(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
HIV gp120およびCD3に結合する多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)が、開示される。そのような抗体を使用してHIV感染を処置または予防する方法もまた、開示される。本開示は、とりわけ、HIVを処置または予防するための組成物および方法を提供する。より具体的には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープ(Env)糖タンパク質GP120(gp120)および第2の抗原(例えば、分化クラスター3(CD3)、抗IgA受容体(CD89))を標的とする多重特異性抗体、ならびにその使用が、本明細書において提供される。
カッパ−ラムダボディ、二重親和性再標的化分子(DART)、ノブ・イン・ホール、鎖交換操作ドメインボディ(SEEDボディ)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTe)、CrossMab、Fcab、ダイアボディ、タンデムダイアボディ(TandAb)、またはDuoBodyである、請求項1から24のいずれか一項に記載の抗体。
前記第1の抗原結合性ドメインが、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトラムダ定常領域である第1の軽鎖定常領域に融合されており、前記第2の抗原結合性ドメインが、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトラムダ定常領域である第2の軽鎖定常領域に融合されている、請求項26または27に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号8のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号81のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号82のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号83のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号84のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号10のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号40のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号78のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号79のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号80のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
(i)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、(ii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の重鎖可変領域または第1の重鎖をコードする核酸分子、(iii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、および(iv)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第2の重鎖可変領域または第2の重鎖をコードする核酸分子を含む、組成物。
(i)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、(ii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の重鎖可変領域または第1の重鎖をコードする核酸分子、および/または(iii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、および(iv)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第2の重鎖可変領域または第2の重鎖をコードする核酸分子を含む、宿主細胞。
組織培養物中の、E.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、酵母、CHO、YB/20、NS0、PER−C6、HEK−293T、NIH−3T3、HeLa、BHK、Hep G2、SP2/0、R1.1、B−W、L−M、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞、およびヒト細胞からなる群から選択される、請求項55に記載の宿主細胞。
gp120およびヒトCD3に結合する抗体を産生する方法であって、請求項55または56に記載の宿主細胞を、前記核酸分子が発現され、前記抗体が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。
試料中のgp120およびCD3を発現する細胞を検出するための方法であって、前記試料を、請求項1から53のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップを含む、方法。
請求項1から53のいずれか一項に記載の抗体または請求項59に記載の医薬組成物、ならびにa)検出試薬、b)gp120および/もしくはCD3抗原、c)ヒトへの投与のための使用もしくは販売の承認を表す通知、またはd)これらの組合せを含むキット。
ヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防することを必要とするヒト被験体においてヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防する方法であって、前記ヒト被験体に、治療有効量の、請求項1から53のいずれか一項に記載の抗体または請求項59に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、gp120に結合する抗体であって、前記VHが、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含み、前記VLが、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含み、前記VLが、67A位(Kabat番号付け)におけるチロシン、67A位(Kabat番号付け)におけるフェニルアラニン、67A位(Kabat番号付け)におけるスレオニン、または67位(Kabat番号付け)におけるグリシンを含む、抗体。
前記VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84のアミノ酸配列を含む、請求項62に記載の抗体。
配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号40、78、79、または80のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項62に記載の抗体。
抗gp120抗体を産生する方法であって、請求項73に記載の宿主細胞を、前記単数または複数の核酸が発現され、前記抗体が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。
ヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防することを必要とするヒト被験体においてヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防する方法であって、前記ヒト被験体に、治療有効量の、請求項62から69のいずれか一項に記載の抗体または請求項70に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、gp120に結合する抗体断片であって、前記VHが、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含み、前記VLが、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含み、前記VLが、67A位(Kabat番号付け)におけるチロシン、67A位(Kabat番号付け)におけるフェニルアラニン、67A位(Kabat番号付け)におけるスレオニン、または67位(Kabat番号付け)におけるグリシンを含む、抗体断片。
前記VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84のアミノ酸配列を含む、請求項76に記載の抗体断片。
抗gp120抗体断片を産生する方法であって、請求項85に記載の宿主細胞を、前記単数または複数の核酸が発現され、前記抗体断片が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、とりわけ、HIVを処置または予防するための組成物および方法を提供する。より具体的には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープ(Env)糖タンパク質GP120(gp120)および第2の抗原(例えば、分化クラスター3(CD3)、抗IgA受容体(CD89))を標的とする多重特異性抗体、ならびにその使用が、本明細書において提供される。
【0007】
一態様では、本開示は、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)エンベロープ(Env)糖タンパク質gp120(gp120)およびヒトCD3(例えば、ヒトCD3ε)に結合する多重特異性抗体を提供する。抗体は、第1の重鎖可変ドメイン(VH)および第1の軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、第1の抗原結合性ドメインを含む。第1の抗原結合性ドメインは、gp120に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1のVH相補性決定領域(CDR)1、配列番号2のアミノ酸配列を含む第1のVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含む第1のVH−CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む第1のVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含む第1のVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含む第1のVL−CDR3を含む。この抗体は、ヒトCD3(例えば、ヒトCD3ε)に結合する第2の抗原結合性ドメインも含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0008】
別の態様では、本開示は、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)エンベロープ(Env)糖タンパク質gp120(gp120)およびIgA受容体、CD89に結合する多重特異性抗体を提供する。抗体は、第1の重鎖可変ドメイン(VH)および第1の軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、第1の抗原結合性ドメインを含む。第1の抗原結合性ドメインは、gp120に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1のVH相補性決定領域(CDR)1、配列番号2のアミノ酸配列を含む第1のVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含む第1のVH−CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む第1のVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含む第1のVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含む第1のVL−CDR3を含む。この抗体は、CD89(例えば、ヒトCD89/FCAR、UniProtKB−P24071)に結合する第2の抗原結合性ドメインも含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0009】
上の2つの態様の一部の実施形態では、第1のVHは、配列番号7と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のVLは、配列番号8と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。これらの実施形態のある特定の事例では、配列番号8の66位、67位、67A位、および67C位(Kabat番号付け)のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸は、変更されていない。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号81と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号82と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号83と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号84と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号56〜65に示されるアミノ酸配列のうちの1つに連結されている。他の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号66〜75に示されるアミノ酸配列のうちの1つに連結されている。一部の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号77内に0〜10個のアミノ酸置換(例えば、半減期を増加させるおよび/またはエフェクター機能を減少させる置換)を有するアミノ酸配列に連結されている。ある特定の実施形態では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載されている「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含むアミノ酸配列に連結されている。
【0010】
上の2つの態様の一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号9と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号10と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号40と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号78と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号79と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号80と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0011】
上の2つの態様のある特定の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号82のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号83のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号84のアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号56〜65に示されるアミノ酸配列のうちの1つに連結されている。他の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号66〜75に示されるアミノ酸配列のうちの1つに連結されている。一部の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号77内に0〜10個のアミノ酸置換(例えば、半減期を増加させるおよび/またはエフェクター機能を減少させる置換)を有するアミノ酸配列に連結されている。ある特定の場合には、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載されている「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含むアミノ酸配列に連結されている。
【0012】
上の2つの態様の一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含み、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含み、配列番号40に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含み、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含み、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含み、配列番号80に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。
【0014】
ある特定の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、ヒトCD3に結合し、第2のVHおよび第2のVLを含む。第2のVHは、配列番号11のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR2、および配列番号13のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR3を含む。一部の実施形態では、第2のVLは、配列番号14のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR2、および配列番号16のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR3を含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、ヒトCD3に結合し、第2のVHおよび第2のVLを含み、第2のVHは、配列番号11のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR2、および配列番号13のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR3を含み、第2のVLは、配列番号14のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR2、および配列番号16のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR3を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、ヒトCD89に結合し、第2のVHおよび第2のVLを含む。第2のVHは、配列番号98のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR1、配列番号99のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR2、および配列番号100のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR3を含む。一部の実施形態では、第2のVLは、配列番号103のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR1、配列番号104のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR2、および配列番号105のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR3を含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、ヒトCD89に結合し、第2のVHおよび第2のVLを含み、第2のVHは、配列番号98のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR1、配列番号99のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR2、および配列番号100のアミノ酸配列を含む第2のVH−CDR3を含み、第2のVLは、配列番号103のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR1、配列番号104のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR2、および配列番号105のアミノ酸配列を含む第2のVL−CDR3を含む。
【0018】
一部の実施形態では、第2のVHは、配列番号17と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のVLは、配列番号18と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0019】
一実施形態では、第2のVHは、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
一部の実施形態では、第2のVHは、配列番号96と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のVLは、配列番号101と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0021】
一実施形態では、第2のVHは、配列番号96に示されるアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101に示されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、配列番号19と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、配列番号20と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、配列番号97と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、配列番号102と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0024】
一部の実施形態では、抗体は、カッパ−ラムダボディ、二重親和性再標的化分子(DART)、ノブ・イン・ホール、鎖交換操作ドメインボディ(SEEDボディ)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTe)、CrossMab、Fcab、ダイアボディ、タンデムダイアボディ(TandAb)、またはDuoBody(登録商標)である。
【0025】
ある特定の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4、ヒトIgA1、およびヒトIgA2からなる群から選択される第1の重鎖定常領域に融合されている。一部の事例では、第1の抗原結合性ドメインは、直接、または介在アミノ酸配列を介して、第1の重鎖定常領域に融合されており、ここで、定常領域は、ヒトIgG1(例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するが、IgG1ヒンジ領域が、IgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載されている「オープン」IgG3ヒンジバリアント「「IgG3 C−」)で置き換えられていることを除く。一部の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4、ヒトIgA1、およびヒトIgA2からなる群から選択される第2の重鎖定常領域に融合されている。一部の事例では、第2の抗原結合性ドメインは、直接、または介在アミノ酸配列を介して、第2の重鎖定常領域に融合されており、ここで、定常領域は、ヒトIgG1(例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するが、IgG1ヒンジ領域が、IgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載されている「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)で置き換えられていることを除く。
【0026】
具体的な実施形態では、第1の重鎖定常領域は、ヒトIgG1であり、第2の重鎖定常領域は、ヒトIgG1である。
【0027】
一部の実施形態では、第1の抗原結合性ドメインは、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトラムダ定常領域である第1の軽鎖定常領域に融合されている。他の実施形態では、第2の抗原結合性ドメインは、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトラムダ定常領域である第2の軽鎖定常領域に融合されている。
【0028】
一実施形態では、第1の重鎖定常領域は、以下のF405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、またはF405Yアミノ酸変異のうちの1つを含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Lアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Aアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Dアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Eアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Hアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Iアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Kアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Mアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Nアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Qアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Sアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Tアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Vアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Wアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、F405Yアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含む。
【0029】
別の実施形態では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、以下のF405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、またはF405Yアミノ酸変異のうちの1つを含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Lアミノ酸変異を含む。別の事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Aアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Dアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Eアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Hアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Iアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Kアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Mアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Nアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Qアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Sアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Tアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Vアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Wアミノ酸変異を含む。1つの事例では、第1の重鎖定常領域は、K409Rアミノ酸変異を含み、第2の重鎖定常領域は、F405Yアミノ酸変異を含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、第1の重鎖定常領域および第2の重鎖定常領域のエフェクター機能は、低減または抑止されている(例えば、野生型IgG1 Fcを有する抗体のエフェクター機能と比較して)。
【0031】
一部の実施形態では、第1の重鎖定常領域は、N297A変異もしくはN297Q変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含み、かつ/または第2の重鎖定常領域は、N297A変異もしくはN297Q変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含む。
【0032】
別の態様では、本開示は、gp120およびヒトCD3に結合する二重特異性抗体を提供する。二重特異性抗体は、gp120に結合する第1のアームを含む。第1のアームは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、もしくはF405Yアミノ酸変異、またはK409R変異のうちのいずれか1つである第1の変異を含む第1の重鎖定常領域と、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含む第1のVHとを含む、第1の重鎖を含む。1つの事例では、第1のアームは、F405LまたはK409R変異のうちのいずれか1つである第1の変異を含む第1の重鎖定常領域を含む、第1の重鎖を含む。第1のアームはまた、第一の軽鎖定常領域と、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含む第1のVLとを含む、第1の軽鎖を含む。二重特異性抗体は、CD3(例えば、ヒトCD3(例えば、ヒトCD3ε)に結合する第2のアームを含む。第2のアームは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、もしくはF405Yアミノ酸変異、またはK409R変異のうちのいずれか1つである第2の変異を含む第2の重鎖定常領域と、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、および配列番号13のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含む第2のVHとを含む、第2の重鎖を含む。1つの事例では、第2のアームは、F405LまたはK409R変異のうちのいずれか1つである第2の変異を含む第2の重鎖定常領域を含む、第2の重鎖を含む。第2のアームは、第2の軽鎖定常領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号16のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含む第2のVLとを含む、第2の軽鎖を含む。第1の変異および第2の変異は、異なる変異である。
【0033】
別の態様では、本開示は、gp120およびヒトCD89に結合する二重特異性抗体を提供する。二重特異性抗体は、gp120に結合する第1のアームを含む。第1のアームは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、もしくはF405Yアミノ酸変異、またはK409R変異のうちのいずれか1つである第1の変異を含む第1の重鎖定常領域と、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含む第1のVHとを含む、第1の重鎖を含む。1つの事例では、第1のアームは、F405LまたはK409R変異のうちのいずれか1つである第1の変異を含む第1の重鎖定常領域を含む、第1の重鎖を含む。第1のアームはまた、第1の軽鎖定常領域と、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含む第1のVLとを含む、第1の軽鎖を含む。二重特異性抗体は、CD89(例えば、ヒトCD89)に結合する第2のアームを含む。第2のアームは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、もしくはF405Yアミノ酸変異、またはK409R変異のうちのいずれか1つである第2の変異を含む第2の重鎖定常領域と、配列番号98のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号99のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、および配列番号100のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含む第2のVHとを含む、第2の重鎖を含む。1つの事例では、第2のアームは、F405LまたはK409R変異のうちのいずれか1つである第2の変異を含む第2の重鎖定常領域を含む、第2の重鎖を含む。第2のアームは、第2の軽鎖定常領域と、配列番号103のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号104のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号105のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含む第2のVLとを含む、第2の軽鎖を含む。第1の変異および第2の変異は、異なる変異である。
【0034】
上の2つの態様のある特定の実施形態では、抗gp120抗体アームは、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体アームは、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体アームは、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体アームは、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、抗gp120抗体アームは、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、抗gp120抗体アームは、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0035】
一部の実施形態では、第1のVHは、配列番号7と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のVLは、配列番号8と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。これらの実施形態のある特定の事例では、配列番号8の66位、67位、67A位、および67C位(Kabat番号付け)のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸は、変更されていない。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号81と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号82と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号83と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のVLは、配列番号84と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の事例では、上記のVHは、直接、または介在アミノ酸(複数可)(例えば、G−Sリンカー配列)を介して、配列番号77内に1〜10個のアミノ酸置換(例えば、半減期を増加させるおよび/またはエフェクター機能を減少させる置換)を有するアミノ酸配列に連結されている。
【0036】
一部の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1の軽鎖は、配列番号10と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1の軽鎖は、配列番号40と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1の軽鎖は、配列番号78と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1の軽鎖は、配列番号79と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1の軽鎖は、配列番号80と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0037】
ある特定の実施形態では、第2のVHは、配列番号17と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のVLは、配列番号18と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0038】
ある特定の実施形態では、第2のVHは、配列番号96と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のVLは、配列番号101と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0039】
一部の実施形態では、第2の重鎖は、配列番号19と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第2の重鎖は、配列番号20と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0040】
一部の実施形態では、第2の重鎖は、配列番号97と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第2の重鎖は、配列番号102と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0041】
一実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号17のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0042】
一実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0043】
別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号81のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号17のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0044】
別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号81のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0045】
さらなる実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号82のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号17のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0046】
さらなる実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号82のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0047】
別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号83のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号17のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0048】
別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号83のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0049】
さらに別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号84のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号17のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0050】
さらに別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号84のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0051】
別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0052】
さらに別の実施形態では、第1のVHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号84のアミノ酸配列を含み、および/または第2のVHは、配列番号96のアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0053】
別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号40のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0054】
別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号40のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号97のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号102のアミノ酸配列を含む。
【0055】
別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号78のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0056】
別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号78のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号97のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号102のアミノ酸配列を含む。
【0057】
さらに別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号79のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0058】
さらに別の実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号79のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号97のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号102のアミノ酸配列を含む。
【0059】
さらなる実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号80のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0060】
さらなる実施形態では、第1の重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号80のアミノ酸配列を含み、および/または第2の重鎖は、配列番号97のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号102のアミノ酸配列を含む。
【0061】
上の態様および実施形態の全てのある特定の実施形態では、抗体は、細胞傷害剤、放射性同位体、治療剤、抗ウイルス剤、または検出可能な標識をさらに含む。
【0062】
さらなる態様では、本開示は、上に開示されている抗体の第1の抗原結合性ドメインの第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子を含む、組成物を提供する。別の態様では、本開示は、上に開示されている抗体の第1の抗原結合性ドメインの第1の重鎖可変領域または第1の重鎖をコードする核酸分子を含む、組成物を提供する。さらに別の態様では、本開示は、上に開示されている抗体の第2の抗原結合性ドメインの第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子を含む、組成物を提供する。さらに別の態様では、本開示は、上に開示されている抗体の第2の抗原結合性ドメインの第2の重鎖可変領域または第2の重鎖をコードする核酸分子を含む、組成物を提供する。
【0063】
別の態様では、本開示は、上記の核酸うちの1つまたは複数を含む宿主細胞を特徴とする。ある特定の事例では、宿主細胞は、二重特異性抗体の4つ全ての鎖を含む。他の事例では、宿主細胞は、二重特異性抗体のgp120結合性アームをコードする核酸を含む。他の事例では、宿主細胞は、二重特異性抗体のCD3結合性アームをコードする核酸を含む。さらに他の事例では、宿主細胞は、二重特異性抗体のCD89結合性アームをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、組織培養物中の、E.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、酵母(例えば、Pichia、Saccharomyces)、CHO、YB/20、NS0、PER−C6、HEK−293T、NIH−3T3、HeLa、BHK、Hep G2、SP2/0、R1.1、B−W、L−M、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞、およびヒト細胞からなる群から選択される。
【0064】
さらに別の態様では、gp120およびヒトCD3に結合する抗体(またはgp120およびヒトCD89に結合する抗体)を産生する方法を、特徴とする。上記の宿主細胞を、核酸分子が発現され、抗体が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。
【0065】
別の態様では、試料中のgp120およびCD3(またはCD89)を発現する細胞を検出するための方法が、開示される。本方法は、試料を、本明細書に記載される抗体と接触させるステップを含む。
【0066】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載される抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0067】
さらなる実施形態では、本開示は、本明細書に記載される抗体、ならびにa)検出試薬、b)gp120および/もしくはCD3および/もしくはCD89抗原、c)ヒトへの投与のための使用もしくは販売に関する承認を表す通知、またはd)これらの組合せを含むキットを特徴とする。
【0068】
また、ヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防することを必要とするヒト被験体においてヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防する方法も、提供される。本方法は、ヒト被験体に、治療有効量の、本明細書において開示されている抗体または医薬組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ヒト免疫不全ウイルス感染は、HIV−1感染である。一部の実施形態では、患者におけるウイルスは、N332 PNG陽性であるEnvを有する。ある特定の実施形態では、HIVは、クレードB、G、A、AC、またはAEのものである。
【0069】
別の態様では、本開示は、gp120に結合する抗体を特徴とする。この抗体は、VHおよびVLを含む。VHは、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含む。VLは、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含む。加えて、VLは、67A位(Kabat番号付け)におけるチロシン、フェニルアラニン、もしくはスレオニン、または67位(Kabat番号付け)におけるグリシンを含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0071】
一部の実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHは、直接、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して、抗体のエフェクター機能を低減させるおよび/または薬物動態学的半減期を増加させる0〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換を含む、ヒトIgG1定常領域(例えば、IgG1m3アロタイプ)に連結されている。一部の事例では、抗体は、IgG3抗体に由来するヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に開示されている「オープン」IgG3C−ヒンジバリアント)、ならびにヒトIgG1抗体(例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1、CH2、およびCH3領域を有する。
【0072】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号81、82、83、または84と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0073】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号9と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0074】
ある特定の実施形態では、軽鎖は、配列番号40、78、79、または80と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0075】
一実施形態では、抗体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号40のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0076】
別の実施形態では、抗体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号78のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0077】
さらに別の実施形態では、抗体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号79のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0078】
別の実施形態では、抗体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号80のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0079】
一部の実施形態では、上記の抗体は、細胞傷害剤、放射性同位体、治療剤、抗ウイルス剤、または検出可能な標識をさらに含む。
【0080】
別の態様では、本開示は、本態様の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を特徴とする。
【0081】
別の態様では、本開示は、本態様の抗体をコードする核酸に関する。
【0082】
別の態様では、本開示は、上記の単数または複数の核酸を含む単数または複数のベクターを提供する。
【0083】
さらに別の態様では、本開示は、上記の単数または複数のベクターを含む宿主細胞を特徴とする。
【0084】
さらなる態様では、本開示は、抗gp120抗体を産生するための方法を提供する。本方法は、上記の宿主細胞を、単数または複数の核酸が発現され、抗体が産生されるような条件下において培養するステップを含む。
【0085】
また、ヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防することを必要とするヒト被験体においてヒト免疫不全ウイルス感染を処置または予防する方法も特徴とする。本方法は、ヒト被験体に、治療有効量の、本態様の抗体または医薬組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ヒト免疫不全ウイルス感染は、HIV−1感染である。一部の実施形態では、患者におけるHIVは、N332 PNG陽性であるEnvを有する。ある特定の実施形態では、HIVは、クレードB、G、A、AC、またはAEのものである。
【0086】
別の態様では、本開示は、gp120に結合する抗体断片を特徴とする。この抗体断片は、VHおよびVLを含む。VHは、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含む。VLは、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含む。加えて、VLは、67A位(Kabat番号付け)におけるチロシン、フェニルアラニン、もしくはスレオニン、または67位(Kabat番号付け)におけるグリシンを含む。
【0087】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体断片は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体断片は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体断片は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、抗gp120抗体断片は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、抗gp120抗体断片は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、抗gp120抗体断片は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0088】
一部の実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0089】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号81、82、83、または84と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0090】
一部の実施形態では、抗体断片は、Fab、F(ab)2、Fv、scFv、sc(Fv)2、またはダイアボディである。
【0091】
一部の実施形態では、上記の抗体断片は、細胞傷害剤、放射性同位体、治療剤、抗ウイルス剤、または検出可能な標識をさらに含む。
【0092】
別の態様では、本開示は、本態様の抗体断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を特徴とする。
【0093】
別の態様では、本開示は、本態様の抗体断片をコードする単数または複数の核酸に関する。
【0094】
別の態様では、本開示は、上記の単数または複数の核酸を含む単数または複数のベクターを提供する。
【0095】
さらに別の態様では、本開示は、上記の単数または複数のベクターを含む宿主細胞を特徴とする。
【0096】
さらなる態様では、本開示は、抗gp120抗体断片を産生するための方法を提供する。本方法は、上記の宿主細胞を、単数または複数の核酸が発現され、抗体断片が産生されるような条件下において培養するステップを含む。
【0097】
別の態様では、本開示は、HIVを処置または予防することを必要とするヒト被験体においてHIVを処置または予防するための方法を特徴とする。本方法は、ヒト対象に、治療有効量の、本態様の抗体断片または医薬組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、ヒト免疫不全ウイルス感染は、HIV−1感染である。一部の実施形態では、患者におけるHIVは、N332 PNG陽性であるEnvを有する。ある特定の実施形態では、HIVは、クレードB、G、A、AC、またはAEのものである。
【0098】
別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料に類似するかまたはそれと同等の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および材料が、以下に記載されている。本明細書において記載される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本出願が優先される。材料、方法、および実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0099】
本発明の他の特性および利点は、以下の詳細な記載および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0100】
詳細な記載
本明細書に記載される多重特異性抗体は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープ(Env)タンパク質gp120(gp120)および分化クラスター3(CD3)(例えば、CD3ε)に結合し、HIV感染細胞を死滅させるのに有効である。例えば、多重特異性抗体は、2つの抗原結合性アームを有する二重特異性抗体であり、ここで、この二重特異性抗体は、一方のアームで、HIV感染細胞上の抗原(例えば、gp120)に結合し、他方のアームで、T細胞上の抗原(例えば、CD3)に結合することにより、T細胞(例えば、CD4
+T細胞および/またはCD8
+T細胞)を、HIV感染細胞に向けさせ、HIV感染細胞の殺滅をもたらすことができる。CD3およびgp120に結合する二重特異性抗体は、CD8
+T細胞およびCD4
+T細胞を、gp120発現細胞(例えば、HIV感染細胞)を死滅させるために、再び向けさせることができる。T細胞は、そのT細胞受容体の特異性に依存せずに、HIV感染細胞を死滅させる。一実施形態では、二重特異性抗体は、抗gp120×抗CD3 Duobody(登録商標)である。本開示のDuobodyは、当該技術分野において公知の他の二重特異性プラットフォームよりも優れた重大な利点を有する。例えば、DARTプラットフォームよりも優れたDuobody(登録商標)プラットフォームの主要な利点は、本明細書において開示されているDuobodyが、標的細胞(例えば、HIV感染細胞)を死滅させるために、CD4
+T細胞を動員することができることである。CD4
+T細胞に媒介される殺滅は、DARTでは観察されていない(Sloan et al., PLOS Pathogens, 11(11):e1005233. doi:10.1371/journal.ppat.1005233 (2015)を参照されたい)。これは、HIV処置における標的もまたCD4
+T細胞であるため、重大な利点である。HIV処置のための活動に自然エフェクター細胞を必要とする抗体を使用することに伴う1つの懸念は、潜伏感染状態にあるCD4
+T細胞が存在する組織に、エフェクター細胞が存在しない場合があることであるが、これは、CD4
+T細胞自体がエフェクター細胞であり得る場合にはあまり問題にはならない。
【0101】
HIV−1は、HIVの主要なファミリーであり、世界中の全ての感染の95%を占める。HIV−2は、主として、西アフリカのいくつかの国において見られる。
【0102】
HIVウイルスは、特定のグループM、N、OおよびPへと分割され、そのうちMは、「主要な」グループであり、世界的にHIV/AIDSの大部分の原因である。それらの遺伝子配列に基づいて、グループMは、別個の地理的場所における有病率によって、サブタイプ(クレードとも呼ばれる)へとさらに下位分割される。
【0103】
グループMの「サブタイプ」または「クレード」は、遺伝子配列データによって規定されるHIV−1グループMのサブタイプである。グループMサブタイプの例には、サブタイプA〜Kが含まれる。サブタイプの一部は、より毒性が高いことが公知であり、または異なる薬物療法に対して耐性である。各々番号が与えられた、異なるサブタイプのウイルス間の組換えに由来する「循環組換え形態」またはCRFもまた存在する。例えば、CRF12_BFは、サブタイプBとFとの間の組換えである。サブタイプAは、西アフリカにおいて一般的である。サブタイプBは、ヨーロッパ、アメリカ、日本、タイおよびオーストラリアにおいて支配的な形態である。サブタイプCは、南アフリカ、東アフリカ、インド、ネパール、および中国の一部において支配的な形態である。サブタイプDは一般に、東および中央アフリカにおいてのみ見られる。サブタイプEは、CRF01_AEとしてサブタイプAと組み換えられたものに限られ、非組換え体として同定されたことはない。サブタイプFは、中央アフリカ、南アメリカおよび東ヨーロッパにおいて見出されている。サブタイプG(およびCRF02_AG)は、アフリカおよび中央ヨーロッパにおいて見出されている。サブタイプHは、中央アフリカに限定される。サブタイプIは、現在はCRF04_cpxと説明される株を記述するために元々使用され、cpxは、いくつかのサブタイプの「複雑な」組換えを意味する。サブタイプJは、北、中央および西アフリカ、ならびにカリブ海地域において主に見出される。サブタイプKは、コンゴ民主共和国およびカメルーンに限定される。これらのサブタイプは、サブ−サブタイプ、例えば、A1およびA2またはF1およびF2へとさらに分割される場合がある。2015年には、サブタイプDプロテアーゼを有するサブタイプA、サブタイプDおよびサブタイプGの組換え体である株CRF19が、キューバにおいてAIDSへの迅速な進行と強く関連することが見出された。
【0104】
本開示は、とりわけ、HIV感染細胞の表面上のgp120ポリペプチドを標的とする中和抗体(例えば、広範に中和するAb)を提供する。ウイルスエンベロープタンパク質に対する中和抗体は、感受性細胞の感染をブロックすることによって、HIV−1曝露に対する適応免疫防御を提供する。広範な中和は、抗体が、異なるクレードに由来するHIV−1分離株を中和し得ることを示す。したがって、本開示によって包含される抗体は、交差クレードの結合活性を有する。
【0105】
gp120
エンベロープ糖タンパク質gp120(またはgp120)は、HIVの外層の部分である120kDaの糖タンパク質である。これは、3つのgp120分子が一緒に連結されgp41タンパク質によって膜に固定されたものからなる、ウイルス膜スパイクとして現れる。gp120は、細胞表面受容体との相互作用を通じて、宿主細胞へのHIVの侵入を促進するので、ウイルス感染に必須である。これらの受容体としては、DC−SIGN、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびCD4受容体が挙げられる。ヘルパーT細胞上のCD4への結合により、gp120およびgp41における構造変化のカスケードの開始が誘導され、これにより、ウイルスと宿主細胞膜との融合がもたらされる。
【0106】
gp120は、HIV env遺伝子によってコードされる。env遺伝子は、およそ850個のアミノ酸の遺伝子産物をコードする。一次env産物は、タンパク質gp160であり、これが、小胞体において、細胞プロテアーゼフューリンによって切断されて、gp120(約480個のアミノ酸)およびgp41(約345個のアミノ酸)となる。
【0107】
HIVクローンWITOの例示的なgp160ポリペプチドのアミノ酸配列を、以下に提供する(V3超可変ループが、太字で示されており、N332潜在的N−結合型グリコシル化部位が、太字かつ下線で示されている):
【化1】
【化2】
【0108】
例示的なgp120ポリペプチドのアミノ酸配列を、以下に提供する:
【化3】
【0109】
別の例示的なgp120ポリペプチド(www.bioafrica.net/proteomics/ENV−GP120prot.htmlを参照されたい)のアミノ酸配列を、以下に提供する:
【化4】
【0110】
同じ患者に由来する経時的分離株間では程度が低いが、単一の患者分離株内ですら存在する、独立したヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)分離株間におけるゲノム多様性は、HIV−1の周知の特性である。この配列の不均一性は、ゲノム全体に分布しているが、ほとんどの不均一性は、env遺伝子に位置している。いくつかの異なる分離株からの予測されるアミノ酸配列の比較により、配列の不均一性が、表面糖タンパク質gp120の5つの可変領域(V1からV5と表記される)に集合していることが示されている。V3領域は、35個のアミノ酸の長さしかないが、相当な配列変動性を呈する。興味深いことに、この変動性にもかかわらず、V3領域には、CD4
+細胞との相互作用を媒介する決定基が含まれる。gp120変動性の増加は、より高いレベルのウイルス複製をもたらし、多様なHIV−1バリアントにより感染した個体におけるウイルスの適合性の増加を示唆している。潜在的N−結合型グリコシル化部位(PNGS)における変動性もまた、ウイルスの適合性の増加をもたらす。PNGSは、長鎖炭水化物のgp120の高可変領域への結合を可能にする。したがって、envにおけるPNGSの数は、中和抗体に対するより高いかまたは低い感受性を提供することによって、ウイルスの適合性に影響を及ぼし得る。
【0111】
gp120のV3領域のコンセンサス配列(Milich et al., J Virol., 67(9):5623-5634 (1993)を、以下に提供する:
【化5】
【0112】
抗gp120抗体
本開示は、抗gp120抗体を特徴とする。ある特定の実施形態では、これらの抗体は、細胞表面上に発現されるHIV−1抗原に結合し、感染細胞を排除するまたは死滅させる。
【0113】
ある特定の実施形態では、これらの抗体は、HIV−1を標的とする中和抗体(例えば、モノクローナル)である。「中和抗体」は、宿主におけるおよび/またはin vitroの標的細胞における感染を開始および/または永続化するHIVの能力を中和することができる抗体である。本開示は、中和モノクローナルヒト抗体であって、HIV由来の抗原、例えば、gp120ポリペプチドを認識する、抗体を提供する。ある特定の実施形態では、「中和抗体」は、中和指数(neutralization index)>1.5または>2.0で、HIV−1ウイルス、例えば、SF162および/またはJR−CSFの侵入を阻害し得る(Kostrikis LG et al., J. Virol.,70(1): 445-458 (1996))。
【0114】
一部の実施形態では、これらの抗体は、HIV−1を標的とする広範に中和する抗体(例えば、モノクローナル)である。「広範に中和する抗体」とは、中和アッセイにおいて、1つよりも多いHIV−1ウイルス種(多様なクレードおよびクレード内の異なる株由来)を中和する抗体を意味する。広範に中和する抗体は、HIV−1の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、またはそれよりも多くの異なる株を中和し得、株は、同じかまたは異なるクレードに属する。特定の実施形態では、広範に中和する抗体は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの異なるクレードに属する複数のHIV−1種を中和し得る。ある特定の実施形態では、抗体の阻害濃度は、中和アッセイにおいて、投入ウイルスの約50%を中和するのに約0.0001μg/ml未満、約0.001μg/ml未満、約0.01μg/ml未満、約0.1μg/ml未満、約0.5μg/ml未満、約1.0μg/ml未満、約5μg/ml未満、約10μg/ml未満、約25μg/ml未満、約50μg/ml未満、または約100μg/ml未満であり得る。
【0115】
一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、PCT出願公開WO2012/030904号においてPGT−121 LO6として記載される抗体に関する。以下の表1は、PGT−121 LO6抗体の関連する配列情報を提供する。
【0117】
PGT−121 LO6抗体、すなわち、PGT−122と高度に関連する抗体の結晶構造および実験的分析により、PGT122が、抗原に結合するためにCDRの外側のアミノ酸残基も(CDRと一緒に)利用していることが明らかになった。例えば、この抗体は、フレームワーク領域内に、抗原と接触するさらなる領域を有するようである(例えば、Experimental Validation for PGT121 and related antibodies: Sok et al., PLOS Pathogens, 9, e1003754 (2013)を参照されたい)。Envウイルス抗原に結合したPGT122の高分解能の構造が決定されている(例えば、Julien J.P. et al., Science, 342, 14777-14783 (2013)、およびPancera, M. et al., Nature, 514, 455-461 (2014)を参照されたい)。PGT121の構造は、Julien JP et al., PLOS Pathogens 9, e1003342 (2013)、およびMouquet H et al., PNAS, 109, E3268-E3277 (2012)に記載されている。PGT122の構造は、Julien JP et al., PLOS Pathogens 9, e1003342 (2013), PDB ID 4JY5に記載されており、PGT123の構造は、Julien JP et al., PLOS Pathogens 9, e1003342 (2013)に記載されている。PGT122およびPGT123抗体は、PGT121抗体と密接に関連しており、したがって、PGT122/Env構造は、PGT121、PGT122、およびPGT123構造の知識と一緒に、Envに結合したPGT121の構造を非常に正確にモデル化し、Envへの結合に関与するPGT121の残基を高い信頼度で予測するために使用することができる。PGT122およびPGT122/Env構造に対する類似性に基づいて予測される、gp120抗原と接触するPGT121 LO6抗体の残基を、以下に提供し、フレームワーク残基を太字で示す(Kabat番号付け):
VH(Kabat番号付け):
33、56、58、99、100、100A、100B、100C、100D、100E、100G、100I、100J、100K、100Lおよび
VL(Kabat番号付け):
【化6】
【0118】
さらに、PGT−121 LO6抗体は、上に列挙したものに加えて、未知のアミノ酸位置において抗体と接触し得る抗原の多くの異なるバリアント、例えば、異なるウイルス株に結合することが示されている。異なるウイルス株は、異なるEnv(即ち、抗原)配列および異なるグリコシル化パターンを有し、単一のEnv配列でさえ、不均一なグリコシル化パターンを有し得、異なるHIV−1バリアントのEnvタンパク質またはさらには同じEnvタンパク質上の異なるグリコシル化パターンを認識するために、広範に結合するまたは中和する抗体を必要とする。例えば、PGT121のエピトープは、Env V3ループ、特に、N332位におけるN−結合型グリカンから構成される。V3ループは、細胞指向性およびウイルスクレードの主要な決定因子である。複数のクレードの117個のCCR5指向性ウイルスの中で、N332グリカンをコードするウイルスDNA配列中の潜在的N−結合型グリコシル化(PNG)モチーフの存在は、クレードB、G、A、ACおよびAEのウイルスの中で、PGT121による中和に対する感受性と、統計的に有意に関連した。Gileadが出資した臨床試験に参加している患者から単離された50のクレードB Env配列のうち、N332 PNGモチーフを有するCCR5指向性Envの94%が、PGT121による中和に対して感受性であったことと比較すると、CCR5指向性、N332 PNG陽性ではないウイルスはたった26%であった(P<0.0001)。したがって、Envクレード、向性(tropism)、およびN332 PNGモチーフの存在の遺伝的決定は、PGT121による中和感受性を高度に予測し、PGT121およびその誘導体による中和に対するウイルス感受性を予測するためのマーカーとして有用であり得る。
【0119】
本開示は、PGT−121 LO6抗体のバリアントを提供する。ある特定の実施形態では、これらのバリアントは、PGT−121 LO6抗体と比較して、実質的に同じかまたはgp120に対する増加した結合親和性を有する。結合親和性は、ELISA、SPR、BLI、またはフローサイトメトリーを含む、当該技術分野において公知の任意のアッセイを使用して決定することができる。ある特定の実施形態では、これらのバリアントは、PGT−121 LO6抗体と比較して、pH6.0でのFcRnに対する増加した結合親和性を有する。一部の実施形態では、これらのバリアントは、PGT−121 LO6抗体と比較して、HIV−1に対する増加した中和を有する。ある特定の実施形態では、バリアントは、PGT−121 LO6抗体と比較して、低減された免疫原性を有する。ある特定の実施形態では、Envタンパク質への本開示のバリアントの結合は、以下の残基中またはその周囲のEnvの領域が関与すると予測される(HIV Env HXB2番号付け):V3ループ(324〜328、330)および関連するN332グリカンならびにV1ループの一部分(135〜137)および関連するN137グリカン、残基415〜417。Env結合のための抗体パラトープには、抗原と直接的に接触する以下の領域内の残基が関与すると予測される(Kabat番号付け):CDRH1(33)、CDRH2(50、56、58)、CDRH3(99、100、100A、100B、100C、100D、100E、100G、100I、100L)、CDRL1(28、29、30)、CDRL2(50、51、52)、LFR3(66、67、67A、67B、および67C)、ならびにCDRL3(93、94、95A、95B)。
【0120】
PGT−121 LO6重鎖可変ドメイン配列(Kabat番号付けによる)(配列番号126)
【化7】
【0121】
PGT−121 LO6軽鎖可変ドメイン配列(Kabat番号付けによる:VLは、107位(V)で終了する、すなわち、G108はVLの一部ではないことに留意されたい)(配列番号127)
【化8】
【0122】
PGT−121 LO6抗体の1つの例示的なバリアントは、PGT−121.60抗体であり、その関連する配列情報は、以下の表2に提供されている。
【表2-1】
【表2-2】
【0123】
例示的な抗gp120抗体1
例示的な抗gp120抗体1は、PGT−121.60抗体に関連する。例示的な抗gp120抗体1(PGT121.60ヒトIgG1 FEARLS/ヒトラムダ)の関連するアミノ酸配列は、表3に提供されている。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0124】
抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を包含し得る。一実施形態では、CDRは、Kabatの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Chothiaの定義に基づいて定義される。具体的な実施形態では、Chothiaの定義は、Chothia and Lesk, J Mol Biol. 196(4):901-17 (1987)、およびMorea et al., Methods, 20:267-279 (2000)による定義を使用する、Discovery Studioによるものである。別の具体的な実施形態では、Chothiaの定義は、Abysis定義によるChothiaに基づく。別の実施形態では、CDRは、IMGTの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Honeggerの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、contactの定義に基づいて定義される。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0125】
ある特定の事例では、抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖および可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗gp120抗体は、例示的な抗gp120抗体1の重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、例示的な抗gp120抗体1の軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0126】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む、重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号において「IgG3 C−」と表記される「オープン」IgG3ヒンジバリアント(例えば、このPCT公開の
図2Aを参照されたい))を含む、重鎖定常領域に連結されている。このIgG3ヒンジバリアントは、Fabアームの可動性の改善、および三量体内での相互作用に十分である200A
0の距離にまたがる能力を呈すると予測される。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0127】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0128】
IgG抗体は、種々のアロタイプおよびイソアロタイプ(isoallotype)で存在する。特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。これらのアロタイプまたはイソアロタイプのそれぞれは、IgG1重鎖定常領域(Fc)内の示された位置(EU番号付け)における以下のアミノ酸残基によって特徴付けられる:
G1m1:D356、L358;
nG1m1:E356、M358;
G1m3:R214、E356、M358、A431;
G1m17,1:K214、D356、L358、A431;
G1m17,1,2:K214、D356、L358、G431;
G1m3,1:R214、D356、L358、A431;および
G1m17:K214、E356、M358、A431.
【0129】
具体的な実施形態では、例示的な抗gp120抗体1のVHは、以下に提供される野生型IgG1m3配列(代表的なアロタイプ決定残基が、太字で示されている)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている:
【化9】
【0130】
ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号77に1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換(例えば、エフェクター機能を低減するためおよび/または半減期を増加させるために行われる置換)を有する変異体IgG1m3配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。例示的なアミノ酸置換は、本開示において後述されている。
【0131】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトカッパ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、Km1;Km1,2;またはKm3から選択されるアロタイプを有するカッパ軽鎖を含む。これらのアロタイプのそれぞれは、IgG1軽鎖内の示された位置(EU番号付け)における以下のアミノ酸残基によって特徴付けられる:
Km1: V153, L191;
Km1,2: A153, L191; および
Km3: A153, V191.
【0132】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、以下のアミノ酸配列のうちの1つを含むIgG1カッパ軽鎖を含み、以下には、代表的なアロタイプ決定残基が、太字で示されている:
Km1:
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNVLQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKLYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号85);
Km1,2:
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKLYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号86);または
Km3:
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号87)。
【0133】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。それぞれの個々のヒトは、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、ラムダ4、ラムダ5、ラムダ6、およびラムダ7から選択される軽鎖をコードする、7〜11個の異なるラムダ軽鎖遺伝子を含む。特定の実施形態では、本開示の抗体は、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、ラムダ4、ラムダ5、ラムダ6、およびラムダ7から選択されるラムダ軽鎖を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、以下のアミノ酸配列のうちの1つを含むラムダ軽鎖を含み、以下には、代表的なラムダ決定残基が、太字で示されている:
【化10】
【0134】
具体的な実施形態では、例示的な抗gp120抗体1のVL(例えば、配列番号8に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号8内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型ヒトラムダ2配列(配列番号89)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1のVLは、配列番号89内に1〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個)の置換を有する変異体ヒトラムダ2配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0135】
特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1m3/ヒトラムダ2抗体である。
【0136】
例示的な抗gp120抗体1などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0137】
例示的な抗gp120抗体2
別の例示的な抗gp120抗体である例示的な抗gp120抗体2は、例示的な抗gp120抗体1と同じ6つのCDRを有する。この抗体は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVH配列と、以下に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVL配列とを含む:
【化11】
【0138】
ある特定の事例では、VLは、ヒトラムダ定常領域に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0139】
例示的な抗gp120抗体2は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖と、以下に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖とを含む:
【化12】
【0140】
一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0141】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2の可変重鎖(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2の可変重鎖(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2の可変重鎖(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載される「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0142】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0143】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。
【0144】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトカッパ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、Km1;Km1,2;またはKm3から選択されるアロタイプを有するカッパ軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、ラムダ4、ラムダ5、ラムダ6、およびラムダ7から選択されるラムダ軽鎖を含む。
【0145】
特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1m3/ヒトラムダ2抗体である。
【0146】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型IgG1m3配列(配列番号77)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号77に1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換(例えば、エフェクター機能を低減するためおよび/または半減期を増加させるための置換)を有する変異体IgG1m3配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。例示的なアミノ酸置換は、本開示において後述されている。
【0147】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2のVL(例えば、配列番号81に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号81内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型ヒトラムダ2配列(配列番号89)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体2のVL(例えば、配列番号81に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号81内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号89内に1〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個)の置換を有する変異体ヒトラムダ2配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0148】
例示的な抗gp120抗体2は、単一特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)のいずれかとして、使用することができる。全長抗体または抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab)2、Fv、scFv、sc(Fv)2、ダイアボディ)が、本開示によって包含される。
【0149】
例示的な抗gp120抗体2などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0150】
例示的な抗gp120抗体3
別の例示的な抗gp120抗体である例示的な抗gp120抗体3は、例示的な抗gp120抗体1と同じ6つのCDRを有する。この抗体は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVH配列と、以下に提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVL配列とを含む:
【化13】
【0151】
ある特定の事例では、VLは、ヒトラムダ定常領域に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0152】
例示的な抗gp120抗体3は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖と、以下に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖とを含む:
【化14】
【化15】
【0153】
一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0154】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3の可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3の可変重鎖は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む、重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載される「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0155】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0156】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。
【0157】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトカッパ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、Km1;Km1,2;またはKm3から選択されるアロタイプを有するカッパ軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、ラムダ4、ラムダ5、ラムダ6、およびラムダ7から選択されるラムダ軽鎖を含む。
【0158】
特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1m3/ヒトラムダ2抗体である。
【0159】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型IgG1m3配列(配列番号77)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号77に1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換(例えば、エフェクター機能を低減するためおよび/または半減期を増加させるための)を有する変異体IgG1m3配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。例示的なアミノ酸置換は、本開示において後述されている。
【0160】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3のVL(例えば、配列番号82に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号82内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型ヒトラムダ2配列(配列番号89)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体3のVL(例えば、配列番号82に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号82内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号89内に1〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個)の置換を有する変異体ヒトラムダ2配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0161】
例示的な抗gp120抗体3は、単一特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)のいずれかとして、使用することができる。全長抗体または抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab)2、Fv、scFv、sc(Fv)2、ダイアボディ)が、本開示によって包含される。
【0162】
例示的な抗gp120抗体3などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0163】
例示的な抗gp120抗体4
別の例示的な抗gp120抗体である例示的な抗gp120抗体4は、例示的な抗gp120抗体1と同じ6つのCDRを有する。この抗体は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVH配列と、以下に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVL配列とを含む:
【化16】
【0164】
ある特定の事例では、VLは、ヒトラムダ定常領域に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0165】
例示的な抗gp120抗体4は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖と、以下に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖とを含む:
【化17】
【0166】
一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0167】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4の可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4の可変重鎖は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む、重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載される「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0168】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0169】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトカッパ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、Km1;Km1,2;またはKm3から選択されるアロタイプを有するカッパ軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、ラムダ4、ラムダ5、ラムダ6、およびラムダ7から選択されるラムダ軽鎖を含む。
【0171】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型IgG1m3配列(配列番号77)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号77に1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換(例えば、エフェクター機能を低減するためおよび/または半減期を増加させるための)を有する変異体IgG1m3配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。例示的なアミノ酸置換は、本開示において後述されている。
【0172】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4のVL(例えば、配列番号83に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号83内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型ヒトラムダ2配列(配列番号89)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体4のVL(例えば、配列番号83に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号83内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号89内に1〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個)の置換を有する変異体ヒトラムダ2配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0173】
特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1m3/ヒトラムダ2抗体である。
【0174】
例示的な抗gp120抗体4は、単一特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)のいずれかとして、使用することができる。全長抗体または抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab)2、Fv、scFv、sc(Fv)2、ダイアボディ)を、利用することができる。
【0175】
例示的な抗gp120抗体4などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0176】
例示的な抗gp120抗体5
別の例示的な抗gp120抗体である例示的な抗gp120抗体5は、例示的な抗gp120抗体1と同じ6つのCDRを有する。この抗体は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVH配列と、以下に提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVL配列とを含む:
【化18】
【0177】
ある特定の事例では、VLは、ヒトラムダ定常領域に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0178】
例示的な抗gp120抗体5は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖と、以下に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖とを含む。
【化19】
【0179】
一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、本開示の抗gp120抗体は、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、本開示の抗gp120抗体は、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、本開示の抗gp120抗体は、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0180】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5の可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5の可変重鎖は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む、重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載される「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0181】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0182】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。
【0183】
ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトカッパ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、Km1;Km1,2;またはKm3から選択されるアロタイプを有するカッパ軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、ラムダ4、ラムダ5、ラムダ6、およびラムダ7から選択されるラムダ軽鎖を含む。
【0184】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型IgG1m3配列(配列番号77)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5のVH(例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号7内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号77に1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換(例えば、エフェクター機能を低減するためおよび/または半減期を増加させるための)を有する変異体IgG1m3配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。例示的なアミノ酸置換は、本開示において後述されている。
【0185】
一部の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5のVL(例えば、配列番号84に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号84内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、野生型ヒトラムダ2配列(配列番号89)に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体5のVL(例えば、配列番号84に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するか、または配列番号84内に0〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、もしくは5個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列)は、配列番号89内に1〜5個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個)の置換を有する変異体ヒトラムダ2配列に、直接連結されているか、または介在アミノ酸配列(例えば、G−Sリンカー)を介して連結されている。
【0186】
特定の実施形態では、抗gp120抗体は、ヒトIgG1m3/ヒトラムダ2抗体である。
【0187】
例示的な抗gp120抗体5は、単一特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)のいずれかとして、使用することができる。全長抗体または抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab)2、Fv、scFv、sc(Fv)2、ダイアボディ)が、本開示によって包含される。
【0188】
例示的な抗gp120抗体5などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0189】
CD3
分化クラスター(CD3)は、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、およびゼータ(ζ)の4つの異なるポリペプチド鎖から構成され、二量体の3つの対(εγ、εδ、ζζ)としてアセンブルし、機能する、多量体タンパク質複合体である。CD3タンパク質は、N末端細胞外領域、膜貫通ドメイン、および細胞質側尾部を有し、この細胞質側尾部に、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)が位置している。CD3ε、γ、およびδの細胞外ドメインは、免疫グロブリン様ドメインを含み、したがって、免疫グロブリンスーパーファミリーの一部と考えられている。CD3/T細胞共受容体は、CD8
+T細胞およびCD4
+T細胞の両方を活性化するのを補助する。
【0190】
ヒトCD3εのアミノ酸配列は、UNiProtKB−P07766において見出すことができ、以下に提供されている(シグナル配列が、下線で示されている):
【化20】
ヒトCD3δのアミノ酸配列は、UNiProtKB−P04234において見出すことができ、以下に提供されている(シグナル配列が、下線で示されている):
【化21】
【0191】
ヒトCD3に結合する抗体は、当該技術分野において周知である(例えば、Kuhn & Weiner, Immunotherapy, 8(8):889-906 (2016)、国際公開WO2015/104346号を参照されたい))。CD3εに対して向けられた抗CD3抗体であるOKT3(Muromab)は、実質臓器移植において免疫抑制を誘導し、拒絶反応を予防および処置するためにヒトにおいて使用することが臨床的に承認されている(Norman, Therapeutic Drug Monitoring, 17, 615-620 (1995))。hOKT3γ1(Ala−Ala)およびMGA031という名称でも公知のテプリズマブは、OKT3の相補性決定領域をヒトIgG1骨格にグラフトすることによって開発されたヒト化IgG1抗体である。そのFc部分に2つの点変異を導入することにより、FcRへの結合が減少する。オテリキシズマブ(ChAglyCD3、TRX4、GSK2136525)は、ラット抗体YTH12.5から得られた。このヒト化IgG1は、γ1 Fc部分に、グリコシル化を回避し、それによって、FcR結合を阻害する、単一の変異を有する。ビシリズマブ(Nuvion、HuM291)は、そのFc領域における2つの点変異によって非有糸分裂誘発性にしたヒト化IgG2抗体である。フォラルマブ(28F11−AE、NI−0401)は、完全ヒト抗CD3 mAbであり、mAbが、CD3/TCRのモジュレーションおよびT細胞枯渇を維持すると同時に、in vitroでは非FcR結合性であり、in vivoではわずかなサイトカイン放出のみを呈するように、このヒトIgG1のFc部分は変異されていた。
【0192】
抗CD3抗体の非限定的な例はまた、米国特許出願公開第2016/0333095号A1に開示されている。
【0193】
ある特定の実施形態では、本開示の抗CD3抗体は、ヒトCD3に結合する。一部の事例では、本開示の抗CD3抗体は、ヒトCD3εに結合する。他の実施形態では、本開示の抗CD3抗体は、ヒトCD3δに結合する。
【0194】
例示的な抗CD3抗体1
例示的な抗CD3抗体1の関連する配列情報は、表4に提供されている。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0195】
抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を包含し得る。一実施形態では、CDRは、Kabatの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Chothiaの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、IMGTの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Honeggerの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Abysis定義からのChothiaに基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Chothia/AbM CDRに基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、contactの定義に基づいて定義される。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベース(www.bioinf.org.uk/abysis/sequence_input/key_annotation/key_annotation.cgi)を使用することによって決定することができる。
【0196】
ある特定の事例では、抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の可変重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の可変重鎖および可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗CD3抗体は、例示的な抗CD3抗体1の重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、例示的な抗CD3抗体1の軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0197】
一部の実施形態では、例示的な抗CD3抗体1の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗CD3抗体1の可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗CD3抗体1の可変重鎖は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む、重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗gp120抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載される「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0198】
ある特定の実施形態では、抗CD3抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0199】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。
【0200】
具体的な実施形態では、例示的な抗CD3抗体1のVHは、野生型IgG1m3 Fc(配列番号77)に連結されている。ある特定の事例では、例示的な抗CD3抗体1のVHは、(例えば、エフェクター機能を低減させるためおよび/または半減期を増加させるために)配列番号77に行われる1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換を有する変異型IgG1m3配列に連結されている。例示的なアミノ酸置換は、以下に記載されている。
【0201】
具体的な実施形態では、例示的な抗CD3抗体1のVLは、ヒトラムダ2配列(配列番号89)に連結されている。ある特定の事例では、例示的な抗CD3抗体1のVLは、配列番号89に行われる1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換を有する変異型ヒトラムダ2配列に連結されている。そのようなアミノ酸置換は、以下に記載されている。
【0202】
ある特定の実施形態では、抗CD3抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。
【0203】
例示的な抗CD3抗体1などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0204】
CD89
IgA受容体のFc断片(FCAR)としても公知のCD89(分化クラスター89)は、膜貫通受容体FcαRIである。FcαRIは、免疫グロブリンA(IgA)抗体の重鎖定常領域に結合する。FcαRIは、好中球、単球、マクロファージ、および好酸球を含む、骨髄系列細胞の細胞表面上に発現される。
【0205】
UniProtKB−P24071に由来するヒトCD89のアミノ酸配列を、以下に提供する:
【化22】
【0206】
ヒトCD89に結合する抗体は、当該技術分野において周知である(例えば、Fishwild et al., Nature Biotechnol., 14(7):845-851 (1996)、Duval et al., J. Virol., 82(9): 4671-4674 (2008)、米国特許出願公開第2003/0082643号を参照されたい)。一部の実施形態では、抗CD89抗体は、14.1、7.4、または8.2(それぞれ、14A8、7F12、および8D2とも称される)のうちの1つである。これらの抗体またはそのバリアントのいずれも、本明細書に開示される多重特異性抗体において利用することができる。
【0207】
ある特定の実施形態では、本開示の抗CD89抗体または本明細書に開示される多重特異性抗体は、配列番号95に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるポリペプチドに結合する。
【0208】
例示的な抗CD89抗体1
例示的な抗CD89抗体1の関連する配列情報は、以下の表に提供されている。
【表31-1】
【表31-2】
【0209】
抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を包含し得る。一実施形態では、CDRは、Kabatの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Chothiaの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、IMGTの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Honeggerの定義に基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Abysis定義からのChothiaに基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、Chothia/AbM CDRに基づいて定義される。別の実施形態では、CDRは、contactの定義に基づいて定義される。これらのCDRは、例えば、AbYsisデータベース(www.bioinf.org.uk/abysis/sequence_input/key_annotation/key_annotation.cgi)を使用することによって決定することができる。
【0210】
ある特定の事例では、抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の可変重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の可変重鎖および可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗CD89抗体は、例示的な抗CD89抗体1の重鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、例示的な抗CD89抗体1の軽鎖に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0211】
一部の実施形態では、例示的な抗CD89抗体1の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結されている。一部の実施形態では、例示的な抗CD89抗体1の可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗CD89抗体1の可変重鎖は、IgG4に由来するCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにCH3ドメイン(例えば、IgG1に由来する)を含む、重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、例示的な抗CD89抗体1の可変重鎖は、IgG1(例えば、ヒトIgG1、例えば、IgG1m3アロタイプ)に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびにIgG3ヒンジ領域(例えば、国際公開WO2017/096221号に記載される「オープン」IgG3ヒンジバリアント「IgG3 C−」)を含む重鎖定常領域に連結されている。ある特定の実施形態では、そのようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を増加させる、1つまたは複数の追加の変異を、重鎖定常領域に含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する(例えば、Fc受容体結合を減少させる、抗体のグリコシル化を増加または減少させる、C1qへの結合を減少させる、半減期を増加させる、エフェクター機能を減少させる)置換を含む。
【0212】
ある特定の実施形態では、抗CD89抗体は、IgG抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1である。別の実施形態では、抗体は、IgG2である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ重鎖定常領域(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)を有する。
【0213】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、G1m1;nG1m2;G1m3;G1m17,1;G1m17,1,2;G1m3,1;またはG1m17のアロタイプを有するIgG1重鎖を含む。
【0214】
具体的な実施形態では、例示的な抗CD89抗体1のVHは、野生型IgG1m3 Fc(配列番号77)に連結されている。ある特定の事例では、例示的な抗CD89抗体1のVHは、(例えば、エフェクター機能を低減させるためおよび/または半減期を増加させるために)配列番号77に行われる1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換を有する変異型IgG1m3配列に連結されている。例示的なアミノ酸置換は、以下に記載されている。
【0215】
具体的な実施形態では、例示的な抗CD89抗体1のVLは、ヒトラムダ2配列(配列番号89)に連結されている。ある特定の事例では、例示的な抗CD89抗体1のVLは、配列番号89に行われる1〜10個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)のアミノ酸置換を有する変異型ヒトラムダ2配列に連結されている。そのようなアミノ酸置換は、以下に記載されている。
【0216】
ある特定の実施形態では、抗CD89抗体は、ヒトIgG1/ヒトラムダ抗体である。
【0217】
例示的な抗CD89抗体1などの抗体は、例えば、抗体のアミノ酸配列をコードする核酸を調製し、それを発現させることによって、作製することができる。
【0218】
多重特異性抗体
別の態様では、本開示は、多重特異性抗体を特徴とする。多重特異性抗体は、2つまたはそれより多い異なるエピトープに結合する抗体である(例えば、二重特異性抗体、三価抗体、四価抗体)。上記の抗gp120および抗CD3抗体または抗gp120および抗CD89は、多重特異性抗体の一部として構成され得る。多重特異性抗体は、多重特異性抗体の抗gp120または抗CD3(もしくは抗CD89)抗体の結合性部位が結合しない、少なくとも1つの他の抗原または1つの他のエピトープへの結合性部位を有し得る。抗gp120/抗CD3多重特異性抗体または抗gp120/抗CD89多重特異性抗体は、二量体化ドメインおよび3つまたはそれより多い(例えば、3つ、4つ、5つ、6つの)抗原結合性部位を含み得る。例示的な二量体化ドメインは、Fc領域を含む(かまたはそれからなる)。抗gp120/抗CD3多重特異性抗体または抗gp120/抗CD89多重特異性抗体は、3つ〜約8つ(すなわち、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ)の抗原結合性部位を含み得る(かまたはそれからなり得る)。多重特異性抗体は、必要に応じて、少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、2つのポリペプチド鎖、3つのポリペプチド鎖)を含み、ここで、そのポリペプチド鎖(複数可)は、3つまたはそれより多い可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、例えば、VD1−(X1)
n−VD2−(X2)
n−FcまたはVD1−(X1)
n−VD2−(X2)
n−VD3−(X3)
n−Fcを含み得、ここで、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、VD3は、第3の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域のポリペプチド鎖であり、X1、X2、およびX3は、アミノ酸またはペプチドスペーサーを表し、nは、0または1である。ある特定の事例では、可変ドメインは、それぞれが、scFvであってもよい。多重特異性抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生することができる。
【0219】
二重特異性抗体
一態様では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体は、2つの「アーム」を有する。二重特異性抗体の一方のアームは、1つのエピトープに結合し、他方のアームは、別のエピトープに結合する。一実施形態では、二重特異性抗体の一方のアームは、第1の抗原に結合し、二重特異性抗体の他方のアームは、第2の抗原に結合する。別の実施形態では、二重特異性抗体の2つのアームは、同じ抗原の2つの異なるエピトープに結合する。
【0220】
一態様では、本開示は、gp120に特異的に結合し、第2の抗原(細胞防御機序を感染細胞に集中および局在化させるように、例えば、白血球上のトリガー分子、例えば、T細胞受容体分子(例えば、CD3)、またはIgGのFc受容体(FcγR)、例えば、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、もしくはCD89)に特異的に結合する二重特異性抗体を特徴とする。
【0221】
特定の実施形態では、二重特異性抗体の一方のアームは、gp120に特異的に結合し、他方のアームは、CD3(例えば、ヒトCD3(例えば、ヒトCD3ε、ヒトCD3δ))に特異的に結合する。別の特定の実施形態では、二重特異性抗体の一方のアームは、gp120に特異的に結合し、他方のアームは、CD89(例えば、ヒトCD89)に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1の6つのCDRを含む。一部の場合には、CDRは、Kabatに従って定義される。他の実施形態では、CDRは、Chothiaに従って定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、IMGTの定義に従って定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、Honeggerの定義に従って定義される。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1のVH(配列番号7)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1のVL(配列番号8)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1のVH(配列番号7)およびVL(配列番号8)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体2のVH(配列番号7)およびVL(配列番号81)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体3のVH(配列番号7)およびVL(配列番号82)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体4のVH(配列番号7)およびVL(配列番号83)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体5のVH(配列番号7)およびVL(配列番号84)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1の重鎖(配列番号9)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1の軽鎖(配列番号10)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体1の重鎖(配列番号9)および軽鎖(配列番号10)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体2の重鎖(配列番号9)および軽鎖(配列番号40)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体3の重鎖(配列番号9)および軽鎖(配列番号78)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体4の重鎖(配列番号9)および軽鎖(配列番号79)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗gp120抗体5の重鎖(配列番号9)および軽鎖(配列番号80)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号7および配列番号8のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号7および配列番号81のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号7および配列番号82のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号7および配列番号83のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号7および配列番号84のアミノ酸配列を含む。1つの特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号9および配列番号10のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号9および配列番号40のアミノ酸配列を含む。さらに別の特定の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号9および配列番号78のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号9および配列番号79のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号9および配列番号80のアミノ酸配列を含む。一部の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるタンパク質に結合する。一部の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、遊離HIV−1ウイルスに結合する。一部の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、HIV−1感染細胞に結合する。一部の事例では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、遊離HIV−1ウイルスおよびHIV−1感染細胞の両方に結合する。ある特定の場合には、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、HIV−1の少なくとも2つの異なる株(例えば、グループM、グループN、グループO、またはグループP)に結合する。一実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、pWITO.c/2474(受託番号JN944948およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号11739)に結合する。別の実施形態では、gp120に結合する二重特異性抗体のアームは、pCH058.c/2960(受託番号JN944940およびNIH AIDS Reagent Programカタログ番号700010058)に結合する。
【0222】
ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD3抗体1の6つのCDRを含む。一部の場合には、CDRは、Kabatに従って定義される。他の実施形態では、CDRは、Chothiaに従って定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、IMGTの定義に従って定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、Honeggerの定義に従って定義される。ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗CD3抗体1のVH(配列番号17)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗CD3抗体1のVL(配列番号18)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD3抗体1のVH(配列番号17)およびVL(配列番号18)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD3抗体1の重鎖(配列番号19)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD3抗体1の軽鎖(配列番号20)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD3抗体1の重鎖(配列番号19)および軽鎖(配列番号20)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号17および配列番号18のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号19および配列番号20のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体のアームは、ヒトCD3εに結合する。
【0223】
ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD89抗体1の6つのCDRを含む。一部の場合には、CDRは、Kabatに従って定義される。他の実施形態では、CDRは、Chothiaに従って定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、IMGTの定義に従って定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、Honeggerの定義に従って定義される。ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗CD89抗体1のVH(配列番号96)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗CD89抗体1のVL(配列番号101)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD89抗体1のVH(配列番号96)およびVL(配列番号101)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD89抗体1の重鎖(配列番号97)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD89抗体1の軽鎖(配列番号102)と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、例示的な抗ヒトCD89抗体1の重鎖(配列番号97)および軽鎖(配列番号102)のそれぞれと少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号96および配列番号101のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、配列番号97および配列番号102のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD89に結合する二重特異性抗体のアームは、ヒトCD89に結合する。
【0224】
ある特定の実施形態では、二重特異性抗体の一方のアームは、gp120に結合するscFvを含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体の一方のアームは、ヒトCD3に結合するscFvを含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体の一方のアームは、ヒトCD89に結合するscFvを含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体には、キメラ抗体またはヒト化抗体が含まれ得る。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、F(ab’)2断片を含み得る。
【0225】
一態様では、本開示の二重特異性抗体は、gp120およびヒトCD3(例えば、CD3ε、CD3δ)に結合し、HIV−1感染細胞の殺滅を実行することができる。1つの事例では、gp120に結合するそのような二重特異性抗体は、配列番号1のVH−CDR1、配列番号2のVH−CDR2、配列番号3のVH−CDR3、配列番号4のVL−CDR1、配列番号5のVL−CDR2、および配列番号6のVL−CDR3を含む。1つの事例では、ヒトCD3に結合するそのような二重特異性抗体は、配列番号11のVH−CDR1、配列番号12のVH−CDR2、配列番号13のVH−CDR3、配列番号14のVL−CDR1、配列番号15のVL−CDR2、および配列番号16のVL−CDR3を含む。別の事例では、gp120およびヒトCD3に結合する二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号1のVH−CDR1、配列番号2のVH−CDR2、配列番号3のVH−CDR3、配列番号4のVL−CDR1、配列番号5のVL−CDR2、および配列番号6のVL−CDR3を含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号11のVH−CDR1、配列番号12のVH−CDR2、配列番号13のVH−CDR3、配列番号14のVL−CDR1、配列番号15のVL−CDR2、および配列番号16のVL−CDR3を含む。
【0226】
別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号7と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号7と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号8、81、82、83、または84と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号8、81、82、83、または84と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号8、81、82、83、または84と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号9と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号9と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号10、40、78、79、または80と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号10、40、78、79、または80と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号10、40、78、79、または80と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0227】
別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号17と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号17と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号17と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号18と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号18と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号18と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号19と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号19と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号19と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号20と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号20と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD3結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号20と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0228】
一態様では、本開示の二重特異性抗体は、gp120およびヒトCD89に結合し、HIV−1感染細胞の殺滅を実行することができる。CD89は、主として好中球に発現される、IgA受容体であり、したがって、この二重特異性抗体は、HIV感染細胞を死滅させるための好中球の動員を増強するであろう。1つの事例では、gp120に結合するそのような二重特異性抗体は、配列番号1のVH−CDR1、配列番号2のVH−CDR2、配列番号3のVH−CDR3、配列番号4のVL−CDR1、配列番号5のVL−CDR2、および配列番号6のVL−CDR3を含む。1つの事例では、ヒトCD89に結合するそのような二重特異性抗体は、配列番号98のVH−CDR1、配列番号99のVH−CDR2、配列番号100のVH−CDR3、配列番号103のVL−CDR1、配列番号104のVL−CDR2、および配列番号105のVL−CDR3を含む。別の事例では、gp120およびヒトCD89に結合する二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号1のVH−CDR1、配列番号2のVH−CDR2、配列番号3のVH−CDR3、配列番号4のVL−CDR1、配列番号5のVL−CDR2、および配列番号6のVL−CDR3を含み、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号98のVH−CDR1、配列番号99のVH−CDR2、配列番号100のVH−CDR3、配列番号103のVL−CDR1、配列番号104のVL−CDR2、および配列番号105のVL−CDR3を含む。
【0229】
別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号7と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号7と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号8、81、82、83、84と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号8、81、82、83、または84と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号8、81、82、83、または84と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号9と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号9と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、配列番号10、40、78、79、または80と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号10、40、78、79、または80と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのgp120結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号10、40、78、79、または80と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0230】
別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号96と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号96と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号96と同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号101と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号101と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号101と同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号97と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号97と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号97と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号102と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、挿入、および/または欠失を除き、配列番号102と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の事例では、そのような二重特異性抗体は、そのヒトCD89結合性アームに、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換を除き、配列番号102と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0231】
ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、0〜10個のアミノ酸置換を中に含む、ヒトIgG1抗体に由来するFcドメインを有する。Fcドメインは、二重特異性抗体の一方の成分(例えば、gp120結合性部分)に由来する1つの「レッグ(leg)」(ヒンジ−CH2−CH3)と、二重特異性抗体の第2の成分(例えば、CD3結合性部分またはCD89結合性部分)に由来する別の「レッグ」(ヒンジ−CH2−CH3)を含む。置換は、一方または両方の「レッグ」におけるものであり得る。ある特定の実施形態では、Fcドメインは、一方または両方の「レッグ」における以下の変異(EU番号付け):N297AもしくはN297Q、L234F、L235E、D265A、またはP331Sのうちの1つまたは複数(1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を有する。
【0232】
本明細書において開示されている通りのgp120およびCD3に結合するまたはgp120およびCD89に結合する二重特異性抗体は、2つの異なるモノクローナル抗体を化学的に連結させることによって、または2つのハイブリドーマ細胞株を融合してハイブリッド−ハイブリドーマを産生することによって、調製することができる。利用することができる他の二重特異性抗体技術プラットフォームとしては、例えば、Κλ−ボディ、SMIP、DNL、Covx−ボディ、ペプチボディ、鎖交換操作ドメインボディ(SEEDボディ)、dAb、ダイアボディ、アフィボディ、フィノマー(Fynomer)、Kunitzドメイン、TandAb、ナノボディ、Albu−dab、DART、DVD−IG、scFv−Ig、SVD−Ig、dAb−Ig、ノブ・イン・ホール、BiTeプラットフォーム、CrossMab(登録商標)プラットフォーム、DuoBody(登録商標)、およびTriomAb(登録商標)が挙げられる。本明細書において開示されている二重特異性抗体を作製するのに利用することができる二重特異性形式の非限定的な例は、Del Bano et al., Antibodies, 5:1 (2016)、Garber et al., Nature Reviews Drug Discovery, 13:799-801 (2014)に提供されている。
【0233】
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体分子は、一方のアームがgp120などの第1の抗原に対する特異性を有し、第2のアームがヒトCD3またはヒトCD89などの第2の抗原に対する特異性を有する、異なる抗原結合性領域を含む2つのアームを有する単一の抗体を含む。別の実施形態では、本開示の二重特異性抗体分子は、gp120などの第1の抗原に特異的な1つの抗原結合性領域またはアームと、ヒトCD3またはヒトCD89などの第2の抗原に特異的な第2の抗原結合性領域またはアームとを有する、単一の抗体を含む。さらに別の実施形態では、本開示の二重特異性抗体分子は、例えば、余剰のペプチドリンカーによってタンデムに連結された2つのscFvを介して、gp120などの第1の抗原に対する第1の特異性と、ヒトCD3またはヒトCD89などの第2の抗原に対する第2の特異性とを有する一本鎖抗体を含む。さらなる実施形態では、本開示の二重特異性抗体分子は、二重可変ドメイン抗体(DVD−Ig)を含み、ここで、それぞれの軽鎖および重鎖は、短いペプチド結合を通じて、2つの可変ドメインをタンデムに含む(Wu et al., Generation and Characterization of a Dual Variable Domain Immunoglobulin (DVD-Ig
TM) Molecule, In: Antibody Engineering, Springer Berlin Heidelberg (2010))。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、化学的に連結された二重特異性(Fab’)2断片である。他の実施形態では、二重特異性抗体は、Tandab(すなわち、2つの一本鎖ダイアボディの融合により、標的抗原のそれぞれに対して2つの結合性部位を有する四価の二重特異性抗体がもたらされたもの)を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、scFvとダイアボディの組合せにより多価分子を生じる、フレキシボディである。さらに別の実施形態では、二重特異性抗体は、タンパク質キナーゼAにおける「二量体化およびドッキングドメイン」に基づく「ドック・アンド・ロック(dock and lock)」分子を含み、これは、Fabに適用されると、2つの同一なFab断片が異なるFab断片に連結されたものからなる三価の二重特異性結合タンパク質をもたらし得る。別の事例では、本開示の二重特異性抗体は、例えば、2つのscFvがヒトFabアームの両端に融合されたものを含む、「スコーピオン分子」を含む。さらに別の実施形態では、本開示の二重特異性抗体は、ダイアボディを含む。
【0234】
二重特異性抗体の例示的なクラスとしては、ヘテロ二量体化を強制的に行う相補的CH3ドメインを有するIgG様分子;全長IgG抗体が、余剰なFab断片またはFab断片の部分に融合された、IgG融合分子;一本鎖Fv分子または安定化ダイアボディが、重鎖定常ドメイン、Fc−領域、またはその部分に融合されたFc融合分子;異なるFab断片が一緒に融合された、Fab融合分子;分子の2つの側面がそれぞれ、少なくとも2つの異なる抗体のFab断片またはFab断片の部分を含む、組換えIgG様二重標的化分子;異なる一本鎖Fv分子または異なるダイアボディまたは異なる重鎖抗体(例えば、ドメイン抗体、ナノボディ)が、互いにかまたは別のタンパク質もしくは担体分子に融合した、scFvに基づく重鎖抗体およびダイアボディに基づく重鎖抗体(例えば、ドメイン抗体、ナノボディ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0235】
Fab融合二重特異性抗体の例としては、F(ab)2(Medarex/AMGEN)、Dual-ActionまたはBis−Fab(Genentech)、ドック・アンド・ロック(DNL)(ImmunoMedics)、Bivalent Bispecific(Biotecnol)、およびFab−Fv(UCB−Celltech)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0236】
scFvに基づくドメイン抗体およびダイアボディに基づくドメイン抗体の例としては、二重特異性T細胞エンゲージャー(Bispecific T Cell Engager)(BITE)(Micromet、タンデムダイアボディ(Tandab)(Affimed)、Dual Affinity Retargeting Technology(DART)(MacroGenics)、一本鎖ダイアボディ(Academic)、TCR様抗体(AIT、ReceptorLogics)、ヒト血清アルブミンScFv融合物(Human Serum Albumin ScFv Fusion)(Merrimack)、およびCOMBODY(Epigen Biotech)、二重標的化ナノボディ(Ablynx)、ならびに二重標的化重鎖のみのドメイン抗体(dual targeting heavy chain only domain antibody)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0237】
Duobody
本開示の二重特異性抗体は、gp120および第2の抗原(例えば、ヒトCD3、例えば、ヒトCD3εもしくはヒトCD3δ、ヒトCD89)に結合する、Duobody(登録商標)であり得る。Duobody(登録商標)は、二重特異性抗体の一方の重鎖の定常領域のCH3領域におけるK409R変異と、他方の重鎖の定常領域のCH3領域におけるF405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Yからなる群から選択される変異とを含む、二重特異性IgG1抗体である。具体的な実施形態では、Duobody(登録商標)は、二重特異性抗体の一方の重鎖の定常領域のCH3領域におけるK409R変異と、他方の重鎖の定常領域のCH3領域におけるF405L変異とを含む、二重特異性IgG1抗体である。
【0238】
ある特定の実施形態では、上記のgp120に結合する第1の抗原結合性ドメインは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Yからなる群から選択される変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含み、上記のヒトCD3(またはヒトCD89)に結合する第2の抗原結合性ドメインは、K409R変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含む。
【0239】
一実施形態では、上記のgp120に結合する第1の抗原結合性ドメインは、F405L変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含み、上記のヒトCD3に結合する第2の抗原結合性ドメインは、K409R変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含む。
【0240】
他の実施形態では、上記のgp120に結合する第1の抗原結合性ドメインは、K409R変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含み、上記のヒトCD3(またはヒトCD89)に結合する第2の抗原結合性ドメインは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Yからなる群から選択される変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含む。
【0241】
一実施形態では、上記のgp120に結合する第1の抗原結合性ドメインは、K409R変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含み、上記のヒトCD3(またはヒトCD89)に結合する第2の抗原結合性ドメインは、F405L変異を含むヒトIgG1重鎖定常領域を含む。
【0242】
Duobody(登録商標)のCDRならびにVHおよびVLは、上に詳述されている抗gp120、抗CD3、または抗CD89アミノ酸配列のうちのいずれかであり得る。
【0243】
一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームは、配列番号1のVH−CDR1、配列番号2のVH−CDR2、配列番号3のVH−CDR3、配列番号4のVL−CDR1、配列番号5のVL−CDR2、および配列番号6のVL−CDR3を含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームは、配列番号11のVH−CDR1、配列番号12のVH−CDR2、配列番号13のVH−CDR3、配列番号14のVL−CDR1、配列番号15のVL−CDR2、および配列番号16のVL−CDR3を含む。別の事例では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号1のVH−CDR1、配列番号2のVH−CDR2、配列番号3のVH−CDR3、配列番号4のVL−CDR1、配列番号5のVL−CDR2、および配列番号6のVL−CDR3を含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号11のVH−CDR1、配列番号12のVH−CDR2、配列番号13のVH−CDR3、配列番号14のVL−CDR1、配列番号15のVL−CDR2、および配列番号16のVL−CDR3を含む。
【0244】
一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームは、配列番号7のVHおよび配列番号8のVLを含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームは、配列番号7のVHおよび配列番号81のVLを含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームは、配列番号7のVHおよび配列番号82のVLを含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームは、配列番号7のVHおよび配列番号83のVLを含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームは、配列番号7のVHおよび配列番号84のVLを含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームは、配列番号17のVHおよび配列番号18のVLを含む。一実施形態では、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームは、配列番号96のVHおよび配列番号101のVLを含む。別の事例では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号8のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号17のVHおよび配列番号18のVLを含む。別の事例では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号8のVLを含み、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号96のVHおよび配列番号101のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号81のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号17のVHおよび配列番号18のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号81のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号96のVHおよび配列番号101のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号82のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号17のVHおよび配列番号18のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号82のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号96のVHおよび配列番号101のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号83のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号17のVHおよび配列番号18のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号83のVLを含み、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号96のVHおよび配列番号101のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号84のVLを含み、そのヒトCD3結合性アームに、配列番号17のVHおよび配列番号18のVLを含む。1つの事例では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、そのgp120結合性アームに、配列番号7のVHおよび配列番号84のVLを含み、そのヒトCD89結合性アームに、配列番号96のVHおよび配列番号101のVLを含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号10の第1の軽鎖、ならびに配列番号19の第2の重鎖および配列番号20の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号10の第1の軽鎖、ならびに配列番号97の第2の重鎖および配列番号102の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号40の第1の軽鎖、ならびに配列番号19の第2の重鎖および配列番号20の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号40の第1の軽鎖、ならびに配列番号97の第2の重鎖および配列番号102の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号78の第1の軽鎖、ならびに配列番号19の第2の重鎖および配列番号20の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号78の第1の軽鎖、ならびに配列番号97の第2の重鎖および配列番号102の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号79の第1の軽鎖、ならびに配列番号19の第2の重鎖および配列番号20の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号79の第1の軽鎖、ならびに配列番号97の第2の重鎖および配列番号102の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD3に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号80の第1の軽鎖、ならびに配列番号19の第2の重鎖および配列番号20の第2の軽鎖を含む。別の実施形態では、gp120およびヒトCD89に結合するDuobody(登録商標)は、配列番号9の第1の重鎖および配列番号80の第1の軽鎖、ならびに配列番号97の第2の重鎖および配列番号102の第2の軽鎖を含む。一実施形態では、抗gp120×CD3 Duobody(登録商標)または抗gp120×CD89 Duobody(登録商標)の重鎖のうちの一方は、以下に記載される1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、もしくは95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるか、または1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個)のアミノ酸置換を除いて以下に提供されるアミノ酸配列のうちの1つと同一である、アミノ酸配列を含む:
【化23】
【化24】
【0245】
一実施形態では、抗gp120×CD3 Duobody(登録商標)または抗gp120×CD89 Duobody(登録商標)の重鎖のうちの一方は、以下に記載される1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、もしくは95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるか、または1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個)のアミノ酸置換を除いて以下に提供される1つのアミノ酸配列と同一である、アミノ酸配列を含む:
【化25】
【化26】
【化27】
【0246】
一実施形態では、Duobody(登録商標)の一方の重鎖定常領域は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、Duobody(登録商標)の他方の重鎖定常領域は、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、Duobody(登録商標)の一方の重鎖定常領域は、配列番号65に示されるアミノ酸配列を含み、Duobody(登録商標)の他方の重鎖定常領域は、配列番号75に示されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、Duobody(登録商標)の一方の重鎖定常領域は、配列番号62に示されるアミノ酸配列を含み、Duobody(登録商標)の他方の重鎖定常領域は、配列番号72に示されるアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、Duobody(登録商標)の一方の重鎖定常領域は、配列番号63に示されるアミノ酸配列を含み、Duobody(登録商標)の他方の重鎖定常領域は、配列番号73に示されるアミノ酸配列を含む。
【0247】
一実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの軽鎖は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの軽鎖は、配列番号40に示されるアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの軽鎖は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの軽鎖は、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する。さらに別の実施形態では、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの軽鎖は、配列番号80に示されるアミノ酸配列を有する。
【0248】
一実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖は、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの軽鎖は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0249】
一実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖は、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの軽鎖は、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0250】
一実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号10、40、78、79、または80に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD3に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖が、配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含み、CD3結合性アームの軽鎖が、配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。
【0251】
一実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号10、40、78、79、または80に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD89に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖が、配列番号97に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含み、CD89結合性アームの軽鎖が、配列番号102に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%同一であるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。
【0252】
1つの具体的な実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD3に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖が、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含み、CD3結合性アームの軽鎖が、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0253】
1つの具体的な実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD89に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖が、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含み、CD89結合性アームの軽鎖が、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0254】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD3に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖が、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含み、CD3結合性アームの軽鎖が、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0255】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD89に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖が、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含み、CD89結合性アームの軽鎖が、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0256】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD3に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖が、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含み、CD3結合性アームの軽鎖が、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0257】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD89に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖が、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含み、CD89結合性アームの軽鎖が、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0258】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号79に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD3に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖が、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含み、CD3結合性アームの軽鎖が、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0259】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号79に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD89に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖が、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含み、CD89結合性アームの軽鎖が、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0260】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD3 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD3に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD3結合性アームの重鎖が、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含み、CD3結合性アームの軽鎖が、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0261】
別の具体的な実施形態では、gp120×CD89 Duobody(登録商標)は、2つのアーム、すなわち、gp120に結合する重鎖および軽鎖を含む、第1のアームであって、Duobody(登録商標)のgp120結合性アームの重鎖が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、gp120結合性アームの軽鎖が、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む、第1のアームと、CD89に結合する重鎖および軽鎖を含む、第2のアームであって、Duobody(登録商標)のCD89結合性アームの重鎖が、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含み、CD89結合性アームの軽鎖が、配列番号102に示されるアミノ酸配列を含む、第2のアームとを含む。ある特定の実施形態では、1〜10個(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のアミノ酸置換が、Duobody(登録商標)の重鎖定常領域の一方または両方の任意の成分(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3)内に行われていてもよい。ある特定の事例では、アミノ酸置換は、変更されていないポリペプチドと比較して、エフェクター機能を変更(例えば、低減)させる、および/または半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。
【0262】
特定の実施形態では、抗体は、脱フコシル化されている。一部の実施形態では、抗体は、1つまたは複数のタグを含む。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のタグは、アビジンタグを含む。
【0263】
Fc改変
ある特定の実施形態では、本開示の抗体(例えば、Duobody(登録商標))は、IgG1m3アミノ酸配列(すなわち、配列番号77)と比較して、重鎖定常領域(Fc)中に1つまたは複数のアミノ酸配列改変を含む。ある特定の実施形態では、本開示の抗体(例えば、Duobody(登録商標))は、PGT−121.60抗体と比較して、重鎖定常領域(Fc)中に1つまたは複数のアミノ酸配列改変を含む。特定の実施形態では、これらの改変は、PGT−121 LO6抗体と比較して、改変された抗体の安定性を増加させるか、または結合親和性を増加させる。特定の実施形態では、これらの改変は、PGT−121.60抗体と比較して、改変された抗体の安定性を増加させるか、または結合親和性を増加させる。特定の実施形態では、これらの改変のうちのある特定のものは、抗体の半減期を増加させる。ある特定の実施形態では、これらの改変のうちのある特定のものは、抗体のエフェクター機能を減少させる。他の実施形態では、これらの改変のうちのある特定のものは、抗体エフェクター機能を減少させ、抗体の半減期を増加させる。
【0264】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、以下のFcアミノ酸置換(EU番号付け)またはそれらの組合せから選択される:L234F;L235E;G236A;S239D;F243L;D265E;D265A;S267E;H268F;R292P;N297Q;N297A;S298A;S324T;I332E;S239D;A330L;L234F;L235E;P331S;F243L;Y300L;V305I;P396L;S298A;E333A;K334A;E345R;L235V;F243L;R292P;Y300L;P396L;M428L;E430G;N434S;G236A、S267E、H268F、S324T、およびI332E;G236A、S239D、およびI332E;S239D、A330L、I332E;L234F、L235E、およびP331S;F243L、R292P、Y300L、V305I、およびP396L;G236A、H268F、S324T、およびI332E;S239D、H268F、S324T、およびI332E;S298A、E333A、およびK334A;L235V、F243L、R292P、Y300L、およびP396L;S239D、I332E;S239D、S298A、およびI332E;G236A、S239D、I332E、M428L、およびN434S;G236A、S239D、A330L、I332E、M428L、およびN434S;S239D、I332E、G236A、およびA330L;M428LおよびN4343S;M428L、N434S;G236A、S239D、A330LおよびI332E;ならびにG236AおよびI332E。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、N297A、D265A、L234F、L235E、N297Q、およびP331Sからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、N297AまたはD265Aである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、L234FおよびL235Eである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、L234F、L234E、およびD265Aである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、L234F、L234E、およびN297Qである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、L234F、L235E、およびP331Sである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、D265AおよびN297Qである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変は、L234F、L235E、D265A、N297Q、およびP331Sである。
【0265】
Fc受容体結合を低減させる変異としては、例えば、N297A;N297Q;D265A;L234F/L235E;L234F/L235E/N297Q;L234F/L235E/P331S;D265A/N297Q;ならびにL234F/L235E/D265A/N297Q/P331S(全てEU番号付け)が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体(例えば、Duobody)は、L234FおよびL235E変異を含む。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体(例えば、Duobody)は、L234F、L235E、およびD265A変異を含む。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体(例えば、Duobody)は、L234F、L235E、およびD265A変異を含む。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体(例えば、Duobody)は、N297AまたはN297Q変異を含む。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体(例えば、Duobody)は、N297AまたはN297Q変異、ならびにL234F、L235E、およびD265A変異を含む。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多いアミノ酸置換が、抗体のエフェクター機能を変更するために、Fc領域に導入される。例えば、これらの置換は、アミノ酸残基234、235、236、237、265、297、318、320、および322(EU番号付けによる)からなる群から選択される位置にある。これらの位置は、抗体が、エフェクターリガンド(例えば、Fc受容体または補体のC1成分)に対して変化した(例えば、低減された)親和性を有するが、親抗体の抗原結合能力は維持するように、異なるアミノ酸残基で置き換えられ得る。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体(例えば、Duobody)は、E233P、L234V、L235A、およびG236A変異(EU番号付け)を含む。一部の実施形態では、抗体は、A327G、A330S、およびP331S変異(EU番号付け)を含む。一部の実施形態では、抗体は、K322A変異(EU番号付け)を含む。一部の実施形態では、抗体は、E318A、K320A、およびK322A(EU番号付け)変異を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、L235E(EU番号付け)変異を含む。
【0266】
抗体の半減期を増加させる変異は、当該技術分野において公知である。一実施形態では、本明細書に記載される抗体(例えば、Duobody(登録商標))の定常領域は、252位(EU番号付け)におけるメチオニンからチロシンへの置換、254位(EU番号付け)におけるセリンからスレオニンへの置換、および256位(EU番号付け)におけるスレオニンからグルタミン酸への置換を含む。例えば、米国特許第7,658,921号を参照されたい。「YTE変異体」と表記されるこの種類の変異体は、同じ抗体の野生型バージョンと比べて、4倍増加した半減期を呈する(Dall'Acqua t al., J Biol Chem, 281: 23514-24 (2006)、Robbie et al., Antimicrob Agents Chemotherap., 57(12):6147-6153 (2013))。ある特定の実施形態では、抗体は、251〜257位、285〜290位、308〜314位、385〜389位、および428〜436位(EU番号付け)におけるアミノ酸残基の1つ、2つ、3つ、またはそれより多いアミノ酸置換を含む、IgG定常ドメインを含む。他の実施形態では、本明細書に記載される抗体(例えば、Duobody(登録商標))は、M428LおよびN4343S置換(EU番号付け)を含む。他の実施形態では、本明細書に記載される抗体(例えば、Duobody(登録商標))は、T250QおよびM428L(EU番号付け)変異を含む。他の実施形態では、本明細書に記載される抗体(例えば、Duobody(登録商標))は、H433KおよびN434F(EU番号付け)変異を含む。
【0267】
特定の実施形態では、抗体(例えば、Duobody(登録商標))は、2つもしくはそれより多い、3つもしくはそれより多い、4つもしくはそれより多い、5つもしくはそれより多い、6つもしくはそれより多い、6つもしくはそれより少ない、5つもしくはそれより少ない、4つもしくはそれより少ない、3つもしくはより少ない、2つもしくはそれより少ない、または1つの、改変されたFcアミノ酸残基を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A変異を含み、これらは、集合的に「FEA」と称される。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A、およびF405L変異を含み、これらは、集合的に「FEAL」と称される。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A変異、ならびにF405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Yからなる群から選択される変異を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A、およびK409R変異を含み、これらは、集合的に「FEAR」と称される。ある特定の実施形態では、FEALおよびFEARは、本明細書に記載される二重特異性抗体(例えば、Duobody(登録商標))に含まれる。ある特定の実施形態では、抗体は、M428LおよびN434S変異を含み、これらは、集合的にLSと称される。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A、F405L、M428L、およびN434S変異を含み、これらは、集合的に「FEALLS」と称される。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A、M428L、およびN434S変異を、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Yからなる群から選択される1つのさらなる変異とともに、含む。ある特定の実施形態では、抗体は、L234F、L235E、D264A、K409R、M428L、およびN434S変異を含み、これらは、集合的に「FEARLS」と称される。ある特定の実施形態では、FEALLSおよびFEARLSは、本明細書に記載される二重特異性抗体(例えば、Duobody(登録商標))に含まれる。ある特定の実施形態では、抗体は、S239D、I332E、G236A、A330L(「DEAL」)を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、S239D、I332E、G236A、A330L、M428L、およびN434S変異(「DEALLS」)を含む。FEA変異は、エフェクター機能を減少または抑止するが、一方で、DEAL変異は、活性化FcγRへのFcの結合を増強させることによって、エフェクター機能を増加または増強させる。LS変異は、抗体の薬物動態学的半減期を増加させる。
【0268】
エフェクター機能を低減または抑止することにより、CD3×gp120多重特異性/二重特異性抗体は、(i)HIVに感染していないものも含め、二重特異性分子が結合したT細胞が、自然エフェクター細胞、例えば、NK細胞、マクロファージによって殺滅されないことを確実にし、(ii)自然エフェクター細胞上のFcγRに結合しないことまたはそれに対して低減された結合を有することにより、T細胞が、標的細胞の非存在下において活性化されないことも確実にする。標的細胞の非存在下におけるT細胞の活性化は、サイトカイン応答をもたらすことになり、これは許容されないであろう。自然エフェクター細胞上のFcγRへの二重特異性分子の結合により、T細胞上のCD3分子のクラスタリングが引き起こされ、抗原に依存しないT細胞活性化がもたらされる。
【0269】
コンジュゲート抗体
本明細書において開示されている抗体のいずれも、高分子物質、例えば、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG修飾ポリエチレンイミン(PEI)(PEI−PEG)、ポリグルタミン酸(PGA)(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマー)、ヒアルロン酸、放射性材料(例えば、
90Y、
131I、
125I、
35S、
3H、
121In、
99Tc)、蛍光物質(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、発光物質(例えば、ルミノール)、ハプテン、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)、金属キレート、ビオチン、アビジン、ならびに薬物を含む、様々な分子に結合した、コンジュゲート抗体であってもよい。
【0270】
上記のコンジュゲート抗体は、本明細書に記載される抗体またはその低分子量形態に、化学的改変を行うことによって調製することができる。抗体を改変するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第5,057,313号および同第5,156,840号)。
【0271】
核酸
本開示はまた、gp120およびヒトCD3抗原に結合するか、またはgp120およびヒトCD89抗原に結合する、本明細書に記載される多重特異性抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター、ならびにそのようなポリヌクレオチドまたは発現ベクターを含む宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞、酵母、E.coli)も特徴とする。本明細書において提供される抗体のうちのいずれかをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター、例えば、宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞における効率的な発現のための発現ベクターが、本明細書において提供される。
【0272】
一態様では、本開示は、gp120に結合する抗体(例えば、例示的な抗gp120抗体2、例示的な抗gp120抗体3、例示的な抗gp120抗体4、例示的な抗gp120抗体5)のVH、VL、またはVHおよびVLをコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0273】
別の態様では、本開示は、gp120およびヒトCD3ポリペプチドに結合し、本明細書に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0274】
別の態様では、本開示は、gp120およびヒトCD89ポリペプチドに結合し、本明細書に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0275】
別の態様では、本開示は、本発明による抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチドまたは核酸分子を提供する。一部の実施形態では、核酸分子は、本出願の抗体軽鎖(もしくはその断片)または抗体軽鎖(もしくはその断片)、またはその両方をコードする。他の実施形態では、核酸は、DNA、cDNA、またはmRNAである。一部の他の実施形態では、核酸分子は、宿主細胞における発現を増強するために、コドン最適化されている。
【0276】
別の態様では、本明細書に記載される抗体のCDR、軽鎖、または重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが、本明細書において提供される。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される抗体のVL CDRを含む軽鎖または軽鎖可変ドメインをコードする、ヌクレオチド配列を含み得る(例えば、上の表を参照されたい)。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される抗体のVH CDRを含む重鎖または重鎖可変ドメインをコードする、ヌクレオチド配列を含み得る(例えば、上の表を参照されたい)。一実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号4、5、および6に、またはそれぞれ配列番号14、15、および16に示されるアミノ酸配列を含む、VL−CDRを有する可変軽鎖または軽鎖をコードする。別の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号1、2、および3に、またはそれぞれ配列番号11、12、および13に示されるアミノ酸配列を含む、VH−CDRを有する可変重鎖または重鎖をコードする。一実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号8、18、または101に示されるアミノ酸配列を含む、VLドメインをコードする。別の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号7、17、または96に示されるアミノ酸配列を含む、VHドメインをコードする。さらに別の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号10、20、または102に示されるアミノ酸配列を含む、軽鎖をコードする。別の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号9、19、または97に示されるアミノ酸配列を含む、重鎖をコードする。
【0277】
また、例えば、コドン最適化、異種シグナル配列での置き換え、およびmRNA不安定性エレメントの排除によって最適化された抗gp120および抗CD3(または抗CD89)抗体をコードする、ポリヌクレオチドもまた、本開示によって包含される。最適化された核酸を生成するための方法は、例えば、米国特許第5,965,726号、同第6,174,666号、同第6,291,664号、同第6,414,132号、および同第6,794,498号に記載されている方法を適応することによって、実行することができる。
【0278】
ベクターおよび宿主細胞
本開示はまた、本明細書において開示されている核酸(複数可)を含むベクターも包含する。ベクターは、任意の型のもの、例えば、組換えベクター、例えば発現ベクターであり得る。ベクターには、プラスミド、コスミド、細菌人工染色体(BAC)および酵母人工染色体(YAC)、ならびにバクテリオファージまたは植物もしくは動物(ヒトを含む)ウイルスに由来するベクターが含まれるがこれらに限定されない。ベクターは、提案された宿主細胞によって認識される複製起点を含み得、発現ベクターの場合、宿主細胞によって認識されるプロモーターおよび他の調節領域を含み得る。特定の実施形態では、ベクターは、プロモーターおよび必要に応じてさらなる調節エレメントに作動可能に連結された、本開示の抗体をコードするポリヌクレオチドを含む。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主における自律的複製が可能である(例えば、細菌複製起点を有するベクターは、細菌中で複製できる)。他のベクターは、宿主中への導入の際に宿主のゲノム中に組み込まれ得、それによって、宿主ゲノムと一緒に複製される。ベクターとしては、本明細書において開示されている抗体の組換え産生に好適なものが挙げられるが、これに限定されない。
【0279】
ベクターの選択は、続く組換え手順および使用される宿主に依存する。宿主細胞中へのベクターの導入は、とりわけ、リン酸カルシウムトランスフェクション、ウイルス感染、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクタミントランスフェクション、またはエレクトロポレーションによってもたらされ得る。ベクターは、自律的に複製し得る、またはそれらが組み込まれた染色体と一緒に複製し得る。ある特定の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の選択マーカーを含有する。マーカーの選択は、最適な宿主細胞に依存し得る。これらには、カナマイシン、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、zeocin、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−TK)、およびマウス由来のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(dhfr)が含まれるがこれらに限定されない。抗体を単離するために使用され得るタンパク質またはペプチドをコードする1つまたは複数の核酸分子に作動可能に連結された、本明細書に記載される抗体をコードする1つまたは複数の核酸分子を含むベクターもまた、本開示によって包含される。これらのタンパク質またはペプチドには、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、金属結合性ポリヒスチジン、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼおよびベータ−ガラクトシダーゼが含まれるがこれらに限定されない。
【0280】
特定の実施形態では、使用されるベクターは、pcDNA(商標)3.1+(ThermoFisher、MA)である。
【0281】
本開示はまた、本明細書に記載される核酸またはベクターを含む宿主細胞も提供する。種々の宿主細胞のいずれかが使用され得る。一実施形態では、宿主細胞は、原核生物細胞、例えば、E.coliである。別の実施形態では、宿主細胞は、真核生物細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、BHK細胞、NSO細胞またはBowes黒色腫細胞である。ヒト宿主細胞の例は、とりわけ、HeLa、911、AT1080、A549、293およびHEK293T細胞である。
【0282】
用語「核酸分子」とは、ヌクレオチドのポリマー形態を指し、これには、RNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方、cDNA、ゲノムDNA、ならびに上記の合成形態および混合ポリマーが含まれる。本明細書で使用する場合、核酸分子という用語は、ポリヌクレオチドという用語と相互交換可能であり得る。一部の実施形態では、ヌクレオチドとは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチドまたはいずれかの型のヌクレオチドの改変形態、およびそれらの組み合わせを指す。用語には、DNAの一本鎖形態および二本鎖形態もまた含まれるがこれらに限定されない。さらに、ポリヌクレオチド、例えば、cDNAまたはmRNAは、天然に存在するおよび/または天然に存在しないヌクレオチド連結によって一緒に連結された、天然に存在するヌクレオチドおよび改変型ヌクレオチドのいずれかまたは両方を含み得る。核酸分子は、当業者によって容易に理解されるように、化学的もしくは生化学的に改変され得、または非天然のもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含有し得る。かかる改変には、例えば、標識、メチル化、アナログによる1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間改変、例えば、無荷電連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)、荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部分(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレーター、アルキル化剤、および改変型連結(例えば、アルファアノマー核酸など)が含まれる。上記用語は、一本鎖、二本鎖、部分的二重鎖、三重鎖、ヘアピン、環状および南京錠(padlocked)コンフォメーションを含む、任意のトポロジカルコンフォメーションを含むこともまた意図する。核酸配列に対する言及は、特記しない限り、その相補体を包含する。従って、特定の配列を有する核酸分子に対する言及は、その相補的配列を有するその相補鎖を包含すると理解すべきである。用語は、コドン最適化された核酸もまた含む。
【0283】
用語「作動可能に連結した」とは、通常は物理的に連結された、互いに機能的な関係にある2つまたはそれよりも多くの核酸配列エレメントを指す。例えば、プロモーターが、コード配列の転写または発現を開始または調節できる場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結しており、この場合、コード配列は、プロモーター「の制御下」にある
と理解すべきである。
【0284】
「置換」とは、本明細書で使用する場合、それぞれ、異なるアミノ酸またはヌクレオチドによる1つまたは複数のアミノ酸またはヌクレオチドの置き換えを示す。
【0285】
「単離された」核酸とは、その天然の環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、その核酸分子を元々含有する細胞中に含有される核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外に、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。「抗体またはその断片をコードする単離された核酸」とは、単一のベクターまたは別々のベクター中のかかる核酸分子(複数可)、および宿主細胞中の1つまたは複数の位置に存在するかかる核酸分子(複数可)を含む、抗体の重鎖および軽鎖(またはそれらの断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子を指す。
【0286】
用語「ベクター」とは、本明細書で使用する場合、それが連結された別の核酸を伝播させることが可能な核酸分子を指す。この用語には、自己複製性核酸構造としてのベクター、ならびにそれが導入された宿主細胞のゲノム中に取り込まれたベクターが含まれる。一部のベクターは、本出願の核酸分子またはポリヌクレオチドの送達に好適である。ある特定のベクターは、それらが動作可能に連結した核酸の発現を指示することが可能である。かかるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と呼ばれる。
【0287】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」は、相互交換可能に使用され、かかる細胞の子孫を含む、外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞には、形質転換された初代細胞および継代の数にかかわらずそれらに由来する子孫を含む、「形質転換体」および「形質転換された細胞」が含まれる。子孫は、核酸含量が親細胞と完全に同一でなくてもよいが、変異を含有し得る。元々形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫が、本明細書に含まれる。
【0288】
ポリヌクレオチド「バリアント」は、この用語が本明細書で使用される場合、1つまたは複数の置換、欠失、付加および/または挿入において、本明細書に具体的に開示されるポリヌクレオチドとは典型的には異なる、ポリヌクレオチドである。かかるバリアントは、天然に存在していてもよく、あるいは例えば、本発明のポリヌクレオチド配列のうち1つもしくは複数を改変し、本明細書に記載されるコードされるポリペプチドの1つもしくは複数の生物学的活性を評価すること、および/または当該分野で周知のいくつかの技術のいずれかを使用することによって、合成により生成され得る。
【0289】
ポリペプチド「バリアント」は、この用語が本明細書で使用される場合、1つまたは複数の置換、欠失、付加および/または挿入において、本明細書に具体的に開示されるポリペプチドとは典型的には異なる、ポリペプチドである。かかるバリアントは、天然に存在していてもよく、あるいは例えば、上記本発明のポリペプチド配列のうち1つもしくは複数を改変し、本明細書に記載されるポリペプチドの1つもしくは複数の生物学的活性を評価すること、および/または当該分野で周知のいくつかの技術のいずれかを使用することによって、合成により生成され得る。一実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、バリアント1、バリアント2、バリアント3、および/またはバリアント4を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、バリアント1を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、バリアント2を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、バリアント3を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、バリアント4を含む。
【0290】
用語「バリアント」とは、任意の天然に存在する、または1つもしくは複数のヌクレオチドもしくはアミノ酸変異を含む操作された分子もまた指し得る。一実施形態では、分子は抗体である。例えば、体細胞バリアントは、同じB細胞系統の一部であるまたはそれに由来する全ての関連する天然に存在する抗体を包含し得る。操作されたバリアントは、抗体に対してなされた、全ての単一の変異またはコンビナトリアル変異を包含し得る。
【0291】
抗体を産生する方法
gp120に結合する単一特異性抗体、ならびにgp120およびヒトCD3(例えば、ヒトCD3εもしくはヒトCD3δ)に結合する二重特異性抗体は、抗体の合成のための当該技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、化学合成または組換え発現技法によって、産生することができる。
【0292】
単一特異性抗体を作製する方法は、当該技術分野において非常に周知されている。二重特異性抗体を作製する方法は、例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、ならびに米国出願公開第2003/020734号および同第2002/0155537号に記載されている。二重特異性四価抗体およびそれを作製する方法は、例えば、国際公開WO02/096948号および同WO00/44788号に記載されており、それらのいずれの開示も、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。加えて、二重特異性抗体を作製することに関する他の刊行物としては、国際公開WO91/00360号、同WO92/08802号、同WO92/05793号、および同WO93/17715号、Tutt et al., J. Immunol. 147:60-69 (1991)、米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、同第5,601,819号、および同第9,212,230号、ならびにKostelny et al., J. Immunol. 148:1547-1553 (1992)が挙げられる。
【0293】
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体は、Duobody(登録商標)である。Duobodyは、例えば、国際公開WO2008/119353号、同WO2011/131746号、同WO2011/147986号、および同WO2013/060867号、Labrijn AF et al., PNAS, 110(13): 5145-5150 (2013)、Gramer et al., mAbs, 5(6): 962-973 (2013)、ならびにLabrijn et al., Nature Protocols, 9(10): 2450-2463 (2014)に記載されているDuoBody(登録商標)技術プラットフォーム(Genmab A/S)によって作製することができる。この技術を使用して、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む第1の単一特異性抗体の半分を、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む第2の単一特異性抗体の半分と組み合わせることができる。結果として得られるヘテロ二量体は、第1の抗体に由来する1つの重鎖および1つの軽鎖が、第2の抗体に由来する1つの重鎖および1つの軽鎖と対合したものを含む。両方の単一特異性抗体が、異なる抗原上の異なるエピトープを認識する場合、結果として得られるヘテロ二量体は、二重特異性抗体である。
【0294】
DuoBody(登録商標)プラットフォームについては、単一特異性抗体のそれぞれが、CH3ドメインに単一の点変異を有する重鎖定常領域を含む。これらの点変異は、得られた二重特異性抗体のCH3ドメイン間において、変異を有さない単一特異性抗体のうちのいずれかにおけるCH3ドメイン間のものよりも強力な相互作用を可能にする。それぞれの単一特異性抗体における単一の点変異は、重鎖定常領域のCH3ドメイン内の残基366、368、370、399、405、407、または409(EU番号付け)におけるものであり得る(国際公開WO2011/131746号を参照されたい)。さらに、単一の点変異は、一方の単一特異性抗体において、他方の単一特異性抗体と比べて、異なる残基に位置する。例えば、一方の単一特異性抗体は、変異F405L(EU番号付け、残基405におけるフェニルアラニンからロイシンへの変異)、またはF405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Y変異のうちの1つを含み得るが、他方の単一特異性抗体は、変異K409R(EU番号付け、残基409におけるリシンからアルギニンへの変異)を含み得る。単一特異性抗体の重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプ(例えば、ヒトIgG1アイソタイプ)であり得、DuoBody(登録商標)技術によって産生される二重特異性抗体は、Fcに媒介されるエフェクター機能を変更する(例えば、低減させる)、および/または半減期を改善するように、改変され得る。Duobody(登録商標)を作製する1つの方法は、以下を含む:(i)CH3ドメインに単一のマッチする点変異(すなわち、K409RならびにF405L(またはF405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、およびF405Y変異のうちの1つ)(EU番号付け))を含む2つの親IgG1の別個の発現、(ii)半分子の組換えを可能にするように、in vitroで許容される酸化還元条件下において親IgG1を混合すること、(iii)鎖間ジスルフィド結合の再酸化を可能にするための還元体の除去、ならびに(iv)クロマトグラフィーに基づく方法または質量分析(MS)に基づく方法を使用して、交換効率および最終産物を分析すること(Labrijn et al., Nature Protocols, 9(10): 2450-2463 (2014)を参照されたい)。
【0295】
二重特異性抗体を作製する別の例示的な方法は、ノブ・イン・ホール技術によるものである(Ridgway et al., Protein Eng., 9:617-621 (1996)、国際公開WO2006/028936号)。二重特異性抗体を作製する際の重大な欠点であるIg重鎖の誤対合の問題は、この技術では、IgG内のCH3ドメインの界面を形成している選択されたアミノ酸を変異させることによって、低減される。2つの重鎖が直接的に相互作用するCH3ドメイン内の位置において、小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が一方の重鎖の配列内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、他方の重鎖の対応する相互作用残基位置に導入される。一部の事例では、本開示の抗体は、二重特異性抗体を優先的に形成するように、CH3ドメインが、2つのポリペプチド間の界面において相互作用する選択されたアミノ酸を変異させることによって改変されている、免疫グロブリン鎖を有する。二重特異性抗体は、同じサブクラスまたは異なるサブクラスの免疫グロブリン鎖から構成され得る。1つの事例では、gp120およびCD3に結合する二重特異性抗体は、「ノブ鎖」におけるT366W(EU番号付け)変異、ならびに「ホール鎖」におけるT366S、L368A、Y407V(EU番号付け)変異を含む。ある特定の実施形態では、例えば、Y349C変異を「ノブ鎖」に導入し、E356C変異またはS354C変異を「ホール鎖」に導入することによって、追加の鎖間ジスルフィド架橋が、CH3ドメイン間に導入される。ある特定の実施形態では、R409D、K370E変異が、「ノブ鎖」に導入され、D399K、E357K変異が、「ホール鎖」に導入される。他の実施形態では、Y349C、T366W変異が、鎖のうちの一方に導入され、E356C、T366S、L368A、Y407V変異が、対応する鎖に導入される。一部の実施形態では、Y349C、T366W変異が、一方の鎖に導入され、S354C、T366S、L368A、Y407V変異が、対応する鎖に導入される。一部の実施形態では、Y349C、T366W変異が、一方の鎖に導入され、S354C、T366S、L368A、Y407V変異が、対応する鎖に導入される。さらに他の実施形態では、Y349C、T366W変異が、一方の鎖に導入され、S354C、T366S、L368A、Y407V変異が、対応する鎖に導入される(全てEU番号付け)。
【0296】
二重特異性抗体を作製する別の例示的な方法は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))プラットフォームを使用することによるものである。BiTEは、可動性ペプチドリンカー(例えば、GGGGS(配列番号76))を介して、第1のscFv(例えば、gp120に結合するscFv)を、第2のscFv(例えば、ヒトCD3に結合するscFv)に、遺伝子融合することによって、作製される。例えば、Staerz et al., Nature, 314:628-631 (1985)、Mack et al., PNAS, 92:7021-7025 (1995)、Huehls et al., Immunol. Cell Biol., 93:290-296 (2015)を参照されたい。
【0297】
二重特異性抗体を作製する別の例示的な方法は、二重親和性再標的化(DART)プラットフォームを使用することによるものである。この技術は、Holligerら(PNAS, 90:6444-6448 (1993))のダイアボディ形式に基づくものであり、VH鎖およびVL鎖の安定性および最適な対合がさらに改善される(Johnson et al., J Mol. Biol., 399:436-449 (2010)、Sung et al., J Clin Invest., 125(11): 4077-4090 (2015))。
【0298】
二重特異性抗体を作製するさらに別の例示的な方法は、三官能性ハイブリッド抗体プラットフォーム、Triomab(登録商標)を使用することによるものである。このプラットフォームは、異なるアイソタイプ、マウスIgG2aおよびラットIgG2bの2つの全長抗体の半分から構成される、キメラ構築を用いる。この技術は、種によって優先される重鎖/軽鎖対合関係に依拠するものである。Lindhofer et al., J Immunol., 155:219-225 (1995)を参照されたい。
【0299】
二重特異性抗体を作製するさらなる例示的な方法は、TandAb(登録商標)プラットフォームを使用することによるものである。この技術は、ダイアボディの概念に基づくが、鎖内対合を防止するための短いリンカーを含む単一のポリペプチド鎖VH1−VL2−VH2−VL1として設計される。この一本鎖のヘッドトゥーテールの二量体化により、四価のホモ二量体の形成がもたらされる(Kipriyanov et al., J Mol. Biol., 293:41-56 (1999))。
【0300】
二重特異性抗体を作製するためのさらに別の方法は、CrossMab技術である。CrossMabは、2つの全長抗体の半分によって構築されるキメラ抗体である。正しい鎖対合のために、これは、2つの技術を組み合わせている:(i)2つの重鎖間の正しい対合を優先的に行うノブ・イン・ホール、および(ii)2つのFabのうちの一方の重鎖と軽鎖との間での交換により、軽鎖の誤対合を回避する非対称性を導入すること。Ridgway et al., Protein Eng., 9:617-621 (1996)、Schaefer et al., PNAS, 108:11187-11192 (2011)を参照されたい。CrossMabは、2つもしくはそれより多い標的を標的とするため、または1つの標的に対する二価性、例えば、2:1形式を導入するために、2つまたはそれより多い抗原結合性ドメインを組み合わせることができる。
【0301】
本開示の多重特異性抗体は、細菌細胞または真核生物細胞において産生することができる。抗体はまた、形質転換された細胞株(例えば、CHO、293E、293T、COS、NIH3T3)などの真核生物細胞において産生することもできる。加えて、抗体(例えば、scFv)は、酵母細胞、例えば、Pichia(例えば、Powers et al., J Immunol Methods. 251:123-35 (2001)を参照されたい)、Hanseula、またはSaccharomycesにおいて発現させることができる。一実施形態では、本明細書に記載される二重特異性抗体は、CHO細胞株において産生される。目的の抗体を産生するために、抗体をコードするポリヌクレオチドを構築し、それを発現ベクターに導入した後、好適な宿主細胞において発現させる。標準的な分子生物学技法を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、抗体を回収する。
【0302】
抗体を、細菌細胞(例えば、E.coli)において発現させようとする場合、発現ベクターは、細菌細胞におけるベクターの増幅を許容する特徴を有さなければならない。加えて、E.coli、例えば、JM109、DH5α、HB101、またはXL1−Blueを宿主として使用する場合、ベクターは、E.coliにおける効率的な発現を可能にすることができる、プロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al., 341:544-546 (1989)、araBプロモーター(Better et al., Science, 240:1041-1043 (1988))、またはT7プロモーターを有さなければならない。そのようなベクターの例としては、例えば、M13系統のベクター、pUC系統のベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Script、pGEX−5X−1(Pharmacia)、「QIAexpress system」(QIAGEN)、pEGFP、およびpET(この発現ベクターが使用される場合、宿主は、T7 RNAポリメラーゼを発現するBL21であることが好ましい)が挙げられる。発現ベクターは、抗体分泌のためのシグナル配列を含み得る。E.coliの周辺質への産生については、pelBシグナル配列(Lei et al., J. Bacteriol., 169:4379 (1987))を、抗体分泌のためのシグナル配列として使用してもよい。細菌発現については、塩化カルシウム法またはエレクトロポレーション法を使用して、発現ベクターを細菌細胞へ導入することができる。
【0303】
抗体を、動物細胞、例えば、CHO、COS、およびNIH3T3細胞において発現させようとする場合、発現ベクターには、これらの細胞における発現に必要とされるプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al., Nature, 277:108 (1979))、MMLV−LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al., Nucleic Acids Res., 18:5322 (1990))、またはCMVプロモーターが含まれる。免疫グロブリンまたはそのドメインをコードする核酸配列に加えて、組換え発現ベクターは、追加の配列、例えば、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択可能なマーカー遺伝子を保持し得る。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、および同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞に、薬物、例えば、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートに対する耐性を付与する。選択可能なマーカーを有するベクターの例としては、pMAM、pDR2、pBK−RSV、pBK−CMV、pOPRSV、およびpOP13が挙げられる。
【0304】
一実施形態では、抗体は、哺乳動物細胞において産生される。抗体を発現させるための例示的な哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、Kaufman and Sharp (1982) Mol. Biol. 159:601-621に記載されているように、DHFR選択可能マーカーとともに使用される、Urlaub and Chasin (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr
− CHO細胞を含む)、ヒト胎児性腎臓293細胞(例えば、293、293E、293T)、COS細胞、NIH3T3細胞、リンパ球細胞株、例えば、NS0骨髄腫細胞およびSP2細胞、ならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック哺乳動物に由来する細胞が挙げられる。例えば、細胞は、乳腺上皮細胞である。
【0305】
抗体発現のための例示的な系において、本開示の二重特異性抗体の抗体重鎖および抗体軽鎖をコードする組換え発現ベクターは、リン酸カルシウムに媒介されるトランスフェクションによって、dhfr
− CHO細胞に導入される。具体的な実施形態では、dhfr− CHO細胞は、DG44細胞株、例えば、DG44iの細胞である(例えば、Derouaz et al., Biochem Biophys Res Commun., 340(4):1069-77 (2006)を参照されたい)。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖および軽鎖の遺伝子は、それぞれ、高レベルの遺伝子転写を作動させるために、エンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、SV40、CMV、アデノウイルスなどに由来する、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメント、またはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントなど)に、動作可能なように連結されている。組換え発現ベクターはまた、DHFR遺伝子も保持し、これにより、メトトレキサート選択/増幅を使用して、ベクターがトランスフェクトされているCHO細胞の選択が可能となる。選択された形質転換体宿主細胞を培養して、抗体重鎖および軽鎖の発現を可能にし、抗体が、培養培地から回収される。
【0306】
多重特異性抗体はまた、トランスジェニック動物によって産生することもできる。例えば、米国特許第5,849,992号は、トランスジェニック哺乳動物の乳腺において抗体を発現させる方法について記載している。ミルク特異的プロモーターおよび目的の抗体をコードする核酸および分泌のためのシグナル配列を含む、導入遺伝子を、構築する。そのようなトランスジェニック哺乳動物の雌によって産生されるミルクには、分泌された目的の抗体が含まれている。抗体は、ミルクから精製することができるか、または一部の適用では、直接的に使用することができる。本明細書に記載される核酸のうちの1つまたは複数を含む動物もまた、提供される。
【0307】
本開示の多重特異性抗体は、宿主細胞内または宿主細胞外(例えば、培地)から単離し、実質的に純粋で均質な抗体として精製することができる。抗体の精製に一般的に使用される単離および精製のための方法を、抗体の単離および精製に使用することができるが、任意の特定の方法に限定されない。抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈降、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、透析、および再結晶化を適切に選択し、組み合わせることによって、単離および精製することができる。クロマトグラフィーには、例えば、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、および吸着クロマトグラフィーが含まれる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。クロマトグラフィーは、HPLCおよびFPLCなどの液相クロマトグラフィーを使用して実行することができる。親和性クロマトグラフィーに使用されるカラムとしては、プロテインAカラムおよびプロテインGカラムが挙げられる。プロテインAカラムを使用するカラムの例としては、Hyper D、POROS、およびSepharose FF(GE Healthcare Biosciences)が挙げられる。本開示にはまた、これらの精製方法を使用して高度に精製された抗体も含まれる。
【0308】
医薬組成物
本開示は、本明細書に記載される抗体、または本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドと、薬学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤とを含む医薬組成物もまた含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の、抗体またはポリヌクレオチドを含む。
【0309】
種々の薬学的に許容される希釈剤、担体および賦形剤、ならびに医薬組成物の調製および使用のための技術は、本開示に照らせば、当業者に公知である。例示的な医薬組成物ならびに薬学的に許容される希釈剤、担体および賦形剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 第20版(Lippincott, Williams & Wilkins 2003年)にも記載されている。特定の実施形態では、各担体、希釈剤または賦形剤は、医薬組成物の他の成分と適合性であり、被験体にとって傷害性でないという意味で、「許容される」。しばしば、薬学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤として機能し得る材料の一部の例には、無菌水;緩衝液、例えば、リン酸緩衝食塩水;糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、カカオバターおよび坐剤ワックス;油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに医薬製剤において用いられる他の非毒性の適合性の物質が含まれる。湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、離型剤(release agent)、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、防腐剤ならびに抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0310】
医薬組成物の製剤化および送達の方法は、一般に、処置される部位および疾患に従って適合される。例示的な製剤には、ミセル、リポソームまたは薬物放出カプセル中にカプセル化された製剤(低速放出のために設計された生体適合性コーティング内に取り込まれた活性薬剤);摂取可能な製剤;外用使用のための製剤、例えば、クリーム剤、軟膏剤およびゲル剤;ならびに他の製剤、例えば、吸入剤、エアロゾル剤およびスプレー剤が含まれる、非経口投与、例えば、静脈内、動脈内、筋内または皮下投与に適切なものが含まれるがこれらに限定されない。
【0311】
使用の方法
本開示は、HIV感染または関連する疾患もしくは障害を処置および予防することを必要とする被験体(例えば、ヒト被験体)においてHIV感染または関連する疾患もしくは障害を処置および予防するための方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の、本明細書に記載される抗体または抗体をコードするポリヌクレオチドを提供するステップを含む、方法を提供する。本明細書で使用する場合、被験体への療法(therapy)の投与の文脈における「有効量」という用語は、所望される予防的または治療的効果を達成する、療法の量を指す。ポリヌクレオチドは、ベクター、例えば、ウイルスベクター中に存在し得る。特定の実施形態では、関連の疾患または障害は、HIVによる感染によって引き起こされる。特定の実施形態では、これは、後天性免疫不全症候群(AIDS)である。特定の実施形態では、被験体は、ウイルス学的に抑制されたHIV感染哺乳動物であるが、他の実施形態では、被験体は、処置を経験していないHIV感染哺乳動物である。ある特定の実施形態では、処置を経験していない被験体は、10
3コピー/mlから10
5コピー/mlの間のウイルス量を有し、ある特定の実施形態では、ウイルス学的に抑制された被験体は、50コピー/ml未満のウイルス量を有する。特定の実施形態では、被験体は、哺乳動物、例えばヒトである。ある特定の実施形態では、被験体は、HIV、例えば、HIV−1もしくはHIV−2感染または関連の疾患もしくは障害、例えば、AIDSと診断されており、あるいはHIV、例えば、HIV−1もしくはHIV−2感染または関連の疾患もしくは障害、例えば、AIDSを発症するリスクがあるとみなされる。HIV関連の疾患または障害のリスクがある被験体には、感染した人と接触した患者、またはいくつかの他の方法でHIVに曝露された患者が含まれる。予防剤の投与は、疾患または障害が予防され、あるいはその進行が遅延されるように、HIV関連の疾患または障害に特徴的な症状の顕在化の前に行われ得る。
【0312】
また、被験体(例えば、ヒト被験体)におけるHIVウイルス力価、ウイルス複製、ウイルス増殖、またはHIVウイルスDNA、HIVプロウイルスDNA、もしくはHIVウイルスタンパク質の量の増加を予防または阻害するための方法も提供される。一実施形態では、本方法は、それを必要とする被験体に、被験体における1つまたは複数のHIV株または分離株のHIV力価、ウイルス複製、またはHIVタンパク質の量の増加を予防するのに有効な量の、本明細書に記載される抗体またはその抗体をコードするポリヌクレオチドを提供するステップを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、1つまたは複数の時点で、例えば、被験体に本開示の抗体が提供される前および提供された後に、HIVウイルスのまたはプロウイルスのDNAまたはタンパク質の量を測定するステップをさらに含む。被験体におけるHIVウイルスのまたはプロウイルスのDNAまたはタンパク質の量を決定するための方法およびバイオマーカーは、当該技術分野において公知かつ利用可能であり、例えば、Siliciano, J.D. et al., Curr Opin. HIV AIDS, 5(6):491-7 (2010)、およびRouzioux, C. et al., Curr Opin HIV AIDS, 8(3):170-5 (2013)に記載されている。
【0313】
本明細書に記載されるDuobody(登録商標)は、抗レトロウイルス組合せ療法(cART)により抑制された患者から単離されたCD4
+T細胞において、ex vivoで潜伏性HIVを再活性化することができ、したがって、実際に、HIVウイルス力価を増加させ得る。Duobody(登録商標)は、潜伏感染状態の細胞を活性化してgp120を発現させ、次いで、排除の標的となる可能性があるため、これが、Duobody(登録商標)の利点である。CD3への結合により、部分的T細胞活性化表現型が誘導され得、潜伏感染状態のCD4
+T細胞の活性化により、ウイルス発現がもたらされる。したがって、HIVの潜伏を逆転させることを必要とする被験体においてHIVの潜伏を逆転させる方法もまた、特徴とされる。本方法は、それを必要とするヒト被験体に、本明細書に記載されるgp120×CD3 Duobody(登録商標)を投与するステップを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、1つまたは複数の時点で、例えば、被験体に本開示のDuobody(登録商標)が提供される前および提供された後に、HIV RNA、ウイルスのまたはプロウイルスのDNAまたはタンパク質の量を測定するステップをさらに含む。
【0314】
ある特定の態様では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載されるHIV単離物などのある特定のウイルスを阻害する方法、本明細書に記載されるHIV単離物などのある特定のウイルスの感染の予防的な阻害または防止、試料中の本明細書に記載されるHIV単離物などのある特定のウイルスの検出、本明細書に記載されるHIV単離物などのある特定のウイルスの阻害、本明細書に記載されるHIV単離物などのある特定のウイルスの診断において使用され得る。
【0315】
哺乳動物被験体、例えば、ヒトのin vivo処置のために、被験体には、本明細書に記載される多重特異性抗体を含む医薬組成物が投与または提供され得る。in vivo治療に使用される場合、本明細書に記載される抗体は、典型的に、治療有効量(すなわち、患者のウイルス負荷および/またはウイルスの蓄積を排除するかまたは低減させる量)で、患者に投与または提供される。抗体は、例えば、ボーラスとしてもしくはある期間にわたる持続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、髄腔内、経口、局所、または吸入経路によるものなどであるがこれらに限定されない公知の方法に従って、哺乳動物被験体、例えば、ヒトに投与または提供される。抗体は、可能な場合には、標的細胞部位において非経口で投与され得るか、または静脈内投与され得る。一実施形態では、被験体への抗体の投与は、静脈内経路によるものである。別の実施形態では、被験体への抗体の投与は、皮下経路によるものである。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、被験体に、全身的に、非経口で、または局所的に、投与される。
【0316】
ある特定の実施形態では、本開示は、HIV感染を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、本明細書において開示されている抗体を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0317】
組合せ療法
ある特定の実施形態では、HIV感染を有するかまたはHIV感染を有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染を処置または予防するための方法であって、ヒトに、治療有効量の、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物を、治療有効量の1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、1つもしくは2つ、または1つ〜3つの)追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、方法が、提供される。一実施形態では、HIV感染を有するかまたはHIV感染を有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染を処置するための方法であって、ヒトに、治療有効量の、本明細書において開示されている抗体またはその薬学的に許容される塩を、治療有効量の1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、1つもしくは2つ、または1つ〜3つの)追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、方法が、提供される。
【0318】
一実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物を、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、1つもしくは2つ、または1つ〜3つの)追加の治療剤、ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物が、提供される。
【0319】
ある特定の実施形態では、本開示は、HIV感染を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物を、治療有効量の、HIV感染を処置するのに好適である1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、方法を提供する。
【0320】
ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い追加の治療剤と組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、2つの追加の治療剤と組み合わされる。他の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、3つの追加の治療剤と組み合わされる。さらなる実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、4つの追加の治療剤と組み合わされる。1つ、2つ、3つ、4つまたはそれより多い追加の治療剤は、同じクラスの治療剤から選択される異なる治療剤であってよく、および/または異なるクラスの治療剤から選択されてもよい。
【0321】
ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体は、1つまたは複数の追加の治療剤とともに投与される。本明細書において開示されている抗体の、1つまたは複数の追加の治療剤との共投与は、概して、治療有効量の本明細書において開示されている抗体および1つまたは複数の追加の治療剤が、いずれも患者の体内に存在するような、本明細書において開示されている化合物および1つまたは複数の追加の治療剤の同時または逐次投与を指す。逐次投与される場合、組合せ物は、2回またはそれより多い投与で投与され得る。
【0322】
共投与は、単位投薬量の1つまたは複数の追加の治療剤の投与の前または後における、単位投薬量の本明細書において開示されている抗体の投与を含む。例えば、本明細書において開示されている抗体は、1つまたは複数の追加の治療剤の投与の数秒以内、数分以内、または数時間以内に、投与され得る。一部の実施形態では、単位用量の本明細書において開示されている抗体が、最初に投与され、続いて、数秒または数分以内に、単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が投与される。代替として、単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が、最初に投与され、続いて、数秒または数分以内に、単位用量の本明細書において開示されている抗体が投与される。他の実施形態では、単位用量の本明細書において開示されている抗体が、最初に投与され、続いて、数時間(例えば、1〜12時間)後に、単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が投与される。さらに他の実施形態では、単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が、最初に投与され、続いて、数時間(例えば、1〜12時間)後に、単位用量の本明細書において開示されている抗体が投与される。
【0323】
ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体は、患者への同時投与のための単位剤形で、例えば、経口投与用の固体剤形として、1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わされる。
【0324】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、液体として製剤化され、これは、必要に応じてHIVを処置するのに有用な追加の治療剤(複数可)を含有し得る。ある特定の実施形態では、液体は、HIVを処置するための別の活性成分、例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVの逆転写酵素の非ヌクレオシドまたは非ヌクレオチド阻害剤、HIVの逆転写酵素のヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(またはアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、薬物動態学的エンハンサー、およびこれらの組合せを含有し得る。
【0325】
ある特定の実施形態では、そのような製剤は、毎日1回の投薬に好適である。上の実施形態では、追加の治療剤は、抗HIV剤であり得る。一部の事例では、追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシドまたは非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(またはアロステリックな)インテグラーゼ阻害剤、HIV侵入阻害剤、HIV成熟化阻害剤、潜伏逆転剤(latency reversing agent)、HIVカプシドを標的とする化合物、免疫ベースの療法、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤、HIV抗体、二重特異性抗体および「抗体様」治療用タンパク質、HIV p17マトリックスタンパク質阻害剤、IL−13アンタゴニスト、ペプチジル−プロリルシス−トランスイソメラーゼAモジュレーター、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ阻害剤、補体C5a受容体アンタゴニスト、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、HIV vif遺伝子モジュレーター、Vif二量体化アンタゴニスト、HIV−1ウイルス感染性因子阻害剤、TATタンパク質阻害剤、HIV−1 Nefモジュレーター、Hckチロシンキナーゼモジュレーター、混合系列キナーゼ−3(MLK−3)阻害剤、HIV−1スプライシング阻害剤、Revタンパク質阻害剤、インテグリンアンタゴニスト、核タンパク質阻害剤、スプライシング因子モジュレーター、COMMドメイン含有タンパク質1モジュレーター、HIVリボヌクレアーゼH阻害剤、レトロサイクリンモジュレーター、CDK−9阻害剤、樹状ICAM−3結合ノンインテグリン1(dendritic ICAM−3 grabbing nonintegrin 1)阻害剤、HIV GAGタンパク質阻害剤、HIV POLタンパク質阻害剤、補体因子Hモジュレーター、ユビキチンリガーゼ阻害剤、デオキシシチジンキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、プロタンパク質転換酵素PC9刺激物質、ATP依存性RNAヘリカーゼDDX3X阻害剤、逆転写酵素プライミング複合体阻害剤、G6PDおよびNADH−オキシダーゼ阻害剤、薬物動態学的賦活薬、HIV遺伝子療法、HIVワクチン、ならびにこれらの組合せであり得る。
【0326】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、HIVのための併用薬物、HIVを処置するための他の薬物、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(またはアロステリックな)インテグラーゼ阻害剤、HIV侵入(融合)阻害剤、HIV成熟化阻害剤、潜伏逆転剤、カプシド阻害剤、免疫ベースの療法、PI3K阻害剤、HIV抗体、および二重特異性抗体、および「抗体様」治療用タンパク質、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0327】
本開示の抗体とともに用いられ得る併用薬物の例として、ATRIPLA(登録商標)(エファビレンツ、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、およびエムトリシタビン);COMPLERA(登録商標)(EVIPLERA(登録商標);リルピビリン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、およびエムトリシタビン);STRIBILD(登録商標)(エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、およびエムトリシタビン);TRUVADA(登録商標)(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩およびエムトリシタビン;TDF+FTC);DESCOVY(登録商標)(テノホビルアラフェナミドおよびエムトリシタビン);ODEFSEY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、およびリルピビリン);GENVOYA(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、コビシスタット、およびエルビテグラビル);ダルナビル、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、エムトリシタビン、およびコビシスタット;エファビレンツ、ラミブジン、およびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;ラミブジンおよびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;テノホビルおよびラミブジン;テノホビルアラフェナミドおよびエムトリシタビン;テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩およびエムトリシタビン;テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、エムトリシタビン、およびリルピビリン;テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、エムトリシタビン、コビシスタット、およびエルビテグラビル;COMBIVIR(登録商標)(ジドブジンおよびラミブジン;AZT+3TC);EPZICOM(登録商標)(LIVEXA(登録商標);アバカビル硫酸塩およびラミブジン;ABC+3TC);KALETRA(登録商標)(ALUVIA(登録商標);ロピナビルおよびリトナビル);TRIUMEQ(登録商標)(ドルテグラビル、アバカビル、およびラミブジン);TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル硫酸塩、ジドブジン、およびラミブジン;ABC+AZT+3TC);アタザナビルおよびコビシスタット;アタザナビル硫酸塩およびコビシスタット;アタザナビル硫酸塩およびリトナビル;ダルナビルおよびコビシスタット;ドルテグラビルおよびリルピビリン;ドルテグラビルおよびリルピビリン塩酸塩;ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、およびラミブジン;ラミブジン、ネビラピン、およびジドブジン;ラルテグラビルおよびラミブジン;ドラビリン、ラミブジン、およびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;ドラビリン、ラミブジン、およびテノホビルジソプロキシル;ドルテグラビル+ラミブジン、ラミブジン+アバカビル+ジドブジン、ラミブジン+アバカビル、ラミブジン+テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、ラミブジン+ジドブジン+ネビラピン、ロピナビル+リトナビル、ロピナビル+リトナビル+アバカビル+ラミブジン、ロピナビル+リトナビル+ジドブジン+ラミブジン、テノホビル+ラミブジン、およびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン+リルピビリン塩酸塩、ロピナビル、リトナビル、ジドブジンおよびラミブジン;Vacc−4xおよびロミデプシン;ならびにAPH−0812が挙げられる。
【0328】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIVを処置するための他の薬物の例として、アセマンナン、アリスポリビル、BanLec、デフェリプロン、Gamimune、メテンケファリン、ナルトレキソン、Prolastin、REP 9、RPI−MN、VSSP、H1viral、SB−728−T、1,5−ジカフェオイルキナ酸、rHIV7−shl−TAR−CCR5RZ、AAV−eCD4−Ig遺伝子療法、MazF遺伝子療法、BlockAide、ABX−464、AG−1105、APH−0812、BIT−225、CYT−107、HGTV−43、HPH−116、HS−10234、IMO−3100、IND−02、MK−1376、MK−8507、MK−8591、NOV−205、PA−1050040(PA−040)、PGN−007、SCY−635、SB−9200、SCB−719、TR−452、TEV−90110、TEV−90112、TEV−90111、TEV−90113、RN−18、Immuglo、およびVIR−576が挙げられる。
【0329】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIVプロテアーゼ阻害剤の例として、アンプレナビル、アタザナビル、ブレカナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、ホスアンプレナビルカルシウム、インジナビル、インジナビル硫酸塩、ロピナビル、ネルフィナビル、ネルフィナビルメシル酸塩、リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、チプラナビル、DG−17、TMB−657(PPL−100)、T−169、BL−008、およびTMC−310911が挙げられる。
【0330】
本開示の抗体と組み合わせることができる、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシドまたは非ヌクレオチド阻害剤の例として、ダピビリン、デラビルジン、デラビルジンメシル酸塩、ドラビリン、エファビレンツ、エトラビリン、レンチナン、ネビラピン、リルピビリン、ACC−007、AIC−292、KM−023、およびVM−1500が挙げられる。
【0331】
本開示の抗体と組み合わせることができる、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤の例として、アデホビル、アデホビルジピボキシル、azvudine、エムトリシタビン、テノホビル、テノホビルアラフェナミド、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、VIDEX(登録商標)およびVIDEX EC(登録商標)(ジダノシン、ddl)、アバカビル、アバカビル硫酸塩、アロブジン、アプリシタビン、センサブジン、ジダノシン、エルブシタビン、フェスティナビル、フォサルブジンチドキシル、CMX−157、ダピビリン、ドラビリン、エトラビリン、OCR−5753、テノホビルジソプロキシルオロテート、ホジブジンチドキシル、ラミブジン、ホスファジド、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、GS−9131、GS−9148、およびKP−1461が挙げられる。
【0332】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIVインテグラーゼ阻害剤の例として、エルビテグラビル、クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリ酸、チコリ酸の誘導体、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸の誘導体、カフェ酸フェネチルエステル、カフェ酸フェネチルエステルの誘導体、チルホスチン、チルホスチンの誘導体、ケルセチン、ケルセチンの誘導体、ラルテグラビル、ドルテグラビル、JTK−351、ビクテグラビル、AVX−15567、カボテグラビル(長時間作用型注射剤)、ジケトキノリン−4−1誘導体、インテグラーゼ−LEDGF阻害剤、ledgins、M−522、M−532、NSC−310217、NSC−371056、NSC−48240、NSC−642710、NSC−699171、NSC−699172、NSC−699173、NSC−699174、スチルベン二スルホン酸、T−169およびカボテグラビルが挙げられる。
【0333】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIV非触媒部位、またはアロステリック、インテグラーゼ阻害剤(NCINI)の例としては、CX−05045、CX−05168、およびCX−14442が挙げられる。
【0334】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIV侵入(融合)阻害剤の例として、セニクリビロック、CCR5阻害剤、gp41阻害剤、CD4結合阻害剤、gp120阻害剤、およびCXCR4阻害剤が挙げられる。
【0335】
本開示の抗体と組み合わせることができるCCR5阻害剤の例として、アプラビロック、ビクリビロック、マラビロク、セニクリビロック、PRO−140、アダプタビル(RAP−101)、ニフェビロック(TD−0232)、抗GP120/CD4またはCCR5二重特異性抗体、B−07、MB−66、ポリペプチドC25P、TD−0680、およびvMIP(Haimipu)が挙げられる。
【0336】
本開示の抗体と組み合わせることができるgp41阻害剤の例として、アルブビルチド、エンフビルチド、BMS−986197、エンフビルチドバイオベター、エンフビルチドバイオシミラー、HIV−1融合阻害剤(P26−Bapc)、ITV−1、ITV−2、ITV−3、ITV−4、PIE−12トリマーおよびシフュービルタイドが挙げられる。
【0337】
本開示の抗体と組み合わせることができるCD4結合阻害剤の例として、イバリズマブおよびCADA類似体が挙げられる。
【0338】
本開示の抗体と組み合わせることができるgp120阻害剤の例として、Radha−108(receptol)3B3−PE38、BanLec、ベントナイトベースのナノメディシン、ホステムサビルトロメタミン、IQP−0831、およびBMS−663068が挙げられる。
【0339】
本開示の抗体と組み合わせることができるCXCR4阻害剤の例として、プレリキサフォル、ALT−1188、N15ペプチド、およびvMIP(Haimipu)が挙げられる。
【0340】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIV成熟化阻害剤の例として、BMS−955176およびGSK−2838232が挙げられる。
【0341】
本開示の抗体と組み合わせることができる潜伏逆転剤の例としては、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、例えば、ベルケイド、プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤、Smyd2阻害剤、BET−ブロモドメイン4(BRD4)阻害剤、イオノマイシン、PMA、SAHA(スベラニロヒドロキサム酸、またはスベロイル、アニリド、およびヒドロキサム酸)、NIZ−985、IL−15、JQ1、ジスルフィラム、アムホテリシンB、ならびにユビキチン阻害剤、例えば、ラルガゾール(largazole)類似体、ならびにGSK−343が挙げられる。HDAC阻害剤の例としては、ロミデプシン、ボリノスタット、およびパノビノスタットが挙げられる。PKC活性化剤の例としては、インドラクタム、プロストラチン、インゲノールB、およびDAG−ラクトンが挙げられる。
【0342】
本開示の抗体と組み合わせることができるカプシド阻害剤の例として、カプシド重合阻害剤またはカプシド破壊化合物、HIVヌクレオカプシドp7(NCp7)阻害剤、例えば、アゾジカーボンアミド、HIVp24カプシドタンパク質阻害剤、AVI−621、AVI−101、AVI−201、AVI−301、およびAVI−CAN1−15シリーズが挙げられる。
【0343】
本開示の抗体と組み合わせることができる免疫ベースの療法の例として、toll様受容体モジュレーター、例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13;プログラム細胞死タンパク質1(PD−1)モジュレーター;プログラム死−リガンド1(PD−L1)モジュレーター;IL−15アゴニスト;DermaVir;インターロイキン−7;プラケニル(ヒドロキシクロロキン);プロロイキン(アルデスロイキン、IL−2);インターフェロンアルファ;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n3;ペグ化インターフェロンアルファ;インターフェロンガンマ;ヒドロキシウレア;ミコフェノール酸モフェチル(MPA)およびそのエステル誘導体ミコフェノール酸モフェチル(MMF);リバビリン;リンタトリモド、ポリマーポリエチレンイミン(PEI);ゲポン;リンタトリモド;IL−12;WF−10;VGV−1;MOR−22;BMS−936559;CYT−107、インターロイキン−15/Fc融合タンパク質、ノルムフェロン、ペグインターフェロンアルファ−2a、ペグインターフェロンアルファ−2b、組換え型インターロイキン−15、RPI−MN、GS−9620、およびIR−103が挙げられる。
【0344】
本開示の抗体と組み合わせることができるPI3K阻害剤の例として、イデラリシブ、アルペリシブ、ブパルリシブ、CAIオロテート、コパンリシブ、デュベリシブ、ゲダトリシブ、ネラチニブ、パヌリシブ、ペリホシン、ピクチリシブ、ピララリシブ、プキチニブメシル酸塩、リゴセルチブ、リゴセルチブナトリウム、ソノリシブ、タセリシブ、AMG−319、AZD−8186、BAY−1082439、CLR−1401、CLR−457、CUDC−907、DS−7423、EN−3342、GSK−2126458、GSK−2269577、GSK−2636771、INCB−040093、LY−3023414、MLN−1117、PQR−309、RG−7666、RP−6530、RV−1729、SAR−245409、SAR−260301、SF−1126、TGR−1202、UCB−5857、VS−5584、XL−765、およびZSTK−474が挙げられる。
【0345】
本開示の抗体と組み合わせることができるインテグリンアルファ−4/ベータ−7アンタゴニストの例としては、PTG−100、TRK−170、アブリルマブ、エトロリズマブ、カロテグラストメチル、およびベドリズマブが挙げられる。
【0346】
本開示の抗体と組み合わせることができる、HIV抗体、二重特異性抗体、および「抗体様」治療用タンパク質の例として、DART(登録商標)、DUOBODIES(登録商標)、BITES(登録商標)、XmAb(登録商標)、TandAb(登録商標)、Fab誘導体、bNAb(幅広く中和するHIV−1抗体)、BMS−936559、TMB−360、およびHIV gp120またはgp41を標的とするもの、HIVを標的とする抗体リクルート分子、抗CD63モノクローナル抗体、抗GBウイルスC抗体、抗GP120/CD4、CCR5二重特異性抗体、抗nef単一ドメイン抗体、抗Rev抗体、ラクダ類由来の抗CD18抗体、ラクダ類由来の抗ICAM−1抗体、DCVax−001、gp140標的抗体、gp41ベースのHIV治療用抗体、ヒト組換え型mAb(PGT−121)、イバリズマブ、Immuglo、MB−66が挙げられる。このような方式でHIVを標的とするものの例として、バビツキシマブ、UB−421、C2F5、C2G12、C4E10、C2F5+C2G12+C4E10、3BNC−117、PGT145、PGT121、PGDM1400、MDX010(イピリムマブ)、VRC01、A32、7B2、10E8、VRC−07−523、VRC−HIVMAB080−00−AB、MGD−014およびVRC07が挙げられる。HIVを標的とする抗体のさらなる例としては、PGT122、PGT123、PGT124、10−1074、PGT133、PGT134、PG16、PG9、PGT151などが挙げられる。
【0347】
本開示の抗体と組み合わせることができる薬物動態学的賦活薬の例として、コビシスタットおよびリトナビルが挙げられる。
【0348】
本開示の抗体と組み合わせることができる追加の治療剤の例として、WO2004/096286(Gilead Sciences)、WO2006/015261(Gilead Sciences)、WO2006/110157(Gilead Sciences)、WO2012/003497(Gilead Sciences)、WO2012/003498(Gilead Sciences)、WO2012/145728(Gilead Sciences)、WO2013/006738(Gilead Sciences)、WO2013/159064(Gilead Sciences)、WO2014/100323(Gilead Sciences)、US2013/0165489(University of Pennsylvania)、US2014/0221378(Japan Tobacco)、US2014/0221380(Japan Tobacco)、WO2009/062285(Boehringer Ingelheim)、WO2010/130034(Boehringer Ingelheim)、WO2013/006792(Pharma Resources)、US20140221356(Gilead Sciences)、US20100143301(Gilead Sciences)およびWO2013/091096(Boehringer Ingelheim)に開示された化合物が挙げられる。
【0349】
本開示の抗体と組み合わせることができるHIVワクチンの例として、ペプチドワクチン、組換え型サブユニットタンパク質ワクチン、生ベクターワクチン、DNAワクチン、CD4由来のペプチドワクチン、ワクチン併用、rgp120(AIDSVAX)、ALVAC HIV(vCP1521)/AIDSVAX B/E(gp120)(RV144)、モノマー性gp120 HIV−1サブタイプCワクチン、Remune、ITV−1、Contre Vir、Ad5−ENVA−48、DCVax−001(CDX−2401)、Vacc−4x、Vacc−C5、VAC−3S、マルチクレード(multiclade)DNA組換え型アデノウイルス−5(rAd5)、Pennvax−G、Pennvax−GP、HIV−TriMix−mRNAワクチン、HIV−LAMP−vax、Ad35、Ad35−GRIN、NAcGM3/VSSP ISA−51、ポリ−ICLCアジュバントワクチン、TatImmune、GTU−multiHIV(FIT−06)、gp140[デルタ]V2.TV1+MF−59、rVSVIN HIV−1 gagワクチン、SeV−Gagワクチン、AT−20、DNK−4、ad35−Grin/ENV、TBC−M4、HIVAX、HIVAX−2、NYVAC−HIV−PT1、NYVAC−HIV−PT4、DNA−HIV−PT123、rAAV1−PG9DP、GOVX−B11、GOVX−B21、TVI−HIV−1、Ad−4(Ad4−env Clade C+Ad4−mGag)、EN41−UGR7C、EN41−FPA2、PreVaxTat、AE−H、MYM−V101、CombiHIVvac、ADVAX、MYM−V201、MVA−CMDR、DNA−Ad5 gag/pol/nef/nev(HVTN505)、MVATG−17401、ETV−01、CDX−1401、rcAD26.MOS1.HIV−Env、Ad26.Mod.HIVワクチン、AGS−004、AVX−101、AVX−201、PEP−6409、SAV−001、ThV−01、TL−01、TUTI−16、VGX−3300、IHV−001、およびウイルス様粒子ワクチン、例えば、偽ビリオンワクチン、CombiVICHvac、LFn−p24B/C融合ワクチン、GTUベースのDNAワクチン、HIVgag/pol/nef/env DNAワクチン、抗TAT HIVワクチン、コンジュゲートポリペプチドワクチン、樹状細胞ワクチン、gagベースのDNAワクチン、GI−2010、gp41 HIV−1ワクチン、HIVワクチン(PIKAアジュバント)、Ii−key/MHCクラスIIエピトープハイブリッドペプチドワクチン、ITV−2、ITV−3、ITV−4、LIPO−5、マルチクレードEnvワクチン、MVAワクチン、Pennvax−GP、pp71欠損HCMVベクターHIV gagワクチン、組換え型ペプチドワクチン(HIV感染)、NCI、rgp160 HIVワクチン、RNActive HIVワクチン、SCB−703、Tat Oyiワクチン、TBC−M4、治療用HIVワクチン、UBI HIV gp120、Vacc−4x+ロミデプシン、変異型gp120ポリペプチドワクチン、rAd5 gag−pol env A/B/Cワクチンが挙げられる。
【0350】
本開示の抗体と組み合わせることができる産児調節(避妊)に使用される治療剤としては、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、吉草酸エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチノジオール、エトノゲストレル、レボメフォレート、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、ミフェプリストン、ミソプロストール、酢酸ノメゲストロール、ノルエルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、オルメロキシフェン、酢酸セゲステロン(segestersone acetate)、酢酸ウリプリスタル、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0351】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗体、または薬学的に許容されるその塩は、ATRIPLA(登録商標)(エファビレンツ、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、およびエムトリシタビン);COMPLERA(登録商標)(EVIPLERA(登録商標);リルピビリン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、およびエムトリシタビン);STRIBILD(登録商標)(エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、およびエムトリシタビン);TRUVADA(登録商標)(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩およびエムトリシタビン;TDF+FTC);DESCOVY(登録商標)(テノホビルアラフェナミドおよびエムトリシタビン);ODEFSEY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、およびリルピビリン);GENVOYA(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、コビシスタット、およびエルビテグラビル);アデホビル;アデホビルジピボキシル;コビシスタット;エムトリシタビン;テノホビル;テノホビルジソプロキシル;テノホビルジソプロキシルフマル酸塩;テノホビルアラフェナミド;テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩;TRIUMEQ(登録商標)(ドルテグラビル、アバカビル、およびラミブジン);ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、およびラミブジン;ラルテグラビル;ラルテグラビルおよびラミブジン;マラビロク;エンフビルチド;ALUVIA(登録商標)(KALETRA(登録商標);ロピナビルおよびリトナビル);COMBIVIR(登録商標)(ジドブジンおよびラミブジン;AZT+3TC);EPZICOM(登録商標)(LIVEXA(登録商標);アバカビル硫酸塩およびラミブジン;ABC+3TC);TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル硫酸塩、ジドブジン、およびラミブジン;ABC+AZT+3TC);リルピビリン;リルピビリン塩酸塩;アタザナビル硫酸塩およびコビシスタット;アタザナビルおよびコビシスタット;ダルナビルおよびコビシスタット;アタザナビル;アタザナビル硫酸塩;ドルテグラビル;エルビテグラビル;リトナビル;アタザナビル硫酸塩およびリトナビル;ダルナビル;ラミブジン;プロラスチン;ホスアンプレナビル;ホスアンプレナビルカルシウムエファビレンツ;エトラビリン;ネルフィナビル;ネルフィナビルメシル酸塩;インターフェロン;ジダノシン;スタブジン;インジナビル;インジナビル硫酸塩;テノホビルおよびラミブジン;ジドブジン;ネビラピン;サキナビル;サキナビルメシル酸塩;アルデスロイキン;ザルシタビン;チプラナビル;アンプレナビル;デラビルジン;デラビルジンメシル酸塩;Radha−108(receptol);ラミブジンおよびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;エファビレンツ、ラミブジン、およびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;ホスファジド;ラミブジン、ネビラピン、およびジドブジン;アバカビル;ならびにアバカビル硫酸塩から選択される1、2、3、4種またはそれよりも多くの追加の治療剤と組み合わせる。
【0352】
具体的な実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、HIVの逆転写酵素のヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、およびHIVの逆転写酵素の非ヌクレオシド阻害剤と組み合わされる。別の具体的な実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、HIVの逆転写酵素のヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤およびHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。追加の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、HIVの逆転写酵素のヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、および薬物動態学的エンハンサーと組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、少なくとも1つのHIVの逆転写酵素のヌクレオシド阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、および薬物動態学的エンハンサーと組み合わされる。別の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、2つの逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤と組み合わされる。
【0353】
特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、硫酸アバカビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、フマル酸テノホビルジソプロキシル、ヘミフマル酸テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド、またはヘミフマル酸テノホビルアラフェナミドと組み合わされる。
【0354】
特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、フマル酸テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド、またはヘミフマル酸テノホビルアラフェナミドと組み合わされる。
【0355】
特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、硫酸アバカビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、フマル酸テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド、およびヘミフマル酸テノホビルアラフェナミドからなる群から選択される第1の追加の治療剤、ならびにエムトリシタビンおよびラミブジンからなる群から選択される第2の追加の治療剤と組み合わされる。
【0356】
特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、フマル酸テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェナミド、およびヘミフマル酸テノホビルアラフェナミドからなる群から選択される第1の追加の治療剤、ならびに第2の追加の治療剤と組み合わされ、ここで、第2の追加の治療剤は、エムトリシタビンである。
【0357】
別の特定の実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物は、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、吉草酸エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチノジオール、エトノゲストレル、レボメフォレート、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、ミフェプリストン、ミソプロストール、酢酸ノメゲストロール、ノルエルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、オルメロキシフェン、酢酸セゲステロン、酢酸ウリプリスタル、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される第1の追加の治療剤(避妊薬)と組み合わされる。
【0358】
キット
本開示はまた、本明細書に記載される1つまたは複数の抗体またはそのコンジュゲートを含むキットも包含する。1つの事例では、本明細書に記載される医薬組成物の成分のうちの1つまたは複数、例えば、本明細書において提供される1つまたは複数の抗体が充填された、1つまたは複数の容器を含む、医薬品パックまたはキットが、本明細書において提供される。一部の事例では、キットは、本明細書に記載される医薬組成物を含む。一実施形態では、本明細書において開示されている抗体またはその医薬組成物を、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、1つもしくは2つ、または1つ〜3つの)追加の治療剤(例えば、上に開示されたもの)と組み合わせて含む、キットが、提供される。そのような容器(複数可)には、必要に応じて、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制している政府機関によって規定された形式の通知が付随し得、その通知には、その機関による、ヒトへの投与のための製造、使用、または販売の承認が示されている。
【実施例】
【0359】
以下の実施例は、特許請求される本発明をより良好に例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を制限すると解釈されるものではない。特定の材料について言及されている範囲について、これは、単に例示目的であり、本発明を制限することを意図するものではない。当業者であれば、発明的な能力を発揮することなく、また本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物に発展させることができる。
【0360】
(実施例1)
ウイルス中和活性
PGT121は、HIVサブタイプB単離物の広範な適用範囲(coverage)を有する非常に強力な中和抗体である(IC50 0.03μg/ml、80%の幅)。PGT121およびそのバリアントの中和の効力(IC50またはIC95として測定される)および幅(試験したパネルから中和された単離物の%)を、2つの異なる公開されたアッセイ形式:i)シュードタイプ化された、ならびに複製能のあるHIV単離物に対する抗体のスクリーニングに適合する、CEM−NKr−CCR5−LucRレポーター細胞株に基づくアッセイ(Liら、2005年、J Vir 79巻(16号):10108〜10125頁);およびii)目的のHIV Envバリアントでシュードタイプ化されたルシフェラーゼレポーターウイルスを使用するMonogram HIV PhenoSense中和アッセイ(Monogram Biosciences)(Richmanら、2003年、PNAS 100巻(7号):4144〜4149頁)を使用して検査した。
【0361】
レポーター細胞株に基づくCEM−NKr−CCR5−LucR中和アッセイ、マルチサイクルウイルス複製アッセイ(Spenlehauerら、2001年、Virology、doi:10.1006/viro.2000.0780)では、患者血漿試料(NIH AIDS Reagent Program)から増幅された、実験室に適合されたHIV−1 BaL株ならびにサブタイプB単離物93HT593、92US657、92US712および92US727を含む、5つの複製能のある臨床単離物のパネルに対して、抗体をスクリーニングした。
【0362】
いくつかのバリアントPGT−121抗体の中和効力は、試験した5つのウイルスについてPGT−121(本明細書においてPGT−121 LO6とも呼ぶ)のものと同等であることが観察されたが、これは、これらの抗体中に存在する改変が、PGT−121と比較して、抗原認識および結合の決定因子に対する最小限の影響を有していたことを示唆している(以下の表5は、CEM−NKr−CCR5−Luc細胞に関するものである)。他のバリアント(例えば、PGT121.60およびPGT121.61)は、PGT121と比較して、この限定されたウイルスに対する中和効力において2〜3倍の増加を示した。
【0363】
【表5】
【0364】
Monogram中和アッセイでは、Env(gp160)コード領域を、HIV+ARTナイーブウイルス血症患者から単離された血漿ウイルスRNAから増幅し、発現ベクター中にクローニングして、患者血漿試料中に存在するウイルス擬似種分布を維持した。次いで、発現ベクターを使用して、患者由来Envタンパク質を発現するHIV−1偽ウイルス群を生成した。クレードBの臨床単離物の2つのパネルを、Monogram中和アッセイのために生成した:パネル1(Monogram臨床単離物パネル)は、Monogramライブラリーコレクションに由来する63の単離物を含み、33種またはそれよりも多くのCCR5指向性ウイルス、15種またはそれよりも多くのCXCR4指向性(X4)および15種またはそれよりも多くの二重混合(DM)指向性のウイルスを含んでおり;ならびにパネル2(Gilead臨床単離物パネル)は、臨床試験に登録されたARTナイーブHIV患者に由来するプレARTベースライン血漿試料から単離された142のサブタイプBのウイルスを含み、113のCCR5指向性(R5)ウイルス、28の二重または混合指向性(DM)のウイルスおよび1つのCXCR4指向性(X4)ウイルスを含んでいた。HIV−1 Envが、クレード間、ならびにクレード内で、患者単離物間で有意な多様性を示すことを考慮すると、PGT121およびバリアントの中和活性も、Monogramのライブラリーコレクションに由来するウイルスのパネルを使用して、非Bクレードを表すウイルスに対してプロファイリングした。Monogram HIV PhenoSense Neutralization Assayを使用して、患者単離物の大きいコレクションをプロファイリングすることによって、生成されたPGT121およびバリアントの幅と効力の両方のより精密なプロファイリングを可能にした。その結果を、表6〜9を示す。結果は、PGT121.60などのPGT121のバリアントが選択されたウイルスに対する中和活性の増強を示すことを示していた。
【0365】
【表6】
【0366】
【表7】
【0367】
【表8-1】
【表8-2】
【0368】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【0369】
これらの実験により、Fc増強されたPGT121によるX4指向性HIV中和の予想外の改善が示された。HIVは、T細胞への進入のために、CD4に加えて、CXCR4またはCCR5の2つの共受容体を使用することができる。共受容体の結合は、本明細書に記載の広範に中和する抗体の標的であるEnvによって媒介される。かくして、異なる配列を有するHIVの異なる株は、CXCR4(X4指向性として公知である)、CCR5(R5指向性として公知である)、またはその両方(X4/R5もしくは二重指向性として公知である)を優先的に使用する。R5とX4指向性の両方を示すウイルスプール(二重混合またはDMと呼ばれる)は、R5、X4および/または二重指向性の株の混合物を含有し得る。PGT121は一般に、X4単離物に対する弱い感度(低い効力および幅)を示し、R5指向性ウイルスを優先的に中和する。Fc変異DEAL+LSのPGT121への付加(PGT121.56)は、DMおよびX4指向性ウイルスに対するその中和活性を特異的に増強した(少なくとも1つの単離物について、メジアンIC50の2倍および最大で約20倍の増強)。一部のPGT121 Fabバリアント(例えば、PGT121.13およびPGT121.22)はR5 DMおよびX4ウイルスに対する中和効力の低減を示したが、WT Fabを含むPGT121.56などの、DEAL+LS Fc変異を担持する操作されたPGT121 Fabバリアントのいくつかは、R5ウイルスと比較してDMおよびX4ウイルスを中和する際により強力であった(P<0.0001)(データは示されない)。このことは非常に予想外である。なぜなら、HIV中和はFcドメインよりもむしろFabドメインによって専ら媒介されると考えられるからである。R5単離物のうち、中和の2〜3倍の増強が、試験した単離物の約46%において観察された。DEAL+LS変異は、本開示のある特定の抗体およびその断片中に存在する。PGT121.56に導入された追加の改変は、選択されたバリアント(例えば、PGT121.60)の中和活性をさらに改善した。
【0370】
適用範囲の幅を、≦15μg/mlのIC95で中和されたウイルスの百分率として算出した。≦15μg/mlのIC95を有するウイルスにわたってメジアンIC95値を算出することによって、効力を決定した。合計で89のクレードBの単離物を含む、HIV−1単離物の両パネルに対して試験した場合、本開示の抗体は、PGT121と比較して中和活性の喪失を示さなかった(データは示さない)。ある特定の抗体の効力は、PGT121とほぼ同一であり、中和の幅をわずかに改善した。中和プロファイリングはまた、広い範囲のHIV−1臨床単離物に由来する多様なEnv抗原を認識し、これに結合する、PGT−121と比較した抗体の能力の代理評価としても役立った。種々の抗体のプロファイリングに由来するデータにより、中和効力が低減した抗体は、ADCC活性の低減も示すことが示され(データは示さない)、抗体の中和活性とADCC活性との間の正の相関を示唆し、ADCC幅の評価のための代用物としての中和幅の使用を支持している。
【0371】
(実施例2)
免疫原性研究
3つの方法を使用して免疫原性を評価し、PGT121中の免疫原性モチーフを除去するための操作を導いた。in silico予測ツールを使用して、PGT121抗体中の免疫原性の潜在的なリスクの部位を同定し、また、新規T細胞エピトープの導入を防止しながら、製造可能性を改善するための操作努力(例えば、グリコシル化部位の除去、低pH保持安定性の改善)を導いた。この分析に基づいて、機能的活性に影響するリスクが低いフレームワーク領域の改変を、本開示の抗体中で行って、免疫原性を低減させた。さらに、本開示のある抗体の可変ドメイン内の潜在的に免疫原性のモチーフをさらに同定するために、ex vivoでのヒトT細胞活性化アッセイであるEpiScreen(商標)(Antitope,Ltd.、Cambridge、UK)を使用した。抗体に由来する重複15アミノ酸ペプチド、およびKLH(キーホールリンペットヘモシアニン、陽性対照)に応答する、様々なHLAハプロタイプを表す、50人の健康なドナーにおいて誘導されたCD4
+T細胞応答を、H−チミジン取込みアッセイを使用して評価して、T細胞増殖を測定した。このアッセイは、抗体操作を導くための一次抗体配列中の特異的T細胞エピトープの局在化を可能にした。それは、試験した抗体に関するT細胞エピトープの相対的免疫原性の順位付けも提供した(データは示されない)。
【0372】
選択された抗体バリアントの臨床免疫原性のリスクを評価するために、EpiScreen(商標)時間経過T細胞アッセイ(Antitope,Ltd.、Cambridge、UK)を使用して、インタクトな抗体により誘導されるT細胞活性化を測定した。全分子アッセイを、記載のように行った(BakerおよびJones 2007年、Curr. Opin. Drug Discov. Devel. 10巻:219〜227頁)。かくして、このアッセイは、T細胞エピトープ含量だけでなく、ネイティブIgGのプロセシングも考慮に入れる。in silicoでのアッセイおよびペプチド走査アッセイと違って、全分子のex vivo T細胞活性化アッセイは、所与の抗体の相対的臨床リスクの評価を提供することができ、ある特定の事例では、記載のように臨床免疫原性の比率を予測するために使用することができる(BakerおよびJones 2007年、Curr. Opin. Drug Discov. Devel. 10巻:219〜227頁)。
【0373】
多くの臨床段階の抗体がこのアッセイで試行され、臨床免疫原性をほとんど示さないか、全く示さない抗体は、このアッセイにおいて10%に近いか、またはそれ未満のスコアを有するが、アレムツズマブおよびインフリキシマブなどの高い臨床免疫原性を示す抗体は、25〜40%の範囲のスコアを示す(BakerおよびJones 2007年、Curr. Opin. Drug Discov. Devel. 10巻:219〜227頁)。PGT121.42、PGT121.60、PGT121.61およびPGT121.65は、PGT121 WT(すなわち、PGT−121 LO6)と比較した場合、低減したドナー応答率を示したが、これは、これらのバリアントに関する臨床免疫原性のリスクの低減を支持している(データは示されない)。
【0374】
(実施例3)
FcRn結合
新生児Fc受容体(FcRn)は、ヒトおよび前臨床種におけるIgG分子の薬物動態を調節する際に主要な役割を果たすことが示されているFc受容体である。エンドサイトーシスの後、酸性pH(<6.5)で、FcRnは高い親和性でIgGのFc部分に結合する。FcRnに結合したIgGは、リサイクルされて細胞外空間に戻り、生理的pHで、IgG結合親和性が低減され、IgGが放出されて循環中に戻る。FcRn経路によってサルベージされない遊離IgGは、リソソーム中で内因性アミノ酸に分解される。pH6.0/7.0でのFcRnへのIgGの相対的結合親和性特徴は、in vivoでのIgGの半減期を順位付けるために十分に確立された相関物(correlate)および薬物動態最適化のための設計特色になっている。
【0375】
異なるpHでの様々な抗体バリアントのFcRnへの抗体の結合を決定した。96ウェルのMaxisorpプレートを、100μlの5μg/mlのFcRnで被覆した。プレートを4℃で一晩インキュベートした後、0.05%Tween 20洗浄緩衝液で3回洗浄した後、室温で2時間、4%スキムミルクでブロックした。プレートを室温で1時間、一次抗体の3倍系列希釈物と共にインキュベートした。次いで、プレートを3回洗浄し、4%スキムミルク中で希釈された100μLのFab−抗ヒトFab−HRPまたはヤギ抗ヒトIgG−HRP二次抗体を添加した。次いで、プレートを室温で50分インキュベートし、3回洗浄し、100μLの新鮮なTMB基質を添加した。プレートを、穏やかに振盪しながらベンチ上で3分間発色(develop)させた。プレートを100μLの1M HClでクエンチし、軽く振盪し、spectramax m5プレートリーダー上、A450で読み取った。
【0376】
PGT−121と比較して、FcRnと相互作用するIgGのFc部分中にLS変異を含む本開示の抗体は、ヒトFcRnに関するpH7.0/6.0の比によって表されるように、pH6.0でFcRn結合の有意な改善を示し、7.0の中性pHでは結合にあまり影響しなかった。結合の改善は、LS変異の存在に起因するものであり、PGT−121と比較してヒトにおける長い半減期を提供すると予測される。データを、表10に示す。
【0377】
【表10】
【0378】
このデータは、PGT121.56またはPGT121.42を超える、PGT121.60および61の有意な改善を示す。PGT121.56は、DEAL+LS Fcを有するWT Fabである。これは、PGT121.60および61中のFab変異がFcRn結合を改善することを示唆する。PGT121.64およびPGT121.65は、この改善を示さないが、これは、これらの2つのバリアント中のFab改変が実際にFcRn結合を低減させ得ることを示唆している。
【0379】
(実施例4)
in vivoでのプロファイリング
PGT121および本出願に由来するいくつかの抗体をアッセイして、その基本的な薬物動態プロファイルを特徴付けて、本開示の抗体中に存在するFab/Fc改変が、PGT121の固有の薬物動態挙動を増強し、それを有意に摂動させないことを確実にした。PGT121および本開示のいくつかの他の抗体のin vivoでの処分を、2匹のオスのナイーブなカニクイザル(n=2)において単回静脈内(IV)1.0mg/kg用量後に特徴付けた。血清試料をサルから収集し、生物分析学的方法(本明細書に記載される)を使用して分析して、非コンパートメント薬物動態分析(NCA)により、血清濃度−時間プロファイルおよび平均血清薬物動態パラメーターを決定した。
【0380】
別の試験では、PGT121、PGT121 LS、ならびにPGT121.42およびPGT121.60の新しいロットの固有の薬物動態挙動を、3匹のオスのナイーブなカニクイザル(n=3)において単回IV 10.0mg/kg用量後に特徴付けた。血清試料を収集し、生物分析学的方法(本明細書に記載される)を使用して分析して、非コンパートメント薬物動態分析(NCA)により、血清濃度−時間プロファイルおよび平均血清薬物動態パラメーターを決定した。PGT121、PGT121.42、PGT121.43、PGT121.60およびPGT121.61の平均血清薬物動態パラメーターを、濃度−時間プロファイルの非コンパートメント薬物動態分析から決定し、表11に記載する。in vivoで試験した本開示の全ての抗体は、PGT121と比較して、同等であるか、または改善された薬物動態(本明細書で定義される)を有していた。
【0381】
【表11】
【0382】
PGT121、PGT121 LS、PGT121.42、およびPGT121.60の平均血清薬物動態パラメーターを、濃度−時間プロファイルの非コンパートメント薬物動態分析から決定し、表12に記載する。
【0383】
【表12】
【0384】
in vivoで試験した本開示の全ての抗体は、PGT121と比較して、同等であるか、または改善された薬物動態(本明細書で定義される)を有していた。PGT121.60は、PGT121と比較して、試験したウイルスに対する増加した効力を示した(データは示されない)。PGT121バリアント、例えば、PGT121.60、PGT121.64、およびPGT121.65は、試験した全てのウイルス分離株にわたって、改善された効力を示した(データは示されない)。これは、なされた改変(おそらくCDRの外側の抗原接触残基に対してなされた改変)が中和効力を改善したことを示唆する。PGT121.60は、PGT121と比較して、Bサブタイプおよび非Bサブタイプを表すウイルスに対する増加した中和活性を示した(データは示されない)。
【0385】
(実施例5)
HIV感染細胞を死滅させる、gp120×CD3 Duobodyの能力の評価
例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)(Duobody(登録商標)のgp120部分の重鎖配列は、以下に提供されており、Duobody(登録商標)のgp120部分の軽鎖は、配列番号10に示される配列を有し、Duobody(登録商標)のCD3部分の重鎖配列は、以下に提供されており、Duobody(登録商標)のCD3部分の軽鎖は、配列番号20に示される配列を有していた)、ならびに単一特異性PGT121.60(配列番号41および10)の殺滅活性を、22個の初代HIV−1分離株またはクローンに対して、評価した。それぞれのウイルスは、平均4人の健常なPBMCドナーで評価した(表13を参照されたい)。死滅させた感染細胞の比率(Emax)は、例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)(平均±標準偏差、70%±11%)では、PGT121.60(平均±標準偏差、56%±16%、対応のあるT検定、P=0.001)よりも有意に高かった。例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)はまた、PGT121.60よりも有意に強力であり、PGT121.60の1.034μg/mL±1.408μg/mL(対応のあるT検定、P=0.007)と比較して、0.129μg/mL±0.074μg/mLのEC
50値を達成した。PGT121.60と比較した例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)のEC
50の平均倍数変化は、21倍であった。
【0386】
【表13】
【0387】
まとめると、例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)は、PGT121.60よりも有意に低い濃度で、有意に高い比率のHIV感染細胞を死滅させる。
【0388】
Duobody(登録商標)のgp120部分の重鎖配列:
【化28】
【化29】
【0389】
Duobody(登録商標)のCD3部分の重鎖配列:
【化30】
【0390】
方法
PBMCエフェクター細胞による感染細胞の殺滅
例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)に依存するHIV感染CD4 T細胞の殺滅およびPGT−121.60に依存するHIV感染CD4 T細胞の殺滅を、初代休止HIV感染CD4
+T細胞を標的細胞として使用し、自己PBMCをエフェクター細胞として使用して、in vitroにおいて調査した。初代CD4
+T細胞を、1200×gで2時間のスピンフェクションによって、50〜100ngのp24/100万個の細胞を用いて感染させ、RPMI培地(10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充)において、30U/mLのIL−2(Rocheカタログ番号11011456001)とともに、37℃で5日間培養した。de novo抗原発現を可能にするために5日間静置した後、スピンフェクトしたCD4
+T細胞培養物を、3回洗浄して、遊離ウイルスを除去し、96ウェルプレートに、2×10
5個の細胞/ウェルで播種し、ヒト血清IgG(5mg/mL最終濃度)の存在下において、1時間、7つの濃度の例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)またはPGT−121.60の10倍連続希釈物とともにインキュベートした。CD4
+T細胞標的がオプソニン化している間に、エフェクター細胞を調製した。凍結保存していた自己PBMCを解凍し、PKH67を製造業者の指示に従って使用して膜染色を行い、4×10
5個の細胞/ウェルで、オプソニン化標的細胞に添加して、2:1のE:T比を得た。エフェクター細胞を、1ウェル当たり200μLの最終体積で、24〜48時間、オプソニン化した標的細胞とともに共培養した。
【0391】
HIV感染標的細胞の殺滅は、フローサイトメトリーによって決定した。共培養期間の終わりに、細胞を、PBSで2回洗浄し、100μLのLive/Dead Aqua(PBS中に1/1000で希釈)で、染色が100μLのFACS緩衝液(PBS+2%FBS)の添加により不活性にされるまで、10分間染色した。次いで、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、抗CD4−PE/Cy7 mAb(FACS緩衝液中に1/50で希釈)とともに、20分間インキュベートした後、FACS緩衝液で3回洗浄し、100μLのCytofix/Cytopermで、10分間、固定および透過処理した。細胞を、次いで、PermWashで1回洗浄し、FACS緩衝液+10%PermWash中の抗p24−PE mAbとともに、25分間インキュベートした。最後に、細胞を、FACS緩衝液で3回洗浄し、120μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、LSR FortessaまたはX20 FACS(BD Biosciences、San Jose、CA)においてフローサイトメトリーデータを取得し、FlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用して分析した。
【0392】
データの分析
PBMCによる感染初代CD4
+T細胞の殺滅に関して、フローサイトメトリーによるHIV感染標的細胞の計数には、以下のゲーティング戦略を使用した:リンパ球を、前方および側方散乱に基づいて選択し、生存リンパ球を、Live/Dead Aquaの陰性染色によって選択した。次いで、接種されたCD4
+T細胞を表すPKH67陰性の生存リンパ球を選択し、HIV感染細胞を、p24 Gag+、CD4
low(HIVに媒介されるCD4の下方モジュレーションに起因する)細胞として同定した。HIV感染パーセントは、HIVに感染している(p24 Gag
+、CD4
low陽性)接種(PKH67陰性)CD4
+T細胞のパーセントによって表した。
【0393】
例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)で処置したウェルまたはPGT−121.60で処置したウェルにおけるHIV感染標的細胞のパーセントを、未処置のウェル(ヒト血清IgGのみで処置、96ウェルプレート当たりn=2〜10)におけるHIV感染標的細胞の平均パーセントと比較した。HIV感染標的細胞の殺滅パーセントは、以下の等式を使用して計算した:
100−((処置したウェルにおけるHIV感染標的細胞%/未処置のウェルにおけるHIV感染標的細胞%)×100)。
【0394】
例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)またはPGT−121.60によって死滅させた感染細胞の最大割合(maximal fraction)(Emax)、ならびに最大半量の殺滅をもたらす濃度(EC
50)を、GraphPad Prism(La Jolla、CA)ソフトウェアを使用して、3パラメーターの非線形回帰(等式1)によって適合される用量応答曲線から得た。
等式1:
【数1】
式中、Y=殺滅%、X=抗体濃度、Bottom=抗体の非存在下における応答、Top=最大応答。
【0395】
見かけのEmaxが40%を下回る用量応答曲線は、EC
50値を100μg/mLを上回るとして報告し、0%以下の絶対値を有するEmaxには、0%を割り当てた。
【0396】
(実施例6)
抗gp120抗体バリアントの評価
加速ストレス条件下において(25℃、40℃)、PGT−121.60の軽鎖可変ドメインの59位におけるアスパラギン酸は、異性化を受けてIsoAspとなる。Asp59は、HIV Env N332結合モチーフの一部を形成しており、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の喪失をもたらすPGT−121.60によるgp120結合に極めて重要である。この化学的傾向(chemical liability)は、薬品の凍結乾燥によって軽減された。
【0397】
PGT−121.60を、Duobody(登録商標)分子のアームのうちの1つとして選択した。凍結乾燥は、上首尾の商業的戦略であるが、開発および製造を能率的にし、ロットごとの一致性を改善し、Duobody(登録商標)形式の液体製剤を可能にするために、PGT−121.60から異性化の傾向を排除することが、望ましかった。T細胞エピトープを再導入することなく、生物活性を維持しながら、アスパラギン酸異性化部位を除去することが、操作の目標であった。操作により得られた上位のバリアントのうちの4つ(バリアント1、バリアント2、バリアント3、およびバリアント4)を、PGT−121.60 ADCCレポーター細胞に基づくアッセイを使用した結合および効力の試験を含む、特徴付けへと進めた。
【0398】
バリアントは4つ全てが、以下に提供される同じ重鎖アミノ酸配列を有する:
【化31】
【0399】
バリアント1は、配列番号40に示される軽鎖配列を有する。バリアント2は、配列番号78に示される軽鎖配列を有する。バリアント3は、配列番号79に示される軽鎖配列を有する。バリアント4は、配列番号80に示される軽鎖配列を有する。
【0400】
結合の研究
上記の様々なバリアント抗体の、gp120 HIV ENVタンパク質への結合を、決定した。384ウェルのMaxisorpプレートに、25μlの、5μg/mlのgp120をコーティングした。プレートを、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、PBS0.05%Tween20洗浄緩衝液で4回洗浄し、600rpmで振盪させながら、室温において1時間、75μlのPBS5%BSAでブロッキングした。プレートを、600rpmで振盪させながら、室温で1時間、一次抗体の3倍連続希釈物とともにインキュベートした。次いで、プレートを、PBS0.05%Tween20で4回洗浄し、25μlのヤギ抗ヒトIgG(H+L)HRP二次抗体を、PBS1%BSA中に希釈し、600rpmで振盪させながら、室温で40分間インキュベートした。プレートを、PBS0.05%Tween20で4回洗浄し(The plates where washed 4 times with PBS 0.05% Tween 20)、25μlの新しいTMB基質を添加した。プレートを、600rpmで振盪させながら、90秒間顕色させ、25μlの1M HClでクエンチした。プレートを、Spectramax m5プレートリーダーにおいて、A450で読み取った。
【0401】
PGT−121.60と比較して、フレームワーク挿入ループ内のアスパラギン酸異性化部位に変異を含む本開示のバリアント抗体は、gp120への結合の改善および減少の両方を有していた。配列活性関連性分析により、残基59におけるアスパラギン酸の維持に、明確かつ強力な優先性が示された。グリシンは、残基59において許容されたが、一方でグルタミン、グルタミン酸、およびアスパラギンは、抗体がgp120に結合する能力に負の影響を与えた。残基60では、導入されたアミノ酸のより嵩高い側基が、許容された。データを、以下の表14に示す。
【0402】
【表14】
(上の表において、分子の横の文字は、軽鎖の59位および60位(Kabat番号付け)におけるアミノ酸に対応する。変異した残基(複数可)は、太字で示されている。)
【0403】
このデータは、バリアント2、バリアント1、およびバリアント3のgp120結合における、PGT121.60および他のバリアントを上回る改善を示しており、アスパラギン酸異性化部位の変異が、gp120への結合に影響を及ぼし得ることが示唆される。これらのバリアントは、DEAL+LS Fc(すなわち、S239D、I332E、G236A、A330L、M428L、およびN434S変異(「DEALLS」)を有するFc)を用いて試験した。
【0404】
効力の研究
PGT−121.60 ADCCアッセイは、HT593を発現する標的細胞株を組み込み、HT593は、PGT−121.60におけるisoAspの傾向に感受性であることが知られているため、このアッセイを選択した。ADCCレポーター細胞に基づくアッセイは、ADCC活性の代替尺度として、PGT−121.60が活性化T細胞の核内因子(NFAT)に媒介されるルシフェラーゼ発現を誘導する能力を測定する。このアッセイにおいて、FcγRIIIa受容体(V158)およびNFATにより調節されるルシフェラーゼを発現するJurkat細胞を、漸増濃度のPGT−121.60参照標準、対照、および試料の存在下において、gp120を発現するヒト胎児性腎臓(HEK)細胞とともに、インキュベートする。PGT−121.60は、HEK細胞表面上のgp120に結合し、Jurkat細胞上のFcγRIIIaに効果的に架橋し、NFATを介してルシフェラーゼ遺伝子発現を活性化する。相対発光単位(RLU)を、PGT−121.60濃度に対してプロットし、平行ライン分析プログラムを使用して、参照標準と比べた対照および試料の効力を決定する。第1の参照標準(RS)として、PGT−121.60に、100%の相対効力(RP)値を割り当てた。
【0405】
PGT−121.60バリアント、すなわち、バリアント1、バリアント2、バリアント3、およびバリアント4の試料を、0.5mg/mLの中間濃度に希釈し、タンパク質の濃度を、UV分光光度法(280nmの最大吸光度−320nmの吸光度)によって確認した。中間体を、続いて、0.6ng/mL 4.96μg/mLの初期濃度範囲に希釈した。試料(対照、25℃、4週間)を、次いで、上記のADCCアッセイに従って試験したが、ただし、熱ストレスを与えた試料を、PGT−121.60参照標準ではなく、それらのそれぞれの対照(100%のRPとして割り当てた)に対して定量したことを除いた。
【0406】
PGT.121.60バリアントであるバリアント1、バリアント2、バリアント3、およびバリアント4の試料を、25℃で4週間のインキュベーションによって、熱ストレスに供した。次いで、これらを、PGT.121.60 ADCCレポーター細胞に基づくアッセイにおいて、2〜8℃で保管していたそれらのそれぞれの未処置対照とともに、試験した。結果を、表15に示す。
【0407】
【表15】
【0408】
結果は、熱処置したPGT−121.60が、減少した活性(65%RP)を示す一方で、バリアント2、バリアント3、バリアント4、およびバリアント1のバリアントのADCC活性(それぞれ96%、104%、95%、および100%)は、25℃で4週間、処置によって影響を受けなかったことを示す。
【0409】
(実施例7)
HIV中和活性の評価
抗体によるHIV−1中和の効力(IC50またはIC95として測定)および幅(試験したパネルからの中和された分離株に対する%)を、(i)CEM−NKr−CCR5−LucRレポーター細胞株に基づくアッセイ、およびii)Monogram HIV PhenoSense Neutralization Assay(Monogram Biosciences)において、実施例1に記載されるように試験した。
【0410】
CEM−NKr−CCR5−LucRレポーター細胞株に基づく中和アッセイにおいて、抗体を、40個のクレードBの複製能力のあるHIV−1分離株およびクローンのパネルに対して、試験した。
【0411】
バリアント1〜4の中和効力は、PGT−121.60の中和効力と類似であった(PGT−121.60と比較した、それぞれのバリアントの対応のあるスチューデントのT検定のP値は、≧0.372であった)。PGT−121.60と比較して、バリアントのIC
50値の幾何平均倍数変化は、バリアント1の1.035から、バリアント2の1.539に及び、PGT−121.60におけるイソアスパラギン酸傾向を抑止する変異が、PGT−121.60のHIV中和活性に有意に影響を及ぼさなかったことが示された。バリアント1〜4の中和活性は、試験した40個のウイルスのうちの1つについて、完全に抑止された(ウイルス8339)。結果を、表16に示す。
【0412】
【表16-1】
【表16-2】
【0413】
Monogram HIV PhenoSense Neutralization Assayにおいて、バリアント1〜3のHIV中和活性を、Gilead Clinical Isolatesパネル(n=142個のウイルス)に対して、FEAR/FEAL Fcを有する二重特異性形式で評価した。FEAR/FEAL二重特異性形式において評価した場合、バリアント1〜3の効力は、PGT−121.60 DEAL+LSと比較して4.1倍〜5.3倍低減された(表17)。バリアントをDEAL+LS形式において評価したCEM.NKr.CCR5.LucRに基づくアッセイの結果と合わせると、結果から、二重特異性Duobody(登録商標)形式は、変異がPGT−121.60におけるイソアスパラギン酸傾向を抑止するためのものでなく、HIV中和活性を4〜5倍損なうものであることが示される。
【0414】
【表17-1】
【表17-2】
【表17-3】
【表17-4】
【表17-5】
【表17-6】
【表17-7】
【0415】
(実施例8)
T細胞活性化
CD3
+T細胞と目的の抗原を発現する標的細胞との、CD3二重特異性抗体によるライゲーションにより、T細胞活性化が生じる。T細胞活性化は、一般に、抗原陽性標的細胞の非存在下において、CD3二重特異性抗体では見られない。このT細胞活性化の抗原陽性標的細胞の存在への依存性により、全般的なT細胞活性化を防止し、全般的なT細胞活性化に関連する有害事象、例えば、サイトカイン放出症候群を制限することができる。
【0416】
両方の抗原の存在下においてのみT細胞を活性化するgp120×CD3 Duobody(登録商標)の能力を評価するために、本発明者らは、HIV非感染ドナー(n=2)およびHIV感染ドナー(n=2)から単離した初代PBMCを、gp120×CD3 Duobody(登録商標)バリアント1、gp120×CD3 Duobody(登録商標)バリアント2、またはPGT−121.60、ならびに(i)gp120×CD3 Duobody(登録商標)による殺滅に感受性であるHIV−1ウイルス(7552)を感染させたか、(ii)gp120×CD3 Duobody(登録商標)による殺滅に耐性であるHIV−1ウイルス(THRO)を感染させたか、または(iii)非感染であるかのいずれかであるCEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞とともに、インキュベートした。PBMCおよびCEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞を、標的細胞に対するエフェクター細胞の比1:10で、共培養して、標的細胞に結合するエフェクター細胞の数を最大化させ、それによって、活性化エフェクター細胞を検出する能力を最大化させた。HIV非感染ドナー(n=2)およびHIV感染ドナー(n=2)の両方に由来するエフェクター細胞を、評価した。結果を、表18〜23に示す。
【0417】
gp120×CD3 Duobodyバリアント1(表18および19)ならびにgp120×CD3 Duobodyバリアント2(表20および21)の両方が、初代CD4 T細胞およびCD8 T細胞における、T細胞活性化マーカーであるCD69およびCD25の用量依存性の上方調節を誘導した。PD−1のわずかな上方調節もまた、観察された。Ki67の上方調節は観察されなかった。HIV非感染ドナーおよびHIV感染ドナーに由来するT細胞は、同様に応答した。活性化マーカーの上方調節は、gp120×CD3 Duobodyによる殺滅に感受性であるHIV−1ウイルス(7552)を感染させたCEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞の存在下においてのみ観察されたため、活性化マーカーの上方調節は、両方の抗原へのgp120×CD3 Duobodyの結合に依存性であった。エフェクター細胞を、gp120×CD3 Duobodyによる殺滅に耐性であるHIVウイルス(THRO)を感染させたCEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞、または非感染のCEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞とともに共培養した場合には、活性化マーカーの上方調節は観察されなかった。T細胞には結合しないPGT−121.60は、CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞が、gp120×CD3 Duobody(登録商標)による殺滅に感受性のウイルスに感染しているか感染していないかにかかわらず、T細胞活性化マーカーの上方調節を誘導しなかった(表22および23)。
【0418】
【表18-1】
【表18-2】
【0419】
【表19】
【0420】
【表20-1】
【表20-2】
【0421】
【表21-1】
【表21-2】
【0422】
【表22-1】
【表22-2】
【0423】
【表23-1】
【表23-2】
【0424】
方法
HIV非感染ドナー(n=2)およびHIV感染ドナー(n=2)から得られた、leukopakからFicol paqueによって単離した1×10
4個のヒト初代T細胞を、(i)gp120×CD3 Duobody(登録商標)による殺滅に感受性であるHIV−1ウイルス(7552)に感染させたか、(ii)gp120×CD3 Duobody(登録商標)による殺滅に耐性であるHIV−1ウイルス(THRO)に感染させたか、または(iii)非感染であるかのいずれかである、1×10
5個のCEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞とともに、37℃で24時間、共培養することによって、Gp120×CD3 Duobodyにより誘導されるT細胞活性化マーカーの上方調節を評価した。次いで、ウェルを、FACS緩衝液で3回洗浄し、Live/Dead Amcyan(Thermo Fisher、カタログ番号L34966)を製造業者の指示に従って染色し、FACS緩衝液で3回洗浄し、FACS緩衝液中に希釈した以下の抗体とともに、室温で20分間インキュベートした:抗CD4−BV711(BD Biosciences、カタログ番号563028)、抗CD8−APC/Cy7(BD Biosciences、カタログ番号560179)、抗CD25−PE/Cy7(BD Biosciences、カタログ番号557741)、抗CD69−PerCP/Cy5.5(BioLegend、カタログ番号310926)、抗PD−1−BV605(BioLegend、カタログ番号329924)、抗Ki67−AF700(BD Biosciences、カタログ番号561277)。次いで、細胞を、FACS緩衝液で3回洗浄し、100μLのCytofix/Cytopermで10分間固定および透過処理し、PermWashで1回洗浄し、120μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、フローサイトメトリーデータをLSR FortessaまたはX20 FACS(BD Biosciences、San Jose、CA)において取得し、FlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用して分析した。
【0425】
それぞれの活性化マーカーを発現するCD4およびCD8 T細胞の最大割合(Emax)、ならびに50%Emaxをもたらす濃度(EC50)を、GraphPad Prism(La Jolla、CA)ソフトウェアを使用して、3パラメーターの非線形回帰(等式1)によって適合される用量応答曲線から得た。
等式1:
【数2】
式中、Y=活性化%、X=抗体濃度、Bottom=抗体の非存在下における応答、Top=最大応答。
【0426】
T細胞活性化について、ベースライン(抗体対照なしのウェル)を上回るEmaxが5%を下回る用量応答曲線は、EC
50値を、100μg/mL(試験した最大濃度)を上回るとして報告した。
【0427】
(実施例9)
PBMCエフェクター細胞を使用したHIV感染CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞の殺滅
殺滅活性を、4つの初代HIV−1分離株および分子クローンに対して、評価した。それぞれのウイルスを、2人の健常なドナーに由来するPBMCエフェクター細胞を使用して評価し、結果を表24に示す。死滅させた感染細胞の比率(Emax)は、gp120×CD3 Duobody(登録商標)(例示、バリアント1、およびバリアント2)(中央値76%)では、PGT−121.60(中央値18%、マンホイットニー、P<0.0001)およびPGT−121(中央値0%、マンホイットニー、P<0.0001)よりも有意に高かった。
【0428】
PGT−121.60およびPGT−121と比較して有意に多い数の感染細胞を死滅させることに加えて(Emax)、gp120×CD3 Duobody(例示、バリアント1、および2;メジアンEC50、0.042ug/mL)は、感染細胞の殺滅に関して、PGT−121(メジアンEC50、>100ug/mL;マンホイットニー、P<0.0001)よりも有意に強力であり、PGT−121.60(メジアンEC50、>100ug/mL;マンホイットニー、P=0.1157)よりも強力である傾向にあった。
【0429】
PGT−121.60(中央値18%)とPGT−121(中央値0%)との間の感染細胞殺滅効率(Emax)における差は、統計学的に有意であった(マンホイットニー、P=0.018)。さらに、PGT−121.60は、PGT−121(P=0.128)よりも強力な傾向にあった。結果は、CD3二重特異性Duobodyが、PGT−121.60(エフェクター増強IgG1 mAb)またはPGT−121(IgG1 mAb)よりも、増加したHIV感染細胞殺滅を示したことを示唆する。
【0430】
【表24】
【0431】
方法
CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞に、20μg/mLのDEAEデキストランを含有するR10+1+1(RMPIに、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%HEPESを加えたもの)培地中の、HIV−1分離株92US657、1489、8398、および7552を感染させ、37℃で4時間インキュベートした。接種の4時間後に、CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞を、R10+1+1で3倍に希釈し、48〜72時間培養して、HIV Envのde novo発現を可能にした。感染CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞を、3回洗浄して、遊離ウイルスを除去し、白色の96ウェルプレートに、2×10
4個の細胞/ウェルで播種し、ヒト血清IgG(5mg/mLの最終濃度)の存在下において、7つの濃度のgp120×CD3 Duobody(登録商標)またはPGT−121.60の10倍連続希釈物とともに、1時間インキュベートし、その後、2×10
5個のPBMC/ウェルを、オプソニン化CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞に添加し、最終体積100μLにおいて、37℃で48時間インキュベートした。100μL/ウェルのONE−Glo(商標)ルシフェラーゼ試薬の添加によって、HIV感染CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞の殺滅を決定し、相対発光単位(RLU)を、ルミノメーターにおいて、製造業者の指示に従って測定した。
【0432】
gp120×CD3 Duobody(登録商標)およびPGT−121.60によるHIV感染CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞の殺滅は、gp120×CD3 DuobodyまたはPGT−121.60で処置したウェルのRLUから決定し、未処置ウェルにおけるHIV感染CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞(ヒト血清IgGのみで処置、96ウェルプレート当たりn=2〜10)のRLUと比較した。HIV感染CEM−NKr−CCR5−LucR CD4 T細胞の殺滅パーセントは、以下の等式を使用して計算した:
100−((処置ウェルにおけるHIV感染標的細胞のRLU /未処置ウェルにおけるHIV感染標的細胞のRLU)×100)。
【0433】
死滅させた感染細胞の最大割合(Emax)、ならびに50%殺滅をもたらす濃度(IC
50)を、GraphPad Prism(La Jolla、CA)ソフトウェアを使用して、3パラメーターの非線形回帰(等式1)によって適合される用量応答曲線から得た。
等式1:
【数3】
式中、Y=殺滅%、X=抗体濃度、Bottom=抗体の非存在下における応答、Top=最大応答。
【0434】
感染細胞殺滅について、見かけのEmaxが10%を下回る用量応答曲線は、IC
50値を100μg/mLを上回るとして報告し、0%以下の絶対値を有するEmaxには、0%を割り当てた。
【0435】
(実施例10)
扁桃由来の単核細胞を使用したHIV感染初代CD4 T細胞の殺滅
cART抑制HIV感染被験体における潜伏性HIV感染細胞の主要な蓄積は、リンパ節に存在する。リンパ組織に存在するエフェクター細胞を利用する抗体の能力を、HIV−1セロネガティブ扁桃から単離した単核細胞をエフェクター細胞として使用し、HIV−1感染初代CD4 T細胞を標的細胞として使用して、in vitro殺滅アッセイにおいて試験した。扁桃ドナーからの自己PBMCは入手可能でなかったため、異種初代CD4 T細胞を、標的細胞およびPBMCエフェクター細胞の供給源として使用した。
【0436】
単一のドナーに由来する扁桃由来の単核細胞(TDMC)および2人のドナーに由来する末梢血単核細胞(PBMC)、ならびに2つのHIV−1ウイルス(CHO58および92US727)に感染した標的細胞により得られた結果を、表25および26に示す。TDMCおよびPBMCの両方が、例示的なgp120×CD3 Duobodyおよびバリアント1またはバリアント2から構成されるDuobodyによる、HIV感染CD4 T細胞のロバストな殺滅を媒介し、TDMCについては、EmaxおよびIC50濃度が、それぞれ、66%〜82.6%および0.013〜0.053μg/mLの範囲に及び、PBMCについては、EmaxおよびIC50濃度が、それぞれ、62%〜84%および0.001〜0.024ug/mLの範囲に及んだ。対照的に、PBMCだけは、PGT121.60(または陰性対照のDuobodyであるパリビズマブ×CD3)を利用して、HIV感染CD4 T細胞の殺滅を媒介することができたが、TDMCはできなかった。
【0437】
【表25】
【0438】
【表26】
【0439】
方法
gp120×CD3 Duobody(登録商標)およびPGT−121.60に依存するHIV感染CD4 T細胞の殺滅を、初代休止HIV感染CD4
+T細胞を標的細胞として使用し、末梢血単核細胞および扁桃由来の単核細胞をエフェクター細胞として使用して、in vitroにおいて調査した。罹患していない扁桃を、扁桃摘出術を受けた健康な同意しているドナーから得た。扁桃は、扁桃摘出術から8時間以内に、抗生物質を含有するDMEM培地中、研究室へと輸送し、処理した。扁桃由来の単核細胞(TDMC)を単離するために、まず脂肪および焼灼された(quarterized)組織を除去した。扁桃を、外科用メスを使用して2mm
3の切片にし、100μmのナイロン製の細胞ストレーナー(Falcon)を通して分散させた。DMEMに1%FBSを加えたもので洗浄した後、TDMCを、Ficol paqueによって細胞懸濁物から回収し、90%DMSO、10%FBS中で凍結保存し、液体窒素中で保管した。
【0440】
初代CD4
+T細胞を、1200×gで2時間のスピンフェクションによって、50〜100ngのp24/細胞100万個で感染させ、RPMI培地(10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充)において、30U/mLのIL−2(Rocheカタログ番号11011456001)とともに、37℃で5日間培養した。de novo抗原発現を可能にするために5日間静置した後、スピンフェクトしたCD4
+T細胞培養物を、3回洗浄して、遊離ウイルスを除去し、96ウェルプレートに、2×10
5個の細胞/ウェルで播種し、ヒト血清IgG(5mg/mL 最終濃度)の存在下において、7つの濃度のgp120×CD3 Duobody(登録商標)またはPGT−121.60の10倍連続希釈物とともに1時間インキュベートした。CD4
+T細胞標的がオプソニン化している間に、エフェクター細胞を調製した。凍結保存していたPBMCおよびTDMCを解凍し、PKH67を製造業者の指示に従って使用して膜染色を行い、4×10
5個の細胞/ウェルで、オプソニン化標的細胞に添加して、2:1のE:T比を得た。エフェクター細胞を、1ウェル当たり200μLの最終体積で、48時間、オプソニン化した標的細胞とともに共培養した。
【0441】
HIV感染標的細胞の殺滅は、フローサイトメトリーによって決定した。共培養期間の終わりに、細胞を、PBSで2回洗浄し、100μLのLive/Dead Aqua(PBS中に1/1000で希釈)で、染色が100μLのFACS緩衝液(PBS+2%FBS)の添加により不活性になるまで、10分間染色した。次いで、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、抗CD4−PE/Cy7 mAb(FACS緩衝液中に1/50で希釈)とともに、20分間インキュベートした後、FACS緩衝液で3回洗浄し、100μLのCytofix/Cytopermで、10分間、固定および透過処理した。細胞を、次いで、PermWashで1回洗浄し、FACS緩衝液+10%PermWash中の抗p24−PE mAbとともに、25分間インキュベートした。最後に、細胞を、FACS緩衝液で3回洗浄し、120μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、フローサイトメトリーデータをLSR FortessaまたはX20 FACS(BD Biosciences、San Jose、CA)において取得し、FlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用して分析した。
【0442】
PBMCおよびTDMCによる感染初代CD4
+T細胞の殺滅に関して、フローサイトメトリーによるHIV感染標的細胞の計数には、以下のゲーティング戦略を使用した:リンパ球を、前方および側方散乱に基づいて選択し、生存リンパ球を、Live/Dead Aquaの陰性染色によって選択した。次いで、接種されたCD4
+T細胞を表すPKH67陰性の生存リンパ球を選択し、HIV感染細胞を、p24 Gag+、CD4low(HIVに媒介されるCD4の下方モジュレーションに起因する)細胞として同定した。HIV感染パーセントは、HIVに感染している(p24 Gag
+、CD4
low陽性)接種(PKH67陰性)CD4
+T細胞のパーセントによって表した。
【0443】
PGT−121.60で処置したウェルにおけるHIV感染標的細胞のパーセントを、未処置のウェル(ヒト血清IgGのみで処置、96ウェルプレート当たりn=2〜10)におけるHIV感染標的細胞の平均パーセントと比較した。HIV感染標的細胞の殺滅パーセントは、以下の等式を使用して計算した:
100−((処置したウェルにおけるHIV感染標的細胞%/未処置のウェルにおけるHIV感染標的細胞%)×100)。
【0444】
PGT−121.60によって死滅させた感染細胞の最大割合(Emax)、ならびに50%殺滅をもたらす濃度(IC
50)を、GraphPad Prism(La Jolla、CA)ソフトウェアを使用して、3パラメーターの非線形回帰(等式1)によって適合される用量応答曲線から得た。
等式1:
【数4】
式中、Y=殺滅%、X=抗体濃度、Bottom=抗体の非存在下における応答、Top=最大応答。
【0445】
感染細胞殺滅について、見かけのEmaxが40%を下回る用量応答曲線は、IC
50値を10μg/mLを上回るとして報告し、0%以下の絶対値を有するEmaxには、0%を割り当てた。
【0446】
(実施例11)
T細胞サブセットによるHIV感染CD4 T細胞の殺滅
どのT細胞サブセットが、gp120×CD3 Duobody依存性のHIV感染細胞の殺滅を媒介することができるかを調査するために、本発明者らは、単離したT細胞サブセット、すなわち、メモリーCD8 T細胞、ナイーブCD4 T細胞、メモリーCD4 T細胞、エフェクターメモリーCD4 T細胞、およびγΔ T細胞が、HIV感染CD4 T細胞の殺滅を媒介する能力を評価した。
【0447】
表27に示される結果は、試験した全てのT細胞サブセット(すなわち、メモリーCD8 T細胞、ナイーブCD4 T細胞、メモリーCD4 T細胞、エフェクターメモリーCD4 T細胞、およびγΔ T細胞)が、例示的なgp120×CD3 Duobody(登録商標)、gp120×CD3 Duobody(登録商標)バリアント1、およびgp120×CD3 Duobody(登録商標)バリアント2を利用して、強力で(EC50、0.006〜0.14μg/mL)有効な(Emax、27%〜68%)Duobody依存性の、HIV−1 WITO感染性分子クローンを感染させたT細胞の殺滅を媒介することができたことを示す。対照的に、CD8およびCD4 T細胞サブセットは、PGT−121.60を利用してHIV感染T細胞の効果的な殺滅を媒介することができなかった。結果はまた、γΔ T細胞が、gp120×CD3 Duobodyよりも効力は低減されていたが(EC50が、12ug/mLに対して、0.02ug/mL〜0.14ug/mL)、gp120×CD3 Duobodyによって達成されるものと匹敵するEmaxで(48%に対して、43%〜68%)PGT−121.60によるHIV感染T細胞の効果的な殺滅を媒介することができたことも示した。PGT−121.60が、γΔ T細胞によるHIV感染T細胞の抗体依存性殺滅を媒介する能力は、γΔ T細胞が、FcγR CD16を発現し、抗体依存性細胞傷害性を媒介することができるという刊行物と一致する(Tokuyama et al, 2008、Seidel et al, 2014、Chen & Freedman, 2008)。
【0448】
【表27】
【0449】
方法
gp120×CD3 Duobody(登録商標)およびPGT−121.60に依存する、T細胞サブセットによるHIV感染CD4 T細胞の殺滅を、実施例5において記載されているPBMCエフェクター細胞による感染細胞殺滅アッセイ(the Infected-Cell Killing by PBMC Effector Cells Assay)を以下の改変を行って使用して、in vitroにおいて調査した:全PBMCをエフェクター細胞として使用するのではなく、表21に詳述されている細胞単離キットを使用して、製造業者のプロトコールに従って単離したT細胞サブセットを、エフェクター細胞として、標的に対するエフェクターの比2:1で使用した。Emaxが10%以下であった場合、EC50値は、10ug/mL(試験した最大濃度)を上回るとして報告した。
【0450】
【表28】
【0451】
(実施例11)
ヒト血小板結合
ヒト血小板への結合を評価するために、フローサイトメトリーに基づく血小板結合アッセイを行い、PGT−121.60と比較した。多血小板血漿(PRP)試料を、3人の健常なヒトドナーの全血から調製し、1000μg/mlまたは250μg/mlの濃度で、試験物品で処置した。RSV融合タンパク質を標的とするモノクローナル抗体パリビズマブ(Pali)およびそれに由来するduobodyであるPali×CD3を、非抗HIV Env対照抗体として使用した。
【0452】
表29に示される結果は、1000μg/mlのPGT−121.60のヒト血小板への結合のMFIが、3人のドナーに由来する試料において、染色バックグラウンドよりも、40〜100倍増加し、一方でgp120×CD3 DuobodyバリアントのMFIは、同じ試料において15〜50倍増加したことを示す。この品目を、結合アッセイにおいて250μg/mlで試験した場合には、血小板染色のMFIは、PGT−121.60では比較して4〜7倍、バリアントについては1〜3倍まで低減した。非抗HIV Env対照抗体PaliおよびPali×CD3のMFIは、いずれの試験濃度においても、バックグラウンドレベルであった。PGT−121.60と比較して、バリアントは、低いヒト血小板結合活性を示した。Duobodyバリアントの平均結合MFIは、1000μg/mlの濃度において、PGT−121.60の35〜47%であった(表30)。
【0453】
【表29-1】
【表29-2】
【0454】
【表30】
【0455】
方法
多血小板血漿(PRP)試料を、ヒト全血試料から調製した。簡単に述べると、全血試料を、室温において、ブレーキ無しで170×gで15分間遠心分離した。遠心分離の後に、PRPを、それぞれの試料の上部の層から収集し、次いで、改変HT(mHT)緩衝液(10mM HEPES、137mM NaCl、2.8mM KCl、1mM MgCl
2、12mM NaHCO
3、0.4mM Na
2HPO
4、0.35%BSA、5.5mMグルコース、pH7.4)中に5倍希釈した。希釈した試験抗体(50μL)を、等体積のPRP試料に添加し、室温で45分間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、等体積のBD FACS染色緩衝液(2%ウシ胎児血清を有するリン酸緩衝食塩水)を添加し、アッセイプレートを、室温で5分間、2000×gで遠心分離した。上清を、吸引し、洗浄したPRP試料を、mHT緩衝液中に再懸濁させ、4℃で30分間、PE抗CD61、FITC抗CD41、およびAPC抗ヒトIgG二次抗体で染色した。染色した後に、PRP試料を、BD FACS緩衝液で洗浄し、125μLのBD FACS染色緩衝液中に再懸濁させ、BD LSRFortessa(商標)細胞分析装置(BD Biosciences、San Jose、CA)およびFlowJoソフトウェア(TreeStar、Ashland、OR)を用いてフローサイトメトリーによって分析した。
【0456】
血小板集団を、PE抗CD41およびFITC抗CD61の二重陽性のFACS事象として定義した。血小板集団のAPC抗ヒトIgGの平均蛍光強度(MFI)値を、定量した。バックグラウンドの染色(APC抗ヒトIgG二次抗体のみによって決定される)に対するそれぞれの試験物品のMFIの倍数増加を、次いで、計算した。gp120×CD3 duobodyバリアントの血小板結合活性を、PGT−121.60のものと比較するために、それぞれの試料において、1000μg/mlでのPGT−121.60に対するそれぞれのduobodyバリアントのMFIの割合を、計算した。
【0457】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明とともに記載されているが、前記の説明は、例示を意図するものであり、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲を制限することを意図するものではない。他の態様、利点、および修正が、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
カッパ−ラムダボディ、二重親和性再標的化分子(DART)、ノブ・イン・ホール、鎖交換操作ドメインボディ(SEEDボディ)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTe)、CrossMab、Fcab、ダイアボディ、タンデムダイアボディ(TandAb)、またはDuoBodyである、請求項1から24のいずれか一項に記載の抗体。
前記第1の抗原結合性ドメインが、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトラムダ定常領域である第1の軽鎖定常領域に融合されており、前記第2の抗原結合性ドメインが、直接、または介在アミノ酸配列を介して、ヒトラムダ定常領域である第2の軽鎖定常領域に融合されている、請求項26または27に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号8のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号82のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号83のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1のVHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号84のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2のVHが、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号10のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号40のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号78のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号79のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
前記第1の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号80のアミノ酸配列を含み、および/または前記第2の重鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
(i)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、(ii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の重鎖可変領域または第1の重鎖を
コードする核酸分子、(iii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、および(iv)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第2の重鎖可変領域または第2の重鎖をコードする核酸分子を含む、組成物。
(i)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、(ii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第1の抗原結合性断片の第1の重鎖可変領域または第1の重鎖をコードする核酸分子、および/または(iii)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第1の軽鎖可変領域または第1の軽鎖をコードする核酸分子、および(iv)請求項1から52のいずれか一項に記載の抗体の第2の抗原結合性断片の第2の重鎖可変領域または第2の重鎖をコードする核酸分子を含む、宿主細胞。
組織培養物中の、E.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、酵母、CHO、YB/20、NS0、PER−C6、HEK−293T、NIH−3T3、HeLa、BHK、Hep G2、SP2/0、R1.1、B−W、L−M、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞、およびヒト細胞からなる群から選択される、請求項55に記載の宿主細胞。
gp120およびヒトCD3に結合する抗体を産生する方法であって、請求項55または56に記載の宿主細胞を、前記核酸分子が発現され、前記抗体が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。
試料中のgp120およびCD3を発現する細胞を検出するための方法であって、前記試料を、請求項1から53のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップを含む、方法。
請求項1から53のいずれか一項に記載の抗体または請求項59に記載の医薬組成物、ならびにa)検出試薬、b)gp120および/もしくはCD3抗原、c)ヒトへの投与のための使用もしくは販売の承認を表す通知、またはd)これらの組合せを含むキット。
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、gp120に結合する抗体であって、前記VHが、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含み、前記VLが、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含み、前記VLが、67A位(Kabat番号付け)におけるチロシン、67A位(Kabat番号付け)におけるフェニルアラニン、67A位(Kabat番号付け)におけるスレオニン、または67位(Kabat番号付け)におけるグリシンを含む、抗体。
前記VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84のアミノ酸配列を含む、請求項62に記載の抗体。
配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号40、78、79、または80のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項62に記載の抗体。
抗gp120抗体を産生する方法であって、請求項73に記載の宿主細胞を、前記単数または複数の核酸が発現され、前記抗体が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、gp120に結合する抗体断片であって、前記VHが、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH−CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH−CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH−CDR3を含み、前記VLが、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL−CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL−CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL−CDR3を含み、前記VLが、67A位(Kabat番号付け)におけるチロシン、67A位(Kabat番号付け)におけるフェニルアラニン、67A位(Kabat番号付け)におけるスレオニン、または67位(Kabat番号付け)におけるグリシンを含む、抗体断片。
前記VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84のアミノ酸配列を含む、請求項76に記載の抗体断片。
抗gp120抗体断片を産生する方法であって、請求項85に記載の宿主細胞を、前記単数または複数の核酸が発現され、前記抗体断片が産生されるような条件下において培養するステップを含む、方法。