【実施例】
【0153】
上述するような本発明の方法の工程a)で使用される、上記実施形態のいずれかにおいて記載するような、式(Ia)及び式(Ib)に従う本発明の化合物を含む混合物は、未公開の国際出願である特許文献33のスキームIからスキームIIIにおいて記載される手順を含み、以下で提示するような更なる詳細を含む当該技術分野で既知の方法の組合せによって調製され得る。
【0154】
酸構成要素R
7(CR
5’R
6’)
nCR
5R
6COOHの合成は、特許文献5に記載されるように作製することができ、適切なチアゾール構成要素にカップリングさせることができる。
【0155】
酸構成要素R
7(CR
5’R
6’)
nCR
5R
6COOHと、5−スルホン酸置換チアゾールとのカップリングにより、中間体IIaを得ることができ(スキームII)、それは、塩化オキサリルで処理することによって、塩化スルホニルIIbに変換させることができる。この中間体と、NHR
2R
3及びトリフェニルホスフィンとの反応により、標的化合物IIcが得られ、それを最終的に、例えば、NH
2R
8の存在下で次亜塩素酸tert−ブチルで酸化させて、標的化合物IIdを提供することができる。in situで形成される塩化スルホンイミドイルの種々のアミンによる求核置換による容易に入手可能なスルホンイミドを使用した誘導体IIdに対する代替的な経路は、非特許文献8によって記載されている。誘導体IIdに関する更なる経路は、非特許文献9及び10に記載されている。
【0156】
【化23】
スキームII
【0157】
酸構成要素R
7(CR
5’R
6’)
nCR
5R
6COOHと、5−アルキルチオ置換チアゾールとのカップリングにより、中間体IIIaを得ることができ(スキームIII)、それは、アルキルスルフィニル誘導体IIIbに酸化させることができる。また、中間体IIIaのアジド誘導体N
3R
8及びFeCl
2による酸化は、スルフィンイミドイル誘導体IIIcを提供することができ、それは更に、例えば、NaIO
4/RuCl
3で酸化させて、スルホンイミドイル誘導体IIIdを得ることができる。R
8がシアノ残基を表す場合、非特許文献11によって概説されるような代替的な経路もまた使用することができる(H
2NCN、PhI(OAc)
2、続いてメタCPBA)。
【0158】
【化24】
スキームIII
【0159】
全ての場合において、R
2、R
3又はR
8は、保護基として機能を果たしてもよく、例えば、非特許文献12に記載されるのと同様に脱保護され得る。
【0160】
本発明の化合物は、チアゾール環に結合されるキラル硫黄原子を有し、硫黄原子でR立体配置又はS立体配置のいずれかを有し、本発明の主題である2つのエナンチオマーの存在をもたらす。特に、これは、スキームIVに示されるようなS−置換スルホキシイミンに関する事例である:
【0161】
【化25】
スキームIV
【0162】
一般的な断片構造Ia及びIbは、エナンチオマーの対である。断片構造IIIa及びIIIbに示されるように、R
9がアルキル、例えばメチルであり、R
8がプロトンである場合、IIIaは、S−立体配置を有し、IIIbは、R−立体配置を有する。
【0163】
本発明のホモキラル化合物は、流速、圧力及び温度等の適切な条件下で、例えば、適切なキラル固定相(キラルカラム材料)及び適切な移動相を用いたHPLC又はSCF技術を使用して、キラル固定相上でのクロマトグラフィによるラセミ混合物の分離によって調製することができる。
【0164】
或いは、本発明のホモキラル化合物は、適切なジアステレオマー塩の形成、続く再結晶及び遊離塩基の最終的な遊離を使用して、古典的な分割によって調製され得る。さらに、キラルスルホキシイミンのラセミ混合物は、非特許文献13に記載されるように有機触媒速度論的分割によって、そのエナンチオマーに分割され得る。
【0165】
また或いは、本発明のホモキラル化合物は、立体選択的な合成によって調製されてもよく、エナンチオリッチな最終化合物を生じて、それは、再結晶されて、エナンチオ純粋なホモキラル化合物を生じ得る。
【0166】
光学的に活性なスルホキシイミンの合成はまた、光学的に活性なスルホキシドから可能である。総説である非特許文献2は、スルホキシイミンの合成に関する経路を概説している。非特許文献3における最近の公開は、スルホキシイミンの合成の最先端について概説している。
【0167】
反応スキームにおいて、残りの置換基は、本発明において定義するような意味を有し得る。
【0168】
[略語]
ACN アセトニトリル
aq. 水溶液
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
h 時間
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース
IPA イソプロピルアルコール
THF テトラヒドロフラン
PE 石油エーテル
rt 室温(23℃±2℃)
sat. 飽和(水溶液)
【0169】
特に、下記の出発化合物は、下記のように調製することができ、それぞれ、本発明の方法によって入手可能であるような各々の特定の立体異性体/エナンチオマーを含む混合物(ラセミ体)として入手可能である。
【0170】
[実験の部]
(実施例4):2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(メチルスルフィニル)チアゾール−2−イル)アセトアミド
【化26】
【0171】
[工程1]:N,4−ジメチル−5−(メチルチオ)チアゾール−2−アミン(P4a)
【化27】
【0172】
MeOH(20mL)中の5−ブロモ−N,4−ジメチルチアゾール−2−アミン(2.06g、9.95mmol)の溶液に、MeOH(15mL)中のNaSMe(1.74g、24.9mmol)の溶液を、氷冷下で徐々に添加した。混合物を60℃に加熱して、2時間攪拌して、蒸発させて、MeCN中に懸濁した。遠心分離後、上清を分離して、蒸発させた。得られた固体を、Et
2Oでスラリー化して、遠心分離して、中間体P4aを得た。
【0173】
[工程2]:2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(メチルチオ)チアゾール−2−イル)アセトアミド(P4b)
【化28】
【0174】
DMF(3mL)中のアミンP4a(994mg、5.71mmol)及びDIPEA(1.89mL、11.4mmol)の溶液を−20℃に冷却した後、DMF(5mL)中の2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)酢酸(1.56g、6.28mmol、特許文献7)及び1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロリン酸塩(2.39g、6.28mmol)の冷却溶液を添加して、混合物を室温で一晩攪拌して、水へ注いで、EtOAcで(2回)抽出した。合わせた有機層を、ブライン(2回)及びNaHCO
3の飽和溶液で洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させて、蒸発させて、カラムクロマトグラフィ(PE/DCM=1:0→1:1)によって精製して、中間体P4bを得た(625mg、27%)。
【0175】
[工程3]:2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(メチルスルフィニル)チアゾール−2−イル)アセトアミド(4)
MeOH(35mL)中の中間体P4b(1.4g、3.46mmol)の溶液を0℃に冷却した後、水(18mL)中のペルオキシ一硫酸カリウム(1.09g、1.77mmol)を添加して、溶液を0℃で20分間攪拌して、飽和Na
2S
2O
3溶液でクエンチして、EtOAcで(2回)抽出した。合わせた有機層を水(2回)及びブラインで洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させて、蒸発させて、カラムクロマトグラフィ(PE/DCM/MeOH=1:0:0→1:1:0→0:19:1)によって精製して、実施例4を得た(419mg、29%)。
1H−NMR(CDCl
3,250MHz)δ:7.57〜7.53(m,2H),7.37(d,2H),7.17〜6.98(m,3H),4.09(s,2H),3.75(s,3H),2.96(s,3H),2.51(s,3H)。MS実測値:421.3[M+H]
+,841.5[2M+H]
+。
【0176】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0177】
(実施例5):2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチル−N−((1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル)スルフィンイミドイル)チアゾール−2−イル)アセトアミド
【化29】
【0178】
乾燥脱気DCM(1.5mL)中の化合物P4b(197mg、390μmol)及びアジドギ酸tert−ブチル(277mg、1.95mmol)の溶液を、アルゴン下で−20℃に冷却した。続いて、無水FeCl
2(49mg、390μmol)を添加して、溶液を室温に到達させて、4時間攪拌して、水で希釈して、EtOAcで(2回)抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させて、蒸発させて、実施例5を得た。MS実測値:520.4[M+H]
+。
【0179】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0180】
(実施例6):2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチル−N−((1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル)スルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)アセトアミド
【化30】
【0181】
THF(10mL)中の化合物5(100mg、193μmol)の溶液に、水(3mL)中のNaIO
4(206mg、963μmol)及び水(330μL)中の塩化ルテニウム(III)水和物の溶液を添加した。5分後、混合物を水及びEtOAcで希釈して、EtOAcで(3回)抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させて、蒸発させて、HPLCによって精製して、実施例6を得た。
【0182】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0183】
(実施例7):2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)アセトアミド
【化31】
【0184】
DCM中の化合物6の溶液に、−20℃で50%のトリフルオロ酢酸水溶液を添加して、混合物を室温で1時間攪拌して、蒸発させて、tert−BuOH/H
2O(4:1)から凍結乾燥させて、実施例7を得た。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)δ:7.56〜7.53(m,2H),7.36(d,2H),7.18〜6.95(m,3H),4.08(s,2H),3.75(s,3H),2.95(s,3H),2.51(s,3H)。MS実測値:436.3[M+H]
+。
【0185】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0186】
[実施例7のエナンチオマーの調製]
[実施例7(−)]:(−)−(S)−2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)アセトアミド
【化32】
【0187】
表題の化合物を調製して、固定相としてChiralcel OJ−Hを、また移動相として、70/30vol%のCO
2/MeOHを使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7の分離によって更に特性化した。
【0188】
下記条件を適用した。
注入情報
注入日時印 6/26/2017 2:52:00 PM
注入容量 5
共溶媒 MEOH
カラム OJ−H(4.6×100×5μm)
試料 ZFX−435−M
試料ウェル P1:1D
カラム温度 39.3
CO
2流速 2.8
共溶媒流速 1.2
共溶媒% 30
総流量 4
前圧 157
背圧 120
圧力降下 37
PDA開始波長 214
PDA停止波長 359
【0189】
実施例7(−)は、第1の溶出エナンチオマーである(保持時間:2.4分、
図1a及び
図1b)。(S)−立体配置に対する帰属は、実施例8のX線解析により達成された。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm−19°(c=1g/100mL、CHCl
3)の負の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(DMSO−d
6,500MHz)δ:7.56〜7.58(m,2H),7.45〜7.36(m,4H),7.29〜7.25(m,1H),4.69(s,1H),4.23(s,2H),3.72(s,3H),3.14(d,J=0.5Hz,3H),2.52(s,3H)。MS実測値:436.3[M+H]
+。
【0190】
[実施例7(−)に関する代替的なエナンチオマー分離]
表題の化合物を調製して、固定相としてOJ 20×250mm、10μm(Daicel)を、また移動相として、CO
2/IPA:ACN=55/45、及び更なる下記のデータを使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7の分離により更に特性化した:
機器: SFC−80(Thar、Waters)
カラム温度: 35℃
流速: 80g/分
背圧: 100bar
検出波長: 254nm
サイクル時間: 4分
試料溶液: IPA2000mL中に60gを溶解
注入容量: 4.5mL
【0191】
実施例7(−)は、第1の溶出エナンチオマーである(保持時間:3.1分)。実施例7(−)は、[α]
20589nm+3.4°の正の比旋光度(c=0.9644g/100mL、ACN)を有する。
【0192】
[実施例7(+)]:(+)−(R)−2−(2’,5’−ジフルオロ)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)−アセトアミド
【化33】
【0193】
表題の化合物を調製して、固定相としてChiralcel OJ−Hを、また移動相として、70/30vol%のCO
2/MeOHを使用して、キラルSFCクロマトグラフィによる、実施例7から得られるラセミ混合物7の分離により更に特性化した。
【0194】
下記条件を適用した。
注入情報
注入日時印 6/26/2017 2:52:00 PM
注入容量 5
共溶媒 MeOH
カラム OJ−H(4.6×100×5μm)
試料 ZFX−435−M
試料ウェル P1:1D
カラム温度 39.3
CO
2流速 2.8
共溶媒流速 1.2
共溶媒% 30
総流量 4
前圧 157
背圧 120
圧力降下 37
PDA開始波長 214
PDA停止波長 359
【0195】
実施例7(+)は、第2の溶出エナンチオマーである(保持時間:3.2分、
図1a及び
図1c)。(R)−立体配置に対する帰属は、実施例8のX線解析により達成された。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm+20°(c=1g/100mL、CHCl
3)の正の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(DMSO−d
6,500MHz)δ:7.56〜7.58(m,2H),7.45〜7.36(m,4H),7.29〜7.25(m,1H),4.69(s,1H),4.23(s,2H),3.72(s,3H),3.14(d,J=0.5Hz,3H),2.52(s,3H)。MS実測値:436.3[M+H]
+。
【0196】
[実施例7a]:N−[5−(シクロプロピルスルホンイミドイル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−2−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)フェニル]−N−メチル−アセトアミド
【化34】
【0197】
[工程1]:シクロプロパンチオール(P7aa)
【化35】
【0198】
THF(20mL)中のシクロプロピルマグネシウムブロミド(80mL、80mmol)の溶液に、硫黄(2.56g、80mmol)を添加して、混合物を、還流下で1時間攪拌した。0℃に冷却した後、LiAlH
4(0.76g、80mmol)を添加して、混合物を還流下で1時間攪拌した後、室温に冷却した。25%H
2SO
4水溶液を徐々に添加して、混合物をEt
2Oで抽出した。有機相を水、飽和NaHCO
3及びブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。粗製生成物P7aaを、精製せずに次工程で直接使用した。
【0199】
[工程2]:5−(シクロプロピルチオ)−N,4−ジメチルチアゾール−2−アミン(P7ab)
【化36】
【0200】
DMF(20mL)中の5−ブロモ−N,4−ジメチルチアゾール−2−アミン(2.5g、12.1mmol)の溶液に、工程1からの粗製生成物P7aa(80mmol、理論量)及びK
2CO
3(3.3g、24.2mmol)の溶液を添加して、混合物を60℃で16時間攪拌した。混合物をセライトに通して濾過して、水を添加して、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を水及びブラインで洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させて、濾過して、濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィによって、残渣を精製して、表題の化合物(0.60g、25%)を固体として得た。
【0201】
N−[5−(シクロプロピルスルホンイミドイル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−2−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)フェニル]−N−メチル−アセトアミド(7a)
実施例7aは、出発材料として化合物P7abを使用して、実施例7に関して記載されるのと同様の方法を使用して調製した。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)δ:7.56〜7.54(m,2H),7.35(d,J=8.4Hz,2H),7.14〜7.07(m,2H),7.02〜6.97(m,1H),4.07(s,2H),3.73(s,3H),3.22〜2.84(s,br,1H),2.70〜2.66(m,1H),1.41〜1.34(m,1H),1.30〜1.21(m,1H),1.10〜1.01(m,1H),1.00〜0.91(m,1H)。MS実測値:461.1[M+H]
+。
【0202】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0203】
[実施例7a化合物のエナンチオマーの調製]
[実施例7a(−)]:(−)−N−(5−(シクロプロパンスルホンイミドイル)−4−メチルチアゾール−2−イル)−2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチルアセトアミド
【化37】
【0204】
[工程a)]
各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含む実施例7aから得られるラセミ混合物7aが供給された。
【0205】
[工程b)]
表題の化合物は、固定相としてChiralcel OD−3を、また移動相として、65/35vol%のCO
2/(EtOH/ACN)を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7aの分離により調製された。
【0206】
下記条件を適用した。
カラム: CHIRALCEL OD−3(4.6×100mm、3μm)
共溶媒: EtOH/ACN
カラム温度: 35
共溶媒%: 35
背圧: 2000psi
流速: 2mL/分
Proc.Chnl.Descr.:PDA280.5nm(210〜400)nm
PDA開始波長: 200nm
PDA停止波長: 400nm
【0207】
実施例7a(−)は、第1の溶出エナンチオマーである(保持時間:1.8分、
図2a及び
図2b)。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm−84°(c=0.5g/100mL、CHCl
3)、[α]
20Na589nm−22°(c=1g/100mL、CHCl
3)の負の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)δ:7.54(d,J=8.0Hz,2H),7.35(d,J=8.0Hz,2H),7.15〜7.08(m,2H),7.02〜6.98(m,1H),4.08(s,2H),3.74(s,3H),3.06(s,1H),2.71〜2.67(m,1H),1.41〜1.36(m,1H),1.31〜1.26(m,1H),1.08〜1.05(m,1H),0.98〜0.94〜0.91(m,1H)。MS実測値:461.0[M+H]
+。
【0208】
[実施例7a(+)]:(+)−N−(5−(シクロプロパンスルホンイミドイル)−4−メチルチアゾール−2−イル)−2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチルアセトアミド
【化38】
【0209】
[工程a)]
各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含む実施例7aから得られるラセミ混合物7aが供給された。
【0210】
[工程b)]
表題の化合物は、固定相としてChiralcel OD−3を、また移動相として、65/35vol%のCO
2/(EtOH/ACN)を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7aの分離により調製された。
【0211】
下記条件を適用した。
カラム: CHIRALCEL OD−3(4.6×100mm、3μm)
共溶媒: EtOH/ACN
カラム温度: 35
共溶媒%: 35
背圧: 2000psi
流速: 2mL/分
Proc.Chnl.Descr.:PDA280.5nm(210〜400)nm
PDA開始波長: 200nm
PDA停止波長: 400nm
【0212】
実施例7a(+)は、第2の溶出エナンチオマーである(保持時間:2.3分、
図2a及び
図2c)。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm+83°(c=0.5g/100mL、CHCl
3)、[α]
20Na589nm+23°(c=1g/100mL、CHCl
3)の正の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)δ:7.54(d,J=8.0Hz,2H),7.35(d,J=8.0Hz,2H),7.15〜7.08(m,2H),7.02〜6.98(m,1H),4.08(s,2H),3.74(s,3H),3.06(s,1H),2.71〜2.67(m,1H),1.41〜1.36(m,1H),1.31〜1.26(m,1H),1.08〜1.05(m,1H),0.98〜0.94〜0.91(m,1H)。MS実測値:461.0[M+H]
+。
【0213】
[実施例7b]:N−[5−(シクロプロピルスルホンイミドイル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−N−メチル−2−[4−(2−ピリジル)フェニル]アセトアミド
【化39】
【0214】
実施例7aに関して記載するのと同様に、2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)酢酸の代わりに、2−(4−(ピリジン−2−イル)フェニル)酢酸を使用して、実施例7bを調製した。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)δ:8.70〜8.68(m,1H),7.99(d,J=8.4Hz,2H),7.80〜7.65(m,2H),7.37(d,J=8.4Hz,2H),7.30〜7.21(m,1H),4.09(s,2H),3.71(s,3H),3.06(s,1H),2.72〜2.62(m,1H),2.63(s,3H),1.42〜1.22(m,2H),1.10〜0.92(m,2H)。MS実測値:427.2[M+H]
+。
【0215】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0216】
[実施例7b化合物のエナンチオマーの調製]
[実施例7b(−)]:(−)−N−(5−(シクロプロパンスルホンイミドイル)−4−メチルチアゾール−2−イル)−N−メチル−2−(4−(ピリジン−2−イル)フェニル)アセトアミド
【化40】
【0217】
[工程a)]
各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含む実施例7bから得られるラセミ混合物7bが供給された。
【0218】
[工程b)]
表題の化合物は、固定相としてChiralcel OZ−Hを、また移動相として、55/45vol%のCO
2/(IPA/ACN、3:2)を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7bの分離により調製された。
【0219】
下記条件を適用した。
共溶媒 IPA:ACN=3:2
カラム OZ−H 100×4.6mm 5μm
試料 CD−MIX
試料ウェル P1:5C
カラム温度 39.9
CO
2流速 2.2
共溶媒流速 1.8
共溶媒% 45
総流量 4
前圧 156
背圧 117
圧力降下 39
PDA開始波長 214
PDA停止波長 359
【0220】
実施例7b(−)は、第1の溶出エナンチオマーである(保持時間:1.8分、
図3a及び
図3b)。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm−171°(c=1g/100mL、CHCl
3)、[α]
20Na589nm−24°(c=1g/100mL、CHCl
3)の負の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(DMSO−d
6,500MHz)δ:8.67〜8.66(m,1H),8.07(d,J=8.5Hz,2H),7.97〜7.87(m,2H),7.39(d,J=8.5Hz,2H),7.36〜7.34(m,1H),4.65(s,1H),4.22(s,2H),3.71(s,3H),2.82〜2.79(m,1H),2.54(s,3H),1.11〜1.07(m,1H),0.99〜0.91(m,3H)。MS実測値:427.2[M+H]
+。
【0221】
[実施例7b(+)]:(+)−N−(5−(シクロプロパンスルホンイミドイル)−4−メチルチアゾール−2−イル)−N−メチル−2−(4−(ピリジン−2−イル)フェニル)アセトアミド
【化41】
【0222】
[工程a)]
各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含む実施例7bから得られるラセミ混合物7bが供給された。
【0223】
[工程b)]
表題の化合物は、固定相としてChiralcel OZ−Hを、また移動相として、55/45vol%のCO
2/(IPA/ACN、3:2)を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7bの分離により調製された。
【0224】
下記条件を適用した。
共溶媒 IPA:ACN=3:2
カラム OZ−H 100×4.6mm 5μm
試料 CD−P2
試料ウェル P1:5B
カラム温度 40.1
CO
2流速 2.2
共溶媒流速 1.8
共溶媒% 45
総流量 4
前圧 157
背圧 118
圧力降下 39
PDA開始波長 214
PDA停止波長 359
【0225】
実施例7b(+)は、第2の溶出エナンチオマーである(保持時間:2.8分、
図3a及び
図3c)。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm+170°(c=1g/100mL、CHCl
3)、[α]
20Na589nm+22°(c=1g/100mL、CHCl
3)の正の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(DMSO−d
6,500MHz)δ:8.67〜8.66(m,1H),8.07(d,J=8.5Hz,2H),7.97〜7.87(m,2H),7.39(d,J=8.5Hz,2H),7.36〜7.34(m,1H),4.65(s,1H),4.22(s,2H),3.71(s,3H),2.82〜2.79(m,1H),2.54(s,3H),1.11〜1.07(m,1H),0.99〜0.91(m,3H)。MS実測値:427.2[M+H]
+。
【0226】
[実施例7c]:N−メチル−N−[4−メチル−5−(メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル]−2−[4−(2−ピリジル)フェニル]アセトアミド
【化42】
【0227】
実施例7に関して記載するのと同様に、2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)酢酸の代わりに、2−(4−(ピリジン−2−イル)フェニル)酢酸を使用して、実施例7cを調製した。
1H−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δ:8.67〜8.66(m,1H),8.07(d,J=8.4Hz,2H),7.97〜7.88(m,2H),7.40〜7.34(m,3H),4.67(s,1H),4.23(s,2H),3.71(s,3H),3.13(s,1H),2.52(s,3H)。MS実測値:401.1[M+H]
+。
【0228】
得られた生成物は、各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含み、例えば、上述するような本発明の方法の工程(a)において、混合物からエナンチオマーを単離することによって、本発明による特定のエナンチオマー化合物を調製するのに使用され得る。
【0229】
[実施例7c化合物のエナンチオマーの調製]
[実施例7c(−)]:(−)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)−2−(4−(ピリジン−2−イル)フェニル)アセトアミド
【化43】
【0230】
表題の化合物は、固定相としてChiralcel OD−3を、また移動相として、70/30vol%のCO
2/(MeOH/ACN、1:1)を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7cの分離により調製された。
【0231】
下記条件を適用した。
カラム: CHIRALCEL OD−3(4.6×100mm、3μm)
共溶媒: ACN/MeOH(1:1)
カラム温度: 35
共溶媒%: 30
背圧: 2000psi
流速: 2mL/分
Proc.Chnl.Descr.:PDA280.0nm(200〜600)nm
PDA開始波長: 200nm
PDA停止波長: 400nm
【0232】
実施例7c(−)は、第1の溶出エナンチオマーである(保持時間:5.6分、
図4a及び
図4b)。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm−19°(c=1g/100mL、CHCl
3)の負の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δ:8.67〜8.66(m,1H),8.07(d,J=8.4Hz,2H),7.97〜7.88(m,2H),7.40〜7.34(m,3H),4.67(s,1H),4.23(s,2H),3.71(s,3H),3.13(s,1H),2.52(s,3H)。MS実測値:401.1[M+H]
+。
【0233】
[実施例7c(+)]:(+)−N−メチル−N−(4−メチル−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)−2−(4−(ピリジン−2−イル)フェニル)アセトアミド
【化44】
【0234】
[工程a)]
各々のエナンチオマー/立体異性体の混合物を含む実施例7cから得られるラセミ混合物7cが供給された。
【0235】
[工程b)]
表題の化合物は、固定相としてChiralcel OD−3を、また移動相として、70/30vol%のCO
2/(MeOH/ACN、1:1)を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによるラセミ混合物7cの分離により調製された。
【0236】
下記条件を適用した。
カラム: CHIRALCEL OD−3(4.6×100mm、3μm)
共溶媒: ACN/MeOH(1:1)
カラム温度: 35
共溶媒%: 30
背圧: 2000psi
流速: 2mL/分
Proc.Chnl.Descr.:PDA280.0nm(200〜600)nm
PDA開始波長: 200nm
PDA停止波長: 400nm
【0237】
実施例7c(+)は、第2の溶出エナンチオマーである(保持時間:6.0分、
図4a及び
図4c)。
上記エナンチオマーは、[α]
20Hg365nm+18°(c=1g/100mL、CHCl
3)の正の比旋光度によって更に特性化される。
1H−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δ:8.67〜8.66(m,1H),8.07(d,J=8.4Hz,2H),7.97〜7.88(m,2H),7.40〜7.34(m,3H),4.67(s,1H),4.23(s,2H),3.71(s,3H),3.13(s,1H),2.52(s,3H)。MS実測値:401.1[M+H]
+。
【0238】
(実施例8):(R)−N−(5−(N−アセチル−S−メチルスルホンイミドイル)−4−メチルチアゾール−2−イル)−2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチルアセトアミド(8)
【化45】
【0239】
DCM(10mL)中の実施例7(400mg、0.91mmol)の第2の溶出異性体の溶液に、NEt
3(185mg、1.82mmol)を添加した。反応液を10分間攪拌した後、AcCl(107mg、1.35mmol)を一度に添加した。更に30分間攪拌した後、混合物を真空中で濃縮して、分取用HPLCによって精製して、実施例8(280mg、63%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO)δ:7.57(d,J=6.8Hz,2H),7.46〜7.36(m,4H),7.30〜7.25(m,1H),4.26(s,2H),3.75(s,3H),3.53(s,3H),2.53(s,3H),1.97(s,3H)。MS実測値:478.1[M+H]
+。
【0240】
[絶対立体化学の決定]
化合物8を室温でジイソピロピルエーテルから結晶化させて(ゆっくりとした蒸発)、無色プリズムを得た。絶対配置は、検査した結晶がアセチル化スルホキシイミン部分で(R)−立体配置であると適切に決定することができた。ラベリングスキームによる実施例8のOrtepプロット(50%)により、これらの見解が示される(
図5)。
【0241】
化合物8に関する結晶データ及び構造精密化:
経験式 C22H21F2N3O3S2
式量 477.54
温度 110K
波長 1.54178Å
結晶系 単斜
空間群 P2
1
単位格子寸法 a=10.3167(5)Å α=90°
b=8.3533(4)Å β=96.088(2)°
c=13.1044(6)Å γ=90°
容量 1122.95(9)Å
3
Z 2
密度(計算値) 1.412Mg/m
3
吸収計数 2.557mm
−1
F(000) 496
結晶サイズ 0.16×0.08×0.04mm
3
データ収集に関するシータ範囲 5.765°〜65.122°
インデックスレンジ −12≦h≦12、−9≦k≦9、−15≦l≦15
収集された反射 15475
独立反射 3791[R(int)=0.0190]
θ=65.122°に対する完全性 99.8%
吸収補正 等価物から半経験的に
最大透過及び最小透過 0.90及び0.77
精密化方法 F
2に関する完全行列最小二乗
データ/制約/パラメーター 3791/1/293
F
2に関する適合度 1.060
最終R指数[I>2シグマ(I)] R1=0.0213、wR2=0.0582
R指数(全データ) R1=0.0214、wR2=0.0585
絶対構造パラメーター 0.048(3)
消散係数 n/a
最大拡散ピーク及び正孔 0.216及び−0.188e.Å
−3
【0242】
[化合物8に関する結合長[Å]及び角度[°]]
S(1)-C(16) 1.735(2) C(8)-C(9) 1.388(3)
S(1)-C(17) 1.736(2) C(8)-H(8) 0.9500
S(2)-O(2) 1.4479(15) C(9)-C(10) 1.389(3)
S(2)-N(3) 1.5655(18) C(9)-H(9) 0.9500
S(2)-C(17) 1.749(2) C(10)-C(11) 1.386(3)
S(2)-C(20) 1.758(2) C(10)-C(13) 1.509(3)
F(1)-C(1) 1.363(4) C(11)-C(12) 1.386(3)
F(2)-C(4) 1.356(3) C(11)-H(11) 0.9500
O(1)-C(14) 1.220(3) C(12)-H(12) 0.9500
O(3)-C(21) 1.221(3) C(13)-C(14) 1.523(3)
N(1)-C(14) 1.375(3) C(13)-H(13A) 0.9900
N(1)-C(16) 1.390(3) C(13)-H(13B) 0.9900
N(1)-C(15) 1.474(3) C(15)-H(15A) 0.9800
N(2)-C(16) 1.306(3) C(15)-H(15B) 0.9800
N(2)-C(18) 1.368(3) C(15)-H(15C) 0.9800
N(3)-C(21) 1.381(3) C(17)-C(18) 1.362(3)
C(1)-C(2) 1.378(4) C(18)-C(19) 1.496(3)
C(1)-C(6) 1.381(3) C(19)-H(19A) 0.9800
C(2)-C(3) 1.385(4) C(19)-H(19B) 0.9800
C(2)-H(2) 0.9500 C(19)-H(19C) 0.9800
C(3)-C(4) 1.381(3) C(20)-H(20A) 0.9800
C(3)-H(3) 0.9500 C(20)-H(20B) 0.9800
C(4)-C(5) 1.388(3) C(20)-H(20C) 0.9800
C(5)-C(6) 1.398(3) C(21)-C(22) 1.499(3)
C(5)-C(7) 1.492(3) C(22)-H(22A) 0.9800
C(6)-H(6) 0.9500 C(22)-H(22B) 0.9800
C(7)-C(12) 1.395(3) C(22)-H(22C) 0.9800
C(7)-C(8) 1.401(3)
C(16)-S(1)-C(17) 87.15(10) N(3)-S(2)-C(20) 101.41(10)
O(2)-S(2)-N(3) 120.48(9) C(17)-S(2)-C(20) 105.19(10)
O(2)-S(2)-C(17) 106.66(9) C(14)-N(1)-C(16) 120.05(17)
N(3)-S(2)-C(17) 111.81(10) C(14)-N(1)-C(15) 122.54(17)
O(2)-S(2)-C(20) 110.27(10) C(16)-N(1)-C(15) 117.42(16)
C(16)-N(2)-C(18) 110.98(17) C(11)-C(12)-C(7) 120.99(19)
C(21)-N(3)-S(2) 117.68(14) C(11)-C(12)-H(12) 119.5
F(1)-C(1)-C(2) 119.1(2) C(7)-C(12)-H(12) 119.5
F(1)-C(1)-C(6) 117.5(3) C(10)-C(13)-C(14) 112.96(18)
C(2)-C(1)-C(6) 123.4(3) C(10)-C(13)-H(13A) 109.0
C(1)-C(2)-C(3) 117.6(2) C(14)-C(13)-H(13A) 109.0
C(1)-C(2)-H(2) 121.2 C(10)-C(13)-H(13B) 109.0
C(3)-C(2)-H(2) 121.2 C(14)-C(13)-H(13B) 109.0
C(4)-C(3)-C(2) 119.1(2) H(13A)-C(13)-H(13B) 107.8
C(4)-C(3)-H(3) 120.4 O(1)-C(14)-N(1) 121.11(18)
C(2)-C(3)-H(3) 120.4 O(1)-C(14)-C(13) 122.83(19)
F(2)-C(4)-C(3) 117.0(2) N(1)-C(14)-C(13) 116.06(18)
F(2)-C(4)-C(5) 119.0(2) N(1)-C(15)-H(15A) 109.5
C(3)-C(4)-C(5) 123.9(2) N(1)-C(15)-H(15B) 109.5
C(4)-C(5)-C(6) 116.3(2) H(15A)-C(15)-H(15B) 109.5
C(4)-C(5)-C(7) 123.3(2) N(1)-C(15)-H(15C) 109.5
C(6)-C(5)-C(7) 120.3(2) H(15A)-C(15)-H(15C) 109.5
C(1)-C(6)-C(5) 119.6(2) H(15B)-C(15)-H(15C) 109.5
C(1)-C(6)-H(6) 120.2 N(2)-C(16)-N(1) 120.74(18)
C(5)-C(6)-H(6) 120.2 N(2)-C(16)-S(1) 116.02(15)
C(12)-C(7)-C(8) 117.83(19) N(1)-C(16)-S(1) 123.24(15)
C(12)-C(7)-C(5) 119.10(19) C(18)-C(17)-S(1) 111.71(16)
C(8)-C(7)-C(5) 123.1(2) C(18)-C(17)-S(2) 129.52(16)
C(9)-C(8)-C(7) 120.6(2) S(1)-C(17)-S(2) 118.70(12)
C(9)-C(8)-H(8) 119.7 C(17)-C(18)-N(2) 114.13(17)
C(7)-C(8)-H(8) 119.7 C(17)-C(18)-C(19) 127.9(2)
C(8)-C(9)-C(10) 121.2(2) N(2)-C(18)-C(19) 117.95(18)
C(8)-C(9)-H(9) 119.4 C(18)-C(19)-H(19A) 109.5
C(10)-C(9)-H(9) 119.4 C(18)-C(19)-H(19B) 109.5
C(11)-C(10)-C(9) 118.25(19) H(19A)-C(19)-H(19B) 109.5
C(11)-C(10)-C(13) 119.9(2) C(18)-C(19)-H(19C) 109.5
C(9)-C(10)-C(13) 121.9(2) H(19A)-C(19)-H(19C) 109.5
C(1O)-C(11)-C(12) 121.1(2) H(19B)-C(19)-H(19C) 109.5
C(10)-C(11)-H(11) 119.4 S(2)-C(20)-H(20A) 109.5
C(12)-C(11)-H(11) 119.4 S(2)-C(20)-H(20B) 109.5
H(20A)-C(20)-H(20B) 109.5 C(21)-C(22)-H(22A) 109.5
S(2)-C(20)-H(20C) 109.5 C(21)-C(22)-H(22B) 109.5
H(20A)-C(20)-H(20C) 109.5 H(22A)-C(22)-H(22B) 109.5
H(20B)-C(20)-H(20C) 109.5 C(21)-C(22)-H(22C) 109.5
O(3)-C(21)-N(3) 125.8(2) H(22A)-C(22)-H(22C) 109.5
O(3)-C(21)-C(22) 121.8(2) H(22B)-C(22)-H(22C) 109.5
N(3)-C(21)-C(22) 112.37(18)
【0243】
[化合物8に関するねじれ角[°]]
O(2)-S(2)-N(3)-C(21) 62.35(19) C(9)-C(1O)-C(11)-C(12) -0.2(3)
C(17)-S(2)-N(3)-C(21) -64.09(18) C(13)-C(10)-C(11)-C(12) -179.3(2)
C(20)-S(2)-N(3)-C(21) -175.72(16) C(10)-C(11)-C(12)-C(7) 0.6(3)
F(1)-C(1)-C(2)-C(3) 179.8(2) C(8)-C(7)-C(12)-C(11) -0.7(3)
C(6)-C(1)-C(2)-C(3) 0.1(4) C(5)-C(7)-C(12)-C(11) -179.9(2)
C(1)-C(2)-C(3)-C(4) -0.3(4) C(11)-C(10)-C(13)-C(14) -110.6(2)
C(2)-C(3)-C(4)-F(2) 179.1(2) C(9)-C(10)-C(13)-C(14) 70.4(3)
C(2)-C(3)-C(4)-C(5) 0.4(4) C(16)-N(1)-C(14)-O(1) 1.7(3)
F(2)-C(4)-C(5)-C(6) -179.0(2) C(15)-N(1)-C(14)-O(1) -178.5(2)
C(3)-C(4)-C(5)-C(6) -0.3(3) C(16)-N(1)-C(14)-C(13) -178 .76(18)
F(2)-C(4)-C(5)-C(7) -1.0(3) C(l5)-N(1)-C(14)-C(13) 1.1(3)
C(3)-C(4)-C(5)-C(7) 177.7(2) C(10)-C(13)-C(14)-O(1) -3.6(3)
F(1)-C(1)-C(6)-C(5) -179.7(2) C(10)-C(13)-C(14)-N(1) 176.87(18)
C(2)-C(1)-C(6)-C(5) 0.0(4) C(18)-N(2)-C(16)-N(1) -179.56(18)
C(4)-C(5)-C(6)-C(1) 0.1(3) C(18)-N(2)-C(16)-S(1) -0.4(2)
C(7)-C(5)-C(6)-C(1) -178.0(2) C(14)-N(1)-C(16)-N(2) 177.30(19)
C(4)-C(5)-C(7)-C(12) -145.5(2) C(15)-N(1)-C(16)-N(2) -2.5(3)
C(6)-C(5)-C(7)-C(12) 32.4(3) C(14)-N(1)-C(16)-S(1) -1.8(3)
C(4)-C(5)-C(7)-C(8) 35.3(3) C(15)-N(1)-C(16)-S(1) 178.33(16)
C(6)-C(5)-C(7)-C(8) -146.7(2) C(17)-S(1)-C(16)-N(2) -0.11(16)
C(12)-C(7)-C(8)-C(9) 0.4(3) C(17)-S(1)-C(16)-N(1) 179.05(18)
C(5)-C(7)-C(8)-C(9) 179.6(2) C(16)-S(1)-C(17)-C(18) 0.56(16)
C(7)-C(8)-C(9)-C(10) -0.1(3) C(16)-S(1)-C(17)-S(2) 177.73(13)
C(8)-C(9)-C(10)-C(11) 0.0(3) O(2)-S(2)-C(17)-C(18) -177.55(19)
C(8)-C(9)-C(10)-C(13) 179.0(2) N(3)-S(2)-C(17)-C(18) -43.9(2)
C(20)-S(2)-C(17)-C(18) 65.3(2) S(1)-C(17)-C(18)-C(19) 177.80(18)
O(2)-S(2)-C(17)-S(1) 5.86(15) S(2)-C(17)-C(18)-C(19) 1.0(3)
N(3)-S(2)-C(17)-S(1) 139.50(12) C(16)-N(2)-C(18)-C(17) 0.8(3)
C(20)-S(2)-C(17)-S(1) -111.27(13) C(16)-N(2)-C(18)-C(19) -178.03(18)
S(1)-C(17)-C(18)-N(2) -0.9(2) S(2)-N(3)-C(21)-O(3) -0.3(3)
S(2)-C(17)-C(18)-N(2) -177.69(16) S(2)-N(3)-C(21)-C(22) 179.43(16)
【0244】
(実施例9):((4−(ブロモメチル)−2−(2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−メチルアセトアミド)チアゾール−5−イル)(メチル)(オキソ)−l6−スルファニリデン)カルバミン酸tert−ブチル
【化46】
【0245】
CHCl
3(50mL)中の実施例6(1.50g、2.80mmol)の溶液に、N−ブロモサクシンイミド(524mg、2.94mmol)及び過酸化ベンゾイル(136mg、0.56mmol)を添加した。溶液を70℃で2時間攪拌して、室温まで冷却して、飽和Na
2S
2O
3(50mL)でクエンチして、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、FCC(EA:PE=1:2)によって精製して、実施例9を白色固体として得た。
【0246】
(実施例10):2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−(ヒドロキシメチル)−5−(S−メチルスルホン−イミドイル)チアゾール−2−イル)−N−メチルアセトアミド
【化47】
【0247】
1,4−ジオキサン(15mL)中の実施例9(600mg、0.98mmol)の溶液に、H
2O(10mL)(396mg、2.40mmol)を添加した後、100℃で一晩攪拌して、冷却して、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、FCC(EA:PE=1:1)によって精製して、実施例10を白色固体として得た。
【0248】
[実施例10化合物のエナンチオマーの調製]
[実施例10a]:2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−(ヒドロキシメチル)−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)−N−メチルアセトアミド(第1の単離エナンチオマー)
【化48】
【0249】
表題の化合物は、下記の機器及び条件を使用して、キラルSFCクロマトグラフィによる、実施例10から得られるラセミ混合物10の分離により調製された。
機器: SFC−80(Thar、Waters)
カラム名: OZ 20×250nM、10μM(Daicel)
カラム温度: 35℃
流速: 80g/分
背圧: 100bar
サイクル時間: 4分
試料溶液: MeOH30mL中に0.37gを溶解
注入容量: 1mL
【0250】
実施例10aは、第1の溶出エナンチオマーである(保持時間:2.3分、
図6a及び
図6b)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d
6)δ:7.57(dd,J=1.3,7.8Hz,2H),7.45〜7.36(m,4H),7.29〜7.25(m,1H),5.25(t,J=5.8Hz,1H),4.78(s,1H),4.75〜4.64(m,2H),4.25(s,2H),3.75(s,3H),3.21(d,J=0.5Hz,3H)。MS実測値:452.1[M+H]
+。
【0251】
[実施例10b]:2−(2’,5’−ジフルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−(4−(ヒドロキシメチル)−5−(S−メチルスルホンイミドイル)チアゾール−2−イル)−N−メチルアセトアミド(第2の単離エナンチオマー)
【化49】
【0252】
実施例10bは、第2の溶出エナンチオマーである(保持時間:2.9分、
図6a及び
図6c)。
1H−NMR及びMSは、実施例10aに一致する。
【0253】
[生物学的アッセイ]
本発明による新規化合物は、予見不可能な驚くべき一連の作用を示す。本発明による新規化合物は、特にヘルペスウイルス科の代表に対して、とりわけ単純ヘルペスウイルス(HSV)に対して、抗ウイルス作用を示すだけでなく、溶解度の改善及び炭酸脱水酵素活性の低減も示す。これらの化合物の特徴は、本発明の新規化合物の薬物動態プロファイルの改善、したがって、in vivoでの大規模な抗ウイルス活性をもたらす。したがって、これらの化合物は、ウイルス、特にヘルペスウイルスによって引き起こされる障害、特に単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる障害の治療及び予防に適している。
【0254】
本発明による新規化合物は、炭酸脱水酵素活性の予見不可能な驚くべき低減を示す。
【0255】
したがって、新規化合物は、オフターゲットの活性を示さないか、又は少なくとも低減されたオフターゲットの活性を示し、特に、尿路上皮過形成又は利尿薬理学的活性等の炭酸脱水酵素活性によって引き起こされる副作用を全く示さないか、又はその低減された副作用を示す(非特許文献14)。
【0256】
溶解度の増加は、化合物の製剤を改善し、ADMEの特徴、特に静脈内用途に使用される製剤を改善する。
水溶解度(PBS、pH7.4)は、非特許文献15に従って、Eurofins, Cerep, Panlabsで決定された。
【0257】
[in-vitro活性]
[ウイルス及び細胞]
HSV(HSV−1 Walki、HSV−1F、HSV−2 MS、HSV臨床単離株及びHSV耐性株)を、下記の条件下で、ベロ細胞(ATCC CCL−81)上で培養した。
細胞を、細胞培養ボトル中で、37℃及び5%CO
2にてM199培地(5%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100IU/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン)中で成長させた。細胞を1週間に二度、分割させた(1:4)。感染に関して、培地を取り出し、細胞をハンクス溶液で洗浄して、0.05%トリプシン、0.02%EDTAを用いて剥離して、上述の条件下で24時間、4×10
5個の細胞/mLの密度でインキュベートした。培地を取り出し、ウイルス溶液を、表面175cm
2当たり2mLの容量で、0.05未満のm.o.iで添加した。感染した細胞を、37℃、5%CO
2で1時間インキュベートした後、培地を、ボトル175cm
2当たり50mL容量にまで追加した。感染の3日後、培養液は、細胞変性効果の明らかな兆候を示した。ウイルスは、感染された培養物を二度、凍結すること(−80℃)及び融解すること(37℃)によって放出された。細胞残屑を遠心分離(300g、10分、4℃)によって除去して、上清を−80℃にて分取量で凍結させた。
【0258】
ウイルス力価は、プラークアッセイを使用して決定した。この目的で、ベロ細胞を、24ウェルプレートにおいて、ウェル1つ当たり4×10
5個の細胞の密度で播種し、24時間のインキュベーション(37℃、5%CO
2)後、接種材料(ウイルスストックの希釈物(10
−2〜10
−12))100μLで感染させた。感染の1時間後、培地を除去して、細胞を重層培地(アール塩を有するMEM−イーグル培地中の0.5%メチルセルロース、0.22%重炭酸ナトリウム、2mMグルタミン、100IU/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、5%ウシ胎児血清)1mLで覆って、細胞インキュベーター中で、(37℃、5%CO
2)にて3日間インキュベートした。次に、4%ホルマリンを使用して1時間、細胞を固定して、水で洗浄して、ギムザで30分間染色した後、洗浄及び乾燥させた。プラークビューアを使用して、ウイルス力価を決定した。実験に使用されるストックは、1×10
5個/mLから最大1×10
8個/mLの力価を有していた。
【0259】
抗ウイルス作用は、特許権を有する(特許文献35及び特許文献15)活性選択性アッセイ、続いて公開された活性選択性アッセイ(非特許文献16)を使用して、例えば、ベロ(アフリカミドリザル腎臓細胞)、MEF(マウス胚線維芽細胞)、HELF(ヒト胚線維芽細胞)、NT2(ヒトニューロン細胞系統)又はジャーカット(ヒトリンパT細胞系統)等のニューロン起源、リンパ起源及び上皮起源の各種細胞系統を使用して、96ウェル又は384ウェルマイクロタイタープレートにおいて決定された。本発明(開示する化合物)の抗ウイルス活性を評価するための上述の特許文献及び刊行物の関連する実験的詳細を以下に記載する。
【0260】
細胞変性効果の伝播に対する物質の効果は、臨床的に認可された抗ヘルペス化学療法薬である参照化合物であるアシクロビル−ナトリウム(Zovirax
TM)と比較して決定された。
【0261】
化合物(DMSO中に溶解された50mMストック溶液)を、最終濃度250μM〜0.5μMで、又は強力な抗ウイルス化合物の場合、250nM〜0.5nMで、2回〜4回反復で、マイクロタイタープレート(例えば、96ウェル平底細胞培養プレート)上で検査する(プレート1枚につき4個〜2個の物質)。また、化合物の毒性効果及び細胞静止作用又は沈殿を検査する。適切な培地(100μL中)中でのマイクロタイタープレート上での化合物の適切な希釈(1:2)後、例えば、M199(5%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、及び任意選択で100IU/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを有する培地199)中のベロ細胞、又はEMEM(10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、及び任意選択で100IU/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを有するイーグル最小必須培地)中のMEF若しくはHELF細胞、又はDMEM(10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、及び任意選択で100IU/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを有する(4.5mg/Lのグルコース+ピリドキシン))中のNT2細胞及びジャーカット細胞等の細胞の懸濁液(50μL、ウェル1個当たり1×10
4個の細胞)を各ウェルに添加して、関連するウェル中の細胞を、適切な量のウイルス(ベロ細胞、HELF細胞及びMEF細胞に関しては0.0025のm.o.i(感染多重度)、及びNT2細胞及びジャーカット細胞に関しては0.1のm.o.iを有するHSV−1又はHSV−2)で感染させる。次に、プレートを、細胞CO
2インキュベーター(5%CO
2)において、37℃で数日間インキュベートする。この後、例えば、25個の感染中心から始まる、物質を含まないウイルス対照中のベロ細胞のコロニーは、ヘルペスウイルスの細胞変性効果(CPE)(100%CPE)によって、完全に破壊されるか、又は溶解される。
【0262】
プレートはまず、顕微鏡を使用して視覚的に評価され、続いて、蛍光色素を使用して解析される。この目的で、MTPの全てのウェルの細胞上清を吸引して、ウェルにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)洗浄溶液250μLを充填する。次に、PBSを吸引して、ウェル全てに、蛍光色素溶液(フルオレセイン二酢酸、PBS中10μg/mL)200μLを充填する。30分〜90分のインキュベーション時間後、蛍光検出器において、励起波長485nm及び放出波長538nmで、試験プレートを読み取る。ここで、IC
50は、感染していない細胞対照(100%の値)に関する最大半量の蛍光強度である。IC
50値[%]((化合物処理した感染細胞−未処理のウイルス感染細胞)を、(細胞対照又はZoviraxで処理した感染細胞−未処理感染細胞)で除算したもの×100)はまた、適切な活性化合物対照に対して参照され得る(アッセイの説明を参照:例えば、Zovirax20μM等の適切な濃度の抗ウイルス化合物の存在下の感染細胞)。この活性化合物対照は、非感染細胞対照に関して、約85%〜100%の蛍光強度に達する。各々のエナンチオマーの混合物(表1において#で示される)、並びに上記実施例7、実施例7a、実施例7b、及び実施例7cの分離及び単離された(+)及び(−)エナンチオマーを含む幾つかの実施例化合物の結果を、以下の表1に概説する。
【0263】
【表1】
【0264】
上述する活性選択性アッセイにおけるそのIC
50(HSV−1/ベロ)が、好ましくは100μM未満、より好ましくは10μM未満、非常に詳細には好ましくは1μM未満である本発明による抗ウイルス化合物は好ましい。
【0265】
表1に示すように、実施例7、実施例7a、実施例7b及び実施例7cは、各々のエナンチオマーの混合物として存在する場合でさえ、抗ウイルス活性を示す。さらに、実施例7、実施例7a、実施例7b及び実施例7cは、単離エナンチオマーに関しても抗ウイルス活性を示し、それは、個々のエナンチオマーもまた、抗ウイルス活性を示すことを支持している。
【0266】
結果により、驚くべきことに、左回りの左旋性又は負の比旋光度を有するエナンチオマーは、右回りの右旋性又は正の比旋光度を有するラセミ体及びエナンチオマーと比較して、より強力な抗ウイルス活性を示すことが更に示される。
【0267】
また、結果により、驚くべきことに、絶対(S)−立体配置を有する7(−)エナンチオマーは、ラセミ体及び絶対(R)−立体配置を有する7(+)エナンチオマーと比較して、より強力な抗ウイルス活性を示すことが示される。
【0268】
したがって、本発明による新規化合物は、ウイルス、特にヘルペスウイルス、非常に詳細には単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる障害の治療及び予防に関して有用な活性化合物である。特に活性なエナンチオマーは、負の比旋光度を示し、かつ7(−)の場合に規定のキラルカラム上で最初に溶出するものであり、絶対配置は(S)である。というのも、それらは、正の比旋光度を有し、かつ7(+)の場合に規定のキラルカラム上で2番目に溶出する反対の絶対配置(R)を有する各々のエナンチオマーよりも少なくとも2倍強力であるためである。
【0269】
上述され得る表示領域の例は、下記である。
1)口唇ヘルペス、陰部ヘルペス及びヘルペス関連角膜炎等のヘルペス疾患、アルツハイマー病、脳炎、肺炎、肝炎又はウイルス排出等を示す患者におけるヘルペス感染、特に単純ヘルペス感染の治療及び予防。
2)免疫系が抑制された患者(例えば、AIDS患者、癌患者、遺伝的又は遺伝性免疫不全を有する患者、移植患者)におけるヘルペス感染、特に単純ヘルペス感染の治療及び予防。
3)新生児及び乳児におけるヘルペス感染、特に単純ヘルペス感染の治療及び予防。
4)再発又はウイルス排出を抑制するための(抑制療法)ヘルペス陽性患者、特に単純ヘルペス陽性患者におけるヘルペス感染、特に単純ヘルペス感染の治療及び予防。
5)アシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル等のヌクレオシド抗ウイルス療法に耐性であるヘルペス陽性患者、特に単純ヘルペス陽性患者におけるヘルペス感染、特に単純ヘルペス感染の治療及び予防。
【0270】
[炭酸脱水酵素]
炭酸脱水酵素II活性及びその各々の阻害は、非特許文献6に従って、又は炭酸脱水酵素I活性の場合では、ヒト出発材料に基づいて非特許文献7に従って実施された。
【0271】
pH指示薬方法を使用した室温での炭酸脱水酵素の酵素活性の決定に関するプロトコルを以下に記載する。
阻害剤(DMSO中の50mMストック溶液)1μLを、100μM〜1nMの範囲の最終試験濃度に希釈して(又は対照では水1μL)、水400μL中及びフェノールレッド指示薬溶液(20mg/L)200μL中で0.5EU〜2EUのヒト炭酸脱水酵素I(180U/mg)とともに2分間インキュベートする。酵素単位(EU)は、触媒されていない速度を二倍にする量として定義される。水和反応は、0.5M重炭酸塩緩衝液(0.3M Na
2CO
3、0.2M NaHCO
3)を添加すること、続いて針(0.7×30mm、22G×1.25)を通して、10mLの気体/分の速度でアッセイ溶液へCO
2をダンピングすることによって開始される。色彩変化するまでの時間(pH7.2)を、マイクロクロノメーター又はストップウォッチを用いて決定する。
【0272】
阻害のパーセントを、以下に記載するように算出する。
(酵素を用いずに色彩変化するまでの時間−酵素及び阻害剤を用いて色彩変化するまでの時間)/(酵素を用いずに色彩変化するまでの時間−酵素を用いて色彩変化するまでの時間)。
IC
50値(阻害濃度)は、試験系においてEU活性を50%低減させる阻害剤のモル量を示す。
【0273】
試験系において、実施例7、実施例7(−)、実施例7(+)、実施例7c、実施例7c(−)、実施例7c(+)及び実施例7bに関して、炭酸脱水酵素阻害が検出されないか、又は著しく低減された炭酸脱水酵素阻害が検出される。この見解に対比して、実施例87(特許文献5)は、1μM〜3μM(IC
50)の範囲で炭酸脱水酵素阻害を示す。
【0274】
各々のエナンチオマーの混合物を含む実施例の化合物は、表2において#で示されている。
【0275】
表2に示すように、実施例7、実施例7b及び実施例7cは、各々のエナンチオマーの混合物として存在する場合でさえ、炭酸脱水酵素阻害を示さないか、又は低減された炭酸脱水酵素阻害を示す。さらに、実施例7及び実施例7cに関して、単離エナンチオマーもまた、炭酸脱水酵素阻害を示さないか、又は低減された炭酸脱水酵素阻害を示す。これにより、個々のエナンチオマーもまた、炭酸脱水酵素阻害を示さないか、又は低減された炭酸脱水酵素阻害を示すことが分かる(例えば、実施例7bに関するように、本明細書中で明確に示されない場合でさえも)。
【0276】
結果を以下で表2に示す。
【0277】
【表2】
【0278】
[水溶解度(PBS、pH7.4)]
水溶解度の測定は、非特許文献15に従って、実施された。文献からの関連情報を以下に記載する。
化合物(DMSO中の10mMストック)の水溶解度(μM、振盪フラスコ、インキュベーション24時間、室温)は、有機溶媒(メタノール/水、60/40、v/v)を含有する較正標準物質(200μM)中の主要ピークのピーク面積(HPLC−UV/VIS)を、緩衝液試料(PBS、pH7.4)中の相当するピークのピーク面積と比較することによって決定された。さらに、クロマトグラフィ純度(%)は、較正標準物質のHPLCクロマトグラフにおける総積算ピーク面積に対する主要ピークのピーク面積として定義された。
【0279】
水溶解度試験系において、著しく増加された溶解度(少なくとも1桁分)は、実施例87(特許文献5)と比較して、実施例7に関して検出される。
【0280】
各々のエナンチオマーの混合物を含む実施例の化合物は、表3において#で示されている。
結果を以下で表3に示す。
【0281】
【表3】
【0282】
同様に、良好な溶解度が、個々のエナンチオマーに関して予測され得る。
【0283】
[作用機序]
作用機序を解明するために、非特許文献17に従って、化合物耐性ヘルペスウイルスを、例えば2μMの実施例7(−)又は実施例7c(−)の存在下で選択した。
【0284】
ウイルスDNAを、記載されるように調製して、下記の方法パラメーターを用いて、続くPCR反応において鋳型として使用した:5分の変性95℃、95℃の変性30秒を35サイクル、60℃で30秒のアニーリング、増幅/伸長72℃で30秒、最終工程5分72℃、続いて4℃〜5℃に冷却;PCRプライマー:プライマー rev HSV1/2(5’atgagccgcgacaggaac3’:配列番号1)、プライマー fwd HSV1/2(5’ggtggatgattaacgccctg3’:配列番号2)。増幅産物(サイズがおよそ849bp)を、1%アガロースゲル電気泳動によって精製し、続いて、シーケンシングプライマー(5’ttaacgccctgtaccacacc3’:配列番号3)を使用して配列決定した。配列決定により、上記実施例7(−)及び実施例7c(−)の化合物の存在下で、選択される耐性ウイルスに対する出発材料として使用される感受性株と比較して、HSV−1のヘリカーゼ遺伝子において突然変異K356Q及びK356Rを付与する耐性が明らかとなった。突然変異K356Rは新規であり、HHV−1に関して今日まで記載されていない。
【0285】
[in vivo活性]
[薬物動態]
薬物動態パラメーターは、雄マウス株C57BL/6Jにおいて、5mg/kg(異種血漿中5%DMSO、2.5mL/kg)の静脈内(i.v.)用量及び10mg/kg(DMSO/0.5%HPMC(5:95)、5mL/kg)の経口用量(p.o.)で、実施例7、実施例7(−)、実施例7(+)及び実施例7cに関して決定した。
【0286】
驚くべきことに、負の比旋光度を有するエナンチオマーは、良好な薬物動態プロファイルを示すことができる。これは、ラセミ体(実施例7c、C
max4289ng/mL、AUC 22482ng
*h/mL)及び正の比旋光度を有する反対のエナンチオマー(実施例7c(+)、C
max5704ng/mL、AUC 31237ng
*h/mL)と比較して、10mg/kgのp.o(DMSO/0.5%HPMC(5:95)、5mL/kg)にて、C
max(6647ng/mL)及びAUC(38034ng
*h/mL)に関するマウス株C57BL/6Jにおける最高の曝露が実証される、実施例7c(−)によって例示される。さらに、実施例7は特に、ヘルペス脳炎の治療を可能にする最高の脳曝露(およそ13μM〜14μM、6000ng/脳1g)を示す。
【0287】
[動物モデル]
特許である特許文献5又は続く刊行物(非特許文献18又は非特許文献17)に従って、動物実験を実施した。本発明(開示化合物)の抗ウイルス活性をin-vivo(動物モデル)で評価するための上述の特許及び刊行物の関連する実験上の詳細を以下に記載する。
【0288】
[動物]
6週齢の雌マウス、BALB/cABom株は、商業的なブリーダーから入手した。
【0289】
[感染]
密封されたガラス容器中で、Et
2Oを用いて、動物に麻酔をした。ウイルスストック(感染用量5×10
4PFU(プラーク形成単位))の希釈物50μLを、ピペットを使用して、麻酔した動物の鼻に導入した。動物の90%〜100%において、この感染用量は、平均して5日〜8日後に、目立った呼吸及び中枢神経症状を伴う全身感染によって死を引き起こす。
【0290】
[処理及び評価]
感染の6時間後に、0.1mg/体重1kg〜150mg/体重1kgの用量で、1日につき3回、午前7時、午後2時及び午後7時に(tid)又は1日につき2回、午前7時及び午後7時に(bid)又は1日に1回、午後1時に(od)5日間、動物を処理した。化合物は、DMSO中に予め溶解して、水又はPBS中の0.5%HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)に再懸濁した(DMSO/0.5%HPMC(最大5:95、理想的には水又はPBS中に1.5%DMSO、0.5%HPMC))。最終投与後、動物を更にモニタリングして、死亡の時間を決定した。
【0291】
生存曲線の比較により、実施例7の化合物に関して、例えば、HSV−1又はHSV−2に関して10mg/kg未満のED
50が示され、ここで、ED
50は、この用量で、感染動物の50%が生存することを意味する。特に、エナンチオマー実施例7(−)は、HSV−1に関して、5mg/kg未満のED
50を示す。
【0292】
しかしながら、実施例7に関するin vivoデータから、各々のエナンチオマーの混合物として本明細書中で試験した場合でさえも、個々のエナンチオマーの活性を予想することができる。
【0293】
本発明の新規活性エナンチオマーは、錠剤、カプレット、糖衣錠、丸剤、顆粒、エアロゾル、シロップ、薬学的に適切な担体及び溶媒等の慣例の製剤へ、既知の様式で変換することができる。ここで、治療上活性な化合物は、それぞれ、総混合物の約0.1重量%〜90重量%の濃度で、即ち、表示された投与量範囲を達成するのに十分な量で存在すべきである。
【0294】
製剤は、例えば溶媒及び/又は賦形剤で活性化合物を増量することによって、例えば、使用される希釈剤が水である場合に、適切な場合に補助溶媒として有機溶媒を使用することが可能であれば、適切な場合には、乳化剤及び/又は分散剤を使用して、調製される。
【0295】
慣例の様式で、好ましくは経口で、非経口で又は局所的に、特に舌を介して、又は静脈内で、投与が実行される。
【0296】
非経口投与の場合、適切な液体担体材料を使用した活性化合物の溶液を用いることができる。
【0297】
概して、有効な結果を達成するためには、静脈内投与の場合にはおよそ0.001mg/体重1kg〜20mg/体重1kg、好ましくはおよそ0.01mg/体重1kg〜10mg/体重1kgの量を投与することが、有益であると証明されており、経口投与の場合、用量は、およそ0.01mg/体重1kg〜30mg/体重1kg、好ましくは0.1mg/体重1kg〜20mg/体重1kgである。
【0298】
これにも関わらず、適切である場合、即ち、体重又は投与経路のタイプに、薬剤に対する個々の応答、その製剤の様式及び投与が行われる時間又は間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要な場合もある。したがって、上述する最小量未満で済ますことが適切である場合がある一方で、上述する上限を超えなくてはならない場合もある。比較的大量の投与の場合、その日のうちに、これを数回の個々の投与に分割することが望ましい場合もある。
【0299】
適切である場合、本発明による化合物を、他の活性物質、特に抗ウイルス活性化合物と組み合わせること、いわゆる併用療法が有用である場合もある。