(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-528206(P2020-528206A)
(43)【公表日】2020年9月17日
(54)【発明の名称】バッテリシステムの温度制御のための温度制御装置、バッテリシステム、およびバッテリシステムの温度制御および/または消灯のための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20200821BHJP
A62C 3/16 20060101ALI20200821BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20200821BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20200821BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20200821BHJP
H01M 2/12 20060101ALI20200821BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20200821BHJP
【FI】
H01M10/6556
A62C3/16 C
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/48 301
H01M2/12 101
H01M10/6567
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-503729(P2020-503729)
(86)(22)【出願日】2018年7月24日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2018070059
(87)【国際公開番号】WO2019020639
(87)【国際公開日】20190131
(31)【優先権主張番号】102017116981.4
(32)【優先日】2017年7月27日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519410725
【氏名又は名称】ライオン スマート ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】べーレン、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】クインガー、ダニエル
【テーマコード(参考)】
5H012
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
5H012BB01
5H012FF01
5H030AA06
5H030AS20
5H030FF22
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
本発明は少なくとも1つのバッテリサブシステム(2)を有するバッテリシステム(1)の温度制御のための温度制御装置(10)に関し、温度制御装置(10)は温度制御流体(40)を伝導するための温度制御ライン(20)と、温度制御ライン(20)内の温度制御流体(40)の流れを少なくとも第1の流れ方向(50)に生成するためのポンプ装置(3)とを有し、温度制御ライン(20)はバッテリサブシステム(2)へ、またはバッテリサブシステム(2)から熱エネルギーを供給および/または放出するために、少なくとも1つのバッテリサブシステム(2)に熱伝導的に接続され得る少なくとも1つの温度制御部(22)を有する。さらに、本発明は、少なくとも1つのバッテリサブシステム(2)と温度制御装置(10)とを備えるバッテリシステム(1)に関する。さらに、本発明はそのようなバッテリシステム(1)を温度制御および/または消滅させるための方法に関し、バッテリシステム(1)を温度制御するために、ポンプ装置(3)は、温度制御ライン(20)内の温度制御流体(40)の第1の流れ方向(50)への流れを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリーサブシステム(2)を備えたバッテリーシステム(1)の温度を制御する温度制御装置(10)であって、
前記温度制御装置(10)は、温度制御流体(40)を輸送するための温度制御ライン(20)と、前記温度制御ライン(20)に少なくとも第1の流れ方向(50)で前記温度制御流体(40)の流れを生成する、ポンプ装置(3)と、を有し、
前記温度制御ライン(20)は、少なくとも1つの温度制御部(22)を有し、前記温度制御部(22)は、前記少なくとも1つのバッテリーサブシステム(2)に熱エネルギーを供給/またはバッテリーサブシステム(2)から発信するために、前記少なくとも1つのバッテリーサブシステム(2)に熱伝導的に接続されることができ、
逆止弁(24)が、前記温度制御ライン(20)に前記第1の流れ方向(50)に関して前記少なくとも1つの温度制御部(22)の上流に配置され、
前記逆止弁(24)は、前記第1の流れ方向(50)において前記温度制御流体(40)と連続しており、前記第1の流れ方向(50)とは逆の第2の流れ方向(51)で遮断することを特徴とする、温度制御装置(10)。
【請求項2】
前記ポンプ装置(3)は前記温度制御流体(40)を、前記温度制御ライン(20)内の前記第2の流れ方向(51)への前記温度制御流体(40)の流れを生成するために、漏れ点(30)であって、火災によって生成された漏れ点(30)に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置(10)。
【請求項3】
前記温度制御部(22)および/または前記温度制御部(22)の近傍の前記温度制御ライン(20)は、火災時に漏れ点(30)を制御して発生させるための安全部(23)を有することを特徴とする請求項2に記載の温度制御装置(10)。
【請求項4】
前記安全部(23)は弁要素(31)を有し、前記弁要素(31)は、温度制御流体(40)の限界温度及び/又は限界圧力が制御された開放によって超えられたときに、制御された開放によって漏れ点(30)を形成することを特徴とする請求項3に記載の温度制御装置(10)。
【請求項5】
前記温度制御装置(10)が前記温度制御流体(40)の温度および/または圧力および/または蒸発を決定するための少なくとも1つのセンサ装置(5)と、前記センサ装置(5)によって決定されたセンサデータを評価し、限界温度および/または限界圧力を超えたときに弁要素(31)を開くための、弁要素(31)を制御するための制御ユニット(4)とを有することを特徴とする請求項4に記載の温度制御装置(10)。
【請求項6】
前記弁要素(31)は前記温度制御流体(40)の限界温度および/または限界圧力を超えたときに、制御された破裂によって前記漏れ点(30)を形成する破裂弁(32)として構成されることを特徴とする請求項4に記載の温度制御装置(10)。
【請求項7】
前記温度制御ライン(20)に電気的絶縁温度制御流体(40)が充填されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の温度制御装置(10)。
【請求項8】
前記バッテリーシステム(1)は複数のバッテリーサブシステム(2)を有し、前記バッテリーサブシステム(2)の各々のための温度制御ライン(20)はそれぞれのバッテリーサブシステム(2)のための温度制御部(22)をそれぞれ有する温度制御ブランチ(21)を有し、前記逆止弁(24)は前記第1の流れ方向(50)に関して前記温度制御ブランチ(21)の各々に配置され、前記温度制御部(22)の上流にあり、前記逆止弁(24)は前記第1の流れ方向(50)において連続しており、前記第2の流れ方向(51)において遮断することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の温度制御装置(10)。
【請求項9】
前記温度制御ライン(20)が閉鎖温度制御回路の一部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の温度制御装置(10)。
【請求項10】
前記温度制御ライン(20)に圧力緩和弁(6)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の温度制御装置(10)。
【請求項11】
少なくとも1つのバッテリサブシステム(2)と温度制御装置(10)とを有するバッテリシステム(1)であって、前記温度制御装置(10)は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の構成を有することを特徴とするバッテリシステム(1)。
【請求項12】
前記バッテリシステム(1)の温度を制御するために、前記ポンプ装置(3)が、前記温度制御ライン(20)内に前記第1の流れ方向(50)に前記温度制御流体(40)の流れを生成し、
a)バッテリシステム(1)内の火災を検出するステップと、
b)前記ポンプ装置(3)を制御して、前記第2の流れ方向(51)に前記温度制御流体(40)の流れを発生させるステップと、
を含む、ことを特徴とする、
請求項11に記載のバッテリシステム(1)の温度制御および/または消火方法。
【請求項13】
ステップa)において、火災が、前記温度制御流体(40)の温度及び/又は圧力及び/又は蒸発を決定するためのセンサ装置(5)のセンサデータの評価によって認識されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)において、前記ポンプ装置(3)は、前記温度制御流体(40)が漏れ点(30)から出るように作動されることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)において、ポンプ装置(3)は、温度制御ライン(20)内の温度制御流体(40)の充填レベルが漏れ点(30)において、または少なくとも漏れ点(30)の近傍において、一定または少なくとも実質的に一定のままであるように作動されることを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つのバッテリサブシステムを有するバッテリシステムの温度制御のための温度制御装置に関し、温度制御装置は温度制御流体を導くための温度制御ラインと、温度制御流体の流れを温度制御ライン内に少なくとも第1の流れ方向に生成するためのポンプ装置とを有し、温度制御ラインはバッテリサブシステムに熱エネルギーを供給および/またはバッテリサブシステムから熱エネルギーを放電するために、少なくとも1つのバッテリサブシステムに熱伝導的に接続することができる少なくとも1つの温度制御セクションを有する。さらに、本発明は少なくともバッテリサブシステムと、温度制御装置と、このようなバッテリシステムを温度制御および/または消滅させるための方法とを備えるバッテリシステムに関し、バッテリシステムの温度制御のために、ポンプ装置は、温度制御ラインにおいて第1の流れ方向に温度制御流体の流れを生成する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵装置は、現代の技術、例えば電気自動車に広く使用されている。このようなエネルギー貯蔵システムの可能な形態は例えば、リチウムイオン電池である。このようなバッテリの性能を向上させるために、例えば、いくつかの個々のバッテリサブシステムを1つのバッテリレベルで並列に電気的に接続することができることが知られている。さらなる増加を達成するために、これらの電池レベルの2つ以上を直列に接続して電池スタックを形成することができる。特に、個々の電池レベルは、互いの上に配置され、電気的に接続されることができる。
【0003】
バッテリシステムの動作中、発熱は、通常、無視できない。しかしながら、バッテリシステムの温度が低すぎると、バッテリシステムの有効な動作が妨げられる。したがって、バッテリシステム、特にバッテリシステムの個々のバッテリサブシステムの温度制御は、通常不可避である。バッテリサブシステムまたはバッテリシステム全体への熱損傷は、温度制御装置の存在によって回避することができる。周知の温度制御装置は、通常ポンプ装置によって駆動される温度制御流体が流れる温度制御ラインを有することが多い。温度制御ライン、例えば、温度制御ラインの温度制御セクションと、バッテリシステムの個々のバッテリサブシステムとの間の熱伝導接続によって、熱エネルギー、言い換えれば、バッテリサブシステムからの廃熱は温度制御流体によって吸収され、バッテリサブシステムから離れるように輸送されることができ、または、温度制御流体を介してバッテリサブシステムに輸送され、それらに転送されることができる。
【0004】
さらに、バッテリシステムであっても、火災および/または火災の発生を完全に防止することができず、特に、例えば、バッテリシステムが車両に関与する事故の場合に車両に使用される場合に発生する可能性があるような極端な外部影響の場合には、火災および/または火災の発生を完全に防止することができない。バッテリシステムへの不必要な損傷を回避するために、特に、このような火災によるバッテリシステムの周囲の危険を回避するために、このような火災をできるだけ迅速に消火することが望ましい。したがって、従来技術によれば、火災の場合に火災の迅速な消火を保証するバッテリシステムに追加の消火装置を使用することが知られている。しかしながら、ここでの欠点はこれらの付加的な消火装置も付加的な設置スペースを必要とし、その結果、バッテリシステムが全体的にコンパクトでなくなることである。また、このような追加の消火装置はしばしば複雑であり、特にコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を少なくとも部分的に改善することである。特に、本発明の目的は費用効果が高く簡単な方法で、温度制御装置、バッテリシステム、およびバッテリシステムを温度制御および/または消火する方法を提供することであり、それによって、バッテリシステムの温度制御に加えて、バッテリシステム内で起こり得る任意の1つまたは複数の火災の単純化された消火も提供することができ、特に、温度制御装置の既存の構成要素は、バッテリシステム内の1つまたは複数の火災を消火するためにも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的は、独立請求項1の特徴を有する温度制御装置によって、独立請求項11の特徴を有するバッテリシステムによって、および独立請求項12の特徴を有するバッテリシステムの温度制御および/または消滅のための方法によって解決される。本発明のさらなる特徴および詳細は、従属請求項、説明および図面から得られる。本発明による温度制御装置に関連して説明される特徴および詳細は当然ながら、本発明によるバッテリシステムならびに本発明による方法に関連して適用され、それぞれの場合においてその逆も同様であり、したがって、本発明の個々の態様の開示に関して、相互参照がなされるか、または常になされ得る。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、目的は少なくとも1つのバッテリサブシステムを有するバッテリシステムの温度制御のための温度制御装置によって解決され、温度制御装置は温度制御流体を導くための温度制御ラインと、温度制御流体ライン内の温度制御流体の流れを少なくとも第1の流れ方向に生成するためのポンプ装置とを備え、温度制御ラインはバッテリサブシステムに熱エネルギーを供給および/またはバッテリサブシステムから熱エネルギーを放出するために少なくとも1つのバッテリサブシステムに熱伝導的に接続され得る少なくとも1つの温度制御部を備え、温度制御ラインはバッテリサブシステムに熱エネルギーを供給および/またはバッテリサブシステムから熱エネルギーを放出するために少なくとも1つのバッテリサブシステムに熱伝導的に接続され得る少なくとも1つの温度制御部を備える。本発明による温度制御装置は少なくとも1つの温度制御セクションの前の第1の流れ方向に対して温度制御ラインに逆止弁が配置され、逆止弁は第1の流れ方向に温度制御流体に対して連続的であり、第2の流れ方向に遮断し、第2の流れ方向は第1の流れ方向とは反対であることを特徴とする。
【0008】
本発明による温度制御装置は、バッテリシステムの温度を制御するように構成される。本発明の意味における温度制御は特に、温度制御装置によるバッテリサブシステムの温度の制御された変化、加熱及び冷却の両方を意味する。バッテリサブシステム、したがってバッテリシステム全体の過冷却ならびに過熱を回避することができる。バッテリシステムは少なくとも1つのバッテリサブシステムを有し、好ましくは、特にいくつかのバッテリレベルに配置された、いくつかのバッテリサブシステムを有する可能性がある。本発明の意味におけるバッテリサブシステムは特に単一のバッテリセルであると理解されるが、バッテリセルのグループでもあると理解される。温度制御装置は、好ましくはバッテリサブシステムの各々の温度を制御するように構成される。温度制御されるバッテリサブシステムの各々、特にバッテリサブシステムのために、温度制御装置は、それぞれのバッテリサブシステムに熱伝導的に接続され得る温度制御セクションを有する。温度制御装置のポンプ装置は温度制御ライン内に温度制御流体の流れを生成し、それによって、温度制御流体は、温度制御ラインを通って、特に温度制御セクションを通って流れる。温度制御流体は、気体、液体および/または混合状態で存在することができる。このようにして、熱エネルギーは、それぞれのバッテリサブシステムからの温度伝導において温度制御流体によって吸収され、バッテリサブシステムから離れて輸送されるか、またはバッテリサブシステムに輸送され、バッテリサブシステムから放出されることができる。温度制御装置はまた、例えば、膨張タンク、温度制御流体リザーバ、温度制御流体ヒータ、ラジエータ、および/またはバッテリサブシステムによって吸収された熱エネルギーを、特に環境に送達するための熱交換器などの他の構成要素を有する可能性がある。
【0009】
本発明によれば、バッテリシステムの温度制御装置は、バッテリシステム内で発生する1つまたは複数の火災を消火するために使用することもできる。この目的のために、温度制御装置は、少なくとも1つの温度制御セクションの前の第1の流れ方向に対して温度制御ラインに配置された逆止弁を備える。言い換えれば、逆止弁はポンプ装置から来る温度制御流体が最初に逆止弁を通って流れ、次いで少なくとも1つの温度制御セクションに入るように、温度制御ライン内に配置される。逆止弁はこの第1の流れ方向に連続しており、その結果、逆止弁は温度制御装置の通常または温度制御動作中に、ポンプ装置によって駆動される温度制御流体の流れを損なわないか、または少なくともわずかに損なわない。第1の流れ方向と反対の第2の流れ方向において、逆止弁は閉じる。これは、本発明による温度制御装置の消火機能を提供するために使用される。バッテリシステム内で火災または火災が発生した場合、温度制御ラインの局所的な破壊は、通常、この火災によって引き起こされる。このようにして、例えば、温度制御ラインにおいて、いわゆる漏れ点が生じ得る。さらに、バッテリシステムの火災は温度制御装置によって、例えば、温度制御流体の変化、例えば、温度制御流体の圧力を検出することによって検出することができる。温度制御流体のこのような圧力変化は例えば、火災の熱効果による温度制御流体の局所的な蒸発によって、または温度制御流体が上述の漏れ点を通って逃げるときに生じる温度制御流体の圧力降下によって検出することができる。このような火災または火災の場合には、温度制御装置のポンプ装置が好ましくは第1の流れ方向にポンピング方法を調整することができる。この場合、温度制御ラインにおける第2の流れ方向の温度制御流体の流れは、例えば、追加のポンプによって、既存のポンプ装置の適切な制御によって、また、例えば、温度制御流体に対する重力効果によっても生成されることが好ましい。上述の逆止弁により、温度制御ライン内の第2の流れ方向の温度制御流体の流れが基本的に遮断され、好ましくは完全に遮断される。しかしながら、やはり上述したように、通常、火災の領域に漏れ点があり、その結果、温度制御流体はそこから逃げることができ、このようにして、第2の流れ方向への温度制御流体の流れが可能である。換言すれば、第2の流れ方向の火災の場合には温度制御流体は火災の位置にのみ流れ、温度制御装置の温度制御ライン内の全ての他の可能な流路は逆止弁によって遮断される。火災の場所に温度制御流体を供給することによって、火災を消火することができ、または少なくとも熱エネルギーをこの局所的に非常に大きな熱源から除去することができる。このようにして、発生する火災を迅速かつ有利に消火することができるが、少なくともその熱効果は熱エネルギーを除去することによって最小限に抑えることができる。全体として、これは既存の温度制御装置によって提供することができ、その結果、追加の消火装置が必要でなく、それにもかかわらず設置される消火装置は少なくともかなり小さい寸法にすることができる。したがって、このような温度制御装置を備えたバッテリシステムは特に、よりコンパクトに計画され、構成されることができる。
【0010】
さらに、本発明による温度制御装置において、温度制御流体を供給するためのポンプ装置が温度制御ライン内で第2の流れ方向に温度制御流体の流れを生成するために、漏れ点、特に火災によって生成される漏れ点で構成されることが提供されてもよい。本発明による温度制御装置のこの特に好ましい実施形態では、既存のポンプ装置を使用して、温度制御ライン内の温度制御流体を第2の流れ方向に流す。したがって、追加のポンプまたは第2の流れ方向における温度制御流体の流れの重力供給への依存を回避することができる。したがって、本発明による温度制御装置のさらにコンパクトな構成、したがって、このような温度制御装置を有するバッテリシステム、ならびにバッテリシステム内の火災を消火するときの安全性の向上を可能にすることができる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、本発明による温度制御装置はまた、温度制御部および/または温度制御部の近傍における温度制御ラインが特に漏れ点を有する火災の場合に、制御された生成のための安全部を有することを提供してもよい。しかしながら、このような安全部は、火災の場合に漏れる可能性が高いバッテリシステムの温度制御ライン上の部として提供または定義することができる。好ましくは、この確率が100%であるか、または少なくともわずかに100%未満である。また、各バッテリサブシステムの各温度制御部は、そのような安全部を有することが好ましい。換言すれば、このような安全部は、火災の場合に漏れが生じる温度制御ラインに沿った位置を少なくとも非常に確率的に決定することができる。これはバッテリシステム全体が漏れ点のこの位置に配置されることを可能にし、これはバッテリシステムが動作されるときの全体的な安全性を増加させる。
【0012】
本発明による温度制御装置は好ましくは安全部が弁要素を有し、特に温度制御流体の限界温度及び/又は限界圧力を超えたときに、弁要素が制御された開放によって漏れ点を形成するように、更に発展させることができる。このような弁要素は、少なくともバッテリシステムの作動前に調整することができる漏れ点を発生させる特に安全な可能性を示す。漏れ点の位置でさえも、このような弁要素を用いて、より正確に計画可能であるように構成することができる。したがって、例えば火災中の熱の影響による温度制御ラインの破裂による漏れ点の制御されない発生を回避することができる。
【0013】
第1の代替実施形態によれば、本発明に基づく温度制御装置は温度制御装置が温度制御流体の温度および/または圧力および/または蒸発を決定するための少なくとも1つのセンサ装置と、センサ装置によって決定されたセンサデータを評価し、限界温度および/または限界圧力を超えたときに弁要素を開くために弁要素を制御するための制御ユニットとを有するように、さらに開発することができる。したがって、この第1の代替実施形態では、漏れ点の生成が温度制御流体の特性の測定、これらの特性の評価、および弁装置の制御された開口を含む。温度制御流体の特性を測定および評価することによって、特に火災および/または火災の検出を提供することができる。これは、弁装置の開口を正確に調節および/または調整することができるという特別な利点を有する。特に、このようにして、弁装置を開放するためのトリガ基準の後続の修正を行うこともできる。さらに、特に、限界温度および/または限界圧力が再び限界を下回った場合には、弁要素を閉じることもできる。このようにして、バッテリシステムの通常動作の特に迅速な再開を提供することができる。
【0014】
本発明による温度制御装置の代替のさらなる発展形態では、弁要素が制御された破裂によって温度制御流体の限界温度および/または限界圧力を超えたときに漏れ点を形成する破裂弁として構成されてもよい。特に、このタイプのバースト弁は温度制御流体の限界温度および/または限界圧力を超えるとすぐに、弁要素の自動的な開口を保証する。これは、漏れ点を作り出すときに弁要素を開くために弁要素の外部制御または作動が必要でないので、本発明による温度制御装置の特に単純かつ安全な構成を表す。例えば、この構成は、センサデータの評価が例えば制御ユニットの電力供給の中断によってもはや可能でない場合であっても、漏れ点が生成されることを保証することもできる。
【0015】
さらに、本発明による温度制御装置の場合には、上述の両方の選択肢が並列に使用されるようにしてもよい。例えば、弁要素の制御された開閉は、より低い温度または圧力範囲に対して提供され得、一方、バースト弁として構成された追加の弁要素はより高い温度または圧力効果で開き、したがって、漏れ点の十分なサイズを保証する。したがって、両方の別の実施例の利点を一緒に使用することもできる。
【0016】
本発明による温度制御装置は、温度制御ラインが電気的に絶縁された温度制御流体で満たされるように構成することもできる。このようにして、火災の場合に温度制御流体が漏れ点から漏れたとしても、バッテリシステムの開いた接点と温度制御流体との間の導電性接続によって引き起こされるバッテリシステム内の短絡がないことを保証することができる。これにより、バッテリーシステム全体のセキュリティを高めることができる。
【0017】
さらに、本発明による温度制御装置はバッテリシステムが複数のバッテリサブシステムを備えるように構成されてもよく、バッテリサブシステムの各々のための温度制御ラインは各々がそれぞれのバッテリサブシステムのための温度制御部を有する温度制御ブランチを備え、さらに、逆止弁はそれぞれの温度制御部の上流の第1の流れ方向に関して、それぞれの温度制御ブランチに配置され、逆止弁は第1の流れ方向に連続し、第2の流れ方向に遮断する。言い換えれば、温度制御ラインはいくつかの温度制御ブランチに分割または分岐し、その各々は、バッテリシステム内のそれ自体の領域の温度制御のための温度制御セクションを有する。本発明による温度制御装置のこの特に好ましい実施形態では、温度制御ブランチの各々がそれ自体の逆止弁も別個に装備される。このようにして、例えば、第2の流れ方向における温度制御流体の流れに関する全遮断負荷が、多くの逆止弁に分配されることを保証することができる。この場合、個々の逆止弁は、より小さい寸法であってもよい。全体として、この実施形態は、バッテリサブシステムの各々がそれ自体の温度制御分岐を有し、それがそれ自体の逆止弁で別々に保護されるので、本発明による温度制御装置を用いてバッテリシステムの安全性をさらに向上させることができる。
【0018】
本発明による温度制御装置の場合には、温度制御ラインが閉じた温度制御回路の一部であるようにしてもよい。この閉鎖温度制御回路では、特に温度制御流体が循環され、したがって常に再使用される。このようにして、温度制御流体の特に経済的な使用を提供することができる。したがって、このように構成された温度制御装置は温度制御流体の一定の再使用のために特に単純であり、バッテリシステムの特に効果的な温度制御を提供するようにも構成される。
【0019】
本発明による温度制御装置は、好ましくは圧力逃がし弁が温度制御ラインに配置されるように構成することもできる。このタイプの圧力逃がし弁は気化した温度制御流体が温度制御ライン内に蓄積し、例えば火災によって局所的に発生するときを検出することを特に容易にする。この圧力逃がし弁は、火災を検出するためのセンサ装置に結合されることが特に好ましい。例えば、火災の場合に温度制御流体が大量に蒸発する場合のように、温度制御ライン内の圧力が限界圧力を超えて上昇する場合には、圧力リリーフ弁が開き、センサ装置は火災を特に容易に、迅速に、かつ確実に検出することができる。さらに、このタイプの圧力逃がし弁は、温度制御ライン内の温度制御流体の過剰な圧力によって引き起こされる温度制御ラインまたは温度制御装置全体への損傷を回避することができることを保証することができる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、少なくともバッテリサブシステムと温度制御装置とを備えるバッテリシステムによって解決される。本発明に係るバッテリーシステムは、前記温度制御装置が第1の発明に係る構成であることを特徴とする。したがって、本発明の第1の態様による温度制御装置に関連して詳細に説明したすべての利点は、本発明の第1の態様によるこのような温度制御装置を有する本発明の第2の態様によるバッテリシステムによっても提供することができる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、この目的は本発明の第2の態様によるバッテリシステムの温度制御および/または消火のための方法によって解決され、それによって、バッテリシステムの温度制御のために、ポンプデバイスは、第1の流れ方向における温度制御ライン内の温度調整流体の流れを生成する。本発明による方法は、以下のステップを特徴とする:
a)バッテリシステム内の火災を検出し、
b)第2の流れ方向に温度制御流体の流れを生成するようにポンプ装置を制御する。
【0022】
本発明による方法は、本発明の第2の態様によるバッテリシステムにおいて実行される。本発明の第2の態様によるバッテリシステムは特に、本発明の第1の態様による温度制御装置を有する。したがって、本発明の第2の態様によるバッテリシステムに関連して、特に本発明の第1の態様による温度制御装置に関連して詳細に説明したすべての利点は、本発明の第3の態様による方法によっても提供することができる。
【0023】
本発明による方法は、バッテリシステムの温度制御のために構成される。この温度制御特性のために、バッテリシステムの温度制御装置のポンプ装置は、温度制御ライン内の温度制御流体が第1の流れ方向に流れるように作動される。温度制御ラインの少なくとも1つの温度制御部、好ましくはいくつかの温度制御部はバッテリシステムの少なくとも1つまたはいくつかのバッテリサブシステム上に熱伝導的に配置され、その結果、バッテリサブシステムから廃熱を除去することができ、または温度制御流体の流れによって熱エネルギーをバッテリサブシステムに供給することができる。したがって、これらのバッテリサブシステム、したがってバッテリシステム全体の温度制御を提供することができる。
【0024】
本発明による方法のステップa)およびb)は特に、バッテリシステムに火災が発生した場合または火災が発生している場合を対象とする。したがって、本発明による方法のステップa)では、バッテリシステム内の火災が検出される。この認識は例えば、制御装置を用いて適切なセンサデータを評価することによって行うことができる。火災が外部センサによって検出されたときの、本発明による方法の意味における温度制御装置の外部制御は、本発明による方法のステップa)によってもカバーされる。本発明による方法の次のステップb)では火災の存在下で、温度制御装置のポンプ装置は温度制御ライン内の温度制御流体の流れが第2の流れ方向に生成されるように制御される。第2の流れ方向は、温度制御装置の温度制御動作中に使用される第1の流れ方向とは反対である。温度制御ライン内に少なくとも1つの逆止弁が存在するため、温度制御ライン内の第2の流れ方向の温度制御流体の流れは、本質的に遮断される。温度制御流体は、火災によって漏れ点が生じたバッテリシステム内の点でのみ流出することができる。従って、温度制御流体は、もっぱらこれらの漏れ点に供給され、従って、火災が存在するバッテリシステム内のこれらの位置に局所的に供給される。火災の消火または少なくとも火災からの熱エネルギーの放散は、本発明による方法によって、このようにして特に容易にすることができる。したがって、火災によって引き起こされるバッテリシステムへの損傷を防止するか、または少なくとも大幅に低減することができる。
【0025】
本発明による方法はステップa)において、温度制御流体の温度および/または圧力および/または蒸発を決定するために、センサデバイスからのセンサデータを評価することによって火災が検出されるように、さらに開発されてもよい。バッテリシステムに火災が発生すると、温度制御流体は、局所的に非常に強く、特に通常の温度制御動作よりも著しく強く加熱される。温度制御流体の加熱は、しばしば非常に強く、その沸点以上に加熱され、従って蒸発する。温度および/または圧力および/または温度制御流体の蒸発を決定することによって、バッテリシステム内の火災の検出を非常に簡単な方法で提供することができる。したがって、火災検出のための追加の外部センサを省略することができる。
【0026】
さらに、本発明による方法の場合にはステップb)において、ポンプ装置は温度制御流体が漏れ点から出るように制御されるようになっていてもよい。この場合、温度制御流体は、電気的に絶縁性であっても非導電性であってもよい。温度制御流体は漏れ点において出現する温度制御流体によって火災内に直接、または火災の少なくとも近傍に導かれ、特に、漏れ点は、好ましくはバッテリシステム内の火災の少なくとも近傍に配置されるようにすることができる。このようにして、火災の消火を特に容易かつ特に迅速に行うことができる。火災を消火することができない場合、熱エネルギーの少なくとも大部分は、流れる温度制御流体によって吸収され、火災から運び去られることができる。したがって、バッテリシステムへの回避可能な熱損傷を回避することができる。
【0027】
あるいは本発明による方法の場合、ステップb)において、ポンプ装置は温度制御ライン内の温度制御流体のレベルが漏れ点において、または少なくとも漏れ点の近傍において、一定のままであるか、または少なくとも実質的に一定のままであるように制御されることが提供されてもよい。言い換えれば、ポンプ装置は、漏れ点において、火災の熱によって蒸発した温度制御流体のみが補償されるように制御される。本発明による方法のこの実施形態では、漏れ点からの温度制御流体の漏れが回避される。一定の、または少なくとも西部の一定の充填レベル、または少なくとも漏れ点の近傍を確保することによって、対応する点での温度制御ラインの乾燥を回避することができる。ポンプ装置による温度制御流体の連続的な補充はまた、影響を受けたバッテリサブシステムへの過剰な熱暴露を防ぐことができる。温度制御流体はその最大沸点まで加熱され、次いで蒸発するだけであり、それによって、蒸発した温度制御流体は漏れ点から現れ、欠落した体積の温度制御流体はポンプデバイスによって絶えず置き換えられる。本発明による方法のこのバージョンにおいてさえ、火災によって引き起こされるバッテリシステムへの過剰な熱損傷を回避することができる。
【0028】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、本発明の実施形態が図面を参照して詳細に説明される以下の説明から得られる。特許請求の範囲および明細書において言及される特徴は、個々にまたは任意の組み合わせのいずれかで、本発明に不可欠であり得る。実施形態の説明は、もっぱら例の文脈で本発明を説明する。もちろん、本発明の範囲を逸脱することなく、技術的に合理的であれば、実施形態の形態の個々の特徴を互いに自由に組み合わせることができる。同じ機能および作用様式を有する要素は、図面において同じ参照符号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】本発明による温度制御装置を備えた本発明によるバッテリシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による方法を概略的に示す。本発明による方法のステップa)およびb)は、文字AおよびBによって示されている。本発明による方法は
図2に示されているように、本発明によるバッテリシステム1によって、または本発明による温度制御装置10を使用することによって実行される。したがって、2つの図を以下で一緒に説明し、それによって個々の図を別々に扱う。
【0031】
本発明によるバッテリシステム1は少なくとも1つのバッテリサブシステム2を有し、本発明によるバッテリシステム1の実施形態では、2つのバッテリサブシステム2が示されている。バッテリサブシステム2は例えば、バッテリレベルで組み合わせることができ、一方、バッテリレベルは、バッテリシステム1のバッテリスタックを形成するために積み重ねることができる。したがって、このようなバッテリシステム1の高い性能は、例えば車両に使用するために達成することができる。本質的に、本発明による温度制御装置10は、バッテリシステム1のバッテリサブシステム2の温度制御のために構成される。この目的のために、温度制御装置10は、温度制御流体40がポンプ装置3によって第1の流れ方向50に循環される温度制御ライン20を有する。温度制御ライン20は、好ましくは閉じた温度制御回路の一部である。個々のバッテリサブシステム2には温度制御ライン20の温度制御部22がそれぞれ割り当てられ、この構成では個々のバッテリサブシステム2には温度制御ライン20の温度制御ブランチ21によって温度制御流体40がそれぞれ供給される。温度制御部22はそれぞれのバッテリサブシステム2に熱伝導的に接続されており、温度制御流体40が第1の流れ方向50に流れるとき、熱エネルギーは温度制御部22を過ぎて流れるときに、バッテリサブシステム2から温度制御流体40に、および/または温度制御流体40からバッテリサブシステム2に伝達され得る。このようにして、バッテリサブシステム2、ひいてはバッテリシステム1全体の効率的な温度制御を提供することができる。
【0032】
本質的に、少なくとも1つの逆止弁24が、本発明による温度制御ライン20内の温度制御装置10内に配置される。逆止弁24は、第1の流れ方向50に対して温度制御部22の前方に位置するように配置されている。図示のように、逆止弁24は温度制御ライン20の中央部分に配置することができるが、各温度制御分岐21にも配置することができる。温度制御流体40が第1の流れ方向50に流れるとき、それはポンプ装置3による通常または温度制御動作で発生されるので、逆止弁24は連続的である。したがって、この第1の流れ方向50における温度制御流体40の流れは、逆止弁24によって妨害されないか、またはほんのわずかしか妨害されない。逆止弁24は特に、本発明の温度制御装置10がバッテリシステム1内の火災を消火するために使用される場合に使用される。このような火災は本発明による方法の1つのステップa)において、例えば、バッテリシステム1の内部に配置された、例えば、各バッテリサブシステム2に関連付けられたセンサ装置5によって検出することができる。適切なセンサによって圧力逃がし弁6を監視することも可能である。制御ユニット4において、センサ装置5のデータが収集され、評価され、例えば、温度閾値及び/又は圧力閾値を超えた場合、バッテリシステム1の内部で火災が検出される。特に、このような火災は温度制御流体40の局所的な蒸発を引き起こし、次いで、圧力が非常に高くなって圧力逃がし弁6が開くまで温度制御ライン20内で上昇するので、圧力逃がし弁6を開くと、圧力逃がし弁6がバッテリーシステム1内でこのような火災を示すこともできる。火災が検出された場合、本発明による方法のステップb)において、制御ユニット4は、ポンプ装置3のポンプ方向が逆になるようにポンプ装置3を制御する。従って、温度制御流体40は、温度制御ライン20を通って第2の流れ方向51にポンプ輸送される。しかしながら、逆止弁24はこの方向に遮断し、その結果、本質的に、第2の流れ方向51における温度制御流体40の流れが遮断される。しかしながら、本発明による温度制御装置10のこの好ましい構成では、温度制御セクション22はそれぞれ、火災の場合に漏れ点30を局所的に生成するように構成された安全セクション23を有する。2つの異なるタイプの漏れ点30が示されているが、それらは一緒に使用することもできる。上側の構成では、安全部23が制御ユニット4によって制御可能な弁要素31を有する。火災が、例えば対応するセンサ装置5によって検出されると、弁要素31が作動され、開放され、その結果、局所的に制御された漏れ点30が温度制御ライン20内に生じる。従って、逆止弁24によって遮断される第2の流れ方向51における温度制御流体40の流路は、対応する漏れ点30によって局所的に開放される。このようにして、温度制御流体40は対応する漏れ点30から流出し、そこに存在する火災を消すように、ポンプ装置3を通って第2の流れ方向51に圧送することができる。あるいは、ポンプ装置3が温度制御流体40の充填レベルが漏れ点30で一定に、または少なくとも本質的に一定に保たれるように制御されることも可能である。このようにして、相応のバッテリ構成要素システム2の乾燥、ひいては過熱も回避することができる。以下の図は、温度制御装置10の漏れ点30の代替実施形態を示す。本発明によれば、この実施形態では、弁要素31はバースト弁32として構成されている。この破裂弁32は、温度制御流体40が限界温度および/または限界圧力を超えるとすぐに自動的に開く。この場合、制御ユニット4による制御は不要である。したがって、このタイプの破裂弁32は、正確に局所化された漏れ点30を生成するための特にフェールセーフな変形例である。両方の変形例において、電気的に絶縁性である温度制御流体40が温度制御装置10に使用されることが好ましい。これにより、温度制御流体40の漏れによるバッテリーシステム1の短絡を安全に防止することができる。全体として、本発明によるバッテリシステム1内の本発明による温度制御装置10は、ポンプ装置3と、特に漏れ点30によって生成される温度制御ライン20の局所的な開口とを反転させることによって、バッテリシステム1内の火災の位置への温度制御流体40の規定された流れ又は少なくとも導出を提供することができる。したがって、このような火災は迅速に消火することができ、または少なくともその熱効果を最小限に抑えることができる。したがって、特に本発明による温度制御装置10を使用することによって、追加の消火装置を回避することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 バッテリシステム
2 バッテリサブシステム
3 ポンプ装置
4 制御装置
5 センサ装置
6 リリーフ弁
10 温度制御装置
20 温度制御ライン
21 温度制御ブランチ
22 温度制御部
23 安全課
24 逆止弁
30 漏れ点
31 弁要素
32 破裂弁
40 温度制御流体
50 第1の流れ方向
51 第2の流れ方向
【国際調査報告】