(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-531330(P2020-531330A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】泡立て用工具
(51)【国際特許分類】
B29C 44/58 20060101AFI20201009BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20201009BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20201009BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20201009BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20201009BHJP
【FI】
B29C44/58
B29C64/153
B29C64/118
B33Y10/00
B33Y80/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-530719(P2020-530719)
(86)(22)【出願日】2017年12月15日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月7日
(86)【国際出願番号】EP2017083111
(87)【国際公開番号】WO2019034269
(87)【国際公開日】20190221
(31)【優先権主張番号】102017118960.2
(32)【優先日】2017年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520055906
【氏名又は名称】ヴェルクツォイクバウ ジークフリート ホフマン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】シュミーデック,マルクス
【テーマコード(参考)】
4F213
4F214
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AF16
4F213AG05
4F213AG07
4F213AH81
4F213WA25
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4F214UA35
4F214UB01
4F214UQ02
4F214UQ03
4F214US07
(57)【要約】
本発明は発泡性プラスチック粒子の加工用の泡立て用工具(1,11,17)に関し、当該泡立て用工具(1,11,17)は、空洞(3,13,18)の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの領域(2,12,19)を備えている。空洞(3,13,18)を形成する領域(2,12,19)の表面構造(5,15,21)の少なくとも1つの部分(4,14,20)が、相加法を用いて生成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞(3,13,18)の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの領域(2,12,19)を備えている、発泡性プラスチック粒子の処理用の泡立て用工具(1,11,17)において、
前記空洞(3,13,18)を形成している前記領域(2,12,19)の表面構造(5,15,21)の少なくとも1つの部分(4,14,20)が、相加法を用いて生成されることを特徴とする泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項2】
前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が、
レーザー溶融、および/または粉末固着積層法、および/または電子ビーム溶融、および/または熱溶解積層法、および/またはレーザー金属肉盛により生成されることを特徴とする請求項1に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項3】
一連の層状の選択的露光を用いてエネルギービームにより固化可能であり、建築材料層の一連の層状の選択的固化に関連可能な、特に粉末状の建築材料から、前記表面構造(5、15、21)の前記少なくとも一部(4、14、20)が製造されることを特徴とする請求項1または2に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの部品(20)が、対応する凹部(16)内に配置される挿入部、または対応する当該凹部(16)内に配置可能な挿入部として設計されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項5】
前記表面構造(5、15、21)の前記少なくとも一部(4、14、20)が、前記泡立て用工具(1,11,17)。の製造と共に直接製造され、または、さかのぼって製造されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項6】
前記空洞(3,13,18)を形成している前記領域(2,12,19)の前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が、前記泡立て用工具(1,11,17)とは別に形成され、前記領域(2,12,19)に接続できる、または接続されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項7】
前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が既存の構成部品にさかのぼって適用され、または既存の表面構造(5,15,21)が前記少なくとも1つの部分(4,14,20)により補足されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項8】
前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)に関する少なくとも1つの情報項目を、CADを用いて、または少なくとも1つの機械パラメータを用いて生成することができることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項9】
前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が、少なくとも1つの段階法を用いて仕上げられ、研磨法、および/またはレーザー切断、および/または化学的あるいは電気的平滑化方法、および/または圧縮法あるいはマイクロ造形法を用いて仕上げられることが好ましいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が、異なる表面構造(5,15,21)を有する少なくとも2つのサブ領域(8,9,22〜24)を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項11】
前記表面構造(5,15,21)が、少なくとも1つの隆起(6)および/または少なくとも1つの窪み(7)を前記泡立て用工具(1,11,17)の表面に形成し、またはこの種類の隆起および/または窪みを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項12】
前記泡立て用工具(1,11,17)を用いて製造された製品が、製造中に少なくとも1つの情報項目が設けられるように、前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が表面構造(5,15,21)を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)。
【請求項13】
空洞(3,13,18)の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの領域(2,12,19)を備えている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の泡立て用工具(1,11,17)の製造方法。
【請求項14】
前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が、一連の層状の選択的露光、および建築材料層の関連する一連の層状の選択的固化を用いて、エネルギービームにより固化可能な、特に粉末状の建築材料から製造されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記表面構造(5,15,21)の前記少なくとも1つの部分(4,14,20)が、既存の構成部品にさかのぼって適用され、または既存の表面構造(5,15,21)が当該少なくとも1つの部分(4,14,20)で補足されることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡性プラスチック粒子の加工用の泡立て用工具に関し、当該泡立て用工具は、空洞の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの領域を備えている。
【背景技術】
【0002】
このタイプの泡立て用工具は先行技術から周知である。前記泡立て用工具は、例えば成形部品の機械として、発泡性プラスチック粒子からなる成形部品を製造するため、または成形するために使用される。このタイプの成形部品の機械は、少なくとも1つの泡立て用工具を備えており、例えばストロークのような方法でお互いに向かって移動し、かつお互いから離れるように移動する2つのプレート部を備えるようにしている。その結果、このタイプの泡立て用工具の間に空洞が生じ、当該泡立て用工具の空洞が、発泡性プラスチック粒子を成形可能な型穴を特定している。本願の文脈内で、泡立て用工具が空洞の一部を形成する工具として理解されてもよい。
【0003】
製造目的のために、発泡性プラスチック粒子および/または予備発泡プラスチック粒子がこの空洞内に導入され、例えば高温蒸気を用いて、膨張することまたは拡大することにより、その空洞の最初の体積に形成されている。したがって、あらゆる活性発泡剤を含まない材料を使用することもできる。この場合、この空洞の表面または表面構造が成形部品の表面構造を特定しており、当該表面構造により、以降の前記成形部品が産出されている。この場合、製造された成形部品の表面の必要条件に応じて、この空洞の表面を選択することが可能であり、それにより型から取り出した後で、泡立て用工具により成形された、対応している表面をこの成形部品が有するようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
泡立て用工具、またはこういうタイプの工具、あるいは当該泡立て用工具の表面構造を製造するとき、例えばフライス加工、放電加工、エッチングまたはレーザー切断などのサブトラクティブ法(subtractive methods)を用いて、この泡立て用工具の表面に表面構造を導入することが周知である。さらに、例えばスタンピングなどの整形方法が周知である。この場合の欠点は、当該サブトラクティブ法または整形方法に起因して材料が失われることである。その結果、泡立て用工具が余剰分を有して製造される必要があり、その後で、当該余剰分を除去または整形する必要がある。
【0005】
さらに周知の方法では、泡立て用工具の表面の再現性のある幾何学的形状や表面構造に対して制限している。
【0006】
したがって本発明の目的は、上述の泡立て用工具と比較して改善された泡立て用工具を明確に記載することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、冒頭に述べたタイプの泡立て用工具により達成され、本発明によれば、当該泡立て用工具において請求項1の特徴が提供される。
【0008】
したがって本発明は、空洞を形成している領域の表面構造、または当該表面構造の少なくとも1つの部分が相加法(additive method)により作り出される、という発見に基づいている。したがって、この表面構造を付加的な方法で作り上げることが可能であり、所望の表面構造を泡立て用工具に導入するため、またはこの泡立て用工具に対応する表面構造を提供するために、サブトラクティブの作業や整形仕上げの作業が要求されないようにしている。
【0009】
相加法において、この表面構造の形成に必要な材料のみがワークピースまたは設けられる表面に追加的に適用されるため、このことにより当該材料のスクラップを低減できる、ということを確実にしている。その結果、仕上げられた最終的な外形を有する泡立て用工具を製造すること、または少なくとも最終的な外形に近くなるように泡立て用工具を製造することができる。しかしながら当然のこととして、このことは、相加法により作り出された表面構造を後処理できるという可能性を排除するものではない。
【0010】
さらに、従来の製造方法や製造過程を使用しても製造できない表面構造を実現できる。相加法において、空洞を形成している領域の表面構造に関する以前の方法の制限が存在せず、その結果、泡立て用工具の表面構造を形成するための複数の選択肢がある。この場合、特にサブトラクティブ法や整形方法に利用しにくい表面構造が可能である。その結果、例えば、この表面に近接する構造、すなわち空洞を形成している領域の表面下に近い構造、例えばチャネル、を作り出すことができ、当該空洞のより直接的な温度制御ができるようにしている。この空洞における表面に近接して設けられたこの種類の閉じたチャネルは、整形している製造方法やサブトラクティブの製造方法を使用して実現することができない。
【0011】
この場合、当該表面構造の追加的な作成が、泡立て用工具により形成された空洞全体に関連してもよく、当該空洞の一部のみに関連してもよい。さらに相加法を用いて、泡立て用工具の表面の表面構造のサブ領域のみを作り出し、この空洞を定めることもできる。
【0012】
例えば熱可塑性ポリマー、特にポリオレフィンまたはポリスチレンを基にする熱可塑性ポリマーなど、すべての適切な発泡性プラスチック粒子が成形部品の製造用のプラスチック粒子として使用されてもよい。この成形部品は、上述のプラスチック粒子を焼結することにより成形される。
【0013】
したがって本発明によれば、空洞を形成している領域の表面に追加的に構造を作り出すことができ、その結果、仕上げのステップが不要になる。その結果、例えば形状およびロゴを、例えば製造されるワークピースに適用することができ、当該形状およびロゴが、例えば小さな文字、数字、符号などの小さな構造で構成されている。例えばフライス加工やエッチングを用いて、またはレーザー切断により、上述された表面構造の周りの表面全体を除去する必要があるため、一般に、この種類の小さな構造体を“インプリンティング”することは、その結果、製造されるワークピースの表面にネガティブな刻印をするため、不可能であり、または経済的ではない。対照的に、本発明によれば、空洞の表面構造を生成的な方法で作り出すことができ、その結果、当該インプリンティングに要求される構造のみを、この空洞を形成している領域の表面に追加的に適用して、上述の構造を当該ワークピースの表面に刻印できるようにしている。本発明によれば、仕上げられた最終的な外形を有する表面構造を作り出すことができ、または少なくとも最終的な外形に近くなるように表面構造を作り出すことができるため、仕上げの作業が必要ではない。
【0014】
その結果、本発明による泡立て用工具は新規の設計の選択ができるようにし、例えば、先行技術で周知の従来の製造方法を使用しても(経済的に)実現できない、ワークピースの表面を定めている表面構造を追加的に作り出すことができるようにしている。この場合、特有の表面構造を刻印することにより、例えば粒子間のエアポケットや粒界を隠し、特に可視成分に関して特定の表面品質を達成することができる。この“表面構造(surface structure)”という用語は、例えば、ワークピースの表面の定められたトポグラフィーに関連してもよく、その結果、意図的に“滑らかな(smooth)”表面と異なってもよい。特に、追加的に作り出された隆起および/または窪み、あるいは隆起や窪みの対応している任意のパターンが、当該表面構造に設けられてもよく、または当該表面構造により形成されてもよい。したがって、この表面構造が定められた方法で構造化された表面に関連してもよく、特に当該表面が所望のパターンを備えている。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、表面構造の少なくとも1つの部分を、レーザー溶融および/または粉末固着積層法(binder jetting)および/または電子ビーム溶融および/または熱溶解積層法(fused deposition modelling)および/またはレーザー金属肉盛(laser metal deposition)により作り出すことができる。したがって上述された方法は、空洞を形成している領域の表面構造の少なくとも1つの部分を作り出すのに特に適しており、当該表面構造を形成するために、材料が選択的に適用され、固化されている。結果として、従来の製造方法を使用しても実現できない、任意の所望の表面構造を作成することができる。本出願の文脈内で粉末固着積層法は、特に粉末構造材料が結合剤を使用して少なくとも部分的に固定される製造方法であると理解される。この固定された構造材料は、その後で、例えば焼結されてもよい。この種類の製造方法は、“インクジェット技術”としても周知である。
【0016】
この場合、一連の層状の選択的露光(successive layered selective exposure)を用いて、エネルギービームにより固化可能であり、建築材料層の一連の層状の選択的固化(successive layered selective solidification)に関連可能な、特に粉末状の建築材料から表面構造の少なくとも1つの部分が製造されることが特に好ましい。それに従い、この表面構造の少なくとも1つの部分は、大部分が粉末状である建設材料の層状の固化を用いて製造される。この場合、建設材料の層が交互に適用され、その後エネルギービームにより所望の領域でこの建設材料の層が固化される。その結果、付加製造法により構築される望ましい表面構造が層ごとに発達する。
【0017】
さらに本発明による泡立て用工具の製造中に、表面構造の少なくとも1つの部分を、工具の製造と共に直接製造することができ、または工具の製造後に製造することができる。したがって第1の代替形態によれば、空洞の少なくとも一部を形成する泡立て用工具、または空洞の少なくとも1つの領域を形成する領域を備えた泡立て用工具を、付加製造法を用いて同様に製造することができる。この場合、空洞を形成している領域の表面構造、または、その表面構造の少なくとも1つの部分は、泡立て用工具の製造と共に製造され、または形成される。
【0018】
第2の代替形態によれば、既存の泡立て用工具の場合、付加製造法を用いて既存の表面構造を変更することは同様に可能であり、または以前に製造された工具の表面に表面構造を適用することも同様に可能である。したがって泡立て用工具が作成済みの本体で構成されてもよく、当該作成済みの本体に、表面構造の少なくとも1つの部分が相加法により適用される。その結果、特に従来の製造方法では利用できない構造を、相加法を用いて補うことができる。
【0019】
この場合、空洞を形成している領域の表面構造の少なくとも1つの部分を、泡立て用工具とは別に形成できることが好ましく、また当該領域に当該少なくとも1つの部分を接続可能にできる、または接続可能であることが好ましい。本発明による泡立て用工具のこの実施形態によれば、この空洞を形成している領域の表面構造の少なくとも1つの部分を、泡立て用工具の残りの部分とは別に形成または製造することができる。その結果、この泡立て用工具を使用して所望の表面構造が設けられることを意図して、空洞を形成している領域の表面構造の少なくとも1つの部分を泡立て用工具に導入し、その後で、対応している成形部品を製造することができる。
【0020】
本発明による泡立て用工具において少なくとも1つの部分が、対応する凹部内に配置される挿入部として、または配置可能な挿入部として設計されることが特に好ましい。この場合、泡立て用工具の表面構造の対応している領域または対応している部分を切り替えることが特に可能であり、同一の泡立て用工具を使用して、異なる表面構造を作成することができるようにしている。この目的のために、例えば、付加的な方法で製造され、特定の定められた表面構造を有する挿入部を提供することができる。この種類の挿入部を泡立て用工具に導入することにより、異なる表面構造を有する様々な成形部品を製造することができる。この場合、同一の泡立て用工具を使用して異なる表面構造を有する成形部品を製造することを目的とする場合に、様々な挿入部が切り替えられてもよい。
【0021】
さらに、表面の少なくとも1つの部分が既存の構成部品にさかのぼって適用されるという点、または既存の表面構造が少なくとも1つの部分により補足されるという点で、本発明による泡立て用工具が開発されてもよい。したがって本発明のこの実施形態によれば一種のハイブリッド構造が提案され、当該ハイブリッド構造において、定められた表面構造が既存の泡立て用工具に適用され、または既存の表面構造が適切に補足される。その結果、異なる製造方法を組み合わせることでき、従来の方法を使用して泡立て用工具の一部を製造できるようにし、例えば従来の方法では製造できない表面や表面構造の領域や部分のみが、相加法を使用して製造されるようにしている。この場合は、当然のことながら、付加製造法により行われる製造の割合が、要望通り選択されてもよい。
【0022】
本発明による泡立て用工具のさらに好ましい実施形態によれば、表面構造の少なくとも1つの部分に関する少なくとも1つの情報項目が、CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)を用いて、または少なくとも1つの機械パラメータを用いて生成可能であってもよい。この少なくとも1つの情報項目が表面構造を説明するために使用し、この泡立て用工具が備えることを目的とする表面構造の幾何学的モデルまたは三次元モデルを、例えば特定または作成できることが特に好ましい。同様に、構造を成型している機械パラメータを適切に調整することにより、所望の表面構造を作成することができる。
【0023】
本発明による泡立て用工具のさらに好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの段階法を用いて表面構造の少なくとも1つの部分を仕上げ可能であってもよく、研磨法、および/またはレーザー切断、および/または化学的あるいは電気的平滑化方法、および/または圧縮法あるいはマイクロ造形法(microshaping method)を用いて表面構造の少なくとも1つの部分を仕上げ可能であってもよいことが好ましい。これによれば、本発明により付加的に製造された表面構造の少なくとも1つの部分を適切に仕上げることができる。泡立て用工具の表面構造や表面は、当該表面が定められた品質を有するように、仕上げ工程または仕上げ用の少なくとも1つの段階法を用いて、定められた方法で機械加工されてもよい。特にガラス玉を用いて表面を照射することが、圧縮法またはマイクロ造形法として使用されてもよい。
【0024】
好ましい実施形態によれば、空洞を形成している領域の表面構造の少なくとも1つの部分が、異なる表面構造を有する少なくとも2つのサブ領域を備えている。その結果、この実施形態によれば、空洞を形成している領域の表面構造の前記1つの部分を付加的に生成することができ、当該1つの部分の少なくとも2つのサブ領域において、当該表面構造が別々に形成されている。したがって具体的には、その表面構造に対して異なるサブ領域を区別して生成することができる。それによれば、任意の所望の表面構造を形成することができ、その後で当該表面構造が、その表面構造の製造中に成形部品上に移されている。
【0025】
表面構造が、少なくとも1つの隆起および/または少なくとも1つの窪みを泡立て用工具の表面に形成するという点、またはこのような隆起および/または窪みを備えるという点で、本発明による泡立て用工具がさらに開発されてもよい。したがって減法とは対照的に、泡立て用工具の表面に窪みを形成することに加えて、隆起を適用することもできる。当然のことながら、隆起の適用と窪みの形成との両方を、要望通りにお互いに組み合わせることができ、その結果として生じる表面構造は泡立て用工具に対して、高くなるように形成されること、および押し下げられるように形成されることの両方ができるようにしている。
【0026】
さらに本発明による泡立て用工具の開発が、表面構造を備えている少なくとも1つの部品にあってもよく、この泡立て用工具を用いて製造された製品が、製造中に少なくとも1つの情報項目が設けられるようにしている。この少なくとも1つの情報項目は、例えば、特に成形部品の製造に関するモチーフや文字のデザインであってもよく、または当該モチーフや文字のデザインを含んでいてもよい。その結果、例えば、製造業者のサインや製造日、バッチ番号をこの表面構造に組み入れることができ、生成された製品がこの表面構造に関する情報も運搬できるようにしている。
【0027】
さらに本発明は、空洞の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの領域を備えている、本発明による泡立て用工具の製造方法に関する。当然のことながら、本発明による泡立て用工具に関するすべての利点、詳細および特徴を、本発明による製造方法に移すことができる。
【0028】
本発明による製造方法において、表面構造の少なくとも1つの部分が、一連の層状の選択的露光、および建築材料層の関連する一連の層状の選択的固化を用いて、エネルギービームにより固化可能な、特に粉末状の建築材料から製造されることが特に好ましい。したがって本発明による製造方法において、特に粉末状の建築材料が層状に塗布され、続いてエネルギービームに露光され、それにより固化されている。建築材料の選択的な露出または固化の結果として、所望の表面構造が層状に形成される。
【0029】
本発明による製造方法の好ましい実施形態によれば、表面の少なくとも1つの部分を既存の構成部品にさかのぼって適用することができてもよく、または既存の表面構造を当該少なくとも1つの部分で補足することができてもよい。これによれば、この製造方法により、ハイブリッド部品として泡立て用工具を設計することができ、所望の表面構造またはその1つの部分が、既存の構成部品または半製品にさかのぼって適用されている。同様に、所望の表面構造の少なくとも1つの部分により補足される、定められた表面構造を、この泡立て用工具が付加製造法を用いて既に備えることができる。その結果、従来の製造方法と付加製造法との組み合わせが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、実施形態に基づき図面を参照して、以下でより詳細に説明される。これらの図面は概略図である:
【
図1】本発明による第1の実施形態に従った泡立て用工具を示す図である。
【
図2】本発明による泡立て用工具の
図1における断面II−IIである。
【
図3】本発明による第2の実施形態に従った泡立て用工具を示す図である。
【
図4】本発明による第3の実施形態に従った泡立て用工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、発泡性プラスチック粒子または予備発泡プラスチック粒子の処理用の泡立て用工具1を示している。この泡立て用工具1は、空洞3の一部を形成する領域2、または空洞3を定めている領域2を備えている。
図1に示される第1の実施形態によれば、空洞3を形成している領域2が、付加的な方法を用いて生成された表面構造5を有している部分4を備えている。この実施形態によれば、表面構造5がレーザー溶融により生成され、この表面構造5が、一連の層状の選択的露光、および建築材料層の関連する一連の層状の選択的固化を用いて、エネルギービームにより固化可能な、特に粉末状の建築材料から製造される。当然のことながら、泡立て用工具1の製造用に他のすべての付加製造法を使用できる。
【0032】
図1に示される泡立て用工具1の実施形態において、表面構造5が、泡立て用工具1の残りの部分の製造と共に直接製造されてもよい。
図3を参照すると、例えば第2の実施形態において、この表面構造5の代替的な別個の製造が示されている。
【0033】
表面構造5は、付加製造法により生成された複数の隆起6および複数の窪み7を備えている。さらに表面構造5は2つのサブ領域8,9を備えており、当該2つのサブ領域8,9において、表面構造5が別に成形されている。したがって、これら2つのサブ領域8,9は、異なる設計をされた表面構造5を有している。
【0034】
図1の領域II−IIが、
図2に拡大して示されている。交互に配置された隆起6と窪み7とにより表面構造5が形成されていることは明らかである。さらに表面構造5が当該表面構造5に近接するチャネル10を備え、当該チャネル10を通って、例えば作動流体を搬送して成形部品の温度を制御できることは明らかである。表面構造5に近接するチャネル10の配置は付加製造法の使用により可能となるもので、従来の製造方法を用いても達成できないだろう。
【0035】
図3は、第2の実施形態による泡立て用工具11を示している。この泡立て用工具11は、空洞13の一部を形成する領域12を備えている。この領域12は、付加製造法を用いて製造された表面構造15を有している部分14を備えている。同様に、表面構造15は隆起6および窪み7を備えている。
【0036】
部分14は挿入部として設計され、泡立て用工具11の対応する凹部16内に挿入される。当然のことながら部分14は取り外し可能であり、したがって泡立て用工具11から当該部分14を取り外すことができる。その結果、異なる挿入部を凹部16に受け入れることができ、したがって、異なる表面構造15を泡立て用工具11に導入することができ、または部分14を交換することができる。
【0037】
図4は、第3の実施形態による泡立て用工具17を示している。この泡立て用工具17は、空洞18の一部を形成する領域19を備えており、当該領域19は、表面構造21の少なくとも1つの部分20を備えている。この場合、表面構造21の部分20が相加法により製造される。したがって、
図4に示される実施形態による泡立て用工具17が3つのサブ領域22〜24を備え、サブ領域22および24における表面構造21が同一であり、これらの表面構造21と、サブ領域23における表面構造21の部分20とは異なっている。換言すると、サブ領域22および24の表面構造21は領域24の表面構造21とは異なっている。
【0038】
サブ領域22および24における表面構造21は、泡立て用工具17の残りの部分と共に、その泡立て用工具17の製造中に直接製造された。サブ領域23における表面構造21の部分20は、相加法を用いて、さかのぼって適用された。換言すると、表面構造21はサブ領域23により補足された。
【0039】
当然のことながら、個々の実施形態に示されている個々の設計は、要望通りにお互いに組み合わせてもよい。特に、示された実施形態のいずれにもチャネル10が設けられてもよい。同様に、個々の表面構造5,15,21を要望通りにサブ領域に分割することもでき、あるいは、これらの表面構造5,15,21を個々の泡立て用工具1,11,17と共に直接またはさかのぼって形成することもでき、例えば挿入部として、これらの泡立て用工具1,11,17とは別に形成することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 泡立て用工具
2 領域
3 空洞
4 部分
5 表面構造
6 隆起
7 窪み
8 サブ領域
9 サブ領域
10 チャネル
11 泡立て用工具
12 領域
13 空洞
14 部分
15 表面構造
16 凹部
17 泡立て用工具
18 空洞
19 領域
20 部分
21 表面構造
22 サブ領域
23 サブ領域
24 サブ領域
【国際調査報告】