(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-526724(P2020-526724A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】改良型一方向クラッチベアリングおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16D 41/06 20060101AFI20200803BHJP
F16D 41/066 20060101ALI20200803BHJP
【FI】
F16D41/06 B
F16D41/066
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-501345(P2020-501345)
(86)(22)【出願日】2018年7月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】IB2018055010
(87)【国際公開番号】WO2019012396
(87)【国際公開日】20190117
(31)【優先権主張番号】201721024460
(32)【優先日】2017年7月11日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519457904
【氏名又は名称】テックススピン・ベアリングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシャル・マクワナ
(57)【要約】
外側リング11bと、内側リング12とを備え、その間にローラ13が配置された一方向クラッチベアリングが開示される。ローラは、ローラ13が内側リングが第1の方向に遊転することは許可するが、反対方向に回転する際、カム作用を通して外側リングにトルクを伝達することを可能にするように、内側リング12の外周とのその係合のためにばね15によって戻される。カム外形141を取り入れる複数のカムピン14が、対応するローラが係合し、カム作用を提供して外側リングへの回転トルクの伝達を可能にするために、外側リングの内周上に配置される複数のポケット113の中に保持される。ポケット113およびカムピン14の各々は、他の固定手段なしでカムピンを対応するポケットの中に保持することができるように成形される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側リングと、
内側リングと、
前記外側リングの内周と前記内側リングの外周との間の空間に配置された複数のローラであり、前記複数のローラが前記内側リングを前記外側リングに対して第1の方向に遊転することができ、前記内側リングが前記第1の方向と反対の第2の方向に前記外側リングに対して回転される際は、カム作用を通して前記外側リングにトルクを伝達することを可能にするように、前記複数のローラが前記内側リングの前記外周と係合するために複数のばねによって戻される複数のローラと
を備える一方向クラッチベアリングであって、
複数のカムピンをさらに備え、前記複数のローラの各々に対応する1つのカムピンがあり、前記カムピンの各々が、前記対応するローラのためのカム外形が組み込まれて、ローラと係合し、前記カム作用を提供して前記外側リングに回転トルクを伝達することを可能にし、前記複数のカムピンは、複数のポケットの中に保持され、前記カムピンの各々に対して1つのポケットが存在し、前記複数のポケットは前記外側リングの前記内周に配置されている、一方向クラッチベアリング。
【請求項2】
前記ポケットおよび前記カムピンの各々が、他の固定手段なしで前記カムピンを前記対応するポケットの中に保持することができるように成形される、請求項1に記載のベアリング。
【請求項3】
前記ベアリングが、頂部カバーおよび底部プレートをさらに備え、前記頂部カバーおよび前記底部プレートが、前記外側リングの頂部側および底部側にそれぞれ嵌合するように適合されており、前記頂部カバーおよび前記底部プレートが、前記複数のカムピンの軸方向の変位を阻止することによって、前記複数のカムピンを前記外側リングと共に保持するように適合される、請求項1に記載のベアリング。
【請求項4】
前記外側リング、前記頂部カバーおよび前記底部プレートには、取り付け用の複数の穴が組み込まれている、請求項3に記載のベアリング。
【請求項5】
前記外側リングの前記底部側には、円形の凹部が組み込まれ、前記底部プレートが、締まり嵌めによって前記外側リングの前記凹部に嵌合される、請求項3に記載のベアリング。
【請求項6】
前記頂部カバーが、前記外側リングの前記頂部側および外周の周りを包むように適合され、圧着およびカシメ作業のうちの少なくとも一方によって固定される、請求項3に記載のベアリング。
【請求項7】
前記複数のポケットが複数の突起によって画定され、前記ポケットの各々が、前記複数の突起の中の2つの隣接する突起の間に配置されるように、前記突起が、前記外側リングの前記内周から前記外側リングの中心に向かって延びる半径方向内向きの突起となっている、請求項1に記載のベアリング。
【請求項8】
前記複数の突起の厚さが、前記外側リングの厚さより実質的に小さい、請求項7に記載のベアリング。
【請求項9】
前記複数のカムピンの厚さが前記外側リングの厚さと実質的に同じであることで、前記外側リングの前記底部側にある前記凹部内に前記底部プレートを取り付けることができる、請求項5に記載のベアリング。
【請求項10】
前記複数の突起の厚さが前記複数のローラの長さの30%〜50%である、請求項8に記載のベアリング。
【請求項11】
前記複数の突起が、前記複数のポケット内に開口を提供するように成形され、前記対応するローラが前記内側リングの前記外周と係合するために、前記開口が前記内側リングの前記外周付近に配置され、前記ローラが半径方向に外れるのを阻止するために、前記開口が前記複数のローラの直径より5%〜10%小さい、請求項7に記載のベアリング。
【請求項12】
前記複数のカムピンには、
凸状であり、前記複数のカムピンが前記外側リングの前記内周に載置されるために、前記外側リングの前記内周に一致する曲率を有する外面と、
前記ばねの一端が載置するためのばね座面と、
前記外面の反対側にあり、前記対応するローラに前記カム作用を提供して前記外側リングに回転トルクを伝達することを可能にするためのカム外形が組み込まれた内面と、
が組み込まれている、請求項1に記載のベアリング。
【請求項13】
前記複数のカムピンには、
凸状であり、前記複数のカムピンが前記外側リングの前記内周に載置されるために、前記外側リングの前記内周に一致する曲率を有する外面と、
前記外面の反対側にあり、前記対応するローラに前記カム作用を提供して前記外側リングに回転トルクを伝達することを可能にするためにカム外形が組み込まれた内面と、
が組み込まれ、
前記ばねの一端が前記対応するポケットの側部に載置される、請求項1に記載のベアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラタイプの改良型一方向クラッチベアリングおよびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、軽量の単一部品組立体であり、製造し易く、かつコスト効果の高い改良型一方向クラッチベアリングに関する。さらに前記改良型一方向クラッチベアリングは、ローラがその位置から外れないようにする。さらに、改良型一方向クラッチの製造工程は、高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高い。
【背景技術】
【0002】
ローラタイプの一方向クラッチは、トルク伝達装置または逆転防止装置として自動車産業において広く使用された。主に、それはエンジンを始動させるために自動車のエンジンのスターターモータと共に使用される。
【0003】
図1に示されるように、一般的に使用されるローラタイプの一方向クラッチ組立体1Aは、ポケット103と、カム面102と、穴101と、半径方向内向きに配置され、外側リング10と同心に配置された内側リング12に向かって延びる突起104と、内側リング12の外面と外側リング10のカム面102との間に配置され、トルクを伝達するように適合された複数のローラ13とを含む外側リング10で構成される。このようなローラは、アコーディオンばね15またはらせんばね(図示せず)によって接線方向にばね荷重される。さらに、前記穴101は、設置用ボルトのヘッドを収容するためにカウンターボアを有する。
【0004】
図1に示されるように、一方向クラッチ組立体1Aでは、内側リング12は、ローラ13と外側リング10のカム面102とによって構成されるカム機構を利用して外側リング10に対して一方向にのみ回転させることができる。つまり、内側リング12は、外側リング10に対して一方向に遊転するように設計され、その一方で、それは、反対方向のみでカム機構を介して外側リングに回転トルクを加える。
【0005】
ローラタイプの一方向クラッチ組立体1Aでは、押し込み係合を実現するために、トルク伝達部材としてのローラ13と、ローラ13を付勢するためのばね15は、外側リング10に設けられたそれぞれのポケット103の中に配置される。
【0006】
しかしながら従来の一方向クラッチは、以下の欠点を与える。
・一般に外側リング10は、鍛鋼で作成される。内部形状は機械加工され、これは、その形状にはカム外形102と突起104が含まれるため、極めて面倒な工程である。また、機械加工の工程は時間のかかる工程である。
・さらにポケット103の開口a1は、ローラの直径より大きく、このことはローラ13が半径方向に外れるのを可能にする。
・またさらに、ばね15が内側リング12に接触してしまう可能性があり、これは、ばね15を摩耗させ、一方向クラッチを機能停止にする。
・またさらに突起104は、ポケット103にローラ13とばね15を収容するためにローラの長さの105〜110%に匹敵する厚さを有し、そのためにそれはかさの大きいものとなり、費用も高くなる。
・またさらに突起の厚さが大きいため、設置用の穴101およびカウンターボアを機械加工する必要があるのに対して、機械加工工程は面倒であり、時間を消費し、費用がかかる工程である。
【0007】
よって従来の組立体の問題を回避する組立体を提供する必要性がある。
【0008】
ローラが外れる問題を克服するため、重量を削減するため、機械加工の複雑さを最小限にするため、および生産性を高めるために、多くの試みがなされてきた。
・特許文献1は、ローラがその位置から外れないように一方向クラッチを製造する方法を記載している。前記発明は、ローラを収容するために、窓を備えた円筒形のケージで構成される。
・しかしながら前記装置は、時間を消費し、かつ費用がかかる工程であるポケットの機械加工を含む。さらに、突起の厚さが大きくなるため、設置用の穴および穴のカウンターボアを機械加工する必要があり、これは面倒であり、時間を消費し、かつ費用がかかる工程である。
・特許文献2は、フランジの一つに対して突起の代わりに支柱を設けることによって機械加工の複雑さを低減させるように一方向クラッチを製造する方法を記載している。
・しかしながら前記方法は、スポット溶接と、支柱の複雑な機械加工で構成されており、これは大量生産には望ましくない。
・特許文献3は、機械加工の複雑さを低減させ、かつ製品の全体のサイズを縮小するために1片のブランクシートを積み重ねることによって一方向クラッチを製造するための装置を記載している。
・しかしながら前記装置には、ローラがその位置から外れることを阻止することが欠けている。それは、シートの積み重ねの適切な寸法精度の実現を欠いており、よって一般的な実施では使用されない。
・特許文献4は、把持要素によって材料が節約されるため製品が経済的であるような一方向クラッチを製造する方法を記載している。把持要素を設けることによって、突起は排除される。
・しかしながら前記装置には、ローラが一方向クラッチ組立体から落下するのを阻止することが欠けている。
【0009】
したがって利用可能な従来技術は、寸法の精度不良および非押し込み係合の欠点を有し、これが一方向クラッチベアリングがその機能を損なうことにつながり、かつ相対的に複雑で費用のかかる製造工程を利用して製造される一方向クラッチに関して教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第8931609号
【特許文献2】米国特許第2011/0108382号
【特許文献3】米国特許第2002/0148696号
【特許文献4】米国特許第4106602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的は、軽量の単一部品組立体であり、製造し易く、かつコスト効果が高い改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、単一部品組立体としての改良型一方向クラッチベアリングであって、外側リングが、板金加工、冷間圧造または熱間圧造工程から作成される、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、改良型一方向クラッチベアリングであって、前記ポケットが、高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高い穴開け、ブランキングまたはファインブランキングなどのプレス作業から作成される、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、単一部品組立体としての一方向クラッチベアリングであって、ポケットが、ローラが半径方向に外れないように設計されている、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、改良型一方向クラッチベアリングであって、頂部カバーおよび底部プレートが、ローラおよびばねが軸方向に外れないように外側リングと一緒に押し込み式にロックされる、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、改良型一方向クラッチベアリングであって、前記カム機構が、カムピンとローラによって提供される、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、改良型一方向クラッチであって、前記カムピンが、高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高い板金加工または冷間圧造作業によって作成される、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、改良型一方向クラッチベアリングであって、突起が、ばねが、回転する内側リングと接触するのを阻止し、それによりそれが摩耗するのを阻止する、改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、軽量の単一部品組立体であり、ローラが外れる問題がなく、製造し易く、高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高い改良型一方向クラッチベアリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の態様は、外側リングと、内側リングと、外側リングの内周と内側リングの外周との間の空間に配置された複数のローラとを備える一方向クラッチベアリングに関する。ローラの各々は、複数のローラが内側リングが外側リングに対して第1の方向に遊転することは許可するが、内側リングが第1の方向と反対の第2の方向で外側リングに対して回転される際、カム作用を通して外側リングにトルクを伝達することを可能にするように、ローラが内側リングの外周と係合するためにばねによって戻される。
【0021】
一態様において、ベアリングは、複数のカムピンをさらに備え、ローラの各々に対応する1つのカムピンがあってよく、カムピンの各々は、対応するローラのためのカム外形を取り入れることで、それと係合し、前記カム作用を提供して外側リングに回転トルクを伝達することを可能にすることができる。別の態様において、複数のカムピンは、複数のポケットの中に保持されることができ、カムピンの各々に対して1つのポケットが存在し、複数のポケットは外側リングの内周に配置されている。
【0022】
一態様において、ポケットおよびカムピンの各々は、他の固定手段なしでカムピンを対応するポケットの中に保持することができるように成形することができる。
【0023】
一態様において、ベアリングは、頂部カバーおよび底部プレートをさらに備えることができる。頂部カバーおよび底部プレートは、外側リングの頂部側および底部側にそれぞれ嵌合するように設計することができる。さらに頂部カバーおよび底部プレートは、複数のカムピンの軸方向の変位を阻止し、それにより、それらを外側リングと共にその位置に保持する助けをすることができる。
【0024】
一態様において、外側リング、頂部カバーおよび底部プレートは、設置する目的のための複数の穴を取り入れることができる。
【0025】
一態様において、外側リングの底部側は、円形の凹部を取り入れることができ、底部プレートは、締まり嵌めによって外側リングの凹部に嵌合されることができる。
【0026】
一態様において、頂部カバーは、外側リングの頂部側および外周の周りを包むように設計することができ、圧着およびカシメ作業のうちの少なくとも一方によって固定することができる。
【0027】
一態様において、複数のポケットは複数の突起によって画定される。突起は、外側リングの内周から外側リングの中心に向かって延びる半径方向内向きの突起であってよい。よってポケットの各々を2つの隣接する突起の間に配置することができる。
【0028】
一態様において、突起の厚さは、外側リングの厚さより実質的に小さく、それにより材料を節約し、ベアリングの重量を削減することができる。
【0029】
一態様において、カムピンの厚さは外側リングの厚さと実質的に同じであり得るが、外側リングの厚さより小さい場合があり、その結果底部プレートの取り付けは、外側リングの底部側にある凹部において行うことができる。
【0030】
一態様において、複数の突起の厚さはローラの長さの30〜50%であり得る。
【0031】
一態様において、突起は、ポケット内に開口を提供するように成形することができ、この開口は、対応するローラが、この開口を通って内側リングの外周と係合することができるように内側リングの外周付近に配置することができる。一実施形態において、開口は、ローラの直径より5〜10%小さい場合がある。開口がローラの直径より小さいことにより、内輪がその所定の位置にないとき、ローラが半径方向に外れるのを阻止することができる。
【0032】
一態様において、カムピンは、凸状であり、複数のカムピンが外側リングの内周に寄りかかるために、外側リングの内周に一致する曲率を有する外面を取り入れることができる。カムピンは、ばねの一端が寄りかかるためのばね座面を有する場合もある。カムピンは、外面の反対側にあり、対応するローラに前記カム作用を提供して外側リングに回転トルクを伝達することを可能にするためにカム外形を取り入れる内面をさらに有することができる。
【0033】
カムピンの代替の配置では、カムピンは、ばねの一端が対応するポケットの側部に寄りかかるように成形される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】従来の一方向クラッチベアリングの上面図である。
【
図2】本発明の改良型一方向クラッチベアリングの部分図である。
【
図3】改良型一方向クラッチベアリングの外側リングの製造の第1のステップの断面図である。
【
図4】改良型一方向クラッチベアリングの外側リングの製造の第2のステップの断面図である。
【
図5】改良型一方向クラッチベアリングの外側リングの製造の最終ステップの断面図である。
【
図6】本発明の改良型一方向クラッチベアリングの上面図である
【
図7】本発明の改良型一方向クラッチベアリングの断面図である。
【
図8】カムピン、ローラ、ばねおよびポケットを示す、本発明の第2の実施形態の断面図である。
【
図9】カムピン、ローラ、ばねおよびポケットを示す、本発明の第3の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の改良型一方向クラッチベアリングおよびその製造方法は、ローラタイプの改良型一方向クラッチベアリングおよびそれを製造するための方法を提供し、前記改良型一方向クラッチベアリングは、軽量の単一部品組立体であり、これは製造し易く、かつコスト効果が高い。さらに、改良型一方向クラッチの製造の工程は、高度に一貫性があり、高い生産速度を有する。
【0036】
図1〜
図9を参照すると、本発明の一実施形態は、改良型一方向クラッチベアリングを提供し、前記改良型一方向クラッチベアリング1は主に、
・外側リング11b
・内側リング12
・ローラ13
・カムピン14
・ばね15
・頂部カバー16
・底部プレート17
で構成される。
【0037】
前記外側リング11bは、ガイド面111、下溝112、ポケット113、および半径方向内向きに延びる突起114、および一方向クラッチベアリング1をロータ(図示せず)上に設置するための穴115でさらに構成される。
【0038】
前記カムピン14は、ローラ13、カムピン14および内側リング12の間に前記カム機構を構成するために設けられ、外面142、ばね座面143およびカム外形141をさらに備える。前記外面142は、ポケット113の中にカムピン14を収容するために設けられており、カムピン14の前記外面142は、ポケット113の内周面116の半径Rと同様の半径Rを有する。ポケット113の前記内面116は、外側リング11bの末端の内周面117に設けられることで、カムピン14の外面142に対して十分な支持を提供する。ローラ13は、ばね15によって接線方向にばね荷重される。
【0039】
図6を参照すると、前記ばね15は、ローラ13を付勢するために設けられ、外側リング11bのそれぞれのポケット113の中でローラ13とカムピン14のばね座面143との間に配置される。前記ローラ13は、それらがカムピン14のカム面141および内側リング12の外面121によって係合されるように配置され、それにより前記一方向クラッチベアリング1が一方向にロックされる状況を実現する。
【0040】
図6から分かるように、カムピン14は、カムピン14を固定するためのいかなる追加手段もなしで、ポケット113の中に保持される。それらは、2つの合致する外形が理由で対応するポケット113の中に保持される。
【0041】
図7を参照すると、前記ローラ13およびばね15は、カムピン14と内側リング12との間に配置され、前記突起114の厚さは、ローラの長さの30〜50%に維持され、それにより本発明の一方向クラッチベアリングの重量およびコストを削減する。さらに突起114は、ポケット113の開口は、
図6に示されるようにローラ13の直径よりも5〜10%小さくなるように設計されることで、ローラ13がその位置から半径方向に外れるのを阻止する。さらに、突起114は、ばね15が内側リング12の外面121と接触するのを阻止し、それにより前記ばね15のいかなる摩耗も阻止する。前記頂部カバー16は、外側リング11bと接合された鋼板から作成され、圧着、カシメまたは同様に押し込み係合方法を含む方法によって取り付けられる。前記頂部カバー16および底部プレート17は、設置する目的のための穴161および171で構成される。前記底部プレート17は、ガイド面111との締まり嵌めからなり、下溝112との遊び嵌めを有することで、それを外側リング11bの中に固定することができる。さらに底部プレート17は、外側リング11bと機械的にロックされる場合もある。
【0042】
図6および
図7を参照すると、本発明の一方向クラッチベアリング1は、前記ローラ13およびばね15がその位置からはずれるのをさらに阻止し、それにより一方向クラッチベアリングを提供する単一ユニットの形態で提供される。本発明の一方向クラッチベアリングの別の代替形態は、頂部カバー16および底部プレート17が外側リング11bと一緒に固定される際、頂部カバー16および底部プレート17の前記内周に対してシーリングを設けることで、ポケット113内の異物の蓄積を削減することによって提供される。
【0043】
本発明の実施形態は、軽量であり、製造し易く、高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高いローラタイプの一方向クラッチの全ての態様に役立つ。
【0044】
改良型外側リングの製造方法
図3を参照すると、本発明の一方向クラッチベアリング1は、鋼板または鍛鋼から作成された改良型外側リング11bで構成されており、改良型外側リングを製造するための最適な方法は以下の通りである。
a.
図3を参照すると、改良型外側リング11bの前記未加工の部品11が、板金加工または鋳造工程によって作成される。
b.前記外側リング11はその後、旋削作業によって機械加工され、
図4に示されるように底部プレート17に固定するためにガイド面111と、下溝112とを備える外側リング11aを獲得する。前記外側リング11aは代替として、第1のステップを省略する板金加工から作成され、これは高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高い工程である。
c.外側リング11aを機械加工した後、ポケット113、突起114および穴115が、穴開け、ブランキングまたはファインブランキング工程によって形成される。穴開け、ブランキングまたはファインブランキング工程により、複雑な形状の形成が、確実に、かつ迅速に行われ、このことは、一貫性および生産速度をさらに高める。これにより、設置用の穴およびカウンターボアの機械加工が省かれる。
d.ブランキング、穴開けまたはファインブランキング工程作業の後、高いトルク伝達用途の場合には、外側リング11bに硬化工程を付す。
【0045】
カムピンの製造方法
前記カムピン14は、ローラ13、カムピン14および内側リング12の間で前記カム機構を構成するために設けられており、本発明の一方向クラッチベアリング1のカムピン14を製造するのに最適な方法は、以下を通して行われる。
a.前記カムピン14が、プレス作業または冷間圧造工程によって鋼の矩形のストリップまたは鋼の矩形のバーから作成され、これにより、高い一貫性と高い生産速度をさらに達成する。
b.前記カムピン14に硬化工程をさらに付し、低いトルク伝達の場合には外側リング11bの硬化は必要とされないため、製造コストが削減される。
【0046】
本発明の他の実施形態
i)本発明の第2の実施形態
本発明の別の実施形態は
図8に示されるようなものである。この実施形態は、
・外側リング11b
・内側リング12
・ローラ13
・カムピン14a
・ばね15
・頂部カバー16
・底部プレート17
で構成され、
前記外側リング11bは、ガイド面111、下溝112、カムピン14aに従って改良されたポケット113a、および半径方向内向きに延びる突起114、および設置用の穴115をさらに備える。
【0047】
前記カムピン14aは、外面142とカム外形141aで構成される。前記カムピン14aは、主要な実施形態に記載されるようにばね座面143で構成されるわけではない。前記外面142は、主要な実施形態に記載されるものと同じである。ローラ13は、ばね15によって接線方向にばね荷重される。前記ばね15は、ローラ13とポケット113aとの間に収容されており、ポケット113aの開口は、ローラ13がその位置から外れるのを阻止するために、ローラの長さの5〜10%より小さくなるように維持されている。また頂部カバー16および底部プレート17が、主要な実施形態に記載されるように外側リング11bと一緒に固定され、これにより一方向クラッチベアリングの単一部品組立体を提供する。
【0048】
ii)本発明の第3の実施形態
本発明の別の実施形態は、
図9に示されるようなものである。この実施形態は、
・外側リング11b
・内側リング12
・ローラ13
・カムピン14b
・ばね15
・頂部カバー16
・底部プレート17
で構成され、
前記外側リング11bは、ガイド面111、下溝112、カムピン14bに従って改良されたポケット113b、および半径方向内向きに延びる突起114、および設置用の穴115をさらに備える。
【0049】
前記カムピン14bは、外面142とカム外形141bで構成される。前記カムピン14bは、
図9に示されるようにカム外形141bの代替形態で構成される。前記外面142は、主要な実施形態に記載されるものと同じである。ローラ13は、ばね15によって接線方向にばね荷重される。前記ばね15は、ローラ13とポケット113bとの間に収容されており、ポケット113bの開口は、ローラ13がその位置から外れるのを阻止するためにローラの長さの5〜10%より小さくなるように維持されている。また頂部カバー16および底部プレート17が、主要な実施形態に記載されるように外側リング11bと一緒に固定され、これにより一方向クラッチベアリングの単一部品組立体を提供する。
【0050】
図8および
図9から分かるように、一方向ベアリングの代替の実施形態の場合にも、カムピン14a/14bは、カムピン14a/14bを固定するためのいかなる追加手段もなしに対応するポケット113a/113bの中に保持される。それらは、その2つの合致する外形が理由で対応するポケット113a/113bの中に維持される。
【0051】
特定の実施形態の上述の記載は、現在の知識を適用することによって、包括的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途のために容易に修正する、および/または適合させることができる本明細書の実施形態の概括的な性質を十分に明らかにすると思われ、したがって、そのような適合形態および修正形態は、開示される実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されることが意図されているものとする。本明細書で利用される言い回しまたは専門用語は、説明する目的のためであり、限定するためではないことを理解されたい。したがって本明細書の実施形態は、好ましい実施形態という点において記載されており、当業者は、本明細書の実施形態は、本明細書に記載されるような実施形態の趣旨および範囲の範囲内で修正形態によって実施される場合もあることを認識するであろう。
【0052】
本発明の利点
本発明には従来技術および慣例に対して多くの利点がある:
1.本発明は、改良型一方向クラッチベアリングを単一ユニットで提供する。
2.本発明は、ローラおよびばねが外れる問題が排除された改良型一方向クラッチベアリングを提供する。
3.本発明は、ばねの摩耗の問題が排除された改良型一方向クラッチベアリングを提供する。
4.本発明は、軽量であり、製造し易く、高度に一貫性があり、高い生産速度を有し、かつコスト効果が高い改良型一方向クラッチベアリングを提供する。
【符号の説明】
【0053】
1 本発明の改良型一方向クラッチベアリング
101 穴
102 カム外形
103 ポケット
104 突起
111 ガイド面
112 下溝
113 ポケット
114 突起
115 穴
116 ポケットの内周面
117 周面
12 内側リング
121 内側リングの外面
13 ローラ
14 カムピン
141 カム外形
142 外面
143 ばね座面
15 ばね
16 頂部カバー
17 底部プレート
【国際調査報告】