特表2020-536830(P2020-536830A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536830(P2020-536830A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】炭素水和物材料
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/354 20170101AFI20201120BHJP
   H01G 11/32 20130101ALI20201120BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20201120BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20201120BHJP
   H01M 4/20 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   C01B32/354
   H01G11/32
   H01G11/86
   H01M4/62 B
   H01M4/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2020-516521(P2020-516521)
(86)(22)【出願日】2018年9月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月18日
(86)【国際出願番号】US2018052039
(87)【国際公開番号】WO2019060606
(87)【国際公開日】20190328
(31)【優先権主張番号】62/561,081
(32)【優先日】2017年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.コンパクトフラッシュ
(71)【出願人】
【識別番号】512002275
【氏名又は名称】エナジーツー・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENERG2 TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100206140
【弁理士】
【氏名又は名称】大釜 典子
(72)【発明者】
【氏名】サラ・フレドリック
(72)【発明者】
【氏名】ケイト・アルスポー
(72)【発明者】
【氏名】ファシッド・アフカミ
(72)【発明者】
【氏名】チャド・グッドウィン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ストロング
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・エム・フィーバー
(72)【発明者】
【氏名】フィル・ハミルトン
【テーマコード(参考)】
4G146
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA06
4G146AB01
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC05A
4G146AC06A
4G146AC08A
4G146AC08B
4G146AC09A
4G146AC09B
4G146AC10A
4G146AC28A
4G146AC28B
4G146AD23
4G146AD24
4G146AD28
4G146CA15
4G146CB10
4G146CB31
4G146CB34
5E078AA14
5E078AB02
5E078BA62
5E078BA65
5E078BA67
5E078BA70
5E078BA71
5E078BA72
5E078BA73
5H050AA19
5H050BA09
5H050CA06
5H050CB15
5H050DA10
5H050EA08
5H050FA15
5H050FA17
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA06
5H050HA07
(57)【要約】
本願は、一般に、炭素材料および水を含む炭素水和物材料粉末、ならびにそれを含むデバイスを対象とする。炭素水和物材料粉末は、多数のデバイス、例えば、電気二重層キャパシタンスデバイスおよびバッテリーに有用性を見出す。炭素水和物材料粉末の製造および使用方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔容積を有する多孔質炭素材料と、前記細孔容積よりも大きい容積の水と、を含む炭素水和物材料粉末。
【請求項2】
前記炭素水和物材料粉末は活性炭を含む、請求項1に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項3】
前記炭素水和物材料粉末は、前記炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて30%〜70%の範囲の含水量を有する、請求項1または2に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項4】
前記炭素水和物材料粉末は、前記炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて40%超の含水量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項5】
前記炭素水和物材料粉末は、前記炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて50%超の含水量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項6】
前記炭素水和物材料粉末は、前記炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて60%超の含水量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項7】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約10%〜90%大きい範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項8】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約10%〜75%大きい範囲である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項9】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも10%〜50%大きい範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項10】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約35%〜45%大きい範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項11】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約40%大きい、請求項1〜10のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項12】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約50%〜60%大きい範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項13】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約55%大きい、請求項12に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項14】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約65%〜75%大きい範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項15】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも約70%大きい、請求項14に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項16】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも20%〜30%大きい範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項17】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも40%〜50%大きい範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項18】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも少なくとも20%大きい、請求項1〜17のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項19】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも少なくとも40%大きい、請求項1〜10のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項20】
水の前記容積は、前記細孔容積よりも少なくとも60%大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項21】
前記細孔容積は、0nm超50nmまでの範囲の直径を有する細孔を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項22】
前記細孔容積の50%超は、2nm〜50nmの直径を有する細孔に存在する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項23】
前記細孔容積の50%超は、0nm超2nm未満の直径を有する細孔に存在する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項24】
全細孔容積の約40%〜約60%がマイクロ細孔に存在し、全細孔容積の約40%〜約60%がメソ細孔に存在する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項25】
過剰水係数は約1.60から約1.80の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項26】
過剰水係数は約1.7である、請求項25に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項27】
過剰水係数は約1.45〜約1.65の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項28】
過剰水係数は約1.55である、請求項27に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項29】
過剰水係数は約1.29〜約1.49の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項30】
過剰水係数は約1.39である、請求項29に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項31】
前記細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて0.3cc/g〜1.5cc/gの範囲である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項32】
前記細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて0.3cc/g〜0.8cc/gの範囲である、請求項31に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項33】
前記細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて0.3cc/g〜0.7cc/gの範囲である、請求項31に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項34】
前記細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて1.0cc/g〜1.5cc/gの範囲である、請求項31に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項35】
前記細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて0.5cc/gより大きい、請求項1〜31のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項36】
前記細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて1.0cc/gより大きい、請求項1〜31のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項37】
前記多孔質炭素材料は、陽子誘導X線放出により測定したとき11〜92の範囲の原子番号を有する元素の500ppm未満の総不純物含有量を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項38】
前記多孔質炭素材料は、陽子誘導X線放出により測定したとき11〜92の範囲の原子番号を有する元素の100ppm未満の総不純物含有量を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項39】
前記多孔質炭素材料は、500m/g〜3000m/gの範囲のBET比表面積を有する、請求項1〜38のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項40】
前記多孔質炭素材料は、500m/g〜1000m/gの範囲のBET比表面積を有する、請求項39に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項41】
前記多孔質炭素材料は、1000m/g〜2000m/gの範囲のBET比表面積を有する、請求項39に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項42】
前記炭素材料粉末は、500m/gより大きいBET比表面積を有する、請求項1〜39のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項43】
前記炭素材料粉末は、1500m/gより大きいBET比表面積を有する、請求項1〜39のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項44】
前記炭素材料粉末は、約2〜約12ミクロンのD(50)粒径を有する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項45】
前記炭素材料粉末は、約10〜約100ミクロンのD(50)粒径を有する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項46】
前記炭素材料粉末は、約25〜約100ミクロンのD(50)粒径を有する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項47】
前記炭素材料粉末は、約20〜約80ミクロンのD(50)粒径を有する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項48】
前記炭素材料粉末は、約50〜約100ミクロンのD(50)粒径を有する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末。
【請求項49】
多孔質炭素材料および水を含む単離された固体組成物であって、前記組成物は、前記多孔質炭素材料の全細孔容積よりも大きい容積の水を含む、固体組成物。
【請求項50】
水の前記容積は、全細孔容積よりも10%〜90%大きい範囲である、請求項49に記載の単離された固体組成物。
【請求項51】
水の前記容積は、全細孔容積よりも10%〜75%大きい範囲である、請求項49または50に記載の単離された固体組成物。
【請求項52】
水の前記容積は、全細孔容積よりも10%〜50%大きい範囲である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の単離された固体組成物。
【請求項53】
前記全細孔容積は、前記水の不在下での前記多孔質炭素材料の重量に基づいて0.3cc/g〜1.5cc/gの範囲である、請求項49〜52のいずれか一項に記載の単離された固体組成物。
【請求項54】
細孔容積を有する多孔質炭素材料と、前記細孔容積よりも大きい容積の水と、からなる炭素水和物材料粉末。
【請求項55】
炭素水和物材料粉末を作製する方法であって、前記方法は、
細孔容積を有する多孔質炭素材料を、前記細孔容積よりも大きい第1の容積の水と接触させて、それにより前記細孔容積を水で実質的に満たす工程と、
前記第1の容積の水の一部を除去する工程と、
前記炭素水和物材料を、粉末の形状で単離する工程と、を含み
前記炭素水和物材料粉末は、前記細孔容積より大きい第2の容積の水を含む、方法。
【請求項56】
前記炭素水和物材料粉末が、請求項2〜54のいずれか一項で規定される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
鉛蓄電池用の負極活性物質を作製する方法であって、請求項1〜48または54のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末または請求項49〜53のいずれか一項に記載の単離された固体組成物を、鉛、水および硫酸と混合して、それによりペーストを形成する工程を含む方法。
【請求項58】
蓄電デバイス用の電極の作製のための、請求項1〜48または54のいずれか一項に記載の炭素水和物材料粉末または請求項49〜53のいずれか一項に記載の単離された固体組成物の使用。
【請求項59】
前記蓄電デバイスは電池である、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
前記電池は鉛蓄電池である、請求項59に記載の使用。
【請求項61】
前記蓄電デバイスは、
a.それぞれが炭素水和物を含む正極および負極と、
b.不活性多孔質セパレータと、
c.電解質と、
を含み、前記正極および負極は前記不活性多孔質セパレータによって分離されている電気二重層コンデンサ(EDLC)デバイスである、請求項57に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、炭素水和物(又は水和炭素又はハイドレートカーボン:hydrated carbon)材料粉末、炭素水和物材料粉末を含むデバイスおよびそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
活性炭、シリコン、硫黄、リチウム、およびそれらの組み合わせを含むデバイスは、電気産業の至る所に存在する。これらのうち活性炭粒子は、活性炭の高表面積、導電性、および多孔性により、他の材料を使用するデバイスよりも高エネルギー密度を有する電気デバイスの設計が可能になるため、多くのデバイスで特に使用される。
【0003】
電気二重層コンデンサ(EDLCs)は、活性炭粒子を含むデバイスの一例である。 EDLCsは、多くの場合、活性炭材料と適切な電解質とから作製された電極を有しており、より一般的なキャパシタと比較して非常に高いエネルギー密度を有する。EDLCの典型的な使用には、データ転送に電力の短いバーストを要するデバイスでのエネルギーの蓄積と分配、またはワイヤレスモデム、携帯電話、デジタルカメラおよびその他のハンドヘルド電子デバイスなどのピーク電力機能が含まれる。EDLCはまた、電気自動車、電車、バスなどの電気車両でも一般的に使用される。
【0004】
電池は、(例えば、アノード材料、電流コレクタ(又は集電体:current collector)、または導電率向上体(conductivity enhancer)として)しばしば活性炭粒子を含む、別の一般的なエネルギー蓄積および分配デバイスである。炭素含有電池の例には、空気電極の電流コレクタとして多孔質炭素を使用するリチウム空気電池、および多くの場合アノードまたはカソードのいずれかに炭素添加剤を含む鉛蓄電池が含まれる。電池は、(EDLCの高電流密度と比較して)低電流密度の電力を要する多数の電子機器に採用されている。
【0005】
炭素粒子ベースの材料を使用するには、しばしば活性炭材料を水和または「濡らす(wetted)」必要がある。適切に水和されていない炭素材料は、周囲の材料から水を浸出させる可能性があり、コンポーネントの損傷及び/又はデバイスの故障に至る可能性がある。例えば、適切に水和されていない炭素材料を鉛酸ペーストに使用するとき、浸出によりドライスポットが発生し、最終的に硬化して形成されたプレートの完全性が損なわれる可能性がある。
【0006】
(例えば、水性スラリーを形成することによる)水和プロセスは、一般に、数時間にわたって過剰量の水に炭素材料を浸すことを含む。炭素材料を監視して、継続的に混合して、均一で完全な水和を確保しなければならず、これは、時間、労力および設備の各面でリソースを大量に消費する。炭素材料を製造して、水中に分散させて(つまり、事前に浸して)輸送することで時間を節約することは、高い輸送コストと取り扱いの困難さのために非現実的である。乾燥した炭素材料の処理は、潜在的に有害な粒子を放出する可能性があり、「ダスティング(dusting)」として知られるプロセスであるため、乾燥した炭素材料の取り扱いにも欠点がある。
【0007】
したがって、製造プロセス中に容易に取り扱うことができる炭素水和物材料粉末、ならびにそれを作製する方法およびそれを含むデバイスが当技術分野で必要とされている。 本発明の実施形態は、これらの要求を満たし、さらなる関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0008】
一般的に言えば、本発明の実施形態は、炭素材料および水を含む炭素水和物材料粉末を対象とする。具体的には、一実施形態は、細孔容積および細孔容積より大きい容積の水を有する多孔質炭素材料を含む炭素水和物材料粉末を提供する。
【0009】
別の実施形態は、多孔質炭素材料および水を含む単離された固体組成物を提供し、該組成物は、多孔質炭素材料の全細孔容積よりも大きい容積の水を含む。
【0010】
さらに別の実施形態は、炭素水和部材料粉末を作製する方法を提供し、前記方法は、
細孔容積を有する多孔質炭素材料を、前記細孔容積よりも大きい第1の容積の水と接触させて、それにより前記細孔容積を水で実質的に満たす工程と、
前記第1の容積の水の一部を除去する工程と、
前記炭素水和物材料を粉末の形状に単離する工程と、を含み、
前記炭素水和物材料粉末は、前記細孔容積より大きい第2の容積の水を含む。
【0011】
別の実施形態は、鉛酸電池用の負極活性物質を作製する方法を提供し、前記方法は、本明細書に開示される実施形態に係る炭素水和物材料粉末、または本明細書に開示される実施形態に係る単離された固体組成物を、鉛、水および硫酸と混合して、それによりペーストを形成する工程を含む。
【0012】
追加の実施形態は、蓄電デバイス、例えばEDLC用の電極の作製のために、本明細書に開示される炭素水和物材料粉末、または本明細書に開示される実施形態に係る単離された固体組成物の使用を提供する。
【0013】
これらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照することで明らかになるであろう。
【0014】
図面において、同一の参照番号は同様の要素を特定する。図面中の要素のサイズと相対位置は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、これらの要素の一部は図面の読みやすさを向上させるために拡大および配置されている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を伝えることを意図したものではなく、単に図面での認識を容易にするために選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aおよび1Bは、炭素水和物材料粉末および炭素非水和物材料粉末を用いて作製された負極活性物質について、容量に測定可能な差がないことを示す。
図1B図1Aおよび1Bは、炭素水和物材料粉末および炭素非水和物材料粉末を用いて作製された負極活性物質について、容量に測定可能な差がないことを示す。
図2図2は、NAM1とNAM2の原動力再充電時間を示し、NAM2は、平均充電時間を大幅に短縮している(43%短縮)。
図3図3は、NAM1およびNAM2を含むセルの最初の故障までの平均サイクルの改善を示し、NAM2は、故障までのサイクル数において33%の改善を示す。
図4A図4Aおよび4Bは、乾燥カーボン(又は乾燥炭素:dry Carbon)3で作製されたスラリー1が処理中に懸濁液中にどのように残っていないかを示し、一方で、乾燥カーボン3で作製されたスラリー2が懸濁液中にどのように残っているかを示す。
図4B図4Aおよび4Bは、乾燥カーボン3で作製されたスラリー1が処理中に懸濁液中にどのように残っていないかを示し、一方で、乾燥カーボン3で作製されたスラリー2が懸濁液中にどのように残っているかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
以下の説明では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、ある特定の詳細が記載されている。しかしながら、当業者は、本発明の実施形態がこれらの詳細なしで実施され得ることを理解するであろう。他の例では、実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造は、詳細に示されていないか、または記載されていない。文脈が他に必要としない限り、以下の明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその変形は、オープンで包括的な意味で、すなわち「含むがそれに限定されない(including, but not limited to)」と解釈されるべきである。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜上のものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0017】
本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での「一実施形態では」または「実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせてもよい。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。また、「または」という用語は、内容から明らかにそうでないと示されていない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用されていることにも留意すべきである。
【0018】
本説明において、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切なときは、特に指定のない限り、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。また、任意の物理的特徴(例えば、サブユニット、サイズなど)に関連して本明細書に列挙される任意の数の範囲は、特に指定のない限り、列挙される範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書で使用されるとき、「約」および「およそ」という用語は、特に指定のない限り、示された範囲、値、または構造の±20%、±10%、±5%または±1%を意味する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、および文脈が他に指示しない限り、以下の用語は、以下に指定される意味を有する。
【0020】
「炭素材料」は、実質的に炭素からなる材料または物質を指す。炭素材料の例には、活性炭、熱分解乾燥ポリマーゲル、熱分解ポリマークリオゲル(又はクライオゲル:cryogels)、熱分解ポリマーキセロゲル、熱分解ポリマーエアロゲル、活性化乾燥ポリマーゲル、活性化ポリマークリオゲル、活性化ポリマーキセロゲル、活性化ポリマーエアロゲルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
「アモルファス」とは、その構成原子、分子、またはイオンが規則的な繰り返しパターンなしにランダムに配置されている材料、例えばアモルファスカーボン材料を指す。アモルファス材料は、いくつかの局所化された結晶化度(つまり、規則性)を有してもよいが、原子の位置の長距離秩序に欠ける。熱分解炭素材料および/または活性炭材料は一般にアモルファスである。
【0022】
「結晶」とは、その構成原子、分子、またはイオンが規則的な繰り返しパターンで配置されている材料を指す。結晶炭素材料の例には、ダイヤモンドおよびグラフェンが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
「粉末」は、比較的自由流動性であり、溶媒中で溶解または懸濁されていない、微細に分散された固体粒子を含む組成物を指す。
【0024】
「合成」とは、天然資源からではなく、化学的手段によって作製された物質を指す。例えば、合成炭素材料は、前駆体材料から合成されたものであり、天然資源から単離されていないものである。
【0025】
「不純物」または「不純物元素」は、ベース材料の化学組成とは異なる材料内の異物(例えば、化学元素)を指す。例えば、炭素材料中の不純物は、炭素材料中に存在する炭素以外の任意の元素または元素の組み合わせを指す。不純物レベルは典型的には、100万分の1(ppm)で表される。
【0026】
「PIXE不純物」は、11から92(すなわち、ナトリウムからウラン)の範囲の原子番号を有する任意の不純物元素である。「総PIXE不純物含有量」および「総PIXE不純物レベル」という語句は両方とも、例えば、ポリマーゲルまたは炭素材料などのサンプル中に存在するすべてのPIXE不純物の合計を指す。PIXEの不純物濃度および同一性は、陽子(又はプロトン:proton)誘起X線放出(PIXE)によって決定されてもよい。
【0027】
純度は、全X線反射(TXRF)を使用して決定されてもよい。「総TXRF不純物含有量」および「総TXRF不純物レベル」という語句は両方とも、例えば、ポリマーゲルまたは炭素材料などのサンプル中に存在するすべてのTXRF不純物の合計を指す。
【0028】
いくつかの実施形態では、「超高純度」は、0.050%未満の総PIXE不純物含有量を有する物質を指す。例えば、いくつかの実施形態では、「超高純度炭素材料」は、0.050%(すなわち、500ppm)未満の総PIXE不純物含有量を有する炭素材料である。
【0029】
いくつかの実施形態では、「超高純度」は、0.050%未満の総TXRF不純物含有量を有する物質を指す。例えば、いくつかの実施形態では、「超高純度炭素材料」は、0.050%(すなわち、500ppm)未満の総TXRF不純物含有量を有する炭素材料である。
【0030】
「灰分」とは、物質を高い分解温度に曝した後に残る不揮発性無機物質を指す。ここで、炭素材料の灰分は、不揮発性元素が予想される燃焼生成物(すなわち、酸化物)に完全に変換されると仮定して、陽子誘起X線放出によって測定された総PIXE不純物含有量から計算される。
【0031】
「酸」は、溶液のpHを下げることができる任意の物質を指す。酸には、アレニウス酸、ブレンステッド酸およびルイス酸が含まれる。「固体酸」とは、溶媒中に溶解したときに酸性溶液を生じる、乾燥したまたは粒状の化合物を指す。「酸性」という用語は、酸の特性を有することを意味する。
【0032】
「塩基」は、溶液のpHを上げることができる任意の物質を指す。塩基には、アレニウスの塩基、ブレンステッドの塩基およびルイスの塩基が含まれる。「固体塩基」とは、溶媒中に溶解したときに塩基性溶液を生じる、乾燥したまたは粒状の化合物を指す。「塩基性」という用語は、塩基の特性を有することを意味する。
【0033】
「熱分解乾燥ポリマーゲル」は、熱分解されているがまだ活性化されていない乾燥ポリマーゲルを指し、「活性化乾燥ポリマーゲル」は、活性化された乾燥ポリマーゲルを指す。
【0034】
「クリオゲル」とは、凍結乾燥により乾燥された乾燥ゲルを指す。
【0035】
「熱分解クリオゲル」は、熱分解されているがまだ活性化されていないクリオゲルである。
【0036】
「活性化クリオゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたクリオゲルである。
【0037】
「キセロゲル」は、例えば、大気圧以下での空気乾燥により乾燥された乾燥ゲルを指す。
【0038】
「熱分解キセロゲル」は、熱分解されているがまだ活性化されていないキセロゲルである。
【0039】
「活性化キセロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたキセロゲルである。
【0040】
「エアロゲル」は、例えば超臨界二酸化炭素を使用する超臨界乾燥によって乾燥された乾燥ゲルを指す。
【0041】
「熱分解エアロゲル」は、熱分解されているがまだ活性化されていないエアロゲルである。
【0042】
「活性化エアロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたエアロゲルである。
【0043】
「細孔(又はポア:pore)」とは、例えば活性炭、熱分解乾燥ポリマーゲル、熱分解ポリマークリオゲル、熱分解ポリマーキセロゲル、熱分解ポリマーエアロゲル、活性化乾燥ポリマーゲル、活性化ポリマークリオゲル、活性化ポリマーキセロゲル、活性化ポリマーエアロゲルなどの、表面内の開口または窪み、または炭素粒子中のトンネルを指す。細孔は、単一のトンネルであってもよく、構造全体の連続的なネットワーク中で他のトンネルに接続されてもよい。
【0044】
「細孔構造」は、活性炭材料などの炭素材料内の内部細孔の表面のレイアウトを指す。細孔構造の構成要素には、細孔サイズ、細孔容積、表面積、密度、細孔サイズ分布、および細孔長が含まれる。一般に、活性炭材料の細孔構造は、マイクロ細孔(又はマイクロポア:micropores)とメソ細孔(又はメソポア:mesopores)を含む。
「メソ細孔」は一般に、約2ナノメートルから約30ナノメートル(300Å)の直径を有する細孔を指し、一方、用語「マイクロ細孔」は、約2ナノメートル(20Å)未満の直径を有する細孔を指す。「メソポーラス」とは、メソ細孔の細孔容積が50%を超える炭素材料を指し、「マイクロポーラス」とは、マイクロ細孔の細孔容積が50%を超える炭素材料を指す。
【0045】
「細孔容積」とは、炭素材料の単位質量あたり(例えば、グラムあたり)、細孔または空の空間が占める炭素材料の容積を指す。
【0046】
「表面積」とは、BET法により測定可能な物質の総比表面積を指す。表面積は典型的に、m/gの単位で表される。BET(ブルナウアー/エメット/テラー)技術は、材料上に吸着されたガスの量を測定するために、例えば窒素のような不活性ガスを使用し、材料のアクセス可能な表面積を決定するために当技術分野で一般的に使用される。
【0047】
炭素材料の構造特性は、当業者に周知の方法である17Kでの窒素収着を使用して測定されてもよい。Micromeretics ASAP 2020を使用して、詳細なマイクロ細孔およびメソ細孔分析を実行してもよい。このシステムは、10−7atmの圧力で始まる窒素等温線(nitrogen isotherm)を生成し、それにより、1nm未満(又はサブナノメートル:sub 1 nm)の範囲で高解像度の細孔径分布が可能になる。ソフトウェアで作成されたレポートは、密度汎関数理論(DFT)法を利用して、細孔径分布、表面積分布、全表面積、全細孔容積、一定の細孔径範囲内の細孔容積などの特性を計算する。
【0048】
「有効長さ」とは、電解質から塩イオンを受け入れるのに利用できるように十分な直径である細孔の長さの部分を指す。
【0049】
「電極」とは、電気が物体、物質または領域に出入りする導体を指す。
【0050】
「バインダー」とは、バインダーおよび炭素を共に混合した後、得られる混合物をシート、ペレット、ディスクまたは他の形状に形成できるように、炭素の個々の粒子を共に保持できる材料を指す。バインダーの非限定的な例には、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン)、PFA(パーフルオロアルコキシポリマー樹脂、テフロンとしても知られる)、FEP(フッ化エチレンプロピレン、テフロンとしても知られる)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン、TefzelおよびFluonとして販売されている)、PVF(ポリフッ化ビニル、Tedlarとして販売されている)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン、Halarとして販売されている)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、Kynarとして販売されている)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン、Kel−FおよびCTFEとして販売されている)、トリフルオロエタノールおよびそれらの組み合わせなどのフッ素樹脂が含まれる。
【0051】
「不活性」とは、電解質中で活性ではない材料を指し、すなわち、それは、有意な量のイオンを吸収しないか、または化学的に変化せず、例えば、分解しない。
【0052】
「導電性」とは、緩く保持された価電子の伝達を介して電子を伝導する材料の能力を指す。
【0053】
「電流コレクタ」は、デバイスへの、またはデバイスからの電気の流れを容易にするための電気的接続を提供する電気エネルギー蓄積デバイスおよび/または電気エネルギー分配デバイスの一部を指す。電流コレクタは、多くの場合、金属および/または他の導電性材料を含み、電極へのおよび電極からの電気の流れを容易にするための電極のバッキング(backing)として使用され得る。
【0054】
「電解質」は、物質が導電性であるように遊離イオン(又は自由イオン:free ions)を含む物質を意味する。電解質の例には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、またはTEA TFB(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート)、MTEATFB(メチルトリエチルアンモニウムテトラフルオロボレート)、EMITFB(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート)、テトラエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムベースの塩またはそれらの混合物などの、テトラアルキルアンモニウム塩などの溶質と組み合わせたそれらの混合物などの溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、電解質は、弱い(又は薄い:mild)水性硫酸または水性水酸化カリウムなどの水ベースの酸のまたは水ベースの塩基の電解質であり得る。
【0055】
(炭素水和物材料粉末)
一実施形態は、細孔容積と細孔容積より大きい容積の水とを有する多孔質炭素材料を含む炭素水和物材料粉末を提供する。「粉末」とは、溶媒またはキャリア媒体に溶解または懸濁されていない、比較的自由に流動する微細に分散された固体粒子(例えば、単離された固体粒子)を指すことが理解される。
【0056】
1つの特定の実施形態は、細孔容積と細孔容積より大きい容積の水とを有する多孔質炭素材料からなる炭素水和物材料粉末を提供する。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、溶媒またはキャリア媒体に溶解または懸濁されないが、追加の添加剤を含まずに単離された固体粒子として存在する粉末である。すなわち、いくつかの実施形態では、水の容積は、多孔質炭素材料によってのみ吸収される。
【0057】
前述のある関連する実施形態では、炭素水和物材料粉末は活性炭を含む。ある実施形態では、炭素水和物材料粉末は、結晶性炭素材料、アモルファス炭素材料、またはそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、炭素水和物材料粉末は合成炭素材料を含む。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末および/または多孔質炭素材料は超高純度である。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末および/または多孔質炭素材料は、熱分解乾燥ポリマーゲル、例えば、熱分解ポリマークリオゲル、熱分解ポリマーキセロゲルまたは熱分解ポリマーエアロゲルである。他の実施形態では、炭素材料は熱分解されて活性化される(例えば、合成活性炭材料)。例えば、さらなる実施形態では、炭素水和物材料粉末および/または多孔質炭素材料は、活性化乾燥ポリマーゲル、活性化ポリマークリオゲル、活性化ポリマーキセロゲルまたは活性化ポリマーエアロゲルである。
【0058】
いくつかの実施形態では、炭素材料の表面機能性は、pHによって確認されてもよく、pHに関連してもよい。そのような実施形態では、炭素のpHは、pH6.0より大きく、pH7.0より大きく、pH8.0より大きく、pH9.0より大きく、pH10.0より大きく、pH11.0より大きくてもよい。ある実施形態では、炭素材料は、pH6.0〜pH11.0、pH6.0〜pH10.0、pH7.0〜pH9.0、pH8.0と〜pH10.0、pH7.0〜pH9.0、pH6.0〜pH7.0、pH7.0〜pH 8.0、またはpH 8.0〜pH9.0を有する。いくつかの実施形態では、炭素材料は、8〜9、7.5〜9.5、7〜10、6.5〜8、6.5〜8.5、6〜10、6.5〜7.5、6〜9、または5〜10のpHを有する。いくつかの実施形態では、炭素材料のpHは、約8.5、約7.5、約7.0、または約8.5である。
【0059】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて、1%w/w超、5%w/w超、7%w/w超、10%w/w超、12%w/w超、15%w/w超、17%w/w超、20%w/w超、22%w/w超、25%w/w超、30%w/w超、32%w/w超、35%w/w超、37%w/w超、40%w/w超、42%w/w超、45%w/w超、47%w/w超、50%w/w超、52%w/w超、55%w/w超、57%w/w超、60%w/w超、62%w/w超、または65%超w/wの含水量を有する。ある実施形態では、炭素水和物材料粉末は、約99%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%または約45%までの含水量を有する。
【0060】
ある実施形態では、炭素水和物材料粉末は、炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて30%〜70%の範囲の含水量を有する。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、炭素水和物材料粉末の総重量に基づいて、1%〜99%、5%〜90%、10%〜87%、15%〜85%、20%〜85%、22%〜80%、25%〜77%、27%〜75%、または30%〜72%の範囲の含水量を有する。
【0061】
ある実施形態では、水の容積は、多孔質炭素材料の細孔容積よりも大きい。いくつかの実施形態では、水の容積は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも37%、少なくとも40%、少なくとも42%、少なくとも45%、少なくとも47%、少なくとも50%、または少なくとも60%細孔容積よりも大きい。いくつかの実施形態では、水の容積は、多孔質炭素材料の細孔容積よりも大きい。いくつかの実施形態では、水の容積は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも75%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、または少なくとも200%細孔容積よりも大きい。
【0062】
いくつかの実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも10%〜90%大きい範囲である。いくつかの実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも10%〜75%大きい範囲である。いくつかの実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも10%〜50%大きい範囲である。いくつかの実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも10%〜50%大きい範囲である。より具体的な実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも20%〜30%大きい範囲である。より具体的な実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも40%〜50%大きい範囲である。 いくつかの実施形態では、水の容積は、10%〜70%、10%〜65%、10%〜60%、12%〜57%、15%〜55%、17%〜52%、20%〜50%、22%〜50%、25%〜50%、27%〜50%、30%〜50%、32%〜50%、35%〜50%または37%〜55%細孔容積より大きい。
【0063】
いくつかの特定の実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも30%〜50%、35%〜45%、または37%〜42%大きい範囲である。例えば、特定の一実施形態では、水の容積範囲は、細孔容積よりも約40%大きい。いくつかの実施形態では、水の容積範囲は、(例えば、式1によって計算されるように)細孔容積よりも約60%、約70%、約80%または約90%大きい。
【0064】
いくつかの特定の実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも60%〜80%、65%〜75%、または67%〜72%大きい範囲である。例えば、特定の一実施形態では、水の容積範囲は、細孔容積よりも約70%大きい。
【0065】
いくつかの特定の実施形態では、水の容積は、細孔容積よりも45%〜65%、50%から60%、または52%から57%大きい範囲である。例えば、特定の一実施形態では、水の容積範囲は、細孔容積よりも約55%大きい。本開示の炭素水和物材料粉末は、その多孔性(porosity)に関して特徴付けることができる。したがって、いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、不規則な多孔性を有する。特定の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、最適化された細孔径分布、例えば、マイクロ細孔とメソ細孔の両方の最適化されたブレンドを含む。ある実施形態では、炭素水和物材料粉末はメソポーラスである。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末はマイクロポーラスである。
【0066】
細孔構造は、典型的には、マイクロ細孔またはメソ細孔のいずれかまたは両方に存在する細孔容積の割合(パーセント)に関して記載される。したがって、いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%〜90%のマイクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜80%のマイクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、30%〜70%のマイクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜60%のマイクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜50%のマイクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、43%〜47%のマイクロ細孔を含む。ある実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約45%のマイクロ細孔を含む。
【0067】
ある実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%超のマイクロ細孔、20%超のマイクロ細孔、30%超のマイクロ細孔、40%超のマイクロ細孔、50%超のマイクロ細孔、60%超のマイクロ細孔、70%超のマイクロ細孔、80%超のマイクロ細孔、90%超のマイクロ細孔、または99%超のマイクロ細孔を含む。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、100%のマイクロ細孔を含む。
【0068】
ある実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%超のメソ細孔、20%超のメソ細孔、30%超のメソ細孔、40%超のメソ細孔、50%超のメソ細孔、60%超のメソ細孔、70%超のメソ細孔、80%超のメソ細孔、90%超のメソ細孔、または99%超のメソ細孔を含む。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、100%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜50%のマイクロ細孔を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜40%のマイクロ細孔、例えば25%〜35%のマイクロ細孔または27%〜33%のマイクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、30%〜50%のマイクロ細孔、例えば35%〜45%のマイクロ細孔または37%〜43%のマイクロ細孔を含む。あるいくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約30%のマイクロ細孔または約40%のマイクロ細孔を含む。
【0069】
特定の一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、マイクロ細孔容積、メソ細孔容積および全細孔容積を含む細孔構造を有し、全細孔容積の40%〜90%がマイクロ細孔に存在し、全細孔容積の10%〜60%はメソ細孔に存在し、全細孔容積の10%未満が30 nm超の細孔に存在する。
【0070】
ある特定の実施形態では、細孔容積は、0nm超50nmまでの範囲の直径を有する細孔を含む。より具体的な実施形態では、細孔容積の50%超は、2nm〜50nmの直径を有する細孔に存在する。いくつかの実施形態では、細孔容積の5%超、7%超、10%超、12%超、15%超、17%超、20%超、22%超、25%超、27%超、30%超、32%超、35%超、37%超、40%超、42%超、45%超、47%超、または55%超は、直径が2nm〜50nmの細孔に存在する。いくつかの特定の実施形態では、細孔容積の50%超は、0nm超2nm未満の直径を有する細孔に存在する。いくつかの実施形態では、細孔容積の5%超、7%超、10%超、12%超、15%超、17%超、20%超、22%超、25%超、27%超、30%超、32%超、35%超、37%超、40%超、42%超、45%超、47%超、または55%超は、0nm超2nm未満の直径を有する細孔に存在する。
【0071】
いくつかの実施形態では、細孔容積の10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超または99%超は、約20Å〜約300Åの範囲の直径を有する細孔に存在する。いくつかの実施形態では、細孔容積の100%は、約20Å〜約300Åの範囲の直径を有する細孔に存在する。
【0072】
一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、細孔容積の少なくとも50%、細孔容積の少なくとも75%、細孔容積の少なくとも90%または細孔容積の少なくとも99%の、100nm以下の細孔の細孔容積率(fractional pore volume)を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、細孔容積の少なくとも50%、細孔容積の少なくとも75%、細孔容積の少なくとも90%または細孔容積の少なくとも99%の、20nm以下の細孔の細孔容積率を含む。
【0073】
別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%または全細孔表面積の少なくとも99%の、100nm以下の細孔の細孔表面積率(fractional pore surface area)を含む。別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%または全細孔表面積の少なくとも99%の、20nm以下の細孔の細孔表面積率を含む。
【0074】
いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜50%のマイクロ細孔を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜40%のマイクロ細孔、例えば25%〜35%のマイクロ細孔または27%〜33%のマイクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、30%〜50%のマイクロ細孔、例えば35%〜45%のマイクロ細孔または37%〜43%のマイクロ細孔を含む。いくつかの特定の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約30%のマイクロ細孔または約40%のマイクロ細孔を含む。
【0075】
いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜90%のマイクロ細孔を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、45%〜90%のマイクロ細孔、例えば55%〜85%のマイクロ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、65%〜85%のマイクロ細孔、例えば75%〜85%のマイクロ細孔または77%〜83%のマイクロ細孔を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、65%〜75%のマイクロ細孔、例えば67%〜73%のマイクロ細孔を含む。いくつかの特定の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約80%のマイクロ細孔または約70%のマイクロ細孔を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%〜90%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜80%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、30%〜70%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、50%〜60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、53%〜57%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約55%のメソ細孔を含む。
【0077】
いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、50%〜80%のメソ細孔を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、60%〜80%のメソ細孔、例えば65%〜75%のメソ細孔または67%〜73%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、50%〜70%のメソ細孔、例えば55%〜65%のメソ細孔または57%〜53%のメソ細孔を含む。あるいくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約30%のメソ細孔または約40%のメソ細孔を含む。
【0078】
いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%〜60%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%〜55%のメソ細孔、例えば15%〜45%のメソ細孔または15%〜40%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、15%〜35%のメソ細孔、例えば15%〜25%のメソ細孔または17%〜23%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、25%〜35%のメソ細孔、例えば27%〜33%のメソ細孔を含む。あるいくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は約20%のメソ細孔を含み、他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は約30%のメソ細孔を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、10%〜90%のマイクロ細孔および10%〜90%のメソ細孔を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜80%のマイクロ細孔および20%〜80%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、30%〜70%のマイクロ細孔および30%〜70%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜60%のマイクロ細孔および40%〜60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜50%のマイクロ細孔および50%〜60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、43%〜47%のマイクロ細孔および53%〜57%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約45%のマイクロ細孔および約55%のメソ細孔を含む。
【0080】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜90%のマイクロ細孔および10%〜60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、45%〜90%のマイクロ細孔および10%〜55%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、40%〜85%のマイクロ細孔および15%〜40%のメソ細孔を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、55%〜85%のマイクロ細孔および15%〜45%のメソ細孔、例えば65%〜85%のマイクロ細孔および15%〜35%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、65%〜75%のマイクロ細孔および15%〜25%のメソ細孔、例えば67%〜73%のマイクロ細孔および27%〜33%のメソ細孔を含む。実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、75%〜85%のマイクロ細孔および15%〜25%のメソ細孔、例えば83%〜77%のマイクロ細孔および17%〜23%のメソ細孔を含む。他のある実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約80%のマイクロ細孔および約20%のメソ細孔を含み、または他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、約70%のマイクロ細孔および約30%のメソ細孔を含む。
【0081】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の細孔構造は、20%〜50%のマイクロ細孔および50%〜80%のメソ細孔を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細孔容積の20%〜40%がマイクロ細孔に存在し、細孔容積の60%〜80%がメソ細孔に存在する。他の実施形態では、細孔容積の25%〜35%がマイクロ細孔に存在し、細孔容積の65%〜75%がメソ細孔に存在する 例えば、いくつかの実施形態では、細孔容積の約30%がマイクロ細孔に存在し、細孔容積の約70%がメソ細孔に存在する。
【0082】
さらに他の実施形態では、細孔容積の30%〜50%がマイクロ細孔に存在し、細孔容積の50%〜70%がメソ細孔に存在する。他の実施形態では、細孔容積の35%〜45%がマイクロ細孔に存在し、細孔容積の55%〜65%がメソ細孔に存在する。例えば、いくつかの実施形態では、細孔容積の約40%がマイクロ細孔に存在し、細孔容積の約60%がメソ細孔に存在する。
【0083】
前述の任意の炭素水和物材料粉末の他の変形例では、炭素水和物材料粉末は、20nm超または30nm超の実質的な細孔容積を有さない。例えば、ある実施形態では、炭素水和物材料粉末は、細孔容積の50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満、さらには1%未満を、20 nm超または30nm超の細孔に含む
【0084】
一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での(又は水の非存在下での:in the absence of the water)多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも1.8cc/g、少なくとも1.2cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20 cc/g、または少なくとも0.15cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、少なくとも1.80cc/g、少なくとも1.70cc/g、少なくとも1.60cc/g、少なくとも1.50cc/g、少なくとも1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.5cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.3cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.3cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/g、少なくとも0.075cc/g、少なくとも0.05cc/g、少なくとも0.025cc/g、少なくとも0.01cc/gの、20オングストローム超の細孔に存在する細孔容積を含む。
【0085】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、4.00cc/g超、3.75cc/g超、3.50cc/g超、3.25cc/g超、3.00cc/g超、2.75cc/g超、2.50cc/g超、2.25cc/g超、2.00cc/g超、1.90cc/g超、1.80cc/g超、1.70cc/g超、1.60cc/g超、1.50cc/g超、1.40cc/g超、1.30cc/g超、1.20cc/g超、1.10cc/g超、1.00cc/g超、0.85cc/g超、0.80cc/g超、0.75cc/g超、0.70cc/g超、0.65cc/g超、または0.50cc/g超の、20オングストローム〜30オングストロームの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0086】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、4.00cc/g超、3.75cc/g超、3.50cc/g超、3.25cc/g超、3.00cc/g超、2.75cc/g超、2.50cc/g超、2.25cc/g超、2.00cc/g超、1.90cc/g超、1.80cc/g超、1.70cc/g超、1.60cc/g超、1.50cc/g超、1.40cc/g超、1.30cc/g超、1.20cc/g超、1.10cc/g超、1.00cc/g超、0.85cc/g超、0.80cc/g超、0.75cc/g超、0.70cc/g超、0.65cc/g超、0.50cc/g超、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.3cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/g、少なくとも0.075cc/g、少なくとも0.05cc/g、少なくとも0.025cc/g、少なくとも0.01cc/gの、20オングストローム〜500オングストロームの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0087】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、4.00cc/g超、3.75cc/g超、3.50cc/g超、3.25cc/g超、3.00cc/g超、2.75cc/g超、2.50cc/g超、2.25cc/g超、2.00cc/g超、1.90cc/g超、1.80cc/g超、1.70cc/g超、1.60cc/g超、1.50cc/g超、1.40cc/g超、1.30cc/g超、1.20cc/g超、1.10cc/g超、1.00cc/g超、0.85cc/g超、0.80cc/g超、0.75cc/g超、0.70cc/g超、0.65cc/g超、0.60cc/g超、0.55cc/g超、0.50cc/g超、0.45cc/g超、0.40cc/g超、0.35cc/g超、0.30cc/g超、0.25cc/g超、0.20cc/g超、0.10cc/g超、g、0.05cc/g超、または0.025cc/g超の細孔容積を含む。
【0088】
ある実施形態では、細孔容積は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、0.3cc/g〜1.5cc/g、0.3cc/g〜0.7cc/g、または1.0cc/g〜1.5cc/gの範囲である。ある実施形態では、細孔容積は、0.1cc/g〜5.0cc/g、0.1cc/g〜3.5cc/g、0.2cc/g〜2.0cc/g、0.5cc/g〜1.5cc/g、g、0.5cc/g〜1.3cc/g、0.9cc/g〜1.2cc/g、または1.0cc/g〜2.0cc/gの範囲である。
【0089】
ある実施形態では、細孔容積は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、0.5cc/g〜0.9cc/g、0.60cc/g〜0.80cc/g、または0.65cc/g〜0.75cc/gの範囲である。ある実施形態では、細孔容積は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、約0.7cc/gである。
【0090】
ある実施形態では、細孔容積は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、1.10cc/g〜1.50cc/g、1.20cc/g〜1.40cc/g、または1.25cc/g〜1.35cc/gの範囲である。ある実施形態では、細孔容積は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、約1.30cc/gである。
【0091】
一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/g、または少なくとも0.15cc/gの、20オングストローム超の細孔の細孔容積を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム超の細孔の細孔容積を含む。
【0092】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜500オングストロームの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0093】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜1000オングストロームの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0094】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜2000オングストロームの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0095】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜5000オングストロームの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0096】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜1ミクロンの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0097】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜2ミクロンの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0098】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜3ミクロンの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0099】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜4ミクロンの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0100】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの、20オングストローム〜5ミクロンの範囲の細孔の細孔容積を含む。
【0101】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの全細孔容積を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、0.675〜0.755cc/g、0.665〜0.765cc/g、または0.5〜1.0cc/gの範囲の全(BET)細孔容積を有する。特定の一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、約0.715cc/gの全(BET)細孔容積を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、1.09〜1.49cc/g、0.89〜1.69cc/g、または0.69〜1.89cc/gの範囲の全(BET)細孔容積を有する。特定の一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、約1.29cc/gの全(BET)細孔容積を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、0.650〜0.750cc/g、0.630〜0.780cc/g、または0.5〜0.90cc/gの範囲の全(BET)細孔容積を有する。特定の一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、約0.700cc/gの全(BET)細孔容積を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、1.05〜1.35cc/g、0.85〜1.55cc/g、または0.65〜1.75cc/gの範囲の全(BET)細孔容積を有する。特定の一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、約1.15cc/gの全(BET)細孔容積を有する。
【0106】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.2cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積を含み、少なくとも0.8cc/gの、20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔容積を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.5cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積を含み、少なくとも0.5cc/gの、20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔容積を含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.6cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積を含み、少なくとも2.4cc/gの、20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔容積を含む。さらに他の実施形態では、炭素材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも1.5cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積を含み、少なくとも1.5cc/gの、20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔容積を含む。
【0107】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.2cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積と、少なくとも0.8cc/gの、20〜500オングストロームの細孔に存在する細孔容積とを含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.5cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積と、少なくとも0.5cc/gの、20〜500オングストロームの細孔に存在する細孔容積とを含む。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.6cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積と、少なくとも2.4cc/gの20〜500オングストロームの細孔に存在する細孔容積とを含む。さらに他の実施形態では、炭素材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも1.5cc/gの、20オングストローム未満の細孔に存在する細孔容積と、少なくとも1.5cc/gの、20〜500オングストロームの細孔に存在する細孔容積とを含む。
【0108】
特定の実施形態では、マイクロ細孔領域内で低い細孔容積(例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満のマイクロ孔性(microporosity))を有するメソポーラス炭素材料を含む炭素水和物材料粉末が提供される。例えば、メソポーラス炭素は、熱分解されているが活性化されていないポリマーゲルであり得る。いくつかの実施形態では、熱分解されたメソポーラス炭素は、少なくとも400m/g、少なくとも500m/g、少なくとも600m/g、少なくとも675m/gまたは少なくとも750m/gの比表面積を含む。他の実施形態では、メソポーラス炭素材料は、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.80cc/gまたは少なくとも0.90cc/gの細孔容積を含む。さらに他の実施形態では、メソポーラス炭素材料は、少なくとも0.30g/cc、少なくとも0.35g/cc、少なくとも0.40g/cc、少なくとも0.45g/cc、少なくとも0.50g/ccまたは少なくとも0.55g/ccのタップ密度を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、全細孔容積の約93%がマイクロ細孔内または約0〜20オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔に存在する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料の全細孔容積の91%〜95%、89%〜98%、または85%〜100%が、マイクロ細孔または約0〜20オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔に存在する。
【0110】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、全細孔容積の約7%がメソ細孔内または約20〜300オングストロームの範囲の細孔直径を有する細孔内に存在する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、全細孔容積の5%〜9%、2%〜11%、または0%〜15%が、メソ細孔または約20〜300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔に存在する。
【0111】
特定の実施形態では、メソ細孔領域で低い細孔容積(例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満のメソ孔性(mesoporosity))を有するメソポーラス炭素材料を含む炭素水和物材料粉末が提供される。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、少なくとも500m/g、少なくとも1000m/g、少なくとも1500m/g、少なくとも1600m/g、または少なくとも1690m/gの比表面積を含む。他の実施形態では、メソポーラス炭素材料は、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.90cc/g、少なくとも1.00cc/gまたは少なくとも1.20cc/gの細孔容積を含む。さらに他の実施形態では、メソポーラス炭素材料は、少なくとも0.10g/cc、少なくとも0.15g/cc、少なくとも0.20g/cc、少なくとも0.25g/cc、少なくとも0.30g/cc、または少なくとも0.35g/ccのタップ密度を含む。
【0112】
別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、0.1〜1.0g/cc、0.2〜0.6g/cc、0.2〜0.8g/cc、0.3〜0.5g/cc、または0.4〜0.5g/ccのタップ密度を含む多孔質炭素材料を含む。別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも0.1cm/g、少なくとも0.2cm/g、少なくとも0.3cm/g、少なくとも0.4cm/g、少なくとも0.5cm/g、少なくとも0.7cm/g、少なくとも0.75cm/g、少なくとも0.9cm/g、少なくとも1.0cm/g、少なくとも1.1cm/g、少なくとも1.2cm/g、少なくとも1.3cm/g、少なくとも1.4cm/g、少なくとも1.5cm/g、または少なくとも1.6cm/gの細孔容積を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、0.25〜0.30cm/g、0.20〜0.35cm/g、0.10〜0.45cm/g、0.38〜0.43cm/g、0.35〜0.45cm/g、0.25〜0.50cm/g、0.53〜0.58cm/g、0.50〜0.62cm/g、0.45〜0.65cm/g、0.38〜0.53cm/g、または0.30〜0.60cm/gのタップ密度を有する多孔質炭素材料を含む。 。
【0114】
別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、全細孔表面積の少なくとも40%、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも70%または全細孔表面積の少なくとも80%の、20〜300オングストロームの細孔の細孔表面積率(fractional pore surface area)を含む。別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、全細孔表面積の少なくとも20%、全細孔表面積の少なくとも30%、全細孔表面積の少なくとも40%または全細孔表面積の少なくとも50%の、20nm以下の細孔の細孔表面積率を含む。
【0115】
別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、全細孔表面積の少なくとも40%、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも70%または全細孔表面積の少なくとも80%の、20〜500オングストロームの細孔の細孔表面積率を含む。別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、全細孔表面積の少なくとも20%、全細孔表面積の少なくとも30%、全細孔表面積の少なくとも40%または全細孔表面積の少なくとも50%の、20オングストローム以下の細孔の細孔表面積率を含む。
【0116】
別の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、主に1000オングストローム以下、例えば100オングストローム以下、例えば50オングストローム以下の範囲の細孔を含む。代替の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、0〜20オングストロームの範囲のマイクロ細孔および20〜300オングストロームの範囲のメソ細孔を含む。いくつかの実施形態では、メソ細孔範囲に対するマイクロ細孔範囲における細孔容積または細孔表面の比は、95:5〜5:95の範囲であり得る。あるいは、いくつかの実施形態では、メソ細孔範囲に対するマイクロ細孔範囲内の細孔容積または細孔表面の比は、20:80〜60:40の範囲であり得る。
【0117】
他の実施形態では、炭素水和物材料粉末はメソポーラスであり、単分散メソ細孔を含む。本明細書で使用されるように、細孔径に関して使用されるときの「単分散」という用語は、あるスパンを指す((Dv90−Dv10)/Dv,50としてさらに定義され、Dv10、Dv50およびDv90は、一般に約3以下、典型的には約2以下、しばしば約1.5以下の容積分布の10%、50%および90%での細孔径を指す)。
【0118】
さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、少なくとも1cc/g、少なくとも2cc/g、少なくとも3cc/g、少なくとも4cc/g、または少なくとも7cc/gの細孔容積を含む。特定の一実施形態では、炭素水和物材料粉末は、水の不在下の多孔質炭素材料の重量に基づいて、1cc/g〜7cc/gの範囲の細孔容積を含む。
【0119】
炭素水和物材料粉末の他の実施形態では、細孔容積の少なくとも50%は、50Å〜5000Åの範囲の直径を有する細孔に存在する。炭素水和物材料粉末のいくつかの実施形態では、細孔容積の少なくとも50%は、50Å〜500Åの範囲の直径を有する細孔に存在する。さらに、炭素水和物材料粉末の他の例では、細孔容積の少なくとも50%は、500Å〜1000Åの範囲の直径を有する細孔に存在する。さらに、炭素水和物材料粉末の他の例では、細孔容積の少なくとも50%が、1000Å〜5000Åの範囲の直径を有する細孔に存在する。
【0120】
いくつかの実施形態では、全細孔容積の約40%〜約60%がマイクロ細孔に存在し、全細孔容積の約40%〜約60%がメソ細孔に存在する。
【0121】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の平均粒径は、1〜1000ミクロンの範囲である。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の平均粒径は、1〜100ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の平均粒径は、1〜50ミクロン、1〜60ミクロン、または1〜70ミクロン(例えば、約8.5ミクロン、約60ミクロン)の範囲である。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の平均粒径は、5〜15ミクロンまたは1〜5ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の平均粒径は約10ミクロンである。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の平均粒径は、4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満、1ミクロン未満である。
【0122】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末のD(50)は、1〜1000ミクロンの範囲である。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末のD(50)は、1〜100ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末のD(50)は、1〜50ミクロン、1〜60ミクロン、または1〜70ミクロン(例えば、約8.5ミクロン、約60ミクロン)の範囲である。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末のD(50)は、5〜15ミクロンまたは1〜5ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末のD(50)は約10ミクロンである。さらに他の実施形態では、炭素水和物材料粉末のD(50)は、4ミクロン未満であり、3ミクロン未満であり、2ミクロン未満であり、1ミクロン未満である。
【0123】
いくつかの実施形態では、D(50)粒径は、約7.5〜9.5ミクロン、7〜10ミクロン、2〜12ミクロン、45〜75ミクロン、40〜80ミクロン、10〜100ミクロン、25〜100ミクロン、20〜100ミクロン、または50〜100ミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、D(50)粒径は、約8.5または約60ミクロンである。いくつかの実施形態では、D(50)粒径は、約8.5または約60ミクロンである。
【0124】
有利には、いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の比較的大きな粒径は、凝集を低減し、他の混合物または組成物(例えば、鉛酸ペースト)内での優れた分散性を提供する。この点で、本明細書に開示される炭素材料粉末は、別個の粒子として組成物内に存在することができる(例えば、凝集してより高次の構造を形成しない)。いくつかの実施形態では、粒径は、光学顕微鏡法、レーザー回折、走査型電子顕微鏡法、またはそれらの組み合わせによって決定される。いくつかの実施形態では、凝集は、いくつかの粒子がすべて比較的近接しているか、または接触して、より大きな集合的またはより高次の構造を形成するものとして決定され得る。いくつかの実施形態では、近接(close proximity)は、1〜2nm、1〜3nm、1〜4nm、1〜5nm、または1〜10nm以内であり得る。別の態様では、炭素材料は、約100ミクロン、約90ミクロン、約80ミクロン、約70ミクロン、約60ミクロン、約50ミクロン、約40ミクロン、約30ミクロン、約25ミクロン未満、約20ミクロン、約15ミクロン、または約10ミクロンの凝集体またはクラスターサイズを有する。別の態様では、炭素材料は、約100ミクロン、約200ミクロン、約300ミクロン、約400ミクロン、約500ミクロン、約600ミクロン、約700ミクロン、約800ミクロン、約900ミクロン未満、約1000ミクロン、約1100ミクロン、約1200ミクロン、約1300ミクロン、約1400ミクロン、約1500ミクロン、約1600ミクロン、約1700ミクロン、約1800ミクロン、約1900ミクロン、または約2000ミクロンの凝集体またはクラスターサイズを有する。
【0125】
したがって、いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、2ミクロン超、5ミクロン、8.5ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、15ミクロン超、20ミクロン超、25ミクロン超、30ミクロン超、35ミクロン超、40ミクロン超、45ミクロン超、55ミクロン超、60ミクロン超、65ミクロン超、70ミクロン超、75ミクロン超、または 80ミクロン超のD(50)を有する。
【0126】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、約25〜約200ミクロン、約30〜約200ミクロン、約35〜約200ミクロン、約40〜約200ミクロン、約40〜約200ミクロン、約45から約200ミクロン、約50〜約200ミクロン、約55〜約200ミクロン、約60〜約200ミクロン、約65〜約200ミクロン、約70〜約200ミクロン、約75〜約200ミクロン、約80〜約200ミクロン、約85〜約200ミクロン、約90〜約175ミクロン、約25〜約150ミクロン、約25〜約125ミクロン、約25〜約100ミクロン、約10〜約175ミクロン、約10〜約150ミクロン、約10〜約125ミクロン、約10〜約100ミクロン、約10〜約80ミクロン、約10〜約70ミクロン、約20〜約80ミクロン、約30〜約100ミクロン、約40〜約100ミクロン、または約50〜約100ミクロンの範囲のD(50)を有する。
【0127】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、1nm〜10nmの範囲の平均粒径を示す。他の実施形態では、平均粒径は、10nm〜20nmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は20nm〜30nmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は、30nm〜40nmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は40nm〜50nmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は、50nm〜100nmの範囲である。
【0128】
いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、1nm〜10nmの範囲のD(50)を示す。他の実施形態では、D(50)は、10nm〜20nmの範囲である。さらに他の実施形態では、D(50)は20nm〜30nmの範囲である。さらに他の実施形態では、D(50)は、30nm〜40nmの範囲である。さらに他の実施形態では、D(50)は40nm〜50nmの範囲である。他の実施形態では、D(50)は、50nm〜100nmの範囲である。
【0129】
開示された炭素水和物材料粉末中の多孔質炭素材料の純度は、当技術分野で知られている多くの技術によって決定することができる。純度を決定するのに役立つ特定の方法の1つは、陽子誘起X線放出(PIXE)である。この技術は非常に感度が高く、低いppmレベルで11〜92の範囲の原子番号を持つ元素(つまり、PIXE不純物)の存在を検出できる。PIXEを介して不純物レベルを決定する方法は、当技術分野でよく知られている。
【0130】
一般に、炭素水和物材料粉末の炭素材料は、低い総PIXE不純物を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末中の総PIXE不純物含有量(陽子誘導X線放出によって測定される)は、1000ppm未満である。他の実施形態では、多孔質炭素材料は、陽子誘起X線放出で測定したとき、11〜92の範囲の原子番号を有する元素の総不純物含有量が、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。前述のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、熱分解乾燥ポリマーゲル、熱分解ポリマークリオゲル、熱分解ポリマーキセロゲル、熱分解ポリマーエアロゲル、活性化乾燥ポリマーゲル、活性化ポリマークリオゲル、活性化ポリマーキセロゲルまたは 活性化ポリマーエアロゲルである。
【0131】
望ましくないPIXE不純物の含有量が低いことに加えて、開示された炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料は、高い総炭素含有量を含み得る。炭素に加えて、炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料は、酸素、水素、窒素および電気化学的修飾剤も含み得る。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料は、重量/重量ベース(weight/weight basis)で、少なくとも少なくとも75%の炭素、少なくとも80%の炭素、少なくとも85%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも95%の炭素、少なくとも96%の炭素、少なくとも97%の炭素、少なくとも98%の炭素または少なくとも99%の炭素を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料は、重量/重量ベースで10%未満の酸素、5%未満の酸素、3.0%未満の酸素、2.5%未満の酸素、1%未満の酸素または0.5%未満の酸素を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料は、重量/重量ベースで10%未満の水素、5%未満の水素、2.5%未満の水素、1%未満の水素、0.5%未満の水素または0.1%未満の水素を含む。他の実施形態では、炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料は、重量/重量ベースで5%未満の窒素、2.5%未満の窒素、1%未満の窒素、0.5%未満の窒素、0.25%未満の窒素、または0.01%未満の窒素を含む。開示された炭素水和物材料粉末の多孔質炭素材料の酸素、水素および窒素の含有量は、燃焼分析によって決定することができる。燃焼分析によって元素組成を決定するための技術は、当技術分野でよく知られている。
【0132】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するナトリウムのレベルは、1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。
【0133】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するマグネシウムのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。
【0134】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するアルミニウムのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。
【0135】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するシリコンのレベルは、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満または1ppm未満である。
【0136】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するリンのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。
【0137】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在する硫黄のレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、30ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。
【0138】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在する塩素のレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。
【0139】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するカリウムのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。
【0140】
他の実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するカルシウムのレベルは、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。
【0141】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するクロムのレベルは、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。
【0142】
他の実施形態では、多孔質炭素材料中に存在する鉄のレベルは、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。
【0143】
他の実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するニッケルのレベルは、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。
【0144】
他のいくつかの実施形態では、多孔質炭素材料中に存在する銅のレベルは、140ppm未満、100ppm未満、40ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。
【0145】
さらに他の実施形態では、多孔質炭素材料中に存在する亜鉛のレベルは、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。
【0146】
さらに他の実施形態では、多孔質炭素材料中に存在するナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛を除くすべてのPIXE不純物の合計は、1000ppm、500pm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。いくつかの実施形態では、水素、酸素および/または窒素などの他の不純物は、10%未満から0.01%未満の範囲のレベルで存在し得る。
【0147】
多孔質炭素材料のいくつかの実施形態は、陽子誘導X線放出分析の検出限界の近くまたはそれ未満の望ましくないPIXE不純物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のシリコン、4ppm未満のリン、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタン、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppm未満のコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオブ、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルテニウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルル、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジム、2ppm未満のネオジム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユーロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテチウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満の白金、1ppm未満の金、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウム、または4ppm未満のウランを含む。
【0148】
いくつかの特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、陽子誘導X線放出により測定される、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のシリコン、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、および5ppm未満の亜鉛を含む。他の特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、30ppm未満の硫黄、100ppm未満のシリコン、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロムおよび2ppm未満の亜鉛を含む。
【0149】
他の特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のシリコン、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満の亜鉛を含む。
【0150】
いくつかの他の特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満のマンガンを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、10ppm未満の鉄を含む。他の実施形態では、多孔質炭素材料は、3ppm未満のニッケルを含む。他の実施形態では、多孔質炭素材料は、30ppm未満の硫黄を含む。他の実施形態では、多孔質炭素材料は、1ppm未満のクロムを含む。他の実施形態では、多孔質炭素材料は、1ppm未満の銅を含む。他の実施形態では、炭素材料は、1ppm未満の亜鉛を含む。
【0152】
さらに他の例では、多孔質炭素材料は、陽子誘起X線放出で測定した100ppm未満のナトリウム、100ppm未満のシリコン、10ppm未満の硫黄、25ppm未満のカルシウム、1ppm未満の鉄、2ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、50ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、25ppm未満のリン、5ppm未満の塩素、25ppm未満のカリウム、2ppm未満のチタン、2ppm未満のマンガン、0.5ppm未満のコバルトおよび5ppm未満の亜鉛を含み、原子番号が11〜92の範囲にある他の全ての元素は、陽子誘起X線放出で検出されない。
【0153】
さらに、多孔質炭素材料の全灰分は、いくつかの例では、炭素水和物材料粉末の電気化学的性能に影響を与える可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料の灰分は、0.1%から0.001%の範囲であり、例えば、いくつかの特定の実施形態では、多孔質炭素材料の灰分は、0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、または0.001%未満の範囲である。
【0154】
他の実施形態では、多孔質炭素材料は、500ppm未満の総PIXE不純物含有量および0.08%未満の灰分含有量を含む。さらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、300ppm未満の総PIXE不純物含有量および0.05%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、200ppm未満の総PIXE不純物含有量および0.05%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、200ppm未満の総PIXE不純物含有量および0.025%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、100ppm未満の総PIXE不純物含有量および0.02%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、50ppm未満の総PIXE不純物含有量および0.01%未満の灰分含有量を含む。
【0155】
他の実施形態では、多孔質炭素材料は、500ppm未満の総TXRF不純物含有量および0.08%未満の灰分含有量を含む。さらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、300ppm未満の総TXRF不純物含有量および0.05%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、200ppm未満の総TXRF不純物含有量および0.05%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、200ppm未満の総TXRF不純物含有量および0.025%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、100ppm未満の総TXRF不純物含有量および0.02%未満の灰分含有量を含む。他のさらなる実施形態では、多孔質炭素材料は、50ppm未満の総TXRF不純物含有量および0.01%未満の灰分含有量を含む。
【0156】
炭素水和物材料粉末はまた、高い表面積を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末は、50m/g超、100m/g超、150m/g超、250m/g超、300m/g超。400m/g超、500m/g超、600m/g超、700m/g超、800m/g超、900m/g超、1000m/g超、1500m/g超、2000m/g超、2400m/g超、2500m/g超、2750m/g超または3000m/g超のBET比表面積を含む。他の実施形態では、BET比表面積は、約100m/g〜約3000m/g、例えば、約500m/g〜約1000m/g、約1000m/g〜約1500m/g、約1500m/g〜約2000m/g、約2000m/g〜約2500m/g、または約2500m/g〜約3000m/gの範囲である。ある特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、500m/g〜3000m/gの範囲のBET比表面積を有する。他の特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、500m/g〜1000m/gの範囲のBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、1000m/g〜2000m/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、1650m/g〜1750m/g、1600m/g〜1800m/gまたは1400m/g〜2200m/gの範囲のBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、約1700m/gのBET比表面積を有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、650m/g〜750m/g、600m/g〜800m/gまたは400m/g〜1200m/gの範囲のBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、約700m/gのBET比表面積を有する。
【0159】
1つの特定の実施形態は、多孔質炭素材料と水とを含む単離された固体組成物を提供し、組成物は、多孔質炭素材料の全細孔容積よりも大きい容積の水を含む。前述の関連する実施形態では、水の容積は、全細孔容積より、10%〜99%、10〜90%、10〜80%、10〜75%、10〜70%、10〜60%、30〜50%、35〜50%、45〜65%、40〜70%、65〜75%、60〜80%、55〜85%、10%〜50%、20%〜30%、40%〜50%、10%〜70%、10%〜65%、10%〜60%、12%〜57%、15%〜55%、17%〜52%、20%〜50%、22%〜50%、25%〜50%、27%〜50%、30%〜50%、32%〜50%、35%〜50% または37%〜55%大きい範囲である。
【0160】
前述の関連する実施形態では、水の容積は、全細孔容積より、10%〜200%、10〜190%、10〜180%、10〜175%、10〜170%、10〜160%、30〜150%、35〜150%、45〜165%、40〜170%、65〜175%、60〜180%、55〜185%、10%〜150%、20%〜130%、40%〜150%、10%〜170%、10%〜165%、10%〜160%、12%〜157%、15%〜155%、17%〜152%、20%〜150%、122%〜50%、125%〜150%、27%〜150%、30%〜150%、32%〜150%、35%〜150%または37%〜155%大きい。
【0161】
前述の別の実施形態では、全細孔容積は、水の不在下での多孔質炭素材料の重量に基づいて、0.3cc/g〜1.5cc/g、0.3cc/g〜0.7cc/g、0.3cc/g〜0.8cc/gまたは1.0cc/g〜1.5cc/gの範囲である
【0162】
必要な水対炭素比は、以下の式(式1)に従って、全細孔容積と「過剰水係数(excess water factor)」または「EWF」として知られる細孔特性依存係数(pore characteristic dependent factor)とに基づいて計算できる。
【0163】
【数1】
【0164】
ここで、iは全細孔容積の一部を表すビニングされた(binned)細孔特性(たとえば、直径が0〜20オングストロームの範囲の細孔、直径が20〜300オングストロームの範囲の細孔など)を表し、nは必然的に全細孔容積を含むビン(bins)の数である。「細孔容積」は、関連するビニングされた特性、iに存在する細孔容積である。理論に束縛されることを望まないが、より大きな細孔径を有する多孔質炭素材料は、より大きな相対容積の過剰な水を必要とするようである。
【0165】
例えば、マイクロ細孔、メソ細孔、またはマイクロ細孔とメソ細孔の組み合わせを有する炭素材料の過剰水係数は、次の方程式を使用して計算される(すなわち、メソ細孔とマイクロ細孔を有する炭素材料のEWFを計算するために修正された方程式1):
【0166】
EWF=(%PVマイクロ×EWFマイクロ)+(%PVメソ×EWFメソ
【0167】
ここで、EWFは過剰水係数、%PVマイクロはマイクロ細孔に存在する全細孔容積の百分率、EWFマイクロはマイクロ細孔のEWF(すなわち1.39)、%PVメソはメソ細孔に存在する全細孔容積の百分率、およびEWFメソはメソ細孔のEWFである(すなわち1.7)。
【0168】
ある実施形態は、1.7の過剰水係数を有する多孔質炭素材料(例えば、メソポーラス炭素材料)を提供する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素材料は、1.65〜1.75、1.60〜1.80、1.50〜1.90、1.20〜2.20、または0.9超の過剰水分率を有する。
【0169】
ある実施形態では、多孔質炭素材料は、1.55の過剰水係数、1.50〜1.60、1.50〜1.70、1.20〜1.90、1.00〜2.10、または0.5超の過剰水係数を有するミクロポーラス/メソポーラス混合炭素材料である。
【0170】
ある実施形態では、多孔質炭素材料は、約1.39の過剰水係数、1.30〜1.50、1.20〜1.60、1.00〜1.80、0.75〜2.00または0.5超の過剰水係数を有するミクロポーラス炭素材料である。過剰水係数を記載する実施形態は、細孔径または細孔容積分布を記載する前述の実施形態のいずれかと組み合わせることができる。
【0171】
上記の過剰水係数は特に限定されず、より多様な細孔構造(例えば、マクロ細孔を有する炭素材料、メソ細孔、マイクロ細孔、またはマクロ細孔の組み合わせ)に調整および外挿することができる。
【0172】
(デバイス)
開示された炭素水和物材料粉末は、多数の電気エネルギー蓄積デバイスおよび電気エネルギー分配デバイスにおける電極材料として使用することができる。そのようなデバイスの1つがウルトラキャパシタである。炭素材料を含むウルトラキャパシタは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、共有の(co-owned)米国特許第7835136号に詳細に記載されている。
【0173】
したがって、ある実施形態は、例えば、デバイスがウルトラキャパシタであるデバイスの作製における炭素水和物材料粉末の使用を提供する。一実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも5W/g、少なくとも10W/g、少なくとも15W/g、少なくとも20W/g、少なくとも25W/g、少なくとも30W/g、少なくとも35W/g、少なくとも50W/gの重量電力(gravimetric power)を含む。
【0174】
別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも2W/g、少なくとも4W/cc、少なくとも5W/cc、少なくとも10W/cc、少なくとも15W/ccまたは少なくとも20W/ccの容積電力(volumetric power)を含む。別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも2.5Wh/kg、少なくとも5.0Wh/kg、少なくとも7.5Wh/kg、少なくとも10Wh/kg、少なくとも12.5Wh/kg、少なくとも15.0Wh/kg、少なくとも17.5Wh/kg、少なくとも20.0Wh/kg、少なくとも22.5Wh/kgまたは少なくとも25.0Wh/kgの重量エネルギー(gravimetric energy)を含む。別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも1.5Wh/リットル、少なくとも3.0Wh/リットル、少なくとも5.0Wh/リットル、少なくとも7.5Wh/リットル、少なくとも10.0Wh/リットル、少なくとも12.5Wh/リットル、少なくとも15Wh/リットル、少なくとも17.5Wh/リットル、または少なくとも20.0Wh/リットルの容積エネルギー(volumetric energy)を含む。
【0175】
前述のいくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスの重量電力、容積電力、重量エネルギーおよび容積エネルギーは、アセトニトリル中の1.0Mテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1.0M溶液(AN中の1.0MのTEATFB)電解質と0.5秒の時定数を使用して2.7V〜1.89Vの定電流放電によって測定される。
【0176】
一実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも10W/gの重量電力、少なくとも5W/ccの容積電力、(0.5A/gで)少なくとも100F/gの重量電気容量(又は重量キャパシタ:gravimetric capacitance)および(0.5A/gで)少なくとも10F/ccの容積電気容量(又は容積キャパシタ:volumetric capacitance)を含む。一実施形態では、前述のウルトラキャパシタデバイスは、炭素水和物材料粉末、導電率向上剤、バインダー、電解質溶媒、および電解質塩を含むコインセル二重層ウルトラキャパシタである。さらなる実施形態では、前述の導電率向上剤は、カーボンブラックおよび/または当該技術分野で既知の他の導電率向上剤である。さらなる実施形態では、前述のバインダーは、テフロンおよび/または当該技術分野で既知の他のバインダーである。さらなる前述の実施形態では、電解質溶媒は、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネート、または当技術分野で既知の他の電解質溶媒である。さらなる前述の実施形態では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルオロボレートまたはトリエチルメチルアミノテトラフルオロボレートまたは当該技術分野で既知の他の電解質塩、または当該技術分野で既知の液体電解質である。
【0177】
一実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15W/gの重量電力、少なくとも10W/ccの容積電力、(0.5A/gで)少なくとも110F/gの重量電気容量および(0.5A/gで)少なくとも15F/ccの容積電気容量を含む。一実施形態では、前述のウルトラキャパシタデバイスは、炭素水和物材料粉末、導電率向上剤、バインダー、電解質溶媒、および電解質塩を含むコインセル二重層ウルトラキャパシタである。さらなる実施形態では、前述の導電率向上剤は、カーボンブラックおよび/または当該技術分野で既知の他の導電率向上剤である。さらなる実施形態では、前述のバインダーは、テフロンおよび/または当該技術分野で既知の他のバインダーである。さらなる前述の実施形態では、電解質溶媒は、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネート、または当技術分野で既知の他の電解質溶媒である。さらなる前述の実施形態では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルオロボレートまたはトリエチルメチルアミノテトラフルオロボレートまたは当該技術分野で既知の他の電解質塩、または当該技術分野で既知の液体電解質である。
【0178】
前述の実施形態のいくつかでは、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも25W/gの重量電力、少なくとも10.0W/ccの容積電力、少なくとも5.0Wh/kgの重量エネルギー、および少なくとも3.0Wh/Lの容積エネルギーを含む。
【0179】
前述の実施形態の別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15W/gの重量電力、少なくとも10.0W/ccの容積電力、少なくとも20.0Wh/kgの重量エネルギー、および少なくとも12.5Wh/Lの容積エネルギーを含む。
【0180】
前述の実施形態の1つでは、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15F/g、少なくとも20F/g、少なくとも25F/g、少なくとも30F/g、少なくとも35F/g、少なくとも90F/g、少なくとも95F/g、少なくとも100F/g、少なくとも105F/g、少なくとも110F/g、少なくとも115F/g、少なくとも120F/g、少なくとも125F/gまたは少なくとも130F/gの重量電気容量を含む。別の実施形態では、ウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも5F/cc、少なくとも10F/cc、少なくとも15F/cc、少なくとも18F/cc、少なくとも20F/ccまたは少なくとも25F/ccの容量電気容量を含む。前述のいくつかの実施形態では、重量電気容量および容積電気容量は、5秒の時定数で2.7Vから0.1Vへの定電流放電、およびアセトニトリル中のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1.8M溶液(AN中の1.8MのTEATFB)電解質および0.5 A/g、1.0A/g、4.0A/g、または8.0A/gの電流密度を使用することによって測定される。
【0181】
前述の実施形態のいくつかでは、本明細書に開示されるウルトラキャパシタを提供し、電圧保持期間後のウルトラキャパシタの元の電気容量(すなわち、電圧保持を受ける前の電気容量)の減少率(percent decrease)は、既知の炭素材料を含むウルトラキャパシタの元の電気容量の減少率よりも小さい。一実施形態では、65℃で24時間2.7Vで電圧保持した後にウルトラキャパシタに残っている元の電気容量の割合(the percent)は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、または少なくとも10%である。前述のさらなる実施形態では、電圧保持期間の後に残っている元の静電容量の割合は、0.5A/g、1A/g、4A/gまたは8A/gの電流密度で測定される。
【0182】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるウルトラキャパシタを提供し、繰り返しの電圧サイクリング後のウルトラキャパシタの元の電気容量の減少率は、同じ条件にさらされる既知の炭素材料を含むウルトラキャパシタの元の静電容量の減少率より小さい。例えば、一実施形態では、ウルトラキャパシタに残っている元の静電容量の百分率は、 4A/gの電流密度で2Vと1Vの間のサイクルを含む、1000、2000、4000、6000、8000、または10000の電圧サイクルの結果後に既知の炭素材料を含むウルトラキャパシタに残っている元の電気容量の割合よりも大きい。別の実施形態では、4A/gの電流密度で2Vと1Vの間のサイクルを含む、1000、2000、4000、6000、8000、または10000の電圧サイクルの結果後にウルトラキャパシタに残っている元の電気容量の割合は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、または少なくとも10%である。
【0183】
上記のように、炭素水和物材料粉末は、ウルトラキャパシタデバイスを作製するために使用することができる。いくつかの実施形態では、炭素水和物材料粉末または多孔質炭素材料は、当該技術によるジェットミルを使用して、約10ミクロンの平均粒径に粉砕される。
【0184】
開示された炭素水和物材料粉末は、安定した高表面積のマイクロポーラス構造およびメソポーラス構造を必要とするデバイスで使用できる。開示された炭素水和物材料粉末の用途の例には、これらに限定されないが、エネルギー蓄積デバイスおよびエネルギー分配デバイス、コンデンサ電極、ウルトラコンデンサ電極、疑似コンデンサ電極、電池電極、リチウムイオン陽極、リチウムイオン陰極、リチウム炭素コンデンサ電極、 鉛蓄電池電極、リチウム空気電極と亜鉛空気電極を含むガス拡散電極、リチウムイオン電池とコンデンサ(例えば、カソード材料として)、電気化学システムの他の活性材料用の電流コレクタ/電流骨格(scaffolds)、ナノ構造材料支持骨格 、固体ガス貯蔵(例えば、HおよびCH貯蔵)、吸着剤、ならびに水素貯蔵または燃料電池電極などの他の触媒機能のための炭素ベースの骨格支持構造などが含まれる。
【0185】
開示された炭素水和物材料粉末はまた、ハイブリッド電気自動車、重量ハイブリッド、全電気駆動車両、クレーン、フォークリフト、エレベータ、電気レール、ハイブリッド機関車および電気自転車などの運動エネルギーを得る用途で使用されてもよい。炭素水和物材料粉末は、UPS、データセンターブリッジ電源、電圧低下補償、電気ブレーキアクチュエーター、電気ドアアクチュエーター、電子機器、テレコムタワーブリッジ電源などの電気バックアップアプリケーションでも使用できる。本開示の炭素水和物材料粉末が有用であり得るパルス電力を必要とする用途には、ボードネット安定化、携帯電話を含む電子機器、PDA、カメラフラッシュ、電子玩具、風力タービンブレードピッチアクチュエーター、電力品質/電力調整/周波数調整、および電気過給機が含まれるが、これらに限定されない。炭素水和物材料粉末のさらなる他の用途には、自動車の始動および停止システム、電動工具、懐中電灯、パーソナルエレクトロニクス、自己完結型太陽光発電照明システム、RFIDチップおよびシステム、調査デバイス電力用の風力場デベロッパー(wind-field developers)、センサー、パルスレーザーシステムおよび位相器での使用が含まれる。
【0186】
本明細書に開示されている炭素水和物材料粉末は、デジタルスチルカメラ、ノートブックPC、医療機器、位置追跡機器、自動車機器、コンパクトフラッシュ機器、携帯電話、PCMCIAカード、ハンドヘルドデバイス、およびデジタル音楽プレーヤーなどのワイヤレスコンシューマおよび商用機器を含む多数の電子機器に有用である。
【0187】
一実施形態は、前述の実施形態による炭素水和物材料粉末の使用を提供し、電気エネルギー蓄積デバイスは、
a.それぞれが炭素水和物を含む正極および負極と、
b.不活性多孔質セパレータと、
c.電解質とを含み、
正電極および負電極は、不活性多孔質セパレータによって分離されている、電気二重層コンデンサ(EDLC)デバイスである。
【0188】
関連する実施形態では、EDLCデバイスは、少なくとも0.24Hzの周波数応答および2.7Vから0.1Vまでの定電流放電、ならびに、アセトニトリル電解質中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸の1.8M溶液および0.5A/gの電流密度を使用することにより測定される、少なくとも13F/ccの重量電気容量を含む。他の実施形態では、EDLCデバイスは、少なくとも0.24Hzの周波数応答および2.7Vから0.1Vまでの定電流放電、ならびに、アセトニトリル電解質中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸の1.8M溶液および0.5A/gの電流密度を使用することにより測定される、少なくとも17F/ccの重量電気容量を含む。ある他の関連する実施形態では、EDLCデバイスは、5秒の時定数および2.7Vから0.1Vまでの定電流放電、ならびに、アセトニトリル電解質中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸の1.8M溶液および0.5A/gの電流密度を使用することにより測定される、少なくとも20F/ccの容積電気容量を含む。前述の実施形態のいくつかでは、EDLCデバイスは、5秒の時定数および2.7Vから0.1Vまでの定電流放電、ならびに、アセトニトリル電解質中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸の1.8M溶液および0.5A/gの電流密度を使用することにより測定される、少なくとも25F/gの容積電気容量を含む。
【0189】
さらに他の実施形態では、EDLCデバイスは、5秒の時定数および2.7Vから0.1Vまでの定電流放電、ならびに、アセトニトリル電解質中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸の1.8M溶液および0.5A/gの電流密度を使用することにより測定される、104F/g以上の重量電気容量を含む。他の実施形態では、EDLCデバイスは、5秒の時定数および2.7Vから0.1Vまでの定電流放電、ならびに、アセトニトリル電解質中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸の1.8M溶液および0.5A/gの電流密度を使用することにより測定される、5.0F/cc以上の容積電気容量を含む。前述のいくつかの他の実施形態では、容積電気容量は10.0 F/cc以上、15.0F/cc以上、20.0F/cc以上、21.0F/cc以上、22.0F/cc以上または23.0F/cc以上である。
【0190】
開示されたEDLCの炭素電極(すなわち、炭素水和物材料粉末を含む)は、適切な電解質溶液で濡らされてもよい。本開示のデバイスの電解質溶液で使用するための溶媒の例には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホランおよびアセトニトリルが含まれるが、これらに限定されない。そのような溶媒は、一般に、TEATFB(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート)、TEMATFB(トリエチル、メチルアンモニウムテトラフルオロボレート)、EMITFB(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート)、テトラメチルアンモニウムまたはトリエチルアンモニウムベースの塩などのテトラアルキルアンモニウム塩を含む溶質と混合される。電解質は、水ベースの酸または塩基性電解質、例えば、弱い硫酸または水酸化カリウムであり得る。
【0191】
したがって、いくつかの実施形態では、EDLCの電極は、アセトニトリル中の1.0Mテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレートの溶液(AN中の1.0M TEATFB)電解質で濡らされる。他の実施形態では、EDLCの電極は、プロピレンカーボネート中のテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレートの1.0M溶液(PC中の1.0M TEATFB)電解質で濡らされる。これらは、研究と工業の両方で使用されている一般的な電解質であり、デバイスの性能を評価するための標準と見なされている。
【0192】
電気容量および電力出力を決定するための方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0202033号に記載されている。
【0193】
(方法)
一実施形態は、炭素水和物材料粉末を調製する方法を提供し、この方法は、
細孔容積を有する多孔質炭素材料を、細孔容積よりも大きい第1の容積の水と接触させることにより、細孔容積を水で実質的に満たす工程と、
第1の容積の水の一部を除去する工程と、
炭素水和物材料を粉末の形状に単離する工程と、を含み、
炭素水和物材料粉末は、細孔容積より大きい第2の容積の水を含む。
【0194】
前述の方法の関連する実施形態では、炭素水和物材料粉末は、本明細書で上述した実施形態に従って定義される。
【0195】
一実施形態は、鉛酸電池用の負極活性物質を作製する方法を提供し、この方法は、前述の実施形態のいずれか1つの炭素水和物材料粉末、または前述の方法のいずれか1つの単離された固体組成物を、鉛、水および硫酸と混合することを含み、それによりペーストを形成する。
【0196】
本開示の範囲内の活性材料は、電気を蓄積および/または伝導することができる材料を含む。活性物質は、当該技術分野で既知であり、鉛蓄電池に有用な任意の活性物質であってもよく、例えば、活性物質は、鉛、酸化鉛(II)、酸化鉛(IV)、またはそれらの組み合わせを含んでもよく、ペーストの形態であってもよい。
【0197】
いくつかの実施形態は、炭素水和物材料粉末を含む鉛蓄電池を提供する。例えば、いくつかの実施形態は、正極活性物質を含む少なくとも1つの正極、前述の実施形態のいずれか1つによる炭素水和物材料粉末を含む少なくとも1つの負極を含むセルを提供し、正極と負極は、不活性多孔質セパレータによって分離されている。いくつかの実施形態では、鉛蓄電池は、2V鉛蓄電池である。いくつかの実施形態では、セルは、約2ボルトの動作電圧を有する。
【0198】
一実施形態は、蓄電デバイス用の電極の作製のための、前述の実施形態のいずれか1つの炭素水和物材料粉末、または本明細書に記載の方法の実施形態のいずれか1つの単離された固体組成物の使用を提供する。前述の実施形態では、電気エネルギー蓄積装置は、電池、例えば鉛蓄電池である。
【0199】
開示された炭素水和物材料粉末はまた、多種の電池における電極としての有用性を見出す。そのような電池の1つは、金属空気電池、例えばリチウム空気電池である。リチウム空気電池は一般に、正極と負極の間に挿入された電解質を含む。正極は、一般に、酸化リチウムまたは過酸化リチウムなどのリチウム化合物を含み、酸素を酸化または還元する働きをする。負極は、一般に、リチウムイオンを吸蔵および放出する炭素質物質を含む。スーパーキャパシタと同様に、開示された炭素水和物材料粉末を含むリチウム空気電池などの電池は、既知の炭素材料を含む電池より優れていると期待される。
【0200】
他の任意の数の電池、例えば、亜鉛−炭素電池、リチウム/炭素電池、鉛酸電池なども、炭素材料でより良好に機能すると予想される。当業者は、開示された炭素水和物材料粉末から利益を受ける他の特定の種類の炭素含有電池を認識するであろう。
【0201】
前述の実施形態に関連する別の実施形態では、電気エネルギー蓄積デバイスは、
a.それぞれが炭素水和物を含む正極および負極と、
b.不活性多孔質セパレータと、
c.電解質と、を含み
正電極および負電極は、不活性多孔質セパレータによって分離されている、電気二重層コンデンサ(EDLC)デバイスである。
【0202】
混合の方法は変化してもよく、そして当該分野で公知である。例えば、混合の方法は、例えば、異なる混合装置(例えば、ROSSプラネタリーミキサー、「シンキー(Thinky)」プラネタリーミキサーなど)、水注入法(例えば、蒸気または液体として)、および混合ブレードおよび/または混合シャフトの使用を含み得る。さらに、抽出プロセスを容易にするために、さまざまな排出方法を使用できる。水分吸収を高めるために部分的な真空を適用することを含め、炭素水和物材料粉末の作製に関連する条件に微調整されてもよい。
【0203】
したがって、いくつかの実施形態では、ある量の水が、混合中に蒸気として注入される。 いくつかの他の実施形態では、混合中に部分的な真空が適用される。
【0204】
(4.開示された炭素水和物材料粉末の特性)
本明細書に開示される実施形態は、炭素分散品質を改善し、取り扱いを容易にし、潜在的に有害な粒子を空気中に「ダスティング」または放出することを回避する。本開示は、水和(または「湿潤」)炭素材料、特に不規則な多孔性を有する炭素材料に関連する時間および資源を節約しながら自由流動性粉末特性を維持する実施形態を提供する。
【0205】
本明細書に開示される炭素水和物材料粉末の実施形態の優れた分散は、スラリー中にある場合、他の添加剤とのより均一かつ迅速な混合を提供する。したがって、本開示の実施形態は、炭素材料と他の材料とのより包括的かつ均一な混合を提供し、より高品質の製品(例えば、電池、電極、EDLCデバイスなど)をもたらす。
【0206】
例えば、炭素添加剤を鉛酸負極活性物質(NAM)に組み込む場合である。本開示の実施形態は、他の乾燥成分、水および硫酸と一緒に鉛ペーストに混合されるとき、水の浸出を回避する。結果として、本開示の実施形態は、その完全性を損なう可能性がある硬化した鉛酸プレートにおけるドライスポーツ(又はドライスポット:dry sports)の発生を回避する。
【実施例】
【0207】
以下の実施例および特定の実施形態で開示される炭素材料は、当技術分野で既知の方法に従って作製された。例えば、炭素材料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0202033号、2011/0002086号に開示されている方法に従って作製することができる。
【実施例1】
【0208】
(炭素水和物材料粉末の小規模作製)
4つの別々のバッチで、10gのカーボン1、カーボン2、カーボン3、およびカーボン4の粉末を「シンキー」プラネタリーオーバーヘッドミキサーに添加した。各サンプルを水和するのに必要な水の量を決定するために、混合している間脱イオン水を徐々に添加した。必要な含水量は、多孔質炭素材料の細孔容積に正比例して増加することが判明した。結果を各炭素材料の物理的特性とともに下の表1に示す。
【0209】
【表1】
【0210】
さらに、カーボン1、2、3および4のpH値は、それぞれ8.5、7.5、7.0および8.5と計算された。カーボン1、2、3および4の主要な細孔特性は、それぞれマイクロ/メソポーラス、マイクロ/メソポーラス、メソポーラスおよびマイクロポーラスであった。過剰水の比率は、多孔性炭素材料の細孔特性(すなわち、マイクロまたはメソ多孔性)と相関関係がある。上記のように、カーボン1とカーボン2にはマイクロ細孔とメソ細孔の両方があり、カーボン3にはメソ細孔だけがあり、カーボン4にはマイクロ細孔だけがある。表1のデータを使用して、最終的な炭素水和物材料粉末の含水量を計算するための式1のバージョンを導出した。必要な水と炭素の比率は、メソ細孔とマイクロ細孔の式1、全細孔容積、および「過剰水係数」または「EWF」と呼ばれる細孔特性依存係数に基づいて(つまり、式1がメソ細孔とマイクロ細孔を持つ炭素材料の計算に適応されるとき)計算できる:
【0211】
EWF=(%PVマイクロ×EWFマイクロ)+(%PVメソ×EWFメソ
【0212】
ここで、EWFは過剰水係数、%PVマイクロはマイクロ細孔に存在する全細孔容積の百分率、EWFマイクロはマイクロ細孔のEWF(すなわち1.39)、%PVメソはメソ細孔に存在する全細孔容積の百分率、およびEWFメソはメソ細孔のEWFである(すなわち1.7)。
【0213】
これらのデータは、多孔質炭素材料の各バッチを水和するために必要な水の量が、多孔質炭素材料の細孔容積よりも予想外に多かったことを示す。すなわち、多孔質炭素材料の全細孔容積よりも大きい水の容積は、自由流動性粉末形態のままである炭素水和物材料粉末を生じる。
【0214】
表1のこれらのデータを使用して、最終的な炭素水和物材料粉末の含水量を計算するための方程式を導出した。メソ細孔のEWF(EWFメソ=1.7およびマイクロ細孔の過剰水係数(EWFマイクロ)=1.39(PV=以下の計算での細孔容積)を使用して計算できる。すなわち、水対炭素材料は次のように計算される。
【0215】
水:炭素材料=(%マイクロ細孔容積×EWFマイクロ+%メソ細孔容積×EWFメソ)×(全PV)
【0216】
(カーボン1の計算(2.0mL/gの水対炭素の比率))
[(50%メソ多孔性)(1.7)+(50%マイクロ多孔性)(1.39)]×1.29=2.0mL/g
【0217】
(カーボン3の計算(0.9mL/gの水対炭素の比率))
[(100%メソ多孔性)(1.7)]×0.53=0.9mL/g
【0218】
(カーボン4の計算(1.0mL/gの水対炭素の比率)
[(100%マイクロ多孔性)(1.39)]×0.72=1.0mL/g
【0219】
または、次式(式2)に従って、細孔容積と過剰水に基づいて含水量を計算できる。
【0220】
【数2】
【0221】
さらに、過剰水の比率は、多孔質炭素材料の細孔特性と相関関係があるようである。カーボン1とカーボン2にはマイクロ細孔とメソ細孔の両方が含まれているが、カーボン3にはメソ細孔のみが含まれている。理論に縛られることを望まないが、マイクロ細孔は毛細管現象によりメソ細孔と比較してより高い速度で水和されるようである。したがって、マイクロ細孔を有する炭素水和物材料粉末は、炭素材料が同じ期間にわたって水と混合されるとき、メソ細孔のみを有する炭素水和物材料粉末と比較してより高い含水量を有する。細孔構造に基づく予測水和比の範囲を以下の表2に示す。式1は、過剰水を計算する(すなわち、過剰水係数を使用する)ための好ましい方法である。
【0222】
【表2】
【実施例2】
【0223】
(炭素水和物材料粉末のパイロット規模の作製)
カーボン1とカーボン2の粉末(1kg)をROSSプラネタリーミキサーに添加した。水を添加して多孔質炭素材料と混合し、多孔質炭素材料を十分に水和させて、炭素水和物材料粉末を得た。最終的な含水炭素材料粉末の含水量は、例1に示す式を使用して計算された。実際の含水量は、カーボン1とカーボン2の炭素水和物材料粉末をサンプリングし、各サンプルを対流式オーブンで100°Cで12時間乾燥することで決定した。カーボン1およびカーボン2の炭素水和物材料粉末の実際の含水率は、それぞれ59%および46%w/wであった。
【実施例3】
【0224】
(均一性テスト)
カーボン2の追加のサンプルを実施例2の混合物から採取して、最終的な炭素水和物材料粉末の均一性を決定した。以下の表3に示すように、バルク材料のさまざまな位置からサンプルを収集した。含水量は、実施例2に記載された手順に従って各試料について決定された。表3のデータは、混合物全体が全体にわたって非常に均一な含水量を示したことを示している。
【0225】
【表3】
【実施例4】
【0226】
(電気化学的性能−乾燥炭素対炭素水和物
負の活性材料またはNAM(すなわち、NAM 1およびNAM 2)を生成するための2つのペースト組成物を作製して、処理中に炭素水和物を鉛酸ペーストに添加する効果を決定した。NAMの構成要素は、以下の表4に従って添加された。
【0227】
【表4】
【0228】
ペースト処理を開始するために、水の容積をアイリッヒ(Eirich)EL1混合バケットに添加した。硫酸バリウム、リグニン、N220カーボンブラック、およびカーボン3(水和物または乾燥)を水に加え、へらを用いて手で60秒間混合した。次に、鉛酸化物を混合物に添加し、得られた混合物を高強度で100秒間混合する。次に、12分間にわたる活発な混合の間に、酸を混合物に添加する。酸の添加が完了したら、ペーストをさらに2分間混合する。得られたペーストをリードグリッドに塗布し、硬化させて負極を作製する。
【0229】
NAM1とNAM2を使用して作製された鉛蓄電池は、それぞれ図1Aと1Bに示すように、C/20と1Cの電気容量をテストしたとき、電気容量に有意差はなかった。
【実施例5】
【0230】
(原動力再充電時間)
原動力試験は、炭素水和物で作製されたNAMの平均充電時間の減少を決定するために使用された。すなわち、実施例4に記載されるように、NAM1およびNAM2を用いて作製されたセルは、原動力充電時間を決定するために試験された。原動力試験では、0.1A(C/20)で20%の充電状態までの放電、1分の休止、放電容量の105%に達するまで0.8Aの制限で、2.6Vでの充電を使用し、その後1時間の休止をした。図2に示すように、NAM2で作製されたセルでは、平均充電時間が大幅に減少した(例えば、6時間に対して4.5時間)(理論上の最小2.5時間)。すなわち、NAM2で作製されたセルでは約43%の改善が見られた。
【実施例6】
【0231】
(マイクロサイクリング−最初の故障までサイクル)
実施例4に記載されているように、NAM1とNAM2を使用して作製されたセルを試験するために、マイクロサイクリング/時間変動高レート部分充電状態試験プロトコル(A Micro-cycling / Time Varied High Rate Partial State of Charge testing protocol)が使用された。マイクロサイクリング試験は以下のステップを使用した:
1. 1A(1C)で50%の充電状態まで放電
2. 1分の休止
3. 2Aで60秒間放電
4. 10秒休止
5. 0.0333Ah(すなわち、放電Ahと同じ)に達するまで2.4Vで充電する。
6. 10秒休止
7. 1.7Vに達するまで(すなわち、最初の故障)、手順4〜7を繰り返す。
【0232】
マイクロサイクリング試験プロトコルの結果を図3に示す。要約すると、NAM1を使用して作製されたセルと比較して、NAM2を使用して作製されたセルでは平均33%の改善が観察された。すなわち、NAM1で作製したセルの7500から、NAM2で作製したセルの10000に比べて改善された。
【実施例7】
【0233】
(スケールアップの検討)
Littlefordミキサーでカーボン3材料を使用して9つのバッチを作製した。各バッチには、20kgのカーボン3材料を18kgの脱イオン水と混合した。混合は常に(38RPMで)25分間続け、13分間の注入を介して水を1400mL/minで添加して、合計混合時間は25分であった。炭素水和物材料粉末は、60〜160RPMの排出量を使用して収集され、以下の表5にリストされている次の含水量が得られた。
【0234】
【表5】
【実施例8】
【0235】
(定性的スラリー分析)
2つのスラリーを作製した。1つは乾燥炭素(又はドライカーボン:dry Carbon)3(スラリー1)、もう1つは炭素水和物(又は水和カーボン:hydrated Carbon)3(スラリー2)である。分析の前に、スラリーを24時間放置した。サンプルをゆるやかに傾けることにより攪拌し、スラリー1がビーカーの壁に付着したまま(すなわち、懸濁液ではない、図4Aの矢印で示される)であるのに対し、スラリー2は懸濁液のままであった(図4B)。取り扱いを容易にするため、および製造プロセス中の材料の損失を低減するために、炭素材料が懸濁液のままであることが非常に望ましい。
【実施例9】
【0236】
(炭素水和物の製造)
本開示の例示的な炭素水和物は、比較的小規模(1kg)から比較的大規模(25kg)で作製することができる。レーディゲ5Lミキサーに1kgの乾燥カーボン3を装填し、40mL/minの速度で脱イオン水を供給して、1:0.9の固体:溶媒比を達成した。得られた混合物を150RPMで23分間混合した。得られた炭素水和物材料粉末の含水率は、対流式オーブン内で50gを100℃で一晩置くことにより、47%と測定された。
【実施例10】
【0237】
(炭素水和物の製造)
Littleford130Lミキサーを使用して、他の2つの代表的なバッチを作製した。バッチは、以下の表6に記載されているパラメーターに従って作製された。
【0238】
【表6】
【実施例11】
【0239】
(粒径の比較)
カーボン1(粒径:約8.5ミクロン)およびカーボン2(粒径:約60ミクロン)は、異なる固体対溶媒比を使用して、実施例1に従って水和された。得られた含水率を試験紙、結果を以下の表7に示す。
【0240】
【表7】
【0241】
2017年9月20日に出願された米国仮出願62/561081は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0242】
上記の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で参照されている、および/または出願データシートにリストされているすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許公開は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる実施形態を提供するために、様々な特許、出願、および刊行物の概念を採用する必要がある場合、実施形態の態様を変更することができる。上記の詳細な説明に照らして、これらおよび他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、可能なすべての実施形態およびそのような特許請求の範囲の権利が付与される均等物の全範囲を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】