特表2020-533123(P2020-533123A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-533123(P2020-533123A)
(43)【公表日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】放射線治療計画最適化ワークフロー
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20201023BHJP
【FI】
   A61N5/10 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2020-515094(P2020-515094)
(86)(22)【出願日】2018年9月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月7日
(86)【国際出願番号】US2018050628
(87)【国際公開番号】WO2019055491
(87)【国際公開日】20190321
(31)【優先権主張番号】15/702,981
(32)【優先日】2017年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517150065
【氏名又は名称】エレクタ、インク.
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ウィルカット バージル マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル スペンサー
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC02
4C082AC05
4C082AC06
4C082AE03
4C082AN01
4C082AN05
(57)【要約】
放射線治療計画を実施するためのシステムと方法が提供される。例示的なシステムは、メモリ装置に通信可能に結合され、メモリ装置に格納された命令を実行するときに操作を実行するように構成されたプロセッサ装置を含む。操作は、1つまたはそれ以上の線量制約値を含む基準治療計画を受け取ること、および基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームのセグメント情報を決定することを含む。操作は、また、フルエンスマップ最適化アルゴリズムを使用して、1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、複数の放射線ビームのそれぞれのフルエンスマップを決定することを含む。操作は、また、複数の放射線ビームのフルエンスマップに基づいて線量分布を決定することを含む。操作は、また、セグメント情報および線量分布に基づいて、ウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性を決定することを含む。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実行可能命令を格納するメモリ装置と、
前記メモリ装置に通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサ装置であって、前記少なくとも1つのプロセッサ装置により実行されたとき、前記コンピュータ実行命令が前記プロセッサ装置に次の操作を実行させるプロセッサ装置と
を備えた放射線治療計画システムであって、
前記操作は、
基準治療計画を受け取るステップであって、前記基準治療計画は、1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含むステップと、
前記受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップと、
前記受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップと、
前記基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、前記複数の放射線ビームを前記受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップと、
フルエンスマップ最適化アルゴリズムと前記受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用して、前記基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、前記複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップと、
前記複数の放射線ビームの前記最適化されたフルエンスマップに基づいて、最適化された線量分布を決定するステップと、
前記最適化された線量分布を達成するために、前記制御点の形状および/または重み、および/または前記複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、前記基準治療計画に含まれる前記制御点情報に基づいてウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、前記新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップと
を有する
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項2】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものである
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項3】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものである
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項4】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記操作は、更に、
少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、
前記更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、
前記更新された構造体セットと前記基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、
前記差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、前記ウォームスタート最適化に対する前記修正された制御点情報を使用するステップと
を有する
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項5】
請求項4記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記更新された医用画像を受け取るステップは、前記基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含む
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項6】
請求項4記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記更新された医用画像を受け取るステップは、前記基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含む
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項7】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記基準治療計画は、所定の計画テンプレートに基づいており、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者とは異なる患者のためのものである
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項8】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記制御点情報は、前記複数の放射線ビームが変調されるマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含む
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項9】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記1つまたはそれ以上の線量制約値は、1つまたはそれ以上のリスク臓器が受ける放射線量の制約を含む
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項10】
請求項1記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記新しい治療計画の前記少なくとも1つのビーム変調特性は、前記複数の放射線ビームが変調される最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含む
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項11】
請求項10記載の放射線治療計画システムにおいて、
前記新しい治療計画の前記少なくとも1つのビーム変調特性は、前記セット内の前記最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャにそれぞれ関連付けられた重み係数を含み、
前記重み係数は、前記最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのそれぞれを介して送達される放射線線量の相対的比率を示す
ことを特徴とする放射線治療計画システム。
【請求項12】
コンピュータ実行可能命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ装置により実行される放射線治療計画を実行する方法であって、
前記方法は、
基準治療計画を受け取るステップであって、前記基準治療計画は、1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含むステップと、
前記受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップと、
前記受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップと、
前記基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、前記複数の放射線ビームを前記受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップと、
フルエンスマップ最適化アルゴリズムと前記受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用して、前記基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、前記複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップと、
前記複数の放射線ビームの前記最適化されたフルエンスマップに基づいて、最適化された線量分布を決定するステップと、
前記最適化された線量分布を達成するために、前記制御点の形状および/または重み、および/または前記複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、前記基準治療計画に含まれる前記制御点情報に基づいてウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、前記新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものである
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法において、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものである
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12記載の方法において、
少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、
前記更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、
前記更新された構造体セットと前記基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、
前記差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、前記ウォームスタート最適化に対する前記修正された制御点情報を使用するステップと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、
前記更新された医用画像を受け取るステップは、前記基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法において、
前記更新された医用画像を受け取るステップは、前記基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15記載の方法において、
前記基準治療計画は、所定の計画テンプレートに基づいており、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者とは異なる患者のためのものである
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項12記載の方法において、
前記制御点情報は、前記複数の放射線ビームが変調されるマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項12記載の方法において、
前記1つまたはそれ以上の線量制約値は、1つまたはそれ以上のリスク臓器が受ける放射線量の制約を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項12記載の方法において、
前記新しい治療計画の前記少なくとも1つのビーム変調特性は、前記複数の放射線ビームが変調される最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、
前記新しい治療計画の前記少なくとも1つのビーム変調特性は、前記セット内の前記最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャにそれぞれ関連付けられた重み係数を含み、
前記重み係数は、前記最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのそれぞれを介して送達される放射線線量の相対的比率を示す
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
装置の少なくとも1つのプロセッサにより実行され、前記装置に放射線治療計画の方法を実行させる命令のセットを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
基準治療計画を受け取るステップであって、前記基準治療計画は、1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含むステップと、
前記受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップと、
前記受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップと、
前記基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、前記複数の放射線ビームを前記受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップと、
フルエンスマップ最適化アルゴリズムと前記受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用して、前記基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、前記複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップと、
前記複数の放射線ビームの前記最適化されたフルエンスマップに基づいて、最適化された線量分布を決定するステップと、
前記最適化された線量分布を達成するために、前記制御点の形状および/または重み、および/または前記複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、前記基準治療計画に含まれる前記制御点情報に基づいてウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、前記新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップと
を有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
請求項23記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものである
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
請求項23記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記新しい治療計画は、前記基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものである
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
請求項23記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記装置の前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される前記命令のセットは、前記装置に、更に、
少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、
前記更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、
前記更新された構造体セットと前記基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、
前記差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、前記ウォームスタート最適化に対する前記修正された制御点情報を使用するステップと
を実行させる
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
請求項26記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記更新された医用画像を受け取るステップは、前記基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含む
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
請求項26記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記更新された医用画像を受け取るステップは、前記基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含む
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
[001]
この出願は、2017年9月13日に提出された米国出願番号第15/702,981号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
[002]
本開示は、一般に放射線治療(radiation therapy)または放射線治療(radiotherapy)に関する。より具体的には、本開示は、放射線治療計画を最適化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]
放射線治療は、哺乳動物(例えば、ヒトおよび動物)の組織における癌および他の病気を治療するために使用される。例示的な放射線治療は、線形加速器(LINAC)を使用して提供され、それにより、標的(例えば、腫瘍)が、高エネルギー粒子(例えば、電子、光子、イオンなど)により照射される。典型的なリナック(LINAC)ベースの放射線治療では、複数の放射線ビームが異なる角度から標的に向けられる。
【0004】
[004]
周囲の正常組織は、しばしばリスク臓器(OAR)と呼ばれる。放射線ビームによって引き起こされる深刻な付帯的損傷(collateral damage)からOARを防止するためには、これらのOARが受ける線量を特定のレベルに制限する必要がある。しばしば制約と呼ばれる、OARが受ける線量に対するそのような制限は、治療計画中に満たされる必要がある。
【0005】
[005]
治療計画は、制約の下で治療目標を実施するための特定の放射線治療パラメータ(例えば、放射線ビームの角度、各角度での放射線強度レベルなど)の決定を含むプロセスである。治療計画立案の結果は、放射線治療計画(以下、治療計画または単に計画とも呼ばれる)である。典型的な治療計画プロセスは、患者の医用画像から1つまたはそれ以上の標的および1つまたはそれ以上のOARの輪郭を描くこと、放射線ビームの角度、またはアークプランの場合は角度の範囲を指定すること、アパーチャの形状と各ビーム角度での各形状の放射強度レベルを決定することを含む。各ガントリ角度での形状、強度、コリメータ角度、およびジョー設定の組み合わせは制御点と呼ばれ、この情報は、装置送達を指示するために送達装置に転送される。最適化は通常1つまたはそれ以上の計画パラメータに対して実行され、ビームオン時間の短縮、線量の均一性の向上等を実現する。
【0006】
[006]
治療計画の作成は、計画立案者が、臨床的に許容できる治療計画を生成するための個々の重要性を考慮しながら、さまざまな治療目的または制約を遵守しようとする、時間のかかるプロセスである。したがって、改善された放射線治療計画ワークフローで計画時間を短縮することが望まれている。
【0007】
[007]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療計画システムに関する。システムは、コンピュータ実行可能命令を格納するメモリ装置を含み得る。システムは、また、メモリ装置に通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサ装置を含み得る。コンピュータ実行命令は、少なくとも1つのプロセッサ装置により実行されたとき、プロセッサ装置に次の操作を実行させる。操作は、基準治療計画を受け取るステップを含み得る。基準治療計画は、標的および/またはOARに対する1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含み得る。操作は、また、受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップを含み得る。操作は、また、受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップを含み得る。操作は、また、基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、複数の放射線ビームを受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップを含み得る。操作は、また、フルエンスマップ最適化アルゴリズムと受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用して、基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップを含み得る。操作は、また、複数の放射線ビームの最適化されたフルエンスマップに基づいて、最適化された線量分布を決定するステップを含み得る。操作は、また、最適化された線量分布を達成するためのように、制御点の形状および/または重み、および/または複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、基準治療計画に含まれる制御点情報に基づいてウォームスタート最適化アルゴリズムを使用するようにして、新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップを含み得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものであり得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものであるあり得る。操作は、また、少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、更新された構造体セットと基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、ウォームスタート最適化に対する修正された制御点情報を使用するステップとを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。基準治療計画は、所定の計画テンプレートに基づいており、新しい治療計画は、基準計画が実行された患者とは異なる患者のためのものであり得る。制御点情報は、複数の放射線ビームが変調されるマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含み得る。1つまたはそれ以上の線量制約値は、1つまたはそれ以上のリスク臓器(OAR)が受ける放射線量の制約を含み得る。新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、複数の放射線ビームが変調される最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含み得る。新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、セット内の最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャにそれぞれ関連付けられた重み係数を含み、重み係数は、最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのそれぞれを介して送達される放射線線量の相対的比率を示し得る。
【0008】
[008]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療計画を実行する方法に関する。方法は、コンピュータ実行可能命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ装置により実行される。方法は、基準治療計画を受け取るステップであって、基準治療計画は、1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含むステップを含み得る。方法は、また、受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップを含み得る。方法は、また、受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップを含み得る。方法は、また、基準治療計画に基づいてのような、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、複数の放射線ビームを受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップを含み得る。方法は、また、フルエンスマップ最適化アルゴリズムと受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用するようにして、基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づくような、複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップを含み得る。方法は、また、複数の放射線ビームの最適化されたフルエンスマップに基づいて、最適化された線量分布を決定するステップを含み得る。方法は、また、最適化された線量分布を達成するために、制御点の形状および/または重み、および/または複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、基準治療計画に含まれる制御点情報に基づいてウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップを含み得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものであり得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものであり得る。方法は、また、少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、更新された構造体セットと基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、ウォームスタート最適化に対する修正された制御点情報を使用するステップとを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。基準治療計画は、所定の計画テンプレートに基づいており、新しい治療計画は、基準計画が実行された患者とは異なる患者のためのものであり得る。制御点情報は、複数の放射線ビームが変調されるマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含み得る。1つまたはそれ以上の線量制約値は、1つまたはそれ以上のリスク臓器が受ける放射線量の制約を含み得る。新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、複数の放射線ビームが変調される最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含み得る。新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、セット内の最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャにそれぞれ関連付けられた重み係数を含み、重み係数は、最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのそれぞれを介して送達される放射線線量の相対的比率を示し得る。
【0009】
[009]
本開示の特定の実施形態は、装置の少なくとも1つのプロセッサにより実行され、装置に放射線治療計画の方法を実行させる命令のセットを格納する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。方法は、基準治療計画を受け取るステップを含み得る。基準治療計画は、1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含み得る。方法は、また、受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップを含み得る。方法は、また、受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップを含み得る。方法は、また、基準治療計画に基づくように、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、複数の放射線ビームを受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップを含み得る。方法は、また、フルエンスマップ最適化アルゴリズムと受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用して、基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップを含み得る。方法は、また、複数の放射線ビームの最適化されたフルエンスマップに基づくように、最適化された線量分布を決定するステップを含み得る。方法は、また、最適化された線量分布を達成するために、制御点の形状および/または重み、および/または複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、基準治療計画に含まれる制御点情報に基づくように、ウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップを含み得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものであり得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものであり得る。方法は、また、少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、更新された構造体セットと基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、ウォームスタート最適化に対する修正された制御点情報を使用するステップとを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。
【0010】
[010]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療システムに関する。放射線治療システムは、コンピュータ実行可能命令を格納するメモリ装置を含み得る。放射線治療システムは、また、メモリ装置に通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサ装置を含み得る。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサ装置によって実行されると、プロセッサ装置に放射線治療計画のための様々な操作を実行させることができる。操作は、標的および/またはOARの1つまたはそれ以上の線量制約値を含む基準治療計画情報を受け取るステップと、基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームの初期制御点情報を受け取るステップとを含み得る。基準治療計画は、以前の治療セッションで得られた患者の医用画像に基づき得る。操作は、また、前の治療セッションの後に得られた患者の更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。操作は、また、更新された医用画像と前の治療セッションで得られた医用画像との間の差異を決定するステップを含み得る。操作は、また、アパーチャモーフィングアルゴリズムを使用して、差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップを含み得る。操作は、また、フルエンスマップ最適化アルゴリズムを使用して、1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、複数の放射線ビームのそれぞれのフルエンスマップを決定するステップを含み得る。操作は、また、複数の放射線ビームのフルエンスマップに基づいて線量分布を決定するステップを含み得る。さらに、操作は、少なくとも1つの制御点プロパティを更に変更するステップと、この変更された制御点情報とフルエンスマップ線量分布に基づくウォームスタート最適化アルゴリズムを使用した新しい治療計画の取得するステップとを含み得る。さらに、放射線治療システムは、新しい放射線治療計画に従って患者に放射線を送達するように構成された線形加速器を含む放射線治療装置を含み得る。
【0011】
[011]
本開示の追加の目的および利点は、以下の詳細な説明において部分的に規定され、部分的には説明から自明であるか、または本開示の実施によって知ることができるであろう。本開示の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘された要素および組み合わせによって実現され、達成される。
【0012】
[012]
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示および説明のみを目的としており、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[013]
本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの実施形態を示し、説明とともに、開示された原理を説明するのに役立つ。
【0014】
[014]
図1A図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な放射線治療システムを示す。
【0015】
[015]
図1B図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な放射線治療システムを示す。
【0016】
[016]
図2A図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な放射線治療装置を示す。
【0017】
[017]
図2B図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、別の例示的な放射線治療装置を示す。
【0018】
[018]
図2C図2Cは、組み合わされたコンピュータ断層撮影(CT)撮像システムのような、組み合わされた放射線治療システムと撮像システムを含む例示的なシステムを示す。
【0019】
[019]
図2D図2Dおよび図2Eは、例示的なMRI画像と対応するCT画像との間の違いを示す。
【0020】
[020]
図2F図2Fは、放射線治療ビームの強度を成形、方向付け、または変調するための例示的なコリメータ構成を示す。
【0021】
[021]
図2G図2Gは、例示的なガンマナイフ放射線治療システムを図示する。
【0022】
[022]
図3図3は、図1Aに示される例示的な制御コンソールのブロック図を示す。
【0023】
[023]
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な放射線治療計画方法のフローチャートである。
【0024】
[024]
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なアーク/サブアーク配置を示す。
【0025】
[025]
図6図6Aおよび図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なマルチリーフコリメータアパーチャを示す。
【0026】
[026]
図7図7は、本開示のいくつかの実施形態による、線量分布を決定する例示的な方法を示す。
【0027】
[027]
図8図8は、本開示のいくつかの実施形態による、新しい患者のための新しい放射線治療計画を作成する例示的な方法のフローチャートである。
【0028】
[028]
図9図9は、基準治療計画に基づいて患者の治療計画を作成するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[029]
例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。都合のよい場所では、同一または同様の部品を指し示すために、図面全体を通して、同じ参照番号が使用される。本明細書では開示された原理の例および特徴について説明するが、開示された実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、修正、適合、および他の実装が可能である。また、「comprising(備える)」、「having(有する)」、「including(含む)」という言葉、および他の同様の形式は、意味において同等であり、オープンエンド(open-ended:非限定的)として解釈されることを目的とし、これらの単語のいずれかひとつに続くアイテムが、そのようなアイテムの完全なリストであることや、リストされたアイテムのみに限定されることを意味するものではない。また、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含むことを意図している。
【0030】
[030]
本開示によるシステムおよび方法は、放射線療法(radiation therapy)または放射線療法(radiotherapy)を対象とする。本明細書で使用される場合、「radiation therapy(放射線療法)」、「radiotherapy(放射線療法)」、および「radiation oncology(放射線腫瘍学)」という用語は、互換的に使用される。特に、本開示の実施形態は、強度変調放射線療法(IMRT)および画像誘導放射線療法(IGRT)のようないくつかの特定の放射線療法技術に適用可能である。
【0031】
[031]
IMRTは、「変調された」放射線ビームを介して放射線量を送達する方法である。この変調は、放射線源又は放射線ヘッド(例えば、LINACの放射線ヘッド)に取り付けられたマルチリーフコリメータ(MLC)として知られている装置によって行われる。MLCは、隣接するOARの露出を最小化しながらビーム形状を標的ボリュームの形状に合わせるため、コンピュータで制御された正確な方法で放射線を遮断または透過させるフィルターとして機能する、調整可能なリーフ(多くの場合重金属材料で作られる)を有する。
【0032】
[032]
IGRTは、放射線治療の過程(例えば、フラクション間(interfractional)またはフラクション内(intrafractional))での放射線療法を行うために、頻繁な2Dまたは3Dイメージングを使用する技術を指し示す。IGRT技術は、放射線照射野の配置の精度を向上させ、放射線治療中の健康な組織の被曝を低減するために使用される。
【0033】
[033]
いくつかの実施形態では、放射線療法システムは、IMRTまたはIGRT技術のいずれかを採用することができる。他の実施形態では、放射線療法システムは両方の技術を採用することができる。
【0034】
[034]
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な放射線治療システム100を示す。放射線治療システム100は、IMRTシステム、IGRTシステム、またはその両方を含み得る。図1Aに示されるように、放射線治療システム100は、制御コンソール110、データベース120、放射線治療装置130、および医用撮像装置140を含み得る。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130および医用撮像装置140は、図1Aの破線のボックス150によって示されるように、単一の画像誘導放射線治療装置150に統合されてもよい。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130と医用撮像装置140は、別個の装置であってもよい。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130と医用撮像装置140は、図1Aの放射線治療装置130と医用撮像装置140の間の一点鎖線で示されるように、互いに物理的または通信的に接続され得る。
【0035】
[035]
制御コンソール110は、放射線治療装置130および/または医用撮像装置140を制御するための、および/または、治療計画、治療実行、医用画像取得、画像処理、運動追跡、運動管理、または放射線治療プロセスに関与する他のタスクのような機能または操作を実行するためのハードウェアおよびソフトウェア構成要素を含むことができる。ハードウェアコンポーネントは、1つまたはそれ以上のコンピュータ(例えば、汎用コンピュータ、ワークステーション、サーバー、ターミナル、ポータブル/モバイル装置、など);プロセッサ装置(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用な目的または特別に設計されたプロセッサ、など);メモリ/ストレージ装置(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、光ディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、など);入力装置(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイク、ボタン、ノブ、トラックボール、レバー、ハンドル、ジョイスティック、など);出力装置(例えば、ディスプレイ、プリンター、スピーカー、振動装置、など);回路;プリント回路基板(PCB);または他の適切なハードウェアを含むことができる。ソフトウェアコンポーネントは、オペレーティングシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどを含むことができる。例えば、図1Aに示されるように、制御コンソール110は、制御コンソール110のメモリ/記憶装置に格納され得る治療計画/最適化ソフトウェア115を含むことができる。ソフトウェア115は、コンピュータ可読かつ実行可能なコードまたは命令を含むことができる。制御コンソール110のプロセッサ装置は、コードまたは命令にアクセスして実行するために、ソフトウェア115を格納するメモリ/ストレージ装置に通信可能に接続される。コードまたは命令の実行により、プロセッサ装置は、開示された実施形態による1つまたはそれ以上の機能を達成するための動作を実行することができる。
【0036】
[036]
制御コンソール110は、データにアクセスするためにデータベース120に通信可能に接続される。いくつかの実施形態では、データベース120は、制御コンソール110の近くにある1つまたはそれ以上のハードドライブ、光ディスク、および/またはサーバーのようなローカルハードウェアデバイスを使用して実装される。いくつかの実施形態では、データベース120は、制御コンソール110に対して遠隔に配置されたデータセンターまたはサーバーに実装される。制御コンソール110は、有線または無線通信を介してデータベース120に格納されたデータにアクセスする。
【0037】
[037]
データベース120は、患者データ122を含むことができる。患者データは、患者に関連する画像データのような情報(例えば、MRI、CT、X線、PET、SPECTなど);解剖学的領域、臓器、または関心領域のセグメンテーションデータ;機能的臓器モデリングデータ(例えば、直列対並列臓器(serial versus parallel organs)、および適切用量反応モデル);放射線量データ(例えば、線量−体積ヒストグラム(DVH)情報を含み得る);ラボデータ(例えば、ヘモグロビン、血小板、コレステロール、トリグリセリド、クレアチニン、ナトリウム、グルコース、カルシウム、体重);バイタルサイン(血圧、体温、呼吸数など);ゲノムデータ(例えば、遺伝子プロファイリング);人口統計(年齢、性別、民族性など);患者に影響を与える他の疾患(例えば、心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、放射線過敏症症候群など);薬と薬物反応;食事と生活習慣(例えば、喫煙または禁煙);環境リスク要因;腫瘍の特徴(組織学的型、腫瘍のグレード、ホルモンと他の受容体の状態、腫瘍の大きさ、血管の細胞型、がんのステージ、グリソンスコアなど);以前の治療(例えば、手術、放射線、化学療法、ホルモン療法など);リンパ節と遠隔転移の状態;遺伝的/タンパク質バイオマーカー(例えば、MYC、GADD45A、PPM1D、BBC3、CDKN1A、PLK3、XPC、AKT1、RELA、BCL2L1、PTEN、CDK1、XIAP、など);一塩基多型(SNP)分析(例えば、XRCC1、XRCC3、APEX1、MDM2、TNFR、MTHFR、MTRR、VEGF、TGFβ、TNFαなど)などを含み得る。
【0038】
[038]
データベース120はまた、マシンデータ124を含み得る。マシンデータ124は、放射線治療装置130、医用撮像装置140、または、放射線ビームサイズ、アーク配置、オン/オフ時間、座標系、マルチリーフコリメータ(MLC)構成、MRIパルスシーケンスなどのような放射線治療に関連する他の機械に関連する情報を含み得る。
【0039】
[039]
医用撮像装置140は、患者の医用画像を提供することができる。例えば、医用撮像装置140は、1つまたはそれ以上のMRI画像(例えば、2DMRI、3DMRI、2DストリーミングMRI、4DボリュームMRI、4DシネMRI);コンピュータ断層撮影(CT)画像;コーンビームCT画像;陽電子放出断層撮影(PET)画像;機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE−MRI、拡散MRI);X線画像;透視画像;超音波画像;放射線治療ポータル画像;シングルフォトエミッションコンピュータ断層撮影(SPECT)画像;などを提供することができる。したがって、医用撮像装置140は、MRI撮像装置、CT撮像装置、PET撮像装置、超音波撮像装置、透視装置、SPECT撮像装置、または患者の医用画像を得るための他の医用撮像装置を含むことができる。図1Aに示されるように、医用撮像装置140は、データベース120に通信可能に接続されて、データベース120に医用画像を記憶することができる。
【0040】
[040]
放射線治療装置130は、制御可能な方法で患者の関心のある解剖学的領域に放射線を送達することができるLINACまたは他の適切な装置を含むことができる。
【0041】
[041]
図1Bは、患者に放射線療法を提供するための例示的な放射線治療システム10を示す。放射線治療システム10は、画像処理装置12を含む。画像処理装置12は、ネットワーク20に接続されてもよい。ネットワーク20は、インターネット22に接続されてもよい。ネットワーク20は、画像処理装置12を、データベース24、病院データベース26、腫瘍学情報システム(OIS)28、放射線治療装置30、画像取得装置32、表示装置34、およびユーザインターフェース36の1つまたはそれ以上と接続することができる。画像処理装置12は、放射線治療装置30によって使用される放射線治療計画16を生成するように構成される。
【0042】
[042]
画像処理装置12は、メモリ装置16、プロセッサ14、および通信インターフェース18を含むことができる。メモリ装置16は、オペレーティングシステム43、放射線療法治療計画42(例えば、オリジナル治療計画、適合された治療計画など)、ソフトウェアプログラム44(例えば、人工知能、ディープラーニングニューラルネットワーク、放射線治療計画ソフトウェア)およびプロセッサ14によって実行される他の任意のコンピュータ実行可能命令のようなコンピュータ実行可能命令を格納することができる。一実施形態において、ソフトウェアプログラム44は、疑似CT画像のような合成画像を生成することにより、1つのフォーマット(例えば、MRI)の医用画像を別のフォーマット(例えば、CT)に変換することができる。例えば、ソフトウェアプログラム44は、あるモダリティの医用画像46(例えば、MRI画像)を異なるモダリティの合成画像(例えば、疑似CT画像)に変換するための予測モデルを訓練する画像処理プログラムを含むことでき、あるいは、訓練された予測モデルがCT画像をMRI画像に変換することができる。メモリ装置16は、医用画像46、患者データ45、および放射線療法治療計画42を作成および実施するために必要な他のデータを含むデータを格納することができる。
【0043】
[043]
ソフトウェアプログラム44を格納するメモリ16に加えて、ソフトウェアプログラム44は、ハードドライブ、コンピュータディスク、CD−ROM、DVD、HD、ブルーレイDVD、USBフラッシュドライブ、SDカード、メモリスティック、またはその他の適切なメディアのようなリムーバブルコンピュータ媒体に格納することができ、画像処理装置14にダウンロードされたときソフトウェアプログラム44は、画像プロセッサ14によって実行することができる。
【0044】
[044]
プロセッサ14は、メモリ装置16に通信可能に結合されることができ、プロセッサ14は、そこに格納されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成することができる。プロセッサ14は、医用画像46をメモリ16に送信または受信することができる。例えば、プロセッサ14は、通信インターフェース18およびネットワーク18を介して画像取得装置32から医用画像46を受信して、メモリ16に格納することができる。プロセッサ14は、また、メモリ16に格納された医用画像46を、通信インターフェース18を介して、ネットワーク20に送信し、データベース24または病院データベース26のいずれかに格納される。
【0045】
[045]
さらに、プロセッサ14は、医用画像46および患者データ45と共にソフトウェアプログラム44(例えば、治療計画ソフトウェア)を利用して、放射線療法治療計画42を作成することができる。医用画像46は、患者の解剖学的領域、器官、または関心セグメンテーションデータのボリュームに関連する画像データのような情報を含むことができる。患者データ45は、(1)機能臓器モデリングデータ(例えば、直列対並列臓器、適切な用量反応モデルなど)、(2)放射線量データ(例えば、線量−体積ヒストグラム(DVH)情報)、または(3)患者および治療コースに関する他の臨床情報(例えば、他の手術、化学療法、以前の放射線療法など)のような情報を含むことができる。
【0046】
[046]
さらに、プロセッサ14は、ソフトウェアプログラムを利用して、例えば、ニューラルネットワークモデルによって使用される更新されたパラメータなどの中間データを生成することができ、または、中間の2Dまたは3D画像を生成することができ、その後、それらはメモリ16に記憶される。その後、プロセッサ14は、実行可能な放射線療法治療計画42を、通信インターフェース18とネットワーク20を介して、放射線治療装置30に送信することができ、そこで放射線療法計画は、放射線で患者を治療するために使用される。さらに、プロセッサ14は、ソフトウェアプログラム44を実行して、画像変換、画像セグメンテーション、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、および人工知能のような機能を実装することができる。例えば、プロセッサ14は、医用画像を訓練または輪郭化するソフトウェアプログラム44を実行することができ、そのようなソフトウェア44は、実行されると、境界検出器を訓練し、形状辞書を利用することができる。
【0047】
[047]
プロセッサ14は、例えば、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)、および/またはアクセラレーテッド・プロセッシング・ユニット(APU:Accelerated Processing Unit)のような1つまたはそれ以上の汎用処理装置を含む処理装置であってもよい。詳細には、いくつかの実施形態では、プロセッサ14は、複合命令セットコンピューティング(CISC:complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC:reduced instruction set computing)マイクロプロセッサ、超長命令ワード(VLIW:very long instruction Word)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。プロセッサ14は、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)、システムオンチップ(SoC:System on a Chip)、またはその他の適切なプロセッサのような1つまたはそれ以上の専用処理装置によって実装されることができる。当業者に理解されるように、いくつかの実施形態では、プロセッサ14は、汎用プロセッサではなく、専用プロセッサであってもよい。プロセッサ14は、Intel(登録商標)によって製造されたPentium(登録商標)、Core(登録商標)、Xeon(登録商標)、またはItanium(登録商標)ファミリー、AMD(登録商標)によって製造されたTurion(登録商標)、Athlon(登録商標)、Sempron(登録商標)、Opteron(登録商標)、FX(登録商標)、Phenon(登録商標)ファミリー、Sun Microsystemsによって製造された様々なプロセッサのいずれか、または他の適切なプロセッサのような、1つまたはそれ以上の既知の処理装置を含み得る。プロセッサ14は、また、Nvidia(登録商標)によって製造されたGeForce(登録商標)、Quadro(登録商標)、Tesla(登録商標)ファミリー、Intel(登録商標)によって製造されたGMA、Iris(登録商標)ファミリー、またはAMD(登録商標)によって製造されたRadeon(登録商標)ファミリーのような、グラフィック処理ユニットを含み得る。プロセッサ14は、また、AMD(登録商標)によって製造されたDesktop A−4(6,8)シリーズ、Intel(登録商標)によって製造されたXeon Phi(登録商標)ファミリーのような、加速処理装置を含み得る。開示された実施形態は、いかなるタイプのプロセッサに限定されるものではなく、大量の撮像データを識別、分析、維持、生成、および/または提供するというコンピューティング命令を満たすように構成されている。さらに、「プロセッサ」という用語は、複数のプロセッサ、例えばマルチコア設計またはそれぞれがマルチコア設計を有する複数のプロセッサを含むことができる。プロセッサ14は、本開示の例示的な実施形態による様々な動作、プロセス、および方法を実行するために、例えば、メモリ111に格納されたコンピュータプログラム命令のシーケンスを実行するように構成され得る。
【0048】
[048]
メモリ装置16は、医用画像46を格納することができる。いくつかの実施形態では、医用画像46は、1つまたはそれ以上のMRI画像(例えば、2DMRI、3DMRI、2DストリーミングMRI、4DMRI、4D容積測定MRI、4DシネMRI、など)、機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE−MRI、拡散MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像(例えば、2DCT、コーンビームCT、3DCT、4DCT)、超音波画像(例えば、2D超音波、3D超音波、4D超音波)、陽電子放射断層撮影(PET)画像、X線画像、X線透視画像、放射線治療ポータル画像、単一光放出コンピュータ断層撮影(SPECT)画像、コンピュータ生成合成画像(例えば、疑似CT画像)など、を含み得る。さらに、医用画像46は、また、医用画像データ、例えば、トレーニング画像、およびグラウンドトゥルース画像、等高線画像を含み得る。一実施形態では、医用画像46は、画像取得装置32から受け取ることができる。したがって、画像取得装置32は、MRI撮像装置、CT撮像装置、PET撮像装置、超音波撮像装置、蛍光透視装置、SPECT撮像装置、統合線形加速器およびMRI撮像装置、または、患者の医用画像を取得するための他の医療撮像装置を含み得る。医用画像46は、画像処理装置12が、開示された実施形態による動作を実行するために使用することができる任意のタイプのデータまたは任意のタイプのフォーマットで受け取られ、格納され得る。メモリ装置12は、読み取り専用メモリ(ROM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)のようなダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、スタティックメモリ(例えば、フラッシュメモリ、フラッシュディスク、スタティックランダムアクセスメモリ)、および、キャッシュ、レジスタ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、またはその他の光学式ストレージ、カセットテープ、その他の磁気記憶装置のようなその他のタイプのランダムアクセスメモリ、のような非一時的なコンピュータ可読媒体、または、画像、データ、または、プロセッサ14、または任意の他のタイプのコンピュータ装置によりアクセスすることができる(例えば、任意のフォーマットで格納される)コンピュータ実行可能命令を含む情報を格納するために使用できる他の任意の非一時的媒体であり得る。コンピュータプログラム命令は、プロセッサ14によってアクセスされ、ROMまたは他の任意の適切なメモリ位置から読み取られ、プロセッサ14による実行のためにRAMにロードされ得る。例えば、メモリ16は、1つまたはそれ以上のソフトウェアアプリケーションを格納することができる。メモリ16に格納されたソフトウェアアプリケーションは、例えば、一般的なコンピュータシステムのためのオペレーティングシステム43およびソフトウェア制御装置を含み得る。さらに、メモリ16は、プロセッサ14によって実行可能なソフトウェアアプリケーション全体またはソフトウェアアプリケーションの一部のみを格納することができる。例えば、メモリ装置16は、1つまたはそれ以上の放射線療法治療計画42を格納することができる。
【0049】
[049]
画像処理装置12は、プロセッサ14およびメモリ16に通信可能に結合された通信インターフェース18を介してネットワーク20と通信することができる。通信インターフェース18は、画像処理装置12と放射線治療システム10の構成要素との間の通信接続を提供する(例えば、外部装置とのデータの交換を可能にする)ことができる。例えば、通信インターフェース18は、いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース36に接続するための適切なインターフェース回路を有することができ、それは、ユーザが放射線治療システム10に情報を入力することができる、ハードウェアキーボード、キーパッド、またはタッチスクリーンとすることができる。
【0050】
[050]
通信インターフェース18は、例えば、ネットワークアダプタ、ケーブルコネクタ、シリアルコネクタ、USBコネクタ、パラレルコネクタ、高速データ伝送アダプタ(例えば、ファイバ、USB3.0、サンダーボルト、など)、無線ネットワークアダプタ(例えば、WiFiアダプタのような)、電気通信アダプタ(例えば、3G、4G/LTE、など)などを含み得る。通信インターフェース18は、画像処理装置12が、ネットワーク20を介して遠隔配置された構成要素のような、他の機械および装置と通信することを可能にする1つまたはそれ以上のデジタルおよび/またはアナログ通信装置を含み得る。
【0051】
[051]
ネットワーク20は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ネットワーク、クラウドコンピューティング環境(例えば、サービスとしてのソフトウェア、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのインフラストラクチャ、など)、クライアントサーバー、広域ネットワーク(WAN)など機能を提供することができる。例えば、ネットワーク20は、他のシステムS1(38)、S2(40)、およびS3(41)を含むLANまたはWANとすることができる。システムS1、S2、およびS3は、画像処理装置12と同一であってもよく、または異なるシステムであってもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク20内の1つまたはそれ以上のシステムは、本明細書で説明される実施形態を協調的に実行する分散コンピューティング/シミュレーション環境を形成することができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上のシステムS1、S2、およびS3は、CT画像(例えば、医用画像46)を取得するCTスキャナを含むことができる。さらに、ネットワーク20をインターネット22に接続して、インターネット上で遠隔地にあるサーバーおよびクライアントと通信することができる。
【0052】
[052]
したがって、ネットワーク20は、画像処理装置12と、OIS28、放射線治療装置30、および画像取得装置32のような多くの他の様々なシステムおよび装置との間のデータ伝送を可能にすることができる。さらに、OIS28および/または画像取得装置32によって生成されたデータは、メモリ16、データベース24、および/または病院データベース26に格納され得る。データは、必要に応じて、プロセッサ14によりアクセスされるために、ネットワーク20を介して通信インターフェース18を介して送信/受信することができる。
【0053】
[053]
画像処理装置12は、ネットワーク20を介してデータベース24と通信して、データベース24に格納された複数の様々なタイプのデータを送受信することができる。例えば、データベース24は、放射線治療装置30、画像取得装置32、または放射線療法に関連する他の機械に関連する情報である機械データを含み得る。マシンデータ情報は、放射線ビームサイズ、アーク配置、ビームオン/オフ時間、制御点、セグメント、マルチリーフコリメータ(MLC)構成、ガントリ速度、MRIパルスシーケンスなどが含まれ得る。データベース24は、記憶装置であり得る。当業者は、データベース24が、中央にまたは分散して配置された複数のデバイスを含み得ることを理解するであろう。
【0054】
[054]
いくつかの実施形態では、データベース24は、プロセッサ可読記憶媒体(図示せず)を含み得る。一実施形態におけるプロセッサ可読記憶媒体は単一の媒体であり得るが、用語「プロセッサ可読記憶媒体」は、1つまたはそれ以上のコンピュータ実行可能命令またはデータのセットを格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)と解釈されるべきである。用語「プロセッサ可読記憶媒体」は、プロセッサによる実行のための命令のセットを格納または符号化することができ、かつ、プロセッサに本開示の1つまたはそれ以上の方法論のいずれかを実行させる任意の媒体を含むと解釈されるものとする。したがって、用語「プロセッサ可読記憶媒体」は、固体メモリ、光学および磁気媒体を含むがこれらに限定されないものと解釈されるべきである。例えば、プロセッサ可読記憶媒体は、1つまたはそれ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0055】
[055]
画像プロセッサ14は、データベース24と通信して、画像をメモリ16に読み込むか、または画像をメモリ16からデータベース24に格納することができる。例えば、データベース24は、データベース24が画像取得装置32から受信した複数の画像(例えば、3DMRI、4DMRI、2DMRIスライス画像、CT画像、2D透視画像、X線画像、MRスキャンまたはCTスキャンからの生データ、医学におけるデジタル画像および通信(DIMCOM)データ等)を格納するように構成されている。データベース24は、ソフトウェアプログラム44を実行するとき、または放射線療法治療計画42を作成するときに、画像プロセッサ14によって使用されるデータを格納することができる。画像処理装置12は、データベース24、放射線治療装置30(例えば、MRI−リニアック)、および/または画像取得装置32のいずれかからの画像データ46(例えば、2DMRIスライス画像、CT画像、2D蛍光透視画像、X線画像、3DMRI画像、4DMRI画像、など)を受け取り、治療計画42を生成することができる。
【0056】
[056]
一実施形態では、放射線治療システム100は、患者の医用画像(例えば、磁気共鳴画像法(MRI)画像、3DMRI、2DストリーミングMRI、4D容積測定MRI、コンピュータ断層撮影(CT)画像、コーンビームCT、陽電子放出断層撮影(PET)画像、機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE−MRIおよび拡散MRI)、X線画像、透視画像、超音波画像、放射線治療ポータル画像、シングルフォトエミッションコンピューター断層撮影(SPECT)画像など)を取得できる画像取得装置32を含むことができる。画像取得装置32は、例えば、MRI撮像装置、CT撮像装置、PET撮像装置、超音波装置、蛍光透視装置、SPECT撮像装置、または、患者の1つまたはそれ以上の医用画像を取得するための他の任意の適切な医療撮像装置であり得る。画像取得装置32によって取得された画像は、撮像データおよび/または試験データのいいずれかとしてデータベース24内に格納することができる。例として、画像取得装置32によって取得された画像は、また、画像処理装置12によって、医用画像データ46としてメモリ16に格納することができる。
【0057】
[057]
一実施形態では、例えば、画像取得装置32は、単一装置として放射線治療装置30と一体化してもよい(例えば、「MRI−Linac」とも呼ばれる線形加速器と組み合わせたMRI装置)。このようなMRI−Linacを使用して、例えば、放射線療法治療計画42に従って放射線治療を正確に所定の標的に向けるように、患者の標的器官または標的腫瘍の位置を決定することができる。
【0058】
[058]
画像取得装置32は、関心領域(例えば、標的臓器、標的腫瘍、またはその両方)についての患者の解剖学的構造の1つまたはそれ以上の画像を取得するように構成されている。各画像、典型的には2D画像またはスライスは、1つまたはそれ以上のパラメータ(例えば、2Dスライスの厚さ、向き、および場所、など)を含むことができる。一実施例では、画像取得装置32は、任意の向きで2Dスライスを取得することができる。例えば、2Dスライスの方向には、矢状方向、冠状方向、または軸方向が含まれる。プロセッサ14は、2Dスライスの厚さおよび/または向きなどの1つまたはそれ以上のパラメータを調整して、標的器官および/または標的腫瘍を含めることができる。一実施例では、2Dスライスは、3DMRIボリュームなどの情報から決定することができる。そのような2Dスライスは、例えば、放射線治療装置30を使用するとき、患者が放射線治療を受けているあいだ、「リアルタイム」で画像取得装置32によって取得することができる。「リアルタイム」とは、少なくとも数ミリ秒以内にデータを取得することを意味する。
【0059】
[059]
画像処理装置12は、1人またはそれ以上の患者のための放射線療法治療計画42を生成および保存することができる。放射線療法治療計画42は、各患者に適用される特定の放射線量に関する情報を提供することができる。放射線療法治療計画42は、また、ビーム角度、線量ヒストグラム、ボリューム情報、治療中に使用される放射線ビームの数、ビーム当たりの線量のような他の放射線療法情報を含み得る。
【0060】
[060]
画像プロセッサ14は、スウェーデンのストックホルムにあるエレクタAB社によって製造されたMonaco(登録商標)のような治療計画ソフトウェアのようなソフトウェアプログラム44を使用することにより、放射線療法治療計画42を生成することができる。放射線療法治療計画42を生成するために、画像プロセッサ14は、画像取得装置32(例えば、CT装置、MRI装置、PET装置、X線装置、超音波装置、など)と通信して、患者の画像にアクセスし、かつ、腫瘍のような標的の輪郭を描くことができる。いくつかの実施形態において、腫瘍の周囲にある、または腫瘍のすぐ近くにある健康な組織のような1つまたはそれ以上のリスク臓器(OAR)の描写が必要になる場合がある。したがって、OARが標的腫瘍に近いときに、OARのセグメンテーションが行われる。さらに、標的腫瘍がOAR(例えば、膀胱および直腸に近い前立腺)に近い場合には、OARを腫瘍からセグメンテーションすることにより、治療計画装置110は、標的内だけでなくOAR内の線量分布を調べることができる。
【0061】
[061]
OARと区別して標的臓器または標的腫瘍の輪郭を描くためには、放射線治療を受けている患者のMRI画像、CT画像、PET画像、fMRI画像、X線画像、超音波画像、放射線治療ポータル画像、SPECT画像のような医用画像が、画像取得装置32によって非侵襲的に取得され、身体の部分の内部構造を明らかにすることができる。医用画像からの情報に基づいて、関連する解剖学的部分の3D構造を取得することができる。関連する解剖学的部分の取得された3D構造は、例えば、医用画像撮像のためのDICOMグレースケール画像化標準にしたがって、解剖学的構造体セットとして格納され得る。さらに、治療計画プロセス中に、標的腫瘍の効率的な治療(例えば、標的腫瘍が効果的な治療のために十分な放射線量を受けるという)とOARへの低線量(例えば、OARが可能な限り低い放射線量を受けるという)との間のバランスを達成するために、多くのパラメータが考慮される。考慮され得る他のパラメータには、標的臓器および標的腫瘍の位置、OARの位置、OARに対する標的の動きが含まれる。例えば、三次元構造は、MRI又はCT画像の各二次元レイヤまたはスライス内の標的の輪郭を描くまたはOARの輪郭を描くこと、および各二次元レイヤまたはスライスの輪郭を結合することにより取得することができる。輪郭は、手動で(例えば、医師、線量測定士、または医療従事者によって)または自動で(例えば、スウェーデンのストックホルムのエレクタAB社によって製造されたアトラスベースの自動セグメンテーションソフトウェアであるABAS(登録商標)を用いて)生成することができる。特定の実施形態では、標的腫瘍またはOARの3D構造は、治療計画ソフトウェアによって自動的に生成される。
【0062】
[062]
標的腫瘍とOARの位置を特定して輪郭を描いた後、線量測定士、医師、または医療従事者は、標的腫瘍に照射される放射線の線量と共に、腫瘍に近接したOAR(例えば、左右の耳下腺、視神経、目、水晶体、内耳、脊髄、脳幹、または他の解剖学的構造)が受ける可能性のある最大線量とを決定することができる。関連する解剖学的構造(例、標的腫瘍、OAR)の放射線量を決定した後、逆計画法(inverse planning)として知られるプロセスを実行して、望ましい放射線量分布を達成する1つまたはそれ以上の治療計画パラメータを決定することができる。治療計画パラメータの例には、(例えば、標的ボリュームの輪郭を定める、機密構造の輪郭を描く、などの)ボリューム描写パラメータ、標的腫瘍およびOARの周囲のマージン、ビーム角選択、コリメータ設定、および/またはビームオン時間が含まれる。逆計画プロセス中、医師は、OARが受ける可能性のある放射線量の境界を設定する線量制約パラメータを定めること(例えば、腫瘍標的への全線量と任意のOARへのゼロ線量を定めること;脊髄、脳幹、および視覚構造が、それぞれ、45Gy以下の線量、55Gy以下の線量、および54Gyより低い線量を受けると定めること)ができる。逆計画の結果は、メモリ16またはデータベース24に保存される放射線療法治療計画42を構成することができる。これらの治療パラメータのいくつかは相関している可能性がある。例えば、治療計画を変更しようとして1つのパラメータ(例えば、標的腫瘍への線量を増やすなどのさまざまな目的の重み)を調整すると、少なくとも1つの他のパラメータに影響を与え、その結果、異なる治療計画が開発される可能性がある。したがって、画像処理装置12は、放射線治療装置30が患者に放射線療法治療を提供するために、これらのパラメータを有する調整された放射線療法治療計画42を生成する。
【0063】
[063]
さらに、放射線治療システム10は、表示装置34およびユーザインターフェース36を含むことができる。表示装置34は、医用画像、インターフェース情報、治療計画パラメータ(例えば、輪郭、線量、ビーム角、など)、治療計画、標的、標的の位置特定、および/または標的の追跡、または、ユーザへの適切な情報、を表示するように構成された1つまたはそれ以上の表示画面を含むことができる。ユーザインターフェース36は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、または、ユーザが放射線治療システム10に情報を入力することができる任意のタイプのデバイスであり得る。または、表示装置34およびユーザインターフェース36は、タブレットコンピュータ、例えば、アップル社製のiPad(登録商標)、Lenovo社製のThinkpad(登録商標)、サムソン社製のGalaxy(登録商標)のようなデバイスに組み込むことができる。
【0064】
[064]
さらに、放射線治療システム10のありとあらゆる構成要素は、仮想マシン(例えば、VMWare、Hyper−Vなど)として実装されてもよい。例えば、仮想マシンはハードウェアとして機能するソフトウェアであってもよい。したがって、仮想マシンは、ハードウェアとして一緒に機能する少なくとも1つまたはそれ以上の仮想プロセッサ、1つまたはそれ以上の仮想メモリ、および/または1つまたはそれ以上の仮想通信インターフェースを含むことができる。例えば、画像処理装置12、OIS28、画像取得装置32は、仮想マシンとして実装されてもよい。利用可能な処理能力、メモリ、および計算能力が与えられるならば、放射線治療システム10全体を仮想マシンとして実装することができる。
【0065】
[065]
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な画像誘導放射線治療装置150を示す。装置150は、カウチ210と、医用撮像装置140に対応する医用画像取得部と、放射線治療装置130に対応する放射線送達部とを含む。
【0066】
[066]
カウチ210は、治療セッション中に患者(図示せず)を支持するために使用され、患者支持システムとも呼ばれる。カウチ210は、水平の並進軸(「I」とラベル付けされている)に沿って移動可能であり、カウチ210上で横たわっている患者が装置150に出入りできるようになっている。いくつかの実施形態では、カウチ210は、並進軸を横断する中央垂直回転軸の周りを回転可能である。カウチ210は、治療計画に従って患者を適切に配置するために、様々な方向に移動し、様々な軸に沿って回転するように電動化され得る。
【0067】
[067]
医用撮像装置140は、治療セッションの前、最中、および/または後に患者の2Dまたは3DMRI画像を取得するために使用されるMRI装置を含み得る。医用撮像装置140は、磁気共鳴撮像のための一次磁場を生成するための磁石146を含み得る。磁石146の動作によって生成される磁力線は、中心並進軸Iに実質的に平行であることができる。磁石146は、並進軸Iに平行に走る軸を有する1つ以上のコイルを含み得る。いくつかの実施形態では、磁石146の1つまたはそれ以上のコイルは、磁石146の中央窓147がコイルを含まないように離間されてもよい。他の実施形態では、磁石146内のコイルは、放射線治療装置130によって生成された波長の放射線に対して実質的に透過するように、十分に薄いか、または密度が低くてもよい。医用撮像装置140はまた、磁石146の外側の磁場を相殺するために、ほぼ等しい大きさおよび反対の極性の磁石146の外側に磁場を生成し得る1つ以上のアクティブシールドコイルを含み得る。放射線治療装置130の放射線源134は、少なくとも一次の磁場がキャンセルされる領域に配置されてもよい。
【0068】
[068]
医用撮像装置140は、また、二次勾配コイル148および149を含むことができ、これらは、主磁場に重ね合わされて勾配磁場を生成することができる。コイル148、149は、プロトンの位置を決定することができるように、プロトンの空間的な符号化を可能にする結果として磁場の勾配を生成することができる。勾配コイル148、149は、磁石146と共通の中心軸の周りに配置されてもよく、その中心軸に沿って他のものから変位されてもよい。この変位により、コイル148と149との間に隙間、すなわち窓を形成することができる。磁石146がコイル間に中央窓147も含む実施形態では、2つの窓は互いに整列されてもよい。
【0069】
[069]
放射線治療装置130は、X線源または線形加速器などの放射線源134と、マルチリーフコリメータ(MLC)132とを含み得る。放射線治療装置130は、シャーシ138に取り付けることができる。シャーシ138は、治療領域に挿入されると、カウチ210の周りで連続的に回転可能であり、1つまたはそれ以上のシャーシモーターによって駆動される。放射線検出器は、また、必要に応じて、好ましくは放射線源134の反対側で、シャーシ138の回転軸が、放射線源134と検出器との間に配置されて、シャーシ138に取り付けられることができる。放射線治療装置130の制御回路は、装置150内に統合されてもよいし、それから離れていてもよく、図1Aの制御コンソール110によって機能的に表されている。
【0070】
[070]
放射線治療セッションの間、患者は、カウチ210上に配置され、カウチ210は、磁気コイル146、148、149、およびシャーシ138によって規定される治療領域に挿入される。制御コンソール110は、放射線源134、MLC132、およびシャーシモーターを制御して、コイル148と149との間の窓を通して放射線を患者に送達する。いくつかの実施形態では、画像取得装置140は、第1のモダリティのオリジナル画像(例えば、図2Dに示されたMRI画像)または第2のモダリティのデスティネーション画像(例えば、図2Eに示されたCT画像)を取得することができる。
【0071】
[071]
図2Bは、X線源または線形加速器のような放射線源、マルチリーフコリメータ(図示せず)、カウチ116、撮像検出器114、および放射線治療出力104を含む、例示的な放射線治療装置150を示す。放射線治療装置150は、放射線ビーム108を出射して患者に治療を提供するように構成されている。放射線治療出力104は、下記の図2Eの例示的な例で説明したようなマルチリーフコリメータ(MLC)のような1つまたはそれ以上の減衰器またはコリメータを含むことができる。
【0072】
[072]
図2Bに戻ると、患者は、テーブルまたはカウチ116を使用して、領域112に配置され、放射線療法治療計画に従って放射線療法線量を受け取ることができる。放射線治療出力104は、ガントリ106または他の機械的支持体に載せられまたは取り付けられることができる。1つまたはそれ以上のシャーシモーター(図示せず)は、カウチ116が治療領域に挿入されるとき、ガントリ106および放射線治療出力104をカウチ116の周りで回転させることができる。一実施形態では、ガントリ106は、カウチ116が治療領域に挿入されるとき、カウチ116の周りで連続的に回転されてもよい。別の実施形態では、カウチ116が治療領域に挿入されるとき、ガントリ106は所定の位置まで回転されてもよい。例えば、ガントリ106は、軸(「A」)を中心に治療出力104を回転させるように構成することができる。カウチ116と放射線治療出力104の両方は、横方向(「T」)に移動可能、横方向(「L」)に移動可能、または、横軸(「R」と表示)を中心とした回転のように1つまたは複数の周りの回転のように、患者の周りの他の位置に独立して移動可能である。1つまたは複数のもの(図示せず)に通信可能に接続されたコントローラは、放射線療法治療計画に従って患者を放射線ビーム108の位置に、または外に適切に配置するために、カウチ116の動きまたは回転を制御することができる。カウチ116とガントリ106の両方が複数の自由度で互いに独立して移動可能であるので、放射線ビーム108が腫瘍を正確に標的とすることができるように患者を配置することができる。
【0073】
[073]
図2Bに示す座標系(軸A、T、Lを含む)は、アイソセンタ111に位置する原点を有する。アイソセンタは、放射線治療ビーム108が、処方された放射線量を患者の上または内部の場所に送達するような、座標軸の原点と交差する場所として定義することができる。例えば、アイソセンタ111は、ガントリ106によって軸Aの周りに位置決めされた放射線治療出力104の様々な回転位置について、放射線治療ビーム108が患者と交差する場所として定義することができる。
【0074】
[074]
ガントリ106は、また、取り付けられた撮像検出器114を有し得る。撮像検出器114は、好ましくは放射線源104の反対側に配置され、一実施例では、撮像検出器114は、治療ビーム108のフィールド内に配置することができる。
【0075】
[075]
撮像検出器114は、ガントリ106上に、好ましくは、治療ビーム108との位置合わせを維持するような、放射線治療出力104の反対側に取り付けることができる。ガントリ106が回転すると、撮像検出器114が回転軸の周りを回転する。一実施形態では、撮像検出器114は、フラットパネル検出器(例えば、直接検出器またはシンチレータ検出器)とすることができる。このようにして、撮像検出器114を使用して、治療ビーム108を監視することができ、または、撮像検出器114を使用して、ポータルイメージングなどの患者の解剖学的構造を撮像することができる。放射線治療装置150の制御回路は、システム100内に統合されてもよいし、システムとは別個であってもよい。
【0076】
[076]
図示された実施例では、カウチ116、治療出力104、またはガントリ106のうちの1つまたは複数を自動的に配置することができ、治療出力104は、特定の治療送出インスタンスの指定線量に従って治療ビーム108を確立することができる。ガントリ106、カウチ116、または治療出力104の1つまたはそれ以上の異なる向きまたは場所を使用するような放射線治療処置計画に従って、一連の治療送達を指定することができる。治療の提供は連続して行うことができるが、アイソセンタ111のような患者の上または患者の内部の所望の治療軌跡で交差することができる。それにより、処方された累積線量の放射線療法を、治療部位の近くの組織への損傷が低減または回避しながら、治療部位に送達することができる。
【0077】
[077]
図2Cは、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムを含むような、線形加速器と撮像システムとの組み合わせを含む、例示的な放射線治療装置150を示す。CT撮像システムは、キロ電子ボルト(keV)のエネルギー範囲でX線エネルギーを提供するような撮像X線源118を含むことができる。撮像X線源118は、フラットパネル検出器のような撮像検出器123に向けられる扇形および/または円錐ビーム119を提供する。放射線療法システム150は、放射線治療出力104、ガントリ106、プラットフォーム116、および他のフラットパネル検出器114を含むような、図2Bに関連して説明されたシステム150と同様であり得る。X線源118は、撮像のために、比較的低エネルギーのX線診断ビームを提供することができる。
【0078】
[078]
図2Cの例示的な実施例では、放射線治療出力104およびX線源118は、互いに90度回転方向に分離された同じ回転ガントリ106に取り付けられる。別の実施例では、それぞれが独自の検出器構成を有し、複数の角度の診断撮像を同時に提供することができるような、ガントリ106の周囲に沿って2つまたはそれ以上のX線源を取り付けることができる。同様に、複数の放射線治療出力104を提供することができる。図2A図2B図2Cは、放射線治療出力を中心軸(例えば、軸「A」)の周りに回転させることができる構成を含む、患者に放射線治療を提供するように構成される放射線治療装置の実施例の概略を示す。他の放射線治療出力構成を使用することができる。例えば、放射線治療出力は、複数の自由度を持つロボットアームまたはマニピュレータに取り付けることができる。さらに別の実施例では、患者から横方向に離れた領域に位置するような、治療出力を固定することができ、患者を支持するプラットフォームを使用して、放射線治療アイソセンタを患者内の指定された標的位置に整列させることができる。
【0079】
[079]
上述したように、図2A図2B図2Cにより説明される放射線治療装置は、患者内の指定された標的部位への放射線療法ビームの強度を成形、方向付け、または変調するためのマルチリーフコリメータを含む。図2Fは、腫瘍140の断面または突起に近似するアパーチャを画定するように自動的に配置されることができるリーフ132Aから132Jを含む、例示的なマルチリーフコリメータ(MLC)132を示す。リーフ132Aから132Jは、放射線治療ビームの変調を可能にする。リーフ132Aから132Jは、放射線治療計画にしたがい、アパーチャ以外の領域で放射線ビームを減衰または遮断するための指定された材料で作られる。例えば、リーフ132Aから132Jは、プレートの長軸がビーム方向に平行に向けられ、(図2Bの図示の平面に示されるような)端部がビーム方向に直角に向けられたタングステンのような金属プレートを含む。MLC132の「状態」は、腫瘍140または他の標的部位の形状または位置をより良く近似する治療ビームを確立するように、放射線治療の経過中に適応的に調整することができる。これは、静的コリメータ構成を使用することと比較して、または「オフライン」治療計画技術を使用して排他的に決定されたMLC132構成を使用することと比較している。MLC132を使用して腫瘍または腫瘍内の特定の領域に特定の放射線量分布を生成する放射線療法技術は、強度変調放射線療法(IMRT)と呼ばれる。
【0080】
[080]
図2Gは、本開示のいくつかの実施形態による、別のタイプの放射線治療装置130(例えば、レクセルガンマナイフ(Leksell Gamma Knife))の実施例を示す。図2Gに示すように、放射線療法治療セッションにおいて、患者202は、座標フレーム220を着用して、手術または放射線療法を受けている患者の身体部分(例えば、頭)を安定に保つことができる。座標フレーム220および患者位置決めシステム222は、空間座標系を確立することができ、空間座標系は、患者を撮像している間または放射線手術中に使用することができる。放射線治療装置130は、複数の放射線源212を封入する保護ハウジング214を含むことができる。放射線源212は、ビームチャネル216を通じて複数の放射線ビーム(例えば、ビームレット)を生成することができる。複数の放射線ビームは、異なる方向からアイソセンタ218に集束するように構成することができる。個々の放射線ビームはそれぞれ比較的低い強度であるが、アイソセンタ218は、異なる放射線ビームからの複数の線量がアイソセンタ218に蓄積されるとき、比較的高いレベルの放射線を受け取ることができる。特定の実施形態では、アイソセンタ218は、腫瘍のような手術または治療中の標的に対応する。
【0081】
[081]
図3は、例示的な制御コンソール110を示す。図3に示すように、制御コンソール110は、プロセッサ装置250、メモリ/ストレージ装置260、通信インターフェース270、入力装置282、および出力装置284を含むことができる。メモリ/記憶装置260は、オペレーティングシステム262および治療計画/最適化ソフトウェア264などのコンピュータ実行可能命令を格納することができる。プロセッサ装置250は、メモリ/記憶装置260に結合され、そこに記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成され得る。例えば、プロセッサ装置250は、治療計画/最適化ソフトウェア264を実行して、治療計画および最適化などの機能を実装することができる。プロセッサ装置250は、通信インターフェース270を介してデータベース120と通信して、データベース120との間でデータを送受信することができる。図3には1つのデータベース120のみが示されているが、当業者は、データベース120が中央または分散した方法のいずれかで配置された複数の装置を含み得ることを理解するであろう。
【0082】
[082]
プロセッサ装置250は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)のような1つまたはそれ以上の汎用処理装置を含むことができる。より具体的には、プロセッサ装置250は、複雑命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、非常に長い命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。プロセッサ装置250はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィカル処理装置(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、システムオンチップ(SoC)などのような1つまたはそれ以上の特別な目的の処理装置であり得る。当業者には理解されるように、いくつかの実施形態では、プロセッサ装置250は、汎用プロセッサではなく、専用プロセッサであってもよい。
【0083】
[083]
メモリ/記憶装置260は、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックメモリ、ハードドライブなどを含み得る。いくつかの実施形態では、メモリ/記憶装置260は、機械可読記憶媒体を含み得る。例示的な実施形態としての機械可読記憶媒体は単一の媒体であってもよいが、用語「機械可読記憶媒体」は、1つまたはそれ以上の命令/データのセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型のデータベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)を含むと解釈されるべきである。用語「機械可読記憶媒体」は、また、機械によって実行されるための一連の命令を記憶または符号化することが可能であり、機械が本開示の方法論のうちの任意の1つまたは複数の方法論を実行する原因となる任意の媒体を含むものと解釈されるべきである。したがって、用語「機械可読記憶媒体」は、固体メモリ、ならびに光学媒体および磁気媒体を含むが、これらに限定されないものと解釈されるべきである。
【0084】
[084]
通信インターフェース270は、ネットワークアダプタ、ケーブルコネクタ、シリアルコネクタ、USBコネクタ、パラレルコネクタ、ファイバ、USB3.0、サンダーボルトのような高速データ伝送アダプタ、WiFiアダプタ、テレコミュニケーション(3G、4G/LTEなど)アダプタのような無線ネットワークアダプタなどを含むことができる。通信インターフェース270は、また、放射線治療装置130および/または医用撮像装置140との通信インターフェースを含み得る。プロセッサ装置250は、通信インターフェース270を介して、データベース120、放射線治療装置130、医用撮像装置140、または他の装置もしくはシステムと通信することができる。入力装置282は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、またはユーザによる情報入力を受信するための他の適切な装置を含み得る。出力装置284は、ディスプレイ、プリンター、または情報をユーザに出力するための他の適切な装置を含み得る。
【0085】
[085]
図4は、いくつかの実施形態による、例示的な放射線治療計画方法またはワークフロー400のフローチャートである。方法400を使用して、前のセッションの後に取得された1つまたはそれ以上の医用画像に基づいて前の治療セッションで使用された治療計画を修正し、フラクション間(interfractional)変化を明らかにすることができる。本明細書で使用される場合、以前の治療セッションで使用された治療計画は、基準治療計画とも呼ばれる。例えば、放射線療法を受けている患者は、いくつかのセッションで放射線量を受け取る。各セッションで、医師が処方した総用量の一部が投与される。隣接するセッション間の時間間隔は、1日、数日、1週間、数週間、場合によっては数か月であり得る。結果として、治療の標的(例、腫瘍)は、セッション間でそのサイズ、形状、および/または方向が変わる可能性があり、あるセッション用に開発された治療計画は正確ではなく、これらの変更により次回以降のセッションにおいて受け入れられない場合がある。したがって、以前のセッション用に作成された治療計画を、新しいセッションで遭遇した変化に適合させることが望ましい。一実施例では、基準治療計画はDICOM−RT計画を含むことができる。
【0086】
[086]
ステップ410で、制御コンソール110は、基準治療計画を受け取る。基準治療計画は、前の治療セッションで得られた1つまたはそれ以上の医用画像に基づいて、前の治療セッションのために作成されたものでよい。基準治療計画は、また、前の治療セッションで得られた少なくともある構造体セットに基づいて、前の治療セッションのために開発されたものでもよい。少なくとも1つの解剖学的構造体セットは、医用撮像のためのDICOMグレースケール画像化標準に従って放射線療法構造体セットを含むことができる。例えば、解剖学的構造体セットは、少なくとも1つの臓器ラベル(例えば、前立腺または肝臓)および少なくとも1つの臓器ラベルに関連する多角形を定義することができる関連座標を含むことができる。少なくとも1つの解剖学的構造体セットは、少なくとも1つの医用画像に基づいて決定することができる。基準治療計画は、放射線ビーム角度(例えば、アーク/サブアーク配置)およびアパーチャ情報(例えば、各ビーム角度におけるMLCアパーチャの形状)などの計画パラメータを含み得る。本明細書で使用されるように、ビームアーク/サブアーク配置およびアパーチャ情報は、集合的に制御点情報と呼ばれる。
【0087】
[087]
図5は、2D医用画像を参照した例示的なビームアーク/サブアーク配置を示す。図5では、標的510およびOAR520は、2D医用画像に基づいてセグメンテーションされている。セグメンテーションは、手動、半自動、または自動で実行される。例えば、画像セグメンテーション技法を使用して(例えば、制御コンソール110を使用して)、標的510および/またはOAR520の輪郭を描くことができる。標的/OARが描かれた後、複数の角度から放射線量が標的510に照射されるように、複数の放射線ビームが設計されることができる。放射線ビームはしばしば、放射線ヘッド245が移動する軌道に対応するアーク上に配置される。例えば、図5は、そこから放射が適用され得る複数のアーク530A、530B、530C、および530Dを示す。例えば、放射線ヘッド245は、アーク530Aに沿って回転し、アーク530Aに沿った1つまたはそれ以上のポイントで放射線を照射してもよい。アークの配置は、標的および/またはOARのサイズおよび位置、標的によって受信される所望の線量、OARに関して満たされるべき線量−体積制約、および/または当技術分野に熟練した者に知られている他の任意のパラメータに基づいて、手動で、または制御コンソール110を使用して決定することができる。
【0088】
[088]
いくつかの実施形態では、重み係数が各アークに割り当てられる。重み係数は、そのアークに沿って供給される放射線量の相対的な割合を示す。例えば、アーク530Aは、OAR520の一部をカバーする。したがって、アーク530Aに割り当てられた重み付け係数は、例えば、アーク530Bに割り当てられた重み付け係数よりも小さい。
【0089】
[089]
いくつかの実施形態では、アークはさらに複数のサブアークに分割されてもよく、各サブアークには別個の重み係数が割り当てられてもよい。例えば、アーク530Aは、2つのセグメント534および532に分割される。セグメント532はOAR520をカバーするので、セグメント534に割り当てられた重み付け係数よりも小さい重み付け係数(または、ゼロ重み付け係数さえ)がセグメント532に割り当てられる。分割されていないアークとセグメントの違いはそれらの長さのみであるので、簡単にするため、用語「セグメント」は、分割されていないアークまたは分割されたアークのセグメントを指すために使用される。
【0090】
[090]
上記のアーク/セグメント配置情報は、ビーム角度またはビーム方向を特徴付け、基準治療計画によって提供されるセグメント情報の一部である。IMRT、他の平面パラメータ、MLCアパーチャは、セグメント情報の一部でもある。MLCアパーチャはビーム形状を特徴付け、マルチリーフコリメータのリーフを動かすことで調整される。図6Aは、太線のMLCアパーチャ614を含む例示的なMLC構成610を示し、それを介して、放射線ビームが、アパーチャの形状が標的612の形状に一致するように変調される。図6Aに示すように、アパーチャ614の特定の形状は、一組のリーフ616A、616B、618A、618Bなどによって構成することができる。各リーフはスラブ形状をしており、アクチュエータ機構により左右に動かすことができる。リーフは放射線遮断材で形成されることができ、対向する2つのリーフが互いに向かって移動するときに、2つのリーフの間隔を通過することができる放射線量が減少するようになる。リーフの複数のペアは、標的612のような標的の形状に基づいて、アパーチャ614のようなアパーチャを形成することができる。いくつかの実施形態では、放射線ヘッド245がセグメントに沿って移動するとき、放射線ビームがアパーチャの特定の形状に従って成形されるように、特定の形状を有するアパーチャをセグメントに関連付けることができる。いくつかの実施形態では、固定されたアパーチャが各セグメントに割り当てられる。他の実施形態では、アパーチャの形状は、単一のセグメントに沿って変化し得る。アパーチャ情報は、基準計画によって提供できるセグメント情報の一部を形成し得る。
【0091】
[091]
図4に戻って、ステップ410において、制御コンソール110は基準計画を受け取り、基準計画は、図5および図6Aに関連して上述したように、セグメントの配置、セグメントに割り当てられた重み付け係数、およびセグメントに関連付けられたアパーチャ形状のような複数の放射線ビームのセグメント情報を含み得る。基準計画には、線量の制約値も含み得る。線量−容量制約値としても知られている線量制約値は、医師によって処方される。線量制約値の典型的なセットを表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
[092]
表1に示すように、線量制約値は、その腫瘍とOARを含め、関心のある各解剖学的領域に割り当てられる。線量制約値は、左側が数値のパーセンテージ、右側が線量のしきい値によって指定される。
【0094】
[093]
処方箋の最初の4行は、腫瘍と、腫瘍の境界に関する不確実性を説明するために導入された、腫瘍の周囲のいわゆる拡張領域に関するものである。最初の2行は、腫瘍の95%以上の体積に対して、標的の腫瘍線量が63Gyのしきい値より高くなければならないことを示している。一方、標的の線量は、腫瘍体積の1%の部分を除いて、72Gy未満でなければならない。他の行も同様に解釈される。表1に示したものと同様の線量制約値が、基準治療計画に記載されている。
【0095】
[094]
ステップ420において、制御コンソール110は、医用撮像装置140またはデータベース120のいずれかから、更新された医用画像を受け取る。更新された医用画像は、新しい治療セッションが始まる前に取得される。更新された医用画像は、標的の変化(例えば、サイズ、形状、向きなど)ならびに標的を取り巻く他の構造を明らかする。更新された解剖学的構造体セットは、更新された医用画像から決定することができ、更新された解剖学的構造体セットは、基準治療計画に従って行われた前の治療セッション中に取得された1つ以上の解剖学的構造体セットと比較して、ステップ430における解剖学的構造体のセット間の差異を決定することができる。次に、ステップ440において、制御コンソール110は、更新された解剖学的構造体セットと前の治療セッション中に取得された解剖学的構造体セットとの間の差異に基づいてセグメント情報を決定することができる。例えば、制御コンソール110は、セグメントアパーチャモーフィング(SAM)アルゴリズムを使用して更新された解剖学的構造体セットに見られる差異に従って、基準治療計画によって提供されるセグメント情報を調整する。SAMアルゴリズムは、各ビーム角度と各セグメントに対して、新しい標的のビームアイビュー(新しい標的投影)(NTP)と、各ビームの古い標的のビームアイビュー(古い標的投影)(OTP)とに基づいて、MLCモーフィング(リーフシフト)を計算する。例示的なSAMアルゴリズムは、古いアパーチャ形状をいくつかの離散点(境界点)に分割することから始まる。次に、各境界点の座標が直線的にOTPからNTPに変換される。
【0096】
[095]
図6Bは、変更された標的622に適合された例示的なMLC構成620を示す。図6Bを参照すると、標的622は、標的612と比較して小さくなり、標的の形状も変化する。変化を考慮して、いくつかのリーフがシフトされ(例えば、リーフの元の位置が破線で示されているリーフ618A、616B、618B)、新しいアパーチャ624(太線で示されている)を形成する。新しいアパーチャ624は、ステップ440におけるセグメント情報の一部として(例えば、SAMを介して)決定される。
【0097】
[096]
図4に戻ると、制御コンソール110は、基準治療計画によって提供される1つまたはそれ以上の制約値に基づいて、各放射線ビームのフルエンスマップを決定することができる。フルエンスマップは、MLCアパーチャの各ポイントでの各ビームの強度を示す。フルエンスマップは強度プロファイルとも呼ばれ、a=1、2、3、…、k(ここで、kは使用中のビーム角度の数である)の2次元のノンネガティブ関数Ia(x、y)で表される。フルエンスマップは、基準治療計画によって提供された制約値に基づくフルエンスマップ最適化アルゴリズムと、SAMアルゴリズムから決定されたセグメント情報を使用して決定することができる。任意の適切なフルエンスマップ最適化アルゴリズムを使用して、フルエンスマップを生成することができる。
【0098】
[097]
ステップ460において、制御コンソール110は、フルエンスマップに基づいて線量分布を決定することができる。図7は、例示的なMLCアパーチャ710および例示的な関心のある解剖学的領域720を示す。線量分布を計算するための例示的なアルゴリズムは、図7に関連して説明される。アルゴリズムは、長方形のグリッド{(xi、yi)}をその上に置くことにより、各ビーム角度のMLCアパーチャ710を離散化することから始まる。これらの小さな長方形エレメント、すなわち(712のような)「ビクセル」の実際の数は、MLC装置の物理的なサイズ(MLCリーフの幅のような)だけでなく、ビーム角度や関心のある解剖学的領域720に依存する。例えば、所与のグリッドポイントから放出するビームが、関心のある解剖学的領域720との有意な交差または影響がないと決定された場合、この特定のグリッドポイントは考慮から除外される。この離散化により、各MLCアパーチャは数百(または数千も)の個別の「ビクセル」に分割され、それに対応して、各放射線ビームは同じ数の個別の「ビームレット」(例えば730)に分割される。
【0099】
[098]
さらに、関心のある解剖学的領域720も離散化する必要がある。領域720は、処理される標的と、標的を囲むOARを含む3Dボリュームである。領域720は、「ボクセル」として知られる小さな3D直方体エレメント(722のような)に離散化される。この離散化では、ボクセルvが受け取る線量は、すべてのビームレット強度値の合計にそれぞれ寄与係数を掛けたものであり、そのビームレットからの単位強度放射ごとにi番目のボクセルが受け取る線量を示す。すべての寄与係数は、インフルエンス行列またはカーネル行列と呼ばれる行列形式で配置できる。インフルエンス行列が決定されると、フルエンスマップに基づいて線量分布を決定できる。インフルエンス行列は、さまざまな方法で決定できる。例えば、モンテカルロ(Monte Carlo)サンプリング手法が使用できる。
【0100】
[099]
ステップ470において、制御コンソール110は、(例えば、SAMアルゴリズムを使用して決定された)線量分布およびセグメント情報に基づいて、新しい治療計画のビーム変調特性を決定することができる。例えば、制御コンソール110は、ステップ460で決定された線量分布を基準計画によって提供された線量制約値の代わりに目標線量分布として使用して、ウォームスタート最適化を開始することができる。線量制約値(必ずしも特定の線量分布に対応する必要はないが)に対する一連の計画パラメータから生じる線量−体積ヒストグラムを評価する代わりに、制御コンソール110は、フルエンスマップに基づいて決定された線量分布を目標分布として使用してもよく、それは、MLCアパーチャ形状や重み係数のようなビーム変調特性とより直接的なつながりがある。さらに、ウォームスタート最適化は、ステップ440で決定されたセグメント情報(例えば、SAMアルゴリズムから生じるアパーチャ形状)から開始することができる。フルエンスマップが任意のアパーチャ形状から作成される従来のリーフシーケンス法と比較して(治療で使用される特定のMLCによっては達成できない場合がある)、容易に達成可能なアパーチャ形状によって最適化の速度が向上する。最適化の結果には、新しい治療計画で使用される最適化されたMLCアパーチャ形状のセットのような、1つまたはそれ以上のビーム変調特性が含まれる場合がある。1つまたはそれ以上のビーム変調特性は、最適化されたMLCアパーチャにそれぞれ関連付けられた重み係数も含み得る。例えば、重み係数は、(それぞれが対応するアパーチャ形状を有する)セグメントにそれぞれ関連付けられ、対応するセグメントを通して送達されるべき放射線の割合を示すことができる。
【0101】
[0100]
図8は、テンプレート治療計画に基づいて新しい患者のための新しい治療計画を作成するための例示的な方法800のフローチャートである。図8を参照すると、方法800は、方法800における基準治療計画がテンプレート治療計画であり、比較する前の治療計画または前の医用画像がないので、SAMが実行されないことを除いて、方法400と類似している。ステップ810において、制御コンソール110は、線量制約値およびセグメント情報を含むテンプレート治療計画を受け取る。テンプレート治療計画はサンプルとして提供され、個々の患者の特定の状況に合わせて調整される。テンプレート治療計画は、データベース120に格納することができる。ステップ820において、制御コンソール110は、ステップ450と同様に、テンプレート治療計画の線量制約値に基づいて各放射線ビームのフルエンスマップを決定する。ステップ830において、制御コンソール110は、ステップ460と同様に、フルエンスマップに基づいて線量分布を決定する。ステップ840において、制御コンソール110は、ステップ470と同様に、線量分布およびテンプレート治療計画のセグメント情報に基づいて、新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性を決定する。目標線量としてフルエンスマップに基づいて決定された線量分布を使用することは、線量制約値を使用する場合と比較して、計画プロセスの速度を向上させる。さらに、ウォームスタートの最適化は、容易に達成可能なアパーチャの形状から始まり、それにより最適化の処理時間が短縮される。
【0102】
[0101]
図9は、基準治療計画に基づいて患者の治療計画を作成するための例示的な方法900のフローチャートである。ステップ910において、制御コンソール110は、1つまたはそれ以上の線量制約値および制御点情報を含む基準治療計画を受け取る。基準治療計画は、データベース120に格納することができる。ステップ920において、制御コンソール110は、医用撮像装置140またはデータベース120のいずれかから、基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像および構造体セットを受け取る。次に、新しい治療計画は、受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットに基づいて決定される。新しい治療計画は、基準計画が実行されたのと同じ患者のためのものであり得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者とは異なる患者のためのものであり得る。ステップ930において、複数の放射線ビームの制御点情報は、基準治療計画に基づいて制御コンソール110によって決定され、複数の放射線ビームは、受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録される。ステップ940において、最適化されたフルエンスマップは、複数の放射線ビームのそれぞれについて制御コンソール110によって決定される。最適化された各フルエンスマップは、フルエンスマップ最適化アルゴリズムと受信した少なくとも1つの医用画像と構造体セットを使用して、基準治療計画に含まれる1つ以上の線量制約値に基づいて決定される。ステップ950において、最適化された線量分布は、複数の放射線ビームの最適化されたフルエンスマップに基づいて制御コンソールによって決定される。ステップ960において、新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、最適化された線量分布を達成するために、制御点の形状および/または重み、および/または複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、基準治療計画に含まれる制御点情報に基づく制御点情報に基づいて、ウォームスタート最適化アルゴリズムを使用して、制御コンソールによって決定される。いくつかの実施形態では、方法900は、ステップ970−990も含む。ステップ970において、更新された医用画像は、制御コンソール110によって受け取られる。ステップ980において、更新された医用画像のために設定された更新された構造は、制御コンソール110によって決定される。いくつかの実施形態では、更新された構造体セットは、制御コンソール110によって受信される。更新された構造体セットと基準治療計画に含まれる構造体セットとの間の差異は、制御コンソール110によって決定される。ステップ990において、差異に基づく修正された制御点情報は、セグメントアパーチャモーフィング(SAM)アルゴリズムを使用することによって制御コンソールによって決定される。変更された制御点情報は、ウォームスタートの最適化に使用される。
【0103】
[0102]
本明細書では、ソフトウェアコードまたは命令として実装または定義され得る様々な操作または機能が説明されている。このようなコンテンツは、直接実行可能(「オブジェクト」または「実行可能」形式)、ソースコード、または差分コード(「デルタ」または「パッチ」コード)であり得る。本明細書で説明する実施形態のソフトウェア実装は、コードまたは命令が格納された製品を介して、または通信インターフェースを介してデータを送信するように通信インターフェースを動作させる方法を介して提供され得る。機械またはコンピュータ可読記憶媒体は、機械に記載された機能または動作を実行させることができ、記録可能/記録不可能なメディア(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスクストレージメディア、光ストレージメディア、フラッシュメモリデバイス、など)のような、機械(例えば、コンピューティングデバイス、電子システムなど)によってアクセス可能な形式で情報を記憶する任意のメカニズムを含むものである。通信インターフェースは、ハードワイヤード、ワイヤレス、光学などの媒体にインターフェースして、メモリバスインターフェース、プロセッサバスインターフェース、インターネット接続、ディスクコントローラーのような、別のデバイスと通信するメカニズムを含む。通信インターフェースは、ソフトウェアコンテンツを記述したデータ信号を提供するため、通信インターフェースを準備するために、構成パラメータを提供すること、および/または信号を送信することによって構成することができる。通信インターフェースには、通信インターフェースに送信される1つまたはそれ以上のコマンドまたは信号を介してアクセスすることができる。
【0104】
[0103]
本開示はまた本明細書で説明される動作を実行するためのシステムに関する。このシステムは、必要な目的のために特別に構築されてもよく、また、このシステムは、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータとして構成されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納され、その記憶媒体は、これらに限定されるものではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、光学カードなどのいかなるタイプのディスクや、電気的命令を格納するのに適したいかなるタイプの媒体のようなものであり、それぞれがコンピュータシステムバスに接続される。
【0105】
[0104]
本明細書で図示および説明される実施形態における動作の実行または実行の順序は、特に指定されない限り、必須ではない。すなわち、特に明記しない限り、操作は任意の順序で実行でき、本発明の実施形態は、本明細書に開示されているものよりも多いまたは少ない操作を含むことができる。例えば、他の操作の前、同時、または後に特定の操作を実行または実行することは、本発明の態様の範囲内であると考えられる。
【0106】
[0105]
実施形態は、コンピュータ実可能命令により実装することができる。コンピュータ実行可能命令は、1つまたはそれ以上のコンピュータ実行可能コンポーネントまたはモジュールに編成され得る。実施形態は、そのようなコンポーネントまたはモジュールの任意の数および編成で実装することができる。例えば、本開示の態様は、図面に示され、本明細書で説明される特定のコンピュータ実行可能命令または特定のコンポーネントまたはモジュールに限定されない。他の実施形態は、本明細書に図示および記載されているよりも多いまたは少ない機能を有する、異なるコンピュータ実行可能命令またはコンポーネントを含み得る。
【0107】
[0106]
本開示の態様を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の態様の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。本開示の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、および方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味として解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2F
図2G
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2020年7月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
[発明の概要]
[007]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療計画システムに関する。システムは、コンピュータ実行可能命令を格納するメモリ装置を含み得る。システムは、また、メモリ装置に通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサ装置を含み得る。コンピュータ実行命令は、少なくとも1つのプロセッサ装置により実行されたとき、プロセッサ装置に次の操作を実行させる。操作は、基準治療計画を受け取るステップを含み得る。基準治療計画は、標的および/またはOARに対する1つまたはそれ以上の線量制約値と制御点情報を含み得る。操作は、また、受け取られた基準治療計画に含まれていない少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを受け取るステップを含み得る。操作は、また、受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとに基づいて新しい治療計画を決定するステップを含み得る。操作は、また、基準治療計画に基づいて、複数の放射線ビームの制御点情報を決定し、複数の放射線ビームを受け取られた少なくとも1つの医用画像に登録するステップを含み得る。操作は、また、フルエンスマップ最適化アルゴリズムと受け取られた少なくとも1つの医用画像と構造体セットとを使用して、基準治療計画に含まれる1つまたはそれ以上の線量制約値に基づいて、複数の放射線ビームのそれぞれについて最適化されたフルエンスマップを決定するステップを含み得る。操作は、また、複数の放射線ビームの最適化されたフルエンスマップに基づいて、最適化された線量分布を決定するステップを含み得る。操作は、また、最適化された線量分布を達成するためのように、制御点の形状および/または重み、および/または複数の放射線ビームの重みを最適化することにより、基準治療計画に含まれる制御点情報に基づいてウォームスタート最適化アルゴリズムを使用するようにして、新しい治療計画の少なくとも1つのビームの変調特性を決定するステップを含み得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と同じ患者のためのものであり得る。新しい治療計画は、基準計画が実行された患者と異なる患者のためのものであるあり得る。操作は、また、少なくとも1つの更新された医用画像を受け取るステップと、更新された医用画像のための更新された構造体セットを決定する、または、更新された構造体セットを受け取るステップと、更新された構造体セットと基準治療計画に含まれている構造体セットとの間の差異を決定するステップと、差異に基づいて修正された制御点情報を決定するステップであって、セグメントアパーチャモーフィングアルゴリズムを使用し、ウォームスタート最適化に対する修正された制御点情報を使用するステップとを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と同じ患者から更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。更新された医用画像を受け取るステップは、基準計画が実行された患者と異なる患者に対する更新された医用画像を受け取るステップを含み得る。基準治療計画は、所定の計画テンプレートに基づいており、新しい治療計画は、基準計画が実行された患者とは異なる患者のためのものであり得る。制御点情報は、複数の放射線ビームが変調されるマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含み得る。1つまたはそれ以上の線量制約値は、1つまたはそれ以上のリスク臓器(OAR)が受ける放射線量の制約を含み得る。新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、複数の放射線ビームが変調される最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのセットの形状を含み得る。新しい治療計画の少なくとも1つのビーム変調特性は、セット内の最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャにそれぞれ関連付けられた重み係数を含み、重み係数は、最適化されたマルチリーフコリメータアパーチャのそれぞれを介して送達される放射線線量の相対的比率を示し得る。
【国際調査報告】