特表2020-536198(P2020-536198A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-536198極低温貯蔵容器の管理のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536198(P2020-536198A)
(43)【公表日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】極低温貯蔵容器の管理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20201113BHJP
【FI】
   F17C13/02 302
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-516847(P2020-516847)
(86)(22)【出願日】2018年10月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月11日
(86)【国際出願番号】US2018053690
(87)【国際公開番号】WO2019070556
(87)【国際公開日】20190411
(31)【優先権主張番号】62/566,900
(32)【優先日】2017年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520093481
【氏名又は名称】ワージントン インダストリーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロマノス ジョン エル.
(72)【発明者】
【氏名】オエフ ケヴィン エム.
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AB11
3E172BA10
3E172DA03
3E172DA04
3E172DA87
3E172EA03
3E172EA20
3E172EA22
3E172EA23
3E172EA30
3E172EA44
3E172KA02
3E172KA22
3E172KA23
3E172KA24
(57)【要約】
サンプル及びユーザの安全性を向上させるため、二重レベル検知、真空モニタリング、スマート供給シリンダ、スマート酸素モニタ及びリアルタイムデータ収集の機能が極低温貯蔵システムと統合される。二重レベルセンサシステムは、極低温冷凍庫に配置され、冗長レベル情報をコントローラに送る2つの液体窒素レベルセンサを有する。真空モニタリングは、真空ポートに配置され、データをコントローラに伝える計測器を介して実行される。さらに、コントローラは、供給シリンダからのレベル情報を受け、一つ又は複数の酸素モニタからの酸素レベルを受ける。上記データのソースは、コントローラにより実行される制御決定と統合される。さらに、極低温貯蔵システムの全ての運転データは、リアルタイムの状態モニタリング、傾向分析及びアラーム通知を提供するために、クラウドベースのプラットフォームに送られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵チャンバを有し、物品の極低温貯蔵に適した極低温度を前記貯蔵チャンバにもたらすために極低温液体を含むように構成された貯蔵容器と、
前記貯蔵容器における前記極低温液体のレベルの冗長測定を行うように構成された二層レベル測定システムと、
前記二層レベル測定システムからレベル測定値を取得し、少なくとも部分的に当該レベル測定値に基づいて前記貯蔵容器のための充填動作を制御するように構成されたコントローラと、
を備える、ことを特徴とする極低温貯蔵システム。
【請求項2】
前記二層レベル測定システムは差圧ベースのレベル測定システムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記二層レベル測定システムはサーミスタベースのレベル測定システムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記差圧ベースのレベル測定システムは、
極低温液体のレベルよりも下方の点において前記貯蔵容器の前記貯蔵チャンバを貫通した第1のチューブと、
極低温液体の前記レベルよりも上方の点において前記貯蔵チャンバを貫通した第2のチューブと、
を備え、
前記第1のチューブは高圧測定値を提供し、前記第2のチューブは低圧測定値を提供する、ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記貯蔵容器内の極低温液体のレベルを判断するために前記高圧測定値及び前記低圧測定値を分析するように構成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サーミスタベースのレベル測定システムは、
極低温液体のレベルよりも下方の点において前記貯蔵容器の前記貯蔵チャンバを貫通する第1の貫通部と、極低温液体の前記レベルよりも上方の点において前記貯蔵チャンバを貫通する第2の貫通部と、を有するチューブと、
前記チューブ内に設けられ、一連のサーミスタが設けられた回路基板と、
を備える、ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記一連のサーミスタのうち複数のサーミスタは、液体の特定のレベルに対応した離散点において前記回路基板に配置されている、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記液体の特定のレベルは、低アラームレベル、充填開始レベル、充填停止レベル及び高アラームレベルを含む、ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記サーミスタベースのレベル測定システムは、前記サーミスタから前記コントローラに信号を送信するケーブルをさらに含み、
前記コントローラは、さらに、前記貯蔵容器内の極低温液体のレベルを判断するために前記一連のサーミスタの各々の抵抗を読み取るように構成されている、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記貯蔵容器のための極低温液体の供給を貯蔵する貯蔵コンテナをさらに備え、
前記貯蔵コンテナは、前記貯蔵コンテナに貯蔵された流体のレベルを前記コントローラに伝えるように構成されたレベルセンサを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記貯蔵容器の真空ポートに接続され、前記貯蔵容器の真空完全性を測定するように構成された真空測定装置をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記貯蔵容器の近傍において酸素レベルを測定し、前記酸素レベルを前記コントローラに伝えるように構成された酸素モニタをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記極低温貯蔵システムの運転データを収集し、傾向のために前記運転データを分析し、特定された状態に応じてユーザに通知を伝えるように構成されたクラウドプラットフォームをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
差圧ベースのレベル測定システムからデータを収集するステップと、
前記差圧ベースのレベル測定システムからの前記データに基づいて貯蔵容器内の極低温流体の第1のレベルを判断するステップと、
サーミスタベースのレベル測定システムからデータを収集するステップと、
前記サーミスタベースのレベル測定システムからの前記データに基づいて前記貯蔵容器内の極低温流体の第2のレベルを判断するステップと、
極低温流体の前記第1のレベル及び前記第2のレベルに少なくとも部分的に基づいて前記貯蔵容器のための充填動作を制御するステップと、
を含む、極低温貯蔵システムのための方法。
【請求項15】
極低温流体の前記第1のレベル及び前記第2のレベルに基づいてアラームをトリガするステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のレベルと前記第2のレベルとを比較するステップと、
検証パラメータにしたがって前記第1のレベル及び前記第2のレベルが一致するかを判断するステップと、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記検証パラメータは、前記第1及び第2のレベルの一致を判断する許容範囲にある、前記第1のレベルと前記第2のレベルとの間の不一致の閾値レベルを特定する、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記サーミスタベースのレベル測定システムは前記一連のサーミスタを備え、
前記サーミスタベースのレベル測定システムから収集されたデータは、前記一連のサーミスタの各々のサーミスタの抵抗値を含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記一連のサーミスタの各々のサーミスタの前記抵抗値が無効なシナリオを特定するかを判断するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項20】
システムであって、
極低温度を前記貯蔵チャンバにもたらすために極低温液体を含むように構成された貯蔵チャンバを有する極低温貯蔵容器と、
前記貯蔵チャンバ内の前記極低温流体の第1のレベルの測定値を判断するように構成された差圧ベースのレベル測定システムと、
前記貯蔵チャンバ内の前記極低温流体の第2のレベルの測定値を判断するように構成されたサーミスタベースのレベル測定システムと、
前記極低温貯蔵容器のための極低温液体の供給を貯蔵する供給コンテナであって、前記供給コンテナに貯蔵された流体のレベルを測定するように構成されたレベルセンサを有する供給コンテナと、
前記極低温貯蔵容器の真空ポートに接続され、前記極低温貯蔵容器の真空完全性を測定するように構成された真空測定装置と、
前記極低温貯蔵容器近傍の酸素レベルを測定するように構成された酸素モニタと、
前記差圧ベースのレベル測定システム、前記サーミスタベースのレベル測定システム、前記供給コンテナの前記レベルセンサ、前記真空測定装置及び前記酸素モニタからデータを収集するように構成されたコントローラであって、収集したデータに基づいて制御を実行するコントローラと、
前記システムの運転データを収集し、傾向のために前記運転データを分析し、特定された状態に応じてユーザに通知を伝えるように構成されたクラウドシステムと、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/566,900号に基づいて優先権及びその利益を主張するものであって、その全ての開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、極低温貯蔵容器に関し、特に、貯蔵容器の改良された運転及び維持を容易にするためのセンサシステム、制御システム及びクラウド型プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0003】
電子制御システムを備えた液体窒素冷凍庫は、自動的な充填操作を提供する。典型的な動作には、コントローラ内に確立された充填開始(START FILL)パラメータ及び充填停止(STOP FILL)パラメータが含まれる。冷凍庫内の液体窒素(LN)の液位(レベル)が充填開始パラメータにより設定された液位を下回ると、コントローラは、極低温電磁弁を開いて、LNを冷凍庫内に流入させる。冷凍庫内の液体窒素(LN)の充填停止が充填停止パラメータにより設定された液位に達すると、コントローラは極低温電磁弁を閉じて、冷凍庫へのLNの流れを停止させる。この制御方法は、一般に、冷凍庫内のLNの液位を許容可能な範囲内に維持して、許容可能な温度で冷凍庫内の物品を貯蔵する。この制御方法は、一貫して正確な液位の読取値をコントローラに提供するレベルセンサに依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のシステムの不利益は、前記制御方法に関する単一の故障点に集中している。特に、レベルセンサの不具合には特有のリスクが伴う。このような不具合により、コントローラが許容可能なLNの液位を維持することができなくなる。既存のシステムにより温度などの他のパラメータをモニタし、問題が発生したときにローカルアラームを発報することができるが、レベルセンサに関する単一の故障点はシステム全体の信頼性を低下させる。
【0005】
液体窒素冷凍庫は、容器の内壁と外壁との間に真空・多層断熱材(MLI)を有する二重壁容器である。この構造は、伝導、対流及び/又は放射を介して容器に伝わる熱に対して効果的な障壁をもたす。したがって、容器が、極めて低い温度で製品を貯蔵するのに適したものとなる。しかし、従来の液体窒素冷凍庫は、一旦使用されると、冷凍庫の真空完全性を測定して伝達することができないことに関する特有の動作リスクを有する。典型的な測定技術は、標準蒸発率(NER)とも呼ばれ、冷凍庫を特定量のLNで充填すること及び冷凍庫を計量することを含む。所定の試験期間に亘り、冷凍庫は、間隔をおいて繰り返し計量される。冷凍庫の重量は、LNの蒸発によって時間とともに変化する。蒸発率は、真空完全性のための代理測の定値である。
【0006】
液体窒素冷凍庫は、極低温を維持するため、冷媒としてLNを使用する。LNは、供給シリンダ、マイクロバルクタンク及びバルクタンクなどの様々な容器によって供給される。しかし、大多数の冷凍庫では、約160〜240リットルの体積を有する供給シリンダによって供給される。供給シリンダにおけるLNの液位は、典型的には、供給シリンダ内のフロート機構に接続されたゲージを視認することにより手動で決定されるか又はシリンダを振って重量を決定する。従来は、液体窒素冷凍庫を適切な供給量に維持することを保証するため、標準的な操作手順及び供給スケジュールに依存していた。
【0007】
さらに、液体窒素冷凍庫は、充填動作中に窒素(N)ガスを生成する。これは、LNの冷温配管アセンブリからの蒸発及び冷凍庫内のLNの低温液溜まりに流入する温かい混合相のNからの蒸発に起因して発生する。窒素ガスは酸素を置換する。このため、充填されている冷凍庫の近傍にいる人にとって潜在的に危険な環境が作り出される。閉鎖空間における冷凍庫は、さらに大きな危険性をもたらす。
【0008】
さらに、いくつかの液体窒素冷凍庫は、例えば、温度、液位及びアラーム状態などの冷凍庫の運転データを収集する。運転データは、通常、冷凍庫に設置された制御盤上のメモリに記憶される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書において、例示的であり非限定的な実施例の種々の態様の基本的又は全般的な理解を可能にするため、簡略化された発明の概要を記載し、その後、詳細な説明を記載し、図面を添付する。しかし、概要は、広範又は包括的な概説を意図するものではない。概要の唯一の目的は、以下に述べる種々の実施例のより詳細な記載の前提として、例示的であり非限定的な実施例に関する概念を簡略化した形で提示することである。
【0010】
種々の非限定的な実施例において、物品の貯蔵に適した極低温度を提供するために、極低温液体を含むように構成された貯蔵容器を含む極低温貯蔵システムが提供される。さらに、前記システムは、貯蔵容器内における極低温液体の液位の冗長(重複)測定を提供するように構成された二層レベル測定システムを有する。さらに、システムは、二層レベル測定システムからレベル測定値を取得し、少なくとも部分的にレベル測定値に基づいて貯蔵容器の充填動作を制御するように構成されたコントローラを有する。
【0011】
本発明の上記及び他の特徴は、図面、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することにより明らかになるであろう。
【0012】
本発明は、ある特定の構成部分及び構成部分の配置について物理的な形式をとるものであり、好ましい実施例を明細書に詳細に説明するとともに、その一部を形成する添付の図面に示す。以下のようなものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一つ又は複数の態様による例示的であり非限定的な極低温貯蔵システムのブロック図を示している。
図2図2は、図1に示した極低温貯蔵システムのコントローラの例示的であり非限定的な実施例を示している。
図3図3は、種々の態様による極低温貯蔵システムのための差圧システムの例示的であり非限定的な実施例を示している。
図4図4は、一つ又は複数の態様による極低温貯蔵システムのためのサーミスタベースシステムの例示的であり非限定的な実施例を示している。
図5図5は、種々の態様による極低温貯蔵システムのためのサーミスタベースシステムの例示的であり非限定的な実施例を示している。
図6図6は、極低温貯蔵システムに関連した真空モニタの例示的であり非限定的な実施例を示している。
図7図7は、一つ又は複数の態様によるシステム通信の例示的であり非限定的な実施例を示している。
図8図8は、一つ又は複数の態様によるレベル検知システムを有する供給容器の例示的であり非限定的な実施例を示している。
図9図9は、例示的であり非限定的な酸素モニタを示している。
図10図10は、種々の態様による極低温貯蔵システムを制御するための例示的であり非限定的な実施例のフローチャートである。
図11図11は、極低温貯蔵システムにおけるレベル測定を用いた例示的であり非限定的な実施例のフローチャートである。
図12図12は、一つ又は複数の態様によるサーミスタベースのレベル検知システムを用いた例示的であり非限定的な実施例のフローチャートである。
図13図13は、レベル測定を自動的に検証するための例示的であり非限定的な方法のフローチャートである。
図14図14は、クラウド型プラットフォームのダッシュボードディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
図15図15は、クラウド型プラットフォームの履歴ディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
図16図16は、クラウド型プラットフォームのグラフディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
図17図17は、クラウド型プラットフォームの通知ディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
図18図18は、酸素モニタとの一体化を示すクラウド型プラットフォームのディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
図19図19は、本明細書に記載の種々の実施例を実装可能な、クラウド又はインターネットをベースとした例示的であり非限定的なネットワーク環境を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
液体窒素(LN)冷凍庫において、適切な温度を維持することは、貯蔵された製品(例えば、サンプル)の安全性及び生存能力にとって重要である。サンプルの安全性及びユーザの安全性は、単一の故障点に関するリスクを軽減するためのLN冷凍庫と共に又は個別に様々な技術を適用することによって大幅に向上する。これらの技術には、二重レベル検知システムの利用、真空完全性及び温度に関するデータの取得、供給シリンダとの通信、酸素レベルに関する情報の取得、及び、分析を行い高度な通知システムを可能にするクラウド型プラットフォームに対する運転データの伝送が含まれる。
【0015】
二重レベル検知システムは、従来のレベル測定システム(例えば、単一の差圧(DP)センサ、負の温度係数(NTC)熱抵抗器又はサーミスタ、静電容量プローブ、超伝導抵抗測定及び/又はロードセル)の全ての利点を含む、強化されたLNのレベル(液位)測定を提供する。さらに、二重レベル検知システムは、結果を裏付けるために冗長な形態でレベル測定を提供する。一例では、二重レベル検知システムは、差圧(DP)センサを有する第1のレベル検知システムと、容器における別個のセンサチューブに配置された一連のNTCサーミスタを有する第2のレベル検知システムと、を含む。
【0016】
この差圧レベル測定システムは、2つのチューブを有する。当該チューブは、容器の上端部を始端とし、環状の空間(例えば、容器の内壁と外壁との間)を通り、LNが存在する容器の内部チャンバ内に延びている。差圧センサの高圧ポートは、内部チャンバの下端部で終端する第1のチューブに接続される。容器内のLNは、第1のチューブ内に捕捉されたNガスを押圧する。容器内に存在するLNが多いほど、第1のチューブ内に補足されたNガスに対する押圧が強くなり、そのため圧力が増す。この圧力が測定され、差圧測定における高圧側を表す。差圧センサの低圧ポートは、LNの液溜まりの上方における内部チャンバの上端部で終端する第2のチューブに接続される。高圧ポートと低圧ポートとの間に維持される差は、容器における液体窒素のレベル(液位)を判断するために使用される。蒸発による容器内の圧力の増加は、高圧ポートと低圧ポートの双方によって測定され、これは方程式の両側におけるこの現象を効果的に打ち消す。高圧の測定値及び低圧の測定値は、差圧をレベルとして読み取るコントローラに伝えられる。
【0017】
サーミスタベースのレベル測定システムは、回路基板の長さに沿った特定の場所においてプリント回路基板に取り付けられた一連のサーミスタを含む。回路基板は、容器の上端部を始端として、環状の空間を通って下方に向い、LNが存在する容器の内部チャンバ内に延びチューブに取り付けられる。チューブは、2点において内部チャンバへの入口点を有する。第1の点は、LNがチューブ内に流入することを可能にし、容器内におけるLNのレベル(液位)との平衡を実現するように容器の底部に近接している。第2の入口点は、LNの液溜まりの上方における内部チャンバの上端部に配置され得る。2つの入口により、レベルの平衡が実現される。すなわち、LNがチューブの底部に流入し、上方に移動すると、チューブ内のLNの上方におけるガスポケットは、第2の入口点を通って容器内に押し戻される。これは、チューブへのLNの流れを妨げるガストラップを排除する。
【0018】
サーミスタベースのレベル測定システムは、信号をコントローラに送るように回路基板に接続されたケーブルを含む。さらに、前記システムは、センサチューブに接続し、ケーブルを固定するためのコードグリップを収容するためのチューブ・パイプ取付具を含む。また、この取付具は、氷の形成を促進する可能性のある空気の流れに対してチューブの頂部をシールする。コントローラは、受信したサーミスタ信号に基づいてレベルを判断する。
【0019】
極低温貯蔵システムの動作寿命に亘る真空完全性をモニタすることは、傾向分析における使用に適したより正確でより頻繁な読み取りを提供するとともに、NER試験の利点を包含する。このように、一態様によれば、真空測定システムは、真空引きが行われるプラグに設置される。システムからの測定値は、コントローラ及び/又はクラウド型プラットフォームに伝送される。
【0020】
さらに別の態様によれば、供給シリンダにおけるLNのレベル(液位)が測定され、極低温貯蔵システムのコントローラ、オペレータ及びLNのディストリビュータに送られる。供給シリンダモニタは、極低温貯蔵システムの動作のため、LNの適切な供給が可能であることを保証するように正確な供給情報を提供する。一例では、LNのレベルを測定するため、容量性プローブが供給シリンダ内に配置される。そのデータは、極低温貯蔵システムのコントローラ、オペレータ、ディストリビュータに伝送される。LNの供給が低いと検出された場合、コントローラは、LNを一定に保つように動作を調整する。さらに、修復動作をトリガするようにオペレータに通知され、付加的なLNの即時の供給を実行するようにディストリビュータに通知される。
【0021】
また別の態様では、極低温貯蔵システムが配置された部屋に酸素モニタが配置される。モニタは、酸素レベルを測定し、この情報を極低温貯蔵システム及び/又はクラウド型プラットフォームに伝送する。貯蔵容器の近傍で低酸素レベルが検出されると、極低温貯蔵システムは充填動作を一時的に停止する。クラウド型プラットフォームは、低酸素レベルの報告を受けると、適切な酸素レベルとなるまで安全策としてオペレータに通知する。
【0022】
さらに、本明細書に開示するクラウド型プラットフォームは、略無限のデータ記憶容量、記憶冗長性、グローバルなアクセス可能性、アラームのための迅速な通知、分析及びリモートトラブルシューティング能力による付加的な改善とともに、上述した従来のデータロギングの利点を提供する。一例によれば、極低温貯蔵システムのローカルコミュニケーションネットワークは、クラウド型プラットフォームにデータを送信するように、他のコミュニケーションネットワーク(すなわち、インターネット又は他のTCP/IPネットワーク)とインタフェースで接続することができる。データは、温度、LNのレベル(液位)、酸素レベルなどを含み、安全な伝送のため暗号化される。温度及び流体レベルは、設定可能な間隔で定期的(例えば、X分毎)に送信される。一方、変化が検出されると、他のパラメータがクラウドに送信される。アラームは、重要なデータの収集及び伝送をトリガする。
【0023】
一態様よれば、クラウド型プラットフォームは、接続されている全ての装備及び視認できる簡略化された装備の状態を示すダッシュボードを提供する。クラウド型プラットフォームの履歴表示は、システムの詳細な運転データを提供する。グラフ表示は、オペレータに対して液位及び温度を可視化する。クラウド型プラットフォームの通知表示は、通知トリガ、受信部及び他の設定のカスタマイズを可能にする。
【0024】
本明細書において、上述しさらに以下により詳細に説明するように、極低温貯蔵システムのための改善されたLNのレベル(液位)の測定を行うシステム及び方法を開示する。レベルセンサシステムは、一次センサが故障した場合に、二次センサを利用して冷凍庫におけるLNのレベルをモニタし、レベルの制御を容易にする冗長性をもたらす。冗長性を有する、つまり二重のセンサシステムは、レベル検知に関する単一の故障点を排除し、サンプル温度の上昇を引き起こすセンサの故障の危険性を低減させることによって、サンプルの安全性を向上させる。冗長センサシステムは、冗長アラームポイントとして使用可能な測定値の離散点を提供するサーミスタベースシステムを含む。例えば、既知の高さにおける離散センサの値を、一次(差圧ベース)センサシステムの読取値と比較して、レベル読取値を検証することができる。差圧センサシステムからのデータは、充填動作中の蒸発による圧力スパイクの読取値を取り消すように使用される。
【0025】
さらに、本明細書に記載したシステム及び方法は、極低温貯蔵システムの予測耐用年数に亘って真空完全性の測定及びモニタリングを提供する。真空完全性の測定値は、極低温貯蔵容器の傾向を判断しかつ/又は予想される寿命末期(EOL)を予測するように、記憶され、分析される。真空完全性の測定値は、サンプルの安全性を向上させるため、温度及び充填頻度などの他のパラメータとともに分析される。
【0026】
また、本明細書に記載のシステム及び方法は、供給シリンダのレベル測定を提供する。この情報は、極低温貯蔵システムの動作を修正してLNを一定に保つためにコントローラに送信される。また、この情報は、LNのタイムリーな供給を可能にするようにガス供給者(ディストリビュータ)に伝送されるとともに、組織内の効率的な流通を改善するように企業に伝送される。また、この情報により、ディストリビュータは、不具合を起こした供給シリンダを特定し、修理のため供給シリンダをサービスから外すことができる。
【0027】
酸素のモニタリングにより、酸素レベル情報をコントローラに伝送することができ、酸素レベルが安全なレベルまで上昇するように充填動作を一時的に停止することができる。酸素レベルが回復するまで、危険な場所を避けるように担当者に通知を行ってもよい。
【0028】
前述しかつ後述するように、クラウド型プラットフォームは、運転データを収集し、データに関する分析を行い、運転上の問題を示す傾向を特定する。クラウドにおける情報収集及び記憶を通じて、極低温貯蔵システム及び貯蔵容器内に貯蔵された製品のリアルタイムの状態を把握することができる。履歴データは傾向を判断するように分析される。データのグラフを生成して、主要なパラメータが視覚化される。さらに、クラウド型プラットフォームは、全てのパラメータの完全な情報及びエラーのリアルタイムな通知を行う通知システムを提供する。アラーム、備品(設備)、受取人及び時間ブロックについて、通知をカスタマイズすることができる。
【0029】
一実施例では、極低温貯蔵システムについて説明する。前記システムは、貯蔵チャンバを有する貯蔵容器を有する。貯蔵容器は、物品の極低温貯蔵に適した貯蔵チャンバ内に極低温度を提供するため極低温液体を含むように構成されている。さらに、前記システムは、貯蔵容器内の極低温液体のレベル(液位)の冗長(重複)測定を行うように構成された二層レベル測定システムを有する。さらに、前記システムは、コントローラを有する。コントローラは、二層レベル測定システムからレベル測定値を取得するとともに、少なくとも部分的にレベル測定値に基づいて貯蔵容器の充填動作を制御するように構成されている。
【0030】
例えば、二層レベル測定システムは、差圧ベースのレベル測定システムを有する。差圧ベースのレベル測定システムは、極低温液体のレベルより下方の点において貯蔵容器の貯蔵チャンバに入る第1のチューブと、極低温液体のレベルより上方の点において貯蔵チャンバに入る第2のチューブと、を有する。第1のチューブは高圧測定を提供し、第2のチューブは低圧測定を提供する。さらに、コントローラは、貯蔵容器内の極低温液体のレベルを判断するために、高圧測定値及び低圧測定値を分析するように構成することができる。別の例では、二層レベル測定システムは、サーミスタベースのレベル測定システムを有する。サーミスタベースのレベル測定システムは、極低温液体のレベルより下方の点における貯蔵容器の貯蔵チャンバに対する第1の貫通部及び極低温液体のレベル(液位)より上方の点における第2の貫通部を有するチューブと、チューブ内に設けられ一連のサーミスタを含む回路基板と、を有する。一連のサーミスタにおけるサーミスタは、特定のレベルに対応する離散点において回路基板に配置される。特定のレベルは、低アラームレベル、充填開始レベル、充填停止レベル及び高アラームレベルを含む。さらに、サーミスタベースのレベル測定システムは、サーミスタからコントローラへ信号を伝達するためのケーブルを含む。さらに、コントローラは、貯蔵容器内の極低温液体のレベルを判断するために、一連のサーミスタの各々の抵抗を判断するように構成されている。
【0031】
他の例では、前記システムは、貯蔵容器に供給される極低温流体を貯蔵する貯蔵コンテナを有する。貯蔵コンテナは、貯蔵コンテナに貯蔵された流体のレベルをコントローラに伝達するように構成されたレベルセンサを有する。前記システムはまた、貯蔵容器の真空ポートに接続され、貯蔵容器の真空完全性を測定するように構成された真空測定装置を含む。また、前記システムは、酸素モニタを有する。酸素モニタは、貯蔵容器近傍の酸素レベルを測定し、酸素レベルをコントローラに伝達するように構成されている。さらに、前記システムは、クラウドプラットフォームを有する。クラウドプラットフォームは、極低温貯蔵システムの運転データを収集し、傾向のために運転データを分析し、特定された状況に対応してユーザに通知を伝えるように構成されている。
【0032】
他の実施例では、極低温貯蔵システムのための方法について説明する。この方法は、差圧ベースのレベル測定システムからデータを収集することを含む。この方法は、差圧ベースのレベル測定システムからのデータに基づいて、貯蔵容器における第1のレベルの極低温流体を判断することをさらに含む。また、この方法は、サーミスタベースのレベル測定システムからデータを収集すること、及び、サーミスタベースのレベル測定システムからのデータに基づいて、貯蔵容器における第2のレベルの極低温流体を判断すること、を含む。さらに、前記方法は、第1及び第2のレベルの極低温流体に少なくとも部分的に基づいて、貯蔵容器のための充填動作を制御することを含む。
【0033】
一実施例では、前記方法は、第1及び第2のレベルの極低温流体に基づいてアラームをトリガすることを含む。さらに、この方法は、第1のレベルと第2のレベルとを比較すること、検証パラメータに従って第1レベルと第2レベルが一致することを確認すること、を含む。検証パラメータは、第1のレベルと第2のレベルとの間の不一致の閾値レベルを特定する。閾値レベルは、第1及び第2のレベルの一致を判断する許容範囲にある。別の例では、サーミスタベースのレベル測定システムは、一連のサーミスタを有する。サーミスタベースのレベル測定システムから収集されたデータは、一連のサーミスタの各サーミスタの抵抗値を含む。したがって、前記方法は、一連のサーミスタの各サーミスタの抵抗値が無効なシナリオ(invalid scenario)を特定するか否かを判断することを含む。
【0034】
また別の実施例では、システムが提供される。このシステムは、貯蔵チャンバ内に極低温度を提供するために極低温流体を含むように構成された貯蔵チャンバを有する極低温貯蔵容器を備える。前記システムは、貯蔵チャンバ内の極低温流体の第1のレベルの測定値を判断するよう構成された差圧ベースのレベル測定システムを備える。さらに、前記システムは、貯蔵チャンバ内の極低温流体の第2のレベルの測定値を判断するように構成されたサーミスタベースのレベル測定システムを備える。前記システムは、極低温貯蔵容器に供給される極低温流体を貯蔵する供給コンテナを備える。供給コンテナは、貯蔵コンテナに貯蔵された流体のレベルを測定するように構成されたレベルセンサを有する。さらに、前記システムは、真空測定装置を備える。真空測定装置は、極低温貯蔵容器の真空ポートに接続され、かつ極低温貯蔵容器の真空完全性を測定するように構成されている。さらに、前記システムは、極低温貯蔵容器近傍における酸素レベルを測定するように構成された酸素モニタを備える。さらに別の態様では、前記システムは、差圧ベースのレベル測定システム、サーミスタベースのレベル測定システム、供給コンテナのレベルセンサ、真空測定装置及び酸素モニタレベルセンサからデータを取得するように構成されたコントローラを備える。前記コントローラは、取得したデータに基づいた制御を実行する。さらに、前記システムは、クラウドシステムを備える。このクラウドシステムは、システムの運転データを収集し、傾向のために運転データを分析し、特定された状況に対応してユーザに通知を伝達するように構成されている。
【0035】
本明細書において提供するシステム及び方法の前記及び他の利点は、当業者に明らかになるであろう。
【0036】
図面を参照すると、図面において同様の参照符号は、同一又は対応する部分を示す。同様の構成要素を異なる図に含めることは、ある実施例が必ずしもそのような構成要素を含むことを意味するものではなく、また、全ての実施例がそのような構成要素を含むことを意味するものではない。実施例及び図面は、例示的なもの過ぎず、発明を限定するものではない。発明は、特許請求の範囲の範囲及び精神によって決定されるものである。さらに、図面は、縮尺通りに特徴部分を描写しないことがあることを理解されたい。本明細書に開示するものと同様の圧力容器の特定の設計上の特徴、例えば、特定の寸法、向き、位置及び/又は形状等は、通常、部分的に特定の用途及び/又は使用環境によって決定される。図面は、視覚化を容易にするため特定の特徴を拡大又は誇張している場合がある。
【0037】
図1は、例示的であり非限定的な極低温貯蔵システム100の実施例を示している。システム100は、極低温でサンプル又は他の製品を貯蔵(保存)するように構成された冷凍庫又は貯蔵容器102を有する。例えば、貯蔵容器102は、液体窒素(LN)又は他の極低温流体の液溜まりを含む。貯蔵容器102は、蒸発損失及び他の要因のために必要とされるLNで貯蔵容器102を定期的に満たすために、配管システム106を介して供給コンテナ104に接続されている。さらに、貯蔵容器102及び供給コンテナ104は、貯蔵システム100の動作を制御するように構成された制御システム110と通信的に接続されている。例えば、制御システム110は、貯蔵容器102及び/又は供給コンテナ104に接続された様々なセンサからデータを収集することができ、収集したデータを分析して、アクションを実行するか否かを判断し、必要なアクションを実行する。アクチュエータの実行は、例えば、供給コンテナ104から貯蔵容器102へのLNの流れを許容するため開弁するようにバルブに信号を送ること(すなわち、充填動作)を含む。他のアクションは、システム状態に基づいて視覚的及び聴覚的なアラームをトリガすること、様々な受信者(受信部)にデータを送信すること、システム状態に基づいて基準動作サイクルを調整すること、又は、貯蔵システム100の動作に関する任意の他のアクションを含むことができるが、これらに限定されない。
【0038】
一態様によれば、制御システム110は、貯蔵システム100の動作を増進させるとともに、製品及びオペレータの安全性を向上させるため、種々のセンサ、モニタリング、分析システムを統合するように構成されている。二重LNレベル測定システムは、貯蔵容器102における正確な確認されたLNのレベル(液位)を判断するための冗長レベル測定を提供する。二重レベル検知システムは、差圧システム112及びサーミスタシステム114によって実行される。差圧システム112は、貯蔵容器102内の異なる領域から、高圧測定値及び低圧測定値を取得する。2つの測定値の差に基づいて、LNのレベルが判断される。判断されたレベルは、サーミスタシステム114によって確認される。サーミスタシステム114は、貯蔵容器102内の異なる位置に配置された一連のサーミスタから読取値を得る。一連のサーミスタから得られる読取値のパターンは、LNのレベルを示す。制御システム110は、LNのレベルを利用して、構成されたパラメータ(すなわち、充填開始及び充填停止)に従って充填動作を開始又は停止する。
【0039】
供給レベルシステム116は、供給コンテナ104において利用可能なLNのレベル(液位)の測定を促進する。例えば、容量性プローブ又は他の測定装置は、供給コンテナ104内のLNのレベルを示す情報を生成する。制御システム110は、供給コンテナ104が交換されるまで、低レベルに応答して保存(維持)措置を開始する。例えば、制御システム110は、貯蔵容器102の温度を許容範囲内に維持しながら、充填頻度を減少させ(すなわち、充填の間隔を増加させ)、供給を引き伸ばす。
【0040】
貯蔵容器102は、容器の内壁と外壁との間に配置された真空多層断熱材(MLI)を有する二重壁容器であってもよい。内壁は、極低温で保存されるサンプル又は他の製品を収容する内部チャンバを画定する。真空完全性は、蒸発速度に関連し、したがって、所望温度を維持するため、貯蔵容器102がどのくらいの頻度で充填を必要とし、どのくらいの量のLNが充填動作中に消費されるかということに関連している。システム100は、真空を測定する真空測定システム118を備える。真空測定システム118は、傾向の分析に適したデータを提供する。
【0041】
酸素レベル測定システム120は、貯蔵容器102の近傍に配置された酸素モニタを備える。酸素モニタは、前記領域における酸素レベルを測定し、充填動作により酸素が過剰に置換されたときを判断するように、前記情報を制御システム110に提供する。制御システム110は、酸素レベルが安全なレベルに戻るまで、一時的に充填動作を停止する。
【0042】
図1に示すように、制御システム110は、制御システム110(及びこれに関連付けられたモニタ及びセンサ)をインターネット、LAN又は他のTCP/IPネットワークなどのコミュニケーションネットワークに接続するインタフェースを有する。例えば、インタフェースは、通知能力、冗長なデータストレージ及びトレンド分析機能を提供するクラウドシステム122に制御システム110を通信可能に接続する。さらに、制御システム110は、コントローラ130(例えば、マイクロプロセッサベースのコントローラ)を備える。コントローラ130は、図1に示したセンサシステムからデータを取得し、クラウドシステム122と通信し、極低温貯蔵システム100の動作制御を行う。
【0043】
前記の説明は、種々の実施例による極低温貯蔵システムの態様の概要である。極低温貯蔵システムをそれぞれ向上させ、組み合わせたときに貯蔵システムの能力及び作動効率を相乗的に向上させる特徴について以下に具体的に説明する。
【0044】
図2は、例示的であり非限定的なコントローラ130の実施例を示す概略的なブロック図である。図2に示すように、コントローラ130は、コンピュータで実行可能な命令206を実行するように構成された一つ又は複数のプロセッサ202を有する。命令206は、極低温貯蔵システムのための制御、データ収集及び通信処理を構成する命令などである。そのようなコンピュータで実行可能な命令206は、メモリ204などの持続性のコンピュータ可読記憶媒体を含む一つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。例えば、メモリ204は、命令206、設定208(例えば、構成設定、パラメータ設定、充填レベル設定点(すなわち、充填開始、充填停止)等)及び/又はデータ210(例えば、動作データ、履歴データ、流体レベルデータ、酸素レベルデータ、温度データ等)を永続的に記憶するための不揮発性記憶装置を含む。また、メモリ204は、プロセッサ202による実行中に、命令206、他のデータ(作業データ又は変数)もしくはそれらの一部を記憶する揮発性記憶装置を含む。
【0045】
コントローラ130は、通信インタフェース212を含む。通信インタフェース212は、インターネット又は他のコミュニケーションネットワークを介して、種々の遠隔システム、例えば、クラウドシステム122、クライアントデバイス、他のコントローラ、インターネットに接続可能なデバイス(例えば、IoTセンサ)(これに限定されない)にコントローラ130を接続する。通信インタフェース212は、WiFi(登録商標)インタフェース、イーサネットインタフェース、ブルートゥース(登録商標)インタフェース、光ファイバーインタフェース、携帯無線インタフェース、衛星インタフェースなどを含む(これらに限定されない)有線又は無線のインタフェースである。上述のように、通信インタフェース212は、極低温貯蔵システムと共同して配置されたローカルエリアネットワークを介してクラウドシステム及び/又は他のデバイスと通信するように構成される。このようにして確立された通信設定は、メモリ204に記憶される。
【0046】
また、コントローラ130を極低温貯蔵システム100の様々な構成要素と接続するコンポーネントインタフェース214が提供される。例えば、コンポーネントインタフェース214は、差圧システム112、サーミスタシステム114、供給レベルシステム116、真空測定システム118、酸素レベル測定システム120等のセンサシステムにコントローラ130を接続する。また、コンポーネントインタフェース214は、極低温貯蔵システム100を制御するため起動又は操作されるバルブやスイッチ等の種々のデバイス(装置)にコントローラ130を接続してもよい。したがって、コンポーネントインタフェース214は、さらにプロセッサ202、メモリ204等に接続されるコントローラ130の内部バス又は回路基板に複数の電気接続を含む。さらに、コンポーネントインタフェース214は、USBインタフェース、シリアルインタフェース、WiFiインタフェース、近距離RFインタフェース(ブルートゥース(登録商標))、赤外線インタフェース、近距離無線通信(NFC)インタフェース等の種々の有線又は無線のインタフェースを実装するが、これに限定されない。
【0047】
次に図3を参照すると、図3は、極低温貯蔵システムのための差圧システムの例示的であり非限定的な実施例を図示している。特に、図3は、前記貯蔵容器102と類似した貯蔵容器300に接続されるか又は関連した差圧システムの部分を図示している。差圧システムは、容器300の上端部を貫通し、下方へと延びる2つのチューブを含む。高圧チューブである第1のチューブ302は、容器300の垂直方向の高さに沿って、容器300の環状の空間306を通って容器300の下端部まで延びている。環状の空間は、容器300の外壁と内壁との間に存在する。第1のチューブ302は、限定的なLNの蒸発を促進するために熱がチューブに伝わることを可能にするように容器300の外壁の近傍まで延びていてもよい。蒸発により、ガストラップ308を形成する窒素ガスが生じる。一方、液体窒素は、第1のチューブ302の底部310付近に留まる。容器300の下端部において、第1のチューブ302は、容器300内の液体窒素のレベル(液位)の下方の点において内部チャンバの壁部を貫通している。この点における貫通により、液体窒素が第1のチューブ302に流入することが可能となる。低圧チューブである第2のチューブ304は、相対的に長さが短く、容器300内の液体窒素の液溜まりの上方の位置において内部チャンバを貫通している。
【0048】
容器300内の液体窒素は、測定可能な第1の圧力(例えば、高圧)をもたらすように、第1のチューブ302におけるガストラップ308を押す。より多くのLNが容器300に導入されている場合、より強くガストラップ308を押す。第2のチューブ304は、液体窒素の液溜まりの上方における圧力に対応する、測定可能な第2の圧力をもたらす。静止状態又は容器300の蓋が開いているとき、第2の圧力は大気圧に近づく。充填動作中、液体窒素は貯蔵コンテナ(例えば、供給コンテナ104)から容器300に移動する。液体窒素が移動すると、液体窒素により容器300の充填ライン及び配管アセンブリ(図示せず)が冷却される。この冷却プロセスにより、液体と気体の両方からなる混合相の窒素が生成される。充填動作中に混合相の窒素が容器300に流入すると、混合相の窒素が容器300内の液体窒素の液溜まりに衝突し、より多くの蒸発が生じる。液体窒素は1:696の比率で膨張するので、容器300内の圧力が増加する。しかし、容器300における圧力の増加は、容器300の高圧チューブ302及び低圧チューブ304の双方で測定されるため取り消される。つまり、充填動作中の圧力の増加は、図3に示す差圧システムによるレベル測定には影響しない。
【0049】
図3に示すように、高圧つまり第1のチューブ302は、容器300の上端部の外側に露出した部分に、有刺(バーブ)継手を有する。有刺継手は第1のタイゴンチューブ312に接続される。第1のタイゴンチューブ312は、差圧トランスデューサの高圧ポートに関連したコントローラの有刺継手まで延びている。同様に、第2のチューブ304は、第2のタイゴンチューブ314に接続された有刺継手を有する。第2のタイゴンチューブ314は、差圧トランスデューサの低圧ポートに関連したコントローラの有刺継手まで延びている。コントローラは差圧を読み取り、容器300内の液体のレベル(液位)を判断する。
【0050】
図4を参照すると、図4は、極低温貯蔵システムのためのサーミスタベースのレベル測定システムの例示的であり非限定的な実施例を図示している。特に、図4は、前記貯蔵容器102に類似した貯蔵容器400に接続されているか又は関連するサーミスタベースのレベル測定システムを図示している。サーミスタベースのレベル測定システムは、負温度係数(NTC)サーミスタを有する。NTCサーミスタは、温度が低くなるにつれて大きな抵抗変化を示す熱抵抗器である。周囲温度では、例えば、NTCサーミスタは、約5〜12Ωの抵抗を有する。温度が低くなり、極低温に近づくにつれて、抵抗は約23〜38KΩとなる。
【0051】
本発明の一態様によれば、NTCサーミスタは、少なくとも4つのサーミスタが標準レベル制御の通常動作範囲内に位置するようにプリント回路基板(PCB)に設置される。すなわち、4つのサーミスタは、低レベルアラームパラメータ、充填開始パラメータ、充填停止パラメータ及び高レベルアラームパラメータに関連する位置(例えば、流体レベル)に対応している。他のサーミスタは、容器400の通常動作範囲全体に亘る複数の点におけるレベル測定を検証するため、PCBの垂直方向の高さの残部の全体に亘って等距離に配置される。
【0052】
図4を参照すると、サーミスタアセンブリ410は、容器400の上端部を貫通して下方に延びるチューブ402を有する。サーミスタアセンブリチューブと呼ばれるチューブ402は、外壁と内壁との間の環状空間を通って、容器400の垂直方向の高さに沿って、容器400の下端部にまで延びている。下端部では、チューブ402は、容器400の内壁を貫通して、液体窒素がチューブ402に流入するのに十分な点404において内部チャンバへと延びている。図4に示すように、チューブ402は、液体窒素の液溜まりの上方で内部チャンバを貫通する延長部を有するT字形接合部406を備える。容器400内の液体窒素のレベル(液位)が上昇するにつれて、より多くの液体が貫通点404においてチューブ402に流入する。チューブ402内の液体窒素は、容器400内の液体窒素の液位に対応するレベル408まで上昇する。T字形接合部406からの延長部は、ガスがチューブ402内に捕捉されるのを防止するとともに、チューブ402内のNガスが容器400の内部チャンバ内に押し戻される間に、液体がチューブ402に流入して上昇するのを可能にする。
【0053】
図5を参照すると、サーミスタアセンブリ312は、サーミスタ514の配設に対応するように構成された回路基板502を有する。回路基板502の上部には、サーミスタ514からコントローラ(上述の制御システム110など)に信号を送信するように接続されたケーブル504が設けられている。ケーブル504には継手が設けられている。この継手は、一方の側がチューブ圧縮継手506であり、他方の側がNPTパイプ継手508である。チューブ圧縮継手506は、T字形接合部306から容器300の外側に延びるチューブ302の一部510に亘って配置される。さらに、ケーブル504にコードグリップ512が設けられている。図5に示すように、回路基板502はチューブ302の底部に接するようにチューブ302に設けられている。コードグリップ512は、NPTパイプ継手508に取り付けられ、ケーブル504を所定位置に保持するように締め付けられている。コードグリップ512及びパイプ継手508は、凍結を防ぐために、チューブ302と外部環境との間にエアシールをもたらす。
【0054】
一態様によれば、ケーブル504は、例えば、丸型12ピンコネクタを介してコントローラに接続されている。コントローラは、サーミスタ514から信号を受け、サーミスタ514からの抵抗を読み取り、容器300中の液体窒素のレベル(液位)を判断する。サーミスタアセンブリ412は、コントローラ130などのコントローラと無線通信することができることを理解されたい。
【0055】
図6を参照すると、一態様による真空完全性モニタの例示的であり非限定的な実施例が示されている。容器600は、真空ポート602を有する。真空ポート602は、真空ポンプが容器600の内壁と外壁との間において真空引きを行うように接続された物理的な取付点である。真空測定装置604は真空ポート602に接続され、図1の制御システム110などのコントローラに真空に関する測定値を定期的に送信する。測定値は、例えば、コントローラからの要求に応じて送信される。一態様によれば、コントローラは、冗長な記憶及び分析のため、データをクラウド型プラットフォームに転送する。
【0056】
図7は、一態様によるシステム通信の例示的であり非限定的な実施例を示している。コミュニケーションバス702は、容器700に対応しており、種々のセンサ及び測定システムを制御システムに通信可能に接続している。例えば、前記システムは、コントローラ704、レベルセンサ706、クラウドプラットフォーム708及び真空測定装置710を含む。供給レベルシステム116や酸素レベル測定システム120などの別のシステムもコミュニケーションバス702に接続され得ることを理解されたい。バス702に接続された各構成要素は、バス702上の他の構成要素との接続及び通信を容易にするインタフェース712を含む。
【0057】
例えば、コミュニケーションバス702は、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスである。インタフェース712は、構成要素間に強固で安全な通信を提供するため、CANバスネットワークにクライオワイヤ(CRYOWIRE)セキュアプロトコルを実装するように構成される。このようにして、ピアツーピア通信方式を採用することができ、ネットワーク上の1つの装置の障害が他の装置の通信能力に影響を及ぼさないことを保証しつつ、多数の装置が全て規則正しく通信することが可能となる。したがって、コミュニケーションバス702にクライオワイヤセキュアプロトコルを実装する装置は、データをコントローラ704に送信することができるだけでなく、(例えば、TCP/IPインタフェースなどを介して)データをクラウドプラットフォーム708に直接送信することができる。
【0058】
図8は、レベル検知システムを備えた貯蔵コンテナ800の例示的であり非限定的な実施例を示している。図8に示すように、貯蔵コンテナ800は、液体窒素を貯蔵容器に送る充填動作を容易にするための充填ポート802を含む。貯蔵コンテナ800において使用可能な液体窒素のレベル(液位)806に関する情報を提供するために、静電容量プローブ804が貯蔵コンテナ800内に配置されている。前記プローブ804は、レベル806を示す信号をコントローラに送信する。また、圧力データを提供するために、貯蔵コンテナ800に圧力センサが接続されている。一実施例では、データは、上述のCANバスネットワークでの通信のために、クライオワイヤセキュアフォーマットに変換される。
【0059】
コントローラは、前記データを利用して、充填動作を開始するか、充填動作を停止するか又は供給を一定に保つかを判断する。例えば、レベル806が低ければ、コントローラは、充填動作を遅らせて、利用可能な供給を引き伸ばす。図1及び図7に示すように、必要に応じて新たな供給を提供するようにオペレータ及び/又はディストリビュータに送信する通知をトリガするため、データがクラウドプラットフォームに伝達される。
【0060】
図9を参照すると、例示的な酸素モニタ900が示されている。モニタ900は、酸素レベルを特定する情報をコントローラ又は他の装置に送信するように、酸素センサ902及び通信ポート904を含む。例えば、モニタ900は、バス702に接続されてもよく、コントローラ及び/又はクラウドプラットフォームに酸素の読取値を送信するため、クライオワイヤセキュアプロトコルを実装することができる。また、酸素モニタ900は、現在の測定酸素レベルを示すディスプレイ906を含む。
【0061】
図1の制御システム110のコントローラ130などのコントローラは、貯蔵容器(例えば、極低温冷凍庫)に接続されたときに、様々な制御機能を提供する。これらの機能には、容器内の液体窒素レベルの制御、意思決定のための差圧レベル測定システムからのデータの取得、意思決定を行うためのサーミスタベースのレベル測定システムからのデータの取得、意思決定を行うための真空ゲージからのデータの取得、意思決定を行うための供給シリンダからのデータの取得、意思決定を行うための酸素モニタからのデータの取得、収集したデータの保存、通常の状態から操作パラメータが変わったときのローカルアラームの発報、堅牢な通信の促進、クラウド型プラットフォームへのインタフェースの提供などが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
図10は、例示的であり非限定的な極低温貯蔵システムの制御方法を示している。符号1000において、(例えば、差圧ベース又はサーミスタベースの)レベル測定システム、供給レベル測定システム、酸素モニタシステム、真空モニタシステム、温度システムなどのシステムからデータを収集する。1002において、収集されたデータに部分的に基づいて極低温貯蔵システムの制御が行われる。例えば、充填動作は、収集されたデータの分析に基づいて開始又は停止されてもよく、アラームは、オペレータに危険な状態を警告するため起動されてもよく、通知が通信されてもよく、及び/又は、構成されたパラメータは、非標準動作状態(例えば、低供給レベル、電力の損失、過剰な蒸発など)を構成するように変更されてもよい。1004において、情報がクラウドシステムに伝えられる。該情報は、コンポーネントシステムから収集されたデータ、並びに極低温貯蔵システムのための他の運転データ又は履歴データを含む。
【0063】
図11は、極低温貯蔵システムにおけるレベル測定値を使用する例示的であり非限定的な方法のフローチャートを示している。1100において、差圧システムからデータが収集される。1102において、データが実際に収集されたか否かについての確認が行われる。NOである場合、方法は1104に進み、エラー状態が出力される。データが正常に収集された場合、方法はステップ1106に進み、サーミスタベースのシステムからデータが収集される。1108において、データが正常に収集されたか否か判断するための別の確認が行われる。NOである場合、エラー状態が出力される。YESである場合、方法は1110に進み、差圧システムから収集されたデータをサーミスタベースシステムから収集されたデータと比較して、各々測定されたレベルが一致するか否かが判断される。一致しない場合はエラーを出力する。一致する場合、方法は1112に進み、測定されたレベルに基づいてアクションが実行される。例えば、1114において、レベルに基づいて充填動作が開始又は停止される。1116において、レベルがアラーム状態に対応する場合、アラームがトリガされる。1118において、イベントをログに記録する。
【0064】
図12は、一つ又は複数の態様によるサーミスタベースのレベル検知システムを利用するための、例示的であり非限定的な方法のフローチャートを示している。1200において、サーミスタベースのセンサシステムからデータを収集する。1202において、データが実際に収集されたか否かについて確認を行う。NOの場合、方法は1204に進み、エラー状態を出力し、次に1206においてアラームをトリガする。データの収集が正常に行われた場合、方法はステップ1208に進み、サーミスタの状態を確認する。いずれかのサーミスタが動作していない(動作不能である)場合(1210)、エラーが出力され(1204)、アラームがトリガされる(1206)。しかし、全てのサーミスタが動作可能である場合、方法は1212に進み、サーミスタから収集されたデータが確認され、無効なシナリオが報告されているか否かを判断する。例えば、無効なシナリオは、サーミスタが、液体窒素を検出しない別のサーミスタよりも高い点で液体窒素の存在を報告するなど、一貫性のないデータを報告する状況を含むことができる。無効なシナリオが報告された場合、エラーが出力され(1204)、アラームがトリガされる(1206)。NOの場合、1214において、前記データが差圧システムにより提供された測定値と比較される。レベルが一致する場合、測定を検証し続けるために前記方法が繰り返される。レベルが一致しない場合、1216において、アラームがトリガされる。
【0065】
図11及び図12の方法では、レベルが一致するか否かの確認はオプションとして実行されることを理解されたい。例えば、本明細書における極低温貯蔵システムは、差圧ベースの測定システムだけ又はサーミスタベースの測定システムだけを実装してもよい。
【0066】
図13は、レベル測定値を自動的に検証するための、例示的であり非限定的な方法のフローチャートを示している。この方法は、1300において開始され、検証パラメータが確認される。一態様によれば、検証パラメータは、レベル一致が判定される条件を特定する。例えば、検証パラメータは、一致の判断に許容される不一致の閾値量を確立してもよい。1302において、差圧システムからデータが収集される。データが正常に収集されなかった場合、出力状態が出力され、アラームがトリガされる(1304,1306,1308)。データが正常に収集された場合、方法は1310に進み、サーミスタベースのシステムからデータが収集される。1312において、データが正常に収集されたか否かを判断する別の確認が行われる。NOである場合、エラーが出力され、アラームがトリガされる。YESの場合、方法は1314に進み、レベルが一致するか否かが確認される。この方法は、レベルが一致しないときに再開する。レベルが一致すると、1316においてデータがログに記録され、1318においてデータが検証パラメータと照合される。検証が依然として必要な場合、方法が再開される。必要でない場合、方法を終了する。
【0067】
クラウドプラットフォームは、データの冗長性を提供し、極低温貯蔵システムのデータへのアクセス性を向上させる。例えば、クラウドプラットフォームは、液体窒素冷凍庫からの運転データの収集、他の実験室における機器からの運転データの収集、液体窒素冷凍庫及び他の実験室機器に関するリアルタイムの運転状態の提供、監査のための履歴データの提供、傾向を判断するための履歴データの提供、データの完全なセットを視覚的に示すためのチャートの提供、状態又はアラーム状態に関する通知の様々なグループへの提供などの機能を提供することができるが、これらに限定されない。図14図16は、例示的であり非限定的なクラウドプラットフォームにより提供されるディスプレイの例示的なスクリーンショットを示している。特に、図14は、ダッシュボードディスプレイを示している。図15は履歴ディスプレイを示している。図16は、視覚データのグラフディスプレイを示している。図17は、通知のカスタマイズを可能にする通知ディスプレイを示している。図18は、クラウド型プラットフォームと酸素モニタの融合を示すディスプレイを図示している。
【0068】
当業者であれば、本明細書に記載した極低温貯蔵システム及び/又はクラウドシステムの種々の実施例が、クラウドなどの分散コンピューティング環境におけるコンピュータネットワークの一部として配置可能な、任意のコンピューティングデバイス、クライアントデバイス又はサーバデバイスと関連して実装可能であることを理解されるであろう。本明細書に記載した種々の実施例は、任意の数のメモリ又はストレージユニット、任意の数の処理ユニット及び任意の数のストレージユニット並びに処理ユニットにおける任意の数のアプリケーション及びプロセスを有する、実質的に任意のコンピュータシステム又はコンピューティング環境において実装することができる。これは、複数のコンピュータオブジェクト間で分散される物理的なコンピューティングデバイス(例えば、サーバ)、集約コンピューティング資源(すなわち、メモリ、永続的記憶装置、プロセッササイクル、ネットワーク回線容量など)を有するクラウド環境を含むが、これに限定されない。物理コンピューティングデバイスは、有線通信媒体(例えば、光ファイバ、ツイストペア線、同軸ケーブルなど)及び/又は無線通信媒体(例えば、マイクロ波、サテライト、セル方式、無線通信又はスペクトル拡散、自由空間光など)などの様々な物理通信リンクを介して相互通信することができる。物理コンピューティングデバイスは、アプリケーション又はサービスプロバイダにより使用される様々な抽象化レベルに従って集約されて露出され、クライアントコンピューティングデバイスにコンピューティングサービス又は機能を提供する。クライアントコンピューティングデバイスは、アプリケーションプログラムインタフェース(API)、Webブラウザ又は他のスタンドアロン型又はネットワークを介するアプリケーションを介して、コンピューティングサービス又は機能にアクセスすることができる。したがって、極低温貯蔵システムの態様は、そのようなクラウド環境に基づいて実装される。例えば、クラウドシステム122は、その機能を実施するコンピュータ実行可能命令が複数の物理コンピューティングデバイスによって提供される集約されたコンピューティング資源で実行されるように、クラウド環境に存在することができる。クラウド環境は、制御システム110又は他のクライアントデバイスにより利用されるクラウドシステム122にアクセスする一つ又は複数の方法を提供する。アクセス方法には、IPアドレス、ドメインネーム、URIなどが含まれる。集約されたコンピューティング資源が互いに離れて位置する物理的なコンピューティングデバイスにより提供されるため、クラウド環境は、ネットワークデータを適切に連動させるルータ、ロードバランサ、スイッチなどの付加的なデバイス(装置)を含む。
【0069】
図19は、クラウドコンピューティング環境1900などの例示的なネットワーク化された又は分散されたコンピュータ環境の概略図である。このクラウドコンピューティング環境1900は、通常、インターネットを介して一つ又は複数のクライアントデバイスに利用可能なコンピューティング資源の集合体を表している。このクラウドコンピューティング環境1900は、様々なレベルの抽象的概念、すなわち、インフラストラクチャ1910、プラットフォーム1920、アプリケーション1930を含む。インフラストラクチャ1910からアプリケーション1930までの各レベルは、一般に、より下層にあるレベルの上に実装され、インフラストラクチャ1910は、最下層のレベルにある。
【0070】
インフラストラクチャ1910は、一般に、クラウドサービスが展開される物理資源及びコンポーネントを包含する。例えば、インフラストラクチャ1910は、仮想マシン1912、物理マシン1914、ルータ/スイッチ1916及びネットワークインタフェース1918を含む。ネットワークインタフェース1918は、インターネット又は他のネットワークを介したコンピューティングデバイス1940,1952,1960などのクライアントデバイスからクラウドコンピューティング環境1900へのアクセスを提供する。つまり、ネットワークインタフェース1918は、クラウドコンピューティング環境1900の最も外側の境界を提供し、クラウドコンピューティング環境1900を他のネットワーク、インターネット、クライアントコンピューティングデバイスに接続する。ルータ/スイッチ1916は、コンピュータプロセッサ、メモリ、大容量記憶装置などを含むコンピューティングデバイスである物理マシン1914にネットワークインタフェース1918を接続する。物理マシン1914のハードウェアは、仮想マシン1912を提供するように仮想化される。一態様では、仮想マシン1912は、一つ又は複数の物理マシン1914上で実行される。すなわち、1つの物理マシン1914は、複数の仮想マシン1912を含むことができる。
【0071】
インフラストラクチャ1910上に実装されたプラットフォーム1920は、アプリケーション1930の基礎を形成するソフトウェアを含む。プラットフォーム1920を形成するソフトウェアは、オペレーティングシステム1922、プログラミング又は実行環境1924、ウェブサーバ1926及びデータベース1928を含む。プラットフォーム1920のソフトウェアは、仮想マシン1912及び/又は物理マシン1914にインストールされ得る。
【0072】
アプリケーション1930は、様々なクライアントデバイスにサービスを提供する、プラットフォーム1920上に実装されたユーザフェーシングソフトウェアアプリケーションを含む。この点に関し、本明細書に記載した極低温貯蔵システム100のクラウドシステム122は、例えば、アプリケーション1930である。図19に示したように、クライアントデバイスは、コンピューティングデバイス1940,1952及びモバイルデバイス1960を含む。コンピューティングデバイス1940,1952は、インターネット、したがってクラウドコンピューティング環境1900に直接的に接続され、又は、WAN/LAN1950を介してインターネットと間接的に接続される。WAN/LAN1950は、モバイルデバイス1960とのワイヤレス通信(例えば、WiFi)を可能にするアクセスポイント1954を含む。この点に関して、アクセスポイント1954及びWAN/LAN1950を介して、モバイルデバイス1960はクラウドコンピューティング環境1900と無線で通信することができる。また、モバイルデバイス1960は、GSM、LTE、WiMAX、HSPAなど(これらに限定され)の携帯電話技術により無線通信することもできる。従って、モバイルデバイス1960は、ベースステーション1962と無線で通信することができる。ベースステーション1962はワイヤレス通信プロバイダのコアネットワーク1964と接続されている。コアネットワーク1964は、インターネットに対するゲートウェイを有し、インターネットを介して、クラウドコンピューティング環境1900への通信経路を提供する。
【0073】
上述したように、様々なコンピューティングデバイス及びネットワークアーキテクチャと関連した例示的な実施例について説明してきたが、根底にある概念は、画像セグメンテーションシステムを実装することが望ましい任意のネットワークシステム、任意のコンピューティングデバイス又はシステムにも適用することができる。
【0074】
また、例えば、適切なAPI、ツールキット、ドライバコード、オペレーティングシステム、制御、スタンドアロン型又はダウンロード可能なソフトウェアオブジェクトなどの同一又は同様の機能を実施する多数の方法があり、これにより、アプリケーション及びサービスが本明細書により提供される技術を使用することができるようになる。したがって、API(又は他のソフトウェアオブジェクト)の観点から並びに本明細書で説明した一つ又は複数の実施例を実装するソフトウェア又はハードウェアオブジェクトから、本明細書における実施例が企図される。したがって、本明細書で説明した種々の実施例は、完全にハードウェア、ソフトウェア、部分的にハードウェア、部分的にソフトウェアである態様を有する。
【0075】
本明細書で説明している実施例の様々な特徴や態様は、他の実施例のいずれかとの任意に組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。すなわち、特に明記しない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを使用する」という句は、自然な包含的置換のいずれかを意味することを意図している。つまり、「XはA又はBを使用する」という句は、次のいずれかの場合に満たされる。XはAを使用する。XはBを使用する。又は、XはAとBの両方を使用する。さらに、このアプリケーション及び添付の特許請求の範囲において使用する「a」及び「an」という冠詞は、単数形を対象とすることを特に明記しない限り、又は文脈から明らかでない限り、一般に「1つ以上」を意味すると解釈される。さらに、本明細書で使用される場合、「例示的」という用語は、「何かの例示又は例として役立つ」ことを意味することを意図している。
【0077】
以上、例示的な実施例について説明した。上記の装置及び方法は、特許請求される主題の一般的な範囲から逸脱することなく、変更及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。請求される主題の範囲内で、そのような全ての修正及び変更を含むことが意図されている。さらに、「有する(includes)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかで使用されている場合、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることを意図している。
図1
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【国際調査報告】