特表2020-535468(P2020-535468A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-535468デジタル地図のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-535468(P2020-535468A)
(43)【公表日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】デジタル地図のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20201106BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20201106BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20201106BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20201106BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20201106BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   G09B29/00 Z
   G08G1/0968
   G01C21/26 A
   G09B29/10 A
   G06T7/00 650A
   G06T1/00 330A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-517120(P2020-517120)
(86)(22)【出願日】2018年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2018076148
(87)【国際公開番号】WO2019063628
(87)【国際公開日】20190404
(31)【優先権主張番号】102017217297.5
(32)【優先日】2017年9月28日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オスヴァルド ゴンサ
(72)【発明者】
【氏名】ルネ アレクサンダー ケアナー
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B057
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
2C032HB11
2C032HB25
2C032HC08
2C032HC17
2C032HD13
2C032HD16
2C032HD26
2C032HD29
2F129AA03
2F129BB03
2F129FF02
2F129FF36
2F129FF39
2F129FF61
2F129GG17
2F129GG18
5B057AA16
5B057BA02
5B057DA11
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC32
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF22
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA02
(57)【要約】
本発明は、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステムに関しており、このシステムは、車両側に、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す車両側の地図データを備えた車両データベースと、車両周囲データを検出する1つまたは複数のセンサと、車両周囲データから少なくとも1つのスニペットを作成し、地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間の差分の形態でイベントが存在する場合に、地図データの部分領域の更新データをスニペットから特定する、ように構成されている1つまたは複数のプロセッサと有しており、システムは、バックエンド側に、デジタルモデルのバックエンド側の地図データを備えたサーバデータバンクと、1つまたは複数の車両から更新データを受信する、ように構成されている送信/受信装置と、更新データを統計的に評価し、統計的な評価に依存してバックエンド側の地図データを更新する、ように構成されている1つまたは複数のプロセッサと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステムにおいて、前記システムは、車両側に、
前記デジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す車両側の地図データを備えた車両側データベースと、
車両周囲データを検出する1つまたは複数のセンサと、
前記車両周囲データから少なくとも1つのスニペットを作成し、前記地図データにおける対象物と、前記スニペットにおける対象物との間の差分の形態でイベントが存在する場合に、前記デジタル地図の前記部分領域の更新データを前記スニペットから特定する、ように構成されている1つまたは複数のプロセッサと、
前記イベントの空間位置を特定する手段と、
正のトークンまたは負のトークンをバックエンド装置から受信して車両データベースに伝送するように構成されており、さらに、車両側データベースが、前記イベントの前記空間位置に関して標準モードにある場合、または記憶装置に正のトークンが存在する場合に、前記イベントと、対応する空間位置とを有する更新データを前記バックエンドに伝送する、ように構成されている送信および受信装置と、を有しており、
さらに、前記システムは、バックエンド側に、
前記デジタルモデルのバックエンド側の地図データを備えたサーバデータベースと、
1つまたは複数の車両から前記更新データを受信する、ように構成されている送信/受信装置と、
前記更新データを統計的に評価し、前記統計的な評価に依存してバックエンド側の前記地図データを更新し、かつ前記統計的な評価に依存して、特定の個数の正のトークンおよび負のトークンを生成する、ように構成されている1つまたは複数のプロセッサと、を有するバックエンド装置を有しており、
前記送信および受信装置は、さらに、1つまたは複数の車両に前記正のトークンまたは前記負のトークンを伝送する、ように構成されている、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステム。
【請求項2】
それぞれの車両の1つまたは複数の前記プロセッサは、さらに、前記更新データを統計的に評価する、ように構成されており、
前記更新データの良度に依存して、前記更新データに信頼度値または統計的なパラメータを対応付け、
それぞれの車両の前記送信/受信装置は、前記更新データに加えて、前記信頼度値または前記統計的なパラメータを、付加データとして、前記バックエンド装置に伝送する、ように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データを伝送した前記車両の個数および/または前記伝送の前記回数に基づいて、前記更新データを統計的に評価し、前記車両の前記個数および/または前記伝送の前記回数に基づいて、前記更新データに信頼度値を対応付ける、ように構成されている、請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データを伝送した前記車両の前記個数、および/または前記伝送の前記回数に基づいて、また前記付加データに基づいて、前記更新データを評価する、ように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データが、最小閾値を上回る統計的な有意度を有する場合に正のトークンおよび負のトークンを生成する、ように構成されており、
前記正のトークンおよび前記負のトークンには、少なくとも、関係する前記イベントの前記空間位置と、関係する前記イベントのイベントIDとが対応付けられ、
前記バックエンド装置の前記送信/受信装置は、1つまたは複数の車両に前記正のトークンおよび前記負のトークンを伝送する、ように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
1つまたは複数の車両側の前記プロセッサは、前記地図データにおける対象物と、前記スニペットにおける対象物との間に負の差分がある場合に、特定の空間位置と、対応付けられているイベントIDとを有する前記イベントの削除を検出する、ように構成されており、
車両側の前記送信/受信装置は、車両側の前記記憶装置に負のトークンが存在する場合に、前記更新データの形態で前記バックエンド装置に前記イベントの前記削除を伝達する、ように構成されている、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データが、最小閾値を上回る統計的な有意度を有する場合に、削除された前記イベントの前記空間位置および前記イベントIDについて、車両側の前記データベースを前記標準モードに移行させるメッセージを作成する、ように構成されており、
前記バックエンド装置の前記送信/受信装置は、1つまたは複数の車両に前記メッセージを伝送する、ように構成されている、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
1つまたは複数の車両側の前記プロセッサは、前記空間位置および/または前記イベントIDについて、正のトークンまたは負のトークンを車両側の前記記憶装置から除去する、ように構成されている、請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記バックエンドの前記送信および受信装置はさらに、前記イベントの空間的な近傍に存在する1つまたは複数の車両に前記正のトークンまたは前記負のトークンを伝送する、ように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
1つまたは複数のバックエンド側の前記プロセッサは、前記更新データが、最小閾値を上回る信頼度値を有する場合に、前記デジタルモデルのバックエンド側の地図データを備えた前記サーバデータベースを前記更新データによって更新する、ように構成されており、
バックエンド側の前記送信/受信装置は、少なくとも、前記イベントに関連する、更新された前記データベースのデータを、前記イベントの空間的な近傍に存在する車両に伝送する、ように構成されている、請求項3から9までのいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システムの分野に関する。本発明は、特に、車両のセンサによって車道データを検出することと、検出した車道データを車両外部のデータベースに伝送することとに関連する。
【0002】
技術背景
例えば自動運転または部分的な自動運転用に車道特性についてのデータを、バックエンド装置のデータベースにおいて、最新に維持するためには、データを定期的に最新状態にしなければならない。車道特性の検出は、適切なセンサと、ジオポジションを検出する装置とをそれぞれ装備した、道路を走行する車両によって行うことが可能である。次に、検出したデータは、VtoX通信または移動無線通信を介して、バックエンド装置のデータベースに送信することができ、ここでは、検出したデータがデータセットに整理統合され、このデータセットは、次に、例えばルート計算などのために別の複数の車両に送信することが可能である。複数の車両がバックエンド装置に更新データを伝送する場合、検出したデータは、車両からバックエンド装置への多大なデータトラヒックを生じさせることがある。統計的に有意であり、更新されかつ整理統合されたデータセットがすでにバックエンド装置に存在する場合、これは、通信資源の浪費である。というのは、車両によって検出されたデータをさらに伝送することによっては、整理統合されたデータセットの良度をさらに向上させることはできないからである。
【0003】
発明の開示
したがって本発明の課題は、信頼性が高くかつ確実に動作する、デジタル地図のデジタルモデルを作成もしくは更新するためのシステムを提供することである。
【0004】
この課題は、システムについての独立請求項に記載したシステムによって解決される。従属請求項は、特別な実施形態に関する。
【0005】
一態様は、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステムに関しており、ここでは2つの側でのデータ処理が行われる。データ処理の一部は、1つまたは複数の車両において行われる。データ処理の別の一部は、バックエンド装置において行われる。このシステムは、車両側に、車両側の地図データを備えた車両データベースを有しており、車両側の地図データは、バックエンド装置のサーバデータベースにも記憶されているデジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す。さらに、このシステムは、車両側に、車両周囲データを検出する1つまたは複数のセンサと、車両周囲データから少なくとも1つのスニペットを作成する、ように構成されている1つまたは複数のプロセッサとを有する。スニペットとは、車両周囲対象物の対象物データを含む、デジタル地図の部分モデルのことである。これは、例えば100m×100mの大きさの、例えば一連のカメラ画像から計算される、地図部分のCAD(computer aided design)モデルであってよい。1つまたは複数のプロセッサは、さらに、地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間の差分の形態でイベントが存在する場合に、デジタル地図の部分領域の更新データをスニペットから特定する、ように構成されている。イベントとは、例えば、車道の通行止めまたは一時的に設置された道路標識のような新たに加えられた車両周囲対象物であってよい。車両側には、さらに、例えば車両位置を特定するGPS受信機、または車両に対してイベントの空間位置を付加的に特定するレーダセンサのような、イベントの空間位置を特定する手段が設けられている。さらに、正のトークンまたは負のトークンをバックエンド装置から受信して車両データベースに伝送するように構成されており、さらに、車両側データベースが、イベントの空間位置に関して標準モードにある場合、または記憶装置に正のトークンが存在する場合に、イベントと、対応する空間位置とを有する更新データをバックエンド装置に伝送する、ように構成されている送信および受信装置が車両側に設けられている。これに対し、負のトークンが存在する場合には、イベントが削除されたときにのみ、更新データがバックエンド装置に伝送される。標準モードは、車両側データベースの一状態に関係し、この状態では、車両の特定の空間位置について、車両によるイベントの最初の検出時に、この車両により、更新データが車両データベースに伝送される。したがって車両データベースの標準モードでは、イベントは、まだバックエンドに存在しない。
【0006】
このシステムは、バックエンド側にバックエンド装置を有する。このバックエンド装置には、デジタルモデルのバックエンド側の地図データを備えたサーバデータベースと、1つまたは複数の車両から更新データを受信する、ように構成されている送信/受信装置とが含まれている。さらに、バックエンド装置には、更新データを統計的に評価し、この統計的な評価に依存してバックエンド側の地図データを更新し、かつ統計的な評価に依存して、特定の個数の正のトークンおよび負のトークンを生成する、ように構成されている1つまたは複数のプロセッサが設けられている。ここでは、イベントが、別の複数の車両による、十分に大きな回数の確認によって確かめられ、これにより、対応して高い信頼度を有するデータだけが、サーバデータベースに生成されるかもしくは更新される、ように正のトークンの個数を選択可能である。バックエンド装置の送信および受信装置は、さらに、1つまたは複数の車両に正のトークンまたは負のトークンを伝送する、ように構成可能である。
【0007】
サーバデータベースに格納されるデジタルモデルは、特に、別の周囲要素を備えた高解像度のデジタル地図を有していてよい。このデジタル地図は、少なくとも、道路モデルによって形成され、この道路モデルは、区間およびレーンの経過を表し、かつレーンマークの個数および経過、カーブ半径、傾斜、交差点および類似の特徴についての情報を含む。
【0008】
このデジタルモデルは、特に、別の静的または動的な周囲要素を含んでいてよい。静的な周囲要素は、車線マークや、例えば停止線、ゼブラゾーン、中央分離帯、車線縁部マークなどのような線マークの位置および種類、また周囲の建造物の有無、ならびにそれらのクラスおよび相対または絶対位置について情報、交通標識の位置および種類についての情報、または灯火信号装置または道路情報板の種類および状態についての情報に関係する。動的な周囲要素は、特に、車両の位置および速度に関係する。周囲要素のそれぞれのパラメータ、特に位置および属性に対し、例えば、交通標識の位置および交通標識の種類に対し、トレーニングフェーズの間に、統計的に有意な測定回数から統計が特定される。この統計は、中央値の周りの測定値の分布を表していてよい。
【0009】
更新データには、測定回数、すなわち車両による伝送の回数だけに関して、バックエンド装置におけるp値を対応付けできるのではなく、この更新データには、車両側においてすでに、例えば、車両周囲データの品質から得ることができる信頼度値または統計的なパラメータを、それらの良度に依存して対応付けることが可能である。したがって、特に、車両周囲データが一連のカメラ画像である場合には、車両周囲データの品質は、霧および強い降雨のような悪い天候条件では、良好な天候条件の場合よりも低くなり得る。それぞれの車両の送信/受信装置は、更新データに加えて、車両側で特定した信頼度値または統計的なパラメータを、付加データとして、バックエンド装置に伝送する、ように構成可能である。
【0010】
バックエンド装置は、更新データをもっぱら統計的に評価することも可能である。バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データを伝送した車両の個数および/または伝送の回数に基づいて、更新データを統計的に評価し、車両の個数および/または伝送の回数に基づいて、更新データに信頼度値を対応付ける、ように構成可能である。
【0011】
バックエンド装置は、信頼度値を特定する際に、車両側で特定した付加データを一緒に取り入れることが可能である。バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データを伝送した車両の個数、および/または伝送の回数に基づいてまた付加データに基づいて、更新データを評価することが可能である。
【0012】
システムの一態様は、バックエンド装置において正のトークンおよび負のトークンを生成することに関する。バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データが、最小閾値を上回る統計的な有意度を有する場合に正のトークンおよび負のトークンを生成する、ように構成可能であり、正のトークンおよび負のトークンには、少なくとも、関係するイベントの空間位置と、関係するイベントのイベントIDとが対応付けられる。バックエンド装置の送信/受信装置は、1つまたは複数の車両に、特にブロードキャストを介して、正のトークンおよび負のトークンを伝送する、ように構成可能である。
【0013】
システムの一態様は、イベントの削除の検出の処理に関する。イベントの削除は、これが統計的に有意であると評価され得る限りにおいて、このイベントについて、すべての正のトークンおよび負のトークンが、すべての車両において消去され、かつ車両データベースが、このイベントについて、すなわち特にその空間位置について標準モードにリセットされる、ことに結び付くべきである。
【0014】
1つまたは複数の車両側のプロセッサは、地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間に負の差分がある場合に、特定の空間位置と、対応付けられているイベントIDと有するイベントの削除を検出する、ように構成されている。車両側の送信/受信装置は、車両側の記憶装置に負のトークンが存在する場合に、更新データの形態でバックエンド装置にイベントの削除を伝達する、ように構成可能である。したがって、このイベントについて車両データベースが負のトークンを有する車両だけが、イベントの削除を通知する。
【0015】
バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データが、最小閾値を上回る統計的な有意度を有する場合に、削除されたイベントの空間位置およびイベントIDについて、車両側データベースを標準モードに移行させるメッセージを作成する、ように構成可能である。バックエンド装置の送信/受信装置は、1つまたは複数の車両にメッセージを伝送する、ように構成可能である。これにしたがい、1つまたは複数の車両側のプロセッサは、空間位置および/またはイベントIDについて、正のトークンまたは負のトークンを車両側の記憶装置から除去し、かつ車両データベースを、削除したイベントについて、標準モードにリセットすることが可能である。
【0016】
一態様は、車両への正のトークンおよび負のトークンの空間的な分配に関する。バックエンド装置の送信および受信装置は、イベントの空間的な近傍だけに存在する1つまたは複数の車両に正のトークンまたは負のトークンを伝送する、ように構成可能である。
【0017】
一態様は、更新されたバックエンド側の地図データを車両に分配することに関する。このためにバックエンド側の1つまたは複数のプロセッサは、更新データが、最小閾値を上回る信頼度値を有する場合に、デジタルモデルのバックエンド側の地図データを備えたサーバデータベースを更新データによって更新する、ように構成可能である。バックエンド側の送信/受信装置は、少なくとも、イベントに関連する、更新されたデータベースのデータを、イベントの空間的な近傍に存在する車両に伝送する、ように構成可能である。
【0018】
以下では、図を参照し、複数の実施例に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】デジタルモデルを作成するためのシステムのブロック図である。
図2】イベントの発生についてのこの方法の流れ図である。
図3】イベントの削除についてのこの方法の流れ図である。
【0020】
詳細な説明
図1は、デジタル地図のデジタルモデルを作成および/または更新するためのシステム100を示しており、このシステム100は、バックエンド装置102と、センサ106を備えた車両104とから成り、車両104は、2つのレーンマーク110、112によって画定されておりかつ中央分離帯114を有するレーンを移動している。車両104は、バックエンド装置102に、もしくはバックエンド装置102からデータを伝送する送信/受信装置116を有する。バックエンド装置102も同様に、車両104に、もしくは車両104からデータを伝送する送信および受信装置126を有する。車両104に取り付けられている周囲センサ106は、カメラとして構成可能であり、また交通標識108を含む車両周囲の一連の録画の形態で車両周囲データを検出する。周囲センサは、付加的に、レーダセンサとして形成可能であり、またレーダによって周囲を走査する、ように構成可能である。これにより、レーダセンサ106は、付加的に、車両の空間位置に対して周囲要素の、例えば交通標識108の位置を特定可能である。GPSモジュール(図示せず)と関連させることにより、さらに、絶対的な空間位置を特定可能である。車両は、さらに、車両周囲データからスニペットを作成するように構成されているプロセッサ120を有する。スニペットは、約100m×100mの大きさのデジタルモデルの部分であり、実質的に対象物モデリングを表す。車両104は、さらに、車両側の複数の地図データを備えた車両データベース118を有し、これらの地図データは、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す。プロセッサ120は、地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間に差分の形態でイベントが存在するか否かを確認するために、スニペットと、車両データベース118から得られる、対応する車両側の地図データとを比較する、ように構成されている。ここでは、交通標識108は、地図データにはまだ存在しないものとする。例えば、この交通標識108は、最近設置されたからである。したがって比較により、新たに設置された交通標識108がイベントとして発生する。このイベントは、バックエンド装置には、今のところは既知ではない。というのはこのイベントはまだ、通信ネットワークを介してこのバックエンド装置に伝達されていないからである。
【0021】
車両104は、更新データの形態でこのイベントをバックエンド装置102に伝送し、このバックエンド装置102は、これにより、デジタルモデルのサーバ側の地図データを備えたそのサーバデータベース122を更新することができる。このデジタルモデルは、複数の車両から到来し得る複数のスニペットから合成可能である。このデジタルモデルは、パラメタライズ可能な周囲モデルであってもよい。このパラメタライズは、車両の統計的に有意な個数により、学習プロセスの間に行うことが可能である。したがってパラメタライズされた周囲モデルは、バックエンド側の整理統合された車両周囲情報を表す。それぞれの周囲要素は、位置、属性および検出確率について固有の統計を有し得る。バックエンド装置は、プロセッサ124を有しており、プロセッサ124は、更新データを統計的に評価しかつこの統計的な評価に依存して、サーバデータベース122内のバックエンド側の地図データを更新する、ように構成されている。
【0022】
多数の車両が交通標識108を通過すると仮定する。これらの車両のそれぞれは、新たに設置された交通標識108をイベントとして検出するため、このイベントが、それぞれの車両により、更新データの形態でバックエンド装置102に伝達されることになれば、極めて大きなデータ量が、バックエンド装置102に向かってアップリンクで発生することになる。したがって、以下では、図2、3および4を参照して、更新データを伝達するトークンベースのプロトコルを説明する。
【0023】
図2には、イベントの発生についてのこのプロトコルの流れ図200が示されている。デフォルトモードでは、デジタル地図の特定の空間領域について、まだイベントは生じていない。車両側データベース202には、サーバ側データベース214の全体デジタル地図の一部分が含まれている。サーバ側データベース214には、周囲モデルが含まれており、特に、別の周囲要素を有する高解像度のデジタル地図が含まれている。デジタル地図は、少なくとも、1つの道路モデルによって形成され、この道路モデルは、区間および車線の経過を表し、かつレーンマークの数および経過、カーブ半径、傾斜、交差点および類似の特徴についての情報を含む。周囲モデルは、特に、別の静的な周囲要素を含んでいてよい。静的な周囲要素は、車線マークや、例えば停止線、ゼブラゾーン、中央分離帯、車線縁部マークなどのような線マークの位置および種類、また周囲の建造物の有無、ならびにそれらのクラスおよび相対または絶対位置についての情報、交通標識の位置および種類についての情報、または灯火信号装置または道路情報板の種類および状態についての情報に関係する。
【0024】
車両側のセンサにより、車両周囲データが検出される。ステップ204を参照されたい。車両周囲データから、1つまたは複数の車両側のプロセッサにより、スニペット206が計算される。スニペットには、つい先頃設置された交通標識108(図1を参照されたい)が含まれている。比較により、すなわち車両側データベース202における対象物と、スニペット206における対象物との間で差分形成することにより、交通標識108がイベントとして識別される。ステップ210では、このイベントについて、すなわちこのイベントが発生した空間領域について、正のトークンが存在するか否かが特定される。車両側データベース202がデフォルトモードにある空間領域について、これは、正のトークンが存在するケースである。というのは、デフォルトモードは、正のトークンによってエミュレートされるからである。イベント208は、まだサーバ側データベース214にないと仮定したため、対応する空間領域について、車両側データベースは、デフォルトモードにある。この場合、イベント208は、バックエンド装置に伝送され、受信後にはそこにイベント216として存在する。バックエンド側では、このイベントに一意の識別子(ID)が付され、これにより、このイベントが識別可能である。バックエンド側では、場合によっては異なる複数の車両からのこのイベントの伝送の回数により、このイベントについての信頼度値が特定され、この信頼度値により、特定の個数の正のトークン222および負のトークン224が生成される。特に、信頼度値が閾値を下回る場合には正のトークンだけが生成され、信頼度値が閾値を上回る場合には負のトークンだけが生成される。車両側データベース202がデフォルトモードにないかまたは正のトークンがないとすると、バックエンド装置へのイベントの伝送は行われず、その代わりに車両側データベース202が更新されることになる。このイベントについて正のトークンおよび負のトークンが生成されたことにより、車両側データベース202は、デフォルトモードからイベントモードに移行し、このイベントモードでは、正のトークンを有する車両だけが、バックエンドにこのイベントを伝送してよいのに対し、負のトークンを有する車両は、バックエンドにこのイベントを伝送してはならない。イベントモードでは、さらに、このイベントが削除された否かが連続してチェックされる。
【0025】
イベントの削除の場合についてのプロトコルの流れ図が、図3に示されている。車両側データベース302には、イベントが、すなわち図1に示した交通標識108が存在することが、対象物データの形態で記憶されている。車両側のセンサは、車両周囲データを検出する。ステップ304を参照されたい。これらの車両側周囲データからは、1つまたは複数の車両側のプロセッサにより、スニペット306が計算される。ここで仮定するのは、スニペットが、交通標識108(図1を参照されたい)をもはや含まないことである。というのはこの交通標識108が、例えば取り除かれたからである。比較により、すなわち車両側データベース302における対象物と、スニペット306における対象物との差分形成により、もはや存在しない交通標識108は、イベントの削除として識別される。ステップ308を参照されたい。ステップ310では、このイベントに関して、正のトークンまたは負のトークンが存在するか否かがチェックされる。正のトークンが存在する場合、削除はバックエンドに伝送されず、その代わりに車両側データベース302が更新される。これに対して負のトークンが存在する場合、イベントの削除は、バックエンドに伝達され、これは、このバックエンドにおいて、イベントの削除316として存在する。バックエンド側では、場合によっては異なる複数の車両からのこのイベントの伝達の回数により、イベントの削除についての信頼度値が特定され、この信頼度値により、特定の個数の負のトークン322、または車両側データベース302をデフォルトモードにリセットするメッセージが生成される。特に、信頼度値が閾値を下回る場合には負のトークンだけが生成される。これに対し、信頼度値が、閾値を上回る場合には、デフォルトモードについてのメッセージが生成される。ステップ320を参照されたい。これによって保証されるのは、イベントの削除が、十分に大きな回数の確認によって信頼に値する場合にのみ、車両側データベース302が、このイベントの空間位置についてデフォルトモードに移行することである。この伝送は、ブロードキャストを用いて行うことが可能である。このために、イベントの空間位置は、無線セルにマッピングされ、対応する無線セルにメッセージが伝送される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】