(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-534045(P2020-534045A)
(43)【公表日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】刺激装置リードのための撮像マーカ
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20201030BHJP
【FI】
A61N1/372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-512414(P2020-512414)
(86)(22)【出願日】2018年8月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月6日
(86)【国際出願番号】US2018045995
(87)【国際公開番号】WO2019060058
(87)【国際公開日】20190328
(31)【優先権主張番号】15/711,462
(32)【優先日】2017年9月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジアシュウ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルム,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スクビッツ,ショーン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】チャトゥルベーディ,アシュトシュ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ05
4C053JJ13
4C053JJ27
(57)【要約】
医療リードが、近位端から遠位端まで延びる長さと、長さに平行な長手方向軸と、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、電極領域を画定する複数の電極と、電極領域と近位端との間に位置決めされ、軸方向において或る距離だけ電極領域から離れた撮像マーカとを備える。撮像マーカは、1つまたは複数のマーカセグメントを含むことができる。撮像マーカは、本体を少なくとも部分的に取り囲み、撮像マーカを受けるための1つまたは複数のポケットを含むスリーブのポケット内に配設され得る。医療リードは、埋込み型医療デバイスに作動的に接続され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療リードであって、
近位端から遠位端まで延びる長さと、前記長さに平行な長手方向軸と、前記近位端に隣接した近位部分と、前記遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、
前記遠位部分において前記本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、
前記電極領域と前記近位端との間に位置決めされ、軸方向において或る距離だけ前記電極領域から離れた撮像マーカであって、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントを含む撮像マーカと、
を備え、
前記第1のマーカセグメントは、第1の中心点と、前記本体上の第1の弧を占有する第1のマーカ表面とを画定し、
前記第2のマーカセグメントは、第2の中心点と、中間弧によって前記第1の弧から離れた前記本体上の第2の弧を占有する第2のマーカ表面とを画定し、前記第2の中心点は、前記第1の中心点から約100°から約145°だけ径方向において離れている、医療リード。
【請求項2】
前記第1の中心点および前記第2の中心点は、径方向において約105°から約130°だけ離れている、請求項1に記載の医療リード。
【請求項3】
前記中間弧は、最大で約60°の角度を有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項4】
前記角度は、約10°から、約35°から約55°までである、請求項3に記載の医療リード。
【請求項5】
前記撮像マーカと前記電極領域との間の前記距離は少なくとも3.0mmである、請求項1に記載の医療リード。
【請求項6】
前記撮像マーカと前記電極領域との間の距離は約4.0mm以上である、請求項1に記載の医療リード。
【請求項7】
前記第1のマーカセグメントは遠位端を有し、前記第2のマーカセグメントは、第1のマーカの前記遠位端から軸方向に約2mm以内に位置決めされた近位端を有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項8】
前記第1のマーカセグメントは、前記本体に沿った第1の軸方向の位置を有し、前記第2のマーカセグメントは、前記本体に沿った第2の軸方向の位置を有し、前記第1の軸方向の位置および前記第2の軸方向の位置は重なり合わない、請求項1に記載の医療リード。
【請求項9】
前記第1の軸方向の位置および前記第2の軸方向の位置は互いに当接する、請求項8に記載の医療リード。
【請求項10】
前記撮像マーカは、前記本体の前記長手方向軸と同軸の円筒形表面に沿って配設される、請求項1に記載の医療リード。
【請求項11】
前記第1のマーカセグメントは、前記第2のマーカセグメントに最も近い第1の側縁を含み、前記第2のマーカセグメントは、前記第1のマーカセグメントに最も近い第2の側縁を含み、前記第1の側縁および前記第2の側縁は、前記中間弧に沿って測定したとき、約0.5mmから約2.5mm離れている、請求項10に記載の医療リード。
【請求項12】
前記第1のマーカ表面は第1の形状を有し、前記第2のマーカ表面は、前記第1の形状の鏡像である第2の形状を有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項13】
前記第1のマーカ表面は第1の形状を有し、前記第2のマーカ表面は、前記第1の形状と異なる第2の形状を有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項14】
前記第1のマーカセグメントおよび前記第2のマーカセグメントの一方または双方が、前記本体の前記長手方向軸に平行な約1mmから約4mmの長さを有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項15】
前記撮像マーカは、前記本体の前記長手方向軸に平行な約2mmから約8mmの長さを有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項16】
前記第1のマーカセグメントおよび前記第2のマーカセグメントのうちの一方または双方が、長手方向の面において三角形状の突起を有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項17】
前記第1のマーカセグメントおよび前記第2のマーカセグメントの一方または双方が、長手方向の面において、任意の線または点を中心に非対称の突起を個々に有する、請求項1に記載の医療リード。
【請求項18】
前記撮像マーカは放射線不透過性である、請求項1に記載の医療リード。
【請求項19】
前記本体を少なくとも部分的に取り囲み、前記第1のマーカセグメントおよび前記第2のマーカセグメントを受けるためのポケットを含むスリーブを更に備える、請求項1に記載の医療リード。
【請求項20】
前記第1のマーカセグメントおよび前記第2のマーカセグメントは、電気的絶縁層によって覆われる、請求項1に記載の医療リード。
【請求項21】
前記複数の電極は、セグメント化電極を含む、請求項1に記載の医療リード。
【請求項22】
医療リードであって、
近位端から遠位端まで延びる長さと、前記長さに平行な長手方向軸と、前記近位端に隣接した近位部分と、前記遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、
前記遠位部分において本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、
前記電極領域と前記近位端との間に位置決めされ、軸方向において少なくとも3.0mmだけ前記電極領域から離れ、少なくとも部分的に前記本体を取り囲み、前記本体上で約50°から約90°の弧を占有する撮像マーカであって、前記弧は前記本体の前記長手方向軸に対し垂直である、撮像マーカと、
を備える、医療リード。
【請求項23】
前記撮像マーカは、前記本体の前記長手方向軸に平行な長さと、第1の幅、および前記前記弧に沿って測定されたとき、前記第1の幅よりも大きい第2の幅とを有し、前記第2の幅は、約0.7mmから約1.0mmである、請求項22に記載の医療リード。
【請求項24】
組織を刺激するためのシステムであって、前記システムは、
埋込み型医療デバイスと、
前記埋込み型医療デバイスに作動的に接続された医療リードであって、前記医療リードは、
近位端から遠位端まで延びる長さと、前記長さに平行な長手方向軸と、前記近位端に隣接した近位部分と、前記遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、
前記遠位部分において前記本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、
前記電極領域と前記近位端との間に位置決めされ、軸方向において或る距離だけ前記電極領域から離れた撮像マーカであって、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントを含む、撮像マーカと、
を備え、
前記第1のマーカセグメントは、第1の中心点と、前記本体上の第1の弧を占有する第1のマーカ表面とを画定し、
前記第2のマーカセグメントは、第2の中心点と、中間弧によって前記第1の弧から離れた前記本体上の第2の弧を占有する第2のマーカ表面とを画定し、前記第2の中心点は、前記第1の中心点から約100°から約145°だけ径方向において離れている、医療リードと、
を備える、システム。
【請求項25】
前記中間弧は、最大で約60°の角度を有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記撮像マーカと前記電極領域との間の前記距離は少なくとも3.0mmである、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1のマーカセグメントは遠位端を有し、前記第2のマーカセグメントは、第1のマーカの前記遠位端から軸方向に約2mm以内に位置決めされた近位端を有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1のマーカセグメントおよび前記第2のマーカセグメントの一方または双方が、長手方向の面において、任意の線または点を中心に非対称の突起を個々に有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記撮像マーカは放射線不透過性である、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気刺激に用いられる埋込み型医療リードに関する。特に、本開示は、そのような埋込み型医療リードのための撮像マーカに関する。
【背景技術】
【0002】
神経学的刺激を用いて様々な病状が治療され得る。そのような病状は、例えば、疼痛、運動障害、てんかん、鬱病、骨盤底障害、胃不全まひ、および広範にわたる他の病状を含む。神経刺激システムは、電気刺激装置リードを有する埋込み型神経刺激装置を含むことができる。刺激装置リードは通常、複数の電極を含み、複数の電極は、患者の標的位置における構造または組織に刺激を送達するために、患者の特定の位置内にまたはこれに近接して埋め込まれ得る。いくつかの治療は、脳、脊髄または骨盤底の電気刺激を伴う。更に他の治療は、患者の他の部位の電気刺激を伴う。
【0003】
電気刺激治療の1つの例は、脳深部刺激(DBS)である。DBSは、脳の特定の領域内の神経構造に電気刺激を送達し、細胞活性を励起または抑制することを含む。DBSは、例えば慢性疼痛、パーキンソン病および本態性振戦等の運動障害、てんかん、ならびに鬱病および強迫神経症等の精神障害の管理において有効であり得る。通常、刺激装置リードは、磁気共鳴撮像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、X線透視撮像および定位撮像等の様々な撮像技法を用いて、脳内に相対精度で所望の位置に埋め込まれる。
【0004】
電極の各々がリード本体の全周、例えば円周の周りに延びない、セグメント化された電極列を有する刺激装置リードが、標的刺激または効率的なエネルギーの使用に望ましい場合がある。標的刺激に関して、セグメント化された列内の電極は、例えば、同種組織内で刺激する際に全ての放射方向において実質的に等しい、リング電極によって生成される刺激野と対照的に、リードから特定の放射方向にスキューされた刺激野を生成することができる。刺激野をこのように方向付けることができる能力により、他の領域を回避しながら、特定の刺激標的が活性化されることを可能にすることができる。この能力は、DBS、および他のタイプの刺激の場合に有利であり得る。
【0005】
電気刺激治療を用いて患者を治療するとき、医師は、埋込み型刺激装置リードによって患者に送達されることになる刺激を定義するために、いくつかのプログラム可能なパラメータの値を選択する。例えば、医師は、埋込み型リードによって保有される電極の組合せを選択することができ、選択された電極に極性を割り当てる。加えて、医師は、患者に送達されることになる刺激パルスの、電流振幅または電圧振幅であり得る振幅、パルス幅およびパルス繰返し数を選択する。電極の組合せ、電極の極性、振幅、パルス幅およびパルス繰返し数を含むパラメータのグループは、患者に送達されることになる神経刺激治療を駆動するという意味で、プログラムと呼ばれ得る。パラメータを選択する際、医師は、臨床効果と、患者が受ける副作用を最小限にすることとの平衡をとる必要がある場合がある。
【0006】
意図される位置に電気刺激を送達するため、および副作用を回避するために、患者(例えば患者の脳)内での刺激装置リードの正確な配置および向き付けが望ましい。いくつかの応用形態では、隣接する脳組織を刺激することなく非常に小さな標的部位に刺激を送達するように刺激装置リードを位置決めすることが望ましい。刺激が所望の標的部位に正確に送達されない場合、隣接エリアも刺激される場合があり、これにより効率が低減する場合がある。刺激装置リードを正確に配置し、向きを付ける能力に対する改善が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、電気刺激のために用いられる埋込み型医療リードに関する。詳細には、本開示は、そのような埋込み型医療リードのための撮像マーカに関する。
一態様によれば、医療リードは、近位端から遠位端まで延びる長さと、長さに平行な長手方向軸と、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、遠位部分において本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、電極領域と近位端との間に位置決めされ、軸方向において或る距離だけ電極領域から離れた撮像マーカであって、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントを含む、撮像マーカと、を備える。第1のマーカセグメントは、第1の中心点と、本体上の第1の弧を占有する第1のマーカ表面とを画定し、第2のマーカセグメントは、第2の中心点と、中間弧によって第1の弧から離れた本体上の第2の弧を占有する第2のマーカ表面とを画定する。第2の中心点は、第1の中心点から約100°から約145°だけ径方向において離れている。中間弧は、最大で約60°の角度を有することができる。撮像マーカと電極領域との間の距離は3mm以上であり得る。
【0008】
別の態様によれば、医療リードは、近位端から遠位端まで延びる長さと、長さに平行な長手方向軸と、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、遠位部分において本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、電極領域と近位端との間に位置決めされ、軸方向において少なくとも3.0mmだけ電極領域から離れた撮像マーカとを備える。撮像マーカは、少なくとも部分的に本体を取り囲み、本体上で約50°から約90°の弧を占有し、弧は本体の長手方向軸に対し垂直である。
【0009】
別の態様によれば、医療リードは、埋込み型医療デバイスに作動的に接続される。
一態様によれば、撮像マーカは電気的絶縁層によって覆われる。
1つの態様において、撮像マーカはスリーブ内に配設される。スリーブは、第1の開放端および第2の開放端と、第1の端部および第2の端部間を延び、中空の中心部を画定する管状壁と、中空の中心部を通って延びる長手方向軸とを有する管状本体、ならびに管状壁内に配設され、湾曲した横断面、および管状本体の第1の開放端における第1のアクセス開口部を有する第1のポケットとを備える。第1のポケットは、撮像マーカを受けるようなサイズにされ得る。スリーブは、第2の撮像マーカを受けるようなサイズにされた第2のポケットも含むことができる。第1のポケットおよび第2のポケットは、各々、長手方向の中心線を有することができ、長手方向の中心線は、管状本体の長手方向軸を中心として約100°から約140°離れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な脳深部刺激(DBS)システムの使用を示す概略図である。
【
図2】一実施形態による刺激装置リードの斜視図である。
【
図4】
図2の刺激装置リードにおける撮像マーカの角度配置を示す、刺激装置リードの断面図である。
【
図5】
図2の刺激装置リードにおける撮像マーカの相対的配置を示す、刺激装置リードの巻かれていない側面図である。
【
図6A】実施形態による、刺激装置リードにおける撮像マーカのレイアウトの巻かれていない側面図である。
【
図6B】実施形態による、刺激装置リードにおける撮像マーカのレイアウトの巻かれていない側面図である。
【
図6C】実施形態による、刺激装置リードにおける撮像マーカのレイアウトの巻かれていない側面図である。
【
図6D】実施形態による、刺激装置リードにおける撮像マーカのレイアウトの巻かれていない側面図である。
【
図6E】実施形態による、刺激装置リードにおける撮像マーカのレイアウトの巻かれていない側面図である。
【
図6F】実施形態による、刺激装置リードにおける撮像マーカのレイアウトの巻かれていない側面図である。
【
図7A】実施形態による、撮像マーカおよびマーカセグメントの斜視図である。
【
図7B】実施形態による、撮像マーカおよびマーカセグメントの斜視図である。
【
図7C】実施形態による、撮像マーカおよびマーカセグメントの斜視図である。
【
図7D】実施形態による、撮像マーカおよびマーカセグメントの斜視図である。
【
図7E】実施形態による、撮像マーカおよびマーカセグメントの斜視図である。
【
図7F】実施形態による、撮像マーカおよびマーカセグメントの斜視図である。
【
図8】実施形態による、刺激装置リードの斜視図である。
【
図9A】実施形態による、刺激装置リードのためのスリーブの斜視図である。
【
図10A】実施形態による、刺激装置リードのための撮像マーカを有するスリーブの斜視図である。
【
図11A】実施形態による、スリーブを有する刺激装置リードを外側被覆なしで示す。
【
図13】
図2の刺激装置リードと連結して用いられ得る例示的な医療デバイスの構成要素を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、医療リードの配置および向き付けを支援するための撮像マーカを含む電気刺激のために用いられる埋込み型医療リードに関する。
図面および付随する説明において、説明されるデバイスの要素を参照するために参照符号が用いられる。同じまたは類似の参照符号(例えば10および10’)は、明細書および図面全体を通じて、同じ要素を参照するために用いられる。
【0012】
「約」という用語は、本明細書において、当業者によって予期される、測定における通常変動を含めるために、数値と併せて用いられ、「概ね」と同じ意味を有し、述べた値の±5%等の一般的な誤差マージンをカバーするように理解される。
【0013】
「a」、「an」、および「the」等の用語は、単数のエンティティのみを指すことが意図されたものではなく、一般的な分類を含み、その特定の例が例示のために使用され得る。
【0014】
脳深部刺激のための刺激装置リードは、刺激電極を含むことができる。脳深部刺激デバイスおよびリードは、米国特許第7,668,601号(Hegland他)を含む当該技術において記載されている。米国特許第7,668,601号は、電気刺激信号の精度の改善のためにセグメント化電極を含む刺激装置リードについて記載している。
【0015】
複雑な電極アレイ形状を有する1つまたは複数のリードを組み込んだ埋込み型電気刺激装置は、電気刺激治療を患者に送達し、慢性疼痛、振戦、パーキンソン病、てんかん、尿失禁または便失禁、性機能不全、肥満または胃不全まひ等の様々な症状または状態を治療するのに用いられ得る。例えば、複雑な電極アレイ形状を介して刺激が送達され、脳深部刺激(DBS)、脊髄刺激(SCS)、骨盤刺激、胃刺激または末梢神経刺激等の様々な治療用途に役立つことができる。複雑な電極アレイ形状を介した刺激は、筋肉の動きを促進するか、または萎縮を防ぐための、筋肉刺激、例えば機能的電気刺激(FES)のためにも用いられ得る。加えて、刺激は、1つ、2つまたはそれ以上のリードを介して送達され得る。本開示全体を通じて、例示のために、刺激装置リードはDBSにおいて用いられるものとして説明されるが、この使用は本開示の限定とみなされるべきではない。
【0016】
DBSは、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病または運動障害等の疾患または障害として現れる脳内の機能不全の神経活動を治療するのに用いられ得る。電気刺激治療が脳のそのような状態を治療することが可能な理由を説明する厳密なメカニズムは完全に知られていないが、これらの疾病の症状は、刺激治療により弱められるかまたは取り除かれ得る。脳の特定の解剖学的領域は、脳障害の症状を生じる原因となっている。例えば、脳内の黒質と呼ばれる解剖学的領域を刺激することにより、患者が受ける振戦の数および大きさを低減することができる。他の例は、視床下核、淡蒼球内節、中間腹側核または不確帯の刺激を含む。刺激装置リードの実装中、医師は、リードを所望の領域の可能な限り近くに位置決めしようとする。
【0017】
DBSはいくつかの神経学的疾病の症状を低減することに成功することができるが、刺激は一般的に、望ましくない副作用も引き起こす場合がある。副作用は、失禁、うずき、平衡の喪失、まひ、不明瞭な発語、記憶喪失および多くの他の神経学的問題を含む場合がある。副作用は、軽度のものから重度のものがあり得るが、刺激が停止されると、ほとんどの副作用は回復可能である。DBSは、標的とされる解剖学的領域の付近の解剖学的領域に電気刺激パルスを不注意に与えることにより、1つまたは複数の副作用を引き起こす場合がある。
【0018】
いくつかの用途において、隣接する脳組織を刺激することなく非常に小さな標的部位に刺激を送達するように刺激装置リードを位置決めすることが望ましい。脳内等の身体の敏感なエリアにおいて、リードを正しく向き付けすることは、特に重要であるが、困難であり得る。リードの断面寸法は通常非常に小さく、リードの向きは、リードの断面寸法よりもわずかにのみ小さい分解能を有することができるCTスキャン等の撮像技法を用いて判定され得る。
【0019】
本開示は、リードの外周の周りの1つまたは複数の選択された方向において不均一な方式で刺激を提供することができる指向性リードのための改善された向きマーカを提供する。これらの向きマーカは、埋込み型リードの配置中、またはインプラントが配置された後に、一般的に用いられる撮像方法を用いて検出され得る。例示的な撮像方法は、磁気共鳴撮像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、X線、蛍光撮像、および(例えば、アイルランド共和国ダブリン所在のMedtronic,Inc.から入手可能なO−ARM(登録商標)による)定位撮像を含む。より容易にリードの向きを付けることにより、医師が関連脳構造または他の身体部分に対する電極の向きを特定するのに必要な時間を短縮することができる。本開示の刺激装置リードは、治療の利益を最大にしながら、刺激治療の副作用も低減することができる。
【0020】
図1は、実施形態による、使用中の刺激装置リード10の例示的な環境を示す。示される例では、治療システム1は、医療デバイスプログラマ14、埋込み型医療デバイス(IMD)16、リード延長部18、およびそれぞれの電極組42、46を有するリード10Aおよび10B(
図13は、電極42A、42B、42C、42Dおよび46A、46B、46C、46Dを示す)。
図1に示される例において、リード10A、10Bの電極42、46は、患者20の脳22の硬膜下の深部脳部位等の脳22内の組織部位に電気刺激を送達するように位置決めされる。いくつかの例において、視床下核、淡蒼球内節または視床等の脳22の1つまたは複数の領域への刺激の送達は、パーキンソン病または本態性振戦等の運動障害を管理するための有効な治療であり得る。
【0021】
IMD16は、それぞれリード10Aおよび10Bの電極42、46のサブセットを介して電気刺激治療を発生させ、患者20に送達する刺激発生装置を含む治療モジュールを含むことができる。患者20に電気刺激を送達するのに用いられる電極のサブセット42、46、および場合によっては、電極のサブセット42、46の極性は、刺激電極の組合せと呼ばれ得る。
【0022】
刺激装置リード10は、IMD16に接続される近位端101(例えば、
図2を参照)と、患者内に埋め込まれることが意図された遠位端102とを有する本体100を含む。刺激装置が脳のエリアを刺激するのに用いられるとき、刺激装置リード10の遠位端102は、例えば穿頭孔キャップを介して頭蓋の孔を通して挿入され得る。場合によっては、複数の領域を刺激するために2つ以上の刺激装置リード10が埋め込まれてもよい。例えば、いくつかの治療では、リードは
図1に示すような脳の2つの半球内に位置決めされ得る。
【0023】
図13は、例示的なIMD16の構成要素を示す機能ブロック図である。
図13に示す例では、IMD16は、プロセッサ40、メモリ51、刺激発生装置44、感知モジュール45、スイッチモジュール48、遠隔測定モジュール50および電源52を含む。メモリ51は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等、任意の揮発性または不揮発性媒体を含むことができる。メモリ51は、プロセッサ40によって実行されると、様々な機能をIMD16に実施させる、コンピュータ可読命令を格納することができる。
【0024】
図13に示される例では、メモリ51は、患者への刺激治療の送達を制御する治療プログラム54を格納する。格納された治療プログラム54はそれぞれ、刺激電極の組合せ、電極極性、電流または電圧振幅、パルス幅、およびパルス繰返し数等の、電気刺激パラメータのそれぞれの値の観点で治療の特定のプログラムを規定する。いくつかの例では、治療プログラムは、刺激を発生させるのに用いられてもよい治療プログラムのセットを規定する、治療群として格納され得る。治療群の治療プログラムによって規定される刺激信号は、重なり合うまたは重なり合わない(例えば、時間インターリーブされた)基準でともに送達され得る。
【0025】
刺激発生装置44は、格納されたプログラムまたは刺激パラメータのセットに従って電気刺激治療を発生させ、患者に送達することができる。刺激発生装置44は、単一チャネルまたはマルチチャネル刺激発生装置とすることができる。特に、刺激発生装置44は、単一の電極組合せを介して所与の時点において単一の刺激パルス、複数の刺激パルスもしくは連続信号を送達するか、または複数の電極組合せを介して所与の時点において複数の刺激パルスもしくは連続信号を送達することが可能であり得る。しかしながら、いくつかの例において、刺激発生装置44およびスイッチモジュール48は、時間インターリーブされた基準で複数のチャネルを送達するように構成することができる。例えば、スイッチモジュール48は、異なる時点において異なる電極組合せにわたって刺激発生装置44の出力を時分割し、刺激エネルギーの複数のプログラムまたはチャネルを患者12に送達する役割を果たすことができる。
【0026】
上記で論考したように、いくつかの例において、IMDは、プロセッサ40の制御下で生体電気脳信号を感知し、感知された生体電気脳信号をプロセッサ40に提供することができる感知モジュール45を含むことができる。プロセッサ40は、スイッチモジュール48を制御して、感知モジュール45を電極42、46の選択された組合せに結合することができ、これを通じてIMDは生体電気脳信号を感知することができる。感知された生体電気脳信号は、診断のために用いられ、患者の状態を判断し、疾病の進行を判断し、かつ/または閉ループ治療を制御する(例えば、閉ループ刺激を送達する)のに用いられ得る。
【0027】
遠隔測定モジュール50は、プロセッサ40の制御下で、IMD16と外部プログラマ14(
図1を参照)または別のコンピューティングデバイスとの間のワイヤレス通信をサポートする。IMD16のプロセッサ40は、プログラムの更新として、振幅および電極の組合せ等の様々な刺激パラメータの値を、遠隔測定モジュール50を介してプログラマ14から受信してもよい。治療プログラムの更新は、メモリ42の治療プログラム54部分内に格納されてもよい。IMD16の遠隔測定モジュール50、ならびにプログラマ14等の、本明細書に記載する他のデバイスおよびシステムの遠隔測定モジュールは、高周波(RF)通信技術による通信を遂行してもよい。それに加えて、遠隔測定モジュール50は、IMD16と外部医療用デバイスプログラマ14との近位側の誘導的相互作用を介して、このプログラマ14と通信してもよい。したがって、遠隔測定モジュール50は、継続的に、周期的間隔で、またはIMD16もしくはプログラマ14からの要求時に、情報を外部プログラマ14に送ることができる。
【0028】
電源52は、動作電力をIMD16の様々な構成要素に送達する。電源52は、動作電力を生成するための、小さい充電式または非充電式電池と発電回路とを含むことができる。充電は、外部充電器とIMD16内の誘導充電コイルとの間の近位側の誘導的相互作用を通して遂行され得る。いくつかの例では、電力要件は、IMD16が患者の運動を利用し、運動エネルギー排出デバイスを実現して充電式電池をトリクル充電することを可能にするのに十分に小さくてもよい。他の例では、限定された期間にわたって、従来の電池が使用されてもよい。
【0029】
図面に示されるように、DBSリードは、刺激装置リードの長手方向軸に沿って配置された1つまたは複数のリング電極を含むことができる。各リング電極は、リードの外周全体の周りに延びる。したがって、リング電極からの電流は、作動時に電極からの全ての方向において径方向に伝播する。結果として得られる刺激野は、全ての方向において特定の距離内の脳の解剖学的領域に達する。刺激野は、標的の解剖学的領域に達することができるが、標的でない解剖学的領域にも影響を及ぼし、望ましくない副作用を生じる場合がある。より複雑な電極アレイ形状を有するリードを埋め込むことは、副作用を減らしながら、刺激野をカスタマイズし、改善された治療を提供することに役立つことができる。複雑な電極アレイ形状の例は、リードの長さに沿って異なる軸方向の位置に、およびリードの周囲、例えば外周の周りの異なる角度位置に位置決めされた電極のアレイを含むことができる。複雑な電極アレイ形状は、リング電極に加えて、またはリング電極の代わりに、各リードの周辺の周りに複数の電極(例えば、部分リングまたはセグメント化電極)を含むことができる。このようにして、治療効率を向上させ、大量の組織を刺激することにより生じ得る有害な副作用を低減するために、電気刺激は、リードから特定の方向に方向付けられ得る。更なる例として、電極はパッド電極とすることができ、パッド電極は、パドルリードまたは円筒形リード上に保持され得る。このタイプの複雑な電極アレイ形状を用いることにより、刺激野は、より指向性に基づいて、より選択的に標的固有の解剖学的構造に送達され得る。特定の角度位置にある電極を選択することによって、刺激野は、リードの全ての側ではなくリードの1つの側に概ね限定され、刺激野をより指向性にすることができる。刺激野を正しい方向に位置決めすることを可能にするために、医師は、リードの向を検出できる必要がある。
【0030】
複雑な電極アレイ形状を有する例示的な刺激装置リード10が
図2に示されている。刺激装置リード10は、近位端101から遠位端102に延びる長さL100を有する本体100を含む。長手方向軸A100は、刺激装置リード10の本体100を通って長さL100に平行に延びる。本体100は、近位端101に隣接した近位部分110と、遠位端102に隣接した遠位部分120とを含む。刺激装置リード10は、遠位部分120において本体100に位置決めされた電極領域104を画定する複数の電極を含む。
【0031】
刺激装置リード10は、同じ電極領域、または刺激装置リード10の本体100に沿って配設され得る更なる電極領域内に、更なる電極を含むこともできる。本開示において、電極および電極領域への参照は、遠位部分120における電極領域104を指す。
【0032】
図2の例において、刺激装置リード10は、リードの長さに沿った異なる軸方向位置において4つの電極「レベル」を含む。各レベルは、概ねリング状に配置された電極を含み、リングのうちのいくつかは、複数の不連続電極セグメントから構成される。これらの電極は、セグメント化電極と呼ばれ得る。各電極は、刺激装置リード10内のそれぞれの電気導体に結合される。このため、刺激装置リード10は、リード10の近位端101からそれぞれの電極に延び、電極を、関連付けられた刺激電流発生装置の電気端子に電気的に結合する、複数の電気導体、例えば、ワイヤ、ケーブル等を含む。
【0033】
図1の例では、セグメントは断面を占有する列で配置されて示されているが、これは必ずしも当てはまらない。例えば、電極セグメントのうちのいくつかまたは全ては、任意の他の電極セグメントと異なる、リード本体に沿った異なる長手方向位置を占有することができる。1つの特定の例として、電極セグメントは、リード本体の長手方向軸の回りにらせんパターンで配置され得る。代替的に、セグメントは、リード本体の同じ断面を完全に占有しない「傾斜した」または「斜めの」リング状になっていてもよい。
図2は、いわゆる1−3−3−1構成を示し、第1の(最遠位)リング電極141はセグメント化された(3パーツ)電極142の2つの列に隣接し、そしてこれは第2のリング電極143に隣接する。他の例では、より多くのまたはより少ないリングが設けられてもよく、リングは、3−3−1−1リード等の異なる順序で配置されてもよい。別の構成では、リードはリング電極を含まない場合があるか、またはセグメント化電極を含まない場合がある。このため、電極は、リード10上に多くの方法で配置され得、
図2は1つの例示的な例である。
【0034】
セグメント化電極は、
図2の例において概ね円形の断面を有する、刺激装置リード10の外周の周りの様々な角度位置に位置決めされる。各電極は、刺激エネルギーが、様々な軸方向位置および角度位置においてリードから送達され得るように、独立して選択可能である。刺激装置リード10によって保持される電極の選択的活性化により、脳の標的解剖学的領域の周囲で刺激野を分離するために、刺激装置リード10の特定の側に方向付けられ得るカスタマイズ可能な刺激野を生成することができる。刺激装置リード10を用いて指向性のまたは不規則な刺激野を生成することは、電気刺激システム1が脳の特定の解剖学的領域をより効果的に治療することを可能にするのみでなく、単純な電極アレイ形状を有するリードによって生成される球形の刺激野と比べて、副作用を低減するかまたはなくすこともできる。
【0035】
実施形態によれば、刺激装置リード10は、電極領域104と近位端101との間に位置決めされた撮像マーカ200を含む。撮像マーカ200は、MRI、CT、X線、蛍光撮像、またはO−ARM(登録商標)スキャン等の撮像スキャンにおいて見えることを可能にする任意の適切な材料から作製され得る。撮像マーカ200は、複数の撮像モードに適した材料から構築され得る。例えば、撮像マーカ200は、放射線不透過性の材料から構築され得るかまたはこれを含み得る。適切な材料の例は、プラチナ、イリジウム、タンタル等、およびその混合物のような金属を含む。例えば、材料は、約75%から100%のプラチナ、もしくは約80%から約90%のプラチナ、約5%から約20%のイリジウム、もしくは約10%のイリジウム、および/または約5%から約20%のタンタル、もしくは約10%のタンタルを含むことができる。1つの実施形態において、撮像マーカは、約90%のプラチナおよび約10%のイリジウムから作製される。
【0036】
いくつかの実施形態では、撮像マーカ200は、本体100の長手方向軸A100と同軸の円筒形表面に沿って配設される。撮像マーカ200は、円筒形表面の輪郭を辿る湾曲形状を有してもよい。しかしながら、円筒形表面は、材料の1つまたは複数の層によって更に覆われてもよい。換言すれば、円筒形表面は、必ずしも本体100の外面ではない。
【0037】
撮像マーカ200は、好ましくは、刺激装置リード10の角度向きが、MRI、CT、X線、蛍光撮像およびO−ARM(登録商標)スキャンを含む撮像スキャンから検出され得るように位置決めおよび構成される。特定の3Dスキャン技法等の特定の撮像技法は、その分解能に起因して、撮像マーカに何らかの制限を課す。例えば、CTスキャンは、1mm×1mm×1mmの分解能で一般的に行われ、このため、1mmよりも小さい分解能を有する撮像マーカは、CTスキャンにおいて見逃され得る。CTスキャンは、画像の何らかのぼけを引き起こす散乱アーチファクトも引き起こす場合がある。特定の撮像マーカ構成は、この影響を回避することができることがわかっている。
【0038】
撮像マーカ200は、軸方向における距離D200だけ電極領域104から離れ得る。撮像マーカ200が導電性材料で作製されるいくつかの場合には、撮像マーカ200は、近傍の電極(例えば電極領域104内の最も近位の電極)によって活性化され、これにより結果として撮像マーカの周囲の望ましくない組織活性化が生じる場合がある。撮像マーカ200と電極領域104との間の距離D200は、撮像マーカ200の活性化を回避するのに十分であるように選択され得る。いくつかの実施形態では、撮像マーカ200は、少なくとも3.0mm、少なくとも3.5mm、少なくとも4.0mm、少なくとも4.5mm、少なくとも5.0mm、少なくとも5.5mm、または少なくとも6.0mmの距離D200だけ電極領域104から離れる。距離D200は、最大20mm、最大15mm、または最大10mmであり得る。撮像マーカ200は、更に、撮像マーカ200を覆う非導電性の材料(例えばポリマ)の層を設けることによって絶縁されてもよい。
【0039】
撮像マーカ200は、1つまたは複数のマーカセグメントを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、撮像マーカ200は第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220を含み、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、互いに離れ、別個であるようになっている(例えば、複数のセグメントはマーカ材料によって接続されず、互いに接触しない)。第1のマーカセグメント210は、
図5に示すように、幅W210と、第1の近位端211から第1の遠位端212まで延びる長さL210とを有し、第2のマーカセグメント220は、幅W220と、第2の近位端221から第2の遠位端222まで延びるL220とを有する。撮像マーカ200は、全体長さL200および全体幅W200を有し、その双方が、それぞれ、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の長さまたは幅、および第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220間の任意の間隙を含む。これらの寸法は
図5に示される。
図5は、リードの円筒形表面が「巻き解かれ(unrolled)」、平坦に広げられたかのような、リードの巻かれていない2次元(2D)ビューである。この図において、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の全体を同時に見ることができる。
【0040】
第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、本体100の長さに沿った軸方向において、および/または本体100の外周の周りの角度方向において、互いから離れ得る。第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の配置は、
図3A、
図3B、
図4および
図5に示される例示的な実施形態において実証される。
【0041】
第1のマーカセグメント210は、第1の中心点213(
図5)と、刺激装置リード10の本体100において角度α270(
図4)を有する第1の弧270を占有する第1のマーカ表面124とを有する。第2のマーカセグメント220は、第2の中心点223と、本体において角度β280を有する第2の弧280を占有する第2のマーカ表面224とを有する。「中心点」という用語は、ここでは、マーカセグメント表面の幾何学的中心(すなわち、重心、算術平均点)を指すのに用いられる。マーカセグメント表面が三角形である(例えば、長手方向面において三角形状の突起を有する)場合、幾何学的中心は、三角形の中線の交点を見つけることによって特定され得る。実施形態によれば、第1の弧270および第2の弧280は、
図3A、
図3Bおよび
図4に示されるように、中間弧290によって離れる。
【0042】
図3Aに示されるように、第1の中心点213は、第2の中心点223から分離角δ200だけ離れ得る。分離角δ200は、下限と上限との間で変動し得、下限は約95°、約100°、約105°または約110°であり、上限は、約150°、約145°、約140°、約135°または約130°である。
【0043】
第1の弧270および第2の弧280を分離する中間弧290は、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220間の間隙とも呼ばれ得る。間隙は、
図4に示すように、中間弧290に沿った(軸A100に対し垂直な)横方向における第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の最も近い点間の距離を指す。中間弧290(例えば、間隙)は、下限と上限との間で変動し得る間隙角γ200を有することができ、上限は、約65°、約60°、約55°、約50°または約45°であり、下限は、約0°、約5°、約10°、約15°、約20°、約30°または約40°である。中間弧290に沿った第1の弧270および第2の弧280間の距離D290は、下限と上限との間で変動し得、下限は0mm、1.0mmまたは2.0mmである。距離D290の上限は、約5.0mm、約4.0mm、約3.0mmまたは約2.0mmであり得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、角度方向において離れない(例えば、間隙角γ200は0°であり、距離D290は0mmである)か、または角度方向において重なり合う場合がある。
【0045】
図5は、互いに平行であるが、長手方向軸に対し或る角度をなす、互いに面する側縁を有する第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220を示す。第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220間の距離は、本体の弧に沿って、第1のマーカセグメント210の第1の側縁215から第2のマーカセグメント220の第2の側縁225までの最も短い(垂直)距離DP200としても測定され得る。距離DP200は、下限と上限との間で変動し得る。距離DP200の下限は、約2.0mm、約2.5mmまたは約3.0mmであり得る。距離DP200の上限は、約6.0mm、約5.0mmまたは約4.0mmであり得る。
【0046】
また、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、距離DA200だけ軸方向において互いから離れ得る。換言すれば、第1のマーカセグメント210は、本体100に沿って第1の軸方向位置を有することができ、第2のマーカセグメント220は、本体100に沿って第2の軸方向位置を有することができ、第1の軸方向位置および第2の軸方向位置は重なり合わないようになっている。第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220間の軸方向距離DA200は、下限と上限との間で変動し得、下限は約0mm、約1mmまたは約2mmであり、上限は約5mm、約4mmまたは約3mmである。1つの例示的な実施形態では、軸方向距離DA200は約2mmである。1つの実施形態において、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、軸方向に離れるのではなく、むしろ、第1の軸方向位置および第2の軸方向位置は互いに当接する。いくつかの実施形態では、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、軸方向において、最大で3mm、最大で2mmまたは最大で1mm重なり合うことができる。
【0047】
撮像マーカ200は、MRI、CT、X線、蛍光撮像またはO−ARM(登録商標)等の一般的に用いられる撮像技法のうちの任意の1つを用いるとき、刺激装置リード10の向きに関する情報を提供するようなサイズにされ得る。撮像マーカ200は、下限と上限との間で変動し得る全体長さL200を有することができ、下限は、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5.0mm、約5.5mmまたは約6.0mmであり、上限は、約12.0mm、約11.0mm、約10.0mm、約9.0mmまたは約8.0mmである。1つの例示的な実施形態では、撮像マーカ200の長さL200は、約5mmから6mmである。撮像マーカは、下限と上限との間で変動し得る全体幅W200を有することができる。幅W200の下限は、約2.0mm、約2.5mmまたは約3.0mmであり得る。幅W200の上限は、約6.0mm、約5.0mm、約4.5mm、約4.0mm、約3.5mmまたは約3.0mm等、最大で刺激装置リード10の外周寸法とすることができる。撮像マーカ200の幅W200は、撮像マーカ200が配設される円筒形表面に沿って測定されるか、または幅W200は、表面が、
図6Aから
図6Fに示すように刺激装置リード10から「剥離された」もしくは「巻き解かれた」平坦な表面として描かれているかのように、リードの長手方向軸に対し垂直な線に沿ったその平坦な表面に沿って測定され得る。
【0048】
撮像マーカ200が第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220を含む実施形態において、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、下限と上限との間で変動し得る長さL210、L220を独立して有することができる。長さL210、L220の下限は、約1.5mm、約2.0mm、約2.5mmまたは約3.0mmとすることができる。長さL210、L220の上限は、約5.0mm、約4.5mm、約4.0mm、約3.5mmまたは約3.0mmとすることができる。長さL210、L220は、本体100の長手方向軸A100に対し平行に測定される。第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、下限と上限との間で変動し得る幅W210、W220を独立して有することもできる。幅W210、W220の下限は、約1.0mm、約1.5mm、約2.0mmまたは約2.5mmであり得る。幅W210、W220の上限は、約4.0mm、約3.5mmまたは約3.0mmであり得る。幅W210、W220は、本体100の長手方向軸A100に対し垂直な方向において、表面214、215に沿って測定される。
【0049】
第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、形状が同一であるか、互いの鏡像であるか、または異なる形状を有するかのいずれかであり得る。1つの例示的な実施形態では、第1のマーカ表面214は第1の形状を有し、第2のマーカ表面224は、第1の形状と同じ第2の形状を有する。第2のマーカ表面224は、第1のマーカ表面と同じ向きにあり得るか、または異なる向きに回転され得る。別の例示的な実施形態では、第1のマーカ表面214は第1の形状を有し、第2のマーカ表面224は、第1の形状の鏡像である第2の形状を有する。更に別の例示的な実施形態では、第1のマーカ表面214は第1の形状を有し、第2のマーカ表面224は、第1の形状と異なる第2の形状を有する。第2のマーカ表面224が第1のマーカ表面214の形状と同じであるかまたはその鏡像である形状を有する場合、形状はその中心点223の回りで回転され得る。
図3A、
図3B、
図4および
図5に示される例示的な実施形態において、第2のマーカ表面224は、第1のマーカ表面214と同じであるが、第2のマーカセグメント220の中心点223の回りを180°回転された形状を有する。
【0050】
撮像マーカ200ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、任意の適切な形状を有することができる。撮像マーカ200ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の形状は、例えば
図5および
図6Aから
図6Fに示されるように、巻き解かれた図においてマーカの2次元形状として記載される。撮像マーカ200ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、例えば、矩形、三角形、または、規則的もしくは不規則的な、鋭角の角部もしくは丸められた角部を有する他の多角形形状であり得る。
【0051】
刺激装置リード10において使用可能な例示的なマーカセグメント1210、1220、200’、2210、2220、3210、3220、4210、4220、210および220が、
図6Aから
図6Fおよび
図7Aから
図7Fに示される。1つの実施形態において、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の一方または双方は、任意の線または点を中心に非対称な形状を個々に有する。
図2に類似した例示的電極配置が示され、セグメント化電極142は、第1のリング電極141および第2のリング電極143によって挟まれる。
【0052】
実施形態において、
図7Fに示すように、撮像マーカセグメント(第1のマーカセグメント210または第2のマーカセグメント220)は第1の幅W201および第2の幅W202を有し、第2の幅W202が第1の幅W201よりも大きく、撮像マーカセグメントの形状において横方向の突起202を作成するようになっている。例えば、第2の幅W202は、下限と上限との間で変動し得、下限は約0.5mm、約0.6mmまたは約0.7mmであり得、上限は約1.2mm、約1.1mmまたは約1.0mmであり得る。1つの例示的な実施形態において、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は三角形の形状である。例えば、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、長手方向の面(例えば、リード本体の長手方向軸に平行な面)において三角形の形状の突起を有することができる。1つの特定の実施形態において、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220の一方または双方が、(例えば丸められた角部を有する)直角三角形のような形状を有することができ、三角形の基部が第2の幅W202を有し、基部と反対側の三角形の「先端」が第1の幅W201を有するようになっている。第1のマーカセグメント210の基部は、第1のマーカセグメント210の近位端に配設され得、第2のマーカセグメント220の基部は、第2のマーカセグメント220(第1のマーカセグメント210の基部の反対側)の遠位端に配設され得、
図2に示すように、第1のマーカセグメント210の斜辺は第2のマーカセグメント220の斜辺に面している。第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、撮像マーカ200の他の部分によって接続されず(例えば、接続部材または接続バンドによって接続されず)、離れ、別個であり得る。
【0053】
撮像マーカ200ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、撮像マーカ200ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220が配設される円筒形表面の輪郭を辿る湾曲した横断面を有することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、医療リードは、単一の一体型撮像マーカ200’(
図7B)を含む。そのような医療リードの例示的な実施形態が
図6Bおよび
図8に示される。撮像マーカ200’は、下限と上限との間で変動し得る長さL200’を有することができ、下限は、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5.0mm、約5.5mmまたは約6.0mmであり、上限は、約12.0mm、約11.0mm、約10.0mm、約9.0mmまたは約8.0mmである。1つの例示的な実施形態では、撮像マーカ200’の長さL200’は約5から6mmである。撮像マーカは、下限と上限との間で変動し得る幅W200’を有することができ、下限は、約2.0mm、約2.5mmまたは約3.0mmであり、上限は、最大で刺激装置リード10の外周寸法であるか、または約6.0mm、約5.0mm、約4.5mm、約4.0mm、約3.5mmもしくは約3.0mmである。撮像マーカ200’の幅W200’は、撮像マーカ200’が配設される円筒形表面に沿って測定されるか、または幅W200’は、表面が、
図6Bに示すように刺激装置リード10から「剥離された」または「巻き解かれた」平坦な表面として描かれているかのように、その平坦な表面に沿って測定され得る。
【0055】
図7Bに示されるように、撮像マーカ200’は第1の幅W201’および第2の幅W202’を有し、第2の幅W202’は第1の幅W201’よりも大きく、撮像マーカ200’の形状において横方向の突起202’を生成するようになっている。
【0056】
図8は、刺激装置リード10’によって実施された単一の一体型撮像マーカ200’の例を実証する。刺激装置リード10’は、長さL100’を有する本体100’と、本体100’の長さに沿って配設された電極140(例えば、第1のリング電極141と第2のリング電極143との間に配置されたセグメント化電極142)とを含む。撮像マーカ200’は、電極140から近位方向に距離D200に配設される。
【0057】
いくつかの実施形態では、撮像マーカ200ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、キャリアもしくはスリーブ300内またはキャリアもしくはスリーブ300上に配設される。
図9Aから
図9Dは、スリーブ300の例示的な実施形態を示す。スリーブは、本体100を少なくとも部分的に取り囲むことができ、撮像マーカ200を本体100上に軸方向および径方向に位置決めし、撮像マーカ200を適所に保持するのに用いられ得る。スリーブ300は、撮像マーカ200または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220を受けるための1つまたは複数のポケット(例えば、第1のポケット310および第2のポケット320)を含むことができる。
【0058】
スリーブ300は、第1の開放端331および第2の開放端332を有する管状本体330を含む。スリーブ300は、第1の端部331および第2の端部332間を延び、中空の中心部334を画定する管状壁333を有する。長手方向軸A330は、管状本体330の中空の中心部334を通って延びる。
図9から
図9Dに示す例示的な実施形態では、スリーブ300は、第1のポケット310および第2のポケット320を含む。第1のポケット310は、厚みT333を有する管状壁333内に配設され、管状本体330の第1の開放端331に第1のアクセス開口部311を有する。第1のポケット310は、管状本体330の外側に面する前面314(
図9C)と、中空の中心部334に面する背面315とを有する。第2のポケット320は、管状本体330の外側に面する前面324(
図9B)と、中空の中心部334に面する背面325とを有する。第1のポケット310および第2のポケット320の前面314、324は、部分的に開放し得る。第1のポケット310および第2のポケット320は、管状本体の長手方向軸を中心とする弧を有する湾曲した横断面を有する。
【0059】
第1のポケット310のサイズおよび形状は、第1のマーカセグメント210等の撮像マーカを受けるように構築され得る。第1のポケット310は、第1の側面316および第2の側面317を有する空洞313を画定することができ、空洞313は、第1のアクセス開口部311から第1のポケット310の底部312まで軸方向に延びる。第1のポケット310のサイズおよび形状は、第1のマーカセグメント210のサイズおよび形状を反映するように構築され得る。例えば、ポケットは、マーカセグメントの長さを反映する、第1のアクセス開口部311および底部312間の長さと、マーカセグメントの幅を反映する、第1の側面316および第2の側面317間の幅と、マーカセグメントの湾曲を反映する湾曲とを有することができる。1つの実施形態では、第2の側面317の少なくとも一部分が、第1の側面316に対し角度を成して配設される。
【0060】
スリーブ300は、同様に管状壁333内に配設され、管状本体330の第2の開放端332に第2のアクセス開口部321を有する第2のポケット320を含むことができる。第2のポケット320は、第1のアクセス開口部321からポケットの底部322まで延びる空洞323を画定する。第2のポケット320のサイズおよび形状は、同様に、第2のマーカセグメント220のサイズおよび形状を反映することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のポケット310は第1のマーカセグメント210を受けるようなサイズにされ、第2のポケット320は第2のマーカセグメント220を受けるようなサイズにされる。
図10Aから
図10Dは、第1のポケット310および第2のポケット320に挿入された第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220を有するスリーブを示す。第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220が同じサイズおよび形状を有する場合、第2のポケット320も第1のポケット310と同じサイズおよび形状を有することができ、スリーブ300の管状本体330上の配置においてのみ異なり得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、第1のポケット310は第1の長手方向中心線319(
図9Aから
図9Dを参照)を有し、第2のポケット320は、下限と上限との間で変動し得る角度γ390だけ第1の長手方向中心線319から離れた第2の長手方向中心線329を有する。角度γ390である下限は、管状本体330の長手方向軸を中心に、約95°、約100°、約105°または約110°であり得、上限は、約150°、約145°、約140°、約135°または約130°であり得る。
【0063】
スリーブ300は、医療リードの本体100上または上方に嵌るようなサイズにされ得る。スリーブ300は、第1の開放端331および第2の開放端332のうちの1つから軸方向に延びる向き付け突起(orientation protrusion)340を更に含むことができる。向き付け突起340は、刺激装置リード10の製造中に本体100上でスリーブ300を向き付けするのに用いられ得る。
【0064】
スリーブ300ならびに/または第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220は、電気的絶縁層400によって更に覆われ得る。電気的絶縁層400は、例えば、ポリマ材料の外側被覆410であり得る。外側被覆410は、スリーブの上にのみ施されてもよく、または本体100全体にわたって施されてもよい。電気的絶縁層400に適したポリマ材料の例は、限定ではないが、ポリウレタンおよびポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)を含む。1つの実施形態において、外側被覆410は、55D、75D、または80Aデュロメータ(硬度)を有するポリウレタンから作製される。
【0065】
図11Aから
図11Dは、様々な製造段階の刺激装置リード10を示す。
図11Aおよび
図11Bは、電極140および電気接続と、リード上に配置されたスリーブ300とを含む本体の一部を示す。
図11Bは、スリーブ300の第1のポケット310および第2のポケット320に挿入された第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220も含む。
図11Cは、外側被覆410を仮想線で示す。
図11Dは、完成した刺激装置リード10を示し、ここで、外側被覆410は、電極140を露出した状態のままにしながら、第1のマーカセグメント210および第2のマーカセグメント220を覆う。
【0066】
実施例
実施例1
撮像マーカを有する刺激装置リードが本開示の実施形態に従って準備された。リードの角度向きを検出する能力がシミュレーションによって評価された。
【0067】
6つの異なるマーカ設計および2つの比較のための設計の撮像特性が、リード軸に対し垂直にリードに沿って取得されたスライスにおけるマーカの画像をシミュレートすることによって評価された。マーカM1およびM2は、それぞれ
図7Eおよび
図7Bに示される(
図6Bにも示される)形状を有する単一の撮像マーカであった。マーカM3からM6は、それぞれ
図6Cから
図6Fに対応する形状および配置を有する2パーツマーカであった。比較マーカC1およびC2は、各々がリード本体を一周して延び、リード本体の一方の側で2つのフープ間を軸方向に延びる部材によって接続される、2つのリング形状のフープを有する、フープ型マーカであった。第1の比較マーカC1は、三角形の接続部材を有し、第2の比較マーカC2は、矩形の接続部材を有した。
【0068】
マーカは、マーカに沿った画像内の差、およびこの差がリードの角度向きを検出するのに用いられ得るか否かに基づいて、低、中または高の異方性格付けを与えられる。結果は以下の表1に示される。
【0070】
実施例2
図6Fに示す設計による撮像マーカを有する刺激装置リードが、90/10プラチナ/イリジウムケーブルと、刺激装置リード上でマーカを保持する空洞内に適所に配置された90/10プラチナ/イリジウムマーカとを用いて準備された。刺激装置リードの画像は、リードがその長手方向軸に沿って回転される際に蛍光撮像を用いて記録された。様々な角度におけるリードの画像が
図12に示される。
【0071】
図6Fの撮像マーカ設計を用いて、刺激装置リードの向きが、リードの軸に沿って取得されたスキャンにおいて検出され得ることが観測された。
例示的な実施形態
実施形態1は、医療リードであって、近位端から遠位端まで延びる長さと、長さに平行な長手方向軸と、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、遠位部分において本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、電極領域と近位端との間に位置決めされ、軸方向において或る距離だけ電極領域から離れた撮像マーカであって、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントを含む、撮像マーカとを備え、第1のマーカセグメントは、第1の中心点と、本体上の第1の弧を占有する第1のマーカ表面とを画定し、第2のマーカセグメントは、第2の中心点と、中間弧によって第1の弧から離れた本体上の第2の弧を占有する第2のマーカ表面とを画定し、第2の中心点は、第1の中心点から約100°から約145°だけ径方向において離れている、医療リードである。
【0072】
実施形態2は、第1の中心点および第2の中心点が、径方向において約105°から約130°だけ離れている、実施形態1の医療リードである。
実施形態3は、中間弧が、最大で約60°の角度を有する、実施形態1または2のいずれかの医療リードである。
【0073】
実施形態4は、角度が、約10°から、約35°から約55°までである、実施形態3の医療リードである。
実施形態5は、撮像マーカと電極領域との間の距離が少なくとも3.0mmである、実施形態1から4のいずれかの医療リードである。
【0074】
実施形態6は、撮像マーカと電極領域との間の距離が約4.0mm以上である、実施形態1から5のいずれかの医療リードである。
実施形態7は、第1のマーカセグメントが遠位端を有し、第2のマーカセグメントが、第1のマーカの遠位端から軸方向に約2mm以内に位置決めされた近位端を有する、実施形態1から6のいずれかの医療リードである。
【0075】
実施形態8は、第1のマーカセグメントが、本体に沿った第1の軸方向の位置を有し、第2のマーカセグメントが、本体に沿った第2の軸方向の位置を有し、第1の軸方向の位置および第2の軸方向の位置は重なり合わない、実施形態1から7のいずれかの医療リードである。
【0076】
実施形態9は、第1の軸方向の位置および第2の軸方向の位置が互いに当接する、実施形態8の医療リードである。
実施形態10は、撮像マーカが、本体の長手方向軸と同軸の円筒形表面に沿って配設される、実施形態1から9のいずれかの医療リードである。
【0077】
実施形態11は、第1のマーカセグメントが、第2のマーカセグメントに最も近い第1の側縁を含み、第2のマーカセグメントが、第1のマーカセグメントに最も近い第2の側縁を含み、第1の側縁および第2の側縁が、中間弧に沿って測定したとき、約0.5mmから約2.5mm離れている、実施形態10の医療リードである。
【0078】
実施形態12は、第1のマーカ表面が第1の形状を有し、第2のマーカ表面が、第1の形状の鏡像である第2の形状を有する、実施形態1から11のいずれかの医療リードである。
【0079】
実施形態13は、第1のマーカ表面が第1の形状を有し、第2のマーカ表面が、第1の形状と異なる第2の形状を有する、実施形態1から12のいずれかの医療リードである。
実施形態14は、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントの一方または双方が、本体の長手方向軸に平行な約1mmから約4mmの長さを有する、実施形態1から13のいずれかの医療リードである。
【0080】
実施形態15は、撮像マーカが、本体の長手方向軸に平行な約2mmから約8mmの長さを有する、実施形態1から14のいずれかの医療リードである。
実施形態16は、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントのうちの一方または双方が、長手方向の面において三角形状の突起を有する、実施形態1から15のいずれかの医療リードである。
【0081】
実施形態17は、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントの一方または双方が、長手方向の面において、任意の線または点を中心に非対称の突起を個々に有する、実施形態1から16のいずれかの医療リードである。
【0082】
実施形態18は、撮像マーカが放射線不透過性である、実施形態1から17のいずれかの医療リードである。
実施形態19は、本体を少なくとも部分的に取り囲み、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントを受けるためのポケットを含むスリーブを更に備える、実施形態1から18のいずれかの医療リードである。
【0083】
実施形態20は、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントは、電気的絶縁層によって覆われる、実施形態1から19のいずれかの医療リードである。
実施形態21は、複数の電極は、セグメント化電極を含む、実施形態1から20のいずれかの医療リードである。
【0084】
実施形態22は、医療リードであって、近位端から遠位端まで延びる長さと、長さに平行な長手方向軸と、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、遠位部分において本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、電極領域と近位端との間に位置決めされ、軸方向において少なくとも3.0mmだけ電極領域から離れ、少なくとも部分的に本体を取り囲み、本体上で約50°から約90°の弧を占有する撮像マーカであって、弧は本体の長手方向軸に対し垂直である、撮像マーカとを備える、医療リードである。
【0085】
実施形態23は、撮像マーカが、本体の長手方向軸に平行な長さと、第1の幅、および弧に沿って測定されたとき、第1の幅よりも大きい第2の幅とを有し、第2の幅は、約0.7mmから約1.0mmである、実施形態22の医療リードである。
【0086】
実施形態24は、医療リードのためのスリーブであって、スリーブは、第1の開放端および第2の開放端を有する管状本体と、第1の端部および第2の端部間を延び、中空の中心部を画定する管状壁と、中空の中心部を通って延びる長手方向軸と、管状壁内に配設され、湾曲した横断面、および管状本体の第1の開放端における第1のアクセス開口部を有する第1のポケットとを備える、スリーブである。
【0087】
実施形態25は、ポケットが、管状本体の外側に面する前面と、中空の中心部に面する背面とを備え、前面が部分的に開放している、実施形態24のスリーブである。
実施形態26は、ポケットの湾曲した横断面が、管状本体の長手方向軸を中心とする弧を有する、実施形態24または25のいずれかのスリーブである。
【0088】
実施形態27は、第1のポケットが撮像マーカを受けるようなサイズにされる、実施形態24から26のいずれかのスリーブである。
実施形態28は、第1のポケットが、第1の側面および第2の側面を有する空洞を含み、各側面が第1のアクセス開口部からポケットの底部まで延び、第2の側面の少なくとも一部分が第1の側面に対し角度を成して配設される、実施形態24から27のいずれかのスリーブである。
【0089】
実施形態29は、管状壁内に配設され、管状本体の第2の開放端に第2のアクセス開口部を有する第2のポケットを更に含む、実施形態24から28のいずれかのスリーブである。
【0090】
実施形態30は、第1のポケットが第1の長手方向中心線を有し、第2のポケットが、管状本体の長手方向軸の回りで約100°から約140°だけ第1の長手方向中心線から離れた第2の長手方向中心線を有する、実施形態29のスリーブ。
【0091】
実施形態31は、第1のポケットが、第1の撮像マーカを受けるようなサイズにされ、第2のポケットが、第2の撮像マーカを受けるようなサイズにされる、実施形態29のスリーブ。
【0092】
実施形態32は、スリーブが、医療リードの本体の上方に嵌るようなサイズにされる、実施形態24から31のいずれかのスリーブである。
実施形態33は、第1の開放端および第2の開放端のうちの一方から軸方向に延びる向き付け突起を更に備える、実施形態24から32のいずれかのスリーブである。
【0093】
実施形態34は、組織を刺激するためのシステムであって、システムは、埋込み型医療デバイスと、埋込み型医療デバイスに作動的に接続された医療リードであって、医療リードは、近位端から遠位端まで延びる長さと、長さに平行な長手方向軸と、近位端に隣接した近位部分と、遠位端に隣接した遠位部分とを有する本体と、遠位部分において本体上に位置決めされた電極領域を画定する複数の電極と、電極領域と近位端との間に位置決めされ、軸方向において或る距離だけ電極領域から離れた撮像マーカであって、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントを含む、撮像マーカとを備え、第1のマーカセグメントは、第1の中心点と、本体上の第1の弧を占有する第1のマーカ表面とを画定し、第2のマーカセグメントは、第2の中心点と、中間弧によって第1の弧から離れた本体上の第2の弧を占有する第2のマーカ表面とを画定し、第2の中心点は、第1の中心点から約100°から約145°だけ径方向において離れている、医療リードとを備える、システムである。
【0094】
実施形態35は、中間弧が、最大で約60°の角度を有する、実施形態34のシステムである。
実施形態36は、撮像マーカと電極領域との間の距離が少なくとも3.0mmである、実施形態34または35のいずれかのシステムである。
【0095】
実施形態37は、第1のマーカセグメントは遠位端を有し、第2のマーカセグメントは、第1のマーカの遠位端から軸方向に約2mm以内に位置決めされた近位端を有する、実施形態34から36のいずれかのシステムである。
【0096】
実施形態38は、第1のマーカセグメントおよび第2のマーカセグメントの一方または双方が、長手方向の面において、任意の線または点を中心に非対称の突起を個々に有する、実施形態34から37のいずれかのシステムである。
【0097】
実施形態39は、撮像マーカが放射線不透過性である、実施形態34から38のいずれかのシステムである。
本発明の様々な実施形態が説明された。これらの実施形態および他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の適用範囲内にある。
【国際調査報告】