特表2020-531369(P2020-531369A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-531369ブランク,それから製造された3次元構造体,及び折畳み箱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-531369(P2020-531369A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】ブランク,それから製造された3次元構造体,及び折畳み箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20201009BHJP
   B65D 85/10 20060101ALI20201009BHJP
【FI】
   B65D5/42 C
   B65D85/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-506340(P2020-506340)
(86)(22)【出願日】2018年8月2日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2018070981
(87)【国際公開番号】WO2019034438
(87)【国際公開日】20190221
(31)【優先権主張番号】202017104977.9
(32)【優先日】2017年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】515153060
【氏名又は名称】マイヤー−メルンホフ カルトン アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100081466
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 研一
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ タイス
(72)【発明者】
【氏名】ハルマン フォーエンカンプ
【テーマコード(参考)】
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060DA04
3E060DA30
3E060EA20
3E068AA21
3E068AB03
3E068AC02
3E068CC04
3E068CD01
3E068CE02
3E068DD01
3E068DD06
3E068DE13
3E068DE19
3E068EE37
(57)【要約】
本発明は,ブランク(10)を折畳み状態で3次元構造体を形成する少なくとも3つの側面(12,14,16,18)及び少なくとも1つの底面及び/又はカバータブ(20,24)を含むと共に,側面(12,14,16,18)の少なくとも2つ,及び/又は,底面及び/又はカバータブ(20,24)を有する側面(12,16)の少なくとも1つは,少なくとも1本の機械的生成グルーブライン(36,38,40,56,58)によって相互に接続されている,紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体,特に,包装材等を製造するブランク(10)に関する。機械的生成グルーブライン(36,38,40,56,58)はブランクの材料の切除又はその他の除去なしで形成され,少なくとも1本のレーザー形成グルーブ(62,64,66,68,70)が,グルーブライン(36,38,40,56)によって接合された側面(14,16,18)の少なくとも1つの内部に形成されていると共に,グルーブ(62,64,66,68,70)はグルーブライン(36,38,40,56)に対して斜めに延びるように形成され,前記グルーブラインと衝突又は交差する。本発明は紙,カードボード又はプラスチック製の3次元構造体及び折畳み箱にも関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランク(10)を折畳み状態で3次元構造体を形成する少なくとも3つの側面(12,14,16,18)並びに少なくとも1つの底面及び/又はカバータブ8(20,24)を含むと共に,前記側面(12,14,16,18)の少なくとも2つ,及び/又は,前記底面及び/又はカバータブ(20,24)を有する前記側面(12,16)の少なくとも1つは,少なくとも1本の機械的生成グルーブライン(36,38,40,56,58)によって相互に接合されている,紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体,特に,包装材等を製造するブランク(10)であって,
前記機械的生成グルーブライン(36,38,40,56,58)は前記ブランク(10)の材料の切除又はその他の除去なしで生成され,少なくとも1本のレーザー形成グルーブ(62,64,66,68,70)が,前記グルーブライン(36,38,40,56)によって接合された前記側面(14,16,18)の少なくとも1つの内部にレーザーによって形成されていると共に,前記グルーブ(62,64,66,68,70)は前記グルーブライン(36,38,40,56)に対して斜めに延びるように形成され,前記グルーブラインと衝突又は交差する,
ことを特徴とするブランク(10)。
【請求項2】
前記グルーブライン(36,38,40,56)によって接合された前記少なくとも1つの側面(14,16,18)は,少なくとも2本のレーザー形成グルーブ(62,64,66,68,70)を含むと共に,前記各グルーブ(62,64,66,68,70)と前記対応グルーブライン(36,38,40,56)との衝突又は交差地点間の間隔(a,a')が,前記グルーブライン(36,38,40,56)の長さの少なくとも50%である,
ことを特徴とする請求項1に記載のブランク(10)。
【請求項3】
前記間隔(a,a')が前記グルーブライン(36,38,40,56)の長さの75%〜98%である,
ことを特徴とする請求項2に記載のブランク(10)。
【請求項4】
前記少なくとも2本のグルーブ(62,64,66,68,70)は前記側面(14,16,18)内で相互に交差又は相互に衝突する,
ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか一項に記載のブランク(10)。
【請求項5】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)は,前記側面(14,16,18)内に装飾パターンを形成するように配置されている,
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のブランク(10)。
【請求項6】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)は,前記側面(14,16,18)内に異なる一面又は同一の一面を形成するように配置されている,
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のブランク(10)。
【請求項7】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)の深さは前記対応側面(14,16,18)の厚さの10%〜80%である,
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のブランク(10)。
【請求項8】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)は直線,湾曲,波形,蛇行,階段状又はこれら形状の組み合わせに形成されている,
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のブランク(10)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のブランク(10)の折畳み及び/又は接着によって製造される紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体。
【請求項10】
前記3次元構造体は,特に,包装又は非包装の注入可能又は注入不能商品の輸送及び保存用のような,巻タバコ又はその他の商品の保存用包装材である,
ことを特徴とする請求項9に記載の3次元構造体。
【請求項11】
少なくとも3つの側壁(12,14,16,18),並びに受入スペースを形成する少なくとも1つの底面及び/又はカバータブ(20,24)を含むと共に,前記3つの側壁(12,14,16,18)の少なくとも2つ,及び/又は,前記底面及び/又はカバータブ(20,24)を有する前記側壁(12,16)の少なくとも1つは,少なくとも1本の機械的生成グルーブライン(36,38,40,56,58)によって相互に接続されている,商品を保存する折畳み箱,特に,カードボード,紙等の折畳み箱であって,
前記機械的生成グルーブライン(36,38,40,56,58)は前記ブランク(10)の材料の切除又はその他の除去なしで生成され,少なくとも1本のレーザー形成グルーブ(62,64,66,68,70)が,前記グルーブライン(36,38,40,56)によって接合された前記側壁(14,16,18)の少なくとも1つの内部に形成されていると共に,前記グルーブ(62,64,66,68,70)は前記グルーブライン(36,38,40,56)に対して斜めに延びるように形成され,前記グルーブラインと衝突又は交差する,
ことを特徴とする折畳み箱。
【請求項12】
前記グルーブライン(36,38,40,56)によって接合された前記少なくとも1つの側壁(14,16,18)は,少なくとも2本のレーザー形成グルーブ(62,64,66,68,70)を含むと共に,前記各グルーブ(62,64,66,68,70)と前記対応グルーブライン(36,38,40,56)との衝突又は交差地点間の間隔(a,a')が,前記グルーブライン(36,38,40,56)の長さの少なくとも50%である,
ことを特徴とする請求項11に記載の折畳み箱。
【請求項13】
前記間隔(a,a')が前記グルーブライン(36,38,40,56)の長さの75%〜98%である,
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の折畳み箱。
【請求項14】
前記少なくとも2本のグルーブ(62,64,66,68,70)は前記側壁(14,16,18)内で相互に交差又は相互に衝突する,
ことを特徴とする請求項12又は13のいずれか一項に記載の折畳み箱。
【請求項15】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)は,前記側壁(14,16,18)内に装飾パターンを形成するように配置されている,
ことを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の折畳み箱。
【請求項16】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)は,前記側壁(14,16,18)内に異なる一面又は同一の一面を形成するように配置されている,
ことを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の折畳み箱。
【請求項17】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)の深さは,前記対応側壁(14,16,18)の厚さの10%〜80%である,
ことを特徴とする請求項11〜16のいずれか一項に記載の折畳み箱。
【請求項18】
前記グルーブ(62,64,66,68,70)は,直線,湾曲,波形,蛇行,階段状又はこれら形状の組み合わせに形成されている,
ことを特徴とする請求項11〜17のいずれか一項に記載の折畳み箱。
【請求項19】
前記折畳み箱は,特に,包装又は非包装の注入可能又は注入不能商品の輸送及び保存用のような,巻タバコ又はその他の商品の保存用包装材である,
ことを特徴とする請求項11〜18のいずれか一項に記載の折畳み箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ブランクを折畳み状態で3次元構造体を形成する少なくとも3つの側面並びに少なくとも1つの底面及び/又はカバータブを含むと共に,側面の少なくとも2つ,及び/又は,底面及び/又はカバータブを有する側面の少なくとも1つは,少なくとも1本の機械的生成グルーブラインによって相互に接続されている,紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体,特に,包装材等を製造するブランクに関する。さらに,本発明は,商品を保管する紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体,特に,カードボード又は紙等の折畳み箱に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるブランク,3次元構造体及び折畳み箱は数多くのものが知られている。特に,これらブランク又は3次元構造体及び折畳み箱は,各々が,様々な形態の巻タバコ等用の包装材が代表的な紙,フリップパックである。例えば,DE4311568A1
【特許文献1】,EP2141090A1
【特許文献2】,DE10106547A1
【特許文献3】,US6276600B1
【特許文献4】及びDE60028078T2
【特許文献5】は,それらの縦軸に沿って角柱体の形状であると共に,カバーが容器状の受入エリアにヒンジ接合されている包装材を記述している。さらに,汎用ブランク及び包装材は,包装又は非包装の注入可能商品の充填,輸送及び保存に使用される。その場合,それらの商品は,例えば,シリアル,コーンフレーク又は他の注入可能及び自由流動食品である。DE202004011165U1
【特許文献6】から,粉末状商品用のパウダープルーフ包装材が公知である。その場合,公知の包装材は,縦軸に沿ってプリズム,八角形体の形状で形成される。レーザーエネルギーによる製造は,必要な切断線が複数であることから,時間とエネルギーが比較的多くかかることになる。WO2016/198317A1
【特許文献7】から,紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体,特に,包装材等を製造するブランクも知られており,その場合,ブランクが折畳まれた状態では,3次元構造体の丸み付きエッジエリアを形成する少なくとも1つの折畳み面が存在する。そこでは,折畳み面は,相互に平行に延びる2本の外面折畳み線によって境界されており,しかも,外面折畳み線に対して斜めに延びる少なくとも1本のグルーブラインが折畳み面の内部に形成されている。そこでは,外面折畳み線及びグルーブラインは,レーザーエネルギー及び/又はパンチングによって生成される。しかし,周知のブランクにおいて,機械的生成グルーブライン及び折畳み線は,ブランクの材料を線の中心から線の各側エッジに移すだけという点が不利である。従って,かかる機械的生成グルーブラインは,移動した材料が再び折返る状況をもたらす傾向がある。しかし,特に,ブランクから折畳まれた構造体並びに折畳み箱の技術的及び美的欠点はそれによって生じる。特に,かかる折畳み箱は,寸法的に必ずしも安定はせず,その結果,特に,これら折畳み箱の輸送及び/又は保管及び/又は積重ね時に,問題が生じることがある。レーザーエネルギーによる全てのグルーブライン及び折畳み線の生成はエネルギーを大量消費し,従って,高コストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って,本発明の目的は,低コストでの製造が可能で,機械的生成グルーブラインが折返る傾向を最小化又は防止する,紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体を製造する汎用ブランク,対応する3次元構造体,並びに紙,カードボード又はプラスチックの折畳み箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の特徴を含むブランク,請求項9の特徴を含む3次元構造体,並びに請求項11の特徴を含む折畳み箱が,これらの課題を解決するのに役立つ。本発明の便利な進展による有利な形態が各従属請求項に明記されており,そこでは,ブランクの有利な形態は本発明に記載の3次元構造体及び本発明に記載のブランク折畳み箱の有利な形態でもあり,逆も又同様とする。
【0005】
本発明の第1の側面は,ブランクを折畳み状態で3次元構造体を形成する少なくとも3つの側面並びに少なくとも1つの底面及び/又はカバータブを含むと共に,側面の少なくとも2つ,及び/又は,底面及び/又はカバータブを有する側面の少なくとも1つは,少なくとも1本の機械的生成グルーブラインによって相互に接続されている,紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体,特に,包装材等を製造するブランクに関する。そこでは,機械的生成グルーブラインは,ブランクの材料切除又は他の除去なしで生成され,加えて,少なくとも1本のレーザー生成グルーブが,グルーブラインによって接合された側面の少なくとも1つの内部に形成されていると共に,グルーブはグルーブラインに対して斜めに延びるように形成され,グルーブラインと衝突又は交差する。本発明に記載のブランクの形態によって,グルーブラインの機械的生成によって,すなわち,材料切除のない生成によって生じる残留応力を,レーザー形成グルーブ中に確実に放出できる。グルーブライン内の残留応力又は複数の残留応力の緩和によって,グルーブラインの移動材料が再び折返るのが防止される。これによって,機械的生成グルーブラインが折返る傾向が最小化又は防止される。特に,本発明は,グルーブのレーザー生成時に,材料がそれぞれ燃焼及び消滅するという事実を利用する。ラインを生成する材料の移動は行われない。加えて,レーザー形成グルーブと機械的生成グルーブラインとの組み合わせによって,ブランクの製造時に多量のエネルギーを節約することができる。これによって,ブランクの製造コストが低下する。
【0006】
本発明に記載のブランクの有利な形態において,グルーブラインによって接合された少なくとも1つの側面は,少なくとも2本のレーザー生成グルーブを含むと共に,各グルーブと対応グルーブラインとの衝突又は交差地点間の間隔は,グルーブラインの長さの少なくとも50%,特に,75%〜98%である。これによって,機械的生成グルーブライン内の残留応力をその全延長にわたって確実に緩和することができる。
【0007】
本発明に記載のブランクの別の有利な形態においては,少なくとも2本のグルーブは側面内において相互に交差するか,又は相互に衝突する。さらに,側面内に装飾パターンを形成するようにグルーブを配置することも可能である。さらに,側面内に異なる一面又は同一の一面を形成するようにグルーブを配置することも可能である。最後に,グルーブは直線,湾曲,波形,蛇行,階段状又はこれらの形状の組合せに形成できる。本機械的グルーブラインに対するグルーブの最適適合及びそれによるグルーブライン内における残留応力の最大限の緩和に加えて,側面内のレーザー形成グルーブによって,対応製造及び/又は設計仕様を満たすことができる。ブランクが折畳まれた状態では,3次元構造体の内側に形成されたグルーブによって,対応パターンが側面の外面に生じる。これによって,例えば,3次元構造体及び折畳み箱のそれぞれに力覚の違いを表せる。
【0008】
本発明に記載のブランクの別の有利な形態においては,グルーブの深さは対応側面の厚さの10%〜80%である。そこでは,グルーブの深さを使用材料及びその要件に適合させられる。側面の対向面上の可視線又は可視パターンの対応パターンの強調表示の高さ及び明確さのそれぞれも,グルーブの深さによって調整できる。
【0009】
本発明に記載のブランクの別の有利な形態においては,グルーブラインは直線,湾曲,波形,蛇行,階段状又はこれら形状の組み合わせに形成されている。加えて,グルーブラインは連続又は割込みのグルーブラインとして外面折畳み線の間に形成できる。有利には,複数の設計要件をそれによって満たすことができる。
【0010】
本発明の第2の側面は,上述したようなブランクの折畳み及び/又は接着によって製造された紙,カードボード又はプラスチックの3次元構造体に関する。このように製造された3次元構造体の形態の可能性及び利点は,本発明の第1の側面に記載のブランクの上述した形状の可能性及び利点から得られる。そこでは,3次元構造体は,包装材として,特に,例えば,包装又は非包装の注入可能又は注入不能商品の輸送及び保存用のような,巻タバコ又は他の商品の保存用包装材として使用できる。
【0011】
本発明の第3の側面は,少なくとも3つの側壁,並びに受入スペースを形成する少なくとも1つの底面及び/又はカバータブを含むと共に,側壁の少なくとも2つ,及び/又は,底面及び/又はカバータブを有する側壁の少なくとも1つは,少なくとも1本の機械的生成グルーブラインによって相互に接合されている,商品を保存する折畳み箱,特に,カードボード,紙等の折畳み箱に関する。そこでは,機械的生成グルーブラインはブランクの材料の切除又は他の除去なしで生成される。そこでは,少なくとも1本のレーザー生成グルーブが,グルーブラインによって接合された側壁の少なくとも1つの内部に形成されると共に,グルーブはグルーブラインに対して斜めに延びるように形成され,グルーブラインと衝突又は交差する。さらに機械的生成グルーブと交差又は衝突する少なくとも1本のレーザー生成グルーブの形成によって,材料切除なしで生成されたグルーブライン内部の残留応力を,レーザー生成グルーブ中に確実に放出できる。レーザーによるグルーブの生成時に材料が移動することはないが,しかし材料は燃焼及び消滅させられるので,グルーブラインの生成時の材料移動によって生じる残留応力をここでは確実かつ簡単に放出できる。しかし,それため,グルーブラインによって接合された側壁が折返る傾向も最小化又は完全に防止される。このようにして形成された折畳み箱は寸法的に安定している。さらに,機械的生成グルーブライン及びレーザー生成グルーブの使用によって,折畳み箱及び折畳み箱の基礎となるブランクそれぞれの製造時におけるエネルギー消費量が大幅に減少する結果となる。従って,本発明に記載の折畳み箱の製造コストが低下することになる。
【0012】
本発明に記載の折畳み箱の別の有利な形態においては,グルーブラインによって接合された少なくとも1つの側壁は少なくとも2本のレーザー生成グルーブを含むと共に,各グルーブと対応グルーブラインとの衝突又は交差地点間の間隔は,グルーブラインの長さの少なくとも50%,特に,75%〜98%である。これによって,本発明によれば,グルーブライン内に存在する残留応力をその全延長にわたってグルーブを介して確実に放出できる。
【0013】
本発明に記載の折畳み箱の別の有利な形態においては,少なくとも2本のグルーブは側壁内において相互に交差するか,又は相互に衝突する。さらに,側壁内に装飾パターンを形成するようにグルーブを配置することも可能である。加えて,側壁内に異なる一面又は同一の一面を形成するようにグルーブを配置することも可能である。最後に,グルーブは直線,湾曲,波形,蛇行,階段状又はこれら形状の組み合わせにも形成可能である。これにより,有利には,側壁内の対応製造及び/又は設計仕様を満たすことが可能となる。特に,側壁の外側に,例えば,異なる力覚パターンを作ることが可能である。側壁の外面において可視及び/又は触知可能であるグルーブ及びグルーブのパターンのそれぞれは,対応側壁の内側のレーザー生成グルーブによって生じる。これらのパターンを含む側壁の対応領域を少し曲げることで,パターンは真価を発揮する。
【0014】
本発明に記載の折畳み箱の別の有利な形態においては,グルーブの深さは対応側壁の厚さの10%〜80%である。グルーブ及び対応側壁の外面にグルーブにより生成されたパターンそれぞれの可視度は,グルーブの深さにより調整できる。
【0015】
本発明に記載の折畳み箱の別の有利な形態において,折畳み箱は,巻タバコの保存用包装材又は他の商品の保存用包装材,特に,包装又は非包装の注入可能又は注入不能商品の輸送及び保存用の包装材とすることができる。
【0016】
折畳み箱のその他の特徴及び利点は第1及び第2の側面の記述から明白であり,第1及び第2の側面の有利な形態は,第3の側面の有利な形態でもあると共に,その逆でもあると見なされる。
【0017】
本発明の他の利点,特徴及び詳細は,2つの実施形態に関する以下の記述並びに図面から明白である。上記説明に挙げた特徴及び特徴の組み合わせ,並びに,以下の図面の説明に挙げた特徴及び特徴の組み合わせは,明記した各組み合わせだけでなく,他の組み合わせでも単独であっても使用可能であり,それにより,本発明の範囲を逸脱することにはならない。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に記載のブランクの概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態に記載のブランクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は,第1の実施形態に記載のカードボードの3次元構造体を製造するブランク10の概略図である。そこでは,3次元構造体は包装材,特に,折畳み箱である。その点で,ブランク10は,グルーブライン36,38,40により相互に接合された4つの側面12,14,16,18を含む。その点で,側面12は,グルーブライン36に対向すると共に,それに対して平行に延びるグルーブライン42によって,接着タブ46に接合されている。ブランク10が折畳まれた状態では,接着タブ46は側面18に接着されている。さらに,側面12は曲げ線58によってカバータブ20に接合されている。対照的に,側面16は,曲げ線56によって,カバータブ20に対向する底面タブ24に接合されている。グルーブライン58に対向するカバータブ20の側には,それに対して平行に延びる曲げ線60が形成され,この曲げ線によって,カバータブ20は挿入タブ22に接合されている。底面タブ24はグルーブライン44によって挿入タブ26に接合されている。
【0020】
さらに,曲げ線48,50,52,54によって,クロージャタブ28,30,32,34が側壁14,18の短い対向端にそれぞれヒンジ接合されている。
【0021】
図示した実施形態においては,側壁12,14,16,18を接合するグルーブライン36,38,40,並びに,底面タブ24及びカバータブ20を側壁12,16にヒンジ接合するグルーブライン56,58は,特に機械的生成グルーブラインとして形成されている。
【0022】
さらに,図1から明らかなのは,複数のグルーブ62,64,66が側面16内に形成されると共に,グルーブ62,64,66は,それぞれが,対応グルーブライン38,40,56に対して斜めに延びるように形成され,それぞれが対応グルーブラインと衝突することである。そこでは,グルーブ62,64,66はレーザーによって生成される。従って,グルーブ62,64,66はブランク10の材料の消滅によって生じる。それとは対照的に,材料切除が行われない生成であるグルーブライン38,40,56の機械的生成時には,ブランク10の材料は移動させられるにすぎない。これによって,移動した材料が再び折返るという傾向がこれらエリアに生じる。しかし,これらの残留応力は,グルーブライン38,40,56に接合された対応グルーブ62,64,66により吸収できる。これにより,折返り傾向全体を最小化又は完全防止することができる。さらに,グルーブ62,64,66はそれぞれがパターンを,特に,菱形状パターンを形成する。側面16のかかるパターン化エリアは,ブランク10が折畳まれた状態では,側壁16の外面において可視であり,従って,特徴的なデザインを形成し,その結果として,ブランク10から製造された3次元構造体には明確な認識値が生じる。加えて,力覚が側面16の上記外面においては変化し,この触感も特徴的認識値となる。
【0023】
さらに,複数のグルーブ62,64,66は,各グルーブライン38,40,56とのグルーブ62,64,66の衝突の各最外部地点間の間隔a,a'が対応グルーブライン38,40,56の長さの50%超になるように形成されている。図示した実施形態においては,間隔a,a'は各グルーブライン38,40,56の長さの約90%である。これにより,グルーブライン38,40,56内に場合によっては存在する残留応力を対応グルーブライン38,40,56の全長にわたってグルーブ62,64,66内で確実に吸収し,それらのグルーブ内に放出できる。
【0024】
図示した実施形態においては,グルーブ62,64,66は直線に形成され,側面16内で相互に交差する。その他のパターン及びグルーブ延長も考えられる。
【0025】
図示したブランク10は,3次元構造体を,特に,包装及び/又は非包装の注入可能又は注入不能商品の包装,輸送及び保存用折畳み箱を製造するのに用いられる。
【0026】
図2は,第2の実施形態に記載のカードボードの3次元構造体を製造するブランク10の概略図である。側壁12,14,16,18は図1に示した実施形態とは異なる寸法を有する。ここでは,それに加えて,グルーブ64が側壁16に形成されているだけでなく,グルーブ68,70も側壁14,18に形成されている。そこでは,側壁14内のグルーブ68,側壁16内のグルーブ64及び側壁18内のグルーブ70がそれぞれ所定の地点において相互に衝突し,対応デザインを形成する。そこでは,対応衝突地点において,各2本のグルーブ64,68,70が,側壁14,16を接合するグルーブライン38及び側壁16,18を接合するグルーブライン40とそれぞれ接触又は交差するように,グルーブ64,68,70は側壁14,16,18内に形成されている。さらに,グルーブ64,68,70の2本が,側壁14をクロージャタブ32に接合するグルーブライン48,側壁16を底面タブ24に接合するグルーブライン56,並びに,側壁18をクロージャタブ30に接合するグルーブライン54と衝突する。これを確保するために,グルーブ64,68,70の各1本が,グルーブライン48とグルーブライン32,グルーブライン40とグルーブライン56,及びグルーブライン40とグルーブライン54の各交差地点とそれぞれ衝突する。図2から明らかなのは,各グルーブ64,68,70と対応グルーブライン38,40,48,54,56との各外面衝突点間の間隔a,a'が対応グルーブラインの長さの50%超になることである。第2の実施形態に記載のブランク10のさらなる形態に関しては,第1の実施形態に記載のブランク10の記述で言及しており,同一の参照文字は同一又は同等の特徴を意味する。
図1
図2
【国際調査報告】