(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-526940(P2020-526940A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】電磁デバイス及びその熱管理
(51)【国際特許分類】
H01F 38/12 20060101AFI20200803BHJP
F02P 15/00 20060101ALI20200803BHJP
【FI】
H01F38/12 A
H01F38/12 N
H01F38/12 J
H01F38/12 E
H01F38/12 G
F02P15/00 303B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-523233(P2020-523233)
(86)(22)【出願日】2018年7月13日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月18日
(86)【国際出願番号】US2018042066
(87)【国際公開番号】WO2019014578
(87)【国際公開日】20190117
(31)【優先権主張番号】62/531,937
(32)【優先日】2017年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520012172
【氏名又は名称】ダイアモンド エレクトリック マニュファクチュアリング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライトホール、ブライアン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スキナー、アルバート アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー、デイビッド レスター
(72)【発明者】
【氏名】ダイグナン、ポール ブライアン
【テーマコード(参考)】
3G019
【Fターム(参考)】
3G019KC01
3G019KC04
(57)【要約】
実例では、変圧器は、複合材料を含み第1の透磁率を有することができる磁心を含むことができる。変圧器は、磁心の周りに巻くことができる一次コイルをさらに含むことができる。一次コイルは、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを磁心中へ変化させるように構成することができる。変圧器は、磁心の周りに巻くことができる二次コイルを含むことができる。二次コイルは、一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成することができる。変圧器は、積層材料を含み第2の透磁率を有することができる外部戻りをさらに含むことができる。第2の透磁率は第1の透磁率より大きくすることができる。外部戻りは、磁気エネルギーのための、磁心の第1の端部から磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器であって、
複合材料を含み第1の透磁率を有する磁心と、
前記磁心の周りに巻かれる一次コイルであって、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを前記磁心中へ変化させるように構成される一次コイルと、
前記磁心の周りに巻かれる二次コイルであって、前記一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成される二次コイルと、
積層材料を含み前記第1の透磁率より大きい第2の透磁率を有する外部戻りであって、磁気エネルギーのための、前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供する外部戻りと
を備える変圧器。
【請求項2】
前記外部戻り及び前記磁心が、前記一次コイルによって生成される磁束を拘束する磁気回路経路に沿ってエアー・ギャップが存在しないように互いに対して配置される、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記外部戻りの表面を密閉して、前記外部戻りと前記磁心の間の熱接触を確立し、それにより前記一次コイルによって生成される熱を周囲環境へ伝達するための経路を提供する熱可塑性エラストマー(TPE)をさらに備える、請求項2に記載の変圧器。
【請求項4】
前記第1の透磁率が約50ヘンリー/メートル(H/m)から約500ヘンリー/メートル(H/m)である、請求項1に記載の変圧器。
【請求項5】
前記第2の透磁率が約1000ヘンリー/メートル(H/m)から20,000ヘンリー/メートル(H/m)である、請求項1に記載の変圧器。
【請求項6】
前記積層材料が複数のケイ素鋼ラミネーションを含み、前記複合材料が鉄を含む、請求項1に記載の変圧器。
【請求項7】
前記磁心を部分的に取り囲むように構成されたスプールをさらに備える、請求項1に記載の変圧器。
【請求項8】
前記一次コイルが前記スプールの周りに巻かれて、前記磁心を部分的に取り囲む、請求項6に記載の変圧器。
【請求項9】
変圧器であって、
第1の材料を含み第1の透磁率を有する磁心と、
前記磁心の周りに巻かれる一次コイルであって、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを前記磁心中へ変化させるように構成される一次コイルと、
前記磁心の周りに巻かれる二次コイルであって、一次磁界に基づいて二次電圧を確立するように構成される二次コイルと、
第2の材料を含み第2の透磁率を有する外部戻りであって、磁気エネルギーのための、前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供する外部戻りと、
前記外部戻りの表面を少なくとも部分的に密閉し、前記外部戻りと前記磁心の間の熱接触を確立し、それにより前記一次コイルによって生成される熱を伝達するための経路を提供する熱可塑性エラストマーと
を備える変圧器。
【請求項10】
前記磁心の前記第1の端部が前記外部戻りの所与の端部と熱接触して第1の熱経路を提供し、前記磁心の前記第2の端部が、前記外部戻りの所与の端部に対して遠位である前記外部戻りの別の端部と熱接触して第2の熱経路を提供し、
前記第1の熱経路及び前記第2の熱経路が、前記一次コイルによって生成される熱を周囲環境へ伝達する、
請求項9に記載の変圧器。
【請求項11】
前記第1の材料が鉄を含む、請求項9に記載の変圧器。
【請求項12】
前記第2の材料が複数のケイ素鋼ラミネーションを含む、請求項9に記載の変圧器。
【請求項13】
前記外部戻りが薄い接触領域を含み、前記薄い接触領域が前記二次コイルと前記外部戻りの間の熱抵抗を小さくする、請求項9に記載の変圧器。
【請求項14】
前記外部戻りの前記表面の一部の上に配置された熱伝導性プラスチック・カバーをさらに備え、熱伝達経路を確立する、請求項9に記載の変圧器。
【請求項15】
前記熱伝導性プラスチック・カバーと前記外部戻りの前記表面の前記一部の間に配置された熱伝導性接続材料をさらに備える、請求項14に記載の変圧器。
【請求項16】
前記熱伝導性接続材料が、前記一次コイルによって生成される熱を前記外部戻りの前記表面の前記一部から受け取り、前記熱を前記熱伝導性プラスチック・カバーに伝達して周囲環境に散逸させるように構成される、請求項15に記載の変圧器。
【請求項17】
前記熱伝導性プラスチック・カバーが1つ又は複数のデバイスに結合される、請求項14に記載の変圧器。
【請求項18】
前記熱伝導性プラスチック・カバーが前記1つ又は複数のデバイスによって生成される熱を周囲環境に散逸させるように構成される、請求項17に記載の変圧器。
【請求項19】
変圧器であって、
第1の材料を含み第1の透磁率を有する磁心と、
前記磁心を部分的に取り囲むスプールと、
前記スプールの周りに巻かれて前記磁心を部分的に取り囲む一次コイルであって、一次磁気エネルギーを前記磁心中へ変化させるように構成される一次コイルと、
前記磁心の周りに巻かれる二次コイルであって、前記一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成される二次コイルと、
第2の材料を含み第2の透磁率を有する外部戻りであって、磁気エネルギーのための、前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供する外部戻りと
を備える変圧器。
【請求項20】
前記第1の材料が鉄を含み、前記第2の材料が複数のケイ素鋼ラミネーションを含む、請求項19に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれている、2017年7月13日に出願した、「ELECTRO−MAGNETIC DEVICES AND THERMAL MANAGEMENT THEREOF,」という名称の米国仮特許出願第62/531,937号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、電磁デバイス及びその熱管理に関する。より詳細には、本開示は、点火システムに使用するための点火変圧器に関する。
【背景技術】
【0003】
点火コイル(点火変圧器として同じく知られている)などの電磁デバイスは、電気火花を生成し、燃焼室内の燃料−空気混合物を点火するための点火システムに使用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
実例では、変圧器は、複合材料を含み第1の透磁率を有することができる磁心を含むことができる。変圧器は、磁心の周りに巻かれる一次コイルをさらに含むことができる。一次コイルは、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを磁心中へ変化させるように構成することができる。変圧器は、磁心の周りに巻かれる二次コイルを含むことができる。二次コイルは、一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成することができる。変圧器は、積層材料を含み第2の透磁率を有することができる外部戻りをさらに含むことができる。第2の透磁率は第1の透磁率より大きくすることができる。外部戻りは、磁気エネルギーのための、磁心の第1の端部から磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供することができる。
【0005】
別の実例では、変圧器は、第1の材料を含み第1の透磁率を有することができる磁心を含むことができる。変圧器は、磁心の周りに巻くことができる一次コイルをさらに含むことができる。一次コイルは、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを磁心中へ変化させるように構成することができる。変圧器は、磁心の周りに巻くことができる二次コイルをさらに含むことができる。二次コイルは、一次磁界に基づいて二次電圧を確立するように構成することができる。変圧器は、第2の材料を含み第2の透磁率を有することができる外部戻りをさらに含むことができる。外部戻りは、磁気エネルギーのための、磁心の第1の端部から磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供することができる。変圧器は、外部戻りの表面を少なくとも部分的に密閉し、外部戻りと磁心の間の熱接触を確立して、一次コイルによって生成される熱を伝達するための経路を提供することができる熱可塑性エラストマーをさらに含むことができる。
【0006】
別の実例では、変圧器は、第1の材料を含み第1の透磁率を有することができる磁心を含むことができる。変圧器は、磁心を部分的に取り囲むことができるスプールをさらに含むことができる。変圧器は、スプールの周りに巻かれて磁心を部分的に取り囲むことができる一次コイルをさらに含むことができる。一次コイルは、一次磁気エネルギーを磁心中へ変化させるように構成することができる。変圧器は、磁心の周りに巻くことができる二次コイルをさらに含むことができる。二次コイルは、一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成することができる。変圧器は、第2の材料を含み第2の透磁率を有することができる外部戻りをさらに含むことができる。外部戻りは、磁気エネルギーのための、磁心の第1の端部から磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供することができる。
【0007】
この概要は、いくつかの実例実施例を要約して、本開示のいくつかの態様についての基本的な理解を提供する目的で提供されたものにすぎない。したがって上で説明した実例実施例は単なる実例にすぎず、決して本開示の範囲又は精神を狭めるべく解釈してはならないことは認識されよう。他の実施例、態様及び開示される様々な実施例の利点は、説明されている実施例の原理を一例として示している添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0008】
上で示した特徴、目的及び利点以外の特徴、目的及び利点については、以下の詳細な説明を考察することによってより容易に明らかになるであろう。このような詳細な説明には以下の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的点火システムにおける点火変圧器の実例を示す図である。
【
図2】点火変圧器のための一次スプールの実例を示す図である。
【
図3】点火変圧器の最終製品バージョン、プロトタイプ・バージョン及びコンピュータ模擬バージョンの直線性性能を特徴化している例示的データを示すグラフである。
【
図4】積層磁心点火変圧器及び複合鉄磁心点火変圧器に対する、磁束密度(B)と磁界強度(H)の間の関係を特徴化しているB−H曲線の実例を示すグラフである。
【
図5】熱管理材料を使用して構成された点火変圧器の実例を示す図である。
【
図6】熱伝導性カバーを使用して構成された点火変圧器の実例を示す図である。
【
図7】薄い戻り経路壁を有する点火変圧器の実例を示す図である。
【
図8】薄い戻り経路壁を有する点火変圧器の別の実例を示す図である。
【
図9】例示的点火システムにおける点火変圧器の別の実例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、本開示は、電磁デバイス及びその熱管理に関する。点火コイル(又は点火変圧器)などの電磁デバイスは過剰な熱を発生し、熱的に管理されない場合、コイル自体及び/又は点火システムが故障する原因になり得る。いくつかの例では、点火コイルが発生する熱は、点火コイル自体の信頼性を損ない、また、満足すべきコイル動作状態を常に悪くすることになり得る。点火システム故障をもたらす別の要因は点火プラグ浸食である。点火プラグは、点火プラグが着火して電気火花を生成する毎に摩耗することが知られている。着火毎に微量の金属が点火プラグ電極から除去される。点火プラグ浸食の他の原因には、燃料−空気混合物の乏しい分配に起因する長い火花継続期間がある。
【0011】
いくつかの実例では、本開示は、自動車燃焼機関のための点火システムに使用するための点火変圧器について記述する。しかしながら本明細書において記述される実例は、自動車燃焼機関用途のみと解釈してはならず、及び/又は自動車燃焼機関用途のみに限定されるべきではない。本明細書において記述される点火変圧器は、点火変圧器の使用を必要とする任意の用途に使用することができる。本明細書において記述される点火変圧器は、複合材料を含み第1の透磁率を有することができる磁心を含むことができる。点火変圧器は、積層材料を含み第2の透磁率を有することができる外部戻りをさらに含むことができる。いくつかの実例では、複合材料は複合鉄材料に対応し、また、積層材料は複数のケイ素鋼ラミネーションに対応し得る。実例では、第1の透磁率は第2の透磁率と異なっていてもよい。追加又は別法として、外部戻りは、磁心より大きい透磁率を有することも可能である。複合材料磁心(例えば複合鉄磁心)及び積層外部戻り(例えば複数のケイ素鋼ラミネーション)を利用することにより、本明細書において記述されているように、従来の点火変圧器、例えば非線形二次電流波形を生成する点火変圧器に優る特定の利点を有する点火変圧器を提供することができる。本明細書において記述される点火変圧器は、従来の変圧器とは対照的に、二次巻線への一次磁束のより大きい最大結合を有する非線形波形をもたらすことができる。本明細書において記述される改良型点火変圧器は、約90%に及ぶ高いピーク電流を結合することができる。従来の点火変圧器は、約70%程度のピーク電流しか結合することができない。したがって燃焼室における混合物の点火の可能性を高くするために燃焼時間が延長され得る。さらに、本明細書において記述される改良型点火変圧器は、従来の変圧器と比較すると、長い火花継続期間を提供し、その一方で点火プラグ浸食のレベルを最小化することができる。
【0012】
追加又は別法として、改良型点火変圧器は、改良された熱管理特徴を示すように構成することができる。例えば点火変圧器は、変圧器が発生する熱をより効果的に散逸させることができるよう、熱伝導性材料を使用して構成することができる。したがって本明細書において記述される点火変圧器は、従来の点火変圧器に優る特定の利点を有しており、これについては、明細書において記述される実例によってより容易に明らかになるであろう。
【0013】
図1は、例示的点火システム100における点火変圧器102の実例を示したものである。いくつかの実例では、例示的点火システム100は、それらに限定されないが、自動車、又は火花に基づく点火システムを利用している任意の車両を含む車両に採用されているような車両点火システムに対応し得る。例示的点火システム100は、電源及び1つ又は複数の点火プラグ(
図1には示されていない)に結合することができる。実例では、電源は蓄電池又は配電システムに対応し得る。電源、1つ又は複数の点火プラグは、いくつかの実例では、例示的点火システム100の一部を形成することができる。1つ又は複数の点火プラグは、燃料−空気混合物(
図1には示されていない)を含むチャンバに結合することができる。例示的点火システム100は、電源から電力を受け取り、燃焼開始火花をチャンバ内に発生させるのに十分な電圧を1つ又は複数の点火プラグに提供するように構成することができる。
【0014】
例示的点火システム100は点火変圧器102を含むことができる。本明細書において記述されているように、点火変圧器102は、二次巻線への一次磁束の最大結合を有する非線形波形をもたらすことができる。点火変圧器102は、磁心104を含むことができ、磁心104は、複合材料を含むことができ、ヘンリー/メートル(H/m)で測定した磁心(又は第1の)透磁率を有することができる。複合材料は、結合されると、個々の成分とは異なる特徴を有する材料を生成することができる異なる物理的及び/又は化学的特性を有することができる1つ又は複数の構成材料を含むことができる材料に対応し得る。実例では、複合材料は、複合鉄材料又は複合鉄材料と同様の(又は実質的に同様の)特徴を有することができる任意の複合材料に対応し得る。複合鉄材料は、鉄及び1つ又は複数の他の材料(例えば誘電結合剤)を含むことができる。いくつかの実例では、磁心102は、磁心102が少なくとも鉄材料を含んでいる場合、例えば約50H/mから約500H/mの透磁率を有することができる。
【0015】
点火変圧器102は一次コイル106をさらに含むことができる。一次コイル106は磁心104の周りに巻くことができる。一次コイル106は電源に結合することができる。電源は、一次コイル106に一次電流を提供するように構成することができる。いくつかの実例では、一次電流は、時間によって変化する直流(DC)信号又は交流(AC)信号である。電源を制御して(例えばコントローラ(
図1には示されていない)によって)、タイミング要求事項(例えば点火プラグ着火タイミング)に基づいて一次コイル106に一次電流を提供することができる。一次コイル106は、一次電流に応答して一次磁界を生成するように構成することができる。一次コイル106は、一次磁界に基づいて一次磁束を確立するように構成することができる。一次コイル106は、電源によって提供される一次電流に基づいて、一次磁気エネルギーを磁心104中に変化させるように構成することができる。
【0016】
点火変圧器102は、二次コイル108及びスプール110をさらに含むことができる。実例では、二次コイル108はスプール110の周りに巻くことができる。スプール110は、磁心104を完全に(又は部分的に)密閉することができる。別の実例では、二次コイル108は磁心104の周りに巻くことができる。一次磁界は、二次コイル108中に起電力(emf)を誘導することができる。二次コイル108は、一次磁界に基づいて二次電圧を生成するように構成することができる。二次コイル108は、一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成することができる。1つ又は複数の点火プラグを二次コイルに結合することができ、また、二次コイル108に誘導される二次電圧に基づいて火花放電を生成するように構成することができる。
【0017】
点火変圧器102は外部戻り112をさらに含むことができる。実例では、外部戻りは、文字「U」などのグラフィームと同様の形状を有することができる。したがっていくつかの実例では、外部戻り112はU字形であってもよい。外部戻り112は積層材料を含むことができ、外部戻り(又は第2の)透磁率を有することができる。いくつかの実例では、外部戻り112は、磁心透磁率より大きくてもよい透磁率を有することができる。例えば外部戻り112は、約1000H/mから約20,000H/mの透磁率を有することができる。実例では、積層材料は、複数のケイ素鋼ラミネーション、又は同様の(又は実質的に同様の)特徴を有することができる材料の配置を含むことができる。実例では、外部戻り112は、磁気エネルギーのための、磁心104の第1の端部114から第2の端部116への戻り経路を提供することができる。いくつかの実例では、外部戻り112の熱伝導率は、約23〜45ワット/メートル−ケルビン(W/m K)の範囲にすることができる。
【0018】
いくつかの実例では、外部戻り112及び磁心104は、互いに対して配置してエアー・ギャップを画定(又は形成)することができる。エアー・ギャップは、約0.5ミリメートル(mm)から約2.5ミリメートル(mm)の幅にすることができる。エアー・ギャップは、点火変圧器102の磁束(例えば一次磁束)を拘束する磁気回路経路に沿って配置することができる。実例では、外部戻り112は、外部戻り112のそれぞれの端部118、120が磁心104のそれらの対応する端部114、116に向かって配向されるように、磁心104に対して配置することができる。この実例では、外部戻り112の端部118、120のうちの少なくとも1つは、磁心104の所与の端部114、116に当接することができる。代替実例では、外部戻り112及び磁心104は、
図1に示されているように、磁気回路経路中にエアー・ギャップが全く存在しないように(又は実質的に存在しないように)、互いに対して配置することができる。したがって外部戻り112の両方の端部118、120は、この実例では、磁心104の対応する端部114、116に当接することができる。
【0019】
いくつかの実例では、磁心104は複合鉄を含むことができ、外部戻り112は積層材料を含むことができ、一次磁束は実質的に磁心104内に拘束され得る。磁心104中への一次磁束の拘束は、一次コイル106によって生成される起磁力(mmf)によって促進され得る。一次コイル106によって生成されるmmfは、一次コイル106中の一次磁束及び巻数の関数である。いくつかの実例では、一次コイル106は、約40回から約200回の巻数を有することができる。これらの実例では、点火変圧器102の二次対一次巻数比は、約60から約200にすることができる。特定の実例では、一次コイル106は約66回の巻数を有することができ、また、二次対一次巻数比は約175である。点火変圧器102の磁束密度は、外部戻りに複合鉄を利用している従来の点火変圧器とは対照的に、より無矛盾且つより高くすることができる。一次磁束は二次巻線(例えば二次コイル108)に結合することができる。従来の点火変圧器とは対照的に、一次コイルと二次コイルの間でより大量の電気エネルギーを伝達することができる。
【0020】
点火変圧器102が複合磁心104(例えば複合鉄磁心)及び積層外部戻り112(例えば複数のケイ素鋼ラミネーション)を含む実例では、点火変圧器102は、従来の点火変圧器、例えば非線形二次電流波形を提供する点火変圧器に優る特定の利点を有する。例えば点火変圧器102は、従来の変圧器とは対照的に、二次巻線への一次磁束のより大きい最大結合を有する非線形波形をもたらすことができる。点火変圧器102は、約90%に及ぶ高いピーク電流を結合することができる。さらに、燃焼時間を延長して、燃焼室内の混合物の点火の可能性を高くすることができる。さらに、点火変圧器102は、従来の変圧器と比較すると、長い火花継続期間を提供し、その一方で点火プラグ浸食のレベルを最小化することができる。
【0021】
図2は、点火変圧器のための一次スプール200の実例を示したものである。いくつかの実例では、点火変圧器は
図1の点火変圧器102である。点火変圧器102は一次スプール200を含むことができる。一次スプール200は、点火変圧器の磁心を少なくとも部分的に取り囲むように構成することができる。実例では、一次スプール200は磁心を完全に取り囲むことができる。磁心は、一次スプール200のスプール・リブを受け入れるためのノッチ付きコーナを含むように構築することができる。磁気回路経路中にエアー・ギャップが全く存在せず(又は実質的にエアー・ギャップが存在せず)、また、磁心が複合鉄磁心である実例では、点火変圧器の一次コイルは複合鉄磁心にmmfを提供することができる。提供されるmmfは、複合鉄磁心による一次磁束の拘束の強制を補助(又は促進)し、二次巻線への一次磁束の結合を強化することができる。したがって一次スプール200と点火変圧器を組み合わせることによって二次巻線への一次磁束の結合を強化することができる。いくつかの実例では、一次スプール200は、その対応する平らな面に壁を持たず、磁心上のノッチ付きコーナ中に篏合するリブのみを有し、また、最悪の場合でも磁心への接触を許容しないような公差であり、一次巻線と磁心の間の空間を最小化するように構成することができる。
【0022】
図3は、
図1の点火変圧器102などの点火変圧器の最終製品バージョン、プロトタイプ・バージョン及びコンピュータ模擬バージョンの直線性性能を特徴化している例示的データを示したものである。
図3の例示的データによって示されているように、
図1の点火変圧器102は改良された非直線性性能を有している。点火変圧器は、点火変圧器が従来の点火変圧器とは対照的により高い非直線性を獲得する動作点(例えば飽和点)を有することができる。複合鉄磁心は、磁心の透磁率(例えば増分透磁率)が従来の点火変圧器に使用されている積層磁心とは対照的により大きいため、点火変圧器の動作点を高くする。
図4は、積層磁心対複合鉄磁心に対する、磁束密度(B)と磁界強度(H)の間の関係を示すB−H曲線の実例を示したものである。
図4に示されているように、複合鉄磁心は、磁束強度が強いほどより高い初期磁束密度を有している。したがって本明細書において記述されている点火変圧器は、従来の点火変圧器と比較すると改良された変圧器損失(例えば磁気損失未満)を有することができる。
【0023】
いくつかの実例では、点火変圧器102、例示的点火システム100の構成要素、及びそれらの組合せのうちの1つに熱管理材料を加えることができる。実例では、熱可塑性エラストマー(TPE)を変圧器102の外部戻り112に加えることができる。TPEは、例えば3W/m Kの熱伝導率を有することができるCelaneseのCoolPoly(登録商標)D8102を含むことができる。同様の伝導特性及び特徴を有する他のTPEを使用することができる。したがって本明細書において記述されている実例は、本明細書において記述されているTPEのみと解釈してはならず、及び/又は本明細書において記述されているTPEのみに限定されるべきではない。いくつかの実例では、外部戻り112の表面全体にTPEのコーティングを施すことができる。
【0024】
図5は、熱管理材料を使用して構成された点火変圧器500の実例を示したものである。いくつかの実例では、点火変圧器500は、
図1に示されている点火変圧器102に対応し得る。点火変圧器500はベース502を含むことができる。ベース502は、変圧器500の1つ又は複数の構成要素を密閉するように構成することができる。点火変圧器500の磁心504の第1の端部は、外部戻り506の端部と熱接触して第1の熱経路508を形成することができる。点火変圧器500の一次コイル510によって生成される熱(
図5に「矢印」で示されている)は、第1の熱経路508を介して外部戻り506へ伝達することができる。いくつかの実例では、
図5に示されているように、外部戻り506の頂面512は周囲環境に露出することができる。この実例では、外部戻り506は、熱を周囲環境に直接散逸させることができる。点火変圧器500がエアー・ギャップを含み、また、磁心504の第2の端部がTPEでコーティングされているいくつかの実例では、エアー・ギャップにTPEを充填することができる。TPEが充填されたエアー・ギャップ514は、第2の熱経路516を提供するように機能することができ、この第2の熱経路516を介して、一次コイル510によって生成される熱を外部戻り506に伝達して周囲環境に散逸させることができる。したがって第2の熱経路516は追加熱伝達経路を提供し、この追加熱伝達経路を介して、一次巻線510によって生成される熱を点火変圧器500から除去することができる。いくつかの実例では、点火変圧器500はエポキシ518を使用して構成することができる。エポキシは、約0.4〜0.5W/m Kの熱伝導率を有することができる。
【0025】
他の実例では、外部戻りの頂面は、熱伝導性カバーによって覆う(又は保護する)ことができる。
図6は、熱伝導性カバー602を使用して構成された点火変圧器600の実例を示したものである。いくつかの実例では、点火変圧器600は、
図1に示されている点火変圧器102に対応し得る。点火変圧器600はベース604を含むことができる。ベース604は、変圧器600の1つ又は複数の構成要素を密閉するように構成することができる。外部戻り606の頂面は、熱を周囲環境に散逸させることができるよう、熱伝導性カバー604と接触することができる。いくつかの実例では、DuPont(商標)のHytrel(登録商標)55556などのTPEを外部戻り606の頂面に加えることができる。熱伝導性カバー602は、CelaneseのCoolPoly E5101 PPSなどのTPE材料を含むことができる。カバー602は所与の熱伝導率を有することができる。いくつかの実例では、熱伝導性カバー602は、約20W/m Kの熱伝導率を有している。結果として得られる、点火変圧器600の頂部における総抵抗は、約0.000258ケルビン平方メートル/ワット(K m
2/W)であり得る。
【0026】
いくつかの実例では、熱伝導性接続材料608を熱伝導性カバー602と外部戻り606の間に配置して、外部戻り606とのカバー602の接続によって生じるエアー・ギャップを除去する(又は実質的に除去する)ことができる。エアー・ギャップは、カバー602と外部戻り606の間の熱抵抗率を大きくする。熱伝導性接続材料608は、エアー・ギャップを充填し(又は実質的にエアー・ギャップを充填し)、カバー602と外部戻り606の間の熱抵抗率を小さくする。熱伝導性接続材料608は、にかわ、エポキシ、ペースト、及び3M(商標)の8805シリーズ接着剤転写テープなどのテープのうちの1つを含むことができる。熱伝導性接続材料608は厚みを有することができる。いくつかの実例では、厚みは0.125mmであり、熱伝導率は約0.6W/m Kである。結果として得られる、点火変圧器600の頂部における総抵抗は約0.004208K m
2/Wであり得る。
【0027】
いくつかの実例では、点火変圧器600の磁心612の第1の端部は、外部戻り606の端部と熱接触して第1の熱経路614を画定することができる。点火変圧器600の一次コイル610は熱を発生し得る(
図6に「矢印」で示されている)。一次コイル610によって生成される熱(
図6に「矢印」で示されている)は、第1の熱経路614を介して外部戻り606へ伝達することができる。外部戻り606は、熱伝導性材料606に結合して、熱を熱伝導性カバー602へさらに伝達することができ、熱伝導性カバー602は、熱を周囲環境に散逸させることができる。実例では、外部戻り606及び磁心612は、互いに対して配置してエアー・ギャップ616を画定(又は形成)することができる。エアー・ギャップ616は、点火変圧器600の磁束(例えば一次磁束)を拘束する磁気回路経路に沿って配置することができる。点火変圧器600はエポキシ618を使用して構成することができる。エポキシは、約0.4〜0.5W/m Kの熱伝導率を有することができる。
【0028】
さらに他の実例では、積層外部戻り経路の領域の壁のセグメントを薄くすることができる。
図7は、熱コーティングされた薄い戻り経路壁702を有する点火変圧器700の実例を示したものである。いくつかの実例では、点火変圧器700は、
図1に示されている点火変圧器102、及び
図5に示されている点火変圧器500のうちの1つに対応し得る。点火変圧器700は、大きい二次電流を必要とし、及び/又は長い燃焼時間を必要とする用途に使用することができる。外部戻り経路の領域の壁のセグメントは、例えば約0.3mmから約0.5mmまで薄くすることができる。実例では、薄い戻り経路壁702は、CelaneseのCoolPoly(登録商標)D8102などのTPEでコーティングすることができる。薄い戻り経路壁702は、変圧器700の二次巻線からの熱抵抗を最小化することができる。二次巻線からの熱抵抗を最小化することにより、点火変圧器700における過度の抵抗性損失が制限される。したがって二次コイルとインタフェースする外部戻りのセグメントを薄くすることにより、二次巻線によって生成される熱を散逸させるための熱経路を有する点火変圧器700を提供することによって二次巻線と外部戻りの間の熱抵抗が小さくなる。
【0029】
別の実例では、薄い戻り経路壁は裸(例えばコーティングされていない)であってもよい。
図8は、熱的にコーティングされていない薄い戻り経路壁802を有する変圧器800の実例を示したものである。いくつかの実例では、点火変圧器800は、
図1に示されている点火変圧器102、及び
図6に示されている点火変圧器600のうちの1つに対応し得る。裸の薄い戻り経路壁802は、点火変圧器800内の二次巻線から外部戻りまでの熱抵抗を最小化することができる。したがって二次コイルとインタフェースする外部戻りのセグメントを薄くすることにより、二次巻線によって生成される熱を散逸させるための熱経路を有する点火変圧器800を提供することによって二次巻線と外部戻りの間の熱抵抗が小さくなる。
【0030】
図9は、例示的点火システム900における点火変圧器902の別の実例を示したものである。いくつかの実例では、点火変圧器902は、
図1に示されている点火変圧器102、
図5に示されている点火変圧器500、及び
図7に示されている点火変圧器700のうちの1つに対応し得る。例示的点火システム900は、例示的点火システム900の1つ又は複数の構成要素を取り囲むように構成することができる熱伝導性カバー904を含むことができる。例えば熱伝導性カバー904は、点火変圧器902(例えば一次コイル、二次コイル、積層外部戻り、一次スプール、二次スプール又はそれらの組合せ)を少なくとも部分的に取り囲むように構成することができる。いくつかの実例では、熱伝導性カバー904は、本明細書において記述されているように、熱伝導性材料で製造することができる。外部戻り906の頂面は、熱伝導性カバー904によって覆う(又は保護する)ことができる。外部戻り906の頂面は、熱を周囲環境に散逸させることができるよう、熱伝導性カバー904と接触することができる。
【0031】
例示的点火システム900は点火器908をさらに含むことができる。例示的点火システム900は、点火器906に押し付ける角度でリード線を有する隆起パッド910をさらに含むことができる。隆起パッド910は、
図9に示されているように、点火器906と熱伝導性カバー904の間に配置することができる。隆起パッド910は、熱伝導性カバー904の側面の少なくとも一部、及び点火器906の少なくとも一部に当接するように構成することができる。点火器が発生する熱は、隆起パッド910を介して点火器906から熱伝導性カバー904へ伝達することができ、熱伝導性カバー904は、熱を周囲環境に散逸させることができる。
【0032】
以上の説明は実例である。当然、本明細書において記述されている本開示の実例を記述する目的のために、構成要素の想定可能なあらゆる組合せを記述することは不可能であるが、実例の多くの他の組合せ及び置換が可能であることは当業者には認識されよう。したがって本明細書において記述されている実例には、添付の特許請求の範囲及び本出願の範囲の範疇であるすべてのこのような変更、修正及び変化を包含することが意図されている。さらに、本開示又は特許請求の範囲が、「1つの」、「第1の」又は「別の」要素、或いはその等価物を記載している場合、それは、1つ又は複数のこのような要素を含むべく解釈されるべきであり、2つ又はそれ以上のこのような要素を要求することも、或いは排除することもない。本明細書において使用されているように、「含む」という用語は、含むがそれには限定されない、を意味しており、「含んでいる」という用語は、含んでいるがそれには限定されない、を意味している。「基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づく、を意味している。さらに、本明細書においては、特許請求される主題の様々な態様が記述されているが、このような態様を組み合わせて利用する必要はない。したがって添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の態様の範囲内であるすべてのこのような変更及び修正を網羅することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2018年11月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器であって、
複合材料を含み第1の透磁率を有する磁心と、
前記磁心の周りに巻かれる一次コイルであって、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを前記磁心中へ変化させるように構成される一次コイルと、
前記磁心の周りに巻かれる二次コイルであって、前記一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成される二次コイルと、
積層材料を含み前記第1の透磁率より大きい第2の透磁率を有する外部戻りであって、磁気エネルギーのための、前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供する外部戻りと
を備え、前記外部戻り及び前記磁心が、前記一次コイルによって生成される磁束を拘束する磁気回路経路に沿ってエアー・ギャップが存在しないように互いに対して配置される変圧器。
【請求項2】
前記外部戻りの表面を密閉して、前記外部戻りと前記磁心の間の熱接触を確立し、それにより前記一次コイルによって生成される熱を周囲環境へ伝達するための経路を提供する熱可塑性エラストマー(TPE)をさらに備える、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記第1の透磁率が約50ヘンリー/メートル(H/m)から約500ヘンリー/メートル(H/m)である、請求項1に記載の変圧器。
【請求項4】
前記第1の透磁率が約1000ヘンリー/メートル(H/m)から20,000ヘンリー/メートル(H/m)である、請求項1に記載の変圧器。
【請求項5】
前記積層材料が複数のケイ素鋼ラミネーションを含み、前記複合材料が鉄と誘電結合剤とを含む、請求項1に記載の変圧器。
【請求項6】
前記磁心を部分的に取り囲むように構成されたスプールをさらに備える、請求項1に記載の変圧器。
【請求項7】
前記一次コイルが前記スプールの周りに巻かれて、前記磁心を部分的に取り囲む、請求項5に記載の変圧器。
【請求項8】
変圧器であって、
第1の材料を含み第1の透磁率を有する磁心と、
前記磁心の周りに巻かれる一次コイルであって、一次電流に基づいて一次磁気エネルギーを前記磁心中へ変化させるように構成される一次コイルと、
前記磁心の周りに巻かれる二次コイルであって、一次磁界に基づいて二次電圧を確立するように構成される二次コイルと、
第2の材料を含み第2の透磁率を有する外部戻りであって、磁気エネルギーのための、前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供する外部戻りであって、前記外部戻り及び前記磁心が、前記一次コイルによって生成される磁束を拘束する磁気回路経路に沿ってエアー・ギャップが存在しないように互いに対して配置される外部戻りと、
前記外部戻りの表面を少なくとも部分的に密閉し、前記外部戻りと前記磁心の間の熱接触を確立し、それにより前記一次コイルによって生成される熱を伝達するための経路を提供する熱可塑性エラストマーと
を備える変圧器。
【請求項9】
前記磁心の前記第1の端部が前記外部戻りの所与の端部と熱接触して第1の熱経路を提供し、前記磁心の前記第2の端部が、前記外部戻りの所与の端部に対して遠位である前記外部戻りの別の端部と熱接触して第2の熱経路を提供し、
前記第1の熱経路及び前記第2の熱経路が、前記一次コイルによって生成される熱を周囲環境へ伝達する、
請求項8に記載の変圧器。
【請求項10】
前記第1の材料が鉄を含む、請求項8に記載の変圧器。
【請求項11】
前記第2の材料が複数のケイ素鋼ラミネーションを含む、請求項8に記載の変圧器。
【請求項12】
前記外部戻りが薄い接触領域を含み、前記薄い接触領域が前記二次コイルと前記外部戻りの間の熱抵抗を小さくする、請求項8に記載の変圧器。
【請求項13】
前記外部戻りの前記表面の一部の上に配置された熱伝導性プラスチック・カバーをさらに備え、熱伝達経路を確立する、請求項8に記載の変圧器。
【請求項14】
前記熱伝導性プラスチック・カバーと前記外部戻りの前記表面の前記一部の間に配置された熱伝導性接続材料をさらに備える、請求項13に記載の変圧器。
【請求項15】
前記熱伝導性接続材料が、前記一次コイルによって生成される熱を前記外部戻りの前記表面の前記一部から受け取り、前記熱を前記熱伝導性プラスチック・カバーに伝達して周囲環境に散逸させるように構成される、請求項14に記載の変圧器。
【請求項16】
前記熱伝導性プラスチック・カバーが1つ又は複数のデバイスに結合される、請求項13に記載の変圧器。
【請求項17】
前記熱伝導性プラスチック・カバーが前記1つ又は複数のデバイスによって生成される熱を周囲環境に散逸させるように構成される、請求項16に記載の変圧器。
【請求項18】
変圧器であって、
第1の材料を含み第1の透磁率を有する磁心と、
前記磁心を部分的に取り囲むスプールと、
前記スプールの周りに巻かれて前記磁心を部分的に取り囲む一次コイルであって、一次磁気エネルギーを前記磁心中へ変化させるように構成される一次コイルと、
前記磁心の周りに巻かれる二次コイルであって、前記一次磁気エネルギーに基づいて二次電圧を確立するように構成される二次コイルと、
第2の材料を含み第2の透磁率を有する外部戻りであって、磁気エネルギーのための、前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部への磁気戻り経路を提供する外部戻りと
を備え、前記外部戻り及び前記磁心が、前記一次コイルによって生成される磁束を拘束する磁気回路経路に沿ってエアー・ギャップが存在しないように互いに対して配置される変圧器。
【請求項19】
前記第1の材料が鉄を含み、前記第2の材料が複数のケイ素鋼ラミネーションを含む、請求項18に記載の変圧器。
【請求項20】
前記一次コイルは、前記磁芯によって拘束される一次磁束を発生させ、前記二次コイルへの前記一次磁束の結合を増加するように、前記磁芯に起磁力を提供する、請求項1に記載の変圧器。
【国際調査報告】