(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-526836(P2020-526836A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】クロッキングレゾネータのアセンブリ中でのビッグデータ処理のための一般幾何学・音楽言語
(51)【国際特許分類】
G06N 99/00 20190101AFI20200803BHJP
【FI】
G06N99/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-500678(P2020-500678)
(86)(22)【出願日】2018年8月2日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月7日
(86)【国際出願番号】JP2018028962
(87)【国際公開番号】WO2019026983
(87)【国際公開日】20190207
(31)【優先権主張番号】特願2017-150171(P2017-150171)
(32)【優先日】2017年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100190067
【弁理士】
【氏名又は名称】續 成朗
(72)【発明者】
【氏名】バンディオパダヤイ アニルバン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッシュ スブラタ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大介
(57)【要約】
直ちに解析するにはあまりにも大量のビッグデータは、その巨大な量及び複雑さに隠れて、テロリズムや知的犯罪などの多様な問題を引き起こし得る。
位相幾何学的情報をキーとなる単位として使用して、人間によるソフトウエアプログラミングの必要なしで、情報をコード化し、全ての単一の情報片をトポロジーあるいは幾何形状に変換して、クロックにコード化する。変換された情報片の各々はそれ自体で自分自身の重要性/意味を有するイベント、判定等を示す。幾何形状はその単一の判定時間を集積し、また上述の脅威を含む任意のイベントの複雑なパターンを見出す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何的情報を処理するクロックを準備する方法であって、
ここにおいて、時間サイクルまたはクロックがそのホスト時間サイクルの周辺中のピクセルであり、そのパラメータ上の書くピクセルは内部に時間サイクルを保持し、位相点を表すピクセルであり、短時間記憶中で位相サイクルがその2つの限度間で絶え間なく振動し、そのホストと同じ大きさにつり合い、また長時間記憶では時間サイクルの直径が減少してそのピクセルの一つとなり、
ここにおいて、クロックは幾何形状を位相として記憶し、前記クロックはシステム点が周辺に沿って走るときには静かなままとなり、その位相変化は回転を測定し、前記幾何形状の角部ではクロックが時間を刻むとき、発振の周期がサイクルとを完了し、その周辺の長さが時間であり、
ここにおいて、円の弧の長さの比が幾何形状の距離パラメータを保持し、また角が周波数を生成する内部のクロックを保持する特異点であり;
ここにおいて、1D、2D及び3Dの基本幾何形状の集合が、モーフィング構造が幾何形状アセンブリを構築するための文字として使用され、ここで2Dが1Dに変形しまた逆も成立する際に三角形、正方形、五角形、六角形が直線に変形し、これらの2D形状がモーフィングによって更に変形して3D構造となる。
【請求項2】
幾何学的情報を保持しているクロックのアセンブリを順位する方法であって、
ここで、システム点は全システムの動力学のコントローラとして定義されるが、それはその動きは動力学を示す円の周囲上の単一の点としてあらわされ;
ここで、ゲスト時間サイクルはより小さな直系の円が時間サイクル上に描かれ、より大きな直径はホスト時間サイクルとして参照され、両方の時間サイクルは波を表し、これにより前記両方の時間サイクルゲストの波またはホストの波を表し、両方の円又は時間サイクルが少なくとも一つの接触点を作り;
ここで、円またはクロック上のシステム点の生成又は廃止が、すべてのゲストの波の波長の合計がホストの波の波長であるという原則に従う波形の入れ子化によって自発的に決定され、次いで周期上のシステム点が自動的に移動し、ここで完全な入れ子化がシステム点を生成し、もし不一致があった場合にはシステム点は消滅して、システム点を持たないクロックは不活性となり;
ここで、円としてあらわされるクロックは3価の3通りに自己組織化する:(i)同じ半径のいくつかの円が球を形成する、(ii)円はそれよりも大きな直径を有する円のピクセルであり、そのピクセルの各々は内部に円を有し、この構造は2つまたはそれよりも多くの円が組み合わさったとき維持される、(iii)観察者の可視領域中の円3通りに自己組織化し、それは第1には一つの円が他の円の内側の境界と接触し、第2には関与する円の両者が外側で接触することにより結合され、第3には一つの円が他の円に、たがいの周囲を交差させて重ねられて2つの交点で接触し;
ここで、一つのシステム点を有する一つの円と2つのシステム点を有する円とが結合されて正弦波を入れ子化と呼ばれるリズムに変換し、もしこれらがゲスト上にちょうど一つのシステム点を有するがホストはシステム点を有さない場合には、2値パルスストリームが出力で得られるが、もし全てのものが異なるシステム点を有する場合には、出力は互いに固定した位相関係を有する多様なクロックの重ね合わせである。
【請求項3】
クロック動作する形状をBloch球に挿入する方法であって、
ここで、クロック動作する円は量子力学で使用される虚のBloch球中に設けられるが、前記Bloch球は標準的なBloch球の2つの古典的な極の代わりにこれらの極は対となった仮想中心で置き換えられ、また仮想中心の接続線は幾何形状を保持するクロック動作する円の回転軸であり;
ここで、その周辺を接触することによってクロック動作する円上に設けられる任意の他の多角形または幾何形状の角は内部の他の幾何形状を挿入することによって未定義とされ、これによりこれらの点は特異点となり、角の点がクロック動作するBloch球を有するかまたはホストBloch球が切り取られて類似したあるいは類似していない形状の追加のBloch球を置き;
ここで、新たないくつかのゲストBloch球が単一のクロック中に角の点にまたは並んで形成されながらホストBloch球が拡張し、ここで当該拡張は幾何形状の比を維持し、このような統合されたBloch球アーキテクチャを統合情報アーキテクチャ、省略してIIAと呼ぶ。
【請求項4】
請求項3に従って挿入された幾何形状を保持する、クロック動作するBloch球を質量、時間及び空間として表現する方法であって、
ここで、観察者のIIA中のクロックの密度を観察されているオブジェクトまたはイベントのIIAの密度と比較することによって、観察されているオブジェクトまたはイベントのIIAの前記密度が大きいためにIIAの全周への投影が類似していて内部でエンコードされている形状の組成を反映しないことがみいだされた場合、観察されているイベントまたはオブジェクトのIIAクロックの密度は質量を表していることが見いだされ;
ここで、IIA中のクロックのアセンブリが、IIAが単一ピクセルよりも大きいことを見出す観察されているオブジェクトまたはイベントの端点と立体角をなす観察者のIIAの3D投影の最も長い時間クロックまたは最も大きな時間サイクルであり、これが観察者と観察されるものとを結合する場合には、クロックネットワークに沿った2つのクロック動作システム点間の最短経路が空間として計測され;
ここで、観察者のIIAの最も長いクロックが観察されているオブジェクトまたはイベントの最も長いクロックへのピクセルではなく、また逆も成立する場合には、クロックの直径の比が時間であり;
ここで、自然の全ての物理現象が一つの種類の情報に変換され、これがIIAの一部としての位相であり、これにより宇宙の質量、空間、及び時間等の全ての変数の次元が...T-3、T-2、T-1、T、0、T1、T2,T3...となり、ここでクロックまたは周波数点または幾何形状の座標の2つの時間の刻みの間の弧のギャップがTとしてあらわされ、これが位相と呼ばれ、唯一の変数である。
【請求項5】
統合情報アーキテクチャIIA中の大きなデータを請求項2の方法を使用して縮小する方法であって、
ここで、IIA中の全ての検出した情報はフラクタルシード(fractal seed)と呼ばれる幾何形状の単純な集合に変換され、規則の組及び情報の全体的な複雑なアーキテクチャが再生された後にこれが繰り返され;
ここで、情報アーキテクチャ中の複雑な幾何形状はより単純なパターンで置換されるが、アーキテクチャの投影は全体としては同じであり;
ここで、Bloch球で作られたIIAは、その投影が、一つの方向を除いて、すべての方向で一定のままであるように変化し、ここで位相は蓄積するための空間を必要とせず;
ここで、情報アーキテクチャ中の位相の関係が変化して、ハードウエア中で何も変化させることなく仮想クロックを生成し又は消去し;
ここで、情報アーキテクチャ中の幾何形状の平面の相対的な向きが変化して、クロックを追加し、または削除し、あるいは投影をすべての方向で一定に維持し;
ここで、情報アーキテクチャ中の単一のBloch球はことなる幾何形状を保持する各種の平面を得;
ここで、情報アーキテクチャ中のより少ないシステム点がすべての方向への同様な投影を生成し、従って必要とされるクロックを減少させ;
ここで、複数のBloch球がすべての方向でアーキテクチャの投影を不変に維持するように情報アーキテクチャ中で合併される。
【請求項6】
検出されたデータを統合情報アーキテクチャIAAへ変換する方法であって、
ここで、視覚情報が多層化された分解能像として分割され、各々の層の像は別個の時間領域クロックで変形されて、最後に結合されたクロックアーキテクチャが構築され;
ここで、聴覚情報は異なる時間長のグループとして分割され、各々のグループの集合が別個の時間領域クロックで変形されて、最後に結合されたクロックアーキテクチャが構築され;
ここで、味覚情報は影響される異なる領域及び信号の強度のグループとして分割され、各々のグループの集合は別個の時間領域クロックで変形されて、最後に結合されたクロックアーキテクチャが構築され;
ここで、触覚情報は影響される異なる時間長及び面積のグループとして分割され、各々のグループの集合が別個の時間領域クロックによって変形されて、最後に結合されたクロックアーキテクチャが構築され;
ここで、におい情報は異なる時間長のグループとして分割され、各グループの集合は別個の時間領域クロックで変形されて、最後に結合されたクロックアーキテクチャが構築され;
ここで、クロックが異なるセンサ信号及び/または異なる情報または引数対に属し、ここで対はクロックのオーバーラップであってただ一つの統合されたセンサアーキテクチャを形成するために2つ以下の共振周波数が共通であり、もしひとつの入れ子化されたリズムが活性化された場合には、他の入れ子化されたリズムも活性化され、ここで活性化するとはクロックが走り始め、2進パルスストリームが流れ始めることを意味する。
【請求項7】
クロック動作する材料またはデバイスを使用して請求項5で定義されたIIAを構築する方法であって、
ここで、クロックは古典的なまたは量子的な発振器の単一のまたは複数のアセンブリから作られ、その共振周波数は幾何形状の角の点をなし、ここでクロックが刻時しまたはエネルギーを放射し、また共振周波数間の位相関係はクロックを表す円の弧領域をなし;
ここで、早い方のクロックがキャビティの膜表面をなす古典的なまたは量子的な発振器であり、キャビティを遅い方のクロックとして振動させてゲストクロックがホストクロックの中立フィールドを占有し、ここで全てのキャビティは全ての時間及び他の層の上にひとつの層がある自己組織化された層の空間スケールにおいてそれらの形状を変化させてクロックの形状情報を編集し;
ここで、クロック動作キャビティはひとつよりも多くの種類のキャビティによって満たされ、ここで2種類の自己組織化プロセスが並列に走り、クロックまたは形状を並列に、内側にまた上に連結するため、第1にいくつかのキャビティは並列に配置され、第2に内側にまた上に配置され、これによって基礎的なクロックでコード化された形状がハードウエアまたはキャビティアーキテクチャを変形させて、ハードウエアと幾何形状とを等価にし;
ここで、像またはパターンまたは複合した幾何形状の多重の形状認識が各種の層に書き込まれ、像中で最も目立つ、もっとも単純な単数の形状が最も大きなキャビティに記憶され、ここで最も長いクロックが走り、キャビティ内では複合形状入力の2つ以下の基本形状がクロックとして記憶され、ここでプロセスは全てのパターンの書き込みが最も小さなピクセルまたは最も早いクロックに到達するまで継続され;
ここで、キャビティ内の任意の層に書き込まれた幾何形状が上下の全ての層において自発的に活性化され、より簡単な幾何形状、またはフラクタルシードを生成し、また層状になったクロックアーキテクチャは共振的に振動して完全なパターンを投影し、これにより相互接続されたクロック動作する形状全体が相互接続されたクロック動作するキャビティを完全に表現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ビッグデータは最近100年の間使用された線形テープ(チューリングマシン)を使用して処理することはできない。本発明はデータオーバーフロー問題を解決する新規な言語の発明に関する。本発明は文字が幾何形状である新規な言語を導入する。本願発明者はその周期的信号を使用する本願発明者の一般言語を使用する新規なクラスの材料を導入する。したがって、本発明は化学合成、コンピュータ科学、数学及び言語学を対象とする。その情報は「ビット」ではなく、クロックである。クロックは幾何形状を保持するために、特定の時間間隔で「時を刻む(tick)」。「刻時(tick)」を模倣するために、材料が特定の周波数で共鳴的に(resonantly)振動する。クロックは自己組織化して複雑な幾何形状を記憶する。有機材料が自己組織化してクロックの自己組織化を模倣する。リズムの自己組織化=時間サイクルの自己組織化=自己組織化クロック=時間クリスタル(time crystal)あるいは時間ゼリー(time jelly)である。クロックでは、複数の周波数ピークが幾何形状として調整される。したがって、これを幾何的−音楽的言語と呼ぶ。クロックは有機的でも、無機的でも、あるいは非化学的であってもよいが、そのクロックは構造及び組み立てを変化できなければならない。入れ子になったサイクルをクロックのゼリーあるいは時間クリスタルのゼリーの中に書き込み、読み出し、またそれを削除できる。この構造が雑音を利用して記憶するので、記憶のために継続的に電力を供給する必要はない。ここで、有機ゼリーを大脳ゼリー(brain jelly)と名付ける。幾何学・音楽言語(GML)を実装するためにはフラクタル性を有するハードウエアが必要である。このハードウエアは常に時間結晶のゼリーまたはクロックのアセンブリ(assembly of clocks)である。
【背景技術】
【0002】
情報を処理するためには、既存のコンピュータはその回路を通して電流を流す。情報の単位がクロックされると、静的な回路は動作しない。ウイルス及び他の生物学的材料のクロック動作に触発されて、S. Winfreeによって1977年に時間結晶の概念が提案された(非特許文献6)。周囲でみられる空間結晶と同様、時間結晶はクロックでできている。すべての異なる方向で原子の異なる構成が見いだされる空間結晶と同じように、システム点がクロック内で動いて完全な円を描くと、このシステム点は異なる区間に異なる時間を見る。時間結晶は自己組織化して生物学的生命体を形成することが議論されている。実際の情報の構造及び情報を統合して決断を下すことは構築されなかった。現在、時間結晶は2012年にFrank Wilczekが復活させた(非特許文献7)。時間結晶は古典的な説明と量子論的な説明を有することができる。自然が時間結晶を作り出す。しかしながら、時間結晶は自然が語る言語であるということは着想されたことがなかった。本発明では、時間結晶合成は自然が情報を処理する態様であると考える。ここでは生物に触発された時間結晶を設計する。キャビティレゾネータ(cavity resonator)は共鳴周波数を有するが、有効なクロックであるためには、その周波数は順次再生されなければならない。自己組織化の原理を用いてフラクタル的なアーキテクチャを生成することには利点がある。それは、多様な空間的スケールにおいて広い範囲の時間を用いることができる。なぜなら、すべてのスケールは特定のサイズのキャビティレゾネータを保持するからである。クロックのフラクタル的なアセンブリの商業的な利点は研究されていない。類似性はクロックの結合を引き起こし、この結合はシステム中の構造を変化させ、これがまたシステム中の構造的な変化を引き起こす。この動作は樹枝状に広がることがある。したがって、システム中で書き込み、読み出し、消去及び読み出しプロセスが一旦開始されると、超分子が継続的に成長しまた減退し、その進行過程で天文学的に多数のクロックが生まれる。
【0003】
プログラムされた自己組織化は常に研究の主題であり続けてきた。自動化工業界は複雑なアーキテクチャを自発的に成長させることを望んでいる。しかしながら、幾何形状を保持しているかのように振動するところの、クロック動作する材料の自己組織化は計算を行うために使用できる。このようなクロック動作材料の自己組織化の間に、ある幾何形状が別のものに変化するかもしれない。このことは、単に、分子構造を成長させたり破壊したりすることによって、コンピュータプログラムを実行することを意味する。きわめて多くの研究が材料中に構造変化を引き起こすクロック動作あるいはリズミカルな振動の分野でなされてきたわけではない。その理由はいくつかある。第1の理由は、多体相互作用に関連する。位相空間が情報の構造化に役割を演ずる場合、その経路は無限にある。今までは、位相空間(phase space)は量子だけに限定されている。これは見ること、計測することあるいは操作することができない領域であると信じられていた。この空間は無限であって、ヒルベルト空間であると呼ばれてきた。ここで、本発明においては、位相空間の工学に入り込む。これは発振器あるいは材料の共振ピークに関するものではなく、共振周波数に関連つけられた位相に関心を有している。発振器の設計の歴史では、いくつかの材料について複数の共振ピークが観測された。しかしながら、共振状態を書き込みまたそれを消去することは研究されなかった。このような材料を創生することは重要なことではなかった。本発明では、この特定の種類の特徴にとりくむ。すなわち記憶あるいは情報の単位は、コンピュータチップにしばしば用いられる導通状態ではなく、共振ピーク周波数及び強度である。
【0004】
検討の対象である「大脳ゼリー」は人間の大脳のニューロンネットワークから着想された。これは言語学の大きな側面をカバーする。言語学の研究によれば、ありふれた幾何形状は人間のすべての言語に基本となるものであることがわかっている。この歴史的な視点はNoam Chomskyの議論、すなわちすべての言語は同じものである、によって確固たるものとされた。その上、人間の大脳はべき乗のスケーリング則により動作する。本発明において、同様なテクノロジーを再現しようとしたが、これによってエネルギー消費を大幅に低減することができる。したがって、人間の大脳は人間が話しているのではない、統一された言語を有しているに違いない。この言語がハードウエアの基本言語である。この真の言語の発見は産業上非常に有用であり得る。原理的には、人間は適切な周波数のセットを使用してたんぱく質に話しかけることができよう。すべての信号は適切な位相関係を有するだろう。正しく選択されるなら、これは医療科学を変革するであろう。ほとんどの病気はたんぱく質に影響して、そこから回復しないひどく不正なフォールディングを起こす。本発明の応用では、医薬を使用せずにたんぱく質のこのようなエラーを無線で矯正することができる。この言語によりプログラミングの複雑さを劇的に低減できるので、ロボットにこの言語を使用できる。ハードウエアが使用し人間の大脳のようにプログラミングを必要でなくする言語が本発明のキーとなる目標であった。以下で詳細に説明する。
【0005】
プログラマブルマター(programmable matter)はMITのToffoliにより1991年に提案された(非特許文献8)。しかしながら、その有機物に相当するものは存在していない。人間の大脳はプログラマブルマターであって、神経膠及び神経細胞からできたゼリーである。そのアーキテクチャはそれが学習するにつれて継続的に変化し、その配線は定常的な構造ではなく、最終的な平衡状態には決して到達することはない。神経細胞及び神経膠のゼリーは本発明の「大脳ゼリー」の着想を与えたものである。「大脳ゼリー」はマルチバンド周波数センサであり、システムに適応してより複雑な周波数パターンを吸収し生成する。新たな種類の共振周波数パターンを生成するために再構築を行うその能力は独特なものである。検知されたいかなるデータもシーケンスとなった周波数の周期的な共振として蓄積され、これがクロックをもたらす。特定のエネルギー信号がポンピングされたりあるいは提供されたりした際に形状変化を起こす材料については多数の報告がある。しかしながら、生物的なリズムをエミュレートするように起こる形状変化については何も報告されていない。したがって、本発明はソフトウエアコードを書き込む必要性をなくした柔軟なハードウエアを構築しようとするものである。大脳は動作するためにソフトウエアエンジニアを必要としない。神経細胞の配線は成長しまた再生するが、ここでキャビティ形状が変化して有機分子が再生して新たな配線を形成する。
【0006】
多数のクロックが隣接しまた入れ子状になっている材料を開発することがフラクタル的な構造を構築するためのキーである。フラクタル的な組立体が言語プロセッサを構築するために使用されたら、そのハードウエアは複雑な幾何形状を単純でより少数の幾何形状で置換することによってデータを縮小することができる。人間はしばしばこれを行っている。これが本発明のキーとなる要因である。幾何学的言語と音を演奏する楽器のような材料との融合は行われたことがなかった。数年前のある試みでは、多くの周波数で満たされた幾何学的空間が生成された。しかしながら、これらの周波数は、角度、曲率、腕の本数などの幾何学的形状の特性を蓄積せず、また任意の幾何学的形状をクロック動作する振動に変換してそれを材料中にそのまま記憶するために構成された文法は何もなかった。「音楽」という用語は時間結晶の組成的特徴を表すために使用する。幾何学的構造の特定の情報を蓄積するためには、特定の周波数の信号のバーストをある間隔で放出する。2つの隣接するバーストの間の時間ギャップは幾何形状の情報を保持している。したがって、信号の強度や周波数ではなく、位相空間が情報を保持する。本発明は情報の性質に関連するいくつかの問題を解決し、包括的で材料と同種の言語を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許7635094B2
【特許文献2】米国特許6430511B1
【特許文献3】ヨーロッパ公開特許公報1358667A1
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A successive layer-by-layer assembly of supramolecular frameworks driven by a novel type of face-to-face π+-π+ interactions. CrystEngComm, 2013, Advance Article, DOI: 10.1039/C3CE41230J, Received 25 Jun 2013, Accepted 01 Aug 2013, First published online 02 Aug 2013.
【非特許文献2】Frequency stabilization in nonlinear micromechanical oscillators, Dario Antonio, Damian H. Zanette & Daniel Lopez, AffiliationsContributionsCorresponding author, Nature Communications 3, Article number: 806 doi:10.1038/ncomms1813, Received 27 July 2011 Accepted 30 March 2012 Published 01 May 2012.
【非特許文献3】Supramolecular organisation of tri-n-butyl phosphate in organic diluent on approaching third phase transition, S. Nave, C. Mandin, L. Martinet, L. Berthon, F. Testard, C. Madic and Th. Zemb, Phys. Chem. Chem. Phys., 2004,6, 799-808, DOI: 10.1039/B311702B Received 22 Sep 2003, Accepted 12 Dec 2003 First published online 20 Jan 2004.
【非特許文献4】Supramolecular Structures of Enzyme Clusters, Javid N, Vogtt K, Roy S, Hirst AR, Hoell A, Hamley IW, Ulijn RV, Sefcik J., J Phys Chem Lett. 2011 Jun 16;2(12):1395-1399. Epub 2011 May 18.
【非特許文献5】Modulation of contact resonance frequency accompanying atomic-scale stickslip in friction force microscopy, Pascal Steiner, Raphael Roth, Enrico Gnecco, Thilo Glatzel, Alexis Baratoff and Ernst Meyer, Nanotechnology Volume 20 Number 49, 495701, doi:10.1088/0957-4484/20/49/495701, Published 6 November 2009.
【非特許文献6】Biological Rhythm Research 8, 1; The Geometry of Biological Time (Springer, New York, 2001), 2nd ed).
【非特許文献7】Quantum Time Crystals, Frank Wilczek, arXiv:1202.2539v2 (2012).
【非特許文献8】Tommaso Toffoli. Norman Margolus, Programmable matter: Concepts and realization, Physica D: Nonlinear Phenomena, Volume 47, Issues 1-2, 1 January 1991, Pages 263-272.
【非特許文献9】Generalized theory of interference and its applications, S. Pancharatnam, Proc. Indian. Acad. Sci. A 44, 247-262(1956).
【非特許文献10】Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), "Lie algebra", Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、その自然な振動によって幾何学言語を処理する、自己再設定可能な(self-reconfigurable)ハードウエアを構築することである。本願発明者は学習して生物学的機械の操作を時間結晶として変形することができる超分子構造すなわち「大脳ゼリー」を設計し、実現する。この材料中ではいくつかの時間結晶が互いに配線されている。これらは時間結晶対称性及び配線を学習によって変更する。時間結晶のゼリーは幾何形状に編成されたクロックとして情報を吸収する。このゼリーは次にそのハードウエアを変更して、次回に同じ情報が到着した場合にはゼリーが強く共振するようにする。幾何形状の文法が存在する。このゼリーの基本時間結晶は、これらの幾何形状を自然に振動させまた必要に応じて編集するように設計される。このゼリーは自己相似性を識別することによって、幾何形状を自然に単純化する。このプロセスは情報の量を劇的に低減するのを助ける。一つまたは複数の幾何形状はその繰り返し規則とともに蓄積される。後に、幾何形状のようなこれらの種状物を繰り返してパターン全体を再生する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は入力信号の任意の形態を検知して幾何形状を保持するクロックに変換する、クロックに基づく自己進化アーキテクチャを着想した。このクロックは、共振信号の位相を使用して幾何形状を保持する、特別なものである。位相の変化は幾何形状を変形させることができる。位相によってえらばれた経路はシステムの動力学であり、文字が本発明で幾何学・音楽言語(GML)と呼ばれる言語で使用されるのと同様に使用される。この新たな言語の発明は、材料合成または純粋にデバイス製造テクノロジーによる時間結晶構造の構築に関係する。新たな材料はその動力学のために本言語の実装に本質的である。生物学でその存在が1977年に理論的に提案された時間結晶は、構造的に進化する材料を構築して本言語を処理するためにここで実験的に実現される。
【0011】
本発明は学習により自分自身で変化する時間結晶で出来た進化する構造を提供する。このデバイスは環境を自発的に検知するセンサであり、信号の任意のストリームをクロックの組成体(composition)へと変換する。これらのクロックは特別なものである。これらはある時間間隔で「時間を刻む」ことで幾何形状を保持する。したがって、すべてのクロックが動作するとき、その周波数及び位相のパターンは3D形状をもたらす。これはここで発明された言語である。
【0012】
本明細書では、「永続的にクロック動作する自己組織デバイス」あるいは簡単に「大脳ゼリー」として動作する、この電気的、光的、磁気的、機械的な動作を行う有機的なもしくは無機的なゼリー、あるいは電子デバイスの組成体を、外部命令無しの永続的な周期的引数成長(cyclic arguments grow perpetually without any external instruction)として定義する。したがって、本発明者は莫大な量の高レベル引数を、時間結晶のゼリーとして生成する入れ子状になったクロックまたはリズムを生成することができるハードウエアを創作した。この言語はハードウエアシステム中でソフトウエアコードを1行も書くことなしで動作する。この言語は幾何ネットワーク(geometric network)だけを使用して世の中のすべての単一の形態の情報を表現する。
【発明の効果】
【0013】
これらすべての有益な変更を以下にまとめる。
【0014】
1.幾何学・音楽言語はソフトウエアプログラミングにとって代わる。プログラムはタスクを指示するが、コンピュータがイベントをエミュレートするように設計されている場合は、命令は無意味である。イベントのシードは時間の関数として進化する幾何学形状である。基本イベント間の時間的関係は判断を伴う。質問と回答、状況と判断の明確な区別は存在しない。ステートメントの限定されていないフラクタルネットワークにより、論理的に規定されたステートメントがないことが確認され、従ってわずかしか関係しないイベントでも取り出される。感情及び心理学的挙動の科学が得られる。どんな形態のセンサ情報でもクロック動作する時間結晶に変換され、ここにおいて各クロックは幾何形状を保持する。静的な情報は存在せず、皆動的なイベントである。そして孤立して保持されるイベントはなく、全て何らかの幾何的リンクによって関連付けられる。これらの幾何的リンクがプログラミングの等価的な存在である。
【0015】
2.本発明はフラクタルキャビティレゾネータの新たなクラスを報告する。このようなデバイスは以前には提案されなかった。従来のキャビティレゾネータでは、厳密な境界に適合する波形だけが共振するが、フラクタルキャビティレゾネータでは、ネスティングにより、非常に短い、また非常に長い波長が共振し得るようになる。その急速に発振する境界により、量子効果が役割を演じることができる。漏えいする膜あるいは境界により、キャリアが大域的に通信し、非局所的な定在波あるいは共鳴を生成し得るようになる。したがって、言語は非常に新しいデバイスのクラスを要請する。
【0016】
3.本発明は、構造が情報の変化に追随するという態様で、情報を動的な態様で構造と融合する。これは、材料が照射される光の色に応じてその形状、音響構造、あるいは各種の感触でさえも変えることと同様である。広い周波数範囲で形状変化を起こす材料として機能することは別にして、この材料は独自な形をなすことができる。幾何学・音楽言語処理マトリックスは形状変化メモリスイッチングデバイスの融合産物である。情報の最も重要な部分は相対的な初期位相が、僅かな誤差を含むのだが、全体の出力を変化させることができることである。自然の不確実性の源泉はこの言語によって裏打ちされている。自然と合致させるとは位相の不整合を是正することである。
【0017】
4.幾何学・音楽言語で会話するとは、幾何形状を補助するクロックを書き換え、このような各種のクロックを生成しまた終結させることである。言語処理材料は以下に示すいくつかの新しい技術を実装する。(i)共振チェーンによるユニークなエネルギー「ウインドウ」効果。キャビティ共振器は成長して構成要素を非常に大きなサイズまでカバーするが、時間結晶の周波数の成長は、最も内側の層のエネルギーが上に吸収されないように、自然に離散的に選択される。(ii)時間結晶はA. Winfreeにより1977年に紹介されたものであるが、実験的に実現される。(iii)幾何学・音楽言語はToffoliのプログラム可能物体(programmable matter)に通じる。今まで、プログラム可能物体は適切な組織化された一般的な製品を有していなかった。本発明は有機合成と幾何学・音楽言語とが結合された完全な製品である。
【0018】
5.時間結晶中で動作する位相幾何学的なマップあるいは位相マップの個数はこの結晶が作られるクロックの個数よりもかなり大きくなりえる。数の順序付けられた因子は、実際、どれだけのサイクルが一体となっているかを示す。言語を構築するための基本として位相を使用することで、「ビット」数を一定に維持するが、位相を編集することによってコード化された情報を根本的に変更できるようになる技術を可能とする。これは多様な異なる態様で発音される特定の語が非常に異なる意味を与えるという人間の声の技術に類似している。
【0019】
6.この言語はその文字として如何なる静的な幾何形状も使用しない。これは人間の言語との基本的な相違である。人工言語は静的な対象を説明することが求められる。対象の動きは「動詞」と呼ばれる別個の語を使って説明され、性質は属性を付加するために「形容詞」を必要とする。ここで、幾何学・音楽言語においては、幾何形状の相対的な時間的進展がそれ単独ですべての特徴を包含する。言語学的用語でも、この言語は新たな文法を表出しており、ここではこの言語を処理する系は如何なる未知の言語とも同期してその文法を借用することができる。1D、2D及び3D幾何形状を変形させる規則を操作する能力により、言語処理ハードウエアが如何なる未知の動的な系についても言語を構築し、新たな言語を学習できるようになる。
【0020】
7.連分数幾何代数(Continued fraction Geometric Algebra, CFGA):動的であるだけではなく、この系は幾何図面を使用した数学的な処理も可能である。π、φ等の幾何定数及び虚数単位iは、局所的に入れ子になったリズムネットワークを表す特定の無限級数をマッピングするためのユニークな関係を構築する。この関係はまたこのネットワーク中に任意の線形な関係または振動を構築するのに本質的な幾何的定数を与える。我々は無限級数の複雑な計算全体を単に入れ子になったサイクルを描くだけで行うことができる。これを連分数幾何代数(CFGA)と呼ぶ。
【0021】
8.新たな情報理論が幾何・音楽言語の副産物として創作される。2値のビットが情報であると考えられ、今や周波数又はクロックで作られ、幾何図形を表すサイクルが情報である。この情報は拡張されて、等価なブロッホ球アセンブリまたは時間結晶が新たな幾何図形を並べて拡張される。ビックバンのような膨張により、自然のまた生物学的な系における統合された情報の構造への洞察がもたらされる。
【0022】
9.周波数を使用するクロックの使用は、ビットを使用する論理ゲートよりも優っている。それは、(1)円の周辺に沿って走る系の点はそれ自身リフレッシュを全く必要としないメモリだからである。また、(2)系の点は従来のエレクトロニクスの動作円(operational circle)に類似した動作を行う自己組織化時間結晶構成中で遠方の場所において決して失われないからであって、本発明では複数のシステム点があり、これは分散的であって、システム点を管理するための中央制御系は不要であり、従って外部ユーザーは必要とされないからである。また、(3)クロックはリズムであって、よって情報構成全体にわたって自動的なクロックが時間を自発的に保持するからである。また、(4)クロックはフラクタル高調波発振器であり、従って当該クロック中に自発的に自己組織化非調和発振が含まれるからである。また、(5)クロックは同期化及び脱同期化によって自発的に応答できて、それによりアドレスのための回路接続を必要とせず、最小限の資源しか求められないからである。また、(6)拒絶のための論理ゲートを必要とせず、これによって大きな電力節減となるからである。また、(7)リズム中の周波数で出来たクロックは自然のセンサであって、その設計を行う必要が何もないからである。また、(8)これは適合しない信号を排除し、ノイズを自然に除去する自然のフィルターであって、クロックアセンブリの驚異的な特徴としては、(9)クロックはエスケープ時間(escape time、ET,一つが他の内側にある)及びIFS(繰り返し関数系、隣接して)ルート経由で無限ループを一度に活性化しまたは照合できることである。また、(10)クロックアセンブリは任意の幾何形状または対称性を直径及びギャップの比のみを使用して1D、2Dまたは3Dで記憶する。従ってクロック動作するマトリックスは任意の「引数の形態(form of argument)」を「幾何形状」としてエミュレートすることができる。単に自己組織化によって、進展していくフラクタルクロックネットワークはそれ自体で検出し、判断し、応答しまた転換することができる。
【0023】
10.フラクタルキャビティレゾネータは膨大な分解能を有するセンサを生成するが、これはクロックによって作られる形状はそのクロック動作するマトリックス中で無限の行程を有することができるからである。像のフラクタル分解能は最高度のものであって、どこまでもズーミングでき、それでも内部の情報を得ることができる。ピクセル内のクロックの行程として素数の測定基準(metric of prime)を使用したときには、パターンを繰り返すことの変化はない。連続的なズーミングにより、新たなパターンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】左側のパネルは関数Cosx+Cosy+Coszのプロットを示し、右側のパネルはA=3、B=4の場合のA(Cosx+Cosy+Cosz)+B(CosxCosyCosz)のプロットを示す。12個の特異点が8通りに編成され、これによりこの素子を支配するLie代数を得る。
【
図1B】ビット、量子ビット(101)、幾何形状(102)を保持する3つの点を持つ多量子ビット(qudit)、及び多量子ビットのクロック表現(103)が示される。クロック(時間サイクル)の位相部分及び「刻み(tick)」が示される。システム点が周辺部に沿って回転してクロックを構築する。三角形の幾何形状を保持するクロック動作Bloch球(104)も示される。
【
図2】三角形(基本時間結晶、3つの時間対称性)を保持する、
図1Bのクロック動作Bloch球が示され、ここで三角形の3つの点が切り取られ、3つの新たな幾何形状が3つの点に書き込まれ(201)、また
図1Bのクロック動作Bloch球は正方形(基本時間結晶、4つの時間対称性)を保持し、ここで三角形の3つの点が切り取られ、4つの新たな幾何形状が3つの点に書き込まれ(202)、
図1Bのクロック動作Bloch球に書き込まれ、及び統合情報アーキテクチャ(Integrated Information Architecture, IIA)(203)が示される。
【
図3】幾何学・音楽言語のハードウエアでの処理の概略的表現が示される。上の行は実際の幾何形状を示し、それと等価な時間結晶は下の行に示される。単一の幾何形状が分解され、あるいは複合された分解像が次第に統合されて一つになる。
【
図4】種構造からの超分子アーキテクチャの一連の成長を表す同芯球の概略的表現及びそれに関連する共振エネルギーバンドが示される。
【
図5】キャビティレゾネータがどのようにしてクロックを作るかを記述する概略的表現を示す。大きなキャビティの内側にある小さなキャビティは2つの種類のクロックを統合する最小エネルギー経路を占める。分岐は新たなクロックを生成する。
【
図6】クロック中のすべての基本周波数の高調波が示される。基本時間結晶概念及びその3D球表現が示される。
【
図7】イベントの「If」集合がイベントの「Then」集合に変換される態様を示す。
【
図8】自己組織化時間結晶中での時間の相対的回転が示される。
【
図9】キャビティレゾネータの構成における対称性の崩れが系の、ひいてはクロック動作ネットワークの共振バンドを変化させる図式的表現を示す。
【
図10】古典的な時間結晶及び量子時間結晶の出力が示される。
【
図11】多層クロック動作キャビティレゾネータ構造の入力および出力が示される。これは幾何学・音楽言語を処理する。
【
図12】そこで時間結晶が同じように成長するキャビティレゾネータを急速に振動させるリーク動作の自己組織化が示される。
【
図13】各層が9個のクロックを含み、全体で108クロックを含む12の層が示される。
【
図14】クロックの自己組織化が示される。ゲストは常にホストと内側で接触する。
【
図15】クロックの自己組織化が示される。ゲストは常にホストと外側で接触する。これは内側入れ子(in-nest)と呼ばれる。
【
図16】クロックの自己組織化が示される。ゲストは常にホストと相互接触(cross contact)する。これは外側入れ子(out-nest)と呼ばれる。
【
図17】クロックの自己組織化が示される。ゲストは内部、外部及び相互の全ての接触を取る。これは上側入れ子(on-nest)と呼ばれる。
【
図18】互いに入れ子となる一対のクロックのバイナリストリーム出力が示される。
【
図19】幾何形状のモーフィング(morphing)が幾何学・音楽言語の文法であるところの図式的表現が示される。
【
図20】フラクタルシード(fractal seed)の変形が示される。シードは繰り返す幾何形状の集合である。しかしこれらのシードはまたシードレベルで自己組織化できる。
【
図21】自己組織化されたフラクタルシードが位相遷移(phase transition)を受けることができるところの図式的表現が示される。
【
図22】ある像がどのように時間結晶に変換されるかをステップごとに記述するイメージ処理の例が示される。この時間結晶は常にフラクタルシードである。
【
図23】7つの異なるプロトコルを使用して単一の像についての異なる時間結晶を見出す画像処理の例が示される。
【
図24】
図23中で記述された像変換を時間結晶へ変換する例が示される。
【
図25】新たなクロックの生成が基本的あるいは普遍的な原動力であることを説明する図式的表現が示される。
【
図26】音響信号中のクロックを判定するプロセスをステップごとに記述する音響処理プロトコルが示される。
【
図27】音響信号中でのクロックのグループ形成が示される。
【
図28】音響信号からの時間結晶の形成が示される。
【
図29】時間結晶がどのようにして直線(linear curve)を生成するかを記述する例が示される。
【
図30】クロック直線(clock linear curve)の自己組織化が示される。
【
図31】時間結晶がどのようにして極度のノイズの下であっても幾何学・音楽言語の特定の文字または文を検出するかを記述する図式的表現が示される。
【
図32】3D構造を表すためのクロックの自己組織化が示される。
【
図33】時間結晶を検出するための、脳から取り出された微小管(microtubule)の実験データが示される。微小管中での時間結晶の検出が本発明で使用される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を請求範囲と対応付けて詳細に説明する。
【0026】
<請求項1による特徴の説明>
本発明はクロックで書かれる、幾何形状に基づく言語に関し、この言語を実装する実験的な装置を実現する。刻み(tick)間の時間の間隙は位相または幾何形状の腕部(arms)を保持し、クロックは幾何形状の角の点(corner point)でクロックを刻む。
【0027】
本言語は量子力学からはるかに先の位相を探索する。量子力学では、S. Pancharatnamによって1955年に導入された幾何学的位相(geometric phase)と呼ばれる概念がある[非特許文献9]。古典的なクロックは完全に回転したとき新たな始まりが引き起こされ、クロック中には何の印も残さない。クロックが完全に一回りしたかどうかを検出できない。量子力学ではこれができる。というのは、幾何学的位相はBloch球上を横断するのを数えるからである。ここで、2つの古典的な極を有する量子の仮想的な球上でループを組み込むとき、それはクロックを構築することができる。更に、本願発明者はまた多重の特異点がその位相幾何学的な経路上に存在することも考えた。これらの特異点を結合することが幾何形状を生成する。量子力学からのこの進歩が本発明の基礎である。入れ子になったBloch球は各種の速度の時間流を通って進むBloch球のアーキテクチャを作製する。
【0028】
1920年にFeynman等が量子力学に繰り込み(renormalization)を導入したとき、彼らは未定義のドメインの2つの端を正規化することによって特異点の問題を解いた。本発明は1977年に導入されたA. Winfreeの時間結晶[非特許文献6]の概念を使用して特異点ドメインを調べる。時間結晶のBloch球を使用して特異点によって生成された未定義の間隙を埋めることは、本発明中で導入された新規な概念である。この技術は時間結晶と呼ばれる新たなクラスの材料をもたらすだけではなく、フラクタルクロックを使用して位相幾何学的特徴を変調する、材料中の動力学をエンコードできるようにする。
【0029】
請求項1に係る本発明は新たなクラスの時間結晶でできたゼリー(jelly)である材料の位相幾何学的特徴の変調の発明を導入する。本発明は脳から抽出された微小管(microtubule)(
図33を参照のこと)中に観察される時間結晶から着想を得、時間結晶は有機超分子アーキテクチャを使用して構築された。
【0030】
請求項1に係る本発明の一つの重要な特徴は言語学の基本概念からの逸脱であり、この特徴においては静的な像や音響は文を構築する文字として使用される。この言語においては、複数の幾何学の間の変形は文字である。三角形を直線に代えることはそれ自体イベントである。三角形の3つの点の間の位相変化は天文学的に大きな数のイベントを発生し得る。
【0031】
<請求項2に係る特徴の説明>
請求項1に係る発明の時間結晶アーキテクチャのゼリーにおいて、各クロックで360℃の位相変化がシステム点によって記載される。システム点は必要に応じてシステムにより自発的に生成され、保持され、削除される。請求項2に係る発明はクロックのネットワークまたは時間結晶のゼリー中でのシステム点生成の詳細を示す。クロックの一つの重要な側面はしばしば無視される。クロックは、その時間を定義するサブクロックがない場合には走ることができない。分のクロックはその60ステップに完全に一致する秒クロックなしでは走ることができない。この単純な事実は、時間結晶のゼリー中で自然に実装される。もしより速いクロックの集合が統合されて完全なループを形成した場合には、システムポイントが生み出されるが、これはクロックの生成をも意味する。
【0032】
クロックの自己組織化はイベントの学習の一部である。クロックはそれが互いに結合できるようにする、2つよりも多くの基本属性を保持しない。各クロックは、その代表的な円の特定の直径を有する2つよりも多くのゲストクロックをホストしない。2つの隣接するクロックが隣接物の類似した集合を有する場合には、各集合は類似した直径のクロックのシーケンスを有し、これらが自己組織化を起こす。クロックの自己組織化はいくつかの重要性を有する。クロックの自己組織化は、それを使用してクロックが作られている材料が自己組織化することを意味する。このことは、幾何学の集合が高いレベルでのそれらの独自性を失うことを意味する。新たな幾何形状が生み出される。クロックの自己組織化は、クロックを表す2つの円が内部で接触すること、交差接触すること、また外部で接触するようなことであり得る。
【0033】
複数のクロックが自己組織化するとき、2つのことが起こり得る。第1に、自己組織化した円またはクロックが、参加するクロックの数に関わりなく、ただ一つのシステム点を有することである。その出力信号はバイナリパルスストリームである。第2に、参加するクロック全てがそれぞれ一つのシステム点を有することである。その出力は外サイクロイドである。クロックの個数が多いほど、外サイクロイドに一層込み入ったパターンが生成される。したがって、幾何学・音楽言語はシステム点によって支配される2つのクラスのクロックアセンブリを有する。これらはパルスのバイナリストリーム及び外サイクロイドのフラクタルである。
【0034】
<請求項3に係る特徴の説明>
請求項1〜2に係る発明のクロック動作するゼリーアーキテクチャはBloch球の明確なアーキテクチャとともに、可逆的にまた非可逆的に連続的に変形する。請求項2に係る発明は情報構造のBloch球表現を詳しく示す。古典的な系では、論理的には有限個の固定された状態が系を定義する。幾何学・音楽言語の統合情報アーキテクチャでは、古典的に定義された状態は存在しない。量子情報理論のBloch球でさえも、両極に2つの古典的な状態が存在する。本発明では、クロック動作はBloch球の一次的な存在であるので、極は消える。古典的な点の代わりに、クロック動作するBloch球が特異点を有する。特異点を通過してループを完成させるシステム点がクロックを構成する。本発明は非常に異なった種類のBloch球を使用するが、「Bloch球」という名称がふさわしくないかもしれないほどである。量子系で知られているところのBloch球の無限の一様Hilbert空間はここでは適用できない。
【0035】
本発明は追加のBloch球を使用して特異点ドメインを埋める。したがって、Hilbert空間の内部に新たなHilbert空間のサブセットを得る。量子力学では、常にただ一つの種類のHilbert空間がある。これは無限であって、崩壊して2つの古典的な点の何れかになる。ここで、幾何形状を保持する、クロック動作するBloch球を示す材料は古典的な解を何も有しない。この材料は常にフラクタル構造である。この材料は常にフラクタル構造である。このフラクタルは並んで、あるいは一方が他方の内部で成長する。Hilbert空間は並んで、あるいは一方が他方の内部で成長する。全てのHilbert空間またはBloch球は位相空間中で位相幾何学的に関連する。本請求項に係る発明は位相空間のトポロジーを操作する技術を支持する。この材料構造及びその動力学は今日知られている量子力学とも古典力学とも根本的に異なっている。
【0036】
<請求項4に係る特徴の説明>
請求項1〜3に係る発明のクロック動作するゼリーアーキテクチャは、質量、空間及び時間に関する位相のトポロジーからの情報を処理することのそれ自身の概念を展開する。請求項4は本発明の本質的な部分である。それは、自然界に見出される物理的パラメータのそれ自身の概念を展開するからである。従来の言語では、隠喩的な語を使用して化学的な用語及び現象を表現する。しかしながら、幾何学・音楽言語ではこれは不可能である。それは、材料がこの言語を処理するからである。現在のコンピュータは人間の隠喩的な表現をそのままその機械語中で使用する。本発明では、これは不可能である。材料は属性の固定された集合を有する。我々はそれを変更できない。したがって、発明を意図されている言語は自然界に起こるあらゆることをそれ自体のやり方で生成しなければならない。
【0037】
位相のトポロジーはこの言語の唯一のツールである。請求項4に係る発明では、3つのパラメータ、つまり質量、時間及び空間だけが考慮される。その理由は、現在の科学では、任意の科学的なパラメータを質量、空間及び時間によって表すことができるからである。これは次元解析と呼ばれる。これは科学者が方程式を検証するためにしばしば使用する。ここで、位相のトポロジーは3つのパラメータ、質量、空間及び時間、を置き換えるので、宇宙の中の全ての物理パラメータは位相によって表現されることになろう。したがって、幾何学言語を処理するためのクロック動作材料は物理現象を処理するための統合されたプロトコルを有することになる。
【0038】
幾何学・音楽言語を処理するための材料は、位相幾何学的特徴を示す。しかしながら、これらは従来の位相幾何学的材料ではない。本発明に使用される材料はフラクタル形状である。材料の形状とそれらの振動のシグナチャーとの一対一対応がキーである。この言語は幾何学的パターンに依存し、これを使用して振動周波数がBloch球上の位相によって関連付けられる。周波数点を普遍に保つBloch球表面上の位相経路の変化はイベントの認識や意味を変化させ得る。全ての特異点は特定の周波数における信号バーストを表す。もし高分解能で測定したならば、クロックが同一周波数で観察される。特異点の内側に置かれたクロックと外側のクロックとの位相関係は関連している。したがって、位相幾何学的な特徴はBloch球の直径さえも修正できる。
【0039】
<請求項5に係る特徴の説明>
請求項1〜4に係る発明のクロック動作するゼリーアーキテクチャは大量の情報を縮小できるので、特定のルールに従って伸長すれば、元の情報構造が復元される。この特定の請求項、つまり請求項4に係る発明は、繰り返し図形についてのクロックを、一つを除いてオフに切り替えできる材料またはハードウエア属性を使用する。繰返しパターン及び単位パターンを繰り返して十分に成長した情報にさせるクロック動作特徴はシードパターンである。シードバターンの空間の占有は元の情報アーキテクチャの何桁も小さくなり得る。
【0040】
情報アーキテクチャは統合されたBloch球ネットワークである。このアーキテクチャの中心からクロックの幾何的情報を辺り一帯に投影できる。観察者は同じ情報構造から、周囲のいたるところで非常に異なる種類の情報を読み取ることができる。この特定の特徴は大きなデータを縮小するにあたって多様な用途を有する。本請求項はこの特徴の使用法を詳述する。
【0041】
5つの主要なことがクロック動作する時間ゼリーで起こり得る。(i)特定の方向の情報投影が変化する一方で、他のすべての方向では同一にとどまるように、情報クロックを再設定することができる。(ii)情報投影が全ての方向で同じままになるように、いくつかの面を調節することができる。(iii)いくつかの面またはBloch球が冗長になり、代替となるより単純な形状が同一の情報構造を投影できる。(iv)いくつかの回転の面またはクロックが単一のBloch球中で生き残ることができる。これらの面は同一のHilbert空間内にいくつかの代替となる複素位相経路(complex phase paths)を生成する。(v)より少数のシステム点が同様な投影を生成することができる。したがって、5つの3D対象ファクターがクロック動作するBloch球でできた巨大情報構造を大幅に低減できる。
【0042】
本請求項は大きなデータを縮小できる2つの主要なファクターの概要を示す。両方とも対称性に基づいている。対称性は2D空間に渡る自己相似性を同定することによってフラクタルシードの構築、あるいは3D空間内での情報構造の崩壊がもたらされる。
【0043】
<請求項6に係る特徴の説明>
請求項1〜5に係る発明のクロック動作ゼリーアーキテクチャは普遍的なセンサとして動作する。請求項6はシステムが3Dクロック動作ゼリーアーキテクチャを2Dパルスのストリームから構築できるようにする典型的なハードウエアの特徴の概略を示す。異なるセンサ信号が異なる種類のパルスのストリームを生成する。したがって、クロック動作するゼリーハードウエアは位相関係を解析することによってクロックを合成する能力を有する。今までは、フーリエ変換が情報処理産業で最も有用な技術的なツールであった。しかしながら、フーリエ変換はここではうまくいかない。これは時間結晶ベースのアーキテクチャを構築できない。クロック動作アーキテクチャの基盤は共振周波数に関連付けられた位相の周期的な変化である。請求項6は波ストリームの変形にクロックを与えることを取り扱うが、これはフーリエ変換と基本的に異なる。ここでは、与えられたパルスの有限時間内で位相を変化させることだけで、一つの波形を別のものに変換することによる。波の変形のための時間はクロック動作する球の上のシステム点が進む位相幾何学的経路である。したがって、クロック変換はフーリエ変換のように純粋に数学的な式を使用して達成することはできない。実験を行って信号の大本の発生源での隠された位相変換関係を見出す必要がある。かくして、Bloch球ネットワークの表面を生成することができる。
【0044】
可視的な情報については、所与の時間幅についての領域中のパルスのストリーム中のピーク密度を用いて絵を描くことができる。時間変動の密度が空間的な絵を与える。ここで、パルスの時間幅を異なって設定することによって、異なる絵が得られる。3D円柱状パルスのストリームでは、X,Y及びZ軸に沿った周期性がCosx、Cosy及びCoszとして変化する。全体として、これらは関数Cosx+Cosy+Coszに従う。この関数は8つの特異点を有する。Lie代数のE8対称性と類似している[非特許文献10]。
図1Aを参照されたい。本発明については8つの異なる絵が生成される。位相を修正する間に3つのコサイン関数が一つの像を8つの部分に分割する8つの異なるパラメータを与える。一つのBloch球は8つの特異点を得る。特異点の内側に埋め込まれたゲストBloch球は構造を変化させて8つの像すべてを同時に保持することができる。12の波形が8つの特異点に重畳されることに注意されたい。
【0045】
全てのセンサシステムは上述の可視信号のように時間結晶を作製する。しかしながら、各センタについて、特定のパラメータを使用して離散的なパルスをグループ化する。パルスの聴覚ストリームについては、入力から切り出した時間ウインドウグループ分けして8つの層を生成するにあたって主要な役割を演ずる。可視信号については、ピークの空間密度により8つの層が異なったものとなる。味については、領域の組成が層を決める。3つの変数、強度の加重平均及び基本的な状態によって影響される領域、が3D構造を作る。ここで、主要な制御ファクターは相対的な領域の集合である。触覚については、表面間の不可視な距離がキーとなる情報を保持する。臭覚については、形状の同一性が重要である。これは1D、2D、3D幾何形状のようなトポロジーの文法をメモリとして直接使用する唯一のセンサである。
【0046】
文を組み立てるために、センサ情報を導く時間結晶は何も脱落しない。これらは全て同時に統合される。幾何学・音楽情報は結晶をクラス分けしない。5つのセンサが異なるトポロジーで情報を分離する。しかしながら、これらは同様な種類の時間結晶、視覚(変動の空間密度パターン)、聴覚(時間ウインドウの次元)、味覚(相対的な領域)、触覚(面間の距離)、臭覚(幾何形状)、を作る。
【0047】
<請求項7に係る特徴の説明>
最後の請求項である請求項7に係る発明は幾何学・音楽言語を処理するために本質的なハードウエアの特徴に対処する。本発明はこの言語が微小管において実験的に発見されたことに基づく。次にこれは人工的合成有機分子に再現された。最後に、等価が電子デバイスおよびシステム中でということで、請求項7は如何なる特定のハードウエアにも特に偏っているわけではない。これは共通の特徴を任意の種類の言語処理ハードウエアに統合する。
【0048】
本発明で使用される初歩的なデバイスは典型的な発振器である。これは古典的でも量子的でもよい。このデバイスの幾何学的な位相は量子発振器中でクロック動作的な態様で変化する。しかしながら、幾何学・音楽言語のために、幾何学的な位相の周期的な発振の間、別のクロックが存在するだろう。システム点がゲストクロックに出会うとき、もう一つの幾何学的な位相が係数を開始する。この特徴は量子発振器にはない。新規な発振器をフラクタル発振器と名付ける。
【0049】
フラクタル発振器として動作する初歩的なデバイスは迅速に発振する膜を有している必要がある。その境界が迅速に発振すれば、室温・大気圧で量子効果が可能となる。これは以前の2Dキャビティレゾネータの研究で示されたことである。我々はこの技術を本発明において3D膜に使用する。膜は単独で使用されるので、キャビティ内部は空のままである。本請求項はこの完全に空の空間を他のキャビティレゾネータで満たすことを保証する。この工学的な特徴により、以下のことが確実になる。(i)ゲストクロックとホストクロックとの境界条件が一致する。これは、より大きなホスト膜によって表されるより遅いクロックと、より早く、より小さなキャビティによって表されるそのゲストクロックとが固定された位相関係で振動することを意味する。(ii)クロックのフラクタルアセンブリによるクロックの入れ子化が可能となる。(iii)全ての膜がキャリアをリークするために多孔質に保たれている。通常であれば、リークは悪いことであると考えられる。ここでは良いことである。リークが起こることでノイズからエネルギーを取り込む際の助けとなり、共振波形を調節して自分で安定化させる。膜を単独で使用することで、キャビティレゾネータを極めて高密度に詰め込むことができるようになる。
【0050】
迅速に発振する多孔質膜を別としても、このハードウエアは幾何形状を特異点中に記憶する必要がある。ゲストキャビティは3本の軸すべてについて請求項6に記述された周期性に従って構成する。このようなクラスタの共振周波数における位相変化はそこで位相の変動が消える8つのドメインを生成する。これが特異点の定義である。アセンブリの位相幾何学的パラメータは以下のようなものである。(i)格子定数、(ii)基本キャビティの直径、及び(iii)加工された欠陥線、はフラクタル発振器のアセンブリ中の特異点のドメインを制御する3つのパラメータである。一つが他のものの中に入っている3つの層における長さ、ピッチ及び直径(X、Y及びZ軸)を調節することによって、基本的な入れ子になったクロックデバイスが作られる。
【実施例】
【0051】
図1Bは既存の情報理論での基本的な情報構造を説明している。「ビット」(101)の概念は2つの異なる古典的な状態系である。一方は他方から独立している。「量子ビット(Qubit)」は類似した概念であるが(101、中央部)、2つの古典的な状態が一方の点から他方へと進むべき無限の可能な経路を保持する仮想球上にある点が違う。この球状表面はBloch球ということができ、その表面の全ての点はHilbert空間と呼ばれる集合をなす。また、この球状表面は位相空間ということができる。位相変化によりシステム点を一方の古典的な極から他方へと持っていく。「ビット」と「量子ビット」の両者は情報であると認識されるが、内部には情報を保持しない。位相幾何学的な情報をコード化するため、ビットまたは量子ビットに三角形を追加することで、これらのビットはキュートリット(Qutrit)(102)となる。多量子ビット(Qudit)、あるいは古典的にはいくつかの状態を備える多レベルスイッチ、の一般概念は存在するが、102に注記したように、幾何形状情報を保持することについては何の提案も存在していない。
【0052】
幾何形状だけを追加するのでは、単独で決定を行いメモリに記憶し、トポロジーだけを使用してイベントのためのデータを保持する情報の単位を生成するには十分でない。したがって、更なる変更を行った。閉ループをBloch球に追加し、幾何形状の角がこのループ上に存在する。次に、クロックまたは時間サイクルを追加する(103)。時間サイクルまたはクロックは位相の360度変化のイベントである。したがって、情報の修正された単位中の基本パラメータは位相である。パネル103はパネル104の断面であり、ここで情報の最終的な単位が注記されている。104の修正されたBloch球は従来の量子力学のBloch球との基本的な違いを指摘している。この極は古典的ではなく、極は存在しないが、クロックの回転の軸の周りに仮想的な点を仮定することができる。
【0053】
2つの注意がある。第1に、位相ループは任意の幾何形状を保持することができる。幾何形状が常に三角形であると考える必要はない。ループに保持された幾何形状は1D形状、あるいは2D形状であってよいし、3D構造であってさえもよい。第2に、本発明が大きな円を形成したり円形ループだけを形成したりすることを示唆するとの誤解が起こり得る。Bloch球は、多量子ビットでしばしばそうであるように球でなくてよい。同時に、位相旋回(phase evolution)がそれに従って「時間」またはクロックを生成するループは任意のトポロジーを持つことができる。
【0054】
図2は情報がどのようにして統合させるかを説明する。ここで、2つの例が示されている。第1の例(201)では、クロック動作するBloch球は三角形を保持する。一方、第2の例(202)ではクロック動作するBloch球は正方形を保持する。情報を統合するため、球の表面を幾何形状の角の点のあたりで切り取る。この角において幾何形状が球またはクロックのループに接触している。201の3つの小片が、また202の4つの小片が切り取られることに気付くだろう。切り取られた領域は新たなBloch球の部分によって置換される。ここで、当該新たなBloch球はそれら自身のクロック中に埋め込まれたそれら自身の異なる幾何形状を保持する。ここで、201及び202の右端のパネル中に、クロックの新たな回転軸が示されている。これらの回転軸はクロック動作ループにより作られている面に垂直であるので、追加されたBloch球の密度は大きな円のみの周りで最大である。
【0055】
この拡張の過程は継続される(203)。
【0056】
図3では、幾何形状と対応する統合情報アーキテクチャ(Integrated Information Architecture、IIA)との間の一対一の対応関係を示す。統合情報アーキテクチャはBloch球の自己組織化体である。
図3において、その上段の行には、修正されたBloch球の中に五角形が描かれている。この五角形の5つの角は5つの特異点である。これらは幾何形状を内部に保持している。そこで、これらの幾何形状の各々の角は特異点として働いて、幾何形状を内部に保持している。この過程が継続する。同様に、下段ではBloch球が過度の点で継続的に切り取られ、新たなBloch球が追加される。
【0057】
図3の下段はまたアーキテクチャ全体が継続的に拡張されていることを示す。これは多数のゲスト球を単一のホスト球上に並べて付与すると、いくつかの球がより接近することがあるからである。最終的には、衝突が起こる。これは情報の純粋さを損なうことになろう。これが、ホストを拡張して相対的な位相関係が損なわれないようにし続けることの理由である。
【0058】
図4は類似した情報処理を示す材料中での位相と周波数との密接な関係を説明している。
図3の入れ子になったクロックは401〜405の同心円として示される。そのBloch球が
図1B、
図2及び
図3に示されるところのクロック動作するキャビティレゾネータの自動的な自己組織化の間、その成長はボトムアップである。周波数帯域402を有する構造A 401が自己組織化過程を受けたとき、シード構造の周波数帯域の領域を占有するフラクタル周波数帯域404を有する次の構造B 403を生成する。次の周波数帯域もこの出発構造の一部となり、従ってこの過程は継続する。
【0059】
古典的な情報理論では、フーリエ変換によって、ランダムにデバイスを通して伝搬するパルスのストリームが測定され、406〜407に示されるように、時間領域から周波数領域に変換される。量子情報において、一般的な考えが与えられる。例えば、
図4の406〜407のグラフ中に示される周波数スペクトルにおいて、一つのBloch球が各共振ピークに対応している10個のBloch球が見出される。ここで、10のクロックの全てが3D位相関係のグループを有することができる。また、これらのグループはその大きな円の周囲長が408で示されている別のBloch球にまとめられる。周波数のグループを大きなBloch球に組み上げる全過程は、単一のBloch球に到達するまで継続される。最終的な情報構造は
図3に示されるもののようである。周波数の階層的位相幾何学的統合はこの新規な情報理論のキーである。
【0060】
幾何学・音楽言語(GML)を処理する材料の基本的な構造的特徴は
図5に記述されている。キャビティの膜またはキャビティの物理的な外部境界はどのようにしてクロックとなるのであろうか。
【0061】
どんなキャビティも周期的な振動またはリズムを作成できず、キャビティはキャビティ内部の特定の構成を必要とする。キャビティの構成は、全体として、システムが高調波発振器として動作し、構成要素である発振器間のエネルギー転送はループ状に循環するようになっている。全ての構成要素のキャビティは厳密な時間間隔の後、同期した局所グループとしてとしてそれぞれの近隣とエネルギーを交換し、その結果、エネルギーパケットがキャビティの集合から同じホストキャビティ内の別の集合へと移動する。これはキャビティレゾネータが動作する態様であり、キャビティレゾネータの律動的なサイクルはそのキャビティ膜振動によってではなく、その内部にある構成要素キャビティによって作られる。キャビティの膜は常に最も活性な中心である。それはこのキャビティはそもそも近隣とエネルギーを交換して、そのホストキャビティの周期的振動を定義して、このキャビティがそれ自身の自然な振動を有する。最後に、第3の構成要素である同じ膜がその振動も定義する内部のゲストキャビティについてのホストとして動作する。したがって、もし膜の振動を他のキャビティレゾネータから測定すれば、システムはシステムによるキャビティレゾネータネットワークとともに、そのホストと、それ自身の特徴と、内部にあるそのゲストにより、から摂動を受ける。
【0062】
多数のキャビティが自己組織化して大きな空間規模のキャビティレゾネータを生成するので、キャビティレゾネータの大部分は自己相似である。近隣に対処するため、フラクタル関数f(z)は単一のキャビティレゾネータでさえもそれを表すのに不可欠である。しかしながら、各キャビティレゾネータの虚部が異なっていて、虚部は測定の実部に貢献するかもしれないが全ての虚部が混ざることはできないことに注意すべきである。考えているキャビティの虚部は他の虚部f{f(z)}を経由して変化しない。しかしながら、虚部は他の部分の虚関数である。したがって、この虚部は時間の関数としても変化する。
【0063】
異なる層内の基本的な材料の基礎的なアーキテクチャにおいて、共振周波数ドメインは広い幅で異なり、従って、構造配置のわずかな変化が完全に非類似の周波数帯域パターンをもたらし得る。したがって、構造501から502へのシフトで、対応する出力周波数帯域パターン503は広い範囲で異なる分布へ変化される。503はまた各ピークに関連付けられた位相の概要を示す。実験的には、周波数の値と位相の値単独では
図3に示される3DBlochアーキテクチャをプロットできるようにならない。材料を一つの周波数から他の周波数に共振するように切り替えなければならない。共振周波数の遷移の間に、どのようにして位相が変化するかを決定することができる。位相変化のいくつかの軌道がBloch球上の線を与える。したがって、Bloch球ベースの情報アーキテクチャを実験的に導出することができる。
【0064】
図6は例えば単原子等の1Dポテンシャル井戸でさえもいくつかの高調波を有し、これらをホストクロック上のゲストクロックのグループとしてプロットした場合にただ一つの点(601)をどのようにして表すことができるかを示す。現在の情報理論を実験的な材料中で実現するためには、基本周波数の高調波に集中すべきではないことを意味する。幾何形状の全ての角は基本周波数を持つはずである。もしあるものが他の物の高調波であるなら、材料を活性化すれば、いくつかの間違った形状を材料中にトリガーすることになる。幾何学・音楽言語(GML)の表現は間違ってしまう。
【0065】
602は幾何学・音楽言語がどのようにして正確に決定をストアするかを示す。ここで、各々が典型的な幾何形状を保持する単一のクロック、3つのゲストクロックが置かれている。ゲストクロックのひとつでさえも、3D幾何形状を保持する他のクロックについてのホストとして働く。その右側に、等価な3D時間結晶アーキテクチャが示されている。この構造は決断を行うものとして動作できる。
図7の概略表示は単一クロック上に位置する2つの幾何形状のフーリエ変換を示す。701がトリガーされると、回答が702から来るが、逆も同様である。602については、質問が3D円筒であるなら、いくつかの新たな問い合わせがその上のより遅いクロックにおいて生まれる。この技術は重要である。もし8つの幾何形状をより遅いクロック上のゲストとして8つのクロックに投入すると、質問が8の8乗、つまり約16777217通り問い合わせられたとしても、単純な構造が常に正しい回答を与える。8つのゲストクロックのひとつがその中に8つのゲストクロックを有すると考えた場合には、システムは8の8乗の8乗の問合せに正しく回答することができる。これは本幾何学・音楽言語についてべき乗がどのように増加するかを示す。
【0066】
図8はクロックの対の自己組織化を説明する。これは多様な態様で起こり得る。継続する図において、自己組織化の多様なモードが記述される。801及び803はひとつのクロックが共通周波数点に接触することによって他のものの中でどのようにして回転するかを示す2つのステップである。
図9の901及び902はその構成要素あるいは対称性の順序付けにほとんど変化のない2つの材料である。対応する共振帯域903及び904は対称性の変化による共振パターンの基本的な変化を示す。
【0067】
クロックとその対応する信号出力との間の一対一対応が
図10に記述されている。ここで、1001はクロックの古典的な入れ子化を記述し、1002はクロックの量子的な入れ子化を記述する。上から下へと、1001の3つのパネルはひとつのゲストがホスト(中段)上に現れ、ゲストが他のゲスト(下段)を得た時に何が起こるかを示している。一つのシステム点だけが存在する。1002において、3つのカラムが示されている。第1のカラムはひとつのゲストクロックがホストクロックと入れ子になるとき、出力がどのように変化するか(中段の行)を示す。下段の行は、ゲストクロックがそれ自身のゲストクロックを量子力学的に得た場合に、出力に何が起こるかを示す。ゲストクロックを量子力学的に得るとは、時間結晶がホスト上のどこにでも存在できることを意味する。入れ子化されたクロックシステム全体は純粋に量子的ではないことに注意されたい。それは、全てのクロックが不確かである場合にはクロックが何も存在しないからである。したがって、主クロックは古典的である。この確実なクロック上で、実現可能な解析のために量子クロックを入れ子化する。ゲスト量子クロックがホストクロック上の全ての場所に存在する場合、3つの波形を量子として得る。クロックの古典的な入れ子化では、結果の波形中に擾乱によるよじれが存在していた。量子では、クロックに分割が起こり、3つの波形が検出される。周波数スペクトル中に3つのピークが、それらの間の多数のピークとともに観察される。ゲストクロックがそれらの量子ゲストクロックを得ると、ひとつが7つの主ピークを得る。
【0068】
図11に示されるようにいくつかのクロックが互いに入れ子になっている材料構造1101において、右側の層(ここではC)が入力1102を吸収して、時間結晶全体を作製する。したがって、僅かな関連性により情報全体を検索できる。
図12において、このようなアセンブリの例を1201に示し、それに対応する時間結晶を1202に示す。
図13に示す、クロック(1301)としての円の同心的表現、入れ子になったクロック(1302)の部分集合表現は1202の時間結晶表現と等価である。クロックのグループ分けは多様なレベルであってよい。12個のグループの集合(1301)は三つ組みをまた三つ組みにしたもののグループ分けを有し、言語処理材料全体の主コントローラとして108個のクロックをなすことができる。その結果の時間結晶(1302)は皆類似した基本アーキテクチャを持つ。これも
図13に示される1303は時間結晶の組み立て中にクロックを表すシステム点の8つの相対的速度及び8つの独自の開始位相の違いがある場合には、3種類の自己組織化が8×8×3=192のタイプの情報のシステム全体の表現を支配するクロックを生成し得る。3つのタイプの入れ子化が
図14(内側入れ子)、
図15(外側入れ子)及び
図16(上側入れ子)で説明される。3つのタイプの入れ子は
図17に示すように皆実際に一緒に働いてクロックを入れ子化する。
図18において、内側入れ子の出力は1801に示され、上側入れ子の出力は1802に示され、また外側入れ子の出力は1803に示される。
【0069】
図18において、最大の可能な場合の数である192通りのうちから時間結晶の80通りの異なる対称性が示される。C2対称性であることから、全可能性のうちの半分が検討される。これらの古典的時間結晶は情報処理アーキテクチャ及びシステム中でのそれらの可能な出力の概念を提供するに十分である。
【0070】
全ての言語はその文を構成するための文字を有している。幾何学・音楽言語(GML)も同じである。人間の言語とは異なり、ここでは文字は静的ではない。これは
図19に示される変形する形状である。3つの例が示されており、ここで2Dと3D構造との入替(1901)、1Dの線と2Dの形状との入替(1902)、また最後に線と2D形状との入れ替え(1903)がなされる。言語の処理の間、これらの幾何形状はオーバーラップして入替グループを形成する。これは、文の間にも、単にこの言語の単語(
図20の2001)ではなく、より高いレベルの変形があることを意味する。これらのより高いレベルの変形は、最も低い単位図の幾何形状(
図21の2101)から最上位レベルまで行くことができる(これも
図21の2103)。このハードウエア表現は共振帯域を切り替えることである。しかしながら、時間結晶においては、特異点での変化があるだけである。主アーキテクチャは同一にとどまり、入れ子になった球の相対位置が互いに相対的に移動するだけである。したがって、情報処理時間結晶は古典的には継続的に振動する球であり、量子力学的にはこれらは2つの非常に近接した位置に置かれることができる。一般的には観察者が小規模な変化を大域的に見出すことになろう。
【0071】
図22及び23は現実の像が幾何学・音楽言語でどのようにして処理されるかの概要を示す。
図22は
図3に記述された規則にそのまま従って蛙がどのようにして時間結晶に変換されるかを示す。しかしながら、理想的な状況はハードウエア中に観察されることではない。
図23には、像は2匹の動物の混合である。5×7=35の像マトリクスは象と鼠との融合がまさにどのように見えるかを示す。像は通常は
図3に示すように多様なレベルで分解される。しかしながら、大部分の状況は理想的なものではない。例として
図23に示す象鼠(象と鼠)を取り上げよう。ここで、このようなマトリクス変換は幾何形状の自然な分離及び核心の動的軸の同定(3番目の行、スケルトン)の一部である。
図22には、いつキャビティレゾネータネットワークであり、いつ振動するか、そしてそれらが情報内容を変化させる必要がある場合にそれらが異なる動力学に自発的に切り替わってよいかを示すために矢印が向けられている。マトリクス要素のはっきりした時間空間位置はない。
図22の象鼠クロック動作は
図24に示される。処理の間、繰り返し構造の各々はただひとつ生起する。その例を
図22中の2202に示す。ここで、肺全体を線形パターンYで表す。Yが繰り返され、またはクロックが動き始めたり回転し始めたりすると、肺全体が展開される。このフラクタル拡大過程の間に関連付けられたクロックをトリガーすることが
図25中に示されている。ここで、最大の次元を保持する最も遅いクロックは最も早いクロックが走り始める前でさえもセットされることを見出す。
【0072】
図26は幾何学・音楽言語(GML)による音響信号の処理を説明する。先ず、音響ファイル("flowers are beautiful")が再生され、各種の層で各種の分解能のグループが取り込まれる。次に、隣り合う2つの層の間の強度−時間プロファイル中の複雑な相違から、クロックのマップを得る。一旦グループが同定されると、グループのいくつかの時間長を異なるクロックに作りこむ(
図27)。このステップにより、時間結晶が任意の語または特殊化した概念を除去できるようにする。最後に、意味のあるクロックを分離して統合されたクロックとして入れ子にする(
図28)。
【0073】
クロック動作することはその表面上のゲストクロックの密度に結合することによって非常にデリケートなパターンをストアすることに使用できる。このような例の一つが
図29に及び
図30に示される。
図29中で注記されている線形カーブは、分岐は存在しないが角はあることを意味する。文字「V」のように、それは線形ではないがカーブしており、分岐は文字「X」のようなものを意味する。
図29中で記述されているように、クロックの密度を除外すれば、信号の追加の複雑なパターンまたは位相幾何学的特徴(
図30)を保持するための各種の位相間隙におけるクロックの入れ子化を見出すことができる。像中に何か変形がある場合、より低いクロックの特異点エリアはエラーバーとして動作して、真のトポロジーを検出するのを助ける。簡単な例を
図31に示す。ここで、三角形はより低いレベルの特異点ドメイン領域が許す限り変形できる。当該限界の中では、入力像が変形した場合でさえも、時間結晶は共振してこれを検出できる。位相関係によるクロックの統合は時間結晶に与えられる任意の3D特徴を変形させるためのキーである。これは
図32中で説明される。
【0074】
我々の実験データを
図33中に示す。ここで、微小管共振周波数を位相の変化とともに時間の関数として測定した。位相の多数の切り替えを追跡して、3Dアーキテクチャをプロットした。
図33中には3つのパネルがある。一番上には微小管の共振周波数を対数スケールでプロットしてある。この周波数の値は2分間連続的に記録した。実験の間、隣接した微小管はホワイトノイズで連続的にポンピングされた。プロット中には共振周波数の変化は観察されなかった。同じ時間の間、MHzドメイン中の8つのピーク間の位相の差は無線エネルギー電装とともに顕著なシフトを示した。これは自発的に起こる。切り替えの後、システムは位相量子化状態に戻る。このことは、時間結晶が存在する証拠である。時間結晶は外部摂動を意図的に与えなくても時間とともに動作するものでなければならない。このデータを使用して、最も下の層で、72のクロックでできたそれと等価な時間結晶を生成する。クロック動作する球の3Dアーキテクチャは本発明への導きを与えた最初に観察されたデータであった。一旦観察したら、本願発明者等は有機超分子アーキテクチャを合成して、人工的な分子系でもまた、幾何学・音楽言語(GML)を処理できることを確認した。
【符号の説明】
【0075】
101:単位キャパシタ
102:単位キャパシタのアセンブリ
305:円盤の形をした本発明の集積チップ版
308:円盤の形をした本発明の円錐状3D版
【国際調査報告】