(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-534140(P2020-534140A)
(43)【公表日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】金属含有触媒の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 37/08 20060101AFI20201030BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20201030BHJP
B01J 37/30 20060101ALI20201030BHJP
B01J 29/78 20060101ALI20201030BHJP
C10G 45/64 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
B01J37/08
B01J37/04 102
B01J37/30
B01J29/78 M
C10G45/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-513590(P2020-513590)
(86)(22)【出願日】2018年8月30日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】US2018048684
(87)【国際公開番号】WO2019055219
(87)【国際公開日】20190321
(31)【優先権主張番号】62/558,893
(32)【優先日】2017年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】ウェンイー・フランク・ライ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ポドシャドゥウォ
(72)【発明者】
【氏名】チュアンシェン・バイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ダブリュー・ロナーガン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・エフ・バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ジェイ・マッカーシー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・エス・ロールマン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA08
4G169AA09
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4H129NA32
4H129NA35
4H129NA37
(57)【要約】
結合剤と、1種以上の卑金属及び/又は1種以上の貴金属の1種以上の前駆体と、ゼオライトの結晶とを含む触媒材料を押出形成するために、最終触媒の活性材料成分が混合物に添加される、触媒材料の製造方法が開示される。次いで、押出形成された触媒材料を事前焼成し、イオン交換し、次いで、最終焼成ステップを適用する。そのような方法によって製造された触媒材料は、触媒を使用して炭化水素流を処理する方法としても開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒材料の製造方法であって、
結合剤と、多孔性結晶質材料と、水と、Ni若しくはCo若しくはこれらの混合物である第1の卑金属の1種以上の前駆体と、Mo若しくはW若しくはこれらの混合物である第2の卑金属の1種以上の前駆体とを混合し、押出成形可能なペーストを形成すること;
前記ペーストを押出成形し、グリーン触媒押出物を形成し、水分を除去するために前記グリーン触媒押出物を乾燥させ、窒素雰囲気下で前記グリーン触媒押出物を予備焼成し、予備焼成押出物触媒材料を形成すること;
前記予備焼成押出物をイオン交換し、イオン交換押出物を得ること;及び
前記イオン交換押出物を焼成し、触媒材料を得ること
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記混合ステップが、1種以上の貴金属、Pt若しくはPd若しくはその両方の混合物の1種以上の前駆体をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔性結晶質材料が、ZSM−48、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−50、ZSM−57、ZSM−58、ゼオライトベータ、モルデナイト、MCM−68、MCM−22系材料、又はMCM−41、或いはそれらの2種以上の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔性結晶質材料が、ZSM−48、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−50、ZSM−57、ZSM−58、ゼオライトベータ、モルデナイト、MCM−68、MCM−22系材料、又はMCM−41、或いはそれらの2種以上の混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記MCM−22系材料が、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ERB−1、EMM−10、EMM−10−P、EMM−12、EMM−13、UZM−8、UZM−8HS、ITQ−1、ITQ−2又はITQ−30、或いはそれらの2種以上の混合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記MCM−22系材料が、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ERB−1、EMM−10、EMM−10−P、EMM−12、EMM−13、UZM−8、UZM−8HS、ITQ−1、ITQ−2又はITQ−30、或いはそれらの2種以上の混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記卑金属前駆体が、卑金属の硝酸塩、卑金属の炭酸塩、卑金属の塩化物塩、卑金属の酢酸塩、又は卑金属酸化物のアンモニウム塩、或いはそれらのいずれか2種以上の混合物の溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種の非金属前駆体が、七モリブデン酸アンモニウム又はタングステン酸アンモニウムの溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の非金属前駆体が、七モリブデン酸アンモニウム又はタングステン酸アンモニウムの溶液である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン交換ステップが、アンモニウム交換触媒材料を形成するために硝酸アンモニウム溶液、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム又は酢酸アンモニウム溶液を使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結合剤が、アルミナ結合剤、シリカ結合剤、チタニア結合剤、セリア結合剤又はジルコニア結合剤、或いはそれらのいずれかの2種以上の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アルミナ結合剤は、擬似ベーマイトミクロ構造を有するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合剤がドーパントをさらに含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ドーパントが、マグネシア又はリン又はランタンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記焼成押出物触媒材料が、0.05〜60%の全卑金属、1%〜99%の量のゼオライト又はその混合物を含有し、且つ残りの重量が結合剤である、請求項1に記載の方法によって調製される触媒。
【請求項16】
前記卑金属がNi又はCo及びW又はMoであり、且つ前記触媒が0.05〜20%のNi及び0.5〜20%のWを含有するか、又は前記触媒が0.05〜20%のNi及び0.5〜20%のMoを含有するか、又は前記触媒が0.05〜20%のCo及び0.0〜20%のMoを含有する、請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
前記卑金属がW又はMo及びNiであり、且つ前記触媒が1.0〜5.0%のNi/3.0〜15.0%のW又は1.0〜5.0%のNi/3.0〜15.0%のMoを含有する、請求項15に記載の触媒。
【請求項18】
炭化水素供給原料の脱蝋方法であって、前記炭化水素供給原料を請求項15に記載の触媒と接触させることを含んでなる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、金属含有触媒の調製方法、そのようにして調製された触媒、及び触媒の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの石油化学的プロセスには触媒が利用される。例えば、硫黄化合物の除去及び脱蝋には、モレキュラーシーブの異性化活性が必要とされ、且つ水素化脱硫/水素化脱アミノ化(HDS/HDN)では元素金属の化学が利用される。高レベルのHDS/HDN活性を達成するためには、典型的に高濃度、すなわち、数重量%の元素金属(Co/Mo、Ni/Mo又はNi/W)が必要とされる。元素金属は、典型的に、モレキュラーシーブ/結合剤押出物上への初期湿潤含浸を使用して適用されている。
【0003】
また、多くの商用触媒は、大細孔体積及び大表面積活性材料又は担体を含有する。いくつかの用途に関して、これらの材料は、担体が調製された後、例えば、押出成形後に、触媒活性金属の含浸を必要とし得る。
【0004】
典型的な含浸プロセスには、所望の金属の塩の溶液の調製、及び例えば噴霧による担体上への溶液の適用、次いで、水分除去のための担体の乾燥、及び金属塩を分解し、且つ活性金属中心を形成するための焼成が必要とされる。これらの含浸ステップは、製造スキームに追加コスト及びプロセス時間を加える。
【0005】
高い金属濃度で良好な金属分散を達成することは困難であり、押出物細孔目詰まり及び金属凝集/不均等分布が導かれ得る。細孔目詰まりによってゼオライトの有効性が減少する可能性があり、他方、金属凝集は水素処理(HDT)の有効性を減少させる可能性がある。したがって、良好な性能を達成するためには、元素金属による含浸時に完全に目詰まりしない十分大きい細孔径による出発元素押出形成の最適化が必要とされる。実行可能ではあるが、空隙率の増加によって、機械的完全性の減少も導かれる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、これらの触媒における大きい細孔体積のため、含浸の間に吸収された水分を注意深く除去するために、さらなる注意及び乾燥プロセスの最適化が必要とされ得る。含浸では、典型的に、押出物全体で可能な限り均一に金属を分布するために押出物飽和レベルまで金属含有溶液を噴霧することが必要とされ、これは高度に多孔性の担体に関して、高い水分取り込みをもたらす可能性がある。金属の不十分な分布を防ぐために、乾燥プロセスは乾燥速度に関して最適化されなければならない。含浸溶液体積又は最適でない乾燥速度の不正確な算出によって、活性金属の不均等分布及び仕上げ触媒の不十分な性能が導かれる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
触媒材料の断面全体で元素金属の分布が改善され、結果として触媒性能の改善がもたらされる触媒材料の調製方法が開示される。
【0008】
したがって、本明細書において開示される方法の一態様は、触媒材料の製造方法であって、
結合剤と、多孔性結晶質材料と、水と、卑金属Ni若しくはCo若しくはその両方の混合物の1種以上の前駆体とを混合し、押出成形可能なペーストを形成すること;
ペーストを押出成形し、グリーン触媒押出物を形成すること;
グリーン触媒押出物を予備焼成し、予備焼成押出物を形成すること;
予備焼成押出物をイオン交換し、イオン交換押出物を得ること;及び
イオン交換押出物を焼成し、触媒材料を得ること
を含んでなる方法である。
【0009】
混合ステップは、1種以上の卑金属、W若しくはMo若しくはその両方の混合物の1種以上の前駆体をさらに含んでなることができる。混合ステップは、1種以上の貴金属、Pt若しくはPd若しくはその両方の混合物の1種以上の前駆体をなおさらに含んでなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A-1B】
図1A及び1Bは、それぞれ実施例2に従って調製され、且つ1重量%のNi及び5重量%のWを有するグリーン押出物及び仕上げ押出物の写真である。
【
図2】
図2は、実施例3において調製され、且つ2重量%のNi及び10重量%のWを有する仕上げ触媒の写真である。
【
図3】
図3は、実施例5Aにおいて調製された2重量%のNi及び6重量%のMoを有する酢酸アンモニウム交換触媒の写真である。
【
図4】
図4は、実施例5Bにおいて調製された2重量%のNi及び6重量%のMoを有する硝酸アンモニウム交換触媒の写真である。
【
図5】
図5は、実施例6において調製された1重量%のNi及び5重量%のMoを有する塩化アンモニウム交換触媒の写真である。
【
図6】
図6は、従来の押出成形後含浸(実施例1)に対して「ミューラー金属添加」方法(実施例2〜5)によって調製された触媒のデイズオンストリーム(DOS)及びRXR温度に対するHDS触媒活性の比較を示す。
【
図7】
図7は、従来の押出成形後含浸(実施例1)に対して「ミューラー金属添加」方法(実施例2〜5)によって調製された触媒のデイズオンストリーム(DOS)及びRXR温度に対するHDN触媒活性の比較を示す。
【
図8】
図8は、HPHT精製所供給原料における従来の押出成形後含浸(実施例1)に対して「ミューラー金属添加」方法(実施例2〜5)によって調製された触媒の脱蝋活性の比較を示す。
【
図9】
図9は、HPHT精製所供給原料における従来の押出成形後含浸(実施例1)に対して「ミューラー金属添加」方法(実施例2〜5)によって調製された触媒の脱蝋活性の第2の比較を示す。
【
図10A-10B】
図10A及び10Bは、実施例4において調製された触媒の第1の小片に関する重量%のNi−K EDSマップ及び重量%のW−L EDSマップのイメージをそれぞれ示す。
【
図11A-11B】
図11A及び11Bは、実施例4において調製された触媒の第2の小片に関する重量%のNi−K EDSマップ及び重量%のW−L EDSマップのイメージをそれぞれ示す。
【
図12A-12B】
図12A及び12Bは、実施例4において調製された触媒の第3の小片に関する重量%のNi−K EDSマップ及び重量%のW−L EDSマップのイメージをそれぞれ示す。
【
図13A-13B】
図13A及び13Bは、実施例4において調製された触媒の第4の小片に関する重量%のNi−K EDSマップ及び重量%のW−L EDSマップのイメージをそれぞれ示す。
【
図14A-14B】
図14A及び14Bは、実施例4において調製された触媒の第5の小片に関する重量%のNi−K EDSマップ及び重量%のW−L EDSマップのイメージをそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示の方法によって、押出成形後の金属含浸のコストのかかるステップを排除することによる高品質卑金属含有モレキュラーシーブ押出物を製造するための従来のルートの代替が提供される。本開示による卑金属含有押出物は、多孔性結晶質材料、結合剤及び金属前駆体を含有するミューラー混合物を押出成形する1ステッププロセスによって調製される。結果として生じるグリーン押出物を予備焼成し、イオン交換し、蒸気処理し(卑金属コーティング触媒を製造するための選択肢)、且つ空気焼成して、追加的な金属含浸ステップを行わずに仕上げ触媒を製造する。異なる組合せ及び濃度のNi/W及びNi/Moを含有する押出物が実証されている。予備焼成押出物をイオン交換することについては、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及び塩化アンモニウム溶液を使用して評価された。ミューラー添加によって調製された実施例の触媒は蒸気処理されなかったが、この処理を適用することができる。
【0012】
開示の方法は、金属装てんの減少、金属分散の潜在的増加及び仕上げ触媒の物理的完全性の増加を可能にする。これら全てによって、製造コストの削減、性能(HDT及び脱蝋)増加並びに取引先に対する価値ある提案の増加を導くことが可能である。
【0013】
サワーサービス脱蝋では、モレキュラーシーブの異性化活性及び卑金属のHDS/HDN作用が必要とされる。高レベルのHDS/HDN活性を達成するためには、典型的に高濃度、すなわち、数重量%の卑金属(Co/Mo、Ni/Mo又はNi/W)が必要とされる。卑金属は、典型的に、ゼオライト/結合剤押出物上への初期湿潤含浸を使用して適用される。高い金属濃度で良好な金属分散を達成することは困難であり、押出物細孔目詰まり及び金属凝集/不均等分布が導かれ得る。細孔目詰まりによってモレキュラーシーブの有効性が減少する可能性があり、他方、金属凝集はHDTの有効性を減少させる可能性がある。したがって、全触媒性能に対するこのような損害を最小化するために細孔目詰まりを回避するためには、卑金属による含浸時に完全に目詰まりしない十分大きい細孔径による出発元素の押出形成の最適化が必要とされる。実行可能であるが、空隙率の増加によって、機械的完全性の減少も導かれる可能性がある。
【0014】
改善された物理特性及び触媒特性、並びに潜在的により低い製造コストを有するサワーサービス脱蝋触媒を調製するための別の方法が開示される。開示の方法は、押出成形の前にモレキュラーシーブ、結合剤及び水と一緒に卑金属塩前駆体を混合することを含む(「ミューラー添加」)。この手順によって、押出成形後の金属含浸と関連する追加的なステップが排除されるため、製造時間及び追加的なプロセスコストが削減される。
【0015】
一実施形態において、本開示の方法は、ZSM−48ゼオライトを含むサワーサービス脱蝋触媒を調製するために適用される。触媒は、異なる組合せの卑金属、すなわち、NiW及びNiMoを用いて、且つ高表面積/小細孔結合剤を使用して調製された。金属及び結合剤の他の組合せも使用することができる。比較のために、低表面積/大細孔径結合剤を用い、且つ押出成形後含浸プロセスを使用して参照触媒を配合した。
【0016】
種々の組合せの金属組成物及び濃度(参照よりも低い金属濃度を含む)で調製された「ミューラー添加触媒」は、破砕強度の改善、微粉発生の減少(機械的完全性の改善)、ミクロ細孔表面積の増加、金属分散の改善、及び装てん密度の減少を示す。これは予想外であり、且つ非直観的結果であった。
【0017】
仕上げ触媒のいくつかの実施例の触媒性能を三相反応器(Tri−Phase Reactor)(TPR)中で評価したところ、初期湿潤含浸参照と比較して同等のHDS/HDN及び脱蝋(曇点減少)性能を示した。押出成形後含浸触媒と比較した場合、1/3程度の低さの金属装てん及び25%低い装てん密度を有する触媒は、同等のHDS/HDN性能及び曇点減少を示した。
【0018】
要約すると、高性能の卑金属コーティングゼオライトベース(例えば、ZSM−48ベース)の押出物は、別のルート、すなわち、ミューラー添加によって、追加的なコストのかかる押出成形後金属含浸プロセスを行わずに調製可能である。結果として生じている仕上げ触媒は、押出成形後含浸参照触媒以上の物理特性及び触媒性能の主要な改善を示した。
【0019】
本開示の一態様は、
a.表面積を有する結合剤と、多孔性結晶質材料と、水と、卑金属Ni若しくはCo若しくはその両方の混合物の1種以上の前駆体とを混合し、押出成形可能なペーストを形成すること;
b.ペーストを押出成形し、グリーン触媒押出物を形成すること;
c.窒素雰囲気下でグリーン触媒押出物を予備焼成し、予備焼成押出物触媒材料を形成すること;
d.予備焼成押出物をイオン交換し、イオン交換押出物を得ること;及び
e.イオン交換押出物を焼成し、触媒材料を得ること
を含んでなる、触媒材料の製造方法である。
【0020】
任意選択的に、予備焼成ステップの前に水分を除去するために、グリーン触媒押出物を乾燥させることができる。
【0021】
混合ステップは、例えば、W若しくはMo若しくはその両方の混合物であることが可能である1種以上の卑金属の1種以上の前駆体をさらに含んでなることができる。さらに、又は代わりに、混合ステップは、Pt若しくはPd若しくはその両方の混合物であることが可能である1種以上の貴金属の1種以上の前駆体をさらに含んでなることができる。
【0022】
したがって、本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、
結合剤と、多孔性結晶質材料と、水と、Ni若しくはCoである第1の金属及びMo若しくはWである第2の金属若しくはこれらの混合物の卑金属の組合せの1種以上の前駆体とを混合し、押出成形可能なペーストを形成すること;
ペーストを押出成形し、グリーン触媒押出物を形成すること;
水分を除去するためにグリーン触媒押出物を乾燥させ、窒素雰囲気下でグリーン触媒押出物を予備焼成し、予備焼成押出物触媒材料を形成すること;
予備焼成押出物をイオン交換し、イオン交換押出物を得ること;並びに
イオン交換押出物を焼成し、触媒材料を得ること
を含んでなる。
【0023】
本方法のいずれの実施形態においても、卑金属又は貴金属前駆体は、金属の硝酸塩、金属の炭酸塩、金属の塩化物塩、金属の酢酸塩、又は金属酸化物のアンモニウム塩、或いはそれらのいずれか2種以上の混合物の溶液であることが可能である。例えば、金属前駆体は、七モリブデン酸アンモニウム又はタングステン酸アンモニウムの溶液であることが可能である。
【0024】
開示の方法のいずれの実施形態においても、多孔性結晶質材料は、ゼオライト、例えば、ZSM−48、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−50、ZSM−57、ZSM−58、ゼオライトベータ、モルデナイト、MCM−68、MCM−22系材料、又はMCM−41、或いはそれらの2種以上の混合物であることが可能である。MCM−22系材料は、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ERB−1、EMM−10、EMM−10−P、EMM−12、EMM−13、UZM−8、UZM−8HS、ITQ−1、ITQ−2又はITQ−30、或いはそれらの2種以上の混合物であることが可能である。
【0025】
開示の方法のいずれの実施形態においても、卑金属前駆体は、卑金属の硝酸塩、卑金属の炭酸塩、卑金属の塩化物塩、卑金属の酢酸塩、又は卑金属酸化物のアンモニウム塩、或いはそれらのいずれか2種以上の混合物の溶液であることが可能である。
【0026】
開示の方法のいずれの実施形態においても、イオン交換ステップは、アンモニウム交換触媒材料を形成するために硝酸アンモニウム溶液、塩化アンモニウム溶液、炭酸アンモニウム溶液又は酢酸アンモニウム溶液を使用して実行することが可能である。
【0027】
開示の方法のいずれの実施形態においても、結合剤は、アルミナ結合剤、シリカ結合剤、チタニア結合剤、セリア結合剤又はジルコニア結合剤、或いはそれらのいずれかの2種以上の混合物であることが可能である。開示の方法において使用される結合剤は、例えば、擬似ベーマイトミクロ構造を有するアルミナ結合剤であることが可能である。
【0028】
開示の方法のいずれの実施形態においても、結合剤は、ドーパント、例えば、マグネシア又はリン又はランタンを含んでなることができる。
【0029】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の方法によって調製された触媒である。そのような触媒は、焼成押出物触媒材料が、0.05〜60%の全卑金属、例えば、0.2〜40%又は1〜40%又は5〜40%又は1〜30%又は3〜30%又は5〜30%又は1〜20%又は1〜10%の全卑金属、1%〜99%の量の1種以上の多孔性結晶質材料、例えば、1〜80%、1〜70%、5〜70%、5〜40%又は10〜40%の多孔性結晶質材料を含有し、残りの重量が結合剤であるものであることが可能である。
【0030】
そのような態様において、本明細書に開示される触媒は、卑金属がNi又はCo及びW又はMoであり、且つ触媒が0.05〜20%のNi及び0.5〜20%のWを含有するか、又は触媒が0.05〜20%のNi及び0.5〜20%のMoを含有するか、又は触媒が0.05〜20%のCo及び0.0〜20%のMoを含有するものであることが可能である。
【0031】
例えば、本明細書に開示される触媒は、卑金属がW又はMo及びNiであり、且つ触媒が0.8〜5.0%のNi/3.0〜15.0%のW又は1.0〜5.0%のNi/3.0〜15.0%のW又は1.0〜5.0%のNi/3.0〜15.0%のMoを含有するものであることが可能である。いくつかの実施形態において、触媒は、0.8〜1.8%のNi/5.1〜6.1%のW又は1.5〜2.5%のNi/6.0〜7.0%のMoを含有していてもよい。
【0032】
さらに、又は代わりに、本明細書に開示される触媒は、結合剤がアルミナ結合剤、シリカ結合剤、チタニア結合剤、セリア結合剤又はジルコニア結合剤、或いはそれらのいずれか2種以上の混合物であるものであることが可能である。アルミニウム結合剤が存在する例において、アルミナ結合剤は、擬似ベーマイトミクロ構造を有するものであることが可能である。
【0033】
本明細書に開示される触媒において使用される結合剤は、ドーパント、例えば、マグネシア、リン又はランタンをさらに含んでなることが可能である。
【0034】
本明細書に開示される触媒は、>100m
2/gm、>120m
2/gm、>150m
2/gm、又は>200m
2/gmの表面積を有するものであることが可能である。
【0035】
本開示のさらに別の態様は、炭化水素供給原料を本明細書に開示される触媒と接触させることを含んでなる炭化水素供給原料の脱蝋方法である。
【0036】
本開示の方法は、触媒小片の断面を横切る活性金属が、断面の全体に均等に分布する触媒を提供する。この結果は、金属の大多数が断面の縁部において比較的薄い層を形成する従来技術の含浸方法によって金属が触媒に添加される場合に典型的に観察される「エッグシェル」分布結果と対比されてよい。より高い金属濃度のこの縁部の厚さは、もちろん、金属を含浸するために使用される溶液の特徴、例えば、使用される特定の金属前駆体、金属前駆体の濃度、含浸される触媒押出物の空隙率など次第である。一般に、「シェル」は、最も高い金属濃度が触媒の表面にあり、且つ金属濃度が表面から触媒の中心まで放射状の線に沿って低下するように金属濃度のプロフィールを有する。典型的に金属濃度は、そのような放射状の線に沿って急激に低下する。
【0037】
本明細書に開示される方法は、溶液含浸方法によって調製された類似の触媒と比較して、破砕強度、装てん密度の減少、ミクロ細孔表面積及び金属分布の均一性の1つ以上における改善を有する高性能、高品質の触媒を提供する。作用例は、高性能及び高品質卑金属含有ゼオライト触媒が、コストのかかる金属含浸ステップを行わずにミューラー添加方法によって調製可能であることを実証する。高表面積結合剤と一緒に配合され、且つミューラー添加プロセスによって調製された実施例触媒は、破砕強度、装てん密度の減少、ミクロ細孔表面積及び金属分布の均一性における改善を実証する。
【0038】
窒素中で事前焼成押出物をイオン交換することは、周囲条件において、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム又は塩化アンモニウム溶液中で実行される。
【0039】
本明細書に開示される方法は、従来技術において使用される、コストのかかる金属含浸プロセスを排除することによって達成可能である製造コスト削減の可能性を提供する。
【0040】
下記の実施例の通り調製された触媒のTPR試験は、開示の「ミューラー添加」プロセスによって調製される触媒が、従来技術において使用される金属含浸プロセスによって調製される触媒とほぼ同等か、又はそれよりも良好なHDS/HDN/脱蝋活性を示すことを実証する。1.3%のNi/5.6%のW及び2.0%のNi/6.5%のMoを含有する実施例触媒は、全試験において同等か又はより良好な性能を示した。
【0041】
本明細書に開示される「ミューラー添加」方法を使用して調製された触媒は、参考試料(実施例1)よりも低濃度の金属を有し、それでもなお同等か又はより良好なHDS/HDN/脱蝋活性を有する触媒を提供する。したがって、本開示の方法は、金属を導入するための溶液含浸方法を使用する方法と比較して、金属のより良好な利用を提供することができる。本発明の理論によって拘束されないが、改善は、仕上げ触媒における金属のより均一な分布及びより高い細孔体積によるものであり得ることが暗示される。
【0042】
装てん金属含有量に標準化されたHDS/HDN性能は、本開示の方法によって調製された触媒において、押出形成後含浸によって調製された触媒においてよりも2〜3倍以上高くなることが可能である。全体的な金属装てんの減少によって、同等の性能に関してより低い金属必要条件のため、より低い製造コストの機会がもたらされる。
【0043】
本開示の「ミューラー添加」方法によって金属を含む触媒の装てん密度は、溶液含浸方法によって調製された触媒(例えば、実施例1の参照触媒)に関して使用される装てん密度よりも少なくとも1/3低く、且つさらに低くなることが可能である。これは商用ユニットで同等の性能を達成するために必要とされる触媒のより低重量の利点を提供することができ、したがって、全触媒コストを低くさせることができる。装てん触媒試料へと標準化された下記の実施例触媒の活性は、参考試料(実施例1)に関するものよりも>33%高い。
【0044】
本明細書に開示される「ミューラー添加」によって調製される触媒のより低い装てん金属及びより低い密度に関して標準化された全活性は、押出成形後溶液含浸方法を使用して調整される触媒よりも>6倍高いか、又は>8倍高いか、又は>10倍高くなることが可能である。
【0045】
以下の非限定的な実施例及び添付の図面を参照して、本発明をより特に説明する。
【実施例】
【0046】
実施例1(参照触媒):3重量%のNi及び15重量%のW
ミューラー中で、65部のZSM−48結晶(基準:焼成538℃)を35部のアルミナ結合剤(基準:焼成538℃)と混合した。押出成形可能なペーストを製造するために、十分な水分が添加された。ZSM−48、アルミナ結合剤及び水から構成されるペーストを押出成形し、乾燥させた。有機テンプレートを分解させ、除去するために、乾燥した押出物を538℃において窒素中で焼成した。N
2焼成された押出物を飽和空気で湿潤させ、1N硝酸アンモニウムと交換し、ナトリウムを除去した。硝酸アンモニウム交換後、押出物を脱イオン水で洗浄し、乾燥の前に残留硝酸イオンを除去した。アンモニウム交換押出物を121℃において乾燥させ、次いで、538℃において空気中で焼成した。空気焼成後、約3重量%のNi及び約15重量%のWの標的まで硝酸ニッケル及びメタタングステン酸アンモニウム水和物の水溶液による初期湿潤によって触媒を含浸させた。金属含浸後、触媒を120℃において空気乾燥させ、空気中538℃において空気焼成した。結果として生じる触媒の特性を表1に示す。
【0047】
実施例2:金属前駆体のミューラー添加による1/5重量%のNi/Wを有する触媒の調製
Simpsonミューラー中で、65部のZSM−48結晶(基準:焼成538℃)を35部のVersal(商標)300の擬似ベーマイトアルミナ(基準:焼成538℃)及び卑金属前駆体(硝酸ニッケル六水和物及びメタタングステン酸アンモニウム水和物溶液)と混合した。押出機上で押出成形可能なペーストを製造するために、十分な水分が添加された。ZSM−48、擬似ベーマイトアルミナ、金属前駆体及び水の混合物を含有するペーストを押出成形し、一晩121℃においてホットパックオーブン中で乾燥させた。
図1Aを参照のこと。有機テンプレートを分解させ、除去するために、乾燥した押出物を538℃において窒素中で焼成した。N
2焼成された押出物を飽和空気で湿潤させ、1N硝酸アンモニウムと交換し、ナトリウムを除去した(規格:<500ppmのNa)。硝酸アンモニウム交換後、押出物を脱イオン水で洗浄し、乾燥の前に残留硝酸イオンを除去した。アンモニウム交換押出物を一晩121℃において乾燥させ、空気中538℃において焼成した。
図1Bを参照のこと。結果として生じる触媒の特性を表1に示す。
【0048】
実施例3:実施例2:金属前駆体のミューラー添加による2/10重量%のNi/Wを有する触媒の調製
Simpsonミューラー中で、65部のZSM−48結晶(基準:焼成538℃)を35部のVersal(商標)300の擬似ベーマイトアルミナ(基準:焼成538℃)及び卑金属前駆体(硝酸ニッケル六水和物及びメタタングステン酸アンモニウム水和物溶液)と混合した。押出機上で押出成形可能なペーストを製造するために、十分な水分が添加された。ZSM−48、擬似ベーマイトアルミナ、金属前駆体及び水の混合物を含有するペーストを押出成形し、一晩121℃においてホットパックオーブン中で乾燥させた。有機テンプレートを分解させ、除去するために、乾燥した押出物を538℃において窒素中で焼成した。N
2焼成された押出物を飽和空気で湿潤させ、1N硝酸アンモニウムと交換し、ナトリウムを除去した(規格:<500ppmのNa)。硝酸アンモニウム交換後、押出物を脱イオン水で洗浄し、乾燥の前に残留硝酸イオンを除去した。アンモニウム交換押出物を一晩121℃において乾燥させ、空気中538℃において焼成した。
図2を参照のこと。結果として生じる触媒の特性を表1に示す。
【0049】
実施例4:金属前駆体のミューラー添加による2/15重量%のNi/Wを有する触媒の調製
Simpsonミューラー中で、65部のZSM−48結晶(基準:焼成538℃)を35部のVersal(商標)300の擬似ベーマイトアルミナ(基準:焼成538℃)及び卑金属前駆体(硝酸ニッケル六水和物及びメタタングステン酸アンモニウム水和物溶液)と混合した。押出機上で押出成形可能なペーストを製造するために、十分な水分が添加された。ZSM−48、擬似ベーマイトアルミナ、金属前駆体及び水の混合物を含有するペーストを押出成形し、一晩121℃においてホットパックオーブン中で乾燥させた。有機テンプレートを分解させ、除去するために、乾燥した押出物を538℃において窒素中で焼成した。N
2焼成された押出物を飽和空気で湿潤させ、1N硝酸アンモニウムと交換し、ナトリウムを除去した(規格:<500ppmのNa)。硝酸アンモニウム交換後、押出物を脱イオン水で洗浄し、乾燥の前に残留硝酸イオンを除去した。アンモニウム交換押出物を一晩121℃において乾燥させ、空気中538℃において焼成した。結果として生じる触媒の特性を表1に示す。
【0050】
実施例5(5A、5B及び5C):金属前駆体のミューラー添加による2/6重量%のNi/Moを有する触媒の調製
Simpsonミューラー中で、65部のZSM−48結晶(基準:焼成538℃)を35部のVersal(商標)300の擬似ベーマイトアルミナ(基準:焼成538℃)及び卑金属前駆体(硝酸ニッケル六水和物及び七モリブデン酸アンモニウム溶液)と混合した。押出機上で押出成形可能なペーストを製造するために、十分な水分が添加された。ZSM−48、擬似ベーマイトアルミナ、金属前駆体及び水の混合物を含有するペーストを押出成形し、一晩121℃においてホットパックオーブン中で乾燥させた。有機テンプレートを分解させ、除去するために、乾燥した押出物を538℃において窒素中で焼成した。N
2焼成された押出物を飽和空気で湿潤させ、1N硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム又は塩化アンモニウムと交換し、ナトリウムを除去した(規格:<500ppmのNa)。交換後、押出物を脱イオン水で洗浄し、乾燥の前に残留硝酸イオンを除去した。アンモニウム交換押出物を一晩121℃において乾燥させ、空気中538℃において焼成した。結果として生じる触媒5A(
図4に示される硝酸アンモニウム)、5B(
図3に示される酢酸アンモニウム)及び(塩化アンモニウム)の特性を表1に示す。
【0051】
実施例6:金属前駆体のミューラー添加による1/5重量%のNi/Mo有する触媒の調製
Simpsonミューラー中で、65部のZSM−48結晶(基準:焼成538℃)を35部のVersal(商標)300の擬似ベーマイトアルミナ(基準:焼成538℃)及び卑金属前駆体(硝酸ニッケル六水和物及び七モリブデン酸アンモニウム溶液)と混合した。押出機上で押出成形可能なペーストを製造するために、十分な水分が添加された。ZSM−48、擬似ベーマイトアルミナ、金属前駆体及び水の混合物を含有するペーストを押出成形し、一晩121℃においてホットパックオーブン中で乾燥させた。有機テンプレートを分解させ、除去するために、乾燥した押出物を538℃において窒素中で焼成した。N
2焼成された押出物を飽和空気で湿潤させ、1N硝酸アンモニウムと交換し、ナトリウムを除去した(規格:<500ppmのNa)。硝酸アンモニウム交換後、押出物を脱イオン水で洗浄し、乾燥の前に残留硝酸イオンを除去した。アンモニウム交換押出物を一晩121℃において乾燥させ、空気中538℃において焼成した。
図5を参照のこと。結果として生じる触媒の特性を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例7:触媒断面の金属分布のエネルギー分散型X線スペクトロスコピーマッピング
エネルギー分散型X線スペクトロスコピーマッピングによって、2%のNi及び10%のWを含んでなるニッケルアルミナ触媒小片の断面の金属分布を評価した。実施例4において調製した触媒5片の切断断面表面を異なる解像度で調査した。
【0054】
全ての試料をLRホワイトエポキシによって1−1/4インチの台紙に載置した。切断断面表面を8umまでダイヤモンドディスクで湿潤研磨し、次いで、6、3及び1umダイヤモンド溶液で湿潤研磨し、最終的にカーボンでコーティングした。
【0055】
図10A〜14Bにイメージを示す。触媒小片の断面の金属のEDSマッピングは、断面全体で金属が均等に分布していることを示す。
【0056】
実施例8:模範的な触媒調製の触媒性能
金属の「ミューラー添加」方法(実施例2〜5)によって調製された触媒試料の性能を、三相反応器(TPR)中で初期湿潤含浸Ni/W触媒(実施例1)と比較した。触媒性能評価には、HDS、HDN及び脱蝋活性試験が含まれた。試験には2種の供給原料が使用された:精製所高圧水素処理ディーゼルユニット供給原料、並びにジメチル−ジスルフィド(DMDS)及び第三ブチルアミン(TBA)がスパイクされた高圧水素処理器ディーゼル生産物(ULSD)。重要な供給原料の特性の要約を表2に提供する。
【0057】
【表2】
【0058】
触媒密度は少量の押出物を用いて測定された。1.5ccのアンサイズの押出物を表す14/25メッシュサイズの触媒の重量を算出するために、密度をさらに使用した。装てん量を表3に列挙する。
【0059】
【表3】
【0060】
TPR試験用の一般条件は、2.0LHSVの供給レート、1000psigの作動圧力、2,250SCFBであった。2種の供給原料で触媒性能を試験した。
【0061】
約1重量%の有機S、約450ppmの有機Nを含んでなるHPHT供給原料において21日間で卑金属のHDS/HDN性能を評価した。温度保持は、650°F(2倍)、680°F、690°F、700°F及び720°Fで設定した。
【0062】
約1.5重量%のS(DMDSとして)、約500ppmのN(TBAとして)を含んでなるスパイクドHPHT生産物において8日間でZSM−48の脱蝋性能を評価した。DMDS及びTBAは、HDTの底物をシミュレートするためにH
2S及びNH
3へと分解する。温度保持は、680°F及び720°Fで設定した。
【0063】
試験結果を
図6〜9に示す。
【0064】
本出願の記載は、例示を意図したものであり、本発明を制限するものではない。当業者は、本発明において使用される材料及び方法におけるその変動、及び本明細書に記載の本発明の実施形態の変動が、本発明から逸脱することなく可能であることを認識するであろう。本発明のいくつかの実施形態が、本発明の利点の全てを示さないであろうこと、又は本発明の全ての目的を達成しないであろうことは理解される。本発明の範囲は、以下の請求項によってのみ定義される。
【国際調査報告】