【実施例】
【0069】
以下の例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の例に開示される技術が、本発明者によって発見された技術が本発明の実施においてよく機能することを表し、したがってその実施に好ましい様式を構成すると考えることができることが、当業者によって認識され得る。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変更が加えられ、同様の又は類似の結果を尚も得ることができることを認識し得る。
【0070】
[実施例1]
オフザシェルフがん免疫療法のための、健康なドナー由来の腫瘍特異的でありかつ広く寛容されるNKT細胞の生成
高度に機能的なNKTを有する候補を選択する健康なドナーのスクリーニング。
ヒトPBMCにおけるNKT細胞頻度は、0.01%未満〜1%超で変動するので、IRB認可のプロトコールにしたがって健康と期待されるドナーから単離したPBMC中のNKT細胞頻度を最初に分析した。次に、研究室で開発したプロトコールを使用して12日間の培養でNKTを拡大し、その拡大率及び機能的能力に関連する鍵となる表面マーカー:CD62L、CD4及びPD1の発現を定量化した。12名の健康なドナーを特徴付けた。少なくとも3名のドナー(#6、7、8)のNKT細胞拡大能力は非常に高く、CD62Lをよく保持し、PD1発現が低い(表1)。
【0071】
【表1】
【0072】
アロ反応性NKT細胞の試験
NKTは、単形性CD1dに拘束性であるので、NKTは同種細胞に反応しないと予想される。この仮定を検証するために、刺激細胞として照射を受けたPBMC及び応答細胞として無関係のドナー由来のNKTを使用して一方向アロMLR培養を行った。自家PBMCは、陰性対照としての機能を果たし、NKT細胞リガンドaGalCerでパルスした自家PBMCを、陽性対照として使用した。応答細胞の増殖を、CFSE希釈物を評価することによって分析した。NKT細胞を、軟膜から新たに単離し、2回洗浄し、PBS中に1×10
7個細胞/mLで再懸濁し、2.5μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE、CellTrace(商標)CFSE Cell Proliferationキット、ThermoFisher Scientific)と5分間インキュベートした。標識細胞を遠沈して、10
6個細胞/mLで培養培地中に再懸濁し、照射を受けたPBMCの存在下で培養した。6日目に細胞増殖を、フローサイトメトリーを使用するCFSE希釈物の測定によって調べた。
図1は、NKTが、その特異的リガンドであるaGalCerに対する応答においてのみ増殖でき、自家又は3名の適合しないドナー由来の同種PBMCに対して増殖できなかったことを示す。これらの結果は、NKT細胞がアロ反応性でないことを示す。
【0073】
NKTにおけるB2M発現の標的化
NKTにおいて完全なB2M遺伝子ノックアウトを達成するために、CRISPR/Cas9技術を使用した(25)。B2Mに対する単一ガイド(sg)RNA配列を、CRISPRscanアルゴリズム(http://www.crisprscan.org)を使用して同定した。sgRNA(10μg)を、Cas9タンパク質10μg(PNA Bio)と室温で10〜15分間インキュベートし、3×10
6個NKT細胞に電気穿孔した。NKT細胞用として最適化した電気穿孔法条件は、Neonトランスフェクションシステム(ThermoFisher Scientific)を使用して1600V、10ms及びパルス3回であった。本実験のためのsgRNA配列は、GGCCACGGAGCGAGACATCT(配列番号1)であった。
図2Aは、B2M発現が、88%のNKT細胞において失われたことを示す。更にB2M陰性細胞を富化するために、APCコンジュゲート抗B2M mAb及び抗APCマイクロビーズを使用するMACS選別によってB2M陽性細胞を枯渇させることによる陰性選択を使用した。得られた陰性画分は、>95% B2M-、及びHLAクラスI(ABC)陰性NKT細胞を含んだ(
図2B)。
【0074】
次に、5つのB2M標的化ショートヘアピン(sh)RNA構築物を試験して、異なるレベルのB2M遺伝子下方調節(ノックダウン)を達成した。B2M特異的shRNA発現を、Sigma Mission(登録商標) shRNAサービス(Sigma)のレンチウイルス発現系を使用して達成した。
【0075】
以下の5つのshRNA配列を、試験した:
【0076】
ウイルス上清を、パッケージングベクターと共にHEK-293T細胞を同時トランスフェクトすることによって作製した。これらshRNAウイルス粒子を、8μg/mL臭化ヘキサジメトリン(ポリブレン、H9268、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO、USA)でNKT細胞に形質導入した。B2Mノックダウンを、FACSによって確認した。
図2Cに示す通り試験した最も有効な構築物(配列番号2)で60%〜90%の様々な程度にB2Mをノックダウンできた。このshRNAは、ヒトB2Mコード配列のエクソン2を標的とする。
【0077】
NKTにおけるIi発現の標的化
T細胞が、活性化するとHLAクラスII発現を上方調節することは公知であるが、ヒトNKTにおけるHLAクラスII発現の状況は、我々の知る限りでは調査されていなかった。この問いに答えるために、静止NKT細胞に対して、及び、次いでαガラクトシルセラミドによる細胞の活性化2日後に、HLAクラスII発現のフローサイトメトリー分析を行った。
図3Aは、T細胞のように、NKTが刺激の非存在下でHLAクラスIIを発現せず、抗原刺激後にこれら分子の表面発現を容易に上方調節することを実証する。次に、活性化したNKTにおけるHLAクラスII発現を、Ii特異的shRNAを使用して効果的に下方調節できることを示した(
図3B)。
【0078】
5つのIi標的化ショートヘアピン(sh)RNA構築物を試験して、異なるレベルのIi遺伝子下方調節(ノックダウン)を達成した。Ii特異的shRNA発現を、Sigma Mission(登録商標) shRNAサービス(Sigma)のレンチウイルス発現系を使用して達成した。
【0079】
例として、以下の5つのIi shRNA配列を試験した:
【0080】
ウイルス上清を、パッケージングベクターと共にHEK-293T細胞を同時トランスフェクトすることによって作製した。これらshRNAウイルス粒子を、8μg/mL臭化ヘキサジメトリン(ポリブレン、H9268、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO、USA)でNKT細胞に形質導入した。Iiノックダウンを、FACSによって確認した。試験した最も有効な構築物(配列番号7)で51.2%〜75.6%の様々な程度にIiをノックダウンできた。このshRNAは、ヒトIiコード配列におけるCDSを標的とする。
【0081】
B2M
null、B2M
low及びIi
low NKTの同種性の試験。
NKTにおいてアロ反応性応答を刺激する能力に対するCRISPR媒介性B2Mノックアウト及びshRNA媒介性B2Mノックダウンの効果を決定するために、刺激細胞として照射を受けたNKT並びに応答細胞として無関係なドナー由来の磁気的に選別したCD8及びCD4 T細胞を使用して一方向アロMLRアッセイを行った。同種NKT非存在下のT細胞を、陰性対照として使用した。野生型(WT) B2Mを有する同種NKTを、陽性対照として使用した。実験条件において、WT NKTは、刺激細胞としてCRISPR誘導性B2M
null又はshRNA(配列番号2)誘導性B2M
low NKTと置き換えられた。Ii shRNA(配列番号7)を使用してIi
low NKTを生成した。応答細胞の増殖を、培養5日目にフローサイトメトリーによってCFSE希釈物を評価することによって分析した。CD8及びCD4マーカーに対して細胞を染色して、それぞれのT細胞サブセットの増殖を定量化した。
図4A及び
図4Bは、WT B2Mと比較して、B2M
null NKTが、CD8 T細胞増殖を74.1%〜38.5%(P<0.01)減少させたことを実証する。予想された通り、B2M及びHLAクラスI発現は、HLAクラスII分子に拘束性であるCD4 T細胞の増殖に有意に影響を及ぼさなかった。したがって、Ii
low NKTは、CD4 T細胞増殖を68.1%〜31.6%(P<0.01)減少させたが、CD8 T細胞の増殖には影響を及ぼさなかった。
【0082】
驚くべきことに、NKTにおけるB2M/HLA-ABC発現のshRNA媒介性の減少は、B2M/HLA-ABC発現のCRISPR媒介性の完全な喪失によって達成された減少のように、アロ反応性CD8 T細胞応答の有効な抑制を同程度に達成した。これらの結果は、同種T細胞によって寛容され得る、NKTにおけるB2M/HLA-ABC発現の範囲があることを初めて実証する。この知見は、養子細胞療法適用のために、無関係なドナー由来のNKT及びおそらく他のエフェクター細胞において、B2Mを段階的に下方調節するための、CRISPR又は他のゲノム編集方法ではなくより安全なshRNA技術の使用を正当化するため、直接の実用的な意義がある。
【0083】
アロNK細胞に対するB2M
null及びB2M
lowの感受性の試験。
HLAクラスI分子は、NK細胞に対する主要な阻害性リガンドとしての機能を果たし、B2M発現の喪失は、ドナー細胞を宿主NK細胞による死滅に対して感受性にすると予想される(24)。しかし、宿主NK細胞の細胞毒性を起動させることなく宿主CD8 T細胞の活性化を防止するのに十分であり得る特定のレベルのB2M/HLAクラスIが、ドナー細胞、特にNKT細胞において達成され得るかどうかは知られていない。したがって、陰性対照として野生型(WT) NKT細胞及び陽性対照として阻害性HLAクラスIリガンドを天然に欠いているNK感受性K562細胞を使用して、同種NK細胞による死滅に対するB2M
null及びB2M
low NKTの感受性を試験した。標的細胞であるNKT又はK562細胞を、生存性色素カルセインAMで標識し、その後無関係なドナーから陰性磁気選別によって得られたエフェクター細胞である同種NK細胞と4時間共培養した。自家NK細胞を、陰性対照として使用した。NK細胞の細胞毒性活性を、フローサイトメトリーによって測定される標的細胞におけるカルセインAM蛍光の喪失によって定量化した。
図5は、K562細胞とは異なり、NKTが、B2M発現の完全な喪失後でもNK細胞細胞毒性に対して概ね抵抗性のままであったことを実証する。実際、B2M
null NKTの21.3%のみが、エフェクター対標的比10:1でアロNK細胞によって死滅したが、K562細胞のほぼ100%が、同じ条件下で死滅した。B2M
low NKTの18.8%のみが、エフェクター対標的比10:1でアロNK細胞によって死滅したので、B2M
low NKTは、B2M
null細胞よりさらに抵抗性であった。したがって、予想とは反対に、結果は、NKTの約80%が、B2M発現の完全な遺伝子喪失後でもアロNK細胞細胞毒性に対して抵抗性のままであることを初めて実証する。更に、NKTにおけるB2M発現のshRNA媒介性下方調節は、CRISPR媒介性B2Mノックアウトと比較して、NKTをアロNK細胞細胞毒性に対してより一層抵抗性にする。
【0084】
CAR構築物とB2M shRNA及び/又はIi shRNAとの両方をコードするレトロウイルスベクターの設計
CAR及びshRNAが、同じレトロウイルスベクター内で効果的に発現され得るかどうか試験するために、
図6Aに示すように、GD2特異的CAR並びにB2M shRNA(配列番号2)及び/又はIi shRNA(配列番号7)をコードするレトロウイルスベクターを構築した。レトロウイルスベクターの中へshRNAをクローニングするために、転写開始部位としての機能を果たすようにセンスshRNA配列の前にGを1つ、転写停止部位としての機能を果たすようにアンチセンスshRNA配列の後にTを5つ付加した。得られたshRNA配列は、以下の通りである:
【0085】
B2M shRNAを、U6プロモーターの制御下に配置し、U6-shRNAを、順向き又は逆向きの方向でsphI部位にライゲートし、CAR発現を、内在性レトロウイルスのLTR又はEF1プロモーターによって駆動した(
図6A)。CAR.GD2/B2M shRNAによるNKT細胞形質導入により、有効なCAR発現が得られた。4つ全ての構築物が、NKTにおいてCAR発現及びB2M下方調節を同時に達成し、構築物#1が最も効果的であった(
図6B)。
【0086】
本開示の特定の実施形態の意義
1)NKT細胞は、高度に機能的な細胞の表現型を保ちながら健康なドナーから単離され、ex vivoで多数に拡大することができる。これらドナー由来のNKTは、養子がん免疫療法のための治療産物の供給源として使用することができる。
2) NKT細胞は、無関係なドナー由来のPBMCに応答して増殖せず、このことは、NKT TCRがHLA分子を認識できないことと整合する。
3) CRISPR及びshRNAによるB2M標的化は、CD8 T細胞のNKT細胞刺激を減少させるのに等しく有効である。
4) shRNAによるIi標的化は、CD4 T細胞のNKT細胞刺激を減少させるのに有効である。
5)大部分のNKTは、CRISPR媒介性B2Mノックアウト後、なお更にshRNA媒介性B2Mノックダウン後に、アロNK細胞細胞毒性に対して抵抗性のままである。
6) NKTにおいてCAR並びにB2M shRNA及び/又はIi shRNAの有効な発現が単一のレトロウイルスベクター内で達成され、このことは、CARリダイレクトされ、広く寛容される同種NKT細胞産物をがん免疫療法のために生成する手段を提供した。
【0087】
[実施例2]
オフザシェルフがん免疫療法のための、健康なドナー由来の腫瘍特異的であり、かつ広く寛容される、NKT細胞以外の細胞の生成
特定の実施形態において、NKT細胞以外の細胞を操作して、内在性B2M及び/又はIiの発現を減少させる。そのような細胞は、NKT細胞以外の任意の免疫細胞、例えばT細胞、γ/δ T細胞、粘膜関連不変T(MAIT)細胞、NK細胞、自然リンパ球系細胞(ILC)又はその混合物であり得る。一部の実施形態において、NKT細胞の混合物及びNKT細胞以外の1つ以上の免疫細胞が、本開示に包含される組成物及び方法に利用される。
【0088】
当技術分野において標準的な手段、例えば、核酸、例えばshRNA若しくはCRISPRガイドRNAを含めたB2M遺伝子の発現を標的にするための1つ以上の作用物質を使用することによって非NKT細胞を操作して、内在性B2M及び/又はIiの発現を減少させてもよい。他の手段には、少なくともモルホリノ、siRNA、S-DNA、TALEN、ZFN、等が含まれる。
【0089】
特定の実施形態において、本開示の組成物及び方法に使用される非NKT細胞を、細胞の操作の前並びに/又は後に拡大して、内在性B2M及び/若しくはIiの発現を減少させる。例えば、拡大のための当技術分野において通常の方法は公知であり、特定の培地及び1つ以上の特定の作用物質、例えば1つ以上のサイトカインが含まれ得る。
【0090】
特定の実施形態において、本開示の組成物又は方法における使用のための1つ以上の型の非NKT細胞は、効果的に使用され得るNKT細胞に必要とされる操作以外の操作を必要とする場合がある。例えば、T細胞を修飾して、拒絶に対するレシピエント組織への損傷を防止してもよい。特定の場合において、T細胞を操作して、T細胞受容体の成分を欠失させる。
【0091】
[実施例3]
MHCクラスII関連不変鎖(Ii)を標的とすることによる、オフザシェルフがん免疫療法のための、健康なドナーからの腫瘍特異的でありかつ寛容なNKT及び他の細胞の生成
一部の実施形態において、B2Mの発現の減少に向けられた細胞及び細胞を使用する方法の代替物及び/又は細胞は、細胞のMHCクラスII関連不変鎖(Ii)の発現が減少している。そのような細胞を、内在性B2Mの発現を減少させた細胞の代わりに使用してもよい。一部の場合において、当該細胞はB2MとIi両方の発現が減少しており、一部の場合において、別々に内在性B2Mの発現が減少しており、又は内在性Iiの発現が減少している細胞の混合物を使用する。当該細胞の内在性B2M及び内在性Iiの発現が減少している場合、同じ型の作用物質を使用して各々の発現の減少を標的としてもよい。例えば、一部の場合において、B2MとIiの両方をshRNAによって標的化してその発現を減少させ、又は他の場合において、B2MとIiの両方をCRISPRガイドRNAによって標的化してその発現を減少させる。例えば一部の場合において、異なる作用物質、例えばB2Mを標的とするためのshRNA、及びIiを標的とするためのCRISPRガイドRNAが、B2M及びIiを標的とする。
【0092】
例えば特定の実施形態において、Iiの発現の減少を含む細胞は、細胞にとって非天然である別の実体、例えばサイトカイン又はCARの発現も含んでもよい。そのような追加の実体は、Iiの発現を標的とする作用物質と同じ構築物から発現されてもよく又はされなくてもよい。同じ細胞においてIi発現が標的化されなおかつ別の実体が細胞における発現に提供される場合、それらは、任意の適切な配置、例えば一方が他方に対して5'又は3'である配置で同じ構築物中に構成されてもよく、それらは同じ調節エレメントによって調節されてもよく又はされなくてもよい。
【0093】
細胞は、NKTでもよく又はNKT細胞でない、例えばT細胞、γ/δ T細胞、MAIT細胞、NK細胞、ILC若しくはそれらの混合物でもよく、T細胞は、TCRを欠くように改変されてもよい。
【0094】
[実施例4]
MHCクラスII関連不変鎖(Ii)又はB2Mを標的とすることによる、オフザシェルフがん免疫療法のための、キメラ抗原受容体を発現する腫瘍特異的でありかつ寛容なNKTの生成
IL15を含む若しくは含まずにCD28又は41BB共刺激ドメインのいずれかを発現するCD19 CAR構築物を生成した(
図6)。構築物を、2つのドメイン構造:(1)IgG
4ヒンジ、IgG
1 CH3スペーサー、CD28 TM、及びCD28又は4-1BB共刺激ドメインのいずれかをコードし、全てがIL15を有する若しくは有しない第1の群(構築物39及び84)、及び(2)CD28又は4-1BB共刺激ドメインと共にCD8αヒンジ及びTMをコードし、全てがIL15を有する若しくは有しない第2の群(構築物28及び41)、に基づいて生成した(
図6A)。代替の又は追加の共刺激ドメインが、そのような構築物に利用されてもよい。それぞれのフローサイトメトリー分析を、
図6Bに示す。CD19 CAR構築物の例を、
図7に例示する。
【0095】
図8に示すように、Ffluc+ダウディリンパ腫細胞2×10
5個を静脈内注射し、その後示した構築物で形質導入した又は構築物なし(非形質導入、NT)のNKT 5×10
6個を静脈内注射したNSGマウスを、連続的にイメージングを行った。イメージングの直前に、マウスに腹腔内注射によって30mg/mLルシフェリン100μLを与え、それらを生物発光チャネル下で5分間イメージングを行った。例えば、イメージングを3〜25週間にわたって行った。
図9は、それらのマウスの生存曲線を示す。
【0096】
図10は、B2M及びIi shRNAを有する及び有しないCD19 CARを発現するレトロウイルスベクターの例を例示する。shRNAを含む構築物の場合、B2M及びIi shRNA配列を、個々のU6プロモーターに連結し、反対の転写方向でCARの下流に個別に又は同時に28.15にライゲートした。
【0097】
図11は、それぞれの構築物によるB2M及びIi発現のshRNAノックダウンを示す。
図11Aにおいて、CD19 CAR発現の代表的なフローサイトメトリー分析が、NKTの形質導入及びAlexa 647コンジュゲート抗FMC63 mAbによる染色後に提供される。表示した構築物で形質導入したNKT細胞における(
図11B)B2M、(
図11C)HLA ABC、(
図11D)Ii、及び(
図11E)HLA DP-DQ-DR発現の代表的なフローサイトメトリー分析が、提供される。細胞を、抗FMC63 mAb、及び1) FITCコンジュゲート抗HLA ABC抗体と共にPEコンジュゲート抗B2M抗体、又は2)FITCコンジュゲート抗HLA DP-DQ-DR抗体と共にPEコンジュゲート抗Ii抗体で染色した。
図11Fは、CAR-shRNA NKT対CAR NKTにおける表示した遺伝子ノックダウンの定量化を示す。
【0098】
図12は、B2M/Ii shRNAが、CAR
UTNKT細胞のCAR指向性in vitro細胞毒性に影響を与えないことを示す。表示したCD19 CAR-shRNA構築物で形質導入したNKT又は非形質導入(NT)を、指定したエフェクター対標的比でルシフェラーゼ陽性ダウディ(CD19陽性)標的細胞と共培養した。NKT細胞毒性を、共培養後の標的細胞生物発光の関数として決定した。
【0099】
CAR
UTNKT細胞に対する同種反応性のレベルを
図13において決定し、その場合、適合しないCD8
+及びCD4
+ T細胞は、同種混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてCAR
UTNKT細胞に対する同種反応性の減弱を示した。
図13Aにおいて、同種MLRアッセイにおけるT細胞の予想される結果の概略が例示される。特定の実施形態において、親NKT上のMHCクラスI及びMHCクラスIIそれぞれの同種CD8
+又はCD4
+ T細胞認識は、T細胞増殖をもたらし得た。加えて、
UTNKTにおけるB2MノックダウンによるMHCクラスI又はIiノックダウンによるMHCクラスIIの下方調節は、同種T細胞増殖に相対的な低下をもたらし得た。CFSE標識CD8
+(
図13B)又はCD4
+ T細胞(
図13C)を、表示した構築物を発現するCAR
UTNKT細胞と共培養し、CFSE希釈物によって測定したT細胞増殖を、刺激5日後に評価した。
【0100】
UTNKT細胞は、親NKTより同種T細胞細胞毒性の影響を受けにくかった。
図14Aは、T細胞細胞毒性アッセイにおけるNKT及び
UTNKT細胞の予測される結果の概略を提供する。同種T細胞は、親NKT上のMHC分子を異種と認識し、これらNKT細胞の死をもたらし得た。
UTNKT上のMHC分子の下方調節により、これらの細胞は、親NKTより一層T細胞細胞毒性を逃れ得た。
図14Bにおいて、同種T細胞を、CAR
UTNKT又は非形質導入(NT)NKTと比1:1で4日間インキュベーションした後にNKT細胞計数をフローサイトメトリーによって決定した。
【0101】
図15に示すように、
UTNKT細胞は、NK細胞細胞毒性の影響を最小限しか受けない。
図15Aは、NK細胞細胞毒性アッセイの予測される結果を例示する。示した通り、NK細胞は、MHCクラスIを発現する親NKTを死滅させないが、MHC Iを欠いている標的細胞を通常死滅させる。特定の実施形態において、
UTNKTは、十分なMHC Iを発現して、NK細胞による死滅を逃れる。
図15Bは、健康なドナー由来のNK細胞を、比5:1でカルセインAM標識
UTNKTと共培養した後の標的細胞溶解を実証する。
【0102】
CAR.CD19
UTNKTを注射したマウスにおけるFfluc標識ダウディリンパ腫細胞の連続生物発光イメージングを、
図16に例示する。NSGマウスに、Ffluc+ダウディリンパ腫細胞2×10
5個を静脈内注射し、その後表示した構築物で形質導入した又は構築物なし(非形質導入、NT)のCAR.CD19
UTNKT 5×10
6個を静脈内注射した。対応する生存曲線を、
図17にマウスについて提供する。
【0103】
参考文献
本明細書において言及された全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者のレベルを示すものである。本明細書における全ての特許及び刊行物は、各々の刊行物が参照によりその全体が組み込まれることが特定して個別に示されたのと同程度に、参照により組み込まれるものとする。
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【0104】
本発明及びその利点について詳細に記述してきたが、様々な変更、置換及び改変が、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書においてなされ得ることが理解されるべきである。更に、本出願の範囲は、本明細書に記述されている工程、機械、製造、物質の組成物、手段、方法及び工程の特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者が、本発明の開示から容易に認識するように、本明細書に記述される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する又は実質的に同じ結果を達成する現在存在している若しくは後に開発される工程、機械、製造、物質の組成物、手段、方法若しくは工程は、本発明にしたがって利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような工程、機械、製造、物質の組成物、手段、方法又は工程をその範囲に包含することが意図される。