特表2020-536607(P2020-536607A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-536607閉塞した血管を治療するためのデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536607(P2020-536607A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】閉塞した血管を治療するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20201120BHJP
   A61F 2/91 20130101ALI20201120BHJP
【FI】
   A61B17/22 528
   A61F2/91
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2020-518673(P2020-518673)
(86)(22)【出願日】2018年10月16日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】US2018056079
(87)【国際公開番号】WO2019079296
(87)【国際公開日】20190425
(31)【優先権主張番号】62/573,097
(32)【優先日】2017年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】520105728
【氏名又は名称】シャンハイ ワラビー メディカル テクノロジーズ カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チョー,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】バードスレー,アール
(72)【発明者】
【氏名】イアン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,チェンチェン
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
4C267AA44
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB36
4C267BB38
4C267BB40
4C267CC08
4C267CC12
4C267EE03
4C267FF05
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267GG32
4C267GG34
4C267HH08
(57)【要約】
本教示は、塞栓に係合し、捕捉し、かつ回収するデバイスおよび方法を提供する。具体的には、本教示の一態様は、略円筒形のステント本体と、遠位の網とを備えるデバイスを提供する。ステント本体は、塞栓に係合して捕捉するように構成されており、遠位の網は、血流を制限し、塞栓の残骸を捕捉するように構成される。本教示の特定の実施形態はまた、凝血塊に係合する一方で、よりしっかりと吸引させるデバイスおよび方法も提供する。本教示の別の態様は、最低限のリスクで凝血塊を経皮的に取り除くために使用する方法を提供する。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端から遠位端まで延びる長手方向軸と、中心内腔とをを有する細長いステント本体であって、その細長い本体に沿った複数のクローズドセルと、前記遠位端における複数のオープンセルとを備える細長いステント本体と、
前記細長いステント本体の前記近位端に結合して近位のハブを形成する複数の近位のストラットとを備え、
前記複数のクローズドセルの各々は、近位端と、遠位端とを有し、前記近位端および前記遠位端は、セル軸を形成し、
少なくとも1つのセル軸は、前記細長いステント本体の前記長手方向軸に概ね平行である、塞栓捕捉デバイス。
【請求項2】
前記クローズドセルの少なくとも1つは、前記細長いステント本体に沿った前記クローズドセルの残りのものとは異なるサイズを有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項3】
前記細長いステント本体は、前記中心内腔に向かって少なくとも1つの半径方向内向きに曲がるフィンガをさらに備え、前記少なくとも1つの半径方向内向きに曲がるフィンガは、凝血塊を捕捉するように構成される、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、前記細長いステント本体の遠位方向に位置付けられた遠位の網をさらに備え、前記遠位の網は塞栓を捕捉するように構成される、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項5】
前記遠位の網は、前記細長いステント本体の前記遠位端に固定式に装着される、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、前記デバイスの前記近位のハブに結合しているプッシャシャフトと、前記近位のハブおよび前記細長いステント本体の中を通って延び、前記遠位の網に結合しているプルワイヤとをさらに備え、前記ステント本体および前記遠位の網は互いに独立して動く、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、前記遠位の網と前記細長いステント本体の前記遠位端との間に第1の距離を有する第1の構成と、前記遠位の網と前記ステント本体の前記遠位端との間に第2の距離を有する第2の構成とを有する、請求項6に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項8】
前記遠位の網は、前記細長いステント本体とは独立して展開されるように構成される、請求項6に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、前記細長いステント本体の前記遠位端に結合して遠位のハブを形成する複数の遠位のストラットをさらに備える、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、前記複数の遠位のストラットに固定式に装着される遠位の網をさらに備える、請求項9に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項11】
前記デバイスは、前記細長いステント本体の前記中心内腔の内部に位置付けられた少なくとも1つのメッシュ網をさらに備える、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項12】
前記メッシュ網の近位の縁部は、前記ステントの内側の内腔壁に結合し、前記メッシュ網の遠位の先端は、前記細長いステント本体の前記長手方向軸の近くに位置する、請求項11に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項13】
前記プルワイヤは、前記細長いステント本体の前記中心内腔の内部に位置付けられた前記少なくとも1つのメッシュ網の中を通って延び、前記少なくとも1つのメッシュ網の前記遠位の先端に接続するように構成される、請求項11に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項14】
前記遠位の網は、略円錐形状を有する、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項15】
前記遠位の網は、わずかに細長いボール形状を有する、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、前記細長いステント本体が半径方向にしぼむ第1の構成と、前記細長いステント本体が半径方向に拡張する第2の構成とを有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、前記遠位の網がしぼんで細長い構成になり、前記しぼんだ細長いステント本体の遠位方向に位置付けられる第1の構成を有する、請求項4に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、近位の開口と、閉じた遠位端とを備えるメッシュチューブをさらに備え、前記デバイスは、前記メッシュチューブが前記細長いステント本体から軸方向に、かつ遠位方向に離れる第1の構成と、前記メッシュチューブが前記細長いステント本体の上を摺動し、前記細長いステント本体の少なくとも一部を覆う第2の構成とを有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項19】
前記デバイスは、遠位の開口と、近位の開口とを備えるメッシュスリーブをさらに備え、前記デバイスは、前記メッシュスリーブが前記細長いステント本体から軸方向に、かつ遠位方向に離れる第1の構成と、前記メッシュスリーブが前記細長いステント本体の上を摺動し、前記細長いステント本体の少なくとも一部を覆う第2の構成とを有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項20】
前記デバイスは、前記細長いステント本体の周辺壁の同じ区画から、前記中心内腔に向かって特定の角度で遠位方向に、かつ半径方向内向きに延びる少なくとも1組の安定化ストラットをさらに備え、前記少なくとも1組の安定化ストラットの両方の遠位端は、前記細長いステント本体の細長い軸に近い特定の位置で結合している、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項21】
前記プルワイヤは、前記少なくとも一組の安定化ストラットの前記遠位端に結合し、前記少なくとも一組の安定化ストラットに対して近位方向に引っ張る力を与えるように構成される、請求項20に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、少なくとも1つの指向性のストラットをさらに備え、前記指向性のストラットの近位端は、前記プッシャシャフトの遠位端に接続し、前記指向性のストラットの遠位端は、前記プルワイヤの遠位端に接続し、また前記指向性のストラットの中央の結合部は、前記細長いステント本体の内側の周辺壁に装着されており、また、前記デバイスは、前記プッシャシャフトの前記遠位端と前記プルワイヤの前記遠位端が互いに対して離れるように動くにつれ、前記少なくとも1つの指向性のストラットがまっすぐになり、前記細長いステント本体が半径方向にしぼむ第1の構成と、前記プッシャシャフトの前記遠位端と前記プルワイヤの前記遠位端が互いに対して近づくように動くにつれ、前記少なくとも1つの指向性のストラットが曲がり、前記細長いステント本体が半径方向に拡張する第2の構成とを有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本教示は、最小限の侵襲性カテーテル、および最小限の侵襲性カテーテル送達塞栓捕捉デバイスを血管系において使用するための方法に関し、とりわけ脳内および脈管系において最小限の侵襲性カテーテルを灌流させるのに適した最小限の侵襲性カテーテル送達塞栓捕捉デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
機械的血栓除去デバイスは、最初に閉塞した動脈を通る灌流を回復させることによって、虚血しているがまだ完全には梗塞していない脳を救おうとする。各々のクラスの機械的血栓除去デバイスは、幾分異なる生体力学的機構によって再疎通を達成する。
【0004】
血管
から凝血塊を吸い込む吸引カテーテルと、標的とする血栓溶解剤治療を凝血塊に注入する溶解剤送達カテーテルと、凝血塊と係合して引き込む機械的血栓除去システムの、3つのタイプのカテーテル血栓除去デバイスが市販されている。市販のシステムは、このような特性のうちの1つまたは複数を組み合わせる場合もある。このような手法には、各々について長所と短所がある。
【0005】
吸引カテーテルは、真空吸引を利用して、急性の虚血性脳梗塞における閉塞による凝血塊を取り除く。標的の血栓の手動での吸引は、頭蓋内の動脈内に適合するのに十分に小さい孔を通して吸い込み作用を適用することなどによって、任意のマイクロカテーテルを通して行うことができる。吸引カテーテルは、小さな、新しい、柔らかい血栓を取り除くために、迅速な単回セッションでの再開通で使用されることが多い。しかしながら、これより大きく、より一塊りになってしまった血栓は、この方法では手に負えず、手動の吸引カテーテルの小さい開口部を塞いでしまう場合もある。加えて、手動での吸引は、機械的な方法よりも、血栓を取り切れずに残してしまう可能性がある。追加として、吸引カテーテルは概ね大きな外形を有するため、病変を横切るのが困難である。
【0006】
溶解剤送達カテーテル血栓溶解療法(CDT)は、血栓を溶解し血流を再開通させるためのカテーテルを介した溶解剤の局所的な送達である。溶解剤治療は、標準的な抗凝固治療に対して改善された結果を提供するが、溶解剤治療は単独では、STEMIにおいて、または末梢血管系における再開通において見られるように重大な心臓の閉塞を解決するには速さが十分ではないことが多い。末梢部のケースでは、溶解剤のみの治療は、ICUでの滞在期間が延び、経過観察するために頻繁に血管造影による再視認を必要とする場合がある。神経血管系の大きな血栓の負荷を治療するには、閉塞を完全に消散させることができるまでに、かなりの溶解剤が全身投与される場合が多い。そのような多量の溶解剤の送達は、出血のリスクを高める可能性がある。
【0007】
全身の血栓溶解と組み合わせた機械的血栓除去術が、急性の虚血性脳梗塞の治療に関する現行での標準的な治療である。コイルリトリーバと、ステントリトリーバの2種類の機械的血栓除去システムがある。コイルリトリーバは、ニチノール形状記憶ワイヤで構成され、マイクロカテーテルを通して標的の凝血塊を横切るように送達される。デバイスが、送達カテーテルから押し出されるにつれ、即座に本来のコイル形状を取り戻す。神経系介入者が、凝血塊の中を通るようにコイルのループを展開させて血栓に係合させ、その後、ワイン瓶からコルクを引き抜くようにコイルと凝血塊の両方をカテーテルの中に引っ張り込む。ステントリトリーバは、血栓のある閉塞した血管内で展開し、血栓と係合し、ステントストラットの中に血栓を巻き込む自己拡張型ステントである。ステントと血栓はその後、送達カテーテルの中に引き戻される。
【0008】
単回セッションで再開通させる能力によって、ステントリトリーバは、手動での吸引法よりもより高い確率で凝血塊を取り除き、単独での溶解剤治療の場合よりも有意に短い時間で再開通させることができる。しかしながら急性の虚血性脳梗塞に罹った患者で臨床的な結果を高める優位性にもかかわらず、ステントリトリーバに合併症がないわけではない。近年の研究から、このようなデバイスは、内側の層へと広がる血管の損傷を引き起こす可能性があることが分かった。ステントリトリーバの別の一般的な欠点は、ステントの回収は必然的に凝血塊の断片化を誘発し、これが遠位の塞栓形成を招き、これまで閉塞していなかった領域が閉塞する可能性がある。よって改善の余地が残っている。
【発明の概要】
【0009】
本教示の一態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、塞栓捕捉デバイスは、細長い本体に沿って複数のセルを備えた、細長いステント本体を備える。細長いステント本体は、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有する。複数の近位のストラットが、ステント本体の近位端に結合して近位のハブを形成する。複数のセルの各々は、近位端と遠位端とを有し、これらは一緒にセル軸を形成している。また少なくとも1つのセル軸は、細長いステント本体の長手方向軸と一定の角度を形成する。
【0010】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、塞栓捕捉デバイスは、細長い本体に沿って複数のセルを備えた、細長いステント本体を備える。細長いステント本体は、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有する。細長いステント本体は、半径方向にしぼんだ送達外形と、半径方向に拡張した展開した外形とを有する。細長いステント本体は、半径方向にしぼんだ送達外形から半径方向に拡張した展開した外形に移行する際、その長手方向軸の周りを回転するように構成される。
【0011】
本教示の一態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは、複数の近位のストラットが結合して近位のハブを形成する近位端を備えた細長いステント本体を有する。いくつかの実施形態において、デバイスはまた、ステント本体の遠位に位置付けられ、ステントの遠位端まで調節可能な距離を有する遠位の網も有する。本教示の別の態様は、プッシャシャフトと、プルワイヤを提供する。プッシャシャフトは、ステント本体の近位端に結合している。プルワイヤは、近位のハブおよび細長いステント本体の中を通って延び、遠位の網に結合している。いくつかの実施形態において、ステントの遠位端と遠位の網との間の距離が変化するようにステント本体および遠位の網は互いに独立して動く。
【0012】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは、複数の近位のストラットが結合して近位のハブを形成する近位端を備えた細長いステント本体を有する。いくつかの実施形態において、デバイスはまた、ステント本体の遠位に位置付けられ、ステントの遠位端まで調節可能な距離を有する遠位の網も有する。本教示の別の態様は、遠位の網とステント本体の遠位端との間に第1の距離がある第1の構成と、遠位の網とステント本体の遠位端との間に第2の距離がある第2の構成とを有するデバイスを提供する。
【0013】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは、複数の近位のストラットが結合して近位のハブを形成する近位端を備えた細長いステント本体を有する。いくつかの実施形態において、デバイスはまた、細長いステント本体の中に位置付けられた少なくとも1つのメッシュ網も有する。メッシュ網の近位の縁部は、ステントの内側の内腔壁に結合している。メッシュ網の遠位の先端は、ステント本体の長手方向軸の近くに位置する。本教示の別の態様は、ステント本体と内部のメッシュ網が共に半径方向にしぼんだ第1の構成と、ステント本体とメッシュ網が共に半径方向に拡張する第2の構成とを有するデバイスを提供する。
【0014】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは、複数の近位のストラットが結合して近位のハブを形成する近位端を備えた細長いステント本体を有する。いくつかの実施形態において、デバイスはまた、少なくとも2つの安定化ストラットを有する。安定化ストラットの近位端は、ステント本体の内側の内腔表面につながっている。安定化ストラットの遠位端は結合してハブを形成する。本教示の別の態様は、プッシャシャフトと、プルワイヤを提供する。プッシャシャフトは、ステント本体の近位端に結合している。プルワイヤは、近位のハブおよび細長いステント本体の中を通って延び、安定化ストラットのハブに結合している。
【0015】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは、複数の近位のストラットが結合して近位のハブを形成する近位端を備えた細長いステント本体を有する。いくつかの実施形態において、デバイスはまた、少なくとも2つの指向性のストラットを有する。指向性のストラットの近位端は結合して第1のハブを形成する。指向性のストラットの遠位端は結合して第2のハブを形成する。各ストラットの中間点は、ステント本体の内側の内腔表面に定める。中間点は、遠位にあり、近位端から半径方向外向きである。本教示の別の態様は、プッシャシャフトと、プルワイヤを提供する。プッシャシャフトは、ステント本体の近位端に結合している。プルワイヤは、ステント本体の近位のハブおよび細長いステント本体の中を通って延び、指向性のストラットの第1のハブに結合している。
【0016】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは概ね細長い本体を有する。概ね細長い本体は、少なくとも1つの連続する部分と、少なくとも1つの非連続の部分とを有する。いくつかの実施形態において、連続する部分は、オープンセル表面構造を有する。非連続の部分は、1つのオープンセルより大きくなるように構成される。本教示の別の態様は、非連続の部分が、直線状にデバイスの概ね細長い本体に沿って間隔を空けることを提供する。
【0017】
本教示の別の態様は、塞栓捕捉デバイスを提供する。種々の実施形態において、デバイスは、遠位部分を有する細長いワイヤを有する。いくつかの実施形態において、リボンが、らせん状に細長いワイヤの遠位部分の周りに巻き付けられている。本教示の別の態様は、デバイスが、リボンがワイヤの遠位部分の周りにきっちりと巻き付けられている第1の構成と、リボンが解かれて半径方向に拡張する第2の構成とを有することを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図2】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図3A】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3B】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3C】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3D】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図3E】本教示による、図3Dの一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3F】本教示による、図3Dの一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3G】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図3H】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3I】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3J】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3K】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図3L】本教示による、図1および図2の一例の医療用デバイスの細長い本体に沿った種々のセル構造設計の斜視図である。
図4】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図5A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図5B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図5C】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図6】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図7】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図8】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図9A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図9B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図10】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図11】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図12A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図12B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図13A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図13B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図14】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図15】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図16】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図17A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図17B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図18】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図19】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図21A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図21B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図22A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図22B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図23】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図24】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図25】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図26A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図26B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図27】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図28A】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図28B】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
図28C】本教示による一例の医療用デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一態様において、本教示は、添付の図面を参照して以下でより十分に説明されており、これらの図面は、本教示の特定の実施形態を示す。しかしながら本教示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、また本明細書に記載される実施形態に限定されるように解釈すべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本教示の様々な態様を例示するために提供されている。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0020】
一態様において、本教示は、カテーテルによる塞栓除去システムを提供する。いくつかの実施形態において、本教示のシステムは、体内の管から凝血塊を取り除くのに使用される。いくつかの実施形態において、管は静脈である。いくつかの実施形態において、システムは、静脈における深部静脈血栓症(DVT)および動脈における肺動脈塞栓症(PE)、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)および虚血性脳梗塞を治療するのに使用される。いくつかの実施形態において、システムはまた、血栓形成を起こし易い、透析療法の動静脈グラフトを迅速に取り除くこともできる。いくつかの実施形態によると、本教示のカテーテルによる塞栓除去システムが血管内に展開されるとき、塞栓が塞栓除去デバイスのメッシュのバスケット内に実質的に収容されるように、塞栓除去デバイスが拡張し、血管に沿って近位方向に移動する。具体的には、本教示は、最初に塞栓が生じた位置の遠位で、回収された塞栓のより大きな部分の除去に伴う遠位での合併症を引き起こすことなく、神経頭蓋の塞栓を取り除くデバイス/システムおよび方法を提供する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「半径方向外向き」および「半径方向に離れる」は、中心軸に平行ではない任意の方向を意味する。例えば円筒を考えると、半径方向外向きの部材は、円筒の中心の長手方向軸に対して0°を超える角度に配向された、円筒に取り付けられた、またはそれ以外の方法で動作可能に連結されたワイヤの一部またはワイヤのループであり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「内腔」は、被験者の体内の管、導管、概ね管状の空間または空洞を意味しており、静脈、動脈、血管、毛細血管、腸管などが含まれる。用語「内腔」は、デバイス内のカテーテル、マイクロカテーテルなどにある管状の空間を指す場合もある。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「近位」は、操作者に最も近い(体内にはあまり入らない)ことを意味しており、「遠位」は、操作者から最も遠い(体内に深く入る)ことを意味する。医療用デバイスを下流のアクセスポイントから位置付ける場合、遠位はより上流になり、近位はより下流になる。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「塞栓」は、凝血塊、血栓などである場合があり、このような用語は互いに入れ替え可能に使用されてよい。
【0025】
以下でさらに詳細に説明されるように、本教示の種々の実施形態は、体内の血管から凝血塊を取り除くための医療用デバイス/システムを提供する。いくつかの実施形態において、医療用デバイス/システムは、塞栓捕捉デバイス、または凝血塊を捕捉するように構成された手段を含んでよい。いくつかの実施形態において、プッシャシャフトが塞栓捕捉デバイスに結合している。いくつかの実施形態において、プッシャシャフトは、塞栓捕捉デバイスを押す、および/または引っ張る。いくつかの実施形態において、本教示による塞栓捕捉デバイスは、経皮送達のために細長い外形になるように伸張しており、凝血塊を捕捉するために半径方向に拡張した展開された外形を取り戻し、凝血塊を回収するために再び細長い外形になるように伸張されてよい。本出願で使用される際、そうでないと示されない限り、用語「管」は血管を指しており、動脈、細動脈、毛細血管、細静脈、静脈、または上述のものの組み合わせのいずれかの網状組織が含まれる。
【0026】
別の態様では、本教示は、頭蓋内での使用のための塞栓捕捉デバイスを開示する。いくつかの実施形態によると、塞栓捕捉デバイスは、可撓性であり、かつ非外傷性ステントの全体的な外形を有し、様々な長さおよび直径で、薄肉で、および/または放射線不透過性で利用可能である。いくつかの実施形態において、ステントは、正確に送達され、回収され、また再度位置決めされるように構成される。いくつかの実施形態において、ステントは、マイクロカテーテルを介して送達され、かつ小さな管の中に配置させるために十分に可撓性であるが、展開されたとき血管壁の幾何学形状に適合するのに十分な半径方向の力を有する。
【0027】
別の態様では、本教示は、細長い送達外形を有する塞栓捕捉デバイスを開示する。いくつかの実施形態において、塞栓捕捉デバイスは拡張した展開された外形を有する。以下で詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、塞栓捕捉デバイスは、送達システムを介する送達に適したまっすぐになった、細長い薄型の送達構成を有することができる。いくつかの実施形態において、塞栓捕捉デバイスの展開された構成は、デバイスが展開される血管と実質的に係合する。本教示の塞栓捕捉デバイスが塞栓を回収するのに使用される場合、位置決めワイヤがまず、凝血塊を横切る血管の中に通される。その後マイクロカテーテルが、位置決めワイヤをわたって通され、その遠位端を凝血塊の遠位に位置付ける。その後、位置決めワイヤが取り除かれ、それに続いてプッシャシャフトが、マイクロカテーテルの内腔を通って延びる細長い塞栓捕捉デバイスの近位端に結合する。細長い塞栓捕捉デバイスを固定して保持しながら、臨床医が、マイクロカテーテルを近位方向に引き抜いてデバイスの覆いを取る。ひとたびマイクロカテーテルから外に出ると、塞栓捕捉デバイスは拡張して動脈の壁を引き伸ばすため、血液が流れるようになる。一実施形態において、デバイスは、凝血塊の遠位方向で展開される。別の実施形態では、デバイスは、凝血塊を横切るように展開される。一部の実施形態では、凝血塊を回収するために、臨床医は、プッシャシャフトを近位方向に引っ張り、塞栓捕捉デバイスが近位方向に戻るように引っ張られ、凝血塊はより大きなカテーテル、ガイドカテーテルまたは遠位アクセスカテーテル(DAC)の元に入るように運ばれる。
【0028】
本明細書に記載される実施形態を送達し展開するために開示される技術は、単なる例である。このような技術の代わりに、またはそれと組み合わせて他の教示を使用することができることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載されるデバイスの一実施形態を展開するのに使用される技術は、デバイス、送達システム、およびデバイスが展開されている解剖学的構造の特定の特徴による。
【0029】
図1図26は、本教示の塞栓捕捉デバイスの複数の実施形態を例示している。これらの図面では、たとえこのような一例のデバイスを送達するおよび/または回収する送達システムが主として示されていなくとも、プッシャシャフトおよび/またはプルワイヤが、それらの設計および機能についてより分かりやすく説明するために一部の例示のデバイスと共に示されている。
【0030】
図1は、事前に設定された展開された構成における本教示の塞栓捕捉デバイス(10)の一実施形態を示す。塞栓捕捉デバイス(10)は、開かれた遠位端(14)を有する略円筒形の本体を備えた全体的なステント(12)の外形を有する。ステント(12)はまた複数の近位のストラット(18)を有し、これらの各々は、円筒形の本体の近位端(16)につながる一方の端と、別の近位のストラット(18)の他方の端と結合して近位のハブ(20)を形成する他方の端とを有する。近位のハブ(20)は、位置決めワイヤ(図示せず)が中を通って延出することを可能にするように構成される。本教示の一実施形態によると、ステント(12)の円筒形の本体は、デバイス全体の全域にわたって中心内腔を備えるオープンセル構造面を有する。ステント(12)の近位のハブ(20)は、プッシャシャフト(22)の遠位端につながるように構成される。一実施形態において、プッシャシャフト(22)および位置決めワイヤは、互いに独立して遠位方向に伸張したり近位方向に引き込んだりするように構成される。
【0031】
図2は、事前に設定された展開された構成における塞栓捕捉デバイス(30)の別の実施形態を例示する。図1に示される実施形態と同様に、塞栓捕捉デバイスは、略円筒形の本体を備える全体的なステント(32)の外形を有する。先の実施形態とは異なり、ステント(30)の遠位端(34)および近位端(36)の両方が、ハブ(40、44)になる複数のストラット(38)を有する。一部の実施形態によると、近位のハブ(40)は、プッシャシャフト(42)の遠位端に結合している。一部の実施形態によると、近位のハブ(40)はさらに、位置決めワイヤ(図示せず)がその中を通って延出するのを可能にする。一部の実施形態によると、遠位のハブ(44)もまた、位置決めワイヤ(図示せず)がその中を通って延出することを可能にするように構成される。一実施形態では、プッシャシャフト(42)および位置決めワイヤは、互いに独立して遠位方向に伸張したり近位方向に引き込んだりするように構成される。
【0032】
図1図2をさらに参照すると、示されていないが、塞栓捕捉デバイス(10、30)は、マイクロカテーテル(図示せず)を通して送達されるように構成される。このような送達プロセスにおいて、プッシャシャフト(22、42)の遠位端は、塞栓捕捉デバイス(10、30)の近位のハブ(20、40)に結合している。プッシャシャフト(20、40)の近位端は、臨床医によって制御される。プッシャシャフト(20、40)を操作することによって、ステント(12、32)を必要に応じてマイクロカテーテルの外に遠位方向に押し出し、またより大きいカテーテルの中に戻るように近位方向に引っ込めることができる。
【0033】
本教示の一実施形態によると、塞栓捕捉デバイスは、生体内で展開時に拡張する。本教示の一実施形態において、塞栓捕捉デバイスは、展開時に、材料の弾性性質により半径方向に拡張する。別の実施形態では、そのような半径方向の拡張は、デバイスの材料の事前に設定された熱形状記憶によって達成される。さらに別の実施形態では、そのような半径方向の拡張は、膨張バルーンを介して手動で達成される。いくつかの実施形態において、塞栓捕捉デバイスは、ステンレス鋼、ニチノール、チタン、エルジロイ、ビタリウム、Mobilium、Ticonium、Platinore、ステライト、タンタル、白金、ハステロイ、CoCrNi合金(例えば商標名Phynox)、MP35NまたはCoCrMo合金、任意の他の金属合金またはその混合物で作成される。
【0034】
本教示の一部の実施形態によると、塞栓捕捉デバイス(10、30)は、ステント様の形状を有する。いくつかの実施形態において、ステント様の塞栓捕捉デバイスは、ステントが送達される間はしぼみ、展開したときに拡張することを可能にするセル構造を有する。図3A図3Hは、円筒形の本体上のセル構造設計の複数の実施形態を例示する。図3Aは、セル設計の一実施形態を例示する。示されるように、円筒形の本体にあるセル(52)のほとんどは閉じており、ステントの一方の端におけるセル(54)は開いている。セルのサイズは、ステント全体を通して概ね均一であり、各セル(52)の形状は略正方形形状に近い。図3Bは、セル設計の別の実施形態を例示する。図3Aに記載されるものと同様に、ステントは全体的に、均一なサイズを有するクローズドセル(56)を有し、ステントの一方の端にオープンセル(58)を有する。図3Aの実施形態とは異なり、各セル(56)の形状は、細長い菱形の形状に近い。図3Cは、セル設計の別の実施形態を例示する。図3Aに記載されるものと同様に、ステントは全体的に、均一なサイズを有するクローズドセル(62)を有し、ステントの一方の端にオープンセル(64)を有する。図3Aの実施形態とは異なり、各セル(62)の形状は、細長い平行四辺形の形状に近い。
【0035】
図3A図3Bに例示されるように、このような2つの一例の実施形態のセル設計は、水平ライン(図3Aおよび図3Bに示される一例の破線50、54のような)内にあり、ステントの長手方向軸(55、59)に概ね平行であるセル軸を有する。セル軸は、図3A図3Bに示されるように、セルの近位端と遠位端を結ぶことによって形成されるラインを指す。加えて、各セルの上部の円弧と下部の円弧の長さは全てのセルについて同一である。このような設計によって、塞栓捕捉デバイスのしぼむ作用および拡張する作用は概ね直線状に、ステントの長手方向軸(55、59)から半径方向に離れる。
【0036】
図3Cの一例の実施形態は、別のセル設計を例示する。図3A図3Bに示される一例の実施形態と同様に、セル軸は、ステントの長手方向軸に平行である。図3A図3Bに示される一例の実施形態とは異なり、各セル(62)の上部の円弧と下部の円弧(61,63)の長さは互いに対して同一ではない。それらの各々(61、63)は、異なる曲率をたどる。このような設計によって、塞栓捕捉デバイスのしぼむ作用および拡張する作用は、図3Dに示されるようにデバイス(70)の長手方向軸に沿って角度を成し、この長手方向軸に沿って回転する運動であり得る。いくつかの実施形態において、各セルの種々の高さ、各セル軸の長さ、各セルの円弧の長さ、デバイスのしぼむ動きおよび拡張する動きは、事前に決定され、制御することができる。例えばセルの高さが高くなる程、デバイスはしぼむ作用および拡張する作用においてより大きく回転する。別の例では、セル軸とデバイスの長手方向軸との間の角度が、しぼむ作用および拡張する作用における回転の方向を制御する。例えば、セル設計が、図3Eおよび図3Fに示されるようにステントの長手方向軸に対して角度を成すセル軸を有する場合である。そのような角度を成す設計では、塞栓捕捉デバイスのしぼむ作用および拡張する作用は、図3Dに示されるようにデバイス(70)の長手方向軸に沿って角度を成し、長手方向軸に沿って回転する運動であり得る。セルの円弧の長さとセルの高さの組み合わせが、しぼむ作用および拡張する作用における回転の速度を制御することができることを当業者は理解すべきである。図3Cは、各セルの円弧が1つの滑らかな曲線を有することを示すが、図3E図3Fに示されるものなど、他のセルの円弧が組み込まれる場合もあることを当業者は理解すべきである。
【0037】
加えて、塞栓捕捉デバイスは、同一の、または異なるセル設計によるステントの複数の層を有する場合がある。例えば図3Gに示されるように、ステント(80)の内側層(84)は、ステント(80)の内側層(84)が拡張する作用およびしぼむ作用において時計回りに回転することを可能にするセル設計を有する場合があり、またステント(80)の外側層(82)は、ステント(80)の外側層(82)が拡張する作用およびしぼむ作用において反時計回りに回転することを可能にするセル設計を有する場合がある。そのような多層のデバイス設計は、凝血塊との係合および凝血塊の回収を改善することができる。
【0038】
異なるセルおよび/またはデバイス設計の組み合わせによって、デバイスは、時計回りの回転、反時計回りの回転、ジグザグ運動、デバイスの長さに沿った加速する運動および/またはデバイスの長さに沿った減速する運動など様々な動きを有するようにプログラムされ得ることを当業者は理解すべきである。よって、図3A図3Gに示され、本明細書で説明されるような一例の実施形態は、本教示の範囲を限定するようにみなすべきではない。
【0039】
図3Hは、セル設計の別の実施形態を例示する。図3A図3Cの実施形態と同様に、ステントは全体的にクローズドセルを有し、ステントの一方の端にオープンセル(96)を有する。図3A図3Cに示される実施形態とは異なり、ステントは、その閉じた端部付近に小さなクローズドセル(92)を有し、中央から開いた端部区画までの全体にわたって大きなクローズドセル(94)を有する。本教示の一実施形態によると、より大きなセル(94)は、より効率的に凝血塊をステントの内側の内腔に入り込ませ、その一方でより小さいセル(92)は、より小さい塞栓が漏れるのを防ぐ。図3Iは、セル設計の別の実施形態を例示する。図3A図3Cに記載されるものと同様に、ステントは全体的に、均一なサイズを有するクローズドセルを有し、ステントの一方の端にオープンセルを有する。図3Aに記載されるものと同様に、セルは、略正方形形状に近い。加えて、ステントの一部の区画はまた、レーザカットパターン(98)を有する。いくつかの実施形態において、ステントは、内側に向けて熱処理され得る部分(98)を有する。一実施形態によると、これらの部分は、その所定の位置において凝血塊を捕捉するのにより適している。図3Jは、セル設計の別の実施形態を例示する。図3A図3Cに記載される実施形態とは異なり、ステントは、その全区画を通してクローズドセルを有する。いくつかの実施形態において、閉じた端部(100)は、凝血塊を捕捉するのにより適する場合がある。図3Kは、セル設計の別の実施形態を例示する。図3Hに記載されるものと同様に、ステントは、より大きなセル(104)を組み込んでより効率的に凝血塊をステントの内側の内腔に入り込ませ、その一方でより小さいセル(102)は、より小さい塞栓が漏れるのを防ぐ。図3Hの実施形態とは異なり、小さいセル(102)が、ステントの複数の区画に組み込まれる。図3Lは、セル設計の別の実施形態を例示する。この実施形態は全体的に、図3Jに示されるものと似ているが、ステントはまた、凝血塊をよりしっかりと捕捉するように、ステント本体に沿って、およびステントの遠位端にフィンガ(106)を有する。一実施形態において、ステント本体に沿ったフィンガ(106)は、半径方向内向きに曲がる。ステントの遠位端にあるフィンガ(106)は、デバイスにより構造的一体性を与える。
【0040】
本教示の一実施形態によると、軸方向のセルの方向に応じて、臨床医がマイクロカテーテルを近位方向に引き抜いて塞栓捕捉デバイスの覆いを取り、塞栓捕捉デバイスを送達して展開させる間、円筒形のステント本体を有するデバイスは、回転運動または直線運動でのいずれかでマイクロカテーテルから出る。同様に、臨床医がプッシャシャフトをその近位端から引っ張り、塞栓を回収する間も、円筒形のステント本体を有する塞栓捕捉デバイスは、回転運動または直線運動でのいずれかでガイドカテーテルの遠位端に入る。よって本教示のいくつかの実施形態において、送達、展開および回収する間、意図的に回転するように設計された塞栓捕捉デバイスを有することは患者にとって有利である。例えば円筒形のステント本体は、塞栓捕捉デバイスが、図3Dに示されるように、ねじのように凝血塊に係合するセル構造を有するように設計することができる。別の場合には、血管に損傷を与えるのを避けるために、展開動作の後に最小限の外形を有する塞栓捕捉デバイスを有することは最大の利益である。
【0041】
セルのサイズ、セルの形状、凝血塊捕捉用のフィンガおよび/または内部にある部品の任意の組み合わせは全て可能であることを当業者は理解すべきである。よって、図3A図3Lを参照して上記に記載した特有の実施形態は、本教示の範囲を限定するものとみなすべきではない。追加として、連続する表面剛性の代わりに、一部の実施形態では、セル構造に応じて、デバイスの剛性は1つの区画から別の区画まで変化する場合もある。デバイス本体に沿って変動する剛性は、ステントがより効率的に凝血塊に係合するのを助ける。
【0042】
本教示のいくつかの実施形態において、塞栓捕捉デバイスは、事前に形成されたチューブの中に特定のパターンをレーザ切断する、または酸エッチングし、その後意図する展開された構成に形状設定することによって製作することができる。そのような実施形態では、塞栓捕捉デバイスは、例えば、機械加工レーザまたはウォータードリルまたは他の方法を用いて溝がつけられた中空のチューブから形成され、その後拡張されて開いた構造を形成することができる。別の実施形態において、塞栓捕捉デバイスは、所望の形状になるように事前に設定されたワイヤから形成され、その後クロスハッチング、編み組み作業、溶接、または金属の列を組み立ててチューブのような構造になるように内部接続される他の方法のいずれかによってワイヤ上に特定の要素が接続するようにワイヤ同士が接着される場合がある。一実施形態において、ワイヤは、好ましくは不活性ガス環境において、かつ溶接部位における、およびその周りの結晶粒組織を制御するための冷却制御装置によって、抵抗溶接技術またはアーク溶接技術を用いて溶接される場合もある。このような結合部は、結晶粒度を低下させるために溶接工程の後に調整することができ、その耐疲労性能は、圧印加工または据込み鍛錬を用いて最適化することができる。
【0043】
本教示の一部の実施形態によると、塞栓捕捉デバイスが近位に引っ張られるにつれ、デバイスは細長くなり、凝血塊に圧力を加える。大きな凝血塊が存在する場合には、そのような動作が凝血塊を破壊し、これにより複数の塞栓が生じる場合がある。このような問題を解決するために、図1図3に示されるようなステントが改良される場合がある。問題を解決するため1つの方法は、より小さい塞栓を捕らえるように構成された塞栓捕捉デバイスに、より小さな孔のサイズのメッシュ層を加えることである。一実施形態において、小さい塞栓を捕らえるメッシュは、ステントの特定の区画に固定式に装着される。別の実施形態では、メッシュは、ステントの内側または外側で層状に配置される。さらに別の実施形態では、メッシュはステントに可動式に組み込まれる。
【0044】
次に図4を参照すると、メッシュ網(112)が塞栓捕捉デバイス(32)に固定式に結合している。本教示の一実施形態によると、図面に示されるように、遠位のメッシュ網(112)は、図2に示されるような一例のデバイスの遠位端に固定式に装着される。そのような網(112)は、血栓除去術中に生じた塞栓を捕捉するのに役立つ。一実施形態において、網(112)は、その外側からデバイス(32)の遠位端に装着される。別の実施形態では、網(112)は、その内側からデバイス(32)の遠位端に装着される。一実施形態において、メッシュ網(112)は、ステントの遠位のストラットを覆う。別の実施形態では、メッシュ網(112)は、ステントの遠位のストラットおよび遠位部分を覆う。
【0045】
本教示の一実施形態によると、メッシュ網は、所望の形状になるように事前に折り曲げられたワイヤから形成され、その後、それらを溶接する、または接着剤により接着することによって要素が接続するようにワイヤ同士が接着される場合がある。それらは、好ましくは不活性ガス環境において、かつ溶接部位における、およびその周りの結晶粒組織を制御するための冷却制御装置によって、抵抗溶接技術またはアーク溶接技術を用いて溶接される場合がある。このような接合部は、結晶粒度を低下させるために溶接工程の後に調整することができ、その耐疲労性能は、圧印加工または据込み鍛錬を用いて最適化することができる。
【0046】
次に図5A図5Bを参照すると、ここではメッシュ網(120)は、塞栓捕捉デバイスに可動式に結合している。本教示の一実施形態によると、デバイスは2つの部分、すなわちステント部分(12)と、遠位の網部分(120)とを有する。図5A図5Bに示される実施形態は、図1に示されるものと同様であるが、ここでは、近位のストラットは円筒形のステント本体に結合して近位のハブを形成する。近位のハブは、プッシャシャフト(22)に結合するように構成される。いくつかの実施形態において、プルワイヤ(122)は、プッシャシャフト(22)、近位のハブおよび円筒形のステント本体(12)の中を通って延びる。プルワイヤ(122)の遠位端は、遠位の網部分に結合している。いくつかの実施形態において、プッシャシャフト(22)とプルワイヤ(122)は互いに独立して動く。
【0047】
続けて図5A図5Bを参照すると、遠位の網部分(120)はまた、複数のストラット(124)を含む。いくつかの実施形態において、ストラット(124)の近位端は結合してハブ(126)を形成する。いくつかの実施形態において、ストラット(124)の遠位端は、遠位のメッシュ網(120)に結合している。いくつかの実施形態において、プルワイヤ(122)は、特定の位置で遠位の網(120)に結合している。いくつかの実施形態によると、展開された構成において、遠位の網(120)は、円錐形に似た、またはテントの形状の、展開された外形を有する。いくつかの実施形態において、展開された構成において、遠位の網(120)は、傘に似た、または傘の骨組みに似た、展開された外形を有する。ステント(12)と同様に、遠位の網部分(120)の近位のハブ(126)もまた、プルワイヤ(122)が中を通って延出することを可能にするように構成される。本教示の一実施形態によると、プルワイヤ(122)はさらに、ステント(12)の軸方向の内腔、プッシャシャフト(22)の長手方向の内腔を通って近位方向に延出し、本体の外側まで続く。一実施形態において、送達される間、プルワイヤ(122)は遠位方向に延び、遠位の網(120)を遠位方向に押し出し、遠位の網(120)および網に接続するストラット(124)をしぼませる。これにより、遠位の網部分(120)は、細長い送達外形を取り、ここでは、ストラット(124)は、互いにより近づいて1つにまとまり、遠位の網(120)に対して近位方向に位置付けられる。別の実施形態において、プルワイヤ(122)は近位方向に引き込まれ、遠位の網(120)を近位方向に引っ張り、これにより遠位の網(120)および網(120)に接続されたストラット(124)をしぼませる。いくつかの実施形態において、遠位の網部分(120)は、細長い送達外形を取り、ここでは、遠位の網(120)がしぼみ、ストラット(124)が互いにより近づいて1つにまとまり、しぼんだ遠位の網(120)の周りに位置付けられる。一実施形態によると、送達される間、ステント(12)は、その細長い送達外形における遠位の網(120)をしぼんだステント(12)の軸方向の内腔の内部に保持した状態で、その細長い細長い送達外形を取り戻す。別の実施形態では、送達される間、ステント(12)は、その細長い送達外形における遠位の網(120)が、しぼんだステント(12)の遠位方向に位置付けられた状態で、その細長い送達外形を取り戻す。
【0048】
続けて図5A図5Bを参照すると、ひとたび展開されると、遠位の網(120)は、ステント(12)の遠位方向に位置付けられるように構成される。遠位の網(120)とステント(12)との間の距離は、患者の必要性に基づいて調節することができる。例えば、ステント(12)を固定して保持しながら、臨床医は、プルワイヤ(122)を遠位方向に押すことによって、遠位の網(120)をステント(12)からさらに遠くに移動させることができる。あるいは、ステント(12)を固定して保持しながら、臨床医は、プルワイヤ(122)を近位方向に引っ張り、遠位の網(120)をステント(12)に近づけるように移動させることもできる。一実施形態において、プッシャシャフト(22)およびプルワイヤ(122)は互いに独立して動くため、遠位の網(120)は、図5Aに示されるように、ステント(12)から軸方向に遠位方向に離れる第1の構成を有し、遠位の網(120)はまた、図5Bに示されるように、ステント(12)の遠位の開口内に部分的に残る第2の構成を有する。図5Bに示されるように、遠位の網(120)部分のストラット(124)は、ステント(12)の遠位の開口の内部に引っ込められ、遠位の網(120)の少なくとも一部の部分はステント(12)の外側に残ったままである。治療中、臨床医はまずステント(12)を展開させ、それから遠位の網(120)部分を固定する。ステント(12)がひとたび凝血塊に係合すると、臨床医は次いで遠位の網(120)をステント(12)により近づけるように移動させて、塞栓、凝血塊の断片または残留物を収集する。そのような動作は、遠位の網(120)部分を引っ込める間、ステント(12)を固定して維持することによって、またはステント(12)を前進させる間、遠位の網(120)部分を固定して維持することによって達成することができる。
【0049】
図5A図5Bは、略円錐形の遠位の網を例示するが、同じ機能上の目的を達成するために異なる外形が組み込まれる場合もあることを当業者は理解すべきである。例えば図5Cに示されるように、遠位の網は、閉じた遠位端(132)と、メッシュチューブ(130)の長手方向軸に対して角度を成す傾斜した近位端(134)とを備えるメッシュチューブ(130)の形状である場合もある。よって、このような図面に示され、本明細書に記載される特有の一例の実施形態は、本教示の範囲を限定するものとみなすべきではないことを当業者は理解すべきである。本教示の一実施形態によると、図4図5の一例の実施形態に示されるような遠位の網(130)は、ニチノール、コバルト、クロムなどの金属材料または他の好適な超弾性材料で作成することができる。
【0050】
図6は、図5A図5Bに示される一例の実施形態に対する一変形形態を例示する。全ての他の要素は、図5A図5Bを参照して記載されるものと同様であるが、この一例の実施形態では、遠位の網の代わりに、遠位の網部分のストラットが、その遠位端においてフィルム(140)に結合している。一実施形態によると、フィルム(140)は、血流を遮断することができる。このような構成によって、デバイスが遠位方向から流れてくる塞栓を保持することが可能になる。メッシュ網と比べて、フィルム(140)は、より少ない孔を有するより少ない材料で作成することができる。一実施形態において、フィルム(140)は、ポリオレフィン族、ナイロン、ペバックスなどのポリマー材料で作成される場合がある。
【0051】
図4図6は、1つの遠位の網のみがステント構造に組み込まれる一例の実施形態を例示している。一部の実施形態では、2つ以上のメッシュ網が組み込まれる場合もあることを当業者は理解すべきである。例えば図7は、図1に示される一例のステント(12)を例示するが、遠位の網(152)は、1つだけではなく、3つの追加のメッシュ網(154)を組み込んでいる。図7に示されるように、各網(152、154)は、ステント(12)に接続する底縁部を有し、網の中心部分が、その底縁部から遠位方向に離れて延びることでメッシュ網(152、154)は略円錐形を形成している。本教示の一実施形態によると、この一例の実施形態に示されるメッシュ網(152、154)は、事前に形成された円錐形を有し、これは、経皮送達ではしぼみ、展開時に拡張した外形を取るように構成される。図7に示されるように、各メッシュ網(152、154)は、ステントの軸方向の内腔の内部に収容される。
【0052】
本教示の一実施形態によると、プルワイヤ(122)は、例えば図8に示されるように各網の中を通って延び、各網の遠位方向の先端に接続するように構成される。図8に示されるように、プルワイヤ(122)は、ステント(12)の長手方向軸に沿って延び、プルワイヤ(122)の遠位端は、遠位の網(152、154)の遠位方向の先端に結合している。ステント(12)の内部に収容された各メッシュ網もまた、プルワイヤ(122)の特定の区画に結合している。凝血塊を回収する間、全てのメッシュ網(152、154)は、塞栓の残骸を捕らえるためのキャップとして作用する。臨床医がプルワイヤ(122)の近位端を引っ張ると、近位方向に引っ張る力がメッシュ網(152、154)に伝わり、ステントがより効率的に凝血塊を収容/捕捉し、凝血塊が漏れる可能性を最小限にする。
【0053】
図9A図9Bは、図5A図5Bを参照して記載した別の実施形態を例示している。この実施形態では円錐形または傘の骨組み形状の遠位の網の代わりに、遠位の網(162)は密閉された3D外形を有するが、全ての他の要素は、図5A図5Bを参照して記載したものと同様である。一実施形態において、遠位の網(162)は、略丸形またはわずかに細長いボール形状を有し、プルワイヤ(122)がボールの近位の位置に結合している。図9A図9Bに示されるような別の実施形態では、遠位の網(162)は、ラグビーボール形である。送達される間、密閉された3D外形(162)の遠位の網はしぼんで、しぼんだステント(12)の遠位方向に配置される、またはしぼんだステント(12)の軸方向の内腔の中に配置されるかのいずれかで細長い構成になる。展開されると、密閉された3D外形の遠位の網(162)は拡張して、事前に設定された塞栓を捕らえる形状になる。
【0054】
図9A図9Bは、塞栓捕捉デバイスの2つの展開された構成を示しており、このデバイスは、ステント(12)と、遠位の網(162)とを含む。図5A図5Bを参照して記載したものと同様に、一実施形態では、プッシャシャフト(22)とプルワイヤ(122)は互いと独立して動くため、遠位の網部分(162)は、図9Aに示されるようにステント(12)から軸方向に遠位方向に離れる第1の構成を有し、遠位の網部分(162)はまた、図9Bに示されるようにステント(12)の遠位の開口内に部分的に残る第2の構成を有する。図9Bに示されるように遠位の網部分(162)の少なくとも近位の部分は、ステント(12)の遠位の開口の内部に引き込まれ、遠位の網部分(162)の少なくとも遠位の部分は、ステント(12)の外側に残ったままである。本教示の一実施形態によると、遠位の網部分(162)は、遠位の保護物、流量制限器、レーザステントの栓として、かつ最終的には回収される際のクリーナーとして作用するように構成される。
【0055】
図10は、図9A図9Bに示される実施形態の一変形形態を例示する。この実施形態では、本実施形態における遠位の網部分(162)は、互いと結合している複数の密閉された3Dメッシュ網(162)で作成されるが、全ての他の要素は、図9A図9Bを参照して記載したものと同様である。3つの密閉されたメッシュ網(164)が図10に示されているが、2つ、4つまたはさらにはそれ以上の密閉されたメッシュ網(164)が組み込まれる場合もあり、よって、本教示の範囲は図面に例示されるものに限定されるべきではないことを当業者は理解すべきである。一実施形態において、図10に例示されるように、プルワイヤ(122)が、近位の密閉されたメッシュ網(164)の中を通って延び、2つの近位の密閉されたメッシュ網(164)は互いに結合した状態で最も遠位方向の密閉された網(162)の近位端に結合している。代替の一実施形態では、プルワイヤ(122)は、全ての密閉されたメッシュ網(164)は互いと結合している状態で最も近位の密閉されたメッシュ網(162)の近位端に結合している。
【0056】
2つの隣接する密閉されたメッシュ網(164)は互いに結合しているため、本教示の一実施形態によると、近位の密閉されたメッシュ網(164)の遠位端は、遠位の密閉されたメッシュ網(162)の近位端に結合している。2つの密閉されたメッシュ網(164)の間の結合している部分は、プルワイヤ(122)がその中を通って延出することができるように構成される。一実施形態において、各々の密閉されたメッシュ網(162、164)は、互いに独立して展開する。あるいは全ての密閉されたメッシュ網(162、164)は同時に展開する。一実施形態では、密閉されたメッシュ網(162、164)の形状およびサイズは、同一であり得る。あるいは、密閉されたメッシュ網(162、164)の形状およびサイズは互いに異なる場合もある。
【0057】
図9A図9Bを参照して記載したものとは異なり、密閉されたメッシュ網(162、164)のサイズは、第2の構成において、いったん展開された全ての密閉されたメッシュ網がステントの軸方向の内腔の内部に戻るように摺動することができるように構成される。密閉されたメッシュ網(162、164)は、ひとたび凝血塊がステントによって捕捉されると、凝血塊を確実に留め置くことを助け、凝血塊がばらばらになるのを防ぐ。
【0058】
図11は、密閉されたメッシュ網(172)が、図2に示されるような塞栓捕捉デバイス(32)に可動式に結合した塞栓捕捉デバイスの一実施形態を例示する。図2を参照して記載されるものと同様に、近位のストラットは、円筒形のステント本体と結合して近位のハブを形成し、遠位のストラットは、円筒形のステント本体と結合して遠位のハブを形成する。上記に記載したように、近位のハブは、プッシャシャフト(22)と結合するように構成され、遠位のハブは、遠位の網部分(172)と結合するように構成される。図9図10を参照して記載されるものと同様に、遠位の網部分(172)は、少なくとも1つの密閉された3Dメッシュ網を含む。本教示の一実施形態によると、2つ以上の密閉されたメッシュ網(172)が、遠位の網部分を構成する。複数の密閉されたメッシュ網の構成は、図9図10を参照するなど上記に記載されるものと同様である。図9A図9Bを参照して記載されるものと同様に、遠位の網部分(172)は、半径方向にしぼむ第1の構成と、図11に示されるように半径方向に拡張する第2の構成とを有する。本教示の一実施形態によると、近位のステント本体(32)は、凝血塊に係合する、また一部の場合においては凝血塊をばらばらに壊すように構成され、遠位の網部分(172)は、治療の間に生じた破片を捕らえて取り除くように構成される。一実施形態において、デバイスのステント部分(32)は、デバイスの遠位の網部分(172)より相対的に剛性である。図9図11に示される遠位の網部分(172)は、メッシュのボールを有するように記載されているが、必要に応じて、効果を高めるために異なる構成が使用される場合があることを当業者は理解すべきである。例えば、遠位の網部分は、編み組みメッシュまたはフィルムで作成される場合もある。
【0059】
図12A図12Bは、遠位の網部分が、メッシュチューブ(182)の外形である塞栓捕捉デバイスの別の実施形態を例示する。図12A図12Bに示される実施形態はまた、図2を参照して記載するものと同様のステント(32)も有する。図9図11を参照して記載するものとは異なり、本実施形態におけるメッシュチューブ(182)は、近位の開口と、遠位の閉じた端部とを備える試験管の全体的な形状である。プルワイヤ(122)の遠位端は、メッシュチューブ(182)の遠位の閉じた端部に装着される。図9図11を参照して記載するものと同様に、一実施形態では、プッシャシャフトとプルワイヤ(122)が互いに独立して動くため、遠位の網部分(182)は、図12Aに示されるようにステント(32)から軸方向に遠位方向に離れる第1の構成を有し、遠位の網部分(182)はまた、図12Bに示されるようにステント(32)の上を摺動し、メッシュチューブ(182)がステント(32)の少なくとも一部分を覆う第2の構成を有する。図12Bに示されるように第2の構成では、外側のメッシュチューブ(182)は内側のステントの層を覆う。一実施形態において、メッシュチューブ(182)は、ステント(32)と同じ長さを有する。別の実施形態において、メッシュチューブ(182)は、ステント(32)と異なる長さを有する。一実施形態においてメッシュチューブ(182)は、ステント(32)の外径と相対的に一致する内径を有する。一実施形態において、メッシュチューブ(182)は、その全長を通して一定の直径を有する。別の実施形態において、メッシュチューブ(182)は、1つの区画から別の区画において直径を変化させる。一実施形態においてメッシュチューブ(182)の近位端は、長手方向軸に概ね直交する直線の外径を有する。塞栓を回収する間、ステント本体が凝血塊に係合すると、臨床医は次いでステント本体をメッシュチューブ(182)に向けて遠位方向に押すことにより、全ての血液の塊の断片が血流へと漏れるのを防ぐ。
【0060】
図13A図13Bは、本教示の別の実施形態を例示する。図12A図12Cに示される実施形態とは異なり、ステント(32)は、ステント(32)本体の外側のメッシュスリーブ層に固定されるように構成される。一実施形態において、メッシュスリーブ(192)は、図13Aに示されるようにステント(32)と同じ長さを有する。別の実施形態において、メッシュスリーブ(192)は、図13Bに示されるようにステント(32)よりも長い。本教示の一実施形態によると、ひとたびメッシュスリーブ(192)がステント(32)本体の外側を覆うと、デバイスは、拡大した表面積を有するようになり、半径方向外向きの力が高まることになる。別の実施形態において、メッシュスリーブ(194)が、図13Bに示されるようにステント(32)本体より長い場合、メッシュスリーブ(194)の近位部分はステント(32)本体の外側を覆い、その一方でメッシュスリーブ(194)の遠位部分はステント(32)本体の遠位端を覆うように延びる。本教示の一実施形態によると、メッシュスリーブ(192、194)の遠位部分は、治療の間に生じた塞栓の断片を捕らえて取り除くように構成される。上記に記載した実施形態と同様に、デバイスのステント(32)部分は、デバイスの外側のメッシュスリーブ(192、194)より相対的に剛性である。
【0061】
次に図14図15を参照すると、小さい塞栓がステントから漏れて合併症を引き起こすのを防ぐために、ステント安定化機構が塞栓捕捉デバイスに採用される。本教示の一部の実施形態によると、ひとたび凝血塊が捕捉されると、凝血塊が回収される間、回収する力がステントの近位端に加えられ、ステントは細長くなり、その全体の直径は収縮する。よって、ステントを安定化させ、ステント壁の付着力が弱まるのを防ぐために、本教示の一実施形態によって、安定化ストラットを組み込むことで、ステントで回収する間、壁の付着を維持する、さらには壁の付着がより強くなる。本教示の一部の実施形態によると、安定化ストラットは、ステント構造を支えるのに使用される場合もある。図14に示されるように、安定化ストラット(202)は、ステント(32)の周辺壁から延出し、一定の角度で遠位方向に、かつ半径方向内向きに延びる。安定化ストラット(202)の遠位端(204)は、ステント(32)の軸方向の中心付近の位置で終端している。図14に示されるように第1の安定化ストラット(202)の遠位端は、同様の態様でステント(32)の周辺壁の同じ区画から延出している別の安定化ストラット(202)の遠位端と接触している。両方の端部は、ステント(32)の軸方向の中心付近の位置で合わされる。一実施形態において2つの安定化ストラット(202)が合わさって1つのセットを形成する。別の実施形態において、3つ以上の安定化ストラット(202)が合わさって1つのセットを形成する。一実施形態では、2セットの安定化ストラット(202)がステント(32)に組み込まれ、ストラット(202)の一方のセットはステント(32)の最も遠位の端部から延び、ストラット(202)の他方のセットはステント(32)の最も近位の端部から延びる。別の実施形態において、安定化ストラット(202)の3つ以上のセットが組み込まれ、ストラット(202)第1のセットは、ステント(32)の最も遠位の端部から延び、ストラット(202)の第2のセットは、ステント(32)の最も近位の端部から延び、ストラット(202)の第3のセットは、近位端と遠位端との間にあるステント(32)の区画から延びる。安定化ストラット(202)4つのセットが使用される図14に示される一例の実施形態など、安定化ストラット(202)の4つ以上のセットが組み込まれる場合があることを当業者は理解すべきである。
【0062】
本教示の一部の実施形態によると、安定化ストラット(202)の一端が合わさって、図15に示されるようにプルワイヤ(122)のシャフトに結合している。一実施形態において、安定化ストラット(202)の各セットの遠位端は、図15に示されるようにプルワイヤ(122)のシャフトの特定の区画に結合している。回収される間、近位方向の指向性の引っ張る力がプルワイヤ(122)に加えられ、安定化ストラット(202)が引っ張る力を半径方向に伝え、この力が、ステントに凝血塊とより接触するようにステント壁を開かせる。図16は、図15に対する代替の一実施形態を例示しており、ここでは、機械的な血栓除去術プロセスの効率を高めるために、ステントの近位のストラットは取り除かれている。
【0063】
図17A図17Bは、安定化ストラットが塞栓捕捉デバイスに組み込まれた別の実施形態を例示する。本教示の一部の実施形態によると、ステント(32)は、少なくとも1つの指向性のストラット(220)を組み込んでいる。ストラット(220)の近位端(222)は、プッシャシャフト(22)の遠位端に接続し、ストラット(220)の遠位端(224)は、プルワイヤ(122)の特定の位置に接続している。ストラット(220)の中央区画は、接合部(226)を有する。そのような接合部(226)は、ステント(32)の内側の周辺壁に装着されている。図17Aに示されるように、プルワイヤ(122)が、プッシャシャフト(22)の長手方向の内腔の中を通って延びる。プッシャシャフト(22)は、プッシャシャフト(22)の遠位端がステント(32)の軸方向の内腔の内部にある状態で、ステント(32)の近位のハブの中を通って遠位方向に延びる。プッシャシャフト(22)とプルワイヤ(122)は互いに独立して摺動する。本教示の一実施形態によると、プッシャシャフト(22)の遠位端がプルワイヤ(122)の遠位端から近位方向に離れるように動くにつれ、ストラットの両端(222、224)は、互いに対して離れるように動かされる。ストラット(220)が接合部においてまっすぐになったとき、ステント(32)壁は、互いに対して半径方向に引っ張られる。本教示の別の実施形態によると、プッシャシャフト(22)の遠位端が、プルワイヤ(122)の遠位端に向かって遠位方向に動くにつれ、ストラットの両端(222、224)は、互いに対して近づくよう動かされる。ストラット(220)がそれぞれの接合部において曲がるとき、ストラット(220)がステント(32)壁を半径方向外向きに押しやる。このような機構によって、臨床医が、プッシャシャフト(22)および/またはプルワイヤ(122)の相対位置を操作することによってステント(32)の全体のサイズを調節することが可能になる。本教示の一部の実施形態によると、このような設計は、臨床医が、凝血塊を回収する間、必要に応じて壁の付着力を増大させたり低下させたりすることによってステントの全体の直径を制御することを可能にする。加えてこのことは、臨床医に、様々な直径の血管を通すための操作性を与え、また凝血塊のサイズに応じた対応力も与えることになる。
【0064】
本教示の追加の実施形態では、図4図8を参照して記載されるものと同様に、図14図17を参照して示され記載される実施形態にメッシュ網(228)が組み込まれる場合もある。例えば図18は、図15を参照して示され記載される実施形態に組み込まれた遠位の網を例示する。図19は、図15を参照して示され記載される実施形態に組み込まれた、遠位の網と合わせた複数の安定化ストラット(202)のセットを覆うように組み込まれた複数のメッシュ網(230)を例示する。図20は、図17Aを参照して示され記載される実施形態に組み込まれた遠位の網(232)を例示する。
【0065】
図21Aは、本教示による塞栓捕捉デバイス(250)の別の実施形態を例示する。図21Aに例示されるように、一例のステント(252)は、ステント表面の全体にわたって非連続のパターン(254)を有する。示されるようにステント(252)は、連続する部分(256)と、非連続の部分とを有する。連続する部分(256)は、上記に記載するものと同様のステントの表面の特徴を有する。非連続の部分(254)は、凝血塊がステント(252)の内側の内腔の中を進むように設計される。一実施形態において、非連続の部分(254)は、ステントの内腔面に沿ってらせん状に離間される。例えばらせん状の開口は、ステント面に沿った少なくとも1つの回転である。別の実施形態において、非連続の部分(254)は、ステントの内腔面に沿って直線状に離間される。一実施形態において、非連続の部分は、1つの連続する開口で作成される。別の実施形態において、非連続の部分は、互いに接続された2つ以上のらせん状の開口で作成される。一実施形態において、非連続の部分は、内腔面の50%を超える部分を占める。別の実施形態において、非連続の部分は、内腔面の50%未満の部分を占める。一実施形態において、非連続の部分は、ステントの近位端からステントの遠位端まで配置される。別の実施形態において、非連続の部分は、ステントの遠位区画、近位区画および/または中央区画のうちの1つの周りのみに位置する。一実施形態において、非連続の部分は、捕捉すべき凝血塊と同様のサイズに設定された開口を有する。このような設計は、より効果的な塞栓との係合を実現することができる。例えばステントが近位方向に引き込まれるにつれ、凝血塊は、ステントの非連続の部分に接触するとすぐにステントの内側の内腔に入り込む。加えて、上記に記載するものと同様に、図21Bに示されるように、よりしっかりと凝血塊を捕捉するために、メッシュ網がステントの連続する部分にさらに組み込まれる場合もある。
【0066】
図22Aは、本教示による塞栓捕捉デバイス(260)の別の実施形態を例示する。図22Aに例示されるように、一例のデバイス(260)は、1つの部分が直線方式に別の部分に接続する複数のボール形状の塞栓捕捉部分(262)を有する。一実施形態によると、図22Aに示されるように、各ボール形状の捕捉部分(262)は、ボール部分(262)の近位端からボール部分(262)の遠位端まで延びる円弧の外形での4本のストラット(264)を有する。加えて、ボール形状の部分(262)は、メッシュ網(268)によって覆われる。近位のボール部分(262)の近位端は、プッシャシャフトに結合するように構成される。4本のストラット(264)が図22Aに例示されるが、各ボール形状の部分を構築するために、4本より少ない、または4本を超えるストラットが使用される場合もあることを当業者は理解すべきである。いくつかの実施形態において、ボール形状の部分は、全体がメッシュ網で作成される、すなわちストラットがない場合もある。加えて、結合している3つのボール形状の部分が本明細書に示されているが、完全な塞栓捕捉デバイスを作成するために、3つを超える、または3つより少ないボール形状の部分が組み込まれる場合もあることを当業者は理解すべきである。加えて、全ての3つのボール形状の部分(262)が、メッシュ網(268)によって覆われるように示されているが、1つまたは複数のボール形状の部分は、図22Bに示されるものなど、メッシュカバーなしで露出したストラットを有する場合もあることを当業者は理解すべきである。一実施形態において、デバイス内の全てのボール形状の部分は、各ボールの形状およびサイズ、ストラットありで、またはストラットなしで、各ボール部分に組み込まれるストラットの数、メッシュカバーありで、またはメッシュカバーなしで、メッシュカバーの密度、使用される材料の特徴、使用される材料のタイプなど、同一の構成を有する場合がある。デバイス内の全てのボール形状の部分が異なる構成を有する場合もあることを当業者は理解すべきである。
【0067】
図23は、本教示による塞栓捕捉デバイス(270)の別の実施形態を例示する。図23に例示されるように、デバイスは、近位のストラット(274)を備える編み組まれた塞栓捕捉部分を有する。全ての近位のストラット(274)が合わさって近位のハブ(276)を形成する。プッシャシャフト(22)の遠位端は、デバイス(270)の近位のハブ(276)に結合している。一実施形態によると、デバイス本体は、例えば図13A図13Bを参照して記載されるものなど、上記に記載したメッシュスリーブと同様であってよい。臨床医がプッシャシャフト(22)を近位方向に引っ張ると、凝血塊を回収する間、編み組み部分が細長くなり、凝血塊を捕捉する。
【0068】
図24は、デバイスの大部分が、本教示によるメッシュ網で作られている塞栓捕捉デバイス(280)の別の実施形態を例示する。図24に例示されるように、デバイスは、バスケットの全体的な形状の複数のメッシュ網(282)を有する。バスケット(282)の各々は、ストラット(284)を介してプッシャシャフト(22)に結合している。前記ストラット(284)は、その遠位端においてストラット(284)の開口縁部に結合し、その近位端においてプッシャシャフト(22)の特定の位置に結合している。図24に示されるように、第1のバスケットに接続するストラット(284)は、プッシャシャフト(22)の片側から半径方向に離れるように延び、隣接するバスケット(282)、すなわち第1のバスケット(282)の遠位方向の第2のバスケット(282)に接続するストラット(284)は、プッシャシャフト(22)の反対側から半径方向に延びる。第1のバスケット(282)は第2のバスケット(282)の近位方向にある。第1のバスケット(282)は、図24に示されるように第2のバスケット(282)の開口を部分的に覆う。例えば第1のバスケット(282)の少なくとも一部は、第2のバスケット(282)の開口面を超えて延び、その一方で2つの隣接するバスケット(282)は、互いと直接する接点は持たない。本教示の一実施形態によると、このような設計は、所望される/設計される回数だけ繰り返される。図24は、塞栓捕捉デバイス全体を構成する7つのメッシュバスケットを示すが、塞栓捕捉デバイスを完成させるのに、7つを超える、または7つより少ないバスケットが使用される場合もあることを当業者は理解すべきである。よって本明細書に示される一例の実施形態は、本教示の範囲を限定するものとみなすべきではない。加えて、本教示の一実施形態によると、各バスケットは、プッシャシャフトが中を通って延びることができるように構成される。プッシャシャフト(22)の遠位端は、最も遠位のバスケットの遠位端に結合している。プッシャシャフトを遠位方向に延ばしたり、近位方向に引き込んだりすることによって、デバイスは、送達され、展開され、またひとたび凝血塊に係合して捕捉すると、回収される。
【0069】
図25は、本教示による塞栓捕捉デバイス(290)の別の実施形態を例示する。図25に例示されるように、デバイスは、遠位のキャップ(292)と、近位のキャップ(294)の2つの構成要素を有する。一実施形態において近位のキャップ(294)と遠位のキャップ(292)との間の距離は、遠位のキャップ(292)が、プッシャシャフト(22)の遠位端に結合し、近位のキャップ(294)が、遠位のキャップ(292)に対して近位方向の特定の距離からプッシャシャフト(22)の特定の位置に結合するように、事前に設定される。本教示の別の実施形態によると、プッシャシャフト(22)の遠位端は、近位のキャップ(294)に結合し、プルワイヤ(122)の遠位端は、遠位のキャップ(292)に結合している。上記に記載するものと同様に、プルワイヤ(122)は、プッシャシャフト(22)の長手方向の内腔の中を通って延びる。プッシャシャフト(22)とプルワイヤ(122)は、互いに独立して摺動するため、近位のキャップ(294)と遠位のキャップ(292)との間の距離は、プッシャシャフト(22)の遠位端とプルワイヤ(122)の遠位端との間の相対距離に従って調節可能である。
【0070】
利用において、遠位のキャップ(292)は凝血塊の遠位方向で展開され、近位のキャップ(294)は凝血塊の近位方向で展開される。遠位のキャップ(292)および近位のキャップ(294)の両方を回収する間に、凝血塊が捕捉される。本教示の一実施形態によると、各キャップ(292、294)は、メッシュ層またはフィルム層のいずれかによって被覆された支持用のストラットと共に構築される。別の実施形態において、各キャップ(292、294)はメッシュ層だけで構築される。一実施形態において、近位のキャップ(294)および遠位のキャップ(292)の少なくとも一方は、治療箇所で露出されると自己展開するように構成される。別の実施形態では、近位のキャップ(294)および遠位のキャップ(292)の少なくとも一方は、治療箇所において手動で展開するように構成される。例えば遠位のキャップ(292)は、傘に似た機構で構築され、そのような機構で展開される場合がある。図25に示される実施形態のように、遠位のキャップ(292)は、その近位端がプルワイヤ(122)に摺動可能に装着され、その遠位端はメッシュの骨組みに装着されている複数の支持ストラットを有し、支持ストラットの近位端を遠位方向に押すことによって、メッシュの骨組みは半径方向に拡張する。
【0071】
図26A図26Bは、別の実施形態を例示する。図26Aは、塞栓捕捉ステント(300)に加えて、流量制限機構(302)がステント(300)の近位端に加えられているのを例示する。本教示の一実施形態によると、流量制限機構(302)は、血流が再開通した結果として凝血塊が分裂してしまう可能性を低下させる。図26Bは、塞栓捕捉ステント(310)に加えて、流量制限機構(312)がステント(310)の近位端に加えられ、遠位の保護機構(314)がステント(310)の遠位端に加えられているのを例示する。本教示の一実施形態によると、遠位の保護機構は、治療の間に生じた塞栓の断片を捕らえる。図26A図26Bに示されるように、遠位の保護機構(314)および近位の流量制限機構(312)は共に、ステント本体(310)のそれぞれの端部に結合しており、ステント本体(310)の全体の直径よりわずかに大きな直径を有する。遠位の保護機構(314)および近位の流量制限機構(312)は共に、ステント本体(310)と同じサイズまたはそれよりわずかに小さいサイズを有する場合もあることを当業者は理解すべきである。よって、図26Bに示されるものは、本教示の範囲を限定するものとみなすべきではない。加えて、図26A図26Bは、遠位の保護機構(314)および近位の流量制限機構(312)が両方とも球状の構成であるのを例示しているが、同一の機能上の目的を達成するのに適した他の外形が組み込まれる場合もあることを当業者は理解すべきである。一実施形態において、遠位の保護機構(314)および近位の流量制限機構(312)の両方が、メッシュ、フィルムで作成される場合もある。また遠位の保護機構(314)および近位の流量制限機構(312)の両方が、互いと同じ材料または異なる材料および/またはステント本体と同じ材料または異なる材料で作成される場合もある。
【0072】
本教示の一部の実施形態によると、上記に記載したような例えば網、バスケット、チューブおよび/またはスリーブの形状などのメッシュ層および/またはフィルム層は、生体適合性金属またはポリマー金属、ポリマー編み組み、レーザカット機構、多孔性フィルム、繊維またはさらに他のもので作成されてもよい。いくつかの実施形態において、全体または一部が、カーブした展開構成を有するデバイスは、送達プロセスの間、前記部分が概ね直線になる外形になるように変形すること、ならびにひとたびそれが送達カテーテルから展開されると、生体内でその意図される外形を維持することを可能にする弾性材料、超弾性材料または形状記憶合金で作成される。いくつかの実施形態において、デバイスは、ステンレス鋼、ニチノール、チタン、エルジロイ、ビタリウム、Mobilium、Ticonium、Platinore,ステライト、タンタル、白金、ハステロイ、CoCrNi合金(例えば商標名Phynox)、MP35NまたはCoCrMo合金または他の金属合金で作成される。あるいは、そのような実施形態では、デバイスの一部または全ては、可撓性の、生体適合性材料で作成され、限定される訳ではないが、ポリエステル繊維、例えばePTFE、UHMPE、HDPE、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリウレタン、金属材料、ポリビニルアルコール(PVA)、哺乳類組織から隔離された細胞外マトリックス(ECM)などのテフロンベース材料、または他のバイオ工学処理材料、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトンなどの生体吸収性ポリマー、または他の天然材料(例えばコラーゲン)または当業者によく知られたこれらの材料の組み合わせが含まれる。
【0073】
本教示の一実施形態によると、上記に記載したようなメッシュ層/フィルム層は、デバイスがカーブした展開された外形を取ったときでも、開口を通る血流を妨げることはない。本教示の一実施形態によると、各メッシュ開口およびフィルムの孔のサイズは、40〜300μmの範囲であり得る。本教示の別の実施形態によると、開口面は、メッシュ層の全表面の50〜95%である。本教示の一実施形態によると、メッシュ網は、例えば1〜6mmなど、ステントと概ね同じ直径を有するようにサイズ設定される。
【0074】
本教示の一部の実施形態では、デバイスのメッシュ層は、金属製のストランドから作成された、織られた、編まれた、または編み組まれた管状の金属繊維であり得る。本明細書で使用される用語「ストランド」は、ワイヤ、ひも、繊維、織り糸、単繊維、ケーブル、より糸などである場合があり、このような用語は相互に入れ替え可能に使用されてよい。一実施形態によると、デバイスを形成するのに使用されるワイヤは、およそ0.02mmからおよそ1mmの全体の直径を有する。
【0075】
本教示の一実施形態によると、デバイスのメッシュ層が製作され、その後、その最終的な構成になるように成形される。一実施形態において、ニチノールなどの十分に伸縮性がある弾性材料が使用された場合、構造体は、最終的な形状になるように事前に形成され、その後、送達される間は弾性変形され格納され、そして展開された後に形状は弾性回復する。いくつかの実施形態において、デバイスのメッシュ層は、その所望される構成になるまで手動で拡張され、所望されるデバイスの形状を記憶するために、所望される形状に拘束しながらオーブンの中で熱処理される場合もある。本教示の一実施形態によると、展開されると、デバイスのメッシュ層は、材料の弾性性質により拡張する。本教示の別の実施形態によると、展開されると、デバイスのメッシュ層は、その事前に設定された材料の熱形状記憶により拡張する。
【0076】
本明細書に記載されるデバイスは、血栓部位へのカテーテルを通じた薬剤の直接注入と組み合わせて使用される場合もあることを当業者は理解すべきである。遠位の網を備えるこのような実施形態は、凝血塊を溶解させ、凝血塊に対して局所的かつ直接働くtPA (組織プラスミノゲン活性化因子)など医薬品の働きを制限する場合がある。具体的には、デバイスの遠位の網は、tPAが全身を通って循環するのを防ぐ閉じた空間を生み出す。このような設計はまた、血流を遮断する作用も有するため、血液がさらに出血するのを防ぎ、薬剤の注入を妨げ、また組織の外に血液が吸い出されるのをぐ。例えばプッシャシャフトは、tPAまたは任意の治療用薬剤を排泄するように構成される場合もある。遠位の網を備えたこのような実施形態は、ステント本体と網との間の空間、または2つのキャップの間の空間が、tPAが全身を循環するのを防ぐ閉じた外形を形成するように構成される。そのような事態においては、特定の時間が経過した後、塞栓は、薬剤によって、すなわち吸い出しによって溶解される、および/または塞栓捕捉デバイスによって回収されることになる。
【0077】
図27は、本教示の別の実施形態を例示しており、ここでは、塞栓捕捉デバイス(320)は、ステント本体(322)と、ステント本体(322)の軸方向の内腔の内側の渦巻きコイル(324)とを有する。図27に示されるように渦巻きコイル(324)は、略円錐形状になるようにらせん状に巻かれた連続するワイヤから作成される。コイルの近位のループは、ステント本体(322)の内側の内腔壁に結合している。一実施形態において、コイルの近位のループは、ステント本体(322)の近位の区画に結合している。別の実施形態では、コイルの近位のループは、ステント本体(322)の中央区画に結合している。送達される間、コイル(324)は、細長いステント本体の内部に留まり、伸張されて細長い直線形状になるように構成される。展開されると、コイル(324)は、その遠位端がステント(322)の軸方向の内腔の内部に留まっている状態で、らせん状に巻かれた円錐形状を取り戻す。一実施形態において、渦巻きコイル(324)は、凝血塊をステント本体の内部に保持することにより、凝血塊がばらばらになって遠位で塞栓になる可能性を低下させることができる。一実施形態において、コイルは、ステント本体と同じ材料またはそれとは異なる材料で作成される場合がある。別の実施形態において、コイルは、ステント本体と同一の可撓性である場合、またはそれとは異なる可撓性である場合がある。追加として、図27に例示されるような円錐形状は、単なる一例であり、コイルの全体の長さ、円錐の傾斜角度および各々の巻き付けのきつさは、意図される機能上の目的を達成するために全て変化する場合があることを当業者は理解すべきである。
【0078】
図28A図28Cは、塞栓係合デバイス(350)の別の実施形態を例示する。そのようなデバイスは、凝血塊に係合させてより効率的に回収するために使用される。図28Aは、らせん方式でその周りに巻き付けられたリボン(352)を備えたガイドワイヤ(122)の遠位部分を例示する。図28Aは、リボン(352)が、きっちりと周りに巻き付けられて拡張しない状態にある送達構成のデバイスを例示する。本教示の一実施形態によると、リボン(352)は、作動機構によって半径方向に拡張し、凝血塊物質に係合するように構成される。リボン(352)は、らせん方式で巻き付けられるため、拡張するにつれ、リボン(352)の一部は凝血塊の中に留まり、リボン(352)の一部は、凝血塊の周辺部の外側に延びる。これによりデバイス(350)が、凝血塊にしっかりと係合することが可能になる。この時点で、デバイス(350)は、マイクロカテーテル/カテーテルの補助によって、またはそれらの補助なしで近位方向に引き込まれ、凝血塊を本体の外に運ぶことができる。
【0079】
本教示の一実施形態によると、リボンの拡張は、リボン(352)の近位端に結合したプルワイヤ(図示せず)によって達成される。臨床医がプルワイヤを遠位方向に延ばすにつれ、リボン(352)は、ガイドワイヤから解かれ、半径方向に拡張する。一実施形態においてプルワイヤは、ガイドワイヤと一緒に延びる。別の実施形態において、プルワイヤは、ガイドワイヤの長手方向の内腔の内部に延在し、特定の位置で外に出て、リボン(352)の近位端に結合する。そのようなプルワイヤは、ガイドワイヤとは別個に延在する。プルワイヤを近位方向に引っ張ることによって、デバイスは、細長い送達構成を取り戻す。プルワイヤを遠位方向に押すことによって、デバイスは拡張された構成に移行する。
【0080】
本教示の別の実施形態では、リボン(352)の拡張は、形状記憶特性によって達成される。このようなリボン(352)は、特定の形状をとるために熱処理される場合がある。人間の体温にあるとき、このようなリボン(352)は、事前に設定された形状を取り戻すことができる。リボン(352)はまた、電流または光の波長など、エネルギーの入力に対して幾何学的に反応するように構成される場合もある。さらに別の実施形態では、リボンは、このような機構のうちの2つ以上の組み合わせを組み込む場合もある。
【0081】
一実施形態によると、リボンの拡張レベルは、事前に設定される場合もあり、留置後に調節可能である場合もある。本教示の一部の実施形態では、リボンの横断面は円形、矩形、三角形、楕円形、他の好適な形状、またはそれがその用途に適する限りそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、リボンは、中空の外形であっても中実の外形であってもよい。様々なリボンの外形は、デバイスと凝血塊の様々な相互作用特性を生じさせる可能性があることを当業者は理解すべきである。
【0082】
このような一例の実施形態は、マイクロカテーテルの助けがない状態で血栓除去術を実施することができる塞栓係合デバイスを提供する。したがって、本教示の実施形態を使用して、血管の外傷を低減し、蛇行部での効果を改善し、治療の成功率を高め、また蛇行部で凝血塊を失う可能性を低減することができる。
【0083】
次に図28B図28Cを参照すると、複数のそのようなリボン(352)がガイドワイヤに沿って巻き付けられている。図28Bは、しぼんだ送達外形を提供する。図28Cは、拡張した展開された外形を提供する。本教示の一実施形態によると、全てのリボン(352)は、同一の形状、サイズ、ピッチおよび横断面外形を有し、同一の材料で作成され、同一の展開機構で組み込まれ、かつ同じ度合いまで拡張する場合がある。別の実施形態において、各リボンは異なる形状、サイズ、ピッチおよび横断面外形を有し、異なる材料で作成され、異なる展開機構で組み込まれ、かつ異なる度合いまで拡張する場合もある。本教示の一実施形態によると、全てのリボン(352)は、治療箇所に到達すると同時に展開する。別の実施形態において、少なくとも1つのリボンが、リボン(352)の残りのものと異なるペースで、または異なる時間に展開する。図28B図28Cは、ガイドワイヤ上に2つのリボン(352)を提供するが、それが同一の所望される機能を達成する限り、2つのリボン(352)より多くの、またはそれより少ないリボンが組み込まれる場合もあることを当業者は理解すべきである。
【0084】
本教示の一実施形態によると、X線、磁気共鳴、超音波または他の撮像技術などの放射線撮影装置を用いて塞栓捕捉デバイスを可視化するために、放射線不透過性マーカーが使用される。本明細書で開示されるマーカーは、デバイスの任意の部分の両端に、またはさらにはデバイスの送達システム上に適用されてよい。放射線不透過性マーカーは、縫い付ける、接着する、据え込む、リベットで留める、それ以外の方法でデバイス上に配置させ、固定することができる。放射線不透過性マーカーは、タンタル、タングステン、白金、イリジウム、金、これらの材料の合金または当業者に知られる他の材料で形成されてよい。放射線不透過性マーカーはまた、コバルト、フッ素または多くの他の常磁性材料または当業者に知られる他のMR可視材料である場合もある。
【0085】
加えて、送達システムはまた、吸引目的のために設計される場合もある。例えばプッシャシャフトは、吸引チャンバと共に構成される。そのようなチャンバは、吸引するために開くように構成される。プッシャシャフトの遠位端を治療箇所まで送達すると、臨床医は、吸引ポンプまたはシリンジをPull Hypotubeに接続し、凝血塊を吸い込むことができるようになる。いくつかの実施形態において、吸引チャンバを備えたプッシャシャフトの表面は、吸引の効率を高めるように滑らかにされる。
【0086】
種々の実施形態は一例として本明細書に例示され記載されており、当業者は、本教示の精神および範囲から逸脱することなく変形形態を作成することができることを理解するであろう。本教示は、他の実施形態も可能である、あるいは様々な他の方法で実施される、または実行されることも可能である。また本明細書で採用される言い回しおよび専門用語は、説明の目的のためであり、限定とみなすべきではないことも理解すべきである。
【0087】
そうでないことが定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、この本教示が属する当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは等価な方法および材料を本教示の実施またはテストにおいて使用することができる。矛盾が生じた場合には、定義を含めた本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法および例は単なる例示であり、限定することは意図されていない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28A
図28B
図28C
【手続補正書】
【提出日】2020年11月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端から遠位端まで延びる長手方向軸、中心内腔、細長いステント本体の近位端に結合して近位のハブを形成する複数の近位のストラット、および細長いステント本体の遠位端に結合して遠位のハブを形成する複数の遠位のストラットを有する細長いステント本体と
前記細長いステント本体の遠位方向に位置付けられた遠位の網と、
前記細長いステント本体の近位のハブに結合するプッシャシャフトと、
前記近位のハブ、前記細長いステント本体、および前記遠位のハブの中を通って延び、前記遠位の網に結合するプルワイヤと、
を備える塞栓捕捉デバイスであって
前記細長いステント本体および前記遠位の網は、互いに独立して展開されるように構成される、塞栓捕捉デバイス。
【請求項2】
前記細長いステント本体は、前記細長いステント本体に沿った複数のクローズドセルをさらに備え、前記クローズドセルのうちの少なくとも1つは、前記細長いステント本体に沿ったクローズドセルのうちの残りのものとは異なるサイズを有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項3】
前記細長いステント本体は、前記中心内腔に向かって少なくとも1つの半径方向内向きに曲がるフィンガをさらに備え、前記少なくとも1つの半径方向内向きに曲がるフィンガは、凝血塊を捕捉するように構成される、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項4】
前記プルワイヤは、前記プッシャシャフトの中を通って延び、かつ前記プッシャシャフトとは独立して伸張しおよび引き込むように構成される、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、前記遠位の網と前記細長いステント本体の遠位端との間に第1の距離を有する第1の構成、および前記遠位の網と前記ステント本体の遠位端との間に第2の距離を有する第2の構成を有する、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、前記複数の遠位のストラットに固定式に装着される第2の遠位の網をさらに備える、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、前記細長いステント本体の中心内腔の内部に位置付けられた少なくとも1つのメッシュ網をさらに備える、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのメッシュ網の近位の縁部は、前記細長いステント本体の内側の内腔壁に結合し、前記少なくとも1つのメッシュ網の遠位の先端は、前記細長いステント本体の長手方向軸の近くに位置する、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項9】
前記プルワイヤは、前記細長いステント本体の中心内腔の内部に位置付けられた少なくとも1つのメッシュ網の遠位の先端の中を通って延びて接続するように構成される、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項10】
前記遠位の網は、略円錐形状を有する、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項11】
前記遠位の網は、わずかに細長いボール形状を有する、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、前記細長いステント本体が半径方向にしぼむ第1の構成、および前記細長いステント本体が半径方向に拡張する第2の構成を有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、前記遠位の網がしぼんで細長い構成になり、しぼんだ細長いステント本体の遠位方向に位置付けられる第1の構成を有する、請求項に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項14】
前記遠位の網は、近位の開口および閉じた遠位端を有するメッシュチューブの形状にありかつ、前記デバイスは、前記メッシュチューブが前記細長いステント本体から軸方向にかつ遠位方向に離れる第1の構成、および、前記メッシュチューブが前記細長いステント本体の少なくとも一部の上を摺動して覆う第2の構成を有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項15】
前記遠位の網は、遠位の開口および近位の開口を有するメッシュスリーブの形状にありかつ、前記デバイスは、前記メッシュスリーブが前記細長いステント本体から軸方向にかつ遠位方向に離れる第1の構成、および前記メッシュスリーブが前記細長いステント本体の少なくとも一部の上を摺動して覆う第2の構成を有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、前記細長いステント本体の周辺壁の同じ区画から、前記中心内腔に向かってある角度で遠位方向にかつ半径方向内向きに延びる少なくとも組の安定化ストラットをさらに備え、前記少なくとも組の安定化ストラットの両方の遠位端は、前記細長いステント本体の細長い軸に近い位置で共に結合している、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項17】
前記プルワイヤは、前記少なくとも一組の安定化ストラットの遠位端に結合し、前記少なくとも一組の安定化ストラットに対して近位方向に引っ張る力を与えるように構成される、請求項16に記載の塞栓捕捉デバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、少なくとも1つの指向性のストラットをさらに備え、前記指向性のストラットの近位端は、前記プッシャシャフトの遠位端に接続し、前記指向性のストラットの遠位端は、前記プルワイヤの遠位端に接続し、かつ、前記指向性のストラットの中央の結合部は、前記細長いステント本体の内側の周辺壁に装着されており、かつ、前記デバイスは、前記プッシャシャフトの遠位端および前記プルワイヤの遠位端が互いから離れるように動くにつれ、前記少なくとも1つの指向性のストラットがまっすぐになり、前記細長いステント本体が半径方向にしぼむ第1の構成、および、前記プッシャシャフトの遠位端と前記プルワイヤの遠位端が互いに向かって動くにつれ、前記少なくとも1つの指向性のストラットが曲がり、前記細長いステント本体が半径方向に拡張する第2の構成を有する、請求項1に記載の塞栓捕捉デバイス。
【国際調査報告】