(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、尿素サイクル異常症を有する患者を治療するための方法及び組成物を提供する。遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更することによって、尿素サイクルに関与する酵素をコードする遺伝子を調整するための方法及び組成物もまた提供される。
OTC機能の部分的低減に関連するOTC突然変異を内包する細胞中のOTC遺伝子発現を増加させるための方法であって、前記細胞を、JAK1、JAK2、JAK3、HSP90、MAPK、EGFR、FGFR、BRAF、RAF1、KDR、FLT1、TBK1、IKBKE、PRKAA1、PRKAA2、PRKAB1、BMPR1A、及びBMPR1Bからなる群から選択される標的を阻害する有効量の化合物と接触させることを含む、前記方法。
前記標的が、HSP90であり、前記化合物が、17−AAG、BIIB021、HSP−990、及びレタスピマイシンHClからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
前記標的が、BRAFまたはRAF1であり、前記化合物が、リフィラフェニブ(BGB−283)及びBMS−214662からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
OTC機能の部分的低減に関連するOTC突然変異を内包する細胞中のOTC遺伝子発現を増加させるための方法であって、前記細胞を、JAK1、WSTR1、YAP1、CSF1R、LYN、SMAD3、NTRK1、EPHB3、EPHB4、FGFR4、INSR、KDR、FLT1、FGFR2、EPHB2、PDGFRB、IRF5、FGFR1、EPHB1、FYN、FLT4、YY1、IRF1、IGF−1、SMAD1、DDR1、HSP90AA1、及びSMAD2からなる群から選択される標的を阻害するsiRNA化合物と接触させることを含む、前記方法。
OTC機能の部分的低減に関連するOTC突然変異を内包するヒト対象におけるOTC発現を増加させるための方法であって、前記対象に、JAK1、JAK2、JAK3、HSP90、MAPK、EGFR、FGFR、BRAF、RAF1、KDR、FLT1、TBK1、IKBKE、PRKAA1、PRKAA2、PRKAB1、BMPR1A、及びBMPR1Bからなる群から選択される標的を阻害する有効量の化合物を投与することを含む、前記方法。
前記標的が、HSP90であり、前記化合物が、17−AAG、BIIB021、HSP−990、及びレタスピマイシンHClからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
前記標的が、BRAFまたはRAF1であり、前記化合物が、リフィラフェニブ(BGB−283)及びBMS−214662からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
I.序論
本発明は、哺乳類対象、特にヒト対象における尿素サイクル異常症の治療のための組成物及び方法を提供する。特に、本発明は、尿素サイクルに関与するタンパク質(例えば、酵素または輸送体)をコードする少なくとも1つの遺伝子の調整のための化合物及び関連使用を提供する。
【0035】
シグナル伝達分子の結合部位
シグナル伝達分子について、一連のコンセンサス結合部位、または結合部位の結合モチーフは、本発明者らによって特定されている。これらのコンセンサス配列は、シグナル伝達分子の、または1つ以上のシグナル伝達分子を含む複合体の染色体、遺伝子、またはポリヌクレオチドに沿った結合部位を反映する。これらの部位は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表11によって提供され、本明細書の表13として下記に再現される。
【0036】
いくつかの実施形態では、結合部位は、複数のシグナル伝達分子または分子の複合体に関連している。さらに、そのようなモチーフまたは部位の非限定例はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表12によって提供され、本明細書の表14として下記に再現される。
【0037】
ある特定のパターンが結合モチーフに見出されることがさらに特定されている。複合体についてのそのようなパターンの一覧は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表13及び14によって提供され、単一分子については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表15及び16に提供される。これらの各々は、本明細書の表15〜18としてそれぞれ下記に再現される。
【0038】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795のモチーフ表13〜16において、ある特定の指示子が、IUPACヌクレオチドコードに従って使用される。このコードは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表17に示され、本明細書の表19として下記に再現される。
【0039】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、U.S.62/501,795の表18は、様々な細胞シグナル伝達経路において機能する転写因子(TF)及び/またはクロマチンリモデリング因子(CR)として作用するものを含む、シグナル伝達分子の一覧を提供する。本明細書に記載される方法を使用して、絶縁近傍内でコードされる一次近傍遺伝子の調節配列領域に関連する1つ以上のシグナル伝達分子の発現を阻害または活性化することができる。したがって、これらの方法は、未治療対照と比較して、治療剤による治療時に差次的に発現される1つ以上の一次近傍遺伝子のシグナル伝達シグネチャーを変更することができる。
【0040】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、U.S.62/501,795の表18のシグナル伝達タンパク質をコードする転写物の様々な実施形態は、内部停止コドンを含有する。これらの内部停止コドンは、複数のポリペプチドの翻訳をもたらす。一実施形態では、U.S.62/501,795の表18に教示されるシグナル伝達タンパク質の断片であるポリペプチドは、シグナル伝達特性を有し得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:11由来のSEQ ID NO:9及びSEQ ID NO:10などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:14由来のSEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:17由来のSEQ ID NO:15及びSEQ ID NO:16などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:20由来のSEQ ID NO:18〜19などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:23由来のSEQ ID NO:21及びSEQ ID NO:22などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:26由来のSEQ ID NO:24及びSEQ ID NO:25などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:29由来のSEQ ID NO:27及びSEQ ID NO:28などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:32由来のSEQ ID NO:30及びSEQ ID NO:31などの断片であり得る。非限定例として、ポリペプチドは、SEQ ID NO:38由来のSEQ ID NO:33〜37などの断片であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表19〜21、ならびに参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるU.S.62/501,795の表22−26及び28から選択される少なくとも1つの化合物を使用して、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または解明するために、調節配列領域に由来するRNAを調整することができる。
【0042】
II.尿素サイクル異常症及び関連遺伝子
本明細書に記載される組成物及び方法を使用して、1つ以上の尿素サイクル異常症を治療することができる。本明細書で使用される場合、「尿素サイクル異常症」という用語は、尿素サイクルの欠陥または機能不全によって引き起こされる任意の障害を指す。尿素サイクルは、タンパク質異化の産物である、アンモニアから尿素を産生する生化学反応のサイクルである。それは、カルバモイルリン酸シンテターゼ1(CPS1)、オルニチントランスカルバモイラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、及びアルギナーゼ1(ARG1)を含む5つの重要な酵素で構成されるが、N−アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)などの他の酵素、ならびにオルニチントランスロカーゼ(ORNT1)及びシトリンなどのミトコンドリアアミノ酸輸送体も必要とする。
【0043】
本明細書で使用される場合、「尿素サイクル関連遺伝子」は、その遺伝子産物(例えば、RNAまたはタンパク質)が尿素サイクルに関与する遺伝子を指す。尿素サイクル関連遺伝子としては、CPS1(CPS1をコードする)、OTC(OTCをコードする)、ASS1(ASS1をコードする)、NAGS(NAGSをコードする)、ARG1(ARG1をコードする)、SLC25A15(ORNT1をコードする)、及びSLC25A13(シトリンをコードする)が挙げられるが、これらに限定されない。尿素サイクル関連遺伝子またはそれらの調節領域における突然変異は、機能不全タンパク質の産生及び尿素サイクルの崩壊につながり得る。場合によっては、尿素サイクル異常症を有する患者は、尿素サイクル関連遺伝子の単一機能的対立遺伝子及び突然変異型対立遺伝子を担持し得る。これは、不十分な量の機能的タンパク質の産生をもたらす。この現象は、「ハプロ不全」として知られている。
【0044】
尿素サイクルは、主に肝細胞のミトコンドリア中で起こる。肝臓によって産生された尿素は、血流に入り、ここで腎臓に移動して、最終的に尿中に排泄される。尿素サイクル中の酵素または輸送体のうちのいずれかにおける遺伝的欠陥は、高アンモニア血症(血中アンモニア上昇)またはサイクル中間体の蓄積を引き起こし得る。次いで、アンモニアは、血液を通して脳に到達し、それが脳浮腫、発作、昏睡、生存者における長期障害、及び/または死を引き起こし得る。
【0045】
尿素サイクル異常症の発症及び重症度は、大きく異なる。それは、サイクル中の欠陥タンパク質の位置及び欠陥の重症度によって影響される。経路における最初の4つの酵素(CPS1、OTC、ASS1、及びASL)または共因子プロデューサー(NAGS)のうちのいずれかの重度の欠損または活性の完全非存在につながる突然変異は、生後数日間にアンモニア及び他の前駆体代謝物の蓄積をもたらし得る。尿素サイクルは、アンモニアの主要なクリアランスシステムであるため、この経路の完全な崩壊は、アンモニアの急速な蓄積及び関連症状の発現をもたらす。軽度〜中度の突然変異は、アンモニアを解毒するいくらかの能力を提供する広範囲の酵素機能を示し、軽度〜中度の尿素サイクル異常症をもたらす。
【0046】
国立尿素サイクル異常症財団(National Urea Cycle Disorders Foundation)によれば、尿素サイクル異常症の発生率は、米国において生産児8,500人あたり1人であると推定される。個々の尿素サイクル異常症の推定発生率は、1:2,000,000未満〜約1:56,500まで異なる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、NA Mew et al.,Urea Cycle Disorders Overview,2015を参照)。それらは、子供及び大人の両方で起こる。これらの異常症は、幼児において最も頻繁に診断されるが、一部の子供は、幼児期まで症状を発現しない。重篤な尿素サイクル異常症を有する新生児は、生後36〜48時間以内に破滅的に病気になる。軽度または中度の尿素サイクル異常症を有する子供において、症状は、早ければ1歳で見られ得る。早期症状には、肉または他の高タンパク質食品を嫌うこと、あやしても泣き止まないこと、成長障害、精神錯乱、または多動性行動が含まれる。症状は、頻繁な嘔吐のエピソード、無気力、せん妄、及び昏睡に進行し得る。軽度の尿素サイクル欠陥を有する一部の個人は、成人期に診断される。アンモニア蓄積は、病気またはストレス(例えば、ウイルス感染、手術、長期絶食、過剰な運動、及び過剰なダイエット)によって引き起こされる場合があり、血漿アンモニア濃度の複数の軽度上昇をもたらす。適切な診断及び治療がなければ、これらの個人は、永続的な脳損傷、昏睡、及び死の危険にさらされる。
【0047】
尿素サイクル異常症の治療は、生涯のプロセスである。症状は、通常、食事制限、アミノ酸サプリメント、薬物治療、透析、及び/または血液濾過を含む戦略の組み合わせを使用することによって管理される。食事管理は、体内で産生されるアンモニアのレベルを制限するための鍵である。食物タンパク質、炭水化物、及び脂肪の慎重なバランスは、エネルギーニーズのための適正カロリー、ならびに細胞増殖及び発達のための適正必須アミノ酸を提供しながら、タンパク質摂取を低下させるために必要である。尿素サイクル異常症の種類に応じて、アルギニンまたはシトルリンなどのアミノ酸サプリメントを食事に付加してもよい。フェニル酪酸ナトリウム(BUPHENYL(登録商標)、フェニル酪酸グリセロール(RAVICTI(登録商標))、及び安息香酸ナトリウムは、尿素サイクル異常症の治療のためのFDA承認薬である。それらは、腎臓が尿素の代わりに過剰な窒素を排泄するのを可能にする窒素結合剤として機能する。透析及び/または血液濾過は、血漿アンモニア濃度を正常な生理的レベルに迅速に低減するために使用される。他の治療及び管理オプションが失敗した場合、または新生児発症性CPS1及びOTC欠損症については、肝移植がオプションである。移植代替案は、有効であることが証明されているが、手術のコスト、ドナーの不足、及び免疫抑制剤の起こり得る副作用は、克服困難であり得る。
【0048】
特定の種類の尿素サイクル異常症としては、リン酸シンテターゼ1(CPS1)欠損症、オルニチントランスカルバモイラーゼ(OTC)欠損症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)欠損症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠損症、アルギナーゼ−1(ARG1)欠損症、N−アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症、オルニチントランスロカーゼ(ORNT1)欠損症、及びシトリン欠損症が挙げられるが、これらに限定されない。これらの障害のうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載される組成物及び方法によって治療または標的化され得る。
【0049】
カルバモイルリン酸シンテターゼ1(CPS1)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、カルバモイルリン酸シンテターゼ1(CPS1)欠損症を治療することができる。CPS1欠損症(MIM#237300)は、CPS1遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。CPS1は、アンモニア及び重炭酸塩からのカルバモイルリン酸塩の合成を触媒する。CPS1欠損症は、最も重篤な種類の尿素サイクル異常症である。CPS1欠損症を引き起こすおよそ10の突然変異が、CPS1遺伝子において特定されている。完全なCPS1欠損症を有する個人は、新生児期に高アンモニア血症を急速に発現する。危機から良好に救済された子供は、繰り返される高アンモニア血症のエピソードの慢性的な危険にさらされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、CPS1遺伝子の発現を調整することを含む。CPS1はまた、カルバモイルリン酸シンターゼ1、ミトコンドリア;カルバモイルリン酸シンターゼ(アンモニア);EC 6.3.4.16;カルバモイルリン酸シンターゼ[アンモニア]、ミトコンドリア;カルバモイルリン酸シンテターゼI;カルバモイルリン酸シンテターゼI:CPSase I;CPSASE1;及びPHNと称され得る。CPS1遺伝子は、2q34の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置210,477,682〜210,679,107における順鎖上の染色体2上にある。LANCL1−AS1(ENSG00000234281)及びLANCL1(ENGS00000115365)は、CPS1の上流にある遺伝子であり、LOC107985978は、CPS1の下流にある遺伝子である。CPS1−IT1(ENSG00000280837)は、順鎖上のCPS1内に位置する遺伝子である。CPS1遺伝子は、NCBI遺伝子ID1373、Uniprot ID P31327及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000021826を有する。CPS1のゲノム配列は、SEQ ID NO:1に示される。
【0051】
オルニチントランスカルバモイラーゼ(OTC)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、オルニチントランスカルバモイラーゼ(OTC)欠損症を治療することができる。OTC欠損症(MIM#311250)は、OTC遺伝子における突然変異によって引き起こされるX連鎖遺伝性疾患である。OTCは、カルバモイルリン酸塩とオルニチンとの間の反応を触媒して、シトルリン及びリン酸塩を形成する。500を超えるOTC遺伝子突然変異が、OTC欠損症を有する人々において特定されている。OTC活性の完全な非存在によって引き起こされるこの障害の重篤な早期発症型は、通常、男性に影響を及ぼす。この形態は、CPS1欠損症と同様に重篤である。この障害の後期発症型は、男性及び女性の両方において起こる。これらの個人は、生涯の間に高アンモニア血症を発現し、多くは高アンモニア血症に対する長期の医療管理を必要とする。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、OTC遺伝子の発現を調整することを含む。OTCはまた、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ;オルニチントランスカルバモイラーゼ;EC 2.1.3.3;OTCase、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ、ミトコンドリア;EC 2.1.3;及びOCTDとも称され得る。OTC遺伝子は、Xp11.4の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置38,352,545〜38,421,450における順鎖上の染色体X上にある。RPGR(ENSG00000 156313)は、OTCの上流にある遺伝子であり、LOC392442は、OTCの下流にある遺伝子である。TDGF1P1(ENSG00000227988)は、逆鎖上のOTC内に位置する遺伝子である。OTC遺伝子は、NCBI遺伝子ID5009、Uniprot ID P00480及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000036473を有する。OTCのゲノム配列は、SEQ ID NO:2に示される。
【0053】
アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)欠損症を治療することができる。シトルリン血症I型としても知られるASS1欠損症(MIM#215700)は、ASS1遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。ASS1は、シトルリンとアスパラギン酸塩からのアルギニノコハク酸塩の合成を触媒する。ASS1欠損症を引き起こす約118の突然変異が、ASS1遺伝子において特定されている。この障害の早期発症型もまた、かなり重篤であり得る。高アンモニア血症に関連する症状は、多くの場合、致命的である。罹患した個人は、いくらかの廃棄窒素を尿素サイクル中間体に組み込むことができ、これが治療を他の尿素サイクル異常症よりもわずかに容易にする。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ASS1遺伝子の発現を調整することを含む。ASS1はまた、EC 6.3.4.5、アルギニノコハク酸シンターゼ、ASS、アルギニノコハク酸シンテターゼ1、アルギニノコハク酸シンテターゼ1、アルギニノコハク酸シンテターゼ、シトルリン−アスパラギン酸リガーゼ、及びCTLN1とも称される。ASS1遺伝子は、9q34.11の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置130,444,929〜130,501,274における順鎖上の染色体9上にある。HMCN2(ENSG00000148357)及びLOC107987134は、ASS1の上流にある遺伝子であり、FUBP3(ENSG00000107164)及びLOC100272217は、ASS1の下流にある遺伝子である。LOC105376294は、逆鎖上のASS1の3′領域と重複する遺伝子である。ASS1遺伝子は、NCBI遺伝子ID445、Uniprot ID P00966及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000130707を有する。ASS1のゲノム配列は、SEQ ID NO:3に示される。
【0055】
アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠損症を治療することができる。ASL欠損症(MIM#207900)は、ASL遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。ASLは、アルギニノコハク酸を切断して、尿素サイクルの第4のステップにおいてアルギニン及びフマル酸塩を産生する。ASL遺伝子中の30を超える異なる突然変異が、世界的に特定されている。この障害は、重篤な新生児早期発症型及び後期発症型を有する。重篤な新生児発症型は、他の尿素サイクル異常症のものと区別できない。後期発症型は、急性感染またはストレスによって誘起されるエピソード性高アンモニア血症から、高アンモニア血症の任意の記録されたエピソードの非存在下での認知障害、行動異常、及び/または学習障害に及ぶ。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ASL遺伝子の発現を調整することを含む。ASLはまた、アルギノサクシナーゼ、EC 4.3.2.1、ASAL、及びアルギニノサクシナーゼとも称され得る。ASL遺伝子は、7q11.21の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置66,075,798〜66,093,558における順鎖上の染色体7上にある。LOC644667は、ASLの上流にある遺伝子であり、CRCP(ENSG00000241258)は、ASLの下流にある遺伝子である。ASL遺伝子は、NCBI遺伝子ID435、Uniprot ID P04424及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000126522を有する。ASLのゲノム配列は、SEQ ID NO:4に示される。
【0057】
N−アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、N−アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症を治療することができる。NAGS欠損症(MIM#237310)は、NAGS遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。NAGSは、グルタミン酸塩及びアセチル−CoAからのN−アセチルグルタミン酸塩(NAG)の産生を触媒する。NAGは、CPS1の共因子である。NAGS遺伝子におけるおよそ12の突然変異が、NAGS欠損症を有する人々において特定されている。CPS1は、NAGの非存在下で不活性になるため、NAGS欠損症の症状は、CPS1欠損症の症状を模倣する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、NAGS遺伝子の発現を調整することを含む。NAGSはまた、アミノ酸アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルタミン酸シンターゼ、ミトコンドリア、EC 2.3.1.1、AGAS、及びARGAと称され得る。NAGS遺伝子は、17q21.31の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置44,004,546〜44,009,063における順鎖上の染色体17上にある。PPY(ENSG00000108849)は、NAGSの上流にある遺伝子であり、TMEM101(ENSG00000091947)は、NAGSの下流にある遺伝子である。PYY(ENSG00000131096)は、逆鎖上のNAGSと重複する遺伝子である。NAGS遺伝子は、NCBI遺伝子ID162417、Uniprot ID Q8N159及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000161653を有する。NAGSのゲノム配列は、SEQ ID NO:5に示される。
【0059】
アルギナーゼ−1(ARG1)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、アルギナーゼ−1(ARG1)欠損症を治療することができる。ARG1欠損症(MIM#207800)は、ARG1遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。ARG1は、尿素サイクルにおける最終ステップである、オルニチン及び尿素へのアルギニンの加水分解を触媒する。酵素機能の部分的または完全な喪失を引き起こす40を超える突然変異が、ARG1遺伝子において見出されている。ARG1の欠陥は、神経症状を伴うより微細な障害である、高アルギニン血症を引き起こす。アルギナーゼ欠損症は、通常、約3歳までに明らかになる。それは、筋肉の異常な緊張(攣縮)によって引き起こされる、特に脚における硬直として最も頻繁に出現する。他の症状には、正常より遅い成長、発達遅延及び発達上のマイルストーンの段階的喪失、知的障害、発作、震え、ならびに平衡性及び整合性の困難(運動失調)が含まれ得る。時折、高タンパク質食または病気もしくは食べ物のない期間(絶食)によって引き起こされるストレスは、アンモニアをより迅速に血中に蓄積させ得る。このアンモニアの急増は、易怒性のエピソード、拒食、及び嘔吐につながり得る。一部の罹患した個人において、アルギナーゼ欠損症の徴候及び症状は、あまり重篤でない場合があり、晩年まで出現しない場合がある。高アンモニア血症は、アルギナーゼ欠損症において稀であるか、または通常は重篤でない。アルギナーゼ欠損症は、非常に稀な障害であり、300,000〜1,000,000人あたり1人に起こると推定されている。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ARG1遺伝子の発現を調整することを含む。ARG1はまた、肝臓型アルギナーゼ;I型アルギナーゼ;アルギナーゼ、肝臓;及びEC 3.5.3.1とも称され得る。ARG1遺伝子は、6q23.2の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置131,573,144〜131,584,332における順鎖上の染色体6上にある。RPL21P67(ENSG00000219776)は、ARG1の上流にある遺伝子であり、ENPP3(ENSG00000154269)は、ARG1の下流にある遺伝子である。MED23(ENSG00000112282)は、逆鎖上のARG1と重複する遺伝子である。ARG1遺伝子は、NCBI遺伝子ID383、Uniprot ID P05089及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000118520を有する。ARG1のゲノム配列は、SEQ ID NO:6に示される。
【0061】
オルニチントランスロカーゼ(ORNT1)欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、オルニチントランスロカーゼ(ORNT1)欠損症を治療することができる。高オルニチン血症−高アンモニア血症−ホモシトルリン血症(HHH)症候群としても知られるORNT1欠損症(MIM#238970)は、SLC25A15遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。ORNT1は、オルニチンを内部ミトコンドリア膜を通してミトコンドリアマトリックスに輸送する輸送体タンパク質であり、それが尿素サイクルに関与する。オルニチンの輸送失敗は、尿素サイクルの中断及びアンモニアの蓄積をもたらす。F188delta、E180K、T32R、Q89X、G27R、G190D、R275Q、及び13q14微小欠失等を含む、SLC25A15遺伝子におけるおよそ17の突然変異が、ORNT1欠損症を有する個人において特定されている(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Camacho et al.,Nat Genet.1999 Jun;22(2):151−8、Camacho et al.,Pediatric Research(2006)60,423−429、Salvi et al.,Human Mutation,Mutation in Brief #457(2001))。罹患した新生児は、典型的に、無気力、筋緊張低下、及び発作を呈する。未治療の場合、生後数日以内に死亡する。生存者の大半は、錐体路徴候を有し、痙性対麻痺を伴う(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Lemay et al.,J Pediatr.1992 Nov;121(5 Pt 1):725−30、Salvi et al.,Neurology.2001;57(5):911)。大部分は、ミオクローヌス発作、運動失調、及び精神遅滞を有する。この障害のより軽度な形態は、成人において報告されており、タンパク質に富む食事の後に徴候的となる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、SLC25A15遺伝子の発現を調整することを含む。SLC25A15はまた、溶質キャリアファミリー25メンバー15、溶質キャリアファミリー25(ミトコンドリアキャリア、オルニチン輸送体)メンバー15、オルニチン輸送体1、ORNT1、ミトコンドリアオルニチン輸送体1、D13S327、ORC1、及びHHHとも称され得る。SLC25A15は、13q14.11の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置40,789,412〜40,810,111における順鎖上の染色体13上にある。MRPS31(ENSG00000102738)は、SLC25A15の上流にある遺伝子であり、MIR621(ENSG00000207652)は、SLC25A15の下流にある遺伝子である。TPTE2P5(ENSG00000168852)は、逆鎖上のSLC25A15と重複する遺伝子である。SLC25A15は、NCBI遺伝子ID10166、Uniprot ID Q9Y619及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000102743を有する。SLC25A15のゲノム配列は、SEQ ID NO:7に示される。
【0063】
シトリン欠損症
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物を使用して、シトリン欠損症を治療することができる。シトルリン血症II型としても知られるシトリン欠損症(新生児発症MIM#605814及び成人発症#603471)は、SLC25A13遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患である。シトリンは、尿素サイクルへのアスパラギン酸塩の輸送体に関与する輸送体タンパク質である。シトリンの喪失は、アスパラギン酸塩の輸送をブロックし、ASSがアルギニノコハク酸塩を産生する能力を減少させる。SLC25A13遺伝子における20を超える突然変異が、成人発症II型シトルリン血症を有する人々において特定されている。それは、新生児においては、シトリン欠損症によって引き起こされる新生児肝内胆汁うっ滞(NICCD)として、年長児においてはシトリン欠損症によって引き起こされる成長障害及び脂質異常(FTTDCD)として、及び成人においてはII型シトルリン血症(CTLN2)における神経精神症状を伴う再発性高アンモニア血症として現れ得る。新生児肝内胆汁うっ滞の原因としてのシトリン欠損症は、ほとんど排他的にアジア人幼児において起こる(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Yeh et al.,J Pediatr 2006;148:642、Zhang et al.,Tohoku J Exp Med.2014 Aug;233(4):275−81、Tzun and Marques.,EC Paediatrics 2.5(2016)、Lin et al.,Sci Rep.2016 Jul 11;6:29732)。この疾患の成人発症形態は、脂肪肝、高アンモニア血症、及び神経症状を特徴とする(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Yasuda et a.,Hum Genet 2000;107:537、Lee et al.,J Pediatr Gastroenterol Nutr 2010;50:682)。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、SLC25A13遺伝子の発現を調整することを含む。SLC25A13はまた、溶質キャリアファミリー25メンバー13、ミトコンドリアアスパラギン酸塩グルタミン酸塩キャリア2、溶質キャリアファミリー25(アスパラギン酸塩/グルタミン酸塩キャリア)メンバー13、ARALAR2、シトリン、カルシウム結合ミトコンドリアキャリアタンパク質Aralar2、及びCTLN2とも称され得る。SLC25A13は、7q21.3の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置96,120,220〜96,322,147における逆鎖上の染色体7上にある。DYNC1I1(ENSG00000158560)は、SLC25A13の上流にある遺伝子であり、RNU6−532P(ENSG00000207045)は、SLC25A13の下流にある遺伝子である。CYCSP18、MIR591(ENSG00000208025)、及びRPL21P74は、SLC25A13内に位置する遺伝子である。SLC25A13は、NCBI遺伝子ID10165、Uniprot ID Q9UJS0及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000004864を有する。SLC25A13のゲノム配列は、SEQ ID NO:8に示される。
【0065】
III.本発明の組成物及び方法
本発明は、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整して、尿素サイクル異常症を治療するための組成物及び方法を提供する。本明細書に記載される組成物及び方法のうちのいずれか1つ以上を使用して、対象における尿素サイクル異常症を治療することができる。
【0066】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本発明による組成物での治療が提供される動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0067】
いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症、例えば、CPS1欠損症、OTC欠損症、ASS1欠損症、ASL欠損症、NAGS欠損症、ARG1欠損症、ORNT1欠損症、及び/またはシトリン欠損症を診断されているか、またはその症状を有し得る。他の実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症、例えば、CPS1欠損症、OTC欠損症、ASS1欠損症、ASL欠損症、NAGS欠損症、ARG1欠損症、ORNT1欠損症、及び/またはシトリン欠損症にかかり易いか、またはその危険性があり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル関連遺伝子内またはその付近に突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、CPS1遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、OTC遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、ASS1遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、ASL遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、NAGS遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、ARG1遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、SLC25A15遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、SLC25A13遺伝子内またはその付近に1つ以上の突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル関連遺伝子の1つの機能的対立遺伝子及び1つの突然変異型対立遺伝子を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル関連遺伝子の2つの突然変異型対立遺伝子を担持し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの尿素サイクル関連遺伝子の発現の調節不全を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの尿素サイクル関連タンパク質の欠乏を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、部分的に機能的である少なくとも1つの尿素サイクル関連タンパク質を有し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、細胞または対象における尿素サイクル関連遺伝子の発現を増加させることができる。遺伝子発現の変化は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される様々な技法、例えばRNA−seq、qRT−PCR、ウェスタンブロット、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってRNAレベルまたはタンパク質レベルで評価され得る。遺伝子発現の変化は、治療した細胞または対象における標的遺伝子発現のレベルを、未治療または対照の細胞または対象における発現のレベルで除算することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、約25%〜約50%、約40%〜約60%、約50%〜約70%、約60%〜約80%、約80%〜約100%、約100%〜約125%、約100〜約150%、約150%〜約200%、約200%〜約300%、約300%〜約400%、約400%〜約500%、または500%超の尿素サイクル関連遺伝子の発現の増加を引き起こす。いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約12倍、約15倍、約18倍、約20倍、約25倍、または30倍超の尿素サイクル関連遺伝子の発現の倍率変化を引き起こす。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法によって誘導される尿素サイクル関連遺伝子の発現の増加は、尿素サイクル異常症の1つ以上の徴候または症状を予防または緩和するのに十分であり得る。
【0072】
小分子
いくつかの実施形態では、尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整するために使用される化合物は、小分子を含み得る。本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は、低分子量薬物、すなわち、生物学的プロセスの調節を助け得る5000ダルトン未満の有機化合物を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される小分子化合物をゲノム系に適用して、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子に関連する遺伝子シグナル伝達ネットワークの構成成分(例えば、転写因子、シグナル伝達タンパク質)を干渉し、それによってこれらの遺伝子の発現を調整する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される小分子化合物をゲノム系に適用して、絶縁近傍の境界を変更する、及び/または1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子に関連するシグナル伝達中心を崩壊させ、それによってこれらの遺伝子の発現を調整する。
【0073】
小分子スクリーニングを実施して、絶縁近傍のシグナル伝達中心を通して作用する小分子を特定して、尿素サイクル関連遺伝子の選択群の発現を調整し得る遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更することができる。例えば、既知のシグナル伝達アゴニスト/アンタゴニストが投与され得る。信用できるヒットは、シグナル伝達中心を通して作用し、標的遺伝子の発現を調整することが知られている小分子によって特定され、検証される。
【0074】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる小分子化合物としては、17−AAG(タネスピマイシン)、アファチニブ、ベシル酸アムロジピン、アムバチニブ、AZD2858、BAY 87−2243、BIRB 796、bms−986094(inx−189)、ボスチニブ、カルシトリオール、CD 2665、セリチニブ、CI−4AS−1、CO−1686(ロシレチニブ)、CP−673451、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダラプラジブ、ダサチニブ、デオキシコルチコステロン、エキノマイシン、エンザスタウリン、エピネフリン、エルロチニブ、EVP−6124(塩酸塩)(エンセニクリン)、EW−7197、FRAX597、GDC−0879、GO6983、GSK2334470、GZD824ジメシレート、INNO−206(アルドキソルビシン)、LDN193189、LDN−212854、メレスチニブ、MK−0752、モメロチニブ、オリゴマイシンA、OSU−03012、パクリチニブ(SB1518)、PHA−665752、フェンホルミン、ホルボール12,13−ジブチラート、ピフィスリン−μ、PND−1186、プレドニゾン、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、リファンピシン、セマキシニブ、SIS3、SKL2001、SMI−4a、T0901317、TFP、サリドマイド、チボザニブ、TP−434(エラバサイクリン)、WYE−125132(WYE−132)、及びジボテンタン、またはそれらの誘導体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを対象に投与して、CPS1欠損症、OTC欠損症、ASS1欠損症、ASL欠損症、NAGS欠損症、ARG1欠損症、ORNT1欠損症、及び/またはシトリン欠損症などの尿素サイクル異常症を治療することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、17−AAG(タネスピマイシン)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。NSC 330507またはCP 127374としても知られる17−AAG(タネスピマイシン)は、5nMの半最大阻害濃度(IC
50)、正常細胞に由来するHSP90よりも腫瘍細胞に由来するHSP90について100倍高い結合親和性を有する強力なHSP90阻害剤である。
【0076】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、アファチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。BIBW2992としても知られるアファチニブは、それぞれ0.5nM、0.4nM、10nM、及び14nMのIC
50を有するEGFR(野生型)、EGFR(L858R)、EGFR(L858R/T790M)、及びHER2を含む、上皮増殖因子受容体(EGFR)/HER2を可逆的に阻害する。それは、ゲフィチニブ耐性L858R−T790M EGFR突然変異体に対して100倍活性が高い。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ベシル酸アムロジピン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。Norvascとしても知られるアムロジピンは、1.9nMのIC
50を有する長期作用性カルシウムチャネル遮断薬である。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、アムバチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。MP−470としても知られるアムバチニブは、それぞれ10nM、40nM、及び81nMのIC
50を有するc−Kit、PDGFRα、及びFLT3の強力な多標的化阻害剤である。
【0079】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、AZD2858、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。AZD2858は、68nMのIC
50を有する選択的GSK−3阻害剤である。それは、ラットにおけるWntシグナル伝達を活性化し、骨質量を増加させる。
【0080】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、BAY 87−2243、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。BAY 87−2243は、強力かつ選択的な低酸素誘導因子−1(HIF−1)阻害剤である。
【0081】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、BIRB 796、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ドラマピモドとしても知られるBIRB 796は、0.1nMの解離定数(Kd)、JNK2と比較して330倍優れた選択性を有する高度に選択的なp38α MAPK阻害剤である。それは、c−RAF、Fyn、及びLckに対して弱い阻害を示し、ERK−1、SYK、IKK2、ZAP−70、EGFR、HER2、PKA、PKC、及びPKCα/β/γのわずかな阻害を示す。
【0082】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、bms−986094(inx−189)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。INX−08189、INX−189、またはIDX−189としても知られるBms−986094は、グアノシンヌクレオチド類似体(2′−C−メチルグアノシン)のプロドラッグである。Bms−986094は、もともとInhibitex(2012年にBristol−Myers Squibbによって買収される)によって開発されたRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)阻害剤である。それは、C型肝炎ウイルス感染の治療のための第II相臨床治験中であった。しかしながら、この研究は、予想外の心臓及び腎臓の有害事象に起因して中止された。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ボスチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。SKI−606としても知られるボスチニブは、それぞれ1.2nM及び1nMのIC
50を有する新規のデュアルSrc/Abl阻害剤である。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、カルシトリオール、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。1,25−ジヒドロキシビタミンD3またはRocaltrolとしても知られるカルシトリオールは、ビタミンDのホルモン的に活性な形態であり、カルシトリオールは、ビタミンD受容体を活性化するビタミンD
3の活性代謝物である。
【0085】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、CD 2665、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。CD 2665は、それぞれRARγ、RARβ、及びRARαに対して110nM、306nM、及び1000nM超のKd値を有する選択的RARβγアンタゴニストである。それは、レチノイン酸誘導アポトーシスをエクスビボでブロックする。
【0086】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、セリチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。LDK378としても知られるセリチニブは、0.2nMのIC
50を有するALKに対する強力な阻害剤であり、それぞれIGF−1R及びInsRに対して40倍及び35倍の選択性を呈する。
【0087】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、CI−4AS−1、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。CI−4AS−1は、強力なステロイドアンドロゲン受容体アゴニスト(IC
50=12nM)である。それは、5α−ジヒドロテストステロン(DHT)の作用を模倣する。それは、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーターをトランス活性化し、MMP1プロモーター活性を抑制する。また、それぞれ6nM及び10nMのIC
50値を有する5α−レダクターゼI型及びII型を阻害する。
【0088】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、CO−1686(ロシレチニブ)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ロシレチニブとしても知られるCO−1686は、T790Mを含むEGFRの突然変異体形態を特異的に標的とする、新規の不可逆的な経口的に送達されるキナーゼ阻害剤である(IC
50=21nM)。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、CP−673451、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。10nM/1nMのIC
50を有するPDGFRα/βの選択的阻害剤であり、他の血管新生受容体よりも450倍超の選択性を呈する。CP 673451はまた、抗血管新生活性及び抗腫瘍活性を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、クレノラニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。CP−868596としても知られるクレノラニブは、2.1nM/3.2nMのKdを有するPDGFRα/βの強力かつ選択的な阻害剤である。それはまた、FLT3を強力に阻害し、V561D突然変異ではなくD842V突然変異に対して感受性である。それは、c−Kit、VEGFR−2、TIE−2、FGFR−2、EGFR、erbB2、及びSrcよりもPDGFRに対して100倍超選択的である。
【0091】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、クリゾチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。PF−2341066としても知られるクリゾチニブは、それぞれ11nM及び24nMのIC
50を有するc−Met及びALKの強力な阻害剤である。
【0092】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ダラプラジブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ダラプラジブは、270pMのIC
50を有するリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)の選択的で経口的に活性な阻害剤である。Lp−PLA2は、脂質代謝を炎症と関連付けることができ、主要な動脈中に存在する動脈硬化プラークの安定性の増加につながる。ダラプラジブは、アテローム性動脈硬化のための考えられる追加の治療として研究されている。
【0093】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ダサチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ダサチニブは、それぞれの1nM未満、0.8nM、及び79nMのIC50を有する、Abl、Src、及びc−Kitを標的とする新規の強力な多標的化阻害剤である。
【0094】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、デオキシコルチコステロン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。酢酸デオキシコルチコステロンは、副腎皮質ステロイドの置換療法のための筋肉内注射に使用されるステロイドホルモンである。デオキシコルチコステロンの11β−ヒドロキシル化は、コルチコステロンにつながる。
【0095】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、エキノマイシン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。低酸素誘導因子−1(HIF−1)は、解糖、血管新生、移動、及び侵入に関与する遺伝子を制御する転写因子である。エキノマイシンは、HIF−1媒介性遺伝子転写の細胞透過性阻害剤である。それは、配列特異的にDNAに挿入し、低酸素反応性エレメントへのHIF−1αまたはHIF−1βのいずれかの結合をブロックすることによって作用する。エキノマイシンは、1.2nMの半最大有効濃度(EC
50)値を有するU215細胞中の低酸素誘導HIF−1転写活性を可逆的に阻害する。それは、血管内皮増殖因子の低酸素誘導発現を阻害し、血管新生をブロックし、海馬ニューロン中の興奮性シナプス伝達を変更する。エキノマイシンはまた、スルビビンの発現を障害し、メルファランに対する複数の骨髄腫細胞の感受性を強化する。
【0096】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、エンザスタウリン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。LY317615としても知られるエンザスタウリンは、6nMのIC
50を有する強力なPKCβ選択的阻害剤であり、PKCα、PKCγ、及びPKCεに対して6〜20倍の選択性を呈する。
【0097】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、エピネフリン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。エピネフリンHClは、ホルモン及び神経伝達物質である。
【0098】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、エルロチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。エルロチニブは、ヒトc−Srcまたはv−AblよりもEGFRに対して感受性が1000倍超高い、2nMのIC
50を有するEGFR阻害剤である。
【0099】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、EVP−6124(塩酸塩)(エンセニクリン)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。エンセニクリンとしても知られるEVP−6124塩酸塩は、α7ニューロンニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の新規の部分アゴニストである。EVP−6124は、α7 nAChRに対する選択性を示し、ヘテロマー性α4β2 nAChRを活性化または阻害しない。
【0100】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、EW−7197を含み得る。EW−7197は、それぞれ13nM及び11nMのIC
50を有する、非常に強力な選択的で経口的にバイオアベイラブルなTGF−β受容体ALK4/ALK5阻害剤である。
【0101】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、FRAX597、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。FRAX597は、それぞれPAK1、PAK2、及びPAK3に対して8nM、13nM、及び19nMのIC
50を有するグループI PAKの強力なATP競合阻害剤である。
【0102】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、GDC−0879、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。GDC−0879は、c−RAFに対して同様に活性を有する0.13nMのIC
50を有する新規の強力な選択的B−Raf阻害剤である。
【0103】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、GO6983、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。GO6983は、それぞれ7nM、7nM、6nM、及び10nMのIC
50を有するPKCα、PKCβ、PKCγ、及びPKCδに対するpan−PKC阻害剤である。それは、PKCζに対してあまり強力ではなく、PKCμに対して不活性である。
【0104】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、GSK2334470、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。GSK2334470は、約10nMのIC
50を有し、他の密接に関連するAGC−キナーゼにおいて活性を有しない新規のPDK1阻害剤である。
【0105】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、GZD824ジメシレート、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。GZD824は、それぞれ0.34nM及び0.68nMのIC
50を有するBcr−Abl(野生型)及びBcr−Abl(T315I)に対する新規の経口的にバイオアベイラブルなBcr−Abl阻害剤である。
【0106】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、INNO−206(アルドキソルビシン)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。アルドキソルビシンとしても知られるINNO−206は、抗新生物活性を有するアントラサイクリン抗生物質ドキソルビシン(DOXO−EMCH)の6−マレイミドカプロイルヒドラゾン誘導体プロドラッグである。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、LDN193189、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。LDN193189は、それぞれ5nM及び30nMのIC
50を有するBMP I型受容体ALK2及びALK3の転写活性を阻害する選択的BMPシグナル伝達阻害剤であり、TGF−Bと比較してBMPに対して200倍の選択性を呈する。
【0108】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、LDN−212854、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。LDN−212854は、ALK2に対して1.3nMのIC
50を有する強力かつ選択的なBMP受容体阻害剤であり、それぞれALK1、ALk3、ALK4、及びALK5よりも約2倍、66倍、1641倍、及び7135倍の選択性を呈する。
【0109】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、メレスチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。LY2801653としても知られるメレスチニブは、2nMのKd、0.00132分
−1の薬力学的滞留時間(Koff)、及び525分の半減期(t
1/2)を有する、METチロシンキナーゼのII型ATP競合スローオフ(slow−off)阻害剤である。
【0110】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、MK−0752、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。MK−0752は、5nMのIC
50値を有する、ヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞中のAβ40へのアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を低減する、γ−セクレターゼの強力な可逆的阻害剤である。経口的に投与されたMK−0752が、アカゲザルの脳において新たなアミロイドβタンパク質の生成を用量依存的に低減するため、それは、経口的にバイオアベイラブルであり、血液脳関門を通過する。NOTCH経路に対するその効果を通じて、MK−0752は、腫瘍移植片中の乳癌幹細胞の数を低減し、乳癌腫瘍を有するマウスにおける化学療法薬ドセタキセルの有効性を強化する。
【0111】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、モメロチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。CYT387としても知られるモメロチニブは、11nM/18nMのIC
50及びJAK3と比較しておよそ10倍の選択性を有する、JAK1/JAK2のATP競合阻害剤である。
【0112】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、オリゴマイシンA、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。オリゴマイシンAは、ATPシンターゼの阻害剤であり、酸化的リン酸化及びミトコンドリアの結合膜上で起こる全てのATP依存的プロセスを阻害する。
【0113】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、OSU−03012、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。OSU−03012は、5μMのIC
50及びOSU−02067よりも2倍の効力の増加を有する、組み換えPDK−1の強力な阻害剤である。
【0114】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、パクリチニブ(SB1518)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。SB1518としても知られるパクリチニブは、それぞれ無細胞アッセイにおいて23nM及び22nMのIC
50を有する、強力かつ選択的な阻害剤JAK2及びFLT3である。
【0115】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、PHA−665752、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。PHA−665752は、9nMのIC50、RTKまたはSTKよりもc−Metに対して50倍超の選択性を有する、強力かつ選択的なATP競合c−Met阻害剤である。
【0116】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、フェンホルミン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。塩酸フェンホルミンは、ビグアニドクラスからの抗糖尿病薬である、フェンホルミンの塩酸塩である。
【0117】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ホルボール12,13−ジブチラート、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ホルボール12,13−ジブチラートは、タンパク質キナーゼC活性化剤である。それは、血管平滑筋の収縮を誘導し、血管平滑筋中のMLCホスファターゼ(MLCP)を阻害する。活性は、細胞内Ca
2+濃度を変更しない。それはまた、オポッサム腎細胞中のNa+、K+ATPaseの活性を阻害する。
【0118】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ピフィスリン−μ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ピフィスリン−μは、Bcl−xL及びBcl−2に対するその親和性を低減することによってp53活性を特異的に阻害し、それはまた、HSP70機能及び自食作用を阻害する。
【0119】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、PND−1186、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。PND−1186、VS−4718は、1.5nMのIC
50を有する可逆的かつ選択的な焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤である。
【0120】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、プレドニゾン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。プレドニゾンは、抗炎症活性及び免疫抑制活性を有する合成グルココルチコイドである。
【0121】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。R788ナトリウム塩水和物(フォスタマチニブ)、活性代謝物R406のプロドラッグは、41nMのIC
50を有する強力なSyk阻害剤である。
【0122】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、リファムピシン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。リファムピシンは、細菌性DNA依存的RNA合成を阻害するため、リファマイシンクラスの抗生物質のメンバーである(Ki=約1nM)。この化合物は、ヒトにおけるRNA合成に直接影響しないが、抗生物質としてのその使用は、プレグナンX受容体(PXR、EC
50=約2μM)の活性化に向かうその効力によって制限され、これが薬物代謝を変更する酵素の上方調節をもたらす。核受容体PXRへのリファムピシンのアクセスは、OATポリペプチド(OATP)ファミリーの有機アニオン輸送体(OAT)を介した細胞へのその輸送を必要とする。輸送体基質として作用することによって、リファムピシンは、0.58〜18μMの範囲のKi/IC
50値を有するOATPを阻害する。
【0123】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、セマキサニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。セマキサニブは、潜在的な抗新生物活性を有するキノロン誘導体である。セマキサニブは、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)のチロシンキナーゼドメインへのATP結合を可逆的に阻害する。
【0124】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、SIS3、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。SIS3は、Smad3の特異的阻害剤である。それは、MAPK/p38、ERK、またはPI3−キナーゼシグナル伝達経路に影響することなく、Smad3リン酸化を抑制することによってTGF−B及びアクチビンシグナル伝達を阻害する。
【0125】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、SKL2001、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。SKL2001は、アキシン/β−カテニン相互作用を崩壊させるWnt/β−カテニン経路の新規のアゴニストである。
【0126】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、SMI−4a、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。SMI−4aは、Pim−2に対して中度の効力を有する、17nMのIC
50を有するPim1の強力な阻害剤である。他のセリン/トレオニン−またはチロシン−キナーゼを著しく阻害しない。
【0127】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、T0901317、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。T0901317は、50nMのEC
50を有する、強力な非選択的LXRアゴニストである。コレステロール流出調節及びHDL代謝に関連するABCA1発現を増加させる。それはまた、PPAR−δの筋発現を増加させ、インビボで抗肥満効果を示す。
【0128】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、TFP、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。トリフルオペラジン(TFP)は、中枢抗アドレナリン作動性、抗ドーパミン作動性、及び最小抗コリン作動性効果を有する。それは、中間皮質及び中脳辺縁経路においてドーパミンD1及びD2受容体を遮断することによって機能すると考えられ、幻覚、妄想、ならびに混乱した思考及び発話のような統合失調症の症状を緩和または最小化する。
【0129】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、サリドマイド、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。サリドマイドは、鎮静薬、免疫調整薬として導入され、また多くのがんの症状を治療するために調査されている。サリドマイドは、CRBN−DDB1−Cul4A複合体である、E3ユビキチンリガーゼを阻害する。
【0130】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、チボザニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。AV−951としても知られるチボザニブは、30nM/6.5nM/15nMのIC
50を有するVEGFR1/2/3の強力かつ選択的なVEGFR阻害剤である。それはまた、PDGFR及びc−Kitを阻害するが、FGFR−1、Flt3、c−Met、EGFR、及びIGF−1Rに対して低い活性を呈する。
【0131】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、TP−434(エラバサイクリン)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。エラバサイクリンとしても知られるTP−434は、テトラサイクリン特異的流出及びリボソーム保護を含む主要な抗生物質耐性機構を発現する細菌に対して活性を有する新規の広域フルオロサイクリン抗生物質である。
【0132】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、WYE−125132(WYE−132)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。WYE−132としても知られるWYE−125132は、0.19nMのIC
50を有する、高度に強力なATP競合mTOR阻害剤である。mTOR対PI3KまたはPI3K関連キナーゼhSMG1及びATRに対して高度に選択的である。
【0133】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ジボテンタン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ZD4054としても知られるジボテンタンは、21nMのIC
50を有する、経口的に投与される強力かつ特異的なエンドセリンA受容体(ETA)受容体アンタゴニストである。
【0134】
ポリペプチド
いくつかの実施形態では、尿素サイクル関連遺伝子の発現を変更するための化合物は、ポリペプチドを含む。本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、最も多くの場合、ペプチド結合によって一緒に結合される(天然または非天然の)アミノ酸残基のポリマーを指す。本明細書で使用される場合、この用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。場合によっては、コードされるポリペプチドは、約50アミノ酸よりも小さく、ポリペプチドは、ペプチドと呼ばれる。ポリペプチドがペプチドである場合、少なくとも約2、3、4、または少なくとも5アミノ酸残基長となる。したがって、ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片、ならびに前述の他の同等物、変異体、及び類似体が挙げられる。ポリペプチドは、単一分子であり得るか、または二量体、三量体、もしくは四量体などの多分子複合体であり得る。それらはまた、一本鎖または多鎖ポリペプチドも含み得、会合または結合され得る。ポリペプチドという用語はまた、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0135】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができるポリペプチド化合物としては、アクチビン、抗ミュラー管ホルモン、BMP2、EGF、FGF、GDF10(BMP3b)、GDF2(BMP9)、HGF/SF、IGF−1、ノーダル、PDGF、TNF−a、及びWnt3a、またはそれらの誘導体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを対象に投与して、CPS1欠損症、OTC欠損症、ASS1欠損症、ASL欠損症、NAGS欠損症、ARG1欠損症、ORNT1欠損症、及び/またはシトリン欠損症などの尿素サイクル異常症を治療することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、アクチビン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。アクチビンは、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−B)ファミリーの一部である、異なるβサブユニットアイソフォームのホモ二量体またはヘテロ二量体である。成熟アクチビンAは、2つの116アミノ酸残基βAサブユニット(βA−βA)を有する。アクチビンは、中胚葉誘導、神経細胞分化、骨リモデリング、造血、及び繁殖生理を含む、多種多様な生物活性を示す。アクチビンは、FSH、LH、GnRH、及びACTHなどのホルモンの産生及び調節に関与する。アクチビンAを発現することが特定された細胞としては、線維芽細胞、内皮細胞、肝細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージ、ケラチノサイト、破骨細胞、骨髄単球、前立腺上皮、ニューロン、軟骨細胞、骨芽細胞、ライディッヒ細胞、セルトリ細胞、及び卵巣顆粒膜細胞が挙げられる。
【0137】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、抗ミュラー管ホルモン、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。抗ミュラー管ホルモンは、雄性分化を媒介するTGF−B遺伝子ファミリーのメンバーである。抗ミュラー管ホルモンは、そうでなければ子宮及び卵管に分化するミュラー管の退行を引き起こす。抗ミュラー管ホルモンにおけるいくつかの突然変異は、持続的なミュラー管症候群をもたらす。
【0138】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、BMP2、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。骨形成タンパク質2(BMP2)は、TGF−Bスーパーファミリーに属する。BMPファミリーメンバーは、胚組織及び成体組織の両方における細胞増殖及び分化の調節因子である。BMP2は、常染色体優性遺伝疾患である進行性骨化性繊維異形成症(筋炎)に対する候補遺伝子である。
【0139】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、EGF、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。上皮増殖因子(EGF)は、広範囲の表皮細胞及び上皮細胞の増幅を刺激する、ポリペプチド増殖因子である。
【0140】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、FGF、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。FGF−1及び内皮細胞増殖因子としても知られる線維芽細胞増殖因子−酸性(FGF−酸性)は、現在23メンバーを含む、FGFファミリーのメンバーである。FGF酸性及び塩基性は、ファミリーの他のメンバーとは異なり、シグナルペプチドを欠き、伝統的なタンパク質分泌経路以外の機構によって明らかに分泌される。FGF酸性は、脳内で大量に検出されている。FGF酸性を発現することが知られている他の細胞としては、肝細胞、血管平滑筋細胞、CNSニューロン、骨格筋細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、腸管上皮細胞、ならびに下垂体好塩基性細胞及び好酸性細胞が挙げられる。
【0141】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、GDF10(BMP3b)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。BMP3bとしても知られるGDF10は、BMPファミリー及びTGF−Bスーパーファミリーのメンバーである。GDF10は、大腿骨、脳、肺、骨格、筋肉、膵臓、及び精巣において発現され、結球における役割を有し、恐らくは、骨格形態形成における複数の役割を有する。ヒトでは、GDF10 mRNAは、胎児の蝸牛及び肺において、ならびに成人の精巣、網膜、松果体、及び他の神経組織において見出される。これらのタンパク質は、切断されて7つの保存システイン残基を含有する成熟タンパク質を産生する、多塩基タンパク質分解性プロセシング部位を特徴とする。
【0142】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、GDF2(BMP9)、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。BMP9としても知られるGDF2は、BMPファミリー及びTGF−Bスーパーファミリーのメンバーである。BMP9は、前脳基底核コリン作動性ニューロン(BFCN)の成熟、ならびにこれらの細胞がアセチルコリンに反応する能力の誘導及び維持における役割を有する。BFCNは、学習、記憶、及び注意のプロセスに重要である。BMP9は、肝細胞中のヘプシジン(抗菌性を有するカチオン性ペプチド)の強力な誘導因子であり、鉄代謝を調節することができる。BMP9の生理的受容体は、アクチビン受容体様キナーゼ1、ALK1(ACVRL1としても知られる)、TGF−B受容体ファミリーの内皮特異的I型受容体であると考えられている。BMP9は、インビボで同所性骨形成を誘導する最も強力なBMPのうちの1つである。大部分のBMPのブロッカーであるBMP3は、BMP9に影響しないと思われる。
【0143】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、HGF/SF、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ヘパトポエチンA及び分散因子(SF)としても知られる肝細胞増殖因子(HGF)は、ペプチダーゼS1ファミリー(プラスミノーゲンサブファミリー)に属する多面発現マイトジェンである。それは、間葉細胞によって産生され、上皮細胞、内皮細胞、及び造血前駆体細胞に作用する。HGFは、がん原遺伝子c−Met受容体に結合して、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケードを活性化する。それは、細胞増殖、運動性、及び形態形成を調節し、また血管新生、腫瘍形成、及び組織再生において重要な役割を果たす。
【0144】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、IGF−1、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ソマタメジンCとしても知られるインスリン様増殖因子I(IGF−I)は、インスリンと分子構造が似ているホルモンである。ヒトIGF−Iは、様々な組織によって変動的に発現される、2つのアイソフォーム(IGF−IA及びIGF−IB)を有する。成熟ヒトIGF−Iは、マウス及びラットIGF−Iとそれぞれ94%及び96%の配列同一性を共有する。IGF−I及びIGF−II(IGFの別のリガンド)の両方は、IGF−I受容体(IGFIR)を通してシグナル伝達し得るが、IGF−IIは、単独でIGF−II受容体(IGFIIR/マンノース−6−リン酸受容体)に結合し得る。IGF−Iは、子供の成長において重要な役割を果たし、成人においてタンパク質同化効果を持ち続ける。
【0145】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、ノーダル、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。ノーダルは、TGF−Bスーパーファミリーの分子の13kDaメンバーである。ヒトにおいて、それは、26アミノ酸シグナル配列、211アミノ酸プロドメイン、及び110アミノ酸成熟領域を含有する、347アミノ酸プレプロ前駆体として合成される。そのTGF−Bスーパーファミリーメンバーシップと一貫して、それは、ジスルフィド結合ホモ二量体として存在し、システインノットモチーフを実証することが予想される。成熟ヒトノーダルは、それぞれ成熟イヌ、ラット、ウシ、及びマウスノーダルと99%、98%、96%、及び98%同一のアミノ酸である。ノーダルは、2つの受容体複合体を通してシグナル伝達し、これらの両方は、Ser/Thrキナーゼ受容体のTGF−βファミリーのメンバーを含有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、PDGF、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。血小板由来増殖因子(PDGF)は、2つのペプチド鎖A及び鎖Bからなるジスルフィド結合二量体である。PDGFは、3つのサブフォーム:PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−ABを有する。それは、過形成、胚ニューロン発達、走化性、及び呼吸器管上皮細胞発達を含む、いくつかの生物学的プロセスに関与する。PDGFの機能は、2つの受容体(PDGFRα及びPDGFRβ)によって媒介される。
【0147】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、TNF−α、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。TNFタンパク質スーパーファミリーのプロトタイプメンバーであるTNF−αは、ホモ三量体II型膜タンパク質である。膜結合TNF−αは、メタロプロテアーゼTACE/ADAM17によって切断されて、可溶性ホモ三量体を生成する。TNF−αの膜及び可溶性形態の両方が、生物学的に活性である。TNF−αは、T細胞、B細胞、NK細胞、及びマクロファージを含む様々な免疫細胞によって産生される。TNF−αに対する細胞反応は、受容体TNF−R1及びTNF−R2との相互作用を通して媒介され、細胞型及び生物学的状況に依存する細胞生存及びアポトーシスの両方を好む経路の活性化をもたらす。キナーゼ経路(JNK、ERK(p44/42)、p38 MAPK、及びNF−kB)の活性化は、細胞の生存を促進するが、カスパーゼ−8のTNF−α媒介性活性化は、プログラム細胞死につながる。TNF−αは、細菌感染、特に結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する炎症及び宿主防御において重要な調節的役割を果たす。自己免疫におけるTNF−αの役割は、関節リウマチ及びクローン病を治療するためにTNF−α作用をブロックすることによって強調される。
【0148】
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することができる化合物は、Wnt3a、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。WNT遺伝子ファミリーは、分泌されたシグナル伝達タンパク質をコードする構造的に関連する遺伝子からなる。これらのタンパク質は、腫瘍発生、ならびに細胞運命の調節及び胚形成中のパターニングを含む、いくつかの発達プロセスにおいて実装されている。これらの遺伝子は、WNT遺伝子ファミリーのメンバーである。マウスWnt3aタンパク質に対して96%、及び別のWNT遺伝子産物であるヒトWNT3タンパク質に対して84%のアミノ酸同一性を示すタンパク質をコードする。この遺伝子は、染色体1q42領域内の別のファミリーメンバーであるWNT14遺伝子とクラスター化する。
【0149】
抗体
いくつかの実施形態では、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を変更するための化合物は、抗体を含む。一実施形態では、本明細書に記載される抗体、抗体断片、それらの変異体または誘導体を含む本発明の抗体は、尿素サイクル関連遺伝子に関連する遺伝子シグナル伝達ネットワークの少なくとも1つの構成成分と特異的に免疫反応性である。
【0150】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の生物活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、少なくとも2つの無傷抗体から形成された二重特異性抗体)、及びダイアボディなどの抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、主にアミノ酸系分子であるだけでなく、糖部分を有するなど、1つ以上の修飾も含み得る。
【0151】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分を含み、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab′、F(ab′)
2、及びFv断片、ダイアボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を持つ「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を産生する。残基「Fc」断片もまた産生され、その名前は、それが容易に結晶化する能力を反映する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有しながら依然として抗原に架橋し得る、F(ab′)
2断片が得られる。本発明の抗体は、これらの断片のうちの1つ以上を含み得る。本明細書の目的に関しては、「抗体」は、重及び軽可変ドメイン、ならびにFc領域を含み得る。
【0152】
「未変性抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(V
H)を有し、いくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V
L)を有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。
【0153】
本明細書で使用される場合、「可変ドメイン」という用語は、配列が抗体間で大きく異なり、各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性において使用される特定の抗体ドメインを指す。本明細書で使用される場合、「Fv」という用語は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する抗体断片を指す。この領域は、緊密な非共有結合性会合にある1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。
【0154】
任意の脊椎動物種由来の抗体「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κとλと呼ばれる2つの明確に異なる型のいずれかに割り当てることができる。抗体は、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てられ得る。無傷抗体には5つの主要なクラス、すなわち:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分けられ得る。
【0155】
本明細書で使用される場合、「一本鎖Fv」または「scFv」は、VH及びVL抗体ドメインの融合タンパク質を指し、これらのドメインは一緒に、単一のポリペプチド鎖に結合される。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドリンカーは、scFvが、抗原結合のための所望の構造を形成できるようにする。
【0156】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、これらの断片は、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメインV
Lに接続した重鎖可変ドメインV
Hを含む。同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させて、2つの抗原結合部位を生成させる。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)にさらに詳述されており、これらの各々の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
本発明の抗体は、当該技術分野において既知の方法によって産生されるか、または本出願に記載されるポリクローナルまたはモノクローナルまたは組み換えであり得る。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の細胞(またはクローン)の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、同一であり、及び/または同じエピトープに結合するが、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る想定される変異体は除外され、そのような変異体は、一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。
【0158】
「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されないものとする。本明細書におけるモノクローナル抗体には、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種であるが、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにそのような抗体の断片が含まれる。
【0159】
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの抗体からの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の抗体からの超可変領域からの残基によって置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0160】
「超可変領域」という用語は、抗体を参照して本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与するアミノ酸残基を含む抗体の抗原結合ドメイン内の領域を指す。超可変領域内に存在するアミノ酸は、相補性決定領域(CDR)の構造を決定する。本明細書で使用される場合、「CDR」は、その標的抗原またはエピトープに相補的である構造を含む抗体の領域を指す。
【0161】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、抗体模倣体であり得る。「抗体模倣体」という用語は、抗体の機能または効果を模倣し、それらの分子標的に特異的に高い親和性で結合する任意の分子を指す。そのようなものとして、抗体模倣体は、ナノボディ等を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、抗体模倣体は、当該技術分野において既知のものであり得、アフィボディ分子、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、DARPin、Fynomer及びKunitz、ならびにドメインペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、抗体模倣体は、1つ以上の非ペプチド領域を含み得る。
【0163】
本明細書で使用される場合、「抗体変異体」という用語は、未変性抗体と比較してアミノ酸配列、組成物または構造にいくつかの相違を含む、構造及び/または機能において抗体に似ている生体分子を指す。
【0164】
モノクローナルであるかポリクローナルであるかにかかわらず、抗体の調製は当該技術分野において既知である。抗体の産生のための技法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Harlow and Lane″Antibodies,A Laboratory Manual″,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988 and Harlow and Lane″Using Antibodies:A Laboratory Manual″Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999に記載されている。
【0165】
本発明の抗体は、それらの標的分子(複数可)、それらを生成するために使用される抗原、それらの機能(アゴニストとしてもしくはアンタゴニストとして)及び/またはそれらが機能する細胞ニッチを特徴とし得る。
【0166】
抗体機能の測定は、インビトロまたはインビボで正常な生理的条件下、標準に対して行われ得る。測定はまた、抗体の存在または非存在に対して行われ得る。そのような測定方法には、血清または血液などの組織または流体中の標準測定、例えば、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、活性アッセイ、レポーターアッセイ、ルシフェラーゼアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アレイ、遺伝子アレイ、リアルタイム逆転写酵素(RT)PCR等が含まれる。
【0167】
本発明の抗体は、結合を介して(可逆的または不可逆的に)1つ以上の標的部位にそれらの効果を及ぼす。理論に束縛されるものではないが、抗体の結合部位を表す標的部位は、最も多くの場合、タンパク質またはタンパク質ドメインまたは領域によって形成される。しかしながら、標的部位はまた、糖、脂質、核酸分子または任意の他の形態の結合エピトープなどの生体分子を含み得る。
【0168】
代替として、または追加として、本発明の抗体は、結合またはコンジュゲートされた薬物ペイロードを特定の標的部位に送達または輸送するように作用する、リガンド模倣体または非伝統的なペイロードキャリアとして機能し得る。
【0169】
本発明の抗体によって引き出される変化は、細胞中の新形態変化をもたらし得る。本明細書で使用される場合、「新形態変化」は、新たなまたは異なる変化または変更である。そのような変化は、細胞外、細胞内及び細胞間シグナル伝達を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物または薬剤は、タンパク分解性事象を変更または制御するように作用する。そのような事象は、細胞内または細胞外であり得る。
【0171】
本発明の化合物、ならびにそれらを生成するために使用される抗原は、主にアミノ酸系分子である。これらの分子は、「ペプチド」、「ポリペプチド」または「タンパク質」であり得る。
【0172】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」という用語は、2〜50個以上のアミノ酸を有するアミノ酸系分子を指す。特別な指示語が、より小さいペプチドに適用され、「ジペプチド」は、2つのアミノ酸分子を指し、「トリペプチド」は、3つのアミノ酸分子を指す。50を超える連続アミノ酸を有するアミノ酸系分子は、ポリペプチドまたはタンパク質とみなされる。
【0173】
「アミノ酸」及び「アミノ酸」という用語は、全て天然に存在するL−α−アミノ酸ならびに非天然に存在するアミノ酸を指す。アミノ酸は、以下のような1文字または3文字のいずれかの指示語によって特定され:アスパラギン酸(Asp:D)、イソロイシン(Ile:I)、トレオニン(Thr:T)、ロイシン(Leu:L)、セリン(Ser:S)、チロシン(Tyr:Y)、グルタミン酸(Glu:E)、フェニルアラニン(Phe:F)、プロリン(Pro:P)、ヒスチジン(His:H)、グリシン(Gly:G)、リジン(Lys:K)、アラニン(Ala:A)、アルギニン(Arg:R)、システイン(Cys:C)、トリプトファン(Trp:W)、バリン(Val:V)、グルタミン(Gln:Q)、メチオニン(Met:M)、アスパラギン(Asn:N)、アミノ酸は、最初にそれぞれ3文字コード及び1文字コードによって挿入句的に列挙される。
【0174】
ハイブリダイジングオリゴヌクレオチド
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション機構を介して機能するものを含むオリゴヌクレオチドは、アンチセンス分子、RNAi構築物(siRNA、saRNA、microRNA等)、アプタマー及びリボザイムなどの一本鎖または二本鎖にかかわらず、尿素サイクル関連遺伝子に関連する遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更するために、または摂動刺激として使用され得る。
【0175】
そのようなオリゴヌクレオチドはまた、治療薬としても役立ち得るため、それらの治療負債及び治療成果は、それぞれ本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを調べることによって改善または予測され得る。
【0176】
ゲノム編集アプローチ
ある特定の実施形態では、尿素サイクル関連遺伝子の発現は、尿素サイクル関連遺伝子に関連する絶縁近傍(複数可)及び/またはゲノムシグナル伝達中心(複数可)を定義する染色体領域を変更することによって調整され得る。例えば、タンパク質産生は、尿素サイクル関連遺伝子の発現を抑制するために機能する遺伝子シグナル伝達ネットワークの構成成分を標的とすることによって増加され得る。
【0177】
絶縁近傍に付随する遺伝子発現を変更する方法は、シグナル伝達中心を変更すること(例えば、CRISPR/Casを使用して、シグナル伝達中心結合部位を変化させるか、または突然変異した場合に修復/置換する)ことを含む。これらの変更は、早期の/不適切な細胞死経路の活性化(多くの免疫障害の鍵となる)、過少/過剰な遺伝子産物の産生(可変抵抗器仮説としても知られる)、過少/過剰な酵素の細胞外分泌の産生、系統分化の防止、系統経路の切り替え、幹細胞性の促進、自己調節フィードバックループで開始または干渉、細胞代謝におけるエラーの開始、不適切な刷り込み/遺伝子サイレンシング、及び傷のあるクロマチン状態の形成を含む、様々な結果をもたらし得る。追加として、当該技術分野において周知のものを含むゲノム編集アプローチを使用して、コヒーシンネックレスを変更するか、または遺伝子及びエンハンサーを動かすことによって新たなシグナル伝達中心を作成することができる。
【0178】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるゲノム編集アプローチは、部位特異的ヌクレアーゼを使用して、ゲノム内の特定の位置に一本鎖または二本鎖DNA切断を導入する方法を含み得る。そのような切断は、相同指向型修復(HDR)及び非相同末端接合(NHEJ)などの内因性細胞プロセスであり得、定期的に修復される。HDRは、本質的に、相同DNA配列の存在下で二本鎖DNA切断を修復する誤りのない機構である。HDRの最も一般的な形態は、相同組換えである。それは、特定のDNA配列を切断ポイントで挿入または置換するためのテンプレートとして、相同配列を利用する。相同DNA配列のテンプレートは、内因性配列(例えば、姉妹染色分体)または外因性もしくは供給された配列(例えば、プラスミドもしくはオリゴヌクレオチド)であり得る。そのようなものとして、HDRを利用して、所望の領域における置換または挿入などの精密な変更を導入することができる。対照的に、NHEJは、二本鎖切断から生じるDNA末端を直接接合する誤りがちな修復機構であり、切断部位においていくつかのヌクレオチドを喪失、付加または突然変異させる可能性がある。得られる小さな欠失または挿入(「インデル」と呼ばれる)または突然変異は、遺伝子発現を崩壊または強化し得る。追加として、同じDNA上に2つの切断が存在する場合、NHEJは、介在セグメントの欠失または逆転につながり得る。そのため、NHEJを利用して、切断部位に挿入、欠失または突然変異を導入することができる。
【0179】
CRISPR/Cas系
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、CTCFアンカー部位を欠失し、そのアンカー部位に関連する絶縁近傍内の遺伝子発現を調整することができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Hnisz et al.,Cell 167,November 17,2016を参照されたい。絶縁近傍の境界の崩壊は、関連したシグナル伝達中心の適切な機能に必要な相互作用を防止する。欠失した近傍境界に直ぐ隣接する発現遺伝子の変化もまた、そのような崩壊に起因して観察されている。
【0180】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、既存のCTCFアンカー部位を修飾することができる。例えば、既存のCTCFアンカー部位は、CRISPR/Casヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAを有するNHEJを誘導することによって突然変異もしくは逆転され得るか、または触媒不活性のCRISPR/Cas酵素及び1つ以上のガイドRNAと標的結合することによってマスクされ得る。既存のCTCFアンカー部位の変更は、既存の絶縁近傍の形成を崩壊させ、これらの絶縁近傍内に位置する遺伝子の発現を変更し得る。
【0181】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、新たなCTCFアンカー部位を導入することができる。CTCFアンカー部位は、CRISPR/Casヌクレアーゼ、1つ以上のガイドRNA、及びCTCFアンカー部位の配列を含有するドナーテンプレートを有する選択部位にHDRを誘導することによって導入され得る。新たなCTCFアンカー部位の導入は、新たな絶縁近傍を作成する、及び/または既存の絶縁近傍を変更することができ、それがこれらの絶縁近傍の隣に位置する遺伝子の発現に影響を及ぼし得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、シグナル伝達中心結合部位を変えることによってシグナル伝達中心を変更することができる。例えば、シグナル伝達中心結合部位が、関連した転写因子とのシグナル伝達中心のアセンブリに影響を及ぼす突然変異を含む場合、突然変異部位は、供給された訂正ドナーテンプレートの存在下でCRISPR/Casヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAを使用して、突然変異またはその付近に二本鎖DNA切断を導入することによって修復され得る。
【0183】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、絶縁近傍(例えば、エンハンサー)内の領域に結合することによって近傍遺伝子の発現を調整し、転写をブロックすることができる。そのような結合は、シグナル伝達中心への転写因子の動員及び転写の開始を防止し得る。CRISPR/Cas系は、DNAを切断しない触媒不活性のCRISPR/Cas系であり得る。
【0184】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、これらの遺伝子のコード領域における短い欠失の導入を介して近傍遺伝子の発現をノックダウンすることができる。修復されたとき、そのような欠失は、フレームシフトをもたらし、遺伝子によって産生されたmRNA中に早期停止コドン、続いてナンセンス変異依存分解機構を介してmRNA分解を導入する。これは、シグナル伝達経路の活性化及び抑制構成成分の発現の調整に有用であり得、CPS1、OTC、ASS、ASL、NAGS、及びARG1などの疾患遺伝子を含むこれらの経路の制御下で、遺伝子発現の減少または増加をもたらす。
【0185】
他の実施形態では、CRISPR/Cas系を使用して、結合ネックレスを変更するか、または遺伝子及びエンハンサーを動かすこともできる。
【0186】
CRISPR/Cas酵素
CRISPR/Cas系は、RNA誘導型エンドヌクレアーゼを利用して、特定の配列を標的とし、標的核酸を分解する細菌適応免疫系である。それらは、ゲノム編集及び/または転写調整の分野における様々な適用における使用のために適応されている。当該技術分野において既知または本明細書に開示される酵素またはオルソログのうちのいずれも、ゲノム編集のために本明細書における方法で利用することができる。
【0187】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系は、II型CRISPR/Cas9系であり得る。Cas9は、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)及びCRISPR RNA(crRNA)と一緒に機能して、二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼである。2つのRNAを操作して、crRNAの3′端をtracrRNAの5′端にリンカーループを用いて接続することによって、単一分子ガイドRNAを形成することができる。Jinek et al.,Science,337(6096):816−821(2012)は、CRISPR/Cas9系は、RNAプログラム可能なゲノム編集に有用であることを示し、国際特許出願第WO2013/176772は、部位特異的遺伝子編集のためのCRISPR/Casエンドヌクレアーゼ系の多くの例及び適用を提供し、これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。例示的なCRISPR/Cas9系には、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Neisseria meningitidis、Treponema denticola、Streptococcus aureas、及びFrancisella tularensisに由来するものが含まれる。
【0188】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系は、V型CRISPR/Cpf1系であり得る。Cpf1は、単一のRNA誘導型エンドヌクレアーゼであり、II型系と対照的にtracrRNAが欠如している。Cpf1は、4または5ヌクレオチド5′オーバーハングを有するねじれ型DNA二本鎖切断を産生する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Zetsche et al.Cell.2015 Oct 22;163(3):759−71は、ゲノム編集適用において使用され得るCpf1エンドヌクレアーゼの例を提供する。例示的なCRISPR/Cpf1系には、野兎病菌(Francisella tularensis)、アシダミノコッカス種(Acidaminococcus sp.)、及びラクノスピラ科細菌(Lachnospiraceae bacterium)に由来するものが含まれる。
【0189】
ある特定の実施形態では、1つまたは他のヌクレアーゼドメインを不活化するCRISPR/Casエンドヌクレアーゼのニッカーゼ変異体を使用して、CRISPR媒介性ゲノム編集の特異性を高めることができる。ニッカーゼは、HDR対NHEJを促進することが示されている。HDRは、個々のCasニッカーゼから向けられることもあれば、標的エリアに隣接するニッカーゼの対を用いて向けられることもある。
【0190】
ある特定の実施形態では、触媒不活性のCRISPR/Cas系を使用して、標的領域(例えば、CTCFアンカー部位またはエンハンサー)に結合し、それらの機能を干渉し得る。Cas9及びCpf1などのCasヌクレアーゼは、2つのヌクレアーゼドメインを包含する。触媒部位における重要な残基を突然変異させることは、標的部位にのみ結合するが、切断をもたらさない変異体を作成する。染色体領域(例えば、CTCFアンカー部位またはエンハンサー)への結合は、絶縁近傍またはシグナル伝達中心の適切な形成を崩壊させ、したがって標的領域の隣に位置する遺伝子の変化した発現につながり得る。
【0191】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas系は、CRISPR/Cas酵素に融合された追加の機能的ドメイン(複数可)を含み得る。機能的ドメインは、転写活性化、転写抑制、DNAメチル化、ヒストン修飾、及び/またはクロマチンリモデリングを含むが、これらに限定されないプロセスに関与し得る。そのような機能的ドメインには、転写活性化ドメイン(例えば、VP64もしくはKRAB、SIDもしくはSID4X)、転写リプレッサー、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、ヒストンリモデラー、DNAメチルトランスフェラーゼ、クリプトクロム、光誘導性/制御可能ドメインまたは化学的誘導性/制御可能ドメインが含まれるが、これらに限定されない。
【0192】
ある特定の実施形態では、CRISPR/Cas酵素は、以下のうちの1つまたは組み合わせとして細胞または患者に投与され得る:1つ以上のポリペプチド、ポリペプチドをコードする1つ以上のmRNA、またはポリペプチドをコードする1つ以上のDNA。
【0193】
ガイド核酸
ある特定の実施形態では、ガイド核酸を使用して、関連したCRISPR/Cas酵素の活性を標的核酸内の特定の標的配列に指向することができる。ガイド核酸は、CRISPR/Cas酵素とのそれらの結合によって、ガイド核酸及びCRISPR/Cas複合体に対する標的特異性を提供し、したがってガイド核酸は、CRISPR/Cas酵素の活性を指向することができる。
【0194】
一態様では、ガイド核酸は、RNA分子であり得る。一態様では、ガイドRNAは、単一分子ガイドRNAであり得る。一態様では、ガイドRNAは、化学的に修飾され得る。
【0195】
ある特定の実施形態では、複数のガイドRNAは、ゲノム内の異なる部位において複数のCRISPR/Cas媒介性活性を媒介するために提供され得る。
【0196】
ある特定の実施形態では、ガイドRNAは、1つ以上のRNA分子またはRNA配列をコードする1つ以上のDNAとして細胞または患者に投与され得る。
【0197】
リボ核タンパク質複合体(RNP)
一実施形態では、CRISPR/Cas酵素及びガイド核酸は各々、細胞または患者に別個に投与され得る。
【0198】
別の実施形態では、CRISPR/Cas酵素は、1つ以上のガイド核酸と予め複合体化され得る。次に、予め複合体化された材料を細胞または患者に投与することができる。このような予め複合体化された材料は、リボ核タンパク質粒子(RNP)として知られている。
【0199】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ
ある特定の実施形態では、本発明のゲノム編集アプローチは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)の使用を伴う。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、DNA切断ドメインに結合している遺伝子操作ジンクフィンガーDNA結合ドメインから構成されたモジュラータンパク質である。典型的なDNA切断ドメインは、II型エンドヌクレアーゼFokIの触媒ドメインである。FokIは二量体としてのみ機能することから、ZFNの対は、対向DNA鎖上の同族の標的「半部位(half−site)」配列に対し、それら2つが触媒活性のFokIドメインが二量体化できるようにするための正確な間隔を開けて結合するように操作されなければならない。それ自体は配列特異性を有しないFokIドメインが二量体化すると、ZFN半部位間でゲノム編集の開始ステップとしてのDNA二本鎖切断がもたらされる。
【0200】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)
ある特定の実施形態では、本発明のゲノム編集アプローチは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用を伴う。TALENは、別のフォーマットのモジュラーヌクレアーゼに相当し、これはZFNと同様に、操作されたDNA結合ドメインをヌクレアーゼドメインに融合することによって生成され、同時並行的に作動して標的化されたDNA切断を達成する。ZFNにおけるDNA結合ドメインは、ジンクフィンガーモチーフからなるが、TALEN DNA結合ドメインは、転写活性化剤様エフェクター(TALE)タンパク質に由来し、これらはもともと、植物病原性微生物Xanthomonas種において説明されている。TALEは、33〜35アミノ酸リピートの直列アレイから構成され、各リピートは、典型的には長さ最大20bpの標的DNA配列(標的配列の全長は最大40bpとなる)内で単一の塩基対を認識する。各リピートのヌクレオチド特異性は、位置12及び13にちょうど2つのアミノ酸を含む反復可変2残基(RVD)によって決定される。塩基グアニン、アデニン、シトシン及びチミンは、それぞれ4つのRVD:Asn−Asn、Asn−Ile、His−Asp及びAsn−Glyによって主に認識される。これは、ジンクフィンガーの場合よりもはるかに簡略な認識コードを構成するため、ヌクレアーゼ設計に関してはジンクフィンガーをしのぐ優位性に相当する。それでもZFNと同様、TALENのタンパク質−DNA相互作用は特異性において絶対的ではないため、TALENも、FokIドメインの偏性ヘテロ二量体変異体の使用による恩恵を受けてオフターゲット活性を低減している。
【0201】
尿素サイクル関連遺伝子の調整
本明細書に記載される組成物及び方法は、1つ以上の尿素サイクル関連遺伝子の発現を調整することにおいて有効であり得る。そのような組成物及び方法を使用して、尿素サイクル異常症を治療することができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、CPS1の発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。CPS1発現を調整するために使用することができる化合物としては、ダサチニブ、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、ボスチニブ、エピネフリン、FRAX597、メレスチニブ、デオキシコルチコステロン、17−AAG(タネスピマイシン)、GDF2(BMP9)、GZD824ジメシレート、PND−1186、Wnt3a、ノーダル、抗ミュラー管ホルモン、TNF−α、アクチビン、IGF−1、プレドニゾン、PDGF、HGF/SF、EGF、BAY 87−2243、CP−673451、FGF、GDF10(BMP3b)、LDN193189、アムバチニブ、モメロチニブ、エキノマイシン、パクリチニブ(SB1518)、BMP2、クリゾチニブ、LDN−212854、サリドマイド、CO−1686(ロシレチニブ)、ジボテンタン、及びそれらの誘導体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)は、タンパク質チロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ボスチニブは、Srcシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、エピネフリンは、アドレナリン作動性受容体シグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、FRAX597は、PAKシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、メレスチニブは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、コルチコステロンは、ミネラルコルチコイド受容体シグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、17−AAG(タネスピマイシン)は、細胞サイクル/DNA損傷代謝酵素/プロテアーゼシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF2(BMP9)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GZD824ジメシレートは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、PND−1186は、FAKシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、Wnt3aは、WNTシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ノーダルは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、抗ミュラー管ホルモンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、TNF−αは、NF−kB、MAPK、またはアポトーシス経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、アクチビンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、IGF−1は、IGF−1R/InsRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、GRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、PDGFは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、HGF/SFは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、EGFは、EGFRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、BAY 87−2243は、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、CP−673451は、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、FGFは、FGFRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF10(BMP3b)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、LDN193189は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、アムバチニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、モメロチニブは、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、エキノマイシンは、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、パクリチニブ(SB1518)は、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、BMP2は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、クリゾチニブは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、LDN−212854は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、サリドマイドは、NF−kBシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、CO−1686(ロシレチニブ)は、JAK/STAT及び/またはチロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ジボテンタンは、GPCR/Gタンパク質シグナル伝達経路を摂動させて、CPS1発現を調整する。
【0203】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、CPS1遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。CPS1遺伝子は、2q34の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置210,477,682〜210,679,107における順鎖上の染色体2上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってCPS1の発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac、BRD4、p300、及びSMC1が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、ONECUT2、及びYY1が挙げられるが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、TCF7L2、ESRA、FOS、NR3C1、JUN、NR5A2、RBPJK、RXR、STAT3、NR1I1、NF−kB、SMAD2/3、SMAD4、STAT1、TEAD1、及びTP53が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、OTCの発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。OTC発現を調整するために使用することができる化合物としては、CP−673451、パクリチニブ(SB1518)、エキノマイシン、クレノラニブ、サリドマイド、アムバチニブ、ダサチニブ、モメロチニブ、アクチビン、Wnt3a、INNO−206(アルドキソルビシン)、TNF−α、抗ミュラー管ホルモン、ピフィスリン−μ、PDGF、IGF−1、FRAX597、ノーダル、EGF、FGF、HGF/SF、BIRB 796、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、CP−673451は、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、パクリチニブ(SB1518)は、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、エキノマイシンは、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、クレノラニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、サリドマイドは、NF−kBシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、アムバチニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、モメロチニブは、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、アクチビンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、Wnt3aは、WNTシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、INNO−206(アルドキソルビシン)は、細胞サイクル/DNA損傷経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、TNF−αは、NF−kB、MAPK、またはアポトーシス経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、抗ミュラー管ホルモンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、ピフィスリン−μは、p53シグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、PDGFは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、IGF−1は、IGF−1R/InsRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、FRAX597は、PAKシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、ノーダルは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、EGFは、EGFRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、FGFは、FGFRシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、HGF/SFは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。いくつかの実施形態では、BIRB 796は、MAPKシグナル伝達経路を摂動させて、OTC発現を調整する。
【0205】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、OTC遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。OTC遺伝子は、Xp11.4の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置38,352,545〜38,421,450における順鎖上の染色体X上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってOTCの発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac及びBRD4が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、ONECUT2、YY1、及びHNF1Aが挙げられ得るが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、TCF7L2、HIF1a、ESRA、NR3C1、JUN、RXR、STAT3、NF−kB、SMAD2/3、SMAD4、及びTEAD1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、ASS1の発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。ASS1発現を調整するために使用することができる化合物としては、ダサチニブ、CP−673451、エキノマイシン、GDF2(BMP9)、パクリチニブ(SB1518)、エピネフリン、FRAX597、ボスチニブ、TP−434(エラバサイクリン)、BMP2、SMI−4a、アムバチニブ、クレノラニブ、デオキシコルチコステロン、INNO−206(アルドキソルビシン)、TNF−α、T0901317、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、CP−673451は、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、エキノマイシンは、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF2(BMP9)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、パクリチニブ(SB1518)は、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、エピネフリンは、アドレナリン作動性受容体シグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、FRAX597は、PAKシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ボスチニブは、Srcシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、TP−434(エラバサイクリン)は、テトラサイクリン特異的流出シグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、BMP2は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、SMI−4aは、PIMシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、アムバチニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、クレノラニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、コルチコステロンは、ミネラルコルチコイド受容体シグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、INNO−206(アルドキソルビシン)は、細胞サイクル/DNA損傷経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、TNF−αは、NF−kB、MAPK、またはアポトーシス経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。いくつかの実施形態では、T0901317は、LXRシグナル伝達経路を摂動させて、ASS1発現を調整する。
【0207】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ASS1遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。ASS1遺伝子は、9q34.11の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置130,444,929〜130,501,274における順鎖上の染色体9上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってASS1の発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac、BRD4、p300、及びSMC1が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、MYC、及びYY1が挙げられるが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、CREB1、NR1H4、HIF1a、ESRA、JUN、RXR、STAT3、NR1I1、NF−kB、NR3C1、SMAD2/3、SMAD4、及びTEAD1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、ASLの発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。ASL発現を調整するために使用することができる化合物としては、CP−673451、エキノマイシン、パクリチニブ(SB1518)、ダサチニブ、オリゴマイシンA、メレスチニブ、アムバチニブ、クレノラニブ、エピネフリン、BAY 87−2243、サリドマイド、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、CP−673451は、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、エキノマイシンは、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、パクリチニブ(SB1518)は、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、オリゴマイシンAは、ATPチャネルシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、メレスチニブは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、アムバチニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、クレノラニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、エピネフリンは、アドレナリン作動性受容体シグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、BAY 87−2243は、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。いくつかの実施形態では、サリドマイドは、NF−kBシグナル伝達経路を摂動させて、ASL発現を調整する。
【0209】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ASL遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。ASL遺伝子は、7q11.21の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置66,075,798〜66,093,558における順鎖上の染色体7上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってASLの発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac、BRD4、及びp300が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、HNF3、HNF4A、ONECUT1、HNF1A、及びMYCが挙げられるが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、TCF7L2、CREB1、NR1H4、HIF1a、ESRA、FOS、JUN、RBPJK、RXR、STAT3、NR1I1、NF−kB、NR3C1、SMAD2/3、SMAD4、STAT1、TEAD1、及びTP53が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、NAGSの発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。NAGS発現を調整するために使用することができる化合物としては、AZD2858、エンザスタウリン、ボスチニブ、セマキサニブ、INNO−206(アルドキソルビシン)、TP−434(エラバサイクリン)、フェンホルミン、クリゾチニブ、SMI−4a、ダサチニブ、カルシトリオール、ピフィスリン−μ、PHA−665752、ダラプラジブ、サリドマイド、CO−1686(ロシレチニブ)、OSU−03012、プレドニゾン、GSK2334470、アファチニブ、チボザニブ、SKL2001、GDC−0879、EVP−6124(塩酸塩)(エンセニクリン)、ベシル酸アムロジピン、T0901317、GO6983、アクチビン、WYE−125132(WYE−132)、SIS3、GDF2(BMP9)、ホルボール12,13−ジブチラート、CD 2665、エルロチニブ、セリチニブ、BMP2、TFP、HGF/SF、CI−4AS−1、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、AZD2858は、GSK−3シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、エンザスタウリンは、エピジェネティクスまたはTGF−β/Smadシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、ボスチニブは、Srcシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、セマキサニブは、VEGFRシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、INNO−206(アルドキソルビシン)は、細胞サイクル/DNA損傷経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、TP−434(エラバサイクリン)は、テトラサイクリン特異的流出シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、フェンホルミンは、AMPKシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、クリゾチニブは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、SMI−4aは、PIMシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、カルシトリオールは、ビタミンD受容体シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、ピフィスリン−μは、p53シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、PHA−665752は、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、サリドマイドは、NF−kBシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、CO−1686(ロシレチニブ)は、JAK/STATまたはチロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、OSU−03012は、PDK−1シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、GRシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、GSK2334470は、PDK−1シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、アファチニブは、EGFRシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、チボザニブは、タンパク質チロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、SKL2001は、WNTシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDC−0879は、MAPKシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、EVP−6124(塩酸塩)(エンセニクリン)は、膜輸送体/イオンチャネルシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、ベシル酸アムロジピンは、カルシウムチャネルシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、T0901317は、LXRシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、GO6983は、PKCシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、アクチビンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、WYE−125132(WYE−132)は、mTORシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、SIS3は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF2(BMP9)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、ホルボール12,13−ジブチラートは、PKCシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、CD 2665は、RARシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、エルロチニブは、EGFRシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、セリチニブは、ALKシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、BMP2は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、TFPは、カルモジュリンシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、HGF/SFは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。いくつかの実施形態では、CI−4AS−1は、アンドロゲン受容体シグナル伝達経路を摂動させて、NAGS発現を調整する。
【0211】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、NAGS遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。NAGS遺伝子は、17q21.31の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置44,004,546〜44,009,063における順鎖上の染色体17上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってNAGSの発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac、BRD4、及びp300が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、ONECUT2、YY1、及びHNF1Aが挙げられ得るが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、TCF7L2、HIF1a、AHR、ESRA、JUN、RXR、STAT3、NR1I1、NF−kB、NR3C1、SMAD2/3、SMAD4、TEAD1、及びTP53が挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、ARG1の発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。ARG1発現を調整するために使用することができる化合物としては、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、ダサチニブ、CP−673451、メレスチニブ、エキノマイシン、アムバチニブ、エピネフリン、ボスチニブ、Wnt3a、抗ミュラー管ホルモン、ノーダル、アクチビン、IGF−1、17−AAG(タネスピマイシン)、TNF−a、ピフィスリン−μ、PDGF、パクリチニブ(SB1518)、GDF2(BMP9)、クレノラニブ、プレドニゾン、HGF/SF、モメロチニブ、EGF、デオキシコルチコステロン、FGF、サリドマイド、フェンホルミン、チボザニブ、BAY 87−2243、GZD824ジメシレート、GDF10(BMP3b)、PND−1186、FRAX597、BMP2、オリゴマイシンA、リファムピシン、MK−0752、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)は、タンパク質チロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、CP−673451は、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、メレスチニブは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、エキノマイシンは、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、アムバチニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、エピネフリンは、アドレナリン作動性受容体シグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ボスチニブは、Srcシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、Wnt3aは、WNTシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、抗ミュラー管ホルモンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ノーダルは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、アクチビンは、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、IGF−1は、IGF−1R/InsRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、17−AAG(タネスピマイシン)は、細胞サイクル/DNA損傷代謝酵素/プロテアーゼシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、TNF−αは、NF−kB、MAPK、またはアポトーシス経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、ピフィスリン−μは、p53シグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、PDGFは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、パクリチニブ(SB1518)は、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF2(BMP9)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、クレノラニブは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、GRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、HGF/SFは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、モメロチニブは、JAK/STATシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、EGFは、EGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、コルチコステロンは、ミネラルコルチコイド受容体シグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、FGFは、FGFRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、サリドマイドは、NF−kBシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、フェンホルミンは、AMPKシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、チボザニブは、タンパク質チロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、BAY 87−2243は、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GZD824ジメシレートは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF10(BMP3b)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、PND−1186は、FAKシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、FRAX597は、PAKシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、BMP2は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、オリゴマイシンAは、ATPチャネルシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、リファムピシンは、PXRシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。いくつかの実施形態では、MK−0752は、NOTCHシグナル伝達経路を摂動させて、ARG1発現を調整する。
【0213】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ARG1遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。ARG1遺伝子は、6q23.2の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置131,573,144〜131,584,332における順鎖上の染色体6上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってARG1の発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac、BRD4、及びp300が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、ONECUT2、YY1、HNF1A、及びMYCが挙げられ得るが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、HIF1a、ESRA、NR3C1、JUN、RXR、STAT3、NF1I1、SMAD2/3、STAT1、及びTEAD1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、SLC25A15の発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。SLC25A15発現を調整するために使用することができる化合物としては、ダサチニブ、FRAX597、メレスチニブ、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、ボスチニブ、bms−986094(inx−189)、エピネフリン、GDF2(BMP9)、エキノマイシン、コルチコステロン、IGF−1、CP−673451、GZD824ジメシレート、EW−7197、PDGF、Wnt3a、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ダサチニブは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、FRAX597は、PAKシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、メレスチニブは、c−METシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)は、タンパク質チロシンキナーゼ/RTKシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、ボスチニブは、Srcシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、エピネフリンは、アドレナリン作動性受容体シグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、GDF2(BMP9)は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、エキノマイシンは、低酸素活性化シグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、コルチコステロンは、ミネラルコルチコイド受容体シグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、IGF−1は、IGF−1R/InsRシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、CP−673451は、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、GZD824ジメシレートは、ABLシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、EW−7197は、TGF−Bシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、PDGFは、PDGFRシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。いくつかの実施形態では、Wnt3aは、WNTシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A15発現を調整する。
【0215】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、SLC25A15遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。SLC25A15は、13q14.11の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置40,789,412〜40,810,111における順鎖上の染色体13上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってSLC25A15の発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac及びBRD4が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、ONECUT2、及びYY1が挙げられるが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質は、ESRA、Jun、RXR、NR1I1、NF−kB、NR3C1、SMAD2/3、及びTP53が挙げられるが、これらに限定されない。
【0216】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、SLC25A13の発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。SLC25A13発現を調整するために使用することができる化合物としては、TFP、17−AAG(タネスピマイシン)、及びそれらの誘導体または類似体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、TFPは、カルモジュリンシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A13発現を調整する。いくつかの実施形態では、17−AAG(タネスピマイシン)は、細胞サイクル/DNA損傷代謝酵素/プロテアーゼシグナル伝達経路を摂動させて、SLC25A13発現を調整する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、SLC25A13遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。SLC25A13は、7q21.3の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置96、120、220〜96、322、147における逆鎖上の染色体7上にある。絶縁近傍に関連する任意のクロマチンマーク、クロマチン関連タンパク質、転写因子、及び/またはシグナル伝達タンパク質、及び/または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってSLC25A13の発現を調整する。クロマチンマーク及び/またはクロマチン関連タンパク質としては、H3K27ac、BRD4、p300、及びSMC1が挙げられるが、これらに限定されない。転写因子としては、FOXA2、HNF4A、ONECUT1、ATF5、ONECUT2、YY1、HNF1A、及びMYCが挙げられ得るが、これらに限定されない。シグナル伝達タンパク質としては、TCF7L2、HIF1a、ESRA、NR3C1、JUN、RXR、STAT3、NR1I1、NF−kB、SMAD2/3、STAT1、TEAD1、及びTP53が挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、複数の尿サイクル関連遺伝子の発現を調整することによって尿素サイクル異常症を治療することができる。非限定例として、本発明の方法を使用して、以下の遺伝子の群のうちのいずれか1つの発現を調整することができる。NAGS、CPS1、ASS1、ASL、OTC、ARG1、及びSLC25A15;CPS1、ASS1、ASL、OTC、ARG1、及びSLC25A15;ASS1、CPS1、NAGS、ARG1、及びSLC25A15;CPS1、ASS1、ASL、ARG1、及びSLC25A15;CPS1、ASS1、ASL、OTC、及びARG1;CPS1、ASS1、OTC、ARG1、及びSLC25A15;NAGS、CPS1、ALS、OTC、及びARG1;ASS1、ASL、OTC、及びARG1;ASS1、CPS1、NAGS、及びARG1;CPS1、ASS1、ARG1、及びSLC25A15;CPS1、ASS1、OTC、及びARG1;CPS1、OTC、ARG1、及びSLC25A15;NAGS、CPS1、OTC、及びARG1;CPS1、ARG1、及びSLC25A13;CPS1、ARG1、及びSLC25A15;CPS1、ASL、及びARG1;CPS1、NAGS、及びARG1;CPS1、OTC、及びARG1;NAGS、ASS1、及びOTC;OTC、NAGS、及びARG1。複数の尿素サイクル関連遺伝子を調整するために使用することができる化合物としては、ダサチニブ、エキノマイシン、CP−673451、GDF2(BMP9)、ボスチニブ、エピネフリン、パクリチニブ(SB1518)、アムバチニブ、FRAX597、サリドマイド、クレノラニブ、BMP2、デオキシコルチコステロン、TNF−α、Wnt3a、PDGF、IGF−1、アクチビン、HGF/SF、17−AAG(タネスピマイシン)、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、GZD824ジメシレート、BAY 87−2243、プレドニゾン、ノーダル、モメロチニブ、FGF、EGF、抗ミュラー管ホルモン、INNO−206(アルドキソルビシン)、及びピフィスリン−μが挙げられるが、これらに限定されない。
【0219】
いくつかの実施形態では、複数の尿素サイクル関連遺伝子を標的化することは、各々が尿素サイクル関連遺伝子を特異的に調整する化合物の組み合わせを利用することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、複数の尿素サイクル関連遺伝子を標的化することは、複数の尿素サイクル関連遺伝子を調整することができる単一化合物を利用することによって達成され得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物を、フェニル酪酸ナトリウム(BUPHENYL(登録商標))、フェニル酪酸グリセロール(RAVICTI(登録商標))、及び安息香酸ナトリウムなどの他の薬物と組み合わせて使用して、尿素サイクル異常症を治療することができる。
【0221】
IV.製剤及び送達
薬学的組成物
本発明に従い、組成物は薬学的組成物として調製され得る。そのような組成物は、1つ以上の活性成分、及び最も多くの場合、薬学的に許容される賦形剤を含む必要があることが理解されよう。
【0222】
本開示による薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の識別、サイズ、及び/または病態に応じて、さらには組成物が投与される経路に応じて異なり得る。例えば、組成物は、0.1%〜99%(w/w)の活性成分を含み得る。例として、組成物は、0.1%〜100%、例えば0.5〜50%、1〜30%、5〜80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、少なくとも1つのペイロードを含み得る。非限定例として、薬学的組成物は、1、2、3、4または5つのペイロードを含み得る。
【0224】
本明細書に提供される薬学的組成物に関する説明は、ヒトへの投与に好適な薬学的組成物を主に対象としているが、そのような組成物が、一般に任意の他の動物への、例えば非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳動物への投与に好適であることは、当業者によって理解されるであろう。組成物を様々な動物への投与に好適にするためにヒトへの投与に好適な薬学的組成物の修飾は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、存在する場合は単に通常の実験によって、そのような修飾を設計及び/または実施することができる。薬学的組成物の投与が企図される対象には、ヒト及び/または他の霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、ラットなどの商業的に関連する哺乳動物を含む哺乳動物、家禽、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/または七面鳥などの商業的に関連する鳥類を含む鳥類が含まれるが、これらに限定されない。
【0225】
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者または対象に投与される。
【0226】
製剤
本発明の製剤には、限定されないが、生理食塩水、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、ウイルスベクターでトランスフェクトされた細胞(例えば、対象中への移動または移植のための)及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0227】
本明細書に記載される薬学的組成物の製剤は、薬理学の分野において既知の、または今後開発される任意の方法によって調製され得る。本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、少なくとも1つの活性成分及び任意に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を指す。
【0228】
一般に、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤及び/または1つ以上の他の補助成分と関連付けるステップを含む。
【0229】
本明細書に記載される組成物の製剤は、薬理学の分野において既知の、または今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、そのような調製方法は、活性成分を1つ以上の賦形剤及び/または1つ以上の他の補助成分と関連付け、その後、必要であれば、及び/または望ましい場合、製品を所望の単回もしくは多回投与単位に成形及び/または梱包するステップを含む。
【0230】
本開示による薬学的組成物は、バルクで、単一単位用量として、及び/または複数の単一単位用量として調製、梱包、及び/または販売され得る。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、既定量の活性成分を含む薬学的組成物の個別量を指す。活性成分の量は、対象に投与されるであろう活性成分の投与量及び/または例えば、そのような投与量の半分もしくは3分の1などのそのような投与量の便利な画分にほぼ等しい。
【0231】
本開示による薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の識別、サイズ、及び/または病態に応じて、さらには組成物が投与される経路に応じて異なり得る。例えば、組成物は、0.1%〜99%(w/w)の活性成分を含み得る。例として、組成物は、0.1%〜100%、例えば0.5〜50%、1〜30%、5〜80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0232】
賦形剤及び希釈剤
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋であり得る。いくつかの実施形態では、賦形剤は、ヒト及び獣医用途の使用のために承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局によって承認され得る。いくつかの実施形態では、賦形剤は、医薬品グレードのものであり得る。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/または国際薬局方の基準を満たし得る。
【0233】
賦形剤には、本明細書で使用される場合、所望の特定の投薬形態に適するように、任意かつ全ての溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散剤もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、防腐剤等が含まれるが、これらに限定されない。薬学的組成物を製剤化するための様々な賦形剤及びその組成物を調製するための技法は、当該技術分野において既知である(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro,Lippincott,Williams&Wilkins,Baltimore,MD,2006を参照)。従来の賦形剤媒体の使用は、例えば任意の望ましくない生物学的効果をもたらすか、またはそうでなければ薬学的組成物の任意の他の構成成分(複数可)と有害に相互作用することによって、任意の従来の賦形剤媒体が物質またはその誘導体と両立し得ない場合を除いて、本開示の範囲内で企図され得る。
【0234】
例示的な希釈剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉糖等、及び/またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0235】
不活性成分
いくつかの実施形態では、薬学的組成物製剤は、少なくとも1つの不活性成分を含み得る。本明細書で使用される場合、「不活性成分」という用語は、製剤に含まれる薬学的組成物の活性成分の活性に寄与しない1つ以上の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、本発明の製剤で使用され得る不活性成分のうちの全てまたはいくつかが、米国食品医薬品局(FDA)によって承認され得るか、どれも承認されない場合がある。
【0236】
一実施形態では、薬学的組成物は、限定されないが、1,2,6−ヘキサントリオール;1,2−ジミリストイル−Sn−グリセロ−3−(ホスホ−S−(1−グリセロール));1,2−ジミリストイル−Sn−グリセロ−3−ホスホコリン;1,2−ジオレオイル−Sn−グリセロ−3−ホスホコリン;1,2−ジパルミトイル−Sn−グリセロ−3−(ホスホ−Rac−(1−グリセロール));1,2−ジステアロイル−Sn−グリセロ−3−(ホスホ−Rac−(1−グリセロール));1,2−ジステアロイル−Sn−グリセロ−3−ホスホコリン;1−O−トリルビグアニド;2−エチル−1,6−ヘキサンジオール;酢酸;氷酢酸;無水酢酸;アセトン;アセトン重亜硫酸ナトリウム;アセチル化ラノリンアルコール;アセチル化モノグリセリド;アセチルシステイン;DL−アセチルトリプトファン;アクリレートコポリマー;アクリル酸−イソオクチルアクリレートコポリマー;アクリル系接着剤788;活性炭;Adcote 72A103;接着テープ;アジピン酸;Aerotex樹脂3730;アラニン;凝集アルブミン;コロイド状アルブミン;ヒトアルブミン;アルコール;脱水アルコール;変性アルコール;希釈アルコール;Alfadex;アルギン酸;アルキルアンモニウムスルホン酸ベタイン;アルキルアリールスルホン酸ナトリウム;アラントイン;αアリル−イオノン;アーモンド油;α−テルピネオール;α−トコフェロール;α−トコフェロール酢酸塩、Dl−;α−トコフェロール、Dl−;酢酸アルミニウム;クロルヒドロキシアラントイン酸アルミニウム;水酸化アルミニウム;水酸化アルミニウム−スクロース、水和;水酸化アルミニウムゲル;水酸化アルミニウムゲルF 500;水酸化アルミニウムゲルF 5000;モノステアリン酸アルミニウム;酸化アルミニウム;アルミニウムポリエステル;ケイ酸アルミニウム;アクテニルコハク酸デンプンアルミニウム;ステアリン酸アルミニウム;塩基性酢酸アルミニウム;無水硫酸アルミニウム;アメルコールC;アメルコール−Cab;アミノメチルプロパノール;アンモニア;アンモニア溶液;強アンモニア溶液;酢酸アンモニウム;水酸化アンモニウム;ラウリル硫酸アンモニウム;アンモニウムノノキシノール−4硫酸塩;C−12〜C−15直鎖第一級アルコールエトキシレートのアンモニウム塩;硫酸アンモニウム;Ammonyx;両性物質−2;両性物質−9;アネトール;無水クエン酸;無水デキストロース;無水ラクトース;無水クエン酸三ナトリウム;アニス油;Anoxid Sbn;消泡剤;アンチピリン;アパフルラン;杏仁油Peg−6エステル;Aquaphor;アルギニン;Arlacel;アスコルビン酸;パルミチン酸アスコルビル;アスパラギン酸;ペルーバルサム;硫酸バリウム;蜜蝋;合成蜜蝋;ベヘネス−10;ベントナイト;塩化ベンザルコニウム;ベンゼンスルホン酸;塩化ベンゼトニウム;臭化ベンゾドデシニウム;安息香酸;ベンジルアルコール;安息香酸ベンジル;塩化ベンジル;Betadex;ビバプシチド;次没食子酸ビスマス;ホウ酸;Brocrinat;ブタン;ブチルアルコール;ビニルメチルエーテル/マレイン酸無水物コポリマーのブチルエステル(125000Mw);ステアリン酸ブチル;ブチル化ヒドロキシアニソール;ブチル化ヒドロキシトルエン;ブチレングリコール;ブチルパラベン;酪酸;C20−40 Pareth−24;カフェイン;カルシウム;炭酸カルシウム;塩化カルシウム;グルセプト酸カルシウム;水酸化カルシウム;乳酸カルシウム;カルコブトロール;カルジアミドナトリウム;カロキセト酸三ナトリウム;カルテリドールカルシウム;カナダバルサム;カプリル酸/カプリン酸三グリセリド;カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸三グリセリド;カプタン;Captisol;カラメル;カルボマー1342;カルボマー1382;カルボマー934;カルボマー934p;カルボマー940;カルボマー941;カルボマー980;カルボマー981;カルボマーホモポリマーB型(架橋アリルペンタエリスリトール);カルボマーホモポリマーC型(架橋アリルペンタエリスリトール);二酸化炭素;カルボキシビニルコポリマー;カルボキシメチルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウム;カルボキシポリメチレン;カラギーナン;カラギーナン塩;ひまし油;ニオイヒバ油;セルロース;微結晶セルロース;Cerasynt−Se;セレシン;Ceteareth−12;Ceteareth−15;Ceteareth−30;セテアリルアルコール/セテアレス−20;セテアリルエチルヘキサノエート;セテス−10;セテス−2;セテス−20;セテス−23;セトステアリルアルコール;塩化セトリモニウム;セチルアルコール;セチルエステル蝋;パルミチン酸セチル;塩化セチルピリジニウム;クロロブタノール;クロロブタノールヘミ水和物;無水クロロブタノール;クロロクレゾール;クロロキシレノール;コレステロール;コレス;コレス−24;クエン酸塩;クエン酸;クエン酸一水和物;含水クエン酸;コカミド硫酸エーテル;酸化コカミン;ココベタイン;ココジエタノールアミド;ココモノエタノールアミド;ココアバター;ココ−グリセリド;ココナッツ油;水素化ココナッツ油;水素化ココナッツ油/パーム核油グリセリド;ココイルカプリロカプレート;コーラニチダ種抽出物;コラーゲン;着色懸濁液;トウモロコシ油;綿実油;クリームベース;クレアチン;クレアチニン;クレゾール;クロスカルメロースナトリウム;クロスポビドン;硫酸銅;無水硫酸銅;シクロメチコン;シクロメチコン/ジメチコンコポリオール;システイン;塩酸システイン;無水塩酸システイン;Dl−システイン;D&C Red No.28;D&C Red No.33;D&C Red No.36;D&C Red No.39;D&C Yellow No.10;ダルファムピリジン;Daubert 1−5 Pestr(Matte)164z;デシルメチルスルホキシド;DehydagワックスSx;デヒドロ酢酸;Dehymuls E;安息香酸デナトニウム;デオキシコール酸;デキストラン;デキストラン40;デキストリン;デキストロース;デキストロース一水和物;デキストロース溶液;ジアトリゾ酸;ジアゾリジニル尿素;ジクロロベンジルアルコール;ジクロロジフルオロメタン;ジクロロテトラフルオロエタン;ジエタノールアミン;ジエチルピロカーボネート;セバシン酸ジエチル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;フタル酸ジエチルヘキシル;アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム;ジイソプロパノールアミン;アジピン酸ジイソプロピル;ジリノール酸ジイソプロピル;ジメチコン350;ジメチコンコポリオール;ジメチコンMdx4−4210;ジメチコン医療用流体360;ジメチルイソソルビド;ジメチルスルホキシド;ジメチルアミノエチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー;ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト;ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー;ジノセブアンモニウム塩;Dl−ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ジプロピレングリコール;ココアンフォ二酢酸二ナトリウム;ラウレススルホコハク酸二ナトリウム;ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム;スルホサリチル酸二ナトリウム;ジソフェニン;ジビニルベンゼンスチレンコポリマー;Dmdmヒダントイン;ドコサノール;ドクサートナトリウム;Duro−Tak 280−2516;Duro−Tak 387−2516;Duro−Tak 80−1196;Duro−Tak 87−2070;Duro−Tak 87−2194;Duro−Tak 87−2287;Duro−Tak 87−2296;Duro−Tak 87−2888;Duro−Tak 87−2979;エデト酸カルシウム二ナトリウム;エデト酸二ナトリウム;無水エデト酸二ナトリウム;エデト酸ナトリウム;エデト酸;卵リン脂質;エントスホン;エントスホンナトリウム;エピラクトース;エピテトラサイクリン塩酸塩;Essence Bouquet 9200;エタノールアミン塩酸塩;酢酸エチル;オレイン酸エチル;エチルセルロース;エチレングリコール;エチレン酢酸ビニルコポリマー;エチレンジアミン;エチレンジアミン二塩酸塩;エチレン−プロピレンコポリマー;エチレン−酢酸ビニルコポリマー(28%酢酸ビニル);エチレン−酢酸ビニルコポリマー(9%酢酸ビニル);ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル;エチルパラベン;ユーカリプトール;エキサメタジム;食用脂;硬質脂;脂肪酸エステル;脂肪酸ペンタエリスリトールエステル;脂肪酸;脂肪族クエン酸アルコール;脂肪族アルコール;Fd&C Blue No.1;Fd&C Green No.3;Fd&C Red No.4;Fd&C Red No.40;Fd&C Yellow No.10(リストから除外);Fd&C Yellow No.5;Fd&C Yellow No.6;塩化鉄;酸化鉄;風味剤89−186;風味剤89−259;風味剤Df−119;風味剤Df−1530;風味増強剤;イチジク風味剤827118;ラズベリー風味剤Pfc−8407;風味剤Rhodia Pharmaceutical No.Rf 451;フルオロクロロ炭化水素;ホルムアルデヒド;ホルムアルデヒド溶液;分画ココナッツ油;香料3949−5;香料520a;香料6.007;香料91−122;香料9128−Y;香料93498g;バルサムパイン香料No.5124;ブーケ香料10328;Chemoderm香料6401−B;Chemoderm香料6411;香料クリームNo.73457;香料Cs−28197;香料Felton 066m;香料Firmenich 47373;香料Givaudan Ess 9090/1c;香料H−6540;香料ハーブ10396;香料Nj−1085;香料 P O Fl−147;香料Pa52805;香料Pera Derm D;香料Rbd−9819;香料Shaw Mudge U−7776;香料Tf 044078;香料Ungerer Honeysuckle K 2771;香料Ungerer N5195;フルクトース;酸化ガドリニウム;ガラクトース;γシクロデキストリン;ゼラチン;架橋ゼラチン;ゼルフォームスポンジ;ゲランガム(低アシル);Gelva 737;ゲンチシン酸;ゲンチシン酸エタノールアミド;グルセプテートナトリウム;グルセプテートナトリウム二水和物;グルコノラクトン;グルクロン酸;Dl−グルタミン酸;グルタチオン;グリセリン;水素化ロジンのグリセロールエステル;クエン酸グリセリル;イソステアリン酸グリセリル;ラウリン酸グリセリル;モノステアリン酸グリセリル;オレイン酸グリセリル;オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール;パルミチン酸グリセリル;リシノール酸グリセリル;ステアリン酸グリセリル;ステアリン酸グリセリル−ラウレス−23;ステアリン酸グリセリル/Pegステアレート;ステアリン酸グリセリル/Peg−100ステアレート;ステアリン酸グリセリル/Peg−40ステアレート;ステアリン酸グリセリル−ステアラミドエチルジエチルアミン;トリオレイン酸グリセリル;グリシン;塩酸グリシン;ジステアリン酸グリコール;ステアリン酸グリコール;塩酸グアニジン;グアーガム;ヘアコンディション(18n195−1m);ヘプタン;ヘタスターチ;ヘキシレングリコール;高密度ポリエチレン;ヒスチジン;ヒトアルブミン微小球;ヒアルロン酸ナトリウム;炭化水素;可塑化炭化水素ゲル;塩酸;希釈塩酸;ヒドロコルチゾン;ヒドロゲルポリマー;過酸化水素;水素化ひまし油;水素化パーム油;水素化パーム/パーム核油Peg−6エステル;水素化ポリブテン635−690;水酸化物;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸;ヒドロキシメチルセルロース;ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース2906;ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;ヒプロメロース2208(15000Mpa.S);ヒプロメロース2910(15000Mpa.S);ヒプロメロース;イミド尿素;ヨウ素;ヨードキサミン酸;塩酸イオフェタミン;アイリッシュモス抽出物;イソブタン;イソセテス−20;イソロイシン;アクリル酸イソオクチル;イソプロピルアルコール;イソステアリン酸イソプロピル;ミリスチン酸イソプロピル;ミリスチン酸イソプロピル−ミリスチルアルコール;パルミチン酸イソプロピル;ステアリン酸イソプロピル;イソステアリン酸;イソステアリルアルコール;等張塩化ナトリウム溶液;Jelene;カオリン;Kathon Cg;Kathon Cg II;乳酸塩;乳酸;Dl−乳酸;L−乳酸;ラクトビオン酸;ラクトース;ラクトース一水和物;含水ラクトース;Laneth;ラノリン;ラノリンアルコール−鉱物油;ラノリンアルコール;無水ラノリン;ラノリンコレステロール;ラノリン非イオン性誘導体;エトキシル化ラノリン;水素化ラノリン;塩化ラウラルコニウム;酸化ラウラミン;ラウルジモニウム加水分解動物コラーゲン;硫酸ラウレス;ラウレス−2;ラウレス−23;ラウレス−4;ラウリン酸ジエタノールアミド;ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド;ラウロイルサルコシン;乳酸ラウリル;硫酸ラウリル;ラベンダー(Lavandula Angustifolia)花頂;レシチン;未漂白レシチン;卵黄レシチン;水素化レシチン;水素化ダイズレシチン;ダイズレシチン;レモン油;ロイシン;レブリン酸;リドフェニン;軽鉱物油;軽鉱物油(85Ssu);(+/−)−リモネン;Lipocol Sc−15;リシン;酢酸リシン;リシン一水和物;マグネシウムケイ酸アルミニウム;マグネシウムケイ酸アルミニウム水和物;塩化マグネシウム;硝酸マグネシウム;ステアリン酸マグネシウム;マレイン酸;マンニトール;Maprofix;メブロフェニン;医療用接着剤修飾S−15;医療用消泡剤A−Fエマルジョン;メドロン酸二ナトリウム;メドロン酸;メグルミン;メントール;メタクレゾール;メタリン酸;メタンスルホン酸;メチオニン;メチルアルコール;メチルグルセス−10;メチルグルセス−20;メチルグルセス−20セスキステアレート;メチルグルコースセスキステアレート;ラウリン酸メチル;メチルピロリドン;サリチル酸メチル;ステアリン酸メチル;メチルボロン酸;メチルセルロース(4000Mpa.S);メチルセルロース;メチルクロロイソチアゾリノン;メチレンブルー;メチルイソチアゾリノン;メチルパラベン;マイクロクリスタリンワックス;鉱物油;モノグリセリド及びジグリセリド;クエン酸モノステアリル;モノチオグリセロール;マルチステロール抽出物;ミリスチルアルコール;乳酸ミリスチル;ミリスチル−γ−ピコリニウムクロリド;N−(カルバモイル−メトキシPeg−40)−1,2−ジステアロイル−セファリンナトリウム;N,N−ジメチルアセトアミド;ナイアシンアミド;ニオキシム;硝酸;窒素;非オキシノールヨウ素;非オキシノール−15;非オキシノール−9;ノルフルラン;オートミール;オクタデセン−1/マレイン酸コポリマー;オクタン酸;オクチサレート;オクトキシノール−1;オクトキシノール−40;オクトキシノール−9;オクチルドデカノール;オクチルフェノールポリメチレン;オレイン酸;オレス−10/オレス−5;オレス−2;オレス−20;オレイルアルコール;オレイン酸オレイル;オリーブ油;オキシドロン酸二ナトリウム;オキシキノリン;パーム核油;酸化パルミタミン;パラベン;パラフィン;白色パラフィン;Parfumクリーム45/3;ピーナッツ油;精製ピーナッツ油;ペクチン;Peg 6−32ステアレート/ステアリン酸グリコール;Peg植物油;Peg−100ステアレート;Peg−12グリセリルラウレート;Peg−120グリセリルステアレート;Peg−120メチルジオレイン酸グルコース;Peg−15コカミン;Peg−150ジステアレート;Peg−2ステアレート;Peg−20ソルビタンイソステアレート;Peg−22メチルエーテル/ドデシルグリコールコポリマー;Peg−25プロピレングリコールステアレート;Peg−4ジラウレート;Peg−4ラウレート;Peg−40ひまし油;Peg−40ソルビタンジイソステアレート;Peg−45/ドデシルグリコールコポリマー;Peg−5オレエート;Peg−50ステアレート;Peg−54水素化ひまし油;Peg−6イソステアレート;Peg−60ひまし油;Peg−60水素化ひまし油;Peg−7メチルエーテル;Peg−75ラノリン;Peg−8ラウレート;Peg−8ステアレート;Pegoxol 7ステアレート;ペンタデカラクトン;ペンタエリスリトールココエート;ペンテト酸ペンタナトリウム;ペンテト酸カルシウム三ナトリウム;ペンテト酸;ペパーミント油;ペルフルトレン;パフューム25677;パフュームブーケ;パフュームE−1991;パフュームGd 5604;パフュームTana 90/42 Scba;パフュームW−1952−1;ペトロラタム;白色ペトロラタム;石油蒸留物;フェノール;液化フェノール;Phenonip;フェノキシエタノール;フェニルアラニン;フェニルエチルアルコール;酢酸フェニル水銀;硝酸フェニル水銀;卵黄ホスファチジルグリセロール;リン脂質;卵黄リン脂質;ホスホリポン90g;リン酸;パインニードル油(Pinus Sylvestris);ピペラジン六水和物;プラスチベース−50w;ポラクリリン;塩化ポリドロニウム;ポロキサマー124;ポロキサマー181;ポロキサマー182;ポロキサマー188;ポロキサマー237;ポロキサマー407;ポリ(ビス(P−カルボキシフェノキシ)プロパン無水物);セバシン酸;ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン/メチルヒドロゲンシロキサン)ジメチルビニルまたはジメチルヒドロキシまたはトリメチル末端遮断;ポリ(Dl−乳酸−Co−グリコール酸),(50:50;ポリ(Dl−乳酸−Co−グリコール酸)、末端エチルエステル(50:50;ポリアクリル酸(250000Mw);ポリブテン(1400Mw);ポリカルボフィル;ポリエステル;ポリエステルポリアミンコポリマー;ポリエステルレーヨン;ポリエチレングリコール1000;ポリエチレングリコール1450;ポリエチレングリコール1500;ポリエチレングリコール1540;ポリエチレングリコール200;ポリエチレングリコール300;ポリエチレングリコール300−1600;ポリエチレングリコール3350;ポリエチレングリコール400;ポリエチレングリコール4000;ポリエチレングリコール540;ポリエチレングリコール600;ポリエチレングリコール6000;ポリエチレングリコール8000;ポリエチレングリコール900;黒酸化鉄を含有する高密度ポリエチレン(<1%);硫酸バリウムを含有する低密度ポリエチレン(20〜24%);ポリエチレンT;ポリエチレンテレフタレート;ポリグラクチン;ポリグリセリル−3オレエート;ポリグリセリル−4オレエート;ポリヒドロキシエチルメタクリレート;ポリイソブチレン;ポリイソブチレン(1100000Mw);ポリイソブチレン(35000Mw);ポリイソブチレン178−236;ポリイソブチレン241−294;ポリイソブチレン35−39;低分子量ポリイソブチレン;中分子量ポリイソブチレン;ポリイソブチレン/ポリブテン接着剤;ポリラクチド;ポリオール;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン1800;ポリオキシエチレンアルコール;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンプロピレン;ポリオキシル20セトステアリルエーテル;ポリオキシル35ひまし油;ポリオキシル40水素化ひまし油;ポリオキシル40ステアレート;ポリオキシル400ステアレート;ポリオキシル6及びポリオキシル32パルミトステアレート;ジステアリン酸ポリオキシル;ポリオキシルステアリン酸グリセリル;ポリオキシルラノリン;パルミチン酸ポリオキシル;ステアリン酸ポリオキシル;ポリプロピレン;ポリプロピレングリコール;ポリクオタニウム−10;ポリクオタニウム−7(70/30アクリルアミド/Dadmac;ポリシロキサン;ポリソルベート20;ポリソルベート40;ポリソルベート60;ポリソルベート65;ポリソルベート80;ポリオレタン;酢酸ポリビニル;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニル−ポリ酢酸ビニルコポリマー;ポリビニルピリジン;ポピーシード油;カリ;酢酸カリウム;カリウムミョウバン;重炭酸カリウム;重亜硫酸カリウム;塩化カリウム;クエン酸カリウム;水酸化カリウム;ピロ亜硫酸カリウム;二塩基性リン酸カリウム;一塩基性リン酸カリウム;カリウム石鹸;ソルビン酸カリウム;ポビドンアクリレートコポリマー;ポビドンヒドロゲル;ポビドンK17;ポビドンK25;ポビドンK29/32;ポビドンK30;ポビドンK90;ポビドンK90f;ポビドン/エイコセンコポリマー;ポビドン;Ppg−12/Smdiコポリマー;Ppg−15ステアリルエーテル;Ppg−20メチルグルコースエーテルジステアレート;Ppg−26オレエート;Product Wat;プロリン;Promulgen D;Promulgen G;プロパン;推進剤A−46;没食子酸プロピル;炭酸プロピレン;プロピレングリコール;プロピレングリコールジアセタート;プロピレングリコールジカプリレート;プロピレングリコールモノラウレート;プロピレングリコールモノパルミトステアレート;プロピレングリコールパルミトステアレート;プロピレングリコールリシノレート;プロピレングリコール/ジアゾリジニル尿素/メチルパラベン/プロピルパラベン;プロピルパラベン;硫酸プロタミン;タンパク質加水分解物;Pvm/Maコポリマー;クオタニウム−15;クオタニウム−15 シス形態;クオタニウム−52;Ra−2397;Ra−3011;サッカリン;サッカリンナトリウム;無水サッカリンナトリウム;サフラワー油;Sdアルコール3a;Sdアルコール40;Sdアルコール40−2;Sdアルコール40b;Sepineo P600;セリン;ゴマ油;シアバター;Silasticブランド医療グレードチュービング;Silastic医療用接着剤、シリコーンA型;歯科用シリカ;ケイ素;二酸化ケイ素;コロイド状二酸化ケイ素;シリコーン;シリコーン接着剤4102;シリコーン接着剤4502;シリコーン接着剤Bio−Psa Q7−4201;シリコーン接着剤Bio−Psa Q7−4301;シリコーンエマルジョン;シリコーン/ポリエステルフィルムストリップ;シメチコン;シメチコンエマルジョン;Sipon Ls 20np;ソーダ灰;酢酸ナトリウム;無水酢酸ナトリウム;アルキル硫酸ナトリウム;アスコルビン酸ナトリウム;安息香酸ナトリウム;重炭酸ナトリウム;亜硫酸ナトリウム;亜硫酸水素ナトリウム;ホウ酸ナトリウム;ホウ酸ナトリウム十水和物;炭酸ナトリウム;炭酸ナトリウム十水和物;炭酸ナトリウム一水和物;セトステアリル硫酸ナトリウム;塩素酸ナトリウム;塩化ナトリウム;塩化ナトリウム注射;静菌性塩化ナトリウム注射;硫酸コレステリルナトリウム;クエン酸ナトリウム;ココイルサルコシン酸ナトリウム;デオキシコール酸ナトリウム;亜ジチオン酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム;グルコン酸ナトリウム;水酸化ナトリウム;次亜塩素酸ナトリウム;ヨウ化ナトリウム;乳酸ナトリウム;L−乳酸ナトリウム;ラウレス−2硫酸ナトリウム;ラウレス−3硫酸ナトリウム;ラウレス−5硫酸ナトリウム;ラウロイルサルコシン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム;ピロ亜硫酸ナトリウム;硝酸ナトリウム;リン酸ナトリウム;リン酸ナトリウム二水和物;二塩基性リン酸ナトリウム;無水二塩基性リン酸
ナトリウム;二塩基性リン酸ナトリウム二水和物;二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物;二塩基性リン酸ナトリウム七水和物;一塩基性リン酸ナトリウム;無水一塩基性リン酸ナトリウム;一塩基性リン酸ナトリウム二水和物;一塩基性リン酸ナトリウム一水和物;ポリアクリル酸ナトリウム(2500000Mw);ピロリン酸ナトリウム;ピロリドンカルボン酸ナトリウム;デンプングリコール酸ナトリウム;コハク酸ナトリウム六水和物;硫酸ナトリウム;無水硫酸ナトリウム;硫酸ナトリウム十水和物;亜硫酸ナトリウム;スルホコハク酸化ウンデシクレンモノアルキロールアミドナトリウム;酒石酸ナトリウム;チオグリコール酸ナトリウム;チオリンゴ酸ナトリウム;チオ硫酸ナトリウム;無水チオ硫酸ナトリウム;トリメタリン酸ナトリウム;キシレンスルホン酸ナトリウム;Somay 44;ソルビン酸;ソルビタン;イソステアリン酸ソルビタン;モノラウリン酸ソルビタン;モノオレイン酸ソルビタン;モノパルミチン酸ソルビタン;モノステアリン酸ソルビタン;セスキオレイン酸ソルビタン;トリオール酸ソルビタン;トリステアリン酸ソルビタン;ソルビトール;ソルビトール溶液;ダイズ粉;ダイズ油;スペアミント油;鯨蝋;スクアラン;安定化オキシクロロ複合体;2−エチルヘキサン酸スズ;塩化スズ;無水塩化スズ;フッ化スズ;酒石酸スズ;デンプン;アルファデンプン1500;トウモロコシデンプン;ステアラルコニウムクロリド;ステアラルコニウムヘクトライト/炭酸プロピレン;ステアラミドエチルジエチルアミン;ステアレス−10;ステアレス−100;ステアレス−2;ステアレス−20;ステアレス−21;ステアレス−40;ステアリン酸;ステアリン酸ジエタノールアミド;ステアロキシトリメチルシラン;ステアルトリモニウム加水分解動物コラーゲン;ステアリルアルコール;吸入用無菌水;スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマー;サクシマー;コハク酸;スクラロース;スクロース;ジステアリン酸スクロース;スクロースポリエステル;スルファセタミドナトリウム;スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン;二酸化硫黄;硫酸;亜硫酸;Surfactol Qs;D−タガトース;タルク;トール油;牛脂グリセリド;酒石酸;Dl−酒石酸;Tenox;Tenox−2;Tert−ブチルアルコール;Tert−ブチルヒドロペルオキシド;Tert−ブチルヒドロキノン;テトラキス(2−メトキシイソブチルイソシアニド)銅(I)テトラフルオロホウ酸塩;オルトケイ酸テトラプロピル;テトロホスミン;テオフィリン;チメロサール;トレオニン;チモール;スズ;二酸化チタン;トコフェロール;トコフェルソラン;完全非経口栄養、脂質エマルジョン;トリアセチン;トリカプリリン;トリクロロモノフルオロメタン;トリデセス−10;トリエタノールアミン硫酸ラウリル;トリフルオロ酢酸;中鎖トリグリセリド;トリヒドロキシステアリン;Trilaneth−4リン酸塩;Trilaureth−4リン酸塩;クエン酸三ナトリウム二水和物;三ナトリウムHedta;トリトン720;トリトンX−200;トロラミン;トロマンタジン;トロメタミン(TRIS);トリプトファン;チロキサポール;チロシン;ウンデシレン酸;Union 76 Amsco−Res 6038;尿素;バリン;植物油;水素化植物油グリセリド;水素化植物油;ベルセタミド;Viscarin;ビスコース/綿;ビタミンE;乳化蝋;Wecobee Fs;白色セレシン蝋;白色蝋;キサンタンガム;亜鉛;酢酸亜鉛;炭酸亜鉛;塩化亜鉛;及び酸化亜鉛などの少なくとも1つの不活性成分を含む。
【0237】
本明細書に開示される薬学的組成物製剤は、カチオンまたはアニオンを含み得る。一実施形態では、製剤は、限定されないが、Zn2+、Ca2+、Cu2+、Mn2+、Mg+及びそれらの組み合わせなどの金属カチオンを含む。非限定例として、製剤は、ポリマー及び金属カチオンとの複合体を含み得る(例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,265,389号及び同第6,555,525号を参照)。
【0238】
本発明の製剤はまた、1つ以上の薬学的に許容される塩を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、開示される化合物の誘導体を指し、本化合物は、既存の酸または塩基部分を(例えば、遊離塩基基を好適な有機酸と反応させることによって)その塩形態に変換することによって修飾される。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の好物または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機酸等が含まれるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、酢酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素塩、塩化水素塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ性土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、ならびに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含む、非毒性アンモニウム、4級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。本開示の薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩が挙げられる。
【0239】
溶媒は、有機溶媒、水、またはそれらの混合物を含む溶液からの結晶化、再結晶化、または沈殿によって調製され得る。好適な溶媒の例は、エタノール、水(例えば、一水和物、二水和物、及び三水和物)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N′−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N′−ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEU)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−(1H)−ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2−ピロリドン、ベンジル安息香酸塩等である。水が溶媒である場合、溶媒和物は、「水和物」と称される。
【0240】
V.投与及び投薬
投与
「投与する」及び「導入する」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、細胞または対象への薬学的組成物の送達を指す。対象への送達の場合、薬学的組成物は、肝細胞などの所望の部位における導入細胞の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって送達され、それにより所望の効果(複数可)がもたらされる。
【0241】
方法の一態様では、薬学的組成物は、限定されないが、経腸(腸の中)、胃腸、硬膜外(epidural)(硬膜の中)、経口(口を介して)、経皮、硬膜外(peridural)、脳内(大脳の中)、脳室内(脳室の中)、上皮(皮膚の上に適用)、皮内(皮膚自体の中)、皮下(皮膚の下)、経鼻投与(鼻を通して)、静脈内(静脈の中)、静脈内ボーラス、点滴、動脈内(動脈の中)、筋内(筋肉の中)、心内(心臓の中)、骨内注入(骨髄の中)、髄腔内(脊柱管の中)、腹腔内(腹腔の中に注入または注射)、膀胱内注入、硝子体内(眼を通して)、空洞内注射(病理的空洞の中)、腔内(陰茎の基部の中)、膣内投与、子宮内、羊水外投与、経皮(全身分配のための無傷の皮膚を通した拡散)、経粘膜(粘膜を通した拡散)、経腟、吹送(スノーティング)、舌下、口唇下、坐薬、点眼薬(結膜上)、点耳薬中、耳(耳の中または耳を介して)、頬(頬に向かって指向される)、結膜、皮膚、歯(1本または複数の歯に)、電気浸透、洞内、気管内、体外、血液透析、浸潤、間質性、腹部内、羊水内、動脈内、胆管内、気管支内、髄液嚢内、軟骨内(軟骨内)、仙骨内(馬尾内)、槽内(大槽小脳延髄槽内)、角膜間(角膜内)、歯冠内、冠内(冠状動脈内)、海綿体内(陰茎の海綿体の膨張性空間内)、円板内(ディスク内)、管内(腺管内)、十二指腸内(十二指腸内)、硬膜内(硬膜内または硬膜下)、上皮内(上皮へ)、食道内(食道へ)、胃内(胃内)、歯肉内(歯肉内)、回腸内(小腸の遠位部分内)、病変内(局在化病変内または直接導入)、腔内(管の腔内)、リンパ内(リンパ内)、髄内(骨の髄腔内)、髄膜内(髄膜内)、心筋内(心筋内)、眼内(目内)、卵巣内(卵巣内)、心膜内(心膜内)、胸膜内(胸膜内)、前立腺内(前立腺内)、肺内(肺またはその気管支内)、鼻腔内(鼻または眼窩腔内)、脊髄内(脊柱内)、関節滑液嚢内(関節の滑液腔内)、腱内(腱内)、精巣内(精巣内)、髄腔内(任意のレベルの脳脊髄軸での脳脊髄液内)、胸腔内(胸郭内)、管内(臓器の管内)、腫瘍内(腫瘍内)、鼓室内(中耳内)、血管内(1本または複数の血管内)、心室内(心室内)、イオン泳動(可溶性塩のイオンが身体の組織中に移行する電流によって)、灌水(開放創または体腔を浸すまたは洗い流す)、喉頭(咽頭の上に直接)、鼻腔胃(鼻を通して胃の中に)、密封包帯法(後に領域を密封する包帯によって被覆される局所経路投与)、眼部(外眼部に)、中咽頭(口及び咽頭に直接)、非経口、経皮、関節周囲、硬膜外、神経周囲、歯周、直腸、呼吸(局所または全身効果のために経口的または経鼻的に吸入することによって気道内)、眼球後(脳端の後ろまたは眼球の後ろ)、心筋内(心筋に入る)、軟組織、クモ膜下、結膜下、粘膜下、局所、経胎盤(胎盤を通るかまたは胎盤全体)、経気管(気管の壁を通る)、経鼓膜(鼓室全体または鼓室を通る)、尿管(尿管へ)、尿道(尿道へ)、膣、仙骨ブロック、診断、神経ブロック、胆汁灌流、心臓灌流、フォトフェレーシス及び脊柱などの経路を介して投与され得る。
【0242】
投与様式には、注射、注入、点滴、及び/または摂取が含まれる。「注射」には、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、心室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内、及び胸骨内の注射及び注入が含まれる。いくつかの例において、経路は静脈内である。細胞の送達に関しては、注射または注入による投与を行うことができる。
【0243】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、全身的に細胞に投与され得る。「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」及び「末梢的に投与される」という表現は、標的部位、組織、または臓器に直接ではない形で投与することを指し、それにより、代わりに対象の循環系に侵入し、したがって代謝及び他の類似プロセスに供される。他の実施形態では、本発明の化合物は、エクスビボで細胞に投与され得る。すなわち、化合物は、臓器または組織から除去された細胞に投与され、対象の体外、例えば、初代培養物中で保持され得る。
【0244】
投薬
「有効量」という用語は、特定の疾患及び/または病態の少なくとも1つ以上の徴候または症状を予防または軽減するために必要な活性成分の量を指し、所望の効果を提供するための組成物の十分な量に関連する。そのため、「治療有効量」という用語は、典型的な対象に投与したときに特定の効果を促進するのに十分である活性成分を含む、活性成分または組成物の量を指す。また、有効量は、疾患の症状発生の予防または遅延、疾患の症状の経過の変更(例えば、以下に限定されないが、疾患の症状の進行を遅らせること)、または疾患の症状の反転に十分な量も含むと考えられる。任意の所与の場合について、適切な「有効量」は、当業者により、通常の実験を用いて決定され得ると理解されている。
【0245】
本発明の薬学的、診断的、または予防的組成物は、疾患、障害及び/または病態を予防、治療、管理、または診断するために有効な任意の量及び任意の投与経路を使用して対象に投与され得る。必要とされる正確な量は、対象の人種、年齢、及び全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式等に応じて対象ごとに異なり得る。対象は、ヒト、哺乳動物、または動物であり得る。本発明による組成物は、典型的には、投与の容易性及び投与量の均一性のために単一剤形で製剤化される。しかしながら、本発明の組成物の総1日使用量は、合理的な医療判断の範囲内で担当医師により決定され得ることが理解されるであろう。任意の特定の個体についての具体的な治療有効用量レベル、予防有効用量レベル、または適切な診断用量レベルは、治療される障害及び障害の重篤度;用いられる具体的なペイロードの活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康、性別及び食事;投与の時間及び投与の経路;治療の期間;活性成分と組み合わせて、または同時に使用される薬物、ならびに医療分野で周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存する。
【0246】
ある特定の実施形態では、本発明による薬学的組成物は、1日あたり対象の体重の約0.01mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、約0.1mg/kg〜約40mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、または約1mg/kg〜約25mg/kgを、1日1回以上送達して、所望の治療的、診断的、または予防的効果を得るために十分な投与量レベルで投与され得る。
【0247】
本発明の組成物の所望の投与量は、1回のみ、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、毎週、2週間ごと、3週間ごと、または4週間ごとに送達され得る。ある特定の実施形態では、所望の投与量は、多回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回、またはそれ以上の投与)を使用して送達され得る。多回投与を用いる場合、本明細書に記載されるものなどの分割投与レジメンが使用され得る。本明細書で使用される場合、「分割用量」は、「単一単位用量」または全日用量の2用量以上への分割、例えば「単一単位用量」の2回以上の投与である。本明細書で使用される場合、「単一単位用量」は、1用量/1回/単一経路/単一接触点、すなわち単一投与事象で投与される任意の治療薬の用量である。
【0248】
VI.定義
「類似体」という用語は、本明細書で使用される場合、基準化合物に構造的に関連し、基準化合物と共通の機能的活性を共有する化合物を指す。
【0249】
「生物学的」という用語は、本明細書で使用される場合、微生物、植物、動物、またはヒト細胞などの様々な天然源から作製された医薬製品を指す。
【0250】
「境界」という用語は、本明細書で使用される場合、特徴、エレメント、または特性が終了または開始する場所を示す点、限界、または範囲を指す。
【0251】
「化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、単剤もしくはその薬学的に許容される塩、または生物活性剤もしくは薬物を指す。
【0252】
「誘導体」という用語は、本明細書で使用される場合、基準化合物とは構造が異なるが、基準分子の本質的特性を保持する。
【0253】
「下流近傍遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、一次近傍遺伝子と同じ絶縁近傍内に位置し得る、一次近傍遺伝子の下流にある遺伝子を指す。
【0254】
「薬物」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患の診断、治癒、軽減、治療、または予防における使用のために意図され、身体の構造または任意の機能に影響を及ぼすことが意図される食品以外の物質を指す。
【0255】
「エンハンサー」という用語は、本明細書で使用される場合、転写因子によって結合されたときに、関連遺伝子の転写を強化する調節DNA配列を指す。
【0256】
「遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、生物、例えば染色体のゲノムアーキテクチャの単位またはセグメントを指す。遺伝子は、コードまたは非コードであり得る。遺伝子は、連続または非連続ポリヌクレオチドとしてコードされ得る。遺伝子は、DNAまたはRNAであり得る。
【0257】
「ゲノムシグナル伝達中心」、すなわち「シグナル伝達中心」という用語は、本明細書で使用される場合、絶縁近傍内または複数の絶縁近傍中の遺伝子の調節に関与するシグナル伝達分子/シグナル伝達タンパク質の状況特異的複合アセンブリに結合することができる領域を含む、当該絶縁近傍内の領域を指す。
【0258】
「ゲノム系アーキテクチャ」という用語は、本明細書で使用される場合、個体のゲノムの組織化を指し、染色体、位相関連ドメイン(TAD)、及び絶縁近傍を含む。
【0259】
「薬草調製物」という用語は、本明細書で使用される場合、植物の一部、または他の植物材料、または組み合わせを活性成分として含有する生薬を指す。
【0260】
「絶縁近傍」(IN)という用語は、本明細書で使用される場合、コヒーシンによって共占有されるCCCTC結合因子(CTCF)を含み得、かつ絶縁近傍中の遺伝子ならびに絶縁近傍の近位にある遺伝子の発現に影響を及ぼし得る、染色体配列中の2つの相互作用部位のルーピングによって形成される染色体構造を指す。
【0261】
「インスレーター」という用語は、本明細書で使用される場合、それらの間に位置しているときに遺伝子をエンハンサーが活性化する能力をブロックし、特定のエンハンサー・遺伝子相互作用に寄与する、調節エレメントを指す。
【0262】
「マスター転写因子」という用語は、本明細書で使用される場合、標的遺伝子、例えば近傍遺伝子の転写を変更(増加または減少)し、細胞型特異的エンハンサーを確立する、シグナル伝達分子を指す。マスター転写因子は、他の転写因子などの追加のシグナル伝達タンパク質をエンハンサーに動員して、シグナル伝達中心を形成する。
【0263】
「最小絶縁近傍」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの近傍遺伝子、ならびに、プロモーター及び/またはエンハンサー及び/またはリプレッサー領域などの近傍遺伝子の発現または抑制を促進する関連した調節配列領域(RSR)(複数可)を有する、絶縁近傍を指す。
【0264】
「調整する」という用語は、本明細書で使用される場合、標的遺伝子の発現及び/または遺伝子産物の活性における変更(例えば、増加または減少)を指す。
【0265】
「近傍遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、絶縁近傍内に位置する遺伝子を指す。
【0266】
「浸透度」という用語は、本明細書で使用される場合、その変異体遺伝子の関連した特性(表現型)も呈する遺伝子の特定の変異体(例えば、野生型であるか否かにかかわらず、突然変異、対立遺伝子または一般遺伝子型)を担持する個体の割合を指し、いくつかの状況では、臨床症状を呈する、したがって連続体上に存在する突然変異を有する個体の割合として測定される。
【0267】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、最も多くの場合、ペプチド結合によって一緒に結合される(天然または非天然の)アミノ酸残基のポリマーを指す。本明細書で使用される場合、この用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。場合によっては、コードされるポリペプチドは、約50アミノ酸よりも小さく、ポリペプチドは、ペプチドと呼ばれる。ポリペプチドがペプチドである場合、少なくとも約2、3、4、または少なくとも5アミノ酸残基長となる。
【0268】
「一次近傍遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、染色体に沿った特定の絶縁近傍内で最も一般に見出される遺伝子を指す。
【0269】
「一次下流境界」という用語は、本明細書で使用される場合、一次近傍遺伝子の下流に位置する絶縁近傍境界を指す。
【0270】
「一次上流境界」という用語は、本明細書で使用される場合、一次近傍遺伝子の上流に位置する絶縁近傍境界を指す。
【0271】
「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、RNAポリメラーゼによる遺伝子の転写が始まる場所を定義し、かつどのDNA鎖が転写されるかを示す転写の方向を定義する、DNA配列を指す。
【0272】
「調節配列領域」という用語は、本明細書で使用される場合、限定されないが、染色体に沿った領域、区分または区域を含み、ここで、近傍遺伝子の発現を変更するためにシグナル伝達分子との相互作用が起こる。
【0273】
「リプレッサー」という用語は、本明細書で使用される場合、DNAに結合し、したがって転写の速度を減少させることによって遺伝子の発現を調節する、任意のタンパク質を指す。
【0274】
「二次下流境界」という用語は、本明細書で使用される場合、一次絶縁近傍内の二次ループの下流境界を指す。
【0275】
「二次上流境界」という用語は、本明細書で使用される場合、一次絶縁近傍内の二次ループの上流境界を指す。
【0276】
「シグナル伝達中心」という用語は、本明細書で使用される場合、シグナル伝達タンパク質またはシグナル伝達分子(例えば、転写因子)などの所定の生体分子セットと相互作用して遺伝子発現を状況特異的な方法で調節する、生存生物の所定の領域を指す。
【0277】
「シグナル伝達分子」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質、核酸(DNAもしくはRNA)、有機小分子、脂質、糖または他の分子にかかわらず、染色体上の調節配列領域と直接または間接的に相互作用する、任意の実体を指す。
【0278】
「シグナル伝達転写因子」という用語は、本明細書で使用される場合、標的遺伝子、例えば近傍遺伝子の転写を増加するかまたは減少するかにかかわらず変更し、細胞−細胞シグナル伝達分子としても作用する、シグナル伝達分子を指す。
【0279】
「小分子」という用語は、本明細書で使用される場合、生物学的プロセスの調節を助けることができる低分子量薬物、すなわち、5000ダルトン未満の有機化合物を指す。
【0280】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本発明による組成物での治療が提供される動物を指す。
【0281】
「スーパーエンハンサー」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞同一性を定義する遺伝子の発現を駆動する転写エンハンサーの大きなクラスターであることを指す。
【0282】
「治療剤」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患を治癒するか、または疾患の症状を改善する能力を有する物質を指す。
【0283】
「治療(therapeutic)または治療(treatment)成果」という用語は、本明細書で使用される場合、GSCまたはGSNの摂動の結果として生じる任意の結果または効果(正、負またはヌル)を指す。治療成果の例には、疾患もしくは障害に関連する望ましくない病態もしくは負の病態の改良もしくは改善、副作用もしくは症状の軽減、疾患もしくは障害の治癒、またはGSCもしくはGSNの摂動に関連する任意の改良が含まれるが、これらに限定されない。
【0284】
「位相関連ドメイン」(TAD)という用語は、本明細書で使用される場合、染色体のモジュラー組織化を表し、異なる細胞型の生物によって共有される境界を有する、構造を指す。
【0285】
「転写因子」という用語は、本明細書で使用される場合、標的遺伝子、例えば、近傍遺伝子の転写を変更(増加または減少)するシグナル伝達分子である。
【0286】
「治療(therapeutic)または治療(treatment)負債」という用語は、本明細書で使用される場合、望ましくない、有害である、または、治療法の正の成果を弱める、治療または治療レジームに関連する特徴または特性を指す。治療負債の例には、例えば、毒性、不良な半減期、不良な生物学的利用能、有効性または薬物動態もしくは薬力学的リスクの欠失または喪失が含まれる。
【0287】
「上流近傍遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、一次近傍遺伝子と同じ絶縁近傍内に位置し得る一次近傍遺伝子の上流にある遺伝子を指す。
【0288】
「尿素サイクル異常症」という用語は、本明細書で使用される場合、尿素サイクルにおける欠陥または機能不全によって引き起こされる任意の障害を指す。
【0289】
「尿素サイクル関連遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、その遺伝子産物(例えば、RNAまたはタンパク質)が尿素サイクルに関与する遺伝子を指す。
【0290】
尿素サイクル異常症(例えば、OTC欠損症)の治療のためのゲノムシグナル伝達中心(GSC)または全体遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)の摂動のための組成物及び方法が、本明細書に記載される。本発明の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の以下の記載で説明される。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の材料及び方法を本発明の実践または試験において使用することもできるが、好ましい材料及び方法は、これから説明される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、その説明から明らかになるであろう。この説明において、単数形は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数形も含む。他に特段の定めのない限り、本明細書中で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾する場合、本説明が制御する。
【0291】
本発明はさらに、以下の非限定的な実施例によって説明される。
【実施例】
【0292】
実施例1.実験手順
A.肝細胞細胞培養
凍結保存した肝細胞を、平板培地中で16時間培養し、維持培地に4時間移した。無血清培地上で2時間培養し、次いで化合物を添加した。遺伝子発現分析の前に、肝細胞を無血清培地上で16時間維持した。一次ヒト肝細胞を、液体窒素冷凍庫(約−130℃)の気相中で保存した。
【0293】
一次ヒト肝細胞を播種するために、細胞のバイアルをLN
2冷凍庫から回収し、37℃の水浴中で解凍し、氷のかけらのみが残るまで優しく旋回させた。10mLの血清学的ピペットを使用して、細胞をバイアルから優しく分注し、20mLの冷解凍培地を含有する50mLのコニカルチューブの側面下に優しく分注した。バイアルを約1mLの解凍培地ですすぎ、リンスをコニカルチューブに添加した。最大2バイアルを、20mLの解凍培地の1つのチューブに添加することができる。
【0294】
コニカルチューブ(複数可)を優しく2〜3回反転させ、4℃で10分間100gで制動力を低減して(例えば、9のうち4)遠心分離した。解凍培地をゆっくりゆっくり吸引して、ペレットを避けた。4mLの冷平板培地を、側面の下にゆっくり添加し(2バイアルを1つのチューブに複合する場合、8mL)、バイアルを優しく数回反転させて細胞を再懸濁した。
【0295】
100μLの十分に混合された細胞が400μLの希釈トリパンブルーに添加されるまで、細胞を氷上で保持し、優しく反転させることによって混合した。血球計数器(またはCellometer)を使用して細胞をカウントし、生存性及び1mLあたりの生細胞を記録した。細胞を所望の濃度に希釈し、コラーゲンIで被覆したプレート上に播種した。細胞をゆっくり優しくプレート上に、一度に1〜2ウェルのみに分注した。残りの細胞を、優しく反転させることによって頻繁にチューブ内で混合した。細胞を、6mLの冷平板培地(10cm)中にプレートあたり約8.5×10
6細胞で播種した。代替として、6ウェルプレートの場合ウェルあたり1.5×10
6細胞(1mL培地/ウェル)、12ウェルプレートの場合ウェルあたり7×10
5細胞(0.5mL/ウェル)、または24ウェルプレートの場合ウェルあたり3.75×10
5細胞(0.5mL/ウェル)。
【0296】
全ての細胞及び培地をプレートに添加した後、プレートをインキュベーターに移し(37℃、5% CO
2、約90%湿度)、前後に、次いで左右に各々数回揺らして、細胞をプレートまたはウェル全体に均一に分布させた。プレート(複数可)をプレーティング後最初の1時間にわたって15分ごとに再度揺らした。プレーティングの約4時間後(または細胞を午後にプレーティングした場合は朝一番に)、細胞をPBSで1回洗浄し、完全維持培地を添加した。一次ヒト肝細胞を維持培地中で維持し、毎日新鮮な培地に移した。
【0297】
B.肝細胞の枯渇及び化合物処理
治療の2〜3時間前に、上記のように培養した細胞をPBSで洗浄し、培地を新鮮な遺伝培地(完全)または修飾された維持培地4bのいずれかに変えた。
【0298】
化合物ストックを、1000倍最終濃度で調製し、2段階希釈で培地に添加して、細胞に添加したときに化合物が溶液から沈殿するリスクを低減し、妥当なピペット量を保証した。1つずつ、各化合物を温かい(約37℃)修飾された維持培地中で最初に10倍希釈し(初期希釈=ID)、ボルテックスすることによって混合し、IDを細胞培養物中に100倍希釈した(例えば、0.5mLの培地を含有する24ウェルプレートの1ウェル中に5.1μL)。プレートを慎重に旋回させることによって混合し、全てのウェルを処理した後、インキュベーターに一晩戻した。所望される場合、別個のプレート/ウェルをビヒクルのみの対照及び/または正の対照で処理した。マルチウェルプレートを使用する場合、対照を各プレート上に含めた。約18時間後、細胞をさらなる分析、例えば、ChIP−seq、RNA−seq、ATAC−seq等のために採取した。
【0299】
C.培地組成
解凍培地は、6mLの等張パーコール及び14mLの高グルコースDMEM(Invitrogen #11965または同様のもの)を含有していた。平板培地は、100mLのWilliams E培地(Invitrogen #A1217601、フェノールレッドなし)、ならびに5mLのFBS、10μLのデキサメタゾン、及び3.6mLのプレーティング/維持カクテルを含有するThermoFisher平板培地からの補足パック#CM3000を含有していた。ストックトリパンブルー(0.4%、Invitrogen #15250)を、PBS中で1:5に希釈した。
【0300】
ThermoFisher完全維持培地は、補足パック#CM4000(1μLのデキサメタゾン及び4mLの維持カクテル)ならびに100mLのWilliams E(Invitrogen #A1217601、フェノールレッドなし)を含有していた。
【0301】
修飾された維持培地は、刺激因子(デキサメタゾン、インスリン等)を有しておらず、100mLのWilliams E(Invitrogen #A1217601、フェノールレッドなし)、2mMまで1mLのL−グルタミン(Sigma #G7513)、15mMまで1.5mLのHEPES(VWR #J848)、及び各々50U/mLの最終濃度まで0.5mLのペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen #15140)を含有していた。
【0302】
D.DNA精製
DNA精製は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ji et al.,PNAS 112(12):3841−3846(2015)補助情報に記載されるように行った。1ミリリットルの2.5Mグリシンを、固定細胞の各プレートに添加し、5分間インキュベートしてホルムアルデヒドをクエンチした。細胞をPBSで2回洗浄した。細胞を4℃で5分間、1,300gでペレット化した。次いで、4×10
7細胞を各チューブに収集した。細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含有する1mLの氷冷Nonidet P−40溶解緩衝液で、氷上で5分間優しく溶解した(緩衝液レシピは以下に提供される)。細胞溶解物を、Nonidet P−40溶解緩衝液中の24%(wt/vol)スクロースで形成された2.5量のスクロースクッションの上に積層した。この試料を4℃で10分間、18,000gで遠心分離して、核ペレットを単離した(上澄みは、細胞質画分を表していた)。核ペレットをPBS/1mM EDTAで1回洗浄した。核ペレットを0.5mLのグリセロール緩衝液で優しく再懸濁し、続いて等量の核溶解緩衝液で氷上で2分間インキュベートした。この試料を4℃で2分間、16,000gで遠心分離して、クロマチンペレットを単離した(上澄みは、核可溶性画分を表していた)。クロマチンペレットをPBS/1mM EDTAで2回洗浄した。クロマチンペレットを−80℃で保存した。
【0303】
Nonidet P−40溶解緩衝液は、10mMのTris−HCl(pH7.5)、150mMのNaCl、及び0.05%のNonidet P−40を含有していた。グリセロール緩衝液は、20mMのTris−HCl(pH7.9)、75mMのNaCl、0.5mMのEDTA、0.85mMのDTT、及び50%(vol/vol)グリセロールを含有していた。核溶解緩衝液は、10mMのHepes(pH7.6)、1mMのDTT、7.5mMのMgCl
2、0.2mMのEDTA、0.3MのNaCl、1Mの尿素、及び1%のNonidet P−40を含有していた。
【0304】
E.クロマチン免疫沈降シーケンシング(ChIP−seq)
一次肝細胞及びHepG2細胞について以下のプロトコルを使用してChIP−seqを実施して、組成物を決定し、シグナル伝達中心の位置を確認した。
【0305】
i.細胞架橋
2×10
7細胞を、ChIP−seqの各実行に使用した。2mLの新鮮な11%ホルムアルデヒド(FA)溶液を、15cmプレート上の20mLの培地に添加して、1.1%の最終濃度に到達させた。プレートを短時間旋回させ、室温(RT)で15分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、FAを、1mLの2.5Mグリシンをプレートに添加し、室温で5分間インキュベートすることによってクエンチした。培地を1Lビーカーに破棄し、細胞を20mLの氷冷PBSで2回洗浄した。PBS(10mL)をプレートに添加し、細胞をプレートから掻き落とした。細胞を15mLのコニカルチューブに移し、チューブを氷上に置いた。プレートを、追加の4mLのPBSで洗浄し、15mLのチューブ内で細胞と複合した。チューブを5分間、1,500rpm、4℃で卓上遠心分離機で遠心分離した。PBSを吸引し、細胞を液体窒素中で急速冷凍した。ペレットを、使用準備が整うまで−80℃で保存した。
【0306】
ii.予ブロック磁気ビーズ
30μLのタンパク質Gビーズ(反応あたり)を、1.5mLのProtein LoBindエッペンドルフチューブに添加した。ビーズを、磁気分離によって室温で30秒間収集した。ビーズを、4℃で10分間、回転器上でビーズをインキュベートし、ビーズを磁石で収集することによって、1mLのブロッキング溶液で3回洗浄した。5μgの抗体を、ブロッキング溶液中の250μLのビーズに添加した。混合物を清潔なチューブに移し、4℃で一晩回転させた。翌日に、抗体を含有する緩衝液を取り除き、ビーズを、4℃で10分間、回転器上でビーズをインキュベートし、ビーズを磁石で収集することによって、1.1mLのブロッキング溶液で3回洗浄した。ビーズを、50μLのブロッキング溶液中に再懸濁し、使用準備が整うまで氷上で保持した。
【0307】
iii.細胞溶解、ゲノム断片化、及びクロマチン免疫沈降
COMPLETE(登録商標)プロテアーゼ阻害剤カクテルを、使用前に溶解緩衝液1(LB1)に添加した。50倍溶液の場合、1錠を1mLのH
2Oに溶解した。カクテルをアリコートで−20℃で保存した。細胞を、各チューブ内での8mLのLB1中に再懸濁し、4℃で10分間、回転器上でインキュベートした。核を、4℃で5分間、1,350gで遠心沈降させた。LB1を吸引し、細胞を、各チューブ内での8mLのLB2中に再懸濁し、4℃で10分間、回転器上でインキュベートした。
【0308】
COVARIS(登録商標)E220EVOLUTION(商標)超音波処理器を、高細胞数についての製造元の推奨に従ってプログラムした。HepG2細胞を12分間音波処理し、一次肝細胞試料を10分間音波処理した。溶解物を清潔な1.5mLエッペンドルフチューブに移し、チューブを4℃で10分間、20,000gで遠心分離して残屑をペレット化した。上澄みを、予め結合された抗体を有する予めブロックされたタンパク質Gビーズを含有する2mLのProtein LoBindエッペンドルフチューブに移した。50μLの上澄みをインプットとして保存した。インプット材料を、使用準備が整うまで−80℃で保持した。チューブを4℃で一晩、ビーズで回転させた。
【0309】
iv.洗浄、溶出、及び架橋逆転
全ての洗浄ステップは、チューブを4℃で5分間回転させることによって実施した。洗浄ステップごとに、ビーズを清潔なProtein LoBindエッペンドルフチューブに移した。ビーズを、磁石を使用して1.5mLのエッペンドルフチューブ内で収集した。ビーズを1.1mLの音波処理緩衝液で2回洗浄した。磁気スタンドを使用して、磁気ビーズを収集した。ビーズを1.1mLの洗浄緩衝液2で2回洗浄し、磁気スタンドを再度使用して、磁気ビーズを収集した。ビーズを1.1mLの洗浄緩衝液3で2回洗浄した。全ての残留洗浄緩衝液3を取り除き、ビーズを1.1mLのTE+0.2% Triton X−100緩衝液で1回洗浄した。残留TE+0.2% Triton X−100緩衝液を取り除き、ビーズをTE緩衝液で毎回30秒間にわたって2回洗浄した。残留TE緩衝液を取り除き、ビーズを300μLのChIP溶出緩衝液中に再懸濁した。250μLのChIP溶出緩衝液を、50μLのインプットに添加し、チューブを65℃で1時間、ビーズで回転させた。インプット試料を65℃のオーブンで一晩、回転させずにインキュベートした。ビーズを含むチューブを磁石上に置き、溶出液を新鮮なDNA LoBindエッペンドルフチューブに移した。溶出液を65℃のオーブンで一晩、回転させずにインキュベートした。
【0310】
v.クロマチン抽出及び沈降
インプット及び免疫沈降(IP)試料を新鮮なチューブに移し、300μLのTE緩衝液をIP及びインプット試料に添加して、SDSを希釈した。RNase A(20mg/mL)をチューブに添加し、チューブを37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、3μLの1M CaCl
2及び7μLの20mg/mLのプロテイナーゼKを添加し、55℃で1.5時間インキュベートした。MaXtract高密度2mLゲルチューブ(Qiagen)を、室温で30秒間、全速での遠心分離によって調製した。600μLのフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを各プロテイナーゼK反応に添加し、約1.2mLの混合物中でMaXtractチューブに移した。チューブを室温で5分間、16,000gで回転させた。水相を2つの清潔なDNA LoBindチューブに移し(各チューブに300μL)、1.5μLのグリコーゲン、30μLの3M酢酸ナトリウム、及び900μLのエタノールを添加した。混合物を−20℃で一晩または−80℃で1時間沈降させ、4℃で20分間、最大速度で遠心沈降させた。エタノールを取り除き、チューブを4℃で5分間、最大速度で遠心沈降させることによって、ペレットを1mLの75%エタノールで洗浄した。エタノールの残余を取り除き、ペレットを室温で5分間乾燥させた。25μLのH
2Oを各免疫沈降(IP)及びインプットペレットに添加し、5分間放置し、短時間ボルテックスした。両方のチューブからのDNAを組み合わせ、各試料について50μLのIP及び50μLのインプットDNAを得た。1μLのこのDNAを使用し、Qubit dsDNA HSアッセイ(ThermoFisher、#Q32854)を使用してプルダウンDNAの量を測定した。免疫沈降材料の全量は、数ng(TFの場合)〜数百ng(クロマチン修飾の場合)の範囲であった。6μLのDNAをqRT−PCRを使用して分析して、富化を決定した。必要に応じてDNAを希釈した。富化が良好であった場合、残りをDNAシーケンシングのためのライブラリー調製に使用した。
【0311】
vi.DNAシーケンシングのためのライブラリー調製
Illumina用のNEBNext Multiplex Origos(NEB、#6609S)を使用するIllumina用のNEBNext Ultra II DNAライブラリー調製キット(NEB、#E7645)を使用して、製造元の指示に従い、以下の修正とともにライブラリーを調製した。ライブラリー調製のための残りのChIP試料(約43μL)及び1μgのインプット試料を、プロトコルの末端修復部分の前に50μLの量にした。接着プレートシール(ThermoFisher、#AB0558)で密封し、少なくとも1つの空のウェルを異なる試料の間に残した96ウェルの半スカート状PCRプレート(ThermoFisher、#AB1400)において、加熱した蓋を有するPCRマシンで末端修復反応を実行した。未希釈のアダプターをインプット試料に使用し、1:10に希釈したアダプターを5〜100ngのChIP材料に使用し、1:25に希釈したアダプターを5ng未満のChIP材料に使用した。加熱した蓋を取り外したPCRマシンで連結反応を実行した。アダプター連結されたDNAを、清潔なDNA LoBindエッペンドルフチューブに移し、H
2Oを使用して量を96.5μLにした。
【0312】
SPRIselect磁気ビーズ(Beckman Coulter、#B23317)を使用して、200〜600bpのChIP断片を選択した。30μLのビーズを96.5μLのChIP試料に添加して、600bpより長い断片に結合させた。より短い断片を新鮮なDNA LoBindエッペンドルフチューブに移した。15μLのビーズを添加して、200bpより長いDNAに結合し、新鮮に調製された75%エタノールを使用して、ビーズをDNAで2回洗浄した。17μLの0.1X TE緩衝液を使用して、DNAを溶出した。約15μLを収集した。
【0313】
3μLのサイズ選択されたインプット試料及びChIP試料の全て(15μL)をPCRに使用した。サイズ選択されたDNAの量は、Qubit dsDNA HSアッセイを使用して測定した。約5〜10ngのサイズ選択されたDNAを有するインプット試料及びChIP試料については7サイクル、及び5ng未満のサイズ選択されたDNAを有する場合は12サイクルにわたってPCRを実行した。PCR産物(25μL)の半分を、製造元の指示に従い、22.5μLのAMPure XPビーズ(Beckman Coulter、#A63880)で精製した。PCR産物を、17μLの0.1X TE緩衝液で溶出し、PCT産物の量をQubit dsDNA HSアッセイを使用して測定した。5ng未満のPCR産物を有する試料の残りの半分について、追加の4サイクルのPCRを実行し、DNAを22.5μLのAMPure XPビーズを使用して精製した。濃度を測定して、収率の増加が存在したかどうかを決定した。両方の半分を複合し、H
2Oを使用して量を最大50μLにした。
【0314】
2回目のDNAの精製は、17μLの0.1X TE中の45μLのAMPure XPビーズを使用して実行し、Qubit dsDNA HSアッセイを使用して、最終収率を測定した。このプロトコルは、20ng〜1mgのPCR産物を産生する。ライブラリーの質を、必要に応じて、製造元の推奨に基づいて高感度BioAnalyzer DNAキット(Agilent、#5067−4626)を使用し、1μLの各試料をH
2Oで希釈することによって検証した。
【0315】
vii.試薬
11%のホルムアルデヒド溶液(50mL)は、14.9mLの37%ホルムアルデヒド(最終濃度11%)、1mLの5M NaCl(最終濃度0.1M)、100μLの0.5MのEDTA(pH8)(最終濃度1mM)、50μLの0.5M EGTA(pH8)(最終濃度0.5mM)、及び2.5mLの1M Hepes(pH7.5)(最終濃度50mM)を含有していた。
【0316】
ブロッキング溶液は、PBS中の0.5% BSA(w/v)及び100mL PBS中の500mgのBSAを含有していた。ブロッキング溶液は、使用の最大約4日前に調製してもよい。
【0317】
溶解緩衝液1(LB1)(500mL)は、25mLの1M Hepes−KOH(pH7.5)、14mLの5M NaCl、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの100%グリセロール溶液、25mLの10% NP−40、及び12.5mLの10% Triton X−100を含有していた。pHを7.5に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0318】
溶解緩衝液2(LB2)(1000mL)は、10mLの1M Tris−HCl(pH8.0)、40mLの5M NaCl、2mLの0.5M EDTA(pH8.0)、及び2mLの0.5M EGTA(pH8.0)を含有していた。pHを8.0に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0319】
音波処理緩衝液(500mL)は、25mLの1M Hepes−KOH(pH7.5)、14mLの5M NaCl、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの10% Triton X−100、10mLの5% Na−デオキシコール酸塩、及び5mLの10% SDSを含有していた。pHを7.5に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0320】
プロテイナーゼ阻害剤は、LB1、LB2、及び音波処理緩衝液に含まれていた。
【0321】
洗浄緩衝液2(500mL)は、25mLの1M Hepes−KOH(pH7.5)、35mLの5M NaCl、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの10% Triton X−100、10mLの5% Na−デオキシコール酸塩、及び5mLの10% SDSを含有していた。pHを7.5に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0322】
洗浄緩衝液3(500mL)は、10mLの1M Tris−HCl(pH8.0)、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、125mLの1M LiCl溶液、25mLの10% NP−40、及び50mLの5% Na−デオキシコール酸塩を含有していた。pHを8.0に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0323】
ChIP溶出緩衝液(500mL)は、25mLの1M Tris−HCl(pH8.0)、10mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの10% SDS、及び415mLのddH
2Oを含有していた。pHを7.5に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0324】
F.ChIP−seq結果の分析
各試料からの全てのパスフィルター読み取り値を、デフォルトオプションでtrim_galore0.4.4を使用して、シーケンシングアダプターからトリミングした。トリミングした読み取り値を、デフォルトパラメーターとともにbwaバージョン0.7.15(Li(2013)arXiv:1303.3997v1)を使用して、ヒトゲノムに対してマッピングした(hs38d1/GCA_000786075.2とマージされたアセンブリGRCh38/GCA_000001405.15「no alt」分析セット)。picard2.9.0を使用して、整列させた読み取り値の複製を評価し(http://broadinstitute.hithub.io/picard)、MAPQ<20の読み取り値または標準SAMフラッグ0x1804に一致するものを破棄した。標準QCを適用して(読み取り値の完全性、マッピング統計、ライブラリーの複雑性、断片バイアス)、不満足な試料を取り除いた。MACS2バージョン2.1.0(Zhang et al.,Genome Biol.(2008)9(9):R137)を使用し、試料を全細胞抽出物対照と比較することによって、強化されたChIP−seqピークを特定し、有意なピークを0.01未満の調整p値を有するものとして選択した。既知の反復「ブラックリスト」領域と重複するピーク(ENCODE Project Consortium,Nature(2012)489(7414:57−74)を破棄した。ChIP−seqシグナルもまた、読み取り深度によって正規化し、UCSCブラウザーを使用して可視化した。
【0325】
G.RNA−seq
このプロトコルは、以下のプロトコルの修飾バージョンである。MagMAX mirVana Total RNA単離キットユーザーガイド(Applied Biosystems #MAN0011131 Rev B.0)、NEBNext Poly(A)mRNA磁気単離モジュール(E7490)、及びIllumina用NEBNext Ultra Directional RNAライブラリー調製キット(E7420)(New England Biosystems #E74901)。
【0326】
MagMax mirVanaキット指示書(14〜17頁の「細胞からRNAを単離する」と題されるセクション)を、培養物中の細胞から全RNAを単離するために使用した。接着細胞を含有するマルチウェルプレート(通常は24ウェルプレート)のウェルあたり200μLの溶解結合混合物を使用した。
【0327】
mRNA単離及びライブラリー調製のために、NEBNext Poly(A)mRNA磁気単離モジュール及びDirectional Prepキットを使用した。上記の細胞から単離されたRNAを定量化し、50μLのヌクレアーゼ不含水中500μgの各試料中で調製した。このプロトコルは、微量遠心管または96ウェルプレート中で実行することができる。
【0328】
80%エタノールを新たに調製し、全ての溶出を0.1X TE緩衝液中で行う。Ampure XPビーズを必要とするステップの場合、ビーズを使用前に室温にした。試料の量を最初に測定し、ビーズを分注した。セクション1.9B(1.9Aではない)を、Illumina用のNEBNext Multiplex Oligos(#E6609)に使用した。PCR富化を開始する前に、Qubit(DNA高感度キット、ThermoFisher #Q32854)を使用して、cDNAを定量化した。PCR反応を12サイクルにわたって実行した。
【0329】
PCR反応の精製(ステップ1.10)後、Qubit DNA高感度キットを使用して、ライブラリーを定量化した。1μLの各試料を1〜2ng/μLに希釈して、Bioanalyzer(DNA高感度キット、Agilent #5067−4626)上で実行した。Bioanalyzerが清浄でなかった場合(およそ300bpの1つの狭いピーク)、0.9Xまたは1.0Xのビーズ:試料比を使用して、AMPure XPビーズクリーンアップステップを繰り返した。次いで、試料をQubitで再度定量化し、Bioanalyzer上で再度実行した(1〜2ng/μL)。
【0330】
INTACT精製された核または新皮質核全体からの核RNAを、cDNAに変換し、Nugen Ovation RNA−seq System V2で増幅させた。ライブラリーをIllumina HiSeq 2500を使用してシーケンシングした。
【0331】
H.RNA−seqデータ分析
各試料からの全てのパスフィルター読み取り値を、STARバージョン2.5.3a(整列パラメーターalignIntronMin=20、alignIntronMax=1000000、outFilterMismatchNmax=999、outFilterMismatchNoverLmax=0.05、outFilterType=BySJout、outFilterMultimapNmax=20、alignSJoverhangMin=8、alignSJDBoverhangMin=1、alignMatesGapMax=1000000)を介した2つのパスマッピングを使用して、ヒトゲノム(hs38d1/GCA_000786075.2とマージされたアセンブリGRCh38/GCA_000001405.15「no alt」分析セット)に対してマッピングした(Dobin et al.,Bioinformatics(2012)29(1):15−21)。ゲノムアラインメントを、ヒトGENCODE遺伝子セットリリース24(Harrow et al.,Genome Res.(2012)22(9):1760−1774)からの参照転写物アノテーションに基づいて、トランスクリプトームアラインメントに変換した。固有かつマルチマッピングされたトランスクリプトームアラインメントを使用し、ストランドを考慮してRSEMバージョン1.3.0(Li and Dewey,BMC Bioinformatics(2011)12:323)を使用し、信頼区間サンプリング計算を含めて、遺伝子レベルの存在量推定値を計算して、基礎となるベイズモデルから存在量(マッピングされた断片100万個あたりのエクソン1キロベースあたりのカウント及び正規化したFPKM−断片)の事後平均推定値(PME)に到達した。標準QCを適用して(読み取り値の完全性、マッピング統計、ライブラリーの複雑性、断片バイアス)、不満足な試料を取り除いた。DESeq2バージョン1.16.1によって実装された負の二項分布モデルを使用して、差次的遺伝子発現を計算した(Love et al.,Genome Biol.(2014)15(12):550)。PMEカウントデータ(明示的にモデル化された複製対全実験対照)、正規化した中央比を使用し、帰納的最大値ではなく最尤推定を使用し、許容される調整p値を決定するときにクックの距離カットオフの使用を不能にして、Log2倍率変化及び有意値を計算した。有意差のある遺伝子は、0.01未満の調整p値、1以上または−1以下のlog2倍率変化、及び1以上のPME FPKMを有する少なくとも1つの複製を有するものとして割り当てた。RNA−seqシグナルもまた、読み取り深度によって正規化し、UCSCブラウザーを使用して可視化した。
【0332】
I.ATAC−seq
肝細胞を一晩播種し、次いで血清及び他の因子を取り除いた。2〜3時間後、細胞を化合物で処理し、一晩インキュベートした。細胞を採取し、核を転位反応のために調製した。50,000ビーズ結合した核を、Mo et al.,2015,Neuron 86,1369−1384(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、Tn5トランスポザーゼ(Illumina FC−121−1030)を使用して転位させた。9〜12サイクルのPCR増幅後、ライブラリーをIllumina HiSeq 2000上でシーケンシングした。伸長を有するバーコード化されたプライマーを使用して、72℃で5分間PCRを実施し、次いで最終PCR産物をシーケンシングした。
【0333】
各試料から得られた全ての読み出し値を、データ分析にPhredスコア≧20及び読み出し長≧30を必要とするtrim_galore0.4.1を使用してトリミングした。トリミングした読み出し値を、Bowtie2(バージョン2.2.9)を使用し、パラメーター:−t−q−N 1−L 25−X 2000 no−mixed no−discordantを用いて、ヒトゲノム(hg19ビルド)に対してマップした。全てのマップされていない読み出し値、固有にマップされていない読み出し値及びPCR重複を取り除いた。全てのATAC−seqピークを、MACS2を使用し、パラメーター:−−nolambda−nomodel−q 0.01−−SPMRを用いて呼び出した。ATAC−seqシグナルを、UCSCゲノムブラウザーにおいて可視化した。注釈の付いたプロモーター(RefSeq、Ensemble及びUCSC Known Geneデータベースの複合)から少なくとも2kb離れたATAC−seqピークを、遠位ATAC−seqピークとして選択した。
【0334】
J.qRT−PCR
qRT−PCRを、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、North et al.,PNAS,107(40)17315−17320(2010)に記載されているように実施した。qRT−PCRを、60℃のアニーリングとともに、BioRadからのiQ5マルチカラーrtPCR検出システムを使用し、cDNAを用いて実施した。
【0335】
qRT−PCRによって測地される発現の倍率変化の分析を、以下の技法を使用して実施した。対照はDMSOであり、処理は選択された化合物(CPD)であった。内部対照は、GAPDHまたはB−アクチンであり、関心対象の遺伝子は標的である。最初に、正規化のために以下4つの条件:DMSO:GAPDH、DMSO:標的、CPD:GAPDH、及びCPD:標的の平均を計算した。次に、(DMSO:標的)−(DMSO:GAPDH)=ΔCT対照及び(CPD:標的)−(CPD:GAPDH)=ΔCT実験を使用して対照及び処理の両方のΔCTを計算して、内部対照(GAPDH)に対して正規化した。次いで、ΔCT実験−ΔCT対照によってΔΔCTを計算した。2−(ΔΔCT)によって発現倍率変化を計算した(本明細書に提供されるRNA−Seq結果によって2倍発現変化が示された)。
【0336】
K.端部対タグシーケンシング(ChIP−PET)によるクロマチン相互作用分析
ChIA−PETは、各々が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Chepelev et al.(2012)Cell Res.22,490−503、Fullwood et al.(2009)Nature 462,58−64、Goh et al.(2012)J.Vis.Exp.http://dx.doi.org/10.3791/3770、Li et al.(2012)Cell 148,84−98、及びDowen et al.(2014)Cell 159,374−387において以前に記載されているように実施した。手短に言えば、胚幹(ES)細胞(最大1×10
8細胞)を、室温で20分間1%ホルムアルデヒドで処理し、次いで0.2Mグリシンを使用して中和した。架橋クロマチンは、音波処理によって300〜700bpのサイズ長に断片化された。抗SMC1抗体(Bethyl、A300−055A)を使用して、SMC1結合されたクロマチン断片を富化した。ChIP DNAの部分を、濃度定量化のため、及び定量的PCRを使用する富化分析のために抗体で被覆されたビーズから溶出した。ChIA−PETライブラリー構築の場合、ChIP DNA断片は、T4 DNAポリメラーゼ(NEB)を使用して末端修復した。ChIP DNA断片を2アリコートに分割し、リンカーAまたはリンカーBのいずれかを断片端部に連結した。2つのリンカーは、ヌクレオチドバーコードとして使用された2つのヌクレオチドが異なる(リンカーAはCG、リンカーBはAT)。リンカー連結後、2つの試料を複合し、20mL量で希釈して、異なるDNA−タンパク質複合体間の連結を最小化することによって近位連結のために調製した。近位連結反応は、T4 DNAリガーゼ(Fermentas)で実施し、22℃で20時間揺らすことなくインキュベートした。近位連結中に、同じリンカー配列を有するDNA断片は、同じクロマチン複合体内で連結され、これがホモ二量体リンカー組成を有する連結産物を生成した。しかしながら、異なるクロマチン複合体からDNA断片間のキメラ連結もまた起こり得、したがってヘテロ二量体リンカー組成を有する連結産物を産生する。これらのヘテロ二量体リンカー産物を使用して、非特異的連結の頻度を評価し、次いで取り除かれる。
【0337】
i.1日目
ChIPについて記載されるように細胞を架橋した。冷凍細胞ペレットを、使用準備が整うまで−80℃の冷凍庫で保存した。このプロトコルは、6つの15mL Falconチューブ中で冷凍された少なくとも3×10
8細胞(チューブあたり5000万細胞)を必要とする。6つの100μLタンパク質G Dynabeads(各ChIA−PET試料について)を、氷上の6つの1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。ビーズを1.5mLのブロッキング溶液で3回洗浄し、各洗浄ステップの間に4℃で10分間回転させながらインキュベートして、効率的なブロッキングを可能にした。タンパク質G Dynabeadsを、6つのチューブの各々において250μLのブロッキング溶液中に再懸濁し、10μgのSMC1抗体(Bethyl A300−055A)を各チューブに添加した。ビーズ・抗体混合物を、4℃で回転させながら一晩インキュベートした。
【0338】
ii.2日目
ビーズを1.5mLのブロッキング溶液で3回洗浄して、未結合のIgGを取り除き、毎回4℃で10分間、回転させながらインキュベートした。Smc1結合ビーズを、100μLのブロッキング溶液中に再懸濁し、4℃で保存した。最終溶解緩衝液1(試料あたり8mL)を、50倍プロテアーゼ阻害剤カクテル溶液を溶解緩衝液1(LB1)に添加することによって調製した(1:50)。8mLの最終溶解緩衝液1を、各冷凍細胞ペレット(試料あたり8mL×6)に添加した。細胞を完全に再懸濁し、上下にピペットすることによって氷上で解凍した。細胞懸濁液を4℃で10分間、回転させながら再度インキュベートした。懸濁液を4℃で5分間、1,350×gで遠心分離した。同時に、最終溶解緩衝液2(試料あたり8mL)を、50×プロテアーゼ阻害剤カクテル溶液を溶解緩衝液2(LB2)に添加することによって調製した(1:50)。
【0339】
遠心分離後、上澄みを破棄し、上下にピペットすることによって、核を8mLの最終溶解緩衝液2中に完全に再懸濁した。細胞懸濁液を4℃で10分間、回転させながらインキュベートした。懸濁液を4℃で5分間、1,350×gで遠心分離した。インキュベーション及び遠心分離中に、最終音波処理緩衝液(試料あたり15mL)を、50×プロテアーゼ阻害剤カクテル溶液を音波処理緩衝液に添加することによって調製した(1:50)。上澄みを破棄し、上下にピペットすることによって、核を15mLの最終音波処理緩衝液中に完全に再懸濁した。核抽出物を、氷上の15の1mL Covaris Evolution E220音波処理チューブに抽出した。10μLのアリコートを使用して、ゲル上の音波処理されていないクロマチンのサイズをチェックした。
【0340】
Covaris音波処理器を、製造元の指示に従ってプログラムした(2000万細胞あたり12分=12×15=3時間)。試料を上記のように順次シーケンシングした。目標は、クロマチンDNAを200〜600bpに切断することである。音波処理断片が大きすぎる場合、擬陽性がより頻繁になる。音波処理された核抽出物を、1.5mLのエッペンドルフチューブ中に分注した。1.5mLの試料を4℃で10分間、完全速度で遠心分離する。上澄み(SNE)を新しい予め冷却された50mLのFalconチューブ中にプールし、音波処理緩衝液で18mLの量にした。2つの50μLのチューブを、インプットとして、また断片のサイズをチェックするために取った。250μLのChIP溶出緩衝液を添加し、逆架橋は65℃で一晩、オーブン内で起こった。架橋の逆転後、音波処理断片のサイズをゲル上で決定した。
【0341】
3mLの音波処理抽出物を、6つの清潔な15mL Falconチューブの各々において、SMC1抗体を有する100μLのタンパク質Gビーズに添加した。SNE・ビーズ混合物を含有するチューブを、4℃で一晩回転させながらインキュベートした(14〜18時間)。
【0342】
iii.3日目
SNE・ビーズ混合物の量の半分(1.5mL)を、6つの予め冷却されたチューブの各々に添加し、磁石を使用してSNEを取り除いた。チューブを以下のように順次洗浄した。1)1.5mLの音波処理緩衝液を添加し、ビーズを再懸濁して、結合するために4℃で5分間回転させた後、液体を取り除いた(ステップを2回実施した);2)1.5mLの高塩音波処理緩衝液を添加し、ビーズを再懸濁して、結合するために4℃で5分間回転させた後、液体を取り除いた(ステップを2回実施する);3)1.5mLの高塩音波処理緩衝液を添加し、ビーズを再懸濁して、結合するために4℃で5分間回転させた後、液体を取り除いた(ステップを2回実施した);4)1.5mLのLiCl緩衝液を添加し、細胞を再懸濁して、結合するために5分間回転させながらインキュベートした後、液体を取り除いた(ステップを2回実施した);5)1.5mLの1X TE+0.2% Triton X−100を使用して、結合するために5分間細胞を洗浄した後、液体を取り除き、1.5mLの氷冷TE緩衝液を使用して、結合するために30秒間細胞を洗浄した後、液体を取り除いた(ステップを2回実施した)。6つのチューブ全てからのビーズを、1倍氷冷TE緩衝液の1つの1,000μLチューブ中で順次再懸濁した。
【0343】
ChIP−DNAを以下のプロトコルを使用して定量化した。ビーズの10(体積)パーセントまたは100μLを、磁石を使用して新たな1.5mLチューブに移した。ビーズを300μLのChIP溶出緩衝液中に再懸濁し、チューブを65℃で1時間、ビーズで回転させた。ビーズを含むチューブを磁石上に置き、溶出液を新鮮なDNA LoBindエッペンドルフチューブに移した。溶出液を65℃のオーブンで一晩、回転させずにインキュベートした。免疫沈降試料を新鮮なチューブに移し、300μLのTE緩衝液を免疫沈降及びインプット試料に添加して希釈した。5μLのRNase A(20mg/mL)を添加し、チューブを37℃で30分間インキュベートした。
【0344】
インキュベーションに続いて、3μLの1M CaCl
2及び7μLの20mg/mLのプロテイナーゼKをチューブに添加し、55℃で1.5時間インキュベートした。MaXtract高密度2mLゲルチューブ(Qiagen)を、室温で30秒間、全速での遠心分離によって調製した。600μLのフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを、各プロテイナーゼK反応に添加した。約1.2mLの混合物をMaXtractチューブに移した。チューブを室温で5分間、16,000gで回転させた。水相を2つの清潔なDNA LoBindチューブに移し(各チューブに300μL)、1μLのグリコーゲン、30μLの3M酢酸ナトリウム、及び900μLのエタノールを添加した。混合物を−20℃で一晩または−80℃で1時間沈降させた。
【0345】
混合物を4℃で20分間、最大速度で遠心沈降させ、エタノールを取り除き、チューブを4℃で5分間、最大速度で遠心沈降させることによって、ペレットを1mLの75%エタノールで洗浄した。エタノールの残余を全て取り除き、ペレットを室温で5分間乾燥させた。H
2Oを各チューブに添加した。各チューブを5分間放置し、短時間ボルテックスした。両方のチューブからのDNAを組み合わせ、50μLのIP及び100μLのインプットDNAを得た。
【0346】
収集されたDNAの量を、Qubit(Invitrogen #Q32856)を使用してChIPによって定量化した。1μLのインターカレーター色素を各測定1μLの試料と複合した。キットに付随する2つの標準物を使用した。ビーズのわずか10%からのDNAが測定された。900μLのビーズ懸濁液中の約400ngのクロマチンを、qPCRによって測定されるエンハンサー及びプロモーターにおける良好な富化によって得た。
【0347】
iv.3日目または4日目
ChIP−DNAの末端鈍化を、以下のプロトコルを使用してビーズ上で実施した。残りのクロマチン/ビーズを、ピペットによって分割し、450μLのビーズ懸濁液を2つのチューブに分注した。ビーズを磁石上で収集した。上澄みを取り除き、次いでビーズを以下の反応混合物中に再懸濁した:70μLの10X NEB緩衝液2.1(NEB、M0203L)、7μLの10mM dNTP、615.8μLのdH
20、及び7.2μLの3U/μL T4 DNAポリメラーゼ(NEB、M0203L)。ビーズを37℃で40分間回転させながらインキュベートした。ビーズを磁石で収集し、次いでビーズを1mLの氷冷ChIA−PET洗浄緩衝液で3回洗浄した(各洗浄あたり30秒)。
【0348】
On−Bead A−テーリングを、下記のようにKlenow(3′〜5′エキソ−)マスターミックスを調製することによって実施した:70μLの10X NEB緩衝液2、7μL 10mM dATP、616μL dH20、及び7μLの3U/μL Klenow(3′〜5′エキソ−)(NEB、M0212L)。混合物を37℃で50分間回転させながらインキュベートした。ビーズを磁石で収集し、次いでビーズを1mLの氷冷ChIA−PET洗浄緩衝液で3回洗浄した(各洗浄あたり30秒)。
【0349】
リンカーを氷上で優しく解凍した。リンカーを、優しくピペットすることによって水と、次いでPEG緩衝液と十分混合した後、優しくボルテックスした。次いで、チューブあたり1394μLのマスターミックス及び6μLのリガーゼを添加し、反転によって混合した。パラフィルムをチューブ上に置き、チューブを16℃で一晩(少なくとも16時間)回転させながらインキュベートした。ビオチニル化リンカーを、以下の反応混合物を設定し、試薬を1110μLのdH
2O、4μLの200ng/μLのビオチニル化ブリッジリンカー、PEG(Invitrogen)を有する280μLの5X T4 DNAリガーゼ緩衝液、及び6μLの30U/μL T4 DNAリガーゼ(Fermentas)の順に添加することによって、ビーズ上でChIP−DNAに連結した。
【0350】
v.5日目
エキソヌクレアーゼλ/エキソヌクレアーゼI On−Bead消化を、以下のプロトコルを使用して実施した。ビーズを磁石で収集し、1mLの氷冷ChIA−PET洗浄緩衝液で3回洗浄する(各洗浄あたり30秒)。洗浄緩衝液をビーズから取り除き、次いで以下の反応混合物中に再懸濁した:70μLの10X λヌクレアーゼ緩衝液(NEB、M0262L)、618μLのヌクレアーゼ不含dH20、6μLの5U/μL λエキソヌクレアーゼ(NEB、M0262L)、及び6μLのエキソヌクレアーゼI(NEB、M0293L)。反応物を37℃で1時間回転させながらインキュベートした。ビーズを磁石で収集し、ビーズを1mLの氷冷ChIA−PET洗浄緩衝液で3回洗浄した(各洗浄あたり30秒)。
【0351】
全ての残留緩衝液を取り除き、ビーズを300μLのChIP溶出緩衝液中に再懸濁することによって、クロマチン複合体をビーズから溶出した。ビーズを含むチューブを65℃で1時間回転させた。チューブを磁石上に置き、溶出液を新鮮なDNA LoBindエッペンドルフチューブに移した。溶出液を65℃のオーブンで一晩、回転させずにインキュベートした。
【0352】
vi.6日目
溶出された試料を新鮮なチューブに移し、300μLのTE緩衝液を添加してSDSを希釈した。3μLのRNase A(30mg/mL)をチューブに添加し、混合物を37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、3μLの1M CaCl
2及び7μLの20mg/mLのプロテイナーゼKを添加し、チューブを55℃で1.5時間再度インキュベートした。MaXtract高密度2mLゲルチューブ(Qiagen)を、室温で30秒間、全速でそれらを遠心分離することによって沈降させた。600μLのフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを各プロテイナーゼK反応に添加し、約1.2mLの混合物をMaXtractチューブに移した。チューブを室温で5分間、16,000xgで回転させた。
【0353】
水相を2つの清潔なDNA LoBindチューブに移し(各チューブに300μL)、1μLのグリコーゲン、30μLの3M酢酸ナトリウム、及び900μLのエタノールを添加する。混合物を−80℃で1時間沈降させた。チューブを4℃で30分間、最大速度で遠心沈降させ、エタノールを取り除いた。チューブを4℃で5分間、最大速度で遠心沈降させることによって、ペレットを1mLの75%エタノールで洗浄した。エタノールの残余を全て取り除き、ペレットを室温で5分間乾燥させた。30μLのH
2Oをペレットに添加し、5分間放置した。ペレット混合物を短時間ボルテックスし、遠心沈降させてDNAを収集した。
【0354】
Qubit及びDNA高感度ChIPを実施して、近位連結されたDNA産物を定量化し、その質を評価した。約120ngの産物が得られた。
【0355】
vii.7日目
次いで、Nextera断片化(tagmentation)の構成成分を調製した。100ngのDNAを、12.5μLの2X断片化緩衝液(Nextera)、1μLのヌクレアーゼ不含dH
20、2.5μLのTn5酵素(Nextera)、及び9μLのDNA(25ng)を含有する4つの25μL反応物中に分割した。反応物の各々の断片化を、品質管理のためにBioanalyzer上で分析した。
【0356】
反応物を55℃で5分間、次いで10℃で10分間インキュベートした。25μLのH
2Oを添加し、断片化されたDNAをZymoカラムを使用して精製した。350μLの結合緩衝液を試料に添加し、混合物をカラム中に装填して、13,000rpmで30秒間回転させた。フロースルーを再適用し、カラムを再度回転させた。カラムを200μLの洗浄緩衝液で2回洗浄し、1分間回転させて膜を乾燥させる。カラムを清潔なエッペンドルフチューブに移し、25μLの溶出緩衝液を添加した。チューブを1分間遠心沈降させた。このステップを別の25μLの溶出緩衝液で繰り返した。全ての断片化されたDNAを1つのチューブに複合した。
【0357】
ChIA−PETを、以下のステップを使用してストレプトアビジンビーズ上で固定化した。2X B&W緩衝液(40mL)を、核酸のカップリングのために以下のように調製した:400μLの1M Tris−HCl(pH8.0)(10mM最終)、80μLの1M EDTA(1mM最終)、16mLの5M NaCl(2M最終)、及び23.52mLのdH
2O。1X B&W緩衝液(40mL全量)を、20mLのdH
2Oを20mLの2X B&W緩衝液に添加することによって調製した。
【0358】
MyOneストレプトアビジンDynabeads M−280を30分間室温にし、30μLのビーズを新たな1.5mLチューブに移した。ビーズを150μLの2X B&W緩衝液で2回洗浄した。ビーズを100μLのiBlock緩衝液(Applied Biosystems)中に再懸濁し、混合した。混合物を室温で45分間、回転器上でインキュベートした。
【0359】
I−BLOCK試薬を、0.2%のI−Block試薬(0.2g)、1X PBSまたは1X TBS(10mLの10X PBSまたは10X TBS)、0.05% Tween−20(50μL)、及びH
2Oを100mLまで含有するように調製した。10X PBS及びI−BLOCK試薬をH
2Oに添加し、混合物を40秒間マイクロ波処理し(沸騰させてはならない)、次いで撹拌した。溶液を冷却した後、Tween−20を添加した。溶液は不透明なままであったが、粒子は溶解された。使用するために溶液を室温に冷ました。
【0360】
ビーズのインキュベーション中に、500ngの剪断ゲノムDNAを50μLのH
2O及び50μLの2X B&W緩衝液に添加した。ビーズがiBLOCK緩衝液でのインキュベーションを終えたとき、それらを200μLの1X B&W緩衝液で2回洗浄した。洗浄緩衝液を破棄し、100μLの剪断ゲノムDNAを添加した。混合物を室温で30分間回転させながらインキュベートした。ビーズを200μLの1X B&W緩衝液で2回洗浄した。断片化DNAを、等量の2X B&W緩衝液とともにビーズに添加し、室温で45分間、回転させながらインキュベートした。ビーズを500μLの2x SSC/0.5% SDS緩衝液(毎回30秒)で5回洗浄し、続いて500mLの1X B&W緩衝液で2回洗浄し、各洗浄後に室温で5分間、回転させながらインキュベートした。ビーズを優しく再懸濁し、チューブを磁石上に置くことによって、Qiagenキットからの100μLの溶出緩衝液(EB)で1回洗浄した。上澄みをビーズから取り除き、それらを30μLのEB中に再懸濁した。
【0361】
対合端シーケンシングライブラリーを、以下のプロトコルを使用してビーズ上に構築した。10μLのビーズを、10サイクルの増幅でPCRにより試験する。50μLのPCR混合物は、10μLのビーズDNA、15μLのNPM混合物(Illumina Nexteraキットから)、5μLのPPC PCRプライマー、5μLのIndexプライマー1(i7)、5μLのIndexプライマー2(i5)、及び10μLのH
2Oを含有する。以下のサイクル条件を使用して、PCRを実施した:72℃で3分間、次いで98℃で10秒間、63℃で30秒間、及び72℃で50秒間の10〜12サイクル、ならびに72℃で5分間の最終延長でDNAを変性させた。サイクルの数を調整して、4つの25μLの反応物とともに合計約300ngのDNAを得た。PCR産物は、不明確な量の時間にわたって4℃で保持され得る。
【0362】
PCR産物を、AMPureビーズを使用してクリーンアップした。ビーズを使用する前に30分間室温にした。50μLのPCR反応物を新たなLow−Bindチューブに移し、(1.8倍量)90μLのAMPureビーズを添加した。混合物を十分にピペットし、室温で5分間インキュベートした。磁石を3分間使用してビーズを収集し、上澄みを取り除いた。300μLの新鮮に調製された80%エタノールを磁石上のビーズに添加し、エタノールを慎重に破棄した。洗浄を繰り返し、次いで全てのエタノールを取り除いた。ビーズを磁石ラック上で10分間乾燥させた。10μLのEBをビーズに添加し、十分に混合して、室温で5分間インキュベートした。溶出液を収集し、1μLの溶出液をQubit及びBioanalyzerに使用した。
【0363】
ライブラリーをクローン化して、以下のプロトコルを使用して複雑性を検証した。1μLのライブラリーを1:10で希釈した。PCR反応を下記のように実施した。Illuminaアダプターにアニールするプライマーを選択した(Tm=52.2℃)。PCR反応混合物(全量:50μL)は、以下を含有していた:10μLの5X GoTaq緩衝液、1μLの10mM dNTP、5μLの10μMプライマーミックス、0.25μLのGoTaqポリメラーゼ、1μLの希釈したテンプレートDNA、及び32.75μLのH
2O。以下のサイクル条件を使用して、PCRを実施した:95℃で2分間、ならびに以下の条件:95℃で60秒間、50℃で60秒間、及び72℃で30秒間の20サイクル、ならびに72℃で5分間の最終延長でDNAを変性させた。PCR産物は、不明確な量の時間にわたって4℃で保持され得る。
【0364】
PCR産物を、pGEM(登録商標)T−Easyベクター(Promega)プロトコルで連結した。5μLの2X T4 Quickリガーゼ緩衝液、1μLのpGEM(登録商標)T−Easyベクター、1μLのT4リガーゼ、1μLのPCR産物、及び2μLのH
2Oを、全量10μLまで複合した。産物を室温で1時間インキュベートし、2μLを使用して星コンピテント細胞を形質転換した。200μLの500μLの細胞をSOC培地にプレーティングした。翌日、T7プロモータープライマーを使用して、Sangerシーケンシングのための20コロニーを選択した。60%クローンは、完全なアダプターを有し、15%が部分的アダプターを有していた。
【0365】
viii.試薬
10試料のタンパク質G Dynabeadsは、Invitrogen Dynalカタログ番号10003Dからのものであった。ブロッキング溶液(50mL)は、50mLのddH2Oに溶解された0.25gのBSA(0.5% BSA、w/v)を含有し、使用前に4℃で2日間保存した。
【0366】
溶解緩衝液1(LB1)(500mL)は、25mLの1M Hepes−KOH(pH7.5)、14mLの5M NaCl、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの100%グリセロール溶液、25mLの10% NP−40、及び12.5mLの10% Triton X−100を含有していた。pHを7.5に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。溶解緩衝液2(LB2)(1000mL)は、10mLの1M Tris−HCl(pH8.0)、40mLの5M NaCl、2mLの0.5M EDTA(pH8.0)、及び2mLの0.5M EGTA(pH8.0)を含有していた。pHを8.0に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0367】
音波処理緩衝液(500mL)は、25mLの1M Hepes−KOH(pH7.5)、14mLの5M NaCl、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの10% Triton X−100、10mLの5% Na−デオキシコール酸塩、及び5mLの10% SDSを含有していた。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。高塩音波処理緩衝液(500mL)は、25mLの1M Hepes−KOH(pH7.5)、35mLの5M NaCl、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの10% Triton X−100、10mLの5% Na−デオキシコール酸塩、及び5mLの10% SDSを含有していた。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0368】
LiCl洗浄緩衝液(500mL)は、10mLの1M Tris−HCl(pH8.0)、1mLの0.5M EDTA(pH8.0)、125mLの1M LiCl溶液、25mLの10% NP−40、及び50mLの5% Na−デオキシコール酸塩を含有していた。pHを8.0に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0369】
溶出緩衝液(500mL)を使用して、25mLの1M Tris−HCl(pH8.0)、10mLの0.5M EDTA(pH8.0)、50mLの10% SDS、及び415mLのddH
2Oを含有するChIP DNAの量を定量化した。pHを8.0に調節した。緩衝液を無菌濾過し、4℃で保存した。pHを使用直前に再チェックした。
【0370】
ChIA−PET洗浄緩衝液(50mL)は、500μLの1M Tris−HCl(pH8.0)(最終10mM)、100μLの0.5M EDTA(pH8.0)(最終1mM)、5mLの5M NaCl(最終500mM)、及び44.4mLのdH
2Oを含有していた。
【0371】
L.HiChIP
ChIA−PETの代替として、HiChIPを使用して、クロマチン相互作用及び立体配座を分析した。HiChIPは、ChIA−PETよりも少ない細胞を必要とする。
【0372】
i.細胞架橋
上のChIPプロトコルに記載されるように細胞を架橋した。架橋した細胞を、−80℃でペレットとして保存するか、または細胞を急速冷凍した直後にHiChIPに使用した。
【0373】
ii.溶解及び制限
1500万個の架橋細胞を500μLの氷冷Hi−C溶解緩衝液中に再懸濁し、4℃で30分間回転させた。1500万より多くの細胞量の場合、ペレットを接触生成のために半分に分割し、次いで音波処理のために組み合えた。細胞を2500gで5分間遠心沈降し、上澄みを破棄した。ペレット化した核を、500μLの氷冷Hi−C溶解緩衝液で1回洗浄した。上澄みを取り除き、ペレットを100μLの0.5% SDS中に再懸濁した。再懸濁液を62℃で10分間インキュベートし、次いで285μLのH
2O及び50μLの10% Triton X−100を添加して、SDSをクエンチした。再懸濁液を十分に混合し、37℃で15分間インキュベートした。50μLの10X NEB緩衝液2及び375UのMboI制限酵素(NEB、R0147)を混合物に添加して、37℃で2時間回転させることによってクロマチンを消化した。より下位の出発物質の場合、より少ない制限酵素を使用し、15μLを1000〜1500万細胞に使用し、8μLを500万細胞、及び4μLを100万細胞に使用した。熱(62℃で20分間)を使用して、MboIを不活化した。
【0374】
iii.ビオチン組み込み及び近位連結
制限断片オーバーハングを満たし、DNA端部をビオチンでマークするために、37.5μLの0.4mMビオチン−dATP(Thermo 19524016)、1.5μLの10mM dCTP、dGTP、及びdTTP、ならびに10μLの5U/μL DNAポリメラーゼI、大きな(Klenow)断片(NEB、M0210)を複合することによって、52μLの充填マスターミックスを反応させた。混合物を、37℃で1時間回転させながらインキュベートした。
【0375】
948μLの連結マスターミックスを添加した。連結マスターミックスは、10mM ATPを含む150μLの10X NEB T4 DNAリガーゼ緩衝液(NEB、B0202)、125μLの10% Triton X−100、3μLの50mg/mL BSA、10μLの400U/μL T4 DNAリガーゼ(NEB、M0202)、及び660μLの水を含有していた。混合物を、室温で4時間回転させながらインキュベートした。核を2500gで5分間ペレット化し、上澄みを取り除いた。
【0376】
iv.音波処理
音波処理の場合、ペレットを核溶解緩衝液中で最大1000μLにした。試料をCovarisミリチューブに移し、DNAを製造元の推奨するパラメーターでCovaris(登録商標)E220Evolution(商標)を使用して剪断した。各チューブ(1500万細胞)を以下の条件下で4分間音波処理した。充填レベル5、デューティサイクル5%、PIP140、及びサイクル/バースト200。
【0377】
v.プレクリアリング、免疫沈降、IPビーズ捕捉、及び洗浄
試料を4℃で15分間、16,100gで清澄化した。試料を各々約400μLの2チューブに分割し、750μLのChIP希釈緩衝液を添加した。Smc1a抗体(Bethyl A300−055A)の場合、試料をChIP希釈緩衝液中で1:2に希釈して、0.33%のSDS濃度を達成した。60μLのタンパク質Gビーズを、ChIP希釈緩衝液中1000万細胞ごとに洗浄した。ビーズ(プレクリアリング及び捕捉のため)及び抗体の量を、異なる量の細胞出発物質について直線的に調節した。タンパク質Gビーズをチューブあたり50μL(HiChIPあたり100μL)の希釈緩衝液中に再懸濁した。試料を4℃で1時間回転させた。試料を磁石上に置き、上澄みを新たなチューブに移した。7.5μgの抗体を1000万細胞ごとに添加し、混合物を4℃で一晩回転させながらインキュベートした。別の60μLのタンパク質Gビーズを、ChIP希釈緩衝液中1000万細胞ごとに添加した。タンパク質Gビーズを、50μLの希釈緩衝液(HiChIPあたり100μL)中に再懸濁し、試料に添加して、4℃で2時間回転させた。ビーズを低塩洗浄緩衝液、高塩洗浄緩衝液、及びLiCl洗浄緩衝液で各々3回洗浄した。500μLの洗浄緩衝液を添加し、試料を磁石に対して動かすことによってビーズを前後に2回振り、次いで上澄みを取り除くことによって、磁石上で室温で洗浄を実施した。
【0378】
vi.ChIP DNA溶出
ChIP試料ビーズを100μLの新鮮なDNA溶出緩衝液中に再懸濁した。試料ビーズを室温で10分間回転させながらインキュベートし、続いて37℃で3分間振とうさせながらインキュベートした。ChIP試料を磁石上に置き、上澄みを新鮮なチューブに取り除いた。別の100μLのDNA溶出緩衝液をChIP試料に添加し、インキュベーションを繰り返した。ChIP試料の上澄みを再度取り除き、新たなチューブに移した。約200μLのChIP試料が存在していた。10μLのプロテイナーゼK(20mg/mL)を各試料に添加し、55℃で45分間振とうさせながらインキュベートした。温度を67℃に高め、試料を少なくとも1.5時間振とうさせながらインキュベートした。DNAをZymo精製し(Zymo Research、#D4014)、10μLの水に溶出した。ポストChIP DNAを定量化して、ライブラリーを正しいサイズ分布で生成するために必要とされるTn5の量を推定した。これは、接触ライブラリーを適切に生成し、試料を過剰に音波処理せず、材料をストレプトアビジンビーズ上で頑強に捕捉したと推測した。1000万細胞でのSMC1 HiChIPは、15ng〜50ngのポストChIP DNAの予想収率を有していた。150ngより多くのポストChIP DNAを有するライブラリーの場合、材料を除外し、最大150ngをビオチン捕捉ステップに取り入れた。
【0379】
vii.Illuminaシーケンシングのためのビオチンプルダウン及び調製
ビオチンプルダウンのための調製のために、5μLのストレプトアビジンC−1ビーズをTween洗浄緩衝液で洗浄した。ビーズを10μLの2Xビオチン結合緩衝液中に再懸濁し、試料に添加した。ビーズを室温で15分間、回転させながらインキュベートした。ビーズを磁石上で分離し、上澄みを破棄した。500μLのTween洗浄緩衝液を添加することによってビーズを2回洗浄し、55℃で2分間振とうさせながらインキュベートした。ビーズを100μLの1X(2Xから希釈した)TD緩衝液中で洗浄した。ビーズを25μLの2X TD緩衝液、各50ngのポストChIP DNAについて2.5μLのTn5、及び水中で50μLの量まで再懸濁した。
【0380】
Tn5は、4μLの最大量を有していた。例えば、25ngのDNA転位の場合、1.25μLのTn5を添加し、一方で125ngのDNA転位の場合、4μLのTn5を使用した。正しい量のTn5を使用して、適切なサイズ分布をもたらした。過剰転位された試料は、より短い断片を有し、より低いアラインメント率を呈していた(接合部は断片端部に近かった)。過小転位された試料は、大き過ぎてIlluminaシーケンサー上で適切にクラスター化することができない断片を有する。ライブラリーを5サイクルで増幅させ、ライブラリーの転位のレベルに関係なく、深くシーケンシングされ、適切なサイズ分布を達成するために十分な複雑性を有していた。
【0381】
ビーズを55℃で10分間、合間に振とうさせながらインキュベートした。試料を磁石上に置き、上澄みを取り除いた。50mM EDTAを試料に添加し、50℃で30分間インキュベートした。次いで、試料を迅速に磁石上に置き、上澄みを取り除いた。試料を50℃で3分間、50mM EDTAで2回洗浄し、次いで磁石から迅速に取り除いた。試料を55℃で2分間、Tween洗浄緩衝液中で2回洗浄し、次いで磁石から迅速に取り除いた。試料を10mM Tris−HCl(pH8.0)で洗浄した。
【0382】
viii.PCR及びPCR後サイズ選択
ビーズを50μLのPCRマスターミックス中に懸濁した(デュアルIndexアダプター#15055289を有するIlluminaからのNextera XT DNAライブラリー調製キット#15028212を使用する)。PCRを以下のプログラムを使用して実施した。2つの方法のうちの1つを使用して、サイクル数を推定した。(1)最初の5サイクル(72℃で5分間、98℃で1分間、98℃で15秒間、63℃で30秒間、72℃で1分間)を、通常のPCR上で実施し、次いで産物をビーズから取り除いた。次いで、0.25X SYBRグリーンを添加し、試料をqPCR上で実行した。試料を指数的増幅の開始時に取り出した。または(2)反応をPCR上で実行し、ポストChIP Qubitからの材料の量に基づいてサイクル数を推定した(50ng超は5サイクルで実行されたが、およそ50ngは6サイクルで実行され、25ngは7サイクルで実行され、12.5ngは8サイクルで実行された等)。
【0383】
ライブラリーを磁石上に置き、新たなチューブに溶出した。ライブラリーをZymo Researchからのキットを使用して精製し、10μLの水に溶出した。AMPure XPビーズを用いて両側サイズ選択を実施した。PCR後、ライブラリーを磁石上に置き、新たなチューブに溶出した。次いで、25μLのAMPure XPビーズを添加し、上澄みを保持して700bp未満の断片を捕捉した。上澄みを新たなチューブに移し、15μLの新鮮なビーズを添加して、300bpより大きい断片を捕捉した。AMPure XPビーズから10μLの水中に最終溶出を実施した。Bioanalyzerを使用してライブラリーの質を検証した。
【0384】
ix.緩衝液
Hi−C溶解緩衝液(10mL)は、100μLの1M Tris−HCl(pH8.0)、20μLの5M NaCl、200μLの10% NP−40、200μLの50Xプロテアーゼ阻害剤、及び9.68mLの水を含有していた。核溶解緩衝液(10mL)は、500μLの1M Tris−HCl(pH7.5)、200μLの0.5M EDTA、1mLの10% SDS、200μLの50Xプロテアーゼ阻害剤、及び8.3mLの水を含有していた。ChIP希釈緩衝液(10mL)は、10μLの10% SDS、1.1mLの10% Triton X−100、24μLの500mM EDTA、167μLの1M Tris(pH7.5)、334μLの5M NaCl、及び8.365mLの水を含有していた。低塩洗浄緩衝液(10mL)は、100μLの10% SDS、1mLの10% Triton X−100、40μLの0.5M EDTA、200μLの1M Tris−HCl(pH7.5)、300μLの5M NaCl、及び8.36mLの水を含有していた。高塩洗浄緩衝液(10mL)は、100μLの10% SDS、1mLの10% Triton X−100、40μLの0.5M EDTA、200μLの1M Tris−HCl(pH7.5)、1mLの5M NaCl、及び7.66mLの水を含有していた。LiCl洗浄緩衝液(10mL)は、100μLの1M Tris(pH7.5)、500μLの5M LiCl、1mLの10% NP−40、1mLの10% Na−デオキシコール酸塩、20μLの0.5M EDTA、及び7.38mLの水を含有していた。
【0385】
DNA溶出緩衝液(5mL)は、250μLの新鮮な1M NaHCO
3、500μLの10% SDS、及び4.25mLの水を含有していた。Tween洗浄緩衝液(50mL)は、250μLの1M Tris−HCl(pH7.5)、50μLの0.5M EDTA、10mLの5M NaCl、250μLの10% Tween−20、及び39.45mLの水を含有していた。2Xビオチン結合緩衝液(10mL)は、100μLの1M Tris−HCl(pH7.5)、20μLの0.5M、4mLの5M NaCl、及び5.88mLの水を含有していた。2X TD緩衝液(1mL)は、20μLの1M Tris−HCl(pH7.5)、10μLの1M MgCl
2、200μLの100%ジメチルホルムアミド、及び770μLの水を含有する。
【0386】
M.肝細胞への投与のための薬物希釈
肝細胞の化合物処理の前に、DMSO中0.1mMのストック薬物を0.9mLのDMSOと混合することによって、DMSO中の100mMストック薬物を10mMに希釈して、最終量を1.0mLにした。5μLの希釈薬物を各ウェルに添加し、薬物のウェルあたり0.5mLの培地を添加した。各薬物を三重に分析した。5μLの薬物を45μLの培地に添加し、50μLを細胞上の450μLの培地に添加することによって、1000xまでの希釈を実施した。
【0387】
生物活性化合物もまた、肝細胞に投与した。1mLのDMSO中の生物活性化合物の1000xストックを得るために、0.1mLの10,000倍ストックを0.9mLのDMSOと複合した。
【0388】
実施例2.刺激された肝細胞についてのRNA−seq研究
尿素サイクル酵素を調整する小分子を特定するために、一次ヒト肝細胞を単一培養として調製し、少なくとも1つの小分子化合物を細胞に適用した。
【0389】
RNA−seqを実施して、肝細胞中の尿素サイクル酵素の発現に対する化合物の効果を決定した。摂動されていた細胞系中の発現レベルを非摂動系中の発現レベルで除算することによって、倍率変化を計算した。p値≦0.05を有する発現の変化を有意であるとみなした。
【0390】
肝細胞のシグナル伝達中心を摂動するために使用される化合物は、表1に列挙される少なくとも1つの化合物を含む。表中で、化合物はそれらのID、標的、経路、及び薬学的作用とともに列挙される。摂動シグナルとして選択された大部分の化合物は、当該技術分野において少なくとも1つの正準細胞経路を調整することが知られている。いくつかの化合物を、有効性の欠失に起因して第III相臨床評価において失格した化合物から選択した。
【0391】
(表1)RNA−seq中で使用される化合物
【0392】
実施例3.尿素サイクル酵素の発現を調整する化合物の特定
RNA−seqデータの分析は、CPS1、OTC、ASS1、ASL、及び/またはNAGSの発現の有意な変化を引き起こしたいくつかの化合物を明らかにした。有意性は、選択された遺伝子標的について、FPKM≧1、log2(倍率変化)≧0.5、及びq値≦0.05として定義された。少なくとも1つの標的遺伝子において著しく調整された化合物のRNA−seq結果を表2〜10に示す。表2は、CPS欠損症に関連するCPS1の発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0393】
(表2)化合物によって調整されるCPS1発現
【0394】
表3は、OTC欠損症に関連するOTCの発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0395】
(表3)化合物によって調整されるOTC発現
【0396】
表3Aは、OTC欠損症に関連するOTCの発現を増加させることが観察された化合物について、追加のデータを提供する。1uM最終濃度でアッセイされた化合物HSP−990及び塩酸レタスピマイシンを除く、10uMの最終濃度でアッセイされた化合物。
【0397】
(表3A)化合物によって調整されるOTC発現
【0398】
実施例4.OTC発現を上方調節するためのsiRNA剤の使用
一次ヒト肝細胞を、24ウェルフォーマット(ウェルあたり1μL)でRNAiMAX試薬(ThermoFisherカタログ番号13778030)を使用し、6pmol siRNAで逆トランスフェクトした(最終濃度10nMの場合)。翌朝、培地を取り除き、修飾された維持培地でさらに24時間置き換えた(上記を参照)。処理全体は48時間続き、この時点で培地を取り除き、RNA抽出のためにRLT緩衝液(Qiagen RNeasy 96 QIAcube HTキットカタログ番号74171)と置き換えた。siRNAをDharmaconから取得し、全て関心対象の特定の遺伝子内で別個の部位を標的とするように設計された4つのsiRNA二重鎖のプールである(「SMARTpool」として知られる)。siRNAカタログ番号を、下記の表3Bに列挙する。それらは、対照非標的siRNA D−001206−13−05に対して試験された。
【0399】
単離されたRNAを、cDNA合成及びqPCRのために上記のように処理した。TaqmanアッセイをOTC測定に使用した。Hs00166892_m1
【0400】
(表3B)siRNA剤はOTCを上方調節する
【0401】
表4は、ASS1欠損症に関連するASS1の発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0402】
(表4)化合物によって調整されるASS1発現
【0403】
表5は、ASL欠損症に関連するASLの発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0404】
(表5)化合物によって調整されるASL発現
【0405】
表6は、NAGS欠損症に関連するNAGSの発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0406】
(表6)化合物によって調整されるNAGS発現
【0407】
表7は、アルギナーゼ欠損症に関連するARG1の発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0408】
(表7)化合物によって調整されるARG1発現
【0409】
表8は、ORNT1欠損症に関連するSLC25A15の発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0410】
(表8)化合物によって調整されるSLC25A15発現
【0411】
表9は、シトリン欠損症に関連するSLC25A13の発現を著しく増加させることが観察された化合物について、log2倍率変化を提供する。
【0412】
(表9)化合物によって調整されるSLC25A13発現
【0413】
表10は、複数の尿素サイクル関連遺伝子の発現を著しく増加させることが観察された化合物の一覧を提供する。
【0414】
(表10)複数の遺伝子を調整する化合物
【0415】
上に示されるように、ダサチニブは、log2倍率変化≧1で7つの尿素サイクル遺伝子の発現を著しく上方調節することが観察された。エキノマイシン及びCP−673451は、6つの尿素サイクル遺伝子の発現を著しく上方調節することが観察された。GDF2(BMP9)、ボスチニブ、エピネフリン、パクリチニブ(SB1518)、アムバチニブ、FRAX597、及びサリドマイドは、5つの尿素サイクル遺伝子の発現を著しく上方調節することが観察された。クレノラニブ、BMP2、デオキシコルチコステロン、TNF−α、Wnt3a、PDGF、IGF−1、アクチビン、及びHGF/SFは、4つの尿素サイクル遺伝子の発現を著しく上方調節することが観察された。17−AAG(タネスピマイシン)、R788(フォスタマチニブ、二ナトリウム六水和物)、GZD824ジメシレート、BAY 87−2243、プレドニゾン、ノーダル、モメロチニブ、FGF、EGF、抗ミュラー管ホルモン、INNO−206(アルドキソルビシン)、及びピフィスリン−μは、3つの尿素サイクル遺伝子の発現を著しく上方調節することが観察された。
【0416】
ダサチニブは、Abl、Src、及びc−Kitを標的とする新規の強力な多標的化阻害剤である。これは、Abl−、Src−、またはc−Kit媒介性シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子、特にAbl、Src、またはc−Kitを阻害することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0417】
ムブリチニブ(TAK−165)は、BT−474細胞において6nMのIC50を有するHER2/ErbB2の強力な阻害剤である。
【0418】
XL228は、がん細胞増幅、生存、及び転移において重要な役割を果たす標的である、インスリン様増殖因子1型受容体(IGF1R)、Src、及びAblチロシンキナーゼを阻害するように設計されている。
【0419】
3つの特定された化合物、フォレチニブ/XL880、レゴラフェニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、VEGFR媒介性シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子、特にVEGFRを調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0420】
6つの特定された化合物、CP−673451、アムバチニブ、クレノラニブ、スニチニブ、アムバチニブ、及びPDGFは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、PDGFR媒介性シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子、特にPDGFRを調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0421】
3つの特定された化合物、パゾパニブ、リニファニブ、レゴラフェニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)及び血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、PDGFR及びVEGFR媒介性シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子、特にPDGFR、VEGFRを調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0422】
5つの特定された化合物、PF−04929113(SNX−5422)、17−AAG、BIIB021、HSP−990、塩酸レタスピマイシンは、熱ショックタンパク質90(HSP90)媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、シグナル伝達分子、特にHSP90を調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0423】
5つの特定された化合物、GDF2(BMP9)、BMP2、アクチビン、ノーダル、及び抗ミュラー管ホルモン、ドルソモルフィンは、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−B)シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、TGF−Bシグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子、特にTGF−B及び/または骨形態形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)を調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0424】
5つの特定された化合物、モメロチニブ、バリシチニブ、GLPG0634、AZD1480、LY2784544、TAK−901、クエン酸トファシチニブは、JAK媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、シグナル伝達分子、特にJAK/STATを調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0425】
3つの特定された化合物、CCCP、BX795、MRT67307は、TBK1/Ikke媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、特にTBK1経路を通してシグナル伝達分子を調整することが、尿素サイクル酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0426】
7つの特定された化合物、AS602801(ベンタマピモド)、PF−00562271、BIRB 796、パマピモド、R1487塩酸塩、バルドキソロン、PH−797804は、MAPK媒介性シグナル伝達経路の既知の調整因子である。これは、シグナル伝達分子、特にMAPKを調整することが、尿素サイクルの酵素を強力に上方調節し得ることを示唆する。
【0427】
ムブリチニブ(TAK−165)は、BT−474細胞において6nMのIC50を有するHER2/ErbB2の強力な阻害剤である。
【0428】
XL228は、がん細胞増幅、生存、及び転移において重要な役割を果たす標的である、インスリン様増殖因子1型受容体(IGF1R)、Src、及びAblチロシンキナーゼを阻害するように設計されている。
【0429】
スニチニブは、複数のRTKを標的とすることによって細胞シグナル伝達を阻害する。これらには、全ての血小板由来増殖因子受容体(PDGF−R)及び血管内皮増殖因子受容体(VEGF−R)が含まれる。スニチニブはまた、GISTの大部分を駆動するRTKであるKIT(CD117)を阻害する。加えて、スニチニブは、RET、CSF−1R、及びflt3を含む他のRTKを阻害する。
【0430】
リフィラフェニブ(BGB−283)は、生化学アッセイにおいてRAFファミリーキナーゼ及びEGFRの活性を強力に阻害し、組み換えBRAFV600Eキナーゼドメイン、EGFR、及びEGFR T790M/L858R突然変異体について、23nM、29nM、及び495nMのIC50値を有する。
【0431】
フォレチニブ(GSK1363089)は、HGFR及びVEGFRのATP競合阻害剤であり、大部分はMet及びKDRについて、無細胞アッセイにおいて0.4nM及び0.9nMのIC50を有する。Ron、Flt−1/3/4、Kit、PDGFRα/β、及びTie−2に対してあまり強力ではなく、FGFR1及びEGFRに対してほとんど活性がない。
【0432】
BIIB021は、HSP90の経口的に投与される完全な合成小分子阻害剤であり、それぞれ1.7nM及び38nMのK
i及びEC50を有する。
【0433】
NVP−HSP990(HSP990)は、新規の強力な選択的HSP90阻害剤であり、HSP90α/βについて、0.6nM/0.8nMのIC50を有する。
【0434】
IPI−504は、熱ショックタンパク質90(Hsp90の新規の水溶性の強力な阻害剤である。
【0435】
バリシチニブは、選択的かつ可逆的なヤヌスキナーゼ1(JAK1)及び2(JAK2)阻害剤である。
【0436】
ドラマピモド(BIRB 796)は、pan−p38 MAPK阻害剤であり、無細胞アッセイにおいてp38α/β/γ/δについて38nM、65nM、200nM、及び520nMのIC50を有し、THP−1細胞において0.1nMのK
d、JNK2に対して330倍優れた選択性でp38αに結合する。
【0437】
パマピモドは、p38α MAPキナーゼの強力な阻害剤である(IC
50=14nM)。
1それは、p38βよりもp38αに対して30倍を超える選択性を示し、p38δまたはp38γに対して活性を有さず、他の350キナーゼのパネルに対して限定された活性を有する。
【0438】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤BMS−214662は、酵素ファルネシルトランスフェラーゼ、及びシグナル伝達に関与するタンパク質の数の翻訳後ファルネシル化を阻害し、これは、感受性腫瘍細胞におけるRas機能の阻害及びアポトーシスをもたらし得る。
【0439】
これらの結果はまた、尿素サイクルの発現は、他のシグナル伝達経路、例えばNF−kBシグナル伝達経路、低酸素活性化シグナル伝達経路、Srcシグナル伝達経路、c−METシグナル伝達経路、細胞サイクル/DNA損傷経路、アドレナリン作動性受容体媒介性経路、PAKシグナル伝達経路、MAPKシグナル伝達経路、ファルネシルトランスフェラーゼ、EGFR、FGFR、及びアポトーシスに関連し得ることを示唆する。これらの経路のうちの1つを調整することはまた、尿素サイクル酵素の上方調節につながり得る。
【0440】
実施例5.シグナル伝達中心のゲノム位置及び組成物の決定
多層アプローチは、シグナル伝達中心の位置または「フットプリント」を特定するために本明細書で使用される。遺伝子及びエンハンサーの線形近接は、常にシグナル伝達中心の3D立体配座を決定するために有益であるとは限らない。
【0441】
ChIP−seqを使用して、シグナル伝達中心のゲノム位置及び組成物を決定した。転写因子、シグナル伝達タンパク質、及びクロマチン修飾を含む67標的に特異的な抗体は、ChIP−seqを使用するHepG2細胞における検証のために選択された。これらの検証された抗体を幹細胞のChIP−seqにおいて使用して、二次元(2D)マップを作成した。これらの抗体標的を表11に示す。
【0442】
(表11)一次ヒト肝細胞のChIP−seq標的
【0443】
シグナル伝達タンパク質カラムにおいて、関連正準経路は「−」の後に含まれる。
【0444】
表12は、クロマチンマーク、及びクロマチン関連タンパク質、転写因子、ならびに一次ヒト肝細胞中の各尿素サイクル関連遺伝子の絶縁近傍に関連する特定のシグナル伝達タンパク質/または因子を示す。
【0445】
(表12)ChIP−seq結果
【0446】
実施例6.RNA−seq結果検証
初期RNA−seq分析から特定された化合物は、qRT−PCRによる検証に供される。qRT−PCRは、特定された化合物で刺激された第2のドナーからの一次ヒト肝細胞の試料上で実施される。化合物を、異なる濃度で異なる細胞ロットで試験する。qRT−PCRを介して観察される遺伝子発現の倍率変化を、RNA−seq分析からの倍率変化と比較する。少なくとも1つの尿素サイクル酵素の発現のロバストな増加を引き起こす化合物を、さらなる特性化のために選択する。
【0447】
実施例7.関心対象の経路の崩壊
尿素サイクル酵素の発現の変化との関連を示した正準経路を、追加の化合物で摂動させて、尿素サイクル酵素の調節における経路の関与を確認する。一実施形態では、一次ヒト肝細胞を、PDGFR媒介性シグナル伝達経路における異なる構成成分を標的とする追加の化合物で処理する。別の実施形態では、一次ヒト肝細胞を、TGF−Bシグナル伝達経路における異なる構成成分を標的とする追加の化合物で処理する。刺激された肝細胞における選択された尿素サイクル酵素の発現を、実施例1に記載されるようにRNA−seqで分析する。肝星細胞もまた、同じ化合物で処理し、遺伝子発現に対する摂動された経路の効果を比較する。シグナル伝達タンパク質の結合パターンの変化を、ChIPを使用して調べる。結果を利用して、選択された尿素サイクル酵素発現を制御する遺伝子シグナル伝達ネットワークを例証し、所望の方向に選択された尿素サイクル酵素を調整する追加の化合物を特定する。
【0448】
実施例8.他の肝細胞株における化合物試験
一実施形態では、候補化合物を肝星細胞において評価して、それらの有効性を確認する。星細胞中の標的遺伝子発現の変化を、qRT−PCRで分析する。結果を、一次肝細胞からの結果と比較する。少なくとも1つの尿素サイクル酵素の一貫した誘導を示す化合物を、さらなる特性化のために選択する。
【0449】
実施例9.患者細胞における化合物試験
患者由来の誘導多能性幹(iPS)肝芽細胞において候補化合物を評価して、それらの有効性を確認する。選択された患者は、尿素サイクル酵素のうちの少なくとも1つの欠損を有する。iPS−肝芽細胞中の標的遺伝子発現の変化を、qRT−PCRで分析する。結果を使用して、経路が患者細胞において同様に機能的であるか、また化合物が同じ影響を有するかを確認する。
【0450】
実施例10.マウスモデルにおける化合物試験
候補化合物を、インビボ活性及び安全性について、尿素サイクル異常症(例えば、CPS1欠損症、OTC欠損症、ASS1欠損症、ASL欠損症、NAGS欠損症、アルギナーゼ欠損症、ORNT1欠損症、またはシトリン欠損症)のマウスモデルにおいて評価する。
【0451】
等価物及び範囲
当業者であれば、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載される本発明による特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認し得るであろう。本発明の範囲は上記の説明に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される。
【0452】
特許請求の範囲において、「a」、「an」及び「the」などの冠詞は、特に逆が示されない限り、またはさもなければ文脈から明らかである場合を除き、1つまたは1つ超を意味し得る。群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または説明は、特に逆が示されない限り、またはさもなければ文脈から明らかである場合を除き、群のメンバーのうちの1つ、1つ超、または全てが所与の製品またはプロセスに存在する、それに採用される、ないしは別の方法でそれに関連する場合に満たされると考えられる。本発明は、群のうちの正確に1つのメンバーが、所与の製品またはプロセスに存在する、それに採用される、ないしは別の方法でそれに関連する実施形態を含む。本発明は、群のメンバーのうちの1つ超、または全体が所与の製品またはプロセスに存在する、それに採用される、ないしは別の方法でそれに関連する実施形態を含む。
【0453】
「含む(comprising)」という用語は、制約がないことが意図され、追加の要素またはステップの包含を可能にするが、その必要がないことにも留意する。「含む(comprising)」という用語が本明細書で使用される場合、したがって「からなる(consisting of)」という用語もまた包含され、開示される。
【0454】
範囲が与えられている場合、エンドポイントは含まれる。さらに、特に記載されない限り、またはさもなければ文脈及び当業者の理解から明らかである場合を除き、範囲として表される値は、文脈が明確に示さない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態の指定された範囲内の任意の特定の値または下位範囲をとることができることを理解する。
【0455】
加えて、先行技術内に入る本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のいずれか1つ以上から明示的に除外され得ることを理解する。そのような実施形態は、当業者に既知であるとみなされるため、それらは、除外が本明細書に明示的に記載されていない場合でも除外され得る。本発明の組成物のいずれの特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療成分または活性成分;任意の産生方法;任意の使用方法など)も、先行技術の存在に関連するかどうかに関わらず、あらゆる理由により、任意の1つ以上の特許請求の範囲から除外することができる。
【0456】
使用されている単語は、限定ではなく説明の単語であり、添付の特許請求の範囲の権限内で、そのより広い態様において本発明の真の範囲及び趣旨から逸脱することなく変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0457】
本発明は、いくつかの記載される実施形態に関してある程度の長さ及びある程度の特定性で説明されてきたが、任意のそのような特定事項または実施形態または任意の特定の実施形態に限定されるべきであることを意図しないが、添付の特許請求の範囲を参照して、先行技術を考慮してそのような特許請求の範囲の最も広義の可能な解釈を提供するもの、したがって、本発明の意図される範囲を有効に包含するものとして解釈される。
【0458】
(表13)結合部位またはシグナル伝達中心のモチーフ
【0459】
(表14)結合部位またはシグナル伝達中心のモチーフ
【0460】
(表15)遺伝子複合体モチーフパターン
【0461】
(表16)遺伝子複合体モチーフパターン
【0462】
(表17)単一遺伝子モチーフパターン
【0463】
(表18)単一遺伝子モチーフパターン
【0464】
(表19)IUPACヌコエチドコード
【0465】
(表20)OTC欠損症に関連するOTC遺伝子における突然変異
1 ヌクレオチド+1は、NM_000531.3の翻訳開始コドンのAである。
2 欠失または挿入の場合、翻訳開始コドンのAで始まるcDNAヌクレオチド番号が付与される。
3 %)肝臓もしくは腸内の、または発現研究によって決定された残留活性、[15N]尿素への残留窒素の組み込み。%)肝臓もしくは腸内の、または発現研究によって決定された残留活性、[15N]尿素への残留窒素の組み込み。
【0466】
(表21)選択された化合物のCASレジストリー番号
本発明はまた、SLC25A13遺伝子を含む絶縁近傍の上流もしくは下流近傍遺伝子またはそのRSRのうちの1つ以上を変更する1種以上の化合物を細胞に導入することを含む、細胞中のSLC25A13遺伝子の発現を調整する方法を提供する。いくつかの実施形態では、上流近傍遺伝子は、DYNC1I1を含む。いくつかの実施形態では、下流近傍遺伝子は、RNU6−532Pを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、SLC25A13遺伝子内またはその付近に少なくとも1つの突然変異を有する。いくつかの実施形態では、細胞は、肝細胞である。
%)肝臓もしくは腸内の、または発現研究によって決定された残留活性、[15N]尿素への残留窒素の組み込み。%)肝臓もしくは腸内の、または発現研究によって決定された残留活性、[15N]尿素への残留窒素の組み込み。