(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-527308(P2020-527308A)
(43)【公表日】2020年9月3日
(54)【発明の名称】ラウドスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/34 20060101AFI20200807BHJP
【FI】
H04R1/34 310
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-501267(P2020-501267)
(86)(22)【出願日】2018年7月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2018069016
(87)【国際公開番号】WO2019012070
(87)【国際公開日】20190117
(31)【優先権主張番号】17181479.1
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18152311.9
(32)【優先日】2018年1月18日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ハーベッツ・エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッツェル・ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムス・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】プロケイン・ピーター
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018AF16
(57)【要約】
ラウドスピーカは、1つまたは複数のドライバと少なくとも2つの導波路とを備える。1つまたは複数のドライバは、音波を発するように配置されている。導波路は、1つまたは複数のドライバに結合されて、1つまたは複数のドライバにより発せられた音波を受信する。少なくとも2つの導波路のうちの第1導波路は、ラウドスピーカの第1位置に出力位置を有し、受信した音波を第1位置にある出力に転送するように構成され、少なくとも2つの導波路のうちの第2導波路は、ラウドスピーカの第2位置に出力位置を有し、受信した音波を第2出力位置に転送するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を発するように配置された1つまたは複数のドライバ(12、12*)と、
前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)に結合されて、前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)から発せられた前記音波を受信する少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)と
を備えるラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)であって、
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの第1導波路が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)の第1位置に配置された出力(14a_o、14b_o)を有し、前記受信した音波を前記第1位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成され、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの第2導波路が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’、10*)の第2位置に配置された出力(14a_o、14b_o)を有し、前記受信した音波を前記第2位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成されている、
ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項2】
単一のドライバ(12、12*)を備える、請求項1に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項3】
前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)が、前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)と前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)との間に配置された音響スプリッタ(16)を備え、前記音響スプリッタ(16)が、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)に対する1つの入力と少なくとも2つの出力(14a_o、14b_o)とを備え、前記入力で受信した音波を前記2つの出力(14a_o、14b_o)に分割するように構成されている、請求項1または2に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項4】
前記音響スプリッタ(16)が1つもしくは複数のチャンネルを備え、前記1つもしくは複数のチャンネルの断面が前記スプリッタ(16)の長さに沿って一定のままであり、かつ/または
前記1つもしくは複数のチャンネルが、前記1つもしくは複数のドライバ(12、12*)の出力(14a_o、14b_o)と少なくとも同じ大きさの合計断面を有する、
請求項3に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第1導波路が、前記音波を第1遅延で転送するように構成され、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第2導波路が、前記音波を第2遅延で転送するように構成され、両遅延の差がビームフォーミングを実行するように選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第1および/または第2導波路が、前記転送される音波の位相を変更し、かつ/または前記転送される音波の大きさを変更するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項7】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、音響インピーダンスを整合させるための出力手段(14a_o、14b_o、14c_o、14d_o、14*_o、14a’_o、14b’_o、14c’_o、14d’_o)および/または前記音響インピーダンスを整合させるように構成されたホーンを備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の前記出力(14a_o、14b_o)の前記配置によりアレイを形成するように、前記第1位置が前記第2位置とは異なる、かつ/または、前記第1位置が、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)によって転送される前記音波の波長の半分よりも短い距離だけ前記第2位置から離間している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’、10*)。
【請求項9】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)の第3位置に出力(14a_o、14b_o)位置を有し、前記受信した音波を前記第3位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成されている第3導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)を備えるか、または
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)の第3位置に出力(14a_o、14b_o)位置を有し、前記受信した音波を前記第3位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成されている第3導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)を備え、少なくとも3つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の前記出力(14a_o、14b_o)が二次元パターンを形成する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項10】
前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)が圧力室ドライバ(12、12)として設計され、かつ/または共通の圧力室内に配置される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項11】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、それぞれの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の入力を出力(14a_o、14b_o)に接続するチューブまたはチャンネルを備え、かつ/または、前記導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)がホーン形状の導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)出力(14a_o、14b_o)を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項12】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のそれぞれが、伝送される前記音波の波長の半分よりも小さい断面寸法を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第1導波路が、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の前記第2導波路の長さとは異なる長さを有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの1つの長さが、少なくとも伝送される前記音波の波長の半分と同じ長さである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項15】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの少なくとも1つが、音響フィルタを形成するために、サイドチャンネルまたはフィードバックチャンネルを備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)を備える自動車用サウンドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラウドスピーカに関する。好ましい実施形態は、音響手段によるラウドスピーカのビームフォーミングを指す。
【背景技術】
【0002】
多くの用途、例えば、音域、音場再生または調整可能な指向性[1,2,3,4]において、ラウドスピーカのビームフォーミングは、再生された音が放射される方向を制御するために使用される。最先端技術によると、これらの技術は、それぞれが個別のドライバを備えた複数のラウドスピーカのアレイを使用することを意味する。これらのドライバは別個の信号で供給され、通常、同じ数のデジタル−アナログコンバータ(DAC)およびアンプを有することを意味する。DAC−アンプ−ラウドスピーカカスケードは、以下では再生チャンネルと呼ばれる。
【0003】
効果的な指向性再生の下限周波数は、アレイ開口部、すなわち、それぞれのステアリング寸法における2つのラウドスピーカ間の最大距離によって決まる。一方、制御された音響再生の上限周波数はエイリアシングによって課せられる。音波長がそれぞれのステアリング次元で2つの隣接するラウドスピーカ間の距離の2倍よりも小さくなると、エイリアシングが発生する。これらの2つの側面は、2つの隣接するラウドスピーカ間の距離をできるだけ短くする必要があることを意味するが、同時に可能な限り長い距離のラウドスピーカが存在する必要がある。両方の最適化目標に従うことは、多数の再生チャンネルを使用することを意味する。この問題は、3次元以上のステアリングが所望される場合にさらに深刻になる。各再生チャンネルは比較的高いコストを意味するため、消費者製品の領域で多数の再生チャンネルを使用することは現実的ではない。しかしながら、多くの再生チャンネルの使用は、ビームフォーミングの最新技術であるといまだに考えられている(米国特許出願公開第2002012442号明細書、米国特許出願公開第2009060236号明細書、米国特許第3299206号明細書)。
【0004】
多くの場合、ビームフォーマは単一の入力信号を受信し、全てのラウドスピーカ信号が線形従属であるように静的デジタルフィルタと連携する。さらに、特定のクラスのビームフォーマの場合、このようなフィルタは非増幅部品によって実現することもできる。この特性を満たす周知のクラスは、遅延和ビームフォーマであり、それにもかかわらず、実装コストに応じて複数の再生チャンネルを使用して実装される(米国特許出願公開第2004151325号明細書、米国特許出願公開第2002131608号明細書)。この問題は、米国特許出願公開第2013336505号明細書に開示されているように、単一のDACアンプカスケードによって駆動される(電子回路の分野で)受動部品を使用することで軽減できる。それでも、そのようなシステムを実現するには、非常に高価な部品であることが知られている多数の個別のラウドスピーカドライバが必要である。
【0005】
ビームフォーミングに代わる方法は、通常はホーン(英国特許第484704号明細書)、特殊なハウジングを備えたラウドスピーカ(欧州特許第3018915号明細書)、自己復調超音波ビーム(米国特許出願公開第2004264707号明細書、米国特許第4823908号明細書)、または非常に特殊な構造(米国特許第5137110号明細書)の形状の指向性ラウドスピーカを使用することである。さらに、ホーンラウドスピーカまたは同様の変換器に音響レンズを装備することができる(米国特許第3980829号明細書、米国特許第2819771号明細書)。これらのアプローチは低コストの解決策を提供するが、ビームパターンや方向の選択にはかなり制限がある。実際、それらのアプローチの目的は、多くの場合、ラウドスピーカの開口部に対して垂直に放射するか、広範な周波数範囲で球面放射を達成することである。指向性の制限に加えて、これらのアプローチを実施するには、通常、かなりの量の所定の形状が必要である。これは、空間が貴重なものであり、組み込み部品の形状が外部の設計によって事前に決定されることが多い、電子消費者製品または自動車用途でそのようなアプローチを使用することを妨げる。
【0006】
米国特許出願公開第2003132056号明細書は、ラウドスピーカドライバに接続された複数の導波路を有するラウドスピーカについて説明している。これに関連する別の特許公開公報は米国特許出願公開第2002014368号明細書である。特許公開公報米国特許出願公開第2011211720号明細書は、単一のドライバによって駆動される分離されたサウンドパスを使用することを開示している。これに関連する別の特許公開公報は、米国特許出願公開第2011019853号明細書である。同様の部品セットを説明する先行技術があるが、ラウドスピーカ膜の背面から放射される音波を処理するための様々な配置がある(米国特許第4553628号明細書、米国特許第5025886号明細書)。米国特許第4553628号明細書は背面からの音を吸収することを教示しているが、米国特許第5025886号明細書は効率を上げるために音を放射することを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002012442号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009060236号明細書
【特許文献3】米国特許第3299206号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004151325号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002131608
【特許文献6】米国特許出願公開第2013336505号明細書
【特許文献7】英国特許第484704号明細書
【特許文献8】欧州特許第3018915号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004264707号明細書
【特許文献10】米国特許第4823908号明細書
【特許文献11】米国特許第5137110号明細書
【特許文献12】米国特許第3980829号明細書
【特許文献13】米国特許第2819771号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2003132056号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2002014368号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2011211720号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2011019853号明細書
【特許文献18】米国特許第4553628号明細書
【特許文献19】米国特許第5025886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記欠点から始まり、本発明の目的は、ビームフォーミングを可能にする簡単かつ費用効率の高いアプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
【0010】
本発明の実施形態は、1つまたは複数のドライバおよび少なくとも2つの導波路を備えるラウドスピーカを提供する。1つまたは複数のドライバは、音波を発するように配置され、少なくとも2つの導波路は、音波を受信するために1つまたは複数のドライバに結合される。少なくとも2つの導波路のうちの第1導波路は、ラウドスピーカの第1位置に配置された出力を有し、受信した音波を出力に転送するように構成され、少なくとも2つの導波路のうちの第2導波路は、第2位置に出力位置を有し、受信した音波をそれぞれの出力に転送するように構成されている。好ましい実施形態によれば、ラウドスピーカは、1つの(単一の観点から)ドライバ、例えば圧力室ドライバを備え、圧力室の出力は少なくとも2つの導波路に結合される。実施形態によれば、結合は、1つまたは複数のドライバと少なくとも2つの導波路の間に配置されたいわゆる音響スプリッタによって支持されていてもよく、音響スプリッタは、少なくとも2つの導波路に対する1つの入力および少なくとも2つの出力を備え、入力で受信した音波を2つの出力に分割するように構成されている。好ましくは、音響スプリッタは、音波が導波路に最適に結合されるように音響シーリングを実行する。さらに、音響スプリッタは、良好なインピーダンス整合を可能にするように設計することができる。
【0011】
本明細書で開示される教示は、(音響)ビームフォーミングの実行が可能なラウドスピーカが単一の音源、例えば、単一のドライバ、または一般に音響信号を少なくとも2つの導波路を有する導波路配置に発する(すなわち、一般的なソース信号によって駆動される)ドライバの配列によって形成可能であるという原理に基づいている。技術的背景は、実施形態によれば、純粋に音響的な手段を備えた、つまり、主に状況に応じて設計された導波路によって、特定クラスのフィルタアンドサムビームフォーマを実現することである。導波路は、柔軟なチューブやPVCチューブのような任意の固体材料からなる単純なチューブで形成されてもよく、受信した音響信号を転送して異なる出力位置に音波を分配するように構成される。このために、コアな考えによれば、音波は分割され、特定の位置に配置された出力(出口)に応じて選択された特性を有する導波路に供給される。出力/出口の異なる音放射出位置および/または伝送された音波への導波路の影響に起因して、ラウドスピーカによって発せられた音のビームフォーミングを達成することができる。したがって、ビームフォーミングまたは一般的には指向性音響再生は、単一のラウドスピーカドライバのみを有するラウドスピーカによって実現できる。このアプローチは、そうでなければ多数の高価なハードウェア部品を必要とする再生システムの安価で柔軟な実装を可能にする。性能は、複数のラウドスピーカを備えた従来の遅延和ビームフォーマに匹敵するが、その費用はわずかである。
【0012】
以下で説明するより高度な導波路設計は、性能をさらに向上させることができ、その結果得られる設計は、多種多様な家電製品や自動車用途に統合できるほど柔軟であると想定される。
【0013】
音響スプリッタに関して、実施形態によれば、音響スプリッタが1つの入力と2つ以上の出力とを備え、スプリッタの断面がスプリッタの長さに沿って一定のままである、つまり断面が、少なくとも1つまたは複数のドライバの出力と同じ大きさであることが言及されるべきである。出力を有する圧力室ラウドスピーカとしてのドライバの好ましい実装から始まる場合、これは、圧力室ラウドスピーカの出力の断面積が出力の音響断面に実質的に等しいことを意味する。通常、ドライバごとに1つのスプリッタがあることに留意されたい。複数のドライバを使用する場合、出力で結合される複数セットの導波路が使用される。
【0014】
さらなる実施形態によれば、複数の導波路の音響断面は、スピーカドライバの出口の断面積に実質的に等しい。そのような設計は、導波路とラウドスピーカドライバとの間の良好なまたは十分に良好な音響整合を可能にする。優れた音響整合の結果は、高い音響効率である。さらなる実施形態によれば、導波路、または特に少なくとも2つの導波路のそれぞれは、伝送される音波の波長の半分よりも小さい断面寸法を有する。
【0015】
導波路に関して、実施形態によれば、最後2つの導波路のうちの第1導波路が第1遅延で音波を転送するように、第1および第2導波路が音波を遅延させて転送するように構成され、少なくとも2つの導波路の第2導波路が、第2遅延で音波を転送し、第1遅延と第2遅延の差が、達成されるビームパターンを決定することが言及されるべきである。別の実施形態によれば、遅延は、所望の再生方向に応じて同一であってもよい 遅延に関するこの設計は、少なくとも2つの導波路をそれぞれ所望の遅延に比例する長さに設計することにより達成できる。好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの導波路の各長さは、少なくとも、伝送される音波の波長の半分と同じ長さである。さらに、各導波路は、導波路設計の結果として、転送される音波の位相および/または大きさを変更するように構成されていることに留意すべきである。
【0016】
さらなる実施形態によれば、各導波路は、その出力に、音響インピーダンスの整合を可能にするいわゆる出力手段を備える。実施形態によれば、出力手段は、音響インピーダンスを整合させるように構成されたホーン形状の要素によって形成されてもよい。
【0017】
上述のように、少なくとも2つの導波路の出力の配置によりアレイを形成するように、第1および第2位置は互いに異なる。さらなる実施形態によれば、第1位置は、転送される音波の波長の半分よりも短い距離だけ第2位置から離間している。別の実施形態によれば、ラウドスピーカは第3位置に出力を有し、かつ、音波を受信し、音波をその出力に転送するように構成された第3導波路を備える。任意選択的に、少なくとも3つの導波路の出力は、二次元パターンを形成するように配置されてもよい。
【0018】
別の実施形態によれば、各導波路は、例えばサイドチャンネルまたはフィードバックチャンネルを備える音響フィルタとして設計されてもよい。この機能により、導波路の実装を変更するだけで音響設計を改善することができる。
【0019】
添付の図面を参照して、引き続き本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】基本的な実施形態によるラウドスピーカの個々の(部分的に任意選択的な)部品の概要を示す概略ブロック図を示す。
【
図2】基本的な実施形態によるラウドスピーカの概略図(縦断面)を示す図である。
【
図3】
図2によるセットアップの放射パターンの概略的な実装を示す。
【
図4】別の実施形態によるラウドスピーカの概略図(縦断面)を示す。
【
図5】
図4によるセットアップの概略的な放射パターンを示す。
【
図6】さらなる実施形態によるラウドスピーカの概略図(縦断面)を示す。
【
図7】
図6によるセットアップの概略的な放射パターンを示す。
【
図8】さらなる実施形態によるデジタルFIRフィルタと同等のフィルタ要素によって強化された導波路の概略図(横断面)を示す。
【
図9】さらなる実施形態によるデジタルIIRフィルタに相当するフィルタ要素により強化された導波路の概略図(横断面)を示す。
【
図10a】実施形態によるラウドスピーカのプロトタイプの概略図を示す。
【
図10b】実施形態によるラウドスピーカのプロトタイプの概略図を示す。
【
図10c】実施形態によるラウドスピーカのプロトタイプの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付の図面を参照して実施形態を以下に説明するが、同一または類似の機能を有する要素には同一の参照符号を付し、その説明が相互に適用可能かつ交換可能であるものとする。
【0022】
図1に関して、本発明の概念の一般的な概要が与えられており、以下、
図1によって示されるラウドスピーカ10の部品(任意選択的な部品と共に)について検討する。
【0023】
図1は、少なくとも1つのラウドスピーカドライバ12と、少なくとも2つの導波路14aおよび14bとを備えるラウドスピーカ10を示す。導波路14aおよび14bのそれぞれは、出口14a_oおよび14b_oを有してもよい。出口14a_oおよび14b_oは、参照符号18によって表される再生空間への移行部を形成する。
【0024】
任意選択的に、2つの導波路14aおよび14bとラウドスピーカ12との間に、いわゆる音響スプリッタ16を配置することができる。音響スプリッタの代わりに、単一の導波路を複数の導波路に分岐するか、音波を分割/分配するように構成された別の実体を使用することができる。
【0025】
ラウドスピーカドライバ12は、圧力室ラウドスピーカ12、または要素14aおよび14bを備える導波路配列14に結合することができるエンクロージャの内部に音圧を発することができるその他のラウドスピーカドライバであり得る。これらのドライバは元々、導波路14または導波路の代表としてのホーンにそれぞれ接続されるように設計されているため、圧力室ラウドスピーカドライバ12は多くの用途のために選択されるものである。
【0026】
任意選択的な音響スプリッタ16は、ドライバ12によって生成される音波(音響信号)と、導波路が結合される複数の導波路出力とを受信するために、ドライバ12に結合される。言い換えると、音響スプリッタ16は、単一の導波路入力を複数の導波路出力に分割し、ドライバ12からの1つの音響信号を複数の導波路14a〜14bに分配できるようにする。音響スプリッタ16の重要な特性は、n個の出力のそれぞれについて入力の音響インピーダンスを再訓練して、ラウドスピーカ12に向かって反射される波を避けることである。音響インピーダンス整合を達成するための適切な解決策は、ドライバ12の出力からスプリッタ16の出力までの断面積が一定であることである。必ずしも必要ではないが、音響スプリッタ16は、導波路14aおよび14bを介して放射される音波のみが再生空間18に到達できるように、ラウドスピーカドライバ空間を再生空間に対して密閉することが好ましい。任意選択的に、音響スプリッタ16は、個々の出力のそれぞれに異なる量の音響パワーを供給するように設計可能である。音響スプリッタ16の全ての出力は、以下の2つの目的に役立つ個々の導波路14aおよび14bに供給される。
【0027】
−第1に、音響パワーをそれぞれの位置の出口14a_oおよび14b_oに供給する。
【0028】
−第2に、適切な位相および大きさで出口14a_0および14b_0に到達するように波を遅延させて、所望のビームパターンを作成する。
【0029】
出口14a_oおよび14b_oの役割は、主に、それらに供給される波の位相および大きさと関連して再生空間18内の放射パターンを決定するそれらの位置によって決定される。さらに、出口14a_oおよび14b_oは、導波路14aおよび14bの音響インピーダンスを再生空間18内の媒体の音響インピーダンスに整合させるように設計されてもよい。
【0030】
ラウドスピーカ10の基本構造を検討したので、次にその機能性について検討する。
【0031】
1つのドライバ12は、音響スプリッタ16を介して少なくとも2つの導波路14aおよび14bに供給される音波を生成する。言い換えれば、これは、スプリッタ16が、受信した音響信号をその出力14a_oおよび14b_oに転送する導波路14aおよび14bに音響信号を分配することを意味する。出力14a_oおよび14b_oは異なる位置に配置され、再生空間18への移行部を形成する。音響信号の異なる位置への分配と、導波路14aおよび14bが第1導波路14aとは異なる可能性のある第2導波路14bへの転送音波の遅延を可能にするという事実により、ビームフォーミングを実現できる。ここで、ビームフォーミングは、信号処理なしで、つまり一定の手段のみで実現される。結果として、示されたラウドスピーカ10は、異なる位置に配置された出口14a_oおよび14b_oに音響信号を分配することを可能にし、任意選択的におよびさらにビームフォーミングが可能になると要約することができる。
【0032】
図1の実施形態は、言い換えれば、例えばビームフォーミング用ラウドスピーカドライバ(および任意選択的なDACとアンプ)を備える単一の再生チャンネルとして説明することができる。提示された方法は、単一のラウドスピーカドライバ12を複数の導波路14aおよび14bに結合することを含む。これらの導波路14a、14bのそれぞれは、特定の位置で出口14a_oまたは14b_oに到達する前に、少なくとも特定の遅延およびおそらくはさらなる修正をガイド波に適用するように設計される。このようにして、特定クラスのフィルタアンドサムビームフォーマを実現できる。出口14a_o、14b_o、導波路14a、14b、および全ての接続要素16は、安価な材料を使用して製造することができる。本発明は、出口14a_oおよび14b_oの互いに対する位置のみを規定するので、例えば、出口14a_oおよび14b_oは、同じ方向に向けられて音波を平行に発するように、好ましくは並んで配置される。導波路のこの位置決めおよび特性により、例えばそれらの長さ(例えば、導波路14a、14bは、所望の周波数範囲の波長に匹敵する長さを有してもよい)または音波を遅延させる能力−音響ビームフォーミングを実現することができ、ここで開示される教示により、導波路14a、14bならびに出口14a_oおよび14b_oの形状に関する自由度は高くなる。ラウドスピーカ10は、厳しい空間制約がある環境で実装可能であることに留意されたい。ラウドスピーカ10の異なる実装について、
図2、
図4および
図6を参照して以下で検討する。
【0033】
図2は、圧力室ラウドスピーカドライバ12、2つの導波路14aおよび14bを有するラウドスピーカ10’の実施形態を示し、各導波路14aおよび14bは、並んで配置された出力14a_oおよび14b_oそれぞれに結合される。例えば、2つの出口14a_oおよび14b_oは、再生空間と導波路14aおよび14bとの間のインピーダンス整合を可能にするための手段を備えるか、または形成されてもよい。したがって、出口14a_oおよび14b_oは、ホーン形要素として形成されてもよい。あるいは、インピーダンス整合を可能にするホーン形状要素または他の要素を導波路14aおよび14bの出力に取り付けてもよい。
【0034】
2つの導波路14aおよび14bは、導波路14aおよび14bを圧力室ラウドスピーカ12に接続する音響スプリッタ16に結合される。
【0035】
機能する実装の最小可能な数である2つの出口14a_oおよび14b_oを備えた
図2の実施形態は、矢印で示されるように指向性音響放射を可能にする。2つの出口14a_oおよび14b_oは、対象の周波数範囲を考慮して、互いに対して波長の半分よりも短い距離で再生空間に配置される。対象の周波数範囲は20Hz〜20KHzまたは40/100/200/400/1000Hz〜16/20KHzであり、通常はオーディオ信号の制限された帯域幅によって定義されることに留意されたい。
【0036】
出口14a_oに接続された導波路は、出口14b_oに接続された導波路14bよりも長い。したがって、出口14a_oによる音波放射は、出口14b_oによって放射される波と比較して遅延される。音響スプリッタ16は音響パワーを両導波路14aおよび14bに均一に分配するため、両導波路14aおよび14bが同じ信号を受信し、導波路14aおよび14bの異なる設計に起因して、出口14a_oおよび14b_oにより出力された音波は、例えば、その遅延またはその大きさまたはその位相に関して互いに異なり得ることに留意されたい。
【0037】
ラウドスピーカドライバ12に関しては、同じ特性があまり重要ではないことに留意すべきである。また、
図2に示す縦断面は2次元図であり、縮小空間の放射パターンは3次元に従属している。この説明のために、出口14a_oおよび14b_oの放射パターンは、アレイ軸が両出口14a_oおよび14b_oの位置を通る理想的な点音源によって十分に近似されると想定される。結果として生じる放射パターンは回転対称になり、最大値は面積軸に垂直ではなく、出口14a_oに向かって傾斜する。結果として生じる放射パターンのコンピューターシミュレーションを
図3に示す。
【0038】
図3のシミュレーションは、出口14a_oおよび14b_oがx軸上で±5cmに位置し、導波路による遅延差が0.1ms、長さ差が3.44cm(および次数に対する表面の距離(the distance of the surface to the order)が、1KHz〜3KHz(対象の波長例)間の累積放射パワーを示すという想定から始まる。
【0039】
2つの出口14a_oと14b_oを使用することが本発明の最も単純かつ実現可能な実施形態であるが、実際の用途ではそれ以上の出口が望ましいこともあり、3つ以上の出口をラインアレイとして配置するかまたは二次元アレイとして配置して2次元に対するビームフォーミング能力を強化することができる。出口が増えると指向性が向上し、個々の出口は同時に非常に安価に製造できる。
【0040】
図4には、4つの出口がある例が示されている。
図4は、導波路の長さが出口1から出口4まで直線的に減少するラウドスピーカ10’’を示す(参照符号14a_oおよび14d_oを参照)。
【0041】
図5から分かるように、放射パターンは、
図2および
図3に関して提示した場合と似ているが、より高い指向性を呈する。出口14a_o〜14d_oがx軸上に10cmの間隔を空けて位置合わせされるという想定に基づいて、
図5の放射パターンがシミュレートされ、ここで、出口14a_oは正のx軸上にあることに留意されたい。出口1〜4の相対遅延は、それぞれ0.3、0.2、0.1、0msである。
【0042】
図6は、4つの出口14a’_o〜14d’_oを有するラウドスピーカ10’’’を示し、4つの出口14a_o〜14d_oに通じる導波路14a’〜14d’は同一の長さである。結果として生じるアレイ軸に垂直な放射パターンを
図7に示す。
【0043】
図6は、本発明の別の利点を示す。個々の導波路14a’〜14d’の形状はほぼ任意に選択でき、互いに隣接する必要がないので、構造上の障害を簡単に回避可能である。ここで、導波路14a’〜14d’は、任意に形成可能な可撓性チューブまたはPVCチューブによって実行され得ることに留意されたい。構造上の障害を回避する可能性、上記コンテキストは、特定の部品の空間がすでに通過によって定義されているか、または他の部品の空間が自動車用途または家電製品に一般的である用途に有利に使用可能である。
【0044】
個々の部品、特にラウドスピーカドライバ、導波路、音響スプリッタおよび出口の設計については、以下で詳しく説明する。
【0045】
一方、本発明は指向性音響再生に関するものであるが、本発明に含まれるラウドスピーカドライバは、空間特性に実質的に影響を及ぼさない。ただし、再生音響のスペクトル特性、したがって再生品質に影響を与える。そのため、ここでは全てのラウドスピーカドライバが用途に等しく適しているわけではない。圧力室ラウドスピーカは、導波路、またはここで考慮する場合は音響スプリッタに取り付けるように設計されている。したがって、これらは、このシナリオですぐに使用できる部品である。それにもかかわらず、これは他の目的のために設計されたラウドスピーカドライバを使用することもできる。動電型変換器のよく知られているThiele−Smallパラメータを考慮する場合、一般的な推奨事項は、ホーンロードドライバのQtsが0.2〜0.3になるように、比較的高いQmsと比較的低いQesを選択することである。ここでも同じ推奨事項が適用される。
【0046】
音響スプリッタの目的は、ラウドスピーカドライバからの音響エネルギーを個々の導波路に分配して、音波の後方反射またはラウドスピーカドライバとの負荷のミスマッチを回避することである。これを実現する簡単な方法は、スプリッタの全長にわたって音波進行方向に垂直な全体の断面積を保持することである。
図2、
図4および
図6の音響スプリッタは、このような部品のプロトタイプ例である。このようなスプリッタは、入力から出力までの音響インピーダンスを保持する。一般に、入力インピーダンスがラウドスピーカドライバの要件に整合する限り、音響スプリッタは音響インピーダンスを変換するように構築することもできる。
【0047】
ビームフォーマのサイドローブは、個々のアレイ要素から放射されるパワーに重み付けすることで制御可能であることはよく知られている。本発明の場合、個々の出口から放射される音響エネルギーに重み付けすることによって、これを促進することができる。しかしながら、出口が音響パワーを吸収または反射する場合には適切ではない。したがって、出口パワーの重み付けは、例えば、異なる直径の出力を有する音響スプリッタによってすでに促進されているはずである。
【0048】
導波路は、空間放射パターンを決定するので、本発明の最も重要な部品の1つである。
【0049】
これらの導波路は通常、2つの横方向の寸法が波長の半分よりも小さいチューブ形状を呈する。導波路の長さは通常、波長に比べて短くないことに留意されたい。このジオメトリにより、波の0次モードのみが伝播可能である。これは、各導波路が、個々の導波路の長さにのみ依存して実際に導かれる波の波長には依存しない波の遅延を引き起こすことを意味する。したがって、導波路の長さは、知られている出口位置を考慮するときに、遅延和ビームフォーマを実現するように選択することができる。このようにして、広い周波数範囲でメインビームの方向を選択し、狭い周波数範囲でヌルを選択することができる。さらに、このジオメトリにより、導波路をほぼ任意の曲率で構築できる。これにより、交差する障害を含むものであっても、本発明を多種多様な体積形状に適合させることができる。実際のチューブ形状は、0次モードのみが伝播しているという事実に起因して、任意の場合もある。導波路は位置合わせする必要がないため、その長さは音響スプリッタから出口までの距離には依存しない。これは、例えば、
図6に示す配置に使用される。この場合、全ての導波路は同じ長さを示すが、音響スプリッタから出口までの距離は異なる。
【0050】
より高度なビームフォーミング技術を実現する必要がある場合、キャビティ、サイドブランチ、個々の導波路間の接続、または同様の構造を追加することにより、導波路をわずかに異なるように設計することができる。これにより、原則として、導波路フィルタ(電磁波用)で知られている多くの技術を適用可能である広範な受動フィルタを実装できる。ただし、音波は、電磁波が満たすことができない境界条件を満たせるため、電磁波に適用可能な幾つかの特定の技術を使用することができなくなる。上記の単純な導波路とは対照的に、これらのフィルタ要素は、0次を超えるモードの伝搬を可能にする可能性があることに留意されたい。
【0051】
導波路に含めることができるフィルタ要素の例を
図8に示す。これは、単純な有限インパルス応答(FIR)フィルタと同じ効果を有する。
図8は、デジタルFIRフィルタに相当する導波路フィルタ要素を示し、フィルタ要素を形成する導波路14’’は、3つのチャンネル14’’_c1〜14’’_c3を備える。
【0052】
3つのチャンネル14’’_c1〜14’’_c3は、互いに比較すると直径が異なる。要素は、1、2、および3の符号が付けられた3つのよりも小さな導波路に着信波のパワーを分配する。導波路の長さが異なるため、関連する遅延は異なり、それぞれt1、t2、t3で示される。さらに、導波路は異なる直径を呈する。これは、インパルスによって励起されると、異なる量のエネルギーを運ぶことを意味する。このエネルギー量は、それぞれ振幅重みw1、w2、w3で表される。pin1(t)を入力音波の音圧として定義すると、出力波は次のようになる。
(1)
これは、FIRによる畳み込みを正確に説明している。しかしながら、要素は受動的であるため、
(2)
であることを意味している。
【0053】
フィルタ要素を実装する別の形式を
図9に示す。ここでは、波の一部がフィードバックされる。
図9は、フィードバックループ14’’’_fを備えた導波路14’’’を示す。フィードバックループは、メインチャンネル14’’_mと平行に配置され、開口部14’’_oを介してフィードバックループ14’’’_fに結合される。ここで、開口部14’’’oは、フィードバックループ14’’’_fの入口および出口としての目的を果たすことに留意されたい。さらなる実施形態によれば、入口および出口のために複数の開口部が使用されてもよい。
【0054】
この音波の音圧はpfb(t)で表される。以下では、入力から出力に進行する波の遅延はt4により示され、フィードバックパスの遅延はt5であり、フィードバック導波路は入力−出力パスの中間に取り付けられていると仮定する。さらに、フィードバック導波路の開口部はw5に比例し、出力導波路の開口部はw4に比例し、インピーダンスステップによる反射波は無視されるものと想定されている。次に、出力での音圧は次の式で表される。
(3)
式中、
(4)
方程式を周波数領域に変換するとき、pout2(t)の明示的な式を与えることができる。ここで、ωは角周波数を示し、jは虚数単位である。
(5)
(6)
その後、方程式系は次のように解決できる。
(7)
式中、H(jω)は導波路フィルタの周波数応答を表す。さらなる代替案は、導波路スタブフィルタの使用である。これは、文献で広く扱われているため、ここでは検討しない。
【0055】
各単一出口の目的は、導波路の音響インピーダンスを再生空間における空気の音響インピーダンスに整合させることである。それに加えて、出口は、再生空間内で互いに相対的な位置を持っている。これらは、前章で検討した遅延とともに、ビームフォーマの放射パターンを決定する。単一出口の実際の形状はあまり重要ではない。可能な形状には、円形、長方形、またはスリット状の形状が含まれるが、これらに限定されない。単一出口の開口部寸法は通常、対象の周波数範囲の波長の半分よりも小さくなる。
【0056】
音響インピーダンスを整合させる1つの方法は、
図2、
図4、および
図6に示すように、小さなホーンを出口として使用することである。これは、ほぼ理想的な特性のため、非常に一般的な解決策である。別の解決策は、導波路を開放空間内に延長し、延長部の側面にスリットを配置して、延長部内を進行する長さの音波の音響パワーを解放することである。
【0057】
出口位置は、ビームフォーミングで通常使用されるアレイジオメトリに従って選択できる。2つの出口間の最大距離は、通常、対象の周波数範囲の波長よりも大きくなる。エイリアシングが許容できない場合、2つの出口間の距離は、波長の半分よりも小さくする必要がある。エイリアシングに起因するサイドローブが用途に干渉しない場合、この要件は削除できる。単純なプロトタイプ・アレイ・ジオメトリは、回転対称ビームパターンを作成するために使用可能な線形アレイになる。ただし、提示されたアプローチは、アレイの形状に依存しない。ビーム方向を2次元で選択できるように、2次元の出口分布を使用して平面アレイを実装することは簡単である。このような構成では、平面アレイが、そうでなければ膨大な数の比較的高価な変換器を必要とするため、提示されたアプローチの経済的な利点はさらに明白になるだろう。一般に、出口が配置されている表面は平坦である必要はない。したがって、例えば、半球をサンプリングして出口を配置することもできる。湾曲した線形アレイのようなあまり一般的でないアレイ形状を実現することも可能である。各出口には個別の導波路により音波が供給されるため、出口の位置は任意に選択できる。これは、音響レンズをベースとしたアプローチとの大きな違いである。音響レンズをベースとしたアプローチは、(交差する可能性のある)単一入力開口部を(交差する可能性のある)単一出力開口部に接続するように制約される。
【0058】
独立した信号ごとに追加のドライバ−スプリッタ−導波路の組み合わせが使用される場合、同じ出口セットを使用して、独立した信号の複数のビームを操縦できることに留意されたい。
【0059】
図10a〜
図10cは、参照符号14*で示される複数の導波路に結合されたラウドスピーカ室12*内に配置された単一のドライバを有するラウドスピーカ10*に対する3つの異なる斜視図を示す。複数の導波路の各々は、例えば、内径が12mm
2(5〜25mm
2)の可撓性チューブにより形成されている。複数のチューブ14’’は、参照符号16*で示される領域でドライバ12*に結合される(例えば、上述のように、入力および出力の断面積が同一の音響スプリッタ)。領域16*内で、ドライバ12*の出口から複数の導波路14*への移行が行われ、複数のチューブ14*は集まって束になり、この束は周囲に対してシールされる。
【0060】
図10cから分かるように、各導波路14*の出口は、別個の実体として構築され、それぞれの導波路14*に取り付けられたホーン14*_oによって形成される。全てのホーン14*_o、または一般に、全ての出口14*は、同じ方向に向くように配置可能である。その結果、複数の出口14*_oの音放射方向は互いに平行であり、複数の導波路14*/出口14*_oによって放射される音波の組み合わせにより、上記のように指向性パターンを生成することができる。さらに
図10aから分かるように、全ての出口ホーンは、アレイを形成するように直列に配置されている。
【0061】
他の実施形態に関して検討したように、ラウドスピーカ10*が単一のラウドスピーカドライバ、または少なくとも単一の個別の操縦信号によって駆動されるラウドスピーカ配列を使用することも十分である。ドライバ12*から発生する音波は、領域16*内の複数の個々の導波路14*に分配される。選択された位置14*で個々の出口14*_oに供給される導波路は、主に、導波路を通って導かれる波を遅延させるように設計されている。遅延は、全ての出口14*_oによって放射される音波の重ね合わせが、所望の空間再生パターンになるように決定される。これらの特性に従った実装は、すでにかなり強力な実装を可能にする。考慮すべき事実:任意選択的に、導波路14*は、遅延するだけでなく、
図8および
図9に関して検討したように導波路を通過させるように設計することもできる。
【0062】
さらなる実施形態によれば、導波路は互いに独立して構築することができる。これは特に、それらの機能が共通のハウジングまたは隣接する配置から独立しているが、それらが共通のハウジングを共有し、隣接して配置可能であることを意味する。実施形態によれば、導波路14*の長さは、通常、関心のある周波数範囲の波長と比べて小さくない。しかしながら、導波路の断面は、通常、対象の波長と周波数範囲の半分よりも小さくてもよい。
【0063】
図10aおよび
図10cによって示されるように、出口14*_oは分離可能である。したがって、それらは隣接する配置である必要はないが、隣接可能である。これは、出口14*_oの開口部が別個の開口部として解釈できることを意味する。実施形態によれば、個々の出口14*_oの寸法は、通常、対象の周波数範囲の波長の半分より小さくてもよい。2つの出口14*_o間の最大距離は、通常、関心のある周波数範囲の波長よりも大きい場合がある。2つの導波路14*と出口14*_oをそれぞれ使用することは、機能上最低限の数であり、通常、3つ以上の出口を使用して十分な方向性を実現する。
【0064】
上記の概念は、指向性音響再生が必要なあらゆる分野に適用できる。2つの主な利点は、低コストと大きな設計柔軟性である。したがって、本発明は、家電製品または自動車のシナリオでの用途に特に適している。そこでは、経済的な圧力が大きいため、全ての部品を非常に低コストにする必要がある。さらに、このようなシナリオに適した部品の形状は、家電製品の設計または車内の設計によってすでに事前に決定されている。これは、柔軟な設計の重要性を強調している。
【0065】
さらに、ラウドスピーカドライバを除く本発明の全ての部品は、金属部品なしで製造することができる。これにより、磁気共鳴画像(MRI)デバイスの内部など、金属部品が許可されていない環境での指向性音響再生に本発明を使用することができる。その場合、ラウドスピーカドライバはこの環境の外側に配置され、導波路はこの環境内の出口に音を導く。
【0066】
上記の例は単なる例示であり、保護の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されることに留意されたい。
【0067】
参考文
[1] O.Kirkeby and P.Nelson,“Reproduction of plane wave sound fields,”The Journal of the Acoustical Society of America,vol.94,no.5,p.2992,1993
【0068】
[2] M.Poletti,“An investigation of 2−d multizone surround sound systems,”in Proceedings of the Convention of the Audio Engineering Society,Oct.2008
【0069】
[3] Y.Wu and T.Abhayapala,“Spatial multizone soundfield reproduction:Theory and design,”IEEE Transactions on Audio,Speech,and Language Processing,vol.19,no.6,pp.1711−1720,2011
【0070】
[4] L.Bianchi,R.Magalotti,F.Antonacci,A.Sarti,and S.Tubaro,“Robust beam−forming under uncertainties in the loudspeakers directivity pattern,”in Proceedings of the IEEE International Conference on Acoustics,Speech and Signal Processing (ICASSP),2014,pp.4448−4452.
【手続補正書】
【提出日】2019年6月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を発するように配置された1つまたは複数のドライバ(12、12*)と、
前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)に結合されて、前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)から発せられた前記音波を受信する少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)と
を備えるラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)であって、
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの第1導波路が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)の第1位置に配置された出力(14a_o、14b_o)を有し、前記受信した音波を前記第1位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成され、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの第2導波路が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’、10*)の第2位置に配置された出力(14a_o、14b_o)を有し、前記受信した音波を前記第2位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成されており、
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のそれぞれが、伝送される前記音波の波長の半分よりも小さい断面寸法を有し、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの1つの長さが、少なくとも伝送される前記音波の波長の半分と同じ長さである、
ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項2】
単一のドライバ(12、12*)を備える、請求項1に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項3】
前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)が、前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)と前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)との間に配置された音響スプリッタ(16)を備え、前記音響スプリッタ(16)が、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)に対する1つの入力と少なくとも2つの出力(14a_o、14b_o)とを備え、前記入力で受信した音波を前記2つの出力(14a_o、14b_o)に分割するように構成されている、請求項1または2に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項4】
前記音響スプリッタ(16)が1つもしくは複数のチャンネルを備え、前記1つもしくは複数のチャンネルの断面が前記スプリッタ(16)の長さに沿って一定のままであり、かつ/または
前記1つもしくは複数のチャンネルが、前記1つもしくは複数のドライバ(12、12*)の出力(14a_o、14b_o)と少なくとも同じ大きさの合計断面を有する、
請求項3に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第1導波路が、前記音波を第1遅延で転送するように構成され、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第2導波路が、前記音波を第2遅延で転送するように構成され、両遅延の差がビームフォーミングを実行するように選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第1および/または第2導波路が、前記転送される音波の位相を変更し、かつ/または前記転送される音波の大きさを変更するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項7】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、音響インピーダンスを整合させるための出力手段(14a_o、14b_o、14c_o、14d_o、14*_o、14a’_o、14b’_o、14c’_o、14d’_o)および/または前記音響インピーダンスを整合させるように構成されたホーンを備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の前記出力(14a_o、14b_o)の前記配置によりアレイを形成するように、前記第1位置が前記第2位置とは異なる、かつ/または、前記第1位置が、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)によって転送される前記音波の波長の半分よりも短い距離だけ前記第2位置から離間している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’、10*)。
【請求項9】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)の第3位置に出力(14a_o、14b_o)位置を有し、前記受信した音波を前記第3位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成されている第3導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)を備えるか、または
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、前記ラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)の第3位置に出力(14a_o、14b_o)位置を有し、前記受信した音波を前記第3位置にある前記出力(14a_o、14b_o)に転送するように構成されている第3導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)を備え、少なくとも3つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の前記出力(14a_o、14b_o)が二次元パターンを形成する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項10】
前記1つまたは複数のドライバ(12、12*)が圧力室ドライバ(12、12)として設計され、かつ/または共通の圧力室内に配置される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項11】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)が、それぞれの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の入力を出力(14a_o、14b_o)に接続するチューブまたはチャンネルを備え、かつ/または、前記導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)がホーン形状の導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)出力(14a_o、14b_o)を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項12】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のそれぞれが、伝送される前記音波の波長の半分よりも小さい2つの横方向の寸法を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの前記第1導波路が、前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)の前記第2導波路の長さとは異なる長さを有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの導波路(14a、14b、14c、14d、14a’、14b’、14c’、14d’、14*)のうちの少なくとも1つが、音響フィルタを形成するために、サイドチャンネルまたはフィードバックチャンネルを備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のラウドスピーカ(10、10’、10’’、10’’’、10*)を備える自動車用サウンドシステム。
【国際調査報告】