特表2020-536723(P2020-536723A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーの特許一覧

特表2020-536723熱耐久性が改善されたガソリン排気ガス用途のためのTWC触媒
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536723(P2020-536723A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】熱耐久性が改善されたガソリン排気ガス用途のためのTWC触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20201120BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201120BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20201120BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   B01J23/63 AZAB
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   F01N3/28 301P
   F01N3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2020-518448(P2020-518448)
(86)(22)【出願日】2018年10月11日
(85)【翻訳文提出日】2020年3月30日
(86)【国際出願番号】US2018055332
(87)【国際公開番号】WO2019075154
(87)【国際公開日】20190418
(31)【優先権主張番号】62/571,511
(32)【優先日】2017年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】シャオ−ラン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・カム
(72)【発明者】
【氏名】ハイ−イン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ヘイルズ
(72)【発明者】
【氏名】グァンモ・クー
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB03
3G091BA07
3G091GA06
3G091GA16
3G091GB03W
3G091GB04Y
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091GB10Y
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148BA03Y
4D148BA08X
4D148BA14Y
4D148BA18X
4D148BA18Y
4D148BA19X
4D148BA30Y
4D148BA31X
4D148BA33Y
4D148BA39Y
4D148BA41X
4D148BA42X
4D148BB02
4D148CC32
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC13B
4G169BC39A
4G169BC40A
4G169BC40B
4G169BC41
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC44A
4G169BC44B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC69A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA09
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC02Y
4G169EC28
4G169ED06
4G169FC08
(57)【要約】
三元触媒物品、及び内燃機関のための排気システムにおけるその使用が開示される。排気ガスを処理するための触媒物品であって、基材と、基材上の触媒領域と、を含み、触媒領域が、第1の白金族金属(PGM)成分と、酸素吸蔵成分(OSC)材料と、希土類金属酸化物と、無機酸化物と、を含み、希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有する、触媒物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを処理するための触媒物品であって、
基材と、
前記基材上の触媒領域と、を含み、
前記触媒領域が、第1の白金族金属(PGM)成分と、酸素吸蔵成分(OSC)材料と、希土類金属酸化物と、無機酸化物と、を含み、
前記希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有する、触媒物品。
【請求項2】
前記第1のPGM成分が、白金、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記第1のPGM成分が、パラジウムである、請求項1又は2に記載の触媒物品。
【請求項4】
前記パラジウム担持量が、前記触媒領域の総重量に基づいて、0.03〜10重量%の範囲である、請求項3に記載の触媒物品。
【請求項5】
前記OSC材料が、酸化セリウム、セリア−ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項6】
前記OSC材料が、セリア−ジルコニア混合酸化物である、請求項5に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記無機酸化物が、アルミナ、ランタニド安定化アルミナ、アルカリ土類安定化アルミナ、シリカ、アルミノケイ酸塩、マグネシア/アルミナ複合酸化物、チタニア、ニオビア、酸化タンタル、酸化ネオジム、酸化イットリウム、ランタニド、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項8】
前記無機酸化物が、アルミナ、ランタニド安定化アルミナ、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物である、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項9】
前記触媒領域が、前記OSC材料に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項10】
前記希土類金属酸化物が、La、Nd、Y、Pr11、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項11】
前記希土類金属酸化物が、Pr11、Nd、Y、又はこれらの混合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項12】
前記希土類金属酸化物が、Ndである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項13】
前記希土類金属酸化物が、物理的ブレンドによる前記希土類金属酸化物として前記触媒領域に組み込まれている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項14】
前記触媒領域が、アルカリ材料又はアルカリ土類材料を更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項15】
前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、バリウムである、請求項14に記載の触媒物品。
【請求項16】
前記触媒領域が、第2のPGM成分を更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項17】
前記第2のPGM成分が、白金、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の触媒物品。
【請求項18】
前記第1のPGM成分がパラジウムであり、前記第2のPGM成分がロジウムである、請求項17に記載の触媒物品。
【請求項19】
前記パラジウム成分と前記ロジウム成分とが、200:1〜1:200の重量比を有する、請求項18に記載の触媒物品。
【請求項20】
前記触媒領域が、前記パラジウム成分以外のPGM金属を本質的に含まない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項21】
前記基材が、フロースルーモノリス又はウォールフローフィルタである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項22】
第2の触媒領域を更に含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の触媒物品を含む、燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システム。
【請求項24】
内燃機関からの排気ガスを処理する方法であって、前記排気ガスを請求項1〜22のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させること、を含む、方法。
【請求項25】
内燃機関からの排気ガスを処理する方法であって、前記排気ガスを請求項23に記載の排出処理システムと接触させること、を含む、方法。
【請求項26】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、空気にて1000℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも15%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項27】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項26又は27に記載の組成物。
【請求項29】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項26〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項26〜29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、空気にて1000℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と前記PGM成分との混合物と比較して少なくとも35%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項32】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項31又は32に記載の組成物。
【請求項34】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項31〜33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記PGM成分が、パラジウムである、請求項31〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物に基づいて、少なくとも0.03重量%のパラジウムを含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項31〜36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、空気にて1100℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも5%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項39】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項38又は39に記載の組成物。
【請求項41】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項38〜40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項38〜41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、空気にて1100℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と前記PGM成分との混合物と比較して少なくとも20%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項44】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項43又は44に記載の組成物。
【請求項46】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項43〜45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記PGM成分が、パラジウムである、請求項43〜46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物に基づいて、少なくとも0.03重量%のパラジウムを含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項43〜48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも10%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項51】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項50又は51に記載の組成物。
【請求項53】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項50〜52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項50〜53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と前記PGM成分との混合物と比較して少なくとも10%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項56】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項55又は56に記載の組成物。
【請求項58】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項55〜57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記PGM成分が、パラジウムである、請求項55〜58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記組成物に基づいて、少なくとも0.03重量%のパラジウムを含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項55〜60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも10%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項63】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項62又は63に記載の組成物。
【請求項65】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項62〜64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項62〜65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、前記組成物の比表面積が、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、前記セリア−ジルコニア混合酸化物と前記PGM成分との混合物と比較して少なくとも10%増加しており、前記希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物。
【請求項68】
前記組成物の重量に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記希土類金属酸化物が、100nm超の平均直径(d50)を有する、請求項67又は68に記載の組成物。
【請求項70】
前記セリア−ジルコニア混合酸化物が、ジルコニアとセリアとのモル比が1:9〜9:1である、請求項67〜69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記PGM成分が、パラジウムである、請求項67〜70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物に基づいて、少なくとも0.03重量%のパラジウムを含む、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記希土類金属酸化物が、Nd又はYである、請求項67〜72のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンエンジンからの排気ガス排出物を処理するのに有用な触媒物品に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関では、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(「NO」)などの様々な汚染物質を含有する排気ガスが生成される。排気ガス触媒を含む排出制御システムは、大気に排出されるこれらの汚染物質の量を低減するために広く利用されている。ガソリンエンジン用途に通常使用される触媒は、三元触媒(TWC)である。TWCにより、次の3つの主な役割、すなわち、(1)一酸化炭素(CO)の酸化、(2)未燃炭化水素の酸化、及び(3)NOのNへの還元を行う。
【0003】
TWC触媒には、エンジンが化学量論的条件(空気/燃料比λ=1)で又はそれに近い状態でエンジンが確実に動作するように、慎重なエンジン管理技術が必要である。しかし、技術的理由から、エンジンは、動作サイクル中の様々な段階においてλ=1のいずれかの側で動作する必要がある。エンジンがリッチに作動しているとき、例えば、加速中に、全体的な排気ガス組成物は本質的に還元性であり、触媒表面上で酸化反応を行うことがより困難である。この理由のため、TWCは、動作サイクルのリーン期間中に酸素を吸蔵し、動作サイクルのリッチ期間中に酸素を放出することにより、有効な動作期間を拡大させる、成分を組み込むように開発されている。このような目的のために、セリア系(例えば、セリア−ジルコニア混合酸化物)材料が、現在の市販のTWCの大部分において、酸素吸蔵成分(OSC)として使用されている。
【0004】
このような触媒を高温、例えば800℃以上にさらすことにより、OSC材料と活性貴金属との両方が焼結するため、触媒の全体的な性能が低下する可能性があることは、周知である。このことから、OSC材料の熱安定性を強化するために、多大な検討がなされてきた。策の1つは、他の希土類イオンをOSC材料に導入することであり、ドーパントとして可溶性希土類金属前駆体溶液を使用することによって通常的に行われている。
【0005】
TWC技術の進展にもかかわらず、確かなエンジンプラットフォームのための改善された触媒コンバータがなお必要とされており、これにより熱安定性が改善された高い変換率を実現する。本発明は、とりわけこれらの必要性を解決するものである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、排気ガスを処理するための触媒物品であって、基材と、基材上の触媒領域と、を含み、触媒領域が、第1の白金族金属(PGM)成分と、酸素吸蔵成分(OSC)材料と、希土類金属酸化物と、無機酸化物と、を含み、希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有する、触媒物品に関する。
【0007】
本発明はまた、本発明の三元触媒成分を含む内燃機関のための排気システムも包含する。
【0008】
本発明はまた、内燃機関からの排気ガスの処理、特にガソリンエンジンからの排気ガスの処理も包含する。本方法は、排気ガスを本発明の三元触媒成分と接触させること、を含む。
【0009】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも15%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0010】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも35%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0011】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも5%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0012】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも20%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0013】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0014】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0015】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0016】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、ガソリンエンジン及び他のエンジンによって生成されるものなどの燃焼排気ガスの触媒処理、並びに関連する触媒物品及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、車両排気システムにおけるNO、CO、及びHCの同時処理に関する。驚くべきことに、本発明者らは、100nm超の平均直径(d50)を有する希土類金属酸化物を、触媒中に導入することにより、本発明の触媒が、高いレベルのTWC性能を維持しながら高い熱耐久性を示すことを、見出した。
【0018】
本開示の一態様は、排気ガスを処理するための触媒物品であって、基材と、基材上の触媒領域と、を含み、触媒領域が、第1の白金族金属(PGM)成分と、酸素吸蔵成分(OSC)材料と、希土類金属酸化物と、無機酸化物と、を含み、希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有する、触媒物品に関する。
【0019】
第1のPGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、第1のPGMは、パラジウムである。
【0020】
触媒領域は、触媒領域の総重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%の第1のPGM、より好ましくは0.03〜7重量%の第1のPGM、最も好ましくは0.03〜4重量%の第1のPGMを含む。
【0021】
第1のPGMがパラジウムである実施形態では、触媒領域は、触媒領域の総重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のパラジウム、より好ましくは0.03〜7重量%のパラジウム、最も好ましくは0.03〜4重量%のパラジウムを含む。
【0022】
OSC材料は、好ましくは、酸化セリウム、セリア−ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される。好ましくは、OSC材料は、セリア−ジルコニア混合酸化物である。セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0023】
OSC材料(例えば、セリア−ジルコニア混合酸化物)は、触媒領域の総重量に基づいて、20〜80重量%の範囲であってもよい。
【0024】
希土類金属酸化物は、OSC材料の重量の2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは8〜12重量%の範囲であってもよい。
【0025】
希土類金属酸化物は、La、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0026】
触媒領域における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、触媒領域における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、触媒領域における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、触媒領域における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0027】
無機酸化物は、好ましくは、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族、及び第14族の元素の酸化物である。無機酸化物は、好ましくは、アルミナ、ランタニド安定化アルミナ、アルカリ土類安定化アルミナ、シリカ、アルミノケイ酸塩、マグネシア/アルミナ複合酸化物、チタニア、ニオビア、酸化タンタル、酸化ネオジム、酸化イットリウム、ランタニド、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択される。特に好ましくは、無機酸化物は、アルミナ、ランタニド安定化アルミナ、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物である。1つの特に好ましい無機酸化物は、アルミナ又はランタニド安定化アルミナである。
【0028】
無機酸化物は、好ましくは、10〜1500m/gの範囲の表面積、0.1〜4mL/gの範囲の細孔容積、及び約10〜1000Åの細孔直径を有する。80m/g超の表面積を有する高表面積無機酸化物、例えば高表面積アルミナが特に好ましい。他の好ましい無機酸化物としては、マグネシア/アルミナ複合酸化物が挙げられ、これは、所望によりセリウム含有成分、例えば、セリアを更に含む。このような場合、セリアは、例えばコーティングとして、マグネシア/アルミナ複合酸化物の表面上に存在してもよい。
【0029】
あるいは、OSC材料と無機酸化物とは、10:1〜1:10、好ましくは、8:1〜1:8、又は5:1〜1:5の重量比、より好ましくは、4:1〜1:4、又は3:1〜1:3の重量比、最も好ましくは2:1〜1:2の重量比を有してもよい。
【0030】
触媒領域は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、OSC材料上に堆積されてもよい。あるいは、又は加えて、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、無機酸化物上に堆積されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、OSC材料と無機酸化物との両方の上に堆積されてもよく、すなわち、その上に存在してもよい。
【0031】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、概して、無機酸化物と接触している。好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、無機酸化物上に担持されている。無機酸化物と接触していることに加えて、又はそれに代えて、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、OSC材料と接触していてもよい。
【0032】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、好ましくは、バリウム又はストロンチウムである。より好ましくは、バリウムは、存在する場合、触媒領域の総重量に基づいて、30重量%未満、最も好ましくは20重量%未満である。
【0033】
触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、0.1〜5g/in、好ましくは0.5〜4g/in、より好ましくは1〜3g/in、最も好ましくは1.5〜2.5g/inであってもよい。
【0034】
触媒領域は、第2のPGM成分を更に含んでもよい。
【0035】
第2のPGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、第1のPGM成分がパラジウムである場合、第2のPGM成分はロジウムである。
【0036】
いくつかの実施形態では、パラジウム成分とロジウム成分とは、200:1〜1:200の重量比を有する。好ましくは、パラジウム成分とロジウム成分とは、100:1〜1:100の重量比を有する。より好ましくは、パラジウム成分とロジウム成分とは、50:1〜1:50の重量比を有する。
【0037】
特定の実施形態では、触媒領域は、パラジウム成分以外のPGM金属を本質的に含まない。
【0038】
本発明の触媒領域は、当業者に既知の更なる成分を含んでもよい。例えば、本発明の組成物は、少なくとも1つの結合剤及び/又は少なくとも1つの界面活性剤を更に含んでもよい。結合剤が存在する場合、分散性アルミナ結合剤が好ましい。
【0039】
基材は、金属又はセラミック基材であってもよい。好ましくは、基材は、フロースルーモノリス又はフィルタモノリスである。
【0040】
モノリス基材は、触媒材料を保持するための担体として作用する。モノリス基材を形成するのに好適な材料としては、コージライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア若しくはケイ酸ジルコニウムなどのセラミック様材料、又は多孔質の耐火金属が挙げられる。多孔質モノリス基材の製造におけるそのような材料及びそれらの使用は、当該技術分野において周知である。
【0041】
モノリスがフィルタリングモノリスである場合、フィルタリングモノリスはウォールフローフィルタであることが好ましい。ウォールフローフィルタでは、各入口チャネルは、多孔質構造のウォールによって出口チャネルから交互に分かれており、逆もまた同様である。入口チャネル及び出口チャネルは、ハニカム配列で配置されることが好ましい。ハニカム配列が存在する場合、入口チャネルに垂直及び横方向に隣接するチャネルは上流端部で塞がれていることが好ましく、逆もまた同様である(すなわち、出口チャネルに垂直及び横方向に隣接するチャネルは、下流端部で塞がれる)。いずれかの端部から見たとき、チャネルの交互に塞がれ、開いている端部は、チェス盤の外観をとる。
【0042】
基材は、電気的に加熱可能な基材であってもよい(すなわち、電気的に加熱可能な基材は、使用中に電気的に加熱する基材である)。基材が電気的に加熱可能な基材である場合、本発明の触媒物品は、電力接続部、好ましくは少なくとも2つの電力接続部、より好ましくは2つの電力接続部のみを含む。各電力接続部は、電気的に加熱可能な基材及び電源に電気的に接続されてもよい。触媒物品は、ジュール加熱によって加熱することができ、抵抗器を通る電流は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。
【0043】
概ね、電気的に加熱可能な基材は、金属を含む。金属は、電力接続部又は複数の電力接続部に電気的に接続されてもよい。
【0044】
典型的には、電気的に加熱可能な基材は、電気的に加熱可能なハニカム基材である。電気的に加熱可能な基材は、使用中に、電気的に加熱するハニカム基材であってもよい。
【0045】
電気的に加熱可能な基材は、電気的に加熱可能な基材モノリス(例えば、金属モノリス)を含んでもよい。モノリスは、波形金属シート又は箔を含んでもよい。波形金属シート又は箔は、ロール処理、巻き取り、又は積層されてもよい。波形金属シートがロール処理又は巻き取りされる場合、コイル、螺旋形状、又は同心パターンにロール処理又は巻き取りされてもよい。
【0046】
電気的に加熱可能な基材の金属、金属モノリス及び/又は波形金属シート若しくは箔は、アルミニウムフェライト鋼、例えばFecralloy(商標)を含んでもよい。
【0047】
本発明の触媒は、任意の好適な手段によって調製することができる。例えば、触媒は、第1のPGM、所望による第1のアルカリ金属又はアルカリ土類金属又は第2のPGM、無機酸化物、OSC材料、及び希土類金属酸化物を任意の順序で混合することによって調製することができる。添加の方法及び順序は、特に重要であるとは見なされない。例えば、触媒の各成分は、任意の他の成分又は複数成分に同時に添加されてもよく、又は任意の順序で順次添加されてもよい。触媒の各成分は、含浸、吸着、イオン交換、初期湿潤、沈殿などによって、又は当該技術分野において共通して知られている任意の他の手段によって、触媒の任意の他の成分に添加されてもよい。
【0048】
好ましくは、希土類金属酸化物は、ドーパントとしてではなく、物理的ブレンドによって触媒領域に組み込まれている。
【0049】
希土類金属酸化物は、最後の主要成分として混合物に添加されてもよい。
【0050】
好ましくは、上述の触媒は、ウォッシュコーティング手順を用いて触媒を基材上に堆積させることによって調製される。ウォッシュコート手順を用いて触媒を調製するための代表的なプロセスを以下に記載する。以下のプロセスは、本発明の異なる実施形態に従って変更され得ることが理解されるであろう。
【0051】
ウォッシュコーティングは、好ましくは、適切な溶媒、好ましくは水に、先に定義された触媒の成分の微細化粒子を最初にスラリー化してスラリーを形成することによって実施される。スラリーは、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%の固形分を含有する。好ましくは、粒子は、スラリーを形成する前に、実質的に全ての固体粒子が平均直径で20μm未満の粒径を有することを確実にするために、ミル粉砕されるか、又は別の粉砕プロセスに供される。安定剤、結合剤、界面活性剤、又は促進剤(プロモータ)などの追加の成分も、水溶性又は水分散性化合物又は複合体の混合物としてスラリーに組み込まれてもよい。
【0052】
次いで、基材をスラリーで1回以上コーティングして、触媒の所望の担持量を基材上に堆積させるようにすることができる。
【0053】
あるいは、本発明の触媒物品は、第2の触媒領域、例えば以下に記載される第2の触媒領域を更に含んでもよい。上記の触媒領域を、以下、第1の触媒領域と称する。したがって、触媒物品は、第1の触媒領域及び第2の触媒領域を含む。疑義を避けるために、第1の触媒領域は、第2の触媒領域とは異なる(すなわち、組成が異なる)。
【0054】
第1の配置では、第1の触媒領域は第1の触媒層であり、第2の触媒領域は第2の触媒層である。第1の触媒層は、第2の触媒層上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。あるいは、第2の触媒層は、第1の触媒層上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。第2の触媒層は、第1の触媒層上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていることが好ましい。
【0055】
第1の触媒層は、典型的には、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。
【0056】
第2の触媒層は、典型的には、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。
【0057】
第2の配置では、第1の触媒領域は第1の触媒ゾーンであり、第2の触媒領域は第2の触媒ゾーンである。第1の触媒ゾーンは、第2の触媒ゾーンの上流に配設されていてもよい。あるいは、第2の触媒ゾーンは、第1の触媒ゾーンの上流に配設されていてもよい。第1の触媒ゾーンは、第2の触媒ゾーンの上流に配設されていることが好ましい。
【0058】
第1の触媒ゾーンは第2の触媒ゾーンに隣接していてもよく、又は第1の触媒ゾーンと第2の触媒ゾーンとの間に間隙(例えば、空間)が存在していてもよい。好ましくは、第1の触媒ゾーンは、第2の触媒ゾーンと接触している。第1の触媒ゾーンが第2の触媒ゾーンに隣接及び/又は接触している場合、第1の触媒ゾーンと第2の触媒ゾーンとの組み合わせは、基材上に層として配設又は担持されていてもよい。したがって、第1及び第2の触媒ゾーンが互いに隣接又は接触している場合、層が基材上に形成されてもよい。このような配置によって、背圧による問題を回避することができる。
【0059】
第1の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0060】
第2の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0061】
第1の触媒ゾーン及び第2の触媒ゾーンは、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0062】
第3の配置では、第2の触媒領域は、第1の触媒領域上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されている。
【0063】
第1の触媒領域は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0064】
第2の触媒領域の全長(例えば、全て)が、第1の触媒領域上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。あるいは、第2の触媒領域の長さの一部すなわち一部分が、第1の触媒領域上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。第2の触媒領域の長さの一部すなわち一部分(例えば、残りの一部すなわち一部分)が、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0065】
第2の触媒領域は第2の触媒層であってもよく、第1の触媒領域は第1の触媒ゾーンであってもよい。第2の触媒ゾーンの全長は、好ましくは、第1の触媒層上に配設又は担持されている。第1の触媒層は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0066】
第1の触媒層は、典型的には、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。
【0067】
第2の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0068】
第2の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていることが好ましい。
【0069】
代替的な第3の配置では、第2の触媒領域は第2の触媒ゾーンであり、第1の触媒領域は第1の触媒ゾーン又は第1の触媒層である。第2の触媒ゾーン又は第2の触媒層は、第1の触媒ゾーン上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されている。
【0070】
第1の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0071】
第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていることが好ましい。
【0072】
第1の触媒ゾーン上に配設又は担持されていることに加えて、第2の触媒ゾーン又は第2の触媒層は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。したがって、第2の触媒ゾーン又は第2の触媒層の長さの一部すなわち一部分は、第1の触媒ゾーン上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよく、第2の触媒ゾーン又は第2の触媒層の長さの一部すなわち一部分(例えば、残りの一部すなわち一部分)は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0073】
代替的な第3の配置では、第1の触媒領域が第1の触媒ゾーンである場合、第1の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0074】
第1の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第1の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第1の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていることが好ましい。
【0075】
代替的な第3の配置では、第1の触媒領域が第1の触媒層である場合、第1の触媒層は、典型的には、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。第1の触媒領域が第1の触媒層である場合、好ましくは、第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されている。
【0076】
第4の配置では、第1の触媒領域は、第2の触媒領域上に配設又は担持されている。
【0077】
第2の触媒領域は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0078】
第1の触媒領域の全長(例えば、全て)が、第2の触媒領域上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。あるいは、第1の触媒領域の長さの一部すなわち一部分が、第2の触媒領域上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。第1の触媒領域の長さの一部すなわち一部分(例えば、残りの一部すなわち一部分)が、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0079】
第1の触媒領域は第1の触媒層であってもよく、第2の触媒領域は第2の触媒ゾーンであってもよい。第1の触媒ゾーンの全長は、好ましくは、第2の触媒層上に配設又は担持されている。
【0080】
第2の触媒層は、典型的には、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。
【0081】
第1の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0082】
第1の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第1の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第1の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていることが好ましい。
【0083】
代替的な第4の配置では、第1の触媒領域は第1の触媒ゾーンであり、第2の触媒領域は第2の触媒ゾーン又は第2の触媒層である。第1の触媒ゾーン又は第1の触媒層は、第2の触媒ゾーン上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されている。
【0084】
第2の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0085】
第2の触媒ゾーンの全長(例えば、全て)が、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0086】
第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていることが好ましい。
【0087】
第2の触媒ゾーン上に配設又は担持されていることに加えて、第1の触媒ゾーン又は第1の触媒層は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。したがって、第1の触媒ゾーン又は第1の触媒層の長さの一部すなわち一部分は、第2の触媒ゾーン上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよく、第1の触媒ゾーン又は第1の触媒層の長さの一部すなわち一部分(例えば、残りの一部すなわち一部分)は、基材上に配設又は担持(例えば、直接配設又は担持)されていてもよい。
【0088】
代替的な第4の配置では、第1の触媒領域が第1の触媒ゾーンである場合、第1の触媒ゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%、好ましくは基材の長さの15〜75%、より好ましくは基材の長さの20〜70%、更により好ましくは25〜65%の長さを有する。
【0089】
第1の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第1の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されていてもよい。第2の触媒ゾーンは、基材の入口端部又はその近傍に配設されていることが好ましい。
【0090】
代替的な第4の配置では、第1の触媒領域が第1の触媒層である場合、第1の触媒層は、典型的には、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。第1の触媒領域が第1の触媒層である場合、好ましくは、第2の触媒ゾーンは、基材の出口端部又はその近傍に配設されている。
【0091】
第2の触媒領域は、貴金属成分と、第2のOSC材料と、第2の無機酸化物と、を含んでもよい。
【0092】
貴金属成分は、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、貴金属成分は、ロジウムである。
【0093】
第2の触媒領域は、第2の触媒領域の総重量に基づいて、好ましくは0.03〜1.5重量%の貴金属成分、より好ましくは0.03〜1重量%の貴金属成分、最も好ましくは0.03〜0.5重量%の貴金属成分を含む。
【0094】
貴金属がロジウムである実施形態では、第2の触媒領域は、第2の触媒領域の総重量に基づいて、好ましくは0.03〜1.5重量%のロジウム、より好ましくは0.03〜1重量%のロジウム、最も好ましくは0.03〜0.5重量%のロジウムを含む。
【0095】
第2のOSC材料は、好ましくは、酸化セリウム、セリア−ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される。好ましくは、第2のOSC材料は、セリア−ジルコニア混合酸化物である。セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、少なくとも5:5、好ましくは少なくとも6:4、より好ましくは少なくとも7:3であってもよい。
【0096】
第2のOSC材料(例えば、セリア−ジルコニア混合酸化物)は、第2の触媒領域の総重量に基づいて、20〜80重量%であってもよい。
【0097】
第2の無機酸化物は、好ましくは、10〜1500m/gの範囲の表面積、0.1〜4mL/gの範囲の細孔容積、及び約10〜1000Åの細孔直径を有する。80m/g超の表面積を有する高表面積無機酸化物、例えば高表面積アルミナが特に好ましい。他の好ましい無機酸化物としては、マグネシア/アルミナ複合酸化物が挙げられ、これは、所望によりセリウム含有成分、例えば、セリアを更に含む。このような場合、セリアは、例えばコーティングとして、マグネシア/アルミナ複合酸化物の表面上に存在してもよい。
【0098】
第2のOSC材料と第2の無機酸化物とは、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7の重量比を有してもよい。
【0099】
第2の触媒領域の総ウォッシュコート担持量は、0.2〜4g/in、好ましくは0.5〜3g/in、より好ましくは1〜2g/inであってもよい。
【0100】
第2の触媒領域は、第2の貴金属成分を更に含んでもよい。
【0101】
第2の貴金属は、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、貴金属成分がロジウムである場合、第2の貴金属成分はパラジウムである。
【0102】
いくつかの実施形態では、パラジウム成分とロジウム成分とは、10:1〜1:10の重量比を有する。より好ましくは、パラジウム成分とロジウム成分とは、8:1〜1:8の重量比を有する。最も好ましくは、パラジウム成分とロジウム成分とは、5:1〜1:5の重量比を有する。
【0103】
特定の実施形態では、第2の触媒領域は、ロジウム成分以外の貴金属を本質的に含まない。
【0104】
本発明の第2の触媒領域は、当業者に既知の更なる成分を含んでもよい。例えば、本発明の組成物は、少なくとも1つの結合剤及び/又は少なくとも1つの界面活性剤を更に含んでもよい。結合剤が存在する場合、分散性アルミナ結合剤が好ましい。
【0105】
上述した領域、ゾーン、及び層は、基材上にウォッシュコートを作製及び適用するための従来の方法を使用して調製することができ、また、当該技術分野において公知である(例えば、国際公開第99/47260号、同第2007/077462号、及び同第2011/080525号を参照されたい)。
【0106】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の触媒物品を使用する、NO、CO、及びHCを含有する、車両排気ガスを処理するための方法に関する。この方法に従って作製されたTWCを備えた触媒コンバータは、従来のTWCと比較して、改善された触媒性能を示す(例えば、実施例15及び実施例16、並びに表3及び表4を参照されたい)。
【0107】
本開示の別の態様は、システムを通じて排気ガスを移送するための導管と共に本明細書に記載される触媒物品を含む車両排気ガスを処理するためのシステムに関する。
【0108】
システムは、第2の触媒物品を含んでもよい。好ましくは、第2の触媒物品は、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)又はTWCを含んでもよい。より好ましくは、第2の触媒物品は、第1の触媒物品の下流に配置される。
【0109】
TWC触媒は、任意の従来のTWC触媒であってもよい。
【0110】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも15%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0111】
集中的な研究により、本発明者らは、物理的ブレンドとして組み込む希土類金属酸化物の添加により、組成物の高温熱安定性が、素のままのOSC材料と比較して、又は更に希土類金属前駆体でドープされたOSC材料と比較して、著しく改善されたことを見出した。
【0112】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0113】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0114】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0115】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0116】
組成物の比表面積は、空気にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも20%、又は少なくとも25%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも30%、又は少なくとも40%増加していてもよい。他の実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも45%、又は少なくとも50%増加していてもよい。
【0117】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも5%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0118】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0119】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0120】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0121】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0122】
組成物の比表面積は、好ましくは、空気にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも10%、又は少なくとも15%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも20%、又は少なくとも25%増加していてもよい。
【0123】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0124】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0125】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0126】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0127】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0128】
組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも15%、又は少なくとも20%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも25%、又は少なくとも30%増加していてもよい。
【0129】
本開示の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0130】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0131】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0132】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0133】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0134】
組成物の比表面積は、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも15%、又は少なくとも20%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも25%、又は少なくとも30%増加していてもよい。他の実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも35%、又は少なくとも40%増加していてもよい。
【0135】
本発明の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも35%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0136】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0137】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0138】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0139】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0140】
PGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、PGMは、パラジウムである。
【0141】
組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のPGM、より好ましくは0.03〜7重量%のPGM、最も好ましくは0.03〜4重量%のPGMを含む。
【0142】
PGMがパラジウムである実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のパラジウム、より好ましくは0.03〜7重量%のパラジウム、最も好ましくは0.03〜4重量%のパラジウムを含む。
【0143】
組成物の比表面積は、空気にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも40%、又は少なくとも50%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも60%、又は少なくとも70%増加していてもよい。他の実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、又は少なくとも105%増加していてもよい。
【0144】
本発明の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、空気にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも20%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0145】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0146】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0147】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0148】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0149】
PGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、PGMは、パラジウムである。
【0150】
組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のPGM、より好ましくは0.03〜7重量%のPGM、最も好ましくは0.03〜4重量%のPGMを含む。
【0151】
PGMがパラジウムである実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のパラジウム、より好ましくは0.03〜7重量%のパラジウム、最も好ましくは0.03〜4重量%のパラジウムを含む。
【0152】
組成物の比表面積は、空気にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも40%、又は少なくとも50%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも60%、又は少なくとも70%増加していてもよい。他の実施形態では、組成物の比表面積は、空気にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、又は少なくとも110%増加していてもよい。
【0153】
本発明の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0154】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0155】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0156】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0157】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0158】
PGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、PGMは、パラジウムである。
【0159】
組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のPGM、より好ましくは0.03〜7重量%のPGM、最も好ましくは0.03〜4重量%のPGMを含む。
【0160】
PGMがパラジウムである実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のパラジウム、より好ましくは0.03〜7重量%のパラジウム、最も好ましくは0.03〜4重量%のパラジウムを含む。
【0161】
組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも20%、又は少なくとも30%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも40%、又は少なくとも50%増加していてもよい。他の実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1000℃で10時間焼成した後、少なくとも60%、又は少なくとも70%増加していてもよい。
【0162】
本発明の別の態様は、セリア−ジルコニア混合酸化物と、希土類金属酸化物と、白金族金属(PGM)成分と、を含む、組成物であって、組成物の比表面積が、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、セリア−ジルコニア混合酸化物とPGM成分との混合物と比較して少なくとも10%増加しており、希土類金属酸化物は、La、Nd、Y、Pr11、又はこれらの混合物である、組成物に関する。
【0163】
組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、2〜20重量%の希土類金属酸化物を含む。より好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5〜15重量%の希土類金属酸化物を含む。最も好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、8〜12重量%の希土類金属酸化物を含んでもよい。
【0164】
好ましくは、希土類金属酸化物は、Pr11、Nd、Y、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、希土類金属酸化物は、Nd、Y、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、希土類金属酸化物は、Ndである。
【0165】
希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有してもよい。組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも500nm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも1μm以上、少なくとも2μm以上、少なくとも3μm以上、少なくとも4μm以上、少なくとも5μm以上、又は少なくとも6μm以上であってもよい。他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも7μm以上であってもよい。更に他の実施形態では、組成物における希土類金属酸化物の平均直径は、少なくとも8μm以上であってもよい。
【0166】
セリア−ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であってもよい。
【0167】
PGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、PGMは、パラジウムである。
【0168】
組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは0.03〜10重量%のPGM、より好ましくは0.03〜7重量%のPGM、最も好ましくは0.03〜4重量%のPGMを含む。
【0169】
PGMがパラジウムである実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、好ましくは、0.03〜10重量%のパラジウム、より好ましくは0.03〜7重量%のパラジウム、最も好ましくは0.03〜4重量%のパラジウムを含む。
【0170】
組成物の比表面積は、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも20%、又は少なくとも30%増加していてもよい。いくつかの実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも40%、又は少なくとも50%増加していてもよい。他の実施形態では、組成物の比表面積は、レドックス条件にて1100℃で10時間焼成した後、少なくとも60%、又は少なくとも70%増加していてもよい。
【0171】
定義
本明細書で使用するとき、用語「領域」は、典型的にはウォッシュコートを乾燥及び/又は焼成することによって得られる基材上の場所を指す。「領域」は、例えば、「層」又は「ゾーン」として基材上に配設又は担持されてもよい。基材上の場所又は配置は、概ね、基材にウォッシュコートを適用するプロセス中に制御される。「領域」は、典型的には、明らかな境界又は縁部を有する(すなわち、従来の分析技術を使用して、一方の領域を別の領域から区別することが可能である)。
【0172】
典型的には、「領域」は、実質的に均一な長さを有する。これに関連する「実質的に均一な長さ」への言及は、その平均値から10%を超えて逸脱しない長さ(例えば、最大長と最小長との差)、好ましくは5%を超えて逸脱しない長さ、より好ましくは1%を超えて逸脱しない長さを指す。
【0173】
各「領域」は、実質的に均一な組成を有する(すなわち、領域の一部とその領域の別の一部とを比較するとき、ウォッシュコートの組成に実質的な差がない)ことが好ましい。これに関連する実質的に均一な組成は、領域の一部を領域の別の一部と比較するとき、組成の差が5%以下、通常は2.5%以下、最も通常的には1%以下である材料(例えば、領域)を指す。
【0174】
本明細書で使用するとき、用語「ゾーン」は、基材の全長の≦75%など、基材の全長よりも短い長さを有する領域を指す。≦「ゾーン」は、典型的には、基材の全長の少なくとも5%(例えば≧5%)の長さ(すなわち、実質的に均一な長さ)を有する。
【0175】
基材の全長は、その入口端部とその出口端部との間(例えば、基材の両端部の間)の距離である。
【0176】
本明細書で使用される「基材の入口端部に配設されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配設又は担持されているゾーンであって、その位置について基材の入口端部までの方が基材の出口端部までよりも近いものを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、基材の入口端部までの方が基材の出口端部までよりも近い。同様に、本明細書で使用される「基材の出口端部に配設されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配設又は担持されているゾーンであって、その位置について基材の入口端部までの方が基材の出口端部までよりも近いものを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、基材の出口端部までの方が基材の入口端部までよりも近い。
【0177】
基材がウォールフローフィルタである場合、概して、「基材の入口端部に配設されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配設又は担持されているゾーンであって、
(a)基材の入口チャネルの入口端部(例えば、開いている端部)までの方が入口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までよりも近いもの、及び/又は
(b)基材の出口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までの方が出口チャネルの出口端部(例えば開いている端部)までよりも近いものを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわちその半分の長さでの点)は、(a)基材の入口チャネルの入口端部までの方が入口チャネルの閉じた端部までよりも近い、及び/又は(b)基材の出口チャネルの閉じた端部までの方が出口チャネルの出口端部までよりも近い。
【0178】
同様に、基材がウォールフローフィルタである場合、「基材の出口端部に配設されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配設又は担持されているゾーンであって、
(a)基材の出口チャネルの出口端部(例えば、開いている端部)までの方が出口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までよりも近いもの、及び/又は
(b)基材の入口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までの方が入口チャネルの入口端部(例えば開いている端部)までよりも近いものを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわちその半分の長さでの点)は、(a)基材の出口チャネルの出口端部までの方が出口チャネルの閉じた端部までよりも近い、及び/又は(b)基材の入口チャネルの閉じた端部までの方が入口チャネルの入口端部までよりも近い。
【0179】
ウォッシュコートがウォールフローフィルタのウォールに存在する(すなわち、ゾーンがウォール内のものである)場合、(a)と(b)との両方を満たすことができる。
【0180】
用語「ウォッシュコート」は、当該技術分野において公知であり、通常は触媒の製造中基材に適用される、接着性コーティングを指す。
【0181】
本明細書で使用するとき、頭字語「PGM」は、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」は、全般的に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、及びPtからなる群から選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir、及びPtからなる群から選択される金属を指す。全般的に、用語「PGM」は、好ましくは、Rh、Pt、及びPdからなる群から選択される金属を指す。
【0182】
本明細書で使用するとき、用語「混合酸化物」は、全般的に、当該技術分野において従来から公知であるように、単一相中の酸化物の混合物を指す。本明細書で使用するとき、用語「複合酸化物」は、全般的に、当該技術分野において従来から公知であるように、2つ以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0183】
本明細書で使用するとき、「本質的になる」という表現により、特定された材料、及び任意の他の材料又は工程を含む特徴点の範囲を、その特徴点の基本的特性に大きく影響しないものに、例えば微量不純物などに限定する。「から本質的になる」という表現は、「からなる」という表現を包含する。
【0184】
材料に関して本明細書で使用されるとき、「実質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容物との関連において、材料が少量、例えば、≦5重量%、好ましくは≦2重量%、より好ましくは≦1重量%であることを意味する。「実質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0185】
材料に関して本明細書で使用される「本質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容物との関連において、材料が微量、例えば、≦1重量%、好ましくは≦0.5重量%、より好ましくは≦0.1重量%であることを意味する。「本質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0186】
本明細書で使用するとき、重量%として表されるドーパントの量、特に総量に対する任意の言及は、担持材料又はその耐火金属酸化物の重量を指す。
【0187】
本明細書で使用するとき、用語「担持量」は、金属重量基準でのg/ftの単位の測定値を指す。
【0188】
本明細書で使用するとき、用語「レドックス」は、還元雰囲気と酸化雰囲気との間で交互に変化するガス混合物を指す。
【0189】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものである。当業者は、本発明の趣旨及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識することになる。
【実施例】
【0190】
実施例1(比較例):触媒1は、CeZr混合酸化物であり、CeとZrとのモル比を1:1とする。
【0191】
実施例2(比較例):Nd(NO溶液を触媒1のCeZr混合酸化物上に満たすことによって、触媒2を調製した。Nd担持量を、触媒2の総重量に基づいて、10重量%(Ndとして計算)とした。
【0192】
実施例3:触媒3は、触媒1のCeZr混合酸化物とNdとの、物理的混合物である。両方の材料の粒径を、D50にて約5μmとする。2つの材料の重量比を、90:10とした。
【0193】
実施例4:触媒4は、触媒1のCeZr混合酸化物とYとの、物理的混合物である。両方の材料の粒径を、D50にて約5μmとする。2つの材料の重量比を、90:10とする。
【0194】
実施例5:実施例1〜4の粉末サンプルをマッフル炉に入れ、空気中、1000℃又は1100℃で10時間処理した。処理後のサンプルのBET表面積を測定した。それを表1に報告する。
【0195】
実施例6:実施例1〜4の粉末サンプルを管状炉に入れた。供給ガスを、5分毎にリーン条件とリッチ条件との間で交互に変化させた。リーンガス混合物は、1%のOと、10%のHOと、20ppmのSOと、を含有し、空気を残部とした。リッチガス混合物は、0.5%のCOと、10%のHOと、20ppmのSOと、を含有し、空気を残部とした。サンプルを、1000℃又は1100℃で10時間処理した。処理後のサンプルのBET表面積を測定した。それも表1に報告する。
【0196】
【表1】
【0197】
実施例7(比較例):硝酸Pdを、実施例1のCeZr混合酸化物上に満たした。サンプルを乾燥させ、最終粉末を500℃で2時間焼成した。Pd担持量を、1重量%とした。
【0198】
実施例8(比較例):硝酸Pdを、実施例2の粉末サンプル上に満たした。サンプルを乾燥させ、最終粉末を500℃で2時間焼成した。Pd担持量を、1重量%とした。
【0199】
実施例9:硝酸Pdを実施例3の物理的混合物に添加して、スラリーを形成した。スラリーを乾燥させ、最終粉末を500℃で2時間焼成した。Pd担持量を、1重量%とした。
【0200】
実施例10:硝酸Pdを実施例4の物理的混合物に添加して、スラリーを形成した。スラリーを乾燥させ、最終粉末を500℃で2時間焼成した。Pd担持量を、1重量%とした。
【0201】
実施例11:実施例7〜10の粉末サンプルを、実施例5及び実施例6に記載した処理と同じ処理に供した。処理されたサンプルのBET表面積を測定した。それを表2に報告する。
【0202】
【表2】
【0203】
実験結果
実施例12(比較例):触媒12は、二重層構造を有する市販の三元(Pd−Rh)触媒である。下層は、第1のCeZr混合酸化物と、La安定化アルミナと、Baプロモーターと、ベーマイト結合剤との、ウォッシュコート上に担持されたPdからなる。ウォッシュコート担持量を約1.6g/inとし、Pd担持量を1g/ftとした。上層は、第2のCeZr混合酸化物と、La安定化アルミナとの、ウォッシュコート上に担持されたRhからなる。上層のウォッシュコート担持量を約1.4g/inとし、Rh担持量を2g/ftとした。総触媒担持量を、約3.0g/inとした。
【0204】
実施例13:触媒13を触媒12と同様に調製したが、異なる点としては、D50の粒径が約7μmの酸化物Ndの粉末もまた、硝酸Pdと、第1のCeZr混合酸化物と、La安定化アルミナと、Baプロモーターと、ベーマイト結合剤との、スラリーに添加したことであった。添加されたNdの量を、CeZr混合酸化物の約10重量%とした。
【0205】
実施例14:触媒12及び触媒13を、同一の種類、cpsi、及び寸法の基材上にコーティングして、標準的なリーン、リッチ、化学量論的サイクリングTWC経時劣化条件にてガソリンエンジンを使用して、経時劣化させた。次いで、触媒12及び触媒13をガソリンエンジンのライトオフ温度について性能試験して、ガソリン車両で繰り返しFTP−75サイクルにわたって評価した。
【0206】
実施例15:
触媒12及び触媒13の、HC、CO、及びNOのT50ライトオフ温度を表3に示す。このデータは、触媒13の向上した熱耐久性によって、触媒12の標準的なTWCの例に対して著しく改善されたライトオフ性能が得られることを示している。
【0207】
【表3】
【0208】
実施例16:
繰り返しFTPサイクルにわたって平均した、HC、CO、及びNOの変換性能を表4に示す。データは、触媒13の向上した熱耐久性によって、触媒12の標準的なTWCの例に対して著しく改善された排出量が得られることを示している。
【0209】
【表4】
【手続補正書】
【提出日】2020年4月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを処理するための触媒物品であって、
基材と、
前記基材上の触媒領域と、を含み、
前記触媒領域が、第1の白金族金属(PGM)成分と、酸素吸蔵成分(OSC)材料と、希土類金属酸化物と、無機酸化物と、を含み、
前記希土類金属酸化物は、100nm超の平均直径(d50)を有する、触媒物品。
【請求項2】
前記第1のPGM成分が、白金、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記第1のPGM成分が、パラジウムである、請求項1又は2に記載の触媒物品。
【請求項4】
前記パラジウム担持量が、前記触媒領域の総重量に基づいて、0.03〜10重量%の範囲である、請求項3に記載の触媒物品。
【請求項5】
前記OSC材料が、酸化セリウム、セリア−ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項6】
前記OSC材料が、セリア−ジルコニア混合酸化物である、請求項5に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記触媒領域が、前記OSC材料に基づいて、2〜20重量%の前記希土類金属酸化物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項8】
前記希土類金属酸化物が、La、Nd、Y、Pr11、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項9】
前記希土類金属酸化物が、Pr11、Nd、Y、又はこれらの混合物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項10】
前記希土類金属酸化物が、Ndである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項11】
前記希土類金属酸化物が、物理的ブレンドによる前記希土類金属酸化物として前記触媒領域に組み込まれている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項12】
前記触媒領域が、第2のPGM成分を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項13】
前記第2のPGM成分が、白金、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の触媒物品。
【請求項14】
前記第1のPGM成分がパラジウムであり、前記第2のPGM成分がロジウムである、請求項13に記載の触媒物品。
【請求項15】
前記パラジウム成分と前記ロジウム成分とが、200:1〜1:200の重量比を有する、請求項14に記載の触媒物品。
【請求項16】
前記触媒領域が、前記パラジウム成分以外のPGM金属を本質的に含まない、請求項1〜15のいずれか一項に記載の触媒物品。
【国際調査報告】