特表2020-527969(P2020-527969A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-527969電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-527969(P2020-527969A)
(43)【公表日】2020年9月17日
(54)【発明の名称】電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20200821BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20200821BHJP
【FI】
   A61B17/32 510
   A61B17/00 700
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-501171(P2020-501171)
(86)(22)【出願日】2018年7月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月3日
(86)【国際出願番号】CN2018094988
(87)【国際公開番号】WO2019011213
(87)【国際公開日】20190117
(31)【優先権主張番号】201710570845.8
(32)【優先日】2017年7月13日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518132019
【氏名又は名称】シャンハイ イーシ メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518132008
【氏名又は名称】イーシ(スーチョウ)メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リー、シードン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ワンタオ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ12
4C160JJ43
4C160JJ46
4C160JJ50
4C160NN02
4C160NN03
4C160NN10
4C160NN11
4C160NN23
(57)【要約】
本願は、クランプアームと、可動部品、静止部品および駆動部品を含む電気駆動クランプ機構とを備える電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具であって、前記駆動部品は着磁体と被着磁体を含み、前記着磁体と被着磁体の内の一方が前記可動部品に接続され、他方が前記静止部品に接続され、前記可動部品が前記クランプアームに接続され、前記着磁体に電流を流すと磁力が発生し、電流の方向と大きさを変えることで磁力の方向と大きさを変えることができ、前記被着磁体が前記着磁体が発生した磁力によって引き付けられまたは反発されたり、前記可動部品を前記静止部品に近づけたり遠ざけたり、ひいては前記クランプアームを開閉することを特徴とする電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具を提供する。本願の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具および手術システムによれば、使用状況に応じて動的にクランプ力を調整してより良好な切断および凝固効果を達成し、従来技術に比べると、構造が簡単で、コストが低い利点を有し、且つ可ロボット手術における端末実行器具として使われ、操作が便利であり、大規模な普及に寄与する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプアームと、可動部品、静止部品および駆動部品を含む電気駆動クランプ機構と、を備える電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具であって、前記駆動部品は着磁体と被着磁体を含み、前記着磁体と被着磁体の内の一方が前記可動部品に接続され、他方が前記静止部品に接続され、前記可動部品が前記クランプアームに接続され、前記着磁体に電流を流すと磁力が発生し、電流の方向と大きさを変えることで磁力の方向と大きさを変えることができ、前記被着磁体が前記着磁体が発生した磁力によって引き付けられまたは反発されたり、前記可動部品を前記静止部品に近づけたり遠ざけたり、ひいては前記クランプアームを開閉することを特徴とする電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項2】
前記駆動部品はクランプ機構の制御電流信号を受信し、可動部品の静止部品に対する近位端または遠位端への移動を制御する請求項1に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項3】
前記着磁体が前記静止部品に接続され、前記被着磁体が前記可動部品に接続される請求項2に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項4】
前記着磁体が前記可動部品に接続され、前記被着磁体が前記静止部品に接続される請求項2に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項5】
前記駆動部品は、駆動弾性体をさらに含み、前記駆動弾性体の一端が前記静止部品上に接続され、他端が前記可動部品上に接続され、且つ前記駆動弾性体は弾性を有する請求項2に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項6】
前記駆動弾性体は前記静止部品と前記可動部品間の離間移動を防止する請求項5に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具
【請求項7】
前記駆動弾性体は前記静止部品と前記可動部品間の対向移動を防止する請求項5に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項8】
前記駆動部品は制限弾性体をさらに含み、前記制限弾性体は弾性を有し、且つ前記制限弾性体が前記可動部品上に取り付けられる請求項5に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項9】
前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の対向移動を防止することができる請求項8に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項10】
前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の離間移動を防止することができる請求項8に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項11】
前記外科用手術器具は超音波手術器具であり、前記超音波手術器具はメスハンドルをさらに含み、前記メスハンドルは遠位端にメスヘッドを有し、前記クランプアームが2つの回転移動ペアを介してそれぞれ可動部品の遠位端と静止部品の遠位端に接続され、可動部品が静止部品に対して近位端または遠位端へ移動すると、前記クランプアームを駆動して前記メスヘッドに対して開いたり閉したりするので、組織をクランプしてクランプされた組織に一定のクランプ力を加えることができる請求項5に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項12】
前記可動部品は、内管、接続座、および締めキャップを含み、前記内管はメスハンドルの外側に位置し、メスハンドルに沿って縦方向に延伸し、前記接続座は前記内管の近位端に嵌設され前記内管に固定的に接続され、前記締めキャップは接続座の外側に固定的に接続される請求項11に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項13】
前記内管の近位端外側に溝が設けられ、接続座の近位端内側の対応する位置に突起が設けられ、前記突起が前記溝内に係合されることにより前記内管と接続座が係争され固定的に接続される請求項12に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項14】
前記締めキャップは雌ねじを含み、前記接続座の対応する位置に雄ねじを含み、雌ねじと雄ねじの接続により締めキャップと接続座とがしっかり接続される請求項12に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項15】
前記静止部品は外管、ベース、ハウジング、およびピン軸を含み、前記外管は前記内管の外側に位置し内管に沿って縦方向に延伸し、前記ベースは穴を有し前記外管の近位端に嵌設され、前記ベースとハウジングとが縦方向の軸線方向に固定的に接続され、前記ベース、外管、内管およびメスハンドル上の対応する位置に縦軸に垂直な穴が設けられ、前記ピン軸がこれらの穴を順に貫通し、ベース、外管、メスハンドル上の穴のメスハンドルの縦軸方向上の幅がピン軸の縦軸方向の幅と同じかまたはやや大きくなり、内管上の穴の縦軸方向上の幅がピン軸の縦軸方向の幅よりも大きいので、ベース、外管とメスハンドルがハウジングに対して近位端または遠位端への移動が制限される一方、内管はハウジングに対して近位端または遠位端へ移動可能である請求項12に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項16】
前記ピン軸は円筒形であり、前記ベース、外管、メスハンドル上の穴は丸穴であり、前記丸穴の直径がピン軸の直径と同じかまたはやや大きくなり、内管上の穴はウエスト型の穴であり、その縦軸方向上の長さがピン軸の直径よりも大きく、縦軸に垂直な方向上の幅がピン軸の直径と同じか、またはやや大きくなる請求項15に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項17】
ベースの近位端に溝が設けられ、ハウジングの遠位端の対応する位置にボスが設けられ、ハウジングのボスがベース上の溝に係合されてベースとハウジングが縦方向軸線方向に固定的に接続される請求項15に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項18】
前記着磁体が前記ハウジング上に取り付けられ、前記駆動弾性体の一端が着磁体と接触し、他端が締めキャップと接触し、自身の弾性により締めキャップと着磁体間の対向移動を防止する請求項15に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項19】
前記駆動部品は弾性を有する制限弾性体をさらに含む請求項15に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項20】
前記被着磁体と前記制限弾性体が前記可動部品上に取り付けられ、前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の対向移動を防止する請求項19に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項21】
前記被着磁体と制限弾性体が接続座と締めキャップ間に取り付けられる請求項20に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項22】
前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の離間移動を防止する請求項19に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項23】
前記外科器具は高周波電気ナイフ、プラズマ手術器具またはレーザーメスである請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項24】
前記着磁体はケイ素鋼板上に導体コイルを巻くことによって形成される請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項25】
前記被着磁体は、純鉄、ソフトフェライトまたは低炭素鋼で形成される請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項26】
前記被着磁体は永久磁石である請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項27】
前記被着磁体は電磁石であり、電流を流すと磁力が発生し、電流の方向と大きさを変えることで磁力の方向と大きさを変えることができる請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項28】
前記駆動弾性体と制限弾性体は、低透磁率の材料で波状ばねまたは円筒状ばねにすることができる請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項29】
前記駆動弾性体と制限弾性体は弾性コロイド材料で作られる請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか1項に記載の外科用手術器具および本体を含み、前記本体はクランプ機構制御電流を発生し前記電気駆動クランプ機構に伝達する電気駆動クランプ機構を有する外科手術システム。
【請求項31】
前記外科手術システムはロボット手術システムであり、その着磁体および/または被着磁体中の電流の方向および大きさはロボット手術システムによって自動的に調整される請求項30に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外科用手術器具に関し、具体的には、電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具および該手術器具を含む手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床現場ではアクティブな外科用手術器具の使用が非常に一般的である。一般的に使用されるアクティブな外科用手術器には、高周波電気ナイフ、超音波メス、レーザーメスおよびプラズマ手術器具等がある。その中に、高周波電気ナイフと超音波メスが最も広く使用されており、このような器具は主に熱効果を使用して組織を切断(超音波メスでは機械切断の作用もある)、凝固を行う。温度が60度を超えると人体の細胞が死滅し、温度が60〜90度でタンパク質が変性し、温度が100度を超えると細胞内の水分子が蒸発し細胞壁が崩壊し、温度が200度に達すると人体組織が完全な脱水により炭化することが知られている。高周波電気ナイフおよび超音波メスなどのアクティブな外科器具は、熱効果を使用して組織内の水分子を蒸発させ、タンパク質を変性させ、細胞を崩壊し、組織を炭化して、組織を切断または凝固させ、ひいては血管を閉鎖する。このようなアクティブな外科用手術器具の場合、切断と凝固効果に影響を与える主な要素には、組織に加える温度、組織に対するクランプ力および作用時間が含まれる。
【0003】
従来のアクティブな外科器具のクランプ機構、例えばCN104224279A(参考文献1)、CN101396302A(参考文献2)、CN101495050A(参考文献3)中の手動で駆動されるクランプ機構は、医師または操作者によって手で駆動される。このような手動で駆動されるクランプ機構は、通常トリガーまたは把持アーム、カム構造またはリンク機構、ばねなどの部材で構成される。医師または操作者はトリガーまたは把持アームを把持して、カムまたはリンクおよびばね機構の変換によりトリガーの移動を端末のクランプアームに伝達し、クランプアームが閉じ切断する組織をクランプすることができる。このような手動で駆動されるクランプ機構は、従来の手術では比較的信頼性が高く効果的であり、医師や操作者による手動操作にも便利である。
【0004】
しかしながら、技術の発展に伴い、従来の手動で駆動されるクランプ機構は徐々に不十分になる。例えば、国内外のある研究機関や企業は手術用ロボットを実用化し始めており、手動で駆動されるクランプ機構のアクティブな外科器具は、ロボットを使用した手術における端末実行器具として使用できなくなる。さらに、アクティブな外科器具では、切断速度と血管凝固効果の向上が常に技術者の目標であるが、クランプ力は切断速度と凝固効果に影響を与える重要な要素である。従来の手動で駆動されるクランプ機構は、比較的固定されたクランプ力しか生成できず、使用状況に応じてクランプ力を動的に調整してより良い切断と凝固効果を達成することができない。一部の高度のスキルを持つ医師は、切断または凝固プロセス中にクランプ力を手動で調整してより良い使用効果を達成できるが、これには医師の高い個人のスキルと経験が必要であり、大規模に普及させることは困難である。
【0005】
したがって、電気的に制御および調整できるクランプ機構を備えるアクティブな外科用手術器具は、技術者の研究開発の目標となっている。CN104582617A(参考文献4)およびCN104582627A(参考文献5)では、電動式のクランプ機構を備えるアクティブな外科器具をいくつか開示したが、これらの器具にはモータ駆動のクランプ機構を必要とし、構造が比較的複雑であり、コストも高い。
【発明の概要】
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本願は電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具および対応の手術システムを提供し、従来技術に比べると構造が簡単で、コストが低い利点を有する。
【0007】
本願の第1態様によれば、クランプアームと、可動部品、静止部品および駆動部品を含む電気駆動クランプ機構と、を備える電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具であって、前記駆動部品は着磁体と被着磁体を含み、前記着磁体と被着磁体の内の一方が前記可動部品に接続され、他方が前記静止部品に接続され、前記可動部品が前記クランプアームに接続され、前記着磁体に電流を流すと磁力が発生し、電流の方向と大きさを変えることで磁力の方向と大きさを変えることができ、前記被着磁体が前記着磁体が発生した磁力によって引き付けられまたは反発されたり、前記可動部品を前記静止部品に近づけたり遠ざけたり、ひいては前記クランプアームを開閉することを特徴とする電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具を提供する。
【0008】
一実施形態では、前記着磁体が前記静止部品に接続され、前記被着磁体が前記可動部品に接続される。
【0009】
もう1つの実施形態では、前記着磁体が前記可動部品に接続され、前記被着磁体が前記静止部品に接続される。
【0010】
さらに、前記駆動部品は駆動弾性体をさらに含み、前記駆動弾性体の一端が前記静止部品上に接続され、他端が前記可動部品上に接続され、且つ前記駆動弾性体は弾性を有する。
【0011】
さらに、前記駆動部品は制限弾性体をさらに含み、前記制限弾性体は弾性を有し、且つ前記制限弾性体が前記可動部品上に取り付けられる。
【0012】
一実施形態では、前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の対向移動を防止することができる。
【0013】
もう1つの実施形態では、前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の離間移動を防止することができる。
【0014】
具体的には、上記外科器具は超音波手術器具、高周波電気ナイフ、プラズマ手術器具またはレーザーメスである。さらに、前記外科用手術器具は超音波手術器具であり、前記超音波手術器具はメスハンドルをさらに含み、前記メスハンドルは遠位端にメスヘッドを有し、前記クランプアームが2つの回転移動ペアを介してそれぞれ可動部品の遠位端と静止部品の遠位端に接続され、可動部品が静止部品に対して近位端または遠位端へ移動すると、前記クランプアームを駆動して前記メスヘッドに対して開いたり閉じたりすることで、組織をクランプしてクランプされた組織に一定のクランプ力を加える。
【0015】
さらに、駆動部品はクランプ機構の制御電流信号を受信し、可動部品の静止部品に対する近位端または遠位端への移動を制御する。
さらに、前記可動部品は、内管、接続座、および締めキャップを含み、前記内管はメスハンドルの外側に位置し、メスハンドルに沿って縦方向に延伸し、前記接続座は前記内管の近位端に嵌設され前記内管に固定的に接続され、前記締めキャップは接続座の外側に固定的に接続される。
【0016】
一実施形態では、内管の近位端外側に溝が設けられ、接続座の近位端内側の対応する位置に突起が設けられ、前記突起が前記溝内に係合されることにより前記内管と接続座が係争され固定的に接続される。
【0017】
一実施形態では、締めキャップは雌ねじを含み、前記接続座の対応する位置に雄ねじを含み、雌ねじと雄ねじの接続により締めキャップと接続座とがしっかり接続される。
【0018】
さらに、前記静止部品は外管、ベース、ハウジング、およびピン軸を含み、前記外管は前記内管の外側に位置し内管に沿って縦方向に延伸し、前記ベースは穴を有し前記外管の近位端に嵌設され、前記ベースとハウジングとが縦方向の軸線方向に固定的に接続され、前記ベース、外管、内管およびメスハンドル上の対応する位置に縦軸に垂直な穴が設けられ、前記ピン軸がこれらの穴を順に貫通し、ベース、外管、メスハンドル上の穴のメスハンドルの縦軸方向上の幅がピン軸の縦軸方向の幅と同じかまたはやや大きくなり、内管上の穴の縦軸方向上の幅がピン軸の縦軸方向の幅よりも大きい。上記の構造によってベース、外管とメスハンドルがハウジングに対して近位端または遠位端への移動が制限される一方、内管はハウジングに対して近位端または遠位端へ移動可能である。
【0019】
さらに、前記ピン軸は円筒形であり、前記ベース、外管、メスハンドル上の穴は丸穴であり、前記丸穴の直径がピン軸の直径と同じかまたはやや大きくなり、内管上の穴はウエスト型の穴であり、その縦軸方向上の長さがピン軸の直径よりも大きく、縦軸に垂直な方向上の幅がピン軸の直径と同じか、またはやや大きくなる。
【0020】
さらに、ベースの近位端に溝が設けられ、ハウジングの遠位端の対応する位置にボスが設けられ、ハウジングのボスがベース上の溝に係合されてベースとハウジングが縦方向軸線方向に固定的に接続される。
【0021】
さらに、前記着磁体が前記ハウジング上に取り付けられ、前記駆動弾性体の一端が着磁体と接触し、他端が締めキャップと接触し、自身の弾性により締めキャップと着磁体間の対向移動を防止する。
【0022】
一実施形態では、前記駆動部品は弾性を有する制限弾性体をさらに含み、前記制限弾性体および前記被着磁体が前記可動部品上に取り付けられる。
さらに、前記被着磁体と制限弾性体が接続座と締めキャップ間に取り付けられ、被着磁体が近位端または遠位端へ移動すると可動部品を駆動して近位端または遠位端へ移動させることができる。
【0023】
もう1つの実施形態では、前記駆動弾性体は前記静止部品と前記可動部品間の離間移動を防止する。
【0024】
一実施形態では、前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の対向移動を防止する。
【0025】
もう1つの実施形態では、前記制限弾性体は前記被着磁体と前記着磁体間の離間移動を防止する。
【0026】
具体的には、前記着磁体はケイ素鋼板上に導体コイルを巻くことによって形成される。
【0027】
具体的には、前記被着磁体は純鉄、ソフトフェライトまたは低炭素鋼で形成される。
【0028】
一実施形態では、前記被着磁体は永久磁石である。
【0029】
もう1つの実施形態では、前記被着磁体は電磁石であり、電流を流すと磁力が発生し、電流の方向と大きさを変えることで磁力の方向と大きさを変えることができる。
【0030】
一実施形態では、前記駆動弾性体と制限弾性体は低透磁率の材料で波状ばね、円筒状ばねなどにすることができる。
【0031】
もう1つの実施形態では、前記駆動弾性体と制限弾性体は弾性コロイド材料で作られる。
【0032】
本願の第2態様によれば、電気駆動クランプ機構を有する外科手術システムを提供し、上記外科用手術器具および本体を含み、前記本体はクランプ機構制御電流を発生し前記電気駆動クランプ機構に伝達する。
【0033】
さらに、前記外科手術システムはロボット手術システムであり、着磁体および/または被着磁体中の電流の方向および大きさはロボット手術システムによって自動的に調整される。
【0034】
本願の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具および手術システムによれば、使用状況に応じて動的にクランプ力を調整してより良好な切断および凝固効果を達成し、参照文献の実施形態および他の従来技術に比べると、構造が簡単で、コストが低い利点を有する。そして、本願の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具によれば、ロボット手術における端末実行器具として使われ、操作が便利であり、大規模な普及に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本願の一実施形態による超音波手術システムの構造図である。
図2図1における超音波手術システムに含まれる電気駆動クランプ機構を有する超音波手術器具の具体的な構造模式図である。
図3図2における電気駆動クランプ機構の具体的な構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施例中の技術手段をあきらかに、詳細に説明するが、もちろん、説明する実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、すべの実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者は創造的な労働をせずに得られた他の実施例はすべて本願の保護範囲に含まれる。
【0037】
なお、本願では超音波メスの実施例を基に本願の電気駆動クランプ構造を詳細に説明するが、本願は、クランプ操作により人体組織を切断および凝固する必要があるアクティブ外科用手術器具にも適用され得る。これはあごのクランプ力の大きさは超音波手術器具の性能にとって重要な指標であるだけでなく、他のアクティブ外科器具、例えば高周波電気ナイフ、プラズマ手術器具、レーザーメスなどにも重要の指標であり、手術中に組織の切断および凝固状况に応じて動的にクランプ力を調整することはこれらの器具にも重要であり、且つこれらの器具もロボットの外科手術に応用されるニーズがあるからである。
【0038】
説明の便宜、本願の「近位端」とは、器具が操作者によって把持される時操作者に近い一端を指し、「遠位端」とは器具が操作者によって把持されるとき操作者から離れた一端を指す。
【0039】
図1を参照して、本願の一実施形態による超音波手術システムが示され、本体1、トランスデューサー2、超音波手術器具3を含み、前記超音波手術器具3は電気駆動クランプ機構を含む。本体1は超音波制御電流およびクランプ機構制御電流を発生しトランスデューサー2に伝達し、トランスデューサー2は受信した超音波制御電流を機械的振動に変換し超音波手術器具3のあごまたはメスヘッドに伝達する一方、クランプ機構制御電流を超音波手術器具3中の電気駆動クランプ機構に伝達する。超音波手術器具3は前記超音波振動電流および前記クランプ機構制御電流を受信し、遠位端のあごによって人体組織をクランプしてクランプされた組織に対して超音波切断および止血を行う。
【0040】
図2を参照して、図1に示す電気駆動クランプ機構を有する超音波手術器具3が詳細に示され、メスハンドル10、クランプアーム20、可動部品30、静止部品40および駆動部品50を含む。前記メスハンドル10は近位端(即ち操作者に近い一端)にトランスデューサー2に固定的に接続され、図2に示す実施形態ではねじにより接続されメスハンドル10はトランスデューサー2が発生した機械的振動を受信し超音波共振を発生し、前記メスハンドル10は遠位端(即ち操作者から離れる一端)にクランプされた組織に超音波エネルギーを加えるメスヘッドを有する。クランプアーム20は該メスヘッドに対して開いたり閉じたり、組織をクランプしてクランプされた組織に一定のクランプ力を加えることができる。
【0041】
駆動部品50はトランスデューサー2から転送されたクランプ機構制御電流信号を受信し、可動部品30の静止部品40に対する近位端または遠位端への移動を制御する。クランプアーム20は2つの回転移動ペアを介してそれぞれ可動部品30の遠位端と静止部品40の遠位端に接続され、可動部品30が静止部品40に対して近位端または遠位端へ移動すると、クランプアーム20を駆動してメスハンドル10のメスヘッドに対して開いたり閉じたりすることで、組織をクランプしてクランプされた組織に一定のクランプ力を加える。
【0042】
図3を参照して、図2における電気駆動クランプ機構の具体的な構造模式図が詳細に示され、電気駆動クランプ機構は可動部品30、静止部品40および駆動部品50を含む。前記可動部品30は内管301、接続座302と締めキャップ303を含み、前記内管301はメスハンドル10の外側に位置しメスハンドル10に沿って縦方向に延伸し、前記接続座302は内管301の近位端に嵌設され、前記内管301に係合され、図3を参照して、内管301の近位端外側に溝が設けられ、接続座302の近位端内側の対応する位置に突起が設けられ、前記突起が前記溝内に係合されることにより前記内管301と接続座302とが固定的に接続される。締めキャップ303が接続座302の外側に固定的に接続され、図2に示す実施形態では、締めキャップ303は雌ねじを有し、接続座302の対応する位置に雄ねじを有し、雌ねじと雄ねじの接続により締めキャップ303と接続座302とがしっかり接続される。
【0043】
図3を参照して、前記静止部品40は外管401、ベース402、ハウジング403とピン軸404を含み、前記外管401は内管301の外側に位置し内管301に沿って縦方向に延伸し、前記ベース402は穴を有し外管401の近位端に嵌設され、ベース402の近位端に溝が設けられ、ハウジング403の遠位端の対応する位置にボスが設けられ、ハウジング403のボスがベース402上の溝に係合されてベース402とハウジング403とが縦方向軸線方向に固定的に接続される。ベース402、外管401、内管301およびメスハンドル10上に縦軸に垂直な穴が設けられ、ピン軸404がこれらの穴を順に貫通する。ベース402、外管401、メスハンドル10上の穴は丸穴であり、前記丸穴の直径がピン軸404の直径と同じか、またはやや大きくなり、内管301上の穴はウエスト型の穴であり、その内管301縦軸線方向上の幅がピン軸の直径よりも大きく、縦軸に垂直な方向上の幅がピン軸の直径と同じか、またはやや大きくなる。このような構造により、ベース402、外管401とメスハンドル10のハウジング403に対する近位端または遠位端への移動が制限される一方、内管301はハウジング403に対して近位端または遠位端へ移動可能である。
【0044】
図3を参照して、前記駆動部品50は着磁体501、被着磁体502、駆動弾性体503と制限弾性体504を含む。前記着磁体501がハウジング403上に取り付けられ、図3に示す実施形態では、着磁体501が締めキャップ303の近位端に位置する。前記駆動弾性体503の一端が着磁体501に接触し、他端が締めキャップ303に接触し、自身の弾性により締めキャップ303と着磁体501間の対向移動を防止する。前記被着磁体502と制限弾性体504が可動部品30上に取り付けられ、例えば図3に示すように、接続座302と締めキャップ303間に取り付けられ、このように、被着磁体502が近位端または遠位端へ移動すると、可動部品30を駆動して近位端または遠位端へ移動させることができる。
【0045】
電気駆動クランプ機構の動作流れは以下の通りである。前記着磁体501はトランスデューサー2から転送されたクランプ機構制御電流信号を受信すると、即通電すると、磁力が発生し、被着磁体502を引き付けて近位端へ移動させ、さらに可動部品30を駆動して近位端へ移動させ、可動部品30は回転移動ペアを介してクランプアーム20をメスハンドル10のメスヘッドに対して徐々に閉じる。着磁体501に通電される電流の大きさによって着磁体501で発生した磁力の大きさを制御し、それに応じて可動部品30の近位端への移動距離の大きさを制御し、ひいてはクランプアーム20のメスハンドル10のメスヘッドに対する閉じ度合いおよび両者間のクランプ力の大きさを制御する。具体的には、着磁体501に通電される電流が徐々に大きくなると、駆動弾性体503も徐々に圧縮され、クランプアーム20がメスハンドル10に対して徐々に閉じ、両者間のクランプ力も大きくなり、内管301がピン軸404に止められると近位端へのさらなる移動が制限され、このとき駆動弾性体503は最大限に圧縮され、クランプアーム20とメスハンドル10のメスヘッド間のクランプ力も最大値になり、このとき着磁体501中の電流が継続的に大きくなると、制限弾性体504が被着磁体502によって圧縮され、制限弾性体504の圧縮力により被着磁体の近位端へのさらなる移動が制限される。着磁体501中の通電電流が徐々に小さくなると、駆動弾性体503が自身の弾性作用により伸び、可動部品30を押して遠位端へ移動させ、さらにクランプアーム20を駆動してメスハンドル10のメスヘッドに対して徐々に開き、両者間のクランプ力が徐々に小さくなり、最終的に開いて分離する。上記電気駆動クランプ機構によって電流大きさでクランプアーム20とメスハンドル10のメスヘッド間の開閉動作を制御でき、かつクランプ中のクランプ力の大きさを制御することができる。
【0046】
前記着磁体501は電流により磁力を発生する構造で形成されており、一実施形態では、ケイ素鋼板上に導体コイルを巻くことによって形成される。前記被着磁体502は高透磁率の材料、例えば純鉄、ソフトフェライトまたは低炭素鋼などで作られ、または永久磁石、電磁石であってもよく、電流によってその磁力の大きさを制御する。前記駆動弾性体503と制限弾性体504は低透磁率の材料(オーステナイト系ステンレス鋼など)で波状ばね、円筒状ばねなどにしてもよく、または弾性コロイド材料で作られてもよい。さらに、他の部材はすべて低透磁率または非磁性の材料で作られる必要がある。
【0047】
本願の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具および手術システムによれば、使用状況に応じて動的にクランプ力を調整してより良好な切断および凝固効果を達成し、参考文献の実施形態および他の従来技術に比べると、構造が簡単で、コストが低い利点を有する。そして、本願の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具によれば、ロボット手術における端末実行器具として使われ、操作が便利であり、大規模な普及に寄与する。
【0048】
なお、図中の実施形態は本願の代表的な実施例に過ぎず、当業者は、本願の保護範囲が図面の実施形態によって定義された範囲のみに限定されなく、図面の実施形態の組み合わせ、変形、および変更はすべて本願の保護範囲内に含まれることを容易に理解できることに留意されたい。
【0049】
上記に開示されたものは本願のいくつかの好適な実施例に過ぎず、本願の範囲はこれらに限定されるものではなく、本願の精神を逸脱しない限りなされたすべての等価変更も本願の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020年2月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項28
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項28】
前記駆動弾性体と制限弾性体は、低透磁率の材料で波状ばねまたは円筒状ばねである請求項1〜22のいずれか1項に記載の電気駆動クランプ機構を有する外科用手術器具。
【国際調査報告】