(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-529832(P2020-529832A)
(43)【公表日】2020年10月15日
(54)【発明の名称】IL−15/IL−15Rαおよび抗原結合ドメインを含む標的化ヘテロダイマーFc融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20200918BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20200918BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20200918BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20200918BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20200918BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20200918BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20200918BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20200918BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20200918BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20200918BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20200918BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20200918BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20200918BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20200918BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20200918BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20200918BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20200918BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20200918BHJP
【FI】
C12N15/62 ZZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/63 Z
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/54
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12P21/08
A61P35/00
A61K38/20
A61K47/68
A61P37/04
A61K38/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】164
(21)【出願番号】特願2019-571006(P2019-571006)
(86)(22)【出願日】2018年7月2日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月18日
(86)【国際出願番号】US2018040653
(87)【国際公開番号】WO2019006472
(87)【国際公開日】20190103
(31)【優先権主張番号】62/527,898
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】510089100
【氏名又は名称】ゼンコア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デスジャルレイス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルマ,ラジャット
(72)【発明者】
【氏名】シュバート,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,フアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG03
4B064AG26
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4H045AA10
4H045AA11
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4H045CA40
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4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA23
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、IL−15/IL−15Rα Fc融合タンパク質および抗原結合ドメインFc融合タンパク質を含む新規の標的化ヘテロダイマーFc融合タンパク質に関する。いくつかの例では、抗原結合ドメインはCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する。
【選択図】
図1A
[この文献は図面を表示できません]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二機能性ヘテロダイマータンパク質であって、
a)IL−15Rαタンパク質、IL−15タンパク質、および第1のFcドメインを含むIL−15/IL−15Rα融合タンパク質であって、
前記IL−15Rαタンパク質が、第1のドメインリンカーを使用して前記IL−15タンパク質のN末端に共有結合し、前記IL−15タンパク質が、第2のドメインリンカーを使用して前記第1のFcドメインのN末端に共有結合しているか、または
前記IL−15タンパク質が、第1のドメインリンカーを使用して前記IL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合し、前記IL−15Rαタンパク質が、第2のドメインリンカーを使用して前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、IL−15/IL−15Rα融合タンパク質と、
b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む重鎖(VHは可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)、ならびに可変軽鎖(VL)および軽定常ドメイン(CL)を含む軽鎖を含む抗原結合ドメインモノマーと、を含み、
前記第1のFcドメインおよび前記第2のFcドメインが、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
前記抗原結合ドメインモノマーが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項2】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項1に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項3】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項1または2に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項4】
前記IL−15タンパク質が、配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、前記IL−15Rαタンパク質が、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項5】
前記IL−15タンパク質および前記IL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項6】
前記IL−15タンパク質が、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項7】
前記IL−15タンパク質が、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項8】
前記二機能性ヘテロダイマータンパク質が、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項9】
ドメインリンカーを使用して前記IL−15タンパク質または前記IL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインをさらに含み、前記抗原結合ドメインが、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項10】
二機能性ヘテロダイマータンパク質がXENP24548である、請求項9に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項11】
核酸組成物であって、
a)請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記IL−15/IL−15Rα融合タンパク質をコードする第1の核酸と、
b)請求項1〜10のうちの一項に記載の前記抗原結合ドメインモノマーをコードする第2の核酸と、
c)任意選択的に、請求項9に記載の前記抗原結合ドメインをコードする第3の核酸と、を含む、核酸組成物。
【請求項12】
発現ベクター組成物であって、
a)請求項11に記載の前記第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、
b)請求項11に記載の前記第2の核酸を含む第2の発現ベクターと、
c)任意選択的に、請求項11に記載の前記第3の核酸を含む第3の発現ベクターと、を含む、発現ベクター組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の前記発現ベクター組成物を含む宿主細胞。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質を作製する方法であって、前記二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で請求項13に記載の宿主細胞を培養することと、前記ヘテロダイマータンパク質を回収することと、を含む、方法。
【請求項15】
二機能性ヘテロダイマータンパク質であって、
a)第1のタンパク質ドメインおよび第1のFcドメインを含む融合タンパク質であって、前記第1のタンパク質ドメインが、ドメインリンカーを使用して前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、融合タンパク質と、
b)前記第1のタンパク質ドメインに非共有結合した第2のタンパク質ドメインと、
c)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む重鎖(VHは可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)、ならびに可変軽鎖および軽定常ドメインを含む軽鎖を含む抗原結合ドメインモノマーと、を含み、
前記第1のFcドメインおよび前記第2のFcドメインが、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
前記第1のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質を含み、前記第2のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質を含むか、または前記第1のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質を含み、前記第2のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質を含み、
前記抗原結合ドメインモノマーが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項16】
前記IL−15Rαタンパク質がシステイン残基を含み、前記IL−15タンパク質がシステイン残基を含み、それによりジスルフィド結合を形成する、請求項15に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項17】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項15または16に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項18】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項15〜17のうちの1つに記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項19】
前記IL−15タンパク質が、配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、前記IL−15Rαタンパク質が、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する、請求項15〜18のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項20】
前記IL−15タンパク質および前記IL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する、請求項15〜19のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項21】
前記IL−15タンパク質が、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する、請求項15〜20のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項22】
前記IL−15タンパク質が、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む、請求項15〜21のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項23】
前記二機能性ヘテロダイマータンパク質がXENP25137である、請求項15〜22のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項24】
1つ以上のドメインリンカーを使用して、前記IL−15タンパク質および/または前記IL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインをさらに含み、前記抗原結合ドメインが、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、請求項15〜23のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項25】
核酸組成物であって、
a)請求項16〜23のいずれか一項に記載の前記融合タンパク質をコードする第1の核酸と、
b)請求項16〜23のいずれか一項に記載の前記第2のタンパク質ドメインをコードする第2の核酸と、
c)請求項16〜23のいずれか一項に記載の前記抗原結合ドメインをコードする第3の核酸と、
d)任意選択的に、請求項24に記載の前記抗原結合ドメインをコードする第4の核酸と、を含む、核酸組成物。
【請求項26】
発現ベクター組成物であって、
a)請求項25に記載の前記第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、
b)請求項25に記載の前記第2の核酸を含む第2の発現ベクターと、
c)請求項25に記載の前記第3の核酸を含む第3の発現ベクターと、
d)任意選択的に、請求項25に記載の前記第4の核酸を含む第4の発現ベクターと、を含む、発現ベクター組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の前記発現ベクター組成物を含む宿主細胞。
【請求項28】
請求項15〜24のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質を作製する方法であって、前記二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で請求項27に記載の宿主細胞を培養することと、前記ヘテロダイマータンパク質を回収することと、を含む、方法。
【請求項29】
二機能性ヘテロダイマータンパク質であって、
a)第1のVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む第1の重鎖(VHは第1の可変重鎖であり、CH2−CH3は第1のFcドメインである)、ならびに第1の可変軽鎖および第1の軽定常ドメインを含む第1の軽鎖を含む、第1の抗原結合ドメインモノマーと、
b)第2のVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む第2の重鎖(VHは第2の可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)、第2の可変軽鎖および第2の軽定常ドメインを含む第2の軽鎖、ならびに第1のドメインリンカーを使用して前記第2のFcドメインのC末端に共有結合している第1のタンパク質ドメインを含む、第2の抗原結合ドメインモノマーと、
c)前記第2の抗原結合ドメインモノマーの前記第1のタンパク質ドメインに結合または非共有結合している第2のタンパク質ドメインと、を含み、
前記第1のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質であり、前記第2のタンパク質ドメインがIL−15Rタンパク質であるか、または前記第1のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質であり、前記第2のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質であり、
前記第1のFcドメインおよび前記第2のFcドメインが、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
前記第1の抗原結合ドメインモノマーおよび前記第2の抗原結合ドメインモノマーが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項30】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項29に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項31】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項29または30に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項32】
前記IL−15タンパク質が、配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、前記IL−15Rαタンパク質が、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する、請求項29〜31のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項33】
前記IL−15タンパク質および前記IL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する、請求項29〜32のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項34】
前記IL−15タンパク質が、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する、請求項29〜33のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項35】
前記IL−15タンパク質が、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む、請求項29〜34のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項36】
前記二機能性ヘテロダイマータンパク質がXENP24546である、請求項29〜35のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項37】
核酸組成物であって、
a)請求項29〜36のいずれか一項に記載の前記第1の抗原結合ドメインモノマーをコードする第1の核酸と、
b)請求項29〜36のいずれか一項に記載の前記第2の抗原結合ドメインモノマーをコードする第2の核酸と、
c)請求項29〜36のいずれか一項に記載の前記第2のタンパク質ドメインをコードする第3の核酸と、を含む、核酸組成物。
【請求項38】
発現ベクター組成物であって、
a)請求項37に記載の前記第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、
b)請求項37に記載の前記第2の核酸を含む第2の発現ベクターと、
c)請求項37に記載の前記第3の核酸を含む第3の発現ベクターと、を含む、発現ベクター組成物。
【請求項39】
請求項38に記載の前記発現ベクター組成物を含む宿主細胞。
【請求項40】
請求項29〜36のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質を作製する方法であって、前記二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で請求項39に記載の宿主細胞を培養することと、前記ヘテロダイマータンパク質を回収することと、を含む、方法。
【請求項41】
二機能性ヘテロダイマータンパク質であって、
a)IL−15タンパク質、第1の抗原結合ドメイン、および第1のFcドメインを含む、IL−15融合タンパク質であって、
前記第1の抗原結合ドメインが、第1のドメインリンカーを使用して前記IL−15タンパク質のN末端に共有結合し、前記IL−15タンパク質が、第2のドメインリンカーを使用して前記第1のFcドメインのN末端に共有結合し、前記抗原結合ドメインが、第1の可変重鎖ドメインおよび第1の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、IL−15融合タンパク質と、
b)IL−15Rαタンパク質、第2の抗原結合ドメイン、および第2のFcドメインを含む、IL−15Rα融合タンパク質であって、
前記第2の抗原結合ドメインが、第3のドメインリンカーを使用して前記IL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合し、前記IL−15Rαタンパク質が、第4のドメインリンカーを使用して前記第2のFcドメインのN末端に共有結合し、前記第2の抗原結合ドメインが、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、IL−15Rα融合タンパク質と、を含み、
前記第1のFcドメインおよび前記第2のFcドメインが、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
前記第1の抗原結合ドメインおよび前記第2の抗原結合ドメインが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項42】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項41に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項43】
前記第1のFcドメインおよび/または前記第2のFcドメインが、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する、請求項41または42に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項44】
前記IL−15タンパク質が、配列番号1(完全長ヒトIL−15)および配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、前記IL−15Rαタンパク質が、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する、請求項41〜43のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項45】
前記IL−15タンパク質および前記IL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する、請求項41〜44のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項46】
前記IL−15タンパク質が、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する、請求項41〜45のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項47】
前記IL−15タンパク質が、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む、請求項41〜46のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項48】
前記二機能性ヘテロダイマータンパク質がXENP24547である、請求項41〜47のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項49】
核酸組成物であって、
a)請求項41〜48のいずれか一項に記載の前記IL−15融合タンパク質をコードする第1の核酸と、
b)請求項41〜48のいずれか一項に記載の前記IL−15Rα融合タンパク質をコードする第2の核酸と、を含む、核酸組成物。
【請求項50】
発現ベクター組成物であって、
a)請求項49に記載の前記第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、
b)請求項49に記載の前記第2の核酸を含む第2の発現ベクターと、を含む、発現ベクター組成物。
【請求項51】
請求項50に記載の前記発現ベクター組成物を含む宿主細胞。
【請求項52】
請求項41〜48のいずれか一項に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質を作製する方法であって、前記二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で請求項51に記載の宿主細胞を培養することと、前記ヘテロダイマータンパク質を回収することと、を含む、方法。
【請求項53】
XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146からなる群から選択される、二機能性ヘテロダイマータンパク質。
【請求項54】
XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146からなる群から選択される二機能性ヘテロダイマータンパク質をコードする1つ以上の核酸を含む、核酸組成物。
【請求項55】
1つ以上の発現ベクターを含み、前記1つ以上の発現ベクターがXENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146からなる群から選択される二機能性ヘテロダイマータンパク質をコードするようにそれぞれ核酸を含む、発現ベクター組成物。
【請求項56】
請求項54に記載の核酸組成物を含む宿主細胞。
【請求項57】
請求項57に記載の発現ベクター組成物を含む宿主細胞。
【請求項58】
請求項53に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質を製造する方法であって、(a)前記二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される好適な条件下で、請求項56または57に記載の宿主細胞を培養することと、(b)前記タンパク質を回収することと、を含む、方法。
【請求項59】
癌を治療することを必要とする患者において癌を治療する方法であって、治療有効量の請求項53に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質を前記患者に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,898号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特に図、凡例、および特許請求の範囲を参照する。
【背景技術】
【0002】
IL−2およびIL−15は、B細胞、T細胞、およびNK細胞の増殖および分化を補助する機能を持つ。両サイトカインは、2つの共通の受容体、共通γ鎖(γc、CD132)、およびIL−2受容体B鎖(IL−2Rβ、CD122)、ならびに各サイトカインに固有のα鎖である、IL−2受容体α(IL−2Rα、CD25)またはIL−15受容体α(IL−15Rα、CD215)からなるトリマー複合体への結合によってその細胞シグナル伝達機能を発揮する。両サイトカインは腫瘍学において潜在的に価値のある治療薬と考えられており、IL−2は転移性腎細胞癌および悪性黒色腫の患者に使用することが承認されている。現在、いくつかの臨床試験が進行中であるが、組み換えIL−15の承認された用途はない。
【0003】
IL−2は、高親和性受容体複合体(すなわち、IL−2Rα/β/γ複合体)を提示するT細胞を優先的に増殖させる。制御性T細胞(Treg、CD4+CD25
highFoxp3+)はIL−2Rα(CD25)を恒常的に発現するので、IL−2によるT細胞の増殖は、免疫応答を抑制するTregに有利にスキュー(skew)され、したがって腫瘍治療には好ましくない。この不均衡が高用量IL−2の概念をもたらした。しかし、この手法は、血管漏出症候群などIL−2媒介毒性によるさらなる問題を生じさせる。
【0004】
対照的に、IL−15は主に単球および樹状細胞上のIL−15Rαを含む膜結合ヘテロダイマー複合体として提示され、その効果はIL−15/IL−15Rα複合体の中間親和性受容体複合体へのトランス提示によって実現され(すなわち、IL−2Rβ/γ複合体)、例えば、NK細胞およびCD8+T細胞に見られる。しかし、IL−15/IL−15Rα複合体はTregに有利にスキューされることはないが、この複合体は依然としてTregの増殖に寄与し、上述のとおり腫瘍治療には好ましくない。したがって、CD8+T細胞の増殖および活性化を有利にスキューする治療方針に対して、腫瘍治療における満たされないニーズが残る。さらにまた、TILにおける高いCD8/CD4 T細胞比は、一般的に腫瘍治療の良好な予後マーカーと考えられている。CD4エフェクターT細胞の刺激および増殖は、CD8エフェクターと比較してサイトカイン放出量の増加に寄与するとも考えられており、この効果を小さくすると、IL−15治療は副作用の少ないより安全なものになる可能性がある。本発明は、IL−15をCD8+T細胞に優先的に誘導する、新規なIL−15標的化タンパク質(例えば、二機能性)を提供することにより、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、IL−15/IL−15Rα複合体、ならびにヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dなどの1つ以上の抗原に結合する1つ以上の抗原結合ドメインを含む二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質を提供する。本明細書で使用される場合、「二機能性」および「標的化」という用語は、互換的に使用することができる。
【0006】
一態様では、本明細書で提供されるのは、
a)IL−15Rαタンパク質、IL−15タンパク質、および第1のFcドメインを含むIL−15/IL−15Rα融合タンパク質であって、
IL−15Rαタンパク質が、第1のドメインリンカーを使用してIL−15タンパク質のN末端に共有結合し、IL−15タンパク質が、第2のドメインリンカーを使用して第1のFcドメインのN末端に共有結合しているか、または
IL−15タンパク質が、第1のドメインリンカーを使用してIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合し、IL−15Rαタンパク質が、第2のドメインリンカーを使用して第1のFcドメインのN末端に共有結合している、IL−15/IL−15Rα融合タンパク質と、
b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む重鎖(VHは可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)、ならびに可変軽鎖(VL)および軽定常ドメイン(CL)を含む軽鎖を含む抗原結合ドメインモノマーと、を含み、
第1のFcドメインおよび第2のFcドメインが、EU付番によるL368D/K370S:S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、抗原結合ドメインモノマーが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質である。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。様々な実施形態では、IL−15タンパク質は配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、IL−15Rαタンパク質は配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する。様々な場合に、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。場合によっては、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。二機能性ヘテロダイマータンパク質は、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、またはXENP27146であってもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、上述のヘテロダイマータンパク質は、ドメインリンカーを使用して上記IL−15タンパク質またはIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインをさらに含むことができ、上記抗原結合ドメインは、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない。二機能性ヘテロダイマータンパク質はXENP24548であってもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、上記のIL−15/IL−15Rα融合タンパク質をコードする第1の核酸、上記の抗原結合ドメインモノマーをコードする第2の核酸、および任意選択的に、ドメインリンカーを使用してIL−15タンパク質またはIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合している抗原結合ドメインをコードする第3の核酸を含む核酸組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、第1の核酸を含む第1の発現ベクター、第2の核酸を含む第2の発現ベクター、および任意選択的に、第3の核酸を含む第3の発現ベクターを含む発現ベクター組成物である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は発現ベクター組成物を含む。本明細書では、二機能性ヘテロダイマータンパク質のうちのいずれか1つを作製する方法も提供する。この方法は、二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で上述の宿主細胞を培養すること、および上記ヘテロダイマータンパク質を回収することを含む。
【0010】
さらに別の態様では、本明細書で提供されるのは、
a)第1のタンパク質ドメインおよび第1のFcドメインを含む融合タンパク質であって、前記第1のタンパク質ドメインが、ドメインリンカーを使用して前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、融合タンパク質と、
b)第1のタンパク質ドメインに非共有結合した第2のタンパク質ドメインと、
c)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む重鎖(VHは可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)、ならびに可変軽鎖および軽定常ドメインを含む軽鎖を含む抗原結合ドメインモノマーと、を含み、
第1のFcドメインおよび第2のFcドメインが、EU付番によるL368D/K370S:S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
第1のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質を含み、第2のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質を含むか、または第1のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質を含み、第2のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質を含み、抗原結合ドメインモノマーが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群より選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質である。
【0011】
いくつかの実施形態では、IL−15Rαタンパク質はシステイン残基を含み、IL−15タンパク質はシステイン残基を含み、それによりジスルフィド結合を形成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。様々な実施形態では、IL−15タンパク質は配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、IL−15Rαタンパク質は配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する。様々な場合に、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。場合によっては、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。二機能性ヘテロダイマータンパク質はXENP25137であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、上述のヘテロダイマータンパク質は、1つ以上のドメインリンカーを使用して上記IL−15タンパク質またはIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインをさらに含むことができ、上記抗原結合ドメインは、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、上記の融合タンパク質をコードする第1の核酸、上記の第2のタンパク質ドメインをコードする第2の核酸、上記の抗原結合ドメインをコードする第3の核酸、ならびに任意選択的に、1つ以上のドメインリンカーを使用してIL−15タンパク質および/またはIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインをコードする第4の核酸を含む核酸組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、第1の核酸を含む第1の発現ベクター、第2の核酸を含む第2の発現ベクター、第3の核酸を含む第3の発現ベクター、および任意選択的に、4番目の核酸を含む第4の発現ベクターを含む発現ベクター組成物である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は発現ベクター組成物を含む。本明細書では、二機能性ヘテロダイマータンパク質のうちのいずれか1つを作製する方法も提供する。この方法は、二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で上述の宿主細胞を培養すること、および上記ヘテロダイマータンパク質を回収することを含む。
【0015】
さらに別の態様では、本明細書で提供されるのは、
a)第1のVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む第1の重鎖(VHは第1の可変重鎖であり、CH2−CH3は第1のFcドメインである)、ならびに第1の可変軽鎖および第1の軽定常ドメインを含む第1の軽鎖を含む、第1の抗原結合ドメインモノマーと、
b)第2のVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマーを含む第2の重鎖(VHは第2の可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインであり)、第2の可変軽鎖および第2の軽定常ドメインを含む第2の軽鎖、ならびに第1のドメインリンカーを使用して第2のFcドメインのC末端に共有結合している第1のタンパク質ドメインを含む、第2の抗原結合ドメインモノマーと、
c)第2の抗原結合ドメインモノマーの第1のタンパク質ドメインに結合または非共有結合している第2のタンパク質ドメインと、を含み、
第1のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質であり、第2のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質であるか、または第1のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質であり、第2のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質であり、
第1のFcドメインのおよび第2のFcドメインが、EU付番によるL368D/K370S:S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
第1の抗原結合ドメインモノマーおよび第2の抗原結合ドメインモノマーが、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質である。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。様々な実施形態では、IL−15タンパク質は配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、IL−15Rαタンパク質は配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する。様々な場合に、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。場合によっては、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。二機能性ヘテロダイマータンパク質はXENP24546であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、上記の第1の抗原結合ドメインモノマーをコードする第1の核酸、上記の第2の抗原結合ドメインモノマーをコードする第2の核酸、および上記の第2のタンパク質ドメインをコードする第3の核酸を含む核酸組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、第1の核酸を含む第1の発現ベクター、第2の核酸を含む第2の発現ベクター、および第3の核酸を含む第3の発現ベクターを含む発現ベクター組成物である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は発現ベクター組成物を含む。本明細書では、二機能性ヘテロダイマータンパク質のうちのいずれか1つを作製する方法も提供する。この方法は、二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で上述の宿主細胞を培養すること、および上記ヘテロダイマータンパク質を回収することを含む。
【0018】
一態様では、本明細書で提供されるのは、
a)IL−15タンパク質、第1の抗原結合ドメイン、および第1のFcドメインを含む、IL−15融合タンパク質であって、
第1の抗原結合ドメインは、第1のドメインリンカーを使用してIL−15タンパク質のN末端に共有結合し、IL−15タンパク質は、第2のドメインリンカーを使用して第1のFcドメインのN末端に共有結合し、抗原結合ドメインは、第1の可変重鎖ドメインおよび第1の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、IL−15融合タンパク質と、
b)IL−15Rαタンパク質、第2の抗原結合ドメイン、および第2のFcドメインを含む、IL−15Rα融合タンパク質であって、
第2の抗原結合ドメインは、第3のドメインリンカーを使用してIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合し、IL−15Rαタンパク質は、第4のドメインリンカーを使用して第2のFcドメインのN末端に共有結合し、第2の抗原結合ドメインは、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、IL−15Rα融合タンパク質と、を含み、
第1のおよび第2のFcドメインは、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有し、
第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する、二機能性ヘテロダイマータンパク質である。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。様々な実施形態では、IL−15タンパク質は配列番号1(完全長ヒトIL−15)または配列番号2(成熟ヒトIL−15)のアミノ酸配列を有し、IL−15Rαタンパク質は配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)または配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)のアミノ酸配列を有する。様々な場合に、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、N4D、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。場合によっては、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。二機能性ヘテロダイマータンパク質はXENP24547であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、上述のIL−15融合タンパク質をコードする第1の核酸、および上記のIL−15Rα融合タンパク質をコードする第2の核酸を含む核酸組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、第1の核酸を含む第1の発現ベクターおよび第2の核酸を含む第2の発現ベクターを含む発現ベクター組成物である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は発現ベクター組成物を含む。本明細書では、二機能性ヘテロダイマータンパク質のうちのいずれか1つを作製する方法も提供する。この方法は、二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される条件下で上述の宿主細胞を培養すること、および上記ヘテロダイマータンパク質を回収することを含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146からなる群から選択される二機能性ヘテロダイマータンパク質を提供する。
【0022】
一態様では、本発明は、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145,およびXENP27146からなる群から選択される二機能性ヘテロダイマータンパク質をコードする1つ以上の核酸を含む核酸組成物を提供する。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、1つ以上の発現ベクターがXENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146からなる群から選択される二機能性ヘテロダイマータンパク質をコードするように、それぞれが核酸を含む1つ以上の発現ベクターを含む発現ベクター組成物を提供する。
【0024】
本明細書に記載の核酸組成物のいずれか1つを含む宿主細胞または本明細書に記載の発現ベクター組成物のいずれか1つを含む宿主細胞も提供される。
【0025】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質のいずれかを製造する方法を提供する。この方法は、(a)上記二機能性ヘテロダイマータンパク質が発現される好適な条件下で本明細書に記載の宿主細胞を培養すること、および(b)上記タンパク質を回収することを含む。
【0026】
一態様では、本発明は、治療有効量の本明細書に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質のうちのいずれか1つを患者に投与することを含む、それを必要とする患者の癌を治療する方法を提供する。
【0027】
さらなるIL−15/IL−15RαヘテロダイマーFc融合タンパク質は、例えば、2018年6月12日に出願された米国特許第62/684,143号、2018年4月18日に出願された米国特許第62/659,563号、2016年10月14日に出願された米国特許第62/408,655号、2016年11月1日に出願された米国特許第62/416,087号、2017年1月6日に出願された米国特許第62/443,465号、2017年3月28日に出願された米国特許第62/477,926号、2017年10月16日に出願された米国特許出願第15/785,401号、および2017年10月16日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2017/056829号に詳細に記載され、特にその図、凡例、および特許請求の範囲を参照して、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0028】
本発明の他の態様が本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A-1E】(スキューバリアントおよびPIバリアントを含む)Fcヘテロダイマー化バリアントのセットの有用な対を示す。対応する「モノマー2」バリアントが存在しないバリアントがあり、これらはいずれのモノマーでも単独で使用できるpIバリアントである。
【
図2】等配電子バリアント抗体の定常領域およびそれぞれ置換のリストを示す。pI_(−)は低pIバリアントを示し、pI_(+)は高pIバリアントを示す。これらは、任意選択的に独立して、本発明の他のヘテロダイマー化バリアント(および本明細書に概説される他のバリアント型)と組み合わせることができる。
【
図3】FcγR結合を除去した有用な切除バリアントを示す(しばしば「ノックアウト」または「KO」バリアントと呼ばれる)。一般に、切除バリアントは両方のモノマーに見られるが、場合によっては、それらは一方のモノマーのみにあってもよい。
【
図4A-4D】本発明のIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の「非サイトカイン」構成要素の有用な実施形態を示す。
【
図5A-5F】本発明のCD8標的化、NKG2A標的化、およびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質の「非サイトカイン」/「非Fv」構成要素の特に有用な実施形態を示す。
【
図6】IL−15/Rα−Fc融合タンパク質において使用するためのいくつかの例示的な可変長リンカーの数を示す。いくつかの実施形態では、これらのリンカーは、IL−15および/またはIL−15Rα(sushi)のC末端をFc領域のN末端に連結するのに使用される。いくつかの実施形態では、これらのリンカーは、IL−15をIL−15Rα(sushi)に融合するのに使用される。
【
図7】構成要素として、1つ以上のscFvを利用するヘテロダイマー抗体のpIを増加または減少するのに使用されるいくつかの荷電scFvリンカーを示す。(+H)正のリンカーは、本明細書において特に使用される。単一電荷を有する単一の先行技術scFvリンカーは、Whitlow et al.,Protein Engineering6(8):989−995(1993)からの「Whitlow」と称される。このリンカーは、scFvにおける凝集を減少させ、タンパク質分解安定性を高めるために使用されたことに留意すべきである。
【
図8A-8D】サイトカイン配列(例えば、IL−15および/またはIL−15Rα(sushi))を含まない、ヒトIgG1に基づくいくつかの有用なIL−15/Rα−Fcフォーマット骨格の配列を示す。これらの骨格はまた、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質の特定の実施形態において使用され得ることに留意することが重要である。骨格1はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370SのスキューバリアントおよびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格2はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にS364K:L368D/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370SのスキューバリアントおよびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格3はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にS364K:L368E/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368E/K370SのスキューバリアントおよびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格4はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にD401K:K360E/Q362E/T411Eのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にK360E/Q362E/T411EのスキューバリアントおよびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格5はヒトIgG1(356D/358Lアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370SのスキューバリアントおよびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格6はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370Sのスキューバリアント、E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有し、さらに両方の鎖にN297Aバリアントを有する。骨格7は、変異がN297Sであることを除いて6と同一である。骨格6および7の代替フォーマットは、両方の鎖において切除バリアントE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを除外することができる。骨格8はヒトIgG4に基づき、S364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、鎖にQ295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370SのスキューバリアントおよびS228P(EU付番によるもので、これはKabatではS241Pである)バリアントを有し、これは当技術分野で既知のとおり、Fabアーム交換を切除する。骨格9はヒトIgG2に基づき、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、L368D/K370Sのスキューバリアントを有する。骨格10はヒトIgG2に基づき、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370Sスキューバリアント、およびS267Kバリアントを含む。骨格11は、M428L/N434SのXtend変異を含むことを除いて、骨格1と同一である。骨格12はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、そして両方の同一の鎖にC220S、両方の同一の鎖にE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを含む。骨格13はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、両方の鎖にC220S、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、P217R/P229R/N276KのpIバリアントを含み、両方の鎖にS364K/E357Qのスキューバリアント、およびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。 当業者には理解され以下に概説されるように、これらの配列は、
図16A〜16Gおよび30A〜30Dに概略的に示すIL−15/RαヘテロFc、ncIL−15/Rα、およびscIL−15/Rαを含むがこれらに限定されない、本明細書に概説される任意のIL−15およびIL−15Rα(sushi)対とともに使用することができる。さらに、任意のIL−15および/またはIL−15Rα(sushi)バリアントを、任意の組み合わせで、これら
図8A〜8Dの骨格に組み込むことができる。 これらの骨格のそれぞれに含まれるのは、列挙された配列に対して(本明細書で定義されるように)90、95、98、および99%同一である配列であり、かつ/または(当業者には理解されるように、親ヒトIgG1(または骨格に応じたIgG2もしくはIgG4)と比べていくつかのアミノ酸修飾をすでに含む、図の「親」と比べて)1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の追加のアミノ酸置換を含む。すなわち、列挙された骨格は、この図の骨格内に含まれるスキューバリアント、pIバリアントおよび切除バリアントに加えて、さらなるアミノ酸修飾(一般にアミノ酸置換)を含み得る。
【
図9】サイトカイン配列(例えば、IL−15および/またはIL−15Rα(sushi))またはVHを含まず、さらに
図10に示す軽鎖骨格を除く、ヒトIgG1に基づくいくつかの有用なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体フォーマット骨格の配列を示す。骨格1はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、C220S、およびQ295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、両方の鎖にL368D/K370SのスキューバリアントおよびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格2はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、鎖にL368D/K370Sのスキューバリアント、C220S、両方の鎖にS364K/E357Qのバリアント、E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。骨格3はヒトIgG1(356E/358Mアロタイプ)に基づき、鎖にS364K/E357Q:L368D/K370Sのスキューバリアント、N208D/Q295E/N384D/Q418E/N421DのpIバリアントを含み、鎖にL368D/K370Sのスキューバリアント、Q196K/I199T/P217R/P228R/N276KのpIバリアントを有し、両方の鎖にS364K/E357Qのバリアント、およびE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kの切除バリアントを有する。 特定の実施形態では、これらの配列は、356D/358Lアロタイプのものであり得る。他の実施形態では、これらの配列は、N297AまたはN297S置換のいずれかを含み得る。いくつかの他の実施形態において、これらの配列はM428L/N434SのXtend変異を含み得る。さらに他の実施形態では、これらの配列は代わりにヒトIgG4に基づくことができ、当技術分野で既知のように両方の鎖にFabアーム交換を切除するS228P(EU付番、KabatではS241Pである)バリアントを含む。なおさらなる実施形態において、これらの配列は代わりにヒトIgG2に基づき得る。さらに、これらの配列は、代わりに、
図1A〜1E、2、および3に示す他のスキューバリアント、pIバリアント、および切除バリアントを利用し得る。 当業者には理解され、以下に概説されるように、これらの配列は、
図70に概略的に示すscIL−15/Rα、ncIL−15/Rα、およびdsIL−15Rαを含むがこれらに限定されない、本明細書に概説される任意のIL−15およびIL−15Rα(sushi)対とともに使用することができる。さらに当業者には理解されそして以下に概説されるように、任意のIL−15および/またはIL−15Rα(sushi)バリアントがこれらの骨格に組み込まれ得る。さらに、当業者には理解され、以下に概説されるように、これらの配列は、scFvまたはFabのいずれかを含む、本明細書に概説された任意のVHおよびVL対とともに使用することができる。 これらの骨格のそれぞれに含まれるのは、列挙された配列に対して(本明細書で定義されるように)90、95、98、および99%同一である配列であり、かつ/または(当業者には理解されるように、親ヒトIgG1(または骨格に応じたIgG2もしくはIgG4)と比べていくつかのアミノ酸修飾をすでに含む、図の「親」と比べて)1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の追加のアミノ酸置換を含む。すなわち、列挙された骨格は、この図の骨格内に含まれるスキューバリアント、pIバリアントおよび切除バリアントに加えて、さらなるアミノ酸修飾(一般にアミノ酸置換)を含み得る。また、本明細書に示される骨格は、本発明のNKG2A標的化およびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質に使用するのに適していることに留意すべきである。
【
図10】本発明のCD8標的化、NKG2A標的化、およびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質に使用される軽鎖の「非Fv」骨格(すなわち、定常軽鎖)を示す。
【
図11】本明細書に記載のいくつかの実施例で使用される対照である、モタビズマブ(Numax(登録商標))の可変領域に基づく抗RSV mAbであるXENP15074の配列を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図12】ニボルマブ(Opdivo(登録商標))の可変領域に基づいた抗PD−1mAbであるXENP16432の配列を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図13】本明細書に記載の多くの実施例で対照として使用される「RSV標的化」IL−15/Rα−Fc融合体である、XENP26007の配列を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図14】IL−15の受容体であるIL−15Rα(CD215)、IL−15Rβ(CD122)、および共通γ鎖(CD132)を含む複合体におけるIL−15の構造を示す。
【
図15】図は、IL−15およびその受容体の配列を示す。
【
図16A-16G】本発明のIL−15/Rα−Fc融合タンパク質のいくつかのフォーマットを示す。IL−15RαヘテロダイマーFc融合体または「IL−15/Rα−ヘテロFc」(
図16A)は、ヘテロダイマーFcの一方側に組み換えで融合されたIL−15、およびヘテロダイマーFcの他方側に組み換えで融合されたIL−15Rα(sushi)を含む。IL−15およびIL−15Rα(sushi)は、Fc領域のC末端とN末端との間に可変長Gly−Serリンカーを有し得る。一本鎖IL−15/Rα−Fc融合体または「scIL−15/Rα−Fc」(
図16B)は、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)を含み(「一本鎖」IL−15/IL−15Rα(sushi)複合体または「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のN末端に融合され、分子の他方側は「Fcのみ」または「空のFc」である。非共有結合のIL−15/Rα−Fcまたは「ncIL−15/Rα−Fc」(
図16C)はヘテロダイマーFcに融合したIL−15Rα(sushi)を含むが、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされ、分子の他方側は「Fcのみ」または「空のFc」である。二価非共有結合のIL−15/Rα−Fc融合体または「二価ncIL−15/Rα−Fc」(
図16D)はホモダイマーFc領域のN末端に融合したIL−15Rα(sushi)を含むが、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。二価一本鎖IL−15/Rα−Fc融合体または「二価scIL−15/Rα−Fc」(
図16E)は、可変長リンカーによってIL−15Rα(sushi)に融合したIL−15を含み(「一本鎖」IL−15/IL−15Rα(sushi)複合体または「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、次いでこれをホモダイマーFc領域のN末端に融合させる。Fc非共有結合のIL−15/Rα融合体または「Fc−ncIL−15/Rα」(
図16F)はヘテロダイマーFc領域のC末端に融合したIL−15Rα(sushi)を含むが、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされ、分子の他方側は「Fcのみ」または「空のFc」である。Fc−一本鎖IL−15/Rα融合体または「Fc−scIL−15/Rα」(
図16G)は、可変長リンカーによってIL−15Rα(sushi)に融合したIL−15を含み(「一本鎖」IL−15/IL−15Rα(sushi)複合体または「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のC末端に融合され、分子の他方側は「Fcのみ」または「空のFc」である。
【
図17】「IL−15/RαヘテロFc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP20818およびXENP21475の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図18】「scIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP21478およびXENP21993の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図19A-19B】「ncIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP21479、XENP22366およびXENP24348の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図20】「二価ncIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP21978の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図21】「二価scIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図22】「Fc−ncIL−15/Rα」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP22637およびXENP22638の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図23】「Fc−scIL−15/Rα」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図24A-24C】FACSにより測定したKi67発現に基づく異なるリンカー長を有するフォーマットAの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質による、(
図24A)NK(CD56+/CD16+)細胞、(
図24B)CD4+T細胞、および(
図24C)CD8+細胞の増殖の誘導を示す。
【
図25A-25C】FACSにより測定したKi67発現に基づくscIL−15/Rα−Fcフォーマット(XENP21478)およびncIL−15/Rα−Fcフォーマット(XENP21479)の例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質による、(
図25A)NK(CD56+/CD16+)細胞、(
図25B)CD4+T細胞、および(
図25C)CD8+細胞の増殖の誘導を示す。
【
図26】操作されたジスルフィド結合対の位置を示すIL−15/Rαヘテロダイマーの構造モデルを示す。
【
図27】システイン残基を操作するための足場として機能するC末端のさらなる残基によって操作された例示的なIL−15Rα(sushi)バリアントの配列を示す。
【
図28】システインによって操作されたIL−15Rα(sushi)バリアントと共有ジスルフィド結合を形成するために、システインによって操作された例示的なIL−15バリアントの配列を示す。
【
図29】システインによって操作されたIL−15バリアントと共有ジスルフィド結合を形成するために、システインによって操作された例示的なIL−15Rα(sushi)バリアントの配列を示す。
【
図30A-30D】操作されたジスルフィド結合を有する本発明のIL−15/Rα−Fc融合タンパク質のさらなるフォーマットを示す。ジスルフィド結合したIL−15ヘテロダイマーFc融合体または「dsIL−15/Rα−ヘテロFc」)(
図30A)は「IL−15/Rα−ヘテロFc」と同一であるが、IL−15Rα(sushi)およびIL−15は操作されたシステインの結果としてさらに共有結合している。ジスルフィド結合したIL−15/RαFc融合体または「dsIL−15/Rα−Fc」(
図30B)は「ncIL−15/Rα−Fc」と同一であるが、IL−15Rα(sushi)およびIL−15は操作されたシステインの結果としてさらに共有結合している。二価ジスルフィド結合したIL−15/Rα−Fcまたは「二価dsIL−15/Rα−Fc」(
図30C)は、「二価ncIL−15/Rα−Fc」と同一であるが、操作されたシステインの結果としてIL−15Rα(sushi)およびIL−15はさらに共有結合している。Fc−ジスルフィド結合したIL−15/Rα融合体または「Fc−dsIL−15/Rα」(
図30D)は「Fc−ncIL−15/Rα」と同一であるが、操作されたシステインの結果としてIL−15Rα(sushi)およびIL−15がさらに共有結合している。
【
図31A-31B】「dsIL−15/Rα−ヘテロFc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP22013、XENP22014、XENP22015、およびXENP22017の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図32A-32B】「dsIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP22357、XENP22358、XENP22359、XENP22684、およびXENP22361の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図33】「二価dsIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP22634、XENP22635、XENP22636、およびXENP22687の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図34】「Fc−dsIL−15/Rα」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP22639およびXENP22640の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図35】CEFによって決定される操作されたジスルフィド結合がある場合とない場合の例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の純度および均質性を示す。
【
図36A-36C】FACSにより測定したKi67発現に基づく、操作されたジスルフィド結合を含む場合と含まない場合の例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質による、(
図36A)NK(CD56+/CD16+)細胞、(
図36B)CD8+T細胞、および(
図36C)CD4+細胞の増殖の誘導を示す。
【
図37】IL−15Rα、IL−2Rβ、および共通のγ鎖と複合体を形成したIL−15の構造を示す。効力を低減するために設計された置換の位置が示されている。
【
図38A-38C】効力低下のために操作された例示的なIL−15バリアントの配列を示す。列挙された配列と(本明細書で定義されるように)90、95、98および99%同一であり、かつ/または1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のさらなるアミノ酸置換を含む配列がこれらのバリアントIL−15配列のそれぞれに含まれる。非限定的な例において、列挙された配列は、実施例3Bに記載されるように共有ジスルフィド結合の形成に寄与するものなどのさらなるアミノ酸修飾を含み得る。
【
図39A-39E】効力低下のために操作された「IL−15/Rα−ヘテロFc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP22821、XENP22822、XENP23343、XENP23554、XENP23557、XENP23561、XENP24018、XENP24019、XENP24045、XENP24051、XENP24052、およびXENP24306の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図40A-40d】効力低下のために操作された「scIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP24013、XENP24014、XENP24015、XENP24050、XENP24294、XENP24475、XENP24476、XENP24478、XENP24479、およびXENP24481の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図41A-41B】効力低下のために操作された「ncIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP24349、XENP24890、およびXENP25138の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図42】効力低下のために操作された例示的なncIL−15/Rαヘテロダイマーである、XENP22801およびXENP22802の配列を示す。これらの配列は、IL−15Rα(sushi)のC末端におけるポリヒスチジン(His×6またはHHHHHH)C末端タグを使用して生成されたことに注目することが重要である。
【
図43】効力低下のために操作された「二価ncIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP24342の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図44】効力低下のために操作された「dsIL−15/Rα−Fc」フォーマットの、例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質である、XENP23472およびXENP23473の配列を示す。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図83に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、およびFc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図45A-45C】FACSにより測定したKi67発現に基づく、バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質による、A)NK細胞、B)CD8+(CD45RA−)T細胞、およびC)CD4+(CD45RA−)T細胞の増殖の誘導を示す。
【
図46】バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質によるNK細胞およびCD8+T細胞の増殖を誘導するEC50、およびXENP20818に対するEC50の倍率低下を示す。
【
図47A-47D】指定のバリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質とともに4日間インキュベートしたヒトPBMCにおける細胞増殖を示す。
図47A〜47Cは、増殖しているNK細胞(CD3−CD16+)(
図47A)、CD8+T細胞(CD3+CD8+CD45RA−)(
図47B)、およびCD4+T細胞(CD3+CD4+CD45RA−)の割合を示す(
図47C)。
図47Dは、対照(XENP20818)に対する様々なIL15/IL15RαFcヘテロダイマーのEC50の倍率変化を示す。
【
図48A-48B】ヒトPBMCとXENP22821とのインキュベーション前(
図55A)および後(
図55B)のCD69およびCD25の発現を示す。
【
図49A-49D】指定のバリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質とともに3日間インキュベートしたヒトPBMCにおける細胞増殖を示す。
図54A〜Cは、増殖中のCD8+(CD45RA−)T細胞(
図49A)、CD4+(CD45RA−)T細胞(
図49B)、γδT細胞(
図49C)、およびNK細胞(
図49D)の割合を示す。
【
図50A-50C】追加のIL−15/Rαバリアントでの処理後の(
図50A)CD8+T細胞、(
図50B)CD4+T細胞、および(
図50C)NK細胞でのKi67発現の割合を示す。
【
図51A-51E】IL−15/Rαバリアントでの処理後の(
図51A)CD8+(CD45RA−)T細胞、(
図51B)CD4+(CD45RA−)T細胞、(
図51C)γδT細胞、(
図51D)NK(CD16+CD8α−)細胞、および(
図51E)NK(CD56+CD8α−)細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図52A-52E】IL−15/Rαバリアントでの処理後の(
図52A)CD8+(CD45RA−)T細胞、(
図52B)CD4+(CD45RA−)T細胞、(
図52C)γδT細胞、(
図52D)NK(CD16+CD8α−)細胞、および(
図52E)NK(CD56+CD8α−)細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図53A-53D】追加のIL−15/Rαバリアントでの処理後の(
図53A)CD8+T細胞、(
図53B)CD4+T細胞、(
図53C)γδT細胞、および(
図53D)NK(CD16+)細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図54】追加のIL−15/Rαバリアントでの処理後の(
図54A)CD8+T細胞、(
図54B)CD4+T細胞、(
図54C)γδT細胞、および(
図54D)NK(CD16+)細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図55】C57BL/6マウスでの0.1mg/kgの単回投与での様々なIL−15/RαFc融合タンパク質または対照のIV−TV投与時のPKを示す。
【
図56】効力低下のために操作されたIL−15/Rα−Fc融合タンパク質による処理後の半減期とNK細胞の効力の相関を示す。
【
図57A-57K】本発明のX標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質のいくつかのフォーマットを示す。Xは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dであってもよいが、これらに限定されない。「scIL−15/Rα×scFv」フォーマット(
図57A)は、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)を含み(「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のN末端に融合し、scFvはヘテロダイマーFcの他方側に融合している。「scFv×ncIL−15/Rα」フォーマット(
図57B)は、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したscFvを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。「scFv×dsIL−15/Rα」フォーマット(
図57C)は、「scFv×ncIL−15/Rα」フォーマットと同一であるが、IL−15Rα(sushi)およびIL−15は操作されたシステインの結果として共有結合している。「scIL−15/Rα×Fab」フォーマット(
図57D)は、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)を含み(「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のN末端に融合し、可変重鎖(VH)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。「ncIL−15/Rα×Fab」フォーマット(
図57E)は、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされ、一方、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。「dsIL−15/Rα×Fab」フォーマット(
図57F)は、「ncIL−15/Rα×Fab」フォーマットと同一であるが、IL−15Rα(sushi)およびIL−15は操作されたシステインの結果として共有結合している。「mAb−scIL−15/Rα」フォーマット(
図57G)は、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15はIL−15Rα(sushi)に融合し、これは次いでさらにヘテロダイマーFc領域の一方のC末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。「mAb−ncIL−15/Rα」フォーマット(
図57H)は、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFc領域の一方のC末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされ、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。「mAb−dsIL−15/Rα」フォーマット(
図57I)は、「mAb−ncIL−15/Rα」フォーマットと同一であるが、IL−15Rα(sushi)およびIL−15は操作されたシステインの結果として共有結合している。「central−IL−15/Rα」フォーマット(
図57J)は、IL−15(ヘテロダイマーFcの一方側にさらに融合する)のN末端に組み換えで融合したVHと、IL−15Rα(sushi)(ヘテロダイマーFcの他方側にさらに融合する)のN末端に組み換えで融合したVHとを含むが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。「central−scIL−15/Rα」フォーマット(
図57K)は、IL−15(ヘテロダイマーFcの一方側にさらに融合される)に融合したIL−15Rα(sushi)のN末端に融合したVHと、ヘテロダイマーFcの他方側に融合したVHとを含むが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。
【
図58】モナリズマブ(2014年12月2日発行の米国特許第8,901,283号に開示)に基づく例示的な抗NKG2A mAbの配列をキメラmAb(XENP24542)およびヒト化mAb(XENP24542)として示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図59】MS(2011年2月1日発行の米国特許第7,879,985号に開示)に基づく例示的な抗NKG2D mAbの配列を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図60A-60B】scIL−15/Rα×Fabフォーマットの例示的なNKG2A標的化IL−15/Rα−Fc融合体の配列、XENP24531、XENP24532、およびXENP27146を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図61】scIL−15/Rα×Fabフォーマットの例示的なNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合体の配列、XENP24533、XENP24534、およびXENP27145を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図62A-62C】NKG2A標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体(および対照scIL−15/Rα−Fc)での処理後の(
図62A)CD4+T細胞、(
図62B)CD8+T細胞、および(
図62C)NK細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図63A-63C】指定の試験物質で処理されたヒトPBMC中の、細胞増殖と厳密に関連するタンパク質のKi−67を発現する、(
図63A)CD8+CD45RA−T細胞、(
図63B)CD4+CD45RA−T細胞、および(
図63C)CD16+NK細胞の割合を示す。
【
図64A-64D】指定の試験物質で処理されたヒトPBMC中の、(
図64A)CD8+CD45RA−CD25−T細胞、(
図64B)CD4+CD45RA−CD25−T細胞、(
図64C)Treg(CD25+FoxP3+)、および(
図64D)CD56+NK細胞上のSTAT5リン酸化を示す。
【
図65A-65B】キメラmAb(XENP15076)、ヒト化mAb(15251)、ヒト化Fab(XENP23647)、およびヒト化ワンアームmAb(XENP24317)としてフォーマットされたヒト化mAb(2010年2月2日発行の米国特許第7,657,380号に前述したとおり)に基づく例示的なCD8結合分子の配列を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図66A-66B】scIL−15/RαxFabフォーマットの例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表Xに示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図67A-67C】CD9標的化IL−15/Rα−Fc融合体(ならびに対照の抗CD8 mAbおよびscIL−15/Rα−Fc)での処理後の(
図67A)CD8+T細胞、(
図67B)CD4+T細胞、および(
図67C)NK細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図68A-68C】CD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体での処理後の(
図68A)CD8+T細胞、(
図68B)CD4+T細胞、および(
図68C)NK細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図69A-69B】CD8標的化IL−15(N65D)/Rα−Fc融合体ならびに対照での処理後の(
図69A)ドナー21および(
図69B)ドナー23からのラパマイシン濃縮CD4+T細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図70】CD8標的化IL−15(N65D)/Rα−Fc融合体ならびに対照での処理後の(
図70A)ドナー21および(
図70A)ドナー23からの濃縮されたTregのCD4+細胞数を示す。
【
図71A-71B】CD8標的化IL−15(N65D)/Rα−Fc融合体ならびに対照での処理後の(
図71A)ドナー21および(
図71B)ドナー23からのラパマイシン濃縮CD4+T細胞上のCD25 MFIを示す。
【
図72A-72C】Tregの存在下でCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体でPBMCを処理した後の(
図72A)CD8レスポンダーT細胞、(
図72B)CD4レスポンダーT細胞、および(
図72C)NK細胞の増殖割合を示す。
【
図73】様々な量のTregの存在下でCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体でPBMCを処理した後のTreg数を示す。
【
図74A-74C】Treg(1:2 Treg:PBMC比)の存在下でCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体および対照でPBMCを処理した後の(
図74A)CD8メモリーT細胞、および(
図74B)CD4レスポンダーT細胞、および(
図74C)Treg細胞数の増殖割合を示す。
【
図75】CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体およびPBMCの非存在下での対照による処置後のTreg数を示す。
【
図76A-76D】CD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体およびIL−15/Rα−Fc融合バリアントでの処理後4日目のhuPBMC移植マウスの全血中の、(
図76A)CD4+T細胞現象、(
図76B)CD8+T細胞現象、(
図76C)CD8+T細胞現象とCD4+T細胞現象の相関関係、および(
図76D)CD8+T細胞/CD4+T細胞比を示す。
【
図77A-77D】CD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体およびIL−15/Rα−Fc融合バリアントでの処理後7日目のhuPBMC移植マウスの全血中の、(
図77A)CD4+T細胞現象、(
図77B)CD8+T細胞現象、(
図77C)CD8+T細胞現象とCD4+T細胞現象の相関関係、および(
図77D)CD8+T細胞/CD4+T細胞比を示す。
【
図78A-78D】CD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体およびIL−15/Rα−Fc融合バリアントでの処理後8日目のhuPBMC移植マウスの脾臓中の、(
図78A)CD4+T細胞現象、(
図78B)CD8+T細胞現象、(
図78C)CD8+T細胞現象とCD4+T細胞現象の相関関係、および(
図78D)CD8+T細胞/CD4+T細胞比を示す。
【
図79A-79B】代替フォーマットでのCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の例示的配列を示す(
図57に示すように)。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図80A-80F】代替フォーマットのCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体で処理後のCD4+T細胞、CD8+T細胞、およびNK細胞上のKi67発現の割合を示す。
【
図81】ファージ由来の抗CD8抗体配列を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図82】CD4+およびCD8+T細胞に対するワンアームFab−Fc抗体として再フォーマットされた例示的なファージヒットの結合を示す。
【
図83A-83C】標的細胞上のpMHCIへのCD8+T細胞上のCD8およびTCRの結合の図。
【
図84】(抗CD8抗体とプレインキュベーションしない)対照と比較して、抗CD8抗体とともにプレインキュベーション後のHLA2:01制限pp65(NLVPMVATV)ペプチド特異的T細胞に対するHLA2:01制限MHCテトラマー特異的pp65(NLVPMVATV)ペプチドによる結合割合を示す。
【
図85】HLA−A2*0201制限CMV pp65(NLVPMVATV)ペプチドまたはNY−ESO−1ペプチドをロードしたT2細胞とのインキュベーション後、(様々な抗CD8抗体とプレインキュベートした)HLA2:01制限pp65(NLVPMVATV)ペプチドに特異的なT細胞によるIFNγ放出を示す。
【
図86】IFNγ放出とT細胞によるテトラマー結合との相関関係を示す。
【
図87】ファージ由来1C11B3に基づく抗CD8 Fabアームを含む例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体である、XENP24736の配列を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図88】指定の試験物質で処理されたヒトPBMCでKi67を発現する(
図88A)CD8+CD45RA−T細胞および(
図88B)CD4+CD45RA−T細胞の割合を示す。
【
図89】示すようにマウスまたはヒト化のOKT8可変領域を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図90】ヒト化抗OKT8 mAbであるXENP15075の配列を示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記されそして本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表1に示されるように用いられる付番によってわずかに異なり得、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図91】
図89に示すヒト化OKT8可変領域に基づくFabアームを含む例示的なワンアーム抗CD8 mAbを示す。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図92A-92C】
図89に示すように、マウスまたはヒト化OKT8可変領域に基づく抗CD8 Fabアームを含む例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図93A-93B】ヒト化OKT8を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体で処理したヒトPBMC中でKi67を発現する、(
図93A)CD8
+CD45RA
−T細胞および(
図93B)CD4
+CD45RA
−T細胞の割合を示す。
【
図94A-94C】7日目のヒトPBMC移植NSGマウスの血液中の(
図94A)CD8
+CD45RA
−T細胞数、(
図94B)CD4
+CD45RA
−T細胞数、および(
図94C)CD8
+/CD4
+T細胞比を示す。
【
図95A-95B】
図89に示すOKT8_H2(ヒト化可変重鎖V2)に基づくバリアント可変重領域と、
図89に示すOKT8_H1(ヒト化可変軽鎖V1)に基づくバリアント可変軽領域を示す。本明細書に示す可変重領域のそれぞれは、この図に示される可変軽領域および
図89に示される可変軽領域のいずれかと組み合わせることができる。本明細書に示される可変軽領域のそれぞれは、この図に示される可変重領域および
図89に示される可変重領域のいずれかと組み合わせることができる。CDRには下線が付されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。さらに、図中のすべての配列に関して、これらのVHおよびVL配列は、scFvフォーマットまたはFabフォーマットのいずれかで使用することができる。
【
図96】ヒトおよびカニクイザルCD8に対して例示的なカニクイザルCD8の親和性操作したOKT8_H2L1の解離定数(K
D)、解離速度(k
d)、および会合速度(k
a)を示す。ここに描かれている分子は、空のFcおよびFabを有するワンアームmAbであり、
図89および95に示すFabアームは可変領域を含む。例えば、XENP26009のFabアームには、OKT8_H2.152可変重鎖とOKT8_L1.103可変軽鎖がある。
【
図97】
図95に示すように、カニクイザル親和性操作(HuCy)OKT8可変領域に基づいた、抗CD8 Fabアームを含む例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記され、かつ本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示すように使用する付番によってわずかに異なっていてもよく、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたVHおよびVLドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図98A-98B】カニクイザル親和性操作ヒト化OKT8結合ドメインを含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体で処理したヒトPBMC中のKi67を発現する、(
図98A)CD8
+CD45RA
−T細胞および(
図98B)CD4
+CD45RA
−T細胞の割合を示す。
【
図99A-99B】カニクイザル親和性操作ヒト化OKT8結合ドメインを含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体で処理したヒトPBMC中の、(
図99A)CD8
+CD45RA
−T細胞および(
図99B)CD4
+CD45RA
−T細胞のSTAT5リン酸化を示す。
【
図100A-100D】カニクイザル親和性操作ヒト化OKT8結合ドメインを含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体を投与後7日目のヒトPBMC移植NSGマウスの血中の、(
図100A)CD45
+細胞数、(
図100B)CD4
+T細胞数、(
図100C)CD8
+T細胞数、および(
図100D)CD8
+/CD4
+T細胞比を示す。
【
図101A-101B】カニクイザル親和性操作ヒト化OKT8結合ドメインを含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体で処理したカニクイザルPBMC中のKi67を発現する、(
図101A)CD8
+CD45RA
−T細胞および(
図101B)CD4
+CD45RA
−T細胞の割合を示す。
【
図102】Xtend Fcを含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の例を示す。CDRは太字で示されている。本明細書中に記されそして本明細書中のCDRを含むあらゆる配列に当てはまるように、CDR位置の正確な同定は表2に示されるように用いられる付番によってわずかに異なり得、したがって、下線が付されたCDRのみならず、他の付番システムを用いたV
HおよびV
Lドメイン内に含まれるCDRもまた本明細書に含まれる。IL−15およびIL−15Rα(sushi)には下線が付され、リンカーには二重下線が付され(しかし、当業者には理解されるように、リンカーは、その一部が
図6および7に示す他のリンカーで置き換えられ得る)、スラッシュ(/)は、IL−15、IL−15Rα、リンカー、様々な領域、および定常/Fc領域の間の境界(複数可)を示す。
【
図103A-103F】様々な濃度の組み換えIL−15、WT IL−15/Rα−Fc(XENP20818)、および例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体(XENP26585)による、(
図103A)CD4+CD45RA−T細胞、(
図103B)CD4+CD45RA+T細胞、(
図103C)CD8+CD45RA−T細胞、(
図103D)CD8+CD45RA+T細胞、(
図103E)Treg、および(
図103F)CD56−NK細胞のSTAT5リン酸化を経時的に示す。
【
図104A-104B】XENP24050またはXENP26223の投与後のカニクイザル末梢血中の(
図104A)CD8+T細胞数および(
図104B)CD4+T細胞数の経時的な倍率変化を示す。
【
図105A-105B】XENP24050またはXENP26223の投与後のカニクイザル末梢血中のKi67を発現する(
図105A)CD8+T細胞および(
図105B)CD4+T細胞の割合を示す。
【
図106】XENP24050またはXENP26223の投与後のカニクイザルのリンパ節でKi67を発現するCD8+CD45RA−T細胞の割合を示す。
【
図107A-107B】Xtend Fc(XENP24294)を含むワンアーム効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体およびXtend Fc(XENP26585)を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の投与後の、(
図107A)CD8+T細胞数、(
図107B)CD4+T細胞数、およびC)CD8+/CD4+T細胞比を示す。
【
図108A-108B】(
図108A)グループ1(親MCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)および(
図108B)グループ2(pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)におけるKi67陽性CD8+T細胞の割合を示す。
【
図109A-109B】(
図109A)グループ1(親MCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)および(
図109B)グループ2(pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)におけるIFNγ陽性CD8+T細胞の割合を示す。
【
図110A-110B】(
図110A)グループ1(親MCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)および(
図110B)グループ2(pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)におけるKi67およびIFNγ陽性CD8+T細胞の割合を示す。
【
図111A-111B】(
図111A)グループ1(親MCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)および(
図111B)グループ2(pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)におけるKi67陽性CD4
+T細胞の割合を示す。
【
図112A-112B】(
図112A)グループ1(親MCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)および(
図112B)グループ2(pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)におけるIFNγ陽性CD4+T細胞の割合を示す。
【
図113A-113B】(
図113A)グループ1(親MCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)および(
図113B)グループ2(pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞および指定の試験物質とともにインキュベートした精製T細胞)におけるKi67およびIFNγ陽性CD4+T細胞の割合を示す。
【
図114A-114B】精製T細胞および指定の試験物質とともにインキュベーション後の残りの標的細胞を示す。[
図114A:親MCF−7腫瘍細胞、
図114B:pp65を発現するMCF−7腫瘍細胞]
【
図115A-115B】pp65反応性huPBMCで移植し指定の試験物質で処理後の、pp65を発現するMCF−7細胞を移植したNSGマウスの(
図115A)平均腫瘍体積および(
図115B)腫瘍体積の変化を示す。
【
図116A-116E】pp65反応性huPBMCで移植し指定の試験物質で処理後の、pp65を発現するMCF−7細胞を移植したNSGマウスの全血中の(
図116A)CD45
+細胞、(
図116B)CD4
+T細胞、(
図116C)CD8
+T細胞、(
図116D)NK細胞数、ならびに(
図116E)CD8
+/CD4
+T細胞比を示す。
【0030】
I.概要
本発明の二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、様々な種類の癌を治療するのに有用である。当業者には理解されるように、組み換えで産生されたIL−15/IL−15Rαヘテロダイマーは、T細胞を強力に活性化することができる。しかし、その半減期が短いため、好ましい投薬が妨げられる。本発明の標的化IL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマーFc融合タンパク質は、T細胞活性化をもたらすことができ、癌細胞に対する免疫応答がより大きくなり、したがってより効果的な治療をもたらし得る。そのような標的化ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、多種多様な腫瘍タイプの治療に有用性を見出すことが期待できる。
【0031】
後述するように、T細胞活性化を測定できる様々な方法がある。NK細胞およびT細胞に対する二重特異性チェックポイント抗体の機能的作用は、増殖、サイトカイン放出、および細胞表面メーカーのパラメーターの変化を測定することにより、インビトロ(以下により詳細に説明するように場合によっては、インビボ)で評価できる。NK細胞の場合、細胞増殖の増加、細胞傷害性(CD107a、グランザイム、およびパーフォリン発現の増加により測定される標的細胞を殺滅能力、または標的細胞殺滅を直接測定することによる)、サイトカイン産生(例えば、IFN−γおよびTNF)、および細胞表面受容体の発現(例えば、CD25)は、免疫調節、例えば、癌細胞の死滅の増強を示す。T細胞の場合、増殖の増加、活性化の細胞表面マーカー発現の増加(例えば、CD25、CD69、CD137、PD1など)、細胞傷害性(標的細胞を死滅させる能力)、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−6、IFN−γ、TNF−α、IL−10、IL−17A)は、免疫調節、例えば、癌細胞の死滅増強などを示す。したがって、治療の評価は、以下のうちの1つ以上を評価するアッセイを使用して実施することができる。(i)免疫応答を増加させること、(ii)αβT細胞および/またはγδT細胞の活性化を増加させること、(iii)細胞傷害性T細胞活性を増加させること、(iv)NKおよび/またはNKT細胞活性を増加させること、(v)αβT細胞抑制および/またはγδT細胞抑制を軽減させること、(vi)炎症誘発性サイトカイン分泌を増加させること、(vii)IL−2分泌を増加させること、(viii)インターフェロン−γ産生を増加させること、(ix)Th1応答を増加させること、(x)Th2応答を減少させること、(xi)少なくとも1つの制御性T細胞の細胞数および/または活性を減少させること、ならびに(xii)腫瘍免疫浸潤物を増加させること。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明は、二機能性IL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマーFc融合タンパク質の使用を提供し、それを必要とする対象において以下のうちの1つ以上を実施する。(a)炎症促進性サイトカインを上方制御すること(b)T細胞の増殖、拡大、または腫瘍浸潤を増加させること(c)T細胞によるインターフェロン−γ、TNF−α、および他のサイトカイン産生を増加させること、(d)IL−2分泌増加させること、(e)抗体応答を刺激すること、(f)癌細胞の成長を阻害すること、(g)抗原特異的T細胞免疫を促進すること、(h)CD4+および/もしくはCD8+T細胞活性化を促進すること、(i)T細胞抑制を緩和させること、(j)NK細胞活性を促進すること、(k)癌細胞のアポトーシスまたは溶解を促進すること、ならびに/または(l)癌細胞に対する細胞傷害性または細胞増殖抑制作用。
【0033】
二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質構築物は、抗体の重鎖の2つのFcドメイン、例えば、集合して「ダイマー」を構築する2つの「モノマー」の自己組織化の性質に基づく。ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、以下でさらに詳しく説明するとおり、各モノマーのアミノ酸配列を変えることによって作製される。したがって、本発明は概して、ヘテロダイマーFc融合タンパク質の生成に関し、ヘテロダイマー形成を促進するために、かつ/またはホモダイマーよりもヘテロダイマーの精製を容易にするために、各鎖で異なる定常領域中のアミノ酸バリアントに応じて、抗原をいくつかの方法で共結合することができる。
【0034】
二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質の形成における主要な障害は、ホモダイマー融合タンパク質から離れてヘテロダイマー融合タンパク質を精製することの難しさ、かつ/またはホモダイマーの形成よりもヘテロダイマーの形成に偏らせることの難しさである。この問題を解決するために、本発明のヘテロダイマーを生成するために使用することができるいくつかのメカニズムが存在する。さらに、当業者には理解されるように、これらのメカニズムを組み合わせて高いヘテロダイマー化を確実にすることができる。したがって、ヘテロダイマー抗体の生成を引き起こすアミノ酸バリアントは、「ヘテロダイマー化バリアント」と呼ばれる。後述するように、ヘテロダイマー化バリアントは、立体バリアント(例えば、下記の「ノブアンドホール」または「スキュー」バリアントおよび下記の「電荷対」バリアント)ならびに「pIバリアント」含むことができ、それによってヘテロダイマーから離れてホモダイマー精製を可能にする。
【0035】
1つのメカニズムは、当技術分野において一般的に「ノブアンドホール」(「KIH」)、または本明細書ではしばしば「スキューバリアント」を指し、これはヘテロダイマー形成を有利にし、ホモダイマー形成を不利にする立体効果および/または静電効果をもたらすアミノ酸操作を指すものであり、任意選択的に使用することができる。Ridgway et al.,Protein Engineering 9(7):617(1996)、Atwell et al.,J.Mol.Biol.1997 270:26、米国特許第8,216,805号、米国特許公開第2012/0149876号に記載のとおりであり、それらのすべては参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。これらの図は、「ノブアンドホール」アミノ酸置換を含むいくつかの「モノマーA−モノマーB」対を同定する。さらに、Merchant et al.,Nature Biotech.16:677(1998)に記載されているように、これらの「ノブアンドホール(knobs and hole)」変異は、ヘテロダイマー化に対するスキュー形成へのジスルフィド結合と組み合わせることができる。本発明において有用なのは、T366Wと対をなすT366S/L368A/Y407V、ならびに架橋ジスルフィドを有するこのバリアント、T366W/S354Cと対をなすT366S/L368A/Y407V/Y349Cであり、特に以下に概説するpIバリアントを含む他のヘテロダイマー化バリアントとの組み合わせである。
【0036】
ヘテロダイマー抗体の生成に使用される追加のメカニズムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるGunasekaran et al.,J.Biol.Chem.285(25):19637(2010)に記載されているように、しばしば「静電ステアリング」または「電荷対」と呼ばれる。これは、本明細書において、しばしば「電荷対」と呼ばれる。この実施形態では、静電学を使用して、ヘテロダイマー化に向けて形成をスキューさせる。当業者には理解されるように、これらは、pI、すなわち精製にも影響を及ぼす可能性があり、したがって場合によってはpIバリアントと見なすこともできる。しかしながら、これらはヘテロダイマー化を強制するために生成され、精製手段として使用されなかったので、それらは「立体バリアント」として分類される。これらには、D221R/P228R/K409Rと対になったD221E/P228E/L368E(例えば、これらは「モノマーの対応セット」である)、およびC220R/E224R/P228R/K409Rと対になったC220E/P228E/368Eが含まれるがこれらに限定されない。
【0037】
本発明において、いくつかの実施形態では、pIバリアントを使用して、モノマーの一方または両方のpIを変更し、A−A、A−B、およびB−Bダイマータンパク質の等電分離を可能にする。
【0038】
本発明において、ヘテロダイマータンパク質の精製を容易に引き起こすことができるいくつかの基本的メカニズムが存在し、その1つは、各モノマーが異なるpIを有することによって、A−A、A−B、およびB−Bダイマータンパク質の等電精製が可能になるように、pIバリアントの使用に依存する。あるいは、「トリプルF」フォーマットなどの一部の足場フォーマットでは、サイズに基づいて分離することもできる。以下にさらに概説するように、ホモダイマーよりもヘテロダイマーの形成を「スキューさせる」ことも可能である。したがって、立体的ヘテロダイマー化バリアントおよびpIバリアントまたは電荷対バリアントの組み合わせは、本発明において特に使用される。
【0039】
ヘテロダイマータンパク質の精製を可能にする分離メカニズムとしてpIを利用する本発明では、アミノ酸バリアントを一方または両方のモノマーポリペプチドに導入することができる。すなわち、一方のモノマー(本明細書では簡潔さために「モノマーA」と呼ぶ)のpIは、モノマーBから離れて操作されることができ、あるいはAとBの両モノマーは、モノマーAのpIを増加させ、モノマーBのpIを減少させるように変えることができる。以下で完全に概説されるように、いずれかまたは両方のモノマーのpI変化は、荷電残基を除去または付加することによって(例えば、中性アミノ酸を正荷電または負荷電のアミノ酸残基で置換する、例えばグリシンからグルタミン酸)、正または負から反対の電荷へ荷電残基を変更することによって(例えばアスパラギン酸からリジンへ)、あるいは荷電残基を中性残基へ変更することによって(例えば電荷の消失、リジンからセリン)、実施することができる。いくつかのこれらのバリアントを図に示す。さらに、本明細書のヘテロダイマー抗体の生成に使用するのに好適なpIバリアントはアイソタイプのもの、例えば、有意な免疫原性を導入することなくpIが変化するように、異なるIgGアイソタイプからpIバリアントを移入することである。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20140288275号の
図29を参照されたい。
【0040】
したがって、本発明のこの実施形態では、ヘテロダイマーをホモダイマーから分離することができるように、少なくとも1つのモノマーに十分なpIの変化を生じさせることをもたらす。当業者には理解され、かつ以下にさらに論じるように、これは「野生型」重鎖定常領域、およびそのpIを増加または減少させる(wtA:B+またはwtA:B−)ように操作されたバリアント領域を使用することによって、または一方の領域を増加して他方の領域を減少させることによって(A+:B−またはA−:B+)、実施できる。
【0041】
したがって、一般に、本発明のいくつかの実施形態の構成要素は、ダイマータンパク質のモノマーの両方ではないにしても少なくとも1つの等電点(pI)を、アミノ酸置換(「pIバリアント」または「pI置換」)をモノマーの一方または両方に組み込むことによって変化させることを目的とする抗体の定常領域におけるアミノ酸バリアントである。本明細書中に示されるように、2つのホモダイマーからのヘテロダイマーの分離は、2つのモノマーのpIが0.1pH単位とわずかに異なる場合に達成でき、0.2、0.3、0.4、および0.5以上異なるものがすべて本発明において使用される。
【0042】
当業者には理解されるように、良好な分離を得るために各モノマーまたは両モノマー(複数可)に含まれるべきpIバリアントの数は、対象のscFvおよびFabの出発pIに部分的に依存するであろう。すなわち、どのモノマーを操作するか、またはどの「方向」か(例えば、より陽性または陰性)を決定するために、2つの標的抗原のFv配列を計算し、そこから決定される。当技術分野において既知のように、異なるFvは、本発明において利用される異なる出発pIを有するであろう。概して、本明細書に概説されるように、pIは、少なくとも約0.1logの各モノマーの総pI差をもたらすように操作され、本明細書に概説されるように0.2〜0.5が好ましい。
【0043】
さらに、当業者には理解され、本明細書に概説されるように、場合によっては(フォーマットに応じて)、ヘテロダイマーはサイズ(例えば、分子量)に基づいてホモダイマーから分離することができる。
図57A〜57Kに示すように、一部のフォーマットでは、サイズの異なるヘテロダイマーをもたらす。
【0044】
さらに、
図57A〜57Kに示すように、いくつかの抗原が二価に結合している可能性があることが認識される(例えば、単一の抗原に対する2つの抗原結合部位)。理解されているように、FabおよびscFvの任意の組み合わせを利用して、所望の結果および組み合わせを達成することができる。
【0045】
pIバリアントを使用してホモダイマーよりもヘテロダイマーの精製を達成する場合、重鎖(複数可)の定常領域(複数可)を使用することによって、抗体を含む多重特異性タンパク質を設計および精製するよりモジュール方式のアプローチが提供される。したがって、いくつかの実施形態では、ヘテロダイマー化バリアント(スキューバリアントおよび精製ヘテロダイマー化バリアントを含む)は可変領域に含まれないため、各個々の抗体を操作しなければならない。さらに、いくつかの実施形態では、pIバリアントから生じる免疫原性の可能性は、顕著な免疫原性を導入することなくpIが変化するように、異なるIgGアイソタイプからのpIバリアントを移入することによって顕著に低下する。したがって、解決されるべきさらなる問題は、高いヒト配列含有量を有する低いpI定常ドメインの解明、例えば、任意の特定位置における非ヒト残基の最小化または回避である。
【0046】
このpI操作で起こり得る副次的な利益はまた、血清半減期の延長およびFcRn結合の増加である。すなわち、米国特許第8,637,641号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、抗体定常ドメイン(抗体およびFc融合体に見られるものを含む)のpIを低下させるとインビボでより長い血清保持をもたらし得る。血清半減期を延長するためのこれらのpIバリアントはまた、精製のためのpI変化を促進する。
【0047】
さらに、ヘテロダイマー化バリアントのpIバリアントは、ホモダイマーが存在するときを排除、最小化、および区別する能力が顕著であるので、二重特異性抗体の分析および品質管理プロセスにさらなる利益を与えることに注意すべきである。同様に、ヘテロダイマータンパク質の製造の再現性を確実に試験する能力は重要である。
【0048】
当業者には理解され、以下でより詳細に説明するように、概して
図57A〜57Kに示すように、本発明のヘテロダイマー融合タンパク質は、多種多様な立体配置をとることができる。いくつかの図は、「シングルエンド型」立体配置を示し、分子の一方の「アーム」には1つのタイプの特異性があり、他方の「アーム」には異なる特異性がある。他の図は、「デュアルエンド型」立体配置を示し、分子の「上部」に少なくとも1つのタイプの特異性があり、分子の「底部」に1つ以上の異なる特異性がある。本発明は、抗原に関与し、IL−15/IL−15Rα複合体を含む新規免疫グロブリン組成物に関する。
【0049】
さらに、本明細書で概説するように、追加の機能を追加するために、追加のアミノ酸バリアントを本発明の二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質に導入してもよい。例えば、Fc領域内のアミノ酸変化を(一方のモノマーまたは両方のモノマーいずれか)追加して、ADCCまたはCDCの増加(例えば、Fcγ受容体への結合の変化)を促進し、FcRnへの結合を増加および/または結果として生じる分子の血清半減期を増加させることができる。本明細書でさらに説明するように、また当業者には理解されるように、本明細書で概説する変形のいずれかおよびすべては、他の変形と任意選択的に独立して組み合わせることができる。
【0050】
同様に、機能性バリアントの別のカテゴリーは「Fcγ切除バリアント」または「Fcノックアウト(FcKOまたはKO)バリアント」である。これらの実施形態では、いくつかの治療用途のために、1つ以上またはすべてのFcγ受容体(例えば、FcγR1、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIaなど)へのFcドメインの正常な結合を低減または除去して、追加の作用機序を回避することが望ましい。すなわち、例えば、ADCC活性を排除または有意に低下させるために、FcγRIIIa結合を除去することが一般に望ましい。好適な切除バリアントを
図29に示す。
【0051】
II.命名法
本発明の二重特異性抗体を、いくつかの異なるフォーマットに列挙する。各ポリペプチドには固有の「XENP」番号が付与されるが、当技術分野で理解されるように、より長い配列はより短い配列を含み得る。いくつかの分子には3つのポリペプチドがあるため、XENP番号が構成要素とともに名称として使用される。したがって、ボトルオープナー形式の分子XENP24116は概して、3つの配列「XENP24116_ヒトIL15Rα(sushiドメイン)_(GGGGS)5_ヒトIL15(N65D、一本鎖)−Fc」、「XENP24116_51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc重鎖」、および「XENP24116_51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc軽鎖」または同等物を含むが、当業者はこれらを配列アラインメントにより容易に特定することができるだろう。これらのXENP番号は、配列表ならびに識別子にあり、図で使用される。さらに、3つの構成要素を含む1つの分子は、複数の配列識別子を生成する。例えば、Fabモノマーのリストには、完全長配列、可変重配列、可変重配列の3つのCDRがあり、軽鎖には、完全長配列、可変軽配列、および可変軽配列の3つのCDRがあり、scFv−Fcドメインには、完全長配列、scFv配列、可変軽配列、3つの軽鎖CDR、scFvリンカー、可変重配列、および3つの重鎖CDRがあり、scFvドメインを含む本明細書のすべての分子は、単一の荷電scFvリンカー(+H)を使用するが、他の分子も使用できることに留意されたい。さらに、特定の可変ドメインの命名法では、「Hx.xx_Ly.yy」タイプの形式が使用され、番号は特定の可変鎖配列の一意の識別子である。したがって、XENP26229のFab側の可変ドメインは「OKT8_H2.166_L1.103」であり、これは可変重ドメインH2.166が軽ドメインL1.103と組み合わされたことを示す。これらの配列がscFvとして使用される場合、「OKT8_H2.166_L1.103」という名称は、可変重ドメインH2.166が軽ドメインL1.103と結合し、N末端からC末端に向かってvh−リンカー−vl方向にあることを示す。重可変ドメインと軽可変ドメインの同一の配列を持つが逆順のこの分子は、「OKT8_L1.103_H2.166」と名付けらる。同様に、配列表および図から明らかなように、異なる構築物は重鎖および軽鎖を「混合および適合」し得る。
【0052】
III.定義
本出願をより完全に理解できるようにするため、いくつかの定義を以下に示す。そのような定義は、文法的同等物を包含することを意図する。
【0053】
本明細書において「アブレーション」とは、結合および/または活性の低下または除去を意味する。したがって、例えば、「FcγR結合を切除する」とは、Fc領域アミノ酸バリアントが、その特定のバリアントを含まないFc領域と比較して50%未満の開始結合を有することを意味し、70〜80〜90〜95〜98%未満の結合喪失が好ましく、一般に、結合はBiacoreアッセイにおいて検出可能な結合のレベル未満である。FcγR結合の除去において特に有用なものは、
図29に示すものである。しかしながら、他の記載がない限り、本発明のFcモノマーはFcRnへの結合を保持する。
【0054】
本明細書で使用される「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」とは、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の連結抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介反応を意味する。ADCCは、FcγRIIIaへの結合と相関し、FcγRIIIaへの結合の増加はADCC活性の増加をもたらす。本明細書で論じるように、本発明の多くの実施形態はADCC活性を完全に除去する。
【0055】
本明細書で用いられる「ADCP」または抗体依存性細胞媒介食作用とは、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の連結抗体を認識し、続いて標的細胞の食作用を引き起こす細胞媒介反応を意味する。
【0056】
本明細書における「修飾」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入、および/もしくは欠失、またはタンパク質に化学的に連結された部分への改変を意味する。例えば、修飾は、タンパク質に結合した改変された炭水化物またはPEG構造であってもよい。本明細書における「アミノ酸修飾」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を意味する。明確にするために、別段の記載がない限り、アミノ酸修飾は常に、DNAによってコードされるアミノ酸、例えば、DNAおよびRNA中にコドンを有する20個のアミノ酸に対するものである。
【0057】
本明細書における「アミノ酸置換」または「置換」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することを意味する。特に、いくつかの実施形態では、置換は、特定の位置で天然に存在しない(生物内で天然に存在しないか、またはいずれの生物中にも存在しないかのいずれか)アミノ酸に対するものである。例えば、置換E272Yまたは272Yは、272位のグルタミン酸がチロシンで置換されているバリアントポリペプチド、この場合はFcバリアントを指す。明確にするために、核酸コード配列を変化させるが、出発アミノ酸を変化させない(例えば、宿主生物発現レベルを上昇させるために(アルギニンをコードする)CGGを(アルギニンをなおコードする)CGAに交換する)ように操作されたタンパク質は、「アミノ酸置換」ではない。すなわち、同じタンパク質をコードする新たな遺伝子の生成にもかかわらず、タンパク質は、それが開始する特定の位置に同じアミノ酸を有する場合、それはアミノ酸置換ではない。置換には、天然に存在するアミノ酸および場合によっては合成アミノ酸が含まれ得る。例としては、米国特許第6,586,207号、WO98/48032、WO03/073238、US2004/0214988A1、WO05/35727A2、WO05/74524A2、J.W.Chin et al.,(2002),Journal of the American Chemical Society 124:9026−9027、J.W.Chin,& P.G.Schultz,(2002),ChemBioChem 11:1135−1137、J.W.Chin,et al.,(2002),PICAS United States of America99:11020−11024、およびL.Wang,& P.G.Schultz,(2002),Chem.1−10が含まれ、参照により全体が組み込まれる。
【0058】
本明細書で使用される「アミノ酸挿入」または「挿入」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置にアミノ酸残基またはアミノ酸配列を付加することを意味する。例えば、−233Eは、233位の後、かつ234位の前のグルタミン酸の挿入を示す。さらに、−233ADEまたはA233ADEは、233位の後、かつ234位の前のAlaAspGluの挿入を示す。
【0059】
本明細書で使用される「アミノ酸欠失」または「欠失」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置でアミノ酸残基またはアミノ酸配列を除去することを意味する。例えば、E233−、またはE233#、E233()、またはE233delは、233位のグルタミン酸の欠失を示す。さらに、EDA233−またはEDA233#は、233位で始まる配列GluAspAlaの欠失を示す。
【0060】
本明細書で使用される「バリアントタンパク質」「タンパク質バリアント」または「バリアント」とは、少なくとも1つの修飾によって親タンパク質のそれとは異なるタンパク質を意味する。タンパク質バリアントは、タンパク質自体、タンパク質を含む組成物、それをコードするアミノ配列、またはそれをコードするDNA配列を指し得る。好ましくは、タンパク質バリアントは、親タンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸修飾、例えば、親と比較して約1〜約70個のアミノ酸修飾、好ましくは約1〜約5個のアミノ酸修飾を有する。修飾は、付加、欠失、または置換であり得る。
【0061】
以下に記載するように、いくつかの実施形態では、親ポリペプチド、例えばFc親ポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4由来の重定常ドメインまたはFc領域などのヒト野生型配列であるが、バリアントを有するヒト配列もまた、「親ポリペプチド」として機能することができ、例えば、米国特許公開第2006/0134105号のIgG1/2ハイブリッドを含めることができる。本明細書のタンパク質バリアントの配列は、好ましくは、親タンパク質配列と少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性、より好ましくは少なくとも約95−98−99%の同一性を有する。
【0062】
したがって、本明細書で使用される「抗体バリアント」または「バリアント抗体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親抗体とは異なる抗体を意味し、本明細書で使用される「IgGバリアント」または「バリアントIgG」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親IgG(ここでも、多くの場合はヒトIgG配列に由来)とは異なる抗体を意味し、本明細書で使用される「免疫グロブリンバリアント」または「バリアント免疫グロブリン」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾に基づいて親免疫グロブリン配列のそれとは異なる免疫グロブリン配列を意味する。本明細書で使用される「Fcバリアント」または「バリアントFc」は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のFcドメインと比較してアミノ酸修飾を含むタンパク質を意味する。
【0063】
本発明のFcバリアントは、それらを構成するアミノ酸修飾に従って定義される。したがって、例えば、N434Sまたは434Sは、親Fcポリペプチドに対して434位に置換セリンを有するFcバリアントであり、付番はEUインデックスによるものである。同様に、M428L/N434Sは、親Fcポリペプチドに対して置換M428LおよびN434Sを有するFcバリアントを定義する。WTアミノ酸の同一性は特定されていなくてもよく、その場合、前述のバリアントは428L/434Sと呼ばれる。置換が提供される順序は任意であり、すなわちそれは、例えばN434S/M428LはM428L/N434Sと同一のFcバリアントである、などということである。抗体に関連する本発明において論じられるすべての位置について、特に明記しない限り、アミノ酸位置の付番はEUインデックスによるものである。EUインデックス、またはKabatもしくはEU付番スキームにあるようなEUインデックスは、EU抗体の付番を指す。Kabatらは、重鎖および軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。配列の保存の程度に基づき、Kabatらは、個々の一次配列をCDRおよびフレームワークに分類し、そのリストを作成した(参照により全体が組み込まれるSEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th edition,NIH publication,No.91−3242,E.A.Kabat et al.を参照されたい)。Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78−85(これにより参照によりその全体が組み込まれる)も参照されたい。修飾は、付加、欠失、または置換であり得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、およびペプチドを含む、少なくとも2つの共有結合したアミノ酸を意味する。さらに、ポリペプチドには、1つ以上の側鎖または末端の合成誘導体化、グリコシル化、PEG化、円順列、環化、他の分子へのリンカー、タンパク質またはタンパク質ドメインへの融合、およびペプチドタグまたは標識の付加が含まれ得る。生物学的に機能する分子が2つ以上のタンパク質を含む場合、各タンパク質は「モノマー」または「サブユニット」または「ドメイン」と呼ばれてもよく、生物学的に機能する分子は「複合体」と呼ばれてもよい。
【0065】
「残基」とは、本明細書で使用されるとき、タンパク質における位置およびその関連するアミノ酸素性を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297またはN297とも称される)は、ヒト抗体IgG1中の297位の残基である。
【0066】
本明細書で使用される「Fab」または「Fab領域」とは、概して2つの異なるポリペプチド鎖の(例えば、一方の鎖のVH−CH1、他方の鎖のVL−CL)、VH、CH1、VL、およびCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、この領域単独、または本発明の二重特異性抗体との関係においてこの領域を指し得る。Fabの関連で、Fabは、CH1およびCLドメインに加えてFv領域を含む。
【0067】
本明細書で使用される「Fv」または「Fvフラグメント」または「Fv領域」は、ABDのVLドメインおよびVHドメインを含むポリペプチドを意味する。Fv領域は、Fab(上述のとおり、概して上記に概説されている定常領域も含む2つの異なるポリペプチド)とscFvの両方としてフォーマットすることができ、vlおよびvhドメインを(一般に、本明細書で考察されるリンカーで)組み合わせてscFvを形成する。
【0068】
本明細書における「一本鎖Fv」または「scFv」は概して、本明細書で論じられるscFvリンカーを使用してscFvまたはscFvドメインを形成する、可変軽ドメインに共有結合した可変重ドメインを意味する。scFvドメインは、N末端からC末端に向かって(vh−リンカー−vlまたはvl−リンカー−vh)のいずれの向きにもあり得る。配列表および図に示す配列では、vhおよびvlドメインの順序が名前に示される。例えば、HX_L.Yは、N末端からC末端方向に、vh−リンカー−vl、およびL.Y_H.Xがvl−リンカー−vhであることを意味する。
【0069】
本明細書で使用される「IgGサブクラス修飾」または「アイソタイプ修飾」とは、1つのIgGアイソタイプの1つのアミノ酸を、異なる、整合したIgGアイソタイプの対応するアミノ酸に変換するアミノ酸修飾を意味する。例えば、EU位置296においてIgG1はチロシンを含み、IgG2はフェニルアラニンを含むので、IgG2におけるF296Y置換は、IgGサブクラス修飾であると考えられる。
【0070】
本明細書で使用される「天然に存在しない修飾」とは、アイソタイプ性ではないアミノ酸修飾を意味する。例えば、IgGのうちのいずれも434位にセリンを含まないので、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4(またはそれらのハイブリッド)における置換434Sは、天然に生じない修飾であると見なされる。
【0071】
本明細書で使用される「アミノ酸」および「アミノ酸同一性」は、DNAおよびRNAによってコードされている20種の天然に存在するアミノ酸のうちの1つを意味する。
【0072】
本明細書で使用される「エフェクター機能」とは、抗体Fc領域とFc受容体またはリガンドとの相互作用から生じる生化学的事象を意味する。エフェクター機能には、ADCC、ADCP、およびCDCが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される「IgG Fcリガンド」または「Fcリガンド」とは、IgG抗体のFc領域に結合してFc/Fcリガンド複合体を形成する任意の生物由来の分子、好ましくはポリペプチドを意味する。Fcリガンドには、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、FcRn、C1q、C3、マンナン結合レクチン、マンノース受容体、staphylococcalプロテインA、streptococcalプロテインG、およびウイルスFcγRが含まれるが、これらに限定されない。Fcリガンドにはまた、FcγRと相同なFc受容体のファミリーである、Fc受容体相同体(FcRH)が含まれる(Davis et al.,2002,Immunological Reviews190:123−136(参照により全体が組み込まれる))。Fcリガンドは、Fcに結合する未発見の分子を含み得る。特定のIgG Fcリガンドは、FcRnおよびFcガンマ受容体である。
【0074】
本明細書で使用される「Fcガンマ受容体」、「FcγR」、または「FcガンマR」とは、IgG抗体Fc領域に結合し、かつFcγR遺伝子によってコードされるタンパク質ファミリーの任意のメンバーを意味する。ヒトにおいて、このファミリーには、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64)、アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131とR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1とFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、ならびにアイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158とF158を含む)、およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIb−NA1とFcγRIIb−NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(参照により全体が組み込まれるJefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57−65)、同様に、任意の未発見のヒトFcγRまたはFcγRアイソフォームもしくはアロタイプが含まれるが、これらに限定されない。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むが、これらに限定されない任意の生物由来であり得る。マウスFcγRには、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、およびFcγRIII−2(CD16−2)、ならびに任意の未発見のマウスFcγRまたはFcγRアイソフォームもしくはアロタイプが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用される「FcRn」または「新生児Fc受容体」とは、IgG抗体のFc領域に結合し、少なくとも部分的にFcRn遺伝子によってコードされるタンパク質を意味する。FcRnは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むが、これらに限定されない任意の生物由来であり得る。当技術分野で既知のとおり、機能性FcRnタンパク質は、しばしば重鎖および軽鎖と呼ばれる2つのポリペプチドを含む。軽鎖はβ−2−ミクログロブリン(β2−ミクログロブリン)であり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされる。本明細書において別段の記載がない限り、FcRnまたはFcRnタンパク質は、FcRn重鎖とβ2−ミクログロブリンとの複合体を指す。様々なFcバリアントを使用して、FcRnへの結合を増加させ、場合によっては、血清半減期を増加させることができる。「FcRnバリアント」とは、FcRnへの結合を増加させるものであり、好適なFcRnバリアントを以下に示す。概して、別段の記載がない限り、本発明のFcモノマーは、FcRnへの結合を保持する(下記のように、FcRnへの結合を増大させるためのアミノ酸バリアントを含み得る)。
【0076】
本明細書で使用される「親ポリペプチド」とは、バリアントを生成するようにその後修飾される出発ポリペプチドを意味する。親ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド、または天然に存在するポリペプチドのバリアントもしくは操作されたバージョンであってもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指してもよい。したがって、本明細書で使用される「親抗原結合ドメイン」は、バリアントを生成するように修飾される未修飾抗原結合ドメインポリペプチドを意味し、本明細書で使用される「親免疫グロブリン」は、バリアントを生成するように修飾される未修飾免疫グロブリンポリペプチドを意味し、本明細書で使用される「親抗体」は、バリアント抗体を生成するように修飾される未修飾抗体を意味する。「親抗体」には、以下に概説するように、既知の市販の組み換えで産生した抗体が含まれることに注意すべきである。
【0077】
本明細書で使用される「Fc」または「Fc領域」または「Fcドメイン」とは、IgG分子のCH2−CH3ドメインを含むポリペプチドを意味し、場合によってはヒンジを含む。ヒトIgG1のEU付番では、CH2−CH3ドメインはアミノ酸231〜447を含み、ヒンジは216〜230である。したがって、「Fcドメイン」の定義には、アミノ酸231〜447(CH2−CH3)または216〜447(ヒンジ−CH2−CH3)の両方、またはそのフラグメントが含まれる。この文脈における「Fcフラグメント」は、N末端およびC末端のいずれかまたは両方のより少ないアミノ酸を含んでもよいが、一般的にサイズに基づく標準的な方法(例えば、非変性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなど)を使用して検出できるように、別のFcドメインまたはFcフラグメントとダイマーを形成する能力を依然として保持する。ヒトIgG Fcドメインは本発明において特に有用なものであり、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4由来のFcドメインであり得る。本明細書で使用される「Fc」または「Fc領域」または「Fcドメイン」とは抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味し、場合によっては、最初に定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1)またはその一部のすべてまたは一部を除外し、場合によっては、ヒンジのすべてまたは一部をさらに除外する。このため、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH2とCH3)、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、および任意選択的にこれらのドメインに対する可動性ヒンジN末端のすべてまたは一部を指し得る。IgAおよびIgMの場合、FcはJ鎖を含んでもよい。IgGの場合、Fcドメインは免疫グロブリンドメインCH2およびCH3(Cγ2およびCγ3)、ならびに任意選択的に、CH1(Cγ1)とCH2(Cγ2)との間のヒンジ領域のすべてまたは一部を含む。Fc領域の境界は異なり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシ末端に残基E216、C226、またはA231を含むものと定義され、ここでの付番はKabatにあるようなEUインデックスによるものである。いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、例えば、1つ以上のFcγRまたはFcRnへの結合を変化させるために、Fc領域に対してアミノ酸修飾が行われる。
【0078】
当業者には理解されるように、重定常領域ドメインの正確な付番および配置は、異なる付番システムで異なり得る。EUおよびKabatによる重定常領域の付番の有用な比較は以下のとおり、Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78−85、およびKabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda(参照によりその全体が組み込まれる)を参照されたい。
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0079】
「バリアントFc領域」は、親のFcドメインと比較したアミノ酸修飾を含む。したがって、「バリアントヒトIgG1Fcドメイン」は、ヒトIgG1Fcドメインと比較して、アミノ酸修飾(切除バリアントの場合はアミノ酸欠失が含まれるが、一般的にアミノ酸置換)を含むものである。一般に、バリアントFcドメインは、対応する親ヒトIgGFcドメインに対して少なくとも約80、85、90、95、97、98または99パーセントの同一性を有する(以下に議論する同一性アルゴリズム(一実施形態では当技術分野で既知のBLASTアルゴリズム)をデフォルトパラメーターを用いて使用する)。あるいは、バリアントFcドメインは、親Fcドメインに対する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20のアミノ酸修飾を有し得る。さらに、本明細書で議論されるように、本明細書のバリアントFcドメインは、非変性ゲル電気泳動などの本明細書に記載の既知の技術を使用して測定される別のFcドメインとともにダイマーを形成する能力を依然として保持する。
【0080】
本明細書において「重定常領域」とは、アミノ酸118〜447などのヒトIgG1のEU付番において、抗体のCH1−ヒンジ−CH2−CH3部分(またはそのフラグメント)を意味し、可変重ドメインを除く。本明細書における「重鎖定常領域フラグメント」とは、N末端およびC末端のいずれかまたは両方からのアミノ酸がより少ない重鎖定常領域を意味するが、別の重鎖定常領域とダイマーを形成する能力を依然として保持する重鎖定常領域を意味する。
【0081】
本明細書で使用される「融合タンパク質」とは、少なくとも2つのタンパク質の共有結合を意味する。本明細書に記載されるように、融合タンパク質は人工配列、例えば、ドメインリンカーを含み得る。本明細書における「Fc融合タンパク質」または「イムノアドヘシン」とは概して、(任意選択的に、本明細書に記載のドメインリンカーを介して)1つ以上の異なるタンパク質、例えば本明細書に記載のIL−15および/またはIL−15Rに連結したFc領域を含むタンパク質を意味する。いくつかの例では、2つのFc融合タンパク質がホモダイマーFc融合タンパク質またはヘテロダイマーFc融合タンパク質を形成することができ、後者が好ましい。場合によっては、ヘテロダイマーFc融合タンパク質の一方のモノマーは、Fcドメインのみ(例えば、空のFcドメイン)を含み、他方のモノマーは、バリアントFcドメインおよび受容体、リガンド、または他の結合パートナーなどのタンパク質ドメインを含むFc融合体である。
【0082】
本明細書で使用される「位置」は、タンパク質の配列中の場所を意味する。位置は、順番に付番されるか、または確立されたフォーマット、例えば、抗体付番のためのEUインデックスによって付番されてもよい。
【0083】
本明細書中の本発明のヘテロダイマータンパク質のモノマーの文脈で「鎖性(strandedness)」は、「マッチ」する2本鎖DNAと同様に、「マッチ」してヘテロダイマーを形成する能力を保持、生成、および/または促進するようにヘテロダイマー化バリアントを各モノマーに組み込むことを意味する。例えば、いくつかのpIバリアントがモノマーAへと操作される(例えば、pIをより高くする)場合、同様に利用され得る「電荷対」である立体バリアントはpIバリアントを妨害せず、例えば、pIを高くした電荷バリアントが同一の「鎖」または「モノマー」に置かれ、両方の機能を保持する。同様に、以下により詳細に概説されるように、対のセットになる「スキュー」バリアントついて、当業者は、対の1つのセットを組み入れる鎖またはモノマーがどちらに入るかを決定する際に、同様にスキューのpIを使用してpI分離を最大化するようにpIを考慮する。
【0084】
本明細書で使用される「標的抗原」とは、所与の抗原結合ドメインまたは抗体の可変領域が特異的に結合する分子を意味する。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、脂質、または他の化合物であってもよい。多数の適切な標的抗原が以下に記載されている。
【0085】
「標的細胞」は、本明細書で使用されるとき、標的抗原を発現する細胞を意味する。
【0086】
本明細書の本発明による二重特異性抗体を製造する文脈における「宿主細胞」とは、二重特異性抗体の構成要素をコードする外因性核酸を含み、好適な条件下で二重特異性抗体を発現できる細胞を意味する。好適な宿主細胞について以下で説明する。
【0087】
本明細書で使用される「可変領域」とは、κ、λ、および重鎖免疫グロブリン遺伝子座をそれぞれ構成するVκ、Vλ、および/またはVH遺伝子のいずれかによって実質的にコードされる1つ以上のIgドメインを含む免疫グロブリンの領域を意味する。
【0088】
本明細書における「野生型またはWT」とは、対立遺伝子変異を含む、天然に見出されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質は、意図的に修飾されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。
【0089】
タンパク質配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために配列を整合し、必要ならギャップを導入した後の、特定の(親)配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義され、そして配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当技術分野の範囲内である様々な方法で達成できる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大の整合を達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、整合を測定するための適切なパラメーターを決定することができる。1つの特定のプログラムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2016/0244525号の段落番号[0279]〜[0280]に概説されているALIGN−2プログラムである。
【0090】
本発明は、ヒト抗体ドメインと配列同一性を有するいくつかの抗原結合ドメインを提供する。2つの類似した配列(抗体可変ドメインなど)間の配列同一性は、Smith,T.F.& Waterman,M.S.(1981)“Comparison Of Biosequences,”Adv.Appl.Math.2:482[local homology algorithm]、Needleman,S.B.& Wunsch,CD.(1970)“A General Method Applicable To The Search For Similarities In The Amino Acid Sequence Of Two Proteins,”J.Mol.Biol.48:443[homology alignment algorithm]、Pearson,W.R.& Lipman,D.J.(1988)“Improved Tools For Biological Sequence Comparison,”Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444[search for similarity method]、またはAltschul,S.F.et al,(1990)”Basic Local Alignment Search Tool,“J.Mol.Biol.215:403−10,the”BLAST”algorithm(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi参照のこと)などのアルゴリズムによって測定できる。前述のアルゴリズムのいずれかを使用する場合、デフォルトパラメーター(ウィンドウの長さ、ギャップペナルティなど)が使用される。一実施形態では、デフォルトパラメーターを使用して、BLASTアルゴリズムを使用して配列同一性を測定する。
【0091】
本発明のアミノ酸配列(「本発明の配列」)と親アミノ酸配列との間の同一性の程度は、「本発明の配列」の長さまたは親配列の長さのうちの短い方で割った、2つの配列の整合における正確な一致の数として計算される。結果は同一性パーセントで表される。
【0092】
いくつかの実施形態では、2つ以上のアミノ酸配列は少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%同一である。いくつかの実施形態では、2つ以上のアミノ酸配列は少なくとも95%、97%、98%、99%、さらには100%まで同一である。
【0093】
本発明のヘテロダイマーFc融合タンパク質は概して、単離されているか、または組み換え体である。本明細書に開示される様々なポリペプチドを説明するために使用される場合、「単離された」とは、それが発現された細胞または細胞培養物から特定および分離および/または回収されたポリペプチドを意味する。通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程によって調製される。「単離されたヘテロダイマーFc融合タンパク質」とは、宿主細胞タンパク質などの細胞培養由来の他のタンパク質を実質的に含まないタンパク質を指す。「組み換え体」は、外来性宿主細胞において組み換え核酸技術を用いて抗体が生成されることを意味し、それらも単離され得る。
【0094】
本明細書における「抗原結合ドメイン」または「ABD」とは、抗原決定基にその結合特異性を付与する抗原結合分子の一部を意味する。
【0095】
本明細書で使用される場合、「抗原結合分子」という用語は、その最も広い意味で、抗原決定基に特異的に結合する任意の分子を指す。抗原結合分子は、タンパク質、炭水化物、脂質、または他の化学化合物であってもよい。抗原結合分子の例としては、免疫グロブリンおよびその誘導体またはフラグメント、例えばFabおよびscFvがある。抗原結合分子の追加の例は、受容体とリガンドである。
【0096】
特異的結合の強度または親和性は、相互作用の解離定数(KD)として表すことができ、KDが小さいほど親和性が大きくなり、KDが大きいほど親和性が低くなる。結合特性は、生体層干渉法および表面プラズモン共鳴に基づく方法などの当技術分野で周知の方法によって決定することができる。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原または受容体/リガンド複合体の会合速度と解離速度を測定することを伴い、速度は、複合パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメーターに依存する。したがって、会合速度(ka)および解離速度(kd)の両方を決定でき、kd/kaの比は解離定数KDに等しくなる(Nature361:186−187(1993)およびDavies et al.(1990)Annual Rev Biochem 59:439−473を参照のこと)。
【0097】
特定の分子またはエピトープに対する特異的結合は、例えば、抗原またはエピトープに対して少なくとも約10
−4M、少なくとも約10
−5M、少なくとも約10
−6M、少なくとも約10
−7M、少なくとも約10
−8M、少なくとも約10
−9M、代替的に少なくとも約10
−10M、少なくとも約10
−11M、少なくとも約10
−12M、またはそれ以上のKDを有する抗体によって示すことができる。典型的には、抗原に特異的に結合する抗原結合分子は、抗原またはエピトープに対する対照分子について、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、またはそれ以上のKDを有することになる。
【0098】
また、特定の分子またはエピトープへの特異的結合は、例えば、抗原またはエピトープに対するKaまたは会合速度が、対照と比べたそのエピトープに対して少なくとも20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、またはそれを超えて大きい抗原結合分子によって示され得る。
【0099】
「エピトープ」とは、本明細書では、特異的抗原結合ドメイン、例えばパラトープとして既知の抗体分子の可変領域と相互作用する決定基を意味する。エピトープは、アミノ酸または糖側鎖などの分子の群分けであり、通常、特異的構造特性、ならびに特異的電荷特性を有する。単一分子は、2つ以上のエピトープを有してもよい。エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基(エピトープの免疫優性構成要素とも称される)および結合に直接関与しない他のアミノ酸残基、例えば、特異的抗原結合ペプチドによって効果的に遮断されるアミノ酸残基、換言すると、特異的抗原結合ペプチドのフットプリント内にあるアミノ酸残基を含み得る。エピトープは、立体配座または直線状のいずれであってもよい。立体配座エピトープは、直線状のポリペプチド鎖の異なるセグメントからのアミノ酸の空間的な並置によって作り出される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接アミノ酸残基によって作り出されるものである。立体配座エピトープおよび非立体配座エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが、後者への結合は失われないという点で区別され得る。エピトープは、典型的には、固有の空間立体構造内に、少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個、または8〜10個のアミノ酸を含む。同一のエピトープを認識する抗原結合分子は、ある抗原結合分子の別の抗原結合分子の標的抗原への結合を遮断する能力、例えば、「ビニング」を示す単純な免疫アッセイにおいて検証され得る。以下に概説するように、本発明は、列挙された本明細書の抗原結合分子および抗原結合ドメインを含むだけでなく、列挙された抗原結合分子または抗原結合ドメインによって結合されるエピトープとの結合について競合するものも含む。
【0100】
「融合」または「共有結合」とは、本明細書で概説される構成要素(例えば、IL−15タンパク質およびFcドメイン)が、直接またはドメインリンカーを介してペプチド結合により連結されることを意味する。
【0101】
本明細書で使用される場合、「一本鎖」という用語は、ペプチド結合によって直線的に連結されたアミノ酸モノマーを含む分子を指す。特定の実施形態では、一本鎖IL−15/IL−15Rα複合体または「scIL−15/Rα」、すなわちIL−15およびIL−15Rαsushiドメインが融合して、単一ペプチド鎖を形成する。いくつかの実施形態では、IL−15のC末端はIL−15RαsushiドメインのN末端に結合している。いくつかの実施形態では、モノマーは直接連結されている。他の実施形態では、モノマーは、本明細書に概説されるドメインリンカーを介して連結される。
【0102】
特定の抗原またはエピトープへの「特異的結合」もしくはそれら「に特異的に結合する」またはそれら「に対して特異的である」とは、非特異的相互作用と測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般に結合活性を有しない類似の構造の分子である対照分子の結合と比較した分子の結合を決定することによって、測定することができる。例えば、特異的結合は、標的と同様である対照分子との競合によって決定することができる。
【0103】
特定の抗原またはエピトープに対する特異的結合は、例えば、抗原またはエピトープに対して少なくとも約10
−4M、少なくとも約10
−5M、少なくとも約10
−6M、少なくとも約10
−7M、少なくとも約10
−8M、少なくとも約10
−9M、代替的に少なくとも約10
−10M、少なくとも約10
−11M、少なくとも約10
−12M、またはそれ以上のKDを有する抗体によって示され得、KDとは特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指す。典型的には、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原またはエピトープと比べて、対照分子に対して20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、またはそれを超えて大きいKDを有することになる。
【0104】
また、特定の抗原またはエピトープへの特異的結合は、例えば、抗原またはエピトープに対するKAまたはKaが、対照と比べて、そのエピトープに対して少なくとも20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、またはそれを超えて大きい抗体によって示され得、KAまたはKaは、特定の抗体−抗原相互作用の会合速度を指す。結合親和性は一般的に、BiacoreSPRまたはBLIアッセイを用いて測定される。
【0105】
本発明をさらに説明する前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されず、よって当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを目的とするものではないことも理解されるべきである。
【0106】
IV.標的化IL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマーFc融合タンパク質
本明細書において提供されるのは、抗原に結合することができ、共通γ鎖(γc、CD132)および/またはIl−2受容体β鎖(IL−2Rβ、CD122)と複合体形成することができるヘテロダイマー融合タンパク質である。ヘテロダイマー融合タンパク質は、IL−15/IL−15Rα−Fc融合タンパク質および抗原結合ドメインを含み得る。IL−15/IL−15Rα−Fc融合タンパク質は、IL−15Rαに共有結合したIL−15タンパク質、およびFcドメインを含み得る。任意選択で、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質は非共有結合している。抗原結合ドメインは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dなど、だがこれらに限定されない標的抗原に特異的に結合する。
【0107】
Fcドメインは、IgG Fcドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fcドメインから誘導することができ、IgG1 Fcドメインが本発明において特に使用される。以下に、本発明の二機能性ヘテロダイマータンパク質のIL−15/IL−15RαFc融合モノマーおよび抗原結合ドメインに有用なFcドメインを記載する。
【0108】
各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を規定し、Kabatらは、重鎖および軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。配列の保存の程度に基づき、Kabatらは、個々の一次配列をCDRおよびフレームワークに分類し、そのリストを作成した(参照により全体が組み込まれるSEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,5th edition,NIH publication,No.91−3242,E.A.Kabat et al.を参照されたい)。本明細書全体を通して、Kabat付番系は概して、可変ドメイン内の残基(およそ、軽鎖可変領域の残基1〜107および重鎖可変領域の残基1〜113)を参照するときに使用され、EU付番系は、Fc領域に対するものである(例えば、Kabat et al.,上述(1991)を参照)。
【0109】
免疫グロブリンのIgGサブクラスには、重鎖においていくつかの免疫グロブリンドメインがある。本明細書の「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、明確に異なる三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。定常重(CH)ドメインおよびヒンジドメインを含む重鎖ドメインが本発明における関心対象である。IgG抗体の関連において、IgGアイソタイプは、それぞれ3つのCH領域を有する。したがって、IgGとの関連における「CH」ドメインは以下のとおりである。「CH1」は、KabatにあるようなEUインデックスによる118〜215位を指す。「ヒンジ」とは、Kabatにあるような、EUインデックスによる216〜230位を指す。「CH2」は、KabatにあるようなEUインデックスによる231〜340位を指し、「CH3」は、KabatにあるようなEUインデックスに従う341〜447位を指す。表1に示すように、重鎖ドメインの正確な付番および配置は、異なる付番システムで異なり得る。本明細書に示され、以下に記載されるように、pIバリアントは、以下に考察されるヒンジ領域と同様に1つまたは複数のCH領域にあり得る。
【0110】
重鎖のIgドメインの別の種類は、ヒンジ領域である。本明細書において「ヒンジ」または「ヒンジ領域」または「抗体ヒンジ領域」または「免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の第1のおよび第2の定常ドメイン間のアミノ酸を含む可動性ポリペプチドを意味する。構造的に、IgG CH1ドメインはEU位置215で終わり、IgG CH2ドメインは残基EU位置231で始まる。したがって、IgGについては、抗体ヒンジは、位置216(IgG1中のE216)から230(IgG1中のP230)を含むように本明細書で定義され、付番は、Kabatと同様にEUインデックスによるものである。いくつかの実施形態では、例えばFc領域に関連して、ヒンジが含まれ、一般に位置216〜230を指す。本明細書に記載のとおり、pIバリアントはヒンジ領域にも同様に作製することができる。
【0111】
したがって、本発明は、異なる抗体ドメイン、例えば異なるFcドメインを提供する。本明細書中に記載され、当技術分野において既知のとおり、本発明のヘテロダイマータンパク質は異なるドメインを含み、これもまた重複し得る。これらのドメインは、Fcドメイン、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジドメイン、重定常ドメイン(CH1−ヒンジ−FcドメインまたはCH1−ヒンジ−CH2−CH3)を含むが、これらに限定されない。
【0112】
したがって、「Fcドメイン」は、−CH2−CH3ドメイン、および場合によりヒンジドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインはまた、CH1ドメインの一部も含む。本明細書のいくつかの実施形態では、タンパク質フラグメント、例えばIL−15またはIL−15RαがFcドメインに結合している場合、Fcドメインのヒンジの全部または一部に結合しているのはIL−15またはIL−15Rα構築物のC末端であり、例えば、それは一般にヒンジの始まりである配列EPKSに結合している。他の実施形態では、タンパク質フラグメント、例えば、IL−15またはIL−15RαがFcドメインに結合している場合、それは、IL−15またはIL−15Rα構築物のN末端であり、FcドメインのCH3ドメインに結合している。
【0113】
本明細書に概説したFcドメインタンパク質の構築物および配列のいくつかにおいて、IL−15またはIL−15Rαタンパク質フラグメントのC末端はドメインリンカーのN末端に結合し、そのC末端は定常FcドメインのN末端に結合している(N−IL−15またはIL−15Rαタンパク質フラグメント−リンカー−Fcドメイン−C)が、これはスイッチできる(N−Fcドメイン−リンカー−IL−15またはIL−15Rαタンパク質フラグメント−C)。本明細書に概説される他の構築物および配列において、第1のタンパク質断片のC末端は、場合によりドメインリンカーを介して、第2のタンパク質断片のN末端に結合し、第2のタンパク質断片のC末端は、場合によりドメインリンカーを介して定常FcドメインのN末端に結合する。本明細書に概説されるさらに他の構築物および配列において、第1のタンパク質断片または第2のタンパク質断片に結合していない定常Fcドメインが提供される。ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、本明細書に記載の2つ以上の例示的なモノマーFcドメインタンパク質を含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書に概説される任意の2つのドメインをともに連結するために使用される「ドメインリンカー」であり、そのいくつかを
図6に示す。任意の好適なリンカーを使用することができるが、多くの実施形態は、例えば、nが少なくとも1(一般に1〜2〜3〜4〜5)の整数である、(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)nを含むグリシン−セリンポリマー、ならびに各ドメインがその生物学的機能を保持できるように十分な長さおよび柔軟性を有する2つのドメインの組み換え結合を可能にする任意のペプチド配列を利用する。場合によっては、以下に概説する「鎖性(strandedness)」に注意を払って、リンカーは荷電ドメインリンカーである。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、自己組織化してヘテロダイマーFcドメイン融合ポリペプチドを形成する、2つの異なる重鎖バリアントFc配列の使用に依存するヘテロダイマーFc融合タンパク質を提供する。
【0115】
一実施形態では、ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、それがpI操作などのヘテロダイマーを生成するように操作することができる少なくとも2つの定常ドメインを含む。使用され得る他のFcドメインは、pI操作された本発明のCH1、CH2、CH3、およびヒンジドメインのうちの1つ以上を含む断片を含む。特に、
図57A〜57Kに示すフォーマットは、ヘテロダイマーFc融合タンパク質であり、つまり、タンパク質が、ヘテロダイマーFcドメインに自己組織化した2つの関連Fc配列および少なくとも1つのタンパク質フラグメント(例えば、1、2またはそれ以上のタンパク質フラグメント)を有することを意味する。場合によっては、第1のタンパク質フラグメントは第1のFc配列に連結し、第2のタンパク質フラグメントは第2のFc配列に連結する。場合によっては、ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、第1のFc配列に連結している第2のタンパク質フラグメントに連結した第1のタンパク質フラグメント、および第1のまたは第2のタンパク質フラグメントのいずれにも連結していない第2のFc配列を含む。
【0116】
本発明は、1つ以上の結合パートナー、リガンド、または受容体への結合を可能にするヘテロダイマーFc融合タンパク質を提供するための新規構築物に関する。ヘテロダイマーFc構築物は、抗体の重鎖の2つのFcドメイン、例えば、「ダイマー」に組み立てられる2つの「モノマー」の自己組織化の性質に基づく。ヘテロダイマーFc融合体は、以下でさらに詳しく説明するとおり、各モノマーのアミノ酸配列を変えることによって作製される。したがって、本発明は概して、結合パートナー(複数可)またはリガンド(複数可)または受容体(複数可)をいくつかの方法で共結合することができるヘテロダイマーFc融合タンパク質の生成に関し、ヘテロダイマー形成を促進するために、かつ/またはホモダイマーよりもヘテロダイマーの精製を容易にするために、各鎖で異なる定常領域中のアミノ酸バリアントに依存している。
【0117】
本発明のヘテロダイマーを生成するために使用することができるいくつかのメカニズムが存在する。さらに、当業者には理解されるように、これらのメカニズムを組み合わせて高いヘテロダイマー化を確実にすることができる。したがって、ヘテロダイマーの産生をもたらすアミノ酸バリアントは、「ヘテロダイマー化バリアント」と呼ばれる。後述するように、ヘテロダイマー化バリアントは、ヘテロダイマーから離れてホモダイマーの精製を可能にする立体バリアント(例えば、後述の「ノブアンドホール」または「スキュー」バリアントおよび「電荷対」バリアント)ならびに「pIバリアント」を含み得る。WO2014/145806(その全体が参照により、具体的には以下で「ヘテロダイマー化バリアント」の議論について本明細書に組み込まれ)に一般的に記載されているとおり、ヘテロダイマー化の有用なメカニズムには「ノブアンドホール」(「KIH」、本明細書でしばしば「スキュー」バリアントとして記載(WO2014/145806中の議論を参照)、WO2014/145806に記載される「静電ステアリング」または「電荷対」、WO2014/145806に記載されるpIバリアント、およびWO2014/145806および以下に概説される一般的なさらなるFcバリアントが含まれる。
【0118】
本発明において、ヘテロダイマータンパク質の精製を容易に引き起こすことができるいくつかの基本的メカニズムが存在し、その1つは、各モノマー、続いて各ダイマー種が異なるpIを有することによって、A−A、A−B、およびB−Bダイマータンパク質の等電精製が可能になるように、pIバリアントの使用に依存する。代替的に、いくつかのフォーマットはまた、サイズに基づいて分離することも可能にする。以下にさらに概説するように、ホモダイマーよりもヘテロダイマーの形成を「スキューさせる」ことも可能である。したがって、立体的ヘテロダイマー化バリアントおよびpIバリアントまたは電荷対バリアントの組み合わせは、本発明において特に使用される。
【0119】
一般に、本発明において特に使用される実施形態は、2つのモノマー間および各ダイマー種間のpI差を増加させる、pIバリアントと組み合わせた、ホモダイマー形成に対するヘテロダイマー形成を促進するスキューバリアントを含むバリアントのセットに依存する。
【0120】
さらに、以下により完全に概説されるように、ヘテロダイマーFc融合タンパク質のフォーマットに応じて、pIバリアントはモノマーの定常ドメインおよび/またはFcドメイン内に含まれるか、またはドメインリンカーが使用されるかのいずれかであり得る。すなわち、本発明は、一方または両方のモノマー上にあるpIバリアント、および/または荷電ドメインリンカーも提供する。さらに、代替の機能性のためのさらなるアミノ酸操作もまた、Fc、FcRn、およびKOバリアントなどのpI変化を付与し得る。
【0121】
ヘテロダイマータンパク質の精製を可能にする分離メカニズムとしてpIを利用する本発明では、アミノ酸バリアントを一方または両方のモノマーポリペプチドに導入することができる。すなわち、一方のモノマー(本明細書では簡潔さために「モノマーA」と呼ぶ)のpIは、モノマーBから離れて操作されることができ、あるいはAとBの両モノマーは、モノマーAのpIを増加させ、モノマーBのpIを減少させるように変えることができる。論じられるように、いずれかまたは両方のモノマーのpI変化は、荷電残基を除去または付加することによって(例えば中性アミノ酸を正または負に荷電したアミノ酸残基で置換する、例えばグルタミンからグルタミン酸)、正または負から反対の電荷への荷電残基の変更によって(例えばアスパラギン酸からリジンへ)、または荷電残基の中性残基への変更によって(例えば電荷の消失、リジンからセリン)、実施することができる。いくつかのこれらのバリアントを図に示す。
【0122】
したがって、本発明のこの実施形態は、ヘテロダイマーをホモダイマーから分離することができるように、少なくとも1つのモノマーに十分なpIの変化を生じさせることを提供する。当業者には理解され、かつ以下にさらに論じるように、これは「野生型」重鎖定常領域、およびそのpIを増加または減少させる(wtA:B+またはwtA:B−)ように操作されたバリアント領域を使用することによって、または一方の領域を増加して他方の領域を減少させることによって(A+:B−またはA−:B+)、実施できる。
【0123】
したがって、一般に、本発明のいくつかの実施形態の構成要素は、ダイマータンパク質のモノマーの両方ではないにしても少なくとも1つの等電点(pI)を、アミノ酸置換(「pIバリアント」または「pI置換」)をモノマーの一方または両方に組み込むことによって変化させることを目的とする定常領域におけるアミノ酸バリアントである。本明細書中の2つのホモダイマーからのヘテロダイマーの分離は、2つのモノマーのpIが0.1pH単位とわずかに異なる場合に達成でき、0.2、0.3、0.4、および0.5以上異なるものがすべて本発明において使用される。
【0124】
当業者には理解されるように、良好な分離を得るために各モノマーまたは両方のモノマー(複数可)に含まれるべきpIバリアントの数は、構成要素の出発pIに部分的に依存するであろう。すなわち、どのモノマーを操作するか、またはどの「方向」(例えば、より陽性またはより陰性)かを決定するために、Fcドメインの配列、場合によっては、Fcドメインに連結するタンパク質ドメイン(複数可)が計算され、そこから決定がなされる。当技術分野において既知のとおり、異なるFcドメインおよび/またはタンパク質ドメインは、本発明において利用される異なる出発pIを有するであろう。概して、本明細書に概説されるように、pIは、少なくとも約0.1logの各モノマーの総pI差をもたらすように操作され、本明細書に概説されるように0.2〜0.5が好ましい。
【0125】
さらに、当業者には理解され、本明細書に概説されるように、いくつかの実施形態では、ヘテロダイマーはサイズに基づいてホモダイマーから分離することができる。図に示すように、例えば、フォーマットのいくつかは、サイズに基づいてヘテロダイマーおよびホモダイマーの分離を可能にする。
【0126】
pIバリアントを使用してヘテロダイマー化を達成する場合、Fcドメイン(複数可)の定常領域(複数可)を使用することによって、ヘテロダイマーFc融合タンパク質を設計および精製するためのよりモジュール方式のアプローチが提供される。したがって、いくつかの実施形態において、ヘテロダイマー化バリアント(スキューバリアントおよび精製ヘテロダイマー化バリアントを含む)を操作しなければならない。さらに、いくつかの実施形態では、pIバリアントから生じる免疫原性の可能性は、顕著な免疫原性を導入することなくpIが変化するように、異なるIgGアイソタイプからのpIバリアントを移入することによって顕著に低下する。したがって、解決されるべきさらなる問題は、高いヒト配列含有量を有する低pIの定常ドメインの解明、例えば、任意の特定の位置における非ヒト残基の最小化または回避である。
【0127】
このpI操作で起こり得る副次的な利益はまた、血清半減期の延長およびFcRn結合の増加である。すなわち、USSN13/194,904(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、抗体定常ドメイン(抗体およびFc融合体に見られるものを含む)のpIを低下させるとインビボでより長い血清保持をもたらし得る。血清半減期を延長するためのこれらのpIバリアントはまた、精製のためのpI変化を促進する。
【0128】
さらに、ヘテロダイマー化バリアントのpIバリアントは、ホモダイマーが存在するとき、排除、最小化、および区別する能力が顕著であるので、Fc融合タンパク質の分析および品質管理プロセスにさらなる利益を与える。同様に、ヘテロダイマーFc融合タンパク質の製造の再現性を確実に試験する能力は重要である。
【0129】
A.ヘテロダイマー化バリアント
本発明は、ヘテロダイマー形成および/またはホモダイマーからの精製を可能にするためにヘテロダイマーバリアントを利用する、様々なフォーマットのヘテロダイマーFc融合タンパク質を含む、ヘテロダイマータンパク質を提供する。ヘテロダイマー融合構築物は、2つのFcドメイン、例えば、「ダイマー」に組み立てられる2つの「モノマー」の自己組織化の性質に基づく。
【0130】
ヘテロダイマー化スキューバリアントのセットのいくつかの好適な対がある。これらのバリアントは、「セット」の「対」になる。すなわち、一方のセットの対が第1のモノマーに組み込まれ、他のセットの対が第2のモノマーに組み込まれる。注目すべきは、これらのセットは、一方のモノマー上の残基と他方のモノマー上の残基との間で一対一の対応関係を有する「ノブインホール」バリアントとして必ずしも振舞わないことであり、すなわち、これらのセットの対は、ヘテロダイマー形成を促進し、ホモダイマー形成を妨げる2つのモノマー間の境界面を形成し、生物学的条件下で自発的に形成するヘテロダイマーの割合を予想の50%(25%ホモダイマーA/A:50%ヘテロダイマーA/B:25%ホモダイマーB/B)ではなく90%以上にする。
【0131】
B.立体バリアント
いくつかの実施形態において、ヘテロダイマーの形成は、立体バリアントの付加によって促進され得る。すなわち、各重鎖中のアミノ酸を変えることによって、異なる重鎖が会合して同一のFcアミノ酸配列を有するホモダイマーを形成するよりもヘテロダイマー構造を形成する可能性が高い。好適な立体バリアントは、USSN15/141,350の
図29に含まれており、そのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、同様に
図1A〜1Eにも含まれる。
【0132】
1つのメカニズムは、当技術分野で一般的に「ノブアンドホール」と呼ばれ、ヘテロダイマー形成を有利にし、ホモダイマー形成を不利にする立体効果をもたらすアミノ酸操作を指し、USSN61/596,846、Ridgway et al.,Protein Engineering 9(7):617(1996)、Atwell et al.,J.Mol.Biol.1997270:26、米国特許第8,216,805号に記載のとおりであり、それらのすべては参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。これらの図は、「ノブアンドホール」に依存するいくつかの「モノマーA−モノマーB」対を特定する。さらに、Merchant et al.,Nature Biotech.16:677(1998)に記載されているように、これらの「ノブアンドホール(knobs and hole)」変異は、ヘテロダイマー化に対するスキュー形成へのジスルフィド結合と組み合わせることができる。
【0133】
ヘテロダイマーの生成に使用される追加のメカニズムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるGunasekaran et al.,J.Biol.Chem.285(25):19637(2010)に記載されているように、しばしば「静電ステアリング」と呼ばれる。これは、本明細書において、しばしば「電荷対」と呼ばれる。この実施形態では、静電学を使用して、ヘテロダイマー化に向けて形成をスキューさせる。当業者には理解されるように、これらは、pI、すなわち精製にも影響を及ぼす可能性があり、したがって場合によってはpIバリアントと見なすこともできる。しかしながら、これらはヘテロダイマー化を強制するために生成され、精製手段として使用されなかったので、それらは「立体バリアント」として分類される。これらには、D221R/P228R/K409Rと対になったD221E/P228E/L368E(例えば、これらは「モノマーの対応セット」である)、およびC220R/E224R/P228R/K409Rと対になったC220E/P228E/368Eが含まれるがこれらに限定されない。
【0134】
さらなるモノマーAおよびモノマーBのバリアントは、本明細書に概説されるpIバリアントまたはUS2012/0149876(参照によりそのすべてが本明細書に明示的に組み込まれる)の
図37に示される他の立体バリアントなどの他のバリアントと、任意選択的に独立して任意の量で組み合わせることができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される立体バリアントは、任意のpIバリアント(またはFcバリアント、FcRnバリアント等の他のバリアント)を一方または両方のモノマーに任意選択的に独立して組み込むことができ、本発明のタンパク質に独立して任意選択的に含むかまたは除外することができる。
【0136】
好適なスキューバリアントの一覧を
図1A〜1Eに示す。多くの実施形態において特に有用であるのは、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、およびT366S/L368A/Y407V:T366W(任意選択的に架橋ジスルフィドT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cを含む)を含むが、これらに限定されないセットの対である。命名法に関して、対「S364K/E357Q:L368D/K370S」は、一方のモノマーが二重バリアントセットS364K/E357Qを有し、他方が二重バリアントセットL368D/K370Sを有することを意味し、上述のように、これらの対の「鎖性(strandedness)」は出発pIに依存する。
【0137】
C.ヘテロダイマーのpI(等電点)バリアント
一般に、当業者には理解されるように、pIバリアントには2つの一般的なカテゴリー:タンパク質のpIを増加させるもの(塩基性変化)とタンパク質のpIを減少させるもの(酸性変化)がある。本明細書に記載されるように、これらのバリアントのすべての組み合わせを使用することができる。一方のモノマーは野生型、または野生型と顕著に異なるpIを示さないバリアントであってもよく、他方がより塩基性またはより酸性のいずれかであり得る。あるいは、各モノマーは、1つはより塩基性に、1つはより酸性へと変化し得る。
【0138】
pIバリアントの好ましい組み合わせはUSSN15/141,350の
図30に示されており、そのすべてはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に概説し、図に示すように、これらの変化はIgG1と比較して示されているが、すべてのアイソタイプをこのように変更することができ、アイソタイプハイブリッドも同様である。重鎖定常ドメインがIgG2〜4に由来する場合、R133EおよびR133Qもまた使用され得る。
【0139】
一実施形態では、Fcモノマーの1つがCH1ドメインを含む場合、pIバリアントの好ましい組み合わせは、208D/295E/384D/418E/421Dバリアント(ヒトIgG1と比較するときN208D/Q295E/N384D/Q418E/N421D)を含む1つのモノマーを有する。いくつかの例では、第2のモノマーは、(GKPGS)
4を含む、正荷電ドメインリンカーを含む。場合によっては、第1のモノマーは208位を含むCH1ドメインを含む。したがって、CH1ドメインを含まない構築物(例えば、ドメインの1つにCH1ドメインを利用しないヘテロダイマーFc融合タンパク質の場合)において、好ましい負のpIバリアントFcセットは、295E/384D/418E/421Dバリアント(ヒトIgG1と比較するときQ295E/N384D/Q418E/N421D)を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、変異は、位置216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、および230を含む、Fcドマン(doman)のヒンジドメインで生じる。したがって、pI変異、特に置換は、本発明で使用されている1、2、3、4または5個の変異によって位置216〜230のうちの1つ以上で行うことができる。同様に、すべての可能な組み合わせが、単独で、または他のドメイン中の他のpIバリアントとともに企図されている。
【0141】
ヒンジドメインのpIを低下させるのに使用される具体的な置換としては、221位の欠失、222位の非天然バリンまたはトレオニン、223位の欠失、224位の非天然グルタミン酸、225位の欠失、235位の欠失、および236位の欠失または非天然アラニンが含まれるがこれらに限定されない。場合によっては、ヒンジドメインにおいてはpI置換のみが行われ、他の例では、これらの置換(複数可)は他のドメイン内の他のpIバリアントに任意の組み合わせで加えられる。
【0142】
いくつかの実施形態では、位置233、234、235、236、274、296、300、309、320、322、326、327、334、および339を含むCH2領域内に変異を生じさせることができる。233〜236における変化は、IgG2骨格における(327Aとともに)エフェクター機能を増加させるためになされ得ることに留意されたい。同様に、これら14個の位置のすべての可能な組み合わせを作ることができ、例えば、pI抗体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のCH2のpI置換を有していてもよい。
【0143】
CH2ドメインのpIを低下させるのに使用される具体的な置換としては、274位の非天然グルタミンまたはグルタミン酸、296位の非天然フェニルアラニン、300位の非天然フェニルアラニン、309位の非天然バリン、320位の非天然グルタミン酸、322位の非天然グルタミン酸、326位の非天然グルタミン酸、327位の非天然グリシン、334位の天然グルタミン酸、339位の非天然トレオニン、およびCH2内および他のドメインとのすべての可能な組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0144】
この実施形態では、変異は位置355、359、362、384、389、392、397、418、419、444および447から独立して任意選択的に選択され得る。CH3ドメインのpIを低下させるのに使用される具体的な置換としては、355位の非天然グルタミンまたはグルタミン酸、384位の非天然セリン、392位の非天然アスパラギンまたはグルタミン酸、397位の非天然メチオニン、419位の非天然グルタミン酸、359位の非天然グルタミン酸、362位の非天然グルタミン酸、389位の非天然グルタミン酸、418位の非天然グルタミン酸、444位の非天然グルタミン酸、および447位の欠失または非天然アスパラギン酸が含まれるがこれらに限定されない。pIバリアントの例示的な実施形態は
図2に提示されている。
【0145】
D.アイソタイプバリアント
さらに、本発明の多くの実施形態は、あるIgGアイソタイプから別のIgGアイソタイプへの特定の位置でのpIアミノ酸の「移入」に依存し、したがって、バリアントに望ましくない免疫原性が導入される可能性を低減または排除する。これらのいくつかは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2014/0370013号の
図21に示されている。すなわち、IgG1は、高いエフェクター機能を含む様々な理由から治療用抗体の一般的なアイソタイプである。しかしながら、IgG1の重定常領域は、IgG2のそれよりも高いpIを有する(8.10対7.31)。特定の位置でIgG2残基をIgG1骨格に導入することによって、得られるモノマーのpIは低下(または上昇)し、さらにより長い血清半減期を示す。例えば、IgG1は137位にグリシン(pI5.97)を有し、IgG2はグルタミン酸(pI3.22)を有し、グルタミン酸を移入すると、得られるタンパク質のpIに影響を与える。以下に記載されるように、バリアントFc融合タンパク質のpIに顕著な影響を与えるためには、一般にいくつかのアミノ酸置換が必要とされる。しかしながら、IgG2分子中の変化でさえも血清半減期の増加を可能にすることが以下に論じられるように留意されるべきである。
【0146】
他の実施形態では、非アイソタイプのアミノ酸変化を行って、(例えば、高pIのアミノ酸から低pIのアミノ酸へと変化させることによって)得られるタンパク質の全体的な荷電状態を低下させるか、または以下でさらに詳細に説明する安定性等のための構造の調整を可能にする。
【0147】
さらに、重定常ドメインと軽定常ドメインの両方をpI操作することによって、ヘテロダイマーの各モノマーにおける顕著な変化を見ることができる。本明細書で考察されるように、2つのモノマーのpIが少なくとも0.5だけ異なることが、イオン交換クロマトグラフィーもしくは等電点電気泳動、または等電点に高感度な他の方法による分離を可能する。
【0148】
E.pIの計算
各モノマーのpIは、バリアント重鎖定常ドメインのpIおよび全モノマーのpIに依存し、バリアント重鎖定常ドメインおよび融合パートナーを含み得る。したがって、いくつかの実施形態において、pIの変化は、米国特許出願公開第2014/0370013号の
図19のチャートを用いて、バリアント重鎖定常ドメインに基づいて計算される。本明細書で論じるように、どのモノマーを操作するかは概して、各モノマーの固有のpIによって決定される。
【0149】
F.インビボ結合により良好なFcRnも付与するpIバリアント
pIバリアントがモノマーのpIを減少させる場合、それらはインビボでの血清保持を改善するというさらなる利点を有することができる。
【0150】
まだ検討中ではあるが、エンドソーム内のpH6でFcRnに結合するとFcが隔離されるため、Fc領域はインビボでより長い半減期を有すると考えられている(Ghetie and Ward,1997 Immunol Today.18(12):592−598、全体が参照により組み込まれる)。次いでエンドソーム区画はFcを細胞表面にリサイクルする。区画が細胞外空間に開くと、約7.4のより高いpHが、血中へのFcの放出を誘導する。マウスにおいて、Dall´Acquaらは、pH6およびpH7.4でのFcRn結合が増加したFc変異体は、実際に血清濃度の低下および野生型Fcと同一の半減期を有することを示した(Dall´Acqua et al.2002,J.Immunol.169:5171−5180、参照によりその全体が組み込まれる)。pH7.4でのFcRnに対するFcの親和性の増加は、血中へのFcの放出を妨げると考えられる。したがって、インビボでのFcの半減期を増加させるFc変異は、理想的には、より高いpHでのFcの放出をなお可能にしながら、より低いpHでのFcRn結合を増加させる。アミノ酸ヒスチジンは、6.0〜7.4のpH範囲でその荷電状態を変化させる。それ故、Fc/FcRn複合体中の重要な位置にHis残基を見出すことは驚くべきことではない。
【0151】
G.追加機能のための追加のFcバリアント
pIアミノ酸バリアントに加えて、1つ以上のFcγR受容体への結合を改変すること、FcRn受容体への結合の改変等を含むがこれらに限定されない、様々な理由で実施することができるいくつかの有用なFcアミノ酸修飾が存在する。
【0152】
したがって、本発明のタンパク質は、pIバリアントおよび立体バリアントを含む、本明細書に概説したヘテロダイマー化バリアントを含むアミノ酸修飾を含むことができる。バリアントの各セットは独立して任意選択的に特定のヘテロダイマータンパク質に含み得るかまたはそれから除外し得る。
【0153】
H.FcγRバリアント
したがって、FcγR受容体のうちの1つ以上への結合を変更するために実施され得るいくつかの有用なFc置換が存在する。結合の増加ならびに結合の減少をもたらす置換が有用であり得る。例えば、FcγRIIIaへの結合の増加は、一般に、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性、すなわち、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応)の増加をもたらすことが知られている。同様に、いくつかの状況下では、FcγRIIb(抑制性受容体)への結合の減少も有益であり得る。本発明で使用されるアミノ酸置換には、USSN11/124,620(特に
図41)、USSN11/174,287、USSN11/396,495、USSN11/538,406に列挙されるものが含まれ、それらのすべてはその全体が、具体的にはそこで開示されるバリアントが参照により、明示的に本明細書に組み込まれる。使用される特定のバリアントには、236A、239D、239E、332E、332D、239D/332E、267D、267E、328F、267E/328F、236A/332E、239D/332E/330Y、239D、332E/330L、243A、243L、264A、264V、および299Tが含まれるがこれらに限定されない。
【0154】
さらに、FcγRIIcに対する親和性を増加させるアミノ酸置換もまた、本明細書に概説されるFcドメインバリアントに含まれ得る。例えば、USSN11/124,620およびUSSN14/578,305に記載される置換は有用である。
【0155】
さらに、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUSSN12/341,769に具体的に開示される、434S、434A、428L、308F、259I、428L/434S、259I/308F、436I/428L、436IまたはV/434S、436V/428L、および259I/308F/428Lを含むがこれらに限定されない、FcRnへの結合の増加および血清半減期の増加に使用される追加のFc置換が存在する。
【0156】
I.切除バリアント
同様に、機能性バリアントの別のカテゴリーは「FcγR切除バリアント」または「Fcノックアウト(FcKOまたはKO)」バリアントである。これらの実施形態では、いくつかの治療用途のために、さらなる作用機序を回避するために、1つ以上またはすべてのFcγ受容体(例えば、FcγR1、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIaなど)へのFcドメインの正常な結合を低減または除去することが望ましい。つまり、例えば、多くの実施形態において、特に二機能性免疫調節性タンパク質の使用において、Fcドメインのうちの1つが、1つ以上のFcγ受容体切除バリアントを含むように、FCγRIIIa結合を切除してADCC活性を除去または顕著に減少させることが望ましい。これらの切除バリアントは、それらのすべてが参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUSSN15/141,350の
図31に示されており、EUインデックスに従って、G236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなる群から選択される切除バリアントを用いる好ましい態様で、それぞれが独立して任意選択的に含まれるか除外することができる。本明細書で言及される切除バリアントは、FcγR結合を切除するが、FcRn結合を切除しないことに留意されたい。
【0157】
J.ヘテロダイマーとFcバリアントの組み合わせ
当業者には理解されるように、列挙されたヘテロダイマー化バリアント(スキューバリアントおよび/またはpIバリアントを含む)はすべて、それらの「鎖性(strandedness)」または「モノマー分割」を保持する限り、任意の方法で任意選択的に独立して組み合わせることができる。さらに、これらのバリアントはすべて、ヘテロダイマー化フォーマットのいずれにも組み合わせることができる。
【0158】
pIバリアントの場合、特に使用される実施形態が図面に示されているが、精製を促進するために2つのモノマー間のpIの差異を変えるという基本的な規則に従って、他の組み合わせを生成できる。
【0159】
さらに、ヘテロダイマー化バリアント、スキュー、およびpIのいずれも、本明細書で概説されるように、独立して任意選択的にFc切除バリアント、Fcバリアント、FcRnバリアントと組み合わせることができる。
【0160】
さらに、モノマーFcドメインは、C220S/S267K/L368D/K370SまたはC220S/S267K/S364K/E357Qを含むアミノ酸置換のセットを含み得る。
【0161】
さらに、ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、スキューバリアント(例えば、USSN15/141,350号の
図1A〜1C(それらのすべては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に示されるアミノ酸置換のセット)を含むことができ、特に有用なスキューバリアントは、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366S/L368A/Y407V:T366Wからなる群から選択され(任意選択的に、架橋ジスフィルドT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cを含む)、任意選択的に切除バリアント、任意選択的に荷電ドメインリンカー、および任意選択的にpIバリアントを含むことができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、EU付番による236R、S239D、S239E、F243L、M252Y、V259I、S267D、S267E、S67K、S298A、V308F、L328F、L328R、330L、I332D、I332E、M428L、N434A、N434S、236R/L328R、S239D/I332E、236R/L328F、V259I/V308F、S267E/L328F、M428L/N43S、Y436I/M428L、N436V/M428L、V436I/N434S、Y436V/N434S、S239D/I332E/330L、M252Y/S54T/T256E、V259I/V308F/M428L、E233P/L234V/L235A/G236_/S239K、E233P/L234V/L235A/G236_/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236_/S267K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236_、およびE233P/L234V/L235A/G236_/S267Kからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0163】
一実施形態では、本発明で使用されるスキューおよびpIバリアントの特定の組み合わせは、T366S/L368A/Y407V:T366W(任意選択的に、架橋ジスルフィドT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cを含む)であり、一方のモノマーがQ295E/N384D/Q418E/N481Dを含み他方が正荷電ドメインリンカーである。当技術分野において理解されるように、「ノブインホール」バリアントはpIを変化させず、したがってどちらのモノマーにも使用することができる。
【0164】
V.IL−15/IL−15Rα−Fc融合モノマー
本発明の二機能性ヘテロダイマー融合タンパク質は、IL−15/IL−15受容体α(IL−15Rα)−Fc融合モノマーを含む。場合によっては、IL−15およびIL−15受容体α(IL−15Rα)タンパク質ドメインは異なる向きにある。IL−15/IL−15Rα−Fc融合モノマーの例示的な実施形態は、
図4A〜4E、5A〜5D、および8A〜8Dを含むがこれらに限定されない図で提供される。
【0165】
いくつかの実施形態では、ヒトIL−15タンパク質は、NCBI基準配列番号NP_000576.1または配列番号1に示すアミノ酸配列を有する。場合によっては、ヒトIL−15のコード配列を、NCBI基準配列番号NM_000585に示す。本明細書に概説されるFc融合ヘテロダイマータンパク質の例示的なIL−15タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸49〜162を有し得る。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質は、配列番号2に対して少なくとも90%、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列およびアミノ酸置換N72Dを有する。他の実施形態では、IL−15タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列ならびにC42S、L45C、Q48C、V49C、L52C、E53C、E87C、およびE89Cからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。場合により、IL−15タンパク質はまたN72D置換を有する。Fc融合タンパク質のIL−15タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、または9個のアミノ酸置換を有することができる。いくつかの実施形態では、Fc融合タンパク質のヒトIL−15タンパク質はアミノ酸置換N4Dを有する。いくつかの実施形態では、Fc融合タンパク質のヒトIL−15タンパク質は、アミノ酸置換N65Dを有する。いくつかの実施形態では、Fc融合タンパク質のヒトIL−15タンパク質は、N4D/N65Dのアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、Fc融合タンパク質のヒトIL−15タンパク質は、アミノ酸置換D30N/E64Q/N65Dを有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、Fc融合タンパク質のヒトIL−15タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。場合によっては、ヒトIL−15タンパク質はアミノ酸置換を有さない。
【0167】
アミノ酸置換(複数可)は、IL−15:IL−2βおよびIL−15:共通γ鎖の境界面での等配電子置換であり得る。いくつかの実施形態では、ヒトIL−15タンパク質は、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D、Q108E、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はアミノ酸置換Q108Eを有する。場合によっては、IL−15タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のアミノ酸置換を有する。IL−15タンパク質は、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D、またはQ108E置換を有することができる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、N1D/D61N、N1D/E64Q、N4D/D61N、N4D/E64Q、D8N/D61N、D8N/E64Q、D61N/E64Q、E64Q/Q108E、N1D/N4D/D8N、D61N/E64Q/N65D、N1D/D61N/E64Q、N1D/D61N/E64Q/Q108E、またはN4D/D61N/E64Q/Q108Eを含み得る。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はアミノ酸置換N4Dを有する。特定の実施形態では、IL−15タンパク質はアミノ酸置換N65Dを有する。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はアミノ酸置換N4D/N65Dを有する。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はアミノ酸置換D30N/E64Q/N65Dを有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、ヒトIL−15受容体α(IL−15Rα)タンパク質は、NCBI基準配列番号NP_002180.1または配列番号3に示したアミノ酸配列を有する。場合によっては、ヒトIL−15Rαのコード配列を、NCBI基準配列番号NM_002189.3に示す。本明細書に概説されるFc融合ヘテロダイマータンパク質の例示的なIL−15Rαタンパク質は、配列番号3のsushiドメイン(例えば、配列番号3のアミノ酸31〜95)、換言すると、配列番号4のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなることができる。いくつかの実施形態では、IL−15Rαタンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列ならびにD96、P97、A98、D96/P97、D96/C97、D96/P97/A98、D96/P97/C98、およびD96/C97/A98からなる群から選択されるアミノ酸挿入を有し、アミノ酸位置は完全長ヒトIL−15Rαタンパク質または配列番号3に対してである。例えば、D(例えばAsp)、P(例えばPro)、A(例えばAla)、DP(例えばAsp−Pro)、DC(例えばAsp−Cys)、DPA(例えば、Asp−Pro−Ala)、DPC(例えば、Asp−Pro−Cys)、またはDCA(例えば、Asp−Cys−Ala)のようなアミノ酸は、配列番号4のIL−15Rαタンパク質のC末端に付加され得る。いくつかの実施形態では、IL−15Rαタンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列ならびにK34C、A37C、G38C、S40C、およびL42Cからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し、ここでアミノ酸位置は配列番号4に対してである。IL−15Rαタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入および/または欠失)を有することができる。
【0169】
配列番号1は、MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSである。
【0170】
配列番号2は、NWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSである。
【0171】
配列番号3は、MAPRRARGCRTLGLPALLLLLLLRPPATRGITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPSTVTTAGVTPQPESLSPSGKEPAASSPSSNNTAATTAAIVPGSQLMPSKSPSTGTTEISSHESSHGTPSQTTAKNWELTASASHQPPGVYPQGHSDTTVAISTSTVLLCGLSAVSLLACYLKSRQTPPLASVEMEAMEALPVTWGTSSRDEDLENCSHHLである。
【0172】
配列番号4は、ITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRである。
【0173】
いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はFcドメインのN末端に結合しており、IL−15Rαタンパク質はIL−15タンパク質のN末端に結合している。他の実施形態では、IL−15Rαタンパク質はFcドメインのN末端に結合しており、IL−15Rαタンパク質はIL−15タンパク質に非共有結合している。さらに他の実施形態では、IL−15Rαタンパク質はFcドメインのC末端に結合しており、IL−15Rαタンパク質はIL−15タンパク質に非共有結合している。
【0174】
いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質はリンカーを介してともに結合している。任意選択的に、タンパク質はリンカーを介して結合していない。他の実施形態では、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質は非共有結合している。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はリンカーを介してFcドメインに結合している。他の実施形態では、IL−15Rαタンパク質はリンカーを介してFcドメインに結合している。任意選択的に、リンカーは、IL−15タンパク質またはIL−15Rαタンパク質をFcドメインに結合するためには使用されない。
【0175】
いくつかの例では、免疫チェックポイントABDはドメインリンカーなどのリンカーを介してFcドメインのN末端に共有結合している。
【0176】
いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書に概説される任意の2つのドメインをともに連結するために使用される「ドメインリンカー」である。任意の好適なリンカーを使用することができるが、多くの実施形態は、例えば、nが少なくとも1(一般に1〜2〜3〜4〜5)の整数である、(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)nを含むグリシン−セリンポリマー、ならびに各ドメインがその生物学的機能を保持できるように十分な長さおよび柔軟性を有する2つのドメインの組み換え結合を可能にする任意のペプチド配列を利用する。場合によっては、以下に概説する「鎖性(strandedness)」に注意を払って、荷電ドメインリンカーは、本明細書において考察し
図6および7に示すように使用することができる。
【0177】
VI.抗原結合ドメインモノマー
CD8+T細胞の増殖および活性化に焦点を当てた治療方針は、癌の治療の臨床に大いに有望であり得る。癌は、患者が癌性細胞を認識し排除する能力がないものと考えることができる。多くの場合、これらの形質転換した(例えば、癌性)細胞は、免疫監視に反作用する。体内でのT細胞活性化を制限して無制限なT細胞活性を予防する天然の制御機構が存在し、これを、癌性細胞が免疫応答を回避または抑制するために利用し得る。免疫エフェクター細胞、特にT細胞が癌を認識し排除する能力を回復させることが、免疫療法の目的である。「免疫療法」と称されることもある免疫腫瘍学の分野は、急速に進化しており、Yervoy(登録商標)、Keytruda(登録商標)、およびOpdivo(登録商標)などいくつかのT細胞チェックポイント阻害抗体が近年承認されている。共刺激性と共抑制性の両方の種々の免疫調節シグナルを使用して、最適な抗原特異的免疫応答を統合することができると一般に理解されている。
【0178】
本発明は、CD8+T細胞またはNK細胞などの免疫細胞および/またはIL−2Rβおよび共通γ鎖(γc;CD132)を発現する細胞に結合する二機能性ヘテロダイマータンパク質の生成に関する。二機能性ヘテロダイマータンパク質は、免疫抗原または免疫細胞に結合できる任意の有用な抗体フォーマットの抗原結合性モノマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、抗原結合モノマーは、Fcドメインに連結したFabまたはscFvを含む。
【0179】
そのような抗原結合モノマーの例示的な実施形態は、
図66A(XENP24114の鎖2および3)、
図66A(XENP24115の鎖2および3)、
図66B(XENP24116の鎖2および3)、
図60A(XENP24532の鎖2および3)、
図61A(XENP24533の鎖2および3)、
図61A(XENP24534の鎖2および3)、
図79A(XENP24543の鎖2および3)、
図79A(XENP24546の鎖2および3)、
図79B(XENP24547の鎖2および3)、および
図79B(XENP24548の鎖2および3)に提供されている。
【0180】
A.標的抗原
本発明の標的化ヘテロダイマータンパク質は、Fcドメインに融合した標的抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメイン(ABD)、および異なるFcドメインに融合したIL−15/IL−15Rαタンパク質ドメインを有する。好適な標的抗原には、ヒト(しばしばカニクイザル)CD8、NKG2A、およびNKG2Bが含まれる。いくつかの実施形態では、2つの異なる標的抗原(「標的対」)に結合する2つの異なるABDは、二価の二機能性フォーマットまたは三価の二機能性フォーマットのいずれかで存在する。したがって、好適な二機能性ABDは、CD8とNKG2A、CD8とNKG2D、またはNKG2AとNKG2Dを結合する。さらに他の実施形態では、二機能性ヘテロダイマータンパク質は、二価の二機能性フォーマットまたは三価の二機能性フォーマットのいずれかで同じ標的抗原(「標的対」)に結合する2つの異なる抗原結合ドメイン(ABD)を有し、IL−15/IL−15Rαタンパク質ドメインはタンパク質のFcドメインのうちの1つに融合した。
【0181】
ABDは、FabフォーマットまたはscFvフォーマットなどの様々なフォーマットであり得る。本発明で使用するための例示的なABDはUS62/353,511に開示されており、その内容はすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0182】
いくつかの実施形態では、ABDのうちの1つはCD8に結合する。CD8に結合する好適なABDは、二価抗体(XENP15076およびXENP15251)、Fab(XENP23647)、ワンアームFab−Fc抗体(XENP24317)として
図65A〜65Fに、二価抗体(XENP24025)、ワンアームFab−Fc抗体(XENP24321)として
図81に、
図89(マウスおよびヒト化可変重ドメインおよび可変軽ドメインとして)に、二価抗体(XENP15075)として
図90に、ワンアームFab−Fc抗体(XENP24920)として
図91に、
図95(バリアントヒト化可変重ドメインおよび可変軽ドメインとして)に示す。当業者には理解されるように、適切なABDは、下線が引かれているように、これらの図に示されるように6つのCDRのセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、CD8に結合するABDを含むモノマーは、非ブロッキング抗CD8アームとして作用することができる。
【0183】
いくつかの実施形態では、ABDのうちの1つはNKG2Aに結合する。NKG2Aに結合する好適なABDは、二価抗体(XENP24541およびXENP24542)およびFab(XENP24542)として
図58に示される。当業者には理解されるように、適切なABDは、下線が引かれているように、これらの図に示されるように6つのCDRのセットを含むことができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、ABDのうちの1つはNKG2Dに結合する。NKG2Dに結合する好適なABDを
図59(XENP24365)に示す。当業者には理解されるように、適切なABDは、下線が引かれているように、この図に示されるように6つのCDRのセットを含むことができる。
【0185】
さらに、本発明の抗体は、本明細書に概説した抗原結合ドメインと同一のエピトープに結合するか、または本明細書に概説した抗原結合ドメインとの結合について競合するかのいずれかのものを含む。いくつかの実施形態では、二機能性チェックポイント抗体は、本明細書で概説したABDのうちの1つ、および本明細書で概説したABDのうちの1つとの結合で競合する第2のABDを含み得る。いくつかの実施形態では、両方のABDが、本明細書で概説した対応するABDとの結合について競合する。結合の競合は一般に、本明細書に概説されるようにBiacoreアッセイを用いて決定される。
【0186】
当業者には理解され、以下でより詳細に説明するように、一般的にUS62/353,511の
図1に示すように、本発明のヘテロダイマー融合タンパク質は、多種多様な立体配置をとることができる。いくつかの図は、「シングルエンド型」立体配置を示し、分子の一方の「アーム」には1つのタイプの特異性があり、他方の「アーム」には異なる特異性がある。他の図は、「デュアルエンド型」立体配置を示し、分子の「上部」に少なくとも1つのタイプの特異性があり、分子の「底部」に1つ以上の異なる特異性がある。
図57A〜57Kを参照されたい。したがって、本発明は、免疫抗原とIL−15/IL−15Rα結合パートナーを共結合する新規な免疫グロブリン組成物に関する。
【0187】
当業者には理解されるように、本発明のヘテロダイマーフォーマットは、異なる価数を有し得るとともに、二機能性であり得る。すなわち、本発明のヘテロダイマー抗体は二価および二機能性であることができ、一方の標的抗原は1つの結合ドメインにより結合され、他方の標的抗原は第2の結合ドメインにより結合される。ヘテロダイマー抗体はまた、三価および二機能性であり得、第1の抗原は2つの結合ドメインによって結合され、第2の抗原は第2の結合ドメインによって結合される。
【0188】
B.抗体
以下で考察するように、「抗体」という用語は全般的に使用される。本発明で使用される抗体は、本明細書に記載されているようにいくつかのフォーマットをとることができ、本明細書に記載され図に示される従来の抗体、および抗体誘導体、断片および模倣物を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、抗原結合ドメインおよびFcドメインを含む抗体融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、抗体融合タンパク質は、本明細書に記載のIL−15/IL−15Rα Fc融合タンパク質とともに二機能性ヘテロダイマータンパク質を形成する。そのような二機能性ヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態には、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、およびXENP24548が含まれるが、これらに限定されない。そのような二機能性ヘテロダイマータンパク質の例示的なフォーマットには、
図57A〜57Kに示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0189】
従来の抗体構造単位は、典型的にはテトラマーを含む。各テトラマーは、典型的には、2本の同一のポリペプチド鎖対からなり、各対は、1本の「軽」鎖(典型的には、約25kDaの分子量)と、1本の「重」鎖(典型的には、約50〜70kDaの分子量)とを有する。ヒト軽鎖は、κ軽鎖およびλ軽鎖として分類される。本発明は概して、IgGクラスに基づく抗体または抗体断片(抗体モノマー)に関し、これは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むがこれらに限定されない、いくつかのサブクラスを有する。一般に、IgG1、IgG2、およびIgG4が、IgG3よりも頻繁に使用される。IgG1は、356(DまたはE)および358(LまたはM)で多型を有する異なるアロタイプを有することに留意すべきである。本明細書に図示される配列は356D/358Mアロタイプを使用するが、他のアロタイプが本明細書に含まれる。すなわち、本明細書に含まれるIgG1 Fcドメインを含む任意の配列は、356D/358Mアロタイプの代わりに356E/358Lを有することができる。
【0190】
さらに、本明細書中の配列の多くは、位置220の少なくとも1つのシステインをセリンで置換したものであり、これは一般に、本明細書に記載の配列の大部分について「scFvモノマー」側にあるが、ジスルフィド形成を減少させるために「Fabモノマー」側、またはその両方にすることもできる。本明細書中の配列内に具体的に含まれるのは、これらのシステインの一方または両方が置換されたもの(C220S)である。
【0191】
したがって、本明細書で使用されるとき、「アイソタイプ」は、それらの定常領域の化学的および抗原的特徴によって定義される免疫グロブリンの任意のサブクラスを意味する。治療用抗体は、アイソタイプおよび/またはサブクラスのハイブリッドも含み得ることを理解されたい。たとえば、米国特許出願公開第2009/0163699号に示されるように、本発明は、IgG1/G2ハイブリッドのpI工学を包含し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
超可変領域は、一般に、軽鎖可変領域においておよそ、アミノ酸残基24〜34(LCDR1、「L」は軽鎖を表す)、50〜56(LCDR2)、および89〜97(LCDR3)、ならびに重鎖可変領域においてはおよそ約31〜35B(HCDR1、「H」は重鎖を表す)、50〜65(HCDR2)、および95〜102(HCDR3)からのアミノ酸残基(Kabat et al., SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 5th Ed.Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.(1991))ならびに/または超可変ループを形成する残基(例えば、軽鎖可変領域における残基26〜32(LCDR1)、50〜52(LCDR2)、および91〜96(LCDR3)、ならびに重鎖可変領域における26〜32(HCDR1)、53〜55(HCDR2)、および96−101(HCDR3)を包含する(Chothia and Lesk (1987)J.Mol.Biol.196:901−917)。本発明の特定のCDRを以下に記載する。
【0193】
当業者には理解されるように、CDRの正確な付番および配置は、異なる付番システムで異なり得る。しかしながら、可変重鎖および/または可変軽鎖の開示は、関連する(固有の)CDRの開示を含むことが理解されるべきである。したがって、各可変重領域の開示は、vhCDR(例えば、vhCDR1、vhCDR2、およびvhCDR3)の開示であり、各可変軽領域の開示は、vlCDR(例えば、vlCDR1、vlCDR2、およびvlCDR3)の開示である。CDR付番の有用な比較は以下のとおりであり、Lafranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27(1):55−77(2003)を参照されたい。
【表2】
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【0194】
本明細書全体を通して、Kabat付番系は一般に、可変ドメイン内の残基(およそ、軽鎖可変領域の残基1〜107および重鎖可変領域の残基1〜113)を参照するときに使用され、EU付番系は、Fc領域に対するものである(例えば、Kabat et al.、上述(1991))。
【0195】
重鎖のIgドメインの別の種類は、ヒンジ領域である。本明細書において「ヒンジ」または「ヒンジ領域」または「抗体ヒンジ領域」または「ヒンジドメイン」とは、抗体の第1のおよび第2の定常ドメイン間のアミノ酸を含む可動性ポリペプチドを意味する。構造的に、IgG CH1ドメインはEU位置215で終わり、IgG CH2ドメインは残基EU位置231で始まる。したがって、IgGについては、抗体ヒンジは、本明細書では、216位(IgG1中のE216)〜230位(IgG1中のP230)を含むように定義され、付番はKabatにあるようにEUインデックスによる。場合によっては、「ヒンジフラグメント」が使われ、それは、ヒンジドメインのN末端またはC末端のいずれかまたは両方でより少ないアミノ酸を含む。本明細書に記載のとおり、pIバリアントはヒンジ領域にも同様に作製することができる。
【0196】
軽鎖は、一般に、可変軽ドメイン(軽鎖CDRを含み、可変重ドメインとともにFv領域を形成する)、および定常軽領域(しばしばCLまたはCκと称される)の2つのドメインを含む。
【0197】
上に概説される追加の置換のための別の目的とする領域は、Fc領域である。
【0198】
本発明は、多数の異なるCDRセットを提供する。この場合、「完全CDRセット」は、3つの可変軽鎖CDRおよび3つの可変重鎖CDR、例えばvlCDR1、vlCDR2、vlCDR3、vhCDR1、vhCDR2およびvhCDR3を含む。これらは、それぞれより大きな可変軽または可変重ドメインの一部であり得る。さらに、本明細書により完全に概説されているように、可変重および可変軽ドメインは、重鎖および軽鎖が使用されるとき(例えば、Fabが使用されるとき)には別個のポリペプチド鎖上に、またはscFv配列の場合には単一ポリペプチド鎖上にあり得る。
【0199】
CDRは、抗原結合の形成、またはより具体的には、抗体のエピトープ結合部位の形成に寄与する。「エピトープ」とは、パラトープとして知られている抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する決定基を指す。エピトープは、アミノ酸または糖側鎖などの分子の群分けであり、通常、特異的構造特性、ならびに特異的電荷特性を有する。単一抗原が、2つ以上のエピトープを有してもよい。
【0200】
エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基(エピトープの免疫優性構成要素とも称される)および結合に直接関与しない他のアミノ酸残基、例えば、特異的抗原結合ペプチドによって効果的に遮断されるアミノ酸残基、換言すると、特異的抗原結合ペプチドのフットプリント内にあるアミノ酸残基を含み得る。
【0201】
エピトープは、立体配座または直線状のいずれかであってもよい。立体配座エピトープは、直線状のポリペプチド鎖の異なるセグメントからのアミノ酸の空間的な並置によって作り出される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接アミノ酸残基によって作り出されるものである。立体配座エピトープおよび非立体配座エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが、後者への結合は失われないという点で区別され得る。
【0202】
エピトープは、典型的には、固有の空間立体構造内に、少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個、または8〜10個のアミノ酸を含む。同一のエピトープを認識する抗体は、ある抗体の別の抗体の標的抗原への結合を遮断する能力、例えば、「ビニング」を示す単純な免疫アッセイにおいて検証され得る。以下に概説するように、本発明は、列挙された抗原結合ドメインおよび本明細書の抗体を含むだけでなく、列挙された抗原結合ドメインによって結合されるエピトープとの結合について競合するものも含む。
【0203】
したがって、本発明は異なる抗体ドメインを提供する。本明細書中に記載され、当技術分野において既知のとおり、本発明のヘテロダイマー抗体は、重鎖および軽鎖内に異なるドメインを含み、これもまた重複し得る。これらのドメインは、Fcドメイン、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジドメイン、重定常ドメイン(CH1−ヒンジ−FcドメインまたはCH1−ヒンジ−CH2−CH3)、可変重ドメイン、可変軽ドメイン、軽定常ドメイン、Fabドメイン、およびscFvドメインを含むが、これらに限定されない。
【0204】
したがって、「Fcドメイン」は、−CH2−CH3ドメイン、任意選択的にヒンジドメイン(−H−CH2−CH3)を含む。本明細書の実施形態では、scFvがFcドメインに結合しているとき、Fcドメインのヒンジの全部または一部に結合しているのはscFv構築物のC末端であり、例えば、それは一般にヒンジの始まりである配列EPKSに結合している。重鎖は、可変重ドメインおよび定常ドメインを含み、これは、CH1−任意選択のCH2−CH3を含むヒンジ−Fcドメインを含む。軽鎖は、可変軽鎖および軽定常ドメインを含む。scFvは、可変重鎖、scFvリンカー、および可変軽ドメインを含む。本明細書に概説した構築物および配列のほとんどにおいて、可変重鎖のC末端はscFvリンカーのN末端に結合し、そのC末端は可変軽鎖のN末端に結合している(N−vh−リンカー−vl−C)が、これはスイッチできる(N−vl−リンカー−vh−C)。
【0205】
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1つのscFvドメインを含み、それは天然に生じないが、scFvリンカーによってともに連結した可変重ドメインと可変軽ドメインとを一般に含む。本明細書に概説するように、scFvドメインは、一般に、N末端からC末端方向にvh−scFvリンカー−vlであるが、これは、scFvドメイン(または、Fab由来のvhおよびvl配列を使用して構築されたドメイン)のいずれに関しても、フォーマットに応じて片端または両端の任意のリンカーを用いて、vl−scFvリンカー−vhへと逆転させることができる(一般的に
図57A−57Kを参照されたい。)。
【0206】
本明細書に示されるように、好適なリンカー(ドメインリンカーまたはscFvリンカーのいずれかとして使用)にはいくつかあり、列挙されたドメインに共有結合(組み換え技術により生成される従来型ペプチド結合を含む)するために使用することができる。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、主に、以下のアミノ酸残基Gly、Ser、Ala、またはThrを含み得る。リンカーペプチドは、それらが所望の活性を保持するように互いに対して正しい立体配座をとるような方法で2つの分子を結合させるのに十分な長さを有するべきである。一実施形態では、リンカーは、約1〜50アミノ酸長、好ましくは約1〜30アミノ酸長である。一実施形態では、1〜20アミノ酸長のリンカーが使用されてもよく、いくつかの実施形態では、約5〜約10アミノ酸が使用されている。有用なリンカーには、例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号XX)、(GGGGS)n(配列番号XX)、および(GGGS)n(配列番号XX)、(nは少なくとも1(および一般に3〜4)の整数である)を含むグリシン−セリンポリマー、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、ならびに他の可動性リンカーが含まれる。例示的なドメインリンカーを
図6に示す。あるいは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーを含むがこれらに限定されない様々な非タンパク質性ポリマーが、リンカーとして有用であり得る。
【0207】
他のリンカー配列は、任意の長さのCL/CH1ドメインの任意の配列を含むが、CL/CH1ドメインのすべての残基ではなく、例えば、CL/CH1ドメインの最初の5〜12個のアミノ酸残基は含まない場合がある。リンカーは、免疫グロブリン軽鎖、例えば、CκまたはCλに由来し得る。リンカーは、例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cα1、Cα2、Cδ、Cε、およびCμを含む任意のアイソタイプの免疫グロブリン重鎖に由来し得る。リンカー配列はまた、Ig様タンパク質(例えば、TCR、FcR、KIR)、ヒンジ領域由来配列、および他のタンパク質由来の他の天然配列などの他のタンパク質に由来してもよい。
【0208】
いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書に概説される任意の2つのドメインをともに連結するために使用される「ドメインリンカー」である。例えば、FabのCH1ドメインのC末端をscFvのN末端に結合するドメインリンカーがあり、別の任意のドメインリンカーはscFvのC末端をCH2ドメインに結合している(ただし、多くの実施形態では、このドメインリンカーとしてヒンジが使用される)。任意の好適なリンカーを使用することができるが、多くの実施形態は、例えば、nが少なくとも1(一般に3〜4〜5)の整数である、(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)nを含むドメインリンカーとしてグリシン−セリンポリマー、ならびに各ドメインがその生物学的機能を保持できるように十分な長さおよび柔軟性を有する2つのドメインの組み換え結合を可能にする任意のペプチド配列を利用する。場合によっては、以下に概説する「鎖性(strandedness)」に注意を払って、scFvリンカーのいくつかの実施形態において使用されるように、荷電ドメインリンカーを使用することができる。
【0209】
いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書で考察されるvhおよびvlドメインを共有結合するために使用されるscFvリンカーである。したがって、本発明はさらに、第1のモノマーと第2のモノマーとの間のpIの分離を促進するための荷電scFvリンカーを提供する。すなわち、正または負のいずれかの荷電scFvリンカー(または異なるモノマーに対してscFvを使用する足場の場合は両方)を組み込むことによって、Fcドメインをさらに変化させずに、荷電リンカーを含むモノマーはpIを変えることを可能にする。これらの荷電リンカーは、標準的なリンカーを含む任意のscFv中に置換することができる。また、当業者には理解されるように、pIの所望の変化に従って、荷電scFvリンカーが正しい「鎖」またはモノマー上に使用される。例えば、本明細書で論じられるように、トリプルFフォーマットヘテロダイマー抗体を作製するために、所望の抗原結合ドメインのそれぞれについてのFv領域の元のpIが計算され、そしてscFvを作製するために1つが選択され、pIに応じて、正または負のリンカーのいずれかが選択される。
【0210】
荷電ドメインリンカーを使用して発明のモノマーのpI分離を増加させることもでき、リンカーが利用される、本明細書の任意の実施形態で使用することもできる。特に、
図57A〜57Kに示すフォーマットは抗原結合タンパク質を含み、通常「ヘテロダイマーFc融合タンパク質」と呼ばれ、タンパク質が、ヘテロダイマーFcドメインに自己組織化した少なくとも2つの関連Fc配列、およびFabとしてであるかscFvとしてであるかを問わず、少なくとも1つ以上のFv領域を有することを意味する。
【0211】
C.キメラおよびヒト化抗体
いくつかの実施形態では、本明細書の抗体は、異なる種由来の混合物、例えばキメラ抗体および/またはヒト化抗体に由来し得る。一般に、「キメラ抗体」と「ヒト化抗体」の両方は、2つ以上の種由来の領域を組み合わせる抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は伝統的に、マウス(または場合によってはラット)由来の可変領域(複数可)およびヒト由来の定常領域(複数可)を含む。「ヒト化抗体」は一般に、可変ドメインフレームワーク領域がヒト抗体に見出される配列でスワップされた、非ヒト抗体を指す。一般に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト由来のポリヌクレオチドによってコードされるか、またはそのCDR内を除いてそのような抗体と同一である。非ヒト生物を起源とする核酸によって一部またはすべてがコードされるCDRを、ヒト抗体可変領域のベータシートフレームワークにグラフティングして、その特異性がグラフティングされたCDRによって決定される抗体を作製する。そのような抗体の生成は、例えば、WO92/11018、Jones,1986,Nature 321:522−525、Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534−1536に記載され、参照により全体が組み込まれる。選択されたアクセプターフレームワーク残基の、対応するドナー残基への「逆変異」が、最初の移植された構築物において失われた親和性を回復するためにしばしば必要とされる(US5530101、US5585089、US5693761、US5693762、US6180370、US5859205、US5821337、US6054297、US6407213、参照により全体が組み込まれる)。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分、通常は全部を含み、したがって典型的にはヒトFc領域を含むであろう。ヒト化抗体はまた、遺伝子操作された免疫系を有するマウスを用いて生成され得る。Roque et al.,2004,Biotechnol.Prog.20:639−654、参照により全体が本明細書に組み込まれる。非ヒト抗体をヒト化および再形成するための様々な技法および方法は、当技術分野で周知である(参照により全体が組み込まれる、Tsurushita & Vasquez,2004,Humanization of Monoclonal Antibodies,Molecular Biology of B Cells,533−545,Elsevier Science(USA)、およびそこで引用される参考文献を参照されたい)。ヒト化方法には、Jones et al.,1986,Nature 321:522−525、Riechmann et al.,1988、Nature 332:323−329;Verhoeyen et al.,1988,Science,239:1534−1536、Queen et al.,1989,Proc Natl Acad Sci,USA 86:10029−33、He et al.,1998,J.Immunol.160:1029−1035、Carter et al.,1992,Proc Natl Acad Sci USA89:4285−9,Presta et al.,1997,Cancer Res.57(20):4593−9、Gorman et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:4181−4185、O´Connor et al.,1998,Protein Eng 11:321−8に記載される方法が含まれ、参照により全体が組み込まれる。ヒト化、または非ヒト抗体の可変領域の免疫原性を低下させる他の方法には、例えば、参照により全体が組み込まれるRoguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969−973に記載されているような表面再構成法が含まれ得る。特定の実施形態では、本発明の抗体は、特定の生殖細胞系列重鎖免疫グロブリン遺伝子由来の重鎖可変領域および/または特定の生殖細胞系列軽鎖免疫グロブリン遺伝子由来の軽鎖可変領域を含む。例えば、そのような抗体は、特定の生殖細胞系列配列「の産物」であるまたはそれ「に由来する」重鎖または軽鎖可変領域を含むヒト抗体を含み得るかまたはそれからなり得る。ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列「の産物」であるまたはそれ「に由来する」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することと、ヒト抗体の配列に最も近い配列である(すなわち、最も高い同一性%)ヒト生殖細胞系列免疫グロブリンを選択することとによって、そのようなものとして特定され得る。特定のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列「の産物」であるまたはそれ「に由来する」ヒト抗体は、例えば、天然に生じる体細胞突然変異または部位特異的突然変異の意図的導入に起因して、生殖細胞系列配列と比較してアミノ酸の相違を含み得る。しかしながら、ヒト化抗体は、典型的には、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも90%同一であり、他の種の生殖細胞系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖細胞系列配列)と比較したときに、抗体をヒト配列に由来するものとして特定するアミノ酸残基を含む。ある特定の場合には、ヒト化抗体は、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と、アミノ酸配列において少なくとも95、96、97、98もしくは99%、または少なくとも96%、97%、98%、または99%までも同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖細胞系配列に由来するヒト化抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10〜20個以下のアミノ酸差しか示さない(本明細書中の任意のスキューバリアント、pIバリアント、および切除バリアントの導入前、すなわち、本発明のバリアントの導入前は、バリアントの数は一般に少ない)。ある特定の場合には、ヒト化抗体は、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とは5個以下、またはさらには4、3、2、もしくは1個以下のアミノ酸差しか示さない場合がある(同様に、本明細書における任意のスキューバリアント、pIバリアント、および切除バリアントの導入前、すなわち、本発明のバリアントの導入前は、バリアントの数は一般に少ない)。一実施形態では、親抗体は、当技術分野で既知のとおり、親和性成熟されたものである。構造に基づく方法が、例えば、USSN11/004,590に記載されているように、ヒト化および親和性成熟のために用いられ得る。Wu et al.,1999,J.Mol.Biol.294:151−162;Baca et al.,1997,J.Biol.Chem.272(16):10678−10684;Rosok et al.,1996,J.Biol.Chem.271(37):22611−22618;Rader et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8910−8915;Krauss et al.,2003,Protein Engineering 16(10):753−759に記載される方法を含むがこれらに限定されない選択に基づく方法が抗体可変領域のヒト化および/または親和性成熟のために使用でき、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。他のヒト化方法は、CDRの部分のみを移植することを含んでもよく、これには、参照によりすべての内容が組み込まれる、USSN09/810,510、Tan et al.,2002,J.Immunol.169:1119−1125、De Pascalis et al.,2002,J.Immunol.169:3076−3084に記載される方法が含まれるがこれらに限定されない。
【0212】
VII.本発明の有用な実施形態
図57A〜57Kに示すように、本発明の二重特異性ヘテロダイマー融合タンパク質のいくつかの有用なフォーマットが存在する。一般に、本発明のヘテロダイマー融合タンパク質は、3つの機能性成分:IL−15/IL−15Rα(sushi)成分、抗原結合ドメイン成分(例えば、抗CD8成分、抗NKG2A成分、抗NKG2D成分)、およびFc成分を有し、本明細書で概説されるようにそれぞれが異なる形態をとることができ、それぞれが任意の立体配置で他の構成要素と組み合わせることができる。
【0213】
第1のおよび第2のFcドメインは、EU付番による、a)S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、b)S364K/E357Q:L368D/K370S、c)L368D/K370S:S364K、d)L368E/K370S:S364K、e)T411T/K360E/Q362E:D401K、f)L368D/K370S:S364K/E357L、およびg)K370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。
【0215】
任意選択的に、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。
【0216】
任意選択的に、第1のおよび/または第2のFcドメインは、半減期延長のために428L/434Sバリアントを有する。
【0217】
scIL−15/Rα×scFv
一実施形態は
図57Aに示されており、2つのモノマーを含む。第1のモノマーは、N末端からC末端に向かって、sushiドメイン−ドメインリンカー−IL−15−ドメインリンカー−CH2−CH3を含み、第2のモノマーは、vh−scFvリンカー−vl−ヒンジ−CH2−CH3またはvl−scFvリンカー−vh−ヒンジ−CH2−CH3を含むが、いずれの方向にもドメインリンカーをヒンジの代わりに置換することができる。これは一般に「scIL−15/Rα×scFv」と呼ばれ、「sc」は「一本鎖」を表し、共有結合リンカーを用いたIL−15およびsushiドメインの結合を指す。
【0218】
図57Aについて、「scIL−15/Rα×scFv」フォーマットは、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)を含み(「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のN末端に融合され、scFvはヘテロダイマーFcの他方側に融合している。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP25137であり得る。
【0219】
scIL−15/Rα×scFvフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0220】
scIL−15/Rα×scFvフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアントのS364K/E357Q(scFv−Fcモノマー上の)およびL368D/K370S(IL−15複合体モノマー上の)、pIバリアントのQ295E/N384D/Q418E/N421D(IL−15複合体側の)、両モノマー上の切除バリアントのE233P/L234V/L235A/G236_/S267K、および任意選択的に両側の428L/434Sバリアントを利用する。
【0221】
scIL−15/Rα×scFvフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、抗CD8 ABDを利用し、
図92Cに示すように、ヒト_IL15Rα(Sushi)_Fc(216)_IgG1_pI(−)_等配電子_A_C220S/PVA_/S267K/L368D/K370SIL−15Rα(sushi)−Fc鎖(鎖1)、IL15_D30N/E64Q/N65D(鎖2)、OKT8[CD8]_H2_IgG1_PVA_/S267K/S364K/E357Q重鎖(鎖3)、およびOKT8[CD8]_L1軽鎖(鎖4)の配列を有する。
【0222】
1つの好ましい実施形態は、
図92Cに示すように、ヒト_IL15Rα(Sushi)_Fc(216)_IgG1_pI(−)_等配電子_A_C220S/PVA_/S267K/L368D/K370S IL−15Rα(sushi)−Fc鎖(一本鎖)の配列を有するscIL−15/Rα複合体を利用する。
【0223】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)N末端からC末端に向かって、i)IL−15sushiドメイン、ii)第1のドメインリンカー、iii)バリアントIL−15ドメイン、iv)第2のドメインリンカー、v)CH2−CH3を含む第1のバリアントFcドメインを含む第1のモノマーと、b)N末端からC末端に向かって、i)scFvドメイン、ii)第3のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第2のバリアントFcドメインを含む第2のモノマーとを含み、scFvドメインは、第1の可変重ドメイン、scFvリンカー、および第1の可変軽ドメインを含み、scFvドメインは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する。
【0224】
scFv×ncIL−15/Rα
この実施形態は、
図57Bに示され、3つのモノマーを含む。第1のモノマーは、N末端からC末端に向かって、sushiドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3を含み、第2のモノマーは、vh−scFvリンカー−vl−ヒンジ−CH2−CH3またはvl−scFvリンカー−vh−ヒンジ−CH2−CH3を含むが、いずれの方向にも、ドメインリンカーをヒンジの代わりに置換することができる。第3のモノマーはIL−15ドメインである。これは一般に「ncIL−15/Rα×scFv」または「scFv×ncIL−15/Rα」と呼ばれ、「nc」はIL−15とsushiドメインの自己組織化非共有結合を指す「非共有」を表す。
【0225】
図57Bについて、「scFv×ncIL−15/Rα」フォーマットは、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したscFvを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、IL−15は、非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。
【0226】
ncIL−15/Rα×scFvフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0227】
ncIL−15/Rα×scFvフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアントのS364K/E357Q(scFv−Fcモノマー上の)およびL368D/K370S(IL−15複合体モノマー上の)、pIバリアントのQ295E/N384D/Q418E/N421D(IL−15複合体側の)、両モノマー上の切除バリアントのE233P/L234V/L235A/G236_/S267K、および任意選択的に両側の428L/434Sバリアントを利用する。
【0228】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)N末端からC末端に向かって、i)IL−15sushiドメイン、ii)第1のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第1のバリアントFcドメインを含む第1のモノマーと、b)N末端からC末端に向かって、i)scFvドメイン、ii)第2のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第2のバリアントFcドメインを含む第2のモノマー(上記scFvドメインは、第1の可変重ドメイン、scFvリンカー、および第1の可変軽ドメインを含む)と、c)バリアントIL−15ドメインを含む第3のモノマー(上記scFvドメインは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する)とを含む。
【0229】
scFv×dsIL−15/Rα
この実施形態は、
図57Cに示され、3つのモノマーを含む。第1のモノマーは、N末端からC末端に向かって、sushiドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3を含み、sushiドメインが操作されたシステイン残基を有し、第2のモノマーは、vh−scFvリンカー−vl−ヒンジ−CH2−CH3またはvl−scFvリンカー−vh−ヒンジ−CH2−CH3を含むが、いずれの方向にも、ドメインリンカーをヒンジの代わりに置換することができる。第3のモノマーは、システインバリアントアミノ酸を有するようにも操作されたIL−15ドメインであり、それにより、sushiドメインとIL−15ドメインとの間にジスルフィド架橋を形成することが可能になる。これは一般に「scFv×dsIL−15/Rα」または「dsIL−15/Rα×scFv」と呼ばれ、「ds」は「ジスルフィド」を表す。
【0230】
図57Cについて、「scFv×dsIL−15/Rα」フォーマットは、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したscFvを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、操作されたシステインの結果として、IL−15は、非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。
【0231】
scFv×dsIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0232】
scFv×dsIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアントのS364K/E357Q(scFv−Fcモノマー上の)およびL368D/K370S(IL−15複合体モノマー上の)、pIバリアントのQ295E/N384D/Q418E/N421D(IL−15複合体側の)、両モノマー上の切除バリアントのE233P/L234V/L235A/G236_/S267K、および任意選択的に両側の428L/434Sバリアントを利用する。
【0233】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)N末端からC末端に向かってi)システイン残基を含むバリアントIL−15sushiドメイン、ii)第1のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第1のバリアントFcドメインを含む第1のモノマーと、b)N末端からC末端に向かって、i)scFvドメイン、ii)第2のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第2のバリアントFcドメインを含む第2のモノマー(scFvドメインは、第1の可変重ドメイン、scFvリンカー、および第1の可変軽ドメインを含む)と、c)システイン残基を含むバリアントIL−15ドメインを含む第3のモノマー(バリアントIL−15sushiドメインおよびバリアントIL−15ドメインはジスルフィド結合を形成し、scFvドメインは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する)とを含む。
【0234】
scIL−15/Rα×Fab
この実施形態は、
図57Dに示され、3つのモノマーを含む。第1のモノマーは、N末端からC末端に向かって、sushiドメイン−ドメインリンカー−IL−15−ドメインリンカー−CH2−CH3を含み、第2のモノマーは、重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第3のモノマーは軽鎖、VL−CLである。これは一般に「scIL−15/Rα×Fab」と呼ばれ、「sc」は「一本鎖」を表す。本実施形態のバリアントの好ましい組み合わせは、
図60A、60B、61A、61B、66A、66B、87、92A、92B、92C、97A、97B、および102に見られる。
【0235】
図57Dについて、scIL−15/Rα×Fab(またはFab×scIL−15/Rα)フォーマットは、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)を含み(「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のN末端に融合し、可変重鎖(VH)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP27145、XENP27145、およびXENP27146であり得る。
【0236】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、
図102に示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図102に示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP26585である。
【0237】
いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図97Aに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図97Aに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP26223である。
【0238】
他の実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図97Aに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図97Aに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP26224である。
【0239】
様々な実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図97Bに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図97Bに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP26227である。
【0240】
特定の実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図97Bに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図97Bに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP26229である。
【0241】
いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図92Aに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図92Aに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24917である。
【0242】
他の実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図92Bに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図92Bに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24918である。
【0243】
いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図92Bに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図92Bに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24919である。
【0244】
一実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図87に示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図87に示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24736である。
【0245】
別の実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図66Aに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図66Aに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24114である。
【0246】
さらに別の実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図66Aに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図66Aに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24115である。
【0247】
別の実施形態では、scIL−15/Rα×抗CD8ヘテロダイマータンパク質は、
図66Aに示す配列を有する抗CD8 ABDを利用する。いくつかの実施形態では、タンパク質のIL−15複合体は、
図66Aに示した配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24116である。
【0248】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、
図61Aに示す配列を有する抗NKG2D ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図61Aに示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24533である。
【0249】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、
図61Aに示す配列を有する抗NKG2D ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図61Aに示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24534である。
【0250】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、
図61Bに示す配列を有する抗NKG2D ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図61Bに示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24535である。
【0251】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、
図60Aに示す配列を有する抗NKG2A ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図60Aに示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24531である。
【0252】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、
図60Aに示す配列を有する抗NKG2A ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図60Aに示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP24532である。
【0253】
別の実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、
図60Bに示す配列を有する抗NKG2A ABDを利用する。いくつかの実施形態では、scIL−15/Rα×FabのIL−15複合体は、
図60Bに示す配列を利用する。場合によっては、ヘテロダイマータンパク質はXENP27146である。
【0254】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0255】
scIL−15/Rα×Fabフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアントのS364K/E357Q(抗CD8モノマー、抗NKG2Aモノマー、または抗NKG2Dモノマー上の)およびL368D/K370S(IL−15複合体モノマー上の)、pIバリアントのQ295E/N384D/Q418E/N421D(IL−15複合体側の)、両モノマー上の切除バリアントのE233P/L234V/L235A/G236_/S267K、および任意選択的に両側の428L/434Sバリアントを利用する。
【0256】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)N末端からC末端に向かって、i)IL−15sushiドメイン、ii)第1のドメインリンカー、iii)バリアントIL−15ドメイン、iv)第2のドメインリンカー、v)CH2−CH3を含む第1のバリアントFcドメインを含む第1のモノマーと、b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第2のモノマー(CH2−CH3は第2のバリアントFcドメインである)と、c)VL−CLを含む軽鎖(VHおよびVLは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する抗原結合ドメインを形成する)とを含む。
【0257】
Fab×ncIL−15/Rα
この実施形態は
図57Eに示されており、4つのモノマーを含む。第1のモノマーは、N末端からC末端に向かって、sushiドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3を含み、第2のモノマーは、重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第3のモノマーはIL−15ドメインである。第4のモノマーは、軽鎖VL−CLである。これは一般に「Fab×ncIL−15/Rα」と呼ばれ、「nc」はIL−15とsushiドメインの自己組織化非共有結合を指す「非共有」を表す。この実施形態のためのバリアントの好ましい組み合わせは、
図92Cに見られる。
【0258】
図57Eについて、Fab×ncIL−15/Rα(またはncIL−15/Rα×Fab)フォーマットは、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされ、IL−15は非共有結合のIL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP25137であり得る。
【0259】
Fab×ncIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0260】
Fab×ncIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアントのS364K/E357Q(scFv−Fcモノマー上の)およびL368D/K370S(IL−15複合体モノマー上の)、pIバリアントのQ295E/N384D/Q418E/N421D(IL−15複合体側の)、両モノマー上の切除バリアントのE233P/L234V/L235A/G236_/S267K、および任意選択的に両側の428L/434Sバリアントを利用する。
【0261】
好ましい実施形態は、抗CD8 ABDを利用し、
図92Cに示すように、ヒト_IL15Rα(Sushi)_Fc(216)_IgG1_pI(−)_等配電子_A_C220S/PVA_/S267K/L368D/K370SIL−15Rα(sushi)−Fc鎖(鎖1)、IL15_D30N/E64Q/N65D(鎖2)、OKT8[CD8]_H2_IgG1_PVA_/S267K/S364K/E357Q重鎖(鎖3)、およびOKT8[CD8]_L1軽鎖(鎖4)の配列を有する。
【0262】
Fab×ncIL−15/Rαフォーマットでは、
図92Cに示すように、1つの好ましい実施形態は、ヒト_IL15Rα(Sushi)_Fc(216)_IgG1_pI(−)_等配電子_A_C220S/PVA_/S267K/L368D/K370S IL−15Rα−Fc鎖(鎖1)、およびIL15_D30N/E64Q/N65D(鎖2)の配列を有するncIL−15/Rα複合体を利用する。
【0263】
いくつかの実施形態では、ヘテロ二ダイマータンパク質は、a)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第1のモノマー(上記CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)と、b)N末端からC末端に向かって、i)IL−15sushiドメイン、ii)第1のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第2のバリアントFcドメインを含む第2のモノマーと、c)バリアントIL−15ドメインを含む第3のモノマーと、d)VL−CLを含む軽鎖を含む第4のモノマー(VHおよびVLは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する抗原結合ドメインを形成する)とを含む。
【0264】
Fab×dsIL−15/Rα
この実施形態は
図57Fに示されており、4つのモノマーを含む。第1のモノマーは、N末端からC末端に向かって、sushiドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3を含み、sushiドメインがシステイン残基を含むよう操作されており、第2のモノマーは、重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第3のモノマーは、天然の細胞条件下でジスルフィド架橋が形成されるようにシステイン残基を有するように操作されたIL−15ドメインである。第4のモノマーは、軽鎖、VL−CLである。これは一般に「Fab×dsIL−15/Rα」と呼ばれ、「ds」はIL−15とsushiドメインの自己組織化非共有結合を指す「ジスルフィド」を表す。
【0265】
図57Fについて、Fab×dsIL−15/Rα(またはdsIL−15/Rα×Fab)フォーマットは、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされ、一方、操作されたシステインの結果として、IL−15は、共有結合IL−15/Rα複合体が形成されるように別々にトランスフェクトされる。
【0266】
Fab×dsIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0267】
Fab×dsIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアントのS364K/E357Q(scFv−Fcモノマー上の)およびL368D/K370S(IL−15複合体モノマー上の)、pIバリアントのQ295E/N384D/Q418E/N421D(IL−15複合体側の)、両モノマー上の切除バリアントのE233P/L234V/L235A/G236_/S267K、および任意選択的に両側の428L/434Sバリアントを利用する。
【0268】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第1のモノマー(上記CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)と、b)N末端からC末端に向かって、i)システイン残基を含むバリアントIL−15sushiドメイン、ii)第1のドメインリンカー、iii)CH2−CH3を含む第2のバリアントFcドメインを含む第2のモノマーと、c)システイン残基を含むバリアントIL−15ドメインを含む第3のモノマーと、d)VL−CLを含む軽鎖を含む第4のモノマーとを含み、バリアントIL−15sushiドメインおよびバリアントIL−15ドメインはジスルフィド結合を形成し、VHおよびVLはヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する抗原結合ドメインを形成する。
【0269】
mAb−scIL−15/Rα
この実施形態は、
図57Gに示され、3つのモノマーを含む(融合タンパク質はテトラマーであるが)。第1のモノマーは、重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第2のモノマーは、scIL−15複合体を有する重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−ドメインリンカー−sushiドメイン−ドメインリンカー−IL−15を含む。第3の(および第4の)モノマーは軽鎖、VL−CLである。これは一般に「mAb−scIL−15/Rα」と呼ばれ、「sc」は「一本鎖」を表す。この実施形態のためのバリアントの好ましい組み合わせは、
図79Aに見られる。
【0270】
図57Gについて、mAb−scIL−15/Rαフォーマットは、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15はIL−15Rα(sushi)に融合し、次いでこれはさらにヘテロダイマーFc領域のうちの1つのC末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP24546であり得る。
【0271】
mAb−scIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0272】
好ましい実施形態は、抗CD8 ABDを利用し、
図79Aに示すように、51.1[CD8]_H1−Fc−IL15Rα(sushi)_(GGGGS)5−IL15(一本鎖)、51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc重鎖(鎖2)、および51.1[CD8]_H1L1軽鎖(鎖3)の配列を有する。
【0273】
mAb−scIL−15/Rαフォーマットでは、1つの好ましい実施形態は、
図79Aに示す51.1[CD8]_H1−Fc−IL15Rα(sushi)_(GGGGS)5−IL15(一本鎖)のscIL−15/Rα複合配列を利用する。
【0274】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第1のモノマー(上記CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)、b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3ドメインリンカー−IL−15sushiドメイン−ドメインリンカー−IL−15バリアントを含む第2のモノマー(CH2−CH3は第2のバリアントFcドメインである)、およびc)VL−CLを含む軽鎖を含む第3のモノマー(VHおよびVLドメインはヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する)を含む。
【0275】
mAb−ncIL−15/Rα
この実施形態は、
図57Hに示され、4つのモノマーを含む(ヘテロダイマー融合タンパク質はペンタマーであるが)。第1のモノマーは、重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第2のモノマーは、IL−15Rα(sushi)ドメインを有する重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−ドメインリンカー−sushiドメインを含む。第3のモノマーはIL−15ドメインである。第4の(および第5の)モノマーは軽鎖、VL−CLである。これは一般に「mAb−ncIL−15/Rα」と呼ばれ、「nc」は「非共有結合」を表す。この実施形態のためのバリアントの好ましい組み合わせは、
図79Aに見られる。
【0276】
図57Hについて、mAb−ncIL−15/Rαフォーマットは、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFc領域のうちの1つのC末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされ、IL−15は、非共有結合のIL−15/Rα複合体を形成するように別々にトランスフェクトされる。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP24543であり得る。
【0277】
mAb−ncIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0278】
好ましい実施形態は、抗CD8 ABDを利用し、
図79Aに示すように、51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc−重鎖−IL15Rα(sushi)(鎖1)、51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc重鎖(鎖2)、51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc軽鎖(鎖3)、およびIL15(N65D)(鎖4)の配列を有する。
【0279】
mAb−ncIL−15/Rα形式では、1つの好ましい実施形態は、
図79Aに示す51.1[CD8]_H1L1_Fab−Fc−重鎖−IL15Rα(sushi)(鎖1)およびIL15(N65D)(鎖4)のncIL−15/Rα複合体配列を利用する。
【0280】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第1のモノマー(CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)、b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3ドメインリンカーIL−15sushiドメインを含む第2のモノマー(CH2−CH3は第2のバリアントFcドメインである)、c)バリアントIL−15ドメインを含む第3のモノマー、およびd)VL−CLを含む軽鎖を含む第4のモノマー(VHおよびVLドメインはヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する)を含む。
【0281】
mAb−dsIL−15/Rα
この実施形態は、
図57Iに示され、4つのモノマーを含む(ヘテロダイマー融合タンパク質はペンタマーであるが)。第1のモノマーは、重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第2のモノマーは、IL−15Rα(sushi)ドメインを有する重鎖、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−ドメインリンカー−sushiドメインを含み、sushiドメインがシステイン残基を含むように操作されている。第3のモノマーは、IL−15複合体が生理学的条件下で形成されるようにシステイン残基を含むように操作されたIL−15ドメインである。第4の(および第5の)モノマーは軽鎖、VL−CLである。これは一般に「mAb−dsIL−15/Rα」と呼ばれ、「ds」は「ジスルフィド」を表す。
【0282】
図57Iについて、mAb−dsIL−15/Rαフォーマットは、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFc領域のうちの1つのC末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされ、IL−15は、操作されたシステインの結果として、共有結合のIL−15/Rα複合体を形成するように別々にトランスフェクトされる。
【0283】
mAb−dsIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0284】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第1のモノマー(CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)、b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3ドメインリンカーIL−15sushiドメインを含む第2のモノマー(上記バリアントIL−15sushiドメインはシステイン残基を含み、CH2−CH3は第2のバリアントFcドメインである)、c)システイン残基を含むバリアントIL−15ドメインを含む第3のモノマー、およびd)VL−CLを含む軽鎖を含む第4のモノマー(バリアントIL−15sushiドメインおよびバリアントIL−15ドメインはジスルフィド結合を形成し、VHおよびVLドメインはヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する)を含む。
【0285】
Central−IL−15/Rα
この実施形態は、
図57Jに示され、テトラマーを形成する4つのモノマーを含む。第1のモノマーは、VH−CH1−[任意選択のドメインリンカー]−IL−15−[任意選択のドメインリンカー]−CH2−CH3を含み、第2の任意選択のドメインリンカーはしばしばヒンジドメインである。第2のモノマーは、VH−CH1−[任意選択のドメインリンカー]−sushiドメイン−[任意選択のドメインリンカー]−CH2−CH3を含み、第2の任意選択のドメインリンカーはしばしばヒンジドメインである。第3の(および第4の)モノマーは軽鎖、VL−CLである。これは一般に「central−IL−15/Rα」と呼ばれる。この実施形態のためのバリアントの好ましい組み合わせは、
図79Bに見られる。
【0286】
図57Jについて、central−IL−15/Rαフォーマットは、次いでヘテロダイマーFcの一方にさらに融合したIL−15のN末端に組み換え融合したVHと、次いでヘテロダイマーFcの他方にさらに融合したIL−15Rα(sushi)のN末端に組み換え融合したVHとを含み、一方、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP24547であり得る。
【0287】
central−IL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0288】
好ましい実施形態は、抗CD8 ABDを利用し、
図79Bに示すように、51.1[CD8]_H1−IL15(N4D/N65D)−Fc(鎖1)、51.1[CD8]_H1−IL15Rα(sushi)−Fc(鎖2)、51.1[CD8]_H1L1軽鎖(鎖3)の配列を有する。
【0289】
central−IL−15/Rαフォーマットでは、1つの好ましい実施形態は、
図79Bに示す51.1[CD8]_H1−IL15(N4D/N65D)−Fc(鎖1)および51.1[CD8]_H1−IL15Rα(sushi)−FcのIL−15/Rα複合配列を利用する。
【0290】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)N末端からC末端に向かって、VH−CH1−ドメインリンカーバリアントIL−15ドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3を含む第1のモノマー(上記CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)と、b)N末端からC末端に向かって、VH−CH1−ドメインリンカーバリアントIL−15sushiドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3を含む第2のモノマー(CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)と、c)VL−CLを含む軽鎖を含む第3のモノマー(VHおよびVLは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する抗原結合ドメインを形成する)とを含む。
【0291】
Central−scIL−15/Rα
この実施形態は、
図57Kに示され、テトラマーを形成する4つのモノマーを含む。第1のモノマーは、VH−CH1−[任意選択のドメインリンカー]−sushiドメイン−ドメインリンカー−IL−15−[任意選択のドメインリンカー]−CH2−CH3を含み、第2の任意選択のドメインリンカーはしばしばヒンジドメインである。第2のモノマーは、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む。第3の(および第4の)モノマーは軽鎖、VL−CLである。これは一般に「central−scIL−15/Rα」と呼ばれ、「sc」は「一本鎖」を表す。この実施形態のためのバリアントの好ましい組み合わせは、
図79Bに見られる。
【0292】
図57Kについて、central−scIL−15/Rαフォーマットは、IL−15に融合したIL−15Rα(sushi)のN末端に融合し、それは次いでヘテロダイマーFcの一方側にさらに融合したVHと、ヘテロダイマーFcの他方側に融合したVHとを含むが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。そのようなヘテロダイマータンパク質の例示的な実施形態は、XENP24548であり得る。
【0293】
central−scIL−15/Rαフォーマットにおいて、1つの好ましい実施形態は、スキューバリアント対S364K/E357Q:L368D/K370Sを利用する。
【0294】
好ましい実施形態は、抗CD8 ABDを利用し、
図79Bに示すように、51.1[CD8]_H1−IL15Rα(sushi)_(GGGGS)5−IL15−Fc(鎖1)、51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc重鎖(鎖2)、51.1[CD8]_H1L1軽鎖(鎖3)の配列を有する。
【0295】
central−scIL−15/Rαフォーマットでは、1つの好ましい実施形態は、
図79Bに示す51.1[CD8]_H1−IL15Rα(sushi)_(GGGGS)5−IL15−Fc(鎖1)のscIL−15複合配列を利用する。
【0296】
いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、a)N末端からC末端に向かって、VH−CH1−ドメインリンカー−IL−15sushiドメイン−ドメインリンカー−バリアントIL−15ドメイン−ドメインリンカー−CH2−CH3含む第1モノマー(上記CH2−CH3は第1のバリアントFcドメインである)と、b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3を含む重鎖を含む第2のモノマー(CH2−CH3は第2のバリアントFcドメインである)と、c)VL−CLを含む軽鎖を含む第3のモノマー(VHおよびVLは、ヒトCD8、NKG2A、またはNKG2Dに結合する抗原結合ドメインを形成する)とを含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、ヒトCD8(CD8α鎖など)に特異的に結合する。ヒトCD8α鎖ポリペプチド配列は、例えばUniprot Accession No.P01732に記載されている。当業者は、CD8がすべてのアイソフォームバリアントを含むことを理解するであろう。いくつかの例では、本発明のヘテロダイマータンパク質の抗CD8 ABDは、
図66Aおよび66Bに示すように、51.1[CD8]_H1L1Fab−Fc重鎖および51.1[CD8]_H1L1軽鎖の配列を有する。いくつかの例では、本発明のヘテロダイマータンパク質の抗CD8 ABDは、
図81に示すように、XENP24025の配列:1C11B3[CD8]_H1L1重鎖(鎖1)および1C11B3[CD8]_H1L1軽鎖(鎖2)、またはXENP24321の配列:1C11B3[CD8]_H1L1Fab−Fc重鎖(鎖1)、1C11B3[CD8]_H1L1軽鎖(鎖2)、および空のFc(鎖3)を有する。他の場合には、
図90に示すように、ヘテロダイマータンパク質の抗CD8 ABDはXENP15075(OKT8_H1L1_IgG1_PVA_/S267K)の配列を有する。特定の場合には、
図91に示すように、ヘテロダイマータンパク質の抗CD8 ABDは、XENP24920の配列、すなわちOKT8[CD8]_H2_IgG1_PVA_/S267K/S364K/E357Q重鎖(鎖2)およびOKT8[CD8]_L1軽鎖(鎖3)を有する。ヘテロダイマータンパク質の抗CD8 ABDは、
図97Aに示すように、XENP26223の配列:OKT8[CD8]_H2.157_IgG1_PVA_/S267K/S364K/E357Q重鎖(鎖2)およびOKT8[CD8]_L1.103軽鎖(鎖3)を有する。いくつかの例では、ヘテロダイマータンパク質の抗CD8 ABDは、
図102に示すように、XENP26585の配列:OKT8[CD8]_H2.157_IgG1_PVA_/S267K/S364K/E357Q/M428L/N434S重鎖(鎖2)およびOKT8[CD8]_L1.103軽鎖(鎖3)を有する。
【0298】
いくつかの実施形態では、本発明は、CD8に結合する1つ以上のABDおよびIL−15/IL−15Rα融合タンパク質を含むヘテロダイマーFc融合タンパク質を提供し、
図57A〜57Fに示す任意のフォーマットであり得る。一実施形態では、CD8およびIL−15/IL−15Rα融合タンパク質に結合する2つの抗原結合ドメインを含むヘテロダイマーFc融合タンパク質は、
図57G〜57Kに示す形式のいずれかであり得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、IL−15/IL−15Rα×抗CD8ヘテロダイマー融合タンパク質は、スキューバリアント、特に、EU付番によるS364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370W:S364K、L368E/L370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、K370S:S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W、およびT366W/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354Cからなる群から選択される有用なスキューバリアントを有するFcドメインを含む。
【0300】
他の実施形態では、IL−15/IL−15Rα×抗CD8ヘテロダイマー融合タンパク質は、pIバリアントを有するFcドメインを含み、特に有用なpIバリアントはEU付番によるN208D/Q295E/N384D/Q418E/N421Dである。
【0301】
別の実施形態では、IL−15/IL−15Rα×抗CD8ヘテロダイマー融合タンパク質は、切除バリアントを有するFcドメインを含み、特に有用な切除バリアントはE233P/L234V/L235A/G236del/S267Kである。さらに別の実施形態では、IL−15/IL−15Rα×抗CD8ヘテロダイマー融合タンパク質は、FcRnバリアントを有するFcドメインを含み、特に有用なFcRnバリアントはEU付番による428L/434Sである。
【0302】
IL−15/IL−15Rα×抗CD8ヘテロダイマー融合タンパク質の例示的な実施形態は、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、およびXENP26585のうちのいずれかを含むことができる。有用なフォーマットは、
図66A、66B、79A、79B、87、92A、92B、92C、97A、および97Bに示す。
【0303】
他の実施形態では、抗原結合ドメインは、ヒトNKG2Aに特異的に結合する。ヒトNKG2Aポリペプチド配列は、例えばUniprot Accession No.P26715に記載されている。当業者は、NKG2Aがすべてのアイソフォームバリアントを含むことを理解するであろう。いくつかの例では、本発明のヘテロダイマータンパク質の抗NKG2A ABDは、
図60Aおよび60Bに示すように、モナリズマブ[NKG2A]_H1L1Fab−Fc重鎖およびモナリズマブ[NKG2A]_H1L1軽鎖の配列を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、NKG2Aに結合するABDおよびIL−15/IL−15Rα融合タンパク質を含む二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質を提供し、
図57A〜57Fに示す任意のフォーマットであり得る。一実施形態では、NKG2AおよびIL−15/IL−15Rα融合タンパク質に結合する2つの抗原結合ドメインを含む二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、
図57G〜57Kに示す形式のいずれかであり得る。IL−15/IL−15Rα×抗NKG2Aヘテロダイマー融合タンパク質(例えば、scIL−15/Rα× 抗NKG2AFab形式)の例示的な実施形態は、XENP24531、XENP24532、およびXENP27146のうちのいずれかを含むことができる。
【0304】
別の実施形態では、抗原結合ドメインはヒトNKG2Dに特異的に結合する。ヒトNKG2Dポリペプチド配列は、例えばUniprot Accession No.P26718に記載されている。当業者は、NKG2Dがすべてのアイソフォームバリアントを含むことを理解するであろう。いくつかの例では、本発明のヘテロダイマータンパク質の抗NKG2D ABDは、
図61Aおよび61Bに示すように、MS[NKG2D]_H0L0Fab−Fc重鎖およびMS[NKG2D]_H0L0軽鎖の配列を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、NKG2Dに結合するABDおよびIL−15/IL−15Rα融合タンパク質を含む二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質を提供し、
図57A〜57Fに示す任意のフォーマットであり得る。一実施形態では、NKG2DおよびIL−15/IL−15Rα融合タンパク質に結合する2つの抗原結合ドメインを含む二機能性ヘテロダイマーFc融合タンパク質は、
図57G〜57Kに示す形式のいずれかであり得る。IL−15/IL−15Rα×抗NKG2Dヘテロダイマー融合タンパク質(例えば、scIL−15/Rα×抗NKG2D Fab形式)の例示的な実施形態は、XENP24533、XENP24534、およびXENP27145のうちのいずれかを含むことができる。
【0305】
いくつかの実施形態では、第1のおよび第2のFcドメインは、EU付番による[S364K/E357Q:L368D/K370S]、[S364K/E357Q:L368E/K370S]、[L368D/K370W:S364K]、[L368D/K370S:S364K]、[L368E/L370S:S364K]、[L368E/K370S:S364K]、[T411T/K360E/Q362E:D401K]、[L368D/K370S:S364K/E357L]、[K370S:S364K/E357Q]、[T366S/L368A/Y407V:T366W]、[T366S/L368A/Y407V/Y394C:T366W/S354C]、および[T366W/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354C]からなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有することができる。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるN208D/Q295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。他の場合には、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。いくつかの例では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番による428L/434S(例えば、M428L/N434S)からなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。
【0306】
他の態様では、本発明で提供されるのは、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、XENP24534、XENP24543、XENP24546、XENP24547、XENP24548、XENP24736、XENP24917、XENP24918、XENP24919、XENP25137、XENP26223、XENP26224、XENP26227、XENP26229、XENP26585、XENP27145、およびXENP27146からなる群から選択される二機能性ヘテロダイマータンパク質である。
【0307】
これらのタンパク質を作製する方法および本タンパク質を用いて患者を治療する方法に加えて、核酸、発現ベクター、および宿主細胞もすべて同様に提供される。
【0308】
一態様では、本明細書に記載のヘテロダイマータンパク質は、(a)IL−15Rαタンパク質、IL−15タンパク質、および第1のFcドメインを含むIL−15/IL−15Rα融合タンパク質であって、IL−15Rαタンパク質は、第1のドメインリンカーを使用してIL−15タンパク質のN末端に共有結合し、IL−15タンパク質は、第2のドメインリンカーを使用して第1のFcドメインのN末端に共有結合しているか、またはIL−15タンパク質は、第1のドメインリンカーを使用してIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合し、IL−15Rαタンパク質は、第2のドメインリンカーを使用して第1のFcドメインのN末端に共有結合している、IL−15/IL−15Rα融合タンパク質と、(b)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマー(VHは可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)を含む重鎖、ならびに可変軽鎖および軽定常ドメインを含む軽鎖(例えばVL−CL)を含む抗原結合ドメインモノマーとを、を含み、第1のおよび第2のFcドメインは、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。IL−15タンパク質は、配列番号1(完全長ヒトIL−15)および配列番号2(短縮型ヒトIL−15)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができ、IL−15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)および配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はD61N、N65D、またはQ108Eのアミノ酸置換を有する。他の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D、D61N/Q108E、またはN65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。特定の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインモノマーは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する。換言すれば、抗原結合ドメインモノマーはCD8に結合してもよい。抗原結合ドメインモノマーはNKG2Aに結合してもよい。場合によっては、抗原結合ドメインモノマーはNKG2Dに結合してもよい。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインモノマーはFabである。ヘテロダイマータンパク質は、本明細書において「scIL−15/Rα(sushi)×Fab」と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、XENP24114、XENP24115、XENP24116、XENP24531、XENP24532、XENP24533、または
図66A、
図66B、
図60A、もしくは
図61Aに示したものである。他の実施形態では、ヘテロダイマータンパク質はまた、ドメインリンカーを使用して上記IL−15タンパク質またはIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインも含み、上記抗原結合ドメインは、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない。そのようなヘテロダイマータンパク質は、XENP24548または
図79Bに示すものであり得る。
【0309】
別の態様では、本明細書に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質は、(a)第1のタンパク質ドメインおよび第1のFcドメインを含む融合タンパク質であって、第1のタンパク質ドメインがドメインリンカーを使用して第1のFcドメインのN末端に共有結合している融合タンパク質と、(b)第1のタンパク質ドメインに非共有結合した第2のタンパク質ドメインと、(c)VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマー(VHは可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)を含む重鎖、および可変軽鎖および軽定常ドメイン(例えば、VL−CL)を含む軽鎖を含む抗原結合ドメインモノマーと、を含む。第1のおよび第2のFcドメインは、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K、L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有することができ、第1のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質を含み、第2のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質を含むか、または第1のタンパク質ドメインがIL−15タンパク質を含み、第2のタンパク質ドメインがIL−15Rαタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。特定の実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。IL−15タンパク質は、配列番号1(完全長ヒトIL−15)および配列番号2(短縮型ヒトIL−15)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができ、IL−15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)および配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができる。様々な実施形態では、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はD61N、N65D、またはQ108Eのアミノ酸置換を有する。他の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D、D61N/Q108E、またはN65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。特定の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインモノマーは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する。換言すれば、抗原結合ドメインモノマーはCD8に結合してもよい。抗原結合ドメインモノマーはNKG2Aに結合してもよい。場合によっては、抗原結合ドメインモノマーはNKG2Dに結合してもよい。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインモノマーはFabである。そのようなヘテロダイマータンパク質は、本明細書において「ncIL−15/Rα×Fab」と呼ばれ得る。いくつかの例では、ヘテロダイマータンパク質は、XENP25137または
図57Eおよび
図92Cに示すものであり得る。特定の実施形態では、抗原結合ドメインモノマーはscFvであり、Fabではない。そのようなヘテロダイマータンパク質は、本明細書では「ncIL−15/Rα×scFv」と呼ばれ、
図57Bに示される。
【0310】
他の実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、1つ以上のドメインリンカーを使用してIL−15タンパク質および/またはIL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合した抗原結合ドメインを含み、抗原結合ドメインは、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない。例えば、2017年6月30日出願のUS62/527,898の
図1I、1L、または1Kに示されるヘテロダイマータンパク質などである。
【0311】
別の態様では、本明細書に記載のヘテロダイマータンパク質は、(a)第1のVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマー(VHは第1の可変重鎖であり、CH2−CH3は第1のFcドメインである)を含む第1の重鎖、ならびに第1の可変軽鎖および第1の軽定常ドメインを含む第1の軽鎖を含む第1の抗原結合ドメインモノマーと、b)第2のVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3モノマー(VHは第2の可変重鎖であり、CH2−CH3は第2のFcドメインである)を含む第2の重鎖、第2の可変軽鎖および第2の軽定常ドメインを含む第2の軽鎖、ならびに第1のドメインリンカーを使用して第2のFcドメインのC末端に共有結合している第1のタンパク質ドメインを含む第2の抗原結合ドメインモノマーと、c)第2の抗原結合ドメインモノマーの第1のタンパク質ドメインに結合または非共有結合している第2のタンパク質ドメインと、を含み、第1のおよび第2のFcドメインは、EU付番による、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q、S364K/E357Q:L368D/K370S、L368D/K370S:S364K、L368E/K370S:S364K、T411T/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。IL−15タンパク質は、配列番号1(完全長ヒトIL−15)および配列番号2(短縮型ヒトIL−15)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができ、IL−15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)および配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができる。様々な実施形態では、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はD61N、N65D、またはQ108Eのアミノ酸置換を有する。他の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D、D61N/Q108E、またはN65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。特定の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。好ましい実施形態では、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。好ましい実施形態では、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインモノマーおよび第2の抗原結合ドメインモノマーは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する。他の実施形態では、第1の抗原結合ドメインモノマーまたは第2の抗原結合ドメインモノマーは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する。換言すれば、抗原結合ドメインモノマー(複数可)はCD8に結合してもよい。抗原結合ドメインモノマー(複数可)はNKG2Aに結合してもよい。場合によっては、抗原結合ドメインモノマー(複数可)はNKG2Dに結合してもよい。いくつかの実施形態では、第1のおよび第2の抗原結合ドメインモノマーはモノクローナル抗体(mAb)を形成する。そのようなヘテロダイマータンパク質は、本明細書において「mAb−scIL−15/Rα」と呼ばれ得る。いくつかの例では、ヘテロダイマータンパク質はXENP25137または
図57Gおよび
図79Aに示すものであり得る。
【0312】
別の態様では、本明細書に記載のヘテロダイマータンパク質は、(a)IL−15タンパク質、第1の抗原結合ドメイン、および第1のFcドメインを含む、IL−15融合タンパク質であって、第1の抗原結合ドメインは、第1のドメインリンカーを使用して、IL−15タンパク質のN末端に共有結合し、IL−15タンパク質は、第2のドメインリンカーを使用して、第1のFcドメインのN末端に共有結合し、抗原結合ドメインは、第1の可変重鎖ドメインおよび第1の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、IL−15融合タンパク質と、(b)IL−15Rαタンパク質、第2の抗原結合ドメイン、および第2のFcドメインを含むIL−15Rα融合タンパク質であって、第2の抗原結合ドメインは、第3のドメインリンカーを使用して、IL−15Rαタンパク質のN末端に共有結合し、IL−15Rαタンパク質は、第4のドメインリンカーを使用して、第2のFcドメインのN末端に共有結合し、第2抗原結合ドメインは、第2の可変重鎖ドメインおよび第2の可変軽鎖ドメインを含み、Fcドメインを含まない、IL−15Rα融合タンパク質と、を含み、第1のFcドメインおよび第2のFcドメインは、EU付番によるS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411T/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L、およびK370S:S364K/E357Qからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるQ295E/N384D/Q418E/N421Dを含むアミノ酸置換の追加のセットを有する。第1のおよび/または第2のFcドメインは、EU付番によるG236R/L328R、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G、およびE233P/L234V/L235A/G236delからなるアミノ酸置換の追加のセットを有する。IL−15タンパク質は、配列番号1(完全長ヒトIL−15)および配列番号2(短縮型ヒトIL−15)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができ、IL−15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL−15Rα)および配列番号4(ヒトIL−15Rαのsushiドメイン)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することができる。様々な実施形態では、IL−15タンパク質およびIL−15Rαタンパク質が、それぞれ、E87C:D96/P97/C98、E87C:D96/C97/A98、V49C:S40C、L52C:S40C、E89C:K34C、Q48C:G38C、E53C:L42C、C42S:A37C、およびL45C:A37Cからなる群から選択されるアミノ酸置換のセットを有する。IL−15タンパク質は、D61N、N65D、およびQ108Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態では、IL−15タンパク質はD61N、N65D、またはQ108Eのアミノ酸置換を有する。他の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D、D61N/Q108E、またはN65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。特定の実施形態では、IL−15タンパク質は、D61N/N65D/Q108Eのアミノ酸置換を有する。好ましい実施形態では、IL−15タンパク質は、N4D/N65DまたはD30N/E64Q/N65Dのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインモノマーおよび第2の抗原結合ドメインモノマーは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する。他の実施形態では、第1の抗原結合ドメインモノマーまたは第2の抗原結合ドメインモノマーは、CD8、NKG2A、およびNKG2Dからなる群から選択される抗原に結合する。換言すれば、抗原結合ドメインモノマー(複数可)はCD8に結合してもよい。抗原結合ドメインモノマー(複数可)はNKG2Aに結合してもよい。場合によっては、抗原結合ドメインモノマー(複数可)はNKG2Dに結合してもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロダイマータンパク質は、XENP24547であるか、
図57Jおよび
図79Bに表したとおりである。
【0313】
本明細書では、本明細書に記載の二機能性ヘテロダイマータンパク質のいずれか1つをコードする1つ以上の核酸を含む核酸組成物も提供する。別の態様では、本発明は、1つ以上の発現ベクターが本明細書に記載のヘテロダイマータンパク質のいずれか1つをコードするように各ベクターが核酸を含む、1つ以上の発現ベクターを含む発現ベクター組成物を提供する。他の態様では、核酸組成物または発現ベクター組成物のいずれか1つを含む宿主細胞が提供される。別の態様では、本発明は、本明細書に記載のヘテロダイマータンパク質のいずれか1つを製造する方法を提供する。この方法は、(a)そのような宿主細胞を、ヘテロダイマータンパク質が発現される好適な条件下で培養することと、(b)ヘテロダイマータンパク質を回収することと、を含む。さらに別の態様では、本発明は、本明細書に開示される治療有効量のヘテロダイマータンパク質を患者に投与することを含む、患者(例えばヒト患者)の癌を治療する方法を提供する。いくつかの例では、本明細書で提供されるのは、必要とする患者の癌を治療する方法である。
【0314】
VIII.本発明の核酸
本発明はさらに、本発明の二機能性IL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマー融合タンパク質をコードする核酸組成物を提供する。
【0315】
当業者には理解されるように、核酸組成物は二機能性ヘテロダイマー融合タンパク質のフォーマットに依存するだろう。したがって、例えば、フォーマットが3つのアミノ酸配列を必要とするとき、3つの核酸配列を発現のために1つ以上の発現ベクターに組み込むことができる。同様に、いくつかのフォーマットは2つの核酸のみを必要とし、同様に、それらを1つまたは2つの発現ベクターに入れることができる。
【0316】
当技術分野で既知のとおり、本発明の構成要素をコードする核酸は、当技術分野において既知のとおり、そして本発明の二機能性ヘテロダイマー融合タンパク質を産生するために使用される宿主細胞に応じて、発現ベクターに組み込まれ得る。一般に、核酸は任意の数の調節エレメント(プロモーター、複製起点、選択可能マーカー、リボソーム結合部位、インデューサーなど)に作動可能に連結されている。発現ベクターは、染色体外ベクターまたは組み込みベクターであり得る。
【0317】
次いで、本発明の核酸および/または発現ベクターを、多くの実施形態において使用される、哺乳動物、細菌、酵母、昆虫および/または真菌細胞を含む当技術分野において周知の任意の数の異なる種類の宿主細胞に哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)で形質転換する。
【0318】
いくつかの実施形態では、各モノマーをコードする核酸は、フォーマットに応じて適用可能なように、それぞれ一般に異なるまたは同じプロモーター制御下で単一の発現ベクター内に含まれる。本発明において特に使用される実施形態では、これら2つまたは3つの核酸のそれぞれは異なる発現ベクターに含まれる。本明細書および米国仮出願第62/025,931号、米国特許出願公開第2015/0307629号、および国際特許公開第WO2015/149077号(すべて参照により本明細書に組み入れられる)に示されるように、異なるベクター配給量を使用してヘテロダイマー形成を駆動することができる。つまり、驚くべきことに、タンパク質は、1:1:2の比率で第1のモノマー:第2のモノマー:軽鎖(ヘテロダイマー抗体を含む3つのポリペプチドを有する実施形態など)を含むが、これらは最良の結果をもたらす比率ではない。
【0319】
本発明の二機能性ヘテロダイマー融合タンパク質は、当技術分野において周知のように、発現ベクター(複数可)を含む宿主細胞を培養することによって作製される。一旦製造されると、イオン交換クロマトグラフィー工程を含む従来の融合タンパク質または抗体精製工程が実施される。本明細書で考察されるように、2つのモノマーのpIが少なくとも0.5だけ異なることが、イオン交換クロマトグラフィーもしくは等電点電気泳動、または等電点に高感度な他の方法による分離を可能する。すなわち、各モノマーが異なる等電点(pI)を有し、ヘテロダイマーも異なるpIを有するように、各モノマーのpIを変化させるpI置換を含むことによって、ヘテロダイマーの等電点精製(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー)を促進する。これらの置換はまた、精製後の任意の混入したホモダイマーの特定およびモニタリングにも役立つ(例えば、IEFゲル、cIEF、および分析用IEXカラム)。
【0320】
IX.二機能性IL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマー融合タンパク質の生物学的および生化学的機能
一般に、本発明の二機能性IL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマー融合タンパク質は、本明細書に記載されるようないくつかの方法で、癌患者に投与され、有効性を評価する。このため、癌量、腫瘍のサイズ、転移の存在または程度の評価等の、有効性の標準的なアッセイを実行し得るが、免疫腫瘍学的治療もまた免疫状態評価に基づいて評価され得る。これは、インビトロアッセイおよびインビボアッセイの両方を含むいくつかの方法で行うことができる。例えば、腫瘍量、サイズ、侵襲性、リンパ節(LN)関与、転移等といった他の測定と併せて、免疫状態(例えば、イピリムマブ治療後のICOS+CD4+T細胞の存在)の変化の評価を実施することができる。このため、以下のいずれかまたはすべてを評価することができる。CD4+T細胞活性化もしくは増殖、CD8+T(CTL)細胞活性化もしくは増殖、CD8+T細胞媒介性細胞傷害性活性および/もしくはCTL媒介性細胞枯渇、NK細胞活性およびNK媒介性細胞枯渇に対するPVRIGの抑制効果、Treg細胞分化および増殖ならびにTregもしくは骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)媒介性免疫抑制もしくは免疫耐性に対するチェックポイントの増強効果、ならびに/または免疫細胞による炎症性サイトカイン産生、例えば、T細胞もしくは他の免疫細胞によるIL−2、IFN−γ、もしくはTNF−α産生に対するチェックポイントの効果。
【0321】
いくつかの実施形態では、処理の評価は、例えば、CFSE希釈法、免疫エフェクター細胞のKi67細胞内染色、および
3H−チミジン取り込み法を使用して、免疫細胞の増殖を評価することによって実施される。
【0322】
いくつかの実施形態では、治療の評価は、CD25、CD69、CD137、ICOS、PD1、GITR、OX40、およびCD107Aの表面発現によって測定される細胞脱顆粒のうちの1つ以上を含む、遺伝子発現の増加または活性化関連マーカーの増加したタンパク質レベルを評価することによって行われる。
【0323】
一般に、遺伝子発現アッセイは、当技術分野で既知のとおり行われる。
【0324】
一般に、タンパク質発現測定も同様に、当技術分野で既知のとおり実施される。
【0325】
いくつかの実施形態では、治療の評価は、酵素活性(プロテアーゼ活性を含む)、細胞膜透過性、細胞接着、ATP産生、補酵素産生、およびヌクレオチド取り込み活性等の多数の細胞パラメーターを推測することによる標的細胞生存検出によって測定される細胞傷害性活性を評価することによって行われる。これらのアッセイの具体的な例としては、トリパンブルーまたはPI染色、
51Crまたは
35S放出法、LDH活性、MTTおよび/またはWSTアッセイ、カルセイン−AMアッセイ、発光系アッセイ、ならびに他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0326】
いくつかの実施形態では、治療の評価は、サイトカイン産生によって測定されるT細胞活性を評価することによって行われ、周知の技法を使用して、IFNγ、TNFα、GM−CSF、IL2、IL6、IL4、IL5、IL10、IL13を含むがこれらに限定されないサイトカインを使用して、培養上清液中で細胞内のいずれかで測定する。
【0327】
したがって、治療の評価は、以下のうちの1つ以上を評価するアッセイを使用して実施することができる。(i)免疫応答を増加させること、(ii)αβおよび/またはγδのT細胞の活性化を増加させること、(iii)細胞傷害性T細胞活性を増加させること、(iv)NKおよび/またはNKT細胞活性を増加させること、(v)αβおよび/またはγδのT細胞抑制を軽減させること、(vi)炎症誘発性サイトカイン分泌を増加させること、(vii)IL−2分泌を増加させること、(viii)インターフェロン−γ産生を増加させること、(ix)Th1応答を増加させること、(x)Th2応答を減少させること、(xi)制御性T細胞(Treg)の少なくとも1つの細胞数および/または活性を減少させるかまたは排除すること。
【0328】
A.有効性および効力を測定するアッセイ
いくつかの実施形態では、T細胞活性化は、当技術分野において既知の混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して評価される。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0329】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、異なる因子のリン酸化または脱リン酸化によって、または他の翻訳後修飾を測定することによって測定される、免疫応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0330】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδ T細胞の活性化の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0331】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、癌細胞のような標的細胞の直接殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、細胞傷害性T細胞活性の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0332】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、癌細胞のような標的細胞の直接殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、またはCD107a等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、NKおよび/またはNKT細胞活性の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0333】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδ T細胞抑制の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0334】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、ELISAによって、またはLuminexによって、またはマルチプレックスビーズ系方法によって、または細胞内染色およびFACS分析によって、またはAlispot等によって測定される、炎症促進性サイトカイン分泌の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0335】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、ELISAによって、またはLuminexによって、またはマルチプレックスビーズ系方法によって、または細胞内染色およびFACS分析によって、またはAlispot等によって測定される、IL−2分泌の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0336】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、ELISAによって、またはLuminexによって、またはマルチプレックスビーズ系方法によって、または細胞内染色およびFACS分析によって、またはAlispot等によって測定される、インターフェロン−γ産生の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0337】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される、Th1応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0338】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される、Th2応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0339】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、フローサイトメトリーによって、またはIHCによって測定される調節性T細胞(Treg)のうちの少なくとも1つの細胞数および/または活性の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
【0340】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、フローサイトメトリーによって、またはIHCによって測定される、M2マクロファージ細胞数の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
【0341】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される、M2マクロファージ腫瘍形成促進活性の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
【0342】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、フローサイトメトリーによって、またはIHCによって測定される、N2好中球増加の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
【0343】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定されるN2好中球腫瘍形成促進活性の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
【0344】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、T細胞活性化の阻害の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0345】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、癌細胞のような標的細胞の直接殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、CTL活性化の阻害の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0346】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδ T細胞枯渇の増加または減少を測定する。応答の減少は免疫刺激活性を示す。適切な減少は、以下に概説する増加の場合と同じである。
【0347】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、αβおよび/またはγδ T細胞応答の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0348】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD45RA、CCR7等の例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される、抗原特異的メモリー応答の刺激の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0349】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、MTT、
15Cr放出、カルセインAMなどの細胞傷害性アッセイによって、または例えばCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等の例のようなフローサイトメトリー系アッセイによって測定される、癌細胞のアポトーシスまたは細胞溶解の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0350】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、MTT、
15Cr放出、カルセインAMなどの細胞傷害性アッセイによって、またはCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等の例のようなフローサイトメトリー系アッセイによって測定される、癌細胞に作用する細胞傷害性または細胞増殖抑制性の刺激の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0351】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、MTT、
15Cr放出、カルセインAMなどの細胞傷害性アッセイによって、または例えばCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等の例のようなフローサイトメトリー系アッセイによって測定される、癌細胞の直接殺傷の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0352】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイ測定は、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される、Th17活性の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0353】
一実施形態では、シグナル伝達経路アッセイは、例えば、MTT、
15Cr放出、カルセインAMなどの細胞傷害性アッセイによって、またはCFSE希釈もしくはヨウ化プロピジウム染色等のようなフローサイトメトリー系アッセイによって測定される、補体依存性細胞障害作用および/または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用の誘導の増加または減少を測定する。活性の増加は免疫刺激活性を示す。活性の適切な増加を以下に概説する。
【0354】
一実施形態では、T細胞活性化は、例えば、癌細胞のような標的細胞の直接殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、または増殖によって、またはCD137、CD107a、PD1などの例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される。T細胞については、増殖、活性化の細胞表面マーカー(例えば、CD25、CD69、CD137、PD1)、細胞傷害性(標的細胞を殺傷する能力)、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−6、IFNγ、TNF−a、IL−10、IL−17A)の増加が、癌細胞殺傷の増強と一致する免疫調節を示し得る。
【0355】
一実施形態では、NK細胞活性化は、例えば、癌細胞のような標的細胞の直接殺傷によって、またはサイトカイン分泌によって、またはCD107aなどの例のような活性化マーカーの発現の変化によって測定される。NK細胞については、増殖、細胞傷害性(標的細胞を殺傷し、CD107a、グランザイム、およびパーフォリン発現を増加させる能力)、サイトカイン産生(例えば、IFNγおよびTNF)、および細胞表面受容体発現(例えば、CD25)の増加が、癌細胞殺傷の増強と一致する免疫調節を示し得る。
【0356】
一実施形態では、γδ T細胞活性化は、例えば、サイトカイン分泌によって、または増殖によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される。
【0357】
一実施形態では、Th1細胞活性化は、例えば、サイトカイン分泌によって、または活性化マーカーの発現の変化によって測定される。
【0358】
活性または応答の適切な増加(または必要に応じて上で概説した減少)とは、基準試料または対照試料のいずれか、例えば、本発明のIL−15/IL−15Rα×抗原結合ドメインヘテロダイマー融合タンパク質を含まない試験試料におけるシグナルと比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98〜99%パーセントの増加である。同様に、参照対象または対照試料と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍または5倍の増加が有効性を示す。
【0359】
X.治療
一旦生成されると、本発明の組成物は、一般に、本発明のヘテロダイマーFc融合タンパク質の結合T細胞活を用いて性化を促進すること(例えば、T細胞はもはや抑制されない)による、癌治療によって、いくつかの腫瘍学適用に使用される。
【0360】
したがって、本発明の二機能性ヘテロダイマー組成物はこれらの癌の治療に使用される。
【0361】
A.インビボ投与のための二機能性ヘテロダイマータンパク質組成物
いくつかの実施形態では、本発明の二機能性ヘテロダイマータンパク質は、別個の抗体と同時投与される。当業者に理解されるように、同時投与は、同時にまたは連続して実施することができる。
【0362】
本発明に従って使用される抗体の製剤は、所望の純度を有する抗体を任意選択の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤(Remington´s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.[1980]に一般に概説されるとおり)と混合することによって、保存のために、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。許容される担体、緩衝剤、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度において、レシピエントに対して非毒性でありリン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0363】
B.投与様式
本発明の二機能性ヘテロダイマータンパク質は、ボーラスとしての静脈内投与またはある期間にわたる持続注入などの既知の方法に従って、化学療法剤とともに対象に投与することができる。二機能性ヘテロダイマータンパク質および化学療法剤の投与は、当業者によって理解されるように、同時にまたは連続して実施することができる。
【0364】
C.治療法
本発明の方法において、治療は、疾患または病状に関して肯定的な治療応答を提供するために使用される。「肯定的な治療応答」は、疾患もしくは病状の改善、および/または疾患または病状に関連する症状の改善を意図する。例えば、肯定的な治療応答は、疾患における以下の改善のうちの1つ以上を指し得る:(1)腫瘍細胞の数の減少、(2)腫瘍細胞死の増加、(3)腫瘍細胞の生存の阻害、(5)腫瘍増殖の阻害(すなわち、ある程度の減速、好ましくは停止)、(6)患者生存率の増加、および(7)疾患または病状に関連する1つ以上の症状からのいくらかの解放。
【0365】
任意の所与の疾患または病状における肯定的な治療応答は、その疾患または病状に特有の標準化された応答基準によって決定され得る。腫瘍応答は、磁気共鳴画像(MRI)スキャン、X線撮影、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、骨スキャン撮影、内視鏡検査、ならびに骨髄穿刺(BMA)および循環中の腫瘍細胞の計数を含む腫瘍生検サンプリングなどのスクリーニング技法を使用して、腫瘍形態(すなわち、全身腫瘍組織量、腫瘍サイズなど)の変化について評価され得る。
【0366】
これらの肯定的な治療応答に加えて、治療を受けている対象は、疾患に関連する症状の改善の有益な効果を経験し得る。
【0367】
本発明に従う治療には、使用される医薬品の「治療有効量」が含まれる。「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するために、必要な投薬量および期間で有効な量をいう。
【0368】
治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する薬剤の能力などの因子によって異なり得る。治療有効量はまた、二機能性ヘテロダイマータンパク質、抗原結合ドメイン、またはそれらの部分のいかなる毒性または有害な影響よりも治療上有益な効果が勝る量である。
【0369】
腫瘍療法のための「治療有効量」は、疾患の進行を安定化する能力によっても測定することができる。癌を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル系において評価してもよい。
【0370】
あるいは、組成物のこの特性は、当業者に既知のインビトロアッセイによって、化合物または組成物が細胞増殖を阻害するか、またはアポトーシスを誘導する能力を調べることによって評価してもよい。治療有効量の治療用化合物は、腫瘍サイズを減少させるか、さもなければ対象の症状を軽減し得る。当業者であれば、対象のサイズ、対象の症状の重症度、および選択される特定の組成物または投与経路などの因子に基づいて、そのような量を決定することができるであろう。
【0371】
投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調節される。例えば、単回のボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例して減少または増加させてもよい。非経口組成物は、投与の容易性および投薬量の均一性のために、単位剤形で処方され得る。本明細書で使用される単位剤形は、治療される対象のための単一投薬量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。
【0372】
本発明の単位剤形形態の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の治療に対してそのような活性化合物を調合する分野に付いて回る制限に影響され、またそれらに直接的に依存する。
【0373】
本発明で使用される二機能性ヘテロダイマータンパク質の効率的な投薬量及び投薬レジメンは、治療される疾患または病態に依存し、当業者によって決定され得る。
【0374】
すべての引用文献は、本明細書にそれらの全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0375】
本発明の特定の実施形態を例示の目的で上述のように説明してきたが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明から逸脱することなく詳細の多数の変形をなし得ることが当業者には理解されよう。
【実施例】
【0376】
本発明を説明するために実施例を以下に提供する。これらの実施例は、本発明を任意の特定の用途または動作理論に限定することを意味するものではない。本発明で論じられるすべての定常領域位置について、付番は、Kabat(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., United States Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda、参照により全体が組み込まれる)と同様のEUインデックスに従う。抗体の技術分野の当業者は、この規則が免疫グロブリン配列の特定の領域における非連続的な付番からなり、免疫グロブリンファミリーにおける保存された位置への標準的な基準を可能にすることを理解するであろう。したがって、EUインデックスによって定義されるような任意の所与の免疫グロブリンの位置は必ずしもその連続配列に対応しない。
【0377】
一般的および具体的な科学技術は、米国特許出願公開第2015/0307629号、同第2014/0288275号、および国際特許出願第WO2014/145806号に概説されており、それらはすべて、特にその中で概説される技術に関して、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【0378】
実施例1:IL−15/IL−15RαFc融合タンパク質
1A:IL−15/Rα−Fc融合タンパク質の操作
IL−15/IL−15Rαヘテロダイマーの短い半減期に対処するために、産生の促進および複合体のFcRn媒介リサイクルの促進および半減期の延長を目的として、Fc融合体としてIL−15/IL−15Rα(sushi)複合体(以下、IL−15/Rα−Fc融合タンパク質と呼ばれる)を生成した。
【0379】
IL−15またはIL−15Rαsushiドメインをコードするプラスミドを、標準的な遺伝子合成、続いてFc融合パートナー(例えば、
図8に示す定常領域)を含むpTT5発現ベクターへのサブクローニングによって構築した。例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質フォーマットの略図を
図16A〜16Gに示す。
【0380】
IL−15/RαヘテロFcフォーマット(
図16A)の例示的タンパク質には、XENP20818およびXENP21475が含まれ、その配列を
図17に示す。scIL−15/Rα−Fcフォーマット(
図16B)の例示的タンパク質には、XENP21478およびXENP21993が含まれ、その配列を
図18に示す。ncIL−15/Rα−Fcフォーマット(
図16C)の例示的タンパク質には、XENP21479、XENP22366、およびXENP24348が含まれ、それらの配列を
図19に示す。二価ncIL−15/Rα−Fcフォーマットの(
図16D)の例示的タンパク質はXENP21978であり、その配列は
図20に示す。二価scIL−15/Rα−Fcフォーマット(
図16E)の例示的タンパク質の配列を
図21に示す。Fc−ncIL−15/Rαフォーマット(
図16F)の例示的タンパク質には、XENP22637およびXENP22638が含まれ、その配列を
図22に示す。Fc−scIL−15/Rαフォーマット(
図16G)の例示的タンパク質の配列を
図23に示す。
【0381】
タンパク質は、HEK293E細胞における一過性トランスフェクションによって産生され、プロテインAクロマトグラフィー(GE Healthcare)および陰イオン交換クロマトグラフィー(50mM Tris pH8.5と1M NaClを含む50mM Tris pH8.5との5〜40%勾配によるHiTrapQ 5mLカラム)を含む二段階精製プロセスによって精製された。
【0382】
上述のような様々なフォーマットのIL−15/Rα−Fc融合タンパク質を細胞増殖アッセイで試験した。ヒトPBMCを指定濃度で試験物質を用いて処理した。処理の4日後、PBMCを抗CD8−FITC(RPA−T8)、抗CD4−PerCP/Cy5.5(OKT4)、抗CD27−PE(M−T271)、抗CD56−BV421(5.1H11)、抗CD16−BV421(3G8)、および抗CD45RA−BV605(Hi100)で染色し、以下の細胞型についてゲートした:CD4+T細胞、CD8+T細胞、およびNK細胞(CD56+/CD16+)。Ki67は細胞増殖と厳密に関連するタンパク質であり、そして細胞内Ki67についての染色は抗Ki67−APC(Ki−67)およびFoxp3/転写因子染色緩衝液セット(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Mass)を使用して実施された。上述の細胞型に対するKi67の割合は、FACSを使用して測定された(
図24A〜24Cおよび25A〜25Cに示す)。様々なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質はCD8+T細胞およびNK細胞の強い増殖を誘導した。特に、増殖活性の差異は、IL−15−Fc側のリンカーの長さに依存していた。特に、XENP21471、XENP21474、およびXENP21475を含む、リンカーを有さない(ヒンジのみ)構築物は、より弱い増殖活性を示した。
【0383】
1B:操作されたジスルフィド結合を有するIL−15/Rα−Fc融合タンパク質
IL−15/Rα−Fc融合タンパク質の安定性をさらに向上させ、半減期を延ばすために、IL−15/Rα境界面においてジスルフィド結合を操作した。IL−15/Rα複合体の結晶構造を調べることによって、ならびにMolecular Operating Environment(MOE、Chemical Computing Group,Montreal,Quebec,Canada)ソフトウェアを用いてモデリングすることによって、
図26に示されるように、共有ジスルフィド結合を形成するためにシステインで置換し得るIL−15/Rα境界面の残基を予測した。さらに、IL−15Rαのsushiドメインに続く3個までのアミノ酸を、操作するシステインの足場としてIL−15Rα(sushi)のC末端に付加した(その例示的な配列を
図27に示す)。システインで操作された例示的なIL−15およびIL−15Rα(sushi)バリアントの配列をそれぞれ
図28および29に示す。
【0384】
IL−15またはIL−15Rα(sushi)をコードするプラスミドを、標準的な遺伝子合成、続いてFc融合パートナー(例えば、
図8に示す定常領域)を含むpTT5発現ベクターへのサブクローニングによって構築した。上述のように同定された残基を、標準的な変異導入技術によってシステインで置換した。操作されたジスルフィド結合を有するIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の略図を
図30A〜30Dに示す。
【0385】
dsIL−15/Rα−ヘテロFcフォーマット(
図30A)の例示的タンパク質には、XENP22013、XENP22014、XENP22015、およびXENP22017が含まれ、それらの配列を
図31に示す。dsIL−15/Rα−Fcフォーマット(
図30B)の例示的タンパク質には、XENP22357、XENP22358、XENP22359、XENP22684、およびXENP22361が含まれ、それらの配列を
図32に示す。二価dsIL−15/Rα−Fcフォーマット(
図30C)の例示的タンパク質には、XENP22634、XENP22635、XENP22636、およびXENP22687が含まれ、それらの配列を
図33に示す。Fc−dsIL−15/Rαフォーマット(
図30D)の例示的タンパク質には、XENP22639およびXENP22640が含まれ、それらの配列を
図34に示す。
【0386】
タンパク質は、HEK293E細胞における一過性トランスフェクションによって産生され、プロテインAクロマトグラフィー(GE Healthcare)および陰イオン交換クロマトグラフィー(50mM Tris pH8.5と1M NaClを含む50mM Tris pH8.5との5〜40%勾配によるHiTrapQ 5mLカラム)を含む二段階精製プロセスによって精製された。
【0387】
タンパク質が精製された後、それらは純度および均質性についてキャピラリー等電点電気泳動(CEF)によって分析された。製造者の使用説明書を使用して実施したProtein Express Assay LabChipおよびProtein Express Assay Reagent Kitを使用するLabChip GXII Touch HT(PerkinElmer, Waltham, Mass)を使用してCEFを実施した。試料は、一方を還元下(ジチオトレイトールを用いて)、他方を非還元条件下で二重に試験した。変性非還元CEFによって示されるように、多くのジスルフィド結合が正しく形成され、操作されたジスルフィド結合を含まない対照と比較した場合、共有結合複合体のより大きい分子量が観察され得る(
図35)。
【0388】
次いでタンパク質を細胞増殖アッセイで試験した。IL−15/Rα−Fc融合タンパク質(操作されたジスルフィド結合を有する場合または有さない場合)または対照をPBMCとともに4日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD4−PerCP/Cy5.5(RPA−T4)、抗CD8−FITC(RPA−T8)、抗CD45RA−BV510(HI100)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD56−BV421(HCD56)、抗CD27−PE(O323)、および抗Ki67−APC(Ki−67)で染色して種々の細胞集団を標識し、FACSによって分析した。Ki67発現によって示されるNK細胞、CD4+T細胞、およびCD8+T細胞の増殖を
図36A〜36Cに示す。IL−15/Rα−Fc融合タンパク質およびIL−15対照のそれぞれが、NK細胞、CD8+T細胞、およびCD4+T細胞の強い増殖を誘導した。
【0389】
1C:より低い効力およびPKおよび半減期を増加させるために操作されたIL−15/Rα−Fc融合タンパク質
PKをさらに改善し半減期を延長するために、IL−15の効力を低下させることが抗原シンクを減少させるので、半減期を増加させるだろうと推論した。IL−15:IL−2RβおよびIL−15:共通γ鎖の界面の結晶構造を調べることによって、ならびにMOEソフトウェアを使用してモデリングすることによって、効力を低減させるために置換され得るこれらの境界面における残基を予測した。
図37は、(免疫原性のリスクを低減するために)等配電子置換を操作した推定残基の位置を示すIL−15:受容体複合体の構造モデルを示す。効力低下のために設計された例示的なIL−15バリアントの配列を
図3に示す。
【0390】
IL−15またはIL−15Rα(sushi)をコードするプラスミドを、標準的な遺伝子合成、続いてFc融合パートナー(例えば、
図8A〜8Dに示す定常領域)を含むpTT5発現ベクターへのサブクローニングによって構築した。上述のように同定された置換を、標準的な変異導入技術によって組み込んだ。効力低下のために操作された「IL−15/RαヘテロFc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を
図39A〜39Eに示す。効力低下のために操作された「scIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を
図40A〜40Dに示す。効力低下のために操作された「ncIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を
図41A〜41Bに示す。効力低下のために操作された例示的なncIL−15/Rαヘテロダイマーの配列を
図42に示す。効力低下のために操作された「二価ncIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を
図43に示す。効力低下のために操作された「dsIL−15/Rα−Fc」フォーマットの例示的なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質の配列を
図44に示す。
【0391】
タンパク質は、HEK293E細胞における一過性トランスフェクションによって産生され、プロテインAクロマトグラフィー(GE Healthcare)および陰イオン交換クロマトグラフィー(50mM Tris pH8.5と1M NaClを含む50mM Tris pH8.5との5〜40%勾配によるHiTrapQ 5mLカラム)を含む二段階精製プロセスによって精製された。
【0392】
1C(a):効力の低下のために操作されたバリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質のインビトロ活性
バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質をいくつかの細胞増殖アッセイで試験した。
【0393】
最初の細胞増殖アッセイでは、IL−15/Rα−Fc融合タンパク質(操作された置換を有する場合または有さない場合)または対照をPBMCとともに4日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD4−Evolve605(SK−3)、抗CD8−PerCP/Cy5.5(RPA−T8)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、抗CD16−eFluor450(CB16)、抗CD56−eFluor450(TULY56)、抗CD3−FITC(OKT3)、および抗Ki67−APC(Ki−67)で染色して種々の細胞集団を標識し、FACSによって分析した。Ki67発現によって示されるNK細胞、CD8+T細胞、およびCD4+T細胞の増殖を
図45〜46に示す。ほとんどのIL−15/Rα−Fc融合タンパク質は各細胞集団の増殖を誘導したが、活性は特定の操作された置換に依存して変化した。
【0394】
第2の細胞増殖アッセイでは、IL−15/Rα−Fc融合タンパク質(操作された置換を有する場合または有さない場合)をPBMCとともに3日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−FITC(OKT3)、抗CD4−Evolve 604(SK−3)、抗CD8−PerCP/Cy5.5(RPA−T8)、抗CD16−eFluor450(CB16)、抗CD56−eFluor450(TULY56)、抗CD27−PE(O323)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)および抗Ki67−APC(20Raj1)抗体で染色して様々な細胞集団をマークした。最初にリンパ球を側方散乱(SSC)および前方散乱(FSC)に基づいてゲートした。次にリンパ球をCD3発現に基づいてゲートした。CD3発現について陰性の細胞をさらにCD16発現に基づいてゲートしてNK細胞(CD16+)を同定した。CD4+T細胞、CD8+T細胞、およびγδT細胞(CD3+CD4−CD8−)を同定するために、CD3+T細胞をCD4およびCD8発現に基づいてさらにゲートした。CD4+およびCD8+T細胞をCD45RA発現についてゲートした。最後に、様々な細胞集団の増殖を、Ki67発現の割合に基づいて決定し、データを
図47A〜Dに示す。NKおよびCD8+T細胞は、IL−15/Rα−Fc融合タンパク質に対してCD4+T細胞よりも感受性であり、そして上述のように、増殖活性は特定の操作された置換に応じて変化した。
図47Dは、対照XENP20818に対する様々なIL−15/Rα−Fc融合タンパク質のEC50の倍率変化を示す。
図48Aおよび48Bは、PBMCとXENP22821とのインキュベーション前後のCD69およびCD25(T細胞活性化マーカー)の発現についてゲートすることによって、IL−15/Rα−Fc融合タンパク質による処理後のリンパ球の活性化をさらに示す。
【0395】
第3の実験において、追加のバリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質をヒトPBMCとともに37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−FITC(OKT3)、抗CD4−SB600(SK−3)、抗CD8−PerCP/Cy5.5(RPA−T8)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、抗CD16−eFluor450(CB16)、抗CD25−PE(M−A251)、および抗Ki67−APC(Ki−67)で染色して種々の細胞集団を標識し、FACSによって分析した。Ki67発現によって示されるCD8+(CD45RA−)T細胞、CD4+(CD45RA−)T細胞、γδT細胞、およびNK細胞の増殖を
図49A〜49Dに示す。
【0396】
第4の実験において、ヒトPBMCを示された濃度の追加のIL−15/Rα−Fcバリアントとともに3日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−FITC(OKT3)、抗CD4(SB600)、抗CD8−PerCP/Cy5.5(RPA−T8)、抗CD16−eFluor450(CB16)、抗CD25−PE(M−A251)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、および抗Ki67−APC(Ki67)で染色し、FACSによって分析した。処理後のCD8+T細胞、CD4+T細胞、およびNK細胞に対するKi67の割合を
図50に示す。
【0397】
第5の実験において、バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質をヒトPBMCとともに37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8α−BV510(SK1)、抗CD8β−APC(2ST8.5H7)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、抗CD56−BV605(NCAM16.2)、および抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、FACSによって分析した。CD8+T細胞、CD4+T細胞、γδT細胞、およびNK細胞に対するKi67の割合を
図51A〜51Eに示す。
【0398】
第6の実験において、バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質をヒトPBMCとともに37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8α−BV510(SK1)、抗CD8β−APC(SIDI8BEE)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、抗CD56−BV605(NCAM16.2)、および抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、FACSによって分析した。CD8+T細胞、CD4+T細胞、γδT細胞、およびNK細胞に対するKi67の割合を
図52A〜52Eに示す。
【0399】
第7の実験において、バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質を指定濃度でヒトPBMCとともに37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8−APC(RPA−T8)、抗CD16−BV605(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Fire750(HI100)、および抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、FACSによって分析した。CD8+T細胞、CD4+T細胞、γδT細胞、およびNK(CD16+)細胞に対するKi67の割合を
図53A〜Dに示す。データは、ncIL−15/Rα−Fc融合タンパク質XENP21479がCD8+T細胞、CD4+T細胞、NK(CD16+)細胞、およびγδT細胞の増殖の最も強力な誘導因子であることを示している。各scIL−15/Rα−Fc融合タンパク質は、増殖を誘導することにおいてXENP21479よりも効力が弱かったが、差異はリンカーの長さと特定の操作された置換の両方に依存していた。
【0400】
第8の実験において、バリアントIL−15/Rα−Fc融合タンパク質を指定濃度でヒトPBMCとともに37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8−APC(RPA−T8)、抗CD16−BV605(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Fire750(HI100)、および抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、FACSによって分析した。CD8+T細胞、CD4+T細胞、γδT細胞、およびNK(CD16+)細胞に対するKi67の割合を、それぞれ
図54A〜Dに示す。上述のように、データは、ncIL−15/Rα−Fc融合タンパク質XENP21479がCD8+T細胞、CD4+T細胞、NK(CD16+)細胞、およびγδT細胞の増殖の最も強力な誘導因子であることを示している。特に、ncIL−15/Rα−Fcフォーマット(XENP24349)へのQ108E置換の導入は、野生型(XENP21479)と比較してその増殖活性を劇的に減少させる。
【0401】
1C(b):効力低下のために操作されたIL−15/Rα−Fc融合タンパク質のPK
効力低下のために操作されたIL−15/Rα−Fc融合タンパク質が半減期およびPKを改善したかどうかを調べるために、C57BL/6マウスにおけるPK試験においてこれらのバリアントを調べた。0日目に、2コホートのマウス(1コホートあたり試験試料あたり5匹のマウス)にIV−TVによって0.1mg/kgの指定の試験物質を投与した。投与60分後に、次いでコホート1では2、4、および7日目、そしてコホート2では1、3、および8日目に血清を採取した。IL−15/Rα−Fc融合タンパク質の血清レベルは、サンドイッチELISAにおいて抗IL−15および抗IL−15Rα抗体を用いて決定した。結果を
図55に示す。
図56は、試験物質の効力と半減期の間の相関関係を示す。予想通り、効力が低下したバリアントは実質的により長い半減期を示した。特に、半減期は、野生型対照XENP20818の0.5日と比較して、約9日まで改善された(XENP22821およびXENP22822を参照)。
【0402】
例2:NKG2A標的化およびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合の操作
腫瘍が免疫除去から逃れるための1つの戦略は、T細胞による認識を避けるためのMHCクラスIのダウンレギュレーションによるものである(Garrido,F et al.,2016)。バックアップとして、NK細胞はMHC Iの非存在下で癌細胞を認識することができ、実際、腫瘍細胞によるMHCクラスIのダウンレギュレーションを感作し得るする可能性があります(Zamai,L et al.,2007)。しかし、癌患者ではNK細胞数が減少していることが判明している(Levy,EM et al.,2011)。したがって、NKG2A標的化およびNKG2D標的化構築物は、IL−15/Rα−Fc融合体をTregから遠ざけるだけでなく、NK細胞を選択的に標的化し拡大させることを目的として生成された。
【0403】
2A:NKG2A標的化およびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合体の操作
モナリズマブのVHおよびVL配列(2014年12月2日発行の米国特許第8,901,283号に開示)は、概念実証としてのNKG2A標的化IL−15/Rα−Fc融合体の構成要素として使用するために、Fabフォーマットでヒト化され操作された。二価フォーマットのモナリズマブ(キメラおよびヒト化)の配列は、
図58にXENP24541およびXENP24542として示す。
【0404】
抗NKG2DのVHおよびVL配列(2011年2月1日発行の米国特許第7,879,985号に開示)は、プロトタイプNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合体の構成要素として使用するためにFabフォーマットで操作された。二価mAb形式の配列を
図59にXENP24365として示す。
【0405】
NKG2AおよびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、
図57Dに示すscIL−15/Rα×Fabフォーマットで生成され、ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したVHを含み、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)(「scIL−15/Rα」と呼ばれる)を含む他方側がヘテロダイマーFc領域の他方側のN末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。例示的なNKG2A標的IL−15/Rα−Fc融合物XENP24531、XENP24532およびXENP27146の配列を
図60に示し、例示的なNKG2D標的IL−15/Rα−Fc融合物XENP24533、XENP24534、およびXENP27145の配列を
図61A〜61Bに示す。
【0406】
上述のVHおよびVL配列、IL−15およびIL−15Rα(sushi)ドメイン、軽鎖定常領域、ならびにヘテロダイマー定常領域(
図9に示す)をコードするプラスミドは、ギブソンアセンブリによって構築された。タンパク質は、HEK293E細胞での一過性トランスフェクションによって生成され、プロテインAクロマトグラフィーとそれに続くイオン交換クロマトグラフィーを含む2段階精製プロセスによって精製された。
【0407】
2B:IL−15効力バリアントを含むNKG2A標的化IL−15/Rα−Fc融合体の活性
ワンアームscIL−15/RαFc融合(XENP21993)、NKG2A標的化効力低下型scIL−15(N65D)/Rα(XENP24531)、およびモナリズマブに基づく抗NKG2A Fabアームを有するNKG2A標的化効力低下型scIL−15(Q108E)/Rα(XENP24532)が細胞増殖アッセイでテストされた。
【0408】
ヒトPBMCを指定濃度で試験物質を用いて処理した。処理の3日後、PBMCをFACSで分析した。CD4+T細胞、CD8+T細胞、およびNK細胞に対するKi67の割合を各試験物質について
図62A〜Cに示す。データは、XENP21993と比較して、XENP24531およびXENP24532は、増殖中のCD4+T細胞、CD8+T細胞、およびNK細胞の効力の低下を示したことを示す。特に、XENP24532は、XENP24531と比較して、CD8+T細胞の増殖における効力を維持しながら、CD4+T細胞の増殖における効力の低下を示した。これは、同じNKG2A標的化Fabアームを使用しても、scIL−15/Rα側の効力が様々な細胞型を拡大する効力に影響することを示唆する。
【0409】
2C:NKG2A標的化およびNKG2D標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体はNK細胞の選択的増殖を示す
ヒトPBMCを指定濃度で試験物質を用いて処理した。処理の3日後、最初にPBMCを抗CD3−PerCP/Cy5.5(OKT3)、抗CD4−BV786(RPA−T4)、抗CD8−PE/Cy7(SIDI8BEE)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD56−BV605、および抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)で染色した。細胞を再度洗浄し、eBioscience(商標)Foxp3/Transcription Factor Staining Buffer Set(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Mass.)を使用して、抗FoxP3−AF488(259D)および抗Ki67−APCで染色した。最初に、リンパ球はSSCおよびFSCに基づいてゲートすることによって同定された。次いで、リンパ球をCD3発現に基づいてゲートし、NK細胞(CD3−CD16+)およびCD3+T細胞を同定した。次いで、CD3+T細胞をCD4およびCD8に基づいてゲートして、CD4+およびCD8+T細胞を同定した。次に、CD45RAに基づいてさらにゲーティングすることにより、CD4+およびCD8+メモリーT細胞亜集団を特定した。最後に、CD4+T細胞(CD3+CD4+CD45RA−)、CD8+T細胞(CD3+CD8+CD45RA−)、およびNK細胞の細胞増殖に厳密に関連するタンパク質である、Ki67の割合を決定した(それぞれ
図63A〜Cに示す)。データは、対照の「RSV標的化」効力低下型ワンアームscIL−15(N4D/N65D)/Rα−FcXENP26007が、XENP20818(WT IL−15/Rα−Fc)と比較して、CD8+およびCD4+T細胞ならびにNK細胞の増殖における効力を有意に低下させたことを示す。抗NKG2Aまたは抗NKG2D Fabアーム(XENP27145およびXENP27146のように)を用いたターゲティングは、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の増殖に対して効力を増加させることなくNK細胞の増殖を選択的に誘導する。
【0410】
サイトカインがその受容体に結合した後、受容体に関連するヤヌスキナーゼ(JAK)がSTATタンパク質をリン酸化し、STATタンパク質が核に移行してさらに下流のプロセスを調節する。したがって、STATタンパク質(特に、STAT5aおよびSTAT5bを含むSTAT5)のリン酸化は、IL−15がその受容体に結合することによって引き起こされる最も初期のシグナル伝達現象の1つである。
【0411】
したがって、別の実験では、NKG2AおよびNKG2D標的化IL−15/Rα−Fc融合体による様々なリンパ球集団でのSTAT5リン酸化の誘導を調査した。ヒトPBMCを、指定濃度の次の試験物質:XENP20818(WT IL−15/Rα−Fc)、XENP24050、XENP27145、およびXENP27146とともに37℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後の様々な細胞集団をゲートするために、PBMCを室温で30〜45分間、抗CD3−BUV395(UCHT1)、抗CD4−BV605(RPA−T4)、および抗CD8−Alexa700(SK1)で染色した。細胞を洗浄し、予め冷却した(−20℃)90%メタノールとともに20〜60分間インキュベートした。メタノールインキュベーション後、細胞を再度洗浄し、抗CD25−BV421(M−A251)、抗CD45RA−BV510(HI100)、抗FoxP3−AF488(249D)、抗CD56−PE、および抗pSTAT5−Alexa647(pY687)で染色し、様々な細胞集団およびSTAT5リン酸化を標識した。CD8+T細胞、CD4+T細胞、Treg、およびNK細胞集団でのSTAT5リン酸化の誘導を示すデータを
図64に示す。Ki67発現を示す上のデータと一致して、ここでのデータは、XENP20818と比較して、XENP26007が、CD8+T細胞およびCD4+T細胞、ならびにTregおよびNK細胞でSTAT5リン酸化の誘導において顕著に効力低下させ、抗NKG2A Fabまたは抗NKG2D Fab(XENP27145およびXENP27146など)を用いてNK細胞を選択的にターゲティングするが、CD8+T細胞、CD4+T細胞、またはTregの好ましいターゲティングは示さない。
【0412】
実施例3:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体
3A:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の操作
マウス抗CD8抗体の親可変領域(
図65にXENP15076として示す)をヒト化(2010年2月2日に発行された米国特許第7,657,380号に以前に記載されているように)し、プロトタイプCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の構成要素として使用するためにFabフォーマットで操作した。ヒト化抗CD8の配列は、二価抗体(XENP15251)およびFab(XENP23647)、ならびにワンアームmAb(XENP24317)としてのヒト化バリアントとして
図65に示す。
【0413】
CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、
図57Dに示すscIL−15/Rα×Fabフォーマットで生成され、可変長リンカーによってIL−15に融合したIL−15Rα(sushi)を含み(「scIL−15/Rα」と呼ばれる)、これは次いでヘテロダイマーFc領域のN末端に融合し、可変重鎖(VH)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクトされる。このフォーマットの例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合物は、XENP24114、XENP24115、およびXENP24116を含み、それらの配列を
図66に示す。
【0414】
CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体はまた、以下のフォーマット:ヘテロダイマーFc領域のN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFcの他方側に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクションされ、IL−15は非共有結合IL−15/Rα複合体を形成するように別々にトランスフェクションされる、
図57Eに示すFab×ncIL−15/Rαフォーマット、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15はIL−15Rα(sushi)(IL−15Rα(sushi)は次いでヘテロダイマーFc領域の一方側のC末端にさらに融合する)に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクションされる、
図57Gに示すmAb−scIL−15/Rαフォーマット、第1のおよび第2のヘテロダイマーFcのN末端に融合したVHを含み、IL−15Rα(sushi)はヘテロダイマーFc領域の一方側のC末端に融合するが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクションされ、IL−15は非共有結合IL−15/Rα複合体を形成するように別々にトランスフェクションされる、
図57Hに示すmAb−ncIL−15/Rαフォーマット、IL−15(ヘテロダイマーFcの一方側にさらに融合する)のN末端に組み替えで融合したVH、およびIL−15Rα(sushi)(ヘテロダイマーFcの他方側にさらに融合する)のN末端に組み替えで融合したVHを含むが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクションされる、
図57Jに示すcentral−IL−15/Rαフォーマット、ならびにIL−15Rα(sushi)のN末端に融合したVH(IL−15Rα(sushi)はIL−15に融合し、次いでヘテロダイマーFcの一方側にさらに融合する)、およびヘテロダイマーFcの他方側に融合したVHを含むが、対応する軽鎖はVHを含むFabを形成するように別々にトランスフェクションされる、
図57Kに示すcentral−scIL−15/Rαフォーマットで生成された。これらの代替フォーマットのCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合物の例示的な配列を
図79に示す。
【0415】
上述のVHおよびVL配列、IL−15およびIL−15Rα(sushi)ドメイン、軽鎖定常領域、ならびにヘテロダイマー定常領域(
図9に示す)をコードするプラスミドは、ギブソンアセンブリによって構築された。タンパク質は、HEK293E細胞での一過性トランスフェクションによって生成され、プロテインAクロマトグラフィーとそれに続くイオン交換クロマトグラフィーを含む2段階精製プロセスによって精製された。
【0416】
3B:CD8標的化IL−15Fc融合体プロトタイプによる細胞増殖の誘導
二価抗CD8抗体(XENP15251)、ワンアームscIL−15/Rα−Fc融合(XENP21993)、XENP15251に基づく抗CD8Fabアームを有するCD8標的化scIL−15/Rα−Fc(XENP24114)を、細胞増殖アッセイでテストした。
【0417】
ヒトPBMCを指定濃度で試験物質を用いて処理した。処理の3日後、PBMCを抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8−APC(RPA−T8)、抗CD16−BV605(3G8)、抗CD45RA−APC/Fire750(HI100)、および抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、FACSで分析した。最初に、リンパ球はSSCおよびFSCに基づいてゲートすることによって同定された。次いで、リンパ球をCD3発現に基づいてゲートし、NK細胞(CD3−CD16+)およびCD3+T細胞を同定した。次いで、CD3+T細胞をCD4およびCD8に基づいてゲートして、CD4+、CD8+、およびγδT細胞(CD3+CD4−CD8−)を同定した。次に、CD45RAに基づいてさらにゲーティングすることにより、CD4+およびCD8+メモリーT細胞亜集団を特定した。最後に、CD4+T細胞(CD3+CD4+CD45RA−)、CD8+T細胞(CD3+CD8+CD45RA−)、およびNK細胞の細胞増殖に厳密に関連するタンパク質である、Ki67の割合を決定した(それぞれ
図67A〜Cに示す)。データは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、ワンアームIL−15/Rα−Fc融合体よりもCD8+T細胞の増殖の誘導に強力であることを示す。特に、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、Fabアームの包含に起因するIL−15活性の低下により、ワンアームIL−15/Rα−Fc融合体よりもCD4+T細胞の増殖を誘導する能力が低かった。
【0418】
3C:CD8標的化効力低下型IL−15Fc融合体プロトタイプによる細胞増殖の誘導
ワンアームscIL−15/RαFc融合体(XENP21993)、ワンアーム効力低下型scIL−15/RαFc融合体(XENP24014)、およびXENP15251に基づく抗CD8 Fabアームを有するCD8標的化効力低下型scIL−15/Rα−Fc(XENP24116)を、細胞増殖アッセイで試験した。ヒトPBMCを指定濃度で試験物質を用いて処理した。処理の3日後、PBMCをFACSで分析した。CD4+T細胞、CD8+T細胞、およびNK細胞に対するKi67の割合を
図68A〜68Cに示す。
【0419】
データは、XENP21993と比較して、XENP24014が、NK細胞、CD4+T細胞、およびCD8+T細胞の増殖に効力の低下を示したことを示す。XENP24014と比較して、XENP24116は、CD8+T細胞の増殖の効力を増加させ(XENP21993に相当)、CD4+T細胞の効力の低下、およびNK細胞に対して同様の効力を示した。
【0420】
3D:CD8標的化効力低下型IL−15Fc融合体プロトタイプのTregに対する作用
Treg増殖(CD4+T細胞でのKi67発現率で示される)について、CD8標的化効力低下型scIL−15(N65D)/Rα−Fc(XENP24116)の作用、ならびにワンアーム効力低下型scIL−15(N65D)/RαFc融合体(XENP24014)、効力低下型IL−15(Q108E)/Rα−Fcヘテロダイマー(XENP22822)、および組み換えヒトIL−15(rhIL−15)を調査した。
【0421】
インビトロでラパマイシン増殖したTregを使用して、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の作用を調べた。ラパマイシンはインビトロでCD4+CD25+FOXP3+Tregの増殖を促進し、その結果生じる拡大したTregはCD4+およびCD8+T細胞の増殖を抑制することが以前に報告されている(例えば、Battaglia et al.(2006)Rapamycin promotes expansion of functional CD4+CD25+FOXP3+regulatory T cells of both healthy subjects and type 1 diabetic patients.J Immunol.177(12)8338−8347、およびStrauss et al.(2007)Selective survival of naturally occurring human CD4+CD25+Foxp3+regulatory T cells cultured with rapamycin.J Immunol.178(1)320−329)。したがって、EasySep(商標)Human T Cell Enrichment Kit(STEMCELL Technologies,Vancouver,Canada)を使用したネガティブ選択により、2人のドナー(ドナー21および23)のヒトPBMCからCD4+T細胞を濃縮した。Tregを、RPMI1640+10%ウシ胎仔血清+0.1μg/mlラパマイシン+500U/ml IL−2で、Dynabeads(商標)Human Treg Expander(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Mass.)を使用して1〜4日間拡大させた。Tregを0.5μg/mlの抗CD3(OKT3,Biolegend,San Diego,Calif.)でコーティングしたT75フラスコに移し、RPMI1640+10%ウシ胎児血清+0.1μg/mlラパマイシン+100U/ml IL−2+0.5μg/ml抗CD28mAbで培養した。実験は、PBMC由来のCD4+T細胞の初回の濃縮から少なくとも8日後に行われた。1.5×10
5個のラパマイシンで培養したTregを、抗CD3コーティングプレート(0.5μg/mL OKT3)上で37℃で4日間、指示濃度の指定試験物質とともにインキュベートした。4日目に、細胞をFACSにより分析した。CD4+T細胞に対するKi67の割合を、それぞれドナー21および23について
図69A〜69Bに示す。ドナー21および23についてCD4+細胞数をそれぞれ
図70A〜Bに示す。CD25MFIは、ドナー21および23についてそれぞれ
図71A〜Bに示されている。
【0422】
データは、組み換えヒトIL−15が最も強固なTregの増殖を誘導することを示す。XENP22822およびXENP24014はrhIL−15と比較してTregの増殖をそれほど誘発しないが、CD8標的化効力低下型scIL−15(N65D)/Rα−Fc融合体のXENP24116は、Tregの増殖の最も弱い誘発剤である。
【0423】
3E:抑制アッセイでのCD8標的化効力低下型IL−15Fc融合体によるCD8+T細胞の増殖の誘導
Tregの存在下でCD8+レスポンダーT細胞、CD4+レスポンダーT細胞、およびNK細胞の増殖に対する、CD8標的化効力低下型scIL−15(N61D)/Rα−Fc融合体(XENP24115)、ならびにワンアーム効力低下型scIL−15(N61D)/Rα−Fc融合体(XENP24013)の作用を調べた。
【0424】
CFSE標識化PBMCを、抗抗CD3コーティングプレート(OKT3、100ng/mL)上で、500ng/mLの指定の試験物質および指定濃度のTag−it Violet標識化Treg(実施例2Cに記載のとおり拡大)とともにインキュベートした。37℃で4日間インキュベートした後、細胞をFACSで分析し、増殖をCFSEで測定した。
図72A〜72Cに示すデータはそれぞれ、増殖中のCD8 T細胞、CD4 T細胞およびNK細胞の割合について示す。
図73は、異なるTreg:PBMC比を使用した同様の実験でのTreg数を示す。
【0425】
データは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、CD8+レスポンダーT細胞の増殖を増加させ、増殖を抑制するためにより多くのTregが必要であることを示す。データはまた、XENP24115もXENP24013もCD4+レスポンダーT細胞の増殖に影響を与えなかったことを示す。ただし、どちらもNK細胞の増殖を誘発した。特に、
図73は、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体がTregの増殖を依然として誘導する一方で(処理なしの対照と比較して)、その誘導はワンアームscIL−15/Rα−Fcによる処理から生じる誘導よりも実質的に少ないことを示す。
【0426】
さらなる実験では、Tregの存在下でCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体で処理した後のCD8+メモリーT細胞、CD4+メモリーT細胞、およびTregの増殖に対する用量反応を調べた。1×10
5個のCFSE標識化PBMCおよび5×10
4個のTag−it Violet標識化Treg(実施例3Dに記載の拡大、Treg:PBMC比 1:2)を、抗CD3コーティングプレート(OKT3、100ng/mL)で、4日間、対照の抗RSV二価mAb(XENP15074)を含む指定濃度の指定試験物質とともにインキュベートした。増殖は、CFSEまたはTag−it Violet希釈により測定した。
図74A〜74Cに示すデータはそれぞれ、CD8+メモリーT細胞、CD4+メモリーT細胞、およびTregについて示す。最後に、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体による処理後、PBMCの非存在下でのTregの増殖に対する投与反応を調査した。1×10
5個のTag−it Violet標識化Tregを、抗CD3コーティングされたプラーク(OKT3、100ng/mL)上で、指示濃度の指定試験物質とともに4日間インキュベートした。
図75に示す細胞数は、Tag−it Violet希釈によって測定された。
【0427】
データは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、試験したすべての濃度でワンアームscIL−15/Rα−FcよりもCD8+メモリーT細胞の増殖を誘導したことを示す。特に、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、ワンアームscIL−15/Rα−FcよりもCD4+メモリーT細胞およびTregの増殖が少ない。
【0428】
3F:GVHDモデルにおけるプロトタイプCD8標的化効力低下型IL−15Fc融合体の活性
CD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc融合体(XENP24116)および追加の効力低下型IL−15バリアントを、雌性NSG(NOD−SCID−γ)免疫不全マウスで実施した移植片対宿主病(GVHD)モデルで評価した。NSGマウスにヒトPBMCを注射したとき、ヒトPBMCはマウス細胞に対して自己免疫応答を引き起こす。NSGマウスにヒトPBMCを注射した後にCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体、IL−15バリアントによる処理は、移植されたT細胞の増殖を増強する。
【0429】
7日目に1000万個のヒトPBMCをIV−OSPによってNSGマウスに移植し、続いて0日目に指定の試験物質(0.3mg/kg)を投与した。全血を4日目および7日目に採取し、マウスを11日目に脾臓のために屠殺して、FACSを使用してCD4+およびCD8+T細胞数を測定した。
図76A〜76Dはそれぞれ、4日目の全血中のCD4+T細胞現象、CD8+T細胞現象、CD8+T細胞現象とCD4+T細胞現象との間の相関、およびCD8+T細胞/CD4+T細胞比を示す。
図77A〜77Dはそれぞれ、7日目の全血中のCD4+T細胞現象、CD8 T細胞現象、CD8+T細胞現象とCD4+T細胞現象との間の相関、およびCD8+T細胞/CD4+T細胞細胞比を示す。
図78A〜78Dはそれぞれ、8日目の脾臓におけるCD4+T細胞現象、CD8 T細胞現象、CD8+T細胞現象とCD4+T細胞現象との相関、およびCD8+T細胞/CD4+T細胞比を示す。各点は1匹のメスのNSGマウスを表す。データは、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の両方を拡大するIL−15バリアントと比較して、XENP24116がCD8+T細胞を選択的に拡大することを示す。
【0430】
3G:代替フォーマットのCD8標的化IL−15Fc融合体
図57(略画)および
図79(配列)に示すように、いくつかの代替フォーマットのCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体を細胞増殖アッセイで試験した。ヒトPBMCは、XENP24114、XENP24116、XENP24546、XENP24543、XENP24547、およびXENP24548で処理された。処理の3日後、PBMCをFACSで分析した。CD4+T細胞、CD8+T細胞、およびNK細胞に対するKi67の割合を
図80に示す。
【0431】
実施例4:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体(非ブロッキングCD8結合ドメイン)
4A:ファージディスプレイライブラリーおよびCD8バインダーのスクリーニング
組み換えヒトCD8αおよびカニクイザルCD8αは、ファージパニングのために自家生成された。抗原をコードするプラスミドは、pTT5ベクターのGibsonアセンブリにより構築した。HEK293E細胞の一過性トランスフェクション後、分泌された抗原はプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製された。
【0432】
自家製の新規ファージライブラリーを構築してファージコートタンパク質pIII上にFabバリアントを表示し、4回パニングした。初回の前および各回の後に、ファージを対数期のXL1−Blue細胞(Agilent,Wilmington,Del.)に加え、37℃、250rpmで一晩インキュベートした。FabクローンをそのVHおよびVL同一性について配列決定し、そこからギブソンアセンブリによりプラスミドを構築し、IgG1定常領域のコード配列を含むpTT5発現ベクターにサブクローニングした。発現のためにDNAをHEK293Eにトランスフェクトし、得られた二価mAbをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用して上清から精製した。例示的なクローン1C11B3のアミノ酸配列は、
図81の二価mAb(XENP24025)およびワンアームmAb(XENP24321)に示す。
【0433】
4B:ファージディスプレイライブラリーとCD8バインダーのスクリーニング
ワンアームFab−Fc抗体(それぞれXENP24321)として再フォーマットされたファージクローン1C11B3を、CD4+およびCD8+T細胞への結合について試験した。XENP15251のバリアントに基づくワンアームFab−Fc抗体(XENP24317、
図65に示す配列)を対照として使用した。
【0434】
EasySep(商標)Human T Cell Isolation Kit(STEMCELL Technologies,Vancouver,Canada)を使用して、ヒトPBMCから精製したT細胞を、氷上で1時間、指定濃度の試験物質とインキュベートした。細胞を遠心分離して過剰量の試験物質を除去し、抗CD3−FITC(HIT3a)、抗CD4−PE(OKT4)、およびAPCと結合した二次抗体で再懸濁し、氷上で45分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、染色緩衝液で再懸濁し、FACSで分析した。
図82は、CD4+およびCD8+T細胞のMFIを示す。データは、CD8+T細胞へのXENP24321の結合がXENP24317よりも優れていることを示した。
【0435】
4B:CD8とpMHCIとの相互作用をブロックしない抗CD8 mAbの同定
腫瘍細胞は、TCR(ペプチドに特異的)およびCD8+T細胞のCD8によって認識されるペプチドフラグメントを提示する主要組織適合性複合体クラスI分子(MHCI)を提示する(
図83Aに示すとおり)。CD8のpMHCIへの結合は、T細胞の増殖と活性化を引き起こす。抗CD8抗体は、CD8によるpMHCIの結合をブロックし、それによりCD8+T細胞の活性化を妨げるように配置するCD8上のエピトープに結合し得る(
図83B)。活性化を維持するために、CD8−MHCI相互作用を遮断しない、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体に抗CD8アームを使用する必要がある。
【0436】
4C(a):MHCテトラマーアッセイ
MHCテトラマーアッセイを使用して、上述の抗CD8 mAbクローンがCD8とpMHCIの相互作用をブロックしたかどうかを調べた。HLA−A2*0201制限CMV pp65(NLVPMVATV)ペプチド(Astarte Biologics,Bothell,Wash.からのドナー153)に特異的な約200kのT細胞を、指定濃度の指定の試験物質とともに氷上で30分間プレインキュベートした。抗CD8抗体なしでインキュベートした対照試料も使用した。インキュベーション後、試料をiTAg Tetramer/PE−HLA2:01CMV pp65(NLVPMVATV)(MBL,Woburn,Mass.)、抗CD3−BUV395(UCTH−1)、および抗CD4−APC/Fire750(OKT4)で1.5時間染色し、FACSによって分析した。細胞はまずCD3およびCD4発現に基づいてゲートされ、CD8+細胞を同定した。CD3+細胞上のMHCテトラマーの結合をPE MFIとして測定した。データは、対照試料に対する結合の割合として
図84に示す。
【0437】
データは、市販のOKT8 mAb(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Mass.およびXENP15075として自家製された)とのプレインキュベーションにより、対照試料と同等のMHCテトラマー結合が可能になり、他の市販のmAbであるSK1(BioLegend,San Diego,Calif.)、32−M4(Santa Cruz Biotechnology,Dallas,Tex.)、およびDK25(Dako,Carpinteria,Calif.)では結合が15〜80%減少したことを示し、これはClementらにより報告された結果と一致している。XENP15251とのプレインキュベーションにより、MHCテトラマー結合が50%以上減少した。特に、XENP24025(1C11B3)とのプレインキュベーションはMHCテトラマー結合を約4%減少させ、クローン1C11B3が非ブロッキングであることを示唆する。
【0438】
4C(b):サイトカイン放出アッセイ
上述のとおり、CD8+T細胞上のTCRおよびCD8のpMHCIへの結合がT細胞を活性化し、サイトカイン放出をもたらす。したがって、サイトカイン放出アッセイにおいて、抗CD8 mAbクローンがCD8とpMHCIとの相互作用をブロックするかどうかも調査した。
【0439】
T2細胞に50ng/ml HLA−A2*0201制限CMV pp65(NLVPMVATV)ペプチドを室温で一晩ロードした。陰性対照として、T2細胞にNY−ESO−1ペプチドを負荷した。一晩ロードした後、T2細胞をマイトマイシン−C(Sigma−Aldrich,St.Louis,Mo.)で37℃で30分間処理した。HLA−A2
*0201制限CMV pp65(NLVPMVATV)ペプチドに特異的な50kのT細胞を、100μg/mlの指定の試験物質で(二重に)プレインキュベートした。次いで、10kペプチドをロードしたT2細胞を試料に加え、37℃で18時間インキュベートした。抗CD8プレインキュベーションなしの対照は次のとおりだった。A)CMV特異的T細胞とインキュベートしたpp65ペプチドをロードしたT2細胞、B)CMV特異的T細胞とインキュベートしたNY−ESO−1ペプチドをロードしたT2細胞、C)CMV特異的T細胞とインキュベートしたアンロードT2細胞、およびD)CMV特異的T細胞のみ。上清をを回収し、IFNγ MSDアッセイ(Meso Scale Discovery,Rockville,Md.)で分析した。
【0440】
図85に示すデータは、OKT8およびXENP24025とともにプレインキュベートしたCMV特異的T細胞によるIFNγ放出が、抗CD8抗体プレインキュベーションの非存在下でCMV特異的T細胞によるIFNγ放出と同等であったことを示すが、XENP15251と同様に市販の抗体SK−1、32−M4、およびDK25とともにプレインキュベートしたCMV特異的T細胞ではIFNγ放出の減少が観察された。さらに、XENP24025とプレインキュベートしたCMV特異的T細胞によるIFNγ放出は、抗CD8抗体プレインキュベーションの非存在下でのCMV特異的T細胞による放出と同等であった。
図86は、IFNγ放出とテトラマー結合MFIとの間の相関関係を示す。
【0441】
4D:1C11B3を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fcは、CD4
+T細胞よりもCD8
+T細胞の増殖を選択的に誘導する
ヒトPBMCを、XENP24736(1C11B3を含むCD8標的化効力低下型IL−15(N4D/N65D)/Rα−Fc、
図87に示す配列)、XENP24050(ワンアーム効力低下型IL−15(N4D/N65D)/Rα−Fc)、XENP24321(1C11B3に基づくワンアーム抗CD8 mAb)、およびXENP20818(WT IL−15/Rα−Fc)を用いて、指定濃度で37℃で3日間処理した。次に、PBMCを氷上で45分間、抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8α−BV510(RPAT8またはSK1)、抗CD8β−eF660(SIDI8BEE)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Fire750(HI100)、および抗CD56−BV605(5.1H1)で染色した。前述のパネルで染色した後、細胞を室温で30分間抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、種々の細胞集団およびKi67の発現についてFACSによって分析した。Ki67を発現するCD8+CD45RA−T細胞およびCD4+CD45RA−T細胞の割合を示すデータを
図88に示す。データは、ワンアーム効力低下型IL15/Rα−Fc XENP24050と比較して、1C11B3によるCD8ターゲティングがCD8+T細胞の増殖を促進することを示す。
【0442】
実施例5:CD8標的化IL−15Fc融合体(OKT8系)
5A:OKT8のヒト化
先行技術の抗CD8抗体OKT8(OKT8_H0.1およびOKT8_L0.1として
図89に示される可変領域配列)は、CD8標的化IL−15分子で使用するためのFabの関連で操作された。OKT8は、ストリング含有量最適化を用いてヒト化した(例えば、2010年2月2日に発行された米国特許第7,657,380号を参照)。例示的なヒト化OKT8クローンの可変重鎖および軽鎖配列を
図89に示す。上述のとおり、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、ヘテロダイマー定常領域のコード配列とともに、前述のVHおよびVL配列をコードするギブソン構築プラスミドを使用して作成された(
図9に示すとおり)。タンパク質は、HEK293E細胞での一過性トランスフェクションによって生成され、プロテインAクロマトグラフィーとそれに続くイオン交換クロマトグラフィーを含む2段階精製プロセスによって精製された。マウスまたはヒト化OKT8可変領域に基づく抗CD8 Fabアームを含む例示的なCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体の配列を
図92に示す。
【0443】
5A(a):OKT−8系のCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、CD4
+T細胞よりもCD8
+T細胞の選択的に増殖させる
ヒトPBMCを、マウスOKT8またはヒト化OKT8の2つのバージョン(H1L1およびH2L1)に基づいて、CD8結合ドメインを含むCD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fc(N4D/N65D二重変異体およびD30N/E64Q/N65D三重変異体)で、指定濃度で37℃で3日間で処理した。処置後、PBMCを氷上で45分間、抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8α−BV510(RPAT8またはSK1)、抗CD8β−eF660(SIDI8BEE)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、および抗CD56−BV605(NCAM16.2)で染色した。パネルで染色した後、細胞を室温で30分間、抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、種々の細胞集団およびKi67の発現についてFACSによって分析した。Ki67を発現するCD8+CD45RA−T細胞およびCD4+CD45RA−T細胞の割合を示すデータを
図93に示す。データは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体のそれぞれが、対照XENP20818と比較して、CD4+T細胞よりもCD8+T細胞に対して選択的であることを示す。予想外に、XENP24917(OKT8_H1L1)は、XENP24919(マウスOKT8)と比較して、CD8+T細胞の増殖を誘導する効力が低かった。特に、XENP24918(代替のヒト化OKT8_H2L1を有する)は、XENP24917と同様の効力を回復した。さらに、三重変異体およびOKT_H2L1抗CD8 FabアームでIL−15/Rα−Fc効力を低下させたXENP25137は、CD8+T細胞の増殖の誘導においてXENP24918よりも強力だが、XENP25137はCD4+T細胞の増殖の誘導においてXENP24918よりも強力だった。
【0444】
5A(b):OKT8系CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、PBMCを移植したNSGマウスにおいてインビボでT細胞を増殖させ、サイトカイン分泌を促進する
8日目に1000万個のヒトPBMCをIV−OSPによってNSGマウスに移植し、続いて0日目に指定濃度で指定の試験物質を投与した。
図94A〜Bはそれぞれ、7日目のCD8+およびCD4+T細胞数を示す。データは、CD8+/CD4+T細胞比で示されるように、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、CD4+T細胞よりもCD8+T細胞を選択的に増殖することを示す。特に、データは、CD8+T細胞の選択性が、IL−15/Rα−Fc融合体と抗CD8の作用の組み合わせではなく、IL−15/Rα−Fc融合体の標的化によることを示す(XENP24050とXENP24920の組み合わせで示すとおり)。
【0445】
5B:カニクイザルCD8親和性のためのOKT8操作
臨床開発を容易にするために、カニクイザルの薬力学、薬物動態、および毒性など、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質の様々なパラメーターを評価することは有用である。しかしながら、1つの例示的なヒト化OKT8バリアント(H2L1)は、ヒトCD8に対する12nM KD親和性と比較して、カニクイザルCD8に対する200nM KD親和性のみを有していた。したがって、OKT8_H2L1(以下HuCy OKT8と呼ぶ)に基づいたバリアントのライブラリーは、ヒトおよびカニクイザルの両方のCD8と同様の親和性を持つように操作された。ライブラリーは、部位特異的突然変異誘発法(QuikChange,Stratagene,Cedar Creek,Tx.)または標準的な遺伝子合成によって構築された。バリアント重可変領域およびバリアント軽可変領域の配列を
図95に示す。バリアント可変領域に基づくワンアームmAbは、ヘテロダイマーFcに結合した重可変領域と、分子の他方側が「Fcのみ」であり、軽定常領域に結合した軽可変領域とともに生成された。そのようなワンアームmAbの例示的な配列を
図91に示す。
【0446】
ヒトおよびカニクイザルCD8のHuCy OKT8バリアントに基づくワンアームmAbの親和性を、BioLayer Interferometry(BLI)ベースの方法であるOctetで評価した。Octetの実験工程は、一般的に以下を含んでいた。試験物質の親和性を決定するための、固定化(バイオセンサー上へのリガンドの捕捉)、会合(分析物の連続希釈物を含むウェルにリガンドコーティングしたバイオセンサーの浸漬)、解離(緩衝液を含むウェルにバイオセンサーを戻すこと)。緩衝液のみを含む参照ウェルもまた、データ処理中のバックグラウンド補正のための方法に含まれた。特に、ヒトまたはカニクイザルのCD8を捕捉し、複数の濃度のOKT8バリアントに浸漬した。得られた解離定数(K
D)、会合速度(k
a)、および解離速度(k
d)を
図96に示す。データは、多数のバリアントがOKT_H2L1と比較してカニクイザルCD8に対する親和性を改善した一方で、いくつかのバリアントのみがヒトおよびカニクイザルCD8の両方に対して同様の親和性を示したことを示す。
【0447】
5C:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体(HuCy OKT8)は、ヒトT細胞の増殖において活性である
HuCy OKT8可変領域に基づく抗CD8 Fabアームを含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、実施例5Aに一般的に記載されているように産生され、例示的な分子の配列は
図97および
図102に示されている。
【0448】
5C(a):HuCy OKT8を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体はインビトロで活性である
ヒトPBMCを、例示的なHuCy OKT8結合ドメインを含むCD8標的化効力低下型IL−15/Rα−Fcおよびワンアーム効力低下型IL−15/Rα−Fc XENP24050(対照として)で、指定濃度で37℃で3日間、処理した。処置後、PBMCを氷上で45分間、抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8α−BV510(SK1)、抗CD8β−PE/Cy7(SIDI8BEE)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、および抗CD56−BV605(NCAM16.2)で染色した。パネルで染色した後、細胞を室温で30分間、抗Ki67−PE/Cy7(Ki−67)で染色し、種々の細胞集団およびKi67の発現についてFACSによって分析した。Ki67を発現するCD8+CD45RA−T細胞およびCD4+CD45RA−T細胞の割合を示すデータを
図98に示す。データは、CD8標的化分子(HuCy OKT8結合ドメインを持つ分子を含む)のそれぞれが、XENP24050よりもCD8+T細胞の増殖の誘導に強力であったことを示す。
【0449】
別の実験では、新鮮なPBMCを、指定の試験物質とともに指定濃度で15分間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−BUV395(UCHT1)、抗CD4−BV605(RPA−T4)、および抗CD8−Alexa700(SK1)で室温で30〜45分間染色した。細胞を洗浄し、予め冷却した(−20℃)90%メタノールとともに20〜60分間インキュベートした。メタノールインキュベーション後、細胞を再度洗浄し、抗CD25−BV421(M−A251)、抗CD45RA−BV510(HI100)、抗FoxP3−Alexa488(259D)、抗CD56−PE、および抗pSTAT5−Alexa647(pY694)で室温で1時間染色し、様々な細胞集団およびSTAT5リン酸化を標識した。最初にリンパ球を側方散乱(SSC)および前方散乱(FSC)に基づいてゲートした。次に、CD4+T細胞をCD3およびCD4発現に基づいてゲートした。CD4+T細胞の亜集団を、TregのFoxP3およびCD25発現と同様に、CD45RA発現に基づいてさらにゲートした。CD8+T細胞を、CD3およびCD8発現に基づいてゲートし、亜集団を、CD45RA発現に基づいてさらにゲートした。CD8+CD45RA−T細胞およびCD4+CD45RA−T細胞でのSTAT5リン酸化を示すデータを
図99に示す。Ki67を発現する細胞の割合を示す上記のデータと一致して、HuCy OKT8系CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、CD4+T細胞よりもCD8+T細胞に対して選択的である。
【0450】
5C(b):CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体(HuCy OKT8)は、PBMCを移植したNSGマウスでインビボでCD8
+T細胞を選択的に拡大する
8日目に1000万個のヒトPBMCをIV−OSPによってNSGマウスに移植し、続いて0日目に指定濃度で指定の試験物質を投与した。
図100は、7日目のマウス血液中のCD45+細胞、CD8+T細胞、およびCD4+T細胞数(ならびにCD8+/CD4+T細胞比)を示す。データは、HuCy OKT8を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、CD45+細胞およびT細胞の拡大において、OKT8_H2L1を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fcと同様の活性を示した。重要なことに、HuCy OKT8を含むCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、CD4+T細胞よりもCD8+T細胞の選択的拡大を保持した。
【0451】
5D:OKT8系CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体はカニクイザルT細胞の増殖において活性である
次に、HuCy OKT8結合ドメインを含む上記のCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、カニクイザルリンパ球を増殖できるかどうかを調べた。Cyno PBMCを指定の試験物質とともに4日間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−PE(OKT3)、抗CD4−FITC(RPA−T4)、抗CD8α−BV510(SK1)、抗CD8β−PE/Cy7(SIDI8BEE)、抗CD16−BV421(3G8)、抗CD25−PerCP/Cy5.5(M−A251)、抗CD45RA−APC/Cy7(HI100)、および抗CD56−BV605(NCAM16.2)で氷上で45分間染色した。パネルで染色した後、細胞を室温で30分間、抗Ki67−APC(Ki−67)で染色し、種々の細胞集団およびKi67の発現についてFACSによって分析した。Ki67を発現するCD8+CD45RA−T細胞およびCD4+CD45RA−T細胞の割合を示すデータを
図101に示す。データは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体のそれぞれがカニクイザルT細胞を増殖させることができたことを示す。実施例5A(a)に示すデータと一致して、CD8標的化分子はCD4+T細胞よりもCD8+T細胞に対して選択的であった。
【0452】
実施例6:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、CD4
+T細胞およびTregよりもCD8
+T細胞に対して選択的である
6A:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、インビトロでCD4
+T細胞およびTregよりもCD8
+T細胞を選択的に拡大する
ヒトPBMCを、指定の試験物質とともに37℃で、2、5、10、15、30、60、180、および360分間インキュベートした。タイミングは、すべての反応が同時に停止されるように、異なる時間に試験物質を追加することで達成した。インキュベーション後、PBMCを抗CD3−BUV395(UCHT1)、抗CD4−BV605(RPA−T4)、および抗CD8−Alexa700(SK1)で室温で30〜45分間染色した。細胞を洗浄し、予め冷却した(−20℃)90%メタノールとともに20〜60分間インキュベートした。メタノールインキュベーション後、細胞を再度洗浄し、抗CD25−BV510(M−A251)、抗CD45RA−BV510(HI100)、抗FoxP3−Alexa488(259D)、および抗pSTAT5−Alexa647で染色し、様々な細胞集団およびSTAT5リン酸化を標識した。最初にリンパ球を側方散乱(SSC)および前方散乱(FSC)に基づいてゲートした。次に、CD4+T細胞をCD3およびCD4発現に基づいてゲートした。CD4+T細胞の亜集団を、TregのFoxP3およびCD25発現と同様に、CD45RA発現に基づいてさらにゲートした。CD8+T細胞を、CD3およびCD8発現に基づいてゲートし、亜集団を、CD45RA発現に基づいてさらにゲートした。様々な集団でのSTAT5リン酸化を示すデータを
図103に示す。データは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が、Tregを含むCD4+T細胞を回避しながらCD8+T細胞を活性化させることを示し、CD8標的化分子は、WT IL−15ならびにIL−15/Rα−Fc融合体と比較して、CD8+T細胞に対して選択的であることを示す。特に、CD8標的化IL−15/Rα−Fc(XENP26585)の濃度がはるかに高いと、組み換えIL−15およびWT IL−15/Rα−Fc融合体XENP20818と比較して、CD4+T細胞およびTregのSTAT5リン酸化のベースラインレベルが刺激された。
【0453】
6B:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、カニクイザルのCD4
+T細胞よりもCD8
+T細胞を選択的に拡大する
次に、カニクイザルのT細胞を拡大する際に、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体のインビボ作用を調べた。カニクイザル(1グループあたり3匹)に指定の試験物質を0日目に投与し、3週間モニターした。CD8+T細胞およびCD4+T細胞の倍率変化を示すデータを
図104に示す。Ki67発現陽性の末梢血中のCD4+CD45RA−T細胞およびCD8+CD45RA−T細胞の割合を示すデータを
図105に示す。リンパ節のCD8+CD45RA−T細胞に対するKi67の割合を示すデータを
図106に示す。実施例5Dに示すカニクイザルPBMCの拡大に関するインビトロデータ、ならびにPBMC移植マウスにおけるヒトPBMCの拡大に関するインビトロデータと一致して、ここでのデータは、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が選択的にCD4+T細胞よりもCD8+T細胞を拡大させていることを示す。
【0454】
実施例7:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は薬力学の増強を示す
カニクイザルの後続試験では、Xtend(XENP24294、
図40に示す配列)を含むワンアームscIL−15(N4D/N65D)/Rα−FcおよびXtend(XENP26585、
図102に示す配列)を含むCD8標的化IL−15(N4D/N65D)/Rα−Fcを調査した。1日目と16日目にカニクイザル(1グループあたり3匹)に試験物質を投与し、T細胞の拡大を調べるために経時的に採血した。CD8+T細胞およびCD4+T細胞数、ならびにCD8+/CD4+T細胞比を示すデータを
図107に示す。実施例6Bに示す試験と一致して、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、CD4+T細胞よりもCD8+T細胞を選択的に拡大し、CD8+/CD4+T細胞比を高めた。特に、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、より長間のCD8+T細胞の拡大によって示されるワンアーム分子よりも薬力学が改善された。
【0455】
実施例8:CD8標的化IL−15Fc融合体は、CD8
+T細胞の同種異系抗腫瘍活性を増強する(インビトロ)
製造元の指示に従って、EasySep(商標)Human T Cell Enrichment Kit(STEMCELL Technologies,Vancouver,Canada)を使用して、T細胞をヒトPBMC(CMV+HLA−A0201)から精製した。精製T細胞を、CFSE標識化親MCF−7腫瘍細胞(この実施例ではグループ1と指定)またはCFSE標識化pp65発現MCF−7腫瘍細胞(この実施例ではグループ1と指定)を19:1のE:T比で、指定の試験物質とともにを4日間インキュベートした。3日目に、ブレフェルジンA(BioLegend,San Diego,Calif.)および抗CD107a−PerCP/Cy5.5(LAMP−1)を細胞に加えた。インキュベーション後、細胞をZombie Aqua(商標)Fixable Viability Kit(BioLegend,SanDiego,Calif.)を用いて室温で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、抗CD4−APC/eFluor780(RPA−T4)、抗CD8b−PE/Cy7(SIDI8BEE)、抗CD25−PE(M−A251)、および抗CD69−BV605(FN50)を使用して、氷上で1時間染色した。細胞を再度洗浄し、eBioscience(商標)Foxp3/Transcription Factor Staining Buffer Set(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Mass.)を使用して、抗IFNγ−BV421(4S.B3)および抗Ki67−APCで染色した。様々な細胞集団について、フローサイトメトリーにより細胞を分析した。標的細胞はCFSE染色に基づいて同定され、死亡標的細胞はZombie染色に基づいて同定された。エフェクター細胞(CFSE−)は、CD4およびCD8の発現に基づいてゲートした。
【0456】
Ki67はタンパク質の増殖と厳密に関連するタンパク質であるが、T細胞によるIFNγの産生は細胞溶解活性を示す。
図108A〜108Bはそれぞれ、2つのグループにおけるCD8+T細胞中のIFNγ+の割合を示す。
図109A〜109Bはそれぞれ、2つのグループにおけるCD8+T細胞のKi−67+の割合を示す。
図110A〜110Bはそれぞれ、2つのグループにおけるCD8+T細胞のKi−67+/IFNγ+の割合を示す。
図111A〜111Bはそれぞれ、2つのグループにおけるCD4+T細胞のIFNγ+の割合を示す。
図112A〜112Bはそれぞれ、2つのグループにおけるCD4+T細胞のKi−67+の割合を示す。
図113A〜113Bはそれぞれ、2つのグループにおけるCD4+T細胞のKi−67+/IFNγ+の割合を示す。
図114A〜114Bはそれぞれ、2つのグループの残りの標的細胞(pp65を形質導入したMCF−7または親MCF−7のいずれか)を示す。全体として、データは、本発明のCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体が腫瘍細胞の同種異系殺滅を増強するだけでなく、CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体がCD4+T細胞よりもCD8+T細胞を選択的に拡大することを示す。
【0457】
実施例9:CD8標的化IL−15/Rα−Fc融合体は、インビボでT細胞の同種異系抗腫瘍作用を増強し、チェックポイント遮断と相乗的に結びつく
次に、本発明のCD8標的化IL−15/Rα−Fc融合タンパク質のインビボ抗腫瘍作用、ならびにそれらがチェックポイント遮断とのスタッキングに適しているかどうかを調べた。使用したチェックポイント遮断抗体は、XENP16432(エフェクター機能が除去されたニボルマブに基づく二価抗PD−1 mAbであり、
図12に示された配列)である。NOD SCIDガンマ(NSG)マウス(1グループあたり10匹)に、14日目に、背腹部に3×10
6個のpp65を発現するMCF−7細胞を皮内移植した。0日目に、マウスに、T細胞pp65反応性(または対照マウスのPBS)に対して陽性とスクリーニングされたHLA適合CMV+ドナーからの5×10
6個のヒトPBMCを腹腔内に移植した。マウスを指定の試験物質またはPBS(対照マウス用)で4週間(合計4回)投与した。腫瘍体積はキャリパー測定によりモニターされ、そのデータを
図115A〜115Bに示す(初回投与後の日数)。
図116A〜116Eに示すように、7、12、19、および26日目に採血し、フローサイトメトリーで分析して、様々なリンパ球集団を数えた。
【0458】
上記は、単に本発明の原理を説明するに過ぎない。当業者は、本明細書で明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を具体化し、その主旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案できることを理解されたい。さらに、本明細書に列挙されるすべての例および条件付き言語は、主に、そのような具体的に列挙される例および条件に限定されない本発明の原理を読者が理解するのを助けることを意図している。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような等価物には、現在知られている等価物および将来開発される等価物、つまり構造に関係なく同じ機能を実行する開発された任意の要素が含まれることが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載され、示される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲および主旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。上記の実施例は、当業者に本発明の組成物、システム、および方法の実施形態をどのように作製および使用するかについての完全な開示および説明を与えるために提供されており、そして本発明者らが自分たちの発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。当業者に明らかである本発明を実施するための上記の様式の修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本明細書中で言及されているすべての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者の技術水準を示している。本開示において引用されたすべての参考文献は、あたかも各参考文献が参照によりその全体が個別に組み込まれているのと同程度に参照により組み込まれる。
【0459】
すべての見出しおよびセクションの指定は、明確さおよび参照目的のためだけに使用されているにすぎず、決して限定的であるとみなされるべきではない。例えば、当業者は、本明細書に記載の本発明の趣旨および範囲に従って、必要に応じて異なる見出しおよびセクションからの様々な態様を組み合わせることの有用性を認識するであろう。
【0460】
本明細書に引用されたすべての参考文献は、あたかも各個々の刊行物または特許または特許出願がすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同程度にそれらの全体がすべての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。
【0461】
当業者には明らかなように、本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、本出願の多くの修正および変形をなすことができる。本明細書に記載された特定の実施形態および実施例は例としてのみ提供され、特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
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【国際調査報告】
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