにもかかわらず、HP1動員のみの対照試料と比較して、化合物2の存在下でのHP1が介在する遺伝子抑制時に、HP1γのレベルが37%と著しく減少することが示された(
図11D)。ヒストンマークH3K4me3は、活性な遺伝子転写に関連しており、HP1が介在する遺伝子抑制時に減少することが以前に報告された(Hathaway et al.(2012)Cell 149(7):1447−1460)。H3K4me3のレベルは、予測されるように、HP1動員を欠く試料では約3.7倍増強された。化合物2で処理すると、H3K9me3が減少したにもかかわらず、H3K4me3のレベルに変化は検出されなかった(
図11E)。最後に、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ酵素G9aは、細胞の分化及び発生時にOct4のサイレンシングに必要であることが実証された(Feldman et al.(2006)Nature Cell Biology 8(2):188−194)。阻害アッセイにおいてG9aレベルをアッセイし、HP1が介在する遺伝子抑制にG9aが寄与しているかどうかを判定した。4つの処理条件間でG9aレベルに著しい変化は観察されなかったが、これは、このアッセイ条件下でG9aがCiA:Oct4遺伝子座に動員されないか、または単にそれがアッセイによって検出されない可能性があることを示す(
図11F)。理論に束縛されるものではないが、これらのデータは、抑制性H3K9me3マークの消失により、化合物2がGFP発現を増加させたことを実証する顕微鏡画像及びヒストグラムを裏付けている。
【0332】
図11Aでは、CiA:Oct4 csHP1α動員細胞を7.5μMの化合物2と、+/−6nMラパマイシンにより48時間インキュベートし、代表的な明視野像及びGFP蛍光画像を20倍で取得した。
図11Bでは、CiA:Oct4 csHP1α動員細胞を7.5μMの化合物2と、+/−6nMラパマイシンにより48時間インキュベートした。GFP発現をフローサイトメトリーにより分析した。
図11C〜Fでは、化合物2により、+/−6nMラパマイシンで48時間処理した後、クロマチンを単離して、転写開始部位(TSS)+489位でのH3K9me3(
図11C)、HP1γ(
図11D)、H3K4me3(
図11E)、及びG9a(
図11F)の濃縮レベルを決定した。グラフは、対照試料と比較した化合物2の存在下でのH3K9me3、HP1γ、H3K4me3、及びG9aそれぞれの倍数変化の減少を示している。n≧3(p≦0.05
*、0.01
**)。
図11Gには、化学誘導性近接(CIP)を利用してcsHP1αを動員するCiA:Oct4系の略図を示す。ラパマイシンを添加すると、HP1−ヘテロクロマチン形成及び遺伝子抑制をもたらす、Gal4−FKBPとFRB−csHP1α融合体の架橋が促進された。
【0333】
7.化学的プロテオミクスによって同定されるHP1経路の新規構成要素
化合物2は、遺伝子を抑制するHP1経路を阻害することにより機能する新規小分子である。化合物2の細胞標的を同定するために、化学的アフィニティ精製と定量的質量分析の手法を組み合わせた。ビオチン標識化合物3は、活性な親和性試薬であった。ビオチン標識化合物4は、不活性化BOC基を含み、陰性対照親和性試薬として機能した(
図12A)。
【0334】
CiA:Oct4 N118/N163細胞をコンフルエントになるまで増殖させ、核を回収した。試料の粘度を低下させ、タンパク質精製を容易にするために、プローブ超音波処理によって、核を溶解してゲノムDNAを剪断した。核溶解物を、活性(化合物3)及び不活性(化合物4)ビオチン標識化合物とインキュベートした。追加の陰性対照試料は、ビーズのみを含み、核溶解物を過剰の化合物2とプレインキュベートした後、活性ビオチン標識化合物3とともに沈降させた。磁気ストレプトアビジンビーズを使用して結合タンパク質を沈降させた。試料を洗浄し、過剰の化合物2(E1)で溶出し、最後に3mM D−ビオチン(E2)で溶出した。化合物3及び4からの沈降画分をbis−tris系グリシンゲルで泳動し、可視化するためSypro Ruby染色で染色した(
図12B)。
【0335】
溶出画分を沈殿させ、相対及び絶対定量のためのアイソバリックタグ(iTRAQ:isobaric tags for relative and absolute quantitation)を使用して、定量LC−MS/MS分析用の試料を調製した。定量分析により、様々な陰性対照と比較して、活性なアフィニティ精製試料に濃縮されたタンパク質を同定した(表2)。2つ超の固有のペプチドを有し、試料対対照比が1.4以上であるタンパク質を、さらなる分析の対象とみなした。活性化合物に結合したいくつかのタンパク質は、クロマチン生物学に関与することが知られている(表3)。これには、HP1経路に寄与する新規因子(Supt6H、Hmgn2、Taf10、Hdgfrp2、Nasp、Hmgn1、Eny2、Tmpo、及びKmt2B/Mll4)、ならびにヘテロクロマチンに寄与するHUSH複合体の公知のメンバーであるMphosph8またはMpp8が含まれる(Tchasovnikarova et al.(2015)Science 348(6242))。
【表2】
【0336】
【表3】
【0337】
図12Aでは、活性化合物3及び不活性対照化合物4を化学的アフィニティ精製に使用して、CiA:Oct4 N118/N163の超音波処理核溶解物から化合物2の結合標的を同定した。
図12Bには、Sypro Ruby染色で染色された、親和性沈降実験の代表的なSDS−PAGEゲルを示す。M−マーカー、FT−フロースルー、W1−洗浄1、W2−洗浄2、W3−洗浄3、E1−溶出1、E2−溶出2。
【0338】
表3に、iTRAQ LC−MS/MSを使用して、対照と比較した活性化合物3試料のタンパク質濃縮の差を定量した。活性化合物3によって沈降された濃縮タンパク質標的を、UniProtの記述の概要とともに、表に列挙する。
【0339】
8.Kmt2B/Mll4及びHdgfrp2は、HP1が介在する遺伝子抑制経路に対する新規寄与因子である
HP1が介在する遺伝子抑制において、同定された標的が機能するかどうかを判定するために、Kmt2B/Mll4、Hdgfrp2、Supt6H、及びTmpoに対するshRNAノックダウンを使用した。理論上、HP1経路の阻害に至るこれらの推定結合パートナーのいずれかを化合物2が阻害する場合、タンパク質のノックダウンは化合物の表現型を再現しているはずである。
【0340】
pTRIPZベクターによるレンチウイルス感染により、ドキシサイクリン誘導性プロモーター下でのshRNA構築物の安定した組み込みが可能であった。この試験にCiA:Oct4 N205(ZFHD1−FKBP T2A切断部位FRB−csHP1α)細胞を使用すると、csHP1αをOct4遺伝子座に動員する能力を維持しながらshRNAを選別することができる。shRNA構築物を発現するCiA:Oct4 N205細胞を、1μg/mlのドキシサイクリンの存在下でラパマイシンとともに48時間増殖させた。ラパマイシンなしまたはドキシサイクリン誘導なしの試料は、予測されるようにGFPレベルを変化させなかった(データは示さず)。標的mRNAレベルのノックダウンはqRT−PCRによって確認し、β−アクチンに対して標準化した。Kmt2B/Mll4及びSupt6Hは約40%抑制され、Tmpo及びHdgfrp2は70〜80%ノックダウンされた(
図13)。化合物の処理と同様に、細胞をフローサイトメトリーで分析して、shRNAノックダウンが化合物2によって実証されたGFP抑制の阻害を再現できるかどうかを判定し、ナンセンスshRNA対照に対して標準化した。Supt6H及びTmpoは、阻害効果をほとんどまたはまったく示さず、HP1遺伝子サイレンシング経路に直接的に関与しないことが実証された。Kmt2B/Mll4及びHdgfrp2は、HP1経路がOct4遺伝子座を抑制する能力を有意に阻害した。理論に束縛されるものではないが、これらのデータは、Kmt2B/Mll4及びHdgfrp2が遺伝子抑制に寄与する新規のHP1経路メンバーであることを示している。
【0341】
図13では、Kmt2B/Mll4、Hdgfrp2、Supt6H、及びTmpoを標的とする誘導性shRNA構築物を含むCiA:Oct4 N205細胞を、1μg/mLのドキシサイクリンにより、+/−6nMラパマイシンで48時間誘導した。全RNAを抽出してRT−qPCRすることによりノックダウンを確認した。試料をβ−アクチンに対して標準化し、比較ΔΔCt法を使用して倍数変化を決定した。(n≧3)(p≦0.05
*)。
【0342】
図14では、Kmt2B/Mll4、Hdgfrp2、Supt6H、及びTmpoを標的とする誘導性shRNA構築物を含むCiA:Oct4 N205細胞を、1μg/mLのドキシサイクリンにより、+/−6nMラパマイシンで48時間誘導した。フローサイトメトリー分析を使用して、ナンセンスshRNA対照と比較した%GFP(+)集団を決定した。HP1経路の遺伝子抑制を阻害するもの(上)または阻害しないもの(下)に、結果を分類した。
【表4】
【0343】
9.HP1経路の小分子調節薬
ヘテロクロマチンの遺伝子抑制は、哺乳動物の発生の適切な時期設定にとって重要な遺伝子のサイレンシングに関与する重要な発生エピジェネティック経路である(Bilodeau,Kagey,Frampton,Rahl,&Young,2009)。発生後のエピジェネティック経路の混乱は、様々なクラスのヒトがんを促進することが実証されている。乳癌、子宮癌、前立腺癌、及び膵臓癌において、HP1ヘテロクロマチン経路の構成要素の調節不全が同定されている(De Koning et al,2009)。経路の構成要素の過剰発現は、乳癌及び肝臓癌の患者の予後不良と相関している(De Koning et al.,2009;Wong et al.,2016)。ヘテロクロマチンの阻害は関心の高い標的クラスであるが、現状ではHP1ヘテロクロマチン経路を標的とするFDA承認薬はない。
【0344】
そこで、新たな小分子ハイスループットスクリーニング手法を使用して、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の調節薬を同定した。それぞれラパマイシンを含む及び含まない一次及び二次スクリーニングにより、細胞に対して毒性であるか、またはHP1動員とは無関係に細胞分化及びGFP低下を引き起こす化合物の内部制御及び除外が可能になった。HP1が介在する遺伝子抑制を減少させ、細胞のGFP発現を増加させる34の阻害薬を同定した。上位の阻害化合物には、UNC00000557、UNC617、UNC1875、及びUNC2524が含まれていた。また、このスクリーニングにより、HP1経路の増強薬の一つであるUNC00000202も得られた。UNC617は、H3K9me2マークを付加することにより機能するヒストンメチルトランスフェラーゼG9aの阻害薬として報告されたものである(Kim et al,2016)。H3K9me2マークの阻害は、ヘテロクロマチン形成に必要なH3K9me3を形成する能力を低下させる。UNC617のような関連阻害薬を同定して、HP1経路の調節薬を同定するこの手法を検証する。
【0345】
この細胞アッセイにおいて用量依存的反応を実証することにより、リード化合物が阻害性表現型であることを特性決定した。リード化合物はそれぞれ、1〜5μMのIC
50を有していたが、UNC617及びUNC2524は、リアルタイムのHP1介在性アッセイにおいて最大の効力を有していた。スクリーニングのリード化合物はさらに、csHP1αと類似した方法でcsHP1γアイソフォームの阻害を示した。UNC617及びUNC2524は引き続き、スクリーニングされた上位20の化合物のうち、csHP1γの動員に対して最も効果的な阻害薬であった。HP1の機能的に類似するアイソフォームが同様に阻害されていることから、これらの結果は、このスクリーニングデータに頑強性と信頼性を付与するものである。最後に、上位の阻害化合物は細胞全体のH3K9me2及びH3K9me3を減少させることが判明した。H3K9のメチル化がヘテロクロマチンドメイン形成の指標であり、かつその形成をこれらの化合物が阻害することから、これらの化合物はOct4遺伝子座のH3K9me2/3マークを減少させると予想される。理論に束縛されるものではないが、全体的なレベルの低下は、化合物がOct4遺伝子座で機能するのみならず、遺伝子を抑制するHP1経路の全細胞型阻害薬であることを示している。
【0346】
スクリーニングの上位化合物はさらに、csHP1αと類似した方法でcsHP1γアイソフォームの阻害を示した。UNC617及びUNC2524は引き続き、スクリーニングされた上位20の化合物のうち、csHP1γの動員に対して最も効果的な阻害薬であった。理論に束縛されるものではないが、HP1の機能的に類似するアイソフォームが同様に阻害されていることから、これらの結果は、一次スクリーニングデータの頑強性と信頼性をさらに高めるものであった。最後に、上位の阻害化合物は細胞全体のH3K9me2及びH3K9me3レベルを減少させる傾向を示すことが判明したが、すべての化合物で再現性をもって有意な減少が観察されたわけではない。ヒストンマークの定常状態の動態の測定は、化合物の活性と化合物の毒性とのバランス調整に起因する交絡が生じることがわかった。H3K9のメチル化がHP1−ヘテロクロマチンドメイン形成を示し、かつその形成を化合物が阻害したことから、化合物はOct4遺伝子座のH3K9me2/3マークを減少させると予想された。全体的なレベルが低下する傾向は、化合物がOct4遺伝子座で機能するのみならず、遺伝子を抑制するHP1経路の全細胞型阻害薬であることを示している。
【0347】
構造活性相関の最適化試験により、化合物2が、HP1が介在する遺伝子抑制の最も強力な阻害薬であることが同定された。ChIP分析を使用して、CiA:Oct4対立遺伝子の特性を決定し、化合物2による処理がHP1−ヘテロクロマチン経路機能に与える効果を決定した。化合物2はH3K9me3の蓄積及びHP1γの局在化を同様に阻害した。HP1が介在する遺伝子抑制時にHP1の動員が阻害されることにより、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ酵素が動員される骨格がなくなるため、H3K9me2/3レベルが低下することが予想された。H3K4me3には、H3K9me3と逆の相関性が存在することが以前に示された。驚くべきことに、H3K9me3の減少に伴うH3K4me3の増加は、化合物2による処理では観察されなかった。理論に束縛されるものではないが、化合物2による処理は、以前に関連付けられた2つのエピジェネティックマークを切り離すことが可能であり、今後この相互作用を研究する手段になる可能性がある。
【0348】
リジン−メチルトランスフェラーゼ2B(Kmt2B)及び肝細胞癌由来成長因子関連タンパク質2(Hdgfrp2)は、csHP1αのOct4遺伝子座への動員時に顕著な阻害表現型を示した。興味深いことに、Kmt2Bは主に、抑制性のH3K9me3ではなく、H3K4にメチルマークを付加するヒストンメチルトランスフェラーゼとして報告されている。H3K4のメチル化は通常、活性ユークロマチンに関連している。Kmt2Bは、抑制表現型を有する特定のエンハンサー及びプロモーター領域にH3K4me1マークを付加する際にも必要であると報告された(Hu et al,2013)。Kmt2Bが失われるとH3K4me1の減少を引き起こし、遺伝子発現の増加をもたらすことが報告された(Cheng et al,2014)。理論に束縛されるものではないが、化合物による処理は、遺伝子発現の増加をもたらすH3K4me1抑制性マークの維持を阻害することができる。
【0349】
Hdgfrp2は、HIVのインテグラーゼ酵素に結合し、クロマチンの活性領域に組み込まれることが公知である水晶体上皮由来の成長因子/転写補助活性化因子p75(LEDGF/p75)と密接に関連している(Baude et al,2016)。Hdgfrp2はHIV組み込みの効率及び特異性に寄与したが、抑制されたクロマチンマークへの結合を優先する(Wang et al,2012)。Hdgfrp2は、ウイルスの組み込みに加えて、サイレンシングされた遺伝子のDNA修復時にHP1β(CBX1)と相互作用することが報告された(Baude et al,2016)。未だ完全には解明されていないDNAの損傷応答において、HP1の役割がますます重要視されている(Dinant&Luijsterburg、2009)。Supt6Hと同様に、Hdgfrp2はIWS1とも相互作用するが、IWS1は肝細胞癌(HCC)の発生に寄与し、またこのがん細胞でHdgfrp2が過剰発現している場合、H3K9me3にも寄与する可能性がある(Gao et al,2015)。最後に、SETDB1などのHP1経路の構成要素もまた、HCCで上方制御される(Wong et al、2016)。このようなHdgfrp2とHP1の交差する役割を総合すると、これらの過程の阻害により、HP1のヘテロクロマチン形成能が低下することは論理にかなっている。
【0350】
ヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)は、ヘテロクロマチンドメインの形成及び維持にとって重要である。HP1は、H3K9me3マークの隣接ヒストンへの拡散をもたらすヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ酵素の動員を促進し、遺伝子サイレンシングを生じさせる。遺伝子サイレンシングのエピジェネティックな調節は、哺乳動物の発生期の適切な細胞分化にとって重要である。HP1経路の複数の構成要素がヒトがんで上方制御されているが、この経路を標的とする治療は未開発である。遺伝子発現の主たる哺乳動物調節経路として重要であるにもかかわらず、HP1経路の公知の化学的調節薬はほとんど存在しない。
【0351】
本明細書では、エピジェネティック標的化合物で構成される偏向性の小分子ライブラリを用い、ハイスループットフローサイトメトリースクリーニングプラットフォームを使用して、HP1経路の阻害薬を同定した。CiA:Oct4スクリーニングプラットフォームは、一過性に制御された方法で、内因性遺伝子座に対する特異的タンパク質活性のモジュール式の動員を可能にし、単一細胞分解能でGFP発現データを生成した。この手法を使用して、用量依存的反応を伴う一連の強力な阻害薬を同定し、直交性の動員系で検証した。これらの阻害薬は、増幅されたHP1経路活性を有するがんを標的とする、新たなクラスの化学療法剤である。医薬化学的な最適化とアフィニティ精製プロテオミクスの組み合わせにより、HP1が介在する遺伝子抑制経路の新たな構成要素を同定した。Kmt2B/Mll4及びHdgfrp2のshRNAノックダウンが、HP1が介在する遺伝子抑制を阻害することを確認した。理論に束縛されるものではないが、これらの知見はHP1経路の理解を発展させるとともに、広範にわたる従来の遺伝学研究にもかかわらず、HP1が介在する遺伝子抑制経路には未だ特性決定されていない未探索のタンパク質構成要素が存在する可能性を示している。
【0352】
10.HP1が介在する遺伝子抑制の阻害薬の化学構造
HP1が介在する遺伝子抑制を阻害する能力について評価した、小分子の構造の概要を以下の表4に示す。化合物の活性を
図15に示す。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0353】
J.仮想実施例
HP1が介在するヘテロクロマチン集積後の分子事象の試験に、CiAは既に使用されていた。しかしながら、ヘテロクロマチン遺伝子抑制に対する各事象の順序と寄与の両方を理解するには、各段階で介入可能な必要がある。遺伝子抑制の誘導及び維持には多数の異なる酵素が関与するため、化学的阻害を利用して、酵素の個々の作用を区別し、ヘテロクロマチン集積における事象の順序を確定する。残念ながら、現在までにそのような分子はほとんど提供されていない(Rodrfguez−Paredes and Esteller(2011)Nat.Med.17:330−9;Finley and Copeland(2014)Chem.Biol.21:1196−1210)。上で詳述したように、開示されるCiA系を使用して、ヘテロクロマチン抑制の調節薬についてハイスループットスクリーニングを実施した(
図16A及び
図16Bも参照)。公知の活性をもつ約1,200の化合物からなるライブラリをエピジェネティックな標的についてスクリーニングし、一連のリード化合物を同定した。本明細書では、これらの化合物を使用して、ヘテロクロマチン集積の酵素的段階を順序付けする。
【0354】
図16Aには、スクリーニング設計が示されている。
【0355】
図16Bには、ラパマイシンが介在するHP1動員の2日後のGFP(+)細胞率が示されている。化合物を添加していない対照細胞は24%GFP(+)であった。GFP(+)細胞が55%を超えるウェルを阻害薬と評価し、GFP(+)細胞が20%未満のウェルを増強薬と評価した。上位評価の阻害化合物、UNC617及びUNC2524を示す。
【0356】
1.HP1刺激性の遺伝子抑制の主要な分子事象の特定及び順序付け
UNC617及びUNC2524は、報告されたGLP/G9aの阻害薬と共通する構造類似性を有する(Kubicek et al.(2007)Mol.Cell 25:473−481;Vedadi et al.(2011)Nat.Chem.Biol.7:566−74;Liu et al.(2013)J.Med.Chem.56:8931−8942)。UNC617は、in vitroでGLP及びG9aに対して強力かつ選択的であるが、UNC2524はGLP/G9aに対して検出可能な活性を有しない(データは示さず)。本明細書では、HP1ヘテロクロマチン形成に対するこれら2つの化合物の活性を特性決定し、それらが妨害する重要な分子過程を特定する。
【0357】
a.UNC617及びUNC2524によって阻害される、HP1が介在するヘテロクロマチン形成の段階の決定
HP1が介在する遺伝子抑制の誘導時に、本発明者らの一次アッセイで活性を示した、ある濃度範囲(100nM〜10μM)のUNC617またはUNC2524でCiA:Oct4 ES細胞を処理する(
図17A及び
図17B)。ラパマイシンが介在する、CiA遺伝子座へのHP1αの動員に続いて、活性クロマチンマークの除去、H3K9me3を含む抑制マークの蓄積、遺伝子抑制、及びDNAメチル化を含む多くの酵素的事象が起こる。経時的にChIPを実行して、ヘテロクロマチンに関連するヒストン修飾(H3K9me1/2及びH3K9me3)、及びまた内因性HP1の起こり得る濃縮を定量する。化合物がDNAメチル化の蓄積を阻害するかどうかを調べるために、試料をバイサルファイト分析により試験する。HP1β及びHP1yに対する化合物の活性も試験する。
【0358】
図17Aには、UNC617及びUNC2524の構造が示されている。
【0359】
図17Bには、ラパマイシンが介在する、CiA:Oct4へのHP1の動員2日後の、示された化合物によるGFP抑制を示す。DMSOのみの対照試料と比較して、阻害活性を評価した。
【0360】
b.UNC617及びUNC2524が、Oct4以外の遺伝子座でのHP1ヘテロクロマチン形成を阻害するかどうかの決定
次に、これらの化合物のCiA:βEF−1α(強力なプロモーター)に対する活性を評価する。HP1(−α、−β、または−γ)のCIPによりCiA:βEF−1aで抑制を開始し、UNC617またはUNC2524(100nM〜10μM)を追加して、フローサイトメトリーによりGFP遺伝子活性を、ChIPによりH3K9me3の濃縮を、及びバイサルファイト分析によりDNAメチル化を測定する。これにより、個別の遺伝子座でまたはOct4でのみ、化合物がHP1集積に作用するかを試験する。
【0361】
理論に束縛されるものではないが、UNC617及びUNC2524は、HP1の動員に応じたCiAプロモーターでのH3K9のin vivoメチル化を阻害することが予想される。ただし、それが観察されない場合は、ヘテロクロマチンと相関することが公知である他のクロマチン修飾、例えばH3K4me3の消失、ヒストンアセチル化の消失、または内因性HP1活性の動員を、ChIPを使用して調べる。理論に束縛されるものではないが、これらの化合物はヘテロクロマチンの集積に必要な事象の順序付けを可能にすることが予想される。化合物のin vitro結合は、HP1ヘテロクロマチンに関与することが公知である精製タンパク質、例えば、HP1−α、−β、及び−γ、GLP、G9a、Suv39H1、SETDB1、UHRF1、DNMT3a、及び核ラミナタンパク質を用いて、等温滴定型カロリメトリー(ITC)によって試験する(Leavitt and Freire(2001)Curr.Opin.Struct.Biol.11:560−566;Ladbury et al.(2010)Nat.Rev.Drug Discov.9:23−7)。pTRIPZ誘導性shRNAレンチウイルスを使用して標的をノックダウンし、阻害薬の結果を模倣することにより、in vivoで標的を検証する。
【0362】
2.HP1が介在する抑制を、開示される化合物が阻害する作用機序の確定、及び生理学的ヘテロクロマチンモデルにおける試験。
HP1遺伝子抑制のコア分子機構に関する詳細を知るため、UNC2524の分子標的(UNC617の標的はG9aである)を単離、検証し、特性決定することができる。また、UNC617とUNC2524はいずれも、RA誘導性ヘテロクロマチンを使用した直交性で生理学的に関連する哺乳動物発生モデルにおいてHP1活性に拮抗するように機能することも検証する。
【0363】
a.UNC2524の標的の同定
構造活性相関(SAR)を調べるため、UNC2524の十数超の化学的類似体が以前に調製された(Park and Park(2012)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.51:5447−51;Schenone et al.(2013)Nat.Chem.Biol.9:232−40;Ziegler et al.(2013)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.52:2744−92)。いずれもビオチンタグに結合された、UNC2524の親和性試薬類似体及びUNC2524不活性誘導体(重要な位置に嵩高い化学基をもつ)も調製されている。ストレプトアビジン樹脂に係留されたUNC2524−ビオチンまたはUNC2524不活性−ビオチンを入れたカラムにES細胞溶解物を加えることにより、任意の安定した結合タンパク質パートナーを単離する。予備的(非定量的)質量分析作業により、この技術の実現可能性を実証する。可能性のある2つの相互作用タンパク質を単離した(
図18を参照)。1つは、ラミンB1であり、これは内核膜へのクロマチンの付着を補助し、適切なヘテロクロマチンの集積に重要である核周辺タンパク質である(Gonzalez−Sandoval et al.(2015)Cell 163:1333−1347;Mattout et al.(2015)Genome Biol.16:174)。ラミンB1のイムノブロットにより、使用するビオチン−UNC2524とラミンB1が相互作用することを検証した(
図19)。ラミンB1を確認し、かつUNC2524の追加標的を探索するため、この精製戦略を、定量的なアイソバリック質量分析法の同定と合わせて使用する。結果として生じる任意の相互作用タンパク質(ラミンB1を含む)を、in vitro及びin vivoで、それぞれITC及びshRNAノックダウンにより検証する。
【0364】
図18では、核溶解物をビオチン−UNC2524とインキュベートし、ストレプトアビジン樹脂に結合した。試料を150mM NaClで3回洗浄した。過剰なUNC2524(E1)及び遊離ビオチン(E2)でタンパク質を溶出した。示されたバンドを切断して、質量分析の解析に送った。バンド1はラミンB1であると同定された。
【0365】
図19では、この実験は
図18に記載のように泳動した。記載の通り、ウェスタンブロットにより試料を可視化した。
【0366】
b.生理学的RA誘導性ヘテロクロマチンに対するUNC617及びUNC2524の効果の試験
新規HP1阻害薬によりH3K9−me2及びH3K9−me3の全体的なレベルを低減できるかどうかを既に調べた(
図20を参照)。UNC617及びUNC2524はいずれも、ES細胞においてバルクのH3K9のジメチル化及びトリメチル化を顕著に遮断することが見いだされた。このHMT活性の低下が、Oct4での自然刺激性ヘテロクロマチンシグナル伝達の低下につながるかどうかを調べるために(SAIDの場合)、UNC617またはUNC2524(100nM〜10μM)を5μMのRAの添加と同時に追加する。RA添加の出力測定の2日後、4日後、及び6日後に、フローサイトメトリーによりOct4−GFPを、ChIPによりH3K9me3濃縮を、及びバイサルファイトシーケンスによりDNAメチル化レベルを測定する。また、Sox2INanoaなどの他のRA制御遺伝子で、GAPDHを対照として使用して、発現及びクロマチン修飾を調べる。
【0367】
図20では、TC1 ES細胞を化合物と48時間インキュベートした。示された抗体を用いたウェスタンブロットデンシトメトリーによりヒストンマークを測定した。未処理対照比としてヒストンH4全体にわたり結果を標準化した。
【0368】
理論に束縛されるものではないが、UNC2524の分子標的が検証され、両方の新規小分子阻害薬を使用して、ヘテロクロマチンの集積における個々の酵素活性の役割が区別されることが予想される。弱い相互作用タンパク質を単離するための代替戦略では、355nmのUV光を照射すると活性化し、クリックケミストリーによって最適な樹脂へ単離されるベンゾフェノン系の光架橋部分を用いたUNC2524の光活性化類似体を調製した(Schenone et al.(2013)Nat.Chem.Biol.9:232−40;Mackinnon and Taunton(2009)Curr.Protoc.Chem.Biol.1:55−73)。ビオチン親和性試薬と同様に、UNC2524には非活性な対照類似体が存在する。候補タンパク質は、in vivo及びin vitroで、それぞれshRNAノックダウン及びITCを使用して検証される。理論に束縛されるものではないが、開示されるHP1経路阻害薬はRA駆動型ES細胞分化を遅延させ、CiA:Oct4へのHP1の動員で観察されたものを模倣すると予想される。ただし、これが見られない場合は、RA誘導性ヘテロクロマチンとCIP HP1−αまたはHP1−γ誘導性ヘテロクロマチンとの違いを調べる。
【0369】
k.参考文献
Allfrey,V.G.,Faulkner,R.,& Mirsky,A.E.(1964).Acetylation and Methylation of Histones and Their Possible Role in the Regulation of Rna Synthesis.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,51(1938),786−94.http://doi.org/10.1073/pnas.51.5.786
Arrowsmith,C.H.,Bountra,C.,Fish,P.V.,Lee,K.,& Schapira,M.(2012).Epigenetic protein families:a new frontier for drug discovery.Nature Reviews Drug Discovery,11(5),384− 400.http://doi.org/10.1038/nrd3674
Baude,A.,Aaes,T.L.,Zhai,B.,Al−Nakouzi,N.,Oo,H.Z.,Daugaard,M.,Jaattela,M.(2016).Hepatoma−derived growth factor−related protein 2 promotes DNA repair by homologous recombination.Nucleic Acids Research,44(5),2214−26.http://doi.org/10.1093/nar/gkv1526
Bilodeau,S.,Kagey,M.H.,Frampton,G.M.,Rahl,P.B.,& Young,R.A.(2009).SetDB1 contributes to repression of genes encoding developmental regulators and maintenance of ES cell state.Genes & Development,23(21),2484−9.http://doi.org/10.1101/gad.1837309
Black,J.C.,Van Rechem,C.,& Whetstine,J.R.(2012).Histone Lysine Methylation Dynamics:Establishment,Regulation,and Biological Impact.Molecular Cell,48(4),491−507.http://doi.org/10.1016/j.molcel.2012.11.006
Canzio,D.,Chang,E.Y.,Shankar,S.,Kuchenbecker,K.M.,Simon,M.D.,Madhani,H.D.,Al−Sady,B.(2011).Chromodomain−Mediated Oligomerization of HP1 Suggests a Nucleosome−Bridging Mechanism for Heterochromatin Assembly.Molecular Cell,41(1),67−81.http://doi.org/10.1016/j.molcel.2010.12.016
Ceol,C.J.,Houvras,Y.,Jane−Valbuena,J.,Bilodeau,S.,Orlando,D.A.,Battisti,V.,Zon,L.I.(2011).The histone methyltransferase SETDB1 is recurrently amplified in melanoma and accelerates its onset.Nature,471.http://doi.org/10.1038/nature09806
Cheng,J.,Blum,R.,Bowman,C.,Hu,D.,Shilatifard,A.,Shen,S.,& Dynlacht,B.D.(2014).A Role for H3K4 Monomethylation in Gene Repression and Partitioning of Chromatin Readers.Molecular Cell,53(6),979−992.http://doi.org/10.1016/j.molcel.2014.02.032
Chiba,T.,Saito,T.,Yuki,K.,Zen,Y.,Koide,S.,Kanogawa,N.,Yokosuka,O.(2015).Histone lysine methyltransferase SUV39H1 is a potent target for epigenetic therapy of hepatocellular carcinoma.International Journal of Cancer,136(2),289−298.http://doi.org/10.1002/ijc.28985
Dawson,M.a,& Kouzarides,T.(2012).Cancer epigenetics:from mechanism to therapy.Cell,150(1),12−27.http://doi.org/10.1016/j.cell.2012.06.013
De Koning,L.,Savignoni,A.,Boumendil,C.,Rehman,H.,Asselain,B.,Sastre−Garau,X.,& Almouzni,G.(2009).Heterochromatin protein 1alpha:a hallmark of cell proliferation relevant to clinical oncology.EMBO Molecular Medicine,1(3),178−191.http://doi.org/10.1002/emmm.200900022
Dinant,C.,& Luijsterburg,M.S.(2009).The emerging role of HP1 in the DNA damage response.Molecular and Cellular Biology,29(24),6335−40.http://doi.org/10.1128/MCB.01048−09
Fritsch,L.,Robin,P.,Mathieu,J.R.R.,Souidi,M.,Hinaux,H.,Rougeulle,C.,Ait−Si−Ali,S.(2010).A Subset of the Histone H3 Lysine 9 Methyltransferases Suv39h1,G9a,GLP,and SETDB1 Participate in a Multimeric Complex.Molecular Cell,37(1),46−56.http://doi.org/10.1016/j.molcel.2009.12.017
Gao,K.,Xu,C.,Jin,X.,Wumaier,R.,Ma,J.,Peng,J.,Zhang,P.(2015).HDGF−related protein−2(HRP−2)acts as an oncogene to promote cell growth in hepatocellular carcinoma.Biochemical and Biophysical Research Communications,458(4),849−855.http://doi.org/10.1016/j.bbrc.2015.02.042
Greer,E.L.,& Shi,Y.(2012).Histone methylation:a dynamic mark in health,disease and inheritance.Nature Reviews Genetics,13(5),343−357.http://doi.org/10.1038/nrg3173
Hathaway,N.A.,Bell,O.,Hodges,C.,Miller,E.L.,Neel,D.S.,& Crabtree,G.R.(2012).Dynamics and Memory of Heterochromatin in Living Cells.Cell,149(7),1447−1460.http://doi.org/10.1016/j.cell.2012.03.052
Hu,D.,Gao,X.,Morgan,M.A.,Herz,H.−M.,Smith,E.R.,& Shilatifard,A.(2013).The MLL3/MLL4 branches of the COMPASS family function as major histone H3K4 monomethylases at enhancers.Molecular and Cellular Biology,33(23),4745−54.http://doi.org/10.1128/MCB.01181−13
Kim,Y.,Lee,H.−M.,Xiong,Y.,Sciaky,N.,Hulbert,S.W.,Cao,X.,Jiang,Y.(2016).Targeting the histone methyltransferase G9a activates imprinted genes and improves survival of a mouse model of Prader−Willi syndrome.Nature Medicine,23(2),213−222.http://doi.org/10.1038/nm.4257
Livak,K.J.,& Schmittgen,T.D.(2001).Analysis of Relative Gene Expression Data Using Real− Time Quantitative PCR and the 2−ΔΔCT Method.Methods,25(4),402−408.http://doi.org/10.1006/meth.2001.1262
MacDonald,I.A.,& Hathaway,N.A.(2015).Epigenetic roots of immunologic disease and new methods for examining chromatin regulatory pathways.Immunology and Cell Biology,93(3),261−70.http://doi.org/10.1038/icb.2014.105
Moazed,D.(2001).Common themes in mechanisms of gene silencing.Molecular Cell,8(3),489−98.Retrieved from http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11583612
Pattenden,S.G.,Simon,J.M.,Wali,A.,Jayakody,C.N.,Troutman,J.,McFadden,A.W.,Davis,I.J.(2016).High−throughput small molecule screen identifies inhibitors of aberrant chromatin accessibility.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,113(11),3018−23.http://doi.org/10.1073/pnas.1521827113
Tchasovnikarova,I.A.,Timms,R.T.,Matheson,N.J.,Wals,K.,Antrobus,R.,Gottgens,B.,Lehner,P.J.(2015).Epigenetic silencing by the HUSH complex mediates position−effect variegation in human cells.Science,348(6242).Retrieved from http://science.sciencemag.org/content/348/6242/1481
Tiscornia,G.,Singer,O.,& Verma,I.M.(2006).Production and purification of lentiviral vectors.Nature Protocols,1(1),241−245.http://doi.org/10.1038/nprot.2006.37
Wallrath,L.L.,Vitalini,M.W.,& Elgin,S.C.R.(2014).Heterochromatin: A Critical Part of the Genome.In J.L.Workman & S.M.Abmayr(Eds.),Fundamentals of Chromatin(pp.529− 552).New York,NY:Springer New York.
Wang,H.,Jurado,K.A.,Wu,X.,Shun,M.−C.,Li,X.,Ferris,A.L.,… Engelman,A.(2012).HRP2 determines the efficiency and specificity of HIV−1 integration in LEDGF/p75 knockout cells but does not contribute to the antiviral activity of a potent LEDGF/p75−binding site integrase inhibitor.Nucleic Acids Research,40(22),11518−11530.http://doi.org/10.1093/nar/gks913
Wong,C.−M.,Wei,L.,Law,C.−T.,Ho,D.W.−H.,Tsang,F.H.−C.,Au,S.L.−K.,Ng,I.O.−L.(2016).Up−regulation of histone methyltransferase SETDB1 by multiple mechanisms in hepatocellular carcinoma promotes cancer metastasis.Hepatology,63(2),474−487.http://doi.org/10.1002/hep.28304
【0370】
当業者には、本発明の範囲または趣旨を逸脱することなく本発明に様々な変更及び変形を行うことが可能であることが明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の検討、または本明細書に開示される本発明の実施により当業者に明らかであろう。本明細書及び実施例は例示としてのみみなされるものと意図され、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲によって示される。