特表2020-531737(P2020-531737A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-531737(P2020-531737A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】周縁シール構成
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20201009BHJP
【FI】
   F01D9/02 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-511374(P2020-511374)
(86)(22)【出願日】2018年8月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月20日
(86)【国際出願番号】US2018046026
(87)【国際公開番号】WO2019040291
(87)【国際公開日】20190228
(31)【優先権主張番号】62/548,649
(32)【優先日】2017年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エー・カミッリエリ
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA08
3G202JJ08
3G202JJ16
(57)【要約】
タービン段のためのシール構成は、径方向内側静翼プラットフォーム(12)と、径方向外側静翼プラットフォーム(30)と、翼型(28)と、を含む静翼組立体を含む。シール構成は、径方向内側静翼プラットフォーム(12)の径方向内側表面(26)から径方向内向きに延びる前方周縁シール脚部(24)および後方周縁シール脚部(66)を含む周縁シール特徴部(14)をさらに含む。衝突板(16)は、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面(26)を覆い、後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びる。周縁シール封じ込め構造(20)は、衝突板(16)の径方向内側に位置させられ、径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後方部分(58)にわたって後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に延びる。冷却空洞(25)は、周縁シール封じ込め構造(20)と衝突板(16)との間に定められる。冷却空洞は、径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後方部分(58)に冷却を提供するために、後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンのためのシール構成であって、
静翼を備える非回転可能静翼組立体を備え、
前記静翼は、
径方向外側を向いた表面(56)、径方向内側を向いた表面(26)、前方部分(60)、および後方部分(58)を有する径方向内側静翼プラットフォーム(12)と、
径方向外側静翼プラットフォーム(30)と、
圧力側表面(44)および反対の吸込み側表面(46)を備える翼型(28)であって、前記圧力側表面(44)および前記吸込み側表面(46)は、前記翼型(28)の前縁(48)から後縁(50)へと軸方向に、および内径基部(52)から外径先端部(54)へと径方向に概して延び、前記翼型(28)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)と前記径方向外側静翼プラットフォーム(30)との間に位置決めされ、且つ前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)および前記径方向外側静翼プラットフォーム(30)に結合される、翼型(28)と、
周縁シール機構部(14)であって、
圧力側タブ(62)および吸込み側タブ(64)を備える前方周縁シール脚部(24)であって、各タブ(62、64)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の周辺縁に位置決めされ、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる、前方周縁シール脚部(24)、ならびに
前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の長さに沿って、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の圧力側から吸込み側へと周方向に延びる後方周縁シール脚部(66)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後方端において、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる後方周縁シール脚部(66) 、
を備える周縁シール機構部(14)と、
前記径方向内側静翼プラットフォームの前記径方向内側を向いた表面(26)を覆い、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びる衝突板(16)と、
前記衝突板(16)の径方向内側に位置させられる周縁シール封じ込め構造(20)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)にわたって、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に延びるキャップ部分(18)を備える周縁シール封じ込め構造(20)と、
を備え、
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)から径方向内向きに延び、軸方向において前記キャップ部分(18)の前方縁(72)と後方縁(74)との間に位置決めされる脚部分(68)をさらに備え、前記脚部分(68)は、前記圧力側タブ(62)と前記吸込み側タブ(64)との間で周方向に延び、これにより前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)と、前記圧力側タブ(62)と、前記吸込み側タブ(64)と、が組み合わさって、前記前方周縁シール脚部(24)を形成しており、
前記前方周縁シール脚部(24)と、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)と、前記後方周縁シール脚部(66)と、は周縁空洞(22)を定め、
冷却空洞(25)が、前記周縁シール封じ込め構造(20)と前記衝突板(16)との間に定められ、前記冷却空洞は前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びて、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)に冷却を提供する、シール構成。
【請求項2】
前記脚部分(68)は、前記キャップ部分(18)とは別に形成され、溶接またはロウ付けによって前記キャップ部分(18)に結合される、請求項1に記載のシール構成。
【請求項3】
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)を定める第1の径方向レベルに位置させられる第1の部分(90)と、前記第1の部分(90)から径方向内向きに曲げられ且つ第2の径方向レベルへと延びて、前記脚部分(68)を定めた第2の部分(92)と、を備えるモノリシックな薄板から形成される、請求項1に記載のシール構成。
【請求項4】
前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)の径方向の延在は、前記圧力側タブ(62)および前記吸込み側タブ(64)の径方向の延在に対応する、請求項2または3に記載のシール構成。
【請求項5】
前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記キャップ部分(18)の前記前方縁(72)および前記後方縁(74)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)に形成された第1および第2の周方向延在スロット(82、84)内にそれぞれ受け入れられ、前記スロット(82、84)は、前記周縁シール封じ込め構造(20)の径方向位置を固定するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項6】
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)に溶接またはロウ付けされる、請求項1から5のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項7】
前記冷却空洞(25)は、前記翼型(28)の内部空洞と連通して前記翼型(28)から冷却流体を受け入れ、それによって、前記冷却空洞(25)からの前記冷却流体は、前記衝突板(16)を介して前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後側に衝突する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項8】
ガスタービンエンジンのタービン段であって、
軸(A)の周りに定められる静翼組立体(10)であって、
径方向外側を向いた表面(56)、径方向内側を向いた表面(26)、前方部分(60)、および後方部分(58)を有する径方向内側静翼プラットフォーム(12)と、
径方向外側静翼プラットフォーム(30)と、
前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)と前記径方向外側静翼プラットフォーム(30)との間に延びる翼型(28)と、
周縁シール機構部(14)であって、
圧力側タブ(62)および吸込み側タブ(64)を備える前方周縁シール脚部(24)であって、各タブ(62、64)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の周辺縁に位置決めされ、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる、前方周縁シール脚部(24)、ならびに
前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の長さに沿って、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の圧力側から吸込み側へと周方向に延びる後方周縁シール脚部(66)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後方端において、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる後方周縁シール脚部(66) 、
を備える周縁シール機構部(14)と、
前記径方向内側静翼プラットフォームの前記径方向内側を向いた表面(26)を覆い、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びる衝突板(16)と、
前記衝突板(16)の径方向内側に位置させられる周縁シール封じ込め構造(20)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)にわたって、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に延びるキャップ部分(18)を備える周縁シール封じ込め構造(20)と、
を備え、
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)から径方向内向きに延び、軸方向において前記キャップ部分(18)の前方縁(72)と後方縁(74)との間に位置決めされる脚部分(68)をさらに備え、前記脚部分(68)は、前記圧力側タブ(62)と前記吸込み側タブ(64)との間で周方向に延び、前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)と、前記圧力側タブ(62)と、前記吸込み側タブ(64)とが組み合わさって前記前方周縁シール脚部(24)を形成しており、
前記前方周縁シール脚部(24)と、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)と、前記後方周縁シール脚部(66)とは周縁空洞(22)を定め、
冷却空洞(25)が、前記周縁シール封じ込め構造(20)と前記衝突板(16)との間に定められ、前記冷却空洞は前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びて、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)に冷却を提供する、
静翼組立体(10)と、
前記静翼組立体の軸方向下流に配置される動翼組立体(38)であって、上流方向に突出し、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)から径方向内側に離間された遠位端を有するエンゼルウイング延在部(42)を備える動翼プラットフォーム(40)を備える動翼組立体(38)と、
を備える、タービン段。
【請求項9】
前記脚部分(68)は、前記キャップ部分(18)とは別に形成され、溶接またはロウ付けによって前記キャップ部分(18)に結合される、請求項8に記載のタービン段。
【請求項10】
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)を定める第1の径方向レベルに位置させられる第1の部分(90)と、前記第1の部分(90)から径方向内向きに曲げられ且つ第2の径方向レベルへと延びて、前記脚部分(68)を定めた第2の部分(92)と、を備えるモノリシックな薄板から形成される、請求項8に記載のタービン段。
【請求項11】
前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)の径方向の延在は、前記圧力側タブ(62)および前記吸込み側タブ(64)の径方向の延在に対応する、請求項9または10に記載のタービン段。
【請求項12】
前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記キャップ部分(18)の前記前方縁(72)および前記後方縁(74)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)に形成された第1および第2の周方向延在スロット(82、84)内にそれぞれ受け入れられ、前記スロット(82、84)は、前記周縁シール封じ込め構造(20)の径方向位置を固定するように構成される、請求項8から11のいずれか一項に記載のタービン段。
【請求項13】
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)に溶接またはロウ付けされる、請求項8から12のいずれか一項に記載のタービン段。
【請求項14】
前記冷却空洞(25)は、前記翼型(28)の内部空洞と連通して前記翼型(28)から冷却流体を受け入れ、それによって、前記冷却空洞(25)からの前記冷却流体は、前記衝突板(16)を介して前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後側に衝突する、請求項8から13のいずれか一項に記載のタービン段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年8月22日に出願された米国仮出願第62/548,649号の優先権を主張し、この米国仮出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジンにおけるタービン動翼のための周縁シール構成に関する。
【背景技術】
【0003】
産業用ガスタービンエンジンでは、高温圧縮ガスが生成される。燃焼システムは、空気を圧縮機から受け入れ、燃料と混合して混合物を燃焼させることで空気を高エネルギーレベルまで高め、その後に燃焼器の生成物がタービンを通じて膨張させられる。高温のガス流が、電力生成のための発電機を駆動するために使用される機械的仕事を生成するために、タービンを通じて流されて膨張する。タービンは、高温ガス流からのエネルギーを、エンジンの回転子シャフトを駆動する機械的エネルギーへと変換するために、固定子の静翼および回転子の動翼の複数の段を概して含む。タービン入口温度は、タービン部品の材料特性および冷却能力に制限される。これは、上流の段のタービンの動翼および静翼にとって、それらの翼型がシステムにおいて最も高温のガス流に曝されるため、特に重要である。
【0004】
タービン区域と圧縮機区域との両方が、高温作動ガスを圧縮および膨張させるための、例えば動翼などの回転可能な構成部品と協働する、例えば静翼などの静止または非回転の構成部品を有する。機械内の多くの構成部品は、構成部品が過熱するのを防止するために、冷却流体によって冷却されなければならない。
【0005】
タービン区域は、タービン静翼およびタービン動翼の交互の列を典型的に含む。静翼および動翼は、組み立てられるときに静翼環体および動翼環体を形成するそれぞれのプラットフォームから各々突出する。静翼環体および動翼環体は、概して互いと相対する周縁を各々有し、それらの間で少なくとも部分的に冷却空洞を定める。
【0006】
現代のエンジンで実施される高圧力比および高いエンジン点火温度を考慮して、例えば、タービン区域内の静止した静翼および回転する動翼といった、翼型などの特定の構成部品は、構成部品の過熱を防止するために、圧縮機区域における圧縮機から排出される空気などの冷却流体で冷却されなければならない。動翼環体と静翼環体との間で部分的に位置させられる空洞を通る冷却空気の流れは、隣接する構成部品を冷却できる。
【0007】
冷却流体を含む機械内における、高温ガス経路から円板状空洞への高温作動ガスの摂取は、例えばより高い円板温度および動翼根元温度を生み出すことで、エンジンの性能および効率を低下させる。周縁シールを通じてなど、高温ガス経路から円板状空洞への作動ガスの摂取は、耐用期間を短縮させる可能性もある、および/または、円板状空洞およびその周辺の構成部品の失陥をもたらす可能性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、タービンエンジンのためのシール構成が提供される。シール構成は、静翼を備える非回転可能静翼組立体を備える。静翼は、径方向内側静翼プラットフォームと径方向外側静翼プラットフォームとを備える。径方向内側静翼プラットフォームは、径方向外側を向いた表面と、径方向内側を向いた表面と、前方部分と、後方部分と、を有する。静翼は、圧力側表面および反対の吸込み側表面を含む翼型をさらに備える。圧力側表面および吸込み側表面は、翼型の前縁から後縁へと軸方向に、および内径基部から外径先端部へと径方向に概して延びる。翼型は、径方向内側静翼プラットフォームと径方向外側静翼プラットフォームとの間で位置決めされ、径方向内側静翼プラットフォームおよび径方向外側静翼プラットフォームに結合される。シール構成は周縁シール機構部をさらに備える。周縁シール機構部は、圧力側タブと吸込み側タブとを備える前方周縁シール脚部を備える。各タブは、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面の周辺縁に位置決めされ、静翼の翼型から径方向内向きに延びる。周縁シール機構部は、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向く表面の長さに沿って、径方向内側静翼プラットフォームの圧力側から吸込み側へと周方向に延びる後方周縁シール脚部も備える。後方周縁シール脚部は、径方向内側静翼プラットフォームの後方端において静翼の翼型から径方向内向きに延びる。衝突板は、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面を覆い、後方周縁シール脚部まで軸方向に後方に延びる。周縁シール封じ込め構造は、衝突板の径方向内側に位置させられる。周縁シール封じ込め構造は、径方向内側静翼プラットフォームの後方部分にわたって後方周縁シール脚部まで軸方向に延びるキャップ部分を備える。周縁シール封じ込め構造は、キャップ部分から径方向内向きに延び、軸方向においてキャップ部分の前方縁と後方縁との間に位置決めされる脚部分をさらに備える。脚部分は、環状シール封じ込め構造の脚部分と、圧力側タブと、吸込み側タブと、が組み合わさって前方周縁シール脚部を形成するように、圧力側タブと吸込み側タブとの間で周方向に延びる。前方周縁シール脚部と、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面と、後方周縁シール脚部と、は周縁空洞を定める。冷却空洞が、周縁シール封じ込め構造と衝突板との間に定められ、冷却空洞は、径方向内側静翼プラットフォームの後方部分58に冷却を提供するために、後方周縁シール脚部までに後方に延びる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、ガスタービンエンジンのためのタービン段が提供される。タービン段は、軸の周りに定められる静翼組立体を備える。静翼組立体は、径方向内側静翼プラットフォームと径方向外側静翼プラットフォームとを備える。径方向内側静翼プラットフォームは、径方向外側を向いた表面と、径方向内側を向いた表面と、前方部分と、後方部分と、を有する。翼型が、径方向内側静翼プラットフォームと径方向外側静翼プラットフォームとの間で延びる。タービン段は、周縁シール機構部をさらに備える。周縁シール機構部は、圧力側タブと吸込み側タブとを備える前方周縁シール脚部を備える。各タブは、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面の周辺縁に位置決めされ、静翼の翼型から径方向内向きに延びる。周縁シール機構部は、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向く表面の長さに沿って、径方向内側静翼プラットフォームの圧力側から吸込み側へと周方向に延びる後方周縁シール脚部も備える。後方周縁シール脚部は、径方向内側静翼プラットフォームの後方端において静翼の翼型から径方向内向きに延びる。衝突板は、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面を覆い、後方周縁シール脚部まで軸方向に後方に延びる。周縁シール封じ込め構造は、衝突板の径方向内側に位置させられる。周縁シール封じ込め構造は、径方向内側静翼プラットフォームの後方部分にわたって後方周縁シール脚部まで軸方向に延びるキャップ部分を備える。周縁シール封じ込め構造は、キャップ部分から径方向内向きに延び、軸方向においてキャップ部分の前方縁と後方縁との間に位置決めされる脚部分をさらに備える。脚部分は、環状シール封じ込め構造の脚部分と、圧力側タブと、吸込み側タブと、が組み合わさって前方周縁シール脚部を形成するように、圧力側タブと吸込み側タブとの間で周方向に延びる。前方周縁シール脚部と、径方向内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面と、後方周縁シール脚部と、は周縁空洞を定める。冷却空洞が、周縁シール封じ込め構造と衝突板との間に定められ、冷却空洞は、径方向内側静翼プラットフォームの後方部分58に冷却を提供するために、後方周縁シール脚部まで軸方向に後方に延びる。タービン段は、静翼組立体の軸方向下流に配置される動翼組立体をさらに備える。動翼組立体は、上流方向に突出し、径方向内側静翼プラットフォームの後方部分から径方向内側に離間される遠位端を有するエンゼルウイング延在部を備える動翼プラットフォームを備える。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲を参照して、より良く理解されるであろう。
【0011】
本発明は、図の助けによって、より詳細に示されている。図は、好ましい構成を示しており、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体を含むタービンエンジンの一部分の側面図である。
図2図1の一部分の詳細図である。
図3】静翼/動翼における所定位置においての、本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の径方向外向きの方向における斜視図である。
図4】本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の側面図である。
図5】静翼/動翼における所定位置においての、本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の径方向外向きの方向における斜視図である。
図6】静翼/動翼における所定位置においての、本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の径方向外向きの方向における斜視図である。
図7】静翼/動翼における所定位置においての、本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の径方向外向きの方向における詳細な斜視図である。
図8】本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の、接線方向において見たときの断面側面図である。
図9】本発明の例示の実施形態の周縁シール組立体の追加の前の、静翼の鋳造および機械加工の形状の斜視図である。
図10】本発明の例示の実施形態の周縁シール封じ込め構造の斜視図である。
図11】本発明の例示の実施形態の衝突板の斜視図である。
図12】本発明の第2の変形による周縁シール組立体の、接線方向において見たときの断面側面図である。
図13図12に示された周縁シール組立体の斜視図である。
図14図12に示された周縁シール組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、その説明の一部を形成する添付の図面が参照され、その図面では、本発明が実施され得る特定の実施形態が、限定を用いることなく例示を用いて示されている。他の実施形態が利用され得ることと、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更が行われ得ることとが、理解されるべきである。
【0014】
大まかには、本発明の実施形態は、径方向内側静翼プラットフォームと、径方向外側静翼プラットフォームと、翼型と、を含む静翼組立体を含む、タービンエンジンのための周縁シール構成を提供する。径方向内側静翼プラットフォームは、圧力側タブおよび吸込み側タブを含む前方周縁シール脚部と、内側静翼プラットフォームの径方向内側を向いた表面の後縁端を覆う後方周縁シール脚部と、を有する周縁シール機構部を、径方向内側を向いた表面に沿って含む。衝突板が径方向内側静翼プラットフォームの後方部分を覆い、周縁シール封じ込め構造が衝突板と前方周縁シール脚部との間の領域を径方向内側で覆い、径方向内側静翼プラットフォームの後方部分を覆う。
【0015】
ガスタービンエンジンは、圧縮機区域と、燃焼器と、タービン区域と、を備え得る。圧縮機区域は周囲空気を圧縮する。燃焼器は、圧縮された空気を燃料と混合し、混合物を燃焼し、作動流体を形成する高温ガスを含む燃焼生成物を作り出す。作動流体はタービン区域へと進む。タービン区域内には、静翼と動翼との周方向の列があり、動翼は回転子に結合されている。静翼と動翼との列の各々の対は、タービン区域内の段を形成する。タービン区域は、静翼、動翼、および回転子を収容する固定されたタービンケーシングを備える。ガスタービンの動翼は、シャフト回転の機械的な仕事を生成するために、燃焼システムから高温ガスを受け入れる。
【0016】
静翼および動翼は、特にタービンエンジンのより早い段において、高温を被る。静翼および動翼は、組み立てられたときに静翼環体および動翼環体を形成するそれぞれのプラットフォームから各々突出する。静翼環体および動翼環体は、概して互いと相対する周縁を各々有し、それらの間で少なくとも部分的に冷却空洞を定める。静翼は、回転子の動翼の2つの段の間に形成される周縁空洞へと延びる。
【0017】
本開示では、「径方向」という用語およびその派生語と、「軸方向」という用語およびその派生語とは、図1に描写されているように、回転軸またはエンジン軸Aに関して定められる。「前方」(または「上流」)という用語と、「後方」(または「下流」)という用語とは、概して軸方向における作動高温ガス流体の流れ方向に関して定められる。
【0018】
図1および図2は、ガスタービンエンジンのタービン段内の、既知の種類のタービン静翼10を示している。静翼10の組立体は、径方向内側静翼プラットフォーム12と径方向外側静翼プラットフォーム30とを備える。翼型28が、径方向内側静翼プラットフォーム12と径方向外側静翼プラットフォーム30との間で、径方向において翼長方向に延びており、翼型28の両端においてプラットフォーム12、30に結合されている。翼型28は、圧力側表面44(前)と、反対の吸込み側表面46(後)と、を備える。圧力側表面44および吸込み側表面46は、静翼翼型28の前縁48から後縁50へと軸方向に、内径(ID)部または基部52から外径(OD)部または先端部54へと径方向に概して延びている。
【0019】
径方向内側静翼プラットフォームまたはID静翼プラットフォーム12は、静翼翼型28のID基部52に連結し、作動高温ガス流経路32の内径境界を定める径方向外側を向いた表面56を備える。ID静翼プラットフォーム12は、径方向内側を向いた表面26をさらに含む。ID静翼プラットフォーム12は前方部分60と後方部分58とを備え、後方部分58は、静翼翼型28の基部52の下流へと部分的に延びる。ID静翼プラットフォーム12の後方部分58は後にさらに詳述されている。
【0020】
静翼10の軸方向下流または後方に位置決めされた回転可能な動翼38が示されている。動翼38は動翼プラットフォーム40を含む。動翼プラットフォーム40は、上流方向または前方方向において突出する遠位端を有するエンゼルウイング延在部42を含む。動翼38の動翼プラットフォーム40のエンゼルウイング延在部42の一部分は、エンゼルウイング延在部42の上流の遠位端が、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58から径方向内側に位置決めされるように、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58と重なることができる。
【0021】
周縁空洞22が、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58において、ID静翼プラットフォーム12から径方向内側に形成されている。隣接する動翼プラットフォーム40からのエンゼルウイング延在部42は、周縁空洞22の径方向内側に位置決めされている。ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26は、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58において周縁シール特徴部14を含む。周縁シール特徴部14は、周縁空洞22を封止するために、漏れを低減するために、およびエンジン性能を向上させるために、動翼プラットフォーム40のエンゼルウイング延在部42と相互作用する。
【0022】
先に記載された周縁シール機構部14は、冷却剤の供給がないID静翼プラットフォーム12の後方端において空間を取るため、冷却の困難をもたらす。静翼翼型28の後縁50の温度は、後縁50の上流で行われる冷却のため、前縁48より概して高くなる。これは、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58を冷却する課題を提起する。ID静翼プラットフォーム12の後方部分58は、例えば翼型28の後方冷却通路(図示略)から、冷却剤が供給され得る冷却空洞25を備え得る。図2に示されているように、従来から、封じ込めキャップ18が、冷却空洞25を覆うために、ID静翼プラットフォーム12に溶接またはロウ付けされ得る。そのため、冷却空洞25において受け入れられた冷却剤は、ID静翼プラットフォーム12の後側に衝突するように許容され、ID静翼プラットフォーム12に溶接またはロウ付けされ得る多孔性の衝突板16を介して径方向外向きに流れる。しかしながら、周縁シール特徴部14が所定位置にある場合、周縁シール特徴部14自体にわたって冷却通路はない。冷却孔は、冷却空洞からプラットフォームへと、ID静翼プラットフォーム12の後方端に穿孔され得る。しかしながら、これらの冷却孔は、タービンエンジンの効率を低下させる可能性がある。本発明の実施形態は、改良された周縁シール機構部14が所定位置にあるID静翼プラットフォーム12の後方部分58に冷却を提供する。従来の周縁シール機構部14は、圧力側44から吸込み側46への長さで延びる、静翼10へと完全に鋳造された前方周縁シール脚部24および後方周縁シール脚部66を備える。
【0023】
図1および図2に示された構成では、封じ込めキャップ18は、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26を、前方周縁シール脚部24へと後方へ覆っている。前方周縁シール脚部24の後方の部分は、封じ込めキャップ18または衝突板16によって覆われていない。この問題を是正するために、実施形態は、封じ込めキャップ18と周縁シールとがここでは一体にされていることを示している。
【0024】
本発明の例示の実施形態が、図3図14を参照して示されている。図示しているように、改良された周縁シール特徴部14が、圧力側タブ62と吸込み側タブ64とを備える前方周縁シール脚部24を備える(例えば、図5および図9参照)。ここで言及されている「タブ」という用語は、取り付けられた基部の全長(周方向において測定される)を網羅しない構成部品である。タブ62、64は、例えば鋳造によって、ID静翼プラットフォーム12と一体に形成され得る。タブ62、64は同じ軸方向の場所に位置決めされており、各タブ62、64は、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26の周辺縁に位置決めされている。各タブ62、64は、静翼の翼型28から径方向内向きに延びている。さらに、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26の長さに(周方向に)沿って、プラットフォーム12の圧力側から吸込み側へと延びる後方周縁シール脚部66が設けられている。後方周縁シール脚部66は、ID静翼プラットフォーム12の後方端において静翼の翼型28から径方向内向きに延びている。衝突板16は、ID静翼プラットフォームの径方向内側を向く表面26を覆い、後方周縁シール脚部66まで軸方向に後方に延びている。
【0025】
本発明の態様によれば、周縁シール封じ込め構造20が衝突板16の径方向内側に位置させられている。周縁シール封じ込め構造20はキャップ部分18と脚部分68とを備える。キャップ部分18は、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58にわたって後方周縁シール脚部66まで軸方向に延びている。脚部分68は、キャップ部分18から径方向内向きに延び、軸方向においてキャップ部分18の前方縁72と後方縁74との間に位置決めされている。脚部分68は、圧力側タブ62と吸込み側タブ64との間で周方向に延びている。それによって、周縁シール封じ込め構造20の脚部分68と、圧力側タブ62と、吸込み側タブ64と、は組み合わさって前方周縁シール脚部24を形成している。前方周縁シール脚部24と、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向く表面26と、後方周縁シール脚部66と、は「周縁空洞」と称され得るおおよそU字形の空洞22を定めている。冷却空洞25が周縁シール封じ込め構造20と衝突板16との間に定められる。冷却空洞25は、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58に冷却を提供するために、後方周縁シール脚部66まで軸方向に後方に延びている。
【0026】
図3図11に示された変形の第1のセットでは、周縁シール封じ込め構造20のキャップ部分18は、大まかには、ID静翼プラットフォーム12の圧力側から吸込み側へと延びるID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26の側方の外部形状におおよそ合致するように成形されており、衝突板16から径方向内側の空間にわたって覆う。周縁シール封じ込め構造20は、溶接またはロウ付けによってID静翼プラットフォーム12に取り付けられ得る。溶接/ロウ付けの結合部は、漏れを防止するために、タブ62、64と境界面を含めて、周縁シール封じ込め構造20の周りすべてに典型的には設けられる。冷却空洞25が衝突板16と周縁シール封じ込め構造20との間に形成される。
【0027】
一実施形態では、図3図5に示されているように、周縁シール封じ込め構造20は、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26の後方部分58を覆うために、後方周縁シール脚部66から前方に延びるキャップ部分18を備える。キャップ部分18は、一定の径方向レベルにおいて、平坦な表面を含み得る。脚部分68は、キャップ部分18から径方向内向きに延びており、前方周縁シール脚部24の圧力側タブ62と吸込み側タブ64との間で周方向にさらに延びている。脚部分68は、この場合、例えば溶接またはロウ付けによって、キャップ部分18に結合されてもよい。図5は、周縁シール封じ込め構造20の組み立て取り付けの前の径方向内側を向いた表面26を示している。図3および図4は、キャップ部分18と脚部分68とが組み立てられている状態での周縁シール封じ込め構造20を示している。脚部分68の径方向の延在はタブ62、64の径方向の延在に対応できる。
【0028】
別の実施形態では、図6図10に示されているように、周縁シール封じ込め構造20は、モノリシックな薄板から一体品で形成される。薄板はキャップ部分18として構成され、第1の径方向レベルに位置させられる第1の部分90を備える。薄板は、第1の部分90から径方向内向きに曲げられた第2の部分92をさらに備える。第2の部分92は脚部分を定める。第2の部分92は、軸方向においてキャップ部分18の前方縁72と後方縁74との間に位置させられ、軸方向において圧力側タブ62および吸込み側タブ64と共通の位置とさせられ得る。脚部分68の径方向の延在はタブ62、64の径方向の延在に対応し得る。図6図8は、ID静翼プラットフォーム12に組み付けられた周縁シール封じ込め構造20を示しており、図9は、衝突板16および周縁シール封じ込め構造20の組み立ての前のID静翼プラットフォーム12の径方向内側の表面を示しており、図10は、組み立ての前の周縁シール封じ込め構造20だけを示している。図11に示されているような衝突板16は、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向く表面26の後方部分58に沿って空間内に配置され得る。
【0029】
第2の変形では、図12図14に示されているように、周縁シール封じ込め構造20のキャップ部分18の前方縁72および後方縁74は、径方向内側静翼プラットフォーム12に形成された周方向に延びる第1および第2のスロット82、84にそれぞれ受け入れられる。スロット82、84は、ID静翼プラットフォーム12の圧力側から吸込み側へとずっと延びることができる。スロット82、84は、動作の間に周縁シール封じ込め構造20の径方向位置を固定するように構成されている。図示された例では、周縁シール封じ込め構造20は、図8および図10に示された先に記載した実施形態と同様に、キャップ部分18を定める第1の部分と、脚部分68を定めるために第1の部分から径方向内向きに曲げられた第2の部分と、を有する金属の単一の薄板から形成されている。代替の実施形態(図示略)では、キャップ部分18と脚部分68とは、図3および図4において示した先に記載した実施形態と同様に、別々に形成されてから結合されてもよい。
【0030】
周縁シール封じ込め構造20は、溶接またはロウ付けによってID静翼プラットフォーム12に取り付けられ得る。溶接またはロウ付けの結合部は、漏れを防止するために、タブ62、64と境界面を含めて、周縁シール封じ込め構造20の周りすべてに典型的には設けられる。周縁シール封じ込め構造20をスロット82、84内に組み付けることで、溶接またはロウ付けの結合部は圧縮していて引っ張られておらず、これは溶接/ロウ付けの失陥の危険性を低減することを確実にする。さらに、周縁シール封じ込め構造20をスロット82、84内に拘束することで、溶接/ロウ付けの取り付けの失陥の場合に、静翼からの周縁シール封じ込め構造20の完全な分離を防止する。周縁シール封じ込め構造20は、周縁シール封じ込め構造20をID静翼プラットフォーム12の圧力側から吸込み側へと、またはその逆へと、接線方向で滑らせることで、静翼に組み付けられてもよい。スロット82、84と周縁シール封じ込め構造20とは、容易な組み立てを確保するために同じ半径に切断され得る。
【0031】
先に記載した実施形態のすべてにおいて、周縁シール封じ込め構造20は、ID静翼プラットフォーム12の径方向内側を向いた表面26の大きな領域に封止する能力を提供し、ID静翼プラットフォーム12の後方部分58の全体の領域でないとしても、大部分の領域を覆う。周縁シール封じ込め構造20と衝突板16との間に定められる冷却空洞25は、冷却流体を翼型28から受け入れるために翼型28の内部空洞または冷却通路と連通していてもよい。冷却空洞25からの冷却流体は、ID静翼プラットフォーム12の効果的な冷却を提供するために、衝突板16を介してID静翼プラットフォーム12の後側に衝突できる。
【0032】
周縁シール機構部14は、カバーを持ち上げることなく静翼および動翼の軸方向の分解を可能にもする。先に記載した実施形態は、周縁シール特徴部14の上方においてID静翼プラットフォーム12へのより効果的な後側の冷却のための方法を提示している。これは、局所的な高温側の温度を低減し、部品の耐用期間を増加させ、冷却空気の消費を低減し、性能を向上させる。封じ込めキャップ18を周縁シール特徴部14と一体にすることで、周縁シール特徴部14の性能を維持する一方で、より良好な冷却がID静翼プラットフォーム12の後方部分58へともたらされる。
【0033】
タービンエンジンのためのシール構成が、複数の静翼10と、ロータ円板74の周りの隣接する動翼組立体と、を含んでもよい。周縁シール機構部14と組み合わされた周縁シール封じ込め構造20は、冷却されたID静翼プラットフォーム12の後方部分58のさらなる冷却を可能にする。この特定の領域を冷却するために、より少ない追加の孔が必要であってもよく、効率の向上を可能にするために、より少ない冷却剤を用いることが必要であってもよい。
【0034】
特定の実施形態が詳細に記載されているが、当業者は、それらの詳細への様々な変更および代替が本開示の全体の教示に鑑みて発展され得ることを理解するであろう。したがって、開示されている特定の構成は、単に例示であって、本発明の範囲に関して限定しないように意味されており、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の全体の広さと、その任意およびすべての等価とによって与えられるものである。
【符号の説明】
【0035】
10 タービン静翼、静翼
12 径方向内側静翼プラットフォーム、ID静翼プラットフォーム
14 周縁シール特徴部
16 衝突板
18 封じ込めキャップ、キャップ部分
20 周縁シール封じ込め構造
22 周縁空洞
24 前方周縁シール脚部
25 冷却空洞
26 径方向内側を向く表面
28 静翼翼型、翼型
30 径方向外側静翼プラットフォーム
32 作動高温ガス流経路
38 動翼
40 動翼プラットフォーム
42 エンゼルウイング延在部
44 圧力側表面、圧力側
46 吸込み側表面、吸込み側
48 前縁
50 後縁
52 内径基部
54 外径先端部
56 径方向外側を向く表面
58 後方部分
60 前方部分
62 圧力側タブ
64 吸込み側タブ
66 後方周縁シール脚部
68 脚部分
72 前方縁
74 後方縁
82、84 スロット
90 第1の部分
92 第2の部分
A 回転軸、エンジン軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2020年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンのためのシール構成であって、
静翼を備える非回転可能静翼組立体を備え、
前記静翼は、
径方向外側を向いた表面(56)、径方向内側を向いた表面(26)、前方部分(60)、および後方部分(58)を有する径方向内側静翼プラットフォーム(12)と、
径方向外側静翼プラットフォーム(30)と、
圧力側表面(44)および反対の吸込み側表面(46)を備える翼型(28)であって、前記圧力側表面(44)および前記吸込み側表面(46)は、前記翼型(28)の前縁(48)から後縁(50)へと軸方向に、および内径基部(52)から外径先端部(54)へと径方向に概して延び、前記翼型(28)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)と前記径方向外側静翼プラットフォーム(30)との間に位置決めされ、且つ前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)および前記径方向外側静翼プラットフォーム(30)に結合される、翼型(28)と、
周縁シール機構部(14)であって、
圧力側タブ(62)および吸込み側タブ(64)を備える前方周縁シール脚部(24)であって、各タブ(62、64)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の周辺縁に位置決めされ、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる、前方周縁シール脚部(24)、ならびに
前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の長さに沿って、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の圧力側から吸込み側へと周方向に延びる後方周縁シール脚部(66)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後方端において、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる後方周縁シール脚部(66) 、
を備える周縁シール機構部(14)と、
前記径方向内側静翼プラットフォームの前記径方向内側を向いた表面(26)を覆い、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びる衝突板(16)と、
前記衝突板(16)の径方向内側に位置させられる周縁シール封じ込め構造(20)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)にわたって、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に延びるキャップ部分(18)を備える周縁シール封じ込め構造(20)と、
を備え、
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)から径方向内向きに延び、軸方向において前記キャップ部分(18)の前方縁(72)と後方縁(74)との間に位置決めされる脚部分(68)をさらに備え、前記脚部分(68)は、前記圧力側タブ(62)と前記吸込み側タブ(64)との間で周方向に延び、これにより前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)と、前記圧力側タブ(62)と、前記吸込み側タブ(64)と、が組み合わさって、前記前方周縁シール脚部(24)を形成しており、
前記前方周縁シール脚部(24)と、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)と、前記後方周縁シール脚部(66)と、は周縁空洞(22)を定め、
冷却空洞(25)が、前記周縁シール封じ込め構造(20)と前記衝突板(16)との間に定められ、前記冷却空洞は前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びて、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)に冷却を提供する、シール構成。
【請求項2】
前記脚部分(68)は、前記キャップ部分(18)とは別に形成され、溶接またはロウ付けによって前記キャップ部分(18)に結合される、請求項1に記載のシール構成。
【請求項3】
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)を定める第1の径方向レベルに位置させられる第1の部分(90)と、前記第1の部分(90)から径方向内向きに曲げられ且つ第2の径方向レベルへと延びて、前記脚部分(68)を定めた第2の部分(92)と、を備えるモノリシックな薄板から形成される、請求項1に記載のシール構成。
【請求項4】
前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)の径方向の延在は、前記圧力側タブ(62)および前記吸込み側タブ(64)の径方向の延在に対応する、請求項2または3に記載のシール構成。
【請求項5】
前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記キャップ部分(18)の前記前方縁(72)および前記後方縁(74)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)に形成された第1および第2の周方向延在スロット(82、84)内にそれぞれ受け入れられ、前記スロット(82、84)は、前記周縁シール封じ込め構造(20)の径方向位置を固定するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項6】
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)に溶接またはロウ付けされる、請求項1から5のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項7】
前記冷却空洞(25)は、前記翼型(28)の内部空洞と連通して前記翼型(28)から冷却流体を受け入れ、それによって、前記冷却空洞(25)からの前記冷却流体は、前記衝突板(16)を介して前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後側に衝突する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項8】
ガスタービンエンジンのタービン段であって、
軸(A)の周りに定められる静翼組立体(10)であって、
径方向外側を向いた表面(56)、径方向内側を向いた表面(26)、前方部分(60)、および後方部分(58)を有する径方向内側静翼プラットフォーム(12)と、
径方向外側静翼プラットフォーム(30)と、
前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)と前記径方向外側静翼プラットフォーム(30)との間に延びる翼型(28)と、
周縁シール機構部(14)であって、
圧力側タブ(62)および吸込み側タブ(64)を備える前方周縁シール脚部(24)であって、各タブ(62、64)は、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の周辺縁に位置決めされ、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる、前方周縁シール脚部(24)、ならびに
前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)の長さに沿って、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の圧力側から吸込み側へと周方向に延びる後方周縁シール脚部(66)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の後方端において、前記静翼の前記翼型(28)から径方向内向きに延びる後方周縁シール脚部(66) 、
を備える周縁シール機構部(14)と、
前記径方向内側静翼プラットフォームの前記径方向内側を向いた表面(26)を覆い、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びる衝突板(16)と、
前記衝突板(16)の径方向内側に位置させられる周縁シール封じ込め構造(20)であって、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)にわたって、前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に延びるキャップ部分(18)を備える周縁シール封じ込め構造(20)と、
を備え、
前記周縁シール封じ込め構造(20)は、前記キャップ部分(18)から径方向内向きに延び、軸方向において前記キャップ部分(18)の前方縁(72)と後方縁(74)との間に位置決めされる脚部分(68)をさらに備え、前記脚部分(68)は、前記圧力側タブ(62)と前記吸込み側タブ(64)との間で周方向に延び、前記周縁シール封じ込め構造(20)の前記脚部分(68)と、前記圧力側タブ(62)と、前記吸込み側タブ(64)とが組み合わさって前記前方周縁シール脚部(24)を形成しており、
前記前方周縁シール脚部(24)と、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記径方向内側を向いた表面(26)と、前記後方周縁シール脚部(66)とは周縁空洞(22)を定め、
冷却空洞(25)が、前記周縁シール封じ込め構造(20)と前記衝突板(16)との間に定められ、前記冷却空洞は前記後方周縁シール脚部(66)まで軸方向に後方に延びて、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)に冷却を提供する、
静翼組立体(10)と、
前記静翼組立体の軸方向下流に配置される動翼組立体(38)であって、上流方向に突出し、前記径方向内側静翼プラットフォーム(12)の前記後方部分(58)から径方向内側に離間された遠位端を有するエンゼルウイング延在部(42)を備える動翼プラットフォーム(40)を備える動翼組立体(38)と、
を備える、タービン段。
【国際調査報告】