(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-526628(P2020-526628A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】六価クロムフリーエッチング液マンガン真空蒸発システム
(51)【国際特許分類】
C09K 13/12 20060101AFI20200803BHJP
【FI】
C09K13/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-500736(P2020-500736)
(86)(22)【出願日】2018年7月10日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月8日
(86)【国際出願番号】IB2018055068
(87)【国際公開番号】WO2019012417
(87)【国際公開日】20190117
(31)【優先権主張番号】62/530,564
(32)【優先日】2017年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519411331
【氏名又は名称】エスアールジー グローバル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】バウマン マーク
(72)【発明者】
【氏名】レイシー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルポール ジェリー
(57)【要約】
マンガン系エッチング液浴から水を除去するための方法及びシステムが開示される。マンガン系エッチング液浴の一部を処理するために真空蒸発器に移送し、マンガン系エッチング液浴の濃縮部分をマンガン系エッチング液浴に返送することによって、マンガン系エッチング液浴から水を除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンガンイオン源から水を除去する方法であって、
前記マンガンイオン源の少なくとも一部を、導管を通して方向付けることであって、前記導管が、未溶解粒子を濾過するためのフィルタを備える、方向付けることと、
前記マンガンイオン源の前記一部を真空蒸発器を用いて濃縮することと、
前記濃縮部分をマンガン系エッチング液浴に戻すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記濃縮部分が、酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸を精製することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記真空蒸発器が、加熱源を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マンガン系エッチング液浴が、基板をエッチングするように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の導管が、前記濃縮部分を前記マンガン系エッチング液浴に戻す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の導管が、前記マンガンイオン源の前記一部が、前記導管を介して、前記マンガンイオン源に戻ることを防止するための一方向弁を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
マンガン系エッチング液浴から水を除去する方法であって、
マンガン系エッチング液浴の少なくとも一部を、導管を通して方向付けることであって、前記導管が、前記マンガン系エッチング液浴の前記一部が、前記導管を介して、前記マンガン系エッチング液浴に戻ることを妨げるための一方向弁を備える、方向付けることと、
前記マンガン系エッチング液浴の前記一部を、真空蒸発器を用いて濃縮することと、
前記濃縮部分を前記マンガン系エッチング液浴に戻すことと、を含む、方法。
【請求項9】
前記導管が、未溶解粒子を濾過するためのフィルタを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記濃縮部分が、酸を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記酸が精製される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記真空蒸発器が、加熱源を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記マンガン系エッチング液浴が、基板をエッチングするように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
第2の導管が、前記濃縮部分を前記マンガン系エッチング液浴に戻す、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
マンガン系エッチング液浴から水を除去するシステムであって、
マンガン系エッチング液浴と、
第1の端部で前記マンガン系エッチング液浴に、第2の端部で真空蒸発器に接続される第1の導管であって、前記第1の導管が、未溶解粒子を濾過するためのフィルタを備え、前記マンガン系エッチング液浴の少なくとも一部が、前記第1の導管を通って前記真空蒸発器へと流動することを可能にする、第1の導管と、
前記第1の導管を通って流動する前記マンガン系エッチング液浴の前記一部から水を蒸発させ、前記一部を濃縮するための真空蒸発器と、
前記濃縮部分を前記真空蒸発器から前記マンガン系エッチング液浴に方向付けるための第2の導管と、を備える、システム。
【請求項16】
前記真空蒸発器が、前記真空蒸発器の内容物を加熱するための加熱源を更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記マンガン系エッチング液浴が、基板をエッチングするように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
濃縮部分が、酸を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の導管が、前記マンガン系エッチング液浴から前記真空蒸発器への一方向通路のために構成されている、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、六価クロムフリーエッチング液マンガン真空蒸発システムに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年7月10日に出願された、米国特許仮出願第62/530,564号の優先権を主張し、参照によってその全体が本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、本開示に関する背景情報を提供するが、それは必ずしも先行技術ではない。
【0004】
非導電性基板を金属化するための多くの従来のプロセスは、基板をエッチングし、続いて活性化、続いて無電解金属化することを含む。多くのこのような従来のプロセスでは、基板をエッチングすることは、基板をクロム酸−硫酸混合物中に浸漬することによって達成された。
【0005】
多くのこのようなエッチングプロセスは、主に六価クロムを利用した。しかし、過去数年において、六価クロムがもたらすヘルスケアリスクのため、六価クロムエッチング液の使用は減少した。他の方法は、エッチング溶液中のクロムの使用を完全に回避した。非導電性基板を金属化するために開発された1つのこのようなエッチング溶液は、(+2、+3、+4、+5、+6、及び+7)を含む酸化状態でのMnイオン源を含む。しかし、このようなエッチング溶液は、周囲空気から望ましくない量の水を吸収する可能性があり、それによって、エッチング溶液は継続的に監視され、最適に機能することを確実にするためにバランスが取られることが必要となる。このような溶液の最適化の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供するが、その全ての範囲又はその全ての特徴の包括的な開示ではない。
【0007】
本技術は、マンガンイオン源から水を除去する方法を提供する。本方法は、マンガンイオン源の少なくとも一部を、導管を通して方向付けることであって、導管が、未溶解粒子を濾過するためのフィルタを備える、方向付けること、を含む。導管を通って方向付けられるマンガンイオン源の一部は、真空蒸発器内で濃縮される。濃縮部分は、マンガン系エッチング液浴に戻される。他の実施形態では、濃縮部分は、酸を含む。更に他の実施形態では、酸は、精製される。更なる実施形態では、真空蒸発器は、加熱源を備える。より更なる実施形態では、マンガン系エッチング液浴は、基板をエッチングするように構成されている。他の実施形態は、濃縮部分をマンガン系エッチング液浴に戻す第2の導管を備える。他の更なる実施形態では、導管は、マンガンイオン源の一部が、導管を介して、マンガンイオン源に戻ることを防止するための一方向弁を備える。
【0008】
本技術は、マンガン系エッチング液浴から水を除去する追加の方法を提供する。本方法は、マンガン系エッチング液浴の少なくとも一部を、導管を通して方向付けることを含む。導管は、マンガン系エッチング液浴の一部が、導管を介して、マンガン系エッチング液浴に戻ることを妨げるための一方向弁を備える。真空蒸発器は、導管を通って方向付けられるマンガン系エッチング液浴の一部を濃縮する。濃縮部分は、マンガン系エッチング液浴に戻される。更に他の実施形態では、導管は、未溶解粒子を濾過するためのフィルタを更に備える。更なる実施形態では、濃縮部分は、酸を含む。より更なる実施形態では、酸は、精製される。その上更なる実施形態では、真空蒸発器は、加熱源を更に備える。追加の実施形態では、マンガン系エッチング液浴は、基板をエッチングするように構成されている。他の追加の実施形態では、第2の導管は、濃縮部分をマンガン系エッチング液浴に戻す。
【0009】
本開示はまた、マンガン系エッチング液浴から水を除去するシステムも提供する。システムは、マンガン系エッチング液浴、第1導管、真空蒸発器、及び第2導管を備える。第1の導管は、第1の端部でマンガン系エッチング液浴に、第2の端部で真空蒸発器に接続され、未溶解粒子を濾過するためのフィルタを更に備える。第1の導管は、マンガン系エッチング液浴の少なくとも一部が、第1の導管を通って真空蒸発器へと流動することを更に可能にする。真空蒸発器は、第1の導管を通って流動するマンガン系エッチング液浴の一部から水を蒸発させ、濃縮する。第2の導管は、真空蒸発器からマンガン系エッチング液浴への一方向通路のために構成されている。他の実施形態では、真空蒸発器は、真空蒸発器の内容物を加熱するための加熱源を備える。その上他の実施形態では、マンガン系エッチング液浴は、基板をエッチングするように構成されている。更なる実施形態では、濃縮部分は、酸を含む。その上更なる実施形態では、第1の導管は、マンガン系エッチング液浴から真空蒸発器への一方向通路のために構成されている。
【0010】
更なる適用範囲は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この概要の説明及び具体例は、単に例示の目的のために意図されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0011】
本明細書に記載される図面は、選択された実施形態のみを例示するためのものであり、全ての可能な実装ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】無電解金属化基板を調製するためのプロセスを示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一態様による真空蒸発システムの概略図である。
【
図3】エッチングプロセス内の蒸発器システムの代表的なフロー図を示す。
【
図4】
図2及び
図3の真空蒸発システムによる実施例の処理パラメータを示す。
【
図5】
図4の実施例の処理条件の範囲の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図全体を通して対応する部分を示す。
【0014】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者に範囲を完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の例など、多数の具体的な詳細が記載される。具体的な詳細を採用する必要はなく、例示的な実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、また本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことが、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造体、及び周知の技術は、詳細に説明されない。
【0015】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は、包括的であり、したがって、記述された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。本明細書に記載される方法の工程、プロセス、及び動作は、性能の順序として具体的に特定されない限り、説明又は例示される特定の順序でのそれらの性能を必ずしも必要とするものとして解釈されるべきではない。追加的又は代替的な工程が使用され得ることも理解されたい。
【0016】
要素又は層が、別の要素又は層「の上にある」、「に係合している」、「に接続されている」、又は「に結合されている」と言及される場合、それは直接他の要素若しくは層上にあってもよく、それに係合されてもよく、それに接続されてもよく、若しくはそれに結合されてもよく、又は介在要素若しくは層が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素又は層「の上に直接ある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」、又は「に直接結合される」と言及される場合、介在する要素又は層は存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の語は、同様の様式(例えば、「間」対「間に直接」、「隣接する」対「直接隣接する」など)で解釈されるべきである。本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0017】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用するとき、「第1」、「第2」、及び他の数値用語などの用語は、文脈によって明確に示されない限り、連続又は順序を意味しない。したがって、以下で説明される第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ぶことができる。
【0018】
「内側」、「外側」、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する1つの要素又は特徴の関係を記述するための説明を容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することが意図され得る。例えば、図中の装置が回転する場合、他の要素又は特徴の「下」又は「下方」として記載された要素は、その際、他の要素又は特徴の「上方」に配向される。したがって、用語「下」は、上及び下の配向の両方を包含することができる。装置は、別の方法で配向(90度又は他の向きで回転)されてもよく、空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈されて本明細書で使用される。
【0019】
様々な態様では、本開示は、非導電性基板をエッチングするための製造プロセスで使用されるエッチングプロセスを改善するための脱水システムを提供する。一般に、非導電性基板をエッチングすることは、基板の無電解金属化に有用であり、このような基板は、自動車又は他の車両の構成要素での使用に特に好適であり、その上、非限定的な例として、航空宇宙用構成要素、農機具、産業機器、及び重機械を含む、様々な他の産業及び用途で使用され得る。更に、本開示は、非限定的な例として、車両の計器盤、並びに内装及び外装の装飾トリムを含む、車両用の軽量で耐腐食性の構成要素を形成する方法を合理化するのに有用である。
【0020】
本明細書の開示による使用に適切な非導電性基板としては、フェノール、尿素ホルムアルデヒド、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ジアリルフタレート、ポリエーテルイミド、テフロン(登録商標)、ポリアリールエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ミネラル強化ナイロン、及びポリスルホンを含む、多くの異なるプラスチック及び多くのプラスチック樹脂が挙げられる。本明細書の開示による使用に特に好適なプラスチックは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(acrylonitrile-butadiene-styrene、ABS)である。更に、ポリカーボネートABSブレンドなどの、エッチング及び無電解金属化の影響を受けやすいブレンドが存在する。
【0021】
まず
図2を参照すると、本明細書の開示により、例示的な蒸発システムが示される。マンガンイオン源102の一部は、第1の導管104から除去される。第1の導管104は、浴の一部を真空蒸発器106に方向付ける。真空蒸発器106に方向付けられる浴の一部は、真空蒸発器106内で蒸発する。真空蒸発器内で蒸発させると、蒸留水及び濃縮液体をもたらす。濃縮液体は、第2の導管108を通って方向付けられ、マンガン系エッチング液浴102に戻される。蒸留水は、更に回収され、処理され、再利用又は廃棄され得る。
【0022】
マンガンイオン源は、マンガン系エッチング液浴のうちのいずれかであり得る。
【0023】
第1の導管104は、液体を1つの区域から別の区域に移送するための任意の媒体を含んでもよく、非限定的な例として、配管、管、チャネル、ダクト配管、又は液体を1つの区域から別の区域に移送することができる任意の他の移送組立品を含み得る。第1の導管104は、好適な耐酸性を呈する任意の材料により形成され得る。第1の導管104は、粒子が、真空蒸発器106に入ることを妨げるためのフィルタを更に備え得る。第1の導管104は、真空蒸発器106への流動を増加させるポンプを更に備え得る。第1の導管104は、マンガン系エッチング液浴の少なくとも一部が、第1の導管104を介して、マンガン系エッチング液浴102に戻ることを妨げるための一方向弁を更に含み得る。
【0024】
マンガン系エッチング液浴は、強酸を使用し、したがって、本発明による使用に好適な真空蒸発器は、酸腐食に耐性を有することができ、強酸を濃縮することができるものであり、マンガン系エッチング液浴に使用される酸としては、以下の、リン酸、ペルオキソ一リン酸、ペルオキソ二リン酸、硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。開始濃度は、基板がリンス及び/若しくはドラッグアウトされる速度、並びに/又はマンガン系エッチング液浴自体に依存するが、好適な真空蒸発器は、高酸濃度(例えば、真空蒸発器が、現在水を蒸発させることができる限界に近づく酸濃度)での腐食性酸の攻撃に耐性のある材料から構成される。適切な真空蒸発器の非限定的な例としては、単一効果クライミングフィルム(climbing film)蒸発器を含む単一効果蒸発器、三重効果蒸発器を含む多重効果蒸発器、及びライジング(rising)薄膜真空蒸発器が挙げられる。本開示による真空蒸発器は、ロータリーエバポレーター及び乾燥真空蒸留カラムを含む真空蒸留ユニットを更に含む。好ましくは、真空蒸発器は、蒸発速度を更に加速させるために加熱源を用いる。好適な加熱源としては、蒸気及び油熱交換器を含む熱交換器が挙げられる。蒸発後、続いて濃縮された酸は、精製され得る。
【0025】
第2の導管108は、第1の導管104同様、液体を1つの区域から別の区域に移送するための任意の媒体を含んでもよく、非限定的な例として、配管、管、チャネル、ダクト配管、又は液体を1つの区域から別の区域に移送することができる任意の他の移送組立品を含んでもよい。第2の導管108は、好適な耐酸性を呈する任意の材料により形成され得る。特に、第1の導管104を形成するのに好適な材料は、第2の導管108が、真空蒸発から得られる濃縮液体に耐えるのに十分な耐酸性を呈する必要があるため、第2の導管108を形成するのには好適でない場合がある。第2の導管は、濃縮液体が、真空蒸発器106に戻ることを妨げるための一方向弁を更に備え得る。
【0026】
最も好ましくは、本明細書に開示される真空蒸発器は、非導電性基板を金属化するためのより大きな方法200の一部で使用される。
図1を参照すると、非導電性基板200を金属化するプロセスの一般的な説明が示されている。任意に、非導電性基板は、洗浄剤202によって洗浄される。次いで、基板は、一連の1回以上のリンス203でリンスされる。次いで、非導電性基板は、予備エッチング204によって任意に予備エッチングされる。非導電性基板を予備エッチングすることにより、非導電性基板が膨張し、エッチングの影響をより受けやすくなる。予備エッチング溶液に浸漬された任意の基板に関して、1回以上のリンス205のリンスプロセスが完了する。任意の洗浄工程及び予備エッチング工程が実行されるかどうかにかかわらず、非導電性基板は、エッチング浴207内でエッチングされる前に、酸含有リンス206でリンスされる。エッチング浴207は、マンガン含有エッチング溶液を含む。特に、多くの実施形態では、本発明の真空蒸発器システムは、比重を維持しながら、エッチング浴207から水を除去するように作動する。エッチング浴207は、マンガンイオンを、Mn(VII)の+7未満の酸化状態で酸化するための酸化チャンバを更に含み得る。任意に、エッチングされた基板は、活性化を促進するためにコンディショナーで調整され得る。また、任意に、エッチングされた基板はリンスされ、エッチングされた基板上の任意の過剰な酸又は他の望ましくない材料を除去し得る。任意に、エッチングされた基板は、活性化前に予備活性化される。予備活性化は、活性剤の吸収を促進するために作動する。中和後、エッチングされた基板は、エッチングされた基板を活性剤212に曝露することによって活性化される。活性剤212は、典型的には、元素周期表の第VIII族遷移金属から選択される金属コロイド又はイオン溶液であり、より好ましくは、スズ塩と共に、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、活性剤212は、パラジウムである。活性化後、活性剤212は、エッチングによって生成される細孔を埋め、エッチングされた基板は、促進214を受ける。促進214は、金属コロイドから過剰な材料を除去し、それによって金属コロイドの金属とエッチングされた基板の細孔との機械的接続の結果として、エッチングされた基板の金属化を確実にする。促進後、部品は、無電解ニッケル又は無電解銅216に浸漬されて、基板の金属化を完了する。
【0027】
用いられる方法及び可能な代替実施形態の前述の説明を考慮して、方法に関連する達成可能な水除去速度の例が、
図3及び4に提供される。
【0028】
図3を参照すると、例示されるパラメータは、第1の蒸発器組立品がエッチング浴207に流体結合される実施形態に関する。
図4は、
図3に概説されるパラメータの周囲の範囲で得られる水除去速度のグラフ描写として示す。
【0029】
1.630以上の比重及び2g/l以上のマンガン濃度を有する酸マトリックスの組成を有するエッチング浴について、真空液滴による許容可能な水除去速度、及び水濃度が、様々な緑色の色合いで示され、最も明るい緑色の色合いが最適であることが判明した。赤い色合いは、準最適であり、許容不可能であることが見出された、水除去速度を示す。
【0030】
生成及び開発要件を維持するための速度で実行される、混合酸マトリックス及びマンガンイオン源を妥協する溶液の非限定的な例では、マンガンイオン源に流体結合される蒸発器は、1.8psig以下の圧力で利用されて、所望の濃度レベルを達成する。所望の濃度レベルは、処理槽内の処理ライン速度及び溶液流体特性の関数である。1つの特定の実施例について、エッチング液浴が比重1.650で作動する場合、0.8psig以下の圧力で蒸発器を作動させることが、蒸発物を十分に濃縮することに役立ち、その結果、それが処理槽内に再導入され得ることを見出した。
【0031】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提供されてきた。網羅的であること、又は本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されるものではないが、適用可能な場合、交換可能であり、特別に示され、又は説明されない場合であっても、選択された実施形態で使用することができる。同様に、多くの方法で変更されてもよい。そのような変更は、本開示から逸脱するものと見なされるべきではなく、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】