特表2020-531176(P2020-531176A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-531176呼吸器疾患治療のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-531176(P2020-531176A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】呼吸器疾患治療のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20201009BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20201009BHJP
【FI】
   A61M16/10 B
   A61M16/00 370Z
   A61M16/00 315
   A61M16/00 355Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2020-511533(P2020-511533)
(86)(22)【出願日】2018年8月24日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月24日
(86)【国際出願番号】AU2018050904
(87)【国際公開番号】WO2019036768
(87)【国際公開日】20190228
(31)【優先権主張番号】2017903443
(32)【優先日】2017年8月25日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512249102
【氏名又は名称】レスメド・パリ・ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ディケンズ,ポール・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ディオン・チャールズ・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】テシエ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォダルチク,ピーター
(57)【要約】
酸素濃縮器(100)装置および、酸素富化ガスを効率的に放出して潜在的無駄を低減するような該装置の作動制御方法。この制御方法は、ユーザの最小吸気流れプロファイルなどのプロファイルを生成することを含み得る。このプロファイルは、ユーザのサイズパラメータに基づき得る。本方法において、酸素富化ガスのボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータは、生成された流れプロファイルにおいて決定され得る。次に、本制御方法は、決定された1つ以上の制御パラメータに従って、例えば供給弁のためのボーラス放出制御信号を生成し得る。次に、酸素濃縮器は、制御信号に従って、例えば無駄の低減のために、ユーザのための酸素富化ガスのボーラスを放出および送達し得る。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮器のコントローラを用いて酸素富化ガス放出を制御する方法であって、
前記ユーザのサイズパラメータに基づいてユーザの最小吸気流れプロファイルを生成することと、
前記生成された最小吸気流れプロファイルに基づいて、酸素富化ガスのボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することと、
前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を前記コントローラにより生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記最小吸気流れプロファイルに基づいて前記ユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み、前記1つ以上の制御パラメータは、前記計算された肺胞時間にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の制御パラメータに対する送達エンベロープを前記最小吸気流れプロファイルから導出することと、前記1つ以上の制御パラメータを前記送達エンベロープ内に限定することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最小吸気流れプロファイルに基づいて前記ユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み、前記送達エンベロープは、前記計算された肺胞時間にさらに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザの前記サイズパラメータは身長であり、前記身長から前記ユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み、前記肺胞時間は、前記推定された解剖学的死腔に基づく、請求項2および4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素濃縮器または前記ユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号を生成することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のセンサ信号から前記ユーザの吸気時間を推定することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最小吸気流れプロファイルは、前記推定された吸気時間にさらに基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸素濃縮器の設定に基づいて前記ボーラスの量を決定することをさらに含み、前記1つ以上の制御パラメータは、前記決定されたボーラス量にさらに基づく、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ボーラスの量を決定することは、前記ユーザの呼吸速度にさらに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸素濃縮器または前記ユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号から前記ユーザの前記呼吸速度を推定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の制御パラメータを決定することは、
前記最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満の開始遅延を設定することと、
前記開始遅延とボーラス継続期間との間の前記最小吸気流れプロファイルに対応するように、ボーラス振幅プロファイルを設定することと、
前記ボーラス振幅プロファイルおよび前記決定されたボーラス量に基づいて、前記ボーラス継続期間を演算することと、
を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の制御パラメータを決定することは、
前記最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満の開始遅延を設定することと、
前記開始遅延からボーラス継続期間にわたる範囲における前記開始遅延において、ボーラス振幅プロファイルを前記最小吸気流れプロファイルの値に等しく設定することと、
前記ボーラス振幅プロファイルおよび前記決定されたボーラス量に基づいて、前記ボーラス継続期間を演算することと、
を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記最小吸気流れプロファイルに基づいて前記ユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み、前記開始遅延は、前記計算された肺胞時間未満である、請求項12〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記サイズパラメータは前記ユーザの身長であり、前記ユーザの前記身長から前記ユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み、前記計算された肺胞時間は、前記推定された解剖学的死腔にさらに基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の制御パラメータを決定することは、
前記最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満のボーラス継続期間を設定することと、
開始遅延と前記ボーラス継続期間との間の前記最小吸気流れプロファイルに追随するようにボーラス振幅プロファイルを設定することと、
前記ボーラス振幅プロファイルおよび前記決定されたボーラス量に基づいて、前記開始遅延を演算することと、
を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の制御パラメータを決定することは、
前記最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満のボーラス継続期間を設定することと、
前記開始遅延から前記ボーラス継続期間にわたる範囲における開始遅延において、ボーラス振幅プロファイルを前記最小吸気流れプロファイルの値に等しく設定することと、
前記ボーラス振幅プロファイルおよび前記決定されたボーラス量に基づいて、前記開始遅延を演算することと、
を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記最小吸気流れプロファイルに基づいて前記ユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み、前記ボーラス継続期間は、前記肺胞時間未満である、請求項16〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記サイズパラメータは、前記ユーザの身長であり、前記ユーザの前記身長から前記ユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み、前記肺胞時間は、前記解剖学的死腔にさらに基づく、請求項18の方法。
【請求項20】
前記ボーラス放出制御信号に従って送達されるボーラスの有益作用を推定することと、
前記最小吸気流れプロファイルおよび前記推定された有益作用に基づいて、酸素富化ガスの追加ボーラスを特徴付ける1つ以上のさらなる制御パラメータを決定することと、
前記決定された1つ以上のさらなる制御パラメータに従って、さらなるボーラス放出制御信号を前記コントローラにより生成することと、
をさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記酸素濃縮器の入力インターフェースからのブースト信号を前記コントローラ内において受信することと、これに応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出を前記酸素濃縮器の前記コントローラにより制御することとをさらに含み、前記1つ以上のブーストボーラスの放出ボーラスの酸素富化ガスの合計量は、(1)前記入力インターフェースにおいて設定されたような前記酸素濃縮器の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したものを含む、
請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記コントローラは、所定の時間の後にまたは前記酸素濃縮器の前記入力インターフェースからのさらなる信号に応答して、前記酸素富化ガスの追加量の放出を中止する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の制御パラメータを決定することは、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上を低減させるように、前記制御パラメータを計算することを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
送達デバイスを介した前記ユーザへの送達のための前記ボーラス放出制御信号に従って酸素富化ガスのボーラスを放出させることをさらに含み、これにより、前記送達されたボーラスにより、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上が低減される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
酸素濃縮器装置であって、
少なくとも2つのキャニスタと、
前記少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤であって、前記ガス分離吸着剤により、前記少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素が分離されて、酸素富化ガスが生成される、ガス分離吸着剤と、
圧縮システムであって、
前記キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサであって、前記コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる、コンプレッサと、
前記コンプレッサへ接続されたモータであって、前記モータにより前記コンプレッサの動作が駆動される、モータとを含む、前記圧縮システムと、
前記キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータであって、前記キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時に前記アキュムレータ中へ送られる、アキュムレータと、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁であって、前記コントローラは、(a)酸素富化ガスを前記アキュムレータ中に生成することおよび(b)前記生成された酸素富化ガスを前記アキュムレータから少なくとも1つのボーラスとして放出することを行うように前記1組の弁の動作を制御するように、構成される、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁と、
を含み、
前記コントローラは、
ユーザの最小吸気流れプロファイルを前記ユーザのサイズパラメータに基づいて生成することと、
前記少なくとも1つのボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを前記生成された最小吸気流れプロファイルに基づいて決定することと、
ボーラス放出制御信号を前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って生成することであって、前記生成されたボーラス放出制御信号は、前記少なくとも1つのボーラスを前記アキュムレータから放出させることを行うように構成される、ことと、
を行うようにさらに構成される、
酸素濃縮器装置。
【請求項26】
前記コントローラへ接続されたコントロールパネルをさらに含み、前記ユーザの前記サイズパラメータを手動入力を介して受信することを行うように構成される、請求項25に記載の酸素濃縮器装置。
【請求項27】
前記コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み、前記プロセッサ制御命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記酸素濃縮器装置が請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法を行う、請求項25〜26のいずれか一項に記載の酸素濃縮器装置。
【請求項28】
パルス化酸素送達モードにおいて酸素濃縮器のコントローラを用いて酸素富化ガス放出を制御する方法であって、
ユーザのサイズパラメータに基づいて、酸素富化ガスの潜在的ボーラスのパラメータの送達エンベロープを導出することと、
前記1つ以上の制御パラメータが前記送達エンベロープ内に制限されるように酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することと、
前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を前記コントローラにより生成することと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記ユーザのための肺胞時間を前記サイズパラメータに基づいて計算することをさらに含み、前記送達エンベロープを導出することは、前記計算された肺胞時間にさらに基づく、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ユーザのための最小吸気流れプロファイルを前記サイズパラメータに基づいて生成することをさらに含み、前記送達エンベロープを導出することは、前記最小吸気流れプロファイルに基づく、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記計算された肺胞時間は、前記最小吸気流れプロファイルにさらに基づく、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ユーザの前記サイズパラメータは身長であり、前記方法は、前記身長から前記ユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み、前記計算された肺胞時間は、前記推定された解剖学的死腔にさらに基づく、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記酸素濃縮器または前記ユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号を生成することをさらに含む、請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上のセンサ信号から前記ユーザの吸気時間を推定することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記導出された送達エンベロープは、前記推定された吸気時間にさらに基づく、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記潜在的ボーラスの量を前記酸素濃縮器の設定に基づいて決定することをさらに含み、前記1つ以上の制御パラメータは、前記決定されたボーラス量にさらに基づく、請求項28〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ボーラス量を決定することは、前記ユーザの呼吸速度にさらに基づく、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記酸素濃縮器または前記ユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号から前記ユーザの前記呼吸速度を推定することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ボーラス放出制御信号に従って送達されるボーラスの有益作用を推定することと、
酸素富化ガスの追加ボーラスを特徴付ける1つ以上のさらなる制御パラメータを前記推定された有益作用に基づいて決定することであって、前記決定された1つ以上のさらなる制御パラメータは、前記送達エンベロープ内に制限される、ことと、
前記決定されたさらなる制御パラメータに従って、さらなるボーラス放出制御信号を前記コントローラにより生成することと、
をさらに含む、請求項28〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記酸素濃縮器の入力インターフェースからのブースト信号を前記コントローラ内において受信することと、これに応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出を前記酸素濃縮器の前記コントローラにより制御することとをさらに含み、前記1つ以上のブーストボーラスの放出されたブーストボーラス酸素富化ガスの合計量は、(1)前記入力インターフェースにおいて設定されたような前記酸素濃縮器の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したものを含む、
請求項28〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記コントローラは、所定の時間の後にまたは前記酸素濃縮器の前記入力インターフェースからのさらなる信号に応答して、前記酸素富化ガスの追加量の放出を中止する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上の制御パラメータを決定することは、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上を低減させるように、前記制御パラメータを計算することを含む、請求項28〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
送達デバイスを介した前記ユーザへの送達のための前記ボーラス放出制御信号に従って酸素富化ガスのボーラスを放出させることをさらに含み、これにより、前記送達されたボーラスにより、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上が低減される、請求項28〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
酸素濃縮器装置であって、
少なくとも2つのキャニスタと、
前記少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤であって、前記ガス分離吸着剤により、前記少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素が分離されて、酸素富化ガスが生成される、ガス分離吸着剤と、
圧縮システムであって、
前記キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサであって、前記コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる、コンプレッサと、
前記コンプレッサへ接続されたモータであって、前記モータにより前記コンプレッサの動作が駆動される、モータとを含む、前記圧縮システムと、
前記キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータであって、前記キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時に前記アキュムレータ中へ送られる、アキュムレータと、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁であって、前記コントローラは、(a)酸素富化ガスを前記アキュムレータ中に生成することおよび(b)パルス化酸素送達モードにおいて前記生成された酸素富化ガスを前記アキュムレータから少なくとも1つのボーラスとして放出することを行うように前記1組の弁の動作を制御するように、構成される、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁と、
を含み、
前記コントローラは、
酸素富化ガスの潜在的ボーラスのパラメータの送達エンベロープをユーザのサイズパラメータに基づいて導出することと、
前記1つ以上のパラメータが前記送達エンベロープ内に限定されるように、酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することと、
ボーラス放出制御信号を前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って生成することであって、前記ボーラス放出制御信号により、前記アキュムレータからの酸素富化ガスのボーラス放出が制御される、ことと、
を行うようにさらに構成される、
酸素濃縮器装置。
【請求項45】
前記コントローラへ接続されたコントロールパネルをさらに含み、前記ユーザの前記サイズパラメータを手動入力を介して受信することを行うように構成される、請求項44に記載の酸素濃縮器装置。
【請求項46】
前記コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み、前記プロセッサ制御命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記酸素濃縮器装置は、請求項28〜43のいずれか一項に記載の方法を行う、請求項44〜45のいずれか一項に記載の酸素濃縮器装置。
【請求項47】
ユーザに対する吸気流れプロファイル生成のためのプロセッサの方法であって、前記方法は、
前記ユーザのサイズパラメータおよび前記ユーザの呼吸速度に基づいて前記ユーザの一回換気量を推定することと、
前記ユーザの前記一回換気量および吸気時間から前記ユーザのための前記吸気流れプロファイルを生成することと、
を含む、方法。
【請求項48】
前記サイズパラメータは身長であり、前記一回換気量を推定することは、前記ユーザの肺胞毎分換気量を前記ユーザの身長に基づいて推定することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記一回換気量を推定することは、前記ユーザの解剖学的死腔を前記ユーザの身長に基づいて推定することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記一回換気量を推定することは、前記肺胞毎分換気量の前記ユーザの前記呼吸速度に対する比前記解剖学的死腔を加算することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記吸気流れプロファイルを生成することは、前記ユーザの前記一回換気量、前記吸気時間および前記吸気流れプロファイルのテンプレート関数から前記ユーザのピーク吸気流量を計算することを含む、請求項47〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記テンプレート関数は正弦半波である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記吸気時間を前記サイズパラメータから推定することをさらに含む、請求項47〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
呼吸治療デバイスのコントローラを用いて呼吸治療の制御を前記生成された吸気流れプロファイルに基づいて行うことをさらに含む、請求項47〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記呼吸治療を制御することは、前記吸気流れプロファイルに基づいて酸素濃縮器を制御することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
酸素濃縮器装置であって、
少なくとも2つのキャニスタと、
前記少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤であって、前記ガス分離吸着剤により、前記少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素が分離されて、酸素富化ガスが生成される、ガス分離吸着剤と、
圧縮システムであって、
前記キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサであって、前記コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる、コンプレッサと、
前記コンプレッサへ接続されたモータであって、前記モータにより前記コンプレッサの動作が駆動される、モータとを含む、前記圧縮システムと、
前記キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータであって、前記キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時に前記アキュムレータ中へ送られる、アキュムレータと、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁であって、前記コントローラは、(a)酸素富化ガスを前記アキュムレータ中に生成することおよび(b)前記生成された酸素富化ガスを前記アキュムレータから放出することを行うように前記1組の弁の動作を制御するように、構成される、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁と、
を含み、
前記コントローラは、
前記ユーザのサイズパラメータおよび前記ユーザの呼吸速度に基づいてユーザの一回換気量を推定することと、
前記ユーザの吸気流れプロファイルを前記ユーザの前記一回換気量および吸気時間から生成することと、
を行うようにさらに構成される、酸素濃縮器装置。
【請求項57】
前記コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み、前記プロセッサ制御命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記酸素濃縮器装置は、請求項47〜55のいずれか一項に記載の方法を行う、請求項56に記載の酸素濃縮器装置。
【請求項58】
呼吸治療デバイスの制御のためのコントローラの方法であって、前記方法は、
ユーザの安静時エネルギー消費を前記ユーザのサイズパラメータに基づいて推定することと、
前記ユーザの呼吸パラメータを前記推定された安静時エネルギー消費に基づいて推定することと、
前記呼吸治療デバイスの制御を前記推定された呼吸パラメータに基づいて行うことと、
を含む、方法。
【請求項59】
前記呼吸パラメータは一回換気量であり、前記呼吸パラメータを推定することは、
肺胞毎分換気量の演算を前記推定された安静時エネルギー消費に基づいて行うことと、
前記演算された肺胞毎分換気量および前記ユーザの呼吸速度に基づいて一回換気量を推定することと、
を含む、
請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記前記一回換気量を推定することにより、前記ユーザの活動状態が説明され、これにより、前記一回換気量の最小のまたは高めの推定値が得られる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記呼吸治療デバイスは人工呼吸器であり、前記推定された一回換気量は、最小の一回換気量推定値であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、前記最小の一回換気量推定値に基づいて一回換気量低下の警告を初期化することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記呼吸治療デバイスは人工呼吸器であり、前記推定された一回換気量は、高めの一回換気量推定値であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、前記高めの一回換気量推定値に基づいて一回換気量上昇の警告を初期化することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記呼吸治療デバイスは人工呼吸器であり、前記推定された一回換気量は、最小の一回換気量推定値であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、前記最小の一回換気量推定値に基づいて量制御モード用の一回換気量を初期化することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記前記一回換気量を推定することにより、前記ユーザの病理状態が説明され、これにより、前記病理状態の前記一回換気量の典型的推定値が得られる、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記呼吸治療デバイスは人工呼吸器であり、前記推定された一回換気量は、前記病理状態に対する典型的な一回換気量推定値であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、量保証モードの目標一回換気量設定を前記典型的な一回換気量推定値を用いて初期化することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記呼吸パラメータは毎分換気量であり、前記最小呼吸パラメータを推定することは、
肺胞毎分換気量の演算を前記安静時エネルギー消費に基づいて行うことと、
前記演算された肺胞毎分換気量および前記サイズパラメータから得られた前記ユーザの解剖学的死腔の推定値に基づいて、毎分換気量を推定することと、
を含む、
請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記毎分換気量を推定することにより、前記ユーザの活動状態が説明され、これにより、前記毎分換気量の最小のまたは高めの推定値が得られる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記呼吸治療デバイスは人工呼吸器であり、前記推定された毎分換気量は、最小毎分換気量の推定値であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、毎分換気量低下の警告を前記最小毎分換気量の推定値に基づいて初期化することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記呼吸治療デバイスは人工呼吸器であり、前記推定された毎分換気量は、高めの毎分換気量推定値であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、毎分換気量上昇の警告を前記高めの毎分換気量推定値に基づいて初期化することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記呼吸治療デバイスは酸素濃縮器であり、前記呼吸治療デバイスを制御することは、
前記ユーザのための最小吸気流れプロファイルを前記推定された呼吸パラメータから生成することと、
前記生成された最小吸気流れプロファイルに基づいて、前記酸素濃縮器によって生成された酸素富化ガスのボーラスについて1つ以上の制御パラメータを決定することと、
前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って、酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を生成することと、
を含む、
請求項58に記載の方法。
【請求項71】
呼吸治療装置であって、
前記呼吸治療装置の1つ以上の動作を制御して、呼吸治療を生成するように構成される、1つ以上のプロセッサを含むコントローラを含み、前記コントローラは、
ユーザの安静時エネルギー消費を前記ユーザのサイズパラメータに基づいて推定することと、
前記ユーザの呼吸パラメータを前記推定された安静時エネルギー消費に基づいて推定することと、
前記呼吸治療装置の作動を前記推定された呼吸パラメータに基づいて制御することと、
を行うように構成される、
呼吸治療装置。
【請求項72】
前記コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み、前記プロセッサ制御命令が前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記呼吸治療装置は、請求項58〜70のいずれか一項に記載の方法を行う、請求項71に記載の呼吸治療装置。
【請求項73】
パルス化酸素送達モードにおいて酸素濃縮器のコントローラを用いて酸素富化ガス放出を制御する方法であって、
酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することと、
前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を前記コントローラにより生成することと、
前記酸素濃縮器の入力インターフェースからのブースト信号を前記コントローラ内において受信することと、
前記ブースト信号に応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出の制御のための1つ以上のさらなるボーラス放出制御信号を制御することとを含み、前記1つ以上のブーストボーラスの放出ボーラスの酸素富化ガスの合計量は、(1)前記入力インターフェースにおいて設定されたような前記酸素濃縮器の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したものを含む、
方法。
【請求項74】
所定の時間の後にまたは前記酸素濃縮器の前記入力インターフェースからのさらなる信号を前記コントローラ内において受信したのに応答して、前記酸素富化ガスの追加量の放出を前記コントローラによって中止することをさらに含む、
請求項73に記載の方法。
【請求項75】
酸素濃縮器装置であって、
少なくとも2つのキャニスタと、
前記少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤であって、前記ガス分離吸着剤により、前記少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素が分離されて、酸素富化ガスが生成される、ガス分離吸着剤と、
圧縮システムであって、
前記キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサであって、前記コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる、コンプレッサと、
前記コンプレッサへ接続されたモータであって、前記モータにより前記コンプレッサの動作が駆動される、モータとを含む、前記圧縮システムと、
前記キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータであって、前記キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時に前記アキュムレータ中へ送られる、アキュムレータと、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁であって、前記コントローラは、(a)酸素富化ガスを前記アキュムレータ中に生成することおよび(b)前記生成された酸素富化ガスを前記アキュムレータから放出することを行うように前記1組の弁の動作を制御するように、構成される、
1つ以上のプロセッサを含むコントローラおよび前記コントローラへ接続された1組の弁と、
を含み、
前記コントローラは、
酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することと、
前記決定された1つ以上の制御パラメータに従って、酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を生成することと、
前記酸素濃縮器の入力インターフェース装置からブースト信号を受信することと、
前記ブースト信号に応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出の制御のための1つ以上のさらなるボーラス放出制御信号を制御することと
を行うようにさらに構成され、前記1つ以上のブーストボーラスの放出ボーラスの酸素富化ガスの合計量は、(1)前記入力インターフェースにおいて設定されるような前記酸素濃縮器装置の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したものを含む、
酸素濃縮器装置。
【請求項76】
前記コントローラは、所定の時間の後または前記酸素濃縮器の前記入力インターフェースからのさらなる信号装置の受信に応答して前記酸素富化ガスの追加量の放出を中止するように構成される、請求項75に記載の呼吸治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月25日に出願されたオーストラリア国仮出願番号2017903443の利益をクレームするもので、その内容を参照により本明細書に包含する。
【0002】
本技術は、呼吸器疾患治療のための方法および装置(例えば、酸素濃縮器)に主に関する。いくつかの例において、本技術は、より詳細には、例えばパルス化酸素送達の利用による酸素濃縮器の効率増加のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
長期酸素治療(LTOT)の一環として酸素補充を必要とするユーザが、多数存在している。現在、LTOTを利用している大多数のユーザは、一般的な慢性閉塞性肺疾患(COPD)のカテゴリー下において診断される。その一般的診断を挙げると、慢性喘息、肺気腫および他のいくつかの心肺状態などの一般的疾病がある。他にも、酸素補充を必要とするユーザがおり、例えば、肥満の人が高い活動レベルを維持するために利用したり、あるいは嚢胞性繊維症または気管支肺異形成症の幼児が利用する場合もある。
【0004】
医師は、これらのユーザのために、酸素濃縮器または医療用酸素のポータブルタンクを処方し得る。一般的には、特定の連続的酸素流量が処方される(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPMなど)。この分野における専門家によれば、これらのユーザが運動を行うと、疾病進行の抑制、生活の質の向上およびユーザ寿命の延びという長期的恩恵が得られることも判明している。しかし、トレッドミルおよび定置式自転車などの定置型の運動は、これらのユーザにとって激し過ぎる。そのため、可動性の必要性が、長く認識されている。最近まで、小型の圧縮酸素タンクの利用により、この可動性が促進されている。これらのタンクの不利点として、酸素量が有限である点と、(ドーリーホイール付きのカート上に取り付けた際に)重量が約50ポンドであり高重量である点がある。
【0005】
酸素濃縮器は、呼吸不全に罹患しているユーザへの酸素補充供給のために、約50年間利用されている。これらの流量を提供するために使用されている従来の酸素濃縮器の場合、嵩高かつ高重量であるため、酸素濃縮器を装着しながら通常の歩行活動を行うことは、困難かつ非実際的である。最近、大型の定置型家庭用酸素濃縮器の製造会社は、ポータブル酸素濃縮器(POC)の開発を開始している。POCの利点として、理論的には酸素をエンドレスに供給できる点がある。これらのデバイスを可動性のために小型にするために、酸素富化ガス生成に必要な多様なシステムが高密度化されている。
【0006】
重量、サイズおよび消費電力を最小限にするためには、ポータブル酸素濃縮器は、生成された酸素の使用をできるたけ効率化する必要が有る。これは、(パルス化またはデマンド(酸素)送達として公知のモードにおいて)酸素をユーザの吸気開始の検出とタイミングを合わせたボーラスとして送達することにより、達成され得る。このアプローチにおいて、ユーザ呼気時における酸素放出の最小化または回避により、蓄積された酸素が保存される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、例えば所与のユーザに対する酸素送達の無駄を低減するために、パルス化酸素送達(POD)を向上させる必要がある。デバイス向上によりその用途を成人から新生児に及ぶより広範囲の潜在的ユーザへ広げられる場合も、有利であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に記載のような呼吸器疾患の治療のための方法および装置は、パルス化酸素送達の制御の向上(例えば、貯蔵容器からの酸素富化ガス放出を司る電気機械弁(単数または複数)の制御)と共に、実行され得る。このようなデバイスは、酸素の無駄の可能性の最小化により酸素の使用量を低減しつつユーザの有利な酸素送達を可能にするように、蓄積された酸素の放出制御をより高レベルに実行し得る。このような向上は、ユーザ吸気時においても行われ得る。例えば、所与のユーザに対し、一定の期間(例えば、呼吸または呼吸の吸気部分)にわたる酸素放出の制約を示す「送達エンベロープ」を、特定のユーザ測定およびデバイス設定に基づいて推定することができる。送達エンベロープは、当該ユーザの酸素富化ガスの逆行性流れの無駄および/または解剖学的死腔の無駄を無くすようにボーラスのパラメータを設定することが可能な領域として規定され得る。
【0009】
さらに、ボーラスパラメータは、所与のユーザに対する最適なボーラスパラメータ(すなわち、当該ユーザのパルス化酸素送達の治療効果を最大化させるかまたは相応に生理学的死腔の無駄を最小化させるパラメータ)を決定および送達するように、送達エンベロープ内において変更され得る。この決定は、ユーザフィードバックに基づいて主観的に行いかつ/またはセンサデータに基づいて客観的に行われ得る。
【0010】
本技術のいくつかのバージョンは、酸素濃縮器のコントローラを用いた酸素富化ガス放出の制御方法を含み得る。本方法は、ユーザのサイズパラメータに基づいて、ユーザの最小吸気流れプロファイルを生成することを含み得る。本方法は、生成された最小吸気流れプロファイルに基づいて酸素富化ガスのボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することを含み得る。本方法は、決定された1つ以上の制御パラメータに従って酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号をコントローラにより生成することを含み得る。
【0011】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、最小吸気流れプロファイルに基づいてユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み得る。1つ以上の制御パラメータは、計算された肺胞時間にさらに基づく。本方法は、1つ以上の制御パラメータに対する送達エンベロープを最小吸気流れプロファイルから導出することをさらに含み得、1つ以上の制御パラメータを送達エンベロープ内に限定することをさらに含み得る。本方法は、最小吸気流れプロファイルに基づいてユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み得る。送達エンベロープは、計算された肺胞時間にさらに基づき得る。ユーザのサイズパラメータは身長であり得、本方法は、身長からユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み得る。肺胞時間は、推定された解剖学的死腔にさらに基づき得る。
【0012】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、酸素濃縮器またはユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号を生成することをさらに含み得る。本方法は、1つ以上のセンサ信号からユーザの吸気時間を推定することをさらに含み得る。最小吸気流れプロファイルは、推定された吸気時間にさらに基づき得る。本方法は、酸素濃縮器の設定に基づいてボーラスの量を決定することを含み得る。1つ以上の制御パラメータは、決定されたボーラス量にさらに基づき得る。ボーラス量を決定することは、ユーザの呼吸速度にさらに基づき得る。本方法は、酸素濃縮器またはユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号からユーザの呼吸速度を推定することをさらに含み得る。1つ以上の制御パラメータを決定することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満であり得る開始遅延を設定すること;開始遅延とボーラス継続期間との間の最小吸気流れプロファイルに対応するように、ボーラス振幅プロファイルを設定すること;およびボーラス振幅プロファイルおよび決定されたボーラス量に基づいて、ボーラス継続期間を演算すること。1つ以上の制御パラメータを決定することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満であり得る開始遅延を設定すること;開始遅延からボーラス継続期間にわたる範囲における開始遅延において、ボーラス振幅プロファイルを最小吸気流れプロファイルの値に等しく設定すること;およびボーラス振幅プロファイルおよび決定されたボーラス量に基づいて、ボーラス継続期間を演算すること。
【0013】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、最小吸気流れプロファイルに基づいてユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み得る。開始遅延は、計算された肺胞時間未満であり得る。サイズパラメータは、ユーザの身長であり得、方法は、ユーザの身長からユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み得る。計算された肺胞時間は、推定された解剖学的死腔にさらに基づき得る。1つ以上の制御パラメータを決定することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満であり得るボーラス継続期間を設定すること;開始遅延とボーラス継続期間との間の最小吸気流れプロファイルに追随するようにボーラス振幅プロファイルを設定すること;およびボーラス振幅プロファイルおよび決定されたボーラス量に基づいて開始遅延を演算すること。1つ以上の制御パラメータを決定することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:最小吸気流れプロファイルの吸気時間未満であり得るボーラス継続期間を設定すること;開始遅延からボーラス継続期間にわたる範囲における開始遅延において、ボーラス振幅プロファイルを最小吸気流れプロファイルの値に等しくなるように設定すること;およびボーラス振幅プロファイルおよび決定されたボーラス量に基づいて開始遅延を演算すること。本方法は、最小吸気流れプロファイルに基づいてユーザの肺胞時間を計算することをさらに含み得る。ボーラス継続期間は、肺胞時間未満であり得る。サイズパラメータは、ユーザの身長であり得、方法は、ユーザの身長からユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み得る。肺胞時間は、解剖学的死腔にさらに基づき得る。
【0014】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:ボーラス放出制御信号に従って送達されるボーラスの有益作用を推定すること;最小吸気流れプロファイルおよび推定された有益作用に基づいて、酸素富化ガスの追加ボーラスを特徴付ける1つ以上のさらなる制御パラメータを決定すること;および決定された1つ以上のさらなる制御パラメータに従って、さらなるボーラス放出制御信号をコントローラにより生成すること。
【0015】
いくつかのバージョンにおいて、本方法は、酸素濃縮器の入力インターフェースからのブースト信号をコントローラ内において受信することと、これに応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出を酸素濃縮器のコントローラにより制御することとをさらに含み得る。1つ以上のブーストボーラスの放出ボーラスの酸素富化ガスの合計量は、(1)入力インターフェースにおいて設定されたような酸素濃縮器の連続流量設定を満足させる相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したものを含む。コントローラは、所定の時間の後にまたは酸素濃縮器の入力インターフェースからのさらなる信号に応答して、酸素富化ガスの追加量の放出を中止し得る。1つ以上の制御パラメータを決定することは、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上を低減させるように、制御パラメータを計算することを含み得る。本方法は、送達デバイスを介したユーザへの送達のためのボーラス放出制御信号に従って酸素富化ガスのボーラスを放出させることをさらに含み得る。これにより、送達されたボーラスにより、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上が低減する。
【0016】
本技術のいくつかのバージョンは、酸素濃縮器装置を含み得る。酸素濃縮器装置は、少なくとも2つのキャニスタを含み得る。酸素濃縮器装置は、少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤を含み得る。ガス分離吸着剤は、少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素を分離させて、酸素富化ガスを生成する。酸素濃縮器装置は、圧縮システムを含み得る。本圧縮システムは、キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサを含み得る。コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる。圧縮システムは、コンプレッサへ接続されたモータを含み得る。モータは、コンプレッサの動作を駆動する。酸素濃縮器装置は、キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータを含み得る。キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時にアキュムレータ中へ送られ得る。酸素濃縮器装置は、1つ以上のプロセッサを含むコントローラと、コントローラへ接続された1組の弁とを含み得る。コントローラは、例えば(a)酸素富化ガスをアキュムレータ中に生成することおよび/または(b)生成された酸素富化ガスをアキュムレータから少なくとも1つのボーラスとして放出することを行うように、1組の弁の動作を制御するように構成され得る。コントローラは、ユーザの最小吸気流れプロファイルをユーザのサイズパラメータに基づいて生成するように、さらに構成され得る。コントローラは、少なくとも1つのボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを生成された最小吸気流れプロファイルに基づいて決定するように、さらに構成され得る。コントローラは、ボーラス放出制御信号を決定された1つ以上の制御パラメータに従って生成するようにさらに構成され得、生成されたボーラス放出制御信号は、少なくとも1つのボーラスをアキュムレータから放出させるように、構成される。
【0017】
いくつかのバージョンにおいて、酸素濃縮器装置は、コントロールパネルをさらに含み得る。このコントロールパネルは、コントローラへ接続され、ユーザのサイズパラメータを手動入力を介して受信するように構成される。コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み得る。これらのプロセッサ制御命令が1つ以上のプロセッサによって実行されると、本明細書中に記載の方法のうちいずれか1つを酸素濃縮器装置に行わせる。
【0018】
本技術のいくつかのバージョンは、パルス化酸素送達モードにおいて酸素濃縮器のコントローラを用いて酸素富化ガス放出を制御する方法を含み得る。本方法は、ユーザのサイズパラメータに基づいて、酸素富化ガスの潜在的ボーラスのパラメータの送達エンベロープを導出することを含み得る。本方法は、1つ以上の制御パラメータを送達エンベロープ内に限定できるように、酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することを含み得る。本方法は、決定された1つ以上の制御パラメータに従って酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号をコントローラにより生成することを含み得る。本方法は、ユーザのための肺胞時間をサイズパラメータに基づいて計算することをさらに含み得る。送達エンベロープを導出することは、計算された肺胞時間にさらに基づき得る。本方法は、ユーザのための最小吸気流れプロファイルをサイズパラメータに基づいて生成することをさらに含み得る。送達エンベロープを導出することは、最小吸気流れプロファイルに基づき得る。計算された肺胞時間は、最小吸気流れプロファイルにさらに基づき得る。ユーザのサイズパラメータは身長であり得、方法は、身長からユーザの解剖学的死腔を推定することをさらに含み得、計算された肺胞時間は、推定された解剖学的死腔にさらに基づき得る。
【0019】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、酸素濃縮器またはユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号を生成することをさらに含み得る。本方法は、1つ以上のセンサ信号からユーザの吸気時間を推定することをさらに含み得る。導出された送達エンベロープは、推定された吸気時間にさらに基づき得る。本方法は、潜在的ボーラスの量を酸素濃縮器の設定に基づいて決定することをさらに含み得る。1つ以上の制御パラメータは、決定されたボーラス量にさらに基づき得る。ボーラス量を決定することは、ユーザの呼吸速度にさらに基づき得る。本方法は、酸素濃縮器またはユーザの特性を示す1つ以上のセンサ信号からユーザの呼吸速度を推定することをさらに含み得る。本方法は、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:ボーラス放出制御信号に従って送達されるボーラスの有益作用を推定すること;酸素富化ガスの追加ボーラスを特徴付ける1つ以上のさらなる制御パラメータを推定された有益作用に基づいて決定することとであって、決定された1つ以上のさらなる制御パラメータは、送達エンベロープ内に限定される、こと;およびさらなるボーラス放出制御信号を決定されたさらなる制御パラメータに従ってコントローラによって生成すること。
【0020】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:酸素濃縮器の入力インターフェースからのブースト信号をコントローラ内において受信することと、これに応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出を酸素濃縮器のコントローラにより制御すること。1つ以上のブーストボーラスの放出されたブーストボーラス酸素富化ガスの合計量は、(1)入力インターフェースにおいて設定されたような酸素濃縮器の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したものを含み得る。コントローラは、所定の時間の後にまたは酸素濃縮器の入力インターフェースからのさらなる信号に応答して、酸素富化ガスの追加量の放出を中止し得る。
【0021】
いくつかのバージョンにおいて、1つ以上の制御パラメータを決定することは、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上を低減させるように、制御パラメータを計算することを含み得る。本方法は、送達デバイスを介したユーザへの送達のためのボーラス放出制御信号に従って酸素富化ガスのボーラスを放出させることをさらに含み得、これにより、送達されたボーラスにより、逆行性流れの無駄、解剖学的死腔の無駄および生理学的死腔の無駄のうち1つ以上が低減し得る。
【0022】
本技術のいくつかのバージョンは、酸素濃縮器装置を含み得る。本装置は、少なくとも2つのキャニスタを含み得る。本装置は、少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤を含み得る。ガス分離吸着剤は、少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素を分離させて、酸素富化ガスを生成する。本装置は、圧縮システムを含み得る。本圧縮システムは、キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサを含み得る。コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる。圧縮システムは、コンプレッサへ接続されたモータを含み得る。モータは、コンプレッサの動作を駆動する。本装置は、キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータを含み得る。キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時にアキュムレータ中へ送られ得る。本装置は、1つ以上のプロセッサを含むコントローラを含み得る。本装置は、コントローラへ接続された1組の弁を含み得る。本コントローラは、1組の弁の動作を制御して以下を行わせるように、構成され得る:(a)酸素富化ガスをアキュムレータ中に生成することおよび/または(b)例えばパルス化酸素送達モードにおいて生成された酸素富化ガスをアキュムレータから少なくとも1つのボーラスとして放出させること。コントローラは、酸素富化ガスの潜在的ボーラスのパラメータの送達エンベロープをユーザのサイズパラメータに基づいて導出するように、さらに構成され得る。コントローラは、1つ以上のパラメータが送達エンベロープ内に限定されるように、酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定するように、さらに構成され得る。コントローラは、ボーラス放出制御信号を決定された1つ以上の制御パラメータに従って生成するように、さらに構成され得る。ボーラス放出制御信号は、アキュムレータからの酸素富化ガスのボーラス放出の制御のためのものであり得る。
【0023】
いくつかのバージョンにおいて、装置は、コントローラへ接続されたコントロールパネルを含み得る。コントローラは、ユーザのサイズパラメータを手動入力を介してコントロールパネル上において受信するように構成され得る。本コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み得る。これらのプロセッサ制御命令が1つ以上のプロセッサによって実行されると、酸素濃縮器装置は、本明細書中に記載の任意の方法を行う。
【0024】
本技術のいくつかのバージョンは、ユーザに対する吸気流れプロファイル生成のためのプロセッサの方法を含み得る。本方法は、ユーザのサイズパラメータおよびユーザの呼吸速度に基づいてユーザの一回換気量を推定することを含み得る。本方法は、ユーザの一回換気量および吸気時間からユーザに対する吸気流れプロファイルを生成することを含み得る。サイズパラメータは身長であり得、一回換気量を推定することは、ユーザの肺胞毎分換気量をユーザの身長に基づいて推定することを含み得る。一回換気量を推定することは、ユーザの解剖学的死腔をユーザの身長に基づいて推定することをさらに含み得る。一回換気量を推定することは、肺胞毎分換気量のユーザの呼吸速度に対する比解剖学的死腔を加算することを含み得る。吸気流れプロファイルを生成することは、ユーザの一回換気量、吸気時間および吸気流れプロファイルのテンプレート関数からユーザのピーク吸気流量を計算することを含み得る。テンプレート関数は、正弦半波であり得る。本方法は、吸気時間をサイズパラメータから推定することをさらに含み得る。本方法は、呼吸治療デバイスのコントローラを用いて呼吸治療の制御を生成された吸気流れプロファイルに基づいて行うことをさらに含み得る。呼吸治療を制御することは、吸気流れプロファイルに基づいて酸素濃縮器を制御することを含み得る。
【0025】
本技術のいくつかのバージョンは、酸素濃縮器装置を含み得る。酸素濃縮器は、少なくとも2つのキャニスタを含み得る。酸素濃縮器は、少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤を含み得る。ガス分離吸着剤は、少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素を分離させて、酸素富化ガスを生成するように機能する。酸素濃縮器は、圧縮システムを含み得る。本圧縮システムは、キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサを含み得る。コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる。圧縮システムは、コンプレッサへ接続されたモータを含み得る。モータは、コンプレッサの動作を駆動する。酸素濃縮器は、キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータを含み得る。キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時にアキュムレータ中へ送られ得る。酸素濃縮器は、1つ以上のプロセッサを含むコントローラを含み得る。酸素濃縮器は、コントローラへ接続された1組の弁を含み得る。コントローラは、1組の弁の動作を制御して、以下を行わせるように構成され得る:(a)酸素富化ガスをアキュムレータ中に生成することおよび/または(b)生成された酸素富化ガスをアキュムレータから放出させること。コントローラは、ユーザのサイズパラメータおよびユーザの呼吸速度に基づいてユーザの一回換気量を推定するように、さらに構成され得る。コントローラは、ユーザの吸気流れプロファイルをユーザの一回換気量および吸気時間から生成するように、さらに構成され得る。
【0026】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み得る。これらのプロセッサ制御命令が1つ以上のプロセッサによって実行されると、本明細書中に記載の方法のうちいずれかを酸素濃縮器装置に行わせる。
【0027】
本技術のいくつかのバージョンは、呼吸治療デバイスの制御のためのコントローラの方法を含み得る。本方法は、ユーザの安静時エネルギー消費をユーザのサイズパラメータに基づいて推定することを含み得る。本方法は、ユーザの呼吸パラメータを推定された安静時エネルギー消費に基づいて推定することを含み得る。本方法は、呼吸治療デバイスの制御を推定された呼吸パラメータに基づいて行うことを含み得る。
【0028】
いくつかのバージョンにおいて、呼吸パラメータは一回換気量であり得、呼吸パラメータを推定することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:肺胞毎分換気量の演算を推定された安静時エネルギー消費に基づいて行うこと、および演算された肺胞毎分換気量およびユーザの呼吸速度に基づいて一回換気量を推定すること。一回換気量を推定することにより、ユーザの活動状態が説明され得、これにより、一回換気量の最小のまたは高めの推定値が得られる。呼吸治療デバイスは、人工呼吸器であり得る。推定された一回換気量は、最小の一回換気量推定値であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、最小の一回換気量推定値に基づいて一回換気量低下の警告を開始することを含み得る。呼吸治療デバイスは、人工呼吸器であり得る。推定された一回換気量は、高めの一回換気量推定値であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、高めの一回換気量推定値に基づいて一回換気量上昇の警告を開始することを含み得る。呼吸治療デバイスは、人工呼吸器であり得る。推定された一回換気量は、最小の一回換気量推定値であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、最小の一回換気量推定値に基づいて量制御モード用の一回換気量を開始することを含み得る。一回換気量を推定することにより、ユーザの病理状態が説明され得、これにより、この病理状態に対する一回換気量の典型的推定値が得られる。呼吸治療デバイスは、人工呼吸器であり得る。推定された一回換気量は、病理状態に対する典型的な一回換気量推定値であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、典型的な一回換気量推定値を用いた量保証モードのために目標一回換気量設定を開始することを含み得る。
【0029】
いくつかのバージョンにおいて、呼吸パラメータは毎分換気量であり得、最小呼吸パラメータを推定することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:安静時エネルギー消費に基づいて肺胞毎分換気量を演算すること、および演算された肺胞毎分換気量およびサイズパラメータから得られたユーザの解剖学的死腔の推定値に基づいて毎分換気量を推定すること。毎分換気量を推定することにより、ユーザの活動状態が説明され得、これにより、毎分換気量の最小のまたは高めの推定値が得られる。
【0030】
いくつかのバージョンにおいて、呼吸治療デバイスは、人工呼吸器であり得る。推定された毎分換気量は、最小毎分換気量の推定値であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、最小毎分換気量の推定値に基づいて毎分換気量低下の警告を開始することを含み得る。呼吸治療デバイスは、人工呼吸器であり得る。推定された毎分換気量は、高めの毎分換気量推定値であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、高めの毎分換気量推定値に基づいて毎分換気量上昇の警告を開始することを含み得る。呼吸治療デバイスは、酸素濃縮器であり得る。呼吸治療デバイスを制御することは、以下のうちいずれかまたは全てを含み得る:ユーザのための最小吸気流れプロファイルを推定された呼吸パラメータから生成すること;生成された最小吸気流れプロファイルに基づいて、酸素濃縮器によって生成された酸素富化ガスのボーラスについて1つ以上の制御パラメータを決定すること;および決定された1つ以上の制御パラメータに従って、酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を生成すること。
【0031】
本技術のいくつかのバージョンは、呼吸治療装置を含み得る。本装置は、1つ以上のプロセッサを含むコントローラを含み得る。本コントローラは、呼吸治療装置の1つ以上の動作を制御して、呼吸治療を生成するように、構成され得る。本コントローラは、ユーザのサイズパラメータに基づいてユーザの安静時エネルギー消費を推定するように、構成され得る。本コントローラは、推定された安静時エネルギー消費に基づいてユーザの呼吸パラメータを推定するように、構成され得る。本コントローラは、推定された呼吸パラメータに基づいて呼吸治療装置の動作を制御するように、構成され得る。
【0032】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、プロセッサ制御命令を有する分散媒を含み得る。これらのプロセッサ制御命令が1つ以上のプロセッサによって実行されると、呼吸治療装置は、本明細書中に記載の方法のうちいずれかを行う。
【0033】
本技術のいくつかのバージョンは、パルス化酸素送達モードにおいて酸素濃縮器のコントローラを用いて酸素富化ガス放出を制御する方法を含み得る。本方法は、酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定することを含み得る。本方法は、決定された1つ以上の制御パラメータに従って酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号をコントローラにより生成することを含み得る。本方法は、酸素濃縮器の入力インターフェースからのブースト信号をコントローラ内において受信することを含み得る。本方法は、ブースト信号に応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出の制御のための1つ以上のさらなるボーラス放出制御信号を制御することを含み得る。1つ以上のブーストボーラスの放出ボーラスの酸素富化ガスの合計量は、右記を含む:(1)入力インターフェースにおいて設定されたような酸素濃縮器の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したもの。
【0034】
いくつかのバージョンにおいて、本方法は、所定の時間の後にまたは酸素濃縮器の入力インターフェースからのさらなる信号をコントローラ内において受信したのに応答して、コントローラによって酸素富化ガスの追加量の放出を中止することを含み得る。
【0035】
本技術のいくつかのバージョンは、酸素濃縮器装置を含み得る。酸素濃縮器装置は、少なくとも2つのキャニスタを含み得る。酸素濃縮器装置は、少なくとも2つのキャニスタ内に配置されたガス分離吸着剤を含み得る。ガス分離吸着剤は、少なくとも2つのキャニスタ中の空気から少なくとも一定の窒素を分離させて、酸素富化ガスを生成する。酸素濃縮器装置は、キャニスタのうち少なくとも1つへ接続されたコンプレッサを含む圧縮システムであって、コンプレッサは、動作時に空気を圧縮させる、圧縮システムと、コンプレッサへ接続されたモータであって、モータは、コンプレッサの動作を駆動する、モータとを含み得る。酸素濃縮器装置は、キャニスタのうち1つ以上へ接続されたアキュムレータを含み得る。キャニスタのうち1つ以上中において生成された酸素富化ガスは、使用時にアキュムレータ中へ送られ得る。酸素濃縮器装置は、1つ以上のプロセッサを含むコントローラと、コントローラへ接続された1組の弁とを含み得る。コントローラは、1組の弁の動作を制御して、以下を行わせるように構成され得る:(a)酸素富化ガスをアキュムレータ中に生成することおよび/または(b)生成された酸素富化ガスをアキュムレータから放出させること。コントローラは、酸素富化ガスの送達可能ボーラスを特徴付ける1つ以上の制御パラメータを決定するように、さらに構成され得る。コントローラは、酸素富化ガスのボーラス放出を制御するためのボーラス放出制御信号を決定された1つ以上の制御パラメータに従って生成するように、さらに構成され得る。コントローラは、酸素濃縮器の入力インターフェース装置からブースト信号を受信するように、さらに構成され得る。コントローラは、ブースト信号に応答して、1つ以上のブーストボーラスの放出の制御のための1つ以上のさらなるボーラス放出制御信号を制御するようにさらに構成され得る。1つ以上のブーストボーラスの放出ボーラスの酸素富化ガスの合計量は、右記を含む:(1)入力インターフェースにおいて設定されるような酸素濃縮器装置の連続流量設定を満たす相当量に(2)酸素富化ガスの追加量を加算したもの。
【0036】
いくつかのバージョンにおいて、コントローラは、所定の時間の後または酸素濃縮器の入力インターフェースからのさらなる信号装置の受信に応答して酸素富化ガスの追加量の放出を中止するように、構成され得る。
【0037】
本明細書中に記載の方法により、コントローラまたはプロセッサ(例えば、例えばポータブル酸素濃縮器のコントローラまたはプロセッサ)の向上が部分的に可能になる。さらに、方法/システム、デバイス/装置により、呼吸器疾患の自動的な監視および/または治療の技術分野(例えば、ポータブル酸素濃縮器の動作)における向上が可能になり得る。
【0038】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0039】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
本技術の利点は、当業者にとって、以下の実施形態の詳細な説明の恩恵および添付図面の参照により、明らかになる。図面中、類似の参照符号は類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】例示的な酸素濃縮器のコンポーネントの模式図である。
図2】例示的な酸素濃縮器の主要コンポーネントの側面図である。
図3A】例示的な圧縮システムの斜視側面図である。
図3B】熱交換導管を含む例示的圧縮システムの側面図である。
図4A】酸素濃縮器の出口コンポーネントの模式図である。
図4B】酸素濃縮器のための出口導管を示す。
図4C】酸素濃縮器のための別の出口導管を示す。
図5】例示的酸素濃縮器のための外側ハウジングを示す。
図6】酸素濃縮器のための例示的コントロールパネルを示す。
図7】パルス化酸素送達における多様な種類のガスの無駄を示すグラフである。
図8】プロセッサがユーザのためのボーラス送達エンベロープを推定する際に実行され得る方法を示すフローチャートである。
図9】プロセッサが図8の方法を用いて推定されたボーラス送達エンベロープ内におけるボーラス送達を制御する際に実行され得る方法を示すフローチャートである。
図10A】母集団年齢率データから導出された50〜180センチメートルの身長の範囲における呼吸速度範囲を示すグラフである。
図10B】公開臨床データから得られた0.5〜10秒の呼吸期間範囲における吸気時間範囲を示すグラフである。
図11】異なるユーザグループからの3つの代表的な量カプノグラム(呼気量に対してプロットされた呼気CO2の分圧)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本技術は、多様な改変例および代替形態と共に実行可能であるが、その特定の実施形態を図面中に例示的に示し、本明細書中において詳述する。しかし、図面およびその詳細な説明は、本技術を開示の特定の形態に限定することを意図していないことが理解されるべきである。多様な改変例、相当例および代替例は、記載の特定の例のうちいずれかの開示の特徴のうちいずれかを組み合わせることにより、実行され得る。
【0042】
実施形態の詳細な説明
本技術は、本明細書中に用いられる用語に従って理解され得る。見出しは、ひとえに編成目的のためのものであり、記載または特許請求の範囲を限定または解釈するためのものを意図していない。本明細書中および添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、他に明記無き限り、単数形および複数形を含む。さらに、本出願全体において、「may」という用語は、必須の意味(すなわち、必要である)を持つものとしてではなく、許容的な意味(すなわち、可能性がある、可能である)を持つものとして用いられる。「include」という用語およびその派生形は、「〜を非限定的に含む」ということを意味する。
【0043】
本明細書中用いられる「接続される」という用語は、1つ以上の物体またはコンポーネント間の直接的接続または間接的接続(例えば、1つ以上の介在的接続)を意味する。「接続される」という言い回しは、物体またはコンポーネントが直接相互接続されるような物体またはコンポーネント間の直接的接続を意味する。本明細書中において用いられるように、デバイス「を得る」という言い回しは、当該デバイスを購入または構築したことを意味する。
【0044】
酸素濃縮器は、圧力スイング吸着法(PSA)を利用している。圧力スイング吸着法においては、コンプレッサを用いて、ガス分離吸着剤の粒子を含むキャニスタ内のガス圧力が増加され得る。圧力増加と共に、ガス中の特定の分子が、ガス分離吸着剤上に吸収され得る。加圧条件下においてキャニスタ中のガスの一部が除去されると、吸収されなかった分子が吸収された分子から分離される。ガス分離吸着剤は、圧力低減によって再生され得、その結果、吸着剤からの分子吸収が逆転する。酸素濃縮器についてのさらなる詳細について、例えば米国公開特許出願第2009−0065007号(公開日:2009年3月12日、タイトル「Oxygen Concentrator Apparatus and Method」)に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0045】
周囲空気は、およそ78%の窒素および21%の酸素を一般的に含み、そのバランスの内訳は、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気および他の微量気体である。酸素よりも窒素をより吸着するガス分離吸着剤床を含む容器内を例えば空気などのガス混合物を圧力下において通過させると、窒素の一部または全体は床中に残留し、容器から退出したガスは、酸素を豊富に含むようになる。この床が窒素吸収能力の限界に到達した場合、圧力低下により床を再生することができ、これにより、吸収された窒素が放出される。その後、別の酸素富化ガス生成サイクルに対して準備が完了する。2個のキャニスタシステム中のキャニスタを交互に用いることにより、1つのキャニスタにより酸素を収集し、他方のキャニスタをパージする(その結果、窒素からの酸素分離が連続的に行われる)。このようにして、ユーザへの酸素補充などの多様な用途のために、例えば保存コンテナまたはキャニスタへ接続された他の加圧可能な容器または導管中へ酸素を周囲空気から蓄積することができる。
【0046】
上記したように、例えば保存コンテナまたはアキュムレータから蓄積された酸素を(パルス化またはデマンド(酸素)送達として公知のモードにおいて吸気開始とタイミングを合わせた)ボーラスとして送達させると、生成された/蓄積された酸素の節減が支援され得る。このアプローチの場合、呼気時における酸素送達の無駄を回避するものの、酸素の無駄の可能性が少なくとも以下の3点において存在する:
【0047】
(1)流量が瞬間的吸気流量を超えるボーラスの任意の部分は、現在の呼吸時に吸気され得る。例えば、この部分の一部は、ユーザの鼻孔から雰囲気へ逆流し得(逆行性流れ)、後続吸気のために気道開口部周囲にプールされ得るが、周囲へ流れて無駄になる可能性の方が高い。送達された酸素のプーリングは、例えば口呼吸時に後続呼吸(単数または複数)において吸気されるように(または吸気開始前の休止時のボーラス送達時に)、ユーザの気道内に発生する可能性があり得る。しかし、プーリングは予測不可能であることが多いため、保守的なパルス化酸素送達の前提としては、流量が瞬間的な吸気流量を超えるボーラスの任意の部分が無駄になるということがある。この種の酸素の無駄は、「逆行性流れの無駄」とみなされ得る。
【0048】
(2)哺乳類の呼吸の特性(すなわち、導管気道を用いた内部の肺への換気呼吸)に起因して、吸気の一部が肺のガス交換領域に到達せず、各吸気の終了部分は導管気道(すなわち、解剖学的死腔)中に残留し、肺胞に到達せずに呼気される。そのため、吸気の後期において送達された酸素は、解剖学的死腔に到達するのみとなる。この朱の酸素の無駄は、「解剖学的死腔の無駄」とみなされ得る。
【0049】
(3)COPDのユーザにおいて、肺は比較的異種であり得るため、いくつかのグループの肺胞に血液が灌流されなくなり、その結果「生理学的死腔」が形成される。このような機能していない肺胞に到達したボーラス部分も無駄になる。この種の酸素の無駄は、「生理学的死腔の無駄」とみなされ得る。
【0050】
本技術の例は、これらの種類の酸素の無駄の可能性の一部または全体を低減または最小限にするように、実行され得る。
【0051】
例えば、図1は、本技術により実行され得る例示的な酸素濃縮器100の模式図である。酸素濃縮器100は、気流から酸素を濃縮させて、酸素富化ガスをユーザへ提供し得る。本明細書中用いられるように、「酸素富化ガス」は、少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、または少なくとも約99%の酸素を含む。
【0052】
酸素濃縮器100は、ポータブル酸素濃縮器であり得る。例えば、酸素濃縮器100の重量およびサイズは、酸素濃縮器を手で容易に持ち運びまたは支持できかつ/または例えば酸素濃縮器のユーザがキャリーケースに入れて容易に持ち運びまたは支持できるような重量およびサイズであり得る。一実施形態において、酸素濃縮器100の重量は、約20ポンド未満、約15ポンド未満、約10ポンド未満または約ポンド未満である。一実施形態において、酸素濃縮器100の容量は、約1000立方インチ未満、約750立方インチ未満、約500立方インチ未満、約250立方インチ未満、または約200立方インチ未満である。
【0053】
周囲空気からの酸素収集は、ガス分離吸着剤を含むキャニスタ302および304中の周囲空気の加圧によって行われ得る。酸素濃縮器中において有用に用いられるガス分離吸着剤は、少なくとも窒素を気流から分離させて、酸素富化ガスを生成することができる。ガス分離吸着剤の例を挙げると、気流からの窒素分離が可能な分子篩がある。酸素濃縮器内において用いられ得る吸着剤の例を非限定的に挙げると、高圧下における気流中の酸素からの窒素分離を行うゼオライト(天然)または合成結晶質アルミノ珪酸塩がある。利用可能な合成結晶質アルミノ珪酸塩の例を非限定的に以下に挙げる:OXYSIV吸着剤(入手元:UOPLLC、デスプレーンズ、IW);SYLOBEAD吸着剤(入手元:W.R.Grace&Co、コロンビア、MD);SILIPORITE吸着剤(入手元:CECAS.A.、パリ、フランス);ZEOCHEM吸着剤(入手元:ZeochemAG、ウエーティコン、スイス);およびAgLiLSX吸着剤(入手元:Air Products and Chemicals、Inc.、アレンタウン、PA)。
【0054】
図1に示すように、空気は、空気入口106を通じて酸素濃縮器へ進入し得る。空気は、圧縮システム200により空気入口106中へ引き込まれ得る。圧縮システム200は、酸素濃縮器の周囲から空気を引き込み、この空気を圧縮し得、これにより、圧縮空気をキャニスタ302および304の一方または双方の内部へ強制移動させ得る。実施形態において、入口マフラー108は、圧縮システム200によって空気が酸素濃縮器中へ引き込まれる際に発生する音を低減するように、空気入口106へ接続され得る。実施形態において、入口マフラー108は、湿気および音吸収マフラーであり得る。例えば、吸水材(例えば、ポリマー吸水材またはゼオライト材料)は、入来空気からの水分の除去および低減と、空気入口106中へ進入する空気音の低減とをどちらとも行うために用いられ得る。
【0055】
圧縮システム200は、空気を圧縮することが可能な1つ以上のコンプレッサを含み得る。圧縮システム200によって生成された加圧空気は、キャニスタ302および304の一方または双方の内部へ強制移動させられ得る。いくつかの実施形態において、周囲空気は、キャニスタ中においておよそ13〜20ポンド/平方インチ(psi)の範囲において加圧され得る。キャニスタ内に配置されるガス分離吸着剤の種類に応じて、他の圧力を用いてもよい。
【0056】
各キャニスタ302/304には、入口弁122/124および出口弁132/134が接続される。図1に示すように、入口弁122はキャニスタ302へ接続され、入口弁124はキャニスタ304へ接続される。出口弁132はキャニスタ302へ接続され、出口弁134はキャニスタ304へ接続される。入口弁122/124は、圧縮システム200から各キャニスタへの空気の通過の制御またはゲート開閉するために、用いられる。出口弁132/134は、通気プロセス時において各キャニスタからのガスの放出またはゲート開閉のために、用いられる。いくつかの実施形態において、入口弁122/124および出口弁132/134は、シリコンプランジャーソレノイド弁であり得る。しかし、他の種類の弁を用いてもよい。プランジャー弁の場合、静音性があり、かつずれが小さい点において、他の種類の弁よりも有利である。
【0057】
いくつかの実施形態において、2段弁作動電圧が、入口弁122/124および出口弁132/134の制御のために用いられ得る。例えば、入口弁を開口させるために、高圧(例えば、24V)が入口弁へ付加され得る。次に、電圧を(例えば7V)へ低下させると、入口弁の開口状態が維持される。弁開口状態を維持するための電圧が低いほど、使用電力も低くなり得る(電力=電圧×電流)。このように電圧が低下すると、発熱および消費電力が最小化され、電池からのランタイムが延びる。弁への電力が断ち切られると、弁はバネ作用によって閉鎖する。いくつかの実施形態において、電圧は、必ずしも段階的応答ではない時間の関数として付加され得る(例えば、初期24V〜最終7Vの曲線状の下方電圧)。
【0058】
実施形態において、加圧空気は、キャニスタ302または304のうち1つの内部へ送られ、他方のキャニスタは通気される。例えば、使用時に、入口弁122は開口され、入口弁124は閉鎖される。圧縮システム200からの加圧空気は、キャニスタ302中へ強制移動させられる一方、キャニスタ304中への進入は入口弁124によって抑止される。実施形態において、コントローラ400は、弁122、124、132および134へ電気的に接続される。コントローラ400は、メモリ420中に保存されたプログラム命令を実行することが可能なプロセッサ410を1つ以上含む。これらのプログラム命令は、酸素濃縮器の動作の制御に用いられる多様な事前規定された方法を行うように、動作することができる。本明細書中、このような動作について、より詳細に説明する。よって、コントローラ400は、弁122、124、132および134の動作を制御する弁制御信号の制御のためのプログラム命令を含み得る。例えば、コントローラ400は、入口弁122および124を相互に逆位相で動作させる(すなわち、入口弁122または124のうち一方が開口しているとき、他方の弁が閉鎖している)ためのプログラム命令を含み得る。キャニスタ302の加圧時において、出口弁132は閉鎖され、出口弁134は開口される。入口弁と同様に、コントローラ400は、出口弁132および134を相互に逆位相に動作させるためのプログラム命令を含み得る。いくつかの実施形態において、入力弁および出力弁の開口に用いられる信号の電圧の電圧および継続期間は、コントローラ400によって制御され得る。
【0059】
チェック弁142および144は、それぞれキャニスタ302および304へ接続される。チェック弁142および144は一方向弁であり、キャニスタの加圧および通気時に発生する圧力差によって受動的に動作させられる。チェック弁142および144は、キャニスタの加圧時に生成された酸素がキャニスタから流動することおよび酸素または他の任意のガスのキャニスタ中への逆流を抑止することを行うように、キャニスタへ接続される。このようにして、チェック弁142および144は、加圧時において各キャニスタからの酸素富化ガスの退出を可能にする一方向弁として機能する。
【0060】
本明細書中用いられるように、「チェック弁」という用語は、流体(気体または液体)の一方向への流動を可能にしかつ流体の逆流を抑止する弁を指す。利用に適したチェック弁の例を以下に非限定的に挙げる:ボールチェック弁;ダイヤフラムチェック弁;バタフライチェック弁;スイングチェック弁;ダックビル弁;およびリフトチェック弁。圧力下において、加圧周囲空気中の窒素分子は、加圧されたキャニスタ中のガス分離吸着剤によって吸収される。圧力増加と共に、キャニスタ中のガスに含まれる酸素が多くなるまで、より多くの窒素が吸収される。吸収されなかったガス分子(主に酸素)は、圧力がキャニスタへ接続されたチェック弁の抵抗を充分圧倒するくらいの点に到達するまで、加圧されたキャニスタから流動する。一実施形態において、前方方向におけるチェック弁の圧力降下は、1psi未満である。逆方向における破壊圧力は、100psiを超える。しかし、1つ以上のコンポーネントの変更により、これらの弁の動作パラメータも変化することが理解されるべきである。前方流れ圧力が増加すると、酸素富化ガス生成が一般的に低下する。逆流のための破壊圧力が低下した場合または低すぎる値に設定された場合、酸素富化ガス圧力も概して低下する。
【0061】
例示的実施形態において、キャニスタ302は、圧縮システム200中において生成されてキャニスタ302中に送られた圧縮空気によって加圧される。キャニスタ302の加圧時において、入口弁122は開口され、出口弁132は閉鎖され、入口弁124は閉鎖され、出口弁134は開口される。出口弁132が閉鎖されると、出口弁134が開口され、これにより、キャニスタ302の加圧時におけるキャニスタ304の実質的な同時通気が可能になる。キャニスタ中の圧力がチェック弁142を開口させるのに充分になるまで、キャニスタ302が加圧される。キャニスタ302中に生成された酸素富化ガスは、チェック弁を通じて退出し、一実施形態において、保存コンテナとして機能するアキュムレータ109中において収集される。任意選択的に、アキュムレータ109からユーザへの導管を通じて退出した酸素富化ガスは、さらなる弁(図1中図示せず)によって任意選択的に制御され得る。このような弁をコントローラ400により(例えばプログラム命令の制御により)動作させてもよく、その動作は、センサ信号(例えば、センサ(図示せず)(例えば、圧力または流量センサ)からの1つ以上の信号)に応答し得る。
【0062】
加圧時における一定期間後、ガス分離吸着剤は窒素と共に飽和し、さらなる有意な量の窒素を入来空気から分離させることができなくなる。このポイントは、生成サイクル時における所定の時間の酸素富化ガス生成後に到達することが多い。上記した実施形態において、キャニスタ302中のガス分離吸着剤がこの飽和点に到達すると、圧縮空気の流入が(入口弁122によって)停止され、キャニスタ302が(出口弁132によって)通気されて、窒素が除去される。通気時において、入口弁122は閉鎖され、出口弁132は開口される。キャニスタ302の通気時において、キャニスタ304への加圧により、酸素富化ガスの生成を上記した方法と同じ方法で行う。キャニスタ304の加圧は、出口弁134および開口部入口弁124の閉鎖によって達成される。酸素富化ガスは、チェック弁144を通じてキャニスタ304から退出する。
【0063】
キャニスタ302の通気時において、出口弁132を開口させて、加圧ガス(主に窒素)を濃縮器出口130を通じてキャニスタから退出させる。実施形態において、通気されたガスを出口マフラー133を通じて方向付けることにより、キャニスタからの加圧ガスの放出に起因して発生するノイズを低減することができる。ガスがキャニスタ302から放出されると、キャニスタ中の圧力が低下するため、窒素がガス分離吸着剤から脱着される。放出された窒素が出口130を通じてキャニスタから退出すると、キャニスタは、気流からの酸素の分離が更新された状態にリセットされる。出口マフラー133は、酸素濃縮器から退出したガスの音を消音するための連続気泡発泡体(または別の材料)を含み得る。いくつかの実施形態において、空気入力およびガス出力のための消音コンポーネント/技術の組み合わせにより、酸素濃縮器を50デシベルを下回る音レベルにおいて動作させることが可能になり得る。
【0064】
キャニスタの通気時において、窒素のうち少なくとも大部分が有利に除去される。実施形態において、キャニスタ中の窒素のうち少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または実質的に全てが除去された後、キャニスタは、空気からの別の酸素分離サイクルにおいて再利用される。いくつかの実施形態において、他方のキャニスタからキャニスタ中へ導入された酸素を豊富に含む流れを用いて、キャニスタから窒素をさらにパージする。
【0065】
このようなパージプロセス例において、キャニスタ304から窒素が通気されると、酸素富化ガスの一部がキャニスタ302からキャニスタ304へ移動され得る。キャニスタ304の通気時における酸素富化ガスのキャニスタ302から304への移動により、キャニスタからの窒素(および他のガス)のさらなるパージが支援される。実施形態において、酸素富化ガスは、2つのキャニスタ間の流れ抵抗器151、153および155を通じて移動し得る。流れ抵抗器151は、トリクル流れ抵抗器であり得る。流れ抵抗器151は、例えば0.009D流れ抵抗器であり得る(例えば、流れ抵抗器の半径0.009”は、導管または内部の管の直径未満である)。流れ抵抗器153および155は、0.013D流れ抵抗器であり得る。他の種類およびサイズの流れ抵抗器も企図され、キャニスタの接続に用いられる特定の構成および配管または流路に応じて用いられ得る。いくつかの実施形態において、流れ抵抗器は、圧入型流れ抵抗器であり得、各管または流路中の直径を狭くすることにより、空気流れを制限する。いくつかの実施形態において、圧入型流れ抵抗器は、サファイア、金属またはプラスチック製であり得る(他の材料も企図される)。
【0066】
酸素富化ガスの流れは、弁152および弁154の利用によっても制御される。そのため、コントローラ400は、弁152および154の動作を制御する弁制御信号の生成を制御するためのプログラム命令も含み得る。例えば、弁152および154は、通気プロセス時において短い継続期間にわたって開口され得(および他の場合に閉鎖され得)、これにより、パージされているキャニスタからの過度の酸素損失を回避する。他の継続期間も、企図される。例において、キャニスタ302は通気され、キャニスタ304中において生成された酸素富化ガスの一部をキャニスタ302中に送ることにより、キャニスタ302をパージすることが望ましい。酸素富化ガスの一部は、キャニスタ304が加圧されると、キャニスタ302の通気時において流れ抵抗器151を通じてキャニスタ302中へ移動する。さらなる酸素富化ガスが、キャニスタ304から弁154および流れ抵抗器155を通じてキャニスタ302中へ送られる。弁152は、移動過程時において閉鎖させたままでもよいし、あるいは、さらなる酸素富化ガスが必要な場合は開口させたままでもよい。適切な流れ抵抗器151および155の選択と、弁154の開口部の制御とにより、制御された量の酸素富化ガスをキャニスタ304から302へ送ることが可能になる。実施形態において、制御された量の酸素富化ガスとは、キャニスタ302をパージするためおよびキャニスタ302の通気弁132を通じた酸素富化ガスの損失を最小化するために充分な量である。本実施形態において、キャニスタ302の通気に述べているが、同じプロセスを流れ抵抗器151、弁152および流れ抵抗器153を用いたキャニスタ304の通気のために用いることが可能であることが理解されるべきである。
【0067】
一対の均圧/通気弁152/154が流れ抵抗器153および155と協働することにより、これら2つのキャニスタ間の気流バランスが最適化される。その結果、キャニスタのうち他方からの酸素富化ガスによるキャニスタの通気のための制御の向上が可能になる。また、これら2つのキャニスタ間の流れ方向も向上する。流れ弁152/154は、2方向弁として動作し得るが、このような弁を通じた流量は、弁を通過する流体の方向によって異なることが分かっている。例えば、キャニスタ304から弁152を通じてキャニスタ302へ流動する酸素富化ガスの流量は、キャニスタ302から弁152を通じてキャニスタ304へ流れる酸素富化ガスの流量よりも高い。単一の弁が用いられた場合、キャニスタ間において送られる酸素富化ガスは最終的に過度に多くなるかまたは少なくなり、時間と共にキャニスタからは異なる量の酸素富化ガスが経時的に生成され始める。対向する弁および流れ抵抗器を平行な空気通路上において用いると、2つのキャニスタ間の酸素の流れパターンが均等化され得る。このような流れの均等化により、一定量の酸素を複数のサイクルにわたってユーザへ利用可能にすることが可能になり得、また、他方のキャニスタをパージするための酸素量の予測も可能になり得る。いくつかの実施形態において、空気通路に絞り弁を設けなくてもよいが、あるいは、弁に内蔵抵抗を設けるかまたは空気通路そのものの半径を小さくして抵抗を提供するようにしてもよい。
【0068】
場合によっては、酸素濃縮器を一定期間にわたって停止してもよい。酸素濃縮器を停止した場合、圧縮システムからの断熱が失われるため、キャニスタの内部温度が低下し得る。温度が低下すると、キャニスタ内を閉めるガス量が低下する。キャニスタが低温になると、キャニスタ中が負圧になり得る。キャニスタに繋がる弁およびキャニスタから延びる弁(例えば、弁122、124、132および134)は、気密的にシールされるのではなく、動的にシールされる。そのため、停止後、圧力差に対応する際に外部空気がキャニスタに進入し得る。キャニスタ中に外部空気が進入した場合、キャニスタ中において空気が低温になるにつれて外部空気からの湿気が凝縮し得る。キャニスタ中の水分が凝縮すると、ガス分離吸着剤が徐々に劣化し得、ガス分離吸着剤の酸素富化ガス生成能力が徐々に低下する。
【0069】
一例において、双方のキャニスタを停止前に加圧することにより、酸素濃縮器の停止後に外部空気がキャニスタに進入する事態を回避することができる。例えば、コントローラ400は、加圧状態を生成するようにコンプレッサの動作および弁(単数または複数)の相応の制御を行うことにより、停止プロセッサ停止シーケンスにおけるこのような動作を制御し得る。キャニスタを陽圧下において保存することにより、キャニスタ中の空気の内部圧力により、弁を気密的に閉鎖された位置へ強制移動させることができる。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも雰囲気圧力よりも高くすべきである。本明細書中用いられるように、「雰囲気圧力」という用語は、酸素濃縮器が配置されている雰囲気の圧力を指す(例えば、室内の圧力、室外の圧力、飛行機内の圧力)。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも標準的気圧よりも高い(すなわち、760mmHg(Torr)、1atm、101,325Paよりも高い)。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも雰囲気圧力の約1.1倍であり、少なくとも雰囲気圧力の約1.5であるか、または少なくとも雰囲気圧力の約2倍である。
【0070】
実施形態において、加圧空気を圧縮システムから各キャニスタ中へ方向付けて弁または関連するキャニスタ関連弁を閉鎖させて、加圧空気をキャニスタ中に閉じ込めることにより、キャニスタの加圧を達成することができる。一例において、停止シーケンスが開始されると、入口弁122および124が開口され、出口弁132および134は閉鎖される。入口弁122および124は、共通導管によって接合されるため、キャニスタ302および304双方を空気として加圧することができるかつ/かまたは1つのキャニスタからの酸素富化ガスを他方のキャニスタへ移動させることができる。この状況は、圧縮システムと2つの入口弁との間の経路においてこのような移動が行われた場合に発生し得る。酸素濃縮器は、交互の加圧/通気モードにおいて動作するため、キャニスタのうち少なくとも1つを任意の所与の時期において加圧状態にする必要がある。別の実施形態において、圧力は、圧縮システム200の動作によって各キャニスタ中において増加され得る。入口弁122および124が開口されると、キャニスタ302および304間の圧力が均等化されるが、いずれかのキャニスタ中の均等化された圧力は、停止時に空気がキャニスタに進入する事態を抑止するのには不十分であり得る。キャニスタへの空気進入を確実に抑止するために、双方のキャニスタ中の圧力を少なくとも雰囲気圧力を超えるレベルまで増加させるだけの充分な時間にわたって圧縮システム200を動作させることができる。キャニスタの加圧方法に関わらず、キャニスタが加圧された後、入口弁122および124は閉鎖されるため、加圧空気はキャニスタ中に閉じ込められ、その結果、停止期間時においてキャニスタへの空気進入が抑止される。キャニスタのこのような加圧状態が達成されると、停止シーケンスは完了し得る。このような圧力状態は、キャニスタまたは関連付けられた導管と流体連通する任意選択の圧力センサ(単数または複数)を用いることにより、任意選択的に検出され得る。任意選択的に、圧縮システムおよびキャニスタの特性が判明すれば、圧縮システムのタイミングを合わせた動作を所定の時間にわたって行うことにより、このような状態を推定することができる。
【0071】
図2を参照して、例示的な酸素濃縮器100が図示される。酸素濃縮器100は、圧縮システム200と、キャニスタアセンブリ300と、外側ハウジング170内に配置された電源180とを含む。入口101を外側ハウジング170内に設けることにより、環境からの空気が酸素濃縮器100に進入することが可能になる。入口101により、区画内への空気流入が可能になるため、区画内のコンポーネントの冷却が支援される。電源180により、酸素濃縮器100の電力源が得られる。圧縮システム200により、入口106および入口マフラー108を通じて空気が引き込まれる。入口マフラー108により、圧縮システムによって引き込まれる空気のノイズが低減され得、入来空気から水分を除去するための乾燥剤材料も含み得る。酸素濃縮器100は、例えば酸素濃縮器からの空気およびガスの通気に用いられるファンを出口172の近隣にさらに含み得る。アキュムレータへ流体連通する出口ポート174により、例えば鼻カニューレのためのガス送達のための導管またはチューブへの接続のための接続(例えば、締まりばめ型コネクタ)が得られ得る。
【0072】
圧縮システム
いくつかの実施形態において、圧縮システム200は、1つ以上のコンプレッサを含む。別の実施形態において、圧縮システム200は、キャニスタシステム300の全キャニスタへ接続された単一のコンプレッサを含む。図3Aおよび図3Bに戻って、コンプレッサ210およびモータ220を含む例示的圧縮システム200が図示されている。モータ220は、コンプレッサ210へ接続され、圧縮機構の動作のための動作力をコンプレッサへ提供する。例えば、モータ220は、回転コンポーネント(例えば、偏心軸受)を提供するモータであり得る。この回転コンポーネント(例えば、偏心軸受)により、空気を圧縮させるコンプレッサのコンポーネント(例えば、ピストン)の周期的運動が発生する。コンプレッサ210がピストン型コンプレッサである場合、モータ220により、コンプレッサ210のピストンの往復運動を発生させる動作力が得られる。ピストンの往復運動により、圧縮空気がコンプレッサ210によって生成される。圧縮空気の圧力は、コンプレッサの動作圧力(例えば、ピストンの往復運動速度)によって部分的に推定され得る。そのため、モータ220は、可変速モータであり得、コンプレッサ210によって生成される空気の圧力を動的に制御するために、多様な速度において動作することができる。
【0073】
一実施形態において、コンプレッサ210は、ピストンを有する単一のヒートウォブル型コンプレッサを含む。他の種類のコンプレッサも用いられ得る(例えば、ダイヤフラムコンプレッサおよび他の種類のピストンコンプレッサ)。モータ220は、DCまたはACモータであり得、動作力toコンプレッサ210の圧縮コンポーネントへ動作力を提供する。モータ220、実施形態において、ブラシレスDCモータであり得る。モータ220は、可変速モータであり得、コンプレッサ210の圧縮コンポーネントを可変速において動作させることができる。図1に示すように、モータ220は、コントローラ400へ接続され得る。コントローラ400は、モータ動作の制御のために、動作信号をモータへ送る。例えば、例えばコントローラの1つ以上のプロセッサのプログラム命令に基づいたコントローラ400は、以下を行うための信号をモータ220へ送り得る:モータをオンにすること、モータをオフにすること、およびモータの動作速度を設定すること。
【0074】
圧縮システム200は、実質的な熱を本質的に生成する。熱は、モータ220による電力消費および動力から機械運動への変換によって発生する。コンプレッサ210は、空気圧縮によるコンプレッサコンポーネントの移動に対する抵抗増加に起因して熱を生成する。コンプレッサ210による空気の断熱圧縮によっても、熱が本質的に生成される。そのため、空気の連続的加圧により、封入容器(例えば、ハウジング170)中に熱が発生する。さらに、電源180は、圧縮システム200への給電時において熱を生成し得る。さらに、酸素濃縮器のユーザは、屋内よりも高温であり得る外気温において条件付きではない環境(例えば、屋外)においてデバイスを動作させ得るため、入来空気は既に加熱状態になる。
【0075】
酸素濃縮器100内において熱が発生すると、問題になり得る。リチウムイオン電池は、長寿命および軽量であるため、主に酸素濃縮器の電源として用いられる。しかし、リチウムイオン・バッテリーパックの場合、高温において危険であり、危険な高温の電源が検出された場合にシステムを停止させるための安全制御が酸素濃縮器100内において用いられる。さらに、酸素濃縮器100の内部温度の上昇と共に、濃縮器によって生成される酸素量が低下し得る。その部分的原因として、高温における所与の量の空気中の酸素が低下する点がある。酸素生成量が所定量を下回ると(例えば、センサが生成されたガス中の酸素濃度レベルの低下を検出した場合)、酸素濃縮器100は自動停止し得る。
【0076】
酸素濃縮器はコンパクトであるため、放熱は困難であり得る。典型的な解決方法を挙げると、1つ以上のファンの使用により封入容器中に冷却空気の流れを発生させる方法がある。しかし、このような解決方法の場合、電源からさらに電力が必要になるため、酸素濃縮器のポータブル利用時間が短くなる。実施形態において、受動的冷却システムは、モータ220によって生成される機械的動力を利用するために用いられ得る。図3Aおよび図3Bを参照して、圧縮システム200は、外部回転電機子230を有するモータ220を含む。詳細には、モータ220(例えば、DCモータ)の電機子230は、電機子を駆動する定常場の周囲を包囲する。モータ220は、システム全体への熱に大きく貢献するため、モータから熱を引き出し、封入容器から掃き出すと有用である。外部高速回転に起因して、モータの主要コンポーネントの相対速度およびその周囲の空気が高くなる。電機子の表面積は、内部に取り付けられた場合よりも、外部に取り付けられた場合に大きくなる。熱交換速度は表面積および速度の二乗に比例するため、外部に取り付けられたより大型の表面積電機子を用いた場合、モータ220からの放熱能力が増加する。電機子を外部に取り付けられたときの冷却効率の利得により、圧縮システムモータから分離された1つ以上の冷却ファンを無くすことができるため、酸素濃縮器の内部を適切な温度範囲内に維持しつつ、重量および消費電力が低減する。よって、例えばファンの追加のためのさらなるモータ(単数または複数)が不要になり得る。さらに、外部に取り付けられた電機子が回転すると、モータの近隣の空気が動くため、さらなる冷却が促進される。
【0077】
その上、外部回転電機子によりモータ効率が支援され得、熱の発生が低減する。外部回転電機子を有するモータは、内燃機関中において機能するフライホイールと同様に動作する。モータがコンプレッサを駆動させる際、回転に対する抵抗は、低圧力において低くなる。圧縮空気の圧力が高くなると、モータ回転に対する抵抗が高くなる。その結果、モータは、一貫した理想的な回転安定性を維持できなくなり、コンプレッサの圧力要求に応じてサージおよび低速化が発生する。このようなモータのサージおよびその後の低速化の傾向は、非効率であり、そのため熱の原因となる。外部回転電機子を用いた場合、モータの角運動量が大きくなるため、モータの可変抵抗の補償が支援される。モータの仕事量が大きくなくてすむため、モータから発生する熱が低下し得る。
【0078】
実施形態において、空気移動デバイス240を外部回転電機子230へ接続させることにより、冷却効率がさらに増加し得る。実施形態において、空気移動デバイス240を外部回転電機子230へ接続させる際には、外部回転電機子の回転により空気移動デバイスが気流を発生させて、この気流がモータの少なくとも一部へ移動するように、接続が行われる。実施形態において、空気移動デバイスは、電機子へ接続された1つ以上のファンブレード241および243を含む。実施形態において、空気移動デバイスが外部回転電機子の運動により回転するインペラ247として機能するように、複数のファンブレードが環状リング内に配置され得る。図3Aおよび図3Bに示すように、空気移動デバイス240は、モータと整列した様態で外部回転電機子230の外面へ取り付けられ得る。空気移動デバイスを電機子に取り付けることにより、気流を外部回転電機子の主要部分へ方向付けることが可能になり、これにより、使用時における冷却効果が可能になる。実施形態において、空気移動デバイスにより、外部回転電機子の大部分が空気流路中に配置されるように、気流が方向付けられる。
【0079】
さらに、図3Aおよび図3Bを参照して、コンプレッサ210によって加圧された空気は、コンプレッサ出口212においてコンプレッサ210から退出する。コンプレッサ出口導管250は、圧縮空気をキャニスタシステム300へ移動させるように、コンプレッサ出口212へ接続される。上記したように、空気が圧縮されると、空気の温度が上昇する。このような温度上昇は、酸素濃縮器の効率にとって有害であり得る。加圧空気の温度を低下させるために、コンプレッサ出口導管250が、空気移動デバイス240によって生成される空気流路中に配置される。コンプレッサ出口導管250の少なくとも一部は、モータ220の近隣に配置され得る。そのため、空気移動デバイスによって生成された気流が、モータ220およびコンプレッサ出口導管250と接触し得る。一実施形態において、コンプレッサ出口導管250の大部分が、モータ220の近隣に配置される。実施形態において、図3Bに示すように、コンプレッサ出口導管250は、モータ220の周囲に渦巻き状にされる。例えば、出口導管は、空気移動デバイスのインペラのブレード周囲においてらせん状にされ得る。隙間251は、冷却効率向上のために導管250のコイル間の空気移動を促進させるように、螺旋のコイル間に任意選択的に実行され得る。
【0080】
実施形態において、コンプレッサ出口導管250は、熱交換金属によって構成される。熱交換金属の例を非限定的に挙げると、アルミニウム、炭素鋼、ステンレススチール、チタン、銅、銅ニッケル合金またはこれらの金属の組み合わせから形成される他の合金がある。よって、コンプレッサ出口導管250は、空気圧縮に本質的に起因する熱を除去する熱交換器として機能し得る。圧縮空気からの熱除去により、所与の圧力における所与の量の分離の数が増加する。その結果、各圧力スイングサイクル時において各キャニスタが生成することが可能な酸素量が増加し得る。
【0081】
本明細書中に記載の放熱機構は、受動的なものであるか、または、酸素濃縮器100に必要な要素を利用する。よって、例えば、さらなる電力を必要とするシステムを用いること無く、放熱の増加が可能になり得る。さらなる電力が不要になるため、バッテリーパックのランタイム増加が可能になり得、酸素濃縮器のサイズおよび重量の最小化が可能になり得る。同様に、さらなるボックスファンまたは冷却ユニットの利用も不要になり得る。このようなさらなる特徴を無くすことにより、酸素濃縮器の重量および消費電力が低下する。
【0082】
上記したように、空気の断熱圧縮に起因して、空気温度が上昇する。キャニスタシステム300中のキャニスタの通気時において、キャニスタから放出されるガスの圧力が低下する。キャニスタ中のガスの断熱減圧に起因して、通気と共にガス温度が低下する。そのため、酸素濃縮器のいくつかのバージョンにおいて、キャニスタシステム300からの冷却された通気ガスは、温度低下の利用のために、電源180へかつ/または圧縮システム200へ方向付けられ得る。一例において、キャニスタシステム300のベース315は、通気されたガスをキャニスタから受領する。通気されたガス327(例えば、窒素を豊富に含む、酸素が低下した空気)は、ベース315の1つ以上の流路を通じてベースの出口325および電源180へ方向付けられる。通気されたガスは、上記したようにガス減圧によって冷却されるため、電源へ冷却を受動的に提供する。圧縮システムが動作すると、空気移動デバイスは、冷却された通気ガスを収集し、ガスを圧縮システム200のモータへ方向付ける。出口172の近隣の任意選択のファンは、圧縮システム200上の通気ガスをハウジング170から方向付けることも支援し得る。このようにして、電池からのさらなる電力要求を全く必要とすること無く、さらなる冷却を得ることが可能になり得る。
【0083】
出口システム
キャニスタのうち1つ以上へ接続された出口システムは、酸素富化ガスをユーザへ提供する1つ以上の導管を含む。実施形態において、キャニスタ302および304のいずれかの内部において生成された酸素富化ガスは、図1に模式的に示すように、チェック弁142および144それぞれを通じてアキュムレータ109中に収集される。キャニスタから退出した酸素富化ガスは、酸素アキュムレータ109中に収集された後、ユーザへ提供され得る。いくつかの実施形態において、チューブを例えば出口ポート174を介してアキュムレータ109を接続することにより、酸素富化ガスをユーザへ提供することができる。酸素富化ガスは、酸素富化ガスユーザの口腔および/または鼻へ移動させる気道送達デバイス(例えば、導管およびカニューレ)を通じてユーザへ送達され得る。実施形態において、出口は、酸素をユーザの鼻および/または口腔へ方向付けるチューブを含み得る。このチューブは、ユーザの鼻へ直接接続されていない場合がある。
【0084】
図4Aを参照して、酸素濃縮器のための出口システムの実施形態の模式図が図示されている。アキュムレータ109からユーザへの酸素富化ガスの放出を制御するように、供給弁160が出口チューブへ接続され得る。実施形態において、供給弁160は、電磁駆動プランジャー弁である。供給弁160は、ユーザへの酸素富化ガス送達を制御するためにコントローラ400のプログラム命令の制御に従って設定され得る供給弁制御信号を生成することにより、コントローラ400によって作動させられる。供給弁160の作動は典型的には、圧力スイング吸着法プロセスとタイミングを合わせられるかまたは同期されない。その代わりに、作動は、ユーザの呼吸と同期され得る。さらに、供給弁160は、本明細書中により詳述するような所定の振幅プロファイルに従った酸素富化ガスの提供を可能にするために、連続的に値付けされたかまたは定量化された作動を有し得る。比例弁は、実行可能なこのような連続作動可能な供給弁160の一例である。
【0085】
アキュムレータ109中の酸素富化ガスは、図4Aに示すように、供給弁160を通じて膨張型霧箱162中へ移動する。実施形態において、膨張型霧箱162は、この箱を通過するガスの酸素濃度を決定するために実行可能な1つ以上のデバイスを含み得る。膨張型霧箱162中の酸素富化ガスは、供給弁160によるアキュムレータ109からのガス放出を通じて短時間で蓄積した後、小型オリフィス流れ抵抗器175を通じて流量センサ185へと流動し得、その後微粒子フィルタ187へと流動し得る。流れ抵抗器175は、0.025D流れ抵抗器であり得る。他の種類およびサイズの流れ抵抗器が用いられ得る。いくつかの実施形態において、ハウジング中の空気通路の直径は、気流制限のために限定され得る。流量センサ185は、導管を通過する酸素富化ガスを代表する信号を生成または推測することが可能な任意のセンサであり得る。微粒子フィルタ187は、ユーザへの酸素富化ガス送達の前の細菌、埃、細粒微粒子などのフィルタリングのために用いられ得る。酸素富化ガスは、フィルタ187を通じてコネクタ190へ移動する。コネクタ190は、酸素富化ガスを導管192を介してユーザへ送り、圧力センサ194へ送る。いくつかの実施形態において、圧力センサ194は、感知面へ付加される正圧または負圧の量に比例する信号を生成し得る。
【0086】
コントローラ400は、本明細書中により詳細に記載される方法に従って実行されるそのプログラム命令に従って、流量センサ185からの流量信号を(供給弁160の連続的に値付けされた作動の閉ループ制御を可能にするための)フィードバック信号として受信し得る。供給弁160のこのように連続的に値付けされた作動により、所定の振幅プロファイルに従った酸素富化ガスのボーラス送達を行うためのガス放出の制御が可能になり得る。供給弁160の連続的に値付けされた作動をこのように制御すると、酸素ボーラスの提供を正確なタイミングでかつ振幅プロファイルに従って行うことが可能になり得、これにより、逆行性流れの無駄および/または解剖学的死腔の無駄を最小にしつつ、ユーザの肺中への高速送達を確保することが可能になる。ボーラス送達をこのように行うことが可能になると、所与の呼吸パターンを有する安静時のユーザに対するパルス化送達モードにおいて、処方された連続的流量と治療的に相当するボーラス量との間に線形関係が可能になり得る。例えば、連続流れ処方の模倣に必要な各ボーラスの合計量は、以下に等しくすることができる:処方された連続流量の各LPMに対して11mL(perボーラス)(すなわち、例えば、1LPMの処方に対して11mL量のボーラス;2LPMの処方に対して22mL量のボーラス;3LPMの処方に対して33mL量のボーラス;4LPMの処方に対して44mL量のボーラス;5LPMの処方に対して55mL量のボーラス)。このボーラス量(本例においては11mL)を、LPM等価ボーラス量と呼ぶ。LPM等価ボーラス量は、構造設計、配管サイズ、箱サイズなどの差によって酸素濃縮器間において異なり得ることが理解されるべきである。LPM等価ボーラス量は、ユーザの呼吸パターンによっても異なる。
【0087】
膨張型霧箱162は、1つ以上の酸素センサを含み得る。これらの酸素センサは、上記箱を通過するガスの酸素濃度を決定するために実行され得る。実施形態において、膨張型霧箱162を通過するガスの酸素濃度は、酸素センサ165を用いて推定される。酸素センサは、ガス中の酸素を検出することが可能なデバイスである。酸素センサの例を非限定的に挙げると、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、および光学酸素センサがある。一実施形態において、酸素センサ165は、超音波酸素センサであり、超音波放出体166および超音波受信器168を含む。いくつかの実施形態において、超音波放出体166は、複数の超音波放出体を含み得、超音波受信器168は、複数の超音波受信器を含み得る。複数の放出体/受信器を有する実施形態において、複数の超音波放出体および複数の超音波受信器は、軸方向に(例えば、軸整列に対して垂直であり得るガス混合物流路にわたって)整列され得る。
【0088】
使用時において、超音波酸素センサは、(放出体166からの)超音波を箱162中に配置された酸素富化ガスを通じて受信器168へ方向付ける。超音波センサアセンブリは、ガス混合物を通過する音の速度を検出して、ガス混合物の組成を決定することに基づき得る(例えば、音の速度は、窒素および酸素において異なる)。2つのガスの混合物において、混合物を有する通過する音の速度は、混合物中の各ガスの相対的量に比例する中間値であり得る。使用時において、受信器168における音は、放出体166から送られる音と若干逆位相をとる。この位相変化は、ガス媒体の音の速度がワイヤを通じた電子パルスの高速に比べて相対的に低速であることに起因する。次に、この位相変化は、放出体と受信器との間の距離および膨張型霧箱をつうかする音の速度に比例する。この箱中のガスの密度に起因して、この箱を通過する音の速度が影響を受け、密度は、箱中の酸素対窒素の比に比例する。そのため、位相変化を用いて、膨張型霧箱中の酸素濃度を測定することができる。このようにして、アキュムレータ109中の酸素の相対的濃度を、膨張型霧箱162を通過する検出された音波の1つ以上の特性の関数として推定することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、複数の放出体166および受信器168が用いられ得る。放出体166および受信器168からの読み取り値の平均化により、乱流系に固有であり得る誤差をキャンセルすることができる。いくつかの実施形態において、通過時間を測定することおよび測定された通過時間を他のガスおよび/またはガス混合物の所定の通過時間と比較することにより、他のガスの存在の検出も可能であり得る。
【0090】
例えば放出体166と受信器168との間に数個の音波サイクルが可能になるように放出体166と受信器168との間の距離を増加させることにより、超音波センサシステムの感度の増加が可能になり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの音サイクルが存在する場合、2つの時点における固定基準に相対する位相変化の測定により、トランスデューサの構造的変化による影響を低減させることができる。早期の位相変化を後期の位相変化から減算すると、膨張型霧箱162の熱膨張に起因する変化を低減またはキャンセルすることができる。放出体166と受信器168との間の距離の変化に起因する変化は、測定インタバルとほぼ同じであり得る一方、酸素濃度の変化に起因する変化は累積的であり得る。いくつかの実施形態において、後期において測定された変化測定に介在サイクル数が乗算され得、2つの隣接するサイクル間の変化と比較され得る。膨張型霧箱中の酸素の感知についてのさらなる詳細について、例えば米国公開特許出願第2009−0065007号(公開日:2009年3月12日、タイトル:「Oxygen Concentrator Apparatus and Method」)に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0091】
流量センサ185は、出口システム中を流れる酸素富化ガスの流量の決定に用いられ得る。利用可能な流量センサの例を以下に非限定的に挙げる:ダイヤフラム/ベローズ流量計;ロータリ−流量計(例えば、ホール効果流量計);タービン流量計;オリフィス流量計;および超音波流量計。流量センサ185は、コントローラ400へ流量信号を提供するように、コントローラ400へ接続され得る。出口システム中を流れるガスの流量は、ユーザの相対的呼吸量を示し得る。出口システム中を流れるガスの流量の変化を用いて、ユーザの呼吸速度を決定することも可能であり得る。コントローラ400は、(コントローラ400における流量信号の評価/処理により流量センサ185によって推定されるような)ユーザの呼吸速度および/または呼吸量に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、超音波センサシステム165および例えば流量センサ185により、提供される酸素の実際の測定量が得られ得る。例えば、流量センサ185は、提供されるガス量を(流量信号に基づいて)決定するための信号をコントローラのコントローラ400へ提供し得、超音波センサシステム165は、コントローラ400のために提供されるガス量の酸素濃度を決定するための信号をコントローラ400へ提供し得る。コントローラ400は、これらの2つの測定を共に用いて、ユーザへ提供される実際の酸素量の概算を決定することができる。
【0093】
上記したように、酸素富化ガスは、流量センサ185を通じてフィルタ187へ移動する。フィルタ187により、細菌、埃、細粒微粒子などが除去された後、酸素富化ガスがユーザへ提供される。フィルタリングされた酸素富化ガスは、フィルタ187を通じて、任意選択のコネクタ190へ移動する。コネクタ190は、フィルタ187の出口を圧力センサ194および出口導管192へ接続させる「Y字型」コネクタであり得る。圧力センサ194は、導管192を通じてユーザへ移動するガスの圧力を監視するように、コントローラ400と共に実行され得る。圧力センサ194によって感知される圧力の変化は、ユーザの呼吸速度および吸気開始(トリガインスタントとも呼ばれる)を決定するために、コントローラ400によって評価され得る。コントローラ400は、(以下に述べる圧力センサ194を用いて推定されるような)呼吸速度および/またはユーザの吸気の開始に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。実施形態において、コントローラ400は、流量センサ185および圧力センサ194から提供される情報に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。
【0094】
酸素富化ガスは、導管192を通じてユーザへ提供され得る。導管192は、任意選択の出口ポート174へ接続され得る。実施形態において、導管192は、シリコーンチューブであり得る。導管192は、図4Bおよび図4Cに示すように、気道送達デバイス710によってユーザへ接続され得る。気道送達デバイス710は、酸素富化ガスを鼻腔へ提供することが可能な任意のデバイスであり得る。気道送達デバイスの例を以下に非限定的に挙げる:鼻マスク、鼻枕、鼻プロング、および鼻カニューレ。鼻カニューレ気道送達デバイスを図4Bに示す。使用時に、酸素濃縮器100からの酸素富化ガスは、導管192および気道接続部材710を通じてユーザへ提供される。気道送達デバイス710は、ユーザが周囲からの空気を呼吸することを可能にしつつユーザへの酸素富化ガス送達を可能にするように、ユーザの気道の近隣(例えば、ユーザの口および/または鼻の近隣)に配置される。
【0095】
使用時に、気道送達デバイス710の近隣における圧力変化がコントローラ400によって感知されると、酸素富化ガスが気道送達デバイス710へ方向付けられ得る/放出され得、これにより、圧力変化が検出され、供給弁160の作動が制御される。一実施形態において、気道送達デバイス710は、圧力センサへ接続され得る。ユーザが鼻を通じて空気を吸気すると、圧力センサは、吸気開始を(気道送達デバイス710の近隣の圧力降下として)検出し得る。吸気開始時において、酸素濃縮器100のコントローラ400により、酸素富化ガスのボーラスがユーザへ提供され得る。
【0096】
別の実施形態において、酸素富化ガスをユーザへ提供するために、マウスピースが用いられ得る。図4Cに示すように、マウスピース720が、酸素濃縮器100へ接続され得る。マウスピース720を酸素富化ガスのユーザへの提供のために用いられる唯一のデバイスにしてもよいし、あるいは、マウスピースを鼻気道送達デバイス(例えば、鼻カニューレ)と組み合わせて用いてもよい。図4Cに示すように、酸素富化ガスが鼻気道送達デバイス710およびマウスピース720双方を通じてユーザへ提供され得る。
【0097】
マウスピース720を、ユーザの口内に取り外し可能に配置することができる。一実施形態において、マウスピース720を、ユーザの口中の1本以上の歯へ取り外し可能に接続することができる。使用時に、酸素富化ガスは、ユーザの口中へマウスピースを介して方向付けられる。マウスピース720は、ユーザの歯に適合するように成型されたナイトガードマウスピースであり得る。あるいは、マウスピースは、下顎再配置デバイスであり得る。実施形態において、少なくともマウスピースの大部分は、使用時においてユーザの口中に配置される。
【0098】
使用時に、マウスピース720の近隣において圧力変化が検出されると、酸素富化ガスがマウスピース720へ方向付けられ得る。一実施形態において、マウスピース720は、圧力センサへ接続され得る。ユーザが自身の口腔を通じて空気を吸気すると、圧力センサは、吸気開始を(マウスピース720の近隣の圧力降下として)検出し得る。吸気開始時において、酸素濃縮器100のコントローラ400により、酸素富化ガスのボーラスがユーザへ提供され得る。
【0099】
個人の典型的な呼吸時において、吸気は、鼻を通じて、口腔を通じてあるいは鼻および口腔双方を通じて行われ得る。さらに、呼吸は、多様な要素に応じて、1つの通路から別の通路へ変化し得る。例えば、より活発な活動時において、ユーザは、鼻を通じた呼吸を口を通じた呼吸(あるいは口および鼻を通じた呼吸)へ切り換え得る。単一の送達モード(鼻および口のいずれか(双方ではない))に依存するシステムの場合、監視された経路を通じた呼吸が停止した場合に適切に機能できなくなり得る。例えば、ユーザへの酸素富化ガス提供のために鼻カニューレが用いられる場合、吸気開始を決定するために、吸気センサ(例えば、圧力センサまたは流量センサ)が鼻カニューレへ接続され得る。ユーザが鼻を通じた呼吸を停止し、口を通じた呼吸に切り換えると、鼻カニューレを介して検出することが可能な圧力降下が無いため、酸素濃縮器100は、いつ酸素富化ガスを提供すればよいのかわからなくなり得る。このような状況下において、酸素濃縮器100は、吸気センサがユーザの吸気を検出するまで、流量を増加し得かつ/または酸素富化ガスの提供頻度を増加させ得る。ユーザが呼吸モードの切り換えを頻繁に行うと、デフォルトの酸素富化ガス提供モードに起因して、酸素濃縮器100の作動頻度が高くなり、その結果、システムのポータブル使用時間が制限される。
【0100】
実施形態において、ユーザへの酸素富化ガス提供に用いられる気道送達デバイス710(例えば、鼻カニューレ)と共に用いられるマウスピース720が、図4Cに示される。マウスピース720および気道送達デバイス710はどちらとも、吸気センサへ接続される。一実施形態において、マウスピース720および気道送達デバイス710は、同一の吸気センサへ接続される。別の実施形態において、マウスピース720および気道送達デバイス710は、異なる吸気センサへ接続される。いずれかの実施形態において、吸気センサ(単数または複数)は、吸気開始を口または鼻から検出し得る。酸素濃縮器100は、近隣において吸気開始が検出された特定のデバイス(すなわち、マウスピース720および気道送達デバイス710のうち1つ)へ酸素富化ガスを提供するように、構成され得る。例えば、アキュムレータからの流路は、マウスピースおよび気道送達デバイスそれぞれに分割/分岐し得、各分岐は、コントローラ400によって制御される供給弁を有し得る。あるいは、電気機械三方弁が、供給弁として実行され得、ボーラスを流路の所望の分岐(すなわち、マウスピース720および気道送達デバイス710のうち1つ)へ選択的に方向付けるように、コントローラ400によって制御され得る。あるいは、いずれかのデバイスの近隣において吸気開始が検出された場合、酸素富化ガスをマウスピース720および気道送達デバイス710双方へ提供してもよい。例えば図4Cに示すような2重送達システムを用いると、ユーザにとって、睡眠時鼻呼吸/口呼吸間の切り換え時において意識すること無く特に有用であり得る。
【0101】
コントローラシステム
酸素濃縮器100の動作は、本明細書中に記載のような酸素濃縮器100の多様なコンポーネントへ接続された内部コントローラ400を用いて自動的に行われ得る。図1に示すように、コントローラ400は、1つ以上のプロセッサ410および内部メモリ420を含む。本明細書中により詳細に述べるような酸素濃縮器100の作動および監視のために実行される方法は、メモリ420中に保存されたプログラム命令またはコントローラ400へ接続された分散媒によって実行され得、1つ以上のプロセッサ410によって実行され得る。メモリ媒体は、多様な種類のメモリデバイスまたは記憶装置のうちいずれかを含み得る。「メモリ媒体」という用語は、インストール媒体を含むことを意図する(例えば、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)、フロッピーディスク、またはテープデバイス;コンピュータシステムメモリまたはランダムアクセスメモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ダブルデータレートランダムアクセスメモリ(DDRRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、拡張データアウトランダムアクセスメモリ(EDORAM)、ラムバスランダムアクセスメモリ(RAM));または不揮発性メモリ(例えば、磁気媒体(例えば、ハードドライブまたは光学記憶装置)))。メモリ媒体は、他の種類のメモリまたはその組み合わせも含み得る。加えて、メモリ媒体は、内部においてプログラムが実行される第1のコンピュータ中に配置してもよいし、あるいは、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して第1のコンピュータへ接続された第2の異なるコンピュータ中に配置してもよい。後者の場合、第2のコンピュータは、第1のコンピュータによって実行されるプログラム命令を提供し得る。「メモリ媒体」という用語は、異なる場所(例えば、ネットワークを介して接続された異なるコンピュータ中)に常駐し得る2つ以上のメモリ媒体を含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、コントローラ400は、1つ以上のプロセッサ(単数または複数)410を含む。プロセッサ(単数または複数)410は、例えば、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、酸素濃縮器100中に配置された回路基板上に設けられたマイクロコントローラを含む。プロセッサ410は、メモリ420中に保存されたプログラム命令を実行することができる。いくつかの実施形態において、プログラム命令は、プロセッサの外部のメモリに別個にアクセスできない(すなわち、メモリ420は、プロセッサ410の内部に設けられ得る)ように、プロセッサ410中に構築され得る。
【0103】
プロセッサ410は、酸素濃縮器100の多様なコンポーネントへ電子的に(例えば、有線的にまたは無線的に)接続され得る(例を非限定的に挙げると、圧縮システム200、システム中を流れる流体の制御に用いられる弁のうち1つ以上(例えば、弁122、124、132、134、152、154、160)、酸素センサ165、圧力センサ194、流量センサ185、温度センサ、ファン、および電気制御が可能な他の任意のコンポーネント)。いくつかの実施形態において、別個のプロセッサ(および/またはメモリ)が、これらのコンポーネントのうち1つ以上へ接続され得る。
【0104】
コントローラ400は、酸素濃縮器100を作動させるように、本明細書中に記載のようなプログラム命令と共にプログラムされ、酸素濃縮器100を故障状態について開始するようにさらにプログラムされる。例えば、一実施形態において、コントローラ400は、システムが動作しておりかつ所定の期間にわたってユーザにより呼吸が検出されない場合に警告をトリガするように、プログラムされる。例えば、コントローラ400が75秒間の期間にわたって呼吸を検出しない場合、警告LEDが点灯されかつ/または可聴警告が発生し得る。例えば睡眠時無呼吸エピソード時にユーザの呼吸が本当に止まった場合、この警告はユーザを覚醒させるのに充分であり得、これにより、ユーザの呼吸を再開させる。この呼吸活動は、コントローラ400がこの警告機能をリセットするのに充分であり得る。あるいは、出力導管192がユーザから取り外されたときにシステムがうっかりオンのまま放置された場合、この警告は、ユーザに酸素濃縮器100をオフにするよう促すためのリマインダとして機能し得る。
【0105】
コントローラ400は、酸素センサ165へさらに接続され得、膨張型霧箱162を通過する酸素富化ガスの酸素濃度の連続的または定期的監視のためにプログラムされ得る。最小酸素濃度閾値は、ユーザに対し酸素濃度低下について警告するためのLED視覚警告および/または可聴警告をコントローラが点灯するように、コントローラ400内にプログラムされ得る。
【0106】
コントローラ400は、内部電源180にも接続され、内部電源の充電レベルを監視するように構成される。最小電圧および/または現在の閾値コントローラ400内にプログラムすることにより、コントローラがユーザに対して電力低下状態について警告するためのLED視覚警告および/または可聴警告を点灯することができる。これらの警告の起動は、間欠的に行ってもよいし、あるいは、電池の利用可能な充電がゼロに近づくにつれて頻度を上げて行ってもよい。
【0107】
コントローラ400のさらなる機能または方法について、本開示の他の部分に詳細の記載がある。
【0108】
外側ハウジング―コントロールパネル
図5は、酸素濃縮器100の外側ハウジング170の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、外側ハウジング170は、軽量プラスチックを含み得る。外側ハウジングは、圧縮システム入口106と、冷却システム受動的入口101と、外側ハウジング170の各端部における出口172と、出口ポート174と、コントロールパネル600とを含む。入口101および出口172により、冷却空気がハウジングに進入し、ハウジングを通過し、ハウジング170内から退出して、酸素濃縮器100の冷却を支援することができる。圧縮システム入口106により、圧縮システム内への空気進入が可能になる。出口ポート174は、酸素濃縮器100によって生成された酸素富化ガスをユーザへ提供するための導管を取り付けるために用いられる。
【0109】
コントロールパネル600は、ユーザとコントローラ400との間のインターフェースとして機能して、ユーザが酸素濃縮器100の所定の動作モードを開始することおよびシステムの状態を監視することを可能にする。充電入力ポート605は、コントロールパネル600内に配置され得る。図6は、例示的なコントロールパネル600を示す。
【0110】
いくつかの実施形態において、コントロールパネル600は、酸素濃縮器100のための多様な動作モードを起動するためのボタンを含み得る。例えば、コントロールパネルは、電力ボタン610、投与量ボタン620、622、624、626、活動モードボタン630、スリープモードボタン635、および電池チェックボタン650を含み得る。いくつかの実施形態において、これらのボタンのうち1つ以上は、各LEDを有し得る。このLEDは、各ボタンが押圧されたときに発光し得(各ボタンが再度押圧されたときに電力オフにされ得る)。電力ボタン610は、システムの電力をオンまたはオフにさせ得る。システムをオフにするために電力ボタンが起動されると、コントローラ400は、システムを停止状態にさせるための停止シーケンスを開始し得る(例えば、上記したように双方のキャニスタが加圧された状態)。投与量ボタン620、622、624および626により、酸素富化ガスの処方された連続流量の選択が可能になる(例えば、ボタン620により1LPM、ボタン622により2LPM、ボタン624により3LPM、およびボタン626により4LPM)。このようなボタンにより、パルス化モードまたはデマンドモードにあるときに本明細書中に記載のように選択された連続速度に対応するLPM等価ボーラス量において酸素濃縮器100に一定速度の酸素を送達させることができる。ユーザが通常時に酸素濃縮器100を用いる場所よりも高い場所にユーザが行く場合、高度ボタン640が選択され得る。
【0111】
電池チェックボタン650が電池チェックルーチンを酸素濃縮器100内において開始すると、相対的な残留電池電力LED655がコントロールパネル600上において発光される。
【0112】
ユーザの活動が比較的低い場合(例えば、熟睡時、座位時)において、ユーザの呼吸速度または深さが低くなるときがある。ユーザの活動が比較的高い場合(例えば、歩行時、運動時)において、ユーザの呼吸速度または深さが高くなるときがある。検出された呼吸速度または深さを閾値と比較することにより、活動モードまたは不活動モードが自動的に起動され得る。追加的にまたは代替的に、ユーザは、活動モードの場合はボタン630をおよび不活性(スリープ)モードの場合はボタン635を押圧することにより、各活性モードまたは不活動モードを手動で起動することができる。活動モードまたは不活動モードの起動に応答して行われる酸素濃縮器100による調節について、本明細書中より詳細に説明する。
【0113】
酸素富化ガスの送達方法
酸素濃縮器100の主な用途として、ユーザへの酸素補充がある。一般的に、提供されるべき酸素補充の流量が、医師によって推定および処方される。典型的な処方された酸素補充の連続流量は、約1LPM〜約10LPMの範囲であり得る。最も一般的な処方連続流量は、1LPM、2LPM、3LPMおよび4LPMである。
【0114】
処方された連続流量における連続流れの効果をエミュレートしつつ、生成する必要のある酸素富化ガスの量を最小化するために、コントローラ400は、酸素富化ガス送達をユーザの吸気と同期させるようにプログラムされ得る(パルス化酸素送達(POD)またはデマンド酸素送達として公知のモード)。例えばユーザの呼気時に酸素放出を行わないことにより(電力要求がさらに低下する)ことにより、ユーザの吸気時のみにユーザへの酸素富化ガス放出を行うことにより、不要な酸素生成を回避することができる。酸素生成量を低減することにより、酸素濃縮器100に必要な圧縮空気量を有効に低減することができ、(その後コンプレッサからの電力デマンドを低減することができる)。
【0115】
酸素濃縮器100によって生成された酸素富化ガスは、酸素アキュムレータ109中に保存され、ユーザの吸気時においてボーラスとしてユーザへ放出される。酸素濃縮器100によって提供される酸素富化ガス量は、供給弁160によって部分的に制御される。実施形態において、供給弁160の開口は、コントローラ400によって推定されたような適切な量の酸素富化ガスをユーザに提供することができるだけの充分なレベルおよび充分な量で行われる。
【0116】
実施形態において、圧力センサ194は、ユーザの吸気開始を決定するように、実行され得る。使用時において、酸素富化ガスを提供するための導管192が、気道送達デバイス710および/またはマウスピース720を通じてユーザの鼻および/または口へ接続される。吸気開始時において、ユーザは、鼻および/または口を通じて空気を体内へ引き込むことを開始する。空気が引き込まれる際、送達導管端部において引き込まれる空気のベンチュリ作用に部分的に起因して、導管端部において負圧が発生する。コントローラ400は、圧力センサ194によって生成された圧力信号の低下を検出するように構成され得る。この低下は、吸気開始を示す。吸気開始が検出されると、任意選択的に先ず開始遅延として知られるインタバルを待機した後に、供給弁160が開口されて、酸素富化ガスのボーラスをアキュムレータ109から放出される。圧力の正の変化または上昇は、ユーザの呼気を示し、概して酸素富化ガス放出が中止されたときである。一般的に、圧力センサ194によって生成された圧力信号の陽圧変化をコントローラ400が検出すると、次の吸気開始までに弁160は閉鎖される。あるいは、ボーラス継続期間として知られる所定インタバル後、弁160は、コントローラ400によって閉鎖され得る。隣接する吸気開始間のインタバルを測定することにより、コントローラ400は、ユーザの呼吸速度を推定し得る。吸気開始時とその後の呼気開始時との間のインタバルを測定することにより、コントローラ400は、ユーザの吸気時間を推定し得る。
【0117】
圧力センサ194によって検出された圧力変化量は、ユーザへ提供される酸素富化ガス量を精緻化するために実行され得る。例えば、大きな負圧変化が圧力センサ194によって検出された場合、ユーザが恐らく吸気したガス量の増加を考慮に入れるために、ユーザへ提供/放出される酸素富化ガス量が(供給弁160のそのダイナミック制御を通じて)コントローラ400によって増加され得る。より小さな負圧変化が検出された場合、ユーザが恐らく吸気したガス量の低下を考慮に入れるために、ユーザへ提供/放出される酸素富化ガス量は、(供給弁160のそのダイナミック制御を通じて)コントローラ400によって低減され得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、圧力センサ194の感度は、特に圧力センサが酸素濃縮器100内に配置されかつ酸素濃縮器100をユーザへ接続させる導管192を通じて圧力差が検出された場合、圧力センサ194のユーザからの物理的距離によって影響を受け得る。いくつかの実施形態において、圧力センサ194は、酸素富化ガスのユーザへの提供に用いられる気道送達デバイス710内に配置され得る。圧力センサからの信号は、酸素濃縮器100中のコントローラ400へ有線的にまたはテレメトリを通じて(例えば、(登録商標)または他の無線技術を通じて)電子的に提供され得る。
【0119】
活性状態(例えば、歩行時、運動時)におけるユーザの呼吸速度が1分あたり30回(BPM)である場合、ユーザは、不活性状態(例えば、睡眠、座位)時における呼吸速度が12BPMであるときよりも2.5倍もの多くの酸素を消費し得る。圧力センサ194は、ユーザの呼吸速度を決定するように、実行され得る。上記したように、コントローラ400は、圧力センサ194から受信した情報を処理して、吸気開始頻度に基づいた呼吸速度を決定し得る。検出されたユーザ呼吸速度は、酸素富化ガスのボーラス量の調節のために適用され得る。酸素富化ガスのボーラス量は、(酸素濃縮器100によって用いられる投与量割当スキーム/方法によって指定されるような)ユーザの呼吸速度の増加と共に増加させてもよいし、一定に保持してもよいし、あるいは低下させてもよい。
【0120】
さらに、コントローラ400は、酸素濃縮器100の活動モードに基づいて、ボーラス量を自動的に調節し得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、ユーザの現在の呼吸速度が所定の閾値を超える場合、コントローラ400は、酸素濃縮器100の送達能力を超えている旨をユーザに警告するための警告(例えば、視覚および/または音声)を実行し得る。例えば、閾値は、1分あたり40回の呼吸に設定され得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮器100の圧力変化に対する感度は、異なる源からの空気の移動(例えば、周囲空気の移動)に起因する吸気開始の偽検出を低減するように、選択的に減衰され得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、活動モードにおいて、酸素濃縮器100の感度の減衰は、機械的、電子的またはプログラム的に行われ得る。例えば、活動モード時において、コントローラ400は、ユーザの呼吸開始を示す圧力低下の増加を探し得る(例えば、閾値上昇を検出された圧力降下と比較することにより、酸素ボーラスを放出すべきかを決定することができる)。いくつかの実施形態において、圧力センサ194は、圧力降下に対して感度が低くなるように、機械的に変更され得る。いくつかの実施形態において、圧力センサからの電子信号は、小さな圧力降下に対して感度が低くなるように、電子的に変更され得る。いくつかの実施形態において、不活動モード時において、酸素濃縮器100の感度は、増加され得る。例えば、コントローラ400は、吸気開始を示す小さな圧力降下を探し得る(例えば、より小さな閾値と、検出された圧力降下とを比較することにより、酸素ボーラスを放出すべきかを決定することができる)。
【0124】
ユーザに合わせて個別調整されたPOD治療
コントローラ400の方法によって制御されるようなパルス化酸素送達(POD)治療の1つの実行において、特定のユーザの必要性に適合するように、ボーラスを個別調整することができる。その目的は、ユーザの呼吸パターンに合わせてまたは肺胞送達の最大化あるいはこれら双方のために、酸素ボーラスを最適化することであり得る。そのため、圧力センサ194および/または流量センサ185から収集された情報に基づいて、吸気流れプロファイルの決定および生成が行われ得る。吸気流れプロファイルの決定/生成は、以下のパラメータのうち1つ以上に基づいて行われ得る:ユーザの呼吸速度;ユーザの吸気量;ユーザの呼気量;ユーザのピーク吸気流量;およびユーザのピーク呼気流量。ユーザの呼吸速度の推定は、上記したように圧力センサ194を用いて吸気開始を検出することにより、行われ得る。吸気量の推定は、吸気時の圧力変化(ボーラスは全て除く)の測定およびこの圧力変化に基づいた吸気量経験的推定により、行われ得る。呼気量の推定も、呼気時における陽圧変化を用いて同様に行うことができる。吸気終了の検出は、圧力センサ194から得られ得る。吸気開始が圧力センサ194によって検出される際、この吸気開始は、周囲に対する圧力降下によって特徴付けられる。圧力が周囲を超えて増加し始めると、吸気は完全であるとみなされる。
【0125】
典型的な人の維持に必要な最低のガス交換量があり、これは、最小の毎分換気量として表現され得る(例えば、1分間に吸気および呼気される最小ガス量)。換気がこの最小毎分換気量のままである仮定すると、高速呼吸している人は、各呼吸においてより少量の空気を吸気している(またはその逆)。そのため、呼吸速度についてのさらなる知識と共に、最小の一回換気量を最小毎分換気量から確立することができる。大きなユーザ母集団の測定により、吸気開始から呼気開始までの相対的吸気流量の包括的プロファイルの確立/決定が可能になる。最小一回換気量および呼吸速度を用いて、この包括的な相対的流量プロファイルをユーザの最小吸気流れプロファイルに機械的に適合させることができる。この最小吸気流れプロファイル(例えば、吸気流量対時間表示(例えば、データまたはデジタル形態のもののうち、吸気時間時において特定の形状または曲線を有し得るもの))は、適切なまたは対応するボーラスのユーザのための送達のために供給弁160からの放出作動を制御するための制御パラメータの基本として機能し得る。
【0126】
ユーザ母集団から経験的に収集された吸気流れプロファイルデータは、適切なボーラス(例えば、量および形状)を推定された最小吸気流れプロファイルに基づいて決定するアルゴリズムによって評価され得るかまたはそのようなアルゴリズムの生成のために用いられ得る。
【0127】
酸素富化ガス送達を母集団データおよび呼吸速度に基づいて行う際、個々のユーザ間の差は考慮に入れられない場合がある。例えば、呼吸速度は同じでも吸気/呼気量および吸気/呼気流量は人によって異なる場合があるため、特定のユーザにより密接に対応する適切なボーラスの生成のために、異なるボーラスパラメータが必要になる。ユーザについてより高精度に推定された吸気流れプロファイルが有れば、ユーザへ提供される酸素富化ガスボーラスの制御のためのより高精度な根拠を得ることができる。
【0128】
ユーザについての送達エンベロープの推定
図7は、多様な種類のPODの無駄を示すグラフ700を含む。グラフ700は、以下の2つのトレースを含む:トレース715は、例えば流量センサによって決定されるような人の呼吸(正は吸気を示す)の呼吸流量を示し、トレース725は、例えば呼吸努力胸帯型センサによって決定されるような呼吸努力(筋肉圧力(負の値は、吸気努力を示す))を示す。インタバル745は、吸気時間を示す。トレース730は、送達された酸素の矩形ボーラスの振幅プロファイルを示す。(本明細書中以下、「酸素」という用語は、純粋なOガスの別の意味が文脈から明らかにならない限り、「酸素富化ガス」の簡略表記として用いられる点に留意されたい。)矩形ボーラスのパラメータは、その振幅735、吸気開始からのその開始遅延740、およびその継続期間750である。より一般的な(例えば、非矩形の)ボーラスは、振幅プロファイルが一定ではない場合がある(経時的な振幅)(例えば、ユーザの吸気流れプロファイルの推定に整合または対応するように制御されたプロファイル)。
【0129】
斜線部760は、ボーラスの逆行性流れの無駄の部分(すなわち、流量が吸気流量を超えるボーラス部分)を示す。インタバル770は、呼吸の「肺胞時間」TALVを示す(すなわち、吸気された空気が肺のガス交換部分に到達する間隔)。インタバル770の後、吸気された流れは、解剖学的死腔のみに到達する。そのため、肺胞時間TALVを超えて継続するボーラス部分は、解剖学的死腔上において無駄になる(解剖学的死腔の無駄)。
【0130】
COPDを有するユーザの場合、機能している肺胞に到達しないため、肺胞時間TALVにおける吸気された空気の一部およびよってボーラスの一部も、無駄になり得る。この種の無駄(生理学的死腔の無駄)を図7中に示す。
【0131】
図7から分かるように、ボーラスの3つのパラメータ(すなわち、その開始遅延、その継続期間、およびその振幅プロファイル)は、逆行性流れまたは所与のボーラス量に対する解剖学的死腔の無駄を引き起こすこと無く、特定の範囲内において変動し得る。しかし、これらの変動範囲は、相互に依存する。例えば、より短い開始遅延が選択された場合、ボーラス振幅プロファイルがユーザの呼吸流量曲線の面積内に留まるように、振幅の上限をより低くする必要があり、これにより、逆行性流れの無駄または解剖学的死腔の無駄が回避される。さらに、所定の量のボーラスに対し、振幅プロファイルの選択後、継続期間も固定されるか、または逆が成立する。これらのパラメータの相互依存性は、ボーラス放出のための制御パラメータとして機能し得、(ボーラス制御パラメータを閉じ込めることが可能なパラメータ空間中の領域である)「送達エンベロープ」中において表現され得、これにより、逆行性流れの無駄または解剖学的死腔の無駄を引き起こすこと無くボーラス送達が可能になる。
【0132】
解剖学的死腔の量の推定は、例えばユーザの身長またはいくつかの代用寸法(例えば、尺骨流れ、膝/踵距離)に従って行うことができる。この値および上記したようなユーザの推定された吸気流れプロファイルが分かれば、ユーザの肺胞時間TALVを推定することができ、この値および吸気流れプロファイルそのものから、ボーラス放出/生成の制御のための開始遅延および振幅プロファイルに対する相互依存制限が得られる。送達エンベロープ推定の困難な点として、所与のユーザの吸気流れプロファイルが未知である点がある。瞬間的な呼吸流量(ボーラスは全く含まず)の適切な測定のために、圧力センサ194の理論的較正は可能であるものの、実際には、このような較正は、以下の理由のためPOC治療時においては信頼できない:(a)ボーラス送達時において鼻圧力信号が失われること、および(b)カニューレ位置の変化が通例になっているため、圧力センサ194からの信号を呼吸流量に対してどんなに「較正」しても、一時的なものに過ぎないこと。
【0133】
しかし、送達エンベロープを推定するためには、ユーザの実際の吸気流れプロファイルは不要である。その代わりに、「最悪のケース」が保守的に仮定され得る。パルス化酸素送達についての「最悪のケース」として、所与のユーザサイズにおける最小の人工呼吸器要求がある。この仮定について、一回換気量を低減しつつ、解剖学的死腔が維持される。これは、以下の同時発生的作用に起因する、酸素ボーラス送達における最悪のケースである:
(a)吸気流れの低下に起因する開始遅延(740)の長期化;
(b)吸気時間のうち解剖学的死腔によって占有される部分が大きくなり、肺胞時間(インタバル770)が低下すること、および
(c)吸気流れプロファイルが浅いため、逆行性流れの無駄の回避のためにボーラス振幅を小さくする必要があること(領域760)。
【0134】
概要として、最小肺胞換気を、ユーザの身体のサイズ(例えば、身長)を示すパラメータから推測することができる。ユーザの身長が分かれば、解剖学的死腔を充填する呼吸の特定の量部分の推定も可能になる。そのため、最小一回換気量は、呼吸速度の測定を用いて計算することができる。吸気継続期間は、上記のように測定してもよいし、あるいは呼吸速度から推定してもよく、これを最小一回換気量および包括的な相対的吸気プロファイルと組み合わせることにより、最小吸気流れプロファイルの推定が可能になる(すなわち、吸気全体における最小の瞬間的流量)。身体サイズは、この目的のための好適なユーザパラメータであるが、他のユーザパラメータを用いても、同様の(より非特異的な)推測が可能になり得る(例えば、年齢、重量、性別またはこれらの組み合わせ)。詳細には、最小吸気流れプロファイルを推測するために身体サイズを用いることにより、成人から新生児までの広いユーザ範囲が可能になる。
【0135】
図8は、送達エンベロープの推定のために実行され得る方法800を示すフローチャートを含む。方法800は、コントローラ400によって実行され得る。コントローラ400は、メモリ420またはコントローラ400へ接続されたキャリア(記憶)媒体中へ保存されたプログラム命令によって適切に構成され、上記したように1つ以上のプロセッサ410によって実行される。
【0136】
コントローラ400は、方法800をユーザに対して1回だけ実行するように構成され得る。あるいは、ユーザの呼吸速度および吸気時間の変化を考慮に入れて方法800を反復的に(例えば呼吸について1回)行ってもよい。なぜならば、これらの変化により送達エンベロープが影響を受けるからである。
【0137】
方法800の基礎となる原理を以下に示す:
1. ユーザの解剖学的死腔の推定:解剖学的死腔は、人の身長に主に相関し、一回換気量の呼吸あたりの増大を有効に発生させる。そのため、方法800は、ステップ810から開始し得る。ステップ810において、ユーザの解剖学的死腔VDanを推定する。この推定は、ユーザの身長に基づき得る。例えば、解剖学的死腔量の値の計算のために関数により身長の値を適用してもよいし、あるいは、身長値についてルックアップテーブルにアクセスして、解剖学的死腔量の対応する値を選択してもよい。ユーザの身長(H)は、メモリ420中に保存されたそのコントロールパネル600を介して酸素濃縮器100へ手入力/入力され得、コントローラ400によってアクセスされ得る。1つの実行において、ステップ810は、以下の式を実行し得る:
【数1】
【0138】
任意選択的に、既知の/測定された解剖学的死腔が利用可能な場合、そのような解剖学的死腔を代わりに利用/入力してもよい。
2. 最小の持続可能な肺胞換気の推定:哺乳類は、最小安静時エネルギー消費(基礎代謝率とも呼ばれる)を有し、ヒトの場合、この量は、人の身長(または幼児の場合は長さ)からおおよそを推定することができる。関連付けられた代謝により、最小量のCOが生成される(すなわち、最小肺胞換気が必要とされる)。そのため、ステップ820において、ユーザの身長を利用して、例えば関数による計算またはルックアップテーブルの利用により、ユーザの最小肺胞毎分換気量を推定する。1つの実行において、ユーザの安静時エネルギー消費(REE)がユーザの身長から推定され、REEを用いて、ユーザの最小肺胞毎分換気量VALV(min)を推定する 。
【0139】
1つの実行において、ユーザのREEを、4つの区切り点:H=40、90、140および190cm間の区分的線形補間として、ユーザの身長(例えば、センチメートル単位)から推定することができる。各身長区切り点における対応するREE値(例えば、1日あたりのメガジュール単位)を以下に示す:
【数2】
【0140】
他の実行において、REEの別の推定が、他のユーザパラメータ(例えば、年齢、重量および/または性別)に基づいて行われ得る。
【0141】
1つの実行において、ユーザの最小肺胞毎分換気量、VALV(min)(例えば、リットル/分)を、ユーザの安静時エネルギー消費(REE)から以下のようにして推定することができる:
【数3】
【0142】
式中、PACOは、血流中のCO動脈圧力であり(典型的には40mmHgであるが、炭酸過剰性ユーザの場合は60mmHgまで高くなり得る)、Pambは、雰囲気圧力である(典型的には海面レベルにおいて760mmHgであり、正確な値は、いくつかの実行において酸素濃縮器100上の雰囲気圧力センサを用いた感知によって決定される)。ActivityFactor(活性因数)は、最小値が1(1)である作動係数であり、これを用いると、ユーザの呼吸パラメータ(例えば、肺胞毎分換気量、一回換気量、および吸気流れプロファイル)について最小推定が得られる。
【0143】
作動係数は、(活性に対して変動し得る)ユーザの呼吸パラメータの特徴付けに関連した変動を可能にするように、異なる吸気流れプロファイルを導出するために適用することができる。一定範囲の値が、所望に実行され得る。例えば、ユーザの呼吸パラメータの「典型的な」または「高い」特徴付けを推定するために、より高い値の作動係数が、等式(3)において用いられ得る。このような例において、作動係数を1.25に設定することにより、「典型的な」吸気流れプロファイルを得ることができ、作動係数を2に設定することより、活動モードに適した「高い」吸気流れプロファイルを得ることができる。ユーザの活性の特徴付けは、コントロールパネル600上の活動モードボタン630または不活動モードボタン635を介した酸素濃縮器100への入力として入力または選択することができ、関連値を最小肺胞毎分換気量の決定に適切に適用することができる。
【0144】
等式(3)の変更例は、さらなる倍率としてPathologyFactor(病理状態因数)を含み得る。このPathologyFactorは、異なる病理状態(例えば、COPD、OHS、NMD)と関連付けられた異なる1以外の値をとり得る。ユーザの病理状態は、そのコントロールパネル600を介して酸素濃縮器100へ手入力設定として入力され得、(例えば、メモリ420中に保存されたルックアップテーブルを介して)病理状態因数へ変換される。例えば、COPDは、病理状態因数である1.25と関連付けられ得、その結果、肺胞毎分換気量の最小の典型的な推定および高めの推定は、健康な人よりも25%高くなる。
3. 呼吸速度の知識:治療開始前に、呼吸速度は、1つ以上の先行セッションからの決定された値および保存された値から初期化してもよいし、あるいは、母集団データを用いてユーザの身長から推定してもよい。例えば、図10Aは、グラフ1000を含む。グラフ1000は、母集団年齢率データから導出された一定範囲の身長50〜180センチメートルについての一定範囲の呼吸速度を示す。中間トレース1010は、メジアン呼吸速度を身長の関数として示す。そのため、年齢および/または身長のデータを、酸素濃縮器100への入力としてそのコントロールパネル600を介して入力または選択することができる。これらの値を、ルックアップテーブルまたはグラフ1000によって示す曲線のうちいずれかを示す関数(例えば、トレース1010におけるメジアン呼吸速度)へ適用して、コントローラ400によって呼吸速度を決定することができる。治療時において、ステップ830において、(例えば圧力センサ194からの)POCセンサデータを用いて、上記したようにユーザの呼吸速度BRを推定することができる。
4. 最小一回換気量の推定:ステップ820において、ユーザの最小一回換気量VT(min)をユーザの最小肺胞毎分換気量VALV(min)、ユーザの呼吸速度BR、および解剖学的死腔VDanから推定する。例えば、コントローラ400は、以下の等式の適用により、最小一回換気量VT(min)を決定し得る:
【数4】
【0145】
任意選択的に、ユーザの最小毎分換気量は、ユーザの最小一回換気量VT(min)およびユーザの呼吸速度BRの積としてまたはユーザの解剖学的死腔VDanおよびユーザの呼吸速度BRおよびユーザの最小肺胞毎分換気量(VALV(min))の積の合計として推定され得る。
5. 吸気時間の推定:ユーザの吸気時間は、上記したように圧力信号から推定され得る。よって、1つの実行において、ステップ840において、上記したように、圧力センサ194からのデータを処理して、ユーザの吸気時間Tを推定する。
【0146】
別の実行において、ステップ840において、公開臨床データを用いて、吸気時間Tをユーザの身長から得る。例えば、ステップ840において、コントローラ400は、図10Aのグラフ1000のトレース1010のデータを示す関数またはルックアップテーブルの適用により、先ず呼吸速度の推定値をユーザの身長から入手する。次に、ステップ840において、コントローラ400は、(公開臨床データから得られた)図10B中のグラフ1050中の曲線1060中のデータを示す関数またはルックアップテーブルを適用して、吸気時間Tを呼吸期間から得る(呼吸速度(単位:呼吸/秒)の逆数)。
6. 平均吸気の流れプロファイルの推定:自発呼吸しているユーザの相対的吸気流れプロファイルの形状の近似値化を、インタバル[0、1]にわたって0から1へ上昇して0に戻るテンプレート関数q(t)により行うことができる。コントローラ400は、このテンプレート関数をユーザの最小一回換気量VT(min)および吸気時間Tへ適合させて、最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)をユーザについて生成し得る。
【0147】
よって、ステップ860において、テンプレート関数q(t)をユーザの最小一回換気量VT(min)および吸気時間Tに適合させて、形態Qpeakq(t/T)をとるユーザの最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)を生成する。ここで、Qpeakは、適合させるべき振幅またはピーク値である。ステップ860において、以下の一回換気量の定義を用いてピーク流量Qpeakを決定する:
【数5】
【0148】
ステップ860の1つの実行において、テンプレート関数q(t)は、正弦半波(q(t)=sin(πt))であるため、最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)は、以下のようにピーク値Qpeakおよび吸気時間Tに等しい継続期間の正弦半波の形態をとる:
【数6】
【0149】
正弦最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)のピーク値Qpeakは、以下の式を介して最小一回換気量VT(min)に関連する:
【数7】
【0150】
他の実行において、他のテンプレート関数q(t)が、最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)の生成のために用いられ得る(例えば、レイズドコサイン(二乗正弦)、放物線、ルート正弦、または0.7の累乗に対する正弦)。このような実行において、最小吸気流れプロファイルのピーク値Qpeakと最小一回換気量VT(min)との間において、等式(5)から導出可能な異なる関係が発生する。
7. 最小持続可能な一回換気量についての肺胞時間の計算:ステップ870において、コントローラ400は、ステップ810において推定されたユーザの解剖学的死腔VDanと、ステップ860において生成されたユーザの最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)とを用いて、ユーザの肺胞時間TALVを計算する。ステップ870において、以下の関係が用いられる:
【数8】
8. 送達エンベロープの計算:送達エンベロープの決定は、ボーラスがプロファイルによって示されるような吸気開始および推定された肺胞時間TALVによって制限される(例えば、振幅および時間)ように、最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)に従って行われる。
【0151】
例えば、ステップ880において、コントローラ400は、ユーザの最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)およびユーザの肺胞時間TALVに基づいて、ユーザの送達エンベロープを導出する。送達エンベロープは、ボーラスパラメータに対する1組の制約であり、ステップ870において計算された肺胞時間TALVおよびステップ860において計算された最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)に基づいている。これらの制約は、ボーラス量の逆行性流れの無駄および解剖学的死腔の無駄の回避によって強制される。これらの制約は、以下である:
【数9】
式中、tは、ボーラスの開始遅延であり、tは、ボーラス継続期間であり、Q(t)は、ボーラス振幅プロファイルである。いくつかのバージョンにおいて、制約(8、9、10)のうち1つ以上は、本明細書中により詳細に説明するようなボーラス放出の制御に関連して、コントローラ動作についての処理規則の形態をとり得る。
【0152】
送達エンベロープに基づいたPOD治療送達
送達エンベロープがユーザについて決定された後、POD治療は、送達エンベロープに基づいてユーザへ送達され得る。図9は、POD治療送達に用いられ得る酸素放出に対する弁制御の方法900を示すフローチャートを含む。方法900は、コントローラ400によって実行され得る。コントローラ400は、メモリ420中に保存されたプログラム命令またはコントローラ400へ接続された分散媒によって適切に構成され、1つ以上の供給弁(例えば、供給弁160)の制御のために上記したような1つ以上のプロセッサ410によって実行される。
【0153】
方法900は、ループとして表現され、その各反復は、呼吸に対応する。方法800および900は、実質的に平行に実行され得るため、方法900によって用いられる送達エンベロープは、方法800によってユーザの呼吸速度および吸気時間変化として繰り返し更新される。
【0154】
方法900は、ステップ910から開始され得る。ステップ910において、ステップ830において推定された呼吸速度および酸素濃縮器100の1つ以上の設定を適用して、POD治療のためのボーラス量を決定する。ステップ910において決定は、ボーラス量が呼吸速度および酸素濃縮器100の設定(詳細には、コントロールパネル600上の投与量ボタン620〜626によって設定された処方された連続流量)と共に変動する様子を示す所定の投与量割当スキームを実行し得る。
【0155】
投与量割当スキームの一例において、ボーラス量は、呼吸速度と共に一定のままであるが、投与量ボタン620〜626によって設定された処方された連続流量に比例して変動する。上記したように、1つの実行において、ボーラス量は、処方された連続流量の各LPMについて11mLに設定され得る。一定ボーラス量スキームの場合、呼吸速度の変化と共に一回換気量がほぼ保存される場合において、吸気酸素(FiO)のより一定の分数を発生させる傾向がある。
【0156】
投与量割当スキームの別の例において、ボーラス量は、呼吸速度に反比例してかつ処方された連続流量に比例して変動する。そのため、例えば、40BPMにおいてステップ910によって決定されたボーラス量は、所与の処方された連続流量における20BPMにおけるボーラス量の半分になる。このスキーム下において、酸素の平均流量(毎分換気量)は、呼吸速度と共に一定のままである。酸素送達が換気要求増加に追いつくことができない場合があり、運動の際のFiO2降下を回避するために、ユーザが連続流量設定をより高くすることが予期される。
【0157】
投与量割当スキームのさらに別の例は、ハイブリッド固定ボーラス量/固定毎分換気量スキームである。酸素濃縮器100の最大酸素出力(毎分換気量)に到達した際、このようなスキームは、低い呼吸速度が酸素スキームの固定毎分換気量に戻ったときに、固定ボーラス量を送達させ得る。
【0158】
1つの実行において、酸素濃縮器100のコントロールパネル600上の「ブースト」制御が起動すると、酸素濃縮器100は、恐らくは現在提供されているボーラス量よりも高いボーラス量と共に固定毎分換気量投与量割当スキームから固定ボーラス量投与量割当スキームへ切り替わるように構成され得る。ユーザは、例えば運動を開始する前に、このような制御を起動させ得る。酸素濃縮器100は、所定のインタバル後または「ブースト」制御の解除の際、固定ボーラス量投与量割当スキームから固定毎分換気量投与量割当スキームへ再度切り替わるように構成され得る。例えば、酸素濃縮器の入力インターフェース(例えば、ブーストボタン)からのブースト信号の受信に応答して、酸素濃縮器のコントローラは、1つ以上のブーストボーラスの放出を制御し得る。1つ以上のブーストボーラスの各放出されたブーストボーラスの酸素富化ガスの合計量は、入力インターフェースにおいて設定されたような酸素濃縮器の連続流量設定を満たす相当量に酸素富化ガスの追加量を加算したものを含み得る。
【0159】
その後のステップ920において、ステップ910において計算されたボーラス量と、方法800によって決定されたような現在の送達エンベロープと、(任意選択的に)POCセンサデータとを用いて、ボーラスパラメータを決定する。ステップ920の1つ以上の実行について、以下に説明する。
【0160】
次のステップ930において、コントローラ400は、上記したようにPOCセンサデータから検出することが可能な吸気開始を待機する。最後に、ステップ940において、ステップ920において決定されたボーラスパラメータに従ってボーラスを送達させる。ボーラスパラメータに従ったボーラス送達は、例えば決定された送達エンベロープを満たすタイミングおよび振幅プロファイルに従って、上記したような供給弁160の作動のための1つ以上のボーラス放出制御信号の生成によって達成される。
【0161】
次に、方法900は、ステップ910に戻って、次の呼吸のボーラス量を計算する。
【0162】
別の実行において、ボーラス量は1回しか演算されないため、方法900は、ステップ910ではなくステップ920へ戻る。さらなる別の実行において、ボーラスパラメータは1回しか演算されないため、方法900は、ステップ910ではなくステップ930へ戻る。
【0163】
送達エンベロープに基づいたボーラスパラメータ決定
所与のボーラス量Vを達成するためにステップ940においてボーラス放出制御信号を生成するコントローラ400に関連して、ボーラス振幅プロファイルQ(t)は、以下の量制約を満たす必要がある:
【数10】
【0164】
開始遅延t、ボーラス継続期間tおよびボーラス振幅プロファイルQ(t)を送達エンベロープ(制約(9)〜(10))内において量制約(11)に基づいて選択するための任意の戦略が、ステップ920において用いられ得る。
【0165】
一例において、ボーラス振幅プロファイルQ(t)は、範囲[t、t+t]内において最小吸気流れプロファイルQin(min)(t)に追随し、この範囲外においてゼロであり、制約(9)を満たす。制約(10)を受けた場合に開始遅延tが選択され得、その後、量制約(11)の適用によりボーラス継続期間tが固定される。ボーラス継続期間tが制約(10)を満たさない場合、より小さい開始遅延tを選択する必要があり、開始遅延tおよびボーラス継続期間t双方が制約(10)を満たすまで、プロセスを繰り返す。あるいは、制約(10)を受けた場合、ボーラス継続期間tが選択され得、その後、量制約(11)の適用により開始遅延tが固定される。開始遅延tが制約(10)を満たさない場合、より長いボーラス継続期間tを選択する必要があり、開始遅延tおよびボーラス継続期間t双方が制約(10)を満たすまで、プロセスを繰り返す。
【0166】
別の例において、ボーラス振幅プロファイルQ(t)は、範囲[t、t+t]内のQin(min)(t)の値と共に一定であり、この範囲外においてはゼロであり、制約(9)を満たす。次に、制約(10)を受けた場合に開始遅延tを選択して量制約(11)を適用してボーラス継続期間tBを固定する上記プロセス(またはこの逆)と同様のプロセスが行われ得る。
【0167】
一般的に、ボーラス振幅プロファイルQ(t)の選択後、送達エンベロープ内のボーラスタイミング自由度は1度である(すなわち、ボーラス継続期間tの選択により、開始遅延tが決定される(またはその逆))。送達エンベロープ内においてボーラス振幅をできるだけ高くすると、タイミング自由度が最大になる。すなわち、ボーラス継続期間tが最小になる。自由度は、ボーラスの有益作用を最大化させるように複数の呼吸にわたるボーラスタイミングを最適化するために、用いられ得る。ステップ920の各連続する反復により、送達エンベロープ内における異なるボーラスタイミングが選択され得る。各ボーラスタイミングのユーザに対する有益作用の推定は、コントロールパネル600上のユーザ制御を介してユーザからのフィードバックによって主観的にまたはユーザへ接続されたPOCセンサを介して客観的に行われ得る(ステップ920への任意選択の入力)。客観的推定の一例として、ユーザの指上の酸素飽和センサを介した例があり、酸素飽和値が大きいほど、有益作用が高いことを示す。客観的推定の別の例として、ユーザの呼気の主流量カプノグラフ波形分析を介したものがある。これにより、吸気時における酸素ボーラス放出の最適なタイミングの推測が可能になり得る。カプノグラムのフェーズ3の傾きおよび呼気全体における傾きの変動により、肺中における漸次的なガス交換効率についての大まかな情報が得られる。これは、吸気時において(逆に)有用であり得る。図11は、グラフ1100を含む。グラフ1100は、異なるユーザグループからの3つの代表的量カプノグラム(呼気されたCOの分圧を呼気量に対してプロットしたもの)を示す。トレースAは、健常人からのものであり、トレースBは、気道疾病グループからのものであり、トレースCは肺気腫グループからのものである。異なる形状(特に呼気終了時の傾き)は、呼吸全体におけるガス交換の異なる動態を示す。類似の情報の推測を、酸素濃縮器(例えば、酸素濃縮器100)に取り入れるのに適した技術である副流カプノグラム監視を用いて行うことができ得る。
【0168】
このような手段により、(有益作用が最も高くなるボーラスタイミングに収束するような)ステップ920の次の反復におけるボーラスタイミングの選択の誘導が最適化戦略により可能になり得る。例えば、(主観的フィードバック(例えば、ユーザの快適性)および/または客観的フィードバック(飽和データ)が向上するように)使用セッション内におけるまたは複数の使用セッションにわたる上記した制約内においてボーラスタイミングの段階的調整を行うように、このようなフィードバックがコントローラ400によって実行され得る。次に、このようなフィードバックにおいて最適レベルが得られたとき、コントローラ400はボーラスタイミングに落ち着き得る。このように、最高の有益作用が得られるボーラスタイミングとは、機能している肺胞数が最大になるボーラスが可能なボーラスタイミングである(すなわち、生理学的死腔の無駄が最小になるボーラスタイミングである)ため、第3の種類の無駄、生理学的死腔の無駄を有効に最小化することができる。
【0169】
ボーラスパラメータを送達エンベロープ内に設定する際にコントローラ400によって実行され得る他の考慮事項を以下に挙げる:
● ユーザ快適性:鼻孔内の不快感は、ボーラスの急激な上昇に関連し得る。ユーザの「柔らかさ」制御を介した柔らかさ設定を行うと、ボーラス振幅の初期上昇速度を変更することができ、これにより、量制約(11)によるボーラスの継続期間が影響される。
● 消費電力:高い送達圧力に起因して消費電力が高くなると、(例えば電池からの動作時において)「エコノミーモード」が提供され得、送達圧力およびよって消費電力が最小化されるようにボーラス継続期間が最大化される。
● 音響ノイズ(例えば、スリープまたは学校時の動作):ボーラス振幅の低減により音響ノイズ低減が可能な場合、ボーラス振幅およびよって音響ノイズが最小化されるようにボーラス継続期間が最大化され得る。
【0170】
吸気流れプロファイルの他の用途
上記したような吸気流れプロファイルおよび他のユーザサイズが導出された呼吸パラメータ推定の場合、酸素濃縮器POD治療アルゴリズムおよびシステム設計最適化において特定の恩恵があるものの、POD以外の呼吸治療および酸素濃縮器以外の呼吸治療デバイスにも適用され得る。最小の毎分換気量、典型的な毎分換気量または高い毎分換気量、一回換気量、解剖学的死腔、ピーク吸気流量および吸気流れプロファイルのユーザ特異的推定により、ユーザに合わせて個別調整された様態の呼吸治療デバイスの事前構成または制御が支援され得る。いくつかの例を以下に示す:
● 急性用途における量制御換気時の一回換気量の初期化:人工呼吸器に起因する肺損傷の可能性を低減するように、一回換気量(保護換気)が最小になるように現代の急性換気を行うことが推奨される。このようにすることで、一回換気量の最小化の方が、COの正規化(許容される高炭酸ガス症)よりも優先される。この文脈において、安静時エネルギー消費/基礎代謝率から計算された最小一回換気量の使用に良好に適合する。
● 最小ピーク吸気流量に基づいたトリガ感度の初期化。
● 最小の一回換気量または高い一回換気量それぞれに基づいた、一回換気量低下の警告または一回換気量上昇の警告の初期化。
● 最小の毎分換気量または毎分換気量上昇それぞれに基づいた、毎分換気量低下の警告または毎分換気量上昇の警告の初期化。
●所与の病理状態に対する典型的な一回換気量を用いた、量保証モードの目標一回換気量設定の初期化。
●治療(例えば、最小毎分換気量を用いた換気低下の検出)時におけるユーザの遠隔管理の支援。
●高度換気アルゴリズムの内部挙動の適合。例えば:
○ 夜間換気治療時においてユーザを開始する際、ユーザが呼吸圧力治療に徐々に慣れるように、最終治療目標に徐々に到達するようにすると有利であり得る。身長に基づいた最小換気推定により、ユーザの身長、初期PaCOおよび目標PaCOの知識を通じて目標毎分換気量を自動的に決定することが可能になる。よって、治療の最終臨床目標に到達するように、複数の日数または週数にわたってデバイスの圧力支援、量または換気目標を調整することが可能になる。
○ 自動EPAP調整スキームは、典型的には(周囲の呼吸と比較して判定されることの多い)呼吸低下に応答する。身長に基づいた最小の一回換気量推定は、(呼吸低下の判定のための相対的手段のみではなく)絶対参照として実行され得る。
【0171】
一般的注意事項
本開示において、特定の米国特許、米国特許出願および他の文献(例えば、論文)を参考のため援用する。しかし、このような米国特許、米国特許出願および他の文献の本文を、そのような本文と本明細書中に記載の他の記載および図面との間に矛盾が存在しない範囲内において、参考のためひとえに援用する。そのような矛盾が生じた場合、そのような参考のため援用された米国特許、米国特許出願および他の文献中のそのような矛盾のある記載は全て、本特許中において参考のため特定的に援用されない。
【0172】
本発明の多様な局面のさらなる改変例および別の実施形態は、当業者にとって本記載に鑑みて明らかになり得る。よって、本記載は、あくまで例示的なものとして解釈されるべきであり、本発明を実行する一般的様態を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書中に図示および記載された本発明の形態は、実施形態としてとられるべきであることが理解されるべきである。本発明の本記載の恩恵に鑑みれば当業者にとって全て明らかであるように、要素および材料は、本明細書中に例示および記載したものにおいて代替可能であり、部分およびプロセスは逆転され得、本発明の特定の特徴は独立的に利用され得る。以下の特許請求の範囲に記載のような本発明の意図および範囲から逸脱すること無く、本明細書中に記載の要素において変更が可能であり得る。例えば、酸素放出の弁制御方法をPOCに関連して実行したが、これらの方法は、他のデバイス(例えば、例えばPOCまたは酸素源を用いた酸素補充を用い得る高流量治療デバイスまたは呼吸圧力治療デバイス(例えば、人工呼吸器、CPAPまたはPAP))とも実行され得る。
【0173】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0174】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0175】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0176】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0177】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0178】
本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0179】
なお、本開示を読解するにおいて、「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0180】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0181】
いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の(第1の)」および「第2の(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【符号の説明】
【0182】
酸素濃縮器 100
入口 101
空気入口 106
入口マフラー 108
アキュムレータ 109
弁 122
弁 124
濃縮器出口 130
弁 132
出口マフラー 133
弁 134
チェック弁 142
チェック弁 144
流れ抵抗器 151
弁 152
流れ抵抗器 153
弁 154
流れ抵抗器 155
供給弁 160
膨張型霧箱 162
超音波センサシステム 165
放出体 166
受信器 168
外側ハウジング 170
出口 172
出口ポート 174
小型オリフィス流れ抵抗器 175
電源 180
流量センサ 185
フィルタ 187
コネクタ 190
導管 192
圧力センサ 194
圧縮システム 200
コンプレッサ 210
コンプレッサ出口 212
モータ 220
外部回転電機子 230
空気移動デバイス 240
コンプレッサ出口導管 250
キャニスタシステム 300
キャニスタ 302
キャニスタ 304
ベース 315
出口 325
ガス 327
コントローラ 400
プロセッサ 410
メモリ 420
コントロールパネル 600
入力ポート 605
電源ボタン 610
ボタン 620
ボタン 622
ボタン 624
ボタン 626
ボタン 630
ボタン 635
高度ボタン 640
電池チェックボタン 650
相対的な残留電力LED 655
グラフ 700
気道送達デバイス 710
トレース 715
マウスピース 720
トレース 725
トレース 730
振幅 735
開始遅延 740
吸気時間 745
継続期間 750
潜在的無駄 760
インタバル 770
方法 800
ステップ 830
ステップ 840
ステップ 860
ステップ 870
ステップ 880
方法 900
ステップ 910
ステップ 920
ステップ 930
ステップ 940
グラフ 1000
トレース 1010
グラフ 1050
曲線 1060
グラフ 1100
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】