(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-529860(P2020-529860A)
(43)【公表日】2020年10月15日
(54)【発明の名称】多層原理で植物を成長させるための方法および配列
(51)【国際特許分類】
A01G 9/00 20180101AFI20200918BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20200918BHJP
【FI】
A01G9/00 C
A01G9/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-507058(P2020-507058)
(86)(22)【出願日】2018年7月3日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月6日
(86)【国際出願番号】FI2018050528
(87)【国際公開番号】WO2019030428
(87)【国際公開日】20190214
(31)【優先権主張番号】20175713
(32)【優先日】2017年8月7日
(33)【優先権主張国】FI
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512039215
【氏名又は名称】ネットレッド オイ
【氏名又は名称原語表記】Netled Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】キヴィオヤ,ニコ−マッティ
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327ND01
2B327NE01
2B327TA04
2B327TA09
2B327TA22
2B327TA28
2B327TC04
2B327TC10
2B327TC18
(57)【要約】
本発明は、移動式溝農業において多層原理で植物を栽培する方法およびシステムであって、栽培溝(1)に植えられた植物を栽培するプロセスにおいて、植物は、栽培空間(K)中の互いに重なり合って存在する栽培層(L)に、1方向または互いに対向する方向における栽培空間の長手方向に搬送(w)される、方法およびシステムに関する。移動式溝農業において特に用いられる、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物は、栽培層固有の方法で、処理配列(2)によって、栽培空間(K)において処理され、これにより、栽培溝およびそれに含まれる植物は、まず、栽培空間(K)の各栽培層(L)に、運動要素(2a)によって、栽培空間の長手方向(s)において、互いに対向する方向に搬送(w)され、栽培空間の各栽培層(L)において、処理要素(2b)によって、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理(P)される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式溝農業において多層原理で植物を栽培する方法であって、栽培溝(1)に植えられた植物を栽培するプロセスにおいて、植物は、栽培空間(K)中の互いに重なり合って存在する栽培層(L)において、補助動力式運動要素によって、1方向または互いに対向する方向における栽培空間の長手方向(s)に搬送(w)される、方法において、移動式溝農業において特に用いられる、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物は、栽培層固有の方法で、処理配列(2)によって、栽培空間(K)において処理され、これにより、栽培溝およびそれに含まれる植物は、まず、栽培空間(K)の各栽培層(L)において、運動要素(2a)によって、栽培空間の長手方向(s)において、互いに対向する方向に搬送(w)され、そして他方、栽培空間の各栽培層(L)において、処理要素(2b)によって、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理(P)される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
栽培溝が、移送装置(2a1)によって、第1の方向に進む栽培ライン(s1)から、第2の方向に進む栽培ライン(s2)まで横方向に移動(w2)され、前記移送装置(2a1)は、処理配列の運動要素(2a)に含まれ、互いに対向する方向に向けられた栽培ライン間の間隙(H)に存在する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
栽培溝(1)およびそれに含まれる植物が、処理配列の処理要素(2b)内に含まれる処理装置(2b1)であって、栽培ライン(s1,s2)間の間隙(H)中に存在する処理装置(2b1)(2b1)によって、横方向(w2)に、植物および栽培溝(1)を処理(P)するために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒のために、新しい基質の配設のために、植物の播種/植え付けのために、その事前灌漑のために、および/または同様の目的のために、ならびに/または、その植物および栽培溝(1)を戻すために、第2の方向に延びる栽培ライン(s2)から、第1の方向に延びる栽培ライン(s1)上に移動される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
栽培空間(K)の2またはそれ以上の栽培層(L)の栽培溝(1)、およびそれに含まれる植物が、栽培層特有の方法で、移送装置(2a1)および処理装置(2b1)によって処理され、該各装置(2a1,2b1)は、リフトで操作され、処理配列(2)内に含まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
栽培溝(1)およびそれに含まれる植物は、処理配列(2)に設けられ、最も好ましくは、たとえば、移送装置(2a1)に、および処理装置(2b1)に含まれ、栽培溝(1)を保持し、栽培溝(1)を横方向に移動(w2)させることを可能にする把持要素(3a)と共に自動制御され、および/または、処理装置(2b1)に含まれる、収穫、掻き取り、洗浄/消毒、基質の配設、種子/苗の播種/植え付け、および/または事前灌漑要素などと共に、自動制御されるアクチュエータ(3)で処理されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
移動式溝農業において多層原理で植物を栽培するシステムであって、栽培溝(1)に植えられた植物を栽培するプロセスにおいて、植物は、栽培空間(K)中の互いに重なり合って存在する栽培層(L)において、補助動力式運動要素によって、1方向または互いに対向する方向における栽培空間の長手方向(s)に搬送(w)される、システムにおいて、移動式溝農業において特に用いられる、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物を、栽培層固有の方法で、栽培空間(K)において処理する処理配列(2)を含み、処理配列は、まず、栽培溝およびそれに含まれる植物を、栽培空間(K)の各栽培層(L)において、栽培空間(K)の長手方向(s)において、互いに対向する方向に搬送(w)する運動要素(2a)を含み、そして他方、栽培溝およびそれに含まれる植物を、栽培空間の各栽培層(L)において、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理(P)する処理要素(2b)を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
処理配列の運動要素(2a)は、互いに対向する方向に向けられた栽培ライン(s1,s2)間の間隙(H)に存在する移送装置(2a1)であって、栽培溝を、第1の方向に進む栽培ラインから、第2の方向に進む栽培ラインまで横方向に移動(w2)させる移送装置(2a1)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
処理配列の処理要素(2b)は、栽培空間(K)の互いに対向する方向に向けられた栽培ライン(s1,s2)間の間隙(H)に存在する処理装置(2b1)であって、栽培溝1およびそれに含まれる植物を、横方向(w2)に、植物および栽培溝(1)を処理(p)するために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒のために、新しい基質の配設のために、植物の播種/植え付けのために、その事前灌漑のために、および/または同様の目的のために、ならびに/または、その植物および栽培溝(1)を戻すために、第2の方向に延びる栽培ライン(s2)から、第1の方向に延びる栽培ライン(s1)上に移動させるための処理装置(2b1)を含む、ことを特徴とする、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
処理配列は、移送装置(2a1)および処理装置(2b1)を含み、それらの装置は、リフトで操作され、栽培空間(K)の2またはそれ以上の重畳された栽培層(L)間に存在する栽培溝(1)およびそれに含まれる植物を、栽培層特有の方法で処理するために使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
最も好ましくは、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物を処理するための処理配列に設けられる、自動制御されるアクチュエータ(3)であって、たとえば、移送装置(2a1)に、および処理装置(2b1)に含まれ、栽培溝を保持し、栽培溝を横方向に移動(w2)させる把持移動要素(3a)、および/または、収穫、掻き取り、洗浄/消毒、基質の配設、種子/苗の播種/植え付け、および/または事前灌漑要素などの、アクチュエータ(3)を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に従った、多層原理で植物を成長させるための方法および配列に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明の目的は、栽培溝に植えられた植物が、互いに重なり合って存在する栽培層内の栽培空間の長手方向に、補助動力式運動要素によって運ばれる多層原理で、植物の成長を促進することである。
【0003】
この点で、従来の植物栽培技術は、特に、栽培される植物の根が、典型的には、泥炭からなる「根球」に含まれる、いわゆる移動式溝農業に代表される。そのような農業において使用される栽培溝の底に沿って、肥料溶液の薄い層が流れ、その溶液から植物の根が必要な栄養素と水とを得る。栽培溝は、典型的には、通常、白い硬質プラスチックで作られており、栽培される植物に合わせて、開いた上面を備えているか、植物用の穴だけが設けられてなる。この技術は、典型的には、鉢植えのレタスを植えるために、またはいわゆるベビーリーフ類の成長のために使用され、それらの植物は、栽培溝全体に亘る平らなカーペットの形で植えられる。栽培溝はさらに、典型的には、その一端部が閉じ、他端部が開いており、閉じた端部は、栽培溝の開口端部から収集トラフに自由に流れる肥料溶液を分配するために使用される。肥料溶液の必要な流量は、溝枠をその開放端部に向かって下に傾くように構築することにより、従来どおりに達成される。
【0004】
移動式溝技術によって行われる、いわゆる第一世代の多層農業においては、栽培溝は、栽培ラインの端から端まで栽培空間の1つの層を自動的に移動させるように構成されるが、栽培層に対しては、手動で上下に移動させる。第二世代のシステムでは、栽培溝は、最初に、ラインシステムの端部からリフトで下に運ばれ、一時保管場所(バッファストレージ)に運ばれて、たとえば収穫カッタなどのさらなる処理を待つ。これに続いて、栽培溝を排水溝の排水、消毒、再充填、播種、および事前灌漑に運び、その後、さらに次の一時保管場所に進み、リフトの折り返しを待って、持ち上げられて、栽培層に戻される。
【0005】
しかしながら、実際のニーズに応えて開発された第二世代のシステムは、現在利用できるものとしては、重大な欠点をかかえ続けている。その顕著な例の1つは、一時保管場所にかなりの数の栽培溝があって、それらが、移送リフトを待っている、または処理の段階を待っていることである。さらに、それに関連する機器の基部は非常に複雑で、システムの信頼性の高い動作を保証するために継続的なメンテナンス/維持を必要とする多数の可動部品が含まれる。さらに、特にバッファストレージ原理のために、そのようなシステムでは、栽培スペースに非常に広い床面積が必要である。さらに、栽培層から栽培溝を除去するリフトアセンブリは、議論された処理において重大なボトルネックとなり、たとえば、他のプロセス機器の稼動停止時間を生み出す。
【発明の概要】
【0006】
本発明に従った方法および配列の目的は、前述の問題に関する決定的な改善を提供し、それによって利用可能な技術水準を実質的に高めることである。この目的を達成するために、本発明の方法および配列は、主に、それらに向けられた独立請求項の特徴項に示されていることによって特徴付けられる。
【0007】
本発明の方法および配列によって得られる最も重要な利点としては、それに含まれる機器による解決手段とその使用との双方の簡便性と有効性とに言及すべきであって、それによって、特に移動式溝農業の費用対効果の顕著な改善が可能になる。これは、植物成長装置の、高額な、技術と自動化を要求するロジスティック部品および構成要素はすべて、非常にコンパクトでメンテナンスしやすい機器解決手段で実行できるからである。本発明に従えば、栽培溝は、栽培空間の長手方向に互いに対向する方向に並んだ栽培ラインシステムで動作する。したがって、栽培空間に存在する処理配列の運動要素は、好ましくは、栽培空間の、互いに対向する方向に向けられた栽培ラインの間に存在する移送装置を含み、これにより、栽培溝は、横方向の意味において、第1の方向を通過する栽培ラインであるものから、第2の方向を通過する栽培ライン上に移動される。このようなシステムのおかげで、栽培層から離れることなく、常に同じ平面で、同じ栽培層に、垂直に栽培溝が残るので、栽培空間の互いに対向する方向に向けられた栽培ラインの間に存在する処理装置を使用して、自動化して植物を成長させることができ、そして、それによって、栽培溝とその中に含まれる植物とが、植物および栽培溝の処理のために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒のために、新しい基質の配設のために、植物の播種/植え付けのために、その事前灌漑のために、および/または同様の目的のために、第2の方向に延びる栽培ラインから横方向に移動される。本発明の本質的な特徴は、栽培溝が、処理装置によって入(インカミング)ラインシステムから出(アウトゴーイング)ラインシステムに移動されると、その栽培溝は、同時に処理され、その後、その栽培溝は、処理装置を通過するとすぐに、次の栽培サイクルのための準備がされているということである。したがって、たとえば、ある処理段階から別の処理段階への栽培溝の操作を行わずに、栽培溝の前述のすべての処理工程が単一の操作で行われる。
【0008】
本発明は、別々の層において様々な植物種の生産を可能にし、その別々の層によって、そのようなシステムをかなり単純化し、生産プロセスにおいて様々な植物が互いに混ざることを防止する。しかしながら、その動作のために本発明の方法を使用するシステムは、自動化された処理を必ずしも含む必要はなく、たとえば、プラットフォームリフトを使用して、現在処理されている各栽培層の処理のために便利な高さに作業員および作業領域を上昇させることができ、それによって、栽培溝/テーブルの代わりに、作業者/機器だけがが垂直方向に移動する。
【0009】
本発明の方法および配列の、他の好ましい実施形態は、それに向けられた従属請求項に提示されている。
【0010】
以下の説明では、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1a】本発明の方法および配列の構築に関連するいくつかの例示的な装置の解決手段を、端面図で示す。
【
図1b】本発明の方法および配列の構築に関連するいくつかの例示的な装置の解決手段を、平面図で示す。
【
図1c】本発明の方法および配列の構築に関連するいくつかの例示的な装置の解決手段を、側面図で示す。
【
図2a】特に、処理配列で実行される栽培溝の横方向の移動に関連する、例示的な植物工学を平面図で示す。
【
図2b】特に、処理配列で実行される栽培溝の横方向の移動に関連する、例示的な植物工学を平面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、まず第一に、移動式溝農業において多層原理に基づいて植物を成長させるための方法に関し、この方法によって、栽培溝1に植えられた植物を成長させるプロセスにおいて、栽培空間の長手方向sにおいて、栽培空間K内において互いに重なりあって配設された栽培層L内で、前記植物は、1方向または互いに対向する方向に向けられた補助動力式運動要素によって搬送wされる。特に、移動式溝農業で使用される栽培溝1およびその中に含まれる植物は、栽培空間K内において、
図1a〜
図1cに示す原理に基づいて、栽培層特有の方法において、処理配列2によって処理され、その場合、栽培溝およびそれに含まれる植物は、まず、特に、
図1aおよび
図1bにおいて表されるように、栽培空間Kの各栽培層Lにおいて、運動要素2aによって、栽培空間の長手方向sにおいて、互いに対向する方向に運搬wされ、そして、他方において、栽培空間の各栽培層Lの処理要素2bによって、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理Pされる。
【0013】
本発明の方法の好ましい実施形態において、栽培溝は、移送装置2a1によって、第1の方向に進む栽培ラインs1から第2の方向に進む栽培ラインs2上に、横方向に移動w2され、移送装置2a1は、処理配列の運動要素2aに含まれ、互いに対向する方向に向けられた栽培ラインs1,s2の間の間隙Hに存在する。
【0014】
この文脈においてさらに好ましい方法の実施形態において、栽培溝1およびそれに含まれる植物は、処理配列の処理要素2bに含まれ、栽培ラインs1とs2との間の間隙Hにある処理装置2b1によって、横方向w2において、植物および栽培溝1を処理Pするために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒のために、新しい基質の配設のために、植物の播種/植え付けのために、その事前灌漑のために、および/または同様の目的のために、ならびに/または、その植物および栽培溝1を戻すために、第2の方向に延びる栽培ラインs2から、第1の方向に延びる栽培ラインs1上に移動される。
【0015】
本発明のさらに好ましい方法の実施形態において、栽培空間Kの2つまたはそれ以上の栽培層Lにおける栽培溝1、およびそれに含まれる植物は、搬送装置2a1および処理装置2b1で、栽培層固有の方法で処理され、これらの装置は、リフトによって操作され、処理配列2に含まれる。
【0016】
本発明のさらに好ましい方法の実施形態において、栽培溝1およびそれに含まれる植物は、アクチュエータ3で処理され、該アクチュエータは、処理配列2に設けられ、好ましくは、特に、
図2aおよび
図2bに参照されるように、移送装置2a1に、および処理装置2b1に含まれる把持要素3aであって、栽培溝1を保持し、栽培溝1を横方向に移動w2させることを可能にする把持要素3aと共に自動制御され、および/または、たとえば、処理装置2b1に含まれる、収穫、掻き取り、洗浄/消毒、基質の配設、種子/苗の植え付け、および/または事前灌注要素などと共に、自動制御される。
【0017】
本発明はまた、上記の方法を適用するためのシステムに関し、該システムは、特に
図1aおよび
図1bに参照されるように、特に、移動式溝農業で使用される栽培溝1、およびその中に含まれる植物を、栽培空間Kにおいて、栽培層特有の方法で処理するための処理配列2を含み、該処理配列2は、栽培溝およびそれに含まれる植物を、栽培空間Kの各栽培層Lにおいて、栽培空間の長手軸において、互いに対向する方向に搬送wするための運動要素2aと、栽培溝およびそれに含まれる植物を、栽培空間の各栽培層Lにおいて、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理Pするための処理要素2bとを含む。
【0018】
本発明にとってさらに好ましいシステムの実施形態において、特に
図2aおよび
図2bに参照されるように、その処理配列の運動要素2aは、互いに対向する方向に向けられた栽培ライン間s1,s2の間隙Hに存在する移送装置2a1であって、横方向において、栽培溝を、第1の方向に進む栽培ラインから、第2の方向に進む栽培ライン上に移動w2させるための移送装置2a1を含む。
【0019】
これに関連して、本発明のさらに好ましいシステムの実施形態において、処理配列2の処理要素2bは、互いに対向する方向に向けられた栽培ラインs1,s2間の間隙Hに存在する処理装置2b1であって、栽培溝1およびそれに含まれる植物を、横方向に、その植物および栽培溝1を処理Pするために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒をするために、新しい基質の配設をするために、植物の播種/植え付けをするために、その事前灌漑をするために、および/または同様の目的のために、ならびに/または、その植物および栽培溝1を戻すために、第2の方向に延びる栽培ラインs2から、第1の方向に延びる栽培ラインs1上に移動w2させるための処理装置2b1を含む。
【0020】
本発明のさらに好ましいシステムの実施形態において、処理配列2は、移送装置2a1および処理装置2b1を含み、それらの装置は、リフトによって操作され、栽培空間Kの2またはそれ以上の重畳された栽培層L間に存在する栽培溝1、およびそれに含まれる植物が、栽培層特有の方法で処理されることを可能にする。
【0021】
本発明のさらに好ましいシステムの実施形態において、その処理配列2は、最も好ましくは、自動制御アクチュエータ3を含み、該自動制御アクチュエータ3は、栽培溝1およびその中に含まれる植物を処理するための、たとえば、移送装置2a1および処理装置2b1に含まれる要素を把持および移動させて、栽培溝1をつかんでそれを横方向に移動w2させることを可能にするための、および/または収穫、掻き取り、洗浄/消毒、基質の配設、種子/苗植え、および/または事前灌漑要素、および/または同様のこと(ただし、図面ではより具体的には示されていない)をするための処理配列2内に設けられている。
【0022】
特に、
図2aおよび
図2bに参照されるように、上述の把持および移動要素は、駆動ローラ3a1によって実施され、該駆動ローラ3a1は、移送装置2a1および処理装置2b1に存在し、横方向に移動可能な移送アーム3aに含まれ、回転によって、それらアームの間に保持されている栽培溝1の横方向における移動を実行する駆動ローラ3a1によって実施される。
【0023】
移動式溝農業に関して、本発明は、いわゆる第三世代の垂直農業の原理を表しており、これは特に、好ましい実施形態において、たとえば、相並んでいる2つの栽培ラインにおいて連続的に栽培溝が周回しているので、栽培溝1の移動を最小限に抑えることができる。したがって、たとえば、
図1a〜
図1cおよび
図2a,
図2bに描かれた原理で、播種後に、栽培ラインは、図中右側の栽培ラインs1にある栽培層Lの前方に動き始め、栽培溝1間の相互の距離は、栽培溝が長手方向sに移動すると、現在栽培されている植物が必要とするスペースに応じて変化する。栽培溝が、問題の栽培ラインのもう一方の端部に到達すると、栽培溝は、
図2aおよび
図2bに参照されるように、たとえば、移送装置2a1によって、たとえば、
図2aおよび
図2bに表された動作原理によって、左側の栽培ラインs2の各栽培層L内に移動し、この時点で必要に応じて、栽培溝1間の相互距離が増加し続けながら、栽培溝は、収穫端部まで移動し続ける。栽培溝が、収穫端部に到達すると、栽培溝は処理装置2b1を通過し、その処理装置2b1のところで、好ましい実施形態においては、栽培溝1が、左側栽培ラインから右側栽培ライン上に移動する間、すべての処理手順を行うことが可能であり、たとえば、第2世代垂直農業解決手段における手順が、別の空間で実行される。
【0024】
本発明の実施の観点から、本発明の最も本質的な原理は、栽培溝1が、栽培層固有の栽培ラインs1,s2から、いかなる時にも移動されないということであるので、栽培空間において、栽培溝を操作するために、いかなるタイプの栽培ラインが使用されるのかについては、当然重要ではなく、それによって、栽培層は、栽培ラインの、収穫端部から前端部まで動くので、栽培溝およびその中に含まれる植物の、必要なすべての処理も、栽培層内で行われる。
【0025】
また、本発明の別の基本原理は、本発明を適用するシステムに含まれる処理配列および移送装置が、リフト操作構造体と一体に結合されることであり、これによって、たとえば、全栽培層を処理するために、このような処理装置を1つだけ使用することが可能とされる。他方、たとえば、2またはそれ以上の処理装置を上下に使用することによって、培養装置の処理速度を上げることが可能であり、それによって、栽培層固有の処理配列を必要とせずに、各装置が、いくつかの栽培層間を移動する際に、下層は、下層装置によって処理され、上層は、上層装置によって処理される。
【0026】
本発明は、上で述べた、または上で説明した実施形態に限定されず、本発明の基本概念内で必要に応じて変更できることは明らかである。したがって、まず第一に、本発明のシステムは、たとえば、
図1bにおいて破線で示され、いわゆる手動処理のための、
図1cに表された原理に基づく自動処理装置を多かれ少なかれ含み得ることは明らかであり、該装置は、システムの操作を可能とし、作業スペースHt内で垂直に移動可能な作業プラットフォーム上にいる作業者を、たとえば、処理されるべき各栽培層を処理するために、人間工学的に適切な高さまでプラットフォームリフトで持ち上げる。本発明のシステムはさらに、様々なレベルの自動化の柔軟な利用を可能にするものであり、たとえば、最低レベルでは、完全に手動である。自動化の次のレベルは、たとえば、自動化された収穫の利用を含むが、排水、洗浄、補充、および栽培溝の播種は手動で行われる。これ以降、プロセス段階は、完全に自動化された処理に至るまで柔軟な方法で自動化できる。
【0027】
本発明に関しては、どのような基質材料、栽培空間構造、または植物栽培に関連する他の技術、たとえば、植物用の梱包、計量などの機器が、それに関連して使用されるかということは実際上意味のないことであり、それに加えて、本発明の実装を、たとえば、栽培空間等の室内気候および照明条件に関する、本質的に従来からの装置解決手段および自動調整によって、変更することが可能である。
【0028】
本発明に従って動作する、特にリフト動作に関する、移送装置および処理装置のための設備工学関連の解決策は、ほぼ同一の特徴を用いて実施することが可能であり、したがって、処理に関連してツールを追加するだけでよい。この目的に使用されるリフトフレームは、たとえば必要なツールを都度毎にモジュール式に取り付けることができる、いわゆるモジュラーアパーチャパネルフレームとすることが可能であり、たとえば、以下のものが挙げられる:
・ヘッドレタスハーベスタ:100gを超える大きなレタスの球を根元で切り取り、コンベヤ上に落とすカッタ、
・ベビーリーフハーベスタ:はさみの原理か、または高速回転ブレードカッタのいずれかで、レタスマットを栽培溝の表面から切り取り、コンベヤ上に落とすカッタ、
・基質抽出器:基質を栽培溝から掻き取り、廃棄物コンベヤ上に落とす基質スクレーパ、
・圧力洗浄機:高圧水で栽培溝を洗浄するユニット、
・基質注入器:栽培溝に新しい基質を配設する装置、
・播種機:基板上に新しい種子を散布する装置、および
・栽培溝が栽培ラインの前端部に運ばれる前に、基質の事前灌漑を行う事前灌漑装置。
【手続補正書】
【提出日】2020年4月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式溝農業において多層原理で植物を栽培する方法であって、栽培溝(1)に植えられた植物を栽培するプロセスにおいて、植物は、栽培空間(K)中の互いに重なり合って存在する栽培層(L)において、補助動力式運動要素によって、1方向または互いに対向する方向における栽培空間の長手方向(s)に搬送(w)される、方法において、移動式溝農業において特に用いられる、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物は、栽培層固有の方法で、処理配列(2)によって、栽培空間(K)において処理され、これにより、栽培溝およびそれに含まれる植物は、一方で、栽培空間(K)の各栽培層(L)上で、運動要素(2a)によって、第1の栽培ライン(s1)において栽培空間の長手方向(s)に、その後、第2の栽培ライン(s2)において前記長手方向に対向する方向に搬送(w)され、そして他方で、栽培空間の各栽培層(L)上で、処理要素(2b)によって、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理(P)される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
栽培溝が、移送装置(2a1)によって、第1の栽培ライン(s1)から、第2の栽培ライン(s2)まで横方向に移動(w2)され、前記移送装置(2a1)は、処理配列の運動要素(2a)に含まれ、互いに対向する方向に向けられた栽培ライン間の間隙(H)に存在する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
栽培溝(1)およびそれに含まれる植物が、処理配列の処理要素(2b)内に含まれる処理装置(2b1)であって、栽培ライン(s1,s2)間の間隙(H)中に存在する処理装置(2b1)によって、横方向(w2)に、植物および栽培溝(1)を処理(P)するために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒のために、新しい基質の配設のために、植物の播種/植え付けのために、その事前灌漑のために、および/または同様の目的のために、ならびに/または、その植物および栽培溝(1)を戻すために、第2の栽培ライン(s2)から、第1の栽培ライン(s1)上に移動される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
栽培空間(K)の2またはそれ以上の栽培層(L)上の栽培溝(1)、およびそれに含まれる植物が、栽培層特有の方法で、移送装置(2a1)および処理装置(2b1)によって処理され、該各装置(2a1,2b1)は、リフトで操作され、処理配列(2)内に含まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
栽培溝(1)およびそれに含まれる植物は、処理配列(2)に設けられ、最も好ましくは、たとえば、移送装置(2a1)に、および処理装置(2b1)に含まれ、栽培溝(1)を保持し、栽培溝(1)を横方向に移動(w2)させることを可能にする把持要素(3a)と共に自動制御され、および/または、処理装置(2b1)に含まれる、収穫、掻き取り、洗浄/消毒、基質の配設、種子/苗の播種/植え付け、および/または事前灌漑要素などと共に、自動制御されるアクチュエータ(3)で処理されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
移動式溝農業において多層原理で植物を栽培するシステムであって、栽培溝(1)に植えられた植物を栽培するプロセスにおいて、植物は、栽培空間(K)中の互いに重なり合って存在する栽培層(L)において、補助動力式運動要素によって、1方向または互いに対向する方向における栽培空間の長手方向(s)に搬送(w)される、システムにおいて、移動式溝農業において特に用いられる、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物を、栽培層固有の方法で、栽培空間(K)において処理する処理配列(2)を含み、処理配列は、まず、栽培溝およびそれに含まれる植物を、栽培空間(K)の各栽培層(L)上で、第1の栽培ライン(s1)において栽培空間(K)の長手方向(s)に、その後、第2の栽培ライン(s2)において前記長手方向に対向する方向に搬送(w)する運動要素(2a)を含み、そして他方、栽培溝およびそれに含まれる植物を、栽培空間の各栽培層(L)上で、他の栽培層から実質的に独立した方法で、別個に処理(P)する処理要素(2b)を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
処理配列の運動要素(2a)は、互いに対向する方向に向けられた栽培ライン(s1,s2)間の間隙(H)に存在する移送装置(2a1)であって、栽培溝を、第1の栽培ラインから、第2の栽培ラインまで横方向に移動(w2)させる移送装置(2a1)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
処理配列の処理要素(2b)は、栽培空間(K)の互いに対向する方向に向けられた栽培ライン(s1,s2)間の間隙(H)に存在する処理装置(2b1)であって、栽培溝1およびそれに含まれる植物を、横方向(w2)に、植物および栽培溝(1)を処理(p)するために、たとえば、植物を収穫するために、基質廃棄物を除去するために、栽培溝の洗浄/消毒のために、新しい基質の配設のために、植物の播種/植え付けのために、その事前灌漑のために、および/または同様の目的のために、ならびに/または、その植物および栽培溝(1)を戻すために、第2の栽培ライン(s2)から、第1の栽培ライン(s1)上に移動させるための処理装置(2b1)を含む、ことを特徴とする、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
処理配列は、移送装置(2a1)および処理装置(2b1)を含み、それらの装置は、リフトで操作され、栽培空間(K)の2またはそれ以上の重畳された栽培層(L)上に存在する栽培溝(1)およびそれに含まれる植物を、栽培層特有の方法で処理するために使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
最も好ましくは、栽培溝(1)およびそれに含まれる植物を処理するための処理配列に設けられる、自動制御されるアクチュエータ(3)であって、たとえば、移送装置(2a1)に、および処理装置(2b1)に含まれ、栽培溝を保持し、栽培溝を横方向に移動(w2)させる把持移動要素(3a)、および/または、収穫、掻き取り、洗浄/消毒、基質の配設、種子/苗の播種/植え付け、および/または事前灌漑要素などの、アクチュエータ(3)を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】