特表2020-530818(P2020-530818A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-530818ゴムと発泡体とを直接結合させた複合材料
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  • 特表2020530818-ゴムと発泡体とを直接結合させた複合材料 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-530818(P2020-530818A)
(43)【公表日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】ゴムと発泡体とを直接結合させた複合材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 25/08 20060101AFI20201002BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20201002BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
   B32B25/08
   B32B5/18
   C08J9/04 101
   C08J9/04CES
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-571348(P2019-571348)
(86)(22)【出願日】2017年6月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月4日
(86)【国際出願番号】CN2017089956
(87)【国際公開番号】WO2019000155
(87)【国際公開日】20190103
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519452389
【氏名又は名称】パフォーマンス マテリアルズ エヌエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ツェン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ホアイリー
【テーマコード(参考)】
4F074
4F100
【Fターム(参考)】
4F074AA22
4F074AA98
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4F074AD08
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4F074BB02
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4F074CC06Y
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4F100AA20A
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4F100AJ11A
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4F100AL01A
4F100AL01B
4F100AL04A
4F100AN00A
4F100AN02A
4F100BA02
4F100BA07
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4F100CA02A
4F100DJ01B
4F100EJ02B
4F100EJ17
4F100GB74
4F100GB81
4F100JB12A
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【解決手段】 複合材料が開示され、この複合材料は、(a)硬化ゴムと、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層と、(b)架橋エチレンビニルアセテートと、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層とを含み、発泡体層が、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、ただし、第1のコポリマーまたは第2のコポリマーのいずれかが存在し、複合材料が、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料であって、
(a)硬化ゴムと、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセテートと、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層と、を含み、
前記発泡体層は、前記ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、ただし、前記第1のコポリマーまたは前記第2のコポリマーのいずれかが存在し、前記複合材料が、前記ゴム層と前記発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない、複合材料。
【請求項2】
前記第1のコポリマー中の前記カルボキシル基の量が、約0.05〜1重量%であり、前記第1のコポリマー中の前記無水物基の量が、約0.025〜1重量%であり、前記重量%が、前記ゴム層の総重量に基づく、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記第2のコポリマー中の前記カルボキシル基の量が、約0.05〜1重量%であり、前記第2のコポリマー中の前記グリシジルメタクリレート基の量が、約0.15〜3重量%であり、前記重量%が、前記発泡体層の総重量に基づく、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
カルボキシル基を有する前記第1のコポリマーが、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
無水物基を有する前記第1のコポリマーが、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸ターポリマー、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトエチレンビニルアセテートコポリマー、および無水マレイン酸グラフトエチレン−アルキルアクリレートコポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
カルボキシル基を有する前記第2のコポリマーが、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
グリシジルメタクリレート基を有する前記第2のコポリマーが、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレートコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の複合材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材料を含むか、またはそれから製造される物品。
【請求項9】
履物のソール、カーペット、ヨガマット、音響パネル、クッションボードとして使用される、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材料を調製する方法であって、
(1)ゴムと、硬化剤と、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含む混合物を硬化させてゴム層を得ることと、
(2)エチレンビニルアセテートと、架橋剤と、発泡剤と、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む混合物を発泡させて発泡体層を得ることと、
(3)前記ゴム層を前記発泡体層の少なくとも1つの表面に配置して組立品を得て、前記組立品をホットプレスして前記複合材料を得ることと、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、ゴム層と発泡体層とを含む複合材料、およびそれから製造される物品に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
履物は、典型的には、着用者の足の下に位置して足を地面または床面から離すように構成されたソールを含む。履物のソールは、所望の水準のクッション性を提供するように設計され得る。ソールは、ミッドソールとアウトソールとを含む組立品であってもよい。運動靴では、場合により、ミッドソールとしてエチレンビニルアセテート(EVA)発泡体層を使用し、アウトソールとしてゴム層を使用し、接合剤または接着フィルムで製造された少なくとも1つの接着層を介して、それら2つの層を合わせて結合する。ミッドソールとアウトソールとを結合するための接合剤のコーティングは、多大な労力を要するプロセスであり、これには、ミッドソールおよびアウトソールの表面の洗浄および乾燥、プライマーのコーティング、接合剤のコーティング、化学廃棄物の除去などが含まれる。上記のコーティングプロセスの複雑さがソール製造における障害である。ミッドソールとアウトソールとを結合する別の方法は、接着フィルム、すなわちEVAフィルムを介してそれらを合わせて積層することである。積層プロセス中、柔軟で粘着性のあるEVAフィルムを正しい位置に手動で配置して組み立てを行うことは、非常に困難である。さらに、接着フィルムが、はみ出して外観に問題が生じ、大量生産の効率が低下する可能性がある。上記のプロセスの複雑さおよび操作の難しさが、ソール製造における障害である。
【0003】
ソール製造プロセスにおける複雑さおよび操作の難しさを軽減するための技術の開発が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、複合材料が提供され、この複合材料は、
(a)硬化ゴムと、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセテートと、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層と、を含み、
発泡体層は、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、ただし、第1のコポリマーまたは第2のコポリマーのいずれかが存在し、複合材料が、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0005】
一実施形態では、第1のコポリマー中のカルボキシル基の量が、約0.05〜1重量%であり、第1のコポリマー中の無水物基の量が、約0.025〜1重量%であり、重量%が、ゴム層の総重量に基づく。
【0006】
一実施形態では、第2のコポリマー中のカルボキシル基の量が、約0.05〜1重量%であり、第2のコポリマー中のグリシジルメタクリレート基の量が、約0.15〜3重量%であり、重量%が、発泡体層の総重量に基づく。
【0007】
一実施形態では、カルボキシル基を有する第1のコポリマーが、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0008】
一実施形態では、無水物基を有する第1のコポリマーが、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸ターポリマー、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトエチレンビニルアセテートコポリマー、および無水マレイン酸グラフトエチレン−アルキルアクリレートコポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0009】
一実施形態では、カルボキシル基を有する第2のコポリマーが、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0010】
一実施形態では、グリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーが、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレートコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0011】
本明細書では、前述の複合材料を含むか、またはそれから製造される物品がさらに提供される。
【0012】
一実施形態では、物品は、履物のソール、カーペット、ヨガマット、音響パネル、クッションボードとして使用される。
【0013】
本明細書では、前述の複合材料を調製する方法がさらに提供され、この方法は、
(1)ゴムと、硬化剤と、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含む混合物を硬化させてゴム層を得ること、
(2)EVAと、架橋剤と、発泡剤と、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む混合物を発泡させて発泡体層を得ること、
(3)ゴム層を発泡体層の少なくとも1つの表面に配置して組立品を得て、その組立品をホットプレスして複合材料を得ることを含む。
【0014】
本開示によって、範囲が2つの端点で与えられる場合、範囲は2つの端点内にある任意の値および2つの端点のいずれかに等しいか、またはほぼ等しい任意の値を含むことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、ゴム層10と発泡体層20とを含む、本複合材料100のいくつかの実施形態の側面図を示し、発泡体層20は、ゴム層10と発泡体層20との間の界面に、いずれの接合剤または接着フィルムも含まず、ゴム層10に直接接着する少なくとも1つの表面を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0017】
本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を、本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料が本明細書に記載されている。
【0018】
特に明記しない限り、すべての割合、部分、比率などは、重量による。
【0019】
量、濃度、またはその他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、またはより低い好ましい値とより高い好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、範囲が個別に開示されているかどうかに関係なく、これは、任意のより低い範囲の制限または好ましい値と、任意のより高い範囲の限界または好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。本明細書で数値の範囲が列挙されている場合、特に指示しない限り、範囲はその端点、ならびに範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図している。本発明の範囲は、範囲を定義するときに列挙された特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0020】
用語「約」が、範囲の値または端点を記述する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または端点を含むと理解されるべきである。
【0021】
本明細書で使用される「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、「を特徴とする」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはその他の任意の変形は、非排他的包含を網羅することを目的としている。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的にリストされていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有のその他の要素を含んでもよい。さらに、明示的に別途記載がない限り、「または」は、包括的なまたはを指し、排他的なまたはではない。
【0022】
移行句「から本質的になる」は、クレームの範囲を特定の材料またはステップ、および特許請求された発明の基本的で新規の特性(複数可)に実質的に影響しないものに限定する。出願人が、「含む」などの開放型用語で発明またはその一部を定義した場合、特に指示しない限り、説明は、用語「から本質的になる」を使用してそのような発明も説明すると解釈されるべきである。
【0023】
「a」または「an」の使用は、本発明の要素および構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上のものであり、本発明の一般的な意味を与えるものである。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形が他を意味することが明らかでない限り、それには複数形も含まれる。
【0024】
特定のポリマーを説明する際に、出願人は、ポリマーを製造するために使用されるモノマー、またはポリマーを製造するために使用されるモノマーの量によりポリマーを指していることがある。そのような説明には、最終ポリマーを説明するために使用される特定の命名法が含まれていないか、またはプロダクト・バイ・プロセス専門用語が含まれていない可能性があるが、モノマーおよび量へのそのような任意の言及は、ポリマーが、それらのモノマーの共重合単位またはそのモノマーの量、ならびにそれに対応するポリマーおよびその組成物を含むことを意味すると解釈されるべきである。
【0025】
用語「コポリマー」は、2つ以上のモノマーの共重合によって形成されるポリマーを指すために使用される。そのようなコポリマーには、本質的に2つの共重合コモノマーからなるジポリマーが含まれる。
【0026】
本明細書の材料、方法、および例は例示にすぎず、具体的に述べられている場合を除き、限定することを意図しない。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を、本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料は、本明細書に記載されている。
【0027】
本開示について、以下で詳細に説明する。
【0028】
コポリマー
本発明で使用されるコポリマーは、硬化ゴムおよび/またはEVA発泡体を改質し、将来、ゴム層と発泡体層との間の結合強度を改善するために使用され、発泡体層は、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、複合材料は、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0029】
本発明では、カルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーを使用して、ゴム層中の硬化ゴムを改質する。
【0030】
一実施形態では、第1のコポリマーは、カルボキシル基を有し、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマーおよびエチレン−メタクリル酸コポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
さらなる実施形態では、第1のコポリマーは、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマーである。
【0032】
第1のコポリマーとして使用されるエチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマーは、約75〜95重量%のエチレンと約5〜25重量%のマレイン酸モノエチルエステルとを含むコポリマーであり、重量%は、第1のコポリマーの総重量に基づく。
【0033】
一実施形態では、第1のコポリマーのメルティングインデックス(MI)は、ASTM D1238に従って約190℃で測定した場合、約5〜400g/10分の範囲、または約10〜200g/10分の範囲にある。
【0034】
さらなる実施形態では、第1のコポリマーは、約90重量%のエチレンと約10重量%のマレイン酸モノエチルエステルとを含み、ASTM D1238に従って190℃で測定した場合、25g/10分のMIを有するコポリマーであり、重量%は、第1のコポリマーの総重量に基づく。
【0035】
一実施形態では、第1のコポリマーに含まれるカルボキシル基の量は、約0.05〜1重量%、または約0.1〜0.2重量%であり、重量%はゴム層の総重量に基づく。
【0036】
一実施形態では、第1のコポリマーは、無水物基を有し、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸ターポリマー、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトエチレンビニルアセテートコポリマー、および無水マレイン酸グラフトエチレン−アルキルアクリレートコポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
さらなる実施形態では、第1のコポリマーは、無水マレイン酸グラフトエチレンビニルアセテートコポリマーである。
【0038】
さらに別の実施形態では、第1のコポリマーは、約60〜90重量%のエチレンと、約9.9〜37重量%のビニルアセートと、約0.1〜3重量%のグラフト無水マレイン酸とを含むコポリマーであり、重量%は、第1のコポリマーの総重量に基づく。
【0039】
一実施形態では、第1のコポリマーに含まれる無水物基の量は、約0.025〜1重量%、または約0.1〜0.2重量%であり、重量%は、ゴム層の総重量に基づく。
【0040】
第1のコポリマーを調製する方法は、当該技術分野において周知である。本発明にて使用される第1のコポリマーは、例えば、DuPontからNUCREL(登録商標)またはFUSABOND(登録商標)が市販されている。
【0041】
本発明において、カルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーは、発泡体層中の架橋EVAを改質するために使用される。
【0042】
一実施形態では、第2のコポリマーが、カルボキシル基を有し、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
さらなる実施形態では、第2のコポリマーは、エチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマーである。
【0044】
第2のコポリマーとして使用されるエチレン−マレイン酸モノエチルエステルコポリマーは、約75〜95重量%のエチレンと約5〜25重量%のマレイン酸モノエチルエステルとを含むaeコポリマーであり、重量%は、第1のコポリマーの総重量に基づく。
【0045】
一実施形態では、第2のコポリマーのMIは、ASTM D1238に従って約190℃で測定した場合、約5〜400g/10分の範囲、または約10〜200g/10分の範囲にある。
【0046】
さらなる実施形態では、第2のコポリマーは、約90重量%のエチレンと約10重量%のマレイン酸モノエチルエステルとを含み、ASTM D1238に従って約190℃で測定した場合、約25g/10分のMIを有するコポリマーであり、重量%は、第2のコポリマーの総重量に基づく。
【0047】
一実施形態では、第2のコポリマーに含まれるカルボキシル基の量は、約0.05〜1重量%、または約0.1〜0.2重量%であり、重量%は、発泡体層の総重量に基づく。
【0048】
一実施形態では、第2のコポリマーは、グリシジルメタクリレート基を有し、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレートコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
さらなる実施形態では、第2のコポリマーは、エチレン−ビニルアセテート−グリシジルメタクリレートコポリマーである。
【0050】
さらに別の実施形態では、第2のコポリマーは、約65〜94重量%のエチレンと、約5〜20重量%のビニルアセートと、約1〜15重量%のグリシジルメタクリレートとを含むコポリマーであり、重量%は、第2のコポリマーの総重量に基づく。
【0051】
一実施形態では、第2のコポリマーは、ASTM D1238に従って約190℃で測定した場合、約1〜25g/10分のMIを有する。
【0052】
一実施形態では、第2のコポリマーに含まれるグリシジルメタクリレート基の量は、約0.15〜3重量%、または約0.2〜0.5重量%であり、重量%は、発泡体層の総重量に基づく。
【0053】
第2のコポリマーを調製する方法は、当該技術分野において周知である。本発明に用いられる第2のコポリマーは、例えば、DuPontからNUCREL(登録商標)、FUSABOND(登録商標)またはELVALOY(登録商標)が市販されている。
【0054】
ゴム層
本発明におけるゴム層は、硬化ゴムを含むか、または硬化ゴムと、カルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含む。
【0055】
本発明における硬化ゴムは、硬化剤の添加により天然ゴムまたは合成ゴムをより耐久性のある材料に硬化させ、個々のポリマー鎖間に架橋を形成する製品である。本明細書で使用される用語「硬化」は、ポリマー鎖の架橋によるゴムの強化または硬化を意味する。ゴムにおいて、硬化プロセスは加硫とも呼ばれる。
【0056】
本発明で使用される天然ゴムの例は、ポリイソプレン系ゴムである。本発明で使用される合成ゴムの例には、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリロニトリルブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、イソプレン−イソブチレンコポリマーゴム、エチレンプロピレン−ジエンコポリマーゴム、ブタジエンエチレンコポリマーゴム、ブタジエンイソプレンコポリマーゴム、ポリペンテナマーゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0057】
一実施形態では、本発明で使用されるゴムは、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
さらなる実施形態では、本発明で使用されるゴムは、約50〜90重量%のポリブタジエンゴムと、約5〜25重量%のアクリロニトリルブタジエンゴムと、約5〜25重量%のポリイソプレンゴムとを含み、重量%は、ゴムの総重量に基づく。
【0059】
さらに別の実施形態では、本発明で使用されるゴムは、約50〜90重量%のポリブタジエンゴムと約10〜50重量%のアクリロニトリルブタジエンゴムとを含み、重量%は、ゴムの総重量に基づく。
【0060】
さらに別の実施形態では、本発明で使用されるゴムは、約50〜90重量%の天然ゴムと約10〜50重量%のスチレンブタジエンゴムとを含み、重量%は、ゴムの総重量に基づく。
【0061】
本発明におけるゴム層は、ゴムと、硬化剤と、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーと、任意に他の添加剤との反応から誘導される。
【0062】
本発明で使用される硬化剤は、硫黄、有機硫化物、ジスルフィドまたはポリスルフィド化合物などの一般的に使用される硬化剤である。本発明で使用される硬化剤の例は、モルホリンジスルフィド、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、テトラメチルスリウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0063】
一実施形態では、本発明で使用される硬化剤は、硫黄である。
【0064】
ゴム層に使用される他の添加剤は、一般的に使用されており、当該技術分野において周知である。ゴム層に使用される他の添加剤の例には、活性剤、充填剤、加工助剤、促進剤、染料および顔料を含む着色剤、抗UV剤、ならびに抗酸化剤を含むが、それらに限定されない。
【0065】
ゴム層に使用される活性剤は、硬化反応を活性化するためのものである。本発明で使用される活性剤の例には、酸化亜鉛およびステアリン酸が含まれるが、それらに限定されない。
【0066】
ゴム層に使用される充填剤は、ゴムの機械的特性を調整するためのものである。本発明で使用される活性剤の例には、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよびタルクが含まれるが、それらに限定されない。
【0067】
ゴム層で使用される加工助剤は、溶融材料の粘度を調整するためのものである。本発明で使用される加工助剤の例には、油、ワックス、およびポリエチレングリコールが含まれるが、それらに限定されない。
【0068】
ゴム層に使用される促進剤は、ゴムの硬化速度を速めるためのものである。本発明で使用される促進剤の例には、2,2’−ジベンゾチアゾールジスルフィドおよびテトラキス(フェニルメチル)チオペルオキシジ(カルボチオアミド)が含まれるが、それらに限定されない。
【0069】
ゴムを硬化させる方法は、当該技術分野において周知である。例えば、ゴムと、硬化剤と、その他の添加剤と、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを混合して混合物を得て、約100〜170℃の温度および約1〜20MPaの圧力で、金型内にて混合物を加熱し、個々のポリマー鎖間に架橋を形成して、硬化ゴム、または硬化ゴムとカルボキシル基もしくは無水物基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層を得る。
【0070】
発泡体層
本発明の発泡体層は、架橋EVAを含むか、架橋EVAとカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む。
【0071】
本発明で使用される架橋EVAは、個々のポリマー鎖間に架橋を有するエチレンとビニルアセテートのコポリマーである。
【0072】
一実施形態では、ビニルアセートの量は、約10〜49重量%、または約20〜45重量%であり、重量%は、架橋エチレンビニルアセテートの総重量に基づく。
【0073】
本発明における発泡体層は、EVAを発泡させて、独立気泡を形成し、EVA中の個々のポリマー鎖間で架橋することにより製造される。発泡EVAの膨張率は、約150%〜200%の範囲にあり、本明細書で使用される膨張率は、最終発泡体の辺の長さの、発泡のための原材料で満たされた金型の辺の長さに対する比として定義される。発泡EVAの密度は、約0.1〜0.4g/cmの範囲にある。
【0074】
本発明における発泡体層は、EVAと、架橋剤と、発泡剤と、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基と、任意に他の添加剤とを有する第2のコポリマーの反応から誘導される。
【0075】
発泡体層に使用される架橋剤の例には、ジクミルペルオキシド、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、およびベンゾイルペルオキシドが含まれるが、それらに限定されない。
【0076】
発泡体層に使用される発泡剤の例には、アゾビスホルムアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルトラジドが含まれるが、それらに限定されない。
【0077】
発泡体層に使用される他の添加剤は、一般的に使用されており、当該技術分野において周知である。発泡体層に使用される他の添加剤の例には、活性剤、充填剤、加工助剤、促進剤、染料および顔料を含む着色剤、抗UV剤、ならびに抗酸化剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0078】
本発明で使用される活性剤の例には、酸化亜鉛およびステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
発泡体層で使用される充填剤は、発泡体層の機械的特性または色を調整するためのものである。本発明で使用される充填剤の例には、シリカ、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウムおよびタルクが含まれるが、それらに限定されない。
【0080】
EVAを発泡させて発泡体層を得る方法は、当該技術分野において周知である。例えば、EVAと、架橋剤と、発泡剤と、他の添加剤と、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第2のコポリマーとを混合して混合物を得て、約160〜180℃の温度で金型内にて混合物を加熱し、独立気泡および個々のポリマー鎖間で架橋を形成し、架橋EVAを含む発泡体層、または架橋EVAとカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層を得る。
【0081】
複合材料の調製方法
本明細書では、前述の複合材料を調製する方法がさらに開示される。
【0082】
前述の複合材料は、以下のように調製することができる。
(1)ゴムと、硬化剤と、任意にカルボキシル基または無水物基を有する第1のコポリマーとを含む混合物を硬化させて、ゴム層を得る、
(2)EVAと、架橋剤と、発泡剤と、任意にカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む混合物を発泡させて、発泡体層を得る、
(3)ゴム層を発泡体層の少なくとも1つの表面に配置して組立品を得て、その組立品をホットプレスして複合材料を得る。
【0083】
プロセスのステップ(3)では、約120〜180℃または約150〜170℃の温度で、1〜10MPaの圧力にてホットプレスが行われる。
【0084】
プロセスのステップ(1)において、得られた硬化ゴムの硬化度は、硬化時間および温度を調整することにより約50〜100%に調節される。用語「硬化度(curing degree)」または「硬化度(degree of curing)」は、架橋反応の程度として理解されるべきであり、ASTM D5289に従ってムービングダイレオメーター(MDR)で測定され、硬化度は、架橋反応が完了したときの最大トルク値に対する一定時間でのトルク値の割合として、「%」単位を用いて定義される。プロセスのステップ(3)において、100%未満の硬化度を有する硬化ゴムは、ホットプレス後に硬化度100%になるまでさらに硬化された。
【0085】
物品
本明細書では、前述の複合材料を含むか、またはそれから製造される物品がさらに開示される。物品は、履物のソール、カーペット、ヨガマット、音響パネル、クッションボードとして使用される。
【0086】
一実施形態では、物品は、前述の複合材料から製造された履物のソールであり、履物のソールは、ミドルソールとアウターソールとを含み、ゴム層は、アウトソールとして使用され、発泡体層は、ミドルソールとして使用される。
【0087】
本発明の複合材料のゴム層および発泡体層は、それから作られた物品の金型に応じて、任意の形状および任意のサイズとすることができる。例えば、ゴム層は、履物のソールではアウトソールの形状を有し、発泡体層は、履物のソールではミドルソールの形状を有する。一実施形態では、ゴム層および発泡体層は、それぞれ独立して、約0.1〜100mmまたは約0.5〜50mmの厚さを有する。
【0088】
本明細書に開示される複合材料は、従来の接合剤または接着フィルムを有しないが、良好な結合強度を有する。本複合材料の結合強度は、ゴム層と発泡体層との間の剥離強度により評価される。ゴム層と発泡体層とを剥離するためにより大きな強度が必要な場合、それらの層の間の結合強度がより高いことを意味する。本明細書で使用される場合、用語「剥離強度」は、発泡体層からゴム層を剥離することによる最大強度を指す。
【0089】
物品は、本発明の複合材料を含む、本質的にそれからなる、それからなる、またはそれから製造され、複合材料は、その優れた層間結合強度により高い構造的完全性を有する。さらに、本発明の複合材料は、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まないだけでなく、ソール製造プロセスの複雑さおよび難しさも低減し、プロセス効率を改善するため、自動化生産のために機械を導入することが可能である。
【0090】
本発明の物品は、履物のソール、カーペット、ヨガマット、音響パネル、またはクッションボードとして有用であり、好ましくは0.9N/mm超、または1.2N/mm、または1.5N/mm以上の剥離強度を有する。
【0091】
さらに詳述することなく、前述の説明を用いる当業者は、本発明を最大限に利用できると考えられている。したがって、以下の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる形であれ本開示を限定するものではない。
【実施例】
【0092】
略語「E」は「実施例」を表し、「CE」は「比較例」を表し、その後にどの実施例で複合材料が調製されたかを示す番号が続く。実施例および比較例は、すべて同様の方法で調製および試験された。略語「pbw」は、「重量部」を表す。
【0093】
材料:
●ゴム:ニトリルブタジエンゴム(25pbw、Petro China CO.Ltd.から入手)とブタジエンゴム(75pbw、Sinopec Co.Ltd.から入手)との混合物
●活性剤−1:酸化亜鉛(3.5pbw、粉末、純度>99%、Sino Reagent Co.,Ltd.から入手)とステアリン酸(1pbw、ペレット純度>99%、Sino Reagent Co.Ltdから入手)との混合物
●充填剤−1:シリカ、粉末、商品名Ultrasil(登録商標)VN3でDegussaから入手
●加工助剤:大豆油(3pbw、Aladdin reagentから入手)と、ワックス(0.5pbw、Aladdin reagentから入手)とポリエチレングリコール(2.5pbw分子量:4000、Sino Reagent Co.Ltd.から入手)との混合物
●促進剤:2,2’−ジベンゾチアゾールジスルフィド(0.6pbw、CAS番号120−78−5、Willing Chem.Co.から入手)とテトラキス(フェニルメチル)チオペルオキシジ(カルボチオアミド)(0.2pbw、CAS番号10591−85−2、Willing Chem.Coから入手)との混合物
●硬化剤:硫黄、粉末、純度>99%、Sino Reagent Co.Ltdから入手
●EVA:EVAの総重量に基づき、75重量%のエチレンと25重量%のビニルアセテートとを含むコポリマー、ASTM D1238に従って190℃で測定したMIが3g/10分、DuPontから入手
●活性剤−2:酸化亜鉛(1pbw、粉末、純度>99%、Sino Reagent Co.,Ltd.から入手)とステアリン酸(0.5pbw、ペレット純度>99%、Sino Reagent Co.,Ltd.から入手)との混合物
●充填剤−2:二酸化チタン(2.5pbw、Chemoursから入手)とタルク(5pbw、Haicheng(China),Co.Ltd.から入手)との混合物
●発泡剤:アゾビスホルムアミド、Haihong(China)Co.Ltd.から入手
●架橋剤:1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、Haili(China)Co.Ltd.から入手
●第1のコポリマー:第1のコポリマーの総重量に基づき、90重量%のエチレンと10重量%のマレイン酸モノエチルエステルとを含むコポリマー、ASTM D1238に従って190℃で測定したMIが25g/10分、DuPontから入手
●第2のコポリマー−1:第1のコポリマーの総重量に基づき、90重量%のエチレンと10重量%のマレイン酸モノエチルエステルとを含むコポリマー、ASTM D1238に従って190℃で測定したMIが25g/10分、DuPontから入手
●第2のコポリマー−2:76重量%のエチレンと、15重量%のビニルアセテートと、9重量%のグリシジルメタクリレートとを含むコポリマー、ASTM D1238に従って190℃で測定したMIが8g/10分、DuPontから入手
【0094】
比較例CE1および実施例E1〜E11
CE1およびE1〜E11のそれぞれで、複合材料を次のようにして調製した。
【0095】
最初のステップ:ゴム層の調製
ゴムと、充填剤−1と、活性剤−1と、加工助剤と、任意に第1のコポリマーとをミキサー機(Brabender)にて130℃で混合して混合物を得た後、硬化剤と、促進剤と、混合物とをカレンダーするために2本ロールミル(Wei Fu Hsing Machinery製)に加え、約2.5mmの厚さを有するゴムスラブを得る。ゴムスラブは、硬化のために金型(サイズ:140mm×140mm×2mm)に入れられ、約2mmの厚さを有するゴム層を得た。各ゴム層(R1〜R4)の組成を表1に示す。略語「R」は「ゴム層」を表し、その後にゴム層がどの組成物で調製されているかを示す数字が続く。
【0096】
また、表1には、各ゴム層のカルボキシル基の量が記載されており、各組成物中の第1のコポリマーの量によって計算される。例えば、R2の組成物では、第1のコポリマーの量が、2.5/156×100%=1.6重量%であり、第1のコポリマーのカルボキシル基の量が、10重量%(第1のコポリマーのマレイン酸モノエチルエステルの含有量)×45(カルボキシルの分子量)/144(マレイン酸モノエチルエステルの分子量)=3.1重量%であり、結果として、カルボキシル基の量が、1.6重量%×3.1重量%=0.05重量%であり、ゴム層の総重量に基づく。
【0097】
2番目のステップ:発泡体層の調製
各発泡体層に使用される原材料(表2に記載)を配合してEVA化合物を得た後、約175℃で約460秒間、EVA化合物をファイロン機(King Steel製靴製造機、型番KS−C901ULY1)の密閉金型(サイズ:185mm×120mm×10mm)に保持し、金型を開いて約30〜60℃で約30分間冷却し、約12mmの厚さおよび約150%〜160%の膨張率を有する発泡体層を得た。各発泡体層の組成物(F1〜F3)を表2に示す。略語「F」は「発泡体層」を表し、その後に発泡体層がどの組成物で調製されるかを示す数字が続く。また、各発泡体層のカルボキシル基またはグリシジルメタクリレート基の量を表2に示した。
【0098】
3番目のステップ:ホットプレス
エタノールおよび水を使用して各ゴム層および発泡体層を洗浄し、室温で乾燥させた。金属フレーム金型(サイズ:200mm×200mm×6mm)をホットプレスした。剥離紙を金型の底部に配置して、ホットプレス後に金型から調製された複合材料を最終的に除去しやすくし、発泡体層およびゴム層を剥離紙上に連続的に配置して組み立てを行い、2番目の剥離紙を組立品の上部に置き、金型を閉じて、約160℃で約6分間、ホットプレス機で約10MPaの圧力でホットプレスした。ホットプレスの後、金型をホットプレス機から取り出し、複合材料を金型から除去し、周囲温度まで冷却した。実施例および比較例における複合材料の組成を表3に示す。本明細書で複合材料の組成を説明するために使用する場合、「/」は、各特有の層をその中の隣接層(複数可)と分けるために使用される。したがって、本複合材料の組成は、「R/F」と表され得る。
【0099】
剥離強度測定
各サンプルをカットして、3つの試験片(すなわち、100.0mm×25.4mmの長方形)を得た。各試験片をInstron(商標登録)材料試験機(Instron(商標登録)社製、型番5567)のサンプルホルダーに固定した。180℃剥離強度は、12インチ(104.8mm)/分のクロスヘッド速度および1kNの負荷で測定された。3つの試験片の剥離強度の平均値を、N/mm単位で剥離強度として記録し、表3に記載した。
【表1】
【表2】
【表3】
*:この「/」は、各特有の層を隣接する層(複数可)と分けるために使用される。
【0100】
表3の結果から、以下の説明が明らかである。
【0101】
カルボキシル基を有しない同じ発泡体層と様々な量のカルボキシル基をもつゴム層とを有するE1〜E3とCE1を比較すると、E1〜E3の複合材料は、CE1の複合材料の剥離強度の改善よりも驚くほどの改善を提供する。
【0102】
一実施形態では、本発明の複合材料は、
(a)硬化ゴムと、カルボキシル基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセテートを含む発泡体層と、を含み、
発泡体層は、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、複合材料は、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0103】
E4〜E7とCE1を比較すると、E4〜E7の複合材料は、CE1の複合材料の剥離強度の改善よりも驚くほどの改善を提供する。E4〜E7の複合材料の積層体の優れた剥離強度データは、発泡体層中のカルボキシル基の組み込みに起因する場合がある。E5〜E7とE4を比較すると、E5〜E7の複合材料は、E4の複合材料よりも驚くほどの剥離強度の改善を提供する。E5〜E7の複合材料の積層体の剥離強度データのさらなる改善は、ゴム層と発泡体層の両方の中のカルボキシル基の組み込みに起因する場合がある。
【0104】
一実施形態では、本発明の複合材料は、
(a)硬化ゴムを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセテートとカルボキシル基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層と、を含み、
発泡体層が、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、複合材料が、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0105】
別の実施形態では、本発明の複合材料は、
(a)硬化ゴムと、カルボキシル基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセートとカルボキシル基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層と、を含み、
発泡体層が、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、複合材料が、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0106】
E8〜E11とCE1を比較すると、E8〜E11の複合材料は、CE1の複合材料よりも驚くほどの剥離強度の改善を提供する。E8〜E11の複合材料の積層体の優れた剥離強度データは、発泡体層中のグリシジルメタクリレート基の組み込みに起因する場合がある。
【0107】
一実施形態では、本発明の複合材料は、
(a)硬化ゴムを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセテートと、任意にグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層と、を含み、
発泡体層が、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、複合材料が、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0108】
別の実施形態では、本発明の複合材料は、
(a)硬化ゴムと、カルボキシル基を有する第1のコポリマーとを含むゴム層と、
(b)架橋エチレンビニルアセートと、任意にグリシジルメタクリレート基を有する第2のコポリマーとを含む発泡体層と、を含み、
発泡体層が、ゴム層に直接接着する少なくとも1つの表面を有し、複合材料が、ゴム層と発泡体層との間の界面に接合剤または接着フィルムを含まない。
【0109】
典型的な実施形態で本発明を図示し説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な修正および代用が可能であるため、示された詳細に限定されることを意図しない。したがって、本明細書に開示された本発明の修正および同等物が、当業者に思い浮かぶ可能性がある。

図1
【国際調査報告】