【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は流体、例えば、空気、オイル、水、尿素溶液、グリコールベースの冷却液、トランスミッションオイルクーラー(TOC)若しくは空調流体、又はガソリンなどの燃料、特にバイオガソリン若しくはディーゼル、特にバイオディーゼルを移送することを目的とする多層管構造体(MLT)に関し、少なくとも1つの層(1)と、少なくとも1つの層(2)を含み、
上記層(1)が、
a)少なくとも50重量%の、式W/ZTで表される少なくとも1種の半芳香族ポリアミドであって、
Wが、少なくとも1種のC
4−C
36アミノカルボン酸の重縮合から得られる単位、少なくとも1種のC
4−C
36ラクタムの重縮合から得られる単位及び脂肪族の繰返し単位X.Yであって、
少なくとも1種のジアミンXであって、該ジアミンが、直鎖若しく分枝鎖脂肪族ジアミン又はこれらの混合物から選択されるジアミン、及び
少なくとも1種のジカルボン酸Yであって、該二塩基酸が、脂肪族二塩基酸であるジカルボン酸、
の重縮合から得られ、
上記ジアミン及び上記二塩基酸が、4〜36個の炭素原子、有利には6〜18個の炭素原子、とりわけ9〜18個の炭素原子を含む、脂肪族の繰返し単位X.Yから選択される脂肪族の繰返し単位であり、
Wのモル割合は、ZT1モル当たり0.3〜1.1、好ましくはZT1モル当たり0.5〜1であり、
ZTが、9〜18個の炭素原子、有利には10〜15個の炭素原子を含む少なくとも1種の直鎖又は分枝鎖脂肪族ジアミン(Z)と、テレフタル酸(T)と、の重縮合から得られる繰返し単位である、半芳香族ポリアミドと、
b)少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15%の耐衝撃性改良剤と、
c)0〜20重量%の少なくとも1種の可塑剤と、
d)0〜40重量%の少なくとも1種の添加剤と、を含む組成物を含み、
a)+b)+c)+d)の合計が100%に等しい
組成物を含み、
上記層(2)が、
a’)少なくとも70%の脂肪族単位で構成され、C
Aで示される窒素原子当たり4〜9.5個、有利には4〜8個、特に4〜7個の範囲の平均炭素原子数を有する少なくとも50重量%の、少なくとも1種の(A)で示される短鎖半結晶性ポリアミドであって、上記短鎖脂肪族ポリアミド(A)が、
式X
1Y
1/Z
1で表され、
X
1Y
1が、2〜6個の炭素原子、有利には4〜6個の炭素原子、特に6個の炭素原子を含む少なくとも1種の直鎖又は分枝鎖脂肪族ジアミンX
1と、2〜12個の炭素原子、有利には6〜10個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸Y
1と、の重縮合から得られる脂肪族の繰返し単位であり、
Z
1が、少なくとも1種の任意のポリアミド繰返し単位であって、Z
1が、X
1Y
1/Z
1の総重量に対して最大30重量%で、好ましくはX
1Y
1/Z
1の総重量に対して最大15重量%で存在することが可能である、短鎖脂肪族ポリアミド(A)と、
又は
式V/Z
1で表され、Vが、2〜8個の炭素原子、有利には4〜6個の炭素原子、特に6個の炭素原子を含む少なくとも1種のラクタム、又は、2〜8個の炭素原子、有利には4〜6個の炭素原子、特に6個の炭素原子を含む少なくとも1種のアミノカルボン酸の重縮合から得られる繰返し単位であり、Z
1が上記a’)に記載されるものである、短鎖脂肪族ポリアミド(A)と、
b’)0〜15%の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤と、
c’)0〜12重量%の少なくとも1種の可塑剤と、
d’)0〜40重量%の少なくとも1種の添加剤と、を含む組成物を含み、
a’)+b’)+c’)+d’)の合計が100%に等しい
組成物を含む。
【0020】
したがって、発明者らは、半芳香族コポリアミドと、特定の半結晶性ポリアミドとの、多層管構造体の形態での組合せが、3つの特性、すなわち、高い融点、高温での高い耐老化性、並びに高温での高い破裂圧力を有する、という利点があることを見出した。
【0021】
さらに、本発明の多層管構造体は、先行技術のMLTが直面したHDT、クリープ、継手の熱抵抗性、熱成形性及び曲げ半径の問題を有しない。
【0022】
「短鎖半結晶性ポリアミド」という表現は、窒素原子当たり4〜9.5個、有利には4〜8個、特に4〜7個の範囲の平均炭素原子数を有するポリアミドを意味する。
【0023】
用語「流体」は、自動車で使用される気体、特に気体、例えば、空気、又は液体、特に液体、及びとりわけオイル、ブレーキ流体、尿素溶液、グリコールベースの冷却液、トランスミッションオイルクーラー(TOC)若しくは空調流体、又はガソリンなどの燃料、特にバイオガソリン若しくはディーゼル、特にバイオディーゼルを意味する。
【0024】
窒素及び酸素は、上記気体の定義から除外される。
【0025】
有利には、流体は空気、オイル、ブレーキ流体、尿素溶液、グリコールベースの冷却液、トランスミッションオイルクーラー(TOC)又は空調流体、又はガソリンなどの燃料、特にバイオガソリン若しくはディーゼル、特にバイオディーゼルから選択される。
【0026】
ポリアミドを定義するのに使用される命名法は、ISO規格1874−1:2011「プラスチック−ポリアミド(PA)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」に記載され、当業者によく知られている。
【0027】
本発明による用語「ポリアミド」は、ホモポリアミド又はコポリアミドと同じものを意味する。
【0028】
層(1)に関して
本発明の第1の変形形態において、脂肪族の繰返し単位Wは、少なくとも1種のC
4−C
36アミノカルボン酸の重縮合から得られる。
【0029】
有利には、上記アミノカルボン酸は、9〜12個の炭素原子を含む。したがって、アミノカルボン酸は、9−アミノノナン酸(9で示される)、10−アミノデカン酸(10で示される)、11−アミノウンデカン酸(11で示される)及び12−アミノドデカン酸(12で示される)から選択することができ、有利にはアミノカルボン酸は、11−アミノウンデカン酸である。
【0030】
本発明の第2の変形形態において、脂肪族の繰返し単位Wは、少なくとも1種のC
4−C
36ラクタムの重縮合から得られる。
【0031】
有利には、ラクタムは9〜12個の炭素原子を含む。したがって、ラクタムは、デカノラクタム(10で示される)、ウンデカノラクタム(11で示される)及びラウロラクタム又はラウリルラクタム(12で示される)から選択することができ、有利にはラクタムは、ラウリルラクタムである。
【0032】
しかし、この同じ単位Wを生成するためには、2種以上のアミノカルボン酸の混合物、2種以上のラクタムの混合物、それ以外にも1種、2種以上のアミノカルボン酸と1種、2種以上のラクタムとの混合物を使用することは完全に想定内のことである。
【0033】
より詳細な好ましい方法では、繰返し単位Wは、単一のアミノカルボン酸又は単一のラクタムから得られる。
【0034】
W:繰返し単位X.Y
繰返し単位X.Yは、少なくとも1種の直鎖若しくは分枝鎖脂肪族ジアミンX又はこれらの混合物と、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸との重縮合から得られる単位である。
【0035】
ジアミンとジカルボン酸のモル割合は、好ましくは化学量論組成である。
【0036】
この繰返し単位X.Yを生成するために使用される脂肪族ジアミンは、4〜36個の炭素原子を含む直鎖状の主鎖を有する脂肪族ジアミンである。
【0037】
この直鎖状主鎖は、必要に応じて、(1種以上の)メチル置換基及び/又はエチル置換基を含有することができ、後者の構造は「分枝鎖脂肪族ジアミン」と呼ばれている。主鎖が任意の置換基を含まない場合は、脂肪族ジアミンは「直鎖脂肪族ジアミン」と呼ばれる。
【0038】
主鎖上にメチル置換基及び/又はエチル置換基を含む、含まないかのいずれの場合にしても、この繰返し単位X.Yを生成するために使用される脂肪族ジアミンは、4〜36個の炭素原子、有利には6〜18個の炭素原子、とりわけ9〜18個の炭素原子を含む。
【0039】
このジアミンが直鎖脂肪族ジアミンである場合、式H
2N−(CH
2)x−NH
2に相当し、例えば、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン及びオクタデセンジアミンから選択することができる。引用された直鎖脂肪族ジアミンはすべて、規格ASTM D6866におけるバイオ原料から供給することができる。
【0040】
このジアミンが分枝鎖脂肪族ジアミンである場合、特に、2−メチル−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、又はトリメチレン(2,2,4若しくは2,4,4)ヘキサンジアミンであることができる。
【0041】
ジカルボン酸は、4〜36個の炭素原子、有利には6〜18個の炭素原子、とりわけ9〜18個の炭素原子を含む。
【0042】
脂肪族ジカルボン酸は、直鎖又は分枝鎖脂肪族ジカルボン酸から選択することができる。
【0043】
ジカルボン酸が脂肪族で直鎖である場合、コハク酸(4)、ペンタン二酸(5)、アジピン酸(6)、ピメリン酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカンニ酸(11)、ドデカン二酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(16)、オクタデカン酸(18)、オクタデセン二酸(18)、エイコサン二酸(20)、ドコサン二酸(22)及び36個の炭素を含有する脂肪酸のダイマーから選択することができる。
【0044】
上述の脂肪酸ダイマーは、特に欧州特許第0471566号明細書に記載されるような、単塩基の不飽和長鎖炭化水素脂肪酸(例えば、リノール酸及びオレイン酸)のオリゴマー化又は重合により得られる二量体化脂肪酸である。
【0045】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも50重量%の、上記少なくとも1種の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0046】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも60重量%の、上記少なくとも1種の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0047】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも70重量%の、上記少なくとも1種の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0048】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも80重量%の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0049】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも90重量%の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0050】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも60重量%の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0051】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも70重量%の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0052】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも80重量%の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0053】
有利には、上記の層(1)は、少なくとも90重量%の半芳香族ポリアミドから構成される組成物を含む。
【0054】
上記の層(1)はまた、最大10重量%の、少なくとも1種のその他のポリアミド、とりわけ脂肪族ポリアミドを含有することができる。
【0055】
管構造体は、複数の、同一の又は異なる層(1)、特に同一の層(1)を含むことができる。
【0056】
層(2)に関して
短鎖脂肪族ポリアミド(A):X
1Y
1/Z
1
層(2)は、(A)で示され、少なくとも70%の脂肪族単位から構成される、少なくとも1種の短鎖半結晶性ポリアミドを少なくとも50%含む組成物を含む。
【0057】
本発明における「半結晶性ポリアミド」という表現は、明細書の全体にわたって、ISO規格11357−1:2016及び11357−2及び3:2013に従って、20K/分の加熱速度でDSCによって決定される、融点(Tf)及び、ΔH>25J/g、特に>40J/g、とりわけ>45J/gの融解エンタルピー並びにガラス転移温度(Tg)を有するポリアミドを意味する。
【0058】
明細書の全体にわたって、「少なくとも70%の脂肪族単位から構成される」という表現は、短鎖ポリアミド(A)が70%以上の脂肪族単位から構成される場合には、短鎖ポリアミド(A)が主に脂肪族であることを意味し、すなわち単位Z
1は、ポリアミド(A)において、最大30%の範囲であり、100重量%までの残りを構成し得る、非脂肪族ポリアミドの繰返し単位から構成されることを意味する。
【0059】
Z
1がポリアミド(A)の100重量%までの残りを構成する、繰り返しを行う脂肪族ポリアミド単位である場合は、短鎖ポリアミド(A)は、完全に脂肪族であり、したがって、脂肪族単位が100%を占めることとなる。
【0060】
Z
1がポリアミド(A)において、脂肪族の繰返し単位及び非脂肪族の繰返し単位で構成され、100重量%までの残りを占める中間ケースがあるが、その場合、短鎖ポリアミド(A)は70%を超える脂肪族単位によって構成されることとなる。
【0061】
有利には、(A)で示される上記短鎖半結晶性ポリアミドは、少なくとも85重量%の脂肪族単位から構成される。
【0062】
有利には、上記組成物は、少なくとも60重量%の少なくとも1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0063】
有利には、上記組成物は、少なくとも70重量%の少なくとも1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0064】
有利には、上記組成物は、少なくとも80重量%の少なくとも1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0065】
有利には、上記組成物は、少なくとも90重量%の少なくとも1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0066】
有利には、上記組成物は、少なくとも60重量%の1種又は2種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0067】
有利には、上記組成物は、少なくとも70重量%の1種又は2種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0068】
有利には、上記組成物は、少なくとも80重量%の1種又は2種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0069】
有利には、上記組成物は、少なくとも90重量%の1種又は2種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0070】
有利には、上記組成物は、少なくとも60重量%の1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0071】
有利には、上記組成物は、少なくとも70重量%の1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0072】
有利には、上記組成物は、少なくとも80重量%の1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0073】
有利には、上記組成物は、少なくとも90重量%の1種の短鎖ポリアミド(A)を含む。
【0074】
「窒素原子当たりの平均炭素原子数」という表現は、PA−X
1Y
1ホモポリアミドの場合、単位X
1及び単位Y
1の窒素原子当たりの炭素原子数の平均を意味する。
【0075】
有利には、脂肪族単位(A)は、窒素原子当たり4〜8個の平均炭素原子数を有する。
【0076】
有利には、脂肪族単位(A)は、窒素原子当たり4〜7個の平均炭素原子数を有する。
【0077】
コポリアミドの場合も、窒素原子当たりの炭素原子数は同じ原則に従って計算される。計算には、種々のアミド単位のモル割合を使用する。
【0078】
ジアミンX
1が直鎖脂肪族ジアミンである場合、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン及びヘキサンジアミンから選択することができる。
【0079】
ジアミンX
1が分枝鎖脂肪族ジアミンである場合、特に、2−メチルペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、又はトリメチレン(2,2,4若しくは2,4,4)ヘキサンジアミンであることができる。
【0080】
ジカルボン酸は、直鎖又は分枝鎖脂肪族ジカルボン酸から選択することができる。
【0081】
ジカルボン酸Y
1が脂肪族で直鎖である場合、シュウ酸(2)、マロン酸(3)、コハク酸(4)、ペンタン二酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカンニ酸(11)、ドデカン二酸(12)から選択することができる。
【0082】
任意のポリアミド単位Z
1
Z
1は、少なくとも1種のラクタム、少なくとも1種のアミノカルボン酸、又は少なくとも1種のジアミンX
2と少なくとも1種のジカルボン酸Y
2の重縮合から得られる少なくとも1種の繰返し単位X
2Y
2、の重縮合から得られる、少なくとも1種の繰返しポリアミド単位である。
【0083】
Z
1が少なくとも1種のラクタムの重縮合から得られる場合、上記ラクタムは、C
2−C
12、好ましくはC
6又はC
9−C
12、より好ましくはC
6、C
9又はC
10である。
【0084】
Z
1が少なくとも1種のアミノカルボン酸の重縮合から得られる場合、上記アミノカルボン酸は、C
2−C
12、好ましくはC
6又はC
9−C
12、より好ましくはC
6、C
9又はC
10である。
【0085】
Z
1が、例えば、C
12(ラクタム又はアミノカルボン酸)である場合、短鎖脂肪族ポリアミド(A)におけるZ
1の割合は、C
Aで示される窒素原子当たり4〜9.5個、有利には4〜8個、特に4〜7個の範囲の平均炭素原子数に準ずるものであることは明らかである。
【0086】
短鎖脂肪族ポリアミド(A):V/Z
1
Vが少なくとも1種のラクタムの重縮合から得られる場合、上記ラクタムはC
2−C
8、好ましくはC
4−C
6、とりわけC
6、すなわちカプロラクタムである。
【0087】
Vが少なくとも1種のアミノカルボン酸の重縮合から得られる場合、上記アミノカルボン酸はC
2−C
8、好ましくはC
4−C
6、とりわけC
6、すなわちアミノヘキサン酸である。
【0088】
Z
1も同様に任意の単位であり、X
1Y
1/Z
1としても示される。
【0089】
一変形形態において、Z
1は、X
1Y
1/Z
1又はV/Z
1の構造に関係なく、(A)の総重量に対して最大30重量%で存在する。
【0090】
別の変形形態において、Z
1は、X
1Y
1/Z
1又はV/Z
1の構造に関係なく、(A)の総重量に対して最大15重量%で存在する。
【0091】
さらに別の変形形態において、Z
1は、X
1Y
1/Z
1又はV/Z
1の構造に関係なく、(A)の総重量に対して最大10重量%、とりわけ最大5重量%で存在する。
【0092】
有利には、構造体X
1Y
1/Z
1又は構造体V/Z
1のいずれにおいても、Z
1の割合は0に等しい。
【0093】
管構造体は、複数の、同一の又は異なる層(2)、特に異なる層(2)を含むことができる。
【0094】
耐衝撃性改良剤に関して
耐衝撃性改良剤は、有利には、規格ISO178:2010に従って、23℃にて決定され、50%RHの相対湿度にて測定された、100MPaよりも小さい曲げ弾性率及び0℃より低いTg(規格11357−2:2013に従って「DSC」温度記録の変曲点に測定された)を有するポリマー、特にポリオレフィンからなる。
【0095】
耐衝撃性改良剤のポリオレフィンは、官能性又は非官能性であり、少なくとも1種の官能性ポリオレフィン及び/又は少なくとも1種の非官能性ポリオレフィンの混合物であり得る。簡略化のため、ポリオレフィンは(B)として示され、官能性ポリオレフィン(B1)及び非官能性ポリオレフィン(B2)について以下に記述する。
【0096】
非官能性ポリオレフィン(B2)は、概してアルファ−オレフィン又はジオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ブタジエンなどのホモポリマー又はコポリマーである。例として、以下のものが挙げられる。
【0097】
ポリエチレン、特にLDPE、HDPE、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)及びメタロセンポリエチレンのホモポリマー並びにコポリマー
プロピレンのホモポリマー又はコポリマー
エチレン/プロピレン、EPR(エチレンプロピレンゴムの省略形)及びエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)などのエチレン/アルファ−オレフィンコポリマー
スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)ブロックコポリマー、スチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー
エチレンと、アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチルアクリレート)などの不飽和カルボン酸の塩若しくはエステル、又はビニルアセテート(EVA)などの飽和カルボン酸のビニルエステルから選択される、少なくとも1種の生成物とのコポリマーで、コモノマーの割合が40重量%に達することができるもの
官能性ポリオレフィン(B1)は、反応性単位(官能基)を有するアルファ−オレフィンのポリマーであることができ、このような反応性単位は、酸、無水物又はエポキシ基である。一例として、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシドによって、又は(メタ)アクリル酸(Znなどの金属によって完全に又は部分的に中和され得る)などのカルボン酸若しくは対応する塩若しくはエステルによって、又は無水マレイン酸などのカルボン酸無水物によって、グラフト又は二元共重合又は三元共重合された前述のポリオレフィン(B2)が挙げられる。官能性ポリオレフィンは、PE/EPR混合物であり、例えば、重量比が40/60〜90/10など大きく変化する可能性があり、上記混合物は無水物、特に無水マレイン酸によって、例えば、0.01〜5重量%のグラフト率に従って共グラフトされている。
【0098】
官能性ポリオレフィン(B1)は、無水マレイン酸又はグリシジルメタクリレートでグラフトされ、グラフト率が、例えば、0.01〜5重量%である、以下の(共)重合体から選択することができる。
【0099】
PE、PP、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンのコポリマーで、例えば、35〜80重量%のエチレンを含有するもの
エチレン/プロピレン、EPR(エチレンプロピレンゴムの省略形)及びエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)などのエチレン/アルファ−オレフィンコポリマー
スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)ブロックコポリマー、スチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー
最大40重量%のビニルアセテートを含有するエチレンとビニルアセテートのコポリマー(EVA)
最大40重量%のアルキル(メタ)アクリレートを含有するエチレンとアルキル(メタ)アクリレートのコポリマー
最大40重量%のコモノマーを含有するエチレンビニルアセテート(EVA)とアルキル(メタ)アクリレートのコポリマー
官能性ポリオレフィン(B1)はまた、モノアミンポリアミド(又はポリアミドオリゴマー)と縮合した、主に無水マレイン酸グラフトプロピレンを有するエチレン/プロピレンコポリマー(欧州特許第A0342066号明細書に記載されている生成物)から選択することができる。
【0100】
官能性ポリオレフィン(B1)はまた、少なくとも以下の単位、(1)エチレン、(2)アルキル(メタ)アクリレート又は飽和カルボン酸のビニルエステル及び、(3)無水マレイン酸などの無水物又は(メタ)アクリル酸又はグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシの、二元重合体又は三元重合体であることができる。
【0101】
後者のタイプの官能性ポリオレフィンの一例として、エチレンが好ましくは少なくとも60重量%に相当し、ターモノマー(官能基)が、例えば、コポリマーの0.1〜10重量%に相当する以下のコポリマーが挙げられる。
【0102】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸又はグリシジルメタクリレートコポリマー
エチレン/ビニルアセテート/マレイン酸無水物又はグリシジルメタクリレートコポリマー
エチレン/ビニルアセテート又はアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸又はグリシジルメタクリレートコポリマー
前述のコポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸は、Zn又はLiによって塩化され得る。
【0103】
(B1)又は(B2)における、用語「アルキル(メタ)アクリレート」は、C1−C8のアルキルメタクリレート及びアルキルアクリレートを意味し、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート及びエチルメタクリレートから選択することができる。
【0104】
加えて、前述のポリオレフィン(B1)はまた、任意の適切な方法又は剤(ジエポキシ、二塩基酸、ペルオキシドなど)によって架橋されてもよく、用語官能性ポリオレフィンは、ポリオレフィンと反応可能な二塩基酸、二酸無水物、ジエポキシなどの二官能価の試薬を有する前述のポリオレフィンの混合物、又はともに反応可能な少なくとも2種の官能性ポリオレフィンの混合物も含む。
【0105】
前述のコポリマー、(B1)及び(B2)は、統計的な方法又は順序付けられた方法で共重合してもよく、直鎖又は分枝鎖構造を有する。
【0106】
これらのポリオレフィンの分子量、MFI及び密度は、当業者は理解するだろうが、大きく変化し得る。メルトフローインデックスの省略形、MFIは、溶融時の流動性の指標である。MFIは、規格ASTM 1238に従って測定される。
【0107】
有利には、非官能性ポリオレフィン(B2)は、ポリプロピレンのホモポリマー又はコポリマー及び任意のエチレンホモポリマー又はエチレンコポリマー及びより高級なアルファ−オレフィンコモノマー、例えば、ブテン、ヘキセン、オクテン又は4−メチル−1−ペンテンから選択される。例えば、PP、高密度PE、中密度PE、直鎖状低密度PE、低密度PE、超低密度PEなどが挙げられる。これらのポリエチレンは、「フリーラジカル」法による、「チーグラー」触媒法による、又はより最近では「メタロセン」触媒による生成物として当業者には知られている。
【0108】
有利には、官能性ポリオレフィン(B1)は、アルファ−オレフィン単位及び極性反応性基、例えば、エポキシ基、カルボン酸基又はカルボン酸無水物基などを持つ単位を含む、任意のポリマーから選択される。このようなポリマーの例として、出願人からのLotader(R)のような、エチレン、アルキルアクリレート及び無水マレイン酸若しくはグリシジルメタクリレートの三元重合体、又は出願人からのOrevac(R)のような、無水マレイン酸によってグラフトされたポリオレフィン、及びエチレン、アクリルアクリレート及び(メタ)アクリル酸の三元重合体が挙げられる。カルボン酸無水物によってグラフトされ、次にポリアミド又はモノアミンポリアミドオリゴマーと縮合されたポリプロピレンのホモポリマー又はコポリマーも挙げられる。
【0109】
可塑剤に関して
一例として、可塑剤は、n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)などのベンゼンスルホンアミド誘導体、エチルトルエンスルホンアミド又はN−シクロヘキシルトルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシルパラヒドロキシベンゾエート及び2−デシルヘキシルパラヒドロキシベンゾエートなどのヒドロキシ安息香酸エステル、オリゴエチレンオキシテトラヒドロフルフリルアルコールなどのテトラヒドロフルフリルアルコールのエステル又はエーテル、並びにクエン酸のエステル又は、オリゴエチレンオキシマロネートなどのヒドロキシマロン酸のエステルから選択される。
【0110】
可塑剤の混合物を用いることも本発明の範囲外ではない。
【0111】
添加剤に関して
本発明の組成物内で任意選択的に使用される添加剤は、ポリアミドにおいて従来使用される添加剤であり、当業者によく知られ、とりわけ欧州特許第2098580号明細書にて記載されているものである。
【0112】
例えば、それら添加剤には、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、特にカーボンブラック及びカーボンナノチューブから選択される帯電防止フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、潤滑剤、無機充填剤、防火剤、核剤及び染料、補強用繊維、ワックス並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0113】
一例として、安定剤は、紫外線安定剤、有機安定剤、又はさらに一般的には、有機安定剤の組合せ、例えば、フェノール酸化防止剤(例えば、Ciba−BASFからのIrganox(R)245若しくは1098若しくは1010)、亜リン酸塩酸化防止剤(例えば、Ciba−BASFからのIrgafos(R)126及びlrgafos(R)168)、並びに任意選択的にその他の安定剤、例えば、Hindered Amine Light Stabilizer(ヒンダートアミン光安定剤)を意味するHALS(例えば、Ciba−BASFからのTinuvin(R)770)、抗紫外線剤(例えば、CibaからのTinuvin(R)312)、若しくはリン系安定剤であることができる。Crompton製のNaugard(R)445などのアミン酸化防止剤、又はClariant製のNylostab(R)S−EEDなどの多機能安定剤もまた使用することができる。
【0114】
この安定剤はまた、鉱物安定剤、例えば、銅系安定剤であってもよい。このような鉱物安定剤の一例として、銅のハロゲン化物と酢酸銅が挙げられる。第2に、銀などのその他の金属も、任意選択的に考慮することができるが、効果が弱いことが知られている。これらの銅含有化合物は、通常、ハロゲン化アルカリ金属、特にハロゲン化カリウムと結合する。
【0115】
層(1)、耐衝撃性改良剤及び可塑剤に関して、第1の変形形態における、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して、少なくとも10重量%である。
【0116】
第2の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して、少なくとも15重量%である。
【0117】
第3の変形形態では、上記層(1)は可塑剤を含まない。
【0118】
第4の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であり、上記層(1)は可塑剤を含まない。
【0119】
第5の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%であり、上記層(1)は可塑剤を含まない。
【0120】
層(2)、耐衝撃性改良剤及び可塑剤に関して、第1の変形形態における、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%である。
【0121】
第2の変形形態では、上記層(2)の組成物中での可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜15%である。
【0122】
第3の変形形態では、上記層(2)は可塑剤を含まない。
【0123】
第4の変形形態では、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(2)の組成物中での可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜15%である。
【0124】
第5の変形形態では、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(2)は可塑剤を含まない。
【0125】
層(1)及び層(2)並びに耐衝撃性改良剤及び可塑剤に関して、第1の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%である。
【0126】
第2の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%である。
【0127】
有利には、層(1)の耐衝撃性改良剤の割合b)は、層(2)の耐衝撃性改良剤の割合b’)の1.5倍以上である。
【0128】
第3の変形形態では、上記層(1)は可塑剤を含まず、上記層(2)の可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜20重量%である。
【0129】
第4の変形形態では、上記層(1)の可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜20重量%であり、上記(2)は可塑剤を含まない。
【0130】
第5の変形形態では、上記層(1)及び上記(2)は、可塑剤を含まない。
【0131】
第6の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(1)は可塑剤を含まず、上記層(2)の可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜20重量%である。
【0132】
第7の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(1)の可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜20重量%であり、上記(2)は可塑剤を含まない。
【0133】
第8の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(1)及び上記(2)は可塑剤を含まない。
【0134】
第9の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(1)は可塑剤を含まず、上記層(2)の可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜20重量%である。
【0135】
第10の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(1)の可塑剤の割合は、組成物の総重量に対して0〜20重量%であり、上記(2)は可塑剤を含まない。
【0136】
第11の変形形態では、上記層(1)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であり、上記層(2)の組成物中での耐衝撃性改良剤の割合は、組成物の総重量の≦12重量%であり、上記層(1)及び上記(2)は可塑剤を含まない。
【0137】
一実施形態において、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(1)の半芳香族ポリアミドは、ISO規格11357−3:2013に従って測定された230℃〜285℃、とりわけ240℃〜275℃のTmを有する。
【0138】
有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(1)の半芳香族ポリアミドは、PA11/10T、PA12/10T、PA1010/10T、PA1012/10T、PA1212/10T、PA610/10T、PA612/10T、PA11/12T、PA12/12T、PA1010/12T、PA1012/12T、PA1212/12T、PA610/12T、PA612/12Tから選択される。
【0139】
また別の実施形態では、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、200℃又はそれを超えるTmを有する。
【0140】
有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、ISO規格11357−3:2013に従って測定された、≧25J/g、好ましくは≧40J/g、特に≧45J/gの結晶化エンタルピーを有する。
【0141】
有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、各々20%未満のコモノマー6T、6I、6及び12を有するPA610、PA66、PA6、PA46、PA510、PA410、PA612、PA66/6及びPA6/12から選択される。
【0142】
20%未満のコモノマー6T又は6Iを有するPA612/6T、PA66/6T又はPA66/6Iである層(2)のポリアミドも、本発明の範囲外ではない。
【0143】
有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、少なくとも1種のPA6、PA66若しくはPA6/66又はこれらの混合物及び少なくとも1種のPA6Y(ただし、Yは9〜14個の炭素原子を含む脂肪族ジカルボン酸である)を含み、窒素原子当たりの平均炭素原子数の平均は、4〜9.5個、とりわけ4〜8個、特に4〜7個である。
【0144】
一変形形態において、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(1)の半芳香族ポリアミドは、ISO規格11357−3:2013に従って測定された、230℃〜285℃、とりわけ240℃〜275℃のTmを有し、層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、200℃又はそれを超えるTmを有する。
【0145】
有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(1)の半芳香族ポリアミドは、ISO規格11357−3:2013に従って測定された、240℃〜275℃のTmを有し、層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、200℃又はそれを超えるTmを有する。
【0146】
有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(1)の半芳香族ポリアミドは、PA11/10T、PA12/10T、PA1010/10T、PA1012/10T、PA1212/10T、PA610/10T、PA11/12.T、PA12/12.T、PA6.12/12T、PA12012/12T又はPA612/10T(PA11/12T)PA12/12.T、PA6.12/12T、PA12012/12T、特にPA11/10T、PA12/10T、PA1010/10T、PA1212/10T又はPA612/10Tから選択され、層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、各々20%のコモノマー6及び12を有するPA610、PA66、PA6、PA46、PA510、PA410、PA612、PA66/6及びPA6/12から選択される。
【0147】
より有利には、上記に示される多層管構造体(MLT)の層(1)の半芳香族ポリアミドは、PA11/10T、PA12/10T、PA1010/10T、PA1212/10T又はPA612/10Tから選択され、層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドは、各々20%のコモノマー6及び12を有するPA610、PA66、PA6、PA46、PA510、PA410、PA612、PA66/6及びPA6/12から選択される。
【0148】
多層管構造体(MLT)の1又は複数の層(2)は、1又は複数の層(1)の厚みの2倍を超える、又は2倍に等しい厚みを有することができる。
【0149】
複数の層(2)が存在する場合、それらの層は互いに隣接していない。
【0150】
同様に、複数の層(1)が存在する場合、それらの層は互いに隣接せず、とりわけ1以上の層(2)(単一又は複数)によって隔てられる。
【0151】
複数の層(2)が存在するとき、層(2)が互いに隣接していない場合であっても、層(2)の厚みは、各層(2)の厚みの合計である。同様に、複数の層(1)が存在するとき、層(1)が互いに隣接していない場合であっても、層(1)の厚みは、各層(1)の厚みの合計である。
【0152】
一実施形態において、上記に示される多層管構造体(MLT)は、外側から内側に向かって、少なくとも1つの層(1)及び少なくとも1つの層(2)を含む。
【0153】
層(1)と層(2)は、隣接していても、隣接していなくてもよい。
【0154】
したがって、単一の層(1)及び単一の層(2)が存在する場合、層(2)は、流体と接触する。
【0155】
層(1)と層(2)とが隣接しない場合、層(1)と層(2)の間に結合層が存在してもよい。
【0156】
したがって、少なくとも、結合層を含む構造体は、以下の通りである(構造体(I)):
層(1)//結合層//層(2)(I)
結合層についてはとりわけ、欧州特許第1452307号明細書及び欧州特許第1162061号明細書、欧州特許第1216826号明細書及び欧州特許第0428833号明細書に記載されている。
【0157】
構造体(I)中に、その他の層(1)及び層(2)も、存在することができるが、それらの層は、明らかに層(1)の上側、又は層(2)の下側となるだろう。
【0158】
有利には、層(1)と層(2)は互いに直接接触している。
【0159】
したがって、2つの層は隣接し、2つの間に別の層がない状態で互いに接着している。
【0160】
したがって、少なくとも、互いに直接接触する層(1)及び層(2)を有する構造体は、以下の通り(構造体(II)及び(III))である:
層(1)//層(2)(II)
層(2)//層(1)(III)
有利には、層(1)は外層であり、層(2)は内層である。
【0161】
有利には、層(1)は外層であり、層(2)は内層であり、層(2)は流体と接触する層である。
【0162】
層(1)と層(2)とが隣接する場合、層(1’)は層(2)の下側に存在することができ、層(1’)は層(1)に対して定義されたものである。
【0163】
したがって、少なくとも、構造体は、以下の通り(構造体(IV))である:
層(1)//層(2)//層(1’)(IV)
その他の層(1)及び/若しくは(2)、又はその他の層が存在してもよいが、層(1)//層(2)//層(1’)の3層が隣接するという条件が伴うことは明らかである。
【0164】
有利には、多層管構造体(MLT)(IV)において、層(1’)と層(1)は同一である。
【0165】
一実施形態において、上記層(2)の上記組成物は、上記短鎖脂肪族ポリアミド(A)に加えて、以下のものから選択される、少なくとも1種の脂肪族ポリアミドも含む。
【0166】
C
Aで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数が4〜9.5個、有利には4〜8個、特に4〜7個の範囲の、Aで示される1種のポリアミド
C
Bで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数が7〜10個、有利には、7.5〜9.5個又は、Bで示される1種のポリアミド、又は
C
Cで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数9〜18個、有利には、10〜18個を有する、Cで示される1種のポリアミド
ただし、上記内層(2)が少なくとも3種のポリアミドを含むときに、上記ポリアミドB又はCの少なくとも1種は、除外されるという条件において、選択される。
【0167】
Aで示される上記ポリアミドは、短鎖半結晶性脂肪族ポリアミド(A)と同一の種類であることができるが、いずれの場合においても、後者のものとは異なる。特に、Aで示されるポリアミドは、脂肪族ポリアミドである。
【0168】
有利には、層(2)の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミド(A)は、層(2)の組成物内に存在するポリアミドの合計に対して、70重量%を超える、好ましくは80重量%を超える配合量である。
【0169】
また別の実施形態において、上記層(2)の上記組成物は、主に以下、
4〜8.5個、有利には4〜7個の範囲のC
Aで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有する、少なくとも70%の脂肪族単位と、7〜10個、有利には7.5〜9.5個の範囲のC
Bで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有するBで示される少なくとも1種の単位及び9〜18個、有利には10〜18個の範囲のC
Cで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有するCで示される少なくとも1種の単位から構成される脂肪族単位の100%までを占める残りとから構成され、単位A、B及びCの窒素原子当たりの平均炭素原子数は、さらに以下の不等式、C
A<C
B<C
Cを厳密に満たし、単位A、B及びCの窒素原子当たりの平均炭素原子数の平均は、4〜8.5個、有利には4〜7個であり、
短鎖ポリアミドの融解エンタルピー又は上記組成物中の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドの混合物の融解エンタルピーの重量平均は、25J/g(DSC)を超え、
ポリアミド又は各ポリアミドの各々の融点は200℃以上である、(A)で示される短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドを含む。
【0170】
さらに別の実施形態では、上記層(2)の上記組成物は、主に以下、
4〜8.5個、有利には4〜7個の範囲のC
Aで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有する少なくとも70%の脂肪族単位と、7〜10個、有利には7.5〜9.5個の範囲のC
Bで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有するBで示される少なくとも1種の単位から構成される脂肪族単位の100%までを占める残りと、から構成される(A)で示される短鎖半結晶性脂肪族ポリアミド、及び
4〜8.5個、有利には4〜7個の範囲のC
Aで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有する少なくとも70%の脂肪族単位と、9〜18個、有利には10〜18個の範囲のC
Cで示される窒素原子当たりの平均炭素原子数を有するCで示される少なくとも1種の単位から構成される脂肪族単位の100%までを占める残りとから構成される(A)で示される短鎖半結晶性脂肪族ポリアミド、を含み
単位A、B及びCの窒素原子当たりの平均炭素原子数は、さらに以下の不等式、C
A<C
B<C
Cを厳密に満たし、単位A、B及びCの窒素原子当たりの平均炭素原子数の平均は、4〜8.5個、有利には4〜7個であり、
短鎖ポリアミドの融解エンタルピー又は上記組成物中の短鎖半結晶性脂肪族ポリアミドの混合物の融解エンタルピーの重量平均は、25J/g(DSC)を超え、
ポリアミド又はポリアミドの各々の融点は200℃以上である。
【0171】
有利には、これら最後の2つの実施形態のいずれの場合も、上記脂肪族単位は、層(2)の組成物のポリアミド中に存在する単位の合計に対して、80重量%〜97重量%に相当する。
【0172】
一実施形態において、上記に示される多層管構造体(MLT)は、エチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)及びPPAから選択されるバリア層をも含む。
【0173】
「バリア層」という表現は、移送される流体に対して、層の不透過性が非常に高いことを意味する。
【0174】
一実施形態では、上記バリア層はEVOHである。
【0175】
この場合、バリア層は、最外層又は最内層であることはできない。
【0176】
有利には、上記に示される上記多層管構造体(MLT)は、外側から内側に向かって以下(構造体(V)):
層(1)//層(2)//EVOH//層(2’)//層(1’)(V)を含み、
層(1’)は層(1)に対して定義されたものであり、層(2’)は層(2)に対して定義されたものである。
【0177】
第1の変形形態では、層(1’)と層(1)は同一であり、層(2’)と層(2)は同一である:
層(1)//層(2)//EVOH//層(2)//層(1)(VI)
第2の変形形態では、層(1’)と層(1)は同一であり、層(2’)と層(2)は異なる:
層(1)//層(2)//EVOH//層(2’)//層(1)(VII)
第3の変形形態では、層(1’)と層(1)は異なり、層(2’)と層(2)は同一である:
層(1)//層(2)//EVOH//層(2)//層(1’)(VIII)
第4の変形形態では、層(1’)と層(1)は異なり、層(2’)と層(2)は異なる:
層(1)//層(2)//EVOH//層(2’)//層(1’)(IX)
また別の実施形態では、上記バリア層は半芳香族ポリアミド(PPA)で作製される。
【0178】
バリア層の上記半芳香族ポリアミドは、とりわけ式X/YArの半芳香族ポリアミドで、欧州特許第1505099号明細書に記載されているようなものであり、とりわけ式D/XTの半芳香族ポリアミドであり、Dは、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位及び式(Caジアミン).(Cb二塩基酸)に相当する単位から選択されるが、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二塩基酸の炭素原子数を表し、a及びbは各々4〜36個、有利には9〜18個である。
【0179】
X.Tは、Cxジアミン及びテレフタル酸の重縮合から得られる単位を示し、xはCxジアミンの炭素原子数を表し、6〜36個、有利には9〜18個であり、とりわけ式D/6T、D/9T、D/10T又はD/11Tのポリアミドであり、Dは上記に示されるものであり、特にポリアミドPA6/6T、66/6T、6I/6T、PA11/10T、11/6T/10T、MXDT/10T又はMPMDT/10T、BACT/10Tのアラミド及びブロックコポリマー、特にポリアミド/ポリエーテル(PEBA)ブロックコポリマー、又はYが上記のようにジカルボン酸である式MXDY又はPXDYのポリアミドである。
【0180】
有利には、半芳香族ポリアミドは、ポリアミドMXD6、PXD6、MXD10、PXD10、又はコポリアミドX
2T/X’
2Ar、X
2及びX’
2から選択され、X
2及びX’
2が各々、互いに独立した直鎖又は分枝鎖C
6−C
13脂肪族ジアミンを表し、とりわけ半芳香族ポリアミドは、PA9T、PA9T/9’T、PA10T/6T、PA6T/6I、PA6T/66から選択される。
【0181】
9’はノナンジアミンの位置異性体、メチルオクタンジアミンに相当する。
【0182】
バリア層がPPAで作製される場合、上記に示される多層管構造体(MLT)は、有利には、外側から内側に向かって以下を含む:
層(1)//層(2)//PPA//層(2’)//層(1’)(X)
層(1’)は層(1)に対して定義されたものであり、層(2’)は層(2)に対して定義されたものである。
【0183】
第1の変形形態では、層(1’)と層(1)は同一であり、層(2’)と層(2)は同一である:
層(1)//層(2)//PPA//層(2)//層(1)(XI)
第2の変形形態では、層(1’)と層(1)は同一であり、層(2’)と層(2)は異なる:
層(1)//層(2)//PPA//層(2’)//層(1)(XII)
第3の変形形態では、層(1’)と層(1)は異なり、層(2’)と層(2)は同一である:
層(1)//層(2)//PPA//層(2)//層(1’)(XIII)
第4の変形形態では、層(1’)と層(1)は異なり、層(2’)と層(2)は異なる:
層(1)//層(2)//PPA//層(2’)//層(1’)(XIV)
本発明によるMLT構造体は、当業者に既知の技術によって、とりわけ押出成形によって得ることができる。
【0184】
これより本発明について例示によって説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。