(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-535487(P2020-535487A)
(43)【公表日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】光ビームフォーマ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20201106BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B3/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2020-518051(P2020-518051)
(86)(22)【出願日】2018年9月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2018076355
(87)【国際公開番号】WO2019063733
(87)【国際公開日】20190404
(31)【優先権主張番号】102017217345.9
(32)【優先日】2017年9月28日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュライバー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ミヒャエリス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヴェヒター
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・フィッシャー
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA29
2H087LA24
2H087RA26
2H087RA45
(57)【要約】
入射光ビームから出現光ビームを生成するための光ビームフォーマであって、いくつかの集光レンズを備える集光レンズアレイと、集光レンズアレイに平行に配置され、いくつかの投影レンズを備える投影レンズアレイとを含み、投影レンズのうちの厳密に1つが、集光レンズのそれぞれに割り当てられ、その結果、いくつかの光チャネルが形成され、その結果、いくつかの光チャネルのそれぞれが前記出現光ビームの部分光ビームを生成し、前記部分光ビームが、入射部分光ビームから、出現角に対して均一な部分強度分布で出現角範囲内に出現し、光チャネルの許容入射角範囲が、その大きさに関して、集光レンズの光軸に平行に延びる平面内で同一のサイズを有し、光チャネルのうちの少なくとも2つの出現角範囲が異なり、その結果、出現角に対する強度分布が、出現光ビームの遠距離場内で、均一な強度を有するいくつかの領域を含む光ビームフォーマを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光ビーム(ELB)から出現光ビーム(ALB)を生成するための光ビームフォーマであって、
前記入射光ビーム(ELB)を受けるための集光レンズアレイ(2)であって、いくつかの集光レンズ(3)を備え、前記集光レンズ(3)がそれぞれ開口(4)および光軸(5)を備え、前記集光レンズ(3)の前記光軸(5)が互いに平行に延びる集光レンズアレイ(2)と、
前記出現光ビーム(ALB)を放射するための投影レンズアレイ(6)であって、前記集光レンズアレイ(2)に平行に配置され、いくつかの投影レンズ(7)を備え、前記投影レンズ(7)がそれぞれ、中心(8.1)を有する開口(8)と、光軸(9)とを備える投影レンズアレイ(6)とを含み、
前記投影レンズ(7)のうちの厳密に1つが、前記集光レンズ(3)のそれぞれに割り当てられ、その結果、前記集光レンズ(3)のそれぞれ、および前記それぞれに割り当てられた投影レンズ(7)が、いくつかの光チャネル(10)のうちの光チャネル(10)を形成し、その結果、前記いくつかの光チャネル(10)のそれぞれが、前記出現光ビーム(ALB)の部分光ビーム(ATLB)を生成し、前記部分光ビームが、前記入射光ビーム(ELB)の部分光ビーム(ETLB)から、出現角(AFW)に対して均一な部分強度分布(TIV)で出現角範囲(11)内に出現し、前記部分光ビームが、前記それぞれの光チャネル(10)の許容入射角範囲(13.1)内に入射し、前記光チャネル(10)の前記許容入射角範囲(13.1)が、その大きさに関して、前記集光レンズ(3)の前記光軸(5)に平行に延びる平面内で同一のサイズを有し、
前記光チャネル(10)のうちの少なくとも2つの前記出現角範囲(11)が異なり、その結果、前記出現角(AFW)に対する強度分布(IV)が、前記出現光ビーム(ALB)の遠距離場内で、均一な強度を有するいくつかの領域(BHI)を含む、光ビームフォーマ(1)。
【請求項2】
前記投影レンズ(7)の前記開口(8)が同一のタイプである請求項1に記載の光ビームフォーマ。
【請求項3】
少なくとも前記光チャネル(10)のうちのいくつかにおいて、前記許容入射角範囲(13.1)の主光線(13.2)が平行に延びる請求項1または2のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項4】
少なくとも前記光チャネル(10)のうちのいくつかにおいて、前記許容入射角範囲(13.1)の主光線(13.2)が前記集光レンズ(3)の前記光軸(5)に平行に延びる請求項1または2のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項5】
少なくとも前記光チャネル(10)のうちのいくつかにおいて、前記許容入射角範囲(13.1)の主光線(13.2)が互いに対して斜めに延びる請求項1または2のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項6】
前記いくつかの光チャネル(10)のそれぞれにおいて、前記それぞれの集光レンズ(3)の前記光軸(5)の方向の前記それぞれの集光レンズ(3)の焦点(12)が、前記投影レンズ(7)の領域内に位置し、前記それぞれの投影レンズ(7)の前記光軸(9)の方向の前記それぞれの投影レンズ(7)の焦点(13)が、前記集光レンズ(3)の領域内に位置する請求項1から5のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項7】
相異なる出現角範囲(11)のうちの少なくとも2つが互いに重複する請求項1から6のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項8】
前記光チャネルのそれぞれにおいて、前記それぞれの集光レンズ(3)の前記光軸(5)が、前記それぞれの投影レンズ(7)の前記光軸(9)に等しい請求項1から7のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項9】
前記光チャネル(10)のうちの1つの前記集光レンズ(3)の前記開口(4)が、前記投影レンズ(7)の前記開口(8)よりも大きく、前記光チャネル(10)のうちの別の1つの前記集光レンズ(3)の前記開口(4)が、前記投影レンズの前記開口(8)よりも小さい請求項1から8のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項10】
前記集光レンズアレイ(2)の前記集光レンズ(3)が長方形および正方形集光レンズ(3)を含み、前記投影レンズアレイ(6)の前記投影レンズ(7)が正方形または長方形投影レンズ(7)を含む請求項9に記載の光ビームフォーマ。
【請求項11】
前記より小さい開口(4)を有する前記集光レンズ(3)が、その光軸(9)の方向に、前記より大きい開口(4)を有する前記集光レンズ(3)よりも小さい延長部分を備える請求項9または10に記載の光ビームフォーマ。
【請求項12】
前記光チャネル(10)のうちの1つの前記集光レンズ(3)の前記光軸(5)が、前記それぞれの集光レンズ(3)の前記開口の中心(15)に対する偏位(14)を有する請求項1から11のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項13】
前記光チャネル(10)のうちの別の1つの前記集光レンズ(3)の前記光軸(5)が、前記それぞれの集光レンズ(3)の前記開口(14)の前記中心(15)に対する偏位(14)を有さず、または異なる偏位(14)を有する請求項12に記載の光ビームフォーマ。
【請求項14】
前記集光レンズアレイ(2)の前記集光レンズ(3)の前記開口(4)が、正六角形に配置され、円形または六角形の形状を有するように同様に構成され、前記投影レンズアレイ(6)の前記投影レンズ(7)の前記開口(8)が、正六角形に配置され、円形または六角形の形状を有するように構成される請求項12または13に記載の光ビームフォーマ。
【請求項15】
前記光チャネル(10)のうちの1つの前記投影レンズ(7)の前記光軸(9)が、前記それぞれの投影レンズ(7)の前記開口(8)の前記中心(8.1)に対する偏位(16)を有する請求項1から14のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項16】
前記光チャネル(10)のうちの別の1つの前記投影レンズ(7)の前記光軸(9)が、前記それぞれの投影レンズ(7)の前記開口(8)の前記中心(8.1)に対する偏位(14)を有さず、または異なる偏位(14)を有する請求項15に記載の光ビームフォーマ。
【請求項17】
前記集光レンズアレイ(2)が基板(17)の第1の面に配置され、前記投影レンズ(6)が前記基板(17)の第2の反対側の面に配置される請求項1から16のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項18】
前記光チャネル(10)のそれぞれにおいて、前記それぞれの入射部分光ビーム(ETLB)が前記それぞれの集光レンズ(3)の前記光軸(5)に平行に入射する場合、前記それぞれの集光レンズ(3)が、前記それぞれの投影レンズ(7)の前記開口(8)の前記中心(8.1)に前記それぞれの入射部分光ビーム(ETLB)を集束させる請求項1から17のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項19】
前記光チャネル(10)のそれぞれにおいて、前記それぞれの入射部分光ビーム(ETLB)が前記それぞれの集光レンズ(3)の前記光軸(5)に対して角度をなして入射する場合、前記それぞれの集光レンズ(3)が、前記それぞれの投影レンズ(7)の前記開口(8)の前記中心(8.1)に前記それぞれの入射部分光ビーム(ETLB)を集束させる請求項1から17のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ。
【請求項20】
入射光ビーム(ELB)から出現光ビーム(ALB)を生成するための光ビームフォーマ配置であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の第1の光ビームフォーマ(1a)と、請求項1から19のいずれか一項に記載の第2の光ビームフォーマ(1b)とを備え、前記第1の光ビームフォーマ(1a)および前記第2の光ビームフォーマ(1b)が、相互平面(19)に沿って配置され、前記第1の光ビームフォーマ(1a)の前記強度分布(IV)と前記第2の光ビームフォーマ(1b)の前記強度分布(IV)とが異なる光ビームフォーマ配置(18)。
【請求項21】
入射光ビーム(ELB)から出現光ビーム(ALB)を生成するための光ビームフォーマ配置であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の第1の光ビームフォーマ(1a)と、請求項1から19のいずれか一項に記載の第2の光ビームフォーマ(1b)とを備え、前記第1の光ビームフォーマ(1a)の前記出現光ビーム(ALBa)の少なくとも一部が前記第2の光ビームフォーマの入射光ビーム(ELBb)として前記第2の光ビームフォーマ(1b)に供給されるように、前記第1の光ビームフォーマ(1a)および前記第2の光ビームフォーマ(1b)が配置されるビームフォーマ配置(20)。
【請求項22】
入射光ビーム(ELB)から集束出現光ビーム(FALB)を生成するための光学系であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ(1)と、前記光ビームフォーマ(1)の前記出現光ビーム(ALB)を平面(EB)上に集束させるための集光オプティック(22)とを備える光学系(21)。
【請求項23】
入射光ビーム(ELB)から集束出現光ビーム(FALB)を生成するための光学系であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ(1)と、前記光ビームフォーマ(1)の前記出現光ビーム(ALB)の発散を増大させるための発散オプティックとを備える光学系(21)。
【請求項24】
入射光ビーム(ELB)から出現光ビーム(FALB)を生成するための光学系であって、請求項20または21のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ配置(19、20)と、前記光ビームフォーマ配置の前記出現光ビーム(ALB)を平面(EB)上に集束させるための集光オプティック(22)とを備える光学系(21)。
【請求項25】
入射光ビーム(ELB)から出現光ビーム(FALB)を生成するための光学系であって、請求項20または21のいずれか一項に記載の光ビームフォーマ配置(19、20)と、前記光ビームフォーマ配置の前記出現光ビーム(ALB)の発散を増大させるための発散オプティックとを備える光学系(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光ビーム(ELB)から出現光ビーム(ALB)を生成するための光ビームフォーマに関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームの連続的強度分布を生成するために拡散ディスク(ディフューザ)が使用される。コリメートされ、または弱く発散する照射に基づいて、これらの素子は、最小の構造的空間要件において出力円錐(散乱ローブ)の画定された角度分布を生成する。機能は、片面構造マイクロオプティクスでの光散乱(体積散乱または表面散乱)、光の屈折(「設計された」ディフューザ)、および/または光の回折(ホログラフィックディフューザ)に基づく。
【0003】
拡散ディスクは円錐エリアを保存するが、散乱ローブの開口角による円錐発散を増大させ、照射と比較して出力での輝度が低下する。この挙動は、高輝度を必要とする応用例では不利である。たとえば、そのような応用例は、マイクロイメージャの照明、または高性能スポットライトの実現である。
【0004】
この点に関連する照明システムの幾何学的側面を記述するために、以下のエタンデュが導入される。
【0005】
【数1】
【0006】
上式でnは媒体の屈折率、Aは円錐の表面積、θは開口半角である。理想的には、結像オプティクスはエタンデュを保存するが、欠陥のある結像素子および散乱素子はエタンデュを増大させる。ディフューザにとって典型的であるが、エタンデュが増大すると、システムの出力での輝度が低下し、そのことは前述の応用例にとって特に不利である。エタンデュの重要性が非特許文献1により詳細に説明されている。
【0007】
拡散ディスクの別の問題は、出力での散乱ローブの向きを決定する、照射方向に対する出力円錐の強い依存である。したがって、散乱ローブの向きが拡散ディスクについて厳密に画定されない場合、これは再現可能な出力側強度分布とはならない。
【0008】
非特許文献2から知られているハニカム集光器は、焦点距離の距離に配置された2つの同一のレンズアレイからなる。入力側レンズアレイおよび出力側レンズアレイ上のレンズが、同様に構成される。このケースでは、光チャネルは、入力側レンズおよび出力側レンズそれぞれによって形成される。そのようなハニカム集光器は、照射角がいわゆる受容角以下である場合、照射方向からは独立しており、さらに、照射角がいわゆる受容角に等しい場合、エタンデュ維持的である。そのようなハニカム集光器は、出現角範囲内でその強度分布が均一であり、出現角範囲の外側で0である出現光ビームを生成する。そのような強度分布は、シルクハット形強度分布とも呼ばれる。しかしながら、そのようなハニカム集光器では、より複雑な強度分布は不可能である。
【0009】
修正型ハニカム集光器が非特許文献3から知られており、光チャネルのそれぞれの中の入力側レンズおよび出力側レンズが、同様に構成される。しかしながら、相異なる光チャネルのレンズは、そのサイズに関して互いに異なる。相異なるレンズを用いる光チャネルの特別な配置により、出現光ビームのほぼベル形の強度分布が可能である。しかしながら、そのようなハニカム集光器での受容角は、古典的ハニカム集光器よりも著しく小さい。
【0010】
受容角を増大させるために、非特許文献4は、空間的に構築された絞りアレイを備える、別の修正型ハニカム集光器を提案している。しかしながら、絞りアレイにより、ハニカム集光器の出力での平均輝度が著しく低くなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Enrico Geissler, "Meeting the Challenges of Developing LED-based Projection Displays", SPIE 6169 (2006) 619601.
【非特許文献2】Peter Schreiber, Sergey Kudaev, Peter Dannberg, Uwe D. Zeitner, "Homogeneous LED-illuminationusing microlens arrays", SPIE 5942 (2005) 188-96.
【非特許文献3】Julius Muschaweck, "Randomized Micro Lens Arrays for Color Mixing", SPIE 7954 (2011) 79540A.
【非特許文献4】Marcel Sieler, Peter Schreiber, Peter Dannberg, Andreas Brauer, An-dreas Tunnermann, "Ultraslim fixed pattern projectors with inherent homogenization of illumination", Appl. Opt. 51 (2012) 64-74.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、具体的には前述の欠点を軽減する、改良型の光ビームフォーマを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、入射光ビームから出現光ビームを生成するための光ビームフォーマによって解決され、光ビームフォーマは、
入射光ビームを受けるための集光レンズアレイであって、いくつかの集光レンズを備え、集光レンズがそれぞれ開口および光軸を備え、集光レンズの光軸が互いに平行に延びる集光レンズアレイと、
出現光ビームを放射するための投影レンズアレイであって、集光レンズアレイに平行に配置され、いくつかの投影レンズを備え、投影レンズがそれぞれ、中心を有する開口と、光軸とを備える投影レンズとを含み、
投影レンズのうちの厳密に1つが、集光レンズのそれぞれに割り当てられ、その結果、集光レンズのそれぞれ、およびそれぞれ割り当てられた投影レンズが、いくつかの光チャネルのうちの光チャネルを形成し、その結果、いくつかの光チャネルのそれぞれが、出現光ビームの部分光ビームを生成し、前記部分光ビームが、入射光ビームの部分光ビームから、出現角に対して均一な部分強度分布で出現角範囲内に出現し、前記部分光ビームが、それぞれの光チャネルの許容入射角範囲内に入射し、光チャネルの許容入射角範囲が、その大きさに関して、集光レンズの光軸に平行に延びる平面内で同一のサイズを有し、
光チャネルのうちの少なくとも2つの出現角範囲は異なり、その結果、出現角に対する強度分布が、出現光ビームの遠距離場内で、均一な強度を有するいくつかの領域を含む。
【0014】
一般には、レンズアレイは、レンズアレイの個々のレンズの光軸が平行に延びること、およびレンズアレイの個々のレンズが光軸に対して垂直に延びる平面に沿って配置されることを特徴とする。一方のレンズアレイのレンズの光軸が他方のレンズアレイのレンズの光軸に平行に延びる場合、2つのレンズアレイが互いに平行に配置される。集光レンズアレイおよび投影レンズアレイはそれぞれマイクロレンズアレイであり得る。
【0015】
一般には、レンズの開口は、その光軸に垂直な平面内のレンズの光学的に作用するエリアであると理解される。開口の中心は、それぞれのレンズの光学的に作用するエリアの重心の周りの領域であると理解される。
【0016】
レンズの光軸は、光線を屈折させない、光線についての少なくとも仮想の通路である。2次元作用レンズでは、光軸が直線の形状を採用するように、光軸は点形状断面を有する。1次元作用レンズでは、光軸が平面の形状を採用するように、光軸は直線形状の断面を有する。光軸は、開口の中心、開口の任意の場所、さらには開口の外側にあり得る。
【0017】
入射部分光ビームはそれぞれ、集光レンズアレイの集光レンズを通過する入射光ビームの一部である。出現部分光ビームはそれぞれ、投影レンズアレイの投影レンズを通じて出現する出現光ビームの一部である。
【0018】
光チャネルの許容入射角範囲は、光チャネルの集光レンズに入射する光がそれぞれの光チャネルの投影レンズに達するように光が屈折する角度範囲である。
【0019】
相異なる光チャネルの入射角範囲の、重心光線とも呼ばれる主光線は、互いに平行に配向され得る。これは、相異なる光チャネルに入射する部分光ビームが大部分は互いに平行となるべきである場合に有利である。具体的には、入射角範囲の主光線が、光チャネルの集光レンズの光軸に対して平行に配向され得る。これは、相異なる光チャネルに入射する部分光ビームが大部分は集光レンズの光軸に平行に延びるべき場合に有利である。
【0020】
しかしながら、相異なる光チャネルの入射角範囲の主光線が互いに対して角度をなして延びる実施形態も考えられる。これは、相異なる光チャネルに入射する部分光ビームが著しく異なる入射角を含むべきである場合に有利である。
【0021】
一般には、強度分布は、傾斜によって限定されるいくつかの領域を含む場合、均一な強度を有するいくつかの領域を含み、前記領域は、0とは異なる一定の強度を有する。このケースでは、傾斜は別の強度値への急勾配の遷移である。
【0022】
出現光ビームの遠距離場は、投影レンズの光軸に沿って測定された、投影レンズアレイまでの距離で始まり、前記距離は、アレイの中心までの投影レンズの距離が無視できるのに十分な大きさである。言い換えれば、遠距離場は、光ビームフォーマがほぼ点形状の光源として働く場合に存在する。
【0023】
集光レンズおよび投影レンズは、1次元作用レンズまたは2次元作用レンズであり得る。たとえば、1次元作用レンズは円筒レンズであり得る。このケースでは、円筒レンズの形状は、収差を回避するために、理想的な円筒形状からわずかに偏移し得る。別の方策がなければ、1次元レンズは1次元強度分布の生成を可能にするだけである。
【0024】
たとえば、2次元作用レンズは球面レンズであり得る。レンズはまた、収差を回避するためにその表面が理想的な球面から偏移する非球面レンズとして構成され得る。
【0025】
集光レンズおよび投影レンズは、収差を回避するために、それぞれのアレイ内の個々の曲率を有し得る。
【0026】
本発明の光ビームフォーマでは、光チャネルのそれぞれは、シルクハット形部分強度分布、すなわち出現角範囲内の強度分布が一定の値を有し、出現角範囲の外側の部分強度分布が値0を取る強度分布を有する出現部分光ビームを生成する。光ビームフォーマの強度分布は、個々の光チャネルの部分強度分布の重複の結果として生じる。
【0027】
このケースでは、光チャネルは、光チャネルのうちの少なくとも2つが相異なる出現角範囲を有し、その結果、相異なる部分強度分布となるように構成される。次いで、光ビームフォーマの強度分布は、相異なる部分強度分布の重複の結果として生じる。次いで、ビームフォーマの強度分布は、出現光ビームの遠距離場内でそれぞれ均一な強度を有するいくつかの領域を含む。それに応じて光チャネルを構成することによって、非特許文献2の古典的ハニカム集光器とは対照的に、ほぼどんな強度分布も生成することが可能である。
【0028】
本発明の光ビームフォーマでは、光チャネルの許容入射角範囲が、その大きさに関して、集光レンズの光軸に平行に延びる平面内で同一のサイズを有するので、理論光ビームとは対照的に、実際の入射光ビームの角度偏移が、すべての光チャネルによって等しく十分に補償され得る。これは、光チャネルが光チャネルの投影レンズの相異なる開口数にそれぞれ依存する相異なる許容入射角範囲を有する、非特許文献3の修正型ハニカム集光器に関して特に有利である。
【0029】
本発明の光ビームフォーマは、古典的ハニカム集光器の受容角を維持するための絞りアレイを必要としないので、光ビームフォーマは、非特許文献4の修正型ハニカム集光器よりも高い透過を可能にする。
【0030】
本発明の光ビームフォーマはまた、一方ではエタンデュ維持的であり、他方では入射光ビームの入射方向からはより独立しているので、拡散ディスクよりも優れている。
【0031】
本発明の光ビームフォーマは、投影レンズアレイの開口数に対応する受容角を超過しない限り、古典的ハニカム集光器の利点、すなわち高い透過性および照射角からの高い独立性を保って、単一の素子で任意の対称的および非対称的遠距離場分布を生成することを可能にする。ディフューザとは対照的に、個々のチャネルに関してエタンデュが維持され、輝度が重要な応用例の実現を可能にする。
【0032】
有利には、本発明の光ビームフォーマは、不均一な光度分布(強度)を有する、エタンデュが重要な照明システムおよび/または輝度が重要な照明システムにおいて使用され得る。たとえば、そのようなビームフォーマは、特殊な放射角分布を有するスポットライト用の一般的照明において、または車両の分野、たとえばヘッドライトもしくはバックライトおよび閃光用の分野において適用される。
【0033】
本発明の有利な別の発展によれば、投影レンズの開口は同一のタイプである。2つのレンズの開口がその形状および面積に関して一致する場合、2つのレンズは同一のタイプの開口を備える。そのような光ビームフォーマの投影レンズの開口が同一のタイプである場合、非特許文献2の古典的ハニカム集光器とは対照的に、入射光ビームの入射角からの独立の制限はない。非特許文献3の修正型ハニカム集光器とは対照的に、修正型ハニカム集光器の受容角は最小の投影レンズの開口数に依存するので、光ビームフォーマの受容角はより大きい。
【0034】
本発明の有利な別の発展によれば、少なくとも光チャネルのうちのいくつかにおいて、許容入射角範囲の主光線が平行に延びる。これらの特性により、入射光ビームの入射部分光ビームのうちの少なくともいくつかが本質的に互いに平行に入射するケースにおいて、本発明の光ビームフォーマの使用が可能となる。
【0035】
本発明の有利な別の発展によれば、少なくとも光チャネルのうちのいくつかにおいて、許容入射角範囲の主光線が集光レンズの光軸に平行に延びる。これらの特性により、入射光ビームの入射部分光ビームのうちの少なくともいくつかが本質的に集光レンズの光軸に平行に入射するケースにおいて、本発明の光ビームフォーマの使用が可能となる。
【0036】
本発明の有利な別の発展によれば、少なくとも光チャネルのうちのいくつかにおいて、許容入射角範囲の主光線が互いに対して斜めに延びる。これらの特性により、入射光ビームの入射部分光ビームのうちの少なくともいくつかが互いに斜めに入射するケースにおいて、本発明の光ビームフォーマの使用が可能となる。
【0037】
本発明の有利な別の発展によれば、いくつかの光チャネルのそれぞれにおいて、それぞれの集光レンズの光軸の方向のそれぞれの集光レンズの焦点が、投影レンズの領域内に位置する。さらに、いくつかの光チャネルのそれぞれにおいて、それぞれの集光レンズの光軸の方向のそれぞれの投影レンズの焦点が、集光レンズの領域内に位置する。これにより、出現部分光ビームの部分強度分布が出現角範囲内で均一となることが達成され、出現角範囲の外側に望ましくない強度がないことが達成される。
【0038】
本発明の機能的に別の発展によれば、相異なる出現角範囲のうちの少なくとも2つが重複する。このようにして、特に高い輝度が重複領域内で達成され得る。
【0039】
本発明の有利な別の発展によれば、光チャネルのそれぞれにおいて、それぞれの集光レンズの光軸が、それぞれの投影レンズの光軸に等しい。これにより、一定の強度分布のために必要とされる集光レンズおよび投影レンズの計算が簡単になる。さらに、この結果、集光レンズおよび投影レンズについての幾何学形状が単純になり、より容易に製造される。
【0040】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネルのうちの1つの集光レンズの開口が、投影レンズの開口よりも大きく、光チャネルのうちの別の1つの集光レンズの開口が、投影レンズの開口よりも小さい。相異なるサイズの集光レンズを使用することにより、相異なる出現角範囲を容易に生成することが可能となる。より小さい集光レンズと、より大きい集光レンズの通常の配置により、遠距離場内のほぼどんな対称的強度分布も生成することが可能となる。
【0041】
本発明の有利な別の発展によれば、集光レンズアレイの集光レンズが長方形および正方形集光レンズを含むのに対して、投影レンズアレイの投影レンズが正方形または長方形投影レンズを含む。このようにして、相異なるサイズの集光レンズを使用するときであっても、集光レンズ間の使用不可能なエリアが最小限に抑えられ得る。
【0042】
本発明の適切な別の発展によれば、より小さい開口を有する集光レンズが、その光軸の方向に、より大きい開口を有する集光レンズよりも小さい延長部分を備える。光学的な理由で望ましいことになる、同一の厚さの集光レンズを使用するとき、それぞれの光軸に平行な高い傾斜が、より小さいレンズにおいて、その縁部に沿って生み出される。それらによって迷光が生み出され得、それによって、一方では達成可能な輝度が低下し得、他方では遠距離場内の所望の強度分布が制御不能に重複し得る。より薄い、小さい集光レンズを使用することによって、そのような高い傾斜およびその悪影響が回避され得る。
【0043】
本発明の有利な別の発展によれば、光チャネルのうちの1つの集光レンズの光軸が、それぞれの集光レンズの開口の中心に対する偏位を有する。この偏位は、その方向およびその大きさによって決定される。そのような偏位によって、遠距離場内の非対称的強度分布を生成することも可能である。収差を回避するために、このケースでは非点収差レンズ(astigmatic lens)が使用され得る。
【0044】
本発明の適切な別の発展によれば、光チャネルのうちの別の1つの集光レンズの光軸が、それぞれの集光レンズの開口の中心に対する偏位を有さず、または別の偏位を有する。そのような集光レンズは軸対称集光レンズとも呼ばれる。偏位により、集光レンズの開口が同一のタイプである場合であっても、相異なる出現角範囲を生成することが可能である。しかしながら、集光レンズにおける偏位を集光レンズにおける異なるサイズの開口と組み合わせることも可能である。
【0045】
本発明の有利な別の発展によれば、集光レンズアレイの集光レンズの開口が、正六角形に配置され、円形または六角形の形状を有するように同様に構成され、投影レンズアレイの投影レンズの開口が、正六角形に配置され、円形または六角形の形状を有するように構成される。このようにして、レンズ間の使用不可能な中間エリアが、大部分は回避され得る。
【0046】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネルのうちの1つの投影レンズの光軸が、それぞれの投影レンズの開口の中心に対する偏位を有する。そのような投影レンズは偏心投影レンズとも呼ばれる。
【0047】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネルのうちの別の1つの投影レンズの光軸が、それぞれの投影レンズの開口の中心に対する偏位を有さず、または異なる偏位を有する。偏位のない投影レンズは軸対称投影レンズとも呼ばれる。相異なる偏位を有する光チャネルの組合せ、ならびに非偏位チャネルと偏位を有するチャネルとの組合せにより、同一のタイプの集光レンズであっても、相異なる出現角範囲を生成することが可能となり、対称的または非対称的強度分布が遠距離場内で可能である。投影レンズアレイ内の偏位が集光レンズ内の偏位と組み合わされ得る。さらに、投影レンズ内の偏位が、集光レンズ内の相異なるサイズの開口と組み合わされ得る。全体的に、これによって光ビームフォーマの設計の自由度が向上する。
【0048】
本発明の機能的に別の発展によれば、集光レンズアレイが基板の第1の面に配置され、投影レンズアレイが基板の反対側の第2の面に配置される。基板は透明板であり得、集光レンズアレイおよび投影レンズアレイがそれぞれ、非加熱および非圧力鋳造方法によって、基板に直接的に成形され、成形工具において基板に接続される。
【0049】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネルのそれぞれにおいて、それぞれの入射部分光ビームがそれぞれの集光レンズの光軸に平行に入射する場合、それぞれの集光レンズは、それぞれの投影レンズの開口の中心にそれぞれの入射部分光ビームを集束させる。そのような配置は、入射光ビームが集光レンズまたは投影レンズの光軸に本質的に平行に入射する場合に有利である。この場合、光軸の方向から見たとき、集光レンズアレイおよび投影レンズアレイは合同に配置され得る。
【0050】
本発明のさらに有利な別の発展によれば、光チャネルのそれぞれにおいて、それぞれの入射部分光ビームがそれぞれの集光レンズの光軸に対して角度をなして入射する場合、それぞれの集光レンズは、それぞれの投影レンズの開口の中心にそれぞれの入射部分光ビームを集束させる。そのような配置は、入射光ビームが集光レンズまたは投影レンズの光軸に対して角度をなして入射する場合に有利である。このケースでは、光軸の方向から見たとき、集光レンズアレイおよび投影レンズアレイは偏位して配置され得る。相異なる角度での入射で同一の許容入射角範囲を達成するために、割り当てられた投影レンズの開口が、投影効果を考慮に入れる目的で、入射角に応じて増大され得る。
【0051】
別の態様では、本発明は、入射光ビームから出現光ビームを生成するための光ビームフォーマ配置に関し、ビームフォーマ配置は、第1の本発明の光ビームフォーマおよび第2の本発明の光ビームフォーマを備え、第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマが相互平面に沿って配置され、第1の光ビームフォーマの強度分布と第2の光ビームフォーマの強度分布とは異なる。
【0052】
第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマが相互平面に沿って配置される場合、このことは、第1の光ビームフォーマの集光レンズの光軸と第2の光ビームフォーマの集光レンズの光軸とが互いに平行であることを意味し、同時に、第1の光ビームフォーマの投影レンズの光軸と、第2の光ビームフォーマの投影レンズの光軸とが互いに平行であることを示し、第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマは、光軸の方向の偏位を有さない。さらに、平面は、第1のビームフォーマの光軸に垂直に延び、第2のビームフォーマの光軸に垂直に延びる。
【0053】
並べて配置された、いくつかの光ビームフォーマの使用は、同一の光学的特性を有する単一のビームフォーマの使用とは対照的に、製造に関して利点を有し得る。
【0054】
別の態様では、本発明は、入射光ビームから出現光ビームを生成するための光ビームフォーマ配置に関し、ビームフォーマ配置は、第1の本発明の光ビームフォーマおよび第2の本発明のビームフォーマを備え、第1の光ビームフォーマの出現光ビームの少なくとも一部が第2の光ビームフォーマの入射光ビームとして第2の光ビームフォーマに供給されるように、第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマが配置される。
【0055】
そのようなビームフォーマ配置では、第1の光ビームフォーマの集光レンズの光軸と、第2の光ビームフォーマの集光レンズの光軸とが互いに平行であり得、その結果、第1の光ビームフォーマの投影レンズの光軸と、第2の光ビームフォーマの投影レンズの光軸とがやはり互いに平行である。しかしながら、第1の光ビームフォーマの光軸と第2の光ビームフォーマの光軸との間に角度を設けることも可能であるが、前記角度は、第2の光ビームフォーマの受容角よりも小さくなるべきである。このケースでは、第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマは、光軸の方向の偏位を有する。
【0056】
たとえば、第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマは、1次元強度分布を生成するように構成され得る。この目的で、第1の光ビームフォーマは、互いに平行に位置合せされる1次元作用レンズを有する集光レンズアレイおよび投影レンズアレイを備え得る。第2の光ビームフォーマも、互いに平行に位置合せされるが、第1の光ビームフォーマの1次元作用レンズに垂直に位置合せされる1次元作用レンズを有する集光レンズアレイおよび投影レンズアレイを備え得る。第1の光ビームフォーマおよび第2の光ビームフォーマの順次配置の結果、2次元強度分布が得られる。1次元作用レンズは、たとえば円筒レンズであり得る。このケースでは、円筒レンズの形状は、収差を回避するために、理想的な円筒形状からわずかに偏移し得る。この配置の利点は、1次元レンズは2次元作用レンズよりも製造するのが容易であるが、それでもなお2次元強度分布が生成され得ることである。
【0057】
いくつかの順次配置された光ビームフォーマの使用は、同一の光学的特性を有する単一のビームフォーマの使用とは対照的に、製造に関して利点を有し得る。
【0058】
別の態様では、本発明は、入射光ビームから出現光ビームを生成するための光学系に関し、光学系は、本発明の光ビームフォーマと、光ビームフォーマの出現光ビームを平面上に集束させるための集光オプティックとを備える。このようにして、ビームフォーマの出現光ビームの遠距離場内の強度分布に対応する輝度が、平面上で達成され得る。
【0059】
別の態様では、本発明は、入射光ビームから集束出現光ビームを生成するための光学系に関し、光学系は、本発明の光ビームフォーマと、光ビームフォーマの出現光ビームの発散を増大させるための発散オプティックとを備える。
【0060】
別の態様では、本発明は、入射光ビームから出現光ビームを生成するための光学系に関し、光学系は、本発明の光ビームフォーマ配置と、光ビームフォーマ配置の出現光ビームを平面上に集束させるための集光オプティックとを備える。このようにして、ビームフォーマ配置の出現光ビームの遠距離場内の強度分布に対応する輝度が、平面上で達成され得る。
【0061】
別の態様では、本発明は、入射光ビームから出現光ビームを生成するための光学系に関し、光学系は、本発明の光ビームフォーマ配置と、光ビームフォーマ配置の出現光ビームの発散を増大させるための発散オプティックとを備える。
【0062】
以下では、本発明およびその利点が、図を参照しながらより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】従来技術から知られている、いくつかの光チャネルを有する光ビームフォーマを示す図である。
【
図2】
図1の光ビームフォーマの光チャネルの出現部分光ビームの出現角範囲および部分強度分布を示す図である。
【
図3】
図1の光ビームフォーマの出現光ビームの得られる強度分布を示す図である。
【
図4】本発明の光ビームフォーマの第1の実施形態を概略断面側面図において示す図である。
【
図5】
図4の光ビームフォーマの光チャネルの出現部分光ビームの出現角範囲および部分強度分布を示す図である。
【
図6】
図4の光ビームフォーマの出現光ビームの得られる強度分布を示す図である。
【
図7】本発明の光ビームフォーマの第2の実施形態を概略断面側面図において示す図である。
【
図8】
図7の光ビームフォーマの光チャネルの出現部分光ビームの出現角範囲および部分強度分布を示す図である。
【
図9】
図7の光ビームフォーマの出現光ビームの得られる強度分布を示す図である。
【
図10】本発明の光ビームフォーマの第3の実施形態を概略断面側面図において示す図である。
【
図11】
図10の光ビームフォーマの光チャネルの出現部分光ビームの出現角範囲および部分強度分布を示す図である。
【
図12】
図10の光ビームフォーマの出現光ビームの得られる強度分布を示す図である。
【
図13】本発明の光ビームフォーマの第4の実施形態を概略断面側面図において示す図である。
【
図14】
図13の光ビームフォーマの光チャネルの出現部分光ビームの出現角範囲および部分強度分布を示す図である。
【
図15】
図13の光ビームフォーマの出現光ビームの得られる強度分布を示す図である。
【
図16】本発明の光ビームフォーマの第5の実施形態を概略断面側面図において示す図である。
【
図17】本発明の光ビームフォーマの第6の実施形態を概略空間斜軸図において示す図である。
【
図18】
図17の光ビームフォーマの集光レンズアレイを概略空間斜軸図において示す図である。
【
図19】本発明の光ビームフォーマ配置の第1の実施形態を概略側面図において示す図である。
【
図20】本発明の光ビームフォーマ配置の第2の実施形態を概略側面図において示す図である。
【
図21】本発明の光学系の第1の実施形態を概略側面図において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
同一の素子、または同一のタイプの素子、または同一の、もしくは同等な機能を有する素子が、同一の参照番号、または同一のタイプの参照番号と共に以下で提供される。
【0065】
以下の説明では、本発明のより良い理解を伝達するために、本発明の複数の特徴を有する実施形態が、より詳細に説明される。しかしながら、本発明はまた、記載の特徴のうちの個々の特徴を省略して実装され得ることに留意されたい。明示的に除外されず、または矛盾とならない場合、相異なる実施形態に示される特徴が、異なるように組み合わされ得ることにさらに留意されたい。
【0066】
図1は、従来技術から知られている光ビームフォーマ1を示す。入射光ビームELBから出現光ビームALBを生成するための光ビームフォーマ1は、いくつかの集光レンズ3を備える、入射光ビームELBを受けるための集光レンズアレイ2を含み、集光レンズ3はそれぞれ開口4および光軸5を備える。さらに、光ビームフォーマ1は、集光レンズアレイ2に平行に配置され、中心8.1を有する開口8と、光軸9とをそれぞれ備えるいくつかの投影レンズ7を備える、出現光ビームALBを放射するための投影レンズアレイ6を含む。このケースでは、投影レンズ7のうちの厳密に1つが、集光レンズ3のそれぞれに割り当てられ、その結果、集光レンズ3のそれぞれ、およびそれぞれに割り当てられた投影レンズ7が、いくつかの光チャネル10のうちの光チャネル10を形成し、その結果、いくつかの光チャネル10のそれぞれが、出現光ビームALBの部分光ビームATLBを生成し、前記部分光ビームが、入射光ビームELBの入射部分光ビームETLBから、均一な部分強度分布TIVで出現角範囲11内に出現する。
【0067】
集光レンズ3のすべてが同様に構成される。さらに、投影レンズ7のすべてが同様に構成される。さらに、集光レンズ3と投影レンズ7とは同様に構築される。具体的には、集光レンズ3と投影レンズ7とは、その開口8およびその焦点距離に関して互いに対応する。集光レンズ3および投影レンズ7のすべては、それぞれの光軸5および9がそれぞれの開口4および8の中心を通じて延びるように配置される。さらに、それぞれの集光レンズ3の焦点が、割り当てられた投影レンズ7の中心8.1に位置する。さらに、各投影レンズ7の焦点13が、割り当てられた集光レンズ3の中心に位置する。
【0068】
古典的ハニカム集光器では、許容入射角範囲13.1は、すべての光チャネル10内で、その大きさに関して同一のサイズを有する。入射角範囲13.1の主光線13.2は、集光レンズ3の光軸5に対応する。
【0069】
図2は、
図1の光ビームフォーマ1の光チャネル10の出現部分光ビームATLBの出現角範囲11および部分強度分布TIVを示す。このケースでは、光チャネル10のそれぞれは、それぞれの出現部分光ビームATLBがその中で均一な強度分布を有する同一の出現角範囲11を有する。このケースでは、部分強度分布TIVは、光チャネル10のうちの1つの強度に正規化される。
【0070】
図3は、
図1の光ビームフォーマの出現光ビームALBの遠距離場の得られる強度分布IVを示す。強度分布IVは、部分強度分布TIVの重複から得られる。強度分布IVは、均一な強度を有するただ1つの領域BHIを含む。
【0071】
図4は、本発明の光ビームフォーマの第1の実施形態を概略断面側面図において示す。入射光ビームELBから出現光ビームALBを生成するための光ビームフォーマであって、
入射光ビームELBを受けるための集光レンズアレイ2であって、いくつかの集光レンズ3を備え、集光レンズ3がそれぞれ開口4および光軸5を備え、集光レンズ3の光軸5が互いに平行に延びる集光レンズアレイ2と、
出現光ビームALBを放射するための投影レンズアレイ6であって、集光レンズアレイ2に平行に配置され、いくつかの投影レンズ7を備え、投影レンズ7がそれぞれ、中心8.1を有する開口8と、光軸9とを備える投影レンズアレイ6とを含み、
投影レンズ7のうちの厳密に1つが、集光レンズ3のそれぞれに割り当てられ、その結果、集光レンズ3のそれぞれ、およびそれぞれに割り当てられた投影レンズ7が、いくつかの光チャネル10のうちの光チャネル10を形成し、その結果、いくつかの光チャネル10のそれぞれが、出現光ビームALBの部分光ビームATLBを生成し、前記部分光ビームが、入射光ビームELBの部分光ビームETLBから、出現角AFWに対して均一な部分強度分布TIVで出現角範囲11内に出現し、前記部分光ビームが、それぞれの光チャネル10の許容入射角範囲13.1内に入射し、光チャネル10の許容入射角範囲13.1が、その大きさに関して、集光レンズ3の光軸5に平行に延びる平面内で同一のサイズを有し、
光チャネル10のうちの少なくとも2つの出現角範囲11が異なり、その結果、出現角AFWに対する強度分布IVが、出現光ビームALBの遠距離場内で、均一な強度を有するいくつかの領域BHIを含む光ビームフォーマ1。
【0072】
本発明の有利な別の発展によれば、投影レンズ7の開口は類似のタイプである。
【0073】
本発明の有利な別の発展によれば、いくつかの光チャネル10のそれぞれにおいて、それぞれの集光レンズ3の光軸5の方向のそれぞれの集光レンズ3の焦点12が、投影レンズ7の領域内に位置し、それぞれの投影レンズ7の光軸9の方向のそれぞれの投影レンズ7の焦点13が、集光レンズ3の領域内に位置する。
【0074】
本発明の機能的に別の発展によれば、相異なる出現角範囲11のうちの少なくとも2つが重複する。
【0075】
本発明の有利な別の発展によれば、光チャネル10のそれぞれにおいて、それぞれの集光レンズ3の光軸5が、それぞれの投影レンズ7の光軸9に等しい。
【0076】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネル10のうちの1つの集光レンズ3の開口4が、投影レンズ7の開口8よりも大きく、光チャネル10のうちの別の1つの集光レンズ3の開口4が、投影レンズの開口8よりも小さい。
【0077】
本発明の有利な別の発展によれば、光チャネル10のそれぞれにおいて、それぞれの入射部分光ビームETLBがそれぞれの集光レンズ3の光軸5に平行に入射する場合、それぞれの集光レンズ3は、それぞれの入射部分光ビームETLBをそれぞれの投影レンズ7の開口8の中心8.1に集束させる。
【0078】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネル10のそれぞれにおいて、それぞれの入射部分光ビームETLBがそれぞれの集光レンズ3の光軸5に対して角度をなして入射する場合、それぞれの集光レンズ3は、それぞれの投影レンズ7の開口8の中心8.1にそれぞれの入射部分光ビームETLBを集束させる。
【0079】
本発明の機能的に別の発展によれば、少なくとも前記光チャネル10のうちのいくつかにおいて、許容入射角範囲13.1の主光線13.2が平行に延びる。
【0080】
本発明の機能的に別の発展によれば、少なくとも前記光チャネル10のうちのいくつかにおいて、許容入射角範囲13.1の主光線13.2が集光レンズ3の光軸5に平行に延びる。
【0081】
図4では、入射光ビームELBが光軸5および9に平行に入射し、その結果、入射部分光ビームETLBが、それぞれの投影レンズ7の開口8の中心8.1に集束する。しかしながら、入射光ビームELBが上からわずかに斜めに入射した場合、入射部分光ビームETLBは、それぞれの投影レンズ7の開口8よりもわずかに下に集束することになる。一方、入射光ビームELBが下からわずかに斜めに入射した場合、入射部分光ビームETLBは、開口8よりもわずかに上で集束することになる。しかしながら、これは、出現部分光ビームATLBの出現角範囲11、およびその結果として得られる部分強度分布TIVについては重要ではない。これは、遠距離場において無視できる出現光ビームALBの横方向変位を示すだけであるからである。したがって、入射部分光ビームETLBがそれぞれのチャネルの投影レンズ7上に依然として集束する場合、強度分布IVは、光軸5および9に対して測定された入射光ビームELBの入射角から独立している。この条件が依然として満たされる入射角は、受容角とも呼ばれる。このケースでは、受容角は投影レンズ7の開口数NAに等しい。開口数NAは、近軸近似において、投影レンズ7の焦点距離fおよび高さhから、NA=h/2fに従って計算される。これは、
図1の古典的ハニカム集光器の受容角に対応し、その結果、古典的ハニカム集光器とは対照的に、照射角に対する光ビームフォーマの独立性は限定されない。
【0082】
図4では、光チャネル10a〜eの入射角範囲13.1a〜eの主光線13.2a〜eが、互いに平行に配向される。さらに、入射角範囲13.1a〜eの主光線13.2a〜eが、光チャネル10a〜eの集光レンズ3a〜eの光軸5a〜eに平行に配向される。
【0083】
図4の実施形態では、集光レンズアレイ2は、相異なる開口4a〜eをそれぞれ有する集光レンズ3a〜eを備える。したがって、集光レンズ3bおよび3dは、それぞれ開口4bおよび4dを有し、開口4bおよび4dは、それぞれ集光レンズ3a、3c、および3eの開口4a、4c、および4eよりも著しく大きい。一方、投影レンズアレイ6は、同一の開口8a〜eをそれぞれ有する投影レンズ7a〜eを備える。集光レンズ3a〜eの光軸5a〜eは、それぞれ投影レンズ7a〜eの光軸9a〜eに対応する。集光レンズ3a〜eの光軸5a〜eは、それぞれ集光レンズ3a〜eの開口4a〜eの重心に延びる。投影レンズ7a〜eの光軸9a〜eは、それぞれ投影レンズ7a〜eの開口8a〜eの重心に延びる。
【0084】
h
nが光チャネル10a〜eのうちの1つの集光レンズ3a〜eの高さであり、NA
nがそれぞれの光チャネル10a〜eの出現角範囲11a〜eの半分である場合、それぞれの光チャネル10a〜eの出現角範囲11a〜eの半分は、以下に従って計算される。
【0086】
遠距離場における、N個の集光レンズを有する光ビームフォーマ1の得られる光度分布IVは、光チャネル10の照射の総和の結果として得られる。集光レンズアレイ2上の均一な照明強度(輝度)Eを仮定すると、得られた光度IVの結果、近軸近似での、幅および高さw
nおよびh
nを有する長方形密充填集光レンズ3を有する集光レンズアレイ2についての遠距離場が以下のように得られる。
【0088】
上式で、A
nは、n番目の集光レンズ3の面積であり、Ω
nは、n番目の光チャネル10の照射の空間角度である。A
nおよび近軸近似した空間角度Ω
n
【0090】
を挿入すると、式が以下のように単純になる。
【0092】
任意の光分布I(θ)を生成するためのビームフォーマ1の設計は、以下の副次的条件を用いた式(4)の解を必要とする。
【0093】
(i)高システム透過を達成するために、集光レンズアレイ2の充填係数は理想的には1であるべきであるが、少なくとも可能な限り大きくなるべきである。長方形集光レンズ3のケースでは、これは以下の要求に対応する。
Σw
n=WおよびΣh
n=H (5)
上式で、WおよびHは、集光レンズアレイ2の全拡張を記述する。
【0094】
(ii)同様に構成され、別のチャネル10の使用なしに要求された出力光度分布を生成し得る、隣接する光チャネル10のグループはクラスタと呼ばれる。ビームフォーマのクラスタ数が大きいほど、入射光ビームの照明強度Eの局所偏移を補償する均質化効果が大きくなる。有利には、11個以上が設けられる。
【0095】
(iii)最小の可能な開口4で集光レンズアレイ2を実装することもこの目的にかなう。集光器アレイおよび投影アレイの開口4、焦点距離、偏心、したがってさらには距離が相互に線形にスケーリングされるならば、得られる強度分布IVは、光ビームフォーマ1の遠距離場内で一定のままとなる。したがって、これは、可能な限り小さくなるべきであるクラスタの面積拡張にも当てはまる。特定の応用例によって要求される光ビームフォーマ1のエタンデュを達成するために、要求される素子面積、したがって要求される素子エタンデュが達成されるまで、得られるクラスタがアレイとして複製される。
【0096】
(iv)多色システムでは、相異なるサイズの集光レンズを有し、かつ/または偏位を有する実施形態が、所望の強度分布を達成するために、偏向投影レンズを有する実施形態にとって好ましい。通常の投影レンズアレイ6は、より費用対効果が高く、より良好な品質で製造され得、遠距離場内の白色光照明において色縁として現れる、引き起こされる色収差が少ない。光ビームフォーマ1の遠距離場内の分離可能な強度分布IVについての、本明細書で説明される数学的モデルI(θ
x,y)は、いくつかのビームフォーマ1を有する光ビームフォーマ配置についても使用され得る。基本的に、本明細書で説明される数学的モデルI(θ
x,y)は、分離不可能な分布にも適用され得る。
【0097】
図5は、
図4の光ビームフォーマ1の光チャネル10a〜eの出現部分光ビームATLBa〜eの出現角範囲11a〜eおよび部分強度分布TIVBa〜eを示す。このケースでは、部分強度分布TIVBa〜eが強度1に正規化される。より小さいレンズ3a、3c、および3eはより少ない光を受けるが、出現角範囲11bおよび11dを有する、より大きいレンズ3bおよび3dのケースよりも、小さい出現角範囲11a、11c、および11eにわたって光を出力するので、出現角範囲11a〜eのそれぞれの中の強度が同一のサイズを有することに留意されたい。
【0098】
図6は、光ビームフォーマ1の光チャネル10a〜eの出現部分光ビームATLBa〜eの重複の結果として得られる、
図4の光ビームフォーマ1の出現光ビームALBの得られる強度分布IVを示す。
【0099】
出現角範囲11bおよび11dが領域BHIa内で重複し、その結果、正規化強度2が得られる。一方、出現角範囲11a〜bが領域BHIb内で重複し、その結果、正規化強度5が得られる。最後に、出現角範囲11bおよび11dが領域BHIc内で重複し、その結果、再び正規化強度2が得られる。
【0100】
図4のビームフォーマ1では、任意の対称的強度分布IVが可能である。
【0101】
図7は、本発明の光ビームフォーマ1の第2の実施形態を概略断面側面図において示す。
【0102】
本発明の機能的に別の発展によれば、光チャネル10のうちの1つの集光レンズ3の光軸5が、それぞれの集光レンズ3の開口4の中心15に対する偏位14を有する。
【0103】
本発明の好ましい別の発展によれば、光チャネル10のうちの別の1つの集光レンズ3の光軸5は偏位14を有さず、またはそれぞれの集光レンズ3の開口4の中心15に対する異なる偏位14を有する。
【0104】
本発明の好ましい別の発展によれば、集光レンズアレイ2の集光レンズ3の開口4が正六角形に配置され、円形または六角形の形状を有するように同様に構成され、投影レンズアレイ6の投影レンズ7の開口8が、正六角形に配置され、円形または六角形の形状を有するように構成される。
【0105】
光チャネル10a〜eの入射角範囲13.1a〜eの主光線13.2a〜eが、やはり
図7では平行に配向される。さらに、入射角範囲13.1a〜eの主光線13.2a〜eが、光チャネル10a〜eの集光レンズ3a〜eの光軸5a〜eに平行に配向される。
【0106】
δが光チャネル10のうちの1つの集光レンズ3の偏位14を示す場合、それぞれの出現部分光ビームATLBが、割り当てられた投影レンズ7の光軸9に対して、近軸近似において、およそ角度δ
n/fだけ傾斜し、その結果、偏位14を通じて、それぞれの出現部分光ビームATLBの偏向が得られる。
【0107】
図7の実施形態では、集光レンズアレイ2は、偏位14a、14b、14d、および14eをそれぞれ有する集光レンズ3a、3b、3d、および3eを備える。したがって、集光レンズ3a、3b、3d、および3eの光軸5a、5b、5d、および5eは、集光レンズ3a、3b、3d、および3eの開口4a、4b、4d、および4eの重心15a、15b、15d、および15eに延びない。非偏位集光レンズ3cの光軸5cだけが、その開口4cの重心15cを通じて延びる。一方、投影レンズアレイ6はもっぱら、偏位を有さない投影レンズ7a〜eを備える。したがって、投影レンズ7a〜eのすべての光軸9a〜eは、投影レンズ7a〜eの開口8a〜eの重心8.1a〜eに延びる。
【0108】
集光レンズアレイ2は、著しく相異なる開口4a〜eを有する集光レンズ3a〜eを備える。一方、投影レンズアレイ6は、ほぼ同一の開口8a〜eを有する投影レンズ7a〜eを備える。
【0109】
偏位14のために、光チャネル10a内の投影レンズ7aの中心から集光レンズ3aの中心15aまでの距離は、光チャネル10c内の投影レンズ7cの中心から集光レンズ3cの中心15cまでの距離よりも大きい。領域13.1a内の受容角が領域13.1b内の受容角に等しくなるために、集光レンズ7aの開口8aが、集光レンズ7cの開口8cよりもわずかに大きい。これが、偏位14b、14d、および14eを有する他の光チャネル10b、10d、および10eにも同様に当てはまる。
【0110】
この場合、開口数NAは、最小の開口8cを有する投影長7cの焦点距離fおよび高さhから、NA=h/2fに従って近軸近似において計算される。これは、
図1の古典的ハニカム集光器の受容角にほぼ対応し、その結果、古典的ハニカム集光器とは対照的に、照射方向に対する本発明の光ビームフォーマの独立性はほぼ限定されない。
【0111】
図8は、
図7の光ビームフォーマ1の光チャネル10a〜eの出現部分光ビームATLBa〜eの出現角範囲11a〜eおよび部分強度分布TIVa〜eを示す。
【0112】
図9は、
図7の光ビームフォーマの出現光ビームの得られる強度分布を示す。
【0113】
どんな非対称的または対称的強度分布IVも、
図7のビームフォーマ1で可能である。
【0114】
図10は、本発明の光ビームフォーマ1の第3の実施形態を概略断面側面図で示す。第3の実施形態は第2の実施形態に基づくが、以下の特定性を有する。前と同様に、投影レンズアレイ6は5つの投影レンズ7a〜eを備えるが、一方で、集光レンズアレイ2は3つの集光レンズ3a〜cのみを備える。
図10の例では、これによって、集光レンズ3bについての特に大きい開口4bを設けることが可能となり、それによって、特に大きい出現角範囲11bが可能となる。
【0115】
このケースでは、集光レンズ3aおよび投影レンズ7aが第1の光チャネル10aを形成し、集光レンズ3bおよび投影レンズ7bが第2の光チャネル10bを形成し、集光レンズ3cおよび投影レンズ7cが第3の光チャネル10cを形成する。投影レンズ7dおよび7eはどんな光学的機能も有さない。したがって、投影レンズ7dおよび7eは省略されてもよい。しかしながら、それでもなお、投影レンズ7dおよび7eを設けることは、第2の実施形態の投影レンズアレイ6が製造され得るのと同一の成形工具で投影レンズアレイ6が製造され得るので意味を持ち得る。
【0116】
図示されていない実施形態では、集光レンズアレイ2は、投影レンズアレイ6が投影レンズ7を備えるよりも多くの集光レンズ3を備える。このケースでは、投影レンズ7のうちの1つが集光レンズ3のうちのいくつかに割り当てられ得、その結果、これらの投影レンズ7が、光チャネル10のうちのいくつかの部分を形成する。
【0117】
図10の実施形態では、光チャネル10aおよび10cは、明快のために図示されていない偏位を有する。したがって、許容入射角範囲13.1aおよび13.1cが許容入射角範囲13.1bと同程度の大きさとなることを保証するために、投影レンズ7aおよび7cの開口8aおよび8cは、投影レンズ7bの開口8bよりもわずかに大きい。
【0118】
図11は、
図10の光ビームフォーマ1の光チャネル10a〜cの出現部分光ビームATLBa〜cの出現角範囲11a〜cおよび部分強度分布TIVa〜cを示す。
【0119】
図12は、
図10の光ビームフォーマ1の出現光ビームALBの得られる強度分布IVを示す。
【0120】
図13は、本発明の光ビームフォーマ1の第4の実施形態を概略断面側面図において示す。
【0121】
本発明の有利な別の発展によれば、光チャネル10のうちの1つの投影レンズ7の光軸9が、それぞれの投影レンズ7の開口8の中心8.1に対する偏位16を有する。
【0122】
本発明の有利な別の発展によれば、光チャネル10のうちの別の1つの投影レンズ7の光軸9は、どんな偏位14も有さず、またはそれぞれの投影レンズ7の開口8の中心8.1に対する異なる偏位14を有する。
【0123】
Δが光チャネル10のうちの1つの集光レンズ7の偏位16を示す場合、それぞれの出現部分光ビームATLBが、投影レンズ7の光軸9に対して、近軸近似において、およそ角度-Δ
n/fだけ傾斜し、その結果、偏位16を通じて、それぞれの出現部分光ビームATLBの偏向が得られる。
【0124】
図13の実施形態では、投影レンズアレイ6は、偏位16a、16b、16d、および16eをそれぞれ有する投影レンズ7a、7b、7d、および7eを備える。したがって、投影レンズ7a、7b、7d、および7eの光軸9a、9b、9d、および9eは、投影レンズ7a、7b、7d、および7eの開口8a、8b、8d、および8eの重心8.1a、8.1b、8.1d、および8.1eに延びない。非偏位投影レンズ7cの光軸9cだけが、開口8cの重心8.1cを通じて延びる。一方、集光レンズアレイ2はもっぱら、偏位を有さない集光レンズ3a〜eを備える。したがって、集光レンズ3a〜eのすべての光軸5a〜eは、集光レンズ3a〜eの開口4a〜eの重心15a〜eに延びる。
【0125】
集光レンズアレイ2は、類似の開口4a〜eをそれぞれ有する集光レンズ3a〜eを備える。さらに、投影レンズアレイ6は、同一の開口8a〜eをそれぞれ有する投影レンズ7a〜eを備える。
【0126】
この場合、開口数NAはやはり、投影レンズ7の焦点距離fおよび高さhから、NA=h/2fに従って近軸近似において計算される。これは、
図1の古典的ハニカム集光器の受容角に対応し、その結果、古典的ハニカム集光器とは対照的に、照射方向からの本発明の光ビームフォーマの独立性は限定されない。
【0127】
図13の投影レンズアレイ6はまた、
図4、7、および10の集光レンズアレイ2と組み合わされ得る。
【0128】
異なるサイズの、恐らくはやはり偏向集光レンズ3との適切な組合せで、任意の強度分布IVが遠距離場内で生成され得る。任意選択で、偏向投影レンズ7は、遠距離場内の得られる強度分布IVの発散のさらなる増大と、設計における柔軟性の向上とを可能にする。得られるビームフォーマ1は、古典的ハニカム集光器の大きい受容角および高い透過を得る。
【0129】
光チャネル10aから10eの入射角範囲は、明快のために
図13に図示されていないが、
図1に示される古典的ハニカム集光器の入射角範囲に対応する。
【0130】
図14は、
図13の光ビームフォーマ1の光チャネル10a〜eの出現部分光ビームATLBa〜eの出現角範囲11a〜eおよび部分強度分布TIVa〜eを示す。
【0131】
図15は、
図13の光ビームフォーマ1の出現光ビームALBの得られる強度分布IVを示す。
【0132】
図16は、本発明の光ビームフォーマ1の第5の実施形態を概略断面側面図において示す。明快のために、光チャネル10b、10d、および10fの光路は図示されていない。しかしながら、すべての光チャネル10aから10fの許容入射角範囲13.1がその大きさに関して同一のサイズを有することが不可欠である。
【0133】
本発明の好ましい別の発展によれば、少なくとも前記光チャネル10のうちのいくつかにおいて、許容入射角範囲13.1の主光線13.2が互いに対して斜めに延びる。これにより、入射光ビームELBの入射部分光ビームETLBのうちの少なくともいくつかが互いに対して斜めに入射するケースにおいて、光ビームフォーマ1の使用が可能となる。
【0134】
したがって、
図16の例では、入射部分光ビームETLBa、ETLBc、およびETLBbが互いに対して斜めに延びる。これは、主光線13.2、13.2c、および13.2eも互いに対して斜めに延びることによって対処される。主光線13.2aは入射部分光ビームETLBaに平行に延び、主光線13.2cは入射部分光ビームETLBcに平行に延び、主光線13.2eは入射部分光ビームETLBeに平行に延びる。
【0135】
このケースでは、許容入射角範囲13.1a、13.1c、および13.1eが相異なる方向を有する場合であっても、許容入射角範囲13.1a、13.1c、および13.1eの大きさが同一のサイズを有することが不可欠である。
【0136】
図17は、本発明の光ビームフォーマ1の第5の実施形態を概略空間斜軸図において示す。一例として、投影レンズアレイ6の投影レンズ7は正方形であり、水平方向に偏心する。
【0137】
図18は、
図17の光ビームフォーマ1の集光レンズアレイ6を概略空間斜軸図において示す。
【0138】
本発明の好ましい別の発展によれば、集光レンズアレイ2が基板17の第1の面に配置され、投影レンズアレイ6が基板17の第2の反対側の面に配置される。
【0139】
本発明の機能的に別の発展によれば、集光レンズアレイ2の集光レンズ3が長方形および正方形集光レンズ3を含むのに対して、投影レンズアレイ6の投影レンズ7が正方形または長方形投影レンズ7を含む。
【0140】
本発明の好ましい別の発展によれば、より小さい開口4を有する集光レンズ3が、その光軸9の方向に、より大きい開口4を有する集光レンズ3よりも小さい延長部分を有する。
【0141】
投影レンズアレイ6の投影レンズ7は、正方形となるように構成され、規則的に、すなわちチェス盤状に配置される。投影レンズ7のすべては同一となるように構成され、したがって同一の焦点距離および同一の厚さを有する。そのような投影レンズアレイ6は高い充填係数を有し、特に製造するのが容易である。
【0142】
集光レンズアレイ2の集光レンズ3は、より大きい開口を有する正方形集光レンズ3aと、より小さい開口を有する正方形集光レンズ3bと、その長辺が集光レンズ3aのうちの1つの辺に隣接し、その短辺が集光レンズ3bのうちの1つの辺に隣接する長方形集光レンズ3cとを含む。集光レンズ3a、3b、および3cの厚さは同一である。すべてのレンズ3がその外面において同一の曲率を有するので、そのような集光レンズアレイ2も同程度に容易に製造され得る。しかしながら、集光レンズ3の縁部、具体的にはより小さい正方形集光レンズ3bの縁部、および長方形集光レンズ3cの縁部において、望ましくない迷光となり得る干渉傾斜があり、望ましくない迷光は、一方では光ビームフォーマ1の透過を低減させ、他方では遠距離場内の強度分布IVと制御不能に重複し得る。これを回避するために、より大きい集光レンズ3aと比較してより小さい厚さを有する、より小さい集光レンズ3bおよび3cが構成され得る。より小さい厚さにより、それぞれの集光レンズ3bおよび3cがそれぞれの投影レンズに近づくことのために共に生じ得る、収差を回避し、受容角の低減を回避するために、集光レンズ3bおよび3cの外面の曲率を適応させることが必要とされ得る。さらに、それぞれ割り当てられた投影レンズ7の曲率を適応させることも必要とされ得る。多くのケースでは、より小さい厚さのために生じる集束ずれも無視され得る。典型的な開口数NA≦0.2では、この効果は無視され得る。著しい干渉が高次開口数において生じるはずである場合、割り当てられた投影レンズ7に対する光源の理想的に集束されたイメージを達成するために、関係する集光レンズ3の曲率が適合され得る。これについて、光学設計において慣例的な最小二乗最適化方法が使用され得る。
【0143】
望ましくない干渉傾斜は、偏心集光レンズまたは偏心投影レンズ7でも生じ得る。しかしながら、通常の動作では照射の発散がビームフォーマ1の受容角よりも小さいので、投影アレイの干渉傾斜の光部分はない。したがって、このケースは実際には重大ではない。
【0144】
図19は、本発明の光ビームフォーマ配置18の第1の実施形態を概略側面図において示す。
【0145】
入射光ビームELBから出現光ビームALBを生成するための光ビームフォーマ配置18は、第1の本発明の光ビームフォーマ1aおよび第2の本発明の光ビームフォーマ1bを備え、第1の光ビームフォーマ1aおよび第2の光ビームフォーマ1bは相互平面19に沿って配置され、第1の光ビームフォーマ1aの強度分布IVと第2の光ビームフォーマ1bの強度分布IVとは異なる。
【0146】
ビームフォーマ配置18の入射光ビームELBは、第1の光ビームフォーマ1aの入射光ビームELBaと、第2の光ビームフォーマ1bの入射光ビームELBbとからなる。第1の光ビームフォーマの入射光ビームELBaと、第2の光ビームフォーマ1bの入射光ビームELBbとは同一の光源から発生し得る。光ビームフォーマ配置18の出現光ビームALBの強度分布は、第1の光ビームフォーマ1aの出現光ビームALBaの強度分布IVと、第2のビームフォーマ1bの出現光ビームALBbの強度分布との重複の結果として生じる。
【0147】
図20は、本発明の光ビームフォーマ配置20の第2の実施形態を断面側面図において示す。
【0148】
入射光ビームELBから出現光ビームALBを生成するための光ビームフォーマ配置は、第1の本発明の光ビームフォーマ1aおよび第2の本発明の光ビームフォーマ1bを備え、第1の光ビームフォーマ1aおよび第2の光ビームフォーマ1bは、第1の光ビームフォーマ1aの出現光ビームALBaの少なくとも一部が第2の光ビームフォーマ1bにその入射光ビームELBbとして供給されるように配置される。
【0149】
第1の光ビームフォーマ1aの入射光ビームELBaは、同時にビームフォーマ配置20の入射光ビームELBである。さらに、第2の光ビームフォーマ1bの出現光ビームALBbは、同時にビームフォーマ配置20の出現光ビームALBである。
【0150】
図21は、本発明の光学系21の第1の実施形態を概略側面図において示す。
【0151】
入射光ビームELBから集束出現光ビームFALBを生成するための光学系21は、本発明の光ビームフォーマ1と、光ビームフォーマ1の出現光ビームALBを平面EB上に集束させるための集光オプティック22とを備える。
【0152】
図示されていない第2の実施形態では、入射光ビームELBから出現光ビームFALBを生成するための光学系21は、本発明の光ビームフォーマ配置19、20と、光ビームフォーマ配置の出現光ビームALBを平面EB上に集束させるための集光オプティック22とを備える。
【0153】
光ビームフォーマ1、または光ビームフォーマ配置19、20と、焦点合せレンズ22との組合せは、このレンズ22の焦点面内で相異なる照明強度を有するいくつかの均一な領域を有する平面照明強度分布(輝度)への角度強度分布の変換を可能にする。
【符号の説明】
【0154】
1 光ビームフォーマ
2 集光レンズアレイ
3 集光レンズ
4 集光レンズの開口
5 集光レンズの光軸
6 投影レンズアレイ
7 投影レンズ
8 投影レンズの開口
8.1 投影レンズの開口の中心
9 投影レンズの光軸
10 光チャネル
11 出現角範囲
12 集光レンズの焦点
13 投影レンズの焦点
13.1 光チャネルの許容入射角範囲
13.2 許容入射角範囲の主光線
14 集光レンズの光軸と集光レンズの開口の中心との間の偏位
15 集光レンズの開口の中心
16 投影レンズの光軸と投影レンズの開口の中心との間の偏位
17 基板
18 ビームフォーマ配置
19 相互平面
20 ビームフォーマ配置
21 光学系
22 集光オプティック
ALB 出現光ビーム
ELB 入射光ビーム
AFW 出現角
IV 強度分布
BHI 均一な強度を有する領域
ETLB 入射部分光ビーム
TIV 部分強度分布
ATLB 出現部分光ビーム
EB 平面
FALB 集束出現光ビーム
【国際調査報告】