(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
適切にPHRを行うこと。端末100において、PH算出部105は、ビーム毎のパワーヘッドルームを算出し、無線送信部108は、パワーヘッドルームの種別、又は、パワーヘッドルーム報告のトリガとなるトリガ条件に応じて決まる個数のビームに対するパワーヘッドルームを送信する。
前記種別は、少なくとも、上りデータチャネルの送信電力に基づいて算出される第1の種別のパワーヘッドルーム、及び、上り制御チャネルを含む上りチャネルの送信電力に基づいて算出される第2の種別のパワーヘッドルームを含み、
前記送信機は、M個のビームに対する前記第1の種別のパワーヘッドルームを送信し、前記Mより少ないM'個のビームに対する前記第2の種別のパワーヘッドルームを送信する、
請求項1に記載の端末。
前記トリガ条件は、前回の前記パワーヘッドルーム報告からのパスロスの変化量が閾値以上となる場合である第1の条件、及び、前回の前記パワーヘッドルーム報告のタイミングから所定時間経過した場合である第2の条件を含み、
前記送信機は、前記第1の条件を満たす場合には前記パスロスの変化量が前記閾値以上となるビームに対する前記パワーヘッドルームを送信し、前記第2の条件を満たす場合には全てのビームに対する前記パワーヘッドルームを送信する、
請求項1に記載の端末。
前記送信機は、前記種別の各々において、1個のビームに対する第1のパワーヘッドルームと、前記第1のパワーヘッドルーム以外の第2のパワーヘッドルームにおける、前記第1のパワーヘッドルームに対するオフセット値と、を送信する、
請求項1に記載の端末。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
LTEでは、端末は、CC(Carrier component)毎にPHを基地局へ報告する。PHは、基地局が端末の送信チャネルのスケジューリング(適応変調・チャネル符号化、閉ループ送信電力制御等)を行うために利用される。式(1)は、LTEで用いられるPUSCH(Physical Downlink Shared Channel)の送信電力に対するPH(Type 1 PH(PH
type1))の定義式を示す(例えば、非特許文献1を参照)。また、式(2)はPUSCHの送信電力を示す。
PH
type1 = P
cmax_type1 - P
pusch … (1)
P
pusch = 10log10 (M
pusch) + P
o_pusch+α・PL +Δ+ f … (2)
【0016】
式(1)及び式(2)において、P
cmax_type1はPUSCH送信時の端末の最大送信電力[dBm]を示し、M
puschはPUSCHの送信帯域幅[PRB]を示し、P
o_puschは基地局から予め設定されるパラメータ値[dBm]を示し、PLは端末が測定したパスロス(Path Loss)[dB]を示し、αはパスロスの補償割合を示す重み係数(予め設定される値)を示し、Δは送信するデータのMCS(Modulation and Coding Scheme)に依存したオフセット[dB]を示し、fは送信電力制御値(例えば、+3dBや-1dBなどの相対値)の過去を含めた加算値を示す。
【0017】
ここで、P
o_pusch、α、Δは、基地局から端末へ指示されるパラメータであり、基地局が把握できる値である。
【0018】
一方、PL及びfは、基地局が正確に把握することができない値である。具体的には、PLは端末において測定される値である。また、fは、基地局から端末へ指示されるパラメータではあるが、端末がその指示を受信できない場合(例えば、制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)を検出できない場合)がある。基地局は、端末が指示を正しく受信できたか否かを判断できないため、端末が基地局からの送信電力制御値の受信を一度でも失敗すると、端末と基地局との間の送信電力制御値(加算値)の認識が合わなくなる。以上より、基地局は、上り送信電力に関して端末と認識を合わせ、スケジューリングを適切に行うために、端末からのPHが必要となる(つまり、端末がPHRを行う必要がある)。
【0019】
また、LTEのPHRでは、基地局が規定した所定の条件(例えば、前回のPHRからの所定の経過時間した場合、及び、PLが閾値以上に変動する場合等)を満たす度に端末がPHRを行う。また、PHは、送信データのMAC(Medium Access Control)情報(例えば、6ビットの情報)としてPUSCHで送信される(例えば、非特許文献2を参照)。
【0020】
また、LTE-Advancedでは、端末は、PHRを行う場合、端末に設定されている全てのCCのPHを或るCCのPUSCHを用いて基地局へ送信する。しかし、基地局からPUSCHがスケジューリングされていないCC(送信フォーマット情報;ULの送信帯域幅、MCS情報が設定されないCC)では、端末は、式(1)、式(2)に従ってPUSCHの送信電力、PHを計算することができない。そこで、PUSCHがスケジューリングされないCCのPHを算出するために、式(2)に含まれるパラメータを所定の固定値とした計算式(Reference format又はVirtual formatと呼ばれる)が定義されている。
【0021】
また、LTE-Advancedでは、「Type 1 PHR」及び「Type 2 PHR」と呼ばれる2種類のPHRがサポートされている。Type 1 PHRは、式(1)に従って計算されるPUSCHベースのPH(Type 1 PH(PH
type1))の報告を行う。一方、Type 2 PHRは、式(3)に従って計算されるPH(Type 2 PH(PH
type2))の報告を行う。Type 2 PHRは、PUSCHとPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とのFDM(Frequency Division Multiplexing)時のPHRである。LTE-AdvancedにおいてPUSCHとPUCCHとのFDMが適用されるCCでは、端末は、上述した2種類のPHRによってPUSCHベースのType 1 PH(PH
type1)、及び、PUSCH+PUCCHベースのType 2 PH(PH
type2)を報告する。なお、PUCCH又はPUSCHのスケジューリングが無いCCでは、端末は、上述したReference formatを適用してPHを計算する。
PH
type2 = P
cmax_type2 - { P
pusch + P
pucch } … (3)
P
pucch = P
o_pucch + PL + h +Δ
pucch+ g … (4)
【0022】
式(3)において、P
cmax_type2はPUSCHとPUCCHとのFDM時の端末の最大送信電力[dBm]を示し、P
pucchはPUCCHの送信電力を示し、式(4)で表される。また、式(4)において、P
o_pccchは基地局から予め設定されるパラメータ値[dBm]を示し、Δ
pucch及びhは制御情報又はフレームフォーマットに依存したオフセット[dB]を示し、gは送信電力制御値の過去を含めた加算値を示す。
【0023】
なお、式(2)の「f」及び式(4)の「g」は、互いに独立して制御される値である。
【0024】
NRでは、少なくとも、ビーム毎のPL(beam specific PL)を用いて上り送信電力を計算することが合意されている(例えば、非特許文献3を参照)。つまり、NRでは、PUSCH及びPUCCHの送信電力は、式(5)、式(6)に示すように、ビーム毎のパスロス(ビーム番号Xのパスロス:PL
beam#x)を用いて計算されることが合意されている。
P
pusch = 10log10 (M
pusch) + P
o_pusch+α・PL
beam#x+Δ+ f … (5)
P
pucch = P
o_pucch + PL
beam#x+ h +Δ
pucch+ g … (6)
【0025】
ここで、ビーム毎とは、端末の送信指向性パターン毎、又は、端末の送信指向性パターンと基地局の受信指向性パターンとの組み合わせ(BPL(Beam Pair Links)とも呼ばれる)毎を意味する。
【0026】
なお、式(5)及び式(6)では、パスロス(PL
beam#x)がビーム毎に測定される場合を一例として説明しているが、パスロス(PL
beam#x)以外のパラメータについてもビーム毎に制御される可能性がある。
【0027】
また、式(5)及び式(6)に示すように、NRにおいてもLTEと同様に送信電力制御値(式(5)のf、式(6)のg)は、PUSCHとPUCCHとで独立に制御されることが合意されている(例えば、非特許文献4を参照)。
【0028】
このように、NRでは、ビーム毎のPL(beam specific PL)を用いて上り送信電力を計算するために、端末は、PHもビーム毎に報告する必要がある。また、NRでは、PUSCH又はPUCCHに応じたPH種別毎にPHRを行う必要がある。このため、NRでは、ビーム、チャネル毎に独立の送信電力制御を行う場合、それぞれに対応するPH種別を追加する必要がある。このため、NRでは、PHRのオーバーヘッドが増加してしまう課題がある。
【0029】
そこで、本開示の一態様では、ビーム送受信、送信されるチャネル等を考慮して、PHRのオーバーヘッドを低減してPHを報告する方法について説明する。
【0030】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の一実施の形態に係る通信システムは、端末100及び基地局200を備える。
【0031】
図1は本開示の実施の形態に係る端末100の一部の構成を示すブロック図である。
図1に示す端末100において、PH算出部105は、ビーム毎のパワーヘッドルーム(PH)を算出し、無線送信部108は、パワーヘッドルームの種別(PH種別)、又は、パワーヘッドルーム報告(PHR)のトリガとなるトリガ条件に応じて決まる個数のビームに対するパワーヘッドルームを送信する。
【0032】
[端末の構成]
図2は、本実施の形態に係る端末100の構成を示すブロック図である。端末100は、PHを基地局200へ送信する。
【0033】
図2において、端末100は、アンテナ101と、無線受信部102と、復調・復号部103と、送信電力制御部104と、PH算出部105と、データ生成部106と、符号化・変調部107と、無線送信部108と、を有する。
【0034】
無線受信部102は、アンテナ101を介して受信した受信信号に対して、ダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信信号を復調・復号部103へ出力する。
【0035】
復調・復号部103は、無線受信部102から入力される受信信号に対して復調及び復号を行い、復号結果から、基地局200から送信された端末100宛ての上りチャネルリソース情報、及び、送信電力情報を抽出する。復調・復号部103は、抽出した情報を送信電力制御部104に出力する。
【0036】
上りチャネルリソース情報には、例えば、端末100が上りチャネル(PUSCH及びPUCCH)を送信する、周波数リソース情報(例えば、送信帯域幅、送信帯域位置(PRB番号又はブロック番号等)、時間リソース情報(例えば、上りチャネルを送信するslot番号、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル番号等)が含まれる。
【0037】
また、送信電力情報には、例えば、上りチャネルの送信電力計算に用いるパラメータ、ビーム番号、送信電力制御情報(例えば、PUSCHに関する式(2)及びPUCCHに関する式(4)のパラメータ情報)等が含まれる。
【0038】
なお、全ての上りチャネルリソース情報又は送信電力情報が端末100に対して同時に通知される必要はない。例えば、送信電力情報の一部の情報はセル共通情報として、又は、準静的な通知情報として端末100に通知されてもよい。また、送信電力情報の一部の情報は、例えば、システム共通情報としてスペックで規定され、基地局200から端末100に通知されなくてもよい。
【0039】
送信電力制御部104は、復調・復号部103から入力される上りチャネルリソース情報及び送信電力情報に基づいて、上りチャネル(PUSCH又はPUCCH)の送信電力を計算する。具体的には、送信電力制御部104は、基地局200から指示されたビーム番号のビームに対するPLを測定する。そして、送信電力制御部104は、PUSCHの場合には式(5)に従い、PUCCHの場合には式(6)に従って上りチャネルの送信電力を計算する。そして、送信電力制御部104は、計算結果(送信電力を示す情報)をPH算出部105及び無線送信部109へ出力する。
【0040】
PH算出部105は、所定のトリガ条件(例えば、PL変化量が閾値以上の場合、又は、所定時間以上経過した場合)を満たす場合、式(1)及び式(3)に従って、Type 1 PH(PH
type1)及びType 2 PH(PH
type2)の2種類のPHを算出し、算出したPHを示すPH情報をデータ生成部106へ出力する。この際、PH算出部105は、各PH種別において、ビーム毎のPHを算出する。
【0041】
なお、PH算出部105は、式(3)に示すType 2 PHの代わりに、式(3)’に示すType 2 PH(PH
type2)を算出してもよい。
PH
type2 = P
cmax - P
pucch … (3)’
【0042】
また、PH算出部105は、PUSCH又はPUCCHの周波数・時間リソース情報が無いCCの場合(つまり、上りチャネルがスケジューリングされていないCCの場合)、予め定義されたReference formatを用いてPHを算出する。例えば、PUSCHの送信電力P
puschのReference formatは式(7)に示され、PUCCHの送信電力P
pucchのReference formatは式(8)に示される。
P
pusch = P
o_pusch +α・PL
beam#x + f … (7)
P
pucch = P
o_pucch + PL
beam#x+ g … (8)
【0043】
また、PH算出部105は、Type 1 PH及びType 2 PHに加え、送信電力制御値が独立に制御される新たな種別のPH(例えば、Type N1 PH、Type N2 PH等)を算出してもよい。
【0044】
また、PH算出部105は、例えば、PH種別に応じて、基地局200へ報告するビーム毎のPHの個数(すなわち、PHが報告されるビーム数)を決定し、決定した個数のPHを示すPH情報をデータ生成部106に出力する。
【0045】
なお、PH算出部105におけるPHの算出方法の詳細については後述する。
【0046】
データ生成部106は、端末100が送信するデータを生成する。データ生成部106は、PH算出部105から入力されるPH情報(例えば、MAC情報)を含めて送信データを生成し、生成した送信データを符号化・変調部107へ出力する。
【0047】
符号化・変調部107は、データ生成部106から入力される送信データを符号化及び変調し、変調後のデータ信号を無線送信部108に出力する。
【0048】
無線送信部108は、符号化・変調部107から入力される信号に対してD/A変換、アップコンバートを施し、得られた無線信号を、送信電力制御部104から入力される送信電力情報でアンテナ101から基地局200へ送信する。すなわち、PH種別に応じて決まる個数のPHが無線送信部108を介して送信される。
【0049】
[基地局の構成]
図3は、本実施の形態に係る基地局200の構成を示すブロック図である。基地局200は、端末100から送信されるPHを受信する。
【0050】
図3において、基地局200は、アンテナ201と、無線受信部202と、復調・復号部203と、スケジューリング部204と、制御情報生成部205と、符号化・変調部206と、無線送信部207とを有する。
【0051】
無線受信部202は、アンテナ201を介して受信した端末100からの信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信信号を復調・復号部203へ出力する。
【0052】
復調・復号部203は、無線受信部202から入力される受信信号を復調及び復号し、復号した信号をスケジューリング部204へ出力する。
【0053】
スケジューリング部204は、復調・復号部203から入力される信号(端末100から報告されたPHを含む)に基づいて、端末100の送信チャネルのスケジューリング(無線リソース割当、又は、送信電力制御等)を行う。この際、スケジューリング部204は、端末100から報告されたビームのPH情報に基づいて、端末100から報告されていない未報告のPH情報を推定する。スケジューリング部204におけるPH情報の推定方法の詳細については後述する。スケジューリング部204は、決定したスケジューリング情報を制御情報生成部205に出力する。
【0054】
制御情報生成部205は、スケジューリング部204からの指示に基づいて、端末100に通知するためのスケジューリング情報を含む制御信号を生成し、符号化・変調部206へ出力する。
【0055】
符号化・変調部206は、制御情報生成部205から入力される制御信号を符号化及び変調し、変調後の信号を無線送信部207へ出力する。
【0056】
無線送信部207は、符号化・変調部206から入力される信号に対してD/A変換、アップコンバート、増幅等の送信処理を施し、送信処理により得られた無線信号をアンテナ205から端末100へ送信する。
【0057】
[端末100及び基地局200の動作]
以上の構成を有する端末100及び基地局200における動作について詳細に説明する。
【0058】
図4は端末100(
図2)及び基地局200(
図3)の動作を示すシーケンス図である。
【0059】
基地局200は、端末100に対して、上りチャネルリソース情報及び送信電力情報を通知する(ST101)。
【0060】
端末100は、上りチャネルリソース情報及び送信電力情報に基づいて、ビーム毎のPHを算出する(ST102)。この際、端末100は、PH種別に応じて、基地局200へ報告するビーム毎のPHの個数(すなわち、PHを報告するビーム数)を設定する。
【0061】
そして、端末100は、ST102で算出されたPHを示すPH情報を基地局200へ報告する(ST103)。すなわち、端末100は、PH種別に応じて決まる個数のビーム毎のPHを基地局200へ送信する。
【0062】
基地局200は、ST103で端末100から報告されたPH情報に基づいて、PH情報として報告されていないビームに対応するPHを推定する(ST104)。これにより、基地局200は、各PH種別のビーム毎のPHを得る。そして、基地局200は、ST104で取得したPHを用いて、端末100のスケジューリングを行う(ST105)。
【0063】
[PH算出部105におけるPH算出方法]
次に、端末100のPH算出部105におけるPH算出方法(
図4に示すST102の処理)について詳細に説明する。
【0064】
PH算出部105は、PH種別(例えば、Type 1 PH、Type 2 PH等)に応じて、基地局200へ報告するビーム毎のPH(beam specific PH)の個数を設定する。
【0065】
以下、端末100に対してN個のビーム又はN個のビームペア(BPL)を設定可能な場合について説明する。
【0066】
PH算出部105は、以下の設定例1〜4のようにようにPH種別に応じて、基地局200へ報告するビーム毎のPH数を決定する。
【0067】
<設定例1:Type 1 PH = N, Type 2 PH = 1>
設定例1では、PH算出部105は、基地局200へ報告するType 1 PHの個数をN個に決定し、基地局200へ報告するType 2 PHの個数を1個に決定する。
【0068】
すなわち、PH算出部105は、少なくとも、ビーム#0〜#N-1にそれぞれ対応するPL
beam#x(x=0〜N-1)を用いてN個のPUSCHベースのType 1 PHを算出し、ビーム#n(nは0〜N-1の任意の整数)に対応するPL
beam#nを用いて1個のPUSCH+PUCCHベースのType 2 PHを算出する。
【0069】
これにより、端末100は、Type 1 PHをN個送信し、Type 2 PHを1個送信する。
【0070】
端末100から送信される1個のType 2 PHは、PH情報の送信に用いるPUSCHに適用されるビームに対応するPHでもよい。または、端末100から報告される1個のType 2 PHとして、PHRを行うタイミング毎に、送信されるType 2 PHに対応するビーム#1〜Nが順に切り替えられてもよい。
【0071】
なお、端末100からPHが報告されないビーム(ビーム#n以外のビーム)のType 2 PHは、基地局200において、N個報告されているType 1 PH及びビーム#nのType 2 PHに基づいて推定される(詳細は後述する)。
【0072】
このように、PHRにおいて端末100から基地局200へ報告されるType 2 PHの個数を削減することにより、PHRのオーバーヘッドを低減することができる。
【0073】
<設定例2:Type 1 PH = N, Type 2 PH = 1, Type N1 PH = 1>
NRでは、PUSCHベースのType 1 PH及びPUSCH+PUCCHベースのType 2 PHのPH種別の他に、新たなPH種別(例えば、Type N1 PH, Type N2 PH,…等)が追加される可能性もある。例えば、PUSCH、又は、PUSCH+PUCCHの他のチャネル又はチャネルの組み合わせに対するPHが新たなPH種別として定義されてもよい。
【0074】
そこで、設定例2では、一例として、Type 1 PH及びType 2 PHに加え、Type N1 PHが追加された場合について説明する。
【0075】
設定例2では、PH算出部105は、基地局200へ報告するType 1 PHの個数をN個に決定し、基地局200へ報告するType 2 PH及びType N1 PHの個数をそれぞれ1個に決定する。
【0076】
すなわち、PH算出部105は、設定例1と同様、少なくとも、ビーム#0〜#N-1にそれぞれ対応するPL
beam#x(x=0〜N-1)を用いてN個のPUSCHベースのType 1 PHを算出する。また、PH算出部105は、少なくとも、ビーム#n(nは0〜N-1の任意の整数)に対応するPL
beam#nを用いて1個のPUSCH+PUCCHベースのType 2 PHを算出し、ビーム#m(mは0〜N-1の任意の整数)に対応するPL
beam#mを用いて1個のType N1 PHを算出する。
【0077】
これにより、端末100は、Type 1 PHをN個送信し、Type 2 PHを1個送信し、Type N1 PHを1個送信する。
【0078】
なお、Type 2 PH及びType N1 PHとして算出(報告)されるPHは、同一のビーム(すなわち、n=m)に対応するPHでもよく、異なるビーム(すなわち、n≠m)に対応するPHでもよい。
【0079】
また、端末100からPHが報告されないビームのType 2 PH(ビーム#n以外のビーム)及びType N1 PH(ビーム#m以外のビーム)は、基地局200において、N個報告されているType 1 PH、ビーム#nのType 2 PH及びビーム#mのType N1 PHに基づいて推定される(詳細は後述する)。
【0080】
このように、PHRにおいて端末100から基地局200へ報告されるType 2 PH及びType N1 PHの個数を削減することにより、PHRのオーバーヘッドを低減することができる。
【0081】
<設定例3:Type 1 PH = M(M ≦ N), Type 2 PH = 1>
設定例3では、PH算出部105は、基地局200へ報告するType 1 PHの個数をM個(Mは、M ≦ Nを満たす整数)に決定し、基地局200へ報告するType 2 PHの個数を1個に決定する。
【0082】
PH算出部105は、少なくとも、ビーム#0〜#N-1のうち、M個のビームにそれぞれ対応するPLを用いてM個のPUSCHベースのType 1 PHを算出し、ビーム#n(nは0〜N-1の任意の整数)に対応するPLを用いて、1個のPUSCH+PUCCHベースのType 2 PHを算出する。
【0083】
これにより、端末100は、Type 1 PHをM個送信し、Type 2 PHを1個送信する。
【0084】
なお、M個のType 1 PHは、例えば、端末100がPUSCH送信に用いる可能性が高いM個のビーム候補に対するPHとしてもよい。ビーム候補とは、例えば、PH情報の送信に使用されるPUSCHに適用するビーム、及び、当該ビームの前後の隣接するビームを含むM個のビームとしてもよい。つまり、ビーム候補は、端末100において現在使用されているビーム、又は、直近に使用される可能性の高いビームを含めてもよい。よって、M個のType 1 PHには、少なくとも、PHの送信に使用されるPUSCHに適用されるビームに対するType 1 PH、及び、PUSCHに適用されるビームに隣接するビームに対するType 1 PHが含まれる。
【0085】
このように、設定例3によれば、端末100は、端末100に設定可能なN個のビームの中からM個のビーム候補を選択して、PHを報告することにより、PHRのオーバーヘッドをさらに低減できる。
【0086】
また、端末100に対して最適なビームが時間的に大きく変動しない場合、端末100に対して、N個のビームのうち、M個のビーム候補の何れかが設定される可能性が高い。換言すると、端末100に対して、N個のビームのうち、M個のビーム候補以外のビームが設定される可能性は低くいので、M個のビーム候補以外のビームに対するPHが報告されなくても、基地局200における受信性能の劣化を防止できるので、スケジューリング性能には影響が及ばない。
【0087】
<設定例4:Type 1 PH = M(M ≦ N), Type 2 PH = M'(M' ≦ N)>
設定例4では、PH算出部105は、基地局200へ報告するType 1 PHの個数をM個(Mは、M ≦ Nを満たす整数)に決定し、基地局200へ報告するType 2 PHの個数をM'個(M'は、M' ≦ Nを満たす整数)に決定する。
【0088】
すなわち、PH算出部105は、少なくとも、ビーム#0〜#N-1のうち、M個のビームにそれぞれ対応するPLを用いてM個のPUSCHベースのType 1 PHを算出し、M'個のビームにそれぞれ対応するPLを用いてM'個のPUSCH+PUCCHベースのType 2 PHを算出する。
【0089】
これにより、端末100は、Type 1 PHをM個送信し、Type 2 PHをM'個送信する。
【0090】
ここで、端末100の実装によっては、PUSCH送信に用いるビームと、PUCCH送信に用いるビームとが異なる可能性がある。この場合、基地局200では、他のPH種別のPHを用いて、或るPH種別の未報告のPHを推定できない。このため、端末100は、PH種別毎に複数のビームに対応するPHをそれぞれ報告する。
【0091】
また、設定例3と同様、M個のType 1 PHは、例えば、端末100がPUSCH送信に用いる可能性が高いM個のビーム候補としてもよい。同様に、M'個のType 2 PHは、例えば、端末100がPUSCH及びPUCCH送信に用いる可能性が高いM'個のビーム候補としてもよい。
【0092】
このように、設定例4によれば、端末100は、端末100に設定可能なN個のビームの中から、M個のビーム候補を選択してType 1 PHを報告し、M'個のビーム候補を選択してType 2 PHを報告することにより、PHRのオーバーヘッドをさらに低減できる。
【0093】
また、端末100に対して最適なビームが時間的に大きく変動しない場合、端末100に対して、N個のビームのうち、M個のビーム候補及びM'個のビーム候補の何れかが設定される可能性が高い。換言すると、端末100に対して、N個のビームのうち、M個のビーム候補及びM'個のビーム候補以外のビームが設定される可能性は低くいので、M個のビーム候補及びM'個のビーム候補以外のビームに対するPHが報告されなくても、基地局200における受信性能の劣化を防止できるので、スケジューリング性能には影響が及ばない。
【0094】
以上、設定例1〜4について説明した。
【0095】
なお、上述したPH種別毎の報告されるPH数は、基地局200が端末100のアンテナ条件に基づいて事前に設定されてもよい。または、PH種別毎の報告されるPH数は、端末100のアンテナ条件によって端末100又は基地局200において一意に設定されてもよい。例えば、PUSCHとPUCCHとのビーム構成が同一の端末100は、上記設定例1の設定を適用し、ビーム構成が異なる端末100は、上記設定例4の設定を用いてもよい。または、PH種別毎の報告されるPH数は、スペックによって一意に定義されてもよい。
【0096】
また、上述した設定例では、PHRを行うビーム数を定義したが、ビーム数の代わりに、PHRを行うビーム番号を複数の端末100に設定する方法でもよい。
【0097】
また、上述した設定例において、端末100は、N個のビームのうち、PH種別に応じて決まる個数のビーム毎のPHを算出してもよく、N個のビーム毎に算出されたPHのうち、PH種別に応じて決まる個数のPHを選択してもよい。
【0098】
[スケジューリング部のPH推定方法]
次に、基地局200のスケジューリング部204におけるPH推定方法(
図4に示すST104の処理)について詳細に説明する。
【0099】
一例として、端末100が、下式(9)〜(11)のビーム#0〜2のType 1 PH情報と、下式(12)のビーム#0のType 2 PH情報を報告し、基地局200が、未報告のType 2 PH情報(ビーム#1,#2)を推定する方法について説明する。
【0100】
なお、前提条件として、P
cmax_type1、α、fは、ビーム共通の値であり、P
o_pusch_beam#x、PL
beam#xはビーム固有の値とする。また、基地局200が未知の情報は、P
cmax_type1、PL
beam#x、f、gであり、その他の情報は、基地局200が既知のパラメータとする。
【0101】
具体的には、端末100は、式(9)〜(11)に示す3つのビーム#0,#1,#2のType 1 PHを基地局200へ報告する。
PH
type1_beam#0 = P
cmax_type1 - (P
o_pusch_beam#0 + α * PL
beam#0 + f) … ( 9)
PH
type1_beam#1 = P
cmax_type1 - (P
o_pusch_beam#1 + α * PL
beam#1 + f) … (10)
PH
type1_beam#2 = P
cmax_type1 - (P
o_pusch_beam#2 + α * PL
beam#2 + f) … (11)
【0102】
また、端末100は、式(12)に示す1つのType 2 PH(ビーム#0)を基地局200へ報告する。なお、式(12)はPUSCHとPUCCHとのFDM時の送信電力をベースとしたPHを示す。
PH
type2_beam#0 = P
cmax_type2 - (P
o_pusch_beam#0 + α * PL
beam#0 + f)
- (P
o_pucch_beam#0 + PL
beam#0 + g) … (12)
【0103】
そして、基地局200は、例えば、式(13)に従って、式(10)と式(9)とのPHの差に基づいてビーム#1とビーム#0との間のパスロス差(PL
beam#1 - PL
beam#0)を推定する。
PL
beam#1 - PL
beam#0
= { (PH
type1_beam#0 - PH
type1_beam#1) - (P
o_pusch_beam#0 - P
o_pusch_beam#1) } /α … (13)
【0104】
また、基地局200は、式(14)に従って、式(11)と式(9)との差からビーム#2とビーム#0との間のパスロス差(PL
beam#2 - PL
beam#0)を推定する。
PL
beam#2 - PL
beam#0
= { (PH
type1_beam#0- PH
type1_beam#2) - (P
o_pusch_beam#0 - P
o_pusch_beam#2) } /α … (14)
【0105】
そして、基地局200は、式(13)及び式(14)に従って推定したビーム間のパスロス差を用いて、未報告のType 2 PH情報(ビーム#2,#3)を以下のようにそれぞれ推定する。
PH
type2_beam#1= PH
type2_beam#0 - (α + 1) * (PL
beam#1 - PL
beam#0) … (15)
PH
type2_beam#2= PH
type2_beam#0 - (α + 1) * (PL
beam#2 - PL
beam#0) … (16)
【0106】
このように、基地局200は、端末100から報告されたType 1 PH情報のビーム間のパスロス差と、端末100から報告されたビームのType 2 PH情報と、を用いて、未報告のビームのType 2 PH情報を推定する。このように、基地局200は、未報告のビームのPHを、報告されたPHに基づいて推定することにより、端末100に設定可能なビーム毎のPHを全て取得することができる。これにより、全てのPH種別において全てのビームのPH情報が報告される場合と比較して、基地局200のスケジューリング性能を劣化させることなく、PHRのオーバーヘッドを低減することができる。
【0107】
なお、上述した前提条件に限定されなくても、PHRのオーバーヘッドの低減効果は得られる。例えば、上記前提条件では、送信電力制御情報のf、gが基地局200に対して未知の情報としたが、基地局200は、端末100に通知した送信電力制御値の累計を保持していれば、f、gの値を推定することは可能である。端末100がスケジューリング情報(UL grant)を受信できていない影響はあるが、その確率は1%程度なので、数dB程度の誤差が許容できれば推定可能である。
【0108】
このように、本実施の形態では、端末100は、ビーム毎のPHを算出し、PH種別に応じて決まる個数のビームに対するPHを基地局200へ送信する。これにより、PHRのオーバーヘッドを低減することができる。
【0109】
図5は、本実施の形態に係るPHRのオーバーヘッドの低減例を示す。
図5は、ビーム数3とし、Type 1 PH及びType 2 PHがそれぞれ報告される場合の情報量を示す。また、
図5では、ビーム毎のPHの情報量をそれぞれ6ビットとする。
【0110】
例えば、仮に、Type 1 PHR及びType 2 PHRにおいて全てのビームのPH情報が報告される場合には、Type 1 PH及びType 2 PHの報告にそれぞれ18ビット(6ビット×3ビーム)が使用され、合計36ビット必要となる。これに対して、本実施の形態によれば、Type 1 PH(式(9)〜式(11))の報告に18ビット(6ビット×3ビーム)が使用され、Type 2 PH(式(12))の報告に6ビット(6ビット×1ビーム)が使用され、合計24ビット必要となる。すなわち、本実施の形態によれば、全てのビーム毎のPHを報告する場合(36ビット)と比較して、PHRのオーバーヘッドが低減される。
【0111】
すなわち、複数ビームのPHRを、一部のPH種別(ここではType 1 PH)に限定することにより、スケジューリング性能の劣化を防止しつつ、PHRのオーバーヘッドを低減できる。よって、本実施の形態によれば、ビーム送受信、送信されるチャネルを考慮し、PHRのオーバーヘッドを低減してPHRを行うことができる。
【0112】
なお、本実施の形態では、一例として、端末100が、N個のビームのうち、Type 1 PHについてN個(またはM個)のビームのPHを報告するのに対して、Type 2 PHについて1個(またはM'個)のビームのPHを報告する場合について説明した。しかし、上述したビーム数(1個、M個、M'個)は一例であり、他の値でもよい。例えば、設定例1において、Type 2 PHの報告される数(例えば、M'個)は、Type 1 PHの報告される数(例えば、M個)より少なければ、PHRのオーバーヘッドを低減させることができる。
【0113】
また、本実施の形態では、Type 1 PHの報告数がType 2 PHの報告数よりも多い場合について説明したが、Type 2 PHの報告数がType 1 PHの報告数よりも多くてもよい。この場合、基地局200は、Type 2 PHを用いて、未報告のType 1 PHを推定すればよい。
【0114】
(実施の形態1の変形例)
変形例では、PHRにおける追加情報として、端末100は、基地局200が未知である、端末100の実際の最大送信電力情報(Actual P
cmax_type1、Actual P
cmax_type2)を通知してもよい。
【0115】
例えば、
図6に示すように、最大送信電力情報の情報量が、PHと同様に6ビットの場合、PH情報の合計の情報量は36ビットとなる。すなわち、全てのビームのPH情報が報告される場合(36ビット)と比較して、最大送信電力情報が新たに通知されているものの、合計の情報量は増加しない。また、基地局200は、端末100から通知される最大送信電力情報を用いることで、端末100のPHをより精度良く推定することができ、スケジューリング性能を向上できる。
【0116】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る端末及び基地局は、実施の形態1に係る端末100及び基地局200と基本構成が共通するので、
図2及び
図3を援用して説明する。
【0117】
本実施の形態では、端末100のPH算出部105の動作が実施の形態と異なる。
【0118】
[PH算出部105におけるPH算出方法]
端末100(PH算出部105)は、PHRのトリガ条件に応じて、基地局200へ報告するビーム毎のPHの個数(すなわち、PHを報告するビーム数)を設定する。すなわち、本実施の形態では、端末100は、PHRのトリガ条件に応じて決定される数のビーム毎のPHを基地局200へ報告する。
【0119】
ここで、PHRのトリガ条件としては、例えば、以下の2パターン(トリガ条件1,2)を含み、何れかの条件を満たす場合に端末100はPHRを行う。以下のトリガ条件1,2は、LTEで規定されたPHRのトリガ条件から、ビーム毎のPLを考慮してNR向けに拡張された条件である。
1.前回のPHRから所定時間以上経過し、かつ、前回のPHRの送信に用いたビーム毎のPLが閾値[dB]以上変化した場合
2.前回のPHRのタイミングから所定時間以上経過した場合
【0120】
なお、トリガ条件1の「所定時間」と、トリガ条件2の「所定時間」とは、同一であってもよく、異なってもよい。例えば、トリガ条件1の「所定時間」は、トリガ条件2の「所定時間」よりも短くてもよい。
【0121】
本実施の形態では、端末100は、トリガ条件1を満たす場合(前回PHRからのPLの変化量が閾値以上となる場合)、PLが閾値以上変化したビームに対するPHを基地局200へ送信する。また、この際、端末100は、基地局200へ報告するPHに対応するビーム番号を基地局200へ送信する。
【0122】
例えば、ビーム#xのPLが閾値以上変化した場合、端末100は、各PH種別のビーム#xのPH(例えば、PH
type1_beam#x, PH
type2_beam#x)、及び、ビーム番号#xを基地局200へ報告する。また、複数のビーム#x1, x2のPLが閾値以上変化した場合、端末100は、各PH種別の変化した複数のビームのPH(PH
type1_beam#x1, PH
type1_beam#x2, PH
type2_beam#x1, PH
type2_beam#x2)、及び、ビーム番号#x1, #x2を基地局200へ報告する。
【0123】
このように、端末100は、PHRのトリガ条件に応じて決まる個数のPHを基地局200へ報告する。
【0124】
これにより、トリガ条件1(PL変化によるトリガ条件)を満たす場合には、更新が不要なPHは報告されず、更新が必要なPHが報告されるので、PHRのオーバーヘッドを低減できる。また、トリガ条件1を満たす際、PLが閾値以上変化したビームのPHは基地局200へ報告され、基地局200は、報告されるPLを用いることにより、端末100に対するスケジューリング性能を向上できる。一方、PLが閾値以上変化していないビームのPHは基地局200へ報告されず、基地局200は、PLが閾値以上変化していないビームについては、前回報告されたPHを引き続き使用する。ただし、PLが閾値以上変化していないので、基地局200が前回報告されたPHを用いて、端末100の状況に応じた適切なスケジューリングが可能となるので、PHの未報告に起因してスケジューリング性能は劣化しない。
【0125】
一方、トリガ条件2を満たす場合(所定時間経過した場合)には、端末100は、各PH種別の全てのビームのPHを基地局200へ報告する。
【0126】
これにより、トリガ条件2を満たす場合には、基地局200において各PH種別の全てのビームのPHが更新されるので、スケジューリング性能の劣化を防止できる。
【0127】
なお、トリガ条件2を満たす場合、各PH種別の全てのビームのPHの報告方法として、実施の形態1で説明した方法を組み合わせてもよい。例えば、トリガ条件2を満たす場合、端末100は、全てのビームのType 1 PHと1つのビームのType 2 PHとを基地局200へ報告し、基地局200は、報告されたPHを用いて、未報告のPHを推定してもよい。
【0128】
また、PHRのデータ長を固定サイズにするために、トリガ条件1の場合に報告されるPH数(ビーム数)を限定してもよい。例えば、トリガ条件1の場合に報告されるPH数を1つのビームのPHに限定してもよい。この場合、1つのビームのPLが閾値以上変化した場合には、端末100は、PLが閾値以上変化したビームのPH及びビーム番号を報告する。一方、複数のビームのPLが閾値以上変化した場合には、端末100は、トリガ条件2と同様に全てのビームのPHを報告する。これにより、トリガ条件1を満たすビーム数によってPHRが様々なデータ長となることを防ぐことができる。さらに、端末100は、PHRのデータサイズを基地局200に指示するために、トリガ条件(トリガ条件1又はトリガ条件2)を1bitで通知してもよい。
【0129】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る端末及び基地局は、実施の形態1に係る端末100及び基地局200と基本構成が共通するので、
図2及び
図3を援用して説明する。
【0130】
本実施の形態では、端末100のPH算出部105及び基地局200のスケジューリング部204の動作が実施の形態と異なる。
【0131】
[PH算出部105におけるPH算出方法]
端末100(PH算出部105)は、PH種別の各々において、N個のビームのうち、1つのビームのPH(例えば、PH
type1_beam#0, PH
type2_beam#0とする)を算出する。また、端末100は、PHRが行われる1つのビーム以外の他のビームのPH(例えば、PH
type1_beam#1〜PH
type1_beam#N, PH
type2_beam#1〜PH
type2_beam#N)における、報告される1つのPH(PH
type1_beam#0, PH
type2_beam#0)に対するオフセット値(つまり、差分)を算出する。
【0132】
すなわち、端末100は、PH種別の各々において、1つのビームのPHと、上記1つのビームのPH以外のPHにおける、上記1つのビームに対するPHに対するオフセット値と、をPH情報として基地局200へ送信する。
【0133】
例えば、Type 1 PHにおいて、ビーム#0のPH(PH
type1_beam#0)(絶対値)が報告され、ビーム#1のPHのオフセット値が報告される場合、端末100は、PH
type1_beam#1のPH情報として、式(17)に示すオフセット値(PH
type1_beam#1_offset)を報告する。
PH
type1_beam#1_offset = PH
type1_beam#1- PH
type1_beam#0 … (17)
【0134】
ここで、オフセット値のサイズは、PHのサイズと比較して小さくする。例えば、PHの範囲は、LTEの場合、-23dB〜40dBであり、6ビットで送信される。これに対して、ビーム間のオフセット値は最大でも±10dB程度と考えられる。よって、オフセット値もPHと同様に1dB粒度の場合、10dB〜-10dBの範囲となり、オフセット値のサイズを5ビットに低減できる。
【0135】
なお、各PH種別において、オフセット値ではなく絶対値のPHを報告するビーム番号は、PUSCHに適用されるビームのビーム番号としてもよい。または、絶対値のPHを報告するビーム番号は、基地局200から予め指示されたビーム番号でもよく、スペックによって規定されたビーム番号でもよい。または、絶対値のPHを報告するビーム番号としては、PHの報告タイミング毎にビーム番号が順に切り替えられてもよい。
【0136】
[スケジューリング部204のPH推定方法]
次に、本実施の形態に係る基地局200のスケジューリング部204におけるPH推定方法について詳細に説明する。
【0137】
基地局200(スケジューリング部204)は、各PH種別(ここでは、一例としてType 1 PH)において、端末100から報告されたある1つのビームのPH(PH
type1_beam#0)と、その他のビームのオフセット値(PH
type1_beam#1_offset〜PH
type1_beam#N_offset)とを用いて、その他のビームのPH(PH
type1_beam#1〜PH
type1_beam#N)を計算する。絶対値が報告されていない(オフセット値が報告された)ビームのPH(ここでは、一例として、PH
type1_beam#1)は式(18)に従って計算される。
PH
type1_beam#1 = PH
type1_beam#1_offset+ PH
type1_beam#0 … (18)
【0138】
[効果]
このように、端末100は、各PH種別において、1つビームのPH(絶対値)と、PH(絶対値)よりもサイズが小さいPHのオフセット値とを報告する。これにより、全てのビームのPHが報告される場合と比較して、PHRのオーバーヘッドを低減できる。
【0139】
図7は、本実施の形態に係るPHRのオーバーヘッドの低減例を示す。
図7は、ビーム数3とし、Type 1 PH及びType 2 PHがそれぞれ報告される場合の情報量を示す。また、
図7では、ビーム毎のPH(絶対値)の情報量をそれぞれ6ビットとし、PHのオフセット値の情報量をそれぞれ5ビットとする。
【0140】
例えば、仮に、Type 1 PHR及びType 2 PHRにおいて全てのビームのPH情報が報告される場合には、Type 1 PH及びType 2 PHの報告にそれぞれ18ビット(6ビット×3ビーム)が使用され、合計36ビット必要となる。これに対して、本実施の形態によれば、Type 1 PH及びType 2 PHの各PH種別において、ビーム#0のPH(PH
type1_beam#0)の報告に6ビットが使用され、他のビーム#1、#2のPHのオフセット値(PH
type1_beam#1_offset、PH
type1_beam#2_offset)の報告に10ビット(5ビット×2ビーム)が使用され、合計32ビット必要となる。すなわち、本実施の形態によれば、全てのビーム毎のPHを報告する場合(36ビット)と比較して、PHRのオーバーヘッドが低減される。
【0141】
なお、本実施の形態は、実施の形態1と組み合わせてもよい。例えば、端末100は、Type 1 PHについては、本実施の形態で説明したように全てのビームのPHに関するPH情報(PHの絶対値及びオフセット値)を報告し、Type 2 PHについては、実施の形態1で説明したように、1つのビームのPH(絶対値)を報告する。この場合、基地局200は、実施の形態1で説明したように、未報告のType 2 PH情報を、端末100から報告されたType 1 PH情報及びType 2 PH情報から推定する。
【0142】
図8は、本実施の形態と実施の形態1とを組み合わせた場合のPHRのオーバーヘッドの低減例を示す。
図8は、
図7と同様、ビーム数3とし、Type 1 PH及びType 2 PHがそれぞれ報告される場合の情報量を示す。また、ビーム毎のPH(絶対値)の情報量をそれぞれ6ビットとし、PHのオフセット値の情報量をそれぞれ5ビットとする。
【0143】
図8に示すように、本実施の形態と実施の形態1とを組み合わせた場合、Type 1 PHについて、ビーム#0のPH(PH
type1_beam#0)の報告に6ビットが使用され、他のビーム#1、#2のPHのオフセット値(PH
type1_beam#1_offset、PH
type1_beam#2_offset)の報告に10ビット(5ビット×2ビーム)が使用される。一方、
図8に示すように、Type 2 PHについて、ビーム#0のPH(PH
type2_beam#0)の報告に6ビットが使用される。よって、本実施の形態と実施の形態1とを組み合わせた場合、合計22ビット必要となる。すなわち、本実施の形態と実施の形態1とを組み合わせることで、
図8に示すように、PHRの合計の情報量を、36ビットから22ビットに削減できる。
【0144】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0145】
なお、上述した「ビーム」は以下のように定義されてもよい。
(1)端末100の送信指向性パターン(アナログビームフォーミングを含む)
(2)基地局200の受信指向性パターン(アナログビームフォーミングを含む)
(3)端末100の送信指向性パターンと基地局200の受信指向性パターンとの組み合わせ(BPL)
(4)Precoding Matrix Indicator (PMI)
(5)Codebook番号
【0146】
また、NRでは、サービスタイプ毎(トラフィック毎とも呼ばれる)に独立の送信電力制御値が適用されることも検討されている。例えば、eMBBのサービスとURLLCのサービスとは要求される品質が異なるため、これらのサービスに対して送信電力制御は独立で行われることが考えられる。よって、サービスタイプに応じて上記実施の形態1〜3で説明したPHの報告方法を適用してもよい。例えば、実施の形態1の場合、端末100は、或るサービスに対してM個のPHを基地局200へ報告し、他のサービスに対してM'個(M'<M)のPHを基地局200へ報告してもよい。この場合、基地局200は、報告されたPHを用いて、未報告のPHを推定すればよい。
【0147】
なお、LTE-Advancedでは、TDD時でPUSCH/PUCCHが設定されず、UL CHとしてSRSのみを送信するCCでは、式(19)に示すType 3 PHを通知する。
PH
type3 = P
cmax_type3 - P
SRS … (19)
P
SRS = 10log10 (M
SRS) + P
o_SRS+α
SRS・PL + f
SRS … (20)
【0148】
式(19)及び式(20)において、P
cmax_type3はSRS送信時の端末の最大送信電力[dBm]を示し、M
SRSはSRSの送信帯域幅[PRB]を示し、P
o_SRSは基地局から予め設定されるパラメータ値[dBm]を示し、PLは端末が測定したパスロス(Path Loss)[dB]を示し、α
SRSはパスロスの補償割合を示す重み係数(予め設定される値)を示し、f
SRSは送信電力制御値の過去を含めた加算値を示す。
【0149】
NRにおいて、Type 3 PHもビーム毎のPLを用いて、ビーム毎のPHを通知する場合、Type 3 PHに対して、本実施の形態を適用してもよい。例えば、Type 3 PHとType N1 PH(新規追加されたPH種別)とを同時に報告する場合、端末100は、実施の形態1と同様にして、N個のビームに対するType 3 PHを通知し、1個のビームに対するType N1 PHを通知してもよい。また、端末100は、実施の形態2と同様にして、PHRのトリガ条件に応じて決定される数のビーム毎のType 3 PHを基地局200へ報告してもよい。また、端末100は、実施の形態3と同様にして、1つのビームに対するType 3 PHと、他のビームに対するType 3 PHにおける、その1つのビームに対するType 3 PHに対するオフセット値とをPH情報として基地局200へ報告してもよい。これにより、上記実施の形態と同様に、PHRのオーバーヘッドが低減できる。
【0150】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0151】
本開示の端末は、ビーム毎のパワーヘッドルームを算出する回路と、前記パワーヘッドルームの種別、又は、パワーヘッドルーム報告のトリガとなるトリガ条件に応じて決まる個数のビームに対する前記パワーヘッドルームを送信する送信機と、を具備する。
【0152】
本開示の端末において、前記種別は、少なくとも、上りデータチャネルの送信電力に基づいて算出される第1の種別のパワーヘッドルーム、及び、上り制御チャネルを含む上りチャネルの送信電力に基づいて算出される第2の種別のパワーヘッドルームを含み、前記送信機は、M個のビームに対する前記第1の種別のパワーヘッドルームを送信し、前記Mより少ないM'個のビームに対する前記第2の種別のパワーヘッドルームを送信する。
【0153】
本開示の端末において、前記M'は1であり、前記送信機は、前記パワーヘッドルーム報告のタイミング毎に、送信する前記第2の種別のパワーヘッドルームに対応するビームを切り替える。
【0154】
本開示の端末において、前記Mは、前記端末に設定可能なビームの最大数N以下であり、前記M個のビームに対する前記第1の種別のパワーヘッドルームには、前記第1の種別のパワーヘッドルームの送信に使用される前記上りデータチャネルに適用される第1のビームに対する前記第1の種別のパワーヘッドルーム、及び、前記第1のビームに隣接する第2のビームに対する前記第1の種別のパワーヘッドルームが含まれる。
【0155】
本開示の端末において、前記トリガ条件は、前回の前記パワーヘッドルーム報告からのパスロスの変化量が閾値以上となる場合である第1の条件、及び、前回の前記パワーヘッドルーム報告のタイミングから所定時間経過した場合である第2の条件を含み、前記送信機は、前記第1の条件を満たす場合には前記パスロスの変化量が前記閾値以上となるビームに対する前記パワーヘッドルームを送信し、前記第2の条件を満たす場合には全てのビームに対する前記パワーヘッドルームを送信する。
【0156】
本開示の端末において、前記送信機は、前記種別の各々において、1個のビームに対する第1のパワーヘッドルームと、前記第1のパワーヘッドルーム以外の第2のパワーヘッドルームにおける、前記第1のパワーヘッドルームに対するオフセット値と、を送信する。
【0157】
本開示の通信方法は、ビーム毎のパワーヘッドルームを算出し、前記パワーヘッドルームの種別、又は、パワーヘッドルーム報告のトリガとなるトリガ条件に応じて決まる個数のビームに対する前記パワーヘッドルームを送信する。