特表2020-532985(P2020-532985A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-532985(P2020-532985A)
(43)【公表日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】低血糖性糖組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20201023BHJP
   C07H 3/02 20060101ALI20201023BHJP
   C07H 3/04 20060101ALI20201023BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20201023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201023BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20201023BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20201023BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20201023BHJP
【FI】
   A23L33/10
   C07H3/02
   C07H3/04
   A61K31/047
   A61P43/00 111
   A61P3/10
   A61P29/00
   A23L33/125
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-513300(P2020-513300)
(86)(22)【出願日】2018年9月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月4日
(86)【国際出願番号】US2018049965
(87)【国際公開番号】WO2019051236
(87)【国際公開日】20190314
(31)【優先権主張番号】15/698,159
(32)【優先日】2017年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519458392
【氏名又は名称】スイート センス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ダリル
【テーマコード(参考)】
4B018
4C057
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD08
4B018MD27
4B018MD28
4B018MD29
4B018ME03
4B018MF02
4B018MF04
4B018MF07
4C057AA05
4C057BB02
4C057BB03
4C206AA01
4C206CA13
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZB11
4C206ZC35
(57)【要約】
組成物は、糖源及びイノシトールを含む。糖又は糖源は、グルコース、スクロース、スクラロース、タガトース、ガラクトース、高フルクトースコーンシロップ、フルクトース、イソグルコース、及びラムノースからなる群から選択される1以上の糖である。糖及びイノシトールの組成物は、組成物を消費する個体によって代謝されると、TNF-α及び関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を防止又は制限する独自の性質を有する。したがって、組成物は、炎症反応に基づく疾患の治療と同様に、血糖値の制御、糖尿病及び関連する状態の治療に有利に使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖源及びイノシトールからなる組成物。
【請求項2】
前記糖源がスクロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記糖源が、グルコース、スクロース、スクラロース、タガトース、ガラクトース、高フルクトースコーンシロップ、フルクトース、イソグルコース、及びラムノースからなる群から選択される1以上の糖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記糖源が約70%存在し、前記イノシトールが約30%存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記糖源が約50%存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
実質的に糖源とイノシトールからなる組成物。
【請求項7】
前記糖源がスクロースである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記糖源が、グルコース、スクロース、スクラロース、タガトース、ガラクトース、高フルクトースコーンシロップ、フルクトース、イソグルコース、及びラムノースからなる群から選択される1以上の糖である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記糖源が約70%存在し、前記イノシトールが約30%存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記糖源が約50%存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
糖源を少なくともその融点まで加熱して溶融糖を形成すること;
イノシトールを前記溶融糖に加え、糖/イノシトール組成物を形成することを含む、組成物を製造する方法。
【請求項12】
前記糖/イノシトール組成物を粉砕し、粉末又は顆粒組成物を形成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イノシトールを前記溶融糖に加える前に、前記イノシトールを少なくともその融点まで溶融することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
治療をする必要がある個体に、実質的に糖源及びイノシトールからなる組成物の治療有効量を投与し、それにより糖尿病を治療し又は糖尿病の発生を制限することを含む、糖尿病を治療し又は糖尿病の発生を制限する方法。
【請求項15】
前記組成物が、脂質、タンパク質及び別の抗糖尿病治療薬を含まない、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
炎症反応に基づく疾患状態を治療し又は該疾患状態の発生を制限する方法であって、治療する必要のある個体に、実質的に糖源及びイノシトールからなる組成物の治療有効量を投与し、それにより炎症性疾患状態を治療し又は炎症性疾患状態の発生を制限することを含む方法。
【請求項17】
前記疾患状態が、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、新生児呼吸切迫症候群、神経管先天性欠損、肥満、糖尿病、癌、メタボリックシンドローム及び神経疾患並びにTNF-α及び関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達に関係する状態からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、低血糖性糖、特に、イノシトールと糖又は例えばスクロースだがこれに限定されない糖源とを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過剰な糖の消費は、例えばアルツハイマー病、癌、心血管疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、及び肥満などの多くの現代病の主な原因である。糖の消費が炎症カスケード、特にTNF-αを誘発することによりこれらの疾患を起こすことは科学的理論である。したがって、糖(スクロース及びグルコースを含むがこれらに限定されない)は毒ではないが、人体は糖を毒として認識し、生物学的脅威を緩和しようとして炎症誘発性反応を開始することにより、自分自身を保護するために反応する。これは、次に炎症及びサイトカインのシグナル伝達の慢性的な状態の原因となり、非常に多くの病気の始まりとなる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、例えばスクロースだがこれに限定されない糖又は糖源に加えてイノシトールのようなシャペロン分子を含む組成物に関する。得られる組成物は、有利な形態で、TNF-α及び関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を防止又は制限する。例えば、糖へのイノシトールの添加は、イノシトールのインスリン模倣性質に基づいて有利であると考えられる。さらに、糖へのイノシトールの添加は、重要な炎症誘発性シグナル伝達受容体をブロックすることにより炎症誘発性反応を防ぐと考えられる。イノシトールは、グルコースの75%の甘味として知覚される擬似ビタミンであり、砂糖に添加して、一般的な甘味料としてのスクロースの有用性を損なうことなく抗炎症性を提供するのに適している。
【0004】
別の形態では、糖/糖源成分は、スクロースだけではなく、1つ以上の他の糖でもよい。例えばイノシトールなどのシャペロン分子とともに含まれることができる糖の例は、グルコース、スクロース、スクラロース(sucrolose)、タガトース、ガラクトース、高フルクトースコーンシロップ、フルクトース、イソグルコース、及びラムノースが含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
本組成物、例えば糖とイノシトールは、例えばケーキ、キャンディー、チョコレート、医薬品、ソーダ、飲料、パン、アイスクリーム、袋入り糖(sugar packets)などの製品に組み込むことができる。
【0006】
1つの有利な形態において、イノシトールは、個体によって消費されたとき、その個体のTNF-α及び関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を防止又は制限するのに必要な量で、糖/糖源とともに、組成物中に存在している。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源を組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、個体に投与され、摂取され、又は与えられ、その個体により代謝されると、TNF-α及び/又は関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を制限する特性を有する。
【0007】
別の有利な形態では、イノシトールは、個体によって消費されると、肥満、糖尿病、癌、メタボリックシンドローム及び神経性疾患を治療又はその発生を制限するのに必要な量で、糖/糖源とともに、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、個体に投与、摂取、又は与えられ、個体によって代謝されると、肥満、糖尿病、癌、メタボリックシンドローム及び神経性疾患の治療又はその発生を制限する特性を有する。
【0008】
さらに別の有利な形態において、イノシトールは、個体によって消費されると、前頭前皮質及び扁桃体における頭蓋内myo-イノシトール欠乏などの炎症誘発性状態に関連する鬱病を治療又は制限するのに必要な量で、組成物中に存在する。イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、前頭前皮質及び扁桃体における頭蓋内myo-イノシトール欠乏の状態の治療又はその発生を制限する特性を有する。
【0009】
さらに別の有利な形態において、イノシトールは、糖源とともに、必要な量で、組成物中に存在し、実質的にイノシトール及び糖源からなる組成物は低血糖性を有する。
【0010】
さらに別の有利な形態において、イノシトールは、女性個体によって消費されると、内分泌系への血糖上昇の影響に対するクロム酸炎症誘発性反応の結果として産生されるアンドロゲン化合物に対して相乗的な緩和効果を有するため、女性個体においてPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と戦うのに必要な量で、糖/糖源とともに、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、内分泌系への血糖上昇の影響に対するクロム酸炎症誘発性反応の結果として産生されるアンドロゲン化合物に対して相乗的な緩和効果を有する。
【0011】
別の有利な形態では、イノシトールは、女性個体によって消費されると、過剰な糖の消費による慢性的な出生前の炎症誘発による神経管先天性欠損(neural tube birth defects)を制限するのに必要な量で、糖/糖源とともに、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、女性個体による過剰な糖消費からの慢性的な出生前の炎症誘発により引き起こされる神経管先天性欠損を制限する特性を有する。
【0012】
さらに別の有利な形態において、イノシトールは、女性個体に投与されると、ホルモン応答、卵巣機能、卵母細胞産生及び排卵率(ovation rate)を改善することにより受胎能力を改善するのに必要な量で、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、女性個体に投与された場合、ホルモン反応、卵巣機能、卵母細胞産生及び排卵率を改善することにより、受胎能力を改善する特性を有する。この効果は、実質的にイノシトール及び糖源からなる本組成物を介したイノシトール補充による糖誘発慢性炎症の低下に基づいていると考えられ、変質及び/又は未熟卵母細胞を制限するように誘導する。
【0013】
別の有利な形態では、イノシトールは、乳児に投与されると、早産又はリスクのある乳児などの乳児における新生児呼吸切迫症候群(neo-natal respiratory distress syndrome)の発生を制限するのに必要な量で、糖源とともに、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、乳児に与えた時、早産又はリスクのある乳児などの乳児の新生児呼吸切迫症候群の発生を制限する特性を有する。
【0014】
さらに別の有利な形態では、イノシトールは、女性個体に投与されると、過剰な糖消費又は炎症誘発性シグナル受容体の過剰感受性による慢性的な出生前の炎症誘発により引き起こされる妊娠中の妊娠糖尿病の発症を制限するのに必要な量で、糖源とともに、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、治療を必要とする女性個体に与えた時、過剰な糖消費又は炎症誘発性シグナル受容体の過剰感受性による慢性的な出生前の炎症により引き起こされる妊娠中の妊娠糖尿病の発生を制限する特性を有する。
【0015】
さらに別の有利な形態では、イノシトールは、女性個体に投与されると、myo-イノシトールの頭蓋内欠乏によるホルモン欠乏によるPMS(月経前症候群)の負の神経学的及び心理的効果を緩和するのに必要な量で、糖源とともに、組成物中に存在する。したがって、イノシトールと、例えばスクロース又は本開示で言及する1つ以上の他の糖などの糖源とを組み合わせたそのような組成物(実質的にイノシトールと前述の糖源からなる組成物を含む)は、治療を必要とする女性個体に与えた時、myo-イノシトールの頭蓋内欠乏によるホルモン欠乏によるPMS(月経前症候群)の負の神経学的及び心理的効果を緩和する特性を有する。
【0016】
イノシトール及び糖源からなる前述の組成物は、前述の性質及び/又は特性を変えない他の成分を含んでもよい。追加の成分には、セルロース、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムを含むが、これらに限定されない、薬学的担体、結合剤、不活性材料及び抗凝集/固化防止剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
加えて、イノシトール及び糖/糖源の本組成物は、以下で議論される様々な方法を含む、前述の状態の治療又はその発生を制限するために個体に与えることができる。
【0018】
本発明の一形態によれば、個体におけるTNF-α及び関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を治療又は制限するための方法は、それを必要とする個体に、必要な量で、イノシトール及び糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、その個体におけるTNF-α及び関連する炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を制限することを含む。
【0019】
本発明の一形態によれば、肥満、糖尿病、癌、代謝症候群及び神経疾患の治療又はその発生を制限する方法は、それを必要とする個体に、必要な量で、実質的にイノシトール及び糖源からなる組成物の治療有効量を投与することにより、肥満、糖尿病、癌、メタボリックシンドローム及び神経疾患の発生を制限することを含む。
【0020】
本発明の一形態によれば、前頭前皮質及び扁桃体における頭蓋内myo-イノシトール欠乏などの炎症誘発性状態に関連する鬱病を治療又は制限する方法は、それを必要とする個体に、必要な量で、イノシトール及び糖/糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、例えば前頭前皮質及び扁桃体における頭蓋内myo-イノシトール欠乏などの炎症誘発性状態に関連する鬱病を制限することを含む。
【0021】
本発明の一形態によれば、女性個体のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を治療又は制限する方法は、それを必要とする女性個体に、必要な量で、イノシトール及び糖/糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、内分泌系への血糖上昇の影響に対するクロム酸炎症誘発性反応の結果として産生されるアンドロゲン化合物に対する効果を制限することを含む。
【0022】
本発明の一形態によれば、神経管先天性欠損を治療又は制限する方法は、それを必要とする女性個体に、必要な量で、イノシトール及び糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、個体による過剰な糖消費による慢性的な出生前の炎症誘発による神経管先天性欠損を制限することを含む。
【0023】
本発明の一形態によれば、女性の受胎能力を改善する方法は、それを必要とする女性個体に、必要な量で、イノシトール及び糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、ホルモン反応、卵巣機能、卵母細胞産生及び排卵率を改善することを含む。
【0024】
本発明の別の形態によれば、そのような乳児における新生児呼吸切迫症候群の発生を制限する方法は、それを必要とする乳児に、必要な量で、イノシトール及び糖/糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、そのような乳児における、新生児呼吸切迫症候群の発生を制限することを含む。
【0025】
本発明のさらに別の形態によれば、過剰な糖消費又は炎症誘発性シグナル受容体の過剰感受性による慢性的な出生前の炎症誘発による妊娠中の妊娠糖尿病を治療又はその発生を制限する方法は、それを必要とする女性個体に、必要な量で、イノシトール及び糖/糖源を含む組成物の治療有効量を投与することにより、過剰な糖の消費又は炎症誘発性シグナル受容体の過剰感受性による慢性的な出生前の炎症誘発による妊娠中の妊娠糖尿病を治療又は発症を制限することを含む。
【0026】
本発明の一形態によれば、myo-イノシトールの頭蓋内欠乏によるホルモン欠乏によるPMS(月経前症候群)の負の神経学的及び心理的効果を制限する方法は、それを必要とする女性個体に、必要な量で、イノシトール及び糖/糖源を含む治療有効量の組成物を投与することにより、その個体におけるmyo-イノシトールの頭蓋内欠乏によるホルモン欠乏によるPMS(月経前症候群)の負の神経学的及び心理的影響を制限することを含む。
【0027】
イノシトール及び糖/糖源を含む治療有効量の組成物を投与することにより様々な個体を治療するための前述の方法は、タンパク質、脂質及び別の治療薬、例えばそれぞれの疾患状態の治療を目的とした薬物又は組成物をさらに含まない。
【0028】
本発明者は、驚くべきこと及び予想外に、糖/糖源及びイノシトールのみを有する組成物は、前述の性質を有することを見出した。この発見の前には、開示された治療性質及び/又は効果を得るために、イノシトールに加えて他の治療薬が必要とされると考えられていた。
詳細な説明
【0029】
本明細書で使用される場合、以下の用語及び語句は、以下に記載される意味を有するものとする。
【0030】
化合物に言及する場合の「天然に存在する」という語句は、それが天然に見出される形態にある化合物であることを意味する。化合物は、例えば、化合物が精製され、及び天然に化合物とともに見出される他の分子の少なくともいくつかから分離されている場合、天然に存在する形態ではない。「天然に存在する化合物」とは、天然で見出される化合物、すなわち、人間によって創出も改変もされていない化合物を指す。
【0031】
本組成物に関する「実質的に〜からなる」という用語は、説明及び開示されている特定の成分、及び本組成物(例えば、糖源及びイノシトール)の治療特性、性質及び/又は効果を実質的に変更しないその他の成分又は構成要素を含む。本組成物の開示された治療特性、性質及び/又は効果に実質的に影響を及ぼさない他の構成要素は、結合剤、担体、遺伝物質、及び固化防止/抗凝集剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
病的状態又は疾患を「治療する」とは、病的状態又は疾患の少なくとも1つの症状を治癒及び改善すること並びに病的状態又は疾患の発生を制限することを指す。
【0033】
「治療効果」という用語は、当技術分野で認識され、薬理活性物質によって引き起こされる動物、特に哺乳動物、より特にはヒトにおける局所性又は全身性の効果を指す。「治療有効量」という語句は、任意の治療に適用できる合理的な利益/リスク比で何らかの望ましい局所的又は全身的効果を生み出すそのような物質の量を意味する。そのような物質の治療有効量は、患者及び治療される疾患又は病的状態、患者の体重及び年齢、疾患又は病的状態の重症度、投与方法などに応じて異なり、これらは当業者によって容易に決定できる。例えば、本明細書に記載される特定の組成物は、そのような治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で望ましい効果を生み出すのに十分な量で投与され得る。
【実施例】
【0034】
実施例1:
【0035】
70%スクロース及び約30%イノシトールからなる組成物
【0036】
実施例2a〜2d:
【0037】
以下の比を有するスクロース/イノシトールからなる組成物:
a.)50/50、
b.)60/40、
c.)80/20及び
d.)90/10。
【0038】
実施例3:
【0039】
実施例1及び実施例2a〜2dの組成物を製造するプロセスは、イノシトールを、共に固体の結晶形態で必要な量のスクロースと組み合わせることを含む。
【0040】
実施例4:
【0041】
実施例1及び実施例2a〜2dの組成物を製造するプロセスは、スクロースをその融点まで加熱すること、及びイノシトールをその融点まで加熱することを含む。次に、イノシトールを溶融スクロースに加え、合わせたスクロース/イノシトール溶融スラリーを形成する。スラリーを乾燥させる。最後に、乾燥産物は、得られる製品のサイズ及び典型的な砂糖産物の稠性を低減するために混合機又は粉砕装置に通される。
【0042】
実施例5:
【0043】
実施例1及び実施例2a〜2dの組成物を製造するプロセスは、スクロース自体の実際の初期製造プロセスの間に必要量のイノシトールを添加することを含む。そのような初期スクロース製造は、当業者によって知られている従来のプロセスを含む。したがって、従来のスクロース製造プロセス中にイノシトールの添加が可能ないくつかの機会がある。
【0044】
本発明の原理の理解を容易にする目的で、本発明を様々な実施形態に関連して説明したが、本明細書を読めば、その様々な改変が当業者に明らかであろうことが理解される。本明細書に記載された複数の物の様々な実施形態の特徴は、1つの物で組み合わせることができる。したがって、本明細書に記載された本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるそのような改変を網羅することを意図していることが理解される。
【国際調査報告】