(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-529492(P2020-529492A)
(43)【公表日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】グループII及びグループIII潤滑油製造のためのブロック操作
(51)【国際特許分類】
C10G 65/12 20060101AFI20200911BHJP
C10G 45/58 20060101ALI20200911BHJP
C10G 47/16 20060101ALI20200911BHJP
C10G 45/02 20060101ALI20200911BHJP
C10G 45/44 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
C10G65/12
C10G45/58
C10G47/16
C10G45/02
C10G45/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2020-504724(P2020-504724)
(86)(22)【出願日】2018年7月18日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月29日
(86)【国際出願番号】US2018042671
(87)【国際公開番号】WO2019027677
(87)【国際公開日】20190207
(31)【優先権主張番号】62/540,658
(32)【優先日】2017年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ピー・シュライハー
(72)【発明者】
【氏名】テック−ムイ・フー
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA08
4H129CA09
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4H129NA15
4H129NA17
4H129NA24
4H129NA25
4H129NA35
(57)【要約】
実質的に異なる粘度指数値を有する複数の粘度グレードの潤滑油ベースストックを製造するための供給原料のブロック処理のためのシステム及び方法が提供される。本システム及び方法は、実質的に異なるレベルの粘度指数向上を生じる条件下で良好な芳香族飽和活性を維持し得るスイート段階水素化分解触媒の使用を伴い得る。任意選択的に、スイート段階水素化分解触媒を含む反応器は、追加的な芳香族飽和触媒を含むことができる。本システム及び方法は、スイート水素化分解段階においてより少ない量の変換を受ける生成物の芳香族の飽和のために追加的な芳香族飽和活性が利用可能であるように、第2のスイート段階反応器中での芳香族飽和触媒及び脱蝋触媒の組合せの使用をさらに伴い得る。本システム及び方法は、反応システム内の反応器の相対温度に対する向上した制御を可能にすることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック操作を使用して潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法であって、
水素化処理された供給原料を分留して、少なくとも、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲留分と、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲留分とを形成することであって、前記第1の潤滑油沸点範囲留分の前記343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し、前記第2の潤滑油沸点範囲留分は、任意選択的に、前記第1の潤滑油沸点範囲留分の粘度指数より大きい粘度指数を有する、形成することと、
第1の反応器中において、第1の水素化分解入口温度及び第1の水素化分解出口温度を含む第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で前記第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することであって、前記第1の水素化分解条件は、前記第1の潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部の370℃に対する10重量%〜80重量%変換を含む、形成することと、
第2の反応器中において、第1の触媒脱蝋条件下、前記第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成することと、
前記第1の反応器中において、第2の水素化分解条件下、前記水素化分解触媒の存在下で前記第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成することであって、前記第2の水素化分解条件は、前記第2の潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部の370℃に対する1重量%〜25重量%変換を含み、前記第2の水素化分解条件は、第2の水素化分解入口温度及び第2の水素化分解出口温度を含み、前記第1の水素化分解条件のための前記370℃に対する変換は、第2の水素化分解条件のための前記370℃に対する変換より少なくとも10重量%大きい(又は少なくとも20重量%大きい、又は少なくとも30重量%大きい)、形成することと、前記第2の反応器中において、第2の触媒脱蝋条件下、前記第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成することと、
前記第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成することと、
前記第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成することであって、前記第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも5(又は少なくとも15、又は少なくとも25)だけ低い、形成することと
を含む方法。
【請求項2】
水素化処理条件下で供給原料を水素化処理して、前記水素化処理された供給原料を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブロック操作を使用して潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法であって、
供給原料を分留して、少なくとも、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲留分と、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲留分とを形成することであって、前記343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し、前記第2の潤滑油沸点範囲留分は、任意選択的に、前記第1の潤滑油沸点範囲留分の粘度指数より大きい粘度指数を有する、形成することと、
第1の水素化処理条件下で前記第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化処理して、第1の水素化処理された溶出物を形成することと、
第1の反応器中において、第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で前記第1の水素化処理された溶出物の少なくとも一部を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することであって、前記第1の水素化処理条件及び前記第1の水素化分解条件は、370℃に対する40重量%〜80重量%の前記第1の潤滑油沸点範囲留分の合計変換を含む、形成することと、
第2の反応器中において、第1の触媒脱蝋条件下、前記第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成することと、
第2の水素化処理条件下で前記第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化処理して、第2の水素化処理された溶出物を形成することと、
前記第1の反応器中において、第2の水素化分解条件下、前記水素化分解触媒の存在下で前記第2の水素化処理された溶出物の少なくとも一部を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成することであって、前記第2の水素化処理条件及び前記第2の水素化分解条件は、370℃に対する20重量%〜60重量%の前記第2の潤滑油沸点範囲留分の合計変換を含む、形成することと、
前記第2の反応器中において、第2の触媒脱蝋条件下、前記第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成することと、
前記第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成することと、
前記第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成することであって、前記第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも5(又は少なくとも15、又は少なくとも25)だけ低い、形成することと
を含む方法。
【請求項4】
前記第2の触媒脱蝋条件は、前記第2の水素化分解出口温度より高い(若しくは少なくとも5℃高いか、若しくは少なくとも10℃高いか、若しくは少なくとも20℃高いか、若しくは少なくとも30℃高い)第2の脱蝋入口温度を含むか、又は前記第1の触媒脱蝋条件は、前記第1の水素化分解出口温度より低い(若しくは少なくとも5℃低いか、若しくは少なくとも10℃低いか、若しくは少なくとも20℃低い)第1の脱蝋入口温度を含むか、或いはそれらの組合せである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の触媒脱蝋条件は、加熱された水素含有流を前記第2の反応器中に導入することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化処理された供給原料、前記第1の潤滑油沸点範囲留分及び前記第2の沸点範囲留分の1つ以上は、100wppm以下の硫黄を含むか、若しくは前記水素化分解触媒は、前記水素化触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の貴金属を含むか、若しくは前記水素化分解触媒は、24.30Å以下の単位格子径、少なくとも50のシリカ対アルミナ比及び20以下のアルファ値を有するUSYゼオライトを含むか、又はそれらの組合せである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記水素化処理された供給原料を分留することは、燃料沸点範囲留分を形成することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
i)前記第1の潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部の前記水素化分解前に前記第1の潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部を貯蔵することをさらに含むか、ii)前記第2の潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部の前記水素化分解前に前記第2の潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部を貯蔵することをさらに含むか、又はiii)i)及びii)の組合せである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応器は、芳香族飽和触媒をさらに含むか、前記第2の反応器は、芳香族飽和触媒をさらに含むか、又はそれらの組合せである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の潤滑油沸点範囲生成物は、少なくとも125(若しくは少なくとも130、若しくは少なくとも135)の粘度指数を含むか、又は前記第2の潤滑油沸点範囲生成物は、少なくとも80(若しくは少なくとも85、若しくは少なくとも90)の粘度指数を含むか、又は前記第2の潤滑油沸点範囲生成物の前記粘度指数は、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物の前記粘度指数より少なくとも15(若しくは少なくとも25)だけ低いか、或いはそれらの組合せである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の脱蝋条件は、前記第2の脱蝋条件と実質的に同様であるか、又は前記第1の水素化分解入口温度は、前記第2の水素化分解入口温度より少なくとも10℃(若しくは少なくとも15℃、若しくは少なくとも20℃)だけ高いか、或いはそれらの組合せである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第3の反応器中において、第1の芳香族飽和条件下、前記第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物を含む第1の飽和生成物を形成することであって、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有する、形成することと、
前記第3の反応器中において、第2の芳香族飽和条件下、前記第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を前記芳香族飽和触媒に曝露して、前記第2の潤滑油沸点範囲生成物を含む第2の飽和生成物を形成することであって、前記第2の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有する、形成することと
をさらに含み、前記第1の芳香族飽和条件は、任意選択的に、前記第2の芳香族飽和条件と実質的に同様であり、前記第2の反応器は、任意選択的に、第2の芳香族飽和触媒をさらに含み、前記第1の水素化分解された溶出物の前記少なくとも一部は、前記脱蝋触媒に曝露される前に前記第2の芳香族飽和触媒の少なくとも一部と接触する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
多反応器反応システムであって、
第1のガス入口と、水素化分解反応器入口と、水素化分解反応器出口と、水素化分解触媒であって、前記水素化分解触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の第8族〜第10族貴金属を含む水素化分解触媒とを含む第1の反応器と、
第2のガス入口と、脱蝋反応器入口と、脱蝋反応器出口と、脱蝋触媒とを含む第2の反応器であって、前記脱蝋反応器入口は、前記水素化分解反応器出口と流体連通している、第2の反応器と、
芳香族飽和入口と、芳香族飽和出口と、第1の芳香族飽和触媒とを含む第3の反応器であって、前記芳香族飽和入口は、前記脱蝋反応器出口と流体連通している、第3の反応器と、
供給原料加熱器流路と、水素加熱器流路とを含む加熱器であって、前記供給原料加熱器流路は、前記水素化分解反応器入口と流体連通しており、前記水素加熱器流路は、前記第1のガス入口及び前記第2のガス入口と流体連通している、加熱器と
を含み、任意選択的に、第2の芳香族飽和触媒の少なくとも一部は、前記第2の反応器中の流れの方向に対して前記脱蝋触媒から上流に位置する、多反応器反応システム。
【請求項14】
前記第3の反応器は、前記水素加熱器流路と流体連通している第3のガス入口をさらに含むか、若しくは前記水素化分解反応器入口は、前記第1のガス入口を含むか、若しくは前記第2のガス入口は、前記加熱された水素流路と選択的に流体連通しているか、又はそれらの組合せである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
第1の貯蔵タンク及び第2の貯蔵タンクをさらに含み、前記第1の貯蔵タンク及び前記第2の貯蔵タンクは、前記供給原料加熱器流路と選択的に流体連通しており、前記第1の貯蔵タンクは、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲供給原料を含み、前記第1の潤滑油沸点範囲供給原料の前記343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し、前記第2の貯蔵タンクは、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲供給原料を含み、前記第2の潤滑油沸点範囲供給原料は、任意選択的に、前記第1の潤滑油沸点範囲供給原料の粘度指数より大きい粘度指数を有する、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法であって、
第1の反応器中において、第1の水素化分解入口温度及び第1の水素化分解出口温度を含む第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で潤滑油沸点範囲留分を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することであって、前記第1の水素化分解条件は、前記潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する第1の量の変換を含む、形成することと、
第2の反応器中において、第1の脱蝋入口温度を含む第1の触媒脱蝋条件下、前記第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成することであって、前記第1の脱蝋入口温度は、前記第1の水素化分解出口温度より少なくとも3℃(又は少なくとも5℃、又は少なくとも8℃、又は少なくとも10℃)だけ高い、形成することと、
前記潤滑油沸点範囲留分の水素化分解を実行しながら、水素化分解のための前記条件を変更することと、前記第1の反応器中において、変更された水素化分解入口温度及び変更された水素化分解出口温度を含む変更された水素化分解条件下、前記水素化分解触媒の存在下で前記潤滑油沸点範囲留分を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成することであって、前記変更された水素化分解条件は、前記潤滑油沸点範囲留分の前記少なくとも一部の370℃に対する第2の量の変換を含み、前記370℃に対する第2の量の変換は、前記370℃に対する第1の量の変換と5重量%以下だけ異なる、形成することと、
前記第2の反応器中において、第2の脱蝋入口温度を含む第2の触媒脱蝋条件下、前記第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成することであって、前記第2の脱蝋入口温度は、前記変更された水素化分解出口温度より少なくとも3℃(又は少なくとも5℃、又は少なくとも8℃、又は少なくとも10℃)だけ低い、形成することと、前記第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成することと、
前記第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成することであって、前記第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数と5以下(又は3以下、又は1以下)だけ異なる、形成することと
を含む方法。
【請求項17】
前記潤滑油沸点範囲留分は、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有するか、又は前記潤滑油沸点範囲留分は、少なくとも371℃のT10蒸留点及び15cSt以上の100℃における動粘度を有するか、又は前記潤滑油沸点範囲留分は、343℃+部分を含み、前記343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の触媒脱蝋条件は、加熱された水素含有流を前記第2の反応器中に導入することを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
分留前、分留後又はそれらの組合せにおいて、前記第1の脱蝋された溶出物の前記少なくとも一部を水素化仕上げすることをさらに含み、前記水素化仕上げは、第3の反応器中において、第1の芳香族飽和条件下で前記第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物を含む第1の飽和生成物を形成することであって、前記第1の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有する、形成することを含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
水素化分解のための前記条件の前記変更中に製造された水素化分解された溶出物の脱蝋を実行しながら、脱蝋のための前記条件を変更することをさらに含み、前記第2の脱蝋条件は、変更された脱蝋条件を含み、前記第2の脱蝋入口温度は、変更された脱蝋入口温度を含む、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
i)前記第1の水素化分解された溶出物の前記少なくとも一部の脱蝋を実行しながら、ii)前記第2の水素化分解された溶出物の前記少なくとも一部の脱蝋を実行しながら、又はiii)i)及びii)の組合せにおいて、脱蝋のための前記条件を変更することをさらに含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記水素化処理された供給原料及び前記潤滑油沸点範囲留分の少なくとも1つは、100wppm以下の硫黄を含むか、若しくは前記水素化分解触媒は、前記水素化触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の貴金属を含むか、若しくは前記水素化分解触媒は、24.30Å以下の単位格子径、少なくとも50のシリカ対アルミナ比及び20以下のアルファ値を有するUSYゼオライトを含むか、又はそれらの組合せである、請求項16〜21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ブロック操作において処理トレインを使用する、潤滑油ベースストックの製造のためのシステム及び方法が提供される。本システム及び方法は、供給原料からのグループII及びグループIII潤滑油ベースストックの製造を可能にする。
【背景技術】
【0002】
潤滑油ベースストックは、原油又は原油留分から生成可能であるより高価値な生成物の一種である。望ましい品質の潤滑油ベースストックを生成する能力は、多くの場合、適切な供給原料の入手可能性によって制限される。例えば、潤滑油ベースストック製造のための従来のプロセスのほとんどは、中〜低レベルの初期硫黄含有量を有する原料からのバージン軽油留分など、過酷な条件下で以前に処理されなかった原料留分から出発することを伴う。
【0003】
潤滑油ベースストックの製造の多くの課題は、複数の種類のベースストックに対する標的規格も満たしつつ、可能な限り高いベースストックの収率を生じさせることの対立する要望と関係する。例えば、単一の供給原料から潤滑油ベースストックの軽質中性及び中間/重質中性グレードの両方を製造することが望ましいことがあり得る。残念ながら、軽質中性潤滑油ベースストックに関する生成物規格を満たすために必要とされる処理条件は、多くの場合、中間中性又は重質中性ベースストックに関する生成物規格を満たすための処理条件より実質的に過酷性が高い。より高い苛酷性条件において供給原料を処理することにより、追加的な供給原料変換が導かれ、潤滑油収率における全体的な損失がもたらされ得る。
【0004】
特許文献1は、ナフサ、ディーゼル及び/又は潤滑油ベースストック沸点範囲生成物を形成するための炭化水素の水素化分解及び脱蝋のための集積化プロセスを記載している。集積化プロセスは、サワー条件下での脱蝋並びに任意選択的に水素化分解、第1のディーゼル生成物及び底物生成物を形成するための分離と、第2のディーゼル生成物及び任意選択的に潤滑油ベースオイル生成物を形成するための追加的な水素化分解及び脱蝋とを含む。水素化分解及び脱蝋触媒は、卑金属を含み得るか、又はPd及び/若しくはPtを含み得る。水素化分解触媒の例は、USYであり、脱蝋触媒の例は、ZSM−48である。
【0005】
特許文献2は、Yゼオライト水素化分解触媒の製造及び使用方法を記載している。Yゼオライト触媒は、窒素脱着によって測定した場合、約40Åの細孔径分布において小メソ細孔ピークを有する。
【0006】
特許文献3は、Yゼオライト水素化分解触媒の製造及び使用方法を記載している。Yゼオライト触媒は、0.5ミクロン以下の径を有するYゼオライト一次結晶子の安定凝集体を含有する。
【0007】
特許文献4は、改善された蒸留物並びに改善された潤滑油収率及び特性に対して選択的な水素化分解プロセスを記載している。供給原料の水素化分解のために2段階水素化分解触媒を使用し、ディーゼル燃料製造のために適切な変換部分及び潤滑油ベースストック製造のために適切な未変換部分を形成することができる。2段階水素化分解触媒は、USY上に担持されたPd及び/又はPtを含む第1段階触媒と、ZSM−48上に担持されたPd及び/又はPtを含む第2段階触媒とに対応し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0315596号明細書
【特許文献2】米国特許第8,932,454号明細書
【特許文献3】米国特許第8,778,171号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0341243号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
種々の態様において、ブロック操作を使用して潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法が提供される。本方法は、水素化処理された供給原料を分留して、少なくとも、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲留分と、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲留分とを形成することを含み得る。第1の潤滑油沸点範囲留分の343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し得る。第2の潤滑油沸点範囲留分は、任意選択的に、第1の潤滑油沸点範囲留分の粘度指数より大きい粘度指数を有し得る。第1の潤滑油沸点範囲留分及び第2の潤滑油沸点範囲留分は、反応システムのブロック操作に基づいて処理され得る。例えば、第1の反応器中において、第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成し得る。第1の水素化分解条件は、第1の水素化分解入口温度及び第1の水素化分解出口温度を含み得る。第1の水素化分解条件は、第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する10重量%〜80重量%変換のための条件に対応し得る。第2の反応器中において、第1の触媒脱蝋条件下、第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成し得る。第2の潤滑油沸点範囲生成物を第2の水素化分解条件下で水素化分解することもできる。第2の水素化分解条件は、第2の水素化分解入口温度及び第2の水素化分解出口温度と共に、第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する1重量%〜25重量%変換を含み得る。第1の水素化分解条件のための370℃に対する変換は、第2の水素化分解条件のための370℃に対する変換より少なくとも10重量%大きいことができる。第2の反応器中において、第2の触媒脱蝋条件下、第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成し得る。第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成し得る。同様に、第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成し得る。第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも5だけ低いことができる。
【0010】
いくつかの態様において、水素化処理された供給原料は、水素化処理条件下で供給原料を水素化処理することによって形成され得る。任意選択的に、水素化処理された供給原料を分留する代わりに、供給原料の初期の水素化処理のためのブロック処理を使用することもできる。そのような態様において、初期の供給原料を分留して、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有する343℃+部分を含む少なくとも第1の潤滑油沸点範囲留分と、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲留分とを形成し得る。この種類の態様において、第1の潤滑油沸点範囲留分及び第2の潤滑油沸点範囲留分は、次の水素化分解及び脱蝋のための水素化処理された潤滑油沸点範囲留分を形成するために別個に処理され得る。
【0011】
いくつかの態様において、第2の触媒脱蝋条件は、第2の水素化分解出口温度より高い第2の脱蝋入口温度を含み得る一方、第1の触媒脱蝋条件は、第1の水素化分解出口温度より低い第1の脱蝋入口温度を含み得る。脱蝋入口温度に関するこの種類の制御は、例えば、第2の触媒脱蝋条件中、加熱された水素含有流を第2の反応器中に導入することによって促進され得る。
【0012】
いくつかの態様において、供給原料のブロック処理は、第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の水素化分解前に第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を貯蔵することによって促進され得るか、ii)第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の水素化分解前に第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を貯蔵することをさらに含むか、又はiii)i)及びii)の組合せである。
【0013】
いくつかの態様において、第1の反応器は、芳香族飽和触媒をさらに含み得、且つ/又は第2の反応器は、芳香族飽和触媒をさらに含み得る。
【0014】
いくつかの態様において、第1の潤滑油沸点範囲生成物は、少なくとも125の粘度指数を有し得る。加えて又は代わりに、第2の潤滑油沸点範囲生成物は、少なくとも80の粘度指数を有し得る。加えて又は代わりに、第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも15だけ低いことができる。
【0015】
いくつかの態様において、第1の脱蝋条件は、第2の脱蝋条件と実質的に同様であり得る。いくつかの態様において、第1の水素化分解入口温度は、第2の水素化分解入口温度より少なくとも10℃だけ高いことができる。
【0016】
任意選択的に、本方法は、第3の反応器中において、第1の芳香族飽和条件下、第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、第1の潤滑油沸点範囲生成物を含む第1の飽和生成物を形成することをさらに含み得る。そのような態様において、第1の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有し得る。任意選択的に、本方法は、第3の反応器中において、第2の芳香族飽和条件下、第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、第2の潤滑油沸点範囲生成物を含む第2の飽和生成物を形成することをさらに含み得る。第2の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有し得る。第1の芳香族飽和条件は、任意選択的に、第2の芳香族飽和条件と実質的に同様であり得る。第2の反応器は、任意選択的に、第2の芳香族飽和触媒をさらに含み得、第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部は、脱蝋触媒に曝露される前に第2の芳香族飽和触媒の少なくとも一部と接触する。
【0017】
種々の態様において、多反応器反応システムが提供される。多反応器反応システムは、第1のガス入口と、水素化分解反応器入口と、水素化分解反応器出口とを含む第1の反応器を含み得る。第1の反応器は、水素化分解触媒であって、水素化分解触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の第8族〜第10族貴金属を含む水素化分解触媒も含み得る。本システムは、第2のガス入口と、脱蝋反応器入口と、脱蝋反応器出口とを含む第2の反応器をさらに含み得る。第2の反応器は、脱蝋触媒をさらに含み得る。脱蝋反応器入口は、水素化分解反応器出口と流体連通し得る。本システムは、芳香族飽和入口と、芳香族飽和出口と、第1の芳香族飽和触媒とを含む第3の反応器をさらに含み得る。芳香族飽和入口は、脱蝋反応器出口と流体連通し得る。本システムは、供給原料加熱器流路と、水素加熱器流路とを含む加熱器をさらに含み得る。供給原料加熱器流路は、水素化分解反応器入口と流体連通し得る。水素加熱器流路は、第1のガス入口及び第2のガス入口と流体連通し得る。任意選択的に、第2の芳香族飽和触媒の少なくとも一部は、第2の反応器中の流れの方向に対して脱蝋触媒から上流に位置し得る。任意選択的に、本システムは、水素加熱器流路と流体連通している第3のガス入口を含む第3の反応器をさらに含み得る。
【0018】
いくつかの態様において、水素化分解反応器入口は、第1のガス入口に対応し得る。いくつかの態様において、第2のガス入口は、加熱された水素流路と選択的に流体連通し得る。
【0019】
任意選択的に、本システムは、第1の貯蔵タンク及び第2の貯蔵タンクをさらに含み得る。第1の貯蔵タンク及び第2の貯蔵タンクは、供給原料加熱器流路と選択的に流体連通し得る。第1の貯蔵タンクは、第1の潤滑油沸点範囲供給原料を貯蔵し得、且つ第2の貯蔵タンクは、第2の潤滑油沸点範囲供給原料を貯蔵し得る。
【0020】
種々の態様において、潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法が提供される。本方法は、第1の反応器中において、第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で潤滑油沸点範囲留分を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することを含み得る。第1の水素化分解条件は、潤滑油沸点範囲留分の370℃に対する第1の量の変換に対応し得る。第2の反応器中において、第1の触媒脱蝋条件下で第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成し得る。第1の脱蝋入口温度は、第1の水素化分解出口温度より少なくとも3℃だけ高いことができる。次いで、潤滑油沸点範囲留分の水素化分解を実行しながら、水素化分解のための条件を変更し得る。第1の反応器中において、変更された水素化分解条件下で潤滑油沸点範囲留分を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成し得る。変更された水素化分解条件は、370℃に対する第1の量の変換と5重量%以下だけ異なる、潤滑油沸点範囲留分の370℃に対する第2の量の変換に対応し得る。第2の反応器中において、第2の触媒脱蝋条件下で第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成し得る。第2の脱蝋入口温度は、変更された水素化分解出口温度より少なくとも3℃だけ低いことができる。得られた第1の脱蝋された溶出物及び第2の脱蝋された溶出物を分留して、(任意選択的な)燃料沸点範囲生成物及び潤滑油沸点範囲生成物を形成し得る。任意選択的に、分留前及び/又は後、脱蝋された溶出物を水素化仕上げして、潤滑油沸点範囲生成物を形成し得る。第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数と5以下だけ異なり得る。
【0021】
潤滑油沸点範囲留分は、いずれかの都合のよい種類の潤滑油留分を形成するために適切な供給原料に対応し得る。例えば、潤滑油沸点範囲留分は、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する供給原料などの重質中性ベースストック製造のための供給原料、又は少なくとも371℃のT10蒸留点及び15cSt以上の100℃における動粘度を有する供給原料などのブライトストック製造のための供給原料、又は1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有する343℃+部分を有する供給原料などの軽質中性ベースストック製造のための供給原料に対応し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】供給原料を処理し、少なくとも潤滑油沸点範囲留分を形成するために適切な構成の例を概略的に示す。
【
図2】供給原料を処理し、少なくとも潤滑油沸点範囲留分を形成するために適切な構成の別の例を概略的に示す。
【
図3】供給原料を処理するために適切な構成の別の例を概略的に示す。
【
図4】複数の反応器及び複数の加熱された水素ラインを含む反応システムの例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書の詳細な説明及び請求項における全ての数値は、「約」又は「およそ」表示値によって修飾され、当業者によって予想される実験誤差及び変動が考慮される。
【0024】
種々の態様において、実質的に異なる粘度指数値を有する複数の粘度グレードの潤滑油ベースストックを製造するための供給原料のブロック処理のためのシステム及び方法が提供される。本システム及び方法は、実質的に異なるレベルの粘度指数向上を生じる条件下で良好な芳香族飽和活性を維持し得るスイート段階水素化分解触媒の使用を伴い得る。任意選択的に、スイート段階水素化分解触媒を含む反応器は、追加的な芳香族飽和触媒を含むことができる。本システム及び方法は、スイート水素化分解段階においてより少ない量の変換を受ける生成物の芳香族の飽和のために追加的な芳香族飽和活性が利用可能であるように、第2のスイート段階反応器中での芳香族飽和触媒及び脱蝋触媒の組合せの使用をさらに伴い得る。
【0025】
本明細書に記載のシステム及び方法により、ブロック処理様式で操作される単一の反応システムを単一の供給原料によって開始し、2.0重量%以下又は1.0重量%以下の軽質中性及び重質中性生成物の両方の芳香族含有量も維持しながら、少なくとも25、又は少なくとも30、又は少なくとも40の粘度指数差の軽質中性及び重質中性生成物を生成することを可能にさせる。実質的な初期芳香族飽和活性を有さない従来のスイート段階水素化分解触媒を使用し、且つ/又は従来のスイート段階脱蝋反応器を使用し、単一の供給原料から誘導される軽質中性及び重質中性生成物におけるこのような所望の特徴の組合せ(高いVI差、低い芳香族含有量)を達成することは、別個の処理トレインを必要とするであろう。
【0026】
ブロック処理は、2つ以上のスイート段階反応器中に加熱された水素を導入するための別個のホット水素ラインの使用に基づいてさらに促進され得る。スイート段階は、多くの場合、水素化分解反応器、脱蝋反応器及び水素化仕上げ反応器などの複数の反応器を含み得る。処理条件上での改善された制御を提供するために、それぞれの反応器の温度を異なるレベルに設定することが望ましいことがあり得る。種々の態様において、処理条件上での追加的な制御は、スイート水素化処理段階において次の反応器中に導入される加熱された水素ラインの使用に基づいて提供され得る。主に初期反応器中において及び/又は反応器からの溶出物上での熱交換によって熱を加える代わりに、加熱された水素ラインの使用により、次の反応器段階への投入流の温度に関する追加的な制御が可能になる。
【0027】
一例として、加熱された水素ラインの使用により、脱蝋(第2の)反応器の入口温度より高い出口温度において操作される水素化分解(第1の)反応器によるブロック操作中、(軽質中性製造のための供給原料などの)1つの供給原料の処理のためにスイート段階反応器トレインを使用することが可能になる。重質中性製造のための供給原料の処理中、第2の反応器に加熱された水素を送達するための加熱された水素ラインを使用することにより、脱蝋反応器入口温度より低い水素化分解反応器出口温度を有するように同一のスイート段階反応器トレインを操作し得る。そのような重質中性製造中、水素化分解反応器の出口温度は、脱蝋反応器の入口温度より少なくとも10℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも30℃だけ低いことができる。これにより、重質中性製造のための供給原料の過分解による収率損失を減少又は最小化しながら、単一のスイート段階反応器トレインをブロック処理のために使用することが可能になる。
【0028】
ブロック処理を促進することに加えて、反応器構成中の反応器の入口及び出口温度に関する追加的な制御により、単一の供給原料の処理中の反応器の相対的な温度プロフィールの切り換えも可能になる。例えば、潤滑油製造のためのスイート処理段階において、供給原料の水素化分解及び脱蝋のために別個の反応器を使用し得る。上記のとおり、第1の反応器の温度は、典型的に、反応システム中の最も高い温度段階のために望ましい温度を供給するように選択される。反応器の温度に関する制御の増加を可能にすることにより、供給原料の処理中に「最も温度が高い」反応器に対応する反応器を変更し得る。一例として、重質中性供給原料の処理中、重質中性に関して必要とされる粘度指数向上の量は、多くの場合に小さいため、比較的低い温度は、水素化分解段階のために十分であろう。結果として、水素化分解反応器の出口温度は、脱蝋に関して望ましい入口温度より低くなり得る。しかしながら、処理が続き、触媒が老化すると、望ましいレベルの粘度指数向上を維持するために一層より高い温度が必要とされ得る。この触媒老化に基づき、温度(及び/又は水素化分解と関連する他の条件)を、結果として得られる潤滑油生成物の特性を望ましい範囲で維持するために供給原料の処理中に変更し得る。これにより、最終的に、脱蝋反応器の入口温度より高い水素化分解反応器の出口温度を有するという結果をもたらすことが可能になる。例えば、処理中の後の時点において、潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、以前の時点の生成物の粘度指数と5未満、又は3未満、又は場合によりさらに1未満だけ異なるように水素化分解条件の温度を変更し得る。いくつかの態様において、脱蝋触媒の老化も生じ得る。脱蝋プロセスの温度(及び/又は他の条件)の変更を使用して、得られる潤滑油生成物の望ましい流動点を維持し得る。例えば、処理中の後の時点において、潤滑油沸点範囲生成物の流動点が以前の時点の生成物の流動点と10℃未満、又は6℃未満、又は3℃未満だけ異なるように脱蝋条件の温度を変更し得る。
【0029】
より一般に、軽質中性ベースストックの製造のための供給原料(100℃において1.5cSt〜6.0cSt)、重質中性ベースストックの製造のための供給原料(100℃において6.0cSt〜12cSt、若しくは6.0cSt〜15cSt、若しくは6.0cSt〜20cSt)又はブライトストックの製造のための供給原料(15cSt以上、若しくは20cSt以上、若しくは25cSt以上、若しくは30cSt以上、例えば最大で50cStまで又は場合によりさらにより高くまで)を含む、いずれかの都合のよい種類の潤滑油供給原料の処理中に反応器配列中の「最も温度が高い」反応器の変更を使用し得る。本明細書に記載の加熱された水素ラインは、反応器の相対温度におけるこの種類の切り替えの実行を促進し得る。種々の態様において、処理実行の初期点における水素化分解反応器の出口温度は、脱蝋反応器の入口温度より低いか、又は少なくとも3℃低いか、又は少なくとも5℃低いか、又は少なくとも8℃低いか、又は少なくとも10℃低いことができる。処理実行における後の時点において、水素化分解反応器の出口温度は、脱蝋反応器の入口温度より高いか、又は少なくとも3℃高いか、又は少なくとも5℃高いか、又は少なくとも8℃高いか、又は少なくとも10℃高いことができる。
【0030】
潤滑油ベースストック製造のための供給原料の処理中、2段階反応システムを使用し得る。第1段階は、供給原料中の硫黄含有量、窒素含有量及び/又は他のヘテロ原子の含有量を望ましいレベルまで低下させるためのサワー処理段階に対応し得る。第1の(サワー)処理段階は、供給原料全体が処理される段階であり得る。代わりに、それが望ましい場合、第1の処理段階は、ブロック処理モードで操作され得る。第1の(サワー)処理段階がブロック処理様式で操作される場合、所望の軽質中性生成物のための供給原料を含む第1の留分と所望の重質中性生成物のための供給原料を含む第2の留分を製造するための分離を供給原料上で実行し得る。変換のため、いくつかの追加的な軽質中性生成物が第2の留分の処理中に製造され得ることに留意されたい。任意選択的に、この追加的な軽質中性生成物の少なくとも一部を重質中性生成物から分離して、軽質中性留分に添加し得る。他の態様において、重質中性生成物のための供給原料の変換中に製造されたいずれかの軽質中性生成物を重質中性生成物と一緒に維持し得る。重質中性生成物の実質的により低い粘度指数に基づき、より高い粘度指数の軽質中性生成物との組合せのためにより低粘度指数の生成物の一部を分離することは、望ましくなり得ない。
【0031】
第1段階における水素処理及び/又は水素化分解のための条件を選択する場合、条件は、2つの目標を達成するように選択され得る。第1に、上記されたとおり、供給原料のヘテロ原子含有量を所望の量まで低下させることができる。第2に、第1段階の溶出物の343℃+部分が所望の粘度指数を有するように、370℃に対する変換などの供給原料変換の所望の量を提供するように第1段階の条件の苛酷性を選択し得る。態様次第で、第1段階の溶出物の343℃+部分は、70〜90の粘度指数を有し得る。加えて又は代わりに、第2段階におけるブロック操作のための供給原料を形成するための第1段階の溶出物の分留後、軽質中性留分の製造のための第2段階への供給原料の343℃+部分は、65〜90の粘度指数を有し得るが、重質中性留分の製造のための第2段階への供給原料は、70〜90又は75〜95の粘度指数を有し得る。種々の態様において、重質中性の製造のための第2段階への供給原料の粘度指数は、軽質中性の製造のための対応する供給原料より少なくとも3高い、又は少なくとも5高い、又は少なくとも8高い、例えば最大で15以上高い粘度指数を有し得る。第1段階供給原料がブロックされる任意選択的な態様において、軽質中性製造のための供給原料及び重質中性製造のための供給原料は、第1段階及び第2段階で別個に処理され得る。そのような任意選択的な態様において、軽質中性製造のための第1段階への供給原料の粘度指数及び/又は重質中性製造のための第1段階への供給原料の粘度指数は、10〜70(又は場合によりそれより高く、例えば10〜90)であり得る。
【0032】
第2段階のブロック操作中、それぞれの供給原料に関する変換の量は、粘度指数向上の望ましい量を達成するように選択することができる。軽質中性ベースストック製造のための供給原料に関して、370℃に対する変換の量は、10重量%〜80重量%、又は40重量%〜80重量%、又は20重量%〜60重量%、又は40重量%〜70重量%であり得る。このような変換の量により、(最終分留後)1.5cSt〜6.0cSt、又は2.0cSt〜6.0cSt以上、又は2.0cSt〜5.0cSt、又は1.5cSt〜4.0cSt以上の100℃における動粘度を有する軽質中性ベースストック生成物の製造が可能になる。軽質中性ベースストック生成物は、120〜140、又は125〜145、又は130〜150の粘度指数を有することができる。重質中性ベースストック製造のための供給原料に関して、370℃に対する変換の量は、1重量%〜25重量%、又は5重量%〜25重量%、又は1重量%〜20重量%であり得る。このような変換の量により、(最終分留後)6.0cSt以上、又は6.5cSt以上、又は8.0cSt以上、例えば最大で16cSt若しくは場合によりさらに高い100℃における動粘度を有する重質中性ベースストック生成物の製造が可能になる。重質中性ベースストック生成物は、80〜100、又は80〜95、又は85〜100の粘度指数を有し得る。種々の態様において、軽質中性ベースストック生成物の粘度指数は、対応する重質中性ベースストック生成物より少なくとも5高い、又は少なくとも15高い、又は少なくとも25高い、又は少なくとも35高い、例えば最大で50高いか若しくはそれを超え得る。加えて、軽質中性製造のための供給原料に関する変換の量は、重質中性製造のための供給原料に関する変換の量より少なくとも10重量%高いか、又は少なくとも15重量%高いか、又は少なくとも20重量%高いことができる。
【0033】
変換量における所望の差異を達成するために、軽質中性製造のための供給原料に関する水素化分解のための入口温度は、重質中性製造のための供給原料に関する水素化分解のための入口温度より少なくとも10℃高いか、又は少なくとも15℃高いか、又は少なくとも20℃高い、例えば最大で40℃高いか若しくは場合によりさらに高いことができる。任意選択的に、第2段階における反応器の相対温度は、水素化分解入口温度における差異のために変更され得る。例えば、軽質中性ベースストックの製造のための水素化分解入口温度は、典型的に、脱蝋入口温度より高いことができる。しかしながら、独立して次の反応器を加熱する能力に基づき、重質中性ベースストックの製造のための水素化分解入口温度は、任意選択的に、脱蝋入口温度より低いことができる。態様次第で、脱蝋入口温度は、水素化分解の出口温度より1℃以上高い、又は10℃以上高い、又は20℃以上高い、又は30℃以上高い、例えば最大で45℃高い(若しくは場合によりさらにより大きい差異)ことができる。
【0034】
融通性がより高いことは、第1段階及び第2段階の両方のブロック操作中の水素処理及び/又は水素化分解のための条件を選択する場合に利用可能である。第2段階がスイート条件下で操作可能であるように、第1段階における変換の量は、供給原料のヘテロ原子含有量を低下させるためになお十分であり得、所望の量まで低下され得る。しかしながら、ヘテロ原子除去のために必要であるより高い変換の量が第1段階において選択され得る。第2段階がスイート条件下で処理され、標的粘度及び粘度指数が達成される限り、第1及び第2段階中の変換のいずれの都合のよいバランスも、ブロック処理されるそれぞれの供給原料のために使用可能である。例えば、いくつかの態様において、重質中性製造のための供給原料に関する第1段階変換をヘテロ原子除去のための最小値まで低下させることが好都合であり得る。これにより、第2段階において追加的な変換が実行されることが可能になり、これは、第2段階における種々の反応器の温度の選択を単純化させ得る。同様に、軽質中性製造のための供給原料の処理のための第1段階における追加的な変換の実行は、第2段階の変換必要条件を低下させるために有益であり得る。第1段階及び/又は第2段階における次の反応器への加熱された水素ラインの利用可能性により、第2段階における反応器のための温度選択における融通性を見込むことができ、それにより変換反応器のための入口温度及び他の反応器の入口温度間の連結を減少又は最小化することができる。
【0035】
第1段階及び第2の段階の両方のブロック操作中、それぞれの供給原料に関する変換の量は、粘度指数向上の望ましい量を達成するように選択することができる。軽質中性ベースストック製造のための供給原料に関して、サワー段階及びスイート段階の両方を通した370℃に対する変換の合計量は、40重量%〜80重量%、又は50重量%〜80重量%、又は40重量%〜70重量%であり得る。このような変換の量により、(最終分留後)1.5cSt〜6.0cSt、又は2.0cSt〜6.0cSt以上、又は2.0cSt〜5.0cSt、又は1.5cSt〜4.0cSt以上の100℃における動粘度を有する軽質中性ベースストック生成物の製造が可能になる。軽質中性ベースストック生成物は、120〜140、又は125〜145、又は130〜150の粘度指数を有することができる。重質中性ベースストック製造のための供給原料に関して、サワー段階及びスイート段階の両方を通した370℃に対する変換の合計量は、20重量%〜60重量%、又は30重量%〜50重量%、又は20重量%〜40重量%であり得る。このような変換の量により、(最終分留後)6.0cSt以上、又は6.5cSt以上、又は8.0cSt以上、例えば最大で16cSt若しくは場合によりそれより高い100℃における動粘度を有する重質中性ベースストック生成物の製造が可能になる。重質中性ベースストック生成物は、80〜100、又は80〜95、又は85〜100の粘度指数を有し得る。種々の態様において、軽質中性ベースストック生成物の粘度指数は、対応する重質中性ベースストック生成物より少なくとも5高い、又は少なくとも15高い、又は少なくとも25高い、又は少なくとも35高い、例えば最大で50高いか若しくはそれを超え得る。加えて、軽質中性製造のための供給原料に関するサワー段階及びスイート段階の両方を通した変換の合計量は、重質中性製造のための供給原料に関する変換の合計量より少なくとも10重量%高いか、又は少なくとも15重量%高いか、又は少なくとも20重量%高いことができる。
【0036】
従来、潤滑油供給原料のブロック処理中にプロセス条件を選択する試みにおけるいくつかの困難は、重質中性ベースストックに関する1つ以上の所望のコールドフロー特性を達成しながら、軽質中性ベースストックに関する所望の粘度指数を達成することの対立する目標と関係があり得る。軽質中性ベースストック製造に関して、変換の増加と、したがって粘度指数向上の増加とをもたらすために、比較的より高い温度で水素化分解を実行することが有益であり得る。水素化分解反応器中の比較的より高い温度に基づき、水素化分解からの溶出物は、脱蝋が所望のコールドフロー特性を達成することを可能にする温度であり得る。対照的に、重質中性ベースストック製造のための供給原料の粘度指数は、所望の生成物粘度指数を満たすために、多くの場合にわずかな追加的な粘度指数向上を必要とし得るか又は全く必要としないことがあり得る。したがって、水素化分解中に生じ得る収率損失を減少又は最小化するために、重質中性製造のための供給原料を比較的より低い温度で水素化分解反応器に通すことが望ましいことがあり得る。しかしながら、これにより、水素化分解反応器からより低温の出口温度をもたらし得る。このようなより低温の出口温度は、脱蝋反応器における所望のコールドフロー特性を達成するために脱蝋反応器において十分となり得ない。
【0037】
従来の反応システム構成において、反応システムの段階の温度を制御する主要な方法は、供給原料が段階の初期反応器に入る前に供給原料を加熱器に通すことに基づき得る。この種類の従来の構成において、第1の反応器前の単一の供給原料加熱器の使用は、水素化分解反応器などの初期反応器の入口温度と、脱蝋反応器などの第2の反応器の入口温度との連結をもたらす。従来の冷却又はクエンチ流を使用することにより、水素化分解入口温度と脱蝋入口温度との連結のいくつかの変更を提供可能である。しかしながら、そのようなクエンチ流は、典型的に、次の反応器に入る前に溶出物を冷却するためにのみ適切である。重質中性製造のための供給原料において水素化分解をわずかに実行するか又は全く実行しないことが望ましいが、脱蝋を実行するために十分高い温度が必要とされる状況において、従来の解決策は、粘度指数向上のために必要とされるより高い温度において水素化分解を実行することである。これは、いくらかの収率損失をもたらすが、脱蝋のために必要な投入温度を提供する。ホット水素ラインの使用により、水素化分解反応器の入口温度とその次の脱蝋反応器の入口温度との間のより高い変化が可能になるため、このような収率の損失は、本明細書に記載のホット水素ラインを使用することによって回避することができる。
【0038】
加えて又は代わりに、低い変換の量において第2段階を操作することは、第2段階の水素化分解反応器における芳香族飽和の減少を潜在的に導き得る。最終重質中性潤滑油生成物中の芳香族を所望のレベルで維持するために、芳香族飽和触媒の追加的な床を初期触媒床として脱蝋反応器に含み得る。これにより、水素化分解反応器の出口温度が脱蝋反応器の標的入口温度より低い態様に関して、追加的な芳香族飽和活性を提供することができる。
【0039】
ブロック操作のための水素化処理前に供給原料を分留し、且つ/又は第1段階からの水素化処理された溶出物を分留して、第2段階のブロック操作のための供給原料を形成する場合、軽質中性ベースストック製造のための供給原料及び重質中性ベースストック製造のための供給原料を製造するために分留を実行し得る。軽質中性ベースストック製造のための供給原料の343℃+部分は、1.5cSt〜6.5cSt、又は2.0cSt〜6.0cSt、又は2.0cSt〜5.0cSt、又は1.5cSt〜4.5cStの100℃における動粘度を有し得る。軽質中性ベースストック製造のための供給原料は、いくらかの燃料沸点範囲成分(343℃−)を含み、したがって、軽質中性ベースストック製造のための第2段階への全供給原料の動粘度は、上記で列挙された範囲より低い可能性があることが留意される。重質中性ベースストック製造のための供給原料は、6.0cSt以上、又は6.5cSt以上、又は8.0cSt以上、例えば最大で16cSt若しくはそれより高い100℃における動粘度を有し得る。重質中性ベースストック製造のための供給原料が底物留分に対応し得、したがって重質中性潤滑油ベースストックに関する典型的な粘度より高い粘度を有し得ることが留意される。種々の態様において、重質中性ベースストック製造のための供給原料に関する100℃における動粘度は、軽質中性ベースストック製造のための供給原料に関する100℃における動粘度より少なくとも2.0cSt高く、又は少なくとも2.5cSt高く、又は少なくとも3.0cSt高く、例えば最大で6.0cSt高く若しくは場合によりそれより高いことができる。
【0040】
処理の一例として、初期供給原料は、潤滑油ベースストック製造のための典型的又は従来的な供給原料に対応し得る。第1の処理段階は、水素処理及び/又は水素化分解の初期量を実行することができる。次いで、第1の分離段階を使用し、燃料沸点範囲(及びより低い沸点範囲)化合物を除去することができる。第1の分離段階を使用して、溶出物の潤滑油沸点範囲部分を軽質中性処理のための供給原料及び重質中性処理のための供給原料に分離することもできる。処理システムの第2段階のブロック操作を可能にするために、これらの別個の供給原料を貯蔵することができる。第2段階のブロック操作中、軽質中性供給原料又は重質中性供給原料を第1の反応器中に通過させ、水素化分解条件下でPt及び/又はPdなどの担持された貴金属を含むUSY触媒に曝露することができる。USY触媒は、24.30以下(又は24.24以下)の単位格子径、少なくとも50(又は少なくとも80)のシリカ対アルミナ比及び20以下(又は10以下)のアルファ値などの触媒特性の所望の組合せを有することができる。得られる重質中性生成物に関してより低い粘度指数向上が必要とされるため、重質中性供給原料のための変換条件は、軽質中性供給原料のための変換条件に対して過酷性が実質的により低くなり得る。次いで、水素化分解された溶出物を脱蝋反応器中に通過させることができる。脱蝋反応器は、芳香族飽和触媒及び脱蝋触媒の両方を含むことができ、芳香族飽和触媒の少なくとも一部は、脱蝋触媒の上流である。重質中性供給原料の処理のためのブロック操作部分中、反応器の上流部分中の追加的な芳香族飽和触媒は、重質中性供給原料の芳香族含有量の減少を補助することができる。次いで、脱蝋された溶出物を追加的な芳香族飽和のために水素化仕上げ反応器中に通過させることができる。水素化仕上げ前に脱蝋された溶出物上又は水素化仕上げされた溶出物上のいずれかにおいて最終分離を実行し、所望の潤滑油ベースストック生成物からいずれの追加的な燃料沸点範囲材料及び/又はライトエンドも分離することができる。
【0041】
任意選択的に、芳香族含有量のさらなる減少は、リサイクルクエンチ流を使用することによって達成することができる。種々の態様において、リサイクルクエンチ流の使用により、種々の温度のより多大な相対的制御を可能にしながら、中間分離を行わずにUSY水素化分解反応器からの溶出物を脱蝋反応器中に通過させることが可能になる。例えば、脱蝋反応器への入口における水素化分解された溶出物の温度は、USY水素化分解反応器への投入供給原料の温度より少なくとも10°F(約5℃)低い、又は少なくとも20°F(約10℃)低い、例えば最大で40°F(約20℃)低いか若しくはそれより低いことができる。加えて又は代わりに、脱蝋反応器への入口における水素化分解された溶出物の温度は、USY水素化分解反応器からの出口における水素化分解された溶出物の温度より少なくとも40°F(約20℃)低い、又は少なくとも50°F(約25℃)低い、又は少なくとも60°F(約30℃)低い、例えば最大で80°F(約40℃)低いか若しくはそれより低いことができる。水素化分解された溶出物を冷却するために、脱蝋された溶出物の20重量%〜50重量%を脱蝋反応器への入口前の位置までリサイクルすることができる。リサイクルするために脱蝋された溶出物を回収するための位置は、脱蝋反応器後及び脱蝋された溶出物の分留前のいずれかの都合のよい位置であり得る。例えば、脱蝋反応器が水素化仕上げ触媒を含む場合及び/又は脱蝋された溶出物が分留前に別個の水素化仕上げ反応器中を通過する場合、リサイクル流のために使用される脱蝋された溶出物は、脱蝋及び水素化仕上げされた溶出物のリサイクルされた部分に対応し得る。いくつかの態様において、脱蝋反応器の重量平均床温度は、脱蝋反応器入口温度より15℃以下又は10℃以下高いことができる。
【0042】
図1は、複数の潤滑油ベースストック生成物を製造するための供給原料のブロック処理に適切な一般的な処理構成の例を示す。
図1では、水素化処理された供給原料105を分留塔などの分離段階160に導入することができる。水素化処理された供給原料105は、250wppm以下、又は100wppm以下、又は50wppm以下の硫黄含有量を有する「スイート」供給原料に対応し得る。そのような水素化処理された供給原料は、反応システムの第1段階からの水素化処理された溶出物(の少なくとも一部)に対応し得る。第1段階は、1つ以上の水素化処理反応器を含むことができる。1つ以上の水素化処理反応器のための触媒の適切な種類の例としては、水素処理触媒、水素化分解触媒及び脱金属化触媒を挙げることができる。第1段階がサワー処理段階である場合、1つ以上の水素化処理反応器中の触媒は、典型的に卑金属を含むことができる。水素化処理された供給原料を分離段階160によって分離し、様々な生成物を形成することができる。事前の水素化処理に基づき、水素化処理された供給原料は、燃料沸点範囲化合物及び/又はライトエンド(C
4−化合物及び/又はH
2Sなどの汚染物質気体を含む)を含み得る。水素化処理された供給原料は、潤滑油沸点範囲部分も含むことができる。燃料沸点範囲化合物(の実質的な部分)から潤滑油沸点範囲部分を分離することに加えて、分離段階160によって潤滑油沸点範囲部分を第1の潤滑油沸点範囲留分162及び第2の潤滑油沸点範囲留分167に分離することもできる。第1の潤滑油沸点範囲留分162は、例えば、貯蔵タンク170中で貯蔵され得る一方、第2の潤滑油沸点範囲留分167は、貯蔵タンク174中で貯蔵され得る。これにより、反応システムのスイート段階がブロック処理様式で操作可能であるように、使用のために適切な時間まで留分を貯蔵することが可能になる。
【0043】
ブロック処理中、水素化分解反応器110への投入のための水素化処理された供給原料175は、(貯蔵タンク170からの)第1の潤滑油沸点範囲留分172又は(貯蔵タンク174からの)第2の潤滑油沸点範囲留分177のいずれかに対応し得る。得られる水素化分解された溶出物115における所望の粘度指数向上度に基づいて選択される条件下、水素化処理された供給原料175を水素化分解反応器110中に通過させることができる。軽質中性供給原料に関して、水素化分解された溶出物の343℃+部分又は371℃+部分が120以上、又は125以上、又は130以上、例えば最大で145若しくは場合によりさらに高い粘度指数を有するように十分な変換を有する水素化分解条件などの苛酷性がより高い条件を選択することができる。重質中性供給原料に関して、100以下、又は95以下、又は90以下、例えば最低80若しくは場合によりさらに低い粘度指数を有する水素化分解された溶出物をもたらす変換を有する水素化分解条件などの苛酷性がより低い条件を選択することができる。水素化分解された溶出物115は、任意選択的に、より低沸点の材料を除去するための分離を実行することができるか、又は水素化分解された溶出物115を脱蝋反応器120中に通過させることができる。脱蝋触媒に加えて、脱蝋反応器120は、脱蝋触媒から上流の芳香族飽和触媒の初期部分を含むこともできる。脱蝋反応器120は、脱蝋された溶出物125を生成することができる。次いで、追加的な芳香族飽和のために、脱蝋された溶出物125を水素化仕上げ反応器140中に通過させることができる。次いで、水素化仕上げされた溶出物145を分留150し、所望の潤滑油生成物157を水素化分解された溶出物の他の部分、例えばライトエンド及び/又は燃料部分151、より軽質の潤滑油生成物留分152及び/又は重質中性留分と一緒に同時処理され得るより重質の部分159から分離することができる。任意選択的に、水素化仕上げ反応器140中を通過させる前に、脱蝋された溶出物125を分留150することができる。
【0044】
水素化分解反応器110中において、1つ以上の触媒床は、任意選択的に、水素化分解触媒と異なる触媒を含むことができる。例えば、水素化分解反応器110中の初期触媒床(又はその部分)及び/又は最終触媒床(又はその部分)は、供給原料の芳香族含有量をさらに減少させるための芳香族飽和触媒を含むことができる。同様に、脱蝋反応器120中の初期触媒床(又はその部分)及び/又は最終触媒床(又はその部分)は、供給原料の芳香族含有量をさらに減少させるための芳香族飽和触媒を含むことができる。
【0045】
図1の構成は、ブロック操作と関連する構成の詳細を示す。
図2は、潤滑油ベースストックの製造のための反応システムのスイート処理段階のための別の構成を示す。
図2に示される構成は、反応システム中で温度及びフロー管理の一例に関する追加的な詳細を提供する。
図1及び
図2に示される特性は、別個に又は互いに関連して使用され得ることが理解される。
【0046】
図2では、水素化処理された供給原料175は、水素化分解反応器110に入る前に供給原料加熱器280中に通過され得る。供給原料加熱器280は、炭化水素性供給原料の加熱のために適切であるいずれの都合のよい種類の加熱器でもあり得る。
図2に示される例において、供給原料加熱器280は、水素含有流101の一部分を加熱するための流路を含むこともできる。供給原料加熱器280は、水素化処理された供給原料175の加熱及び水素含有流101の一部の加熱に基づく水素化分解反応器110及び/又は脱蝋反応器120の入口温度の制御に寄与することができる。加熱後、加熱された水素化処理された供給原料275を水素化分解反応器110中に通過させることができる。任意選択的に、加熱された水素化処理された供給原料275の部分278を、部分278が反応器110中の1つ以上の触媒床に曝露されない位置などの反応器110中の下流位置において導入することができる。水素含有流101に関して、水素含有流の加熱された部分281は、供給原料の一部として又は別個の流れとして水素化分解反応器110中に導入され得る。同様に、水素含有流の加熱された部分282は、供給原料の一部として又は別個の流れとして脱蝋反応器120に導入され得る。
図2に示される例において、反応器110に入れる前に、加熱された部分282が直接反応器120中に導入されながら、加熱された部分281を、加熱された水素化処理された供給原料275と混合する。水素含有流の加熱された部分281及び加熱された部分282は、選択的に使用可能であることが留意される。例えば、高粘度指数軽質中性ベースストックの製造のための加熱された水素化処理された供給原料275の処理中などの水素化分解反応器110中でより高い温度が望まれる場合、加熱された部分281を使用することができる。重質中性ベースストック製造のための対応する供給原料の処理中、加熱された部分281は、省略され得、代わりに、加熱されていない水素211を加熱された水素化処理された供給原料275と混合され得る。なお別の選択肢は、所望の比率で加熱された部分281及び加熱されていない水素211の両方を使用することであり得る。脱蝋反応器120に関して、重質中性製造のために使用されるより低い変換処理中に水素化分解反応器110の温度は、より低いことができるため、加熱された部分282は、重質中性ベースストックを形成するための処理中に使用され得る。結果として、水素化分解された溶出物115は、重質中性ベースストック製造中、より低い温度を有することができ、水素含有流の加熱された部分282を使用して脱蝋反応器120の入口温度を増加させることができる。追加的な熱が必要でない場合(又はより少ない熱が必要とされる場合)、加熱されていない水素221を単独で又は加熱された部分282と組み合わせて使用することができる。
【0047】
加熱器280及び加熱器280によって加熱された関連する流れに加えて、温度管理をさらに補助するために、
図2の構成中のいずれかの都合のよい位置において熱交換器(図示されず)も含まれ得ることに留意されたい。
【0048】
冷却(又はクエンチ)流223及び冷水素流243を使用することにより、さらなる温度制御を提供することができる。冷却流223及び冷水素流243により、反応器120及び140のそれぞれの最終触媒床前の温度の制御が可能になる。
図2に示される例において、反応器120は、芳香族飽和触媒の第1の床、脱蝋触媒の3つの中央の床及び芳香族飽和触媒の最終床を含むことができる。冷却流223により、脱蝋反応器120中の供給原料がより低い温度で最終芳香族飽和触媒に曝露されることが可能になる。これは、供給原料中の芳香族の平衡値を変更するために有益であり得る。同様に、冷水素流243により、芳香族飽和反応器140中の供給原料がより低い温度で最終芳香族飽和触媒に暴露されることが可能になる。
【0049】
図3は、処理システムの第1段階の一例を示す。
図3は、処理システムの第1段階において供給原料全体305を処理するため又は供給原料365をブロックするためのいずれかの流れを含む。ブロックせずに供給原料305を処理するために、供給原料305を水素化処理反応器390に導入することができる。
図3では、2つの水素化処理反応器390及び394が示されるが、水素化処理反応器のいずれの都合のよい数も使用可能であることが理解される。水素化処理反応器は、脱金属化触媒、水素処理触媒及び/又は水素化分解触媒を含むことができる。
図3に示される例において、反応器390からの溶出物392を追加的な反応器394中に通過させることができる。これは、例えば、水素処理触媒を含む第1の反応器390及び(卑金属)水素化分解触媒を含有する第2の反応器394を有することに対応し得る。任意選択的に、反応器390及び394間で分離(図示されず)を実行することができる。
図3の反応器394などの最終反応器後、最終反応器からの溶出物396を反応システムの第2段階における水素化処理された供給原料として使用することができる。
【0050】
反応システムの第1段階がブロック処理を実行するために操作される場合、供給原料365は、最初に分留塔360中に導入され、軽質中性供給原料留分362及び重質中性供給原料留分367を生成することができる。これらの供給原料留分は、それぞれ貯蔵タンク380及び384中に貯蔵され得る。次いで、軽質中性供給原料382又は重質中性供給原料387のいずれかを第1の水素化処理反応器390への投入供給原料385として使用することができる。第1の反応器溶出物396は、(貯蔵170又は174などの)適切な貯蔵タンク中に通過させることができる溶出物に対応し得るか、又は溶出物を反応システム中の第2段階反応器中に直接通過させ得る。
【0051】
図4は、例えば、潤滑油ベースストック製造のための反応のスイート段階として使用可能である複数の反応器を含む反応システムの別の例を概略的に示す。
図4の構成は、反応システム中の複数の反応器を独立して加熱することができる反応システムの例を提供する。これは、典型的に反応システムを加熱するときに単一の水素入口及び/又は不活性ガス入口が使用される従来の反応システムとは対照的である。多反応器システムを加熱するために単一の入口のみが使用される場合、多反応器システム中の複数の反応器の入口温度は、実質的な様式で連結し得る。対照的に、
図4に示される構成は、多反応器システム中の複数の反応器から2つ以上の反応器の入口温度を独立して選択するという追加的な融通性を提供することができる。
【0052】
図4では、水素供給源405からの水素投入流は、バルブ406を通して加熱器410中に通過する。
図4に示される構成において、水素投入流405及び供給原料401は、加熱器に入る前に組み合わせられて、単一の加熱された排出流414を形成するように示される。他の態様において、加熱された水素を含有する第1の加熱された排出流及び加熱された供給原料を含有する第2の加熱された排出流などの複数の加熱された排出流414を使用することができる。より一般的に、加熱された供給原料流及び加熱された水素流を形成するための1つ以上の加熱器410と組み合わせて、いずれかの都合のよい数の投入及び/又は排出流を使用することができることが理解される。水素405及び供給原料401が加熱器410を通過して加熱された排出流414を形成する時間を制御するために、それぞれバルブ406及び402を使用することができることが留意される。例えば、
図4に示されるように、バルブ406が開放され、バルブ402が閉鎖される場合、次いで、加熱された排出流414は、加熱された水素流に対応することができる。
【0053】
加熱された排出流414中の加熱された水素は、様々な目的のために使用可能である。必要に応じて、加熱された排出流414からの加熱された水素を第1の反応器420中に通過させることができる。加えて、第2の加熱された水素流431及び第3の加熱された水素流441を任意選択的に第2の反応器430及び第3の反応器440中にそれぞれ導入することができる。これらの任意選択的な水素流は、いずれかの都合のよいときに導入され得る。したがって、任意選択的な水素ラインは、触媒活性化中などの供給原料処理前、反応システム中の反応器の温度に関する独立制御を促進するためなどの供給原料処理中、又は触媒の再生のためなどの供給原料処理後に使用可能である。
図4では、反応器420、430及び440は、水素及び触媒の存在下で供給原料を処理するために適切ないずれかの都合のよい種類の反応器を表すことができる。反応器420、430及び440中の触媒は、同一であるか又は異なり得る。任意選択的に、反応器420、430及び440の少なくとも1つは、高度に珪質の担体を有する貴金属触媒を含有することができる。より一般に、複数の反応器などのいずれかの都合のよい数の反応器が存在することができる。
【0054】
供給原料の処理のための反応器の操作中、供給原料401及び加熱された排出物414からの水素405を反応器420に導入することができる。反応器420での水素化処理により、水素化処理された溶出物425を得ることができる。任意選択的に、水素化処理された溶出物425の温度調節のために、水素化処理された溶出物425の少なくとも一部を熱交換器426及び/又は他の加熱若しくは冷却デバイス中に通過させることができる。次いで、水素化処理された溶出物425を、任意選択的な温度調節後、反応器430中に通過させることができる。反応器430での水素化処理により、第2の水素化処理された溶出物435を得ることができる。任意選択的に、第2の水素化処理された溶出物435の温度調節のために、第2の水素化処理された溶出物435の少なくとも一部を熱交換器436及び/又は他の加熱若しくは冷却デバイス中に通過させることができる。次いで、第2の水素化処理された溶出物435を、任意選択的な温度調節後、第3の水素化処理された溶出物445を形成するための処理のために反応器440中に通過させることができる。任意選択的な温度調節446後、第3の水素化処理された溶出物445をいずれかの都合のよい様式でさらに処理、分留、ドラム中に貯蔵又は処分/使用することができる。
【0055】
図4では、加熱された水素ライン431及び441によって表される追加的な加熱された水素ラインにより、触媒活性化に加えて、反応システム中での他の種類の処理が可能になることが留意される。例として、仮説的なシステムは、反応器430中の貴金属脱蝋触媒及び反応器440中の貴金属水素化仕上げ触媒などの両方の反応器430及び反応器440中で貴金属触媒を含むことができる。そのような反応システムに関して、プロセスの「混乱」がときに生じ得、望ましくない供給原料及び/又は完全に処理されていない供給原料が反応器430及び440などの下流の反応器に入り得る。そのようなプロセスの混乱が生じた場合、望ましくない供給原料は反応器中の触媒床を汚染し得、これは、触媒不活性化及び/又は毒化を引き起こし得る。触媒活性を回復させるために、反応システム中の触媒を高温で洗浄供給原料に曝露することが望ましいことがあり得る。しかしながら、利用可能な唯一の熱源が初期段階中への供給原料のための加熱器である場合、洗浄供給原料が反応器を通過するため、供給原料は、温度を失い、供給原料が反応システム中の最終反応器に到達する時間までに実質的により冷却され得る。1つの選択肢は、初期反応器中への洗浄供給原料温度を増加させることであり得るが、約385℃より高い温度は、触媒の存在下で熱分解及びコーキングを導き得、このため、最終反応器における温度に有効な限度を与え得る。独立の加熱された水素ラインを有することは、より早期の反応器における触媒コーキングのリスクが生じることなく、再生又は洗浄サイクル中により高い温度を達成することの補助となり得る。
【0056】
図1〜4に示される構成は、互いに流体連通にあるプロセス素子(反応器、分留塔、加熱器など)の種々の例を提供することが留意される。プロセス素子は、別のプロセス素子と直接的に流体連通にあるか、又は間接的に流体連通にあり得る。例えば、
図2では、水素化分解反応器110の出口は、脱蝋反応器120の入口と直接的に流体連通にあることが示される。水素化分解反応器110の出口は、脱蝋反応器120の介入する存在に基づき、水素化仕上げ反応器140と間接的に流体連通にある。熱交換器などの流れの組成を変化させないプロセス素子が直接的な流体連通流路に含まれ得ることが留意される。
【0057】
本明細書では、ブロック操作の異なる相間で実質的に類似の条件で反応器を操作することが参照され得る。例えば、反応システムの第2段階のブロック操作中、水素化分解のための条件は、軽質中性ベースストック製造及び重質中性ベースストック製造に関して実質的に異なり得るが、脱蝋反応器及び水素化仕上げ反応器のための条件は、両種類のベースストックの製造に関して実質的に類似である。本明細書では、反応器を操作するための実質的に類似の条件は、温度、圧力、LHSV及び水素処理ガスレートが供給原料種の処理間で指定された相対量未満で異なる処理条件として定義される。反応器に関して実質的に類似の条件は、a)軽質中性及び重質中性処理間で10℃以下異なる入口温度、b)軽質中性及び重質中性処理間で10℃以下異なる出口温度、c)軽質中性及び重質中性処理間で最高圧力値の5%未満異なる入口圧力、d)軽質中性及び重質中性処理間で0.12時間
−1以下異なるLHSV、及びe)軽質中性及び重質中性処理間で最高処理ガスレートの10%未満異なる水素処理ガスレートとして定義される。水素処理ガスレートに関して、レート間の差異は、水素流のみのレートに基づいて算出されることが留意される。(窒素などの)不活性成分が処理ガス中に存在する場合、水素に対応する流れのパーセンテージのみが考慮されるべきである。
【0058】
本明細書では、ナフサ沸点範囲は、50°F(約10℃、ペンタン異性体の最低沸点にほぼ対応する)〜315°F(約157℃)として定義される。ジェット沸点範囲は、315°F(157℃)〜460°F(238℃)として定義される。ディーゼル沸点範囲は、460°F(238℃)〜650°F(343℃)として定義される。蒸留燃料沸点範囲(ジェットプラスディーゼル)は、315°F(157℃)〜650°F(343℃)として定義される。燃料沸点範囲は、約10℃〜343℃として定義される。潤滑油沸点範囲は、650°F(343℃)〜1050°F(566℃)として定義される。任意選択的に、1つ以上の水素化処理の段階(例えば、水素処理、水素化分解、触媒脱蝋、水素化仕上げ)後の分留によって潤滑油沸点部分を形成する場合、潤滑油沸点範囲部分は、任意選択的に、より高い沸点範囲の化合物も潤滑油沸点範囲部分に含まれ得るため、底物留分に対応し得る。ナフサ沸点範囲未満の沸点を有する化合物(C
4−)をライトエンドと呼ぶことができる。炭化水素様留分の分留(又は他の沸点ベースの分離)中の実際的な考慮のため、本明細書に記載の方法に従って形成された燃料留分は、上記値に対応する初期/最終沸点を有することとは対照的に、上記値に対応するT5及びT95蒸留点(又はT10及びT90蒸留点)を有し得ることが留意される。
【0059】
本明細書では、別途指定されない限り、液体溶出物又は液体生成物に対する引用は、25℃及び100kPa−a(約1気圧)において気体である溶出物又は生成物に対する引用である。
【0060】
本明細書では、種々の種類の供給原料又は溶出物の水素化処理のための条件が提供され得る。水素化処理の例としては、限定されないが、水素処理、脱金属化、水素化分解、触媒脱蝋及び水素化仕上げ/芳香族飽和の1つ以上を挙げることができる。そのような水素化処理条件は、水素化処理条件の1つ以上を制御するための複数の制御器などの少なくとも1つの制御器を使用することにより、条件のための所望の値(例えば、温度、圧力、LHSV、処理ガスレート)を有するように制御され得る。いくつかの態様において、所与の種類の水素化処理に関して、少なくとも1つの制御器がそれぞれの種類の水素化処理条件と関連し得る。いくつかの態様において、水素化処理条件の1つ以上を関連する制御器によって制御することができる。制御器によって制御が可能である構造の例としては、限定されないが、フローレート、圧力又はそれらの組合せを制御するバルブ、温度を制御する熱交換器及び/又は加熱器並びに少なくとも2つの流れの相対的なフローレートを制御する1つ以上のフローメーター及び1つ以上の関連するバルブを挙げることができる。そのような制御器は、任意選択的に、少なくとも1つのプロセッサ、制御変数(例えば、温度、圧力、フローレートの値を検出するための検出器及び操作された変数(例えば、値の位置の変化、加熱器の負荷サイクル及び/又は温度の増加又は減少)の値を制御するためのプロセッサ出力を含む制御器フィードバックループを含むことができる。任意選択的に、所与の種類の水素化処理のための少なくとも1つの水素化処理条件は、関連する制御器を有し得ない。
【0061】
グループIベースストック又はベースオイルは、90重量%未満の飽和分子及び/又は少なくとも0.03重量%の硫黄含有量を有するベースオイルとして定義される。グループIベースストックは、少なくとも80であるが、120未満の粘度指数(VI)も有する。グループIIベースストック又はベースオイルは、少なくとも90重量%の飽和分子及び0.03重量%未満の硫黄を含有する。グループIIベースストックは、少なくとも80であるが、120未満の粘度指数も有する。グループIIIベースストック又はベースオイルは、少なくとも90重量%の飽和分子及び0.03重量%未満の硫黄を含有し、少なくとも120の粘度指数を有する。上記の配合の定義に加えて、いくつかのグループIベースストックは、グループI+ベースストックと呼ばれ、これは、103〜108のVI値を有するグループIベースストックに対応する。いくつかのグループIIベースストックは、グループII+ベースストックと呼ばれ、これは、少なくとも113のVIを有するグループIIベースストックに対応する。いくつかのグループIIIベースストックは、グループIII+ベースストックと呼ばれ、これは、少なくとも140のVI値を有するグループIIIベースストックに対応する。
【0062】
供給原料
広範囲の石油及び化学供給原料を本発明に従って水素化処理することができる。適切な供給原料としては、全石油原油及び残油、大気圧サイクルオイル、減圧軽油及びコークス器軽油を含む軽油、生のバージン蒸留物を含む軽質から重質までの蒸留物、水素化分解生成物、水素処理油、スラックワックス、Fischer−Tropschワックス、ラフィネート、脱アスファルト化油及びこれらの材料の混合物が含まれる。
【0063】
上記のとおり、供給原料は、任意選択的に、脱アスファルト化油を含み得る。いくつかの態様において、脱アスファルト化油は、約40重量%以下、又は35重量%以下、又は30重量%以下、例えば最低20重量%若しくは場合によりさらに低い脱アスファルト化油の収率をもたらすための減圧残油沸点範囲供給原料(510℃以上のT10蒸留点)の脱アスファルト化によって形成される脱アスファルト化油などの低リフト脱アスファルト化油に対応し得る。これは、例えば、減圧残油沸点範囲供給原料の従来的なプロパン脱アスファルト化によって形成される脱アスファルト化油に対応し得る。他の態様において、脱アスファルト化油は、少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、例えば最大で80重量%若しくは場合によりさらに高い脱アスファルト化油の収率をもたらすための減圧残油沸点範囲供給原料(510℃以上のT10蒸留点)の脱アスファルト化によって形成される脱アスファルト化油などの高リフト脱アスファルト化油に対応し得る。これは、例えば、C
4+溶媒又はC
5+溶媒を使用する脱アスファルト化によって形成される脱アスファルト化油に対応し得る。C
n+溶媒は、実質的に完全に「n」個以上の炭素を含有するアルカンから構成される溶媒までなど、少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%の「n」個以上の炭素を有するアルカンを含む炭化水素溶媒として定義される。ブタンは、C
4溶媒の一例である。ペンタン、ヘキサン及びヘプタンは、C
5+溶媒の例である。アルカンは、n−アルカン及び分岐アルカンを含むことができることが留意される。
【0064】
供給原料を定義する1つの様式は、供給原料の沸点範囲に基づくものである。沸点範囲を定義する1つの選択肢は、供給原料の初期沸点及び/又は供給原料の最終沸点を使用することである。別の選択肢は、1つ以上の温度において沸騰する供給原料の量に基づいて供給原料を特徴付けることである。例えば、供給原料の「T5」沸点/蒸留点は、供給原料の5重量%が沸騰除去されるであろう温度として定義される。同様に、「T95」沸点/蒸留点は、供給原料の95重量%が沸騰する温度である。沸点は、分画重量沸点を含めて、ASTM D2887などの適切なASTM法を使って決定することができる。
【0065】
典型的な供給原料としては、例えば、少なくとも600°F(約316℃)、又は少なくとも650°F(約343℃)、又は少なくとも700°F(371℃)、又は少なくとも750°F(約399℃)の初期沸点、及び/又はT5沸点、及び/又はT10沸点を有する供給原料を含む。加えて又は代わりに、供給原料の最終沸点、及び/又はT95沸点、及び/又はT90沸点は、1100°F(約593℃)以下、又は1050°F(約566℃)以下、又は1000°F(約538℃)以下、又は950°F(約510℃)以下であり得る。特に、供給原料は、600°F(約316℃)〜1100°F(約593℃)のT5〜T95沸点範囲、又は650°F(約343℃)〜1050°F(約566℃)のT5〜T95沸点範囲、又は650°F(約343℃)〜1050°F(約566℃)のT10〜T90沸点範囲を有し得る。任意選択的に、燃料を形成するために水素化処理も使用される場合、より低い沸点範囲部分を含む供給原料を使用し得る。そのような供給原料は、少なくとも350°F(約177℃)、又は少なくとも400°F(約204℃)、又は少なくとも450°F(約232℃)の初期沸点、及び/又はT5沸点、及び/又はT10沸点を有し得る。特に、そのような供給原料は、350°F(約177℃)〜1100°F(約593℃)のT5〜T95沸点範囲、又は450°F(約232℃)〜1050°F(約566℃)のT5〜T95沸点範囲、又は350°F(約177℃)〜1050°F(約566℃)のT10〜T90沸点範囲を有し得る。
【0066】
いくつかの態様において、供給原料の芳香族含有量は、少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%であり得る。特に、芳香族含有量は、20重量%〜90重量%、又は40重量%〜80重量%、又は50重量%〜80重量%であり得る。
【0067】
水素化処理が水素処理プロセス及び/又はサワー水素化分解プロセスを含む態様において、供給原料は、500wppm〜20000wppm以上、又は500wppm〜10000wppm、又は500wppm〜5000wppmの硫黄含有量を有し得る。加えて又は代わりに、そのような供給原料の窒素含有量は、20wppm〜4000wppm又は50wppm〜2000wppmであり得る。いくつかの態様において、供給原料の硫黄含有量が10wppm〜500wppmであり、且つ/又は窒素含有量が1wppm〜100wppmであるように、供給原料は、「スイート」供給原料に対応し得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、供給原料の少なくとも一部は、生体成分供給源由来の供給原料に対応し得る。本明細書では、生体成分供給原料は、植物、動物、魚類及び/又は藻類などの生体成分供給原料からの生物学的原料成分から誘導される炭化水素供給源を意味する。本明細書の目的に関して、植物性脂肪/油は、一般にいずれの植物ベースの材料も意味し、ジャトロファ属(Jatropha)の植物などの供給源から誘導される脂肪/油を含むことができることに留意されたい。一般に、生体成分供給源は、植物性脂肪/油、動物性脂肪/油、魚油、熱分解油及び藻類脂質/油並びにそのような材料の成分を含むことができ、いくつかの実施形態において、特に脂質化合物の1種以上を含むことができる。脂質化合物は、典型的に、水中に不溶解性であるが、非極性(又は脂肪)溶媒に可溶性の生物学的な化合物である。そのような非限定的な溶媒例としては、アルコール、エーテル、クロロホルム、アルキルアセテート、ベンゼン及びそれらの組合せが含まれる。
【0069】
第2段階水素化分解
種々の態様において、供給原料を処理するための第2段階は、供給原料の少なくとも一部を水素化分解条件下で水素化分解触媒に暴露することを含むことができる。水素化分解触媒への曝露は、第2段階の複数の反応器の第1の反応器で生じ得、第2段階の水素化分解された溶出物は、その後、脱蝋触媒を含む反応器及び/又は水素化仕上げ触媒を含む反応器などの1つ以上の追加的な反応器中の触媒に暴露され得る。
【0070】
水素化分解触媒は、典型的に、非晶質シリカアルミナ、USY、ゼオライトベータ又はZSM−5などの分解ゼオライト又は酸化アルミナなどの酸性担体上の硫化卑金属を含有する。多くの場合、これらの酸性担体は、アルミナ、チタニア又はシリカなどの他の金属酸化物と混合又は結合している。水素化分解触媒のための金属の非限定的な例としては、ニッケル、ニッケル−コバルト−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステン、ニッケル−モリブデン及び/又はニッケル−モリブデン−タングステンが含まれる。加えて又は代わりに、貴金属を有する水素化分解触媒も使用可能である。貴金属触媒の非限定的な例としては、白金及び/又はパラジウムに基づくものが含まれる。貴金属及び非貴金属触媒の両方のために使用され得る担体材料は、耐火性酸化物材料、例えばアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、多孔質珪藻土(kieselguhr)、珪藻土、マグネシア、ジルコニア又はそれらの組合せを含み得、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカが最も一般である(且つ一実施形態において好ましい)。
【0071】
水素化分解触媒が、「スイート」水素化分解段階における水素化分解のためなどの第VIII族貴金属を含む態様において、1種以上の第VIII族金属は、0.1重量%〜5.0重量%、又は0.1重量%〜2.0重量%、又は0.3重量%〜2.0重量%、又は0.1重量%〜1.5重量%、又は0.3重量%〜1.5重量%の範囲の量で存在し得る。水素化分解触媒が卑金属を含む態様において、酸化型の少なくとも1種の第VIII族非貴金属は、典型的に、2重量%〜40重量%、好ましくは4重量%〜15重量%の範囲の量で存在し得る。酸化型の少なくとも1種の第VIB族金属は、典型的に、2重量%〜70重量%、好ましくは担持触媒に関して6重量%〜40重量%又は10重量%〜30重量%の範囲の量で存在し得る。これらの重量パーセントは、触媒の全重量に基づくものである。いくつかの態様において、適切な水素化分解触媒は、水素化分解触媒上に担持される金属としてニッケル/モリブデン、ニッケル/タングステン又はニッケル/モリブデン/タングステンを含むことができる。
【0072】
いくつかの態様において、水素化分解触媒は、分岐炭化水素及び/又は環式炭化水素の分解に対して選択的である大細孔モレキュラーシーブを含むことができる。ウルトラスタブルゼオライトY(USY)などのゼオライトYは、分岐炭化水素及び環式炭化水素の分解に対して選択的であるゼオライトモレキュラーシーブの一例である。態様次第で、USYゼオライト中のシリカ対アルミナ比は、少なくとも10、例えば少なくとも15、又は少なくとも25、又は少なくとも50、又は少なくとも100であり得る。態様次第で、USYゼオライトの単位格子径は、24.50オングストローム以下、例えば24.45オングストローム以下、又は24.40オングストローム以下、又は24.35オングストローム以下、例えば24.30オングストローム(以下)であり得る。他の態様において、ゼオライトベータ(Beta)及びZSM−5などの様々な他の種類のモレキュラーシーブが水素化分解触媒において使用可能である。なお他の種類の適切なモレキュラーシーブとしては、10員環細孔チャネル又は12員環細孔チャネルを有するモレキュラーシーブを挙げることができる。10員環細孔チャネル又は12員環細孔チャネルを有するモレキュラーシーブの例としては、MRE、MTT、EUO、AEL、AFO、SFF、STF、TON、OSI、ATO、GON、MTW、SFE、SSY又はVETから選択されるゼオライトフレームワーク構造を有するモレキュラーシーブが含まれる。
【0073】
いくつかの態様において、供給原料の処理のための第2段階は、所望の特性の組合せを有するUSY触媒に供給原料の少なくとも一部を暴露することに対応し得る。特性は、触媒上に装填された金属の添加前に測定することができる。USY触媒は、24.30Å以下、又は24.27Å以下、又は24.24Å以下の単位格子径を有し得る。加えて又は代わりに、USY触媒は、少なくとも50、又は少なくとも70、又は少なくとも90、又は少なくとも100、又は少なくとも110、又は少なくとも120、又は少なくとも125であり、且つ任意選択的に最大で250以上又は1000以下のシリカ対アルミナ比を有し得る。このレベルのシリカ対アルミナ比は、触媒の「脱アルミニウム化」型に対応することができる。加えて又は代わりに、USY触媒は、20以下又は10以下のアルファ値を有し得る。アルファ値試験は触媒の分解活性の尺度であり、且つそれぞれ記載に対する参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,354,078号明細書並びにJournal of Catalysis、Vol.4、p.527(1965);Vol.6、p.278(1966);及びVol.61、p.395(1980)に記載されている。本明細書で使用される試験の実験条件には、538℃の一定温度及びJournal of Catalysis、Vol.61、p.395に詳細に記載される可変性フローレートが含まれる。
【0074】
USY水素化分解触媒は、結合剤材料も含むことができる。適切な結合剤材料としては、金属酸化物、ゼオライト、アルミニウムホスフェート、ポリマー、炭素及び粘土から選択される材料が含まれる。最も好ましくは、結合剤は、金属酸化物の少なくとも1種から構成され、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、非晶質アルミノシリケート、ホウ素、チタニア及びジルコニアから選択される。好ましくは、結合剤は、シリカ、アルミナ及びシリカ−アルミナから選択される。好ましい実施形態において、結合剤は、擬似ベーマイトアルミナから構成される。
【0075】
触媒は、全最終水素化分解触媒の0〜99重量%、又は25〜80重量%、又は35〜75重量%、又は50〜65重量%の結合剤材料を含有することができる。他の好ましい実施形態において、水素化分解触媒は、80重量%未満、又は75重量%未満、又は65重量%未満、又は50重量%未満の結合剤材料であり得る。
【0076】
USYゼオライトを含有する水素化分解触媒は、追加的なゼオライト又はモレキュラーシーブを含有し得る。いくつかの態様において、水素化分解触媒は、以下のモレキュラーシーブ:ベータ、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−57、MCM−22、MCM−49、MCM−56、ITQ−7、ITQ−27、ZSM−48、モルデナイト、ゼオライトL、フェリエライト、ZSM−23、MCM−68、SSZ−26/−33、SAPO−37、ZSM−12、ZSM−18及びEMTホージャサイトの少なくとも1種をさらに含むことができる。そのような態様において、水素化分解触媒は、特に結合剤が利用される場合、仕上げ触媒に基づいて少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも25重量%、なおより好ましくは少なくとも35重量%又はさらに少なくとも50重量%の量でEMYゼオライトを含有することができる。
【0077】
USY水素化分解触媒は、触媒上に担持された少なくとも1種の水素化金属成分を含むこともできる。そのような水素化金属成分の例は、IUPAC周期表の第8〜10族からの1種以上の貴金属を含むことができる。任意選択的であるが、好ましくは、水素化分解触媒は、Pt、Pd、Rh及びRu(貴金属)又はそれらの組合せから選択される少なくとも1種の第8/9/10族金属を含むことができる。一態様において、水素化分解触媒は、Pt、Pd又はそれらの組合せから選択される少なくとも1種の第8/9/10族金属を含むことができる。一態様において、水素化分解触媒は、Ptを含むことができる。少なくとも1種の水素化金属は、当技術分野で既知のいずれかの技術によって触媒中に組み込むことができる。本明細書中の触媒中への活性金属組み込みのための好ましい技術は、初期湿潤技術である。
【0078】
触媒中の活性金属の量は、触媒に基づいて少なくとも0.1重量%又は触媒に基づいて少なくとも0.15重量%、又は少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.25重量%、又は少なくとも0.3重量%、又は少なくとも0.5重量%であり得る。第8/9/10族金属がPt、Pd、Rh、Ru又はそれらの組合せである実施形態に関して、活性金属の量は、好ましくは、0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜4重量%、なおより好ましくは0.25〜3.5重量%である。
【0079】
(250wppm以下又は100wppm以下の硫黄含有量の「スイート」条件下での)第2段階における水素化分解条件は、200〜450℃、好ましくは270〜400℃の温度、1.8〜34.6MPag(約250〜約5000psi)、好ましくは4.8〜20.8MPagの水素分圧、0.2〜10時間
−1、好ましくは0.5〜3.0時間
−1の液時空間速度及び35.6〜1781m
3/m
3(約200〜約10,000SCF/B)、好ましくは178〜890.6m
3/m
3(約1000〜約5000scf/B)の水素循環速度を含むことができる。加えて又は代わりに、この条件は、600°F(約343℃)〜815°F(約435℃)の範囲の温度、500psig〜3000psig(約3.5MPag〜約20.9MPag)の範囲の水素分圧及び213m
3/m
3〜1068m
3/m
3(約1200SCF/B〜約6000SCF/B)の水素処理ガスレートを含むことができる。
【0080】
本明細書に記載のプロセスのために適切なゼオライトY触媒の例としては、凝集Yゼオライト(又はMeso−Y)及びエクストラメソポーラスY(「EMY」)ゼオライトをベースとする触媒を含むことができる。凝集Yゼオライト(Meso−Y)の追加的な記載は、凝集Yゼオライト及び凝集Yゼオライトを含有する触媒の製造方法の記載に関して参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,778,171号明細書に見ることができる。エクストラメソポーラスYゼオライトの追加的な記載は、EMYゼオライト及びEMYゼオライトを含有する触媒の製造方法の記載に関して参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,932,454号明細書に見ることができる。
【0081】
第1の水素化処理段階 − 水素処理及び/又は水素化分解
種々の態様において、第1の水素化処理段階は、潤滑油ベースオイル製造のための供給原料の1つ以上の品質を改善するために使用することができる。供給原料の改善の例としては、限定されないが、供給原料のヘテロ原子含有量を減少させること、粘度指数向上を提供するために供給原料で変換を実行すること、及び/又は供給原料上で芳香族飽和を実行することが含まれ得る。
【0082】
ヘテロ原子除去に関して、初期水素化処理段階(水素処理及び/又は水素化分解)における条件は、水素化処理された溶出物の硫黄含有量を250wppm以下、又は200wppm以下、又は150wppm以下、又は100wppm以下、又は50wppm以下、又は25wppm以下、又は10wppm以下まで減少させるために十分であり得る。特に、水素化処理された溶出物の硫黄含有量は、1wppm〜250wppm、又は1wppm〜50wppm、又は1wppm〜10wppmであり得る。加えて又は代わりに、初期水素化処理段階における条件は、窒素含有量を100wppm以下、又は50wppm以下、又は25wppm以下、又は10wppm以下まで減少させるために十分であり得る。特に、窒素含有量は、1wppm〜100wppm、又は1wppm〜25wppm、又は1wppm〜10wppmであり得る。
【0083】
初期水素化処理段階の一部として水素処理を含む態様において、水素処理触媒は、いずれかの適切な水素処理触媒、例えば少なくとも1種の第8〜10族非貴金属(例えば、Ni、Co及びそれらの組合せから選択されるもの)及び少なくとも1種の第6族金属(例えば、Mo、W及びそれらの組合せから選択されるもの)を含み、任意選択的に適切な担体及び/又は充填剤材料(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア又はそれらの組合せを含むもの)を含む触媒を含み得る。本発明の態様による水素処理触媒は、バルク触媒又は担持触媒であり得る。担持触媒を製造するための技術は、当技術分野において周知である。バルク金属触媒粒子を製造するための技術は、既知であり、例えば参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,162,350号明細書に以前に記載されている。バルク金属触媒粒子は、全ての金属触媒前駆体委が溶液中にある方法により、又は前駆体の少なくとも1つが少なくとも部分的に固体形態であり、任意選択的であるが、好ましくは少なくとも1つの他の前駆体のみが溶液形態で提供される方法により製造することができる。少なくとも部分的に固体形態である金属前駆体を提供することは、例えば、懸濁粒子の形態などの溶液中に固体及び/又は沈殿金属も含む金属前駆体の溶液を提供することによって達成することができる。実例として、適切な水素処理触媒のいくつかの例は、中でも、米国特許第6,156,695号明細書、同第6,162,350号明細書、同第6,299,760号明細書、同第6,582,590号明細書、同第6,712,955号明細書、同第6,783,663号明細書、同第6,863,803号明細書、同第6,929,738号明細書、同第7,229,548号明細書、同第7,288,182号明細書、同第7,410,924号明細書及び同第7,544,632号明細書、米国特許出願公開第2005/0277545号明細書、同第2006/0060502号明細書、同第2007/0084754号明細書及び同第2008/0132407号明細書並びに国際公開第04/007646号パンフレット、同第2007/084437号パンフレット、同第2007/084438号パンフレット、同第2007/084439号パンフレット及び同第2007/084471号パンフレットの1つ以上において記載されている。好ましい金属触媒としては、アルミナ上のコバルト/モリブデン(1〜10%の酸化物としてのCo、10〜40%の酸化物としてのMo)、ニッケル/モリブデン(1〜10%の酸化物としてのNi、10〜40%の酸化物としてのCo)又はニッケル/タングステン(1〜10%の酸化物としてのNi、10〜40%の酸化物としてのW)が含まれる。
【0084】
種々の態様において、水素処理条件は、200〜450℃又は315℃〜425℃の温度;250psig(約1.8MPag)〜5000psig(約34.6MPag)、又は500psig(約3.4MPag)〜3000psig(約20.8MPag)、又は800psig(約5.5MPag)〜2500psig(約17.2MPag)の圧力;0.2〜10時間
−1の液時空間速度;及び200scf/B(35.6m
3/m
3)〜10,000scf/B(1781m
3/m
3)又は500(89m
3/m
3)〜10,000scf/B(1781m
3/m
3)の水素処理レートを含むことができる。
【0085】
水素処理触媒は、典型的に、第6族金属及び非貴金属第8〜10族金属、すなわち鉄、コバルト及びニッケル並びにそれらの混合物を含有するものである。これらの金属又はこれらの金属の混合物は、耐火性金属酸化物担体上の酸化物又は硫化物として典型的に存在する。適切な金属酸化物担体としては、シリカ、アルミナ又はチタニア、好ましくはアルミナなどの低酸性酸化物が含まれる。いくつかの態様において、好ましいアルミナは、50〜200Å又は75〜150Åの平均細孔径;100〜300m
2/g又は150〜250m
2/gの表面積;及び/又は0.25〜1.0cm
3/g若しくは0.35〜0.8cm
3/gの細孔体積を有するガンマ若しくはベータなどの多孔性アルミナに対応することができる。ハロゲンは、一般に担体の酸性を増加させるため、担体は、好ましくは、フッ素などのハロゲンによって促進されない。
【0086】
代わりに、水素処理触媒は、バルク金属触媒又は担持及びバルク金属触媒の積層床の組合せであり得る。バルク金属とは、触媒が担持されず、バルク触媒粒子が、金属酸化物として算出されるバルク触媒粒子の全重量に基づいて30〜100重量%の少なくとも1種の第8〜10族非貴金属及び少なくとも1種の第6族金属を含み、且つバルク触媒粒子が少なくとも10m
2/gの表面積を有することを意味する。本明細書に使用されるバルク金属水素処理触媒は、金属酸化物として算出される粒子の全重量に基づいて50〜100重量%、さらにより好ましくは70〜100重量%の少なくとも1種の第8〜10族非貴金属及び少なくとも1種の第6族金属を含むことがさらに好ましい。第6族及び第8〜10族非貴金属の量は、VIB TEM−EDXによって容易に決定することができる。
【0087】
1種の第8〜10族非貴金属及び2種の第6族金属を含むバルク触媒組成物が好ましい。この場合、バルク触媒粒子が焼結抵抗性であることが見出された。したがって、バルク触媒粒子の活性表面積は、使用中に維持される。第6族対第8〜10族非貴金属のモル比は、一般に、10:1〜1:10、好ましくは3:1〜1:3の範囲である。コア−シェル構造粒子の場合、これらの比率は、当然のことながら、シェルに含有される金属に適用される。2種以上の第6族金属がバルク触媒粒子中に含有される場合、種々の第6族金属の比率は、重要ではない。2種以上の第8〜10族非貴金属が適用される場合も同様である。モリブデン及びタングステンが第6族金属として存在する場合、モリブデン:タングステン比は、好ましくは、9:1〜1:9の範囲にある。好ましくは、第8〜10族非貴金属は、ニッケル及び/又はコバルトを含む。第6族金属は、モリブデン及びタングステンの組合せを含むことがさらに好ましい。好ましくは、ニッケル/モリブデン/タングステン、及びコバルト/モリブデン/タングステン、及びニッケル/コバルト/モリブデン/タングステンの組合せが使用される。これらの種類の沈殿物は、焼結抵抗性であるように見える。したがって、沈殿物の活性表面積は、使用中に維持される。金属は、好ましくは、対応する金属の酸化化合物として存在するか、又は触媒組成物が硫化物である場合、対応する金属の硫化合物である。
【0088】
いくつかの任意選択的な態様において、本明細書で使用されるバルク金属水素処理触媒は、少なくとも50m
2/g、より好ましくは少なくとも100m
2/gの表面積を有する。そのような態様において、バルク金属水素処理触媒の細孔径分布は、従来の水素処理触媒のものとほぼ同じであることも望ましい。バルク金属水素処理触媒は、窒素吸着によって決定される0.05〜5ml/g、又は0.1〜4ml/g、又は0.1〜3ml/g、又は0.1〜2tagの細孔体積を有することができる。好ましくは、1nm未満の細孔は、存在しない。バルク金属水素処理触媒は、少なくとも50nm又は少なくとも100nmの中央直径を有することができる。バルク金属水素処理触媒は、5000μm以下又は3000μm以下の中央直径を有することができる。一実施形態において、中央粒子直径は、0.1〜50μmの範囲、最も好ましくは0.5〜50μmの範囲である。
【0089】
初期水素化処理段階の一部として水素化分解を含む態様において、初期段階水素化分解触媒は、いずれかの適切又は標準的な水素化分解触媒、例えばゼオライトベータ、ゼオライトX、ゼオライトY、ホージャサイト、ウルトラスタブルY(USY)、脱アルミニウム化Y(Deal Y)、モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20、ZSM−48及びそれらの組合せから選択されるゼオライト系ベースを含むことができる。このゼオライト系ベースは、有利には、1種以上の活性金属(例えば、(i)白金及び/若しくはパラジウムなどの第8〜10族貴金属、又は(ii)ニッケル、コバルト、鉄及びそれらの組合せなどの第8〜10族非貴金属とモリブデン及び/若しくはタングステンなどの第6族金属)によって装填され得る。本明細書では、ゼオライト系材料は、International Zeolite Associationによって認識されるフレームワーク構造などの認識されたゼオライトフレームワーク構造を有する材料を含むものとして定義される。そのようなゼオライト系材料は、シリコアルミネート、シリコアルミノホスフェート、アルミホスフェート及び/又はゼオライト系フレームワーク構造を形成するために使用可能な他の原子の組合せに対応することができる。ゼオライト系材料に加えて、他の種類の結晶質酸性担体材料も適切であり得る。任意選択的に、ゼオライト系材料及び/又は他の結晶質酸性材料は、アルミナ、チタニア及び/又はシリカなどの他の金属酸化物と混合又は結合され得る。
【0090】
第1段階(又は他のサワー条件下)における水素化分解プロセスは、200〜450℃の温度;250psig〜5000psig(約1.8MPag〜約34.6MPag)の水素分圧;0.2〜10時間
−1の液時空間速度;及び35.6m
3/m
3〜1781m
3/m
3(約200SCF/B〜約10,000SCF/B)の水素処理ガスレートにおいて実行可能である。典型的に、ほとんどの場合、この条件は、300℃〜450℃の温度、500psig〜2000psig(約3.5MPag〜約13.9MPag)の水素分圧、0.3時間1〜2時間
−1の液時空間速度及び213m
3/m
3〜1068m
3/m
3(約1200SCF/B〜約6000SCF/B)の水素処理ガスレートを含むことができる。
【0091】
任意選択的に、初期処理段階の一部として脱金属化触媒を含むことができる。脱金属化の従来の触媒及び条件を使用することができる。いくつかの態様において、脱金属化触媒の初期床は、脱金属化が水素処理条件下で実行されるように水素処理反応器中に含まれ得る。
【0092】
追加的な第2段階処理 − 脱蝋及び水素化仕上げ/芳香族飽和
第1段階における水素化処理後、水素化処理された溶出物を分離することができる。いくつかの態様において、分離は、ヘテロ原子除去中に発生する汚染物質ガス(H
2S、NH
3)の分離に主に焦点を置く分離に対応し得る。いくつかの態様において、ナフサ及び/又はディーゼル沸点範囲部分などの水素化処理された溶出物の追加的なより低沸点の部分を分離することができる。そのような態様において、(任意選択的にディーゼル沸点範囲部分及び/又は他の水素化処理された底物を含む)潤滑油沸点範囲部分を触媒脱蝋及び/又は水素化仕上げ又は芳香族飽和によってさらに処理することができる。
【0093】
種々の態様において、第2又は次の処理段階の一部として触媒脱蝋を含むことができる。好ましくは、脱蝋触媒は、炭化水素供給原料を異性化することによって主に脱蝋を実行するゼオライト(及び/又はゼオライト系結晶)である。より好ましくは、触媒は、一次元細孔構造を有するゼオライトである。適切な触媒としては、EU−1、ZSM−35(又はフェリエライト)、ZSM−11、ZSM−57、NU−87、SAPO−11及びZSM−22などの10員環細孔ゼオライトが含まれる。好ましい材料は、EU−2、EU−11、ZBM−30、ZSM−48又はZSM−23である。ZSM−48が最も好ましい。20:1〜40:1のシリカ対アルミナ比を有するZSM−23構造を有するゼオライトは、SSZ−32と呼ばれることがあることに留意されたい。上記材料と親近構造の他のゼオライト系結晶としては、Theta−1、NU−10、EU−13、KZ−1及びNU−23が含まれる。
【0094】
種々の実施形態において、脱蝋触媒は、金属水素化成分をさらに含み得る。金属水素化成分は、典型的に第6族及び/又は第8〜10族金属である。好ましくは、金属水素化成分は、第8〜10族貴金属である。好ましくは、金属水素化成分は、Pt、Pd又はそれらの混合物である。別の好ましい実施形態において、金属水素化成分は、非貴金属第8〜10族金属と第6族金属との組合せであり得る。適切な組合せは、Ni、Co又はFe及びMo又はW、好ましくはNi及びMo又はWを含み得る。
【0095】
金属水素化成分は、いずれかの都合のよい様式で脱蝋触媒に添加され得る。金属水素化成分を添加するための1つの技術は、初期湿潤による。例えば、ゼオライト及び結合剤を組み合わせた後、組み合わせたゼオライト及び結合剤を触媒粒子に押出成形することができる。次いで、これらの触媒粒子を、適切な金属前駆体を含有する溶液に曝露することができる。代わりに、イオン交換によって金属を触媒に添加することができ、この場合、金属前駆体は、押出成形前にゼオライト(又はゼオライト及び結合剤)の混合物に添加される。
【0096】
脱蝋触媒中の金属の量は、触媒に基づいて少なくとも0.1重量%又は触媒に基づいて少なくとも0.15重量%、又は少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.25重量%、又は少なくとも0.3重量%、又は少なくとも0.5重量%であり得る。触媒中の金属の量は、触媒に基づいて20重量%以下、又は10重量%以下、又は5重量%以下、又は2.5重量%以下、又は1重量%以下であり得る。金属がPt、Pd、別の第8〜10族貴金属又はそれらの組合せである態様に関して、金属の量は、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%、又は0.25〜1.8重量%、又は0.4〜1.5重量%であり得る。金属が非貴金属第8〜10族金属と第6族金属との組合せである態様に関して、金属の合計量は、0.5重量%〜20重量%、又は1重量%〜15重量%、又は2.5重量%〜10重量%であり得る。
【0097】
好ましくは、脱蝋触媒は、アルミナに対するシリカの低い比率を有する触媒であり得る。例えば、ZSM−48に関して、ゼオライト中のシリカ対アルミナの比率は、200:1未満、又は110:1未満、又は100:1未満、又は90:1未満、又は80:1未満であり得る。特に、シリカ対アルミナの比率は、30:1〜200:1、又は60:1〜110:1、又は70:1〜100:1であり得る。
【0098】
脱蝋触媒も結合剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明によるプロセスにおいて使用される脱蝋触媒は、低表面積結合剤を使用して配合される。低表面積結合剤は、100m
2/g以下、又は80m
2/g以下、又は70m
2/g以下、例えば最低40m
2/g若しくはさらに低い表面積を有する結合剤を表す。
【0099】
代わりに、ミクロ細孔表面積対全表面積の望ましい比率を触媒に提供するように結合剤及びゼオライト粒径を選択することができる。本発明により使用される脱蝋触媒において、ミクロ細孔表面積は、脱蝋触媒中のゼオライトの一次元細孔からの表面積に対応する。全表面は、ミクロ細孔表面積及び外部表面積に対応する。触媒中で使用されるいずれの結合剤もミクロ細孔表面積に寄与せず、且つ触媒の全表面積を有意に増加させないであろう。外部表面積は、ミクロ細孔表面積を差し引いた全触媒表面積の残りを表す。結合剤及びゼオライトの両方が外部表面積の値に寄与し得る。好ましくは、脱蝋触媒の全表面積に対するミクロ細孔表面積の比率は、25%以上であろう。
【0100】
ゼオライト(又は他のゼオライト材料)は、いずれかの都合のよい様式で結合剤と組み合わせることができる。例えば、ゼオライト及び結合剤の両方の粉末から出発し、水を添加して粉末を組み合わせ且つ混錬して混合物を形成し、次いで混合物を押出成形して、所望の径の結合された触媒を製造することにより、結合された触媒を製造することができる。ゼオライト及び結合剤混合物の押出成形フロー特性を変更すために押出成形助剤も使用することができる。触媒中のフレームワークアルミナの量は、0.1〜3.33重量%、又は0.1〜2.7重量%、又は0.2〜2重量%、又は0.3〜1重量%の範囲であり得る。
【0101】
さらに別の実施形態において、2種以上の金属酸化物から構成される結合剤も使用可能である。そのような実施形態において、低表面積結合剤の重量パーセントは、好ましくは、より高表面積の結合剤の重量パーセントより高い。
【0102】
代わりに、混合金属酸化物結合剤を形成するために使用される両金属酸化物が十分に低い表面積を有する場合、結合剤中のそれぞれの金属酸化物の割合は、それほど重要でない。結合剤を形成するために2種以上の金属酸化物が使用される場合、2種の金属酸化物は、いずれかの都合のよい方法によって触媒中に組み込むことができる。例えば、噴霧乾燥中などのゼオライト粉末の形成中、1種の結合剤をゼオライトと混合することができる。次いで、噴霧乾燥されたゼオライト/結合剤粉末を押出成形前に第2の金属酸化物結合剤と混合することができる。一態様において、脱蝋触媒は、自己結合可能であり、且つ結合剤を含まない。触媒脱蝋ゾーンにおけるプロセス条件は、200〜450℃、好ましくは270〜400℃の温度、1.8〜34.6mPa(約250〜約5000psi)、好ましくは4.8〜20.8mPaの水素分圧、0.2〜10時間
−1、好ましくは0.5〜3.0時間
−1の液時空間速度及び35.6〜1781m
3/m
3(約200〜約10,000scf/B)、好ましくは178〜890.6m
3/m
3(約1000〜約5000scf/B)の水素循環速度を含むことができる。
【0103】
種々の態様において、水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和プロセスも提供され得る。水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和は、脱蝋前及び/又は脱蝋後に生じ得る。水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和は、分留前又は後に生じ得る。水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和が分留後に生じる場合、水素化仕上げは、1種以上の潤滑油ベースストックの部分で実行されるなどの分留された生成物の1つ以上の部分において実行可能である。代わりに、最後の水素化分解又は脱蝋プロセスからの全溶出物を水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和させることができる。
【0104】
いくつかの状況において、水素化仕上げプロセス及び芳香族飽和プロセスは、同一の触媒を使用して実行される単一のプロセスと呼ぶことができる。代わりに、1種の触媒又は触媒系を提供して芳香族飽和を実行することができる一方、第2の触媒又は触媒系を水素化仕上げのために使用することができる。典型的に、水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和プロセスは、水素化仕上げ又は芳香族飽和プロセスのためのより低い温度の使用を促進するなどの実際的な理由のため、脱蝋又は水素化分解プロセスとは別個の反応器で実行されるであろう。しかしながら、水素化分解又は脱蝋プロセス後であるが、分留前の追加的な水素化仕上げ反応器は、なお概念的に反応システムの第2段階の一部分であると考えることができる。
【0105】
水素化仕上げ及び/又は芳香族飽和触媒は、第6族金属、第8〜10族金属及びそれらの混合物を含有する触媒を含むことができる。一実施形態において、好ましい金属としては、強い水素化作用を有する少なくとも1種の金属硫化物が含まれる。別の実施形態において、水素化仕上げ触媒は、Pt、Pd又はそれらの組合せなどの第8〜10族貴金属を含むことができる。金属の混合物は、金属の量が触媒に基づいて30重量%以上であるバルク金属触媒として存在し得る。適切な金属酸化物担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ又はチタニア、好ましくはアルミナなどの低酸性酸化物が含まれる。芳香族飽和のために好ましい水素化仕上げ触媒は、多孔性担体上の比較的強い水素化作用を有する少なくとも1種の金属を含むであろう。典型的な担体材料としては、アルミナ、シリカ及びシリカ−アルミナなどの非晶質又は結晶質酸化物材料が含まれる。担体材料は、ハロゲン化により、又は特にフッ素化などによって変性され得る。触媒の金属含有量は、多くの場合、非貴金属に対する20重量パーセントと同等に高い。一実施形態において、好ましい水素化仕上げ触媒としては、M41Sクラス又は系統の触媒に属する結晶質材料が含まれ得る。触媒のM41S系統は、高シリカ含有量を有するメソポーラス材料である。例として、MCM−41、MCM−48及びMCM−50が含まれる。このクラスの好ましい種類は、MCM−41である。芳香族飽和及び水素化仕上げのために別個の触媒が使用される場合、芳香族飽和触媒は、芳香族飽和の活性及び/又は選択性に基づいて選択することができる一方、水素化仕上げ触媒は、生成物の色及び多核芳香族減少などの生成物の規格を改善するための活性に基づいて選択することができる。
【0106】
水素化仕上げ条件は、125℃〜425℃、好ましくは180℃〜280℃の温度、500psig(約3.4MPag)〜3000psig(約20.7MPag)、好ましくは1500psig(約10.3MPag)〜2500psig(約17.2MPag)の全圧力及び0.1時間
−1〜5時間
−1、好ましくは0.5時間
−1〜1.5時間
−1の液時空間速度(LHSV)を含むことができる。
【0107】
第2の分留又は分離は、第2又は次の段階後の1つ以上の位置において実行可能である。いくつかの態様において、分留は、スイート条件下、USY触媒の存在下、第2段階における水素化分解後に実行可能である。次いで、第2段階水素化分解溶出物の少なくとも潤滑油沸点範囲の部分は、さらなる処理のための脱蝋及び/又は水素化仕上げ反応器に送られることができる。いくつかの態様において、水素化分解及び脱蝋は、第2の分留前に実行可能である。いくつかの態様において、水素化分解、脱蝋及び芳香族飽和は、第2の分留前に実行可能である。任意選択的に、芳香族飽和及び/又は水素化仕上げは、第2の分留前、第2の分留後又は第2の分留前及び後に実行可能である。
【実施例】
【0108】
実施例1 − 軽質中性及び重質中性のブロック処理
以下は、予言的実施例である。
図1〜3に示される構造と類似する処理構成を使用して、軽質中性ベースストック生成物及び重質中性ベースストック生成物を形成するために供給原料を処理する。全範囲供給原料は、第1の(サワー)処理段階において処理される。次いで、分留を使用して、軽質中性ベースストック製造及び重質中性ベースストック製造のための別個の水素化処理された供給原料を形成する。分留後、軽質中性ベースストック製造のための供給原料は、85の粘度指数を有し、重質中性ベースストック製造のための供給原料は、90の粘度指数を有する。次いで、供給原料を処理するためにブロック操作が使用される。軽質中性供給原料に関する第2段階水素化分解反応器における変換は、135の粘度指数及び約4.0cStの粘度を有する軽質中性ベースストック生成物を製造するために十分である。第2段階水素化分解反応器における軽質中性供給原料のための変換の量は、370℃に対して約60重量%である。重質中性供給原料に関する第2段階水素化分解反応器における変換は、95の粘度指数及び約11cStの粘度を有する重質中性ベースストック生成物を製造するために十分である。第2段階水素化分解反応器における重質中性供給原料のための変換の量は、370℃に対して約10重量%である。
【0109】
実施例2 − 重質中性処理間の反応器温度管理
以下は、予言的実施例である。
図2と類似する処理構成を使用して、複数の潤滑油ベースストックの製造のための処理構成のブロック操作の一部としての重質中性供給原料の製造などの重質中性供給原料の製造のための第2段階処理を実行することができる。本実施例において、(
図2で110として示される)第1の反応器段階における少なくとも1つの初期触媒床は、芳香族飽和触媒の床に対応する。加えて、第1の反応器段階における少なくとも1つの次の触媒床は、USYゼオライト上に担持されたPtを含む水素化分解触媒などの水素化分解触媒床に対応する。したがって、第1の反応器段階は、水素化分解段階に対応する。本実施例において、(
図2で120として示される)第2の反応器における少なくとも1つの初期触媒床は、脱蝋触媒の床に対応する。したがって、第2の反応器段階は、脱蝋段階に対応する。任意選択的に、第2の反応器段階における少なくとも1つの次の触媒床は、芳香族飽和触媒に対応し得る。本実施例における触媒床という表現は、床がある種類の触媒によって部分的にのみ装填されている構成及び/又は触媒を保持するための単一の反応器床が異なる触媒種の複数の層(又は積層床)を含有する構成を含むものとして理解されることに留意されたい。(
図2で140として示される)第3の反応器は、芳香族飽和触媒の1つ以上の床を含むことができる。
【0110】
本実施例において、重質中性供給原料の処理の開始時、第1の(水素化分解)反応器によって必要とされる温度は、低いことができる。初期の低温は、一部において、重質中性製造のための所望の標的を満たすための粘度指数向上の限定された量のみを必要とするためであり得、且つ/又は一部において、反応器中の触媒の比較的高い活性によるためであり得る。一例として、第1の反応器への入口に関する実行温度の開始は、560°F(293℃)であり得る。反応器中の反応に基づき、第1の反応器の出口のための実行温度の開始は、585°F(307℃)であり得る。この温度は、最終の重質中性生成物に関するコールドフローの特性のための所望の標的を達成するために脱蝋を実行するための所望の温度より低いことができる。例えば、第2の反応器への入口に関する実行温度の開始は、600°F(316℃)であり得る。
【0111】
一定期間後、重質中性供給原料の処理により、種々の反応器中の触媒の非活性化がもたらされ得る。このような老化は、コークス形成及び/又は水素化処理条件下で供給原料への曝露のため水素化処理触媒の活性が減少する他のいずれかの典型的な理由のためであり得る。触媒老化を補償するために、粘度指数向上の所望の量がなお達成されるように、第1の反応器の温度を増加させることができる一方、コールドフロー特性における改善の所望の量が達成されるように、第2の反応器の温度を増加させることができる。脱蝋触媒は、多くの場合、水素化分解触媒より老化が遅いため、第1の反応器に関して必要とされる温度増加の量は、第2の反応器に関する量より高くなり得る。結果として、処理実行の終了まで、第1の反応器のための入口温度は、575℃であり得る。このようなより高い温度において、より多くの反応が生じ、第1の反応器入口及び第1の反応器出口の温度間のより大きい相違が導かれ得る。第1の反応器出口の実行温度の終了は、640°F(338℃)であり得る。任意選択的に、このより高い相違の一部は、初期の芳香族飽和触媒床と次の水素化分解触媒床との間のクエンチ流の除去にも対応し得る。対照的に、脱蝋触媒の触媒老化の量は、より適度な温度増加をもたらし得るため、実行の終了時の第2の反応器の反応器入口温度は、630°F(332℃)であり得る。
【0112】
第1の反応器出口温度及び第2の反応器入口温度間の差の比較に基づき、第1及び第2の反応器間の温度プロフィールは、処理実行開始及び処理実行終了中に切り替えられる。処理実行開始時、第1の反応器出口温度は、第2の反応器入口温度より9℃だけ低い。処理実行終了時、第1の反応器出口温度は、第2の反応器入口温度より6℃だけ高い。加熱された水素ライン281及び/又は282を使用して、これらの所望の温度差の達成を促進することができる。例えば、処理実行開始時、追加的な加熱された水素を第2の反応器に送達させて、脱蝋の実行温度の所望の開始を達成するために必要な追加的な温度を提供することができる。加えて又は代わりに、熱交換器を使用して、このような温度上昇を提供することができる。経時的に、処理実行中のある時点において脱蝋反応器の入口温度が水素化分解反応器の出口温度未満まで低下するまで、加熱された水素ライン282によって送達される加熱された水素の量を減少させることができる。処理実行が継続すると、加熱された水素ライン281を任意選択的に使用して、第1の(水素化分解)反応器のための追加的な熱を提供することができる。加えて又は代わりに、供給原料の追加的な熱を使用して、触媒老化を相殺するために必要とされる第1の反応器の温度増加を達成することができる。
【0113】
反応器温度順番の類似の切り換えは、例えば、ブライトストック製造のための第2段階処理中にも生じ得る。この追加的な実施例において、上記と同一種の触媒システムを使用することができる。水素化分解反応器入口/水素化分解反応器出口のための実行温度の開始は、560°F(293℃)/585°F(307℃)であり得、これは、重質中性処理の実施例に関する対応温度に類似する。一部において、最終生成物の所望の粘度指数向上のより高い量のため、水素化分解反応器入口/出口の実行温度の終了は、610°F(321℃)/700°F(371℃)であり得る。脱蝋に関して、実行入口温度の開始は、650°F(343℃)であり得る一方、実行入口温度の終了は、690°F(366℃)であり得る。したがって、本実施例に関して、実行の開始時の水素化分解反応器の出口は、脱蝋入口より温度が30℃だけ低い一方、実行の終了時、水素化分解反応器の出口は、脱蝋入口より温度が5℃だけ高い。
【0114】
追加的な実施形態
実施形態1.ブロック操作を使用して潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法であって、水素化処理された供給原料を分留して、少なくとも、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲留分と、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲留分とを形成することであって、第1の潤滑油沸点範囲留分の343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し、第2の潤滑油沸点範囲留分は、任意選択的に、第1の潤滑油沸点範囲留分の粘度指数より大きい粘度指数を有する、形成することと、第1の反応器中において、第1の水素化分解入口温度及び第1の水素化分解出口温度を含む第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することであって、第1の水素化分解条件は、第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する10重量%〜80重量%変換を含む、形成することと、第2の反応器中において、第1の触媒脱蝋条件下、第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成することと、第1の反応器中において、第2の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成することであって、第2の水素化分解条件は、第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する1重量%〜25重量%変換を含み、第2の水素化分解条件は、第2の水素化分解入口温度及び第2の水素化分解出口温度を含み、第1の水素化分解条件のための370℃に対する変換は、第2の水素化分解条件のための370℃に対する変換より少なくとも10重量%大きい(又は少なくとも20重量%大きい、又は少なくとも30重量%大きい)、形成することと、第2の反応器中において、第2の触媒脱蝋条件下、第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成することと、第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成することと、第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成することであって、第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも5(又は少なくとも15、又は少なくとも25)だけ低い、形成することとを含む方法。
【0115】
実施形態2.水素化処理条件下で供給原料を水素化処理して、水素化処理された供給原料を形成することをさらに含む、実施形態1の方法。
【0116】
実施形態3.ブロック操作を使用して潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法であって、供給原料を分留して、少なくとも、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲留分と、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲留分とを形成することであって、343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し、第2の潤滑油沸点範囲留分は、任意選択的に、第1の潤滑油沸点範囲留分の粘度指数より大きい粘度指数を有する、形成することと、第1の水素化処理条件下で第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化処理して、第1の水素化処理された溶出物を形成することと、第1の反応器中において、第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で第1の水素化処理された溶出物の少なくとも一部を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することであって、第1の水素化処理条件及び第1の水素化分解条件は、370℃に対する40重量%〜80重量%の第1の潤滑油沸点範囲留分の合計変換を含む、形成することと、第2の反応器中において、第1の触媒脱蝋条件下、第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成することと、第2の水素化処理条件下で第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を水素化処理して、第2の水素化処理された溶出物を形成することと、第1の反応器中において、第2の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で第2の水素化処理された溶出物の少なくとも一部を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成することであって、第2の水素化処理条件及び第2の水素化分解条件は、370℃に対する20重量%〜60重量%の第2の潤滑油沸点範囲留分の合計変換を含む、形成することと、第2の反応器中において、第2の触媒脱蝋条件下、第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成することと、第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成することと、第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成することであって、第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも5(又は少なくとも15、又は少なくとも25)だけ低い、形成することとを含む方法。
【0117】
実施形態4.第2の触媒脱蝋条件は、第2の水素化分解出口温度より高い(若しくは少なくとも5℃高いか、若しくは少なくとも10℃高いか、若しくは少なくとも20℃高いか、若しくは少なくとも30℃高い)第2の脱蝋入口温度を含むか、又は第1の触媒脱蝋条件は、第1の水素化分解出口温度より低い(若しくは少なくとも5℃低いか、若しくは少なくとも10℃低いか、若しくは少なくとも20℃低い)第1の脱蝋入口温度を含むか、或いはそれらの組合せである、上記実施形態のいずれかの方法。
【0118】
実施形態5.第2の触媒脱蝋条件は、加熱された水素含有流を第2の反応器中に導入することを含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0119】
実施形態6.水素化処理された供給原料、第1の潤滑油沸点範囲留分及び第2の沸点範囲留分の1つ以上は、100wppm以下の硫黄を含むか、若しくは水素化分解触媒は、水素化触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の貴金属を含むか、若しくは水素化分解触媒は、24.30Å以下の単位格子径、少なくとも50のシリカ対アルミナ比及び20以下のアルファ値を有するUSYゼオライトを含むか、又はそれらの組合せである、上記実施形態のいずれかの方法。
【0120】
実施形態7.水素化処理された供給原料を分留することは、燃料沸点範囲留分を形成することをさらに含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0121】
実施形態8.i)第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の水素化分解前に第1の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を貯蔵することをさらに含むか、ii)第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の水素化分解前に第2の潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部を貯蔵することをさらに含むか、又はiii)i)及びii)の組合せである、上記実施形態のいずれかの方法。
【0122】
実施形態9.第1の反応器は、芳香族飽和触媒をさらに含むか、第2の反応器は、芳香族飽和触媒をさらに含むか、又はそれらの組合せである、上記実施形態のいずれかの方法。
【0123】
実施形態10.第1の潤滑油沸点範囲生成物は、少なくとも125(若しくは少なくとも130、若しくは少なくとも135)の粘度指数を含むか、又は第2の潤滑油沸点範囲生成物は、少なくとも80(若しくは少なくとも85、若しくは少なくとも90)の粘度指数を含むか、又は第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数より少なくとも15(若しくは少なくとも25)だけ低いか、或いはそれらの組合せである、上記実施形態のいずれかの方法。
【0124】
実施形態11.第1の脱蝋条件は、第2の脱蝋条件と実質的に同様であるか、又は第1の水素化分解入口温度は、第2の水素化分解入口温度より少なくとも10℃(若しくは少なくとも15℃、若しくは少なくとも20℃)だけ高いか、或いはそれらの組合せである、上記実施形態のいずれかの方法。
【0125】
実施形態12.第3の反応器中において、第1の芳香族飽和条件下、第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、第1の潤滑油沸点範囲生成物を含む第1の飽和生成物を形成することであって、第1の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有する、形成することと、第3の反応器中において、第2の芳香族飽和条件下、第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、第2の潤滑油沸点範囲生成物を含む第2の飽和生成物を形成することであって、第2の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有する、形成することとをさらに含み、第1の芳香族飽和条件は、任意選択的に、第2の芳香族飽和条件と実質的に同様であり、第2の反応器は、任意選択的に、第2の芳香族飽和触媒をさらに含み、第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部は、脱蝋触媒に曝露される前に第2の芳香族飽和触媒の少なくとも一部と接触する、上記実施形態のいずれかの方法。
【0126】
実施形態13.多反応器反応システムであって、第1のガス入口と、水素化分解反応器入口と、水素化分解反応器出口と、水素化分解触媒であって、水素化分解触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の第8族〜第10族貴金属を含む水素化分解触媒とを含む第1の反応器と、第2のガス入口と、脱蝋反応器入口と、脱蝋反応器出口と、脱蝋触媒とを含む第2の反応器であって、脱蝋反応器入口は、水素化分解反応器出口と流体連通している、第2の反応器と、芳香族飽和入口と、芳香族飽和出口と、第1の芳香族飽和触媒とを含む第3の反応器であって、芳香族飽和入口は、脱蝋反応器出口と流体連通している、第3の反応器と、供給原料加熱器流路と、水素加熱器流路とを含む加熱器であって、供給原料加熱器流路は、水素化分解反応器入口と流体連通しており、水素加熱器流路は、第1のガス入口及び第2のガス入口と流体連通している、加熱器とを含み、任意選択的に、第2の芳香族飽和触媒の少なくとも一部は、第2の反応器中の流れの方向に対して脱蝋触媒から上流に位置する、多反応器反応システム。
【0127】
実施形態14.第3の反応器は、水素加熱器流路と流体連通している第3のガス入口をさらに含むか、若しくは水素化分解反応器入口は、第1のガス入口を含むか、若しくは第2のガス入口は、加熱された水素流路と選択的に流体連通しているか、又はそれらの組合せである、実施形態13のシステム。
【0128】
実施形態15.第1の貯蔵タンク及び第2の貯蔵タンクをさらに含み、第1の貯蔵タンク及び第2の貯蔵タンクは、供給原料加熱器流路と選択的に流体連通しており、第1の貯蔵タンクは、343℃+部分を含む第1の潤滑油沸点範囲供給原料を含み、第1の潤滑油沸点範囲供給原料の343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有し、第2の貯蔵タンクは、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有する第2の潤滑油沸点範囲供給原料を含み、第2の潤滑油沸点範囲供給原料は、任意選択的に、第1の潤滑油沸点範囲供給原料の粘度指数より大きい粘度指数を有する、実施形態13又は14のシステム。
【0129】
実施形態16.潤滑油沸点範囲生成物を製造する方法であって、第1の反応器中において、第1の水素化分解入口温度及び第1の水素化分解出口温度を含む第1の水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で潤滑油沸点範囲留分を水素化分解して、第1の水素化分解された溶出物を形成することであって、第1の水素化分解条件は、潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する第1の量の変換を含む、形成することと、第2の反応器中において、第1の脱蝋入口温度を含む第1の触媒脱蝋条件下、第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第1の脱蝋された溶出物を形成することであって、第1の脱蝋入口温度は、第1の水素化分解出口温度より少なくとも3℃(又は少なくとも5℃、又は少なくとも8℃、又は少なくとも10℃)だけ高い、形成することと、潤滑油沸点範囲留分の水素化分解を実行しながら、水素化分解のための条件を変更することと、第1の反応器中において、変更された水素化分解入口温度及び変更された水素化分解出口温度を含む変更された水素化分解条件下、水素化分解触媒の存在下で潤滑油沸点範囲留分を水素化分解して、第2の水素化分解された溶出物を形成することであって、更された水素化分解条件は、潤滑油沸点範囲留分の少なくとも一部の370℃に対する第2の量の変換を含み、370℃に対する第2の量の変換は、370℃に対する第1の量の変換と5重量%以下だけ異なる、形成することと、第2の反応器中において、第2の脱蝋入口温度を含む第2の触媒脱蝋条件下、第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部を脱蝋して、第2の脱蝋された溶出物を形成することであって、第2の脱蝋入口温度は、変更された水素化分解出口温度より少なくとも3℃(又は少なくとも5℃、又は少なくとも8℃、又は少なくとも10℃)だけ低い、形成することと、第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第1の燃料沸点範囲生成物及び第1の潤滑油沸点範囲生成物を形成することと、第2の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を分留して、少なくとも第2の燃料沸点範囲生成物及び第2の潤滑油沸点範囲生成物を形成することであって、第2の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数は、第1の潤滑油沸点範囲生成物の粘度指数と5以下(又は3以下、又は1以下)だけ異なる、形成することとを含む方法。
【0130】
実施形態17.潤滑油沸点範囲留分は、少なくとも343℃のT10蒸留点及び6.0cSt以上の100℃における動粘度を有するか、又は潤滑油沸点範囲留分は、少なくとも371℃のT10蒸留点及び15cSt以上の100℃における動粘度を有するか、又は潤滑油沸点範囲留分は、343℃+部分を含み、343℃+部分は、1.5cSt〜6.0cStの100℃における動粘度を有する、実施形態16の方法。
【0131】
実施形態18.第1の触媒脱蝋条件は、加熱された水素含有流を第2の反応器中に導入することを含む、実施形態16又は17の方法。
【0132】
実施形態19.分留前、分留後又はそれらの組合せにおいて、第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を水素化仕上げすることをさらに含み、水素化仕上げは、第3の反応器中において、第1の芳香族飽和条件下で第1の脱蝋された溶出物の少なくとも一部を芳香族飽和触媒に曝露して、第1の潤滑油沸点範囲生成物を含む第1の飽和生成物を形成することであって、第1の潤滑油沸点範囲生成物は、2.0重量%以下の芳香族含有量を有する、形成することを含む、実施形態16〜18のいずれの方法。
【0133】
実施形態20.水素化分解のための条件の変更中に製造された水素化分解された溶出物の脱蝋を実行しながら、脱蝋のための条件を変更することをさらに含み、第2の脱蝋条件は、変更された脱蝋条件を含み、第2の脱蝋入口温度は、変更された脱蝋入口温度を含む、実施形態16〜19のいずれかの方法。
【0134】
実施形態21.i)第1の水素化分解された溶出物の少なくとも一部の脱蝋を実行しながら、ii)第2の水素化分解された溶出物の少なくとも一部の脱蝋を実行しながら、又はiii)i)及びii)の組合せにおいて、脱蝋のための条件を変更することをさらに含む、実施形態16〜20のいずれかの方法。
【0135】
実施形態22.水素化処理された供給原料及び潤滑油沸点範囲留分の少なくとも1つは、100wppm以下の硫黄を含むか、若しくは水素化分解触媒は、水素化触媒上に担持された0.1重量%〜5.0重量%の貴金属を含むか、若しくは水素化分解触媒は、24.30Å以下の単位格子径、少なくとも50のシリカ対アルミナ比及び20以下のアルファ値を有するUSYゼオライトを含むか、又はそれらの組合せである、実施形態16〜21のいずれかの方法。
【0136】
数値的な下限及び数値的な上限が本明細書に記載される場合、いずれかの下限からいずれかの上限までの範囲が考慮される。本発明の例示的な実施形態が詳細に記載されているが、様々な他の修正形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者に明らかであり、且つ当業者によって容易になされ得ることが理解されるであろう。したがって、添付された特許請求の範囲は、本明細書で明らかにされた実施例及び記載に限定されるように意図されず、むしろ、請求項は、本発明が関連する技術分野の当業者によってその均等物として扱われるであろう全ての特徴を含めて、本発明に存在する特許取得可能な新規性の全ての特徴を包含すると解釈される。
【0137】
本発明は、多数の実施形態及び個々の実施例を参照して上記された。上記の詳細な説明を考慮に入れて、当業者は、多くの変形形態を提案するであろう。全てのそのような明白な変形形態は、添付の請求項の全ての意図された範囲内にある。
【国際調査報告】