特表2020-532410(P2020-532410A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-532410下水処理バイオフィルムの最適な保存温度を決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-532410(P2020-532410A)
(43)【公表日】2020年11月12日
(54)【発明の名称】下水処理バイオフィルムの最適な保存温度を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20060101AFI20201016BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20201016BHJP
   C02F 3/12 20060101ALI20201016BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20201016BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20201016BHJP
【FI】
   C02F3/34 101A
   B01D39/16 C
   C02F3/12 B
   C12Q1/02
   G01N33/50 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-564051(P2019-564051)
(86)(22)【出願日】2018年11月8日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月10日
(86)【国際出願番号】CN2018114552
(87)【国際公開番号】WO2020034454
(87)【国際公開日】20200220
(31)【優先権主張番号】201810925421.3
(32)【優先日】2018年8月15日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201811061392.7
(32)【優先日】2018年9月12日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王碩
(72)【発明者】
【氏名】朱引
(72)【発明者】
【氏名】李激
(72)【発明者】
【氏名】王燕
(72)【発明者】
【氏名】鄭凱凱
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4D019
4D028
4D040
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA28
2G045AA40
2G045BA13
2G045BB04
2G045BB05
2G045BB10
2G045BB24
2G045BB31
2G045BB50
2G045BB51
2G045BB60
2G045CB01
2G045CB21
2G045DA30
2G045DA36
2G045FA37
2G045FB03
2G045FB12
2G045GC15
2G045JA01
4B063QA05
4B063QA20
4B063QQ05
4B063QQ18
4B063QR56
4B063QS10
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4B063QS39
4B063QX02
4D019AA03
4D019BA13
4D019BB08
4D019BC01
4D028BB02
4D028BD00
4D040BB02
4D040BB32
4D040BB42
4D040BB52
4D040BB72
4D040BB82
(57)【要約】
本発明は、下水処理バイオフィルムの最適な保存温度を決定する方法を開示し、環境工学の技術分野に属する。本発明により構築された下水処理におけるバイオフィルムの最適な保存温度を決定する方法は、フローサイトメトリーによりバイオフィルムの細胞活性状態を測定することであり、保存前の細胞活動状態に最も近い保存温度を最適な保存温度とする。本発明の方法は、数時間以内に最適な保存温度を決定し、かつ、バイオフィルム活性回復プロセスの特性指標と相関分析を行い、データの信頼性を検証する。本発明の方法を使用することにより、バイオフィルムプロセスの活性を回復するステップを省略することができ、標準に達するまで排出させ、同時に、バイオフィルムプロセスエンジニアリングアプリケーションの起動時間を効果的に短縮することができ、バイオフィルムプロセスの長期安定動作を維持し、高い産業的実現可能性を持つ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水処理バイオフィルムの最適な保管保存温度を決定する方法であって、前記方法は、フローサイトメトリーに基づいて下水処理バイオフィルムの細胞活性状態を測定し、異なる温度で保存されたバイオフィルムと保存前のバイオフィルム細胞の活性状態に対する測定結果を比較し、保存前のバイオフィルム細胞の活性状態に最も近い保存温度を最適な保管保存温度とし、前記バイオフィルムの細胞活性状態の測定は、生細胞、初期アポトーシス細胞、後期アポトーシス細胞、および死細胞の含有量の測定を含む、ことを特徴とする、
下水処理バイオフィルムの最適な保管保存温度を決定する方法。
【請求項2】
前記下水処理バイオフィルムは、好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムを含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フローサイトメトリーにより最適温度を決定するステップは、
(1)下水処理バイオフィルム試験サンプルの調製:バイオフィルムサンプルを緩衝液で希釈し、均一に振って、濾過し、遠心分離し、上澄み液を残し、事前に冷却したリン酸緩衝液で細胞を洗浄し、遠心分離と洗浄を2回繰り返し、続いて、上澄み液を取ってサンプルとし、適切な量の10x Annexin V Binding Bufferと均一に混合して調製するステップと、
(2)フローサイトメトリーに置いて各サンプルの細胞活性状態を測定するステップと、を含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオフィルムが好気性粒状スラッジである場合、5〜15μmの孔径のナイロン膜で濾過する、ことを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオフィルムが硝化脱窒バイオフィルムである場合、6〜8μmの孔径のナイロン膜で濾過する、ことを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオフィルムが好気性粒状スラッジである場合、試験サンプルの調製は、pH7.0〜8.0の緩衝液で好気性粒状スラッジを希釈することにより調製される、ことを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記バイオフィルムが硝化脱窒バイオフィルムである場合、その試験サンプルの調製は、pH6.6〜7.0の緩衝液で硝化脱窒バイオフィルムを希釈することにより調製される、ことを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
緩衝液とバイオフィルムの希釈体積比は、8〜10:1である、ことを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
バイオフィルムエンジニアリングを迅速に開始する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法を使用してバイオフィルムの最適な保存温度を決定し、それは、バイオフィルムを予備培養し、その後、保存マトリックスにおいて最適な保存温度で保存し、活性回復後にエンジニアリングアプリケーションを行うことができる、ことを特徴とする、
バイオフィルムエンジニアリングを迅速に開始する方法。
【請求項10】
前記好気性粒状スラッジの保存マトリックスにおいて、250〜350mg/LのCOD、55〜65mg/LのNH4−N、および6〜10mg/LのPO3−−Pがある、ことを特徴とする、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記好気性粒状スラッジの活性回復は、好気性粒状スラッジをシーケンスバッチ反応器に接種することであり、排水率は45〜60%、反応期間は2.5〜4時間であり、静的流入期間は1〜1.5時間であり、曝気反応時間は1.5〜2.5時間であり、スラッジ沈殿期間は2〜6分間であり、急速排水期間は2〜6分間である、ことを特徴とする、
請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
シーケンスバッチ反応器が、流入部の嫌気性状態と反応部の好気性状態を確保するように、リアルタイム制御システムによって空気と窒素の含有量と割合を制御する、ことを特徴とする、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記硝化脱窒バイオフィルムの保存マトリックスにおいて、180〜220mg/LのCOD、25〜35mg/LのNH−N、18〜25mg/LのNO−N、および6〜10mg/LのPO3−−Pがある、ことを特徴とする、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記硝化脱窒バイオフィルムの活性回復は、硝化脱窒バイオフィルムをバイオリアクターに接種することであり、無酸素−好気性プロセスに基づいて、HRTを10〜15時間に設定し、硝化脱窒バイオフィルムの充填率は40%〜60%であり、硝化液還流率は70%〜85%である、ことを特徴とする、
請求項9または13に記載の方法。
【請求項15】
下水処理方法であって、請求項9に記載の方法を使用する、ことを特徴とする、
下水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理バイオフィルムの最適な保存温度を決定する方法に関し、環境工学の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場の有機汚染物質の含有量が低いことは、常に全窒素の排出を制限するための技術的困難であり、同時に、下水処理と排出基準の改善により、拡張と構築プロジェクトにより多くの土地が占有され、大量の有機炭素源材料とリン除去化学物質が水域に追加されるため、投資の建設と運用コストが大幅に増加し、従来の活性スラッジプロセスは汚染物質排出の要件を満たすことができず、さらに下水処理場の省エネルギー効果に深刻な影響を及ぼす。そのため、土地節約目標と低炭素源に基づく下水脱窒技術が注目を集める。下水処理プロセスにおけるより効果的な下水処理プロセスには、好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムプロセスなどが含まれ、ここで、好気性粒状スラッジプロセスは、優れた沈降性能、低い運用コスト、高いバイオマスと処理効率を持ち、大きな開発の可能性を有し、硝化と脱窒のバイオフィルムプロセスは、硝化と脱窒を同時に達成することができ、下水中のアンモニア態窒素と全窒素の除去にも重要である。
【0003】
しかし、工学の例では、硝化脱窒バイオフィルムの膜形成期間は約30〜40日であり、好気性粒状スラッジの培養期間は70〜120日であり、かつ、培養条件は比較的過酷である。好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムを成熟させて保存できれば、流入する炭素源を低く抑えるのに効果的であり、土地資源が不足している下水処理場は、短期間で動作し始め、汚染物質が標準に達するまで排出させる。温度は、バイオフィルムの活性に影響を与える重要なパラメータであり、好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムなどのバイオフィルムの保存に最適な温度を決定し、その活性回復プロセスの簡素化に役立ち、エンジニアリングアプリケーションの起動時間を短縮し、省エネルギーの効果を達成する。しかしながら、従来の方法では、最適な保存温度の決定について、好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムをバイオリアクターに再接種する必要があり、好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムの活性回復効果を決定するのに約8〜35日かかり、これは時間がかかり、エンジニアリングアプリケーションを制限する鍵になる。
【発明の概要】
【0004】
好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムなどのバイオフィルム活性の回復プロセスを簡素化するために、下水処理場の汚染物質を短期間で基準に達成させて排出し、同時に、土地の節約と省エネルギーの効果が達成する。本発明は、フローサイトメトリーに基づいて、異なる温度条件下で保存されたバイオフィルム中の細胞の活性状態を特徴付け、かつ、バイオフィルム活性の回復後の細胞活性状態および汚染物質に対する除去効果に従って、フローサイトメトリーの特徴付け結果を検証し、最後に、バイオフィルムの最適な保管保存温度を決定するフローサイトメトリーに基づく方法が提供され、下水処理場の高水準の汚染物質排出と省エネルギーの運転のための技術サポートを提供する。
【0005】
本発明の第一目的は、下水処理バイオフィルムの最適な保管保存温度を決定する方法を提供することであり、前記方法は、フローサイトメトリーに基づいて下水処理バイオフィルムの細胞活性状態を測定し、異なる温度で保存されたバイオフィルムと保存前のバイオフィルム細胞の活性状態に対する測定結果を比較し、保存前のバイオフィルム細胞の活性状態に最も近い保存温度を最適な保管保存温度とする。
【0006】
本発明の一実施形態では、前記バイオフィルムの細胞活性状態の測定は、生細胞、初期アポトーシス細胞、後期アポトーシス細胞、および死細胞の含有量の測定を含む。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記バイオフィルムは、好気性粒状スラッジおよび硝化脱窒バイオフィルムを含む。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記フローサイトメトリーにより最適温度を決定するステップは、
(1)バイオフィルム試験サンプルの調製:バイオフィルムサンプルを緩衝液で希釈し、均一に振って、濾過し、遠心分離し、上澄み液を残し、事前に冷却したリン酸緩衝液で細胞を洗浄し、遠心分離と洗浄を2回繰り返し、続いて、上澄み液を取ってサンプルとし、適切な量の10x Annexin V Binding Bufferと均一に混合して調製するステップと、
(2)フローサイトメトリーに置いて各サンプルの細胞活性状態を測定するステップと、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、リン酸緩衝液を緩衝液として希釈する。
本発明の一実施形態では、前記リン酸緩衝液は、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムを含む。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記バイオフィルムが好気性粒状スラッジである場合、その試験サンプルの調製は、pH7.0〜8.0の緩衝液で好気性粒状スラッジを希釈することにより調製される。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記バイオフィルムが硝化脱窒バイオフィルムである場合、その試験サンプルの調製は、pH6.6〜7.0の緩衝液で硝化脱窒バイオフィルムを希釈することにより調製される。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記緩衝液とバイオフィルムの希釈体積比は、8〜10:1である。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記バイオフィルムが好気性粒状スラッジである場合、5〜15μmの孔径を有するナイロン膜で濾過する。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記バイオフィルムが硝化脱窒バイオフィルムである場合、6〜8μmの孔径を有するナイロン膜で濾過する。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記遠心分離速度は5000〜10000rpmである。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記サンプル上澄み液と10x AnnexinV Binding Bufferの混合体積比は1:2〜4である。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記フローサイトメトリーによる各サンプルの細胞活性状態の測定は、対照FITC Annexin Vグループに0.5μLのPI染色剤を加え、対照PIグループに0.5μLのFITC Annexin Vを加え、試験グループに0.5μLのFITC Annexin Vと0.5μLのPIを加え、均一に混合した後に室温かつ暗所でインキュベートし、その後、フローサイトメーターで試験する。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記インキュベーション時間は10〜20分間である。
【0019】
本発明の第二目的は、下水処理のバイオフィルムエンジニアリングを迅速に開始する方法を提供することであり、前記方法は、バイオフィルムを予備培養し、それを保存マトリックスに入れ、最適な保存温度で保存し、活性が回復した後に下水処理に使用することができ、前記最適な温度は上記方法で決定される。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記好気性粒状スラッジの保存マトリックスにおいて、250〜350mg/LのCOD、55〜65mg/LのNH4−N−、および6〜10mg/LのPO3−−Pを有する。
【0021】
本発明の一実施形態では、前記好気性粒状スラッジの活性回復は、好気性粒状スラッジをシーケンシングバッチ反応器(Sequencing Batch Reactor,SBR)に接種することであり、SBRの有効体積は10.0Lであり、排水率は45〜60%であり、反応周期は2.5〜時間であり、静的流入期間は1〜1.5時間であり、曝気反応期間は1.5〜2.5時間であり、スラッジ沈殿期間は2〜6分間であり、急速排水期間は2〜6分間であり、流入部の嫌気性状態と反応部の好気性状態を確保するように、リアルタイム制御システムによって空気と窒素の含有量と割合を制御し、SRTは25日間制御される。
【0022】
本発明の一実施形態では、前記硝化脱窒バイオフィルムの保存マトリックスにおいて、180〜220mg/LのCOD、25〜35mg/LのNH−N、18〜25mg/LのNO−N、および6〜10mg/LのPO3−−Pがある。
【0023】
本発明の一実施形態では、前記硝化脱窒バイオフィルムの活性回復は、硝化脱窒バイオフィルムをバイオリアクターに接種することであり、無酸素−好気性プロセスに基づいて、HRTを10〜15時間に設定し、硝化と脱窒充填率は40%〜60%であり、硝化液還流率は70%〜85%である。
【0024】
本発明の第三目的は、上記方法を下水処理に適用することである。
【0025】
本発明の有益な効果
本発明は、フローサイトメトリーにより複数のバイオフィルム生細胞、初期アポトーシス細胞、後期アポトーシス細胞および死細胞の割合を特徴付け、数時間以内において最適な保存温度を決定し、かつ、バイオフィルム活性回復プロセスの特徴的な指標に対する関連性分析を実施し、フローサイトメトリーに基づいてバイオフィルムの最適な保存温度を決定する方法が確立された。この方法を使用することにより、バイオフィルムの活性回復のステップを省略することができ、バイオフィルムのプロセス技術を使用して、汚染物質(アンモニア態窒素、全窒素、全リンなど)が標準に達するまで排出されて土地の節約と省エネルギーの動作を達成することに役立ち、同時に、バイオフィルムプロセスエンジニアリングアプリケーションの起動時間を効果的に短縮し、バイオフィルムプロセスの長期安定動作を維持し、高い産業的実現可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は好気性粒状スラッジの沈降性能(スラッジ体積指標SVI)である。
図2図2は好気性粒状スラッジにおける細胞外ポリマー(PN/PS)の変化である。
図3図3は好気性粒状スラッジにおける全窒素(TN)の除去率である。
図4図4は好気性粒状スラッジにおける総リン(TP)の除去率である。
図5図5は硝化脱窒バイオフィルムの細胞外ポリマーにおけるPN/PSの変化である。
図6図6は硝化脱窒バイオフィルムアンモニア態窒素(AN)の除去率である。
図7図7は硝化脱窒バイオフィルムの全窒素(TN)の除去率である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の下水処理場の下水には、上流の住宅地における生活用水と工業下水の一部が含まれ、流入水の年間平均は、236mg/LのCOD、30.1mg/Lのアンモニア態窒素、37.8mg/Lの全窒素、および4.5mg/Lの全リンであり、硝酸態窒素含有量は1.0mg/L未満である。
【0028】
実施例1:好気性粒状スラッジの最適な保存温度の決定
好気性粒状スラッジの保存条件:
好気性粒状スラッジの保存温度は、−20℃、4℃、および20℃に設定された。好気性粒状スラッジのパイロットプラント内から900mlの泥水混合物を取り、3つの等しい部分に分割し、それぞれ500mLの保存マトリックスを含む1000mLの血清ボトルに入れ、保存マトリックスの成分は、4200mg/LのNaAc、1100mg/LのNHCl、370mg/LのKHPO、140mg/LのKHPO、440mg/LのMgSO、170mg/LのKCl、1ml/Lの微量元素溶液であり、微量元素溶液の成分は、1.5g/LのFeCl・6HO、0.15g/LのHBO、0.03g/LのCuSO・5HO、0.03g/LのKI、0.12g/LのMnCl・4HO、0.06g/LのNaMoO・2HO、0.12g/LのZnSO・7HO、0.15g/LのCoCl・6HOである。保存マトリックスは、300mg/LのCOD、60mg/LのNH−N、8mg/LのPO3−−Pである。血清ボトル(各保存温度で3つの並行サンプル)をそれぞれ−20℃、4℃、および20℃に配置し、3か月間、静的かつ遮光で保存した。
【0029】
保存された好気性粒状スラッジの細胞状態の特徴付け:
フローサイトメトリーの細胞状態の試験条件は以下のとおりである、
(1)10mLのパイロットシステムにおいて各温度で3か月間保存された好気性粒状スラッジの混合物を取り、pH7.2のリン酸緩衝液で100mLに希釈し、ボルテックスで2分間乱流し、スラッジをフロックに分解し、かつ均一な分布を確保した、
(2)破砕したサンプルを10μmの孔径のナイロン膜で濾過し、1.5mLを取って先端が1.5mlの遠心チューブに入れた、
(3)サンプルを8000rpmで5分間遠心分離した、
(4)遠心分離したサンプル上澄み液をピペットで吸引し、約0.1mLのサンプルを残し、細胞を事前に冷却したリン酸緩衝液で洗浄し、遠心分離と洗浄を2回繰り返した、
(5)遠心分離したサンプルに上澄み液をピペットで吸引し、約0.1mLのサンプルを残し、0.3mLの10x Annexin V Binding Bufferで均一に混合した、
(6)0.5μLのPI染色液をFITC Annexin Vグループに加え、0.5μLのFITC Annexin Vを対照PIグループに加え、0.5μLのFITC Annexin Vと0.5μLのPIを試験グループに加え、均一に混合した後に室温で15分間、暗所でインキュベートし、その後、フローサイトメーターで試験した。
【0030】
好気性粒状スラッジの細胞状態の結果を表1に示し、パイロットシステムでの好気性粒状スラッジ生細胞の割合は高く、パイロットシステムが正常に機能していることを示す。−20℃で保存された好気性粒状スラッジの生細胞含有量が最も低く、死細胞含有量が最も高く、−20℃で好気性粒状スラッジを保存するのに適していないことを示す。4℃で保存された好気性粒状スラッジは、後期アポトーシス細胞と死細胞の割合が約25.2%であり、4℃条件が好気性粒状スラッジの保存に使用できることを証明する。しかしながら、保存温度が20℃の場合、好気性粒状スラッジ中の生細胞の割合は68.5%と高く、パイロットシステムの好気性粒状スラッジよりもわずか20.0%低いのみであり、これは、20℃の保存条件が好気性粒状スラッジの保存に適していることを示し、4℃の低温条件を制御および維持するためにより多くのエネルギーを消費する必要があるため、20℃が好気性粒状スラッジの保存に最適な温度であることが事前に決定される。
【0031】
表1 90日間保存された好気性粒状スラッジの細胞活性状態(%)
【0032】
実施例2:好気性粒状スラッジの試験結果の検証
保存された好気性粒状スラッジの活性回復条件:
様々な血清ボトルに由来する好気性粒状スラッジを取って、好気性粒状スラッジの活性を回復するためにシーケンスバッチリアクター(Sequencing Batch Reactor,SBR)に接種し、−20℃、4℃、および20℃で保存された好気性粒状スラッジは、それぞれR1、R2、およびR3に置かれる。SBRの有効体積は10.0Lであり、排水率は50%であり、反応期間は3時間であり、静的流入期間は60分間であり、曝気反応期間は112分間であり、スラッジ沈殿時間は3分間であり、急速排水時間は5分間である。流入部の嫌気性状態と反応部の好気性状態を確保するように、リアルタイム制御システムによって空気と窒素の含有量と割合を制御し、SRTは25日間制御される。
【0033】
活性回復後の好気性粒状スラッジの特徴:
活性回復後、R1、R2、およびR3中の好気性粒状スラッジの性能が優れる。表2に示すとおり、好気性粒状スラッジの活性回復後、異なる保存温度での好気性粒状スラッジの密度と粒子サイズは、保存前の好気性粒状スラッジの密度と粒子サイズに近い。異なる保存温度での好気性粒状スラッジのバイオマス(MLSS)は保存前の91%のみであるが、このバイオマスは保存後の好気性粒状スラッジのバイオマスより平均37.9%高く、好気性粒状スラッジが環境に再適応し、バイオマスが安定して増加していることを示す。一般的に、下水処理場の活性スラッジの平均脱窒率とリン放出率は、それぞれ3.0mg/g MLSS・hと2.2mg/g MLSS・hであり、パイロットプラントで好気性粒状スラッジを同じ脱窒率とリン放出率に順応させるのに必要な時間は、それぞれ25日と29日である。保存された好気性粒状スラッジが回復された後、R1中の好気性粒状スラッジが同じ脱窒率とリン放出率に達するのに必要な時間は、それぞれ12日と13日であり、R2中の好気性粒状スラッジが同じ脱窒率とリン放出率に達するのに必要な時間は、それぞれ10日と11日であり、R3中の好気性粒状スラッジが同じ脱窒率とリン放出率に達するのに必要な時間は、それぞれ8日と7日である。活性回復後の好気性粒状スラッジは、窒素とリンの除去効果がより優れていることを示し、ここで、20℃で保存された好気性粒状スラッジは、回復時間が最短であり、好気性粒状スラッジの保存に適している。
【0034】
表2 保存と活性回復後の好気性粒状スラッジの特性
【0035】
活性回復後の好気性粒状スラッジの沈降性能と安定性:
活性回復後、R1、R2、およびR3中の好気性粒状スラッジはいずれも優れた沈降性能を持ち、図1に示すとおり、活動回復の10日目に、異なる保存温度での好気性粒状スラッジの体積指数SVIは50.0mL/g未満である。その後、好気性粒状スラッジSVIはわずかに減少し、最終的に46.1〜47.8mL/gの間で安定する。細胞外ポリマーは、好気性粒状スラッジの形成における重要な要因であり、細胞外ポリマー中の多糖類(PS)物質に対するタンパク質(PN)物質の比率(PN/PS)は、好気性粒状スラッジの構造安定性を測定する重要な指標である。好気性粒状スラッジ活性の回復過程における細胞外ポリマーのPN/PSの変化を図2に示すとおりである。異なる保存温度で、PN/PSの差は大きく、R1中の好気性粒状スラッジPN/PSは減少傾向を示し、−20℃で保存された好気性粒状スラッジは安定性が低く、好気性粒状スラッジの保存に適していないことを示し、R2中の好気性粒状スラッジPN/PSはわずかに増加し、4℃で保存された好気性粒状スラッジは保存前の安定状態を維持できることを示し、R3中の好気性粒状スラッジPN/PSは大幅に増加し、かつ安定化傾向があり、20℃で保存された好気性粒状スラッジは、活性回復後に安定性が徐々に増加し、好気性粒状スラッジの保存温度として適していることを示す。
【0036】
活性回復後の好気性粒状スラッジによる汚染物質の除去効果:
活動回復プロセスの後、異なる保存温度での好気性粒状スラッジによる総窒素と総リンの除去率は徐々に増加し(図3図4)、総窒素(TN)と総リン(TP)に対する除去率は70%以上である。活動回復後10日目に、R3中の好気性粒状スラッジはTNおよびTPに対して最高の除去効果を示し、かつ、TNとTP除去率は安定化増加傾向を示し、この結果は、表2におけるR3中の好気性粒状スラッジの脱窒率とリン放出率が高いまでの迅速回復に対応して、20℃の条件が好気性粒状スラッジの保存に適し、実際の適用で非常に実現可能であることを示す。
【0037】
活性回復後の好気性粒状スラッジの特性とスラッジ細胞状態との関連性:
30日間の好気性粒状スラッジの活性回復後、フローサイトメトリーを使用して、好気性粒状スラッジの細胞状態を分析し(表3に示すとおり)、異なる保存温度での好気性粒状スラッジ中の生細胞の含有量はイロットシステムにおける好気性粒状スラッジ中の生細胞の含有量と基本的に同じであり、活性回復後、好気性粒状スラッジが汚染物質除去の役割を果たすことができることを示す。ここで、R3中の好気性粒状スラッジの生細胞の割合は最も高く(86.5%±3.5%)、かつ、後期アポトーシス細胞の割合(3.8%±1.0%)と死細胞の割合(3.3%±0.3%)は最も低く、20℃の保存条件で好気性粒状スラッジの細胞活性は最も高く、好気性粒状スラッジを保存するための条件としてより適していることを示す。
【0038】
表3 活動回復(30日)後の好気性粒状スラッジの活性回復(%)
【0039】
Correl関連性分析によると、好気性粒状スラッジの脱窒率は、リン放出率および好気性粒状スラッジ生細胞の割合と非常に高い関連性があり(表4に示すとおり)、関連係数はそれぞれ0.9940と0.9954であり、好気性粒状スラッジの活性を評価する方法として好気性粒状スラッジ生細胞の割合を使用することは非常に実現可能であることを示す。同時に、好気性粒状スラッジの保存により、好気性粒状スラッジ生細胞の割合は、20℃の保存条件下で最も高く、活性回復後のR3中の好気性粒状スラッジの生細胞の割合と一致する。
【0040】
表4 活性回復後の好気性粒状スラッジ特性と細胞活性状態との関連性
【0041】
したがって、20℃が好気性粒状スラッジの保存に最も適した条件であると決定し、フローサイトメトリーを使用して好気性粒状スラッジの最適な保存温度を決定するための基礎とする。フローサイトメトリーは動作しやすく、データは迅速かつ簡単に取得でき、正確で信頼性が高く、好気性粒状スラッジの活性回復プロセスを省略することもでき、好気性粒状スラッジの保存と活性回復に非常に重要である。
【0042】
実施例3:硝化脱窒バイオフィルムの最適な保存温度の決定
硝化脱窒バイオフィルムの保存培養:
硝化脱窒バイオフィルムの保存温度は、−20℃、4℃、および20℃に設定された。下水処理場の生化学反応タンクから180個の硝化脱窒バイオフィルムを取り、3つの等しい部分に分割し、それぞれ500mLの保存マトリックスを含む1000mLの血清ボトルに入れ、バイオフィルムの硝化と脱窒能力を維持するために、保存マトリックスの成分は、240mg/LのNaAc、110mg/LのNHCl、80mg/LのKNO、30mg/LのKHPO、15mg/LのKHPO、40mg/LのMgSO、70mg/LのKClである。保存マトリックスには、200mg/LのCOD、30mg/LのNH−N、20mg/LのNO−N、8mg/LのPO3−−Pがある。血清ボトル(各保存温度で3つの並行サンプル)をそれぞれ−20℃、4℃、および20℃に配置し、静的かつ遮光で保存した。
【0043】
保存された硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態の試験:
−20℃、4℃、および20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムを使用して、120日以上保存した後、硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態を測定し、フローサイトメトリーの細胞状態の試験条件は以下のとおりである、
(1)10mLの硝化脱窒バイオフィルムを取り、pH7.0のリン酸緩衝液で100mLに希釈し、ボルテックスで2分間乱流し、バイオフィルムをフロックに分解し、かつ均一な分布を確保した、
(2)破砕したサンプルを6μmの孔径のナイロン膜で濾過し、1.5mLを取って先端が1.5 mLの遠心チューブに入れた、
(3)サンプルを8000rpmで5分間遠心分離した、
(4)遠心分離したサンプル上澄み液をピペットで吸引し、約0.1mLのサンプルを残し、細胞を事前に冷却したリン酸緩衝液で洗浄し、遠心分離と洗浄を2回繰り返した、
(5)遠心分離したサンプルに上澄み液をピペットで吸引し、約0.1mLのサンプルを残し、0.3mLの10x Annexin V Binding Bufferで均一に混合した、
(6)0.5μLのPI染色液をFITC Annexin Vグループに加え、0.5μLのFITC Annexin Vを対照PIグループに加え、0.5μLのFITC Annexin Vと0.5μLのPIを試験グループに加え、均一に混合した後に室温で15分間、暗所でインキュベートし、その後、フローサイトメーターで試験した。
【0044】
サンプルの調製にフィルターの孔径の選択が特に重要であり、孔径が大きすぎると、より多くの生物学的フロックが導入され、不均一な染色を引き起こし、最終結果に影響を与える可能性があり、孔径が小さすぎると、生物学的フロックを効果的に取得することができない。
【0045】
硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態の試験結果を表5に示すとおりである。下水処理場の生化学反応タンク内の硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合は高く、下水処理場が良好な運転効果を持っていることを示す。−20°Cで保存された硝化と脱窒の測定のためのバイオフィルムの細胞含有量が最も低く、死細胞含有量が最も高く、−20℃で硝化脱窒バイオフィルムを保存するのに適していないことを示す。4℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合は68.0%まで高く、後期アポトーシス細胞と死細胞の割合が約19.8%であり、4℃の条件が硝化脱窒バイオフィルムの保存に使用できることを証明する。保存温度が20°Cの場合、硝化脱窒バイオフィルム中の生細胞の割合は59.4%と高く、4℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合よりもわずか12.6%低いであるが、その硝化脱窒バイオフィルムにおける後期アポトーシス細胞と死細胞の割合は約31.6%であり、20℃での保存条件も硝化脱窒バイオフィルムの保存に適していないことを示す。そのため、4℃が硝化脱窒バイオフィルムの保存に最適な温度であることが事前に決定される。
【0046】
表5 120日間保存された硝化脱窒バイオフィルムの細胞活性状態(%)
【0047】
実施例4:硝化脱窒バイオフィルム試験結果の検証
保存された硝化脱窒バイオフィルムの活性回復条件:
シーケンシングバッチ反応器の動作方式:異なる血清ボトルからの硝化脱窒バイオフィルムを取り、バイオリアクター(有効量10.0L)に接種し、硝化脱窒バイオフィルムの活性を回復させる。−20℃、4℃、および20°Cで保存された硝化脱窒バイオフィルムは、それぞれR1、R2、およびR3に置かれる。バイオリアクターは、anoxic−oxic(AO)プロセスに基づいて、シーケンスバッチ反応で同時に硝化と脱窒を達成し、HRTは12時間に設定され、硝化と脱窒の充填率は50%であり、硝化液の還流率は80%である。
【0048】
活性回復後の硝化脱窒バイオフィルムの特性:
活動回復後、R1、R2、およびR3の硝化脱窒バイオフィルムは優れたパフォーマンスを持った。図6に示すとおり、硝化脱窒バイオフィルムの活性が回復した後、4℃および20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムの密度と厚さは、保存前の硝化脱窒バイオフィルムと近く、−20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムの密度と厚さのみがわずかに減少した。硝化脱窒バイオフィルムのバイオマスは異なる保存温度で減少したが、活性が回復した後、4℃と20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムのバイオマスは保存前の硝化脱窒バイオフィルムのバイオマスレベルに達し、硝化脱窒バイオフィルムが環境に再適応し、バイオマスが安定して増加した。一般的に、下水処理場のバイオフィルムの平均脱窒率とリン放出率は、それぞれ4.5と5.0gNO−N/m・dであり、下水処理場で硝化脱窒バイオフィルムを同じ脱窒率とリン放出率に順応させるのに必要な時間は、それぞれ25日と21日である。保存された硝化脱窒バイオフィルムを活性回復させた後、R1中の硝化脱窒バイオフィルムが同じ脱窒率とリン放出率に達するのに必要な時間は、それぞれ19日と17日であり、R2中の硝化脱窒バイオフィルムが同じ脱窒率とリン放出率に達するのに必要な時間は、それぞれ8日と6日であり、R3中の硝化脱窒バイオフィルムが同じ脱窒率とリン放出率に達するのに必要な時間は、それぞれ13日と10日である。かつ、R1のバイオフィルムの厚さLは、活性回復の前後で大幅に減少したが、R2とR3の両方で高い厚さを維持することができ、酸素はバイオフィルムに濃度勾配を形成し、脱窒に役立つ。活性回復後の硝化脱窒バイオフィルムは、いずれも優れた脱窒効果があり、ここで、4℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムは、回復時間が最短であり、硝化脱窒バイオフィルムの保存に適していることを示す。
【0049】
表6 保存と活性回復後の硝化脱窒バイオフィルムの特性
【0050】
活性回復後の硝化脱窒バイオフィルムの安定性
細胞外ポリマーは、硝化脱窒バイオフィルムの形成における重要な要因であり、細胞外ポリマー中の多糖類(PS)物質に対するタンパク質(PN)物質の比率(PN/PS)は、硝化脱窒バイオフィルムの構造安定性を測定する重要な指標である。硝化脱窒バイオフィルムの活性回復過程における細胞外ポリマーのPN/PSの変化を図5に示すとおりである。異なる保存温度で、PN/PSの差は大きく、R1中の硝化脱窒バイオフィルムPN/PSは減少傾向を示し、−20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムは安定性が低く、硝化脱窒バイオフィルムの保存に適していないことを示し、R3中の硝化脱窒バイオフィルムPN/PSはわずかに増加し、20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムは保存前の安定状態を維持できることを示し、R2中の硝化脱窒バイオフィルムPN/PSは大幅に増加し、4.2以上に達することができ、かつ安定化傾向があり、4℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムは、活性回復後に安定性が徐々に増加し、硝化脱窒バイオフィルムの保存温度として適していることを示す。
【0051】
活性回復後の硝化脱窒バイオフィルムによる汚染物質の除去効果:
活動回復プロセスの後、異なる保存温度での硝化脱窒バイオフィルムによる総窒素と総リンの除去率は徐々に増加し(図6図7)、総窒素(TN)と総リン(TP)に対する除去率はそれぞれ90%と80%以上である。活動回復後8日目に、R2中の硝化脱窒バイオフィルムはアンモニア態窒素と全窒素に対して最高の除去効果を示し、かつ、アンモニア態窒素と全窒素の除去率は安定化増加傾向を示し、この結果は、表6におけるR2中の硝化脱窒バイオフィルムの脱窒率とリン放出率が高いまでの迅速回復に対応して、4℃の条件が硝化脱窒バイオフィルムの保存に適し、実際の適用で非常に実現可能であることを示す。
【0052】
活性回復後の硝化脱窒バイオフィルムの特性とスラッジ細胞状態との関連性:
硝化脱窒バイオフィルムの活性回復後、フローサイトメトリーを使用して、硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態を分析し、結果は表7に示す。異なる保存温度での硝化脱窒バイオフィルム中の生細胞の含有量は下水処理場における硝化脱窒バイオフィルム中の生細胞の含有量と基本的に同じであり、活性回復後、硝化脱窒バイオフィルムが汚染物質除去の役割を果たすことができることを示す。ここで、R2中の硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合は最も高く(84.0%±3.0%)、かつ、後期アポトーシス細胞の割合(6.2%±1.5%)と死細胞の割合(4.3%±0.3%)は最も低く、4℃の保存条件で硝化脱窒バイオフィルムの細胞活性は最も高く、硝化脱窒バイオフィルムを保存するための条件としてより適していることを示す。
【0053】
表7 活動回復後の硝化脱窒バイオフィルムの活性回復(%)
【0054】
Correl関連性分析によると、図8に示すとおり、硝化脱窒バイオフィルムの硝化率は、脱窒率および硝化脱窒バイオフィルムの生細胞比の割合と非常に高い相関があり、それぞれ相関係数は0.9286および0.9819であり、硝化脱窒バイオフィルムの活性を評価する方法として硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合を使用することは非常に実現可能であることを示す。同時に、硝化脱窒バイオフィルムの保存により、硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合は、4℃の保存条件下で最も高く、活性回復後のR2中の硝化脱窒バイオフィルムの生細胞の割合と一致する。
【0055】
表8 活性回復後の硝化脱窒バイオフィルム特性と細胞活性状態との関連性
【0056】
したがって、4℃は硝化脱窒バイオフィルムの保存に最も適した条件であると決定し、フローサイトメトリーを使用して硝化脱窒バイオフィルムの最適な保存温度を決定するための基礎とする。フローサイトメトリーは動作しやすく、データは迅速かつ簡単に取得でき、正確で信頼性が高く、硝化脱窒バイオフィルムの活性回復プロセスを省略することもでき、硝化脱窒バイオフィルムの保存と活性回復に非常に重要である。
【0057】
実施例5:異なるpH環境における硝化脱窒バイオフィルムの最適な保存温度の決定
硝化脱窒バイオフィルムの保存培養:
硝化脱窒バイオフィルムの保存温度は、−20℃、4℃、および20℃に設定された。下水処理場の生化学反応タンクから180個の硝化脱窒バイオフィルムを取り、3つの等しい部分に分割し、それぞれ500mlの保存マトリックスを含む1000mlの血清ボトルに入れ、保存マトリックスの成分は、240mg/LのNaAc、110mg/LのNHCl、80mg/LのKNO、30mg/LのKHPO、15mg/LのKHPO、40mg/LのMgSO、70mg/LのKClである。保存マトリックスには、200mg/LのCOD、30mg/LのNH−N、20mg/LのNO−N、8mg/LのPO3−−Pがある。血清ボトル(各保存温度で3つの並行サンプル)をそれぞれ−20°C、4°C、および20°Cに配置し、静的かつ遮光で保存した。
【0058】
保存された硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態の試験:
−20℃、4℃、および20℃で保存された硝化脱窒バイオフィルムを使用して、120日以上保存した後、硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態を測定し、フローサイトメトリーの細胞状態の試験条件は以下のとおりである、
(1)10mの硝化脱窒バイオフィルムを取り、pH7.2のリン酸緩衝液で100 mLに希釈し、ボルテックスで2分間乱流し、バイオフィルムをフロックに分解し、かつ均一な分布を確保した、
(2)破砕したサンプルを6μmの孔径のナイロン膜で濾過し、1.5mLを取って先端が1.5mLの遠心チューブに入れた、
(3)サンプルを8000rpmで5分間遠心分離した、
(4)遠心分離したサンプル上澄み液をピペットで吸引し、約0.1mLのサンプルを残し、細胞を事前に冷却したリン酸緩衝液で洗浄し、遠心分離と洗浄を2回繰り返した、
(5)遠心分離したサンプルに上澄み液をピペットで吸引し、約0.1mLのサンプルを残し、0.3mLの10x Annexin V Binding Bufferで均一に混合した、
(6)0.5μLのPI染色液をFITC Annexin Vグループに加え、0.5μLのFITC Annexin Vを対照PIグループに加え、0.5μLのFITC Annexin Vと0.5μLのPIを試験グループに加え、均一に混合した後に室温で15分間、暗所でインキュベートし、その後、フローサイトメーターで試験した。
【0059】
硝化脱窒バイオフィルムの細胞状態試験の結果を表9に示す。
表9 120日間保存された硝化脱窒バイオフィルムの細胞活性状態(pH7.2,%)
【0060】
表9の結果から、pH7.2のリン酸緩衝液を使用して調製されたサンプルを試験し、各保存温度の生存状態での細胞状態の割合が比較的近く、分析のために有益な結果が得られず、データの信頼性が低いことがわかる。
【0061】
さらに、発明者らは、サンプル検出に対する汚染物質に対するフィルターの孔径の影響も調査した:孔径8μmと10μmで調製された硝化脱窒バイオフィルムサンプルをそれぞれ使用し、孔径8μmで調製されたサンプル分析結果が検証実験と一致し、データの信頼性が高いことを発見したが、10μmに対応するデータは分析力がなく、最適な保存温度を決定するために使用することができない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】