特表2020-536873(P2020-536873A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-536873迅速発現作用延長型の植物系及び合成カンナビノイド製剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-536873(P2020-536873A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】迅速発現作用延長型の植物系及び合成カンナビノイド製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20201120BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 27/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20201120BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20201120BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20201120BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20201120BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   A61K36/185
   A61K45/00
   A61P1/00
   A61P3/00
   A61P5/00
   A61P7/00
   A61P11/00
   A61P13/00
   A61P19/00
   A61P25/00
   A61P27/00
   A61P29/00
   A61P31/00
   A61P37/00
   A61K47/38
   A61K47/10
   A61K47/44
   A61K47/18
   A61K47/12
   A61K47/36
   A61K9/08
   A61K9/10
   A61K9/48
   A61K9/20
   A61K47/42
   A61K47/34
   A61K47/32
   A61K47/28
   A61K9/24
   A61K31/05
   A61K31/352
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2020-519349(P2020-519349)
(86)(22)【出願日】2018年10月5日
(85)【翻訳文提出日】2020年6月1日
(86)【国際出願番号】US2018054733
(87)【国際公開番号】WO2019071213
(87)【国際公開日】20190411
(31)【優先権主張番号】62/568,705
(32)【優先日】2017年10月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518372280
【氏名又は名称】レセプター・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオン−ベイ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ウェスナー,グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA36
4C076AA40
4C076AA53
4C076AA60
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC03
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC31
4C076DD08
4C076DD09
4C076DD37
4C076DD52
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4C076EE08
4C076EE09
4C076EE11
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4C076FF03
4C076FF31
4C076FF33
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4C076GG11
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4C084ZA961
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4C086MA52
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4C086ZA32
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
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4C088BA08
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4C088NA12
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4C088ZA51
4C088ZA59
4C088ZA66
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4C088ZA96
4C088ZB26
4C088ZB32
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
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4C206ZA02
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4C206ZA59
4C206ZA66
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZA94
4C206ZB26
4C206ZB32
(57)【要約】
迅速発現作用延長型の植物系医薬化合物又は栄養補給剤及び合成カンナビノイド製剤が記載される。迅速発現は、N−アシル化脂肪アミノ酸及び/又は浸透促進剤により提供される。作用延長は、1種以上の持続放出系により提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(a)植物性物質及び/又は合成カンナビノイド並びに(b)N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を含む迅速発現成分と、(ii)(a)植物性物質及び/又は合成カンナビノイド並びに(b)持続放出系を含む作用延長成分とを含む、経口製剤。
【請求項2】
前記迅速発現成分が液体を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項3】
液体が、水、エタノール、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項4】
前記作用延長成分が液体内の粒子を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項5】
前記粒子が、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含む、請求項4に記載の経口製剤。
【請求項6】
前記粒子が、アクリルポリマー、アルキルセルロース、植物油及びワックスから選択される放出制御マトリックスを含む、請求項5に記載の経口製剤。
【請求項7】
放出制御マトリックス及び腸溶コーティングを含む、請求項5に記載の経口製剤。
【請求項8】
前記腸溶コーティングが、アクリルポリマー、セルロース、フタレートポリマー及び樹脂から選択される、請求項7に記載の経口製剤。
【請求項9】
放出制御マトリックス及びバリア層を含む、請求項5に記載の経口製剤。
【請求項10】
前記バリア層が、ゲル化可能ポリマー、天然ゲル、膨張性ポリマー、並びに侵食性/緩徐溶解ポリマー及びゲルから選択される、請求項9に記載の経口製剤。
【請求項11】
前記作用延長成分が、迅速発現成分に囲まれた液体を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項12】
前記液体が植物油である、請求項11に記載の経口製剤。
【請求項13】
前記液体がジェルキャップ内にある、請求項11に記載の経口製剤。
【請求項14】
前記ジェルキャップが、迅速発現シェルでコートされている、請求項13に記載の経口製剤。
【請求項15】
錠剤の形態である、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項16】
錠剤の迅速発現成分が錠剤の作用延長成分を囲んでいる、請求項15に記載の経口製剤。
【請求項17】
前記迅速発現成分が、N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩、EDTA、クエン酸、胆汁塩、キトサン、SNAC、NAC、SDS、中鎖脂肪酸及びアシルカルニチンを含む、請求項15に記載の経口製剤。
【請求項18】
前記ぜぜ作用延長成分が、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含む、請求項15に記載の経口製剤。
【請求項19】
前記作用延長成分が、アクリルポリマー、アルキルセルロース、植物油及びワックスから選択される放出制御マトリックスを含む、請求項18に記載の経口製剤。
【請求項20】
放出制御マトリックス及び腸溶コーティングを含む、請求項18に記載の経口製剤。
【請求項21】
前記腸溶コーティングが、アクリルポリマー、セルロース、フタレートポリマー及び樹脂から選択される、請求項20に記載の経口製剤。
【請求項22】
前記放出制御マトリックス及びバリア層を含む、請求項20に記載の経口製剤。
【請求項23】
前記バリア層が、ゲル化可能ポリマー、天然ゲル、膨張性ポリマー、並びに侵食性/緩徐溶解ポリマー及びゲルから選択される、請求項22に記載の経口製剤。
【請求項24】
アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、シアノエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、メチルメタクリレートの1つ以上から選択されるアクリルポリマーを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項25】
メチルセルロース及び/又はエチルセルロースから選択されるアルキルセルロースを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項26】
ゴマ油、パーム油、パーム硬化油、トウモロコシ胚芽硬化油、ヒマシ硬化油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油及びパームステアリン油の1つ以上から選択される植物油を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項27】
ミツロウ、グリコロウ、ヒマシロウ及びカルナウバロウの1つ以上から選択されるワックスを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項28】
ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルブチルセルロースの1つ以上から選択されるセルロースを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項29】
セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)及びポリビニルアセテートフタレート(PVAP)の1つ以上から選択されるフタレートポリマーを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項30】
ゼイン、ゼラチン、シェラック及びアカシアの1つ以上から選択される樹脂を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項31】
グアーガム、マンノース糖、ガラクトース糖、ヒドロプロピルグアー、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、キサンタン、ジウタン、スクレログルカン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリアクリレートポリマーの1つ以上から選択されるゲル化可能ポリマーを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項32】
ポリ(アクリル酸)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリウレタンヒドロゲル、無水マレイン酸ポリマー、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、キサンタンガム、ゲランガム、ウェランガム、ラムサンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、キトサン、ゼラチン、マルトデキストリン、デンプン、加水分解デンプンポリアクリロニトリルグラフトコポリマー及び/又はデンプン−アクリレート−アクリルアミドコポリマーの1つ以上を含む膨張性ポリマーを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項33】
ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド水溶性樹脂、グリセリル脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルの1つ以上を含む侵食性ポリマーを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項34】
植物性生成物を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項35】
植物性物質が、カロフィルム・ブラシリエンス、カロフィルム・カレドニクム、カロフィルム・イノフィルム、カロフィルム・ソウラットリ、ウンカリア・トメントサ、タイム・ブルガリス、マトリカリア・レクチタ、サリックス・アルバ、カレンデュラ・オフィシナリス、ウスニア・バルバタ、リグスティカム・ポルテリ−オシャ−、ガウルテリア・プロクンベンス、カメリア・シネンシス、バクシニウム・ミルティルス、メリッサ・オフィシナリス、アリウム・サティブム、カメリア・シネンシス、クラメリア・トリアンドラ、プニカ・グラナツム、ビブルヌム・プリカツム、ニコチアナ・タバカム、ズボイシア・ホプウォオディイ、アスクレピアス・シリアカ、クルクマ・ロンガ、ヒペリクム・ペルホラツム、ポリゴナム・クスピダタム、ビチス属の種、テオブロマ・カカオ、カプシクム属の種、ラウウォルフィア・ボミトリア、ラウウォルフィア・セルペンチナ、ビンカ属の種、シトラス属の種、レウム・ラバルバルム、ファゴピルム・タタリクム、シジギウム・アロマティクム、ラヴァンデュラ属の種、メンタ属の種、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス及び/若しくはアセル属の種、又はその抽出物に由来する、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項36】
植物性物質が大麻に由来する、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項37】
植物性物質が、カンナビス・サティバ、カンナビス・ルデラリス又はカンナビス・インディカに由来する、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項38】
大麻抽出物を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項39】
カンナビノイドを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項40】
Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)及び/又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項41】
クルクミン、ヒペリシン、レスベラトロール、カプサイシン、レセルピン、ビンブラスチン、ヘスペリジン、ナリンギン、ルチン、クエルシトリン、カテキン、オイゲノール、リモネン、リナロール又はニコチンを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項42】
1つ以上の合成カンナビノイドが、THC、CBD、CBG、CBC、CBN、CBDL、CBL、CBV、THCV、CBDV)、CBCV、CBGV、CBGM、カンナビネロール酸、CBDA、CBNV、CBO、THCA、THCVA又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項43】
1つ以上の合成カンナビノイドが、請求項42に記載の合成カンナビノイドの誘導体及び/若しくは類似体、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項44】
1つ以上の合成カンナビノイドが、3−カルバモイル−2−ピリドン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;ピリミジン誘導体及び/又は類似体;カレナジオール又はこの誘導体及び/若しくは類似体;カンナビノイドカルボン酸又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;ピリド[3,2−E][1,2,4]トリアゾロ[4,3−C]ピリミジン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−C]ピリジン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オンカンナビノイド又はこの誘導体及び/若しくは類似体;レゾルシノール又はこの誘導体及び/若しくは類似体;デキサンビノール化合物又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;大麻類似性脂質アミド化合物又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;ナビロン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;2−オキソキノロン化合物又は開示されているこれらの誘導体及び/若しくは類似体;又は3,4−ジアリール−4,5−ジヒドロ−(h)−ピラゾール−1−カルボキサミド又はこの誘導体及び/若しくは類似体を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項45】
フラボノイド化合物、テルペン又はテルペノイドを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項46】
N−アシル化脂肪アミノ酸が、化合物I〜XXXV(図5)又は化合物a〜r(図6)の1つ以上を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項47】
N−アシル化脂肪アミノ酸が、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸一ナトリウム、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸二ナトリウム及びN−(サリチロイル)−8−アミノカプリル酸を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項48】
N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、
【化1】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである)を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項49】
一価のカチオンがナトリウム又はカリウムを含む、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項50】
金属カチオンがカルシウム又はマグネシウムを含む、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項51】
有機のカチオンがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項52】
XがHである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項53】
Xが、ナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項54】
Xが、カルシウム又はマグネシウムを含む二価の金属カチオンである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項55】
Xが、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む有機のカチオンである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項56】
ZがHである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項57】
Zが、ナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項58】
Zが、カルシウム又はマグネシウムを含む二価のカチオンである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項59】
XがHであり、ZがHである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項60】
XがHであり、Zがナトリウムである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項61】
Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、請求項48に記載の経口製剤。
【請求項62】
N−アシル化脂肪アミノ酸が投与便益を提供する、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項63】
前記投与便益が薬量依存性の投与便益である、請求項62に記載の経口製剤。
【請求項64】
前記薬量依存性の投与便益が100〜200mgの薬量におけるものである、請求項63に記載の経口製剤。
【請求項65】
前記投与便益が、N−アシル化脂肪アミノ酸を含まない対照経口製剤と比較して、植物性物質の測定される成分の増大した吸収、植物性物質の測定される成分の増大したバイオアベイラビリティー、植物性物質の測定される成分の作用のより速い発現、植物性物質の測定される成分のより高いピーク濃度、植物性物質の測定される成分のより速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味及び改良された口当たりの1以上を含む、請求項62に記載の経口製剤。
【請求項66】
医薬経口製剤である、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項67】
栄養補給剤である、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項68】
界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項69】
治療上有効な量の植物性物質を含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項70】
治療上有効な量が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、及び離脱の症状を治療する、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
ビタミン又はミネラルを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項72】
ビタミン及びミネラルを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項73】
ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE又はビタミンKの1つ以上から選択される、請求項71に記載の経口製剤。
【請求項74】
ミネラルが、カルシウム、クロム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、セレン又は亜鉛の1つ以上から選択される、請求項71に記載の経口製剤。
【請求項75】
嚥下可能又はチュアブル、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項76】
液体又は固体である、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項77】
溶液、懸濁液、又はスプレーである、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項78】
錠剤、カプセル又はサシェである、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項79】
香味付けられている、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項80】
より速い作用の発現を有する大麻の経口製剤を調製する方法であって、大麻の経口製剤に吸収促進剤を添加することを含み、大麻の経口製剤が、吸収促進剤を含まない大麻の経口製剤より速い作用の発現を有する、方法。
【請求項81】
吸収促進剤がN−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、
【化2】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである)を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
N−アシル化脂肪アミノ酸が、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸一ナトリウム、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸二ナトリウム及びN−(サリチロイル)−8−アミノカプリル酸から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
治療上有効な量の請求項1に記載の経口製剤を対象に投与することによりそれを必要とする対象を治療することを含む、それを必要とする対象を治療する方法。
【請求項85】
治療上有効な量が、有効な量、予防的治療及び/又は治療処置を提供する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
ヒト対象において病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅する方法であって、方法が、治療上有効な量の請求項1に記載の経口製剤を対象に送達することにより病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅することを含んでおり、病気又は疾患が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、骨粗しょう症、骨減少症、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、又は離脱症候群である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月5日に出願された米国特許仮出願第62/568,705号の優先権を主張するものであり、その全体は、まるで本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、迅速発現作用延長型の植物系医薬化合物又は栄養補給剤及び合成カンナビノイド製剤を提供する。迅速発現は、N−アシル化脂肪アミノ酸及び/又は浸透促進剤により提供される。作用延長は、1種以上の持続放出系により提供される。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、植物界はヒト及び動物の病気の治療のため、また良好な健康状態を維持する際の予防薬として使用される医薬剤の最も重要な供給源であった。しかし、少なくともこの150年の間、西洋医学は合成の化学薬品が優勢であった。
【0004】
しかし、ここで多くの植物及び植物抽出物は、病気の予防及び治療にとって極めて有効な薬剤であることが、次第に認識されてきている。単一の植物が多くの薬学的に活性な薬剤を有することができ、これから得た抽出物は、様々な生理学的な過程に対して活性を発揮することができ、所望の治療効果の範囲を増大している。
【0005】
一例として、米国特許公開第2015/0050373号は、代謝疾患を治療するため、カロフィルム(Calophyllum)属の植物の使用を記載している。カロフィルムは、熱帯雨林常緑樹における、ほぼ180〜200種の顕花植物属である。カロフィルム属には、カロフィルム・ブラシリエンス(Calophyllum brasiliense)、カロフィルム・カレドニクム(Calophyllum caledonicurn)、カロフィルム・イノフィルム(Calophyllum inophyllum)及びカロフィルム・ソウラットリ(Calophyllum soulattri)の4つのサブカテゴリーが挙げられる。カロフィルム・イノフィルムは、高さが25〜65フィートの中型〜大型サイズの常緑樹である。この植物の異なる医薬用途が文献において報告されており、例えば、この植物の樹皮の浸出液は、内出血を治療する。カロフィルム・イノフィルム種子から抽出された油は、関節リウマチ又は関節疾患、掻痒、湿疹、頭部に現れる面皰、目の病気及び腎不全を治療するために使用される。
【0006】
米国特許公開第2014/0193345号は、粘膜病変を治療するため、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、タイム・ブルガリス(Thymus vulgaris)、マトリカリア・レクチタ(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、カレンデュラ・オフィシナリス(Calendula officinalis)、ウスニア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスティカム・ポルテリ−オシャ(Ligusticum porterii−osha)、ガウルテリア・プロクンベンス(Gaultheria procumbens)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、バクシニウム・ミルティルス(Vaccinium myrtillus)、メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)、アリウム・サティブム(Allium sativum)、カメリア・シネンシス及びクラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)の使用を記載している。
【0007】
米国特許公開第2010/0068297号は、抗菌薬として、プニカ・グラナツム(Punica granatum)、ビブルヌム・プリカツム(Viburnum plicatum)、カメリア・シネンシス及びアセル属の種(Acer spp.)の植物の使用を記載している。
【0008】
多数の医学的用途が、アサ植物においても確認されている。例えば、アサ植物の抽出物であるデルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(THC、ドロナビノールともいわれる)は、経口送達用にゴマ油で処方されている。THCは、中枢性交感神経様作用活性を含めて、中枢神経系(CNS)に対して複合効果を示す。THCは、著しい食欲刺激効果を有することが示されており、AIDS関連食欲不振の治療に使用されてきた。THCは、食欲、気分、認知、記憶及び知覚に対する効果を立証している。更に、薬物は制吐特性を有し、がん化学療法に関連する嘔気及び嘔吐の制御に使用される。これらに効果は、用量依存性であるように見える。
【0009】
疼痛治療におけるTHCの効果は、Pharm.J.259、104、1997及びPharm.Sci.3、546、1997に記載されている。合成カンナビノイドであるナビロンは、制吐薬及び抗不安薬であり、また、多発性硬化症(MS)、末梢神経障害及び脊椎損傷などの様々な病因の疼痛を治療するのにも有用であることも報告されている(Lancet、1995、345、579、Pharm.J.259、104、1997;Baker & Pryce、Expert Opin Investig Drugs.2003年4月;12(4):561−7)。THCは、経口的に与えられるとAIDSの治療に有用であることも報告されている(J.Pain.Symptom Manage.1995、10、89−97)。
【0010】
その健康上の利益が文献で十分に立証されているもう1つ別のカンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。THCと対照的に、CBDは精神活性作用を発揮しない。CBDは抗うつ(Zanelati T,et al.Journal of Pharmacology.2010.159(1):122−8;)、抗不安(Resstel BM,et al.Br J Pharmacol.2009.156(1):181−188)、抗炎症(Vuolo F,et al.Mediators of Inflammation.2015.538670)、及び神経保護作用(Campos AC,et al.Pharmacol Res.2016.112:119−127)を有することが報告されている。
【0011】
アサ植物に対する追加の使用には、中毒(De Vries,et al.,Psychopharmacology(Berl).2003 Jul;168(1−2):164−9);ADHD(O’Connell and Che,Harm Reduction Journal.2007;4:16);アルコール依存症(Basavarajappa & Hungund,See comment in PubMed Commons belowAlcohol.2005 Jan−Feb;40(1):15−24);アルツハイマー病(Eubanks et al.,Mol Pharm.2006 Nov−Dec;3(6):773−7);筋萎縮性側索硬化症(ALS)(Raman et al.,Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord.2004 Mar;5(1):33−9);不安(The British Journal of Psychiatry Feb 2001,178(2)107−115);喘息(Tashkin et al.,American Review of Respiratory Disease,1975;112,377);自己免疫疾患(Lyman et al.,J Neuroimmunol.1989 Jun;23(1):73−81);細菌感染症(Nissen et al.,Fitoterapia.2010 Jul;81(5):413−9);骨量減少(Bab et al.,Ann Med.2009;41(8):560−7);脳損傷/脳卒中(Shohami et al.,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1402−10);がん(Guindon & Hohmann,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1447−63);心臓病(Walsh et al.,Br J Pharmacol.2010 Jul;160(5):1234−42);ハンチントン病(Lastres−Becker et al.,J Neurochem.2003 Mar;84(5):1097−109);炎症(AAPS J.2009 Mar;11(1):109−119);パーキンソン病(Sieradzan et al.,Neurology.2001 Dec 11;57(11):2108−11);及び乾癬(Trends Pharmacol Sci.2009 Aug;30(8):411−420)の治療がある。
【0012】
アサ植物に対する文書に記載された追加の使用には、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、広場恐怖症、強直、関節炎、アスペルガー症候群、アテローム性動脈硬化、自閉症、双極性障害、血液疾患、悪液質、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、肝炎、ヘルペス、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、筋ジストロフィー、爪・膝蓋骨症候群、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、膵炎、パニック障害、歯周病、幻肢痛、ツタウルシアレルギー(poison ivy allergy)、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、及び離脱の治療がある。
【0013】
植物系化合物及び栄養補給剤に関連する多数の利益にもかかわらず、経口形態で投与されると、作用の発現は一般に緩徐であり、いくつかの場合において、これらの有効性を損なう可能性がある。例えば、経口投与後、THCは、作用の発現に1.5時間まで有し、ピーク効果に2〜4時間を有する。作用の持続時間は4〜6時間である。THCは、単一の経口投薬後殆んど完全に(90〜95%)吸収される。しかし、初回通過肝代謝及び不十分な水溶解度(THCの水溶解度は2.8mg/Lである)の複合効果のため、投与薬量の4〜20%のみが体循環に達する。したがって、大麻の経口消費は、カンナビノイドの低いバイオアベイラビリティー及び緩徐な作用発現によって特徴付けられる。それ故、この一例が提供しているように、植物系化合物及び栄養補給剤の経口投与に改善の余地が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0050373号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0193345号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0068297号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Pharm.J.259、104、1997
【非特許文献2】Pharm.Sci.3、546、1997
【非特許文献3】Lancet、1995、345、579、Pharm.J.259、104、1997
【非特許文献4】Baker & Pryce、Expert Opin Investig Drugs.2003年4月;12(4):561−7
【非特許文献5】J.Pain.Symptom Manage.1995、10、89−97
【非特許文献6】Zanelati T,et al.Journal of Pharmacology.2010.159(1):122−8
【非特許文献7】Resstel BM,et al.Br J Pharmacol.2009.156(1):181−188
【非特許文献8】Vuolo F,et al.Mediators of Inflammation.2015.538670
【非特許文献9】Campos AC,et al.Pharmacol Res.2016.112:119−127
【非特許文献10】De Vries,et al.,Psychopharmacology(Berl).2003 Jul;168(1−2):164−9
【非特許文献11】O’Connell and Che,Harm Reduction Journal.2007;4:16
【非特許文献12】Basavarajappa & Hungund,See comment in PubMed Commons belowAlcohol.2005 Jan−Feb;40(1):15−24
【非特許文献13】Eubanks et al.,Mol Pharm.2006 Nov−Dec;3(6):773−7
【非特許文献14】Raman et al.,Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord.2004 Mar;5(1):33−9
【非特許文献15】The British Journal of Psychiatry Feb 2001,178(2)107−115
【非特許文献16】Tashkin et al.,American Review of Respiratory Disease,1975;112,377
【非特許文献17】Lyman et al.,J Neuroimmunol.1989 Jun;23(1):73−81
【非特許文献18】Nissen et al.,Fitoterapia.2010 Jul;81(5):413−9
【非特許文献19】Bab et al.,Ann Med.2009;41(8):560−7
【非特許文献20】Shohami et al.,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1402−10
【非特許文献21】Guindon & Hohmann,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1447−63
【非特許文献22】Walsh et al.,Br J Pharmacol.2010 Jul;160(5):1234−42
【非特許文献23】Lastres−Becker et al.,J Neurochem.2003 Mar;84(5):1097−109
【非特許文献24】AAPS J.2009 Mar;11(1):109−119
【非特許文献25】Sieradzan et al.,Neurology.2001 Dec 11;57(11):2108−11
【非特許文献26】Trends Pharmacol Sci.2009 Aug;30(8):411−420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
作用発現の時間における改善の余地に加えて、有益な効果の時間を延長するため及び繰り返し投与の必要性を低減するために、作用延長型植物系化合物及び栄養補給剤を提供することも有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示は、経口送達用の、迅速発現作用延長型の植物系医薬化合物及び栄養補給剤(集合的に、植物系製剤)、並びに合成カンナビノイド製剤を提供する。迅速発現と作用延長を提供することによって、生理学的利益が早期に観察され、長く継続し、これらの化合物の有用性を増大する。
【0018】
開示されている迅速発現作用延長型植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤は、様々な状態において、治療上有効な量を提供する際に様々な投与便益を創出することができる。例示的な投与便益としては、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、より速い作用の発現、より長い作用、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、作用の緩徐な低減、増大した主観的治療効果及び増大した客観的治療効果が挙げられる。
【0019】
植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤の迅速発現性は、N−アシル化脂肪アミノ酸、吸収促進剤、並びに/又は界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール及び胆汁塩などの様々な他の有益な担体の1種以上を経口製剤の一部分に含めることによって創出される。特定の実施形態において、N−アシル化脂肪アミノ酸は、経口製剤中に例えば1〜50個の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖、環状、二環式又は芳香族のものであり得る。植物系製剤及び/又は合成カンナビノイド製剤に迅速発現の利益を提供することができるN−アシル化脂肪アミノ酸の使用は、本明細書に更に記載される植物系成分の特定の態様を考慮すると、予想外なことであった。例えば、化合物の吸収を増大するN−アシル化脂肪アミノ酸の能力は、化合物の水溶性に比例している。多くの植物系化合物及び合成カンナビノイドは水溶性ではなく、N−アシル化脂肪アミノ酸の存在によって影響を受けるとは期待されていなかった。
【0020】
植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤の作用延長性は、1種以上の持続放出系を経口製剤の一部分に含めることによって創出することができる。特定の実施形態において、持続放出系には、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を挙げることができる。
【0021】
特定の実施形態において、経口製剤は、迅速発現プロファイルを有する液体成分及び液体成分内の、延長作用プロファイルを有する粒子を含むことができる。特定の実施形態において、粒子は、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含むことができる。これらの粒子は、追加的に任意選択で迅速発現シェルを含んでもよい。
【0022】
特定の実施形態において、経口製剤は、作用延長プロファイルを有する液体に囲まれた迅速発現固体粒子を有する液体成分を含むことができる。
【0023】
特定の実施形態において、経口製剤には、迅速発現シェル及び作用延長コアを有する錠剤を挙げることができる。特定の実施形態において、作用延長コアは、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含むことができる。
【0024】
特定の実施形態において、植物系製剤には、カロフィルム・ブラシリエンス、カロフィルム・カレドニクム、カロフィルム・イノフィルム、カロフィルム・ソウラットリ、ウンカリア・トメントサ、タイム・ブルガリス、マトリカリア・レクチタ、サリックス・アルバ、カレンデュラ・オフィシナリス、ウスニア・バルバタ、リグスティカム・ポルテリ−オシャ、ガウルテリア・プロクンベンス、カメリア・シネンシス、バクシニウム・ミルティルス、メリッサ・オフィシナリス、アリウム・サティブム、カメリア・シネンシス、クラメリア・トリアンドラ、プニカ・グラナツム、ビブルヌム・プリカツム、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ズボイシア・ホプウォオディイ(Duboisia hopwoodii)、アスクレピアス・シリアカ(Asclepias syriaca)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)及びアセル属の種、又はその抽出物が挙げられる。特定の実施形態において、植物系製剤にはアサ植物又はその抽出物が挙げられる。
【0025】
代表的な合成カンナビノイドは、発明を実施するための形態の欄に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】水溶性と、分子の吸収を改善するナトリウムN−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)の能力との実証された相関性を示す。図1Aは、クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン、及びイバンドロネートに対してプロットしたSNACに由来する改良の倍数(multiple)を、各分子の水溶解度と共に示す。プロットされたデータは、対数近似曲線に対して目立った一致を示し(R=0.998)、各々の水溶解度とSNACが吸収を改良する程度との対数関係を示している。分子の水溶性が増加すると、吸収を促進するSNACの能力も増加する。
図1B】水溶性と、分子の吸収を改善するナトリウムN−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)の能力との実証された相関性を示す。図1Bは、図1Aから誘導された対数近似曲線に従ってヘパリン、アシクロビル、rhGH、PTH、MT−II、GLP−1、カルシトニン、yyペプチド、及びTHCの水溶解度をプロットしたものである。
図2-1】例示的な植物系カンナビノイド構造を示す。
図2-2】例示的な植物系カンナビノイド構造を示す。
図3-1】他の植物系ハーブ製剤の活性成分を示す。
図3-2】他の植物系ハーブ製剤の活性成分を示す。
図4-1】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7−OH−CBD、CBDV、7−OHCBDV及び式I〜XVI)を示す。
図4-2】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7−OH−CBD、CBDV、7−OHCBDV及び式I〜XVI)を示す。
図4-3】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7−OH−CBD、CBDV、7−OHCBDV及び式I〜XVI)を示す。
図4-4】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7−OH−CBD、CBDV、7−OHCBDV及び式I〜XVI)を示す。
図5-1】化合物I〜XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図5-2】化合物I〜XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図5-3】化合物I〜XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図6-1】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5〜19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHであり;又はその塩若しくは遊離酸形態である。
図6-2】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5〜19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHであり;又はその塩若しくは遊離酸形態である。
図7A】経口で投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験の平均結果を示す。
図7B】経口で投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験の平均結果を示す。
図8A】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図8B】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図8C】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図8D】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図8E】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図8F】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC、「試験」)製剤及び大麻(SNACなし、「対照」)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。
図9】高いSNAC薬量(200mg、「高薬量」)、低いSNAC薬量(100mg、「低薬量」)及びSNACなし(「対照」)で経口投与された大麻製剤の作用の強度、持続時間及び発現の比較を示す。
図10】経口(「PO」)で投与されたSNACと共に配合された大麻の作用の強度、持続時間及び発現を吸入(「INH」)により投与された大麻と比較して示す。
図11】ラットへの単回経口投与後のTHC及びCBDのCmax及びAUCを示す。
図12】ラットへの単回経口投与後のTHC及びCBDのCmax(ng/ml)及びAUC(hrng/mL)を示す。
図13】経口投与された大麻/N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC、「試験」)製剤及び大麻(NACなし、「対照」)製剤の作用の強度、持続時間及び発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
植物系化合物及び栄養補給剤、並びに合成カンナビノイド製剤に関連する多数の利益にもかかわらず、これは経口形態で投与されると、作用の発現が緩徐となる可能性があり、いくつかの場合において、上記の有効性を損なう可能性がある。例えば、経口投与後、THCは、作用の発現に1.5時間まで有し、ピーク効果に2〜4時間を有する。効果の持続時間は4〜6時間である。THCは、単一の経口投薬後殆んど完全に(90〜95%)吸収される。しかし、初回通過肝代謝及び不十分な水溶解度(THCの水溶解度は2.8mg/Lである)の複合効果のため、投与薬量の4〜20%のみが体循環に達する。したがって、大麻の経口消費は、カンナビノイドの低いバイオアベイラビリティー及び緩徐な作用発現によって特徴付けられる。ゆえに、この一例が提供しているように、植物系化合物及び栄養補給剤、並びに合成カンナビノイド製剤の経口投与に改善の余地がある。
【0028】
作用発現の時間における改善の余地に加えて、有益な効果の時間を延長する及び繰り返し投与の必要性を低減するために、作用延長型の植物系化合物及び栄養補給剤、並びに合成カンナビノイド製剤を提供することも有益であり得る。
【0029】
本開示は、経口送達のための、迅速発現作用延長型の植物系医薬化合物及び栄養補給剤(集合的に、植物系製剤)、並びに合成カンナビノイド製剤を提供する。迅速発現を提供することによって、生理学的な利益が早期に観察され、これらの化合物の有用性を増大している。作用延長を提供することによって、生理学的な利益を、より長い持続時間にわたって維持することができ、繰り返し投与の必要性が低減される。
【0030】
開示されている迅速発現作用延長型植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤は、様々な状態において、治療上有効な量を提供する際に様々な投与便益を創出することができる。例示的な投与便益としては、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、より長時間の作用、増大した主観的治療効果及び増大した客観的治療効果が挙げられる。
【0031】
植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤の迅速発現性は、N−アシル化脂肪アミノ酸、吸収促進剤、並びに/又は界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール及び胆汁塩などの様々な他の有益な担体の1種以上を経口製剤の一部分に含めることによって創出される。特定の実施形態において、N−アシル化脂肪アミノ酸は、経口製剤中に例えば1〜50個の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖、環状、二環式又は芳香族のものであり得る。植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤に迅速発現の利益を提供することができるN−アシル化脂肪アミノ酸の使用は、本明細書に更に記載される植物系成分及び合成カンナビノイドの特定の態様を考慮すると、予想外なことであった。例えば、化合物の吸収を増大するN−アシル化脂肪アミノ酸の能力は、化合物の水溶性に比例している。多くの植物系化合物及び合成カンナビノイドは水溶性ではなく、N−アシル化脂肪アミノ酸の存在によって影響を受けるとは期待されていなかった。
【0032】
N−アシル化脂肪アミノ酸(例えば、SNAC)と共投与されたときに改善された吸収を有することが示された分子には、クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン、イバンドロネート、ヘパリン、アシクロビル、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)、副甲状腺ホルモン1−34(PTH 1−34)、α−メラノトロピン(MT−II)、GLP−1、カルシトニン及びペプチドyyなどの水溶性分子が挙げられる。
【0033】
図1Aは、水溶性と、分子の吸収を改良するSNACの能力との実証された相関性を示す。クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン及びイバンドロネートについて、公表された結果は、血漿レベルの時間経過から計算される曲線下面積(AUC)を含む。SNACを伴う共投与の効果を定量化するために、SNACを伴う分子に対するAUCをSNACなしの分子に対するAUCで割ることによって改良の倍数を計算することができる。図1Aは、クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン及びイバンドロネートに対してプロットしたSNACに由来する改良の倍数を、各分子の水溶解度と共に示す。プロットされたデータは、対数近似曲線に対して目立った一致を示し(R=0.998)、各々の水溶解度とSNACがその吸収を改良する程度との対数関係を示している。
【0034】
ヘパリン、アシクロビル、rhGH、PTH、MT−II、GLP−1、カルシトニン及びyyペプチドは、Cmax(最大薬物血漿レベル)及び/又はTmax(最大薬物血漿レベルに到達するのにかかる時間)により立証されるように、SNACにより改良される吸収を有することが示されている他の分子である。図1Bに示されているように、これらの分子は、それぞれ0.15mg/mlを超える水溶解度を有しており、したがって、このモデルは、SNACがそれらの吸収を改良することができるということを正確に予測している。この結果は、SNACに基づく吸収の改良が分子の水溶解度と相関することを立証している。図1Bは、更に、対数近似曲線に対するTHC(0.0028mg/ml)の水溶解度及びそれらに基づくSNACの予測される効果を示している。少なくとも前記に基づき、本明細書に記載されている結果は予想外のことであり、当業者も合理的に期待することはなかったであろう。
【0035】
植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤の作用延長性は、1種以上の持続放出系を経口製剤の一部分に含めることによって創出することができる。特定の実施形態において、持続放出系には、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を挙げることができる。
【0036】
特定の実施形態において、経口製剤は、迅速発現プロファイルを有する液体成分及び液体成分内の、延長作用プロファイルを有する粒子を含むことができる。特定の実施形態において、粒子は、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含むことができる。これらの粒子は、追加的に任意選択で迅速発現シェルを含んでもよい。
【0037】
特定の実施形態において、経口製剤には、迅速発現シェル及び作用延長コアを有する錠剤を挙げることができる。特定の実施形態において、作用延長コアは、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含むことができる。
【0038】
ここに、本開示の態様をより詳細に記載する。
【0039】
本開示は、(i)(a)植物性物質(vegetable matter)を含む植物系製剤及び/又は(b)合成カンナビノイドと、(ii)(a)迅速発現担体及び(b)作用延長成分とを含む、迅速発現作用延長型経口製剤を提供する。植物系製剤は、植物系医薬化合物及び植物系栄養補給剤を意味する。
【0040】
示されているように、本明細書に開示されている実施形態は、迅速発現成分及び作用延長成分を含む。迅速発現成分及び作用延長成分を有する経口製剤を創出するために使用できる、多くの手法がある。
【0041】
特定の実施形態において、2つの個別の経口製剤は、他方の短時間窓内で摂取されるために別々に調製及び包装されてもよい。特定の実施形態において、迅速発現成分が第1の液体製剤として提供され、作用延長成分が第2の液体製剤として提供される。特定の実施形態において、迅速発現成分が液体製剤として提供され、作用延長成分が錠剤として提供される。特定の実施形態において、迅速発現成分が錠剤として提供され、作用延長成分が液体として提供される。特定の実施形態において、迅速発現成分が第1の錠剤として提供され、作用延長成分が第2の錠剤として提供される。
【0042】
特定の実施形態において、1個の経口製剤が、迅速発現成分及び作用延長成分を含むことができる。これらに実施形態には、例えば、迅速発現シェル及び固体又は液体である作用延長コアを有する錠剤を挙げることができる。迅速発現シェル及び作用延長コアを有する錠剤は、異なる放出プロファイルを提供する1つ以上のコーティング(例えば、オーバーコート及び/若しくは腸溶コーティング)、又は層(例えば、バリア層)を有することができる。特定の実施形態は、作用延長コア及び圧縮外側迅速発現コーティングを有する錠剤を含む。特定の実施形態は、二重層錠剤又は多重層錠剤を含む。
【0043】
特定の実施形態において、迅速発現成分及び作用延長成分を含む経口製剤は、迅速発現成分を提供する液体及び液体内の、作用延長成分を提供する粒子を含むことができる。これらの実施形態において、粒子は、所望の作用延長放出プロファイルを提供するために改変されてもよい。
【0044】
特定の実施形態において、迅速発現成分及び作用延長成分を含む経口製剤は、迅速発現成分を提供する固体及び固体内に含有された、作用延長成分を提供する液体を含むことができる。これらの実施形態において、液体は、所望の作用延長放出プロファイルを提供するために改変されてもよい。
【0045】
植物系医薬化合物及び合成カンナビノイド製剤は、本開示の背景技術の欄に記載したものなどの状態を治療するために治療上有効な量を提供することができる。植物系栄養補給剤及び合成カンナビノイド製剤は、古典的な栄養不足に関連する便益を示し;補給が人体の構造又は機能にいかに影響を及ぼすことを意図しているのか説明し;補給剤がかかる構造又は機能を維持するように作用する際の確認された機構を特徴付け;及び/又は製品の消費に関連する一般的な健康状態を記載する。特定の実施形態において、栄養補給剤及び/又は合成カンナビノイド製剤は、特定の病気又は1群の病気を診断、軽減、治療、治癒又は予防することはない。
【0046】
植物系製剤は植物性物質を含む。植物性物質は、植物から生成された物質であり、植物全体若しくは植物の部分(例えば、樹皮、木質部、葉、茎、根、花、果実、種子若しくはこれらの一部)、並びに/又はそれらの浸出液若しくは抽出物が挙げられる。特定の実施形態において、植物系製剤は、植物性生成物(botanical product)を含む。植物性生成物には、植物材料、藻、肉眼で見える真菌及び/又はこれらの組合せを挙げることができる。特定の実施形態において、植物系製剤は様々な種類の植物性物質の混合物を含む。植物系製剤は、樹脂、油(例えば、精油)、スパイス、ドライフラワー、キーフ(kief)、チンキ、煎汁(infusion)等が挙げられる植物性物質に由来する物質を含むこともできる。特定の実施形態において、植物性物質は、水溶解度が殆んど又は全くない。特定の実施形態において、植物系製剤は、合成、半合成又は化学修飾薬物を含まない。
【0047】
特定の実施形態において、植物系製剤は、カロフィルム・ブラシリエンス、カロフィルム・カレドニクム、カロフィルム・イノフィルム、カロフィルム・ソウラットリ、ウンカリア・トメントサ、タイム・ブルガリス、マトリカリア・レクチタ、サリックス・アルバ、カレンデュラ・オフィシナリス、ウスニア・バルバタ、リグスティカム・ポルテリ−オシャ、ガウルテリア・プロクンベンス、カメリア・シネンシス、バクシニウム・ミルティルス、メリッサ・オフィシナリス、アリウム・サティブム、カメリア・シネンシス、クラメリア・トリアンドラ、プニカ・グラナツム、ビブルヌム・プリカツム、ニコチアナ・タバカム、ズボイシア・ホプウォオディイ、アスクレピアス・シリアカ、クルクマ・ロンガ、ヒペリクム・ペルホラツム(Hypericum perforatum)、ポリゴナム・クスピダタム(Polygonum cuspidatum)、ビチス属の種(Vitis spp.)、カメリア・シネンシス、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)、カプシクム属の種(Capsicum spp.)、ラウウォルフィア・ボミトリア(Rauwolfia vomitoria)、ラウウォルフィア・セルペンチナ(Rauwolfia serpentina)、ビンカ属の種(Vinca spp.)、シトラス属の種(Citrus spp.)、レウム・ラバルバルム(Rheum rhabarbarum)、ファゴピルム・タタリクム(Fagopyrum tataricum)、シジギウム・アロマティクム(Syzygium aromaticum)、ラヴァンデュラ属の種(Lavandula spp.)、メンタ属の種(Mentha spp.)、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス及び/若しくはアセル属の種、又はその抽出物に由来する植物性物質を含む。
【0048】
特定の実施形態において、植物系製剤は、アサ植物由来の植物性物質を含む。アサ植物は、種(又は亜種)のカンナビス・サティバ、カンナビス・ルデラリス及びカンナビス・インディカが挙げられる顕花植物を意味する。
【0049】
アサ植物の特定の抽出物にはカンナビノイドが挙げられる。カンナビノイドは、細胞のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)を活性化する、アサ植物に由来する1群の環状分子である。大麻から単離することができる少なくとも85の異なるカンナビノイドがある。アサ植物により産生されるΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)などの多くのカンナビノイドは、非常に低い水中溶解度を有する又は水中溶解度が全くない。最も注目に値するカンナビノイドは、THC及びCBDである。追加の例には、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)が挙げられる。例えば、図2を参照されたい。アサ植物の抽出物は、同様に、フラボノイド化合物、テルペン、テルペノイド及びいずれかのかかる構成成分の合成、半合成又は高度に精製されたバージョンを含む。
【0050】
特定の実施形態において、経口製剤はクルクミンを含む。クルクミンは、クルクマ・ロンガ由来のスパイスであるターメリックの黄色の原因である、不十分な水溶解度(<0.1mg/ml)を有するフェノール化合物である。クルクミンは、抗炎症性及び抗がん効果を有することを示し、慢性炎症性腸疾患、慢性肝炎、慢性気管支喘息及び乾癬の治療に有用であり得る。クルクミンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0051】
特定の実施形態において、経口製剤はヒペリシンを含む。ヒペリシンは、水に不溶性であるナフトジアントロン(napthodianthrone)であり、ヒペリクム・ペルホラツム又はオトギリソウの主な活性成分である。ヒペリシンは、抗うつ薬として使用され、優先的にがん組織に蓄積し、光感受性を引き起こすので、光線力学がん療法に使用することもできる。ヒペリシンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0052】
特定の実施形態において、経口製剤はレスベラトロールを含む。レスベラトロールは、ポリゴナム・クスピダタムの主な活性成分であり、多くの他の植物の樹皮において見出すこともできる。例えば、レスベラトロールはブドウ(すなわち、ビチス属の植物、ビチス属の種ともいわれる)、ブルーベリー、ラズベリー及びマルベリーの樹皮においても見出される。レスベラトロールは、不十分な水溶解度(0.03mg/ml)を有し、強力な抗酸化剤である。レスベラトロールの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0053】
特定の実施形態において、経口製剤はニコチンを含む。ニコチンは、タバコの主な活性成分であり、ニコチアナ・タバカムなどのニコチナ植物の葉から調製された生成物である。ニコチンを含む経口製剤は、例えば、禁煙を促進するニコチン補充療法として有用であり得る。ニコチンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0054】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はカテキンを含む。カテキンは、低い水溶解度を有するポリフェノールであり、(−)−エピカテキン、(+)−エピカテキン、(−)−カテキン及び(+)−カテキンの4つの異性体が挙げられる。カテキンは、多くの植物において,見出され、カテキンの食事供給源には、茶(カメリア・シネンシス)、ココア(テオブロマ・カカオ)、アサイー、リンゴ及びナシが挙げられる。カテキンは、強力な抗酸化剤であり、抗炎症効果を有する。カテキンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0055】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はカプサイシンを含む。カプサイシンは、鎮痛薬として使用することができ、神経痛の治療に使用することができる、低い水溶解度を有するアルカロイドである。カプサイシンは、カプシクム・アンヌウム(Capsicum annuum)、カプシクム・キネンス(Capsicum chinense)、カプシクム・バッカツム(Capsicum baccatum)及びカプシクム・プベッセンス(Capsicum pubescens)などのカプシクム属の植物の果実に存在する。カプサイシンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0056】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はレセルピンを含む。レセルピンは、低い水溶解度を有するインドールアルカロイドであり、ラウウォルフィア・ボミトリア及びラウウォルフィア・セルペンチナなどのラウウォルフィア属の植物の乾燥根に見出される。レセルピン含有抽出物は、精神異常、発熱及び蛇咬傷を治療するために、インドにおいて数世紀にわたって使用されてきた。レセルピンは、高血圧を治療するためにも使用される。レセルピンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0057】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はビンブラスチンを含む。ビンブラスチンは、低い水溶解度を有するアルカロイドであり、ビンカ・ロセア(Vinca rosea)などのビンカ属の植物により産生される。ビンブラスチンは、微小管形成を破壊することによって細胞分化を遮断することができ、様々ながんを治療するための化学療法剤として使用される。ビンブラスチンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0058】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はヘスペリジンを含む。ヘスペリジンは、低い水溶解度を有するグリコシドである。ヘスペリジンは、シトラス・アウランチウム(Citrus aurantium)、シトラス・シネンシス(Citrus sinensis)、シトラス・リモン(Citrus limon)及びシトラス・アウランチフォリア(Citrus aurantifolia)などのシトラス木の果実に見出される。ヘスペリジンは、抗酸化剤であり、抗炎症性であり、がんを予防する助けとなることもあり、痔核、静脈瘤及び血行不良などの血管の状態を治療するために使用される。ヘスペリジンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0059】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はナリンギンを含む。ナリンギンは、シトラス・シネンシス、シトラス・アウランチウム、シトラス・レティクラータ(Citrus reticulate)、シトラス・クレメンティーナ(Citrus clementina)及びシトラス・ベルガミア(Citrus bergamia)などのシトラス植物の果実に存在する、低い水溶解度を有するグリコシドである。ナリンギンは、抗酸化剤であり、抗炎症性であり、グルコース調節を改善することができる。ナリンギンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0060】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はルチンを含む。ルチンは、低い水溶解度を有するグリコシドであり、ソバ(ファゴピルム・タタリクム)、レウム種(例えば、レウム・ラバルバルム又はダイオウ)及びアスパラガスに見出される。ルチンは、強力な抗酸化剤である。ルチンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0061】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はクエルシトリンを含む。クエルシトリンは、低い水溶解度を有するグリコシドであり、フラボノイドケルセチン及びデオキシ糖ラムノースによって形成される。クエルシトリンは、強力な抗酸化特性を有し、ソバ(ファゴピルム・タタリクム)及びオトギリソウ(ヒペリクム・ペルホラツム)などの多種多様な植物に見出される。クエルシトリンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0062】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はオイゲノールを含む。オイゲノールは、低い水溶解度を有するテルペンであり、抗炎症効果を有する。オイゲノールは、チョウジ(シジギウム・アロマティクム)油、ニッケイ、ニクズク、大麻及びゲッケイジュに見出される。オイゲノールの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0063】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はリモネンを含む。リモネンは、低い水溶解度を有するテルペンであり、2つの異性体を形成する。リモネンのD−異性体は、強力なオレンジ香気を有し、シトラス果実に大量に見出すことができ、一方、L−異性体は、マツ香気を有し、ハッカ(メンタ属)から抽出された油に一般的である。リモネンは、体重減少、がん予防、気管支炎の治療及びコレステロールレベルの制御の助けのために使用される。リモネンの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0064】
特定の実施形態において、ハーブ組成物はリナロールを含む。リナロールは、低い水溶解度を有するテルペンであり、リカレオール(licareol)及びコリアンドロール(coriandrol)として知られている2つの鏡像異性体を形成する。リナロールは、ラベンダー(ラヴァンデュラ属)により大量に産生され、カバノキ、ハッカ、柑橘類果実及びニッケイなどの多くの他の植物によって産生される。リナロールは、鎮静、抗炎症性及び抗不安特性を有する。リナロールの化学構造については、例えば、図3を参照されたい。
【0065】
植物系製剤の成分は、例えば、出発植物生成物の微粉砕、煎出、圧搾及び抽出により生成され得る。用語「抽出物」は、関連する植物において見られる活性成分のいくつか又は全てを含有する、多くの種類の調製物の全てを含むことができる。抽出物は、水、脂肪溶媒(例えば、オリーブ油)及びアルコール性溶媒(例えば、70%エタノール)を含む様々な異なる抽出溶媒を使用する冷浸技術によって生成され得る。冷浸技術は、葉及び花などの植物の柔らかい部分に、又は植物の所望の活性成分が熱不安定である場合に典型的に適用される。あるいは、前述の溶媒を使用して、温浸技術により所望の植物の抽出物を生成することができ、ここで、前記溶媒は高温に加熱され、前記温度の正確な値は選択される溶媒の性質によって決まり、抽出過程の全体にわたってその温度に維持される。温浸技術は、樹皮、木質の枝及び太い根などの植物の堅く、耐久性のある部分により一般的に適用される。いくつかの場合において、連続抽出を、1種を超える溶媒及び異なる温度で実施することができる。植物抽出物を濃縮形態で使用してもよい。あるいは、抽出物を意図される使用に適するように希釈してもよい。
【0066】
国際公開第2004/026857号は、精製大麻抽出物を調製する方法を提供し、カンナビノイドは、少なくとも99wt%のTHC(Δ9−テトラヒドロカンナビノール)まで精製される。この方法において、アサ植物材料の粗エタノール抽出物は、活性炭のカラムに通され、回転蒸発により蒸発される。得られたTHC富化抽出物は、続いてSephadex LH20を詰めたカラムに通され、クロロホルム/ジクロロメタンで溶出される。使用された溶媒は、回転蒸発により除去される。THC富化抽出物の純度を更に増加するため、抽出物はメタノールに溶解され、続いてペンタンに溶解され、回転蒸発に2回付される。
【0067】
米国特許出願第2015/0126754号は、a)アサ植物材料の粗溶媒抽出物を提供すること、b)粗抽出物を薄膜蒸発に付して精製抽出物を得ること、c)精製抽出物をクロマトグラフィーで分画して、予め設定された値より高いTHC含量を有する1つ以上の高純度分画及び予め設定された値より低いTHC含量を有する1つ以上の低純度分画を生成し、ここで予め設定された値が乾燥物質の95〜99重量%の範囲であること、d)1つ以上の高純度分画を別の薄膜蒸発に付すこと、e)乾燥物質の少なくとも97重量%のTHCを含有するTHC単離物を収集することを記載し、ステップb)及び/又はステップd)において、薄膜蒸発は、ワイプフィルム蒸発(wiped film evaporation)を使用することによって実施される。この方法は、高純度のTHC抽出物を良好な収率で生じ、健康上のリスクのある溶媒を使用することなく生じるという利点を提供する。この方法は、特有のカンナビノイドプロファイルを有するTHC単離物を生成する点において、高度に再現性があるという利点を更に提供する。より特定的に、この方法は、少なくとも97.0〜99.5%のTHC及び0.4〜2.0%の他のカンナビノイド(少なくとも0.3%のカンナビノール及びカンナビジオールを含む)を含有するTHC単離物を生じる(百分率は全て乾燥物質の重量による)。
【0068】
植物抽出物を生成する追加の手順(温浸、冷浸及び他の技術を含む)は、「Medicinal plants:a field guide to the medicinal plants of the Land of Israel(in Hebrew)、author:N.Krispil、Har Gilo,Israel、1986」及び「Making plant medicine、author:R.Cech、pub.by Horizon Herbs、2000」を含む出版物に記載されている。
【0069】
特定の実施形態において、植物系製剤の植物成分(例えば、植物抽出物)は、例えばオートクレーブ処理により殺菌され、次いで冷却されて、適切な温度(例えば、−20℃)で保存されてもよい。特定の実施形態において、分子量カットオフ(例えば、10,000Da未満)に更に精製することは、例えば、保存する前に膜限外濾過によって実施することができる。
【0070】
合成カンナビノイドとしては、化学的に生成されるカンナビノイドが挙げられる。合成カンナビノイドとしては、天然に見出されるが、化学的に生成されるカンナビノイドも挙げられる。合成カンナビノイドとしては、カンナビノイドの化学的に生成された誘導体及び類似体も挙げられる。
【0071】
化学における用語「誘導体」は、化学反応によって類似した化合物又は前駆体化合物から得られる化合物を意味する。
【0072】
用語「類似体」(また、「構造類似体」又は「化学類似体」)は、別の化合物に構造的に類似しているが、原子、官能基若しくは下位構造のような特定の成分に関して異なっている化合物を意味するために使用される。
【0073】
示されているように、植物由来のカンナビノイドの例としては、CBG、CBC、CBD、CBN、THC、イソ−THC、CBE、CBL、CBDV、THCV及びCBTが挙げられる。特定の実施形態において、合成カンナビノイドとしては、化学的に合成される天然のカンナビノイド並びにそれらの類似体及び誘導体も挙げられる。天然のカンナビノイドの誘導体には、国際公開第2015/198078号に開示されている、カンナビノイドの代謝産物を挙げることができる。例えば、CBDの代謝産物としては、7−OH−CBDが挙げられ、CBDVの代謝産物としては、7−OH−CBDVが挙げられる。
【0074】
【化1】
【0075】
合成カンナビノイドの他の例としては、米国特許出願第2008/0103139号に開示されている3−カルバモイル−2−ピリドン並びにこの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2006/0293354号に開示されているピリミジン誘導体及び/又は類似体;米国特許第4,758,597号に開示されているカレナジオール並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2013/045115号に開示されているカンナビノイドカルボン酸並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2008/118414号に開示されているピリド[3,2−E][1,2,4]トリアゾロ[4,3−C]ピリミジン並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2007/112399号に開示されているテトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−C]ピリジン並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2006/043260号に開示されているビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オンカンナビノイド並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2005/0123051号に開示されているレゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2004/050011号に開示されているデキサナビノール化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2000/032200号に開示されている大麻類似性脂質アミド化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2010/0168066号に開示されているナビロン並びにこの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2003/0191069号に開示されている2−オキソキノロン化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2011/0137040号に開示されている3,4−ジアリール−4,5−ジヒドロ−(h)−ピラゾール−1−カルボキサミド並びにこの誘導体及び/又は類似体が挙げられる。
【0076】
特定の実施形態において、3−カルバモイル−2−ピリドン並びにその誘導体及び/又は類似体としては、メチル3−メチル−2−{[2−オキソ−1−(2−オキソ−エチル)−1,2,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−シクロオクタ[b]ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−ブチレート;ジメチル2−[(1−シクロヘキシルメチル−5,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−スクシネート;及びメチル2−{[1−(3−メトキシカルボニアミノ−プロピル)−2−オキソ−1,2,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−シクロオクタ[b]ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−2−メチル−プロピオネートが挙げられる。
【0077】
特定の実施形態において、ピリミジン誘導体及び/又は類似体としては、式(I)を有する化合物(2−((2,4−ジクロロフェニル)アミノ)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド)が挙げられる。
【0078】
【化2】
他のピリミジン誘導体及び/又は類似体としては、2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリミジン−5−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド;2−フェニルアミノ−4−トリフルオロメチルピリミジン−5−カルボン酸シクロヘキシルメチル−アミド;1−[2−(2,3−ジクロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリミジン−5−イル]−1−モルホリン−4−イル−メタノン;1−[2−(2,4−ジクロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリミジン−5−イル]−1−モルホリン−4−イル−メタノン;及び2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリミジン−5−カルボン酸シクロペンチルアミドが挙げられる。
【0079】
特定の実施形態において、カレナジオール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(II)を有する化合物が挙げられ、
【0080】
【化3】
式中、Rは、i−ブチル、n−ブチル及びt−ブチルのような異性体形態を含む、1〜9個の炭素原子を有する低級アルキルである。特定の実施形態において、Rは、C11又は1,1−ジメチルヘプチルである。
【0081】
特定の実施形態において、カンナビノイドカルボン酸並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(III)、(IV)、(V)又は(VI)を有する化合物が挙げられ、
【0082】
【化4】
式中、
は、1個のC原子〜12個のC原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素残基であり、
は、NH、一価、二価若しくは三価の金属イオン又は48個までのC原子を有し、更なる官能基を有し得る、第一級、第二級、第三級若しくは第四級有機アンモニウムイオンである。
【0083】
多価アンモニウムイオンの例としては、N,N−ジシクロ−ヘキシルアミン−H及びN,N−ジシクロヘキシル−N−エチルアミン−Hが挙げられる。Xは、例えば、モルヒネ、メタドン(若しくは、その鏡像異性体)又はヒドロモルフォンのような、少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する薬学的活性物質の水素カチオンであってもよい。
【0084】
特定の実施形態において、ピリド[3,2−E][1,2,4]トリアゾロ[4,3−C]ピリミジン並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、5−tert−ブチル−8−(2−クロロフェニル)−9−(4−クロロフェニル)ピリド[3,2−e][1,2,4]トリアゾロ[4,3−c]ピリミジン−3(2H)−オン;8−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)−5−tert−ブチル−9−(4−クロロフェニル)ピリド[3,2−e][1,2,4]トリアゾロ[4,3−c]ピリミジン−3(2H)−オン;5−フェルト−ブチル−9−(4−クロロフェニル)−8−(2−メチルフェニル)ピリド[3,2−e][1,2,4]トリアゾロ[4,3−c]ピリミジン−3(2H)−オン;9−(4−ブロモフェニル)−5−tert−ブチル−8−(2−クロロフェニル)ピリド[3,2−e][1,2,4]トリアゾロ[4,3−c]ピリミジン−3(2H)−オン;及び5−tert−ブチル−8−(2−クロロフェニル)−9−(4−クロロフェニル)ピリド[3,2−e][l,2,4]トリアゾロ[4,3−c]ピリミジンが挙げられる。
【0085】
特定の実施形態において、テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−C]ピリジン並びにこの類似体及び/又は誘導体としては、式(VII)、(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)を有する化合物が挙げられる。
【0086】
【化5】
【0087】
特定の実施形態において、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オンカンナビノイド並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XII)を有する化合物が挙げられ、
【0088】
【化6】
C−4がSであり、C−1及びC−5のプロトンが互いにシスの関係であり、C−4及びC−5のプロトンがトランスである、特定の立体化学を有し、式中、
は、(a)O若しくはS、(b)C(R’)(ここでR’は、出現毎に、水素、シアノ、−OR”、−N(R”)、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC〜Cアルキル、C〜Cアルキル−OR”又はC〜Cアルキル−N(R”)からなる群から独立して選択され、出現毎に、R”は、水素、C(O)R”’、C(O)N(R”’)、C(S)R”’、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC〜Cアルキル、C〜Cアルキル−OR”’及びC〜Cアルキル−N(R”’)からなる群から独立して選択され、出現毎に、R”’は、水素又は飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC〜C12アルキルからなる群から独立して選択される)又は(c)NR”若しくはN−OR”(ここでR”は既に定義された通りである)であり;
及びRは、各々独立して、(a)−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−S(O)(O)NR”(ここで、出現毎に、R”は既に定義された通りである)、(b)−S(O)R、−S(O)(O)R(ここで、Rは、水素、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC〜Cアルキル、C〜Cアルキル−OR”及びC〜Cアルキル−N(R”)からなる群から独立して選択され、R”は既に定義された通りである)又は(c)−OC(O)OH、−OS(O)(O)OR、−OP(O)(OR、−OR又は−C(O)OH、−S(O)(O)OR若しくは−P(O)(ORで連鎖停止されている−OC(O)−R(ここで、Rは、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖のC〜Cアルキルであり、Rは、出現毎に、水素及び既に定義された通りであるRからなる群から選択される)であり;
は、(a)R(ここで、Rは、水素、ハロゲン、OR”’、OC(O)R”’、C(O)OR”’、C(O)R”’、OC(O)OR”’、CN、N(R”’)、NC(O)R”’、NC(O)OR”’、C(O)N(R”’)、NC(O)N(R”’)及びSR”’からなる群から選択され、出現毎に、R”’は既に定義された通りである)、(b)飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC〜C12アルキル−R(ここで、Rは既に定義された通りである)、(c)R(ここで、Rは既に定義された通りである)により任意の位置で更に置換され得る芳香族環、又は(d)(c)に定義されているように更に置換され得る芳香族環で任意選択的に停止されている、飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC〜C12アルキルである。
【0089】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、
【0090】
【化7】
式中、
は、(a)炭素原子7〜12個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖、(b)−O−R(ここで、Rは、1つのフェニル基で任意選択的に置換されている、炭素原子5〜9個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖である)又は(c)−(CH−O−R(ここで、nは、1〜7の整数であり、Rは、炭素原子1〜5個の直鎖アルキル鎖である)であり;
は、炭素原子10〜30個を含む非環状テルペノイドである。
【0091】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、R及びRは以下の通りである。
【0092】
は、1つのメチル基で任意選択的に置換されている、炭素原子5〜8個の直鎖アルキル鎖であり;
は、1つの−OHで任意選択的に置換されているゲラニル及び1つの−OHで任意選択的に置換されているファルネシルから選択される。
【0093】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、
は、(a)炭素原子7〜12個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖、(b)−O−R(ここで、Rは、1つのフェニル基で任意選択的に置換されている、炭素原子5〜9個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖である)、又は(c)−(CH−O−R(ここで、nは、1〜7の整数であり、Rは、炭素原子1〜5個の直鎖アルキル鎖である)であり;
は、炭素原子10〜30個を含む非環状テルペノイドであり、ただし、Rがイソノニルであり、Rがゲラニルではないことが条件である。
【0094】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、Rは、(a)炭素原子7〜12個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、(b)基−O−R(ここで、Rは、炭素原子5〜9個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はフェニル基で末端炭素原子が置換されている直鎖若しくは分岐鎖のアルキルである)又は(c)基−(CH−O−アルキル(ここで、nは、1〜7の整数であり、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を含有する)である。
【0095】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)の化合物が挙げられ、式中、Rは、ゲラニル、ファルネシル、関連する非環状テルペン及びこれらの異性体のような非環状テルペノイド炭素鎖、並びに他の非環状パラフィン炭素鎖又はオレフィン炭素鎖である。
【0096】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)の化合物が挙げられ、式中、Rはジメチルヘプチルであり、Rはゲラニルである。
【0097】
特定の実施形態において、デキサナビノール化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIV):
【0098】
【化8】
を有し、(3S,4S)立体配置を有し、(3R,4R)鏡像異性体に対する鏡像異性体過剰率が少なくとも99.90%を超える、高純度鏡像異性体化合物が挙げられる。
【0099】
特定の実施形態において、大麻類似性脂質アミド化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XV)を有する化合物が挙げられ、
【0100】
【化9】
式中、
Xは、C=O及びNHからなる群のうちの一方であり、Yは、この群の他方である。別の言い方をすると、XはC=Oあってもよく、YはNHであってもよく又はYはC=Oあってもよく、XはNHであってもよく、しかしXとYが両方とも同じ基であることはない。
【0101】
は、H又はアルキル基である。特定の実施形態において、Rは、H、CH又は(CHである。
【0102】
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。特定の実施形態において、Rは、CH(R)CHZ、CHCH(R)Z又はCH(R)(CH)nCHZであり、Rは、H、CH、CH、CHCH、CHCF又は(CHであり、Zは、H、ハロゲン、N、NCS又はOHであり、nは、0、1及び2からなる群から選択される。
【0103】
は、アルキル、置換アルキル、アリール、アルキルアリール、O−アルキル、O−アルキルアリール、環状基及び複素環基である。O−アルキル及びO−アルキルアリールとは、アナンダミド部分及び置換基の炭素原子の間に酸素原子が介在している基を意味する。そのようなR基の例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、アルキルシクロヘキシル、アルキルシクロペンチル、ピペリジニル、モルホリニル及びピリジニルが挙げられる。特定の実施形態において、Rは、n−C10Z’、n−C12Z’、n−C14Z’又は1’,1’−C(CH(CHCHZ’であり、Z’は、H、ハロゲン、CN、N、NCS又はOHである。
【0104】
特定の実施形態において、大麻類似性脂質アミド化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XVI)を有する化合物が挙げられ、
【0105】
【化10】
式中、
Yは、C=O及びNHからなる群のうちの一方であり、Xは、この群の他方である。
【0106】
は、H又はアルキル基である。特定の実施形態において、Rは、H、CH又は(CHである。
【0107】
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、O−アルキル、環状基、多環式基又は複素環基である。特定の実施形態において、Rは、
【0108】
【化11】
CH=CH、CH=C(CH、C≡CH、CHOCH、CH(R)(CH)nCHZ又はCHCH(R)(CH)nZであり、Rは、H、CH又は(CHであり、Zは、H、ハロゲン、N、NCS、OH又はOAcであり、nは、0、1又は2であり;
は、アルキル、置換アルキル、アリール、アルキルアリール、O−アルキル、O−アルキルアリール、環状基又は複素環基である。特定の実施形態において、Rとしては、シクロヘキシル、シクロペンチル、アルキルシクロヘキシル、アルキルシクロペンチル、ピペリジニル、モルホリニル及びピリジニルが挙げられる。特定の実施形態において、Rは、n−C10Z’、n−C12Z’、n−C14Z’又は1’,1’−C(CH(CHCHZ’であり、Z’は、H、ハロゲン、CN、N、NCS又はOHである。
【0109】
特定の実施形態において、ナビロン並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XVII)を有する化合物が挙げられ、
【0110】
【化12】
式中、
〜R36は、水素及び重水素からなる群から独立して選択される。ナビロン誘導体及び/又は類似体とは、R〜R36のうちの少なくとも1つに重水素が挙げられる化合物を意味することができる。ナビロンの化学構造については、図4を参照すること。
【0111】
植物系製剤及び合成カンナビノイド製剤は、修飾アミノ酸、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁酸などの、迅速発現をもたらす担体を含む。アミノ酸は少なくとも1個の遊離アミン基を有するあらゆるカルボン酸であり、天然、非天然及び合成のアミノ酸を含む。ポリアミノ酸は、ペプチド、又は、結合可能な他の基、例えばエステル、無水物、若しくは無水物結合により形成された結合によって結合された2個以上のアミノ酸である。ペプチドはペプチド結合により連結された2個以上のアミノ酸である。ペプチドは、長さが2個のアミノ酸をもつジペプチドから数百のアミノ酸をもつポリペプチドまで、ばらついていてもよい。Chambers Biological Dictionary,editor Peter M.B.Walker,Cambridge,England:Chambers Cambridge,1989,215頁参照。ジ−ペプチド、トリ−ペプチド、テトラ−ペプチド、及びペンタ−ペプチドも使用することができる。
【0112】
修飾アミノ酸である担体としては、アシル化された脂肪酸アミノ酸(FA−aa)又はその塩が挙げられ、通例、アミノ酸又はそのエステルをアシル化又はスルホン化により修飾することによって製造される。アシル化脂肪酸アミノ酸には、N−アシル化FA−aa又はアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸が含まれる。
【0113】
代表的なN−アシル化脂肪アミノ酸塩としては、N−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸ナトリウム(SNAC)がある。SNACの他の名称としてN−サリチロイル−8−アミノカプリル酸ナトリウム、8−(N−サリチロイルアミノ)オクタン酸一ナトリウム、N−(サリチロイル)−8−アミノオクタン酸一ナトリウム塩、N−{8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ}オクタン酸一ナトリウム、又は8−[(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸一ナトリウムがある。SNACは次の構造を有する:
【0114】
【化13】
SNACの塩も担体として使用できる。
【0115】
特定の実施形態において、担体は次式のものを含む:
【0116】
【化14】
【0117】
特定の実施形態において、担体はN−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC)を含む。
【0118】
担体の他の形態は、次式のものを含む:
【0119】
【化15】
式中、X及びZは、独立して、H、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである。一価のカチオンの例はナトリウム及びカリウムを含む。二価のカチオンの例はカルシウム及びマグネシウムを含む。有機のカチオンの例はアンモニウム及びテトラメチルアンモニウムを含む。
【0120】
N−アシル化FA−aaのような代表的な修飾アミノ酸は化合物I〜XXXVとして提供される(図5参照)。これらの化合物の塩及びその他のN−アシル化FA−aaも担体として使用することができる。
【0121】
これらの化合物の多くは本開示に基づいて、アミノ酸から、当業者の技量の範囲内の方法によって容易に製造することができる。例えば、化合物I〜VIIはアミノ酪酸から誘導される。化合物VIII〜X及びXXXI〜XXIIVはアミノカプロン酸から誘導される。化合物XI〜XXVI及びXXXVはアミノカプリル酸から誘導される。例えば、上記修飾アミノ酸化合物は、単一のアミノ酸を、アミノ酸中に存在する遊離のアミノ部分と反応してアミドを形成する適当な修飾剤と反応させることによって製造することができる。当業者には公知のように望まれない副反応を避けるために保護基を使用し得る。
【0122】
アミノ酸を、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又はカリウムの水性のアルカリ性溶液に溶解し、5℃〜70℃、特定の実施形態では10℃〜40℃の範囲の温度で1時間から4時間の範囲、特定の実施形態では2.5時間の期間加熱することができる。アミノ酸のNH基の当量当たり使用するアルカリの量は一般にNH1当量当たり1.25〜3ミリモル、特定の実施形態では1.5〜2.25ミリモルの範囲である。溶液のpHは一般に8〜13の範囲、特定の実施形態では10〜12の範囲である。
【0123】
その後、撹拌しながらアミノ酸溶液に適当なアミノ酸修飾剤を加える。混合物の温度を一般に5℃〜70℃、特定の実施形態では10℃〜40℃の範囲の温度に1〜4時間の範囲の期間維持する。アミノ酸の量に対して使用するアミノ酸修飾剤の量はアミノ酸中の遊離のNH全体のモルに基づく。一般に、アミノ酸修飾剤はアミノ酸中の全NH基の1モル当量当たり0.5〜2.5モル当量、特定の実施形態では0.75〜1.25当量の範囲の量で使用する。
【0124】
混合物のpHを適切な酸、例えば濃塩酸で、pHが2〜3に達するまで調節することによって反応をクエンチする。混合物は、室温で静置すると、分離して透明な上層及び白色又はオフホワイトの沈殿を形成する。上層を捨て、ろ過又はデカンテーションによって下層から修飾アミノ酸を集める。次いで粗製修飾アミノ酸を9〜13、特定の実施形態では11〜13の範囲のpHの水に溶解する。不溶性の物質をろ過により除き、ろ液を真空中で乾燥する。修飾アミノ酸の収率は一般に30〜60%の範囲であり、通常45%である。
【0125】
所望であれば、例えばアミノ酸化合物のベンジル、メチル、又はエチルエステルのようなアミノ酸エステルを使用して修飾アミノ酸を製造してもよい。ジメチルホルムアミド、ピリジン、又はテトラヒドロフランのような適切な有機溶媒に溶解させたアミノ酸エステルを適当なアミノ酸修飾剤と5℃〜70℃の範囲の、特定の実施形態では25℃の温度で7〜24時間の範囲の期間反応させることができる。アミノ酸エステルに対して使用するアミノ酸修飾剤の量は、アミノ酸について上に記載したのと同じである。この反応は、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンのような塩基を用いて、又は用いないで行うことができる。
【0126】
その後、反応溶媒を負圧下で除去し、修飾アミノ酸エステルを適切なアルカリ性溶液、例えば1N水酸化ナトリウムで、50℃〜80℃の範囲、特定の実施形態では70℃の温度で、エステル基を加水分解し、遊離のカルボキシル基を有する修飾アミノ酸を形成するのに充分な時間の期間加水分解することによってエステル官能性を除去する。次いで加水分解混合物を室温に冷却し、例えば25%塩酸水溶液で2〜2.5の範囲のpHに酸性化する。修飾アミノ酸は、溶液から沈殿し、ろ過又はデカンテーションのような慣用の手段によって回収される。ベンジルエステルは、有機溶媒中で遷移金属触媒を用いて水素化することにより除去することができる。
【0127】
修飾アミノ酸は、再結晶又は固体カラム支持体上での分別によって精製し得る。適切な再結晶溶媒系は、アセトニトリル、メタノール及びテトラヒドロフランを含む。分別は、アルミナのような適切な固体カラム支持体上でメタノール/n−プロパノール混合物を移動相として用いて;逆相カラム支持体でトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として用いて;そしてイオン交換クロマトグラフィーで水を移動相として用いて行うことができる。イオン交換クロマトグラフィーを実施するとき、特定の実施形態では0〜500mMの塩化ナトリウム勾配を使用する。
【0128】
特定の実施形態において、式
【0129】
【化16】
(式中、Yは
【0130】
【化17】
又はSOであり;
はC〜C24アルキレン、C〜C20アルケニレン、C〜C20アルキニレン、シクロアルキレン、又はアリーレンのような芳香族であり;
は水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cアルケニルであり;
はC〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、又はピリジルであり、
は任意に1個以上のC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、F、Cl、OH、OR、SO、COOH、COOR又は、SOHにより置換されている)
を有する修飾アミノ酸は、水中で、塩基の存在下、式
【0131】
【化18】
を有するラクタムを、式R−Y−X(式中、Y、R、R、及びRは上記の通りであり、Xは脱離基である)を有する化合物と反応させることによって製造できる。上記式で示されるラクタムは、例えばOlah et al.,Synthesis,537−538(1979)に記載されている方法によって製造することができる。
【0132】
特定の実施形態において、修飾アミノ酸はまた、そのアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸も含み、これは一般式A−Xにより表すことができ、式中Aはアルファ−アミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ−アミノ基に結合された脂肪酸である。アミノ酸にはカチオン性及び非カチオン性のアミノ酸が含まれる。特定の実施形態において、用語「非カチオン性アミノ酸」とは、非極性の疎水性アミノ酸、極性の非荷電アミノ酸、及び極性の酸性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非カチオン性アミノ酸」とは、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、サルコシン、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、及びグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)、及びグルタミン酸(Glu)からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0133】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは、非極性の疎水性アミノ酸のアルファアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは一般式A−Xで表され、式中Aは非極性の疎水性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ−アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非極性の疎水性アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「非極性の疎水性アミノ酸」は、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Met、Pro、及びサルコシンからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0134】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは一般式A−Xで表され、式中Aは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ−アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の非荷電アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の非荷電アミノ酸」は、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn及びGlnからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0135】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは、極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは、一般式A−Xで表され、式中Aは極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ−アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の酸性アミノ酸」は、当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の酸性アミノ酸」とは、Asp及びGluからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0136】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaのアミノ酸残基は、遺伝コードによりコードされていないアミノ酸のアミノ酸残基を含む。アシル化によるアミノ酸の修飾は、アミノ酸の遊離のアルファ−アミノ基と反応することが当技術分野で公知のアシル化剤を用いて容易に行うことができる。
【0137】
特定の実施形態において、本発明でアルファ−アミノ酸又はアルファ−アミノ酸残基は、他に述べない限りL−形態である。
【0138】
特定の実施形態において、アミノ酸残基は、遊離酸形態及び/又はそのナトリウム(Na+)塩のようなその塩である。
【0139】
アシル化FA−aaの代表的な実施形態は、一般的なFa−aaの式Iで表すことができる。
【0140】
【化19】
式中、R1は5〜19個の炭素原子を含むアルキル又はアリール基であり;R2はH(すなわち水素)、CH(すなわちメチル基)であるか、又は(CH基を介してR4に共有結合し;R3はH又は存在せず;R4はアミノ酸側鎖であるか又は(CH基を介してR2に共有結合する;又はその塩である。
【0141】
FA−aaは、5〜19個の炭素原子からなる置換又は非置換のアルキル基を含む脂肪酸でアシル化することができる。特定の実施形態において、アルキル基は5〜17個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は5〜15個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は5〜13個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は6個の炭素原子からなる。
【0142】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは腸内pH値で、特にpH6.5〜7.0の範囲のようなpH5.5〜8.0の範囲で可溶性である。特定の実施形態において、アシル化FA−aaはpH9.0未満で可溶性である。
【0143】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも5mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも10mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも20mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも30mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも40mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも50mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも60mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも70mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも80mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも90mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaは少なくとも100mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA−aaの溶解度は、37℃でFA−aaのpKaの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA−aaの溶解度は37℃でpH8の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA−aaの溶解度は、37℃でFA−aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA−aaの溶解度は37℃でFA−aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定され、ここで前記FA−aaは反対の荷電をもつ2個以上のイオン化可能な基を有する。特定の実施形態において、FA−aaの溶解度は水性の50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.0中37℃で決定される。
【0144】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)からなる群から選択される[式中、R1は5〜19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH(すなわちメチル基)であり、R3はHである]か、又はその塩若しくは遊離酸形態である。式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)は図6に示されている。
【0145】
特定の実施形態において、アシル化FA−aaは、ナトリウムN−ドデカノイルアラニナート、N−ドデカノイル−L−アラニン、ナトリウムN−ドデカノイルイソロイシナート、N−ドデカノイル−L−イソロイシン、ナトリウムN−ドデカノイルロイシナート、N−ドデカノイル−L−ロイシン、ナトリウムN−ドデカノイルメチオニナート、N−ドデカノイル−L−メチオニン、ナトリウムN−ドデカノイルフェニルアラニナート、N−ドデカノイル−L−フェニルアラニン、ナトリウムN−ドデカノイルプロリナート、N−ドデカノイル−L−プロリン、ナトリウムN−ドデカノイルトリプトファナート、N−ドデカノイル−L−トリプトファン、ナトリウムN−ドデカノイルバリナート、N−ドデカノイル−L−バリン、ナトリウムN−ドデカノイルサルコシナート、N−ドデカノイル−L−サルコシン、ナトリウムN−オレオイルサルコシナート、ナトリウムN−デシルロイシン、ナトリウムN−デカノイルアラニナート、N−デカノイル−L−アラニン、ナトリウムN−デカノイルロイシナート、N−デカノイル−L−ロイシン、ナトリウムN−デカノイルフェニルアラニナート、N−デカノイル−L−フェニルアラニン、ナトリウムN−デカノイルバリナート、N−デカノイル−L−バリン、ナトリウムN−デカノイルイソロイシナート、N−デカノイル−L−イソロイシン、ナトリウムN−デカノイルメチオニナート、N−デカノイル−L−メチオニン、ナトリウムN−デカノイルプロリナート、N−デカノイル−L−プロリン、ナトリウムN−デカノイルスレオニナート、N−デカノイル−L−スレオニン、ナトリウムN−デカノイルトリプトファナート、N−デカノイル−L−トリプトファン、ナトリウムN−デカノイルサルコシナート、N−デカノイル−L−サルコシン、N−ドデカノイルアスパラギナート、N−ドデカノイル−L−アスパラギン、ナトリウムN−ドデカノイルアスパラギン酸、N−ドデカノイル−L−アスパラギン酸、ナトリウムN−ドデカノイルシステイナート、N−ドデカノイル−L−システイン、ナトリウムN−ドデカノイルグルタミナート、N−ドデカノイル−L−グルタミン、ナトリウムN−ドデカノイルグリシナート、N−ドデカノイル−L−グリシン、ナトリウムN−ドデカノイルセリナート、N−ドデカノイル−L−セリン、ナトリウムN−ドデカノイルスレオニナート、N−ドデカノイル−L−スレオニン、ナトリウムN−ドデカノイルチロシナート、N−ドデカノイル−L−チロシン、ナトリウムN−デカノイルアスパラギナート、N−デカノイル−L−アスパラギン、ナトリウムN−デカノイルアスパラギン酸、N−デカノイル−L−アスパラギン酸、ナトリウムN−デカノイルシステイナート、N−デカノイル−L−システイン、ナトリウムN−デカノイルグルタミナート、N−デカノイル−L−グルタミン、ナトリウムN−デカノイルグリシナート、N−デカノイル−L−グリシン、ナトリウムN−デカノイルセリナート、N−デカノイル−L−セリン、ナトリウムN−デカノイルチロシナート、N−デカノイル−L−チロシン、ナトリウムN−ドデカノイルアスパラギナート、ナトリウムN−ドデカノイルグルタミン酸、N−ドデカノイル−L−グルタミン酸、ナトリウムN−デカノイルグルタミン酸、N−デカノイル−L−グルタミン酸、Amisoft HS−11 P(ナトリウムステアロイルグルタマート)、Amisoft MS−11(ナトリウムミリストイルグルタマート)、Amisoft LS−11(ナトリウムドデカノイルグルタマート)、Amisoft CS−11(ナトリウムココイルグルタマート)、ナトリウムN−ココイルグルタマート、Amisoft HS−11 P、Amisoft HS−11 P(ナトリウムN−ステアロイルグルタマート)、(ナトリウムN−ミリストイルグルタマート))、(ナトリウムN−ドデカノイルグルタマート)、及びAmisoft HS−11 Pの1種以上から選択することができる。
【0146】
次のアシル化FA−aaは市販されている。
【0147】
【表1】
【0148】
特定の実施形態において、用語「脂肪酸N−アシル化アミノ酸」、「脂肪酸アシル化アミノ酸」、又は「アシル化アミノ酸」は本明細書では同義で使用されており、そのアルファ−アミノ基が脂肪酸でアシル化されているアミノ酸を意味する。
【0149】
特定の実施形態は、低い溶解性又は非常に低い溶解性を有する植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを利用する。特定の実施形態では、本質的に水不溶性の植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを利用する。特定の実施形態において、水に対する溶解性は、米国薬局方(USP 32)により溶質1部の溶解に必要な水の量に従って、低い〜溶解しない;低い溶解性:溶質1部の溶解に必要な水100〜1000部;非常に低い溶解性:必要な水1000〜10000部;本質的に水不溶性:必要な水10 000部超として定義される。しかし、塩基性のpHで、SNAC及び他の修飾アミノ酸並びに本明細書に記載されているFA−aaは水可溶性である。したがって、本明細書に記載されている投与便益は当然に予測することはできないであろう。特定の実施形態において、非常に低い溶解性は、1mg/ml未満、0.1mg/ml未満又は0.01mg/ml未満の水又は水溶液中の溶解度を意味し得る。
【0150】
特定の実施形態において、N−アシル化脂肪アミノ酸は、迅速発現吸収促進剤として作用し、これにより投与便益を生み出す。吸収促進剤とは、胃腸での吸収を促進する化合物を意味する。吸収促進剤は、吸収促進剤を含まない製剤と比較して、胃腸管内での薬物の溶解性を改良するか又は膜透過を増進することにより薬物吸収を改良することができる。吸収促進剤の追加の例には、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩がある。
【0151】
特定の実施形態において、N−アシル化脂肪アミノ酸は、迅速発現バイオアベイラビリティー促進剤として作用する。バイオアベイラビリティーとは、対象により実際に吸収され血流に到達する活性成分の画分をいう。特定の実施形態において、バイオアベイラビリティー促進剤は、バイオアベイラビリティー促進剤を含まない製剤と比較して、血流中の活性成分の画分を増加させるか又は血流中の活性成分をより早い時期に検出させることになる。
【0152】
特定の実施形態において、迅速発現吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤により生み出される追加の投与便益には、吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤を含まないことを除いてあらゆる面で同様であるものに基づく対照の植物系製剤又は経口製剤と比較して、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間が含まれる。
【0153】
様々な生理学的状態に対処するように設計された多くの経口の植物系製剤及び合成カンビノイド製剤が、遅延した作用の発現、及び低いバイオアベイラビリティーを特徴とするので不適切であることから、迅速発現吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤(例えば、及び特定の実施形態において、N−アシル化脂肪アミノ酸)を利用する実施形態は、有益である可能性がある。遅延した作用の発現は迅速な治療効果を必要とする臨床的適応(例えば疼痛及び片頭痛)において困難な課題となり;低いバイオアベイラビリティーは別の投与形態(例えば煙を吸う、蒸気を吸う)で必要とされるよりもかなり高い薬量の摂取を患者に要求する。本明細書に開示されている特定の実施形態は改良されたバイオアベイラビリティー及び治療効果の発現までのより短い時間を有する本明細書で提供される組成物を含む経口製剤を提供する。本明細書に開示されている特定の実施形態は、改善されたバイオアベイラビリティー及び治療効果の発現までのより短い時間を有する植物系製剤及び合成カンナビノイド経口製剤を提供する。
【0154】
示されているように、本明細書に開示されている特定の実施形態は、少なくとも1種の持続放出系を含めることによって作用延長も提供する。持続放出系は、持続放出系を有さない同等の製剤より長い時間にわたって血流中に活性成分の分画を維持することによって、及び/又は持続放出系を有さない同等の製剤より長い時間にわたって治療的若しく生理学的効果を維持することによって、投与便益を創出することができる。
【0155】
錠剤及び粒子を処方する物質及び方法に関する下記の記載は、錠剤又は粒子のいずれかを作製する場合に交換可能に適用され得る。すなわち、特に文脈から明白に示されない限り、錠剤を作製する物質及び方法についての記載を粒子の作製に適用することができ、粒子を作製する物質及び方法についての記載を錠剤の作製に適用することができる。
【0156】
放出制御マトリックス。特定の実施形態において、作用延長物質は、マトリックスを形成し、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを所望の速度で水性媒体中に放出することを許容する物質である。放出制御マトリックス物質は、所望のインビトロ及び/又はインビボ放出速度を達成するように選択され得る。これらの実施形態において、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドは、マトリックス内に埋封されている。
【0157】
放出制御マトリックス物質は、親水性及び/又は疎水性ポリマーであり得る。放出制御マトリックス物質には、例えば、アクリルポリマー、ワックス、アルキルセルロース、シェラック、ゼイン、水素化植物油、硬化ヒマシ油及び前述の物質の1つ以上を含む組合せを挙げることができる。
【0158】
適切なアクリルポリマーには、例えば、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、シアノエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート及び前述のポリマーの1つ以上を含む組合せが挙げられる。
【0159】
適切な変質セルロースには、例えば、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースが挙げられる。アルキルセルロースには、例えば、メチルセルロース及びエチルセルロースが挙げられる。ヒドロキシアルキルセルロースには、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルブチルセルロースが挙げられる。他のアルキル又はヒドロキシアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーは、エチルセルロース及び/又はヒドロキシアルキルセルロースの一部又は全てが置換され得ることを当業者は理解する。
【0160】
他の適切な疎水性物質は、程度の差はあっても顕著な疎水性の傾向を伴った水不溶性である。特定の実施形態において、疎水性物質は、30℃〜200℃、特定の実施形態では45℃〜90℃の融点を有することができる。疎水性物質には、中性及び/又は合成ワックス、脂肪アルコール(例えば、ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチル若しくはセトステアリルアルコール)、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ、ジ及びトリグリセリド)を含む脂肪酸、水素化脂肪、炭化水素、直鎖ワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、炭化水素主鎖を有する疎水性及び親水性物質、並びに前述の物質の1つ以上を含む組合せを挙げることができる。適切なワックスには、ミツロウ、グリコロウ(glycowax)、ヒマシロウ、カルナウバロウ、及びワックス様物質、例えば、室温で通常固体であり、30℃〜100℃の融点を有する物質、並びに前述のワックスの1つ以上を含む組合せが挙げられる。
【0161】
特定の実施形態において、放出制御マトリックス物質には、可消化長鎖(例えば、C〜C50又はC12〜C40)置換又は非置換炭化水素、例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油及び植物油、ワックス、並びに前述の物質の1つ以上を含む組合せを挙げることができる。特定の実施形態において、25℃〜90℃の融点を有する炭化水素が使用され得る。これらの長鎖炭化水素物質のうち、特定の実施形態において、脂肪(脂肪族)アルコールが使用され得る。経口製剤は、少なくとも1種の可消化長鎖炭化水素を60重量%まで含むことができる。特定の実施形態において、経口製剤は、少なくとも1種のポリアルキレングリコールを少なくとも60重量%まで含むことができる。
【0162】
特定の実施形態において、放出制御マトリックス物質には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又は乳酸とグリコール酸とのコポリマーを挙げることができる。
【0163】
特定の実施形態において、放出制御マトリックス物質には高粘度HPMC及び低粘度HPMCが挙げられる。特定の実施形態において、高粘度HPMCは、80,000cps〜120,000cpsの範囲のものであり、特定の実施形態では100,000cpsのものである。特定の実施形態において、低粘度HPMCは、2,000cps〜20,000cpsの範囲のものであり、特定の実施形態では4,000cpsのものであり得る。特定の実施形態において、高粘度HPMCと低粘度HPMCの重量比は、10:1〜1:1であり得る。特定の実施形態において、高粘度HPMCと低粘度HPMCの重量比は、2.6:1〜1:1であり得る。
【0164】
特定の実施形態において、放出制御マトリックス物質は、80,000cps〜120,000cpsの粘度を有する高粘度HPMC及び2,000cps〜20,000cpsの粘度を有する低粘度HPMCを、10:1〜1:1の範囲の重量比で混合することによって調製され得る。
【0165】
様々な架橋の程度及び結合能の範囲を有するイオン交換樹脂を使用して、放出制御マトリックスを創出することもできる。特定の実施形態において、経口製剤は、イオン交換樹脂を植物性物質及び/又は合成カンナビノイドと接触させて、植物性物質及び/又は合成カンナビノイド/イオン交換樹脂のコア又は複合体を形成することによって調製され得る。
【0166】
典型的に適切なイオン交換樹脂は、イオン交換樹脂粒子の形態のものである。イオン交換樹脂粒子を、選択された植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの溶液中で撹拌することが、樹脂粒子への植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの結合を達成するために通常十分である。
【0167】
特定の実施形態において、樹脂の装填は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの結合を促進するpHで適切に実施される。一部のイオン交換樹脂は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを装填する前に、酸又は塩基の溶液によりすすいで「活性化」する必要があり得る。そのような活性化要件は、イオン交換樹脂物質を用いる当業者に知られている。個別のイオン交換樹脂物質の特定の要件は、樹脂製造会社から得ることができる。特定の実施形態において、形成された粒子は、粒子の実質的に完全なコーティングができるように球状であり得る。
【0168】
腸溶コーティング。特定の実施形態において、経口製剤は、腸溶コーティングを含むことができる。腸溶コーティングとは、胃の産生環境下では実質的に無傷のままであるが、腸の中性環境下では溶解するコーティング物質を意味する。胃は、1〜3のpHを有し、十二指腸は5〜7のpHを有し、上行結腸は7〜8のpHを有し、空腸は6.5のpHを有する。
【0169】
特定の実施形態において、腸溶コーティングは、剤形が小腸に到達するまで植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの放出を防止するコーティングである。適切な腸溶コーティング物質の例には、アクリル酸ポリマー;セルロースアセトートブチレート;セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート;セルロースアセテートマレエート;セルロースアセテートフタレート(CAP);セルロースアセテートプロピオネート;セルロースアセテースクシネート;セルロースアセテートトリメリテート;セルロースポリマー;セルロースプロピオネートフタレート;エチルメタクリレート−エチルメタクリレート−クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートコポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS);HPMC、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);メタクリル酸/メタクリレートポリマー;メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー;商標名EUDRAGIT(登録商標)(Evonik Roehm GmbH、Germany)で市販されているメタクリル酸樹脂;ポリビニルアセテートフタレート(PVAP);並びにこれらのブレンド及びコポリマーが挙げられる。他の例には、シェラック、SANDARAC及びコパールコロホリウム(copal collophorium)などの天然樹脂が挙げられる。腸溶コーティング経口製剤は、「Pharmaceutical dosage form tablets」、eds.Liberman et.al.(New York、Marcel Dekker,Inc.、1989)、「Remington−−The science and practice of pharmacy」、20th ed.,Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore,Md.、2000及び「Pharmaceutical dosage forms and drug delivery systems」、6th Edition、Ansel et.al.、 (Media,Pa.:Williams and Wilkins、1995)などの参考文献に記載されているように調製することができる。
【0170】
バリア層。特定の実施形態において、経口製剤は、バリア層を含むことができる。本明細書で使用されるとき、バリア層は、経口製剤からの植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの放出を遅らせるが、胃部管のpH条件と無関係に選択される。
【0171】
特定の実施形態において、バリア層は、1種以上の膨張性、侵食性及び/又はゲル化可能ポリマーを含むことができる。
【0172】
ゲル化可能ポリマーの例には、グアーゴム;マンノース糖及びガラクトース糖を含む高分子量多糖、又はヒドロプロピルグアー(HPG)、カルボキシメチルグアー(CMG)及びカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー(CMHPG)などのグアー誘導体;ヒドロキシエチルセルロース(HEC)又はヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)などのセルロース誘導体;キサンタン;ジウタン(diutan);スクレログルカン(scleroglucan);ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;及びポリアクリレートポリマーが挙げられる。
【0173】
膨張性ポリマーの例には、架橋ポリ(アクリル酸);ポリ(アルキレンオキシド)(例えば、単位としてエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを含有するポリマー);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(ビニルピロリドン);ポリウレタンヒドロゲル、無水マレイン酸コポリマーなどの無水マレイン酸ポリマー;セルロースポリマー(例えば、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースとしても知られている)及びカルボキシメチルセルロース);多糖(例えば、デキストラン、キサンタンガム、ゲランガム(gellan gum)、ウェランガム(welan gum)、ラムサンガム(rhamsan gum)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、キトサン、ゼラチン及びマルトデキストリン);デンプン;デンプンベースポリマー(例えば、加水分解デンプンポリアクリロニトリルグラフトコポリマー、デンプン−アクリレート−アクリルアミドコポリマー)が挙げられる。
【0174】
市販の膨張性ポリマーには、PolyOX 303(登録商標)(ポリ(エチレンオキシド)、分子量7,000,000);PolyOX WSR N−12K(ポリ(エチレンオキシド)、分子量1,000,000)、 PolyOX WSR N−60K(ポリ(エチレンオキシド)、分子量2,000,000)、PolyOX WSR 301(ポリ(エチレンオキシド)、分子量4,000,000)、PolyOX WSR Coagulant、PolyOX WSR 303、PolyOX WSR 308、NFgrade(商標)(ポリ(エチレンオキシド)、分子量1,000,000);PolyOX WSR N80(商標)(ポリ(エチレンオキシド)、分子量200,000);METHOCEL(登録商標)F4M(ヒドロキシプロピルメチルセルロース);METHOCEL A15C(メチルセルロース)、METHOCEL A18M、METHOCEL K4M(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208)、METHOCEL K100(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910) METHOCEL E10M(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910)、METHOCEL E4M(ヒドロキシプロピルメチルセルロース);METHOCEL K15MP(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)が挙げられ、それぞれDow Chemical Company、Midland Mich.から入手可能である。
【0175】
市販の膨張性ポリマーの他の例には、Blanoseセルロースガム、grad 7H4(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ECN7 Pharmaceutical Grade(商標)(エチルセルロース)を含むBLANOSE(登録商標)セルロースガム;ECN22 Pharmaceutical Grade(商標)(エチルセルロース);Klucel HF(商標)(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量1,150,000);Klucel NF(商標)(ヒドロキシプロピルセルロース);Klucel MF(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量850,000)、Klucel GF(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量370,000)、Klucel JF(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量140,000)、Klucel LF(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量95,000)、Klucel EF(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量80,000)及びNatrosol 250HX(ヒドロキシエチルセルロース)が挙げられ、それぞれHercules Incorporated、Wilmington、Del.(Aqualonにより供給)から入手可能である。
【0176】
市販の膨張性ポリマーの他の例には、L−HPC Grade 11(商標)(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられ、Biddle Sawyer Corp.、New York、N.Y.を介してShin−Etsu Chemical Co.,Ltd.から入手可能である。
【0177】
市販の膨張性ポリマーの他の例には、Primellose(商標)(クロスカルメロースナトリウム);Monkey 4(商標)(デンプングリコール酸ナトリウム)が挙げられ、それぞれGenerichem Corporation,Totowa,N.J.を介してAvebeから入手可能である。
【0178】
市販の膨張性ポリマーの他の例には、Carbopol 974P(商標)(ポリアルケニルエーテル又はジビニルグリコールで架橋されたポリアクリル酸);Carbopol 934P(ポリアクリル酸);Carbopol 971P(ポリアルケニルエーテル又はジビニルグリコールで架橋されたポリアクリル酸)が挙げられ、それぞれNoveon,Inc.、Cleveland、Ohioから入手可能である。
【0179】
市販の膨張性ポリマーの他の例には、Elvanol(登録商標)71−30、Elvanol(登録商標)85−30、Elvanol(登録商標)50−42及びElvanol(登録商標)HVなどの、DuPontから入手可能なポリビニルアルコールが挙げられる。
【0180】
侵食性ポリマーの例には、ポリエチレンオキシド、特にポリエチレンオキシド水溶性樹脂(Polyox(登録商標)WSR Coagulant及びPolyox(登録商標)WSR−303);グリセリル脂肪酸エステル、例えば、グリセリルベヘネート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルモノオレエート、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン(tristearin)、トリパルミチン、セチルエステルワックス、グリセリルパルミトステアレート及びグリセリルベヘネート;硬化ヒマシ油;セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルエチルセルロース;プルラン;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;並びにポリ酢酸ビニルが挙げられる。特定の実施形態において、水膨張性又は水溶性又は侵食性ポリマーには、ポリエチレンオキシド水溶性樹脂、グリセリルベヘネート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0181】
特定の実施形態において、膨張性、侵食性及び/又はゲル化可能ポリマーはHPMCである。特定の実施形態において、HPMCの平均分子量は、1000〜4,000,000又は2000〜2,000,000である。特定の実施形態において、バリア層には、METHOCEL(登録商標)(Dow Chemical Company、Midland、MI)E5が挙げられ、これは、28〜30%のメトキシ含有量を有し、7〜12%のヒドロキシプロピル含有量を有し、回転により測定して、4.2〜6.1mPa(Colorcon、West Point、Pa.)の見掛け粘度を有するHPMCである。特定の実施形態において、バリア層には、METHOCEL(登録商標)E50が挙げられ、これは、28〜30%のメトキシ含有量を有し、7〜12%のヒドロキシプロピル含有量を有し、回転により測定して、39〜59mPa(Colorcon、West Point、Pa.)の見掛け粘度を有するHPMCである、特定の実施形態において、第1のバリア層にはMETHOCEL(登録商標)E5が挙げられ,第2のバリア層にはMETHOCEL(登録商標)E50が挙げられる。
【0182】
使用することができるバリア層物質の追加の例には、セルロースアセテート、CAP、セルソースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、HPMCP、PVAP、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラック、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、EUDRAGIT(登録商標)、例えば、EUDRAGIT(登録商標)L12,5(溶液)、EUDRAGIT(登録商標)L100(粉末)、EUDRAGIT(登録商標)S12,5(溶液)、EUDRAGIT(登録商標)S100(粉末):−COOH官能基を有するメタクリル酸及びメタクリレートに基づいたアニオン性ポリマー、EUDRAGIT(登録商標)L100−55(粉末)及びEUDRAGIT(登録商標)L30D−55(溶液):−COOH官能基を有するメタクリル酸及びメタクリレートのアニオン性ポリマー、EUDRAGIT(登録商標)RL(RL12.5、RLlOO、RL PO、RL30D)及びEUDRAGIT(登録商標)RS(RS12.5、RS100、RS PO、RL30D):官能基として第四級アンモニウム基を有するアクリレートとメタクリレートのコポリマーが挙げられる。特定の実施形態において、シェラックを介した水の緩徐な浸透を助けるために任意選択でタルクを含むシェラックを、バリア層として使用することができる。典型的には、かかるバリア層には、30〜50wt%、特定の実施形態では40±5wt%のタルクを含むシェラックを挙げることができる。
【0183】
特定の実施形態において、コーティング操作は、例えば、1時間後に15〜30%、4時間後に45〜70%、8時間後に70%超、12時間後に90%超の植物性物質及び/又は合成カンナビノイド含有量が溶液中に放出されるように、例えばヨーロッパ薬局方溶解試験を使用して決定して、所望の作用延長プロファイルを提供するのに適した1つ以上のバリア層を粒子が有するまで続けられる。
【0184】
特定の実施形態において、マトリックスを囲んでいるコーティング又は層は、経口製剤の0.25〜40重量%を占める。特定の実施形態において、作用延長マトリックスコアを囲んでいる作用延長コーティングは、経口製剤の0.5〜20重量%、特定の実施形態では1〜10重量%を占める。
【0185】
特定の実施形態において、マトリックスを囲んでいるコーティング又は層は、ポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L30D−55)を40〜95重量%及び可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール)を5〜60重量%含むことができる。成分の相対的な割合、とりわけ、メタクリルポリマーと可塑剤との比は、医薬製剤の当業者に既知の方法に従って変わり得る。
【0186】
特定の実施形態において、マトリックスを囲んでいるコーティング又は層の重量比は、1:30〜3:10であり得る。特定の実施形態において、マトリックスを囲んでいるコーティング又は層の重量比は、1:10であり得る。
【0187】
特定の実施形態において、マトリックスを囲んでいる第2のコーティング又は層の重量比は、1:30〜3:10であり得る。特定の実施形態において、マトリックスを囲んでいる第2のコーティング又は層の重量比は、1:10であり得る。
【0188】
特定の実施形態において、経口製剤は、1つ以上の放出調節物質を含むこともでき、放出調節物質は、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層との組合せによって、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの所望の放出プロファイルに基づいて、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの放出を更に調節することを可能にする。適切な調節物質には、グリセリルモノステアレート、トリグリセリド誘導体、半合成グリセリド、硬化ヒマシ油、グリセリルパルミトステアレート、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセロール、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、当業者に周知の他の天然及び/又は合成物質、並びにこれらの組合せが挙げられる。他の適切な調節物質には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、安息香酸ナトリウム、ホウ酸、ポリオキシエチレングリコール及びコロイドシリカも挙げられる。特定の実施形態において、調節物質の濃度は、経口製剤の1〜25重量%である。特定の実施形態において、調節物質の濃度は、経口製剤の5〜15重量%である。
【0189】
特定の実施形態において、第1のコーティング又は層は、20〜85%の水不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロース)、10〜75%の水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)及び5〜30%の可塑剤を含む。成分の相対的な割合、とりわけ、水不溶性皮膜形成ポリマーと水溶性ポリマーとの比は、得られる放出プロファイルに応じて変わり得る(より多くの遅延放出が、一般により多くの量の水不溶性皮膜形成ポリマーによって得られる)。
【0190】
特定の実施形態において、経口製剤は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイド、ポリビニルアルコール及びグリセリルベヘネートを含む放出制御マトリックスコア、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールの第1のコーティング又は層、並びにメタクリル酸コポリマータイプC、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール及び任意に二酸化ケイ素を含む第2のコーティング又は層を含む。
【0191】
特定の実施形態において、経口製剤は、水不溶性皮膜形成ポリマーを可塑剤及び水溶性ポリマーと一緒に含む第1のコーティングを含む。水不溶性皮膜形成ポリマーは、セルロースエーテル、例えばエチルセルロース、セルロースエステル、例えば酢酸セルロース、ポリビニルアルコール等であり得る。適切な皮膜形成ポリマーは、エチルセルロース(商標名ETHOCEL(登録商標)でDow Chemicalから入手可能)である。他の賦形剤も第1のコーティングに任意選択で存在することができ、例は、アクリル酸誘導体(例えば、EUDRAGIT(登録商標))、顔料等である。
【0192】
特定の実施形態において、経口製剤は、作用延長物質を1%〜95%(重量%)含むことができる。
【0193】
特定の実施形態において、作用延長コアは、迅速発現高速崩壊層で全面(又は実質的に全面)が圧縮コートされ、特定の実施形態では、圧縮錠剤層又はシェルとして処方される。
【0194】
特定の実施形態において、迅速発現シェルは、選択された持続放出系を実質的に囲んでいる。迅速発現シェルは、水溶液又は皮膜形成物質の分散体の形態で、選択された持続放出系に適切に適用され得る。代表的な皮膜形成物質には、ヒドロキシプロピルセルロース、HPMC、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー及びジメチルアミノメタクリル酸/中性メタクリル酸エステル共重合体が挙げられる。特定の実施形態において、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンの混合物を含む迅速発現シェルを使用することができる。
【0195】
放出制御マトリックス、コーティング、層及び迅速発現シェルは、当技術分野で公知の技術により錠剤及び粒子形態に調製され得る。例えば、植物性物質及び/又は合成カンナビノイド、並びに作用延長物質は、例えば、米国特許第3,939,259号、国際公開第01/19901号、国際公開第01/72286号及び米国特許第4,902,513号に記載されている湿式造粒技術及び溶融押出技術によって調製され得る。
【0196】
コーティング、層又はシェルの適用に典型的に使用される薬学的に許容される溶媒には、水、メタノール、エタノール、塩化メチレン及び前述の溶媒の1つ以上の組合せが挙げられる。
【0197】
特定の実施形態において、コーティング、層又はシェルをマトリックスに適用する方法には、コーティング、層又はシェル物質の溶液をマトリックスに噴霧すること又は流し込むことが挙げられる。コーティング、層又はシェルを適用する他の方法は、例えば、米国特許第3,939,259号に開示されているように公知であり、例えば、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを含む非コートマトリックス形態を、回転式パンに入れ、マトリックスを十分なコーティング、層又はシェル溶液と接触させて、マトリックスで覆い、続いて乾燥する。
【0198】
Spansule(登録商標)(Smith Kline & French Laboratories Corporation、Philadelphia、Pennsylvania)は、糖に基づいた基材を利用し、糖に基づいた基材に、植物性物質及び/若しくは合成カンナビノイドを直接組み込むことができる又は基材の表面に散布する、そうでなければ分布することができる、例えば、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを含む層を堆積することができる。典型的には、かかる基材は、糖及びトウモロコシデンプンの圧密混合物を含む、典型的に35〜40メッシュ(425〜500ミクロン)サイズの実質的に球状の粒子を含むことができる。適切な仕様は、例えば、米国薬局方及び国民医薬品集に記載されている。
【0199】
粉末層形成方法を使用することもできる。典型的には、かかる方法において、基材を適切な溶媒(例えば、エタノール)中のシェラック及び酸の混合物で最初に噴霧することができる。次いで、この適用された混合物を、例えば空気流で乾燥させて、粘着性コーティングを基材上に残す。次いで、これらのコート基材に、粉末化された植物性物質及び/又は合成カンナビノイドが散布され、それによって植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの層が沈着され得る。次いで、植物性物質コート基材に、シェラック、酒石酸及び溶媒の混合物の別のコーティングを噴霧することができ、次いで、このコーティングを前記のように乾燥させ、次いで、粉末化植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの別の層が、例えば回転式パンにより基材に散布される。この方法は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの所望の量が基材に沈着されるまで繰り返される。
【0200】
植物性物質及び/又は合成カンナビノイドでコートされたマトリックスは、例えば、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを溶媒中に溶解又は分散し、次いで溶液を基材に、例えば糖球体NF−21 18/20メッシュにWursterインサートを使用して噴霧することによって調製され得る。任意選択で、マトリックスへの植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの結合を助けるために、追加の成分もマトリックスのコーティングの前に添加される。得られた植物性物質及び/又は合成カンナビノイドマトリックスを任意選択でオーバーコートして、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを、次のコート材料、例えば、腸溶コーティング、バリア層及び/又はシェルから分離させることができる。
【0201】
特定の実施形態において、経口製剤は、総重量200mg以下の小型サイズで調製され得る。特定の実施形態において、経口製剤は、150mg〜160mgの範囲で調製することができ、ゆえに容易に嚥下することができ、そのことが内用医薬及び服薬遵守にとって便宜を提供し、費用対効果が高い。
【0202】
示されているように、特定の実施形態は、迅速発現液体内の持続放出系を含む。液相は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドが実質的に経口投与直後に身体に吸収され始めることができるように、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを迅速発現形態で、例えば溶液又は懸濁液中に含むことができ、持続放出系は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドを作用延長形態で含むことができる。液相及び固相は、両方とも同じ植物性物質及び/若しくは合成カンナビノイドを含むことができる、又は液相及び固相は、異なる植物性物質及び/若しくは合成カンナビノイドを含むことができる。
【0203】
国際公開第03/084518号は液体剤形を記載し、液体剤形は、液相中に分散された活性薬剤を含む被覆遅延放出粒子を含み、液相は、溶液中に活性薬剤も含み、経口投与されると液相から活性薬剤が迅速に放出される
特定の実施形態において、迅速発現液体内の作用延長粒子には、植物性物質及び/又は合成カンナビノイドの持続放出を得るための、ビーズ、イオン交換樹脂ビーズ、楕円体、微小球、種結晶、ペレット、顆粒及び他の多粒子系(集合的に粒子といわれる)を挙げることができる。多粒子系には、カプセル又は他の適切な単位剤形を挙げることもできる。特定の実施形態において、粒子、典型的には球体は、0.5〜15mm、例えば約1.0±0.1mmの直径、又は同等の体積の他の形状であり得る。特定の実施形態において、かかる粒子は、30〜99wt%の植物性物質及び/又は合成カンナビノイド、例えば、THC及び/又はCBDの形態のカンナビノイドを含むことができる。
【0204】
粒子含有液体を利用する特定の実施形態において、液体の粘度は、粒子の沈降速度を低減することによって増大され得る。特定の実施形態において、液体の粘度は、混合した後に摂取されるまで十分な時間にわたって粒子が液体中に実質的に均一に懸濁されることを可能にする。
【0205】
特定の実施形態において、適切な粘度範囲は、Brookfield Rheometer、Spindle2を21℃の温度、20rpmの速度で使用して決定することができる。特定の実施形態において、適切な粘度は250〜1100mPasである。特定の実施形態において、適切な粘度は400〜500mPasである。特定の実施形態において、適切な粘度範囲の下限は、撹拌の2分後に50%の粒子が沈降しないままである。特定の実施形態において、適切な粘度範囲の下限は、撹拌の6分後に50%の粒子が沈降しないままである。
【0206】
特定の粘度は、1種以上の適切な増粘剤を水性液相に組み込むことによって達成され得る。適切な増粘剤は、経口製剤の分野において知られており、典型的には、キサンタンガム(例えば、商標RHODIGEL(登録商標)(Rhone−Poulenc Industries、Paris、France)又はKELTROL(登録商標)(Kelco Co.、San Diego、CA)、例えばRHODIGEL(登録商標)80又はKELTROL(登録商標)で販売されているもの)、ゲランガム(E418)、寒天(E406)、カラギーナン(E407)、ガラクトマンナン及び変性ガラクトマンナン(イナゴマメゴム(E410)、グアーゴム(E412)、タラガム(tara gum)(E407)、コンニャクガム、ゼラチン、アラビアゴム(E414)、カラヤゴム(E416)、デンプン及びデンプン誘導体(例えば、E1404、E1410、E1412〜E1414、E1420、E1422、E1440、E1442、E1450、E1451)、タマリンド、トラガカント(E413)、キサンタンガム(E415)、ペクチン(E440)及びアミド化ペクチン(E440U)、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、セルロース(E460)、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(E466)、カルボキシメチルセルロース(E466)、メチルセルロース(E461)、ヒドロキシプロピルセルロース(E463)、メチルエチルセルロース(E465)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、ヒドロキシエチルセルロース)、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸(E400)、アルギン酸アンモニウム(E403)、アルギン酸カルシウム(E404)、アルギン酸カリウム(E402)、アルギン酸ナトリウム(E401)、アルギン酸プロピレングリコール(E405)、ポリビニルアルコール、ガティガム、ケイ酸塩(例えば、Bentonit(ケイ酸アルミニウム)又はVeegum(ケイ酸マグネシウムアルミニウム))、クズウコン、サゴ、処理済みEucheuma藻類(E407a)、デキストラン、ポリビニルピロリドン(E120 Ia)、ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリマー(例えば、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート)、及びコロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil)が挙げられる。
【0207】
特定の実施形態において、液体は、水性液相であってもよく、40〜90wt%、40〜60wt%又は45〜55wt%の量の水又はエタノールを含んでもよい。
【0208】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの植物性物質(例えば、植物の部分若しくは抽出物)及び/又は合成カンナビノイドを含む。
【0209】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの担体を含む。
【0210】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの添加剤を含む。
【0211】
添加剤はAldrich Chemical Co.,FMC Corp,Bayer,BASF,Alexi Fres,Witco,Mallinckrodt,Rhodia,ISPなどのような会社から市販されている。
【0212】
代表的な添加剤の種類としては、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、錯体形成剤、希釈剤(すなわち、充填剤)、崩壊剤、乳化剤、香味料、流動促進剤、潤滑剤、保存料、放出剤、界面活性剤、安定剤、可溶化剤、甘味料、増粘剤、湿潤剤、及び賦形剤(vehicle)がある。
【0213】
結合剤は、造粒の際に粉末粒子の接着を起こすために使用される物質である。代表的な結合剤には、アカシア、圧縮性糖(compressible sugar)、ゼラチン、スクロース及びその誘導体、マルトデキストリン、セルロースポリマー、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びメチルセルロース、アクリルポリマー、例えば不溶性アクリレートアンモニオメタクリレートコポリマー、ポリアクリレート又はポリメタクリルコポリマー、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、グアーガム、並びにポリエチレングリコールがある。
【0214】
着色剤は、製剤に色を付けるために経口製剤に含ませることができる。代表的な着色剤には、ブドウ皮エキス、ビートレッドパウダー、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ウコン、及びパプリカがある。追加の着色剤として、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、FD&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメル、及び酸化第二鉄がある。
【0215】
希釈剤は経口製剤の造粒を増進することができる。代表的な希釈剤として、微晶質セルロース、スクロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ラクトース及び炭素原子13個未満のポリオール、例えばマンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール並びに薬学的に許容されるアミノ酸、例えばグリシンがある。
【0216】
崩壊剤も、溶解を容易にするために経口製剤に含ませることができる。崩壊剤(Disentegrant)、例えば透過促進(permeabilising)及びウィッキング剤(wicking agent)は、経口製剤の内部並びに外部から溶解を促進する水又は唾液を経口製剤中に引き込むことができる。使用できるかかる崩壊剤、透過促進及び/又はウィッキング剤には、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、そのアルファ化及び加工デンプン、セルロース作用剤(cellulosic agent)、例えばAc−di−sol、モンモリロナイト粘土、架橋PVP、甘味料、ベントナイト、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、アラビア、キサンタン及びトラガカント、水性溶媒に対して高い親和性をもつシリカ、例えばコロイドシリカ、沈降シリカ、マルトデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ポリマー、例えばカーボポール、並びにセルロース作用剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。経口製剤の溶解は、使用する比較的小さい粒径の成分を含ませることにより容易にすることができる。
【0217】
代表的な分散又は懸濁剤としては、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、トラガカント(fragacanth)、ゼラチン、水素添加食用脂、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールシロップ、及び合成の天然ガムがある。
【0218】
代表的な乳化剤としてはアカシア及びレシチンがある。
【0219】
フレーバー剤(Flavorant)は、心地よい香味そしてしばしば香気を経口製剤に付与するために使用される天然又は人工の化合物である。代表的なフレーバー剤には、天然及び合成の香味油、香味芳香剤、植物、葉、花、及び果実の抽出物並びにこれらの組合せがある。かかるフレーバー剤としてアニス油、桂皮油、バニラ、バニリン、ココア、チョコレート、ナチュラルチョコレート香味、メントール、ブドウ、ペパーミント油、ウィンターグリーン油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油、カッシア油;かんきつ油、例えばレモン、オレンジ、ライム及びグレープフルーツ油;並びに果実精、例えばリンゴ、セイヨウナシ、桃、ベリー、ワインドベリー、ナツメヤシ、ブルーベリー、キーウィ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、及びアンズがある。特定の実施形態において、使用できるフレーバー剤には天然のベリー抽出物及び天然の混合ベリー香味、並びにクエン及びリンゴ酸がある。
【0220】
流動促進剤は製造中の粉末ブレンドの流れを改良し、経口製剤重量変化を最小にする。代表的な流動促進剤には、二酸化ケイ素、コロイド状又はヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、トウモロコシデンプン、及びタルクがある。
【0221】
潤滑剤は、製剤の圧縮中の摩擦を低減する、経口製剤に使用される物質である。代表的な潤滑剤にはステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、鉱油及び植物油、安息香酸、ポリ(エチレングリコール)、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリル、及びラウリル硫酸ナトリウムがある。
【0222】
代表的な保存料としては、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、及びソルビン酸がある。
【0223】
代表的な甘味料としては、アスパルテーム、デキストロース、フルクトース、異性化糖、マルトデキストリン、グリチルリチン酸一アンモニウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、ステビア、スクラロース、及びスクロースがある。
【0224】
特定の実施形態は嚥下可能製剤を含む。嚥下可能製剤は、口中に入れたとき容易には溶けず、噛むことなく又は不快感なく丸ごと飲み込むことができるものである。米国特許第5,215,754号及び同第4,374,082号は嚥下可能製剤を製造する方法を記載している。特定の実施形態において、嚥下可能製剤は、鋭い端を含有しない形状及び滑らかで均一かつ実質的に泡のない外側コーティングを有し得る。
【0225】
嚥下可能製剤を製造するためには、慣用のコンパウンディング技術に従って、各々の成分を適切な担体と共に密な混和物として組み合わせるとよい。嚥下可能製剤の特定の実施形態において、製剤の表面をポリマー性のフィルムでコートしてもよい。かかるフィルムコーティングはいくつかの有益な効果を有する。まず第1に、口の内面への製剤の接着が低減することにより、その対象の製剤を飲み込む能力を増大させる。第2に、フィルムはある種の成分の不快な味を隠す補助となり得る。第3に、フィルムコーティングは製剤を大気中の分解から保護することができる。嚥下可能製剤を製造する際に使用できるポリマー性フィルムとしては、ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びアセテート、セルロース誘導体、例えばメチル及びエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アクリレート及びメタクリレート、コポリマー、例えばビニル−マレイン酸及びスチレン−マレイン酸タイプ、及び天然のガム並びに樹脂、例えばゼイン、ゼラチン、シェラック及びアカシアがある。
【0226】
特定の実施形態において、経口製剤はチュアブル製剤を含み得る。チュアブル製剤は、快い味及び口当たりを有し、比較的に軟らかく、噛んだ後迅速により小さい破片に壊れ溶解し始めて、結果として実質的に溶液として飲み込まれるようになるものである。
【0227】
米国特許第6,495,177号は、改良された口当たりを有するチュアブル製剤を製造する方法を記載している。米国特許第5,965,162号は、殊に噛んだとき、口内で迅速に崩壊する食べられるユニットを製造するためのキット及び方法を記載している。
【0228】
チュアブル製剤を創出するためには、上に記載した属性を達成するようにある種の成分を含ませるべきである。例えば、チュアブル製剤は、心地よい香味及び口当たりを生み出し、口内での相対的な軟らかさ及び溶解性を促進する成分を含むべきである。以下の考察はこれらの特性を達成する役に立ち得る成分を記載する。
【0229】
糖類、例えば白砂糖、コーンシロップ、ソルビトール(溶液)、マルチトール(シロップ)、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、スクロース、フルクトース、ラクトース、グルコース、ライカシン(lycasin)、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、デキストロース、ポリデキストロース、デキストリン、圧縮性セルロース、圧縮性蜂蜜、圧縮性糖蜜及びこれらの混合物を加えて口当たり及び嗜好性を改良してもよい。フォンダン又はガム、例えばゼラチン、寒天、アラビアガム、グアーガム、及びカラギーナンを加えて製剤の噛み応えを改良してもよい。使用できる脂肪質材料としては、植物油(例えば、ヤシ油、パーム硬化油、トウモロコシ胚芽硬化油、ヒマシ硬化油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油、及びパームステアリン油)、動物油(例えば、融点が30°〜42℃の範囲である精製油及び精製ラード)、カカオ脂、マーガリン、バター、及びショートニングがある。
【0230】
アルキルポリシロキサン(様々な分子量範囲及び様々な異なる置換パターンで市販されているポリマー)も、チュアブル製剤の食感、口当たり、又は両方を高めるために使用することができる。「食感を高める」とは、アルキルポリシロキサンが、そのチュアブル製剤の堅さ、もろさ、及び噛み応えの1以上を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ製剤と比べて改良することを意味する。「口当たりを高める」とは、アルキルポリシロキサンが、口内で液化されたときにチュアブル製剤のザラザラする食感を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ製剤と比べて低減することを意味する。
【0231】
アルキルポリシロキサンは、一般に、ケイ素及び酸素を含有するポリマー骨格を含み、1個以上のアルキル基が骨格のケイ素原子からぶら下がっている。それらはその等級に応じて、更にシリカゲルを含むことができる。アルキルポリシロキサンは一般に粘稠な油である。嚥下可能、チュアブル又は溶ける製剤に使用することができる代表的なアルキルポリシロキサンにはモノアルキル又はジアルキルポリシロキサンがあり、ここでアルキル基は任意にフェニル基により置換されていてもよいC−C−アルキル基から各々独立して選択される。使用できる特定のアルキルポリシロキサンはジメチルポリシロキサン(一般にシメチコンといわれる)である。より具体的には、シメチコンGSと指称される粒状のシメチコン製剤を使用できる。シメチコンGSは30%のシメチコンUSPを含有する製剤である。シメチコンUSPは90.5重量%以下の(CH−Si{OSi(CH}CHを4.0%〜7.0重量%のSiOと混和して含有する。
【0232】
チュアブル製剤で出現する可能性があるべたつきを予防し、また摂取の際の活性成分のエマルション又は懸濁液への変換を促進するために、製剤は更に乳化剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、スクロース脂肪酸エステル、レシチン及びこれらの混合物を含んでいてもよい。特定の実施形態において、かかる乳化剤の1種以上は経口製剤の重量で0.01%〜5.0%の量で存在し得る。特定の実施形態において、乳化剤のレベルがそれより低いか又はそれより高いと、乳化が起こらないか、又はワックス値が上昇する。
【0233】
経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとることができ、又は使用前の水も若しくは他の適切な賦形剤による再構成用の乾燥生成物として存在してもよい。
【0234】
上記に加えて、嚥下可能、チュアブル及び/又は溶ける製剤又は本明細書に記載されている他のいずれかの経口製剤を製造する際、記載されている目的と適合する限り、あらゆる適当な充填剤及び添加剤を利用してもよい。
【0235】
経口製剤はまた、食用品も含む。食用品とは、食料又は飲料として消費することができるあらゆる製品を意味する。場合によって、食用品は、本明細書で提供される製剤の食材への注入により、製造されてもよい。使用に適した食用可能な食料の例には、キャンディー、キャンディーバー、パン、ブラウニー、ケーキ、チーズ、チョコレート、ココア、クッキー、グミ、ロリポップ、ミント、ペーストリー、ピーナッツバター、ポップコーン、プロテインバー、餅、ヨーグルト、等がある。厳密にいえば食用ではないが、ガムも使用することができる。食用飲料の例としては、ビール、ジュース、フレーバーミルク、フレーバーウォーター、リカー、ミルク、ポンチ、ミルクセーキ、ソーダ、茶、及び水がある。特定の実施形態において、食用品は、食用品を作成するのに使用される成分と合成カンナビノイド/担体製剤とを組み合わせることで作成される。例としてはバター及び油がある。代表的な油としては、ココナツオイル、グレープシードオイル、オリーブ油、ヤシ油、パパイヤシードオイル、ピーナッツ油、ゴマ油、発芽小麦油、小麦胚芽油、又はこれらのあらゆる組合せがある。
【0236】
経口製剤は個別に、任意の大きさの1以上のパッケージ、缶、バイアル、ブリスターパック、又は瓶に複合ユニットとして包むか又は包装することができる。薬量は治療上有効な量を提供するような大きさとする。
【0237】
追加の情報は、WADE & WALLER,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS(2nd ed.1994)及びRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990に見ることができる。更に、製剤はU.S.FDA及び/又は他の関連のある外国の規制機関により要求される無菌状態、発熱性、一般的安全性、及び純度の標準規格を満たすように製造することができる。
【0238】
特定の実施形態は、植物性物質及び/又は合成カンナビノイド、充填剤、崩壊剤及び添加剤を含む迅速発現層、並びに植物性物質及び/又は合成カンナビノイド、充填剤、崩壊剤、放出制御マトリックス及び添加剤を含む作用延長成分を含む。
【0239】
特定の実施形態は、作用延長コア、第1の作用延長腸溶コーティング及び迅速発現シェルを含む。作用延長コアは、植物性物質及び/又は合成カンナビノイド、及び賦形剤、とりわけ潤滑剤、及び結合剤及び/又は充填剤、任意選択で流動促進剤を含むことができる。
【0240】
本明細書に開示されている植物系製剤は、対象(ヒト、獣医学的動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類等)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリ等)及び研究動物(サル、ラット、マウス、魚類等))を治療するのに使用することができる。対象を治療することは治療上有効な量を提供することを含む。治療上有効な量は、有効な量、予防的治療、及び/又は治療処置を提供するものを含む。
【0241】
「有効な量」は、対象において所望の生理学的変化を起こすのに必要な植物系製剤の量である。有効な量はしばしば試験目的で投与される。本明細書に開示されている代表的な有効量は、動物モデルにおいて疼痛知覚(神経障害性疼痛、急性疼痛、内蔵疼痛)を低減することができ、動物モデルにおいて食欲を刺激することができ、動物モデルにおいて発作(例えば、てんかん性発作)を低減することができ、動物モデルにおいて骨量減少を逆転することができ、動物モデルにおいて片頭痛を軽減する(頭蓋血管を収縮させる)ことができ、動物モデルにおいて中毒を治療することができ、動物モデルにおいて不安を低減することができ、及び/又は動物モデルにおいて喘息の症状を低減することができる。
【0242】
「予防的治療」は、病気若しくは栄養不足の兆候若しくは症状を示していないか又は病気若しくは栄養不足の初期兆候若しくは症状のみを示す対象に、病気若しくは栄養不足を更に発症するリスクを小さくし、抑制し、若しくは減少させる目的で投与されるように投与される処置を含む。したがって、予防的治療は病気又は栄養不足の発症に対する予防処置として機能する。
【0243】
予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。片頭痛の有効な予防的治療は、対象が感じる1月当たりの片頭痛の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0244】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、てんかん性発作を有するリスクがある対象に投与することができる。てんかん性発作の有効な予防的治療は、1月当たりの発作の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0245】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、神経障害性疼痛を患うリスクのある対象に投与することができる。神経障害性疼痛の有効な予防的治療は、神経障害性疼痛の出現が、標準の主観的又は客観的疼痛評価により測定して少なくとも10%、又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0246】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、突出痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。突出痛の有効な予防的治療は、突出痛の発生が標準の主観的又は客観的疼痛評価により10%、特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0247】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐(CINV)を発症するリスクのある対象に投与することができる。CINVの有効な予防的治療は、CINVが標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して10%、特定の実施形態において25%低下するときに現れる。
【0248】
栄養不足の予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病を、食事に含まれる鉄の不足による貧血を、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を発症するリスクのある対象に投与することができる。これらの状態の有効な予防的治療は、これらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して回避されたか又は遅延したときに現れる。
【0249】
「治療処置」は、病気又は栄養不足を有する対象に投与される処置を含み、病気又は栄養不足の重症度を治癒又は低減する目的で対象に投与される。
【0250】
治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を有する対象に投与することができる。片頭痛の有効な治療処置は、頭痛の重症度が、標準の主観的又は客観的な頭痛評価により測定して、完全に低減若しくは軽減し、及び/又は頭痛がより迅速に消散したときに現れる。
【0251】
治療処置の別の例は、CINVを感じている対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。CINVの治療処置は、標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して、嘔吐が低減したかやんだ(又はより迅速にやんだ)か又は悪心が軽減したときに現れる。
【0252】
治療処置のもう1つ別の例は、骨粗しょう症を有する対象への開示されている経口製剤の投与を含む。骨粗しょう症の有効な治療処置は、骨密度が10%、特定の実施形態においては25%増大したときに現れる。
【0253】
治療処置のもう1つ別の例は、不安を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。不安の有効な治療処置は標準の主観的又は客観的な不安評価により測定して不安の重症度が完全に及び/又はより迅速に低減又は軽減したときに現れる。
【0254】
治療処置の別の例は多発性硬化症を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。多発性硬化症の有効な治療処置は、標準の歩行試験におけるスコアが10%、特定の実施形態においては25%改良したときに現れる。
【0255】
栄養不足の治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病、食事に含まれる鉄不足による貧血、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を有する対象に投与することができる。これらの状態の有効な治療処置はこれらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して低減又は消散したときに現れる。
【0256】
治療処置は、投与に対する研究成分の存否に基づく有効な量とは区別することができる。しかし、当業者には理解されるように、ヒトの臨床試験では有効な量、予防的治療及び治療処置が重なり合う可能性がある。
【0257】
投与のために、治療上有効な量(本明細書では薬量ともいう)は最初にインビトロアッセイ及び/又は動物モデル試験の結果に基づいて評価することができる。かかる情報は目的とする対象における有用な薬量をより的確に決定するために使用することができる。
【0258】
特定の対象に投与される実際の投薬量は、対象、医師、獣医、研究者が、対象の標的、体重、状態、以前又は同時に起こる治療的介入、及び/又は特発性疾患を含めて物理的、生理学的及び心理学的要因のようなパラメーターを考慮して決定することができる。
【0259】
有用な薬量は0.1〜5μg/kg又は0.5〜1μg/kgの範囲であることができる。別の非制限的な実施例において、薬量は1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、1000μg/kg、0.1〜5mg/kg又は0.5〜1mg/kgを含むことができる。別の非制限的な実施例において、薬量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg以上を含むことができる。
【0260】
特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たりの重量で植物性物質又は合成カンナビノイドを含む。特定の実施形態において、有用な薬量は、0.1mg/kg〜100mg/kg又は0.5mg/kg〜50mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たり0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg以上の植物性物質又は合成カンナビノイドを含む。
【0261】
特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たりの重量で担体(例えば、SNAC)を含む。特定の実施形態において、有用な薬量は、0.1mg/kg〜100mg/kg又は0.5mg/kg〜50mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たり0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg以上の担体を含む。
【0262】
特定の実施形態において、総投薬容量は、0.25mL〜30mL又は0.5mL〜20mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、総投薬容量は、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、20mL、21mL、22mL、23mL、24mL、25mL、26mL、27mL、28mL、29mL、30mL以上を含むことができる。
【0263】
投薬濃度は、投薬容量当たりの植物性物質(例えば、植物の部分若しくは抽出物)又は活性成分の重量(例えば、mg薬学的活性成分(API)/mL)と表すことができる。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL〜100mg/mL又は5mg/mL〜50mg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL、15mg/mL、16mg/mL、17mg/mL、18mg/mL、19mg/mL、20mg/mL、21mg/mL、22mg/mL、23mg/mL、24mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL以上を含むことができる。
【0264】
投薬濃度は、投薬容量当たりの担体(例えば、SNAC)の重量(例えば、mg SNAC/mL)と表すことができる。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL〜500mg/mL又は50mg/mL〜300mg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、325mg/mL、350mg/mL、375mg/mL、400mg/mL、425mg/mL、450mg/mL、475mg/mL、500mg/mL以上を含むことができる。
【0265】
特定の実施形態において、担体と植物性物質(例えば、植物の部分若しくは抽出物)又は活性成分との比(w/w)は、1:1〜100:1又は1:1〜20:1の範囲であり得る。特定の実施形態において、比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、100:1以上を含むことができる。特定の実施形態において、比は10:1であり得る。
【0266】
治療上有効な量は、治療計画の過程において(例えば、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、6時間毎、9時間毎、12時間毎、18時間毎、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週毎、3週毎、又は毎月一回)単一又は複数の薬量を投与することによって達成することができる。
【0267】
1種以上の活性薬剤を、同時に若しくは10分、1時間、3時間、10時間、15時間、24時間、若しくは48時間の時間窓内のような選択された時間窓内で、又は補完する活性薬剤が臨床的に関連のある治療濃度域内にあるとき投与することができる。
【0268】
以下の代表的な実施形態及び実施例は本開示の特定の実施形態を示すために含まれる。当業者であれば本開示に照らして認識されるように、本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、それでも類似又は同様な結果を得ることができる。
【0269】
代表的な実施形態
1.(i)(a)植物性物質及び/又は合成カンナビノイド並びに(b)N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を含む迅速発現成分と、(ii)(a)植物性物質及び/又は合成カンナビノイド並びに(b)持続放出系を含む作用延長成分とを含む、経口製剤。
【0270】
2.迅速発現成分が液体を含む、実施形態1の経口製剤。
【0271】
3.液体には、水、エタノール、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールが挙げられる、実施形態1の経口製剤。
【0272】
4.作用延長成分が液体内の粒子を含む、実施形態1又は2の経口製剤。
【0273】
5.粒子が、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含む、実施形態4の経口製剤。
【0274】
6.粒子が、アクリルポリマー、アルキルセルロース、植物油及びワックスから選択される放出制御マトリックスを含む、実施形態5の経口製剤。
【0275】
7.放出制御マトリックス及び腸溶コーティングを含む、実施形態5又は6の経口製剤。
【0276】
8.腸溶コーティングが、アクリルポリマー、セルロース、フタレートポリマー及び樹脂から選択される、実施形態7の経口製剤。
【0277】
9.放出制御マトリックス及びバリア層を含む、実施形態5又は6の経口製剤。
【0278】
10.バリア層が、ゲル化可能ポリマー、天然ゲル、膨張性ポリマー、並びに侵食性/緩徐溶解ポリマー及びゲルから選択される、実施形態9の経口製剤。
【0279】
11.作用延長成分が、迅速発現成分に囲まれた液体を含む、実施形態1の経口製剤。
【0280】
12.液体が植物油である、実施形態11の経口製剤。
【0281】
13.液体がジェルキャップ内にある、実施形態11又は12の経口製剤。
【0282】
14.ジェルキャップが、迅速発現シェルでコートされている、実施形態13の経口製剤。
【0283】
15.錠剤の形態である、実施形態1の経口製剤。
【0284】
16.錠剤の迅速発現成分が錠剤の作用延長成分を囲んでいる、実施形態15の経口製剤。
【0285】
17.迅速発現成分が、N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩、EDTA、クエン酸、胆汁塩、キトサン、SNAC、NAC、SDS、中鎖脂肪酸及びアシルカルニチンを含む、実施形態15又は16の経口製剤。
【0286】
18.作用延長成分が、放出制御マトリックス、腸溶コーティング及び/又はバリア層を含む、実施形態15〜17のいずれかの経口製剤。
【0287】
19.作用延長成分が、アクリルポリマー、アルキルセルロース、植物油及びワックスから選択される放出制御マトリックスを含む、実施形態18の経口製剤。
【0288】
20.放出制御マトリックス及び腸溶コーティングを含む、実施形態18又は19の経口製剤。
【0289】
21.腸溶コーティングが、アクリルポリマー、セルロース、フタレートポリマー及び樹脂から選択される、実施形態20の経口製剤。
【0290】
22.放出制御マトリックス及びバリア層を含む、実施形態20又は21の経口製剤。
【0291】
23.バリア層が、ゲル化可能ポリマー、天然ゲル、膨張性ポリマー、並びに侵食性/緩徐溶解ポリマー及びゲルから選択される、実施形態22の経口製剤。
【0292】
24.アクリルポリマーが、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、シアノエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、メチルメタクリレートの1つ以上から選択される、実施形態1〜23のいずれかの経口製剤。
【0293】
25.メチルセルロース及び/又はエチルセルロースから選択されるアルキルセルロースを含む、実施形態1〜24のいずれかの経口製剤。
【0294】
26.ゴマ油、パーム油、パーム硬化油、トウモロコシ胚芽硬化油、ヒマシ硬化油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油及びパームステアリン油の1つ以上から選択される植物油を含む、実施形態1〜25のいずれかの経口製剤。
【0295】
27.ミツロウ、グリコロウ、ヒマシロウ及びカルナウバロウから選択されるワックスを含む、実施形態1〜26のいずれかの経口製剤。
【0296】
28.ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルブチルセルロースの1つ以上から選択されるセルロースを含む、実施形態1〜27のいずれかの経口製剤。
【0297】
29.セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)及びポリビニルアセテートフタレート(PVAP)の1つ以上から選択されるフタレートポリマーを含む、実施形態1〜28のいずれかの経口製剤。
【0298】
30.ゼイン、ゼラチン、シェラック及びアカシアの1つ以上から選択される樹脂を含む、実施形態1〜29のいずれかの経口製剤。
【0299】
31.グアーガム、マンノース糖、ガラクトース糖、ヒドロプロピルグアー、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、キサンタン、ジウタン、スクレログルカン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリアクリレートポリマーの1つ以上から選択されるゲル化可能ポリマーを含む、実施形態1〜30のいずれかの経口製剤。
【0300】
32.ポリ(アクリル酸)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリウレタンヒドロゲル、無水マレイン酸ポリマー、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、キサンタンガム、ゲランガム、ウェランガム、ラムサンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、キトサン、ゼラチン、マルトデキストリン、デンプン、加水分解デンプンポリアクリロニトリルグラフトコポリマー及び/又はデンプン−アクリレート−アクリルアミドコポリマーの1つ以上を含む膨張性ポリマーを含む、実施形態1〜30のいずれかの経口製剤。
【0301】
33.ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド水溶性樹脂、グリセリル脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルの1つ以上を含む侵食性ポリマーを含む、実施形態1〜30のいずれかの経口製剤。
【0302】
34.植物性生成物を含む、実施形態1〜33のいずれかの経口製剤。
【0303】
35.植物性物質が、カロフィルム・ブラシリエンス、カロフィルム・カレドニクム、カロフィルム・イノフィルム、カロフィルム・ソウラットリ、ウンカリア・トメントサ、タイム・ブルガリス、マトリカリア・レクチタ、サリックス・アルバ、カレンデュラ・オフィシナリス、ウスニア・バルバタ、リグスティカム・ポルテリ−オシャ、ガウルテリア・プロクンベンス、カメリア・シネンシス、バクシニウム・ミルティルス、メリッサ・オフィシナリス、アリウム・サティブム、カメリア・シネンシス、クラメリア・トリアンドラ、プニカ・グラナツム、ビブルヌム・プリカツム、ニコチアナ・タバカム、ズボイシア・ホプウォオディイ、アスクレピアス・シリアカ、クルクマ・ロンガ、ヒペリクム・ペルホラツム、ポリゴナム・クスピダタム、ビチス属の種、テオブロマ・カカオ、カプシクム属の種、ラウウォルフィア・ボミトリア、ラウウォルフィア・セルペンチナ、ビンカ属の種、シトラス属の種、レウム・ラバルバルム、ファゴピルム・タタリクム、シジギウム・アロマティクム、ラヴァンデュラ属の種、メンタ属の種、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス及び/若しくはアセル属の種、又はその抽出物に由来する、実施形態1〜34のいずれかの経口製剤。
【0304】
36.植物性物質が大麻に由来する、実施形態1〜35のいずれかの経口製剤。
【0305】
37.植物性物質が、カンナビス・サティバ、カンナビス・ルデラリス又はカンナビス・インディカに由来する、実施形態1〜36のいずれかの経口製剤。
【0306】
38.大麻抽出物を含む、実施形態1〜37のいずれかの経口製剤。
【0307】
39.カンナビノイドを含む、実施形態1〜38のいずれかの経口製剤。
【0308】
40.1つ以上の合成カンナビノイドが、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)及び/又はこれらの混合物を含む、実施形態1〜39のいずれかの経口製剤。
【0309】
41.クルクミン、ヒペリシン、レスベラトロール、カプサイシン、レセルピン、ビンブラスチン、ヘスペリジン、ナリンギン、ルチン、クエルシトリン、カテキン、オイゲノール、リモネン、リナロール又はニコチンを含む、実施形態1〜40のいずれかの経口製剤。
【0310】
42.1つ以上の合成カンナビノイドが、THC、CBD、CBG、CBC、CBN、CBDL、CBL、CBV、THCV、CBDV)、CBCV、CBGV、CBGM、カンナビネロール酸、CBDA、CBNV、CBO、THCA、THCVA又はこれらの混合物を含む、実施形態1〜41のいずれかの経口製剤。
【0311】
43.1つ以上の合成カンナビノイドが、実施形態42の合成カンナビノイドの誘導体及び/若しくは類似体、又はこれらの混合物を含む、実施形態1〜42のいずれかの経口製剤。
【0312】
44.1つ以上の合成カンナビノイドが、3−カルバモイル−2−ピリドン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;ピリミジン誘導体及び/又は類似体;カレナジオール又はこの誘導体及び/若しくは類似体;カンナビノイドカルボン酸又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;ピリド[3,2−E][1,2,4]トリアゾロ[4,3−C]ピリミジン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−C]ピリジン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オンカンナビノイド又はこの誘導体及び/若しくは類似体;レゾルシノール又はこの誘導体及び/若しくは類似体;デキサンビノール化合物又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;大麻類似性脂質アミド化合物又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;ナビロン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;2−オキソキノロン化合物又は開示されているこれらの誘導体及び/若しくは類似体;又は3,4−ジアリール−4,5−ジヒドロ−(h)−ピラゾール−1−カルボキサミド又はこの誘導体及び/若しくは類似体を含む、実施形態1〜43のいずれかの経口製剤。
【0313】
45.フラボノイド化合物、テルペン又はテルペノイドを含む、実施形態1〜44のいずれかの経口製剤。
【0314】
46.N−アシル化脂肪アミノ酸が、化合物I〜XXXV(図5)又は化合物a〜r(図6)の1つ以上を含む、実施形態1〜45のいずれかの経口製剤。
【0315】
47.N−アシル化脂肪アミノ酸が、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸一ナトリウム、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸二ナトリウム及びN−(サリチロイル)−8−アミノカプリル酸を含む、実施形態1〜46のいずれかの経口製剤。
【0316】
48.N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、
【0317】
【化20】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである)を含む、実施形態1〜47のいずれかの経口製剤。
【0318】
49.一価のカチオンがナトリウム又はカリウムを含む、実施形態48の経口製剤。
【0319】
50.金属カチオンがカルシウム又はマグネシウムを含む、実施形態48又は49の経口製剤。
【0320】
51.有機のカチオンがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む、実施形態48〜50のいずれかの経口製剤。
【0321】
52.XがHである、実施形態48〜51のいずれかの経口製剤。
【0322】
53.Xがナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態48〜51のいずれかの経口製剤。
【0323】
54.Xがカルシウム又はマグネシウムを含む二価の金属カチオンである、実施形態48〜51のいずれかの経口製剤。
【0324】
55.Xがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む有機のカチオンである、実施形態48〜51のいずれかの経口製剤。
【0325】
56.ZがHである、実施形態48〜55のいずれかの経口製剤。
【0326】
57.Zがナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態48〜55のいずれかの経口製剤。
【0327】
58.Zがカルシウム又はマグネシウムを含む二価のカチオンである、実施形態48〜55のいずれかの経口製剤。
【0328】
59.XがHであり、ZがHである、実施形態48の経口製剤。
【0329】
60.XがHであり、Zがナトリウムである、実施形態48の経口製剤。
【0330】
61.Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、実施形態48の経口製剤。
【0331】
62.N−アシル化脂肪アミノ酸が投与便益を提供する、実施形態1〜61のいずれかの経口製剤。
【0332】
63.投与便益が薬量依存性の投与便益である、実施形態63の経口製剤。
【0333】
64.薬量依存性の投与便益が100〜200mgの薬量におけるものである、実施形態63の経口製剤。
【0334】
65.投与便益が、N−アシル化脂肪アミノ酸を含まない対照経口製剤と比較して、植物性物質の測定される成分の増大した吸収、植物性物質の測定される成分の増大したバイオアベイラビリティー、植物性物質の測定される成分の作用のより速い発現、植物性物質の測定される成分のより高いピーク濃度、植物性物質の測定される成分のより速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味及び改良された口当たりの1以上を含む、実施形態62〜64のいずれかの経口製剤。
【0335】
66.経口製剤が医薬経口製剤である、実施形態1〜65のいずれかの経口製剤。
【0336】
67.経口製剤が栄養補給剤である、実施形態1〜65のいずれかの経口製剤。
【0337】
68.界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩を含む、実施形態1〜67のいずれかの経口製剤。
【0338】
69.治療上有効な量の植物性物質を含む、実施形態1〜66又は68のいずれかの経口製剤。
【0339】
70.治療上有効な量が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、及び離脱の症状を治療する、実施形態69の経口製剤。
【0340】
71.ビタミン又はミネラルを含む、実施形態1〜70のいずれかの経口製剤。
【0341】
72.ビタミン及びミネラルを含む、実施形態1〜70のいずれかの経口製剤。
【0342】
73.ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE又はビタミンKの1つ以上から選択される、実施形態71又は72の経口製剤。
【0343】
74.ミネラルが、カルシウム、クロム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、セレン又は亜鉛の1つ以上から選択される、実施形態71〜73のいずれかの経口製剤。
【0344】
75.経口製剤が嚥下可能か又はチュアブル、実施形態1〜74の経口製剤。
【0345】
76.経口製剤が液体又は固体である、実施形態1〜75のいずれかの経口製剤。
【0346】
77.経口製剤が溶液、懸濁液、又はスプレーである、実施形態1〜76のいずれかの経口製剤。
【0347】
78.経口製剤が錠剤、カプセル又はサシェである、実施形態1〜76のいずれかの経口製剤。
【0348】
79.経口製剤が香味付けられている、実施形態1〜78のいずれかの経口製剤。
【0349】
80.より速い作用の発現を有する大麻の経口製剤を調製する方法であって、大麻の経口製剤に吸収促進剤を添加することを含み、大麻の経口製剤が、吸収促進剤を含まない大麻の経口製剤より速い作用の発現を有する、方法。
【0350】
81.吸収促進剤がN−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩である、実施形態80の方法。
【0351】
82.N−アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、
【0352】
【化21】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである)を含む、実施形態81の方法。
【0353】
83.N−アシル化脂肪アミノ酸が、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸一ナトリウム、N−サリチロイル−8−アミノカプリル酸二ナトリウム及びN−(サリチロイル)−8−アミノカプリル酸から選択される、実施形態81又は82の方法。
【0354】
84.治療上有効な量の実施形態1〜66のいずれかの経口製剤又は実施形態68〜79のいずれかの経口製剤を対象に投与することによりそれを必要とする対象を治療することを含む、それを必要とする対象を治療する方法。
【0355】
85.治療上有効な量が有効な量、予防的治療、及び/又は治療処置を提供する、実施形態84の方法。
【0356】
86.ヒト対象において病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅する方法であって、前記方法が治療上有効な量の実施形態1〜66のいずれかの経口製剤又は実施形態68〜79のいずれかの経口製剤を対象に送達することにより病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅することを含み、前記病気又は疾患が後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、骨粗しょう症、骨減少症、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、又は離脱症候群である、方法。
【実施例】
【0357】
改善されたバイオアベイラビリティー及び短縮された効果発現までの時間を提供する経口カンナビノイド剤形。大麻療法により利益を受ける可能性のある豊富な医学的状態を考慮すると、改善されたバイオアベイラビリティーを経口フォーマットで提供する即効性製品への満たされていない大きな需要が存在する。現在の経口大麻製品は、食用品を含み、低いバイオアベイラビリティー及び作用発現するまでの長い時間が課題である伝統的な医薬剤形である。本開示は、現在利用可能な全ての経口大麻製品の短所に対処して、改善された効果発現までの時間及び改善されたバイオアベイラビリティーを提供する。
[実施例1] 代表的な製剤。迅速発現溶液製剤。大麻と1種以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を、水性/有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを1時間激しく撹拌する。溶解が不完全であれば、界面活性剤を加えることができ、撹拌を続けて最終の製剤を調製することができる。
【0358】
迅速発現懸濁製剤。大麻と1種以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを撹拌して懸濁させることができる。
【0359】
迅速発現溶液製剤。大麻と任意の1種以上の吸収促進剤を水性/有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを1時間激しく撹拌する。溶解が不完全であれば、界面活性剤を加えることができ、撹拌を続けて最終の製剤を調製することができる。
【0360】
迅速発現懸濁製剤。大麻と任意の1種以上の吸収促進剤を水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを撹拌して懸濁させることができる。
【0361】
迅速発現ゼラチンカプセル製剤。懸濁製剤又は溶液製剤をゼラチンカプセルに充填して1gまでの大麻を含ませることができる。ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで処理することも、又はコーティングなしで使用することもできる。
【0362】
迅速発現錠剤/カプセル製剤。溶液製剤及び懸濁製剤を蒸発、凍結乾燥、又は噴霧乾燥により乾燥させることができる。得られた乾燥製品を打錠添加剤と混合し、錠剤又はカプレットに圧縮して1gまでの大麻を含ませることができる。あるいは、乾燥製品をカプセルに充填することができる。
【0363】
迅速発現/作用延長型固体投薬製剤。大麻及び1つ以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する又は造粒方法によって組み合わせる。溶媒を除去し、得られた乾燥粉末を使用して、大麻及び賦形剤の固体コアをコートする。外側コーティングが迅速発現大麻を提供し、内側コアが作用延長大麻を提供する。
【0364】
迅速発現/作用延長型固体投薬製剤。大麻及び1つ以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する又は造粒方法によって組み合わせる。溶媒を除去し、得られた乾燥粉末を錠剤に圧縮して、複合錠剤の半分を形成する。複合錠剤のもう一方の半分は、大麻及び賦形剤を含む錠剤である。両方の半分を合わせて単一錠剤を形成し、半分が迅速発現大麻を提供し、もう一方の半分が作用延長大麻を提供する。
【0365】
迅速発現/作用延長型固体投薬製剤。大麻及び1つ以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する又は造粒方法によって組み合わせる。溶媒を除去し、得られた乾燥粉末を使用して、植物油中に大麻を含有するジェルキャップをコートする。外側コーティングが迅速発現大麻を提供し、ジェルキャップが作用延長大麻を提供する。
【0366】
迅速発現/作用延長型液体投薬製剤。大麻及び1つ以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する。大麻及び賦形剤を含む固体粒子を水性/有機溶媒混合物中に懸濁する。製剤の液体部分が迅速発現大麻を提供し、懸濁固体粒子が作用延長大麻を提供する。
【0367】
迅速発現/作用延長型液体投薬製剤。大麻及び1つ以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する。バリア層でコートされた、大麻及び賦形剤を含む固体粒子を水性/有機溶媒混合物中に懸濁する。製剤の液体部分が迅速発現大麻を提供し、バリア層を有する懸濁固体粒子が作用延長大麻を提供する。
【0368】
迅速発現/作用延長型食用製剤。大麻及び1つ以上のN−アシル化脂肪アミノ酸を水性/有機溶媒混合物中で混合する又は造粒方法によって組み合わせる。溶媒を除去して、迅速発現大麻である乾燥粉末を得る。大麻及び1つ以上の賦形剤を水性/有機溶媒混合物中で混合する又は造粒方法によって組み合わせる。溶媒を除去して、作用延長大麻である乾燥粉末を得る。乾燥粉末をガム又は食用フォーマット(例えば、キャンディー、ケーキ)と混合する。
【0369】
作用延長液体で囲まれた迅速発現シェル。迅速溶解固体シェルが、植物性物質の液体コアを囲んでいる及び/又は合成カンナビノイドが、緩徐に溶解する。
【0370】
作用延長液体で囲まれた迅速発現シェル。迅速溶解SNAC/大麻シェルが、ゴマ油中のTHCを囲んでいる。ゴマ油は、ジェルキャップバリア層内にあり得る。
[実施例2] 経口投与した大麻/SNAC製剤の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際のSNACの有用性を評価するために設計された。
【0371】
参加者の選択。6人の試験参加者を採用して、大麻製剤を摂取させ、大麻に誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間、及び強度を記録した。試験参加者は、2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物、並びにSNACを含む試験物質の使用。
【0372】
製剤。選択された大麻濃縮物は市販されており、エタノール溶液として参加者に与えた。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有する。これは、高い割合のTHCを含有しており、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択された。水性エタノールは大麻抽出物並びにSNACを効果的に溶解するので溶媒として使用した。
【0373】
方法。対照実験では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込んだ。
【0374】
試験実験では、各参加者は水性エタノール及び200mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込んだ。
【0375】
対照実験及び試験実験で、各参加者は投薬の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、及び大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1〜10の範囲の尺度値を用いて報告された。表1に、各尺度値に対する多幸感及び不快レベルを記載する。
【0376】
【表2】
【0377】
結果。以下に示されている結果は全部で6人の参加者で得られた平均の尺度値である(図7A及び7Bにも示されている)。
【0378】
【表3】
【0379】
【表4】
【0380】
発現:6人の参加者全員が大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後5分以内に多幸感を報告し、発現の時間は2〜5分の範囲であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は摂取後15分であり、発現の時間は15分〜1時間15分の範囲であった(個々の参加者の結果については図8A〜8F参照)。摂取後15分までで平均の報告された多幸感尺度値は大麻/SNAC製剤(試験)の場合3.8であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後15分で、平均の報告された多幸感尺度値は0.17であった(各時点での平均については図7A、7B参照)。
【0381】
強度:大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後平均のピーク多幸感尺度値は4.7であり、これは摂取後30分であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後最高の平均多幸感尺度値は2.2であり、これは2時間15分の時点であった(図7A、7B参照)。したがって、大麻/SNAC製剤の摂取はより高いピーク強度の多幸感に至り、これは大麻のみの製剤を摂取したときより平均1時間45分速く起こった。観察された不快の強度は試験及び対照の両方で最小限度であり、ピークの平均尺度値は両方の実験で0.83であった。
【0382】
持続時間:結果は、吸収促進剤の添加が大麻の作用の持続時間を短縮しないことを示している。
【0383】
要約すると、SNACなどの吸収促進剤を大麻の経口投薬製剤に加えると、大麻のより速い作用の発現及びピーク活性レベルでのより高い作用強度を示す。なお、吸収促進剤は、大麻の作用の持続時間に対して影響を及ぼさない。
[実施例3] 経口投与された低いSNAC薬量の大麻/SNAC製剤の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際の低い薬量でのSNACの有用性を評価するために設計された。
【0384】
参加者の選択。3人の試験参加者を採用し、大麻製剤を摂取させ、大麻により誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間、及び強度を記録した。試験参加者は2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物並びにSNACを含む試験物質の使用。
【0385】
製剤。選択された大麻濃縮物は市販されており、エタノール溶液として参加者に与えた。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有する。これは、高い割合のTHCを含有しており、使用者により報告される「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択された。水性エタノールは大麻抽出物並びにSNACを効果的に溶解するので溶媒として使用された。
【0386】
方法。対照実験では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、その混合物をすぐに飲み込んだ。
【0387】
試験実験では、各参加者は水性エタノール及び100mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込んだ。
【0388】
対照実験及び試験実験の両方で、各参加者は薬量投与の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、及び大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1〜10の範囲の尺度値を用いて報告された。表1に、各尺度値に対する多幸感及び不快のレベルを記載した。
【0389】
結果。結果は、実施例2のデータと合わせて全ての参加者に対して図9に示されている。
【0390】
発現:3人の参加者全員が大麻/SNAC製剤(試験)を摂取して5分以内に多幸感を報告し、発現の時間は2〜5分の範囲であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は摂取後15分であり、発現の時間は15分〜1時間15分の範囲であった。摂取後15分まで、平均の報告された多幸感尺度値は大麻/SNAC製剤(試験)の場合3.0であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取の15分後、平均の報告された多幸感尺度値は0.25であった。
【0391】
強度:大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後平均のピーク多幸感尺度値は3.4であり、これは摂取後30分で起こった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後最高の平均多幸感尺度値は2.2であり、これは2時間15分の時点であった。SNAC薬量が200mgであった実施例2と比較して、実施例3の参加者はたった100mgのSNACを実施例2で使用したのと同じ量の大麻と組み合わせて摂取した。この低下した量のSNACの結果大麻作用が低下し、観察された大麻作用(多幸感)とSNAC薬量との間の明らかな薬量反応関係を示している。実施例2と同じく、大麻/SNAC製剤の摂取は多幸感のより高いピーク強度を示し、これは大麻のみの製剤を摂取したときより平均1時間45分速く起こった。
【0392】
持続時間:結果は、吸収促進剤の添加が大麻の作用の持続時間を短縮しないことを示している。
【0393】
要約すると、SNACのような吸収促進剤を大麻の経口投薬製剤に加えると、作用のより速い発現及び大麻のピーク活性レベルでの作用のより高い強度を示す。なお、吸収促進剤は大麻の作用の持続時間に影響しない。様々な量のSNACは、観察される大麻作用(多幸感)とSNAC薬量との間の明らかな薬量反応関係を生じる。
[実施例4] 吸入対経口群反応(図10)。対象が報告した多幸感として測定された吸入及び経口大麻の薬物力学反応の比較。経口及び吸入群は、両方とも類似したピーク効果までの時間(15〜30分間)を報告した。これは、経口大麻がピーク効果までの時間が伝統的に非常に緩徐であること(4時間まで)を特徴とするので、非常に驚くべきことである。
[実施例5] 大麻/SNAC経口ラット薬物動態(PK)試験のまとめ。この試験は、ラットへの単回強制経口投与後の、賦形剤のSNACを有する及び有さない、1:1比(重量に基づいた)で56%のTHC/CBDを含有する大麻抽出物の薬物動態プロファイルを特徴付けるために設計された。この試験において、大麻とSNACの2つの薬量及び大麻とSNACの2つの比を試験した。実験の設計を下記の表4に表す。
【0394】
【表5】
【0395】
方法。1日目に動物に投薬し、薬物動態評価のために一連の血液試料を投与後の4時間にわたって収集した。動物を、最後の血液試料の収集後に安楽死させた。
【0396】
結果。25mgの抽出物/kg及び250mgのSNAC/kg(群3)、25mgの抽出物/kg及び500mgのSNAC/kg(群4)又は50mgの抽出物/kg及び500mgのSNAC/kg(群5)による、吸収促進賦形剤(SNAC)と組み合わせた1:1比のTHC/CBDを含有する大麻抽出物の単回経口投与の後、平均最大濃度Cmaxは、CBDでは31.7〜159.3ng/mLの範囲であり、THCでは111.5〜546.17ng/mLの範囲であった。平均最大血漿中濃度に到達するまでの時間(Tmax)は、CBDでは投薬後の0.25〜1時間の範囲であり、THCにおいて、低及び中投薬群では投薬後の1時間で到達し、高投薬群では投薬後の2時間で到達した。AUC0−Tlastは、CBDでは13.17〜382.14hrng/mLの範囲であり、THCでは170.64〜1256.49hrng/mLの範囲であった。
【0397】
試験した投薬範囲において、THCのCmax及びAUC0−TlastはCBDより高かった。SNACを有する及び有さない同じ大麻抽出物(THC/CBD)薬量(25mg/kgの大麻の総薬量、12.5mg/kgのTHC/12.5mg/kgのCBD)を投与すると、THCでは、大麻単独より1.4倍のCmaxの増加が、250又は500mg/kgのいずれかのSNAC薬量において観察された。AUCは、大麻単独の群と比較して、250mg/kgのSNAC群では1.1倍大きかったが、500mg/kgのSNAC群では低かった。CBDでは、大麻単独より2.9倍及び2.8倍のCmaxの増加が、250又は500mg/kgのいずれかのSNAC薬量において観察された。AUCは、大麻単独と比較して、両方の群において低かった。500mg/kgのSNAC及び50mg/kgの大麻抽出物(25mg/kgのTHC/25mg/kgのCBD)に対して、大麻及びSNACの両方の薬量を2倍に増加することは、CBDのCmaxに14.2倍の増加をもたらし、THCのCmaxに6.9倍の増加をもたらした。CBD及びTHCのAUC0−Tlastは、それぞれ22.1倍及び6.3倍増加した(図11及び図12)。
【0398】
試験した投薬範囲において、THCのCmax及びAUC0−TlastはCBDより高かった。SNAC(250mg/kg又は500mg/kg)の存在下で同じ大麻抽出物(THC/CBD)薬量を投与すると、THCとCBDの両方のCmaxは、大麻単独群より、それぞれ1.4倍及び2.8倍増加した。AUC0−Tlastは同等であった。この観察は、大麻とSNACとの比の10:1がCmaxの増加を促進するが、20:1に比を増加させると、追加的な便益を提供しないことを示唆している。大麻とSNACの両方の薬量を2倍に増加すると、大麻単独群より、それぞれ6.9倍及び14.2倍のTHC及びCBDのCmaxの増加をもたらした。THC及びCBDのAUC0−Tlastは、大麻単独群より、それぞれ6.3倍及び22.1倍増加した。これは、経口大麻において観察された近線形薬量反応(Information for Health Care Providers−Cannabis and the Cannabinoids;Health Canada February 2013)に基づいて予測された増加よりも大きい。全体として、これらのデータは、強制経口によりラットに投与されたとき、SNACが大麻の吸収を促進することを示唆している。
[実施例6] 経口投与した大麻/NAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際のSNACの酸形態であるN−[8−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC)の有用性を評価するために設計された。
【0399】
試験参加者。1人の試験参加者を採用して、大麻組成物を摂取させ、大麻に誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間及び強度を記録した。試験参加者は、2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解したハーブ抽出物ブレンド中の大麻濃縮物の油を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解したハーブ抽出物ブレンド中の大麻濃縮物の油と、NACとを含む試験物質の使用。
【0400】
製剤。選択された大麻濃縮物の油はカプセル剤で市販されており、カプセル剤の内容物をエタノール溶液として参加者に与えた。1つのカプセル剤は、9mgのCBD、7.7mgのTHC、ハーブ抽出物ブレンド(コウボク、アシュワガンダ、ゲンゲ)及びステアリン酸(植物油由来)を含有し、カプセル当たりの規定力価は、CBD 9.0mg、THCA 0.0mg及びTHC 7.6mgである。この製剤は、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択され、試験2が非常に高い薬量の大麻を送達する場合には、CBDの含有量が不快作用を寛解させるはずである。
【0401】
方法。対照実験では、参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込んだ。
【0402】
試験実験では、参加者は水性エタノール及び100mgのNACの予め混合した5mlの溶液と大麻濃縮物を混合し、すぐにその溶解した混合物を飲み込んだ。
【0403】
対照実験及び試験実験で、参加者は投薬の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、並びに大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1〜5の範囲の尺度値を用いて報告された。表5に、各尺度値に対する多幸感及び不快レベルを記載する。
【0404】
【表6】
【0405】
結果。以下に示される結果は、対照実験(表6)及び試験実験(表7)における参加者から得られた尺度値である。値は図13にプロットされている。
【0406】
【表7】
【0407】
【表8】
【0408】
発現:参加者は、大麻/NAC製剤(試験、表7及び図13)の摂取後6分以内に多幸感を報告した。対照的に、大麻のみの製剤(対照、表6及び図13)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は、摂取後45分であった。摂取後30分までに、参加者は大麻/NAC製剤で強い多幸感(尺度値の4)を報告した。対照的に、大麻のみの製剤の摂取後30分で、参加者は、おそらく心理的なものである軽度の作用(尺度値の1)のみを認めた。
【0409】
強度:大麻のみ(対照)及び大麻/NAC製剤(試験)の両方の摂取後のピーク多幸感の尺度値は、4であった。しかし、多幸感のピーク強度は、大麻/NAC製剤(試験)では摂取後30分で到達したが、多幸感のピーク強度は、大麻のみの製剤(対照)では摂取後2時間で到達した。したがって、大麻/NAC製剤の摂取は、ピーク強度が大麻のみの製剤を摂取したときより1時間30分速く起こった多幸感をもたらした。観察された不快の強度は試験及び対照の両方で最小限度であったが、参加者は、大麻のみの製剤(対照)によるよりも、軽度な不快作用を認めた。
【0410】
要約すると、SNACの酸形態であるNACは、大麻の経口投薬製剤に含めると、SNACと同じ様に機能する。大麻/NAC製剤は、大麻のみの製剤と比較してより速い作用の発現を提供する。
【0411】
当業者には理解されるように、本明細書に開示されている各々の実施形態はその特定の述べられている要素、ステップ、成分又は構成部分を含む(comprise)、から本質的になる(consist essentially of)、又はからなる(consist of)ことができる。したがって、用語「包含する(include)」又は「包含している(including)」は「含む、からなる、又はから本質的になる」を意味するものと解されたい。本明細書で使用されるとき、移行用語「含む」は包含することを意味するが、これに限定されることはなく、主要量であるとしても、特記されていない要素、ステップ、成分、又は構成部分を含有することも可能である。移行句「からなる」は特記されてない要素、ステップ、成分又は構成部分を排除する。移行句「から本質的になる」は実施形態の範囲を特記されている要素、ステップ、成分又は構成部分及びその実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。特定の実施形態において、重大な影響は本明細書に開示されている実験プロトコールで評価したとき投与便益の統計的に有意な低減を起こすであろう。
【0412】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量のような特性、反応条件、などを表す全ての数はいかなる場合も用語「約」により修飾されているものと理解されたい。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメーターは本発明によって得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限する意図はなく、各々の数値パラメーターは少なくとも報告されている有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方を使用することによって解するべきである。更に明確さが必要な場合、用語「約」は、述べられている数値又は範囲と共に使用されているとき当業者が当然に考える意味を有し、すなわち、述べられている値若しくは範囲よりいくらか大きいか又はいくらか小さい値、述べられている値の±20%;述べられている値の±19%;述べられている値の±18%;述べられている値の±17%;述べられている値の±16%;述べられている値の±15%;述べられている値の±14%;述べられている値の±13%;述べられている値の±12%;述べられている値の±11%;述べられている値の±10%;述べられている値の±9%;述べられている値の±8%;述べられている値の±7%;述べられている値の±6%;述べられている値の±5%;述べられている値の±4%;述べられている値の±3%;述べられている値の±2%;又は述べられている値の±1%の範囲内の値を意味する。
【0413】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値はできる限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も本来、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるいくらかの誤差を含有する。
【0414】
本発明を説明する上で(殊に以下の特許請求の範囲で)使用されている用語「a」、「an」、「the」及び同様な指示語は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むものと解されたい。本明細書中値の範囲の記述は、単に、その範囲内に入る各々別々の値に個別に言及する代わりの略記法として意図されている。本明細書中で他に示されない限り、各々個々の値は本明細書中で個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序に実施することができる。本明細書に挙げられているいずれか及び全ての例、又は例となる言葉(例えば、「のような」)の使用は単に本発明の理解をより容易にすることを意図したものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載されていないが本発明の実施に必須のいずれかの要素を意味すると解してはならない。
【0415】
本明細書に開示されている本発明の代わりの要素又は実施形態のグループは限定と考えるべきではない。各グループメンバーは個別に、又はそのグループの他のメンバー若しくは本明細書中に見出される他の要素と任意に組み合わせて参照され要求され得る。あるグループの1以上のメンバーが便宜上及び/又は特許性のためにあるグループに含まれてもよいし、又は省略されてもよいと考えられる。かかる包含又は省略が起こるとき、本明細書は、そのグループを、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの記載要件を満たすように修飾されているものとして含むと考えられる。
【0416】
本発明を実施する上で本発明者が知る最良の態様を含めて本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載されている。もちろん、これらの記載されている実施形態に対する変形は以上の説明を読んだ当業者には明らかであろう。本発明者は当業者がかかる変形を適宜使用すると予想しており、また本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されているのとは異なって実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法令により許容されるように添付の特許請求の範囲に記載の対象の全ての改変品及び等価物を包含する。更に、上記要素のあらゆる可能な変化のいかなる組合せも、本明細書中で他に示されない限り、又はその他文脈から明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0417】
また、本明細書を通じて数多くの特許、刊行物、学術論文その他文書(参考資料)を参照した。これら参考資料は各々参照によりその全体が参照された教示のために個別に本明細書に組み込まれる。
【0418】
締めくくりに、本明細書に開示されている本発明の実施形態は本発明の原理の例示であると理解されたい。使用し得る他の改変品は本発明の範囲内である。このように、例として、限定ではなく、本発明の別の態様も本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、上に正に示され記載されているものに限定されない。
【0419】
本明細書に示されている詳細は例として本発明の好ましい実施形態の説明の目的のみのものであり、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的見地の最も有用で容易に理解される説明と考えられるものを示すために挙げるものである。この点、本発明の基礎的理解に必要なものより詳細に本発明の構造細部を示すことを意図したものではなく、図面及び/又は実施例と合わせた記載により、本発明のいくつかの形態が実施の際にいかに具現化され得るかが当業者に明らかにされる。
【0420】
本開示で使用されている定義及び説明は、次の例で明白かつ一義的に改変されない限り、又はその意義の適用がいずれかの構成を無意味若しくは本質的に無意味にするとき、将来の構成において統制することを意味し、意図している。その用語の構成がそれを無意味又は本質的に無意味にする場合、その定義はWebster’s Dictionary,3rd Edition、又はOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)のような当業者に知られた辞書に由来するべきである。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】