特表2020-536092(P2020-536092A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メリンタ セラピューティクス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表2020536092-細菌感染症の治療方法 図000010
  • 特表2020536092-細菌感染症の治療方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536092(P2020-536092A)
(43)【公表日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】細菌感染症の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/69 20060101AFI20201113BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20201113BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20201113BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201113BHJP
【FI】
   A61K31/69
   A61K31/407
   A61P31/04
   A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2020-519066(P2020-519066)
(86)(22)【出願日】2018年10月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月20日
(86)【国際出願番号】US2018053772
(87)【国際公開番号】WO2019070591
(87)【国際公開日】20190411
(31)【優先権主張番号】62/567,702
(32)【優先日】2017年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/657,402
(32)【優先日】2018年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520151703
【氏名又は名称】メリンタ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ルーティット ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ダドリー マイケル エヌ.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CC08
4C086DA43
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
免疫低下状態の対象および基礎にある悪性腫瘍を1種類以上有する対象における細菌感染症を治療する方法は、前記対象にメロペネムおよびバボルバクタムの組み合わせを投与することを含む。治療に適した対象には、進行中の白血病またはリンパ腫の病歴を有する対象、臓器移植、幹細胞移植、骨髄移植、または脾摘出術を受けたことがある対象、免疫抑制薬物療法を受けている対象、骨髄除去化学療法を受けている対象、好中球減少症を有する対象、および悪性腫瘍に罹患しているまたは罹患したことがある対象が含まれ得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における1つ以上の細菌感染症を治療する方法であって、前記対象が、免疫低下状態であり、前記方法が、それを必要とする前記対象にメロペネムおよびバボルバクタムの組み合わせを投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記細菌感染症が、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)上種、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、霊菌(Serratia marcescens)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、およびレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、バルトネラ・バシリホルミス(Bartonella bacilliformis)、ブルセラ属(Brucella)の種、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)、カンピロバクター・フィータス(Campylobacter fetus)、野兎病菌(Francisella tularensis)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ならびにペスト菌(Yersinia pestis)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、進行中の白血病またはリンパ腫の病歴を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が、臓器移植、幹細胞移植、骨髄移植、または脾摘出術を受けたことがある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が免疫抑制薬物療法を受けている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が骨髄除去化学療法を受けている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が好中球減少症を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、悪性腫瘍に罹患しているか、またはそれに罹患したことがある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
対象における1つ以上の細菌感染症を治療する方法であって、前記対象が、悪性腫瘍に罹患しているか、またはそれに罹患したことがあり、前記方法が、それを必要とする前記対象にメロペネムおよびバボルバクタムの組み合わせを投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
前記細菌感染症が、大腸菌、肺炎杆菌、緑膿菌、エンテロバクター・クロアカエ上種、エンテロコッカス・フェシウム、霊菌、化膿連鎖球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、トラコーマクラミジア、肺炎マイコプラズマ、およびレジオネラ・ニューモフィラ、アシネトバクター・バウマンニ、バルトネラ・バシリホルミス、ブルセラ属の種、肉芽腫カリマトバクテリウム、カンピロバクター・フィータス、野兎病菌、軟性下疳菌、コレラ菌、ならびにペスト菌からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記悪性腫瘍が血液悪性腫瘍である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記血液悪性腫瘍が、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、AIDS関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性腫瘍、およびセザリー症候群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、固形腫瘍に罹患しているか、またはそれに罹患したことがある、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記固形腫瘍が肉腫またはがん腫である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、約1000細胞/mm未満の好中球絶対数を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、経口、静脈内、腹腔内、胃内、または血管内投与である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が静脈内投与である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
投与される前記メロペネムの用量が1mg〜5000mgである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記メロペネムの用量が10mg〜3000mgである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記メロペネムの用量が100mg〜2000mgである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
投与される前記バボルバクタムの用量が1mg〜5000mgである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記バボルバクタムの用量が10mg〜3000mgである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記バボルバクタムの用量が100mg〜2000mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記メロペネムおよびバボルバクタムが2:1〜1:2の重量比で投与される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記メロペネムおよびバボルバクタムが1:1の重量比で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記メロペネムが1日1〜4回投与される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記メロペネムの用量が1日3回投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記バボルバクタムが1日1〜4回投与される、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記バボルバクタムの用量が1日3回投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記メロペネムおよびバボルバクタムが同時に投与される、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記メロペネムおよびバボルバクタムが連続して投与される、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記メロペネムおよびバボルバクタムが約1日〜少なくとも約4週間投与される、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府支援研究開発に関する声明
本発明は、Rempex Pharmaceuticals,Inc.とともに、契約番号HHSO100201400002Cに基づき、保健福祉省(Department of Health and Human Services)、準備対応担当次官補室(Office of the Assistant Secretary for Preparedness and Response)、生物医学先進研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority(BARDA))からの連邦政府の援助により行われた。
【0002】
分野
本開示は、抗菌化合物、組成物、治療薬としてのそれらの使用および調製、ならびに様々な細菌感染症の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
細菌感染症は、伝染性であり、多くの重篤なまたは生命を脅かす合併症をもたらす可能性がある。抗生物質は、過去半世紀の間にわたって細菌感染症と闘うための効果的なツールである。一部の細菌感染症は特に問題であり、治療に対して耐性がある。グラム陰性細菌は、肺炎、血流感染症、および創傷感染症を含む感染症を引き起こす。しかしながら、多くのグラム陰性細菌は、市場で入手可能な複数の抗生物質に耐性があり、免疫低下状態の患者および/または他の基礎症状を有する患者を含む、患者に重大なリスクを与える。
【0004】
カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)は、そのような感染症の最後の頼みの薬物と考えられている抗生物質のカルバペネムクラスに耐性があるグラム陰性細菌である。CRE感染症の予後は良好から不良までさまざまであり、細菌によって血流感染症にかかる患者の最大半分が死亡する場合がある。
【0005】
免疫低下状態の対象は、CREによる死亡リスクが高い。全CRE対象の最大33%は、基礎にある免疫低下状態を有する。CRE病原体による感染症を有する免疫低下状態の対象の間では、死亡率は30%〜60%に及ぶ。加えて、血液悪性腫瘍および固形腫瘍を含むがんを有する対象は、CREに起因する感染症による死亡リスクが高い。CRE感染症を有するがん対象の間では、固形腫瘍および血液悪性腫瘍を有する両対象において、死亡率は極めて高い。CRE感染症による死亡リスクの増加は、長期入院、広域スペクトル抗生物質の頻繁な使用、基礎にある免疫低下状態、バリア機構障害(例えば、粘膜炎)、および宿主防御障害に起因し得る。
【0006】
CREなどのグラム陰性細菌感染症を現在の利用可能な最善の治療により治療することは、抗生物質耐性のため問題を含み得る。したがって、患者の転帰を改善する抗生物質薬剤で細菌感染症を治療する方法が特に必要である。
【発明の概要】
【0007】
概要
本開示のいくつかの実施形態は、それを必要とする対象に、ある量のバボルバクタムまたはその薬学的に許容される塩、およびある量のメロペネムの組み合わせを投与することを含む、さまざまな細菌感染症を治療する方法に関する。
【0008】
いくつかの実施形態では、バボルバクタムおよびメロペネムの組み合わせは、免疫低下状態の対象に投与される。さまざまな実施形態では、免疫低下状態の対象には、白血病またはリンパ腫に罹患している対象、免疫抑制薬物療法を受けている(例えば、高用量全身性ステロイドを受けている)対象、脾摘出術を受けたことがある対象、および好中球減少症(例えば、好中球絶対数<1000細胞/mm)を有する対象が含まれる。いくつかの実施形態では、免疫低下状態の対象は、組織移植(例えば、臓器移植、骨髄移植、または幹細胞移植)を受けたことがある。
【0009】
他の実施形態では、バボルバクタムおよびメロペネムの組み合わせは、基礎にある悪性腫瘍に1種類以上罹患しているまたは罹患したことがある対象に投与される。さまざまな実施形態では、基礎にある悪性腫瘍は、血液悪性腫瘍または固形腫瘍であり得る。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、AIDS関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性腫瘍、およびセザリー症候群から選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】既知のまたは疑わしいカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)による複雑性尿路感染症(CuTI)、急性腎盂腎炎(AP)、院内感染および人工呼吸器関連肺炎(HABP/VABP)、菌血症、ならびに複雑性腹腔内感染症(CiAI)を有する対象における、利用可能な最善の療法(BAT)による無作為化非盲検比較試験において免疫低下状態の対象の間での転帰を調べるための試験模式図を示す。
図2】試験に参加している免疫低下状態の対象におけるベースライン後最大クレアチニン増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の詳細な説明
定義
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、または実験の対象である動物を指す。「動物」は、魚類、甲殻類、爬虫類、および特に哺乳動物などの、冷血および温血の脊椎動物および無脊椎動物を含む。「哺乳動物」には、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、および類人猿、ならびに特にヒトが含まれる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「患者」とは、特定の疾患もしくは障害を治癒するかまたはその作用を少なくとも寛解させること、あるいはまず第1に疾患もしくは障害の発生を防ぐことを試みるために、医療専門家、例えば、医療医師(すなわち、アロパシー医学の医師またはオステオパシー医学の医師)または獣医学の医師によって治療される対象を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、予防および/または治療目的のための医薬組成物の投与を指す。「予防処置」という用語は、関連疾患または障害をまだ有しないが、特定の疾患もしくは障害にかかりやすい、またはさもなければそのリスクにある患者を治療し、それにより、治療が、患者が疾患または障害を発症する可能性を低減させることを指す。「治療上の処置」という用語は、既に疾患または障害を有する患者に治療を施すことを指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「投与」または「投与すること」は、薬学的活性成分の投薬量を脊椎動物に与える方法を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「投薬量」は、患者に投与される治療薬の量を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「1日投薬量」とは、1日に患者に投与される治療薬の総量を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「治療薬」という用語は、疾患または状態の治療に有効である物質を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」または「薬学的有効量」は、治療効果を有する治療薬の量を意味する。治療に有用な薬学的活性成分の投薬量は、治療有効量である。したがって、本明細書で使用される場合、治療有効量は、臨床試験結果および/またはモデル動物試験によって判断される所望の治療効果をもたらす治療薬のそれらの量を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「治療効果」は、疾患または障害の症状のうちの1つ以上をある程度軽減する。例えば、治療効果は、対象によって伝えられる主観的不快感の低減(例えば、自己投与患者の質問表に記述された不快感の低減)によって観察され得る。
【0020】
細菌感染症の治療
一態様では、本開示は、1つ以上の細菌感染症に罹患している可能性がある対象の治療に関する。いくつかの実施形態では、対象は、グラム陰性細菌に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、大腸菌(Escherichia coli)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)上種に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、霊菌(Serratia marcescens)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、バルトネラ・バシリホルミス(Bartonella bacilliformis)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、ブルセラ属(Brucella)の種に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、肉芽腫カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium granulomatis)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、カンピロバクター・フィータス(Campylobacter fetus)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、野兎病菌(Francisella tularensis)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、コレラ菌(Vibrio cholerae)に感染している場合がある。一実施形態では、対象は、ペスト菌(Yersinia pestis)に感染している場合がある。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象は免疫低下状態であり得る。例えば、免疫低下状態の対象は、進行中の白血病またはリンパ腫の病歴、臓器移植または脾摘出術の前歴、高用量ステロイド(≧20mg/kg/日のプレドニゾンまたは同等物)を含む免疫抑制薬物療法の受容中、骨髄除去化学療法の受容中、および好中球減少症(ANC≦1000細胞/mm)のうちのいずれかを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、対象は、1500細胞/mm以下の好中球絶対数(ANC)を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1450細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1400細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1350細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1300細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1250細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1200細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1150細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1100細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1050細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1000細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、950細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、900細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、800細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、750細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、700細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、650細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、600細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、550細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、500細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、450細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、400細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、350細胞/mm以下のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、300細胞/mm以下のANCを有し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、対象は、300〜500細胞/mmの範囲のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、500〜1000細胞/mmの範囲のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、1000〜1500細胞/mmの範囲のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、500〜1500細胞/mmの範囲のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、500〜750細胞/mmの範囲のANCを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、750〜1000細胞/mmの範囲のANCを有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、対象は、基礎にある悪性腫瘍を有するか、または以前に有したことがあってもよい。いくつかの実施形態では、対象は血液悪性腫瘍を有し得る。例えば、患者は、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、AIDS関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性腫瘍、およびセザリー症候群を含むが、これらに限定されない血液悪性腫瘍を有するか、または以前に有したことがあってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、固形腫瘍、例えば、肉腫またはがん腫を有するか、または有したことがあってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、1種類以上の血液悪性腫瘍または固形腫瘍を有するか、または有したことがあってもよい。
【0025】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、生理学的に許容される表面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、平滑剤、懸濁剤、フィルム形成物質、およびコーティング補助剤(coating assistant)、またはそれらの組み合わせと、本明細書に開示される化合物とを含む医薬組成物に関する。治療用途のための許容される担体または希釈剤は医薬品技術分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。防腐剤、安定剤、染料、甘味料、香料、香味剤などは、医薬組成物に提供され得る。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルは、防腐剤として添加され得る。加えて、抗酸化剤および懸濁剤が使用され得る。さまざまな実施形態では、アルコール、エステル、硫酸化脂肪族アルコールなどは、表面活性剤として使用され得、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶化セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸性炭酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどは、賦形剤として使用され得、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などは、平滑剤として使用され得、ココナツ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、大豆は、懸濁剤または滑沢剤として使用され得、セルロースもしくは糖などの炭水化物の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、またはポリビニルの誘導体としての酢酸メチル−メタクリレートコポリマーは、懸濁剤として使用され得、フタル酸エステルなどの可塑剤は、懸濁剤として使用され得る。
【0026】
メロペネムおよび/またはバボルバクタムは、薬学的に許容される担体または希釈剤とともに投与するために製剤化され得る。メロペネムおよび/またはバボルバクタムは、医薬品技術分野において通例の標準的な薬学的に許容される担体および/または賦形剤を用いて薬物として製剤化され得る。製剤の正確な性質は、所望の投与経路を含むいくつかの要因に依存する。典型的には、メロペネムおよび/またはバボルバクタムは、経口、吸入、静脈内、胃内、血管内、または腹腔内投与用に製剤化される。
【0027】
「医薬組成物」という用語は、希釈剤または担体などの他の化学成分と本明細書に開示される化合物との混合物を指す。医薬組成物は、生物体への化合物の投与を容易にする。経口、注射、エアロゾル、非経口、および局所投与を含むがこれに限定されない、化合物を投与する複数の技法が存在する。医薬組成物はまた、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸または有機酸と化合物を反応させることによって得ることもできる。
【0028】
「担体」という用語は、化合物の細胞または組織への組み込みを容易にする化学化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、多くの有機化合物の、生物の細胞または組織への取り込みを容易にするため、一般的に用いられる担体である。
【0029】
「希釈剤」という用語は、関心対象の化合物を溶解し、また化合物の生物学的活性形態を安定させる水に希釈される化学化合物を定義する。緩衝溶液に溶解された塩は、当該技術分野で希釈剤として用いられる。一般的に使用される緩衝溶液の1つは、ヒトの血液の塩条件を模倣するため、リン酸緩衝食塩水である。緩衝塩は低濃度で溶液のpHを制御することができるため、緩衝希釈剤は化合物の生物学的活性を変更することはほとんどない。
【0030】
「生理学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性および特性を抑制しない担体または希釈剤を定義する。
【0031】
本明細書に記載される医薬組成物は、それ自体、またはそれらが併用療法にあるように他の活性成分または好適な担体もしくは賦形剤と混合される医薬組成物において、ヒト患者に投与することができる。本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの製剤化および投与の技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Publishing Co.,Easton,PA,18th edition,1990に見出すことができる。
【0032】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせを、錠剤、フィルムコーティング錠剤、カプセル、カプレット、ピル、ゲルキャップ、ペレット、ビーズ、または糖衣錠剤形で提供する。好ましくは、本明細書に開示される製剤は、例えば、迅速な錠剤押圧速度、低減された圧縮力、低減された放出力、混合均一性、含有量均一性、色の均一な分散、崩壊時間の加速、迅速な溶解、低破砕性(梱包、出荷、精選などの下流処理に好ましい)、および変動がほとんどない剤形の物理的特徴(例えば、重量、硬度、厚さ、破砕性)を含むが、これらに限定されない好ましい薬物加工品質を提供することができる。
【0033】
本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、例えば、以下に記載されるように、例えば、限定されないが、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、充填剤、担体、コーティング剤、滑剤、香味、着色添加剤などの任意の好適な薬学的に許容される賦形剤と薬物の物質を組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような組成物は、保存およびその後の処理のために調製され得る。
【0034】
賦形剤
治療用途のための許容される賦形剤は医薬品技術分野で周知であり、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th edition(Raymond C Rowe,Paul J Sheskey and Sian C Owen,eds.2005)、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition(Lippincott Williams & Wilkins,2005)(その各々はその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。本明細書において「担体」材料または「賦形剤」という用語は、それ自体は治療薬ではない、担体および/もしくは希釈剤および/もしくはアジュバントとして、または対象に治療薬を送達するためのビヒクルとして使用されるか、あるいはその取り扱いもしくは保存特性を改善するため、または組成物の用量単位を、経口投与に好適なカプセル、錠剤、フィルムコーティング錠剤、カプレット、ゲルキャップ、ピル、ペレット、ビーズなどの別個の物品に形成するのを可能もしくは容易にするために医薬組成物に添加される、任意の物質を意味し得る。賦形剤には、例示としてであり、限定するものではないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、滑剤、コーティング剤、甘味料、可溶化剤、不快な味もしくは臭いを隠すまたは中和するために添加される物質、香味、着色剤、香料、および組成物の外観を改善するために添加される物質が含まれ得る。
【0035】
前記組成物および製剤は、改善された移行、送達、許容度などを提供する任意の他の薬剤を含み得る。これらの組成物および製剤には、例えば、粉末、ペースト、ゼリー、ワックス、油、脂質、小胞(Lipofectin(商標)など)を含む脂質(カチオン性またはアニオン性)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、カーボワックスエマルジョン(さまざまな分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含む半固体混合物が含まれ得る。
【0036】
前述の混合物のいずれも、本明細書の開示に従い、治療および療法に適切であり得るが、但し、製剤中の活性成分が製剤によって不活性化されず、製剤が投与経路と生理学的に適合性であり、かつ忍容性があることを条件とする。Baldrick P.“Pharmaceutical excipient development:the need for preclinical guidance.” Regul.Toxicol.Pharmacol.32(2):210−8(2000)、Charman WN “Lipids,lipophilic drugs,and oral drug delivery−some emerging concepts.” J.Pharm.Sci.89(8):967−78(2000)、ならびに医薬品化学者に周知の製剤、賦形剤、および担体に関する追加情報についてのそれらの中の引用文献も参照されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、列記された賦形剤のうちの1つ以上または任意の組み合わせが、本明細書に開示される製剤および/または方法に具体的に含まれるか、またはそれから除外され得る。当業者によって理解されるように、賦形剤の量は、薬物の投薬量および剤形のサイズによって決定される。
【0038】
滑沢剤
いくつかの実施形態では、滑沢剤は、ある特定の剤形の製造に用いられる。例えば、錠剤の製造時に滑沢剤が用いられることが多い。いくつかの実施形態では、滑沢剤は打錠工程の直前に添加され得、良好な分散を得るために最小限の時間にわたって製剤と混合され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の滑沢剤が使用され得る。好適な滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドポリマー(例えば、Dow Chemical Company,Midland,Mich.からのポリエチレングリコールについてはCarbowax(登録商標)、そしてポリエチレンオキシドについてはPolyox(登録商標)の登録商標下で入手可能である)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルマフル酸ナトリウム、DL−ロイシン、コロイド状シリカ、および当該技術分野で既知であるその他が含まれるが、これらに限定されない。典型的な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物である。
【0039】
着色添加剤
いくつかの実施形態では、着色添加剤も含まれ得る。着色剤は、剤形の強度を区別するのに十分な量で使用され得る。好ましくは、薬物で使用するために承認された着色添加剤(その全体が参照により本明細書に組み込まれる21 CFR 74)は、錠剤の強度を区別するために商業用製剤に添加される。他の薬学的に許容される着色剤およびその組み合わせの使用は、本開示によって包含される。
【0040】
結合剤
結合剤を使用して、例えば、製剤に粘着性を付与することができ、したがって、得られる剤形が圧縮後に原形を保つことを確実にする。好適な結合剤材料には、微結晶セルロース、ゼラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、およびマルトデキストリンを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ポビドン、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを含む)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などが含まれるが、これらに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製剤は、主要賦形剤の圧縮性を高めるための少なくとも1つの結合剤を含み得る。いくつかの実施形態では、結合剤は、結合活性を増加させるために、溶液から噴霧される(例えば、湿式造粒)。
【0041】
崩壊剤
いくつかの実施形態では、例えば、投与後の錠剤崩壊を容易にするために、崩壊剤が使用され、一般的には、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ガム、または架橋ポリマーである。好適な崩壊剤には、架橋ポリビニルピロリドン(PVP−XL)、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、メタクリル酸DYB、微結晶セルロース、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。所望される場合、医薬製剤は、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの非毒性補助物質を少量含むこともできる。
【0042】
コーティング剤
いくつかの実施形態では、製剤は、コーティング剤、例えば、フィルムコーティング剤を含むことができる。フィルムコーティング剤を伴う場合、コーティング調製物には、例えば、フィルム形成ポリマー、可塑剤などが含まれ得る。また、コーティング剤は、顔料および/または乳白剤を含み得る。フィルム形成ポリマーの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリジン、およびデンプンが挙げられる。可塑剤の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油、およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。さらに、顔料および乳白剤の非限定的な例としては、さまざまな色の酸化鉄、多くの色のレーキ染料、二酸化チタンなどが挙げられる。
【0043】
希釈剤
いくつかの実施形態では、希釈剤が使用され、一般的には、化合物スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、転化糖、炭酸カルシウム、ラクトース、デンプン、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、リン酸一水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、薬学的に許容されるポリオール、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト、およびグリセロール、ポリデキストロース、デンプンなど、またはそれらの任意の混合物のうちの1つ以上から選択される。
【0044】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、界面活性剤が使用される。口腔薬物形態の湿潤剤としての界面活性剤の使用は、文献、例えば、H.Sucker,P.Fuchs,P.Speiser,Pharmazeutische Technologie,2nd edition,Thieme 1989,page 260に記載されている。とりわけ、薬学的活性化合物の浸透および生物学的利用能を改善するための界面活性剤の使用も可能であることが、Advanced Drug Delivery Reviews(1997),23,pages 163−183に公開されたものなど、他の論文から既知である。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、界面活性剤は、ポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリグリコール化グリセリド、ポリ(オキシエチレン)ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、脂肪酸塩、胆汁酸塩、アルキル硫酸塩、レシチン、胆汁酸塩とレシチンとの混合ミセル、グルコースエステル ビタミンE TPGS(D−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
滑剤
いくつかの実施形態では、滑剤が使用される。使用され得る滑剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、およびリン酸カルシウム、または同等物、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
好適な投与経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜、局所、または腸投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、およびくも膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口送達を含み得る。本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、長期および/または所定の速度で時限パルス投与するための、デポ注射、浸透圧ポンプ、ピル、経皮(電気輸送を含む)パッチなどを含む、持続性または制御放出剤形で投与することもできる。
【0047】
本開示の医薬組成物は、それ自体が既知である様式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、研和、乳化、被包、封入、打錠プロセスによって製造され得る。
【0048】
したがって、本開示に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物を加工して薬学的に使用することができる調製物にするのを容易にする賦形剤および補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の様式で製剤化され得る。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。周知の技法、担体、および賦形剤のいずれも、当該技術分野、例えば、上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて好適であるようにかつ理解されるように使用され得る。
【0049】
注射物は、液体溶液もしくは懸濁液、溶液もしくは注射前に液体への懸濁に好適な固形、またはエマルジョンとしてのいずれかの従来の形態に調製され得る。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸などである。加えて、所望される場合、注射可能な医薬組成物は、湿潤剤、pH緩衝剤などの非毒性補助物質を少量含むことができる。生理学的に適合性のある緩衝液には、ハンクス溶液、リンガー溶液、または生理食塩水緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。所望される場合、吸収促進調製物(例えば、リポソーム)を用いてもよい。
【0050】
経粘膜投与のために、浸透するバリアに適切な浸透剤を製剤に使用することができる。
【0051】
例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のための医薬組成物は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製されてもよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、または大豆、グレープフルーツもしくはアーモンド油などの他の有機油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。任意に、懸濁液は、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする化合物の溶解度を増加させる好適な安定剤または薬剤も含み得る。注射用製剤は、防腐剤を添加して、単位剤形で、例えば、アンプルまたは多用量容器で提示され得る。組成物は、油性または水性ビヒクルにおいて懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとることができ、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの調合剤(formulatory agent)を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質不含水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0052】
経口投与に関して、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような担体は、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせを、治療される患者が経口摂取するための、錠剤、フィルムコーティング錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、ゲルキャップ、ペレット、ビーズ、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固体の賦形剤と組み合わせ、任意に得られる混合物を粉砕することにより得ることができ、所望される場合、好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣剤コアを得ることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物などの充填剤である。所望される場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を添加することができる。糖衣錠コアには、好適なコーティングが提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を使用してもよく、これは、任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。識別または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに色素または顔料を添加してもよい。この目的のために、濃縮糖溶液を使用してもよく、これは、任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。識別または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに色素または顔料を添加してもよい。加えて、安定剤を添加することができる。経口投与用のすべての製剤は、そのような投与に好適な投薬量であるべきである。いくつかの実施形態では、許容される即時放出溶解プロファイルを有する本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの製剤および頑強で拡張可能な製造方法が開示される。
【0053】
経口使用され得る医薬調製物には、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)で作られた軟質の密封カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意に安定剤と混合して活性成分を含み得る。軟カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解または懸濁され得る。加えて、安定剤を添加することができる。経口投与用のすべての製剤は、そのような投与に好適な投薬量であるべきである。
【0054】
頬側投与に関して、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0055】
吸入による投与に関して、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、好適な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾル噴霧提示の形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬量単位は、定量を送達するために弁を提供することによって決定され得る。化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末ミックスを含む、吸入具または吸入器で使用するための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジが製剤化され得る。
【0056】
さらに、眼内、鼻腔内、および耳内送達を含む使用のための医薬品技術分野で周知のさまざまな医薬組成物が本明細書に開示される。これらの使用に好適な浸透剤は、一般的に当該技術分野で既知である。眼内送達のための医薬組成物には、点眼薬などの水溶性形態、またはゲランガム(Shedden et al.,Clin.Ther.,23(3):440−50(2001))もしくはヒドロゲル(Mayer et al.,Ophthalmologica,210(2):101−3(1996))の活性化合物の眼科用水溶液;眼軟膏;微粒子、液体分散媒に懸濁される薬物含有小ポリマー粒子(Joshi,A.,J.Ocul.Pharmacol.,10(1):29−45(1994))、脂溶性製剤(Alm et al.,Prog.Clin.Biol.Res.,312:447−58(1989))、およびマイクロスフェア(Mordenti,Toxicol.Sci.,52(1):101−6(1999))などの眼科用懸濁液;ならびに眼球挿入物が含まれる。上述の参考文献のすべては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。そのような好適な医薬製剤は、ほとんどの場合かつ好ましくは、安定性および快適性のために滅菌、等張性であり、かつ緩衝されるように製剤化される。鼻腔内送達のための医薬組成物は、通常の毛様体作用の維持を確保するために、多くの点で鼻汁分泌を刺激するように調製されることが多い点滴薬および噴霧剤も含まれ得る。Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示され、また当業者に周知のように、好適な製剤は、ほとんどの場合かつ好ましくは、等張であり、5.5〜6.5のpHを維持するようにわずかに緩衝され、ほとんどの場合かつ好ましくは、抗菌性防腐剤および適切な薬物安定剤を含む。耳内送達のための医薬製剤には、耳に局所適用するための懸濁液および軟膏が含まれる。そのような耳製剤のための一般的な溶媒には、グリセリンおよび水が含まれる。
【0057】
本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含む坐薬または停留浣腸などの直腸組成物にも製剤化され得る。
【0058】
前述の製剤に加えて、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、デポ調製物としても製剤化され得る。そのような長期作用製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、好適なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、またはやや難溶性の誘導体として、例えば、やや難溶性の塩として製剤化され得る。
【0059】
疎水性化合物に関して、好適な医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含む共溶媒系であり得る。使用される一般的な共溶媒系は、無水エタノールの容積まで補われた3%w/vのベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)、および65%w/vのポリエチレングリコール300の溶液である、VPD共溶媒系である。当然、共溶媒系の比率は、その溶解性および毒性の特徴を破壊することなく、かなり変動し得る。さらに、共溶媒構成成分の同一性は変動し得、例えば、POLYSORBATE 80(商標)の代わりに、他の低毒性非極性界面活性剤が使用されてもよい。ポリエチレングリコールの分画サイズは変動し得、他の生体適合性ポリマーがポリエチレングリコール、例えば、ポリビニルピロリドンを置換してもよく、例えば、他の糖または多糖類は、デキストロースの代わりになり得る。
【0060】
あるいは、疎水性の医薬化合物のための他の送達系を用いてもよい。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬物用の送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。ジメチルスルホキシドなどのある特定の有機溶媒を用いてもよいが、通常はより大きい毒性という代償を支払って用いられる。加えて、化合物は、治療薬を含む固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなど、徐放性系を使用して送達され得る。さまざまな徐放性材料が確立されており、当業者に周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に応じて、化合物を数週間から最大100日間にわたって放出し得る。治療試薬の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化のための追加的な戦略が用いられてもよい。
【0061】
細胞内投与されることが意図される薬剤は、当業者に周知の技法を使用して投与され得る。例えば、そのような薬剤はリポソームに被包され得る。リポソーム形成時に水溶液中に存在するすべての分子は、水性内部に組み込まれる。リポソーム内容物は、外部の微小環境から保護もされ、またリポソームは細胞膜と融合するため、細胞の細胞質に効率的に送達もされる。リポソームは、組織特異的抗体で被覆されてもよい。リポソームは、所望の臓器を標的とし、かつそれにより選択的に取り込まれる。あるいは、小さな疎水性有機分子は、直接細胞内投与され得る。
【0062】
さらなる治療薬または診断薬が、医薬組成物に組み込まれてもよい。代替的にまたは加えて、医薬組成物は、他の治療薬または診断薬を含む他の組成物と組み合わされてもよい。
【0063】
投与方法
本明細書に開示される化合物もしくは化合物の組み合わせ、または医薬組成物は、任意の好適な手段によって患者に投与され得る。投与方法の非限定的な例としては、とりわけ、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせを生存組織に接触させるために当業者により適切と考えられる、(a)カプセル、錠剤、顆粒、噴霧剤、シロップ、または他のそのような形態での投与を含む、経口経路による投与、(b)水性懸濁液、油性調製物、もしくは同等物、または点滴、噴霧剤、坐剤、サルベ、軟膏、もしくは同等物としての投与を含む、直腸、膣、尿道内、眼内、鼻腔内、または耳内などの非経口経路による投与、(c)注入ポンプ送達を含む、注射による、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、眼窩内、関節内、脊髄内、槽内、もしくは同等の投与、(d)腎臓または心臓の領域に直接注射することにより、例えば、デポ移植などによる局部投与、ならびに(e)局所投与を含む。
【0064】
投与に好適な医薬組成物には、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせがその意図された目的を達成するために有効な量で含まれる組成物が含まれる。用量として必要である本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの治療有効量は、投与経路、治療される動物の種類(ヒトを含む)、および考慮中の特定の動物の物理的特徴に依存する。用量は、所望の効果を達成するために調整することができるが、体重、食事、併用薬物療法、および医療技術分野の当業者が認識する他の要因などの要因に依存する。より具体的には、治療有効量は、疾患の症状を予防、緩和、もしくは寛解させる、または治療される対象の生存を延長するために有効な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示の観点から、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0065】
当業者には容易に明らかであるように、投与される有用なインビボ投薬量および特定の投与モードは、治療される年齢、体重、および哺乳類種、ならびに本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせが用いられる特定の使用によって異なる。有効投薬量レベル、つまり、所望の結果を達成するために必要な投薬量レベルの決定は、通例の薬理学的方法を使用して、当業者によって達成され得る。典型的には、製品のヒト臨床用途は、低い投薬量レベルから開始され、投薬量レベルは、所望の効果が達成されるまで増加される。あるいは、容認されるインビトロ試験を使用して、本方法によって同定される組成物の有用な用量および投与経路を、確立された薬理学的方法を使用して確立することができる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「投薬量」とは、活性医薬成分(例えば、メロペネムおよびバボルバクタム)の量を指す。
【0067】
非ヒト動物試験では、潜在的な製品の用途は、より高い投薬量で開始され、所望の効果がもはや達成されないか、または副作用が消失するまで減少される。投薬量は、所望の効果および治療指標により、広い範囲であり得る。典型的には、投薬量は、約0.1mg/kg体重〜約4000mg/kg体重、好ましくは約1mg/kg体重〜約1000mg/kg体重であり得る。あるいは、当業者によって理解されるように、投薬量は、患者の表面積に基づき、計算され得る。
【0068】
治療される状態の重症度および応答性により、投与はまた、徐放性組成物の単一投与であってもよく、治療過程は、数日から数週間、または治癒がもたらされるかもしくは疾患状態の減退が達成されるまで続く。投与される組成物の量は、当然ながら、治療される対象を含む多くの要因、苦痛の重症度、投与様式、処方医師の判断に依存する。本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、1日当たり患者の体重の0.1mg/kg〜4000mg/kgの用量で経口または注射により投与され得る。成人ヒトの用量範囲は、一般的に、100mg/日〜100g/日である。別個単位で提供される錠剤または他の提示形態は、そのような投薬量で、または複数の投薬量として有効な、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの量、例えば、100mg〜50g(例えば、約200mg〜約50g、約400mg〜約20g、約800mg〜約10g、または約1g〜約5g)を含む単位を都合よく含むことができる。患者に投与される正確な化合物の量は、担当医の責任である。しかしながら、用いられる用量は、患者の年齢および性別、治療される正確な障害、およびその重症度を含むいくつかの要因に依存する。また、投与経路は、状態およびその重症度により異なり得る。
【0069】
メロペネムの典型的な用量は、患者の年齢および性別、治療される正確な障害、およびその重症度を含むいくつかの要因により、体重1kg当たり1mg〜50mg、例えば、体重1kg当たり10mg〜40mgである。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は、約1mg〜約5000mg、例えば、10mg〜3000mg、100mg〜2000mg、200mg〜1500mg、もしくは500mg〜1000mg、または前述の値のいずれかによって定義される範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は、250mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、1500mg、1750mg、2000mg、2250mg、2500mg、2750mg、3000mg、3250mg、3500mg、3750mg、もしくは4000mg、または前述の値のいずれかによって定義された範囲内であり得る、バボルバクタムの典型的な用量は、患者の年齢および性別、治療される正確な障害、およびその重症度を含むいくつかの要因により、体重1kg当たり1mg〜50mg、例えば、体重1kg当たり10mg〜40mgである。いくつかの実施形態では、バボルバクタムの投薬量は、約1mg〜約5000mg、例えば、10mg〜3000mg、100mg〜2000mg、200mg〜1500mg、もしくは500mg〜1000mg、または前述の値のいずれかによって定義される範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、バボルバクタムの投薬量は、250mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、1500mg、1750mg、2000mg、2250mg、2500mg、2750mg、3000mg、3250mg、3500mg、3750mg、もしくは4000mg、または前述の値のいずれかによって定義された範囲内であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは、10:1〜1:10、例えば、5:1〜1:5、4:1〜1:4、3:1〜1:3、2:1〜1:2、または約1:1の重量比で投与され得る。医師は、任意の特定の対象に対して、必要なメロペネムおよびバボルバクタムの投薬量を決定することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は、250mg〜4000mgであり得、バボルバクタムの投薬量は、250mg〜4000mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は500mg〜3000mgであり得、バボルバクタムの投薬量は500mg〜3000mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は500mg〜2000mgであり得、バボルバクタムの投薬量は500mg〜2000mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は500mgであり得、バボルバクタムの投薬量は500mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は1000mgであり得、バボルバクタムの投薬量は1000mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は1500mgであり得、バボルバクタムの投薬量は1500mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は2000mgであり得、バボルバクタムの投薬量は2000mgであり得る。いくつかの実施形態では、メロペネムの投薬量は2500mgであり得、バボルバクタムの投薬量は2500mgであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムを、1日1回、2回、3回、4回、またはそれ以上投与することができる。いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムを、4時間ごと、6時間ごと、8時間ごと、12時間ごと、または24時間ごとに投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2000mgの投薬量のメロペネムおよび2000mgの投薬量のバボルバクタムを、8時間ごと、12時間ごと、または24時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、1500mgの投薬量のメロペネムおよび1500mgの投薬量のバボルバクタムを8時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、1000mgの投薬量のメロペネムおよび1000mgの投薬量のバボルバクタムを8時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、1000mgの投薬量のメロペネムおよび1000mgの投薬量のバボルバクタムを12時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、1000mgの投薬量のメロペネムおよび1000mgの投薬量のバボルバクタムを24時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、500mgの投薬量のメロペネムおよび500mgの投薬量のバボルバクタムを8時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、500mgの投薬量のメロペネムおよび500mgの投薬量のバボルバクタムを12時間ごとに投与することができる。いくつかの実施形態では、500mgの投薬量のメロペネムおよび500mgの投薬量のバボルバクタムを24時間ごとに投与することができる。
【0073】
本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの医薬組成物の正確な配合、投与経路、および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Fingl et al.1975,in “The Pharmacological Basis of Therapeutics,”を参照されたく、特に第1章を参照されたい)。典型的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、約0.1〜約4000mg/患者の体重のkgであり得る。投薬量は、患者によって必要とされる、1日以上の過程で与えられる、2つ以上のうちの1つまたは一連のものであってもよい。化合物のヒト投薬量が少なくともいくつかの状態に対して確立されている場合、本開示は、それらの同じ投薬量、または確立されたヒト投薬量の約0.1%〜約5000%、より好ましくは約25%〜約1000%の投薬量を使用する。新たに発見された薬学的化合物の場合のように、ヒト用量が確立されていない場合、好適なヒト投薬量は、動物における毒性試験および有効性試験により認定された、ED50もしくはID50値、またはインビトロもしくはインビボ試験から導かれた他の適切な値から推測することができる。
【0074】
担当医は、毒性または臓器機能不全により、投与を中止、中断、または調整する方法および時期を知っていることに留意すべきである。逆に、担当医は、臨床応答が適切でない場合(毒性を除外する)場合、より高いレベルに治療を調整することも知っているであろう。関心対象の障害の管理における投与される用量の規模は、治療される状態の重症度および投与経路により異なる。状態の重症度は、例えば、一部、標準的な予後評価方法によって評価されてもよい。さらに、用量および恐らく投与頻度は、個々の患者の年齢、体重、および応答によっても異なる。上述と比較可能なプログラムは、獣医学で使用されてもよい。
【0075】
正確な投薬量は薬物ごとに決定されるが、ほとんどの場合、投薬量に関するある程度の一般化を行うことができる。薬学的に許容される塩の投与の場合、投薬量は遊離塩基として計算され得る。いくつかの実施形態では、組成物の投薬量は、1日当たり1〜4回投与される。あるいは、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの組成物は、好ましくは1日当たり最大100gの各活性成分の用量で、連続静脈内注入によって投与され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の場合では、特に侵襲性疾患または感染症を効果的かつ積極的に治療するために、上記の好ましい投薬量範囲を超える、またはそれをはるかに超える量で、本明細書に開示される化合物を投与することが必要であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、連続療法の期間にわたって、例えば、1週間以上、または数ヶ月間または数年間投与される。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの投与レジメンは、ある期間施され、この期間は、例えば、少なくとも約1日〜少なくとも約3日間、少なくとも約1日〜少なくとも約1週間、少なくとも約1日〜少なくとも約10日間、1日〜少なくとも約4週間、少なくとも約1週間〜少なくとも約2週間、少なくとも約1週間〜少なくとも約4週間、少なくとも約4週間〜少なくとも約8週間、少なくとも約4週間〜少なくとも約12週間、少なくとも約4週間〜少なくとも約16週間以上であり得る。本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの投与レジメンは、1日3回、1日2回、毎日、隔日、週3回、隔週、月3回、月1回、実質的に連続してまたは連続して施すことができる。
【0077】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは、同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは、連続して対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、対象にバボルバクタムを投与する前に、メロペネムを対象に投与する。いくつかの実施形態では、対象にバボルバクタムを投与した後に、メロペネムを対象に投与する。
【0078】
いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは、同じ投与経路を使用して投与されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは両方とも経口投与されてもよい。いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは両方とも非経口投与されてもよい。いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは両方とも静脈内投与されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、メロペネムおよびバボルバクタムは、異なる投与経路を使用して投与されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態は、所望の治療期間の間、月3回、月1回、週1回、3日に1回、2日に1回、1日1回、1日2回、または1日3回、実質的に連続してまたは連続して、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの用量当たり約0.1g〜約100gの薬物の量を含む、本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムの組み合わせの投薬量を、対象に経口投与することを含む、対象における細菌感染症の治療において本明細書に開示される有効量のメロペネムおよびバボルバクタムの組み合わせを使用するための方法を提供する。
【0081】
いくつかの実施形態は、所望の治療期間の間、月3回、月1回、週1回、3日に1回、2日に1回、1日1回、1日2回、または1日3回、実質的に連続してまたは連続して、メロペネムおよびバボルバクタムの用量当たり、体重のキログラム当たり0.1mg〜約4000mgのメロペネムおよびバボルバクタムのそれぞれの量を含む、メロペネムおよびバボルバクタムの投薬量を、対象に経口投与することを含む、急性腎障害になりやすい対象における細菌感染症の治療において本明細書に開示される有効量のメロペネムおよびバボルバクタムの組み合わせを使用するための方法を提供する。
【0082】
投薬量および間隔は、調節効果を維持するために十分な活性部分の血漿レベル、または最小有効濃度(MEC)を提供するために個々に調整され得る。MECは各化合物に対して異なるが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個々の特徴および投与経路に依存する。しかしながら、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して、血漿濃度を決定することができる。
【0083】
投薬間隔はMEC値を使用して決定することもできる。いくつかの実施形態では、組成物は、前記期間の10〜90%、例えば15〜30%、20〜45%、25〜50%、30〜55%、35〜60%、40〜65%、45〜70%、50〜75%、55〜80%、60〜90%、65〜75%、70〜80%、75〜85%、15〜90%、20〜90%、25〜90%、30〜90%、35〜90%、40〜90%、45〜90%、50〜90%、55〜90%、60〜90%、65〜90%、70〜90%、75〜90%、または80〜90%にわたってMECを上回る血漿レベルを維持するレジメンを使用して投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、前記期間の20〜90%にわたってMECを超える血漿レベルを維持するレジメンを使用して投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、前記期間の30〜90%、40〜90%、最も典型的には50〜90%にわたってMECを超える血漿レベルを維持するレジメンを使用して投与することができる。
【0084】
局部投与または選択的取り込みの場合、薬物の有効局部濃度は、血漿濃度に関係しなくてもよい。
【0085】
投与される組成物の量は、治療される対象、対象の体重、苦痛の重症度、投与様式、および処方医師の判断に依存し得る。
【0086】
本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、既知の方法を使用して有効性および毒性について評価され得る。例えば、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの毒性学は、哺乳類などの細胞株、好ましくはヒトの細胞株に対するインビトロ毒性を決定することにより確立され得る。そのような試験の結果は、哺乳動物、またはより具体的にはヒトなどの動物における毒性を予測することが多い。あるいは、マウス、ラット、ウサギ、またはサルなどの動物モデルにおける本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの毒性は、既知の方法を使用して決定され得る。本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせの有効性は、インビトロ方法、動物モデル、またはヒト臨床試験などのいくつかの認識された方法を使用して確立されてもよい。認識されたインビトロモデルは、がん、心血管疾患、およびさまざまな免疫機能不全を含むがこれらに限定されない、ほぼすべての状態のクラスに対して存在する。同様に、そのような状態を治療する化学物質の有効性を確立するために、容認される動物モデルを使用してもよい。有効性を決定するためにモデルを選択するとき、当業者は、最先端技術を指針として、適切なモデル、用量、および投与経路、ならびにレジームを選択することができる。当然ながら、ヒト臨床試験を使用して、ヒトにおける化合物の有効性を決定することもできる。
【0087】
前記組成物は、所望される場合、活性成分を含む1つ以上の単位剤形を含み得るパックまたはディスペンサー装置で提示され得る。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチック箔を含み得る。パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書を伴ってもよい。パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に関連する通知を伴うこともあり、この通知は、ヒトまたは獣医学投与のための薬物の形態の機関による認可を反映するものである。そのような通知は、例えば、処方薬の米国食品医薬品局によって承認された表示、または承認済み製品添付文書であってもよい。適合性のある医薬担体に配合された本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせを含む組成物はまた、調製され、適切な容器に入れられ、示された状態の治療に関するラベルが付けられてもよい。
【0088】
本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムの有効量は、当業者によって決定され得る。任意の特定の対象に対する特定の用量レベルおよび投薬頻度は、異なってもよく、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、対象の種、年齢、体重、一般的な健康、性別、および食事、投与モードおよび時間、排出速度、薬物の組み合わせ、ならびに特定の状態の重症度を含むさまざまな要因に依存することを理解する。治療のための好ましい対象としては、門脈圧亢進症を生じやすい、動物、最も好ましくはヒトなどの哺乳類種、ならびにイヌ、ネコなどが挙げられる。
【0089】
したがって、有効量で細菌感染症を治療することができる本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムを含む医薬組成物、ならびに薬学的に許容されるビヒクルまたは希釈剤も開示される。本開示の組成物は、以下に記載される他の治療薬を含んでもよく、例えば、医薬製剤の技術分野で周知のものなど、または認められている薬務で求められる技法に従い、従来の固体もしくは液体ビヒクルまたは希釈剤、ならびに所望の投与モードに適切な種類の医薬添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味など)を用いることにより製剤化されてもよい。
【0090】
本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムの投薬量は、任意の好適な手段、例えば、錠剤、カプセル、顆粒、もしくは粉末形態などの経口;舌下;頬側;皮下、静脈内、筋肉内、もしくは胸骨内注射、または注入技法(例えば、減菌注射可能水溶液もしくは非水溶液、または懸濁液);吸入スプレーなどによる経鼻;クリームもしくは軟膏の形態などの局所;あるいは坐剤形態などの直腸により、非毒性の薬学的に許容されるビヒクルまたは希釈剤を含む投薬単位製剤において投与され得る。
【0091】
本明細書で開示されるメロペネムおよびバボルバクタムは、例えば、即時放出または徐放放出に好適な形態で投与され得る。即時放出または徐放放出は、メロペネムおよびバボルバクタムを含む好適な医薬組成物を使用することにより、または特に徐放放出の場合、皮下インプラントまたは浸透圧ポンプなどの装置を使用することにより達成され得る。
【0092】
本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムは、リポソームで投与されてもよい。例えば、活性物質は、本明細書に開示される錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液のメロペネムおよびバボルバクタムなどの組成物中に、または創傷治癒用の局所形態(本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムで0.01〜5%、1日に1〜5回の治療)で用いられ得る。
【0093】
本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムは、生理学的に許容されるビヒクルまたは担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味など、または局所担体と従来の様式で混合され得る。
【0094】
本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムは、非経口投与のための滅菌溶液または懸濁液などの組成物にも製剤化され得る。本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタムは、認められている薬務で求められる単位剤形で、生理学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤などと混合されてもよい。これらの組成物または調製物中の活性物質の量は、示された範囲の好適な投薬量が得られるようにすることが好ましい。
【0095】
経口投与用の例示的な組成物としては、例えば、かさを与えるための微結晶セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、当該技術分野で既知のものなどの甘味料または香味剤、ならびに例えば、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、および/もしくはラクトース、ならびに/または当技術分野で既知のものなどの他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含み得る即時放出錠剤が挙げられる。湿製錠剤、圧縮錠剤、または凍結乾燥錠剤は、使用され得る例示的な形態である。例示的な組成物としては、マンニトール、ラクトース、スクロース、および/またはシクロデキストリンなどの急速溶解希釈剤を用いて、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせを製剤化するものを含む。また、そのような製剤には、セルロース(アビセル)またはポリエチレングリコール(PEG)などの高分子量賦形剤も含まれ得る。そのような製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)などの粘膜付着を助けるための賦形剤、およびポリアクリルコポリマー(例えば、Carbopol 934)などの放出を制御するための薬剤も含み得る。製造および使用を簡単にするために、滑沢剤、滑剤、香味剤、着色剤、および安定剤も添加され得る。
【0096】
経鼻用エアロゾルまたは吸入投与のための例示的な組成物としては、例えば、ベンジルアルコールもしくは他の好適な防腐剤、生物学的利用能を増強するための吸収促進剤、および/または当該技術分野で既知のものなどの他の可溶化剤もしくは分散剤を含み得る生理食塩水中の溶液を挙げることができる。
【0097】
非経口投与のための例示的な組成物としては、例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、または他の好適な分散剤もしくは湿潤剤、および懸濁剤(合成モノ−もしくはジグリセリドを含む)、ならびに脂肪酸(オレイン酸を含む)などの好適な非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒を含み得る注射可能な溶液または懸濁液が挙げられる。
【0098】
直腸投与のための例示的な組成物としては、例えば、通常の温度では固体であるが、直腸腔で液化および/または溶解して薬物を放出する、ココアバター、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールなどの好適な非刺激性賦形剤を含み得る坐剤が挙げられる。
【0099】
局所投与のための例示的な組成物としては、Plastibase(ポリエチレンでゲル化された鉱油)などの局所担体が挙げられる。例えば、本明細書に開示される化合物または化合物の組み合わせは、末梢血管疾患を治療するために局所投与されてもよく、そのため、クリームまたは軟膏として製剤化されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、少なくとも0.1%(w/w)、少なくとも0.2%(w/w)、少なくとも0.3%(w/w)、少なくとも0.4%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも0.6%(w/w)、少なくとも0.7%(w/w)、少なくとも0.8%(w/w)、少なくとも0.9%(w/w)、少なくとも1.0%(w/w)、少なくとも1.1%(w/w)、または少なくとも1.2%(w/w)の防腐剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される局所組成物は、0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1.0%(w/w)、1.1%(w/w)、1.2%(w/w)、1.5%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、4%(w/w)、5%(w/w)、6%(w/w)、7%(w/w)、8%(w/w)、9%(w/w)、10%(w/w)、20%(w/w)、または30%(w/w)の防腐剤、または前述の値のいずれか2つによって定義された範囲を含み得る。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1つ以上の構成成分、2つ以上の構成成分、または3つ以上の構成成分を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、少なくとも0.1%(w/w)、少なくとも0.2%(w/w)、少なくとも0.3%(w/w)、少なくとも0.4%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも0.6%(w/w)、少なくとも0.7%(w/w)、少なくとも0.8%(w/w)、少なくとも0.9%(w/w)、少なくとも1.0%(w/w)、少なくとも1.1%(w/w)、または少なくとも1.2%(w/w)の防腐剤(フェノキシエタノール、プロピルパラベン、およびメチルパラベンを含む)を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される局所組成物は、0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1.0%(w/w)、1.1%(w/w)、1.2%(w/w)、1.5%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、4%(w/w)、5%(w/w)、6%(w/w)、7%(w/w)、8%(w/w)、9%(w/w)、10%(w/w)、20%(w/w)、もしくは30%(w/w)の防腐剤(フェノキシエタノール、プロピルパラベン、およびメチルパラベンを含む)、または前述の値のいずれか2つによって定義された範囲を含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、組成物は、着色剤、脱臭剤、香料、香水、消泡剤、滑沢剤、天然の保湿剤、皮膚コンディショニング剤、皮膚保護剤、皮膚有益剤、溶媒、可溶化剤、懸濁剤、湿潤剤、保水剤、推進剤、色素、顔料、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の臭い、質感、または色を増強するために添加される追加の構成成分を含み得る。例えば、香料を添加して臭いを増強させてもよい。例えば、乳化剤または不活性球体を添加して、質感を増強させてもよい。例えば、着色剤を添加して色を鮮やかにさせてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、組成物は、身体部分の痛みおよび/または炎症を治療するために、手、足、膝、肘などの身体部分に適用され得る。組成物は、擦る、噴霧する、転がす、拭くなどの任意の好適な手段によって適用され、治療される身体部分に揉み込まれてもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示および記載されるメロペネムおよびバボルバクタムならびに/またはその局所組成物は、少なくとも1つの他の薬剤と併用療法で使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるメロペネムおよびバボルバクタム、ならびに/またはその局所組成物は、本発明の化合物と同じ局所組成物の一部、または異なる組成物であり得る別の薬剤の投与と同時に投与される。他の実施形態では、本発明の局所組成物は、別の薬剤の投与前または投与後に投与される。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経皮薬物送達用のパッチまたはフィルムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、そのようなパッチは、多孔性または吸収性フィルム、活性医薬品、および任意に経皮担体または浸透促進剤をさらに含む。例示的な経皮担体には、ジメチルスルホキシド;1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンまたはラウロカプラン;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ラウリン酸;ミリスチン酸;カプリン酸;カプリル酸;オレイン酸;ジエチレングリコール;テトラエチレングリコール;テルペン;ユーカリ、アカザ、およびイランイランの精油;ジメチルイソソルビド;4−デシルオキサゾリジン−2−オンなどのオキサゾリジノン;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;尿素;EDTA;グリコール酸ナトリウム;ポリソルベート;デオキシコール酸ナトリウム;ポリエチレングリコール;PLA/PLGAナノ粒子;ポリマーナノ粒子;ブロック−コポリマーナノ粒子、特にPluronic(登録商標)タイプのポリエチレンオキシド−ブロック−プロピレンオキシドコポリマーを含むもの;多孔性シリカナノ粒子;金属ナノ粒子、特に金、パラジウム、および鉄を含むもの;金属酸化物ナノ粒子、特にTiOおよびAlを含むもの;エタノール、プロパノール、およびブタノールなどの短鎖アルコール;ならびに鉱油およびココナッツ油などの油が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経皮パッチのための接着剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、吸収性フィルムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、活性医薬品が別個の貯蔵層内に含まれる。いくつかの実施形態では、経皮パッチは単一層からなる。いくつかの実施形態では、経皮パッチは多層に構成される。
【0107】
キット
本発明のいくつかの実施形態は、メロペネム、バボルバクタム、またはその組み合わせを含むキットを含む。いくつかのキットには、メロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせを含む単回使用容器が含まれる。単回使用容器としては、アンプル、バイアルなどが挙げられる。単回使用容器は、メロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせの凍結乾燥製剤を含むことができる。いくつかのキットには、メロペネム、バボルバクタム、またはその組み合わせの凍結乾燥製剤を再構成するための希釈剤が含まれる。
【0108】
いくつかの実施形態では、メロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせは、単回投薬使用のために調製され得る。この実施形態では、本発明の溶液は、20mLバイアルなどの個々のバイアル中で凍結乾燥される。凍結乾燥に際して、バイアルは、任意の容認されるストッパーで栓をされる。次に、栓をしたバイアルは、使用するために出荷される。必要に応じて、バイアルは、所望のメロペネムおよび/またはバボルバクタムの濃度を達成するために十分な希釈剤を添加することによって再構成され得る。再構成された溶液の濃度は、当業者によって容易に決定され得る。任意の薬学的に許容される希釈剤を使用してもよい。そのような希釈剤の例としては、水、0.9%の生理食塩水、乳酸リンゲル注射溶液、および5%のデキストロース(5DW)を含むデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、薬学的に許容される油(例えば、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油)、ピリジン含有化合物(例えば、ニコチンアミド)、グルコネート、抗酸化剤、アルコール(例えば、プロピレングリコール、エチレングリコールなどの多価アルコール)、グリセロール、ポリエチレングリコール、ピロリドン含有化合物、水混和性局部麻酔薬(例えば、プロカイン、テトラカイン)、尿素、ラクトース、または脱水剤(例えば、酢酸エチル、無水酢酸、無水エタノール、酢酸エチル、無水酢酸、およびそれらの混合物)を含まない。いくつかの実施形態では、希釈剤は、テトラサイクリン可溶化共溶媒を含まない。
【0110】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、二価または三価のカチオンを含む。例えば、いくつかの実施形態は、二価または三価のカチオンの水溶液を含む希釈剤を含む第1の容器と、希釈剤に可溶性の固体組成物を含む第2の容器とを含むキットを含み、この固体組成物は、二価または三価のカチオン対メロペネムのモル比が約2:1より大きいような量でメロペネムを含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は、酸、例えば、HClを含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は、緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸ナトリウムである。
【0111】
さらなる実施形態は、二価または三価のカチオンの水溶液を含む希釈剤を含む第1の容器と、希釈剤に可溶性の固体組成物を含む第2の容器とを含むキットを含み、この固体組成物は、二価または三価のカチオン対テトラサイクリン抗生物質のモル比が3:1より大きいような量でメロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせを含む。
【0112】
さらなる実施形態は、任意の組成物を含む単回使用バイアルを含み、このバイアルは少なくとも100μg、少なくとも200μg、少なくとも300μg、少なくとも400μg、少なくとも500μg、少なくとも600μg、少なくとも700μg、少なくとも800μg、少なくとも900μg、少なくとも1000μgのメロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせの量を含む。いくつかの実施形態では、バイアルは、少なくとも1mg、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも105mg、少なくとも110mg、少なくとも115mg、少なくとも120mg、少なくとも125mg、および少なくとも130mgのメロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせの量を含む。いくつかの実施形態では、バイアルは、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、および少なくとも500mgのメロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせの量を含む。いくつかの実施形態では、バイアルは、約1000mgのメロペネム、バボルバクタム、またはそれらの組み合わせを含む。
【実施例】
【0113】
本出願の実施形態は、以下の実施例でさらに詳細に開示されており、これは本開示の範囲を制限することを決して意図していない。
【0114】
実施例1
この実施例では、既知のまたは疑わしいCREによる複雑性尿路感染症(CuTI)、急性腎盂腎炎(AP)、院内感染および人工呼吸器関連肺炎(HABP/VABP)、菌血症、ならびに複雑性腹腔内感染症(CiAI)を有する対象における、利用可能な最善の療法(BAT)による無作為化非盲検比較試験において免疫低下状態の対象の間での転帰を説明する。新しい抗菌剤の他の試験とは異なり、本明細書に記載される試験は、免疫低下状態の対象、血液悪性腫瘍を有する対象、および骨髄移植レシピエントを含む基礎にある悪性腫瘍ならびに活動性悪性腫瘍を有する対象を含んだ。
【0115】
CRE感染症の現在の「利用可能な最善の療法」には、高レベルの毒性および免疫抑制薬物療法との相互作用の可能性に関連している、限定されたさまざまな抗菌剤のうちの1つ以上を用いた治療を伴う。メロペネム−バボルバクタム(M−V)は、CREを含む重篤なグラム陰性感染症の治療のために開発された新規の環状ボロンβ−ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせである。
【0116】
適格な対象を、7〜14日間、M−V(2g/2g、8時間ごと)またはBATに2:1で無作為化した(図1)。BATは、単独または組み合わせで、以下のいずれかを含んだ:カルバペネム、アミノグリコシド、ポリミキシンB、バボルバクタム、チゲサイクリン、またはセフタジジム・アビバクタム(単剤療法のみ)。臨床的治癒は、さらなる抗菌療法が必要ないような徴候/症状の完全回復として定義され、治療の終了時(EOT)および治癒試験(TOC)の2つの時点で、盲検担当医師(BI)および治験責任医師(PI)によって評価された。BIおよびPIによる評価が異なった場合、臨床的治癒は盲検判定委員会によって判定された。微生物学的治癒は、それぞれの来院時の微生物根絶または推定根絶の総合として定義された。
【0117】
主要包含基準:既知のまたは疑わしい(過去90日間以内の培養または分子検査におけるCREのエビデンス)CRE病原体、≧7日間のIV療法の要件、確認されたcUTI/AP、HABP/VABP、菌血症、またはcIAI。主要除外基準:>24時間の潜在的に有効な抗菌剤(臨床的失敗を除く)の受容、即時に生命にかかわる疾患、NDM、VIM、IMI、またはOXAコードされたβ−ラクタマーゼによる既知の感染症。偏見を低減するための取り組みとして、盲検担当医師、盲検判定委員会、および源管理判定委員会(source control adjudication committee)(cIAIに対して)を含めた。免疫低下状態は、先験的に、活動性白血病/リンパ腫の病歴、臓器移植または脾摘出術の前歴、高用量ステロイド(>2週間にわたって>20mg/kg/日のプレドニゾロンまたは同等物)を含む免疫抑制薬物療法の能動的受容、骨髄除去化学療法の能動的受容、および/または試験の最中の好中球絶対数が<1000細胞/mmの好中球減少症のうちの1つ以上を有する任意の対象として定義した。
【0118】
ベースライン病原体(m−MITT集団)を有した50人の対象のうち、19人(38.0%)が免疫低下状態であった(白血病/リンパ腫4人(21%)、薬物療法5人、26.3%)、移植10人(52.6%、実質臓器移植7人、骨髄/幹細胞移植3人)。ベースラインCRE病原体(mCRE−MITT)を有する43人の対象のうち、18人(41.9%)が免疫低下状態であった。免疫低下状態の対象のベースライン特徴およびベースライン病原体は、表1に示される。免疫低下状態の対象(mCRE−MITT)の間で最も一般的な感染症の種類は、菌血症(61.1%)、cUTI/AP(16.7%)、HABP/VABP(11.1%)、およびcIAI(11.1%)であった。
【0119】
(表1)免疫低下状態の対象のベースライン特徴(mCRE−MITT)
1 >20mg/kg/dプレドニゾンまたは同等物。
2 抗拒絶反応薬物療法、骨髄抑制化学療法。
3 1回の骨髄移植および1回の末梢幹細胞移植。
4 ベースライン病原体は、地方および中央研究所の両方に基づいて同定される。対象は、2つ以上のベースライン病原体を有したことがあってもよい。
【0120】
EOTおよびTOC(EOT+7日間)でのmCRE−MITT免疫低下状態の対象の臨床的治癒率は、BAT群と比較してM−V群のものにおいてより高かった(絶対増加EOT47.5%およびTOC70%)(表2)。TOCにおいて、BATに対してM−Vを受けている免疫低下状態の対象の間での治癒率の増加は、アドホック分析で統計的有意性(95% CI 41.6〜98.4、P<.0001)を達成した。mCRE−MITT免疫低下状態の対象の微生物学的治癒率(微生物根絶または推定根絶のいずれかとして定義される)は、BAT群に対してM−V群のものにおいてより高かった(EOTおよびTOCで47.5%の絶対増加)。28日目の全死因死亡率は、mCRE−MITTに関して、BAT群に対してM−V群のものにおいて低かった(20%対37.5%)。これは、17.5%の絶対リスクの低減(死亡率)および46.7%の相対リスクの低減と関連した。<0.5mg/dLおよび≧0.5mg/dLのベースライン後最大クレアチニン増加を図2に示す。
【0121】
(表2)免疫低下状態の対象(mCRE−MITT)における臨床的治癒率および微生物学的治癒率ならびに全死因死亡率
CI、信頼区間。
太字は、95%CIがゼロを超えない値を示し、したがって、統計的有意性が達成された。
* 差の推定値、95%CIおよびP値は、同等性のWald検定により得られた。
分母がゼロであるため、無限大に近づく。
それぞれの来院時の微生物根絶または推定根絶の総合。
【0122】
免疫低下状態の対象の間で、BATと比較したとき、M−Vは、有害事象(AE;84.6%対100%)との関連が少なく、薬剤関連AE(30.8%対40.0%)、重篤なAE(38.5%対50.0%)、AEのため試験薬物または試験の中止(15.4%対30.0%)、および腎関連AE(7.7%対40.0%)であった(表3)。
【0123】
(表3)免疫低下状態の対象における有害事象および安全性エンドポイント(安全集団)
SAE、重篤な有害事象;TEAE、治療下で発現した有害事象;TRAE、治療に関連する有害事象。
【0124】
M−Vを有する免疫低下状態のCRE対象の治療は、高臨床的治癒率(M−V 60%対BAT 12.5%、P=0.01)および低死亡率(M−V 20%対BAT 37%)と関連した。免疫低下状態の対象におけるM−Vでの治療は、SAEおよび腎関連AEを含む、AEの減少によって示されるように、BATよりも安全であった。有害事象率は、全体的なM−V集団に見られるものと比較可能である。
【0125】
実施例2
この実施例では、基礎にある悪性腫瘍を有する対象に対するM−V治療の効果について分析が行われた。実施例1に記載の方法に従い試験を実施した。
【0126】
基礎にある悪性腫瘍を有する対象には、試験で対象の病歴において報告された主要用語「がん」または「悪性腫瘍」を有するすべての対象が含まれた。次いで、すべての対象および適格な主要用語を手作業で見直して、有効性を確認し、「悪性黒色腫除去」の主要用語を有する1人の対象を集団から外した。悪性腫瘍が進行中または進行していないかのいずれかであることは、治験責任医師によって決定された。
【0127】
「基礎にある免疫低下状態」という用語は、先験的に、進行中の白血病またはリンパ腫の病歴、臓器移植または脾摘出術の前歴、高用量ステロイド(≧20mg/kg/日のプレドニゾロンまたは同等物)を含む免疫抑制薬物療法の受容中、骨髄除去化学療法の受容中、およびまたは試験の最中の好中球減少症(ANC≦1000細胞/mm)のうちの1つ以上を有する任意の対象として定義した。
【0128】
本明細書に提供される差の推定値、95%信頼区間、およびP値は、同等性のWald検定により得られた。
【0129】
実施例1および図1に記載されるように試験を行った。適格な対象を、7〜14日間、M−V(2g/2g、8時間ごと)またはBATに2:1で無作為化した。BATは、単独または組み合わせで、以下のいずれかを含んだ:カルバペネム、アミノグリコシド、ポリミキシンB、バボルバクタム、チゲサイクリン、またはセフタジジム・アビバクタム(単剤療法のみ)。臨床的治癒は、さらなる抗菌療法が必要ないような徴候/症状の完全回復として定義され、治療の終了時(EOT)および治癒試験(TOC)の2つの時点で、盲検担当医師(BI)および治験責任医師(PI)によって評価された。BIおよびPIによる評価が異なった場合、臨床的治癒は盲検判定委員会によって判定された。微生物学的治癒は、それぞれの来院時微生物根絶または推定根絶の総合として定義される。
【0130】
主要包含基準:既知のまたは疑わしい(過去90日以内の培養または分子検査におけるCREのエビデンス)CRE病原体、≧7日間のIV療法の要件、確認されたcUTI/AP、HABP/VABP、菌血症、またはcIAI。主要除外基準:>24時間の潜在的に有効な抗菌剤(臨床的失敗を除く)の受容、即時に生命にかかわる疾患、NDM、VIM、IMI、またはOXAコードされたβ−ラクタマーゼによる既知の感染症。偏見を低減するための取り組みとして、盲検担当医師、盲検判定委員会、および源管理判定委員会(cIAIに対して)を含めた。
【0131】
72人の対象を無作為化し、そのうち50人(69.4%)がベースライン病原体を有していた。22人(44.0%)が悪性腫瘍と前診断され(能動的診断14人、受動的過去診断8人)、それらの対象のうちの15人が、CRE病原体(mCRE−MITT)、ならびに細菌血症(53.3%)、cUTI/AP(20%)、HABP/VABP(13.3%)、およびcIAI(13.3%)の感染型を示した。mCRE−MITT群の対象の10人(66.7%)も免疫低下状態であった。試験においてがんを有する対象のベースライン特徴を表4に要約する。
【0132】
(表4)がんを有する試験対象のベースライン特徴(mCRE−MITT集団)
1対象は、2種類以上の悪性腫瘍を報告している場合がある。
【0133】
利用可能な最善の療法で治療された対象(mCRE−MITT集団)と比較して、メロペネム−バボルバクタムで治療されたがん対象において、EOTおよびTOCでの臨床的治癒率の統計的に有意な増加が観察された。メロペネム−バボルバクタムで治療された対象のEOTの臨床的治癒率の絶対増加は73.2%であり、TOCでは75.5%であった。微生物学的治癒率の統計的に有意な増加が、メロペネム−バボルバクタムで治療された対象(mCRE−MITT集団)において観察された。メロペネム−バボルバクタムの受容は、28日目の全死因死亡率の大幅な減少と関連した。結果を以下の表5に要約する。
【0134】
(表5)有効性アウトカム
1 正確な試験。
2 微生物学的治癒は、TOCにおける微生物学的根絶および推定根絶の総合である。
【0135】
mCRE−MITT集団の腫瘍対象の間での臨床治癒、微生物学的治癒、および死亡率を表6に示す。M−Vは、BATよりも少ない薬物関連有害事象(16.7%対33.3%)、重篤な有害事象(25.0%対77.8%)、および腎臓有害事象(8.3%対22.2%)に関連した。
【0136】
(表6)免疫低下状態の対象における有害事象および安全性エンドポイント(安全集団)
【0137】
適格なベースラインCRE病原体を有する、この試験の対象の約3分の1(mCRE−MITT集団)が、以前にまたは進行中の悪性腫瘍を有していた。基礎にある悪性腫瘍を有する対象(固形腫瘍および白血病/リンパ腫の両方)は、CRE病原体による感染症および死亡の両方に対するリスクが高い。免疫低下状態のがん対象を含むがん対象のメロペネム−バボルバクタムでの治療は、BATと比較して有意に高い臨床的および微生物学的治癒率と関連した。免疫低下状態のがん対象を含むがん対象のメロペネム−バボルバクタムでの治療は、28日目の44.6%の絶対リスクの低減と関連した。メロペネム−バボルバクタムでの治療は、がん対象の間でBATよりも重篤な有害事象および腎関連有害事象を含む有害事象の減少と関連した。試験結果は、メロペネム−バボルバクタムが、この脆弱な患者集団のCRE感染症に対する有望な新しい治療選択肢であることを示す。
【0138】
前述では、明確化および理解の目的のため、図示および実施例によりある程度詳細に記載されてきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく、多数のさまざまな修正を行うことができることを当業者は理解するであろう。したがって、本明細書に開示される形態は単に図示であり、本開示の範囲を制限するのではなく、むしろ本発明の真の範囲および趣旨に伴うすべての修正および代替物を網羅することも意図していることを明確に理解するべきである。
図1
図2
【国際調査報告】