(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-531736(P2020-531736A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】タービンロータ翼形、および動翼内の空洞における圧力損失を低減するための対応方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20201009BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20201009BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20201009BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-511160(P2020-511160)
(86)(22)【出願日】2018年8月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月15日
(86)【国際出願番号】US2018045494
(87)【国際公開番号】WO2019040272
(87)【国際公開日】20190228
(31)【優先権主張番号】62/549,716
(32)【優先日】2017年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チン−パン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ハリー・ホロマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ケスター
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ワイ・ウム
(72)【発明者】
【氏名】シン・チエン・シウ
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202CA07
3G202CB01
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ27
(57)【要約】
前縁回路(22)と後縁回路(24)とを伴う内部複数パス蛇行流冷却回路(40)を備えた、タービンエンジンのための動翼翼形(10)が提供される。前縁回路(22)における空洞の入口(54)は空洞幅(48)の狭小を有し、その空洞幅(48)は、前縁回路(22)の他の部分の空洞幅(48)と同様の一貫した空洞幅(48)へと、さらに下流において拡大する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータ翼形(10)であって、
圧力側(14)および吸込み側(16)によって結合される前縁(18)および後縁(20)と、径方向外側の位置を指定する先端(32)と、径方向内側の位置を指定する、径方向で反対の根元端(34)と、
当該翼形(10)に冷却をもたらすために当該翼形(10)内に形成された径方向冷却剤空洞(44、46)を伴う少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路(40)であって、
当該翼形(10)内に位置する第1の前方向空洞(44a)、および、前記第1の前方向空洞(44a)から翼弦軸に沿って前方にある第2の前方向空洞(44b)を少なくとも備える前方向空洞(44)を備えた前縁回路(22)であって、最後から二番目の前方向空洞(44c)および最後の前方向空洞(44d)を少なくとも提供する当該翼形(10)の前記先端(32)および前記根元端(34)における少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を伴って前方に流れ、前記最後の前方向空洞(44d)は当該翼形(10)の前記前縁(18)に沿って位置する、前縁回路(22)、ならびに、
前記第1の前方向空洞(44a)の後に位置する第1の後方向空洞(46a)を少なくとも備える後方向空洞(46)を備えた後縁回路(24)であって、最後から二番目の後方向空洞(46d)および最後の後方向空洞(46e)を少なくとも提供する当該翼形(10)の前記先端(32)および前記根元端(34)における少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を伴って後方に流れ、前記最後の後方向空洞(46e)は当該翼形(10)の前記後縁(20)に沿って位置する、後縁回路(24)
を備えた少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路(40)と
を含んでなり、
第1の径方向冷却剤空洞(44、46)の出口(56)から第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の入口(54)への180度の方向転換は、一貫した空洞幅(48)から狭小し、次に、下流へと前記一貫した空洞幅(48)に戻るように拡大し、
前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)と前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)との間の空間の直径(50)が、前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の前記入口(54)において拡大し、次に、前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)および前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の経路の他の部分である、前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)と前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)との間で維持される空間の一貫した直径(50)に縮小していることを特徴とする、タービンロータ翼形(10)。
【請求項2】
前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)への前記入口(54)における前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)と前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)との間の前記空間の直径(50)は、前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)および前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の前記根元端(34)の近くの直径(50)の2倍であることを特徴とする、請求項1に記載の動翼(10)。
【請求項3】
最大直径(50)の長さから下流への一貫した長さの直径(50)への移行が、前記最大直径の長さからおおよそ15度未満の角度で行われていることを特徴とする、請求項1または2に記載の動翼(10)。
【請求項4】
前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)の前記根元端(34)に冷却流体(Cf)入口をさらに備えていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の動翼(10)。
【請求項5】
前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)は前記第1の前方向空洞(44a)であり、前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)は前記第2の前方向空洞(44b)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の動翼(10)。
【請求項6】
タービンエンジンのための動翼(10)内における前方向空洞(44)における圧力損失を低減するための方法であって、
翼形(10)内に形成される少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路(40)の前方向前縁回路(22)の径方向内向きに流れる空洞の入口(54)における空洞幅(48)を縮小させるステップと、
前記径方向内向きに流れる空洞への前記入口(54)の位置において、前記径方向内向きに流れる空洞と径方向外向きに流れる空洞との間の空間の直径(50)を最大直径(50)の長さへと増加させるステップと
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記径方向内向きに流れる空洞への前記入口(54)において、前記径方向外向きに流れる空洞と前記径方向内向きに流れる空洞との間の前記空間の前記直径(50)は、前記径方向外向きに流れる空洞および前記径方向内向きに流れる空洞の根元端(34)の近くの直径(50)の2倍であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最大直径(50)の長さから下流への一貫した長さの直径(50)への移行が、前記最大直径の長さからおおよそ15度未満の角度で行われていることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記動翼(10)は、前記径方向外向きに流れる空洞の根元端(34)において冷却流体(Cf)入口をさらに備えていることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンのためのタービン動翼に関し、より詳細には、非対称に成形されたタービン動翼内部先端での方向転換に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ガスタービンエンジンでは、高温圧縮ガスが生成される。燃焼システムは、空気を圧縮機から受け入れ、燃料と混合して混合物を燃焼させ、その後に燃焼器の生成物がタービンを通じて膨張させられることで、空気を高エネルギーレベルまで高める。
【0003】
高温のガス流は、タービンを通過し、膨張して、電力生成のための発電機を駆動するのに使用される機械的仕事を生成する。タービンは概して、高温ガス流からのエネルギーを、エンジンの回転子シャフトを駆動する機械的エネルギーへと変換するために、固定子の静翼および回転子の動翼の複数の段を含む。タービン入口温度は、タービン部品の材料特性および冷却能力によって制限される。これはタービンの動翼および静翼の第1の段にとって、それらの翼形がシステムにおいて最も高温のガス流に曝されるため、特に重要である。
【0004】
タービン動翼が燃焼システム内の燃焼器から排出される高温ガス流に曝されるため、タービン動翼にとって有用な設計ライフサイクルを得るための冷却方法が用いられる。動翼冷却は、より低温の圧縮空気の一部を圧縮機から抽出し、それをタービン区域へと向かわせ、それによって燃焼器を迂回することによって達成される。タービン区域への導入の後、この冷却空気は、動翼の翼形部分に形成された流路または通路を通じて流れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスタービンは、より大きく、より効率的に、より堅牢になってきている。大きな動翼および静翼が、特に、より高温を伴うエンジンシステムの高温区域において、作られている。そのため、動翼は、適切な構成部品耐用期間を保つために、相当の冷却を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、タービンロータ翼形が、圧力側および吸込み側によって結合される前縁および後縁と、先端と、径方向で反対の根元端と、翼形に冷却を提供するために翼形内に形成された少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路であって、翼形内に位置する第1の前方向空洞、および、第1の前方向空洞から軸方向前方にある第2の前方向空洞を少なくとも備える前縁回路であって、その前縁回路は、最後から二番目の前方向空洞および最後の前方向空洞を少なくとも提供する翼形の先端および根元端における少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を伴って前方に流れ、最後の前方向空洞は翼形の前縁に沿って位置する、前縁回路、ならびに、第1の前方向空洞の後に位置する第1の後方向空洞を少なくとも備える後縁回路であって、その後縁回路は、最後から二番目の後方向空洞および最後の後方向空洞を少なくとも提供する翼形の先端および根元端における少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を伴って後方に流れ、最後の後方向空洞は翼形の後縁に沿って位置する、後縁回路を備える少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路とを備え、第1の前方向空洞の出口から第2の前方向空洞の入口への180度の方向転換は、一貫した空洞幅から狭小し、次に、2つの空洞の間に一貫した直径を伴って、下流へと一貫した空洞幅に戻るように拡大する。
【0007】
本発明の別の態様では、タービンエンジンのための動翼内における前方向空洞における圧力損失を低減するための方法が、翼形内に形成される少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路の前方向前縁回路の径方向内向きに流れる空洞の入口における空洞幅を縮小するステップと、径方向内向きに流れる空洞への入口の位置において、径方向内向きに流れる空洞と径方向外向きに流れる空洞との間の空間の直径を最大直径の長さへと増加させるステップとを含む。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の図面、記載、および請求項を参照してより良く理解されるものである。
【0009】
本発明は、図の助けによってより詳細に示されている。図は好ましい構成を示しており、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の例示の実施形態によるタービン動翼の圧力側からの斜視図である。
【
図2】本発明の例示の実施形態の冷却回路の断面の上面図である。
【
図3A】先行技術によるタービン動翼翼形の冷却回路の詳細図である。
【
図3B】本発明の例示の実施形態によるタービン動翼翼形の冷却回路の詳細図である。
【
図4A】先行技術によるタービン動翼の冷却回路の一部の詳細な断面図である。
【
図4B】本発明の例示の実施形態によるタービン動翼の冷却回路の一部の詳細な断面図である。
【
図5B】本発明の例示の実施形態の冷却回路の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の以下の詳細な記載では、その記載の一部を形成する添付の図面が参照され、その図面では、本発明が実施され得る特定の実施形態が、限定を用いることなく例示を用いて示されている。他の実施形態が利用できることと、変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなく行えることとは、理解されるものである。
【0012】
大まかには、本発明の実施形態は、前縁回路と後縁回路とを伴う内部複数パス蛇行流冷却回路を備えるタービンエンジンのための動翼翼形を提供する。前縁回路における空洞の入口は空洞幅の狭小を有し、その空洞幅は、前縁回路の他の部分の空洞幅と同様の一貫した空洞幅へと、さらに下流において拡大する。
【0013】
ガスタービンエンジンは、圧縮機区域と、燃焼器と、タービン区域とを備え得る。圧縮機区域は周囲空気を圧縮する。燃焼器は、圧縮された空気を燃料と混合し、混合物を燃焼し、作動流体を形成する高温ガスを含む燃焼生成物を作り出す。作動流体はタービン区域へと進む。タービン区域内には、静翼と動翼との周方向の交互の列があり、動翼は回転子に結合されている。静翼と動翼との列の各々の対は、タービン区域において段を形成する。タービン区域は、静翼、動翼、および回転子を収容する固定されたタービンケーシングを備える。
【0014】
特定の実施形態では、回転子を冷却するため、および、動翼を回転させるための空気は、燃焼器シェルにおいて軸流圧縮機排出部から抽出され得る。圧縮機排出空気は、空気対空気の冷却器を通過でき、回転子冷却のために濾過され得る。直接的な冷却が、1つまたは複数の段に沿ってタービンスピンドル動翼の根元端において行われ得る。タービンの静止した静翼は、内部を迂回する配管と外部の抽気配管との両方によって冷却され得る。
【0015】
電力出力を増加させ、ガスタービンエンジンの効率を向上させるために取られ得る効果的なステップは、熱がシステムに加えられる温度を増加すること、つまり、タービンへと向けられる燃焼ガスのタービン入口温度を上昇させることであり得る。効率的なタービンにおける増加は、タービン動翼および回転子によって耐えられなければならない温度における増加をもたらした。その結果、最も高い望ましい温度を用いるために、何らかの形態の強制冷却が望ましいことがあり得るということになる。この冷却は、様々な段における圧縮機から抽気され、タービンにおける重要な要素へと導管で送られる空気の形態であり得る。静翼および動翼の最初の段を冷却することが強調されているが、空気は他の静翼、動翼、環体、および円板へと向けられてもよい。
【0016】
翼形はこれらの高い温度および圧力に曝されるため、許容可能な金属温度を維持することが非常に困難である。前方向蛇行回路が望まれる。しかしながら、前方向における圧力低下は、信頼できる冷却方法が効率的になるのを防止する。より効果的な冷却システムを通じての圧力損失および流体の分離における低減が望ましい。本発明の実施形態は、明確には蛇行回路における方向転換において、圧力損失における低減を可能にすることができる動翼を提供する。
【0017】
ここで
図1を参照すると、タービン翼形10が一実施形態により示されている。図示されているように、タービン翼形10はガスタービンエンジンのためのタービン動翼である。しかしながら、本発明の態様がガスタービンエンジンにおける静止した静翼へと追加的に組み込まれ得ることは、留意されるべきである。翼形10は、例えば軸流ガスタービンエンジンの高圧段における使用に適合された外壁12を備え得る。外壁12は翼形内部52を画定している。外壁12は、タービンエンジンの径方向Rに沿って翼長方向に延び、概して凹状に成形された圧力側壁14と、概して凸状に成形された吸込み側壁16とを備える。圧力側壁14と吸込み側壁16とは前縁18および後縁20において結合されている。外壁12は、プラットフォーム38において根元部36に結合され得る。根元部36は、タービン翼形10をタービンエンジンの円板(図示せず)に結合できる。外壁12は、径方向外向きの翼形端面(翼形先端キャップ)32と、プラットフォーム38に結合された径方向内向きの翼形端面34とによって、径方向において画定されている。他の実施形態では、タービン翼形10は、タービンエンジンのタービンガス経路区域の内径部に結合された径方向内側端面と、タービンエンジンのタービンガス経路区域の外径部に結合された径方向外側端面とを伴う静止したタービン静翼であり得る。
【0018】
図2を参照すると、圧力側壁14と吸込み側壁16との間の中央で延びる翼弦軸30が定められ得る。本明細書において、「前方」という相対的な用語は、前縁18に向かう翼弦軸30に沿っての方向を言っているが、「後方」という相対的な用語は、後縁20に向かう翼弦軸30に沿っての方向を言っている。図示されているように、内部流路の冷却回路40は、径方向の延在に沿う圧力側壁14と吸込み側壁16との間の径方向冷却剤空洞44a〜44d、46a〜46eによって形成されている。本例では、冷却流体Cfが、動翼10の根元端34に設けられた開口を介して径方向空洞44a〜44d、46a〜46eのうちの1つまたは複数に入ることができ、その開口から、冷却流体Cfは、例えば2つ以上の蛇行冷却回路40を介して、隣接する径方向冷却剤空洞へと横断できる。径方向冷却剤空洞44a〜44d、46a〜46eを横断すると、冷却流体Cfは、例えば、
図1に示されているように、前縁18および後縁20に沿ってそれぞれ位置した排気オリフィス26、28を介して、翼形10から作動流体高温ガス経路Wfへと排出され得る。図面には示されていないが、排気オリフィス26、28は、圧力側壁14、吸込み側壁16、および翼形先端32におけるいずれの場所も含め、複数の場所に設けられてもよい。
【0019】
最後の後方径方向冷却剤空洞46eは、後縁20に最も近い冷却剤空洞である。最後の後方径方向冷却剤空洞46eに到達すると、冷却流体Cfは、最後の後方径方向冷却剤空洞46eを出てから、後縁20に沿って配置された冷却流体排気オリフィス28を介して翼形10を出て行く前に、後縁20に沿って位置した後縁冷却特徴部42の内部配置を通じて軸方向に横断できる。
【0020】
図2〜
図5Bに示されているように、タービンロータ翼形10は少なくとも2つの冷却回路40と、前縁回路22と、後縁回路24とを備えてもよい。各々の冷却回路40は、少なくとも2つの冷却空気流れを形成するために別々の入口を備え得る。前縁回路22は前方向空洞44を備え、前方向空洞44の少なくとも一部は、第2の径方向冷却剤空洞(44、46)へと前方へ流れる第1の径方向冷却剤空洞(44、46)、つまり、第2の前方向空洞44bへと前方へ流れる第1の前方向空洞44aを備え得る蛇行した様式の経路で流れる。前縁回路22への入口は第1の前方向空洞44aを通過し得る。冷却流体Cfは、第1の前方向空洞44aへと入ることができ、翼形10の先端32において、実質的に180度の先端の方向転換58を通じて第2の前方向空洞44bへと前方に流れることができる。蛇行した様式の経路は、最後から二番目の前方向空洞44cまで続くことができる。最後から二番目の前方向空洞44cを通過すると、冷却流体Cfは、真っ直ぐな翼弦軸30を通じて最後の前方向空洞44dへと及ぶことができる。
【0021】
後縁回路24は、後方向空洞46とも称される複数パスの冷却通路を含み得る蛇行した様式の経路を備え得る。特定の実施形態では、3パスの蛇行冷却回路がある。特定の実施形態では、5パスの蛇行冷却回路がある。特定の実施形態では、7パスの蛇行冷却回路がある。後縁回路24は第1の後方向空洞46aを備える。後縁回路24への入口は、第1の後方向空洞46aを通過でき、前方向空洞44の後にある。冷却流体Cfは、第2の径方向冷却剤空洞(44、46)へと後方へ流れる第1の径方向冷却剤空洞(44、46)へと入ることができ、つまり、第1の後方向空洞46aへと入ることができ、翼形10の先端32において、実質的に180度の先端の方向転換58を通じて、第2の後方向空洞46bへと後方へ流れることができる。後縁回路24はまた、最後から二番目の後方向空洞46dと最後の後方向空洞46eとを少なくとも備え得る。
【0022】
複数パスの冷却回路40は、動翼10を通じて動翼温度を低下させるのを助けるために、翼形10内から前縁18と後縁20との両方に向けての冷却流体Cfの移動流れを助ける。
【0023】
前縁回路22の複数の前方向空洞44は、冷却流体Cfが前方へ移動するにつれて複数の前方向空洞44を通じて冷却流体Cfの方向を変化させる、動翼の翼形10の先端32および根元端34に沿う少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を通じて、連結されている。後縁回路24の複数の後方向空洞46は、冷却流体Cfが後方へ移動するにつれて複数の後方向空洞46を通じて冷却流体Cfの方向を変化させる、動翼の翼形10の先端32および根元端34に沿う少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を通じて、連結されている。前縁回路22の内部では、最後の前方向空洞44dは動翼10の前縁18に沿って位置し得る。最後から二番目の前方向空洞44cは、最後の前方向空洞44dの後方に位置決めされ、前方へ流れることだけでき、最後の前方向空洞44dへと直接的に及ぶ。後縁回路24は、動翼10の先端32および根元端34に沿う少なくとも2つの実質的に180度の方向転換によって、第1の後方向空洞46aから最後から二番目の後方向空洞46dおよび最後の後方向空洞46eに向けて後方へ流れる。最後の後方向空洞46eは動翼10の後縁20に沿って位置し得る。
【0024】
翼形10の先端32および根元端34における実質的に180度の方向転換を通じた冷却流体Cfの流れは、冷却流体圧力が冷却回路40を通じてどのように保たれるかに関して重要である。以下において、第1の前方向空洞44aおよび第2の前方向空洞44bが、本明細書で開示されている実施形態の例として論考の焦点とされる。前縁回路は後縁回路より圧力損失に対してより敏感である。しかしながら、本明細書の実施形態は、前縁方向であっても後縁方向であっても、蛇行する冷却回路における任意の流れの方向転換に適用できる。
図3A〜
図5Bに示しているように、従来の空洞の方向転換は
図3A、
図4A、および
図5Aに示されており、一方、改良したものが
図3B、
図4B、および
図5Bに示されている。概して、空洞は、各々の空洞が径方向内向きおよび外向きに延びる一貫した空洞幅48を有する。各々の空洞の間の空間が、一貫した空洞幅48に合致するために一貫した直径50を概して有する。従来から、次の空洞へと方向転換する前に、空洞同士の間の各々の空間の端において延びる滑らかな円弧がある。径方向冷却剤空洞44a〜44d、46a〜46eの各々の先端の方向転換58において、冷却流体Cfが出て行く空洞の出口56と、冷却流体Cfが入る次の空洞の入口54とがある。180度の先端の方向転換58は、例として、第1の前方向空洞44aから第2の前方向空洞44bへの滑らかな移行となっている。以下の実施形態は、空洞の先端の方向転換58の構造への変化を含む。
【0025】
動翼10の温度は、後縁回路24の端の近くで、先端32に沿って、および、動翼10の前縁18に沿って、増加する。空洞端の形を非対称に成形された先端の方向転換58へと変更することは、例えば、冷却流体Cfが第2の前方向空洞44bに入るとき、冷却流体Cfの圧力に良い影響を与えることができる。流れの分離および圧力損失が第2の前方向空洞44b内において低減され得る。損失におけるこの低減は、さらに、より良好な冷却効率とより小さい冷却流れとの要件のために複数パスの蛇行冷却回路40を使用する一方で、前縁回路22における逆流の余地を改善することができる。
【0026】
図3Aおよび
図3Bは、第2の前方向空洞44bへの第1の前方向空洞のための先端の方向転換の詳細を示している。見て分かるように、第1の前方向空洞44aからの出口56は第2の前方向空洞44bの入口54へと前方に流れている。特定の実施形態では、先端の方向転換58は第2の前方向空洞44bの入口54へと移動するため、空洞が入口54の位置において一貫した空洞幅48から狭小する。次に、空洞幅48は、入口54の下流で一貫した空洞幅48へと戻るように拡大する。空洞幅48が狭小するにつれて、2つの空洞の間の直径50は拡大し、次に、下流において再び一貫した直径50へと前方から縮小させられる。直径50のこの拡大は最大直径の長さに達する。
【0027】
特定の実施形態では、第1の前方向空洞44aと第2の前方向空洞44bとの間の空間の直径50は、第2の前方向空洞44bの入口54において、空洞同士の間の空間の他の部分に沿う一貫した直径50の大きさのおおよそ2倍の直径50の大きさまで拡大する。
【0028】
最大直径の長さは、第2の前方向空洞44bの入口54の下流におけるある位置において一貫した直径長さまで下方に移行する。特定の実施形態では、直径50の長さの移行は、最大直径の長さから元の一貫した直径長さへの滑らかな移行を行う最大直径の長さからおおよそ15度未満の角度で行われる。
【0029】
図4Aは、従来の先端の方向転換の形状が、径方向内向きの方向において空洞の入口に沿って空洞の近い側に圧力損失の増加を作り出すことを示している。さらに、
図4Bは、径方向外向きの方向の出口における圧力分布が非対称な先端の方向転換58によって、より均一な圧力損失の低下を呈することを示している。圧力低下は、非対称な先端の方向転換58によって低減される。方向転換において最も多い圧力低下が提供される空洞の領域を除去し、冷却流体が入る空間を狭小とすることで、圧力のより均一な分布が作り出される。圧力低下における減少は、複数パスの蛇行前方冷却回路が設計されるとき重要である。ここで
図4Bでは、空洞幅48が径方向内向きに流れる空洞の入口54において縮小されており、径方向内向きに流れる空洞と径方向外向きに流れる空洞との間の空間の直径50が増加されている。
【0030】
図5Aおよび
図5Bは、方向転換の後の径方向内向きの通過における流れの分布が、対称的な空洞を伴う従来の設計よりはるかに均一となることを示している。様々な区域60、62、64の内部の低圧領域が、先端の方向転換58の形状における変化によって縮小または排除されている。径方向冷却剤空洞44、46を通じたより小さい圧力損失を可能にするより均一な圧力分布が行われる。
【0031】
冷却流体Cfは、前縁回路22の第1の前方向空洞44aと後縁回路24の第1の後方向空洞46aとを通じて送られ得る。前縁回路22と後縁回路24との間で分割された冷却流は、動翼10内のより均一な金属温度を達成するために調節されてもよい。調節は、複数の通路の厚さを変えること、または、複数の通路の長さを調節することなどの形態であり得る。冷却空気の一部を蛇行冷却回路からプラットフォーム38へと送り、冷却し、次に、蛇行冷却回路へと戻すことによって、冷却回路を通じたプラットフォーム38のための再生式の冷却があってもよい。
【0032】
特定の実施形態が詳細に記載されているが、当業者は、それらの詳細への様々な変更および代替が本開示の全体の教示に鑑みて発展され得ることを理解するものである。したがって、開示されている特定の構成は、単に例示であって、本発明の範囲に関して限定しないように意味されており、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の全体の広さと、その任意およびすべての等価とによって与えられるものである。
【符号の説明】
【0033】
10 タービン翼形、動翼、翼形
12 外壁
14 圧力側壁
16 吸込み側壁
18 前縁
20 後縁
22 前縁回路
24 後縁回路
26、28 排気オリフィス
30 翼弦軸
32 径方向外向きの翼形端面、翼形先端キャップ、翼形の先端
34 径方向内向きの翼形端面、翼形の根元端
36 根元部
38 プラットフォーム
40 蛇行冷却回路
42 後縁冷却特徴部
44 前方向空洞
44a 第1の前方向空洞
44b 第2の前方向空洞
44c 最後から二番目の前方向空洞
44d 最後の前方向空洞
46 後方向空洞
46a 第1の後方向空洞
46b 第2の後方向空洞
46d 最後から二番目の後方向空洞
46e 最後の後方向空洞
48 空洞幅
50 直径
52 翼形内部
54 入口
56 出口
58 実質的に180度の先端の方向転換
60、62、64 区域
Cf 冷却流体
Wf 作動流体高温ガス経路
【手続補正書】
【提出日】2020年4月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータ翼形(10)であって、
圧力側(14)および吸込み側(16)によって結合される前縁(18)および後縁(20)と、径方向外側の位置を指定する先端(32)と、径方向内側の位置を指定する、径方向で反対の根元端(34)と、
当該翼形(10)に冷却をもたらすために当該翼形(10)内に形成された径方向冷却剤空洞(44、46)を伴う少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路(40)であって、
当該翼形(10)内に位置する第1の前方向空洞(44a)、および、前記第1の前方向空洞(44a)から翼弦軸に沿って前方にある第2の前方向空洞(44b)を少なくとも備える前方向空洞(44)を備えた前縁回路(22)であって、最後から二番目の前方向空洞(44c)および最後の前方向空洞(44d)を少なくとも提供する当該翼形(10)の前記先端(32)および前記根元端(34)における少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を伴って前方に流れ、前記最後の前方向空洞(44d)は当該翼形(10)の前記前縁(18)に沿って位置する、前縁回路(22)、ならびに、
前記第1の前方向空洞(44a)の後に位置する第1の後方向空洞(46a)を少なくとも備える後方向空洞(46)を備えた後縁回路(24)であって、最後から二番目の後方向空洞(46d)および最後の後方向空洞(46e)を少なくとも提供する当該翼形(10)の前記先端(32)および前記根元端(34)における少なくとも2つの実質的に180度の方向転換を伴って後方に流れ、前記最後の後方向空洞(46e)は当該翼形(10)の前記後縁(20)に沿って位置する、後縁回路(24)
を備えた少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路(40)と
を含んでなり、
第1の径方向冷却剤空洞(44、46)の出口(56)から第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の入口(54)への180度の方向転換は、一貫した空洞幅(48)から狭小し、次に、下流へと前記一貫した空洞幅(48)に戻るように拡大し、
前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)と前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)との間の空間の直径(50)が、前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の前記入口(54)において拡大し、次に、前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)および前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の経路の他の部分である、前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)と前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)との間で維持される空間の一貫した直径(50)に縮小していることを特徴とする、タービンロータ翼形(10)。
【請求項2】
前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)への前記入口(54)における前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)と前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)との間の前記空間の直径(50)は、前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)および前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)の前記根元端(34)の近くの直径(50)の2倍であることを特徴とする、請求項1に記載の翼形(10)。
【請求項3】
最大直径(50)の長さから下流への一貫した長さの直径(50)への移行が、前記最大直径の長さからおおよそ15度未満の角度で行われていることを特徴とする、請求項1または2に記載の翼形(10)。
【請求項4】
前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)の前記根元端(34)に冷却流体(Cf)入口をさらに備えていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の翼形(10)。
【請求項5】
前記第1の径方向冷却剤空洞(44、46)は前記第1の前方向空洞(44a)であり、前記第2の径方向冷却剤空洞(44、46)は前記第2の前方向空洞(44b)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の翼形(10)。
【請求項6】
タービンエンジンのための動翼(10)内における前方向空洞(44)における圧力損失を低減するための方法であって、
翼形(10)内に形成される少なくとも2つの複数パス蛇行流冷却回路(40)の前方向前縁回路(22)の径方向内向きに流れる空洞の入口(54)における空洞幅(48)を縮小させるステップと、
前記径方向内向きに流れる空洞への前記入口(54)の位置において、前記径方向内向きに流れる空洞と径方向外向きに流れる空洞との間の空間の直径(50)を最大直径(50)の長さへと増加させるステップと
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記径方向内向きに流れる空洞への前記入口(54)において、前記径方向外向きに流れる空洞と前記径方向内向きに流れる空洞との間の前記空間の前記直径(50)は、前記径方向外向きに流れる空洞および前記径方向内向きに流れる空洞の根元端(34)の近くの直径(50)の2倍であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最大直径(50)の長さから下流への一貫した長さの直径(50)への移行が、前記最大直径の長さからおおよそ15度未満の角度で行われていることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記動翼(10)は、前記径方向外向きに流れる空洞の根元端(34)において冷却流体(Cf)入口をさらに備えていることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】