特表2020-529183(P2020-529183A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-529183送信装置、データ記録装置、温度制御装置およびデータ記録装置を備えるシステム、バッテリシステム、および状態データを送信する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-529183(P2020-529183A)
(43)【公表日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】送信装置、データ記録装置、温度制御装置およびデータ記録装置を備えるシステム、バッテリシステム、および状態データを送信する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20200904BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20200904BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20200904BHJP
【FI】
   H02J13/00 301A
   H02J7/04 L
   H02J7/10 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-502981(P2020-502981)
(86)(22)【出願日】2018年7月24日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2018069978
(87)【国際公開番号】WO2019020596
(87)【国際公開日】20190131
(31)【優先権主張番号】102017116983.0
(32)【優先日】2017年7月27日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519410725
【氏名又は名称】ライオン スマート ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】オスターマイアー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】べーレン、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】クインガー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ツェッテル、ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA02
5G064AC05
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB10
5G503BB01
5G503BB02
5G503CB11
5G503GD04
(57)【要約】
本発明は、バッテリスタック(50)のバッテリ平面(60)の少なくとも1つのバッテリセル(70)の少なくとも1つのバッテリ特性を検出するための検出装置(1)に関し、少なくとも1つの電気リード要素(11)を有するキャリア(10)と、少なくとも1つのバッテリセル(70)の嵌合接触部(71)に接触する接触部(21)を有する少なくとも1つの接触要素(20)とを備え、接触要素(20)は、バッテリセル(70)の少なくとも1つのバッテリ特性を検出するためのセンサユニット(30)を有し、センサユニット(30)は、少なくとも1つの検出されたバッテリ特性を送信するために少なくとも1つのライン要素(11)にデータ通信するように接続される。さらに、本発明は、少なくとも1つのバッテリセル(70)を有する少なくとも1つのバッテリ面(60)と、検出装置(1)とを有するバッテリスタック(50)に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのバッテリセル(70)を有する少なくとも1つのバッテリ面(60)を有するバッテリスタック(50)上に検出装置(1)を取り付ける方法に関し、少なくとも1つのバッテリセル(70)は、嵌合接触部(71)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリセル(2)を有するバッテリシステム(1)のための状態データを送信するための送信装置(20)であって、少なくとも1つのバッテリセル(2)と、温度制御流体ライン(4)内の少なくとも一部で伝導される温度制御流体(6)による少なくとも1つのバッテリセル(2)の温度制御のための温度制御装置(3)とを有し、送信装置(20)は、前記少なくとも1つのバッテリセル(2)の状態データを決定するためのセンサ装置(11)へのデータ通信接続のためのセンサインタフェース(30)と、前記状態データを処理するための制御装置(12)へのデータ通信接続のための制御インタフェース(40)とを有し、前記センサインタフェース(30)は、光信号(60)を前記温度制御流体(6)内に送信するための第1の通信ユニット(31)と、前記温度制御流体ライン(4)内に前記第1の通信ユニット(31)を配置するための第1配置部(32)とを有し、前記制御インタフェース(40)は、前記温度制御流体(6)から光信号(60)を受信するための第2の通信ユニット(41)と、前記温度制御流体ライン(4)内に前記第2の通信ユニット(41)を配置するための第2の配置部(42)とを備え、配置された状態で、光信号(60)は、前記状態データを送信するために前記センサインタフェース(30)前記の第1の通信ユニット(31)によって前記温度制御流体(6)内に放射され、前記制御インタフェース(40)の前記第2の通信ユニット(41)によって前記温度制御流体(6)から受信され得ることを特徴とする送信装置(20)。
【請求項2】
前記光信号(60)は、位相同期または少なくとも実質的に位相同期および/または単色または少なくとも実質的に単色であり、特に、前記光信号(60)は、位相同期および単色レーザ光から構成されることを特徴とする請求項1に記載の送信装置(20)。
【請求項3】
前記温度制御流体(6)から前記光信号(60)を受信するための前記第1の通信ユニット(31)と、前記温度制御流体(6)に前記光信号(60)を送信するための前記第2の通信ユニット(41)とが、双方向送信を提供するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の送信装置(20)。
【請求項4】
前記送信装置(20)は、前記温度制御流体(6)との間で前記光信号(60)をそれぞれ送受信するための少なくとも1つの第3の通信ユニット(51)を有する中間増幅器ユニット(50)を備え、前記温度制御流体ライン(4)内に前記第3の通信ユニット(51)を配置するための第3の配置部(52)を備え、前記配置された状態で、前記第1の通信ユニット(31)および/または第2の通信ユニット(41)の前記光信号(60)は、前記中間増幅器ユニット(50)の前記少なくとも1つの第3の通信ユニット(51)によって前記温度制御流体(6)から受信され、前記第2の通信ユニット(41)および/または前記第1の通信ユニット(31)に前記温度制御流体(6)内に送信され得ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の送信装置(20)。
【請求項5】
前記第1の通信ユニット(31)及び/又は前記第2(41)の通信ユニット及び/又は前記第3の通信ユニット(51)が、前記光信号(60)を送るためのLED素子及び/又は前記光信号(60)を受信するための光センサ素子を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の送信装置(20)。
【請求項6】
バッテリシステム(1)の状態データを記録するためのデータ記録装置(10)であって、前記バッテリシステム(1)は、少なくとも1つのバッテリセル(2)と、温度制御流体ライン(4)内の少なくとも一部に導かれた温度制御流体(6)により少なくとも1つのバッテリセル(2)の温度を制御するための温度制御装置(3)とを有し、前記データ記録装置(10)は、前記少なくとも1つのバッテリセル(2)の状態データを決定するための少なくとも1つのセンサユニット(13)を有するセンサ装置(11)と、前記状態データを処理するための制御装置(12)と、前記状態データを送信するための送信装置(20)とを有し、前記送信装置(20)は、請求項1から5のいずれか1項に記載の構成を有することを特徴とするデータ記録装置(10)。
【請求項7】
前記制御装置(12)は、前記状態データを処理するための評価ユニット(14)を有し、少なくとも前記評価ユニット(14)及び前記第2の通信ユニット(41)は、共通の基板(7)上に配置されることを特徴とする請求項7に記載のデータ記録装置(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサユニット(13)は、以下の状態データのうちの少なくとも1つを取得するように構成されることを特徴とする請求項6または7に記載のデータ記録装置(10)。
− 温度
− 電圧
− 電流
− 漏電
【請求項9】
前記センサ装置(11)が、2つ以上のバッテリセル(2)の状態データを記録するための2つ以上のセンサユニット(13)を備え、好ましくは、前記少なくとも2つのバッテリセル(2)の各々が、少なくとも1つのセンサユニット(13)に関連付けられることを特徴とする、請求項6から8のいずれか1項に記載のデータ記録装置(10)。
【請求項10】
前記バッテリセル(2)を区別するために、前記送信装置(20)は、各関連するバッテリセル(2)のための少なくとも1つの第1の通信ユニット(31)を有し、前記第1の通信ユニット(31)の各々は、センサインタフェース(30)を介して、それぞれの前記バッテリセル(2)に関連する前記センサユニット(13)にデータ通信方式により接続されることを特徴とする、請求項9に記載のデータ記録装置(10)。
【請求項11】
前記第1の通信ユニット(31)は、前記取得されたバッテリセル(2)を区別するために、周波数変調され、パルス幅変調され、および/または振幅変調された光信号(60)を送信するように構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載のデータ記録装置(10)。
【請求項12】
バッテリシステム(1)のための温度制御装置(3)およびデータ記録装置(10)を含むシステムであって、前記バッテリシステム(1)は、少なくとも1つのバッテリセルを有し、前記温度制御装置(3)は、少なくとも1つのバッテリセル(2)の温度制御のための温度制御流体ライン(4)内の少なくとも一部に導かれる温度制御流体(6)を有し、前記データ記録装置(10)は、前記少なくとも1つのバッテリセル(2)の状態データを決定するためのセンサ装置(11)と、前記状態データを処理するための制御装置(12)と、前記状態データを送信するための送信装置(20)とを有し、前記送信装置(20)は、先行する請求項1〜5のうちの1つに従って構成され、および/またはデータ記録装置(10)は、請求項6から11のいずれか1項に記載の構成を有することを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記光信号(60)の全反射を提供するために、前記温度制御流体ライン(4)は、少なくとも2つの異なる屈折率を有する内壁(5)を有し、及び/又は、前記温度制御流体ライン(4)は、内壁(5)を有し、前記内壁(5)及び前記温度制御流体(6)は、2つの異なる屈折率を有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の通信ユニット(31)の第1の配置位置(33)と前記第2の通信ユニット(41)の第2の配置位置(43)との間の前記温度制御流体ライン(4)は、直線状または少なくとも実質的に直線状であることを特徴とする請求項12または14に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのバッテリセル(2)と、温度制御装置(3)を備えるシステムと、バッテリシステム(1)用のデータ記録装置(10)とを備えるバッテリシステムであって、前記システムは、請求項12または13に記載の構成を有することを特徴とするバッテリシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のバッテリシステム(1)のバッテリセル(2)の状態データを送信する方法であって、前記状態データは、前記温度制御流体(6)内の光信号(60)として少なくとも部分的に送信されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのバッテリセルと、少なくとも1つのバッテリセルの温度制御のための温度制御装置とを有し、温度制御流体が温度制御流体ライン内の少なくとも部分的に伝導される、バッテリシステムのための状態データを送信するための送信装置であって、少なくとも1つのバッテリセルの状態データを決定するためのセンサ装置とデータ通信接続するためのセンサインタフェースと、状態データを処理するための制御装置内のデータ通信接続するための制御インタフェースとを有する送信装置に関する。さらに、本発明は、バッテリシステムの状態データを記録するためのデータ記録装置に関し、バッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルと、少なくとも1つのバッテリセルの温度を制御するための温度制御装置とを有し、温度制御流体は、温度制御流体ライン内の少なくとも部分的に導かれ、データ記録装置は、少なくとも1つのバッテリセルの状態データを決定するための少なくとも1つのセンサユニットを有するセンサ装置と、状態データを処理するための制御装置と、状態データを送信するための送信装置とを有する。さらに、本発明は、少なくとも1つのバッテリセルを備え、温度制御装置が、少なくとも1つのバッテリセルの温度制御のために温度制御流体ラインにおいて少なくとも部分的に導かれる温度制御流体を備え、データ記録装置が、少なくとも1つのバッテリセルの状態データを決定するためのセンサ装置と、状態データを処理するための制御装置と、状態データを送信するための送信装置とを備える、バッテリシステムのための温度制御装置およびデータ記録装置を備えるシステムに関する。さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つのバッテリセルと、バッテリシステムのための温度制御装置およびデータ記録装置を備えるシステムとを備えるバッテリシステムと、バッテリシステム内のバッテリセルのステータスデータを送信するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵装置としてのバッテリシステムは、現代の技術、例えば電気自動車において広く使用されている。このようなエネルギー貯蔵システムの可能な形態は、例えば、リチウムイオン電池である。そのようなバッテリシステムの性能を向上させるために、例えば、いくつかの個々のバッテリセルが1つのバッテリレベルで電気的に並列に接続され、いくつかのそのようなバッテリレベルも電気的に直列に接続されることも知られている。このようなバッテリシステムの動作安全性を保証するために、個々のバッテリセルの状態データがセンサ装置によって検出され、大抵は中央で利用可能な制御装置において検出され、これらの制御装置において評価されることが知られている。このようにして、バッテリシステムの全体的な状態と個々のバッテリセルの状態との両方に関する正確な情報を提供することができる。
【0003】
制御装置内のバッテリセル上のセンサ装置によって決定された状態データを評価できるようにするために、これらの状態データは、センサ装置から制御装置に送信されなければならない。この状態データの送信には、大抵の場合、有線送信装置が使用される。この目的のために、制御装置およびセンサ装置は、センサ装置と制御装置との間でデータを交換するために使用することができるケーブルおよび/または導体によって互いに接続される。このデータ送信は、好ましくは、ケーブルまたはワイヤを通る電気インパルスを介して実行される。
【0004】
送信装置としてケーブルまたはワイヤを使用すると、いくつかの不都合が生じる。例えば、これらの送信装置のケーブルまたはワイヤは、それら自体の設置空間を必要とし、このことは、このタイプのバッテリシステムは、よりコンパクトでなく、および/または、境界条件が、バッテリシステムの計画および構築において考慮されなければならず、これは、例えば、バッテリシステムの最適な構成を妨げるか、または少なくとも複雑にすることを意味する。さらに、状態データのこの有線送信は、バッテリシステムの動作に影響を及ぼす可能性がある電磁不純物を生成する可能性がある。他方では、バッテリシステム自体の電磁汚染もケーブルに結合される可能性があり、これは状態データの送信を妨げる可能性がある。ケーブルおよび/またはワイヤを接続するのに必要なプラグまたはプラグ接続は、信号品質、特に最先端の送信装置の信頼性に悪影響を及ぼすこともある。これらの悪影響は、通常、そのようなプラグまたはプラグ接続がより多く使用されるほど、より深刻になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述の不都合を少なくとも部分的に改善することである。特に、本発明の目的は、費用効果が高く簡単な方法で、送信装置、データ記録装置、温度制御装置およびデータ記録装置を備えるシステム、バッテリシステム、および状態データを送信する方法を提供することであり、それによって、バッテリシステム内の状態データの送信を簡略化することができ、特に、追加の配線を回避することができ、状態データの送信を、電磁妨害なしに、または最小の電磁妨害だけで実行することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的は、請求項1の特徴を有する状態データを送信するための送信装置、請求項6の特徴を有するデータ記録装置、請求項12の特徴を有する温度制御装置およびデータ記録装置を備えるシステム、請求項15の特徴を有するバッテリシステム、および請求項16の特徴を有するバッテリセルの状態データを送信するための方法によって解決される。本発明のさらなる特徴および詳細は、従属請求項、説明および図面から得られる。本発明による送信装置に関連して説明される特徴および詳細は、もちろん、本発明によるデータ記録装置に関連して、本発明による温度制御装置およびデータ記録装置からなる本発明によるシステム、本発明によるバッテリシステム、ならびにバッテリセルの状態データを送信するための本発明による方法、およびその逆にも適用され、その結果、開示に関して本発明の個々の態様を相互に参照することができ、または常に参照することができる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、少なくとも1つのバッテリセルと、少なくとも1つのバッテリセルの温度制御のための温度制御装置とを有し、温度制御流体が温度制御流体ライン内の少なくとも部分的に伝導される、バッテリシステムのための状態データを送信するための送信装置によって解決され、送信装置は、少なくとも1つのバッテリセルの状態データを決定するためのセンサ装置とデータ通信接続するためのセンサインタフェースと、状態データを処理するための制御装置とデータ通信接続するための制御インタフェースとを有する。本発明による送信装置は、センサインタフェースが、温度制御流体に光信号を送信するための第1の通信ユニットと、温度制御流体ラインに第1の通信ユニットを配置するための第1配置部とを備え、制御インタフェースが、温度制御流体から光信号を受信するための第2の通信ユニットと、温度制御流体ラインに第2の通信ユニットを配置するための第2の配置部とを備え、配置された状態で、状態データを送信するためにセンサインタフェースの第1の通信ユニットによって温度制御流体に光信号を放射することができ、制御インタフェースの第2の通信ユニットによって温度制御流体から光信号を受信することができることを特徴とする。
【0008】
本発明による送信装置は、バッテリシステムでの使用を意図している。特に車両で使用することができるバッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルを有し、このようなバッテリシステムは、通常、1つのバッテリレベルで並列に接続されることが多いいくつかのバッテリセルを有する。バッテリシステムはまた、バッテリシステムの性能をさらに向上させるために、いくつかのそのようなバッテリレベルが電気的に直列に接続されることを提供してもよい。バッテリシステムはまた、少なくとも1つのバッテリセルの温度を制御するために使用することができる温度制御装置を有する。本発明の意味における温度制御は、特に、温度制御装置によるバッテリセルの温度の制御された変化、すなわち加熱および冷却の両方を意味する。これにより、バッテリセル、ひいてはバッテリシステム全体の過冷却および過熱が防止される。さらに、温度制御装置は、特に、温度制御流体が導かれる温度制御流体ラインを有する。温度制御流体は、気体、液体および/または混合状態で存在することができる。温度制御流体は、好ましくは、温度制御装置内で循環され、従って、温度制御流体ライン内を流れ、これにより、熱エネルギーは、このようにしてバッテリセルから除去される。さらに、センサ装置が、少なくともバッテリセルの近傍に設けられ、このセンサ装置によって、バッテリセルの状態データ、例えば温度、電圧、電流などを決定することができる。これらの状態データの評価または処理のために、しばしば中央で利用可能な制御装置が設けられている。このような処理は、例えば、状態データの純粋な記録であってもよいが、例えば、状態データと基準値との比較、及び必要であれば、バッテリシステムのための対応する制御処理の実行であってもよい。
【0009】
上述したように、センサ装置は、好ましくは、バッテリセルの近傍に配置され、一方、制御装置は、通常、バッテリシステムの中央に配置される。言い換えれば、バッテリシステム内の制御装置およびセンサ装置は、しばしば、離間される。制御装置からのセンサ装置のこの距離は、本発明による送信装置によって橋渡しすることができ、特に、センサ装置によって決定された状態データは、制御装置における処理のために、センサ装置から制御装置に送信することができる。この目的のために、送信装置は、センサインタフェースを有し、センサインタフェースは、好ましくは、センサ装置と同様に、領域内及び/又はバッテリセル上に配置される。センサインタフェースは、データを通信するためにセンサ装置に接続することができ、換言すれば、状態データは、センサ装置からセンサインタフェ―スに送信することができる。同様に、送信装置の制御インタフェースは、好ましくは、バッテリシステムの制御装置の近くに、例えば、バッテリシステム内の中央位置にも配置される。ここでも、制御インタフェースに存在する状態データを制御装置に送信できるように、制御インタフェースと制御装置との間にデータ通信接続を確立することができる。特に、送信装置のセンサインタフェースおよび送信装置の制御インタフェースは、バッテリシステム内で離間され、センサ装置および制御装置の近くに上記の位置をそれぞれ提供する。
【0010】
本発明によれば、センサインタフェースは、温度制御流体ラインに光信号を送信するための第1の通信ユニットを備える。制御インタフェースは、温度制御流体から光信号を受信するように適合された第2の通信ユニットをさらに備える。このようにして、センサインタフェースと通信インタフェースとが離間しているにもかかわらず、これら2つのインタフェースの間で状態データを依然として送信することができるようにすることができる。この目的のために、両方のインタフェースは、センサインタフェースの第1の通信ユニットおよび制御インタフェースの第2の通信ユニットを温度制御流体ラインに配置することができるそれぞれの配置部を有する。換言すれば、配置された状態では、センサインタフェース及び通信インタフェースの少なくとも通信ユニットは、少なくとも温度制御流体ライン内に位置し、バッテリシステムの動作中に温度制御流体によって囲まれる。状態データの送信のために、光信号は、センサインタフェースの第1の通信ユニットから、配置された状態の温度制御流体に送信されることができる。温度制御流体は、光信号に対して透明であるか、または少なくとも部分的に透明であることが好ましい。光信号は、温度制御流体ライン、特に温度制御流体内で送信され、最後に、制御インタフェースの第2の通信ユニットによって温度制御流体から受信される。言い換えれば、温度制御流体ライン、特に温度制御流体自体は、センサインタフェースの第1の通信ユニットと制御インタフェースの第2の通信ユニットとの間で光信号を送信するために使用される。特に、光信号は、1つの通信ユニットから別の通信ユニット、すなわち、温度制御流体内で排他的に走り、通常は直線である経路、または、その代わりに、またはそれに加えて、直接経路とは対照的に、温度制御ラインの内壁上で光信号の1つまたは複数の反射を有する間接経路を介して、直接伝わることができる。
【0011】
言い換えれば、状態データは、状態データがバッテリセルのセンサ装置によって決定され、次いで、データ通信方式でセンサインタフェースに送信され、センサインタフェースの第1の通信ユニットによって光信号として温度制御流体に渡され、温度制御流体によって渡され、制御インタフェースの第2の通信ユニットによって温度制御流体から再び検出されるように送信される。次に、制御インタフェースの第2の通信ユニットから受信された状態データは、制御インタフェースの制御装置とのデータ通信接続を介して制御装置に送信され、制御装置によって処理される。
【0012】
温度制御ラインまたは温度制御流体を光信号のキャリアとして使用することによって、状態データを送信する役割を果たすワイヤおよび/またはケーブルの存在を省くことができる。その他にも、このようにして、これらのケーブルに使用される空間を節約することができる。したがって、このような送信装置を備えたバッテリシステムのよりコンパクトな全体構成を可能にすることができる。さらに、温度制御流体内の光信号による状態データの送信は、外部電磁干渉信号および/または汚染による電磁干渉の発生またはデータ送信の障害を防止することができる。全体として、本発明に基づく送信装置は、バッテリシステム内のバッテリセルの状態データの送信を改善することができる。
【0013】
本発明による送信装置は、好ましくは、光信号が位相同期または少なくとも実質的に位相同期および単色または少なくとも実質的に単色であり、特に、光信号が位相同期および単色レーザ光から構成されるという事実によって、さらに発展させることができる。位相同期および単色光信号、特にレーザ光からの光信号を使用することによって、光信号の信号品質を大幅に改善することができる。したがって、光信号の信号品質が不十分であることに起因する状態データの誤った送信を回避することができ、または少なくとも著しく制限することができる。位相同期光は、光源、すなわち通信ユニットの個々の光波が、互いに固定された位相関係にあり、言い換えれば、高度のコヒーレンスを有し、したがって、通過時間または経路長に差がないか、またはほんのわずかしかないという事実によって特徴付けられる。単色光は、単一の波長のみ、または少なくとも非常に狭い波長スペクトルを有する。レーザ光は、これらの特性を特に容易に提供する。使用されるレーザ光の波長は、本発明による透過装置、好ましくは赤外線、UV範囲、または可視光線にあることができる。
【0014】
双方向送信を提供するために、第1の通信ユニットが温度制御流体から光信号を受信するように構成され、第2の通信ユニットが温度制御流体に光信号を送信するように構成されることが、本発明による送信装置の場合に特に好ましいことがある。本発明の意味における双方向とは、特に、データが、センサインタフェースから制御インタフェースへ、および制御インタフェースからセンサインタフェースへの両方で送信され得ることを意味する。このようにして、例えば、制御装置がセンサ装置を制御することも可能である。このような双方向送信を可能にすることにより、制御装置からセンサ装置へのデータ通信接続のために追加の送信装置を使用する必要性も回避される。これは、本発明による送信装置を有するバッテリシステムのコンパクトな構成のさらなる増加を可能にする。
【0015】
本発明による送信装置はまた、送信装置が、光信号を中間増幅器ユニットおよび温度制御流体から送信および受信するための少なくとも1つの第3の通信ユニットを有する中間増幅器ユニットと、温度制御流体ラインに第3の通信ユニットを配置するための第3の配置部とを備えるように構成されてもよく、配置された状態において、第1の通信ユニットおよび/または第2の通信ユニットの光信号は、中間増幅器ユニットの少なくとも1つの第3の通信ユニットによって温度制御流体ラインまたは温度制御流体から受信され、第2の通信ユニットおよび/または第1の通信ユニットに送信されて温度制御流体ラインまたは温度制御流体に入ることができる。状態データが、バッテリシステムの温度制御装置の温度制御ラインまたは温度制御流体において光信号として送信される場合、光信号は減衰され得る。これは、信号強度の減少につながる可能性があり、これは、それぞれのインタフェースの送信通信ユニットから離れるにつれて、より顕著になる可能性がある。この問題は、中間増幅器ユニットの存在によって解決されるか、または少なくとも大幅に低減されることができる。中間増幅器ユニットは、温度制御流体に光信号を送信し、温度制御流体から光信号を受信するように構成された少なくとも1つの第3の通信ユニットを有する。第3の通信ユニットでは、追加的にまたは代替的に、中間増幅器ユニットの別の適切な構成要素においても、受信された光信号は、それが再び送信される前に、信号強度を増加させるために増幅され得る。さらに、中間増幅器ユニットは、温度制御流体ライン内に配置するための第3の配置部も有する。このようにして、中間増幅器ユニット、特に中間増幅器ユニットの第3の通信ユニットも、温度制御流体ラインの内側に配置され、温度制御流体によって囲まれるようにすることができる。このような中間増幅器ユニットは、好ましくは、センサインタフェースまたは制御インタフェースによって放射される光信号を依然として安全に受信することができる温度制御ライン内の位置に配置することができる。これにより、中間増幅器ユニットは、それぞれのインタフェースからこの信号をピックアップし、それを他方のインタフェースに送り返すことができる。単方向データ送信に加えて、双方向データ送信も考えられるので、中間増幅器ユニットは、制御インタフェースとセンサインタフェースとの間の双方向通信を提供するためにも使用することができる。また、温度制御ライン内に順次配置された複数の中間増幅器ユニットを使用することも可能である。この場合、データは、1つの中間増幅器ユニットから次の中間増幅器ユニットへも送信されるので、制御インタフェースとセンサインタフェースとの間の距離をさらに増大させることができる。中間増幅器ユニットの配置の好ましい位置は、例えば、バッテリシステム温度制御装置の温度制御ワイヤの屈曲部、および/または光信号を増幅するための規則的な間隔であり得る。したがって、全体として、このような中間増幅器ユニットは、送信装置の制御インタフェースとセンサインタフェースとの間に、中間増幅器ユニットの数によってのみ実質的に制限される距離を提供することができる。したがって、特に制御インタフェースおよびセンサインタフェースの配置に関して、本発明による送信装置の特に柔軟な構成を提供することができる。
【0016】
さらに、本発明による送信装置の場合、第1および/または第2および/または第3の通信ユニットが、光信号を送信するためのLED素子および/または光信号を受信するための光センサ素子を有することが特に好ましい場合がある。LED素子および/または光センサ素子は、通信ユニットのための構成の好ましい形態を表し、それによって、技術的に感知可能および/または可能であれば、さらなる構成変形も可能である。
【0017】
LED素子および光センサ素子は、流体中で光信号を生成および受信するための特に単純な素子である。LED素子は、電圧が印加されると刺激されて発光する半導体部品である。これらは、例えば、白熱電球または蛍光素子よりもはるかにエネルギー効率が高く、10V未満の低電圧で動作させることができることが多い。また、特殊なLED素子を、レーザ光を放射するように構成することもできる。光センサ素子は、通常、光信号が入射したときに刺激され得る光学活性領域を有する。したがって、温度制御流体ラインまたは温度制御流体からの光信号の検出を特に容易にすることができる。両方の要素は、電気的および電子的に単純であり、特に、ほとんどメンテナンスを必要とせず、したがって、本発明による送信装置の特に長い耐用年数を可能にする。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、目的は、バッテリシステムの状態データを記録するためのデータ記録装置によって解決され、バッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルと、少なくとも1つのバッテリセルの温度制御のための温度制御装置とを有し、温度制御流体は、温度制御流体ライン内の少なくとも部分的に伝導され、データ記録装置は、少なくとも1つのバッテリセルの状態データを決定するための少なくとも1つのセンサユニットを有するセンサ装置と、状態データを処理するための制御装置と、状態データを送信するための送信装置とを有する。本発明に係るデータ記録装置は、前記送信装置が、本発明の第1の態様に係る構成であることを特徴とする。したがって、本発明の第1の態様による送信装置に関して詳細に説明したすべての利点は、本発明の第1の態様によるそのような送信装置を有する本発明の第2の態様によるデータ記録装置によっても提供することができる。
【0019】
本発明によるデータ記録装置は、前記制御装置が、前記状態データを処理するための評価ユニットを有し、少なくとも前記評価ユニット及び前記第2の通信ユニットが、共通の基板上に配置されることをさらに特徴とすることができる。制御インタフェース、特に制御インタフェースの第2の通信ユニットは、制御ユニットへのデータ通信接続のために構成される。このことは、制御装置と第2の通信ユニットとが共通の基板上に配置されている場合に、特に容易に提供することができる。したがって、本発明によるデータ記録装置、したがってバッテリシステム全体の特にコンパクトな構成を提供することができる。第2の通信ユニットと制御装置との間のデータ通信接続は、この構成において、例えば、回路基板上の単純な導体トラックによって既に設けることができる。さらに、これは、温度制御装置の温度制御ラインによって、制御装置の温度を少なくとも部分的に制御することを特に容易にする。これは、特に、第2の通信ユニットが少なくとも部分的に温度制御ライン内に配置されることによって提供され得る。このことは、回路基板が温度制御ライン上に配置され、場合によっては、温度制御ラインの内部に延在することさえ可能であることを意味する。制御装置を同じ基板上に同時に配置することによって、この制御装置は、温度制御ラインの近くに自動的に配置され、それによって、制御装置の温度制御を特に簡単に提供することができる。要約すると、制御装置の温度制御のこの提供、および制御装置と第2の通信ユニットとの間の特に単純なデータ通信接続の可能性は、本発明によるデータ記録装置のこの構成の利点を形成する。
【0020】
さらに、本発明によるデータ記録装置は、少なくとも1つのセンサユニットが、以下の状態データのうちの少なくとも1つを取得するように構成されるように構成されてもよい。
− 温度
− 電圧
− 電流
− 漏電
【0021】
このリストは網羅的ではないので、技術的に合理的で可能な限り、少なくとも1つのセンサユニットによってさらなる状態データを記録することができる。センサユニットは、状態データを検出するために、バッテリセルに、またはバッテリセルの近くに配置される。これらの状態データから、制御装置における評価によって、バッテリセルの状態の包括的な検出を行うことができる。
【0022】
加えて、本発明によるデータ記録装置は、センサ装置が、2つ以上のバッテリセルからの状態データを記録するための2つ以上のセンサユニットを備えるように構成されてもよく、好ましくは、少なくとも2つのバッテリセルの各々は、少なくとも1つのセンサユニットに関連付けられる。このようにして、包括的な監視が、バッテリシステムの複数のバッテリセルからも提供され得ることが提供され得る。センサユニット、例えば、それぞれ少なくとも1つのセンサユニットは、バッテリシステムのバッテリセルのそれぞれに対して特に好ましい。このようにして、バッテリシステムの全てのバッテリセルの監視を、特にバッテリセルに関する個々のベースで提供することができる。したがって、バッテリシステムの状態、特にエラー状態の検出を、特に欠陥のあるバッテリセルを優先的に検出することができるように正確に行うことができる。
【0023】
本発明によるデータ記録装置は、バッテリセルを区別するために、送信装置が、各関連するバッテリセルのための少なくとも1つの第1の通信ユニットを備え、第1の通信ユニットの各々が、データを通信するように、センサインタフェースを介してそれぞれのバッテリセルに関連するセンサユニットに接続されるように、さらに展開されてもよい。このようにして、第1の通信ユニットを検出することによって、監視されるバッテリセルを区別することが可能である。それぞれの光信号がどの第1の通信ユニットに送信されたかを認識することによって、対応するバッテリセルへの割り当てを、特に簡単に、かつ大きな入力なしに行うことができる。
【0024】
代替的に又は追加的に、本発明によるデータ記録装置は、第1の通信ユニットが、取得されたバッテリセルを区別するために周波数変調され、パルス幅変調され、及び/又は振幅変調された光信号を発するように構成されるように、更に開発されてもよい。このようにして、単一の第1の通信ユニットのみを使用する場合に、監視されるバッテリセルを区別することも可能である。使用される周波数、使用されるパルス幅、および/または使用される振幅に関して、放射される光信号を変調することによって、取得されたステータスデータが第1の通信ユニットのみで発信されるそれぞれのバッテリセルを区別することができる。単一の第1の通信ユニットのみを使用する可能性は、本発明によるデータ記録装置の全体的な構成をさらに単純化する。
【0025】
代替的に又は付加的に、記録された状態データは、デジタル化され、温度制御流体内の光信号としてのみ送信されることができる。デジタル信号は、例えばデータパケットのヘッド部として、個々のバッテリセルを区別するための情報を含むことができる。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、この目的は、温度制御装置と、バッテリシステム用のデータ記録装置とを備えるシステムによって解決され、バッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルを備え、温度制御装置は、少なくとも1つのバッテリセルの温度制御のために温度制御流体ライン内の少なくとも部分的に導かれる温度制御流体を備え、データ記録装置は、少なくとも1つのバッテリセルの状態データを決定するためのセンサ装置と、状態データを処理するための制御装置と、状態データを送信するための送信装置とを備える。本発明によるシステムは、送信装置が本発明の第1の態様に従って構成され、および/またはデータ記録装置が本発明の第2の態様に従って構成されることを特徴とする。したがって、本発明の第1の態様によるデータ送信装置および/または本発明の第2の態様によるデータ記録装置に関して詳細に説明したすべての利点は、本発明の第1の態様によるそのような送信装置および/または本発明の第2の態様によるそのようなデータ記録装置を有する本発明の第3の態様によるシステムによっても提供することができる。
【0027】
本発明によるシステムは、光信号の全反射を提供するために、温度制御流体ラインが少なくとも2つの異なる屈折率を有する内壁を有し、および/または温度制御流体ラインが内壁を有し、内壁および温度制御流体が2つの異なる屈折率を有するように、さらに発展させることができる。光信号の全反射は、2つの光学的に異なる密度の媒体の間の界面で生じることができ、それによって、光信号は、光学的により密度の高い媒体内を進む。このような全反射により、光信号は、界面で有意な減衰なしに、または少なくとも有意な減衰なしに反射され、それにより、放射された光信号の範囲は、温度制御流体ライン内の本発明による送信装置において有意に増加され得る。言い換えれば、例えば、温度制御流体ラインが、光信号に対して透過性の異なる屈折率を有する2つの領域を有し、より大きな屈折率を有する領域が半径方向内側に配置され、より小さな屈折率を有する領域が半径方向外側に配置され、第1の領域を接触して取り囲む場合、光信号の全反射が、本発明によるシステムにおいて生じ得る。代替的に又は付加的に、温度制御流体と内壁との間の界面は、全反射を提供するために使用されてもよい。この目的のために、光信号に対して透明であるか、または少なくとも部分的に透明である温度制御流体が、温度制御流体を取り囲む温度制御流体ラインの内壁よりも大きい屈折率を有し、この内壁もまた、好ましくは、光信号に対して透明であることが提供され得る。全体として、両方の構成は、光信号の全反射を提供することを特に容易にする。このようにして、温度制御ラインまたは温度制御流体を通る光信号の特に良好で低損失の送信を提供することができる。
【0028】
さらに、本発明によるシステムでは、第1の通信ユニットの第1の配置位置と第2の通信ユニットの第2の配置位置との間の温度制御流体ラインは、直線であるか、または少なくとも実質的に直線であることが提供され得る。特に、温度制御流体ラインの曲がり、湾曲、および/または折り目は、高い減衰をもたらし、最悪の場合には、温度制御流体内の光信号の遮断をもたらす可能性がある。センサインタフェースおよび制御インタフェースの通信ユニットを、直線または少なくとも実質的に直線である温度制御流体ラインの領域に配置することによって、そのような角部、縁部、および/または屈曲部における信号強度の減少を回避することができる。同じことが、中間増幅器ユニット、特にその第3の通信ユニットの配置にも同様に当てはまる。したがって、2つの通信ユニット間の温度制御流体ラインが、通信ユニットが制御インタフェース、センサインタフェース、または中間増幅器ユニットのいずれに属するかにかかわらず、直線であるか、または少なくとも本質的に直線である場合、全体的に有利である。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、この目的は、少なくとも1つのバッテリセルと、バッテリシステムのための温度制御装置およびデータ記録装置のシステムとを備えるバッテリシステムによって解決される。本発明によるバッテリシステムは、システムが本発明の第3の態様に従って構成されることを特徴とする。本発明の第3の態様による本発明によるシステムは、特に、本発明の第1の態様による送信装置および/または本発明の第2の態様によるデータ記録装置を備える。したがって、全体として、本発明の第3の態様によるシステムに関連して、本発明の第1の態様による送信装置に関連して、および/または本発明の第2の態様によるデータ記録装置に関連して詳細に説明されたすべての利点は、そのようなシステム、そのような送信装置、および/またはそのようなデータ記録装置を備える本発明の第4の態様によるバッテリシステムによっても提供することができる。
【0030】
本発明の第5の態様によれば、この目的は、本発明の第4の態様によるバッテリシステムにおけるバッテリセルの状態データを送信する方法によって解決される。本発明による方法は、状態データが、少なくとも部分的に、温度制御流体内の光信号として送信されることを特徴とする。したがって、本発明の第4の態様によるバッテリシステムにおける使用は、本発明の第5の態様による方法によって、本発明の第4の態様によるバッテリシステムに関連して詳細に説明されたすべての利点を提供することもできる。本発明の第4の態様によるバッテリシステムは、本発明の第1の態様によるデータ送信装置、本発明の第2の態様によるデータ記録装置、および/または本発明の第3の態様によるシステムを備えるので、本発明のこれらの態様に関して詳細に説明した利点は、本発明の第5の態様による方法によっても提供することができる。
【0031】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する以下の説明から得られる。特許請求の範囲および明細書に記載された特徴は、本発明にとって、個々にまたは任意の組み合わせで必須であり得る。実施形態の説明は、例の文脈においてのみ本発明を説明する。もちろん、技術的に合理的であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、実施形態の個々の特徴を互いに自由に組み合わせることができる。同じ機能および動作モードを有する要素は、図面において同じ参照符号を有する。それらは概略的に以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】初期形態の本発明によるバッテリシステムを示す。
図2】本発明による第2の実施形態に係るバッテリシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、第1の実施形態における本発明によるバッテリシステム1を示す。バッテリシステム1は、いくつかのバッテリセル2を有し、そのうちの2つのバッテリセル2が示されている。センサ装置11のセンサユニット13は、各バッテリセル2に配置され、それぞれのバッテリセル2の状態データ、例えば温度又は電圧又は電流のような電気的変数を記録する。さらに、バッテリシステム1の温度制御装置3、特に温度制御流体6が導かれる温度制御流体ライン4が示されている。温度制御流体6は、個々のバッテリセル2から熱エネルギーを伝導し、それにより、それらの温度を制御する。本発明によるバッテリシステム1は、特に、本発明によるデータ記録装置10を備えている。既に上述したセンサ装置11は、このデータ記録装置10の一部である。他の部分は、例えば評価ユニット14を有する制御装置12と、本発明による送信装置20である。図示の実施形態では、送信装置20は、制御インタフェース40とセンサインタフェース30とを有する。センサインタフェース30は、センサ装置11のセンサユニット13とデータ通信可能に接続されている。同様に、制御インタフェース40は、制御装置12の評価ユニット14に接続され、データを通信する。制御装置12、特に評価ユニット14、および制御インタフェース40も、ここでは同じ基板7上に配置され、それによって、一方では、制御インタフェース40、特に制御インタフェース40の第2の通信ユニット41と評価ユニット14との間の送信経路を最小限に抑えることができ、他方では、制御装置12の評価ユニット14を温度制御流体ライン4の近傍に配置することが特に容易である。このようにして、バッテリシステム1の温度制御装置3による評価ユニット14の温度制御を特に容易にすることができる。
【0034】
本質的に、センサインタフェース30は、第1の通信ユニット31を有し、制御インタフェース40は、第2の通信ユニット41を有する。両方の通信ユニット30、41は、図示のように、温度制御流体6との間で光信号60を送受信するように構成されている。温度制御流体6は、光信号60に対して透明であることが好ましい。通信ユニット31、41は、例えば、光信号60を受信するための光センサ素子及び/又は送信するためのLED素子を備えることができる。これを提供するために、センサインタフェース30は、第1の通信ユニット31を温度制御流体ライン4の内部に配置することができるように、第1の配置部32も有する。同様に、制御インタフェース40は、第2の通信ユニット41も温度制御流体ライン4の内部に配置することを可能にするための第2の配置部42を有する。好ましくは、図示されるように、センサインタフェース30の第1の通信ユニット31は、第1の配置位置33に配置され、制御インタフェース40の第2の通信ユニット41は、第1の配置位置33と第2の配置位置43との間の温度制御流体ライン41が直線または少なくとも実質的に直線であるように、第2の配置位置43に配置される。したがって、温度制御流体ライン4の角部、縁部、または屈曲部による光信号60の弱化を回避することができる。さらに、温度制御流体ライン4は内壁5を有する。既に、内壁5自体は、全反射を提供するために、異なる屈折率を有する2つの領域を有することができ、それによって、より高い屈折率を有する領域は、半径方向にさらに内側に配置される。代替的に又は付加的に、温度制御流体ライン4の内壁5と温度制御流体6との間の境界層を用いて全反射を提供することもでき、この構成では、温度制御流体6は、温度制御流体ライン4の内壁5よりも大きい屈折率を有する。全体として、光信号60の信号強度の弱まりは、回避されるか、又は全反射によって少なくとも著しく制限されることができる。ここで、センサインタフェースの第1の通信ユニット31は、センサ装置11のセンサユニット13によって取得された状態データを送信するために、光信号60を、好ましくは透明な温度制御流体6に送信する(30)。これらの光信号60は、温度制御流体6内で送信され、制御インタフェース40の第2の通信ユニット41によって受信される。言い換えれば、本発明によるデータ記録装置10、したがって本発明による送信装置20を有する本発明によるバッテリシステム1では、温度制御流体ライン4および温度制御流体6はそれぞれ、状態データを含む光信号60を送信するために使用される。状態データを送信するための追加のワイヤおよび/またはケーブルを回避することができる。さらに、図示のセンサインタフェース30は、センサ装置11の2つのセンサユニット13に接続されている。状態データを個々のバッテリセル2に割り当てることができるようにするために、例えば、第1の通信ユニット31が、放射された光信号60の周波数、パルス幅、および/または振幅に関して放射された光信号60を変調するように構成されることが可能である。また、状態データをデジタル化し、それぞれのバッテリセル2を、例えば、データパッケージのヘッド部にコード化することも可能である。このようにして、単一の第1の通信ユニット31で多数のバッテリセル2を識別することができる。
【0035】
図2は、本発明1によるバッテリシステムのさらなるバージョンを示す。制御インタフェース40およびその構成要素、ならびに制御装置12およびそれらの構成要素は、図1に示すバージョンと同様に構成されているので、ここでの説明を参照されたい。センサ装置11のセンサユニット13によってそれぞれ監視される2つのバッテリセル2も、図2に示す本発明によるバッテリシステム1の実施形態に示されている。図1に示される実施形態の変形とは対照的に、センサインタフェース30の別個の第1の通信ユニット31が、センサユニット13のそれぞれに設けられる。このようにして、状態データが検出されたそれぞれのバッテリセル2を区別することも可能である。温度制御流体ライン4は、内壁5を有し、内壁5は、単独で、または温度制御流体6と組み合わせて、光信号60の全反射を生成するように構成される。バッテリシステム1のデータ記録装置10と温度制御装置3とから成る本発明のシステムのこの実施形態においても、光信号60の全反射は、光信号60の信号強度の減少を防止することができる。さらに、図示された実施形態には、第3の配置部52によって温度制御流体ライン4の内部に配置された第3の通信ユニット51を備える中間増幅器ユニット50が示されている。第3の通信ユニット51は、光信号60を送受信するように構成され、その結果、光信号60は、例えば、センサインタフェース30から制御インタフェース40に送信されることができる。また、例えば双方向データ送信で起こり得るような逆方向データ送信は、そのような中間増幅器ユニット50によって提供され得る。図示の実施例では、中間増幅器ユニット50は、温度制御流体ライン4の湾曲部に配置されている。その代わりに、またはそれに加えて、このような中間増幅器ユニット50は、光信号60の信号強度の低下が既に起こり得る温度制御流体ライン4内の位置に配置することもできる。中間増幅ユニット50内で光信号60を増幅し、光信号60を再送信することによって、温度制御流体ライン4内の光信号60の範囲を著しく増大させることができる。このようにして、本発明による送信装置20の制御インタフェース40とセンサインタフェース30との間のほぼ任意の距離を提供することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 バッテリシステム
2 バッテリセル
3 温度制御装置
4 温度制御流体ライン
5 内壁
6 温度制御
7 基板
10 データ記録装置
11 センサ装置
12 制御装置
13 センサユニット
14 評価ユニット
20 送信装置
30 センサインタフェース
31 第1の通信ユニット
32 第1の配置部
33 第1の配置位置
40 制御インタフェース
41 第2の通信ユニット
42 第2の配置部
43 第2の配置位置
50 中間増幅ユニット
51 第3の通信ユニット
52 第3の配置部
60 光信号
図1
図2
【国際調査報告】