特表2020-529184(P2020-529184A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-529184(P2020-529184A)
(43)【公表日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】インバータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/483 20070101AFI20200904BHJP
   H02M 7/49 20070101ALI20200904BHJP
【FI】
   H02M7/483
   H02M7/49
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-503901(P2020-503901)
(86)(22)【出願日】2018年7月18日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月24日
(86)【国際出願番号】KR2018008109
(87)【国際公開番号】WO2019059510
(87)【国際公開日】20190328
(31)【優先権主張番号】10-2017-0123403
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0123402
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】513246872
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソン−グク
(72)【発明者】
【氏名】スル、スン−ギ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヒョン−サム
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジョン−モク
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770BA04
5H770BA05
5H770CA02
5H770CA08
5H770CA10
5H770DA03
5H770DA24
5H770DA33
5H770DA34
5H770JA03X
5H770JA18W
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるインバータシステムの単位電力セルは、互いに直列に連結される第1のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の連結点と平滑部との間で、互いに直列に連結される第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオード、第2のダイオード、第3のダイオード、第4のダイオードを含む第1レッグ、及び互いに直列に連結される第5のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子と、前記第5のスイッチング素子及び前記第6のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第5のダイオード及び第6のダイオードを含み、前記第1レッグと並列に連結される第2レッグを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から入力される電源電圧の位相と大きさを変換して出力する位相置換変圧器;
前記位相置換変圧器から出力される電圧を用いて相電圧を出力する複数の単位電力セルを含み、
前記単位電力セルは、
互いに直列に連結される第1のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子の連結点と平滑部との間で、互いに直列に連結される第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオード、第2のダイオード、第3のダイオード、第4のダイオードとを含む第1レッグ;及び、
互いに直列に連結される第5のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子と、前記第5のスイッチング素子及び前記第6のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第5のダイオード及び第6のダイオードを含み、前記第1レッグと並列に連結される第2レッグを含む、
インバータシステム。
【請求項2】
前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオンされ、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第1の電圧レベルを示す、
請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項3】
前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオンドされ、前記第1のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第2の電圧レベルを示す、
請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項4】
前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオンされ、前記第1のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第3の電圧レベルを示す、
請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項5】
前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオンされ、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第4の電圧レベルを示す、
請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項6】
前記第2のダイオード及び前記第3のダイオードは、互いに異なる方向に連結される、
請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項7】
前記第1のダイオード、前記第4のダイオード、前記第5のダイオード、前記第6のダイオードは、互いに同じ方向に連結される、
請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項8】
電源部から入力される電源電圧の位相と大きさを変換して出力する位相置換変圧器;
前記位相置換変圧器から出力される電圧を用いて相電圧を出力する複数の単位電力セルを含み、
前記単位電力セルは、
互いに直列に連結される第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオード、第2のダイオード、第3のダイオード、第4のダイオードと、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の連結点と前記第3のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子の連結点との間で、互いに直列に連結される第7のダイオード及び第8のダイオードとを含む第1レッグ;及び、
互いに直列に連結される第5のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子と、前記第5のスイッチング素子及び前記第6のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第5のダイオード及び第6のダイオードを含み、前記第1レッグと並列に連結される第2レッグとを含む、
インバータシステム。
【請求項9】
前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオンされ、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第1の電圧レベルを示す、
請求項8に記載のインバータシステム。
【請求項10】
前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオンされ、前記第1のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第2の電圧レベルを示す、
請求項8に記載のインバータシステム。
【請求項11】
前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオンされ、前記第1のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第3の電圧レベルを示す、
請求項8に記載のインバータシステム。
【請求項12】
前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子、前記第5のスイッチング素子がターンオンされ、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第6のスイッチング素子がターンオフされると、前記単位電力セルの出力極電圧は、第4の電圧レベルを示す、
請求項8に記載のインバータシステム。
【請求項13】
前記第1のダイオード、前記第2のダイオード、前記第3のダイオード、前記第4のダイオード、前記第5のダイオード、前記第6のダイオードは、互いに同じ方向に連結される、
請求項8に記載のインバータシステム。
【請求項14】
前記第7のダイオード及び前記第8のダイオードは、互いに同じ方向に連結される、
請求項8に記載のインバータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータシステムに関し、より詳細には、新しいトポロジーを有するインバータで構成されるインバータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧インバータシステムは、線間電圧の実効値が600V以上である入力電源を用いるシステムであって、通常、数百kW〜数十MW用量の大容量の電動機を駆動するために用いられており、ファン(fan)、ポンプ(pump)、圧縮機(compressor)、牽引(traction)、昇降(hoist)、コンベア(conveyor)のような分野で主に使用される。
【0003】
このようなインバータシステムは、主に3レベル以上の出力電圧を発生させる直列型マルチレベルインバータ(cascaded multi−level inverter)形態に具現される。マルチレベルインバータを構成する単位電力セル数によって、インバータシステムの出力電圧レベルの大きさと個数が決定され、各々の単位電力セルは、絶縁した入力電圧を用いる。
【0004】
インバータシステムでは、複数の単位電力セルが直列に連結されて各相を構成し、インバータの多相出力電圧は、各相を構成する単位電力セルの出力電圧の和によって決定される。このとき、各々の単位電力セルを構成するインバータは、多様なトポロジーで構成されてもよい。
【0005】
図1は、従来技術によるトポロジーを有するインバータで構成される単位電力セルの構成を示す。
【0006】
図1を参照すれば、従来技術によるトポロジーを有するインバータで構成される単位電力セルは、整流部102、平滑部104、出力電圧を合成するインバータ部106とを含む。
【0007】
整流部102は、入力電源から出力される2つの3相電源電圧を受信する。整流部102は、複数のダイオードで構成され、整流した直流端電圧の大きさは、整流部102の入力電力と単位電力セルの出力電力との差の関係から決定される。
【0008】
整流部102の出力は、直列に連結された2つの直流端キャパシタ(DC−link capacitor)C1、C2で構成される平滑部104へ伝達される。直流端キャパシタC1、C2は、入出力端の瞬時的な電力不均衡を解消する機能を行う。図1における各々のキャパシタC1、C2は、互いに同じ電圧(E)を示す。
【0009】
インバータ部106は、整流部102及び直流端キャパシタC1、C2を経て提供される嫡流電圧を用いて出力電圧を合成する。図1に示したように、インバータ部106は、従来技術によるT型(T−type)トポロジーによって構成されたものであり、複数のスイッチング素子S1〜S8及び複数のダイオードD1〜D12を含む。
【0010】
インバータ部106に含まれたスイッチング素子S1〜S8は、対応するダイオードD1〜D8と逆並列に連結される。本明細書におけるスイッチング素子とダイオードの「逆並列」とは、ダイオードを介して流れる電流の方向と、スイッチング素子がターンオンされたとき、スイッチング素子を介して流れる電流の方向が互いに反対であることを意味する。
【0011】
図1に示した従来のインバータ部106のスイッチング素子S1、S5とスイッチング素子S3、S7は、互いに相補的にターンオン及びターンオフされ、スイッチング素子S2、S6とスイッチング素子S4、S8は、互いに相補的にターンオン及びターンオフされる。
【0012】
例えば、直流端キャパシタC1、C2の電圧がそれぞれEであるとき、スイッチング素子S1及びスイッチング素子S2がターンオンされると、スイッチング素子S3及びスイッチング素子S4は、ターンオフされ、このときに出力される極電圧(pole voltage)(V)は 、Eとなる。
【0013】
また、スイッチング素子S1及びスイッチング素子S3がターンオンされると、スイッチング素子S2及びスイッチング素子S4は、ターンオフされて、このとき、出力極電圧は、0となる。同様、スイッチング素子S1及びスイッチング素子S2がターンオフされると、スイッチング素子S3及びスイッチング素子S4は、ターンオンされて、このとき、出力極電圧は、−Eとなる。
【0014】
同様、スイッチング素子S5〜S8の相補的なターンオン及びターンオフ動作に従って、3レベルの極電圧(V)が出力される。このように出力される2つの出力極電圧の組み合わせによって、図1の単位電力セルは、2E、E、0、−E、−2Eの5ステップ電圧レベルを示し得る。
【0015】
ところが、図1に示したような従来のトポロジーによるインバータは、多過ぎるスイッチング素子とダイオードで構成される。このように、各々の単位電力セルが多くの素子で構成される場合、使われる素子数が増加するにつれて、各素子の故障可能性が増えるようになる。このような故障可能性の増加は、図1のようなインバータを含む高圧インバータシステム全体の信頼性低下を引き起こすようになる。
【0016】
特に、スイッチング素子数が増えると、スイッチング素子のスイッチング動作(ターンオン/ターンオフ)の繰り返しによる発熱量が増える。このような発熱量の増加は、単位電力セル及びインバータシステムの故障可能性を高める原因になる。
【0017】
また、図1のように、多過ぎる素子で構成されたインバータを用いる場合、高圧インバータシステムの大きさ及び嵩が増加するようになる問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、従来のトポロジーによるインバータに比べ内部素子数を減らすことで、故障可能性を低くすることのできる新しいトポロジーが適用されたインバータ及びインバータシステムを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、従来のトポロジーによるインバータに比べ内部素子数を減らすことで、従来に比べて、大きさ及び嵩が減少したインバータシステムを提供することを他の目的とする。
【0020】
本発明の目的は、以上に言及した目的に制限されないし、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解されるし、本発明の実施形態によってより明らかに理解される。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが分かりやすい。
【課題を解決しようとする手段】
【0021】
本発明の一実施形態によるインバータシステムは、電源部から入力される電源電圧の位相と大きさを変換して出力する位相置換変圧器、前記位相置換変圧器から出力される電圧を用いて相電圧を出力する複数の単位電力セルとを含み、前記単位電力セルは、互いに直列に連結される第1のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子の連結点と平滑部との間で、互いに直列に連結される第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオード、第2のダイオード、第3のダイオード、第4のダイオードを含む第1レッグ、及び互いに直列に連結される第5のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子と、前記第5のスイッチング素子及び前記第6のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第5のダイオード及び第6のダイオードを含み、前記第1レッグと並列に連結される第2レッグを含む。
【0022】
また、本発明の他の実施形態によるインバータシステムは、電源部から入力される電源電圧の位相と大きさを変換して出力する位相置換変圧器、前記位相置換変圧器から出力される電圧を用いて相電圧を出力する複数の単位電力セルを含み、前記単位電力セルは、互いに直列に連結される第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第4のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオード、第2のダイオード、第3のダイオード、第4のダイオードと、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の連結点と前記第3のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子の連結点との間で、互いに直列に連結される第7のダイオード及び第8のダイオードを含む第1レッグ、及び互いに直列に連結される第5のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子と、前記第5のスイッチング素子及び前記第6のスイッチング素子とそれぞれ逆並列に連結される第5のダイオード及び第6のダイオードを含み、前記第1レッグと並列に連結される第2レッグを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明による新しいトポロジーが適用されたインバータ及びインバータシステムは、従来のトポロジーによるインバータに比べ内部素子数が減少して、故障可能性が低くなる長所がある。
【0024】
また、本発明によるインバータシステムは、従来のトポロジーによるインバータに比べ内部素子数が減少することで、従来に比べて、大きさ及び嵩が減少する長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術によるトポロジーを有するインバータで構成される単位電力セルの構成を示す図面。
図2】本発明の一実施形態によるインバータシステムの構成を示す図面。
図3】本発明の一実施形態によるインバータシステムを構成する単位電力セルの回路図。
図4図3に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン/ターンオフ状態による出力極電圧の波形を示す図面。
図5図3に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
図6図3に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
図7図3に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
図9】本発明の他の実施形態によるインバータシステムを構成する単位電力セルの回路図。
図10図9に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
図11図9に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
図12図9に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
図13図9に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0026】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これにより、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明の説明において、本発明に係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施形態を詳説する。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示す。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態によるインバータシステムの構成を示す。
【0028】
図2に示したように、本発明の一実施形態によるインバータシステム204は、電源部202から入力される電源を変換して3相電動機210に提供する。例えば、電源部202は、実効値が600V以上である3相電源をインバータシステム204に供給することができる。また、3相電動機210は、インバータシステム204に連結される負荷であって、誘導電動機や同期電動機であってもよく、実施形態に従って3相電動機210ではない他の負荷がインバータシステム204に連結されてもよい。
【0029】
さらに図2を参照すれば、インバータシステム204は、位相置換変圧器206及び複数の単位電力セル20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2を含む。
【0030】
位相置換変圧器206は、電源部202から入力される電源電圧の位相と大きさを変換して、複数の単位電力セル20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2に提供することができる。このような位相置換を介して入力電流の全高調波歪(Total Harmonic Distortion,THD)を改善することができる。
【0031】
単位電力セル20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2は、位相置換変圧器206から出力される出力電圧を受信して、負荷例えば、3相電動機210に適した相電圧を出力する。
【0032】
図2では、単位電力セル20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2が3相電動機210のための3相電圧を出力する。すなわち、直列に連結された2つの単位電力セル20a1、20a2がa相電圧を出力し、直列に連結された2つの単位電力セル20b1、20b2がb相電圧を出力し、直列に連結された2つの単位電力セル20c1、20c2がc相電圧を出力する。図2には、各相別に2つの単位電力セルが連結される例を示しているが、インバータシステム204の出力電圧によって各相別に連結される単位電力セル数は、異なってくる。
【0033】
図2に示したインバータシステム204の単位電力セル20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2によって出力される各々の相電圧の大きさは、同様であり、位相は、120度の差である。また、インバータシステム204を構成する単位電力セル数の増加と、様々なスイッチング方式によって出力電圧のTHDと電圧変化率(dv/dt)を改善することができる。
【0034】
以下では、図3図7を参照して、本発明による新しいトポロジーを有するインバータで構成される単位電力セルの構成及び動作について詳説する。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態によるインバータシステムを構成する単位電力セルの回路図である。
【0036】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態によるインバータシステムを構成する単位電力セルは、整流部302、平滑部304、出力電圧を合成するインバータ部306とを含む。
【0037】
整流部302は、入力電源から出力される2つの3相電源電圧を受信する。整流部302は、複数のダイオードで構成され、整流された直流端電圧の大きさは、整流部302の入力電力と単位電力セルの出力電力との差の関係から決定される。
【0038】
整流部302の出力は、直列に連結された2つの直流端キャパシタC1、C2で構成される平滑部304へ伝達される。直流端キャパシタC1、C2は、入出力端の瞬時的な電力不均衡を解消する機能を行う。
【0039】
以下の実施形態において、キャパシタC1、C2が示す電圧の大きさは、それぞれEと仮定する。参考に、各々のキャパシタC1、C2が示す電圧の大きさは、実施形態によって異なる。
【0040】
インバータ部306は、整流部302及び直流端キャパシタC1、C2を経て提供される直流電圧を用いて出力電圧を合成する。図3に示したように、インバータ部306は、互いに並列に連結される第1レッグ308及び第2レッグ310を含む。
【0041】
第1レッグ308は、互いに直列に連結される第1のスイッチング素子S1及び第4のスイッチング素子S4と、第1のスイッチング素子S1及び第4のスイッチング素子S4の連結点N2と整流部304の連結点N1との間で直列に連結される第2のスイッチング素子S2、及び第3のスイッチング素子S3とを含む。また、図3に示したように、第1レッグ308は、第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第3のダイオードD3、第4のダイオードD4とを含む。
【0042】
第1レッグ308に含まれた第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2は、互いに同じ方向に連結される。また、第3のダイオードD3及び第4のダイオードD4は、互いに同じ方向に連結される。
【0043】
さらに図3を参照すれば、第2レッグ310は、互いに直列に連結される第5のスイッチング素子S5及び第6のスイッチング素子S6と、第5のスイッチング素子S5及び第6のスイッチング素子S6と、それぞれ逆並列に連結される第5のダイオードD5及び第6のダイオードD6とを含む。第2レッグ310に含まれた第5のダイオードD5及び第6のダイオードD6は、互いに同じ方向に連結される。
【0044】
かかる構成を有するインバータ部306は、後述するようなスイッチング素子S1〜S6のスイッチング動作を介して4レベル、すなわち、第1の電圧レベル、第2の電圧レベル、第3の電圧レベル、第4の電圧レベルの極電圧を出力することができる。
【0045】
図1に示した従来のインバータ部106は、8個のスイッチング素子及び12個のダイオードで構成される反面、図3に示した本発明の単位電力セルのインバータ部306は、6個のスイッチング素子及び6個のダイオードで構成される。このように、本発明による単位電力セルは、従来に比べて、さらに少ない数のスイッチング素子で構成されるため、故障可能性が相対的に低くなり、スイッチング素子の配置による単位電力セルの大きさ及び嵩も、従来に比べて減少する長所がある。これにより、図3のような単位電力セルで構成される図2のインバータシステム204の故障可能性、大きさ及び嵩も従来に比べて減少するようになる。
【0046】
図4は、図3に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン/ターンオフ状態による出力極電圧の波形を示す。
【0047】
図4において、Vg1〜Vg6は、各々のスイッチング素子S1〜S6のゲート端子に印加されるゲート信号を意味する。すなわち、Vg1〜Vg6が黒い陰影で表された場合、対応するスイッチング素子S1〜S6は、ターンオンされ、そうでない場合、スイッチング素子S1〜S6は、ターンオフされる。
【0048】
また、図4の上端に表された+E、O、−Eは、各々相電圧の大きさを示す。
【0049】
図4に示したように、本発明による単位電力セルの各相(U、V)は、各スイッチング素子のスイッチング動作によるターンオン/ターンオフ状態によって3レベルの相電圧(+E、0、−E)を出力することができる。そして、各相(U、V)の相電圧(VUN1、VVN1)の組み合わせによって単位電力セルは、4レベル(+2E、+E、−E、−2E)の極電圧(VUV)を示すことができる。
【0050】
以下では、図4図5図8を参照して、各スイッチング素子のスイッチング動作による相電圧(VUN1、VVN1)及び相電圧(VUN1、VVN1)の組み合わせによる単位電力セルの極電圧(VUV)の出力について詳説する。
【0051】
図5図8は、図3に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す。
【0052】
先ず、図5は、単位電力セルが第1の電圧レベル、すなわち、+2Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(502)を示す。
【0053】
図4及び図5を参照すれば、インバータ部306に含まれる第1のスイッチング素子S1及び第2のスイッチング素子S2がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、+Eを示す。また、第6のスイッチング素子S6がターンオンされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、−Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、+E−(−E)=+Eとなる。
【0054】
結局、インバータ部306に含まれる第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第6のスイッチング素子S6がターンオンされ、第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第1の電圧レベル、すなわち、+2Eで表される。この場合、図5に示したように、電流は、直流端キャパシタC1、C2、第1のスイッチング素子S1、第6のスイッチング素子S6を経て流れるようになる(502)。
【0055】
次に、図6は、単位電力セルが第2の電圧レベル、すなわち、+Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(602)を示す。
【0056】
図4及び図6を参照すれば、インバータ部306に含まれる第2のスイッチング素子S2及び第3のスイッチング素子S3がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、0を示す。また、第6のスイッチング素子S6がターンオンドされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、−Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、0−(−E)=+Eとなる。
【0057】
結局、インバータ部306に含まれる第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第6のスイッチング素子S6がターンオンされ、第1のスイッチング素子S1、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第2の電圧レベル、すなわち、+Eで表される。この場合、図6に示したように、電流は、直流端キャパシタC2、第3のスイッチング素子S3、第2のダイオードD2、第6のスイッチング素子S6を経て流れるようになる(602)。
【0058】
次に、図7は、単位電力セルが第3の電圧レベル、すなわち、−Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(702)を示す。
【0059】
図4及び図7を参照すれば、インバータ部306に含まれる第2のスイッチング素子S2及び第3のスイッチング素子S3がターンオンドされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、0を示す。また、第5のスイッチング素子S5がターンオンドされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、+Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、0−(+E)=−Eとなる。
【0060】
結局、インバータ部306に含まれる第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第5のスイッチング素子S5がターンオンされ、第1のスイッチング素子S1、第4のスイッチング素子S4、第6のスイッチング素子S6がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第3の電圧レベル、すなわち、−Eで表される。この場合、図7に示したように、電流は、直流端キャパシタC1、第3のスイッチング素子S3、第2のダイオードD2、第5のスイッチング素子S5を経て流れるようになる(702)。
【0061】
次に、図8は、単位電力セルが第4の電圧レベル、すなわち、−2Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(702)を示す。
【0062】
図4及び図8を参照すれば、インバータ部306に含まれる第3のスイッチング素子S3及び第4のスイッチング素子S4がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、−Eを示す。また、第5のスイッチング素子S5がターンオンされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、+Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、−E−(+E)=−2Eとなる。
【0063】
結局、インバータ部306に含まれる第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5がターンオンされ、第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第6のスイッチング素子S6がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第4の電圧レベル、すなわち、−2Eで表される。この場合、図8に示したように、電流は、直流端キャパシタC1、C2、第5のスイッチング素子S5、第4のスイッチング素子S4を経て流れるようになる(802)。
【0064】
図9は、本発明の他の実施形態によるインバータシステムを構成する単位電力セルの回路図である。
【0065】
図9を参照すれば、本発明の他の実施形態によるインバータシステムを構成する単位電力セルは、整流部902、平滑部904、出力電圧を合成するインバータ部906とを含む。
【0066】
整流部902は、入力電源から出力される2つの3相電源電圧を受信する。整流部902は、複数のダイオードで構成され、整流された直流端電圧の大きさは、整流部902の入力電力と単位電力セルの出力電力との差の関係から決定される。
【0067】
整流部902の出力は、直列に連結された2つの直流端キャパシタC1、C2で構成される平滑部904へ伝達される。直流端キャパシタC1、C2は、入出力端の瞬時的な電力不均衡を解消する機能を行う。
【0068】
以下の実施形態において、キャパシタC1、C2が示す電圧の大きさは、それぞれEと仮定する。参考に、各々のキャパシタC1、C2が示す電圧の大きさは、実施形態によって異なる。
【0069】
インバータ部906は、整流部902及び直流端キャパシタC1、C2を経て提供される直流電圧を用いて出力電圧を合成する。図9に示したように、インバータ部906は、互いに並列に連結される第1レッグ908及び第2レッグ910を含む。
【0070】
第1レッグ908は、互いに直列に連結される第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4とを含む。また、図9に示したように、第1レッグ908は、第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4とそれぞれ逆並列に連結される第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第3のダイオードD3、第4のダイオードD4とを含む。
【0071】
また、第1レッグ908は、第1のスイッチング素子S1及び第2のスイッチング素子S2の連結点N1と、第3のスイッチング素子S3及び第4のスイッチング素子S4の連結点N2との間で、互いに直列に連結される第7のダイオードD7及び第8のダイオードD8を含む。第7のダイオードD7及び第8のダイオードD8の連結点N4は、直流端キャパシタC1、C2の連結点N3と互いに連結される。
【0072】
第1レッグ908に含まれた第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第3のダイオードD3、第4のダイオードD4は、互いに同じ方向に連結される。また、第1レッグ908に含まれた第7のダイオードD7及び第8のダイオードD8は、互いに同じ方向に連結される。
【0073】
さらに図9を参照すれば、第2レッグ910は、互いに直列に連結される第5のスイッチング素子S5及び第6のスイッチング素子S6と、第5のスイッチング素子S5及び第6のスイッチング素子S6とそれぞれ逆並列に連結される第5のダイオードD5及び第6のダイオードD6とを含む。第2レッグ910に含まれた第5のダイオードD5及び第6のダイオードD6は、互いに同じ方向に連結される。
【0074】
かかる構成を有するインバータ部906は、後述するようなスイッチング素子S1〜S6のスイッチング動作を介して4レベル、すなわち、第1の電圧レベル、第2の電圧レベル、第3の電圧レベル、第4の電圧レベルの極電圧を出力することができる。
【0075】
図1に示した従来のインバータ部106は、8個のスイッチング素子及び12個のダイオードで構成される反面、図9に示した本発明の単位電力セルのインバータ部906は、6個のスイッチング素子及び8個のダイオードで構成される。このように、本発明による単位電力セルは、従来に比べて、さらに少ない数のスイッチング素子で構成されるため、故障可能性が相対的に低くなり、スイッチング素子の配置による単位電力セルの大きさ及び嵩も、従来に比べて減少する長所がある。これにより、図9のような単位電力セルで構成されるインバータシステム204の故障可能性、大きさ及び嵩も従来に比べて減少するようになる。
【0076】
以下では、図4図10図13を参照して、各スイッチング素子のスイッチング動作による相電圧(VUN1、VVN1)及び相電圧(VUN1、VVN1)の組み合わせによる単位電力セルの極電圧(VUV)の出力について詳説する。
【0077】
図10図13は、図9に示した単位電力セルのインバータ部のスイッチング素子のターンオン及びターンオフ状態による電流の流れを示す。
【0078】
先ず、図10は、単位電力セルが第1の電圧レベル、すなわち、+2Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(502)を示す。
【0079】
図4及び図10を参照すれば、インバータ部906に含まれる第1のスイッチング素子S1及び第2のスイッチング素子S2がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、+Eを示す。また、第6のスイッチング素子S6がターンオンされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、−Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、+E−(−E)=+2Eとなる。
【0080】
結局、インバータ部906に含まれる第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第6のスイッチング素子S6がターンオンされ、第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第1の電圧レベル、すなわち、+2Eで表される。この場合、図10に示したように、電流は、直流端キャパシタC1、C2、第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第6のスイッチング素子S6を経て流れるようになる(502)。
【0081】
次に、図11は、単位電力セルが第2の電圧レベル、すなわち、+Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(602)を示す。
【0082】
図4及び図11を参照すれば、インバータ部906に含まれる第2のスイッチング素子S2及び第3のスイッチング素子S3がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、0を示す。また、第6のスイッチング素子S6がターンオンされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、−Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、0−(−E)=+Eとなる。
【0083】
結局、インバータ部906に含まれる第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第6のスイッチング素子S6がターンオンされ、第1のスイッチング素子S1、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第2の電圧レベル、すなわち、+Eで表される。この場合、図11に示したように、電流は、直流端キャパシタC2、第7のダイオードD7、第2のスイッチング素子S2、第6のスイッチング素子S6を経て流れるようになる(602)。
【0084】
次に、図12は、単位電力セルが第3の電圧レベル、すなわち、−Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(702)を示す。
【0085】
図4及び図12を参照すれば、インバータ部906に含まれる第2のスイッチング素子S2及び第3のスイッチング素子S3がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、0を示す。また、第5のスイッチング素子S5がターンオンされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、+Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、0−(+E)=−Eとなる。
【0086】
結局、インバータ部906に含まれる第2のスイッチング素子S2、第3のスイッチング素子S3、第5のスイッチング素子S5がターンオンされ、第1のスイッチング素子S1、第4のスイッチング素子S4、第6のスイッチング素子S6がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第3の電圧レベル、すなわち、−Eで表される。この場合、図12に示したように、電流は、直流端キャパシタC1、第7のダイオードD7、第2のスイッチング素子S2、第5のスイッチング素子S5を経て流れるようになる(702)。
【0087】
次に、図13は、単位電力セルが第4の電圧レベル、すなわち、−2Eの極電圧を出力する時の電流の流れ(702)を示す。
【0088】
図4及び図13を参照すれば、インバータ部906に含まれる第3のスイッチング素子S3及び第4のスイッチング素子S4がターンオンされるにつれて、U相の相電圧(VUN1)は、−Eを示す。また、第5のスイッチング素子S5がターンオンされるにつれて、V相の相電圧(VVN1)は、+Eを示す。これにより、U相の相電圧(VUN1)とV相の相電圧(VVN1)との差(VUN1−VVN1)である単位電力セルの極電圧(VUV)は、−E−(+E)=−2Eとなる。
【0089】
結局、インバータ部906に含まれる第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5がターンオンされ、第1のスイッチング素子S1、第2のスイッチング素子S2、第6のスイッチング素子S6がターンオフされると、単位電力セルの極電圧(VUV)は、第4の電圧レベル、すなわち、−2Eで表される。この場合、図13に示したように、電流は、直流端キャパシタC1、C2、第3のスイッチング素子S3、第4のスイッチング素子S4、第5のスイッチング素子S5を経て流れるようになる(802)。
【0090】
前述したような本発明の新しいトポロジーによるインバータで構成される単位電力セルは、従来技術に比べて、より少ない数の素子を用いて4レベルの極電圧を出力することができる。このように、素子数を減らすことで、単位電力セル及びインバータシステムの故障可能性を低くして信頼性を向上させることができ、単位電力セル及びインバータシステムの大きさ及び嵩、製造費用を減らすことができる。
【0091】
特に、インバータに用いられるスイッチング素子数が減少することで、スイッチング素子による発熱量も従来に比べて減少するようになる。このような発熱量の減少は、インバータシステム全体の故障可能性を低くする効果を引き起こす。また、インバータシステムの発熱を解消するための付加的な部品、例えば、ヒートシンクの大きさを減らすことができ、インバータシステムの大きさ及び嵩を減らすために役に立つ。
【0092】
前述した本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって本発明の技術的思想を脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるため、前述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】